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携帯・スマホ(その10)(楽天 「3300億円増資」でも続くモバイルの綱渡り 今期黒字化は早々に断念 当面はKDDIの助けも、「楽天にとって不運だったのは菅首相の誕生」楽天モバイルが苦戦を強いられている"本当の原因" 「官製値下げ」は長期的に見て国民の利益になっているのか、「日本ネット企業の雄」だった楽天は なぜここまで追い込まれた? 迫る「決断の日」) [産業動向]

携帯・スマホについては、本年4月27日に取上げた。今日は、(その10)(楽天 「3300億円増資」でも続くモバイルの綱渡り 今期黒字化は早々に断念 当面はKDDIの助けも、「楽天にとって不運だったのは菅首相の誕生」楽天モバイルが苦戦を強いられている"本当の原因" 「官製値下げ」は長期的に見て国民の利益になっているのか、「日本ネット企業の雄」だった楽天は なぜここまで追い込まれた? 迫る「決断の日」)である。

先ずは、本年5月19日付け東洋経済オンライン「楽天、「3300億円増資」でも続くモバイルの綱渡り 今期黒字化は早々に断念、当面はKDDIの助けも」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/673675
・『不退転の決意は、はたして実を結ぶのか。 モバイル事業に巨額の投資を続ける楽天グループ。同社は5月16日、公募増資と第三者割当増資により最大3300億円の資金を調達し、モバイル事業への投資や社債の償還に振り向けると発表した。 新たに発行する株式は最大5億4690万株で、同社の発行済み株式総数の34%に相当する。うち9割弱は国内外の一般投資家向けに発行し、残りの1割強を三木谷浩史会長兼社長の親族の資産管理会社2社のほか、サイバーエージェントと東急に割り当てる。 増資によって調達する資金のうち、6割弱をモバイル事業の設備投資に、残りを社債償還などに充てる方針だという。 公募増資を検討している旨の報道が流れた5月15日以降、株式の大幅な希薄化に対する懸念から、投資家の間では楽天グループ株の売りが殺到。報道前と比べ、足元の株価は2割近く下落している。 こうした事態は当然、楽天側も織り込み済みだっただろう。だが、リスクを負ってでも、楽天は資金調達する必要に迫られていた』、「最大3300億円の資金を調達」というのでは、「株式の大幅な希薄化に対する懸念」から、「株価は2割近く下落」したようだ。
・『決算短信には従来目標を撤回する一文  2020年にサービスを本格的に始動した楽天モバイルの大赤字が続く中、楽天グループの自己資本比率は3.8%(2023年3月末時点)と危険水域に到達。さらには今後3年で約9000億円の社債償還が控えている。 (償還時期の近い楽天グループの社債一覧はリンク先参照) 手元資金を確保すべく、4月に楽天銀行を上場させて717億円を調達したほか、楽天証券ホールディングスの上場も計画している。5月12日には、20%を出資する西友ホールディングスの株式をすべて売却することを発表した。 ここに来て、あの手この手で資金調達に奔走する楽天。その最大の誤算は、モバイル事業の契約数の伸び悩みにある。 「計画の見直しを行った結果、モバイル事業単体での2023年中の単月営業黒字化は困難だと考えている」 5月12日に開示された2023年第1四半期の決算短信。「連結業績予想に関する定性的情報」の項目には、こんな一文がひっそりと載せられている。 これまで三木谷氏は2023年中の単月黒字化を掲げ、2月時点でも「年内に頑張って目指したい」と公言していた。ところが年度が始まって早々、その目標を断念した格好だ。) 2023年第1四半期決算で、モバイル事業は1026億円の営業赤字(前年同期は1323億円の営業赤字)を計上した。楽天グループ全体でも761億円の営業赤字となっており、本業のECと金融が稼いだ利益を食い潰している』、「モバイル事業の契約数の伸び悩み」、「黒字化」の「目標を断念」とは深刻だ。
・『楽天グループの決算短信  楽天モバイルの契約回線数(MVNOを除くMNO)は、3月末時点で454万。四半期ベースでは1年前から減少が続いていたが、2022年12月末時点(446万)と比べると、わずかながら増加へと転じた。 ただ、事業単体での営業黒字化には最低でも1000万以上の回線数が必要との見方が多い。足元の回復度合いでは、2023年中に黒字化することは到底無理だと判断したもようだ。 それでも三木谷氏は強気な姿勢を崩していない。5月12日の決算説明会では、「将来的にはナンバーワン携帯キャリアになる」と豪語した。 株価を犠牲にしてでも、巨額の資金調達に踏み切る決断をしたのは、モバイル事業から撤退しない意思の表明とも受け取れる』、「契約回線数」はかろじて下げ止まったが、「事業単体での営業黒字化には」程遠いようだ。
