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保育園(待機児童)問題(その13)(保育を「規制緩和」したらロクな事にならない理由 待機児童の解決策は家庭への直接投資しかない、脱アナログ「保育園」が本気で取組み起きた大変化 温かみがあるから手書きが好きの声もあるが…、保活の常識に変化「保育園入りやすくなった」真相 「入れればどこでも」からゆとりを持てるように) [生活]

保育園(待機児童)問題については、昨年5月8日に取上げた。今日は、(その13)(保育を「規制緩和」したらロクな事にならない理由 待機児童の解決策は家庭への直接投資しかない、脱アナログ「保育園」が本気で取組み起きた大変化 温かみがあるから手書きが好きの声もあるが…、保活の常識に変化「保育園入りやすくなった」真相 「入れればどこでも」からゆとりを持てるように)である。

先ずは、昨年9月9日付け東洋経済オンラインが掲載した花園大学社会福祉学部教授の和田 一郎氏による「保育を「規制緩和」したらロクな事にならない理由 待機児童の解決策は家庭への直接投資しかない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/452199
・『福祉のように人と人とが関わる分野では、課題を「見える化」して多くのステークホルダーに理解していただくことが重要です。そのためには調査して集めたデータを解析することだけでなく、ネット上の公的公表情報や開示請求等で入手したデータを分析することも必要です。今回はその視点から、わが国における保育の重要性と規制緩和について述べたいと思います』、興味深そうだ。
・『なぜ「保育」が重要なのか  記事(子どもの虐待による「社会的コスト」は甚大だ)に書いたように、子ども時代の環境は長期的に社会に影響を及ぼします。子どもに教育や福祉、保健サービスを十分投資することは、他の分野よりも費用対効果が高く、日本以外の各国の政策決定者はそれに気づき実際に予算を増加させて成果を上げています。 さてわが国は子どもの政策を一元化する子ども庁の創設がされる可能性があります。現在、保育園には274万人の子どもが在園しており、0~2歳の子どもの40%が所属する重要な場所であり、子どもの育ちの環境として重要な場所といえます。 共働きの家庭、ひとり親の家庭にとって就労時に子どもを預かってくれる保育園は重要です。現代は核家族化も進みおじいちゃんおばあちゃんに気軽に預けることは難しい状況です。つまり就労を継続するには保育園は重要と考えられます。しかしながらそこで働く保育士の給与はとても低いです(参考記事:180万円はどこへ消えた?「保育士給与」の不可解)。なぜ重要な保育を担う保育士の給与が低いのでしょうか。 かつて保育園は子どもの育ちを保証する重要な場所としてその運営にさまざまな制限がありました。具体的には自治体が直営する公立の保育園、そして十分な環境を保証できる(つまり規制が厳しい)という認可された保育園は、設立や運営の基準も厳しい社会福祉法人のみ設置が可能でした。 しかしながら社会環境の変化で待機児童が増加すると、それら保育園だけでは保育の需要が足りない状況になりました。そこで、待機児童の解消のために規制緩和をしたわけです。例えば保育園は自治体からの委託費がほとんどを占める公的なものなので、その支出にも細かい規制(人件費の保障など)があったのですが、規制緩和により株式会社やNPOの参入が認められ、さらにこの委託費の弾力運用が認められてしまったことです。つまり人件費として行政から計算されたお金であっても、それに使わないで他に使ってもよいということです。行政の計算では委託費の8割程度が人件費に計算されているにもかかわらず、実質的にはそれが保育士に支給されていない現状です』、「規制緩和により株式会社やNPOの参入が認められ、さらにこの委託費の弾力運用が認められてしまった」、なるほど。
・『10%のお金はどこに行ったのか?  研究として耐えうるよう実データの分析を今回はいたしました。保育の委託費は地域によってかなり異なります。よってある同じ地域の社会福祉法人とNPO/株式会社の比較をしてみました。 【委託費総額における人件費率】・社会福祉法人/保育のみNPO:70% ・企業型NPO/株式会社:60% 【真の人件費率(保育現場職員の人件費率)】・社会福祉法人/保育のみNPO:60% ・企業型NPO/株式会社:50% 興味深いのは保育園のみに特化したNPOの人件費率平均は、社会福祉法人と遜色ない給与を出しているところが多いところです。一方、利益のためにさまざまな福祉などの領域に多角的に進出しているNPO(以下、企業型NPOとします)は、株式会社レベルの人件費率の低さでした。