SSブログ

日本の政治情勢(その39)(安倍1強に広がる動揺、「逃げ恥作戦」の成否 年明け政局の焦点は「解散」にいつ踏み切るか、「桜を見る会」を海外メディアが「Cherry Blossom party」と名付け一斉に批判!、首相元秘書・下関市長が目論む”市大支配”~教員人事・定款変更の強行は「桜を見る会」と同じ構図) [国内政治]

日本の政治情勢については、12月10日に取上げたばかりだが、今日は、(その39)(安倍1強に広がる動揺、「逃げ恥作戦」の成否 年明け政局の焦点は「解散」にいつ踏み切るか、「桜を見る会」を海外メディアが「Cherry Blossom party」と名付け一斉に批判!、首相元秘書・下関市長が目論む”市大支配”~教員人事・定款変更の強行は「桜を見る会」と同じ構図)である。

先ずは、政治ジャーナリストの泉 宏氏が12月12日付け東洋経済オンラインに掲載した「安倍1強に広がる動揺、「逃げ恥作戦」の成否 年明け政局の焦点は「解散」にいつ踏み切るか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/319254
・『政治の劣化と国民の政治不信ばかりが目立った臨時国会が12月9日、会期延長もなく閉幕した。 主要2閣僚の連続辞任や「桜を見る会」の私物化疑惑で、安倍晋三首相の率いる1強政権の動揺が際立つ一方、多弱野党の戦闘力不足もあって、国会での与野党攻防は「なんとか引き分け」(自民国対)に終わった格好だ。 首相は国会閉幕を受けた9日夜の記者会見で、憲法改正への変わらぬ決意を示し、早期解散の可能性を示唆するなど、年明け以降の政権運営にも強気を装った。しかし、野党などの政権攻撃へのいら立ちと焦りの表情は隠せず、国会攻防を乗り切った高揚感もなかった。首相自身が種をまいた“桜疑惑”は今後も炎上が続く可能性が大きく、国会閉幕も含めた安倍政権の一連の“逃げ恥作戦”も成否はなお微妙だ』、「“逃げ恥作戦”」とはまさに言い得て妙だ。
・『国会を閉じれば国民は疑惑を忘れてくれる  第200回という歴史的節目でもあった臨時国会は、67日間という当初会期を延長せずに閉幕した。立憲民主など主要野党は、安倍首相への追及を続けるため、異例の40日間の会期延長を要求したが、ほとんどの法案が成立したことを理由に与党は延長に応じなかった。「国会を閉じれば、年末年始で国民も疑惑を忘れてくれる」(自民国対)との思惑からだ。 一方、日米新貿易協定など重要課題での政策論争を事実上放棄し、桜疑惑の追及を優先した主要野党は、国会の定番だった会期末の内閣不信任案提出を見送った。「否決されて疑惑追及に一定の区切りがつくのは得策ではない」との理由だ。ただ、首相サイドが流した失地回復のための桜解散説におびえた側面もあり、会期末の与野党攻防は勝負を持ち越した。 恒例の国会閉幕時の首相記者会見は、NHKの中継予定に合わせて9日午後6時から始まり、安倍首相は通常よりやや長い約33分間、質疑に応じた。首相は約13分間にわたった冒頭発言で臨時国会を振り返り、主要野党が反対する中で衆参とも短時間の審議で承認された日米新貿易協定について、「まさに国益にかなう結果が得られた」と自画自賛してみせた。 さらに、農産物輸出促進法や生産性革命を加速するための改正会社法の成立などを成果として強調。年明け以降も「つねにチャレンジャーの気持ちを忘れずに、国内外の課題に全力で取り組んでいく」と胸を張り、2閣僚辞任や桜を見る会の私物化疑惑などへの言及は避けた』、全く中味が空疎で一方的なPRのための「記者会見」だった。
