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地方創生政策(その6)(地方創生ブームの愚「地方PR動画」乱発はネット時代のハコモノ行政だ、なぜ「なんでも外注主義」が地方を滅ぼすのか 地方に大事な「3つの能力」が消えかけている、徳島は「阿波おどり」で揉めてさらに衰退する 地方を滅ぼす「本当の敵」は常に「外」にいる) [国内政治]

地方創生政策については、1月24日に取上げた。今日は、(その6)(地方創生ブームの愚「地方PR動画」乱発はネット時代のハコモノ行政だ、なぜ「なんでも外注主義」が地方を滅ぼすのか 地方に大事な「3つの能力」が消えかけている、徳島は「阿波おどり」で揉めてさらに衰退する 地方を滅ぼす「本当の敵」は常に「外」にいる)である。

先ずは、am.代表取締役CEO/Webメディア『70seeds』編集長の岡山史興氏が3月23日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「地方創生ブームの愚「地方PR動画」乱発はネット時代のハコモノ行政だ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/164297
・『盛り上がり続ける「地方創生」ブーム。地方自治体は移住者募集に企業誘致にと日夜PR合戦を繰り広げている。だが、その結果、地方には何が生まれただろうか。「動画は流行ったけど人が来ない」「SNSで拡散されたけど売り上げは上がらない」……・・・地方や企業の事業開発や・ブランディング支援を行っている岡山史興氏が、取材の先々で出会ってきた「予算をかけたのに効果が不透明」な地方創生の世界で、失望のスパイラルを止めるヒントを探るべく、現在の地方創生が抱える課題を分析。「住民がよろこぶ地方創生」の姿に迫る』、面白そうだ。
・『「この前、東京からウェブの人が来てくれたんですよ」 ニコニコしながらそう語るのはある自治体のPR担当職員。ウェブサイトや“バズムービー”など、ネット上で話題になるコンテンツを企画するのが得意ということで有名なウェブ制作会社から売り込みがあり、情報発信の相談をする機会があったのだそうだ。 業界では名が知られている会社ということもあり、担当者も大きな期待をかけている様子だった。 一方、また別の自治体との打ち合わせではこんなシーンがあった。 「この前、東京の会社にサイト制作をお願いしたんですけど、ちょっと期待外れで……。確かにいい感じの出来上がりではあるんですけど、移住促進にはつながらなかったというか」 どうだろう。これらは自治体に限らず、一般企業でも「あるある……」とうなずいてしまうシーンではないだろうか。 実名は伏せるが、この2つのエピソードに登場した制作会社は同じ会社である。そして、これは各地で聞こえてくる声のほんの一部にすぎない。「ウェブ制作会社」が「コンサルタント」や「広告代理店」、「人気ライター」になったり、「サイト制作」が「ブランディング」や「バズムービー」、「オウンドメディア」と置き換わることもしばしばだ。 期待に対して、目的が達成されなかったという結果だけが残るこれらの現場。自治体にはトラウマを、東京の企業には不本意な実績を、そして自治体の住民たちには無関心の加速をそれぞれ与えて、また次の地方創生の「現場」が生まれていく。 なぜこんな悲劇が起きてしまうのか、そしてその悲劇に陥らないためには何が必要なのか』、地方創生ビジネスは、こうした制作会社にとって、おいしいメシの種なのだろう。
・『筆者はいくつかの自治体担当者や関係者から話を聞く中で、前述した悲劇に至る過程には大きく3つのレベルの「わかってない」があることに気づいた。 1つ目は、その自治体にとって本当に必要な手法を「わかってない」場合。地方創生予算の使い途として「シティ・プロモーション」「エリア・マーケティング」などの触れ込みで、委託事業者を募集している自治体が陥りがちな泥沼のことだ。 「○○県のようにPRしたい」「もっとネットで話題にされたい」、そんな手法ありきの発想で事業者が選定され予算が使われていくことで、冒頭に述べたような悲劇が生まれていく。本来その自治体に必要なのが「ネットで話題になること」「なんとなくよさそうなキャッチコピーで語られること」などではなかったことに気づいたときには、もう遅いというのに。 