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政府財政問題(その9)(ガソリン価格を抑える補助金が逆に物価を上げる 今や秋の風物詩「補正予算」は見せかけに堕した、2大悪弊が2025年「緊縮ナシで財政黒字化」を阻む 足元の経済対策が後を引く「基金」と「補正予算」、森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか 話題の書『ザイム真理教』めぐり論客が誌上討論) [経済政策]

政府財政問題については、昨年3月7日に取上げた。今日は、(その9)(ガソリン価格を抑える補助金が逆に物価を上げる 今や秋の風物詩「補正予算」は見せかけに堕した、2大悪弊が2025年「緊縮ナシで財政黒字化」を阻む 足元の経済対策が後を引く「基金」と「補正予算」、森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか 話題の書『ザイム真理教』めぐり論客が誌上討論)である。

先ずは、昨年9月11日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏による「ガソリン価格を抑える補助金が逆に物価を上げる 今や秋の風物詩「補正予算」は見せかけに堕した」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/700611
・『秋になると、永田町では「補正予算」の話題が毎年のように沸き上がる。補正予算の編成が、当たり前のような年中行事になり、まるで補正予算を組まないと年が越せないかのようだ。 補正予算は、必ず組まなければならないというわけではない。否、補正予算はむしろ、満たさなければならない事情があるときに限り、組むことができるものである』、「補正予算はむしろ、満たさなければならない事情があるときに限り、組むことができるものである」、そんな原則があったとは初めて知った。
・『「特に緊要の経費」が毎年発生?  財政法第29条には、次のような規定がある。 内閣は、次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。 一法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。 又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合 二予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合 「特に緊要となった経費」は、東日本大震災級の大きな災害や急激な経済変動でもなければ、普通は生じない。なのに、まるで毎年そうであるかのように、補正予算が組まれ、政治イベント化している。 そのうえ、コロナ禍での補正予算は規模が拡大して、直近では30兆円にものぼる。コロナ前の補正予算はせいぜい3兆円程度だった。コロナ禍で、補正予算の桁が狂ってしまったのだ。 では、2023年において、補正予算はどれほど必要なのか。 少なくとも、コロナ禍の経済的な打撃から回復しつつあり、人手不足が生じるほど供給制約に直面している現状において、財政支出で需要を喚起しなければならない強い理由はない。加えて、物価上昇が顕著である。) 例えば、すでに当初予算で予定されている公共事業があるうえに、補正予算を組んで追加で公共事業費を増額したらどうなるか。 建設資材は、ただでさえコロナ禍でサプライチェーンの混乱などもあり、高騰が続いている。そこに公共事業の追加増額が行われたら、建設資材を追加した公共事業に充てなければならないから、国内における建設資材の需給をよりひっ迫させて価格高騰を助長する。 公共事業の追加増額は、建設資材の価格上昇をもたらしこそすれ、価格下落を引き起こすことはあり得ない』、「公共事業の追加増額は、建設資材の価格上昇をもたらしこそすれ、価格下落を引き起こすことはあり得ない」、その通りだ。
