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「物言う株主」(アクティビスト・ファンド)(その5)(京都銀 海外ファンドから「無視できない」要求 地銀にとって決して他人事ではない株主の動き、日本におけるアクティビスト活動と2022年6月株主総会を概観する――株主提案数は過去最高も 盛り上がりに欠ける結果に、2022年アクティビスト=“物言う株主”による重要提案行為の提出件数 ) [金融]

「物言う株主」(アクティビスト・ファンド)については、2021年7月1日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その5)(京都銀 海外ファンドから「無視できない」要求 地銀にとって決して他人事ではない株主の動き、日本におけるアクティビスト活動と2022年6月株主総会を概観する――株主提案数は過去最高も 盛り上がりに欠ける結果に、2022年アクティビスト=“物言う株主”による重要提案行為の提出件数 )である。

先ずは、2022年5月9日付け東洋経済オンライン「京都銀、海外ファンドから「無視できない」要求 地銀にとって決して他人事ではない株主の動き」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/586653
・『株主は特別配当の実施を京都銀行に要求。定時株主総会での議案記載を拒否した場合、海外投資家は「臨時株主総会開催の手続きを取る」としている。 日本の上場企業に対する物言う株主の注文は日常茶飯事だが、その矛先が地方銀行にも向き始めた。 注文を付けたのはイギリスの運用会社であるシルチェスターだ。4月25日、京都銀行に対して特別配当の実施を求める催告書を送ったと公表した。6月に開催予定の定時株主総会の議案として記載することを求めている。 京都銀行がこれを拒否した場合、シルチェスターは「臨時株主総会開催の手続きを取る」とリリースに明記しており、 京都銀行株を10年以上保有するという海外投資家の注文をないがしろにはできない状況だ。 東洋経済の取材に対して京都銀行は「(シルチェスターからの)書簡が届いていることは認識している。対応についての回答は差し控える」と回答した』、「京都銀行」は要求通り、株主提案を「定時株主総会の議案として記載」。
・『1兆円を超える有価証券の「含み益」  シルチェスターは4月に入り、岩手銀行、滋賀銀行、中国銀行にも特別配当実施を求めたことを公表している。だが、臨時株主総会の開催まで言及したのは京都銀行だけだ。 この背景には、京都銀行ならではの事情があるといえる。収益における有価証券運用への依存度が高いのだ。 京都にはエレクトロニクス関係の大手上場企業が数多く存在する。京都銀行はそうした会社がまだ小さかったころから株式を保有し、取引を続けてきた。 保有する上場銘柄は日本電産や任天堂、村田製作所などそうそうたる顔ぶれだ(図参照)。そうした企業の株価上昇に伴い、貸借対照表に計上されている金額は大きく膨らんできた。 2021年3月期時点で京都銀行の有価証券の評価損益(含み損益の合計)は1兆0232億円のプラスで、そのうち1兆0016億円が株式によるものだ。これは京都銀行の時価総額の倍以上の水準で、地銀の中でも突出して大きい。そして、株から得られる配当が収益に大きく貢献している。 では、肝心の銀行業務の実力はどうか。有価証券から得られる収益を除外し、融資と手数料でどれだけ利益を上げられているかをみる指標で、本業利益(貸出残高×預貸金利回り差+役務取引等利益−営業経費)というものがある。これは金融庁が定義して重視する指標だ。 東洋経済が試算した本業利益(詳しくは、100社のうち30社が赤字「地方銀行 本業利益ランキング」)をみると、2021年3月期の京都銀行は約13億円の赤字。100ある地銀のうちワースト15位だ。) シルチェスターも京都銀行の本業部分の収益力の弱さを問題視する。実際、4月25日付のリリースで、「2021年3月期の純利益は169億円。保有株式に関して173億円の配当金を受け取った。これは、銀行業務の損失が約4億円だったことを意味する」と指摘している。 今回の要求を行う前、シルチェスターは2022年2月に配当政策の修正を要求している。このときは、京都銀行が保有株式から得る年間配当の100%に相当する配当などを求めていた。配当増加を求めたのは、「コアの融資・銀行業務から利益を生むためのインセンティブを確実に与えられる」(シルチェスター)からだとしている。 要は、潤沢な配当収入に依存せず、もっと銀行業務からの収益力強化に努めよ、というメッセージだろう。株主の期待に応えて収益改善を図るには、手数料収益を向上させたり、店舗などのインフラを削減するほかない』、「株式含み益」が恵まれた環境を生かして「1兆0016億円」とは大したものだが、肝心の「本業利益」は「約13億円の赤字」とは寂しい限りだ。
