不動産(その10)(空き家が増加中 高級住宅街「田園調布」の住民が 自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?、東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由、財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路) [産業動向]
不動産については、4月21日に取上げた。今日は、(その10)(空き家が増加中 高級住宅街「田園調布」の住民が 自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?、東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由、財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路)である。
先ずは、5月3日付け幻冬舎Gold Online「空き家が増加中。高級住宅街「田園調布」の住民が、自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?」を紹介しよう。
https://gentosha-go.com/articles/-/42647?per_page=1
・『近年、都内の高級住宅地に空き家が増加するという現象が起こっています。それはかつての高級住宅地の代名詞「田園調布」も例外ではありません。なぜ、空き家が増加しているのか? その原因のひとつである“建築協定”とはどんなものかについて解説します』、興味深そうだ。
・『渋沢栄一が創った理想住宅地「田園調布」 日本資本主義の父と謳われる渋沢栄一。1873年に自ら設立に携わった日本最初の銀行・第一国立銀行(現・みずほ銀行)の総監役に就任したのを皮切りに、次々と銀行の設立、経営を手がけました。その天賦の才を発揮するフィールドは銀行にとどまることを知らず、ガスや鉄道などのインフラ事業、貿易や保険、新聞など、産業革命後の日本人の暮らしを支える、あらゆる重要事業で活躍しました。 常に未来を見据え、進歩的な目線で社会システムの構築に取り組んだ渋沢栄一。彼が都市づくりを目的に設立した「田園都市株式会社」が開発したのが、現在の「田園調布」である「多摩川台住宅地」です。 イギリスの近代都市計画の祖と敬われている、エベネザー・ハワードというイギリス人社会改良家がいます。彼が1898年に提唱した、都市労働者が健全な生活を送るため、都市と田園の長所を兼ね備えた、自然の美と都市の機能が同時に享受できる理想都市論が「田園都市論」です。 この「田園都市論」を日本で応用しようと考えたのが渋沢栄一です。「田園調布」は1923年(大正12年)の誕生以降、昭和の高度経済成長期の一戸建て住宅需要の高まりとともに、高級住宅地の代名詞としてその名を高めていきました。 しかし、近年では「空き家」の増加、それに伴う住人の高年齢化などが懸念されています。なぜ? 人気住宅地として高名な「田園調布」で、「空き家」が増加したのでしょうか。その理由は“建築協定”にあります』、なるほど。
・『住民自らが取り決める“建築協定” 建築基準法(第69条~77条)に基づくまちづくりの制度のなかに、“建築協定”というものがあります。建築基準法で定められた国の基準に加えて、住民が自発的に基準を設けるのです。 建築物の形態や用途に関してルールを決めて、互いに守り、監視し合うことで、良好な住環境を永続させていくための制度です。「田園調布」の場合は、「田園調布憲章」という名のもとに、次のような基準が設けられています。 “●敷地は165平方メートル以上 ●建物の高さは9メートル、地上2階建てまで ●敷地周囲に原則として塀は設けず、植栽による生け垣。石材、コンクリートなどの塀の場合、高さ1.2メートル以下 ●一定面積の樹木による緑化。既存樹木は原則として残す ●外壁や屋根などの色は、地区の環境に調和した落ち着いたものとする ●道路や敷地境界線から1メートルには塀や門、看板など、緑化を妨げる工作物の設置禁止 ●ワンルームタイプの集合住宅は不可” (2016年10月6日付朝日新聞「(田園調布…高級住宅地の街:1)時間ゆるり、緑の邸宅街」より引用) つまり、「田園調布」では165平方メートル以上の敷地がなければ、住宅を建てることが出来ません。すなわち、土地の所有者が亡くなり、相続人が手放そうとした場合、土地を分割して売ることが難しいという問題が発生してしまうのです』、確かに「田園調布憲章」は、住民自治の基本で、「土地」細分化の歯止めにはなる反面、流動性を著しく小さくしてしまうようだ。
・『個人にも、不動産業者にも不都合な土地 例えば、相続人が300平方メートルの土地を売ろうとする場合、分割して売りに出し、各々にしっかり買い手を見つけることは非常に困難です。 なぜなら、最低165平方メートル以上の面積がなければ住宅を建てることができず、この面積を確保するとなると、残りは住宅を建てられる基準には広さが到底及ばず、適切な使途が見当たらないからです。 土地を分割せずに売るとしても、土地代があまりに高額すぎるため、購入できる層の母数がぐっと減ってしまい、こちらも買い手を見つけるのが非常に困難です。「田園調布」の300平方メートルの土地の相場は1億数千万円にも及ぶと言われています。 では、個人の住宅用ではなく、資金の準備がある不動産業者は買い手になるでしょうか。この場合も“建築協定”の「田園調布憲章」がネックとなります。 「建物の高さは9メートル、地上2階建てまで」とされているため、継続的な利益が見込める、高層マンションや商業ビルなどを建てることはできません。さらに、「ワンルームタイプの集合住宅は不可」とされているため、単身者向け住宅も建てられません。 このように、「田園調布」の土地は個人にとっても、不動産業者にとっても、手が出しづらい状況にあります』、「不動産業者にとっても、手が出しづらい状況」、これではどうしようもなさそうだ。
・『高額な相続税も、相続人のネックに 土地の価値が高いということは、それだけ相続税も高騰します。支払う余力がない場合には、相続した土地を担保に融資を受け、別の土地で不動産経営をするなど、工夫が必要です。また、リフォームをしてファミリー向け賃貸物件として経営するという選択肢もあります。 さらに、空き家が増え新しい住民が入らなくなると懸念されるのは、住民の高齢化です。「田園調布」は坂も多く、スーパーなどの商業施設は駅周辺にしかないことを考えると、高齢者にとって住みやすいとは決して言えない街でもあります。ですが、住民にとっては、このうえなく親しみのある街なのです。 戦前に誕生し、高度経済成長期の日本とともに成長し、様変わりしてきた「田園調布」。さらなる時代の変化とともに、新たな息吹が吹き込まれることを期待せずにはいられません』、「田園調布憲章」自体は、田園調布町会の自主基準で法的拘束力はないとはいえ、やはり住むためには順守が求められるだろう。私権への制限が少ない日本では例外的な存在だ。相続税などの問題はあるにせよ、既に保有している資産価値を守るには有効な策で、私は現在の行き過ぎた私権万能を制限する考え方は支持する。
