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キシダノミクス(その7)(岸田首相の「資産所得倍増プラン」 じつは日本からの「資金流出」リスクを抱えていた…!、ここにきて 岸田総理が直面する「三重苦」の正体…「何もしなかったツケ」がいよいよ回り始めた、岸田新体制が始動「超重量級」人事でも不安募る訳 反主流を懐柔し 安倍派も手玉にとったが…) [国内政治]

キシダノミクスについては、7月18日に取上げた。今日は、(その7)(岸田首相の「資産所得倍増プラン」 じつは日本からの「資金流出」リスクを抱えていた…!、ここにきて 岸田総理が直面する「三重苦」の正体…「何もしなかったツケ」がいよいよ回り始めた、岸田新体制が始動「超重量級」人事でも不安募る訳 反主流を懐柔し 安倍派も手玉にとったが…)である。

先ずは、7月27日付け現代ビジネスが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「岸田首相の「資産所得倍増プラン」、じつは日本からの「資金流出」リスクを抱えていた…!」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/97893?imp=0
・『岸田文雄首相が資産所得倍増プランを打ち出すなど、政府が国民に対して資産形成を促している。日本人の資産運用は銀行預金が中心であり、投資へのシフトは進んでいなかったが、最近では、将来の生活に不安を抱える若年層を中心に関心が高まっているとされる。だが一連の政策に落とし穴はないのだろうか』、興味深そうだ。
・『資産の半分以上が現預金  日本における家計部門の金融資産は2000兆円突破しており、このうち現預金が半分以上を占めている。米国では約10%、欧州でも30%しか現預金の比率はなく、日本人の現金好きは突出している。政府も以前から「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、投資へのシフトを促してきたが、日本人の行動はほとんど変わらなかった。 ここに来て政府が、少額投資非課税制度(NISA)の拡充など、投資促進策を強く打ち出している背景には、年金財政の悪化がある。日本の公的年金は維持可能性に疑問符が付く状態となっており、少なくとも2割から3割の減額は確実と言われる。 一方、日本人の所得は伸び悩んでおり、このままでは老後の生活を維持できない国民が急増する可能性が高い。公的年金の不足を補うため、政府はやむなく、自己責任での投資を促しているというのが偽らざるを現実である。 こうした事情が背景にあるとはいえ、個人が積極的に資産形成を行う必要性は以前から指摘されており、証券投資を促す方向性自体は間違っていない。だが、今の日本の経済状況において投資促進策を誤った形で実施すると、場合によっては経済にマイナスの影響を与える可能性もある。最大のリスクは資金が日本ではなく海外に流出するキャピタルフライトだろう。 先程、日本人の個人金融資産は2000兆円を突破しており、うち1000兆円以上が現預金になっていると説明したが、実際にこの金額がキャッシュとして銀行に死蔵されているわけではない。一連の現預金は、貸し出しや債券引き受けなど信用創造の結果として積み上げられたものであり、預金者から見れば資産として、銀行側から見れば負債として帳簿上に記載されているだけの数字である。 こうした状況で、多くの国民が現預金を投資に回した場合、どのような動きになるだろうか。仮に引き出された預金が国内の証券購入に充てられた場合、金融市場にほとんど変化は生じない。誰かが現預金を引き出して証券を購入しても、証券を売った人の口座に入金されるだけなので、日本全体で見た場合、銀行口座の資金総額は同じになる(株価が一定の場合)』、円安が進行しているが、最大の懸念はこうした「資金が日本ではなく海外に流出するキャピタルフライト」だ。
