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日本のスポーツ界(その4)(マラソンを軽視する駅伝大国ニッポン、貴乃花と日馬富士 被害者が悪者になる「バカげた事件」の不快さ) [社会]

日本のスポーツ界につぃては、3月28日に取上げた。今日は、(その4)(マラソンを軽視する駅伝大国ニッポン、貴乃花と日馬富士 被害者が悪者になる「バカげた事件」の不快さ) である。

先ずは、11月13日付け日刊ゲンダイ「日本勢トップは5位…マラソンを軽視する駅伝大国ニッポン」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・外国人には理解できないシーズンがやってきた。 12日に行われたさいたま国際マラソンは、2020年東京五輪の女子マラソン代表を決めるグランドチャンピオンシップ(GC)のキップがかかっていた。日本人のトップは岩出玲亜(22)の5位。2時間31分10秒の記録は、GCキップが得られる2時間29分00秒には遠く及ばなかった。
・岩出がゴールした直後、東日本女子駅伝が福島県(福島市)でスタート。千葉県が2年ぶり9度目の優勝となった。ちなみに、8月の世界陸上マラソン代表だった清田真央(24)と安藤友香(23)は、4位の静岡代表としてこっちを走っていた。 国内の駅伝は、10月末の全日本大学女子対校選手権から本格的なシーズンに入った。来年元日の全日本実業団対抗(男子)まで、東日本女子、全日本実業団対抗女子、全国中学、全国高校、全日本大学女子選抜など大会が目白押し。
・今月26日には、全日本実業団対抗女子駅伝が控えるため、さいたま国際にはマラソンの有望選手が毎年出場しないのだが、五輪や世界選手権の種目でもない駅伝が、五輪代表につながるマラソン大会より重要視され、大いに盛り上がっていることが「理解できない」という外国人は少なくない。 日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーはさいたま国際マラソンの結果について「(岩出は)風が強く、高低差のある難しいコースで頑張ったという評価をしているが、2時間29分00秒はクリアしてほしかった。これでは世界に太刀打ちできない」とボヤいた。
・岩出の持ち時計は2時間24分38秒。さいたまのコースなら、この記録が精いっぱい。それより瀬古リーダーは、26日の全国大会のために女子選手をマラソンに出さない実業団の監督にこそ文句を言うべきだ。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/217521/1

