マイナンバー制度(その7)(厚労省試算「保険証廃止で100億円浮く」は医療給付全体の0.023%…コスト削減効果ショボすぎ、大阪万博とマイナカード、「迷走」する2つの事業の共通点...「時代遅れ」な発想と決別せよ、マイナ保険証のすさまじい嫌われぶり…全国利用率が5%割れ目前 今後どこまで下がるのか、トラブル続出のマイナ保険証…「それでも」使ったほうが医療費はお得になる!) [経済政策]
マイナンバー制度については、本年8月28日に取上げた。今日は、(その7)(厚労省試算「保険証廃止で100億円浮く」は医療給付全体の0.023%…コスト削減効果ショボすぎ、大阪万博とマイナカード、「迷走」する2つの事業の共通点...「時代遅れ」な発想と決別せよ、マイナ保険証のすさまじい嫌われぶり…全国利用率が5%割れ目前 今後どこまで下がるのか、トラブル続出のマイナ保険証…「それでも」使ったほうが医療費はお得になる!)である。
先ずは、8月29日付け日刊ゲンダイ「厚労省試算「保険証廃止で100億円浮く」は医療給付全体の0.023%…コスト削減効果ショボすぎ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/328194
・『「メリットが乏しい」──。来秋に予定されている現行の保険証の廃止について、厚労省が出したコスト削減試算に医療関係者から「物言い」がついている。 厚労省は保険証廃止に伴うコスト削減について、①マイナ保険証の利用登録率が現状より進む場合と、②利用登録率が現状のままの場合の2パターンに分けて試算。利用登録率が65~70%に達するとした①では削減額が100億~108億円、利用登録率が現状の52%のままとした②では同76億~82億円──とはじき出した。24日の社会保障審議会医療保険部会で示した。 一見すると、保険証廃止によるコスト削減のメリットが大きいように見えるが、実はそうでもない。全国保険医団体連合会(保団連)は25日、厚労省の試算について検証。次のように指摘している。 〈2021年度概算医療費は44兆2000億円となる。資格確認書等を発行・交付した場合の厚労省試算に基づく削減額(約100億円)は、医療給付全体のわずか0.023%に過ぎない〉 岸田首相は今月4日の総理会見で、マイナ保険証を普及させるメリットについて「従来の健康保険証に比べ、発行コストあるいは保険者の事務負担は減少する。これは当然のことだと思っています」と胸を張っていたが、医療費全体からしてみればコスト減は極めて小さいのだ。さらに保団連は、厚労省が推計している現行の保険証発行にかかるコスト235億円を引き合いに出し、〈医療給付全体だとわずか0.053%に過ぎない〉と指摘。〈健康保険証の発行・交付は万一のケガや病気の際にもいつでもどこでも医療が受けられる大前提となる経費であり、保険証廃止で経費削減になったとしても医療給付が滞る事態を招くことは本末転倒である〉と喝破している』、「2021年度概算医療費は44兆2000億円となる。資格確認書等を発行・交付した場合の厚労省試算に基づく削減額(約100億円)は、医療給付全体のわずか0.023%に過ぎない」、「健康保険証の発行・交付は万一のケガや病気の際にもいつでもどこでも医療が受けられる大前提となる経費であり、保険証廃止で経費削減になったとしても医療給付が滞る事態を招くことは本末転倒である」、その通りだ。
・『国民皆保険制度が揺らぐ事態 保団連の竹田智雄副会長(竹田クリニック院長)がこう言う。 「極めて粗い試算とのことですが、それにしても、保険証廃止によるコスト減は微々たるものです。さらに言えば、マイナ保険証を持たない人に交付される資格確認書について、保険者側が被るシステム管理や人手などのコスト増は考慮されていません。そもそも、国民皆保険制度において、誰もが安心して保険証1枚で保険診療を受けられる環境を維持することは発行コストも含めて必要経費です。コストが減ればいいというものではないし、マイナ保険証への移行に伴う無保険者の続出やひも付けの誤りなどの懸念といったデメリットの方が大きい。国民皆保険制度が揺らぐ事態です。やはり、保険証廃止は撤回してほしい」) 「せめて紙の保険証と併用するべき」 政府は保険証廃止の唯一のメリットを「コスト減」とうたってきたが、どう考えても削減効果は極めて乏しい。皆保険制度を危機にさらしてまで推し進めるべきではないことは明らかだ。 「マイナ保険証に移行させたいのであれば、せめて紙の保険証と併用するべきです。併用を認めたうえで、マイナ保険証を使うメリットが浸透して利用者が増えてから紙の保険証廃止を検討するのが政策的な筋道でしょう。ひも付け誤りなどのミスを防ぐのは容易ではないからこそ、誤っても大丈夫なシステムを構築した後にマイナ保険証への移行を進めるべきです。マイナ保険証が国民にとって本当にいいものなら、紙の保険証を廃止せずとも、おのずから普及していくはずです」(竹田智雄氏) 使いたい人だけがマイナ保険証を使えるようにすればいいだけの話である。スケジュールありきの保険証廃止が生む混乱は、ムダ以外の何ものでもない』、「マイナ保険証を持たない人に交付される資格確認書について、保険者側が被るシステム管理や人手などのコスト増は考慮されていません。そもそも、国民皆保険制度において、誰もが安心して保険証1枚で保険診療を受けられる環境を維持することは発行コストも含めて必要経費です。コストが減ればいいというものではないし、マイナ保険証への移行に伴う無保険者の続出やひも付けの誤りなどの懸念といったデメリットの方が大きい。国民皆保険制度が揺らぐ事態です。やはり、保険証廃止は撤回してほしい」、「「マイナ保険証に移行させたいのであれば、せめて紙の保険証と併用するべきです。併用を認めたうえで、マイナ保険証を使うメリットが浸透して利用者が増えてから紙の保険証廃止を検討するのが政策的な筋道でしょう。ひも付け誤りなどのミスを防ぐのは容易ではないからこそ、誤っても大丈夫なシステムを構築した後にマイナ保険証への移行を進めるべきです。マイナ保険証が国民にとって本当にいいものなら、紙の保険証を廃止せずとも、おのずから普及していくはずです」。「国民皆保険制度において、誰もが安心して保険証1枚で保険診療を受けられる環境を維持することは発行コストも含めて必要経費です。コストが減ればいいというものではないし、マイナ保険証への移行に伴う無保険者の続出やひも付けの誤りなどの懸念といったデメリットの方が大きい。国民皆保険制度が揺らぐ事態です。やはり、保険証廃止は撤回してほしい」、その通りだ。
次に、8月30日付けNewsweek日本版が掲載した経済評論家の加谷珪一氏による「大阪万博とマイナカード、「迷走」する2つの事業の共通点...「時代遅れ」な発想と決別せよ」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2023/08/post-248_1.php
・『<パビリオン建設が遅れる大阪・関西万博と、保険証との強引な統合に批判が集まるマイナカードには、共通する問題点が> パビリオン建設の大幅な遅れによって大阪万博の開催が危ぶまれている。一方、政府のマイナンバー制度は保険証との一体化をめぐって迷走を続けており着地点が見えない。一見すると無関係な大阪万博とマイナカードの問題に共通しているのは、ハコモノ行政という時代遅れの発想である。 大阪万博は2025年春の開催を目指して準備が進められているが、万博の華と呼ばれ、イベントの目玉となる海外パビリオンの建設が進んでいない。海外パビリオンのうち建設事業者が決定したのは6件しかなく、8月14日時点で建設申請が出されたのは2件のみである。 共同館方式など他のパビリオン建設は進んでいるものの、海外勢による独自パビリオンがなければ万博はもはや意味をなさず、一部からはスケジュールの延期を促す声すら上がっている状況だ。 これはプロジェクト管理という方法論の問題だが、大阪万博については当初から開催そのものの意義を問う声も上がっていた。近年、グローバルな企業社会の在り方が大きく変容しており、巨大な展示会を開催し、ハコモノを通じて人やお金を集める手法は完全に時代遅れとなっている。 以前は民間にもたくさんの大型国際展示会があったが、多くが廃止や規模の縮小を余儀なくされており、民間経済においてはもはやメジャーなスタイルではなくなった。今回の万博も、開催について日本と争ったのがロシアとアゼルバイジャンだったことを考えれば、万博の立ち位置がよく理解できるだろう』、「近年、グローバルな企業社会の在り方が大きく変容しており、巨大な展示会を開催し、ハコモノを通じて人やお金を集める手法は完全に時代遅れとなっている。 以前は民間にもたくさんの大型国際展示会があったが、多くが廃止や規模の縮小を余儀なくされており、民間経済においてはもはやメジャーなスタイルではなくなった。今回の万博も、開催について日本と争ったのがロシアとアゼルバイジャンだったことを考えれば、万博の立ち位置がよく理解できるだろう」、「開催について日本と争ったのがロシアとアゼルバイジャンだった」、というのは意味深だ。
