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暗号通貨(仮想通貨)(その9)(仮想通貨流出事件は「始まり」に過ぎない 逆風を乗り越えてデジタル革命は本格化する、「暗号通貨に首ったけ」なニッポン人 史上最大級のバーチャル強盗に困惑、ベネズエラが発行する仮想通貨「ペトロ」とは?) [金融]

暗号通貨(仮想通貨)については、2月3日に取上げた。NEMの流出事件を踏まえた今日は、(その9)(仮想通貨流出事件は「始まり」に過ぎない 逆風を乗り越えてデジタル革命は本格化する、「暗号通貨に首ったけ」なニッポン人 史上最大級のバーチャル強盗に困惑、ベネズエラが発行する仮想通貨「ペトロ」とは?)である。

先ずは、コンサルティング会社、BCGのシニアアドバイザーの御立 尚資氏が2月1日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「仮想通貨流出事件は「始まり」に過ぎない 逆風を乗り越えて、デジタル革命は本格化する」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽デジタルエコノミーに対する猛烈な逆風の予兆
・仮想通貨の取引所がハッキングされ盗難にあったことが、メディアをにぎわしている。これはこれで重大な話だし、(やや不謹慎であることをお許しいただきたいが)ブロックチェーンの特徴を活かして、盗まれたNEMという仮想通貨が使われたり他の通貨に交換されたりしないようにして、犯人を追跡しようとする動きを、興味深く注視している。
・ただ、個人的には、このニュース、これから2~3年、早ければ1年以内に吹き荒れるであろうデジタルエコノミーに対する猛烈な逆風のさきがけではないか、と感じている。もう一歩踏み込むと、この逆風とそれに伴う淘汰を乗り越えて、はじめて第4次産業革命と称されるデジタル革命が、ポジティブな形で本格化する時代に入る。そんな予感がしているのだ。
・ここ5年ほどの間は、デジタルの世界が圧倒的な経済価値を示してきた時期だと思う。 世界の時価総額トップ5が米国のデジタル企業に独占され、その次のランクにも中国のテンセントとアリババグループが入った。(2017年12月末時点のトップ5は、アップル、アルファベット[グーグル]、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック)。また、AIの進化、ブロックチェーン技術の登場とフィンテックへの期待などが相まって、ベンチャーキャピタルの投資額は増え続けてきた。
・一方、仮想通貨の世界では、さまざまな問題を乗り越えて、ビットコインの時価総額は1800億米ドル(約20兆円)にも達している。ビットコイン以外の仮想通貨も増え続けており、その時価総額の合計は50兆円を超えるのではないかと推定されている。 極端な言い方をすれば、デジタル関連に資本が集まり、その資本の評価額が上昇することで、デジタル分野でのM&Aやベンチャー投資がさらに盛んになる、という循環が続き、「デジタル革命による価値創造」という信仰が拡がった時代ということになる。
▽ソロスも批判、「Tech titan」への風当たりは強まるか?
