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自衛隊が抱える問題(防衛問題)(その3)(現状のミサイル防衛システムは役立たず、自衛隊の「オスプレイ導入」、海自ヘリ問題で海幕長が訓戒処分) [国内政治]

自衛隊が抱える問題(防衛問題)については、昨年8月10日に取上げたが、今日は、(その3)(現状のミサイル防衛システムは役立たず、自衛隊の「オスプレイ導入」、海自ヘリ問題で海幕長が訓戒処分) である。

先ずは、昨年9月13日付け日刊ゲンダイ「防衛省“限界”露呈 ミサイル防衛は1兆5787億円の役立たず」を紹介しよう。
・北の核実験を受け「もっと抑止力強化を」という議論が出ているが、ちょっと待って欲しい。米国に押し付けられ導入した現状のミサイル防衛システムは、迎撃どころか想定通りの警報も出せず、役立たずを露呈。1兆円超が壮大な“無駄遣い”になっていたことがハッキリしたのだ。
・ミサイル防衛システムの限界を指摘するのは、軍事評論家の田岡俊次氏だ。 「8月3日に北朝鮮は弾道ミサイル2発を秋田沖に発射しましたが、日本政府が第1報を発表したのは発射から1時間15分後でした。イージス艦などへ破壊措置命令は出されず、自治体などへの警報『Jアラート』も機能しないノーマーク状態でした。その後、常時『破壊措置命令』を出したままにして政府は警戒を続けていましたが、9月5日に弾道ミサイル3発が北海道沖に発射された際も第1報は1時間32分後。最も早かった警報は海上保安庁から船舶への『航行警報』で、それでも発射から19分後でした。これはミサイル落下の10分後で、警報の意味がなかった。ミサイル発射が探知されれば、その警報を船に伝えるのを意図的に遅らせるはずはない。つまり、日本のミサイル防衛能力の限界を露呈したものと考えざるをえません」
・発射が防衛省の「中央指揮所」や官邸の「危機管理センター」に伝わり、「Jアラート」で住民に屋内避難を呼びかけるまで、本来、「1分間」という瞬時に行われるはずだった。計画は机上の空論だったのである。  ちなみに、去年12月と今年2月に北朝鮮がテポドン2で小型人工衛星を打ち上げた際は、事前通告もあり対応準備ができたため、政府は発射2分後から逐一、飛行状況を発表していた。ところが、移動式の発射機から発射された8月と9月のミサイルにはお手上げ。防衛省は「事前通告がなかった」「移動式の発射機だったので分からなかった」と変な言い訳をした。
・「実戦では相手はミサイル発射を予告してはくれませんし、自走発射機に載せて発射位置をしばしば変えるのが一般的です。防衛省の釈明は、本物の弾道ミサイルには対応できないことを自ら明らかにしたようなものです」(田岡俊次氏)
・ミサイル防衛には今年度予算までに1兆5787億円が投じられている。ドブに捨てたようなものだが、官邸や防衛省は、さらなる増強に躍起。価格2倍のミサイル購入やイージス艦を増やしたり、ミサイル発射探知用に独自の静止衛星打ち上げの話まで出ている。
・「国家財政に響くような大プロジェクトになりかねません。ミサイル防衛の効果や限界を国民に説明せずに巨額の予算をつぎ込むのでしょうか」(田岡俊次氏) 「特定秘密」を盾に“不都合な事実”を隠蔽してこれ以上、防衛費を膨らませるのは許されない。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/189698

次に、昨年12月25日付け現代ビジネス「自衛隊「オスプレイ導入」を中止できない、日本政府の呆れた事情 貧乏くじを引かされ続けていいのか?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽首都圏にオスプレイがやってくる
・沖縄の人々がおそれていた垂直離着陸輸送機「オスプレイ」の事故が遂に起きた。 「墜落」(米軍準機関紙『星条旗』)した機体は大破して沖縄県名護市の海岸に無残な姿をさらけ出した。集落付近の海岸からの距離はわずか80メートル。大惨事となる恐れもあった。
