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新自由主義(その4)(岸田首相は「改革後退」ばかりやっている…六本木ヒルズに集まった「規制改革マフィア」が抱く深刻な危機感 「制度・規制改革学会」発足の狙いを解説する、本家アメリカが「新自由主義」を捨てて目論む復活 「バイデノミクス」はトランプ政策にそっくり、新自由主義の勃興と転換を促した9月の2つの事件 チリとアメリカ、同じ「9.11」に起きた史実の糸)

新自由主義については、本年1月30日に取上げた。今日は、(その4)(岸田首相は「改革後退」ばかりやっている…六本木ヒルズに集まった「規制改革マフィア」が抱く深刻な危機感 「制度・規制改革学会」発足の狙いを解説する、本家アメリカが「新自由主義」を捨てて目論む復活 「バイデノミクス」はトランプ政策にそっくり、新自由主義の勃興と転換を促した9月の2つの事件 チリとアメリカ、同じ「9.11」に起きた史実の糸)である。

先ずは、本年3月15日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの磯山 友幸氏による「岸田首相は「改革後退」ばかりやっている…六本木ヒルズに集まった「規制改革マフィア」が抱く深刻な危機感 「制度・規制改革学会」発足の狙いを解説する」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/66530
・『岸田政権の経済政策にいら立ちがつのっている  岸田文雄内閣の「改革後退」にいら立った経済学者らが集まり、「制度・規制改革学会」という新しい学会が立ち上がった。 2月7日に東京・六本木ヒルズで開かれた設立総会では、これまで政府の規制改革に携わってきた八田達夫・大阪大学名誉教授と八代尚宏・昭和女子大学特命教授、竹中平蔵・慶應義塾大学名誉教授が理事に就任、八代教授が初代会長に選ばれた。 来賓としてあいさつした宮内義彦・元オリックス会長は「改革が動かない中で、学会を作るというのは複雑な気分だ。なぜ物事が動かないかという研究をするのでは意味がない。動かすための研究をしてほしい」と注文を付け、改革提言などを積極的に行う「行動する学会」になるよう求めた。 宮内氏は政府の規制改革関連会議の議長などを長年務めた日本の規制改革を主導した経営者の重鎮で、ソフトな語り口ながら、現状の改革停滞へのいら立ちを見せていた』、「「制度・規制改革学会」という新しい学会が立ち上がった」、「来賓としてあいさつした宮内義彦・元オリックス会長は「改革が動かない中で、学会を作るというのは複雑な気分だ。なぜ物事が動かないかという研究をするのでは意味がない。動かすための研究をしてほしい」と注文を付け、改革提言などを積極的に行う「行動する学会」になるよう求めた」、なるほど。
・『「規制改革が経済格差を拡大」は的外れ  学会の設立にあたっては理事3氏のほか、岩田規久男、岸博幸、久保利英明、小林慶一郎、鈴木亘、高橋洋一、永久寿夫、夏野剛、野村修也、原英史、福井秀夫、藤原豊、矢嶋康次、柳川範之(敬称略)ら約40人が発起人に名前を連ねた。総会会場には川本裕子人事院総裁や国会議員も多数顔を見せた。また、河野太郎デジタル改革担当相、小倉将信・少子化対策担当相がビデオメッセージを寄せた。 シンポジウムでは八代会長と八田達夫教授が規制改革の現状についてプレゼンテーションを行い、その後、竹中教授と、政府の規制改革会議議長を務める大槻奈那氏がパネラーとして議論に参加。イェール大学の成田悠輔氏がオンラインでコメンテーターとして加わった。 八田氏らは市場主義に基づく改革が「新自由主義」のレッテルを貼られて批判されることを「的外れ」であると強調、「規制改革が経済格差を拡大した」というのも当たらない、とした。八代氏も岸田内閣が行っている「数々の社会主義的政策」では問題は解決しないとし、物価上昇などに対して補助金を出すことで価格を抑制しようとしていることなどを批判していた』、「岸田内閣が行っている「数々の社会主義的政策」では問題は解決しないとし、物価上昇などに対して補助金を出すことで価格を抑制しようとしていることなどを批判」、「補助金を出すことで価格を抑制」は確かに筋違いだが、「規制改革が経済格差を拡大した」のは事実なのではなかろうか。
・『なぜ日本は「魅力的な可能性」を眠らせているのか  「規制改革が格差を拡大させた」という批判について、八田氏は「競争と再分配は両立できる」強調。新古典派経済学の政策理念としての「現代市場主義」は既得権の保護よりも効率化を追求する点では立場が同じだが、より「平等」を求めるか「不平等」を容認するかは立場が分かれると解説。一般に「新自由主義」として批判されるのは米国のレーガン時代やトランプ時代のような「格差拡大容認主義」であるとした。 本来、「現代市場主義」と「格差拡大容認主義」は同一ではないにもかかわらず、「新自由主義」のレッテルの下に同一視されたのが日本の現状だとした。まだまだ規制を改革することで経済を効率化し成長路線に乗せていくことは可能だというわけだ。 竹中氏からは1月に行われたダボス会議で「日本はスリーピング・ビューティー(眠れる森の美女)だと評された」という紹介があり、「ビューティーかどうかは分からないが、眠っているのは確かだ」と答えたと話していた』、「本来、「現代市場主義」と「格差拡大容認主義」は同一ではないにもかかわらず、「新自由主義」のレッテルの下に同一視されたのが日本の現状だとした。まだまだ規制を改革することで経済を効率化し成長路線に乗せていくことは可能だというわけだ」、なるほど。