・しかし、目を凝らして見ると、この好循環が一方向で進むとは限らないと思える要因がいくつも登場してきた。 第一に、以前このコラムでも取り上げた「Tech titan(注*1)への風当たり」(2017年7月24日公開「アンチトラスト法はアマゾンを規制するか?」参照)。 (注*1) アマゾン、フェイスブック、グーグル(アルファベット)など巨大化したデジタル企業の総称。
・今年のダボス会議で、ジョージ・ソロスが行ったスピーチが代表的だが、「巨大化したITプラットフォーム企業がデータを独占し、不当な利益をあげている」というトーンでの批判が相次いでいる。さらに、アマゾンによる小売業淘汰と雇用減少に対する米国議会での議論、ヨーロッパの各国当局からのデータプライバシー侵害への懸念表明と規制強化の流れ、など、「新しい時代のユーザーメリットを提供する企業像」から「巨悪になりかねないデータ独占・寡占企業群というイメージ」へのシフトは驚くほどだ。 中には、独占禁止の観点から、過去のスタンダードオイルやAT&Tの分割に匹敵する規制を主張する向きも出てきている。
・言い換えれば、国家対企業、という構図になる可能性を秘めているわけで、国が法規制を通じて行使できる力を考えると、少なくとも今の時価総額(現実のキャッシュフローではなく、将来期待を大きく織り込んだもの)が揺らぐ事態になっても不思議ではない。
▽米国・中国間など、テクノロジー覇権を巡る競争の行方
・第二に、米中間を中心とするテクノロジー覇権を巡る競争。 中国は、昨年の全人代での習近平主席の演説に見られるように、AI、ロボティクス、半導体、などの戦略分野で、世界トップクラスになることを明確な目標とし、国営企業や研究機関に対して膨大な投資を始めている。実際に、AIの論文数などでは、すでに世界トップクラスに達したと言ってもよいだろう。
・問題は、この技術を安全保障と国内の社会コントロールのために、徹底的に活用しようとしていることだ。これに対抗する意味もあり、米国政府は中国企業による米国IT関連企業へのM&Aを厳しくコントロールし、また通信インフラ等への中国製品・サービスの導入を差し止めようとし始めている。同様の争いは、ロシアゲートも含めて、米ロ間でも発生している。
・この流れは、インターネット初期から信じられてきた「技術は世界をフラット化する」というテーゼに明らかに逆行する。米国一極集中が終わり始めた現在、技術は、その影響力の高まりとともに、世界をブロック化する方向にも働き始めたのだ。これまた、米国Tech titan、あるいは高いマルチプルを享受しているベンチャー企業の、将来価値を低める要因となる。
▽攻撃ツールの流出で、サイバーテロの可能性が高まっている
・第三には、今回の仮想通貨ハッキングだけでなく、サイバーセキュリティの脆弱性への懸念が高まること。そして、さまざまな犯罪行為による被害が増加して、デジタル技術の社会実装に関して、場合によっては必要以上に抑制的な規制が行われる可能性だ。
・今回の盗難は、ブロックチェーン技術そのものの問題ではなく、「取引所」という名前でありながら資産保管も請け負う組織に、サイバーセキュリティ上の弱点があったということだろう。 (ちなみに、私自身はブロックチェーン技術の有用性は信じているが、量子コンピューティングの実用化に伴う暗号解読性能の飛躍的拡大、今の仮想通貨の仕組みでは取引スピード・量の拡大に制約が大きいこと、など、同技術自体も今後克服すべき課題がまだまだあるとも感じている)
・いくつもの国家がサイバー攻撃能力を高め、敵対する国家の重要インフラを機能不全にする力も付けつつあること。また、この流れの中で、サイバー攻撃に使われるツールがアンダーグラウンドの世界に流出していて、サイバーテロの可能性が高まっていること。 
・これらを考えると、一般社会がサイバー被害の大きさや頻度にパニックになり、過剰な反応をする可能性は十分にあるのではなかろうか。 また、現在の仮想通貨市場「根拠なき熱狂」に近い状態にある。一方、従来型の株や債券の市場が長い時間と数多くの失敗を通じて築き上げてきた詐欺的行為や相場操縦の排除、あるいは一般投資家保護の仕組みは、まだできあがっていない。