・開発段階から墜落事故を繰り返し、性能が安定しないオスプレイ。沖縄県の米海兵隊普天間基地に24機配備されている。墜落したのはその中の1機だ。
・2017年1月からは千葉県木更津市の整備施設で定期整備が始まり、沖縄からオスプレイがやってくる。  17年度には東京の米空軍横田基地に別の10機が配備され、18年度からは陸上自衛隊による導入が始まり、自衛隊機としてのオスプレイは当面17機となる。
・墜落の恐怖にさらされるのは、もはや沖縄だけではない。近い将来、米軍機と自衛隊機合わせて51機もオスプレイが日本全土を飛び回るのだ。国民の安全・安心のためには、せめて自衛隊への配備は中止すべきではないのか。
・そもそも自衛隊への配備は、異例の経過をたどった。 本来、自衛隊の武器類はユーザーの自衛隊が選定する。具体的には陸海空自衛隊を統合運用する制服組トップの防衛省統合幕僚監部が、20年先の安全保障環境を見通して策定する「統合長期防衛戦略」をたたき台に、陸海空の各幕僚監部が武力攻撃事態を想定して武器類の導入を要求し、予算化される。
・陸上自衛隊幹部は「『統合長期防衛戦略』を受けて陸上幕僚監部がつくった『陸上自衛隊長期防衛戦略』に『オスプレイ』の名前はありませんでした。情報は入ってくるので検討対象になったはずだが、採用されなかった」と打ち明ける。 陸上自衛隊が導入を求めなかったのは、性能上の理由によるところが大きい。オスプレイは輸送機だ。陸上自衛隊はオスプレイの二倍以上の人員や物資を空輸できるCH47大型ヘリコプターを55機も保有している。速度、航続距離こそオスプレイが優れているが、狭い日本で活用するにはCH47で十分と判断した。
・では、なぜ陸上自衛隊は導入することになったのか。 米軍が沖縄配備を進めた12年当時、沖縄から強い配備反対の声が上がった。これを見た民主党政権の玄葉光一郎外相は「安全性を訴えるため自衛隊も保有すべきだ」と提案、当時の森本敏防衛相が同調して13年度防衛費に調査費800万円を計上した。 「沖縄の民意」よりも「米軍の意向」を優先したい民主党政権と外務省、防衛省が共振したのである。
・同年12月に衆院が解散され、選挙で勝利した自民党が政権に復帰すると、安倍晋三内閣は14年度予算に「オスプレイを陸上自衛隊に配備するための調査費1億円」を計上、さらに導入目標を15年度と公表した。 民主党政権で芽吹いたオスプレイ導入の兆しは、自民党政権で熟成され、異例の「政治主導による武器調達」が実現した。文民である政治家が「これで戦え」と軍事の専門家である制服組に武器を下げ渡したのである。
・沖縄で墜落したオスプレイの同型機は、事故からわずか6日後に飛行再開した。 民進党の蓮舫代表は「事故原因や再発防止策の説明が先だ」と政府や米軍を批判するとともに「私は国民の感情というのはとても大切なものだと思う」と述べたが、自衛隊配備のいきさつを知るならば、米軍のオスプレイを批判しても「自衛隊への配備撤回」とは間違っても言えないだろう。
・もとより日本政府が米軍の運用に注文をつけることはない。あまりにも早い飛行再開をみても「米軍の言いなり」であることがわかる。 さらに自衛隊への配備について、最大野党の民進党さえ撤回を求めにくい状況にあるとすれば、もはやわたしたちは51機のオスプレイが事故を起こさないよう祈るしかないのだろうか。
▽防衛省HPに載る「ウソの数字」
・防衛省は自衛隊オスプレイの佐賀空港への配備を計画している。 隣の長崎県佐世保市に発足する陸上自衛隊版海兵隊の「水陸機動団」を空輸するのに、佐賀空港は山と海をひとつ隔てただけという地理的優位性に加え、赤字の佐賀空港を抱える佐賀県当局には「札束をチラつかせれば何とかなる」という、都合のよい地元歓迎論が根拠になっている。
・昨年(2015年)7月、防衛省は「陸上自衛隊の佐賀空港利用について」とのパンフレットを作成し、地元説明会を開いた。墜落などの危険性についてパンフには「開発途中においては大きな事故が4回発生しましたが、機能の追加や再設計など事故原因への対策を行い、技術的な問題点はクリアされています」と安全性を強調している。