そんな「手法」ありきの発想にたどり着く原因となるのが、2つ目の「対象が誰なのかわかってない」ことだ。 「移住者を獲得しなくてはいけないのに知名度が低い、だからウェブでプロモーションしよう」「地域の特産品を流通させたい、だから首都圏でイベントをしよう」……。これらは「地方創生」の名のもとに展開される施策として非常によく見られる流れだが、致命的なのはそこに「対象」がいないこと。 「移住者」はどこにいる誰なのか、彼らが本当に求めるものは何なのか。「特産品」が首都圏で流通するために必要なのは何なのか。そもそも首都圏のどこで流通したら成功と言えるのか。それを決めるのは誰なのか。指標が正しく設定されていないのに施策だけが実行されても、そもそも成功かどうかの判断もできないだろう。 そして3つ目は、自分の自治体が置かれている「フェーズをわかってない」ことだ。 手法や対象を「わかってない」自治体ほど、自分の自治体がどんな段階にあるのか理解していない。本来取り組むべきは外向けのプロモーションではなく、住民向けのサービス向上だったりするのに、それに気づかないまま成果を生まない「予算」だけが消化されていく。 その結果、気合を入れて情報発信したはいいものの誰もやってこない→住民たちの自信喪失と無関心が加速する→新しい挑戦へのハードルが上がる……という負のスパイラルが全国各地で起きている』、地方創生の現場の酷さは、想像以上だ。
・『たくさんの失敗例が取り沙汰されているにもかかわらず、そんな「わかってない」が、なぜ全国で繰り返されてしまうのだろうか。 わかってない」自治体の失敗が後を絶たない理由、それは「地域資源」という言葉の独り歩きにある。「地域資源を掘り出す」「地域資源を活かす」といったことが、地方創生の現場では必ずといっていいほど語られる。 だが多くの場合、それら「地方資源」のほとんどは単なる思い込みに過ぎない。それどころか底なし沼への第一歩となることもしばしばである。その多くが、「立地」「食」などを自分の街の「地域資源」として戦略を立てているパターンだ。 「この街の魅力は豊かな海で獲れる美味しい海産物です!」→程度の差こそあれ、日本は海に囲まれているのでだいたいどこでも言えてしまう。 「海と山が近くコンパクトにまとまった暮らしやすい町です!」→地方の主要都市はどこに行ってもだいたいそうだ。 これらを便宜上「一次資源」と呼ぶが、一次資源で勝てる街は、そもそも既に創生されている。これまで一次資源を活かしてこられなかった街がいまさらこの土俵で戦うことは非常に難しい。 一次資源があるがブランディングや見せ方がうまくいっていない街が、次に進む二次資源、それは「体験」だ。 たとえば、地域にもともとあった海の幸を体験型コンテンツに変換した、青森古川市場の「のっけ丼」や、港町全体を劇場化した宮城県気仙沼市の「ちょいのぞき気仙沼」などはその代表例だろう。 だが、ここ数年で「体験」コンテンツは急増しており、飽和状態にあるだけではなく明らかに品質が不十分なものも少なくない。二次資源による差別化も決して「誰もができる道」ではないのだ。 このように、多くの自治体にとって、一次資源も二次資源も「地方創生」のための好手ではないにもかかわらず、わかりやすい提案を受け飛びついてしまっていることが、現在の悲劇を作り出してしまっている構造が見えてくる。 では、一次資源も二次資源もない街は一体何で戦えばよいのか。その答えとなるのが、三次資源となる「人」だと、筆者は考えている』、「地域資源」「一次資源」「二次資源」などはもっともらしく聞こえるが、どこも似たようなものでは、筆者が言うよに差別化など到底おぼつかないだろう。
・『一次資源、二次資源で戦うこと、それはあくまでも「持てる者」の戦い方だ。大半の自治体はまず自身が「持たざる者」であることを自覚しなくてはならない。資源のない日本が世界の中で存在感を発揮していったのと同様、「持たざる者」が戦っていくためには「人」の力が不可欠だ。 地域資源としての「人」に注目すること、それは街のインフラをつくることに等しい。観光などによる外貨の獲得が期待できない以上、その街を起点にした仕事が生まれ、持続していくことができる仕組みをつくることが最大のミッションとなる。 そんな街が取り組むことはいたってシンプルだ。