・『記者から憲法改正実現への道筋を問われると、「7月の参院選では『国会での憲法論議を進めよ』という国民の声が示された」と指摘し、その前段となる国民投票法改正案が臨時国会でも継続審議となったことを「まことに残念」と振り返った。 そのうえで「憲法改正は自民党の党是で、それを実行するのが私たちの責任。決してたやすい道ではないが、必ずや私の手で成し遂げていきたい」と述べ、2021年9月までの自民党総裁としての任期中の新憲法施行への決意を改めて強調した。 さらに、桜を見る会での私物化疑惑については、「国民の皆様から批判があることは十分に承知している。これまでの運用を大いに反省し、私自身の責任において全般的な見直しを行っていく」とまずは低姿勢で応答。 預託商法問題で経営破綻したジャパンライフ元会長の「首相枠での招待」などの疑惑については、「(元会長との)個人的な関係は一切ない」「(廃棄された)招待者名簿のデータ復元は不可能との報告を受けている」などと、用意されたペーパーに目を落としながら国会答弁などと同じ説明を繰り返した』、記者からの質問も事前に打ち合わせ、回答も準備された全く形式的な「記者会見」で、見るに耐えないものだった。
・『内心の動揺を隠せない安倍首相  その一方、衆院解散については「参院選での国民への約束を実行しなければ、ということで頭がいっぱいだ」としながらも、「国民の信を問うべきときが来たと考えれば、解散・総選挙を断行することに躊躇はない」と記者団をにらみつけるように言い切った。 記者会見自体は「これまで通りの首相ペースで終始した」(官邸関係者)が、首相の表情は一貫して固かった。注目された私物化疑惑での説明や、遅々として進まない国会での改憲論議についても、応答は伏し目がちで顔をしかめる場面が目立ち、「強い言葉とは裏腹の内心の動揺」(立憲民主幹部)も垣間見せた。 こうした臨時国会の幕引きについて、安倍政権に批判的な朝日、毎日両紙は「『信なくば立たず』どこへ」(朝日)、「説明避ける最長政権」(毎日)などと手厳しかった。これに対し、政権寄りとされる読売、産経両紙は「憲法改正『私の手で』」(読売)などと首相を後押しし、私物化疑惑についても「不祥事追及…実り少なく、与野党に責任」(産経)などと野党の対応に疑問を呈した。 安倍首相が任期中の改憲実現に改めて決意を示したことについては、与党内から「求心力維持のためにも、『自分がやる』と言い続けるしかないが、内心は諦めムードでは」(自民長老)との声が出る。 また、「躊躇なく断行」とした解散・総選挙について、野党側は「年明け解散もありうる」と身構えるが、自民党内では「やれば負けて、政権のレームダック(死に体)化が進むだけ」(閣僚経験者)と、首相の強がりとの受け止めが少なくない。 政府は国会閉幕後、事業規模約26兆円の経済対策を進めるための今年度補正予算、来年度予算両案の20日閣議決定を目指して、編成作業に全力を挙げる方針。それと並行して、インド(12月15~17日)と中国(23~25日)を訪問し、お得意の首脳外交で内閣支持率の低下傾向に歯止めをかける考えだ。 年明け以降の政局はやはり、「首相がいつ伝家の宝刀(解散)を抜くか」が焦点となる。ただ、選挙準備は遅れており、「(年明け解散の)可能性はほとんどない」(自民長老)との見方が多い。安倍首相は年明けの1月中旬に中東訪問を予定しており、通常国会召集は1月20日(月曜)が有力視されている。通常国会の冒頭では、政府が経済対策のために編成する大型補正予算案の審議・成立が必須だ。 補正予算成立後の解散・総選挙となれば、日程的には投開票日が2月下旬以降となり、その後の来年度予算案審議をいくら短縮しても、予算成立は5月連休前後までずれ込む。こうした理由から「疑惑などでよほど追い詰められない限り、首相が『信を問うときが来た』と判断するはずがない」(首相経験者)との見方が広がるわけだ』、「解散・総選挙について、野党側は「年明け解散もありうる」と身構えるが、自民党内では「やれば負けて、政権のレームダック(死に体)化が進むだけ」(閣僚経験者)と、首相の強がりとの受け止めが少なくない」、野党への脅しとしては一定の効果があったようだ。「インド訪問」は先方の治安悪化を名目に中止になったが、真相はいまだに不明だ