・したがって、今後大きな損失を被る個人が多数でて、社会問題化するシナリオも考えておかねばならない。ちなみに、2018年1月16日付けで、Project Syndicateに出されたNouriel Roubini氏の寄稿など、仮想通貨とブロックチェーンへの辛辣な批判も、すでに出てきているのが現状だ。
▽スケープゴートのように「デジタル悪者論」が出てくるだろう
・さて、これら3つの大きな流れに加え──  +ここのところ、今のTech titanのような超ド級の当たりが出なくなってきている中、ベンチャー投資の世界もどこかで市場価格の調整が行われる可能性が高まっていること
 +米国株式市場全体が将来期待を存分に織り込んで高マルチプルを謳歌している一方、金融引き締めが始まりつつあること といった環境要因も勘案すると、なんらかの形で、市場調整が始まってもおかしくはない。
・いつどのように始まるか、あるいは、どういうマグニチュードとスピードで調整が進むか。これは正直分からないが、可能性を頭に置いて、それに備えることは必要な状態になってきていると思う。 この調整の中で、スケープゴートのように「デジタル悪者論」のようなものが必ず出てくるだろうし、デジタル関連のベンチャー、なかにはもう少し大きい企業の中でもバランスシートが弱いところは、淘汰されることもあるだろう。
・最初に述べたように個人的には、「逆風」と「調整」の後のデジタル革命のポジティブな進展を信じている。前の産業革命の際の、ラッダイト(機械の打ち壊し)運動をあげるまでもなく、本当に新しいものが出てきた時、それが定着し、社会に大きなメリットを与える前には、大きな揺り返しがつきものだし、それを乗り越えることで、本質的に世界を良くするものが何か、がはっきりと立ち現われてくる、と考えているからだ。 さて、はからずも予言めいた話になってしまった。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213747/013000064/

次に、2月13日付けJBPressがファイナンシャル・タイムズ記事を転載した「「暗号通貨に首ったけ」なニッポン人 史上最大級のバーチャル強盗に困惑、それでも熱烈なファンは支持」を紹介しよう。
・かつて「アイドル」ガールズ・バンドのメンバーとして活躍し、現在はセレブのニュースを扱うサイトでディレクターを務める熱心な暗号通貨投資家の山咲こむぎ氏は1月26日、見慣れない電子メールをオフィスで受信した。  差出人はお気に入りの仮想通貨取引所、コインチェックだった。 日本の有名コメディアンを起用したテレビCMをプライムタイムに流している企業で、山咲氏はここに数百万円を預けていた。メールを開いてみると、XEM(ゼム)という仮想通貨の出金を一時停止していると書かれていた。
・暗号通貨ブームに酔いしれていた日本の若者たちと同様に、山咲氏は数カ月前からXEMを買い増し、価格が急伸する中で再投資を繰り返していた。 ソフトウエアのメンテナンスでもしているのだろうと考え、メールを一蹴しようとした。ところが、日本のソーシャルメディアの著名人たちから、うわさやニュースを引用した不安そうなツイートが飛び込んできた。
・やがて、本格的なパニックが始まった。自分の大事なXEMがハッカーに盗まれた、史上最大級の強盗にやられた――山咲氏はすぐにそう理解した。 「私はコインチェックを完全に信じていました。信頼していました」。このほかにも4つの仮想通貨取引所に取引口座を持ち、それらの間の価格差から利益を得ることに長けている山咲氏はこう語った。
・「あの人たちはいつもセキュリティーの話をしていました。でも、話だけだったんですね」 5億2300万XEM(ざっと5億ドルに相当)が盗まれた事件は、同じく東京を本拠地とするマウントゴックスの一件を思い出させる。 2014年に同様なハッキングを受けた同社はその後破綻した。投資家は損失を被り、1回目のビットコイン・ブームは最悪の結末を迎えた。
・山咲氏のような若手暗号通貨トレーダーの間では、「GOXする」という言葉が取引所の破綻を意味する動詞として使われている。 しかし、規制を通じた暗号通貨の合法化で世界をリードしてきた日本の政府当局者の間では、金融界のイノベーション(技術革新)がどんなコストをもたらし得るかを思い出させてくれる、恐ろしい言葉として受け止められている。