次に、6月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したLIFULL HOME’S総合研究所・副所長チーフアナリストの中山登志朗氏による「東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304129
・『コロナ禍での「働き方改革」で東京のオフィス空室率が拡大 西暦2000年になるとコンピュータが誤作動する恐れがあるとされた「2000年問題(Y2K問題)」以降、「オフィス2003年問題」「国債償還期限2008年問題」「生産緑地2022年問題」など、毎年のように「20××年問題」と、火のないところに煙を立てるかのような話題作りが続けられてきた印象がある。 だが「東京のオフィス2023年問題」だけは、例外だと言わなければならないようだ。 コロナ前の2019年、東京のオフィス平均空室率は1%台で安定推移しており(しかも年間を通じてじりじりと縮小していた)、2019年12月には1.55%、新築ビルでも4.82%と、入居好不調目安の5%を下回るほどの好調を維持していた(三鬼商事調べ、以下同)。 また全国で見ても、新型コロナ感染者が発生し“Withコロナ”に突入した2020年2月時点で平均1.49%、新築ビル3.95%と順調かつ安定的な空室消化を示している。) しかし、それ以降はコロナ感染者の増加に初の緊急事態宣言の発出と、コロナ感染の急拡大状況を受けて東京のオフィス空室率は拡大の一途となり、同年8月には平均で3%、11月には4%を突破した。その後も東京のオフィス空室率は拡大を続け、1年後の2021年10月には6.47%(新築ビル14.03%/既存ビル6.39%)にまで達している。 新規に供給されるオフィスの空室率を見る上では5%、つまり95%埋まっているかどうかが市況の好不調の目安とされている。新築マンションの初月契約率については70%が売れ行きの好不調の目安とされるように、その数値自体にさしたる根拠はないのだが、コロナ禍における2021年のオフィス空室率の推移はその目安を上回る状況であり、少なくとも好調とは到底いえない状況だった。それだけオフィス市場に対するコロナの影響は直接的だったというべきだろう。 正確に言えば、コロナの影響というよりは、コロナによっていわゆる“働き方改革”が半強制的に推進されることとなり、テレワークが多くの企業で導入・実施されたことが影響したというべきだろう。 テレワークも当初は毎週1日程度の試験的な導入であったものが、コロナ禍の拡大によって毎週数日になり、政府や自治体、経団連などの団体からの要請も重なって、ついには原則として在宅で勤務し必要なときだけ出社するという就業形態を導入する企業が増えた。 特に東京はテレワークという働き方に親和性の高い規模の上場企業(就業者数が多い企業ほど導入率は高い傾向がある)、業種(情報・通信、金融・保険業などは特に親和性が高い)、およびエリア(こういった規模および業種は東京都内に本社を置いていることが圧倒的に多い)という条件がそろっており、テレワークの導入が加速度的に進んだことが、不要になったオフィスの返却、契約変更などに表れたものとみることができる。 余談ながら、筆者が所属する不動産ポータルサイトLIFULL HOME’Sを運営するLIFULLでも、コロナ禍の拡大とともに出社とテレワークの選択制からテレワーク推奨へ、さらに原則テレワークへと出社頻度が漸減し、宣言や措置が発出されていない現状においても出社するかどうかは部署ごとにコントロールするという比較的柔軟な体制が敷かれている。ノートPC1台とネット環境さえあればどこでも仕事ができるというIT関連企業ならではの仕事のスタイルといえるだろう(この原稿も自宅で会社のノートPCに向かって打ち込んでいる)。) 従来、オフィスは効率良くかつ快適に活用できることで、その利便性と利用価値をアピールし続けてきたわけだが、コロナ感染防止の観点から社員相互の直接交流が難しくなったことで、“場”としてのオフィスの役割は大きく変化したといえる。従業員全員を収容する必要が初めからないのであれば、オフィスはそれだけ少なくて済むし、リモートワークが促進されれば、賃料が高額な都心にオフィスを構える意味も薄らいでくるというものだ。 これまでのビジネス慣習によってなかなか推進することが難しかった“働き方改革”だが、コロナ禍に対応せざるを得なくなった各企業が試しに導入してみたら、意外にもすんなりとテレワークに移行できた結果、これまで必要だったオフィスが余るという現象が発生することになった。このためコロナ禍の長期化とともにオフィスの空室率が徐々に拡大していったものと考えられる。 これまでも六本木ヒルズや丸ビル、品川インターシティなど巨大な床が創出される大型オフィスビルの竣工によって、一時的に空室率が高まるという現象はあったが(リーマン・ショック時も一時的にオフィス空室率が拡大した)、コロナ禍においてこのような大規模オフィスが次々と竣工すればコロナ禍&テレワークの進捗によって需要が減少したオフィス市場は一体どうなってしまうのか…これが「東京のオフィス2023年問題」の端緒といえる』、「コロナ禍の長期化とともにオフィスの空室率が徐々に拡大」、「これが「東京のオフィス2023年問題」の端緒」、その通りだろう。
・『注目の常盤橋タワーでも開業時の空室率は10% コロナ以前の2018年からコロナ禍に突入した2020年にかけては、幸いなことにコロナ前から新たに供給されるオフィスに入居する企業が順調に決まっていたこと、またオフィスの大量供給がなく需要と供給のバランスが取れていたことなどにより、冒頭で述べた通り、オフィス空室率は極めて良好な水準で推移していた。 またこれも幸か不幸か、2021年および2022年は東京オリンピック・パラリンピックのインフラ整備による人手不足などで、以前から新規のオフィス供給が控えめだったこともあり、コロナ禍においても空室率が7%前後にとどまっていたという見方ができる。 だが、2023年以降は一転してオフィスの大量供給が始まるため、これらの新規の床をどのように吸収・活用するのか、もしくはできるのかということが焦点となる。 それを占う意味で重要なポイントと思われるのが、2021年に竣工・開業した浜松町駅に直結する「世界貿易センタービルディング南館」と大手町に誕生した三菱地所の「常盤橋タワー」の需給状況だ。 開業時の空室率は、「世界貿易センタービルディング南館」でおおむね15%、「常盤橋タワー」も10%と、コロナ禍の収束が見通せないこの時期にしてはかなり健闘したというべきだろう。 だが、「常盤橋タワー」のような知名度と最新設備、立地条件をもってしても、好不調の目安とされる5%に届かなかったという事実は、今後のオフィス大量供給についてネガティブな印象を与える可能性が高いとみるべきだ。 これまで“去る者は追わず”だったオフィスの供給サイドも、新たな借り手探しが難しいと考えれば、入居企業が去ることを引き留めようとするだろう。その結果、オフィス市場は貸し手市場から借り手市場へと急激にシフトし、オフィス賃料が低下することになる』、「開業時の空室率は、「世界貿易センタービルディング南館」でおおむね15%、「常盤橋タワー」も10%」、とはやはり「借り手市場へと急激にシフトし、オフィス賃料が低下することになる」のだろう。
