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携帯・スマホ(その13)(「楽天ってやばいんでしょ モバイルの借金がすごくて」営業損益は4928億円の赤字……それでも三木谷浩史が「楽天モバイルの成功」を信じる理由 『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』 #1、楽天カードマンでも、米倉涼子でもない…楽天・三木谷浩史の「テレビCM嫌い」を変えた“意外な人物”の正体 『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』 #2、楽天に蔓延する「不正連鎖」の闇 今度はモバイル部門で発覚した金銭着服の全構図) [イノベーション]

携帯・スマホについては、本年9月10日に取上げた。今日は、(その13)(「楽天ってやばいんでしょ モバイルの借金がすごくて」営業損益は4928億円の赤字……それでも三木谷浩史が「楽天モバイルの成功」を信じる理由 『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』 #1、楽天カードマンでも、米倉涼子でもない…楽天・三木谷浩史の「テレビCM嫌い」を変えた“意外な人物”の正体 『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』 #2、楽天に蔓延する「不正連鎖」の闇 今度はモバイル部門で発覚した金銭着服の全構図)である。

先ずは、本年9月11日付け文春オンラインが掲載したノンフィクション作家の大西 康之氏による「「楽天ってやばいんでしょ。モバイルの借金がすごくて」営業損益は4928億円の赤字……それでも三木谷浩史が「楽天モバイルの成功」を信じる理由 『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』 #1」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/65584?logly=&ref=article_link
・『2022年度の通期決算で、モバイル事業の営業損益は4928億円の赤字……。現状は多くの日本人から「失敗事業」と捉えられている楽天モバイル。しかし同事業の成功を、三木谷浩史が信じる理由とは? ノンフィクション作家の大西康之氏の新刊『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』(小学館)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)』、興味深そうだ。
・『商談  2023年2月27日、スペイン・バルセロナで世界最大の通信ビジネス国際見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」が始まった。 会場の「フィラ・デ・バルセロナ」は36万平方メートルという広大な敷地に巨大なホールが立ち並ぶ。MWCには毎年、世界200ヵ国から6万~8万人の通信事業の関係者が集まり、最先端のテクノロジーを競い合う。 午前11時15分、「楽天グループ」会長兼社長の三木谷浩史を乗せた黒いベンツのワンボックスカーがVIP受け付けの車寄せに滑り込んできた。初日ということもあり、入り口は黒塗りの車でごった返し、三木谷の到着は予定より少し遅れた。 三木谷を出迎えたのは、2022年にグローバルセールス・マーケティング統括として楽天グループに加わったラビー・ダブーシ。米通信大手「シスコシステムズ」の幹部でスマートシティ戦略を推進してきた。シスコ中興の祖ジョン・チェンバースの懐刀だったが、チェンバースが引退するとき、シスコの同僚だった楽天グループ副社長、平井康文の誘いで「楽天モバイル」に移籍した。世界の通信業界で、このジェイソン・ステイサム風のスキンヘッドの男を知らない者はいない。 三木谷は会場で待ち受けていた広報担当者に手渡されたミーティング資料に目を通しながら、人の波をかき分け猛烈なスピードで進む。後ろから三木谷の秘書が駆け足で追いかける。突然、三木谷が振り向く。 「えっと、この人のファースト・ネームはなんだっけ?」 「こちらです」 すかさず広報がファイルの当該ページを指す。 「これ、なんて読むの?」 欧州の携帯電話大手のCFOだ。楽天モバイルのブースに到着すると、楽天モバイルCEOのタレック・アミンと楽天シンフォニーのアメリカ支社長、アジータ・アルバニが待ち構えていた。アミンはヨルダン出身で米国、インドの通信大手を渡り歩き、「携帯電話ネットワークの完全仮想化」という画期的なアイデアを携えて2018年に楽天入りした。優雅にブロンドを靡かせるアルバニは、フィンランドの携帯大手「ノキア」でイノベーション事業を担当していた。 4人は一言二言、言葉をかわすと、顧客が待つブースの会議室に入った。 「お待たせして申し訳ありません。車がものすごく混んでしまって」 三木谷はいつものように英語で商談を始めた。 MWCの楽天ブースで次から次へと商談をこなしていた三木谷は、一瞬だけブースの部屋から顔を出し、筆者に声をかけてきた。 「連れション行かない?」 個別インタビューの時間が取れないから、三木谷なりに気を遣ったのだろう。2人でトイレを目指す。 「すごい過密スケジュールですね」 「そうね。関心を持ってもらっているのはありがたい」』、「この人のファースト・ネームはなんだっけ?」・・・ 「これ、なんて読むの?」、確かにスペリングだけでは、「発音」は分からない。「三木谷は、一瞬だけブースの部屋から顔を出し、筆者に声をかけてきた。 「連れション行かない?」 個別インタビューの時間が取れないから、三木谷なりに気を遣ったのだろう」、マスコミ対策もずいぶん凝った仕掛けだ。
