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外国人労働者問題(その19)(ベトナム人技能実習生リンチ事件が「第二の徴用工問題」になりかねない不安、ベトナム人を食い物に…「コロナ禍での鎖国反対」の大合唱に透ける“本音”、時給400円、残業200時間超、賃金未払い…「労働法違反のデパート」と化した外国人技能実習制度の“悪夢のような実態”『外国人差別の現場』より #2、日本を去るアジアの若者たち…「豊か・安全・憧れ」が消えゆく日本の実態)

外国人労働者問題については、1月19日に取上げた。今日は、(その19)(ベトナム人技能実習生リンチ事件が「第二の徴用工問題」になりかねない不安、ベトナム人を食い物に…「コロナ禍での鎖国反対」の大合唱に透ける“本音”、時給400円、残業200時間超、賃金未払い…「労働法違反のデパート」と化した外国人技能実習制度の“悪夢のような実態”『外国人差別の現場』より #2、日本を去るアジアの若者たち…「豊か・安全・憧れ」が消えゆく日本の実態)である。

先ずは、1月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「ベトナム人技能実習生リンチ事件が「第二の徴用工問題」になりかねない不安」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/294472
・『技能実習生の被害は今後も減らない?暗い日本の未来  岡山市内の建設会社で働いていたベトナム人技能実習生が、職場で2年間にわたって暴行を受けていた事件が大きな波紋を呼んでいる。 国の外国人技能実習機構がこの会社や監理団体に改善を勧告し事実関係を調査しているが、その一方で義憤にかられた人々による“正義の制裁”も過熱してきている。 ネットやSNSでは、当該の建設会社を特定するまとめサイトが林立し、「日本の恥」「ゴミ企業」などと攻撃、まったく関係のない建設会社までが誹謗中傷にさらされている。 ただ、どんなにこの建設会社をボコボコに叩いて「見せしめ」にしたところで、今後も技能実習生がパワハラ、いじめ、過重労働の被害者となるケースは増えていくだろう。 ご存じのように、そもそもこの制度は、「日本人が嫌がる仕事は外国人にやらせてスカッと解決!」という明治時代から脈々と続く「労力の輸入」という日本の伝統的な人権意識が根っこにある。 そこに加えて、日本の政治は「最低賃金を上げたら景気が悪くなって日本はおしまいだ!」と主張する中小企業団体に選挙で世話になっているので、この先も当分、技能実習生が送り込まれているような企業の低賃金・重労働は改善されない。実際、厚生労働省が昨年8月に公表した調査によれば、技能実習生が働く8124事業所のうち70.8%で労働基準法や労働安全衛生法違反が見つかっている。 つまり、今回のような事件は、いつどこで再び起きてもおかしくないということなのだ。 ただ、そういう目先の話もさることながら、個人的にはこの問題が後世になって日本を不当に貶めるための材料に利用されて、我々の子どもたち、孫たちの世代にとんでもない迷惑をかけてしまうのではないかという懸念の方が強い』、「技能実習生が働く8124事業所のうち70.8%で労働基準法や労働安全衛生法違反が見つかっている」、「この問題が後世になって日本を不当に貶めるための材料に利用されて、我々の子どもたち、孫たちの世代にとんでもない迷惑をかけてしまうのではないかという懸念の方が強い」、その通りだ。
・『徴用工問題にそっくり、将来の「新たな歴史問題」になる  筆者は、安倍政権が「外国人材の活用」を掲げて、入管法改正案を閣議決定した時から、外国人労働者受け入れ拡大に強く反対してきた。理由としては、日本人労働者の賃金を上げないで、外国人労働者を増やすと、低賃金が固定化してしまうということ。そしてもうひとつ大きいのが、次の世代に「新たな歴史問題」を押し付けてしまう恐れがあるからだ。 具体的に言うと今、一部の企業がやっているベトナム人や中国人の労働者へのパワハラや暴行などが、「日本の人権侵害」として解釈され、高齢化した「元技能実習生」から謝罪や賠償を求められるのだ。 2018年11月、本連載の『外国人労働者の「輸入」が日本社会に100年の禍根を残す理由』の中でこのように指摘をさせていただいた。 <今回の「外国人労働者の受け入れ拡大」も「朝鮮人労働者」問題のリバイバルで、これから100年続く民族間の遺恨につながる可能性が極めて高いのだ> 実は100年前の日本でも、低賃金重労働で危険な仕事である炭鉱業などでは、若者から敬遠されて人手不足に陥るという「雇用のミスマッチ」に悩まされていた。そこで、政府はあくまで「試験的」という名目で、三菱、三井などの炭鉱に朝鮮人労働者の受け入れをスタートした。 もちろん、今の日本と同様で、「安易な外国人労働者の受け入れ」に反対する声も多くあった。 実際、読売新聞(1917年9月14日)などマスコミも「資本家の懐中を肥やすに過ぎざるなり」、「鮮人労働者を内地に輸入するは我内地の生活を朝鮮の生活と同一の水準に低下せしむるとなしとせず」とかなり否定的だった。 しかし、企業の成長のためには労働者の賃金をギリギリまで低くするというのが、日本の経営者の基本哲学なので、「国益のため」の大合唱で否定的な声もかき消され、「朝鮮人労働者」の受け入れは本格的にスタートする。低賃金重労働を成長のエンジンにしていた企業はウハウハで、国も潤った。 では、そこから100年を経てどうなったかというと、日本は「朝鮮人労働者」を強制的に連行して働かせたという汚名を着せられている。ご存じ、徴用工問題だ』、「次の世代に「新たな歴史問題」を押し付けてしまう恐れがあるからだ。 具体的に言うと今、一部の企業がやっているベトナム人や中国人の労働者へのパワハラや暴行などが、「日本の人権侵害」として解釈され、高齢化した「元技能実習生」から謝罪や賠償を求められるのだ」、「100年前の日本でも、低賃金重労働で危険な仕事である炭鉱業などでは、若者から敬遠されて人手不足に陥るという「雇用のミスマッチ」に悩まされていた。そこで、政府はあくまで「試験的」という名目で、三菱、三井などの炭鉱に朝鮮人労働者の受け入れをスタートした」、「100年を経てどうなったかというと、日本は「朝鮮人労働者」を強制的に連行して働かせたという汚名を着せられている。ご存じ、徴用工問題だ」、確かに「技能実習生」制度は「徴用工問題」と重なる部分が大きいようだ。
