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企業金融・企業財務(その1)(じつはいま「地銀と中小企業の関係」が激変中…そのウラに隠された「意外な落とし穴」、ソフトバンクの新金融商品「社債型種類株式」のうま味とリスク、金融庁がリスク警戒!地銀・信金で広がる「仕組み貸出」の深すぎる闇) [企業経営]

今日は、企業金融・企業財務(その1)(じつはいま「地銀と中小企業の関係」が激変中…そのウラに隠された「意外な落とし穴」、ソフトバンクの新金融商品「社債型種類株式」のうま味とリスク、金融庁がリスク警戒!地銀・信金で広がる「仕組み貸出」の深すぎる闇)を取上げよう。

先ずは、昨年5月17日付け現代ビジネスが掲載した経済ジャーナリストの加谷 珪一氏による「じつはいま「地銀と中小企業の関係」が激変中…そのウラに隠された「意外な落とし穴」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/110338?imp=0
・『地方銀行を中心に、融資先企業の経営者に個人保証を求めない流れが拡大している。日本の場合、中小零細企業の経営者が融資に際して個人保証を入れることが当然視されており、こうした商慣行が起業の阻害要因になっていると指摘されてきた。 融資慣行の見直しによってスタートアップ育成につながると期待されているが、起業が不活発な原因は必ずしも個人保証だけではない。総合的な環境整備を実施しないまま銀行に個人保証の撤廃だけを求めれば、銀行が中小企業への融資を引き揚げてしまう可能性もあるので注意が必要だ』、「総合的な環境整備を実施しないまま銀行に個人保証の撤廃だけを求めれば、銀行が中小企業への融資を引き揚げてしまう可能性もある」、その通りだ。
・『中小企業の経営者はがんじがらめ  日本では、中小零細企業の経営者はあらゆる場面において個人保証を求められ、無限責任を負う必要がある。銀行からの融資はもちろんのこと、オフィスを借りる際や、コピー機をリースする時ですら個人保証を入れなければならない。 筆者自身、会社をゼロから立ち上げ、経営してきた経験があるのでよく分かるのだが、中小企業の場合、何から何まで個人保証を要求され、がんじがらめにされてしまう。近年はだいぶ環境が良くなってきたが、サラリーマンを辞めてしまうと賃貸住宅を借りられなくなったり、カードを作れなくなるケースも珍しくなかった。 起業したのは20年以上前のことだが、当時もちょっとした起業ブームとなっており、会社を立ち上げたことを聞きつけた知人(多くがいわゆるエリートサラリーマン)が多数、起業について話を聞きにきた。 すべてにおいて個人保証が必要であり、失敗すれば無一文どころか自己破産まで強いられること、家を借りられないケースがあること、カードを作れないケースがあることなどを説明すると、皆、顔面蒼白になり帰っていった。筆者の知る限り、アドバイスを求めにきた知人の中で実際に会社を立ち上げた人は皆無だったと記憶している。) 中小企業経営者の中には、「個人保証を入れることなど大したことではない、というくらいの気概がなければ、企業の経営など無理」と述べ、銀行や取引先が個人保証を求めることはむしろ人材の選別機能になっていると主張する人もいる。確かにそうした面があるのは事実であり、個人保証の話を聞いて青ざめるような人物では、到底、中小企業の経営などおぼつかないだろう。 しかしながら、あまりにも高いハードルが起業の入り口を狭めているのは事実であり、こうした商慣行の見直しが必要なのはその通りである』、「会社を立ち上げたことを聞きつけた知人(多くがいわゆるエリートサラリーマン)が多数、起業について話を聞きにきた。 すべてにおいて個人保証が必要であり、失敗すれば無一文どころか自己破産まで強いられること、家を借りられないケースがあること、カードを作れないケースがあることなどを説明すると、皆、顔面蒼白になり帰っていった。筆者の知る限り、アドバイスを求めにきた知人の中で実際に会社を立ち上げた人は皆無だったと記憶している」、自らの腕だけで勝負するとなれば、相当の覚悟が必要だ。
