不動産(その11)(不動産会社を信じて「8000万円マンション投資」の医師…赤字続きで売却検討 そして知った“驚きの事実”、情報弱者をカモにする不動産「サブリース契約」あまりにエゲツない“中抜き”の実態、オープンハウス 「暴力団に関与」同業買収の背景 ライバル企業やアクティビストも狙っていた) [産業動向]
不動産については、本年4月9日に取上げた。今日は、(その11)(不動産会社を信じて「8000万円マンション投資」の医師…赤字続きで売却検討 そして知った“驚きの事実”、情報弱者をカモにする不動産「サブリース契約」あまりにエゲツない“中抜き”の実態、オープンハウス 「暴力団に関与」同業買収の背景 ライバル企業やアクティビストも狙っていた)である。
先ずは、本年6月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したアレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏による「不動産会社を信じて「8000万円マンション投資」の医師…赤字続きで売却検討、そして知った“驚きの事実”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/324757
・『少し前に話題になったサブリース。サブリースとは本来、転貸借全般を指す用語ですが、一般には収益不動産の一括借り上げのことをいいます。マンションやアパートなどの賃貸不動産の所有者が、空室リスクなどを避けるため、いったんサブリース会社に不動産を貸して、サブリース会社に客付けやら管理やらの面倒なことをやってもらおうというもので、多くの不動産オーナーが利用している仕組みです。ところが2019年、大手サブリース会社で問題になったのは、当初約束した家賃を、数年後強制的に『当初家賃から引き下げられた』所有者が全国で相次いだという事例です。所有者に銀行借り入れがある場合、家賃を引き下げられると「借入との収支がマイナス」になってしまう方も多く存在しています。あれから数年がたち、現在、全国のサブリース物件所有者の人たちには何が起きているのでしょうか』、「大手サブリース会社で問題になったのは、当初約束した家賃を、数年後強制的に『当初家賃から引き下げられた』所有者が全国で相次いだという事例です。所有者に銀行借り入れがある場合、家賃を引き下げられると「借入との収支がマイナス」になってしまう方も多く存在しています」、これは大変だ。
・『ワンルームマンション購入後は赤字続き 売却もできず苦しむ横浜在住の医師 横浜在住のお医者さんである佐藤さんは言います。 「熱心なワンルームマンションの営業マンに勧められて、2020年に立て続けに神奈川県にあるワンルームマンションを3室買いました。全額銀行借り入れで購入し、サブリースをつけています。本業が忙しいのですが、煩わしい管理などはすべてやってくれるということだったので、サブリースがいいかなと。もちろん、所得税の節税になるという話だったので、税金対策も兼ねて投資しました。営業マンから『これはお医者様専用の投資物件で、医師が自身で住みたくなるようなプレミアムな物件です』と言われ、なんとなく自尊心をくすぐられたのを覚えています」 しかし、購入してから3年間、収支は赤字。借金返済のため、半年ごとに一回、銀行にお金を別の口座から60万円ほど入金して赤字補填をしています。そのため年間の赤字補填額は120万円に上ります。) 「コロナで医療収入も減ったので、結局節税になりましたが、マンション投資も含めたトータルで考えると損したなというのが感想です」 佐藤さんは、赤字の補填をし続けていることを不安に思い、我々の会社に相談に来ました。そして、もしこの物件を売却した場合の査定結果にがくぜんとします。 2020年に1室2500万円の物件を計3室、合計7500万円で購入。諸経費を含めた支払額は8000万円弱でした。佐藤さんはこれを全額ローンで購入しました。 しかし、現在の相場で売却した場合の値段は1室につき2000万円。つまり、1室につき700万円近くの赤字になります。もちろん、借り入れがほぼまるまる残っているので、売却金額が残債を下回る、いわゆる『オーバーローン』状態です。 佐藤さんは、昨今の不動産価格の上昇でこのマンションも上昇しているのかと思っていたのですが、さにあらず。詳細を調べると、たしかに土地の価格は上昇していますが、最近の不動産価格の上昇の恩恵にあずかれず、売却したくてもできない状況に陥っていることがわかったのです。 また、賃料相場を調べてみると、佐藤さんがサブリース会社から受け取る家賃は8万円でしたが、実際は借主からサブリース会社が10万円の賃料をとっていることが分かりました。2万円の収益減です。 サブリース会社に聞いたところ「そういうものなので仕方ないですよ」と言われてしまい、それ以来営業マンから電話はかかってきません。 現状では年間の赤字補填額は120万円。一方で売却できたとしても1室につき700万円の損。どちらにも進むことができない状況です。 さらに追い打ちをかけるのが消費税です。佐藤さんは消費税の課税事業者だったため、マンションを売却した場合、消費税が10%かかります。つまり、一室につき200万円、3室で計600万円も追加でかかるというわけです。ただでさえ「損切り」なのに、プラス600万円の消費税がかかるということで、売却をストップすることにしました』、「現状では年間の赤字補填額は120万円。一方で売却できたとしても1室につき700万円の損。どちらにも進むことができない状況です。 さらに追い打ちをかけるのが消費税です。佐藤さんは消費税の課税事業者だったため、マンションを売却した場合、消費税が10%かかります。つまり、一室につき200万円、3室で計600万円も追加でかかるというわけです。ただでさえ「損切り」なのに、プラス600万円の消費税がかかるということで、売却をストップすることにしました」、確かにこれでは売却できない。
・『相続したマンションの売却でサブリース契約解除めぐりトラブル もう一人サブリースで苦しんでいる方をご紹介します。 ある地方都市にマンションを丸々5棟保有している原さん。彼は、2022年にお父さまが亡くなったことで、複数不動産を相続した方です。父が生前の2021年に、2棟売却する契約をしていました。売買契約書まで交わしたものの、収益不動産の2棟引き渡しの前に亡くなってしまいました。 そこで父の代わりに、長男の原さんが相続人として、新しい買い主やその契約を仲介した仲介会社と引き渡しまでのやり取りをすることになったのです。 そもそもこの2棟の売却話をまとめたのが、1人社長である不動産仲介会社の高齢の社長。彼は高齢のため、現在の宅建業者としてのルールを守っておらず、トラブルを引き起こします。その中でも最もひどかったのが、買い手にサブリースの物件であるということを説明せず、契約まで済ませてしまったことです。通常は契約時に説明すべきことであり、初歩的なミスです。 しかし、相続したばかりの原さんは、不動産の仲介を担っていた高齢の社長から「君は素人だし、まだ若い。大丈夫、私に任せなさい」と言われたので、原さんもそれをうのみにしてしまったのです。 この社長は「サブリースの解除条項が契約書にあるから解約できる」と踏んでいたのです。 しかし、その後、サブリース会社から原さん宛てに内容証明郵便が送られてきて、そこには「たとえ売却を理由としても、それは正当事由ではないのでサブリースは継続であり、たとえ正当事由があっても違約金を払うもの」と書かれてありました。 驚いた原さんは、自ら複数の弁護士に相談をしましたが、いずれの弁護士からも「借地借家法の側面で解約は難しい」と説明されてしまいました。 以下が、そのサブリースの解除条項です。 <第○条 契約の解除> 甲乙(筆者注:所有者とサブリース会社のこと)いずれか一方に契約続行不可能な事由がある場合に限り、3カ月の予告期間をもって相手方に通告し本契約を終了させることができる。また、正当な解約事由がない場合や即時に解約の場合は前条の保証家賃の3カ月分を相手方に支払うものとする。上記条文によると、解除条項があるため、一見、サブリース契約は解除が可能のように見えます。実際、不動産仲介の高齢の社長だけではなく、原さんの父親も建築当初「サブリースにすれば、何もしなくてよい」と管理会社に言われ、かつ上記契約書に書かれている通り「解約できるもの」と認識して、サブリース契約をしました。しかし、相続した人間が望まなくても、サブリースは引き継ぎとなる「止められない契約」なのです。 この物件の買い手は、ある程度不動産投資をしている人だったため、サブリースの解除を求めました。前述のお医者さんの佐藤さんのお話でも触れた通り、本来の家賃は100だとしても、サブリース会社に20中抜きされるため、80ほどしか賃料収入が入りません。買い手としては20損するわけですので、投資家にとってサブリースの継続はメリットがありません。 原さんのケースは最終的に、サブリース会社の社長が、上記法律を盾に原さん、仲介会社の高齢社長、さらには買い手にまで、強硬な姿勢を崩さぬまま押し通し、サブリースのまま引き渡すということで、妥協の決着となりました』、「1人社長である不動産仲介会社の高齢の社長。彼は高齢のため、現在の宅建業者としてのルールを守っておらず、トラブルを引き起こします。その中でも最もひどかったのが、買い手にサブリースの物件であるということを説明せず、契約まで済ませてしまったことです。通常は契約時に説明すべきことであり、初歩的なミスです」、「この社長は「サブリースの解除条項が契約書にあるから解約できる」と踏んでいたのです。 しかし、その後、サブリース会社から原さん宛てに内容証明郵便が送られてきて、そこには「たとえ売却を理由としても、それは正当事由ではないのでサブリースは継続であり、たとえ正当事由があっても違約金を払うもの」と書かれてありました」、「原さんのケースは最終的に、サブリース会社の社長が、上記法律を盾に原さん、仲介会社の高齢社長、さらには買い手にまで、強硬な姿勢を崩さぬまま押し通し、サブリースのまま引き渡すということで、妥協の決着となりました」、なるほど。