・『中国やベトナムのナショナリズム教育に活用される  筆者は技能実習生をはじめとした、「外国人労働者問題」は、そう遠くない未来、徴用工問題と同じような国家間のトラブルを引き起こすと予測している。 もちろん、愛国心あふれる方たちからすれば、徴用工問題など「韓国の反日デマ」という考え方だろう。 「当時は朝鮮も日本の植民地だったのだから一般の日本国民として扱われていただけだ」とか「自分たちの意志で進んで日本にやってきたくせに被害者ヅラするとはけしからん」とかいろいろと言いたいことがあるだろう。が、個々の労働者が、日本の企業で働いていた事実は残念ながら覆しようがない。また、もしそこで劣悪な待遇や暴行などを受けていたとしたら、法的な責任はすでに解決済だとしても、あちらの国民感情として「はい、そうですか」とはならない。 禍根はいつまでもブスブスとくすぶり続ける。なぜかというと、「教育」によって国辱への怒りが再生産されるからだ。 韓国や中国の若者たちが「反日教育」を受けていたり、アメリカが真珠湾攻撃を熱心に子どもに教えることからもわかるように、国家というのは未来を担う子どもたちの愛国心を養うため、国民が屈辱的な仕打ちを受けた負の歴史を教え込む。中国だからとか、韓国だからとかではなく、国家教育とはそういうものなのだ。 それを踏まえれば、今の「日本でいじめ抜かれる外国人労働者」という問題は、近い将来、中国やベトナムのナショナリズム教育に活用されていく可能性が高い。例えば、筆者にはこんな未来のリスクシナリオが頭によぎっている』、「国家というのは未来を担う子どもたちの愛国心を養うため、国民が屈辱的な仕打ちを受けた負の歴史を教え込む。中国だからとか、韓国だからとかではなく、国家教育とはそういうものなのだ。 それを踏まえれば、今の「日本でいじめ抜かれる外国人労働者」という問題は、近い将来、中国やベトナムのナショナリズム教育に活用されていく可能性が高い」、同感である。
・『2050年のベトナム、子どもたちと教師の会話  2050年、ベトナム・ホーチミン市内のある小学校で歴史の授業が行われていた。 「さて、まずは前回のおさらいです。新型コロナウィルスの世界的流行前、ベトナムの海外派遣労働者が最も多く向かっていた国はどこでしょうか?」 教壇に立っている教師がそのように問いかけると、子どもたちは元気よく「日本です!」と答えた。 「そうだね。2019年のベトナム人の海外派遣労働者数は14万7387人で国の目標値を大きく超えていました。その中でも特にこの数字を牽引したのが8万2人の労働者が派遣された日本です。これは当時、日本が新しい在留資格を創設して、ベトナム人労働者に来てくださいと呼びかけたからですね」 そのように説明を終えると、教師は神妙な顔となった。 「しかし、一方でこの時代の日本では、私たちベトナム人にとって決して忘れることができない深刻な人権侵害が増えていきます。みなさん手元のタブレットで映像を見てください。ちょっと刺激が強いですが、これは当時、日本でもテレビなどで大きく報道されました」 子どもたちがタブレットを起動すると、トラックの荷台で作業をしている男性が、ホウキで執拗に叩かれている映像が流れた。次の映像を再生すると今度は、ベトナム人女性がインタビューに応えていた。早朝から午後10時過ぎまで働き、寝泊まりするのは二段ベッドが詰め込まれた窓のない部屋で、洗濯する暇もなく、雨が続くと、濡れた服を着たまま作業をするという女性はこう述べた。  「家畜扱いされて一日中叱られています」 静まり返った教室には「ひどい…」というつぶやきが漏れて、同情から女生徒のすすり泣く声も聞こえる。その様子を見渡して、教師が静かに語り始める 「19年には日本の劣悪な労働環境から8796人の外国人労働者が失踪していて、そのうちの6105人はベトナム人です。日本で心身を痛めつけられて帰国した労働者の中には、いまだに心の傷を抱えており、社会復帰ができていない人も多くいます。しかし、日本側はこの問題の責任はないと主張しています」 1人の男子が勢いよく立ち上がって、「ふざけんな!自分たちで来てくださいって呼んだんだろ!」と叫ぶ。子どもたちも頷くが、教師は力なく首を振る。 「人権侵害をしたのは会社であって国ではないと説明しています。当時の責任を追及しようにも、ベトナム人を暴行していた会社の多くは潰れていて、同僚も経営者もどこにいるのかわかりません。しかも、日本国民の多くも、当時の技能実習生が被害を訴えるのは金目てだと取り合ってくれません。泣き寝入りするしかないのが現状です」 こんな教育が、ベトナム中の教育現場で続けられたことで2050年現在、同国の「反日感情」は中国や韓国を上回るほど強いものとなってしまった』、「2050年のベトナム」の仮想シナリオは説得力があり、身につまされる。
