SSブログ

インバウンド動向(その14)(観光競争力で初首位も、海外客再開に欠ける視点 忌避に偏見、受け入れ再開に反対の声が充満、成田空港が大混雑…訪日外国人から河野大臣のツイッターにクレーム殺到、「密漁」ツアーに勤しむ中国人観光客たち。トランクいっぱいに海産物を持ち去り…、「訪日客を受け入れできない」地方空港を襲う危機 「やりがい搾取」で空港スタッフ不足の超深刻) [経済政策]

インバウンド動向については、2020年10月17日に取上げた。これまでは「戦略」としたが、今回からは「動向」に変更した。今日は(その14)(観光競争力で初首位も、海外客再開に欠ける視点 忌避に偏見、受け入れ再開に反対の声が充満、成田空港が大混雑…訪日外国人から河野大臣のツイッターにクレーム殺到、「密漁」ツアーに勤しむ中国人観光客たち。トランクいっぱいに海産物を持ち去り…、「訪日客を受け入れできない」地方空港を襲う危機 「やりがい搾取」で空港スタッフ不足の超深刻)である。

先ずは、昨年6月3日付け東洋経済オンラインが掲載した経営コンサルタントの日沖 健氏による「観光競争力で初首位も、海外客再開に欠ける視点 忌避に偏見、受け入れ再開に反対の声が充満」を紹介しよう。1年前のやや古い記事である。
https://toyokeizai.net/articles/-/592965
・『岸田首相は先週、新型コロナウイルスの水際対策について、6月1日から1日あたりの入国者総数の上限を2万人に引き上げるとともに、10日から訪日外国人観光客の受け入れを再開すると表明しました。外国人観光客の受け入れは、約2年2カ月ぶりになります。 全国の観光地・観光関連業者は、この2年間コロナ禍で壊滅的な打撃を受けました。そこにようやく復活の光が差してきたわけです。しかし、コロナ対策の観点から慎重な対応を求める声もあり、この政策転換を歓迎する意見ばかりではないようです。 今回は、訪日外国人観光客の受け入れ再開に関する意見を確認したうえで、今後考えたい2つの視点を紹介しましょう』、興味深そうだ。
・『外国人観光客がいなくなって「コロナ様様」  岸田首相が訪日外国人観光客の受け入れ再開をしたところ、各方面から色々な意見が上がりました。観光客の回復を期待する観光関連業者は今回の政策転換を歓迎する一方、SNSやネット掲示板では慎重な意見や反対意見が多く見受けられました(Yahoo!ニュースのアンケートでは、70%以上が水際対策の緩和に「反対」)。 筆者がまず一般市民に取材したところ耳にしたのが、コロナ対策の観点から慎重な対応を求める意見でした。 「まだ毎日2万~3万人の新規感染者が出ており、コロナが完全には終息していません。時期尚早だと思います」(50代男性・会社員) 「ここまで日本でコロナの被害が小さかったのは、水際対策がうまく行ったからでしょう。それを一気に緩めると、欧米のような感染爆発が起こるのではないかと心配です」(30代女性・会社員) 「感染症法上の分類を2類から5類にするなど、国内の対策が先。いずれ訪日外国人観光客を受け入れることには反対しませんが、国内の対策を完了した後じっくり時間を掛けて進めることでよいのでは」(40代男性・自営) そして、コロナとは関係なく、そもそも訪日外国人観光客それ自体を歓迎しないという意見がたくさん聞かれました。) 「コロナ前はどこの観光地も外国人観光客でごった返して、ゆっくりできませんでした。私は旅行が好きなので、今回の受け入れ再開でまた旅行を楽しめなくなるのは残念です」(60代女性・主婦) 「外国人観光客はうるさいし、マナーが悪い。とくにお隣りの2カ国は最悪。治安だって確実に悪くなりますよね。この2年間、外国人観光客がいなくて、実に快適でした。大きな声では言えませんが、この点に関してはコロナ様様です」(40代男性・団体職員)』、こういう反「外国人観光客」の声はいつもあるようだ。