・『成田悠輔氏「規制改革マフィアのど真ん中に迷い込んだ」  海外からは、日本には魅力的な可能性があるにもかかわらず、改革を行わずにいると見られているということだ。「日本は政策的失敗だ」という声も多く聞いたと話していた。 その上で、「ベーシック・インカム」的な制度の導入によって規制改革と弱者支援は両立できるとした。 大槻氏からは現在、規制改革会議で行っている改革の中身などについて説明があったが、会場からは「規制改革会議は役割を終えたのではないか、何も改革できていない」と言った厳しい声も出ていた。 成田氏からは「今回のメンバーを見て、規制改革マフィアのど真ん中に迷い込んでしまった」というジョークが浴びせられたが、竹中氏は「(権益を持つ)マフィアではなく、(既得権と闘う)十字軍だ」と切り返して笑いを誘っていた』、「成田氏からは「今回のメンバーを見て、規制改革マフィアのど真ん中に迷い込んでしまった」というジョークが浴びせられたが、竹中氏は「(権益を持つ)マフィアではなく、(既得権と闘う)十字軍だ」と切り返して笑いを誘っていた」、「竹中氏」の「切り返し」はさすがだ。
・『「新しい資本主義」は社会主義ではないのか  パネラーのほか、多くの参加者から挙がっていたのが、「世代交代」。日本の経済成長が止まった1990年代以降、経済構造改革や規制改革の動きが強まっていたが、それを担ってきた学者、経営者は高齢化し、一線を退こうとしている。八代氏は「長年、規制改革を主導してこられた宮内義彦さんのような人たちの規制改革に向けた思いや知見を次世代につないでいきたい。次の若い世代の人たちに、私たちの経験から得た知恵を伝えていく、それがこの学会の大きな役割だ」と語っていた。 岸田首相は就任時に分配政策を中心とする「新しい資本主義」を掲げ、「新自由主義的政策は取らない」と明言した。さらに、安倍晋三元首相が推し進めた「アベノミクス」によって格差が拡大したと主張している。一部の経営者からは「新しい資本主義は社会主義だ」といった批判を浴び修正する気配を見せたが、その後、打ち出されている数々の政策は、補助金などによって市場をコントロールしようとするものになっている』、「新しい資本主義・・・数々の政策は、補助金などによって市場をコントロールしようとするものになっている」、なるほど。
・『結局は「補助金支給」などの財政拡大が止まらない  市中でのガソリン価格の上昇を抑えるために、一定価格以上にならないよう石油元売会社に補助金を出す制度を2022年1月以来続けているが、これには巨額の財政支出を必要としている。さらに、小麦の小売り価格を抑えるための製粉会社への売り渡し価格の抑制や、電力・ガス料金を抑えるための電力会社などへの補助金の支給など財政拡大が止まらない。今年年頭に「最大の重要課題」として打ち出した少子化対策も、結局は児童手当の所得制限撤廃や拡充などが焦点になっている。 安倍首相(当時)は「規制改革がアベノミクスの一丁目一番地」だとし、農協改革や医療改革、労働規制改革といった「岩盤」に切り込む姿勢を強調していたが、岸田内閣では「規制改革」はほとんど姿を消した。ここへきて、八田氏や竹中氏らは長年務めていた政府の規制改革会議などから外れていて、政権が従来の規制改革路線を大きく転換した象徴だと捉えられている。 「岸田政権になって規制改革はむしろ逆行し、何でも国に頼る、社会主義的な政策になっている」と八代氏が言うように、今回の学会設立は、そうした「改革後退」への危機感が背景にある』、「「岸田政権になって規制改革はむしろ逆行し、何でも国に頼る、社会主義的な政策になっている」と八代氏が言うように、今回の学会設立は、そうした「改革後退」への危機感が背景にある」、なるほど。
・『必要なのはバラマキではなく旧制度の見直し 「学会」という形を取ったことについて会長の八代氏は、学者の役割に対する反省があるとしている。 日本では、立法は霞が関の省庁が事実上担ってきたことで、行政が強い権限を持って、裁量的に運用していける形になっている。学者は法解釈が主流で、立法論に重きが置かれてこなかった。八代氏は「経済学は、本来、現実の社会問題解決のための道具だ」と言う。にもかかわらず、新しい時代に合わせて経済合理的なルールに変えていく役割を学者が担ってこなかった、というわけだ。 新学会では、「具体的な生産性向上につながる規制改革の提案を最優先する」(八代氏)という。例えば、「少子化対策が今年の最重点課題だと岸田首相は言っているが、カネをばらまくだけでなく、古い制度の見直しが必要だ」(八代氏)として、制度面の改革の必要性などを早い段階で提言していく方針だという。 岸田内閣の「新しい資本主義」では、リスキリングを通じた労働移動の促進による賃上げの実現を掲げている。一方で、雇用調整助成金の特例を延長し続けて企業に余剰人員を抱えさせる政策を取り続けてきた。企業を守ることを通じて個人を守るという伝統的な日本の政策が、持続不可能になってきた今、企業ではなく個人を守るための制度や規制の改革が重要というわけだ。 新学会には、ジャーナリストや経営者、弁護士やエコノミストといった専門家などに幅広く会員として参加することを呼びかけている』、「新学会では、「具体的な生産性向上につながる規制改革の提案を最優先する」(八代氏)という。例えば、「少子化対策が今年の最重点課題だと岸田首相は言っているが、カネをばらまくだけでなく、古い制度の見直しが必要だ」(八代氏)として、制度面の改革の必要性などを早い段階で提言していく方針」、今後の展開を注視したい。

