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日本の構造問題(その30)(国家の劣化はたった1人の政治家が引き起こす 日本など先進国を没落させる哲学なき政治家の罪、日本の「上級管理職の国際経験」世界最下位 英語力87位が象徴する人材育成の難題) [経済政治動向]

日本の構造問題については、昨年7月29日に取上げた。今日は、(その30)(国家の劣化はたった1人の政治家が引き起こす 日本など先進国を没落させる哲学なき政治家の罪、日本の「上級管理職の国際経験」世界最下位 英語力87位が象徴する人材育成の難題)である。

先ずは、昨年8月15日付け東洋経済オンラインが掲載した哲学者・経済学者の的場 昭弘氏による「国家の劣化はたった1人の政治家が引き起こす 日本など先進国を没落させる哲学なき政治家の罪」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/694294?display=b
・『2023年8月15日、また今年も終戦記念日がやってきた。戦後80年近くにもなろうとしている。もはや戦争を知る戦中世代のほとんどが鬼籍に入りつつある中で、形骸化した終戦記念日が伝統行事のように繰り返されている。 一方で豊かであったあの日本は風前の灯火で、日本の疲弊がはじまって久しい。それを衰退というか、堕落というか。表現はまちまちであろうが、いかに外見を繕ってみたところで、日本が今没落しつつあることは、残念ながらだれも否定できない事実である。 もちろん、これは日本だけに限らない。先進国といわれる国々は、どこも大同小異同じ運命を辿りつつあるのかもしれない』、興味深そうだ。
・『モンテスキューも嘆いた政治の堕落  2016年にフランスで、ニコラ・バベレという人の『ベナン人の手紙』という小説が出版された。その内容は2040年のフランスの話で、フランスは国家衰退の危機に瀕し、IMF(国際通貨基金)から派遣されたアフリカのベナン人が、その衰退したフランスの様子を妻に手紙で語るというものだ。 これは2040年という近未来の話で、その頃はアフリカの国々が勃興し、政治、経済、モラル、文化、あらゆる面で先進国となっていて、フランスは、すべての点で後進国になりさがっているというのである。 その冒頭に、フランスの哲学者であるモンテスキュー(1689~1755年)の『ペルシア人の手紙』(1721年)の154番目の手紙の一節が引用されている。その文章はこうである。 「君も御存じのように僕は長い間インドを歩きまわった。そのくにでは、私は一人の大臣の示した悪例のおかげで、生まれつき寛大な国民が一瞬のうちに最下級の国民から最上級の人たちまで堕落したのを実見に及んでいる。寛大、清廉、無邪気、信仰の徳が永年の間国民性となっていた国民が突然、最下等の国民になってしまった。つまり、弊風が伝搬し最も神聖な人たちさえそれに染まり、最も有徳の人が悪事を働き、ほかの連中もやっているとつまらぬ口実にかくれて、正義の第一原則を破って顧みなくなったのを私は見て来た」(『ペルシア人の手紙』大岩誠訳、岩波文庫下巻、200~201ページ)。 18世紀のモンテスキューも、フランス社会の危機を憂い、ペルシア人の名を借りて当時のフランス王政の堕落を批判したのである。一国の衰退は、政治の悪化で一気に進んでいくというのだ。政治の悪化が、国民のモラル低下を導き、だれもが悪徳の民となり、国は衰退の一途を辿るのである。) この後起こるフランス革命という嵐の中、フランスはその衰退を免れ、再び繁栄の基礎を築いたのだが、その代償はあまりにも大きなものであった。現在のフランスは、どうであろう。政治や経済の混迷とともに、あらゆるものが狂い始めている。今のところ、この衰退を救ってくれる白い騎士たるすぐれた政治家が現れていない。 そのフランスという西欧を範としてきた日本の衰退は、フランス以上に疲弊しているともいえる。政治のモラル低下や腐敗は、もはや事件として取り上げる気も起こらないほど頻繁化し、それとともに経済分野における日本の地盤沈下もとどまることを知らない。 その一方で、日本礼賛論が巷で横行し、国民は相変わらず経済成長日本の時代の夢から出ることができないでいる』、「日本礼賛論が巷で横行し」とあるが、もはやかつてのような勢いはない。
