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マスコミ(その6)(伊藤詩織さんレイプ事件:手記 「ブラックボックスに光を」、逃げ答弁 警察庁に“第2の佐川長官”、日本は、なぜ「性暴力被害者」に冷たいのか) [メディア]

マスコミに関連した伊藤詩織さんレイプ事件につぃては、11月9日に取上げた。今日は、(その6)(伊藤詩織さんレイプ事件:手記 「ブラックボックスに光を」、逃げ答弁 警察庁に“第2の佐川長官”、日本は、なぜ「性暴力被害者」に冷たいのか) である。

先ずは、11月13日付け日刊ゲンダイ「レイプ被害で手記 伊藤詩織氏「ブラックボックスに光を」」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問、Aは伊藤さんの回答、+は回答内の段落)。
・司法記者クラブで開いた衝撃の会見から5カ月。安倍首相と昵懇な間柄の元TBSワシントン支局長の山口敬之氏から受けたレイプ被害を告発した女性ジャーナリストが手記「Black Box」(文芸春秋)を出版し、反響を呼んでいるジャーナリストの伊藤詩織氏。準強姦容疑で進められた捜査は、警視庁上層部の指示で逮捕目前に見送り。嫌疑不十分による不起訴処分に矮小化され、不服を申し立てた検察審査会の議決は不起訴相当だった。この国の司法制度は一体どうなってしまったのか。
▽真相究明を求め民事訴訟を提起
Q:手記では事件に至る経緯から捜査過程を含む一連の流れを克明につづり、被害者支援制度の不備などにも言及しています。
A:私が性暴力被害を受けたのは2015年4月でした。直面した捜査のあり方や司法制度、助けを求めた医療機関やホットラインをはじめとする被害者支援体制の問題などについての記録や調査、取材をもとにまとめたノンフィクションです。
Q:警察に訴えてから被害届の提出、告訴状の受理まで1カ月を要しました。
A:密室での出来事だという理由で、捜査員や担当検事の口からは「ブラックボックス」という表現が何度も出てきました。「相手は有名で地位もある。この業界で働けなくなるかもしれない」とも繰り返し聞かされ、性犯罪としての捜査は難しいからと、被害届の提出も考え直すように言われました。  この問題と2年以上向き合う中で、警察や検察に存在するたくさんのブラックボックスにも気づいたんです。個人的な経験を公に明かすことになりましたが、このブラックボックスに光を当て、箱を開くきっかけになることを願っています。
Q:9月に不起訴相当を決定した検察審の議決理由は「慎重に審査したが、検察官がした不起訴処分の裁定を覆すに足りる事由がない」と記されているだけでした。「慎重審査」の中身がサッパリ分かりません。
A:検察審は申立人やその代理、証人を尋問することがあります。ですが、私も代理人弁護士も呼ばれることはなく、議決理由の説明もありませんでした。 申し立ての際、特に注記を付けてお願いしたのが、ホテルの防犯カメラ映像についてです。会食後に乗車したタクシーから私が抱えられるように降ろされ、ホテルに引きずられていくシーンを静止画ではなく、動画で見てほしいと伝えたのですが、実際に証拠が動画で提出されたのかどうかさえ分かりません。こうした疑問点について検察審に質問状を送りましたが、検察審査会法26条(審理非公開)を根拠に回答をいただけませんでした。
A:ゼロ回答だったんですか?
