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行政の過剰サービス・無駄 [国内政治]

今日は、行政の過剰サービス・無駄 を取上げよう。

先ずは、6月24日付け日刊ゲンダイ「格差広げておいて…婚活対策にバラマキ「60億円」の本末転倒」のポイントを紹介したい。
・「少子化社会対策白書」(2015年版)で若者の恋愛・結婚観が浮き彫りになった。平たく言うと、カネがないほど恋愛にも結婚にも興味が湧かない悲しい現実だ
・調査対象は全国の20~39歳の男女7000人で、〈未婚で恋人なし〉は全体の28.8%。このうち〈恋人が欲しくない〉は37.6%を占め、〈交際経験なし〉だと50.3%にも上った。対策として役所が考えたのが、お決まりのバラまきだ
・政府は13年度補正予算で「地域における少子化対策の強化」として30.1億円を組み、ヤル気のある自治体に交付金を出した。上限は都道府県6000万円。政令指定都市や中核市、特別区2000万円、市区町村800万円。各地で婚活イベントが催された
・「13年度は全都道府県と244市区町村が交付を受けています。14年度補正でも同額の30.1億円がつきました」(内閣府少子化対策担当)。つまり2年で60億円超である。14年度補正では上限が都道府県7500万円、政令指定都市など2500万円、市区町村1000万円に引き上げられた
・白書では、低年収ほど〈恋人が欲しくない〉傾向が強く、年収400万円の男性の37.5%、年収200万円未満の女性の46.5%にのぼったが、本当に役立っているのか
・経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。「公務員の発想には本当にあきれます。出会いの少なさが未婚率上昇を招いているのではなく、経済的問題や将来への不安が恋愛や結婚から遠ざけているのです。フランスは婚外子を認め、母子家庭手当を厚くし、学費を無料にするなど、子育て支援の拡充で出生率を回復させた。片や日本は子どもの存在が負担になり、子どもを持つと不幸になる国になった。派遣法改悪で庶民の首を絞めながら、少子化対策にカネを振る舞う。やってることがアベコベですよ」
・美しい国づくりって一体なんなんだ。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161058/1

次に、9月15日付け日経ビジネスオンライン「情報収集衛星、鬼怒川水害でグーグルにKO負け IGS撮影画像を初公開も、Googleクライシスレスポンスに完敗」のポイントを紹介しよう(▽は小見出し)。
・突然といっていいだろう。9月11日、内閣官房・内閣情報調査室(内調)は、情報収集衛星(IGS)で撮影した、鬼怒川の水害の情況の画像を公開した。公表された画像は2枚。デジタル処理で解像度を落としてあるが、IGSで取得した画像が公開されたのは、これが初めてである
・画像公開の背景には、内調が、現在衛星4機体制のIGSを8機体制に倍増させ、さらに衛星間通信を行うデータ中継衛星を新たに保有する意志を示していることがある
・ところが、同じ11日、グーグルは、災害関連情報を集約して表示するサイト「Googleクライシスレスポンス」で、水害地域の詳細衛星画像を公開した。米民間地球観測会社の衛星が取得した画像は、デジタル処理で劣化させたIGS画像より鮮明。かつグーグルマップの上に重ねて表示され、拡大縮小も自由自在。利用者の利便性は衛星情報センターの2枚の画像を圧倒的に上回っていた
・虎の子の画像を公開することで「IGSは国民生活全般の役に立つ」という印象を作りたかった内閣官房は、出鼻をくじかれた
▽Googleと同日のデータ公開、期せずして競うことに
・IGS取得画像は、2003年のIGS運用開始以降公開されておらず、現在は特定秘密保護法の指定対象となっている。ところが今年9月9日、内閣官房・内閣情報調査室は国内において大規模な災害や事故が発生した場合、かつ画像情報公開に意義がある場合に限り、デジタル処理で解像度を落としたIGS取得画像を公開すると方針を変更した(大規模災害時等における情報収集衛星画像に基づく加工処理画像の公開について:平成27年9月9日 内閣情報調査室 )
・すると翌10日に、台風18号に伴う雨雲により、関東北部から東北にかけての地域を記録的豪雨が襲い、鬼怒川などの河川で堤防が決壊して大水害を引き起こした。9月11日、内閣情報調査室は、方針変更に基づき2枚の画像を公開した(平成27年台風第18号による大雨等に係る被災地域の加工処理画像等について:平成27年9月11日)