・『未来の世代を苦しめる国家の劣化  こうした衰退を、国家劣化ともいう。モンテスキューによれば、国家劣化は1人の悪徳政治家によって簡単に起こると述べているが、国家は人間と違い1つの世代で死に絶えるのではなく、その次の世代、またその次の世代とずっと受け継がれていくのであるから、ある世代による国家の衰退は次の世代の人々をずっと苦しめ続けるのである。 その意味で、ある世代のたった1人の政治家による悪行は、末代まで影響するといってよい。 ハーバード大学教授のニーアル・ファーガソンは『劣化国家』(櫻井祐子訳、東洋経済新報社、2013年)の中で、この世代間に継続される劣化した国家の問題を、やはり18世紀のイギリスの思想家エドマンド・バーク(1729~1797年)の『フランス革命についての省察』(1790年)の有名な言葉を使って、「世代間の協働事業(パートナーシップ)の崩壊」と述べている。 このバークの言葉とは、次のような言葉である。 「というのは国家は、ただひととき存在して滅んでいく(人間という)粗野な動物的存在だけに役立っているものではないからです。国家はすべての学問についての協働事業によって、すべての技芸についての協働事業によって、すべての徳とすべての完璧さについての協働事業によって作られるのです。こうした協働事業の目的は何世代続いても実現できないものなので、生きているひとびとだけが結ぶ協働事業ではすみません。それは生きているひとびととすでに死んだひとびととの間で、またこれから生まれてくるひとびとの間で結ばれる協働事業なのです」(エドマンド・バーク『フランス革命についての省察』二木麻里訳、光文社古典新訳文庫165ページ。引用訳ではパートナーシップは協力協定となっているが、ここではあえて協働事業と訳しかえてある) なるほど、多額の赤字国債の発行や、国民の財産の多くを破壊する戦争などを、ある世代の政治家が気まぐれに行えば、そのツケは末代まで及ぶといってもよい。だからこそ、今のわれわれの世代だけに国家を劣化させる権利はないのである。すべての世代に豊かな世界をその後の世代に伝える義務が、すべての世代にあるのだ。 これと同じような趣旨のことを、日本を代表する経済学者の1人であった森嶋通夫(1923~2004年)も、『なぜ日本は没落するか』(岩波書店、1999年)と『なぜ日本は行き詰ったか』(同、2004年)という2つの書物で、われわれにすでに20年前に語ってくれていた。 森嶋は2004年に亡くなっているので、この2つの書物は彼のわれわれに残した遺書とも言うべきものである。戦中世代として、われわれ戦後世代に彼が伝えたかったことは、まさにこの「協働事業」という問題である。長い間イギリスで暮らしていた森嶋は、まさにバークの見解に似たことを述べている。 森嶋は、『なぜ日本は没落するか』の中で、2050年の日本を予想している。彼は当時の13歳から18歳の子供たちの様子を見て、50年後日本を背負っている彼らが日本をどう動かしているかという発想から、2050年の日本を予測しようというのだ。 国家は世代によって引き継がれていく。戦後は戦争を遂行した戦前世代が牽引し、そして戦中世代、戦後世代にバトンタッチしてきた。だから今の豊かさは前の世代の豊かさでの結果であり、今の世代は次の世代にその豊かさをバトンタッチしなければならない。こうして連綿と歴史は、世代間で引き継がれていく。 森嶋は、この戦後のバトンタッチこそ大きな問題点を含むものであったという。戦後アメリカによる教育改革は、戦前世代との断絶を生み出したと指摘する。アメリカによる急激なアメリカ流教育は、民主教育を非民主的な戦前、戦中世代が教えるというちぐはぐな問題を生み出した。 それによって戦後民主主義は形骸化し、また戦後世代はそれまであった日本の伝統的儒教的教育を受けられなかったことで、戦後世代はアジア的伝統とも断絶することになったという。戦後世代とは、私のような昭和20年代生まれの世代のことである。そして2050年を担う世代とは、その戦後世代の子供たちや孫の世代のことである』、「戦後アメリカによる教育改革は、戦前世代との断絶を生み出したと指摘する。アメリカによる急激なアメリカ流教育は、民主教育を非民主的な戦前、戦中世代が教えるというちぐはぐな問題を生み出した。 それによって戦後民主主義は形骸化し、また戦後世代はそれまであった日本の伝統的儒教的教育を受けられなかったことで、戦後世代はアジア的伝統とも断絶することになったという」、なるほど。