次に、7月25日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋大学教授の薬師寺 克行氏による「本家アメリカが「新自由主義」を捨てて目論む復活 「バイデノミクス」はトランプ政策にそっくり」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/688400
・『イギリスのサッチャー元首相やアメリカのレーガン元大統領が象徴的な存在となっている「新自由主義的経済政策」が風前の灯火となっている。 本家本元のアメリカで、バイデン大統領ら政権中枢が相次いで自由貿易を公然と批判し、国内産業の振興に重心を移す保護主義的主張を展開しているのだ。 英米両国政権によって強力に推進された新自由主義は、冷戦崩壊とグローバリズムも重なって1980年代以降、日本の中曽根内閣をはじめ多くの国でもてはやされた。発展途上国を含めて各国の経済成長を加速させるとともに、貧困層の減少など大きな成果を上げたと言われている』、「「新自由主義的経済政策」が風前の灯火となっている。 本家本元のアメリカで、バイデン大統領ら政権中枢が相次いで自由貿易を公然と批判し、国内産業の振興に重心を移す保護主義的主張を展開しているのだ」、なるほど。
・『新自由主義が招いた空洞化  しかし、国境を越えた自由競争主義は弊害も多かった。 新たに生み出された富が巨大企業など一部の富裕者に偏り、経済的格差が拡大した。企業がコスト削減のため賃金の低い途上国に工場を移した結果、先進国の製造業の衰退、空洞化を招いた。 その結果、新自由主義に対する批判の声が高まっていったが、アメリカの歴代政権はトランプ前大統領を除けば、自由貿易や市場経済という看板を掲げ続けた。 ところが現在のバイデン政権は大きく方針を変えている。) バイデン大統領は6月28日、シカゴでの演説で過去のアメリカ政府の政策について「富裕層と大企業のために減税すべきだというトリクルダウン経済学は結局うまくいかなかった」「中西部などの地域でコミュニティーから尊厳や誇り、希望が奪われた」などと述べた。 レーガン政権が掲げた「レーガノミクス」以降の新自由主義的経済政策の結果、製造業で栄えていたアメリカ国内の工業地域が空洞化し中間層が衰退し、民主主義の危機につながっているというのである。そして製造業の国内回帰、インフラ強化などを柱とする自らの政策を「バイデノミクス」と名付けて支持を訴えた』、「「レーガノミクス」以降の新自由主義的経済政策の結果、製造業で栄えていたアメリカ国内の工業地域が空洞化し中間層が衰退し、民主主義の危機につながっているというのである。そして製造業の国内回帰、インフラ強化などを柱とする自らの政策を「バイデノミクス」と名付けて支持を訴えた」、なるほど。
・『「トリクルダウン経済学」を批判  サリバン補佐官も4月下旬、自由貿易について「利益が働く人に届かず、中産階級は失速し、製造業コミュニティーは空洞化した。何十年にも及ぶトリクルダウン経済政策が経済的不平等の原因である」として、それまでアメリカが掲げてきた「ワシントン・コンセンサス」を否定し、「ニューワシントン・コンセンサス」を構築すると述べている。 2人が批判した「トリクルダウン経済学」とは、富裕者がより富かになると経済活動が活発になり、その結果、低所得や貧困者にも富が浸透していくという論理である。少しずつしたたり落ちるという意味の英語「トリクルダウン」という言葉が使われている。 安倍政権の経済政策を支持した一部の経済学者も、アベノミクスはトリクルダウンを目指しているとしていた。しかし、実際には期待したほどの効果はなく経済格差の拡大を招いただけとされている。) また「ワシントン・コンセンサス」は、1989年にアメリカの国際経済学者が打ち出した概念だ。 具体的には財政赤字の是正、補助金カットなど政府支出の削減、金利の自由化、貿易の自由化、公営企業の民営化、規制緩和など10項目の政策が掲げられていた。財政均衡や民営化、規制緩和などで小さな政府を目指すとともに、投資や貿易の自由化で市場経済を徹底し、アメリカ流資本主義を世界に広めるという考えだ』、「トリクルダウン」には日本も騙された。「ワシントン・コンセンサス」は。「財政赤字の是正、補助金カットなど政府支出の削減、金利の自由化、貿易の自由化、公営企業の民営化、規制緩和など10項目の政策が掲げられていた。財政均衡や民営化、規制緩和などで小さな政府を目指すとともに、投資や貿易の自由化で市場経済を徹底し、アメリカ流資本主義を世界に広めるという考えだ」、日本もずいぶん惑わされた。
・『日本にも迫った「市場開放」「規制緩和」を否定  アメリカと言えば市場主義や自由貿易の権化のようなイメージがある。1980年代には、日本に対して市場開放や規制緩和を再三求め、日本政府が対応に苦慮した歴史がある。 ところがバイデン大統領らはかつてアメリカが推し進めた政策を全面的に否定しているのである。 その代わりに打ち出したのが保護主義的な産業政策だ。具体的には「インフラ投資・雇用法」「インフレ抑制法」「チップス投資・科学法」の3つの法律だ。 これらの法律は、アメリカやカナダ、メキシコで最終組み立てをした電気自動車購入への実質的な補助金にあたる税控除、アメリカ国内の半導体産業を強化するための5年間で約7兆円の企業に対する補助金制度、国内雇用を創出するための1.2兆ドルに及ぶインフラ投資などが主な内容だ。 半導体をめぐってはアメリカの政策転換を受けて、すでに国内外の企業が相次いでアメリカ国内の工場建設計画を発表しており、効果は出ているようだ。) これらの内容から明らかなように、バイデン政権の政策は、莫大な財政出動による国内産業振興、企業誘致、保護主義政策であり、長くアメリカ自身が他国に対し否定、批判してきたものばかりである。 