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外国人問題(その5)(木下洋一氏「入管は法定化された基準で裁量を行使すべき」、ベトナムで広がる「日本から戻った人は危ない」というイメージ、コロナ禍で加速するベトナム人の日本脱出) [社会]

外国人問題については、1月7日に取上げた。今日は、(その5)(木下洋一氏「入管は法定化された基準で裁量を行使すべき」、ベトナムで広がる「日本から戻った人は危ない」というイメージ、コロナ禍で加速するベトナム人の日本脱出)である。

先ずは、5月23日付け日刊ゲンダイが掲載した法務省入国管理局を経て「未来入管フォーラム」代表の木下洋一氏による「木下洋一氏「入管は法定化された基準で裁量を行使すべき」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/289492
・『終盤国会の対決法案に浮上した入管法改正案について、菅政権が今国会の成立を断念した。改正法案は、在留資格を失って国外退去処分(非正規滞在)となった外国人の速やかな帰国を促すことを目的とし、政府は入管施設に長期間収容される現状が解消されると説明。また、送還を免れるための難民認定申請の乱用を防ぐため、現行法の「難民認定の手続き中は送還しない」(送還停止効)とする規定に例外を設け、3回目以降の申請者は審査をせずに強制退去の対象とする規定も盛り込まれた。 これに対し野党側は、改正案は、難民認定申請をする権利を大幅に制限するとともに、迫害を受ける恐れのある国への追放・送還を禁じる国際法の原則にも反すると主張。法案修正の協議をめぐって与野党で激しく対立していた。 とりあえず今国会で改正法案は廃案となる見通しだが、現行法も含めて入管法はどこに問題があるのか。元入管職員で入管政策の改革を訴える「未来入管フォーラム」代表の木下洋一氏(56)に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは木下氏の回答)。 Q:政府が今国会での入管法改正案の成立を見送りました。 A:廃案になったとはいえ、結局は現行の入管法が残るわけです。確かに改正法案はいろいろな問題が指摘されていましたが、現行法もたくさんの問題を抱えています。それを今後、いかに良い中身の法律に変えていくのかが重要です。 Q:入管法は、戦前は内務省の管轄で、特高警察が実務を担い、外国人を治安維持のための取り締まり対象としていたと報じられています。この流れが現行の入管制度の“弊害”として残り、政府が外国人の非正規滞在を認めない根底にあるのではないかと言われています。 A:入管法は戦後のGHQ占領下で出来たポツダム政令から始まっています。それまで日本人とされていた朝鮮半島出身者や台湾出身者の人が、日本の敗戦で日本国籍を失って突然、外国人という立場に置かれた。そういった人たちをどう管理するのか。そういう発想で作られたわけです。つまり、今のような多国籍の人種が混在する社会や、グローバルスタンダードなどは全く想像もしていなかった時代の法律が今日に至っているわけです。 Q:日本の入管法は、国際社会からも是正が強く求められています。 A:改正法に対して、国連(の人権専門家ら)は共同書簡で「国際的な人権水準に達しておらず、再検討を強く求める」「(自由権規約などに反する)国際法違反である」とダメ出ししました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も人権保護の観点から重大な懸念を示すなど、国際機関は以前から日本の収容に関して「国際法違反」だと指摘していましたが、日本政府はずっと無視してきました。これでは、日本政府は国際標準にあわせる気がないのだと、国際社会から思われても仕方がないと思います』、「入管法は・・・それまで日本人とされていた朝鮮半島出身者や台湾出身者の人が、日本の敗戦で日本国籍を失って突然、外国人という立場に置かれた。そういった人たちをどう管理するのか。そういう発想で作られたわけです。つまり、今のような多国籍の人種が混在する社会や、グローバルスタンダードなどは全く想像もしていなかった時代の法律が今日に至っているわけです」、「国際機関は以前から日本の収容に関して「国際法違反」だと指摘していましたが、日本政府はずっと無視してきました。これでは、日本政府は国際標準にあわせる気がないのだと、国際社会から思われても仕方がないと思います」、法務省は国際的な批判には聞く耳を持たない内向きな官庁のようだ。