よって真の人件費率で考えると、企業型NPO/株式会社は社会福祉法人より人件費が10%以上低いことがわかります。国の保育基準は最低限の基準であり、理解ある現場の経営者はよりよい子どもの保育のために、認可保育園では1カ所当たり数人多く雇用している現状が明らかになっています。 しかしながら企業型NPO/株式会社は総額の人件費が低く、認可保育園と同様に人を増やせばさらに給与水準が下がることから、保育士を多く雇用することなどはしていない、もしくは超低賃金で雇用しています。保育の質の定義というのは難しいのですが、各国の基準を参考に子ども1人当たりの保育士数と保育士の労働環境を保育の質と今回は定義すると、やはり企業型NPO/株式会社保育園の質に課題があると考えられます。 そしてこの人件費の差である10%はどこに流れたのでしょうか?財務諸表などのデータを分析すると、企業型NPOはブランディングやマーケティングなどのNPOの価値を高めることや他の事業の補填に使われていること、また株式会社は保育事業以外の使用や配当等に使われていることが明らかになりました。本来は子どものよりよい保育、それに直結する保育士の給与として計算され支給されたお金が別の分野に使われてしまう。この10%の差額がまさに私たち福祉政策の研究者が敗北した証拠です。) 長年保育分野で活動する研究者の多くは認可保育園の保育士らと連携しながら児童虐待やDVの対応を行ってきました。児相が関わるレベルでない諸問題も保育園には改善する機能がありました。しかしながらその実践を社会に提言する研究者が少ないなか、「行政や社会福祉法人運営の認可保育園は無駄が多い、NPOや株式会社に運営させればさらなる効率化になり、待機児童の解消にもなる」という専門外の識者の主張に政治家は飛びつきました。 規制は悪となり、委託費の使い方や園庭の設置基準まで?規制緩和”になりました。園庭がない保育園、窓のない保育園、担任がおらず日々担当保育士が変わる……。 例えば園庭で子どもが体を動かすことや草木や虫を見て何かを感じることの重要性について主張した研究者に対して「エビデンスはない」と一蹴し、「窓や園庭がなくてもお散歩すれば光も浴びるし自然を感じられる」などとSNS上で反論をするアカウントも見受けられました。結果、交通事情も含め園児の散歩には危険性も少なからずあるにもかかわらず、園庭がなくても保育園が設置できるようになりました。これには、そのような環境に置かれる子どもへの配慮はなく、量を増やせという大人の視点しかありません』、「企業型NPO/株式会社は総額の人件費が低く、認可保育園と同様に人を増やせばさらに給与水準が下がることから、保育士を多く雇用することなどはしていない、もしくは超低賃金で雇用しています。保育の質の定義というのは難しいのですが、各国の基準を参考に子ども1人当たりの保育士数と保育士の労働環境を保育の質と今回は定義すると、やはり企業型NPO/株式会社保育園の質に課題があると考えられます。 そしてこの人件費の差である10%はどこに流れたのでしょうか?財務諸表などのデータを分析すると、企業型NPOはブランディングやマーケティングなどのNPOの価値を高めることや他の事業の補填に使われていること、また株式会社は保育事業以外の使用や配当等に使われていることが明らかになりました」、「本来は子どものよりよい保育、それに直結する保育士の給与として計算され支給されたお金が別の分野に使われてしまう。この10%の差額がまさに私たち福祉政策の研究者が敗北した証拠」、「10%はどこに流れたのでしょうか?財務諸表などのデータを分析すると、企業型NPOはブランディングやマーケティングなどのNPOの価値を高めることや他の事業の補填に使われていること、また株式会社は保育事業以外の使用や配当等に使われていることが明らかになりました」、なるほど。
・『良質な保育に重要なこととは?  保育の規制緩和には、早期教育や良質な保育は子どもにも効果がある、だから保育園も義務教育にすべきだなど海外のデータがよく使われます。しかし海外の保育士の待遇や一人当たりの受け持ち児童数などの比較はしません。良質な保育に重要なことをいっさい言及せず、逆に子どものために規制をしっかり守った人たちを抵抗勢力としてネット上などで攻撃します。 企業型NPOや株式会社の声が大きくなり、保育士の賃金が上がらず、ますます保育の質が悪くなってきています。しかしそれも「副業を推進している働きやすい職場」ということにすり替え、長時間勤務し疲弊した保育士に副業で生活費を稼がせるのです。 また、最近は研究者がそのような企業型NPOと結託しているような研究結果もみられます。NPOの保育園は既存保育園と質に差があるのかなどの研究で、遜色なかったというような結果です。しかしこれらの研究をよく見ると利益相反(研究者とNPO)がみられ、論文化もされていませんし、倫理審査通過したのかすら不明です。