・『「政策保有株」の縮減は銀行の共通テーマ  さらに大きな問題として、政策保有株式がある。今回は京都銀行に対して売却を迫ることこそしなかったものの、シルチェスターは「顧客との関係維持に必要なものではない」と見直しの必要性もにおわせている。 政策保有株などから生み出される莫大な含み益について、京都銀行は自社のサイトで「強固な財務基盤」とアピールしている。だが、投資家からは「資本効率が悪い」と見られてしまう。 コーポレートガバナンスの改善が謳われる中、政策保有株式の縮減は銀行界の一大テーマでもあり、今後、物言う株主が売却を迫る展開もありうると見ておくべきだろう。 シルチェスターは、今回増配を要求した4行のほかにも、横浜銀行を傘下にもつコンコルディア・フィナンシャルグループや沖縄銀行を傘下に持つおきなわフィナンシャルグループの株を保有している。これらの銀行に対する動きには注目だ。 当然、ほかの地銀もひとごとではいられない。あるファンドの関係者は「ここ数年、地銀周りをしているファンドが増えてきた」と明かす。有価証券運用頼みで銀行業務での収益がなかなか改善しない地銀や、自己資本比率が高い地銀などを狙って、物言う株主が動き出す可能性もある』、「ファンド」の要求に従うことを通じて、銀行経営が効率化してほしいものだ。

次に、8月29日付けMARRonlineが掲載したみずほ証券エクイティ調査部チーフ株式ストラテジストの菊地 正俊氏による「日本におけるアクティビスト活動と2022年6月株主総会を概観する――株主提案数は過去最高も、盛り上がりに欠ける結果に」を紹介しよう。※本記事は、M&A専門誌マール 2022年10月号 通巻336号(2022/9/15発売予定)の記事です。速報性を重視し、先行リリースしました。
https://www.marr.jp/menu/ma_strategy/ma_planning/entry/38875?gclid=Cj0KCQjw2cWgBhDYARIsALggUhoGGw1TeuNj6Z0CoDdcDw6aAtpPNQZ4J0tN60sM97CmscKRlh-44lsaApq7EALw_wcB
・『世界のアクティビスト活動の約6割は米国で  Lazardの集計によると、2022年上期に世界のアクティビスト・キャンペーン数は前年同期比34%増の126件と2018年上期以来最高になったが、アクティビスト活動の過半数は北米で行われている。日本はアクティビストの投資対象になった企業数が米国、オーストラリアに次いで世界3位であるが、小さなキャンペーンが多いため、日本を含むアジア太平洋地域が世界のアクティビスト・キャンペーン数に占めるシェアは17%にとどまる(図表1)。 バリューアクトはオリンパス(7733)とJSR(4185)に社外取締役を送り込むことに成功した。両社とも株式市場から評価される事業ポートフォリオの見直しを行ったが、エリオットやサードポイントなどの米国大手アクティビストは最近、日本市場で音沙汰がない。(1)日本企業は依然として株式持合が多い、(2)国内機関投資家の株主提案への賛成率が低い、(3)日本語でキャンペーンを実施しなければならないのでコスト高になる――ことなどが欧米大手アクティビストの参入が増えない理由だろう。 一方、任天堂(7974)の創業家の運用会社Yamauchi-No.10 Family Officeが、インフロニアHD(5076)による東洋建設(1890)へのTOBに介入したため、新興のアクティビストとみなす向きもあった。日本株に投資しているアクティビストはAUM(運用資産規模)が小さいため、ターゲットになるのはほとんどが中小型企業である。日本ではPBRが1倍を割っている企業が依然約半数あり、ROEも国際比較で低いので、持合解消が進み、アクティビストと国内機関投資家との対話が進めば、アクティビストの活動余地は大きいだろう。 図表1 アクティビストのキャンペーン件数の地域別比率の推移  注: データは、キャンペーン発表時に時価総額5億ドル以上の企業に対してアクティビストがグローバルに行ったキャンペーンを示す。発表時の時価総額が5億ドル未満の一部のキャンペーンには、COVID-19パンデミックによる市場低迷期に行われたものを含む。キャンペーンのプロセスの一環としてスピンオフした企業は別にカウント。出資比率および投下資本は、デリバティブを通じたポジションを反映していない場合がある 出所: Lazard “H1 2022 REVIEW OF SHAREHOLDER ACTIVISM”よりみずほ証券エクイティ調査部作成』、「日本株に投資しているアクティビストはAUM(運用資産規模)が小さいため、ターゲットになるのはほとんどが中小型企業である。日本ではPBRが1倍を割っている企業が依然約半数あり、ROEも国際比較で低いので、持合解消が進み、アクティビストと国内機関投資家との対話が進めば、アクティビストの活動余地は大きいだろう」、その通りだ。 