かつてアメリカは製造業でも世界に君臨していた。中西部などに巨大な工業地域が生まれ、経済的にも安定した中間層が形成され、安定的な民主主義を担っていた。  ところが製造業の海外移転と空洞化によって中間層は崩壊し、貧困層が増大したことでアメリカ社会に深刻な亀裂が生まれ、政治も極端に二極化し、民主党と共和党が対立を極めている』、「バイデン政権の政策は、莫大な財政出動による国内産業振興、企業誘致、保護主義政策であり、長くアメリカ自身が他国に対し否定、批判してきたものばかりである。 かつてアメリカは製造業でも世界に君臨していた。中西部などに巨大な工業地域が生まれ、経済的にも安定した中間層が形成され、安定的な民主主義を担っていた。  ところが製造業の海外移転と空洞化によって中間層は崩壊し、貧困層が増大したことでアメリカ社会に深刻な亀裂が生まれ、政治も極端に二極化し、民主党と共和党が対立を極めている」ようだ、こんなに貿易相手国への要求事項が180度も変わるようでは、説得力に欠けるようだ。
・『「良きアメリカ」の再現を図る  2024年に大統領選挙を控えたバイデン大統領が、今回も勝敗を左右しそうな中西部のラストベルト(さびついた工業地帯)を意識して「脱新自由主義」「脱レーガノミクス」を打ち出していることは明らかだが、同時に中間層を復活させることでアメリカ社会の分断を修復し、良き時代のアメリカの再現を意識しているのであろう。 しばらく前までバイデン大統領は、現在の国際情勢を「民主主義対権威主義の戦い」と言い、守るべきものは「戦後の国際秩序、それは民主主義と開かれた市場経済」と語っていた。 これに対し「バイデノミクス」はホワイトハウスに集うアメリカの「ベスト・アンド・ブライテスト」の面々が考え抜いて打ち出した政策だろうが、政権全体の政策に整合性がないばかりか、将来展望、国際社会へのアメリカの役割など不明な点ばかりが目立つ。 ここで注意しなければならないのは、バイデン大統領の主張が2020年の大統領選で争ったトランプ前大統領の主張と似通っている点である。) トランプ大統領は「MEGA」(アメリカ合衆国を再び偉大な国にするという意味)、「アメリカファースト」を掲げ、中国や日本、欧州に対し自動車や鉄鋼などの関税を一方的に引き上げるなど国内産業保護に突っ走った。 こうした共通点について英紙のThe Financial Timesは「バイデンの政策は人間の顔をしたトランピズムだ」と評している。 意外なことにバイデン大統領やサリバン補佐官の発言は欧米メディアで大きな騒ぎになっていない。すでに関連法が成立してはいるものの、一連の発言を、言葉は激しいが選挙向けの単なるキャンペーンであり、実際の政策がどうなるかは不透明とみているのかもしれない。 また長年、アメリカが主張し実践してきた新自由主義的政策に対し、日本や欧州の主要国の対応はアメリカほどモノトーンではなく、社会保障制度などセーフティーネットの構築も進めており、社会の格差や分断もアメリカほど深刻ではないという面もあるのだろう』、「「バイデノミクス」はホワイトハウスに集うアメリカの「ベスト・アンド・ブライテスト」の面々が考え抜いて打ち出した政策だろうが、政権全体の政策に整合性がないばかりか、将来展望、国際社会へのアメリカの役割など不明な点ばかりが目立つ。 ここで注意しなければならないのは、バイデン大統領の主張が2020年の大統領選で争ったトランプ前大統領の主張と似通っている点である」、「「ベスト・アンド・ブライテスト」の面々が考え抜いて打ち出した政策」にも拘らず、「政権全体の政策に整合性がないばかりか、将来展望、国際社会へのアメリカの役割など不明な点ばかりが目立つ」、これでは相手国に要求できるレベルにするには相当な時間がかかりそうだ。
・『大統領選はポピュリズム競演に陥りかねない  振り返れば、新自由主義的経済政策がさまざまな問題を生み出したことは事実であり、その修正はアメリカのみならず主要国の大きな課題にもなっている。「バイデノミクス」にもそうした面があることは間違いない。 とはいえ、「大きな政府」への回帰が単に国内産業の重視や自由貿易の否定などの一国中心主義、保護主義に走るようなことになると、世界の政治や経済に与える影響は少なくない。 最悪のケースは、次の大統領選がバイデン大統領とトランプ前大統領による人気取り目的のポピュリズム的な、自国中心主義的バラマキ政策の競演になることだ。そうした政治風潮が世界的に広がり、保護主義政策が蔓延すれば、世界経済が縮小するとともに各国の財政規律が失われ、累積債務が膨らんでいくことにもなりかねない。 アメリカの経済政策がどういう方向に向かっていくのかは、やはりひとごとではない』、「最悪のケースは、次の大統領選がバイデン大統領とトランプ前大統領による人気取り目的のポピュリズム的な、自国中心主義的バラマキ政策の競演になることだ。そうした政治風潮が世界的に広がり、保護主義政策が蔓延すれば、世界経済が縮小するとともに各国の財政規律が失われ、累積債務が膨らんでいくことにもなりかねない」、要注目だ。

第三に、9月14日付け東洋経済オンラインが掲載した哲学者・経済学者の的場 昭弘氏による「新自由主義の勃興と転換を促した9月の2つの事件 チリとアメリカ、同じ「9.11」に起きた史実の糸」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/701621