A:唯一分かったのが、審査員の男女比と平均年齢です。男性7人、女性4人、平均50.45歳とのことでした。男女でとらえ方が異なる可能性のある事案にもかかわらず、審査員の男女比を半々に近づけていただけなかったことも非常に残念です。
Q:真相究明などを求め、山口氏を相手取って東京地裁に民事訴訟を起こしたそうですね。
A:法廷で初めてお互いが事実関係を主張し、それをもとに第三者による公平公正な判断が下されることになります。提訴にあたって提出した資料は、検察審への申し立て資料とほとんど変わりはありません。
Q:民事訴訟提起を理由に、山口氏を相手取って東京地裁に民事訴訟は「月刊Hanada」に全20ページに及ぶ反論手記を寄せました。伊藤さんが訴える「デートレイプドラッグを使用された可能性がある」「意思に反してホテルに連れていかれた」「意識不明の状態で性行為が行われた」といった点を含め、疑惑を全面否定しています。
A:「あえて伏せている」などと指摘された点は、会見や手記ですでに説明していることばかりでした。読み比べれば分かっていただけると思います。
Q:米ニューヨークでの2人の初対面の状況についてですが、伊藤さんは「学費を稼ぐためにアルバイトしていたピアノバー」としているのに対し、山口氏は手記で〈私があなたに初めて会った時、あなたはキャバクラ嬢でしたね〉と強調しています。
A:手記に書いた通り、当時は学費の足しにするためにベビーシッターやピアノバーでアルバイトをしていました。山口氏と会ったのはピアノバーで、お酒が提供される場所ではありましたが、私は「ジャーナリズムを勉強している学生です」と話しましたし、その後も学生の立場でお会いしています。
+山口氏のほかにも、ネット上には私について韓国人だとか左翼だなどと、事実ではない書き込みをする人がいます。誰であろうと、どんな立場であろうと、性暴力の対象になっていいはずはありません。重要なのは、この事件に関して私も山口氏も認めている事実、捜査や証言で明らかになった客観的事実が9点あることです。
▽私も山口氏も認める9つの事実
 +当時TBSワシントン支局長だった山口氏と私は、支局で働くために必要な就労ビザについて話し合うために会った
 +山口氏に会ったのは3回目で、2人きりで会ったのは初めてだった
 +そこに恋愛感情はなかった
 +私が「泥酔した」状態だと山口氏は認識していた
 +山口氏は投宿先ホテルに私を連れて行った
 +性行為があった
 +私の下着のDNA検査で、山口氏のものと過不足なく一致するY染色体が検出された
 +ホテルの防犯カメラ映像、タクシー運転手の証言などの証拠を集めて警察は逮捕状を請求、裁判所が発付した
 +逮捕当日、山口氏の帰国を待ち受けて成田空港に捜査員が詰める中、警視庁の中村格刑事部長(当時)の判断で逮捕状執行が止められた
・これだけの事実があっても、現在の日本の司法制度では起訴されませんでした。
▽個人的な話と考えるなら忘れた方が良かった
Q:逮捕見送りの判断をめぐり、中村氏に何度も取材を試みているそうですね。
A:当初事件を担当した警視庁高輪署の捜査で集めた証拠などをもとに逮捕状が請求され、東京地裁から逮捕状が出されました。それが逮捕目前に中村氏の指示で執行が差し止められた。松本純国家公安委員長(当時)が国会で「警察署の捜査に関して警察本部が適正捜査の観点から指導を行うのは通常のこと。警視庁が告訴を受理し、法と証拠に基づき、必要な捜査を遂げた」と答弁していましたが、私にとっては全く不十分な説明でした。具体的な理由は判断を下した中村氏しか知り得ない。中村氏に何としてもお答えいただかなければならないと思い、何度も取材を申し入れていますが、いまだに何の回答も得られていません。
Q:司法記者クラブでの会見、手記出版に続き、外国特派員協会でも会見をされました。この5カ月で、世間の関心は高まっています。