・『2023年以降に完成予定の主な大規模開発案件とは では、実際に2023年以降完成予定の主な大規模開発案件とはどういったものがあるのか。 先ず先頭を切るのは、森ビルが事業参画する「虎ノ門ヒルズステーションタワー・虎ノ門・麻布台プロジェクト」で、2023年7月(A-1/A-3街区)および11月(A-2街区)が竣工・開業する。 虎ノ門ヒルズステーションタワーの総床面積は合計で約33万平方メートルとされており、虎ノ門ヒルズプロジェクト全体では約80万平方メートルの床が創出されることになるから、森ビルのアプローチ次第ではあるものの、一気にオフィス床の流動化が発生する可能性が高まることは想像に難くない。 以降も、JR東日本が手掛ける総床面積約21万平方メートルの「高輪ゲートウェイシティ」が2025年3月竣工予定、三井不動産と野村不動産のJVで進行する総床面積約38万平方メートルの「日本橋一丁目中地区再開発・東京駅前八重洲一丁目東地区市街地再開発・八重洲二丁目中築第一種市街地再開発」が2026年3月竣工予定、三菱地所が日本最高層のオフィスとして建築する「TOKYO TORCH(東京トーチ)」のシンボルとなる地上63階/高さ約390m、総床面積約54万平方メートルのTORCH TOWERが2027年度竣工予定などとなっている。 ほかにも再開発が進む浜松町~田町エリアでも多くの計画が進んでいることから、巨大オフィスが2023年以降続々と新たなオフィス床を創出し続けることになる。 これら最新の設備と仕様を誇る超高層オフィスビルは、当然のことながら賃料も周辺相場より格段に高額な水準となることが想定されるから、与信および信用力が担保できる大手企業以外に入居を検討するところはほぼ皆無であろうし、オフィスの移転(特に本社機能の移転)には多くの時間と労力を要することから、2027年度竣工予定のTORCH TOWERにおいても既に水面下での入居交渉が始まっている。 供給サイドもコロナ禍でのオフィス需要の厳しさは把握しており、ワンフロア全てではなく小分けにして活用できるように工夫したり、複数の企業がオフィスの一部を共同使用できるようにしたり、オフィス・インテリアごと貸せるようにしたりとあの手この手で需要を喚起しようとしているようだ。 東京都内の企業では2022年4月以降、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されていなくてもテレワークは今も継続しており(コロナ前の就業体制へ一気に戻すと再びコロナ感染が拡大する局面に対応しにくくなるため)、東京のオフィス需要は依然として厳しい状況に変わりはないといえる。 この状況下で、上記に掲出したオフィスビルだけでも合計200万平方メートル弱もの新規の床が創出されることになれば、「東京のオフィス2023年問題」(正確には2023年以降も続くのだが)は現実味を帯びて迫ってくることになる。 折悪しく、ロシアのウクライナ侵攻による資材・食料価格の高騰や日米の政策金利の格差拡大による円安が発生し、その多くを輸入に頼らざるを得ない資材・エネルギー価格の高騰が足元で起きているから、オフィスのテナントとして想定される多くの企業で今後の業績の悪化が懸念されている。 コロナ禍によるテレワークの実施・定着、円安などによる企業業績の悪化、物価の上昇傾向など、オフィス環境を取り巻く状況は決して芳しくはない。果たしてオフィス開発を手掛ける各デベロッパーにはこの状況を乗り越える手段があるのか、今後の推移を注視したい。 コロナが明けて外資の日本での動きが本格化すれば、「東京のオフィス2023年問題」などあっという間に雲散霧消するとうそぶく業界関係者もいるにはいるのだが…。 (記事は個人の見解であり、執筆者が所属する会社の見解を示すものではありません)』、「上記に掲出したオフィスビルだけでも合計200万平方メートル弱もの新規の床が創出されることになれば、「東京のオフィス2023年問題」・・・は現実味を帯びて迫ってくることになる」、「オフィスのテナントとして想定される多くの企業で今後の業績の悪化が懸念されている。 コロナ禍によるテレワークの実施・定着、円安などによる企業業績の悪化、物価の上昇傾向など、オフィス環境を取り巻く状況は決して芳しくはない」、「環境」は本当に厳しくなりそうだ。
第三に、8月8日付け現代ビジネス「財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/98344?imp=0
・『財閥系デベロッパーによるタワマン計画はなぜ頓挫したのか。前編記事「有名タレントが住む都心の超一等地に建つマンションが、なぜか空室だらけ…廃墟寸前のヤバすぎる実態」に続き、「マンション地上げ」の詳細をお伝えする』、興味深そうだ。
・『住民側に不利な設定が次々発覚 都心の超一等地に立つマンションの住人たちに対し、財閥系デベロッパーのM社側から、徐々に詳しい建て替え計画の内容が提示されていく。ただ、区分所有者の中には「2000万円以上の負担なんて、おかしいのではないか」「この場所で住戸数も倍近くに増えるのだから、負担がゼロでも可能ではないのか」といった意見が出るようになる。 そのマンションに住む岸先生(仮名)の職業は弁護士である。彼も疑問に思うところがあり、計画案の内容を細かくチェックしていった。 すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ。 例えば、区分所有者の現有住戸の権利は内法面積を基にしているのに、建て替え後の取得住戸の面積は壁芯が基準となっていた。壁芯とは躯体である鉄筋コンクリートの真ん中のこと。壁芯で面積を測ると、実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる。 それは建築や不動産の業界にいる人なら誰でも知っていること。ただし、一般の方には知らない人も多い。 要するに、S社とM社は区分所有者たちを舐めてかかった、という疑いが濃厚であった。 岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる。彼らのあまりにもズサンな計画と横柄な対応に、区分所有者たちの間に不信感が広まる。当然、反対派グループが形成された。そのリーダー格はもちろん岸先生である。 そうこうするうち、反対派の区分所有者たちの元には怪しい社名を名乗る業者から、頻繁に電話がかかってくるようになった。 「そちらの住戸を買わせてください」 いくらで買いたいの、と聞くと「どうぞ金額をおっしゃってください。その値段で買わせていただきます」。 地上げ屋の登場である。 反対派の所有住戸を買い進めていき、建て替えを強行できる5分の4をめざそうというのだ。後手に回ったM社側の、苦し紛れの手だてだったのだろう。 しかし、地上げ屋に売却する区分所有者はほとんどいなかったそうだ。 やがて岸先生は、M社やS社側の手続き上などの不法行為を追及する訴訟を、いくつも提起。何といっても現役弁護士である岸先生本人が区分所有者の一人として、訴訟の原告になっているのだ。訴訟を起こす心理的、金銭的負担は一般人に比べると極めて軽微。すでにそれらの訴訟の一部では勝訴の判決も出ている』、「計画案の内容を細かくチェックしていった。 すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ」、「壁芯が基準となっていた」「実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる」、「岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる」、「地上げ屋の登場」、と「不動産会社のS社や、開発するM社側」の対応は余りにお粗末だ。
