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政府財政問題(その9)(ガソリン価格を抑える補助金が逆に物価を上げる 今や秋の風物詩「補正予算」は見せかけに堕した、2大悪弊が2025年「緊縮ナシで財政黒字化」を阻む 足元の経済対策が後を引く「基金」と「補正予算」、森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか 話題の書『ザイム真理教』めぐり論客が誌上討論) [経済政策]

政府財政問題については、昨年3月7日に取上げた。今日は、(その9)(ガソリン価格を抑える補助金が逆に物価を上げる 今や秋の風物詩「補正予算」は見せかけに堕した、2大悪弊が2025年「緊縮ナシで財政黒字化」を阻む 足元の経済対策が後を引く「基金」と「補正予算」、森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか 話題の書『ザイム真理教』めぐり論客が誌上討論)である。

先ずは、昨年9月11日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏による「ガソリン価格を抑える補助金が逆に物価を上げる 今や秋の風物詩「補正予算」は見せかけに堕した」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/700611
・『秋になると、永田町では「補正予算」の話題が毎年のように沸き上がる。補正予算の編成が、当たり前のような年中行事になり、まるで補正予算を組まないと年が越せないかのようだ。 補正予算は、必ず組まなければならないというわけではない。否、補正予算はむしろ、満たさなければならない事情があるときに限り、組むことができるものである』、「補正予算はむしろ、満たさなければならない事情があるときに限り、組むことができるものである」、そんな原則があったとは初めて知った。
・『「特に緊要の経費」が毎年発生?  財政法第29条には、次のような規定がある。 内閣は、次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。 一法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。 又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合 二予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合 「特に緊要となった経費」は、東日本大震災級の大きな災害や急激な経済変動でもなければ、普通は生じない。なのに、まるで毎年そうであるかのように、補正予算が組まれ、政治イベント化している。 そのうえ、コロナ禍での補正予算は規模が拡大して、直近では30兆円にものぼる。コロナ前の補正予算はせいぜい3兆円程度だった。コロナ禍で、補正予算の桁が狂ってしまったのだ。 では、2023年において、補正予算はどれほど必要なのか。 少なくとも、コロナ禍の経済的な打撃から回復しつつあり、人手不足が生じるほど供給制約に直面している現状において、財政支出で需要を喚起しなければならない強い理由はない。加えて、物価上昇が顕著である。) 例えば、すでに当初予算で予定されている公共事業があるうえに、補正予算を組んで追加で公共事業費を増額したらどうなるか。 建設資材は、ただでさえコロナ禍でサプライチェーンの混乱などもあり、高騰が続いている。そこに公共事業の追加増額が行われたら、建設資材を追加した公共事業に充てなければならないから、国内における建設資材の需給をよりひっ迫させて価格高騰を助長する。 公共事業の追加増額は、建設資材の価格上昇をもたらしこそすれ、価格下落を引き起こすことはあり得ない』、「公共事業の追加増額は、建設資材の価格上昇をもたらしこそすれ、価格下落を引き起こすことはあり得ない」、その通りだ。
・『ガソリン代が浮いた分、別の商品の需要が増す  ガソリン補助金(正式には燃料油価格激変緩和補助金)も、一見するとガソリンの小売価格を抑制しているように見えて、経済全体では物価高騰を助長している。 政府は、もともと9月末で終了予定だったガソリン補助金を、今年末まで延長するとともに9月7日から拡充することを決めた。これにより、ガソリンの小売価格は抑えられる。ガソリン補助金は、価格高騰を抑制する効果があるように見える。 しかし、家計は、ガソリンに費やす支出が減った分をどうするか。 貯金をする余裕がある家計は貯金に回すこともあろうが、貯金する余裕がない家計(や余裕がある家計でも)は、ガソリン価格が抑えられて浮いた分を、食費など別の支出に回すだろう。 すると、その支出で購入した商品の需要が、それだけ増えるわけだから、その商品の価格に上昇圧力がかかる。需要と供給の関係からみれば、需要が増えれば、その価格は上がりこそすれ、下がることはない。直接目には見えないとはいえ、実際はそうなのだ。 だから、ガソリン補助金は、ガソリンの小売価格を抑えてはいるが、ほかの商品の価格の上昇を助長し、経済全体でみると消費者物価全体を押し上げる方向に作用している。これは、ガソリン税の減税を行っても同様のことが起きる。 こうした情勢下で、巨額の補正予算を組んで需要を喚起すれば、物価高を助長する。) コロナ禍で、補正予算の規模が桁違いに大きくなっている。補正予算で追加した歳出は、2020年度には73兆0298億円、2021年度には35兆9895億円、2022年度には31兆6232億円にのぼっている。 これらが、効果的に支出されているならまだしも、結局は使わずじまいとなって、補正予算で積んだだけの「見せかけ」に堕したものも多い。年度末までに使わずじまいとなった歳出の不用額は、2020年度には3兆8880億円、2021年度には6兆3029億円、2022年度には11兆3084億円と、ついに10兆円を超えた』、「ガソリン補助金は、ガソリンの小売価格を抑えてはいるが、ほかの商品の価格の上昇を助長し、経済全体でみると消費者物価全体を押し上げる方向に作用している・・・補正予算で積んだだけの「見せかけ」に堕したものも多い。年度末までに使わずじまいとなった歳出の不用額は、2020年度には3兆8880億円、2021年度には6兆3029億円、2022年度には11兆3084億円と、ついに10兆円を超えた」、なるほど。
・『31兆円の補正予算、使い残しの21兆円  2022年度における歳出の不用額は、実態を象徴的に表すものとなった。 前述のように、2022年度には補正予算で31兆6232億円もの支出の追加を行った。そして、2022年度の決算段階で、入ってきた収入に比して支出し残した金額(差引剰余金)が、21兆3439億円となった。31兆円余の支出の追加を行いながら、21兆円余も年度末に支出し残してしまうというありさまである。 支出し残したうち、2023年度に繰り越すものもあるが、結局は使わずじまいとなり予算として効力を失うこととなった歳出の不用額が、前述のように11兆円余にのぼった。 加えて、支出の追加に伴いその原資として、国債の増発が2022年度決算までに必要と見込まれていたものの、使わずじまいとなった支出が出たために、12兆円の国債増発を取りやめた。 11兆円もの使わずじまいとなる支出がある一方で、12兆円もの国債増発を取りやめる結果となった。お金に色はついていないとはいえ、2022年度の決算はこうした状態だった。 まさに、補正予算等で支出するぞと勇ましく財政出動を演出しておきながら、結局使う当てがなく、予算として失効して使わずじまいとなったので、それに備えて予定していた国債増発も取りやめた。補正予算は、「見せかけ」だったのだ。 「見せかけ」に終わるような補正予算なら、経済効果もないし、金額を盛る必要はない。おまけに、物価高騰を助長するような情勢で、財政出動をするのは逆効果である。 秋になったからといって、補正予算を組まなければならないわけではない。今秋に補正予算を組むなら、当初予算で計上した巨額の予備費について、その使途を確定させて国会での審議を受けるために、予算を組み替える。そんな補正予算なら、財政民主主義の観点からも意味があるものだろう』、「「見せかけ」に終わるような補正予算なら、経済効果もないし、金額を盛る必要はない。おまけに、物価高騰を助長するような情勢で、財政出動をするのは逆効果である・・・今秋に補正予算を組むなら、当初予算で計上した巨額の予備費について、その使途を確定させて国会での審議を受けるために、予算を組み替える。そんな補正予算なら、財政民主主義の観点からも意味があるものだろう」、その通りだ。

次に、本年2月5日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学 経済学部教授 の土居 丈朗氏による「2大悪弊が2025年「緊縮ナシで財政黒字化」を阻む 足元の経済対策が後を引く「基金」と「補正予算」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/732116
・『1月22日に、内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」  中長期試算)を公表した。この中長期試算の最も注目される点の1つは、「2025年度の国と地方の基礎的財政収支の黒字化は達成できるか」である。 2024年1月の中長期試算によると、2025年度の名目成長率を2.8%と見込む成長実現ケースでは、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は、1.1兆円の赤字となるという。 このままでは、2025年度の基礎的財政収支は黒字化できないということになる。 ただ、これまで取り組んできた歳出の効率化努力を引き続き2025年度にも行えば、基礎的財政収支はごくわずかな黒字となり、ぎりぎり財政健全化目標は達成できることを、内閣府は合わせて示した』、「2025年度の名目成長率を2.8%と見込む成長実現ケースでは、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は、1.1兆円の赤字となる・・・これまで取り組んできた歳出の効率化努力を引き続き2025年度にも行えば、基礎的財政収支はごくわずかな黒字となり、ぎりぎり財政健全化目標は達成できる」、なるほど。
・『インフレで名目GDP上振れの一方、歳出も増  そもそも、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は、同じ中長期試算の前回の試算(2023年7月)では、1.3兆円の赤字だった。それと比べると、0.2兆円収支が改善している。 中長期試算には、その改善要因についても示されている。 まず、歳入面では、2023年7月試算よりも名目GDP成長率が上振れると見込まれるため、2025年度の収支が試算上0.7兆円改善するという。他方、歳出面では、2024年度予算(案)で取り組まれた歳出効率化努力により、0.7兆円の収支改善効果が2025年度にも作用すると見込んでいる。 2023年度7月試算では、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は1.3兆円の赤字であったが、名目GDP成長率の上振れ分と2024年度予算での歳出効率化努力で合わせて1.4兆円の収支改善効果が期待できる。 となると、これだけで2025年度の国と地方の基礎的財政収支は「0.1兆円の黒字」という試算が、2024年1月試算として出てもおかしくなかった。 しかし、2025年度の財政収支に与える効果はこれだけではなかった。) 2024年1月試算では、2025年度の物価上昇率が2023年7月試算より高いと予測することから、それに伴い歳出規模が増えることを織り込むと収支を0.2兆円悪化させることになる。 加えて、2023年11月に策定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」等の支出が2025年度にも食い込むことなどの影響で、2023年7月試算で見込んでいたよりも歳出が1.0兆円増えることとなるという。これらは、収支の悪化要因となる。 これら2つの要因を合わせて1.2兆円の収支悪化を、2024年1月試算では反映している。 以上より、2024年1月試算では、前掲の通り、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は1.1兆円の赤字となるという見通しを示した。ちなみに、この基礎的財政収支の赤字の額は、2025年度の名目成長率が1.7%とより低いベースラインケースでは2.6兆円となる。 確かに、成長率に関する見通しは、成長実現ケースのほうがベースラインケースよりも楽観的ではあるが、2025年度の財政健全化目標に影響を与える差異は、2025年度その年の成長率だけだから、両ケースの成長率の見通しの違いが目標達成の成否に大きく影響を与えるというわけではない。 このように、内閣府は、財政収支の試算の背景を分析している。これは、今後の政策的含意を考えるうえで極めて重要な情報となる』、「2024年1月試算では、前掲の通り、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は1.1兆円の赤字となるという見通しを示した。ちなみに、この基礎的財政収支の赤字の額は、2025年度の名目成長率が1.7%とより低いベースラインケースでは2.6兆円となる」、なるほど。
・『後年度に財政支出が「漏れ出る」元凶  将来の財政収支に対して、足元の歳出効率化努力が、収支改善要因となる一方、節度なく経済対策を講じて歳出を膨らませれば収支悪化要因となる。特に、近年の経済対策は、悪化要因として後に尾を引くという質の悪いものとなっている。 2023年11月に策定された総合経済対策は、即効性を考えれば2023年度や2024年度に効果が出るように財政支出をすべきものだろう。しかし、内閣府の試算は、足元で講じたはずの経済対策に伴う財政支出が、後に尾を引く形で2025年度にも「漏れ出る」ような構造であることを浮き彫りにした。 なぜ即効性を期待したい経済対策なのに、策定されてから翌々年度になるようなほど財政支出が遅れて出てくるのか。 その元凶の一端は、「基金」にある。 「基金」は、2023年11月に行われた行政改革推進会議の秋のレビューでも取り上げられ、その実態に批判が集中し、議論の結果を受けて「基金の見直し・点検の横断的な方針」を定めることとした。目的があいまいなまま、補正予算を中心に元手となるお金だけを基金として先取りして貯め込み、それを後年度に都合よく支出しようとする様が問題となった。) 約150にものぼる基金の残高は総額で、2022年度末で約16.6兆円、2023年度末でも約12.7兆円に達する見込みである。これらの基金をいついくら執行するかは、基金設置法人およびその所管省庁の判断に委ねられており、財務省は拒否権を持つような形で直接コントロールできない。 この12.7兆円もの基金残高が、いついくら執行されるかによって、2025年度の財政健全化目標の達成に影響を与えうる。 確かに、基金を造成した際の支出は、当該年度の決算段階では支出済みとなっている。しかし、それは国の会計から基金設置法人へ繰り出されたまでであって、すぐさま執行しなければ、その基金設置法人に貯め込まれたままとなっている。 問題は、基礎的財政収支の計算上、その基金から支出されたときにどうなるかである』、「内閣府の試算は、足元で講じたはずの経済対策に伴う財政支出が、後に尾を引く形で2025年度にも「漏れ出る」ような構造であることを浮き彫りにした。 なぜ即効性を期待したい経済対策なのに、策定されてから翌々年度になるようなほど財政支出が遅れて出てくるのか。 その元凶の一端は、「基金」にある・・・約150にものぼる基金の残高は総額で、2022年度末で約16.6兆円、2023年度末でも約12.7兆円に達する見込みである。これらの基金をいついくら執行するかは、基金設置法人およびその所管省庁の判断に委ねられており、財務省は拒否権を持つような形で直接コントロールできない・・・問題は、基礎的財政収支の計算上、その基金から支出されたときにどうなるかである」、なるほど。
・『国や地方自治体の基金が支出すれば収支に計上  まず、基金設置法人が、一般財団法人など民間団体になっている場合は、本稿で焦点を当てている国と地方の基礎的財政収支の対象外となっている。だから、その場合は、基金に貯め込まれている資金を支出していなくても、すでに国の会計から民間団体である基金設置法人へ繰り出された段階で、国と地方の基礎的財政収支の悪化要因(財政支出として計上)となり、以後はそこから先へ、いつ、いくら支出されても無関係となる。 しかし、基金設置法人が独立行政法人など国や地方自治体の機関である場合、国と地方の基礎的財政収支の対象となり、基金設置法人から支出された段階での基礎的財政収支の悪化要因(財政支出として計上)となる。これが、本稿で問題視しているものである。 基金を造成した段階で資金を支出したかのように見えて、国と地方の基礎的財政収支の定義上(これは、GDPなどの統計の基となる国民経済計算体系の定義に即している)は、会計・勘定間の振替のようなものにすぎず財政支出とはみなされない。 そして、独立行政法人など国や地方自治体の機関が基金設置法人であると、その法人から資金が支出された年度に、その支出が基礎的財政収支を悪化させるのだ。 それがよりにもよって2025年度だったらどうなるか。) 元をたどれば、基金を造成したのが2023年度以前であるにもかかわらず、つまり、まさか2025年度の財政健全化目標の達成を阻むつもりで基金を造成したわけではなかったにもかかわらず、その基金にある資金を2025年度に支出してしまうと、前述した内閣府の分析にはまだ織り込まれていない形で、「国と地方の基礎的財政収支黒字化」という目標達成を妨げることになる。 もちろん、その基金からの支出が、わが国の経済成長を促すものならまだよい。しかし、成長力を強化することに大して役に立たず、既得権益を保護するだけのために基金から支出するということなら、わが国の経済成長にも財政収支にも、百害あって一利なしである。そんな基金からの支出は、せめて2025年度には禁止すべきである。 加えて問題視しなければならないのが、2024年度補正予算である。政府は、これから2024年度当初予算案を国会に諮ろうとしているから、もちろんまだ姿も形もない。さらに、2025年度に補正予算で財政支出を大幅に増やすとなると、2025年度の財政収支を悪化させるから、これも当然問題である。 では、なぜ2024年度補正予算も問題視するのか』、「成長力を強化することに大して役に立たず、既得権益を保護するだけのために基金から支出するということなら、わが国の経済成長にも財政収支にも、百害あって一利なしである。そんな基金からの支出は、せめて2025年度には禁止すべきである。 加えて問題視しなければならないのが、2024年度補正予算」、なるほど。
・『「繰り越し」前提の補正予算  それは、近年の補正予算は、大半を翌年度に繰り越すことを前提とする形で歳出が計上されているからである。 第2次安倍晋三内閣以降、「15カ月予算」が常態化している。つまり、当該年度が残り3カ月となった12月末に、新年度予算の12カ月だけでなく、当該年度の補正予算も、事実上セットで編成するという政策方針である。 しかし、残り3カ月で何兆円もの追加の支出を使い切れるはずはない。だから、残り3カ月ほどになった時点で編成する補正予算は、翌年度に繰り越して支出することをほぼ前提にしたものといってよい。 すると、2024年度補正予算で計上された支出を、翌年度、つまり2025年度に繰り越して支出するとどうなるか。 それは、文字通り、2025年度の財政支出を増やして、2025年度の基礎的財政収支を悪化させる。だから、2025年度の補正予算だけでなく、2024年度の補正予算までも、視野に入れて2025年度の基礎的財政収支がどうなるかを見極めなければならない。 結局は基金に貯め込むだけで、民間に対して支出するわけではないような歳出を、わざわざ2024年度に追加して出す必要はない。 消費税率が10%に引き上げられて以降、わが国の税収は、幸いにして好調である。2024年の所得税の定額減税は1年限りとし、無駄な財政支出を過剰に増やさなければ、そして引き続き歳出効率化努力を進めれば、2025年度の基礎的財政収支黒字化は達成可能である。それには、苛烈な緊縮財政など不要である。 わが国において基礎的財政収支の黒字化は、2011年度を目標としたがリーマンショックで頓挫し、改めて2020年度を目標としたが消費税収の使途変更で達成年次を延期して、今に至っている。延期される度に、政策路線の不毛な対立を助長してきた。 2025年度は努力すれば実現できるところまで来ている。過剰な財政支出で物価高をあおらないようにしつつ、基礎的財政収支黒字化目標を一度は達成することが肝要だ』、「2024年の所得税の定額減税は1年限りとし、無駄な財政支出を過剰に増やさなければ、そして引き続き歳出効率化努力を進めれば、2025年度の基礎的財政収支黒字化は達成可能である。それには、苛烈な緊縮財政など不要である。 わが国において基礎的財政収支の黒字化は、2011年度を目標としたがリーマンショックで頓挫し、改めて2020年度を目標としたが消費税収の使途変更で達成年次を延期して、今に至っている・・・2025年度は努力すれば実現できるところまで来ている。過剰な財政支出で物価高をあおらないようにしつつ、基礎的財政収支黒字化目標を一度は達成することが肝要だ」、その通りだ。

第三に、昨年12月18日付け東洋経済オンライン「森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか 話題の書『ザイム真理教』めぐり論客が誌上討論」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/721495?display=b
・『鳴動する政治。終息しない戦乱。乱高下する市況。その先にあるのは活況か、暗転か――。 『週刊東洋経済』12月23-30日 新春合併特大号の特集は「2024年大予測」。世界と日本の行方を総展望する。 森永『ザイム真理教』を私が執筆したのは、財務省の唱える財政均衡主義という「教義」が、国民生活の向上を阻害していること。にもかかわらず財務省は、政治家やマスコミを通じ、国債暴落や超インフレの恐怖をあおり、国民をその教義で「洗脳」していること。そんなカルトのような状況を明らかにするためだった。 光栄にも本書は今年のベストセラーとなった。 土居国民は、税収よりも歳出が多いという帳尻の合わない状態が続く気持ち悪さを、素直に受け止めている。国民は賢いから財務省の言いなりにはならない。 「財務省が国民を洗脳」というメッセージは、国民を愚弄している』、「森永『ザイム真理教』を私が執筆したのは、財務省の唱える財政均衡主義という「教義」が、国民生活の向上を阻害していること。にもかかわらず財務省は、政治家やマスコミを通じ、国債暴落や超インフレの恐怖をあおり、国民をその教義で「洗脳」していること。そんなカルトのような状況を明らかにするためだった」、興味深そうだ。
・『赤字を大きくしすぎるとインフレを招く  森永財政赤字の唯一の問題は、赤字を大きくしすぎるとインフレを招くことだ。一定額の財政赤字を出し続けても、高インフレにならない限り問題ない。 2020年度の基礎的財政収支の赤字は80兆円だったが、それでもインフレにはならなかった。私は、未来永劫年100兆円程度の赤字を出し続けても、日本の財政には何の問題もないと思う。 土居10年代は顕著にインフレにならなかったから、あれほど財政赤字を出しても、日銀が国債を買えたので国債暴落が起きなかっただけだ。しかし今後はインフレが起きうる状況となっており、これまでと同様にはいかない。) 日銀も国債をずっと持ち続けることはできなくなる。物価高対策で、いずれは市中に事実上売らざるをえない。民間が買った国債は、政府が税金で、利子を払ったり、満期が来たら返済したりしなければならない。「日銀が国債を買えば、返済の必要はない」という本書の主張も通用しなくなる。 森永現在は通貨供給が過大になったことでのインフレではない、コストプッシュ型のインフレだ。 確かに日銀が国債を持ちすぎればインフレになるが、その天井はそうとう高いだろう。民間が保有する国債の元本返済や利払いが負担になるようなら、その国債を日銀が買い取ればよいだけの話だ。 土居インフレ期に、日銀が国債を買って通貨供給を増やせば、インフレをあおることにならないか。 日銀が国債を持つ天井はそうとう高いという指摘だが、国債累増との見合いで日銀が買い入れているがゆえに、現在のマネタリーベースは対GDP比で120%、終戦直後の2倍超と歴史的に異常な規模だ。いずれマネタリーベースは対GDP比が安定する水準まで低下させざるをえない。それは通貨量の大幅減か、物価が上昇するかだ』、「日銀が国債を持ちすぎればインフレになるが、その天井はそうとう高いだろう」、との森永氏の指摘に対して、「日銀が国債を持つ天井はそうとう高いという指摘だが、国債累増との見合いで日銀が買い入れているがゆえに、現在のマネタリーベースは対GDP比で120%、終戦直後の2倍超と歴史的に異常な規模だ。いずれマネタリーベースは対GDP比が安定する水準まで低下させざるをえない。それは通貨量の大幅減か、物価が上昇するかだ」、私は土居氏の指摘に共感を覚える。
・『安定化の必要はない  森永安定化の必要はない。高インフレにならない範囲で、日銀の国債保有を拡大し続け、そこで生まれる通貨発行益を財源に国民生活を改善させるべきだ。 新たに通貨を発行したら、その額は国の利益となる。その利益を通貨発行益というが、アベノミクスの最大の成果は、年間80兆円程度の通貨発行益を出しても、まったくインフレにはならないと実証したことだ。 土居いや、通貨発行益とは経済学では、通貨量残高に利子率を乗じた額で、日銀も「有利子の資産(国債など)から発生する利息収入」と定義している。国債利子率がほぼゼロのときは、通貨発行益は10兆円単位とはならない。 森永通貨発行益を通貨量残高に利子率を乗じた額とするのは、一部の人が通貨発行益を矮小化するため行っている誤った定義だ。) 土居その定義こそ筋が通らない。仮にご指摘の定義を採用し、今年度末の通貨量残高と前年度末の通貨量残高の差を通貨発行益と認識した場合、22年度末は18兆円のマイナスだ。つまり統合政府の財政収支は、22年度は18兆円も赤字が増えることになる。 「政府債務は政府資産と相殺すれば大きくない」という本書の記述も奇妙だ。政府の主な金融資産は年金積立金。将来の年金給付に充てるそれを相殺し借金返済に充てる、という議論に意味はない。 森永政府が抱えている資産1100兆円のうち、年金積立金は200兆円程度で、しかも年金債務が負債にも計上されている。資産の大部分は、持つ必要のない資産だ』、これも土居氏の議論に歩がある。
・『増税ではなく経済対策が先  土居国の資産のほとんどは、売るのが非現実的な資産だ。政府が持つ米国債は売れば金融市場が混乱するし、外交上の難しさもある。政府系金融機関からの貸付金も、保有をやめることは法人・個人への貸し?がしを意味する。実物資産は道路などのインフラだ。 森永売ったほうがよい資産もある。外貨準備は必要額の何倍も保有している。高速道路もすでに民営化されているのだから、株式を公開すればいい。不動産も、国会議員が格安で入居する都心のタワーマンションも、都心の公務員住宅も、いろいろある。 政府はそれをせずに増税を進めようとする。増税ではなく経済対策が先だと言いたい。税収弾性値は最近では3を超えている。「消費税は全廃して今後も復活させない」と宣言すれば、確実に消費は増えて経済は拡大する。 土居税収弾性値は、増税せず経済成長すれば税収が多く入る話のときばかり持ち出されるが、反面、国民負担率が高まることを意味する。仮に税収弾性値が3なら日本の国民負担率はたちまち50%を超える。税収弾性値が高いと国民負担率はおのずと上がるという現象を隠してはいけない。もっとも現実には、税収弾性値はそれほど高くはない。 ・税収弾性値…経済を1%成長させたとき税収が何%増えるかの指標 ・国民負担率…税金や社会保障費が国民の所得に占める負担の割合) 森永すでに日本の社会保障や公的サービスは劣化している。公的年金の所得代替率(現役世代の手取り収入に対する年金給付の比率)は先進国中最低水準だし、公的教育費がGDPに占める比率はOECD諸国内で最低水準だ。これ以上緊縮になってはいけない。 土居日本の医療保険制度はWHO(世界保健機関)からも手厚いと評され、世界に冠たるものだ。 教育支出が低水準というのは、全人口に占める児童・生徒数の比率が他国より低いからだ。日本では、小中学校は大半が公立で、義務教育は無償。教育への財政支出を渋っているわけではない。 公的年金の所得代替率が低いのは、04年の年金改正でこれ以上社会保険料負担を増やしてほしくないと労使が求め、事実上の賦課方式化したからだ。緊縮財政のせいではない。 もし国民の総意で、所得代替率をもっと上げるべきだということになったら、年金保険料を上げれば実現できるだろう』、「売ったほうがよい資産もある。外貨準備は必要額の何倍も保有している。高速道路もすでに民営化されているのだから、株式を公開すればいい。不動産も、国会議員が格安で入居する都心のタワーマンションも、都心の公務員住宅も、いろいろある」、この森永氏の主張には賛成だ。
・『国債を日銀に買い取らせればいい  森永所得代替率の引き上げを増税に頼る必要はない。国債を日銀に買い取らせればいい。 欧州の多くの国で少なくとも公立大学は無償の国が多いのに対し、日本の国立大学の授業料は年間53万円を超えている。人口割合の話だけではない。 土居高等教育に関しては、20年度から消費税増税財源を用いて、低所得世帯の授業料・入学金の軽減と、給付型奨学金の大幅拡充を行っている。 財源を国債買い入れで賄うのも、結局は教育費負担の軽減をした学生に、将来その返済負担を強いるだけ。将来のある学生に投じる教育費は、低所得世帯に配慮しつつ、高所得の親により多く出してもらう形で、親世代が責任を持って負担するべきだ』、教育費の問題では、土居氏の見解を支持したい。総じて土居氏の見解に共感を覚える。
タグ:土居 丈朗氏による「ガソリン価格を抑える補助金が逆に物価を上げる 今や秋の風物詩「補正予算」は見せかけに堕した」 東洋経済オンライン 政府財政問題 (その9)(ガソリン価格を抑える補助金が逆に物価を上げる 今や秋の風物詩「補正予算」は見せかけに堕した、2大悪弊が2025年「緊縮ナシで財政黒字化」を阻む 足元の経済対策が後を引く「基金」と「補正予算」、森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか 話題の書『ザイム真理教』めぐり論客が誌上討論) 「補正予算はむしろ、満たさなければならない事情があるときに限り、組むことができるものである」、そんな原則があったとは初めて知った。 「公共事業の追加増額は、建設資材の価格上昇をもたらしこそすれ、価格下落を引き起こすことはあり得ない」、その通りだ。 「ガソリン補助金は、ガソリンの小売価格を抑えてはいるが、ほかの商品の価格の上昇を助長し、経済全体でみると消費者物価全体を押し上げる方向に作用している・・・補正予算で積んだだけの「見せかけ」に堕したものも多い。年度末までに使わずじまいとなった歳出の不用額は、2020年度には3兆8880億円、2021年度には6兆3029億円、2022年度には11兆3084億円と、ついに10兆円を超えた」、なるほど。 「「見せかけ」に終わるような補正予算なら、経済効果もないし、金額を盛る必要はない。おまけに、物価高騰を助長するような情勢で、財政出動をするのは逆効果である・・・今秋に補正予算を組むなら、当初予算で計上した巨額の予備費について、その使途を確定させて国会での審議を受けるために、予算を組み替える。そんな補正予算なら、財政民主主義の観点からも意味があるものだろう」、その通りだ。 土居 丈朗氏による「2大悪弊が2025年「緊縮ナシで財政黒字化」を阻む 足元の経済対策が後を引く「基金」と「補正予算」」 「2025年度の名目成長率を2.8%と見込む成長実現ケースでは、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は、1.1兆円の赤字となる・・・これまで取り組んできた歳出の効率化努力を引き続き2025年度にも行えば、基礎的財政収支はごくわずかな黒字となり、ぎりぎり財政健全化目標は達成できる」、なるほど。 「2024年1月試算では、前掲の通り、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は1.1兆円の赤字となるという見通しを示した。ちなみに、この基礎的財政収支の赤字の額は、2025年度の名目成長率が1.7%とより低いベースラインケースでは2.6兆円となる」、なるほど。 「内閣府の試算は、足元で講じたはずの経済対策に伴う財政支出が、後に尾を引く形で2025年度にも「漏れ出る」ような構造であることを浮き彫りにした。 なぜ即効性を期待したい経済対策なのに、策定されてから翌々年度になるようなほど財政支出が遅れて出てくるのか。 その元凶の一端は、「基金」にある・・・ 約150にものぼる基金の残高は総額で、2022年度末で約16.6兆円、2023年度末でも約12.7兆円に達する見込みである。これらの基金をいついくら執行するかは、基金設置法人およびその所管省庁の判断に委ねられており、財務省は拒否権を持つような形で直接コントロールできない・・・問題は、基礎的財政収支の計算上、その基金から支出されたときにどうなるかである」、なるほど。 「成長力を強化することに大して役に立たず、既得権益を保護するだけのために基金から支出するということなら、わが国の経済成長にも財政収支にも、百害あって一利なしである。そんな基金からの支出は、せめて2025年度には禁止すべきである。 加えて問題視しなければならないのが、2024年度補正予算」、なるほど。 「2024年の所得税の定額減税は1年限りとし、無駄な財政支出を過剰に増やさなければ、そして引き続き歳出効率化努力を進めれば、2025年度の基礎的財政収支黒字化は達成可能である。それには、苛烈な緊縮財政など不要である。 わが国において基礎的財政収支の黒字化は、2011年度を目標としたがリーマンショックで頓挫し、改めて2020年度を目標としたが消費税収の使途変更で達成年次を延期して、今に至っている・・・ 2025年度は努力すれば実現できるところまで来ている。過剰な財政支出で物価高をあおらないようにしつつ、基礎的財政収支黒字化目標を一度は達成することが肝要だ」、その通りだ。 東洋経済オンライン「森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか 話題の書『ザイム真理教』めぐり論客が誌上討論」 森永『ザイム真理教』 「森永『ザイム真理教』を私が執筆したのは、財務省の唱える財政均衡主義という「教義」が、国民生活の向上を阻害していること。にもかかわらず財務省は、政治家やマスコミを通じ、国債暴落や超インフレの恐怖をあおり、国民をその教義で「洗脳」していること。そんなカルトのような状況を明らかにするためだった」、興味深そうだ。 「日銀が国債を持ちすぎればインフレになるが、その天井はそうとう高いだろう」、との森永氏の指摘に対して、「日銀が国債を持つ天井はそうとう高いという指摘だが、国債累増との見合いで日銀が買い入れているがゆえに、現在のマネタリーベースは対GDP比で120%、終戦直後の2倍超と歴史的に異常な規模だ。いずれマネタリーベースは対GDP比が安定する水準まで低下させざるをえない。それは通貨量の大幅減か、物価が上昇するかだ」、私は土居氏の指摘に共感を覚える。 これも土居氏の議論に歩がある。 「売ったほうがよい資産もある。外貨準備は必要額の何倍も保有している。高速道路もすでに民営化されているのだから、株式を公開すればいい。不動産も、国会議員が格安で入居する都心のタワーマンションも、都心の公務員住宅も、いろいろある」、この森永氏の主張には賛成だ。 教育費の問題では、土居氏の見解を支持したい。総じて土居氏の見解に共感を覚える。
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環境問題(その13)(追跡 “PFAS汚染” 高濃度地域 住民に不安広がる、北海道「釧路湿原」侵食するソーラーパネルの深刻 天然記念物も生息する日本最大の湿原に異変、不名誉な「化石賞」の常連となった日本...深刻すぎる化石燃料「依存症」の理由は いったい何なのか?) [社会]