・『世界が「楽天モバイル」に注目する理由  アジアの東の端で、最後発で携帯電話事業に参入した楽天モバイルが、世界中の注目を集めている。それは「携帯ネットワークの完全仮想化」という、これまで誰もやったことのないイノベーションを商用ベースで実現したからだ。 「仮想化」とは簡単に言うと、ハードをソフトに置き換えることだ。たとえば、1980年代初めは、誰もが「書院」とか「オアシス」といったワープロ専用機を使っていたが、1985年ころからはパソコンにインストールされた「一太郎」や「ワード」といった日本語ワープロソフトを立ち上げて文書を作成するようになった。「キーボードを叩いて文字を書く」という作業がハードウェアからソフトウェアに置き換わったわけだ。 どんなパソコンでも文書が作成できるようになったように、楽天モバイルの通信技術は、基地局に高価な専用機器を使わなくても、汎用サーバとソフトウェアだけで携帯電話の通信を可能にした。この状況は、かつて大企業や中央官庁で標準的に使われた大型コンピューターを中心とする「メインフレーム・システム」が、1990年代にはパソコンとサーバをネットワークした「クライアント・サーバ・システム」に置き換わっていったこととよく似ている。 中央集権的なメインフレーム・システムの場合、それにつながる端末からデータを蓄積するストーレージ、果てはプリンターまで周辺機器を含め、すべてをひとつのメーカーの仕様に合わせなくてはならなかった。その生態系の頂点に君臨したのが米IBMであり、IBMのメインフレームを選んだユーザーは、システム丸ごとの構築をIBMに委ねるしかなかった。 これに対して、ほとんどのデータ処理をソフトウェアがこなすクライアント・サーバ・システムでは、ユーザーはさまざまなメーカーの機器を自由に組み合わせて使用することが可能になった。競争状態が生まれることでシステムの投資負担は劇的に引き下がる。 既存の携帯ネットワークはメインフレーム・システムと同じ中央集権型である。携帯電話事業者は、通信機器メーカーの大手─「ノキア」、「エリクソン」、「華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)」の3社で世界シェアの8割を占める─に通信設備を発注すると、メーカー1社にすべてを丸投げすることになる。) 一方、楽天モバイルの完全仮想化ネットワークはクライアント・サーバ・システムと同じ分散型だ。携帯電話会社は好きなメーカーの安い汎用サーバを自由に組み合わせてネットワークを構築することができる。業界用語でこれを「Open RAN(オープン・ラン=機器の組み合わせが自由な無線アクセス・ネットワーク)」と呼ぶ。 設備投資は既存の通信ネットワークに比べ30%安くなり、運用・管理コストは40%安くなる。楽天は「楽天シンフォニー」という会社を作り、この技術をパッケージにして海外の通信会社に売り込んでいる』、「楽天モバイルの完全仮想化ネットワークはクライアント・サーバ・システムと同じ分散型だ。携帯電話会社は好きなメーカーの安い汎用サーバを自由に組み合わせてネットワークを構築することができる・・・設備投資は既存の通信ネットワークに比べ30%安くなり、運用・管理コストは40%安くなる」、なるほど。
・『追い風  場面をバルセロナのMWCに戻そう。トイレに着くと三木谷は用を足しながらこう呟いた。 「去年まで(の商談相手)は、お手並み拝見という感じだったけど、今年は本気で導入を考えている。真剣さが違う」 装置産業である携帯電話事業は設備に莫大なカネがかかる。日本の通信大手で言えば、年間のインフラ投資は5000億円近い。それが3割安ければ3500億円で済む。 ワープロと同じように携帯電話ネットワークもハードからソフトに置き換わる。それは通信業界共通の認識だった。しかし、ランダムに移動する何千万台もの端末を捕まえる携帯ネットワークの仮想化は物理的には凄まじくむずかしい。通信大手のほとんどがこの技術に取り組んでいたが、「実用化するのはまだ数年は先のこと」だと考えていた。 ところが門外漢の楽天が世界で初めてこれに挑戦した。2020年春にサービスを本格的に開始したとき、世界の通信会社は「絶対失敗する」とたかを括っていた。だが、小さな事故はいくつか起きたものの、ネットワーク全体が何日にもわたって止まるような大きな事故はこれまでのところ起きていない。日本ではすでに500万人近い利用者が、毎日、ふつうに楽天モバイルを使っている。 「どうやらできちゃったみたいだぞ、って感じでしょ」 用を足し終えた三木谷は満足げに言った』、「ランダムに移動する何千万台もの端末を捕まえる携帯ネットワークの仮想化は物理的には凄まじくむずかしい。通信大手のほとんどがこの技術に取り組んでいたが、「実用化するのはまだ数年は先のこと」だと考えていた。 ところが門外漢の楽天が世界で初めてこれに挑戦した。2020年春にサービスを本格的に開始したとき、世界の通信会社は「絶対失敗する」とたかを括っていた。だが、小さな事故はいくつか起きたものの、ネットワーク全体が何日にもわたって止まるような大きな事故はこれまでのところ起きていない。日本ではすでに500万人近い利用者が、毎日、ふつうに楽天モバイルを使っている」、大したものだ。
・『「米中摩擦」の追い風  楽天モバイルにはもうひとつの追い風が吹いている。「米中摩擦」だ。 中国の台頭に神経を尖らせる米国は、中国の通信大手、ファーウェイを自国市場から締め出した。そこへロシアのウクライナ侵攻が重なる。 「次は中国による台湾侵攻か」と誰もが懸念せざるを得ない状況で、安全保障の要となる通信インフラで中国企業への依存を減らしたいという思惑が各国に働いている。いわゆる「チャイナ・フリー」だ。かといって価格の安いファーウェイから欧米の老舗メーカーに戻せば設備投資のコストが跳ね上がる。そこに登場したのが、安くて、地政学的に安全な日本の楽天モバイルが開発した「完全仮想化」だ。「試してみたい」と考えている国や地域は少なくない。 世界の通信大手が「完全仮想化」「Open RAN」に乗り換えた場合、その市場規模は15兆~20兆円とされる。もちろん楽天シンフォニーがそのすべてを手に入れるわけではないが、世界で最初の完全仮想化を成し遂げたアドバンテージは間違いなく存在する。) この日、三木谷は夕方の6時までぶっ通しで5件の商談を続けた。その後、アミンたち、リアルではなかなか会えない楽天幹部を集めて1時間ほどミーティングをこなし、そのまま顧客の接待に出かけた。この夜はディナーが2件。そこから、仲のいい欧州の大物起業家とバルセロナの街に繰り出し深夜まで痛飲した』、「世界の通信大手が「完全仮想化」「Open RAN」に乗り換えた場合、その市場規模は15兆~20兆円とされる。もちろん楽天シンフォニーがそのすべてを手に入れるわけではないが、世界で最初の完全仮想化を成し遂げたアドバンテージは間違いなく存在する」、確かに売り物になりそうだ。