・『ガソリン代が浮いた分、別の商品の需要が増す  ガソリン補助金(正式には燃料油価格激変緩和補助金)も、一見するとガソリンの小売価格を抑制しているように見えて、経済全体では物価高騰を助長している。 政府は、もともと9月末で終了予定だったガソリン補助金を、今年末まで延長するとともに9月7日から拡充することを決めた。これにより、ガソリンの小売価格は抑えられる。ガソリン補助金は、価格高騰を抑制する効果があるように見える。 しかし、家計は、ガソリンに費やす支出が減った分をどうするか。 貯金をする余裕がある家計は貯金に回すこともあろうが、貯金する余裕がない家計(や余裕がある家計でも)は、ガソリン価格が抑えられて浮いた分を、食費など別の支出に回すだろう。 すると、その支出で購入した商品の需要が、それだけ増えるわけだから、その商品の価格に上昇圧力がかかる。需要と供給の関係からみれば、需要が増えれば、その価格は上がりこそすれ、下がることはない。直接目には見えないとはいえ、実際はそうなのだ。 だから、ガソリン補助金は、ガソリンの小売価格を抑えてはいるが、ほかの商品の価格の上昇を助長し、経済全体でみると消費者物価全体を押し上げる方向に作用している。これは、ガソリン税の減税を行っても同様のことが起きる。 こうした情勢下で、巨額の補正予算を組んで需要を喚起すれば、物価高を助長する。) コロナ禍で、補正予算の規模が桁違いに大きくなっている。補正予算で追加した歳出は、2020年度には73兆0298億円、2021年度には35兆9895億円、2022年度には31兆6232億円にのぼっている。 これらが、効果的に支出されているならまだしも、結局は使わずじまいとなって、補正予算で積んだだけの「見せかけ」に堕したものも多い。年度末までに使わずじまいとなった歳出の不用額は、2020年度には3兆8880億円、2021年度には6兆3029億円、2022年度には11兆3084億円と、ついに10兆円を超えた』、「ガソリン補助金は、ガソリンの小売価格を抑えてはいるが、ほかの商品の価格の上昇を助長し、経済全体でみると消費者物価全体を押し上げる方向に作用している・・・補正予算で積んだだけの「見せかけ」に堕したものも多い。年度末までに使わずじまいとなった歳出の不用額は、2020年度には3兆8880億円、2021年度には6兆3029億円、2022年度には11兆3084億円と、ついに10兆円を超えた」、なるほど。
・『31兆円の補正予算、使い残しの21兆円  2022年度における歳出の不用額は、実態を象徴的に表すものとなった。 前述のように、2022年度には補正予算で31兆6232億円もの支出の追加を行った。そして、2022年度の決算段階で、入ってきた収入に比して支出し残した金額(差引剰余金)が、21兆3439億円となった。31兆円余の支出の追加を行いながら、21兆円余も年度末に支出し残してしまうというありさまである。 支出し残したうち、2023年度に繰り越すものもあるが、結局は使わずじまいとなり予算として効力を失うこととなった歳出の不用額が、前述のように11兆円余にのぼった。 加えて、支出の追加に伴いその原資として、国債の増発が2022年度決算までに必要と見込まれていたものの、使わずじまいとなった支出が出たために、12兆円の国債増発を取りやめた。 11兆円もの使わずじまいとなる支出がある一方で、12兆円もの国債増発を取りやめる結果となった。お金に色はついていないとはいえ、2022年度の決算はこうした状態だった。 まさに、補正予算等で支出するぞと勇ましく財政出動を演出しておきながら、結局使う当てがなく、予算として失効して使わずじまいとなったので、それに備えて予定していた国債増発も取りやめた。補正予算は、「見せかけ」だったのだ。 「見せかけ」に終わるような補正予算なら、経済効果もないし、金額を盛る必要はない。おまけに、物価高騰を助長するような情勢で、財政出動をするのは逆効果である。 秋になったからといって、補正予算を組まなければならないわけではない。今秋に補正予算を組むなら、当初予算で計上した巨額の予備費について、その使途を確定させて国会での審議を受けるために、予算を組み替える。そんな補正予算なら、財政民主主義の観点からも意味があるものだろう』、「「見せかけ」に終わるような補正予算なら、経済効果もないし、金額を盛る必要はない。おまけに、物価高騰を助長するような情勢で、財政出動をするのは逆効果である・・・今秋に補正予算を組むなら、当初予算で計上した巨額の予備費について、その使途を確定させて国会での審議を受けるために、予算を組み替える。そんな補正予算なら、財政民主主義の観点からも意味があるものだろう」、その通りだ。

次に、本年2月5日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学 経済学部教授 の土居 丈朗氏による「2大悪弊が2025年「緊縮ナシで財政黒字化」を阻む 足元の経済対策が後を引く「基金」と「補正予算」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/732116