・『KDDIとの新たな契約で方針転換  モバイル事業をめぐる楽天の方針転換は、黒字化計画の後ろ倒しだけではない。通信網の整備についても、従来の「自前主義」を見直す方向へと舵を切った。 5月11日、楽天はKDDIとの間で、自社回線でカバーできていないエリアでKDDIの回線を利用できる「ローミング」契約を新たに締結したと発表した。2023年6月から2026年9月まで、これまでローミングの対象ではなかった東京23区や大阪市といった都市部繁華街や地下空間などにおいて、KDDIの回線を使えるようになるという。 楽天モバイルがKDDIのローミングを使い始めたのは、2019年10月。契約期間は2026年3月末までとし、KDDIに使用料を支払う代わりに、サービス参入当初から全国で顧客へのデータ提供を行えるようにした。 ただ、当時の契約の約款から推計すると、KDDIのローミングが使われた場合、ユーザーの利用料金が仕入れ値を数百円ずつ割り込む「逆ザヤ」が起きていたとみられる。そのためローミングエリア内では、月5GB(ギガバイト)以上は速度制限がかかるプランとなっていた。 こうした事情から、楽天は自前の通信網をできるだけ早く整備するべく、基地局の設置を急ピッチで推進。とくに都市部など人口密集地帯から自社回線のみでカバーするエリアを広げて、KDDIのローミング地域を段階的に減らしてきた。 今回締結した新たなローミング契約の詳細な条件は明かされていない。ただ、楽天はローミング費用については当初計画に対して「若干の増加」としており、以前より単価は下がった可能性が高い。 楽天としては、当面KDDIの助けを借りることで、基地局の整備スケジュールを見直して資金難の急場をしのぐ狙いだ。新たな契約により、2023年の基地局設備投資額を1000億円減と当初計画から3割減らすほか、今後3年間で3000億円の設備投資削減を見込む。 背に腹は代えられない楽天がすがったように映る今回の契約だが、実はKDDIにとってもメリットは大きい。ある通信業界関係者は「KDDIは2023年度に楽天からのローミング収入が前期比で600億円減少する見込みで、この埋め合わせは容易ではない。KDDIから楽天に話を持ちかけた可能性もある」と推測する。 楽天の自社回線による人口カバー率(通常速度でデータを無制限で使えるエリア)は、2023年4月末時点で98.4%。それが新契約によって一気に99.9%と、大手3キャリア並みに広がることになる。 新契約の下、楽天モバイルは6月1日から新プラン「最強プラン」を投入する。料金は従来の980~2980円(税抜き)のまま、楽天回線もKDDI回線も使い放題にするという』、「KDDIのローミング」の再拡大で、「2023年の基地局設備投資額を1000億円減と当初計画から3割減らすほか、今後3年間で3000億円の設備投資削減を見込む」、「楽天の自社回線による人口カバー率は・・・新契約によって一気に99.9%と、大手3キャリア並みに広がることになる」、なるほど。
・『最強プランでどこまで契約を伸ばせるか  今後の焦点は、新プランを契機として楽天モバイルの契約回線数が伸びるかどうかだ。 月々2980円で良質な通信が全国で使い放題となれば、大手キャリアが展開するプランの中では最安値圏と言える。楽天経済圏のサービス利用が多いユーザーなどが、一定数流入する可能性はあるだろう。 ただ、KDDIのローミングを使えるようになったとはいえ、ローミングがカバーするエリアは都市部など一部にとどまる。契約獲得や解約抑止に当たって障壁となってきた通信品質の問題では、イメージ改善へのハードルは依然として高い。 通信品質という点で、楽天と大手3キャリアとの最大の違いは、障害物を避けてつながりやすい700~900MHz(メガヘルツ)の周波数帯「プラチナバンド」の有無だ。楽天モバイルのみがプラチナバンドを割り当てられていない。 楽天は総務省に対して長らくプラチナバンドの割り当てを求めてきた経緯があり、同社の想定では早ければ今秋にも獲得できる見通しという。ただし、競合する既存キャリアの意向なども加味する必要があり、その行方はまだ流動的だ。 仮に楽天の新プランへのユーザー流出が起きれば、競合各社が何かしらの対抗策を打ってくる可能性もある。増資や投資計画の見直しで一息つく暇もなく、今後も綱渡りの経営は続きそうだ』、「長らくプラチナバンドの割り当てを求めてきた経緯があり、同社の想定では早ければ今秋にも獲得できる見通しという。ただし、競合する既存キャリアの意向なども加味する必要があり、その行方はまだ流動的だ。 仮に楽天の新プランへのユーザー流出が起きれば、競合各社が何かしらの対抗策を打ってくる可能性もある」、「プラチナバンドの割り当て」が当面の注目点だ。