▽本当に安全なのだろうか。
・米国防総省は、死者の発生や200万ドル(約2億3500万円)以上の損害を出した重大事故を「クラスA」と称し、事故率は10万飛行時間当たりで計算する。日本政府は、米軍がオスプレイを沖縄に配備する際、オスプレイのクラスA事故は1.93(2003~12年)という数字を示し、米海兵隊が持つ航空機全体の平均2.45(同)より低く、安全だと説明した。
・しかし、12年以降は上昇に転じ、15年9月末で2.64と現在の米海兵隊航空機全体の平均と並んでいるが、防衛省は今でもホームページに1.93の数字を載せ、国民をミスリードする。
▽事故率は全機種平均の41倍
・実戦ではどうなのか。 米海軍安全センターは「海兵隊航空機アフガニスタン事故報告書」(2010~12米会計年度)を公表する中で、海兵隊航空機12機種のクラスA~Dの事故率は26.69で、3746.8時間に1件の割合で事故が発生したことを明らかにした。
・この中でオスプレイの事故率は1105.56で全機種平均の約41倍と極めて高く、90.4時間に1件の割合で発生した。クラスAの事故率は138.19で、12機種平均の21倍にも達した。 飛行時間は同じ輸送機のCH53Eが1万9480. 7時間、CH53Dが5630. 5時間となっているのに対し、オスプレイは723.6時間と極端に少ない。新型機なのでアフガンの砂地での運用に不慣れなのかもしれないが、実戦に不向きという致命的な弱点をさらけ出した。
・オスプレイは昨年5月、ハワイで着陸に失敗し、機体は大破して乗員2人が死亡した。米太平洋海兵隊は「巻き上げた砂塵をエンジンが吸い込み、出力が低下した」と原因を操縦ミスに求め、日本の防衛省も追認した。砂地での運用はアフガンで経験済みではなかったのだろうか。
・今回の沖縄での事故は、在日米軍によると、夜間の空中給油中、MC130給油機から伸びた給油ホースにオスプレイのローターが当たり、損傷したというものだ。 オスプレイは全幅25. 78メートルの機体の左右に直径11.6メートルの巨大なローターが付いている。給油口は操縦席の先に突き出ているものの、ローターが巨大ゆえに伸びてきたホースがあたりやすいという特性があるのではないだろうか。
・空中給油機を持つ航空自衛隊の杉山良行航空幕僚長は会見で「(陸上自衛隊のオスプレイも)米軍と同様の訓練をやると聞いている」と語り、夜間の空中給油訓練を否定していない。 日本人にとって安心材料は何一つないようだ。
▽イスラエルもキャンセルしたのに…
・日本政府は15年度5機(516億円)を発注したのを皮切りに、16年度は4機(447億円)と全17機のうちすでに9機を発注した。 1機あたり100億円強の計算だが、関連経費が加わるためそれだけではすまない。米国防総省は昨年5月米議会に対し、売却総額は推定で計30億ドル(当時約3600億円)に上ると報告している。
・やっかいなのは日本政府が米政府から直接購入するFMS(対外有償軍事援助)方式となっていることだ。  FMSとは米国の武器輸出管理法に基づき、①契約価格、納期は見積もりであり、米政府はこれらに拘束されない、②代金は前払い、③米政府は自国の国益により一方的に契約解除できる、という不公平な条件を受け入れる国にのみ武器を提供する米政府の武器売買システムだ。
・つまり価格、納期は米政府の「言いなり」になってもらい、「言いなり」にならない場合は解約されてもやむを得ないというトンデモない商売だ。 購入する側に著しく不利な内容だが、高性能の武器が欲しい各国は甘んじてFMS方式を受け入れる。米政府は世界160ヵ国とこの方式で武器売買しており、日本も例外ではない。 何のことはない。口先だけの安全・安心にすがり、不安定な武器取引を承知のうえで米政府の言い値でオスプレイを買うというのである。
・在日米軍や日本政府が言うとおり、オスプレイが高性能で安全というなら、なぜ世界最強の米陸軍が採用しないのだろうか。 理由は容易に推測できる。陸上自衛隊と同様、CH47やUH60といった高性能のヘリコプターを多数保有しており、費用対効果や性能に不安があるオスプレイは不要ということだろう。