・『再び奈落の底に突き落とす?  さて、ここからは、今回あまり議論されていない2つの視点を紹介しましょう。 1つ目は、観光関連業者の怒りです。観光関連業者に取材したところ、今回の受け入れ再開に反対する声は皆無で、国内で反対意見が出ていることに憤っていました。 「この2年間、外国人観光客がいなくなって、われわれは壊滅的な打撃を受けました。私の周りでも耐えきれなくなって廃業した同業者がわんさかいます。借金が残って廃業できず、夜逃げしたという同業者もいます。こういった実情を少しでも知ったら、外国人観光客の受け入れ再開に軽々しく反対できないのではないでしょうか」(北陸の旅館経営者) 「今回の受け入れ再開で、ようやくトンネルの出口が見えてきました。再開に反対する人は、地獄から這い上がろうとしているわれわれに手を差し伸べるどころか、再び奈落の底に突き落とそうとしているわけです。よく『コロナは生命の問題だ』と言われますが、外国人観光客の受け入れもわれわれにとって死ぬか生きるかの問題なのです」(関東の旅行代理店経営者) コロナに関する議論では、よく「生命と経済を同列で比較するな」「経済よりもまず生命を優先せよ」と言われます。しかし、こと観光関連業者にとっては、コロナとその対策は生命と経済が渾然一体となった複雑な問題のようです。) また、「訪日外国人観光客に対し、日本人はかなり偏ったイメージを持っている」という指摘もありました。 「コロナ前に日本人のお客様から『外国人観光客が多くて接客とか大変でしょ?』とよく言われましたが、そんなことはありません。中国からの団体客のマナーはかなり改善していて、日本人と同じくらい。日本人と違ってちゃんとたくさん買ってくれるので、われわれにとってありがたい存在です。大切な外国人観光客を、偏ったイメージで排除しないで欲しいものです」(九州の土産物店経営者)』、「観光関連業者」はようやく待ちに待った「受け入れ再開」といったところのようだ。
・『観光立国は実現するのか  もう1つ決定的に欠落しているのが、観光立国という視点です。今回、受け入れ再開をどのように進めていくのか、詳細は未定です。ただ、5月27日の衆議院予算委員会で「訪日外国人観光客に誰がマスクを配るのか?」が論戦になったように、コロナ対策という視点が中心で、日本を観光立国にしようという長期的な視点はありません。 観光庁の和田浩一長官は3月18日、1年間の空白期間が生じている観光立国推進基本計画について、インバウンドの動向を見通すのが難しいことを理由に「もう少し感染状況が落ち着き、議論できるような状況の下で具体的な検討を進めていきたい」と述べました。その後も政府から観光立国に関する目立った発信はなく、お手上げ状態が続いています。 2006年に観光立国推進基本法が成立し、政府は観光立国推進基本計画に沿って施策を展開してきました。円安・近隣諸国の所得上昇といった追い風もあって、日本の旅行市場の市場規模は、コロナ前の2019年に27.9兆円に達しました。 ただ、観光産業が十分に成長し、「日本は観光立国だ」と胸を張れる状態になっているかというと、2019年の段階でも「まったく物足りない」というのが、率直な評価になるのではないでしょうか。 2019年の訪日外国人旅行者数は、過去最高となる3188万人でした。東日本大震災があった2011年を底に着実に増えてきましたが、世界最多のフランス8932万人はもちろん、アジアでも中国6573万人やタイ3992万人の後塵を拝しています。また、旅行市場に占めるインバウンド需要の割合は2割弱に過ぎません(2019年時点)。 先週5月24日、ダボス会議で有名な「世界経済フォーラム」が、観光地としてどれだけ魅力的か、世界各国の競争力を比較した調査結果を発表しました。日本は交通インフラの利便性や自然や文化の豊かさなどが評価され、総合順位で調査の開始以来、初めて世界1位になりました。日本は世界一の旅行市場になる潜在力がありながら、生かせていないのです』、「日本の旅行市場の市場規模は、コロナ前の2019年に27.9兆円に達しました。 ただ、観光産業が十分に成長し、「日本は観光立国だ」と胸を張れる状態になっているかというと、2019年の段階でも「まったく物足りない」というのが、率直な評価に」、「世界経済フォーラム」の「総合順位で調査の開始以来、初めて世界1位に」、「潜在力がありながら、生かせていないのです」、なるほど。