・『世界標準の赤字  日本ではさかんに「経営難」が喧伝される楽天が海外の携帯市場では台風の目になりつつある。 三木谷は楽天市場や楽天カードで稼いだ利益を携帯事業に注ぎ込み、日本で「完全仮想化」「Open RAN」を実証した。しかし技術的に「できた」ことと「稼ぐ」ビジネスではわけが違う。2022年12月期の連結決算は最終損益が3728億8400万円の赤字。最終赤字は4期連続だ。 この赤字、三木谷にすれば「世界進出」の野望に向けたベット(賭け金)なのだが、日本のメディアは危機的な「業績不振」と見る。 〈楽天グループが苦境〉(日本経済新聞電子版2022年2月18日) 「楽天ってやばいんでしょ。モバイルの借金がすごくて」 筆者の周りでも、そう話す人が増えている。 2022年度の通期決算。モバイル事業の営業損益は4928億円の赤字だった。三木谷自身も「危機といえば危機」と認める。楽天が2022年11月と2023年1月に発行したドル建て無担保社債の利率は10.25%。2019年に発行したドル建て債の利率(3.5%)と比べると約3倍の高利、資金需要の逼迫ぶりが分かる。 だが、世界標準の見方をすれば、新規事業に挑む企業が抱える赤字としては、「健全な数字」だ。 EC(インターネット通販)大手の「アマゾン・ドット・コム」も、EV(電気自動車)の「テスラ」も創業からしばらくは大赤字が続いた。どんな企業でも、新たな事業を始めようと思えば先行投資で最初は赤字が続く。その苦しい期間を支えるのがベンチャー投資家であり銀行だ。冬の時代を耐え抜いた起業家、投資家、銀行は、事業が花開いたときに莫大な利益を手にする。これが資本主義のダイナミズムである。) テスラが廉価モデル「モデル3」の量産に苦戦し「プロダクション・ヘル(生産地獄)」に嵌まり込んでいた2017年、米国の著名なベンチャー投資家はこういった。 「われわれは鼻血が出そうな損失、涙が出そうなキャッシュ・バーン(現金燃焼)、頻繁に公表される胸が躍るようなニュースに慣れっこになっている」 3ヵ月ごとに3000億~4000億円を「燃やしていた」とされる、あの頃のテスラに比べれば、今の楽天グループの赤字など「可愛いもの」とさえ言える。 全国に7万局の基地局を開設し、販売・サービス体制を整える。全国を網羅する携帯ネットワークをゼロから作っているのだから、最初の数年が大赤字になるのは当たり前だ』、「全国に7万局の基地局を開設し、販売・サービス体制を整える。全国を網羅する携帯ネットワークをゼロから作っているのだから、最初の数年が大赤字になるのは当たり前だ」、ただ、「2023年1月に発行したドル建て無担保社債の利率は10.25%。2019年に発行したドル建て債の利率(3.5%)と比べると約3倍の高利」と、マーケットは厳しく見ているようだ。
・『「今年が山場かな」  2022年度、国内ECの営業損益は前期比36.6%増の956億円の黒字、「楽天カード」に代表されるフィンテック事業の営業損益も10.8%増の987億円の黒字。ひとつのプロジェクトが完成してキャッシュが手に入るまで何年もかかるゼネコンなどと違い、ECもフィンテックも日銭が入る商売なので、利払いに詰まることはまずない。貸し手からすれば、取りはぐれの少ないビジネスだ。 それでも銀行出身で用心深い三木谷は、外部からの出資受け入れや、楽天銀行の上場などで資本を分厚くしようとしている。 「今年(2023年)が山場かな」 苦しい資金繰りを強いられるのは2023年度まで、と三木谷は言う。その後は、設備投資が一段落し、自社のアンテナが届かない場所でKDDIのアンテナを借りている「ローミング」のコストも劇的に下がる。そして海外の通信会社に「完全仮想化」の技術が売れ始める。 楽天シンフォニーは3月1日、サウジアラビアの通信大手ザインKSAと携帯ネットワーク仮想化技術での提携を発表した。MWCの期間中、日本メディアのぶら下がり取材を受けた三木谷は、楽天シンフォニーの受注残高が4500億円に達していることを明かした。 さらに今回、三木谷はバルセロナに滞在した3日間で北米、欧州、中東、アジアの通信大手14社と商談をこなした。三木谷以外の幹部が対応した案件を加えれば100社以上とコンタクトした。やがてこれらの商談の中からも新たな成果が生まれてくる』、「「今年(2023年)が山場かな」 苦しい資金繰りを強いられるのは2023年度まで、と三木谷は言う。その後は、設備投資が一段落し、自社のアンテナが届かない場所でKDDIのアンテナを借りている「ローミング」のコストも劇的に下がる。そして海外の通信会社に「完全仮想化」の技術が売れ始める」、なるほど。

次に、この続き、9月11日付け文春オンラインが掲載したノンフィクション作家の大西 康之氏による「楽天カードマンでも、米倉涼子でもない…楽天・三木谷浩史の「テレビCM嫌い」を変えた“意外な人物”の正体『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』 #2」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/65585
・『楽天カードマンや楽天モバイルの米倉涼子さんなど、見る人の心に残る「印象的なCM」を発信しつづける楽天グループ。ところが、代表の三木谷浩史氏はかつて「広告もネットの時代。テレビCMは時代遅れ」と思っていたことも……。 そんな三木谷氏の心を変えた、楽天グループの超重要人物とは一体? ノンフィクション作家の大西康之氏の新刊『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』(小学館)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)』、興味深そうだ。