・『昭和を彷彿とさせる「ハコモノ行政」の象徴 つまり万博は昭和を彷彿とさせる「ハコモノ行政」の象徴ということになるわけだが、この話は、政治的に大問題となっているマイナンバー制度にも当てはまる。 マイナンバー制度については、政府が保険証との統合を強引に進めたことから批判が殺到している。十分な準備を行わないままシステムの連携を実施したこともあり、あちこちで深刻なトラブルが発生している。 一部からはスケジュールの見直しや制度の抜本的な見直しを求める声が出ているが、政府や推進論者はマイナカードをやめてしまうと「日本のデジタル化が遅れる」として強く反発している』、「万博は昭和を彷彿とさせる「ハコモノ行政」の象徴」、はいいとしても、「マイナンバー制度」にも当てはまるとはどういうことだろう。
・『実際には「カード」は必須ではない しかしながら、カードがないと日本のデジタル化が遅れるというのは事実ではなく、むしろその逆である。全国民には既にマイナンバーが振られており、システム連携さえしっかりすれば制度はすぐにスタートできる。本人確認の方法はさまざまなので、カードがなくても何の問題もなくシステムの運用が可能だ。 実際、韓国は日本をはるかに上回るマイナンバー制度を整えているが、韓国人はカードというものは保有していない。自分の名前や住所など必要な情報を窓口で伝え、本人であると確認されれば病院でも区役所でも手続きが自動的に進む。 おそらくだが、制度を設計した日本政府内部の担当者やマイナカード導入を強く主張している論者は、カードという物理的なモノが存在しないと本人確認ができないと考えている可能性が高い。 ハード(ハコモノ)という物理的なものにとらわれ、その上位に来るソフトウエアに思考が及ばないという点では、万博とマイナカードには共通のパターンが見られる。こうしたハコモノ行政の発想から脱却できなければ日本経済の復活は難しいだろう』、「おそらくだが、制度を設計した日本政府内部の担当者やマイナカード導入を強く主張している論者は、カードという物理的なモノが存在しないと本人確認ができないと考えている可能性が高い。ハード(ハコモノ)という物理的なものにとらわれ、その上位に来るソフトウエアに思考が及ばないという点では、万博とマイナカードには共通のパターンが見られる。こうしたハコモノ行政の発想から脱却できなければ日本経済の復活は難しいだろう」、「ハコモノ行政」と、「マイナンバー制度」のつながりがようやく理解できた。
第三に、9月12日付け日刊ゲンダイ「マイナ保険証のすさまじい嫌われぶり…全国利用率が5%割れ目前、今後どこまで下がるのか」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/328924
・『これほど嫌われるカードはいまだかつてあったのだろうか──。相次ぐトラブルで不信や不安が広がるマイナ保険証。医療機関や薬局でほとんど利用されていない実態が判明した。 マイナカード保有者がマイナ保険証の利用登録を申し込めば、7500円分のマイナポイントがもらえる。その付与期限が今月末に迫り、利用登録件数は直近1カ月で約120万件増えた。 ところが、マイナ保険証の利用率はジリ貧だ。厚労省の発表データによると、全国の利用率はオンライン資格確認が義務化された4月に3月の2.3%から6.3%へと跳ね上がった後、5月6.0%、6月5.6%、7月5.0%と3カ月連続で下落している。 いったん、マイナ保険証での受け付けを始めてみたものの、あまりに使い勝手が悪く、利用を避ける医療機関が続出しているということだ』、「全国の利用率は・・・4月に3月の2.3%から6.3%へと跳ね上がった後、5月6.0%、6月5.6%、7月5.0%と3カ月連続で下落」、ここまで低迷が続いているとは問題だ。
・『オンライン資格確認「業務が増えた」92% 埼玉県保険医協会が8月1日から31日にかけて開業医会員に調査(回答292件)を行ったところ、マイナ保険証により受け付け業務が増えたのはナント92%に上った。 〈とにかく手間がかかる〉〈エラー時とてもたいへん。レセプト会社に電話がつながらない〉〈紙カルテに手書きで保険証情報をうつすようになり業務量が増えた〉など切実な声が寄せられた。 「健康保険証を存続すべき」と回答した開業医は、5月調査の85%から96%へと増え、100%に迫っている。埼玉県保険医協会の担当者が言う。 「6月以降、マイナ保険証を巡るトラブルが次々と発覚し、連日、報じられました。5月調査より、一気に医療機関のマイナ離れが進んだ印象です。利用率は支持率のようなもの。利用率5%割れが目前でも、来年秋の保険証廃止を見直さず、マイナ保険証を推進するつもりなのでしょうか」 この先、利用率はさらに下落する可能性もある。 「ポイント付与期間が終われば、マイナ保険証の利用登録は伸びなくなるでしょう。それどころか、今後、利用登録の解除が可能になるため、利用登録数はむしろ減るのではないか。利用率が4%、3%へと低下してもおかしくありません」(医療関係者)』、「埼玉県保険医協会が8月1日から31日にかけて開業医会員に調査(回答292件)を行ったところ、マイナ保険証により受け付け業務が増えたのはナント92%に上った」、「「ポイント付与期間が終われば、マイナ保険証の利用登録は伸びなくなるでしょう。それどころか、今後、利用登録の解除が可能になるため、利用登録数はむしろ減るのではないか。利用率が4%、3%へと低下してもおかしくありません」」、なるほど。
・『厚労省も危機感 7日の立憲民主党のヒアリングで厚労省の担当者は、利用率の低下に危機感を示しつつも、来年秋までの利用率の目標は「設定していない」と答えた。 内閣支持率が5%なら、首相は退陣を余儀なくされるはずだ。利用率5%割れでも、マイナ保険証は居座るつもりなのか』、「内閣支持率が5%なら、首相は退陣を余儀なくされるはずだ。利用率5%割れでも、マイナ保険証は居座るつもりなのか」、どうするのでろう。
第四に、9月16ダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの早川幸子氏による「トラブル続出のマイナ保険証…「それでも」使ったほうが医療費はお得になる!」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/329181
・『度重なるトラブルが報道されているマイナンバーカードと、それを保険証として使う「マイナ保険証」。既存の保険証が来年廃止となることもあり、政治的な混乱も含み反発を招いているが、実は「それでも」マイナ保険証を使うべき理由がある。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第266回では、非難ごうごうのマイナ保険証を使うメリットと、万一トラブルになったときにも慌てない対処法を取り上げる』、興味深そうだ。