しかしこのような報告書がNPOを通じて政治家に直接届いてしまい、おかしな改革がされてしまうのです。 「子どもの良質の保育、安全のためにしっかりした規制を」と言うと、「待機児童を持つお母さんが働けなくなったらどうするんだ!」とネット上で攻撃を受けます。0~2歳の子どもに着目すると、EU各国は保育園利用率が日本より低く、10~30%程度しか通わせていません。ベビーシッター等の利用もあるのですがそれでも大して率は変わりません。しかし通わせない人についてはしっかりした保障があるのです。 それを東京都に例えると、認可外保育園の運営に少なく見積もった計算でも子ども1人当たり30万円/月がかかっています。規制緩和し認可外の保育園(企業型NPOや株式会社)を乱立させ、託児を保育と主張するなど保育の基準をあやふやにして質の低い保育で保育士も低賃金で働かせるのならば、前述の「お母さんはどうするんだ」への回答としては、「月々の賃金×67%(育休手当)+30万円」を毎月家庭に「直接投資」すればいいのです。筆者の調査では、2歳までは家で子どもをみたいという人が過半数以上いました。子育て広場など、気軽に行けて親が休める場所が必要なのは言わずもがなですが……。 必要なお金を家庭に渡し、キャリアが途切れない、不都合な扱いを受けない労働環境をしっかりと保障する法制度を作れば、保育利用者数は減るので、待機児童が解消するのです』、「最近は研究者がそのような企業型NPOと結託しているような研究結果もみられます。NPOの保育園は既存保育園と質に差があるのかなどの研究で、遜色なかったというような結果です。しかしこれらの研究をよく見ると利益相反(研究者とNPO)がみられ、論文化もされていませんし、倫理審査通過したのかすら不明です。しかしこのような報告書がNPOを通じて政治家に直接届いてしまい、おかしな改革がされてしまうのです」、「利益相反」の「研究」「報告書がNPOを通じて政治家に直接届いてしまい、おかしな改革がされてしまうのです」、酷い話だ。「必要なお金を家庭に渡し、キャリアが途切れない、不都合な扱いを受けない労働環境をしっかりと保障する法制度を作れば、保育利用者数は減るので、待機児童が解消するのです」、確かに本当に重要なことは、保育園の数を増やすことではなく、「「必要なお金を家庭に渡し、キャリアが途切れない、不都合な扱いを受けない労働環境をしっかりと保障する法制度を作る」ことのようだ。
・『規制緩和して崩壊したインフラは元に戻らない  首都圏では行政が考え支出している保育士の給与は加算(処遇改善加算など)を加えるとおおよそ年500万円を超え、特に東京都は560万円を超えます。しかし実際には380万円程度の支給という中抜きをされている現状です。もちろんしっかりしたNPOもあります。ある都内のNPOは保育士に500万円以上給与支給していると根拠を見せて説明してくれました。事務を効率化しその分保育士の待遇を上げ長期に働ける体制を整えることが結果的に子どものためになるとの信念です。 いつも決まった保育士が関わり、七夕や運動会などのイベントを大事にしているということです。保育士に副業させたり、不定期のスポット保育士など子どもを不安定にさせることはしないということです。NPO保育園はやりがい搾取のところが多いのは事実ですが、なにより子どものことを考えているNPO保育園があることもぜひわかってほしいといわれました。 しかしそういう園は経営が厳しく、ブランディング予算もないためステークホルダーの目に留まらず、良質な園は運営の危機になってきています。人件費率が高いためです。良質な園がなくなれば後は企業型NPO/株式会社の保育園しか残りません。 「悪貨は良貨を駆逐する」です。一度緩和して崩壊したインフラは元に戻りません。そもそも保育士は自治体の保育職職員として、保育園だけではなく、1歳半検診など保健センターの各検診、児童福祉部局で育児不安の相談業務など地域の顔として活動していたのです。それを規制緩和で非正規の保育士を増やしてしまったのです。 保育士は女性が多いのですが、「女性の社会進出」と言いながら、安い賃金でこき使う経営実態はいかがなものでしょうか』、「NPO保育園」のうち「良質な園は運営の危機になってきています」、「自治体の保育職職員」を「正規の保育士を増やす」ことから始めるほかなさそうだ。

次に、昨年12月19日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーライターの笠井 ゆかり氏による「脱アナログ「保育園」が本気で取組み起きた大変化 温かみがあるから手書きが好きの声もあるが…」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/476762