・『楽天モバイル新社長は「駅前留学」の営業マン  「楽天モバイルは次のステップに進む」 三木谷がそう宣言したのが、2022年3月30日付で発令された楽天モバイルのトップ人事である。会長兼CEOだった三木谷が会長に退き、副社長のタレック・アミンがCEO、同じく副社長の矢澤俊介が社長に就任した。アミン49歳、矢澤41歳。40代のツートップである。 完全仮想化の立役者で、世界の通信業界に顔が効くアミンのCEO就任は分かる。しかしなぜ「たたき上げ」の矢澤が社長なのか。そう尋ねると、三木谷は「当たり前だろ」という表情でこう言った。 「あいつは楽天流の体現者だから」 三木谷が言う「楽天流」とは、大学の体育会さながらの「身体性」を指す。その典型が、週に1度、全スタッフが行うデスクまわりの掃除だ。三木谷以下、役員・社員の全員が、自分の机やイスの脚まで、雑巾できれいに拭く。 三木谷は楽天グループが事業を通じて実現しようとしている価値観を「ブランド・コンセプト」と称して5つの四文字熟語で表現している。 「大義名分」「品性高潔」「用意周到」「信念不抜」 この4つを三木谷の父・良一が息子に授け、三木谷がそこに「一致団結」を加えた。ネット企業らしからぬ古めかしい標語こそ、三木谷という経営者が持つもうひとつの特性を象徴している。 三木谷はデータに基づき、ロジックで経営判断を下す。しかし、学生時代、一橋大学テニス部主将として弱小チームを率い、その後就職した興銀(日本興業銀行、現・みずほ銀行)の9年間、実務に携わった三木谷は、大きな判断を実現するのはひとつひとつの小さな行動の積み重ねであることを知っている。 だから「頭でっかちにならず、体を動かせ」と社員に説き、自ら雑巾を持って社員と同じ作業をする。グーグル、アマゾンといったシリコンバレーのテック・ジャイアントを思わせる二子玉川の洒落たオフィスで、全社員が腰をかがめて雑巾掛けをする様子は、楽天の企業文化が米欧と日本のハイブリッドであることを示している。 三木谷は人事でも「身体性」を大切にする。その象徴が矢澤俊介だ。長身痩躯で色白の矢澤は、目から鼻に抜けるようなタイプではなく、まわりを安心させるほんわかした雰囲気を持つ。仕事になると、理屈を並べる前にとにかく体を動かす。) 東京の中堅どころの私大を出た矢澤は、営業マンとして「駅前留学」で有名な英会話のNOVAに入社した。入社3年目のとき、自分の面倒を見てくれていたNOVAのマネージャーが楽天に転職した。矢澤は見捨てられたような気持ちになったが、1ヵ月後、そのマネージャーから「お前も来いよ」と誘われ、楽天に入った。2005年6月のことだ』、「実務に携わった三木谷は、大きな判断を実現するのはひとつひとつの小さな行動の積み重ねであることを知っている。 だから「頭でっかちにならず、体を動かせ」と社員に説き、自ら雑巾を持って社員と同じ作業をする。グーグル、アマゾンといったシリコンバレーのテック・ジャイアントを思わせる二子玉川の洒落たオフィスで、全社員が腰をかがめて雑巾掛けをする様子は、楽天の企業文化が米欧と日本のハイブリッドであることを示している」、「三木谷は、大きな判断を実現するのはひとつひとつの小さな行動の積み重ねであることを知っている。 だから「頭でっかちにならず、体を動かせ」と社員に説き、自ら雑巾を持って社員と同じ作業をする・・・二子玉川の洒落たオフィスで、全社員が腰をかがめて雑巾掛けをする」、初めて知った。
・『クルマも半額、カニも半額  楽天に入社した矢澤の仕事は「ECコンサルタント」。ネット通販(EC)の楽天市場に出店する店舗からの「どうやったらネットで売り上げを伸ばせるか」という相談に乗る役回りだ。北海道から沖縄まで週の半分は全国を飛び回り、地方の中小企業経営者と知恵を絞った。 矢澤が担当した店舗の中に名古屋に本社を置く「オークローンマーケティング」という会社があった。社長のロバート・ローチは学生時代に交換留学で名古屋の南山大学に来たことがあり、デンバー大学を卒業後、名古屋に戻ってテレビ通販のビジネスを始めた。 そのオークローンマーケティングが通販で細々と売っていたのが「ビリーズブートキャンプ」。米国出身の黒人格闘家、ビリー・ブランクスが米軍の新兵向け基礎訓練をベースに考案したエアロビクス体操のインストラクション・ビデオだ。 「さあ行こう!」「もう一回!」「グッジョブ!」 ビートの効いた音楽とビリー隊長の掛け声に乗せられ、きついトレーニングを楽しく続けられるところがミソだ。 「これはいける!」と矢澤は直感。名古屋に飛んで行ってローチに掛け合い、楽天市場で大々的に売り出した。これが月に1億円売れるおばけ商材になった。あまりに売れたのでプロモーションで来日したビリー隊長が、当時は六本木ヒルズにあった楽天本社を表敬訪問したほどだ。この成功で「楽天市場に矢澤あり」と社内で認められるようになり、三木谷の目にも止まった。 2011年の年末、31歳でペット用品のマネージャーになっていた矢澤は、三木谷に呼び出された。 「アリババが1日で1兆円売ったらしいぞ」) ジャック・マー(馬雲)が創業し孫正義が出資した中国のEC大手、アリババ・ドット・コムは1が4つ並ぶ11月11日の「独身の日」に、大安売りのセールを始めた。 日本を抜きGDPで世界第2位に躍り出た中国大衆の購買力は凄まじく、独身の日はアメリカでクリスマスセールの初日に当たる11月第4金曜日、「ブラック・フライデー」を抜いて「世界でいちばんものが売れる日」になった。 「うちもやるぞ。お前、考えろ。来年の1月。とりあず1日100億円な」 「いや1月ってのは、ちょっと……」 「いつならできる?」と迫る三木谷の圧力に負け、矢澤は「じゃあ3月」とつい答えてしまった』、「ビリーズブートキャンプ」を「「これはいける!」と矢澤は直感。名古屋に飛んで行ってローチに掛け合い、楽天市場で大々的に売り出した。これが月に1億円売れるおばけ商材になった・・・この成功で「楽天市場に矢澤あり」と社内で認められるようになり、三木谷の目にも止まった」、「独身の日はアメリカでクリスマスセールの初日に当たる11月第4金曜日、「ブラック・フライデー」を抜いて「世界でいちばんものが売れる日」になった。 「うちもやるぞ。お前、考えろ。来年の1月。とりあず1日100億円な」・・・「いつならできる?」と迫る三木谷の圧力に負け、矢澤は「じゃあ3月」とつい答えてしまった」、なるほど。