・『円安と金利上昇を招く?  では、どのような時に金融資産の構成に変化が生じるだろうか。それは証券の時価総額が増えた時である。例えば企業の業績期待が高まり株価が上昇した場合や、企業が積極的に増資を行い、市場から資金を調達するケースでは、株式や社債の時価総額が増えていく。国民から見れば、株式や債券の資産額が増え、現預金との比率も変化する。銀行預金とは別に、株式や社債という新しい資産が出来上がっているので、直接金融も信用創造の一つとみなしてよいだろう。 これは国民の資産が増えていることと同義であり、理想的な姿と言って良い。政府も、貯蓄から投資へのシフトによってこうした好循環が発生すると期待している。だが、日本の株式市場の期待値が低く、多くの国民が日本企業の株式を購入しなかった場合、話は変わってくる。 銀行預金を引き出した国民が、米国や欧州、あるいは中国といった海外に投資を行った場合、資金が外貨に両替され国外に流出するので、為替市場では円安が進みやすくなる。こうした動きが一定範囲に収まっているのであれば、大きな問題は生じないし、海外投資から得られた利益は逆に国内に還流するので、国民所得の増加をもたらす。ポジティブな意味で国民が海外投資を行うことは、むしろ日本経済にとってプラスと考えてよい。 だが、もっとネガティブな意味で(つまり資産を日本円で保有していることがリスクであると国民が考えた場合)外国資産を保有するようになると事態は急変する。国内の貯蓄が一気に取り崩され、大量の資金が海外流出する可能性も否定できない。 現時点において、日本では企業部門と家計部門が貯蓄過剰であり、政府が大幅な資金不足の状態にある。つまり企業と家計の貯蓄は、銀行預金を通じて国債購入に充てられており、この巨額の貯蓄があるからこそ、日本国債は安定的に消化されてきた。 もし多くの国民が資金を海外に逃がした場合、国債の買い手がいなくなり、その後は日銀以外に国債を買う主体がいなくなってしまう。つまり、資金の多くが海外に向かった場合、円安と金利上昇(国債価格の下落)の引き金を引いてしまう可能性があるのだ』、確かに「資金の多くが海外に向かった場合、円安と金利上昇(国債価格の下落)の引き金を引いてしまう可能性」は最大のリスクだ。
・『成長戦略とセットである必要  繰り返しになるが、国民が適切な範囲で海外投資を行うことはむしろ日本経済や金融システムにもプラスの効果をもたらす。上記で説明したのは最悪のケースであり、貯蓄から投資へのシフトが、すぐに円安や国債価格の下落を招くわけではない。しかしながら、政策の道筋を誤った場合、こうしたリスクが発生する可能性があることについては十分に理解しておく必要があるだろう。) 「貯蓄から投資へ」という政策は、単純に預金から投資にお金を動かすことではない。先ほども説明したように、株式の時価総額が増えるという形で資金を循環させることに意味がある。 新たな信用創造として株式という資産が増え、経済に好影響を与えるとともに、国民の資産も増加していく。米国において現預金の比率が低く、株式の資産比率が高いのは、政府が資金の移動を促したのではなく、直接金融が活発になって株式の時価総額増えた結果に過ぎない。 最も大事なことは、日本経済が再び成長軌道に戻る道筋を描くことであり、これが実現すれば、自動的に貯蓄から投資へのシフトは進む。あくまで先に来るのは成長期待であって資金シフトではないという本質を忘れてはならないだろう。 国民や企業の過剰貯蓄が国債という借金の消化に向かっている以上、国内株式の時価総額を増やす政策が伴わなければ(つまり成長戦略が実施されなければ)、貯蓄の取崩しと資金流出が発生し、国債消化に支障を来たすことになる。資金循環は全体のバランスが重要であり、より俯瞰的な視点が求められる』、「あくまで先に来るのは成長期待であって資金シフトではないという本質を忘れてはならないだろう」、その通りだ。

次に、8月11日付け現代ビジネスが掲載した政治・教育ジャーナリストで大妻女子大非常勤講師の清水 克彦氏による「ここにきて、岸田総理が直面する「三重苦」の正体…「何もしなかったツケ」がいよいよ回り始めた」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/98482?imp=0