・『1月22日に、内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」  中長期試算)を公表した。この中長期試算の最も注目される点の1つは、「2025年度の国と地方の基礎的財政収支の黒字化は達成できるか」である。 2024年1月の中長期試算によると、2025年度の名目成長率を2.8%と見込む成長実現ケースでは、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は、1.1兆円の赤字となるという。 このままでは、2025年度の基礎的財政収支は黒字化できないということになる。 ただ、これまで取り組んできた歳出の効率化努力を引き続き2025年度にも行えば、基礎的財政収支はごくわずかな黒字となり、ぎりぎり財政健全化目標は達成できることを、内閣府は合わせて示した』、「2025年度の名目成長率を2.8%と見込む成長実現ケースでは、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は、1.1兆円の赤字となる・・・これまで取り組んできた歳出の効率化努力を引き続き2025年度にも行えば、基礎的財政収支はごくわずかな黒字となり、ぎりぎり財政健全化目標は達成できる」、なるほど。
・『インフレで名目GDP上振れの一方、歳出も増  そもそも、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は、同じ中長期試算の前回の試算(2023年7月)では、1.3兆円の赤字だった。それと比べると、0.2兆円収支が改善している。 中長期試算には、その改善要因についても示されている。 まず、歳入面では、2023年7月試算よりも名目GDP成長率が上振れると見込まれるため、2025年度の収支が試算上0.7兆円改善するという。他方、歳出面では、2024年度予算(案)で取り組まれた歳出効率化努力により、0.7兆円の収支改善効果が2025年度にも作用すると見込んでいる。 2023年度7月試算では、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は1.3兆円の赤字であったが、名目GDP成長率の上振れ分と2024年度予算での歳出効率化努力で合わせて1.4兆円の収支改善効果が期待できる。 となると、これだけで2025年度の国と地方の基礎的財政収支は「0.1兆円の黒字」という試算が、2024年1月試算として出てもおかしくなかった。 しかし、2025年度の財政収支に与える効果はこれだけではなかった。) 2024年1月試算では、2025年度の物価上昇率が2023年7月試算より高いと予測することから、それに伴い歳出規模が増えることを織り込むと収支を0.2兆円悪化させることになる。 加えて、2023年11月に策定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」等の支出が2025年度にも食い込むことなどの影響で、2023年7月試算で見込んでいたよりも歳出が1.0兆円増えることとなるという。これらは、収支の悪化要因となる。 これら2つの要因を合わせて1.2兆円の収支悪化を、2024年1月試算では反映している。 以上より、2024年1月試算では、前掲の通り、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は1.1兆円の赤字となるという見通しを示した。ちなみに、この基礎的財政収支の赤字の額は、2025年度の名目成長率が1.7%とより低いベースラインケースでは2.6兆円となる。 確かに、成長率に関する見通しは、成長実現ケースのほうがベースラインケースよりも楽観的ではあるが、2025年度の財政健全化目標に影響を与える差異は、2025年度その年の成長率だけだから、両ケースの成長率の見通しの違いが目標達成の成否に大きく影響を与えるというわけではない。 このように、内閣府は、財政収支の試算の背景を分析している。これは、今後の政策的含意を考えるうえで極めて重要な情報となる』、「2024年1月試算では、前掲の通り、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は1.1兆円の赤字となるという見通しを示した。ちなみに、この基礎的財政収支の赤字の額は、2025年度の名目成長率が1.7%とより低いベースラインケースでは2.6兆円となる」、なるほど。