・『医療費を考えるとやはりマイナ保険証を使うほうがおトクになる理由 マイナ保険証に関する数々のトラブルが報告されている。 これまでに報告されているトラブル内容は、カードや読み取り機械の不具合で資格確認ができなかったり、自己負担割合が間違っていたりしたというものだ。また、別の人の情報がひも付けされていたというケースもあった。 トラブルに見舞われた人のなかには、その場では公的な医療保険(健康保険)が適用してもらえず、いったん医療費の全額(10割)を請求されたという人もいるようだ。 こうした話を見聞きすると、「使っても大丈夫なのだろうか?」とマイナ保険証に不信感を抱く人が出てくるのも当然だろう。とりあえず登録はしたものの、利用するのをちゅうちょしている人もいるのではないだろうか。 だが、少しでも節約したいなら、健康保険証ではなくマイナ保険証を使ったほうが医療費はお得になる。また、トラブルが明らかになったことで、マイナ保険証で資格確認ができなかった場合でも、健康保険の適用が受けられるようにする対応策も講じられてきている。 そこで、今回はトラブルにあったときの注意点とともに、マイナ保険証をお得に使うための方法を考えてみたい。 +基準を満たした病院では、健康保険証を利用するよりも、初診時は40円、再診時は20円安くなる +マイナ保険証カードリーダーの画面で「薬剤情報・特定健診情報」についての質問に、「同意する」と答える必要がある +不具合で資格確認ができなかった場合は、「被保険者資格申立書」に記入して、医療機関の窓口に提出すればOK。スマホのマイナポータルサイトの資格情報画面や健康保険証での確認も可能)』、「少しでも節約したいなら、健康保険証ではなくマイナ保険証を使ったほうが医療費はお得になる。また、トラブルが明らかになったことで、マイナ保険証で資格確認ができなかった場合でも、健康保険の適用が受けられるようにする対応策も講じられてきている」、 「そこで、今回はトラブルにあったときの注意点とともに、マイナ保険証をお得に使うための方法を考えてみたい」、なるほど。
・『マイナ保険証の利用登録増加ともに明らかになったトラブルの数々 マイナ保険証は、マイナンバーカードの個人認証機能を使って、加入先の健康保険組合や自己負担割合などの資格情報を確認するというものだ。 コロナ禍では、病院や診療所などの医療機関と保健所をつなぐネットワークの混乱ぶりが露呈したが、その原因のひとつが医療分野のICT化の立ち遅れだ。そのため、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)によって業務効率を引き上げ、安心・安全で質の高い医療を提供していくために、2021年10月から本格的にマイナ保険証が導入されることになった。 ただし、当時はまだ、マイナンバーカードを持っている人は人口の半分以下で、マイナ保険証の登録率も低迷していた。 デジタル庁の「マイナンバーカードの普及に関するダッシュボード」のデータテーブル(2023年9月8日更新)によると、2022年4月3日時点でのマイナンバーカードの累計交付枚数は約5489万枚で、人口に対する交付率は約43.3%。このうち、マイナ保険証の利用登録を行った人は約811万人で、カード取得者の14.8%しか登録を行っていなかった。 そのため、2022年4月にマイナ保険証で行われた健康保険の資格確認件数は、約19万件しかなかった(厚生労働省保険局「マイナンバーカードと健康保険証の一体化について」)。 だが、その後、マイナポイントの付与など、カード普及のための国を挙げたキャンペーンによって、マイナンバーカードの取得や健康保険証としての利用登録をする人が急増。2023年7月2日時点の累計交付枚数は約9309万枚(人口の約73.9%)で、6470万人(カード取得者の69.5%)がマイナ保険証を登録するに至っている。 カードの普及に伴い、マイナ保険証による健康保険の資格確認件数も781万件(2023年7月)まで増加したが、同時に報告されるようになったのが冒頭のようなトラブルだ。 マイナンバーカードを健康保険証として利用するための登録をしたときに、誤って他人の情報がひも付けされ、医療機関でマイナ保険証を使おうと思っても、資格情報の確認ができない事例が報告されるようになる。国の「マイナンバー情報総点検本部」の会議資料によると、マイナ保険証が本格導入された2021年10月から、2023年7月末までに判明した誤登録件数は8441件で、そのうち15件は他人に情報を閲覧された跡が残っていたという。 このほかに、全国保険医団体連合会(保団連)の「マイナ保険証による医療現場のトラブル調査・最終集計(6月16日集計)」によると、調査に回答した65%の医療機関が何らかのトラブルを経験している。 たとえば、カードを差し込んでも「無効・該当資格なし」とカードリーダーに表示されたり、マイナンバーカードやカードリーダーの不具合など、何らかの理由で情報を読み取ることができなかったりして、マイナ保険証で資格情報の確認ができないというトラブルだ。 資格確認ができないため、無保険扱いとなり、いったん医療費の全額(10割)を請求された人もいるようだ。70歳以上の人は、間違った自己負担割合が登録されていたケースもあったという。) 機械の操作方法が分からなかったり、本人確認のための顔認証ができなかったりする患者への対応で、事務の負担が増えている病院や診療所もある。国は、2024年秋をめどに、従来型の健康保険証を廃止することを予定しているが、医療現場からは存続を求める声も上がっている。 こうしたトラブルが起こることを想定せず、事前策を考えていなかった政府には猛省が求められる。だが、マイナ保険証を利用した人すべてがトラブルになっているわけではない。問題なく資格確認ができて、通常通りの自己負担で、必要な医療を受けられている人も多い。 なにより、健康保険証で受診するより、マイナ保険証を利用したほうが、医療費は安くなるのだから、使える人が使わないのはもったいない』、「トラブルが起こることを想定せず、事前策を考えていなかった政府には猛省が求められる」、「健康保険証で受診するより、マイナ保険証を利用したほうが、医療費は安くなるのだから、使える人が使わないのはもったいない」、なるほど。
・『マイナ保険証のほうが健康保険証より 初診時は40円、再診時は20円安くなる 医療分野のデジタル化を推進するために、現在、オンラインで資格情報の確認や医療費の請求ができる体制を整えた医療機関に対しては、通常よりも高い診療報酬が支払われる措置が取られている。 その報酬が、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」と呼ばれるもので、2023年4月~12月までは、患者が支払う医療費にも次のような影響が出る。 その病気で初めて医療機関を受診したときの初診料は、マイナ保険証の場合は20円(3割負担で6円)、健康保険証の場合は60円(3割負担で18円)。再診時は、マイナ保険証を利用すると上乗せの加算はないが、健康保険証で受診した場合は20円(3割負担で6円)がプラスされる(加算されるのは、いずれも月1回)。 つまり、マイナ保険証を利用したほうが、健康保険証を利用するよりも、初診時は40円(3割負担で12円)、再診時は20円(3割負担で6円)安くなるというわけだ。 この加算が付くのは、次の3つの施設基準を満たしている医療機関だ。 (1)オンライン請求を行っている、または2023年12月31日までに、オンライン請求を開始することを国に届け出ている (2)マイナ保険証のカードリーダー設置などオンライン資格確認を行う体制を整えている (3)オンライン資格確認ができることを、院内の見やすい場所(受付など)やホームページ等に掲示している この施設基準を満たしておらず、マイナ保険証による資格確認をできる体制が整っていない医療機関は、そもそも加算が付かない。実のところ、そうした医療機関を利用するのが、医療費は一番安い。だが、厚生労働省の「オンライン資格確認の都道府県別導入状況について」によると、2023年9月3日現在、病院の93.6%、診療所の81.5%が運用を開始している。 ほとんどの医療機関が3つの施設基準を満たしているため、従来の健康保険証を使うと医療費は高くなるケースのほうが多くなる。少しでも医療費を節約したいなら、マイナ保険証を利用したほうがお得になるのだ。 ただし、注意しなければならないのは、単にマイナ保険証で資格確認をしただけでは医療費は安くならないという点だ』、「ほとんどの医療機関が3つの施設基準を満たしているため、従来の健康保険証を使うと医療費は高くなるケースのほうが多くなる。少しでも医療費を節約したいなら、マイナ保険証を利用したほうがお得になるのだ。、なるほど。
