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オリンパス事件の闇 [企業経営]

オリンパス事件については、2日付けの日経新聞が関係者への判決を簡単に伝えた。しかし、「オリンパス事件の光と影」としてシリーズで取上げている闇株新聞によれば、真相はもっと深く、深刻なようだ。そこで、最近のものから遡る形で紹介しよう。

まず、7月2日付けの「オリンパス事件の光と影 その17」のポイントは以下の通り。
・1日の判決では、「指南役」とされた横尾氏ら3名は金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)では「幇助」だったと認定
・日本におけるオリンパス事件では、2013年7月に菊川社長(当時)らオリンパス幹部3名に執行猶予つきの有罪判決が、法人としてのオリンパスに7億円の罰金が言い渡され、それぞれ確定
・1980年代から延々と損失隠しを続けていたオリンパスで、罪に問われたのがこの3名だけで、あとはすべて逃げ切ってしまいました
・さらにオリンパスの会社ぐるみの事件ではなかったとするために、外部の「指南役」が損失隠しを主導したというかなり無理のあるシナリオが用意、肝心の「指南役」とされた中川氏は2014年12月の判決で「幇助」だったと認定(1日の判決もこれと同様)
・オリンパス事件とは、金融商品取引法違反では(これがオリンパス事件のすべてというのも無理がありますが)オリンパスあるいは菊川氏らあるいは起訴されなかったオリンパスの誰かが主導した犯罪だったことが、あとから認定されたことになります
・菊川氏らと法人としてのオリンパスの判決は確定しており、オリンパスも上場が維持されたままなので「ちょっとおかしかったかもしれないね」で済んでしまいます
・横尾氏ら2名は金融商品取引法違反で起訴された翌月に、オリンパスに700億円もの架空ののれん代を計上させた国内企業3社の株式を、(たぶん)同価格で群馬県の群栄化学工業にも販売しており、これが3億4800万円を同社からだまし取った詐欺事件であると追起訴
・横尾氏ら2名は、この詐欺事件で実刑判決となったのですが、よく考えると大変に奇妙です。群栄化学工業に販売した株式が、実際の価値よりも3億4800万円「高かった」ことが詐欺行為に当たるなら、700億円も「高かった」オリンパスへの販売は「もっと」詐欺行為に当たり、それを購入したオリンパスの責任も重大となりますが、これらは一切問題とされていません
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1461.html

次に、5月13日付けの「オリンパス事件の光と影 その16」のポイントは以下の通り。
・5月8日付けの業績予想修正は、オリンパス米国子会社の医療関連事業に関して2011年11月時点より米国司法省の調査を受けており、協議の進捗状況を鑑み539億円の特別損失を計上するため、2015年3月期の最終損益を従来予想の450億円の利益から87億円の損失に修正するという「かなり重大なもの」
・米国司法省の調査とは、医療機械の販売で病院や医師に禁じられているリベートを支払っていた事実に対するもので、かなり以前から恒常的に禁止行為が行われていた可能性
・そしてこの調査が開始された2011年11月とは、まさに例の巨額損失隠し事件が発覚していた時期と重なり、この件で逮捕された菊川剛・元社長は1990年代の後半にこの米国子会社の会長だったことがあります
・要するに米国政府の「巨額罰金ビジネス」の対象になってしまったわけですが、実はオリンパスにとっては支払いが巨額(539億円)である以上に、もっと重大な意味
・オリンパス事件は米国では証券詐欺の重罪となるため、米国司法省でも警察機関であるFBIの管轄。すでにFBIは巨額損失隠し事件に重大な役割を果たした佐川肇とチャン・ミン・フォンを証人として確保していますが、なぜかそこから時間が不自然にかかっていました。その理由が、ようやくわかりました。単に順番に片づけていただけです
・日本では表沙汰になっていなかった米国の医療事業関連事件が一件落着となったため、いよいよ巨額損失隠し事件に取り掛かるはずです。オリンパスは巨額損失隠し事件では日本の裁判でも全く戦わず、すべて検察側の主張を全面的に認めてしまったのですが、これは米国での裁判を著しく不利にしてしまいます。改めて反論することが全くできないため、恐ろしいほどの額の和解金あるいは罰金を課されてしまうことになりそうです
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1419.html