・『世界の主要アクティビスト  日本に投資する主なアクティビストを図表2に示した。世界最大のアクティビストは、米国の投資家であるポール・シンガー氏によって設立されたエリオットである。エリオットはHPに1977年創業、2022年6月末時点でAUM557億ドル(1ドル=130円換算で約7.2兆円)、499人の社員などと掲載している。エリオットは巨大なので、運用戦略も株式、PE、プライベート・クレジット、ディストレス債券、ヘッジ・アービトラージ、イベント・ドリブン、不動産、コモディティ、ボラティリティ取引など様々な取引を行う。日本株投資も担当者が変わると、戦略が変わる印象だ。 以前は香港から日本株に投資していたが、担当者がいなくなり、その後ロンドン経由になったようだ。2020年にソフトバンクグループ(9984)に投資して以来、マーケットから音沙汰がなくなった。欧米の大手アクティビストは運用資産が大きいので、ターゲットとする企業も大きくなる一方、日本のアクティビストはAUMが小さいので、中小型株をターゲットにしやすい。 エリオットは2021年に薬品セクターの中で、同業他社比で株価がアンダーパフォームしていた英GSKに対して経営陣刷新や事業再編を求めた。エリオットと並んで、東芝に対して社外取締役を送り込んだファラロンは1986年創業で、運用資産は422億ドル(約5.5兆円)と報じられている。投資先に対する姿勢はエリオットの方がファラロンよりアグレッシブのようである。エリオットのエンゲージメントがソフトバンクグループの大規模な自社株買いにつながったとみられる一方、ファラロンが過去5年に東芝以外で大量保有報告書を提出したのはアイリックコーポレーションだけである。ファラロンはロー・プロファイルを維持しているようであり、投資先があまり報じられない。 サードポイントも2019年にソニーグループ(6758)に2度目の株主提案をした後、日本株で音沙汰がない。サードポイントは2021年に株価がアンダーパフォームしていたインテルのCEO交代で大きな役割を果たし、英国シェルに会社分割を求めた。サードポイントはグロース株への投資で失敗し、今年上期の運用パフォーマンスが-20%になったと報じられている。欧州最大級のアクティビストである英TCIに至っては、2007年に電源開発(9513)に対する投資が外為法に抵触し、撤退して以来、日本株では存在感がなくなり、欧州で環境アクティビスト活動を中心に行っている。 図表2 日本株に投資する主なアクティビスト(リンク先参照) アクティビストの評判の日米格差(以下は有料の会員登録必要)』、「海外の有名アクティビスト」も現在では、「日本株で音沙汰がない」、「撤退」など様々なようだ。

第三に、2月9日付けダイヤモンド・オンラインが転載したM&A Online編集部「2022年アクティビスト=“物言う株主”による重要提案行為の提出件数 」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/317040
・『2022年に提出された大量保有報告書の件数は1万1694件と昨年の1万2470件より6.2%減少となった。また保有目的欄に「重要提案行為等を行う」と明記された報告書件数は100件と昨年の98件とほぼ同数だった。(M&A Online編集部) かつてのアクティビスト(物言う株主)は標的企業に対し、水面下で資本効率の改善や株主還元を働きかけていたが、最近は表立って行動している。コーポレートガバナンス改革の流れの中で、議決権行使の個別開示制度が導入されたことや持ち合い株の解消が進んだことが背景にある。 2022年はアクティビストの提案に賛成票を投じる機関投資家の動きが目立った。例えば、英アクティビストファンドのシルチェスター・インターナショナル・インベスターズは、岩手銀行、滋賀銀行、京都銀行、中国銀行の地銀4行に対し、特別配当を求める株主提案を行う書簡を送ると表明した。この株主提案は賛否が分かれたが、農林中金や三井住友DSアセットマネジメント、ゴールドマンサックスなどが賛成した。)  一方で気になる動きもある。水面下で協調しながら標的企業の株式を一気に買い進めるウルフパック戦術という投資手法だ。協調関係の有無を立証するのは難しく、関係者も頭を悩ませている。 3月に任天堂創業家の資産運用会社ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィスが東洋建設の株式を大量取得した際には、当初素性が分からず株式市場が一時騒然となった。4月には仕手筋とも外国資本とも言われるリ・ジェネレーションがナガホリに対し市場内で株式を買い集め、買収防衛策の導入を決議する事態となった。2023年も法律の抜け穴を突いた仕手筋による中小株を狙った日本版ウルフパックが増えると予想される。 司法判断に至ったのは、アダージキャピタルに対する三ッ星の買収防衛策だ。