・『将来の経済大国・ベトナムとの「歴史戦」で日本は負ける  「おいおい、なんだよ、この妄想ドラマ」と冷笑している方も多いかもしれない。「ベトナムは親日国なんだから、こんなバカな反日デマに踊らされるわけがない」と考える人もいるかもしれない。 ただ、それは現在の感覚で見ているからだ。今、ベトナムは経済成長も著しく、中国にとって代わって「世界の工場」となってきている。2050年には最も経済発展を遂げた国のひとつとなっている、という予測レポートも多くある。 つまり、2050年のベトナムは現在のように、日本に出稼ぎなどしなくていいほどの経済大国になっている可能性が高いのだ。 経済が急激に成長をした国で、急激にナショナリズムが強まるというのはお隣の中国を見ても明らかだ。では、ベトナムでも同じ現象が起きた時、かの国の若者たちが、自分たちの親世代が、日本で受けたひどい仕打ちを教育されたらどうなるのか。 中国や韓国ではおなじみの、「反日ムード」が高まるのではないか。政府も国民の不満が為政者に向かないようにさせる「ガス抜き」や、日本政府との交渉で優位な立場が取れるような「外交カード」として利用していくようになるのではないか。 よくこの手の話になると、「技能実習生にひどい扱いをしているのはほんのひと握りで、ほとんどの企業では大切に扱っている」とか「オレの知っている会社で働く外国人と社長は親子みたいに仲がいい」とかいう反論が出てくるが、国際的な情報戦でそういう話はほとんど役に立たない。 わかりやすいのが、「旧日本軍の蛮行」だ。日本軍は当時の世界の軍隊の中でも非常に統率が取れていた。戦争のどさくさに紛れて行う略奪や強姦などはほとんどなかった。侵攻していた中国でも、規律のある日本軍は信頼されていた。筆者も実際に当時、大陸に行った元陸軍の人たちから、村をあげて歓待されたとか、「うちの娘を嫁にもらってくれ」と迫られなんて話をよく聞いた。 一方で連合国の捕虜をたくさん殺したのも事実だ。日本軍では「投降して生き恥をさらすなら死ね」という教育が当たり前だったし、大陸の奥深くまで侵攻したことで、物資もなければ食料も満足に補給できなかった。敵国の兵士が白旗をあげて投降しても捕虜として収容するだけの能力がそもそもなかったので、現場判断でどんどん処刑していた。それと同じ理由で、怪しい民間人も多く殺してしまった。これは捏造でもなんでもなく、さまざまな資料・証言で裏付けされている。 つまり、「外国人の被害者」が多くいるのだ。だから、敗戦国の日本がどんなに当時の日本軍は立派な組織だと主張しても、個々の人間に悪意がないと反論しても、国際社会では「蛮行」が後世に伝えられて、歴史の中で定着してしまう。 日本軍の戦争犯罪、従軍慰安婦、徴用工問題など、戦後の日本人はこういう「歴史戦」で負け続けてきた。 「確かに悪いことをする人間もいたかもしれないが、組織的ぐるみで命令したわけではない」なんて言って、個人の責任にすれば切り抜けられると思ったが、ことごとく失敗している。 今のままでは「技能実習生問題」も同じ道をたどる。子どもや孫世代にこれ以上、迷惑をかけないよう、愚かな政策はこの世代で打ち止めにすべきだ』、「「外国人の被害者」が多くいるのだ。だから、敗戦国の日本がどんなに当時の日本軍は立派な組織だと主張しても、個々の人間に悪意がないと反論しても、国際社会では「蛮行」が後世に伝えられて、歴史の中で定着してしまう。 日本軍の戦争犯罪、従軍慰安婦、徴用工問題など、戦後の日本人はこういう「歴史戦」で負け続けてきた」、「今のままでは「技能実習生問題」も同じ道をたどる。子どもや孫世代にこれ以上、迷惑をかけないよう、愚かな政策はこの世代で打ち止めにすべきだ」、同感である。

次に、4月5日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの出井康博氏による「ベトナム人を食い物に…「コロナ禍での鎖国反対」の大合唱に透ける“本音”」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/303429
・『新型コロナウイルスの水際対策が先月1日から緩和されて、外国人の技能実習生や留学生の来日が本格化している。そこで息を吹き返すのが、外国人の受け入れで利得を得る連中だ。国籍別の技能実習生で最多のベトナム人を食い物にする利権の構造に迫る──。 「隔離先のホテルは、ベトナム人の実習生や留学生であふれ返っていました。チェックイン前、コロナ関係の書類を書かされていた時も、周りから聞こえてくるのはベトナム語ばかり。まるで、ハノイかホーチミンにいるみたいでした」 そう話すのは、3月下旬に帰省先のベトナムから日本へ戻ってきたグエンさん(女性・30代)だ。 ベトナム人の夫と一緒に東京で会社を経営しているグエンさんは、ベトナムの旧正月「テト」を挟んで約2カ月を故郷で過ごしていた。そして日本に再入国後、新型コロナ「水際対策」で、東京都内のホテルに3日間隔離されることになった。 「ハノイの空港でも日本へ行くベトナム人が長い列をつくっていた。ああ、また出稼ぎラッシュが再開するんだな、って実感しました」) 政府は3月初めから水際対策を緩和し日本人を含めた1日当たりの入国者の上限を3500人から5000人へと引き上げた。在留資格を取得している外国人の新規入国も認められるようになった。3月14日以降は7000人となり、4月10日からは1万人へとさらに増やされる。 在留資格を得ながら入国できず待機中の外国人は、今年初め時点で41万人に上っていた。資格別で最も多いのが留学生の15万人、続いて実習生の13万人で、合わせると全体の7割を占める。今後、彼らが続々と入国してくるのだ。 国籍別の数は明らかになっていないが、参考になるデータがある。新型コロナの感染が収束しかけた2020年11月から翌21年1月にかけ、今回と同様の入国制限緩和措置が取られた際のものだ。 同措置では13万人の外国人が入国したが、やはり留学生と実習生で7割に上った。そして国別で断トツだったのが、ベトナム人の5万人である。このデータを当てはめると、入国待機中の外国人41万のうち、15万~16万人はベトナム人と推定される。) 外国人の新規入国が止まっていた頃、産業界や学校業界、また新聞・テレビでも、「鎖国をやめろ!」との大合唱が起きていた。 「諸外国は外国人を入れ始めている。日本だけが鎖国を続けていれば、グローバル化から取り残されてしまう」 そんな主張がメディアにはあふれていた。 筆者も「鎖国」を続けるべきだとは思わない。ただし、“本音”を隠しての「鎖国反対論」には強い違和感を覚える』、「在留資格を得ながら入国できず待機中の外国人は、今年初め時点で41万人に上っていた。資格別で最も多いのが留学生の15万人、続いて実習生の13万人で、合わせると全体の7割を占める。今後、彼らが続々と入国してくるのだ」、そんなに入ってくるとは大変だ。「「“本音”を隠しての「鎖国反対論」には強い違和感を覚える」、その通りだ。