・『国際的評価を得られない「哲学なき政治家」  菅義偉、安倍晋三、岸田文雄といった政治家はすべて戦後世代である。この戦後世代に欠けているものを、森嶋はエリート意識の欠如、または精神の崩壊といっている。価値判断をもたない無機的な人々を生み出したのは、この戦後の中途半端な教育にあったと述べているが、あながち間違いではない。それが顕著に現れるのは政治という舞台の上である。 政治家は国を代表し、対外折衝をするがゆえに、自ずと国際的評価の対象となる。しかし、日本の政治家の中にそうした国際的評価を得るレベルの政治家が少ないのも、事実である。 私はこうした政治家を「哲学なき政治家」と呼ぶ。森嶋は、政治、産業、教育、金融あらゆる部門にわたって、日本の荒廃を分析しているが、政治家の様子を見ただけでも、日本の荒廃のおよその検討はつく。 冒頭のモンテスキューの言葉が示す通り、1人の悪徳政治家が存在したおかげで、それまで続いた豊かな国家もたちどころに疲弊していったとすれば、そうした政治家にあふれている日本に豊かな未来はないであろう。森嶋は、こう結論づけている。 これは重い言葉だ。森嶋は教育者であり、こうした悲惨な未来を避けるために教育改革を盛んに訴えているが、それには私も賛成だ。 「政治が悪いから国民が無気力であり、国民が無気力だから政治は悪いままでおれるのだ。こういう状態は、今後50年は確実に続くであろう。そのことから私たちが引き出さねばならない結論は、残念ながら、日本の没落である。政治が貧困であるということは、日本経済が経済外的利益を受けないと言うことである。それでも「ええじゃないか、ええじゃないか」と踊り狂うしか慰めがないとしたら、私たちの子供や孫や曾孫があまりにも可哀想だ」(『なぜ日本は没落するか』岩波現代文庫、146ページ)。 偏差値型ロボット教育(受験勉強)と価値判断を欠いた無機的教育(問題意識の欠落)を一刻もはやくなくさねばなるまい。とりわけ海外、欧米偏重ではないアジアとの交流をにらんだ教育体系の確立であろう。日本はアジアから孤立しているばかりではない。憧れている西欧からも利用しやすい愚かなアジアの国としてしか、相手にされていないのだ。 今後世界の中心となるアジア・アフリカの中で活路を見いださねば、未来はないであろう。次の世代のために今こそ立ち上がるべきときである』、「「政治が悪いから国民が無気力であり、国民が無気力だから政治は悪いままでおれるのだ。こういう状態は、今後50年は確実に続くであろう。そのことから私たちが引き出さねばならない結論は、残念ながら、日本の没落である。政治が貧困であるということは、日本経済が経済外的利益を受けないと言うことである。それでも「ええじゃないか、ええじゃないか」と踊り狂うしか慰めがないとしたら、私たちの子供や孫や曾孫があまりにも可哀想だ・・・ 偏差値型ロボット教育(受験勉強)と価値判断を欠いた無機的教育(問題意識の欠落)を一刻もはやくなくさねばなるまい。とりわけ海外、欧米偏重ではないアジアとの交流をにらんだ教育体系の確立であろう。日本はアジアから孤立しているばかりではない。憧れている西欧からも利用しやすい愚かなアジアの国としてしか、相手にされていないのだ」、「憧れている西欧からも利用しやすい愚かなアジアの国としてしか、相手にされていないのだ」、寂しい限りだ。

次に、昨年12月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「日本の「上級管理職の国際経験」世界最下位、英語力87位が象徴する人材育成の難題」を紹介しよう。
・『世界人材ランキング、日本は43位 目立つ英語力や国際経験の乏しさ  EFエデュケーションファースト社が、2023年11月に発表した23年版の「EF EPI英語能力指数ランキング」(注1)では、日本は87位で22年の80位から7ランク低下した。 このランキングは、世界で最も多くの国・地域の成人の英語能力を比較したものだが、日本は「低い英語力」の国に該当すると判定され、アジアの23の国・地域でも15位で、前年の14位からさらに順位を下げた。 またスイスのビジネススクールIMDが9月に発表した23年の世界人材ランキング(注2)でも、日本は前年より2つ順位を下げて世界第43位に位置づけられている。 これは05年の調査開始以来最低の順位だ。中でも「上級管理職の国際経験」への評価は最下位だった。 日本の国際競争力の低下がいわれるなかで、グローバルに活躍するための英語力の低さやビジネスエリートの国際経験の乏しさは改めて人材育成が喫緊の課題であることを浮き彫りにする。だが背景には根深い問題がある』、「中でも「上級管理職の国際経験」への評価は最下位だった。 日本の国際競争力の低下がいわれるなかで、グローバルに活躍するための英語力の低さやビジネスエリートの国際経験の乏しさは改めて人材育成が喫緊の課題であることを浮き彫りにする」、なるほど。