・『1日で100億円を集めるための秘策  楽天市場で空前のヒットとなった「ビリーズブートキャンプ」の売り上げが1ヵ月で1億円であることを考えれば、1日100億円がいかに途方もない数字であるかがわかるだろう。 このときの矢澤は一介のカテゴリー・マネージャーにすぎない。「1日に100億円売ろう」と言ってもまわりは「お前が勝手に社長と約束しただけだろ」と動いてくれない。当時の楽天市場の1日の最高売り上げは50億円である。 「だいたい、1日100億円なんて、できるわけないだろ」 周囲の冷たい視線を浴びながら、矢澤は楽天市場の全国の有力店舗に足を運び、「目玉商品を出してください」「半額セールに協力してください」と頭を下げて回った。当時、楽天が本社を構える品川シーサイドのビルに1000人の店舗関係者を集め、お揃いのTシャツを配った。胸には「この日、日本の景気が動く」の文字。矢澤が音頭を取り「えい、えい、おー!」と気勢を上げた。 1日100億円を達成するため、矢澤は三木谷に一つだけ頼みごとをした。 「テレビ・コマーシャルを使わせてください」 前職のNOVAも爆発的に顧客が増えたのは、「いっぱい聞けて、いっぱいしゃべれる」の歌に乗って踊る「NOVAうさぎ」のテレビCMがきっかけだった。三木谷は「広告もネットの時代。テレビCMは時代遅れ」と考えていたが、矢澤は「多くの人にリーチする力はテレビCMのほうが上」であることを経験で知っていた』、「「1日に100億円売ろう」と言ってもまわりは「お前が勝手に社長と約束しただけだろ」と動いてくれない。当時の楽天市場の1日の最高売り上げは50億円である・・・矢澤は楽天市場の全国の有力店舗に足を運び、「目玉商品を出してください」「半額セールに協力してください」と頭を下げて回った・・・矢澤は「多くの人にリーチする力はテレビCMのほうが上」であることを経験で知っていた」、なるほど。
・『「クルマも半額、カニも半額」  矢澤が案を出したド派手な楽天市場のテレビCMは、消費者の心を掴んだ。今や毎年恒例になっている「楽天スーパーセール」の始まりだ。あらゆるジャンルで「半額」の目玉商品を並べ、楽天市場の中で通貨として使える「楽天スーパーポイント(現在は楽天ポイント)」も大盤振る舞い。これまで楽天市場を使ったことのない人々がドッと押し寄せ、1日127億円を売る大成功を収めた。 三木谷もテレビCMが好きになり、川平慈英を使った「楽天カードマン」や米倉涼子を起用した「楽天モバイル」などの、ド派手な映像が楽天のテレビCMの系譜になる』、「矢澤が案を出したド派手な楽天市場のテレビCMは、消費者の心を掴んだ。今や毎年恒例になっている「楽天スーパーセール」の始まりだ。あらゆるジャンルで「半額」の目玉商品を並べ、楽天市場の中で通貨として使える「楽天スーパーポイント(現在は楽天ポイント)」も大盤振る舞い。これまで楽天市場を使ったことのない人々がドッと押し寄せ、1日127億円を売る大成功を収めた。 三木谷もテレビCMが好きになり、川平慈英を使った「楽天カードマン」や米倉涼子を起用した「楽天モバイル」などの、ド派手な映像が楽天のテレビCMの系譜になる」、なるほど。
・『なぜ「楽天はダサい」のか?  楽天市場とアマゾンのサイトを比べ「楽天はダサい」という声を聞く。テレビCMも洗練されているとは言い難い。だがそこには三木谷なりの狙いがある。 「うちのサイトはニューヨークの五番街じゃなくて、アジアのバザール。スッキリしてないけど猥雑で、なんか面白いものがあるんじゃないかとワクワクする。かっこよくしなくてもいいんだ」 こうした大衆心理を楽天の中でいちばん理解しているのが矢澤である。臆面もなく「カニも半額」とやれる矢澤は、入社7年目、32歳の若さで営業統括の執行役員に抜擢された。以来、三木谷は矢澤を懐刀として常にそばに置くことになる』、「「うちのサイトはニューヨークの五番街じゃなくて、アジアのバザール。スッキリしてないけど猥雑で、なんか面白いものがあるんじゃないかとワクワクする。かっこよくしなくてもいいんだ」 こうした大衆心理を楽天の中でいちばん理解しているのが矢澤である。臆面もなく「カニも半額」とやれる矢澤は、入社7年目、32歳の若さで営業統括の執行役員に抜擢された。以来、三木谷は矢澤を懐刀として常にそばに置くことになる」、凄い人物が「懐刀」のようだ。

第三に、9月20日付けダイヤモンド・オンライン「【無料公開】楽天に蔓延する「不正連鎖」の闇、今度はモバイル部門で発覚した金銭着服の全構図」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/329385
・『楽天グループの携帯電話子会社、楽天モバイルで基地局建設の工事発注を巡って下請け業者を巻き込んだ大規模な不正が発覚した。この構図は、日本郵政との提携と引き換えに切り捨てた物流事業「楽天エクスプレス」で明らかになった金銭着服の不正と酷似する。楽天の内部で腐敗がまん延するのはなぜなのか。特集『楽天 解体の序章』(全6回)の#2では、楽天グループを覆う「不正連鎖」の闇に迫る。 ※2022年12月27日に公開した有料会員向け記事を、期間限定で無料公開します。全ての内容は初出時のまま』、興味深そうだ。
・『中堅物流会社の経営破綻で発覚したモバイル部門の不正請求は巨大化の可能性  日本最大級の物流倉庫が立ち並ぶ千葉県流山市。巨大物流倉庫群「アルファリンク」の一角に、楽天グループの携帯電話子会社、楽天モバイルが基地局の資材を保管している「流山センター」という物流拠点がある。 この倉庫では、楽天モバイルの発注に応じて、基地局工事に必要な資材をワンパッケージに梱包し、全国各地の基地局工事業者に配送する作業が行われていた。流山センターの運営は2022年8月30日付で民事再生法の適用を申請した中堅物流会社の日本ロジステック(東京都千代田区)である。 楽天モバイル側で日本ロジへの発注業務を担っていたのが、部長職にあった元従業員のA氏だった。しかし、この業務の裏でA氏は巨額の水増し請求により金銭を着服していたことが発覚。楽天モバイルはA氏を懲戒解雇して刑事告訴しており、楽天グループを揺るがす巨額不正に発展しようとしている。 不正発覚のきっかけとなった日本ロジの再生手続きの関連資料によると、楽天モバイルが日本ロジからの不正請求で被った損害額は総額46億円。A氏と日本ロジ役員らの「共謀」により、19年10月から22年3月にかけて水増し請求が繰り返されていたとしている。まさに20年4月に携帯電話サービスを開始した楽天モバイルが基地局建設を加速したさなかに、不正が行われていた。 この不正取引に詳しい内部関係者は「日本ロジの経営破綻で表沙汰になった不正は氷山の一角」と証言する。楽天モバイルの基地局工事を巡って横領された金額は46億円をはるかに上回る規模になる可能性があるというのだ。 ダイヤモンド編集部は、複数の関係者の証言を通じて、楽天モバイルの内部で行われていた「不正な金銭着服の構図」をひもといた。次ページでは、その全体像を明らかにする。同時に、楽天グループ内で不正連鎖の温床となった組織の問題点に迫る』、「楽天モバイルが日本ロジからの不正請求で被った損害額は総額46億円。A氏と日本ロジ役員らの「共謀」により、19年10月から22年3月にかけて水増し請求が繰り返されていた・・・横領された金額は46億円をはるかに上回る規模になる可能性がある」、これは大変だ。