・『小さな子どもがいる親にとって、朝は時間との闘いだ。とくに共働きで子どもを保育園に預ける場合、子どもと自分の準備をして、仕事に間に合う時間に家を出なければならない。子どもを「早く!」と急かしながら、自分の準備もままならず出勤する人も多いのではないだろうか。 一方、保育士の朝も、親と同様に忙しい。園児を迎えると同時に、欠席や遅刻の電話対応も行わなければならない。さらに日中も、連絡帳やクラス便りといった書類作成のほか、行事や監査の準備など、保育士は日々多くの業務を抱えながら園児の成長に寄り添っている。 そんななか、保育士が子どもと向き合う時間を増やすために、出欠連絡や連絡帳をアプリで管理するなどの機能を備える「保育ICTシステム」を導入する園が徐々に増えているという。保育ICTシステムの普及で、保育士の業務はどう変化しつつあるのだろうか』、「保育ICTシステム」とは保育士の負担が軽減されるのであれば、結構なことだ。
・『事務雑務の軽減を求める保育士がおよそ半数  「平成30(2018)年度東京都保育士実態調査」によると、およそ半数(49.0%)もの保育士が、職場の改善希望事項として「事務雑務の軽減」を挙げた。保育士の事務雑務とはどのようなもので、どれほど忙しいのだろうか。東京都や神奈川県の保育士数人から話を聞くことができた。 まず、朝は登園してくる園児のお迎えと、欠席や遅刻の電話対応を同時に行う。電話内容を担任に連絡しなければならないが、「電話や送迎が相次ぐと、伝え漏れのリスクもある」という。 午前の活動と給食の時間が終われば、午睡(昼寝)の時間だ。午睡時は、園児の就寝中の姿勢や呼吸状態の確認(午睡チェック)を行う。これは、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症や、うつ伏せ寝による窒息予防のために行われるもので、園児の体勢を記録し、うつ伏せになっている園児は仰向けに戻さなければならない。乳児クラスでは、5分に1回の確認が必要になってくる。 午睡時間に連絡帳記入などを進めたいが、午睡チェックと起きてしまった園児の対応で、ほかの業務まで手が回らないことがほとんどだ。 連絡帳は、保育士と保護者の交換日記のようなもの。保護者が子どもの食事内容や体調などを記入して園に持参し、保育士も園児の食事内容や1日の様子を降園時間までに全員分記入して返却する。ほかにもクラス便りや月案(指導案)、日誌の作成、出欠人数や登降園時間の集計、そして行事の準備も行わなければならない。) 多くの業務を抱えたまま、子どもたちと午後の活動を行えば、もう降園時間だ。 都内に住む保育士は、「お便りを紙配布する場合、原本を作って印刷し、全員分折りたたんで連絡帳に挟む、という一連の作業だけで相当な時間がかかります。勤務時間内に終わらなかった業務は、持ち帰って自宅で作業することもあります」と話す。 連絡帳やクラス便りを手書きしている保育士のなかには、「大変だけど、温かみがあるから手書きのほうが好き」という人もいる。筆者の周りの保護者も、「手書きで書いてもらった連絡帳を読むと嬉しい」と話してくれた。 連絡帳を手書きでやり取りするのもさまざまな利点がある。しかし、保育士が多くの業務を抱えるなか、園児の成長と向き合うこと以外の業務や時間については、もっと選択肢があってもよいのではないだろうか』、「保育士が多くの業務を抱えるなか、園児の成長と向き合うこと以外の業務や時間については、もっと選択肢があってもよいのではないだろうか」、その通りだ。 
・『全園に保育ICTを導入した園の変化  多忙な保育士たちの事務雑務を改善するため、出欠連絡や連絡帳の機能を備えた保育ICTシステムを導入した保育園がある。あしたばマインドが運営する、明日葉保育園だ。 同園では、今年度より全20園で「CoDMON(コドモン)」という保育ICTシステムを導入した。CoDMONは、登降園時間の管理機能をはじめ、活動記録や指導案の作成機能を備えた保育ICTシステムで、アプリ上で出欠連絡や連絡帳のやりとりが可能だ。 コドモンの小池義則社長によると、「現在、全国にある保育所などはおよそ4万園で、そのうち何らかの保育ICTシステムを導入しているのは35%(1万4000園)程度。『CoDMON』を導入している施設は、11月時点で9000超」だと言う。 システムを導入して、保育士の業務はどう変わったのだろうか。明日葉保育園元住吉園の宇佐美亜紀園長に聞いた。 「当園では1クラスに1台iPadを導入し、午睡などのすき間時間を有効活用して事務作業を進められるようになりました。従来の午睡チェックでは、園児の就寝中の姿勢を手書きしていましたが、アプリなら体の向きをワンタッチで選択するだけで記録できます。手早く記録できるので、園児の様子を見ながらほかの事務作業も進められるうえ、起きた子の対応もすぐにできるようになりました」) クラス便りについては、手書きの温かみを残したいという保育士もいるため、「システムを使うかどうかは保育士の裁量に任せている」(宇佐美園長)という。