・『完全に失敗した財閥系デベの策略 計画案が示されてから、すでに何年もの年月が経過している。建て替え計画は一向に前進する気配がない。それどころか、M社側は建て替えによる再開発を諦めたふしもある。 岸先生によると、最近そのマンションを売却して引っ越した人が2組ほどあったそうだ。 「M社系の地上げ屋に売ったのですか?」と私が聞くと、「いや、そうではない一般人が買ったみたいだね」と岸先生。 金額は、私が数年前に「先生、3億円以上で売れますよ」と半ば冗談で示した額よりも3割強は高くなっていた。その間、東京都心のマンション価格は値上がりを続けているのだ。 どうやらそのマンションの地上げは、今のところ完全に失敗した様子である。 それにしても、惜しい話だと思う。あれだけの一等地の物件が「幽霊マンション」として、ほとんど使われていないのだ。権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態。 地上げというのは、平成バブルの時代はよく話題になった。嫌がる権利者から半ば暴力的に物件を買い取る、というイメージだった。 しかし、時代は変わっている。 逆に今は、不動産を活用するために重要な役割を担う仕事になっている。地上げを丁寧に、誠実に行うことで生かされる不動産は多い。また権利を売り渡す側にとってのメリットも創り出せる。 だが残念なことに、この岸先生のマンションは何とも悲惨な失敗例といえよう。 誰の利益にもならず、超一等地の不動産がいつまでも「幽霊」のままになっている』、「権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態」、「超一等地の不動産がいつまでも「幽霊」のままになっている」、まるで夏向きのミステリーだ。
第三に、8月8日付け現代ビジネス「財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路」を紹介しよう。
・『財閥系デベロッパーによるタワマン計画はなぜ頓挫したのか。前編記事「有名タレントが住む都心の超一等地に建つマンションが、なぜか空室だらけ…廃墟寸前のヤバすぎる実態」に続き、「マンション地上げ」の詳細をお伝えする』、興味深そうだ。
・『住民側に不利な設定が次々発覚 都心の超一等地に立つマンションの住人たちに対し、財閥系デベロッパーのM社側から、徐々に詳しい建て替え計画の内容が提示されていく。ただ、区分所有者の中には「2000万円以上の負担なんて、おかしいのではないか」「この場所で住戸数も倍近くに増えるのだから、負担がゼロでも可能ではないのか」といった意見が出るようになる。 そのマンションに住む岸先生(仮名)の職業は弁護士である。彼も疑問に思うところがあり、計画案の内容を細かくチェックしていった。 すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ。 例えば、区分所有者の現有住戸の権利は内法面積を基にしているのに、建て替え後の取得住戸の面積は壁芯が基準となっていた。壁芯とは躯体である鉄筋コンクリートの真ん中のこと。壁芯で面積を測ると、実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる。 それは建築や不動産の業界にいる人なら誰でも知っていること。ただし、一般の方には知らない人も多い。 要するに、S社とM社は区分所有者たちを舐めてかかった、という疑いが濃厚であった。 岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる。彼らのあまりにもズサンな計画と横柄な対応に、区分所有者たちの間に不信感が広まる。当然、反対派グループが形成された。そのリーダー格はもちろん岸先生である。 そうこうするうち、反対派の区分所有者たちの元には怪しい社名を名乗る業者から、頻繁に電話がかかってくるようになった。 「そちらの住戸を買わせてください」 いくらで買いたいの、と聞くと「どうぞ金額をおっしゃってください。その値段で買わせていただきます」。 地上げ屋の登場である。 反対派の所有住戸を買い進めていき、建て替えを強行できる5分の4をめざそうというのだ。後手に回ったM社側の、苦し紛れの手だてだったのだろう。 しかし、地上げ屋に売却する区分所有者はほとんどいなかったそうだ。 やがて岸先生は、M社やS社側の手続き上などの不法行為を追及する訴訟を、いくつも提起。何といっても現役弁護士である岸先生本人が区分所有者の一人として、訴訟の原告になっているのだ。訴訟を起こす心理的、金銭的負担は一般人に比べると極めて軽微。すでにそれらの訴訟の一部では勝訴の判決も出ている』、信じられないようなお粗末さだ。
・『完全に失敗した財閥系デベの策略 計画案が示されてから、すでに何年もの年月が経過している。建て替え計画は一向に前進する気配がない。それどころか、M社側は建て替えによる再開発を諦めたふしもある。 岸先生によると、最近そのマンションを売却して引っ越した人が2組ほどあったそうだ。 「M社系の地上げ屋に売ったのですか?」と私が聞くと、「いや、そうではない一般人が買ったみたいだね」と岸先生。 金額は、私が数年前に「先生、3億円以上で売れますよ」と半ば冗談で示した額よりも3割強は高くなっていた。その間、東京都心のマンション価格は値上がりを続けているのだ。 どうやらそのマンションの地上げは、今のところ完全に失敗した様子である。 それにしても、惜しい話だと思う。あれだけの一等地の物件が「幽霊マンション」として、ほとんど使われていないのだ。権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態。 地上げというのは、平成バブルの時代はよく話題になった。嫌がる権利者から半ば暴力的に物件を買い取る、というイメージだった。 しかし、時代は変わっている。 逆に今は、不動産を活用するために重要な役割を担う仕事になっている。地上げを丁寧に、誠実に行うことで生かされる不動産は多い。また権利を売り渡す側にとってのメリットも創り出せる。 だが残念なことに、この岸先生のマンションは何とも悲惨な失敗例といえよう。 誰の利益にもならず、超一等地の不動産がいつまでも「幽霊」のままになっている』、「あれだけの一等地の物件が「幽霊マンション」として、ほとんど使われていないのだ。権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態」、「S社」と「M社」が欲の皮を突っ張らせた代償を払っていると考えるべきだ。
なお、明日は更新を休むので、明後日にご期待を!