・『不動産所有者に不利益が多い サブリース契約を解約できない理由 売り手である原さんが驚いたのは、サブリース契約が法的によほどの正当事由がない限り解除できないという事実でした。裁判例を確認すると ・よほど切迫した理由がなければ不可 ・自己使用の必要性のみを理由としたサブリース解除は相当困難 ・契約書上の違約は、信頼関係の破壊に至るほどのひどいものでない限り解約不可 という事実が判明します。弁護士の見解も同様で、サブリース物件の売却後、新たな買い手が解除することもできないのです。 当然賃料も下がりますので、売却価格も下がります。売り手としては安い値段で売らざるを得ません。一方でサブリース契約を継続しても、築年数が古くなれば、家賃の下落、修繕費の増加で収支は悪化します。よって、経営の巧拙はもちろんありますが、それよりもサブリースがそもそもの不動産経営のボトルネックというケースが非常に多いのです。 サブリース契約を取り交わすときは「一括借り上げで面倒なこともないですよ」という売り文句がよく言われるようです。しかし、そもそも建築コストも割高、賃料も10~20%中抜きされる、さらに途中で賃料が減額される、エアコンの交換や法定検査などでサブリース会社の利益を乗せて所有者に費用が請求される、かといって契約は解除できない、という泥沼に入り込んでしまうケースが少なくないのです。 それほどまでに不利益なサブリース契約を法的に解除できない理由はなぜでしょうか。それは、借地借家法によりサブリース会社が守られているという背景があります。 借地借家法は不動産の賃借人を守る法律で、通常は「所有者→実際の入居者(賃借人)」という関係なのですが、サブリース契約では「所有者→サブリース会社(賃借人兼転貸人)→実際の入居者(転借人)」という構図になります。 借地借家法により、賃借人であるサブリース会社が守られ、所有者の立場が弱いという、おかしな状況になっているのです。 一般に、消費者契約法などは個人と法人の関係で立場の弱い個人が守られるものですが、サブリース契約ではその逆で、法人が賃借人という立場に基づいて守られ、個人が賃貸人という立場に基づいて不利な立場になってしまっているのです。 面倒な手間をサブリース会社にやってもらうということ自体は、「お客様の手間を解決する商売」として成り立つと思いますが、サブリース契約を一度結んでしまうと更新時も含めて半永久的に解除できません。たとえ解除条項があったとしても、借地借家法と判例によって解除ができず、契約関係が続いてしまうという「沼」なのです。これからサブリース契約をされる方は、そのリスクを認識して契約されるべきだと思います』、「サブリース契約を取り交わすときは「一括借り上げで面倒なこともないですよ」という売り文句がよく言われるようです。しかし、そもそも建築コストも割高、賃料も10~20%中抜きされる、さらに途中で賃料が減額される、エアコンの交換や法定検査などでサブリース会社の利益を乗せて所有者に費用が請求される、かといって契約は解除できない、という泥沼に入り込んでしまうケースが少なくないのです。 それほどまでに不利益なサブリース契約を法的に解除できない理由はなぜでしょうか。それは、借地借家法によりサブリース会社が守られているという背景があります。 借地借家法は不動産の賃借人を守る法律で、通常は「所有者→実際の入居者(賃借人)」という関係なのですが、サブリース契約では「所有者→サブリース会社(賃借人兼転貸人)→実際の入居者(転借人)」という構図になります。 借地借家法により、賃借人であるサブリース会社が守られ、所有者の立場が弱いという、おかしな状況になっているのです。「借地借家法により、賃借人であるサブリース会社が守られ、所有者の立場が弱いという、おかしな状況になっている」、何故、こんな不当な解釈が横行しているのだろう。
次に、7月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したアレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏による「情報弱者をカモにする不動産「サブリース契約」あまりにエゲツない“中抜き”の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/326114
・『アパートなどを所有者から一括して借り上げて入居者に貸すサブリース会社をめぐるトラブルがいまだに絶えない。今回はトラブルに巻き込まれた2人の不動産所有者のケースをもとに、サブリース契約の3つのデメリットについて解説したい』、興味深そうだ。
・『サブリース会社によるさまざまな中抜きの「手口」 サブリースとは、転貸借全般を指す用語で、一般的に収益不動産の一括借り上げのことを指します。マンションやアパートなどの賃貸不動産の所有者が、空室リスクなどを避けるため、いったんサブリース会社に不動産を貸し、サブリース会社に客付けや管理などの面倒なことをやってもらうというものです。今では多くの不動産オーナーが利用している仕組みです。 ところがコロナ前、業界内に激震が走りました。大手サブリース会社が物件の一部で、当初約束した家賃を、約束からわずか数年で、強制的に「引き下げた」ためです。このような目に遭った不動産所有者の中には、銀行借り入れをして不動産を購入した人もいたため、家賃を引き下げで「借り入れと賃料収入との収支がマイナス」になってしまった方も続出しました。 前回の記事で、私がサブリースで苦境に陥った不動産所有者の事例を2つ取り上げたところ、多くの方からの反響をいただきました。そこで今回はもう少しサブリース全般の問題点を掘り下げてみたいと思います。 所有者がいったん、サブリース会社に貸して「後の面倒なことはサブリース会社にやってもらう」という、一見便利に見えるこの仕組み。もちろん商売ですから、サブリース会社(もしくはその関連会社である管理会社)がもうかるようになっています。当然、所有者はサブリース会社に手間賃を払うことになりますので収益は減少します。不動産所有者が払う手間賃とはいわゆる「中抜き」というものです。 そもそも当時話題となったのは「安普請の家(割高な建物)を建てさせられる」という点。コロナ前に話題となった某上場企業の欠陥建築問題はまさにこの話です。つまり高いお金を払って安普請の家を建てさせられる。そして建築後、中抜きが始まります。まずは賃料を業者によって15~20%程度中抜きされます。 サブリース会社は一般の賃借人から例えば10万円の家賃を取ったとします。そして不動産所有者には8万円を支払うことで2万円中抜きできるということです。そして賃借人が退去したので「リフォームしましょう、クーラーを新しいものに変えましょう」ということで、工事費や設備費を中抜きされます。 実際の見積書を見てみると、店頭価格5.5万円のクーラーを7.5万円で所有者に請求。さらにクーラーの設置費として通常1.5万円の工事費を2.5万円で所有者に請求しています。 つまり、合計7万円であるはずのクーラー設置費用が、7.5万円+2.5万円で合計10万円となるわけです。3万円の中抜きです。もちろん、サブリース業者に丸投げすることで、クーラーの購入や工事の手配といった手間は省けますので、「まあ、仕方ないよね」と思える人には便利な仕組みだとは思います。しかし、実際には、こうした中抜きの状況について気付いていない所有者が多いようサブリース会社は一般の賃借人から例えば10万円の家賃を取ったとします。そして不動産所有者には8万円を支払うことで2万円中抜きできるということです。そして賃借人が退去したので「リフォームしましょう、クーラーを新しいものに変えましょう」ということで、工事費や設備費を中抜きされます。 実際の見積書を見てみると、店頭価格5.5万円のクーラーを7.5万円で所有者に請求。さらにクーラーの設置費として通常1.5万円の工事費を2.5万円で所有者に請求しています。 つまり、合計7万円であるはずのクーラー設置費用が、7.5万円+2.5万円で合計10万円となるわけです。3万円の中抜きです。に思います。また、受水槽に関する法定点検費用なども当然中抜きされますのでご注意ください』、「賃借人が退去したので「リフォームしましょう、クーラーを新しいものに変えましょう」ということで、工事費や設備費を中抜きされます。 実際の見積書を見てみると、店頭価格5.5万円のクーラーを7.5万円で所有者に請求。さらにクーラーの設置費として通常1.5万円の工事費を2.5万円で所有者に請求しています。 つまり、合計7万円であるはずのクーラー設置費用が、7.5万円+2.5万円で合計10万円となるわけです。3万円の中抜きです。に思います。また、受水槽に関する法定点検費用なども当然中抜きされますのでご注意ください」、巧みなやり方だ。