・またオスプレイの高速性が魅力というなら、なぜ米政府は大統領専用ヘリコプターとして採用しないのか。不安がないなら大統領はじめVIPが乗って安全性を、身をもって実証すべきではないのか。
・購入の意思を示していたイスラエルがキャンセルしたため、米国以外で本格的に導入するのは日本だけとなった。明らかな貧乏クジと分かりながら、大金をつぎ込み、導入するのだ。 安倍政権は、国民から寄せられる自衛隊への信頼を裏切るようなオスプレイの導入を断念すべきである。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50554

第三に、1月31日付け東洋経済オンライン「海自ヘリ問題、諸悪の根源は「現場の暴走」だ 訓戒処分を受けたが、海幕長の判断は正しい」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・海上自衛隊のUH-X(次期多用途ヘリコプター)の機種選定をめぐって、海上自衛隊のトップである武居智久海上幕僚長(当時)が訓戒処分を受けた。昨年12月16日のことである。処分の理由は、内部手続きの規定を超え、部下に対して特定の機種に誘導する不当な圧力を加えたからだとされている。
・2018年度までに9機のヘリを調達予定(合計15機)だったが、選定作業に疑義が生じたことから、2016年度は予算計上を断念。来年度の要求も困難な状態となっている。 外形上は確かに、海幕長が不当な圧力を掛けたと断じることはできるし、本人もそれについて認めている。しかし、結論からいえば、この件で海幕長が行ったことは不当な圧力どころか当然のものだ。そもそも原因は海自の最高意思決定会議である海上自衛隊会議が決定した内容を、調達現場が変更したことにある。海幕長は、それを是正しようとしただけだ。ところが内局もこの「下克上」を支持し、防衛監察本部から指弾された。そして、その監察の結果に事務次官も防衛大臣も異議を唱えなかった。これは文民統制上、大きな問題である。
・▽本来であればMCH-101の一択
・問題の経緯をトレースしていこう。UH-Xは、事実上のヘリ空母であるDDH(ヘリコプター搭載護衛艦)に主に搭載される。補給艦から護衛艦などへの物資の運搬、護衛艦が沈没、あるいは哨戒機が墜落したときの救難などの任務を想定している。任務の性質上、大きなペイロード(搭載量)が要求される。ヘリの場合、機内に搭載するだけではなく、機体下部に貨物を懸吊(けんちょう)して輸送するが、その能力が大きいに越したことはない。
・UH-X選定に先立って2011年度に開催された海上自衛隊会議において、候補機は大型で、できれば既存機との共用を考慮するという方向性が確認されていた。この会議は海上自衛隊の直轄部隊の長が集まる最高意思決定機関。であれば該当するのは輸送・掃海ヘリMCH-101の一択である。だが、その後の機種選定の過程では、MCH-101だけでなく、三菱重工が製造している対潜哨戒ヘリSH-60Kの改良型、エアバスヘリNH90の3機種が候補とされた。この段階で海幕の検討チームが強引にSH-60Kをベースにした新型機に有利な条件を入れようとした。それに対して武居海幕長は海上自衛隊会議の決定を尊重せよ、と異議を唱えた。そして、これが不当な圧力と見なされたのである。
・まず候補として上がった3機種を見てみよう。 1つ目の候補、MCH-101は海自が輸送・掃海用として使用している機体で、川崎重工がライセンス生産している。全備重量は15.6トンで、機内ペイロード6トン、キャビン容積は27.5立法メートル、武装兵士24名を運べる。懸吊重量は最大5.4トンである。機体後部にランプドアがあり、車両など大型の貨物も搭載できる。
・三菱重工が米シコルスキーのヘリに改良を加えた海自哨戒ヘリ、SH-60Kをベースにした汎用型ヘリが2つ目の候補。SH-60Kはシコルスキーのオリジナル機体をベースに三菱重工が開発した機体で、全備重量は10.65トン、キャビン容積は約9立方メートル、機内ペイロード1.2トン、武装兵士11名が搭乗でき、最大懸吊重量が3.6トンとなっている。