・『マイナ保険証で資格確認ができないときは「被保険者資格申立書」で対応できる 医療費が安くなるのは、マイナ保険証で資格確認した上で、他の医療機関の紹介状を持参するか、診療情報提供に同意した場合だ。 診療情報提供への同意は、マイナ保険証で資格確認をするときに、カードリーダーの画面に出てくる「薬剤情報・特定健診情報」についての質問に、「同意する」と答えることで完了する。医療費を安くしたい人は覚えておこう。 マイナンバーカードの保有や、マイナ保険証の登録は強制ではない。持つかどうかは、それぞれの人が自由に決めればいいことだ。 政府は、2024年秋をめどに、従来型の健康保険証を廃止する方針は変更しておらず、カードを保有していない人や、マイナ保険証の利用登録をしていない人に対しては、健康保険証に代わるものとして「資格確認書」が交付されることになっている。 当初、資格確認書は、本人の申請によって交付することになっていた。だが、マイナンバーカードの問題点を総点検するなかで、本人からの申請がなくても、マイナ保険証の未登録者には自動交付することになった。有効期間は5年以内で、それぞれの健康保険組合が発行する。 マイナ保険証の利用登録をしていなくても、健康保険の適用は受けられるし、医療機関の窓口では年齢や所得に応じて1~3割を負担すればよいというのは変わらない。 だが、前述のように、医療費の面ではマイナ保険証を使ったほうがお得になるのは間違いない。また、トラブルに遭った場合も、通常通りの自己負担額(年齢や所得に応じて1~3割)で、医療を受けられるようにする対応策も取られるようになってきている。 きちんと健康保険に加入し、マイナ保険証の利用登録をしているにもかかわらず、何らかの不具合で資格確認ができなかった場合は、「被保険者資格申立書」に、健康保険組合の名称、自己負担割合などを記入して、医療機関の窓口に提出すれば、通常通りに保険診療を受けることができる。 とはいえ、マイナ保険証のトラブルに遭ったときに、いちいち申立書を記入するのは少々面倒だ。申立書のほかに、(1)スマートフォンで、マイナポータルサイトの資格情報画面を確認する、(2)健康保険証で確認する、という2つの方法でも、資格確認はできる。 医療費を節約したいなら、原則的にはマイナ保険証で受診し、万一のトラブルに備えて、当面の間は健康保険証も持参するというのがよさそうだ』、「医療費を節約したいなら、原則的にはマイナ保険証で受診し、万一のトラブルに備えて、当面の間は健康保険証も持参するというのがよさそうだ」、なるほど。
・『健康保険も施行当初はトラブルだらけ 廃止を求めるストライキも勃発した 新しいシステムが始まるときは、思いもかけないトラブルが起こるものだ。今でこそ、日本の医療制度の根幹となっている健康保険も、順風満帆の船出だったわけではない。 1927(昭和2)年1月1日に、健康保険法が施行された約2カ月後。健康保険料の納付を巡り、想定外の出来事が起こっていた。健康保険料を納めるために、1000人近い健康保険の経理担当者が日本銀行に押し寄せ、銀行業務に支障をきたしたことを、『東京朝日新聞』(1927年3月5日付)が報じている。その様子は、「日銀前の広庭はまるで浅草仲見世の様な騒ぎ」だったそうだ。 健康保険法施行後の各界の評判は、不平不満だらけで、全国各地の労働組合は「健康保険法反対ストライキ」を起こした。保険料負担の方法を巡り、労使はかみ合わない主張を繰り返し、制度の廃止論まで出る始末だった。 だが、健康保険は小幅な改革を繰り返しながら、100年たった今では、この国で暮らす人々にとって、なくてはならない制度に成長している。もしも、施行当初に「トラブルがあるから、やめてしまえ」と健康保険を廃止していたら、だれもが少ない負担で必要な医療を受けられる今の日本は存在せず、さらに大きな格差社会となっていたはずだ。 マイナ保険証による資格確認は、始まったばかりのシステムだ。医療分野でのデジタル化が進んで、診療情報を一元的に管理できるようになれば、服用する医薬品の重複や、無駄な検査をなくすことができて、患者の負担は、身体的にも、経済的にも抑えられるようになるだろう。 マイナ保険証は、膨張し続ける国民医療費を抑え、質の高い医療を提供するためのシステムに成長する可能性を秘めている。せっかく、莫大な予算を投入して始めた制度だ。一部の人から、マイナ保険証の廃止論も出ているが、慌てて答えを出さず、もう少し、制度の行方を見守ってもいいのではないだろうか』、「健康保険法施行後の各界の評判は、不平不満だらけで、全国各地の労働組合は「健康保険法反対ストライキ」を起こした。保険料負担の方法を巡り、労使はかみ合わない主張を繰り返し、制度の廃止論まで出る始末だった。 だが、健康保険は小幅な改革を繰り返しながら、100年たった今では、この国で暮らす人々にとって、なくてはならない制度に成長している。もしも、施行当初に「トラブルがあるから、やめてしまえ」と健康保険を廃止していたら、だれもが少ない負担で必要な医療を受けられる今の日本は存在せず、さらに大きな格差社会となっていたはずだ」、現在の「健康保険法施行後」も「制度の廃止論まで出る始末だった」、というのは初めて知った。「せっかく、莫大な予算を投入して始めた制度だ。一部の人から、マイナ保険証の廃止論も出ているが、慌てて答えを出さず、もう少し、制度の行方を見守ってもいいのではないだろうか」、同感である。
先ずは、8月29日付け日刊ゲンダイ「厚労省試算「保険証廃止で100億円浮く」は医療給付全体の0.023%…コスト削減効果ショボすぎ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/328194
・『「メリットが乏しい」──。来秋に予定されている現行の保険証の廃止について、厚労省が出したコスト削減試算に医療関係者から「物言い」がついている。 厚労省は保険証廃止に伴うコスト削減について、①マイナ保険証の利用登録率が現状より進む場合と、②利用登録率が現状のままの場合の2パターンに分けて試算。利用登録率が65~70%に達するとした①では削減額が100億~108億円、利用登録率が現状の52%のままとした②では同76億~82億円──とはじき出した。24日の社会保障審議会医療保険部会で示した。 一見すると、保険証廃止によるコスト削減のメリットが大きいように見えるが、実はそうでもない。全国保険医団体連合会(保団連)は25日、厚労省の試算について検証。次のように指摘している。 〈2021年度概算医療費は44兆2000億円となる。資格確認書等を発行・交付した場合の厚労省試算に基づく削減額(約100億円)は、医療給付全体のわずか0.023%に過ぎない〉 岸田首相は今月4日の総理会見で、マイナ保険証を普及させるメリットについて「従来の健康保険証に比べ、発行コストあるいは保険者の事務負担は減少する。これは当然のことだと思っています」と胸を張っていたが、医療費全体からしてみればコスト減は極めて小さいのだ。さらに保団連は、厚労省が推計している現行の保険証発行にかかるコスト235億円を引き合いに出し、〈医療給付全体だとわずか0.053%に過ぎない〉と指摘。〈健康保険証の発行・交付は万一のケガや病気の際にもいつでもどこでも医療が受けられる大前提となる経費であり、保険証廃止で経費削減になったとしても医療給付が滞る事態を招くことは本末転倒である〉と喝破している』、「2021年度概算医療費は44兆2000億円となる。資格確認書等を発行・交付した場合の厚労省試算に基づく削減額(約100億円)は、医療給付全体のわずか0.023%に過ぎない」、「健康保険証の発行・交付は万一のケガや病気の際にもいつでもどこでも医療が受けられる大前提となる経費であり、保険証廃止で経費削減になったとしても医療給付が滞る事態を招くことは本末転倒である」、その通りだ。
