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女性活躍(その28)(「男女平等は反道徳の妄想である」自民党の女性議員がそんな“女性を貶める暴言”を繰り返す根本原因 ナチス・ドイツの女性加害者との共通点、女性数学者38歳が東大数理科学研究科にもたらした変化 「数学の魅力をたくさんの女子へ 第17回 数学者 佐々田槙子さん(38) 科学に魅せられて~女性研究者に聞く仕事と人生) [社会]

女性活躍については、本年5月9日に取上げた。今日は、(その28)(「男女平等は反道徳の妄想である」自民党の女性議員がそんな“女性を貶める暴言”を繰り返す根本原因 ナチス・ドイツの女性加害者との共通点、女性数学者38歳が東大数理科学研究科にもたらした変化 「数学の魅力をたくさんの女子へ 第17回 数学者 佐々田槙子さん(38) 科学に魅せられて~女性研究者に聞く仕事と人生)である。

先ずは、8月1日付けPRESIDENT Onlineが掲載した戦史・紛争史研究家の山崎 雅弘氏による「「男女平等は反道徳の妄想である」自民党の女性議員がそんな“女性を貶める暴言”を繰り返す根本原因 ナチス・ドイツの女性加害者との共通点」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/72169
・『自民党には「男女平等は反道徳の妄想である」など、女性を貶める暴言を繰り返す女性の国会議員がいる。なぜそんな不可解な発言をするのか。戦史・紛争史研究家の山崎雅弘さんは「これはホロコーストに加担したナチス・ドイツの女性加害者と同じだろう」という――。 ※本稿は、山崎雅弘『この国の同調圧力』(SB新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『ユダヤ人迫害に加担したドイツ人女性の話  二〇一三年、アメリカで一冊の歴史書が刊行され、大きな反響を呼びました。 著者はアメリカ人の女性歴史家ウェンディ・ロワーで、二〇一六年に日本で出版された邦 訳版のタイトルは『ヒトラーの娘たち─ホロコーストに加担したドイツ女性』(武田彩佳監訳、石川ミカ訳、明石書店)でした。 この本は、第二次世界大戦中に起きたナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(いわゆるホロコースト)において、さまざまな形でユダヤ人の迫害や虐殺に加担したドイツ人女性に光を当て、一般的にレイプ被害や爆撃の被災などの「戦争の犠牲者」として語られることの多い女性の中にも冷酷な「加害者」が存在した事実と、なぜ当該の女性たちはそのような行動をとったのかという構造について考察する内容でした。 ドイツやウクライナ、アメリカなどに残る厖大な記録文書(一次史料)に基づいて記された同書を読むと、ホロコーストに加担したドイツ人女性のタイプは多様で、ユダヤ人を「ゴミ」と呼ぶ粗暴な人間もいれば、国家のために自分にできることをするという使命感を持って任務に従事した人間もいました』、「一般的にレイプ被害や爆撃の被災などの「戦争の犠牲者」として語られることの多い女性の中にも冷酷な「加害者」が存在した事実と、なぜ当該の女性たちはそのような行動をとったのかという構造について考察する内容でした」、興味はますます深まった。
・『「男性に対して自分が有能だと証明したかった」  著者のロワーは、そんなドイツ人の女性の一人について、こう書いています。 エルナ・ペトリは、彼女が拳銃を取り出したときにすすり泣いた半裸のユダヤ人少年たちについて、〔戦後の裁判の尋問で〕当人しか知り得ないような描写をしている。尋問官から母親でもある彼女がなぜこれらの子どもたちを殺せたのかと詰問されると、ペトリは政府の反ユダヤ主義と、男性に対して自分が有能だと証明したかったということを理由に挙げた。ペトリの行為は社会に対する反逆ではなかった。私にはペトリがナチ体制の具現化であるように思えた。