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株式・為替相場(その12)(「安い」日本と円の「実質実効為替レート」低下 何を象徴するのか=唐鎌大輔氏、総裁選をきっかけに日本株が急上昇 今後の株価は?【個人投資家必見】、世界のバブル崩壊がついに始まったと言える理由 恒大集団をネタにした下落に隠されている真実) [金融]

株式・為替相場については、3月6日に取上げたままだった。日経平均株価は31年ぶりの高値を付け、今た。今日は、(その12)(「安い」日本と円の「実質実効為替レート」低下 何を象徴するのか=唐鎌大輔氏、総裁選をきっかけに日本株が急上昇 今後の株価は?【個人投資家必見】、世界のバブル崩壊がついに始まったと言える理由 恒大集団をネタにした下落に隠されている真実)である。

先ずは、9月18日付けロイターが掲載したみずほ銀行 チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔 氏による「コラム:「安い」日本と円の「実質実効為替レート」低下、何を象徴するのか=唐鎌大輔氏」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/column-daisuke-karakama-idJPKBN2GD0E1
・『国内の新聞・雑誌メディアでは、最近になって「安い日本」が頻繁に特集されている。9月16日の日本経済新聞は「iPhone価格、10年で3倍の19万円 日本人平均月収の6割」と題し、新しいiPhoneの値段が日本人にとって高騰している事実を報じていた。 iPhoneに限らず、高級車や高級時計など輸入されるブランド品は、過去に比べて明確に値段が上がっている。もちろん、定価自体の上昇も世界的に認められるだろうが、その程度をどれくらい大きなものと受け止めるかどうかは、当該国のマクロ経済情勢に依存する部分もある。 以下で議論するように、過去1年間において円の下落幅は、主要通貨の中でも群を抜いて大きく、これは日本経済の購買力低下を意味する』、興味深そうだ。
・『<過去1年間、最も長期平均からかい離した円>  購買力という観点からは、ドル/円相場ではなく、貿易量および物価水準を用いて算出される通貨の総合力である実質実効為替レート(以下、REER)を中心に議論するのがよい。 足元で国際決済銀行(BIS)が月次で公表する円のREERは、1970年代前半並みの水準まで落ち込んでいる。これは今年6月以降、より顕著な傾向として見い出せる。 そこで今年8月分のREERに関し、長期平均(20年平均)とのかい離率を主要通貨で比較すると、円の特異な立ち位置が浮かび上がる。 8月時点で円の長期平均からのかい離率はマイナス19.7%と、主要通貨では突出して大きな過小評価となっている。これに次ぐメキシコペソのマイナス15.5%と比べてもかなり大きいことが分かる。 しかも、メキシコペソは1年前のマイナス25.5%からプラス10%ポイント程度上方修正が進んでいるが、円は1年前のマイナス14.2%からマイナス5.5%ポイントの下方修正が進んでいる。 この下方修正の「幅」に着目しても、円は目立つ。円の次にこの「幅」が大きいのがスイスフランスでマイナス4.3%ポイントだが、そもそもスイスフランは1年前のプラス8.7%が過大評価だったのであり、今年プラス4.3%まで下方修正されているという話である。 要するにメキシコペソは過大な割安が割高方向へ、スイスフランスは過大な割高が割安方向へ調整が進んでおり、それ自体は健全な話である。しかし、円は過大な割安からさらに過大な割安へとに進んでおり、それは健全な話では全くない』、「実質実効為替レート」の「長期平均(20年平均)とのかい離率」をみると、「円は過大な割安からさらに過大な割安へとに進んでおり」、極めて不健全な姿だ。