・『後年度に財政支出が「漏れ出る」元凶  将来の財政収支に対して、足元の歳出効率化努力が、収支改善要因となる一方、節度なく経済対策を講じて歳出を膨らませれば収支悪化要因となる。特に、近年の経済対策は、悪化要因として後に尾を引くという質の悪いものとなっている。 2023年11月に策定された総合経済対策は、即効性を考えれば2023年度や2024年度に効果が出るように財政支出をすべきものだろう。しかし、内閣府の試算は、足元で講じたはずの経済対策に伴う財政支出が、後に尾を引く形で2025年度にも「漏れ出る」ような構造であることを浮き彫りにした。 なぜ即効性を期待したい経済対策なのに、策定されてから翌々年度になるようなほど財政支出が遅れて出てくるのか。 その元凶の一端は、「基金」にある。 「基金」は、2023年11月に行われた行政改革推進会議の秋のレビューでも取り上げられ、その実態に批判が集中し、議論の結果を受けて「基金の見直し・点検の横断的な方針」を定めることとした。目的があいまいなまま、補正予算を中心に元手となるお金だけを基金として先取りして貯め込み、それを後年度に都合よく支出しようとする様が問題となった。) 約150にものぼる基金の残高は総額で、2022年度末で約16.6兆円、2023年度末でも約12.7兆円に達する見込みである。これらの基金をいついくら執行するかは、基金設置法人およびその所管省庁の判断に委ねられており、財務省は拒否権を持つような形で直接コントロールできない。 この12.7兆円もの基金残高が、いついくら執行されるかによって、2025年度の財政健全化目標の達成に影響を与えうる。 確かに、基金を造成した際の支出は、当該年度の決算段階では支出済みとなっている。しかし、それは国の会計から基金設置法人へ繰り出されたまでであって、すぐさま執行しなければ、その基金設置法人に貯め込まれたままとなっている。 問題は、基礎的財政収支の計算上、その基金から支出されたときにどうなるかである』、「内閣府の試算は、足元で講じたはずの経済対策に伴う財政支出が、後に尾を引く形で2025年度にも「漏れ出る」ような構造であることを浮き彫りにした。 なぜ即効性を期待したい経済対策なのに、策定されてから翌々年度になるようなほど財政支出が遅れて出てくるのか。 その元凶の一端は、「基金」にある・・・約150にものぼる基金の残高は総額で、2022年度末で約16.6兆円、2023年度末でも約12.7兆円に達する見込みである。これらの基金をいついくら執行するかは、基金設置法人およびその所管省庁の判断に委ねられており、財務省は拒否権を持つような形で直接コントロールできない・・・問題は、基礎的財政収支の計算上、その基金から支出されたときにどうなるかである」、なるほど。
・『国や地方自治体の基金が支出すれば収支に計上  まず、基金設置法人が、一般財団法人など民間団体になっている場合は、本稿で焦点を当てている国と地方の基礎的財政収支の対象外となっている。だから、その場合は、基金に貯め込まれている資金を支出していなくても、すでに国の会計から民間団体である基金設置法人へ繰り出された段階で、国と地方の基礎的財政収支の悪化要因(財政支出として計上)となり、以後はそこから先へ、いつ、いくら支出されても無関係となる。 しかし、基金設置法人が独立行政法人など国や地方自治体の機関である場合、国と地方の基礎的財政収支の対象となり、基金設置法人から支出された段階での基礎的財政収支の悪化要因(財政支出として計上)となる。これが、本稿で問題視しているものである。 基金を造成した段階で資金を支出したかのように見えて、国と地方の基礎的財政収支の定義上(これは、GDPなどの統計の基となる国民経済計算体系の定義に即している)は、会計・勘定間の振替のようなものにすぎず財政支出とはみなされない。 そして、独立行政法人など国や地方自治体の機関が基金設置法人であると、その法人から資金が支出された年度に、その支出が基礎的財政収支を悪化させるのだ。 それがよりにもよって2025年度だったらどうなるか。) 元をたどれば、基金を造成したのが2023年度以前であるにもかかわらず、つまり、まさか2025年度の財政健全化目標の達成を阻むつもりで基金を造成したわけではなかったにもかかわらず、その基金にある資金を2025年度に支出してしまうと、前述した内閣府の分析にはまだ織り込まれていない形で、「国と地方の基礎的財政収支黒字化」という目標達成を妨げることになる。 もちろん、その基金からの支出が、わが国の経済成長を促すものならまだよい。しかし、成長力を強化することに大して役に立たず、既得権益を保護するだけのために基金から支出するということなら、わが国の経済成長にも財政収支にも、百害あって一利なしである。