A:私が告発を決めた理由のひとつは、自分に起きた事実を大切な人に置き換えて考えたことです。妹や友人が同じ状況に置かれてしまったら、彼らはどういう道をたどるのか。私が胸の内にしまい込むことで、同じようなことが繰り返されるのはとても苦しい。それに、自分で真実にフタをしてしまえば、真実を伝えるジャーナリストとしては働けないと思ったんです。
+どんな時代でもどんなところでも起こり得ることで、遠い誰かの話ではないことを知ってもらいたい。捜査方法や司法制度を改め、社会の意識を変え、レイプ被害者への救済システムの整備が必要です。それを考えるきっかけをつくりたいんです。自分自身がこの問題を個人的な話と考えるのなら、忘れた方が良かったと思います。(聞き手=本紙・坂本千晶) いとう・しおり 1989年生まれ、28歳。高校時代に渡米、ホームステイを経験。米国の大学でジャーナリズムと写真を専攻し、15年に帰国後、フリーランスで活動。エコノミスト、アルジャジーラ、ロイター通信など、海外メディアを中心に映像ニュースやドキュメンタリーを発信
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/217304

次に、12月6日付け日刊ゲンダイ「詩織さんレイプ事件で逃げ答弁 警察庁に“第2の佐川長官”」を紹介しよう。
・国民の追及から逃れられると思ったら大間違いだ――。安倍首相は「モリカケ問題」の幕引きに躍起だが、忘れちゃならない事件がある。安倍と昵懇の元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(51)が、ジャーナリストの伊藤詩織さん(28)を2015年4月にレイプしたとされる疑惑だ。
・6日、国会議員の有志が超党派で「『準強姦事件逮捕状執行停止問題』を検証する会」の第3回会合を開く予定だが、これに先立ち、5日、衆参両法務委員会でこの事件が取り上げられた。 最大の焦点は「警察権力のトップが捜査に不当介入したのかどうか」で、中村格警察庁総括審議官(当時・警視庁刑事部長)は、山口氏に対する逮捕状の執行停止を「決裁した」と認めている。
・5日は、希望の党の柚木道義衆院議員や民進党の有田芳生参院議員がそれぞれ質問に立ち、警察対応を追及。ところが、答弁に立った警察庁の大賀真一官房審議官は「個別案件については答えられない」「(決裁文書について)把握していない」――などと“ナイナイ答弁”を繰り返した揚げ句、答えても「一般論として」と枕ことばをつけて逃げまくったのだ。まるで森友問題で官邸の“守護神”と言われた、佐川宣寿国税庁長官の答弁とそっくりだ。いったい何者なのか。
・「京大法学部を卒業して警察庁に入庁したキャリア官僚です。本庁や県警、府警で捜査2課長、捜査1課長、刑事部長などを務めたことがあり、刑事部門の経験が長い。今年9月から現職です」(警察庁関係者)
・大賀氏は北海道警の警務部長だった2012年、道警で不祥事が相次いだことを受け、全国紙のインタビューで「税金で仕事をしている警察職員として極めて情けない」と答えている。それが今やどうだ。自分の姿は情けないと思わないのか。委員会で質問した有田芳生参院議員がこう言う。 「詩織さんの事案に関する国会答弁で、関係省庁は一貫して『個別案件について答えは差し控える』としてきました。当時の刑事部長が逮捕状を執行停止したり、捜査員が示談を求めていない詩織さんを弁護士のところへ連れて行って示談を要求したり、オカシなことだらけです」 佐川長官も大賀氏も「税金で仕事をしている官僚」としての自覚が全くない。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/218971