・『実は参院選前からあった早期の内閣改造計画  「様々な課題を考えると、できるだけ早く新しい体制をスタートさせなければならない」 8月6日、広島市で行われた平和祈念式典の後、記者会見でこのように語った岸田首相は、9月上旬との報道が多かった自民党役員人事と内閣改造を10日に実施した。人事が全国紙などの予想よりも早いという兆候は、参議院選挙以前からあった。 「小渕優子元経済産業相は入るだろう。大きなサプライズだ」 こんな声が漏れ聞こえてきたのは7月になったばかりの頃であった。自民党幹部には、選挙前の段階で官邸から早い段階での改造の意思が示されており、安倍元首相の死でそれが8月10日に先送りされた、と見るべきである。 もっとも、岸田首相の脳裏には、安倍元総理の死を契機に旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と特に自民党議員との深いつながりが問題視され、内閣支持率が急速に低下したことがある。 さらに、想像を超える拡がりを見せている新型コロナウイルス第7波への対策、物価高や原油高への対応、そして、台湾情勢の悪化に伴う防衛力の強化や安倍元首相の国葬に向けての準備、など、懸案事項が一気に増えたこともある。 加えて言えば、人事となると自民党各派閥からの猟官運動が避けられない。これは党内基盤が強くない岸田首相にとって頭の痛いことだ。 安倍元首相の影響力を排除し、岸田カラーの内閣を作るために、「人事は9月と見せかけ、奇襲攻撃をかけた」(自民党中堅議員)と見ることもできる』、「人事は9月と見せかけ、奇襲攻撃をかけた」とは「岸田首相」もなかなかやるものだ。
・『第2次岸田改造内閣から見えるもの  自民党役員人事と内閣改造の焦点は、以下の3点であった。 (1)安倍カラーから岸田カラーになり得たか? (2)新役員や新閣僚の旧統一教会との関係、その濃淡はどうか? (3)菅前首相の取り込みやサプライズ人事はあるのか? まず、自民党役員人事では、麻生副総裁、茂木幹事長を留任させて、党の骨格を維持し、麻生派と茂木派を懐柔した。 そして、総務会長には二階俊博前幹事長や公明党とパイプがある遠藤利明氏、衆議院選挙区の「10増10減」という難題を抱える選挙対策委員長には、菅前首相に近い森山裕氏を据えて挙党体制の体裁を整えた。 閣僚人事では、安倍派が4人、茂木派が3人、麻生派が4人で、岸田派は3人という配分で、「最大派閥だから……」と1人増を求めていた安倍派からの要望を「人事はドント方式ではない」と却下した。 岸田カラーが出たのはここからだ。安倍派からは、岸田首相に近い福田系の松野博一官房長官に留任させ、安倍直系の萩生田光一経産相を政調会長に横滑りさせた。また、福田系でも安倍系でもない西村康稔前経財相を経産相に据えたことで安倍派がぐらつかないようくさびを打った。 旧統一教会との関係が指摘された閣僚7人は交代させ、コロナ対策に当たる山際経財相のみ留任させた。菅前首相や菅氏を支持する無派閥議員を取り込むため、菅氏に近い河野太郎氏をデジタル相に起用した。 党内第4派閥を率いているに過ぎない岸田首相は、逆ピラミッドのような形での政権運営を余儀なくされている。 【図】党内第4派閥を率いている岸田政権の人事(リンク先参照) 安倍派、茂木派、麻生派、さらには菅グループまでを取り込むことで、難局突破を図ろうという意図が見える人事である。 政調会長に決まった萩生田氏は、直前まで、「旧統一教会の会合で挨拶したと報じられたから大臣を外されたのかなあ」と語っていたが、岸田首相とも近い萩生田政調会長なら、茂木幹事長の暴走をけん制できる、との判断も働いている。 さらに言えば、コロナ対策と防衛力の強化に向け、経験者の加藤勝信、浜田靖一両氏をそれぞれ厚労相や防衛相に配したのも、直面する重要課題で成果を上げたいと意気込む岸田首相の思いがストレートに出た人事と言えるだろう。 ちなみに、前述した小渕優子氏の入閣が見送られたのは、2014年の政治資金規正法違反事件で、小渕氏の関係先が家宅捜索された際、証拠が保存されていたパソコンが、事前にドリルで穴を開けられ破壊されていたとの報道が、再び蒸し返される懸念があったためだ。 