・『歴史的事件が2つ、同じ日と同じ曜日に重なることは、めったにあるものではない。1973年9月11日と2001年9月11日は、ともに火曜日であり、しかもこの2つの事件は1つの長い糸で結ばれているともいえる事件だ。 その糸とは、新自由主義とグローバリゼーションという糸であり、新自由主義の始まりが1973年ならば、2001年はそれに対する反動が起こった時だったのだ。 1973年の事件は、チリの大統領サルバドール・アジェンデ政権(1908~1973年、大統領在任1970~1973年)を崩壊させた陸軍総司令官アウグスト・ピノチェト(1915~2006年、同1974~1990年)によるクーデターであり、2001年はアメリカおよび西側世界を震撼させた国際テロ組織アルカイーダとされるテロ攻撃である』、「1973年の事件は、チリの」「クーデター」と、「2001年」の「アルカイーダとされるテロ攻撃」、を結び付けたとはさすがだ。
・『1973年・チリのクーデター  後者は、ニューヨークのワールド・トレード・センターのツインビルの崩壊と、テレビの実況中継というメディアによって、人々の心に印象的に刻まれている。 しかし前者に関しては2023年で半世紀たち、アジェンデもピノチェトも、そしてチリという国の存在すら、今では遠く忘れ去られてしまっているのかもしれない。 しかし2つの事件が20世紀、そして21世紀の現在の世界を知るために重要な歴史的転換を示す事件であったことは、けっして忘れてはなるまい。 ひとまず1970年代を振り返ってみよう。アメリカはベトナム戦争で苦戦し、経済的、政治的な危機に瀕していた。例えば1971年8月のニクソンショックや、1973年3月のアメリカ軍のベトナムからの撤退などだ。 1960年代には世界各地で植民地からの独立が達成され、それまで世界を支配していた植民地所有国である西側勢力が危機を感じていた時代である。 1954年から1962年にかけてアルジェリアが独立を目指したアルジェリア戦争、1959年に成功したキューバ革命、そしてベトナム戦争など、東西冷戦といわれた社会主義圏と資本主義圏との対立という構図があちこちで存在していた。これらの戦争と植民地の独立は、西側諸国にとって、たんに植民地を失うというだけでなく、社会主義圏の拡大という資本主義の危機もはらんでいた。 だからこそ、アメリカは西側資本主義世界の大国としての沽券(こけん)をかけて、この闘いに緩衝せざるをえなかったのである。) 1970年11月、親アメリカ国家チリで社会主義政権が誕生する。それも革命ではなく、選挙によって誕生したのだ。アジェンデ政権は社会党、共産党、社会党左派の支持を受けて大統領選に勝ち、社会主義的改革を行い始めた。 チリは鉱山業と農業が輸出を支え、海外の西側資本が大量に投資されている国であった。アジェンデはそこにメスを入れた。農地改革と鉱山の国有化を行ったのである。海外資本、とりわけダウやデュポン、ITTなどのアメリカ資本がそれを見逃すわけはなかった。 議会で選ばれた社会主義政権が国有化政策などの社会主義政策を実行できるのかどうか、これは当時大きな議論を巻き起こした問題だった。ゲリラ闘争や正規軍を味方につけた革命が一般的であった時代に、議会制民主主義の中で、政権を掌握し、社会主義を実現しようというのである。 当時、1968年のフランスの5月革命をはじめ世界を覆っていた市民運動の流れの中で、アジェンデ政権が新しい社会主義への選択肢として、世界中の左翼に熱狂をもって向かい入れられたことは当然であった。 後にフランスの大統領となるフランソワ・ミッテラン(1916~1996年、大統領在任1981~1995年)も1971年11月にチリを訪問しているが、議会の中で社会主義を模索していた世界の左翼政党のアジェンデ詣でが始まる』、「1970年11月、親アメリカ国家チリで社会主義政権が誕生する。それも革命ではなく、選挙によって誕生したのだ。アジェンデ政権は社会党、共産党、社会党左派の支持を受けて大統領選に勝ち、社会主義的改革を行い始めた。 チリは鉱山業と農業が輸出を支え、海外の西側資本が大量に投資されている国であった。アジェンデはそこにメスを入れた。農地改革と鉱山の国有化を行ったのである。海外資本、とりわけダウやデュポン、ITTなどのアメリカ資本がそれを見逃すわけはなかった・・・1968年のフランスの5月革命をはじめ世界を覆っていた市民運動の流れの中で、アジェンデ政権が新しい社会主義への選択肢として、世界中の左翼に熱狂をもって向かい入れられたことは当然であった。 後にフランスの大統領となるフランソワ・ミッテラン・・・も1971年11月にチリを訪問しているが、議会の中で社会主義を模索していた世界の左翼政党のアジェンデ詣でが始まる」、なるほど。
・『フィデル・カストロの予言  そのような中、1971年11月にキューバのフィデル・カストロ国家評議会議長(1926~2016年)がチリを訪問した。そしてカストロは、この政権は長く続かないのではないかという予言めいたことを述べた。 「すくなくとも、1人の訪問者にとっての問題は、搾取者の暴力と抵抗がチリにも当てはまるのかどうかを知ることである。事実、歴史上、反動者、搾取者、社会システムの特権者が、変化を平和的に受け入れたことなどいちどもないのだ」 この言葉は2年後の9月11日、まさに現実のものとなる。キューバもアルジェリアも、ベトナムも国軍のみならず民兵組織によって長い闘いの後に革命を実現した。それが選挙による政権交代だけで変わりうるのか、誰もが疑問に思ったことである。 チリは典型的なラテンアメリカの国である。つまり、モンロー宣言(1823年)以後のアメリカのパックス・アメリカーナの一環の中に深く組み込まれ、アメリカ合衆国に利するように利用される国である。 ナポレオン戦争の最中の1810年に独立を達成して以後(ラテンアメリカの解放者、シモン・ボリバールの活躍で多くの地域がこの頃独立する)、独立すれども外国資本に牛耳られ、工業発展を抑えられ、原料供出国として位置づけられてきた。