先ずは、5月3日付け幻冬舎Gold Online「空き家が増加中。高級住宅街「田園調布」の住民が、自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?」を紹介しよう。
https://gentosha-go.com/articles/-/42647?per_page=1
・『近年、都内の高級住宅地に空き家が増加するという現象が起こっています。それはかつての高級住宅地の代名詞「田園調布」も例外ではありません。なぜ、空き家が増加しているのか? その原因のひとつである“建築協定”とはどんなものかについて解説します』、興味深そうだ。
・『渋沢栄一が創った理想住宅地「田園調布」 日本資本主義の父と謳われる渋沢栄一。1873年に自ら設立に携わった日本最初の銀行・第一国立銀行(現・みずほ銀行)の総監役に就任したのを皮切りに、次々と銀行の設立、経営を手がけました。その天賦の才を発揮するフィールドは銀行にとどまることを知らず、ガスや鉄道などのインフラ事業、貿易や保険、新聞など、産業革命後の日本人の暮らしを支える、あらゆる重要事業で活躍しました。 常に未来を見据え、進歩的な目線で社会システムの構築に取り組んだ渋沢栄一。彼が都市づくりを目的に設立した「田園都市株式会社」が開発したのが、現在の「田園調布」である「多摩川台住宅地」です。 イギリスの近代都市計画の祖と敬われている、エベネザー・ハワードというイギリス人社会改良家がいます。彼が1898年に提唱した、都市労働者が健全な生活を送るため、都市と田園の長所を兼ね備えた、自然の美と都市の機能が同時に享受できる理想都市論が「田園都市論」です。 この「田園都市論」を日本で応用しようと考えたのが渋沢栄一です。「田園調布」は1923年(大正12年)の誕生以降、昭和の高度経済成長期の一戸建て住宅需要の高まりとともに、高級住宅地の代名詞としてその名を高めていきました。 しかし、近年では「空き家」の増加、それに伴う住人の高年齢化などが懸念されています。なぜ? 人気住宅地として高名な「田園調布」で、「空き家」が増加したのでしょうか。その理由は“建築協定”にあります』、なるほど。
・『住民自らが取り決める“建築協定” 建築基準法(第69条~77条)に基づくまちづくりの制度のなかに、“建築協定”というものがあります。建築基準法で定められた国の基準に加えて、住民が自発的に基準を設けるのです。 建築物の形態や用途に関してルールを決めて、互いに守り、監視し合うことで、良好な住環境を永続させていくための制度です。「田園調布」の場合は、「田園調布憲章」という名のもとに、次のような基準が設けられています。 “●敷地は165平方メートル以上 ●建物の高さは9メートル、地上2階建てまで ●敷地周囲に原則として塀は設けず、植栽による生け垣。石材、コンクリートなどの塀の場合、高さ1.2メートル以下 ●一定面積の樹木による緑化。既存樹木は原則として残す ●外壁や屋根などの色は、地区の環境に調和した落ち着いたものとする ●道路や敷地境界線から1メートルには塀や門、看板など、緑化を妨げる工作物の設置禁止 ●ワンルームタイプの集合住宅は不可” (2016年10月6日付朝日新聞「(田園調布…高級住宅地の街:1)時間ゆるり、緑の邸宅街」より引用) つまり、「田園調布」では165平方メートル以上の敷地がなければ、住宅を建てることが出来ません。すなわち、土地の所有者が亡くなり、相続人が手放そうとした場合、土地を分割して売ることが難しいという問題が発生してしまうのです』、確かに「田園調布憲章」は、住民自治の基本で、「土地」細分化の歯止めにはなる反面、流動性を著しく小さくしてしまうようだ。
・『個人にも、不動産業者にも不都合な土地 例えば、相続人が300平方メートルの土地を売ろうとする場合、分割して売りに出し、各々にしっかり買い手を見つけることは非常に困難です。 なぜなら、最低165平方メートル以上の面積がなければ住宅を建てることができず、この面積を確保するとなると、残りは住宅を建てられる基準には広さが到底及ばず、適切な使途が見当たらないからです。 土地を分割せずに売るとしても、土地代があまりに高額すぎるため、購入できる層の母数がぐっと減ってしまい、こちらも買い手を見つけるのが非常に困難です。「田園調布」の300平方メートルの土地の相場は1億数千万円にも及ぶと言われています。 では、個人の住宅用ではなく、資金の準備がある不動産業者は買い手になるでしょうか。この場合も“建築協定”の「田園調布憲章」がネックとなります。 「建物の高さは9メートル、地上2階建てまで」とされているため、継続的な利益が見込める、高層マンションや商業ビルなどを建てることはできません。さらに、「ワンルームタイプの集合住宅は不可」とされているため、単身者向け住宅も建てられません。 このように、「田園調布」の土地は個人にとっても、不動産業者にとっても、手が出しづらい状況にあります』、「不動産業者にとっても、手が出しづらい状況」、これではどうしようもなさそうだ。
・『高額な相続税も、相続人のネックに 土地の価値が高いということは、それだけ相続税も高騰します。支払う余力がない場合には、相続した土地を担保に融資を受け、別の土地で不動産経営をするなど、工夫が必要です。また、リフォームをしてファミリー向け賃貸物件として経営するという選択肢もあります。 さらに、空き家が増え新しい住民が入らなくなると懸念されるのは、住民の高齢化です。「田園調布」は坂も多く、スーパーなどの商業施設は駅周辺にしかないことを考えると、高齢者にとって住みやすいとは決して言えない街でもあります。ですが、住民にとっては、このうえなく親しみのある街なのです。 戦前に誕生し、高度経済成長期の日本とともに成長し、様変わりしてきた「田園調布」。さらなる時代の変化とともに、新たな息吹が吹き込まれることを期待せずにはいられません』、「田園調布憲章」自体は、田園調布町会の自主基準で法的拘束力はないとはいえ、やはり住むためには順守が求められるだろう。私権への制限が少ない日本では例外的な存在だ。相続税などの問題はあるにせよ、既に保有している資産価値を守るには有効な策で、私は現在の行き過ぎた私権万能を制限する考え方は支持する。
次に、6月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したLIFULL HOME’S総合研究所・副所長チーフアナリストの中山登志朗氏による「東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304129
・『コロナ禍での「働き方改革」で東京のオフィス空室率が拡大 西暦2000年になるとコンピュータが誤作動する恐れがあるとされた「2000年問題(Y2K問題)」以降、「オフィス2003年問題」「国債償還期限2008年問題」「生産緑地2022年問題」など、毎年のように「20××年問題」と、火のないところに煙を立てるかのような話題作りが続けられてきた印象がある。 だが「東京のオフィス2023年問題」だけは、例外だと言わなければならないようだ。 コロナ前の2019年、東京のオフィス平均空室率は1%台で安定推移しており(しかも年間を通じてじりじりと縮小していた)、2019年12月には1.55%、新築ビルでも4.82%と、入居好不調目安の5%を下回るほどの好調を維持していた(三鬼商事調べ、以下同)。 また全国で見ても、新型コロナ感染者が発生し“Withコロナ”に突入した2020年2月時点で平均1.49%、新築ビル3.95%と順調かつ安定的な空室消化を示している。) しかし、それ以降はコロナ感染者の増加に初の緊急事態宣言の発出と、コロナ感染の急拡大状況を受けて東京のオフィス空室率は拡大の一途となり、同年8月には平均で3%、11月には4%を突破した。その後も東京のオフィス空室率は拡大を続け、1年後の2021年10月には6.47%(新築ビル14.03%/既存ビル6.39%)にまで達している。 