手書きの場合も、PDFに変換して保護者に配信するため、印刷や紙を折りたたむ作業がなくなり、ペーパーレス化にも繋がった。 「手をかけるべき業務とシステムを使うべき業務、双方のバランスを見て使い分けることが大切だと感じています。すべてをシステムに任せるのではなく、例えば新人保育士の書類作成についてはシステム内の定型文ではなく、まずは自分の言葉で表現してみるよう指導することもあります」(宇佐美園長)』、「何らかの保育ICTシステムを導入しているのは35%(1万4000園)程度。『CoDMON』を導入している施設は、11月時点で9000超」、かなり普及率は高いようだ。
・『活動内容が一目でわかる機能も  保育士、保護者ともに好評なのが、園児の写真をコメント付きで保護者に配信できる「保育ドキュメンテーション」という機能だ。多忙な保護者でも、スマホで簡単に子どもの成長や保育園での様子を見ることができる。 「保育ドキュメンテーションは、園児がどの活動でどんな様子だったかを一目で振り返ることができるので、保育士も保育の振り返りや月案の作成に活かしています」(宇佐美園長) 導入から半年以上経ち、園長はじめ保育士もシステムを使いこなせている様子だったが、スムーズに導入できたのだろうか。あしたばマインド保育園事業部運営課の寺澤加代子マネージャーが振り返った。 「最初は操作面で不安の声も挙がりましたが、『今はスマホやタブレットで買い物をする時代だから、使いこなせるはず』と職員に伝えて、システム導入の土壌作りをしました。導入してから時間を有効活用できるようになり、保育士が園児と向き合える時間が増えたと感じています」) コドモンの小池社長によると、保護者からも「アプリなら通勤中に連絡帳入力ができる」と好評のようだ。 また、「今まで降園時に連絡帳を返すには、午睡時間に記入を終えなければならず、午睡後の活動について記録するのが難しかった。ですが、アプリなら園児の降園後でも、その日のうちに入力できればいいので、午後の活動内容も連絡帳に残せるようになりました」(小池氏)と、CoDMONを使うメリットについて話した。 コロナ禍により導入への追い風も吹いた。CoDMONは「11月時点で9000超の施設が導入、この1年間で3000施設ほど増加しました」(小池氏)。休園になっても保護者とコミュニケーションを図れる体制や、保育士が出勤できなくても事務作業ができる体制を作っておきたいというニーズがあったという』、「保育士、保護者ともに好評なのが、園児の写真をコメント付きで保護者に配信できる「保育ドキュメンテーション」という機能」、確かに便利そうだ。「この1年間で3000施設ほど増加しました」・・・休園になっても保護者とコミュニケーションを図れる体制や、保育士が出勤できなくても事務作業ができる体制を作っておきたいというニーズがあった」、確かに「コロナ禍により導入への追い風」だ。
・『行政も率先して保育士業務の見直しが必要  一方、明日葉園の宇佐美園長に保育ICTシステムの今後の課題について尋ねると、監査書類の作成に関わる課題が挙がった。 保育所指導監査は、児童福祉法に基づき、都道府県・政令指定都市・中核市が年1回以上の実地検査(企業主導型保育施設については、児童育成協会による年1回以上の立ち入り調査)を行うものだ。監査にあたっては、出欠簿や保育日誌、保護者向けのお便り、連絡帳など大量の書類準備や、監査に対応する人員の確保も必要となる。 「例えば、午睡チェック時の室温や湿度などの情報は、自治体によっては監査で必要な場合があります。現行のCoDMONでは、午睡チェックの項目に室温・湿度の入力箇所がないので、監査時は、室温や湿度を記入した別の記録と一緒に提示する必要がある。必要に応じて入力項目をカスタマイズできれば便利だと感じています」(宇佐美園長) これに対し、小池氏は「監査項目は自治体ごとに異なり、しかも数年で変更されることも多い。全自治体の監査項目を年度ごとに調べて、園によってカスタマイズできるシステムを作るより、園にとって必要な情報を出しやすくすることがわれわれの役目だと考えています」と言う。 筆者も実際にいくつかの自治体の監査項目を調べてみたが、必須項目がわかりづらいうえ、自治体ごとに少しずつ監査項目が異なっていた。確かに、全自治体の監査項目を毎年調べ、変更されるたびにシステムに反映するのは現実的ではない。 今回の取材で、保育に関わる人たちが口を揃えて言ったのが、「人がやらなくてもいい業務の時間を、少しでも子どもと向き合う時間にしたい」ということだった。 保育ICTシステムの発展で、保育士の「人がやらなくてもよい業務」は軽減されつつある。しかしながら、煩雑な監査項目など、保育ICTシステムだけでは解決できない部分もあるのが現状だ。 