・3つ目はNH90だ。この機体はユーロコプター、アグスタウェストランド、フォッカーが設立したNHインダストリーが製造しており、全備重量が10.6トン、機内ペイロード2.5トンを搭載、懸吊貨物は4トンである。キャビン容積は14.9立方メートル、ハイキャビン型ならば17・6立方メートルで、ほぼ機体規模が同じUH-60よりも大きい。搭載兵員20名である。ランプドアを装備しているので大型の貨物も搭載できる。 日本におけるNH90のマーケティングはエアバスヘリが担当しているが、同社は以前参加した航空自衛隊の救難ヘリ選定の公平性に疑問を持ち、この競争入札を辞退した。このためMCH-101とSH-60K改良型の一騎打ちとなった。
▽仕様をSH-60Kが入札できるように変更
・ところが仕様決定の段階で、SH-60Kに有利なように仕様が歪められた。まず、救難できる人員が15名から12名に減らされた。救難ヘリは荒れた海でも活動する必要があるが、救難時の海の荒れ具合を示すシーステートも6から2に下げられた。当初はMCH-101のローターブレードが輸送できることも条件として挙げられていたが、これも削られた。ランプドアを持たず、キャビンが狭いSH-60Kには不可能だからだろう。つまり輸送と救難のどちらの任務でもSH-60Kに利するように「改悪」されていたのだ。
・2015年3月26日、武居海幕長(当時)は仕様が変えられたとの報告を初めて受ける。渡邊剛次郎防衛部長(当時)が適宜情報を海幕長に上げていなかったことが原因のようだ。これを受けて武居海幕長はSH-60Kへの偏重を見直すように指導(防衛監察本部によると「不当な圧力」)した。
・その後、内局も含めた課長級会議が6回ほど行われたが、特に武居海幕長の指導による仕様変更にも大きな異論は出なかったという。もし海幕長の指導に異議があるのであれば、これらの会議で述べればよかっただろう。だが、そうではなく、防衛監察本部に「密告」が入ったのだ。
・その課長級会議では、内局からSH-60K の採用を強く援護する意見が出た。その中心人物は自衛隊の装備調達に極めて大きな影響力を持つ、当時の中嶋浩一郎防衛計画課長(現沖縄防衛局長)だといわれている。その主張には2つの理由があった。
・第1にSH-60Kが排除され、MCH-101の単独となれば、競争入札が成立しなくなり、建前上の競争原理が働かなることだ。 2007年に発生した守屋防衛事務次官と山田洋行のスキャンダル以降、装備調達の透明性を確保するため、それまで随意契約が主流だったのが原則競争入札に切り替わった。だが競争が成立しない装備、たとえば10式戦車や救難飛行艇US-2のようなものがあるにもかかわらず、形だけの競争入札が行われてきた。つまり今回のヘリ選定でもアリバイづくりのための「形だけの競争入札」を行うことが重要とされたわけだ。だが「形だけの競争入札」であれば、仕様をMCH-101に有利にすればいいだけの話だった。
・第2に調達コストの「安さ」である。大型機のMCH-101はSH-60Kベースの機体よりも1.8倍ほど調達コストが高い。中嶋課長は当時、オスプレイやグローバルホークといった高価な米国製兵器を次々に承認し予算化している。これらの米国製装備の導入は政治決定されたものであり、その調達予算をやり繰りするため、調達コストの低減を図ろうとしたのではないだろうか。
・しかし、運用コストも含めれば、MCH-101のほうがはるかにコストが低く、しかも合理的だ。MCH-101の調達機数は10機(現在8機)、南極観測用に調達された多用途型のCH-101の3機を加えても13機のみ。訓練や維持コストが高くなりがちで、稼働率も低めだ。MCH-101を調達すれば、既存機と合わせて25機を超える。訓練やローテーションの効率が向上し、1機当たりの維持・運用費も大幅に下がることが期待できる。機体の価格が高すぎるのであれば輸入に切り替えればいい。調達コストは3分の2から半分になる。