・『銀行は「リスクを取ってはいけない」  今回、銀行が融資先企業の経営者に個人保証を求めない流れが出てきたのには、政府からの要請という部分も大きい。金融機関は以前から自主的なガイドラインを作成しており、可能な限り個人保証を求めないよう取り組みを進めてきた。だが現時点では、約7割が保証付き融資となっており、効果を発揮しているとは言い難い。 こうした事態を受けて岸田政権は昨年、スタートアップ企業を支援するため、経営者の個人保証を免除する施策について検討を開始した。今年に入って金融庁が、融資先に個人保証を求める場合、その必要性について説明することを金融機関に義務付けるなど、具体的な政策として動き始めている。 個人保証を外すこと自体は正しい方向性であり、筆者も高く評価している。 だが、中小企業の資金調達環境について政府や金融機関には誤った認識があり、単純に個人保証を外しただけでは、日本の起業が活発になるわけではない。それどころか、このまま何も考えずに政策を進めてしまうと、かえって中小零細企業の資金調達が阻害される可能性すらある。その理由は、日本において新規ビジネスが不活発なのは、経営者への個人保証だけが原因ではないからである。) 日本では中小企業の資金調達環境やその認識に大きな歪みがある。 中小企業やベンチャー企業は他の企業と比較してリスクが高い。先進諸外国の場合、こうしたリスクが高いビジネスの資金調達は銀行からの融資ではなく、投資家による直接出資(返済の義務はなく、失敗した場合には投資家が損失を引き受ける)によって賄われるのが通常である。 なぜそうなっているのかというと、銀行というのは預金者の大切な資金を預かり、それが失われることがないよう慎重に運用することが義務付けられた存在だからである。多くの国民にとって銀行預金は命の次に大事なものであり、そうした大事な資金を、いつ倒産するのかも分からない企業に融資してよいわけがないことは、直感的にお分かりいただけるだろう。 このため諸外国では、銀行はほぼ確実に資金が回収できる融資先にのみ融資を行い、リスクが高い事業は投資によって資金を確保するという役割分担が確立した』、日本でも経営者などの出資が資金調達の核になる点は同じだ。
・『創業間もない企業の資金調達は株式で実施すべき  ところが日本の場合、直接的な投資によって資金を集めるという環境が整備されず、事業を立ち上げる人にとって銀行融資しか資金を集める手段ないという状況が長く続いた。 銀行はリスクが高いビジネスには融資できないのに、そうしたハイリスクの融資先を開拓しなければならないというジレンマに陥っている。銀行にしてみれば、預金者から預かった大切なお金であり、簡単になくしてしまうことはできず、安易に融資を行えば、預金者に対する背信行為になる危険性もある。その解決策として使われてきたのが、経営者やその家族に個人保証を求めるという、悪しき融資慣行であった。 つまり、創業間もない企業に対して普通に銀行融資が行われている状況にこそ問題があり、融資に頼らない資金調達環境を整備しなければ、本当の意味での起業活性化は難しいのだ。 それどころか、個人保証を外すことだけに邁進した場合、逆効果になる可能性すらある。 先ほど説明したように、銀行は本来、リスクの高い事業には融資できない存在である。政府が過度に個人保証の見直しを要請すると、銀行はリスクの高い企業にまで保証なしで融資を行い、後に大量の不良債権を生み出す可能性がある。逆に銀行として慎重に行動した場合には、融資が極度に減少し、ほとんどの零細企業が資金調達できないという事態に陥る可能性もある。 ではどうすればよいのか。 日本において起業が不活発である理由をしっかりと分析し、全体的な環境整備を同時並行で進めることが重要である。具体的に言えば、大企業と中小企業の取引慣行の見直しや、中小企業のM&A(合併・買収)活性化である』、「創業間もない企業に対して普通に銀行融資が行われている状況にこそ問題があり、融資に頼らない資金調達環境を整備しなければ、本当の意味での起業活性化は難しいのだ」、「創業間もない企業に対して」は融資ではなく、経営者の手金がベースになっている筈だ。