小渕氏の後見役である青木幹雄元参議院会長が、彼女の将来性を担保するため、「入閣は次でいい」と判断したことが大きい。 このようにして岸田新体制はスタートすることになったが、今後、閣僚の中から旧統一教会との濃い関係が明るみに出れば、かつて第2次橋本改造内閣が、ロッキード事件で有罪が確定した佐藤孝行氏を入閣させたばかりに崩壊したのと同じ轍を踏む危険性もはらんでいる。 ただ、難題は旧統一教会問題だけではない。とりわけ3つの壁は大きい。言うなれば三重苦である』、「3つの壁」とは何なのだろう。
・『「何もしない内閣」から脱皮できるか?  1つ目は国内問題。新型コロナウイルス対策、経済対策、そして前述した「10増10減」だ。岸田内閣は、これまで「何もしない内閣」と揶揄されながら、いろいろやりすぎた菅前内閣よりも高い支持率を維持してきた不思議な内閣である。 しかし、重症化リスクは少ないとは言うものの、「BA.5」によるコロナ感染者の爆発的な増加は、もはや「行動制限はしない」「メリハリのきいた対策をとる」などといった口先介入では出口が見えない状況となっている。 第7波となって以降、岸田内閣がやってきたことと言えば、若者への3回目ワクチン接種の呼びかけと高齢者などを対象にした4回目ワクチン接種の推進、そして都道府県に丸投げの「対策強化宣言」を新設した程度だ。 医療機関への負担を軽減し、感染防止策と社会経済活動をある程度両立させようとするなら、現在、「2類」となっている感染症上の分類を「5類」に下げ、感染者の全数報告の見直しを急ぐべきだ。それと同時に、抗原検査キットのネット販売、「BA.5」に効果があるとされるワクチンの輸入も急務となる。 筆者は先頃、抗原検査キットで感染の有無を調べてみたが、キットでは、今年3月に打った3回目ワクチン接種による抗体がわずかながら残っていることが示された。逆を言えば、わずかな抗体など、すぐになくなるわけで、幅広い世代に4回目のワクチン接種を拡大すべきであろう。 経済対策もここまでは非常にしょぼい。 ガソリン代や電気代の高騰、食料品の価格上昇も、コロナ同様、出口が見えない。10月には6000品目もの値上げが生活を直撃する見通しだ。 それにもかかわらず、政府が電気代対策として「節電すればポイント付与」を発表したときは、筆者が勤務している在京ラジオ局の報道フロアから、「うそでしょ?」「何、このしょぼさ!」と、仕事を忘れ怒りの声が上がったものだ。 秋の臨時国会で大規模な補正予算案を組むこと。そして、期間限定で構わないので、ガソリン税や消費税の引き下げを断行すべきだ。 「財務省支配」の岸田内閣では望むべくもないが、それくらいやれば、国民は「岸田さんに長期政権を任せてもいい」という気持ちになり、本当の意味で、「黄金の3年間」(次の国政選挙まで好きなようにやれる3年間)が担保されるように思うのである。 そして、衆議院選挙区の「10増10減」に伴う措置だ。 1票の格差を是正するため、政府の「衆議院議員選挙区画定審議会」がまとめた新たな区割り案では、25の都道府県、140選挙区の区割りが変わることになる。言葉は悪いが、選挙区の変更は「泥棒が刑法をいじるようなもの」で、衆議院議員の利害が激突するため遅々として進まない。 誰を支部長にするか、公明党から早くも上がる「選挙区が増える東京などの一部は、うちの候補で統一してほしい」という要求にどう答えるか、その答えが出ない間は、岸田首相は「解散」という伝家の宝刀を抜けない。茂木幹事長と森山選挙対策委員長の力量が試されることになる』、「公明党から早くも上がる「選挙区が増える東京などの一部は、うちの候補で統一してほしい」という要求にどう答えるか、その答えが出ない間は、岸田首相は「解散」という伝家の宝刀を抜けない」、確かに「伝家の宝刀を抜けない」というのは苦しいだろう。