・米国当局によれば、2009~2015年に世界のビットコイン取引所の3分の1がハッキングの被害に遭っている。 技術面と法制面における日本政府のアドバイザーたちは、こうした脆弱さについてもっと率直な指摘をしている。コインチェックの大惨事の詳細が明らかになるなか、日本の金融庁は信頼を失う瀬戸際に立たされている。
・コインチェックでの盗難は、暗号通貨そのものがぐらついているタイミングで発生した。ビットコインをはじめとするこれらの通貨は現在、下落基調にあるが、最近までは驚異的な上昇相場を演じていた。 中には、2017年末までの数カ月で100倍に値上がりしたものもあった。煽ったのは日本の投資家だった。レバレッジをかけて行われることが多い日本の投資家の取引は、世界全体の40%を占めていた。
・中国と韓国は仮想通貨そのものを禁止しようとしており、台湾の取引所「ビットフィネックス」とその暗号通貨「テザー」については疑問が積み上がっている。 そうした中、仮想通貨ブームの将来は、山咲氏がXEMを取り戻せるか否かにかかっているのかもしれない。
・コインチェックの大塚雄介・最高執行責任者(COO)は、暗号通貨ブームを誰にも負けないほど楽しんでいた。実際、1月25日(木曜日)の午後5時、つまり盗難に遭うほんの数時間前に、大塚氏はブームについて豪語していた。 日本経済新聞のインタビューに答え、「現代版ゴールドラッシュですよ。仮想通貨取引所はすでに1.5強。うちがトップで、ビットフライヤーさんがうちの半分くらい」だと話していたのだ。
・コインチェックは、日本で最もシンプルで使い勝手のよい取引所だという評判を得ており、この国は暗号通貨に首ったけだった。27歳の和田晃一良社長をはじめとする経営陣は、大変なお金持ちになりつつあった。
・1月26日未明。いつもとは違う種類のユーザーが、コインチェックが非常に使い勝手のよい取引所であることに気づいた。ハッカーだ。 真夜中に2階の窓から忍び込むコソ泥よろしく同社のセキュリティーを破り、XEMという宝が「ホット・ウォレット」、すなわちインターネットに接続されたコンピューターに保管されているのを発見したのだ。 本来であれば、暗号通貨はネットワークから切り離された「コールド・ウォレット」に保管するのが最も良いやり方だ。
・ハッカーがどこの誰なのか、どうやって宝を持ち出したのかといった情報はまだない。しかし、XEMのブロックチェーンからは詳細な情報がいくつか見い出せる。 これによるとハッカーは午前0時2分、目の前に宝の山があることが信じられなかったのか、まず10XEM(約10ドル)だけ盗み出し、コインチェックから自分の追跡可能なウォレットに送金した。それから中に押し入り、デジタル金庫をあさり始めた。 ハッカーはその後の8分間で計5億2000万XEMを、6回に分けて持ち去った。その週の市場価格(1XEM=約1ドル)で評価すれば、これは史上最大級の盗難事件となる。銀行強盗や、美術品を狙う泥棒が引き起こす大事件と同じレベルだ。
・くだんのハッカーは奪ったものの大きさに衝撃を受けたのか、それから2時間ほどは何もしなかった。少なくとも、ブロックチェーンからは何の動きも見受けられない。 午前3時頃になって、盗んだXEMをほかのデジタルウォレットに送り始めたが、コインチェックのシステムはまだ開いたままだった。 そこで午前3時35分に150万XEM、同4時33分に100万XEMをそれぞれ新たに盗み出し、同8時26分には残っていた80万XEMにも手をつけた。コインチェックは有り金をすべて持って行かれたのだ。
・金庫は空っぽだったが、コインチェックの管理者がそれに気づくにはさらに時間を要した。 金曜に出勤してきた社員は、いつも通りに仕事を始めた。しかし午前11時25分、ようやく異常に気がついた。 うわさが広がり、預けた通貨を引き出そうとする動きが急増した。東京のトレンディーな街、渋谷にあるコインチェックのオフィスの外には、投資家やジャーナリストが多数集まり始めた。
・26日の夜遅く、ハッカーの襲撃からほぼ24時間が経過した頃、真っ青な顔をした和田氏と大塚氏がテレビカメラに向かって深々と頭を下げた。「このたびはお客さまにご迷惑をおかけしてしまい、まことに申し訳ございません」と大塚氏は述べた。
・「ゼム」と発音するXEMは、NEM(ネム)と呼ばれるシステムに組み込まれたデジタル通貨だ。NEMは、イーサリアムなどと同じく、企業がアプリケーションを作る際のプラットフォームとして設計された第2世代ブロックチェーンの1つだ。 2017年1月の時点で、XEMには1セント弱の価値しかなかったが、その後に文字通りの急騰を演じ、ハッキングされるまでに1万パーセントを超える値上がりを遂げていた。