・『大企業の商慣行見直しを進めるべき  諸外国の場合、起業家が事業を始める際には、ゼロから会社を立ち上げるというケースもあるが、そうではないケースもかなり多い。典型的なのは、すでに事業を行っている人が引退する際、若い起業家に事業を売却するなど、既存ビジネスの継承である。 こうした手法であれば、特別な技能や経験がなくても事業をスタートできるし、すでにビジネスとして立ち上がっているので、投資家も安心して資金を提供できる。また当該事業が十分なキャッシュフローを得ている場合には、銀行の融資で資金をカバーすることも可能だろう。こうした形で中小企業のM&Aや、事業継承がもっと活発になれば、資金調達の環境も大きく変わるはずだ。) 加えて言うと、創業間もない企業や、前例がない企業とは取引をしないといった、日本の大企業独特の商習慣も改める必要がある。 中小企業を立ち上げた経営者にとって、もっとも大きな壁として立ちはだかるのは、資金よりも、むしろ取引先の開拓である。日本では、前例がないという理由だけで取引について門前払いを受けることが多く、会社を立ち上げても事業が続かないケースが多い。また、発注元の大企業が、支払い条件に対してムチャな要求を取引先に突きつけることも少なくない。 起業を促進するためには、単純に個人保証をなくすといった解決策だけでなく、事業の売買や商習慣なども含めた総合的な環境整備が必要である』、「創業間もない企業や、前例がない企業とは取引をしないといった、日本の大企業独特の商習慣も改める必要がある」、大企業としても信用リスクが高い企業との取引には慎重というのは、やむを得ないと思う。「発注元の大企業が、支払い条件に対してムチャな要求を取引先に突きつけることも少なくない」、これは独禁法違反になりかねない行為で、当局からの警告が必要だ。

次に、昨年11月26日付け日刊ゲンダイ「ソフトバンクの新金融商品「社債型種類株式」のうま味とリスク」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/332526
・『9月に本欄で紹介した「アクティブETF」に続いて、また日本初の金融商品がデビューした。社債の特性を持った上場株式、その名も「社債型種類株式」である。発行したのはソフトバンクグループの国内通信子会社ソフトバンクで、11月2日に東証プライムに上場し、話題になっている。 聞き慣れないだろうが、「種類株式」とは、普通株式と権利の内容が異なる株式のことである。 発行価格は1株4000円。売買単位は普通株と同じ100株(最少投資単位40万円)。発行株数と発行総額はそれぞれ3000万株、1200億円である。 ソフトバンクにとってのメリットは以下の通り。株式の一種であるため、発行で得た資金は会計上、100%資本となるから、社債や借り入れなど負債調達に比べ財務を悪化させず資金を集められる。また社債型株式には議決権がなく、普通株への転換権もないことから株式の希薄化が起こらない。 では、投資家にはどんなうまみがあるのか。 普通株に先立って優先的に配当が行われることと、社債のように安定した利回り(配当)が期待できることだろう。) 配当率は発行後約5年間は固定で年2.5%。ソフトバンク普通株の配当利回りは足元で4.9%程度で、一方、23年3月に同社が発行した個人投資家向け社債の利率は0.98%なので、社債型株式の利回りは株と社債の中間と考えていい。 上場初日の終値は4025円だった。上場後(11月20日まで)の株価は4000~4040円で値動きは小さい。 投資家が気になるリスクだが、それは「コール(事前償還)条項」だ。発行から5年経てばソフトバンクが発行価格に未払いの配当金などを上乗せした金額で買い戻すことができる。ただしコールは市場慣例で、発行体には買い戻す権利があるだけで、財務悪化などで買い戻しを見送ることもできる。万が一、見送りとなれば、投資の前提が崩れ、売り材料となりかねないが、ソフトバンクの体面があるし、NISAの対象でもあるだけに、それは考えにくい。だから個人投資家の人気が高く、10月末時点の個人の申込比率は92%に上る。 株はリスクがあって怖いが、金利が0.1%程度の定期預金にも満足していないという人は検討してみる価値は十分あるだろう。(丸)』、「ソフトバンクにとってのメリットは以下の通り。株式の一種であるため、発行で得た資金は会計上、100%資本となるから、社債や借り入れなど負債調達に比べ財務を悪化させず資金を集められる。また社債型株式には議決権がなく、普通株への転換権もないことから株式の希薄化が起こらない」、なるほど。 「投資家にはどんなうまみがあるのか。 普通株に先立って優先的に配当が行われることと、社債のように安定した利回り(配当)が期待できることだろう・・・配当率は発行後約5年間は固定で年2.5%。ソフトバンク普通株の配当利回りは足元で4.9%程度で、一方、23年3月に同社が発行した個人投資家向け社債の利率は0.98%なので、社債型株式の利回りは株と社債の中間と考えていい」、これはよく出来た仕組みだ。