・『安倍元首相の国葬は両刃の剣  依然として批判の声が根強い安倍元首相の国葬もネックになる。国会での議論や国民への十分な説明もないまま閣議で国葬を決めたことは、旧統一教会との関係も相まって依然としてモヤ感が残る。 まずは費用だ。2020年の中曽根元総理の内閣・自民党合同葬ですら、内閣・自民党負担と国費でそれぞれ9000万円余り、合計1億8000万円余りかかっている。 政府は、日本武道館で行われる来月27日の国葬を6000人規模で調整しているが、国葬となれば費用はかさみ、その全てが国費=税金で賄われることになる。もちろん、「森友・加計・桜を見る会」の問題や、アベノミクスに代表される安倍政治の総括ができていないという点でも疑問が残る。 それ以上に懸念されるのが、国葬によって各国からの弔問が相次ぐ点だ。すでに、アメリカからはオバマ元大統領、フランスからはマクロン大統領の来日が検討されている。 2020年4月、小渕首相(当時)が脳梗塞で倒れ、その後死去した際、内閣・自民党合同葬には、アメリカや韓国の現職大統領が来日したほか、80を超える国と地域から特使が派遣された。安倍元首相の場合、その比ではあるまい。 特に台湾である。安倍元首相の死去を受け、台湾は頼清徳副総統を訪日させた。頼副総統は7月11日、安倍元首相の自宅を弔問し、翌12日には告別式が行われた増上寺を訪問している。 もし国葬に蔡英文総統が「出席したい」と言えば、岸田首相は腹を括れるだろうか。頼副総統ですら、日台国交断絶以降、台湾最高位の政治家の来日で、中国の猛反発を招いた。 岸田首相にとって、各国からの要人を迎える弔問外交はプラスになる話だが、台湾に関しては、台湾を訪問したアメリカ議会下院のペロシ議長と会談し、中国の反発を受けたばかりである。加えて、ロシアが誰かを派遣してくる場合、どう対応するかも問われることになる。 つまり、安倍元首相の国葬は、保守層を食い止め、岸田外交をアピールする機会であると同時に、国内外で批判や反発を呼ぶリスクも高い催しなのだ』、「国葬」は「国内外で批判や反発を呼ぶリスクも高い催し」、なのにも拘らず、「岸田首相」があっさりと「国葬」を決めたのには驚かされた。
・『中国・習近平との亀裂は深刻化する  3つ目は中国が、台湾だけでなく日本も標的にし始めた点である。 中国が、ペロシ議長訪台に対抗して台湾を6カ所から取り囲み、大規模な軍事演習を実施したことは、海軍をはじめとする軍事力をアメリカに向けて誇示し、日本に対しても、EEZ(排他的経済水域)内に弾道ミサイルを撃ち込むことで、「尖閣諸島海域は中国のもの。台湾と一緒にいつでも制圧できる」と脅しをかけたことを意味している。 中国外交の特徴としては、やられたらやり返す「戦狼外交」が挙げられるが、まさに2倍返し、3倍返しで、その底力を台湾、アメリカ、そして日本に見せつけたわけだ。 中国国内では、ロシアと共同歩調をとる習近平総書記に対し、共産党の長老から「国益を考えればアメリカと協調すべき」との声もあったが、ペロシ議長の訪台は、そういう声に蓋をする契機ともなった。秋の共産党大会での総書記として3選が決まれば、さらに攻勢に出てくるのは明らかである。 こうした中、8月7日、防衛省に近い東京・市ヶ谷のホテルでは、日本戦略研究フォーラムが主催する台湾有事を想定したシミュレーションが実施された。元防衛相や元自衛隊幹部らが集まってのシミュレーションは、去年の同時期に続いてのものだ。ただ今年は、緊迫度が格段に増した。
・2027年8月、中国が実弾訓練を開始、尖閣諸島近くに200隻の漁船団が接近。 ・防衛省は、中国に先んじて自衛隊を尖閣諸島に上陸させる計画を準備。 ・しかし、9月7日、中国漁船団は尖閣諸島に上陸。9月13日には台湾をミサイルで攻撃するという「複合事態」に発展。 ・日本政府はひとまず「存立危機事態」と認定し、アメリカ軍に支援を求めるが、「台湾優先」の意思が示される。 このような想定で行われたシミュレーションはあくまでバーチャルなものだが、習近平総書記が3選されれば、リアルになる可能性は一段と高まる。 今年は、9月29日に日中国交正常化50年という節目を迎えるが、祝賀ムードどころか、岸田首相はいやがうえにも「動き出した巨大なトラ」と対峙しなければならなくなった。 防衛費の相当な増額を、アメリカをはじめ国際社会に公約した岸田首相が、どこまでの上積みを決断するか、アメリカなどと連携して中国の動きをどのように抑止していくのか、その覚悟も問われることになる』、さしあたりは年末の来年度予算編成で、「防衛費」をGDP比2%に出来るか否かが、注目される。