・『解散の本命は五輪後の2020年秋  その後の政治日程をみても、通常国会後には東京都知事選(7月5日投開票)が予定され、7月24日から9月6日までは日本の威信をかけた東京五輪・パラリンピックが開催される。このため、首相が解散する場合の本命は「五輪後の2020年秋」(自民幹部)とみられている。 ただ、その時期は安倍首相の自民党総裁としての残り任期が1年足らずとなり、その時点で1強態勢が崩壊していれば、「追い込まれ解散で惨敗して、選挙後の退陣にも直結しかねない」(自民長老)とのリスクもはらむ。 主要野党が政権攻撃の切り札である内閣不信任案を見送ってまで通常国会での桜疑惑の追及にこだわるのも、「野党の追及に自民党内の反安倍の動きが連動すれば、安倍1強は完全に崩壊し、解散も打てなくなる」と読むからだ。 永田町で逃げ恥作戦と揶揄される安倍政権の一連の危機管理も「私物化疑惑で新たな証拠でも出れば『役に立つ』どころか一気に破綻しかねない」(閣僚経験者)という危うさが付きまとう。主要2閣僚が連続辞任した際、安倍首相は国会答弁で「説明責任は議員自身にある」と繰り返したが、当事者である菅原一秀前経済産業相や河井克行前法相らは、公の場での説明もせず、体調不良などを理由に雲隠れを続けている。 こうした状況について、反安倍の立場を鮮明にしてポスト安倍を目指す石破茂元幹事長は9日の石破派会合で、「自民党のコアな支持者が怒っている。第1次安倍政権や麻生太郎政権のときと(世論の)感じがやや似ている」と警鐘を鳴らした。安倍首相は9月11日に発足させた第4次安倍再改造内閣のキャッチフレーズを「安定と挑戦」としたが、「現状をみる限り『不安定と挫折』に変貌しつつある」(自民長老)のが実態といえそうだ』、「解散の本命は五輪後の2020年秋」、五輪で疑惑も忘れ去られることを期待しているのだろうが、通常国会で野党は手ぐすねを引いている筈だ。年明け後の展開が楽しみだ。

次に、12月17日付けLITERA「「桜を見る会」を海外メディアが「Cherry Blossom party」と名付け一斉に批判!「身内優遇」「安倍政権が組織ぐるみで情報隠蔽」」を紹介しよう。
https://lite-ra.com/2019/12/post-5148.html
・『「桜を見る会」問題をめぐって、13日の講演で「国会では政策論争以外の話に多くの審議時間が割かれている」などと発言した安倍首相。国会でもまともに説明せず、文書を破棄し、強引に幕引きを図ろうとしているお前が言うなという話だ。年を越して、安倍政権は「桜を見る会などいつまでやっているのか」「重要法案が進まない」などと連呼することで、疑惑から逃げ切るつもりだろうが、そんなことを許したら、日本国民とメディアは完全に海外からバカにされるだろう。 というのも、この「桜を見る会」をめぐる一連の問題は、すでに海外メディアも「Cherry Blossom party」などと呼んで報じており、“安倍首相による私物化”や“政権の隠蔽体質”を象徴する事件として、国際的に大きな注目を浴びているからだ。 たとえば米紙ワシントンポストは11月27日、「日本の首相の奇妙な話、公文書と巨大シュレッダー」(The strange tale of Japan’s prime minister, official documents and a very large shredder)と題して報じた。記事冒頭から、これまで安倍政権が行ってきた数々の公文書の隠蔽を皮肉めいた調子で振り返っている。〈物議を醸す公金を使った政府主催パーティの招待リストは? シュレッダーされた。 首相官邸への来訪者リストは? シュレッダーされた。 スーダンやイラクでの任務中に自衛隊が遭遇した危険を物語る日報は? 後に出てきたが、当初はシュレッダーされたとの話だった。 安倍政権が倒れる恐れのあった森友学園スキャンダルをめぐる数々の重要文書は? ある文書は改ざんされ、ある文書はシュレッダーされた』、「海外メディア」は日本のと違って「忖度」がないだけ、手厳しいようだ。