第三に、本年2月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した共同通信編集委員の橋本卓典氏による「金融庁がリスク警戒!地銀・信金で広がる「仕組み貸出」の深すぎる闇」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338854
・『一部の地域金融機関の間で、「仕組み貸出」と言われるスキームがはやっている。既に金融庁はリスク管理強化を要請しているというそのスキームとは、一体どのようなものなのか。背景を探ると、業界内ではやるだけの「うまみ」と「闇」があることが分かってきた』、興味深そうだ。
・『金融庁がリスク管理強化を要請  地域金融業界で「仕組み債」ならぬ、「仕組み貸出」が注目を集めている。 金融庁が1月、地方銀行・第二地方銀行との意見交換会で、仕組み貸出に関して、リスク管理を強化するよう求めたのがきっかけだ。 もっとも仕組み貸出自体は昔からあり、目新しい取引ではないが、このところ増加傾向にあるという。なぜ金融庁が今、問題視するのか。次ページでその論点と、業界の構造的課題に迫る』、「仕組み貸出自体は昔からあり、目新しい取引ではないが、このところ増加傾向にある」、「金融庁が今、問題視」した「論点」と「業界の構造的課題」をみてみよう。
・『複雑な仕組み貸出スキーム  まず以下のスキーム図を見てほしい。 証券会社などがつくった特別目的会社(SPC)に地銀が貸し出しを行う仕組み。SPCは融資契約に基づいて国債などの債券を取得する。 融資実行の際、債券の利回りの一部に相当するアップフロントフィーが地銀サイドに支払われるところに特徴がある。10年国債の場合、10年分の手数料を一括で地銀が手にする。 SPCから先は、スワップ取引が行われているとされるが、地銀側にはその詳細は明かされず、通常「ブラックボックス」となっている。金融庁によれば「複雑な商品性が多い」という。 (図_「仕組み貸出」のスキーム図 はリンク先参照)』、「SPCから先は、スワップ取引が行われているとされるが、地銀側にはその詳細は明かされず、通常「ブラックボックス」となっている」、というのは問題だ。
・『ブラックボックス  では、そのブラックボックスでは一体何が行われているのか。 まず、SB(普通社債)リパッケージ債が類似したスキームだという。 たとえば同一企業が発行する国内債と外債の間に市場関係者の見通しの違いから価格差が生じたとする。仮に外債が国内債より割安の場合、スワップ取引によって、国内債より高い外債のクーポンを活用したリパッケージ債を組成することができる。 また、繰り上げ償還条項(コール条項)付きCB(転換社債)リパッケージ債というスキームも存在する。 発行者(SPC)がいつでもCBを償還(コール)する権利を持ち、権利行使の場合、対象償還額面金額と利子が支払われる。投資家(地銀)は償還までのクーポン・償還金を受け取るだけだ。CB、転換株式の価格上昇の値上がり益は享受できない』、「CB、転換株式の価格上昇の値上がり益」はスキームの管理コストのような形で消えているのだろうか。