それは、欧州資本は土地や鉱山を所有し、その利益を維持することに奔走したからである。 アメリカにとって、キューバ革命で起こった社会主義化のドミノ現象をこれ以上認めることはできない。そうなると、カストロの予言通り、早晩軍事クーデターが起こるに決まっていたともいえよう。) チリの首都サンチアゴには、リベルタドールというこの町を貫通する大通りがあり、そこに大統領官邸であるモデナ宮殿がある。9月11日、アジェンデはその大統領官邸で、他国に亡命することなく自殺を遂げる。そして多くの民衆も虐殺された。その多くは筆者と同じ世代の若者であった。そのときのアジェンデの言葉はこれだ。 「私は撤退しない!数千人のチリの人々の高貴ある意識の中に、われわれがまいている種は、けっして埋もれることはないと、思う。人民よ、万歳!労働者よ!万歳!これが私の最後の言葉だ。きっと私の犠牲も無駄にはならないだろう」 ピノチェトはその後、17年もの間、大統領の座に座り続ける。ピノチェトの背後にアメリカがいたことは間違いない。 この混乱の中、ノーベル文学賞を受賞した詩人であり外交官、政治家だったパブロ・ネルーダ(1904~1973年)も亡くなる。彼は最後にこう書いている。 「われわれはこの血に飢えた大統領ニクソンを徹底して根こそぎに駆逐するつもりだ。ワシントンで彼がその鼻で息をしているかぎり、地球上で幸福な人間も、幸せに働ける人間もいないだろう」』、「モンロー宣言(1823年)以後のアメリカのパックス・アメリカーナの一環の中に深く組み込まれ、アメリカ合衆国に利するように利用される国である。 ナポレオン戦争の最中の1810年に独立を達成して以後(ラテンアメリカの解放者、シモン・ボリバールの活躍で多くの地域がこの頃独立する)、独立すれども外国資本に牛耳られ、工業発展を抑えられ、原料供出国として位置づけられてきた・・・アメリカにとって、キューバ革命で起こった社会主義化のドミノ現象をこれ以上認めることはできない。そうなると、カストロの予言通り、早晩軍事クーデターが起こるに決まっていたともいえよう」、「9月11日、アジェンデはその大統領官邸で、他国に亡命することなく自殺を遂げる。そして多くの民衆も虐殺された。その多くは筆者と同じ世代の若者であった。そのときのアジェンデの言葉はこれだ。 「私は撤退しない!数千人のチリの人々の高貴ある意識の中に、われわれがまいている種は、けっして埋もれることはないと、思う。人民よ、万歳!労働者よ!万歳!これが私の最後の言葉だ。きっと私の犠牲も無駄にはならないだろう」 ピノチェトはその後、17年もの間、大統領の座に座り続ける」、なるほど
・『新自由主義とその反動の時代  皮肉にもこの祈りは思わぬ形で実現する。ニクソンはその翌年の1974年、ウォーターゲート事件で大統領を辞任する。 1973年は西側資本主義国にとって社会主義政権に対する反抗の狼煙となる。ベトナムからは撤退したが、石油ショック以後にG7を立ち上げ、チリにはじめてシカゴ・ボーイズの新自由主義モデルが導入され、社会主義体制を破滅に追いやる戦略が練られる。シカゴ・ボーイズとは、シカゴ大学のミルトン・フリードマン(1912~2006年)を中心とする「シカゴ学派」のマネタリストたちの総称だ。 そしてそれから10年以上経った1989年から1991年にかけてソ連・東欧社会主義体制、ひいては冷戦体制は崩壊し、世界は西側勢力を中心とした新自由主義のグローバリゼーションが席巻する。 まさにチリの9月11日は、新自由主義の勝利という歴史的転換を象徴するクーデターだったのである。 しかし、28年後の2001年9月11日は、行き過ぎた新自由主義への反動によって起きた事件だったといえる。アメリカと西欧が世界をグローバル化によって支配していく中で、それによって不利益を被っていたもう1つの声なき世界が異議申し立てを行ったのである。イタリアの哲学者であるアントニオ・ネグリ(1933年~)は、彼らのことをマルチチュードと名付けた。 2019年3月、私はチリ大学を訪問した。あちこちに立て看が並び、学生がマイクをもって声を張り上げていた。それは、私の学生時代1970年前後の日本を見るかのようであった。) そしてそれから数カ月後、チリでは学生たちが政府に対して立ち上がり、新憲法を要求した。そして2022年3月、36歳の左派連合・チリ連合の新大統領ガブリエル・ボリッチ(1986年~)が大統領になる。 アジェンデは、自殺した日「われわれがまいている種は、けっして埋もれることはないと、思う」と述べていた』、「チリにはじめてシカゴ・ボーイズの新自由主義モデルが導入され、社会主義体制を破滅に追いやる戦略が練られる。シカゴ・ボーイズとは、シカゴ大学のミルトン・フリードマン(1912~2006年)を中心とする「シカゴ学派」のマネタリストたちの総称だ。 そしてそれから10年以上経った1989年から1991年にかけてソ連・東欧社会主義体制、ひいては冷戦体制は崩壊し、世界は西側勢力を中心とした新自由主義のグローバリゼーションが席巻する」、「2022年3月、36歳の左派連合・チリ連合の新大統領ガブリエル・ボリッチ(1986年~)が大統領になる。 アジェンデは、自殺した日「われわれがまいている種は、けっして埋もれることはないと、思う」と述べていた」、それにしても、ずいぶん時間がかかったものだ。