・『現行制度は入管がブラックボックスになっている  Q:入管は強制送還に従わない外国人を「送還忌避者」とよび、とにかく日本から早期に退去させるため権限を強化しようとしています。一方で、帰るに帰れない人の存在や人権に関する課題も指摘されています。 A:まず、誤解されていると感じるのは、オーバーステイ(超過滞在)など在留資格がない人たちは「犯罪者だから送還されて当然」という見方です。確かにオーバーステイは入管法違反ですし、非正規在留者は基本的には強制送還の対象者です。私もすべてのオーバーステイの人をすべからく日本に滞在させていいとは思いません。しかし、中には、いろいろな事情を抱えた人たちも含まれているわけです。例えば、オーバーステイの間に日本人と結婚して子供が生まれたり、本国に戻れば迫害を受けたりするケースで、こういった人たちには現行法でも、日本にとどまることが出来る「在留特別許可制度」や「難民認定制度」があります。しかし、その判断が不透明で、ブラックボックスになっていることが問題なのです。 Q:「在留特別許可」や「難民認定制度」の運用が不透明だと。 A:例えば、子どもの送還です。オーバーステイ同士の両親を持つ子ども、あるいは物心がつく前に両親と一緒に来日し、一家でオーバーステイになった――というケースは少なくありません。当たり前ですが、子どもは親を選べないし、ビザの申請をできるワケもない。何ら罪はないわけです。しかし、今の入管法では、そういった子どもたちも全く保護されておらず、大人と同じ扱い。入管の裁量判断で在留特別許可がおりなければ、あるいは難民不認定となれば強制送還の対象となります。しかし、入管職員に児童心理学や医学的な専門知識があるわけではない。教育や発達心理学といったことも素人なわけで、そういう素人集団が子どもの送還について適切に判断することが果たして可能でしょうか。 Q:どう改正すればいいと考えていますか。 A:正規在留者、非正規滞在者を問わず、入管行政は入管だけで全てを決めるというシステムであり、まずは入管が持っている広範で巨大な裁量権を何とかしなければいけないと考えています。入管が胸先三寸で決めていた権限について透明性を確保するためには、基準を明確化すること、第三者機関を積極的に関与させていくことが必要だと思います。 Q:具体的にどうすればいいのでしょうか。 A:例えば、非正規滞在者に関して言えば、現行法には在留特別許可の基準がありません。今は、「法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めた場合に限り、在留特別許可を出す」とあるだけで、どういう場合に許可を出すのかというのは法律に一切書かれていないのです。確かに入管のホームページには、在留特別許可にかかるガイドラインはありますが、そのガイドライン自体を入管が「基準ではない」として守らない。基準が法定化されていないことが、入管が不透明であり続ける大きな要因となっているのは明らかで、ガイドラインを法定化することも一策だと思います。 Q:入管はなぜ、基準を法定化しないのですか。 A:基準を法定化するとそれに縛られ、これまでのようなフリーハンドの裁量権行使ができなくなくわけです。入管にしてみれば、自分たちが持つ強大な権限を手放したくないというのがあるのでしょう。よく、入管の裁量は政治的裁量と言われます。私はまったく同調できないのですが、政治的背景で入管の裁量が変化するのは当然という考え方です。しかし、裁量の変化はあくまでも政治的コントロールの下に置かれるべきで、行政に政治をさせないためにも、法定化された基準のもとで入管の裁量も行使されるべきです』、「まずは入管が持っている広範で巨大な裁量権を何とかしなければいけないと考えています。入管が胸先三寸で決めていた権限について透明性を確保するためには、基準を明確化すること、第三者機関を積極的に関与させていくことが必要」、「基準を法定化するとそれに縛られ、これまでのようなフリーハンドの裁量権行使ができなくなくわけです。入管にしてみれば、自分たちが持つ強大な権限を手放したくない」、これでは、「基準を明確化」、「第三者機関を積極的に関与」が必要だ。
