SSブログ

2019年の回顧(河合 薫氏:自分絶対の「分断の壁」が日本を二流国に貶めた2019年) [社会]

大晦日の今日は、2019年の回顧(河合 薫氏:自分絶対の「分断の壁」が日本を二流国に貶めた2019年)を取上げよう。

健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏が12月24日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「自分絶対の「分断の壁」が日本を二流国に貶めた2019年」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00056/?P=1
・『師走という感じが全くしないまま、1年がまたもや終わろうとしている。 早い、といえば早い。いつも通り早い。が、今年は例年の年末とは少々異なる感覚に陥っている。何だろう。この感じ。 部活で鬼のように100本切り返しをやらされ(剣道部でした!笑)、掛かっても掛かっても竹刀をいなされ、吐きそうな掛かり稽古をつけられ、揚げ句の果てに壁に押し付けられ、足をかけられ、馬乗りにされ、面を取られ(←今だったらパワハラですね!)、「なんでこんなことやってるんだろう」と疲れ果てる。それでも次の日になると胴着をきちんと着て、稽古場に立っていたあの頃と同じだ。 深い諦めとでも言いましょうか。いい加減疲れたとでも言いましょうか。 「ちょっとでも強くなりたい」と、自分に足りないものを求めてあがく。生乾きの雑巾でも絞るように生きる。そんな空気感をインタビューや講演会や座談会などで感じることの多い1年だった。 ふむ。私は何を言っているのだろうか。大丈夫か? 自分でもこの状況をまだ整理しきれていないのだな、きっと。とにもかくにも、今回が2019年の最後なので、例年通り今年読まれたコラムとコメント数の多かったコラムを振り返りつつ、あれこれ考えます(集計は12月18日時点)』、河合氏が部活動で「剣道」をやっていたとは、いささか驚かされた。
・『【2019年 コメント数の多かったコラムトップ5】  1位:9時10分前を理解できない若手を生んだ日本語軽視のツケ(267件) 2位:元“エリート”でも2000万円投資できない定年後の憂鬱(199件) 3位:世界最低レベルの外国人受け入れ寛容度、ニッポンの末路(164件) 4位:「無職の専業主婦」呼ばわりと低賃金容認社会の闇(134件) 5位:キレる中高年に従業員が潰される!増えるカスハラ問題(131件) 【2019年 もっとも読まれたコラムトップ5】 1位:9時10分前を理解できない若手を生んだ日本語軽視のツケ 2位:勝ち組が威張る同窓会60過ぎたら「ただの人」 3位:“塩漬け”おじさんが定年後再就職で失敗する理由 4位:大手“下層”社員の就活生暴行事件に感じる薄ら寒さ 5位:池袋・高齢者暴走事故の遺族会見と“私”の現実  皆さんが読まれたコラムは入ってる? コメントを書いたコラムは? さて、いかがでしょうか? 今年もたくさんの方に読んでいただき、たくさんの方からコメントをいただきました。心より感謝いたします。 今年から旧日経ビジネスオンラインが日経ビジネス電子版に新装開店し、コメントへの「いいね」や「返信」機能が付いた。切り替わった当初はコメントの量・質ともに、日経ビジネスオンラインの頃と変わり若干戸惑ったが、すぐに復活。「なるほど。こんな具合に人は環境に適応していくのか」と、プロセスが垣間見えたのは実に面白かった。 私自身は「いいね」を押したり押さなかったり、「返信」したりしなかったりだったけど、例年どおり皆さんのコメントも皆さん同士のやりとりもできる限り拝読させていただきました』、なるほど。
・『コメントを毎度毎度、10年以上読み続けているとその時代の社会の空気感も分かるが、例えば一昨年(2017年)は、年末のコラムで書いた通り、息苦しかった(以下、再掲)。 「今年は……、例年よりも……、目を背けたくなるコメントが多かったのも事実。それは私に関するコメントというより、私が取り上げた事象に関するコメントで「なんでこんなに苛立っているのだろう?」「なんでこんなに安全地帯から石を投げるのだろう?」と、息苦しくなるものが確実に増えた」(「今年もコメント、全部読ませていただきました」より)。 ところが、今年はハンドルネーム(?)がついたことで、息苦しさが取れた。 コメントする人は大抵、継続的にしてくださるので、自然と人物像の輪郭がイメージできるようになり、「言葉」で記されない心情にもほんの少しだけ近づけたのだ。 なんてことを書くと、「勝手にイメージするな!」と口をとがらせる人がいそうだけど。同じ匿名でも、輪郭があるのとないのとではこちらの受け止め方が変わるというリアルを体験できたのは、個人的に面白かったのでご容赦ください。 ちなみにコメントランキングトップだった「9時10分前を理解できない若手を生んだ日本語軽視のツケ」のコメントは、「へ?」とうなずいたり、クスッとしてしまったりするものが多く楽しかった。居酒屋で一杯やってる気分になるおもろコメントや面白体験談をくださった方々、心よりありがとうございました。 さて、問題はそれ以外のコメントである』、今回の本題はどのような斬り方なのだろう。
・『息苦しさからは解放されたが、「分断の壁」を感じたのだ。そして、その分断が明確なコラムに、たくさんのコメントが付いたと個人的には解釈している。 さまざまな意見があるのは分かる。さまざまな意見があって当たり前だし、ないのはむしろ恐ろしいことだ。 だが、自分の意に反するものは見ようともしないのだ。徹底的に否定し、人格否定も厭(いと)わない。半面、同じ意見の人とは戯れ、群れ、「ほらな!」とドヤ顔する。問題が複雑になればなるほど「個人の責任」「個人の資質」と突き放す。多様性を進めようとする人と必要はないと断言する人、相手を理解しようとする人と理解する必要はないとあきらめる人、社会の責任と考える人と個人の責任と考える人……etc.etc.。 不寛容とか、二極化というレベルをはるかに超えた分断の壁。それが明確になった1年だった。 少々大げさかもしれないけど、どちらの意見に今後日本が舵(かじ)を切るかで、日本の未来が大きく変わると案じている。 先進国のままでいられるか、いられなくなるか。「日本の常識、世界の非常識」が一層進むのではないか。特に「人権」に関する問題については、日本は今にも増して人権後進国となってしまうのではないか。……そんな危機感を覚えるほどの「分断の壁」を意識させられたのだ』、「人権後進国」だけでなく、環境でも「後進国」となりつつあるようだ。
・『くしくも、先日「社会進出をめぐる男女格差=ジェンダー・ギャップ指数」で、日本がまたもや過去最低を更新し、121位にまで転落したことが分かった。中国(106位)や韓国(108位)などアジア主要国と比べても低いのに話題にもならなかった。 特に政治分野は壊滅的で、前年から順位を19も下げ144位だ。世界平均では下院議員の25.2%が女性、閣僚で21.2%が女性なのに、日本は参議院議員で10.1%、閣僚はたったの5.3%。恥ずかしささえ覚える少なさなのに、新聞の片隅にしか掲載されず、テレビもフラッシュニュースでさらりと取り上げる程度だった。 世界では女性の首相や党首が普通にいるのに、日本だけは男性ばかり。企業の経営層や管理職も、どこもかしこも“真っ黒”だ。 2019年の元日のコラムに、「女性たちに頑張ってもらわないと困ると気づいた企業が、雨後の筍(たけのこ)のように新しい芽を出し始め」、「現場の上司たちが『数合わせではなく、マジで女性に頑張ってもらわないと』と、骨身にしみて感じていると確信する機会が増え」、「2019年を、女性活躍を出発点に、『全員活躍』の元年にしていただきたいと、願うばかりだ」と書いていたので、この惨憺(さんたん)たる結果は残念極まりない。 「今年、女性社員を育てることに有形無形の投資をするか否かで、企業の寿命が変わると予想している」という立場から考えるに、世界とは正反対の方向に進んでいる(現状維持)企業が明らかに存在しているってこと。 「女性活躍」という錦の御旗は虚構にすぎず、教育や訓練、能力発揮の機会などへの投資もしないで、「女性たち自身が昇進を望まない」「人材がいない」「女性だからといってげたを履かせるわけにはいかない」と嘆き、その一方で「世界に勝つ」だの「競争力を高める」だの「生産性を向上させる」だのと夢を語るも、自分たちが「壁」になっていることには気がつかない。自分の絶対価値しか基準がない、残念な人たちである』、「ジェンダー・ギャップ指数」、日本のメディアでの報道ぶりが消極的なのは、メディア界も含めた日本社会での男性優位を反映しているのだろう。「自分たちが「壁」になっていることには気がつかない。自分の絶対価値しか基準がない、残念な人たちである」、男性の一員として、耳が痛い。
・『「過去最低」が伝えられた数日後にも、壁を感じる由々しき出来事があった。 ジャーナリストの女性が、元TBS記者から性行為を強要されたとして損害賠償を求めた民事裁判で勝訴し、判決後に行われた男性の記者会見での耳を疑うような発言である。 「伊藤さん(民事裁判を起こした女性ジャーナリスト)のように必要のない嘘、本質的な嘘をつく人が性犯罪被害者だと言って嘘の主張で出てきたことによって、私のところにも、性被害を受けたんですという方から連絡があり、お目にかかった方もおります。本当に性被害に遭った方は『伊藤さんが本当のことを言っていない。こういう記者会見の場で笑ったり、上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは絶対にない』と証言しているんですね。今、伊藤さんは世界中で露出をして本当の性被害者として扱われている。本当の性被害にあった方が、嘘つきだと言って出られなくなるのならば、残念だなと思います」(12月18日の記者会見での元TBS記者・山口敬之氏の発言) さすがにこの発言には男性たちも憤っていたけど、メディアの扱いは冷淡だった。 「勝訴」という事実や男性が政権に近い存在ということは伝えていたけど、この耳を疑うような言葉はスルー。真実を伝えるべき記者をなりわいにしていた人物が、他人の言葉を借りてあたかもそれが「真実」であるかのごとくのうのうと言ってのけたことを大手メディアは糾弾しなかった。 この発言、すなわち「笑ったり、上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは絶対にない」という発言を、メディアが問題視し、取り上げることは、男が刑事裁判で不起訴処分になっているとか、ことの真相がどうだとかいう話とは別次元の話だ。 つまり、元記者はジャーナリストの女性を批判する材料に、性被害に遭ったとされる人が言っていたことという責任転嫁のもと、「一般論としての性被害者のあるべき姿」を公衆の面前で堂々と言ってのけた。 性被害に遭った人は、人知れず一人で悩み、ずっと下を向いて、泣き続けるのが当たり前だ、と。ちょっとでも笑ったり、ちょっとでも優しい顔をしたり、ちょっとでも凛(りん)とした表情をする人は、性被害者じゃない、嘘つきだ、と』、「伊藤詩織さんレイプ事件」については、このブログでも今月23日、24日と2回にわたって取上げたばかりだ。「元記者はジャーナリストの女性を批判する材料に、性被害に遭ったとされる人が言っていたことという責任転嫁のもと、「一般論としての性被害者のあるべき姿」を公衆の面前で堂々と言ってのけた」、全く卑劣極まるセカンド・レイプだ。
・『この発言こそがセカンドレイプだと、なぜメディアは突っ込まないのか。 今回の事件の真相とは一切い関係のないことを、元記者の男が関連づけて使うといういかがわしさを、なぜ問題にしない。 日本では強制性交の被害のわずか4%しか警察に被害届が出ない(2017年)という現実を鑑みれば、このような「一般論」をのうのうと言う輩の存在が、言いたくても言えない、泣き寝入りするしかない状況をつくり、被害に遭った女性を追い詰めていることくらい容易に想像できる。 まさに「分断の壁」。かくあるべし、こうあって当たり前、自分の意見と違う人、思考が異なる人は受け入れないという壁が、報道のあり方にまで及んでいるのだ。 世界の大手メディアは、一斉に「日本人ジャーナリストが注目の#MeToo裁判で勝訴」という見出しで速報した。中国も韓国もトップで報じた。 世界の大手メディアは、ジャーナリストの女性が声を上げてからの4年の間に、日本のメディアが彼女を擁護する姿勢をとらないことを批判し、女性が警察に相談した際にセカンドレイプのような扱いを受けたことや、日本の性的暴行の闇を「“Japan's Secret Shame”(日本の秘められた恥)」というタイトルで報じていた。 この現実を、日本のメディアはどう受け止めているのだろうか。 繰り返すが、ことの真相がどうとかいう問題じゃない。先の由々しき、吐き気がする言葉が象徴する、「性被害者の女性かくあるべし論」が、声を上あげられない状況を生み、こういった発言を許すことは、「何をやっても許される」と勘違いする輩を量産する。うん、間違いなくそうなると思う』、「日本のメディア」が報道に消極的なのは、「元TBS記者」に対する仲間意識でもあるのだろうか。
・『そもそも分断の壁はいったん立ちはだかると壊すのが極めて困難だ。 壁のこちら側とあちら側には社会経済的格差もあるため、「あちら側」の人間が「こちら側」に来られないような制度やらルールやらを社会的立場の高い人たちがつくる。そうなれば、まさに“上級国民”の誕生である。 できることなら、せめてコラムのコメント欄は、自分とは違う意見や立場の人に共感せずとも、理解を進めるような場であってほしいと思う。自分は絶対的に正しいと妄信するのではなく、「へ? そうなんだ?」とひと息つくくらいのゆるさが欲しい。「おかしいことはおかしい」と意見しながらも、互いをリスペクトできる関係のあるコメントが増えることを心から願います。 では、最後に「読まれたコラムトップ5」について感想を述べる。 定年ものがトップ5中2本。トップ10まで広げる(以下掲載)、5本も入っていたのは今年の特徴である。 6位:元“エリート”でも2000万円投資できない定年後の憂鬱 7位:同期の上司から受けたいじめと、無言で抗う役職定年社員 8位:正社員「逆ギレ」も、非正規の待遇格差 9位:中間管理職がヤバい!死亡率急増と身代わり残業 10位:他人ごとではない老後破綻、60過ぎたら最低賃金に 平均寿命が延びてしまったことで、今までの働き方、定年のあり方、生き方が通用しない世の中になった。団塊の世代は逃げ切ったけど、逃げ切れない世代にとって、50代からの生き方は切実な問題である。 そして、おそらくこの問題は来年も続いていく。 そして、そして、これらに書かれているコメントは、多くが当事者のもので、私もたくさん学ばせていただきました。 なかなか思い通りに書けなかったり、伝わらず、自己嫌悪したり、落ち込んだりしましたが、勇気づけてくださるメッセージを何度もいただきました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。 ありがとうございました。&また、元日に!』、「そもそも分断の壁はいったん立ちはだかると壊すのが極めて困難だ。 壁のこちら側とあちら側には社会経済的格差もあるため、「あちら側」の人間が「こちら側」に来られないような制度やらルールやらを社会的立場の高い人たちがつくる」、かつての「1億総中流」とは完全に対極の世界だ。格差の拡大は、主要先進国で共通して進みつつある病理だが、日本の「分断の壁」は「逃げ切れない世代」が今後中心となるだけに、ことのほか深刻になる可能性がありそうだ。
では、よいお年をお迎え下さい。
タグ:日経ビジネスオンライン 河合 薫 2019年の回顧 (河合 薫氏:自分絶対の「分断の壁」が日本を二流国に貶めた2019年) 「自分絶対の「分断の壁」が日本を二流国に貶めた2019年」 【2019年 コメント数の多かったコラムトップ5】 【2019年 もっとも読まれたコラムトップ5】 一昨年(2017年)は、年末のコラムで書いた通り、息苦しかった 息苦しさからは解放されたが、「分断の壁」を感じたのだ。そして、その分断が明確なコラムに、たくさんのコメントが付いたと個人的には解釈 不寛容とか、二極化というレベルをはるかに超えた分断の壁。それが明確になった1年だった 「日本の常識、世界の非常識」が一層進むのではないか 特に「人権」に関する問題については、日本は今にも増して人権後進国となってしまうのではないか 社会進出をめぐる男女格差=ジェンダー・ギャップ指数 日本がまたもや過去最低を更新し、121位にまで転落したことが分かった。中国(106位)や韓国(108位)などアジア主要国と比べても低い 特に政治分野は壊滅的で、前年から順位を19も下げ144位だ 世界では女性の首相や党首が普通にいるのに、日本だけは男性ばかり。企業の経営層や管理職も、どこもかしこも“真っ黒”だ 「女性活躍」という錦の御旗は虚構にすぎず、教育や訓練、能力発揮の機会などへの投資もしないで、「女性たち自身が昇進を望まない」「人材がいない」「女性だからといってげたを履かせるわけにはいかない」と嘆き、その一方で「世界に勝つ」だの「競争力を高める」だの「生産性を向上させる」だのと夢を語るも、自分たちが「壁」になっていることには気がつかない 元TBS記者から性行為を強要されたとして損害賠償を求めた民事裁判で勝訴し、判決後に行われた男性の記者会見での耳を疑うような発言 私のところにも、性被害を受けたんですという方から連絡があり、お目にかかった方もおります。本当に性被害に遭った方は『伊藤さんが本当のことを言っていない。こういう記者会見の場で笑ったり、上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは絶対にない』と証言しているんですね 元記者はジャーナリストの女性を批判する材料に、性被害に遭ったとされる人が言っていたことという責任転嫁のもと、「一般論としての性被害者のあるべき姿」を公衆の面前で堂々と言ってのけた 伊藤詩織さんレイプ事件 この発言こそがセカンドレイプだと、なぜメディアは突っ込まないのか 日本では強制性交の被害のわずか4%しか警察に被害届が出ない 世界の大手メディアは、ジャーナリストの女性が声を上げてからの4年の間に、日本のメディアが彼女を擁護する姿勢をとらないことを批判 女性が警察に相談した際にセカンドレイプのような扱いを受けたことや、日本の性的暴行の闇を「“Japan's Secret Shame”(日本の秘められた恥)」というタイトルで報じていた そもそも分断の壁はいったん立ちはだかると壊すのが極めて困難だ 社会経済的格差もあるため、「あちら側」の人間が「こちら側」に来られないような制度やらルールやらを社会的立場の高い人たちがつくる そうなれば、まさに“上級国民”の誕生 団塊の世代は逃げ切ったけど、逃げ切れない世代にとって、50代からの生き方は切実な問題
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

いじめ問題(その9)(私立学校でいじめの実態は把握されているのか?、「ハーフ」の女子生徒を自死に追い詰めたイジメ 「ガイジン」と笑われ続けた彼女は…、壮絶いじめ告白の中川翔子 「嫌な同窓会なら行かなくていい」) [社会]

いじめ問題については、10月18日に取上げた。今日は、(その9)(私立学校でいじめの実態は把握されているのか?、「ハーフ」の女子生徒を自死に追い詰めたイジメ 「ガイジン」と笑われ続けた彼女は…、壮絶いじめ告白の中川翔子 「嫌な同窓会なら行かなくていい」)である。

先ずは、教育社会学者の舞田敏彦氏が11月13日付けNewsweek日本版に掲載した「私立学校でいじめの実態は把握されているのか?」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13375_1.php
・『<教育委員会が強く指導できる公立学校と違って、私立学校ではいじめ問題が認知されにくいことが指摘されている> 子どもの問題行動が、13~15歳の思春期で多発するのはよく知られている。この年代は中学生のステージだが、最近では私立中学校が増えている。東京都内では、中学生の4人に1人が私立校の生徒だ。 その私立校に関連して、10月23日の京都新聞ウェブ版に興味深い記事が出ている。「私立校のいじめ対応に不満、どうすれば? 指導機関なく『治外法権』との声も」と題するものだ。 中身については後で触れるが、いじめは問題行動の中でも量的な把握が最も難しい。可視性が低く、客観的な基準がない。学校がいじめの把握にどれほど本腰を入れるか、という認知の姿勢にも影響される。ここで問いたいのは、学校側の認知の姿勢だ。中学校の公立と私立を比較すると、気になる傾向が見えてくる。 毎年実施される『全国学力・学習状況調査』では、「いじめはどんな理由があってもいけない」という項目への賛否を問うている。否定的な回答をした中学校3年生の率は、公立が4.4%、私立が7.0%となっている(2018年度)。いじめの容認率は、公立より私立のほうが高い。この比率を中学校の全生徒数にかけると、いじめを容認する生徒の実数が出てくる。これを、統計に出ているいじめ認知件数と照合すると<表1>のようになる。 統計上のいじめ認知件数(d)を、いじめを容認する生徒の推計数(c)で割ってみると、公立は0.711、私立は0.170となる。分母をいじめの真数と見立てると、公立は7割を把握できているが、私立は2割もわかっていないことになる。私立のいじめ認知度は低い。 生徒募集に響くので、学校がいじめの認知に積極的でない可能性がある。問題のある生徒は退学させることができ、私立校ではこの手の問題への対応に関する研修が、公立に比して不十分であることも考えられる。 上記の京都新聞記事では、私立校のいじめ対応には不満が多いことがいわれている。公立校なら、教育委員会が強く指導できる。公立のいじめ認知度は7割と高いが、相次ぐ重大事件を受けて、教育委員会の指導が強化されているためだろう。しかし私立はそうはいかず、指導の権限が設置者の学校法人にあるため、内輪の問題として処理され、きちんとした対応ができていないという疑問がある。同記事でも提言されているが、私立学校についても外部の指導機関が必要だろう』、ここでの「いじめ認知度」は、「分母をいじめの真数と見立てる」、というかなり大胆な前提で試算されたものではあるが、「公立は7割を把握できているが、私立は2割もわかっていないことになる」、実際の「認知度」にここまでの格差があるか否かは別としても、私立の方が低いことは確かなようだ。ただ、「私立学校についても外部の指導機関が必要」、との結論には違和感を覚える。もっと、「私立学校」の特性に立脚した慎重な判断が求められる。
・『なお、公立中学校のいじめ認知度には地域差がある。<表1>と同じやり方で都道府県別の数値を計算し、高い順に並べると<表2>のようになる。 山梨県と山形県では、統計上のいじめ件数が、いじめを容認する生徒数の2倍を超えている。頻繁に見回りをしたり、アンケート調査をしたりと、いじめの把握に本腰を入れていることがうかがえる。16の県が1.0を上回るが、0.5を割っている県も8県ある。後者の県は、いじめ認知の姿勢が適正か点検してみる必要があるかもしれない。 認知度が低いのは都市部の県が多いが、中学生のスマホ所持率が高いので、いわゆる「ネットいじめ」にも注意が必要だ。インターネット上のいじめも、いじめの法的な定義に含まれる(いじめ防止対策推進法第2条)。こうしたネット上のいじめは、把握の網から漏れやすい。同法第19条でも規定されているように、国や自治体はネットパトロール等の取組を支援していく必要がある』、「ネットいじめ」は確かに深刻な問題だが、NPO法人などによるネットパトロールの自治体の支援の実績や有効性についても、検証すべきだろう。

次に、11月22日付けPRESIDENT Onlineが掲載したNHK取材班により「「ハーフ」の女子生徒を自死に追い詰めたイジメ 「ガイジン」と笑われ続けた彼女は…」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/30772
・『外国から日本に移り住んだ家族の中には、容姿や文化の違いを背景に陰湿ないじめを受けている子どもがいる。同級生から「ガイジン」と蔑まれながらも強く生きようとした女性の生涯を、NHK取材班が追った――』、興味深そうだ。
・『日本ではなく「カナダに残っていれば……」  「天然パーマ」「毛が濃いんだよ」彼女がその容姿に対して毎日浴びせられた言葉。黒板に書かれた彼女の似顔絵に投げつけられたスリッパ。その少女は、過去に体験した記憶から逃れることができず、心の傷が癒えることはなかった。「いつまでたっても、普通の女の子には戻れない」。そう訴えた彼女はどこにでもいるような女の子で、あえて少し違うところがあるとすれば、それは彼女のルーツだった。 高橋美桜子さんはカナダ人の父親と日本人の母親の間に1989年、カナダで生まれた。その後、両親は離婚。美桜子さんは4歳半から、母親の典子さんとともに日本で暮らした。 だが、母の典子さんは日本に帰国したことを今も悔やんでいる。 「カナダでは一人一人に自分の考えがあることを幼い時から教えていました。自分の考えがあるということは、相手にも違う考えがある。みんな違って当たり前という発想が自然と身についたんだと思います。だから、カナダに残っていれば……。今でもそう思っています」』、背景にあると思われる異質なものを排除しようとする日本の「島国根性」は、本当に困ったことだ。
・『自分のルーツは誇るべきものだったのに  日本への帰国を決めた時、典子さんは、ある不安を感じた。娘は「ハーフ」だから、いじめられるかもしれない。だから美桜子さんには伝えておいた。 「みおちゃんは日本で『ハーフ』と呼ばれる。でも、みおちゃんはみおちゃんらしく胸を張っていこうね」 確かに日本の小学校で、美桜子さんは同級生から「ガイジン」「カナダに帰れ」という心ない言葉を投げかけられた。それでも美桜子さんは、小学校の時に書いた作文で、こうした言葉に対し「何にも悪いことしてないのにと悲しくなるし、同じ人間なのに、なぜ差別するの」とつづり、むしろ彼女にとってそのルーツは誇るべきものだった。 美桜子さんは、泣いている友だちがいれば隣で優しく元気づけてあげる正義感の強い、自分の意見をしっかりと言える子どもに成長した。 しかし、美桜子さんは、愛知県の私立中学校に進学するといじめを受けるようになった。はっきりした理由はわからない。 同級生がいじめられているのを見て「やめなよ」と言って止めたこと。担任が男女差別的な発言をしたことに対して「そういうことを言うのは間違ってる」と意見したこと。外国にもルーツがあるから見た目が目立つこと。そういうことが積み重なって、美桜子さんへのいじめは突然始まった』、「担任が男女差別的な発言をしたことに対して「そういうことを言うのは間違ってる」と意見」、とは海外で育った子どもにはあり得ることだ。
・『担任教師は「お前の思い過ごしだ」  いじめは、所属していたバトン部で夏ごろから始まり、部活を辞める他なかった。 2学期に入ると、教室でもいじめが行われるようになった。仲間はずれにシカト。「天然パーマ」「毛が濃いんだよ」と執ように吐き捨てられる、容姿に関する言葉。教科書やノートに殴り書きされた「ウザい」「キモイ」「死ね」といった文字。自分の椅子に座って下を見ると机の下にゴミが集められ、教室に戻ると机が教室の外に出されていた。 黒板に美桜子さんの似顔絵を描いて、スリッパを投げつけている同級生もいた。美桜子さんは体調不良を訴え学校に行くのを嫌がり、下校のたびに泣いて帰ってくるようになった。 中学1年の3月。げた箱に行くと、目に飛び込んできたのは、自分の靴の中にびっしり貼りつけられた画びょう。美桜子さんは、画びょうが入ったままの靴を持って担任にいじめを訴えた。担任は画びょうを受け取っただけで、こう言ったそうだ。 「俺のクラスにいじめなんかするやつはおらん。お前の思い過ごしだ」 それから10日ほど経った修了式の日。登校すると、同級生の1人が「汗が臭いから空気の入れ換えをしよ」と言うなり、教室の窓を開けた。 「もう無理。この中学校だけは絶対に嫌だ」 帰宅途中の美桜子さんは、典子さんに電話で伝えた。もう限界だった』、私立中学の「担任」の暴言は余りに酷い。「差別的な発言」へ「意見」されたことに根を持っていたのだろうか。
・『怖い記憶が襲って人格が分裂するように  中学2年、美桜子さんはいじめから逃れるため、別の中学に転校。その学校でいじめはなかった。 しかし、美桜子さんに異変が起きた。 「またいじめにあうかもしれないと思うと、怖くて教室にいられない」 受診していた医師の診断は、いじめられたことによるPTSD。美桜子さんはいじめの体験、記憶から逃れることができなかったのだ。 中学2年の2月深夜。美桜子さんは突然起きだし、典子さんに言った。 「私は美桜子じゃありません。私は美桜子さんに、美桜子さんのことを教える人です」 美桜子さんの中の「誰か」が話し続けた。 美桜子さんがいくつかの人格にわかれていること、美桜子さんが自分自身のことを嫌いになったことがわかった。その後も「ランちゃん」「あやちゃん」と名乗る別の人格が表れては、典子さんに美桜子さんの心の内を明かしていった。 そして、中学1年の時にいじめられた話になると、決まってしゃくり上げるように泣いてしまうのだった。どうしても逃れられない、いじめの記憶。「普通の女の子」に戻りたい。そんな当たり前のことすらかなわない現実があった。 美桜子さんが書き残したメモにはこうつづられている。 「何でこんなコトになっちゃったの?!!! いつになったら、治るの?!!! このまんまじゃいつまでたっても、ふつうの女の子には戻れないじゃない」』、「人格が分裂」はいわゆる解離性同一性障害(下記リンク)で、ここまで深刻な病状を示しているのを、単なる「PTSD」との「医師の診断」は不適切だったのかも知れない。
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_dissociation.html
・『高校のスピーチコンテストで選んだテーマは  美桜子さんからははつらつさが失われ、幼なじみもその変化に驚くほどだった。容姿も含め自分に自信を持っていた彼女。なのに、自分の顔を「かわいくない、ブスだよ」と言うようになり、自信を完全に失っていた。自らのルーツは、もう彼女にとって誇りでもなんでもなくなっていた。 過呼吸を起こしたりカッターナイフを取り出してリストカットをしようとしたりと不安定な状態が続いた。ただ、一時期フリースクールに通いながら治療を進めていた美桜子さんは高校にも進学できた。 そうした中、美桜子さんは高校1年の1学期、スピーチコンテストのために、いじめの経験をテーマに作文を書いている。 「自分との戦い」とタイトルをつけられた原稿はこう始まる。 「今、私は自分自身と戦っています。その理由は今から3年前、中学1年生の時に受けた『いじめ』にあります」 そして、美桜子さんが前を向いて歩み出していると感じられる言葉もあった。 「今まで自分のいじめについて言葉に書き表したことはありません。でも、勇気を出して今、ここに書き表そうと思います」』、「いじめの経験をテーマに作文を書いている」、なかなか勇気があるし、自分を客観視できるのも大したものだ。
・『大切な友だちが見つかった矢先に起きた悲劇  美桜子さんはいじめの経験について、いじめた同級生のストレスの「ゴミ箱」にされたと表現し、何も考えられなくなり、心が麻痺し、自分の生きている意味を見失い、他人からみればたとえ短い期間であったとしても、いじめを受けている本人にはすごく長く感じた1年間だったと振り返っている。 そのうえで、高校生活ではいじめの経験を理解してくれようとする大切な友だちも見つかり、そうした友だちと本気で笑い合える日が来ることを楽しみにできるようになったことを明かし、その心境をこう表現している。 「私の長い長いトンネルは小さい小さい光の出口が見つかったのかもしれません」 しかし、高校2年の8月。母親が持病で検査入院をしていた日、一人きりになった美桜子さんは、知人にメールを送った。 「みんなが死ねって言ってる。苦しいから薬を飲んだ」 異変を感じた知人は、すぐに美桜子さんの友人に彼女の自宅へ急いで向かうよう連絡した。友人たちは美桜子さんに電話をかけ、美桜子さんは電話に出た。 しかし、すでに意識がもうろうとした様子で、途中から美桜子さんの声は途切れた。 8月18日未明。美桜子さんは自宅マンションの8階から身を投げて、16歳の短い人生を自ら閉じた。家のテーブルには、赤いペンで書かれた遺書が残されていた。 「まま大好きだよ。みんな大好きだよ。愛してる。でもね、もうつかれたの。みおこの最後のわがままきいてね。こんなやつと友ダチでいてくれてありがとう。本当にみんな愛してるよ。でも、くるしいよ。」』、「母親が持病で検査入院」、最悪のタイミングだったようだ。
・『「目立ってうざい」という空気に彼女は苦しめられた  美桜子さんの死後、典子さんは娘がなぜ死ななければならなかったのかを考えてきた。 その理由を知りたくて学校側を相手に裁判を起こした。一審では、いじめが自殺の原因だと認められた。しかし、二審では高校での友人とのあつれきなどによるストレスが自殺の原因だとして、いじめとの関係は認められなかった。 典子さんは「私の中では、美桜子のことはまだ終わってないんです」と話し、今でも美桜子さんの短い人生について考え続けている。 そして、美桜子さんがいじめられた原因のひとつに、彼女のルーツが関係していたのではないかと思っている。 「美桜子はハーフで目立ち、はっきりものを言ううざいヤツ。だからいじめてもいいということになったと思っています。日本は、波風を立てない、何かあっても何もなかったようにやり過ごす、異なる意見は和を乱すから悪。そういうものに美桜子は苦しめられ続けた」』、「二審では高校での友人とのあつれき」、本文では触れられてないが裁判では問題視されている。どのようなことがあったのだろう。中学を卒業して年数が経っているとはいえ、「典子さん」側の弁護士の力量不足もありそうだ。「日本は、波風を立てない、何かあっても何もなかったようにやり過ごす、異なる意見は和を乱すから悪。そういうものに美桜子は苦しめられ続けた」、多様性を認めず、異質なものを排除し、集団主義を重視し過ぎる日本の教育制度そのものにも問題がありそうだ。