・『国民皆保険制度が揺らぐ事態 保団連の竹田智雄副会長(竹田クリニック院長)がこう言う。 「極めて粗い試算とのことですが、それにしても、保険証廃止によるコスト減は微々たるものです。さらに言えば、マイナ保険証を持たない人に交付される資格確認書について、保険者側が被るシステム管理や人手などのコスト増は考慮されていません。そもそも、国民皆保険制度において、誰もが安心して保険証1枚で保険診療を受けられる環境を維持することは発行コストも含めて必要経費です。コストが減ればいいというものではないし、マイナ保険証への移行に伴う無保険者の続出やひも付けの誤りなどの懸念といったデメリットの方が大きい。国民皆保険制度が揺らぐ事態です。やはり、保険証廃止は撤回してほしい」) 「せめて紙の保険証と併用するべき」 政府は保険証廃止の唯一のメリットを「コスト減」とうたってきたが、どう考えても削減効果は極めて乏しい。皆保険制度を危機にさらしてまで推し進めるべきではないことは明らかだ。 「マイナ保険証に移行させたいのであれば、せめて紙の保険証と併用するべきです。併用を認めたうえで、マイナ保険証を使うメリットが浸透して利用者が増えてから紙の保険証廃止を検討するのが政策的な筋道でしょう。ひも付け誤りなどのミスを防ぐのは容易ではないからこそ、誤っても大丈夫なシステムを構築した後にマイナ保険証への移行を進めるべきです。マイナ保険証が国民にとって本当にいいものなら、紙の保険証を廃止せずとも、おのずから普及していくはずです」(竹田智雄氏) 使いたい人だけがマイナ保険証を使えるようにすればいいだけの話である。スケジュールありきの保険証廃止が生む混乱は、ムダ以外の何ものでもない』、「マイナ保険証を持たない人に交付される資格確認書について、保険者側が被るシステム管理や人手などのコスト増は考慮されていません。そもそも、国民皆保険制度において、誰もが安心して保険証1枚で保険診療を受けられる環境を維持することは発行コストも含めて必要経費です。コストが減ればいいというものではないし、マイナ保険証への移行に伴う無保険者の続出やひも付けの誤りなどの懸念といったデメリットの方が大きい。国民皆保険制度が揺らぐ事態です。やはり、保険証廃止は撤回してほしい」、「「マイナ保険証に移行させたいのであれば、せめて紙の保険証と併用するべきです。併用を認めたうえで、マイナ保険証を使うメリットが浸透して利用者が増えてから紙の保険証廃止を検討するのが政策的な筋道でしょう。ひも付け誤りなどのミスを防ぐのは容易ではないからこそ、誤っても大丈夫なシステムを構築した後にマイナ保険証への移行を進めるべきです。マイナ保険証が国民にとって本当にいいものなら、紙の保険証を廃止せずとも、おのずから普及していくはずです」。「国民皆保険制度において、誰もが安心して保険証1枚で保険診療を受けられる環境を維持することは発行コストも含めて必要経費です。コストが減ればいいというものではないし、マイナ保険証への移行に伴う無保険者の続出やひも付けの誤りなどの懸念といったデメリットの方が大きい。国民皆保険制度が揺らぐ事態です。やはり、保険証廃止は撤回してほしい」、その通りだ。
次に、8月30日付けNewsweek日本版が掲載した経済評論家の加谷珪一氏による「大阪万博とマイナカード、「迷走」する2つの事業の共通点...「時代遅れ」な発想と決別せよ」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2023/08/post-248_1.php
・『<パビリオン建設が遅れる大阪・関西万博と、保険証との強引な統合に批判が集まるマイナカードには、共通する問題点が> パビリオン建設の大幅な遅れによって大阪万博の開催が危ぶまれている。一方、政府のマイナンバー制度は保険証との一体化をめぐって迷走を続けており着地点が見えない。一見すると無関係な大阪万博とマイナカードの問題に共通しているのは、ハコモノ行政という時代遅れの発想である。 大阪万博は2025年春の開催を目指して準備が進められているが、万博の華と呼ばれ、イベントの目玉となる海外パビリオンの建設が進んでいない。海外パビリオンのうち建設事業者が決定したのは6件しかなく、8月14日時点で建設申請が出されたのは2件のみである。 共同館方式など他のパビリオン建設は進んでいるものの、海外勢による独自パビリオンがなければ万博はもはや意味をなさず、一部からはスケジュールの延期を促す声すら上がっている状況だ。 これはプロジェクト管理という方法論の問題だが、大阪万博については当初から開催そのものの意義を問う声も上がっていた。近年、グローバルな企業社会の在り方が大きく変容しており、巨大な展示会を開催し、ハコモノを通じて人やお金を集める手法は完全に時代遅れとなっている。 以前は民間にもたくさんの大型国際展示会があったが、多くが廃止や規模の縮小を余儀なくされており、民間経済においてはもはやメジャーなスタイルではなくなった。今回の万博も、開催について日本と争ったのがロシアとアゼルバイジャンだったことを考えれば、万博の立ち位置がよく理解できるだろう』、「近年、グローバルな企業社会の在り方が大きく変容しており、巨大な展示会を開催し、ハコモノを通じて人やお金を集める手法は完全に時代遅れとなっている。 以前は民間にもたくさんの大型国際展示会があったが、多くが廃止や規模の縮小を余儀なくされており、民間経済においてはもはやメジャーなスタイルではなくなった。今回の万博も、開催について日本と争ったのがロシアとアゼルバイジャンだったことを考えれば、万博の立ち位置がよく理解できるだろう」、「開催について日本と争ったのがロシアとアゼルバイジャンだった」、というのは意味深だ。
・『昭和を彷彿とさせる「ハコモノ行政」の象徴 つまり万博は昭和を彷彿とさせる「ハコモノ行政」の象徴ということになるわけだが、この話は、政治的に大問題となっているマイナンバー制度にも当てはまる。 マイナンバー制度については、政府が保険証との統合を強引に進めたことから批判が殺到している。十分な準備を行わないままシステムの連携を実施したこともあり、あちこちで深刻なトラブルが発生している。 一部からはスケジュールの見直しや制度の抜本的な見直しを求める声が出ているが、政府や推進論者はマイナカードをやめてしまうと「日本のデジタル化が遅れる」として強く反発している』、「万博は昭和を彷彿とさせる「ハコモノ行政」の象徴」、はいいとしても、「マイナンバー制度」にも当てはまるとはどういうことだろう。
・『実際には「カード」は必須ではない しかしながら、カードがないと日本のデジタル化が遅れるというのは事実ではなく、むしろその逆である。全国民には既にマイナンバーが振られており、システム連携さえしっかりすれば制度はすぐにスタートできる。本人確認の方法はさまざまなので、カードがなくても何の問題もなくシステムの運用が可能だ。 実際、韓国は日本をはるかに上回るマイナンバー制度を整えているが、韓国人はカードというものは保有していない。自分の名前や住所など必要な情報を窓口で伝え、本人であると確認されれば病院でも区役所でも手続きが自動的に進む。 おそらくだが、制度を設計した日本政府内部の担当者やマイナカード導入を強く主張している論者は、カードという物理的なモノが存在しないと本人確認ができないと考えている可能性が高い。 ハード(ハコモノ)という物理的なものにとらわれ、その上位に来るソフトウエアに思考が及ばないという点では、万博とマイナカードには共通のパターンが見られる。こうしたハコモノ行政の発想から脱却できなければ日本経済の復活は難しいだろう』、「おそらくだが、制度を設計した日本政府内部の担当者やマイナカード導入を強く主張している論者は、カードという物理的なモノが存在しないと本人確認ができないと考えている可能性が高い。ハード(ハコモノ)という物理的なものにとらわれ、その上位に来るソフトウエアに思考が及ばないという点では、万博とマイナカードには共通のパターンが見られる。こうしたハコモノ行政の発想から脱却できなければ日本経済の復活は難しいだろう」、「ハコモノ行政」と、「マイナンバー制度」のつながりがようやく理解できた。
第三に、9月12日付け日刊ゲンダイ「マイナ保険証のすさまじい嫌われぶり…全国利用率が5%割れ目前、今後どこまで下がるのか」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/328924
