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決済(その7)(日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致、無印 ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済、セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う、「有料になる?……やめます」加盟店離れ スマホ決済普及の正念場) [金融]

決済については、昨年9月20日に取上げた。今日は、(その7)(日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致、無印 ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済、セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う、「有料になる?……やめます」加盟店離れ スマホ決済普及の正念場)である。

先ずは、本年2月20日付け東洋経済オンラインが転載したブルームバーグ「日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/412760
・『新型コロナウイルスの感染拡大を契機にキャッシュレス決済への移行が加速している。 「これまでも緩やかに進行してきたキャッシュレスの流れはコロナ禍で途切れることなく、むしろ加速した様子がうかがえる」。全国銀行協会の三毛兼承会長(三菱UFJ銀行頭取)は18日の会見でこう述べた』、あれだけの「キャッシュレス」獲得合戦があったので、「キャッシュレス決済への移行が加速」は納得できる。
・『あおぞら銀行は全店舗窓口で現金の取り扱いをやめる  現金での決済比率が他国と比較して高い日本では、海外からの旅行客が不便を感じるなどといった問題が以前から指摘されている。また、労働人口の減少でさらなる人手不足に陥る可能性がある中、小売りなどの現場での現金管理作業が効率化の妨げとなる。デジタル化で生産性の向上を目指す金融業界にとっても現金の取り扱いには費用がかかる。 野村総合研究所(NRI)によると、銀行やコンビニエンスストアでの現金自動預払機(ATM)の設置費用や運営経費などで年間約7000億円、銀行店舗での現金関連業務に関わる人件費は同1000億円それぞれかかる。 銀行業界では顧客への投資アドバイスなど、より付加価値の高いサービス提供に人員を充てるため、現金の取り扱いを止める店舗の拡大を進める動きも出ている。あおぞら銀行では1月から国内全店舗の窓口での現金の取り扱いをやめた。 全銀協の三毛会長は「キャッシュレスは現金のハンドリングコスト引き下げによる社会的費用削減や、決済データの利活用による新たな付加価値サービスの提供など、一つのブレークスルーにもなり得る。銀行界としても引き続き積極的に取り組みを進めていきたい」と語った。 政府は国内のキャッシュレス決済比率を現状の25%から2025年までに約40%に高める目標を掲げ、20年6月までの9カ月間、キャッシュレス決済の利用でポイントを還元する施策も実施した。新型コロナ禍で人との接触をなるべく避けることが求められていることも、キャッシュレス化の普及を後押しする』、「あおぞら銀行は全店舗窓口で現金の取り扱いをやめる」、とは思い切ったことを
したものだ。
・『減少する通貨、増える通貨、通貨にも2極化現象  日銀が事務局を務める金融広報中央委員会が1月に発表した調査によると、現金の代わりにクレジットカードや電子マネーが使われる傾向は高まっている。支払金額が1000円以下の場合、現金を利用すると答えた人の割合は20年に70.8%と前の年の84%から低下した。こうした傾向を反映し、1円などの少額硬貨の流通量は減っている。 キャッシュレス化が進む一方、その動きとは逆行するような現象も起きている。日銀のデータによると、市中に出回っている1万円札の合計金額は増加傾向をたどり、1月末時点で107兆3000億円と1年前と比べて6.4%増えた。 ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「1万円札を中心に、紙幣の発行高が増加を続けている背景には低金利環境が挙げられる」と指摘。預金しても金利がほとんど得られない状況が続いているため、自宅などでの現金貯蔵、いわゆる「たんす預金」化が進んだとみられるという。 上野氏は「新型コロナ感染防止のための接触低減化の風潮もキャッシュレス化の追い風になる」として、「低金利などによって自宅などでの貯蔵が促される高額紙幣や500円玉の増加と、キャッシュレス化の影響をダイレクトに受ける少額硬貨の減少という二極化はますます進みそうだ」と述べた』、「高額紙幣や500円玉の増加と」「少額硬貨の減という二極化」が「ますます進みそうだ」とは、確かに面白い現象だ。