・『深刻な管理職のスキル不足 人材の質の低下、競争力に反映  EFエデュケーションファースト社の英語能力指数ランキングは、113の国・地域から220万人がテストに参加した結果をまとめたものだ。ビジネススクールIMDの人材ランキングは、世界64カ国・地域を対象にしたもので、アジア太平洋の14カ国の中でみると、日本は9位だった。 人材ランキングで日本にとって最も深刻だったのは管理職のスキル不足だ。 IMDの人材調査のレポートでは、「上級管理職の国際経験」は調査対象国で最下位の64位だ。ほかにも、「有能な上級管理職」では62位、「経営の教育」と「語学のスキル」は60位という評価だ。 このように日本企業は管理職の国際経験が乏しいこと、グローバルに活躍し得る語学力に欠けることが問題視されている。そしてIMDは、管理職のスキル不足と人材教育などの体制の不足を日本の課題として挙げている。 成長停滞が長く続くなかで、生産性の向上の必要性がずっと言われてきたが、生産性を上げるための基本は、技術開発を進め新しいビジネスモデルを導入することだ。このためには人材の質を高めることが不可欠だ。 しかしこの二つの人材の質に関する国際比較ランキングで、日本は非常に低い位置にある。アジアの中で日本より低い国は数えるほどしかなくなってしまった。これは誠に深刻な事態と言わざるを得ない。 とりわけ、上級管理職の国際感覚が低いことが問題だ。このため、世界で進む大きな変化に日本が立ち後れるのだと思われる。日本衰退の大きな要因になっていることは否定できない』、「二つの人材の質に関する国際比較ランキングで、日本は非常に低い位置にある。アジアの中で日本より低い国は数えるほどしかなくなってしまった。これは誠に深刻な事態と言わざるを得ない。 とりわけ、上級管理職の国際感覚が低いことが問題だ。このため、世界で進む大きな変化に日本が立ち後れるのだと思われる。日本衰退の大きな要因になっていることは否定できない」、その通りだ。
・『英語力をChatGPTが打破するか? 重要なのは話すより「聞く力」  これらの問題の原因やその対応では、英語の教育や学び方の問題と、企業の人材育成や人事の在り方、さらには大学などの高等教育機関の問題に分けて考えることができる。 まずは英語力の問題だが、日本人の英語力が低いのは昔から言われてきたが、事態を大きく変える可能性として、ChatGPTの登場があげられるのではないか。 ChatGPTの基礎になっているのは、「大規模言語モデル(LLM)」と言われるものだ。これは言語を操ることを主たる目的にしたAIだ。そして、AIにとっては、日本語も英語も区別はない。本質的にマルチリンガルだ。 外国語への翻訳や外国語からの翻訳に関していえば、大規模言語モデルはどんな言葉に関しても、人間の外国語教師や専門家が知っている言葉や表現より多くを知っている。 しかも、個別質問に答えてくれる。いつでもどこでも使える。納得できるまで尋ねられる。それにChatGPTに教えてもらうコストは基本的にはゼロだ。 こうした背景もあり、文部科学省も、2023年7月、中学高校の英語教育にChatGPTを活用して「生徒が苦手とする英語で話す力の底上げを目指す」方針を発表した。 ただし、私はこの方針は間違っていると思う。その理由は実際の場面では、英語を「話す」ことより英語を「聞く」ことの方がはるかに重要だからだ。 聞く能力を高めるための教材、特に専門的な内容のものを入手するのが難しいのだが、例えば、自分の専門分野の日本語の文献をChatGPTで英文にし、それを何度も聞いて暗記するという方法があるのではないか』、「実際の場面では、英語を「話す」ことより英語を「聞く」ことの方がはるかに重要だからだ。 聞く能力を高めるための教材、特に専門的な内容のものを入手するのが難しいのだが、例えば、自分の専門分野の日本語の文献をChatGPTで英文にし、それを何度も聞いて暗記するという方法があるのではないか」、その通りだ。