・『<円の割安修正、断たれている経路>  一方、ドルは過去1年間を通じてプラス6─7%の割高が維持されている。現状では、ドル/円という通貨ペアは「最も割高な通貨」と「最も割安な通貨」の組み合わせであり、REERが平均回帰性向を有することを思えば、円高・ドル安を予想するのが理論的に無難である。筆者もかつてはそのような基本認識を抱いていた。 だが、既知の事実ではあるが、もはや日本は円安になっても輸出数量が増える国ではない。REERがいくら割安感を強めてもそれが輸出数量を押し上げ、貿易黒字を増やすという展開は期待できない。 とすれば、名目ベースの円相場が上昇する経路は、断たれたままである。アベノミクス初期を思い返せばよく分かる。2012年12月から2015年6月(ここがアベノミクス下での円安のピーク)までの間にドル/円相場は約50%も上昇したが、輸出数量は極めて緩慢な動きが続き、当然ながら貿易黒字も増えなかった。 「円安が過剰」と評価されるためには、結局、それが貿易黒字に直結し、自国通貨買いを招き、割安感が解消されていく必要がある。 ところが、既に多くの日本企業が海外生産移管を進め、「円安─輸出」という経路が機能不全になっていると考えられる中、REERの割安感が名目円高を約束するとは限らない。 これは過去10年余りで日本の誇る「世界最大の対外純資産」の中身の半分が直接投資残高になっていることからも類推できる。2000年代前半も日本は「世界最大の対外純資産」を持っていたが、当時、半分は証券投資残高で占められており、直接投資残高は20%未満だった。 リスク回避ムードの高まった場合、証券投資はリパトリエーション(本国回帰)が期待できるものの、直接投資(要は海外企業買収)はそう簡単には行かないだろう。「リスクオフの円買い」が発生する経路も、今は細っているように感じられる』、「既に多くの日本企業が海外生産移管を進め、「円安─輸出」という経路が機能不全になっていると考えられる中、REERの割安感が名目円高を約束するとは限らない」、「「リスクオフの円買い」が発生する経路も、今は細っている」、このように「円の割安修正、断たれている経路」、市場メカニズムに自動調整機能が失われてしまったとは、困ったことだ。
・『円安は修正されないのか>  また、周知の通り、近年では対ドルに限らず、名目ベースの円相場は大して動いていない。それでもREERが割安感を強めているということは、日本の一般物価が諸外国に比べて出遅れていることを意味する。 実際、足元に目を向けても欧米でインフレが懸念されているのに、日本の物価はむしろ下がっている。 こうした物価格差に起因する実質ベースの円安は、名目ベースの円高で相殺されるというのが、これまでの日本の歴史だった。しかし、上述してきたように、今後はもうその経路が難しくなっている。名目は円安のままで、物価も上がらないとすれば、REERで見た円は沈むしかない。 もちろん、ドル全面安が極まる地合いが到来すればその限りではないが、政治・経済・金融情勢が今の日本より劣後する先進国を見出すのは難しく、ドル安だからと言って円安を招来するとは限らない。実際、今年4─6月期は世界的にドル全面安が進んだが、円だけは買われなかった。 平均回帰性向を踏まえ、「REERはいずれ修正するもの」という考え方に立つのは教科書的には正しいものの、これを前提とした為替予想は危険をはらみそうである。 少なくともコロナ禍における日本の防疫政策は戦略性がなく、出口の到来を全く予感させない。常に「相手のある話」にしかなら(注:「な」が抜けている)い為替の世界において、円の価値が劣化し続けるというのは、今の日本経済と欧米経済の差を見ていると致し方ないと感じさせられる。(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)』、「円の割安修正、断たれている経路」の結果として、「円の価値が劣化し続ける」のは全く異常なことだ。歯止めをかける何らかの要因が表れてほしいものだ。

次に、9月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した法政大学大学院教授の真壁昭夫氏による「総裁選をきっかけに日本株が急上昇、今後の株価は?【個人投資家必見】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/282567