次に、5月27日付け日経ビジネスオンライン「無印、ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/052600185/
・『2019年の消費増税に伴う還元事業や、コロナの感染防止を背景に広がり続けるキャッシュレス決済。大規模な還元で注目を集め、ユーザーと加盟店を増やす競争が続いていたが、ここに来て自社でしか使えない「〇〇ペイ」の存在感が高まっている。 決済事業者が陣取り合戦からマネタイズへと移る第2幕が開いた。競争を制する鍵は、どこにあるのか。3回に分けて紹介する。 5月14日、横浜市港南区の商業施設、港南台バーズの地下1階に無印良品の食料品売り場がオープンした。クイーンズ伊勢丹などと協業し、生鮮食品や総菜をそろえた。1階の雑貨・衣料品売り場と合わせた面積は約5100m²と無印良品の店舗としては関東最大となる』、なるほど。
・『無印良品はキャッシュレス決済に、顧客の来店頻度を高める効果を期待している  都市型店舗のイメージが強い無印良品だが、今後は郊外や地方の住宅地の近くでの新規出店を増やし、地方圏の中高年層を開拓する。そこで効果を期待しているのがキャッシュレス決済「MUJI passport Pay(ムジパスポートペイ)」だ。2013年に導入した自社のスマートフォンアプリに20年11月、決済機能を追加した。 アプリは顧客にお薦め商品の情報を届け、店舗で決済に使ってもらうだけでなく、インターネット通販(EC)の窓口でもある。実店舗とネットの買い物を境目なくつなぎ、「地域に新たに出店すると、その地域のEC売り上げも上がる」(良品計画の角田徹EC事業部長)という相乗効果を生んでいる。 決済機能は、ITベンダーなどの協力を仰ぎつつ、良品計画が自前で開発した。セブン&アイ・ホールディングスの「7pay(セブンペイ)」やNTTドコモの「ドコモ口座」の不正利用などでスマホ決済への不信が強まっていることから、「セキュリティーは非常に慎重に検討した」(角田氏)と説明している』、「7pay」や「ドコモ口座」の「セキュリティー」はお粗末だったが、その反省の上に出来たので、一応、大丈夫なのだろう。
・『面取りは目的にあらず  キャッシュレス決済は19年の消費増税をきっかけに普及が加速した。政府は「キャッシュレス決済・ポイント還元制度」を設け、PayPay(ペイペイ)を筆頭にした民間のキャッシュレス決済事業者も追い風に乗って、大規模な還元キャンペーンを打った。 ニッセイ基礎研究所の福本勇樹氏の推計では、20年にクレジットカードや電子マネー、QRコード決済といったキャッシュレス決済の比率は約30%に達し、じわじわと広がっている。 「大還元祭り」を主導したスマホ決済事業者が、ユーザーと加盟店の数を増やす「面取り合戦」を進めたのに対し、良品計画は「現時点で無印良品以外での利用は検討していない」という。 21年1月に衣料品大手のユニクロで始まった「UNIQLO Pay(ユニクロペイ)」も自社グループに絞っている点で共通する。無印良品と同様、以前からあった自社アプリに決済機能を追加し、自社でセキュリティーを確保。レジ前の混雑解消を図るという狙いも同じだ。両社とも会員証と決済機能を1つのアプリに統合している。 大規模な還元策が使う人と使える場所を広げる「水平」の競争だったとすると、無印良品やユニクロの場合は顧客を深掘りする「垂直」的な試みといえる。こうした動きが相次ぐのは大規模還元で飛躍的に高まったスマホ決済の知名度が下地にある。買い物に必須の決済機能を自社アプリに加えることで利用頻度を向上。ユーザーの購買履歴を集め、アプリから来店動機や購買意欲を高める効果的な情報発信を行うという流れだ。両社とも固定ファンを抱えており、自社限定でスマホ決済を導入しても費用対効果が見合うと判断した』、「大規模な還元策が使う人と使える場所を広げる「水平」の競争だったとすると、無印良品やユニクロの場合は顧客を深掘りする「垂直」的な試みといえる」、なるほど。