次に、筑波大学教授の原田 隆之氏が12月3日付け現代ビジネスに寄稿した「貴乃花と日馬富士、被害者が悪者になる「バカげた事件」の不快さ 横綱に媚びる道徳なんていらない!」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽被害者の名前を言わない引退会見
・日馬富士が貴ノ岩を殴ってケガをさせたとされる事件が、発覚してから2週間。とうとう、日馬富士が引退するところまで追い込まれた。 引退会見では、冒頭「貴ノ岩関にケガを負わせたことに対し、おわびをさせていただきます」と述べたものの、その後「国民の皆様、相撲ファンの皆様に大変ご迷惑をお掛けしたことを心から深くおわび申し上げます」と謝罪し、そこに貴ノ岩の名前はなかった。  このような大事な場面で、謝罪の対象に被害者の名前をうっかり忘れるということは普通考えにくいから、これは意図的なことなのだろう。
・また、暴行に至った原因としては、「先輩の横綱として、礼儀と礼節がなっていないときにそれを教えるのが義務だと思っている」と語った。 同席した伊勢ケ浜親方は、「やった事実はあるわけなので、横綱として責任は取らなければいけない」と述べたが、会見を通して「横綱という名前を汚してはならない」という信念が貫かれていた。
・また、記者の質問に気色ばんだり、質問を遮ったりする場面も見られ、当初の反省の色がどこかに行ってしまったような様子だった。 端的に言えば、不快な会見だった。 最初のほうは、残念なことになったものだと同情しながら聞いていたが、途中からそんな気持ちは吹き飛んでしまった。 
・まだ捜査中ではあるが、自らの暴行で相手に大怪我をさせておきながら、まるで「横綱を辞めさせられた自分のほうが被害者だ」と言いたげな態度が滲み出ており、「相手のことを思う一心だったのに」「相手のほうが悪かった」との言い訳に至っては甚だ聞き苦しい。 さらに、「一件の後、貴ノ岩から謝罪があって握手して別れたから、事がこれほど大きくなるとは思っていなかった」と平気で言ってのけるあたり、まったく共感性というものが欠如しているのではないかと疑ってしまう。
・親方の態度は、弟子を庇うことは美しい姿なのかもしれないが、なぜこのような事態になったのかという肝心のところが抜け落ちている。 「横綱としての品位」に傷をつけたから引退ではなく、人に暴力を振るってケガをさせたから引退だということがわかっていない。 こんな親方だから、弟子がこんなことになってしまったのだ。親方の責任はとても大きい。
▽危機管理委員会という茶番
・それに輪をかけて酷かったのが、日本相撲協会の危機管理員会なるものが出した「中間発表」である。 そこでは、以下のようなことが発表された。
 1 一次会で、白鵬が貴ノ岩の言動に説教をしたが、日馬富士はそれを庇った。
 2 貴ノ岩は両親を亡くしており、似た境遇にある日馬富士は日ごろから彼を気にかけ可愛がっていた。
 3 二次会になって、白鵬がまた説諭を始めたとき、貴ノ岩がスマートフォンをいじっていたので、日馬富士は大横綱の白鵬に何たる態度かと腹を立て、貴ノ岩の顔面を平手で殴った。
 4 貴ノ岩がそこで謝罪していればよかったのに、それどころか睨み返してきたため、さらにカラオケのリモコンなどで殴った。
・危機管理員会なるものが、中立的な立場ではなく、明らかに「加害者寄り」であることがはっきりとわかる。 そもそも、被害者の貴ノ岩から事情を聞くことができていないのに、加害者側からの一方的な言い分だけを聞いて、「中間発表」を出したところにも、その性格が如実に現れている。 貴乃花親方が貴ノ岩の聴取を拒否しているから、貴ノ岩の事情聴取ができなかったということは事実であっても、肝心の被害者から事情を聞けていないのであれば、この時点でこれを出すことは拙速である。
・そして、その内容自体についても、論評をするのも嫌になるほどのあまりの酷さである。まるで、日馬富士が主人公の安っぽいメロドラマである。 日馬富士は確かに人望もあり、人情家だったに違いない。しかし、そんな修飾語はいらない。事実をきちんと客観的に書くべきだ。日頃から面倒を見ていたとか、庇っていたとかという誘導的なストーリーにはうんざりするほかない。
・また、それとは対照的に、貴ノ岩を一貫して「悪者」として描き、「謝罪をしていればこんなことにはならなかった」と、あたかも彼一人にすべての責任を負わせるかのような態度は、卑劣としか言いようがない。 前回の記事(「日馬富士事件」大相撲からいまだに暴力沙汰が消えないワケ)で述べたように、この世に無抵抗の人間を殴ってよい理由など1つもない。百歩譲って、日馬富士がどれだけ善人でも、貴ノ岩がどれだけ悪人でも、それは同じことだ。
・聞くところによると、危機管理員会の委員長は、元高検検事長だという。検察官が正義の味方とは思わないが、あまりのポンコツさに呆れるばかりである。 『レインメイカー』という映画で、マット・デイモン扮する青くさい正義感溢れる弁護士が、老練な悪徳弁護士に「あなたはいつから堕落したのですか」と怒りに満ちたまっすぐな問いを発する場面がある。危機管理員会の中間発表は、そんなシーンを思い出させる茶番劇だった。
▽理事会という伏魔殿
・そして、極めつけが、中間発表と同日に開催された相撲協会の理事会でのやり取りである。理事会は、貴乃花親方が久しぶりに公の場所に姿を見せ、八角理事長や伊勢ケ浜親方と顔を合わせるとあって、大きな注目を集めた。 理事会では、聴取に協力しない貴乃花親方に対して、複数の理事が詰め寄り、翻意するよう説得したという。まさに、多勢に無勢の有様である。
・マスコミ報道も、貴乃花親方の「頑固さ」ばかりをクローズアップしているが、この風景もなんとも異様である。貴乃花親方は、被害者側であって、被害者を守る立場である。 彼は、繰り返し「この一件は、もはや関取同士の内輪もめという範疇を超えているから、警察に届けを出し、その捜査を優先する」と主張しているだけなのに、そのどこがおかしいのだろうか。
・それに、これまで述べてきたように、明らかに「加害者寄り」の相撲協会を信用して事情聴取に応じろと言われて、「はいそうですか」と言えるはずがない。 理事会では、冬巡業から巡業部長である貴乃花親方を外すことが決定されたという。これは、親方への「処分」ではないことが強調されていたが、寄ってたかっていじめをしているように見えてしまう。
・また、それで恐れるのが、今後の貴ノ岩への風当たりである。これまで相撲協会が描いてきたのは、「悪者の貴ノ岩のせいで、後輩思いの熱血漢、日馬富士が引退に追いやられた」というストーリーである。 だとすると、貴ノ岩はこの後、相撲の世界に居づらくなって、居場所がなくなってしまうのではないか、まさにいじめのようなことが起こってしまうのではないかと危惧してしまう。
▽加害者と被害者が逆転する
・この国では、弱い者が声を上げたり、虐げられた者が自分の権利を主張したりすると、煙たがられ、悪者扱いされることがよく起こる。 あるスポーツ新聞では、貴乃花親方を吉良上野介になぞらえていた。だとすると日馬富士やその取り巻き連中は、日本を代表する悲劇のヒーロー、赤穂浪士だと言いたいのだろうか。そして、その記事は、赤穂浪士は切腹、吉良は無罪放免だったことを取り上げ、「『喧嘩両成敗』の知恵に学びたい」と結ぶ。
・貴乃花親方を「稀代の悪人」イメージの代表格である吉良上野介になぞらえ、喧嘩両成敗にすべきということは、つまり日馬富士は「切腹」したのだから、貴乃花親方も無罪放免にはせず、彼も罰するべきだと言いたいのだろうか。 季節はもう12月。まさに忠臣蔵の季節である。あの時代には、忠君という道徳が最高の美徳であり、主君のために仇を切りつけた赤穂浪士はヒーローになった。しかし、妙なアナクロニズムを持ち出して、話を捻じ曲げないでほしい。
・相撲協会や横綱に媚びへつらう道徳などいらないし、被害者と加害者を逆転させるような馬鹿げたことは、厳に慎むべきである。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53691