・『SPCを仲介させる理由とは  ブラックボックスの中身は複雑だが、銀行とSPCの関係だけを見ると単純だ。だが奇妙なスキームではある。 そもそも、SPCの運用先が国債であるならば、SPCなど介さずに、銀行が直接国債を満期保有した方が高い利回りを確保できるはずだ。なぜSPCが必要なのか。 このスキームは債券運用ではなく、「貸し出し」であるところがポイントなのだ。 まず、貸し出しには、貸借対照上の時価評価の必要がないという点がある。 有価証券を運用する場合、時価が簿価より50%以上下落した場合、回復可能性がなければ時価評価をして、減損処理を行わなければならない。しかし、貸し出しの場合、この必要がなくなるのである。 仕組み貸出にはさまざまなスキームがあり、SPCは国債以外の外債、社債などを取得する場合もある。銀行が直接、外債や社債を取得した場合、時価評価による減損リスクと向き合わなければならない。 かつては、外債運用で大規模な損失を計上することになった地銀もあり、その反動からこうしたスキームが使われるようになったという』、「銀行が直接、外債や社債を取得した場合、時価評価による減損リスクと向き合わなければならない」、これを回避するために「SPC」を活用したとは上手いやり方だ。
・『貸出残高をかさ増し  また、有価証券運用ではないため、地銀は貸出残高を「かさ増し」することができる。 地銀関係者によれば、「SPCを中小企業と見なせば『中小企業向け貸出残高』と外部に見せることもできなくもない」と打ち明ける。 いくつかの地域のトップ地銀関係者に取材したところ、いわゆる“お堅い運用”をしている印象であった。 具体的には、SPCが取得する債券を国債に限定したり、銀行側のリスク統括、審査担当のチェックを受けなければ、仕組み貸出を認めなかったりという管理をしていた。 国債などの安全性の高い債券をSPCが取得する場合、地銀が受け取るリターンは極めて薄利となる。よって、貸出金のボリュームを増やさなければ十分な利ざやは確保できない。中には、100億円を超える「大型融資」もあるという。地域金融機関にとっては、巨額融資だ』、「地銀は貸出残高を「かさ増し」することができる・・・「SPCを中小企業と見なせば『中小企業向け貸出残高』と外部に見せることもできなくもない」、なるほど上手い手だ。
・『リスクは「早期償還事由」か  リスクは、やはりSPCから先の「ブラックボックス」にあるとみて間違いない。 証券会社の資料でも「早期償還事由」について以下のような説明がある。 SPCの倒産、支払い不履行などによる期限の利益喪失は当然として、「元本・利子の削減」でも早期償還される。外債の場合、各国の法令、関係当局の権限によって元本が削減されることもある。 また、非常に流動性の低い通貨建て債券の場合、当初予定とは違う通貨で元利金支払いが行われる場合もある。スワップ取引の取引相手が倒産、支払い不履行になった場合も早期償還となる。こうしたリスクを地銀が管理するのは至難だろう。 早期償還の場合、担保証券を市場売却して、スワップ契約を解約し、担保証券の売却金額から弁護士費用など必要経費を差し引き、残余金を地銀に返済することになる。当然、貸出債権が焦げ付くこともあり得るのだ』、「当初予定とは違う通貨で元利金支払いが行われる場合もある。スワップ取引の取引相手が倒産、支払い不履行になった場合も早期償還となる。こうしたリスクを地銀が管理するのは至難だろう。 早期償還の場合、担保証券を市場売却して、スワップ契約を解約し、担保証券の売却金額から弁護士費用など必要経費を差し引き、残余金を地銀に返済することになる。当然、貸出債権が焦げ付くこともあり得るのだ」、地域金融機関には管理困難だろう。
・『神経とがらせる金融庁  金融庁は、地域金融機関が仕組み貸出について、現場部署だけでなく、審査やリスク統括などの関連部署が商品性や内包するリスクを正確に把握して、経営陣に報告して十分なリスク検証を行う態勢整備ができているかどうかに注目している。 「むしろ、地銀に比べて管理態勢が甘い可能性のある信用金庫などの協同組織金融が心配だ」と、金融庁幹部は不安を隠さない。 アップフロントフィーという目先の収益が目的になってしまえば、経営戦略を度外視して仕組み貸出にのめり込んでしまう恐れもあるからだ。経営体力に見合うリスク量となっているのかどうかもポイントとなる。 ちなみに「国債を裏付け担保とするアップフロントフィーは米国では認められていないので、監査法人が嫌がる」(地銀幹部)との声もある。 仕組み貸出の限度額管理だけでは不十分だ。類似商品のコスト、オプション条件を十分に比較できているか。金利リスク・業種集中リスク・カントリーリスクなどのリスク特性への目配りも重要だ。 