・『借地借家法により多くのサブリース契約の解除は困難 このように中抜きされるポイントがいくつもあるというのが、サブリース会社と契約することの第一のデメリットなのですが、第二のデメリットが前回も申し上げた「借地借家法によりサブリース会社が守られている故、サブリース契約を解除できず、半永久的に継続せざるを得ない」というものです。 例えば私の前回の記事を読んだ、サブリース契約をしている賃貸アパートを所有している瀬戸さん(仮名)。彼は遅ればせながらサブリースのデメリットを理解したので、業者に解除を申し立てたところ「解除できない」と強硬に言われてしまい、弊社に相談に来ました。 彼は悲痛な面持ちで次のように説明してくれました。 「なんとなく割高だよな、というのは分かっていたんです。でもそれも手間賃かなと。しかし納得いかないのは、クーラーの取り換えや換気扇の取り換えなどについて、サブリース会社は毎回事後報告なのです。また、私に報告もなく勝手に取り換え代金が引き落とされることも常態化しています。この6月末にも月の締めをチェックしていたのですが、管理会社から送られてきた支払書に、報告された記憶のない『301号、403号 浴室換気扇交換 各々4万6200円』という代金が引かれていました。不審に思い、担当に連絡をしたところ、取り換えをするという連絡は4月に行っていたものの、その後見積書を提出することなく、勝手に発注・取り換えをし、代金を引き落としていたのです」 以下は瀬戸さんに送られたサブリース会社の担当者からのメールの引用です。 お世話になっております。○○(サブリース会社の管理社名)の和田(仮名)です。(中略)浴室換気扇につきましては、4月3日にメールでの不具合報告をさせていただき、交換工事の金額の文章での御見積提出を忘れておりました。大変申し訳ありません。今後このようなことが起こらない様、進捗状況を確認しながらご報告をいたします。「換気扇に関して4万6200円とあったのですが、私の持っている物件の換気扇は昔の換気扇で、よくあるプロペラファン型です。ネットで検索してみたら工事費込みでも1つ1.5万円で交換できるということが分かりました。ああ、ここでも3万円近く中抜きされていたんだなと。そこでサブリース契約の解除を申し出たところ、できませんの1点張りです。知り合いの弁護士に相談しても、サブリースの解除は無理ですよと言われてしまい…」と、瀬戸さんは途方に暮れています。 もちろんお客様の手間を解決するのがビジネスですので、双方納得の上で、サブリース会社が中抜きすること自体は悪ではないと思います。大手の中にはサブリース契約を解除できる良心的なところもありますが、多くのサブリース会社では解除ができないというところが問題だと考えます』、「大手の中にはサブリース契約を解除できる良心的なところもありますが、多くのサブリース会社では解除ができないというところが問題だと考えます」、なるほど。
・『サブリース付きの物件は売却価格でも不利に 埼玉でサブリース物件を所有する加藤さん(仮名)は、中抜きの実態について、瀬戸さんよりも突っ込んで調べた方です。 「サブリース会社から入ってくる家賃が少ないと思い、サブリース会社に『家賃の一覧を見せてくれ』って言ったんです。当初は『見せられない』と言ってきたのですが、激しいやりとりの末、レントロールというんですか、家賃の一覧表を出してくれました。ところが、どう見ても入居者の家賃が実際の家賃と違うんですよ。家賃の中抜きをしていることを言いたくなかったんでしょうね。そこで、たまたま入居者の1人が私の知り合いだったので、家賃を聞いてみたんですよ。するとサブリース会社が報告した家賃と実際の家賃がやっぱり違っていたんです。わざわざ虚偽のレントロールを作ってきたんですよ」 加藤さんが契約したサブリース会社もひどいですが、さらに問題のある業者も存在します。例えば、設備が壊れてから交換するのではなく、数年に1回、アパート全体の温水洗浄便座やエアコンを定期的に交換することで中抜きをしたりするのです。そして不動産の所有者がそれに気付いても、借地借家法に守られているのはサブリース業者なので、所有者個人はなかなか解除できないという、まさに「沼」に入り込んでいる状況なのです。 そしてサブリース会社と契約する第三のデメリットは、物件の売却に関することです。 不動産の所有者がサブリースの解除を諦め、でも赤字物件を持っていたくないので、物件の売却をしようとします。ところが売却のときも、契約したサブリース会社を仲介しないと当該物件を売却できないということも多々あるのです。不動産を手離したいのなら、仲介手数料を自分たちに払えということです。 なお、サブリースが付いた収益不動産を売却するとき、売却価格も下がるということにも注意が必要です。 売却価格は多くの場合、収益不動産は収益還元法をベースに算出します。 例えば都内23区内の築20年の木造アパート1棟で、駅徒歩10分強、利回りが約5%の物件があったとします。 家賃収入が年間1500万円だとすると、物件価格は一般的に、1500万円÷5%で3億円になります。 しかしサブリースを解除できれば、家賃収入は中抜きがなくなったことで2割ほど増えて1875万円になります。その結果、物件価格は1875万円÷5%で3億7500万円と、大幅に上昇することになるのです。 不動産所有者にとっては当然高値で売却したいでしょうし、サブリース解除は必須となります。 投資で負けるのは情報弱者です。 金融商品などの証券投資であれば、小口化されているので数万円から投資できます。したがって、投資家は少額から始めることで「慣れる」ことができます。しかし、不動産はそうではありません。収益不動産に関しては安くても数百万、普通で数千万、基本的には数億かかる買い物です。 投資家と業者では情報格差が大きいため、投資の初心者にとってサブリースは「面倒なことは全部丸投げ」できて始めやすいように思います。しかし、おいしい話にはそれ相応のデメリットもあります。 個人を守る消費者契約法と異なり、業者が守られ個人が守られないサブリース契約は「一度契約すると半永久的にやめられない沼」であることを、投資初心者は肝に銘じておくべきと考えています』、「業者が守られ個人が守られないサブリース契約は「一度契約すると半永久的にやめられない沼」であることを、投資初心者は肝に銘じておくべきと考えています」、その通りだ。
第三に、8月22日付け東洋経済オンライン「オープンハウス、「暴力団に関与」同業買収の背景 ライバル企業やアクティビストも狙っていた」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/696158
・『「われわれも買収のアプローチをしていたのだが、先をこされた」。あるハウスビルダーの幹部は唇をかむ。 この幹部が言う、買収を狙っていた企業とは、東京や埼玉などで戸建て分譲を展開する三栄建築設計のことだ。「行こうぜ1兆!2023」のスローガンを掲げ、今期に売上高1兆円超えを確実視する、ハウスビルダーのオープンハウスグループは8月16日、この三栄建築にTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化を目指すことを発表した』、「オープンハウスグループは8月16日、この三栄建築にTOB・・・を実施し、完全子会社化を目指すことを発表」、なるほど。
・『元社長が暴力団員に金銭を供与 三栄建築については、元社長が暴力団員に金銭を供与していたとして、東京都公安委員会から暴力団排除条例に基づく勧告を受けていた。新たな体制で、経営の建て直しを図る。 オープンハウスは8月17日から9月28日まで、1株当たり2025円で三栄建設株に対してTOBを実施する。買い付け代金は429億円。三栄建築株の63%超を保有する元社長の小池信三氏とは、公開買付公募契約書を締結している。この公開買い付けの成立後、スクイーズアウト(少数株主から強制的に株式を取得する手法)を実施し、完全子会社化する。 三栄建築の2022年8月期業績は売上高1390億円、営業利益128億円。買収が完了すれば2024年9月期から、オープンハウスの業績(2023年9月期売上高1兆1300億円、営業利益1410億円計画)に、三栄建築の業績が上乗せされる。 三栄建築の純資産額は611億円(2023年5月末時点)と買い付け代金とは差があることから、2024年9月期に負ののれん特別利益が計上される可能性も高い。) 三栄建築については、「安定していてよい会社」(ハウスビルダーの幹部)と評価する関係者が多い。「戸建て業界のさまざまなコンテストの受賞実績があるなど、デザイン力の高いことで有名」(別のハウスビルダーのベテラン社員)。 経営トップが暴力団員と関わりを持っていた同社は、2021年後半あたりから株価が低迷していたこともあり、複数の企業が三栄建築の買収に関心を持っていたと見られる。ハウスビルダー幹部は次のように語る。 「戸建て販売のシェアを上げるチャンスだったこともあり、当社も三栄建築側に『資本参加してもいい』という話をしていた。三栄建築は、ビッグモーターとは違う。創業者で元社長の小池信三氏と一部の幹部が反社会的勢力との関係があっただけで、組織全体は悪くない。経営トップを入れ替えて、再成長を目指すシナリオが描けた」』、「買い付け代金は429億円」と「純資産額は611億円」を大きく下回るので、「負ののれん特別利益が計上される可能性も高い」、なるほど。「創業者で元社長の小池信三氏と一部の幹部が反社会的勢力との関係があっただけで、組織全体は悪くない。経営トップを入れ替えて、再成長を目指すシナリオが描けた」、その分が「負ののれん」になっているようだ。