・IGSは、太陽光で地表を撮影する光学衛星と、レーダーの反射波を使うレーダー衛星の2種類が運用されている。今回公開されたのは光学衛星の撮影データ。衛星搭載センサーは60cmの分解能を持つが、公開画像はデジタル処理で解像度を落としてある
・ところが同日、Googleクライシスレスポンスで、より解像度の高い衛星取得画像が、より使いやすい形で一般に提供された
・IGSの画像と、Googleクライシスレスポンスの画像を比べてみよう。 内調が公開したIGS取得画像は、鬼怒川の決壊ヵ所付近と関東鉄道常総線・水海道駅から鬼怒川・利根川合流点にかけての2枚。IGS光学衛星が撮影した画像に、その画像が地図上ではどのあたりになるかを示した小さな図が附属している。共にpdfファイルに画像を埋め込んである
・それに対してGoogleクライシスレスポンスは、より鬼怒川上流のJR東日本・水戸線の川島駅付近から鬼怒川・利根川合流地点にかけての広い範囲の画像を、Googleマップにオーバーラップさせる形で公表した。地図には通常の川幅も記載されているので、どれだけ水が広がったかは一目瞭然。かつ、拡大、縮小表示も自由自在である。さらには国土地理院がドローンで撮影した同画像や独自に撮影した航空写真もまとめて提供し、単なる「衛星で撮った画像の提供」ではなく、「被災地の現況」を一目で把握できる形で情報を提示している
・どの程度まで細かいところが分かるかを、鬼怒川決壊ヵ所を拡大して比較してみた。まず、筆者の手元で画像処理が入るのを避けるため、なるべく同じ縮尺になるようにディスプレイに表示して、キャプチャーした画像だ。Google クライシスレスポンスではひとつひとつの建物がはっきりと確認できるが、画像処理で解像度を落とされたIGSの画像では個々の建物は不鮮明である
・グーグルは画像を取得した衛星名を公開しておらず、使用したのは米デジタル・グローブ社のデータであることだけを公表している。グーグルはグーグル・マップやグーグル・アースのに同社の衛星観測データを利用している。デジタル・グローブ社は最大解像度31cm(1ピクセルが31cm×31cm)の画像を取得できる衛星「WorldView-3」、同41cmの「GeoEye-1」、同46cmの衛星「WorldView-2」、同50cmの「WorldView-1」と、IGS光学衛星の解像度を超える能力をもつ衛星を4機運用している
・ただし、これらの分解能はパンクロマチック(白黒画像)の場合であり、カラー画像の場合は分解能が落ちる。WorldView-3の場合、カラー画像の分解能は1.24mだ。とはいえ様々な画像処理により、モノクロ画像に自然な色をつけたり、見た目の解像度を上げることが可能だ
・Googleクライシスレスポンスの画像は、どのような画像処理を受けているかは不明だが、子細に見ると、全長4.5mの乗用車が15ピクセル程度の大きさに写っているので、少なくとも見かけの解像度で30cm程度の画像が提供されていることがわかる
・IGSもデジタル・グローブ社の衛星も、共に午前10時半、ないし午後1時半に上空を通過する軌道で運用されている。冠水の様子がほとんど同じなので、ほぼ同時に上空から撮影を行ったと推定できる。内閣官房が撮像時刻を11日午前としていること、またGoogleの画像の一部に写った日照による影の向きからすると、共に11日午前10時半に被災地上空を通過した衛星から撮影したものと判断できる
▽8機体制に向けてのアピールだったが
・今、内閣官房はIGSの有用性を世間にアピールしなければいけない立場にある。現在IGSは光学衛星、レーダー衛星各2機の4機体制で運用されている。それに対して内閣官房は2023年以降、衛星を倍増して8機とし、さらに常に日本と衛星との間の通信を可能にするデータ中継衛星2機を加えた10機体制とするという計画を作り、光学衛星1機の開発予算を含む来年度予算要求を提出した
・現在、IGSにはコンスタントに年間600~700億円の予算が付いている。10機体制になった場合、倍増までは行かないまでも年間1000億円程度の予算が必要となるだろう。これは日本の全宇宙予算の1/3弱ということになる。 (「概算要求の方針」は元の記事参照)
・つまり9日に取得画像公開の方針変更を行った背景には、一気の予算増額を要求するに当たって、国民への説明責任を果たす必要があるとの議論があったことは間違いない。思わぬ水害により方針変更の2日後にさっそく説明責任を果たす機会が訪れたわけだが、内閣官房は見事なカウンターパンチをGoogleクライシスレスポンスから食らう格好となった