(pp.16-17) この最後の一文が示す通り、エルナ・ペトリという女性がナチス親衛隊員の夫と共に、ナチ占領下のポーランドにあった自宅の庭で少年を含む複数のユダヤ人を射殺した行為の動機は、私的な領域に留まるものではなく、当時のドイツ国民が共有した「ユダヤ人は社会にとって害悪であり、それを『駆除』することはドイツ国民の務めだ」というナチスの非人道的な世界観に突き動かされたものでした。 いやいや同調圧力に従ったのではないにせよ、自らの手でユダヤ人を殺すことによって「〔自分は女性だが〕男性と同じくらいに有能だと証明したかった」という彼女の行動は、当時のドイツ社会を支配した心理的圧力に、自らの意思で同調したのだと言えるでしょう』、「自らの手でユダヤ人を殺すことによって「〔自分は女性だが〕男性と同じくらいに有能だと証明したかった」という彼女の行動は、当時のドイツ社会を支配した心理的圧力に、自らの意思で同調したのだと言える」、なるほど。
・『「みんながそうしているから自分もそうした」  エルナ・ペトリは、自分の行為について、裁判で次のように弁明しました。 当時、〔ユダヤ人を〕射殺したとき、私はたったの二三歳で、まだ若くて経験もありませんでした。ユダヤ人を射殺していた親衛隊員たちの間で暮らしていたのです。ほかの女性と会うことはほとんどなかったので、だんだんと性格が強くなり、鈍感になっていきました。親衛隊の男たちの後ろに立つなんて嫌でした。女でも男のように振る舞えることを見せたかった。だから、ユダヤ人四人とユダヤ人の子ども六人を撃ちました。男たちに、自分が有能なことを証明してやりたかったからです。それに、当時この地域では、子どもも含めユダヤ人が射殺されているという話を、ありとあらゆるところで耳にしていました。それもあって、殺したのです。(p.196) この証言の最後で述べられたのは、「みんなもそうしているから自分もそうした」という、集団内で「みんな」が行っている行動への同調という弁明です。そう言えば、自分の責任を軽くできると、彼女は考えたのかもしれません』、「みんなもそうしているから自分もそうした」という、集団内で「みんな」が行っている行動への同調という弁明です」、なるほど。
・『「集団内での立場」が倫理観よりも優先された  集団全体がホロコーストのような残虐行為に手を染めている時、自分が集団内で異端視されたり排除されることを恐れて、自らの意思でそれに加担するという「同調」行為は、女性だけでなく男性の場合にも多く見られた現象でした。 ドイツの第101警察予備大隊(ホロコーストで中心的な役割を担った親衛隊とは別組織で、ナチ占領下のポーランドで四万人近いユダヤ人を殺害)について、厖大な文書記録で詳細に研究した、アメリカ人の歴史家クリストファー・R・ブラウニングの著書『増補 普通の人びと:ホロコーストと第101警察予備大隊』(谷喬夫訳、ちくま学芸文庫)に、以下のような記述があります。 大量虐殺について考察する上で、〔受けた命令の意味を熟考する〕時間の欠如と同じくらい重要なことは、順応への圧力であった。─それは軍服を着た兵士と僚友との根本的な一体感であり、〔命令に従わない意思表示として〕一歩前に出ることによって集団から自分が切り離されたくないという強い衝動である。(p.126) この本では「順応への圧力」という言い方がなされていますが、実質は同調圧力と同義だと考えて間違いはないでしょう。倫理的あるいは道徳的に考えて、その命令への服従や行動の是非を考えるのでなく、集団内での自分の「立ち位置」という観点でいちばん最適な行動をとる。そうすることで、集団の中で自分の立場は保たれる。 ナチスのホロコーストが、あれほど大規模かつ組織的に実行された背景には、同調圧力という我々の身近な問題とも繋がる、心理的な動機も存在していたのです』、「ナチスのホロコーストが、あれほど大規模かつ組織的に実行された背景には、同調圧力という我々の身近な問題とも繋がる、心理的な動機も存在していたのです」、その通りだ。