北から南まで気候も環境も異なる日本で、地域ごとにチェックすべき項目が多少異なるのは致し方なく、また子どもの安全のためのチェック項目であることは十分理解できる。しかし、基本となる監査項目については、全国で統一できるのではないだろうか。そうすれば監査に合ったシステムを作ることができ、保育士の書類作成など業務負担の軽減につながる。 そのためには行政が率先して、保育士の業務を見直していかなければならない。それが結果的に保育の質を高め、子どもたちの環境、そして未来をよりよくすることにつながるのではないだろうか』、「基本となる監査項目については、全国で統一できるのではないだろうか。そうすれば監査に合ったシステムを作ることができ、保育士の書類作成など業務負担の軽減につながる。 そのためには行政が率先して、保育士の業務を見直していかなければならない。それが結果的に保育の質を高め、子どもたちの環境、そして未来をよりよくすることにつながるのではないだろうか」、保育士の負担が軽減され、「保育の質を高め、子どもたちの環境、そして未来をよりよくすることにつながる」、ことを期待したい。

第三に、本年8月15日付け東洋経済オンラインが掲載した「保育園を考える親の会」アドバイザーの普光院 亜紀氏による「保活の常識に変化「保育園入りやすくなった」真相 「入れればどこでも」からゆとりを持てるように」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/610215
・『「保活」が最も厳しかった東京都で待機児童数300人――。 7月27日に東京都が発表した2022年4月1日現在の都内の待機児童数は300人で、昨年よりも669人減となりました。5年前には待機児童数8586人でしたので、急速に改善したことになります。 ここ2年ほどで認可保育園等(認可保育園、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など。以下「認可保育園等」)に入りやすくなったことは確かです。 といっても、「待機児童数ゼロ」と発表している自治体でも、認可保育園等に入園申請した子ども全員が認可保育園等に入れているわけではありません。「入れなかった子ども」も、国の定義した条件に合致する場合は、自治体の集計時に待機児童数から除外してもよいことになっているからです。 例えば、認可に落ちた子どもが助成を受ける認可外を利用している場合、登園が可能とされる範囲内の認可・認可外(助成施設)を紹介されて辞退した場合、保護者が求職中であるがハローワークなどでの求職活動が行えていない場合などは待機児童にカウントされません。待機児童数のカウント方法については、こちらの記事(「日本死ね」から5年、待機児童問題は解決したのか)も参考にしてください』、「「保育園入りやすくなった」真相」、とは興味深そうだ。
・『申し込んだ児童の何%が入れているのか  では、認可保育園等に申し込んだ児童の何%が本当に認可保育園等に入れているのでしょうか。 これを調べるためには、新規に入園申請をした児童数と、入園が決定した児童数を調べなければなりません(国や自治体が発表する申込者数・利用児童数は進級児を含んだもの)。 私が顧問を務める保護者グループ「保育園を考える親の会」では毎年、都市部100市区について、これらの数値を調査しています(「100都市保育力充実度チェック」)。認可保育園等への新規の入園申請者のうち、認可保育園等に入園できた児童の割合を求めると(入園決定率)、2021年4月1日現在の100市区の平均は80.8%でした。 2022年の数字はまだ調査中で、これを1〜2%上回ると予測されますが、いずれにしても認可の保育施設への新規入園希望者のうち2割近くが認可にれていないことになります。特に都市部の1歳児クラスについては、4月に希望する認可保育園等に入れなかったケースはまだ多いのではないかと考えられます。) 希望の園・クラスが満員で選考に落ちてしまうケースが残る一方で、利用希望者がクラスの定員に満たず、空きが出てしまっている園・クラスも発生しています。 新聞報道にもあったように、昨年度あたりから、認可の保育施設の特に0歳児クラスに空きが目立つようになってきました。コロナ禍の影響で、利用控えが発生しているという観測もあります。 これまで認可保育園等への入園は、4月1日入園が最も募集が多く入りやすいけれども4月でほぼ枠が埋まってしまい、5月以降の年度途中入園は厳しいと言われてきました。しかし今、そういった「保活」の常識も変化しつつあります』、「希望の園・クラスが満員で選考に落ちてしまうケースが残る一方で、利用希望者がクラスの定員に満たず、空きが出てしまっている園・クラスも発生」、なるほど。