・『ウィシュマさんのケースを徹底検証するのは当然のこと  Q:今は「第三者機関」の関与もまったくないのですか。 A:唯一あるのが、(2005年から導入された)難民審査参与員制度です。難民認定手続きは、難民申請を入管が審査し、不認定処分となった場合に審査請求をして二次審査する。そこで、難民審査参与員という(学者や弁護士など法律や国際情勢に詳しいとされる)有識者たちが難民かどうかを判断して、法務大臣に助言するという流れです。しかし、難民審査参与員といっても法務大臣の諮問機関という位置づけであり、事務局も入管が握っている。結局、お手盛りの判断になるわけで、法務省や入管が全く関与せず、干渉も受けない組織が不可欠です。 Q:入管の人権無視の実態が“凝縮”した例として、3月、名古屋出入国管理局で亡くなったスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(享年33)のケースがあります。入管施設に半年あまり収容され、収容中に体調が悪化したにもかかわらず、必要な医療を受けられなかった疑いが出ています。この件をどう見ていますか。 A:まず、彼女はオーバーステイだったため、現行法上、収容それ自体が違法だったというわけではありません。また、今回の死亡事件と法改正議論とは一応分けて考えるべきだとは思います。とはいえ、収容したからには入管が人命に責任を持つのは当然です。適切な行為をしていれば彼女は命を落とさずに済んだ可能性があり、真相解明は徹底的にするべきです。法務省は「第三者を入れて調査する」としていますが、そうではなくて「第三者が調査する」です。なぜなら、入管は調査対象だからです。 Q:入管側は、ウィシュマさんが映っているとされる監視カメラの映像について、「保安上の理由」「プライバシー」などを掲げて遺族にさえも開示していません。 A:どちらも開示を拒む正当な理由だとは到底思えません。不法滞在者だから亡くなっても構わないというわけではないはずで、遺族が真相を知りたいと願うのは当然のこと。プライバシーは法務省が決めることではないし、「保安上の理由」は、遺族などの限られた人にすら公開ができない正当な理由にはならないと思います。むしろ、頑なに開示を拒む態度を見ると、入管では何かヤバイことが行われているのではないかと疑われかねません。二度とこのような悲劇を起こさないためにも徹底的な検証が必要ですし、ひいてはそれが入管のためにもなると思います。(聞き手=遠山嘉之/日刊ゲンダイ)▽木下洋一(きのした・よういち) 公安調査庁を経て2001年に法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)職員。18年間、入国審査官として在留審査などを担当した。19年3月に退職し、入管政策の改革を目指す「入管問題救援センター」(現・未来入管フォーラム)を設立』、「適切な行為をしていれば彼女は命を落とさずに済んだ可能性があり、真相解明は徹底的にするべきです。法務省は「第三者を入れて調査する」としていますが、そうではなくて「第三者が調査する」です」、同感である。

次に、5月2日付けWedgeが掲載したジャーナリストの出井康博氏による「ベトナムで広がる「日本から戻った人は危ない」というイメージ」を紹介しよう。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/23020
・『新型コロナウイルス感染症対策で、世界で最も成功している国の1つがベトナムだ。1億近い人口を抱えながら、累計感染者数は5月16日時点で4200人弱に過ぎない。オーストラリアのシンクタンク「ロウイー研究所」が98カ国・地域を対象に実施し、今年1月に発表したコロナ対策の有効性に関する調査でも、ニュージーランドに次いで第2位の評価を受けている。ちなみに日本は45位である。 しかし、最近になってベトナムでも次第に感染者が増えつつある。抑え込めていた市中感染も、4月27日以降に1100人以上が見つかっている。5月16日には過去最高の187人の市中感染者も確認された。こうした感染拡大の元凶として見られているのが、日本からの帰国者たちだ。 日本とベトナムの往来は、1月に日本で緊急事態宣言が発令されるまで一方通行状態にあった。日本発の定期便は運行が停止し、母国への帰国を希望するベトナム人を乗せたチャーター便がたまに飛ぶ程度だった。一方、ベトナム発の便は運行され、日本へ向かう出稼ぎ労働者で混雑していた。昨年11月から1月にかけ日本へ新規入国したベトナム人は、実習生や留学生を中心に5万人近くに上ったほどだ。 そんな状況が、緊急事態宣言以降に一変した。実習生らが入国できなくなったため、来日するベトナム人が激減したのだ。