・『「エルナ・ペトリ」はナチスだけの話ではない  所属する集団内で、自分の地位を向上させたり、周りの「みんな」に自分の有能さを認めてもらうために、内部で共有される価値観や行動原理に沿った行動をとる。 このような「集団内の同調圧力への積極的な対応」の事例をいくつか見てきましたが、それは時として、論理的に説明がつかない「矛盾」や「自己否定」へと実行者を導くことがあります。 例えば、前出のエルナ・ペトリのような女性が「男たちに自分の有能さを証明してやりたい」と考えた時、ナチスの迫害対象が「ユダヤ人」ではなく「女性」であったならどうでしょう。女性であるペトリは、「自分の有能さや存在価値を男たちに認めさせるため」に、男たちによる女性差別や女性迫害に自らの意思で加担することになります。 これは決して、言葉の遊びや絵空ごとではありません。 二〇二〇年九月二十五日に自由民主党の党本部で行われた党の内閣第一部会などの合同会議において、同党の杉田水脈衆議院議員が、女性への暴力や性犯罪に関して「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言したとして、大きな批判が湧き起こりました』、「エルナ・ペトリ」氏を「杉田水脈衆議院議員」に重ね合わせるとはさすがだ。
・『杉田水脈議員「女性はいくらでもうそをつけますから」  同年九月二十五日一三時三四分に公開された共同通信記事(ネット版)によれば、「杉田氏は、会議で来年度予算の概算要求を受け、女性への性暴力に対する相談事業について、民間委託ではなく、警察が積極的に関与するよう主張」し、「〔性犯罪〕被害の虚偽申告があるように受け取れる発言をした」とされています。 杉田水脈議員は、自民党に入党する前には、日本維新の会や次世代の党などに在籍していましたが、次世代の党時代の二〇一四年十月三十一日には、衆議院本会議で「伝統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等」や「男女平等は、絶対に実現し得ない、反道徳の妄想」などと発言し、物議を醸しました。 その半月前の十月十五日には、衆議院内閣委員会で「私は、女性差別というのは〔日本に〕存在していないと思うんです」と述べ、やはり批判の的となっていました』、「杉田氏」は「衆議院本会議で「伝統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等」や「男女平等は、絶対に実現し得ない、反道徳の妄想」などと発言」、その意味は「男尊女卑な政党で評価されるための“迎合”」のようだ。
・『男尊女卑な政党で評価されるための“迎合”  自らも女性である杉田水脈議員が、どうしてこんな「女性差別」や「女性蔑視」の暴言を繰り返すのか? 表面的な言葉だけで考えても、答えは出ないと思います。 しかし、先に紹介した「順応への圧力」という視点で読み解けば、どうでしょうか。 杉田議員が所属する自民党は、昔から女性蔑視の発言が目立つ政党です。 第一次安倍政権時代の二〇〇七年一月二十七日、柳沢伯夫厚生労働相は松江市で開かれた自民党県議員の決起集会において、人口減少と少子化問題に関する話で「女性は一五歳から五〇歳までが出産をしてくださる年齢。『産む機械、装置の数』が決まっちゃった」と、女性を出産のための機械や装置と表現する発言をして、激しい批判を浴びました。 ところが、当時の安倍晋三首相は、柳沢大臣を罷免せず、厳重注意に留めました。 このような、古い時代の男女観(社会的・文化的な性自認を表すジェンダーという言葉が日本に入ってくる以前の思考)、つまり男性の方が女性より優位だという前提の男尊女卑が支配する政党の中で、女性の国会議員が「自分の有能さや存在価値を男たちに認めさせる」にはどうするのが一番効果的なのか、杉田議員は考えたのかもしれません』、「男性の方が女性より優位だという前提の男尊女卑が支配する政党の中で、女性の国会議員が「自分の有能さや存在価値を男たちに認めさせる」にはどうするのが一番効果的なのか、杉田議員は考えたのかもしれません」、なかなかの悪女のようだ。