・コインチェックは被害に遭った顧客26万人に対し、1XEM=80セントのレートで換算した現金(合計で4億2200万ドル)で返金すると約束している。 となると、山咲氏のような投資家にとっては、それだけの資金をコインチェックが持っているのか否かが大きな問題となる。 同社は財務状況についてはコメントを拒んだ。
・しかしこれまでの取引量を見る限り、暗号通貨ブームの時期には1日当たり200万~300万ドルの売り上げを得ていた可能性があり、ビットコインやXEMを含むそのほかの暗号通貨による顧客資産は、ハッキングに遭った時点で50億ドルに達していたかもしれない、とライバル会社は推計している。
・おそらく、これらの資産の評価額は、暗号通貨の急落に伴って目減りしているだろう。 ここで重要になるのは、コインチェックが自身の名義で多額の暗号通貨を保有しているかという問題だ。 保有しているなら、それを顧客への返金に充てることができるかもしれない。
・またライバル会社によれば、ハッカーと交渉するのは珍しいことではないため、同社は被害額よりも少ない額のビットコイン(あるいは、もっと使いやすいほかの通貨)をハッカーに差し出し、XEMを取り戻すことができるかもしれないという。
・XEMを発行するNEM財団には、奪われたXEMを取り戻すことはできない。だが、財団はXEMにタグ(銀行券の発券番号のようなもの)をつけているため、ハッカーが盗んだXEMをほかの取引所に持ち込もうとすれば、取引所の方で分かるようになっている。 ここで、今回の犯罪の奇妙な性質が浮かび上がる。コインチェックとその顧客は損をしたが、誰が得をしたかがはっきりしないのだ。
・「盗まれたXEMが移動も使用もされなければ、その分だけXEMの供給量が減少し、システム内のほかのXEMが稀少になって価値が高まる」NEM財団のジェフ・マクドナルド副代表はこう語る。 「しかし、ハッカーが売却できるのであれば、市場に放出したり安値で売却したりできる。先ほどとは逆の、供給が増えて需要が減るパターンだ。どちらのシナリオになるかは、時間が経ってみないと分からない」
・多くの暗号通貨が売られるなか、XEMの価格は2月2日の時点で50セントにまで下落した。 評論家などからは、日本の金融庁は規制を通じてハッキングを未然に防ぐはずだったから、今回の一件で恥をかいたことになる、コインチェックは暗号通貨の分野での金融庁の無能ぶりを白日の下にさらしたとの指摘も出ている。
・「トークンとは何か、ブロックチェーンの真の機能とは、ホット・ウォレットとは、コールド・ウォレットとは何なのか、金融庁は全然理解できていない。昨年初めの時点では、彼らの知識は非常に限られたものだった」 日本仮想通貨事業者協会(JCBA)の顧問弁護士、河合健氏はそう語る。
・金融庁は今、取り締まらなくてはいけないと考えている。2月2日にはコインチェックの立ち入り検査を行い、日本国内にあるほかの31事業者にもセキュリティーを強化するよう警告した。 また検査の実施や情報セキュリティーガイドラインの策定のために、外部の情報技術(IT)専門家を雇っている。仮想通貨取引所としての登録を申請したおよそ100社の事業者はこれから、長く待たされることになる。
・とはいえ金融庁も、起業家精神の旺盛な分野をつぶしたくはないと思っている。暗号通貨に代表されるいわゆる「フィンテック」は、日本政府の産業政策の一部にもなっている。この国の、停滞している金融セクターを成長させることがその目的だ。 「彼ら(金融庁)はこの規制を検討するとき、対象になるのは設立間もない小企業であって大会社ではないと思っていた。そのため、証券取引法は適さないと考えた。負担が重すぎて、イノベーションの芽を摘んでしまうからだ」と河合氏は指摘する。
・「金融庁のおかげで、日本は世界で初めて暗号通貨交換ビジネスというものを定義する国になった。今では、金融庁は暗号通貨を規制したいと思いながらも、ブロックチェーンでのイノベーションは引き続き促進したいと考えているように見える」 だが、規制当局が次の一手を考え、コインチェックが消滅に思いをめぐらせ、ビットコインの価格が年初来で40%下落している中にあっても、山咲氏をはじめとする投資家たちは暗号通貨を断固支持している。