新規に供給されるオフィスの空室率を見る上では5%、つまり95%埋まっているかどうかが市況の好不調の目安とされている。新築マンションの初月契約率については70%が売れ行きの好不調の目安とされるように、その数値自体にさしたる根拠はないのだが、コロナ禍における2021年のオフィス空室率の推移はその目安を上回る状況であり、少なくとも好調とは到底いえない状況だった。それだけオフィス市場に対するコロナの影響は直接的だったというべきだろう。 正確に言えば、コロナの影響というよりは、コロナによっていわゆる“働き方改革”が半強制的に推進されることとなり、テレワークが多くの企業で導入・実施されたことが影響したというべきだろう。 テレワークも当初は毎週1日程度の試験的な導入であったものが、コロナ禍の拡大によって毎週数日になり、政府や自治体、経団連などの団体からの要請も重なって、ついには原則として在宅で勤務し必要なときだけ出社するという就業形態を導入する企業が増えた。 特に東京はテレワークという働き方に親和性の高い規模の上場企業(就業者数が多い企業ほど導入率は高い傾向がある)、業種(情報・通信、金融・保険業などは特に親和性が高い)、およびエリア(こういった規模および業種は東京都内に本社を置いていることが圧倒的に多い)という条件がそろっており、テレワークの導入が加速度的に進んだことが、不要になったオフィスの返却、契約変更などに表れたものとみることができる。 余談ながら、筆者が所属する不動産ポータルサイトLIFULL HOME’Sを運営するLIFULLでも、コロナ禍の拡大とともに出社とテレワークの選択制からテレワーク推奨へ、さらに原則テレワークへと出社頻度が漸減し、宣言や措置が発出されていない現状においても出社するかどうかは部署ごとにコントロールするという比較的柔軟な体制が敷かれている。ノートPC1台とネット環境さえあればどこでも仕事ができるというIT関連企業ならではの仕事のスタイルといえるだろう(この原稿も自宅で会社のノートPCに向かって打ち込んでいる)。) 従来、オフィスは効率良くかつ快適に活用できることで、その利便性と利用価値をアピールし続けてきたわけだが、コロナ感染防止の観点から社員相互の直接交流が難しくなったことで、“場”としてのオフィスの役割は大きく変化したといえる。従業員全員を収容する必要が初めからないのであれば、オフィスはそれだけ少なくて済むし、リモートワークが促進されれば、賃料が高額な都心にオフィスを構える意味も薄らいでくるというものだ。 これまでのビジネス慣習によってなかなか推進することが難しかった“働き方改革”だが、コロナ禍に対応せざるを得なくなった各企業が試しに導入してみたら、意外にもすんなりとテレワークに移行できた結果、これまで必要だったオフィスが余るという現象が発生することになった。このためコロナ禍の長期化とともにオフィスの空室率が徐々に拡大していったものと考えられる。 これまでも六本木ヒルズや丸ビル、品川インターシティなど巨大な床が創出される大型オフィスビルの竣工によって、一時的に空室率が高まるという現象はあったが(リーマン・ショック時も一時的にオフィス空室率が拡大した)、コロナ禍においてこのような大規模オフィスが次々と竣工すればコロナ禍&テレワークの進捗によって需要が減少したオフィス市場は一体どうなってしまうのか…これが「東京のオフィス2023年問題」の端緒といえる』、「コロナ禍の長期化とともにオフィスの空室率が徐々に拡大」、「これが「東京のオフィス2023年問題」の端緒」、その通りだろう。
・『注目の常盤橋タワーでも開業時の空室率は10% コロナ以前の2018年からコロナ禍に突入した2020年にかけては、幸いなことにコロナ前から新たに供給されるオフィスに入居する企業が順調に決まっていたこと、またオフィスの大量供給がなく需要と供給のバランスが取れていたことなどにより、冒頭で述べた通り、オフィス空室率は極めて良好な水準で推移していた。 またこれも幸か不幸か、2021年および2022年は東京オリンピック・パラリンピックのインフラ整備による人手不足などで、以前から新規のオフィス供給が控えめだったこともあり、コロナ禍においても空室率が7%前後にとどまっていたという見方ができる。 だが、2023年以降は一転してオフィスの大量供給が始まるため、これらの新規の床をどのように吸収・活用するのか、もしくはできるのかということが焦点となる。 それを占う意味で重要なポイントと思われるのが、2021年に竣工・開業した浜松町駅に直結する「世界貿易センタービルディング南館」と大手町に誕生した三菱地所の「常盤橋タワー」の需給状況だ。 開業時の空室率は、「世界貿易センタービルディング南館」でおおむね15%、「常盤橋タワー」も10%と、コロナ禍の収束が見通せないこの時期にしてはかなり健闘したというべきだろう。 だが、「常盤橋タワー」のような知名度と最新設備、立地条件をもってしても、好不調の目安とされる5%に届かなかったという事実は、今後のオフィス大量供給についてネガティブな印象を与える可能性が高いとみるべきだ。 これまで“去る者は追わず”だったオフィスの供給サイドも、新たな借り手探しが難しいと考えれば、入居企業が去ることを引き留めようとするだろう。その結果、オフィス市場は貸し手市場から借り手市場へと急激にシフトし、オフィス賃料が低下することになる』、「開業時の空室率は、「世界貿易センタービルディング南館」でおおむね15%、「常盤橋タワー」も10%」、とはやはり「借り手市場へと急激にシフトし、オフィス賃料が低下することになる」のだろう。
・『2023年以降に完成予定の主な大規模開発案件とは では、実際に2023年以降完成予定の主な大規模開発案件とはどういったものがあるのか。 先ず先頭を切るのは、森ビルが事業参画する「虎ノ門ヒルズステーションタワー・虎ノ門・麻布台プロジェクト」で、2023年7月(A-1/A-3街区)および11月(A-2街区)が竣工・開業する。 虎ノ門ヒルズステーションタワーの総床面積は合計で約33万平方メートルとされており、虎ノ門ヒルズプロジェクト全体では約80万平方メートルの床が創出されることになるから、森ビルのアプローチ次第ではあるものの、一気にオフィス床の流動化が発生する可能性が高まることは想像に難くない。 以降も、JR東日本が手掛ける総床面積約21万平方メートルの「高輪ゲートウェイシティ」が2025年3月竣工予定、三井不動産と野村不動産のJVで進行する総床面積約38万平方メートルの「日本橋一丁目中地区再開発・東京駅前八重洲一丁目東地区市街地再開発・八重洲二丁目中築第一種市街地再開発」が2026年3月竣工予定、三菱地所が日本最高層のオフィスとして建築する「TOKYO TORCH(東京トーチ)」のシンボルとなる地上63階/高さ約390m、総床面積約54万平方メートルのTORCH TOWERが2027年度竣工予定などとなっている。 ほかにも再開発が進む浜松町~田町エリアでも多くの計画が進んでいることから、巨大オフィスが2023年以降続々と新たなオフィス床を創出し続けることになる。 これら最新の設備と仕様を誇る超高層オフィスビルは、当然のことながら賃料も周辺相場より格段に高額な水準となることが想定されるから、与信および信用力が担保できる大手企業以外に入居を検討するところはほぼ皆無であろうし、オフィスの移転(特に本社機能の移転)には多くの時間と労力を要することから、2027年度竣工予定のTORCH TOWERにおいても既に水面下での入居交渉が始まっている。 供給サイドもコロナ禍でのオフィス需要の厳しさは把握しており、ワンフロア全てではなく小分けにして活用できるように工夫したり、複数の企業がオフィスの一部を共同使用できるようにしたり、オフィス・インテリアごと貸せるようにしたりとあの手この手で需要を喚起しようとしているようだ。 