・『集団内での地位向上の引き換えに捨てたもの  その結果として導き出された結論が、内部で共有される男尊女卑の価値観や行動原理に沿った行動をとり、それを目立つ形でアピールすることなら、杉田水脈議員の「女性なのに女性を貶める」という不可解な行動にも一応の説明がつきます。 女性差別に加えて、LGBTの人には「生産性がない」という暴論(月刊誌「新潮 45」二〇一八年八月号への寄稿、同誌はこの記事が原因で同年十月号を最後に休刊)など、杉田議員は数々の問題発言で社会的な批判を浴びましたが、にもかかわらず、彼女は二〇二二年八月十日に発足した第二次岸田改造内閣で、総務大臣政務官という政府の役職に任命されました(国民の批判と国会での追及を受けたのち、十二月二十七日に辞任)。 この抜擢人事は、杉田議員の自民党内での「アピール」が成功した結果だと見ることも可能です。けれども、自民党の議員として自らの「女性差別」の暴言を撤回せず、謝罪もせずに居直り続けた杉田水脈議員は、男尊女卑の価値観を共有する集団内での地位向上と引き換えに、人間として大事な何かを自ら捨ててしまったのではないか。 私には、そんな風に思えます』、「自民党の議員として自らの「女性差別」の暴言を撤回せず、謝罪もせずに居直り続けた杉田水脈議員は、男尊女卑の価値観を共有する集団内での地位向上と引き換えに、人間として大事な何かを自ら捨ててしまったのではないか」、同感である。

次に、9月5日付けAERAdot「女性数学者38歳が東大数理科学研究科にもたらした変化 「数学の魅力をたくさんの女子へ 第17回 数学者 佐々田槙子さん(38) 科学に魅せられて~女性研究者に聞く仕事と人生」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/articles/-/200383?page=1
・『「数理女子」というウェブページ(http://www.suri-joshi.jp/)がある。副題は「数学の魅力をたくさんの女子へ」。その生みの親・育ての親の一人が東京大学大学院数理科学研究科准教授の佐々田槙子さん(38)だ。数学界にいる人たちがジェンダーや社会の問題について気軽に語れるオンライン談話会の世話人もしている。「日本のほとんどの数学者って、数学の話以外、誰がどこの大学に移ったっていうような話しかしない」と以前感じ、できるところから働きかけを始めた。東大数学科卒、既婚、2児あり。日本を変えるチャレンジを果敢に続ける佐々田さんに聞いた。(聞き手・構成/科学ジャーナリスト・高橋真理子、Qは聞き手の質問、Aは佐々田氏の回答)』、興味深そうだ。
・『Q:「おいでMath談話会」という名前のオンライン談話会を月に1度開催しているそうですね。 A:研究者だけでなく、大学院生や学部生も大歓迎の会です。前半は、数学者が自分の専門分野の面白さを他分野の院生にもわかるように話します。後半は同じ講演者に広い意味でのダイバーシティー(多様性)やインクルージョン(包摂、すべての人が個性を尊重され能力を発揮できること)に関連する個人的な経験を話してもらい、そのあと少人数に分かれてディスカッションしてもらう。2年ぐらい前から月1回やっています。 Q:ご自身が発案されたんですか? A:沖縄科学技術大学院大学(OIST)のある女性数学者の方が、米国で経験した談話会は話が専門外の人にもわかりやすく、学生たちもいっぱい集まってすごく盛り上がっていたのに、日本に来たらそうした場があまりないと感じられたことがきっかけでした。ちょうどコロナの時期だったので、全国規模で談話会をオンライン開催しようということになり、私は企画の途中で誘ってもらって5人の世話人のうちの1人になりました。) 