そして逆に、日本を離れるベトナム人が増えていく。チャーター便の本数が増えたからだ。 そうしてチャーター便で帰国するベトナム人の間で、コロナ感染者が相次いで見つかっている。たとえば、4月12日からの1週間で、ベトナムに入国した89人の感染が判明しているが、そのうち39人は日本からの帰国者だった。この頃に飛んでいたチャーター便は週2〜3本なので、感染者の割合は決して少なくない。東京都内の会社を辞め、4月にベトナムへ帰国したフイさん(20代)が言う。 「日本を出る際には、簡単な抗原検査だけでチャーター便に乗れました。ベトナム人実習生や留学生には感染者が少なくない。だから抗原検査は陰性でも、ベトナムに到着後のPCR検査で感染が判明する人が続出しているのです」 抗原検査は短時間で結果が出るが、PCR検査と比べて精度が劣るとされる。 日本からの出国は簡単にできても、新型コロナに対するベトナムの水際対策は厳格だ。入国後は2週間、軍の施設もしくは指定のホテルで強制的に隔離される。その間、計3回のPCR検査を受け、陰性が証明されてやっと施設などから出られる。4月中旬に感染が判明した「39人」の日本からの帰国者も皆、入国直後もしくは隔離期間中だった。 そんな中、同月末になって、ベトナム当局に衝撃的は事例が判明した。日本からの帰国者の1人が、隔離を終えた後に発熱症状を訴えたのだ。そして検査で、コロナ感染が発覚した。 この帰国者と濃厚接触があったと見られる人から、少なくとも数人が感染したことがわかっている。その後、ベトナム各地で市中感染者が急速に増えていくのである。 ベトナムには、国境を接する中国などからの密入国が絶えない。以前は密入国者がコロナをベトナム国内に持ち込むケースもあったようだが、少なくとも現在、中国では感染は抑え込まれている。つまり、ベトナムにおける最近の感染拡大は「日本由来」の疑いがある。ホテルでの2週間の隔離を経て、現在はハノイの自宅に戻っているフイさんはこう話す。 「ベトナムでは、『日本から戻った人は危ない』というイメージが広がっています。日本で東京や大阪といった人が『危ない』と見られているのと同じです」 ベトナム政府の動きは早かった。5月5日、入国者に義務づけていた2週間の隔離期間を3週間へ延長することを決めたのだ』、「チャーター便で帰国するベトナム人の間で、コロナ感染者が相次いで見つかっている。たとえば、4月12日からの1週間で、ベトナムに入国した89人の感染が判明しているが、そのうち39人は日本からの帰国者だった」、「『日本から戻った人は危ない』というイメージが広がっています」、みっとないことだ。
・『スマホを部屋に置いていれば、外出してもわからない  ベトナムでは3月からワクチンの接種が始まっているが、1回目の接種を終えた人は5月15時点で100万人に満たず、日本の5分の1程度に過ぎない。にもかかわらず、感染者数を抑制できているのは、厳格な水際対策のおかげである。 日本も以前から入国者に対し、2週間の“待機期間”を設けてはいる。だが、ベトナムのように指定施設で隔離されるわけでもなく、本人の「自主性」任せた“待機”要請に過ぎない。 今年1月に首都圏の1都3県に緊急事態宣言が発令される以前は、ベトナム人などの実習生や留学生はPCR検査すら受けず入国できていた。ベトナム出発前も、そして入国後も検査が全く課せられないのだ。11月、東京都内の日本語学校に留学するため来日したベトナム人女性は、筆者にこう話していた。 「アパートまで、やろうと思えば電車やバスで移動できました。2週間の待機中は、スマホに入ったアプリを通じ、私の居場所がチェックされることにはなってはいた。でも、スマホを部屋に置いていれば、外出してもわからない。私も買い物などで、普通に出かけていました。ベトナム(の水際対策)とはあまりに違うので、心配になったほどです」 事実、最近になって「1日最大300人」が自宅などでの待機要請に従っていなかったことが判明している。こうした甘い対応が、昨年末から年明けにかけての感染拡大をもたらした可能性が高い。 政府が昨年6月から一部外国人に実施してきた入国制限緩和措置こそ、1月の緊急事態宣言によって停止された。だが、外国人の入国が完全に止まったわけではない。日本政府観光局(JNTO)が発表している「訪日外客数」によれば、今年3月には推計値で1万2300人の外国人が来日している。その中には、2月下旬から変異株の感染が急速に拡大していたインドからの700人も含まれている。 