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小田嶋隆氏のいろは歌留多 [社会]

かなり重いテーマが続いたので、今日は軽く 小田嶋隆氏のいろは歌留多 である。

たびたび引用している小田嶋隆氏が、12月25日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「青息吐息?! 吉例いろは歌留多」を紹介したい。
・2015年の「ア・ピース・オブ・警句」は、今回が最後の更新になります。 吉例にならって、2016年の新春いろは歌留多を案出いたしました。ご笑覧ください。個人的に2015年は足を折ったりなどして、多事多端な一年になりました。2016年は多少マシな年になってくれるとうれしいです。 ではでは、本年も(って、明けて2016年のことですが)よろしくお願いいたします。2016年がみなさまにとってやや素敵な一年になりますことを祈念して新春のご挨拶に替えさせていただきます。
【い】 犬も歩けばボディチェック  ヨーロッパの大都市はどこもかしこもテロ警備でえらい騒ぎらしくて、おかげで今年のパリは犬の落し物(ウ◯コのことですが)が少ないんだそうですよ。
【ろ】 論より初稿 グダグダ言ってないではやく原稿アップしてくれないと初稿が出ないんですが…。 
【は】 ハッカーに衣は着せられぬ  この際、服装のダサさには目をつぶって腕の良いハッカーを何人か飼っておかないと、マイナンバー実施後の職場のネットセキュリティーは、とてもじゃないけど防衛できませんぜ。
【に】 ニートを追うものイートをも得ず 無職の道を目指す者はやがて無食の境涯に立ち至るであろう。
【ほ】 仏の顔もサンノゼ  毎度繰り返されるアップル様の朝令暮改に右往左往しつつも、結局は唯々諾々と従っている信者の皆さんの姿は、私の目には仏様のように見えますことです。
【へ】 ペンは剣よりもウヨし 右傾化は軍部よりも先に言論から始まるものらしいですよ。 
【と】 東大元暮らし 元東大で暮らしているというのか、東大出身の身元保証だけで生計を立てていらっしゃる皆さんがおられますよね。
【ち】 地下に居てLANを忘れず  どんな場所でサボっていても常にWiFi電波だけは確保しておくのが、21世紀のデキるビジネスマンのノルマだぞ。
【り】 両手にパナソニック 電気カミソリと電動歯ブラシを常に携行しているオレは半分ぐらいサイボーグなのかもしれないと思っている。
【ぬ】 盗人に推薦  推薦状を持たせた学生が内定蹴飛ばすとマジで立つ瀬がないッスというお話を、さる大学の先生からうかがいました。
【る】 ルビコン川に蹴落とす  背中を押してやらないと前に進めないタイプの人がいますね。崖っぷちに立ってるのは特に。
【を】 恩をアダルトビデオで返す  こういう奥ゆかしいマナーはもはや中高年の男性の間でしか通用しなくなりましたね。良い意味でも悪い意味でも。ほぼ悪い意味ですが。
【わ】 渡る世間に鬼怒川 9月の水害の折、鬼怒川を「おにおこがわ」と読んだ若い人には感心いたしました。世間は広く、馬鹿には底というものがありません。
【か】 カネは天下のローリングサンダー  たとえばロンダリング途中のカネは責任転嫁の回し蹴りだったりしますので、素人がうっかり手を出すと大怪我をするのだそうですよ。
【よ】 寄らば大樹の陰日向  赤字でも何でもウェスティングハウスの陰に隠れていれば、なんといっても原発は国策産業なわけだから、お国がツブさないはずだとかなんとか、そういう考え方があるのだそうですね。
【た】 ダーティの薄着  清潔感に乏しいおっさんの薄着はなんだか寒々しくて感心しませんね。おっさんは着ぶくれてナンボです。
【れ】 例にはじまり欄に終わる  お役人の仕事は、前例を踏襲して書類の該当欄を埋めたらそれで終わりです。ええチョロいもんです。
【そ】 その手はクワッドコアのプロセッサ 最新の認証システムが安易なパスワードを許してくれない傾向は、ユーザーを低能扱いにしてるみたいでしみじみと腹の立つ仕様ですね。
【つ】 妻を憎んで人を憎まず 数々の失礼な要求と叱責は「妻」という立場が言わせている役割上の言葉なのです。許してあげましょう。本来は悪い人間ではないのです。
【ね】 猫の手よりリストラの首  派遣労働者の猫の手を借りて少しばかり売り上げを上げるよりは、魔獣リストラの力を借りて経費を削った方が決算の数字は良くなるわけでしてね。