そんな基金からの支出は、せめて2025年度には禁止すべきである。 加えて問題視しなければならないのが、2024年度補正予算である。政府は、これから2024年度当初予算案を国会に諮ろうとしているから、もちろんまだ姿も形もない。さらに、2025年度に補正予算で財政支出を大幅に増やすとなると、2025年度の財政収支を悪化させるから、これも当然問題である。 では、なぜ2024年度補正予算も問題視するのか』、「成長力を強化することに大して役に立たず、既得権益を保護するだけのために基金から支出するということなら、わが国の経済成長にも財政収支にも、百害あって一利なしである。そんな基金からの支出は、せめて2025年度には禁止すべきである。 加えて問題視しなければならないのが、2024年度補正予算」、なるほど。
・『「繰り越し」前提の補正予算  それは、近年の補正予算は、大半を翌年度に繰り越すことを前提とする形で歳出が計上されているからである。 第2次安倍晋三内閣以降、「15カ月予算」が常態化している。つまり、当該年度が残り3カ月となった12月末に、新年度予算の12カ月だけでなく、当該年度の補正予算も、事実上セットで編成するという政策方針である。 しかし、残り3カ月で何兆円もの追加の支出を使い切れるはずはない。だから、残り3カ月ほどになった時点で編成する補正予算は、翌年度に繰り越して支出することをほぼ前提にしたものといってよい。 すると、2024年度補正予算で計上された支出を、翌年度、つまり2025年度に繰り越して支出するとどうなるか。 それは、文字通り、2025年度の財政支出を増やして、2025年度の基礎的財政収支を悪化させる。だから、2025年度の補正予算だけでなく、2024年度の補正予算までも、視野に入れて2025年度の基礎的財政収支がどうなるかを見極めなければならない。 結局は基金に貯め込むだけで、民間に対して支出するわけではないような歳出を、わざわざ2024年度に追加して出す必要はない。 消費税率が10%に引き上げられて以降、わが国の税収は、幸いにして好調である。2024年の所得税の定額減税は1年限りとし、無駄な財政支出を過剰に増やさなければ、そして引き続き歳出効率化努力を進めれば、2025年度の基礎的財政収支黒字化は達成可能である。それには、苛烈な緊縮財政など不要である。 わが国において基礎的財政収支の黒字化は、2011年度を目標としたがリーマンショックで頓挫し、改めて2020年度を目標としたが消費税収の使途変更で達成年次を延期して、今に至っている。延期される度に、政策路線の不毛な対立を助長してきた。 2025年度は努力すれば実現できるところまで来ている。過剰な財政支出で物価高をあおらないようにしつつ、基礎的財政収支黒字化目標を一度は達成することが肝要だ』、「2024年の所得税の定額減税は1年限りとし、無駄な財政支出を過剰に増やさなければ、そして引き続き歳出効率化努力を進めれば、2025年度の基礎的財政収支黒字化は達成可能である。それには、苛烈な緊縮財政など不要である。 わが国において基礎的財政収支の黒字化は、2011年度を目標としたがリーマンショックで頓挫し、改めて2020年度を目標としたが消費税収の使途変更で達成年次を延期して、今に至っている・・・2025年度は努力すれば実現できるところまで来ている。過剰な財政支出で物価高をあおらないようにしつつ、基礎的財政収支黒字化目標を一度は達成することが肝要だ」、その通りだ。

第三に、昨年12月18日付け東洋経済オンライン「森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか 話題の書『ザイム真理教』めぐり論客が誌上討論」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/721495?display=b
・『鳴動する政治。終息しない戦乱。乱高下する市況。その先にあるのは活況か、暗転か――。 『週刊東洋経済』12月23-30日 新春合併特大号の特集は「2024年大予測」。世界と日本の行方を総展望する。 森永『ザイム真理教』を私が執筆したのは、財務省の唱える財政均衡主義という「教義」が、国民生活の向上を阻害していること。にもかかわらず財務省は、政治家やマスコミを通じ、国債暴落や超インフレの恐怖をあおり、国民をその教義で「洗脳」していること。そんなカルトのような状況を明らかにするためだった。 光栄にも本書は今年のベストセラーとなった。 土居国民は、税収よりも歳出が多いという帳尻の合わない状態が続く気持ち悪さを、素直に受け止めている。国民は賢いから財務省の言いなりにはならない。 「財務省が国民を洗脳」というメッセージは、国民を愚弄している』、「森永『ザイム真理教』を私が執筆したのは、財務省の唱える財政均衡主義という「教義」が、国民生活の向上を阻害していること。にもかかわらず財務省は、政治家やマスコミを通じ、国債暴落や超インフレの恐怖をあおり、国民をその教義で「洗脳」していること。そんなカルトのような状況を明らかにするためだった」、興味深そうだ。