・『ローソンでも使えるファミペイ  キャッシュレス決済が広がったこの2年間、小売業やサービス業が独自のスマホ決済システムを開発する例が増えてきた。垂直と水平の両にらみ戦略を採るのが、ファミリーマートが19年7月にスタートした「ファミペイ」だ。 来店頻度を高めるため、購買履歴に併せて人気商品のクーポンを毎月配信し、一部のクーポンは知人にプレゼントできるほか、ペットボトルのお茶やコーヒーなど習慣性が高い商品の回数券も用意した。 ファミペイ以前はアプリ活用に熱心でなく、「セールは店頭で十分伝わると、あぐらをかいていた」(ファミマの佐藤邦央イノベーション&アライアンス推進部長)。そこをコロナ禍が襲った。都心の店舗への来客が減り、店外で顧客とつながる一手が急務となった。 Tポイントや楽天ポイントなど共通ポイントのみでファミペイを使っていない客に比べて、ファミペイユーザーは月の来店回数が2倍ほどになっている。来店頻度が高い人がファミペイを導入する傾向はあるものの一定の成果を上げているようだ。 商品を供給するメーカー側のファミペイへの期待も高まっている。例えば、ビールのようなファンが固定化しやすい商品でも、メーカーは自社に消費者を引き寄せようとファミペイ向けにクーポンを発行する。試作品や特定商品のマーケティングにファミペイを活用する動きも増えている。 ファミペイは20年10月にファミマ以外の実店舗で使えるように機能を開放した点が無印良品やユニクロと異なる。外食や家電量販、ドラッグストアだけでなく、実はローソンでも使える。フランチャイズ加盟店から「色々なお店で使えるほうが来店客に導入を勧めやすい」という要望があったためだ。 ファミペイの決済システムを運営する子会社、ファミマデジタルワンの中野和浩社長は「ファミペイは(各種サービスのミニアプリを多数内包する)スーパーアプリでも、単なるスマホ決済アプリでもなく、ファミマ経済圏を大きくする橋頭堡(きょうとうほ)としてのアプリだ」と語る』、「ファミペイ」が「ローソンでも使える」ことが、「ファミマ経済圏を大きくする橋頭堡」になるのだろうか。
・『存在感を出せない新興フィンテック  商流を持つ企業にとって、キャッシュレス決済を自前で導入するメリットがあるとしても、なぜITと金融に詳しいフィンテック企業と協業したり、開発を任せたりする例が少ないのだろうか。 一つは、「7pay(セブンペイ)」や「ドコモ口座」の不正利用だ。国内小売り2位の超大手やITに知見があるはずの通信会社が見せた脇の甘さは、非専門であっても大手小売企業に自社開発でセキュリティーを確保することを決断させるのに十分な失態だった。 もう一つの背景は、キャッシュレス決済普及に一役買った「大還元祭り」だ。ただでさえ、「キャッシュレス事業自体は薄利多売」(野村資本市場研究所の淵田康之シニアフェロー)なところに、ユーザーを引きつけるためのキャンペーン合戦となった。 キャッシュレス決済の主要なプレーヤーはKDDIや楽天など携帯電話やECなど幅広い自社経済圏の構築を目指す大手ITとなり、スタートアップが戦い続けるには厳しくなった。いち早くスマホ決済に参入したOrigamiは経営に行き詰まり、メルカリ傘下のメルペイに買収され、LINEでさえヤフーを傘下に持つZホールディングスとの経営統合を決めた。 こうした大手はキャッシュレス事業で利益が得られずとも、経済圏拡大に貢献すれば元は取れる。キャッシュレスを専業とするフィンテック企業と異なり、自社のキャッシュレスシステムを他社にも提供して手数料を得るビジネスを展開する意義が薄い。 「〇〇ペイ」の乱立が起きそうだが、日本人はあまり苦にならないようだ。日本は世界でも数少ない「ポイント文化」が根付く国。他国はポイント付与より値引きを歓迎する傾向があるが、ポイントをためることに関心が高い日本なら、ペイアプリの使い分けも大きな障壁にならない可能性がある。 大手IT同士の経済圏競争はそう簡単に決着がつきそうになく、圧倒的なキャッシュレスの強者が不在であれば、小売業の自前開発が今後も進む可能性がある。アリペイやウィーチャットペイの2強が支配する中国と対照的に、多少不便でもバラバラに進化するのが日本のキャッシュレス業界かも知れない』、「多少不便でもバラバラに進化するのが日本のキャッシュレス業界かも知れない」、言い得て妙だ。

第三に、5月28日付け日経ビジネスオンライン「セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/052700186/