・『新政権が期待にこたえられるか 経済成長と株価に重要な影響  9月3日、菅義偉首相が退陣する意向を表明した。それをきっかけに、日本株は上昇の勢いを強め、一時、約31年ぶりの高値まで上り詰めた。 支持率低下などで政策運営に行き詰まり感のあった菅首相が、総裁選に出馬しないことが決まり、海外投資家の日本株に対する見方に変化が表れた。また、国勢選挙が実施される直前には、日本株は堅調な展開になりやすいという一種の成功体験もあった。 それらに伴い、それまで日本株の売りに回っていた海外投資家の中には、日本株の割安感や新政権への期待感を理由に日本株を徐々に買い始めた。それとほぼ同時期に、コロナ感染者数が徐々に減りはじめ、経済の正常化に対する期待も盛り上がった。 ただ、期待先行で株価が上げた分、今後、新政権の政策運営に失望感が出るようだと、株価調整の可能性はあるだろう。自民党総裁選の次は衆議院選挙と重要な選挙が続く。新政権がわが国の成長期待を高める産業政策を実施することができれば、株価上昇の展開が続くこともあるだろうが、逆に、投資家の失望感を誘うようだと、株価上昇トレンドの継続は難しいはずだ。新政権がどの程度期待にこたえられるか、わが国経済の成長と株価の展開に重要な影響を与えることになる』、「菅首相が、総裁選に出馬しないことが決まり、海外投資家の日本株に対する見方に変化が表れた」、「菅首相」にとってはみっともない話だ。
・『日本株に悲観的だった海外の大手投資家  これまで、大手の海外投資家の多くは、日本株に悲観的な見方が多かった。わが国の経済がなかなか成長過程に復帰できないことに加えて、今後の政治情勢にも明るい見方ができなかった。特に、菅政権が続いた場合、自公連立政権が総選挙で過半数を維持するのは難しく、政権の不安定化を懸念する投資家の見方は根強かった。 7月に入ると、わが国ではコロナ変異株による感染再拡大によって、経済活動に欠かせない人流が抑制された。社会の閉塞感は高まり、政権支持率が低下した。当然ながら、経済活動にも重要なマイナス要因となった。 同時期、海外投資家は空売りも含めて「日経225先物」(日経平均株価を対象とした株価指数先物取引)を売り越した。加えて、彼らは日経平均株価に採用されている現物株も売った。それによって、日本株の展開は不安定化し、それが売りを呼ぶ悪循環に陥った。 元々、世界の主要投資家の日本株に対する見方は、日本株イコール「世界の景気敏感株」との認識が強かった。日本経済の構造を見ると、自動車など一部の製品を除いてかつてのような独創的な製品群は見当たらない。そのため、自力で需要を創出する実力が十分ではない。世界の景気が上向きになれば、それなりの業績回復を実現することができる一方、世界の景気が落ち込むと、どうしても日本経済全体も足を引っ張られることになってしまう。 日本株の趨勢(すうせい)は、世界経済次第ということだ。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、世界経済の先行きが不透明になると、どうしても日本株に手を出すことが難しくなる。それが、海外投資家が日本株への関心を低下させていた大きな理由だ』、「日本株イコール「世界の景気敏感株」との認識が強かった」、不名誉なことだ。
・『海外投資家が日本株の急上昇を支えた背景  9月に入って、まず、海外投資家の日本株に対する見方が変化した。夏場の海外投資家などの売りの増加によって、世界的に見て日本株には割安感が出た。主要国の株価収益率(PER)は歴史的に14~17倍が適正水準といわれる。8月中旬、日経平均株価のPERは予想ベースで12倍台まで低下した。他方で、米株は史上最高値を更新した。日本株の出遅れ感が目立ち始め、日本株への物色は増えやすい状況が出現した。 加えて、8月下旬ごろから、わが国の政治動向など複合的な要因が目先の投資家心理を強気にさせた。菅首相の退陣表明のインパクトは大きい。2013年以降の世論調査の推移を見ると、直近の政権支持率は過去最低の水準だ。退陣表明によって、新政権の景気対策を期待する投資家が増えた。その結果、夏場に日本株を売った海外のファンド勢などが一気に買い戻しに動いた。 自民党総裁選に続けて衆議院選挙が続くことも株価上昇を支えた。1990年以降の衆議院選挙期間中、日本株は上昇した。それが、「総選挙の時は日本株が上昇する」という主要投資家の「思い込みの心理」を増やした。そうした一種のアノマリー(法則や理論から合理的な説明ができない現象)も株価上昇の一因だ。 また、8月下旬以降、国内のコロナ感染者は減少傾向にある。楽観はできないが、その状況が続くのであれば、移動自粛は徐々に緩和され、個人消費を中心に景気は持ち直す可能性が高まる。そうした期待も9月に入ってからの株価上昇を支えた』、「8月中旬、日経平均株価のPERは予想ベースで12倍台まで低下・・・日本株の出遅れ感が目立ち始め」、「8月下旬ごろから、わが国の政治動向など複合的な要因が目先の投資家心理を強気にさせた・・・新政権の景気対策を期待する投資家が増えた」、なるほど。