・『あの「モノ言う株主」もTOBを画策 今年7月には、香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントも三栄建設に対して、TOBを検討する提案書のドラフトを送っていた。 ハウスビルダーやアクティビストの思惑が入り交じり、「買収争奪戦」の様相を呈していたが、混乱する事態にはならなかった。三栄建築とオープンハウスの両社の主要取引行である三井住友銀行が、「橋渡し役になった」(ハウスビルダーのベテラン社員)ことで、オープンハウスの買収スキームがまとまったからだ。「三井住友銀行は、11月に予定される三栄建築の定時株主総会を乗り切れない(小池氏が取締役として選任されない)と判断し、一刻も早く手を打つ必要があると、動いたようだ」(別の業界関係者)。 小池氏からオープンハウス側に株式譲渡の打診があったのは今年6月24日。オープンハウスは、三栄建築が設置した第三者委員会の調査報告書などを確認したうえで、8月16日に買収を決定した。) 三栄建築の小池氏とオープンハウスの荒井正昭社長は、個人的なつながりもあった。両者は業界団体である日本木造分譲住宅協会の理事を務める(小池氏は2022年11月辞任)。同じく理事であるケイアイスター不動産の塙圭二社長を含めて、「3人で食事をすることもあるなど仲が良い」(ハウスビルダーの幹部)と言われる。 こういった経営トップ同士の関係も、買収スキームがまとまる要因になったと考えられる』、「香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントも三栄建設に対して、TOBを検討する提案書のドラフトを送っていた」、「三栄建築とオープンハウスの両社の主要取引行である「三井住友銀行は、11月に予定される三栄建築の定時株主総会を乗り切れない(小池氏が取締役として選任されない)と判断し、一刻も早く手を打つ必要があると、動いたようだ」、さすが三井住友銀行の動きは素早い。
・『解体工事代金の一部が住吉会系の暴力団員に オープンハウスが8月16日に公表した「株式会社三栄建築設計株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」によると、小池氏と暴力団員との関係は「少なくとも20年以上の長期にわたるもの」とされる。 暴力団員の便宜を図ったり、トラブルの交渉を委ねたりしていていた。2021年3月には、解体工事を発注した業者に対する工事代金として、小切手を指定暴力団の住吉会系の暴力団員に対して交付し、利益を供与した。 そして2022年9月に警察当局により、小池氏と他3名が会社法違反(特別背任)容疑で捜索を受ける。この動きをうけて、小池氏は同年11月に代表取締役を辞任。今年6月20日には、東京都公安委員会より東京都暴力団排除条例に基づく勧告を受ける。 この間、金融機関の融資姿勢が極めて慎重になり、6月26日には取引金融機関の1行から、融資契約にかかる反社会的勢力排除条項に抵触するとして、「期限の利益の喪失通知」(債務者がこれ以上は返済を待てないと残金の一括返済を求める通知)を受けていた。 一方、オープンハウスはこれまで、「攻め」の経営で業容を拡大してきた。「M&A(企業の合併・買収)をまとめるのがうまい」(ハウスビルダーの幹部)とされ、2015年にはアサカワホーム(現オープンハウス・アーキテクト)、2018年にはホーク・ワンを完全子会社化、そして2021年1月にプレサンスコーポレーションを子会社化した。 足元の業績も好調だ。戸建て、マンション、不動産開発の全セグメントで業績が拡大。過去最高純利益を更新中で、財務基盤も厚い(2023年6月末自己資本比率33.7%)。 三栄建設が設置した第三者委員会による報告書では、小池氏と暴力団員とは複数の取引があったが、元社長とそのほか3人の元従業員を除き、「暴力団員と直接関わりを持った人はいなかった」とされる。 「小池さんと、ほかの3人が反社会的勢力との付き合いがあったが、4人ともすでに会社を辞めている。小池さんや、彼のファミリーが所有していた同社株式もすべて買い取るため、小池さんの影響力を排除することができる。これらにより(暴力団員との関係が)クリアになる」(オープンハウスのIR担当者)としている。 オープンハウスの戸建ては「地味なデザインが多い」(業界関係者)と指摘されることもあり、デザイン力の高い三栄建築の戸建てがラインナップとして加わる意味は大きい。また資材調達などの面で「スケールメリットが発現する」(IR担当者)。こういった相乗効果を期待して、オープンハウスは買収に踏み切った』、「小池氏は同年11月に代表取締役を辞任。今年6月20日には、東京都公安委員会より東京都暴力団排除条例に基づく勧告を受ける。 この間、金融機関の融資姿勢が極めて慎重になり、6月26日には取引金融機関の1行から、融資契約にかかる反社会的勢力排除条項に抵触するとして、「期限の利益の喪失通知」・・・を受けていた」、のであれば、三井住友銀行も尻に火がついた緊急事態だったようだ。さすがと褒めたのは取り消すこととする。
・『買収成立まで一波乱の可能性も ただ、TOBがすんなりと成立する保証はない。三栄建築を1代で売上高1300億円をたたき出す企業に育てた小池氏だが、「おぼっちゃま気質で、Jリーグチームのスポンサーになるなどいろんなところに首をつっこみたがる」(ハウスビルダーの幹部)と言われる。 この小池氏については、「オープンハウスへの株式譲渡には、本音ではいまも納得していない」(別の業界関係者)との見方もある。買収成立まで、一波乱あるかもしれない』、「小池信三氏とは、公開買付公募契約書を締結している。この公開買い付けの成立後、スクイーズアウト(少数株主から強制的に株式を取得する手法)を実施し、完全子会社化する」、予定ではあるが、「小池氏」は「本音ではいまも納得していない」、いまさら「小池氏」の打つ手は限られている筈だ。どう出てくるのか、要注目だ。
先ずは、本年6月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したアレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏による「不動産会社を信じて「8000万円マンション投資」の医師…赤字続きで売却検討、そして知った“驚きの事実”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/324757
・『少し前に話題になったサブリース。サブリースとは本来、転貸借全般を指す用語ですが、一般には収益不動産の一括借り上げのことをいいます。マンションやアパートなどの賃貸不動産の所有者が、空室リスクなどを避けるため、いったんサブリース会社に不動産を貸して、サブリース会社に客付けやら管理やらの面倒なことをやってもらおうというもので、多くの不動産オーナーが利用している仕組みです。ところが2019年、大手サブリース会社で問題になったのは、当初約束した家賃を、数年後強制的に『当初家賃から引き下げられた』所有者が全国で相次いだという事例です。所有者に銀行借り入れがある場合、家賃を引き下げられると「借入との収支がマイナス」になってしまう方も多く存在しています。あれから数年がたち、現在、全国のサブリース物件所有者の人たちには何が起きているのでしょうか』、「大手サブリース会社で問題になったのは、当初約束した家賃を、数年後強制的に『当初家賃から引き下げられた』所有者が全国で相次いだという事例です。所有者に銀行借り入れがある場合、家賃を引き下げられると「借入との収支がマイナス」になってしまう方も多く存在しています」、これは大変だ。