第三に、『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員のレジス・アルノー氏が12月14日付け東洋経済オンラインに寄稿した「日本は、なぜ「性暴力被害者」に冷たいのか 伊藤詩織氏の主張は軽視できない」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・男性警察官に囲まれ、1人の女性が自分の体の上に乗せた人形を上下に動かしながら、自分が性的暴行を受けた時の状況を再現――。 元TBSワシントン支局長に性的暴行を受けたと民事訴訟を起こしている伊藤詩織氏にとって、これは彼女が耐えた屈辱の1つにしかすぎない。伊藤氏はこのとき、警察官に対して自身がどんな被害に遭ったかを説明していたのである。
▽成田空港で直前の「逮捕取り消し」
・伊藤氏は2015年4月3日の夜、ジャーナリストの山口敬之氏におそらく薬物を飲まされて、性的暴行を受けたと主張している。もともと仕事上で面識があった同氏と、TBSワシントン支局への就職について話をするために夕食に出向いた伊藤氏だが、2軒目のすし屋で数杯飲酒した後、気を失った。その6時間後、彼女が見知らぬホテルで目覚めた時、山口氏が上にまたがっていたと伊藤氏は主張している。
・10月18日に上梓した『ブラックボックス』、そして、その後、外国人記者クラブで開いた記者会見などを通じて、伊藤氏の体験は広く世間に知られるようになっている。詳細は同書に譲るが、伊藤氏によるおおまかな主張は以下のとおりだ。
・伊藤氏が被害届を出しに行った高輪警察署は、「準強姦罪」(現在は準強制性行等罪)の疑いで捜査するための十分な証拠があると考えた。そして、伊藤氏が酩酊したすし屋の職人や、伊藤氏らをホテルまで乗せたタクシー運転手に話を聞き、山口氏が伊藤氏を抱きかかえて運ぶホテルの映像の確認もした。
・入念な捜査の後、裁判所から逮捕状の発付を得て、2015年6月8日には、成田国際空港で山口氏を逮捕する予定となっていたが、警視庁からの電話で逮捕は取り消しになったとされる。『週刊新潮』によると、突然逮捕状が取り消されたことについて、当時、警視庁の刑事部長だった中村格氏が自らの判断だったと認めている。
・その後捜査は、警視庁捜査一課に回され、書類送検されるが、不起訴処分となる。検察の判断を不当と感じた伊藤氏は、検察審査会に申し立てるが、同審査会も9月22日に「不起訴相当」とする議決を公表。が、事態はここで収束せず、伊藤氏は1100万円の損害賠償金と真相究明を求め、東京地裁に民事訴訟を起こし、12月5日には、第1回口頭弁論が行われた。
・一方、この間、山口氏は自身のフェイスブックに、「法に触れることは一切していません」「当該女性が今回会見で主張した論点も含め、1年余りにわたる証拠に基づいた精密な調査が行われ、結果として不起訴という結論が出ました。よって私は容疑者でも被疑者でもありません」とコメント。検察審査会が不起訴相当の決議を公表した日も、「これによりこの案件は完全に終結し、不起訴が確定しました」と書いている。
・また、第1回口頭弁論で提出した答弁書では、伊藤氏側の「原告が意識を失っているのに乗じて、避妊具もつけずに原告の下腹部に陰茎を挿入させる等の性行為を行った」などの訴えを全面的に否認し、争う姿勢を示している。今回、山口氏には弁護士を通じてコメントを求めたが、係争中との理由でコメントは得られなかった。
▽日本の性的暴行対策は遅れている
・大物ジャーナリストが絡んでいる件にもかかわらず、当初、日本の主要メディアはこの件をほぼ報じなかった。また、安倍晋三首相に関する著書もあって、首相と懇意だとされる人物のスキャンダルだというのに、国会で取り上げられることもなかった。「山口氏は安倍首相に近しいジャーナリストで、今回の組閣についても相談を受けていた」と山口氏のかつての同僚は話す。