・『出稼ぎ労働者の受け入れ再開を望む産業界  実習生は日本人の嫌がる仕事を低賃金で担う出稼ぎ労働者だ。留学生にも出稼ぎ目的の外国人が多数含まれる。つまり今回の水際対策緩和も前回と同様、目的は出稼ぎ労働者の受け入れなのだ。 その最大のターゲットが「ベトナム人」だ。彼らの受け入れ再開には、さまざまな業界の利権が絡み合う。国民に“本音”を明かしてはマズい事情が存在するのである。(つづく)』、いずれにしても、私も第一の記事の著者の「窪田」氏と同じく「技能実習生や留学生」制度には反対だ。

第三に、7月15日付け文春オンライン「時給400円、残業200時間超、賃金未払い…「労働法違反のデパート」と化した外国人技能実習制度の“悪夢のような実態”『外国人差別の現場』より #2」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/55776
・『近年、日本の難民認定率は1%にも満たない。ロシアの軍事侵攻によってウクライナから避難してきた人々に対しては、入国要件を緩和しているが、ウクライナ侵攻以前の日本政府は、戦争・紛争から逃れてきた人々や外国人に対して“冷淡”だったのだ——。 ここでは、日本政府の外国人政策の闇を暴いた『外国人差別の現場』(朝日新聞出版)から一部を抜粋。ジャーナリストの安田浩一氏が取材した、搾取と差別に苦しむ外国人労働者たちの実態を紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)』、興味深そうだ。
・『「労働法違反のデパート」  携帯電話が鳴りやまない。通話が終わったかと思うと、10分も経たずに着信音が響く。そのたびに甄凱さん(ケンカイ、63)は「ごめん」と軽く詫びてから私との話を中断させる。電話の相手は各地の労働組合や外国人支援団体、弁護士、記者、会社経営者、そして外国人技能実習生たちだ。 時に“利権”を守るのに必死なヤクザから、恫喝口調の電話が入ることもある。甄凱さんは日本語と早口の北京語を使い分け、それぞれの相談や訴え、脅しにも耳を傾ける。 変わらないなあと思う。20年前に知り合った時から、甄凱さんはずっとこんな感じだ。追われているのか、追っているのか。顔の見えない相手に頭を下げたり、怒鳴ってみたり。とにかく忙しい。 「変わらないのは実習制度も同じですよ」と甄凱さん。 「あらゆる人権無視が横行している。実習制度の本質的な部分は、ずっと変わっていないですよ」 そう話しているうちに、また電話がかかってくるのだ。 賃金の未払いがある、残業代を支払ってもらえない、社長のパワハラ、セクハラに耐えられない、休日をもらえない、労災を認めてくれない、社長に抗議したら国に帰れと言われた——そうした労働現場からの相談が次々と持ち込まれる。 「実習制度は労働法違反のデパートみたいなものです」 甄凱さんは吐き捨てるように言った』、「実習制度は労働法違反のデパートみたいなものです」とは言い得て妙だ。
・『外国人技能実習生の労働問題の実態  実際、全国の労働基準監督署による立ち入り調査(2021年発表)でも、実習生を受け入れる事業所の約7割で労働基準関係法令の違反が確認されている。また、同年に発表された賃金構造基本統計調査では、実習生の賃金水準が日本人を含む同年代の労働者全体の約6割にとどまっていることも判明した。 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)は実習生の報酬を「日本人と同等以上」と定めているが、遵守されている形跡はない。 「企業からすれば、実習生を日本人と同待遇にするのであれば、そもそも実習制度を利用する意味もなくなりますからね」 甄凱さんの指摘は、まさに問題の本質を突いたものでもある』、「(技能実習法)は実習生の報酬を「日本人と同等以上」と定めているが、遵守されている形跡はない。 「企業からすれば、実習生を日本人と同待遇にするのであれば、そもそも実習制度を利用する意味もなくなりますからね」、その通りだ。「技能実習法」の規定は空文化している。
・『甄凱さんが実習生の労働問題に関わるようになった理由  初めて会った時、甄凱さんは埼玉県内で中華料理店を経営していた。大きな鍋を器用に動かす姿をいまでも覚えている。 1986年に中国・北京から留学生として来日した。東京都内の大学で法律を学んだ後、大手アパレルメーカー、貿易商社などに勤務。その後に中華料理店を経営するようになったのだが、実習生の労働問題に関わるようになったのは同時期である。21世紀を迎えたばかりの頃だった。 たまたま店に食事に来ていた中国人実習生から悲惨な労働実態を聞いた。時給は地域ごとに定められた最低賃金(最賃)の半分以下、休みもほとんどない長時間労働。強制帰国をちらつかせながら、社長は実習生を人間扱いしないという。 義憤にかられた甄凱さんは、実習生の勤務先に乗り込んで社長と直談判、違法な労働環境を改善させた。以来、口コミで彼の名が実習生の間に知れ渡り、当事者だけでなく、労働組合や外国人支援団体からも、通訳兼交渉人としての応援を求められる機会が増えた。 私もまた実習生問題の取材に取り組み始めたばかりの頃で、取材先で知り合った彼について回った。後に帰国した実習生を追いかけて中国国内を幾度か訪ねた際も、その多くに同行をお願いした。 現在、甄凱さんは中華料理店をたたみ、岐阜一般労働組合の外国人労働者担当専従職員として活動し、行き場を失くした外国人のシェルターも運営している。 甄凱さんの活動は、これまでにも多くのメディアが報じてきた。例えば2017年、時給400円という低賃金で働かされていた縫製工場の実習生たちが、甄凱さんの声掛けで労組を結成し、発注元の大手アパレル会社に押しかけた時などは、テレビ、新聞などの大手メディアがこぞってこの話題を追いかけた。ある民放キー局はこの1件でドキュメンタリー番組までつくっている。 あまりに反響が大きかったこともあり、発注元のアパレル会社が〈製造現場について更なる関心を払い、弊社の商品がそのような環境下で製造されることがないように努力をして参る所存です〉と謝罪声明を発表するなど、異例ともいうべき解決を果たしたこともあった』、「現在、甄凱さんは中華料理店をたたみ、岐阜一般労働組合の外国人労働者担当専従職員として活動し、行き場を失くした外国人のシェルターも運営している」、「岐阜一般労働組合の外国人労働者担当専従職員」、とはボランティア的色彩が濃そうだ。どこかから資金援助してもらっているのだろう。