環境問題については、2022年4月23日に取上げた。今日は、(その13)(追跡 “PFAS汚染” 高濃度地域 住民に不安広がる、北海道「釧路湿原」侵食するソーラーパネルの深刻 天然記念物も生息する日本最大の湿原に異変、不名誉な「化石賞」の常連となった日本...深刻すぎる化石燃料「依存症」の理由は いったい何なのか?)である。

先ずは、2022年5月15日付けNHK「追跡 “PFAS汚染” 高濃度地域 住民に不安広がる」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/minplus/0019/topic133.html
・『全国各地で検出が相次いでいる有機フッ素化合物=PFAS。その一部は発がん性や子どもの発育への影響などの有害性が指摘されています。環境省がこれまでに発表している調査結果をNHKが独自にまとめたところ、国の暫定指針値、1リットルあたり50ナノグラム(PFOS・PFOAの合計)を超える値が検出された地点は全国で139にのぼりました。このうち特に高い値が確認されているのが大阪府や沖縄県、東京都などで、これらの地域では住民の血液からも高い値のPFASが検出されるなど不安が広がっています。各地の実態を取材しました』、興味深そうだ。
・『大阪:水や野菜、血液まで・・・ 工場由来のPFAS汚染  【関西地方 地下水で指針値を超えた場所】 ※地下水の正確な調査地は公表されていないため、自治体の役所・役場の所在地を示しています。 139地点のうち、最も高い値が確認されているのが大阪府です。 製造業の工場が点在する大阪府摂津市では2007年以降、大阪府の調査で市内の水路や井戸などで高い値のPFASが相次いで検出されています。 最新の調査(2022年8月)で最も高い値が確認されているのは、市内に住む男性が所有する畑で、家庭用の野菜や果物を作るために使っていた井戸水です。3年前、井戸水のPFAS濃度が指針値の440倍=22000ng/Lにのぼっていたことが判明。その後の調査でも毎年20000ng/Lを超える値が検出され続けています。また、研究者が詳しい調査を行ったところ、土壌や野菜などからも相次いで検出されました。(京都大学 小泉昭夫名誉教授・原田浩二准教授調べ) ※環境省のデータに反映されていない府の調査の数値です。環境省データでは最大値が大阪市の5500ng/Lとなっています。 さらに2021年、工場周辺の住民を対象に行われた血液検査でも、男性の血中からは128.1ng/mLのPFASが検出され、アメリカの学術機関全米アカデミーズが示した「PFAS臨床ガイダンス」で、特に注意が必要とされる指針値20ng/mL(PFOSなど7種類のPFASの合計値)を大きく上回っていました。男性を含め検査を受けた9人全員がアメリカの指針値を上回り、5人が100ng/mLを超えていました。 血中濃度の高さはPFASを含んだ野菜を食べていたことが原因なのではないか-。健康への影響を心配した男性は野菜作りを諦めることにしました。 「この畑ではよく葉物が育つんですよ。本当に潤沢に作って食べていたので、それが食べられなくなるというのは気持ちとしてはもうやりきれないです。でも私が食べてしまったらそれを見て孫が食べたら大変ですし、もうやめるしかないですよね」 摂津市内のPFAS汚染の主な原因とされているのが、空調機器の大手メーカー、ダイキン工業淀川製作所です。この工場ではフッ素樹脂やゴム製品の製造に必要な助剤など、1960 年代後半からPFASの一つPFOAを製造・使用してきました。 ダイキン工業はNHKの取材に対し、次のように回答しています。 ダイキン工業の回答+当社は過去にPFOAを淀川製作所で製造・使用していたため、敷地外の PFOAについては、当社が発生源の一つであると認識しております。 +2009年から現在に至るまで、敷地内の地下水の汲み上げ・浄化を実施しています。 その結果、周辺の地下水、流域河川における PFOA 濃度は経年的に低下傾向にあると認識しています。現在、指針値を超えるPFOA 濃度の地下水が敷地外に流出しないように、費用をかけて、遮水壁の設置や浄化設備の増強・改善に向けて取り組んでいます。 しかし住民からは、今も工場周辺で高い値が検出されていることから、工場の敷地内だけでなく、敷地の外の対策や補償についての協議を求める声が上がっています。 40年以上摂津市内で暮らしてきた50代の女性は、PFASの汚染が広範囲に及んでいる可能性を危惧しています。子どもの頃からこの地域で暮らしてきた女性は、工場でPFOAの製造が始まった当時、市内ではまだインフラの整備が進んでおらず、雨が降ると下水や排水があふれることが多かったと話します。 「大雨が降ると田んぼなのか道なのかがわからず、雨水がすぐにはけないで引いていかない状態が続いていました。小学校でも運動場の水が1週間くらいはけないような土地柄だったので、工場から排出されたPFASが広範囲に広がっていても不思議ではないと思っています」 かつて自身の子どもがPFASとの関連が指摘されている病気を患った経験があることから、健康への影響を懸念しているという女性。ダイキンに対して、工場周辺の汚染の責任をとり、さらなる調査や水の浄化を進めてほしいと訴えています 「空気清浄機などの機械を作っている会社が、水や土を汚染している原因になっているという状況がとても矛盾しているように感じています。地域住民の健康調査を行うなど前向きな対応をとってほしいと強く思います」 こうしたなか3月、摂津市議会では健康影響の解明と指針の整備を求める意見書を可決。地下水などが飲み水だけでなく農業用水にも利用されているとして、+血液に関する分析方法と目標値等の調査研究 +食品中のPFOAについての含有実態調査などを国に求めました。 摂津市民を中心とする「PFOA汚染問題を考える会」環境省へ署名提出  また、摂津市民を中心とした市民団体も国に対して2万3千筆の署名を提出し、健康調査や流出防止などの対策を求めています』、「工場周辺の住民を対象に行われた血液検査でも、男性の血中からは128.1ng/mLのPFASが検出され、アメリカの学術機関全米アカデミーズが示した「PFAS臨床ガイダンス」で、特に注意が必要とされる指針値20ng/mL(PFOSなど7種類のPFASの合計値)を大きく上回っていました。男性を含め検査を受けた9人全員がアメリカの指針値を上回り、5人が100ng/mLを超えていました」、汚染状況は酷そうだ。「ダイキンに対して・・・「空気清浄機などの機械を作っている会社が、水や土を汚染している原因になっているという状況がとても矛盾しているように感じています」との批判はもっともだ。
・『沖縄:原因はアメリカ軍か 基地周辺で相次ぐ検出  【沖縄 河川など公共用水域で指針値を超えた場所】 一方、河川などの公共用水域で最も高い値が確認されているのが、在日アメリカ軍専用施設の7割が集中している沖縄県です。2016年、沖縄県が嘉手納基地周辺で水道水の水源にもなっている河川で高い濃度で検出されていることを発表。日本でPFAS汚染が大きく注目されるきっかけとなりました。 以降、基地周辺にある複数の河川や湧き水、さらに一時は水道水からも高濃度のPFASが検出されています。 沖縄県環境保全課が独自に行っている調査では、2022年6月の最新の結果で47か所のうち33か所で暫定指針値を超えていました。県はPFASを含む泡消火剤を利用してきたアメリカ軍基地が汚染源である可能性が高いと考えていますが、基地内での立入調査が実現しておらず、いまも特定には至っていません。 こうしたなか県内では2022年、市民グループ「PFAS汚染から市民の命を守る連絡会」が基地周辺に住む人など387人を対象に血液検査を実施しました。PFOS・PFOA・PFHxS・PFNAなどの血中濃度を調べたところ、宜野湾市や北谷町など基地周辺の5つの自治体の329人の平均は23.3ng/mL(4物質の合計)。 環境省の全国調査(2021年)の平均と比べて2.7倍で、アメリカの指針値を超過する人は52.9%にのぼっています。 嘉手納基地の近く北谷町に暮らす徳田伝さん(68)
30年以上嘉手納基地の近く、北谷町に暮らす徳田伝さん(68)もその一人。血液検査を受けたところ4つのPFASの合計で 27.1ng/mLが検出され、アメリカの指針値を上回る結果となりました。(PFOS 11.9 PFOA 3.3 PFHxS 9.7 PFNA 2.2) 日頃から水の摂取には気を遣い、飲み水はミネラルウォーターにしてきましたが、経済的な面を考慮すると、煮物やスープなど料理にまでミネラルウォーターを使うことはできず、水道水を利用せざるをえないと言います。 「過去に浄水場の水から高い値が出ていたので飲み水については意識していましたが、検査結果の数字を見てびっくりしました。『まさか』とショックを受けましたね。そこまで自分自身が汚染されているということには、考えが及んでいませんでした。この先、健康被害が出てこないか不安を感じます。できるだけ今の水の使い方を変えたほうがいいとは思いますが、生活上はどうしても水道水に頼らざるを得ないのが難しいところです」 現在、水道水から目標値を超える値は検出されていませんが、徳田さんは早急な汚染源の特定と対策を求めています。 徳田伝さん 「米国内でも基地周辺のPFAS汚染が問題になっていますし、現状から見たら沖縄も基地由来の可能性がとても高いと思います。でも基地の中の調査すらできない状態が続いていて、正直なところ住民の健康が軽んじられているように感じます。私たちが安心して生活できるような対応を国にも米軍にもとってもらいたいです」)(以下省略)』、「「PFAS汚染から市民の命を守る連絡会」が基地周辺に住む人など387人を対象に血液検査を実施しました。PFOS・PFOA・PFHxS・PFNAなどの血中濃度を調べたところ、宜野湾市や北谷町など基地周辺の5つの自治体の329人の平均は23.3ng/mL(4物質の合計)。 環境省の全国調査(2021年)の平均と比べて2.7倍で、アメリカの指針値を超過する人は52.9%にのぼっています・・・できるだけ今の水の使い方を変えたほうがいいとは思いますが、生活上はどうしても水道水に頼らざるを得ないのが難しいところです」 現在、水道水から目標値を超える値は検出されていませんが、徳田さんは早急な汚染源の特定と対策を求めています」、なるほど。

次に、2022年6月2日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの河野 博子氏による「北海道「釧路湿原」侵食するソーラーパネルの深刻 天然記念物も生息する日本最大の湿原に異変」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/676109
・『43年前に日本初のラムサール条約湿地として登録され、自然環境の再生・保全が進められてきた釧路湿原。そこに大小さまざまな太陽光発電施設が出現し「このままでは、湿原がソーラーパネルの海になってしまう」と環境団体や専門家が危惧している。半信半疑で現地を訪れると、太陽光発電の拡大圧を受け、市民団体や自治体が対抗策を探っていた』、東京の近くでも、八ヶ岳の麓の清里近辺は晴れの日が多いことから、「太陽光発電施設」が集中している。
・『太陽光発電施設が7年で5.5倍へ急増  釧路自然保護協会をはじめ地元9団体が3月17日付けで「要望書」を、釧路湿原自然再生協議会(市民団体、専門家、国、道、市町村などで構成)が4月18日付けで「提言」を釧路市に提出した。いすれも太陽光発電施設の建設ラッシュを憂い、対策を求めている。 釧路湿原といえば、総面積2.6万ヘクタールの日本最大の湿原で、1980年にラムサール条約湿地として登録され、国指定の特別天然記念物タンチョウをはじめ貴重な動植物が生息していることで知られる。湿原は、かつて「役に立たない土地」として扱われた。現在は、洪水調整機能や炭素吸収機能を含め、重要な場所として注目されている。 その湿原の代表格である釧路湿原で太陽光発電施設の乱立とは、本当だろうか。関東地方のメガソーラー問題を取材してきた私は「心配しすぎではないか」とさえ思った。しかし行ってみると、太陽光発電の存在は際立っていた。空港から釧路市内へのバスの車窓からもあちこちにソーラーパネルを散見し、釧路外環状道路などの高速道路を車で走ると、ソーラーパネル群が光って見えた。 資源エネルギー庁のデータをもとに釧路市がまとめた「太陽光発電施設の推移」によると、2014年6月の時点で同市内の太陽光発電施設は96施設だったが、2021年6月には527施設へと5.5倍に増えた。このうち出力1000kW以上のメガソーラーは1か所から21カ所へと急増している。) 特に建設が目立つのが、1987年に指定された国立公園区域の外、南部の湿原地帯。市街化調整区域として開発が抑制されてきたが、太陽光発電施設は建築基準法上の建物ではないため設置できる。釧路市には景観条例があり、高さ8メートルを超える工作物を設ける際には届け出が求められるが、ソーラーパネル設置には必要ない。 釧路湿原は積雪量が比較的少なく、日照時間が長い。それになんといっても平坦な土地で、市街化調整区域の近くには送配電網があり、太陽光パネルにつなぐことができる。太陽光発電施設が次々に出現した背景には、こうした「好条件」があった』、「2014年6月の時点で同市内の太陽光発電施設は96施設だったが、2021年6月には527施設へと5.5倍に増えた。このうち出力1000kW以上のメガソーラーは1か所から21カ所へと急増・・・特に建設が目立つのが、1987年に指定された国立公園区域の外、南部の湿原地帯。市街化調整区域として開発が抑制されてきたが、太陽光発電施設は建築基準法上の建物ではないため設置できる。釧路市には景観条例があり、高さ8メートルを超える工作物を設ける際には届け出が求められるが、ソーラーパネル設置には必要ない。釧路湿原は積雪量が比較的少なく、日照時間が長い。それになんといっても平坦な土地で、市街化調整区域の近くには送配電網があり、太陽光パネルにつなぐことができる。太陽光発電施設が次々に出現した背景には、こうした「好条件」があった」、なるほど。
・『発電施設付近でタンチョウの営巣を確  市街化調整区域の湿原に並ぶソーラーパネルの近くに行ってみた。釧路市鶴野にある発電所は、大阪の発電事業者が3年前に運転を開始し出力は約2000kW近くある。パネルが並ぶ南端から見ると、土砂を入れて整地したうえでパネルを設置したとわかる。 NPO法人「トラストサルン釧路」の副理事長でタンチョウの研究者、松本文雄さんによると、この発電所の付近はNGOによる調査でタンチョウの営巣が確認されてきた場所。また、日本野鳥の会・釧路支部長の黒澤信道さん(66歳)によると、タカの仲間で環境省のレッドリストで絶滅危惧IB類のチュウヒも繁殖していた。 「野鳥観察仲間が繁殖を確認していた。チュウヒはネズミなど湿原の小動物を食べるが、こうしたエサ動物がいなくなるし、用心深い鳥なので、もう巣を作る状況ではないと思う」と黒澤さんは残念そうだ。 このメガソーラーから西に8キロ、市街化調整区域の釧路市山花にある太陽光発電施設を見た。法律で発電設備、発電事業者、保守点検責任者の連絡先、運転開始年月日などを書いた看板の設置が定められているが見当たらない。周囲の湿原に比べて高さ2メートルほどの盛り土をし、パネルが設置されている。 この発電施設付近で昨年春、タンチョウの営巣が確認された。タンチョウは樹木の上に巣を作るコウノトリなどと異なり、湿原の中にヨシなどで巣を作り卵を抱く。) 釧路市山花の太陽光施設のすぐそばにタンチョウの営巣地を見つけたのは、NPO法人・環境把握推進ネットワーク-PEG理事長の照井滋晴さん(40歳)。実はタンチョウの調査ではなく、両生類のキタサンショウウオの調査をしていて、たまたま見つけた。 キタサンショウウオは、釧路市指定の天然記念物。3年前に環境省のレッドリストで「準絶滅危惧種」から「絶滅危惧IB類」へと危険度が2ランク上がった。 昨年1月には種の保存法に基づき、販売目的の捕獲が厳罰化されるなど保護策が強化された。体長11センチと小さく湿原の中で生まれ、動いてもせいぜい100mという狭い範囲で生涯を過ごす。 照井さんは釧路教育大学在学中から研究を続ける。「可愛らしいということもあるが、そもそも1954年まで北海道にいることすら知られていなかった。生態や生息状況はわからないことだらけで、研究をやめられなくなった」と語る』、生態系の保存も重要な使命だ。
・『キタサンショウウオの生息適地で建設ラッシュ  釧路市文化財保護条例に基づき研究・保護活動を行う釧路市立博物館は、照井さんはじめ京都大学などの研究者とともに、これまでの知見をもとに「釧路市内キタサンショウウオ生息適地マップ」を作成した。その結果、生息適地と太陽光発電施設の設置が進むエリアが重なることが判明した。 市は、この生息適地マップを2021年から公表。現在は市のホームページ上で示され「太陽光パネルを設置したい」「土地を整地したい」という地権者や事業者に向けて「キタサンショウウオの保全に協力して」と呼びかけている。 その結果、市博物館の担当者のもとには地権者や事業者からの問い合わせが増えた。2021年12月から1年間に「そこは生息適地です」と答えたものだけで22件に上った。 キタサンショウウオの生息適地が広がり、実際に生息が確認された場所も多い釧路市南部の市街化調整区域。そこはまた太陽光発電事業者がパネルを貼りたい場所であり、建設ラッシュが起きている。) 出力50kW未満の小規模な太陽光発電施設の場合、研究者や市の関係者が知らないうちに出現したケースも多い。今年4月に運転開始した太陽光発電施設の場合、道を挟んで反対側と同様の湿原だったが、あっという間に整地されてパネルが並んだ。 こうしたソーラーパネルの「拡大圧」に、どう対抗するのか。キタサンショウウオの研究と保全活動を続ける照井さんに聞くと、意外な言葉が返ってきた。「基本的に太陽光の事業って止まらないと僕は思う。事業者は合法的にやられていて別に悪いことをしているわけではない。再生可能エネルギー自体、推進されているわけだし」 誰も損をしない方法はないのだろうか。照井さんは考え、キタサンショウウオが生息し、すぐそばまで太陽光発電施設が迫る小さな土地を買い取ったらどうだろうか、と思いついた。昔、自然保護や空港建設反対運動の際の戦術、「一坪地主」に似ているかもしれない。 「インターネットで調べてみたところ、太陽光発電用地とか資材置き場にどうですかと、100坪くらいの土地が何か所も売りに出ていた。キタサンショウウオの生息地も何か所か見つかった。かつて原野商法により売られた土地もあるので、土地を買い取る活動を進めれば安く売りたいとか、寄付したいと思う人もいるかもしれない」と照井さん。 今年3月には、2カ所の土地(合計1400㎡強)を計百数十万円で購入した。照井さんが代表を務めるNPO法人は、調査研究活動のほか環境アセスメント調査の仕事もしており、購入費は法人の資金から捻出した。35年前から土地を買い取り、自然保護地を作って観察会を開く活動を続けるNPO法人「トラストサルン釧路」などの団体にも相談して、今後、小さな土地の買い取りを進めるという』、「「釧路市内キタサンショウウオ生息適地マップ」を作成した。その結果、生息適地と太陽光発電施設の設置が進むエリアが重なることが判明した。 市は、この生息適地マップを2021年から公表。現在は市のホームページ上で示され「太陽光パネルを設置したい」「土地を整地したい」という地権者や事業者に向けて「キタサンショウウオの保全に協力して」と呼びかけている。 その結果、市博物館の担当者のもとには地権者や事業者からの問い合わせが増えた」、「市」が指導力を発揮して保護に力を入れてほしいものだ。
・『国立公園区域内にもメガソーラー  国立公園区域外の湿原での太陽光発電建設ラッシュを見てきたが、メガソーラーは国立公園区域内にもある。釧路町の町有地に建つ「釧路町トリトウシ原野太陽光発電所」は大林組のグループ会社が建て、2017年4月に運転開始した。このメガソーラーの事業者は自然環境や野鳥などへの影響を調査しているが「外部に公表していない」(大林クリーンエナジー)。 前出の日本野鳥の会・釧路支部長の黒澤さんは建設が始まる前の2014年、調査を担当した研究者から相談を受けたため事業地に来てみた。国営草地化事業により牧草地にされた後、使われず放置されていた場所で、すでに湿原ではなかった。) 黒澤さんはその事業地を歩き、タンチョウの羽がごっそり落ちていたのを見つけた。「タンチョウは換羽時期、つばさの羽が抜けるシーズンは安全な場所に退避し身を隠すんです。そういう場所になっていたのでしょう」 「事業地を休息やエサ探しに利用していたタンチョウは見られなくなった。でもノビタキなどの小さな草原性の鳥は、それほど減っていないものもあったと聞いている。それはソーラーパネルを設置する時の工法と関係している」と黒澤さんは指摘する。 盛り土をして地盤を固めるのではなく鉄パイプを刺す工法を取ったことで、周辺の自然環境への悪影響が減ったという。「太陽光発電施設をどうしても建てたいという事業者には、環境や生態系に影響が少ない工法をとってもらうことも一つの手になる」と黒澤さんは考える』、「釧路市立博物館は・・・これまでの知見をもとに「釧路市内キタサンショウウオ生息適地マップ」を作成した・・・市は、この生息適地マップを2021年から公表。現在は市のホームページ上で示され「太陽光パネルを設置したい」「土地を整地したい」という地権者や事業者に向けて「キタサンショウウオの保全に協力して」と呼びかけている。 その結果、市博物館の担当者のもとには地権者や事業者からの問い合わせが増えた。2021年12月から1年間に「そこは生息適地です」と答えたものだけで22件に上った・・・盛り土をして地盤を固めるのではなく鉄パイプを刺す工法を取ったことで、周辺の自然環境への悪影響が減ったという。「太陽光発電施設をどうしても建てたいという事業者には、環境や生態系に影響が少ない工法をとってもらうことも一つの手になる」と黒澤さんは考える」、なるほど。
・『釧路市は条例化を視野にガイドライン公表へ  釧路湿原の太陽光発電の問題は昨年12月以来、毎日新聞(ウェブ版)や北海道新聞などが取り上げて波紋を広げた。鶴居村が「美しい景観等と太陽光発電事業との共生に関する条例」を昨年1月に制定するなど釧路湿原の釧路川流域5市町村は動き出していた。釧路市の蝦名大也市長は今年3月、市議会で「条例化を視野にガイドラインを作る」と表明した。 釧路市は6月中旬に始まる市議会定例会でガイドラインを公表し、その後、条例化の検討に入る。「まずはガイドラインで釧路湿原という豊かな自然環境を守っていくということを明確に打ち出す」(市環境保全課)としている。 国の関係省庁、関連自治体、専門家、市民団体で構成する「釧路湿原自然再生協議会」は今年秋、設立20年を迎える。釧路川の蛇行復元事業などにより、自然環境の回復が進む。協議会会長の中村太士・北海道大学農学研究院教授は「日本最大の淡水魚イトウの生息が確認され、自然産卵の野生サケが増えた」と振り返る。 ようやく自然が回復してきた今、浮上した太陽光発電施設の乱立問題。中村会長は「生物にとって重要な場所を明らかにして、市の条例でこういう場所は建設を抑制する、こういう場所は建設方法について市や関係者と協議する、というように具体的に地図の上で見える化する必要がある。景観が損なわれ観光に悪影響を及ぼすという懸念も大きい」と指摘している』、「ようやく自然が回復してきた今、浮上した太陽光発電施設の乱立問題。中村会長は「生物にとって重要な場所を明らかにして、市の条例でこういう場所は建設を抑制する、こういう場所は建設方法について市や関係者と協議する、というように具体的に地図の上で見える化する必要がある。景観が損なわれ観光に悪影響を及ぼすという懸念も大きい」と指摘」、その通りだ。