・『ワンルームマンション購入後は赤字続き 売却もできず苦しむ横浜在住の医師 横浜在住のお医者さんである佐藤さんは言います。 「熱心なワンルームマンションの営業マンに勧められて、2020年に立て続けに神奈川県にあるワンルームマンションを3室買いました。全額銀行借り入れで購入し、サブリースをつけています。本業が忙しいのですが、煩わしい管理などはすべてやってくれるということだったので、サブリースがいいかなと。もちろん、所得税の節税になるという話だったので、税金対策も兼ねて投資しました。営業マンから『これはお医者様専用の投資物件で、医師が自身で住みたくなるようなプレミアムな物件です』と言われ、なんとなく自尊心をくすぐられたのを覚えています」 しかし、購入してから3年間、収支は赤字。借金返済のため、半年ごとに一回、銀行にお金を別の口座から60万円ほど入金して赤字補填をしています。そのため年間の赤字補填額は120万円に上ります。) 「コロナで医療収入も減ったので、結局節税になりましたが、マンション投資も含めたトータルで考えると損したなというのが感想です」 佐藤さんは、赤字の補填をし続けていることを不安に思い、我々の会社に相談に来ました。そして、もしこの物件を売却した場合の査定結果にがくぜんとします。 2020年に1室2500万円の物件を計3室、合計7500万円で購入。諸経費を含めた支払額は8000万円弱でした。佐藤さんはこれを全額ローンで購入しました。 しかし、現在の相場で売却した場合の値段は1室につき2000万円。つまり、1室につき700万円近くの赤字になります。もちろん、借り入れがほぼまるまる残っているので、売却金額が残債を下回る、いわゆる『オーバーローン』状態です。 佐藤さんは、昨今の不動産価格の上昇でこのマンションも上昇しているのかと思っていたのですが、さにあらず。詳細を調べると、たしかに土地の価格は上昇していますが、最近の不動産価格の上昇の恩恵にあずかれず、売却したくてもできない状況に陥っていることがわかったのです。 また、賃料相場を調べてみると、佐藤さんがサブリース会社から受け取る家賃は8万円でしたが、実際は借主からサブリース会社が10万円の賃料をとっていることが分かりました。2万円の収益減です。 サブリース会社に聞いたところ「そういうものなので仕方ないですよ」と言われてしまい、それ以来営業マンから電話はかかってきません。 現状では年間の赤字補填額は120万円。一方で売却できたとしても1室につき700万円の損。どちらにも進むことができない状況です。 さらに追い打ちをかけるのが消費税です。佐藤さんは消費税の課税事業者だったため、マンションを売却した場合、消費税が10%かかります。つまり、一室につき200万円、3室で計600万円も追加でかかるというわけです。ただでさえ「損切り」なのに、プラス600万円の消費税がかかるということで、売却をストップすることにしました』、「現状では年間の赤字補填額は120万円。一方で売却できたとしても1室につき700万円の損。どちらにも進むことができない状況です。 さらに追い打ちをかけるのが消費税です。佐藤さんは消費税の課税事業者だったため、マンションを売却した場合、消費税が10%かかります。つまり、一室につき200万円、3室で計600万円も追加でかかるというわけです。ただでさえ「損切り」なのに、プラス600万円の消費税がかかるということで、売却をストップすることにしました」、確かにこれでは売却できない。
・『相続したマンションの売却でサブリース契約解除めぐりトラブル もう一人サブリースで苦しんでいる方をご紹介します。 ある地方都市にマンションを丸々5棟保有している原さん。彼は、2022年にお父さまが亡くなったことで、複数不動産を相続した方です。父が生前の2021年に、2棟売却する契約をしていました。売買契約書まで交わしたものの、収益不動産の2棟引き渡しの前に亡くなってしまいました。 そこで父の代わりに、長男の原さんが相続人として、新しい買い主やその契約を仲介した仲介会社と引き渡しまでのやり取りをすることになったのです。 そもそもこの2棟の売却話をまとめたのが、1人社長である不動産仲介会社の高齢の社長。彼は高齢のため、現在の宅建業者としてのルールを守っておらず、トラブルを引き起こします。その中でも最もひどかったのが、買い手にサブリースの物件であるということを説明せず、契約まで済ませてしまったことです。通常は契約時に説明すべきことであり、初歩的なミスです。 しかし、相続したばかりの原さんは、不動産の仲介を担っていた高齢の社長から「君は素人だし、まだ若い。大丈夫、私に任せなさい」と言われたので、原さんもそれをうのみにしてしまったのです。 この社長は「サブリースの解除条項が契約書にあるから解約できる」と踏んでいたのです。 しかし、その後、サブリース会社から原さん宛てに内容証明郵便が送られてきて、そこには「たとえ売却を理由としても、それは正当事由ではないのでサブリースは継続であり、たとえ正当事由があっても違約金を払うもの」と書かれてありました。 驚いた原さんは、自ら複数の弁護士に相談をしましたが、いずれの弁護士からも「借地借家法の側面で解約は難しい」と説明されてしまいました。 以下が、そのサブリースの解除条項です。 <第○条 契約の解除> 甲乙(筆者注:所有者とサブリース会社のこと)いずれか一方に契約続行不可能な事由がある場合に限り、3カ月の予告期間をもって相手方に通告し本契約を終了させることができる。また、正当な解約事由がない場合や即時に解約の場合は前条の保証家賃の3カ月分を相手方に支払うものとする。上記条文によると、解除条項があるため、一見、サブリース契約は解除が可能のように見えます。実際、不動産仲介の高齢の社長だけではなく、原さんの父親も建築当初「サブリースにすれば、何もしなくてよい」と管理会社に言われ、かつ上記契約書に書かれている通り「解約できるもの」と認識して、サブリース契約をしました。しかし、相続した人間が望まなくても、サブリースは引き継ぎとなる「止められない契約」なのです。 この物件の買い手は、ある程度不動産投資をしている人だったため、サブリースの解除を求めました。前述のお医者さんの佐藤さんのお話でも触れた通り、本来の家賃は100だとしても、サブリース会社に20中抜きされるため、80ほどしか賃料収入が入りません。買い手としては20損するわけですので、投資家にとってサブリースの継続はメリットがありません。 原さんのケースは最終的に、サブリース会社の社長が、上記法律を盾に原さん、仲介会社の高齢社長、さらには買い手にまで、強硬な姿勢を崩さぬまま押し通し、サブリースのまま引き渡すということで、妥協の決着となりました』、「1人社長である不動産仲介会社の高齢の社長。彼は高齢のため、現在の宅建業者としてのルールを守っておらず、トラブルを引き起こします。その中でも最もひどかったのが、買い手にサブリースの物件であるということを説明せず、契約まで済ませてしまったことです。通常は契約時に説明すべきことであり、初歩的なミスです」、「この社長は「サブリースの解除条項が契約書にあるから解約できる」と踏んでいたのです。 しかし、その後、サブリース会社から原さん宛てに内容証明郵便が送られてきて、そこには「たとえ売却を理由としても、それは正当事由ではないのでサブリースは継続であり、たとえ正当事由があっても違約金を払うもの」と書かれてありました」、「原さんのケースは最終的に、サブリース会社の社長が、上記法律を盾に原さん、仲介会社の高齢社長、さらには買い手にまで、強硬な姿勢を崩さぬまま押し通し、サブリースのまま引き渡すということで、妥協の決着となりました」、なるほど。
・『不動産所有者に不利益が多い サブリース契約を解約できない理由 売り手である原さんが驚いたのは、サブリース契約が法的によほどの正当事由がない限り解除できないという事実でした。裁判例を確認すると ・よほど切迫した理由がなければ不可 ・自己使用の必要性のみを理由としたサブリース解除は相当困難 ・契約書上の違約は、信頼関係の破壊に至るほどのひどいものでない限り解約不可 という事実が判明します。弁護士の見解も同様で、サブリース物件の売却後、新たな買い手が解除することもできないのです。 当然賃料も下がりますので、売却価格も下がります。売り手としては安い値段で売らざるを得ません。一方でサブリース契約を継続しても、築年数が古くなれば、家賃の下落、修繕費の増加で収支は悪化します。よって、経営の巧拙はもちろんありますが、それよりもサブリースがそもそもの不動産経営のボトルネックというケースが非常に多いのです。 サブリース契約を取り交わすときは「一括借り上げで面倒なこともないですよ」という売り文句がよく言われるようです。しかし、そもそも建築コストも割高、賃料も10~20%中抜きされる、さらに途中で賃料が減額される、エアコンの交換や法定検査などでサブリース会社の利益を乗せて所有者に費用が請求される、かといって契約は解除できない、という泥沼に入り込んでしまうケースが少なくないのです。 それほどまでに不利益なサブリース契約を法的に解除できない理由はなぜでしょうか。それは、借地借家法によりサブリース会社が守られているという背景があります。 借地借家法は不動産の賃借人を守る法律で、通常は「所有者→実際の入居者(賃借人)」という関係なのですが、サブリース契約では「所有者→サブリース会社(賃借人兼転貸人)→実際の入居者(転借人)」という構図になります。 借地借家法により、賃借人であるサブリース会社が守られ、所有者の立場が弱いという、おかしな状況になっているのです。 一般に、消費者契約法などは個人と法人の関係で立場の弱い個人が守られるものですが、サブリース契約ではその逆で、法人が賃借人という立場に基づいて守られ、個人が賃貸人という立場に基づいて不利な立場になってしまっているのです。 面倒な手間をサブリース会社にやってもらうということ自体は、「お客様の手間を解決する商売」として成り立つと思いますが、サブリース契約を一度結んでしまうと更新時も含めて半永久的に解除できません。たとえ解除条項があったとしても、借地借家法と判例によって解除ができず、契約関係が続いてしまうという「沼」なのです。これからサブリース契約をされる方は、そのリスクを認識して契約されるべきだと思います』、「サブリース契約を取り交わすときは「一括借り上げで面倒なこともないですよ」という売り文句がよく言われるようです。しかし、そもそも建築コストも割高、賃料も10~20%中抜きされる、さらに途中で賃料が減額される、エアコンの交換や法定検査などでサブリース会社の利益を乗せて所有者に費用が請求される、かといって契約は解除できない、という泥沼に入り込んでしまうケースが少なくないのです。 それほどまでに不利益なサブリース契約を法的に解除できない理由はなぜでしょうか。それは、借地借家法によりサブリース会社が守られているという背景があります。 借地借家法は不動産の賃借人を守る法律で、通常は「所有者→実際の入居者(賃借人)」という関係なのですが、サブリース契約では「所有者→サブリース会社(賃借人兼転貸人)→実際の入居者(転借人)」という構図になります。 借地借家法により、賃借人であるサブリース会社が守られ、所有者の立場が弱いという、おかしな状況になっているのです。「借地借家法により、賃借人であるサブリース会社が守られ、所有者の立場が弱いという、おかしな状況になっている」、何故、こんな不当な解釈が横行しているのだろう。