・『ワシントンポストやロイターだけでなく、英BBC、仏AFP、独紙も  英国のBBCも「えこひいき批判のなか、桜を見る会が中止」(Japan cancels cherry blossom party amid cronyism accusations)と題して報道(11月13日)。ガーディアン紙も「派手すぎるという抗議のあと、日本の首相が桜を見る会を中止に」(Japan's PM cancels cherry blossom party after outcry over florid spending」とのタイトルで記事にしている(11月14日)。floridは「華麗」「派手」「けばけばしい」のほかに「桜色」という意味があり、皮肉を込めてひっかけているのかもしれない。 同じく英国のテレグラフ紙は11月20日に「安倍晋三は日本の歴代最長総理大臣となったが桜を見る会スキャンダルで泥沼にはまった」と伝えた。桂太郎を超える安倍氏の首相最長在位の節目は「桜を見る会」のスキャンダルで影が薄くなったとしたうえで、このように安倍政権を総括している。〈第一次政権は2007年の1年で終わり、第二次政権は2012年に政権を奪還してから続いているが、その2度にわたる総理在位期間中、安倍氏はちょっとした“スキャンダル風化の専門家”になっている。第二次政権発足以降、安倍首相は6度の国政選挙で連立与党を勝利させたが、その長期政権の理由のひとつは野党がバラバラだからだ。そうしたなかで、えこひいきへの批判からデータ偽造問題、さらに9月の内閣改造で任用した大臣2人が最近、公選法違反で辞任したことに至るまで、安倍首相は一連のスキャンダルを生き延びてきた。〉 フランスでもAFPが「桜で日本の首相のスキャンダルが満開に」(Cherry blossoms prompt full-blown scandal for Japan's PM)が報道(12月9日)。「桜を見る会」問題について〈不祥事企業の会長は過去に一度ゲストになったが、日本の悪名高いヤクザマフィア(反社会勢力)のメンバーが招待されたのは今年のことだ〉などと伝えつつ、安倍政権が倒れることはないだろうと専門家が予測していることに関して〈中道左派の民主党による2009年から2012年までの政権が悲惨なパフォーマンスにおわった後も有権者は不信感を持ち続けており、野党に対する幻滅の余韻から安倍は恩恵を受けている〉と書いている。ドイツではフランクフルターアルゲマイネ紙が、加計学園問題にも触れながら「腐敗した桜に非難」(Vorwurf der Kirschblütenkorruption)と題して報じている(11月13日)。 欧米メディアに共通しているのは、「桜を見る会」が“身内びいき”と批判されていることをストレートに伝え、安倍政権にはこれまでも森友・加計問題など“身内びいき”の疑惑が浮上していたことに言及していることだ。データの隠蔽や改ざんなど公文書管理を問題視する報道も多く、政府が招待者リストを公開しないもの「桜を見る会」問題をごまかすためと見ている。また、「桜を見る会」問題に加え、閣僚の不祥事などスキャンダルが続出しながら長期政権を維持していることについては、決して有権者が積極的に安倍政権を支持しているわけではないとの分析が目立つ。 いずれにしても、安倍首相は年内で「桜を見る会」問題への追及を強引に終わらせるつもりだが、国際社会はこのスキャンダルを“安倍政権で起こるべくして起きた”と捉えているはずだ。日本の国際的評価を地に堕としている安倍首相を、このまま総理の椅子に座らせておくことはできない』、「安倍氏はちょっとした“スキャンダル風化の専門家”になっている」、「桜で日本の首相のスキャンダルが満開に」、などは手厳しい。「逃げ恥作戦」は「海外メディア」には通用しそうにないことは確かだ。