第三に、2023年12月5日付けNewsweek日本版が掲載した在英ジャーナリストの木村正人氏による「不名誉な「化石賞」の常連となった日本...深刻すぎる化石燃料「依存症」の理由は、いったい何なのか?」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2023/12/post-239_1.php
・『<気候変動対策の交渉を妨げる国に贈られる、不名誉な「今日の化石賞」で2位になった日本。環境への取り組みはどう見られているのか> [ドバイ発]アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでの国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で3日、交渉の進展を妨げる国に授与される不名誉な「今日の化石賞」が発表された。1位は海底石油・天然ガス開発を再開するニュージーランド、2位は化石燃料に公的資金を提供する日本、3位は「損失と損害」基金にあまり資金を出さなかった米国だ。 「 今日の化石賞」は1999年に始まり、COP期間中、世界的な環境団体ネットワーク、気候行動ネットワーク(CAN)のメンバーが投票して決めている。ニュージーランドは先住民の声に耳を傾け、2018年に海底石油・ガス開発を禁止したものの、新政権はこの方針を撤回する方針で、環境団体から厳しい目が向けられている。 いまや「化石賞」の常連となった日本について、CANは「岸田文雄首相は『世界の脱炭素化に貢献する』と主張する2つのイニシアチブでグリーンよりもグリーンであるかのように見せたいようだが、国内およびアジア全域で石炭とガスの寿命を延ばそうとしているのが透けて見える」と苦言を呈する。 「これは水素やアンモニアを化石燃料と混焼し、火力発電所をずっと先まで稼働させるグリーンウォッシュ(注)以外の何ものでもない。アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)イニシアチブを通じ、混焼技術を使って石炭・ガス火力発電所を稼働させ続けるよう東南アジアに売り込みをかけ、自然エネルギーを3倍にする世界的な目標達成を妨げている」と指摘する』、「今日の化石賞」でNZに次ぐ2位とは不名誉なことだ。(注)グリーンウォッシュ:環境配慮をしているように装いごまかすこと、上辺だけの欺瞞(ぎまん)的な環境訴求を表すWikipedia。
・『「さよなら化石燃料」は可能なのか  「ファイナンスデー」の4日、世界各国の市民団体は岸田首相に対して新たな化石燃料プロジェクトへの資金提供を停止し、再生可能エネルギーへの支援に移行するよう求めるアクションを起こした。COP28会場の一角でピカチュウも加わり、「さよなら化石燃料」のシュプレヒコールを連呼した。 バングラデシュの市民団体「ウォーターキーパーズ・バングラデシュ」コーディネーター、シャリフ・ジャミル氏は筆者に「日本は1971年の独立以来、バングラデシュ最大の開発パートナーだ。日本はバングラデシュで石炭火力発電所の建設に投資している。バングラデシュ政府に化石燃料を優先したエネルギー政策を策定するよう提案している」と語る。) 「現在、石炭に続いてLNG(液化天然ガス)基地やガスインフラをバングラデシュに建設することを持ちかけている。日本からの支援は必要だが、環境汚染はだめだ。バングラデシュのような人口密度の高い国で環境汚染が起これば大惨事になる。日本には持続可能でグリーンな再エネプロジェクトに資金を提供してほしい」と訴える。 「LNG(液化天然ガス)基地やガスインフラをバングラデシュに建設することを持ちかけている。バングラデシュは未開発の自然エネルギーの『金脈』だ。1年間を通じて太陽光が降り注いでいる。私たちは日本が化石燃料によるエネルギー拡大を行わないよう真の友好関係を望んでいる」とジャミル氏はいう』、「日本はLNG(液化天然ガス)基地やガスインフラをバングラデシュに建設することを持ちかけている・・・バングラデシュのような人口密度の高い国で環境汚染が起これば大惨事になる・・・バングラデシュは日本が化石燃料によるエネルギー拡大を行わないよう真の友好関係を望んでいる」とジャミル氏はいう」、なるほど。
・『日本の気候変動政策を歪める業界団体  国際環境NGO 350.orgジャパンの伊与田昌慶氏は「日本は世界で汚い石炭とのアンモニア混焼、危険な原子力、二酸化炭素回収・貯留技術のCCS/CCUSといったまやかしの解決策を売り込む商人の役割を果たしてきた。岸田首相がG7(主要7カ国)広島サミットで合意された『化石燃料フェーズアウト』に言及しなかったことも理解に苦しむ」と語る。 日本の気候変動対策がここまで遅れた理由はいったい何なのか。ロンドンを拠点にする世界的な非営利シンクタンク「インフルエンスマップ」が2020年8月に発表した報告書「日本の経済・業界団体と気候変動政策」で気候変動・エネルギー政策に対する日本の経済・業界団体の立場を分析している。 それによると、業界団体を通じて気候変動・エネルギー政策への働きかけを徹底して行っていたセクターは国内総生産(GDP)の1割にも満たない鉄鋼、電力、自動車、セメント、電気機器、石油・石油化学、石炭関連業界だった。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の提唱する政策と比較すると、こうした業界団体からの働きかけは概して後ろ向きだ。 業界団体の中で最も後ろ向きで激しい働きかけを行っていたのは日本鉄鋼連盟と電気事業連合会。これに対してGDPの7割を超える小売、金融サービス、物流、建設、不動産を代表する業界団体は働きかけをほとんど行っていない。さらにイオンをはじめ数多くの企業が事業の電力を100% 再エネで賄うという明確な目標を掲げていた』、「業界団体の中で最も後ろ向きで激しい働きかけを行っていたのは日本鉄鋼連盟と電気事業連合会」、さもありなんだ。
・『海外の化石燃料事業に世界第2位の公的資金を提供する日本  化石燃料からクリーンエネルギーへの移行を促進する国際組織オイル・チェンジ・インターナショナルの報告書によると、日本は海外の化石燃料事業にカナダに次いで世界第2位の公的資金を提供している。20~22年にかけ、カナダ、日本、イタリアはそれぞれ少なくとも年平均105億ドル、69億ドル、29億ドルを供与していた。3カ国でG7全体の8割だ。 カナダは22年末までに化石燃料への国際的な公的資金提供を打ち切るという公約を果たし、23年末までに国内の補助金も打ち切ることを約束している。1位のカナダが化石燃料事業への資金提供を大幅に減らすことになるため、2位の日本、3位のイタリアが最大の化石燃料資金供与国となる可能性が高い。 ガスでは日本が世界最大だ。オイル・チェンジ・インターナショナルは4月、別の報告書で日本が12~26年、海外で建設されるLNGプロジェクトに提供する資金は世界最大の397億ドルにのぼると指摘している。「化石燃料にさよならと言うべきなのに日本は怠ってきた。日本は気候危機の悪化を金銭面で支える世界最大の国だ」とFoE Japanの長田大輝氏は語る。 過当競争や収縮傾向の市場で競争相手が撤退した後、生き残った企業が市場を独占することを「残存者利益」という。議長国UAEは世界で再エネ容量を3倍にし、エネルギー効率改善率を2倍にする目標を掲げる。これを受け、118カ国政府が30年までに世界の再エネ容量を3倍にすると約束した。日本は化石燃料にしがみつき、残存者利益を狙うつもりなのか』、「1位のカナダが化石燃料事業への資金提供を大幅に減らすことになるため、2位の日本、3位のイタリアが最大の化石燃料資金供与国となる可能性が高い。 ガスでは日本が世界最大だ・・・化石燃料にさよならと言うべきなのに日本は怠ってきた。日本は気候危機の悪化を金銭面で支える世界最大の国だ・・・議長国UAEは世界で再エネ容量を3倍にし、エネルギー効率改善率を2倍にする目標を掲げる。これを受け、118カ国政府が30年までに世界の再エネ容量を3倍にすると約束した。日本は化石燃料にしがみつき、残存者利益を狙うつもりなのか」、恥ずかしい限りだ。 
タグ:日本は気候危機の悪化を金銭面で支える世界最大の国だ・・・議長国UAEは世界で再エネ容量を3倍にし、エネルギー効率改善率を2倍にする目標を掲げる。これを受け、118カ国政府が30年までに世界の再エネ容量を3倍にすると約束した。日本は化石燃料にしがみつき、残存者利益を狙うつもりなのか」、恥ずかしい限りだ。 「1位のカナダが化石燃料事業への資金提供を大幅に減らすことになるため、2位の日本、3位のイタリアが最大の化石燃料資金供与国となる可能性が高い。 ガスでは日本が世界最大だ・・・化石燃料にさよならと言うべきなのに日本は怠ってきた。 「業界団体の中で最も後ろ向きで激しい働きかけを行っていたのは日本鉄鋼連盟と電気事業連合会」、さもありなんだ。 「日本はLNG(液化天然ガス)基地やガスインフラをバングラデシュに建設することを持ちかけている・・・バングラデシュのような人口密度の高い国で環境汚染が起これば大惨事になる・・・バングラデシュは日本が化石燃料によるエネルギー拡大を行わないよう真の友好関係を望んでいる」とジャミル氏はいう」、なるほど。 「今日の化石賞」でNZに次ぐ2位とは不名誉なことだ。(注)グリーンウォッシュ:環境配慮をしているように装いごまかすこと、上辺だけの欺瞞(ぎまん)的な環境訴求を表すWikipedia。 木村正人氏による「不名誉な「化石賞」の常連となった日本...深刻すぎる化石燃料「依存症」の理由は、いったい何なのか?」 Newsweek日本版 「ようやく自然が回復してきた今、浮上した太陽光発電施設の乱立問題。中村会長は「生物にとって重要な場所を明らかにして、市の条例でこういう場所は建設を抑制する、こういう場所は建設方法について市や関係者と協議する、というように具体的に地図の上で見える化する必要がある。景観が損なわれ観光に悪影響を及ぼすという懸念も大きい」と指摘」、その通りだ。 盛り土をして地盤を固めるのではなく鉄パイプを刺す工法を取ったことで、周辺の自然環境への悪影響が減ったという。「太陽光発電施設をどうしても建てたいという事業者には、環境や生態系に影響が少ない工法をとってもらうことも一つの手になる」と黒澤さんは考える」、なるほど。 「釧路市立博物館は・・・これまでの知見をもとに「釧路市内キタサンショウウオ生息適地マップ」を作成した・・・市は、この生息適地マップを2021年から公表。現在は市のホームページ上で示され「太陽光パネルを設置したい」「土地を整地したい」という地権者や事業者に向けて「キタサンショウウオの保全に協力して」と呼びかけている。 その結果、市博物館の担当者のもとには地権者や事業者からの問い合わせが増えた。2021年12月から1年間に「そこは生息適地です」と答えたものだけで22件に上った・・・ 「市」が指導力を発揮して保護に力を入れてほしいものだ。 生態系の保存も重要な使命だ。 釧路市には景観条例があり、高さ8メートルを超える工作物を設ける際には届け出が求められるが、ソーラーパネル設置には必要ない。釧路湿原は積雪量が比較的少なく、日照時間が長い。それになんといっても平坦な土地で、市街化調整区域の近くには送配電網があり、太陽光パネルにつなぐことができる。太陽光発電施設が次々に出現した背景には、こうした「好条件」があった」、なるほど。 「2014年6月の時点で同市内の太陽光発電施設は96施設だったが、2021年6月には527施設へと5.5倍に増えた。このうち出力1000kW以上のメガソーラーは1か所から21カ所へと急増・・・特に建設が目立つのが、1987年に指定された国立公園区域の外、南部の湿原地帯。市街化調整区域として開発が抑制されてきたが、太陽光発電施設は建築基準法上の建物ではないため設置できる。 東京の近くでも、八ヶ岳の麓の清里近辺は晴れの日が多いことから、「太陽光発電施設」が集中している。 河野 博子氏による「北海道「釧路湿原」侵食するソーラーパネルの深刻 天然記念物も生息する日本最大の湿原に異変」 東洋経済オンライン できるだけ今の水の使い方を変えたほうがいいとは思いますが、生活上はどうしても水道水に頼らざるを得ないのが難しいところです」 現在、水道水から目標値を超える値は検出されていませんが、徳田さんは早急な汚染源の特定と対策を求めています」、なるほど。 「「PFAS汚染から市民の命を守る連絡会」が基地周辺に住む人など387人を対象に血液検査を実施しました。PFOS・PFOA・PFHxS・PFNAなどの血中濃度を調べたところ、宜野湾市や北谷町など基地周辺の5つの自治体の329人の平均は23.3ng/mL(4物質の合計)。 環境省の全国調査(2021年)の平均と比べて2.7倍で、アメリカの指針値を超過する人は52.9%にのぼっています・・・ 『沖縄:原因はアメリカ軍か 基地周辺で相次ぐ検出 「工場周辺の住民を対象に行われた血液検査でも、男性の血中からは128.1ng/mLのPFASが検出され、アメリカの学術機関全米アカデミーズが示した「PFAS臨床ガイダンス」で、特に注意が必要とされる指針値20ng/mL(PFOSなど7種類のPFASの合計値)を大きく上回っていました。男性を含め検査を受けた9人全員がアメリカの指針値を上回り、5人が100ng/mLを超えていました」、汚染状況は酷そうだ。「ダイキンに対して・・・「空気清浄機などの機械を作っている会社が、水や土を汚染している原因になっているとい NHK「追跡 “PFAS汚染” 高濃度地域 住民に不安広がる」 (その13)(追跡 “PFAS汚染” 高濃度地域 住民に不安広がる、北海道「釧路湿原」侵食するソーラーパネルの深刻 天然記念物も生息する日本最大の湿原に異変、不名誉な「化石賞」の常連となった日本...深刻すぎる化石燃料「依存症」の理由は いったい何なのか?) 環境問題
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介護(その9)(親の介護で一家離散 2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実、2040年「要介護人口1000万人」時代 介護費用1.4倍と負担さらに重く、東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護 NGワードだった「生活保護」) [社会]

介護については、昨年12月14日に取上げた。今日は、(その9)(親の介護で一家離散 2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実、2040年「要介護人口1000万人」時代 介護費用1.4倍と負担さらに重く、東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護 NGワードだった「生活保護」)である。

先ずは、昨年12月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した株式会社リクシス創業者・代表取締役副社長 CSOの酒井 穣氏による「親の介護で一家離散、2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/332342
・『2025年以降の日本では、団塊世代の親の介護に追われるビジネスケアラーが急速に増加すると予測されている。ビジネスケアラーとは、「働きながら介護する人」「仕事と介護を両立している人」のこと。介護にかかる莫大な費用に終わりの見えない介護期間……働き盛りの介護リスクにあなたは備えているだろうか。本稿は、酒井穣『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『介護で仕事を辞めたら再就職できず できても年収は男性4割、女性5割減少  介護のために仕事を辞めてしまった場合、再就職までにかかる期間はどれくらいだと思いますか? この期間として統計的に最多となっているのは1年以上です(男性の38.5%、女性の52.2%)。1年以上も仕事から離れていて、条件のよい就職先が見つかると思いますか?現実として、運よくあらたな職場を得たとしても、収入は男性で4割減、女性で半減するというデータがあります。 介護を理由に仕事を辞めるなら、まず、1年以上収入が途絶え、再就職できたとしても今の半分程度の年収になっても生きていけるだけの貯金が必要です。貯金が足りないまま辞めてしまえば、親が資産家でもないかぎり、あなたは生活保護を申請することになります。 ご存じのとおり、生活保護は、申請さえすれば簡単に受けられるというものでもありません。仮に住宅ローンや自動車ローンが残っていれば、そうした資産を手放すことになり、一家離散という可能性さえ出てくるのです(脅しではなく、現実です。個人的にも、こうして一家離散したケースを複数聞いています) 介護は、いちど始まると、いつ終わりになるか予想ができません。子育てとは真逆で、介護は、時間とともに負担が増えるという特徴もあります。 介護期間の目安となるのは、平均寿命から健康寿命(心身健康でいられる年数)を引いた年数です。日本でこれは、だいたい10年程度(男性8.7年、女性12.1年/2019年)になります。ですから介護生活は、少なくとも10年は続くことを想定しておく必要があります。) しかも、この期間のうちに、老化をともないながら、親の健康状態は悪化していくのが普通です。はじめは半身不随などの身体的な問題だったところに、認知症(重度化すると意思の疎通ができなくなる)も重なってきたりします。 仕事を辞め年収が半分になって10年も経つと、ビジネスケアラーとして働き続けた場合からは想像もできないほどの貧困になります。 さらに今後の日本は、物価高になっていくと予想されています。いつ終わるともしれない介護に悩まされながら金銭的にも厳しくなると、精神的な余裕がなくなり、虐待にもつながることもあります。 あなたの親は、自分の愛する子どもが、自分の介護のせいで、そうした状態になることを本当に望んでいるでしょうか』、「介護期間の目安となるのは、平均寿命から健康寿命(心身健康でいられる年数)を引いた年数です。日本でこれは、だいたい10年程度(男性8.7年、女性12.1年/2019年)になります。ですから介護生活は、少なくとも10年は続くことを想定しておく必要があります・・・仕事を辞め年収が半分になって10年も経つと、ビジネスケアラーとして働き続けた場合からは想像もできないほどの貧困になります」、なるほど。
・『介護の負担額は平均月7、8万円 介護期間の見積もりは平均14年  金銭的な話をすると「うちの親にはそれなりに資産があるから大丈夫」と考える人もいるかもしれません。しかしそれは、本当でしょうか。先回りしておきますが、介護には相当なお金がかかり、仮に資産が十分にあったとしても、大丈夫ではありません。 そもそも、介護にかかるお金(介護保険でカバーされない自己負担部分)がいくらくらいになるのか、誰もが不安に思っているでしょう。 これを実際のデータで見ると、バリアフリー化や介護ベッド、緊急対応の交通費や宿泊費といった初期費用(一時費用/自己負担)としてかかっているのは、平均で80万~90万円程度でした(この数字はバラツキが大きいため注意も必要です)。また、毎月かかっている費用(自己負担)は、平均で7万~8万円程度になります。 脅しではなく、日本の社会保障は、少子高齢化と税収の低迷を受けて、劣化していくでしょう。ですから、このような介護にかかるお金の平均もまた、今後、必ず上がっていきます。そのうえ、おそらくは物価も上がっていくことになるのです。 冷静に考えれば、これからの介護の費用が実質的に上がっていくことは、想定に入れておく必要があることがわかるでしょう。 それでは実際に、介護をしている人々は、どう考えているのでしょう。) まず、実際に想定されている介護期間の平均は、169.4カ月(14年1カ月)でした。先に10年は想定しておくべきであることを述べましたが、多くの人は、それ以上の期間を想定して準備しているのです。なんとなく、子育てと同じ程度の期間が想定されていることは興味深いですね。 もちろん、実際にこれだけの期間がかかるかどうかは、それぞれに事情が異なるため、なんとも言えないところではあります。ただ、平均的には、それだけの期間の見積もりをしているという点に位は意味があります。 客観的に考えると、毎月の実質的な費用(自己負担)となる平均7万~8万円が、169.4カ月間かかり続けることを想定するのが普通ということです。 ここから介護のランニングコストは、合計で約1186万~1355万円となります。初期費用も考えれば、1266万~1445万円の費用です。 かなりの大金ですが、しかもこれは平均であって、運が悪ければもっとかかることも考えておかなくてはなりません。 さらにこの想定では、介護が必要になる人が1人という計算になっていることにも注意してください。両親同時に介護が必要になるケースも多数あり、その場合は、単純に2倍とはならないものの、2000万円以上の準備が必要になると考えられます。 ピンピンコロリと、介護を必要とせずに亡くなる人(急死)は、全体の5%程度に過ぎません。基本的には、誰もが、何らかの介護を受けながら亡くなっていくと想定しておくべきでしょう。 しかも、ここまでの話は、あくまでも介護にかかる費用に関することに限定されています。このほかにも家賃や住宅ローン、生活費や各種税金などのためのお金も必要になることを忘れないでください。長い闘病生活などがある場合もまた、想定しておくべき費用は大きくなります。 ここで、日本の高齢者の貯蓄額は、世帯平均で1268万円です。この数字だけを見ると、意外と貯蓄があるように感じられるかもしれません。これだけの貯蓄があれば、年金と合わせれば、2000万円程度の介護費用はなんとかなりそうにも感じられます。 しかしこの数字は、富裕層が押し上げているにすぎません。実際に、貯蓄額が1000万円以下の世帯は、全体の過半数(57.9%)になっています。生活費のことを考えれば、約6割の高齢者が、介護のための費用が準備できていないと結論づけることができるのです。) ここまでの話を総括すると、・親に2000万円を超える預貯金があって年金もしっかりもらえている ・両親が同時ではなく、どちらか一方の介護だけが必要 という条件が成立するときだけ、ギリギリではあるものの、親の介護のために子どもがお金を持ち出す必要がない可能性もあります。 ただ、この2つの条件が当てはまる人は少数というのが現実です。仮に、この2つの条件に当てはまる場合でも、生活レベルが高く、毎月の出費も平均以上ということであれば、安心はできません。 親の介護費用は、親の年金や預貯金でやりくりするのが基本です。しかし現実には、親の介護のために子どもがお金を持ち出すというのは、程度問題ではあれ、まず避けられません。 そんなとき、自分が介護で仕事を辞めていたらどうなるでしょう。自分の収入が途絶えていたら、持ち出すお金もありません。そうなれば、親の介護は、介護のプロにお願いすることもできず、自分の手でやらなければならなくなるでしょう。 それでも、なんとか自分の手で介護を乗り切れたとしましょう。しかし将来、いざ自分自身に介護が必要になった場合は、どうするのでしょう。誰かに介護をしてもらう必要が出てきたとき、自分のための貯蓄が不十分であれば、一体、誰に自分の介護をお願いするのでしょう。 親の介護に対してお金を持ち出すためだけでなく、将来の自分自身に必要となる介護のお金のためにも、介護離職という選択肢は、非常に厳しい(とても贅沢な)ものになります』、「ピンピンコロリと、介護を必要とせずに亡くなる人(急死)は、全体の5%程度に過ぎません。基本的には、誰もが、何らかの介護を受けながら亡くなっていくと想定しておくべきでしょう」、誰もが理想とする「ピンピンコロリ」は「全体の5%程度に過ぎません・・・実際に、貯蓄額が1000万円以下の世帯は、全体の過半数(57.9%)になっています。生活費のことを考えれば、約6割の高齢者が、介護のための費用が準備できていないと結論づけることができる・・・親の介護に対してお金を持ち出すためだけでなく、将来の自分自身に必要となる介護のお金のためにも、介護離職という選択肢は、非常に厳しい(とても贅沢な)ものになります」、なるほど。

次に、本年1月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「2040年「要介護人口1000万人」時代、介護費用1.4倍と負担さらに重く」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/337375
・『介護地獄はますます深刻化する 介護のための離職者も10万人に近づく  介護が必要な要支援・介護認定者数は、2021年度末で約690 万人 となった(第1号被保険者だけでは約680万人、注1)。公的介護保険制度がスタートした00年度の認定者数約256万人に比べると、約2.7倍だ。 一方で、厚生労働省の雇用動向調査によると、21年に個人的理由で離職した人のうち「介護・看護」を理由とする人は約9.5万人に上った。いったん要介護状態になると、そこから抜け出せないことが多い。家族に要介護者が出れば、その家族は大きな影響を受けざるをえない。 介護は多くの人が直面する深刻な問題となっているが、40年頃には、要介護認定者数は約988万人に達すると推計されている(注2)。 老々介護や介護離職など「介護地獄」は、今後はますます深刻化する。介護問題への対応は社会全体の最重要課題だ』、「介護は多くの人が直面する深刻な問題となっているが、40年頃には、要介護認定者数は約988万人に達すると推計されている」、なるほど。
・『介護認定、65歳以上では全体の2割だが 85歳以上では6割、介護を受けないのは稀なこと  介護保険制度のもとで、介護サービスの対象になっている65歳以上の第1号被保険者のなかで、何らかの介護認定を受けている人は全体の18.9%、つまり2割弱だ。(図表1) 決して低い比率ではないが、それでも、5人に4人は介護・支援が必要にならないような気がする。 (図表1 第1号被保険者の状況 はリンク先参照) しかし、実はそうではない。このことは、データで確かめられる。要支援・介護になる人の比率を年齢階級別に示すと、図表2のとおりだ。 18.9%という数字は、第1号被保険者の全ての年齢階級についての平均値だが、要支援・介護の必要性は年齢が上がると急上昇するからだ。 (図表2 年齢別要支援要介護比率(男女計、単位 %) はリンク先参照) 図表2に示されているように、要支援・介護の比率は、85歳以上になると58.8%にもなる。夫婦が同年齢と仮定すれば、夫婦のどちらも要支援・介護になる確率が34.6%もある。どちらかが要支援・介護になる確率は48.9%と、半分近くになる。どちらも要支援・介護にならない確率は、17.0%でしかない。 85歳以上になると、介護という問題から全く逃れられていられるのはむしろ稀な事態になってしまうのだ。何かの拍子に転んで骨折し、介護が必要な状況になるということなどがごく普通に起きてしまう。 このように、18.9%という数字は大いにミスリーディングだ。介護問題の深刻度は、年齢の差を考慮しない平均値では理解できないものなのだ。 しかも介護は高齢者だけの問題ではない。若くて自分自身は介護が必要なくても、両親が要介護状態になるという問題が起きる。 こう考えると、介護問題は全ての日本人にとって最重要の問題の一つということができる』、「18.9%という数字は、第1号被保険者の全ての年齢階級についての平均値だが、要支援・介護の必要性は年齢が上がると急上昇・・・要支援・介護の比率は、85歳以上になると58.8%にもなる。夫婦が同年齢と仮定すれば、夫婦のどちらも要支援・介護になる確率が34.6%もある。どちらかが要支援・介護になる確率は48.9%と、半分近くになる。どちらも要支援・介護にならない確率は、17.0%でしかない・・・介護問題の深刻度は、年齢の差を考慮しない平均値では理解できないものなのだ。 しかも介護は高齢者だけの問題ではない。若くて自分自身は介護が必要なくても、両親が要介護状態になるという問題が起きる」、なるほど。
・『介護費用、単純計算で2040年に1.4倍 労働人口は8割に減少、負担はより重く  公的介護制度が維持されることを誰もが切実に望んでいる。だが、それは決して容易なことではない。 要介護認定者数は2040年頃ピークになり、「要介護人口1000万人」時代になる。現在、約690 万人が988万人になるのだから、単純に考えれば介護に要する費用は現在の1.43倍になる。 財源の面から制度の維持がこのままでは難しくなるだろう。 現在、介護保険からの給付金に要する費用は、保険料50%、公費50%で分担している。公費のうちの負担割合は国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%だ。この分担割合を変えないとすれば、公費も保険料総額も1.43倍に引き上げる必要がある。 これ自体が極めて困難な課題だが、負担のかなりの部分を背負わなければならない労働年齢人口(15~64歳の人口)が、20年の 7508万人から40年の6213万人へと約82.7%に減るため、労働人口一人当たりでみれば負担率はもっと上がる。 第1号被保険者の保険料の21年の全国平均は1カ月あたり6014円だ。しかし、所得が多ければ、年間保険料は20万円を超えている』、「「要介護人口1000万人」時代になる。現在、約690 万人が988万人になるのだから、単純に考えれば介護に要する費用は現在の1.43倍になる。 財源の面から制度の維持がこのままでは難しくなるだろう・・・労働年齢人口(15~64歳の人口)が、20年の 7508万人から40年の6213万人へと約82.7%に減るため、労働人口一人当たりでみれば負担率はもっと上がる」、なるほど。
・『高所得者の保険料や自己負担 24年度に引き上げの議論  2023年11月6日の社会保障審議会の介護保険部会で、介護保険料の引き上げ案が示された。部会では65歳以上の高齢者について、給与や年金などの年間所得水準が高い人たちの介護保険料を引き上げる案が了承され、24年度の制度改正での実現を目指すこととされた。 厚生労働省は、24年度から引き上げる方針だ。給与や配当、年金など年間の合計所得420万円以上の人を対象に、それぞれ所得に応じて階層を細分化して負担額を上げる。 介護サービスの負担は保険料だけではない。介護保険制度では、介護サービスを受ける人の自己負担がある。自己負担の仕組みは、サービスの種類や本人の所得などによって決まる極めて複雑なものになっているが、基本は次のとおりだ。 自己負担率は基本1割だが、所得が多くなれば2割・3割負担になる。所得が多く、介護費用が多額であれば、自己負担額もかなり高くなる(ただし、「高額介護サービス費における負担限度額」の制度があるため、無制限に増えるわけではない) ただそれでも所得が高い階層では月額4万4400円だから、かなりの額だ。 政府は、24年度に介護サービス利用費の自己負担についても、2割自己負担の対象を広げる方針を示し、少子化対策の財源確保に向けた社会保障改革の計画「改革工程」の素案に盛り込んだ。 改革工程は、23年12月5日の経済財政諮問会議で示され、28年度までに金融所得や資産を考慮した負担の在り方を検討するという。 当初は23年中に自己負担の拡大の具体案をまとめるとされていたが、この問題の検討は24年度以降に引き続き行われることになる。 介護地獄の緩和のためには負担増の問題にきちんと向き合う必要がある。 注1 厚生労働省「令和3年度 介護保険事業状況報告(年報)」。なお、第1号被保険者は65歳以上の人で、第2号保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者。 注2 経済産業省「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」(平成30年3月)』、「自己負担率は基本1割だが、所得が多くなれば2割・3割負担になる。所得が多く、介護費用が多額であれば、自己負担額もかなり高くなる(ただし、「高額介護サービス費における負担限度額」の制度があるため、無制限に増えるわけではない) ただそれでも所得が高い階層では月額4万4400円だから、かなりの額だ・・・28年度までに金融所得や資産を考慮した負担の在り方を検討するという・・・介護地獄の緩和のためには負担増の問題にきちんと向き合う必要がある」、その通りだが、高所得層には高負担を受け入れる覚悟が必要なようだ。 