・『甄凱さんが繰り返し訴える実習生問題の核心とは  「実習生問題の核心は日本の産業構造そのものにある」 甄凱さんは繰り返し、そう訴えている。 不況業種がこぞって実習生を雇用するのは人件費負担と人手不足に悩んでいるからだ。外国人ならば低賃金でも構わないのだと、経営者たちは開き直る。そこにはアジア人労働者に対する差別意識もあるだろう。一方、発注主の大企業は、末端の工場で誰がどんな働き方を強いられていようが気にも留めない。問題が起きれば、労働者ごと切り捨てればよいのだ。 華やかなファッション業界も、最先端を謳う自動車、家電メーカーも、実直な「ものづくり」を連想させる建設業界や農林水産業も、いまや実習生をはじめとする外国人の労働力なくしては成り立たないのに、まるで初めからそれが存在していないかのように、とりすました表情を崩さない。 そして——私たち消費者は実習生がつくった服を「さすが国産品は丈夫」だと喜んで身に着け、実習生がつくった野菜や果物を「国産は安全」だとして口の中に放り込む。 こうした「外国人産の国産」が私たちの生活を支えているにもかかわらず、私たちは「つくり手」の顔も苦痛で歪んだ表情も想像することなく、今日という日常を生きる』、「華やかなファッション業界も、最先端を謳う自動車、家電メーカーも、実直な「ものづくり」を連想させる建設業界や農林水産業も、いまや実習生をはじめとする外国人の労働力なくしては成り立たないのに、まるで初めからそれが存在していないかのように、とりすました表情を崩さない。 そして——私たち消費者は実習生がつくった服を「さすが国産品は丈夫」だと喜んで身に着け、実習生がつくった野菜や果物を「国産は安全」だとして口の中に放り込む。 こうした「外国人産の国産」が私たちの生活を支えているにもかかわらず、私たちは「つくり手」の顔も苦痛で歪んだ表情も想像することなく、今日という日常を生きる」、恐ろしい虚構だ。
・『時給400円の縫製工場  こうしたことを自覚するためにも、私は定期的に岐阜県内のシェルターを訪ね、甄凱さんに実習職場の現状を聞くと同時に、実習生本人とも面談を重ねている。 この日(2022年3月)、シェルターには中国人、カンボジア人、ベトナム人など15名の外国人が保護されていた。全員が技能実習制度で来日した実習生だ。当然ながらそれぞれが「理由」を抱えて実習先企業から逃げてきた人々でもある。 例えば中国江蘇省出身の女性(45)。1年ほど前まで大手ファッションブランドの下請け縫製工場で働いていた。時給は400円。地域最賃を大きく下回る違法な賃金だ。さらに運の悪いことに突然、会社が倒産してしまった。未払い賃金の支払いを求めても「倒産して資力がない」ことを理由に拒まれる。 また、こうした場合は例外的に監理団体(実習生を国外から受け入れ、企業に振り分け、その後の監督・管理も担当する団体)の斡旋で他企業への転職が可能となるのだが、倒産から1年が経過しても彼女に新しい職場が提供されないままだ。 仕方なくシェルターで生活しながら、監理団体との交渉を重ねる甄凱さんからの報告を待つだけの毎日である。 「疲れた」と彼女は私に漏らした。 すでにシェルター生活も半年を超えた。中国へ帰ることも考えていないわけではない。だが、ここで帰国すれば、シェルターで過ごした時間が無駄になる。いや、そもそも日本に来たことじたいが間違いではなかったのか。そう思うと眠ることのできない夜もあるという。 日本へ遊びに来たわけではないのだ。しっかり稼いで、待っている家族を喜ばせたい。その思いだけを抱えて働いてきた。だが、待ち受けていたのは低賃金労働、そして会社の倒産である。しかも経営者も監理団体も、その責任を果たそうとしない』、「待ち受けていたのは低賃金労働、そして会社の倒産である。しかも経営者も監理団体も、その責任を果たそうとしない」、セーフティネットが全くないなど、制度的な欠陥だ。
・『日本に失望する外国人実習生たちの声  「日本がそんな国だと思わなかった。失望した」 これまで取材先で繰り返し聞かされてきた言葉を、この日も私は耳にすることとなる。 「ずっと日本人は誠実な人ばかりだと思っていた」 そう続けたのは、別の中国人の女性実習生(43)だ。 「もともと日本に憧れていました。少なくとも私の周囲では、日本を悪く言う人はいなかった」 豊かな国。清潔な国。法律が整った国。人々は穏やかで親切で、真面目な人ばかり。中国人に向けられることの多い「反日」なる陳腐なレッテルとは遠いところで彼女は日本を見ていた。 だが、就労先の縫製工場で「日本のイメージが覆された」。 時給400円。しかも朝7時から夜10時まで、ほぼ休みなく働かされた。残業に関しては時給制ではなく出来高制。何もかも当初の約束と違っていた。そのうち、会社に労働基準監督署の立ち入り調査が入り、労基法違反が指摘された。労基署は是正勧告を出したが、その直後、会社は破産を申し立て、実習生は待遇改善されることなく放り出されてしまった。最低賃金法に照らし合わせた未払い賃金は約320万円にものぼる。 「これ、見てください」 彼女が私に差し出したのは、その名を知らぬ者などいないであろうアイドルグループの写真だった。ファンなのかと私が問うと、彼女は首を横に振った。 「この人たちが着ている服、私たちがつくったんです」 縫製工場は大手アパレルから依頼され、芸能人のステージ衣装の縫製を請け負っていた。 写真の中で、アイドルは優しく微笑んでいた。身に着けている衣装が、時給400円の実習生たちによって縫製されたものだと考えたこともないだろう。それは私たちも同じだ。 私たちはつくり手の顔など想像しない。 縫製工場の社長は破産を理由に交渉から逃げ回り、行くあてのない彼女はシェルターで解決の日を待つばかりである。 夢だった日本は、いま、彼女にとって悪夢でしかない。 このシェルターで、私は少し前にカンボジア人女性の実習生(33)にも話を聞いている。印象に残っているのは、彼女が「富士山を見たい」と何度も口にしたことだった。 彼女にとって富士山とは、日本そのものだった。 「カンボジアにいた頃、テレビやネットの写真で何度も見た。あの美しい山のある国で働くことができると思っただけで気持ちが弾んだ」 日本に行けば必ず目にすることのできるものだと思っていた。だが、岐阜県内の工場で働くことになった彼女は結局、富士山を1度も目にすることなくシェルターで鬱屈した毎日を過ごしていた』、こんな不正義が許されるのでは、まともな法治国家とはいえない。