第三に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が12月16日付け同氏のブログに掲載した「首相元秘書・下関市長が目論む”市大支配”~教員人事・定款変更の強行は「桜を見る会」と同じ構図」を紹介しよう。
https://nobuogohara.com/2019/12/16/%e9%a6%96%e7%9b%b8%e5%85%83%e7%a7%98%e6%9b%b8%e3%83%bb%e4%b8%8b%e9%96%a2%e5%b8%82%e9%95%b7%e3%81%8c%e7%9b%ae%e8%ab%96%e3%82%80%e5%b8%82%e5%a4%a7%e6%94%af%e9%85%8d-%ef%bd%9e%e6%95%99/
・『「詰んだ盤面のまま『説明』から逃げ続ける安倍首相」  総理大臣主催の「桜を見る会」前夜祭に関する問題、安倍首相は「説明不能」の状態に陥り、将棋に例えれば、完全に「詰んだ」状況になったことは、【「桜を見る会」前夜祭、安倍首相説明の「詰み」を盤面解説】で詳述した。 安倍首相が、いくら「詰んで」いても、潔く「投了」するような人物ではないことは、これまでの森友・加計問題などへの対応からも予測はしていたが(【“安倍王将”は「詰み」まで指し続けるのか】)、その後の展開は、まさにその予測どおりとなっている。 私が「詰み」を指摘して以降、この問題への安倍首相の発言は、12月2日の参議院本会議の代表質問で、従来と同様の(詰んでいる)説明を「棒読み」しただけ、委員会での質疑も回避し続け、当初は、異例に時間をかけて行っていた官邸での「ぶら下がり会見」も一切行っていない。臨時国会閉会時の官邸での記者会見も、日頃から手懐けている「御用記者」に質問させ、従来どおりの説明を繰り返しただけだった。 「一問一答」形式の対応、つまり「盤面に向かう」ということを行えば、「指せる手がない」ことが露見し、「投了」せざるを得なくなるので、それが、一切できないのだ。 一方で、ニューオータニ側への「口封じ」の効果は続いているようで、内閣府から総理大臣夫妻主催晩餐会などの受注をしている受注業者が、内閣府のトップの首相側への利益供与が疑われるという、深刻な事態に至っているのに、前夜祭の主催者に対して当然発行されているはずの明細書の提示も説明も拒否している。日本の一流ホテル企業としてのブランドや信用が毀損しかねない状況に至っている。 このように、「詰んだ盤面」のまま、一国の首相が説明責任から逃げ続けるという醜態を晒していても、その指揮下にある政府の各部門では業務が日々処理され、年の瀬が近づきつつある』、「一国の首相が説明責任から逃げ続けるという醜態を晒していて」、海外メディアにまで面白おかしく取上げられるのは、国辱ものだ。
・『下関市大で起きている「大学版『桜を見る会』問題」  こうした中、私は、先週末、安倍首相のお膝元の下関市に乗り込み、大学学会主催の、あるシンポジウムに参加し、基調講演者・パネラーとして登壇した。 テーマは「大学改革の潮流と下関市立大学の将来」、それ自体は、近年、文科省が進めてきた「国公立大学改革」の中で、下関市立大学において、従来、教授会での慎重な審議を経て行われていた教員人事を外部者中心の理事会の権限だけで行えるようにする定款変更が、市議会の議決で行われようとしていることなどについて、大学のガバナンス・大学の自治・学問の自由という観点から議論する「学術シンポジウム」であった。 しかし、今、下関市大で起きていることは、単に学術的な議論を行うことだけで済むような問題ではない。60年を超える歴史と伝統のある公立大学の下関市大に対して、安倍首相の元秘書の前田晋太郎市長を中心とする安倍首相直系の政治勢力が、大学を丸ごとその支配下に収めようとする露骨な画策をしている。それに対して、本来、歯止めになるべき山口県も、文科省も、安倍首相の政治権力に「忖度」しているためか、何も口を出さず、凄まじい勢いで「大学破壊」が行われようとしているのだ。 