・『期待先行で上昇した株価の今後の展開予想  重要なのは、期待先行の相場展開はいつまでも続かないことだ。期待先行で上昇した分、株価調整の可能性はある。自民党総裁選挙で誰が当選するか、そして、衆議院選挙がどうなるかは、投票の結果を確認しなければならない。 それらの不確定要素を背景に、海外投資家中心に徐々に利益確定の売りを入れ、今後の展開を見極めようとする動きは増えるだろう。それが現実のものになると、9月上旬のような株価の上昇の勢いは弱まる可能性が高い。 高揚した期待の落ち着き以外に、世界経済の供給ボトルネックの深刻化の影響も軽視できない。東南アジアでの感染再拡大やワクチン接種の状況を見る限り、世界経済の供給制約は長引く可能性がある。半導体不足によって本邦自動車メーカーの生産減が長引くとの見方が増えれば、国内株への売り圧力は増える可能性がある。さらなるウイルスの変異も株価にはマイナスだ。 一方、次期政権がデジタル化や脱炭素など、世界的に加速する環境変化に対応できると、株価の展開は違ってくるかもしれない。 新政権が、わが国経済全体が的確に対応する政策を立案し、実行につなげられれば、わが国経済の潮流にも変化が期待できる。具体的には、エネルギー政策の転換や労働市場の流動性向上は不可欠だろう。いずれも、過去の政権が取り組みを表明したものの、十分な効果があったとは言いづらい。 中長期的な展開を考えると、わが国経済の実力向上に向けて新政権がどの程度の力を示せるかが、長い目で見て日本株に大きく影響する。株価上昇を一時的な現象に終わらせないためにも、新政権は明確なビジョンを示し、実現することが求められている』、「株価上昇を一時的な現象に終わらせないためにも、新政権は明確なビジョンを示し、実現することが求められている」、その通りだ。

第三に、9月25日付け東洋経済オンラインが掲載した財務省出身で慶應義塾大学大学院准教授の小幡 績 氏による「世界のバブル崩壊がついに始まったと言える理由 恒大集団をネタにした下落に隠されている真実」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/458019
・『9月20日から22日にかけて、中国以外の世界の主要株式市場が一時急落した。きっかけは、中国不動産大手の一角、恒大集団の破綻懸念だった』、「小幡」氏の見解とは、興味深そうだ。
・『「今後も株価は大丈夫」とは言えない  久々の大幅下落で、市場よりもメディアが騒ぎ立てた。中国の巨大な不動産バブルがこれで崩壊するのか? リーマンショックのようなことになるのか? 世界株式市場の大暴落がやってくるのか? 結論から言えば、中国不動産バブルは、いますぐには崩壊しないだろう。リーマンショックのような世界金融システムへのリスクはない。だから、今は世界的な株価大暴落とはならない。「なーんだ、たいしたことないのか。じゃあ、株価はまだまだ上昇し続けるのね」ということでいいのだろうか。 いや、それは間違いだ。ここで、バブルはいきなりは崩壊しないが、世界株式バブルの崩壊の第一歩はついに始まったのである。中国も金融システムも問題なくて、株価も下がらないのに、なぜ、バブル大崩壊の一歩なのか? それは、今回、株価が反転したからである。それこそが、大バブル崩壊の兆候なのだ。 中国の恒大集団の破綻懸念とは何を意味するのか?第1に、中国の不動産市場は明らかなバブル、それも相当のバブルだ、ということである。第2に、その事実を世界中の投資家は知っている、ということだ。第3に、このニュースはネガティブであることは間違いがないが、そのインパクトの量的な判断についてはコンセンサスがない、ということである。 これがそのまま株価の動きに現れた。つまり、中国の不動産会社の破綻懸念が出た、これはネガティブだ、そしてそれを誰もが知っている、だからみんな売るだろう。ならば、自分もとりあえず売っておこう、そういう思考プロセスである。) しかし、これがバブルの完全崩壊につながるかどうかわからない。なぜなら、自分もこのニュースのインパクトがサイズとしてはわからない。ということはほかの投資家にもわからないだろう。だから、投げ売りになるかどうかはわからない。したがって、様子を見ながら売ってみよう。こんな具合だ。 この結果、20日のアメリカの株式市場は、寄りつきから下げたが、下げを拡大して行ったのである。取引時間中に、とくに新しいニュースは出ていない。それなら、ファイナンス理論どおり、ニュースはすぐに株価に織り込まれるなら、寄りつきでみんな売って、その後はモミ合いになったはずだ』、「ファイナンス理論」に基づく解釈は新鮮で面白い。