・また、この調達でSH-60系列の機体が選ばれてしまえば、海自の作戦用ヘリはほとんどSH-60系列になってしまう点にも留意が必要だ。SH-60系列で何らかのトラブルがあれば、すべてが地上待機となるリスクを考えれば、あまりひとつの系列に偏らないほうがいい。あらゆる点で、MCH-101を選定したほうが合理的なのである。 にもかかわらず、防衛監察本部は武居海幕長を処分した。
▽内局による統制を強めるべきではない
・防衛監察本部の報告書には以下のような記述がある。「特定の機種(MCH-101)を、選定されることが望ましい機種として検討し、その他の機種(SH-60K)が評価を満たすことが困難と推定される要求性能へ変更した不適切な行為について深度あるチェックを行うことができない態勢であったことから、内局が運用要求書等の作成や提案書の評価などに、より密接に関与できるよう、機種選定におけるチェック態勢を見直す必要がある」。
・現実はむしろ、内局官僚が調達を歪めようとしているにもかかわらず、さらに内局による統制を強めろというのだ。しかも、筆者の取材によると、この報告書は防衛監察本部ではなく、三貝哲防衛計画課長が書いたとされている。そうであれば防衛監察本部の独立性、中立性が担保されているかどうかも極めて怪しい。
・防衛監察本部は検察の出向者で占められており、軍事的な知識が欠けており、手続きが正当か否かだけでしか判断しない。それまでの調達構想や経緯などを理解できないし、まったく考慮しない。彼らが「手柄」を焦ったことも考えられる。しかもそれを内局や大臣、副大臣ら政治も、手続き上の問題だとして安易に追認した。多額の税金が当初とまったく異なる目的で浪費されても、それを是としているのだ。
・このような「下克上」を許容するようになれば、調達の現場はますます暴走し、自衛隊の装備調達や運用はチグハグなものになりかねない。結果として自衛隊の弱体化を招き、大いに国益を損なうことになるだろう。
http://toyokeizai.net/articles/-/155943

第一の記事にある、ミサイル防衛システムには、『「1兆5787億円が投じられている』、にも拘らず、およそ実戦には役立ちそうもない代物のようだ。 『「特定秘密」を盾に“不都合な事実”を隠蔽してこれ以上、防衛費を膨らませるのは許されない』、との指摘はその通りだ。
第二の記事では、 『陸上幕僚監部がつくった『陸上自衛隊長期防衛戦略』に『オスプレイ』の名前はありませんでした』、にも拘らず導入を決めたのは、 『米軍が沖縄配備を進めた12年当時、沖縄から強い配備反対の声が上がった。これを見た民主党政権の玄葉光一郎外相は「安全性を訴えるため自衛隊も保有すべきだ」と提案、当時の森本敏防衛相が同調して13年度防衛費に調査費800万円を計上した』、と政治主導で当時の民主党政権が決めたようだ。玄葉光一郎外相の言い分は、およそ逆立ちした論理で、真面目に検討した結果とは思えない。実戦での 『事故率は全機種平均の41倍』、とは、もっと詳細に検討する必要があるとはいえ、驚くべき数字だ。米陸軍が導入しなかっただけでなく、イスラエルもキャンセルしたのに、日本だけが、屈辱的な 『FMS(対外有償軍事援助)方式』、を飲んで導入するとはとんでもない話だ。
第一の記事にある 『そもそも原因は海自の最高意思決定会議である海上自衛隊会議が決定した内容を、調達現場が変更したことにある。海幕長は、それを是正しようとしただけだ。ところが内局もこの「下克上」を支持し、防衛監察本部から指弾された。そして、その監察の結果に事務次官も防衛大臣も異議を唱えなかった。これは文民統制上、大きな問題である』との指摘は、驚きである。こんな大問題なのに、一般の新聞がまともに取上げなかったのは、いくら記者クラブの制約があるとはいえ、マスコミの役割の放棄としか言いようがない。防衛省になったとはいっても、内実はまだまだお粗末なようだ。
明日の金曜日は更新を休むので、土曜日にご期待を!