・『実際の状況を確認する方法  実際の状況は、各自治体がホームページで保育施設の「募集人数」「空き状況」として公表している数字が参考になります。 ここでは、過去のデータも開示している世田谷区を例にとって数字を追ってみます。4月入園の結果が出た直後の5月1日と、3カ月後の8月1日で、3歳未満児の欠員(空き)を合計すると次のようになっていました。 ■年度前半の空き状況の変化(世田谷区、2022年度、区内287施設*の合計) (注)*認可保育園(254)、認定こども園(6)、小規模保育(22)、家庭的保育(4)、事業所内保育(1)(出所)世田谷区ホームページの公表数値から筆者作成 5月1日の時点では、0歳児クラスに1名以上の空きがあった施設が全体の25.1%ありました。これらの施設では0歳児の4月1日入園は全入だったということです。1歳児クラスではこれが8.7%しかありませんでした。2歳児クラスは14.6%でした。 3カ月後の8月1日になると、0歳児のクラスに空きがある施設は大幅に減少しています。1歳児クラスはもともと少なかったので0歳児クラスほどには減っていません。定員数で見ると、この3カ月間で0歳児クラスは115人埋まっていて、1歳児クラスも19人埋まっています。2歳児クラスは動きが小さいことがわかります。 このような空き状況は地域によってかなり違っています。 8月1日時点で比べてみると、たとえば足立区では、全185施設(家庭的保育を除く)で1名以上の空きがある施設の割合は0歳児16.2%、1歳児16.8%、2歳児32.4%と各年齢とも世田谷区よりもだいぶ多くなっています。足立区では、このほかに家庭的保育(保育ママ)も116カ所開設されていて多くに空きが見られます。 同様の数字を杉並区の全222施設(家庭的保育を除く)について見ると0歳児11.3%、1歳児20.7%、2歳児36.0%と、0歳児よりも1歳児での空きのほうかかなり多くなっています。受け入れが1歳児からの園が比較的多いことも影響しているかもしれません。 杉並区では、このほかに区が設ける0〜2歳児対象の保育室(認可外)があって、今年度まで0〜2歳児を多く受け入れてきましたが、その多くが今年度〜来年度で閉室することになっています。 3区とも、区内にも地域差があって、4月直後から「ほぼ空きがない」地域もあれば、空きのある施設が固まっている地域もあります。 つまり、自分が住んでいる地域の状況が非常に重要になります。今年の5月1日時点での空き状況を調べると、園・クラスごとの4月入園の状況(全入だったか待機が出たか)がわかるのですが、過去のデータを開示していない自治体が多いようです。入園担当窓口に自分の地域に絞って問い合わせれば教えてもらえるかもしれません』、「区内にも地域差があって、4月直後から「ほぼ空きがない」地域もあれば、空きのある施設が固まっている地域もあります」、バラツキが大きいようだ。 
・『「入りたい園」で希望を出す  「人気園を希望すると落ちる確率が高くなるのでは?」と心配する人もいますが、だんだんに入りやすくなっている現状をふまえ、「質重視」で園を選んで希望を出すのがよいと思います。 入園時期も、空きの埋まり具合によっては年度途中に予定するのもありだと思います。早生まれの子どもを低月齢で預けることに抵抗を感じている方も多いと思いますが、1カ月でも2カ月でも遅らせることができれば、ずいぶん違うでしょう。 ただし、欠員状況表は月が進むにつれ「0行進」が増えていきますので、タイミングが難しいかもしれません。定員変更などがないか、園や自治体にも確認することも必要になります。 これまで厳しい入園事情のもとで「入れればどこでも」と考えてしまう傾向がありましたが、もう少しゆとりをもって園選びができるようになってきています。 3歳未満児対象の小規模保育や家庭的保育を選ぶ場合も、途中転園あるいは卒園時に希望の保育園に移れるチャンスはこれまでよりも大きくなっているはずです。 できるだけ中身の人(施設長や保育者)を重視して、信頼できる施設を選んでもらいたいと思います。拙著『後悔しない保育園・こども園の選び方』を参考になります』、「これまで厳しい入園事情のもとで「入れればどこでも」と考えてしまう傾向がありましたが、もう少しゆとりをもって園選びができるようになってきています」、結構なことだ。
