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JR九州の上場問題(その2)「国庫への返還」義務免除の背景 [経済政策]

昨日に続いてJR九州の上場問題(その2)「国庫への返還」義務免除の背景を取上げたい。

というのも、今日、この問題についてネット検索したところ、経緯などがもう少し判明したため。

経営安定基金3877億円を国庫に返さずに使い切る方針を初めに打ち出したのは、国土交通省。日経新聞2014年12月5日付けで「JR九州 上場へ財務改善 経営安定基金3800億円充当 国交省方針」と伝えた。
記事内では「財務省との調整も本格化」としているが、ここまで明確に新聞に書かせたからには、財務省との調整は裏では基本的には済んでいたとみるべき。

次に、2月12日付け現代ビジネス「JR九州上場時に「財務省へ3900億円を返還せず」を実現させた麻生兄弟と大物次官の剛腕」のポイントを紹介しよう。
・「財務省も情けない。ひと昔前なら、絶対に返還させていたのに、“親分”の大臣まで説得できないなんて……」こう嘆くのは「大蔵省時代」を生きた元財務官僚
・放棄するのは、JR九州に交付していた約3900億円の経営安定化基金。1987年の分割民営化の際、赤字ローカル線を補助するために、「三島会社」と呼ばれた北海道、四国、九州の3社に、「運用益で赤字を補填するように」と、各社に経営安定化基金という名の“手切れ金”が渡された
・その「三島会社」の先陣を切って、1月末、JR九州が上場することが決まった。当然、国から莫大な埋蔵金を受けたまま上場はできない。他の鉄道会社との競争環境に歪みが生じる。従って、「国庫への返還」が上場の条件で、財務省もそう主張していた
・だが、原則はアッサリと覆った。 上場発表後、麻生太郎財務相は、3900億円を国に返還することなく、取り崩して債務返済に当てられることになった理由を問われ、こう答えた。 「債務返済によってJR九州の経営が安定、経営内容が良くなって上場すれば、売り出し価格が上がり、国に納付されるお金が増えます。そういう具合に、うまく回ればいいなということです」
・理屈はそうだが、原則を崩せば、誰もが補助金や交付金を返さなくなる。後付けの理屈はいくらでもつく。それを財務大臣自ら容認しているのだから、弱体化の証明である
(なお、2頁目以降を読むには有料会員に限定されているため、紹介はここまで)
http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/42068

昨日の小宮 一慶氏の記事だけでは、何故このような決定が行われたかが、分からなかったが、これで疑問も解けた。財務省の事務方がいくら筋を通そうとしても、大臣が国土交通省と一緒になってJR九州に有利な取り計らいをするようでは、勝負あったである。ここにも「政治主導」の悪い面が出たようだ。麻生太郎財務相は、「債務返済によってJR九州の経営が安定、経営内容が良くなって上場すれば、売り出し価格が上がり、国に納付されるお金が増えます」と答えているが、小宮 一慶氏によれば、上場益は国庫に入らず、JR九州の整備新幹線に使われる可能性もあるようだ。上場益の扱いは、どうやら未定のようなので、今後も注視していきたい。
ひところ、「埋蔵金」を巡る論争が活発だったが、このような形で消えてなくなる可能性があったことまでは、当時は見過ごされていたようだ。
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