・『急落後の21日が小動きになったワケ  だが、当日は、ほぼ1日ずっと下げ続けた。そして、引け際に買い戻しが入り、少し戻して終えた。最後の戻しは、デイトレード的に空売りを仕掛けた人々が手仕舞いしたことによると思われるが、ほぼ1日下げ続けたのは、ほかの投資家がどれほど売りたがっているかが不透明だったので、それを確認しながら少しずつ売ったというところだろう。 すなわち、このときに重要なのは、恒大集団の深刻度合いではなく、ほかの投資家がどれほど売りたがっているか、ということがすべてであったのである。 したがって、不動産危機の深刻度、というファンダメンタルズに関する情報は重要ではなく、投資家たちがどれほど売り意欲があるか、およびどれほど「売り」という行動に動くか、ということが重要だったのである。 そして、それは1日でわかった。となると、翌日からは、あまり不安はない。ただ、みなが売ってから翌日に話し合いの結果売ってくるような「動きの遅い」機関投資家もいるから、その様子を見ることが必要だった。それが、21日の小動きとなった。 さらに、もうひとつの大きな要因として、アメリカでのFOMC(連邦公開市場委員会)の声明が22日に公表される、ということがあった。アメリカの中央銀行であるFED(連銀)のテーパリング(緩和縮小)の開始時期、利上げの開始時期、これに関する情報が市場ではもっとも重要だった。その情報が22日に出てくるのをみな待ちたかった。それが動きのなさにつながったのである。 そして22日。予想以上に、FOMCの声明はタカ派だった。普通ならこれで売られそうなものであるが、今回はともかくFOMCが終わった、ということ、そしてほかの投資家たちも今は投げ売りをするのではなく、少しだけ売ったことがはっきりしたので、売った分を買い戻す動きになった』、「重要なのは、恒大集団の深刻度合いではなく、ほかの投資家がどれほど売りたがっているか、ということがすべてであった」、なるほど。
・『今回の急落の理由は「株を売りたい」がすべて  つまり、今回の世界的な株価の急落は、中国の不動産業界の状況とはまったく無関係で「株をそろそろ売りたい」という投資家がほとんどであったことが理由のすべてだ。そして、誰もがネガティブだと思う、コンセンサスが明らかに成り立つニュースに反応して、ほとんどの投資家が売ったということである。 とにかく不動産のニュースや状況の中身はどうでもよかった。だからこそ、どこまで売るかは、ほかの投資家がどこまで売るか、すなわち、どのくらい下がるか、にかかっていたのである。だから、投資家同士のにらみ合いになり、2日間かけて下落幅を確認していったのである。 そして「中国の不動産」というのは、きっかけや合図にすぎないから、本当に重要なニュースは、アメリカの中央銀行であるFEDの意向であった。だから、そのニュースを待ったのである。 そもそも株価はなぜ下がるのか?それは、誰かが売ったからである。 株価下落の理由はこれ以外ありえない。それなら、その次の質問は、なぜみんな売ったか?ということであるが、これも答えはひとつしかない。 株価が上がってきたからである。 下がる理由はひとつ。その前に上がったからである。上がった後しか下がらない。下がり続けているときは、誰も「なぜ下がった?」と聞かないから、下がった理由を探しているときであれば、その答えは必ず「その前に上がっていたから」ということになる。これまた、これ以外の答えはありえない。 この2つの大原則。これが、行動ファイナンスにおいて、私が考える最も重要な原理である。「そんなの当たり前だ」とみなさんは言うかもしれない。だが、それはまったく違う。当たり前でないのだ。 下がったときは、誰かが売った。誰が売ったのか。それを徹底的に知る必要がある。その次には、彼らが売った理由を徹底的に考える。この2つを行えば、相場はすべてわかる』、「そもそも株価はなぜ下がるのか?それは、誰かが売ったからである。 株価下落の理由はこれ以外ありえない。それなら、その次の質問は、なぜみんな売ったか?ということであるが、これも答えはひとつしかない」、の意味は私の理解の限度を超えている。