自身の街に適した(1)産業のあり方を考え、(2)実行し、(3)その成果を発信する、という3つのステップで中長期的な試行と改善のサイクルに取り組むしかない。 実際に「人」を中心にした街づくりの取り組みには、いくつかの方向性がある。 たとえば、西粟倉村とNPO法人ETIC.が中心となり立ち上げたローカルベンチャー推進協議会は「移住起業家」を呼び込み、産業を育てていく取り組みだ。現在は岩手県釜石市や石川県七尾市など全国10自治体に広がっている。 一方では、外から人や企業を呼び込むにあたって、既存の住民が求める「仕事」を分析・対策することで成果を上げている宮崎県日南市のような事例もある。 また、民間発のまちづくり事例では、「フリーランス」が集まる町として注目を集めている千葉県富津市にある「コワーキングコミュニティまるも」や、愛媛県西予市で40年前に立ちあがった「無茶々園」なども興味深い事例だ。 さらに大きいのが、そういった街では産業が育つだけではなく、成果を牽引する「人」そのものが、外部にとって「その街を訪れる理由」になることだ。 この連載では、そのような「人」という三次資源を軸にした街づくりの現場を、「持たざる者」の戦い方におけるヒントとして紹介していく。戦略不在で作られた、誰も喜ぶことのないウェブサイトやバズ動画がますます地方を疲弊させる前に』、「人」への注目は、確かに有力な観点で、成功例も出ているようだが、補助金頼り、横並びに慣れた地方にとっては、人材の不足がネックとなる懸念もありそうだ。

次に、まちビジネス事業家の木下 斉氏が7月23日付け東洋経済オンラインに寄稿した「 なぜ「なんでも外注主義」が地方を滅ぼすのか 地方に大事な「3つの能力」が消えかけている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/230176
・『「地方のことは地方で考えよう」。こんなことが言われて久しくなりました。しかし、地方が策定するさまざまな計画は「どこかで見たような内容」ばかりであることがいたるところで見られます。「今は地方が独自に決められる」と言われているのに、なぜ複数の地域が似たような事業を実施して共倒れになっていくのでしょうか。この背景には何があるのでしょう。その病巣の1つが「なんでも外注依存」です』、なるほど。
・『今の地方のさまざまな業務は、計画するのも外注、開発するのも外注、運営も外注、と、なんでもかんでも外注するような状況です。「名ばかりコンサルタント」たちの適当な仕事の問題もまったく消えず発生し続けている背景には、実際には地方側が「なんでも外注」しているからという、「発注者側の問題」もあります。 もう4年ほど経ちますが、地方創生政策がスタートした際は、事実上、地方創生総合戦略のほとんどが外注にまわされ策定されました。では今どんな結果となっているか、はみなさんのご存じのとおりです。「地方が独自に考えて計画を出しなさい」といったのに、結局東京のコンサルなどに「計画を考えてください」と地方が頼んでしまったりする奇っ怪な状況が多発していました。 その後も「移住定住のキャンペーンをやってくれ」と外注したり、「地元をPRする動画を策定してYouTubeでいっぱい再生されたい」といった外注をしたり、「ふるさと納税をもっと集める企画を考えてほしい」などの外注もしています。ひたすら外注、外注、外注です』、ここまで外注に依存しているとは、改めて驚かされた。依頼する地方自治体にはプライドなど一切なさそうなのは残念だ。
・『しかしながら、こうした依頼を受注するような東京本社の有名企業もシンクタンクなどは、全国津々浦々まで知り尽くしているわけでもありません。また、地域の状況に応じてゼロから提案を作るわけでもありません。どこかでやったことを、データベースから引っ張ってきてつなぎ合わせて計画をまとめたり、はたまた同じようなイベント事業を別の場所で展開したり、揚げ句の果ては「ヤバイ開発」をそのまま複数地域に提案して、実際に地方が大失敗していることもあります。 せっかく東京などから分配された税金が、地方がなんでも外注することで、また東京の会社に還流して、そこから適当な提案をされる。しかも地方はそのいい加減な計画を鵜呑みにして失敗事業をやってしまい、負担を増加させて衰退を加速させる、という悪循環が発生しています』、地方の独自財源ではなく、国の補助金でやっているのも、こうした無責任体制を助長しているのではなかろうか。