・『地方経済は観光産業が頼みの側面も  もちろん、オーバーツーリズムの問題やSDGsの要請などがあり、単純に訪日外国人観光客を増やせばよいというわけではありません。観光産業や地域の持続性を確保しつつ、いかに観光を中心にした国づくりをしていくかが問われています。 著名な未来学者ジョン・ネイスビッツは、『Global Paradox』(1994、佐和隆光訳『大逆転潮流』)で、「21世紀に観光が最大の産業になる」と予測しました。 とりわけ日本では、戦後の経済成長を支えた基幹産業がすっかり衰退し、観光産業に対する期待が高まっています。金融産業のある東京と自動車産業のある愛知・静岡・埼玉などを除く多くの地域では、雇用吸収力の大きい観光産業に地域の命運がかかっていると言って過言ではありません。 政府も観光関連業者も、そしてわれわれ国民も、コロナ対策にとどまらず、国家百年の計で観光について考え、訪日外国人観光客の受け入れ再開に臨みたいものです』、「コロナ対策にとどまらず、国家百年の計で観光について考え、訪日外国人観光客の受け入れ再開に臨みたいものです」、同感である。

次に、本年4月15日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「成田空港が大混雑…訪日外国人から河野大臣のツイッターにクレーム殺到」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/321556
・『コロナの水際緩和で外国人観光客が大挙して訪日しているが、彼らを出迎えるのはストレスフルな“おもてなし”だ。 3月末に訪日した筆者の友人、バングラデシュ人のハミド氏(65)は、インド経由で午後4時ごろに成田空港に到着した。ところが空港での検疫や入国審査で待たされて、六本木のホテルに到着したころにはとっくに午後9時を過ぎていた。続いて翌日も、同じようなことが起こった。 ハミド氏は自国の旅行代理店で購入した新幹線のクーポンをチケットに交換するため新宿駅を訪れたが、JRの「トラベルサービスセンター」ではまたも外国人専用の長蛇の列に並ばせられた。 高齢者にとって立ちっぱなしはつらいが、周囲には椅子もない。ハミド氏はさすがに「これだけ人が並んでいるのに、4つあるカウンターはなぜ2つしか開いていないの?」と声を上げた。同センターの奥にはカウンターに立たない職員たちが複数いたが、ハミド氏の目には「自分の仕事と関係なければ『見て見ぬふり』なのか」と映った。 通訳の知人も、成田空港の大混雑について「これでは日本のイメージが悪くなる」と心配するひとりだ。) 「成田空港は外国人の入国審査に4~5時間もかかっていました。ものすごい人数がいるのに、稼働している窓口は全部ではないのです」』、「成田空港は外国人の入国審査に4~5時間もかかっていました」、いくらなんでも時間がかかり過ぎだ。
・『「ファストトラックは何の意味もない」  3月6日、河野太郎デジタル大臣が<日本の空港での入国手続きの感想を聞かせて>と英語でツイートしたところ、外国人利用者からのありとあらゆる不満が殺到した。「3月5日の成田空港には500人程度が集まっていたが、入国カウンターは半分しか開いていなかった。時間のロスだし、ストレスがたまる」と、前述の知人のコメントを裏付ける発言もあった。 「スタッフの態度が無礼」「海外から来た人をバイ菌扱いするな」といった意見以外にも「私の旅で成田空港は最悪の部分だ」とするクレームもあった。 空港検疫はあらかじめアプリで検疫手続きの一部を済ませ、スムーズな入国を促す「ファストトラック」が導入されているが、4月4日に河野大臣に宛てられたのは「3時間以上も待たせるファストトラックは何の意味もない」との厳しい意見だった。 成田空港の審査管理部門に問い合わせると、「コロナ期間中は2カ所ある入国審査場の1つを閉じていたが、4月6日以降、人が多くなる午後の時間帯に2つ開けるようにした」とのこと。「観光立国とは名ばかり」の汚名返上となればいいが』、「3時間以上も待たせるファストトラックは何の意味もない」、その通りだ。「観光立国」らしくなるのはいつのことなのだろう。

第三に、7月20日付け日刊SPA!「「密漁」ツアーに勤しむ中国人観光客たち。トランクいっぱいに海産物を持ち去り…」を紹介しよう。
https://nikkan-spa.jp/1923960
・『日本政府観光局によると‘23年5月の訪日外客数は189万8900人と’19年比68.5%の回復を見せた。そんななか、早くも観光客の迷惑行為が全国で報告されている』、「観光客の迷惑行為が全国で報告」、こまったことだ。