仕組み貸出を売り込もうとする証券会社・信託銀行の話だけではなく、自ら市場価格、外部格付けをモニタリングしなければならない。 仕組み貸出が金融機関としての経営戦略、重点的取り組み方針と合致しているのかどうかも疑わしい。 また、株主・投資家への説明が不十分だ。金融庁も仕組み貸出について、ステークホルダーへの説明を促している』、「仕組み貸出の限度額管理だけでは不十分だ。類似商品のコスト、オプション条件を十分に比較できているか。金利リスク・業種集中リスク・カントリーリスクなどのリスク特性への目配りも重要だ。 仕組み貸出を売り込もうとする証券会社・信託銀行の話だけではなく、自ら市場価格、外部格付けをモニタリングしなければならない。 仕組み貸出が金融機関としての経営戦略、重点的取り組み方針と合致しているのかどうかも疑わしい。 また、株主・投資家への説明が不十分だ。金融庁も仕組み貸出について、ステークホルダーへの説明を促している」、これは地域金融機関にとっては大変難しい問題だ
・『地域金融の役割とは何か  仕組み貸出は、産業振興や信用創造につながる事業性の融資でもなく、預貸業務以外の真っ当な資金運用でもない。 仮に地銀側が「デフォルトではない」と判断しても、スワップ上のデフォルト定義が異なる場合がある。そのリスク分が金利に上乗せされるわけだが、担当者が十分に理解しているかどうかは怪しい。 そもそも「見せかけの貸出残高維持」や、「国債の利回りの一部をアップフロントフィーで先食い」する効果がある仕組み貸出に、地域金融機関が手を出さなければならないところに、業界が抱える闇がある。 仕組み貸出の増加は、日銀のマイナス金利政策でだぶつき、行き場を失ったマネーが生み出したものだという見方もできる。抜け目ない証券会社が提案する、何の付加価値も生まない仕組み貸出のスキームに地銀がこぞって飛び付いたのも、預貸率改善の必要に迫られて、やむを得ない側面があったのではないだろうか。 本当の問題は、日銀が利上げに踏み切れば、過去30年間近く続いた「金利なき世界」に慣れ切った地域金融機関が、「金利ある世界」に戻っていく危うさにあるのかもしれない。 「金利ある世界」だからこそ、地域金融の役割とは何かを問い直す必要がある。 たとえば、非営利団体として法人税が減免される信金には営業エリアがある。だが、信金の中には少しでも多く利益を獲得すべくメガが組成するシンジケートローンに参加し、実質的に営業エリア外へ貸し出しているところもある。 「金利ある世界」は総じて金融機関にとって追い風となるため、今後、同様の動きが増えるかもしれない。地元経済の金融仲介機能の担い手であるという、地域金融の本質に立ち戻って考える必要もあるのではないか』、「そもそも「見せかけの貸出残高維持」や、「国債の利回りの一部をアップフロントフィーで先食い」する効果がある仕組み貸出に、地域金融機関が手を出さなければならないところに、業界が抱える闇がある・・・抜け目ない証券会社が提案する、何の付加価値も生まない仕組み貸出のスキームに地銀がこぞって飛び付いたのも、預貸率改善の必要に迫られて、やむを得ない側面があったのではないだろうか。 本当の問題は、日銀が利上げに踏み切れば、過去30年間近く続いた「金利なき世界」に慣れ切った地域金融機関が、「金利ある世界」に戻っていく危うさにあるのかもしれない」、「地域金融機関が手を出す」のはやはり極めて問題が大きそうだ。検査などを通じて手を引かせるべきだろう。
タグ:「創業間もない企業に対して普通に銀行融資が行われている状況にこそ問題があり、融資に頼らない資金調達環境を整備しなければ、本当の意味での起業活性化は難しいのだ」、「創業間もない企業に対して」は融資ではなく、経営者の手金がベースになっている筈だ。 日本でも経営者などの出資が資金調達の核になる点は同じだ。 「会社を立ち上げたことを聞きつけた知人(多くがいわゆるエリートサラリーマン)が多数、起業について話を聞きにきた。 すべてにおいて個人保証が必要であり、失敗すれば無一文どころか自己破産まで強いられること、家を借りられないケースがあること、カードを作れないケースがあることなどを説明すると、皆、顔面蒼白になり帰っていった。筆者の知る限り、アドバイスを求めにきた知人の中で実際に会社を立ち上げた人は皆無だったと記憶している」、自らの腕だけで勝負するとなれば、相当の覚悟が必要だ。 