・『赤字を大きくしすぎるとインフレを招く  森永財政赤字の唯一の問題は、赤字を大きくしすぎるとインフレを招くことだ。一定額の財政赤字を出し続けても、高インフレにならない限り問題ない。 2020年度の基礎的財政収支の赤字は80兆円だったが、それでもインフレにはならなかった。私は、未来永劫年100兆円程度の赤字を出し続けても、日本の財政には何の問題もないと思う。 土居10年代は顕著にインフレにならなかったから、あれほど財政赤字を出しても、日銀が国債を買えたので国債暴落が起きなかっただけだ。しかし今後はインフレが起きうる状況となっており、これまでと同様にはいかない。) 日銀も国債をずっと持ち続けることはできなくなる。物価高対策で、いずれは市中に事実上売らざるをえない。民間が買った国債は、政府が税金で、利子を払ったり、満期が来たら返済したりしなければならない。「日銀が国債を買えば、返済の必要はない」という本書の主張も通用しなくなる。 森永現在は通貨供給が過大になったことでのインフレではない、コストプッシュ型のインフレだ。 確かに日銀が国債を持ちすぎればインフレになるが、その天井はそうとう高いだろう。民間が保有する国債の元本返済や利払いが負担になるようなら、その国債を日銀が買い取ればよいだけの話だ。 土居インフレ期に、日銀が国債を買って通貨供給を増やせば、インフレをあおることにならないか。 日銀が国債を持つ天井はそうとう高いという指摘だが、国債累増との見合いで日銀が買い入れているがゆえに、現在のマネタリーベースは対GDP比で120%、終戦直後の2倍超と歴史的に異常な規模だ。いずれマネタリーベースは対GDP比が安定する水準まで低下させざるをえない。それは通貨量の大幅減か、物価が上昇するかだ』、「日銀が国債を持ちすぎればインフレになるが、その天井はそうとう高いだろう」、との森永氏の指摘に対して、「日銀が国債を持つ天井はそうとう高いという指摘だが、国債累増との見合いで日銀が買い入れているがゆえに、現在のマネタリーベースは対GDP比で120%、終戦直後の2倍超と歴史的に異常な規模だ。いずれマネタリーベースは対GDP比が安定する水準まで低下させざるをえない。それは通貨量の大幅減か、物価が上昇するかだ」、私は土居氏の指摘に共感を覚える。
・『安定化の必要はない  森永安定化の必要はない。高インフレにならない範囲で、日銀の国債保有を拡大し続け、そこで生まれる通貨発行益を財源に国民生活を改善させるべきだ。 新たに通貨を発行したら、その額は国の利益となる。その利益を通貨発行益というが、アベノミクスの最大の成果は、年間80兆円程度の通貨発行益を出しても、まったくインフレにはならないと実証したことだ。 土居いや、通貨発行益とは経済学では、通貨量残高に利子率を乗じた額で、日銀も「有利子の資産(国債など)から発生する利息収入」と定義している。国債利子率がほぼゼロのときは、通貨発行益は10兆円単位とはならない。 森永通貨発行益を通貨量残高に利子率を乗じた額とするのは、一部の人が通貨発行益を矮小化するため行っている誤った定義だ。) 土居その定義こそ筋が通らない。仮にご指摘の定義を採用し、今年度末の通貨量残高と前年度末の通貨量残高の差を通貨発行益と認識した場合、22年度末は18兆円のマイナスだ。つまり統合政府の財政収支は、22年度は18兆円も赤字が増えることになる。 「政府債務は政府資産と相殺すれば大きくない」という本書の記述も奇妙だ。政府の主な金融資産は年金積立金。将来の年金給付に充てるそれを相殺し借金返済に充てる、という議論に意味はない。 森永政府が抱えている資産1100兆円のうち、年金積立金は200兆円程度で、しかも年金債務が負債にも計上されている。資産の大部分は、持つ必要のない資産だ』、これも土居氏の議論に歩がある。