・『これほど嫌われるカードはいまだかつてあったのだろうか──。相次ぐトラブルで不信や不安が広がるマイナ保険証。医療機関や薬局でほとんど利用されていない実態が判明した。 マイナカード保有者がマイナ保険証の利用登録を申し込めば、7500円分のマイナポイントがもらえる。その付与期限が今月末に迫り、利用登録件数は直近1カ月で約120万件増えた。 ところが、マイナ保険証の利用率はジリ貧だ。厚労省の発表データによると、全国の利用率はオンライン資格確認が義務化された4月に3月の2.3%から6.3%へと跳ね上がった後、5月6.0%、6月5.6%、7月5.0%と3カ月連続で下落している。 いったん、マイナ保険証での受け付けを始めてみたものの、あまりに使い勝手が悪く、利用を避ける医療機関が続出しているということだ』、「全国の利用率は・・・4月に3月の2.3%から6.3%へと跳ね上がった後、5月6.0%、6月5.6%、7月5.0%と3カ月連続で下落」、ここまで低迷が続いているとは問題だ。
・『オンライン資格確認「業務が増えた」92% 埼玉県保険医協会が8月1日から31日にかけて開業医会員に調査(回答292件)を行ったところ、マイナ保険証により受け付け業務が増えたのはナント92%に上った。 〈とにかく手間がかかる〉〈エラー時とてもたいへん。レセプト会社に電話がつながらない〉〈紙カルテに手書きで保険証情報をうつすようになり業務量が増えた〉など切実な声が寄せられた。 「健康保険証を存続すべき」と回答した開業医は、5月調査の85%から96%へと増え、100%に迫っている。埼玉県保険医協会の担当者が言う。 「6月以降、マイナ保険証を巡るトラブルが次々と発覚し、連日、報じられました。5月調査より、一気に医療機関のマイナ離れが進んだ印象です。利用率は支持率のようなもの。利用率5%割れが目前でも、来年秋の保険証廃止を見直さず、マイナ保険証を推進するつもりなのでしょうか」 この先、利用率はさらに下落する可能性もある。 「ポイント付与期間が終われば、マイナ保険証の利用登録は伸びなくなるでしょう。それどころか、今後、利用登録の解除が可能になるため、利用登録数はむしろ減るのではないか。利用率が4%、3%へと低下してもおかしくありません」(医療関係者)』、「埼玉県保険医協会が8月1日から31日にかけて開業医会員に調査(回答292件)を行ったところ、マイナ保険証により受け付け業務が増えたのはナント92%に上った」、「「ポイント付与期間が終われば、マイナ保険証の利用登録は伸びなくなるでしょう。それどころか、今後、利用登録の解除が可能になるため、利用登録数はむしろ減るのではないか。利用率が4%、3%へと低下してもおかしくありません」」、なるほど。
・『厚労省も危機感 7日の立憲民主党のヒアリングで厚労省の担当者は、利用率の低下に危機感を示しつつも、来年秋までの利用率の目標は「設定していない」と答えた。 内閣支持率が5%なら、首相は退陣を余儀なくされるはずだ。利用率5%割れでも、マイナ保険証は居座るつもりなのか』、「内閣支持率が5%なら、首相は退陣を余儀なくされるはずだ。利用率5%割れでも、マイナ保険証は居座るつもりなのか」、どうするのでろう。
第四に、9月16ダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの早川幸子氏による「トラブル続出のマイナ保険証…「それでも」使ったほうが医療費はお得になる!」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/329181
・『度重なるトラブルが報道されているマイナンバーカードと、それを保険証として使う「マイナ保険証」。既存の保険証が来年廃止となることもあり、政治的な混乱も含み反発を招いているが、実は「それでも」マイナ保険証を使うべき理由がある。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第266回では、非難ごうごうのマイナ保険証を使うメリットと、万一トラブルになったときにも慌てない対処法を取り上げる』、興味深そうだ。
・『医療費を考えるとやはりマイナ保険証を使うほうがおトクになる理由 マイナ保険証に関する数々のトラブルが報告されている。 これまでに報告されているトラブル内容は、カードや読み取り機械の不具合で資格確認ができなかったり、自己負担割合が間違っていたりしたというものだ。また、別の人の情報がひも付けされていたというケースもあった。 トラブルに見舞われた人のなかには、その場では公的な医療保険(健康保険)が適用してもらえず、いったん医療費の全額(10割)を請求されたという人もいるようだ。 こうした話を見聞きすると、「使っても大丈夫なのだろうか?」とマイナ保険証に不信感を抱く人が出てくるのも当然だろう。とりあえず登録はしたものの、利用するのをちゅうちょしている人もいるのではないだろうか。 だが、少しでも節約したいなら、健康保険証ではなくマイナ保険証を使ったほうが医療費はお得になる。また、トラブルが明らかになったことで、マイナ保険証で資格確認ができなかった場合でも、健康保険の適用が受けられるようにする対応策も講じられてきている。 そこで、今回はトラブルにあったときの注意点とともに、マイナ保険証をお得に使うための方法を考えてみたい。 +基準を満たした病院では、健康保険証を利用するよりも、初診時は40円、再診時は20円安くなる +マイナ保険証カードリーダーの画面で「薬剤情報・特定健診情報」についての質問に、「同意する」と答える必要がある +不具合で資格確認ができなかった場合は、「被保険者資格申立書」に記入して、医療機関の窓口に提出すればOK。スマホのマイナポータルサイトの資格情報画面や健康保険証での確認も可能)』、「少しでも節約したいなら、健康保険証ではなくマイナ保険証を使ったほうが医療費はお得になる。また、トラブルが明らかになったことで、マイナ保険証で資格確認ができなかった場合でも、健康保険の適用が受けられるようにする対応策も講じられてきている」、 「そこで、今回はトラブルにあったときの注意点とともに、マイナ保険証をお得に使うための方法を考えてみたい」、なるほど。
・『マイナ保険証の利用登録増加ともに明らかになったトラブルの数々 マイナ保険証は、マイナンバーカードの個人認証機能を使って、加入先の健康保険組合や自己負担割合などの資格情報を確認するというものだ。 コロナ禍では、病院や診療所などの医療機関と保健所をつなぐネットワークの混乱ぶりが露呈したが、その原因のひとつが医療分野のICT化の立ち遅れだ。そのため、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)によって業務効率を引き上げ、安心・安全で質の高い医療を提供していくために、2021年10月から本格的にマイナ保険証が導入されることになった。 ただし、当時はまだ、マイナンバーカードを持っている人は人口の半分以下で、マイナ保険証の登録率も低迷していた。 デジタル庁の「マイナンバーカードの普及に関するダッシュボード」のデータテーブル(2023年9月8日更新)によると、2022年4月3日時点でのマイナンバーカードの累計交付枚数は約5489万枚で、人口に対する交付率は約43.3%。このうち、マイナ保険証の利用登録を行った人は約811万人で、カード取得者の14.8%しか登録を行っていなかった。 そのため、2022年4月にマイナ保険証で行われた健康保険の資格確認件数は、約19万件しかなかった(厚生労働省保険局「マイナンバーカードと健康保険証の一体化について」)。 だが、その後、マイナポイントの付与など、カード普及のための国を挙げたキャンペーンによって、マイナンバーカードの取得や健康保険証としての利用登録をする人が急増。2023年7月2日時点の累計交付枚数は約9309万枚(人口の約73.9%)で、6470万人(カード取得者の69.5%)がマイナ保険証を登録するに至っている。 カードの普及に伴い、マイナ保険証による健康保険の資格確認件数も781万件(2023年7月)まで増加したが、同時に報告されるようになったのが冒頭のようなトラブルだ。 マイナンバーカードを健康保険証として利用するための登録をしたときに、誤って他人の情報がひも付けされ、医療機関でマイナ保険証を使おうと思っても、資格情報の確認ができない事例が報告されるようになる。国の「マイナンバー情報総点検本部」の会議資料によると、マイナ保険証が本格導入された2021年10月から、2023年7月末までに判明した誤登録件数は8441件で、そのうち15件は他人に情報を閲覧された跡が残っていたという。 