・『調査などレポート作成に多額の予算を積むのであれば、その一部でも行政であれば職員に、企業であれば社員が自ら調べたり、考えるのに必要なスキルを身に付けるのに調査予算を委ねて自前で調査させたり、自ら研修に参加する予算を捻出して人材投資をするほうが、地方にとっては「自力で考える力」を形成できます。 たとえば、岩手県の紫波町では前町長の藤原孝氏の方針によって、住民参加に向けたワークショップは外注が禁止されました。そのかわり、職員が最低限のスキルを身に付ける研修を受ける研修費には予算をつけました。ある時「なぜ外注させずに研修に予算だすのか」と藤原氏にお聞きすると、「毎年300万円の外注をすれば10年で3000万円かかる。しかし、職員に50万円の研修でも受けさせて学ばせたら、大抵の役場職員はやめないから、同じことを職員だけで何度でもやれる。10人に研修うけさせても、500万円で済んで、あとは外注はいらないから地元の負担も軽く、職員もプライドと責任をもってやる」とおっしゃっていました。今では周辺自治体から紫波町の職員を指名してワークショップ講師の依頼が出るほどになっています。 また別の自治体では、研修などを自腹で学んだ職員たちが、コンサルタントに多額の業務委託で調査してもらった内容に、大きな間違いがあることを発見しました。なぜわかったかといえば、なんと研修で来た講師が、その調査事業の対象となった事業の実践者だったのです。 このケースでは、実践者が自ら解説する内容をもとに学んでいたため自治体の担当者が、「実際の内容と違いますよ」と指摘したところ、コンサルタントも「いや、現地にいって聞いてきた」と言い張ったといいます。「そこまでいうなら今、やっている人に電話するから」といったら、コンサルはびっくりして謝ったのです。これでその自治体は、「外部はどれだけずさんな調査をしているのか」と初めて認識したといいます。このように、自ら学べば判断もつき、自分で考える糸口もつかめるわけです。 数十年前の総合計画などは自治体職員や地元専門家、メディアたちが自ら集まり策定したかなり数字も細かく掲載されている秀逸なものが多くあります。たとえば福岡市の「第二次総合計画」などは今の福岡市の優位性を形作った基礎とも言えます。さらにまちの小さな公衆トイレなどの公共建築なども役所の技師が自ら設計した優れたものが全国各地に残っています。外注管理ではない仕事が、地方の独自性を作り出すのです。 地方が自ら考え、自ら決めていくためには、まずはなんでもかんでも外注依存の現状を問題として認識し、段階的に「自分たちの頭で考え、実行する」自前事業の割合を増やしながら依存度の軽減に努める必要があります。まずは地方自らが「外注依存デトックス計画」を自分たちでたてるのが第一歩ではないでしょうか』、説得力のある提言で、大賛成だ。

第三に、同じ木下氏が9月1日付け東洋経済オンラインに寄稿した「 徳島は「阿波おどり」で揉めてさらに衰退する 地方を滅ぼす「本当の敵」は常に「外」にいる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/235812
・『徳島の夏の風物詩、「阿波おどり」が大混乱のうちに幕を閉じました。いろいろな意味でメディア露出は多かったにもかかわらず、4日間での人出は減少して約108万人。昨年より15万人減少しました・・・「主催者団体の巨額累積赤字」だけでなく「徳島市観光協会の破産」と来て、さらには全員参加でフィナーレとして行う総踊りについても「やる、やらない」を、祭りの当日まで引きずってしまったため大混乱となりました・・・一時が万事、今回の阿波おどりの混乱は徳島市の現在の状況を象徴する出来事であり、衰退地域によくある構造とも言えます』、混乱の原因はどのように解説されるのだろう。