政府がインドを「新型コロナウイルス変異株の流行国・地域」に指定したのは、4月28日になってからのことだ。しかし指定を受けても、入国当初の3日間を指定の宿泊施設で過ごす必要があるだけだ。入国後の3日目にPCR検査を受け、陰性ならば解放され、自宅などで2週間“待機”すればよい。 ベトナムの場合、「2週間」の隔離でも危ないと判断し、強制的な隔離期間を3週間に延長した。それと比較し、3日間の隔離はかなり甘い。スマホを部屋に置いていれば、外出してもわからない ベトナムでは3月からワクチンの接種が始まっているが、1回目の接種を終えた人は5月15時点で100万人に満たず、日本の5分の1程度に過ぎない。にもかかわらず、感染者数を抑制できているのは、厳格な水際対策のおかげである。 日本も以前から入国者に対し、2週間の“待機期間”を設けてはいる。だが、ベトナムのように指定施設で隔離されるわけでもなく、本人の「自主性」任せた“待機”要請に過ぎない。 今年1月に首都圏の1都3県に緊急事態宣言が発令される以前は、ベトナム人などの実習生や留学生はPCR検査すら受けず入国できていた。ベトナム出発前も、そして入国後も検査が全く課せられないのだ。11月、東京都内の日本語学校に留学するため来日したベトナム人女性は、筆者にこう話していた。 「アパートまで、やろうと思えば電車やバスで移動できました。2週間の待機中は、スマホに入ったアプリを通じ、私の居場所がチェックされることにはなってはいた。でも、スマホを部屋に置いていれば、外出してもわからない。私も買い物などで、普通に出かけていました。ベトナム(の水際対策)とはあまりに違うので、心配になったほどです」 事実、最近になって「1日最大300人」が自宅などでの待機要請に従っていなかったことが判明している。こうした甘い対応が、昨年末から年明けにかけての感染拡大をもたらした可能性が高い。 政府が昨年6月から一部外国人に実施してきた入国制限緩和措置こそ、1月の緊急事態宣言によって停止された。だが、外国人の入国が完全に止まったわけではない。日本政府観光局(JNTO)が発表している「訪日外客数」によれば、今年3月には推計値で1万2300人の外国人が来日している。その中には、2月下旬から変異株の感染が急速に拡大していたインドからの700人も含まれている。 政府がインドを「新型コロナウイルス変異株の流行国・地域」に指定したのは、4月28日になってからのことだ。しかし指定を受けても、入国当初の3日間を指定の宿泊施設で過ごす必要があるだけだ。入国後の3日目にPCR検査を受け、陰性ならば解放され、自宅などで2週間“待機”すればよい。 ベトナムの場合、「2週間」の隔離でも危ないと判断し、強制的な隔離期間を3週間に延長した。それと比較し、3日間の隔離はかなり甘い)』、「日本」がこんなにも「甘い」とは腹が立つ。
・『国際基準に沿う水際対策は必要  米国は5月1日、欧州諸国や中国、ブラジル、南アフリカなどを対象に実施している入国制限措置にインドも加える決定をバイデン大統領が下した。自国民もしくは米国の市民権を持つ者を除き、入国を実質禁止したのである。台湾も5月4日、過去14日間以内にインドに滞在歴のある外国人の入国を停止している。 政府の対応に批判が相次いだのも当然だろう。すると政府は5月10日、インドなど変異株流行国からの入国者に対し、宿泊施設での待機期間を3日から6日間に延長した。しかし、それでも批判は止まない。そのため14日になって急きょ、インド、パキスタン、ネパールの3カ国に過去14日以内に滞在した外国人は、在留資格があっても入国を拒否することになった。 だが、感染力の高さが指摘されるインド型の変異株は、すでに日本でも市中感染が広まっている可能性が高い。5月初旬に東京医科歯科大学付属病院に入院した40代男性から、外国への渡航歴がないにも関わらずインド株が確認されてもいるのだ。 年明けまでの入国制限緩和措置は、新型コロナ「第3波」につながった。そして以降も続いた水際対策の甘さが「第4波」をもたらし、3度目の緊急事態宣言発令となったことは明白だ。 筆者は何も、外国人の入国を完全に止めろと言いたいわけではない。しかし入国を認めるのではあれば、少なくとも国際基準に沿う水際対策は必要だ。ベトナムという「成功モデル」と比較しても、日本の水際対策は実効性に乏しく、しかも後手を踏み続けている。いくら緊急自体宣言で国内の「人流」を制限しようと、肝心の水際がこうでは感染拡大が止まるはずもない。 コロナ感染が抑え込めなければ、そのぶん経済への悪影響は長引く。