第三に、8月13日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「岸田新体制が始動「超重量級」人事でも不安募る訳 反主流を懐柔し、安倍派も手玉にとったが…」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/610878
・『8月10日夕、第2次岸田改造内閣が発足した。永田町での大方の予想を裏切る時期に行った岸田文雄首相の電撃人事。故安倍晋三元首相の「国葬」の是非に旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題が絡むなど、「党内調整は超難題」(自民幹部)とみられたが、結果的には岸田流人事のしたたかさが際立った。 「国難突破」を掲げて人事に臨んだ岸田首相は、党・内閣の骨格は維持しながら、党内反主流派の重鎮らの取り込みで挙党態勢を構築。注目の安倍派への対応も、同派幹部をバランスよく要職に配して不満を吸収し、各派幹部も多くが「合格点」と評価した。 安倍氏死去で党内の権力構図が一変する中、岸田首相は今回の人事で各派閥や実力者への配慮を重視。菅義偉前首相を旗頭とする党内反主流勢力を巧みに懐柔する一方、「主亡き安倍派」の内部対立を見透かした人事で、同派を手玉にとったからだ。 これにより当面、政権が窮地に陥る事態は回避され、与党内では「岸田首相が求心力を維持する」(公明幹部)との見方が広がる』、「安倍氏死去で党内の権力構図が一変する中、岸田首相は今回の人事で各派閥や実力者への配慮を重視。菅義偉前首相を旗頭とする党内反主流勢力を巧みに懐柔する一方、「主亡き安倍派」の内部対立を見透かした人事で、同派を手玉にとった」、なかなかの策士のようだ。
・『コロナ感染拡大、物価高騰、旧統一教会問題…  ただ、コロナ第7波の感染爆発は収まる気配がなく、物価高騰も含めた批判拡大もあって、各メディアが実施した緊急世論調査でも内閣支持率は政権発足後最低水準のまま増減が交錯する状況で、党内と国民の評価には乖離が際立つ。 しかも、これまでの国政選挙を通じた旧統一教会と自民党の“癒着”は「底なし沼の様相」(閣僚経験者)で、故安倍氏の関わりも絡んで、国民レベルでの「国葬」反対の声も大きい。 岸田首相は「国葬外交での大勝負」(側近)を狙うが、それに先立つ国会での閉会中審査などでの野党の集中攻撃を交わして、首尾よく9月27日の国葬にたどり着けるかどうかは、なお予断を許さない状況だ。 一部側近だけの極秘シナリオに沿った電撃改造人事は、経過や結果を検証すれば「練りに練ったしたたかで巧妙な岸田流が奏功」(自民長老)したといえる。 8月5日夕の臨時役員会・総務会で党役員人事の一任を取り付けで始まった党・内閣人事は、週末も含めた3日間の党内調整を経て9日夜にはすべての人事が固まり、10日夕には新体制発足という手際のよさだった。 岸田首相(自民党総裁)は、10日午前の自民臨時総務会で新執行部の人事を決めた。麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長と高木毅国会対策委員長を再任し、遠藤利明選挙対策委員長を総務会長に横すべりさせ、政調会長に萩生田光一経済産業相、選対委員長に森山裕総務会長代行を起用した』、「一部側近だけの極秘シナリオに沿った電撃改造人事は、経過や結果を検証すれば「練りに練ったしたたかで巧妙な岸田流が奏功」・・・したといえる」、なるほど。