・『増税ではなく経済対策が先  土居国の資産のほとんどは、売るのが非現実的な資産だ。政府が持つ米国債は売れば金融市場が混乱するし、外交上の難しさもある。政府系金融機関からの貸付金も、保有をやめることは法人・個人への貸し?がしを意味する。実物資産は道路などのインフラだ。 森永売ったほうがよい資産もある。外貨準備は必要額の何倍も保有している。高速道路もすでに民営化されているのだから、株式を公開すればいい。不動産も、国会議員が格安で入居する都心のタワーマンションも、都心の公務員住宅も、いろいろある。 政府はそれをせずに増税を進めようとする。増税ではなく経済対策が先だと言いたい。税収弾性値は最近では3を超えている。「消費税は全廃して今後も復活させない」と宣言すれば、確実に消費は増えて経済は拡大する。 土居税収弾性値は、増税せず経済成長すれば税収が多く入る話のときばかり持ち出されるが、反面、国民負担率が高まることを意味する。仮に税収弾性値が3なら日本の国民負担率はたちまち50%を超える。税収弾性値が高いと国民負担率はおのずと上がるという現象を隠してはいけない。もっとも現実には、税収弾性値はそれほど高くはない。 ・税収弾性値…経済を1%成長させたとき税収が何%増えるかの指標 ・国民負担率…税金や社会保障費が国民の所得に占める負担の割合) 森永すでに日本の社会保障や公的サービスは劣化している。公的年金の所得代替率(現役世代の手取り収入に対する年金給付の比率)は先進国中最低水準だし、公的教育費がGDPに占める比率はOECD諸国内で最低水準だ。これ以上緊縮になってはいけない。 土居日本の医療保険制度はWHO(世界保健機関)からも手厚いと評され、世界に冠たるものだ。 教育支出が低水準というのは、全人口に占める児童・生徒数の比率が他国より低いからだ。日本では、小中学校は大半が公立で、義務教育は無償。教育への財政支出を渋っているわけではない。 公的年金の所得代替率が低いのは、04年の年金改正でこれ以上社会保険料負担を増やしてほしくないと労使が求め、事実上の賦課方式化したからだ。緊縮財政のせいではない。 もし国民の総意で、所得代替率をもっと上げるべきだということになったら、年金保険料を上げれば実現できるだろう』、「売ったほうがよい資産もある。外貨準備は必要額の何倍も保有している。高速道路もすでに民営化されているのだから、株式を公開すればいい。不動産も、国会議員が格安で入居する都心のタワーマンションも、都心の公務員住宅も、いろいろある」、この森永氏の主張には賛成だ。
・『国債を日銀に買い取らせればいい  森永所得代替率の引き上げを増税に頼る必要はない。国債を日銀に買い取らせればいい。 欧州の多くの国で少なくとも公立大学は無償の国が多いのに対し、日本の国立大学の授業料は年間53万円を超えている。人口割合の話だけではない。 土居高等教育に関しては、20年度から消費税増税財源を用いて、低所得世帯の授業料・入学金の軽減と、給付型奨学金の大幅拡充を行っている。 財源を国債買い入れで賄うのも、結局は教育費負担の軽減をした学生に、将来その返済負担を強いるだけ。将来のある学生に投じる教育費は、低所得世帯に配慮しつつ、高所得の親により多く出してもらう形で、親世代が責任を持って負担するべきだ』、教育費の問題では、土居氏の見解を支持したい。総じて土居氏の見解に共感を覚える。
タグ:土居 丈朗氏による「ガソリン価格を抑える補助金が逆に物価を上げる 今や秋の風物詩「補正予算」は見せかけに堕した」 東洋経済オンライン 政府財政問題 (その9)(ガソリン価格を抑える補助金が逆に物価を上げる 今や秋の風物詩「補正予算」は見せかけに堕した、2大悪弊が2025年「緊縮ナシで財政黒字化」を阻む 足元の経済対策が後を引く「基金」と「補正予算」、森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか 話題の書『ザイム真理教』めぐり論客が誌上討論) 「補正予算はむしろ、満たさなければならない事情があるときに限り、組むことができるものである」、そんな原則があったとは初めて知った。 「公共事業の追加増額は、建設資材の価格上昇をもたらしこそすれ、価格下落を引き起こすことはあり得ない」、その通りだ。 「ガソリン補助金は、ガソリンの小売価格を抑えてはいるが、ほかの商品の価格の上昇を助長し、経済全体でみると消費者物価全体を押し上げる方向に作用している・・・補正予算で積んだだけの「見せかけ」に堕したものも多い。年度末までに使わずじまいとなった歳出の不用額は、2020年度には3兆8880億円、2021年度には6兆3029億円、2022年度には11兆3084億円と、ついに10兆円を超えた」、なるほど。 「「見せかけ」に終わるような補正予算なら、経済効果もないし、金額を盛る必要はない。おまけに、物価高騰を助長するような情勢で、財政出動をするのは逆効果である・・・今秋に補正予算を組むなら、当初予算で計上した巨額の予備費について、その使途を確定させて国会での審議を受けるために、予算を組み替える。