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電池(その2)(EV向け車載電池「気がつけば供給過剰」の衝撃 中国の電池メーカー 生産能力が構造的過剰に、中国CATL「超急速充電」に対応した新型電池発表 低コストのリン酸鉄系、充電10分で400キロ走行、中国・広汽集団、「全固体電池」を2026年に搭載へ ベンチャー投資やスピンオフなど幅広く布石) [イノベーション]

電池については、2021年11月15日に取上げた。今日は、(その2)(EV向け車載電池「気がつけば供給過剰」の衝撃 中国の電池メーカー 生産能力が構造的過剰に、中国CATL「超急速充電」に対応した新型電池発表 低コストのリン酸鉄系、充電10分で400キロ走行、中国・広汽集団、「全固体電池」を2026年に搭載へ ベンチャー投資やスピンオフなど幅広く布石)である。

先ずは、昨年3月3日付け東洋経済オンラインが転載した財新 Biz&Tech 「EV向け車載電池「気がつけば供給過剰」の衝撃 中国の電池メーカー、生産能力が構造的過剰に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/655551
・『EV(電気自動車)の動力源である車載電池の市場が、大きな転機を迎えている。過去2年間、中国の電池メーカー各社はEVの販売急増を追い風に、生産能力の拡大競争を繰り広げてきた。ところが、ここにきて電池の在庫がにわかに膨張。業界内に在庫処分を急ぐ動きが広がり始めた。 「車載電池の在庫は電池メーカーとEVメーカーの両方に積み上がっている。そのうち電池メーカーの在庫は(容量ベースで)約80GWh(ギガワット時)、EVメーカーは約103GWhに上る」ノルウェーの調査会社リスタッド・エナジーの副総裁(副社長に相当)を務める鄒鈺屏氏は、2月21日に開催されたフォーラムの席上でそんな試算を示した。 鄒氏の試算は、車載電池の業界団体である中国汽車動力電池産業創新連盟(電池連盟)と自動車メーカーの業界団体である中国汽車工業協会の統計データに基づいている。電池メーカーの在庫は車載電池の生産量と販売量の差異から、EVメーカーの在庫は車載電池の販売量、輸出量、EVへの組み付け量の差異から算出した』、「ここにきて電池の在庫がにわかに膨張。業界内に在庫処分を急ぐ動きが広がり始めた・・・電池メーカーの在庫は(容量ベースで)約80GWh(ギガワット時)、EVメーカーは約103GWhに上る」ノルウェーの調査会社リスタッド・エナジーの副総裁(副社長に相当)を務める鄒鈺屏氏は、2月21日に開催されたフォーラムの席上でそんな試算」、「電池の在庫がにわかに膨張」とは穏やかならざる事態だ。
・『大手以外は淘汰の危機  電池メーカーが生産能力を増強する過程で、車載電池の生産量とEVへの組み付け量のミスマッチは徐々に拡大していた。だが、在庫増への危機感が業界内で頭をもたげてきたのは、2022年の後半になってからだ。 電池連盟のデータによれば、車載電池の生産量とEVへの組み付け量の差異は、2020年は19.8GWhにすぎなかった。それが2021年は65.2GWhと前年の約3.3倍に、2022年は251GWhと同約3.8倍に膨れ上がった。そのうち2022年の数字から同年の輸出量の68GWhを引くと、中国国内の(電池メーカーとEVメーカーを合わせた)総在庫量は183GWhとなる。 「2022年までは需給がタイトだったのに、2023年に入るとたちまち供給不足が解消した」。財新記者の取材に応じた中堅電池メーカーの幹部は、市場の風向きの急変ぶりをそう話す。 別の大手電池メーカーの関係者は、2023年後半には業界全体の生産能力が(需要に対して)過剰になるとの見方を示し、こう警鐘を鳴らした。 「車載電池業界は構造的な生産能力過剰に陥り、熾烈な競争に突入する可能性がある。大手メーカーは(自社の生産能力に見合った)十分な受注を確保できるかもしれないが、中堅以下は淘汰のリスクにさらされるだろう」』、「別の大手電池メーカーの関係者は、2023年後半には業界全体の生産能力が(需要に対して)過剰になるとの見方を示し、こう警鐘を鳴らした。 「車載電池業界は構造的な生産能力過剰に陥り、熾烈な競争に突入する可能性がある。大手メーカーは(自社の生産能力に見合った)十分な受注を確保できるかもしれないが、中堅以下は淘汰のリスクにさらされるだろう」、「車載電池業界は構造的な生産能力過剰に陥り、熾烈な競争に突入する可能性」、とは深刻だ。