・『小さな運送会社と築いた巨大な不正請求スキーム  関係者によると、楽天モバイルの基地局建設の裏で、不正金銭授受に関わった人物は主に3人。楽天モバイル元従業員のA氏、神奈川県相模原市を拠点にする運送会社T社社長のB氏、日本ロジで楽天を担当していた元役員のC氏だ。このうち不正取引を首謀したのはA氏とB氏の2人だったという。 楽天モバイルの委託を受けて、日本ロジの流山センターでは、基地局資材の保管と全国の基地局業者への配送を行っていたが、この作業を実際に担っていたのはT社だった。基地局資材を運ぶ車両とドライバーを用意するとともに、流山センターで作業するスタッフのほとんどは、T社100%子会社の人材派遣会社IMAX(アイマックス)から派遣されていた。 首謀者の2人が繰り返した水増し請求の流れはこうだ。(1)A氏は、楽天モバイルの予算に応じて、B氏に水増し請求書の作成を指示、(2)B氏は楽天モバイルの「元請け」の立場にいた日本ロジに請求書を発行、(3)日本ロジがマージンを乗せて発注元の楽天モバイルに請求――という枠組みだった。 (図表:楽天モバイル不正な資金還流スキーム はリンク先参照) この枠組みが動きだしたのは、19年10月ごろで、まさに楽天モバイルの通信ネットワーク整備の遅れが表面化したタイミングに重なる。 当時、楽天モバイルは10月から予定していた携帯サービスを開始できず、基地局を急ぎ建設することが最重要課題となっていた。その裏で、資材配送に関わっていた2人は不正にいそしんでいたことになる。関係者によると「すでにこの頃からT社は、A氏の指名によって楽天モバイルの基地局資材の配送業務のほとんどを担うようになっていた」という。 しかし、T社は相模原市で運送事業を営む小規模事業者にすぎなかった。運送業界での知名度は全くなく、楽天モバイルで増加する配送業務を直接受託するだけの信用がない。このためA氏とB氏にとっては「仕方なく、(業界で実績のある)日本ロジを中間業者として挟む必要があった」(前出の関係者)のだ。 日本ロジのC氏は2人の共謀を把握しながら、楽天モバイルの発注をT社に丸投げする元請け業者として、いわば“トンネル”の役割を果たしていたようだ。C氏の主な狙いは、楽天モバイルとT社をつなぐ中間マージンを得て、売り上げを増やすことにあったとみられる。 実際に日本ロジの売上高は、楽天モバイルの携帯サービス開始とともに急増。19年3月期の売上高は106億円だったのに対し、翌20年3月期に133億円、21年3月期に220億円、22年3月期に405億円と3年間で売上高が4倍近くまで膨れ上がった。この増加分のほとんどは、楽天モバイルとの取引が底上げしたのは間違いない。 こうして楽天モバイルの基地局資材の保管や配送を一挙に担うことになったB氏は20年ごろから、本業の運送業務に加え、楽天モバイルの基地局工事の受託業務にも手を広げている。 もちろん、これもA氏との強い関係で受託した事業だ。運送会社のT社に基地局工事の知見はないが、長崎県出身のB氏は地元の知り合いなどに声を掛けて2次請け基地局工事業者を集め、九州の基地局工事を受注する中間業者として売り上げを増やしていった。 この結果、T社の業容も見る見るうちに拡大。19年3月期に9億円だった売上高は20年3月期に26億円、21年3月期は92億円、22年3月期は192億円まで急増した。 だが、こうした巨大な不正のスキームは突如崩壊した。22年に入って内部告発を受けた楽天モバイルはA氏の調査に着手し、不正な金銭授受を把握。8月12日付でA氏を懲戒解雇した上で、19日付で日本ロジの預金口座を差し押さえたことで、取引先への支払いができなくなった日本ロジが経営破綻に追い込まれた。 T社に近い関係者によると、ここで楽天モバイルはT社の預金も差し押さえたようだ。この結果、T社は9月1日以降、ほぼ全ての事業を停止。10月29日付で全従業員を解雇しており、いまや事業会社としての実態はない。100%子会社のアイマックスも、9月1日以降に事業を停止して同15日付で全従業員を解雇した。 前述の通り、楽天モバイルが中間業者の日本ロジの不正請求で受けた損害が46億円なら、A氏とB氏が共謀した器となったT社から受けた損害額は、日本ロジをはるかに上回る可能性が高い。 実際に、楽天モバイルがT社から被った損害はどのくらいの規模だったのか。ダイヤモンド編集部の取材に対して楽天モバイルは「現在(当局の)捜査中のため、詳細の回答を控えさせていただきます」と書面で回答。詳しい資金の流れや金銭授受の解明は、警視庁の捜査を待つだけという姿勢である。 いまだ楽天モバイルとT社の関係は闇の中だが、基地局工事を巡る金銭着服は、グループを揺るがす巨大な規模に発展する恐れがある。実は、T社は楽天グループ内部の別の不正にも関与していたのだ』、「楽天モバイルが中間業者の日本ロジの不正請求で受けた損害が46億円なら、A氏とB氏が共謀した器となったT社から受けた損害額は、日本ロジをはるかに上回る可能性が高い・・・いまだ楽天モバイルとT社の関係は闇の中だが、基地局工事を巡る金銭着服は、グループを揺るがす巨大な規模に発展する恐れがある」、なるほど。