「総合的な環境整備を実施しないまま銀行に個人保証の撤廃だけを求めれば、銀行が中小企業への融資を引き揚げてしまう可能性もある」、その通りだ。 加谷 珪一氏による「じつはいま「地銀と中小企業の関係」が激変中…そのウラに隠された「意外な落とし穴」」 現代ビジネス (その1)(じつはいま「地銀と中小企業の関係」が激変中…そのウラに隠された「意外な落とし穴」、ソフトバンクの新金融商品「社債型種類株式」のうま味とリスク、金融庁がリスク警戒!地銀・信金で広がる「仕組み貸出」の深すぎる闇) 企業金融・企業財務 「創業間もない企業や、前例がない企業とは取引をしないといった、日本の大企業独特の商習慣も改める必要がある」、大企業としても信用リスクが高い企業との取引には慎重というのは、やむを得ないと思う。「発注元の大企業が、支払い条件に対してムチャな要求を取引先に突きつけることも少なくない」、これは独禁法違反になりかねない行為で、当局からの警告が必要だ。 日刊ゲンダイ「ソフトバンクの新金融商品「社債型種類株式」のうま味とリスク」 「ソフトバンクにとってのメリットは以下の通り。株式の一種であるため、発行で得た資金は会計上、100%資本となるから、社債や借り入れなど負債調達に比べ財務を悪化させず資金を集められる。また社債型株式には議決権がなく、普通株への転換権もないことから株式の希薄化が起こらない」、なるほど。 「投資家にはどんなうまみがあるのか。 普通株に先立って優先的に配当が行われることと、社債のように安定した利回り(配当)が期待できることだろう・・・配当率は発行後約5年間は固定で年2.5%。ソフトバンク普通株の配当利回りは足元で4.9%程度で、一方、23年3月に同社が発行した個人投資家向け社債の利率は0.98%なので、社債型株式の利回りは株と社債の中間と考えていい」、これはよく出来た仕組みだ。 ダイヤモンド・オンライン 橋本卓典氏による「金融庁がリスク警戒!地銀・信金で広がる「仕組み貸出」の深すぎる闇」 「仕組み貸出自体は昔からあり、目新しい取引ではないが、このところ増加傾向にある」、「金融庁が今、問題視」した「論点」と「業界の構造的課題」をみてみよう。 「SPCから先は、スワップ取引が行われているとされるが、地銀側にはその詳細は明かされず、通常「ブラックボックス」となっている」、というのは問題だ。 「CB、転換株式の価格上昇の値上がり益」はスキームの管理コストのような形で消えているのだろうか。 「銀行が直接、外債や社債を取得した場合、時価評価による減損リスクと向き合わなければならない」、これを回避するために「SPC」を活用したとは上手いやり方だ。 「地銀は貸出残高を「かさ増し」することができる・・・「SPCを中小企業と見なせば『中小企業向け貸出残高』と外部に見せることもできなくもない」、なるほど上手い手だ。 「当初予定とは違う通貨で元利金支払いが行われる場合もある。スワップ取引の取引相手が倒産、支払い不履行になった場合も早期償還となる。こうしたリスクを地銀が管理するのは至難だろう。 早期償還の場合、担保証券を市場売却して、スワップ契約を解約し、担保証券の売却金額から弁護士費用など必要経費を差し引き、残余金を地銀に返済することになる。当然、貸出債権が焦げ付くこともあり得るのだ」、地域金融機関には管理困難だろう。 「そもそも「見せかけの貸出残高維持」や、「国債の利回りの一部をアップフロントフィーで先食い」する効果がある仕組み貸出に、地域金融機関が手を出さなければならないところに、業界が抱える闇がある・・・抜け目ない証券会社が提案する、何の付加価値も生まない仕組み貸出のスキームに地銀がこぞって飛び付いたのも、預貸率改善の必要に迫られて、やむを得ない側面があったのではないだろうか。 本当の問題は、日銀が利上げに踏み切れば、過去30年間近く続いた「金利なき世界」に慣れ切った地域金融機関が、「金利ある世界」に戻っていく危うさにあるのかもしれない」、「地域金融機関が手を出す」のはやはり極めて問題が大きそうだ。検査などを通じて手を引かせるべきだろう。
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