・『アジェンデがまいた種  もちろん50年の時を経てアジェンデのまいた種が今後どう発展するかは、不明である。新大統領はアジェンデと同じく、議会の反対勢力と対立している。ただ、チリを含むラテンアメリカ諸国は今、アメリカに対してしっかりとものを言える状態になりつつある。 2023年8月に南アフリカで開催されたBRICS首脳会議では、加盟国の拡大が行われた。彼らの生産力や人口を見る限り、もはや1970年代のような弱小国の集まりではない。インドでG20が開催されたが、西側資本主義は、かつてのように圧倒的な政治力、軍事力、経済力で世界を牛耳ることが、今ではできなくなっている。 1973年9月11日は西側資本主義の挽回をもたらしたが、2001年9月11日は再度、非西側諸国の復活を生み出したのかもしれない。今後、世界は非西側諸国によって動いていくだろうことは、おそらく間違いないだろう。 それがどういった体制を生み出すかわからないが、アジェンデのまいた種は、しっかりと大地に根付いていたのかもしれない。カール・マルクスが著した『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』の言葉を使えばこうだ。 「掘り返したぞ、老いたモグラよ!」』、「2023年8月に南アフリカで開催されたBRICS首脳会議では、加盟国の拡大が行われた。彼らの生産力や人口を見る限り、もはや1970年代のような弱小国の集まりではない。インドでG20が開催されたが、西側資本主義は、かつてのように圧倒的な政治力、軍事力、経済力で世界を牛耳ることが、今ではできなくなっている。 1973年9月11日は西側資本主義の挽回をもたらしたが、2001年9月11日は再度、非西側諸国の復活を生み出したのかもしれない。今後、世界は非西側諸国によって動いていくだろうことは、おそらく間違いないだろう。 それがどういった体制を生み出すかわからないが、アジェンデのまいた種は、しっかりと大地に根付いていたのかもしれない』、それにしても、「アジェンデのまいた種」からずいぶん時間が経ったものだ。それは、「西側資本主義は、かつてのように圧倒的な政治力、軍事力、経済力で世界を牛耳ることが、今ではできなくなっている」との大きな時代変化があったためだろう、
タグ:「「岸田政権になって規制改革はむしろ逆行し、何でも国に頼る、社会主義的な政策になっている」と八代氏が言うように、今回の学会設立は、そうした「改革後退」への危機感が背景にある」、なるほど。 「新しい資本主義・・・数々の政策は、補助金などによって市場をコントロールしようとするものになっている」、なるほど。 「成田氏からは「今回のメンバーを見て、規制改革マフィアのど真ん中に迷い込んでしまった」というジョークが浴びせられたが、竹中氏は「(権益を持つ)マフィアではなく、(既得権と闘う)十字軍だ」と切り返して笑いを誘っていた」、「竹中氏」の「切り返し」はさすがだ。 「本来、「現代市場主義」と「格差拡大容認主義」は同一ではないにもかかわらず、「新自由主義」のレッテルの下に同一視されたのが日本の現状だとした。まだまだ規制を改革することで経済を効率化し成長路線に乗せていくことは可能だというわけだ」、なるほど。 「岸田内閣が行っている「数々の社会主義的政策」では問題は解決しないとし、物価上昇などに対して補助金を出すことで価格を抑制しようとしていることなどを批判」、「補助金を出すことで価格を抑制」は確かに筋違いだが、「規制改革が経済格差を拡大した」のは事実なのではなかろうか。 (その4)(岸田首相は「改革後退」ばかりやっている…六本木ヒルズに集まった「規制改革マフィア」が抱く深刻な危機感 「制度・規制改革学会」発足の狙いを解説する、本家アメリカが「新自由主義」を捨てて目論む復活 「バイデノミクス」はトランプ政策にそっくり、新自由主義の勃興と転換を促した9月の2つの事件 チリとアメリカ、同じ「9.11」に起きた史実の糸) 新自由主義 「「制度・規制改革学会」という新しい学会が立ち上がった」、「来賓としてあいさつした宮内義彦・元オリックス会長は「改革が動かない中で、学会を作るというのは複雑な気分だ。なぜ物事が動かないかという研究をするのでは意味がない。動かすための研究をしてほしい」と注文を付け、改革提言などを積極的に行う「行動する学会」になるよう求めた」、なるほど。 磯山 友幸氏による「岸田首相は「改革後退」ばかりやっている…六本木ヒルズに集まった「規制改革マフィア」が抱く深刻な危機感 「制度・規制改革学会」発足の狙いを解説する」 PRESIDENT ONLINE 「新学会では、「具体的な生産性向上につながる規制改革の提案を最優先する」(八代氏)という。例えば、「少子化対策が今年の最重点課題だと岸田首相は言っているが、カネをばらまくだけでなく、古い制度の見直しが必要だ」(八代氏)として、制度面の改革の必要性などを早い段階で提言していく方針」、今後の展開を注視したい。 東洋経済オンライン 薬師寺 克行氏による「本家アメリカが「新自由主義」を捨てて目論む復活 「バイデノミクス」はトランプ政策にそっくり」 「「新自由主義的経済政策」が風前の灯火となっている。 本家本元のアメリカで、バイデン大統領ら政権中枢が相次いで自由貿易を公然と批判し、国内産業の振興に重心を移す保護主義的主張を展開しているのだ」、なるほど。 「「レーガノミクス」以降の新自由主義的経済政策の結果、製造業で栄えていたアメリカ国内の工業地域が空洞化し中間層が衰退し、民主主義の危機につながっているというのである。そして製造業の国内回帰、インフラ強化などを柱とする自らの政策を「バイデノミクス」と名付けて支持を訴えた」、なるほど。 「トリクルダウン」には日本も騙された。「ワシントン・コンセンサス」は。「財政赤字の是正、補助金カットなど政府支出の削減、金利の自由化、貿易の自由化、公営企業の民営化、規制緩和など10項目の政策が掲げられていた。