そのことは、最大の外国人労働者供給源となっているベトナムとの関係においても言える。緊急事態宣言下では、日本が欲する出稼ぎ労働者も受け入れらない。とりわけ農業や建設業などでは打撃は深刻だ。 そして影響は、新規の入国が止まるだけに留まらない。コロナ禍の日本に愛想を尽かし、日本から離れていく外国人も増えているのだ』、「年明けまでの入国制限緩和措置は、新型コロナ「第3波」につながった。そして以降も続いた水際対策の甘さが「第4波」をもたらし、3度目の緊急事態宣言発令となったことは明白だ」、「水際対策」がやり易い筈の「日本」で、「実効性に乏しく、しかも後手を踏み続けている」、「コロナ禍の日本に愛想を尽かし、日本から離れていく外国人も増えているのだ」、などは情けない限りだ。

第三に、この続きとして、5月23日付けWedgeが掲載したジャーナリストの出井康博氏による「コロナ禍で加速するベトナム人の日本脱出」を紹介しよう。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/23021
・『日本に住むベトナム人の数は2020年に4万人近く増加し、昨年末時点で44万8053人を数えるまでになった。その数は韓国人を抜き、外国籍として77万8112人の中国人に次いで多い。新型コロナウイルスの感染拡大で在日外国人が減少した昨年、国籍別の上位10カ国で唯一増加したのもベトナム人である。 過去10年間では、在日ベトナム人は10倍以上に増えている。出稼ぎのため、実習生や留学生として来日するベトナム人が急増したからだ。しかし、長く続いた日本への“出稼ぎブーム”にも、最近になって変化の兆しが見える。コロナ禍によって実習生らの新規入国が止まっている一方で、日本から去っていくベトナム人が相次いでいるのだ。 在日ベトナム人のうち、半数近い20万8879人は技能実習生だ。実習生は人手不足の中小企業や農家にとって欠かせない労働力だが、ベトナム人は約38万人の実習生の半数以上に上る。そんなベトナム人実習生にも、母国への帰国希望者が少なくない。関東地方の監理団体で、主に建設業界へ実習生を派遣する仕事をしているベトナム人のジャンさん(20代)が言う』、「ベトナム人は約38万人の実習生の半数以上に上る。そんなベトナム人実習生にも、母国への帰国希望者が少なくない」、「実習生」の最大の出し手で異変が起きているようだ。
・『帰国便が増えたら、待機中の実習生が殺到する  「うちの団体では、3年間の就労を終え、ベトナムへの帰国を待機している実習生が50人以上いるんです。彼らには今、帰国の手段がない。ベトナムへの定期便は飛んでおらず、時々運行していたチャーター便も(東京などで)4月末に緊急事態宣言が出てからは欠航が増えている。帰国便が増えたら、待機中の実習生が殺到すると思いますよ」 実習生たちは、希望すれば最長5年にわたり日本で働ける。3年働いた実習生であればもう2年、「特定技能」という在留資格に切り替えれば5年の就労が可能だ。 とりわけ特定技能の場合、実習生より待遇が改善する。実習生は最低賃金で雇用されるが、特定技能になると、同じ職場で働く「日本人と同等以上」の賃金が得られる。しかも実習生として3年間の就労経験があれば、資格は試験なしで取得できる。ジャンさんが続ける。 「確かに、特定技能になれば給料は大きく上がる。建設業界は特に賃金が高いので、残業代を含めて月30万円くらい稼ぐようなベトナム人もいます」 「30万円」といえば、ベトナムの労働者の月収の10倍にも相当する。にもかかわらず、なぜ彼らは帰国を希望するのか。 「実習生は斡旋業者に支払う手数料で、100万円近い借金を背負って来日します。だけど日本で3年働けば、借金は返済でき、ある程度の貯金もできている。だから『もう日本は十分』と考えるのです。 実習生の暮らしは仕事に追われ、楽しみが少ない。20代や30代の若者にとってはつらい生活です。とりわけ建設関係は仕事が厳しいですからね」 筆者は3年前、ベトナムの首都ハノイで、日本へ実習生を送り出している業者を取材したことがある。その際、業者の日本語クラスで来日前の研修を受けているベトナム人たちに「日本で何年間働きたいか」という質問を投げかけてみた。結果は「3年」もしくは「5年」が大半で、「10年以上」と答えたベトナム人は約20人のクラスで1人だけだった。実習生たちは短期の出稼ぎ感覚で日本へ渡っていくのである。 しかも日本での仕事は、彼らが想像していた以上に大変だ。