・『今が「バブルの後半の後半」である理由  今回はどうだろう。売ったのは誰か? ほぼ全員である。だから急落になったのである。 売った理由は何か?これまで上がって来たからである。つまり、ほとんどすべての投資家が「これまでだいぶ上がったから、いつ売ろうかな」と考えていた、ということである。これが相場の現状の本質である。すなわち、これはバブルの後半の後半、末期あるいはそれに近い時期であることを示している。 みんなが売りたがっている。これまで上がったから売るタイミングを探している。そして、きっかけのニュース、号砲がなったら、とりあえず売る。これはバブルの後半の後半にしか見られない現象である。 さらに、私が「末期の可能性がある」と判断した理由は、FOMCで株価が下落しそうなニュースであったにもかかわらず、上昇したことにある。これは「受け入れたくない現実からの逃避行動」と考えられる。冷静な時期であれば、ニュースを逆向きに解釈することはない。ポジティブ、ネガティブ、その方向性については、間違えようがないのである。常に問題なのは「ネガティブだがどの程度か」ということのはずだからだ。 しかし、今回のFOMCは、中国不動産問題を受けて、少しテーパリングの時期を遅らせるだろう、ましてや利上げの時期を示唆するようなことは打ち出さないだろうと誰もが思っていた。しかし、FOMCはまったく逆で、次回11月頭にテーパリングの開始を決定することがほぼ確実であることを示唆した。 さらに驚いたことに、いわゆるドットチャートで、2023年から利上げが始まるとFOMCの投票権を持つ理事たちは示していたのが、2022年の半ばからに前倒しになったのである。これは明らかに「事件」であり、株式投資家たちがもっとも恐れていたニュースである。それにもかかわらず、株価は上昇した。これは、投資家たちが目先、受け入れたくない事実を無視したことを意味する。) 一方で、リーマンショック時とは大きく異なることも事実だ。なぜなら、銀行システムは、リーマンショック後、欧米では規制が強化され、かなり保守的に運用されているからである。しかし、銀行システムの破綻がなくとも、株価は簡単に暴落する。上がりすぎたものは大きく下がる。2000年のテックバブル崩壊と同じことである。 しかも、テックバブルは経済社会へのダメージが小さかったことと異なり、今回、もし暴落すれば影響はとてつもなく大きくなるだろう。なぜなら、金融バブルが崩壊すると、経済や市場のいちばん弱いところから破綻していくからだ。 リーマンブラザーズは破綻したが、結局は同じ金融大手でもゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは破綻しなかった。ただし、サブプライム問題でも2006年にはすでに問題を来していたが、プライム市場は破綻しなかった。大手金融も当初は大丈夫だった。サブプライム関連企業とサブプライムローンを借りていた質の悪い借り手が破綻しただけであった。しかし、それが翌2007年のパリバショックになり、2008年のリーマンショックへと連なり、強いはずの別の業種の企業まで破綻していったのである』、「みんなが売りたがっている。これまで上がったから売るタイミングを探している。そして、きっかけのニュース、号砲がなったら、とりあえず売る。これはバブルの後半の後半にしか見られない現象である」、「今回、もし暴落すれば影響はとてつもなく大きくなるだろう。なぜなら、金融バブルが崩壊すると、経済や市場のいちばん弱いところから破綻していくからだ」、恐ろしい見立てだ。
・『今、もっとも弱っているのは政府・中央銀行  今回は、コロナバブルにより、格差はあらゆるところで広がった。ワクチンがすすんでない途上国、弱小国は回復が大きく遅れている。その多くの国は通貨も財政も弱いから、アメリカの回復により金利が上昇し、通貨安となり、負債返済に行き詰まるだろう。そして世界的に不況が広がっていく。 中国は、特殊な部分もあるが、不動産のバブルは大きすぎて、必ず、どこかのタイミングで、破綻がやってくる。そのときには、先進国も影響を受けるだろう。常に弱いところからやられるのだから、先進国も弱いところからやられるだろう。 問題は、今、先進国でいちばん弱っているセクターはどこか?ということである。それは、金融緩和を大規模に行い、巨額の財政出動をしている政府である。つまり、先進国に危機が波及したときに、やられるのは、政府か中央銀行のどちらか弱いほうであり、しかも政府と中央銀行の関係性からいけば、片方がやられれば、もう片方も沈没するのは必然である。 