12月23日付け日経ビジネスオンライン「壮絶いじめ告白の中川翔子 「嫌な同窓会なら行かなくていい」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/121800006/?P=1
・『時にはタレント、時には女優、時には声優・歌手として幅広い分野で活躍を続ける「しょこたん」こと中川翔子さんが2019年夏、衝撃的な書籍を出版した。自身のいじめられ体験を赤裸々につづった『「死ぬんじゃねーぞ!!」 いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文芸春秋)だ。 中学時代、ささいなことからいじめの標的になり、「死にたい」と思うまで追い詰められたという中川さん。当時の気持ちを振り返りながら、今現在いじめで傷つき悩む子どもたちや周囲の人々に対し送ったメッセージが本書だ。 学校でのいじめは卒業しても心の奥にトラウマとして沈殿し、その後の人生に様々な影響を与えかねない。人は学校時代のつらい記憶とどう向き合い生きていけばいいのか。改めて中川さんに聞いた』、中川さんまでいじめを経験したとは、興味深そうだ(Qは聞き手の質問)。
・『Q:本を読ませて頂きましたが、衝撃的な内容でした。我々男性は「女子同士のいじめ」にあまり詳しくなく、正直、暴力を伴う「男子同士のいじめ」に比べるとまだ“楽な部分”もあるのではと思っていましたが、とんでもない間違いでした。 中川:私も男子の世界はよく分からないんですけど、一つ言えるのは、いじめで思い悩み命を絶ってしまう子がいるという点は男の子でも女の子でも変わらないということです。そしてそういうひどいいじめは決して特別なことではなく、どこにでもあります。むしろ「当たり前のようにあるものだ」という前提でいないと周囲の大人は見逃してしまい、それこそ取り返しのつかないことになってしまうんです。子供は「自分がいじめられている」とは言いませんから。 Q:中川さんも言えなかった? 中川:絶対知られたくなかったですね。親には言えないし、言いたくないし、知られたくないし限界まで我慢しました。でもそこまで追い込まれていても、クラスでのいじめは表面だけを見ているとなかなか分かりません。例えば、担任の先生も私の中学の場合は授業以外の時間は教室にいませんでした。その先生がいない10分の休み時間とか、他の教室への移動時間にこそいじめは起きるんです。大人にとっては1週間でも一瞬で過ぎちゃうけど、いじめられている子供にとっての10分って、とても長いんですよね』、「子供は「自分がいじめられている」とは言いません」、「先生がいない10分の休み時間とか、他の教室への移動時間にこそいじめは起きるんです」、いじめの発見がなかなか難しい理由の一端が分かった。
・『おばあちゃん手製のプリクラ帳  Q:いじめのきっかけは、本当にささいなことでした。 中川:本当のきっかけはよく分かりません。いくつかあるきっかけの一つだと思うんですが、私の場合は「プリクラ帳を見せて」と中学に入ってすぐ隣の子に言われたのが始まりでした。おしゃれな今どきの目立つ感じの子で、後にいじめグループのボスになっていく子なんですが、私はプリクラ帳を持っていなかったのです。見ると、みんながプリクラ帳を見せ合い楽しそうにしている。 そこで、何か代わりになるものはないかと家中を探しました。私は小学校3年生のときに父を白血病で亡くしていて、母と祖母の3人暮らし。そのおばあちゃんが和紙で作ってくれたノートに、急いで撮ったプリクラを貼って持って行ったんです。 Q:すると「おばあちゃん? 何それ、キモくない?」と言われてしまう。 中川:一度「キモい」と認定されると、後は絵を描いていても何をしていても「キモい」となってしまう。クラスで孤立して、悪口を言われ、休み時間の間もトイレに隠れたり、廊下のロッカーの教科書を入れ替えたりして、忙しいふりをしていました。 Q:……。 中川:「何でこんなことになっちゃったんだろう」とか、いじめられたことを思い出しては「あのとき、ああ言い返せばよかった」とかずっと無駄なことを考えていたように思います。なるべく学校での滞在時間を短くしたいから授業が終わるとすぐに帰宅です。で、帰ってからずっとインターネットをやって、ネットで見つけたいろいろな面白い情報を、仕事で夜中に帰ってくる母に話すんです。そうすると母は「へえっ」てきいてくれて。 Q:ネットとお母さんが最初の救いになるんですね』、「ネットとお母さんが最初の救いに」なったというのは不幸中の幸いだ。
・『ラジオ体操が流れると「ああ、また学校だ…」  中川:でもそうやって起きていると明け方になって、ラジオ体操が聞こえてきて、ああ、また学校だ、嫌だなみたいな、そんな感じでずっと過ごしていました。それでも中3になるとキムラという友達もできました。彼女はもっと上の「カースト(学校内序列)」の子なんですが、普通に私と一緒にいてくれて、一緒に笑ってくれていて、絵を描いたり、漫画を読んだりしてくれました。 Q:慰めてくれたり、一緒にいじめグループに対抗したりしてくれるわけではない? 中川:何も言わず、隣にいてくれるだけです。でも、だからこそ救われました。私の靴箱がボコボコにされていたのを見ても何も言わなかったんです。ただ隣にいる。私は「隣る(となる)」って表現しているんですが、ただ隣ってくれる人がいるだけでも、人は救われるんですよね。 Q:本を読んでいて、キムラさんがいなかったらどうなっていたかと思いました。 中川:そうですね。そこのところはラッキーでしたね。だから、隣るというのはすごく勇気がいると思うんです。やっぱり被害を受けたくないとか、自分に被害が及びかねないですもんね。キムラとは今でも友達です。 Q:キムラさん以外の中学時代の同級生の方々とのお付き合いはあるんですか。同窓会とか。 中川:絶対に行きたくないです。 Q:弊社が2019年夏に出版した『同窓会に行けない症候群』には、中川さん同様、学生時代にいじめを受けて、当時のことを思い出したくないから同窓会に行きたくないという人の話も出てきます。 中川:行かなきゃいいです。行く必要はありません。全ての同窓会に行くなと言っているわけではないですよ。例えば私の場合、小学校5~6年のクラスは先生とも生徒同士もとても仲がよくて、ついこの間も同窓会をしたばかりです。 中学の卒業前に学校に行かなくなってしまった自分にとって、学生生活で一番楽しかった時代。ひたすら懐かしい思い出話をして笑って、みんなそれぞれ違う道を歩んでも、あの頃の懐かしさは時がたてばたつほど宝石みたいに輝いて、それは楽しい時間でした。そういう同窓会はどんどん行けばいい。でも、嫌な人と会う同窓会なんて行く必要ないと思います。大切な人とは普段から会っていますし。この間もプチ同窓会を開きました』、「私は「隣る(となる)」って表現しているんですが、ただ隣ってくれる人がいるだけでも、人は救われるんですよね」、そんなものなのかも知れない。
・『同窓会も忘年会も嫌なら「スルー」で構わない  Q:学生時代の仲間でも会いたい人とは普段から交流している。同窓会というのは“会いたくない人とわざわざ会う場所”。だったら行く必要なし」とハライチの岩井勇気さんも話してました(「ハライチ岩井が語る『今時、同窓会に参加する人』の正体」)。 中川:正直、人間って「あ、この人、ちょっと合わないな」みたいな部分は誰しもあると思うんです。だから周りの人や自分が関わってきた人全員と仲良くする必要なんか全くないと思うんですよ。人の寿命は限られているじゃないですか。そう考えれば、無駄なストレスをため込むのって本当に時間がもったいない。人生がもったいないです。 Q:そこは、『同窓会に行けない症候群』の根幹的主張でもあります。 中川:特に、妙に変な攻撃性が含まれている人っているじゃないですか。そういう人と関わるのは面倒くさいし、時間の無駄です。寿命という時間をすり減らしてまた嫌な思いをしたら嫌じゃないですか。 Q:確かに最近の同窓会では、攻撃性の高い人が他人を攻撃しようと集まるケースもあるとの指摘もあります。いずれにせよ、気の合わない人と会うことになる同窓会も、パワハラ・セクハラし放題の場と化す可能性さえある会社の忘年会も、嫌なら行かなくていいというわけですね。いつか時間がたって、そういう嫌な相手にも会いたいなどと思う日は来るのでしょうか。 中川:大人の中には「いじめは卒業すれば終わる」と思っている人もいますが、私の場合、いじめられたダメージみたいなものが本当に薄れ始めたのは20歳ぐらいからでした。いじめと関係のない環境になっても、いじめられた経験がフラッシュバックして思い出すことがあった。心の傷は一生消えないのかもしれません。 Q:なるほど。 中川:だけど今では、あの時期があったから、今があるとも思えるようになってきました。当時は「毎日が地獄」みたいに思っていて、その地獄の穴を埋めるためにネットをやって、本を読んでいたつもりだったのですが、結果として、それがものすごい未来への糧になりましたから。 例えば、2019年12月に「RGB~True Color~」という5枚目のオリジナルアルバムを出して、作詞もしたんですが、あの頃の経験が様々な作品のベースになりました。タイトルの「RGB」というのは光の三原色の頭文字で、あの苦しんでいた時期、「もう嫌だ」「何でこんな目に遭うんだろう」と傷ついていた時期に、私に一瞬だけ強く差し込んだ──そんな光を、作品を作る上で強くイメージしました。あのときの一瞬の光が未来の夢の種になり、未来の自分を助けてくれている。だから、すごく意味があったんだ、と』、「周りの人や自分が関わってきた人全員と仲良くする必要なんか全くないと思うんですよ。人の寿命は限られているじゃないですか。そう考えれば、無駄なストレスをため込むのって本当に時間がもったいない。人生がもったいないです」、割り切りがすごいが、これが耐える秘訣なのかも知れない。他方で、「私の場合、いじめられたダメージみたいなものが本当に薄れ始めたのは20歳ぐらいからでした。いじめと関係のない環境になっても、いじめられた経験がフラッシュバックして思い出すことがあった。心の傷は一生消えないのかもしれません」、やはり深刻な問題だ。
・『どんな闇にも光は差し込む  Q:今、いじめに悩んでいる子供達にも、差し込む光はある、と。 中川:いじめられている頃は将来のことなんて考える余裕はないと思うけど、今いじめられている人は何とか生きて、生きて、生き延びてほしいです。何でもいいから好きなことに夢中になって生きてほしい。そうしたら、ああ、生きていてよかったという一瞬が必ず待っているから、と伝えたいです』、「いじめられている人」への救いのメッセージだ。中川さんを改めて見直した。ただ、中川さんは前述のような強さがあるが、それのない普通の人にも「救い」となるかは、自信がない。
タグ:解離性同一性障害 日経ビジネスオンライン いじめ問題 NHK取材班 PRESIDENT ONLINE Newsweek日本版 舞田敏彦 (その9)(私立学校でいじめの実態は把握されているのか?、「ハーフ」の女子生徒を自死に追い詰めたイジメ 「ガイジン」と笑われ続けた彼女は…、壮絶いじめ告白の中川翔子 「嫌な同窓会なら行かなくていい」) 「私立学校でいじめの実態は把握されているのか?」 京都新聞ウェブ版 「私立校のいじめ対応に不満、どうすれば? 指導機関なく『治外法権』との声も」 『全国学力・学習状況調査』 否定的な回答をした中学校3年生の率は、公立が4.4%、私立が7.0% 認知件数(d)を、いじめを容認する生徒の推計数(c)で割ってみると、公立は0.711、私立は0.170となる 分母をいじめの真数と見立てると、公立は7割を把握できているが、私立は2割もわかっていないことになる 指導の権限が設置者の学校法人にあるため、内輪の問題として処理され、きちんとした対応ができていないという疑問 私立学校についても外部の指導機関が必要 っと、「私立学校」の特性に立脚した慎重な判断が求められる いじめ防止対策推進法第2条 国や自治体はネットパトロール等の取組を支援していく必要 「「ハーフ」の女子生徒を自死に追い詰めたイジメ 「ガイジン」と笑われ続けた彼女は…」 日本ではなく「カナダに残っていれば……」 カナダでは一人一人に自分の考えがあることを幼い時から教えていました。自分の考えがあるということは、相手にも違う考えがある。みんな違って当たり前という発想が自然と身についたんだ 自分のルーツは誇るべきものだったのに 泣いている友だちがいれば隣で優しく元気づけてあげる正義感の強い、自分の意見をしっかりと言える子どもに成長 私立中学校に進学するといじめを受けるようになった 同級生がいじめられているのを見て「やめなよ」と言って止めたこと 担任が男女差別的な発言をしたことに対して「そういうことを言うのは間違ってる」と意見したこと 担任教師は「お前の思い過ごしだ」 画びょうが入ったままの靴を持って担任にいじめを訴えた 担任は画びょうを受け取っただけで、こう言ったそうだ。 「俺のクラスにいじめなんかするやつはおらん。お前の思い過ごしだ」 怖い記憶が襲って人格が分裂するように 別の中学に転校。その学校でいじめはなかった 美桜子さんに異変が起きた。 「またいじめにあうかもしれないと思うと、怖くて教室にいられない」 受診していた医師の診断は、いじめられたことによるPTSD 美桜子さんがいくつかの人格にわかれていること、美桜子さんが自分自身のことを嫌いになったことがわかった 高校のスピーチコンテストで選んだテーマは スピーチコンテストのために、いじめの経験をテーマに作文を書いている 大切な友だちが見つかった矢先に起きた悲劇 高校2年の8月。母親が持病で検査入院をしていた日、一人きりになった美桜子さんは、知人にメールを送った。 「みんなが死ねって言ってる。苦しいから薬を飲んだ」 途中から美桜子さんの声は途切れた。 8月18日未明。美桜子さんは自宅マンションの8階から身を投げて、16歳の短い人生を自ら閉じた 「目立ってうざい」という空気に彼女は苦しめられた 学校側を相手に裁判 一審では、いじめが自殺の原因だと認められた。しかし、二審では高校での友人とのあつれきなどによるストレスが自殺の原因だとして、いじめとの関係は認められなかった 「壮絶いじめ告白の中川翔子 「嫌な同窓会なら行かなくていい」」 『「死ぬんじゃねーぞ!!」 いじめられている君はゼッタイ悪くない』 いじめで思い悩み命を絶ってしまう子がいるという点は男の子でも女の子でも変わらないということです。そしてそういうひどいいじめは決して特別なことではなく、どこにでもあります。むしろ「当たり前のようにあるものだ」という前提でいないと周囲の大人は見逃してしまい、それこそ取り返しのつかないことになってしまうんです 子供は「自分がいじめられている」とは言いません 先生がいない10分の休み時間とか、他の教室への移動時間にこそいじめは起きるんです おばあちゃん手製のプリクラ帳 ネットとお母さんが最初の救いに ラジオ体操が流れると「ああ、また学校だ…」 嫌な人と会う同窓会なんて行く必要ない 同窓会も忘年会も嫌なら「スルー」で構わない 今いじめられている人は何とか生きて、生きて、生き延びてほしいです。何でもいいから好きなことに夢中になって生きてほしい。そうしたら、ああ、生きていてよかったという一瞬が必ず待っているから、と伝えたいです
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

日本の政治情勢(その39)(安倍1強に広がる動揺、「逃げ恥作戦」の成否 年明け政局の焦点は「解散」にいつ踏み切るか、「桜を見る会」を海外メディアが「Cherry Blossom party」と名付け一斉に批判!、首相元秘書・下関市長が目論む”市大支配”~教員人事・定款変更の強行は「桜を見る会」と同じ構図) [国内政治]

日本の政治情勢については、12月10日に取上げたばかりだが、今日は、(その39)(安倍1強に広がる動揺、「逃げ恥作戦」の成否 年明け政局の焦点は「解散」にいつ踏み切るか、「桜を見る会」を海外メディアが「Cherry Blossom party」と名付け一斉に批判!、首相元秘書・下関市長が目論む”市大支配”~教員人事・定款変更の強行は「桜を見る会」と同じ構図)である。

先ずは、政治ジャーナリストの泉 宏氏が12月12日付け東洋経済オンラインに掲載した「安倍1強に広がる動揺、「逃げ恥作戦」の成否 年明け政局の焦点は「解散」にいつ踏み切るか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/319254
・『政治の劣化と国民の政治不信ばかりが目立った臨時国会が12月9日、会期延長もなく閉幕した。 主要2閣僚の連続辞任や「桜を見る会」の私物化疑惑で、安倍晋三首相の率いる1強政権の動揺が際立つ一方、多弱野党の戦闘力不足もあって、国会での与野党攻防は「なんとか引き分け」(自民国対)に終わった格好だ。 首相は国会閉幕を受けた9日夜の記者会見で、憲法改正への変わらぬ決意を示し、早期解散の可能性を示唆するなど、年明け以降の政権運営にも強気を装った。しかし、野党などの政権攻撃へのいら立ちと焦りの表情は隠せず、国会攻防を乗り切った高揚感もなかった。首相自身が種をまいた“桜疑惑”は今後も炎上が続く可能性が大きく、国会閉幕も含めた安倍政権の一連の“逃げ恥作戦”も成否はなお微妙だ』、「“逃げ恥作戦”」とはまさに言い得て妙だ。
・『国会を閉じれば国民は疑惑を忘れてくれる  第200回という歴史的節目でもあった臨時国会は、67日間という当初会期を延長せずに閉幕した。立憲民主など主要野党は、安倍首相への追及を続けるため、異例の40日間の会期延長を要求したが、ほとんどの法案が成立したことを理由に与党は延長に応じなかった。「国会を閉じれば、年末年始で国民も疑惑を忘れてくれる」(自民国対)との思惑からだ。 一方、日米新貿易協定など重要課題での政策論争を事実上放棄し、桜疑惑の追及を優先した主要野党は、国会の定番だった会期末の内閣不信任案提出を見送った。「否決されて疑惑追及に一定の区切りがつくのは得策ではない」との理由だ。ただ、首相サイドが流した失地回復のための桜解散説におびえた側面もあり、会期末の与野党攻防は勝負を持ち越した。 恒例の国会閉幕時の首相記者会見は、NHKの中継予定に合わせて9日午後6時から始まり、安倍首相は通常よりやや長い約33分間、質疑に応じた。首相は約13分間にわたった冒頭発言で臨時国会を振り返り、主要野党が反対する中で衆参とも短時間の審議で承認された日米新貿易協定について、「まさに国益にかなう結果が得られた」と自画自賛してみせた。 さらに、農産物輸出促進法や生産性革命を加速するための改正会社法の成立などを成果として強調。年明け以降も「つねにチャレンジャーの気持ちを忘れずに、国内外の課題に全力で取り組んでいく」と胸を張り、2閣僚辞任や桜を見る会の私物化疑惑などへの言及は避けた』、全く中味が空疎で一方的なPRのための「記者会見」だった。
・『記者から憲法改正実現への道筋を問われると、「7月の参院選では『国会での憲法論議を進めよ』という国民の声が示された」と指摘し、その前段となる国民投票法改正案が臨時国会でも継続審議となったことを「まことに残念」と振り返った。 そのうえで「憲法改正は自民党の党是で、それを実行するのが私たちの責任。決してたやすい道ではないが、必ずや私の手で成し遂げていきたい」と述べ、2021年9月までの自民党総裁としての任期中の新憲法施行への決意を改めて強調した。 さらに、桜を見る会での私物化疑惑については、「国民の皆様から批判があることは十分に承知している。これまでの運用を大いに反省し、私自身の責任において全般的な見直しを行っていく」とまずは低姿勢で応答。 預託商法問題で経営破綻したジャパンライフ元会長の「首相枠での招待」などの疑惑については、「(元会長との)個人的な関係は一切ない」「(廃棄された)招待者名簿のデータ復元は不可能との報告を受けている」などと、用意されたペーパーに目を落としながら国会答弁などと同じ説明を繰り返した』、記者からの質問も事前に打ち合わせ、回答も準備された全く形式的な「記者会見」で、見るに耐えないものだった。
・『内心の動揺を隠せない安倍首相  その一方、衆院解散については「参院選での国民への約束を実行しなければ、ということで頭がいっぱいだ」としながらも、「国民の信を問うべきときが来たと考えれば、解散・総選挙を断行することに躊躇はない」と記者団をにらみつけるように言い切った。 記者会見自体は「これまで通りの首相ペースで終始した」(官邸関係者)が、首相の表情は一貫して固かった。注目された私物化疑惑での説明や、遅々として進まない国会での改憲論議についても、応答は伏し目がちで顔をしかめる場面が目立ち、「強い言葉とは裏腹の内心の動揺」(立憲民主幹部)も垣間見せた。 こうした臨時国会の幕引きについて、安倍政権に批判的な朝日、毎日両紙は「『信なくば立たず』どこへ」(朝日)、「説明避ける最長政権」(毎日)などと手厳しかった。これに対し、政権寄りとされる読売、産経両紙は「憲法改正『私の手で』」(読売)などと首相を後押しし、私物化疑惑についても「不祥事追及…実り少なく、与野党に責任」(産経)などと野党の対応に疑問を呈した。 安倍首相が任期中の改憲実現に改めて決意を示したことについては、与党内から「求心力維持のためにも、『自分がやる』と言い続けるしかないが、内心は諦めムードでは」(自民長老)との声が出る。 また、「躊躇なく断行」とした解散・総選挙について、野党側は「年明け解散もありうる」と身構えるが、自民党内では「やれば負けて、政権のレームダック(死に体)化が進むだけ」(閣僚経験者)と、首相の強がりとの受け止めが少なくない。 政府は国会閉幕後、事業規模約26兆円の経済対策を進めるための今年度補正予算、来年度予算両案の20日閣議決定を目指して、編成作業に全力を挙げる方針。それと並行して、インド(12月15~17日)と中国(23~25日)を訪問し、お得意の首脳外交で内閣支持率の低下傾向に歯止めをかける考えだ。 年明け以降の政局はやはり、「首相がいつ伝家の宝刀(解散)を抜くか」が焦点となる。ただ、選挙準備は遅れており、「(年明け解散の)可能性はほとんどない」(自民長老)との見方が多い。安倍首相は年明けの1月中旬に中東訪問を予定しており、通常国会召集は1月20日(月曜)が有力視されている。通常国会の冒頭では、政府が経済対策のために編成する大型補正予算案の審議・成立が必須だ。 補正予算成立後の解散・総選挙となれば、日程的には投開票日が2月下旬以降となり、その後の来年度予算案審議をいくら短縮しても、予算成立は5月連休前後までずれ込む。こうした理由から「疑惑などでよほど追い詰められない限り、首相が『信を問うときが来た』と判断するはずがない」(首相経験者)との見方が広がるわけだ』、「解散・総選挙について、野党側は「年明け解散もありうる」と身構えるが、自民党内では「やれば負けて、政権のレームダック(死に体)化が進むだけ」(閣僚経験者)と、首相の強がりとの受け止めが少なくない」、野党への脅しとしては一定の効果があったようだ。「インド訪問」は先方の治安悪化を名目に中止になったが、真相はいまだに不明だ
・『解散の本命は五輪後の2020年秋  その後の政治日程をみても、通常国会後には東京都知事選(7月5日投開票)が予定され、7月24日から9月6日までは日本の威信をかけた東京五輪・パラリンピックが開催される。このため、首相が解散する場合の本命は「五輪後の2020年秋」(自民幹部)とみられている。 ただ、その時期は安倍首相の自民党総裁としての残り任期が1年足らずとなり、その時点で1強態勢が崩壊していれば、「追い込まれ解散で惨敗して、選挙後の退陣にも直結しかねない」(自民長老)とのリスクもはらむ。 主要野党が政権攻撃の切り札である内閣不信任案を見送ってまで通常国会での桜疑惑の追及にこだわるのも、「野党の追及に自民党内の反安倍の動きが連動すれば、安倍1強は完全に崩壊し、解散も打てなくなる」と読むからだ。 永田町で逃げ恥作戦と揶揄される安倍政権の一連の危機管理も「私物化疑惑で新たな証拠でも出れば『役に立つ』どころか一気に破綻しかねない」(閣僚経験者)という危うさが付きまとう。主要2閣僚が連続辞任した際、安倍首相は国会答弁で「説明責任は議員自身にある」と繰り返したが、当事者である菅原一秀前経済産業相や河井克行前法相らは、公の場での説明もせず、体調不良などを理由に雲隠れを続けている。 こうした状況について、反安倍の立場を鮮明にしてポスト安倍を目指す石破茂元幹事長は9日の石破派会合で、「自民党のコアな支持者が怒っている。第1次安倍政権や麻生太郎政権のときと(世論の)感じがやや似ている」と警鐘を鳴らした。安倍首相は9月11日に発足させた第4次安倍再改造内閣のキャッチフレーズを「安定と挑戦」としたが、「現状をみる限り『不安定と挫折』に変貌しつつある」(自民長老)のが実態といえそうだ』、「解散の本命は五輪後の2020年秋」、五輪で疑惑も忘れ去られることを期待しているのだろうが、通常国会で野党は手ぐすねを引いている筈だ。年明け後の展開が楽しみだ。

次に、12月17日付けLITERA「「桜を見る会」を海外メディアが「Cherry Blossom party」と名付け一斉に批判!「身内優遇」「安倍政権が組織ぐるみで情報隠蔽」」を紹介しよう。
https://lite-ra.com/2019/12/post-5148.html
・『「桜を見る会」問題をめぐって、13日の講演で「国会では政策論争以外の話に多くの審議時間が割かれている」などと発言した安倍首相。国会でもまともに説明せず、文書を破棄し、強引に幕引きを図ろうとしているお前が言うなという話だ。年を越して、安倍政権は「桜を見る会などいつまでやっているのか」「重要法案が進まない」などと連呼することで、疑惑から逃げ切るつもりだろうが、そんなことを許したら、日本国民とメディアは完全に海外からバカにされるだろう。 というのも、この「桜を見る会」をめぐる一連の問題は、すでに海外メディアも「Cherry Blossom party」などと呼んで報じており、“安倍首相による私物化”や“政権の隠蔽体質”を象徴する事件として、国際的に大きな注目を浴びているからだ。 たとえば米紙ワシントンポストは11月27日、「日本の首相の奇妙な話、公文書と巨大シュレッダー」(The strange tale of Japan’s prime minister, official documents and a very large shredder)と題して報じた。記事冒頭から、これまで安倍政権が行ってきた数々の公文書の隠蔽を皮肉めいた調子で振り返っている。〈物議を醸す公金を使った政府主催パーティの招待リストは? シュレッダーされた。 首相官邸への来訪者リストは? シュレッダーされた。 スーダンやイラクでの任務中に自衛隊が遭遇した危険を物語る日報は? 後に出てきたが、当初はシュレッダーされたとの話だった。 安倍政権が倒れる恐れのあった森友学園スキャンダルをめぐる数々の重要文書は? ある文書は改ざんされ、ある文書はシュレッダーされた』、「海外メディア」は日本のと違って「忖度」がないだけ、手厳しいようだ。
・『ワシントンポストやロイターだけでなく、英BBC、仏AFP、独紙も  英国のBBCも「えこひいき批判のなか、桜を見る会が中止」(Japan cancels cherry blossom party amid cronyism accusations)と題して報道(11月13日)。ガーディアン紙も「派手すぎるという抗議のあと、日本の首相が桜を見る会を中止に」(Japan's PM cancels cherry blossom party after outcry over florid spending」とのタイトルで記事にしている(11月14日)。floridは「華麗」「派手」「けばけばしい」のほかに「桜色」という意味があり、皮肉を込めてひっかけているのかもしれない。 同じく英国のテレグラフ紙は11月20日に「安倍晋三は日本の歴代最長総理大臣となったが桜を見る会スキャンダルで泥沼にはまった」と伝えた。桂太郎を超える安倍氏の首相最長在位の節目は「桜を見る会」のスキャンダルで影が薄くなったとしたうえで、このように安倍政権を総括している。〈第一次政権は2007年の1年で終わり、第二次政権は2012年に政権を奪還してから続いているが、その2度にわたる総理在位期間中、安倍氏はちょっとした“スキャンダル風化の専門家”になっている。第二次政権発足以降、安倍首相は6度の国政選挙で連立与党を勝利させたが、その長期政権の理由のひとつは野党がバラバラだからだ。そうしたなかで、えこひいきへの批判からデータ偽造問題、さらに9月の内閣改造で任用した大臣2人が最近、公選法違反で辞任したことに至るまで、安倍首相は一連のスキャンダルを生き延びてきた。〉 フランスでもAFPが「桜で日本の首相のスキャンダルが満開に」(Cherry blossoms prompt full-blown scandal for Japan's PM)が報道(12月9日)。「桜を見る会」問題について〈不祥事企業の会長は過去に一度ゲストになったが、日本の悪名高いヤクザマフィア(反社会勢力)のメンバーが招待されたのは今年のことだ〉などと伝えつつ、安倍政権が倒れることはないだろうと専門家が予測していることに関して〈中道左派の民主党による2009年から2012年までの政権が悲惨なパフォーマンスにおわった後も有権者は不信感を持ち続けており、野党に対する幻滅の余韻から安倍は恩恵を受けている〉と書いている。ドイツではフランクフルターアルゲマイネ紙が、加計学園問題にも触れながら「腐敗した桜に非難」(Vorwurf der Kirschblütenkorruption)と題して報じている(11月13日)。 欧米メディアに共通しているのは、「桜を見る会」が“身内びいき”と批判されていることをストレートに伝え、安倍政権にはこれまでも森友・加計問題など“身内びいき”の疑惑が浮上していたことに言及していることだ。データの隠蔽や改ざんなど公文書管理を問題視する報道も多く、政府が招待者リストを公開しないもの「桜を見る会」問題をごまかすためと見ている。また、「桜を見る会」問題に加え、閣僚の不祥事などスキャンダルが続出しながら長期政権を維持していることについては、決して有権者が積極的に安倍政権を支持しているわけではないとの分析が目立つ。 いずれにしても、安倍首相は年内で「桜を見る会」問題への追及を強引に終わらせるつもりだが、国際社会はこのスキャンダルを“安倍政権で起こるべくして起きた”と捉えているはずだ。日本の国際的評価を地に堕としている安倍首相を、このまま総理の椅子に座らせておくことはできない』、「安倍氏はちょっとした“スキャンダル風化の専門家”になっている」、「桜で日本の首相のスキャンダルが満開に」、などは手厳しい。「逃げ恥作戦」は「海外メディア」には通用しそうにないことは確かだ。