・『党4役のうち3人は派閥領袖  人事のポイントとなったのは萩生田、森山両氏の党4役就任。萩生田氏は故安倍氏の最側近で岸田首相とも親しく、森山氏は菅義偉前首相や二階俊博元幹事長と盟友関係にある。しかも、萩生田氏以外の4役は派閥領袖で「超重量級の挙党態勢」(岸田派幹部)となった。 これを受けて発足した新内閣は、林芳正外相、鈴木俊一財務相、松野博一官房長官という「骨格」が留任する一方、19閣僚中14人が交代する大幅改造。ただ、重要閣僚とされる経済産業、厚生労働、防衛各相には経験者を配し、閣僚経験者の再入閣は5人。初入閣の9人は、ほとんどが各派の推薦リストを踏まえた「党内バランス優先の人事」(官邸筋)となった。 岸田首相は新内閣発足後の官邸記者会見で「有事に対応する『政策断行内閣』」とし、「経験と実力を兼ね備えた閣僚を起用した」と胸を張った。ただ、閣僚の顔ぶれをみると「目玉もなく、実務優先で地味だが、要所に岸田首相の意図がにじむ人事」(自民長老)となったことは間違いない。 それを象徴したのが、最も注目された「安倍派」への対応だった。 安倍派からの起用は留任も含め4人だったが、経済安保相の高市早苗、厚労相の加藤勝信両氏は「もともと故安倍氏の側近」として知られるだけに、「前内閣より手厚い配置」(岸田派幹部)ともみえる。 ただ、留任した松野氏は故安倍氏と距離があるとされ、「安倍派内の親安倍と反安倍を組み合わせた巧妙な人事」(同)でもある。 また、茂木派の加藤厚労相と麻生派の河野太郎デジタル相も、両派の派内事情を踏まえた起用とみられている。「茂木氏のライバルで本籍・安倍派」(茂木派幹部)といわれる加藤氏と、「菅前首相の最側近」(麻生派幹部)として知られる河野氏だけに、党内では「入閣させることで、派閥内での動きを封じる狙いがある」(自民長老)との見方も広がる』、「安倍派内の親安倍と反安倍を組み合わせた巧妙な人事」、「河野氏」を「入閣させることで、派閥内での動きを封じる狙い」、など、「岸田首相」は見かけによらず策士だ。
・『防衛相に無派閥の浜田靖一氏が起用された事情  さらに、年末に向けた政権の重要課題の1つとなる防衛費増強の担当閣僚に無派閥の浜田靖一氏を起用したことにも、岸田首相の意図がにじむ。当初は「今回総務相になった寺田稔氏の起用が有力」(岸田派幹部)だったが、「財務省出身の寺田氏では党内保守派が反発すると判断し、有力な防衛族の浜田氏起用でバランスを取った」(同)とされる。 他方、与党・公明党の斉藤鉄夫国土交通相の留任も自民党内に波紋を広げた。9月の公明党人事で退任が予定されていた山口那津男同党代表の続投説が強まる中、山口氏が要求したのが斉藤氏の留任だった。 自民党内では「有力な利権ポストを取り戻せ」(茂木派幹部)との声が多かっただけに、「岸田首相と山口氏の間で何らかの裏取引があったのでは」(同)との臆測も飛び交う。 ただ、岸田首相にとって、こうした「永田町特有の人事の駆け引き」(自民長老)以上に重要だったのが「“脱旧統一教会”という難題への対応」(官邸筋)だった。 岸田首相は旧統一教会との何らかの関わりが指摘された前内閣の7人の閣僚を外したが、留任させた山際大志郎経済再生相(コロナ担当兼務)も含め新たに7人の関わりが発覚し、野党からは「もはや自民党は、統一教会関係者排除では組閣ができないというずぶずぶの関係を証明した」(小池晃共産党書記長)と激しく攻撃されている。 これを受けて野党側は早期の臨時国会召集を求めており、その前段として9月上旬に想定される衆参両院での閉会中審査は「旧統一教会問題で大荒れになる」(立憲民主幹部)ことは確実だ』、「留任させた山際大志郎経済再生相(コロナ担当兼務)も含め新たに7人の関わりが発覚し、野党からは「もはや自民党は、統一教会関係者排除では組閣ができないというずぶずぶの関係を証明した」・・・と激しく攻撃」、「山際」の「旧統一教会との」かかわり発覚は余りにお粗末だ。
・『副大臣・政務官と旧統一教会の関わりにも注目  しかも、12日午後に実施された副大臣・政務官人事で登用された議員からも、合計10人(副大臣4、政務官6)が過去に何らかの「関わり」を持っていたことが判明し、改めて問題の根深さを浮き彫りにした。 ただ、ほとんどが自己申告に基づくもので、岸田首相は差し替え人事などは行わない方針。しかし、今後の調査などで本人の説明以上の「深い関わり」が発覚すれば、国民の不信が拡大し、さらなる内閣支持率の下落につながりることは確実だ。 