実はそのちょっと前に、仲間と一緒に企画した研究集会の中で、1時間だけ「数学分野のジェンダーギャップ解消のために何ができるか」とか「子育てと研究のバランス」とか「インクルージョンを実現するために研究集会運営において何ができるか」など5つのテーマを立てて、好きなところに入って議論するというのをはさんだら、すごく評判が良かったんです。「男女共同参画のイベント」だったら来なかった人たちが研究集会の中の1時間だったので出てくれて、「お互いにどう考えているかが聞けて良かった」「初めて同じ分野の研究者とこうした話ができた」「またこのような機会がほしい」といった感想をもらいました。それで、数学の話とダイバーシティーなどの話を一緒にやる談話会を提案したら、ほかの世話人もいいねと言ってくれて、「おいでMath談話会」が始まりました。 世話人のミーティングは毎回すごく中身が濃くて、刺激を受けます。数学とはまた違う面白さというか、勉強になる。でも、世話人が固定してしまうと、講演者や話題も限られてしまいがちなので、どんどんバトンタッチしていくことにしています。私もそろそろ交代の時期だと思っているところです。 Q:「数理女子」はおしゃれなデザインがとても印象的なウェブページですが、これはどのように始まったのですか? A:私は博士課程を2年で出て、慶応大学の助教になりました。 A:え、2年で博士論文が書けちゃったということですか? A:そうです。 Q:すごいですねえ。 A:いや、私の知る限り、数学ではそれほど珍しくない。東大では毎年1人か2人は博士課程を2年で修了していると思います。数学って、実験とかと違って、できるときはパッとできちゃうし、逆に何年かけても何の進展もないこともよくあります。 慶応にすぐ就職できたのはびっくりしましたけど。) Q:公募があったんですか? A: はい。指導教員だった舟木直久(ふなき・ただひさ)先生から「出してみませんか」と言われました。就職直後は、さっきまで学生だったのに、いきなり教室の前に立つことになって「何をすればいいんでしょう」みたいな感じだったんですけど、前任の先生がすごく親切で、いろいろ教えてくださったので何とかなりました』、「「男女共同参画のイベント」だったら来なかった人たちが研究集会の中の1時間だったので出てくれて、「お互いにどう考えているかが聞けて良かった」「初めて同じ分野の研究者とこうした話ができた」「またこのような機会がほしい」といった感想をもらいました。それで、数学の話とダイバーシティーなどの話を一緒にやる談話会を提案したら、ほかの世話人もいいねと言ってくれて、「おいでMath談話会」が始まりました」、なるほど。
・『女子生徒に情報が届くように発信したら  Q:それで、「数理女子」は? A:ああ、そうそう、慶応で出会った坂内健一(ばんない・けんいち)さんと2013年ぐらいにおしゃべりをしていて、坂内さんも数学分野の女性が少ないと感じていて、私に「どういうことができると思いますか」と聞いてくれた。私は女子学院というキリスト教系の女子校出身なのですが、数学好きはあまりいなかった。数楽班っていう、ほかの学校でいえば数学研究会みたいな部活に入ったんですけど、ほとんどおしゃべりしている集まりでした。大学に入って男の子たちを見ていたら、中学高校時代から数学好きの仲間がいて、こういう本が面白いとか、数学科ってこんなところ、といった情報がいっぱい入ってきていたんだろうなという感じがして、女子生徒にもそういう情報が届くように発信したらいいんじゃないかなと伝えました。親御さんが数学科への進学を心配するということも聞いていたので、親御さんへの情報発信という意図もありました。 そうしたら、次の日に坂内さんが「作りました」って。 Q:え! A:後から聞いたら、どんな案がきてもいいようにいろいろと準備をしてくださっていたそうです。三角と丸だけでできた、こびとさんみたいな愛らしいキャラクターはいたのですが、ウェブページとしては簡易的な、本当にリンク集みたいな感じでした。名前は全然深く考えずに「数理女子」とつけました。 だいぶ長いことその姿のままだったんですけれど、高校時代の友達に見せたら「これのどこが女子向けなの?」