第三に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が12月16日付け同氏のブログに掲載した「首相元秘書・下関市長が目論む”市大支配”~教員人事・定款変更の強行は「桜を見る会」と同じ構図」を紹介しよう。
https://nobuogohara.com/2019/12/16/%e9%a6%96%e7%9b%b8%e5%85%83%e7%a7%98%e6%9b%b8%e3%83%bb%e4%b8%8b%e9%96%a2%e5%b8%82%e9%95%b7%e3%81%8c%e7%9b%ae%e8%ab%96%e3%82%80%e5%b8%82%e5%a4%a7%e6%94%af%e9%85%8d-%ef%bd%9e%e6%95%99/
・『「詰んだ盤面のまま『説明』から逃げ続ける安倍首相」  総理大臣主催の「桜を見る会」前夜祭に関する問題、安倍首相は「説明不能」の状態に陥り、将棋に例えれば、完全に「詰んだ」状況になったことは、【「桜を見る会」前夜祭、安倍首相説明の「詰み」を盤面解説】で詳述した。 安倍首相が、いくら「詰んで」いても、潔く「投了」するような人物ではないことは、これまでの森友・加計問題などへの対応からも予測はしていたが(【“安倍王将”は「詰み」まで指し続けるのか】)、その後の展開は、まさにその予測どおりとなっている。 私が「詰み」を指摘して以降、この問題への安倍首相の発言は、12月2日の参議院本会議の代表質問で、従来と同様の(詰んでいる)説明を「棒読み」しただけ、委員会での質疑も回避し続け、当初は、異例に時間をかけて行っていた官邸での「ぶら下がり会見」も一切行っていない。臨時国会閉会時の官邸での記者会見も、日頃から手懐けている「御用記者」に質問させ、従来どおりの説明を繰り返しただけだった。 「一問一答」形式の対応、つまり「盤面に向かう」ということを行えば、「指せる手がない」ことが露見し、「投了」せざるを得なくなるので、それが、一切できないのだ。 一方で、ニューオータニ側への「口封じ」の効果は続いているようで、内閣府から総理大臣夫妻主催晩餐会などの受注をしている受注業者が、内閣府のトップの首相側への利益供与が疑われるという、深刻な事態に至っているのに、前夜祭の主催者に対して当然発行されているはずの明細書の提示も説明も拒否している。日本の一流ホテル企業としてのブランドや信用が毀損しかねない状況に至っている。 このように、「詰んだ盤面」のまま、一国の首相が説明責任から逃げ続けるという醜態を晒していても、その指揮下にある政府の各部門では業務が日々処理され、年の瀬が近づきつつある』、「一国の首相が説明責任から逃げ続けるという醜態を晒していて」、海外メディアにまで面白おかしく取上げられるのは、国辱ものだ。
・『下関市大で起きている「大学版『桜を見る会』問題」  こうした中、私は、先週末、安倍首相のお膝元の下関市に乗り込み、大学学会主催の、あるシンポジウムに参加し、基調講演者・パネラーとして登壇した。 テーマは「大学改革の潮流と下関市立大学の将来」、それ自体は、近年、文科省が進めてきた「国公立大学改革」の中で、下関市立大学において、従来、教授会での慎重な審議を経て行われていた教員人事を外部者中心の理事会の権限だけで行えるようにする定款変更が、市議会の議決で行われようとしていることなどについて、大学のガバナンス・大学の自治・学問の自由という観点から議論する「学術シンポジウム」であった。 しかし、今、下関市大で起きていることは、単に学術的な議論を行うことだけで済むような問題ではない。60年を超える歴史と伝統のある公立大学の下関市大に対して、安倍首相の元秘書の前田晋太郎市長を中心とする安倍首相直系の政治勢力が、大学を丸ごとその支配下に収めようとする露骨な画策をしている。それに対して、本来、歯止めになるべき山口県も、文科省も、安倍首相の政治権力に「忖度」しているためか、何も口を出さず、凄まじい勢いで「大学破壊」が行われようとしているのだ。 「桜を見る会」問題の本質は、公費によって功労・功績者を慰労する目的で行われる会が、「安倍首相による地元有権者の歓待行事」と化し、後援会関係の招待者が膨れ上がって開催経費が予算を超えて膨張しても、安倍後援会関係者が傍若無人に大型バスで会場に乗り込んできても、何も物を言えず、黙認するしかないという、政府職員の「忖度」と「無力化」の構図である。 前田市長は、その「桜を見る会」に毎年参加し、安倍首相の地元後援者の公費による歓待が問題化したことに対しても「何十年も応援した代議士がトップを取り、招待状が届いて、今まで応援してきてよかったなって、いいじゃないですか」などと放言し(【桜を見る会 安倍首相の元秘書・下関市長はこう答えた…定例記者会見・一問一答】)、ネット上の批判が炎上した人物だ。その市長が、下関市大への市の権限強化を強引に進めようとすることに対して、市も県も国も、全く異を唱えようとしない。 下関市大で起きていることは、まさに、“大学版「桜を見る会」問題”に他ならない』、「“大学版「桜を見る会」問題”」とは言い得て妙だ。
・『定款変更の策動の背景にある市長主導の「違法な教授採用」  文科省が進めてきた「国公立大学改革」の下でも、さすがに今回のような定款変更は行われなかった。なぜ、下関市大でそのような暴挙が行われようとしているのか。そこには、大学側が公式には明らかにしていないものの、既に、市議会で取り上げられ、マスコミも報道している「専攻科の創設」とその教授等の採用人事の問題がある。(日刊ゲンダイ12月13日【“安倍側近”の下関市長 市立大人事「私物化疑惑」が大炎上】) 報道によれば、下関市長は、某大学教員を、市立大学教員として採用するよう大学側に要請し、それを受けて、市長の意を汲む大学の幹部は、定款で定められている学内での資格審査等を経ずに専攻科設置方針の決定と教授等(3名の研究チーム)の採用内定を強行し、教員採用を内定し、しかも、下関市大は経済学部だけの単科大学なのに、その教授の専門分野の「特別支援教育」に関して、通常は、教育学部に設置される「特別専攻科」を設置させようとしている。これに対し専任教員の9割超が、専攻科構想の白紙撤回を求める署名を理事長に提出したとのことである。 大学の教員採用には、その大学での研究教育を行うのに相応しい研究教育者を採用するための審査の手続が定められている。その手続について、大学の歴史の中で、過去の失敗も含めて議論を重ね、ルールが形成され、現在の下関市大には、しっかりしたルールが存在する。ところが、そのような大学教員の選任ルールが踏みにじられ、市長主導で、強引な「一本釣り人事」が行われようとしているというのである。 そして、そのような人事が、「教員の人事は教育研究審議会での議を経る」こと、およびその前提として、すべての教員について、公募を前提とする厳正な審査や教授会での意見聴取を経ることなど、下関市大の「定款」以下諸規程の定める手続に違反しているとの批判を受けたことから、今度は、市主導で学内での審査を経ることなく教員採用の人事を合法的に行えるようにしたのが、今回の定款変更の動きなのである』、ここまで露骨に「市立大学」に介入する「下関市長」の狙いは何なのだろう。
・『市立大学の経営・運営に対する市の責任とは  前田市長が、選挙で選ばれた市のトップの市長は、同様に選挙で選ばれた市議会の多数の賛成を得れば、市立大学の予算も人事も好きなようにできると考えているのだとすれば、それは大きな間違いである。 設置自治体と市立大学の関係は、そのような単純なものではない。 確かに、市立大学の経営や運営について最終的な責任を負うのは市である。もし、市立大学の経営が悪化し、市に多額の財政負担を生じているような場合や大学の研究教育の成果が上がらず、それが募集倍率の低迷、就職率の悪化等で客観的に明らかになった場合などには、経営責任を負う市として、経営不振の原因になっている研究教育や教員人事、組織体制の構築等への介入が必要になることもあり得る。また、市の施策として、専門的な見地からの検討を行った上で、相応の予算と人員の投入を含めた市立大学の組織体制の抜本的変更の方針を打ち出すということも考えられないわけではない。 しかし、下関市大の場合には、そのような事情は全くない。募集倍率も特に低くはなく、定員割れの学科もなく、就職率も安定して高い。また、比較的コストがかからない経済学部の単科大学ということもあり、大学の収支は良好で、市に財政的な負担をかけているわけではない。また、下関市大について、総合大学化などが、学内からの構想として検討されたことは何回かあるが、下関市の側で大学の組織体制の根本的な変更に向けて検討され、特定の学問分野について具体的な構想が提示されたことはないようである』、下関市大が上手く運営され、これまでは無関心だった下関市が、突然、介入し出した理由は何なのだろう。
・『政治的意図による「大学破壊」で、学生、卒業生利益を害してはならない  今回の下関市主導の「一本釣り教員人事」と、それを可能にする理事会主導のガバナンスに向けての定款変更は、設置者の下関市としての経営責任の観点によるものでも、大学の組織改革の構想に基づくものでもないことは明らかである。学内手続を無視した教授人事を強行しようとしている背景が、安倍首相自身、或いは、昭恵夫人の意向なのか、前田市長自身の個人的意向なのかはわからない。しかし、いずれにしても、政治的な意図から、違法な教授人事と、公立大学を安倍首相直系の政治勢力の支配下に収めようとする策謀が進められようとしていることは紛れもない事実である。 このようなことを許せば、これまで以上に、学生が負担する授業料の安定的な収益が市の財政に流用され、大学の教育環境が破壊されていくおそれがある(現在も、市の公共工事による校舎整備にはふんだんに予算が使われているが、その一方で、パソコン環境も十分に整備されていないことを、シンポジウムで学生の一人が訴えていた)。 また、下関市大が、「加計学園の大学のように安倍首相のお友達を集めた大学」と世の中に認識されるようなことになれば、伝統ある下関市大の卒業生にとって、これ程不幸なことはない』、「政治的な意図から、違法な教授人事と、公立大学を安倍首相直系の政治勢力の支配下に収めようとする策謀が進められようとしている」、具体的な狙いは不明だが、人事も含めた「支配」にあることは、確かなようだ。
・『大学幹部も、市も、県も文科省も、なぜ「長いものに巻かれてしまう」のか  それにしても、今、安倍首相のお膝元の下関市で市立大学をめぐって起きていることを知れば知るほど、本当に「絶望的な思い」にかられる。このような明らかに不当な政治的動機による教員採用人事、専攻科設置とそれを契機とする定款変更などの「大学破壊」に、なぜ、理事長、学長など大学幹部が唯々諾々と応じるのか。教授等の人事は、学内規程で定められている「教育研究審議会の議」も、さらにその前提となる公募、審査や教授会の意見聴取等も経ておらず、明らかに違法であるのに、なぜ、弁護士たる監事が、「違法ではない」などという弁護士倫理にも反する監査意見書を提出するのか(これについては、他の中立的立場の4人の弁護士が「違法」との意見書を提出している。毎日新聞12月7日地方版【下関市立大専攻科新設手続き巡り 弁護士の意見書提出 副学部長、教員採用過程検証求める /山口】)。市大の設置者の下関市の担当部局は、このような露骨な不当な大学への政治介入を推し進めることに良心の呵責を感じないのか。山口県の担当部局は、過去に公立大学ではあり得なかった不当な定款変更の認可に抵抗を覚えないのか。そして、大学の自治、学問の自由にも配慮しつつ高等学校教育に関する行政を進めてきた文科省は、このような違法な教員人事や不当な定款変更の動きに対して、なぜ手をこまねいて見ているのか。これらすべてが、「安倍一強の権力集中」の中では「長いものにはまかれろ」ということなのであろうか。 「桜を見る会」をめぐる問題について完全に「説明不能」の状況に陥っている安倍首相を、「当然の辞任」に一日も早く追い込むこと以外に、この国を救う手立てはない』、まさに安倍一派による「下関市立大」の私物化である。監督すべき「山口県」や「文科省」が「忖度」して「手をこまねいて見ている」、とは日本のガバナンス機構が麻痺していることを示しており、まさに危機的状況だ。
タグ:ブログ 東洋経済オンライン 郷原信郎 litera 日本の政治情勢 泉 宏 (その39)(安倍1強に広がる動揺、「逃げ恥作戦」の成否 年明け政局の焦点は「解散」にいつ踏み切るか、「桜を見る会」を海外メディアが「Cherry Blossom party」と名付け一斉に批判!、首相元秘書・下関市長が目論む”市大支配”~教員人事・定款変更の強行は「桜を見る会」と同じ構図) 「安倍1強に広がる動揺、「逃げ恥作戦」の成否 年明け政局の焦点は「解散」にいつ踏み切るか」 首相自身が種をまいた“桜疑惑”は今後も炎上が続く可能性が大きく、国会閉幕も含めた安倍政権の一連の“逃げ恥作戦”も成否はなお微妙だ 国会を閉じれば国民は疑惑を忘れてくれる 内閣不信任案提出を見送った。「否決されて疑惑追及に一定の区切りがつくのは得策ではない」との理由だ 国会閉幕時の首相記者会見 ジャパンライフ元会長の「首相枠での招待」などの疑惑 用意されたペーパーに目を落としながら国会答弁などと同じ説明を繰り返した 内心の動揺を隠せない安倍首相 解散・総選挙について、野党側は「年明け解散もありうる」と身構えるが、自民党内では「やれば負けて、政権のレームダック(死に体)化が進むだけ」(閣僚経験者)と、首相の強がりとの受け止めが少なくない 解散の本命は五輪後の2020年秋 逃げ恥作戦と揶揄される安倍政権の一連の危機管理も「私物化疑惑で新たな証拠でも出れば『役に立つ』どころか一気に破綻しかねない」(閣僚経験者)という危うさ 「「桜を見る会」を海外メディアが「Cherry Blossom party」と名付け一斉に批判!「身内優遇」「安倍政権が組織ぐるみで情報隠蔽」」 海外メディアも「Cherry Blossom party」などと呼んで報じており、“安倍首相による私物化”や“政権の隠蔽体質”を象徴する事件として、国際的に大きな注目 「日本の首相の奇妙な話、公文書と巨大シュレッダー」 ワシントンポストやロイターだけでなく、英BBC、仏AFP、独紙も 「えこひいき批判のなか、桜を見る会が中止」 安倍氏はちょっとした“スキャンダル風化の専門家”になっている 「桜で日本の首相のスキャンダルが満開に」 「腐敗した桜に非難」 国際社会はこのスキャンダルを“安倍政権で起こるべくして起きた”と捉えているはずだ 「首相元秘書・下関市長が目論む”市大支配”~教員人事・定款変更の強行は「桜を見る会」と同じ構図」 「詰んだ盤面のまま『説明』から逃げ続ける安倍首相」 一国の首相が説明責任から逃げ続けるという醜態を晒していても 下関市大で起きている「大学版『桜を見る会』問題」 従来、教授会での慎重な審議を経て行われていた教員人事を外部者中心の理事会の権限だけで行えるようにする定款変更が、市議会の議決で行われようとしていること 安倍首相の元秘書の前田晋太郎市長 安倍首相直系の政治勢力が、大学を丸ごとその支配下に収めようとする露骨な画策をしている 山口県も、文科省も、安倍首相の政治権力に「忖度」しているためか、何も口を出さず、凄まじい勢いで「大学破壊」が行われようとしている “大学版「桜を見る会」問題”に他ならない 定款変更の策動の背景にある市長主導の「違法な教授採用」 市立大学の経営・運営に対する市の責任とは 政治的意図による「大学破壊」で、学生、卒業生利益を害してはならない 大学幹部も、市も、県も文科省も、なぜ「長いものに巻かれてしまう」のか 「安倍一強の権力集中」の中では「長いものにはまかれろ」ということ
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

小売業(コンビニ)(その6)(セブン加盟店アンケートで隠された 公式見解と違う過半数の「本音」、セブン-イレブン「残業代未払い」の呆れた顛末 ガバナンスの利いていない経営体制が露呈、東大阪セブン店主「店から締め出されないよう 泊り込む」 契約解除問題で法的措置も) [産業動向]

小売業(コンビニ)については、10月13日に取上げた。今日は、(その6)(セブン加盟店アンケートで隠された 公式見解と違う過半数の「本音」、セブン-イレブン「残業代未払い」の呆れた顛末 ガバナンスの利いていない経営体制が露呈、東大阪セブン店主「店から締め出されないよう 泊り込む」 契約解除問題で法的措置も)である。

先ずは、11月25日付けダイヤモンド・オンライン「セブン加盟店アンケートで隠された、公式見解と違う過半数の「本音」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/221523
・『将来、24時間営業を続けられるかどうか分からない――。セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)が今夏に実施したアンケートで、50%強の加盟店がこうした趣旨の回答をしていたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。アンケート結果についてSEJは、「将来、時短営業を検討している加盟店は15%」という数字しか公表していない。不安を隠せない過半数の加盟店の意見を、なぜ公表しないのか』、ここまでミエミエの隠蔽をするとは、「24時間営業を続け」させたいSEJの思惑が透けて見える。
・『セブン&アイの決算説明資料で開示された24時間営業に関するアンケート結果  「将来非24時間営業を検討:15%」――。 コンビニ業界最大手のセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)を擁するセブン&アイ・ホールディングス(HD)が10月10日に発表した2020年2月期中間決算。その説明資料には、SEJが加盟店向けに実施したアンケート結果について、こう記されている。 コンビニ各社が24時間営業の見直しを迫られる中、SEJは今夏、国内の全加盟店オーナーに対して、深夜に閉店する時短営業を希望するかどうかのアンケート調査を実施していた。 決算説明会資料の表現では、将来も含め、時短営業を希望する加盟店は全体の15%に留まるように読める。それでは、残り85%の店が時短営業を考えていないのかというと、実はそうではないらしい』、ここまでの酷い隠蔽を隠し切れるとでも思っていたのだろうか。
・『過半数の店が「将来は24時間を続けられるか不明」と回答 ファミマ48%が「時短を検討」との乖離  複数のSEJ関係者によると、開示されなかった回答のうち、全体の50%強が、「現時点で時短営業を検討していないが、将来はどうするかわからない」という趣旨の回答をしていたのだという。国内の過半数の加盟店が、この先も24時間営業を続けられるかどうか確信を持てないでいるのだ。 今後、人手不足がますます深刻化することを考えれば納得のいく結果だ。ところがSEJは、時短営業を検討している店舗は15%という数字だけを強調しており、こちらの回答については公表していないのである。 業界2位のファミリーマートが6月に実施したアンケートでは、全体の48.3%に当たる7039店が時短営業を「検討したい」と回答。アンケートの設問によって答え方が変わる可能性はあるが、「SEJとの差が大きすぎる」と業界関係者の間で指摘されていた。 SEJは表向き、時短営業を認める姿勢を表明しているが、その本気度を疑う加盟店オーナーは多い。 なぜなら、SEJの永松文彦社長が4月の就任当初から、時短営業について「個店別に柔軟に対応する」と述べたにもかかわらず、現場では本部社員による“時短潰し”が横行。時短を希望する加盟店に対し、深夜に従業員を店に置かなければ特定の商品の納入を止めるなどの条件を突き付け、時短営業を断念させようとする動きがあった』、「社長」にはキレイ事を言わせるが、「現場では本部社員による“時短潰し”が横行」、しているのであれば、「アンケート」にも無難に答えておくほかない、というのがオーナーの本音だろう。
・『ガイドライン発表直前にも“時短潰し” 「無人閉店認めない」と10月に説明した社員も  あるセブン-イレブンの加盟店オーナーは、「本部社員から『深夜の閉店中も従業員を置かないと、時短営業を認めないのが会社の方針だ』と10月になってから言われた」と取材に対して語っている。 SEJは加盟店に対して、時短営業を始めるための「ガイドライン」を11月1日に公表。深夜に無人の店舗でも、商品が入った保冷ケースを配送ドライバーが納入できる仕組みを取り入れる方針を打ち出した。あるSEJ幹部は、「社長の方針で時短営業を可能にするガイドラインを出したのだから、本部社員による時短潰しは起きない」と主張する。 とはいえこのガイドラインは、ダイヤモンド編集部が「セブンの時短ガイドラインににじむ『24時間営業を死守』の本音」(11月7日付)で報じたように冒頭部分に「従来通り、24時間営業を期待してご来店されるお客様がいらっしゃる点にも十分留意し、慎重にご検討ください」と明記されている。さらに時短営業を始める前に、SEJ本部が用意した求人システムを活用して人手を確保することや、店舗の周辺の世帯数や事業所の従業員数を把握することを要求するなど、多忙な加盟店の実態にそぐわない努力を求めている。 永松社長は「時短営業をするかどうかの決定権は加盟店に委ねている」と繰り返し述べている。しかし、ガイドラインでは時短営業について「本部との合意」が必要とされており、土地の貸主の意向で時短営業ができない可能性を挙げるなど、加盟店側の裁量を認めているとは到底言えない内容となっている。 本部の本音はあくまで24時間営業を“死守”すること。加盟店の過半数が、将来24時間営業を続けられるか分からないという不安を抱えているといった、ネガティブな要素の公表は渋っている。こうとらえられても仕方がないだろう』、SEJを忖度して表現はソフトだが、その通りだろう。「店舗の周辺の世帯数や事業所の従業員数を把握することを要求」、こんな基礎的データは本部で把握している筈で、忙しいオーナーへのいやがらせだろう。
・『ファミマは本部の同意なしで時短が可能に セブンは無断発注でガバナンスの欠陥露呈  SEJのスタンスと対照的なのはファミマだ。11月15日、経済産業省で開かれた有識者会議「新たなコンビニのあり方検討会」の席上、ファミマの澤田貴司社長は、本部の同意がなくても加盟店の判断で時短営業を始めることができるよう、加盟店とのフランチャイズ契約を見直す方針を説明した。 澤田社長は、「加盟店が(時短営業を)やりたいと言ったら、我々が全面的に合わせる。(本部側に)コストが発生する可能性はあるが、それでも運営できるとみている」と述べ、SEJよりさらに踏み込んだ。 その一方で、同会議に出席したSEJの永松社長はミソをつけた。検討会直前の11月13日、SEJの本部社員がオーナーに無断で商品を発注するケースが横行していると報道されたことに対して、委員から見解を求められた永松社長は「あってはいけない問題だ」とした上で、実際に無断発注をした社員2人を懲戒処分にしたことを明らかにした。 そして、検討会終了後、報道陣に対して永松社長は、「本部社員に売り上げなどのノルマは課していない」と述べたが、無断発注の要因については「数字に追われてプレッシャーがあったのではないか」と、ノルマの存在を“肯定”するようなちぐはぐな回答に終始した。 前出とは別のセブンのベテランオーナーは、「永松社長はもともと人事担当幹部で、過去の処分を把握していたとの報道もあった。このまま社長を続けることが許されるのか」と語気を強める。 無断発注や時短潰しは、上層部が現場をグリップできていないというガバナンスの問題であり、これはこれで深刻だ。ただ、加盟店向けのアンケートを実施したにも関わらず、本部に都合のよい結果しか公表せず、前出のガイドラインを作成したのは、永松社長ら本部の中枢である。 あるコンビニ大手首脳は、「コンビニのあり方に批判的な意見にも耳を傾けなければ、ますます社会の価値観から離れていく」と危機感を募らせる。HDの井阪隆一社長や永松社長に、どこまでその覚悟があるのだろうか』、「無断発注や時短潰し」、セブンペイ撤回騒ぎ、などSEJの歯車は歯が欠けてしまったのだろうか。

第三に、12月27日付け弁護士ドットコム「東大阪セブン店主「店から締め出されないよう、泊り込む」、契約解除問題で法的措置も」を紹介しよう。
http://www.connectnews.jp/post?id=583196477464069217#read-more
・『セブン-イレブン・ジャパンから契約解除を通告されている東大阪市のセブンオーナー松本実敏さんが12月27日、都内で記者会見を開き、双方の弁護士も交え、12月29日に大阪で本部と話し合うことになったと明かした。 セブン本部は12月20日、客からのクレームの多さと本部に対する誹謗中傷ツイートを理由に、10日以内に改善がなければ、年内で契約を解除すると通告している。 松本さんは「改善の意思がある」と本部に回答。円満な解決を望んでいるが、もし契約解除になるなら、法的措置をとるとともに、店から締め出されないよう、12月30日の夜から店に泊り込むことも検討するという。なお、その場合でも1月1日は休業する考えだ』、「松本さん」は時短営業を最初に求めたSEJにとっては、「目の上のタンコブ」だったようだが、それにしても急な通告だ。
『「10日で改善を判断できる?」  松本さんは本部に対し、1月1日の休業を宣言していた。 「(契約解除の理由は)元日休業だと思ったら、クレームの多さが理由でびっくりした」(松本さん) また、クレームの内容について、本部の経営相談員(OFC)からその都度報告がなかったとも明かした。クレームがブランドイメージを毀損するのであれば、都度指導し、時間をかけて改善を目指すという方向性も考えられる。 松本さんを支援するコンビニ関連ユニオンの鎌倉玲司書記長は、「改善したかどうかは1週間で判断できない。やりとりの積み重ねの中で改善される。経過を見るとしても、時間がないとおかしい」と指摘した』、「クレームの内容について、本部の経営相談員(OFC)からその都度報告がなかった」、のであれば、余りに唐突で、言いがかりとしか思えない。
・『記者「なんでセブンにこだわるんですか?」  松本さんに対し、会場の記者から「なんでセブンにこだわるのか」と質問が飛ぶ場面もあった。 これに対し、松本さんは「実はあまりこだわっていない。解除を通告され、やめてもいいかと思ったこともあった」と明かした。 しかし、周囲から「自分のためにしてきたのか(声をあげてきたのか)」「(松本さんがやめたらコンビニが変化する)機運が押さえつけられるのではないか」といった反応があったという。 「自分の店のためでもあるが、24時間年中無休の営業で苦しんだり、亡くなったりしている人もいる。それがないようにしたいから(声をあげ)始めた。オーナーでいることに意味があると思う。そういう人たちと一緒に(コンビニ業界が)良くなるようにやっていきたい」』、「もし契約解除になるなら、法的措置をとる」、裁判になれば、余りに一方的なSEJは不利な筈だ。年内にSEJが取る次の一手が注目される。
タグ:小売業 弁護士ドットコム ダイヤモンド・オンライン (コンビニ) (その6)(セブン加盟店アンケートで隠された 公式見解と違う過半数の「本音」、セブン-イレブン「残業代未払い」の呆れた顛末 ガバナンスの利いていない経営体制が露呈、東大阪セブン店主「店から締め出されないよう 泊り込む」 契約解除問題で法的措置も) 「セブン加盟店アンケートで隠された、公式見解と違う過半数の「本音」」 将来、24時間営業を続けられるかどうか分からない――。セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)が今夏に実施したアンケートで、50%強の加盟店がこうした趣旨の回答 SEJは、「将来、時短営業を検討している加盟店は15%」という数字しか公表していない セブン&アイの決算説明資料で開示された24時間営業に関するアンケート結果 過半数の店が「将来は24時間を続けられるか不明」と回答 ファミリーマートが6月に実施したアンケートでは、全体の48.3%に当たる7039店が時短営業を「検討したい」と回答 現場では本部社員による“時短潰し”が横行 ガイドライン発表直前にも“時短潰し” ファミマは本部の同意なしで時短が可能に 「東大阪セブン店主「店から締め出されないよう、泊り込む」、契約解除問題で法的措置も」 東大阪市のセブンオーナー松本実敏さん セブン本部は12月20日、客からのクレームの多さと本部に対する誹謗中傷ツイートを理由に、10日以内に改善がなければ、年内で契約を解除すると通告 もし契約解除になるなら、法的措置をとるとともに、店から締め出されないよう、12月30日の夜から店に泊り込むことも検討 「10日で改善を判断できる?」 クレームがブランドイメージを毀損するのであれば、都度指導し、時間をかけて改善を目指すという方向性も考えられる クレームの内容について、本部の経営相談員(OFC)からその都度報告がなかった
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

M&A(一般)(その1)(5億で売れたはずの会社を2億円で売却! 億単位でピンハネするM&A悪徳業者の「甘い罠」、沖縄・オリオンビール「第2創業」に至った舞台裏 県民が育てるビール会社はなぜ売られたのか、昭和電工 「小が大を飲む」9640億円買収の成否 社運賭け 「御三家」日立化成を公開買い付け) [企業経営]

今日は、M&A(一般)(その1)(5億で売れたはずの会社を2億円で売却! 億単位でピンハネするM&A悪徳業者の「甘い罠」、沖縄・オリオンビール「第2創業」に至った舞台裏 県民が育てるビール会社はなぜ売られたのか、昭和電工 「小が大を飲む」9640億円買収の成否 社運賭け 「御三家」日立化成を公開買い付け)を取上げよう。

先ずは、アドバンストアイ株式会社 代表取締役社長の岡本行生氏が7月16日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「5億で売れたはずの会社を2億円で売却! 億単位でピンハネするM&A悪徳業者の「甘い罠」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/207643
・『今、企業を売り買いするM&A市場は大活況です。 売り手側にとって有利な時代です。 しかし一方で、悪条件でだまされて安く買い叩かれたり、不利な条件で会社を手放したりといった不幸な案件も増えています。 M&Aの「仲介会社」は、 売り手企業側と買い手企業側の双方と契約を交わします。 成功したときの手数料も、売り手企業と買い手企業の双方から受け取ります。 このような、「双方から手数料を徴収する取引形態」を逆手に取った悪質なケースも…。 『あなたの会社は高く売れます』の著者が、このカラクリについて解説します』、テレビでもM&Aアドバイザリー・仲介会社のコマーシャルが流れるほど、中小企業の「M&A市場は大活況」なのは確かなようだ。
・『両手取引を逆手に取った悪質なケース  私の会社はM&Aの助言会社なので、一つの案件で売り手企業側か買い手企業側のどちらかにしかアドバイスをしません。 売り手企業と買い手企業は利益が相反しますので、どちらも満足させるアドバイスなどできないからです。 一方、仲介会社は、売り手企業側と買い手企業側の双方と契約を交わします。売り手企業と買い手企業を引き合わせ、双方に取引に関してのアドバイスを行います。 そもそもこの仕組みが健全ではないのですが、成功したときの手数料も、売り手企業と買い手企業の双方から受け取ります。 普通に考えれば、利益相反となります。ただ現在の日本において、この仕組みは商道徳的な問題を内包するものの、広く見受けられます。仲介会社が悪だと言っているわけではありません。だからといって問題がないともいえません。 次にご紹介するのは、双方から手数料を徴収する取引形態を逆手に取った悪質なケースです』、「売り手企業側と買い手企業側の双方と契約を交わします」、「利益相反となります。ただ現在の日本において、この仕組みは商道徳的な問題を内包するものの、広く見受けられます」、欧米では利益相反にうるさいが、日本ではまだまだのようだ。
・『悪徳業者の甘い誘惑 タダより高いものはない  「売り手さんからは1円も報酬はいただきません」「手数料は買い手からいただくので、売り手さんには無料で誠心誠意尽くします」 この営業トークは、売り手企業には魅力的に映ります。 この誘惑に勝てる売り手企業がいるでしょうか。 無料で買い手企業を探してくれる仲介会社は、事情があって会社を売却せざるを得ない中小企業のオーナーや経営者にとっては、救世主のようです。それこそが、悪徳業者がつけ込むワナなのです。 たとえば、売り手企業と買い手企業の手数料がともに5%だったとします。仲介会社が売り手企業から徴収する5%を放棄し、買い手企業から5%の手数料だけを徴収する場合、取引条件が適正に交渉されるという前提があれば良心的な業者と言えるかもしれません。 売り手企業から受領しない5%を買い手企業に上乗せし、買い手企業から10%を徴収する仲介会社も、買い手企業との合意があれば問題にならないと思います。 しかし、本来徴収できる手数料を放棄してまでクライアントのために尽くす仲介会社は、そうはいません。彼らは、こんな仕組みで依頼先をだましてきました。 はじめに、買い手企業との間で通常では考えられない契約を結びます。 それはあらかじめ「売却想定価格」を設定し、その想定価格より安い金額で買収できた場合には、想定価格と実際の買収価格の差額のうち、半分を成功報酬として受け取るという内容です。 定価3000円のシャツを、セールで2000円で買ってきたとしたら、値引き分の1000円の半額、500円を成功報酬として払ってください、ということです。 具体的に説明しましょう』、「売却想定価格」が問題だが、「想定価格と実際の買収価格の差額のうち、半分を成功報酬として受け取る」、というのは巧みなやり方だ。
・『売り手企業を手玉に取るからくり  仲介会社が売り手企業の会社内容を大まかに調査し、売却想定価格として提示します。仮に営業利益が5000万円で純現預金が1億円ある会社をマルチプル(8倍とします)で求めた場合、個別の事情を考慮しないとすると、株式価値の市場価格の目安は5億円という数字になります。 この数字を、買い手企業との間であらかじめ定める売却想定価格と設定するのです。この金額で売買が成立した場合、通常の仲介会社の報酬体系であれば、株式の譲渡対価である5億円の5%の2500万円を、売り手企業と買い手企業から受領し、合計5000万円の手数料を稼ぐことになります。 しかし、悪徳業者は違います。売り手企業は仲介会社の算出した「本来の」売却適正価格を知らされないので、5億円という数字は知りません。悪徳業者はそれをいいことに巧みな話術で売り手企業を煙に巻き、こう言い放ちます。 「当社と取引のある買い手さんをくまなく回ったのですが、どうしても2億円以上で買ってくれる会社が出てこないんです。でも、この会社は良心的ですよ。ここで決断しなければ、市場価格はどんどん下がっていってしまいますよ」 その会社しか好条件での買い手企業がいないように錯覚させ、その金額で合意しないと損をするような気になる心理状態に置き、追い詰めて契約を結ばせるのです。 売り手企業の経営者は、M&Aを経験したことがない素人です。どのような金額が相場なのか判断基準を持っていません。 「手数料はいらない」と言ってくれた良心的な業者なので、その言葉に嘘はないと信じ込み、うっかり契約書にサインしてしまう。 その結果、売り手企業は5億円で売れたはずの会社を、たった2億円で売却してしまうことになります』、「売り手企業の経営者」が「素人」であることにかこつけた悪辣な商法だ。
・『差額の3億円はどこへ…?  では差額の3億円はどこにいくのでしょうか。 この詐欺まがいの仕組みは買い手企業も承諾していないと成立しないので、実質的には仲介会社と買い手企業で「山分け」することになります。 買い手企業は3億円の半分、1億5000万円を仲介会社に払い、買収価格の2億円と合わせて3億5000万円で売り手企業を手に入れた計算になります。5億円の価値がある企業を3億5000万円で買収できたのですから、買い手企業にとってはお得な買い物です。 仲介会社は、3億円の半額の1億5000万円を手にします。売り手企業と買い手企業双方から5%ずつの手数料を受け取る通常の仲介会社としての手数料契約に比べると、当初の予想通り5億円で売買が成立していたときに受領する手数料総額5000万円の3倍の金額を手にするのですから、笑いが止まらないはずです。売り手企業だけが、一人で大損したということになります。 ちなみに、仲介会社へ支払う手数料の算式もしっかり確認しましょう。 株式の譲渡対価に対して料率が生じているのか、移動する総資産の金額に料率を乗じているのか、この違いは決定的です。 たとえば、負債10億円を有し、総資産が12億円の会社のM&Aにおいて、株式の譲渡対価が3億円であった場合、手数料が5%とすると、株式の譲渡対価を基準にすると、3億円×5%=1500万円となる一方、総資産額を基準にすると12億円×5%=6000万円となってしまいます。 M&Aの成果は株式の譲渡対価に集約されることを考えると、売り手にとっては、株式の譲渡対価に対する手数料率とするのが合理的です。総資産に対する料金体系となると、手数料が過大になりがちですので、十分留意しましょう。当然ながら、大手企業に対する助言会社の報酬体系は、基本的に株式の譲渡対価が基準となっています』、「売り手企業だけが、一人で大損したということになります」、「売り手」がやがて真相を知れば、やりきれないだろう。
・『詐欺まがいの行為に引っかからないために  基本的には、売り手企業か買い手企業の一方としか契約しない助言会社を選んでおけば、間違いは起こりません。ただ、仲介会社はそれなりの強みもあるので、仲介会社を選ぶ場合は、買い手企業との契約内容を確認するようにしてください。 守秘義務を盾にされたら、売り手企業は何も言えません。それでも、開示してくれない仲介会社を不誠実とみなし、契約しない自由があります。私は、買い手企業との契約を隠す仲介会社とは契約してはいけないと考えています。 もし、契約内容を開示してくれなければ、仲介会社を選択する場合には少なくとも特定の1社と契約する「専任契約」ではなく、複数の仲介会社と契約することで、売買条件を客観的に知ることができる状態に近づけておくべきです。 一方、助言会社は、売り手企業と契約すると売り手企業の利益しか考えません。 売り手企業の利益には、さまざまな利益があります。コンペにして複数の買い手企業に条件を出させることで売却価格を少しでも高くします。 売却価格以外にも、たとえば「技術を守ってほしい」といった経営者の望みを叶えるのも重要な利益です。 「安過ぎるからもう1年待ったほうがいい」「この買い手企業は高い価格を出しているけれど、事業をぞんざいに扱い、従業員もリストラしそうだからやめたほうがいい」「この買い手は安い価格しか出してきていないけれど、真剣にシナジーを考えている。事業の発展を考えれば、受けたほうがいい」 価格だけではない売り手企業の利益をアドバイスし買い手と交渉できるのは、売り手企業側だけについた助言会社です。 仲介会社は、どちらかを立てればどちらかが引っ込むことになるため、売り手企業の価値を最大化するアドバイスや、買い手企業の要望に沿ってできる限り安い価格での買収に持ち込む交渉は、基本的には実現困難なはずです。それができないことこそがまさに利益相反であり、仲介会社の根底にある問題点だと思います。 また、売り手企業とのお付き合いは売るとき1回だけですが、買い手企業はたくさんの企業を買ってくれる「お得意さま」である可能性も高いはずです。となると、売り手と買い手、どちらを向いて商売をするか、容易に想像がつくはずです。 日本の中小企業のM&A市場におけるこの構造問題は、M&Aがより身近になり、さまざまな業者のトラブルが顕在化するなかで、時間をかけて解消されていくかもしれません。ぜひ少なくともそうしたリスクがあることを認識したうえで業者を選び、M&Aのプロセスを進めていただきたいと思います』、「売り手企業とのお付き合いは売るとき1回だけですが、買い手企業はたくさんの企業を買ってくれる「お得意さま」である可能性も高いはずです。となると、売り手と買い手、どちらを向いて商売をするか、容易に想像がつくはずです」、確かにその通りだろう。業者選びには気をつける必要がありそうだ。