東京都内の企業では2022年4月以降、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されていなくてもテレワークは今も継続しており(コロナ前の就業体制へ一気に戻すと再びコロナ感染が拡大する局面に対応しにくくなるため)、東京のオフィス需要は依然として厳しい状況に変わりはないといえる。 この状況下で、上記に掲出したオフィスビルだけでも合計200万平方メートル弱もの新規の床が創出されることになれば、「東京のオフィス2023年問題」(正確には2023年以降も続くのだが)は現実味を帯びて迫ってくることになる。 折悪しく、ロシアのウクライナ侵攻による資材・食料価格の高騰や日米の政策金利の格差拡大による円安が発生し、その多くを輸入に頼らざるを得ない資材・エネルギー価格の高騰が足元で起きているから、オフィスのテナントとして想定される多くの企業で今後の業績の悪化が懸念されている。 コロナ禍によるテレワークの実施・定着、円安などによる企業業績の悪化、物価の上昇傾向など、オフィス環境を取り巻く状況は決して芳しくはない。果たしてオフィス開発を手掛ける各デベロッパーにはこの状況を乗り越える手段があるのか、今後の推移を注視したい。 コロナが明けて外資の日本での動きが本格化すれば、「東京のオフィス2023年問題」などあっという間に雲散霧消するとうそぶく業界関係者もいるにはいるのだが…。 (記事は個人の見解であり、執筆者が所属する会社の見解を示すものではありません)』、「上記に掲出したオフィスビルだけでも合計200万平方メートル弱もの新規の床が創出されることになれば、「東京のオフィス2023年問題」・・・は現実味を帯びて迫ってくることになる」、「オフィスのテナントとして想定される多くの企業で今後の業績の悪化が懸念されている。 コロナ禍によるテレワークの実施・定着、円安などによる企業業績の悪化、物価の上昇傾向など、オフィス環境を取り巻く状況は決して芳しくはない」、「環境」は本当に厳しくなりそうだ。
第三に、8月8日付け現代ビジネス「財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/98344?imp=0
・『財閥系デベロッパーによるタワマン計画はなぜ頓挫したのか。前編記事「有名タレントが住む都心の超一等地に建つマンションが、なぜか空室だらけ…廃墟寸前のヤバすぎる実態」に続き、「マンション地上げ」の詳細をお伝えする』、興味深そうだ。
・『住民側に不利な設定が次々発覚 都心の超一等地に立つマンションの住人たちに対し、財閥系デベロッパーのM社側から、徐々に詳しい建て替え計画の内容が提示されていく。ただ、区分所有者の中には「2000万円以上の負担なんて、おかしいのではないか」「この場所で住戸数も倍近くに増えるのだから、負担がゼロでも可能ではないのか」といった意見が出るようになる。 そのマンションに住む岸先生(仮名)の職業は弁護士である。彼も疑問に思うところがあり、計画案の内容を細かくチェックしていった。 すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ。 例えば、区分所有者の現有住戸の権利は内法面積を基にしているのに、建て替え後の取得住戸の面積は壁芯が基準となっていた。壁芯とは躯体である鉄筋コンクリートの真ん中のこと。壁芯で面積を測ると、実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる。 それは建築や不動産の業界にいる人なら誰でも知っていること。ただし、一般の方には知らない人も多い。 要するに、S社とM社は区分所有者たちを舐めてかかった、という疑いが濃厚であった。 岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる。彼らのあまりにもズサンな計画と横柄な対応に、区分所有者たちの間に不信感が広まる。当然、反対派グループが形成された。そのリーダー格はもちろん岸先生である。 そうこうするうち、反対派の区分所有者たちの元には怪しい社名を名乗る業者から、頻繁に電話がかかってくるようになった。 「そちらの住戸を買わせてください」 いくらで買いたいの、と聞くと「どうぞ金額をおっしゃってください。その値段で買わせていただきます」。 地上げ屋の登場である。 反対派の所有住戸を買い進めていき、建て替えを強行できる5分の4をめざそうというのだ。後手に回ったM社側の、苦し紛れの手だてだったのだろう。 しかし、地上げ屋に売却する区分所有者はほとんどいなかったそうだ。 やがて岸先生は、M社やS社側の手続き上などの不法行為を追及する訴訟を、いくつも提起。何といっても現役弁護士である岸先生本人が区分所有者の一人として、訴訟の原告になっているのだ。訴訟を起こす心理的、金銭的負担は一般人に比べると極めて軽微。すでにそれらの訴訟の一部では勝訴の判決も出ている』、「計画案の内容を細かくチェックしていった。 すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ」、「壁芯が基準となっていた」「実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる」、「岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる」、「地上げ屋の登場」、と「不動産会社のS社や、開発するM社側」の対応は余りにお粗末だ。
・『完全に失敗した財閥系デベの策略 計画案が示されてから、すでに何年もの年月が経過している。建て替え計画は一向に前進する気配がない。それどころか、M社側は建て替えによる再開発を諦めたふしもある。 岸先生によると、最近そのマンションを売却して引っ越した人が2組ほどあったそうだ。 「M社系の地上げ屋に売ったのですか?」と私が聞くと、「いや、そうではない一般人が買ったみたいだね」と岸先生。 金額は、私が数年前に「先生、3億円以上で売れますよ」と半ば冗談で示した額よりも3割強は高くなっていた。その間、東京都心のマンション価格は値上がりを続けているのだ。 どうやらそのマンションの地上げは、今のところ完全に失敗した様子である。 それにしても、惜しい話だと思う。あれだけの一等地の物件が「幽霊マンション」として、ほとんど使われていないのだ。権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態。 地上げというのは、平成バブルの時代はよく話題になった。嫌がる権利者から半ば暴力的に物件を買い取る、というイメージだった。 しかし、時代は変わっている。 逆に今は、不動産を活用するために重要な役割を担う仕事になっている。地上げを丁寧に、誠実に行うことで生かされる不動産は多い。また権利を売り渡す側にとってのメリットも創り出せる。 だが残念なことに、この岸先生のマンションは何とも悲惨な失敗例といえよう。 誰の利益にもならず、超一等地の不動産がいつまでも「幽霊」のままになっている』、「権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態」、「超一等地の不動産がいつまでも「幽霊」のままになっている」、まるで夏向きのミステリーだ。
第三に、8月8日付け現代ビジネス「財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路」を紹介しよう。
・『財閥系デベロッパーによるタワマン計画はなぜ頓挫したのか。前編記事「有名タレントが住む都心の超一等地に建つマンションが、なぜか空室だらけ…廃墟寸前のヤバすぎる実態」に続き、「マンション地上げ」の詳細をお伝えする』、興味深そうだ。