第三に、1月31日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したNPO法人二十四の瞳・社会福祉士の山崎 宏氏による「東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護、NGワードだった「生活保護」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/337898
・『日本では年々、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が増えています。しかし、子育てと違い、何年で終わるか分からない上にだんだん負担が重くなっていく介護を自宅で行うのは本当に大変です。仕事との両立に悩んだり、妻に離婚されてしまったりと、さらなる不幸に襲われることも珍しくありません。筆者のところにも、たくさんのビジネスケアラーから相談が持ちかけられます。今回は、ある東大卒エリートのケースを紹介します』、興味深そうだ。
・『今年、ビジネスケアラーは300万人を超える  2025年、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者になり、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が300万人を超える見込みです。そうなると注目されるのが、介護離職問題です。 「人は誰しも、自分は正しいと思っている。特別だ、人とは違う、と思っている。(本気になれば)まだまだ自分はデキると思っている」 何かの本でそんなフレーズを読んだことがあります。長年いろいろな人の相談に応じていると、この傾向がもっとも顕著だと感じるのが高学歴の人です』、「2025年、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者になり、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が300万人を超える見込みです。そうなると注目されるのが、介護離職問題です」、なるほど。
・『東大卒ビジネスエリートからの相談  東京大学を卒業し、ビジネス界で活躍してきた60歳の男性、Aさん。学歴が高いことで自己評価が高い彼は、「自分は人とは違う、まだまだデキる」と思っているタイプです。東大を卒業した後、官僚や政治家ではなく、一部上場企業でのキャリアを歩んできた彼は、出世競争に敗れ、年齢とともに困難な状況に直面していました。 Aさんからの相談は、解決に至るまでにかなりの時間を要しました。半年くらいの間に、面談を5回も行いました。というのは、彼にとって都合が悪い事実を小出しにしてくるのです。最初から全て話してくれればいいのに……とも思いましたが、彼が心を整理するためには、それだけの時間が必要だったということなのでしょう。 Aさんの92歳の母親はアルツハイマー型認知症を患い、第二フェーズに突入していました。第二フェーズとは、初期の認知障害フェーズから、徘徊(はいかい)や暴言、不潔行為といった周辺症状(問題行動)へ移行した状態です。 最初に相談を受けたとき、Aさんは、5年以上介護を続けている64歳の妻から離婚を切り出されたと言っていました。半年ほどたち、最終的に義母の介護に限界を覚えた妻は、実家へ帰ってしまいました。八方塞がりになった彼は、ようやく覚悟を決めることができました。プライドの高い彼は、「最後まで母の面倒を見ることができない嫌悪感」「母親を施設に預けることへの罪悪感」「親族や近隣住民への負い目」「福祉へのスティグマ(偏見、蔑視)」に苦しみ、これらの感情を消化するのに半年以上の時間を要したということでしょう』、「一部上場企業でのキャリアを歩んできた彼は、出世競争に敗れ、年齢とともに困難な状況に直面していました。 Aさんからの相談は、解決に至るまでにかなりの時間を要しました。半年くらいの間に、面談を5回も行いました。というのは、彼にとって都合が悪い事実を小出しにしてくるのです。最初から全て話してくれればいいのに……とも思いましたが、彼が心を整理するためには、それだけの時間が必要だったということなのでしょう」、プライドが高いのに、「出世競争に敗れ」た現実を受け入れるのは時間がかかる筈だ。
・『「施設より在宅介護のほうが安い」は間違い  ビジネスケアラーの人たちの中は、Aさんと似た感情を持つ人が多くいます。「親を扶養から外し、生活保護を受給すれば施設に入れられますよ」とアドバイスしても、心の整理がつかず、仕事と家庭、そして介護のバランスを取ろうと苦悩しながら、在宅介護を続けています。 一方、親の側も、「施設はお金がかかるから」と考え、娘や息子の家で介護を受け続けます。実際には、子どもたちが買い物や食事、掃除洗濯、見守りといったコスト(お金や時間)を肩代わりしてくれているので、見かけ上、施設に入るよりも安くなっているに過ぎません。家事代行サービスを利用すれば、月額約10万円はかかるでしょう。 しかし、親の介護状況が悪化したり、認知症の症状が進んでいったりすると、子どもたちの感情は徐々にネガティブなものに変わっていきます。介護はいつ終わるかが分からない上、終結に至るまで7~8年かかるのが当たり前。しかも出産・育児と異なり、どんどん負担は重くなっていくのです。その間、老いて壊れていく親と閉じられた空間で時間を共有し続けるのですから、当初は親孝行と思っていた気持ちに変化が生じるのも自然なことです』、「介護はいつ終わるかが分からない上、終結に至るまで7~8年かかるのが当たり前。しかも出産・育児と異なり、どんどん負担は重くなっていくのです。その間、老いて壊れていく親と閉じられた空間で時間を共有し続けるのですから、当初は親孝行と思っていた気持ちに変化が生じるのも自然なことです」、その通りだ。
・『解決策をアドバイスしても、Aさんが納得しなかった理由は……  こうして家族で在宅介護を行った末に、親の死を迎えたビジネスケアラーたちが感じるのは、悲しみよりもむしろ安堵感です。長年の介護生活を経て、彼らは人生をやり直すことの難しさと、長い期間にわたる自己犠牲の日々を振り返り、亡くなった親に対するネガティブな気持ちを抱えながら生きていくことになるのです。これは悲しいことです。親への感謝や報恩の思いから始まった介護が、最終的には「親のせいで……」という恨みに変わることを意味します。お墓参りをしても、墓前で愚痴をこぼすようになってしまっては、天国の親御さんも浮かばれません。 東大卒のAさんのケースは、この問題の典型例です。私はAさんに、最初の面談のときから伝えてきました。 ・親にとって、(自宅で、介護の素人である嫁に介護してもらうより)施設のほうがはるかに安心・安全で快適 ・配偶者(妻)に義母の介護をする義務はない ・「お金がないから施設に入れない」ということはない。方法はある ・親は、自分のことで子どもの仕事や家庭に支障をきたすことを望んでいない ・ご自身の人生を取り戻してほしいし、配偶者にもそうしてあげてほしい 半年以上にわたる全5回の面談で、私が伝えたことは一貫して同じです。さらにAさんの母親の状態から考えると、個室で過ごさせるよりも、スタッフの出入りが頻繁な(特別養護老人ホーム、もしくは介護老人保健施設の)多床室がベターとも伝えていました。 公的施設だけでなく、最近は民間の施設でも生活保護受給者を受け入れるところが増えてきた、という話もしたのですが、今思うと、Aさん本人から経済事情について言及される前に余計なことを言ってしまったと、反省しています。高学歴でプライドが高い彼にしてみれば、「生活保護」はNGワード、禁句だったのです』、「高学歴でプライドが高い彼にしてみれば、「生活保護」はNGワード、禁句だったのです」、扱い難さでは、並外れているようだ。
・『東大卒の相談者が泣き崩れた瞬間  最終的にAさんは、なぜ母親を施設に入れると決心が付いたのか? そのきっかけは意外なものでした。 よくよく話を聞いてみると、彼は月額14万5000円までなら負担できると言うのです。それであれば生活保護を受けなくても余裕で施設に入れる、と伝えたところ、驚いたことに彼は、声を上げて泣きながらその場に崩れ落ちたのです。号泣も号泣、大号泣でした。いつも彼が行きつけにしているビストロの個室で会っていたのですが、本当に個室でよかったです。 それは、彼がはじめて感情をあらわにした瞬間でした。泣きじゃくりながら、繰り返し繰り返し、自分の情けなさを口にしていました。それから30分は話になりませんでした。でも、涙が枯れた後に今後の進め方についてガイダンスすると、すんなりと納得してもらうことができました。 彼には二つの選択肢を提示しました。具体的には、「都内の(特別養護老人ホームか介護老人保健施設の)多床室施設」と、「遠方にある民間施設、サ高住(医療法人が経営する、サービス付き高齢者向け住宅)の個室」です。結局、彼は南九州のサ高住を見学に行くことにし、同時に母親のショートステイの手配をしました』、「彼は月額14万5000円までなら負担できると言うのです。それであれば生活保護を受けなくても余裕で施設に入れる、と伝えたところ、驚いたことに彼は、声を上げて泣きながらその場に崩れ落ちたのです。号泣も号泣、大号泣でした・・・彼は南九州のサ高住を見学に行くことに」、なるほど。
・『「お金がないから在宅介護しかない」は誤解  しこたま涙を流した後、Aさんはつき物が落ちたように、穏やかな表情と口調になりました。人はこんなにも変わるんだ、とちょっと感動したほどです。「東大卒も人の子だな」なんて思ってしまったのは、私の東大コンプレックスでしょうか……。 涙を流すことで、心にたまっていた澱(おり)のような感情が解放され、気持ちが浄化されることを「カタルシス」と呼んだのは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスです。東大卒ビジネスエリートの大号泣を目の当たりにして、2000年以上前にこのことを『悲劇論』の中で書き残したアリストテレスは、途方もなく偉大な人物だ……などと考えていたのでした。 冒頭に書いたとおり、ビジネスケアラーはどんどん増えています。ビジネスケアラーの皆さんに伝えたいのは、「自分で介護を行う以外にも選択肢がある」ということです。真の親孝行とは、仕事や家庭に支障をきたしながら、自己犠牲の下で親の介護をすることではありません。仕事を頑張って、幸せな家庭を築いて、毎日を笑顔で過ごしてほしい。心からそう願っています』、「ビジネスケアラーの皆さんに伝えたいのは、「自分で介護を行う以外にも選択肢がある」ということです。真の親孝行とは、仕事や家庭に支障をきたしながら、自己犠牲の下で親の介護をすることではありません。仕事を頑張って、幸せな家庭を築いて、毎日を笑顔で過ごしてほしい。心からそう願っています」、その通りだ。
タグ:酒井 穣氏による「親の介護で一家離散、2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実」 ダイヤモンド・オンライン 「一部上場企業でのキャリアを歩んできた彼は、出世競争に敗れ、年齢とともに困難な状況に直面していました。 Aさんからの相談は、解決に至るまでにかなりの時間を要しました。半年くらいの間に、面談を5回も行いました。というのは、彼にとって都合が悪い事実を小出しにしてくるのです。最初から全て話してくれればいいのに……とも思いましたが、彼が心を整理するためには、それだけの時間が必要だったということなのでしょう」、プライドが高いのに、「出世競争に敗れ」た現実を受け入れるのは時間がかかる筈だ。 「2025年、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者になり、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が300万人を超える見込みです。そうなると注目されるのが、介護離職問題です」、なるほど。 山崎 宏氏による「東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護、NGワードだった「生活保護」」 「自己負担率は基本1割だが、所得が多くなれば2割・3割負担になる。所得が多く、介護費用が多額であれば、自己負担額もかなり高くなる(ただし、「高額介護サービス費における負担限度額」の制度があるため、無制限に増えるわけではない) ただそれでも所得が高い階層では月額4万4400円だから、かなりの額だ・・・28年度までに金融所得や資産を考慮した負担の在り方を検討するという・・・介護地獄の緩和のためには負担増の問題にきちんと向き合う必要がある」、その通りだが、高所得層には高負担を受け入れる覚悟が必要なようだ。 「「要介護人口1000万人」時代になる。現在、約690 万人が988万人になるのだから、単純に考えれば介護に要する費用は現在の1.43倍になる。 財源の面から制度の維持がこのままでは難しくなるだろう・・・労働年齢人口(15~64歳の人口)が、20年の 7508万人から40年の6213万人へと約82.7%に減るため、労働人口一人当たりでみれば負担率はもっと上がる」、なるほど。 若くて自分自身は介護が必要なくても、両親が要介護状態になるという問題が起きる」、なるほど。 「18.9%という数字は、第1号被保険者の全ての年齢階級についての平均値だが、要支援・介護の必要性は年齢が上がると急上昇・・・要支援・介護の比率は、85歳以上になると58.8%にもなる。夫婦が同年齢と仮定すれば、夫婦のどちらも要支援・介護になる確率が34.6%もある。どちらかが要支援・介護になる確率は48.9%と、半分近くになる。どちらも要支援・介護にならない確率は、17.0%でしかない・・・介護問題の深刻度は、年齢の差を考慮しない平均値では理解できないものなのだ。 しかも介護は高齢者だけの問題ではない。 「介護は多くの人が直面する深刻な問題となっているが、40年頃には、要介護認定者数は約988万人に達すると推計されている」、なるほど。 野口悠紀雄氏による「2040年「要介護人口1000万人」時代、介護費用1.4倍と負担さらに重く」 護のお金のためにも、介護離職という選択肢は、非常に厳しい(とても贅沢な)ものになります」、なるほど。 「ピンピンコロリと、介護を必要とせずに亡くなる人(急死)は、全体の5%程度に過ぎません。基本的には、誰もが、何らかの介護を受けながら亡くなっていくと想定しておくべきでしょう」、誰もが理想とする「ピンピンコロリ」は「全体の5%程度に過ぎません・・・実際に、貯蓄額が1000万円以下の世帯は、全体の過半数(57.9%)になっています。生活費のことを考えれば、約6割の高齢者が、介護のための費用が準備できていないと結論づけることができる・・・親の介護に対してお金を持ち出すためだけでなく、将来の自分自身に必要となる介 「ビジネスケアラーの皆さんに伝えたいのは、「自分で介護を行う以外にも選択肢がある」ということです。真の親孝行とは、仕事や家庭に支障をきたしながら、自己犠牲の下で親の介護をすることではありません。仕事を頑張って、幸せな家庭を築いて、毎日を笑顔で過ごしてほしい。心からそう願っています」、その通りだ。 「彼は月額14万5000円までなら負担できると言うのです。それであれば生活保護を受けなくても余裕で施設に入れる、と伝えたところ、驚いたことに彼は、声を上げて泣きながらその場に崩れ落ちたのです。号泣も号泣、大号泣でした・・・彼は南九州のサ高住を見学に行くことに」、なるほど。 「高学歴でプライドが高い彼にしてみれば、「生活保護」はNGワード、禁句だったのです」、扱い難さでは、並外れているようだ。 「介護はいつ終わるかが分からない上、終結に至るまで7~8年かかるのが当たり前。しかも出産・育児と異なり、どんどん負担は重くなっていくのです。その間、老いて壊れていく親と閉じられた空間で時間を共有し続けるのですから、当初は親孝行と思っていた気持ちに変化が生じるのも自然なことです」、その通りだ。 「介護期間の目安となるのは、平均寿命から健康寿命(心身健康でいられる年数)を引いた年数です。日本でこれは、だいたい10年程度(男性8.7年、女性12.1年/2019年)になります。ですから介護生活は、少なくとも10年は続くことを想定しておく必要があります・・・仕事を辞め年収が半分になって10年も経つと、ビジネスケアラーとして働き続けた場合からは想像もできないほどの貧困になります」、なるほど。 酒井穣『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) (その9)(親の介護で一家離散 2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実、2040年「要介護人口1000万人」時代 介護費用1.4倍と負担さらに重く、東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護 NGワードだった「生活保護」) 介護
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タウン情報・街並み(その1)(「オタクに優しい秋葉原」はもうない…ぼったくりで稼ぐ“心の荒んだメイド”が増加したワケ、【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」、食堂 住居 テレビさらに学校まで…西葛西で暮らすインド人を無償でサポート…「リトル・インディアの父」が語った「壮絶過去」) [生活]

今日は、タウン情報・街並み(その1)(「オタクに優しい秋葉原」はもうない…ぼったくりで稼ぐ“心の荒んだメイド”が増加したワケ、【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」、食堂 住居 テレビさらに学校まで…西葛西で暮らすインド人を無償でサポート…「リトル・インディアの父」が語った「壮絶過去」)を取上げよう。

先ずは、昨年5月12日付け日刊SPA!「「オタクに優しい秋葉原」はもうない…ぼったくりで稼ぐ“心の荒んだメイド”が増加したワケ」を紹介しよう。
https://nikkan-spa.jp/1962910
・『2023年、反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。SNSでも話題だったニュースなどから1年を振り返る「炎上」部門、第9位はこちら!(集計期間は2023年1月~10月まで。初公開2023年5月12日 記事は取材時の状況。ご注意ください) 「日本がヤバい!」と言われ始めてしばらくたつが、本当にヤバくなってきた。国が貧乏になると悪いことしか起きないのだ。繁華街では、各地で目を覆いたくなるような犯罪が頻発している。日本に住んでいる身として、知っておいて損はない』、「「日本がヤバい!」と言われ始めてしばらくたつが、本当にヤバくなってきた」、どういうことなのだろう。
・『メイドカフェ5店舗が摘発、客引きの数も減ったようだが… 秋葉原  秋葉原では客引きは1店舗一人までというルールがある。通りでは行政から委託を受けた業者が注意喚起のアナウンスを行っていた 秋葉原がオタクの街から繁華街へと様子を変え始めたのは、’10年代後半のことだ。「メイド通り」と呼ばれるエリアにはコスプレ姿の若い女性たちがズラリと並び、通行人に対して常に声をかけていた。 しかし繁華街の宿命か、ぼったくりや風営法に違反する営業が横行し、’21年5月には過剰な接待を行っていたメイドカフェ5店舗が摘発。現在、秋葉原の路上に立つ客引きの数は減っているようにも思う』、「メイドカフェ5店舗」が「ぼったくりや風営法に違反」で「摘発」とは残念だ。
・『昼の客引きはむしろ増えている?  だが、ぼったくりはまだまだ健在だ。秋葉原でコンカフェを営む男性が実情を話す。 「夜の客引きの数は確かに減りましたが、昼はむしろ増えています。ターゲットをサラリーマンから外国人観光客と地方から来る客に替えたみたいですね。ぼったくりで稼ぐ店は依然として存在し、8000円ほどのシャンパンを頼まないとキャストと話せなかったり、無断でキャストがドリンクを飲みまくったりして、最後に4万~5万円を請求されます」』、「ターゲットをサラリーマンから外国人観光客と地方から来る客に替えたみたい」、「8000円ほどのシャンパンを頼まないとキャストと話せなかったり、無断でキャストがドリンクを飲みまくったりして、最後に4万~5万円を請求されます」、昔の素朴な「メイド」喫茶が懐かしい。
・『ホス狂いのメイドたちがオタクをカモに  かつて「オタクに優しい街」だった秋葉原は、「オタクに厳しい街」となった。その理由は街で働く女性たちの質が変わったことにある。 「ひと昔前までのメイドカフェといえば、オタクの女のコが勇気を出して面接に来るような場所でした。しかし、今メイドカフェやコンカフェで働いている女のコたちの中には歌舞伎町のホストクラブで夜な夜な遊んでいるコもたくさんいます。そのうち遊ぶカネがなくなり風俗嬢に転身するコもいるくらいです」(同) 男性いわく、ぼったくりで稼ぐ店のオーナーは「オタク出身の半グレにもなりきれないような不良」だという。当然、彼らの指示でぼったくりが行われているわけだが、キャストの女性たちも遊ぶカネ欲しさからぼったくりをしているのだ。 秋葉原では心の荒んだメイドに注意が必要だ』、「今メイドカフェやコンカフェで働いている女のコたちの中には歌舞伎町のホストクラブで夜な夜な遊んでいるコもたくさんいます・・・キャストの女性たちも遊ぶカネ欲しさからぼったくりをしているのだ。 秋葉原では心の荒んだメイドに注意が必要だ」、その通りだ。

次に、本年1月22日付け現代ビジネス「【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」」を紹介しよう。
・『江戸川区西葛西はインド人が集う街として知られる。その多くがIT技術者で日本のインフラを陰で支えている。この街を作り上げたのは、たった一人のインド人。彼が歩んだ壮絶な半生を辿ろう』、興味深そうだ。
・『インドと下町の融合  平日の夕方5時すぎ、東京メトロ東西線・西葛西駅のホームに降り立つと、授業終わりの学生やくたびれたサラリーマンにまじって、ラフな格好をしたインド人らしき姿が多く目に入る。タブレットを片手に、早足で改札をくぐる一人のインド人男性の後を追うと、そこには日本とは思えない異国情緒あふれる街並みが広がっていた。 ランドセルを背負った子ども、買い物袋を手に持った女性などインド人らしき人々の姿が当たり前の風景として視界に入る。駅周辺に立ち並ぶインド料理店や食材店の周囲では香辛料の香りが漂い、それらが混然となって街に溶け込んでいる。 ここ西葛西は日本でも屈指のインド人居住者の多い街であり、「リトル・インディア」とも呼ばれる。この街に暮らすインド人は3000人を超える。これは日本在留者の1割の人口だ』、「西葛西は日本でも屈指のインド人居住者の多い街であり、「リトル・インディア」とも呼ばれる。この街に暮らすインド人は3000人を超える。これは日本在留者の1割の人口だ」、ずいぶん多くの「インド人」が集中したものだ。
・『西葛西にインド人が多い理由  多くのインド人がこの街に居住する理由は3つある。 1つは西葛西周辺に貿易の拠点となる港や湾岸が点在しており、大きな貸倉庫があること。 2つめはビジネスの中心地である大手町や日本橋へ乗り換えなしで行くことのできる交通の利便性だ。 そして最も大きいのが3つめ――ある一人のインド人の功績だ。 「リトル・インディアの父」と呼ばれるその人物は現在71歳で、'70年代後半に単身、日本に渡り、紅茶の貿易、卸売事業で成功。以来、来日した同胞のため、無償で衣食住のサポートを行ってきたという。 いま、日本ではクルド人やミャンマー、カンボジアなど東南アジア系の外国人による犯罪やトラブルが顕在化しているが、ここ西葛西ではインド人による犯罪はほとんど起きていない。それも、この「リトル・インディア」の父を中心に強固なコミュニティが築かれているからだという。 いかにして西葛西はインド人の街となったのか。リトル・インディアが形成されるまでの足跡を解き明かすべく、本誌は在日インド人から「父」と尊敬を集める、その人物に取材を申し込んだ』、「多くのインド人がこの街に居住する理由は3つある。 1つは西葛西周辺に貿易の拠点となる港や湾岸が点在しており、大きな貸倉庫があること。 2つめはビジネスの中心地である大手町や日本橋へ乗り換えなしで行くことのできる交通の利便性だ。 そして最も大きいのが3つめ――ある一人のインド人の功績だ」、「3つめ」の「ある一人のインド人の功績」とはどういうことなのだろう。「西葛西ではインド人による犯罪はほとんど起きていない。それも、この「リトル・インディア」の父を中心に強固なコミュニティが築かれているからだという」、大したものだ。
・『リトル・インディアンの父の実像に迫る  取材当日、指定されたのは彼が経営する「シャンティ紅茶」だった。扉を開けると、複雑な紅茶の香りが鼻腔を抜けていく。店内はそう広くはないが、棚には白いパックに入れられた多種多様な紅茶が並んでいる。 レジに立っていた日本人女性のスタッフの案内に従い、店の中央にあるテーブルに座りながら彼を待った。 15分後、ストライプの入ったスーツに身を包んだインド人男性が奥の事務所から現れた。身長は170cm後半、顎には長い白ひげをたくわえており、威厳に満ちた風格だ。 記者があいさつをすると、 「どうもどうも。お待たせしてすみません。こういう者です」 という言葉とともに名刺を差し出す。いかにも日本的な所作に面食らいながら名刺を見ると、「ジャグモハン・チャンドラニ」と書いてある』、「ストライプの入ったスーツに身を包んだインド人男性が奥の事務所から現れた。身長は170cm後半、顎には長い白ひげをたくわえており、威厳に満ちた風格だ・・・いかにも日本的な所作に面食らいながら名刺を見ると、「ジャグモハン・チャンドラニ」、なるほど。