次に、8月5日付け東洋経済オンライン「沖縄・オリオンビール「第2創業」に至った舞台裏 県民が育てるビール会社はなぜ売られたのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/295031
・『「沖縄の皆様の中には『オリオンビールが沖縄のビールではなくなる』という懸念があるようだが、オリオンのDNAは変わらない」 7月22日、オリオンビールの社長兼最高経営責任者(CEO)就任が決まった早瀬京鋳(けいじゅ)氏は会見でこう述べた。今年1月、野村ホールディングスとアメリカの投資ファンド、カーライル・グループに買収されることが発表され、県民には「外資にのっとられてしまうのか」という不安の声が広がっていた』、どういう事情があったのだろうか。
・『「ワッター自慢の」オリオンが買収される  オリオンビールの2018年3月期の売上高は283億円、経常利益37億円。ビール業界では大手4社(キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ)に次ぐ国内5位ではあるものの、売上数量の実に約8割を沖縄県内が占める。沖縄の歌手グループBEGINが「ワッター(私たち)自慢のオリオンビール」と歌うほどに、地元にとっては1つのアイデンティティとなっている。 カナダのスポーツ用品大手「ルルレモン・アスレティカ」の日本法人社長を務めていた早瀬氏に社長就任の打診があったのは、今年の春先だった。以前から地域貢献につながる仕事がしたいと公言していた早瀬氏は、当時の心境を「チャレンジするしかないと思った」と振り返る。 早瀬氏が「オリオンのDNAは変わらない」と強調したのは、ひとえに「県民感情」への配慮だ。創業者の具志堅宗精(故人)は「沖縄財界四天王」の1人に数えられる沖縄が誇る偉人。1959年、「オリオンビール」という商品名を公募によって決めたのも、「県民が育てるビール会社」になることを宗精が重視したからだ。それだけにオリオン株の売却には、県民の反発が大きかった。 新社長就任が発表される約2週間前の7月5日、オリオンビール創業の地である名護市で開かれた「具志堅宗精を語る会」では、株売却に怒りの声が飛び交った。 オリオンビールのOBは「宗精が築き、県民が育ててきた会社を勝手に売り払うなんて、経営陣はいったい何を考えているんだ」と憤る。別のOGは「(売却は)新聞記事で初めて知った。何が起きていたのか、真相を知りたいのに会社からは何も知らされない」と嘆いた。 オリオン経営陣への不満の声が飛び交う中に、1人、居心地の悪そうな顔をした男がいた。身の置き所がなく、そそくさとその場を離れてしまったが、創業家一族であるこの男こそ、オリオン売却を誘導した張本人だ。東洋経済の取材には「こうするより仕方がなかった……」と釈明する。何があったというのか――』、「「オリオンビール」という商品名を公募によって決めた」、初めて知ったが、「ワッター自慢の」、も頷ける。ただ、「売上数量の実に約8割を沖縄県内が占める」、とローカルブランドに留まっているようだ。
・『創業家と経営陣の対立  オリオンビール本社(沖縄県浦添市)の5階に、幸商事という会社がある。オリオンの本社ビルなどを所有する資産管理会社で、経営するのは具志堅宗精の子たち。オリオン株の約8.5%を保有し、同社に対する影響力を保持してきた。 オリオンの筆頭株主は2002年に業務提携を結んだアサヒビール(10%保有)だが、歴代の経営陣は幸商事、すなわち創業家との関係に神経を磨り減らしてきた。 「この人(自分に近い人)を社員にしてやってくれ」「この保険を買いなさい」といった“天の声”が降りてくれば、経営陣は無下にはできない。「とくに苦しかったのが、創業家の人間をオリオン役員に迎え入れなさいというプレッシャーだった」と役員経験者の1人は述懐する。 一方、創業家の側にも「株主である自分たちの存在が軽んじられている」という不満があった。配当は長い間1株当たり50円に据え置かれ、その後70円、2016年度には100円へと増額されたものの、3%前後の配当性向に「非上場企業とはいえ、低すぎる」という不満があった。 創業家と経営陣のにらみあいは、県民の目の届かぬところで深刻度を深めていた。約10年前には、幸商事の財務資料や実印が入った金庫が何者かに持ち去られるという騒動まで起きている。警察は「身内同士のケンカ」と判断して事件化しなかったが、事態が泥沼化する中、創業家から「もう、オリオン株と幸商事を売却したい」という声が上がりはじめる。 先の創業家の男は「宗精の子たちの平均年齢が80歳を超えている。1人亡くなるだけでも後始末が大変だ」と遺産相続問題を理由に挙げるが、理由はそれだけではない。「創業家の中には事業に失敗して多額の負債を抱えた人間もいた」(同)。 しかし、オリオン株と幸商事売却の協議は順調にはいかなかった。5年前の当初、オリオン経営陣が提示した幸商事の買収額は約25億円だったが、これに創業家は「安すぎる」と受け入れを拒んだのだ。 オリオン本社ビルなどの不動産のほか、同社株8.5%の売却額は県内企業の株価などを参考にして算出されたが、創業家は納得しなかった。実際、今回の野村・カーライルによる株式公開買い付け(TOB)価格は、1株当たり7万9200円。幸商事の持ち株数を単純に掛け合わせると、それだけでも48億円を超える。オリオン経営陣は、はなから創業家との交渉を行うつもりはなかったのかもしれない。 経営陣を見限った創業家は、沖縄県内の有力ゼネコンや外資ファンドなどいくつかの門をたたき、2016年、カーライルにたどりついた。「オリオンビール株を買い取ってもらえないか」。オリオンのブランド価値、成長可能性に着目したカーライルは興味を示した』、「オリオン経営陣が提示した幸商事の買収額は約25億円だった」、のであれば、「創業家」が「カーライル」に打診したのは当然だ。
・『野村に駆け込んだ経営陣  翌2017年、創業家はカーライルの担当者とともにオリオン株主のもとを訪れ始める。カーライル単独でオリオンのTOBを実施しようと画策したのだ。カーライルをバックにつけた創業家による「敵対的買収」準備だった。創業家の動きを察知したオリオン経営陣は慌て2018年2月、ホワイトナイト(買収防衛策)の要請のため野村證券那覇支店に駆け込んだ。 互いの動きを探り合っていた2018年の10月下旬、創業家側に一本の連絡が入る。銀行出身のオリオン取締役、亀田浩氏による面会の要請だった。11月3日、東京・中央区の野村證券本社で実現した面会で、亀田氏は創業家に「(野村の力を借りて)幸商事を買い取りたい」と告げる。それであれば、創業家にとっても株の現金化という目的は達せられる。 カーライルと野村による買収合戦は、こうして両者の「共同TOB」にかたちを変えることになった。 そのスキームはこうだ。野村の投資ファンド「野村キャピタル・パートナーズ」(NCAP)が51%、カーライルが49%出資するSPC(特別目的会社)であるオーシャン・ホールディングスがオリオンのTOBを実施する。オーシャンHDは、あわせて幸商事も買収する。創業家は今回のTOBですべての保有株式を売却する。 その後、アサヒビールがオーシャンHDに約10%出資、筆頭株主の地位を維持する。さらに、オリオンの嘉手苅義男会長がオーシャンHDに出資し、形式上「MBO(マネジメントバイアウト=経営者による買収)」となるようにした。つまり、会社は買収されるが、対外的には「オリオンは自主独立を維持した」と言えるようにする。創業家・経営陣・そしてファンド。これら3者による妥協の産物が、今回のスキームといっていいだろう。 今年3月、オーシャンHDによるTOBが終了し、予定どおり嘉手苅会長が「ほんの少しだけ」(オリオン幹部)出資をしたことでMBOは成功した。かろうじて「自主独立」の形を守ったオリオンは5年後をメドにIPO(新規上場)を目指す。 カーライルや野村は5年後に向け、今回の買収価格を上回る価格で売却するためのイグジット戦略を描かなくてはならない。そのために招聘したのが早瀬新社長だが、オリオンには大きな難題がある。酒税減免措置とどう向き合うかだ』、「3者による妥協の産物が、今回のスキーム」、なかなかよく出来ている。
・『47年間も続く酒税減免措置  1972年に沖縄が本土復帰をした際、市場環境の激変を緩和するための措置として敷かれたのが酒税軽減措置。沖縄県産の酒類に対して酒税を20%軽減する措置だ。本来であれば2~3年で終了すべき減免措置が47年間も続いていることに、県内からも疑問の声が絶えない。 2018年3月期のオリオンの純利益は23億円だが、このうち約20億円は減税効果とされている。つまりオリオンは、国の補助支援策に大きく依存した収益構造になっているのだ。 減免措置から脱却し、正当な競争力の下でIPOできるよう汗を流すのか。それとも、旧経営陣がやってきたように、減免措置維持のための政界ロビー活動に汗を流すのか。早瀬氏は22日の会見で酒税減免措置について「勉強中」と明言を避けたが、いずれその具体的な対処策を示さなければならない時がくる。 創業者が「県民が育てるビール会社」になるよう志したオリオンビールは、皮肉にも、子や孫たちの「現金ニーズ」によって県外、国外に売却された。「オリオン経営陣が示す買収額が低いから、こうするより仕方がなかった」という創業家の理屈に、心から納得する県民は少ないだろう。 一方、新生オリオンは「創業家の影響がなくなり、カーライルの企業価値向上の手腕と野村の金融の知見、両方を使えることになった」(オリオン幹部)。しかしそれは、経済合理性がより厳しく求められることを意味する。そこに、沖縄における「身内の論理」が入り込む余地がないことだけは確かだろう』、「身内の論理」による甘えを排して、自立してほしいものだ。

第三に、12月19日付け東洋経済オンライン「昭和電工、「小が大を飲む」9640億円買収の成否 社運賭け、「御三家」日立化成を公開買い付け」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/320701
・『日立グループ「御三家」の一角、日立化成の売却先が昭和電工に決まった。 昭和電工は2020年2月にTOB(株式公開買い付け)を始め、日立化成の全株式を約9640億円で買い取る。日立化成に51.2%を出資する日立製作所は現在、矢継ぎ早に事業ポートフォリオの見直しを進めている最中で、その中でも重要な案件に決着がつくことになる』、「日立グループ」が選択と集中で「事業ポートフォリオの見直しを進めている」のはいいことだ。
・『社運を賭けた9640億円の買収劇  「100年を超える歴史の中でも重要な転換点。日立化成を仲間として、新しい歴史に踏み出す」 12月18日、東京都内で会見した昭和電工の森川宏平社長は力強く語った。同社の時価総額は4521億円(12月18日時点)。対する日立化成は売上、利益規模こそ昭和電工に劣るもものの、時価総額は8501億円、従業員数約2万3000人と、いずれも昭和電工の2倍近い大所帯だ。 9640億円もの買収費用も巨額だが、いわば「小が大を飲み込む」M&Aによって昭和電工は社運を賭けた大勝負に打って出る。 買収スキームは、買収のために設立する特別目的会社(SPC)がみずほ銀行からノンリコースローンとして4000億円を借り入れ、みずほ銀行と日本政策投資銀行から2750億円の優先株出資も受ける。昭和電工本体もSPCに普通株出資するが、その資金2950億円もみずほ銀行が融資する。 日立化成株の親会社である日立製作所はTOBに応募する契約を昭和電工とすでに結んでおり、TOBが成立するのは確実だ。 昭和電工の業績は現在、絶好調だ。2018年12月期の営業利益は1800億円と過去最高を記録し、2017年12月期に引き続いて2期連続で最高益を更新している。それ以前は年数百億円の利益を稼ぎ出すのがやっとで、2009年12月期にはリーマンショックの影響を受けて営業赤字に沈んだこともある。まして、時価総額で2倍近い日立化成を買収できるほどの体力はなかった。 その昭和電工が飛躍のきっかけをつかんだのは、2年前に打って出た、ある買収があった。 2017年当時、昭和電工は構造不況にあえいでいた電炉向け黒鉛電極事業で、世界2位のSGLカーボン(ドイツ)を約150億円で買収した。黒鉛電極とは、鉄スクラップを溶かして鋼を作る電炉で使われ、世界の粗鋼の4分の1が電炉で生産されている。 ただ、中国で蔓延していた「地条鋼」と呼ばれる粗悪な鉄鋼の影響で、鉄の値段が下がる「鉄冷え」が発生。電炉用黒鉛電極の市況もそのあおりを受けていた。昭和電工の黒鉛電極事業は2013年から2016年の間は赤字で、「そろそろ市況は回復する」(森川社長)との読みのもと、打って出たのが、当時「無謀」と評された2017年の買収だった』、「昭和電工」が赤字続きの「電炉向け黒鉛電極事業」で、「SGLカーボン(ドイツ)を約150億円で買収」とは思い切った英断をしたものだ。
・『読みがぴたり的中、黒鉛電極で業績急回復  昭和電工の「読み」はぴたりと的中する。買収直後に中国政府が地条鋼の取り締まりを強化。その結果、中国各地で電炉を使用した粗鋼生産が増え、高品質な黒鉛電極の需要が急増した。昭和電工の2018年12月期の営業利益1800億円の7割以上、1324億円を黒鉛電極を中心とする「無機」事業部門が稼ぎ出した。 それにつれて財務体質も大幅に改善し、2015年12月期に1.2倍だったD/Eレシオ(株主資本に対する負債の比率)は0.62倍まで改善した。 ただ、今回の日立化成の買収額は約9640億円。2017年当時とは桁違いの財務リスクを取ることになる。買収相手である日立化成の資産を担保にしたノンリコースローンでの借り入れが多いため、昭和電工は「無理のない借り入れだ」と主張する。 買収後のD/Eレシオは1.6~1.7倍程度に悪化。昭和電工は早期に1倍未満にできる見通しだと説明するが、頼みの黒鉛電極市況が再び悪化しつつあり、2019年12月期の業績は減益を予想している。 巨額買収成功のカギを握るのは、「個性派事業」というものさしだ。昭和電工が2018年に発表した中期経営計画では、「適正な市場規模(数百~数千億円市場)でトップシェアを獲得」できる事業を個性派事業として育成していく方針を示した。それを超える巨大市場だと、設備投資にかかる費用が膨大になり、競争力を維持できないことが理由だ。 実際、昭和電工の事業を見ると、ハードディスクと電子材料用高純度ガス、黒鉛電極の3事業がそれぞれ数千億円程度の市場規模で世界シェアのトップを握っている。 買収後の日立化成に対しても、同様の指標をもとに事業ポートフォリオの再編に乗り出す。日立化成が高いシェアを握るのは封止材や配線板などの半導体向け材料や、自動車向けリチウムイオン電池負極材など。これらは個性派事業の要件を満たすと考えられる』、「日立化成」のなかで「個性派事業の要件を満た」さない事業は売却されるのだろうか。
・『トップ企業になるチャンスを逃したくない  ただ、裏を返せば、このものさしに当てはまらなければ、切り捨てられる可能性がある。18日の会見で森川社長は、「個性派事業を目指ざせる限りは昭和電工にとって必要な事業である。経営陣がそういうふうに考えられない場合、必要ない事業になると常々言ってきた」と説明し、今後の事業再編については、「まだ何も決まっていない。聖域を設けずにやっていく」と語るにとどめた。 子会社の売却を決めた日立製作所とは「日立化成の雇用を守る」約束しているため、買収後すぐに大規模なリストラに踏み出すとは考えづらい。しかし、今後1~2年のうちに日立化成の一部事業を売却する可能性は消えない。 もう1つは、今回の買収が「高値づかみ」だったとの批判をはね返すことができるかどうか。2019年初めに1600円程度だった日立化成の株価は日立製作所が売却の手続きを進めてから右肩上がりに上昇し、12月18日の終値は4080円に達した。今回のTOBの買い付け価格は4630円で、昭和電工は「直近の株価値上がりだけを見ているわけではなく、もう少し長い目でみるとこの価格は妥当だ」と説明したが、「高すぎる。とても手を出すような金額ではない」(化学メーカーの幹部)という声もあがる。 「これから10年、20年、うち単独でやっていくということも考えたが、世界のトップ企業になれるチャンスを逃したくなかった」。森川社長は会見で巨額買収に踏み切った心情を率直に吐露した。 目の前に転がり込んだ「おいしそうな果実」に目がくらんで安易に手を出したのなら今後数年間、その結果が厳しく問われるのは間違いない。今後1年ほどかけて新しい中期経営計画を策定する予定だといい、まずはその内容が問われることになる』、株価の推移から見る限り、やはり「高値づかみ」のようだ。「新しい中期経営計画」で無理のない将来像を描けるのか、注目したい。
タグ:オリオンビール 東洋経済オンライン M&A 昭和電工 日立化成 ダイヤモンド・オンライン 利益相反 (一般) (その1)(5億で売れたはずの会社を2億円で売却! 億単位でピンハネするM&A悪徳業者の「甘い罠」、沖縄・オリオンビール「第2創業」に至った舞台裏 県民が育てるビール会社はなぜ売られたのか、昭和電工 「小が大を飲む」9640億円買収の成否 社運賭け 「御三家」日立化成を公開買い付け) 岡本行生 「5億で売れたはずの会社を2億円で売却! 億単位でピンハネするM&A悪徳業者の「甘い罠」」 M&A市場は大活況 「仲介会社」は、 売り手企業側と買い手企業側の双方と契約を交わします 両手取引を逆手に取った悪質なケース 仲介会社は、売り手企業側と買い手企業側の双方と契約を交わします 現在の日本において、この仕組みは商道徳的な問題を内包するものの、広く見受けられます 悪徳業者の甘い誘惑 タダより高いものはない 「売り手さんからは1円も報酬はいただきません」 あらかじめ「売却想定価格」を設定し、その想定価格より安い金額で買収できた場合には、想定価格と実際の買収価格の差額のうち、半分を成功報酬として受け取るという内容 売り手企業を手玉に取るからくり 売り手企業の経営者は、M&Aを経験したことがない素人です。どのような金額が相場なのか判断基準を持っていません 差額の3億円はどこへ…? 仲介会社と買い手企業で「山分け」 売り手企業だけが、一人で大損したということになります 契約内容を開示してくれなければ、仲介会社を選択する場合には少なくとも特定の1社と契約する「専任契約」ではなく、複数の仲介会社と契約することで、売買条件を客観的に知ることができる状態に近づけておくべき 売り手企業とのお付き合いは売るとき1回だけですが、買い手企業はたくさんの企業を買ってくれる「お得意さま」である可能性も高いはずです。となると、売り手と買い手、どちらを向いて商売をするか、容易に想像がつくはずです 「沖縄・オリオンビール「第2創業」に至った舞台裏 県民が育てるビール会社はなぜ売られたのか」 野村ホールディングスとアメリカの投資ファンド、カーライル・グループに買収される 「ワッター自慢の」オリオンが買収される 「県民感情」への配慮 「オリオンビール」という商品名を公募によって決めたのも、「県民が育てるビール会社」になる 売上数量の実に約8割を沖縄県内が占める 創業家と経営陣の対立 オリオン経営陣が提示した幸商事の買収額は約25億円だった 「創業家」が「カーライル」に打診 野村に駆け込んだ経営陣 会社は買収されるが、対外的には「オリオンは自主独立を維持した」と言えるようにする。創業家・経営陣・そしてファンド。これら3者による妥協の産物が、今回のスキーム 47年間も続く酒税減免措置 「昭和電工、「小が大を飲む」9640億円買収の成否 社運賭け、「御三家」日立化成を公開買い付け」 日立化成の全株式を約9640億円で買い取る 社運を賭けた9640億円の買収劇 時価総額は4521億円( 時価総額は8501億円 「小が大を飲み込む」M&A 昭和電工が飛躍のきっかけをつかんだのは 構造不況にあえいでいた電炉向け黒鉛電極事業で、世界2位のSGLカーボン(ドイツ)を約150億円で買収 読みがぴたり的中、黒鉛電極で業績急回復 巨額買収成功のカギを握るのは、「個性派事業」というものさし 「適正な市場規模(数百~数千億円市場)でトップシェアを獲得」できる事業を個性派事業として育成していく方針 日立化成が高いシェアを握るのは封止材や配線板などの半導体向け材料や、自動車向けリチウムイオン電池負極材など トップ企業になるチャンスを逃したくない 今回の買収が「高値づかみ」だったとの批判 2019年初めに1600円程度だった日立化成の株価 TOBの買い付け価格は4630円
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

体罰・しつけ(その1)(「体罰で子供しつける」が許されない納得の理由 うつ病や依存症になるリスクが高くなる、小学生バレーボール体罰 父母さえ隠ぺいに走らせる「スポ根」発想の闇、「法律で体罰禁止」に納得できない日本の親 世界の常識との深刻なズレ) [社会]

今日は、体罰・しつけ(その1)(「体罰で子供しつける」が許されない納得の理由 うつ病や依存症になるリスクが高くなる、小学生バレーボール体罰 父母さえ隠ぺいに走らせる「スポ根」発想の闇、「法律で体罰禁止」に納得できない日本の親 世界の常識との深刻なズレ)を取上げよう。

先ずは、児童精神科医・臨床心理士の姜 昌勲氏が6月10日付け東洋経済オンラインに掲載した「「体罰で子供しつける」が許されない納得の理由 うつ病や依存症になるリスクが高くなる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/282403
・『最近は教育現場などで体罰が行われると、批難されるようになってきた。だが、「体罰が子どものしつけに適切ではない理由」を明確に語れる人は少ないだろう。そこで今回は、児童精神科医・臨床心理士の姜昌勲(きょう まさのり)氏が「体罰を子どもに与えてはいけない理由」について詳しく解説する。 残念ながら、家庭や教育現場での体罰や虐待に関する悲しいニュースを目にすることが多々あります。たいていの加害者は「しつけ」や「教育」のためであると話しているようです。 こういう痛ましいニュースが話題になるたびに、インターネット上では「体罰は絶対にいけない」「多少の体罰はしつけや教育のために必要」という両方の意見が書き込まれます。この問題については、まず先に結論から言います。体罰は絶対にダメです。体罰には、次のようなたくさんのデメリットがあるからです。 1つは、体罰と虐待の区別はつけられないこと。どこまでを教育やしつけの一部とするか、どこからを虐待とするか、線引きすることは不可能です。ルールを決めるときは、できる限り「曖昧さ」を排除する必要があります。曖昧なルールは、運用する側の都合のいいように、恣意的に利用される恐れがあるからです。 例えば、体罰を肯定する人は「よい体罰と悪い体罰がある」などと言いますが、誰がどう判断するのでしょうか?ひとたび「よい体罰」が容認されてしまえば、その境界線はどんどん拡大される危険性があります』、幼児虐待も「しつけ」を大義名分に行われており、「体罰」全般を禁止すべきだ。
・『体罰は「エスカレート」するもの  また、体罰はするほうもされるほうも慣れてしまうので、エスカレートしがちです。つまり、体罰を繰り返すうちに、より強度の高い体罰が必要になってしまうため、場合によっては子どもの健康や命にもかかわります。 そして、体罰を受けた人は、そのときの体の傷だけではなく心にも傷が残り、後々まで影響を受けることが知られているのです。体罰を受けた人は、成人後に不安障害やうつ病、依存症などの精神疾患に罹患しやすいという研究データもあります(※1National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions)。 さらに体罰を受けた人は、自分が親や指導者になったときに体罰を繰り返してしまうという「体罰の連鎖」が起こりやすいのも問題でしょう。これは「虐待の連鎖」と同じことです』、「体罰の連鎖」とは恐ろしく、由々しい社会病理だ。
・『なお、「体への罰」だけでなく、言葉による傷つけ、暴言、いきすぎた叱咤激励も、子どもの心にダメージを残すことが知られています。親の暴言が子どもの知能指数を下げるという研究データも、アメリカや韓国などで出されているのです(※2Violence exposure, trauma, and IQ and/or reading deficits among urban children. Arch Pediatr Adolesc Med. 2002 Mar; 156 (3): 280?5. Delaney-Black V)。 臨床心理士の奥田健次氏の著書『メリットの法則』には、褒めて伸ばす指導を「アメ」、叱責や体罰を与える指導を「ムチ」に例えた場合の、ムチの副作用について以下のように書かれています(大意)。 ① 行動自体を減らしてしまう ② 何も新しいことを教えたことにならない ③ 一時的に効果があるが持続しない ④ 体罰をする側は罰的な関わりがエスカレートしがちになる ⑤ 体罰を受けた側にネガティブな情緒反応を引き起こす ⑥ 力関係次第で他人に同じことをしてしまう可能性を高める それでも体罰を肯定したい人たちは、次のように言うかもしれません。 「両親や部活動の顧問や先輩から体罰を受けたことがあるが、深い愛情を感じた。体罰によって自分を戒め、スキルアップできたと思う」「褒めて伸ばす指導をしたこともあるが、結果がついてこなかった。やはり効率よく効果を上げるには、体罰に勝る指導はないと感じた」「校内暴力や学級崩壊などの力による反抗に対しては、指導者側も力を使ってでも立ち向かっていくべきだ」』、「ムチ」には「副作用」があっても、「体罰を肯定したい人たち」がいるのは事実だ。彼らの肯定論の誤りを知りたいものだ。
・『教師の体罰は「指導力不足」なだけ  このような主張をされると、もしかしたら納得してしまう人もいるかもしれません。でも、裏を返せば、体罰よりも効果が高くて効率がよく、かつ子どもの体や心を傷つけることなく指導する方法を知らなかったというだけの話です。 学級崩壊、生徒の教師への暴力の解決策は、教師が報復的に体罰をすることではありません。警察や保護者や教育委員会、ソーシャルワーカー、スクールカウンセラーなどをはじめとした第三者の介入が必要です。余裕のない状況は思考的視野狭窄を起こすので、こじれた問題を当事者同士だけで解決しようとすることはおすすめできません。思考的視野狭窄は、判断力を低下させ、通常ならありえない意思決定を招く要因になります。 では、子どもに何かを教えるとき、体罰ではなく、どのような手段をとるといいでしょうか。 発達障害のある子どもを持つご両親向けの指導法に「ペアレント・トレーニング」というものがあります。これは「養育者が子どもにとって最高の指導者になる」との考え方から、養育者に子どもへの接し方や指導法のトレーニングをしてもらうというものです。本来は全10回のプログラムを隔週で、レクチャーと家庭での課題を段階的に半年かけて行います。 ペアレント・トレーニングについては、UCLAで行われたプログラムを、岩坂英己医師が日本向けに導入したもので、レクチャーする側を養成するプログラムなどもあり、各自治体で一般向けの講座とともに広まっています。 その中で、役に立つ考え方があるので紹介しましょう。行動のタイプ分けです。 まずは、子どもの行動を「好ましい行動」「好ましくない行動」「絶対によくない行動」の3つに分けます。子どもが自発的に明日の学校の準備を始めたなど、「好ましい(増やしたい)行動」をとったときは、すかさず注目して褒めます。ご褒美をあげてもいいのですが、一つひとつの行動に与えるのではなく、できれば行動がいくつか積み重なってからあげたほうがいいでしょう。子どもの「待つ力」を育むためです。 具体的には、子どもがよい行動をしたら「トークンシステム」というポイント表にシールを貼ったり、丸印をつけたりしてポイントを貯めていき、一定のポイントになったらご褒美と交換する方法がおすすめです。なお、トークンシステムは原則として加算のみで、悪い行動をしたときに減点しないほうがいいと思います。減点や罰は、取り扱いが非常に難しいからです』、「教師の体罰は「指導力不足」なだけ」、手厳しいがその通りなのかも知れない。ただ、褒めて育てるというのは、子どもの教育のみならず、職場での指導でも実際にはなかなか難しいことも事実だ。
・『子どもを「無視」したほうがいいとき  一方、「好ましくない(増やしたくない)行動」をとったときは、無視します。「無視」というと、悪いことのように聞こえるかもしれませんが、「無駄な注目をしない」ということです。子どもの存在自体を無視するのではなく、好ましくない言動を無視します。それでも、子どもによっては、好ましくない行動をエスカレートさせることがあるかもしれません。 その場合は「何をしたらいいのか」を短く具体的にわかりやすく指示してから無視するといいでしょう。そして、適切な行動を起こしたら、「無視」をやめて、すかさず褒めてください。 さて、「絶対によくない行動」をとった場合は、どのようにするのがよいでしょうか?いろいろな方法がありますが、代表的な方法の1つに「タイムアウト」があげられます。) タイムアウトとは、子どもをその場からいったん離して、1人にさせる時間をとる方法です。あまり長時間になると、罰ではないのに「罰を受けている」というネガティブな感情を惹起させることになるので数分程度にしましょう。 例えば、ほかの子どもに暴力を振るうというのは、「好ましくない行動」ではなく「絶対によくない行動」です。このような行動をとった場合、タイムアウトを宣告したうえで、あらかじめ決めた場所に連れて行き、1人で冷静になる時間をとらせます。タイムアウトは「シンキングタイム」とも表現されることがあります。興奮状態に陥っているような場合には、何を言っても頭に入らないので、とにかく冷静になるまで待つということも必要なのです』、「タイムアウト」で「冷静になるまで待つ」、というのは、子どもだけでなく、親にとっても必要なことは確かだ。
・『親子ともに達成感を得るには  ただ、事前にルールをわかりやすく説明しておいても、子どもがあらかじめ決めた場所に行かないこともあると思います。タイムアウトは罰ではなく、子どもはもちろん親のほうも冷静になることが目的なので、場所にこだわりすぎないことも大切でしょう。親が別室に移動するのも1つの対応ですが、子どもが「見捨てられた」と感じないよう予告してから行ったほうがいいと思います。 そして冷静になったら、なぜそのような行動を起こしたのか(子どもには子どもなりの理由があります)、次に同じことが起きたらどう振る舞うべきか、シミュレーションします。ときには「ロールプレイ」として、保護者や教師が相手役をして同じようなシチュエーションを再現し、子どもに「とるべきであった適切な行動」を練習してもらうのです。もちろん、きちんとできたらしっかり褒めましょう。 体罰は、「好ましくない行動」と「絶対によくない行動」を罰によって減らすという方法ですが、このペアレント・トレーニングの「行動のタイプ分け」は好ましい行動を褒めることによって増やすという方法です。人間が1日に行える行動は限られています。「好ましい行動」が増えれば、必然的に「好ましくない行動」「絶対によくない行動」は減っていくというわけです。しかも、体罰での指導よりも、指導する側もされる側も効果を実感でき、親と子どもの双方が達成感を得られるでしょう。 発達障害の子どもだけでなく、すべての子どもへの指導に使えるので、ぜひ参考にして日々の子育てや教育に取り入れてみてくださいね』、職場での指導にも上司「トレーニング」などが普及してほしいものだ。