このほかに、全国保険医団体連合会(保団連)の「マイナ保険証による医療現場のトラブル調査・最終集計(6月16日集計)」によると、調査に回答した65%の医療機関が何らかのトラブルを経験している。 たとえば、カードを差し込んでも「無効・該当資格なし」とカードリーダーに表示されたり、マイナンバーカードやカードリーダーの不具合など、何らかの理由で情報を読み取ることができなかったりして、マイナ保険証で資格情報の確認ができないというトラブルだ。 資格確認ができないため、無保険扱いとなり、いったん医療費の全額(10割)を請求された人もいるようだ。70歳以上の人は、間違った自己負担割合が登録されていたケースもあったという。) 機械の操作方法が分からなかったり、本人確認のための顔認証ができなかったりする患者への対応で、事務の負担が増えている病院や診療所もある。国は、2024年秋をめどに、従来型の健康保険証を廃止することを予定しているが、医療現場からは存続を求める声も上がっている。 こうしたトラブルが起こることを想定せず、事前策を考えていなかった政府には猛省が求められる。だが、マイナ保険証を利用した人すべてがトラブルになっているわけではない。問題なく資格確認ができて、通常通りの自己負担で、必要な医療を受けられている人も多い。 なにより、健康保険証で受診するより、マイナ保険証を利用したほうが、医療費は安くなるのだから、使える人が使わないのはもったいない』、「トラブルが起こることを想定せず、事前策を考えていなかった政府には猛省が求められる」、「健康保険証で受診するより、マイナ保険証を利用したほうが、医療費は安くなるのだから、使える人が使わないのはもったいない」、なるほど。
・『マイナ保険証のほうが健康保険証より 初診時は40円、再診時は20円安くなる 医療分野のデジタル化を推進するために、現在、オンラインで資格情報の確認や医療費の請求ができる体制を整えた医療機関に対しては、通常よりも高い診療報酬が支払われる措置が取られている。 その報酬が、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」と呼ばれるもので、2023年4月~12月までは、患者が支払う医療費にも次のような影響が出る。 その病気で初めて医療機関を受診したときの初診料は、マイナ保険証の場合は20円(3割負担で6円)、健康保険証の場合は60円(3割負担で18円)。再診時は、マイナ保険証を利用すると上乗せの加算はないが、健康保険証で受診した場合は20円(3割負担で6円)がプラスされる(加算されるのは、いずれも月1回)。 つまり、マイナ保険証を利用したほうが、健康保険証を利用するよりも、初診時は40円(3割負担で12円)、再診時は20円(3割負担で6円)安くなるというわけだ。 この加算が付くのは、次の3つの施設基準を満たしている医療機関だ。 (1)オンライン請求を行っている、または2023年12月31日までに、オンライン請求を開始することを国に届け出ている (2)マイナ保険証のカードリーダー設置などオンライン資格確認を行う体制を整えている (3)オンライン資格確認ができることを、院内の見やすい場所(受付など)やホームページ等に掲示している この施設基準を満たしておらず、マイナ保険証による資格確認をできる体制が整っていない医療機関は、そもそも加算が付かない。実のところ、そうした医療機関を利用するのが、医療費は一番安い。だが、厚生労働省の「オンライン資格確認の都道府県別導入状況について」によると、2023年9月3日現在、病院の93.6%、診療所の81.5%が運用を開始している。 ほとんどの医療機関が3つの施設基準を満たしているため、従来の健康保険証を使うと医療費は高くなるケースのほうが多くなる。少しでも医療費を節約したいなら、マイナ保険証を利用したほうがお得になるのだ。 ただし、注意しなければならないのは、単にマイナ保険証で資格確認をしただけでは医療費は安くならないという点だ』、「ほとんどの医療機関が3つの施設基準を満たしているため、従来の健康保険証を使うと医療費は高くなるケースのほうが多くなる。少しでも医療費を節約したいなら、マイナ保険証を利用したほうがお得になるのだ。、なるほど。
・『マイナ保険証で資格確認ができないときは「被保険者資格申立書」で対応できる 医療費が安くなるのは、マイナ保険証で資格確認した上で、他の医療機関の紹介状を持参するか、診療情報提供に同意した場合だ。 診療情報提供への同意は、マイナ保険証で資格確認をするときに、カードリーダーの画面に出てくる「薬剤情報・特定健診情報」についての質問に、「同意する」と答えることで完了する。医療費を安くしたい人は覚えておこう。 マイナンバーカードの保有や、マイナ保険証の登録は強制ではない。持つかどうかは、それぞれの人が自由に決めればいいことだ。 政府は、2024年秋をめどに、従来型の健康保険証を廃止する方針は変更しておらず、カードを保有していない人や、マイナ保険証の利用登録をしていない人に対しては、健康保険証に代わるものとして「資格確認書」が交付されることになっている。 当初、資格確認書は、本人の申請によって交付することになっていた。だが、マイナンバーカードの問題点を総点検するなかで、本人からの申請がなくても、マイナ保険証の未登録者には自動交付することになった。有効期間は5年以内で、それぞれの健康保険組合が発行する。 マイナ保険証の利用登録をしていなくても、健康保険の適用は受けられるし、医療機関の窓口では年齢や所得に応じて1~3割を負担すればよいというのは変わらない。 だが、前述のように、医療費の面ではマイナ保険証を使ったほうがお得になるのは間違いない。また、トラブルに遭った場合も、通常通りの自己負担額(年齢や所得に応じて1~3割)で、医療を受けられるようにする対応策も取られるようになってきている。 きちんと健康保険に加入し、マイナ保険証の利用登録をしているにもかかわらず、何らかの不具合で資格確認ができなかった場合は、「被保険者資格申立書」に、健康保険組合の名称、自己負担割合などを記入して、医療機関の窓口に提出すれば、通常通りに保険診療を受けることができる。 とはいえ、マイナ保険証のトラブルに遭ったときに、いちいち申立書を記入するのは少々面倒だ。申立書のほかに、(1)スマートフォンで、マイナポータルサイトの資格情報画面を確認する、(2)健康保険証で確認する、という2つの方法でも、資格確認はできる。 医療費を節約したいなら、原則的にはマイナ保険証で受診し、万一のトラブルに備えて、当面の間は健康保険証も持参するというのがよさそうだ』、「医療費を節約したいなら、原則的にはマイナ保険証で受診し、万一のトラブルに備えて、当面の間は健康保険証も持参するというのがよさそうだ」、なるほど。
・『健康保険も施行当初はトラブルだらけ 廃止を求めるストライキも勃発した 新しいシステムが始まるときは、思いもかけないトラブルが起こるものだ。今でこそ、日本の医療制度の根幹となっている健康保険も、順風満帆の船出だったわけではない。 1927(昭和2)年1月1日に、健康保険法が施行された約2カ月後。健康保険料の納付を巡り、想定外の出来事が起こっていた。健康保険料を納めるために、1000人近い健康保険の経理担当者が日本銀行に押し寄せ、銀行業務に支障をきたしたことを、『東京朝日新聞』(1927年3月5日付)が報じている。その様子は、「日銀前の広庭はまるで浅草仲見世の様な騒ぎ」だったそうだ。 健康保険法施行後の各界の評判は、不平不満だらけで、全国各地の労働組合は「健康保険法反対ストライキ」を起こした。保険料負担の方法を巡り、労使はかみ合わない主張を繰り返し、制度の廃止論まで出る始末だった。 だが、健康保険は小幅な改革を繰り返しながら、100年たった今では、この国で暮らす人々にとって、なくてはならない制度に成長している。もしも、施行当初に「トラブルがあるから、やめてしまえ」と健康保険を廃止していたら、だれもが少ない負担で必要な医療を受けられる今の日本は存在せず、さらに大きな格差社会となっていたはずだ。 マイナ保険証による資格確認は、始まったばかりのシステムだ。医療分野でのデジタル化が進んで、診療情報を一元的に管理できるようになれば、服用する医薬品の重複や、無駄な検査をなくすことができて、患者の負担は、身体的にも、経済的にも抑えられるようになるだろう。 