そんな補正予算なら、財政民主主義の観点からも意味があるものだろう」、その通りだ。 土居 丈朗氏による「2大悪弊が2025年「緊縮ナシで財政黒字化」を阻む 足元の経済対策が後を引く「基金」と「補正予算」」 「2025年度の名目成長率を2.8%と見込む成長実現ケースでは、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は、1.1兆円の赤字となる・・・これまで取り組んできた歳出の効率化努力を引き続き2025年度にも行えば、基礎的財政収支はごくわずかな黒字となり、ぎりぎり財政健全化目標は達成できる」、なるほど。 「2024年1月試算では、前掲の通り、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は1.1兆円の赤字となるという見通しを示した。ちなみに、この基礎的財政収支の赤字の額は、2025年度の名目成長率が1.7%とより低いベースラインケースでは2.6兆円となる」、なるほど。 「内閣府の試算は、足元で講じたはずの経済対策に伴う財政支出が、後に尾を引く形で2025年度にも「漏れ出る」ような構造であることを浮き彫りにした。 なぜ即効性を期待したい経済対策なのに、策定されてから翌々年度になるようなほど財政支出が遅れて出てくるのか。 その元凶の一端は、「基金」にある・・・ 約150にものぼる基金の残高は総額で、2022年度末で約16.6兆円、2023年度末でも約12.7兆円に達する見込みである。これらの基金をいついくら執行するかは、基金設置法人およびその所管省庁の判断に委ねられており、財務省は拒否権を持つような形で直接コントロールできない・・・問題は、基礎的財政収支の計算上、その基金から支出されたときにどうなるかである」、なるほど。 「成長力を強化することに大して役に立たず、既得権益を保護するだけのために基金から支出するということなら、わが国の経済成長にも財政収支にも、百害あって一利なしである。そんな基金からの支出は、せめて2025年度には禁止すべきである。 加えて問題視しなければならないのが、2024年度補正予算」、なるほど。 「2024年の所得税の定額減税は1年限りとし、無駄な財政支出を過剰に増やさなければ、そして引き続き歳出効率化努力を進めれば、2025年度の基礎的財政収支黒字化は達成可能である。それには、苛烈な緊縮財政など不要である。 わが国において基礎的財政収支の黒字化は、2011年度を目標としたがリーマンショックで頓挫し、改めて2020年度を目標としたが消費税収の使途変更で達成年次を延期して、今に至っている・・・ 2025年度は努力すれば実現できるところまで来ている。過剰な財政支出で物価高をあおらないようにしつつ、基礎的財政収支黒字化目標を一度は達成することが肝要だ」、その通りだ。 東洋経済オンライン「森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか 話題の書『ザイム真理教』めぐり論客が誌上討論」 森永『ザイム真理教』 「森永『ザイム真理教』を私が執筆したのは、財務省の唱える財政均衡主義という「教義」が、国民生活の向上を阻害していること。にもかかわらず財務省は、政治家やマスコミを通じ、国債暴落や超インフレの恐怖をあおり、国民をその教義で「洗脳」していること。そんなカルトのような状況を明らかにするためだった」、興味深そうだ。 「日銀が国債を持ちすぎればインフレになるが、その天井はそうとう高いだろう」、との森永氏の指摘に対して、「日銀が国債を持つ天井はそうとう高いという指摘だが、国債累増との見合いで日銀が買い入れているがゆえに、現在のマネタリーベースは対GDP比で120%、終戦直後の2倍超と歴史的に異常な規模だ。いずれマネタリーベースは対GDP比が安定する水準まで低下させざるをえない。それは通貨量の大幅減か、物価が上昇するかだ」、私は土居氏の指摘に共感を覚える。 これも土居氏の議論に歩がある。 「売ったほうがよい資産もある。外貨準備は必要額の何倍も保有している。高速道路もすでに民営化されているのだから、株式を公開すればいい。不動産も、国会議員が格安で入居する都心のタワーマンションも、都心の公務員住宅も、いろいろある」、この森永氏の主張には賛成だ。 教育費の問題では、土居氏の見解を支持したい。総じて土居氏の見解に共感を覚える。
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