・『観光バスで現れ、トランクいっぱいに海産物を持ち去る  漁業権が設定されている区域で“密漁”を行う中国人観光客が増えているという。6月中旬にも、沖縄でヤドカリ682匹を捕獲した観光客の逮捕が報じられた。取材班が訪れた千葉県の某海浜公園の近隣住民は話す。 「5月に潮干狩りの有料期間が終わってから一気に中国人が増えました。この時期になると毎年、観光バスが何台も来てたくさん降りてくるんです。牡蠣やホンビノス貝をバケツや網にいっぱい入れて持ち帰る姿をよく見ます。公園内のトイレでは潮干狩りで着ていた服を脱ぎ捨てる人も多く、清掃の人も困っているようです。あと、海産物をトランクに入れて公共バスで帰る人も多く、バスが水浸しになったり床に砂がばらまかれて大変だそうです」』、「5月に潮干狩りの有料期間が終わってから一気に中国人が増えました。この時期になると毎年、観光バスが何台も来てたくさん降りてくるんです」、「観光バスが何台も」これは明らかに行き過ぎだ。
・『「日本人も獲ってるし、問題ない」  小紅書では日本での「潮干狩りツアー」を募集する個人業者が 記者は観光客とみられる潮干狩り中の中国人を直撃。すると…… 「日本に住む友達に誘われて来た。1時間くらいでバケツ3杯分の牡蠣が採れた。ここは小紅書(中国のSNS)でも良く紹介されていて、今の時期は無料で入場出来るからとても人気。牡蠣が採れるポイントも紹介されているので、初めて来ても大量に採れるよ。あなたも欲しかったら分けてあげる。獲っちゃいけないもの? わからない。日本人も自由に採ってるし、問題ない」 中国のSNSを見ると、日本に住む個人ガイドが同海浜公園での潮干狩りツアーを開催し、参加者を募っていた。また、牡蠣が多く採れる「牡蠣島」と呼ばれるスポットにも多くの中国人の姿が。浅瀬には殻が散乱している箇所もあり危険に感じた。 公園を管轄する自治体に問い合わせたところ、やはり牡蠣島での採捕は禁止されていた。担当者は次のように話す。 「監視カメラや警察の見回りなどを行なっているが、基本的には来場者の善意に委ねておりなかなか厳しい」 自治体も有効な手がなく、頭を悩ませているようだ』、「採捕は禁止されて」いる「牡蠣島」は時々、取り締まりをするべきだろう。

第四に、7月28日付け東洋経済オンライン「訪日客を受け入れできない」地方空港を襲う危機 「やりがい搾取」で空港スタッフ不足の超深刻」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/689561
・『大分空港では大分県が仲介してJALの委託先のグラハン(注)職員を投入して韓国からの便を受け入れた。だが、鹿児島県庁の関係者は「海外エアラインの中には行政に泣きついてくるところもあるが、基本的にグラハンをどうするかは民間同士の契約の問題だ」と話す。それでも県は、グラハン業務の資格取得費用の一部を助成する制度を導入した。 南国交通では上限3000円だった資格手当を1万円に増やしたり、職員が利用できる空港リムジンバスの回数券を支給したりするなど、待遇改善に邁進している。社員寮の部屋をリニューアルし、シャワーのヘッドを高級品に取り替えるなど涙ぐましい努力も積み重ねている。 こうして2023年度は約20人の新規採用に結びついた。ただ、即戦力となる航空専門学校の卒業生はゼロ。「福岡などの専門学校で学んだ鹿児島県出身者が、鹿児島に戻ってこない」(有村部長)のだという』、処遇などに問題がありそうだ。
(注)グラハン:グランドハンドリング (Ground handling) 、航空輸送における空港地上支援業務のことをいう(Wikipedia)。
・『グラハン従業員の平均年収は326万円  国土交通省も対応に本腰を入れる。2023年2月に有識者による「持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会」を立ち上げ、グラハンの人手不足への対応を検討してきた。同検討会の資料によれば、コロナ禍の中で地上職員の離職者が相次ぎ、コロナ前に比べてグラハン作業員数は1~2割減った。航空専門学校への入学者も4割減っている。 有識者会議は6月、「現場で働く人の使命感などに甘え、『やりがい』の搾取を続けているような現状は、一刻も早く改善していかなければならない」などとする中間とりまとめを発表した。 「グラハンのコストを抑えようと、エアラインは業務を外注化し、必然的に待遇は悪くなっていった。今後も航空業界の人気から労働力の供給は見込まれるが、熟練スタッフの離職を止めるには待遇改善が必要。