アダージとの争いは最高裁までもつれ込み、ポイズンピル(新株予約権の無償割当)の差し止め決定が最高裁で確定した。経営陣による過度な防衛策は認められなかった。 例年同様に旧村上ファンド系の動向にも注目が集まった。旧村上系の提案を受け入れる形で、大豊建設とセントラル硝子が400億〜500億円規模の自社株買いを実施、旧村上系が20%近い株式を保有するジャフコグループも年末から2023年1月末にかけて420億円の自社株買いを行った。建設株を売り抜けた旧村上系が次に狙うのは石油元売り業界。コスモエネルギーホールディングスの筆頭株主に躍り出た後も追加取得を進め、11月22日に提出した変更報告書によると19.81%まで買い増しており、要注目だ』、「かつてのアクティビスト(物言う株主)は標的企業に対し、水面下で資本効率の改善や株主還元を働きかけていたが、最近は表立って行動している。コーポレートガバナンス改革の流れの中で、議決権行使の個別開示制度が導入されたことや持ち合い株の解消が進んだことが背景にある」、動きが透明化したことは望ましい。ただ、「水面下で協調しながら標的企業の株式を一気に買い進めるウルフパック戦術という投資手法だ。協調関係の有無を立証するのは難しく、関係者も頭を悩ませている。 3月に任天堂創業家の資産運用会社ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィスが東洋建設の株式を大量取得した際には、当初素性が分からず株式市場が一時騒然となった。4月には仕手筋とも外国資本とも言われるリ・ジェネレーションがナガホリに対し市場内で株式を買い集め、買収防衛策の導入を決議する事態となった。2023年も法律の抜け穴を突いた仕手筋による中小株を狙った日本版ウルフパックが増えると予想される」、資本市場の公正さを歪めることのないよう市場関係者やマスコミも監視してゆくべきだろう。
タグ:「物言う株主」(アクティビスト・ファンド) (その5)(京都銀 海外ファンドから「無視できない」要求 地銀にとって決して他人事ではない株主の動き、日本におけるアクティビスト活動と2022年6月株主総会を概観する――株主提案数は過去最高も 盛り上がりに欠ける結果に、2022年アクティビスト=“物言う株主”による重要提案行為の提出件数 ) 東洋経済オンライン「京都銀、海外ファンドから「無視できない」要求 地銀にとって決して他人事ではない株主の動き」 「京都銀行」は要求通り、株主提案を「定時株主総会の議案として記載」。 「株式含み益」が恵まれた環境を生かして「1兆0016億円」とは大したものだが、肝心の「本業利益」は「約13億円の赤字」とは寂しい限りだ。 「ファンド」の要求に従うことを通じて、銀行経営が効率化してほしいものだ。 MARRonline 菊地 正俊氏による「日本におけるアクティビスト活動と2022年6月株主総会を概観する――株主提案数は過去最高も、盛り上がりに欠ける結果に」 「日本株に投資しているアクティビストはAUM(運用資産規模)が小さいため、ターゲットになるのはほとんどが中小型企業である。日本ではPBRが1倍を割っている企業が依然約半数あり、ROEも国際比較で低いので、持合解消が進み、アクティビストと国内機関投資家との対話が進めば、アクティビストの活動余地は大きいだろう」、その通りだ。 「海外の有名アクティビスト」も現在では、「日本株で音沙汰がない」、「撤退」など様々なようだ。 ダイヤモンド・オンライン M&A Online編集部「2022年アクティビスト=“物言う株主”による重要提案行為の提出件数 」 「かつてのアクティビスト(物言う株主)は標的企業に対し、水面下で資本効率の改善や株主還元を働きかけていたが、最近は表立って行動している。コーポレートガバナンス改革の流れの中で、議決権行使の個別開示制度が導入されたことや持ち合い株の解消が進んだことが背景にある」、動きが透明化したことは望ましい。 ただ、「水面下で協調しながら標的企業の株式を一気に買い進めるウルフパック戦術という投資手法だ。協調関係の有無を立証するのは難しく、関係者も頭を悩ませている。 3月に任天堂創業家の資産運用会社ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィスが東洋建設の株式を大量取得した際には、当初素性が分からず株式市場が一時騒然となった。4月には仕手筋とも外国資本とも言われるリ・ジェネレーションがナガホリに対し市場内で株式を買い集め、買収防衛策の導入を決議する事態となった。2023年も法律の抜け穴を突いた仕手筋による中小株を狙 った日本版ウルフパックが増えると予想される」、資本市場の公正さを歪めることのないよう市場関係者やマスコミも監視してゆくべきだろう。
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