タグ:「企業型NPO/株式会社は総額の人件費が低く、認可保育園と同様に人を増やせばさらに給与水準が下がることから、保育士を多く雇用することなどはしていない、もしくは超低賃金で雇用しています。保育の質の定義というのは難しいのですが、各国の基準を参考に子ども1人当たりの保育士数と保育士の労働環境を保育の質と今回は定義すると、やはり企業型NPO/株式会社保育園の質に課題があると考えられます。 そしてこの人件費の差である10%はどこに流れたのでしょうか?財務諸表などのデータを分析すると、企業型NPOはブランディングやマ 「規制緩和により株式会社やNPOの参入が認められ、さらにこの委託費の弾力運用が認められてしまった」、なるほど。 和田 一郎氏による「保育を「規制緩和」したらロクな事にならない理由 待機児童の解決策は家庭への直接投資しかない」 東洋経済オンライン 「最近は研究者がそのような企業型NPOと結託しているような研究結果もみられます。NPOの保育園は既存保育園と質に差があるのかなどの研究で、遜色なかったというような結果です。しかしこれらの研究をよく見ると利益相反(研究者とNPO)がみられ、論文化もされていませんし、倫理審査通過したのかすら不明です。しかしこのような報告書がNPOを通じて政治家に直接届いてしまい、おかしな改革がされてしまうのです」、「利益相反」の「研究」「報告書がNPOを通じて政治家に直接届いてしまい、おかしな改革がされてしまうのです」、酷い 「本来は子どものよりよい保育、それに直結する保育士の給与として計算され支給されたお金が別の分野に使われてしまう。この10%の差額がまさに私たち福祉政策の研究者が敗北した証拠」、「10%はどこに流れたのでしょうか?財務諸表などのデータを分析すると、企業型NPOはブランディングやマーケティングなどのNPOの価値を高めることや他の事業の補填に使われていること、また株式会社は保育事業以外の使用や配当等に使われていることが明らかになりました」、なるほど。 保育園(待機児童)問題 (その13)(保育を「規制緩和」したらロクな事にならない理由 待機児童の解決策は家庭への直接投資しかない、脱アナログ「保育園」が本気で取組み起きた大変化 温かみがあるから手書きが好きの声もあるが…、保活の常識に変化「保育園入りやすくなった」真相 「入れればどこでも」からゆとりを持てるように) 「NPO保育園」のうち「良質な園は運営の危機になってきています」、「自治体の保育職職員」を「正規の保育士を増やす」ことから始めるほかなさそうだ。 笠井 ゆかり氏による「脱アナログ「保育園」が本気で取組み起きた大変化 温かみがあるから手書きが好きの声もあるが…」 「保育ICTシステム」とは保育士の負担が軽減されるのであれば、結構なことだ。 「保育士が多くの業務を抱えるなか、園児の成長と向き合うこと以外の業務や時間については、もっと選択肢があってもよいのではないだろうか」、その通りだ。 「何らかの保育ICTシステムを導入しているのは35%(1万4000園)程度。『CoDMON』を導入している施設は、11月時点で9000超」、かなり普及率は高いようだ。 「保育士、保護者ともに好評なのが、園児の写真をコメント付きで保護者に配信できる「保育ドキュメンテーション」という機能」、確かに便利そうだ。「この1年間で3000施設ほど増加しました」・・・休園になっても保護者とコミュニケーションを図れる体制や、保育士が出勤できなくても事務作業ができる体制を作っておきたいというニーズがあった」、確かに「コロナ禍により導入への追い風」だ。 「基本となる監査項目については、全国で統一できるのではないだろうか。そうすれば監査に合ったシステムを作ることができ、保育士の書類作成など業務負担の軽減につながる。 そのためには行政が率先して、保育士の業務を見直していかなければならない。それが結果的に保育の質を高め、子どもたちの環境、そして未来をよりよくすることにつながるのではないだろうか」、保育士の負担が軽減され、「保育の質を高め、子どもたちの環境、そして未来をよりよくすることにつながる」、ことを期待したい。 普光院 亜紀氏による「保活の常識に変化「保育園入りやすくなった」真相 「入れればどこでも」からゆとりを持てるように」 「「保育園入りやすくなった」真相」、とは興味深そうだ。 「希望の園・クラスが満員で選考に落ちてしまうケースが残る一方で、利用希望者がクラスの定員に満たず、空きが出てしまっている園・クラスも発生」、なるほど。 「区内にも地域差があって、4月直後から「ほぼ空きがない」地域もあれば、空きのある施設が固まっている地域もあります」、バラツキが大きいようだ。  ・『「入りたい園」で希望を出す  「人気園を希望すると落ちる確率が高くなるのでは?」と心配する人もいますが、だんだんに入りやすくなっている現状をふまえ、「質重視」で園を選んで希望を出すのがよいと思います。 入園時期も、空きの埋まり具合によっては年度途中に予定するのもありだと思います。早生まれの子どもを低月齢で預けることに抵抗を感じている方も多いと思いますが、1カ月 「これまで厳しい入園事情のもとで「入れればどこでも」と考えてしまう傾向がありましたが、もう少しゆとりをもって園選びができるようになってきています」、結構なことだ。
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