次に、作家・スポーツライターの小林信也氏が11月28日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「小学生バレーボール体罰、父母さえ隠ぺいに走らせる「スポ根」発想の闇」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/221800
・『小学生の女子バレーボールチームで体罰が発覚した。広く知られたきっかけは毎日新聞の報道だった。毎日新聞では次のように報じている。 <全国大会に出場経験がある大分県日出(ひじ)町の小学校女子バレーボールチームで、50代の男性監督が女児に体罰を加えた問題で、暴力の有無を調べた県小学生バレーボール連盟(県小連)が、被害女児や保護者から事情を聴かず、監督やコーチらの話を基に「体罰なし」と結論付けていたことが分かった。>(毎日新聞2019年11月21日付朝刊) さらにFNNテレビ大分の続報によれば、「50代の男性監督が、今年6月、練習中に『やる気が見られない』として、女子児童2人に対しグラウンドを走らせた上で2人の頭を平手で叩くなど体罰をしていたことが分かった」という』、「県小学生バレーボール連盟」の対応も、とんでもないとはいえ、実際にはありそうなことだ。
・『想像を超える小学生バレーの過熱ぶり 競合チームのレベルの高さに驚嘆  この出来事を理解するには、小学生バレーボールの過熱ぶりを先に紹介すべきだろう。 小学生とはいっても、毎年夏休みに行われる全国大会出場、そして優勝を目指して全国のチームがシノギを削っている。 今年で39回を迎えた「全日本バレーボール小学生大会」の予選には、全国で4690ものチームが参加している。うち3177チームが女子。小学生バレーボールの分野で、特に女子の熱が高いことがうかがえる。 ネットで大会の模様を見ることができる。一見して、そのレベルの高さに驚嘆する。小学生だから身体は小さい。だが、プレーの質や技術の高さは想像をはるかに上回る。男子はジャンピング・サービス当たり前、バックアタックも珍しくない。このレベルに達するために、強豪チームは相当な練習量を、かなりの気合の入れようでこなしている日常が容易に目に浮かぶ。将来は「春高バレーに」、そして「オリンピックに」わが子が出場する夢をふくらませ、父母たちの応援も過熱して不思議ではない。 また一方、日本のバレーボール界には、根強い体罰指導の習慣があったことも頭に入れておく必要がある。そのような指導がすべてとは言わないが、約10年前、中学高校バレーボール部活動に特化した雑誌編集を引き受け、取材を重ねて驚いた経験がある。その際、強豪私立高校の女子バレーボール部では、「監督に髪をつかまれ、床をひきずり回された」「ハサミで髪を切られた」といった証言と次々に出合ったからだ。「強くなるために」「他に心を向けないために」などの高圧的な指導がはびこっていた。 残念ながら、そういうタイプの監督たちが全国大会で結果を出すものだから、多くの指導者がそれを模範にし、中学校や小学校のレベルにも同様の指導が広がる。日本スポーツのあしき連鎖はバレーボールだけでなく、野球やその他のスポーツにも通じる悪弊だった。 ここ数年は真剣な見直しが進められ、ある有名高校監督が「指導方針を変えた」と、体罰や支配的な指導をやめたことを公言し、話題になったりもした。 元日本代表の益子直美さんは、5年前から「監督が怒らないバレーボール大会」を福岡県宗像市で主催し、賛同の輪を広げている。これも裏を返せば、いまも監督が怒る指導が主流だという逆証といえるだろう』、「全日本バレーボール小学生大会」、というのにまず驚かされた。かつては全国大会があるのは中学校以上だった筈だが、小学生でも「今年で39回を迎えた」とは・・・。しかも、小学生の頃は、様々なスポーツをやるべきなのに、専門的にやっているのは行き過ぎな気もするが、これが現実なのだろう。「日本スポーツのあしき連鎖はバレーボールだけでなく、野球やその他のスポーツにも通じる悪弊だった」が、「ここ数年は真剣な見直しが進められ」、というのはいいことだ。
・『父母たちの対応は意外なものばかり「ある程度の体罰は当たり前」  今回の出来事は単に体罰問題にとどまらなかった。さらに深刻なのは、父母たちの対応だ。毎日新聞はこう伝えている。<男性保護者「連盟に報告する意味があるのか。チームの存続が危うくなるし、監督が職を追われるということになりかねない」 別の男性保護者「全国大会に行くために練習してるんやろ」 女性保護者「一致団結せんと」 男性保護者「学校だったら横社会だけど、社会体育は縦社会。下が上に教わるとか、社会に出るための第一歩を教わるのが社会体育だ」>(毎日新聞2019年11月22日付WEB版) こうして読むと、隠ぺいを当然とする一部父母たちの強制的な発言は「異常だ」と感じられるだろう。だが、私がこの原稿を書き、伝えたいのは、こうした空気が実は日本中にあり、子どものスポーツを応援し始めると、「多くの父母たちが陥る、ありがちな感情だ」という揺るぎない事実だ。 私自身もそんな気持ちに支配された時期がある。おかしさに気づいて、少年野球監督の体罰未遂をとがめたことがあった。しかし、非難を浴びたのは私のほうだった。 「勝つためなら、ある程度の体罰は当たり前」「監督に任せた以上、コーチや父母は従うべきだ」 コーチが監督をかばうならまだしも、父母のほとんど全員が監督の体罰を容認した。それは、熱心にボランティアで指導してくれる人間味のある監督への感謝と厚意でもあるだろう。だが、体罰や支配的な指導は許されるべきではない。いくら社会でそう叫ばれても、日本中の父母やスポーツ応援者の心の中はまだ変わっていないのだ。 体罰の是非を論じる以前に、根底には、「たたけば伸びる」「耐えれば強くなる」という勝手な思い込みがある。「スポーツは大人が教えてうまくなる」、それが大人たちの間違った自己満足である、という戒めを強く自分に突きつける必要がある。 子どもはもともと才能を持っている。その才能を伸ばすのは、子ども自身の気づきであり、目覚めであり、主体的な意欲と行動だ。大人たちは、子どもに環境を与え、サポートしてあげるのが主な役目。上から目線で「教えてやる」と考えている指導者は即刻退場すべきだ。 そんな当たり前の本質に日本のスポーツ指導者、スポーツファンたちはまだ気づいていない。根強く信じられている間違った必勝法を改めてリセットする切実な必要性をこの出来事が物語っている』、説得力溢れた主張で、全面的に同意する。

第三に、ノンフィクションライターの窪田順生氏が12月12日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「「法律で体罰禁止」に納得できない日本の親、世界の常識との深刻なズレ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/223163
・『厚生労働省が「体罰」に関する指針案を発表したところ、日本の親たちから非難が続出している。要は「ときに厳しく体罰でしつけないと甘ったれになる」ということなのだが、これは世界的なトレンドからは大きく逆行した考え方だ。世界では今、親の裁量に任せると命を落とす子どもが後を絶たないということで、法律で禁止する国が急増しているのだ』、「しつけ」を大義名分にした幼児虐待がこれほど相次いでいるのに、「指針案を発表」だけで「非難が続出」とは、どうかしている。
・『体罰禁止の厚労省指針案に親たちから非難が殺到  今月3日、厚生労働省が「体罰」に関する指針案を発表した。来年施行される改正児童虐待防止法に先立って、何をしたら体罰で、どこまでがセーフなのかということを示すため、以下のように「アウト」の具体例を提示したのである。 (1)口で3回注意したが言うことを聞かないので、頬を叩く (2)大切なものにいたずらをしたので長時間正座させる (3)友達を殴ってケガをさせたので、同じように殴る (4)他人の物を盗んだので、罰として尻を叩く (5)宿題をしなかったので、夕ご飯を与えない これに対して、世の親たちから批判が殺到しているという。中には、ここまで厳しく体罰禁止をされたら、親になりたくないという人も増えるのではないか、なんて意見もある。彼らがそこまで「体罰禁止」に反対する理由はザックリ分類すると、以下のような2本柱に集約される。 +単なる罰で叩くのはいけないが、愛情を込めて叩くのは問題ない +「これは本当に悪いことなんだ」と子どもに理解させるには、ある程度の「痛み」が必要 「その通り!こんなバカな法律はすぐにやめるべきだ」と大きく頷いていらっしゃる方も多いことだろう。この国では長らく、「ワガママで甘ったれたガキは鉄拳制裁で更生させる」というのが、理想の教育とされてきたからだ。 わかりやすいのが、40年前に放映が開始された「機動戦士ガンダム」だ。戦うことをゴネる主人公アムロ・レイが指揮官であるブライトに頬を打たれ、「親父にもぶたれたことないのに!」と怒った際に、ブライトが放ったこのセリフだ。 「それが甘ったれなんだ!殴られもせずに一人前になった奴がどこにいるものか!」 令和の今も愛される国民的アニメのやりとりからもわかるように、日本では子ども、特に男の子が親に殴られることはむしろ必要で、“大人の階段を上る通過儀礼”のように捉えられてきたのだ』、「“大人の階段を上る通過儀礼”」とは言い得て妙だ。
・『体罰を禁止しても非行に走る子どもは増えない  そのような意味では、「体罰禁止」に反対される方たちの戸惑いや憤りはよくわかる。我が子をアムロのような「甘ったれ」にしたくない、という親心がそうさせているのだろう。 しかし、そこまでの心配には及ばないのではないか。「体罰禁止」になっても、ほとんどの子どもは人の道を外れることなくスクスクと育つ。体罰でしつけられないがゆえに、人を傷つけたり万引きを繰り返したりというような問題行動を起こす子どもがドカンと増えるなんてことはないはずだ。 なぜそんなことが断言できるのかというと、「体罰の法的全面禁止」は既に世界58カ国で支持されており、それらの国では、日本の親たちが心配するような問題は起きていないからだ。 日本では「体罰禁止」と聞くと、「理想論だ」とか「親の大変さをわかっていない」などとボロカスだが、世界には親から体罰を受けることなく、育てられて立派な大人になった人たちがたくさんいる。 もちろん、ハナからそうだったわけではない。 先ほど「日本では」という言い方をしたが、「悪い子どもに手をあげてこそ良い親」という考え方は、多かれ少なかれ、どの国にも存在していた。しかし、今の日本のように、「しつけ」名目で我が子を血祭りにあげる親が後を絶たないということで、法制化に乗り出したのである。 口火を切ったのは、「やはり」というか北欧・スウェーデンだ。日本では親に殴られたことのないアムロが「甘ったれ」だと視聴者をイラつかせていたまさにその頃、以下のような「子どもと親法6章1条」が制定されたのである。 「子どもはケア、安全および良質な養育に対する権利を有する。子どもは、その人格および個性を尊重して扱われ、体罰または他のいかなる屈辱的な扱いも受けない」(NPO法人 子どもすこやかサポートネットHPより) これをきっかけに、同国では「体罰をする親」が劇的に減った。スウェーデン児童福祉基金およびカールスタット大学の調査では、1960年代に体罰を行う親は90%以上だったが、80年代には30%強、2000年代になると10%程度まで減少している。 このスウェーデンの世界初の取り組みは、当初はそこまで国際社会で注目を集めなかったが、2000年代に入ると欧州へ広がり、2010年代に導入する国が急増。アフリカ諸国、ニュージーランド、南アメリカ、モンゴル、ネパールなども加わって、2019年についに58カ国になった』、「スウェーデン」で「1960年代に体罰を行う親は90%以上だったが、80年代には30%強、2000年代になると10%程度まで減少」、画期的な減少だ。
・『体罰を野放しにすると命を落とす子が続出  では、なぜ日本の親たちが「愚策」と切り捨てる「体罰全面禁止」を受け入れる国がここにきて急増しているのか。 この国際的なトレンドを否定的に見る人は、「そんなもん、プラスチックストロー廃止とかと一緒で、環境やら人権やらに対して意識の高い国だってアピールができるからでしょ」と、一種のパフォーマンスのように受け取っているかもしれないが、そうではない。 親の「良心」に任せてこの問題を放置していると、凄まじい勢いで子どもが殺されていくため、藁にもすがるような思いで導入しているのだ。その代表がフランスである。実はあまりそのようなイメージがないかもしれないが、かの国も、日本に負けず劣らずの「児童虐待大国」なのだ。 フランス政府が2018年に発表した統計によれば、1週間に1人から2人の子どもが親の虐待で命を落としている計算になるほどで、虐待の通報窓口にかかってくる電話の数は、なんと年間約46万6000件。1日平均だと1300件近くに上るという。 ちなみに、日本全国212カ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は15万9850件(平成30年度の速報値)。過去最多を記録したが、フランスは日本の約3倍である。一概に比較できるものではないが、フランスでもかなり深刻な社会問題だということがうかがえよう。 なぜこうなってしまったのか。NHKの「BS1ワールドウオッチング」の「深刻化する児童虐待 試行錯誤するフランス」(2019年4月5日)によれば、こんな理由があるという。《もともとフランスは、児童虐待の取り組み自体は歴史がある国で、100年以上前から法整備が進められてきた。その一方で、子どもへの体罰に関しては、教育やしつけという意識があり、なかなか議論が進まなかった》 「海外では子どもの体罰が禁止されている」という話を聞くと、「ここは日本だ!日本には日本人ならではの教育方法がある!」とかキレる人たちが必ず出てくるが、似たような考えから「体罰」を容認してきたのは、日本に限ったことではないということだ。 どの国もそれぞれの文化に合わせた教育方法を持っており、程度の差はあるものの「言うことを聞かない子どもには暴力でお仕置きを」という思想があって、それをつい最近まで子育ての現場で受け継いできたのである。 しかし、そういう伝統だ、教育だ、と悠長なことを言ってられないほど、「しつけという名の虐待」が増えてきたという現実がある。このまま親に「愛情のある暴力」を恣意的に運用させる自由を与えていたら、屍の山ができるだけだということで、すがる思いで「体罰全面禁止」に舵を切るのだ』、「「体罰全面禁止」を受け入れる国がここにきて急増している」のは、「体罰を野放しにすると命を落とす子が続出」、海外でもそうだったのかと納得した。特に、「フランス」では「1週間に1人から2人の子どもが親の虐待で命を落としている」、というのは衝撃的な数字だ。
・『職場で蔓延するパワハラやいじめも減らすことができる  実際、フランスも今年、民法第371-1条を改正し、「日常にある教育上の暴力の禁止」の中に「親の権威は、いかなる身体的または心理的暴力も用いることなく行使される」(NPO法人 子どもすこやかサポートネットHPより)という文章が加えられている。 日本人はどうしても「日本は他の国と異なる特別な国」という思いが強いが、殺人、強姦、窃盗など、異なる国や文化の中で共通する普遍的な社会病理というものがある。「児童虐待」もその中の1つだ。そう考えれば、世界58カ国が支持している「体罰全面禁止」という普遍的な解決策を日本も採用するというのは、それほど「愚策」だとは思えない。 最初は確かに戸惑うかもしれないが、子どもを叩かない子育てが当たり前になっていくことで、犠牲者の減少などのメリットも増えていくはずなのだ。 そこに加えて、「体罰全面禁止」を法制化することは、日本社会を悩ませているさらに大きな問題の解決につながる可能性もあるのだ。 それは「パワハラ・職場いじめ」だ。 いじめ相談をしていた小学校教師が、同僚をよってたかったいじめたり、日本を代表する大企業で「死ね」とか「殺すぞ」という恫喝によって、自殺する若者が後を絶たないことからもわかるように、「パワハラ・職場いじめ」というのも、日本が克服できない「病」のひとつである。 実際、厚労省の「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況 」によれば、職場でのいじめや嫌がらせは8万2797件と過去最多になっているという。 しかし、これも日本に限った話ではない。どんな世界にもいじめは存在しており、スウェーデンなど幸福度の高い国でも、深刻な「職場いじめ」が報告されている。 では、この人類普遍的な問題を、世界はどう解決しようとしているのかというと、ここでも「法制化」である。要するに、パワハラや職場いじめの全面禁止を法的に明文化しているのだ』、「「職場いじめ」・・・この人類普遍的な問題を、世界はどう解決しようとしているのかというと、ここでも「法制化」である。要するに、パワハラや職場いじめの全面禁止を法的に明文化しているのだ」、このままでは、日本も世界の潮流から取り残されてしまう。
・『職場のハラスメント行為を禁止しない日本の「言い分」  そのトレンドを象徴するのが今年6月、国際労働機関(ILO)で採択された条約だ。これは、職場でのハラスメント全般を禁止しているのだ。 「そんなことくらい日本でもやっているだろ」と思う方もいるかもしれないが、日本で今年5月に成立した「女性活躍・ハラスメント規制法」はそこまで立ち入っていない。 ハラスメント行為自体を禁止する規定はなく、相談窓口設置など防止対策を企業に義務付ける内容にとどまっているのだ。 なぜこんな骨抜きになったのかというと、「体罰」とまったく同じだ。「体罰を禁止にされたら育児ができない」と主張する一部の親のように、「ハラスメントを禁止されたら、上司が安心して部下を指導できない、この法律のせいで会社の業績が悪くなったらどうしてくれるんだ」という経済界からの批判に対して配慮をしたのである。 ちなみに、このような「労働者をあまり手厚く保護したら景気が悪くなる」というのは、経営者が大好きな思想で、「最低賃金を引き上げたら、中小企業がバタバタ倒れて日本はおしまいだ」という主張のベースにもなっている。 この手のものを法制化することの最大のメリットは、先ほどのスウェーデンの例のように、国民の意識を大きく変えることができる点にある。体罰を法律で禁止すれば、一部のアウトロー的な親以外は体罰を控える。ハラスメントが法律で禁止されれば、「俺のはパワハラじゃなくて愛のあるイジりだから」なんてのたまう勘違い上司も我が身を振り返る。 そのようなマインドチェンジが、実は体罰やハラスメントを「禁止」と法律に明記する最大のメリットなのだ。 そういう観点から世界ではバタバタと法制化が進んでいるわけだが、日本は頑なにその流れに背を向けてきた。 「体罰か虐待かという線引きは、親の判断に任せるべきだ」「ハラスメントか厳しい指導かというのは上司の判断に任せるべきだ」という感じで、ルールをつくることを頑なに避けて、個人の自主性に委ねてきたのである。日本社会は差別がなく平等だとか言いながら、「子供」や「労働者」に対してはかなり厳しく、いまだに親や経営者の「所有物」であるかのように扱ってきたのだ。 しかし、その結果が今である。定期的に壮絶な虐待を受けて亡くなる子どものニュースが出てくる。おそらく、またしばらくすればワイドショーを賑わすはずだ。パワハラやイジメ、体罰も同様である。 いたましい事件が起きて瞬間風速的に議論が盛り上がってウヤムヤにされる、そしてまた次の犠牲者がーー。そろそろ、この救いようのないエンドレスリピートの本質的な原因を直視すべきではないのか』、「体罰を法律で禁止すれば、一部のアウトロー的な親以外は体罰を控える。ハラスメントが法律で禁止されれば、「俺のはパワハラじゃなくて愛のあるイジりだから」なんてのたまう勘違い上司も我が身を振り返る。 そのようなマインドチェンジが、実は体罰やハラスメントを「禁止」と法律に明記する最大のメリットなのだ」、その通りだ。筆者の説得力溢れた主張には、全面的に賛成である。
タグ:東洋経済オンライン 小林信也 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 体罰・しつけ (その1)(「体罰で子供しつける」が許されない納得の理由 うつ病や依存症になるリスクが高くなる、小学生バレーボール体罰 父母さえ隠ぺいに走らせる「スポ根」発想の闇、「法律で体罰禁止」に納得できない日本の親 世界の常識との深刻なズレ) 姜 昌勲 「「体罰で子供しつける」が許されない納得の理由 うつ病や依存症になるリスクが高くなる」 体罰には、次のようなたくさんのデメリットがある 1つは、体罰と虐待の区別はつけられないこと 体罰は「エスカレート」するもの 体罰を受けた人は、自分が親や指導者になったときに体罰を繰り返してしまうという「体罰の連鎖」が起こりやすいのも問題 言葉による傷つけ、暴言、いきすぎた叱咤激励も、子どもの心にダメージを残す 親の暴言が子どもの知能指数を下げる ムチの副作用に ① 行動自体を減らしてしまう ② 何も新しいことを教えたことにならない ③ 一時的に効果があるが持続しない ④ 体罰をする側は罰的な関わりがエスカレートしがちになる ⑤ 体罰を受けた側にネガティブな情緒反応を引き起こす ⑥ 力関係次第で他人に同じことをしてしまう可能性を高める 教師の体罰は「指導力不足」なだけ 思考的視野狭窄は、判断力を低下させ、通常ならありえない意思決定を招く要因になります 「ペアレント・トレーニング」 子どもの行動を「好ましい行動」「好ましくない行動」「絶対によくない行動」の3つに分けます 子どもを「無視」したほうがいいとき 「絶対によくない行動」です。このような行動をとった場合、タイムアウトを宣告したうえで、あらかじめ決めた場所に連れて行き、1人で冷静になる時間をとらせます 「シンキングタイム」 親子ともに達成感を得るには 「小学生バレーボール体罰、父母さえ隠ぺいに走らせる「スポ根」発想の闇」 想像を超える小学生バレーの過熱ぶり 競合チームのレベルの高さに驚嘆 父母たちの対応は意外なものばかり「ある程度の体罰は当たり前」 体罰の是非を論じる以前に、根底には、「たたけば伸びる」「耐えれば強くなる」という勝手な思い込みがある 子どもはもともと才能を持っている。その才能を伸ばすのは、子ども自身の気づきであり、目覚めであり、主体的な意欲と行動だ。大人たちは、子どもに環境を与え、サポートしてあげるのが主な役目 「「法律で体罰禁止」に納得できない日本の親、世界の常識との深刻なズレ」 厚生労働省が「体罰」に関する指針案を発表したところ、日本の親たちから非難が続出 日本では子ども、特に男の子が親に殴られることはむしろ必要で、“大人の階段を上る通過儀礼”のように捉えられてきたのだ 体罰を禁止しても非行に走る子どもは増えない 「体罰の法的全面禁止」は既に世界58カ国で支持されており、それらの国では、日本の親たちが心配するような問題は起きていない 「悪い子どもに手をあげてこそ良い親」という考え方は、多かれ少なかれ、どの国にも存在していた。しかし、今の日本のように、「しつけ」名目で我が子を血祭りにあげる親が後を絶たないということで、法制化に乗り出したのである 口火を切ったのは、「やはり」というか北欧・スウェーデン スウェーデン 1960年代に体罰を行う親は90%以上だったが、80年代には30%強、2000年代になると10%程度まで減少 体罰を野放しにすると命を落とす子が続出 親の「良心」に任せてこの問題を放置していると、凄まじい勢いで子どもが殺されていくため、藁にもすがるような思いで導入しているのだ。その代表がフランス 1週間に1人から2人の子どもが親の虐待で命を落としている い子どもには暴力でお仕置きを」という思想があって、それをつい最近まで子育ての現場で受け継いできたのである。 しかし、そういう伝統だ、教育だ、と悠長なことを言ってられないほど、「しつけという名の虐待」が増えてきたという現実がある。このまま親に「愛情のある暴力」を恣意的に運用させる自由を与えていたら、屍の山ができるだけだということで、すがる思いで「体罰全面禁止」に舵を切るのだ 職場で蔓延するパワハラやいじめも減らすことができる どんな世界にもいじめは存在しており、スウェーデンなど幸福度の高い国でも、深刻な「職場いじめ」が報告 この人類普遍的な問題を、世界はどう解決しようとしているのかというと、ここでも「法制化」である。要するに、パワハラや職場いじめの全面禁止を法的に明文化しているのだ 職場のハラスメント行為を禁止しない日本の「言い分」 「女性活躍・ハラスメント規制法」 ハラスメント行為自体を禁止する規定はなく、相談窓口設置など防止対策を企業に義務付ける内容にとどまっている この手のものを法制化することの最大のメリットは、先ほどのスウェーデンの例のように、国民の意識を大きく変えることができる点にある。体罰を法律で禁止すれば、一部のアウトロー的な親以外は体罰を控える。ハラスメントが法律で禁止されれば、「俺のはパワハラじゃなくて愛のあるイジりだから」なんてのたまう勘違い上司も我が身を振り返る。 そのようなマインドチェンジが、実は体罰やハラスメントを「禁止」と法律に明記する最大のメリットなのだ そろそろ、この救いようのないエンドレスリピートの本質的な原因を直視すべきではないのか
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

暗号資産(仮想通貨)(その14)(「仮想通貨ビットコインに関する全ての嘘はもう終わりだ」自称サトシ・ナカモトがブログ更新、自称サトシ・ナカモトにビットコイン40億ドル譲渡命令-米連邦地裁、仮想通貨はバブル崩壊後 これだけ変わった──価格 信用力 規制、金融庁が認めた仮想通貨交換所の「ある評判」 最後のみなし業者「ラストルーツ」が登録) [金融]

暗号資産(仮想通貨)については、7月27日に取上げた。今日は、(その14)(「仮想通貨ビットコインに関する全ての嘘はもう終わりだ」自称サトシ・ナカモトがブログ更新、自称サトシ・ナカモトにビットコイン40億ドル譲渡命令-米連邦地裁、仮想通貨はバブル崩壊後 これだけ変わった──価格 信用力 規制、金融庁が認めた仮想通貨交換所の「ある評判」 最後のみなし業者「ラストルーツ」が登録)である。なお、これまでは「暗号通貨」としていたが、金融庁にならって「暗号資産」に変更した。

先ずは、8月4日付けCointeregrph Japan「「仮想通貨ビットコインに関する全ての嘘はもう終わりだ」自称サトシ・ナカモトがブログ更新」を紹介しよう。
https://jp.cointelegraph.com/news/craig-wright-warns-all-the-lies-about-btc-will-end-soon
・『ビットコイン創設者サトシ・ナカモトを自称するクレイグ・ライト氏は、2日にブログを更新し、ビットコインをめぐる全ての嘘はもう終わりだと述べた。 ライト氏は、とりわけビットコインが検閲不可能で政府に対抗するために作られたとする説を否定。「ビットコインとは政府を倒し匿名のドラッグ・マネーだと主張する者たち」を厳しく非難し、「全ての嘘はすぐに終わりを迎えるだろう」と述べた。 ライト氏にとって「検閲できないブロックチェーンはない」。ビットコインとは「無政府主義者」のものではなく、「薬物販売やマネーロンダリング(資金洗浄)、人身売買などを可能にするために作られた全ての仮想通貨は失敗してきた」と述べた。 「ビットコインとは不変の証拠システムとして機能するブロックチェーンだ。(中略)ビットコインは脱税をする人々にとってフレンドリーではない。」 その上でライト氏は、自らが2008年のビットコインのホワイトペーパーを執筆したと改めて主張。そして、それは「BTCと呼ばれる壊れたシステム」とは異なるものであると訴えた。同氏は自らの正当性を訴えるため、裁判で争うことを表明。「もしあなたがツイッターを信じ、同じくらいタチの悪いニュースソースを信じれば、あなたは悪い立場に追いやられることになる」と警告した。 既報の通り、ライト氏は長年パートナー関係にあった起業家クレイマン氏の資産管理人と係争中。フロリダ州の裁判所に、2013年12月以前のビットコイン保有量を証明するように求められている』、「ライト氏」が「サトシ・ナカモト」か否かは別として、神話的な「嘘」が正しくないと主張していることには違和感はない。しかし、「「BTCと呼ばれる壊れたシステム」とは異なるものである」、は意味不明だ。最後の係争に関しては、次の記事がより詳しい。

次に、8月28日付けBloomberg「自称サトシ・ナカモトにビットコイン40億ドル譲渡命令-米連邦地裁」を紹介しよう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-28/PWXFAF6S972801
・『・・・仮想通貨ビットコインを10年前に考案したと主張するクレイグ・ライト被告は元パートナーの遺産を巡る訴訟で、偽の文書を提出し虚偽の証言を行ったと米フロリダ州の連邦地裁判事が26日判断し、ビットコイン40億ドル(約4200億円)余りを譲り渡すよう命じられた。 ウェストパームビーチにある同地裁の記録によれば、ライト被告が2013年末までに採掘した全ビットコインと被告が生み出した全ての知的財産の半分は、同年死去したデーブ・クライマン氏の保有分だとブルース・ラインハート判事は結論付けた。つまり41万を超えるビットコインがクライマン氏の遺産に加わることになる。27日時点で1ビットコインは1万162ドル。 ライト被告が違法に資産を押さえ、うそをついているとしてクライマン氏の遺族が起こした訴訟で、判事は書類提出命令に従わなかったとして被告を罰した。 今後の焦点は、ライト被告がクライマン氏側に実際にビットコインを引き渡せるかだ。被告は法廷で、採掘したビットコインがどこにあるのか知らないし、アクセスさえできないかもしれないと証言した。ビットコインの大量売却もしくは移管はビットコインの価格に大きく影響し得る。 ライト被告は自分こそがビットコインの生みの親「サトシ・ナカモト」だと主張してきたが、仮想通貨コミュニティーからは疑念が浮上、今回の訴訟で真偽がはっきりするのではないかとの見方が出ていた。 ラインハート判事はライト被告が「サトシ・ナカモトであるかの判定は求められていない」と語るとともに、被告が現在管理しているビットコインがあるとしても、その額の判断も求められていないと説明。その上で、被告は引き続き争うことができるとして、訴訟決着とはしなかった。 ライト被告のスポークスマンを務めるエド・パウナル氏は電子メールで、ビットコイン保有が認定されたことが被告をサトシ・ナカモトと証明すると主張。判事はビットコインの所在を知らないと申し立てた被告について、信用できないとしている』、「訴訟決着」ではないとしても、ライト氏はうさん臭さがつきまとうようだ。