【な】 ならぬカンニングするがカンニング 許されぬことであるのはわかっていますが、滅多矢鱈と学費の高くなってしまった昨今の大学では、むざむざと留年なんかしてられないのです(涙)。
【ら】 来年のことを言うと鬼がもらい泣きをする  そうなんです。来年には還暦を迎えるんです。それなのに何一つ男子一生の仕事を達成できていないのです。鬼だって泣きますよ。こんな情けない話を聞かされたら。
【む】 ムスリムが通ればトランプ引っ込む  アメリカの大統領候補が排外主義の主張を明らかにするなどという近未来を、若い頃の私は夢想だにしていませんでした。
【う】 嘘も訪米  真っ赤な嘘も、白々しいお世辞も、黄色っぽい空手形、詐欺師真っ青の大風呂敷も、米議会で演説してしまった以上、外交的な文言として歴史に残るわけで、そう思ってみれば、あの人はうまいことやったのかもしれません。
【ゐ】 いつまでもあると思うな親会社  目のつけどころがフラットだと家電大手の優良企業でさえ無事では済まないのだからして安心してぶら下がれる会社なんかありゃしません。
【の】 喉元過ぎればアクサ忘れる  アレですね。なんかデカ目の事故を目撃したり、身近な知人の不幸に直面したりすると、一瞬「オレも保険に入っとかないとなあ」とか思ったりするんだけど、3日もたつと忘れちゃいますよね。
【お】 溺れる者は(笑)をもつかむ  ツイッターに惑溺している人々は、いつしか(笑)だとかwwwwみたいな私情ダダ漏れの激情文字列を面白くも無いのに連発せずにいられない「廃人」と呼ばれる領域に到達します。こわいですね。あわれですね。
【く】 君子ひろゆきに近寄らず  2ちゃんねる界隈に限らずある時代のネット世論を代表していたアナーキーな人たちは、既にどうやら筋目の財界人が近づくには危険すぎる存在になっているようです。残念なことです。
【や】 安かろう倍買おう 2015年の漢字は「安」でした。安保の安。安全の安。安倍の安。色々な読み筋がありますが、つまるところ安っぽい一年だったということです。安いから倍買うという100均ショップライクな粗雑な購買行動が、つまりは安倍主義だったということなのかもしれません。
【ま】 負け犬のトークショー  2015年の1月、さる全国紙の仕事で、民主党の代表選挙を取材したのですが、その場で思いついた「負け犬のトークショー」という言葉は、あんまり残酷なので使いませんでした。ここでリサイクルしておきます。
【け】 喧嘩両商売  喧嘩をしている双方の当事者が、自分たちの対立を伝えるニュースを自社の宣伝に利用しているみたいな不思議な事案が増えた感じを受けています。家具屋さんのケースとか。ああいうのをリアル炎上商法って言うんでしょうかね。
【ふ】 フェミ読む月日重ねつつ  お役所の広報なんかを作ってる人たちは、常日頃からプレスリリースの文字面や絵柄が抗議団体のターゲットにならないかどうかを先読みせねばならいらしく、そういうふうにアタマの内側を酷使してるもんだからアタマの外側は「ハゲてぞ今朝は別れ行く」みたいなことになるのだそうですよ。うそですが。
【こ】 公開先に立たず 「いまさら公開しても遅いぞ」式のお話というのは実にもって世間にあふれておりまして、たとえば五輪関連予算の見積もり過程なんかは、どうせ関係者全員が定年を迎えた後になってはじめて公表されるわけです。
【え】 エロの敵(かたき)をアニメ規制で討つ  どこを見てもエロネタだらけのこの国で、どうしてアニメやゲームばかりを目の敵にするのでしょうか。もしかして、自分が子供の頃に見ていなかったモノは有害に決まっているという感じの判断なのでしょうか。
【て】 出る杭はヘタレる 先に目立ったヤツから順に元気を失って行くタイプの組織があります。どうして誰も叩いていないのに杭が引っ込んでるのかというと、あれ、アンダーグラウンドで足を引っ張ってる人たちがいるのですね。
【あ】 アプリ立てればページが開かず  最近のアプリはどうしてやたらとメモリを食うんでしょうか。新しいマシンを買えってことですかそうですか。
【さ】 サーバを読む  サーバの空き容量を監視しつつ、常に突然のシステムダウンに備えたスケジューリングを心がけるのがシステム・セキュリティ担当者の本来の業務なんだけど、そんな人員も予算も無いから、結局は伝統の玉砕戦法ですけどなんか文句ありますか?