・もう1つ、今回の件が図らずもあぶり出されたのは、性的暴行対策について日本がいかに遅れているか、ということである。自らがニュースになるとは思っていなかった伊藤氏は、被害者としては正義を、そして、ジャーナリストとしては日本が性的暴行被害者とより真摯に向き合う社会に変わることを望んでいる。「私には山口氏に対する怒りはないし、高輪署に文句もない。ただ、日本社会が少しでもよくなるようにしたい」と同氏は言う。
・そもそも、日本人の多くが、伊藤氏と同じ状況に追い込まれた場合、まずどうしていいかわからないのではないだろうか。実際、伊藤氏も、性的暴行を受けたとする直後からの「極めて重要な時間」に、法的助言を得たり、必要な支援を求めたりする時間に充てるべきだとは知らなかった。
・彼女が助けを求めた先の対応もお粗末だった。訪れた近所の産婦人科医は、伊藤氏が診察室に入ると、伊藤氏と目も合わせず「いつ失敗されちゃったの?」と聞いてきた。そして、モーニングアフターピルを差し出すと、ドアを指し、退室するように促したという。
・NGOにも連絡したが、電話に応答した女性は何の理解も共感も示さず、情報提供は面談してからでないとできないと告げた。伊藤氏が混乱していたこの時間に、適切な支援が得られていれば、実際に薬物が使用されたのか、そして、性行為の前に身体的な暴力があったのかなどを調べる、法医学的検体を採取できたかもしれない。
・伊藤氏によると、事態が発生してから5日後にようやく警察署へ出向いた時も、警察は当初、捜査に対して後ろ向きだっただけでなく、伊藤氏自身のために、刑事責任を問わないように助言したという。女性検察官で『性犯罪・児童虐待捜査ハンドブック』の著者、田中嘉寿子氏によると、強姦事件のわずか4%だけしか、実際に警察に通報されていない。通報された場合でも、半数は起訴を断念。有罪判決が下された場合でさえ、初犯なら執行猶予がつくことがある。
・11月17日、法務省は「犯罪白書」を発表した。それによると、日本で強姦被害に遭う割合は、10万人に1人と他国に比べて圧倒的に低い。フランスはこれの19倍、米国は31倍に上る。しかし、この数字が実際に日本で起こっている強姦の数字を表しているのかどうか法務省関係者に問うと、「これはあくまで通報された数字だ」と明かした。
▽強姦被害数は過少報告されている
・別の法務省関係者はこう話す。「白書には他国との比較も収録されている。国連からそうするように要請があったからだ。しかし、強姦の定義は国によってまちまちなので、こうした比較は少々誤解を招くおそれがある。強姦が日本では過少報告されていることを、われわれは認識している。警察は事態を改善し始めた。われわれも、被害調査を実施し、被害者と刑事訴訟を関連づけてきた。今後もさらに被害調査を実施する」。
・一方、フランスでは被害実態をより詳細に把握する努力がなされている。たとえば、こうした調査では、被害者の心情や話しやすさを考慮して、「強姦」という言葉が使われることはない。最近のフランス政府の発表では、フランスでは年間8万4000人が強姦被害に遭っており、このうち約1割が訴えを起こしている。
・さらに重要なのは、2017~2019年にかけて1億2500万ユーロ(約167億円)をかけて、性的暴行被害者を支援するシステムを確立しようとしていることだ。 たとえば、被害相談のためのホットライン「3919」には年間約5万件の相談が寄せられるほか、フランス全体にカウンセリングセンターを327カ所設置。さらに、2013年からこれまでに約30万人に上る公務員が性的暴行に関する相談に対応できるよう訓練を受けているほか、被害者が簡易的に訴訟を起こせる制度もある。
・日本でも、「女性団体などNPOの対応は少しずつ改善している」と、伊藤氏の弁護団の1人で、性的暴行に詳しい西廣陽子弁護士は話すが、それでも対策が遅れていることは否めない。伊藤氏も10月に開かれた外国人記者クラブの会見で、「複数の女性弁護士からは連絡があったが、日本の女性団体から支援するという連絡はなかった。唯一連絡があったのは、イギリスにある女性権利の保護団体だった」と語っている。