外国人労働者の受け入れも積極的に進めていくべきだ」 こう指摘するのは、桜美林大学の戸崎肇教授(交通政策が専門)だ。国交省の資料によれば、グラハン従業員の平均年収は326万円と、建設業の451万円と比べても見劣りがする。休憩所のトイレはいまだに和式、そもそも休憩スペースもなく、ターミナルのロビーのベンチで仮眠をとっているケースもあるという。) さらに構造的な問題もある。 グラハンの作業は、客室のドアの開け方から貨物の積み込み方に至るまで、作業手順や方法が細かく定められており、機種ごとはもちろんJAL、ANAでそれぞれのやり方がある。作業車両のボタンやレバーの位置も、それぞれの系列で異なっている。このため、前出の南国交通のグラハン職員は「JAL運送課」「ANA運送課」に分かれ、それぞれの系列の社内資格を取る必要がある。 離島路線は天候によってダイヤが乱れがちだが、時間に比較的余裕があるANA便担当者がJAL便の応援に入ることはできない。 この問題は国の有識者会議でも問題視され、「系列ごとに異なる資格者車両仕様等の見直し・業界ルールの整備(特に地方)」といった提言も検討会の中間とりまとめに盛りこまれた』、「グラハン従業員の平均年収は326万円と、建設業の451万円と比べても見劣りがする。休憩所のトイレはいまだに和式、そもそも休憩スペースもなく、ターミナルのロビーのベンチで仮眠をとっているケースもあるという」、こんな低賃金・酷い就業環境では、話にならない。しかも「グラハンの作業は、客室のドアの開け方から貨物の積み込み方に至るまで、作業手順や方法が細かく定められており、機種ごとはもちろんJAL、ANAでそれぞれのやり方がある。作業車両のボタンやレバーの位置も、それぞれの系列で異なっている。このため、前出の南国交通のグラハン職員は「JAL運送課」「ANA運送課」に分かれ、それぞれの系列の社内資格を取る必要がある」、不必要なほど分断されて、非効率な制度であるようだ。
・『待遇改善に国が責任を持つべき  福岡空港では同じスポット(駐機場)でJAL機とANA機が到着するたびに、それぞれの系列の作業車が遠く離れた駐車場からやってきていた。2021年7月からJAL・ANAで車両を共有化して、スポット周辺で待機する実験を行ったところ、国内線で最大18%、国際線で70%の走行距離を削減できたという。 「JALとANAはライバルとしてサービス水準や安全性向上を競ってきたが、福岡空港で共用化をやってみたら効果も出た。資格の統一や車両の共用化は積極的に進めてほしい」と国交省の担当者は話す。 航空業界はグラハンに特化した業界団体を今年8月に立ち上げて、資格や車両の共通化を含め議論を深めていく方針だ。 さらに、前出の戸崎教授は「日本が観光立国をうたい続けるのであれば、委託料の流れを透明化したうえで、グラハンスタッフの待遇改善などに国が責任を持つべきだ」とも指摘する。) 6月に政府がまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2023」、いわゆる「骨太の方針」には、訪日外国人拡大に向けた航空需要回復の推進とともに、「空港におけるグランドハンドリング・保安検査体制の強化等を含めた航空・空港関連企業の経営基盤強化」が盛りこまれた。 グラハンスタッフの待遇改善は、もはや国策になっている。グラハン事業は羽田でも6割、地方空港ではすべてをエアライン系以外の地元企業が請け負っているケースが多い。グラハンを含む空港関連企業の強化は、直接地元企業にメリットがあるだけでなく、地方のインバウンド拡大の基盤にもなる。そのためには、グラハン委託料の値上げも喫緊の課題となるだろう』、「グラハンスタッフの待遇改善は、もはや国策になっている」、「グラハン委託料の値上げも喫緊の課題となるだろう」、なるほど。
・『業界、行政の意識改革が求められる  「これまで地方の首長は、海外のエアラインに頭を下げ、就航をお願いし、グラハン会社が人的にも金銭的にも無理をして受け入れてくれていた。いまの人手不足はそれに目をつぶってきた結果だ。委託料を引き上げることで、職員の給料も上げて、設備投資もできるようになる。外航の就航には費用もかかるが、毅然とやっていくべきだ」(国交省関係者) 「2030年訪日外国人客6000万人」を目標に掲げるなど、「数」を求めてきたのは国自身にほかならない。真の観光立国に向け、航空業界、行政を含めたすべての関係者の意識改革が求められる』、「真の観光立国に向け、航空業界、行政を含めたすべての関係者の意識改革が求められる」、「グラハン会社が人的にも金銭的にも無理をして受け入れてくれていた。いまの人手不足はそれに目をつぶってきた結果だ。委託料を引き上げることで、職員の給料も上げて、設備投資もできるようになる。外航の就航には費用もかかるが、毅然とやっていくべきだ」、同感である。