【き】 岸改正の一撃  大好きだったおじいちゃんの悲願を達成するべく憲法改正に邁進する所存だ文句があるか馬鹿野郎め。
【ゆ】 行きがけの団地妻  行きがかりのなりゆきとは言え通りがかりの道すがらに考えなしにかかわりあうのはあらゆる意味ですべての関係者に対して失礼だと思います。
【め】 目の上のタンクトップ  こういうのってある意味拷問だと思うんだけど、どうせジロジロ見るのはセクハラで、不自然に無視するのもそれはそれでセクハラだってなことになるわけだよねええわかってますとも。
【み】 実るほど神戸に建てるマイホーム  あくまでも噂で聞いた話ですが、なんでも大阪のお金持ちは、ある程度蓄財するとみんな神戸方面に家を建てるのだそうですね。
【し】 知らぬならほっとけ  たいして詳しくもないことにあれこれ口を出すと恥をかくというのはよくわかってるんだけど、でもそれが仕事だからなあ。
【ゑ】 エンブレムの力持ち 五輪エンブレムみたいな利権のカタマリを含んだもののデザインは、各方面に対して力を持っている人間の手に落ちることがあらかじめ決定済みだったに違いないと思い込んでいるわれわれの見方もまた、同じようにあらかじめ汚れているのでしょうね。
【ひ】 人の噂も75スレッド  まあ、炎上と言っても、2ちゃんねるで100までスレッドが立つ騒ぎは稀です。ネット雀は忘れっぽいですから。
【も】 もの書けばフトコロ寒し何かくれ 出版不況とウェブメディアのギャラダンピング傾向のダブルパンチで、若いライターさんは青息吐息です。最近の使い捨てライターは炎上しないよねって言っても誰も笑ってくれません。さびしいです。
【せ】 晴天の手切れ金  出す方にとっても出される方にとってもあんまり嬉しくないであろう手切れ金みたいなお金は、できれば晴れた空の下で、さわやかにやりとりしたいものですね(棒)。
【す】 好きこそ物の手水なれ 好きな趣味は、精神にとっての排泄行為なのだぐらいに考えて、なるべくクールに関わるようにすべきだと思います。間違っても商売にしちゃダメです。トイレで暮らすのと同じことになります。
【ん】 んんー苦しかった 恒例の新春いろは歌留多は、今年で5回目になります。新ネタの絞り出しが苦しかったです。来年は無理かも…。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/122400025/

駄作もあるけど、面白いと思ったのは、ほ、へ、よ、む、う、や、け、こ、ゑ、など。
では、よいお年をお迎え下さい。
タグ:小田嶋隆氏 いろは歌留多 日経ビジネスオンライン 青息吐息?! 吉例いろは歌留多 ア・ピース・オブ・警句 犬も歩けばボディチェック 論より初稿 ハッカーに衣は着せられぬ ニートを追うものイートをも得ず 仏の顔もサンノゼ ペンは剣よりもウヨし 東大元暮らし 地下に居てLANを忘れず 両手にパナソニック 盗人に推薦 ルビコン川に蹴落とす 恩をアダルトビデオで返す 渡る世間に鬼怒川 カネは天下のローリングサンダー 寄らば大樹の陰日向 ダーティの薄着 例にはじまり欄に終わる その手はクワッドコアのプロセッサ 妻を憎んで人を憎まず 猫の手よりリストラの首 ならぬカンニングするがカンニング 来年のことを言うと鬼がもらい泣きをする ムスリムが通ればトランプ引っ込む 嘘も訪米 いつまでもあると思うな親会社 喉元過ぎればアクサ忘れる 溺れる者は(笑)をもつかむ 君子ひろゆきに近寄らず 安かろう倍買おう 負け犬のトークショー 喧嘩両商売 フェミ読む月日重ねつつ 公開先に立たず エロの敵(かたき)をアニメ規制で討つ 出る杭はヘタレる アプリ立てればページが開かず サーバを読む 岸改正の一撃 行きがけの団地妻 目の上のタンクトップ 実るほど神戸に建てるマイホーム 知らぬならほっとけ エンブレムの力持ち 人の噂も75スレッド もの書けばフトコロ寒し何かくれ 晴天の手切れ金 好きこそ物の手水なれ んんー苦しかった
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