・『住民側に不利な設定が次々発覚 都心の超一等地に立つマンションの住人たちに対し、財閥系デベロッパーのM社側から、徐々に詳しい建て替え計画の内容が提示されていく。ただ、区分所有者の中には「2000万円以上の負担なんて、おかしいのではないか」「この場所で住戸数も倍近くに増えるのだから、負担がゼロでも可能ではないのか」といった意見が出るようになる。 そのマンションに住む岸先生(仮名)の職業は弁護士である。彼も疑問に思うところがあり、計画案の内容を細かくチェックしていった。 すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ。 例えば、区分所有者の現有住戸の権利は内法面積を基にしているのに、建て替え後の取得住戸の面積は壁芯が基準となっていた。壁芯とは躯体である鉄筋コンクリートの真ん中のこと。壁芯で面積を測ると、実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる。 それは建築や不動産の業界にいる人なら誰でも知っていること。ただし、一般の方には知らない人も多い。 要するに、S社とM社は区分所有者たちを舐めてかかった、という疑いが濃厚であった。 岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる。彼らのあまりにもズサンな計画と横柄な対応に、区分所有者たちの間に不信感が広まる。当然、反対派グループが形成された。そのリーダー格はもちろん岸先生である。 そうこうするうち、反対派の区分所有者たちの元には怪しい社名を名乗る業者から、頻繁に電話がかかってくるようになった。 「そちらの住戸を買わせてください」 いくらで買いたいの、と聞くと「どうぞ金額をおっしゃってください。その値段で買わせていただきます」。 地上げ屋の登場である。 反対派の所有住戸を買い進めていき、建て替えを強行できる5分の4をめざそうというのだ。後手に回ったM社側の、苦し紛れの手だてだったのだろう。 しかし、地上げ屋に売却する区分所有者はほとんどいなかったそうだ。 やがて岸先生は、M社やS社側の手続き上などの不法行為を追及する訴訟を、いくつも提起。何といっても現役弁護士である岸先生本人が区分所有者の一人として、訴訟の原告になっているのだ。訴訟を起こす心理的、金銭的負担は一般人に比べると極めて軽微。すでにそれらの訴訟の一部では勝訴の判決も出ている』、信じられないようなお粗末さだ。
・『完全に失敗した財閥系デベの策略 計画案が示されてから、すでに何年もの年月が経過している。建て替え計画は一向に前進する気配がない。それどころか、M社側は建て替えによる再開発を諦めたふしもある。 岸先生によると、最近そのマンションを売却して引っ越した人が2組ほどあったそうだ。 「M社系の地上げ屋に売ったのですか?」と私が聞くと、「いや、そうではない一般人が買ったみたいだね」と岸先生。 金額は、私が数年前に「先生、3億円以上で売れますよ」と半ば冗談で示した額よりも3割強は高くなっていた。その間、東京都心のマンション価格は値上がりを続けているのだ。 どうやらそのマンションの地上げは、今のところ完全に失敗した様子である。 それにしても、惜しい話だと思う。あれだけの一等地の物件が「幽霊マンション」として、ほとんど使われていないのだ。権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態。 地上げというのは、平成バブルの時代はよく話題になった。嫌がる権利者から半ば暴力的に物件を買い取る、というイメージだった。 しかし、時代は変わっている。 逆に今は、不動産を活用するために重要な役割を担う仕事になっている。地上げを丁寧に、誠実に行うことで生かされる不動産は多い。また権利を売り渡す側にとってのメリットも創り出せる。 だが残念なことに、この岸先生のマンションは何とも悲惨な失敗例といえよう。 誰の利益にもならず、超一等地の不動産がいつまでも「幽霊」のままになっている』、「あれだけの一等地の物件が「幽霊マンション」として、ほとんど使われていないのだ。権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態」、「S社」と「M社」が欲の皮を突っ張らせた代償を払っていると考えるべきだ。
なお、明日は更新を休むので、明後日にご期待を!
タグ:不動産 (その10)(空き家が増加中 高級住宅街「田園調布」の住民が 自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?、東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由、財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路) 幻冬舎Gold Online「空き家が増加中。高級住宅街「田園調布」の住民が、自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?」 確かに「田園調布憲章」は、住民自治の基本で、「土地」細分化の歯止めにはなる反面、流動性を著しく小さくしてしまうようだ。 「不動産業者にとっても、手が出しづらい状況」、これではどうしようもなさそうだ。 「田園調布憲章」自体は、田園調布町会の自主基準で法的拘束力はないとはいえ、やはり住むためには順守が求められるだろう。私権への制限が少ない日本では例外的な存在だ。相続税などの問題はあるにせよ、既に保有している資産価値を守るには有効な策で、私は現在の行き過ぎた私権万能を制限する考え方は支持する。 ダイヤモンド・オンライン 中山登志朗氏による「東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由」 「コロナ禍の長期化とともにオフィスの空室率が徐々に拡大」、「これが「東京のオフィス2023年問題」の端緒」、その通りだろう。 「開業時の空室率は、「世界貿易センタービルディング南館」でおおむね15%、「常盤橋タワー」も10%」、とはやはり「借り手市場へと急激にシフトし、オフィス賃料が低下することになる」のだろう。 「上記に掲出したオフィスビルだけでも合計200万平方メートル弱もの新規の床が創出されることになれば、「東京のオフィス2023年問題」・・・は現実味を帯びて迫ってくることになる」、「オフィスのテナントとして想定される多くの企業で今後の業績の悪化が懸念されている。 コロナ禍によるテレワークの実施・定着、円安などによる企業業績の悪化、物価の上昇傾向など、オフィス環境を取り巻く状況は決して芳しくはない」、「環境」は本当に厳しくなりそうだ。 現代ビジネス「財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路」 「計画案の内容を細かくチェックしていった。 すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ」、「壁芯が基準となっていた」「実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる」、「岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる」、「地上げ屋の登場」、と「不動産会社のS社や、開発するM社側」の対応は余りにお粗末だ。 「権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態」、「超一等地の不動産がいつまでも「幽霊」のままになっている」、まるで夏向きのミステリーだ。 信じられないようなお粗末さだ。 「あれだけの一等地の物件が「幽霊マンション」として、ほとんど使われていないのだ。権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態」、「S社」と「M社」が欲の皮を突っ張らせた代償を払っていると考えるべきだ。
コメント 0