「桜を見る会」問題の本質は、公費によって功労・功績者を慰労する目的で行われる会が、「安倍首相による地元有権者の歓待行事」と化し、後援会関係の招待者が膨れ上がって開催経費が予算を超えて膨張しても、安倍後援会関係者が傍若無人に大型バスで会場に乗り込んできても、何も物を言えず、黙認するしかないという、政府職員の「忖度」と「無力化」の構図である。 前田市長は、その「桜を見る会」に毎年参加し、安倍首相の地元後援者の公費による歓待が問題化したことに対しても「何十年も応援した代議士がトップを取り、招待状が届いて、今まで応援してきてよかったなって、いいじゃないですか」などと放言し(【桜を見る会 安倍首相の元秘書・下関市長はこう答えた…定例記者会見・一問一答】)、ネット上の批判が炎上した人物だ。その市長が、下関市大への市の権限強化を強引に進めようとすることに対して、市も県も国も、全く異を唱えようとしない。 下関市大で起きていることは、まさに、“大学版「桜を見る会」問題”に他ならない』、「“大学版「桜を見る会」問題”」とは言い得て妙だ。
・『定款変更の策動の背景にある市長主導の「違法な教授採用」  文科省が進めてきた「国公立大学改革」の下でも、さすがに今回のような定款変更は行われなかった。なぜ、下関市大でそのような暴挙が行われようとしているのか。そこには、大学側が公式には明らかにしていないものの、既に、市議会で取り上げられ、マスコミも報道している「専攻科の創設」とその教授等の採用人事の問題がある。(日刊ゲンダイ12月13日【“安倍側近”の下関市長 市立大人事「私物化疑惑」が大炎上】) 報道によれば、下関市長は、某大学教員を、市立大学教員として採用するよう大学側に要請し、それを受けて、市長の意を汲む大学の幹部は、定款で定められている学内での資格審査等を経ずに専攻科設置方針の決定と教授等(3名の研究チーム)の採用内定を強行し、教員採用を内定し、しかも、下関市大は経済学部だけの単科大学なのに、その教授の専門分野の「特別支援教育」に関して、通常は、教育学部に設置される「特別専攻科」を設置させようとしている。これに対し専任教員の9割超が、専攻科構想の白紙撤回を求める署名を理事長に提出したとのことである。 大学の教員採用には、その大学での研究教育を行うのに相応しい研究教育者を採用するための審査の手続が定められている。その手続について、大学の歴史の中で、過去の失敗も含めて議論を重ね、ルールが形成され、現在の下関市大には、しっかりしたルールが存在する。ところが、そのような大学教員の選任ルールが踏みにじられ、市長主導で、強引な「一本釣り人事」が行われようとしているというのである。 そして、そのような人事が、「教員の人事は教育研究審議会での議を経る」こと、およびその前提として、すべての教員について、公募を前提とする厳正な審査や教授会での意見聴取を経ることなど、下関市大の「定款」以下諸規程の定める手続に違反しているとの批判を受けたことから、今度は、市主導で学内での審査を経ることなく教員採用の人事を合法的に行えるようにしたのが、今回の定款変更の動きなのである』、ここまで露骨に「市立大学」に介入する「下関市長」の狙いは何なのだろう。
・『市立大学の経営・運営に対する市の責任とは  前田市長が、選挙で選ばれた市のトップの市長は、同様に選挙で選ばれた市議会の多数の賛成を得れば、市立大学の予算も人事も好きなようにできると考えているのだとすれば、それは大きな間違いである。 設置自治体と市立大学の関係は、そのような単純なものではない。 確かに、市立大学の経営や運営について最終的な責任を負うのは市である。もし、市立大学の経営が悪化し、市に多額の財政負担を生じているような場合や大学の研究教育の成果が上がらず、それが募集倍率の低迷、就職率の悪化等で客観的に明らかになった場合などには、経営責任を負う市として、経営不振の原因になっている研究教育や教員人事、組織体制の構築等への介入が必要になることもあり得る。