・『中学生の学習到達度は高い 企業人材は世界最低レベル?  経済協力開発機構(OECD)は、2023年11月5日、81の国・地域で15歳の生徒らを対象に実施した「国際学習到達度調査」(PISA、2022年)の結果を公表した(注3)。 日本は「読解力」が前回18年調査の15位から3位へと順位を上げた。「数学的リテラシー(応用力)」は6位から5位、「科学的リテラシー」は5位から2位へと上昇した。このように、全ての科目で世界のトップレベルを維持している。 この結果を見ると、日本の初等中等教育の水準は、国際的に見て非常に高いことが分かる。 ところが、成人や企業の人材になると、二つの国際比較ランキングではすで見たように世界で最低レベルになる。こうなってしまうのは、企業の人材育成や人事政策、さらに大学などの高等教育に問題があるからだと考えられる』、「日本は「読解力」が前回18年調査の15位から3位へと順位を上げた。「数学的リテラシー(応用力)」は6位から5位、「科学的リテラシー」は5位から2位へと上昇した。このように、全ての科目で世界のトップレベルを維持している。 この結果を見ると、日本の初等中等教育の水準は、国際的に見て非常に高いことが分かる。 ところが、成人や企業の人材になると、二つの国際比較ランキングではすで見たように世界で最低レベルになる。こうなってしまうのは、企業の人材育成や人事政策、さらに大学などの高等教育に問題があるからだと考えられる」、なるほど。
・『組織の階段を登っただけの経営者 企業は評価や人事政策を変えよ  経済成長には人材の育成が不可欠だが、日本には管理職や専門家を養成する教育体制が整っていない。そのために専門的教育が不十分である状態で経営幹部になっている例が多い。 アメリカでは、ビジネススクールやロースクールで高度に専門的な教育を行ない、そこでの成績を採用のみならず、給与や昇進に直接的に結び付けているし、欧州などでも企業に入ってからもビジネススクールなどで学ぶ人も少なくない。 また企業の人材育成やキャリアパスも、日本の場合は経営幹部とは経営を行なう専門家ではなく、ゼネラリストとして組織の階段を登り、「偉くなった」人たちだ。 こうした事情も前述の国際ランキングで日本の上級管理職が低く評価される基本的な原因になっていると考えられる。 また採用時も、日本企業は学歴は見るが、それはどのレベルの大学に入学したかであって、そこでの成績や専門性などを評価しているわけではない。日本企業はこれまで、OJT、つまり現場での実践を通じた人材育成を行なってきた。大学での専門教育を評価し、それに頼ってきたわけではない。 その結果、日本の大学でも十分な専門的教育が行われてきたとは言い難い。これも大きな問題だ。 企業は給与や地位の点で、専門家を正当に評価することが必要であり、その前提としては働く人が専門的な知識やスキルを新たに学ぶためのリスキリングが必要だが、それだけではなく、日本の大学も教育体制を根本から改革することが必要だ。 しかしこれらは、簡単に実現できる課題ではない。大学ファンドや国立大法人法の改正で解決できるレベルの問題ではない。ジョブ型雇用の採用などを含む企業の人事政策や働く人の企業間の流動性の促進など日本社会の基本的な構造を変えることが必要だ。 だがそれなくしては日本の凋落を防ぐことができない。 (注1)「EF EPI 2023  EF 英語能力指数 世界113カ国・地域の英語能力ランキング」 (注2)「IMD/World Talent Ranking 2023」 (注3)「OECD生徒の学習到達度調査 2022年調査(PISA2022)のポイント」』、「企業は給与や地位の点で、専門家を正当に評価することが必要であり、その前提としては働く人が専門的な知識やスキルを新たに学ぶためのリスキリングが必要だが、それだけではなく、日本の大学も教育体制を根本から改革することが必要だ。 しかしこれらは、簡単に実現できる課題ではない。大学ファンドや国立大法人法の改正で解決できるレベルの問題ではない。ジョブ型雇用の採用などを含む企業の人事政策や働く人の企業間の流動性の促進など日本社会の基本的な構造を変えることが必要だ。 だがそれなくしては日本の凋落を防ぐことができない」、その通りだ。