・数年前に日本で起きた強姦事件で、あるフランス人女性の代理人を務めたフランス大使館元随行警察職員も、自らの経験を次のように回想する。「警察官は被害者に対していかなる共感も示していなかった。彼女が薬物を摂取した状態で強姦されたので、警察は彼女にも責任の一端があると考えていた。たとえ彼女が不本意に薬物を飲まされていたとしても、だ。
・この事件を扱っていた女性警察官ですら、男性と同じ反応を示していた。30年前のフランスの警察官だったら、レイプ被害者をそうやって扱っていただろう。しかし、今のフランスの警察は、レイプの通報があれば、被害者の証言を額面どおり受け取り、共感を示す。そして、警察は被害者の主張を立証することに力を尽くす」。
・伊藤氏は、検察審査会の判断にも疑念を抱いている。発表によると、審査会の構成員11人のうち、女性は4人のみ(平均年齢は50.45歳)。仮に構成員の女性比率が半分に近い水準であれば、判断は変わっていたのではないか、と思うこともあるという。
▽世界的に広がる「#MeToo」の動き
・現在、世界では性的暴行やセクハラに対する非難が世界的に高まっており、伊藤氏の件に関する海外メディアの関心も高い(実際、外国人記者クラブの会見には、多くの海外メディアが訪れていた)。きっかけとなったのは、10月15日付の米ニューヨーク・タイムズ紙が報じたハリウッドの映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏による性的暴行やセクハラ疑惑で、これに世界中の女性たちがたちまち反応したのである。
・こうした中、女優のアリッサ・ミラノ氏がツイッターで被害を受けたことのある女性に
「#MeToo(私も)」と声を上げるように呼びかけると、多くのハリウッド女優や世界中の女性たちが次々と自分の経験をツイートする一大ムーブメントに。これまで性被害に遭ってきた女性だけでなく、男性たちも自らの体験を共有し始めたのである。
・しかし、日本ではこの動きがどうやら#youNeither(あなたも被害者ではない)になってしまったようだ。 実際、伊藤氏は女性を含む国民からの無関心や疑惑、ひどい反感に直面している。10月末の会見で伊藤氏は、「女性から脅迫やネガティブなコメントを受けたこともあった」と明かしている。
・「今の(日本の)環境で生きていくには、忍耐強くなければいけないと(女性側が)思っているからではないか。たとえば、スウェーデンでは、警察官の30%が女性で、この割合は高いポジションでも変わらない。日本では、女性の地位や社会的立場、権力が低いことが(バッシングに)影響しているのではないか」。 日本では、女性の女性に対する「冷たさ」を感じる。たとえば、筆者の知人女性は伊藤氏の件について、「男性と2人きりで、夜遅くまで飲酒する女性なら、こんなことが起きても驚くべきではない」と話す。
・こうした中でも伊藤氏は、警察での手続きや、いつ終わるともしれない事情聴取、彼女自身に向けられた疑惑の目、示談や金銭的解決を促す圧力に耐えた。5月19日には、身元を隠さずに記者会見を開くという前代未聞の手段にも出た。公表することに反対した肉親もいたため、しばらくは自らの姓を隠すことを選んだが、最近になってそれも明らかにすることにした。
▽社会が望む被害者の役割は果たさない
・友人からの助言を退け、伊藤氏は社会が彼女に演じることを望んでいる被害者の安直な役割を果たすことを拒絶した。記者会見には、白いシャツの上に黒いスーツを着用し、普通の現代的な若い女性として臨んだ。 当時、森友・加計スキャンダルの真っ最中だったこともあり、安倍首相の支持者とアンチとの政争に巻き込まれそうになったと伊藤氏は主張する。同氏によると、『週刊新潮』で同氏の記事が掲載されようとしているといううわさが広がった時には、自宅に警察が訪れ、彼女の行動に政治的な意図があるのかどうかをチェックしたとしている。