・「私たちはまだ、仮想通貨に首ったけなんです」。山咲氏はスマートフォンで価格をチェックしながらそう言った。 「もし心配事があるとしたら、それはコインチェックが円で返金すると言ったことです。失礼ですよ。私たちはXEMを返してほしいんです」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52321

第三に、闇株新聞が2月22日付けで掲載した「ベネズエラが発行する仮想通貨「ペトロ」とは?」を紹介しよう。
・世界最大の原油埋蔵量(3000億バレル)があるベネズエラは、急進的な反米社会主義国であるため米国陣営から貸し出しが止められるなどの経済制裁を受けています。また相変わらず政権中枢の汚職も多く、国内経済が完全に破綻しています。 また2017年は2600%以上のインフレとなり(モノの価格が1年で25倍以上になる)、ベネズエラの自国通貨・ボリバルが1年で4%にまで減価したことになります。
・そんなベネズエラのマドゥロ大統領が2月20日、破綻した経済を立て直すため、ベネズエラ独自の仮想通貨「ペトロ」を発行すると発表しました。何でも豊かな埋蔵原油を価値の裏付けとし、「ぺトロ」1単位が埋蔵原油1バレルの価値に相当することを約束しているようです。
・またとりあえず発行上限を1億「ぺトロ」としているため、うまくいけば60億ドルが調達できます。また「ペトロ」はドル、ユーロ、円、人民元などの主要通貨と主要仮想通貨で購入でき、自国通貨・ボリバルでは購入できません。自国通貨・ボリバルがさらに下落することを避けるためです。
・要するにベネズエラ政府は、自国通貨・ボリバルの価値が急落してしまい、対立する米国からドルが調達できず、やむを得ず国際金融市場における資金調達の手段として、あるいは輸入代金の支払い手段として「苦し紛れに考案したもの」となります。
・ただ発行日の2月20日には、相当する原油価格の6割引きでオファーされていたようで、簡単に思惑通りにはいかないようです。さらに「ペトロ」は原油価格の価値に相当するとはいっても、実際に相当する原油と交換できるわけではなさそうです。
・このままだと「ペトロ」は不完全ではありながら埋蔵原油を裏付けとした「通貨の一種」となりますが、そこには最近流行りのブロック・チェーン技術が使われているようで、中央政府主導で発行される「価値の裏付けまで備えた」世界最初の仮想通貨であることになります。
・その基本システムはイーサリアムを使っているとも言われますが、最近日本で大量に流出したNEMのシステムが使われているようです。 もっと正確に言えば、同じように米国陣営からの経済制裁を受けているロシアが、本年1月に独自の仮想通貨・クリプトルーブルをロシアの法定通貨にするための法案を提出しています。また同じく経済制裁を受けている北朝鮮は、もっぱら他国から仮想通貨を「盗み出す」ことに力を入れているようです。
・もちろん本物の基軸通貨である米ドルと比べれば微々たる動きではありますが、トランプ大統領は必ずしもドルの価値を守ることがそれほど重要とは考えていないことや、その米国陣営から経済制裁を受ける国が増えているため(その主たる制裁とはドルを自由に使い保管することを禁じるものです)、反米陣営から仮想通貨が生まれ、不正利用も含めてそれなりの需要が出てくることになります。
・そこでベネズエラ政府が主導する仮想通貨「ペトロ」に話を戻します。 ここでベネズエラ政府が表に出ず、埋蔵原油も価値の裏付けとせず、普通の「仮想通貨」を発行したなら、そのICOや売り出しの稚拙さによって多少の差があるはずですが、それでも当初価格の5~10倍(あるいはそれ以上)の価格がついていたような気がします。
・繰り返しですが、不完全ではあるものの埋蔵原油が価値の裏付けとなっている「ペトロ」は、その埋蔵原油の価値の4割(6割引き)の価格となっています。ベネズエラ政府は、一応ホワイトペーパーを作成していますが、無国籍が原則の仮想通貨にベネズエラ政府の名前を出してしまったことと、律儀に(不完全ではありますが)埋蔵原油と価値が連動するようにしたところが「失敗」だったはずです。