・『日本人と同等の給与が保証されると聞かされていたが……  なぜ、職場から逃げてきたのですか? そう訊ねる私に、彼女はその時ばかりは通訳を介さず、たどたどしい日本語でこう答えた。 「仕事、たくさん。お金、少し」 地元のブローカーに6千ドルの手数料を支払って実習生となった。高度な技術を学び、日本人と同等の給与が保証される——カンボジアでは、ブローカーからそう聞かされていた。しかも行き先は「富士山の国」だ。 だが、「日本」は彼女の期待も希望も裏切った。富士山は遠かった。 彼女が働いた縫製工場の仕事は朝の8時半から始まる。ミシンを踏む。アイロンをかける。 完成品を収めた段ボール箱を積み上げていく。それが「高度な技術」なのかといった疑問は、すぐに消えた。いや、休むひまもなく働き続けているうちに、考える余裕がなくなった。 仕事を終えるのは深夜になってから。時に明け方近くまで働いた。毎月の残業は200時間を超えた。基本給は月額6万円。残業の時間給は1年目が300円、2年目が400円、3年目にしてようやく500円。しかも毎月の給与から4万円を強制的に預金させられた。通帳は経営者が預かったままで、自身が管理することはできない。 「このまま働き続けては倒れてしまうと思った。もう限界だった」 手荷物だけを持ってシェルターに身を寄せたのである。 それぞれが、それぞれの夢を抱えて日本に渡る。そして少なくない者たちが失望し、落胆し、小さな憎悪を生み出していく。いつまで経っても「豊かさ」にたどり着けない。もちろん富士山にも。 「だから、こうした制度はやめたほうがいいんですよ」と甄凱さんは言う。 「違法が常態化した制度は、たぶん誰も幸せにしない。経営者だって綱渡りしているだけで、いつかは破綻するのですから」 いま、日本各地で働いている実習生は約40 万人。低賃金重労働で、生産業を支えているのだ。 何度でも繰り返す。そんな実習生と、私たちはどこかでつながっている。いや、私たちは“利用”している』、やはりこんなに欠陥がある「実習生制度や留学制度」は廃止すべきだ。

第四に、7月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「日本を去るアジアの若者たち…「豊か・安全・憧れ」が消えゆく日本の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/306793
・『日本はお金も稼げるし、安心で安全な国。いつかそんな日本で働きたい――少し前まで、それがアジアの若者たちに共通する願望だった。しかし、“日本の魅力”に注目が集まったのも今は昔。聞こえてくるのは「日本、大丈夫か」と案じる声だ。日本に住むアジア人に、私たちの国はどう映っているのか』、興味深そうだ。
・『日本に行けば死んでしまうのか  「かつてベトナムでは、日本のネガティブなニュースなど見たことも聞いたこともありませんでした。3.11のときは、震災で被災しながらも配給の列に並ぶ日本人がいることを知り感動したものです」と、ベトナム出身のバン・タイさん(仮名)さんは話す。 東日本大震災(2011年3月11日)で思い起こすのが、東京電力福島第一原子力発電所の事故だ。ある労働団体の資料によると、福島第一原発の事故以来、作業員の中に放射線被ばくによる白血病や甲状腺がん、肺がんの発症者が複数人確認されているという。 だが、アジアからの技能実習生さえもこうしたリスクと無縁ではない。2018年、技能実習生として来日したベトナム人男性が、除染作業に従事していたことが大手メディアの報道で明らかになったのである。 「近年、ベトナム人の間では、『日本に行けば死んでしまうのではないか』というイメージさえ持たれるようになった」とバン・タイさんはいう。 除染作業は命の危険と背中合わせの過酷な労働だが、製造業やサービス業でも、借金を背負いながらの過酷な実態が数々報じられている。“失踪する技能実習生”の背後にあるのは劣悪な労働環境だが、「外国人技能実習制度」では外国人は自由な転職ができない。一部の技能実習生は命からがら逃げ出すが、逃亡しても結果として不法残留となり、犯罪に手を染めながら食いつなぐのが現実だ。 50年近くにわたって日本で生活する古参のベトナム人アウ・ダットさん(仮名)は、「ベトナムの友人から『娘が日本で勉強したいと言っている』と相談を受けたが、即座に『日本には来ないほうがいい』と伝えた」という。 1970年代以降、来日するベトナム人が増え、今では43万人(2021年12月末時点、出入国在留管理庁)のコミュニティーを形成している。だが、「その一方で社会に取り残された人も多く、犯罪組織を肥大化させています。ベトナム人コミュニティーには根深い問題があり、初期の時点でもう少し日本政府が親身になってくれていたら、と悔やまれます」とアウ・ダットさんは語る』、「技能実習生として来日したベトナム人男性が、除染作業に従事していたことが大手メディアの報道で明らかになった」、法務省も関与している「技能実習生」制度で、どうしてこんなことが起きるのか理解できない。