第三に、12月5日付けNewsweek日本版「仮想通貨はバブル崩壊後、これだけ変わった──価格、信用力、規制」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2019/12/post-13540_1.php
・『<「日本の規制は厳し過ぎるし、ほとんど意味もない」と語る慶應義塾大学の坂井豊貴教授。日本では2年前の暴落とともに注目度も下がっていたが、ビットコイン、リブラ、デジタル人民元の覇権争いが起こり、世界的に注目が高まる仮想通貨の現状について聞いた> 2017年の高騰で一気に高まった仮想通貨への世間的な注目度は、翌年初頭の暴落などで急速に低下した。それが2年近い時を経て、リブラやデジタル人民元などで、再び注目を集めている。 ではこの2年で、仮想通貨の世界にはどんな変化が起きていたのか。『暗号通貨vs.国家 ビットコインは終わらない』(SBクリエイティブ)などの著書がある慶應義塾大学の坂井豊貴教授(経済学)に、本誌編集部の藤田岳人が聞いた』、興味深そうだ(Qは聞き手の質問、Aは坂井教授の回答)。
・『Q:2018年初頭、なぜ仮想通貨の価格が暴落したのか。 A:一般的には、中国マネーが引き揚げたことが、大きな要因だったと考えられている。ただ、2017年12月と2018年1月が異常に高騰していただけで、それが戻っただけの面も大きい。 Q:日本では、同時期に起きた仮想通貨取引所コインチェックでの通貨流出事件が注目されたが。 A:マイナス要因にはなっただろうが、それほど価格は下がらなかったはずだ。仮想通貨のマーケットは世界なので(日本の状況は)そこまで相場全体に影響を与えていないと思う。 Q:日本では暴落と流出事件で、世間的な関心や信用が急速に低下した。 A:日本にいると、ビットコインのありがたみが分かりにくい。円が抜群に安定しているからだ。一方でベネズエラやトルコのような政情が不安定な国では、通貨の価値が非常に不安定なので、社会や経済が不安定化したときにビットコインに資産を逃がすということが起きる。 国家の重要な存在意義の1つは私有財産の保護だが、法定通貨には国家の浮沈に応じて私有財産の価値が上下するリスクがある。国家の浮沈と連動しない「非国家」の通貨には独自の価値が認められつつある。 Q:世界的に見れば、仮想通貨への信用は低下していないということか。 A:この問い自体が、実は現状に即していない。ビットコインは資産価値が20兆円近くある。既に人類有数の資産クラスであり、価値を認める認めないという話はとっくに終わっている。20兆円分も発行されている通貨は世の中にそれほどない。 金融サービスが充実していない途上国では「金融包摂(全ての人が利用できるようにすること)」の観点から、仮想通貨・デジタル通貨への関心が高い。中国でデジタル決済が発展したのは、金融サービスが社会の隅々まで行き渡っていなかったからでもある。国際決済銀行(BIS)でさえ、国家がデジタル通貨を発行することにだんだん肯定的になってきている。 Q:先進国ではどうか。 A:仮想通貨が大きな脚光を浴びているというのは、世界的な趨勢だ。特に仮想通貨リブラを発表したフェイスブックなど、「金融のようなことがしたい」人たちからの注目度は高い。通貨は発行したものが大きな利益を得ることもあり、発行を目指している企業は多いはずだ』、「通貨は発行したものが大きな利益を得る」、いわゆる通貨発行益(シニョリッジ)のことだ。フェイスブックによる「リブラ」は、主要国当局の慎重姿勢で店晒し状態だ。
・『Q:2年前と比べ、日本の規制環境はどのように変化したか。 A:取引所を作るのに、銀行並みの条件が求められるようになり、免許が非常に取りにくくなった。また日本の取引所は取り扱う通貨の種類が非常に少ないが、それも国内の規制が厳しいからだ。 ではその規制に意味があるかというと、ほとんどない。なぜなら、日本でも知識のある人は海外の取引所で取引をするからだ。世界の誰もがいつでも外国のマーケットにアクセスできる状況で、規制は消費者を保護するという目的は果たせない。日本の取引所の魅力がなくなって、儲からなくなるだけだ。 Q:現状は適切な規制環境ではないということか。 A:非常に否定的に見ている。取引所への要求が厳し過ぎるのに加え、取引所ではないところにも取引所並みの厳格さを求めており、事業が非常にやりにくい環境をつくっている。 今後、不動産を価値の裏付けとして所有権の分割のような形で(仮想通貨の一種である)トークンを発行するような手法が進んでいくとみられる。そのトークンを持っていれば、家賃の一部が得られる。しかし日本ではこうしたトークンは基本的に、証券会社でなければ扱えないと法律で決まった。せっかく技術革新が起きたのに、既得権益層しか扱えない。 Q:政治や行政に問題があるのか。 A:法律によって管理するという手法そのものが仮想通貨に向いておらず、時代遅れだと感じる。業種に限らず、変化のスピードが速い現代では、世の中を法律で管理することに無理が来ている面もある。こうした問題意識を持っている人は実は少なくない。 Q:2017年にはビットコイン以外の仮想通貨「アルトコイン」も注目を浴びたが、その潮流に変化はあるか。 A:当時人気だったアルトコインの多くは、価格が大きく下がり、新しいアルトコインに入れ替わった。 Q:現在、注目されているアルトコインにはどんなものがあるのか。 A:例えば面白いのはDAIという仮想通貨を使った「分散金融」。サイバー空間にある種の銀行があり、DAI所有者は誰でもそこでお金を貸して利息を得られる。別の通貨MKRを持つと、DAIを発行する組織の運営に参加できる。これは金融機関を分散的に運営するようなものだ。 そんな金融の仕組みは、人類の歴史に存在しなかった。ブロックチェーンの世界がすごいのは、新しい組織の形態など、これまでになかった概念そのものが生まれているところだ。MKRのように運営に参加する権利としての通貨はユーティリティ・トークンと呼ばれる。これはカネと言えばカネだが参加権でもあり、やはり従来の概念では言い表せずユーティリティ・トークンと呼ぶしかない。私の言っていることの意味が分からない人は、既存の言語では表現し切れないことが起こっているのだと思ってほしい』、「坂井教授」は著書のタイトルでも分かるように、積極論者のようだ。「DAIという仮想通貨を使った「分散金融」」は確かに画期的な試みのように思えるが、「別の通貨MKRを持つと、DAIを発行する組織の運営に参加できる」、参加の実効性が如何に確保されるかは問題だ。
・『Q:その中で、原点であるビットコインが廃れないのはなぜか。 A:ビットコインは特別。カリスマであり、スーパーブランドだ。例えば南アフリカの通貨ランドを知らない人でも、ビットコインは知っている。しかもマイニング業者など周辺を支えるコミュニティーがしっかりしていて、産業として確立している。 もう1つ、スマートコントラクトという契約実行のプラットフォームである「イーサリアム」を使う際、使用料のように働く仮想通貨イーサも、特別な地位を確立している。今後も、この2つが価値を失う事態は想像できない。 Q:ICO(仮想通貨を活用した資金調達手法)は廃れたのか。 A:規制の強化で日本では事実上できなくなった。ICOとは例えば遊園地を造りたい人が、先にチケットを売って集めたお金で遊園地を造るようなもの。お金の持ち逃げや、遊園地を造らない人が多く現れたことが、問題視された。 だが法規制には柔軟性がないので、まともな事業家まで、本来なら非常にポテンシャルの高い資金調達法だったはずのICOを使えなくなった。株式会社の場合はどうしても出資者である株主、つまり投資家を向いて経営しなければならないが、ICOの出資者はお客さんなのでお客さんのほうを向いて経営できる。 Q:では、どういった形での規制が望ましいのか。 A:法律でなくても管理はできる。例えば事業者が、ICOで集めた資金の引き出しは10回の分割で、しかも毎回出資者の過半数の合意がなければできないと決めればよい。持ち逃げできないことに事業者が自分でコミットするのだ。先ほど言ったスマートコントラクトという仕組みを使えば、こうした仕組みはつくれる。しかも自らが設定した条件を、誰も変えられない。出資したい人は、こうした仕組みがあるかどうかでICOを評価すればよい。ないならないで、それなりに評価すればよい。 これなら法律で厳しく規制しなくても市場で選別できる。スマートコントラクトは必ず発動する、信用を必要としない「トラストレス」の仕組みであり、持ち逃げを抑止できる。 Q:ほかに注目すべきテクノロジーの進化はあるか。 A:テクノロジーの進化というよりも、テクノロジーの利用方法の進化に注目すべきだ。新しいものだと分散金融のような。ビットコインも本当にすごいのは技術そのものというよりも、既存の技術を組み合わせて新しい概念のお金を創出したところだ。概念の創出がすごいのだ』、「ICO」も「持ち逃げできないことに事業者が自分でコミットするのだ。先ほど言ったスマートコントラクトという仕組み」、確かに法規制ではなく、仕組みで不正防止を図るのは合理的だ。
・『Q:では一般的な興味を持たれやすいビットコインの価格の変動について、最近の動きを解説してほしい。 A:今年の動きを振り返ると、2月には40万円を切っていたが6月に急騰して一時的に140万円を超えた。その後に少し下がって現在は80万~100万円ほどだ。なぜこのように変化しているかは分からない。だが分からないながらも、完全に無秩序に動いているわけではない。 例えば大きかったニュースはリブラとデジタル人民元で、両方ともビットコインには好材料だった。仮想通貨は巨大企業や国家が本気で発行を目指すほど将来性があるのだと、世の中に伝わったからだ。また投資機関が私的年金の運用などにビットコインを組み入れる動きも起きている。彼らは定期的に買い続けるので、需要を下支えする効果がある。 Q:現在の価格をどうみるべきか。 A:2017年末のような熱狂的なバブルは終わった。今は、マーケットは冷静になっている。その分、今の80万~100万円という価格は手堅いと考えることもできる。加えてリブラとデジタル人民元のおかげで、仮想通貨の存在感は上がっている。 Q:今後、価格に影響を与えそうな出来事には何があるか。 A:来年5月には、ビットコインのマイニングに成功した者に支払われる報酬の額が半分になる「半減期」がある。過去の半減期を見ると、その直前には価格が上がる傾向がある。 仮想通貨は秩序がないように見えて、実は「お約束」にはそれなりに忠実だ。例えば取引所が、ある通貨の取り扱いを始めるというニュースがあると、その通貨の価格は上がる可能性が高い。当たり前のことではあるが、海外の取引所の使い方などの前提知識と、そうしたお約束が分かっていれば、現在の低金利時代に投資で利益を得ることも可能だろう。もちろん、予期せぬ暴落というリスクは常にあるのだが。 Q:こうした状況の変化についていくには、どうすればよいのか。 A:今もどんどん状況は変わっており、ついていくのは大変だ。そういう時代に、実はクラシカルな学問が有効だと思う。伝統的な貨幣論は仮想通貨の理解に役立つ。ビットコインが登場したときに世の中は法定通貨でないことに驚いていたが、歴史家は国が発行しない通貨が昔から多く存在してきたことを知っていた・・・』、学者であれば、良い材料だけでなく、悪い材料も挙げるべきだが、良い材料だけにとどまっているのは、残念だ。 

第四に、12月17日付け東洋経済オンライン「金融庁が認めた仮想通貨交換所の「ある評判」 最後のみなし業者「ラストルーツ」が登録」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/319560
・『日本国内で仮想通貨(暗号資産)交換所の運営や取次・媒介などを行う際に必要となる仮想通貨交換業登録。金融庁は11月27日、「c0ban(コバン)取引所」を運営するラストルーツの交換業登録を認めた。 同社は2017年3月に取引所を開設、独自発行の仮想通貨「c0ban」を扱ってきた。登録制導入前に取引所サービスを開始したため、「みなし業者」として登録を目指しながら営業。今年3月に楽天ウォレットが登録を完了した後は、仮想通貨交換業者の中で最後に残るみなし業者となっていた』、「交換業登録を認めた」背景には何があったのだろう。
・『交換業登録をめぐり、繰り広げられた駆け引き  「これで登録できないなら、日本の当局はスクリーニング(審査)能力が低いということ。登録不可なら日本の暗号資産業界は終わり」 ラストルーツに登録が下りる前、ラストルーツの親会社であるオウケイウェイヴの松田元社長はそう大見得を切っていた。オウケイウェイヴはQ&A投稿サイトを運営し、名古屋証券取引所に上場する企業で、2019年4月にラストルーツを子会社化(出資比率は82.88%)していた。 ラストルーツの交換業登録をめぐっては、同社と既存の交換業者で構成される業界団体、金融庁の3者間での駆け引きが長く繰り広げられた。大きな論点となっていたのがラストルーツの親会社社長である松田氏の「評判」だ。前述の発言は自身に向けられた疑念に対するものだった。 松田氏は1984年生まれの35歳。顧客企業の従業員に代わって、集めたフリーターに電話営業をさせる営業代行会社を早稲田大学在学中に起業した。買収などで事業を拡大しつつ、2015~2017年には上場会社でITシステム構築のデジタルデザイン(現SAMURAI&J PARTNERS)役員に就任。その後、オウケイウェイヴのエグゼクティブアドバイザーになった。 オウケイウェイヴへの経営参画は、同社創業者の兼元謙任社長(当時、現会長)に知人の経営者を通じて出会ったことがきっかけだった。 兼元氏にAI(人工知能)や医療関連の事業投資案件を紹介するなどしているうちに、松田氏は役員として抜擢され、2018年7月にオウケイウェイヴの社長に就任。現在は会長に退いた兼元氏に代わり、オウケイウェイヴの筆頭株主にもなっている。 若くして実業家の道を順調に駆け上がってきたようにみえる松田氏。しかし、既存の交換業登録業者の中では松田氏のことをいかがわしく見る向きが強く、ラストルーツの登録を認めることに否定的な意見を業界団体幹部が金融庁に伝えていた。 その背景にあったのは、松田氏が「情報商材屋」ではないかとの疑念だ』、「「情報商材屋」ではないか」とは穏やかではない。
・『30歳で年収13億円を稼ぐ  「会社は赤字続きでとうとう、ボーナスゼロ。『もう俺もリストラか……』。そう思ってました。子どもは3人、勢いで買った新築マンションの住宅ローン、子どもたちの養育費を考えれば、リストラなんて絶望的です。ところが、松田さんの錬金術で、月30万円の不労所得が手に入った!!人は、死なずとも生まれ変われる!!」 これはあるアフィリエイターが2014年に送信したメールの文言だ。別のアフィリエイター作成の集客用動画に実業家兼投資家として登場した松田氏は、「30才にして年収13億円を稼ぐ松田元さん」「投資で原資50万円を資産13億円に膨らました」などと紹介されていた。 それらアフィリエイターが勧めていたのは、約30万円で松田氏の投資ノウハウが学べるという塾への入会だった。 「1日数分の作業で月に数百万円を稼ぐ方法」など、金儲けのノウハウを商品として販売するのが情報商材ビジネスだ。ネットやセミナーを介して近年急速に広まっているが、そう簡単に儲けられるわけもなく、消費者トラブルが急増している。 松田氏は東洋経済の取材に「自分は情報商材屋ではない」と明確に否定。そのうえで「買収していった先の会社にビジネススクールがあり、そこで投資の話をしたらすごく受けた」と説明する。 たしかに松田氏の役回りは投資に対する考えやノウハウを伝える講師というものだった。だが別のアフィリエイターのメールでは、「ネットビジネス業界のドン達のメンター」と紹介されている。このように情報商材屋との近い距離感は、既存の金融業界の感覚からすると忌避されても仕方がないものだ。 ほかにも松田氏の人脈が疑念を膨らます原因になっていた。合成麻薬のMDMAを使った疑いで11月に警視庁に逮捕された金融トレーダーの「KAZMAX」(カズマックス)こと、吉澤和真被告との関係もその1つだ。吉澤被告はかつて松田氏の傘下企業におり運転手を務めていた』、「金儲けのノウハウを商品として販売するのが情報商材ビジネスだ。ネットやセミナーを介して近年急速に広まっているが、そう簡単に儲けられるわけもなく、消費者トラブルが急増している」、確かにこの手のPRも目立つ。。
・『松田氏に理解を示す大物行政官  吉澤被告は麻薬取締法違反で逮捕される前、オンラインサロンの生徒たちを誘導することによって、仮想通貨の価格を操縦し、利益を得ていたと『週刊文春』などに指摘されていた。松田氏によると、ビジネスでの関係は最近なかったという。 毀誉褒貶が交錯する松田氏だが、理解を示す人物もいる。2018年7月からオウケイウェイヴの特別顧問になった大森泰人氏だ。 大森氏は金融庁で証券課長や市場課長などを歴任し、証券取引等監視委員会の事務局長を最後に2015年に退官。行政官としての経験に基づき、金融や市場のあり方に一家言を持つことで知られる。 「彼の毀誉褒貶は承知している。(金融庁)長官経験者にも『おまえ大丈夫か』などと言われたが、『(彼に)会ってもいないならそんなことを言ってくれるな』と返した。人を見る目がないとは自分では思っていない。粗削りだけどいい仕事をやりたいという彼の思いは本物だろう」 大森氏に松田氏評を問うと、このような答えが返ってきた。 松田氏の評価について、自主規制機能も担う業界団体「日本仮想通貨交換業協会」は最後まで否定的なスタンスを貫いた。しかし、登録拒否要件に該当する事項がなかったため、最終的に金融庁は登録を認めたようだ。 ラストルーツの交換業登録前、松田氏はこう強調していた』、金融庁出身の「大森氏」が「オウケイウェイヴの特別顧問」になり、「松田氏に理解を示す」、とは驚かされた。官僚にも脇が甘い人物もいるとはいえ、よりにもよって仮想通貨交換業界でつまはじきされている人物に「理解を示す」とは、開いた口が塞がらない。
・『仮想通貨界隈に蝟集する情報商材屋  「与沢がダメだ、三崎がダメだ、カズマックスがダメだ、松田がダメだ、それでいいのか。第二、第三の松田元は出てくる。世の中の流れとして、そう捉えたほうがいい」 情報商材ビジネスの象徴的存在といえる与沢翼氏、脱税発覚で転落した「青汁王子」の三崎優太氏、さらにはカズマックスと同列に自分を並べるのが松田氏らしい。 ユーチューバーを筆頭に、SNSなどで多数のフォロワーを持つインフルエンサーが独自の経済圏を作る時代。既存ビジネスの枠外にいるからと、自分のようなインフルエンサーを排斥するようなことがあってはならない、というのが松田氏の言い分だ。 松田氏がインフルエンサーに該当するかどうかはともかく、仮想通貨界隈で台頭著しかったのは情報商材屋やインフルエンサーだ。これらは既存の金融界が一線を画してきた存在といえる。だが、金融庁がラストルーツの交換業登録を認めたことを機にその姿勢を改めることになるのだろうか』、「情報商材屋」であるとの理由で登録を拒否すれば、行政不服訴訟を起こされかねないのも事実だ。ただ、よくよく調べれば、登録を拒否できる材料ぐらいあったのではなかろうか。
タグ:東洋経済オンライン bloomberg Newsweek日本版 暗号資産(仮想通貨) (その14)(「仮想通貨ビットコインに関する全ての嘘はもう終わりだ」自称サトシ・ナカモトがブログ更新、自称サトシ・ナカモトにビットコイン40億ドル譲渡命令-米連邦地裁、仮想通貨はバブル崩壊後 これだけ変わった──価格 信用力 規制、金融庁が認めた仮想通貨交換所の「ある評判」 最後のみなし業者「ラストルーツ」が登録) Cointeregrph Japan 「「仮想通貨ビットコインに関する全ての嘘はもう終わりだ」自称サトシ・ナカモトがブログ更新」 クレイグ・ライト ブログを更新し、ビットコインをめぐる全ての嘘はもう終わりだと述べた 「BTCと呼ばれる壊れたシステム」 「自称サトシ・ナカモトにビットコイン40億ドル譲渡命令-米連邦地裁」 元パートナーの遺産を巡る訴訟で、偽の文書を提出し虚偽の証言を行ったと米フロリダ州の連邦地裁判事が26日判断し、ビットコイン40億ドル(約4200億円)余りを譲り渡すよう命じられた 「仮想通貨はバブル崩壊後、これだけ変わった──価格、信用力、規制」 日本の規制は厳し過ぎるし、ほとんど意味もない 坂井豊貴教授 『暗号通貨vs.国家 ビットコインは終わらない』 法定通貨には国家の浮沈に応じて私有財産の価値が上下するリスクがある。国家の浮沈と連動しない「非国家」の通貨には独自の価値が認められつつある 通貨は発行したものが大きな利益を得る 通貨発行益(シニョリッジ) 日本でも知識のある人は海外の取引所で取引をするからだ。世界の誰もがいつでも外国のマーケットにアクセスできる状況で、規制は消費者を保護するという目的は果たせない 変化のスピードが速い現代では、世の中を法律で管理することに無理が来ている面も DAIという仮想通貨を使った「分散金融」 サイバー空間にある種の銀行があり、DAI所有者は誰でもそこでお金を貸して利息を得られる。別の通貨MKRを持つと、DAIを発行する組織の運営に参加できる ユーティリティ・トークン ビットコインは特別。カリスマであり、スーパーブランドだ スマートコントラクトという契約実行のプラットフォームである「イーサリアム」を使う際、使用料のように働く仮想通貨イーサも、特別な地位を確立 ICOの出資者はお客さんなのでお客さんのほうを向いて経営できる ICOで集めた資金の引き出しは10回の分割で、しかも毎回出資者の過半数の合意がなければできないと決めればよい。持ち逃げできないことに事業者が自分でコミットするのだ スマートコントラクトという仕組みを使えば、こうした仕組みはつくれる。しかも自らが設定した条件を、誰も変えられない 来年5月には、ビットコインのマイニングに成功した者に支払われる報酬の額が半分になる「半減期」がある 「金融庁が認めた仮想通貨交換所の「ある評判」 最後のみなし業者「ラストルーツ」が登録」 c0ban(コバン)取引所」を運営するラストルーツの交換業登録を認めた 交換業登録をめぐり、繰り広げられた駆け引き ラストルーツの親会社であるオウケイウェイヴの松田元社長 既存の交換業登録業者の中では松田氏のことをいかがわしく見る向きが強く、ラストルーツの登録を認めることに否定的な意見を業界団体幹部が金融庁に伝えていた 松田氏が「情報商材屋」ではないかとの疑念 30歳で年収13億円を稼ぐ 松田氏に理解を示す大物行政官 大森泰人 オウケイウェイヴの特別顧問 仮想通貨界隈に蝟集する情報商材屋 「与沢がダメだ、三崎がダメだ、カズマックスがダメだ、松田がダメだ、それでいいのか。第二、第三の松田元は出てくる。世の中の流れとして、そう捉えたほうがいい」
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

メディア(その19)(伊藤詩織さんレイプ事件2:セカンドレイプ賠償請求にビビる?“アベ応援団”突然の沈黙、詩織さん重要発言 安倍首相に山口氏“海外逃亡”根回し疑惑、小田嶋氏:「うそつき」をめぐる奇天烈な話) [メディア]

昨日に続いて、メディア(その19)(伊藤詩織さんレイプ事件2:セカンドレイプ賠償請求にビビる?“アベ応援団”突然の沈黙、詩織さん重要発言 安倍首相に山口氏“海外逃亡”根回し疑惑、小田嶋氏:「うそつき」をめぐる奇天烈な話)を取上げよう。なお、伊藤詩織さんレイプ事件をこのブログで最初に紹介したのは、2017年12月15日である。

先ずは、12月21日付け日刊ゲンダイ「セカンドレイプ賠償請求にビビる?“アベ応援団”突然の沈黙」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/266602
・『法的措置に戦々恐々なのか。ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が元TBS記者山口敬之氏(53)からのレイプ被害を東京地裁に訴えた損害賠償訴訟は詩織さん側の全面勝利。すると、山口氏を全面擁護し、詩織さん叩きに躍起になっていた連中が突然ダンマリを決め込み始めた。おやおや――。 詩織さんは勝訴した翌日、外国特派員協会で会見。これまで受けてきた誹謗中傷やセカンドレイプに対して、「法的措置を考えている」と明言した。途端におとなしくなったのが、山口氏の主張を正当化してきた安倍首相のオトモダチの面々だ。メディアやネット上で山口氏を擁護してきたのに鳴りを潜め、判決以降は沈黙している。 詩織さんを口撃してきた政治家の筆頭が、自民党の杉田水脈衆院議員(52)だ。「LGBTは生産性がない」との主張の論文を「新潮45」に寄稿して事実上の廃刊に追い込んだあの議員。落選中に政界出戻りのきっかけをつくったのは安倍首相で、杉田氏は安倍首相の子飼いのひとりでもある。 杉田氏は、詩織さんと山口氏が民事訴訟で争っていた昨年6月、自身のツイッターに事件について〈被害者に全く落ち度がない強姦事件と同列に並べられていることに女性として怒りを感じます〉と投稿。この投稿はすでに削除されているが、判決後に再びネット上に拡散され、大炎上中だ。英BBCが制作した詩織さん事件に関するドキュメンタリーの中で「彼女の場合は明らかに、女としても落ち度がありますよね」とも発言。保守系のネット番組でも、同僚の長尾敬衆院議員(57)と共演し、「ああいう人(詩織さん)がいるおかげで、本当にひどいレイプ被害に遭っている人たちのことが、おろそかになってしまうんじゃないか」と言い放っていた』、「「法的措置を考えている」と明言した。途端におとなしくなったのが、山口氏の主張を正当化してきた安倍首相のオトモダチの面々だ」、なんとも根性がない「口だけ」番長のようだ。
・『「係争中の案件にコメントしない」と居直り  詩織さんをおとしめていたにもかかわらず、判決については沈黙したまま。これまでの発言や判決への見解を事務所に問い合わせると、「民事で係争中の案件なので、第三者である杉田氏がコメントする予定はありません」と木で鼻をくくったような回答。詩織さんを一方的に批判しながら、都合が悪くなると頬かむりだ。 セカンドレイプに加担した問題人物は、杉田氏だけではない。日本維新の会の足立康史衆院議員(54)や自民党の和田政宗参院議員(45)は17年10月、ネット配信番組で山口氏と共演。詩織さん事件の刑事裁判をめぐり、1カ月前に検察審査会が「不起訴相当」と議決したのを受けた山口氏の「おめでとう会」も兼ねた番組で盛大に乾杯し、大騒ぎ。「(事件を)知らない方がいたらネットなどで検索しないで」との山口氏の冗談に、2人ともニヤニヤしていたのだから呆れてしまう。 足立氏は判決後、自身のツイッターに〈本判決を踏まえ、当面、同番組への出演は自粛することといたします〉などと投稿していたが、自粛の理由を事務所に尋ねても期日までに連絡ナシ。和田氏の事務所からも返答はなかった。 形勢不利と見るや、知らぬ存ぜぬ。安倍首相の取り巻きにはホント、ロクな連中がいない』、その通りだ。

次に、12月23日付け日刊ゲンダイ「詩織さん重要発言 安倍首相に山口氏“海外逃亡”根回し疑惑」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/266641
・『ジャーナリスト・伊藤詩織さんと元TBS記者の山口敬之氏のレイプ民事裁判。東京地裁が山口氏に330万円の支払いを命じ、詩織さんの“完勝”に終わった。大手メディアは報じていないが、詩織さんは19日の会見で重要な発言をしている。安倍首相が、山口氏の“海外逃亡”に手を貸した疑いがあるというのだ。 詩織さんによると、安倍首相は2015年10月、笹川平和財団で講演した見返りに、山口氏をワシントンDCにあるシンクタンク「イースト・ウエスト・センター」に派遣して欲しいと笹川平和財団に要請したという。一部報道によると、イースト・ウエスト・センターと笹川平和財団は協力関係にあり、実際、山口氏は16年にセンターのHPに客員研究員として紹介されていたという。 問題はその時期だ。山口氏は15年6月8日に逮捕されるはずだったが、直前に見送られた。同年8月26日に書類送検され、約1年後の16年7月22日に不起訴処分となっている。詩織さんの言い分が正しければ、まだ検察による捜査が続いている時期に、安倍首相はワシントンDCに“避難”させようと根回ししたことになる。検察の捜査と、メディアの取材攻勢から逃れるため、便宜を図ったのだろうか。 詩織さんは、一連の経緯をイースト・ウエスト・センターの責任者から直接、聞いたという』、海外に「“避難”」させるのは、森友問題で安倍昭恵夫人の秘書官だった経産省からの出向者を、慌ててイタリア大使館に飛ばしたのと同じ手だ。
・『詩織さんによれば、通常、イースト・ウエスト・センターのフェローは非常に難しい複雑なプロセスを経て選出されるが、山口氏のケースは笹川平和財団からの直接の依頼で選ばれた。これは非常にイレギュラーなケースだという。 週刊新潮によると、彼が生活していたのはキャピタル東急(東京・永田町)の賃貸レジデンスで広さは239平方メートル。毎月の家賃はなんと200万円だ。 しかも、この恐ろしく高額な家賃は、安倍政権と近く、国家事業を請け負っていた「ペジーコンピューティング」というベンチャー企業の元社長・斉藤元章被告が払っていたと報じられている。 斉藤被告は事業費を水増しし、助成金約4億3100万円をだまし取った疑いで17年12月に逮捕されたいわくつきの人物だ。 元衆議院議員で政治学者の横山北斗氏が言う。 「詩織さんの新証言は衝撃的です。レイプ事件の最大の焦点は、権力者と近いから山口氏は逮捕を免れ、起訴もされなかったのではないか、ということです。そのうえ、アメリカへの避難にまで協力していたとしたら大問題です。いったい真相はどうなのか。大手メディアも、国会も、徹底的に追及すべきでしょう」 控訴審はどんな展開になるのだろうか』、「ペジーコンピューティング」は、「助成金約4億3100万円をだまし取った」にも拘らず、法人税法違反で6000万円の罰金判決を受けただけで、会社そのものも何故か存続しているようだ。ということは、「毎月の家賃」負担も続いている可能性がある。いずれにしろ、「アメリカへの避難にまで協力していた」のか否か、「大手メディアも、国会も、徹底的に追及すべき」だが、一向にその気配がないのは不思議でならない。