第三に、1月22日付け現代ビジネス「食堂、住居、テレビ、さらに学校まで…西葛西で暮らすインド人を無償でサポート…「リトル・インディアの父」が語った「壮絶過去」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/122818?imp=0
・『江戸川区西葛西はインド人が集う街として知られる。その多くがIT技術者で日本のインフラを陰で支えている。この街を作り上げたのは、たった一人のインド人。彼が歩んだ壮絶な半生を辿ろう。 この記事は前編『【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」』の続編記事です』、興味深そうだ。
・故郷を追われた過去  「この地で随分とご尽力なされたと伺いました。ぜひお話を聞かせてください」 記者がそう伝えると、チャンドラニさんは「いえいえ」と謙遜しながら、穏やかな口調でその半生を語り始めた。 「私の一族はもともと、インド西部のカラチ(現在はパキスタン領)に住んでいました。父はエンジニアでありながら貿易商もしており、音響機器の輸入販売で生計を立てていました。映画館も5つ所有しており、比較的裕福な家庭だったと記憶しています。 しかし、'40年代後半にインドで独立紛争があって、ヒンドゥー教徒の多くが故郷を追われました。暴力を振るわれたり、家を潰されたり、中には殺されたりしてしまう人もいた。両親はほとんど荷物も持たずにジョードプルという街に避難しました。私の家族は運よく飛行機で移動できましたが、船や汽車で移動した人たちの多くはその道中で殺されました。逃げるとき、母が服に縫い付けていた貴金属を換金し、私たちはジョードプルから、さらにコルカタに移動して何とか新たな生活を始めました」 一度はすべてを失ったチャンドラニさん一族だったが、長年、培ってきた商才を武器に親族が世界各国へ散らばり、貿易業で再び財を成した。 「私も大学院卒業後、父親の貿易会社に就職しました。転機が訪れたのは、ビジネスチャンスを求めてニューヨークへ向かう準備をしていたときのこと。関西で繊維業を営んでいた従兄弟から『日本のほうがチャンスがある』と言われたのです。当時は1ドル360円の時代。日本製の繊維、精密部品は品質が高く、人気が高かった。私は急遽、行き先を変えて貿易の仕事を東京で始めることにしました。いま思えば、これが運命の分かれ目だったのでしょうね」 当初は精密部品などの買い付けが目的で、短期滞在の予定だった。しかし、20代だったチャンドラニさんは血気盛んで、自分の力でビジネスを成功させたい、という気持ちが大きくなっていった。 そこで目を付けたのが、インドの紅茶の輸入販売だ。ただ、そこには言語の壁が立ちはだかる。買い付けだけだったら英語で事足りるが、日本人を相手に商売するとなるとそうはいかない』、「「私の一族はもともと、インド西部のカラチ(現在はパキスタン領)に住んでいました。父はエンジニアでありながら貿易商もしており、音響機器の輸入販売で生計を立てていました。映画館も5つ所有しており、比較的裕福な家庭だったと記憶しています。 しかし、'40年代後半にインドで独立紛争があって、ヒンドゥー教徒の多くが故郷を追われました。暴力を振るわれたり、家を潰されたり、中には殺されたりしてしまう人もいた。両親はほとんど荷物も持たずにジョードプルという街に避難しました。私の家族は運よく飛行機で移動できましたが、船や汽車で移動した人たちの多くはその道中で殺されました。逃げるとき、母が服に縫い付けていた貴金属を換金し、私たちはジョードプルから、さらにコルカタに移動して何とか新たな生活を始めました・・・「私も大学院卒業後、父親の貿易会社に就職しました。転機が訪れたのは、ビジネスチャンスを求めてニューヨークへ向かう準備をしていたときのこと。関西で繊維業を営んでいた従兄弟から『日本のほうがチャンスがある』と言われたのです。当時は1ドル360円の時代。日本製の繊維、精密部品は品質が高く、人気が高かった。私は急遽、行き先を変えて貿易の仕事を東京で始めることにしました。いま思えば、これが運命の分かれ目だったのでしょうね」 当初は精密部品などの買い付けが目的で、短期滞在の予定だった。しかし、20代だったチャンドラニさんは血気盛んで、自分の力でビジネスを成功させたい、という気持ちが大きくなっていった。 そこで目を付けたのが、インドの紅茶の輸入販売だ。ただ、そこには言語の壁が立ちはだかる。買い付けだけだったら英語で事足りるが、日本人を相手に商売するとなるとそうはいかない」、どうやって「日本」での「商売」を軌道に乗せたのだろう。
・『日本でのビジネス  チャンドラニさんは日本語学校に通い始めるものの、当時、インド人の生徒はほとんどいない。周りの生徒は中国人、台湾人、シンガポール人などもともと漢字になじみのある民族ばかり。自分のせいで授業に遅れが生じてしまうことに負い目を感じた彼は3ヵ月で学校を辞め、独学で日本語を身に着けた。 「拙い日本語で、必死に営業しました。当時は百貨店のお歳暮やお中元商戦が盛んでした。そこで百貨店の外商担当者にアプローチをしました。商品は自分で小分けにして瓶詰め箱詰めをし、ラップをかけて運びました。実際に飲んでいただき、顧客を獲得していきました。当時はまだ紅茶は狭い市場でしたが、少しずつホテルやレストランなどに納入できるようになっていったのです」』、「日本語学校に通い始めるものの、当時、インド人の生徒はほとんどいない。周りの生徒は中国人、台湾人、シンガポール人などもともと漢字になじみのある民族ばかり。自分のせいで授業に遅れが生じてしまうことに負い目を感じた彼は3ヵ月で学校を辞め、独学で日本語を身に着けた。 「拙い日本語で、必死に営業しました。当時は百貨店のお歳暮やお中元商戦が盛んでした。そこで百貨店の外商担当者にアプローチをしました。商品は自分で小分けにして瓶詰め箱詰めをし、ラップをかけて運びました。実際に飲んでいただき、顧客を獲得していきました。当時はまだ紅茶は狭い市場でしたが、少しずつホテルやレストランなどに納入できるようになっていった」、「非漢字圏」なので「独学で日本語を身に着けた」とは大したものだ。「顧客」「獲得」にはきっと大変な苦労があったのだろう。
・『時代の波に導かれて  そうして事業が軌道に乗り始めたチャンドラニさんは、再開発の始まった西葛西に倉庫を借りた。それがこの街が「リトル・インディア」になる始まりだった。 転機が訪れたのは、'97~'98年のこと。当時、日本では2000年問題(コンピューターシステムに不具合が生じると示唆された問題)が叫ばれ、企業の多くが不安に駆られていた。 そこで、企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった。 「人は家族や友人、社会から施してもらってはじめて生きていくことができる。自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない』、「2000年問題」で「企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった・・・自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない」、必要に応じて商売の範囲を着実に広げていったようだ。
・『私財もなげうった  さらに、家父長制が根強いインドでは食事は妻や母親が作っているので、男性には自炊の習慣がない。バナナ1本で日々を凌ぐなど、「お金はあるのに食べられない」という状況に多くのインド人が苦しんでいた。 「そこで彼らのためにボランティアの食堂をつくることにしました。そのためにインドから2人の料理人も呼んだ。在日インド人専用で、一食700円で自由に食べに来られる場所にしました。料理人の2人がスーパーに行って食材を買い、毎日違うメニューで家庭料理を提供するようにした。食事に関してはインドと同じ環境を作れば、心も安らぐだろうと思ったのです。 心の拠り所にもなりますし、ネットワーク作りにも役立ちました。経済的に大変でしたが、それ以上にみんなが喜んでいる姿を見られて嬉しかったですね」 2000年問題が過ぎた後も、インド人のITスキルを重宝した企業はそのまま彼らを正規雇用で迎えた。これまでは短期滞在が大半だったが、本格的に西葛西に根を下ろす人も増えてきた。 すると、彼らは本国から妻や家族を呼び寄せて生活を始める。自宅で食事が取れるようになったので、チャンドラニさんは若い夫婦のためにインド食材店をオープン。 さらに、家で時間を持て余す女性がインドの番組を見られるように香港からブロードバンド回線も買い取って視聴環境を整えた。 ほとんど持ち出しのお金で同胞のために尽くしてきたチャンドラニさんだが、次なる問題も起きた。それは育児環境。インドでは家族や隣人が手伝ってくれるのが当たり前だったが、日本では妻一人だけだ。疲労のあまりノイローゼになる人もいたという。 「ゲストハウスの一部を託児所に変え、日本で言う保育園を開設したのです。教師経験のあるインド人女性を雇い、遊具も設置しました。 いまはもう別の方に運営は譲りましたが、規模を拡大した現在では1200人ものインド人がこの施設で働き、学んでいます」 西葛西でかつて暮らしていたインド人の子どもたちは海外の大学を出て米国や英国の一流IT企業に勤める人も少なくない。それでも彼らにとっての「心のふるさと」は西葛西にある。休暇中に帰ってくると、地域住民は「おかえり」と暖かく迎え入れる。 「大人になった彼らはもちろん、京都や広島の観光地に遊びに行く。だけど、『やっぱり西葛西がいい』って言うんですよ。昔遊んだ公園、母親と買い物に行ったスーパーなどに行き、長い間、離れていたのに『昨日の続きのようだ』って笑顔を見せる。 かつては同じインド人のために活動してきましたが、いまはこの西葛西を日本人とインド人だけではなく、どんな国籍の人でも暮らしやすい街にしていきたいですね」 チャンドラニさんが作り上げたリトル・インディアには、かつての日本にあった「地域社会の繋がり」が強く残されていた』、「企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった。 「人は家族や友人、社会から施してもらってはじめて生きていくことができる。自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない・・・「ゲストハウスの一部を託児所に変え、日本で言う保育園を開設したのです。教師経験のあるインド人女性を雇い、遊具も設置しました。 いまはもう別の方に運営は譲りましたが、規模を拡大した現在では1200人ものインド人がこの施設で働き、学んでいます・・・西葛西でかつて暮らしていたインド人の子どもたちは海外の大学を出て米国や英国の一流IT企業に勤める人も少なくない。それでも彼らにとっての「心のふるさと」は西葛西にある。休暇中に帰ってくると、地域住民は「おかえり」と暖かく迎え入れる・・・チャンドラニさんが作り上げたリトル・インディアには、かつての日本にあった「地域社会の繋がり」が強く残されていた」、「リトル・インディア」はすっかり日本に定着したようだ。「チャンドラニ」氏が必要に応じて商売の範囲を拡大していった姿は見事という他ない。
タグ:タウン情報・街並み 。両親はほとんど荷物も持たずにジョードプルという街に避難しました。私の家族は運よく飛行機で移動できましたが、船や汽車で移動した人たちの多くはその道中で殺されました。逃げるとき、母が服に縫い付けていた貴金属を換金し、私たちはジョードプルから、さらにコルカタに移動して何とか新たな生活を始めました・・・ 「チャンドラニ」氏が必要に応じて商売の範囲を拡大していった姿は見事という他ない。 「リトル・インディア」はすっかり日本に定着したようだ。「チャンドラニ」氏が必要に応じて商売の範囲を拡大していった姿は見事だ。 いまはもう別の方に運営は譲りましたが、規模を拡大した現在では1200人ものインド人がこの施設で働き、学んでいます・・・西葛西でかつて暮らしていたインド人の子どもたちは海外の大学を出て米国や英国の一流IT企業に勤める人も少なくない。それでも彼らにとっての「心のふるさと」は西葛西にある。休暇中に帰ってくると、地域住民は「おかえり」と暖かく迎え入れる・・・チャンドラニさんが作り上げたリトル・インディアには、かつての日本にあった「地域社会の繋がり」が強く残されていた」、 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない・・・「ゲストハウスの一部を託児所に変え、日本で言う保育園を開設したのです。教師経験のあるインド人女性を雇い、遊具も設置しました。 「人は家族や友人、社会から施してもらってはじめて生きていくことができる。自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 「企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない」、必要に応じて商売の範囲を着実に広げていったようだ。 自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 「2000年問題」で「企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった・・・ 「非漢字圏」なので「独学で日本語を身に着けた」とは大したものだ。「顧客」「獲得」にはきっと大変な苦労があったのだろう。 現代ビジネス「食堂、住居、テレビ、さらに学校まで…西葛西で暮らすインド人を無償でサポート…「リトル・インディアの父」が語った「壮絶過去」」 いま思えば、これが運命の分かれ目だったのでしょうね」 当初は精密部品などの買い付けが目的で、短期滞在の予定だった。しかし、20代だったチャンドラニさんは血気盛んで、自分の力でビジネスを成功させたい、という気持ちが大きくなっていった。 そこで目を付けたのが、インドの紅茶の輸入販売だ。ただ、そこには言語の壁が立ちはだかる。買い付けだけだったら英語で事足りるが、日本人を相手に商売するとなるとそうはいかない」、どうやって「日本」での「商売」を軌道に乗せたのだろう。 たものだ。 現代ビジネス「【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」」 「メイドカフェ5店舗」が「ぼったくりや風営法に違反」で「摘発」とは残念だ。 「多くのインド人がこの街に居住する理由は3つある。 1つは西葛西周辺に貿易の拠点となる港や湾岸が点在しており、大きな貸倉庫があること。 2つめはビジネスの中心地である大手町や日本橋へ乗り換えなしで行くことのできる交通の利便性だ。 そして最も大きいのが3つめ――ある一人のインド人の功績だ」、「3つめ」の「ある一人のインド人の功績」とはどういうことなのだろう。「西葛西ではインド人による犯罪はほとんど起きていない。それも、この「リトル・インディア」の父を中心に強固なコミュニティが築かれているからだという」、大し 日刊SPA!「「オタクに優しい秋葉原」はもうない…ぼったくりで稼ぐ“心の荒んだメイド”が増加したワケ」 「ターゲットをサラリーマンから外国人観光客と地方から来る客に替えたみたい」、「8000円ほどのシャンパンを頼まないとキャストと話せなかったり、無断でキャストがドリンクを飲みまくったりして、最後に4万~5万円を請求されます」、昔の素朴な「メイド」喫茶が懐かしい。 「「私の一族はもともと、インド西部のカラチ(現在はパキスタン領)に住んでいました。父はエンジニアでありながら貿易商もしており、音響機器の輸入販売で生計を立てていました。映画館も5つ所有しており、比較的裕福な家庭だったと記憶しています。 しかし、'40年代後半にインドで独立紛争があって、ヒンドゥー教徒の多くが故郷を追われました。暴力を振るわれたり、家を潰されたり、中には殺されたりしてしまう人もいた。 「今メイドカフェやコンカフェで働いている女のコたちの中には歌舞伎町のホストクラブで夜な夜な遊んでいるコもたくさんいます・・・キャストの女性たちも遊ぶカネ欲しさからぼったくりをしているのだ。 秋葉原では心の荒んだメイドに注意が必要だ」、その通りだ。 「私も大学院卒業後、父親の貿易会社に就職しました。転機が訪れたのは、ビジネスチャンスを求めてニューヨークへ向かう準備をしていたときのこと。関西で繊維業を営んでいた従兄弟から『日本のほうがチャンスがある』と言われたのです。当時は1ドル360円の時代。日本製の繊維、精密部品は品質が高く、人気が高かった。私は急遽、行き先を変えて貿易の仕事を東京で始めることにしました。 「ストライプの入ったスーツに身を包んだインド人男性が奥の事務所から現れた。身長は170cm後半、顎には長い白ひげをたくわえており、威厳に満ちた風格だ・・・いかにも日本的な所作に面食らいながら名刺を見ると、「ジャグモハン・チャンドラニ」、なるほど。 「西葛西は日本でも屈指のインド人居住者の多い街であり、「リトル・インディア」とも呼ばれる。この街に暮らすインド人は3000人を超える。これは日本在留者の1割の人口だ」、ずいぶん多くの「インド人」が集中したものだ。 「「日本がヤバい!」と言われ始めてしばらくたつが、本当にヤバくなってきた」、どういうことなのだろう。 (その1)(「オタクに優しい秋葉原」はもうない…ぼったくりで稼ぐ“心の荒んだメイド”が増加したワケ、【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」、食堂 住居 テレビさらに学校まで…西葛西で暮らすインド人を無償でサポート…「リトル・インディアの父」が語った「壮絶過去」)
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災害(その15)(“能登群発地震”の原因は「東京ドーム23杯分の水」 去年5月の地震後に研究者が指摘していた「一番怖いシナリオ」、能登半島地震、北陸の観光地から上がる「悲鳴」 風評被害に資金繰り 閉業を考える温泉旅館も、「次は富士山の大噴火」は本当か?調べてわかった現状と“不安な備え”、富士山噴火でこの国が「大打撃」を受ける…火山灰の「意外な恐怖」) [社会]

災害については、2023年6月7日に取上げた。今日は、(その15)(“能登群発地震”の原因は「東京ドーム23杯分の水」 去年5月の地震後に研究者が指摘していた「一番怖いシナリオ」、能登半島地震、北陸の観光地から上がる「悲鳴」 風評被害に資金繰り 閉業を考える温泉旅館も、「次は富士山の大噴火」は本当か?調べてわかった現状と“不安な備え”、富士山噴火でこの国が「大打撃」を受ける…火山灰の「意外な恐怖」)である。

先ずは、先ずは、本年1月2日付けTBSニュースDIGが掲載した「“能登群発地震”の原因は「東京ドーム23杯分の水」 去年5月の地震後に研究者が指摘していた「一番怖いシナリオ」」を紹介しよう。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/538817?display=1
・『元日に石川県能登地方で最大震度7を観測した地震。被災地では大規模火災や津波の被害が徐々に明らかになってきています。珠洲市周辺ではおよそ3年にわたって活発な地震活動が続いていて、珠洲市では2023年5月にも、震度6強を観測していました。 この震度6強の後、研究者の間では大きく分けて2つのシナリオが考えられていました。そのうち「一番怖いシナリオ」と考えていたのが、「流体が活断層の深い所に達して、それがきっかけで大地震が起こる」こと。2023年5月のM6.5の地震が、“珠洲沖セグメント”と呼ばれる活断層でも地震を誘発するという考えです。 京都大学防災研究所の西村卓也教授は「活断層が隣にあるということは、隣で火事が起こっているのと同じような状態。危ない状態であることは間違いない」と指摘していました。2023年6月に取材した解説記事です。 (以下、情報は2023年6月時点のもの) 石川県珠洲市(すずし)周辺では2年半にわたって活発な地震活動が続いています。震度1以上の地震はこれまで400回以上に上り、2023年5月5日にはマグニチュード(M)6.5の地震で最大震度6強の揺れを観測しました。政府の地震調査委員会は、一連の地震活動は「当分続く可能性がある」として、今後も強い揺れに注意するよう呼びかけています。地震はなぜ起こるのか、いつまで続くのか。研究の最前線を取材しました』、「石川県珠洲市(すずし)周辺では2年半にわたって活発な地震活動が続いています。震度1以上の地震はこれまで400回以上に上り、2023年5月5日にはマグニチュード(M)6.5の地震で最大震度6強の揺れを観測しました。政府の地震調査委員会は、一連の地震活動は「当分続く可能性がある」として、今後も強い揺れに注意するよう呼びかけています」、突然ではなく、起こるべくして起きたようだ。
・『能登半島先端にある“本州最少の市”   石川県珠洲市は、県庁所在地の金沢市から車で2時間余り、日本海に突き出た能登半島の先端に位置しています。塩田(えんでん)と呼ばれる砂浜で海水を乾かして作る塩や、市内で産出される珪藻土を使った七輪、独特の黒色に仕上がる「珠洲焼」などが特産品として知られています。一方、人口約1万3000人のうち、半数以上は65歳以上の高齢者で、深刻な過疎化・高齢化に直面しています。 能登半島周辺では過去にも規模の大きな地震が発生しています。1993年2月7日の能登半島沖地震(M6.6)では、当時の震度階級で、輪島市で震度5を観測し、珠洲市を中心に30人がけがをしました。また1人が死亡、338人がけがをした2007年3月25日の能登半島地震(M6.9)では、珠洲市でも震度5強の揺れを記録しました』、どうやら「能登半島」は「地震」の巣のようだ。
・『「震度5弱~6強ありうる」 研究者が2年前から警鐘  珠洲市周辺で地震活動が活発になったのは2020年12月ごろ。当初は、珠洲市南部の飯田地区周辺で活動が活発でしたが、その後、震源が徐々に西側の若山地区や、日本海に面した大谷地区・狼煙(のろし)地区など、北側・東側の領域にも広がっていき、東西南北4つの震源域に分類されるようになりました。 研究者の間では、早い段階から規模の大きな地震への警戒が高まっていました。金沢大学の平松良浩教授は2021年7月の取材に対し「震度5弱、6弱、6強の揺れになることは考えられる」と指摘していました。 2021年9月16日にはM5.1の地震が発生し、珠洲市で最大震度5弱を観測。さらに2022年6月19日にはM5.4(最大震度6弱)、翌20日にはM5.0(5強)の地震が相次いで発生しました。地震活動はその後も収束することなく、震度1以上の地震は2021年は70回、2022年は195回に上りました』、「研究者の間では、早い段階から規模の大きな地震への警戒が高まっていました。金沢大学の平松良浩教授は2021年7月の取材に対し「震度5弱、6弱、6強の揺れになることは考えられる」と指摘していました。 2021年9月16日にはM5.1の地震が発生し、珠洲市で最大震度5弱を観測。さらに2022年6月19日にはM5.4(最大震度6弱)、翌20日にはM5.0(5強)の地震が相次いで発生しました。地震活動はその後も収束することなく、震度1以上の地震は2021年は70回、2022年は195回に上りました」、なるほど。
・『「群発地震」とは 収束まで数年かかるケースも  このように長い期間にわたって続く地震活動を「群発地震」と呼びます。 日本国内で起こる典型は「本震―余震型」と呼ばれるもので、一度大きな地震が発生した後、時間が経過するにつれて余震の回数が少なくなっていくパターンです。これに対し「群発地震」は、明確に本震と呼べる大きな地震がなく、長期間にわたって地震を繰り返していく現象です。収束まで数年かかるケースもあり、1965年から1970年にかけて長野県で発生した「松代群発地震」では震度1以上の有感地震が6万回を超えました。 群発地震は活火山の周辺で多くみられる現象ですが、珠洲市の周辺では活火山は知られていません。なぜ火山がない地域で、これほど長く地震が続いているのでしょうか』、「日本国内で起こる典型は「本震―余震型」と呼ばれるもので、一度大きな地震が発生した後、時間が経過するにつれて余震の回数が少なくなっていくパターンです。これに対し「群発地震」は、明確に本震と呼べる大きな地震がなく、長期間にわたって地震を繰り返していく現象です。収束まで数年かかるケースもあり、1965年から1970年にかけて長野県で発生した「松代群発地震」では震度1以上の有感地震が6万回を超えました。 群発地震は活火山の周辺で多くみられる現象ですが、珠洲市の周辺では活火山は知られていません。なぜ火山がない地域で、これほど長く地震が続いているのでしょうか」、確かに不思議だ。
・『地震とともに始まった“謎の地殻変動”  地震の原因を探るうえで1つの鍵になったのが、地震活動とともに始まった“謎の地殻変動”です。 地殻変動は、地球のマントルを覆う「地殻」に力が加わり、年に数ミリから数センチ程度、ゆっくりと動く現象です。こうした大地のわずかな動きを捉えるために、人工衛星からの電波を受信して地上の位置を正確に測る「GNSS」と呼ばれる仕組みが使われています。GNSSは衛星測位システムの総称で、中でもスマートフォンの位置情報やカーナビゲーションに利用され、広く知られているのがアメリカの「GPS」です。 国土地理院が約20キロ間隔で全国約1300か所に電子基準点を設置しているほか、近年は携帯電話会社も基地局に独自の基準点を設け、精度の高い観測を可能にしています。 断層がずれて地震が発生すると、地表では地殻変動が観測されます。言い換えれば、地殻変動を測ることで、地下で断層がどう動いたかを調べることも可能で、GNSSのデータを地震の予測に役立てようとする研究者もいます。京都大学防災研究所の西村卓也教授は、地殻変動のデータから地下の断層に溜まっているひずみを調べ、地震を予測する研究を20年以上行ってきました。 その西村教授も「前例がない」と話すほど珍しい動きが、珠洲市で起こったのです。 国土地理院が珠洲市内に設置した観測点では、地震活動が始まった2020年12月からの約1年間で、地盤が3センチほど隆起する謎の地殻変動が起こっていました。西村教授は「火山がないところで、これほど顕著な変動がみられることは今までなかった」といいます。 地殻変動の原因を探るため、西村教授や金沢大学などの研究グループは、2021年9月から、珠洲市や能登町に独自のGNSS観測機器を設置。さらにソフトバンクが提供するGNSS観測網のデータも組み合わせることで、研究グループは、2020年11月から2022年12月までに最大で約7センチの隆起を観測しました。また大谷小中学校とみさき小学校の2点間の距離が、観測を始めた2021年秋以降、約3センチ伸びるなど、珠洲市を中心に地盤が膨張する動きも捉えることに成功しました。 地殻変動が地震そのものによって引き起こされたものではないとすると、未知の何かが地盤を押し広げているはず。こうして1つの仮説が浮かび上がりました』、「2020年11月から2022年12月までに最大で約7センチの隆起を観測しました。また大谷小中学校とみさき小学校の2点間の距離が、観測を始めた2021年秋以降、約3センチ伸びるなど、珠洲市を中心に地盤が膨張する動きも捉えることに成功しました」、なるほど。
・『地震の原因は「水」?  研究者が考える群発地震のメカニズムです。2020年11月末から、大量の流体が地下深くから深さ16キロの領域にまで上昇。このとき、南側の領域で小規模な地震が繰り返し発生しました』、「研究者が考える群発地震のメカニズム」で「地震の原因は「水」?」というのは意外性がある。
・『研究者が考える群発地震のメカニズム  珠洲市の地下には、北西から南東方向に向かって傾斜する複数の断層が走っていると考えられています。流体はこの断層の隙間に流れ込み、周りの岩盤を押し広げるだけでなく、深さ14キロから16キロの領域で、地震を伴わないゆっくりとした断層の滑り=「スロースリップ」を引き起こしたと考えられています。流体は断層のさらに浅い部分にも広がり、北側の領域で地震活動が活発になりました。これまでに供給された流体の量は、およそ2900万立方メートル、東京ドーム23個分に上るとみられます。 地下の流体の移動やスロースリップが、長期にわたってこれほど精密に観測できた例は世界的に珍しく、西村教授や平松教授らの研究成果は2023年6月、国際的な学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。 ところで「流体」とはどのようなものなのでしょうか。活火山の近くで群発地震が発生するとき、流体はマグマであることが多いですが、研究者は、地震波の速さなどをもとに、珠洲市のケースでは「水」である可能性が高いと考えています。西村教授は、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で海水が日本列島の下に潜り込み、およそ10年かけて上昇してきた可能性もあるといいます。一方、地下深くにある流体を実際に採取するのは困難で、流体が何なのか、その正体は明らかになっていません』、「流体はマグマであることが多いですが、研究者は、地震波の速さなどをもとに、珠洲市のケースでは「水」である可能性が高いと考えています。西村教授は、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で海水が日本列島の下に潜り込み、およそ10年かけて上昇してきた可能性もあるといいます」、なるほど。
・『地下には流体の通り道? 「見えない水」を“見える化”  流体のありかを調べる研究も進んでいます。京都大学防災研究所の吉村令慧教授は、電流や磁気をもとに地下の構造を明らかにする研究を行っています。水などの流体は電気を通しやすいため、地下の電気の通しやすさを測ることで、流体がある領域を確認できるというのです。 こうした電気を通しやすい領域は、2007年の能登半島地震でも震源近くにあることが分かっていて、流体が地震を引き起こした可能性が指摘されています。 吉村教授らは2021年11月、珠洲市や能登町、輪島市の合わせて32か所に観測機器を設置し、地表から深さ20キロまでの構造を三次元的に解析しました。その結果、地震活動が始まった南側の領域の地下深くに、電気を通しやすい領域を発見。さらにその領域は、地震活動が活発な北側の領域に向かって続いていました。地下深くから流体が供給され、北側に流れていったとする西村教授らの仮説を裏付ける結果です。 吉村教授は「地震活動と非常に調和的な結果になっている。流体の存在を強く示唆する構造だ」としています。 研究グループは、陸上での観測機器を追加したほか、2022年9月には珠洲市周辺の海底にも機器を設置しました。今後は、連続した観測を行うことで、地震活動の推移予測につなげたいとしています』、「地下には流体の通り道? 」「水などの流体は電気を通しやすいため、地下の電気の通しやすさを測ることで、流体がある領域を確認できる」、なるほど。
・『地殻変動にも変化 収束か…  2023年3月。2年余り続いてきた地震活動の中で、研究者が初めて、収束について言及しました。 このとき、珠洲市北部の一部の地域を除いて、地殻変動も全体的に収束に向かっている様子が確認されていました。また活動の初期に大量の流体が上昇した南側の領域でも、流体の供給が1年以上、落ち着いていました。 平松教授は「変動の様子がやや収まってきている。この傾向がそのまま続くと、地震活動も徐々に落ち着くのではないか」としました。一方で「群発地震の場合、大きな地震がどういうタイミングで起こるかはかなり予測が難しい。地震活動の初期なのか、中期なのか、末期なのか、どこで最大規模の地震が起こるか分からない」として、引き続き強い揺れに注意するよう呼びかけました。 それからわずか1か月余り、震度6強の揺れが珠洲市を襲いました』、「「群発地震の場合、大きな地震がどういうタイミングで起こるかはかなり予測が難しい。地震活動の初期なのか、中期なのか、末期なのか、どこで最大規模の地震が起こるか分からない」として、引き続き強い揺れに注意するよう呼びかけました。 それからわずか1か月余り、震度6強の揺れが珠洲市を襲いました」、なるほど。
・『研究者にも“意外なタイミング”で震度6強  2023年5月5日午後2時42分ごろ、能登半島沖でM6.5の地震が発生。石川県が6月12日までにまとめたところ、1人が死亡、48人がけがをし、全壊34棟を含む944棟の住宅が被害を受けました。 研究者にとっても、この地震は驚きでした。西村教授は「ずっとこういう大きい地震が起こるのではないかという可能性は持っていたが、地震活動も地殻変動も収まってきている状況だった。あのタイミングで来るというのは若干意外だった」と明かしました』、「ずっとこういう大きい地震が起こるのではないかという可能性は持っていたが、地震活動も地殻変動も収まってきている状況だった。あのタイミングで来るというのは若干意外だった」、なるほど。
・『専門家が想定する“良いシナリオ”と“悪いシナリオ”  今後、地震活動は収束に向かうのか。5月5日のM6.5の地震の後、研究者の間では大きく分けて2つのシナリオが考えられています。 1つは、流体によって生じた断層のひずみが解消され、今後、徐々に地震活動が落ち着くという見方です。研究者が2023年3月に示したように、地殻変動は全体的に収束する傾向を見せていて、新たな流体の供給がないこともプラスに働いています。また世界的に見ても、この規模の群発地震は平均的に3年ほどで収束していて、一連の活動は終わりに近づいていると考えることができます。 一方、新たな懸念も浮上しています。5月5日の地震の前までは、震源の大部分は珠洲市北部の海岸近くに集中していました。 ところが、M6.5の地震の後、震源域が急激に北側の海域にも拡大。その震源域を横切るようにして走っているのが「珠洲沖セグメント」と呼ばれる海底活断層です。もし珠洲沖セグメントがずれ動くと、地震の規模はM7クラスに上ると予想されています。 研究者が今、「一番怖いシナリオ」と考えるのが、「流体が珠洲沖セグメントの深い所に達して、それがきっかけで大地震が起こる」こと。M6.5の地震が、珠洲沖セグメントでも地震を誘発するという考えです。西村教授は「活断層が隣にあるということは、隣で火事が起こっているのと同じような状態。危ない状態であることは間違いない」といいます。 そして海底活断層の場合、警戒をしなければならないのが「津波」です。石川県の津波浸水想定では、珠洲市北部の沿岸は地震発生から1分以内に津波が襲来すると予想されています。平松教授は「津波警報が出る前に津波が来ることも十分ありうる。強い揺れを感じたら、まずは津波の危険性を疑って避難行動をとってほしい」と呼びかけます』、「この規模の群発地震は平均的に3年ほどで収束していて、一連の活動は終わりに近づいていると考えることができます・・・新たな懸念も浮上・・・M6.5の地震の後、震源域が急激に北側の海域にも拡大。その震源域を横切るようにして走っているのが「珠洲沖セグメント」と呼ばれる海底活断層です。もし珠洲沖セグメントがずれ動くと、地震の規模はM7クラスに上ると予想されています。 研究者が今、「一番怖いシナリオ」と考えるのが、「流体が珠洲沖セグメントの深い所に達して、それがきっかけで大地震が起こる」こと。M6.5の地震が、珠洲沖セグメントでも地震を誘発するという考えです。西村教授は「活断層が隣にあるということは、隣で火事が起こっているのと同じような状態。危ない状態であることは間違いない」といいます。 そして海底活断層の場合、警戒をしなければならないのが「津波」です。石川県の津波浸水想定では、珠洲市北部の沿岸は地震発生から1分以内に津波が襲来すると予想されています」、「一番怖いシナリオ」が実現しないことを願うほかない。