・『そもそも祭りは、本来であれば「稼ぐ地域産業」があり、その「地域産業による余剰を地域内で循環させるための行事」といった側面が強くあります。大抵の伝統行事は神事と絡んだものです。そのなかでも華やかな祭りには「その地域の経済力が増した時代に発展したもの」が多くあります。 しかしながら栄華を極めた地域産業が衰退していくと、「不採算だけど伝統行事だから」ということで行政が予算を出すようになり、祭りに関連する利権で稼ごうとする人が暗躍します。阿波おどりも例外ではありません。長い歴史の中で形成されてきた、さまざまな利権の所在をめぐって互いに争っているわけです。 今回の「総踊りをめぐる小競り合い」も、ある意味の茶番です。徳島市の思惑はこうです。阿波おどり事業で過去の赤字責任を事実上認めて3億円の寄付を行った徳島新聞を、運営の中核に置きつつ、新たな「分散会場での手法で稼ごう」とするのが本心なのに、表向きは「安全のため」という建前で「総踊り中止」で押し切ろうとしました。 対立している踊り手団体である「阿波おどり振興協会」側も、「いやいや、ダイナミックな総踊りを市民は望んでいる」、などといって「総踊り」を独自に決行しましたが、不明瞭な運営が指摘され、破産した徳島市観光協会との関係がチラついたままです。 表向きは権力側と市民側の対立のようにメディアは描いていたものの、実際のところはどっちもどっちというところです。こうした「しょうもない対立」に、市民や観光客など多くの人が飽き飽きとしたことが動員数の伸び悩みにつながったことは否めないでしょう』、利権争いが背景にあるとは、納得したが、双方とも「泥仕合」がもたらすイメージダウンなど考慮しなかったとは、大人げない。
・『市と地元有力団体との対立は、実はこれだけではありません。 徳島市の遠藤彰良(あきよし)市長(2016年就任)は、選挙の争点となっていた「新町(しんまち)西地区市街地再開発」でも、白紙撤回することで市民の信託を得て当選し、中止を決定して大きな争点となっています。 この新町西地区は、阿波おどり会館のある眉山(びざん)のふもとで、地元の有力者たちが土地を持ち、長年にわたって再開発計画を進めてきたエリアです。 しかし、実はこれまでの市政と再開発組合が計画してきた再開発事業は、総事業費約225億円にも上り、さらにこれから開発される施設の多くは巨大な市民ホールなどとなり、市が税金で買い取るというものでした。中止決定後、再開発組合は遠藤市長を相手取って異例の訴訟に踏み切りましたが、1審で市の決定に権利の濫用などはないとされ、控訴審判決でも棄却されています。 今回、阿波おどりをめぐる混乱のなかで破産した観光協会などは前市長、つまりは再開発推進派を選挙で推していたわけですが、当選した遠藤市長はそれを真っ向から中止に追い込んだという形となっており、再開発問題だけでなく阿波おどり問題にも無関係とは言い切れないのです。 このように、遠藤市長率いる市政側と、地元の各種団体との間ではさまざまな形で対立が起きています。阿波おどりは目に見えやすい対立構造であるからこそ、メディアなども巻き込み大騒動になっただけでしょう。 そもそも徳島自体がこのように再開発をめぐる問題や、阿波おどりの事業赤字問題などでもめるのは、前出のように、「そもそも地域経済が大きく沈んでしまっているから」と言えます。 経済に余裕があれば、再開発も行政投資などを期待せずとも推進できるわけですし、また祭りに資金を拠出する民間企業などもより多く出てくるはずなのです。経済が好調であれば財政力も豊かになるため、逆説的ですが市民ホールなどを建設する事業費などもそれほど問題にならないと言えます。しかし、経済が低迷し、引きずられて税収も低迷する徳島市にとっては、過去にやっていたことを当たり前のように続けることさえできなくなり、地域内のさまざまな組織が「誰がそのマイナスを引き受けるか」でもめていると言えます』、阿波おどり以外に再開発問題も絡んでいるとなれば、解決には相当の年月を要しそうだ。
・『読者の皆さんの中には驚かれる方もいるかもしれませんが、かつて、徳島市は全国有数の大都市だった時代があります。その繁栄の礎は戦国時代に築かれていきます。藍染(あいせん、あいぞめ)です。藍染めは、「虫などが近づいてこない」ということで武士の間で人気になり、さらに江戸時代に入ると一般大衆にまで普及していきます。 人々が着る服の素材として麻から綿へ普及が変化したものの、一般的な自然染料では綿が染まらない中、藍染は綿にも染色が可能だったからと言われます。こうして、藍は多くの人たちに愛され、日本社会の到るところで見られるようになりました。明治時代に日本にやってきたイギリス人宣教師で科学者でもあるR.W.アトキンソンによって書かれた「藍の説」の中では「ジャパンブルー」と呼ばれるようになり、今でもサッカー日本代表のユニフォームは藍色なのは、これに起源があります。 