次に、7月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したアレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏による「情報弱者をカモにする不動産「サブリース契約」あまりにエゲツない“中抜き”の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/326114
・『アパートなどを所有者から一括して借り上げて入居者に貸すサブリース会社をめぐるトラブルがいまだに絶えない。今回はトラブルに巻き込まれた2人の不動産所有者のケースをもとに、サブリース契約の3つのデメリットについて解説したい』、興味深そうだ。
・『サブリース会社によるさまざまな中抜きの「手口」 サブリースとは、転貸借全般を指す用語で、一般的に収益不動産の一括借り上げのことを指します。マンションやアパートなどの賃貸不動産の所有者が、空室リスクなどを避けるため、いったんサブリース会社に不動産を貸し、サブリース会社に客付けや管理などの面倒なことをやってもらうというものです。今では多くの不動産オーナーが利用している仕組みです。 ところがコロナ前、業界内に激震が走りました。大手サブリース会社が物件の一部で、当初約束した家賃を、約束からわずか数年で、強制的に「引き下げた」ためです。このような目に遭った不動産所有者の中には、銀行借り入れをして不動産を購入した人もいたため、家賃を引き下げで「借り入れと賃料収入との収支がマイナス」になってしまった方も続出しました。 前回の記事で、私がサブリースで苦境に陥った不動産所有者の事例を2つ取り上げたところ、多くの方からの反響をいただきました。そこで今回はもう少しサブリース全般の問題点を掘り下げてみたいと思います。 所有者がいったん、サブリース会社に貸して「後の面倒なことはサブリース会社にやってもらう」という、一見便利に見えるこの仕組み。もちろん商売ですから、サブリース会社(もしくはその関連会社である管理会社)がもうかるようになっています。当然、所有者はサブリース会社に手間賃を払うことになりますので収益は減少します。不動産所有者が払う手間賃とはいわゆる「中抜き」というものです。 そもそも当時話題となったのは「安普請の家(割高な建物)を建てさせられる」という点。コロナ前に話題となった某上場企業の欠陥建築問題はまさにこの話です。つまり高いお金を払って安普請の家を建てさせられる。そして建築後、中抜きが始まります。まずは賃料を業者によって15~20%程度中抜きされます。 サブリース会社は一般の賃借人から例えば10万円の家賃を取ったとします。そして不動産所有者には8万円を支払うことで2万円中抜きできるということです。そして賃借人が退去したので「リフォームしましょう、クーラーを新しいものに変えましょう」ということで、工事費や設備費を中抜きされます。 実際の見積書を見てみると、店頭価格5.5万円のクーラーを7.5万円で所有者に請求。さらにクーラーの設置費として通常1.5万円の工事費を2.5万円で所有者に請求しています。 つまり、合計7万円であるはずのクーラー設置費用が、7.5万円+2.5万円で合計10万円となるわけです。3万円の中抜きです。もちろん、サブリース業者に丸投げすることで、クーラーの購入や工事の手配といった手間は省けますので、「まあ、仕方ないよね」と思える人には便利な仕組みだとは思います。しかし、実際には、こうした中抜きの状況について気付いていない所有者が多いようサブリース会社は一般の賃借人から例えば10万円の家賃を取ったとします。そして不動産所有者には8万円を支払うことで2万円中抜きできるということです。そして賃借人が退去したので「リフォームしましょう、クーラーを新しいものに変えましょう」ということで、工事費や設備費を中抜きされます。 実際の見積書を見てみると、店頭価格5.5万円のクーラーを7.5万円で所有者に請求。さらにクーラーの設置費として通常1.5万円の工事費を2.5万円で所有者に請求しています。 つまり、合計7万円であるはずのクーラー設置費用が、7.5万円+2.5万円で合計10万円となるわけです。3万円の中抜きです。に思います。また、受水槽に関する法定点検費用なども当然中抜きされますのでご注意ください』、「賃借人が退去したので「リフォームしましょう、クーラーを新しいものに変えましょう」ということで、工事費や設備費を中抜きされます。 実際の見積書を見てみると、店頭価格5.5万円のクーラーを7.5万円で所有者に請求。さらにクーラーの設置費として通常1.5万円の工事費を2.5万円で所有者に請求しています。 つまり、合計7万円であるはずのクーラー設置費用が、7.5万円+2.5万円で合計10万円となるわけです。3万円の中抜きです。に思います。また、受水槽に関する法定点検費用なども当然中抜きされますのでご注意ください」、巧みなやり方だ。
・『借地借家法により多くのサブリース契約の解除は困難 このように中抜きされるポイントがいくつもあるというのが、サブリース会社と契約することの第一のデメリットなのですが、第二のデメリットが前回も申し上げた「借地借家法によりサブリース会社が守られている故、サブリース契約を解除できず、半永久的に継続せざるを得ない」というものです。 例えば私の前回の記事を読んだ、サブリース契約をしている賃貸アパートを所有している瀬戸さん(仮名)。彼は遅ればせながらサブリースのデメリットを理解したので、業者に解除を申し立てたところ「解除できない」と強硬に言われてしまい、弊社に相談に来ました。 彼は悲痛な面持ちで次のように説明してくれました。 「なんとなく割高だよな、というのは分かっていたんです。でもそれも手間賃かなと。しかし納得いかないのは、クーラーの取り換えや換気扇の取り換えなどについて、サブリース会社は毎回事後報告なのです。また、私に報告もなく勝手に取り換え代金が引き落とされることも常態化しています。この6月末にも月の締めをチェックしていたのですが、管理会社から送られてきた支払書に、報告された記憶のない『301号、403号 浴室換気扇交換 各々4万6200円』という代金が引かれていました。不審に思い、担当に連絡をしたところ、取り換えをするという連絡は4月に行っていたものの、その後見積書を提出することなく、勝手に発注・取り換えをし、代金を引き落としていたのです」 以下は瀬戸さんに送られたサブリース会社の担当者からのメールの引用です。 お世話になっております。○○(サブリース会社の管理社名)の和田(仮名)です。(中略)浴室換気扇につきましては、4月3日にメールでの不具合報告をさせていただき、交換工事の金額の文章での御見積提出を忘れておりました。大変申し訳ありません。今後このようなことが起こらない様、進捗状況を確認しながらご報告をいたします。「換気扇に関して4万6200円とあったのですが、私の持っている物件の換気扇は昔の換気扇で、よくあるプロペラファン型です。ネットで検索してみたら工事費込みでも1つ1.5万円で交換できるということが分かりました。ああ、ここでも3万円近く中抜きされていたんだなと。そこでサブリース契約の解除を申し出たところ、できませんの1点張りです。知り合いの弁護士に相談しても、サブリースの解除は無理ですよと言われてしまい…」と、瀬戸さんは途方に暮れています。 もちろんお客様の手間を解決するのがビジネスですので、双方納得の上で、サブリース会社が中抜きすること自体は悪ではないと思います。大手の中にはサブリース契約を解除できる良心的なところもありますが、多くのサブリース会社では解除ができないというところが問題だと考えます』、「大手の中にはサブリース契約を解除できる良心的なところもありますが、多くのサブリース会社では解除ができないというところが問題だと考えます」、なるほど。