・『2019年の消費増税に伴う還元事業や、コロナの感染防止を背景に広がり続けるキャッシュレス決済。大規模な還元策を実施したPayPayの利用者は約3900万人、小売りや外食など316万カ所で使えるまでに成長した。スマートフォン決済のシェアは5割を超え、他社を圧倒する存在感を示している。 PayPayが掲げるスーパーアプリ戦略は、今秋に有料化する加盟店からの決済手数料に加え、フードデリバリーやタクシー配車といったミニアプリの事業者から手数料を得るモデルだ。大規模な先行投資でユーザーを増やすことで、ミニアプリ提供企業や加盟店を引きつけ、それによってPayPayの利便性が高まって、さらにユーザーが集まるという好循環を狙ってきた。 そんなPayPayが今年2月、今までの戦略と一見矛盾するかのような動きをとった。「セブン-イレブンアプリ」にPayPayの決済機能が埋め込まれたのだ。スーパーアプリに取り込むのではなく、PayPayが他社アプリに入り込む狙いはどこにあるのか。 セブンアプリを開くと、ちょうど親指で押しやすい位置にある赤い「P」のロゴ。タップすると、PayPayの決済画面に移る。画面に表示されたコードをレジで読み取れば、支払いと同時にセブンアプリの会員コードも読み取り、ポイントがたまる。 会員証のバーコードと、決済に必要なコードを2度読む必要がなく、セブンアプリの利便性が高まったことは間違いない。しかし、PayPayにセブン-イレブンがミニアプリとして登場するのではなく、PayPayが決済機能を提供し、セブンアプリに入り込むというのは、ミニアプリが集まるプラットフォームであるスーパーアプリとは異なる戦略に見える。 PayPayの馬場一副社長は、「スーパーアプリ戦略の一環ではないが、矛盾するわけでもない。完全に黒子となって『7pay』(の一部)になるなら、やらなかった」と話す』、「PayPayにセブン-イレブンがミニアプリとして登場するのではなく、PayPayが決済機能を提供し、セブンアプリに入り込む」、「PayPay」としても「セブン-イレブン」の魅力が大きかったのだろう。
・『「我々が血を流すだけではなくなった」  クレジットカードの仕組みを生んだキャッシュレス先進国の米国では、「イネーブラー」と呼ばれるフィンテック企業や、銀行など金融業の免許を持つ「ライセンスホルダー」が、消費者と接点を持つ「ブランド」に、金融システムを提供する分業が進んでいる。 これらは黒子になるケースが多い一方で、PayPayはセブンアプリ内でロゴなどブランドを明示している。決済の際は「ペイペイ」という特徴的な音も鳴り、ユーザーにPayPayの使用感を残す設計とした。「本当はPayPayのアプリを使ってほしいが、セブンアプリはセブンでしか使えない(ためPayPayと大きく競合しない)」(馬場副社長)ということもあり、スマホ決済が得意とする少額決済が多いコンビニのなかで決済機能を担いながら、PayPayのブランドの認知度を高める利益を享受する選択をした。 PayPayがスマホ決済の中で存在感を高めた一方で、まだ日本では現金が非常に強いという事情もある。ニッセイ基礎研究所の福本勇樹氏の推計によると、日本全体のキャッシュレス比率は30%程度にとどまる。しかも、その中心はクレジットカードで、QRコード決済の比率は1%程度にすぎない。 日本は、「楽天は銀行を傘下に持てるが、銀行は楽天を持てない」と俗にいわれてきたように、大手ITが銀行を営む障壁が米国に比べ低い。EC、携帯電話、金融などさまざまなサービスをワンストップで提供する経済圏を構築しやすく、楽天やKDDIなど大手プレーヤーが競い合っているなか、中国で「アリペイ」と「ウィーチャットペイ」がスマホ決済で寡占となっている状況とは程遠い。 このためPayPayは自社アプリにミニアプリを集めるだけでなく、「PaaS(Payment as a Service)」として協業先との連携を増やすほうが、利用実績が伸び得ると判断した。PaaSを通じてPayPayの認知度が高まることは、スーパーアプリ戦略にもマイナスではない。 また、セブン&アイ・ホールディングスの「7pay(セブンペイ)」やNTTドコモの「ドコモ口座」の不正利用が起こり、スマホ決済事業に求められるセキュリティーのハードルは高まっている。 自社で高いコストを費やすことをためらう企業が、PayPayに決済機能の提供を求めるケースは今後も増える可能性がある。馬場副社長は営業先で、「キャッシュレス機能を独自に自社アプリに入れると、24時間寝られない人が続出しますよ。そちらよりCRM(顧客情報管理)や新規顧客の獲得にパワーを割いたほうが商売はうまくいくんじゃないですか。