次に、本年1月15日付け東洋経済オンライン「能登半島地震、北陸の観光地から上がる「悲鳴」 風評被害に資金繰り、閉業を考える温泉旅館も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/727329?display=b
・『加賀百万石――。加賀藩の領地として栄えた石川県。日本三大庭園の兼六園などがある金沢市はもちろん、和倉温泉(七尾市)、輪島朝市(輪島市)、白米千枚田(輪島市)など多くの観光地で知られている。 北陸きっての観光地を襲ったのが1月1日に発生した能登半島地震だ。1月11日時点では死者213人、安否不明者37人となっており、現在も余震がある中で捜索活動が続いている。 今回の大規模地震が観光地に与えた影響はどれほどか、その全貌はいまだ明らかになっていない。現地で宿泊施設を経営する当事者や業界団体への取材を通じて、甚大な被害と早急な支援の必要性が明らかになってきた』、興味深そうだ。
・『「建物の一部が野ざらしになっている」  「旧館と新館をつなぐジョイント部分が崩れて、建物の一部が野ざらしになっている。営業継続は不可能だ」。そう語るのは、宝仙閣グループの帽子山宗氏だ。 同グループは震源地に近い和倉温泉に施設を保有しており、甚大な被害を受けた。帽子山氏は業界団体・全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部の幹部も務めており、北陸地方の被災状況の情報収集に当たっている。 震源地となった能登半島では輪島温泉も有名だが、やはり地震で大きな打撃を受けた。帽子山氏によれば、海岸線の道路は崩落し、ホテルや旅館の中も大きく隆起。その様子は一変してしまったという。) 全旅連にもこうした悲痛の声が多く寄せられている。 「館内設備の破損により一部の客室が浸水、使用不可能になった。復旧には半年程度かかる見通し」(能登半島の宿泊施設) 「外壁がはがれ、上下水道が使用不能になり、営業は不可能」(別の能登半島の宿泊施設) 被害は施設だけではない。風評被害の影響も甚大だ。北陸地方では、地震による被害が比較的少なかった能登半島以外の宿泊施設でもキャンセルが相次いでいる。 帽子山氏が運営している山代温泉(加賀市)の宿泊施設でも、6月まで宿泊予約のキャンセルが発生しており、損失額は600万円だという。同地区は石川県の南西部に位置し、地震の被害は小さかった』、「北陸地方では、地震による被害が比較的少なかった能登半島以外の宿泊施設でもキャンセルが相次いでいる。 帽子山氏が運営している山代温泉(加賀市)の宿泊施設でも、6月まで宿泊予約のキャンセルが発生しており、損失額は600万円だという」、なるほど。
・『風評被害が続けば改装を決断できない  地震が起きた正月休みは宿泊施設にとって「最大の稼ぎ時」。高価な正月限定宿泊プランを販売し、通常より豪華な食事を提供する。売り上げの機会損失も大きかった。福井県の宿からは「越前ガニを仕入れていたため、キャンセルによる損失が大きい」という声が複数上がっている。 石川県内の宿泊施設では、最大1億円を超えるキャンセル損失がすでに発生している。旅館やホテルなどの宿泊施設は固定費が重く、売り上げの減少は経営悪化に直結しやすい。また風評被害が長引けば、3~4月の繁忙期の売り上げも厳しくなる。 震源に近い宿泊施設では建物が大きな被害を受けた。営業再開には建て替えを視野に入れた大規模リニューアルが必要。ただ、風評被害による宿泊キャンセルなどが始まり、先が見通せない中で大規模改装に踏み切るという決断はしづらい。 「コロナ禍が終わり金融機関への返済計画を立てていた。宿泊客も戻ってきたので『これで返していけるぞ』というタイミングだった。かなり厳しい」と、帽子山氏は吐露する。 閉業を選択する宿泊施設が多数出てくることも予想される。) 一方で、能登半島地震の被災者を受け入れる2次避難所として、自治体が宿泊施設を借り上げて提供する動きも広がっている。 被災者はプライベートが担保された衛生的な空間で避難生活を送ることができる。宿泊施設にとっても貴重な収入となる。避難者は無料で宿泊することができ、石川県では自治体から宿泊施設へ1泊当たり最大1万円が支払われるもようだ。 だが支援はこれだけでは不十分だ。被災した宿泊施設の復興はもちろん、風評被害の払拭のためにカギとなるのはインフラだ。 立教大学観光学部の沢柳知彦特任教授は「インフラが復旧しているかどうか、旅情を損ねない程度に景観が復旧しているかが、旅行に行くかどうかの判断材料となる」と指摘する』、「2次避難所として、自治体が宿泊施設を借り上げて提供する動きも広がっている。 被災者はプライベートが担保された衛生的な空間で避難生活を送ることができる。宿泊施設にとっても貴重な収入となる。避難者は無料で宿泊することができ、石川県では自治体から宿泊施設へ1泊当たり最大1万円が支払われるもようだ」、なるほど。
・『一度解雇してしまうと、従業員が集まらない  帽子山氏も「安全に事業を継続していくためにも自治体には海岸整備をしていただきたい。安全と確信できない土地の上にある旅館を、さらに次世代に紡いでいくのはかなり暗い気持ちになる」と強調する。 インフラの整備とともに必要なのが、雇用の維持に対する支援だ。被災し、営業が不可能となっている宿泊施設は建て替えや改装が必要だが、閉業期間は長ければ数年にわたる。 その間、「一度解雇してしまうと、従業員が集まらなくなってしまう。人材確保はリスクになりえる」と沢柳氏は指摘する。 被災した宿泊施設は、施設の破損以外にも資金繰りや風評被害などまさに前途多難な状況に追い込まれている。政府や自治体には矢継ぎ早な対応が求められている』、「インフラの整備とともに必要なのが、雇用の維持に対する支援だ。被災し、営業が不可能となっている宿泊施設は建て替えや改装が必要だが、閉業期間は長ければ数年にわたる。 その間、「一度解雇してしまうと、従業員が集まらなくなってしまう。人材確保はリスクになりえる」と沢柳氏は指摘・・・被災した宿泊施設は、施設の破損以外にも資金繰りや風評被害などまさに前途多難な状況に追い込まれている。政府や自治体には矢継ぎ早な対応が求められている」、難しい問題だ。

第三に、本年1月31日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「「次は富士山の大噴火」は本当か?調べてわかった現状と“不安な備え”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338152
・『災害への備えは進められるも後手に回った石川県  もちろん、富士山噴火や南海トラフ地震といった災害は、国や自治体が「起こりうること」として準備をしています。いや「はずでした」というべきでしょう。能登半島は昨年すでに大きな地震を経験し、群発地震も起きていました。しかし、地元の石川県は全くと言っていいほど備えをしていなかったことが、地震直後に判明したからです。 石川県は2012年、今回と同じ能登半島北方沖でM8.1の地震が生じうると予測していましたが、政府の有識者会議がM7.6と予測すると、地域防災計画を見直し、地震想定をM7.0へと書き換え、被害は局地的で死者は7人程度という予測に変更しました。 当時の谷本正憲知事は、企業誘致に力を入れていたため「震災が少ない地域をアピールしたかった」という説が有力です。馳浩現知事は2年前に就任。防災計画の見直しを決めましたが、国の調査結果を待っていたこともあり、十分な準備措置はとられていませんでした。 その油断のツケは高くつきました。本来は「災害時に道路のどの部分の復旧を任せる」といった計画と契約が地元の建設業者となされているものですが、石川県や市町村の多くはそれもしていませんでした。東北地方の自治体が災害前からそういう契約を結んでいたからこそ、東日本大震災では、あの大きな揺れの中で、初日から道路復旧計画が決まり、建設業者への発注ができていました。 しかし、石川県では知事が元旦に東京に滞在しており、国に対応を丸投げした形で地元にもどったため、国が派遣したゼネコンと地元建設業者の調整に難航。重要なインフラ機関との話し合いもなかったので、道路に倒れている電柱1本を取り払うにも、電柱を取り除く許可を道路復旧の担当者が北陸電力にとるという、悠長なことが繰り返されていました。これは人災としか言いようがありません。 結局、道路復旧計画の全体像が決まったのは震災から10日目。東日本大震災の教訓は何も生かされていなかったという印象を、国民に与えてしまいました。 これから2月。厳寒の時期に入る被災地では、早急な復旧、仮設住宅の建設こそ住民の生命に関わる事態であるにもかかわらず、この責任を問うメディアは少ないと思うのは私だけでしょうか。) さて、富士山です。日本は火山国で10年から20年に一度は1億立方メートル以上の大きな噴火があると言われますが、すでに30年大噴火がないことも気になります。 噴火は地震と違い、溶岩流、噴石、そして火山灰という厄介な副産物をまき散らします。また、噴火時点での風向きでそれらが飛散する地域は変わり、10日近く噴火が続くことも地震や津波と違うところです。噴火の規模次第では、日本は東西の交通網を分断され、長期間、火山灰による寒冷化と食料不足に悩むという事態に直面しかねません』、「能登半島は昨年すでに大きな地震を経験し、群発地震も起きていました。しかし、地元の石川県は全くと言っていいほど備えをしていなかったことが、地震直後に判明したからです。 石川県は2012年、今回と同じ能登半島北方沖でM8.1の地震が生じうると予測していましたが、政府の有識者会議がM7.6と予測すると、地域防災計画を見直し、地震想定をM7.0へと書き換え、被害は局地的で死者は7人程度という予測に変更しました。 当時の谷本正憲知事は、企業誘致に力を入れていたため「震災が少ない地域をアピールしたかった」という説が有力です。馳浩現知事は2年前に就任。防災計画の見直しを決めましたが、国の調査結果を待っていたこともあり、十分な準備措置はとられていませんでした。 その油断のツケは高くつきました。本来は「災害時に道路のどの部分の復旧を任せる」といった計画と契約が地元の建設業者となされているものですが、石川県や市町村の多くはそれもしていませんでした。東北地方の自治体が災害前からそういう契約を結んでいたからこそ、東日本大震災では、あの大きな揺れの中で、初日から道路復旧計画が決まり、建設業者への発注ができていました。 しかし、石川県では知事が元旦に東京に滞在しており、国に対応を丸投げした形で地元にもどったため、国が派遣したゼネコンと地元建設業者の調整に難航。重要なインフラ機関との話し合いもなかったので、道路に倒れている電柱1本を取り払うにも、電柱を取り除く許可を道路復旧の担当者が北陸電力にとるという、悠長なことが繰り返されていました。これは人災としか言いようがありません。」、今回の「地震」は初動が悪いなと思っていたら、前知事が企業誘致に力を入れていたため「震災が少ない地域をアピール」するべく、「地域防災計画を見直し、地震想定をM7.0へと書き換え、被害は局地的で死者は7人程度という予測に変更」したといった事情は、まさに犯罪的行為で、初めて知った。
・『専門機関がシミュレーション 富士山噴火が及ぼす被害とは  「中央防災会議 広域降灰対策検討ワーキンググループ」(令和2年)のレポートによると、富士山噴火をモデルケースとした首都圏での影響について、以下のように予測しています。その要旨を紹介します。 (1)鉄道/微量の降灰で地上路線の運行停止。地下路線でも、地上路線の停止による需要増大や車両・作業員の不足で能力が低下し、停電で運行は上下ともに完全停止。 (2)道路/乾燥時10センチ、降雨時3センチ以上で二厘駆動車は通行不能。視界不良などで速度低下。大渋滞が発生。 (3)物資/降灰の多いところでは、買い占めなどで食料、飲料水の不足が発生し、道路が通じなくなると、物資の配送、店舗の営業は困難となる。 (4)人の移動/徒歩も含めて帰宅困難者などが発生。空路、海路も制限が生じる。 (5)電力/0.3センチ以上で碍子(がいし)の絶縁低下により停電発生。数センチで火力発電所の吸気フィルターの交換頻度が高くなり、発電量が低下。 (6)通信/降雨時に、基地局の通信アンテナに灰が付着すると通信が阻害。停電エリアの基地局などで、非常用発電機の燃料切れが起こる可能性も。 (7)上水道/水道水は飲用に適さなくなる。停電エリアでは浄水場が停止し、断水発生。 (8)下水道/雨水の閉塞により閉塞上流から、雨水があふれ、下水道の使用も制限。 (9)建物、降雨時30センチの堆積厚で木造家屋は重みで倒壊。体育館などの緩勾配屋根の大型建物も損傷の可能性。5センチ以上の堆積厚で空調設備の室外機に不具合。 (10)健康被害/目・鼻・のど・気管支などに異常を生じることがある。 つまり、電力や道路が耐え切れないほどの降灰があると、首都圏でも完全に活動が止まってしまうのです。このような状態が何日も続き、しかも風向きが変わるごとに被害地域が変わると、救難作業も必要量が読めません。また、東日本大震災時の瓦礫の10倍の火山灰の処理が必要となります。 しかし、さすがに東京都は対応が素早くて、噴火時の火山灰は海中に捨てることもすでに法律で決定済みです。富士山に近い静岡県では、火山灰どころか、噴石、溶岩流で町がなくなるところも出てきます。静岡、山梨といった近隣県では、避難の順番や時期などが細かく決められ、茨城など噴火の影響が少ない自治体に移住地を確保することまで決定されています。 が、これはあくまでも県や国が決めたこと。各市町村が本気でそれに取り組んでいるかどうかは濃淡があると言わざるを得ません。国民は身を守るため、それぞれの市町村が本気で噴火対策をしているのか、常にチェックする必要があるでしょう』、(5)に関連して「火力発電所の吸気フィルターの交換頻度が高くなり、発電量が低下」、する他に、原発や燃料プールの冷却が出来なくなれば、原発が制御できなくなって暴走するという致命的事態になりかねない。
・『災害が起きたときに本当に必要となる発想  そして、さらに気になるのが、復旧のあとの復興についての報道です。日本の災害復興は基本的に「元に戻す」という発想が中心です。しかし今回の能登半島地震の場合、能登湾の海底が隆起して、船の運行が困難になった能登半島の大部分で、漁業が復活できるのでしょうか。町だけ元に戻しても、人が戻らなければ復興とはいえません。東日本大震災でも同様の町がありました。 海底の隆起が一段落し、最新の海図などが完成してから、本当に以前の通り漁業ができるのか、昔通りに復興すべきなのかを十二分に検討するのには、時間がかかるでしょう。その間、被災地の住民を放置しておくことはできません。 一時的には、ホテルなどを借り切っての生活や県外の公営住宅への移住など、何年も生活に耐えられる準備が必要です。私は東日本大震災後の取材で、給付金はあるものの仕事がない状態の避難民が現地で開店していた数少ないパチンコ店に列をなしているのを見ました。幸い、能登半島は農業・漁業従事者が多いので、安全な地域で農地や船を貸すといった発想も必要です』、「能登半島は農業・漁業従事者が多いので、安全な地域で農地や船を貸すといった発想も必要です」、その通りだ。
・『関東大震災を機に生まれ変わった東京の教訓  実は1923年の関東大震災では、発生の4年前には東京市長の後藤新平を中心に東京を大改造する計画が策定されていて、震災直後入閣して内務大臣となった後藤は、それを実行に移そうとしました。 それは、道路の拡張、コンクリート製の小学校建設、公園整備、鉄製の橋梁建設など斬新なものでした。地主の反対などで、当初構想にあった幹線道路幅108メートルは44メートルに縮小されるなどしたものの、それでも区画整理や延焼防止のための公園・ 道路 は、その後大きな役に立ちました。 昭和通り、靖国通り、環状5号線などはその成果です。そして、これが実現できたのは、区画整理に反対する地主などの私権制限を法律化したからでした。以前の記事「被災地をふみにじる『火事場泥棒』は実名公表で抑止できる【馳浩・石川県知事に直言】」でも述べた通り、やはり災害時には、憲法に緊急事態条項を付加して私権制限をする必要があります。 大震災や大噴火というと、我々には悲壮感しか浮かんできません。しかし、それをきっかけに日本列島を大改造し、首都圏に集中しすぎた国づくりを修正するなど、ピンチをチャンスに変えることも可能なはずです。 まずは岸田内閣に、大災害後の日本改造計画を策定していただきたいと思いますが、現状の岸田総理を見ている限り、大がかりなことは望めそうにもありません。未来予見能力と決断力をもつ政治家の出現が待たれます。 「次は富士山噴火か」と巷で不安が囁かれる中で、そんなことを考えました』、「災害時には、憲法に緊急事態条項を付加して私権制限をする必要があります」、私は「憲法改正」自体には反対だが、「災害対応」のための「緊急事態条項を付加」には賛成である。

第四に、2月1日付け現代ビジネス「富士山噴火でこの国が「大打撃」を受ける…火山灰の「意外な恐怖」」を紹介しよう。
・『首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火……過去にも起きた「恐怖の大連動」は、東京・日本をどう壊すのか。 もはや誰もが大地震から逃れられない時代、話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。 (※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)』、興味深そうだ。
・『鉄道が止まり、道路が通れず物流が停滞する  東京大学の藤井敏嗣名誉教授(山梨県富士山科学研究所所長)は「富士山で想定されている大きさの噴火は世界で数年か数十年に一回は起きているが、最近はいずれも僻地で起こっており、交通網や電気通信が発達した巨大都市で起きた例がない。首都圏のような場所では、鉄道が止まり、道路が通れず物流が停滞すること、広域停電も起こり得ることを想定しないといけない」と指摘する。 30センチも積もれば雨を含んだ火山灰の重みで木造家屋が倒壊する可能性も生じる。浄水場は水質が悪化し、浄水施設の処理能力を超えると断水になるおそれがある。東京都の水道局では浄水場に覆いをかける作業を急ピッチで進めた。防災科学技術研究所の「火山灰の健康影響」によれば、ぜんそくや気管支炎、肺気腫など健康面での影響も注意が必要という。 噴火と言えば一時的なものと思われがちだが、前回の「宝永噴火」(1707年)は12月16日から翌年の元日まで約16日間も続いたとされる。火口から東方の地域では大量の火山砂礫や火山灰が降り積もり、厚さは麓で3メートル以上、遠く離れた江戸でも4センチ程度みられたとされる。 仮に同じレベルの噴火だったとしても、令和時代の今日に2週間以上も首都機能が大打撃を受けることになれば、国家としてのマイナスは甚大だ。加えて、江戸時代に起きた巨大地震との「大連動」が生じれば、激しい揺れに襲われて壊滅的な状態に陥ったときに空からの大量の降灰が追い打ちをかけることになる。 そのときに国や自治体、そして国民には何ができるのか。最も大切な命を守るために「最悪」を想定した準備を急ぐ必要があるだろう。 本記事の抜粋元『首都防衛』では、首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山大噴火……過去にも一度起きた「恐怖の大連動」が東京・日本をどう壊すのか、命を守るために何をやるべきか、さらには最新データや数々の専門家の知見から明らかになった「最悪の被害想定・シミュレーション」をわかりやすく解説。専門家が非常時を意識してやっていることなども紹介している。まずはこの一冊で突然の災害に備えましょう。ぜひお買い求めください』、「「宝永噴火」(1707年)は12月16日から翌年の元日まで約16日間も続いたとされる。火口から東方の地域では大量の火山砂礫や火山灰が降り積もり、厚さは麓で3メートル以上、遠く離れた江戸でも4センチ程度」、この記事は短いので、単なる本の紹介になってしまったが、前述の原発被害を抜きにしても、「令和時代の今日に2週間以上も首都機能が大打撃を受けることになれば、国家としてのマイナスは甚大だ」、確かにその通りだ。
タグ:「2020年11月から2022年12月までに最大で約7センチの隆起を観測しました。また大谷小中学校とみさき小学校の2点間の距離が、観測を始めた2021年秋以降、約3センチ伸びるなど、珠洲市を中心に地盤が膨張する動きも捉えることに成功しました」、なるほど。 群発地震は活火山の周辺で多くみられる現象ですが、珠洲市の周辺では活火山は知られていません。なぜ火山がない地域で、これほど長く地震が続いているのでしょうか」、確かに不思議だ。 「日本国内で起こる典型は「本震―余震型」と呼ばれるもので、一度大きな地震が発生した後、時間が経過するにつれて余震の回数が少なくなっていくパターンです。これに対し「群発地震」は、明確に本震と呼べる大きな地震がなく、長期間にわたって地震を繰り返していく現象です。収束まで数年かかるケースもあり、1965年から1970年にかけて長野県で発生した「松代群発地震」では震度1以上の有感地震が6万回を超えました。 「研究者の間では、早い段階から規模の大きな地震への警戒が高まっていました。金沢大学の平松良浩教授は2021年7月の取材に対し「震度5弱、6弱、6強の揺れになることは考えられる」と指摘していました。 2021年9月16日にはM5.1の地震が発生し、珠洲市で最大震度5弱を観測。さらに2022年6月19日にはM5.4(最大震度6弱)、翌20日にはM5.0(5強)の地震が相次いで発生しました。地震活動はその後も収束することなく、震度1以上の地震は2021年は70回、2022年は195回に上りました」、なるほど。 「流体はマグマであることが多いですが、研究者は、地震波の速さなどをもとに、珠洲市のケースでは「水」である可能性が高いと考えています。西村教授は、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で海水が日本列島の下に潜り込み、およそ10年かけて上昇してきた可能性もあるといいます」、なるほど。 、どうやら「地震」の巣のようだ。 「ずっとこういう大きい地震が起こるのではないかという可能性は持っていたが、地震活動も地殻変動も収まってきている状況だった。あのタイミングで来るというのは若干意外だった」、なるほど。 「石川県珠洲市(すずし)周辺では2年半にわたって活発な地震活動が続いています。震度1以上の地震はこれまで400回以上に上り、2023年5月5日にはマグニチュード(M)6.5の地震で最大震度6強の揺れを観測しました。政府の地震調査委員会は、一連の地震活動は「当分続く可能性がある」として、今後も強い揺れに注意するよう呼びかけています」、突然ではなく、起こるべくして起きたようだ。 「“能登群発地震”の原因は「東京ドーム23杯分の水」 去年5月の地震後に研究者が指摘していた「一番怖いシナリオ」」 「「宝永噴火」(1707年)は12月16日から翌年の元日まで約16日間も続いたとされる。火口から東方の地域では大量の火山砂礫や火山灰が降り積もり、厚さは麓で3メートル以上、遠く離れた江戸でも4センチ程度」、この記事は短いので、単なる本の紹介になってしまったが、前述の原発被害を抜きにしても、「令和時代の今日に2週間以上も首都機能が大打撃を受けることになれば、国家としてのマイナスは甚大だ」、確かにその通りだ。 木俣正剛氏による「「次は富士山の大噴火」は本当か?調べてわかった現状と“不安な備え”」 ダイヤモンド・オンライン です。馳浩現知事は2年前に就任。防災計画の見直しを決めましたが、国の調査結果を待っていたこともあり、十分な準備措置はとられていませんでした。 その油断のツケは高くつきました。本来は「災害時に道路のどの部分の復旧を任せる」といった計画と契約が地元の建設業者となされているものですが、石川県や市町村の多くはそれもしていませんでした。東北地方の自治体が災害前からそういう契約を結んでいたからこそ、東日本大震災では、あの大きな揺れの中で、初日から道路復旧計画が決まり、建設業者への発注ができていました。 「能登半島は昨年すでに大きな地震を経験し、群発地震も起きていました。しかし、地元の石川県は全くと言っていいほど備えをしていなかったことが、地震直後に判明したからです。 石川県は2012年、今回と同じ能登半島北方沖でM8.1の地震が生じうると予測していましたが、政府の有識者会議がM7.6と予測すると、地域防災計画を見直し、地震想定をM7.0へと書き換え、被害は局地的で死者は7人程度という予測に変更しました。 当時の谷本正憲知事は、企業誘致に力を入れていたため「震災が少ない地域をアピールしたかった」という説が 震想定をM7.0へと書き換え、被害は局地的で死者は7人程度という予測に変更」したといった事情は、まさに犯罪的行為で、初めて知った。 しかし、石川県では知事が元旦に東京に滞在しており、国に対応を丸投げした形で地元にもどったため、国が派遣したゼネコンと地元建設業者の調整に難航。重要なインフラ機関との話し合いもなかったので、道路に倒れている電柱1本を取り払うにも、電柱を取り除く許可を道路復旧の担当者が北陸電力にとるという、悠長なことが繰り返されていました。これは人災としか言いようがありません。」、今回の「地震」は初動が悪いなと思っていたら、前知事が企業誘致に力を入れていたため「震災が少ない地域をアピール」するべく、「地域防災計画を見直し、地 「能登半島は農業・漁業従事者が多いので、安全な地域で農地や船を貸すといった発想も必要です」、その通りだ。 (5)に関連して「火力発電所の吸気フィルターの交換頻度が高くなり、発電量が低下」、する他に、原発や燃料プールの冷却が出来なくなれば、原発が制御できなくなって暴走するという致命的事態になりかねない。 現代ビジネス「富士山噴火でこの国が「大打撃」を受ける…火山灰の「意外な恐怖」」 「災害時には、憲法に緊急事態条項を付加して私権制限をする必要があります」、私は「憲法改正」自体には反対だが、「災害対応」のための「緊急事態条項を付加」には賛成である。 興味深そうだ。 宮地美陽子『首都防衛』 東洋経済オンライン「能登半島地震、北陸の観光地から上がる「悲鳴」 風評被害に資金繰り、閉業を考える温泉旅館も」 そして海底活断層の場合、警戒をしなければならないのが「津波」です。石川県の津波浸水想定では、珠洲市北部の沿岸は地震発生から1分以内に津波が襲来すると予想されています」、「一番怖いシナリオ」が実現しないことを願うほかない。 もし珠洲沖セグメントがずれ動くと、地震の規模はM7クラスに上ると予想されています。 研究者が今、「一番怖いシナリオ」と考えるのが、「流体が珠洲沖セグメントの深い所に達して、それがきっかけで大地震が起こる」こと。M6.5の地震が、珠洲沖セグメントでも地震を誘発するという考えです。西村教授は「活断層が隣にあるということは、隣で火事が起こっているのと同じような状態。危ない状態であることは間違いない」といいます。 「この規模の群発地震は平均的に3年ほどで収束していて、一連の活動は終わりに近づいていると考えることができます・・・新たな懸念も浮上・・・M6.5の地震の後、震源域が急激に北側の海域にも拡大。その震源域を横切るようにして走っているのが「珠洲沖セグメント」と呼ばれる海底活断層です。 「「群発地震の場合、大きな地震がどういうタイミングで起こるかはかなり予測が難しい。地震活動の初期なのか、中期なのか、末期なのか、どこで最大規模の地震が起こるか分からない」として、引き続き強い揺れに注意するよう呼びかけました。 それからわずか1か月余り、震度6強の揺れが珠洲市を襲いました」、なるほど。 「地下には流体の通り道? 」「水などの流体は電気を通しやすいため、地下の電気の通しやすさを測ることで、流体がある領域を確認できる」、なるほど。 TBSニュースDIG (その15)(“能登群発地震”の原因は「東京ドーム23杯分の水」 去年5月の地震後に研究者が指摘していた「一番怖いシナリオ」、能登半島地震、北陸の観光地から上がる「悲鳴」 風評被害に資金繰り 閉業を考える温泉旅館も、「次は富士山の大噴火」は本当か?調べてわかった現状と“不安な備え”、富士山噴火でこの国が「大打撃」を受ける…火山灰の「意外な恐怖」) 災害
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今日は更新を休むので、明日にご期待を!