また、市の施策として、専門的な見地からの検討を行った上で、相応の予算と人員の投入を含めた市立大学の組織体制の抜本的変更の方針を打ち出すということも考えられないわけではない。 しかし、下関市大の場合には、そのような事情は全くない。募集倍率も特に低くはなく、定員割れの学科もなく、就職率も安定して高い。また、比較的コストがかからない経済学部の単科大学ということもあり、大学の収支は良好で、市に財政的な負担をかけているわけではない。また、下関市大について、総合大学化などが、学内からの構想として検討されたことは何回かあるが、下関市の側で大学の組織体制の根本的な変更に向けて検討され、特定の学問分野について具体的な構想が提示されたことはないようである』、下関市大が上手く運営され、これまでは無関心だった下関市が、突然、介入し出した理由は何なのだろう。
・『政治的意図による「大学破壊」で、学生、卒業生利益を害してはならない  今回の下関市主導の「一本釣り教員人事」と、それを可能にする理事会主導のガバナンスに向けての定款変更は、設置者の下関市としての経営責任の観点によるものでも、大学の組織改革の構想に基づくものでもないことは明らかである。学内手続を無視した教授人事を強行しようとしている背景が、安倍首相自身、或いは、昭恵夫人の意向なのか、前田市長自身の個人的意向なのかはわからない。しかし、いずれにしても、政治的な意図から、違法な教授人事と、公立大学を安倍首相直系の政治勢力の支配下に収めようとする策謀が進められようとしていることは紛れもない事実である。 このようなことを許せば、これまで以上に、学生が負担する授業料の安定的な収益が市の財政に流用され、大学の教育環境が破壊されていくおそれがある(現在も、市の公共工事による校舎整備にはふんだんに予算が使われているが、その一方で、パソコン環境も十分に整備されていないことを、シンポジウムで学生の一人が訴えていた)。 また、下関市大が、「加計学園の大学のように安倍首相のお友達を集めた大学」と世の中に認識されるようなことになれば、伝統ある下関市大の卒業生にとって、これ程不幸なことはない』、「政治的な意図から、違法な教授人事と、公立大学を安倍首相直系の政治勢力の支配下に収めようとする策謀が進められようとしている」、具体的な狙いは不明だが、人事も含めた「支配」にあることは、確かなようだ。
・『大学幹部も、市も、県も文科省も、なぜ「長いものに巻かれてしまう」のか  それにしても、今、安倍首相のお膝元の下関市で市立大学をめぐって起きていることを知れば知るほど、本当に「絶望的な思い」にかられる。このような明らかに不当な政治的動機による教員採用人事、専攻科設置とそれを契機とする定款変更などの「大学破壊」に、なぜ、理事長、学長など大学幹部が唯々諾々と応じるのか。教授等の人事は、学内規程で定められている「教育研究審議会の議」も、さらにその前提となる公募、審査や教授会の意見聴取等も経ておらず、明らかに違法であるのに、なぜ、弁護士たる監事が、「違法ではない」などという弁護士倫理にも反する監査意見書を提出するのか(これについては、他の中立的立場の4人の弁護士が「違法」との意見書を提出している。毎日新聞12月7日地方版【下関市立大専攻科新設手続き巡り 弁護士の意見書提出 副学部長、教員採用過程検証求める /山口】)。市大の設置者の下関市の担当部局は、このような露骨な不当な大学への政治介入を推し進めることに良心の呵責を感じないのか。山口県の担当部局は、過去に公立大学ではあり得なかった不当な定款変更の認可に抵抗を覚えないのか。そして、大学の自治、学問の自由にも配慮しつつ高等学校教育に関する行政を進めてきた文科省は、このような違法な教員人事や不当な定款変更の動きに対して、なぜ手をこまねいて見ているのか。これらすべてが、「安倍一強の権力集中」の中では「長いものにはまかれろ」ということなのであろうか。 「桜を見る会」をめぐる問題について完全に「説明不能」の状況に陥っている安倍首相を、「当然の辞任」に一日も早く追い込むこと以外に、この国を救う手立てはない』、まさに安倍一派による「下関市立大」の私物化である。監督すべき「山口県」や「文科省」が「忖度」して「手をこまねいて見ている」、とは日本のガバナンス機構が麻痺していることを示しており、まさに危機的状況だ。