新興国ならではの、貧しくてものんびりとした環境で生まれ育った若者には、忙しく時間に追われる日本の暮らしは戸惑いも多い。そこにコロナ禍が追い打ちをかけ、ベトナムへの帰国を望む者が増えている。ジャンさんは言う。 「コロナはベトナム人が日本を離れるきっかけかもしれませんが、根本的な理由は他にあります。実習生に限らず、お金に余裕のある人ほどベトナムに帰りたがっている。僕自身もコロナが落ち着いたら、ベトナムへ戻ろうと考えています」 東京都内のIT系ベンチャー企業で働いていたグエン君(20代)は、今年4月に会社を辞めてベトナムに帰国した。2週間に及ぶ帰国後の隔離費用を含め、28万円ものチャーター便チケットを購入してのことだ。出発前、グエン君はこう話していた。 「チケット代は高いし、隔離期間中はホテルから出られません。でも、できるだけ早くベトナムへ帰りたい」 グエン君は2017年、日本語学校の留学生として来日した。日本語学校に留学するベトナム人には、勉強よりも出稼ぎを目的に、多額の借金を背負い来日する者が多い。留学生に「週28時間以内」でアルバイトが認められることに着目し、留学を出稼ぎに利用するのである。だが、グエン君に限っては違った。ベトナムの一流理系大学を卒業後、「外国に留学してみたい」と考え、日本へやってきた。 ベトナムで最も成績優秀な学生たちは、米国や欧州諸国へ留学する、欧米企業などの奨学金を得てのことだ。政府幹部の子弟であれば、国費で海外へ出ていくこともよくある。グエン君には、奨学金が得られるほどの学力や家族のコネはなかった。それでも、日本にいるベトナム人留学生としてはかなり優秀な部類に入る。留学費用も、首都ハノイでイベント会社を営むち父親が出してくれた。借金もせず、親が費用を負担してくれるケースは、ベトナム人留学生には多くない』、「新興国ならではの、貧しくてものんびりとした環境で生まれ育った若者には、忙しく時間に追われる日本の暮らしは戸惑いも多い。そこにコロナ禍が追い打ちをかけ、ベトナムへの帰国を望む者が増えている:、なるほど。
・『「日本の生活は楽しくなかった」 給料が減っても、ベトナムで楽しく暮らした方がいい  留学生は通常、日本語学校1年半から2年にわたって在籍する。しかし、グエン君は1年足らずで学校を辞めて就職した。日本語学校を卒業していなくても、また日本の大学や専門学校を出ていなくても、母国の「大卒」という学歴のある外国人は就職が認められる。 だが、就職先となった会社では、初歩的な仕事しか任せられなかった。1年、2年と時が経っても、スキルは身につかない。しかも、グエン君は日本語が上達しておらず、社内に友人もできかった。 新型コロナの感染が拡大した昨年春以降は、在宅でのリモートワークとなった。1日中、アパートにこもる生活で、彼は孤独感を募らせていく。そしてベトナムへの帰国を決めたのである。 「残業すれば、手取りで月20万円以上の収入がありました。ベトナムでは得られない金額です。でも、日本の生活は楽しくなかった。給料が減っても、ベトナムで楽しく暮らした方がいいです」 ハノイやホーチミンといったベトナムの都会では、経済発展に伴い賃金も上昇している。IT系の仕事であれば、月10万円以上を稼ぐことも難しくないだろう。 ベトナムのIT人材には、欧米企業からのリクルートも増えている。グエン君にも、英国のIT企業で働く従兄弟がいる。 「従兄弟はベトナムの大手企業で5年間、エンジニアとして働いた後、3年前に英国の会社にヘッドハントされたのです。年収は日本円で800万円くらいだと聞いています」 英国のような英語圏に限らず、欧州では英語ができれば働ける。ベトナムの有名大学卒のIT人材であれば、ある程度の英語は話せる。一方、日本で働くためには「日本語」というハードルがある。語学を習得したところで収入は欧米より低く、しかもやりがいある仕事も任せられないのであれば、日本が敬遠されて当然だ。 日本に住んで8年で、在日ベトナム人事情にも詳しい前出・ジャンさんはこう話す。 「ベトナムでは『日本は貧しい労働者たちの出稼ぎ先』というイメージが定着しています。だから余計、優秀な人ほど日本では働こうとは思わない。最近では、ベトナム人の犯罪が大きく報じられ、私たちも肩身に狭い思いをしています。そこにコロナの感染が広がり、日本からベトナム人が離れ始めている」 やがてコロナ禍が収束すれば、ベトナムからは再び実習生らが日本へ押し寄せ始めるだろう。学歴もなく、母国では仕事が見つからない貧しい人たちが、仕事を求めてやって来るわけだ。