第一の記事の 『マラソンを軽視する駅伝大国ニッポン』、ついては、このブログの3月28日に取上げたが、こんなことでは日本のマラソンの復活は期待薄だ。『瀬古リーダーは、26日の全国大会のために女子選手をマラソンに出さない実業団の監督にこそ文句を言うべきだ』、との指摘はその通りだ。
第二の記事で、危機管理員会の「中間発表」について、『肝心の被害者から事情を聞けていないのであれば、この時点でこれを出すことは拙速である』、というのは同意できる。ただ、被害者と加害者を加害に至る事情を度外視して、加害者だけを悪者扱いするのは、違和感を感じる。また、『貴乃花親方は、被害者側であって、被害者を守る立場である。 彼は、繰り返し「この一件は、もはや関取同士の内輪もめという範疇を超えているから、警察に届けを出し、その捜査を優先する」と主張しているだけなのに、そのどこがおかしいのだろうか』、『明らかに「加害者寄り」の相撲協会を信用して事情聴取に応じろと言われて、「はいそうですか」と言えるはずがない』、などと貴乃花親方を庇っているが、警察の捜査優先はいいとしても、協会の事情聴取に一切応じないというのも、極めて不自然だ。本件では、2通の診断書といい、不自然で未解明のことが多過ぎる。時間はかかっても、真相を解明してほしいものだ。

タグ:明らかに「加害者寄り」の相撲協会を信用して事情聴取に応じろと言われて、「はいそうですか」と言えるはずがない 貴乃花親方は、被害者側であって、被害者を守る立場である。 彼は、繰り返し「この一件は、もはや関取同士の内輪もめという範疇を超えているから、警察に届けを出し、その捜査を優先する」と主張しているだけなのに、そのどこがおかしいのだろうか 理事会では、聴取に協力しない貴乃花親方に対して、複数の理事が詰め寄り、翻意するよう説得したという この世に無抵抗の人間を殴ってよい理由など1つもない 肝心の被害者から事情を聞けていないのであれば、この時点でこれを出すことは拙速である 「中間発表」 危機管理員会 「横綱としての品位」に傷をつけたから引退ではなく、人に暴力を振るってケガをさせたから引退だということがわかっていない 自らの暴行で相手に大怪我をさせておきながら、まるで「横綱を辞めさせられた自分のほうが被害者だ」と言いたげな態度が滲み出ており、「相手のことを思う一心だったのに」「相手のほうが悪かった」との言い訳に至っては甚だ聞き苦しい 日馬富士が引退 貴ノ岩 日馬富士 「貴乃花と日馬富士、被害者が悪者になる「バカげた事件」の不快さ 横綱に媚びる道徳なんていらない!」 現代ビジネス 原田 隆之 瀬古リーダーは、26日の全国大会のために女子選手をマラソンに出さない実業団の監督にこそ文句を言うべきだ 五輪や世界選手権の種目でもない駅伝が、五輪代表につながるマラソン大会より重要視され、大いに盛り上がっていることが「理解できない」という外国人は少なくない 大会が目白押し 国内の駅伝は 8月の世界陸上マラソン代表だった清田真央(24)と安藤友香(23)は、4位の静岡代表としてこっちを走っていた 東日本女子駅伝が福島県(福島市) 日本人のトップは岩出玲亜(22)の5位。2時間31分10秒の記録は、GCキップが得られる2時間29分00秒には遠く及ばなかった さいたま国際マラソン 「日本勢トップは5位…マラソンを軽視する駅伝大国ニッポン」 日刊ゲンダイ (その4)(マラソンを軽視する駅伝大国ニッポン、貴乃花と日馬富士 被害者が悪者になる「バカげた事件」の不快さ) 日本のスポーツ界
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