財政均衡や民営化、規制緩和などで小さな政府を目指すとともに、投資や貿易の自由化で市場経済を徹底し、アメリカ流資本主義を世界に広めるという考えだ」、日本もずいぶん惑わされた。 「バイデン政権の政策は、莫大な財政出動による国内産業振興、企業誘致、保護主義政策であり、長くアメリカ自身が他国に対し否定、批判してきたものばかりである。 かつてアメリカは製造業でも世界に君臨していた。中西部などに巨大な工業地域が生まれ、経済的にも安定した中間層が形成され、安定的な民主主義を担っていた。  ところが製造業の海外移転と空洞化によって中間層は崩壊し、貧困層が増大したことでアメリカ社会に深刻な亀裂が生まれ、政治も極端に二極化し、民主党と共和党が対立を極めている」ようだ、こんなに貿易相手国への要求事 項が180度も変わるようでは、説得力に欠けるようだ。 「「バイデノミクス」はホワイトハウスに集うアメリカの「ベスト・アンド・ブライテスト」の面々が考え抜いて打ち出した政策だろうが、政権全体の政策に整合性がないばかりか、将来展望、国際社会へのアメリカの役割など不明な点ばかりが目立つ。 ここで注意しなければならないのは、バイデン大統領の主張が2020年の大統領選で争ったトランプ前大統領の主張と似通っている点である」、「「ベスト・アンド・ブライテスト」の面々が考え抜いて打ち出した政策」にも拘らず、「政権全体の政策に整合性がないばかりか、将来展望、国際社会へのアメリ カの役割など不明な点ばかりが目立つ」、これでは相手国に要求できるレベルにするには相当な時間がかかりそうだ。 「最悪のケースは、次の大統領選がバイデン大統領とトランプ前大統領による人気取り目的のポピュリズム的な、自国中心主義的バラマキ政策の競演になることだ。そうした政治風潮が世界的に広がり、保護主義政策が蔓延すれば、世界経済が縮小するとともに各国の財政規律が失われ、累積債務が膨らんでいくことにもなりかねない」、要注目だ。 的場 昭弘氏による「新自由主義の勃興と転換を促した9月の2つの事件 チリとアメリカ、同じ「9.11」に起きた史実の糸」 「1973年の事件は、チリの」「クーデター」と、「2001年」の「アルカイーダとされるテロ攻撃」、を結び付けたとはさすがだ。 「1970年11月、親アメリカ国家チリで社会主義政権が誕生する。それも革命ではなく、選挙によって誕生したのだ。アジェンデ政権は社会党、共産党、社会党左派の支持を受けて大統領選に勝ち、社会主義的改革を行い始めた。 チリは鉱山業と農業が輸出を支え、海外の西側資本が大量に投資されている国であった。 アジェンデはそこにメスを入れた。農地改革と鉱山の国有化を行ったのである。海外資本、とりわけダウやデュポン、ITTなどのアメリカ資本がそれを見逃すわけはなかった・・・1968年のフランスの5月革命をはじめ世界を覆っていた市民運動の流れの中で、アジェンデ政権が新しい社会主義への選択肢として、世界中の左翼に熱狂をもって向かい入れられたことは当然であった。 後にフランスの大統領となるフランソワ・ミッテラン・・・も1971年11月にチリを訪問しているが、議会の中で社会主義を模索していた世界の左翼政党のアジェンデ詣で が始まる」、なるほど。 「モンロー宣言(1823年)以後のアメリカのパックス・アメリカーナの一環の中に深く組み込まれ、アメリカ合衆国に利するように利用される国である。 ナポレオン戦争の最中の1810年に独立を達成して以後(ラテンアメリカの解放者、シモン・ボリバールの活躍で多くの地域がこの頃独立する)、独立すれども外国資本に牛耳られ、工業発展を抑えられ、原料供出国として位置づけられてきた・・・アメリカにとって、キューバ革命で起こった社会主義化のドミノ現象をこれ以上認めることはできない。そうなると、カストロの予言通り、早晩軍事クーデ ターが起こるに決まっていたともいえよう」、「9月11日、アジェンデはその大統領官邸で、他国に亡命することなく自殺を遂げる。そして多くの民衆も虐殺された。その多くは筆者と同じ世代の若者であった。そのときのアジェンデの言葉はこれだ。 「私は撤退しない!数千人のチリの人々の高貴ある意識の中に、われわれがまいている種は、けっして埋もれることはないと、思う。人民よ、万歳!労働者よ!万歳!これが私の最後の言葉だ。きっと私の犠牲も無駄にはならないだろう」 ピノチェトはその後、17年もの間、大統領の座に座り続ける」、なる ほど 「チリにはじめてシカゴ・ボーイズの新自由主義モデルが導入され、社会主義体制を破滅に追いやる戦略が練られる。シカゴ・ボーイズとは、シカゴ大学のミルトン・フリードマン(1912~2006年)を中心とする「シカゴ学派」のマネタリストたちの総称だ。 そしてそれから10年以上経った1989年から1991年にかけてソ連・東欧社会主義体制、ひいては冷戦体制は崩壊し、世界は西側勢力を中心とした新自由主義のグローバリゼーションが席巻する」、 「2022年3月、36歳の左派連合・チリ連合の新大統領ガブリエル・ボリッチ(1986年~)が大統領になる。 アジェンデは、自殺した日「われわれがまいている種は、けっして埋もれることはないと、思う」と述べていた」、それにしても、ずいぶん時間がかかったものだ。 それにしても、「アジェンデのまいた種」からずいぶん時間が経ったものだ。それは、「西側資本主義は、かつてのように圧倒的な政治力、軍事力、経済力で世界を牛耳ることが、今ではできなくなっている」との大きな時代変化があったためだろう、
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