その一方で、能力があり、裕福なベトナム人は、欧米諸国に向かうか、自国に留まる道を選ぶ。 ベトナムの賃金上昇が続き、彼我の経済格差がさらに縮小すれば、やがては実習生すら日本に来なくはるはずだ。それはすでに、かつて出稼ぎ外国人の中心だった中国人の動向で証明されている。そのとき日本は、どこの国から労働者を受け入れるのだろうか』、「ベトナムでは『日本は貧しい労働者たちの出稼ぎ先』というイメージが定着しています」、「ベトナムの賃金上昇が続き、彼我の経済格差がさらに縮小すれば、やがては実習生すら日本に来なくはるはずだ。それはすでに、かつて出稼ぎ外国人の中心だった中国人の動向で証明されている」、「ベトナム」から来なくなったら、次は平和を取り戻したミャンマーあたりになるのだろうか。
タグ:日刊ゲンダイ 外国人問題 WEDGE 出井康博 (その5)(木下洋一氏「入管は法定化された基準で裁量を行使すべき」、ベトナムで広がる「日本から戻った人は危ない」というイメージ、コロナ禍で加速するベトナム人の日本脱出) 「木下洋一氏「入管は法定化された基準で裁量を行使すべき」」 入管法は・・・それまで日本人とされていた朝鮮半島出身者や台湾出身者の人が、日本の敗戦で日本国籍を失って突然、外国人という立場に置かれた。そういった人たちをどう管理するのか。そういう発想で作られたわけです。つまり、今のような多国籍の人種が混在する社会や、グローバルスタンダードなどは全く想像もしていなかった時代の法律が今日に至っているわけです」 「国際機関は以前から日本の収容に関して「国際法違反」だと指摘していましたが、日本政府はずっと無視してきました。これでは、日本政府は国際標準にあわせる気がないのだと、国際社会から思われても仕方がないと思います」、法務省は国際的な批判には聞く耳を持たない内向きな官庁のようだ。 「まずは入管が持っている広範で巨大な裁量権を何とかしなければいけないと考えています。入管が胸先三寸で決めていた権限について透明性を確保するためには、基準を明確化すること、第三者機関を積極的に関与させていくことが必要」 「基準を法定化するとそれに縛られ、これまでのようなフリーハンドの裁量権行使ができなくなくわけです。入管にしてみれば、自分たちが持つ強大な権限を手放したくない」、これでは、「基準を明確化」、「第三者機関を積極的に関与」が必要だ。 「適切な行為をしていれば彼女は命を落とさずに済んだ可能性があり、真相解明は徹底的にするべきです。法務省は「第三者を入れて調査する」としていますが、そうではなくて「第三者が調査する」です」、同感である 「ベトナムで広がる「日本から戻った人は危ない」というイメージ」 「チャーター便で帰国するベトナム人の間で、コロナ感染者が相次いで見つかっている。たとえば、4月12日からの1週間で、ベトナムに入国した89人の感染が判明しているが、そのうち39人は日本からの帰国者だった」、「『日本から戻った人は危ない』というイメージが広がっています」、みっとないことだ。 「日本」がこんなにも「甘い」とは腹が立つ。 「年明けまでの入国制限緩和措置は、新型コロナ「第3波」につながった。そして以降も続いた水際対策の甘さが「第4波」をもたらし、3度目の緊急事態宣言発令となったことは明白だ」、「水際対策」がやり易い筈の「日本」で、「実効性に乏しく、しかも後手を踏み続けている」、「コロナ禍の日本に愛想を尽かし、日本から離れていく外国人も増えているのだ」、などは情けない限りだ。 「コロナ禍で加速するベトナム人の日本脱出」 「ベトナム人は約38万人の実習生の半数以上に上る。そんなベトナム人実習生にも、母国への帰国希望者が少なくない」、「実習生」の最大の出し手で異変が起きているようだ 「新興国ならではの、貧しくてものんびりとした環境で生まれ育った若者には、忙しく時間に追われる日本の暮らしは戸惑いも多い。そこにコロナ禍が追い打ちをかけ、ベトナムへの帰国を望む者が増えている:、なるほど。 「ベトナムでは『日本は貧しい労働者たちの出稼ぎ先』というイメージが定着しています」、「ベトナムの賃金上昇が続き、彼我の経済格差がさらに縮小すれば、やがては実習生すら日本に来なくはるはずだ。それはすでに、かつて出稼ぎ外国人の中心だった中国人の動向で証明されている」、「ベトナム」から来なくなったら、次は平和を取り戻したミャンマーあたりになるのだろうか。
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