って(笑)。でも、こっちもデザインのプロでもないし、時間もないしと思っていた。それで東大に移った最初の年に、自由に使わせてもらえる資金があったんです。正直、数学って物はそんなに買わない。それでふと、「数理女子」のページをちゃんとプロに作ってもらったらいいと思いついた。当時の研究科長に相談したらOKが出たので、プロのデザイナーにお願いして、コンセプトなど時間をかけて話し合って、今のウェブページができました。) ただ、「数理女子」という名前はその後もいろいろ議論がありました。「リケジョ」という言葉が流行りだしてから、自分たちのことを「数理女子」って呼ばれたくないよねっていう声も多くて、実際私もそう思っていて、名前を変えようかという話し合いも何度もしました。結局、これはお店の名前みたいな扱いとして使い、人をカテゴライズする言葉としては使わないようにしよう、ということで落ち着いています。「数理女子の皆さん!」みたいな呼びかけはダメということです。 Q:新しい情報をどんどん入れていくのは大変でしょう? A:責任者は私と坂内さんの2人ですが、今は奈良女子大学の嶽村智子(たけむら・ともこ)さんと琉球大学の加藤本子(かとう・もとこ)さんにも編集者に加わってもらっています。数学の魅力を体験してもらうワークショップも開いていて、その企画・実施にはまた別の人たちにも入ってもらって。事務局を担当してくださる方がとても頼りになるので、続いています。 Q:佐々田さんが教員として来てから、東大数理科学研究科がずいぶん変わったと聞きました。 A:たまたまタイミングかなと思います。私、東大の公募に出している途中で妊娠がわかったんです。「このままだと育休中に異動になるんですけど、大丈夫ですか」と聞いたら「全然大丈夫」って言われてびっくりしたんですよね。 慶応の最後の年は6月前半まで授業をして、産休・育休に入ってそのまま異動になりました。東大には、最初は学生もいないから、ゆっくりのペースでやってくださいと言われて。保育園に入れるには仕事をしていたほうがいいので、育休は3月までで終えました。) 研究科の定例会議は、着任した年は午後4時50分開始で、7時とか8時までかかることもあった。保育園のお迎えに間に合わないと途中で抜けていたのですが、次の年から3時開始になった。たぶん、私が来る前から開始時刻を早めようと議論があったんだと思います。さらに今年から1時半開始になりました』、「「数理女子」のページをちゃんとプロに作ってもらったらいいと思いついた。当時の研究科長に相談したらOKが出たので、プロのデザイナーにお願いして、コンセプトなど時間をかけて話し合って、今のウェブページができました」、なかなか巧みな上司操縦法だ。
・『「数理なんでも相談コーナー」を始めたきっかけ  Q:それは素晴らしい。 A:私が数学科に進学したとき、同級生45人のうち女子は私1人で、上下の学年は女子ゼロでした。やっぱり超少数派の女性として居心地が悪いと思うことはありましたし、教員になったあと女子学生から気になる話を聞くことも何度もあった。それで、問題があると思うことはその時々の研究科長に話してきました。 例えば院生室は男女一緒なんですけれど、男子はそこで平気で着替えをする。私自身、院生のときに困って、トイレで着替えたりしていた。女性特有の体調不良とかもありますし、当時の研究科長に言ったら鍵がかかる女性の部屋をすぐに作ってくれました。 教員公募の書類に「有期雇用のポストでも産休・育休がとれる」「産休・育休の期間があることは評価の際に考慮される」などを明記することを提案したら、それはすぐに書いてもらえました。 あとは、私個人としてということではなく、研究科全体でいろいろな議論があって、2020年に「ハラスメントのない数理、数学科を」という宣言文ができました。どのセミナー室にも貼ってあります。「属性にかかわらず、個人として尊重されることは基本的価値」とし、ハラスメントは「この基本的価値を損なうもの」と位置付け、それを防ぐための対策を講じます、と宣言するものです。 それで、具体的に何ができるか、ということを皆さんで話し合って、「数理なんでも相談コーナー」というのも始めました。大学全体の学生相談所はもちろんあるんですけれど、学生としては数理科学研究科の先生に聞いてほしいという思いもあると思うので、ウェブ上で匿名でも相談を申し込めるフォームを作りました。教員5人が担当しています。 (佐々田槙子氏の略歴はリンク先参照)』、「数学科」は女性が理系で最も選び易いと思っていたが、想像以上に壁が厚いことを初めて知った。今後の活躍を期待したい。