タグ:インバウンド動向 (その14)(観光競争力で初首位も、海外客再開に欠ける視点 忌避に偏見、受け入れ再開に反対の声が充満、成田空港が大混雑…訪日外国人から河野大臣のツイッターにクレーム殺到、「密漁」ツアーに勤しむ中国人観光客たち。トランクいっぱいに海産物を持ち去り…、「訪日客を受け入れできない」地方空港を襲う危機 「やりがい搾取」で空港スタッフ不足の超深刻) 東洋経済オンライン 日沖 健氏による「観光競争力で初首位も、海外客再開に欠ける視点 忌避に偏見、受け入れ再開に反対の声が充満」 こういう反「外国人観光客」の声はいつもあるようだ。 「観光関連業者」はようやく待ちに待った「受け入れ再開」といったところのようだ。 「日本の旅行市場の市場規模は、コロナ前の2019年に27.9兆円に達しました。 ただ、観光産業が十分に成長し、「日本は観光立国だ」と胸を張れる状態になっているかというと、2019年の段階でも「まったく物足りない」というのが、率直な評価に」、「世界経済フォーラム」の「総合順位で調査の開始以来、初めて世界1位に」、「潜在力がありながら、生かせていないのです」、なるほど。 「コロナ対策にとどまらず、国家百年の計で観光について考え、訪日外国人観光客の受け入れ再開に臨みたいものです」、同感である。 日刊ゲンダイ 姫田小夏氏による「成田空港が大混雑…訪日外国人から河野大臣のツイッターにクレーム殺到」 「成田空港は外国人の入国審査に4~5時間もかかっていました」、いくらなんでも時間がかかり過ぎだ。 「3時間以上も待たせるファストトラックは何の意味もない」、その通りだ。「観光立国」らしくなるのはいつのことなのだろう。 日刊SPA!「「密漁」ツアーに勤しむ中国人観光客たち。トランクいっぱいに海産物を持ち去り…」 「観光客の迷惑行為が全国で報告」、こまったことだ。 「5月に潮干狩りの有料期間が終わってから一気に中国人が増えました。この時期になると毎年、観光バスが何台も来てたくさん降りてくるんです」、「観光バスが何台も」これは明らかに行き過ぎだ。 「採捕は禁止されて」いる「牡蠣島」は時々、取り締まりをするべきだろう。 東洋経済オンライン「訪日客を受け入れできない」地方空港を襲う危機 「やりがい搾取」で空港スタッフ不足の超深刻」 処遇などに問題がありそうだ。 (注)グラハン:グランドハンドリング (Ground handling) 、航空輸送における空港地上支援業務のことをいう(Wikipedia)。 「グラハン従業員の平均年収は326万円と、建設業の451万円と比べても見劣りがする。休憩所のトイレはいまだに和式、そもそも休憩スペースもなく、ターミナルのロビーのベンチで仮眠をとっているケースもあるという」、こんな低賃金・酷い就業環境では、話にならない。 しかも「グラハンの作業は、客室のドアの開け方から貨物の積み込み方に至るまで、作業手順や方法が細かく定められており、機種ごとはもちろんJAL、ANAでそれぞれのやり方がある。作業車両のボタンやレバーの位置も、それぞれの系列で異なっている。このため、前出の南国交通のグラハン職員は「JAL運送課」「ANA運送課」に分かれ、それぞれの系列の社内資格を取る必要がある」、不必要なほど分断されて、非効率な制度であるようだ。 「グラハンスタッフの待遇改善は、もはや国策になっている」、「グラハン委託料の値上げも喫緊の課題となるだろう」、なるほど。 「真の観光立国に向け、航空業界、行政を含めたすべての関係者の意識改革が求められる」、「グラハン会社が人的にも金銭的にも無理をして受け入れてくれていた。いまの人手不足はそれに目をつぶってきた結果だ。委託料を引き上げることで、職員の給料も上げて、設備投資もできるようになる。外航の就航には費用もかかるが、毅然とやっていくべきだ」、同感である。
nice!(0)  コメント(0)