役割分担をしましょう」と呼びかけているという。 同時に、PayPayは従来のスーパーアプリ戦略も着実に進めている。20年9月から花王と、21年3月には百貨店と還元キャンペーンを実施。地方自治体との連携にも積極的に取り組んでおり、初期の全方位的なものから企業や業態、地域を絞った還元策に移行している。 その原資は連携先が負担するケースが増え、「以前のようにわれわれが血を流して頑張るだけではなくなった」(馬場副社長)。先行投資が奏功して、スマホ決済のプラットフォームとしての地位を固めつつある』、「PayPay」が「「キャッシュレス機能を独自に自社アプリに入れると、24時間寝られない人が続出しますよ。そちらよりCRM(顧客情報管理)や新規顧客の獲得にパワーを割いたほうが商売はうまくいくんじゃないですか。役割分担をしましょう」と呼びかけている」、のは実に上手いセールストークだ。
・『メルカリでの売買をなめらかに  一方、PayPayやLINE Payなどと競うように、高還元キャンペーンを打ち出していたフリマアプリのメルカリ傘下のメルペイは、PayPayとは全く違った方向性を打ち出している。 その意図が表れているのが、19年4月に導入した後払いサービス「メルペイスマート払い」だ。山本真人COO(最高執行責任者)は、「(PayPayやLINE Payなどと)競合ではないと言い続けてきた」と語る。 このスマート払いは、銀行口座などからアプリに事前入金せずともフリマや小売店で買い物ができ、利用額は翌月に一括払いか分割払いを選択する。フリマでの売り上げを清算に充てられるのも特徴だ。利用上限額はメルカリの利用実績を人工知能(AI)が分析して決まり、銀行などと違って勤務先など属性情報に依存しない。 メルカリのヘビーユーザーほど利用しやすい仕組みとなっており、後払いサービスの利用者の51%が清算原資にメルカリでの売上金を使っている。フリマでの売買体験を活発化させるための仕掛けとして、保有するお金を支払うという単純な決済にとどまらない仕組みを築こうとしている。 さらに20年11月には「ふえるお財布」と銘打ち、貸し付け投資サービスのFundsにメルペイの残高を利用できるようにした。メルカリの売上金を金融商品で増やし、次の買い物を促す効果を狙う。 PayPayのようにスーパーアプリとしての魅力を高めて、ユーザーや加盟店、ミニアプリ業者を引きつけるのではなく、メルカリというプラットフォームを活性化させるためにお金の流れをなめらかにする役割を担うメルペイ。還元競争が落ち着いた今、大手キャッシュレス事業者の戦略の違いが明確化している』、「メルカリ」が「20年11月には「ふえるお財布」と銘打ち、貸し付け投資サービスのFundsにメルペイの残高を利用できるようにした。メルカリの売上金を金融商品で増やし、次の買い物を促す効果を狙う」、まるで銀行のようだ。「PayPayやLINE Pay」も含めた今後の競争はどう展開するのだろうか。

第四に、5月31日付け日経ビジネスオンライン「「有料になる?……やめます」加盟店離れ、スマホ決済普及の正念場」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/052800187/?n_cid=nbpnb_mled_mpu
・『2019年の消費増税に伴う還元事業や、新型コロナウイルスの感染防止を背景に広がり続けるキャッシュレス決済。20年にはキャッシュレス決済比率は3割に達したとみられ、政府が掲げる「2025年に4割程度」の達成にじわじわと近づいている。 ただ、QRコードを使ったスマートフォン決済は今年、普及の正念場を迎える。スマホ決済の大手が加盟店の開拓を優先して無料にしてきた決済手数料を有料化するからだ。 決済事業者はユーザー獲得などに費やした先行投資を回収する必要があるが、「有料になるならやめる」(中小小売店の関係者)との声が漏れる。加盟店を引き留められるのだろうか。 決済手数料とは、電子マネーやクレジットカード、スマホ決済サービスを提供する事業者が、導入した加盟店から得る手数料だ。 例えば、Suicaなど交通系電子マネーは3.25%(米Squareの場合)、楽天ペイは3.24%。今年有料化を予定するLINE Payは10月から2.45%、メルペイは7月から2.6%となる。PayPayは10月に有料化を検討し、料率は未定としている。 クレジットカードは導入店舗ごとに与信を判断するため、1~6%程度と幅がある。