・今後、民事訴訟がどう進むのかは未知数だ。伊藤氏の弁護団の1人、杉本博哉弁護士は、「(民事訴訟は)一般的には1年半くらいかかる」と見る。「逮捕されるのと、されないのでは、証拠の質が違う」(同氏)ため、伊藤氏の主張が完全に認められるかどうかを現時点で予測するのは難しいが、仮にホテルの映像が証拠として提出されるようなことがあれば、真相究明に近づくかもしれない。
・筆者自身は、警視庁の刑事部長だった中村氏が突然逮捕を取り消したにもかかわらず、それに対する正当な説明をしていないことを不誠実だと感じている。ここへきて、中村氏に説明を求めようとする動きもあるようだが、日本の政治家がなぜこの件について同氏に説明を求めてこようとしなかったのか、不思議でしょうがない。司法が政治から独立したものであることは理解しているが、それこそまさに「ブラックボックス」だ。
・伊藤氏は会見でこう話していた。「日本のメディアは、不起訴だから報じないのではなく、それが本当に正しい判断だったか考えてほしい」。民事訴訟で真相究明が進むと同時に、日本で性的暴行対策が改善することが望まれる。
http://toyokeizai.net/articles/-/200210

第一の記事での、検察審査会については、Wikipediaによれば、『検察官が独占する起訴の権限(公訴権)の行使に民意を反映させ、また不当な不起訴処分を抑制するために地方裁判所またはその支部の所在地に設置される、無作為に選出された日本国民(公職選挙法上における有権者)11人によって構成される機関』、とのことである。伊藤氏の場合、『審査員の男女比・・・男性7人、女性4人』、と男性の方が多かったのは「不運」だったのかも知れない。しかし、『私も代理人弁護士も呼ばれることはなく、議決理由の説明もありませんでした』、というのは単に「不運」で片づけることは無理がある。代理人弁護士の見解も聞いてみたいところだ。さらに、11月9日付けブログでも紹介したように、『多くの検察審査会では、中立的な立場から法令の解釈や説明、問題点を整理する弁護士を審査補助員に選任(委嘱)している』のに、今回は審査補助員の名前がないというのは、不自然だ。 『伊藤氏も、性的暴行を受けたとする直後からの「極めて重要な時間」に、法的助言を得たり、必要な支援を求めたりする時間に充てるべきだとは知らなかった。彼女が助けを求めた先の対応もお粗末だった』、というのはやはり「不運」と言う他ない。もっとも、被害者女性への対応マニュアルのようなものがあり、それを伊藤氏が知っていれば、必要な証拠固めなどが出来ていただろう。
第二の記事で、『中村格警察庁総括審議官(当時・警視庁刑事部長)は、山口氏に対する逮捕状の執行停止を「決裁した」と認めている』、ようだが、国会で追及すべきは、間際になっての逮捕状執行停止の決裁を、どんな理由で行ったのかである。
第三の記事で、『大物ジャーナリストが絡んでいる件にもかかわらず、当初、日本の主要メディアはこの件をほぼ報じなかった。また、安倍晋三首相に関する著書もあって、首相と懇意だとされる人物のスキャンダルだというのに、国会で取り上げられることもなかった』、国会は遅まきながら取上げたようだが、主要メディアの黙殺は続いている。ジャーナリストの仲間意識、安倍政権への「忖度」が働いているためだろう。 『強姦事件のわずか4%だけしか、実際に警察に通報されていない。通報された場合でも、半数は起訴を断念。有罪判決が下された場合でさえ、初犯なら執行猶予がつくことがある』、という日本の遅れは嘆かわしい。 『日本ではこの動きがどうやら#youNeither(あなたも被害者ではない)になってしまったようだ』、とは最大限の皮肉だ。 『中村氏に説明を求めようとする動きもあるようだが・・・』、と中村氏への説明の要求には大賛成だ。