タグ:そもそも原因は海自の最高意思決定会議である海上自衛隊会議が決定した内容を、調達現場が変更したことにある 内部手続きの規定を超え、部下に対して特定の機種に誘導する不当な圧力を加えたからだとされている 武居智久海上幕僚長(当時)が訓戒処分 上自衛隊のUH-X(次期多用途ヘリコプター)の機種選定 海自ヘリ問題、諸悪の根源は「現場の暴走」だ 訓戒処分を受けたが、海幕長の判断は正しい 東洋経済オンライン 購入の意思を示していたイスラエルがキャンセル 米陸軍が採用しないのだろうか。 理由は容易に推測できる。陸上自衛隊と同様、CH47やUH60といった高性能のヘリコプターを多数保有しており、費用対効果や性能に不安があるオスプレイは不要 米政府から直接購入するFMS(対外有償軍事援助)方式 1機あたり100億円強の計算だが、関連経費が加わるためそれだけではすまない 全17機のうちすでに9機を発注 海兵隊航空機アフガニスタン事故報告書 実戦 事故率は全機種平均の41倍 自衛隊オスプレイの佐賀空港への配備を計画 米軍が沖縄配備を進めた12年当時、沖縄から強い配備反対の声が上がった。これを見た民主党政権の玄葉光一郎外相は「安全性を訴えるため自衛隊も保有すべきだ」と提案、当時の森本敏防衛相が同調して13年度防衛費に調査費800万円を計上した 陸上自衛隊はオスプレイの二倍以上の人員や物資を空輸できるCH47大型ヘリコプターを55機も保有している。速度、航続距離こそオスプレイが優れているが、狭い日本で活用するにはCH47で十分と判断 『オスプレイ』の名前はありませんでした 『陸上自衛隊長期防衛戦略』 陸上幕僚監部 自衛隊「オスプレイ導入」を中止できない、日本政府の呆れた事情 貧乏くじを引かされ続けていいのか? 現代ビジネス 「特定秘密」を盾に“不都合な事実”を隠蔽してこれ以上、防衛費を膨らませるのは許されない ・ミサイル防衛には今年度予算までに1兆5787億円が投じられている 実戦では相手はミサイル発射を予告してはくれませんし、自走発射機に載せて発射位置をしばしば変えるのが一般的です。防衛省の釈明は、本物の弾道ミサイルには対応できないことを自ら明らかにしたようなものです 防衛省は「事前通告がなかった」「移動式の発射機だったので分からなかった」と変な言い訳をした 田岡俊次 ミサイル防衛システム 防衛省“限界”露呈 ミサイル防衛は1兆5787億円の役立たず 日刊ゲンダイ (その3)(現状のミサイル防衛システムは役立たず、自衛隊の「オスプレイ導入」、海自ヘリ問題で海幕長が訓戒処分) が抱える問題(防衛問題) 自衛隊 防衛監察本部は検察の出向者で占められており、軍事的な知識が欠けており、手続きが正当か否かだけでしか判断しない 仕様をSH-60Kが入札できるように変更 海幕長は、それを是正しようとしただけだ。ところが内局もこの「下克上」を支持し、防衛監察本部から指弾された。そして、その監察の結果に事務次官も防衛大臣も異議を唱えなかった。これは文民統制上、大きな問題である
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