第三に、3月18日付けの「オリンパス事件の光と影 その15」のポイントは以下の通り。
・米国SECは2月27日、オリンパスの巨額損失隠しに深く関与した佐川肇氏(米国在住)と、今後証券業務に関わらないこと(だけ)を条件に和解し、事件の調査に協力したとして制裁金の支払いを求めないと発表。つまり完全なる「無罪放免」
・米国では情報提供しても、罪は軽くなることはあっても今回のように「無罪放免」になることは珍しく、よほど米国当局にとって「有益」な情報を提供したか、あるいは完全に米国当局のために「有益な証言」を約束したと感じます
・オリンパス事件とは、日本だけでなく米国も舞台にしており、また米国の投資家も株主であり、まさに米国の事件でもあります。そこで容赦ない「巨額罰金ビジネス」の米国当局が、黙って「無罪放免」にするはずがありません。米国当局がオリンパスに課す罰金が、本誌の予想、有価証券報告書への最大虚偽記載額に近い1000億円をはるかに上回るような気がしています
・事件発覚以降、オリンパスは逮捕された菊川社長(当時)らも含めて全く争わず、すべて検察庁の決めたシナリオ通りに供述し、罪を全面的に認めました。会社ぐるみではなく菊川氏らほんの一部の社内関係者が、ほんの一部の「指南役」に主導されて、(形式犯である)有価証券報告書に虚偽を記載してしまったなど、明らかに無理のあるシナリオにしてしまいました
・そこへ米国司法当局から「オリンパス自体が長年にわたって主導した悪質な証券詐欺事件である」と訴追されたら、戦いようがないことになります。一部の「指南役」に主導されましたでは、通るはずがありません
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1381.html

こうみてくると、オリンパスが日本国内で「波風を立てない」ことを優先して、検察のシナリオに従ったことが、日本の裁判所に否認されたことはどうでもいいとしても、怖い米国の司法当局にはマイナスに働き、闇株新聞の予想通りに彼らの巨額罰金ビジネスの餌食になってしまうとすれば、深刻極まりない。なんとか、上手くくぐり抜けてほしいものだ。
タグ:オリンパス事件 オリンパス事件の光と影 闇株新聞 7月2日付け オリンパス事件の光と影 その17 金融商品取引法違反 横尾氏ら3名 指南役 「幇助」だったと認定 菊川社長(当時)らオリンパス幹部3名 行猶予つきの有罪判決 オリンパスに7億円の罰金 会社ぐるみの事件ではなかったとするために 外部の「指南役」が損失隠しを主導 無理のあるシナリオ オリンパスの誰かが主導した犯罪だったことが、あとから認定されたことに 横尾氏ら2名 群栄化学工業 詐欺事件であると追起訴 700億円も「高かった」オリンパスへの販売は「もっと」詐欺行為に当たり、それを購入したオリンパスの責任も重大 5月13日付け オリンパス事件の光と影 その16 業績予想修正 米国子会社の医療関連事業 539億円の特別損失を計上 「かなり重大なもの」 医療機械の販売で病院や医師に禁じられているリベートを支払っていた 調査が開始された2011年11月とは、まさに例の巨額損失隠し事件が発覚していた時期 菊川剛・元社長は1990年代の後半にこの米国子会社の会長 米国政府の「巨額罰金ビジネス」の対象に 米国では証券詐欺の重罪 重大な役割を果たした佐川肇とチャン・ミン・フォンを証人として確保 米国の医療事業関連事件が一件落着 いよいよ巨額損失隠し事件に取り掛かるはず 巨額損失隠し事件 日本の裁判でも全く戦わず、すべて検察側の主張を全面的に認めてしまった 米国での裁判を著しく不利にしてしまいます 恐ろしいほどの額の和解金あるいは罰金 3月18日付け オリンパス事件の光と影 その15 深く関与した佐川肇氏 無罪放免 米国当局にとって「有益」な情報を提供したか 完全に米国当局のために「有益な証言」を約束 オリンパスに課す罰金 1000億円をはるかに上回る すべて検察庁の決めたシナリオ通りに供述し、罪を全面的に認めました ほんの一部の「指南役」に主導されて 有価証券報告書に虚偽を記載 米国司法当局 悪質な証券詐欺事件 訴追されたら、戦いようがないことになります
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