・『日本語はつぶしが利かない言語?  「日本語が少しも上達しない。3年間を無駄にした」――。埼玉県のある日本語学校でベトナム人留学生グエン・フォン君(仮名)がこうぼやいた。グエン君を受け持つ日本語教師は「ベトナム人は他の国籍の留学生に比べて数が多い。ベトナム人同士のコミュニティーへの依存は、日本語が上達しない原因の一つ」だと話す。 グエン君にも、それなりの言い分があった。日本語を学ぶメリットをよくよく考えると、「結局、日本語を学んでも日本人との間でしか使えない」と、あきらめムードになってしまうのだという。 その日本人とのコミュニケーションも、どうも積極的になれない。日本人の輪の中に入ろうとしても、話題や興味が一致しなかったりすることが多い。「日本人の雑談にはついていけず、自分はごまかしてただ笑っているだけ」――グエン君にかかわらず、孤独に陥る外国人は多い。 日本語は「つぶしが利かない言語」だという声もある。ベトナムから中国や韓国に渡り仕事をする人もいるが、中国語や韓国語をマスターした方が、ベトナムでの再就職にも生かすことができるというのだ。 ベトナムへの投資金額(2021年)を見ると、首位はシンガポール、2位は韓国だった。2021年、日本は金額で3位だったが、2022年上半期は5位に落ちた。前出のバン・タイさんは「他のアジア企業に比べて、ベトナムにおける日本企業は産業のすそ野を広げておらず、雇用の機会が多いとは感じられません」と語っている』、「日本語は「つぶしが利かない言語」だという声もある。ベトナムから中国や韓国に渡り仕事をする人もいるが、中国語や韓国語をマスターした方が、ベトナムでの再就職にも生かすことができる」、その通りだ。
・『英語が通じない日本、一方台湾は…  バン・タイさんは、実際に自分の手でロボットを作りたいという夢がある。そのために日本の大学にも留学したが、道をはばむのは日本語だ。 「専門書を手にしても、日本語の表現が難解で、日本語での情報収集に壁を感じています」と話すが、彼がもし英語を学んでいたら、すでに彼のロボットは完成していただろうか。 バングラデシュ出身のムバラク・アリさん(仮名)は、1970年代に留学生として来日したが、修士課程ですら英語で学位を取得できないという状況に困惑した経験がある。今でこそ、英語での学位取得が可能な大学も出てきて、アリさんも「日本もだいぶ国際化が進んだ」と受け止めている。それでも、今なお来日するバングラデシュ人はあることに驚くという。 「それは『先進国なのに英語が通じない』ということです。バングラデシュ人は『日本はG7にも加わる先進国だから、当然英語が通じる』と思い込んで来日しますが、特別な場所を除いて通じないため意外に思ってしまうのです」(同) 「日本は島国だから仕方がない」とも思う。だが、台湾に目を向ければ、なぜかグローバル人材が多い。台湾は教育熱心な家庭が多く、ごく普通の家庭でも自分の子どもを積極的に海外留学させているのだ。欧米留学ともなれば高額な留学費用が必要だが、台北出身の林慧文さん(仮名)によると、「台湾では大家族になることで、費用を捻出する風潮があります」という。 「台湾人は次世代育成をとても大切にしており、欧米留学の費用は率先して祖父母が負担する傾向が強い。もし祖父母にお金がない場合は、三世代が同居することで留学費用を捻出します」(同) 一方で、中国・大連出身の張玉さん(仮名)が、日本で生活して強く感じたのは、日本の家族関係の希薄さだった。最近は、特に育児の放棄や子どもの虐待など耳をふさぎたくなるニュースが多い。張さんは「日本では、社会の最小単位である家族を維持することすら難しい。私たちが想像する以上に、日本では貧困が進んでいるのではないでしょうか」と案じている。 安倍晋三元首相の銃撃事件は、都内の中国人の間でも衝撃が走り、一部の中国人留学生は「日本といえば“安心・安全な国”だったはず」とショックを受けていた。他方、以前に起きた新幹線や京王線車内での無差別殺傷事件を知る留学生の中には「中国では地下鉄や高速鉄道の乗車時には手荷物検査を行っている」と、祖国でのテロ防止の徹底ぶりを再評価する者もいた』、「英語が通じない日本」、「“安心・安全な国”」も怪しくなってきて、魅力は大幅に低下したようだ。
・『「日本人女性からは敬遠される」生涯通じて住めない  インド出身のディネッシュ・チャブラさん(仮名)は、日本の有名企業M社に就職した。超エリートの彼が2019年にM社を辞めた理由は、「女性の友人ができない」というものだった。意外な理由だが、これは結婚適齢期にある人にとっては大変切実な問題である。 「最終的にはマッチングアプリを使いましたが、対象となるインド人女性は多くはない上、日本人女性からは敬遠されました。いつも女性に人気の英国人の親友がうらやましかったくらいです。残念ながら、日本では将来のパートナーになり得る人は見つかりませんでした」 チャブラさんが今生活しているのは、ドイツのベルリンだ。社内には中国人やマレーシア人もいる。こうした異なる国籍を持つ同僚たちと、互いの文化を紹介しあう雑談のひとときがとても楽しいという。 インドといえば、筆者の恩師に、生涯を日本人のベンガル語教育に力を注いだコルカタ出身の女性がいた。高齢になっても“架け橋”であり続けようと、不自由な体を引きずりながら、司法通訳として法廷に臨んでいた。しかし晩年は難病を患い、公団住宅での一人暮らしが難しくなった。彼女はもともと日本に骨をうずめる覚悟だったが、6年前、日本での老後の不安と孤独に、重い足取りで祖国に帰っていったことを思い出す。 日本に行けばたくさん稼げる。日本の生活は安心・安全・清潔で、日本製は高品質で、日本人も勤勉でマナーがいい。――それが一昔前のアジア人材の来日動機だった。しかし今、彼らが直面するのは想像を超えた“ギャップ”だ。 移民国ではない日本だが、外国人材は欠かせない。その外国人材に選ばれる国になるための制度改善も待たれるが、それ以上に「日本では人として幸せな生活が送れるのか」という本質的な問題が潜在する。憧れたジャパン・ドリームだったが、彼らの中では徐々に色あせつつある』、「憧れたジャパン・ドリームだったが、彼らの中では徐々に色あせつつある」、寂しいが、身から出たサビでやむを得ないとして受け入れる他なさそうだ。 