もしくは、安藤広重の浮世絵で世界に広まったことで「ヒロシゲブルー」と呼ばれることもあります。安藤広重の「東海道五拾三次」を活用して、当時の人々の中でどれだけ古い藍染が普及しているかを調べた研究があります。結果、同作品に登場する衣類全体の41%、登場人物の64%が藍染めされたものを着用しているなど、いかに当時藍染が普及していたかがわかります。 このように江戸時代から明治初期にわたって広く普及した藍。そのトップブランドを誇ったのが、実は徳島だったのです。なかでも阿波藍は「本藍」と呼ばれ、その他の地域で生産されるものは「地藍」と呼ばれるほど「一段上のブランド」でした』、徳島市は藍染で栄え、全国有数の大都市だった時代がある、サッカー日本代表のユニフォームの藍色の起源、などは初めて知った。このあとの、徳島が藍染で繁栄した背景についての解説は省略。
・『今回の阿波おどりの大混乱については、それぞれの組織・個人に言い分はあるはずです。しかし、内輪で互いにもめればもめるほど、地域としての力は低下していきます。敵は地元ではなく、外にいます。徳島市の状況は江戸・明治中期までを頂点にして、その後産業は細り、衰退の流れを止められていません。 2018年は徳島と関西を接続することになった明石海峡大橋が開通して、20年の節目の年に当たります。もともと、徳島経済は関西経済とも海によって一定の隔たりがあったものが、橋の開通によって神戸や大阪の商業とつながりが深くなり、そして物流が改善したことによって徳島内にさまざまな「地元外資本」による大型モールが開業していきました。競争のゆるい内需経済に慣れていた徳島市中心部商業は壊滅的な打撃を受け、地域として輸出する産業も細る中、内需経済にも「決定打」となる変化となりました』、明石海峡大橋開通は地元経済には決してプラスにはならなかったようだ。
・『このような中で、年に一度の大イベントである阿波おどりや、再開発事業といったもので互いに利権を奪い合い地元でもめればもめるほど、それは地元が衰退し「その分だけ他の地域に吸い上げられる」と認識したほうがよさそうです。写真は2009年に撮影したものですが、今の徳島市の中心部は残念ながら、あまり変わっていません。 実は、徳島市と対極にある都市も数多くあります。代表的なのが、筆者が前から注目している福岡市です・・・日本の他の地域の商店街が「百貨店よ、出て行け!」などと大型店を排斥しようとし、地域内対立を深めていた時代に、福岡市では天神地区にある百貨店や商店街などが互いに連合して「都心界」を組織しました。そして、合同で、隣接する都市の商業中心地に「天神に来てください」といった「エリア営業」をかけて、しだいに優位性を築いていきました。 また、祭りでも大いに参考になります。もともと「博多祇園山笠」は、「博多部」で長らく続いてきていた伝統行事でしたが、「福岡部」にあたる天神から参画することを受け入れ、「飾り山笠」を建てるなどしています。 こうしたこともあり、もともとは新興商業エリアにすぎなかった天神は、今や九州一の商業中心市へと発展。1889(明治22)年時点では徳島市よりも人口が少なく全国15位だった福岡市は、現在全国5位の大都市へと成長しています。 徳島市の実情をみれば、市の経済力も財政力も、伝統行事とのかかわり方も含め、内輪でもめている猶予はもうありません。 一刻も早く外を見て、新たな地域経済の立て直しにとりかからなくてはいけません。簡単に言えば、次の100年に徳島は「何で飯を食っていくのか」「何に力を注ぐのか」を決めることです。それらは、官民の関係なく、地元のさまざまな組織のトップの重要な役目です。 ひとことで言えば、「地元のおじさんたちのもめごとが未来を衰退に至らしめる」のは、何も徳島市に限った話ではないのです。「誰と戦い、誰と組むべきなのか」。より合理的な判断と行動が熱望されます』、正論だが、利権まみれの両派の眼を外に向けさせるのは容易ではなさそうだ。