したがって、私は、今回のバブルは、銀行セクターが比較的頑健で、なかなか世界的な銀行危機にはならないが、その分、バブルはさらにふくらみ、そのしわ寄せが、政府や中央銀行に津波のように押し寄せ、リーマンショックよりも遥かに大きなバブル崩壊になると予想している(ここで本編は終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを展望するコーナーです。あらかじめご了承下さい)』、「リーマンショックよりも遥かに大きなバブル崩壊になる」場合、異次元緩和から唯一脱出できない日銀、節度を完全に喪失した日本の財政が、最も「しわ寄せ」を被り易いことは、要注意だ。私見では大幅円安、資本の海外流出、国債利回りの急騰など、日本は破綻の淵に追い込まれるだろう。異次元緩和に賭けたアベノミクスの完全破綻である。
タグ:株式・為替相場 (その12)(「安い」日本と円の「実質実効為替レート」低下 何を象徴するのか=唐鎌大輔氏、総裁選をきっかけに日本株が急上昇 今後の株価は?【個人投資家必見】、世界のバブル崩壊がついに始まったと言える理由 恒大集団をネタにした下落に隠されている真実) ロイター 唐鎌大輔 「コラム:「安い」日本と円の「実質実効為替レート」低下、何を象徴するのか=唐鎌大輔氏」 「実質実効為替レート」の「長期平均(20年平均)とのかい離率」をみると、「円は過大な割安からさらに過大な割安へとに進んでおり」、極めて不健全な姿だ。 「既に多くの日本企業が海外生産移管を進め、「円安─輸出」という経路が機能不全になっていると考えられる中、REERの割安感が名目円高を約束するとは限らない」、「「リスクオフの円買い」が発生する経路も、今は細っている」、このように「円の割安修正、断たれている経路」、市場メカニズムに自動調整機能が失われてしまったとは、困ったことだ。 「円の割安修正、断たれている経路」の結果として、「円の価値が劣化し続ける」のは全く異常なことだ。歯止めをかける何らかの要因が表れてほしいものだ。 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 「総裁選をきっかけに日本株が急上昇、今後の株価は?【個人投資家必見】」 「菅首相が、総裁選に出馬しないことが決まり、海外投資家の日本株に対する見方に変化が表れた」、「菅首相」にとってはみっともない話だ。 「日本株イコール「世界の景気敏感株」との認識が強かった」、不名誉なことだ。 「8月中旬、日経平均株価のPERは予想ベースで12倍台まで低下・・・日本株の出遅れ感が目立ち始め」、「8月下旬ごろから、わが国の政治動向など複合的な要因が目先の投資家心理を強気にさせた・・・新政権の景気対策を期待する投資家が増えた」、なるほど。 「株価上昇を一時的な現象に終わらせないためにも、新政権は明確なビジョンを示し、実現することが求められている」、その通りだ。 東洋経済オンライン 小幡 績 「世界のバブル崩壊がついに始まったと言える理由 恒大集団をネタにした下落に隠されている真実」 「小幡」氏の見解とは、興味深そうだ。 「ファイナンス理論」に基づく解釈は新鮮で面白い。 「重要なのは、恒大集団の深刻度合いではなく、ほかの投資家がどれほど売りたがっているか、ということがすべてであった」、なるほど。 「そもそも株価はなぜ下がるのか?それは、誰かが売ったからである。 株価下落の理由はこれ以外ありえない。それなら、その次の質問は、なぜみんな売ったか?ということであるが、これも答えはひとつしかない」、の意味は私の理解の限度を超えている。 「みんなが売りたがっている。これまで上がったから売るタイミングを探している。そして、きっかけのニュース、号砲がなったら、とりあえず売る。これはバブルの後半の後半にしか見られない現象である」、「今回、もし暴落すれば影響はとてつもなく大きくなるだろう。なぜなら、金融バブルが崩壊すると、経済や市場のいちばん弱いところから破綻していくからだ」、恐ろしい見立てだ。 「リーマンショックよりも遥かに大きなバブル崩壊になる」場合、異次元緩和から唯一脱出できない日銀、節度を完全に喪失した日本の財政が、最も「しわ寄せ」を被り易いことは、要注意だ。私見では大幅円安、資本の海外流出、国債利回りの急騰など、日本は破綻の淵に追い込まれるだろう。異次元緩和に賭けたアベノミクスの完全破綻である。
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