・『三木谷氏肝いり2事業は不正連鎖の温床だった  これだけ大掛かりな不正のスキームを築き上げたA氏とB氏は何者なのか。 業界関係者によるとA氏は、楽天グループに入社する以前は、アマゾンジャパンで物流を担当していたという。楽天グループが携帯サービスを開始するのに合わせて楽天本体から楽天モバイルに異動したが、経歴の“本職”は物流だ。 一方のB氏のキャリアは日本ロジの倉庫でのフォークリフトの運転手から始まった。日本ロジ退社後に運送会社を立ち上げ、当初は、アマゾンジャパンの物流業務を受託して事業を軌道に乗せてきた。 このとき、アマゾンの運送業務をB氏に委託した担当者が、他ならぬA氏だった。以来、アマゾンジャパンの発注元と委託先運送会社として関係を深めた2人は、A氏が楽天グループに転職して以降も、発注元・委託先の関係を継続することになった。 こうしてA氏は、楽天モバイルを舞台にした巨大な不正のスキームをB氏と共に作り上げるに至ったが、実はA氏は楽天モバイルに異動する前に、ある新規事業に関わっていた。 それが21年5月に突如として終了した自前物流サービス「楽天エクスプレス」だ。16年11月から試験的に始まったこの事業を巡っては、担当していた元執行役員が18~20年の事業拡大とともに下請けの運送会社に水増し請求させて、金銭を不正に着服していたことが発覚している。 元執行役員がヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸から楽天に転職したのは15年以降。最初に配属された部署の上司だったのがA氏だった。 その後、元執行役員は楽天エクスプレス事業を本格的に任されて、業務を委託した下請けの運送会社に業務委託料をキックバックさせる不正行為に手を染めていく。そこで重要な事実が、楽天エクスプレスの委託先の運送会社の一社に名前を連ねていたのがT社だったことである。 元楽天で2人を良く知る人物は「入社はA氏の方が古く、2人は非常に親密な上下の関係にあった」と証言する。別の内部関係者も「楽天エクスプレスと楽天モバイルの水増し請求は連続した不祥事だ」と話す。 楽天エクスプレスで不正を働いた元執行役員と、楽天モバイルでの不正が発覚したA氏。そして2人が共通して運送業務を委託していたのがT社だったということだ。 つまり、楽天エクスプレスと楽天モバイルの二つの金銭着服の根はつながっており、楽天グループ内部で不正行為が連鎖した構図があらわになったのだ。 だが楽天グループは、この点についての詳細をあいまいにしたままだ。そもそも、先行して発覚した楽天エクスプレスの不正行為については、内部で何が行われていたかという実態が公表されないまま、元執行役員は21年3月末までにひっそりと楽天グループを去っている。 その時点で徹底した真相究明が行われないまま、今回のモバイル事業の不正行為が発覚したのは、楽天グループの「組織としての隠蔽体質」が招いた結果である。 今回も楽天モバイルは、懲戒解雇して刑事告訴したA氏について「取引先を含めて不正請求に関与した者に、刑事上および民事上の責任追及を行っていく予定」として、あくまで個人の責任追及にとどめようとする姿勢を示している。一方で「社内で調査委員会は設置していて、引き続き事実関係の確認、原因究明および再発防止の策定等は行っている」としているが、その情報開示には極めて消極的である。 二つの不正に関与した人物、舞台となった企業につながりがある以上、組織的関与が疑われるべきだ。徹底した真相究明なくして、楽天グループにまん延する「不正の闇」が根絶されることはないだろう。 かつて楽天エクスプレスは三木谷浩史会長兼社長の肝いり事業だったが、日本郵政との提携をきっかけに、あっさりとその事業を切り捨てている。そして今また、三木谷氏が命運を懸ける楽天モバイル事業で巨大な不正が広がりを見せていることは、グループの先行きに暗い影を落とすことだけは間違いない』、「先行して発覚した楽天エクスプレスの不正行為については、内部で何が行われていたかという実態が公表されないまま、元執行役員は21年3月末までにひっそりと楽天グループを去っている。 その時点で徹底した真相究明が行われないまま、今回のモバイル事業の不正行為が発覚したのは、楽天グループの「組織としての隠蔽体質」が招いた結果である」、「楽天エクスプレスと楽天モバイルの二つの金銭着服の根はつながっており、楽天グループ内部で不正行為が連鎖した構図があらわになったのだ。 だが楽天グループは、この点についての詳細をあいまいにしたままだ」、「二つの不正に関与した人物、舞台となった企業につながりがある以上、組織的関与が疑われるべきだ。徹底した真相究明なくして、楽天グループにまん延する「不正の闇」が根絶されることはないだろう」。「組織としての隠蔽体質」の打破が解決のカギになるのだろう。
タグ:「独身の日はアメリカでクリスマスセールの初日に当たる11月第4金曜日、「ブラック・フライデー」を抜いて「世界でいちばんものが売れる日」になった。 「うちもやるぞ。お前、考えろ。来年の1月。とりあず1日100億円な」・・・「いつならできる?」と迫る三木谷の圧力に負け、矢澤は「じゃあ3月」とつい答えてしまった」、なるほど。 「実務に携わった三木谷は、大きな判断を実現するのはひとつひとつの小さな行動の積み重ねであることを知っている。 だから「頭でっかちにならず、体を動かせ」と社員に説き、自ら雑巾を持って社員と同じ作業をする。グーグル、アマゾンといったシリコンバレーのテック・ジャイアントを思わせる二子玉川の洒落たオフィスで、全社員が腰をかがめて雑巾掛けをする様子は、楽天の企業文化が米欧と日本のハイブリッドであることを示している」、 大西 康之氏による「楽天カードマンでも、米倉涼子でもない…楽天・三木谷浩史の「テレビCM嫌い」を変えた“意外な人物”の正体『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』 #2」 「ビリーズブートキャンプ」を「「これはいける!」と矢澤は直感。名古屋に飛んで行ってローチに掛け合い、楽天市場で大々的に売り出した。これが月に1億円売れるおばけ商材になった・・・この成功で「楽天市場に矢澤あり」と社内で認められるようになり、三木谷の目にも止まった」、 「「今年(2023年)が山場かな」 苦しい資金繰りを強いられるのは2023年度まで、と三木谷は言う。その後は、設備投資が一段落し、自社のアンテナが届かない場所でKDDIのアンテナを借りている「ローミング」のコストも劇的に下がる。そして海外の通信会社に「完全仮想化」の技術が売れ始める」、なるほど。 「全国に7万局の基地局を開設し、販売・サービス体制を整える。全国を網羅する携帯ネットワークをゼロから作っているのだから、最初の数年が大赤字になるのは当たり前だ」、ただ、「2023年1月に発行したドル建て無担保社債の利率は10.25%。2019年に発行したドル建て債の利率(3.5%)と比べると約3倍の高利」と、マーケットは厳しく見ているようだ。 「先行して発覚した楽天エクスプレスの不正行為については、内部で何が行われていたかという実態が公表されないまま、元執行役員は21年3月末までにひっそりと楽天グループを去っている。 