次に、昨年9月6日付け東洋経済オンラインが転載した財新 Biz&Tech「中国CATL「超急速充電」に対応した新型電池発表 低コストのリン酸鉄系、充電10分で400キロ走行」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/698326
・『中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は8月16日、超急速充電に対応した新型のリン酸鉄系リチウムイオン電池「神行超充電池」を発表した。同社によれば新型電池を搭載したEV(電気自動車)は、一定の条件が揃えばわずか10分間の充電で400キロメートルを走行できる。 現在主流の車載電池は、正極材料の違いにより三元系とリン酸鉄系の2種類に分かれる。三元系はエネルギー密度が高く、急速充電に適しているが、(希少金属のコバルトなどを使うため)コストが高い。これに対し、リン酸鉄系はコストが低いのが長所だが、エネルギー密度はやや劣る』、興味深そうだ。
・『技術の詳細は公表せず  超急速充電への対応をうたうEVは、現時点ではいずれも三元系電池を搭載している。そんななか、CATLは正極、負極、電解液、セパレーターの材料構成を最適化することで、リン酸鉄系ながら三元系に勝るとも劣らない充電速度を実現したとしている。ただし、CATLは神行超充電池の技術的な詳細は明らかにしていない。 同じく8月16日、中国の新興EVメーカーの阿維塔科技(アバター・テクノロジー)は、CATLの神行超充電池を完成車メーカーとして初採用すると発表した。アバターは国有自動車大手の長安汽車、CATL、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の3社が2020年11月に共同で立ち上げた新ブランドであり、CATLはアバターの事業会社の第2位株主だ。) 「現在のEV市場では、超急速充電に対応した車両はまだ少ない。800ボルトの高電圧システムを車両と充電装置に組み込む必要があり、高い追加コストがかかるからだ」 財新記者の取材に応じたある自動車メーカーの部品調達担当者は、超急速充電をめぐる現状をそう話し、次のように続けた。 「超急速充電に対応するには、車両側に炭化ケイ素(SiC)などの(高電圧に対応可能な)部品を採用する必要がある。SiCはコストが高いだけでなく、安定供給の問題も抱えている。製造時の歩留まりが低く、(EVメーカーの)需要に供給が追いついていない」』、「「超急速充電に対応するには、車両側に炭化ケイ素(SiC)などの(高電圧に対応可能な)部品を採用する必要がある。SiCはコストが高いだけでなく、安定供給の問題も抱えている。製造時の歩留まりが低く、(EVメーカーの)需要に供給が追いついていない」、なるほど。
・『気温マイナス10度でも急速充電可能  この担当者によれば、CATLの神行超充電池は(相対的にコストが安い)400ボルトの急速充電システムに対応しており、EVメーカーにとって魅力的な選択肢だという。 別の自動車メーカーのエンジニアは、一般的なリン酸鉄系電池が低温下での充電に時間がかかるのに対し、神行超充電池は気温がマイナス10度でも急速充電が可能だと明かした。「これは大きなブレークスルーだ」と、このエンジニアは高く評価する。 なお、上述の2人の自動車メーカー関係者は、神行超充電池の価格水準については明かさなかった。CATLによれば、新型電池は2023年中に量産を開始し、2024年1~3月期にはEVメーカーの車両に搭載されるという』、「CATLの神行超充電池は(相対的にコストが安い)400ボルトの急速充電システムに対応しており、EVメーカーにとって魅力的な選択肢・・・気温がマイナス10度でも急速充電が可能」、これは大きなメリットだ。

第三に、12月6日付け東洋経済オンラインが転載した財新 Biz&Tech 「中国・広汽集団、「全固体電池」を2026年に搭載へ ベンチャー投資やスピンオフなど幅広く布石」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/718109