・『サブリース付きの物件は売却価格でも不利に 埼玉でサブリース物件を所有する加藤さん(仮名)は、中抜きの実態について、瀬戸さんよりも突っ込んで調べた方です。 「サブリース会社から入ってくる家賃が少ないと思い、サブリース会社に『家賃の一覧を見せてくれ』って言ったんです。当初は『見せられない』と言ってきたのですが、激しいやりとりの末、レントロールというんですか、家賃の一覧表を出してくれました。ところが、どう見ても入居者の家賃が実際の家賃と違うんですよ。家賃の中抜きをしていることを言いたくなかったんでしょうね。そこで、たまたま入居者の1人が私の知り合いだったので、家賃を聞いてみたんですよ。するとサブリース会社が報告した家賃と実際の家賃がやっぱり違っていたんです。わざわざ虚偽のレントロールを作ってきたんですよ」 加藤さんが契約したサブリース会社もひどいですが、さらに問題のある業者も存在します。例えば、設備が壊れてから交換するのではなく、数年に1回、アパート全体の温水洗浄便座やエアコンを定期的に交換することで中抜きをしたりするのです。そして不動産の所有者がそれに気付いても、借地借家法に守られているのはサブリース業者なので、所有者個人はなかなか解除できないという、まさに「沼」に入り込んでいる状況なのです。 そしてサブリース会社と契約する第三のデメリットは、物件の売却に関することです。 不動産の所有者がサブリースの解除を諦め、でも赤字物件を持っていたくないので、物件の売却をしようとします。ところが売却のときも、契約したサブリース会社を仲介しないと当該物件を売却できないということも多々あるのです。不動産を手離したいのなら、仲介手数料を自分たちに払えということです。 なお、サブリースが付いた収益不動産を売却するとき、売却価格も下がるということにも注意が必要です。 売却価格は多くの場合、収益不動産は収益還元法をベースに算出します。 例えば都内23区内の築20年の木造アパート1棟で、駅徒歩10分強、利回りが約5%の物件があったとします。 家賃収入が年間1500万円だとすると、物件価格は一般的に、1500万円÷5%で3億円になります。 しかしサブリースを解除できれば、家賃収入は中抜きがなくなったことで2割ほど増えて1875万円になります。その結果、物件価格は1875万円÷5%で3億7500万円と、大幅に上昇することになるのです。 不動産所有者にとっては当然高値で売却したいでしょうし、サブリース解除は必須となります。 投資で負けるのは情報弱者です。 金融商品などの証券投資であれば、小口化されているので数万円から投資できます。したがって、投資家は少額から始めることで「慣れる」ことができます。しかし、不動産はそうではありません。収益不動産に関しては安くても数百万、普通で数千万、基本的には数億かかる買い物です。 投資家と業者では情報格差が大きいため、投資の初心者にとってサブリースは「面倒なことは全部丸投げ」できて始めやすいように思います。しかし、おいしい話にはそれ相応のデメリットもあります。 個人を守る消費者契約法と異なり、業者が守られ個人が守られないサブリース契約は「一度契約すると半永久的にやめられない沼」であることを、投資初心者は肝に銘じておくべきと考えています』、「業者が守られ個人が守られないサブリース契約は「一度契約すると半永久的にやめられない沼」であることを、投資初心者は肝に銘じておくべきと考えています」、その通りだ。
第三に、8月22日付け東洋経済オンライン「オープンハウス、「暴力団に関与」同業買収の背景 ライバル企業やアクティビストも狙っていた」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/696158
・『「われわれも買収のアプローチをしていたのだが、先をこされた」。あるハウスビルダーの幹部は唇をかむ。 この幹部が言う、買収を狙っていた企業とは、東京や埼玉などで戸建て分譲を展開する三栄建築設計のことだ。「行こうぜ1兆!2023」のスローガンを掲げ、今期に売上高1兆円超えを確実視する、ハウスビルダーのオープンハウスグループは8月16日、この三栄建築にTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化を目指すことを発表した』、「オープンハウスグループは8月16日、この三栄建築にTOB・・・を実施し、完全子会社化を目指すことを発表」、なるほど。
・『元社長が暴力団員に金銭を供与 三栄建築については、元社長が暴力団員に金銭を供与していたとして、東京都公安委員会から暴力団排除条例に基づく勧告を受けていた。新たな体制で、経営の建て直しを図る。 オープンハウスは8月17日から9月28日まで、1株当たり2025円で三栄建設株に対してTOBを実施する。買い付け代金は429億円。三栄建築株の63%超を保有する元社長の小池信三氏とは、公開買付公募契約書を締結している。この公開買い付けの成立後、スクイーズアウト(少数株主から強制的に株式を取得する手法)を実施し、完全子会社化する。 三栄建築の2022年8月期業績は売上高1390億円、営業利益128億円。買収が完了すれば2024年9月期から、オープンハウスの業績(2023年9月期売上高1兆1300億円、営業利益1410億円計画)に、三栄建築の業績が上乗せされる。 三栄建築の純資産額は611億円(2023年5月末時点)と買い付け代金とは差があることから、2024年9月期に負ののれん特別利益が計上される可能性も高い。) 三栄建築については、「安定していてよい会社」(ハウスビルダーの幹部)と評価する関係者が多い。「戸建て業界のさまざまなコンテストの受賞実績があるなど、デザイン力の高いことで有名」(別のハウスビルダーのベテラン社員)。 経営トップが暴力団員と関わりを持っていた同社は、2021年後半あたりから株価が低迷していたこともあり、複数の企業が三栄建築の買収に関心を持っていたと見られる。ハウスビルダー幹部は次のように語る。 「戸建て販売のシェアを上げるチャンスだったこともあり、当社も三栄建築側に『資本参加してもいい』という話をしていた。三栄建築は、ビッグモーターとは違う。創業者で元社長の小池信三氏と一部の幹部が反社会的勢力との関係があっただけで、組織全体は悪くない。経営トップを入れ替えて、再成長を目指すシナリオが描けた」』、「買い付け代金は429億円」と「純資産額は611億円」を大きく下回るので、「負ののれん特別利益が計上される可能性も高い」、なるほど。「創業者で元社長の小池信三氏と一部の幹部が反社会的勢力との関係があっただけで、組織全体は悪くない。経営トップを入れ替えて、再成長を目指すシナリオが描けた」、その分が「負ののれん」になっているようだ。
・『あの「モノ言う株主」もTOBを画策 今年7月には、香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントも三栄建設に対して、TOBを検討する提案書のドラフトを送っていた。 ハウスビルダーやアクティビストの思惑が入り交じり、「買収争奪戦」の様相を呈していたが、混乱する事態にはならなかった。三栄建築とオープンハウスの両社の主要取引行である三井住友銀行が、「橋渡し役になった」(ハウスビルダーのベテラン社員)ことで、オープンハウスの買収スキームがまとまったからだ。「三井住友銀行は、11月に予定される三栄建築の定時株主総会を乗り切れない(小池氏が取締役として選任されない)と判断し、一刻も早く手を打つ必要があると、動いたようだ」(別の業界関係者)。 小池氏からオープンハウス側に株式譲渡の打診があったのは今年6月24日。オープンハウスは、三栄建築が設置した第三者委員会の調査報告書などを確認したうえで、8月16日に買収を決定した。) 三栄建築の小池氏とオープンハウスの荒井正昭社長は、個人的なつながりもあった。両者は業界団体である日本木造分譲住宅協会の理事を務める(小池氏は2022年11月辞任)。同じく理事であるケイアイスター不動産の塙圭二社長を含めて、「3人で食事をすることもあるなど仲が良い」(ハウスビルダーの幹部)と言われる。 こういった経営トップ同士の関係も、買収スキームがまとまる要因になったと考えられる』、「香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントも三栄建設に対して、TOBを検討する提案書のドラフトを送っていた」、「三栄建築とオープンハウスの両社の主要取引行である「三井住友銀行は、11月に予定される三栄建築の定時株主総会を乗り切れない(小池氏が取締役として選任されない)と判断し、一刻も早く手を打つ必要があると、動いたようだ」、さすが三井住友銀行の動きは素早い。