・つまり昨年後半ほどの勢いはなくなっているようですが、それでも国籍が不明で何の価値保全も約束されていない「訳の分からない」仮想通貨が、国籍が明らかで何らかの価値保全が取られている仮想通貨より、はるかに高値で取り引きされていることになります。 2月21日付け「あまりにも未熟でモラルの低い仮想通貨取引所はどうすべきなのか?」と合わせて、そろそろ冷静になって仮想通貨バブルを警戒するべきだと考えてしまいます。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2174.htm

第一の記事の最後に、 『個人的には、「逆風」と「調整」の後のデジタル革命のポジティブな進展を信じている。前の産業革命の際の、ラッダイト(機械の打ち壊し)運動をあげるまでもなく、本当に新しいものが出てきた時、それが定着し、社会に大きなメリットを与える前には、大きな揺り返しがつきものだし、それを乗り越えることで、本質的に世界を良くするものが何か、がはっきりと立ち現われてくる、と考えているからだ』、との指摘は的確だ。さすが、御立氏である。
第二の記事で、 『米国当局によれば、2009~2015年に世界のビットコイン取引所の3分の1がハッキングの被害に遭っている』、にも拘らず、 『いつもとは違う種類のユーザーが、コインチェックが非常に使い勝手のよい取引所であることに気づいた。ハッカーだ』、というのは使い勝手のよさを重視するの余り、セキュリティを犠牲にしたコインチェックの自業自得とも言える。  『日本の金融庁は規制を通じてハッキングを未然に防ぐはずだったから、今回の一件で恥をかいたことになる、コインチェックは暗号通貨の分野での金融庁の無能ぶりを白日の下にさらしたとの指摘も出ている』、との金融庁批判はその通りだ。
第三の記事で、 『ベネズエラ独自の仮想通貨「ペトロ」を発行すると発表しました。何でも豊かな埋蔵原油を価値の裏付けとし、「ぺトロ」1単位が埋蔵原油1バレルの価値に相当することを約束』、というのでは、仮想通貨ではなく、実物資産に価値を裏付けられた「実物通過」である。 『相当する原油価格の6割引きでオファーされていた』、というのは、ベネズエラ政府が約束を履行できないリスクを織り込んだためであろう。 『国籍が不明で何の価値保全も約束されていない「訳の分からない」仮想通貨が、国籍が明らかで何らかの価値保全が取られている仮想通貨より、はるかに高値で取り引きされていることになります・・・そろそろ冷静になって仮想通貨バブルを警戒するべきだと考えてしまいます』、というのは説得力がある。
タグ:デジタルエコノミーに対する猛烈な逆風の予兆 個人的には、「逆風」と「調整」の後のデジタル革命のポジティブな進展を信じている コインチェック ファイナンシャル・タイムズ NEM 「「暗号通貨に首ったけ」なニッポン人 史上最大級のバーチャル強盗に困惑、それでも熱烈なファンは支持」 日本で最もシンプルで使い勝手のよい取引所だという評判 闇株新聞 (その9)(仮想通貨流出事件は「始まり」に過ぎない 逆風を乗り越えてデジタル革命は本格化する、「暗号通貨に首ったけ」なニッポン人 史上最大級のバーチャル強盗に困惑、ベネズエラが発行する仮想通貨「ペトロ」とは?) ブロックチェーン技術そのものの問題ではなく、「取引所」という名前でありながら資産保管も請け負う組織に、サイバーセキュリティ上の弱点があったということだろう (仮想通貨) XEM 「ベネズエラが発行する仮想通貨「ペトロ」とは?」 そろそろ冷静になって仮想通貨バブルを警戒するべき 2017年は2600%以上のインフレ 日経ビジネスオンライン 金融庁 ソロスも批判、「Tech titan」への風当たりは強まるか? スケープゴートのように「デジタル悪者論」が出てくるだろう 暗号通貨 2009~2015年に世界のビットコイン取引所の3分の1がハッキングの被害に遭っている 、「ぺトロ」1単位が埋蔵原油1バレルの価値に相当することを約束 相当する原油価格の6割引きでオファー 「仮想通貨流出事件は「始まり」に過ぎない 逆風を乗り越えて、デジタル革命は本格化する」 JBPRESS 御立 尚資 普通の「仮想通貨」を発行したなら、そのICOや売り出しの稚拙さによって多少の差があるはずですが、それでも当初価格の5~10倍(あるいはそれ以上)の価格がついていたような気がします
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