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高齢化社会(その25)(65歳以上の4人に1人が「賃貸入居お断り」の衝撃!“高齢住宅難民”はどうしたらいい?、年を重ねて「いい人」では脳の老化が進む…医師・和田秀樹が「理想の高齢者」と太鼓判を押す著名人の名前 大勢の人が聞きたくなる「面白い話」ができる高齢者になるには) [社会]

高齢化社会については、昨年12月27日に取上げた。今日は、(その25)(65歳以上の4人に1人が「賃貸入居お断り」の衝撃!“高齢住宅難民”はどうしたらいい?、年を重ねて「いい人」では脳の老化が進む…医師・和田秀樹が「理想の高齢者」と太鼓判を押す著名人の名前 大勢の人が聞きたくなる「面白い話」ができる高齢者になるには)である。

先ずは、昨年12月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した吉田由紀子氏による「65歳以上の4人に1人が「賃貸入居お断り」の衝撃!“高齢住宅難民”はどうしたらいい?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/335497
・『収入はあるのに家を借りられない…高齢者の“住宅難民”急増  夫婦でハウスクリーニング業を営んでいた70代の女性Aさん。夫の死後、自ら社長になり事業を受け継いできた。当然ながら十分な収入を得ていたが、ある日、大家から自宅(賃貸物件)の立ち退きを告げられてしまう。老朽化が理由だった。 仕方なく不動産屋に行ってみたところ、70代と年齢を告げた瞬間、「うちでは無理」と追い返されてしまった。Aさんは不動産屋を何軒か回ってみるが、どの店も年齢を理由に断られてしまう。住む家が見つからない…。 このような高齢者が、今急増しているのをご存じだろうか。 65歳以上の日本人(国籍保有者)は、2010年時点で約2900万人。それが2020年には約3600万人に増加。単身高齢者は、2010年には479万人だったが、2020年には671万人。2030年には795万人まで増加すると予想されている(内閣府発行の令和5年版高齢社会白書より)』、「不動産屋に行ってみたところ、70代と年齢を告げた瞬間、「うちでは無理」と追い返されてしまった。Aさんは不動産屋を何軒か回ってみるが、どの店も年齢を理由に断られてしまう。住む家が見つからない…・・・65歳以上の日本人(国籍保有者)は、2010年時点で約2900万人。それが2020年には約3600万人に増加。単身高齢者は、2010年には479万人だったが、2020年には671万人。2030年には795万人まで増加すると予想されている」、「高齢者」の住宅探しは困難になってきたようだ。
・『高齢者の住まい探しの一因は「自宅の老朽化」にある  その理由を聞くため、R65不動産に取材を行った。 同社は、不動産会社に勤務していた若手社員が、高齢者の住まい探しが困難なことを知り、2016年に独立して開業した、65歳以上対象の不動産会社である。 「高齢の方が賃貸物件を探す理由はさまざまです。例えば、家族が亡くなり、小さな住まいに引っ越したい。持ち家に住んでいたが、修繕費がかかるため賃貸に住み替えたい。病院の近くに住みたいといった理由が多いです」(R65不動産・代表取締役社長・山本遼さん、以下同) 他にも、子どもの近所に引っ越したい。体が不自由になったので、1階に住みたい、という理由が多い。中でも目立つのが、老朽化のため自宅が取り壊しになってしまうケースだ。 「総務省平成25年住宅・土地統計調査によれば、現在、築40年以上の住宅が、全国に280万棟あります。高度成長期に大量に建てられた物件が、軒並み老朽化していることも、高齢者の物件探しが増えている理由の一つです」』、「高齢の方が賃貸物件を探す理由はさまざまです。例えば、家族が亡くなり、小さな住まいに引っ越したい。持ち家に住んでいたが、修繕費がかかるため賃貸に住み替えたい。病院の近くに住みたいといった理由が多いです」・・・他にも、子どもの近所に引っ越したい。体が不自由になったので、1階に住みたい、という理由が多い。中でも目立つのが、老朽化のため自宅が取り壊しになってしまうケースだ」、なるほど。
・『高齢者の入居を断る主な理由は「孤独死」「家賃滞納」「認知症」  R65不動産が、2023年6月に行った高齢者の住宅に関する実態調査では、「住宅難民」の実態が明らかになった(インターネットによる調査、対象は賃貸物件探しの経験を持つ高齢者500人)。 ・賃貸住宅の部屋探し経験のある高齢者(65歳以上)は、3人に1人以上(全体の35.7%)。最も多い住み替え理由は、家賃の低い物件に住み替えるため(36.6%)。 ・高齢者の4人に1人以上(26.8%)が、年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験。そのうち、5回以上断られた経験がある人は11.9%で、収入による差はない。 ・賃貸住宅へ入居するまでに不満を感じた点は、 1位:そもそも候補となる物件情報が少なかった(20.2%) 2位:通常よりも経済的負担(初期費用など)が大きかった(10.2%) 3位:条件に合わない物件を紹介された(7.0%) (調査結果から一部抜粋) 高齢者の4人に1人が、年齢を理由に賃貸住宅への入居を断られる現実。それが如実に数字に表れている。 「入居を断られる理由はいろいろありますが、まず、高齢の方の孤独死です。特に一人暮らしの場合、死後何日もたってから見つかるケースが少なくありません。そうなると事故物件になりますが、それを家主は恐れているのです」 加えて家賃滞納や認知症の可能性も、大きな拒否理由になっている』、「高齢者の4人に1人以上(26.8%)が、年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験・・・入居を断られる理由はいろいろありますが、まず、高齢の方の孤独死です」、やむを得ないことだ。
・『入居者の遺品もトラブルのもと  さらに面倒なのが、入居者の遺品の片付けだ。いわゆる「残置物の処理」である。入居者に身寄りがない場合、遺品は家主が片付けることになるが、実は相当な費用がかかってしまうのだ。 また、残置物と賃貸借契約は相続の対象になるため、勝手に処分すると、トラブルになる可能性もある。これも家主が高齢者の入居に難色を示す一因になっている。 2021年、この問題を解決するため、国土交通省と法務省がある条項を公開した。それは、入居者が亡くなった場合、残置物の処分と賃貸借契約の解除をスムーズに行えるようにするための「モデル契約条項」である。 さらに、今年7月には厚生労働省、国土交通省、法務省が合同で高齢者の住宅確保要配慮者への支援を拡充するための検討会をようやく立ち上げた。遅気に失したといえるが、高齢者の住宅確保に政府も動き出している。 この施策に対し、さまざまな高齢者の住宅探しを経験してきたR65不動産の山本さんは、こうコメントする。 「『残置物の処理等に関するモデル契約条項』は、残念ながら普及が進んでいません。その原因の一つに、残置物の処理を実行する『受任者』に、不動産会社を指定しにくい点があるのです」 不動産会社は、賃貸物件の契約により、収益を上げている。しかし残置物の処理を行うには、手間と費用がかかり、多大な損失を生んでしまうからだ。ちなみに受任者とは、入居者の死後事務委任を受任する人全般を指し、残置物の処理、残置物の換価や指定先への送付、賃貸借契約の解除を担う人を指す』、「残置物の処理を実行する『受任者』に、不動産会社を指定しにくい点があるのです」 不動産会社は、賃貸物件の契約により、収益を上げている。しかし残置物の処理を行うには、手間と費用がかかり、多大な損失を生んでしまうからだ」、「不動産会社」が「残置物の処理」を行う場合に、かける「手間と費用」に上限を付けることでヘッジできるのではなかろうか。
・『家主の負担が減るように契約者との契約体系は解決策の一つになる  この問題に対して、山本さんは、ある解決策を実践している。 その解決策とは、入居者との契約方法に工夫を加えて家主の負担を減らすことだ。「万が一、入居者が亡くなった際は、残地物の処理と残置物の換価や指定先への送付、賃貸借契約の解除を行うことをあらかじめ契約書に盛り込んでいるのです。この契約方法により、家主の負担が軽減し、高齢者の方が入居しやすくなると考えています。実際に弊社ではこの方法を採用していて、自社が仲介した高齢者の残地物の処理等を行う受任者となるパートナーの不動産会社が全国にあります」 さらに同社は「居住支援法人」の指定も受けている。これは、住宅セーフティネット法に基づき自治体が指定した団体のことで、高齢者の賃貸住宅入居に関する情報の提供や、入居後の見守りなどの生活支援を行う団体を指す。以前はNPO法人などに限定されていたが、民間の企業も指定を受けられるよう制度が変わったのである。 また、2023年12月から大手電力会社が出資する会社と共同で「単身高齢者向けの見守りサービス」の実証実験を始める予定だ。 「政府が動き出し、高齢者の住宅難民問題は少しずつ改善されていると感じています。とはいえ、まだ十分ではありません。ですからできるだけ情報を集め、知識を身に付けて準備を整えておくことが、解決への一歩だと考えています」 同社は、他の不動産会社とパートナー制度という形で連携を取っており、全国各地へと支援の輪が広がっている。 「これからも高齢の方が入居可能な賃貸物件を増やし、いくつになっても、好きな場所に住める社会を実現したいと考えています」 ところで、冒頭で紹介したA子さん、その後どうなったかというと――R65不動産の仲介で無事に住まいを見つけ、今は新居で暮らしている。退去期限まで1カ月という切羽詰まった状態ではあったが……。(吉田由紀子/5時から作家塾(R))』、「万が一、入居者が亡くなった際は、残地物の処理と残置物の換価や指定先への送付、賃貸借契約の解除を行うことをあらかじめ契約書に盛り込んでいるのです。この契約方法により、家主の負担が軽減し、高齢者の方が入居しやすくなると考えています。実際に弊社ではこの方法を採用していて、自社が仲介した高齢者の残地物の処理等を行う受任者となるパートナーの不動産会社が全国にあります・・・さらに同社は「居住支援法人」の指定も受けている。これは、住宅セーフティネット法に基づき自治体が指定した団体のことで、高齢者の賃貸住宅入居に関する情報の提供や、入居後の見守りなどの生活支援を行う団体を指す。以前はNPO法人などに限定されていたが、民間の企業も指定を受けられるよう制度が変わったのである」、徐々に制度面でも整備されてきたようだ。

次に、本年2月2日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「年を重ねて「いい人」では脳の老化が進む…医師・和田秀樹が「理想の高齢者」と太鼓判を押す著名人の名前 大勢の人が聞きたくなる「面白い話」ができる高齢者になるには」を紹介しよう。
・『目指すべき高齢者像は何か。医師の和田秀樹さんは「前頭葉は目新しく、珍しいことを行うときに働くもので、これを使わないと脳の老化が進んでしまう。その意味でも私が目標とする『面白い高齢者』として理想的なのはタレントの高田純次さんだ。細かいことにこだわらずテキトーでいることはメンタルヘルスにもいい影響を与える」という――。 ※本稿は、和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『40代から始まる前頭葉萎縮のサイン  老いを遠ざけ、いつまでも元気で若々しくいるためには、「感情」を動かすことが何より大切です。なぜなら、人の老化は「知力」や「体力」よりも、まず「感情」の衰えから始まるからです。 「もの忘れが激しくなった」のは知力の老化。「昔に比べて走れなくなった」のは体力の老化。感情の老化とは「やってみよう!」という意欲やギラギラした欲望、新しいものを生み出す発想力、柔軟性、機動力などが低下する状態を指します。 人間の脳の中で真っ先に縮み始め、機能が低下するのが感情を司つかさどる前頭葉です。早い人では40代から萎縮が画像で目に見えるようになります。 ただし、記憶力や体力の衰えと違って前頭葉の機能低下は気づきにくい。これまでやってきたルーティンの仕事は、特に考えずともサクサクこなせるため自覚しにくいのですが、放っておくと、いずれは新しい物事や突発的な出来事への対処が苦手になっていきます。 徐々に感情が老化し、気づいたときには脳も体も見た目も、すべてがどっと老けてしまっているのです』、「人間の脳の中で真っ先に縮み始め、機能が低下するのが感情を司つかさどる前頭葉です。早い人では40代から萎縮が画像で目に見えるようになります。 ただし、記憶力や体力の衰えと違って前頭葉の機能低下は気づきにくい。これまでやってきたルーティンの仕事は、特に考えずともサクサクこなせるため自覚しにくいのですが、放っておくと、いずれは新しい物事や突発的な出来事への対処が苦手になっていきます。 徐々に感情が老化し、気づいたときには脳も体も見た目も、すべてがどっと老けてしまっているのです」、「前頭葉の機能低下」は恐ろしそうだ。
・『「想定外のこと」を増やせば、脳の老化は防げる  逆にいえば、感情の老化を防げば、かなり若々しさを維持できるということです。 高齢者が体力を維持するために体を使うことが重要なように、脳の機能も「思い、考え続けること」、つまり感情を動かすことが老化予防につながります。そのためには前頭葉を使うことが必要なのです。 前頭葉は「想定外なことへの対応力」という重要な働きを担っているため、「先の読めない不確実なこと」に積極的に取り組むことをおすすめします。平穏な日常生活では、前頭葉を使う機会が減り、その結果、感情が動かず、意欲が湧かなくなり、ますます脳を使わなくなるという悪循環に陥ってしまうのです。 前頭葉の機能は意欲や自発性、創造性につながるだけでなく、思考を切り替える際にも働いています。前頭葉機能が低下すると、一度カッとなると火がついたように怒り出す、いつまでも泣いているなど、感情のブレーキが利きにくくなります。これも前頭葉の機能が衰えたことが原因です。 足腰を衰えさせないために歩くことが大切なように、前頭葉も使うことが感情の老化防止につながります』、「前頭葉は「想定外なことへの対応力」という重要な働きを担っているため、「先の読めない不確実なこと」に積極的に取り組むことをおすすめします。平穏な日常生活では、前頭葉を使う機会が減り、その結果、感情が動かず、意欲が湧かなくなり、ますます脳を使わなくなるという悪循環に陥ってしまうのです」、なるほど。
・『年下に“タメ口”を使われてもいいじゃないか  前頭葉というのは目新しく、珍しいことを行うときに働くものだと私は考えています。逆に前頭葉の機能が落ちてくると生活がルーティン化し、前例踏襲型になっていきます。 早い人ですと40代くらいから前頭葉の老化が始まるわけですが、このくらいの時期からルーティン化、前例踏襲型になる人は珍しくありません。行きつけの店しか行かなくなったり、同じ著者の本しか読まなくなったりするなどです。 前頭葉を使うためには、その逆のことをすればいいことになります。 誰かに何かを誘われたときに、億劫な自分がいても、やってみよう、行ってみようと、いったんは誘いに乗る姿勢が大事。年下に“タメ口”を使われるなど、カチンとくることがあっても、「それでもいいじゃないか」と自分に言い聞かせる。若々しくいるためにお金をかけて見た目をよくしようと努力するように、感情も若々しくしておくことを心がけましょう。 誰かと出かけることが増えれば、思考も柔軟になりますから、体や脳にもいいことなのです』、「前頭葉の機能が落ちてくると生活がルーティン化し、前例踏襲型になっていきます。 早い人ですと40代くらいから前頭葉の老化が始まるわけですが、このくらいの時期からルーティン化、前例踏襲型になる人は珍しくありません」、私の場合、これに気を付ける必要がありそうだ。「誰かに何かを誘われたときに、億劫な自分がいても、やってみよう、行ってみようと、いったんは誘いに乗る姿勢が大事。年下に“タメ口”を使われるなど、カチンとくることがあっても、「それでもいいじゃないか」と自分に言い聞かせる。若々しくいるためにお金をかけて見た目をよくしようと努力するように、感情も若々しくしておくことを心がけましょう。 誰かと出かけることが増えれば、思考も柔軟になりますから、体や脳にもいいことなのです」、なるほど。
・『70代、80代になっても前頭葉は若返らせることができる  自分には誘ってくれる人がいないから、などと悲観することはありません。一人でも前頭葉を使うことはできます。 たとえば、普段行かない店で食事をする。ランチで入る店を毎日変えてみる。普段読まない著者の本を読んでみる。保守系の雑誌しか読まない人は、リベラル系の雑誌を読んでみる(もちろん、逆も同じことです)。 料理で冒険するのも前頭葉を刺激します。新しいレシピを試したり、珍しい食材を使ってみたりするといった具合です。 海外では、大学に入ると教授にけんかを売るような人が優秀とされますが、日本ではノートを一生懸命とって教授が言った通りの内容をテストで書く人が優をもらう傾向があります。会社でも新奇なことをやる人より、上司の言うことを聞く人のほうが出世しやすいようです。 要するに、これまでの人生で前頭葉を使ったことがない人が圧倒的に多いのが、日本という国の特徴だといえます。 だから、ちょっと前頭葉を使う習慣をつけると若い人より前頭葉が働き、面白い高齢者になれるのです。つまり前頭葉は若返るのです。 70代、80代になっても脳を若返らせることは十分可能です。同時に意欲の老化も防げるはずです。ぜひ意識して、前頭葉を使う習慣を続けてみてください』、「ちょっと前頭葉を使う習慣をつけると若い人より前頭葉が働き、面白い高齢者になれるのです。つまり前頭葉は若返るのです。 70代、80代になっても脳を若返らせることは十分可能です。同時に意欲の老化も防げるはずです。ぜひ意識して、前頭葉を使う習慣を続けてみてください」、よし是非、やってみたい。
・『年を重ねても素敵だなと感じる有名人  「老害」という言葉をよく聞くようになり、自分はそうならないように努めているという人は少なくないでしょう。 相手からしたらまったく興味が湧かない話を延々と聞かせたり、昔の自慢話ばかりをしたりする人が老害に当てはまります。 かといって、老害と言われるのを避けるために人の話は聞くだけにするとか、相手に合わせているだけというのでは、いいおじいさん、いいおばあさんと呼ばれるかもしれませんが、脳は老化していくばかりです。それでは面白い人とは思ってもらえません。 私が長年、高齢者を診ていて目標にするようになったのは、「面白い高齢者」になりたいということです。 理想はタレントの高田純次さんです。自由奔放な芸風で人気を集めている高田さんのように、細かいことにこだわらずテキトーでいることはメンタルヘルスにもいい影響を与えます。つまらないことで目くじらを立てる高齢者は若者にうっとうしがられるだけですから。 2021年に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんも理想とする一人です。寂聴さんのように、大勢の人が話を聞きたくなるような高齢者になりたいものです』、「理想はタレントの高田純次さんです。自由奔放な芸風で人気を集めている高田さんのように、細かいことにこだわらずテキトーでいることはメンタルヘルスにもいい影響を与えます。つまらないことで目くじらを立てる高齢者は若者にうっとうしがられるだけですから。 2021年に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんも理想とする一人です。寂聴さんのように、大勢の人が話を聞きたくなるような高齢者になりたいものです」、自分は「高田純次さん」とは対照的な性格だが、この際、理想形として追い求めてみたい。
・『週に4回くらい行列のできるラーメン屋に行けるか  話の面白い高齢者というのは、今の時代であれば、ネットで検索しても出てこないような経験に基づいた話ができる人。 たとえば、週に4回くらい行列のできるようなラーメン屋に行き、実際に食べてみた感想を面白おかしく話せたら、若い人だって、話を聞いてみようという気になるでしょう。70代はまだ体が十分に動く年代ですので、ぜひそうした体験を積んでいただきたい。 昔の高齢者であれば、戦争体験などが若い人が聞きたい話の定番だったでしょうが、今の70代にはそういう話は期待できません。 あるいは、飢えに直面した日本の悲惨な状態を子ども時代に経験して、今の食料安全保障は危険だと論じるには、70代は少し遅い世代かもしれません。 ただ、子ども時代に、親の給料が上がるたびに、次はテレビ、次は自動車と買う喜びを経験した高度成長期の世代なので、給料を上げるほうが景気はよくなるという話を、資本主義の富の不均衡について述べたフランスの経済学者、トマ・ピケティの理論などと結びつければ、説得力のある話が可能でしょう。 あるいは、自分たちが現役だった時代は法人税が高かったので、会社が経費を使うことに積極的で(そのほうが税金は安くなるからです)、給料も上がり続けたし、バブル期にいい思いをした話をして、減税より増税のほうが景気はよくなるという経済の常識と逆の説を展開したら、面白い高齢者と思われるかもしれません』、私の場合、どんな話をすれば、「面白い高齢者と思われる」ようになるかを考えてみたい。
・『世間の常識に囚われず、言いたいことを言ってもいい  話の面白い高齢者を目指すためには、世間一般と違う「一家言」を持つのが近道です。 高齢者から運転免許を取り上げるという風潮が高まっていますが、昔は交通事故で1万人以上も亡くなっていたのは、自動車に大して規制をかけなかったためで、その後の日本の製造業の隆盛があったのは事実です。75歳以上のドライバーによる死亡事故は年間400件もありません。 逆に、高齢者が交通事故の最大の被害者で死者数の5割を超えているなどという話も、今のご時世、興味深いでしょう。 70代というのは、ある程度パソコンを使って仕事をするのが当たり前になった世代の走りでしょう(この年代で電子カルテが使えない医者を見たことがない)。屁理屈と言われても、常識と違うデータを探すことは難しいことではありません。 和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版) 少年犯罪が起こるたびにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの影響で、それが増えているようなニュアンスでコメントする「識者」がたくさんいる中で、ちょっとデータを検索すると2003年くらいから少年非行件数が減っていることくらいすぐわかります。私自身も経験していることですが、昔の不良の怖さは半端ではありませんでした。 こういう経験とデータを交えて話ができるのが70代の強みであり、常識に反することを思いつく、考えるというのは、前頭葉の最高のトレーニングでもあるのです。 少なくとも長く生きてきた経験から、世の中は理屈通りにいかないという立場をとることができます。その強みを活かして、前頭葉を鍛えながら、話の面白い高齢者を目指していきましょう』、私の場合、どんな話をすれば、「話の面白い高齢者」になれるかを考えてみたい。
タグ:「不動産屋に行ってみたところ、70代と年齢を告げた瞬間、「うちでは無理」と追い返されてしまった。Aさんは不動産屋を何軒か回ってみるが、どの店も年齢を理由に断られてしまう。住む家が見つからない…・・・65歳以上の日本人(国籍保有者)は、2010年時点で約2900万人。それが2020年には約3600万人に増加。単身高齢者は、2010年には479万人だったが、2020年には671万人。2030年には795万人まで増加すると予想されている」、「高齢者」の住宅探しは困難になってきたようだ。 和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版) 「人間の脳の中で真っ先に縮み始め、機能が低下するのが感情を司つかさどる前頭葉です。早い人では40代から萎縮が画像で目に見えるようになります。 ただし、記憶力や体力の衰えと違って前頭葉の機能低下は気づきにくい。これまでやってきたルーティンの仕事は、特に考えずともサクサクこなせるため自覚しにくいのですが、放っておくと、いずれは新しい物事や突発的な出来事への対処が苦手になっていきます。 PRESIDENT ONLINE 「ちょっと前頭葉を使う習慣をつけると若い人より前頭葉が働き、面白い高齢者になれるのです。つまり前頭葉は若返るのです。 70代、80代になっても脳を若返らせることは十分可能です。同時に意欲の老化も防げるはずです。ぜひ意識して、前頭葉を使う習慣を続けてみてください」、よし是非、やってみたい。 和田 秀樹氏による「年を重ねて「いい人」では脳の老化が進む…医師・和田秀樹が「理想の高齢者」と太鼓判を押す著名人の名前 大勢の人が聞きたくなる「面白い話」ができる高齢者になるには」 さらに同社は「居住支援法人」の指定も受けている。これは、住宅セーフティネット法に基づき自治体が指定した団体のことで、高齢者の賃貸住宅入居に関する情報の提供や、入居後の見守りなどの生活支援を行う団体を指す。以前はNPO法人などに限定されていたが、民間の企業も指定を受けられるよう制度が変わったのである」、徐々に制度面でも整備されてきたようだ。 私の場合、どんな話をすれば、「話の面白い高齢者」になれるかを考えてみたい。 私の場合、どんな話をすれば、「面白い高齢者と思われる」ようになるかを考えてみたい。 「理想はタレントの高田純次さんです。自由奔放な芸風で人気を集めている高田さんのように、細かいことにこだわらずテキトーでいることはメンタルヘルスにもいい影響を与えます。つまらないことで目くじらを立てる高齢者は若者にうっとうしがられるだけですから。 2021年に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんも理想とする一人です。寂聴さんのように、大勢の人が話を聞きたくなるような高齢者になりたいものです」、自分は「高田純次さん」とは対照的な性格だが、この際、理想形として追い求めてみたい。 若々しくいるためにお金をかけて見た目をよくしようと努力するように、感情も若々しくしておくことを心がけましょう。 誰かと出かけることが増えれば、思考も柔軟になりますから、体や脳にもいいことなのです」、なるほど。 「前頭葉の機能が落ちてくると生活がルーティン化し、前例踏襲型になっていきます。 早い人ですと40代くらいから前頭葉の老化が始まるわけですが、このくらいの時期からルーティン化、前例踏襲型になる人は珍しくありません」、私の場合、これに気を付ける必要がありそうだ。「誰かに何かを誘われたときに、億劫な自分がいても、やってみよう、行ってみようと、いったんは誘いに乗る姿勢が大事。年下に“タメ口”を使われるなど、カチンとくることがあっても、「それでもいいじゃないか」と自分に言い聞かせる。 「前頭葉は「想定外なことへの対応力」という重要な働きを担っているため、「先の読めない不確実なこと」に積極的に取り組むことをおすすめします。平穏な日常生活では、前頭葉を使う機会が減り、その結果、感情が動かず、意欲が湧かなくなり、ますます脳を使わなくなるという悪循環に陥ってしまうのです」、なるほど。 うだ。 「人間の脳の中で真っ先に縮み始め、機能が低下するのが感情を司つかさどる前頭葉です。早い人では40代から萎縮が画像で目に見えるようになります。 ただし、記憶力や体力の衰えと違って前頭葉の機能低下は気づきにくい。これまでやってきたルーティンの仕事は、特に考えずともサクサクこなせるため自覚しにくいのですが、放っておくと、いずれは新しい物事や突発的な出来事への対処が苦手になっていきます。 徐々に感情が老化し、気づいたときには脳も体も見た目も、すべてがどっと老けてしまっているのです」、「前頭葉の機能低下」は恐ろしそ 「万が一、入居者が亡くなった際は、残地物の処理と残置物の換価や指定先への送付、賃貸借契約の解除を行うことをあらかじめ契約書に盛り込んでいるのです。この契約方法により、家主の負担が軽減し、高齢者の方が入居しやすくなると考えています。実際に弊社ではこの方法を採用していて、自社が仲介した高齢者の残地物の処理等を行う受任者となるパートナーの不動産会社が全国にあります・・・ 「残置物の処理を実行する『受任者』に、不動産会社を指定しにくい点があるのです」 不動産会社は、賃貸物件の契約により、収益を上げている。しかし残置物の処理を行うには、手間と費用がかかり、多大な損失を生んでしまうからだ」、「不動産会社」が「残置物の処理」を行う場合に、かける「手間と費用」に上限を付けることでヘッジできるのではなかろうか。 「高齢者の4人に1人以上(26.8%)が、年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験・・・入居を断られる理由はいろいろありますが、まず、高齢の方の孤独死です」、やむを得ないことだ。 「高齢の方が賃貸物件を探す理由はさまざまです。例えば、家族が亡くなり、小さな住まいに引っ越したい。持ち家に住んでいたが、修繕費がかかるため賃貸に住み替えたい。病院の近くに住みたいといった理由が多いです」・・・他にも、子どもの近所に引っ越したい。体が不自由になったので、1階に住みたい、という理由が多い。中でも目立つのが、老朽化のため自宅が取り壊しになってしまうケースだ」、なるほど。 吉田由紀子氏による「65歳以上の4人に1人が「賃貸入居お断り」の衝撃!“高齢住宅難民”はどうしたらいい?」 ダイヤモンド・オンライン (その25)(65歳以上の4人に1人が「賃貸入居お断り」の衝撃!“高齢住宅難民”はどうしたらいい?、年を重ねて「いい人」では脳の老化が進む…医師・和田秀樹が「理想の高齢者」と太鼓判を押す著名人の名前 大勢の人が聞きたくなる「面白い話」ができる高齢者になるには) 高齢化社会
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投資(商品販売・手法)(その4)(「AI任せ」の資産運用はうまく儲けられるのか?、投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長 懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路) [金融]

投資(商品販売・手法)については、昨年7月13日に取上げた。今日は、(その4)(「AI任せ」の資産運用はうまく儲けられるのか?、投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長 懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路)である。