・最初の衛星打ち上げから12年、これまで一切公表してこなかったIGS取得画像を、解像度を落としたものとはいえ公表したのは大変な決断だったと評価できる。しかし、期せずしてGoogleがライバルとなった結果、「Gooleほどにも使えないIGS」「大水害に際して劣化させた画像2枚しか公表しない内閣官房」という印象を世間に与えてしまった
▽コモディティ化した偵察衛星技術
・事の根本には、冷戦終結後、偵察衛星の技術はコモディティ化したにも関わらず、冷戦時の発想で「衛星で取得した情報は秘匿すべき」とする日本政府の時代錯誤的な態度がある
・1994年に米クリントン政権が偵察衛星の技術の民間転用を認め、米国では1999年に打ち上げられた地球観測衛星「IKONOS」を皮切りに、分解能1m以下の高分解能地球観測衛星が一般化した。地球観測データの流通を管理する米商務省は当初分解能1mまでとしていた制限を、50cmと25cmと段階的に緩め、現在をWorldView-3衛星が取得する分解能31cmのデータが当たり前に世界中に流通している
・IGS光学衛星は、2003年に打ち上げた分解能1mの第1世代衛星から、60cmの第2世代衛星へと移行し、現在40cmの第3世代衛星を開発中だ。各世代の開発予算請求にあたって内閣官房・衛星情報センターは「商業的に流通するデータ以上の分解能が必要」という理由を立ててきたが、実際には迅速に米民間の技術開発と米商務省の規制緩和が進み、民間のデータに対して常に解像度で後れをとり続けてきている
▽軍事衛星の軌道もマニアが分析済み
・また、ムーアの法則に則ったデジタル技術の進歩により、衛星がいつどこを飛んでいるか、どんな形状をしているかはすでにアマチュアの観測可能な領域に入りつつある。衛星観測を趣味とする世界中のサテライト・ウォッチャーが、観測データをネット経由で持ち寄り、衛星軌道を計算するため、軌道を秘匿している軍事衛星もその多くの軌道は事実上分かってしまっている
・それどころかデジタル撮像技術の発達により、アマチュアレベルの装備でも、軌道上の衛星形状が分かる高精度画像を撮影できるようになった。事実、2012年には、オランダのサテライト・ウォッチャーが運用を終了して大気圏突入寸前まで高度が下がったIGSレーダー衛星の撮影に成功している
・1998年の計画開始以降、日本はIGS計画に1兆円以上を投資してきた。今やIGSは日本の宇宙開発史上、もっとも多額の予算を費やした計画となっている。計画がその投資に見合うだけの成果を挙げているかは、特定秘密保護法の影に隠れてしまっているが、今回出て来た2枚の画像をGoogleクライシスレスポンスとの比較するに、巨額の投資を正当化はできない
・日本は、IGSの取得データを「すでに冷戦期の偵察衛星技術はコモディティ化している」という認識の元に、より一層効果的に使う方法を考える必要がある。さもなくば特定機密保護法に隠れて、財政的な傷は大きくなる一方であろう
・なお、筆者は、昨年から今年にかけてPC Onlineで、4回に渡って、より詳しくIGSについて解説した。併せて読んで戴ければ幸いである(元の記事にリンクあり)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/217467/091400001/?P=1

婚活イベントについては、TV番組でも紹介されていたが、こんな補助金が付いていたことまでは知らなかった。全くくだらない「本末転倒」の対策だが、2年間で60億円であればまだ我慢もできる。
より深刻な問題は、情報収集衛星(IGS)である。1兆円以上を投資しておきながら、既に陳腐化してサービスがGoogleにも負けているとは・・・。しかも、米国サイドで民間開放が次々に進んでいたのであれば、日本政府も計画を見直し、中止する機会があった筈である。しかしながら、今回、内閣官房・内閣情報調査室がIGS撮影画像を初公開したということは、引き続き予算を獲得し継続することを示唆。一旦、方針を決めたら、外部環境条件の変化を度外視して、当初方針通りに突き走るとは・・・。何やら第二次大戦での政府・軍部の姿勢にウリ二つと感じるのは、小職のみではあるまい。
このままでは、「冷戦時の発想」でスパイ衛星として特定秘密保護法の指定対象とした以上、国民の眼には全く晒されることなく、「官の無駄遣い」が続いてしまいそうだ。
この記事をきっかけに、一般紙でも取上げられ、計画見直しの方向に転換してもらいたいものだ。
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