・『中国の国有自動車大手の広州汽車集団(広汽集団)は11月17日、EV(電気自動車)の性能を大幅に高める全固体電池を2026年から車両に搭載すると発表した。同社の総経理(社長に相当)を務める馮興亜氏が、広州モーターショーでのプレゼンテーションで計画を明らかにした。 全固体電池は、リチウムイオン電池の電解質を液体から固体に置き換えたものだ。従来型の電池よりエネルギー密度を大幅に高められると同時に、(液体を使わないため)液漏れや発火、破裂などの心配がなく、EVの安全性を改善できる。 広汽集団の説明によれば、同社が開発中の全固体電池セルは(十分な)安全性と信頼性のマージンを確保したうえで、1キログラム当たり400Wh(ワット時)のエネルギー密度を達成したという。液体電解質を使う車載電池のエネルギー密度は、現在主流の製品で同200~300Whであり、その1.3~2倍に相当する性能だ』、「全固体電池は、リチウムイオン電池の電解質を液体から固体に置き換えたものだ。従来型の電池よりエネルギー密度を大幅に高められると同時に、(液体を使わないため)液漏れや発火、破裂などの心配がなく、EVの安全性を改善できる。 広汽集団の説明によれば、同社が開発中の全固体電池セルは(十分な)安全性と信頼性のマージンを確保したうえで、1キログラム当たり400Wh(ワット時)のエネルギー密度を達成したという。液体電解質を使う車載電池のエネルギー密度は、現在主流の製品で同200~300Whであり、その1.3~2倍に相当する性能だ」、注目の「全固体電池」が「安全性と信頼性のマージンを確保したうえで、1キログラム当たり400Wh(ワット時)のエネルギー密度を達成した」、とは喜ばしいニュースだ。
・『出資先が2025年の量産を計画  「全固体電池の市販車への搭載は、3つのステップを経て進められる。第1ステップは、技術開発と(電池の)生産体制の立ち上げ。第2ステップは、自動車メーカーとの協業を通じたチューニングと小ロットでの試験搭載。第3ステップは、量産技術の確立と市販車への搭載だ」 そう解説するのは、全固体電池の研究開発を手がけるスタートアップ企業「清陶能源(チンタオ・エナジー)」の総経理を務める李峥氏だ。広汽集団は戦略投資家の一社として、清陶能源に出資している。 広汽集団が発表した「車両への搭載」が、上述の3ステップのどれに当たるかについて、同社は明確にしていない。なお、清陶能源は全固体電池の量産を2025年に開始する計画だ。) 全固体電池は次世代の車載電池の本命であり、電池メーカーだけでなく自動車メーカーも研究開発や量産計画を競っている。 例えば、国有自動車最大手の上海汽車集団は前出の清陶能源と協業し、2025年上半期から全固体電池を搭載する複数車種のEVを投入、同年末までに合計10万台を販売する計画を打ち出した。 ただし世界に目を転じると、全固体電池の技術開発では日本メーカーが最も先行しているとの見方が主流だ。 「日本のトヨタ自動車は(全固体電池に関する)膨大なノウハウを蓄積している。全固体電池の量産は、トヨタが最初に実現する可能性が高いだろう」。電池技術の専門家である上海交通大学教授の薄首行氏は、財新記者の取材に対してそう述べた』、「全固体電池の量産は、トヨタが最初に実現する可能性が高いだろう」、なるほど。
・『超高速充電技術も開発  広汽集団は全固体電池のほかにも、EV関連のサプライチェーンに幅広い布石を打っている。 例えば、研究開発部門の広汽研究院で超高速充電技術を開発していたチームをスピンオフさせ、2020年9月に「巨湾技研(グレーター・ベイ・テクノロジー)」を設立。同社は超高速充電に対応した新型電池の量産を2023年10月に開始した。 また、広汽集団の子会社で独自ブランドのEVやPHV(プラグインハイブリッド車)を生産・販売する広汽埃安(アイオン)は、車載電池および蓄電システム用電池の新会社「因湃電池科技」を2022年10月に設立した。 因湃電池科技は広東省広州市内に大規模な工場を建設中で、2024年3月までに量産を開始。さらに、2025年末までに年間生産能力をEV60万台分に相当する36GWh(ギガワット時)に拡大する計画だ』、「広汽集団は全固体電池のほかにも、EV関連のサプライチェーンに幅広い布石を打っている。 例えば、研究開発部門の広汽研究院で超高速充電技術を開発していたチームをスピンオフさせ、2020年9月に「巨湾技研(グレーター・ベイ・テクノロジー)」を設立。同社は超高速充電に対応した新型電池の量産を2023年10月に開始した。 また、広汽集団の子会社で独自ブランドのEVやPHV(プラグインハイブリッド車)を生産・販売する広汽埃安(アイオン)は、車載電池および蓄電システム用電池の新会社「因湃電池科技」を2022年10月に設立した。因湃電池科技は広東省広州市内に大規模な工場を建設中で、2024年3月までに量産を開始。さらに、2025年末までに年間生産能力をEV60万台分に相当する36GWh(ギガワット時)に拡大する計画だ」』、「広汽集団は全固体電池のほかにも、EV関連のサプライチェーンに幅広い布石を打っている」、大いに注目される。 