タグ:日本の政治情勢 (その39)(安倍1強に広がる動揺、「逃げ恥作戦」の成否 年明け政局の焦点は「解散」にいつ踏み切るか、「桜を見る会」を海外メディアが「Cherry Blossom party」と名付け一斉に批判!、首相元秘書・下関市長が目論む”市大支配”~教員人事・定款変更の強行は「桜を見る会」と同じ構図) 泉 宏 東洋経済オンライン 「安倍1強に広がる動揺、「逃げ恥作戦」の成否 年明け政局の焦点は「解散」にいつ踏み切るか」 首相自身が種をまいた“桜疑惑”は今後も炎上が続く可能性が大きく、国会閉幕も含めた安倍政権の一連の“逃げ恥作戦”も成否はなお微妙だ 国会を閉じれば国民は疑惑を忘れてくれる 内閣不信任案提出を見送った。「否決されて疑惑追及に一定の区切りがつくのは得策ではない」との理由だ 国会閉幕時の首相記者会見 ジャパンライフ元会長の「首相枠での招待」などの疑惑 用意されたペーパーに目を落としながら国会答弁などと同じ説明を繰り返した 内心の動揺を隠せない安倍首相 解散・総選挙について、野党側は「年明け解散もありうる」と身構えるが、自民党内では「やれば負けて、政権のレームダック(死に体)化が進むだけ」(閣僚経験者)と、首相の強がりとの受け止めが少なくない 解散の本命は五輪後の2020年秋 逃げ恥作戦と揶揄される安倍政権の一連の危機管理も「私物化疑惑で新たな証拠でも出れば『役に立つ』どころか一気に破綻しかねない」(閣僚経験者)という危うさ litera 「「桜を見る会」を海外メディアが「Cherry Blossom party」と名付け一斉に批判!「身内優遇」「安倍政権が組織ぐるみで情報隠蔽」」 海外メディアも「Cherry Blossom party」などと呼んで報じており、“安倍首相による私物化”や“政権の隠蔽体質”を象徴する事件として、国際的に大きな注目 「日本の首相の奇妙な話、公文書と巨大シュレッダー」 ワシントンポストやロイターだけでなく、英BBC、仏AFP、独紙も 「えこひいき批判のなか、桜を見る会が中止」 安倍氏はちょっとした“スキャンダル風化の専門家”になっている 「桜で日本の首相のスキャンダルが満開に」 「腐敗した桜に非難」 国際社会はこのスキャンダルを“安倍政権で起こるべくして起きた”と捉えているはずだ 郷原信郎 ブログ 「首相元秘書・下関市長が目論む”市大支配”~教員人事・定款変更の強行は「桜を見る会」と同じ構図」 「詰んだ盤面のまま『説明』から逃げ続ける安倍首相」 一国の首相が説明責任から逃げ続けるという醜態を晒していても 下関市大で起きている「大学版『桜を見る会』問題」 従来、教授会での慎重な審議を経て行われていた教員人事を外部者中心の理事会の権限だけで行えるようにする定款変更が、市議会の議決で行われようとしていること 安倍首相の元秘書の前田晋太郎市長 安倍首相直系の政治勢力が、大学を丸ごとその支配下に収めようとする露骨な画策をしている 山口県も、文科省も、安倍首相の政治権力に「忖度」しているためか、何も口を出さず、凄まじい勢いで「大学破壊」が行われようとしている “大学版「桜を見る会」問題”に他ならない 定款変更の策動の背景にある市長主導の「違法な教授採用」 市立大学の経営・運営に対する市の責任とは 政治的意図による「大学破壊」で、学生、卒業生利益を害してはならない 大学幹部も、市も、県も文科省も、なぜ「長いものに巻かれてしまう」のか 「安倍一強の権力集中」の中では「長いものにはまかれろ」ということ
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感