・『解体工事代金の一部が住吉会系の暴力団員に オープンハウスが8月16日に公表した「株式会社三栄建築設計株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」によると、小池氏と暴力団員との関係は「少なくとも20年以上の長期にわたるもの」とされる。 暴力団員の便宜を図ったり、トラブルの交渉を委ねたりしていていた。2021年3月には、解体工事を発注した業者に対する工事代金として、小切手を指定暴力団の住吉会系の暴力団員に対して交付し、利益を供与した。 そして2022年9月に警察当局により、小池氏と他3名が会社法違反(特別背任)容疑で捜索を受ける。この動きをうけて、小池氏は同年11月に代表取締役を辞任。今年6月20日には、東京都公安委員会より東京都暴力団排除条例に基づく勧告を受ける。 この間、金融機関の融資姿勢が極めて慎重になり、6月26日には取引金融機関の1行から、融資契約にかかる反社会的勢力排除条項に抵触するとして、「期限の利益の喪失通知」(債務者がこれ以上は返済を待てないと残金の一括返済を求める通知)を受けていた。 一方、オープンハウスはこれまで、「攻め」の経営で業容を拡大してきた。「M&A(企業の合併・買収)をまとめるのがうまい」(ハウスビルダーの幹部)とされ、2015年にはアサカワホーム(現オープンハウス・アーキテクト)、2018年にはホーク・ワンを完全子会社化、そして2021年1月にプレサンスコーポレーションを子会社化した。 足元の業績も好調だ。戸建て、マンション、不動産開発の全セグメントで業績が拡大。過去最高純利益を更新中で、財務基盤も厚い(2023年6月末自己資本比率33.7%)。 三栄建設が設置した第三者委員会による報告書では、小池氏と暴力団員とは複数の取引があったが、元社長とそのほか3人の元従業員を除き、「暴力団員と直接関わりを持った人はいなかった」とされる。 「小池さんと、ほかの3人が反社会的勢力との付き合いがあったが、4人ともすでに会社を辞めている。小池さんや、彼のファミリーが所有していた同社株式もすべて買い取るため、小池さんの影響力を排除することができる。これらにより(暴力団員との関係が)クリアになる」(オープンハウスのIR担当者)としている。 オープンハウスの戸建ては「地味なデザインが多い」(業界関係者)と指摘されることもあり、デザイン力の高い三栄建築の戸建てがラインナップとして加わる意味は大きい。また資材調達などの面で「スケールメリットが発現する」(IR担当者)。こういった相乗効果を期待して、オープンハウスは買収に踏み切った』、「小池氏は同年11月に代表取締役を辞任。今年6月20日には、東京都公安委員会より東京都暴力団排除条例に基づく勧告を受ける。 この間、金融機関の融資姿勢が極めて慎重になり、6月26日には取引金融機関の1行から、融資契約にかかる反社会的勢力排除条項に抵触するとして、「期限の利益の喪失通知」・・・を受けていた」、のであれば、三井住友銀行も尻に火がついた緊急事態だったようだ。さすがと褒めたのは取り消すこととする。
・『買収成立まで一波乱の可能性も ただ、TOBがすんなりと成立する保証はない。三栄建築を1代で売上高1300億円をたたき出す企業に育てた小池氏だが、「おぼっちゃま気質で、Jリーグチームのスポンサーになるなどいろんなところに首をつっこみたがる」(ハウスビルダーの幹部)と言われる。 この小池氏については、「オープンハウスへの株式譲渡には、本音ではいまも納得していない」(別の業界関係者)との見方もある。買収成立まで、一波乱あるかもしれない』、「小池信三氏とは、公開買付公募契約書を締結している。この公開買い付けの成立後、スクイーズアウト(少数株主から強制的に株式を取得する手法)を実施し、完全子会社化する」、予定ではあるが、「小池氏」は「本音ではいまも納得していない」、いまさら「小池氏」の打つ手は限られている筈だ。どう出てくるのか、要注目だ。
タグ:不動産 (その11)(不動産会社を信じて「8000万円マンション投資」の医師…赤字続きで売却検討 そして知った“驚きの事実”、情報弱者をカモにする不動産「サブリース契約」あまりにエゲツない“中抜き”の実態、オープンハウス 「暴力団に関与」同業買収の背景 ライバル企業やアクティビストも狙っていた) ダイヤモンド・オンライン 江幡吉昭氏による「不動産会社を信じて「8000万円マンション投資」の医師…赤字続きで売却検討、そして知った“驚きの事実”」 「大手サブリース会社で問題になったのは、当初約束した家賃を、数年後強制的に『当初家賃から引き下げられた』所有者が全国で相次いだという事例です。所有者に銀行借り入れがある場合、家賃を引き下げられると「借入との収支がマイナス」になってしまう方も多く存在しています」、これは大変だ。 「現状では年間の赤字補填額は120万円。一方で売却できたとしても1室につき700万円の損。どちらにも進むことができない状況です。 さらに追い打ちをかけるのが消費税です。佐藤さんは消費税の課税事業者だったため、マンションを売却した場合、消費税が10%かかります。つまり、一室につき200万円、3室で計600万円も追加でかかるというわけです。ただでさえ「損切り」なのに、プラス600万円の消費税がかかるということで、売却をストップすることにしました」、確かにこれでは売却できない。 「1人社長である不動産仲介会社の高齢の社長。彼は高齢のため、現在の宅建業者としてのルールを守っておらず、トラブルを引き起こします。その中でも最もひどかったのが、買い手にサブリースの物件であるということを説明せず、契約まで済ませてしまったことです。通常は契約時に説明すべきことであり、初歩的なミスです」、 「この社長は「サブリースの解除条項が契約書にあるから解約できる」と踏んでいたのです。 しかし、その後、サブリース会社から原さん宛てに内容証明郵便が送られてきて、そこには「たとえ売却を理由としても、それは正当事由ではないのでサブリースは継続であり、たとえ正当事由があっても違約金を払うもの」と書かれてありました」、 「原さんのケースは最終的に、サブリース会社の社長が、上記法律を盾に原さん、仲介会社の高齢社長、さらには買い手にまで、強硬な姿勢を崩さぬまま押し通し、サブリースのまま引き渡すということで、妥協の決着となりました」、なるほど。 「サブリース契約を取り交わすときは「一括借り上げで面倒なこともないですよ」という売り文句がよく言われるようです。しかし、そもそも建築コストも割高、賃料も10~20%中抜きされる、さらに途中で賃料が減額される、エアコンの交換や法定検査などでサブリース会社の利益を乗せて所有者に費用が請求される、かといって契約は解除できない、という泥沼に入り込んでしまうケースが少なくないのです。 それほどまでに不利益なサブリース契約を法的に解除できない理由はなぜでしょうか。それは、借地借家法によりサブリース会社が守られているという背景があります。 借地借家法は不動産の賃借人を守る法律で、通常は「所有者→実際の入居者(賃借人)」という関係なのですが、サブリース契約では「所有者→サブリース会社(賃借人兼転貸人)→実際の入居者(転借人)」という構図になります。 借地借家法により、賃借人であるサブリース会社が守られ、所有者の立場が弱いという、おかしな状況になっているのです。 「借地借家法により、賃借人であるサブリース会社が守られ、所有者の立場が弱いという、おかしな状況になっている」、何故、こんな不当な解釈が横行しているのだろう。 江幡吉昭氏による「情報弱者をカモにする不動産「サブリース契約」あまりにエゲツない“中抜き”の実態」 「賃借人が退去したので「リフォームしましょう、クーラーを新しいものに変えましょう」ということで、工事費や設備費を中抜きされます。 実際の見積書を見てみると、店頭価格5.5万円のクーラーを7.5万円で所有者に請求。さらにクーラーの設置費として通常1.5万円の工事費を2.5万円で所有者に請求しています。 つまり、合計7万円であるはずのクーラー設置費用が、7.5万円+2.5万円で合計10万円となるわけです。3万円の中抜きです。に思います。また、受水槽に関する法定点検費用なども当然中抜きされますのでご注意ください 「大手の中にはサブリース契約を解除できる良心的なところもありますが、多くのサブリース会社では解除ができないというところが問題だと考えます」、なるほど。 「業者が守られ個人が守られないサブリース契約は「一度契約すると半永久的にやめられない沼」であることを、投資初心者は肝に銘じておくべきと考えています」、その通りだ。 東洋経済オンライン「オープンハウス、「暴力団に関与」同業買収の背景 ライバル企業やアクティビストも狙っていた」 「オープンハウスグループは8月16日、この三栄建築にTOB・・・を実施し、完全子会社化を目指すことを発表」、なるほど。 「買い付け代金は429億円」と「純資産額は611億円」を大きく下回るので、「負ののれん特別利益が計上される可能性も高い」、なるほど。「創業者で元社長の小池信三氏と一部の幹部が反社会的勢力との関係があっただけで、組織全体は悪くない。経営トップを入れ替えて、再成長を目指すシナリオが描けた」、その分が「負ののれん」になっているようだ。 「香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントも三栄建設に対して、TOBを検討する提案書のドラフトを送っていた」、「三栄建築とオープンハウスの両社の主要取引行である「三井住友銀行は、11月に予定される三栄建築の定時株主総会を乗り切れない(小池氏が取締役として選任されない)と判断し、一刻も早く手を打つ必要があると、動いたようだ」、さすが三井住友銀行の動きは素早い。 「小池氏は同年11月に代表取締役を辞任。今年6月20日には、東京都公安委員会より東京都暴力団排除条例に基づく勧告を受ける。 この間、金融機関の融資姿勢が極めて慎重になり、6月26日には取引金融機関の1行から、融資契約にかかる反社会的勢力排除条項に抵触するとして、「期限の利益の喪失通知」・・・を受けていた」、のであれば、三井住友銀行も尻に火がついた緊急事態だったようだ。さすがと褒めたのは取り消すこととする。 「小池信三氏とは、公開買付公募契約書を締結している。この公開買い付けの成立後、スクイーズアウト(少数株主から強制的に株式を取得する手法)を実施し、完全子会社化する」、予定ではあるが、「小池氏」は「本音ではいまも納得していない」、いまさら「小池氏」の打つ手は限られている筈だ。どう出てくるのか、要注目だ。