経済産業省が18年4月にまとめた「キャッシュレス・ビジョン」によれば、中央値は3.00%となっている。 19年の消費増税に伴う「キャッシュレス決済・ポイント還元事業」では、キャッシュレス事業者は決済手数料を3.25%まで抑えることが参加要件だった。還元事業は20年6月に終了したが、3.25%が一つの目安になり、今に至る。 しかし、この水準でも中小企業には苦しい。中小企業実態基本調査(2019年度決算実績、速報)によると、スマホ決済が得意な少額決済が多い小売業の経常利益率は1.5%、宿泊業・飲食サービス業も同じく1.5%にとどまる。クレジットカードに比べて初期コストが低いことを売りに導入を訴えてきたスマホ決済事業者だが、有料化が進めば、決済回数が増えるたびに、利用者の利益が目減りしていってしまう。 ある小売店の関係者は、「事前にチャージして使う前払い式が多いスマホ決済は、クレジットカードのように与信コストが必要ないから有料になるにしても、それより安くしてほしいと話したが反応は芳しくなかった」と明かす』、「「事前にチャージして使う前払い式が多いスマホ決済は、クレジットカードのように与信コストが必要ないから有料になるにしても、それより安くしてほしいと話したが反応は芳しくなかった」、主張は合理的にみえる。「反応は芳しくなかった」理由は何なのだろう。
・『「手数料10分の1」を実現したスーパー連合  相次ぐ有料化でスマホ決済大手からの離脱が増えれば、独立系キャッシュレスが注目を集めるかもしれない。中堅・中小スーパーを運営する約200社が加盟するシジシージャパン(CGC、東京・新宿)が開発したカード型電子マネー「CoGCa(コジカ)」はその一つといえそうだ。
・『コジカは手数料を抑えて電子マネーを提供している  コジカは15年3月にスタートした。当時主流だった鉄道会社や大手スーパーの汎用的な電子マネーはタッチするだけで支払いができる便利さから来店客からの導入希望の声が寄せられていたが、決済手数料はクレジットカード以上。「手数料が高い」という加盟スーパーの不満を受け、コジカの手数料は他のキャッシュレスの10分の1程度に抑えた。 その要因は、ポイント還元制度を設けていない点だ。ほかの電子マネーやスマホ決済と違って還元に必要な原資が手数料に反映されていないため料率が低い。還元は必要なら、加盟スーパーが個々に実施する。 CGC関連会社のエス・ビー・システムズの堀内秀起カード事業推進リーダーは「コジカの利用率が高まっても加盟スーパーに負担をかけないことを最優先にした」と話す。 キャッシュレス普及の壁とされる加盟店への入金方法も独特だ。ほかの汎用的なキャッシュレス決済では、ユーザーが支払った額が店舗に入金されるまで15~30日かかり、加盟店の手元資金が心もとなくなる。コジカは店舗でチャージをするのが基本で、店舗がチャージ金を預かる。その預かり金と利用額を精算するため、キャッシュフローに大きな影響はない。 そもそもQRコード決済は、スーパーの店舗運営にとって課題が大きい。スマホのアプリを立ち上げ、レジでコードを読み取る一連の流れは、タッチするだけで済むカード型電子マネーに比べて手間だ。また、来店客がレジに設置したQRコードを読み取って代金をアプリに入力する場合、来店客が入力した数字を従業員が確認しづらいという課題もある。 野村資本市場研究所の淵田康之シニアフェローは「無料期間中にキャッシュレスを導入した実店舗はコロナで非常に苦しい。無料期間終了が迫り、キャッシュレス普及に向けて、これからが正念場だ」と指摘する。 少額決済が中心のスマホ決済事業者は、スーパーやコンビニを重視しているが、有料化で離反を招けば大きな痛手となる。コジカのような手数料を抑えたシステムが増えれば、そちらに流れる可能性がある。コジカは、スーパーが安価に利用できるスマホアプリも検討している』、「コジカ」は「ポイント還元制度を設けていない」、「店舗でチャージをするのが基本で、店舗がチャージ金を預かる。その預かり金と利用額を精算するため、キャッシュフローに大きな影響はない」、など優れた方式のようだ。