タグ:警視庁の刑事部長だった中村氏が突然逮捕を取り消したにもかかわらず、それに対する正当な説明をしていないことを不誠実だと感じている 日本ではこの動きがどうやら#youNeither(あなたも被害者ではない)になってしまったようだ 世界では性的暴行やセクハラに対する非難が世界的に高まっており 世界的に広がる「#MeToo」の動き 強姦被害数は過少報告されている これはあくまで通報された数字だ 日本で強姦被害に遭う割合は、10万人に1人と他国に比べて圧倒的に低い 「犯罪白書」 田中嘉寿子氏によると、強姦事件のわずか4%だけしか、実際に警察に通報されていない。通報された場合でも、半数は起訴を断念。有罪判決が下された場合でさえ、初犯なら執行猶予がつくことがある NGOにも連絡したが、電話に応答した女性は何の理解も共感も示さず、情報提供は面談してからでないとできないと告げた 近所の産婦人科医は、伊藤氏が診察室に入ると、伊藤氏と目も合わせず「いつ失敗されちゃったの?」と聞いてきた。そして、モーニングアフターピルを差し出すと、ドアを指し、退室するように促したという 彼女が助けを求めた先の対応もお粗末だった 安倍晋三首相に関する著書もあって、首相と懇意だとされる人物のスキャンダル 大物ジャーナリストが絡んでいる件にもかかわらず、当初、日本の主要メディアはこの件をほぼ報じなかった 日本の性的暴行対策は遅れている 1100万円の損害賠償金と真相究明を求め、東京地裁に民事訴訟 検察審査会に申し立てるが、同審査会も9月22日に「不起訴相当」とする議決を公表 書類送検されるが、不起訴処分 成田国際空港で山口氏を逮捕する予定となっていたが、警視庁からの電話で逮捕は取り消しになったとされる 裁判所から逮捕状の発付 伊藤氏が酩酊したすし屋の職人や、伊藤氏らをホテルまで乗せたタクシー運転手に話を聞き、山口氏が伊藤氏を抱きかかえて運ぶホテルの映像の確認もした 「準強姦罪」(現在は準強制性行等罪)の疑いで捜査するための十分な証拠があると考えた 高輪警察署 「日本は、なぜ「性暴力被害者」に冷たいのか 伊藤詩織氏の主張は軽視できない」 東洋経済オンライン レジス・アルノー 警察庁の大賀真一官房審議官は「個別案件については答えられない」 中村格警察庁総括審議官(当時・警視庁刑事部長)は、山口氏に対する逮捕状の執行停止を「決裁した」と認めている 衆参両法務委員会 「詩織さんレイプ事件で逃げ答弁 警察庁に“第2の佐川長官”」 捜査方法や司法制度を改め、社会の意識を変え、レイプ被害者への救済システムの整備が必要です 外国特派員協会でも会見 成田空港に捜査員が詰める中、警視庁の中村格刑事部長(当時)の判断で逮捕状執行が止められた 私も山口氏も認める9つの事実 東京地裁に民事訴訟は「月刊Hanada」に全20ページに及ぶ反論手記 山口氏を相手取って東京地裁に民事訴訟 男性7人、女性4人 私も代理人弁護士も呼ばれることはなく、議決理由の説明もありませんでした 検察審の議決理由は「慎重に審査したが、検察官がした不起訴処分の裁定を覆すに足りる事由がない」と記されているだけでした 警察や検察に存在するたくさんのブラックボックス 性犯罪としての捜査は難しいからと、被害届の提出も考え直すように言われました 検察審査会の議決は不起訴相当 嫌疑不十分による不起訴処分に矮小化 警視庁上層部の指示で逮捕目前に見送り 準強姦容疑 伊藤詩織 手記「Black Box」 レイプ被害を告発 元TBSワシントン支局長の山口敬之氏 「レイプ被害で手記 伊藤詩織氏「ブラックボックスに光を」」 日刊ゲンダイ (その6)(伊藤詩織さんレイプ事件:手記 「ブラックボックスに光を」、逃げ答弁 警察庁に“第2の佐川長官”、日本は、なぜ「性暴力被害者」に冷たいのか) マスコミ
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