なお、「エッフェル姉さん」については8月19日、国内政治情勢で取上げた。
タグ:PRESIDENT ONLINE 山崎 雅弘氏による「「男女平等は反道徳の妄想である」自民党の女性議員がそんな“女性を貶める暴言”を繰り返す根本原因 ナチス・ドイツの女性加害者との共通点」 山崎雅弘『この国の同調圧力』(SB新書) 「一般的にレイプ被害や爆撃の被災などの「戦争の犠牲者」として語られることの多い女性の中にも冷酷な「加害者」が存在した事実と、なぜ当該の女性たちはそのような行動をとったのかという構造について考察する内容でした」、興味はますます深まった。 「自らの手でユダヤ人を殺すことによって「〔自分は女性だが〕男性と同じくらいに有能だと証明したかった」という彼女の行動は、当時のドイツ社会を支配した心理的圧力に、自らの意思で同調したのだと言える」、なるほど。 「みんなもそうしているから自分もそうした」という、集団内で「みんな」が行っている行動への同調という弁明です」、なるほど。 「ナチスのホロコーストが、あれほど大規模かつ組織的に実行された背景には、同調圧力という我々の身近な問題とも繋がる、心理的な動機も存在していたのです」、その通りだ。 「エルナ・ペトリ」氏を「杉田水脈衆議院議員」に重ね合わせるとはさすがだ。 「杉田氏」は「衆議院本会議で「伝統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等」や「男女平等は、絶対に実現し得ない、反道徳の妄想」などと発言」、その意味は「男尊女卑な政党で評価されるための“迎合”」のようだ。 「男性の方が女性より優位だという前提の男尊女卑が支配する政党の中で、女性の国会議員が「自分の有能さや存在価値を男たちに認めさせる」にはどうするのが一番効果的なのか、杉田議員は考えたのかもしれません」、なかなかの悪女のようだ。 「自民党の議員として自らの「女性差別」の暴言を撤回せず、謝罪もせずに居直り続けた杉田水脈議員は、男尊女卑の価値観を共有する集団内での地位向上と引き換えに、人間として大事な何かを自ら捨ててしまったのではないか」、同感である。 AERAdot「女性数学者38歳が東大数理科学研究科にもたらした変化 「数学の魅力をたくさんの女子へ 第17回 数学者 佐々田槙子さん(38) 科学に魅せられて~女性研究者に聞く仕事と人生」 興味深そうだ。 「「男女共同参画のイベント」だったら来なかった人たちが研究集会の中の1時間だったので出てくれて、「お互いにどう考えているかが聞けて良かった」「初めて同じ分野の研究者とこうした話ができた」「またこのような機会がほしい」といった感想をもらいました。それで、数学の話とダイバーシティーなどの話を一緒にやる談話会を提案したら、ほかの世話人もいいねと言ってくれて、「おいでMath談話会」が始まりました」、なるほど。 「「数理女子」のページをちゃんとプロに作ってもらったらいいと思いついた。当時の研究科長に相談したらOKが出たので、プロのデザイナーにお願いして、コンセプトなど時間をかけて話し合って、今のウェブページができました」、なかなか巧みな上司操縦法だ。 「数学科」は女性が理系で最も選び易いと思っていたが、想像以上に壁が厚いことを初めて知った。今後の活躍を期待したい。
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