タグ:電池 (その2)(EV向け車載電池「気がつけば供給過剰」の衝撃 中国の電池メーカー 生産能力が構造的過剰に、中国CATL「超急速充電」に対応した新型電池発表 低コストのリン酸鉄系、充電10分で400キロ走行、中国・広汽集団、「全固体電池」を2026年に搭載へ ベンチャー投資やスピンオフなど幅広く布石) 東洋経済オンライン 財新 Biz&Tech 「EV向け車載電池「気がつけば供給過剰」の衝撃 中国の電池メーカー、生産能力が構造的過剰に」 「ここにきて電池の在庫がにわかに膨張。業界内に在庫処分を急ぐ動きが広がり始めた・・・電池メーカーの在庫は(容量ベースで)約80GWh(ギガワット時)、EVメーカーは約103GWhに上る」ノルウェーの調査会社リスタッド・エナジーの副総裁(副社長に相当)を務める鄒鈺屏氏は、2月21日に開催されたフォーラムの席上でそんな試算」、「電池の在庫がにわかに膨張」とは穏やかならざる事態だ。 「別の大手電池メーカーの関係者は、2023年後半には業界全体の生産能力が(需要に対して)過剰になるとの見方を示し、こう警鐘を鳴らした。 「車載電池業界は構造的な生産能力過剰に陥り、熾烈な競争に突入する可能性がある。大手メーカーは(自社の生産能力に見合った)十分な受注を確保できるかもしれないが、中堅以下は淘汰のリスクにさらされるだろう」、「車載電池業界は構造的な生産能力過剰に陥り、熾烈な競争に突入する可能性」、とは深刻だ。 財新 Biz&Tech「中国CATL「超急速充電」に対応した新型電池発表 低コストのリン酸鉄系、充電10分で400キロ走行」 「「超急速充電に対応するには、車両側に炭化ケイ素(SiC)などの(高電圧に対応可能な)部品を採用する必要がある。SiCはコストが高いだけでなく、安定供給の問題も抱えている。製造時の歩留まりが低く、(EVメーカーの)需要に供給が追いついていない」、なるほど。 「CATLの神行超充電池は(相対的にコストが安い)400ボルトの急速充電システムに対応しており、EVメーカーにとって魅力的な選択肢・・・気温がマイナス10度でも急速充電が可能」、これは大きなメリットだ。 財新 Biz&Tech 「中国・広汽集団、「全固体電池」を2026年に搭載へ ベンチャー投資やスピンオフなど幅広く布石」 「全固体電池は、リチウムイオン電池の電解質を液体から固体に置き換えたものだ。従来型の電池よりエネルギー密度を大幅に高められると同時に、(液体を使わないため)液漏れや発火、破裂などの心配がなく、EVの安全性を改善できる。 広汽集団の説明によれば、同社が開発中の全固体電池セルは(十分な)安全性と信頼性のマージンを確保したうえで、1キログラム当たり400Wh(ワット時)のエネルギー密度を達成したという。 液体電解質を使う車載電池のエネルギー密度は、現在主流の製品で同200~300Whであり、その1.3~2倍に相当する性能だ」、注目の「全固体電池」が「安全性と信頼性のマージンを確保したうえで、1キログラム当たり400Wh(ワット時)のエネルギー密度を達成した」、とは喜ばしいニュースだ。 「全固体電池の量産は、トヨタが最初に実現する可能性が高いだろう」、なるほど。 「広汽集団は全固体電池のほかにも、EV関連のサプライチェーンに幅広い布石を打っている。 例えば、研究開発部門の広汽研究院で超高速充電技術を開発していたチームをスピンオフさせ、2020年9月に「巨湾技研(グレーター・ベイ・テクノロジー)」を設立。同社は超高速充電に対応した新型電池の量産を2023年10月に開始した。 また、広汽集団の子会社で独自ブランドのEVやPHV(プラグインハイブリッド車)を生産・販売する広汽埃安(アイオン)は、車載電池および蓄電システム用電池の新会社「因湃電池科技」を2022年10月に設立した。因湃電池科技は広東省広州市内に大規模な工場を建設中で、2024年3月までに量産を開始。さらに、2025年末までに年間生産能力をEV60万台分に相当する36GWh(ギガワット時)に拡大する計画だ」』、「広汽集団は全固体電池のほかにも、EV関連のサプライチェーンに幅広い布石を打っている」、大いに注目される。
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