第三に、コラムニストの小田嶋 隆氏が12月20日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「「うそつき」をめぐる奇天烈な話」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00050/?P=1
・『性的暴行を受けたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBSワシントン支局長の山口敬之氏に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は18日、山口氏に慰謝料など330万円の支払いを命じた。 記事を読む限り、裁判所は伊藤さんの側の主張をほぼ全面的に認めている。 一方、山口氏は「伊藤さんに名誉を棄損され、社会的信頼を失った」などとして1億3000万円の損害賠償や謝罪広告を求めて反訴していたが、棄却された。判決では「(伊藤さんが)自らの体験を明らかにし、広く社会で議論をすることが性犯罪の被害者をとりまく法的、社会状況の改善につながるとして公益目的で公表したことが認められる。公表した内容も真実である」としている。 判決のこの部分には、万感がこもっている。 いや、裁判官が判決文の中のカギカッコで囲われた部分を書くに当たって、万感をこめていたのかどうかは、正直なところ、わからない。 ただ、この部分の文言を読んで、万感胸に迫る思いを抱くに至った人々は少なくないはずだ。私もその一人だ。というのも、この一文は、個々の単語の意味を超える歴史的な意味を持っているからだ。いずれにせよ、この一文は、性被害に苦しむ女性のみならず、様々な困難に直面している様々な立場の人々に勇気を与える得難いセンテンスだと思う。東京地裁の英断と勇気に感謝したい。 勝訴という結果もさることながら、この数年間、伊藤さんが、自身の被害を明らかにしつつ、書籍を出版し、メディアの取材に答え、訴訟を起こすことで性犯罪者を告発してきた活動を、裁判所が「公益目的」と定義し、さらに、その彼女の自身の身を晒した命がけの主張を「真実」として認定したことの意義も、声を大にして評価しなければならない。 地裁の判決は、最終的な結果ではないし、争いはこれからも続くわけなのだが、とにかく、長い道のりの中の最初の難局面を、祝福の声を浴びながら越えることができたことの意味は小さくない。 判決を受けて、山口氏は、公開で会見を開いている。 というよりも、山口氏と彼を支援する人々は、判決を待ち構えて、ライブ配信の体制を整えていたわけだ。 その動画は、現在でも録画放送のYouTube動画としてインターネット上で視聴することができる。 私は、会見の当日、外出していたため、ライブ配信の会見動画は見ていないのだが、そのハイライト部分は、テレビのニュース番組でも紹介されている。 18日の夜、私は、テレビニュースの画面をキャプチャーした@kishaburaku氏のツイートに、以下のようなコメントを付加したリツイート(RT)を投稿した。《えーと、これはつまり、「本当に性被害に遭った女性は、笑顔や表情の豊かさを失っていて、人前にも出られないはずだ。してみると、事件後、テレビに出る勇気を示し、時には笑顔を見せることさえある詩織さんは、性被害に遭った女性とはいえない」という理屈なのか? 加害者がこれを言うのか?》 しばらくして、自分のRTへのリプライとして、以下のツイートを発信した。《「水に沈めて浮いてきたら魔女確定。無実なのは沈んだまま浮いてこなかった女だけ」みたいな話だぞこれ。》 おどろくべきことに、私の最初のRTは、現時点ですでに2.7万回以上RTされ、4.7万件以上の「いいね」を集めている。 RTに付加したリプライのツイートも、6800回のRTと1.4万件の「いいね」を稼ぎ出している。 RTや「いいね」をクリックしてくれた人々のすべてが、賛同の気持ちでマウスのボタンを押したのではないにせよ、山口氏の言葉としてテレビ画面のテロップに引用された文言が、ツイッター世界を漂っている人々の間に、強烈な反応を呼び起こしたことは間違いない。 そこで今回は、性犯罪を見つめるわれら日本人の視線の変化について考えてみるつもりでいる。 個人的には、今回の一連のなりゆきは、令和の日本人が、性被害や「合意のない性行為」一般について、どんな感慨を抱いているのかを観察するうえで、好適な材料を提供してくれていると思っている』、民事裁判とはいえ、判決での裁判官の言葉は、確かに評価できる。
・『21世紀の日本人は、性被害をもたらす加害者にはとても厳しい。 それだけ、性的に潔癖な人々になりつつあるということなのだろう。 良いことなのか悪いことなのかはともかく、これは、令和の日本人の著しい特徴だと思う。 私個人は、今回の反響に、まず、驚いている。 驚いている以上に、安堵もしている。 理由は、多くの日本人が、私が事前に考えていたより、はるかに公正であたたかい反応を示しているからだ。 「日本人」という言い方は、あるいは一方的過ぎるかもしれない。 私のツイートに反応している人々の多くは、つまるところ私のツイッターアカウントをフォローしているフォロワーか、それに近い人々で、ということは、それなりに偏った集合だ。とすれば、自分のアカウントに寄せられた声を材料に、やれ「日本人」がどうしたみたいな言説を展開するのは、それこそ最近はやりの言い方で言う「主語がデカい」話だということになる。 ただ、私のツイッターアカウントにリプライを寄せる人々が、私の支持者ばかりなのかというと、それは違う。 普段の話をするなら、基本的にはアンチの方が多い。 つまり、オダジマにわざわざ話しかけてくるアカウントの多数派は、実のところ、オダジマのファンや取り巻きや支持者ではなくて、むしろ、オダジマの意見に反対だったり、オダジマを攻撃する意図を持っていたり、オダジマを冷笑せんとしていたりする人々によって占められているということだ。 その、ふだんの私のタイムラインの景色から比べると、今回は、ざっと見て、寄せられてきているリプライの9割以上が、私のツイートへの賛同ないしは同意を表明する人々で占められている。 ということは、山口氏とそのお仲間は、今回に限っては、世間の風を見誤ったと見てよかろう。 これまで、モリカケ関連でも腐れ花見界隈でも、私が官邸周辺に蝟集している人々と異なる見解をツイートするや、即座に罵倒や反論が殺到するのが通例だった。とにかく、百田某であるとか、小川榮太郎氏であるとか、月刊Hanada周辺であるとかいった人々が異口同音に繰り返している主張に少しでも異を唱えようものなら、オダジマは、毎度毎度火だるまになっていたのである。 それが、今回は、300件以上寄せられてきているリプライのほとんどすべてが、山口氏の発言への違和感を表明した私のコメントを支持している。 それにしても、山口氏はいったい何を考えてあんな言葉を発したのだろうと思って、彼の真意を確認するために、1時間半ほどの会見映像を一通り視聴してみた。 とてもつらかった。私は、1時間半の動画視聴に耐えられない人間に仕上がりつつある。このことが今回、あらためて判明した。 視聴の結果をお知らせする。 ……率直なところを申し上げるに、私は、会見の動画を見て、完全に毒気を抜かれてしまった。より実態に即した言い方をするなら、心底からうんざりしたのだね、私は。暮れも押し迫っているこの時期に、これほどまでに卑劣な言葉をこんなにもたくさん聞かされた結果として。であるからして、「こんな人たちの相手はたくさんだ」という自分の気持ちに正直に従うなら、私は現時点で、すでに作業を投げ出しているはずなのだ。 でも、伊藤さんのために、ここは一番、心を鬼にして頑張らないといけない。そう思って歯を食いしばっている。 なので、ここから先のしばらくの間、私は、公園の便器に手を突っ込むみたいな悲壮な気持ちで、資料を書き起こすつもりでいる。 伊藤さんは、私がいま耐えている不快感と比べて、おそらく数百倍もキツい精神的な重圧と闘いながら、この何年間かを過ごしてきたはずだ。それを思えば、60歳を過ぎたすれっからしの前期高齢者である私が、この程度のことで上品ぶって仕事を投げ出すわけにはいかない』、「21世紀の日本人は、性被害をもたらす加害者にはとても厳しい。 それだけ、性的に潔癖な人々になりつつあるということなのだろう」、誠に結構だが、オスとしての動物性を失った表れだとすれば、若干複雑な気持ちも残る。「今回は、300件以上寄せられてきているリプライのほとんどすべてが、山口氏の発言への違和感を表明した私のコメントを支持している」、珍しいことだ。
・『開始から48分10秒ほどのところで、「日本平和学研究所」の「タイラ」氏という女性が、性被害に遭った複数の女性から聴いた話として、以下のような証言をする。ちなみに、この「日本平和学研究所」というのは、この日の会見を仕切っていた小川榮太郎氏が主宰する組織だ。小川氏については、各自自己責任で検索してください。私は説明したくないです。 タイラ氏の発言はおおよそ以下の通り。耳で聴いた通りに、なるべく忠実に再現しました。細かい聞き逃しはご容赦ください。 みなさん最初は、同じ性被害に遭った女性として、伊藤さんに深く同情し、応援していた。 ところが、性被害にあった女性たちは、記者会見や海外メディアからのインタビューに応じて、実際に動いてしゃべる伊藤さんの姿を見て、強い違和感を覚えるようになった。 私も伊藤さんの映像を見たが、被害者たちからすると人前であんなに堂々と時に笑顔もまじえながら自分の被害を語る姿はとても信じられないということだった。 話をうかがった性被害者の中には、(被害から)10年以上たっているにもかかわらず、いまだにPTSDに悩まされていて社会生活が困難な方ですとか、(性被害を)連想させるような固有名詞を見たり聴いたりするだけで、強いめまいを覚えたり嘔吐してしまうとか、ご自身の体験を人に話している間に気を失ってしまった体験を持つ方などがいらっしゃいました。 そういった彼女たちの立場から見て、伊藤さんの言動というのは、とても自分と同じような痛みや恐怖をかかえているとは見受けられない。 しかもそれ(←人前で話すこと?)が、一度や二度ではなくて、世界中のメディアや様々な企画で活躍されているのを見て、唖然として、そして確信したといいます。伊藤さんはうそをついていると。みなさんそうおっしゃいました。 私(←タイラ氏)に性被害を語ってくださった人たちをなんとか支えたいと思って、力になる旨を伝えた。ところが、みなさん、伊藤さんが名乗り出てしまったことで、自分たちはもう名乗り出ることができなくなってしまったと言いました。 また、この判決でなおさらそうなるのかなと思うんですが、今から名乗り出ても、どうせ自分が伊藤さんと同じうそつきと思われて、誹謗中傷の的にされるに違いない、と、第2第3の伊藤詩織だと思われたら困ると、だからもう名乗り出るのはこわくなってしまったと、言ってました。 伊藤さんは、被害者Aでなく、私だといって顔と名前を出すことが重要だと言った。私もその考えはすばらしいと思う。ですが、私がお会いした性被害者の方々は、伊藤さんが名乗り出たことで名乗り出られなくなったと言った。これはつまり、性被害者という立ち位置を、伊藤さんに独占されてしまって、そこに自分たちが近づくことができなくなってしまった。あるいはそこで自分が手を挙げたら、自分に危険が及ぶかもしれない、誹謗中傷されるかもしれない、と、そういうふうになってしまったということです。 それが伊藤さんの本意でなかったとしても、この一連の出来事というのは、多くの性被害者の、多くの傷ついた女性たちの、本物の過去や(涙ぐんで3秒ほど絶句)本物の人生を……奪い去ってしまった……そういう結果になってしまったのではないでしょうか。 私は彼女たちの話を聴いて、はやく彼女たち自身の手に彼女たちの人生を返してあげたいと思うようになりました。これまでどんなにつらい思いをして、いまそれを乗り越えようと……して、努力をして、もう、もう一歩踏み出そうとしている時に、こんなふうに、その気持ちを踏みにじられてしまって、こんなことがあっていいのだろうかと、同じ女性として、こんなに不憫なことはないと思います。私のような非力な存在では、なにもできないかもしれませんが、どうか彼女たちの希望をかなえてあげられる日が来るように、一人でも多くの方に力を貸していただきたいと願っています。 通読していただければおわかりになる通り、タイラ氏は、名前も属性も年齢も何一つ明らかにしていない「匿名の性被害者たちの言葉」をもとに、伊藤さんの証言を「うそ」だと決めつけている。 しかも、その根拠は、 「性被害に遭った女性は、人前に出られないはずだ」「堂々と海外のメディアに自分の性被害を語れるのはおかしい」といった調子の、およそファクトでもエビデンスでもない「観測」に過ぎない。 百歩譲って申し上げるなら、性被害に遭った女性が、PTSDを患うことや、他人の前で自身の性被害を語ることに強い抵抗を覚えること自体は大いにあり得る話ではある。特定の固有名詞や言葉に強い目まいを覚える人もあるだろうし、証言の中にあったように、話しているうちに失神してしまう女性だって本当にいるのかもしれない。 私はそこを疑っているのではない。実際に、女性(あるいは男性であっても)が意に沿わない性行為を強要されることは、死に等しい苦痛を伴う経験であるのだろうし、その苦痛を克服するのは、想像を絶する困難を伴う作業であるのだろうとも思っている。 私が疑いを抱いているのは、彼女が引用している「本物の性被害者」たちが、伊藤さんが堂々としていることや、笑顔を見せていることを理由に、彼女を「本物の性被害者ではない」と判断したその経緯だ。 そんなバカなことが本当にあるものなのだろうか。 「本物の性被害者」は、それほどまでに視野の狭い人たちになりおおせてしまうというのか? そんなバカな話が21世紀の世界で通用するはずがないではないか。 バカにするのもいい加減にしてほしい』、「タイラ氏」の巧みな「伊藤さん」攻撃は、「山口氏」と密接に打ち合わせをした上で、掲載されたのだろう。
・『思うに、「本物の性被害者たちは、伊藤さんを本物の性被害者として認めない」という、このどうにも卑劣極まりない立論は、その構造の中で、「性被害者」を極限まで貶めている。 というのも、この理屈を敷衍すると、性被害者は、自分自身が性被害から一生涯立ち直れないことを自らに向けて宣言していることになるからだ。 「性被害から立ち直るために歩みはじめている女性は、本物の性被害者ではない」と、他人に向けてその言葉を投げつけた瞬間に、その言葉を発した彼女もまた、自分が一生涯立ち直れない呪いを自らに向けて発動することになる。こんなべらぼうな話があるだろうか。 ということはつまり、一度でも性被害を経験した女性は、告発はおろか、笑うことも上を向くこともできないというお話になる。 仮に、日本平和学研究所のスタッフなり、タイラ氏という女性なりが、幾人かの性被害者に取材したことが事実だったのだとして、その取材対象たる彼女たちは、自分と同じ性犯罪の犠牲者である伊藤さんが、敢然と自らの苦境に立ち向かっている姿を見て、本当に「このヒトの苦痛は本物ではない」「このヒトはうそをついている」と考えた(あるいは「証言した」)のだろうか。 人間というのは、そこまでねじ曲がった考えに至ることがあるものなのだろうか。 これが、作り話でないのだとすると、 「性被害者は、あまりにも強い苦しみのためか、心が歪んでしまって、自分以外の性被害者に対して真摯な共感を寄せることのできない、どうにも狭量な根性を獲得するに至る人」てな話になってしまう。 こんなに女性をバカにした話があるだろうか。 もう一つ。仮に「多くの性被害者は自らの性被害を告発する気持ちになれない」「多くの性被害者は自然に笑うことができなくなる」「多くの性被害者が人前で堂々と振る舞うことができない」という3つの命題が3つとも真あるのだとしても、だからといって、そのことは 「性被害を告発する女性は本当の性被害者ではない」「自然な笑顔で笑うことができる女性は性被害者ではない」「人前で堂々と振る舞うことができている女性は性被害者ではない」ということを証明したりはしない。それとこれとは話が別だ。 逆は必ずしも真ではないし、このケースで言えば、まるっきり的外れだ。 仮に、「性被害を告発する人間は性被害者ではない」などというお話が本当だということになったら、この世界には性被害として認定される犯罪が一つも存在しないことになる。そんな奇天烈な話があってたまるものかというのだ。 普通に考えれば、性犯罪の被害に苦しんでいる性被害者は、伊藤さんの強さと勇気に感嘆し、その彼女のまっすぐに伸びた背筋に希望を感じるはずだ。そうでなければおかしい。 とはいえ、私が、現実に日本平和学研究所に集った性被害者から話を聴いたわけではない以上、このうえ断定的なことは言えない。 なので、ここから先の話には踏み込まない。 私個人としては、この場では、タイラ氏という女性が会見の場で持ち出した匿名の性犯罪被害者のみなさんの証言を、そのまま鵜呑みにすることはできないということを申し上げておくにとどめる。 山口氏の証言は、前段のタイラ氏の証言を核心部分をなぞるカタチのものだ。 動画では、1時間5分24秒あたりからの1分ほどがそれに当たる。 伊藤さんは性犯罪被害者ではありません。 伊藤さんのように必要のないうそ、それから本質的なうそをつく人が、性犯罪被害者だと言って、うその主張で出てきたことによって、さっきタイラさんの話にもありましたが、私のところにも、性犯罪の本当の性被害者であると言って出てきたことによって……(以下やや混乱しているので省略します) 本当に性被害に遭った方は、伊藤さんが本当のことを言っていない……それから、たとえば、こういう記者会見の場で笑ったり、上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは、絶対にないと証言してくださった。 本当の性被害に遭った「#Me Too」の方が、うそつきだと言われるといって、出られなくなっているのだとすれば、これは残念なことだなあ、と。 あえて感想を述べるなら、「論外」の二文字に尽きる。 もっと強い言葉を使っても良いのだが、その必要はないと思っている。 ご本人の言葉を聴いてもらえれば、私が付け加えるべきことは何もない』、「タイラ氏」と「山口氏」の得手勝手な主張を、見事に論駁した小田嶋氏はさすがだ。
・『最後に、判決について感想を述べておく。裁判所が、判決文の中で、ダメを押すカタチの言い方で伊藤さんの告発の真実性に太鼓判を押してみせたのは、このケースが、刑事で不起訴になっていることを踏まえた上での判断だと思う。 というのも、「週刊新潮」などが、すでに何度か報じている通り、今回、東京地裁が判決を下したケースは、実は、2015年の4月に伊藤さん本人によって告訴状が出されていた刑事事件でもあったからだ。 伊藤さんによる告訴状は、2015年の5月30日に警視庁の高輪署が受理し、16年の6月8日には、東京地裁が逮捕状を発行している。 ところが、この逮捕状は執行されなかった。 以下、この件を詳しく報じている「ビジネスジャーナル」12月18日配信の記事から引用する。《なお、高輪署が逮捕しなかったことについて、「週刊新潮」(新潮社)は2017年5月25日号で、高輪署員が成田空港で帰国する山口氏を待ち受けていたところ、当時の警視庁刑事部長だった中村格氏(現・警察庁長官官房長)が「本件は本庁で預かる」と主張したため、逮捕が取りやめになったと報じている。 同年7月22日、東京地検は山口氏の準強姦被疑事件を嫌疑不十分で不起訴処分とした。以降、伊藤氏は検察審査会に不服申し立てを行ったが、ここでも不起訴処分相当となり、伊藤さんは民事訴訟を起こした。》 つまり、伊藤さんが、今回、民事で損害賠償を求める訴訟を起こしたこと自体が、逮捕状が執行されず、刑事での告訴が不起訴に終わったことを受けての「最後の手段」だったということだ。 ちなみに、成田空港で待機していた高輪署の警察官たちの行動をおさえて、逮捕直前に逮捕状の執行を阻止した責任者である中村格警視庁刑事部長(当時)は、一部で「官邸の番犬」と呼ばれるほど総理周辺と関係が深い警察官僚であったと言われているようだ。 山口氏は、「総理」(幻冬舎2016年)、「暗闘」(幻冬舎2017年)といった、いわゆる「安倍晋三本」の著者であり、2016年当時は、安倍晋三首相に最も近いジャーナリストとして知られていた人物だ。 それゆえ、2016年の時点で決断された山口氏の逮捕の中止が、官邸の意を受けた措置ないしは、総理の意向を忖度した結果だったという見方は、いまだに消えていない。 ともあれ、山口氏は、世間の空気を読みそこねた。 原因はご自身が閉鎖環境の中で暮らしていたからだと思う。つまり、山口氏はあまりにも自分と似た考え方の仲間に囲まれて暮らしていたがために、自分の考えの異常さに気づくことができなかった。 お仲間たちも、せっかく擁護のためにセッティングした記者会見の中で本人が持ち出す論陣の非常識さを事前にチェックすることができなかった。 私が憂慮しているのは、「性犯罪被害者は、性犯罪加害者を告発できない」という、性犯罪加害者にとってあまりにも魅力的に聞こえるこの背理を、異常だと思わないとんでもない人々のお仲間が、日本の中枢に座を占めていることだ。 「抑圧の中で生まれ育った国民は、抑圧に抵抗することができない」 ありそうな話ではある。 本当のところ、「本当の性被害者」が伊藤さんをうそつきと断定していたことが、本当の話だったのだとすると、私たちの中の多数派は、抑圧に対して立ち上がる人間をうそつきと呼ぶかもしれない』、「伊藤氏は検察審査会に不服申し立てを行ったが、ここでも不起訴処分相当となり」、検察審査会の判断も不可解だ。「私が憂慮しているのは、「性犯罪被害者は、性犯罪加害者を告発できない」という、性犯罪加害者にとってあまりにも魅力的に聞こえるこの背理を、異常だと思わないとんでもない人々のお仲間が、日本の中枢に座を占めていることだ」、全く同感である。安倍昭恵夫人の感想を是非伺いたいところだ。
タグ:メディア 日刊ゲンダイ 日経ビジネスオンライン 山口敬之 小田嶋 隆 (その19)(伊藤詩織さんレイプ事件2:セカンドレイプ賠償請求にビビる?“アベ応援団”突然の沈黙、詩織さん重要発言 安倍首相に山口氏“海外逃亡”根回し疑惑、小田嶋氏:「うそつき」をめぐる奇天烈な話) 「セカンドレイプ賠償請求にビビる?“アベ応援団”突然の沈黙」 詩織さんは勝訴した翌日、外国特派員協会で会見。これまで受けてきた誹謗中傷やセカンドレイプに対して、「法的措置を考えている」と明言した。途端におとなしくなったのが、山口氏の主張を正当化してきた安倍首相のオトモダチの面々だ 「係争中の案件にコメントしない」と居直り 「詩織さん重要発言 安倍首相に山口氏“海外逃亡”根回し疑惑」 レイプ民事裁判。東京地裁が山口氏に330万円の支払いを命じ、詩織さんの“完勝”に終わった 安倍首相が、山口氏の“海外逃亡”に手を貸した疑い 山口氏をワシントンDCにあるシンクタンク「イースト・ウエスト・センター」に派遣して欲しいと笹川平和財団に要請 山口氏は15年6月8日に逮捕されるはずだったが、直前に見送られた 海外に「“避難”」 森友問題で安倍昭恵夫人の秘書官だった経産省からの出向者を、慌ててイタリア大使館に飛ばしたのと同じ手 キャピタル東急(東京・永田町)の賃貸レジデンス 毎月の家賃はなんと200万円 「ペジーコンピューティング」というベンチャー企業の元社長・斉藤元章被告が払っていた 「「うそつき」をめぐる奇天烈な話」 判決では「(伊藤さんが)自らの体験を明らかにし、広く社会で議論をすることが性犯罪の被害者をとりまく法的、社会状況の改善につながるとして公益目的で公表したことが認められる。公表した内容も真実である」としている この一文は、性被害に苦しむ女性のみならず、様々な困難に直面している様々な立場の人々に勇気を与える得難いセンテンスだと思う。東京地裁の英断と勇気に感謝したい 21世紀の日本人は、性被害をもたらす加害者にはとても厳しい それだけ、性的に潔癖な人々になりつつあるということなのだろう 今回は、ざっと見て、寄せられてきているリプライの9割以上が、私のツイートへの賛同ないしは同意を表明する人々で占められている 「日本平和学研究所」の「タイラ」氏 「本物の性被害者たちは、伊藤さんを本物の性被害者として認めない」という、このどうにも卑劣極まりない立論は、その構造の中で、「性被害者」を極限まで貶めている 高輪署員が成田空港で帰国する山口氏を待ち受けていたところ、当時の警視庁刑事部長だった中村格氏(現・警察庁長官官房長)が「本件は本庁で預かる」と主張したため、逮捕が取りやめになった 私が憂慮しているのは、「性犯罪被害者は、性犯罪加害者を告発できない」という、性犯罪加害者にとってあまりにも魅力的に聞こえるこの背理を、異常だと思わないとんでもない人々のお仲間が、日本の中枢に座を占めていることだ
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

メディア(その18)(新聞「部数も広告収入も激減」の苦境…税金頼みの危うい実態、佳子さまのダンスで「ヘソ出し」を俗情的に訴えた見出しに思うこと/鴻上尚史、テレビ朝日とKDDI 動画配信で手を組んだ事情 動画配信「戦国時代」をどのように生き抜くか) [メディア]

メディアについては、8月9日に取上げた。今日は、(その18)(新聞「部数も広告収入も激減」の苦境…税金頼みの危うい実態、佳子さまのダンスで「ヘソ出し」を俗情的に訴えた見出しに思うこと/鴻上尚史、テレビ朝日とKDDI 動画配信で手を組んだ事情 動画配信「戦国時代」をどのように生き抜くか)である。

先ずは、ジャーナリストの松岡 久蔵氏が7月17日付け現代ビジネスに掲載した「新聞「部数も広告収入も激減」の苦境…税金頼みの危うい実態 特ダネはいいから、お金が欲しい」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65899
・『部数も広告費も「激減」の末に  「え! 1300万円の中面全面広告、たったの10分の1で受注したんですか……!?」 最近、ある全国紙の広告営業部門で交わされた、新聞の「紙面広告ダンピング」についての会話だ。 日本新聞協会によると、2018年の新聞発行部数(10月時点まで)は3990万1576部と17年から約220万部も減少。14年連続の減少で4000万部を割り込んだ。1世帯当たりに換算すると0.7部しかとっていないことになる。 読者層の高齢化も深刻で、新聞を主な情報源としてきた60代以上が購読者の大部分を占めるため、50代以下の現役世代となると、いまや購読していない世帯の方が多数派になるとみられる。 前述した「広告ダンピング」の背景には、この発行部数・購読者数の減少がある。昨年度の新聞広告費は4784億円と、年間1兆円を超えていた2005年と比べて半分以下に。一方インターネット広告費は1兆7589億円に達し、もはやメディアの構造転換は決定的となった。 かねて、新聞社側が販売店に本来必要な部数よりも多めに売りつける「押し紙」が問題視されてきたが、近年では少しでも発行部数を嵩増ししようと、ファミレスやホテルなどに無料か無料同然の価格で営業をかけるパターンも増えている。 新聞の紙面広告で、スポンサーに要求できる価格の根拠は、いうまでもなく発行部数である。部数を水増しするための「涙ぐましい努力」に励んでいるにもかかわらず、それでもダンピングしないと、いまや新聞は広告クライアントが付かない状態なのだ』、「昨年度の新聞広告費は4784億円と、年間1兆円を超えていた2005年と比べて半分以下に。一方インターネット広告費は1兆7589億円に達し、もはやメディアの構造転換は決定的」、ターゲット広告も可能な「インターネット広告」にはかなう筈もない。
・『ある全国紙社員はこう嘆く。「読者の減少には勝てないということです。読者が減れば必然的に発行部数が減る。発行部数が減れば広告価値が下がって、必然的に発注主も減る。負のスパイラルですね。 全国紙は今や、各社とも不動産収入やグループ会社のテレビ局の収益など、新聞事業以外の収入が経営を支えている状況です。もっとも、事業多角化については各種各様で、『発行部数最多』を誇る読売新聞は、残った紙の読者を囲い込む戦略をとっています。 日本ABC協会の調べによると、18年11月時点で読売新聞が朝日と毎日の合計部数を抜きました。近年、読売は地方紙のシェアも奪いに行っており、業界内のガリバーとして君臨する気です。新入社員向けの挨拶でも、幹部が『ウチは紙でいく!』と宣言していたそうですから、当面この方針を踏襲することでしょう。 一方で朝日は、主な新聞購読者である40代以上をターゲットにした『Meeting Terrace』という『出会い提供ビジネス』を開始し、一部から批判を受けるなど若干迷走気味。毎日新聞は他の新聞と印刷受託契約を結ぶなど、背に腹は替えられないという切実さが窺えます」』、「18年11月時点で読売新聞が朝日と毎日の合計部数を抜きました」、「読売新聞」も実際には押し紙などで化粧しているとの噂もあるが、それにしても圧倒的な差がついたものだ。
・『選挙広告の原資は「税金」  新聞と新聞広告を取り巻く現状が厳しいことはよくわかったが、選挙広告が新聞社にとっての「草刈り場」になってきたことは、一般にはあまり知られていない。 国政選挙の各立候補者は、2段・幅9.6cmの広告を、選挙区内で発行されている任意の新聞に5回掲載できる。東京なら、朝日、読売、毎日、産経、東京の5紙に出すという形だ。比例代表選挙の名簿届け出政党の場合は、候補者が25人以上のならば44段までの広告を全額「公費」で掲載できる。 この場合の広告費は法律で決められておらず、各新聞社の「定価」で支払われる。定価は各社異なるが、100~250万円程度の幅と言われる。 例えば、東京選挙区の立候補者が40人いて、候補者広告の1回あたりの料金が250万円だった場合、全員がある新聞社に5回広告を出したとすると、250万円×40人×5回=5億円の税金がその社に支払われることになるのである。 今回の参院選は全国で370人の立候補者がいるため、単純計算で、支払額は全体でおよそ46億円となるが、地域ごとに広告費用が変わるため、「参院選での新聞広告への総支払額は、例年20億円以下に収まる」(全国紙政治部記者)。 国政選挙は1回につき総額500億円の費用がかかるため、小さな話のように思えるが、新聞社の側からすれば、選挙のたびに「真水の20億円」が懐に入るのは、貴重な財源には違いない。 朝日新聞社を例にとると、2019年3月期連結決算は売上高3750億円、本業の儲けを示す営業利益が89億1000万円、経常利益が160億3400万円。新聞事業による利益が全利益の半分程度となる中で、少しでも多くの広告費を取り込みたいのが本音だろう。立候補者の広告掲載権を巡って、公示日前から自社の論調と近い候補者にアプローチをかけ、自社に掲載してもらうように依頼する──そんな争奪戦も繰り広げられるという』、新聞社にとっては、まさに「選挙」さまさまのようだ。
・『新聞が「軽減税率」で捨てたもの  中央官庁や自治体などの各種イベントによる広告も、新聞社にとっては重要な収入源となる。各地のお祭りの広告などのほか、例えば毎日新聞は警察庁と警視庁の協力により、各国の主要都市で世界の警察音楽隊を集めてパレードやコンサートを行う「世界のお巡りさんコンサート」を主催するなどして、「税金による収入」を確保している。 こうした現状について、毎日新聞のあるベテラン記者はこう話す。 「新聞社には国や地域の発展に寄与するという役割もありますから、中央官庁との合同イベントを開くこと自体は悪いことではないと思います。ただ、国家権力そのものといっていい警察主催のイベントで収入を得ることが常態化してしまうことには、不安もぬぐえません。 かつて、ある地方紙が警察の不祥事を大々的に報じた際には、警察だけでなく、同紙の営業サイドから記者や編集側に圧力がかかったと聞いています。タテマエ上は『編集と営業は別』と言いますが、各紙経営状態が悪化する中でどこまで突っ張れるか。 バリバリの反権力志向の記者より、権力に近い政治部出身か、営業的なセンスがある人を幹部にする傾向も出ている。最近、安倍総理と会食して喜ぶような新聞社の幹部が増えているのもその証拠でしょう。 軽減税率の対象に新聞が『文化事業』であるという理由で入りましたが、いざという時、官邸から『軽減税率の貸しを返せ』とでも言われたら……部数減少に歯止めがかからない中で、営業利益に占める税金の割合が高まれば、政治からの圧力は一層効くようになるでしょう」』、「政治からの圧力は一層効くようになる」、とは本当に困ったことだ。
・『特ダネはもういらない  新聞社内部では、記者は営業系の社員から「世間知らず」と揶揄され嫌われてきた面がある。営業が苦労してとってきた広告契約を、一本の記事でつぶされたらたまったものではないからだ。かつてのように紙の新聞が会社を支えているなら、「新聞社は記者のもの」と堂々と言えるが、今はむしろ「特ダネ記者よりも企画力のある営業社員が欲しい」(全国紙幹部)時代になった。 つまるところ、「報道」や「ジャーナリズム」は所詮、余裕の産物であるということだ。いくら「権力の監視」と息巻いても、安定した収益基盤がなければ、取材もままならない。基盤を失った新聞社は、なりふり構わぬ営利の追求と生き残りに走るようになる。全国紙社会部記者はこう話す。 「今の新聞社の体力だと、情報公開請求などで独自にファクトを集めて記事にする仕事を継続できているのは、事実上、朝日と読売くらいです。50万円分も請求を出して、政治家の領収書や公文書を隅から隅まで読んで、それでも何の不正も見つからない、ということが当たり前の世界ですから、マンパワーと資金が必要になる。時たま優秀な記者はいても、個人でやれることには限界もあります。 週刊誌がスキャンダルの発信源になり、新聞やテレビはそれを追っかければいいという安易な流れが定着しつつある。まして、地方では社会面を埋めるのはほとんど警察発表ですから、警察批判でもしようものなら、紙面組みに支障が生じることもありえます。取材先との関係を潰してでもネタを取ろうという記者は、もう多くはないでしょう」 7月初めには、毎日新聞が200人規模の早期退職を募集すると報じられた。ほぼ同時に、損保ジャパンは4000人規模の配置転換を発表し波紋を呼んだが、これらの事例から言えるのは、昭和に確立された「会社員」というシステムが本格的に消滅し始めたということだ。 いずれも大手とはいえ、業界トップではない。体力の乏しい順に、「能力の低い社員も、一生養うのがあるべき企業」という理念に基づく仕組みが維持できなくなってきた。この流れは、倒産に追い込まれる大手が出るまで止まらない』、警察の不手際・不祥事にますます甘くなってくるようであれば、野放しになりかねず、困った現象だ。
・『既得権益化する新聞社  新聞業界について言うなら、筆者は新聞社や通信社がつぶれようが一向にかまわないと思う。読者にとって重要なのはニュースそのものであり、つまらないものしか出せない組織は退場すべきだからだ。 部数減少の根本的理由は、「権力を監視する」とうそぶく新聞社自身が、経営努力も読者を楽しませる努力もせず、既得権益の上にふんぞり返っているだけだと見透かされていることだろう。 当局の発表を他社より早く報じることが「至上命題」であった昭和の新聞社のやり方では、横並びの平凡な記事が量産されるだけである。そのような仕事を繰り返してきただけの記者が、長じてこれまた平凡な論説を書いたところで、読者の支持など得られようはずがない。 まだ玉石混淆ではあるが、報道の舞台は確実にネットメディアなどへと移り始めている。アメリカのように、記者が個人の名前で写真や映像も駆使して自由に闘う時代が日本に訪れるのは、まだ先のことかもしれない。しかし、時代に適応できない者から淘汰されるのだ。大新聞で燻る優秀な記者こそ、座して死を待つべきではない』、「ネットメディア」と言っても、ニュースは「新聞社」のものを流しているケースが多い。「新聞社」にはまだまだ頑張ってほしいところだ。