マイナ保険証は、膨張し続ける国民医療費を抑え、質の高い医療を提供するためのシステムに成長する可能性を秘めている。せっかく、莫大な予算を投入して始めた制度だ。一部の人から、マイナ保険証の廃止論も出ているが、慌てて答えを出さず、もう少し、制度の行方を見守ってもいいのではないだろうか』、「健康保険法施行後の各界の評判は、不平不満だらけで、全国各地の労働組合は「健康保険法反対ストライキ」を起こした。保険料負担の方法を巡り、労使はかみ合わない主張を繰り返し、制度の廃止論まで出る始末だった。 だが、健康保険は小幅な改革を繰り返しながら、100年たった今では、この国で暮らす人々にとって、なくてはならない制度に成長している。もしも、施行当初に「トラブルがあるから、やめてしまえ」と健康保険を廃止していたら、だれもが少ない負担で必要な医療を受けられる今の日本は存在せず、さらに大きな格差社会となっていたはずだ」、現在の「健康保険法施行後」も「制度の廃止論まで出る始末だった」、というのは初めて知った。「せっかく、莫大な予算を投入して始めた制度だ。一部の人から、マイナ保険証の廃止論も出ているが、慌てて答えを出さず、もう少し、制度の行方を見守ってもいいのではないだろうか」、同感である。
タグ:マイナンバー制度 (その7)(厚労省試算「保険証廃止で100億円浮く」は医療給付全体の0.023%…コスト削減効果ショボすぎ、大阪万博とマイナカード、「迷走」する2つの事業の共通点...「時代遅れ」な発想と決別せよ、マイナ保険証のすさまじい嫌われぶり…全国利用率が5%割れ目前 今後どこまで下がるのか、トラブル続出のマイナ保険証…「それでも」使ったほうが医療費はお得になる!) 日刊ゲンダイ「厚労省試算「保険証廃止で100億円浮く」は医療給付全体の0.023%…コスト削減効果ショボすぎ」 「2021年度概算医療費は44兆2000億円となる。資格確認書等を発行・交付した場合の厚労省試算に基づく削減額(約100億円)は、医療給付全体のわずか0.023%に過ぎない」、「健康保険証の発行・交付は万一のケガや病気の際にもいつでもどこでも医療が受けられる大前提となる経費であり、保険証廃止で経費削減になったとしても医療給付が滞る事態を招くことは本末転倒である」、その通りだ。 「マイナ保険証を持たない人に交付される資格確認書について、保険者側が被るシステム管理や人手などのコスト増は考慮されていません。そもそも、国民皆保険制度において、誰もが安心して保険証1枚で保険診療を受けられる環境を維持することは発行コストも含めて必要経費です。コストが減ればいいというものではないし、マイナ保険証への移行に伴う無保険者の続出やひも付けの誤りなどの懸念といったデメリットの方が大きい。国民皆保険制度が揺らぐ事態です。 やはり、保険証廃止は撤回してほしい」、「「マイナ保険証に移行させたいのであれば、せめて紙の保険証と併用するべきです。併用を認めたうえで、マイナ保険証を使うメリットが浸透して利用者が増えてから紙の保険証廃止を検討するのが政策的な筋道でしょう。ひも付け誤りなどのミスを防ぐのは容易ではないからこそ、誤っても大丈夫なシステムを構築した後にマイナ保険証への移行を進めるべきです。マイナ保険証が国民にとって本当にいいものなら、紙の保険証を廃止せずとも、おのずから普及していくはずです」 「国民皆保険制度において、誰もが安心して保険証1枚で保険診療を受けられる環境を維持することは発行コストも含めて必要経費です。コストが減ればいいというものではないし、マイナ保険証への移行に伴う無保険者の続出やひも付けの誤りなどの懸念といったデメリットの方が大きい。国民皆保険制度が揺らぐ事態です。やはり、保険証廃止は撤回してほしい」、その通りだ。 Newsweek日本版 加谷珪一氏による「大阪万博とマイナカード、「迷走」する2つの事業の共通点...「時代遅れ」な発想と決別せよ」 「近年、グローバルな企業社会の在り方が大きく変容しており、巨大な展示会を開催し、ハコモノを通じて人やお金を集める手法は完全に時代遅れとなっている。 以前は民間にもたくさんの大型国際展示会があったが、多くが廃止や規模の縮小を余儀なくされており、民間経済においてはもはやメジャーなスタイルではなくなった。今回の万博も、開催について日本と争ったのがロシアとアゼルバイジャンだったことを考えれば、万博の立ち位置がよく理解できるだろう」、 「開催について日本と争ったのがロシアとアゼルバイジャンだった」、というのは意味深だ。 「万博は昭和を彷彿とさせる「ハコモノ行政」の象徴」、はいいとしても、「マイナンバー制度」にも当てはまるとはどういうことだろう。 「おそらくだが、制度を設計した日本政府内部の担当者やマイナカード導入を強く主張している論者は、カードという物理的なモノが存在しないと本人確認ができないと考えている可能性が高い。ハード(ハコモノ)という物理的なものにとらわれ、その上位に来るソフトウエアに思考が及ばないという点では、万博とマイナカードには共通のパターンが見られる。こうしたハコモノ行政の発想から脱却できなければ日本経済の復活は難しいだろう」、 「ハコモノ行政」と、「マイナンバー制度」のつながりがようやく理解できた。 日刊ゲンダイ「マイナ保険証のすさまじい嫌われぶり…全国利用率が5%割れ目前、今後どこまで下がるのか」 「全国の利用率は・・・4月に3月の2.3%から6.3%へと跳ね上がった後、5月6.0%、6月5.6%、7月5.0%と3カ月連続で下落」、ここまで低迷が続いているとは問題だ。 「埼玉県保険医協会が8月1日から31日にかけて開業医会員に調査(回答292件)を行ったところ、マイナ保険証により受け付け業務が増えたのはナント92%に上った」、「「ポイント付与期間が終われば、マイナ保険証の利用登録は伸びなくなるでしょう。それどころか、今後、利用登録の解除が可能になるため、利用登録数はむしろ減るのではないか。利用率が4%、3%へと低下してもおかしくありません」」、なるほど。 「内閣支持率が5%なら、首相は退陣を余儀なくされるはずだ。利用率5%割れでも、マイナ保険証は居座るつもりなのか」、どうするのでろう。 ダイヤモンド・オンライン 早川幸子氏による「トラブル続出のマイナ保険証…「それでも」使ったほうが医療費はお得になる!」 「少しでも節約したいなら、健康保険証ではなくマイナ保険証を使ったほうが医療費はお得になる。また、トラブルが明らかになったことで、マイナ保険証で資格確認ができなかった場合でも、健康保険の適用が受けられるようにする対応策も講じられてきている」、 「そこで、今回はトラブルにあったときの注意点とともに、マイナ保険証をお得に使うための方法を考えてみたい」、なるほど。 「トラブルが起こることを想定せず、事前策を考えていなかった政府には猛省が求められる」、「健康保険証で受診するより、マイナ保険証を利用したほうが、医療費は安くなるのだから、使える人が使わないのはもったいない」、なるほど。 「ほとんどの医療機関が3つの施設基準を満たしているため、従来の健康保険証を使うと医療費は高くなるケースのほうが多くなる。少しでも医療費を節約したいなら、マイナ保険証を利用したほうがお得になるのだ。、なるほど。 「医療費を節約したいなら、原則的にはマイナ保険証で受診し、万一のトラブルに備えて、当面の間は健康保険証も持参するというのがよさそうだ」、なるほど。 「健康保険法施行後の各界の評判は、不平不満だらけで、全国各地の労働組合は「健康保険法反対ストライキ」を起こした。保険料負担の方法を巡り、労使はかみ合わない主張を繰り返し、制度の廃止論まで出る始末だった。 だが、健康保険は小幅な改革を繰り返しながら、100年たった今では、この国で暮らす人々にとって、なくてはならない制度に成長している。 もしも、施行当初に「トラブルがあるから、やめてしまえ」と健康保険を廃止していたら、だれもが少ない負担で必要な医療を受けられる今の日本は存在せず、さらに大きな格差社会となっていたはずだ」、現在の「健康保険法施行後」も「制度の廃止論まで出る始末だった」、というのは初めて知った。「せっかく、莫大な予算を投入して始めた制度だ。一部の人から、マイナ保険証の廃止論も出ているが、慌てて答えを出さず、もう少し、制度の行方を見守ってもいいのではないだろうか」、同感である。