タグ:その通りだ。 「企業は給与や地位の点で、専門家を正当に評価することが必要であり、その前提としては働く人が専門的な知識やスキルを新たに学ぶためのリスキリングが必要だが、それだけではなく、日本の大学も教育体制を根本から改革することが必要だ。 しかしこれらは、簡単に実現できる課題ではない。大学ファンドや国立大法人法の改正で解決できるレベルの問題ではない。ジョブ型雇用の採用などを含む企業の人事政策や働く人の企業間の流動性の促進など日本社会の基本的な構造を変えることが必要だ。 だがそれなくしては日本の凋落を防ぐことができない」、 」、なるほど。 「日本は「読解力」が前回18年調査の15位から3位へと順位を上げた。「数学的リテラシー(応用力)」は6位から5位、「科学的リテラシー」は5位から2位へと上昇した。このように、全ての科目で世界のトップレベルを維持している。 この結果を見ると、日本の初等中等教育の水準は、国際的に見て非常に高いことが分かる。 ところが、成人や企業の人材になると、二つの国際比較ランキングではすで見たように世界で最低レベルになる。こうなってしまうのは、企業の人材育成や人事政策、さらに大学などの高等教育に問題があるからだと考えられる 「実際の場面では、英語を「話す」ことより英語を「聞く」ことの方がはるかに重要だからだ。 聞く能力を高めるための教材、特に専門的な内容のものを入手するのが難しいのだが、例えば、自分の専門分野の日本語の文献をChatGPTで英文にし、それを何度も聞いて暗記するという方法があるのではないか」、その通りだ。 「二つの人材の質に関する国際比較ランキングで、日本は非常に低い位置にある。アジアの中で日本より低い国は数えるほどしかなくなってしまった。これは誠に深刻な事態と言わざるを得ない。 とりわけ、上級管理職の国際感覚が低いことが問題だ。このため、世界で進む大きな変化に日本が立ち後れるのだと思われる。日本衰退の大きな要因になっていることは否定できない」、その通りだ。 「中でも「上級管理職の国際経験」への評価は最下位だった。 日本の国際競争力の低下がいわれるなかで、グローバルに活躍するための英語力の低さやビジネスエリートの国際経験の乏しさは改めて人材育成が喫緊の課題であることを浮き彫りにする」、なるほど。 野口悠紀雄氏による「日本の「上級管理職の国際経験」世界最下位、英語力87位が象徴する人材育成の難題」 ダイヤモンド・オンライン 偏差値型ロボット教育(受験勉強)と価値判断を欠いた無機的教育(問題意識の欠落)を一刻もはやくなくさねばなるまい。とりわけ海外、欧米偏重ではないアジアとの交流をにらんだ教育体系の確立であろう。日本はアジアから孤立しているばかりではない。憧れている西欧からも利用しやすい愚かなアジアの国としてしか、相手にされていないのだ」、「憧れている西欧からも利用しやすい愚かなアジアの国としてしか、相手にされていないのだ」、寂しい限りだ。 「「政治が悪いから国民が無気力であり、国民が無気力だから政治は悪いままでおれるのだ。こういう状態は、今後50年は確実に続くであろう。そのことから私たちが引き出さねばならない結論は、残念ながら、日本の没落である。政治が貧困であるということは、日本経済が経済外的利益を受けないと言うことである。それでも「ええじゃないか、ええじゃないか」と踊り狂うしか慰めがないとしたら、私たちの子供や孫や曾孫があまりにも可哀想だ・・・ 「戦後アメリカによる教育改革は、戦前世代との断絶を生み出したと指摘する。アメリカによる急激なアメリカ流教育は、民主教育を非民主的な戦前、戦中世代が教えるというちぐはぐな問題を生み出した。 それによって戦後民主主義は形骸化し、また戦後世代はそれまであった日本の伝統的儒教的教育を受けられなかったことで、戦後世代はアジア的伝統とも断絶することになったという」、なるほど。 「日本礼賛論が巷で横行し」とあるが、もはやかつてのような勢いはない。 的場 昭弘氏による「国家の劣化はたった1人の政治家が引き起こす 日本など先進国を没落させる哲学なき政治家の罪」 東洋経済オンライン 日本の構造問題 (その30)(国家の劣化はたった1人の政治家が引き起こす 日本など先進国を没落させる哲学なき政治家の罪、日本の「上級管理職の国際経験」世界最下位 英語力87位が象徴する人材育成の難題)
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