・『手数料に見合う「納得」  キャッシュレス決済が伸び続けるかどうかの分水嶺を迎える中、米国にヒントがみえる。小売りや外食など幅広い業態に決済システムを提供する大手のSquareだ。 Squareはガラス工芸家のジム・マッケルビー氏が自分の作品を販売する際、クレジットカードでの支払いを受け付けられず、販売機会を逃したことをきっかけに設立した。「Squareの存在意義は、中小企業や十分なサービスを受けられない人々が経済活動に参加できるようにすること」(Squareゼネラル・マネージャーのデイビッド・タラック氏)として、決済だけでなく従業員の給与支払い、顧客管理など経営支援につながるサービスへと領域を広げてきた。 その柱の一つが、事業者向け融資だ。日々の売り上げを基に借入可能額を自動ではじき出し、事業者は最短、翌日に融資が入金される。返済額も売り上げが少ない日は少なく、多い日は多くなる仕組みだ。伝統的な金融機関の融資審査が画一的な一方、店舗の実情に鑑みて資金を融通しており、女性など「マイノリティー」が経営する事業者への融資比率が高い。 このように単に支払い機能だけでなく、加盟店が納得しやすい付加価値の提供にまで踏み込めば、自然とキャッシュレス普及率も高まっていくだろう。 大規模還元や手数料ゼロをうたって、勢力を広げる第1幕は終わった。物珍しさやコストの低さで利用してきたユーザーや加盟店も、使い続けるメリットが薄まれば根強い現金信仰に押し戻される恐れがある。キャッシュレス決済を軸に、付加価値をいかに高めていくか。次の競争が始まっている』、有料化される今後こそが勝負だ。どこが生き残るのだろうか。
タグ:決済 (その7)(日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致、無印 ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済、セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う、「有料になる?……やめます」加盟店離れ スマホ決済普及の正念場) 東洋経済オンライン ブルームバーグ 「日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致」 あれだけの「キャッシュレス」獲得合戦があったので、「加速」は納得できる 「あおぞら銀行は全店舗窓口で現金の取り扱いをやめる」、とは思い切ったことを したものだ。 「高額紙幣や500円玉の増加と」「少額硬貨の減という二極化」が「ますます進みそうだ」とは、確かに面白い現象だ。 日経ビジネスオンライン 「無印、ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済」 「7pay」や「ドコモ口座」の「セキュリティー」はお粗末だったが、その反省の上に出来たので、一応、大丈夫なのだろう 「大規模な還元策が使う人と使える場所を広げる「水平」の競争だったとすると、無印良品やユニクロの場合は顧客を深掘りする「垂直」的な試みといえる」、なるほど 「ファミペイ」が「ローソンでも使える」ことが、「ファミマ経済圏を大きくする橋頭堡」になるのだろうか 「多少不便でもバラバラに進化するのが日本のキャッシュレス業界かも知れない」、言い得て妙だ。 「PayPayにセブン-イレブンがミニアプリとして登場するのではなく、PayPayが決済機能を提供し、セブンアプリに入り込む」、「PayPay」としても「セブン-イレブン」の魅力が大きかったのだろう。 「PayPay」が「「キャッシュレス機能を独自に自社アプリに入れると、24時間寝られない人が続出しますよ。そちらよりCRM(顧客情報管理)や新規顧客の獲得にパワーを割いたほうが商売はうまくいくんじゃないですか。役割分担をしましょう」と呼びかけている」、のは実に上手いセールストークだ。 「メルカリ」が「20年11月には「ふえるお財布」と銘打ち、貸し付け投資サービスのFundsにメルペイの残高を利用できるようにした。メルカリの売上金を金融商品で増やし、次の買い物を促す効果を狙う」、まるで銀行のようだ。「PayPayやLINE Pay」も含めた今後の競争はどう展開するのだろうか。 「「有料になる?……やめます」加盟店離れ、スマホ決済普及の正念場」 「「事前にチャージして使う前払い式が多いスマホ決済は、クレジットカードのように与信コストが必要ないから有料になるにしても、それより安くしてほしいと話したが反応は芳しくなかった」、主張は合理的にみえる。「反応は芳しくなかった」理由は何なのだろう 「コジカ」は「ポイント還元制度を設けていない」、「店舗でチャージをするのが基本で、店舗がチャージ金を預かる。その預かり金と利用額を精算するため、キャッシュフローに大きな影響はない」、など優れた方式のようだ。 有料化される今後こそが勝負だ。どこが生き残るのだろうか。
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