各種世論調査をみても、国民の圧倒的多数が政府・与党の”脱・旧統一教会“を求めており、今後も事態が暗転するようなら、自民党が避けている「党による徹底調査と処分」に追い込まれる可能性も少なくない。 国際的にも「過去に例がないほど重要な外交イベント」(外務省幹部)となる「9・27国葬」まで、なお1カ月半もの時間が残っている。 「安倍氏の国葬と旧統一教会の関係での反対論やコロナ感染爆発の展開次第では延期の可能性もあり得る」(自民長老)だけに、電撃人事を成功させた岸田首相にとっても、「当分はおちおち休みもとれない追い詰められた状況」(同)が続くことは間違いない』、「国民の圧倒的多数が政府・与党の”脱・旧統一教会“を求めており、今後も事態が暗転するようなら、自民党が避けている「党による徹底調査と処分」に追い込まれる可能性も少なくない」、「追い込まれる」よりは、「党による徹底調査と処分」に積極的に打って出る方がいいのではなかろうか。
タグ:現代ビジネス キシダノミクス (その7)(岸田首相の「資産所得倍増プラン」 じつは日本からの「資金流出」リスクを抱えていた…!、ここにきて 岸田総理が直面する「三重苦」の正体…「何もしなかったツケ」がいよいよ回り始めた、岸田新体制が始動「超重量級」人事でも不安募る訳 反主流を懐柔し 安倍派も手玉にとったが…) 加谷 珪一氏による「岸田首相の「資産所得倍増プラン」、じつは日本からの「資金流出」リスクを抱えていた…!」 円安が進行しているが、最大の懸念はこうした「資金が日本ではなく海外に流出するキャピタルフライト」だ。 確かに「資金の多くが海外に向かった場合、円安と金利上昇(国債価格の下落)の引き金を引いてしまう可能性」は最大のリスクだ。 「あくまで先に来るのは成長期待であって資金シフトではないという本質を忘れてはならないだろう」、その通りだ。 清水 克彦氏による「ここにきて、岸田総理が直面する「三重苦」の正体…「何もしなかったツケ」がいよいよ回り始めた」 「人事は9月と見せかけ、奇襲攻撃をかけた」とは「岸田首相」もなかなかやるものだ。 「3つの壁」とは何なのだろう。 「公明党から早くも上がる「選挙区が増える東京などの一部は、うちの候補で統一してほしい」という要求にどう答えるか、その答えが出ない間は、岸田首相は「解散」という伝家の宝刀を抜けない」、確かに「伝家の宝刀を抜けない」というのは苦しいだろう。 「国葬」は「国内外で批判や反発を呼ぶリスクも高い催し」、なのにも拘らず、「岸田首相」があっさりと「国葬」を決めたのには驚かされた。 さしあたりは年末の来年度予算編成で、「防衛費」をGDP比2%に出来るか否かが、注目される。 東洋経済オンライン 泉 宏氏による「岸田新体制が始動「超重量級」人事でも不安募る訳 反主流を懐柔し、安倍派も手玉にとったが…」 「安倍氏死去で党内の権力構図が一変する中、岸田首相は今回の人事で各派閥や実力者への配慮を重視。菅義偉前首相を旗頭とする党内反主流勢力を巧みに懐柔する一方、「主亡き安倍派」の内部対立を見透かした人事で、同派を手玉にとった」、なかなかの策士のようだ。 「一部側近だけの極秘シナリオに沿った電撃改造人事は、経過や結果を検証すれば「練りに練ったしたたかで巧妙な岸田流が奏功」・・・したといえる」、なるほど。 「安倍派内の親安倍と反安倍を組み合わせた巧妙な人事」、「河野氏」を「入閣させることで、派閥内での動きを封じる狙い」、など、「岸田首相」は見かけによらず策士だ。 「留任させた山際大志郎経済再生相(コロナ担当兼務)も含め新たに7人の関わりが発覚し、野党からは「もはや自民党は、統一教会関係者排除では組閣ができないというずぶずぶの関係を証明した」・・・と激しく攻撃」、「山際」の「旧統一教会との」かかわり発覚は余りにお粗末だ。 「国民の圧倒的多数が政府・与党の”脱・旧統一教会“を求めており、今後も事態が暗転するようなら、自民党が避けている「党による徹底調査と処分」に追い込まれる可能性も少なくない」、「追い込まれる」よりは、「党による徹底調査と処分」に積極的に打って出る方がいいのではなかろうか。
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