タグ:文春オンライン「時給400円、残業200時間超、賃金未払い…「労働法違反のデパート」と化した外国人技能実習制度の“悪夢のような実態”『外国人差別の現場』より #2」 姫田小夏氏による「日本を去るアジアの若者たち…「豊か・安全・憧れ」が消えゆく日本の実態」 「実習制度は労働法違反のデパートみたいなものです」とは言い得て妙だ。 「憧れたジャパン・ドリームだったが、彼らの中では徐々に色あせつつある」、寂しいが、身から出たサビでやむを得ないとして受け入れる他なさそうだ。 いずれにしても、私も第一の記事の著者の「窪田」氏と同じく「技能実習生や留学生」制度には反対だ。 「現在、甄凱さんは中華料理店をたたみ、岐阜一般労働組合の外国人労働者担当専従職員として活動し、行き場を失くした外国人のシェルターも運営している」、「岐阜一般労働組合の外国人労働者担当専従職員」、とはボランティア的色彩が濃そうだ。どこかから資金援助してもらっているのだろう。 やはりこんなに欠陥がある「実習生制度や留学制度」は廃止すべきだ。 ダイヤモンド・オンライン 「憧れたジャパン・ドリームだったが、彼らの中では徐々に色あせつつある」、寂しいが、やむを得ないとして受け入れる他なさそうだ。 「(技能実習法)は実習生の報酬を「日本人と同等以上」と定めているが、遵守されている形跡はない。 「企業からすれば、実習生を日本人と同待遇にするのであれば、そもそも実習制度を利用する意味もなくなりますからね」、その通りだ。「技能実習法」の規定は空文化している。 こんな不正義が許されるのでは、まともな法治国家とはいえない。 「英語が通じない日本」、「“安心・安全な国”」も怪しくなってきて、魅力は大幅に低下したようだ。 「在留資格を得ながら入国できず待機中の外国人は、今年初め時点で41万人に上っていた。資格別で最も多いのが留学生の15万人、続いて実習生の13万人で、合わせると全体の7割を占める。今後、彼らが続々と入国してくるのだ」、そんなに入ってくるとは大変だ。「「“本音”を隠しての「鎖国反対論」には強い違和感を覚える」、その通りだ。 出井康博氏による「ベトナム人を食い物に…「コロナ禍での鎖国反対」の大合唱に透ける“本音”」 「技能実習生が働く8124事業所のうち70.8%で労働基準法や労働安全衛生法違反が見つかっている」、「この問題が後世になって日本を不当に貶めるための材料に利用されて、我々の子どもたち、孫たちの世代にとんでもない迷惑をかけてしまうのではないかという懸念の方が強い」、その通りだ。 「日本語は「つぶしが利かない言語」だという声もある。ベトナムから中国や韓国に渡り仕事をする人もいるが、中国語や韓国語をマスターした方が、ベトナムでの再就職にも生かすことができる」、その通りだ。 「待ち受けていたのは低賃金労働、そして会社の倒産である。しかも経営者も監理団体も、その責任を果たそうとしない」、セーフティネットが全くないなど、制度的な欠陥だ。 窪田順生氏による「ベトナム人技能実習生リンチ事件が「第二の徴用工問題」になりかねない不安」 「華やかなファッション業界も、最先端を謳う自動車、家電メーカーも、実直な「ものづくり」を連想させる建設業界や農林水産業も、いまや実習生をはじめとする外国人の労働力なくしては成り立たないのに、まるで初めからそれが存在していないかのように、とりすました表情を崩さない。 そして——私たち消費者は実習生がつくった服を「さすが国産品は丈夫」だと喜んで身に着け、実習生がつくった野菜や果物を「国産は安全」だとして口の中に放り込む。 こうした「外国人産の国産」が私たちの生活を支えているにもかかわらず、私たちは「つくり手」 「技能実習生として来日したベトナム人男性が、除染作業に従事していたことが大手メディアの報道で明らかになった」、法務省も関与している「技能実習生」制度で、どうしてこんなことが起きるのか理解できない。 日刊ゲンダイ 「「外国人の被害者」が多くいるのだ。だから、敗戦国の日本がどんなに当時の日本軍は立派な組織だと主張しても、個々の人間に悪意がないと反論しても、国際社会では「蛮行」が後世に伝えられて、歴史の中で定着してしまう。 日本軍の戦争犯罪、従軍慰安婦、徴用工問題など、戦後の日本人はこういう「歴史戦」で負け続けてきた」、「今のままでは「技能実習生問題」も同じ道をたどる。子どもや孫世代にこれ以上、迷惑をかけないよう、愚かな政策はこの世代で打ち止めにすべきだ」、同感である。 「2050年のベトナム」の仮想シナリオは説得力があり、身につまされる。 「国家というのは未来を担う子どもたちの愛国心を養うため、国民が屈辱的な仕打ちを受けた負の歴史を教え込む。中国だからとか、韓国だからとかではなく、国家教育とはそういうものなのだ。 それを踏まえれば、今の「日本でいじめ抜かれる外国人労働者」という問題は、近い将来、中国やベトナムのナショナリズム教育に活用されていく可能性が高い」、同感である。 「次の世代に「新たな歴史問題」を押し付けてしまう恐れがあるからだ。 具体的に言うと今、一部の企業がやっているベトナム人や中国人の労働者へのパワハラや暴行などが、「日本の人権侵害」として解釈され、高齢化した「元技能実習生」から謝罪や賠償を求められるのだ」、「100年前の日本でも、低賃金重労働で危険な仕事である炭鉱業などでは、若者から敬遠されて人手不足に陥るという「雇用のミスマッチ」に悩まされていた。そこで、政府はあくまで「試験的」という名目で、三菱、三井などの炭鉱に朝鮮人労働者の受け入れをスタートした」、「 (その19)(ベトナム人技能実習生リンチ事件が「第二の徴用工問題」になりかねない不安、ベトナム人を食い物に…「コロナ禍での鎖国反対」の大合唱に透ける“本音”、時給400円、残業200時間超、賃金未払い…「労働法違反のデパート」と化した外国人技能実習制度の“悪夢のような実態”『外国人差別の現場』より #2、日本を去るアジアの若者たち…「豊か・安全・憧れ」が消えゆく日本の実態) 外国人労働者問題
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