次に、10月26日付けLlivedoorNEWSが日刊SPA記事を転載した「佳子さまのダンスで「ヘソ出し」を俗情的に訴えた見出しに思うこと/鴻上尚史」を紹介しよう。鴻上尚史氏は劇作家・演出家である。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191026-01614899-sspa-soci&p=1
・『ダンスで「ヘソ出し」を俗情的に訴えた大週刊誌のこと  11月2日から始まる『地球防衛軍 苦情処理係』の稽古場に向かう電車の中で、『週刊文春』の中吊り広告に目が釘付けになりました。 「佳子さま 孤独の食卓と『ヘソ出し』『女豹』セクシーダンス」 一瞬、脳がポカーンとなりました。 どんなダンスを踊っているかとか、どんな構成かなんてことじゃなくて、とにかく「ヘソを出したかどうか」が問題なんだ、ということですね。 この見出しを見ながら「ああ、日本で、ミュージカルとかダンスがアートとか文化として定着するのに、あと何十年かかるんだろう」と暗澹たる気持ちになりました。 このことをツイートしたら、「皇族だから問題なんだ」なんていうリプが来ました。 でもね、例えば、絵画で考えて欲しいのですよ。 佳子さまが絵画展に絵を出品して、それがヌードだとしても、『週刊文春』は「佳子さま ヌード画出品!ヘソから乳首まで!」と書くかということです。 断言しますが、書きませんよ。だって15世紀のヨーロッパじゃないんだから。西洋の裸婦画に腰を抜かした明治の日本人じゃないんだから。 皇族が裸婦像を描いても、問題にするのはおかしいと思われるはずです。ヌード画は文化だと受け止められるでしょう。 佳子さまが小説を発表して、それにベッドシーンがあったとしても、『週刊文春』は「佳子さま 小説執筆、ベッドシーン!挿入乱発!」なんて書かないと思います。性愛の描写もまた、小説という文化・アートにとって珍しくないと思われているからです。 でも、ダンスは「ヘソ出し」を問題にするんです。そして、「女豹」のセクシーな動きが見出しなんです。 それはまるで、映画を見て、どんなドラマかとか、どんなテーマとか、どんな演技かなんて一切問題にしないで「おお!乳首が見えた!パンツが見えた!」と騒ぐ人と同じです。 通常、そういうのは、「俗情に訴える」という表現になります。 『週刊文春』は、呆れるぐらい俗情に訴えた見出しを選んだのです』、「この見出しを見ながら「ああ、日本で、ミュージカルとかダンスがアートとか文化として定着するのに、あと何十年かかるんだろう」と暗澹たる気持ちになりました」、さすが「劇作家・演出家」の面目躍如で、全く同感である。
・『一番売れている週刊誌が俗情週刊誌の国?  もちろん、これが完全にエロ雑誌なら分かるのですよ。女に人格はない、あるのは肉体と穴だけである、という哲学(?)に基づいた編集方針なら、電車の中吊りは拒否されるでしょうが、ありうることです。 でも、あなた、『週刊文春』ですよ。『週刊SPA!』じゃないんですから。わはははは。 男性週刊誌はグラビアで「乳首が出ているかどうか」で分かれるでしょう? ヌードグラビアがあって、ちゃんと乳首が写されている雑誌と、何があっても乳首は見せない雑誌には、きっちりとした世界観断絶があると、僕は思っていたのですよ。 イスラム圏などの税関で問題になる雑誌と持ちこめる雑誌の違いと言ってもいいし、子供の手の届く所に置いていい雑誌と気をつけなきゃいけない雑誌の違いと言ってもいいし、電車で何の抵抗もなく読める雑誌とちょっと気をつけないといけない雑誌の違いと言ってもいいでしょう。 いや、お前、それは『週刊文春』を買いかぶりすぎだよ、『週刊文春』は大衆の俗情に訴える雑誌なんだよ、と言わたらそれまでなんだけど、そうすると、今現在、国内最高部数を誇る、一番売れている週刊誌が俗情週刊誌の国ってのは、その国の民度がそういうレベルだという証明になるわけで、なんだか、とほほな気持ちになりませんか。 同じ号の『週刊文春』は、経済産業大臣の告発だの、同僚教師をいじめた教師に関する記事だの、一応、「公序良俗」や「正義と文化」を標榜するような姿勢を見せています。 なのに「ヘソ出し」なのですよ。それは、まるで「ヘソ出し」が「公序良俗」に反するような、「正義と文化」に対する挑戦のような誤解を与えるじゃないですか。だったら、エロをエロとして謳いあげる『週刊SPA!』の方がどれだけ正直ですがすがしいか!わははははは。 どんな名作の映画を見ても、女優のおっぱいの大きさしか問題にしない男はいます。 そういう人間だと開き直ることなく、政治や経済を語りながら「ヘソ出し」を問題にすることは、ものすごく、いやらしいと思うのです』、説得力に溢れた主張だ。週刊文春の反論を聞きたいところだが、無理そうなのが残念だ。

第三に、12月18日付け東洋経済オンライン「テレビ朝日とKDDI、動画配信で手を組んだ事情 動画配信「戦国時代」をどのように生き抜くか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/319731
・『テレビ朝日とKDDIは12月12日、動画配信サービスを展開する共同出資会社を設立することを発表した。KDDIが2020年3月に動画配信サービス「ビデオパス」事業を新会社に移管したうえで、テレビ朝日が同社に50%出資する計画だ。 ビデオパスは2012年から、月額590円で視聴できる動画配信サービスを始めている。KDDIによると、新会社はビデオパスの会員基盤を引き継ぎ、名称なども含めサービスの再構築を目指す。同社はKDDIの連結子会社、テレビ朝日の持分法適用会社になる見込みだ』、第一、第二の記事とは趣が全く異なるが、1つの流れではあるので、紹介した次第である。
・『テレビ朝日とKDDIの「深い関係」  従来から、テレビ朝日とKDDIは深い関係にある。2015年にKDDIが運営するビデオパスで業務提携。テレビ朝日のコンテンツをビデオパスに優先的に提供したり、「仮面ライダー」シリーズなどの一部コンテンツを独占配信するなどしていた。 今回の出資の狙いについて、テレビ朝日の経営企画部門の担当者は「今までは自社の動画を配信するプラットフォームがなかった。今まではコンテンツ提供者だったのが、今後はプラットフォーマーにもなれる」と話す。 現在、民放キー局の多くは動画配信サービスを保有している。日本テレビの「Hulu(フールー)」が会員数200万人(2019年3月時点)と頭一つ抜けており、その後をフジテレビの「FOD」、TBSとテレビ東京の「Paravi(パラビ)」が追っている。 「HuluやNetflix(ネットフリックス)などのSVOD(定額制動画配信サービス)は存在感が大きくなっている」(前出のテレビ朝日担当者)と焦りを隠さない。今回のKDDIとの共同出資によって、テレビ朝日は念願の配信プラットフォームを手に入れた形だ。 KDDIと手を組んだ理由について、テレビ朝日側は「KDDIは携帯キャリアとしてユーザー基盤を保有している。さらに、5G技術も持っており、今後の動画配信拡大の際にも強みになる」(前出の担当者)と語る。 2020年に商用化が始まる5Gは、高速化や低遅延などが期待されており、それによって動画視聴が今より広まると期待されている。KDDIの広報担当者は「5Gになれば、スポーツなどリアルタイムでの提供も進展する」と話し、スポーツも含めたコンテンツ提供も見込む。共同出資は5G時代が本格化することを見据えての動きのようだ』、「現在、民放キー局の多くは動画配信サービスを保有している」、「共同出資は5G時代が本格化することを見据えての動き」、「テレビ朝日」もこの流れに遅まきながら乗ったようだ。
・『独自コンテンツの少なさが弱みに  KDDIにとってテレビ朝日と組むメリットは、会員数が伸び悩んでいたビデオパス事業のテコ入れだ。同じ携帯キャリアのNTTドコモが運営する「dTV」は、会員数400万人(2018年6月時点)。それに対し、ビデオパスは2018年に会員数100万人を突破した模様だが、その後は伸び悩んでいた。 2018年8月にはauの契約者以外もビデオパスを視聴できるようになっていたが、「NetflixやAmazonプライムビデオと比べて独自コンテンツが少ない」(KDDI広報担当者)ことが弱みだった。Netflixは「全裸監督」や「テラスハウス」、Amazonプライムビデオには「バチェラー」などの人気コンテンツがあるが、ビデオパスにはそうしたコンテンツが見当たらない。 さらに、Netflixは国内会員数で300万人を突破するなど動画配信サービスは戦国時代に突入しており、生き残り策を模索していた。 今回の共同出資によって、テレビ朝日のコンテンツ独占配信や地上波との連動企画など、従来よりもサービスの独自色を出すことが可能になる。KDDIにとっては、そうしたテレビ朝日のコンテンツが魅力的だったようだ。) 今後は、地上波テレビで見逃し配信や連動企画など配信サービスを宣伝することもでき、さらなる知名度アップも見込まれる。KDDI側にとっても大きなメリットが生まれそうだ。 一方、テレビ朝日の課題もある。現在、テレビ朝日はサイバーエージェントと共にAbemaTVを運営している。AbemaTVはサイバーエージェントの連結子会社で、テレビ朝日の出資比率は36.8%だ。 AbemaTVは、地上波と同じように決まった時間に番組を放送する「リニア放送」(注1)だけではなく、「Abemaプレミアム」と称するSVOD(注2)サービス(月額960円)も展開している。同サービスは2017年12月の開始から2年間で51万人もの会員を集めている』、私はこうした流れから取り残されているので、用語解説でみてみよう。
(注1)リニア放送:従来のテレビ放送の番組を、リアルタイムでIP放送により配信すること。IPリニア放送ともいう(goo辞書)
(注2)SVOD:サブスクリプション型ビデオオンデマンド,サブスクリプションビデオオンデマンド,定額制ビデオオンデマンド、SVODとは、単位期間ごとに所定の料金を支払い、対象期間中は映像コンテンツを見放題という種類のコンテンツ配信サービス(weblo辞書)
・『AbemaTVといかに棲み分けるか  さらに、AbemaTVの番組の多くをテレビ朝日のスタッフが制作している。仮にビデオパス向けのオリジナル作品を制作することになれば、そちらにリソースが割かれ、AbemaTVの制作力が落ちる可能性もある。 こうした点について、「AbemaTVはリニア放送がメイン。また、視聴者の多くは若者でビデオパスとは異なる。ビデオパスは携帯向けの会員が多く、年齢層が高い」(テレビ朝日の前出の担当者)と語り、属性の違いから食い合いにはならないと考えているようだ。 一方で、テレビ朝日の別の経営企画部門担当者は「(AbemaTVとビデオパスは)多少重なり合うところはある。しかし、そこは目をつむらなければ、新しいことはやっていけない」と語り、悩みの種であることをうかがわせる。 そうしたリスクを承知の上でも、リニア放送がメインのAbemaTVとSVODがメインのビデオパスの両方を手に入れることは、動画配信で出遅れるテレビ朝日にとって魅力的だったようだ。 テレビ朝日とKDDIという、動画配信サービスで乗り遅れた同士が組むことで、NetflixやHuluに迫ることができるのか。まずはオリジナル作品の質が勝負になる』、ユーザーにとって選択肢が増えるのはいいことだ。今後の展開を注目したい。
タグ:メディア 中吊り広告 東洋経済オンライン 現代ビジネス 日刊Spa SVOD 松岡 久蔵 (その18)(新聞「部数も広告収入も激減」の苦境…税金頼みの危うい実態、佳子さまのダンスで「ヘソ出し」を俗情的に訴えた見出しに思うこと/鴻上尚史、テレビ朝日とKDDI 動画配信で手を組んだ事情 動画配信「戦国時代」をどのように生き抜くか) 「新聞「部数も広告収入も激減」の苦境…税金頼みの危うい実態 特ダネはいいから、お金が欲しい」 部数も広告費も「激減」の末に 新聞の「紙面広告ダンピング」 昨年度の新聞広告費は4784億円と、年間1兆円を超えていた2005年と比べて半分以下に。一方インターネット広告費は1兆7589億円に達し、もはやメディアの構造転換は決定的 読者が減れば必然的に発行部数が減る。発行部数が減れば広告価値が下がって、必然的に発注主も減る。負のスパイラル 18年11月時点で読売新聞が朝日と毎日の合計部数を抜きました 選挙広告の原資は「税金」 新聞が「軽減税率」で捨てたもの いざという時、官邸から『軽減税率の貸しを返せ』とでも言われたら……部数減少に歯止めがかからない中で、営業利益に占める税金の割合が高まれば、政治からの圧力は一層効くようになるでしょう 特ダネはもういらない いくら「権力の監視」と息巻いても、安定した収益基盤がなければ、取材もままならない。基盤を失った新聞社は、なりふり構わぬ営利の追求と生き残りに走るようになる 既得権益化する新聞社 LlivedoorNEWS 「佳子さまのダンスで「ヘソ出し」を俗情的に訴えた見出しに思うこと/鴻上尚史」 ダンスで「ヘソ出し」を俗情的に訴えた大週刊誌のこと 『週刊文春』 「佳子さま 孤独の食卓と『ヘソ出し』『女豹』セクシーダンス」 「ああ、日本で、ミュージカルとかダンスがアートとか文化として定着するのに、あと何十年かかるんだろう」と暗澹たる気持ちになりました 一番売れている週刊誌が俗情週刊誌の国? 「テレビ朝日とKDDI、動画配信で手を組んだ事情 動画配信「戦国時代」をどのように生き抜くか」 テレビ朝日とKDDIの「深い関係」 今まではコンテンツ提供者だったのが、今後はプラットフォーマーにもなれる 民放キー局の多くは動画配信サービスを保有 日本テレビの「Hulu フジテレビの「FOD」 TBSとテレビ東京の「Paravi 5G時代が本格化することを見据えての動き ビデオパス事業のテコ入れ リニア放送 AbemaTVといかに棲み分けるか
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

金融規制・行政(その6)(マネロン国際審査団が日本上陸 金融業界が恐れる二つの質問、足しげく官邸詣で「外為法改正」実現のため暗躍した財界人、金融版「カカクコム」誕生に業界が怯える事情 2021年夏にも新金融仲介サービスが始まる) [金融]

金融規制・行政については、4月17日に取上げた。今日は、(その6)(マネロン国際審査団が日本上陸 金融業界が恐れる二つの質問、足しげく官邸詣で「外為法改正」実現のため暗躍した財界人、金融版「カカクコム」誕生に業界が怯える事情 2021年夏にも新金融仲介サービスが始まる)である。

先ずは、10月26日付けダイヤモンド・オンライン「マネロン国際審査団が日本上陸、金融業界が恐れる二つの質問」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/218642
・『各国のマネーロンダリング(資金洗浄)対策状況を審査する、国際組織である金融活動作業部会(FATF)がついに日本に上陸した。厳しい審査を控え、金融業界は浮き足立っている』、興味深そうだ。
・『マネロン国際審査団がついに日本上陸 メガバンク・地銀・仮想通貨が審査対象  10月28日、日本の金融業界は自らの沽券に関わる対面審査の場に挑むことになる。 G7(先進7カ国)を含む36以上の国や地域が加盟し、各国のマネーロンダリング(資金洗浄)対策状況を審査する国際組織である金融活動作業部会(FATF)の審査団がついに日本に上陸した。今後、3週間にわたって、厳しい追及が続くことになる。 FATFが調べるのは、マネロンやテロ資金の流入を防ぐための法の整備がどこまで進んでいるか、また各金融機関などが怪しい取引の水際対策をどこまで進めているか――などだ。 10月28日の週から財務省や金融庁など関係当局の審査が始まり、翌週から銀行や仮想通貨(暗号資産)の交換業者といった民間企業の審査が行われる。最後の1週間は講評などに充てられる見込みだ。 日本のFATF対応は常に後手に回ってきた。2008年公表の第3次審査では「27カ国中18位」という低評価を受け、さらに審査後の対策も遅れて、それを見かねたFATFが日本に対して特別声明を出す異例の事態に陥った』、「第3次審査では「27カ国中18位」という低評価・・・さらに審査後の対策も遅れて、それを見かねたFATFが日本に対して特別声明を出す異例の事態」、とは国際的にも恥ずかしい限りだ。
・『こうした過去の経緯がある中での第4次審査である。審査結果は来年夏ごろに公表されるが、内容次第では金融機関の海外取引に支障を来しかねない。故に、官民一体となり審査に向けた事前準備を重ねてきた。 今回の審査対象となる民間企業は、銀行や証券会社、少額決済を担う資金移動業者や暗号資産の交換業者など、各業態から数社ずつ選ばれることが想定される。 審査に向けて、例えば銀行業界では口座開設の本人確認を厳しくしたり、口座を持たない一見客の海外送金の受け付けをやめたりなどの対策を打ってきた。業界内で先頭を切ってマネロン対策を進めてきたメガバンクなどが地方銀行向けの勉強会を開催し、知見が不足している中小地銀の底上げを図ってもきた。 他にも「マネロンのリスクの高さからFATFに最も注視されている業態の一つ」(マネロン対策に詳しい渡邉雅之弁護士)が暗号資産の交換業者。銀行送金と違い、送付先の顧客属性が分かりにくいことに加え、暗号資産は種類によってリスクが異なる。 このリスク評価の方法について、特定のひな型を使い回しているため、匿名性の高い暗号資産のリスク評価が不十分な交換業者がいることを金融当局も問題視しているという。個々の暗号資産ごとにどんな対策を講じているかが、審査団との重要な論点になるとみられている。 こうした事前準備に本腰を入れてきたとはいえ、日常的な顧客管理や疑わしい取引のチェックが求められるマネロン対策に「画期的な解決策はない」(第二地銀の幹部)。審査団からの追及に自信を持って応えられるよう、どれだけ対策を積み重ねてきたかが審査結果の分かれ目といえる』、「暗号資産」はもともとマネロンに使い易いとみられているだけに、その「交換業者」の対応は大変だろう。
・『FATFの追及が危惧される金融機関の二つの“弱点”  入念な準備を重ねてきた各業界だが、日本の金融業界において特に不安視されている項目が二つ残っている。 一つ目が、国家元首や政治家などの重要な公的地位を有する要人を指す「PEPs」と呼ばれる人物たちへの対応だ。 FATFの第3次審査を受け、日本では改正犯罪収益移転防止法(犯収法)が施行された。その中で、外国人PEPsの金融取引を厳しく確認するよう求められたが、国内のPEPsに対しての規制は放置されたままだ。 汚職などの政治的腐敗行為を防止するという観点から、FATFは国内外問わずPEPsについての監視強化を求めてきた。いまだ法整備が進んでいない日本国内のPEPsについて、FATFは個々の金融機関に何かしらの手当てをしているかどうかを問う可能性が高い。政府の不手際の責任を民間が負わせられているかたちとなっている。 もう一つの論点は、企業の実質的支配者をどう補捉しているかだ。この実質的支配者とは企業の事業経営を実質的に支配する存在で、株主として全体の25%の議決権を持つ者などが該当する。前述の犯収法の改正に伴い、金融機関は取引先の実質的支配者を確認することが義務付けられた。 銀行でいえば、法人口座の開設時などに実質的支配者を申告することを企業に求める。だが、企業側はあくまで自己申告でよいのが通例。その点について、金融機関が自己申告に依存していないかどうかをFATFが問いただすのではないかと、業界は警戒心を強めている』、「いまだ法整備が進んでいない日本国内のPEPs」、官僚も政治家も手をつけられないとは、さすがいまだに金権政治がまかり通るだけある。これは、金融機関の問題ではなく、行政・政治の問題だ。
・『もし、こうした個々の質問に対する回答に不備が多数見つかれば、総合的な審査結果に大きく影響する。 ただ、FATFが第4次審査を終えた23カ国の中で、実質的な合格は5カ国のみにとどまっており、ハードルは相当に高い。そもそも、日本が合格水準に達する可能性は極めて低い。 このため、金融当局を含めた業界全体は、今回の第4次審査は、「終わりではなく始まり」にすぎないとの認識を持っている。いまだに業態や企業規模の大小によって、マネロン対策の重要性に対する考え方に温度差があり、加えてどの業態においても「専門人材が“品薄”状態」(金融機関のマネロン対策を支援する日本資産運用基盤グループの石尾弘和氏)と課題は多い。 厳しい審査結果を覚悟しつつ、FATFという嵐が去った後、いかにマネロン対策を継続できるかどうかが日本の金融機関に試されている』、「23カ国の中で、実質的な合格は5カ国のみ」、と狭き門であれば、「日本が合格水準に達する可能性は極めて低い」、のはともかく、これを契機に、日本国内のPEPs対策を含めたマネロン対策を徹底的に議論すべきだろう。

次に、金融ジャーナリストの小林佳樹氏が11月30日付け日刊ゲンダイに掲載した「足しげく官邸詣で「外為法改正」実現のため暗躍した財界人」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/265499
・『原子力や半導体、IT(情報技術)など安全保障上で重要な日本企業への出資規制を強化する外国為替法改正案が衆院を通過し、今臨時国会で成立する見通しになった。 「米トランプ政権が中国を念頭に外資規制を強化する新法を成立させたのを受け、日本でもと官僚が忖度して作った法律です」(外資系ファンド幹部)という。だが、その裏では、外資に買収されたくない日本の有力企業の幹部が強烈なロビー活動を展開したことは、あまり知られていない。 初夏、足しげく官邸詣でをする財界人があった。お目当ての人物は、いまや官邸の陰の主役とも言っていい今井尚哉・政務秘書官だ。狙いは外資の出資規制を強化する法律の改正を実現すること。今井秘書官を通じて、財務省に外為法の改正を働きかけることにあった。 「この財界人は、大手銀行から外資ファンドを介して日本を代表する企業トップに就いた人物です。この企業は粉飾決算や原発事業で巨額損失を出し、目下、再建のただ中にある。このトップにとって外資アクティビスト(物言う株主)に株付けされて、経営を振り回されかねないとの懸念があった」(ある中央官庁幹部)とされる。自社を守るためには是が非でも外資の出資規制を強化してほしかったわけだ』、「この財界人」とは、三井純友ファイナンシャル・グループ副社長から欧州系ファンドを経て、東芝会長となった車谷暢昭氏である。
・『これに手を貸したのが、旧知の間柄である経産省の元トップといわれている。この経産省幹部を通じて、同 じく経産省出身の今井秘書官へと働きかけは広がっていった。 現状の外為法では、外国投資家が安全保障にかかわる事業を手掛ける国内の上場企業の株式を10%以上取得したり、非上場企業の株式を取得したりする場合、事前の届け出を義務付け、審査している。対象業種は武器や航空機、宇宙開発、電気、ガス、通信、放送、鉄道、携帯電話製造などに及ぶ。改正される外為法では、この規制をさらに強化して、届け出・審査の基準を対象業種の1%以上に強化するもの。念頭にあるのは「赤い資本」と呼ばれる中国の投資家だ。 当然、外資ファンドなどは規制強化に反対するが、「詳細は政省令で明確化し、欧米の投資家が不当な不利益を被ることはないよう配慮する」(関係者)という。 この財界人の狙いは、まんまと成功したようだ』、「国内の上場企業の株式を10%以上」から「1%以上」とは大幅強化だ。「詳細は政省令で明確化」、とのことで、現状では不明だが、本来、制限すべきではない欧米ファンドと、制限したい中国系ファンドをどう区別するのだろう。決まり方如何では、欧米からの批判も受けかねない暴挙だ。

第三に、12月18日付け東洋経済オンライン「金融版「カカクコム」誕生に業界が怯える事情 2021年夏にも新金融仲介サービスが始まる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/319836
・『金融版の「カカクコム」ともいえる、まったく新しい金融サービスの誕生が現実味を帯びてきた。 金融庁は12月10日、「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」を開き、家電や衣服をECサイト上で比較するのと同じように、保険や証券などの金融商品をスマートフォン上などで選ぶことができるようにする報告書の素案を示した』、「金融版「カカクコム」」とは言い得て妙だ。
・『比較が面倒くさい金融商品  例えば、新しいテレビを買うときに価格比較サイトを使えば、テレビの大きさや薄さ、録画機能の有無など、商品ごとに異なる性能を横断的に比較しやすい。販売店舗によって異なる商品の価格も一目瞭然だ。 一方、金融商品の場合は、ローンや投信、保険など、種類の違う金融商品をワンストップで比較し、選択できるサービスはほとんどない。顧客は商品ごとに別々のサービスに登録しなければならず、利便性が低かった。 また、住宅ローンの金利や投資信託の手数料、保険料など、同じジャンルの商品同士を比較でき、そのまま申し込みまで行えるサービスも少ない。各金融機関のウェブサイトから似たような商品を探し出し、手間と時間をかけて1つひとつ比較する必要があった。 こうした不便な状況を変えるかもしれないのが、金融庁の構想する「新しい金融仲介サービス」だ。 従来の金融サービスとの違いは大きく2つある。まず、新サービスを提供する業者には1度登録をすれば、銀行、保険、証券を横断する形でさまざまな商品を比較できるプラットフォームを作れるようになる。 住宅ローンなどの銀行分野の商品を提供するには銀行代理業、保険分野は保険代理店か保険仲立人、証券分野は金融商品仲介業という資格が必要になる。現行制度のもとで、銀行、保険、証券分野の商品を横断的に扱おうとすると、各資格をそれぞれ取得する必要がある。 政府(内閣官房日本経済再生総合事務局)の資料によれば、銀行・証券・保険の3分野すべてで登録や許可を得て仲介をしている業者は、たった4者しかいない。日本には銀行代理業が73者、金融商品仲介業が893者、生命保険の代理店に至っては8万5862者あることを考えると、いかに少ないかがわかる。 金融庁は、Web上のサービスを念頭に、金融商品を簡単に比較対照でき、かつ購入までスムーズに行える新しい金融仲介サービスの誕生を期待している。例えば、預金の残高が減っているユーザーがいれば、保有している株や投信の売却を提案したり、場合によっては借り入れ可能な金額を提示するアプリなどだ』、確かに便利そうだが、条件などが複雑な金融商品で、簡単な比較が果たして可能なのだろうか。
・『金融庁は金融版「カカクコム」誕生を期待  もう1つが所属制の廃止だ。 現行制度では金融商品を取り扱う業者は、どこかの金融機関から必ず指導を受ける必要がある。 金融庁が銀行、保険会社、証券会社を直接監督し、さらにこれらを通して間接的に仲介業者を指導するのが所属制の目的だ。 例えば、証券の仲介を行うIFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)が高齢者に仕組み債などの複雑な金融商品を十分な説明なく販売した、などのトラブルが発生した場合、損害賠償の責任はIFAが所属している証券会社が負うことになる。 そのため、複数の商品を比較できるサービスをつくるためには、その「製造元」である金融機関ごとに指導や監督を受ける必要がある。こうした状況は「小うるさい上司がたくさんいるようなもの」(金融庁)で、新規参入者にとって高い参入障壁だ。 さらに、金融機関が仲介業者を指導・監督するという関係は、既存の機関と新規参入者の間に上下関係を生んできた。IFAであれば、所属する証券会社から顧客本位の業務運営などについて指導を受けている。 新しい制度では媒介する業者が金融機関と対等な立場になることで、例えば顧客の側に立って、独立した視点で金融商品を比較するサービスの提供も期待できるようになる。 実際、インターネットを介した金融サービスのニーズは高い。総務省の『情報通信白書』(平成29年版)によると、ネット上で個人向け資産運用サービスを利用したいと答えた人は26.3%にのぼるものの、実際の利用率は3.6%にとどまる。アメリカの利用率が27.8%、イギリスのそれが12.8%となっているのに比べて低い水準だ。日本にはネットを介した金融サービスの需要はあるものの、それを満たすサービスの整備が遅れているということだろう。 しかし、新しい金融仲介サービス制度については慎重な意見もある。日本証券業協会の鈴木茂晴会長(大和証券グループ本社名誉顧問)は東洋経済の取材に対し、「新たな仲介業に期待しているが、証券のようなリスク商品を販売する際には投資家保護の観点から、制度整備の充実が重要である」とコメントした。(訂正文はカット) いわば、所属制という手綱を証券会社が握っていることによって、金融商品仲介業者の「暴走」が防止されてきたという日証協。仮に所属制がなくなるのであれば、新しい金融仲介サービスの担い手にも既存の金融商品仲介業者と同じ水準でルールを守ってもらえる仕組み作りが必要だと訴える。 12月10日の金融庁の会議でも、生命保険協会の委員から「保険商品の選択に当たっては、保障内容や保険料が大事。手数料を開示することで、手数料が安い商品がいい商品であるという誤解を招き、適切な商品選びのさまたげになるかもしれない」という声が出た。証券や保険業界からは新サービスに慎重な声が聞こえてくるのはなぜなのか』、「所属制」を撤廃するのであれば、日本証券業協会が主張するように、業者破綻に備えた「投資家保護」策の充実が必要になるだろう。投資家の立場に立った「金融商品比較」では、投信組成業者からのバックマージンに応じて、有利に誘導するなどの不正を如何に防止するか、それを誰が監視するのかも重要である。
・『既存のビジネスモデルを変える起爆剤に  家電量販店やカカクコムなどのウェブサイトが台頭したことで、家電メーカー間や量販店間の価格競争が活性化。メーカーが決めた「定価」で販売されることは少なくなった。松下電器(パナソニック)や東芝などの大手電機メーカーの看板を掲げていた、地元の電気店から家電製品を購入する人はもはやほとんどいない。 他方、金融業界ではネット銀行やオンライン証券が普及してきたものの、住宅ローンや生命保険の契約、定年後の資産運用などで対面チャネルが残っている。日証協や生命保険文化センターの調査によれば、2018年時点で証券会社との主な取引方法は52.8%の人が「店頭営業員への電話、店舗での対面」と回答し、生命保険も53.7%の人が保険会社の営業職員を通じて加入している。 「日本の金融は顧客本位など一生懸命やっているが、いい商品が売れて、外貨建て保険や毎月分配型の投資信託など(そうでないものが)淘汰されていくというメカニズムが弱い。商品の価格と性能による競争がうまく働かず、(販売)チャネルの勝負になっている」というのが金融庁の問題意識だ。 既存の販売網を維持したい大手金融機関にとって、今回の新しい仲介サービスはビジネスモデルを大きく変える破壊力を持つ存在になりうる。しかし見方を変えれば、金融サービスの間口を広げ、これまで投資や資産形成と縁のなかった消費者を取り込むきっかけにもなる。 金融庁が説得に動いたという事情もあってか、12月10日の金融庁の会議ではほとんど異論が出ず、2019年内にも報告書がまとまる見通しだ。順調にすすめば、2020年春の通常国会に法案が提出され、2021年夏にも施行される』、「商品の価格と性能による競争がうまく働かず、(販売)チャネルの勝負になっている」というのが金融庁の問題意識」、は理解できるが、初めにも指摘したように、複雑な条件を持つ金融商品が果たしてネット上で簡単に比較できるようになるのだろうか。出来るとすれば、確かに「既存のビジネスモデルを変える起爆剤に」、と金融界の根底を揺るがす極めて大きな革命をもたらすだろう。
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ ダイヤモンド・オンライン 金融規制・行政 小林佳樹 (その6)(マネロン国際審査団が日本上陸 金融業界が恐れる二つの質問、足しげく官邸詣で「外為法改正」実現のため暗躍した財界人、金融版「カカクコム」誕生に業界が怯える事情 2021年夏にも新金融仲介サービスが始まる) 「マネロン国際審査団が日本上陸、金融業界が恐れる二つの質問」 金融活動作業部会(FATF) マネロン国際審査団がついに日本上陸 メガバンク・地銀・仮想通貨が審査対象 FATFが調べるのは、マネロンやテロ資金の流入を防ぐための法の整備がどこまで進んでいるか、また各金融機関などが怪しい取引の水際対策をどこまで進めているか――などだ 2008年公表の第3次審査では「27カ国中18位」という低評価 審査後の対策も遅れて、それを見かねたFATFが日本に対して特別声明を出す異例の事態に陥った 審査結果は来年夏ごろに公表 先頭を切ってマネロン対策を進めてきたメガバンクなどが地方銀行向けの勉強会を開催し、知見が不足している中小地銀の底上げを図ってもきた 暗号資産の交換業者 FATFの追及が危惧される金融機関の二つの“弱点” 改正犯罪収益移転防止法(犯収法) 外国人PEPsの金融取引を厳しく確認するよう求められたが、国内のPEPsに対しての規制は放置されたまま 企業の実質的支配者をどう補捉しているか 第4次審査を終えた23カ国の中で、実質的な合格は5カ国のみ 日本が合格水準に達する可能性は極めて低い 「足しげく官邸詣で「外為法改正」実現のため暗躍した財界人」 安全保障上で重要な日本企業への出資規制を強化する外国為替法改正案が衆院を通過 米トランプ政権が中国を念頭に外資規制を強化する新法を成立させたのを受け、日本でもと官僚が忖度して作った法律 外資に買収されたくない日本の有力企業の幹部が強烈なロビー活動を展開 東芝会長となった車谷暢昭氏 これに手を貸したのが、旧知の間柄である経産省の元トップ 10%以上取得 1%以上に強化 「金融版「カカクコム」誕生に業界が怯える事情 2021年夏にも新金融仲介サービスが始まる」 比較が面倒くさい金融商品 銀行代理業 保険代理店か保険仲立人 金融商品仲介業 各資格をそれぞれ取得する必要 Web上のサービスを念頭に、金融商品を簡単に比較対照でき、かつ購入までスムーズに行える新しい金融仲介サービスの誕生を期待 金融庁は金融版「カカクコム」誕生を期待 所属制の廃止 既存のビジネスモデルを変える起爆剤に
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感