先ずは、8月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家の山崎 元氏による「「AI任せ」の資産運用はうまく儲けられるのか?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/328376
・『AI(人工知能)を活用した資産運用が広がりつつあるようだが、実際のところ「AI任せ」の資産運用はうまくもうけられるのだろうか?筆者の率直な意見を述べてみる』、筆者の山崎 元氏は本年1月1日に死去された。ご冥福を祈りたい。
・『Z世代がAIで資産運用 「放置できるのが一番の魅力」  世間はAI(人工知能)ブームに沸いており、ほとんどあらゆる分野でAIの活用が話題になっている。資産運用の分野も例外ではない。「日本経済新聞」に「Z世代、資産形成はAI任せ 銘柄選び『時間かけたくない』」(8月28日)という記事が載った。 Z世代とは1990年代後半以降の生まれの世代を指す言葉だ。「ミレニアル世代」と称されたその前の世代が既に若者とは言い難くなってしまったので、近年専ら若者を指す代名詞として使われている。 Z世代が、AIを使っていると称する投資アドバイザーアプリを利用しているという事実を伝える記事だが、利用者の一人は、「運用を放置できるのが一番の魅力」だと言い、自分で状況に合わせて資産を再配分する必要がないことを長所だと捉えているようだ。 資産配分を行ってくれるという意味では既に、投資信託なら「バランスファンド」、人間のサービスなら「ファンドラップ」、システムによる一任運用なら「ロボアドバイザー」が存在した。「AI」になると何が違うのだろうか。 記事によると、AIによって運用するという触れ込みのロボアドバイザーを利用しているらしい。利用者は、時間とともに学習データを増やしてAIが賢くなっていくことや、人間の先入観による投資判断が排除できると「感じる」ことなどをポジティブに捉えているようだ』、「資産配分を行ってくれるという意味では既に、投資信託なら「バランスファンド」、人間のサービスなら「ファンドラップ」、システムによる一任運用なら「ロボアドバイザー」が存在した・・・AIによって運用するという触れ込みのロボアドバイザーを利用しているらしい。利用者は、時間とともに学習データを増やしてAIが賢くなっていくことや、人間の先入観による投資判断が排除できると「感じる」ことなどをポジティブに捉えているようだ」、なるほど。
・『「商品」としての資産運用は“ありがたみ”が時代で変化  「商品」としての資産運用を考えると、顧客から見た「ありがたみ」の在りかが、「プロの証券マン」→「プロのファンドマネージャー」→「運用の天才」→「コンピュータープログラム」→「成長するAI」といった具合に変化している。 投資家が自分で株式を買うような時代は「早耳情報」や「いい勘」を持っているように見える証券マンがありがたかったし、その後運用のプロとしてファンドマネージャーが認知される。さらに、ファンドマネージャーに「カリスマ」や「天才」のイメージを重ねようとするマーケティングの試みが行われたが、彼らの天敵とも言うべきインデックスファンドとの比較で「人間の天才投資家」は色あせてしまった。 そうなると、人間的な判断はむしろ嫌われる材料になった。コンピューターの処理能力やビッグデータ、機械学習、そしてAIといったイメージが、「よく分からないけれどもすごそうな中身」として商品としての運用の価値を支えることになったのだろう。 行動経済学で「後悔回避のバイアス」として表現されているように、近い将来に失敗が明らかになるかもしれない判断を自分で下すことにちゅうちょする人間は少なくない。そこに、運用に関するアドバイスや一任の潜在的なニーズが存在する。 いくらか達観しすぎかもしれないが、サービスの供給者側は、その時々に「自分で判断せずに済む、ありがた味のある仕掛け」を顧客に提供してやればいい。今やAIがブームなのだから、AIと名の付くものを売ればいい、というのは自然な商売の成り行きだ。 一方で、AIのサービスの方を人間が提供する運用サービスよりも良いと判断した投資家については、人間にはそれなりに高い人件費が掛かるし、人間は顧客からより多くの利益を引き出そうとして駆け引きをする存在でもあるので、これを疑う気持ちを持ったことを一応は褒めておくことにしよう』、「彼らの天敵とも言うべきインデックスファンドとの比較で「人間の天才投資家」は色あせてしまった。 そうなると、人間的な判断はむしろ嫌われる材料になった。コンピューターの処理能力やビッグデータ、機械学習、そしてAIといったイメージが、「よく分からないけれどもすごそうな中身」として商品としての運用の価値を支えることになったのだろう。 行動経済学で「後悔回避のバイアス」として表現されているように、近い将来に失敗が明らかになるかもしれない判断を自分で下すことにちゅうちょする人間は少なくない。そこに、運用に関するアドバイスや一任の潜在的なニーズが存在する。 いくらか達観しすぎかもしれないが、サービスの供給者側は、その時々に「自分で判断せずに済む、ありがた味のある仕掛け」を顧客に提供してやればいい。今やAIがブームなのだから、AIと名の付くものを売ればいい、というのは自然な商売の成り行きだ」、なるほど。
・『資産運用におけるAIの可能性とは? 率直な意見を述べると…  資産運用、あるいはもっと直裁に投資にあってAIの可能性はどれほどのものだろうか。 筆者の率直な意見を述べると、 (1)AIは資産運用ビジネスをほぼ100%良く代替できるが、 (2)AIによる投資が大いにもうかることは期待できそうにない、 と思っている。 どの範囲のコンピューター処理をAIと呼ぶかは議論のあるところだが、定義をなるべく広く取るとして、AIは幾つかの分野で大方の予想以上のパフォーマンスを達成するに至っている。 例えば、将棋や囲碁のようなゲームでは、局面の優劣の判断が難しいのでAIは人間のプロに勝てまいと言われていたが、今や天才中の天才と呼ばれるようなプロ棋士でもAIに全く歯が立たない。 また、言語的な表現やコミュニケーションなどは人間のセンスや状況判断が必要なので、AIには歯が立たないと考えられてきたが、ChatGPTが軽々とそのハードルを越えつつある。 ゲームにせよ、言語処理にせよ、「人間がやるようなこと」は、データと計算の量を飛躍的に増やすことによって、「人間がやる以上にうまくやる」ことができた。投資に関しても、人間がやるようなことを人間以上にうまくやることは難しくあるまい。 投資でプロがやっていることは何だろうか? 大まかに言うと、自分が情報だと思う材料をインプットして判断を投資行動に反映させ、その結果を通じて判断方法をアップデートしているというのが、大まかな流れだ。加えて、その投資行為を「ありがたいもの」に見せ、商品として効果的に売るための調査活動や投資家向けのご説明を含めた広義のマーケティング活動が、運用のプロのお仕事である。 今や、データを処理しポートフォリオを作ることだけでなく、個々の投資銘柄について要領のいいアナリストレポートを作ることも、運用の結果について「顧客の期待を将来につなぐことのできる言い訳」を考えることも含めて、「運用の仕事」をAIに置き換えることに全く無理はなさそうだ。 人間のアナリスト、ファンドマネージャー、マーケティング担当者のいずれも、その気になると置き換えることは容易だろう。置き換えの進捗度合いは、商品としての運用のありがた味として何を残すのがいいのかと、コストとの関係で決まるだろう』、「今や、データを処理しポートフォリオを作ることだけでなく、個々の投資銘柄について要領のいいアナリストレポートを作ることも、運用の結果について「顧客の期待を将来につなぐことのできる言い訳」を考えることも含めて、「運用の仕事」をAIに置き換えることに全く無理はなさそうだ・・・人間のアナリスト、ファンドマネージャー、マーケティング担当者のいずれも、その気になると置き換えることは容易だろう。置き換えの進捗度合いは、商品としての運用のありがた味として何を残すのがいいのかと、コストとの関係で決まるだろう」、なるほど。
・『AI投資が大成功を収めることに「懐疑的」である理由は…  では、投資でもうけることはAIにできるのか? ここでは、「もうける」の定義が重要だろう。株式のリスクプレミアムが実現するような環境では、何らかの形で株式に分散投資しておくなら、AIであろうと人間であろうと、利益を上げることは難しくない。 投資の世界で「もうけること」として意味があるのは、平均的なリスクを取りながら平均を上回るリターン(「アクティブリターン」と称する)を稼ぐことだ。これを意図的に継続することができるなら「もうける能力がある」といえるだろう。 この意味でAIが大規模な成功を収めることについて、筆者は懐疑的だ。 まず、そもそも手本となるべき人間がこのことに成功しているとは言い難い。それは、人間の能力や努力が足りないからというよりは、特定のマーケットの中での運用パフォーマンス競争にあっては、ライバルの平均像となるポートフォリオを持ってじっとしていることが有利な「平均投資有利の原則」とでも呼ぶべき原則が働くことが理由だ。 この原則は、東京証券取引所の上場銘柄やS&P500種株価指数の採用銘柄(米国の代表的な大型株)といった狭いマーケットだとハッキリしやすいが、投資の選択範囲をグローバル株式や債券などに広げても本質は同じだ。 AIでうまく運用できたように感じていても、正確にパフォーマンスを評価してみたら、実はプラスの効果がなかったということが十分あり得るのだ。 過去を振り返り、世間を見回してみても、学力や能力の高そうな運用者がより良くもうけていたということもないし、努力や修行に比例して投資のもうけが増えるというものでもない。AIが優秀な人間らしく振る舞っても、アクティブリターンを稼ぐことにはつながらないのではないか。 また、投資の世界はいかにもデータが豊富に見えるが、例えば過去せいぜい百数十年分の株価が、AIが飛躍的に賢くなるためのデータとして十分な量なのかいささか疑問に思う。それに、制度や時代背景も異なる昔の株価と今の株価を共に有効なデータとして評価していいものだろうか。) 加えて、仮にうまくアクティブリターンを稼ぐAIが登場したとして、これが容易に別のAIに模倣されるのではないかという、別の高い障壁が存在する。 もちろん、AIの「人間がやるようなことを人間以上にうまくやる」能力を過小評価してはならない。 アクティブリターンを稼いだり、稼げなかったりするような「揺らぎ」を商品群に与えながら、たまたまうまくいっているものを巧みに強調して会社のブランド価値を高めるような経営判断も(これは露骨ではないが、実際の運用会社がすでにやっていることだ)、AIには容易だろう』、「投資の世界で「もうけること」として意味があるのは、平均的なリスクを取りながら平均を上回るリターン(「アクティブリターン」と称する)を稼ぐことだ。これを意図的に継続することができるなら「もうける能力がある」といえるだろう。 この意味でAIが大規模な成功を収めることについて、筆者は懐疑的だ・・・手本となるべき人間がこのことに成功しているとは言い難い。それは、人間の能力や努力が足りないからというよりは、特定のマーケットの中での運用パフォーマンス競争にあっては、ライバルの平均像となるポートフォリオを持ってじっとしていることが有利な「平均投資有利の原則」とでも呼ぶべき原則が働くことが理由・・・仮にうまくアクティブリターンを稼ぐAIが登場したとして、これが容易に別のAIに模倣されるのではないかという、別の高い障壁が存在する」、なるほど。
・『ロボアドバイザーの利用がラップ運用のつもりなら100%ダメ  さて、利用者の「世代」ははっきり言ってどうでもいい。何歳の人が投資しようと、同じ時に同じものに投資していれば、投資の成果は同じである。記事を作る上では、あるいは運用商品をマーケティングする上では仕方がないのかもしれないが、資産運用を世代と関連付けるのはつまらない(有益でない)問題意識だ。 世代論を離れるとして、AIを利用すると称するロボアドバイザー的なサービスを利用することの可否はいかがなものだろうか。 これは、ありていに言って「人間がやるよりもマシに見えるラップ運用」の利用に過ぎない。だとすると、全く褒められたものではない。 ラップ運用がダメな理由は、一般に、(1)運用者(プログラムも含めて)に特別なアセットアロケーション能力は存在しない、(2)利用者は中身を十分把握できていない、(3)運用手数料が割高である、(4)そもそも運用を他人任せにしようという根性がいけない、の4点だ。最後の一つには、筆者の好みが反映されているのでさておくとして、利用者にはせめて(3)についてだけでも考えてみてほしい。 比較の対象は、全世界の株式に投資するインデックスファンドの投資信託。グローバルに資金運用する海外の大きな機関投資家の「平均ポートフォリオ」に近い投資内容の商品だ。今や、このカテゴリーの商品で最割安な商品は運用資産額に対して年率0.05775%以下(税込み)のコストで運用が可能だ。 つまり、100万円を年間578円で運用できるのだ。残高の大きなものは既に1兆3000億円を大きく超えている。知っている人は、有利な運用商品を既に利用しているのだ。) 個々の商品についてあげつらうことはやめておくが、100万円に対して数千円単位の手数料を支払っている投資家は、意思決定のレベルで既に「負けている」と言ってもいいだろう。 投資家に限らず、近年はタイパ(タイムパフォーマンス)とコスパ(コストパフォーマンス)を重視するらしい。 インデックスファンドへの投資は一度方針を決めたら「ほったらかし」にできるし、むしろその方がいい。また、コストについては先ほどご紹介した通りだ。ロボアドバイザーを使っている投資家は、一体自分が幾ら手数料を払っているのかを確かめてみてほしい。 一度頭を使って方針を決めることのタイパとコスパがどのようなものになるのかは、個人の資質や環境によって異なるのだろうが、優劣は明らかであるような気がする。悔しくないだろうか? Z世代とやらの若い人にあえて声掛けするなら、「そこは、時間やお金をかけるところではない。一回だけ頭を使うところなのだよ」と言いたい』、「今や、このカテゴリーの商品で最割安な商品は運用資産額に対して年率0.05775%以下(税込み)のコストで運用が可能だ。 つまり、100万円を年間578円で運用できるのだ・・・インデックスファンドへの投資は一度方針を決めたら「ほったらかし」にできるし、むしろその方がいい・・・一度頭を使って方針を決めることのタイパとコスパがどのようなものになるのかは、個人の資質や環境によって異なるのだろうが、優劣は明らかであるような気がする」、やはり優れているようだ。

次に、11月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したアレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏による「投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長、懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路」を紹介しよう。
・『富裕層といえども、多額の資産をきちんと守れている人ばかりではない。時に、一般人には想像できないスケールの「大失敗」をすることも富裕層の特徴といえよう。富裕層の投資での失敗例から学べる、資産形成の鉄則についてお話ししたい』、興味深そうだ。
・『資産が3年で20分の1に…… ワンマン社長の綱渡り投資  70代の女性会社経営者Aさんは、さかのぼること3年前の2020年、新型コロナウイルスで注目されたあるハイテク銘柄の株を1億円分購入した。その後、その銘柄はAさんの読み通り、加速度的に価格が上昇した。Aさんは追加で同銘柄をどんどん買い進めた。約半年で投資した金額は3億円。株価が上昇したので、資産は約5億円になった。つまり、約2億円の含み益が出たのだ。 しかし、Aさんの投資は大成功……とはいかなかった。好調は長くは続かず、株価はなんと100円にまで下落。3億円の投資金額が、1500万円の価値になってしまった。20分の1にまで減少してしまったのだ。さらに現在、損失は拡大している。とはいえ、3億円が1500万円になろうと1300万円になろうと、もうここまでくると大差はない。 実はAさん、投資で大損するのはこれが初めてではない。 十数年前、Aさんは当時のあるベンチャー株に投資した。買った株はぐんぐん上がり、資産は総額10億円になった。しかし、しばらくすると当該株は急落。気付いたときには証券会社の営業マンから追証を求められる状況になってしまった。 預貯金などの余剰資金はとっくに証拠金として消えていたので、会社の資金に手をつけた。社長自身の「経費の立て替え精算」ということで自社の銀行口座から1億円を自分の証券口座に移したという。追証の証拠金として突っ込むこと数回……。一度やってしまうと、会社のお金を証拠金に充てることに慣れてしまい、何度もその株を買い支えてしまった。 Aさんの危ない綱渡りはこれだけでは終わらなかった。仲の良い社長仲間と行ったマカオのカジノで、あろうことか信用取引での損を挽回しようとしたのだ。案の定、ここでも1000万円単位の負けを繰り返すことになった。 その後、税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた。 Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた(こういった役員貸付金が多額になるケースでは役員報酬を増額することで貸付金を解消するケースは多い。正直間違ったやり方であるが、本稿では触れない)』、「税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた。 Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた」、なるほど。
・『大きな失敗も多い富裕層 70代以降はコンサバな運用が必要  そして十数年後――。 過去の反省を生かし今回はマカオでもなく、株の信用取引でもなく、あくまで自己資金の範囲内の取引だった。しかしながら、3億円の資産を1500万円まで減らしてしまったのだ。自社の業績はまずまずであり、自宅もあれば自社ビルもある。しかし自分の余剰資金はほぼ消滅してしまった。 会社と社長個人でも銀行に多額の借り入れがある状況なので、純資産ベースで見るとほぼゼロの状況になっている。関西の高級住宅街の邸宅に住み、広大な別荘を手にし、一見華やかな社長だが、実はすっからかん――そんなことも起こり得るのである。 さらに残酷なのは、Aさんの年齢だ。健康状態も良くなく、十数年前と比べると元気ではあるが、体力も気力も相当衰えている。さすがに今回は、3億円を取り戻すことは現実的に不可能だ。退職金という手段はあるが、借入金が流動資産を上回る状況なので、退職金を払うとキャッシュが枯渇する。本業自体はもうかっているがこれ以上の借り入れは危険な状態だ。あまりにもワンマンだったため、右腕の古参社員もおらず、事業を引き継ぐ予定だった子どもたちは全員会社から逃げ出したという有り様だ。 往々にして創業の経営者は、投資においてもこのような強烈な成功体験と失敗体験を併せ持つ。若いうちであればいくらでも挽回が利く。しかし、人生の終盤に差し掛かったときの失敗はリベンジができない。よって、70歳以降の富裕層には、コンサバな資産運用が求められるのだ。とはいえ、強烈な成功体験があればあるほど、晩年に慎重な方向に方向転換することは非常に難しい……。』、「人生の終盤に差し掛かったときの失敗はリベンジができない。よって、70歳以降の富裕層には、コンサバな資産運用が求められるのだ」、その通りだ。
・『富裕層ならではのリカバリー方法とは? 失った1億円を5年で取り戻す  富裕層だからといって、特別な運用方法があるわけではない。ただ、元手となる資金が多い分、ハードルの高い投資ができるというだけだ。そのハードルの高い投資の代表例が、最低投資金額が10万ドル、20万ドルの債券投資やデリバティブである。もちろん、言うまでもなく、こうした投資にはリスクがある。一歩間違えば、先ほどのAさんのような大損につながりかねない。 東海地方に住む60歳の会社経営者・Bさん(男性)は、そうしたデリバティブを内包している仕組み債に投資し、資産を減らしてしまった。彼は余剰資金のほぼ全てである1億円分、投資した。しかし、1000万円分の株になって戻ってきてしまったのだ。 しかし、Bさんは、資産が10分の1になる大失敗をしたにもかかわらず、生活スタイルを変える必要はなかった。失った資産額を取り戻すことができた。本業で多額の稼ぎがあるからだ。 Bさんの年収は約7000万円。毎年2000万円程度のお金が手元に残った。よって5年程度でまた1億円の資産を手に入れることができたのだ。これが、収入の多い富裕層特有のリカバリー法だ。 「有名企業に勤めた人が退職金で1億円入ってきた」という話や、「親の資産を相続して家を売却したら1億円になった」という話はそれなりにある。しかし、この1億円を使って投資に失敗したら、リカバリーするすべはない。よって、いかにこの1億円を失敗なく運用し続けるかが重要だ。 しかし、フローで多額の収入がきちんと入ってくる富裕層は、大きな失敗をしてもすぐに生活が脅かされることがない。そして失敗を繰り返す中で、投資にもぼちぼち成功をするようになってくる。本業で稼ぎながら資産運用にもコツコツ成功することで、財産を築く。Bさんも「最終的には最大の資産運用が本業だよ」と笑いながら度々、言う。 投資は常に失敗がつきもの。しかし、若いときにした失敗にはリカバリーが利く。稼ぎで取り返すことができるからだ。一方で、高齢者はリカバリーや失敗が許されない。退職金や相続などでまとまったお金を手にした人にとっては、大きな金額の失敗は致命傷になる。 金融機関などに言われるがままに投資するのは避けたいところだ。投資で多少なりともリターンが上がるようになったなら、高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある。そのあたりはまた次回、書きたいと思う』、「高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある」、その通りだ。

次に、11月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したアレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏による「投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長、懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路」を紹介しよう。
・『富裕層といえども、多額の資産をきちんと守れている人ばかりではない。時に、一般人には想像できないスケールの「大失敗」をすることも富裕層の特徴といえよう。富裕層の投資での失敗例から学べる、資産形成の鉄則についてお話ししたい』、興味深そうだ。
・『資産が3年で20分の1に…… ワンマン社長の綱渡り投資  70代の女性会社経営者Aさんは、さかのぼること3年前の2020年、新型コロナウイルスで注目されたあるハイテク銘柄の株を1億円分購入した。その後、その銘柄はAさんの読み通り、加速度的に価格が上昇した。Aさんは追加で同銘柄をどんどん買い進めた。約半年で投資した金額は3億円。株価が上昇したので、資産は約5億円になった。つまり、約2億円の含み益が出たのだ。 しかし、Aさんの投資は大成功……とはいかなかった。好調は長くは続かず、株価はなんと100円にまで下落。3億円の投資金額が、1500万円の価値になってしまった。20分の1にまで減少してしまったのだ。さらに現在、損失は拡大している。とはいえ、3億円が1500万円になろうと1300万円になろうと、もうここまでくると大差はない。 実はAさん、投資で大損するのはこれが初めてではない。) 十数年前、Aさんは当時のあるベンチャー株に投資した。買った株はぐんぐん上がり、資産は総額10億円になった。しかし、しばらくすると当該株は急落。気付いたときには証券会社の営業マンから追証を求められる状況になってしまった。 預貯金などの余剰資金はとっくに証拠金として消えていたので、会社の資金に手をつけた。社長自身の「経費の立て替え精算」ということで自社の銀行口座から1億円を自分の証券口座に移したという。追証の証拠金として突っ込むこと数回……。一度やってしまうと、会社のお金を証拠金に充てることに慣れてしまい、何度もその株を買い支えてしまった。 Aさんの危ない綱渡りはこれだけでは終わらなかった。仲の良い社長仲間と行ったマカオのカジノで、あろうことか信用取引での損を挽回しようとしたのだ。案の定、ここでも1000万円単位の負けを繰り返すことになった。 その後、税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた。 Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた(こういった役員貸付金が多額になるケースでは役員報酬を増額することで貸付金を解消するケースは多い。正直間違ったやり方であるが、本稿では触れない)』、「ハイテク銘柄の株では資産が3年で20分の1に」、「ベンチャー株投資」では、「税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた・・・Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた」、これは幸運だった。
・『大きな失敗も多い富裕層 70代以降はコンサバな運用が必要  そして十数年後――。 過去の反省を生かし今回はマカオでもなく、株の信用取引でもなく、あくまで自己資金の範囲内の取引だった。しかしながら、3億円の資産を1500万円まで減らしてしまったのだ。自社の業績はまずまずであり、自宅もあれば自社ビルもある。しかし自分の余剰資金はほぼ消滅してしまった。 会社と社長個人でも銀行に多額の借り入れがある状況なので、純資産ベースで見るとほぼゼロの状況になっている。関西の高級住宅街の邸宅に住み、広大な別荘を手にし、一見華やかな社長だが、実はすっからかん――そんなことも起こり得るのである。 さらに残酷なのは、Aさんの年齢だ。健康状態も良くなく、十数年前と比べると元気ではあるが、体力も気力も相当衰えている。さすがに今回は、3億円を取り戻すことは現実的に不可能だ。退職金という手段はあるが、借入金が流動資産を上回る状況なので、退職金を払うとキャッシュが枯渇する。本業自体はもうかっているがこれ以上の借り入れは危険な状態だ。あまりにもワンマンだったため、右腕の古参社員もおらず、事業を引き継ぐ予定だった子どもたちは全員会社から逃げ出したという有り様だ。 往々にして創業の経営者は、投資においてもこのような強烈な成功体験と失敗体験を併せ持つ。若いうちであればいくらでも挽回が利く。しかし、人生の終盤に差し掛かったときの失敗はリベンジができない。よって、70歳以降の富裕層には、コンサバな資産運用が求められるのだ。とはいえ、強烈な成功体験があればあるほど、晩年に慎重な方向に方向転換することは非常に難しい……。』、「人生の終盤に差し掛かったときの失敗はリベンジができない。よって、70歳以降の富裕層には、コンサバな資産運用が求められるのだ」、その通りだ。
・『富裕層ならではのリカバリー方法とは? 失った1億円を5年で取り戻す  富裕層だからといって、特別な運用方法があるわけではない。ただ、元手となる資金が多い分、ハードルの高い投資ができるというだけだ。そのハードルの高い投資の代表例が、最低投資金額が10万ドル、20万ドルの債券投資やデリバティブである。もちろん、言うまでもなく、こうした投資にはリスクがある。一歩間違えば、先ほどのAさんのような大損につながりかねない。 東海地方に住む60歳の会社経営者・Bさん(男性)は、そうしたデリバティブを内包している仕組み債に投資し、資産を減らしてしまった。彼は余剰資金のほぼ全てである1億円分、投資した。しかし、1000万円分の株になって戻ってきてしまったのだ。 しかし、Bさんは、資産が10分の1になる大失敗をしたにもかかわらず、生活スタイルを変える必要はなかった。失った資産額を取り戻すことができた。本業で多額の稼ぎがあるからだ。 Bさんの年収は約7000万円。毎年2000万円程度のお金が手元に残った。よって5年程度でまた1億円の資産を手に入れることができたのだ。これが、収入の多い富裕層特有のリカバリー法だ。 「有名企業に勤めた人が退職金で1億円入ってきた」という話や、「親の資産を相続して家を売却したら1億円になった」という話はそれなりにある。しかし、この1億円を使って投資に失敗したら、リカバリーするすべはない。よって、いかにこの1億円を失敗なく運用し続けるかが重要だ。 しかし、フローで多額の収入がきちんと入ってくる富裕層は、大きな失敗をしてもすぐに生活が脅かされることがない。そして失敗を繰り返す中で、投資にもぼちぼち成功をするようになってくる。本業で稼ぎながら資産運用にもコツコツ成功することで、財産を築く。Bさんも「最終的には最大の資産運用が本業だよ」と笑いながら度々、言う。 投資は常に失敗がつきもの。しかし、若いときにした失敗にはリカバリーが利く。稼ぎで取り返すことができるからだ。一方で、高齢者はリカバリーや失敗が許されない。退職金や相続などでまとまったお金を手にした人にとっては、大きな金額の失敗は致命傷になる。 金融機関などに言われるがままに投資するのは避けたいところだ。投資で多少なりともリターンが上がるようになったなら、高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある。そのあたりはまた次回、書きたいと思う』、「高齢者はリカバリーや失敗が許されない。退職金や相続などでまとまったお金を手にした人にとっては、大きな金額の失敗は致命傷になる。 金融機関などに言われるがままに投資するのは避けたいところだ。投資で多少なりともリターンが上がるようになったなら、高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある」、その通りだ。
タグ:Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた」、これは幸運だった。 「ハイテク銘柄の株では資産が3年で20分の1に」、「ベンチャー株投資」では、「税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた・・・ 「高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある」、その通りだ。 「人生の終盤に差し掛かったときの失敗はリベンジができない。よって、70歳以降の富裕層には、コンサバな資産運用が求められるのだ」、その通りだ。 「税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた。 Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた」、なるほど。 江幡吉昭氏による「投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長、懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路」 「今や、このカテゴリーの商品で最割安な商品は運用資産額に対して年率0.05775%以下(税込み)のコストで運用が可能だ。 つまり、100万円を年間578円で運用できるのだ・・・インデックスファンドへの投資は一度方針を決めたら「ほったらかし」にできるし、むしろその方がいい・・・一度頭を使って方針を決めることのタイパとコスパがどのようなものになるのかは、個人の資質や環境によって異なるのだろうが、優劣は明らかであるような気がする」、やはり優れているようだ。 それは、人間の能力や努力が足りないからというよりは、特定のマーケットの中での運用パフォーマンス競争にあっては、ライバルの平均像となるポートフォリオを持ってじっとしていることが有利な「平均投資有利の原則」とでも呼ぶべき原則が働くことが理由・・・仮にうまくアクティブリターンを稼ぐAIが登場したとして、これが容易に別のAIに模倣されるのではないかという、別の高い障壁が存在する」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン (その4)(「AI任せ」の資産運用はうまく儲けられるのか?、投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長 懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路) 「高齢者はリカバリーや失敗が許されない。退職金や相続などでまとまったお金を手にした人にとっては、大きな金額の失敗は致命傷になる。 金融機関などに言われるがままに投資するのは避けたいところだ。投資で多少なりともリターンが上がるようになったなら、高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある」、その通りだ。 投資(商品販売・手法) 山崎 元氏による「「AI任せ」の資産運用はうまく儲けられるのか?」 「投資の世界で「もうけること」として意味があるのは、平均的なリスクを取りながら平均を上回るリターン(「アクティブリターン」と称する)を稼ぐことだ。これを意図的に継続することができるなら「もうける能力がある」といえるだろう。 この意味でAIが大規模な成功を収めることについて、筆者は懐疑的だ・・・手本となるべき人間がこのことに成功しているとは言い難い。 置き換えの進捗度合いは、商品としての運用のありがた味として何を残すのがいいのかと、コストとの関係で決まるだろう」、なるほど。 「今や、データを処理しポートフォリオを作ることだけでなく、個々の投資銘柄について要領のいいアナリストレポートを作ることも、運用の結果について「顧客の期待を将来につなぐことのできる言い訳」を考えることも含めて、「運用の仕事」をAIに置き換えることに全く無理はなさそうだ・・・人間のアナリスト、ファンドマネージャー、マーケティング担当者のいずれも、その気になると置き換えることは容易だろう。 そこに、運用に関するアドバイスや一任の潜在的なニーズが存在する。 いくらか達観しすぎかもしれないが、サービスの供給者側は、その時々に「自分で判断せずに済む、ありがた味のある仕掛け」を顧客に提供してやればいい。今やAIがブームなのだから、AIと名の付くものを売ればいい、というのは自然な商売の成り行きだ」、なるほど。 「彼らの天敵とも言うべきインデックスファンドとの比較で「人間の天才投資家」は色あせてしまった。 そうなると、人間的な判断はむしろ嫌われる材料になった。コンピューターの処理能力やビッグデータ、機械学習、そしてAIといったイメージが、「よく分からないけれどもすごそうな中身」として商品としての運用の価値を支えることになったのだろう。 行動経済学で「後悔回避のバイアス」として表現されているように、近い将来に失敗が明らかになるかもしれない判断を自分で下すことにちゅうちょする人間は少なくない。 利用者は、時間とともに学習データを増やしてAIが賢くなっていくことや、人間の先入観による投資判断が排除できると「感じる」ことなどをポジティブに捉えているようだ」、なるほど。 「資産配分を行ってくれるという意味では既に、投資信託なら「バランスファンド」、人間のサービスなら「ファンドラップ」、システムによる一任運用なら「ロボアドバイザー」が存在した・・・AIによって運用するという触れ込みのロボアドバイザーを利用しているらしい。 筆者の山崎 元氏は本年1月1日に死去された。ご冥福を祈りたい。
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