その時点で徹底した真相究明が行われないまま、今回のモバイル事業の不正行為が発覚したのは、楽天グループの「組織としての隠蔽体質」が招いた結果である」、 徹底した真相究明なくして、楽天グループにまん延する「不正の闇」が根絶されることはないだろう」。「組織としての隠蔽体質」の打破が解決のカギになるのだろう。 「楽天モバイルが中間業者の日本ロジの不正請求で受けた損害が46億円なら、A氏とB氏が共謀した器となったT社から受けた損害額は、日本ロジをはるかに上回る可能性が高い・・・いまだ楽天モバイルとT社の関係は闇の中だが、基地局工事を巡る金銭着服は、グループを揺るがす巨大な規模に発展する恐れがある」、なるほど。 「「うちのサイトはニューヨークの五番街じゃなくて、アジアのバザール。スッキリしてないけど猥雑で、なんか面白いものがあるんじゃないかとワクワクする。かっこよくしなくてもいいんだ」 こうした大衆心理を楽天の中でいちばん理解しているのが矢澤である。臆面もなく「カニも半額」とやれる矢澤は、入社7年目、32歳の若さで営業統括の執行役員に抜擢された。以来、三木谷は矢澤を懐刀として常にそばに置くことになる」、凄い人物が「懐刀」のようだ。 三木谷もテレビCMが好きになり、川平慈英を使った「楽天カードマン」や米倉涼子を起用した「楽天モバイル」などの、ド派手な映像が楽天のテレビCMの系譜になる」、なるほど。 「矢澤が案を出したド派手な楽天市場のテレビCMは、消費者の心を掴んだ。今や毎年恒例になっている「楽天スーパーセール」の始まりだ。あらゆるジャンルで「半額」の目玉商品を並べ、楽天市場の中で通貨として使える「楽天スーパーポイント(現在は楽天ポイント)」も大盤振る舞い。これまで楽天市場を使ったことのない人々がドッと押し寄せ、1日127億円を売る大成功を収めた。 「「1日に100億円売ろう」と言ってもまわりは「お前が勝手に社長と約束しただけだろ」と動いてくれない。当時の楽天市場の1日の最高売り上げは50億円である・・・矢澤は楽天市場の全国の有力店舗に足を運び、「目玉商品を出してください」「半額セールに協力してください」と頭を下げて回った・・・矢澤は「多くの人にリーチする力はテレビCMのほうが上」であることを経験で知っていた」、なるほど。 大西 康之氏による「「楽天ってやばいんでしょ。モバイルの借金がすごくて」営業損益は4928億円の赤字……それでも三木谷浩史が「楽天モバイルの成功」を信じる理由 『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』 #1」 文春オンライン (その13)(「楽天ってやばいんでしょ モバイルの借金がすごくて」営業損益は4928億円の赤字……それでも三木谷浩史が「楽天モバイルの成功」を信じる理由 『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』 #1、楽天カードマンでも、米倉涼子でもない…楽天・三木谷浩史の「テレビCM嫌い」を変えた“意外な人物”の正体 『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』 #2、楽天に蔓延する「不正連鎖」の闇 今度はモバイル部門で発覚した金銭着服の全構図) 「三木谷は、大きな判断を実現するのはひとつひとつの小さな行動の積み重ねであることを知っている。 だから「頭でっかちにならず、体を動かせ」と社員に説き、自ら雑巾を持って社員と同じ作業をする・・・二子玉川の洒落たオフィスで、全社員が腰をかがめて雑巾掛けをする」、初めて知った。 「楽天エクスプレスと楽天モバイルの二つの金銭着服の根はつながっており、楽天グループ内部で不正行為が連鎖した構図があらわになったのだ。 だが楽天グループは、この点についての詳細をあいまいにしたままだ」、「二つの不正に関与した人物、舞台となった企業につながりがある以上、組織的関与が疑われるべきだ。 「楽天モバイルが日本ロジからの不正請求で被った損害額は総額46億円。A氏と日本ロジ役員らの「共謀」により、19年10月から22年3月にかけて水増し請求が繰り返されていた・・・横領された金額は46億円をはるかに上回る規模になる可能性がある」、これは大変だ。 ダイヤモンド・オンライン「【無料公開】楽天に蔓延する「不正連鎖」の闇、今度はモバイル部門で発覚した金銭着服の全構図」 携帯・スマホ 「世界の通信大手が「完全仮想化」「Open RAN」に乗り換えた場合、その市場規模は15兆~20兆円とされる。もちろん楽天シンフォニーがそのすべてを手に入れるわけではないが、世界で最初の完全仮想化を成し遂げたアドバンテージは間違いなく存在する」、確かに売り物になりそうだ。 だが、小さな事故はいくつか起きたものの、ネットワーク全体が何日にもわたって止まるような大きな事故はこれまでのところ起きていない。日本ではすでに500万人近い利用者が、毎日、ふつうに楽天モバイルを使っている」、大したものだ。 「ランダムに移動する何千万台もの端末を捕まえる携帯ネットワークの仮想化は物理的には凄まじくむずかしい。通信大手のほとんどがこの技術に取り組んでいたが、「実用化するのはまだ数年は先のこと」だと考えていた。 ところが門外漢の楽天が世界で初めてこれに挑戦した。2020年春にサービスを本格的に開始したとき、世界の通信会社は「絶対失敗する」とたかを括っていた。 「楽天モバイルの完全仮想化ネットワークはクライアント・サーバ・システムと同じ分散型だ。携帯電話会社は好きなメーカーの安い汎用サーバを自由に組み合わせてネットワークを構築することができる・・・設備投資は既存の通信ネットワークに比べ30%安くなり、運用・管理コストは40%安くなる」、なるほど。 「この人のファースト・ネームはなんだっけ?」・・・ 「これ、なんて読むの?」、確かにスペリングだけでは、「発音」は分からない。「三木谷は、一瞬だけブースの部屋から顔を出し、筆者に声をかけてきた。 「連れション行かない?」 個別インタビューの時間が取れないから、三木谷なりに気を遣ったのだろう」、マスコミ対策もずいぶん凝った仕掛けだ。 大西康之氏の新刊『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』(小学館)
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