タグ:大混乱のうちに幕を閉じました 期待に対して、目的が達成されなかったという結果だけが残るこれらの現場 「誰と戦い、誰と組むべきなのか」。より合理的な判断と行動が熱望されます 「地元のおじさんたちのもめごとが未来を衰退に至らしめる」のは、何も徳島市に限った話ではないのです 日本の他の地域の商店街が「百貨店よ、出て行け!」などと大型店を排斥しようとし、地域内対立を深めていた時代に、福岡市では天神地区にある百貨店や商店街などが互いに連合して「都心界」を組織しました。そして、合同で、隣接する都市の商業中心地に「天神に来てください」といった「エリア営業」をかけて、しだいに優位性を築いていきました 内輪で互いにもめればもめるほど、地域としての力は低下していきます。敵は地元ではなく、外にいます 藍。そのトップブランドを誇ったのが、実は徳島だったのです 藍染 、経済が低迷し、引きずられて税収も低迷 かつて、徳島市は全国有数の大都市だった時代があります 地元の有力者たちが土地を持ち、長年にわたって再開発計画を進めてきたエリアです。 しかし、実はこれまでの市政と再開発組合が計画してきた再開発事業は、総事業費約225億円にも上り、さらにこれから開発される施設の多くは巨大な市民ホールなどとなり、市が税金で買い取るというものでした 破産した観光協会などは前市長、つまりは再開発推進派を選挙で推していた 選挙の争点となっていた「新町(しんまち)西地区市街地再開発」でも、白紙撤回することで市民の信託を得て当選し、中止を決定して大きな争点 遠藤彰良(あきよし)市長 「しょうもない対立」 対立している踊り手団体である「阿波おどり振興協会」側も、「いやいや、ダイナミックな総踊りを市民は望んでいる」、などといって「総踊り」を独自に決行しましたが、不明瞭な運営が指摘され、破産した徳島市観光協会との関係がチラついたまま 新たな「分散会場での手法で稼ごう」とするのが本心なのに、表向きは「安全のため」という建前で「総踊り中止」で押し切ろうとしました 阿波おどり事業で過去の赤字責任を事実上認めて3億円の寄付を行った徳島新聞を、運営の中核に置きつつ 徳島市の思惑 総踊りについても「やる、やらない」を、祭りの当日まで引きずってしまったため大混乱 島市観光協会の破産 持たざる者」が戦っていくためには「人」の力が不可欠だ 結局東京のコンサルなどに「計画を考えてください」と地方が頼んでしまったりする奇っ怪な状況が多発 「 徳島は「阿波おどり」で揉めてさらに衰退する 地方を滅ぼす「本当の敵」は常に「外」にいる」 「阿波おどり」 調査などレポート作成に多額の予算を積むのであれば、その一部でも行政であれば職員に、企業であれば社員が自ら調べたり、考えるのに必要なスキルを身に付けるのに調査予算を委ねて自前で調査させたり、自ら研修に参加する予算を捻出して人材投資をするほうが、地方にとっては「自力で考える力」を形成できます 巣の1つが「なんでも外注依存」 地域資源」という言葉の独り歩き 「地方のことは地方で考えよう」 1つ目は、その自治体にとって本当に必要な手法を「わかってない」場合 東洋経済オンライン 栄華を極めた地域産業が衰退していくと、「不採算だけど伝統行事だから」ということで行政が予算を出すようになり、祭りに関連する利権で稼ごうとする人が暗躍 二次資源 一次資源、二次資源で戦うこと、それはあくまでも「持てる者」の戦い方だ 一次資源 2つ目の「対象が誰なのかわかってない」 自治体にはトラウマを、東京の企業には不本意な実績を、そして自治体の住民たちには無関心の加速をそれぞれ与えて、また次の地方創生の「現場」が生まれていく 岡山史興 (その6)(地方創生ブームの愚「地方PR動画」乱発はネット時代のハコモノ行政だ、なぜ「なんでも外注主義」が地方を滅ぼすのか 地方に大事な「3つの能力」が消えかけている、徳島は「阿波おどり」で揉めてさらに衰退する 地方を滅ぼす「本当の敵」は常に「外」にいる) ダイヤモンド・オンライン 大半の自治体はまず自身が「持たざる者」であることを自覚しなくてはならない ヒロシゲブルー 福岡市 「予算をかけたのに効果が不透明」な地方創生 「地方創生ブームの愚「地方PR動画」乱発はネット時代のハコモノ行政だ」 「 なぜ「なんでも外注主義」が地方を滅ぼすのか 地方に大事な「3つの能力」が消えかけている」 木下 斉 地方創生政策 サッカー日本代表のユニフォームは藍色なのは、これに起源 「ジャパンブルー」 3つのレベルの「わかってない」 「誰がそのマイナスを引き受けるか」でもめている
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