次に、5月25日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの磯山 友幸氏による「「楽天にとって不運だったのは菅首相の誕生」楽天モバイルが苦戦を強いられている"本当の原因" 「官製値下げ」は長期的に見て国民の利益になっているのか」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/69905
・『楽天銀行を上場させて資金調達をしたばかり  楽天グループが「金食い虫」と化したモバイル事業に悪戦苦闘を迫られている。5月16日には公募増資と第三者割当増資で最大3300億円の資金を調達すると発表。調達資金はモバイル事業の設備投資と社債償還に当てるとしている。 増資で新たに発行する株式は最大5億4690万株に達する。増資前の発行済株式総数の34%に相当する株式が増えることになるため、報道が流れた直後から株式価値の希薄化を懸念した売りに押されて株価は大きく下げた。市場全体は海外投資家の買いで活況を呈し、株価が大幅に上昇したのとは対照的だった。 5月17日に日経平均株価は3万円を突破、その後も上昇し続けて22日には33年ぶりに3万1000円台に乗せた。そんな中で楽天の株価は5月12日の707円から5月18日には606円にまで下落、22日は613円で引けたものの、取引時間中には602円の安値を付けた。 それほど投資家に動揺を与えながらも大型の増資に踏み切らざるを得ないところに、楽天の苦しさが滲み出ている。なりふり構わぬと言ったところだが、つい1カ月前にも市場を使った資金調達をしたばかりだった。子会社の楽天銀行を東証のプライム市場に上場、保有株の一部を売却して717億円を調達した。これも携帯電話の基地局整備などに当てられる』、「つい1カ月前にも」、「子会社の楽天銀行を東証のプライム市場に上場、保有株の一部を売却して717億円を調達」、今回は「公募増資と第三者割当増資で最大3300億円の資金を調達」、「投資家に動揺を与えながらも大型の増資に踏み切らざるを得ないところに、楽天の苦しさが滲み出ている」、その通りだ。
・『携帯事業は1026億円の赤字  こうして調達を繰り返している資金も、砂漠に水を撒くように消えていく。2023年12月期は3000億円の設備投資を予定しているほか、今後3年間で9000億円の社債償還が控える。それだけではない。さらに毎年巨額の赤字を計上しているからだ。 楽天グループの連結最終損益は、携帯電話サービスを始めた2019年12月期から4期連続で赤字が続いている。2022年12月期は3759億円と最大の赤字を計上した。2023年12月期に入っても赤字が減る気配はない。 5月12日に発表した2023年第1四半期(1~3月)も825億円の赤字だった。携帯事業の契約者数が454万件と前年同期の492万件から大きく減った。データ使用量1ギガバイトまで料金を「0円」とするプランを廃止した影響で解約が増えた。携帯事業は1026億円の赤字を出している。 なぜ、楽天が携帯事業でこんなに苦戦を強いられているのか。もともと、ドコモ、au、ソフトバンクの3社寡占で、楽天が新規参入する余地などなかったのではないか、と見られがちだ。ソフトバンクが携帯事業に参入する際は旧ボーダフォンを買収したにもかかわらず、それでも苦汁を舐める時期が続いた。楽天は一から自前で始めたわけで、そもそも事業として自立するのは無理なのではないか、というわけだ』、「楽天グループの連結最終損益は、携帯電話サービスを始めた2019年12月期から4期連続で赤字が続いている。2022年12月期は3759億円と最大の赤字を計上した。2023年12月期に入っても赤字が減る気配はない」、「もともと、ドコモ、au、ソフトバンクの3社寡占で、楽天が新規参入する余地などなかったのではないか、と見られがちだ」、なるほど。
・『楽天銀行を上場させて資金調達をしたばかり  楽天グループが「金食い虫」と化したモバイル事業に悪戦苦闘を迫られている。5月16日には公募増資と第三者割当増資で最大3300億円の資金を調達すると発表。調達資金はモバイル事業の設備投資と社債償還に当てるとしている。 増資で新たに発行する株式は最大5億4690万株に達する。増資前の発行済株式総数の34%に相当する株式が増えることになるため、報道が流れた直後から株式価値の希薄化を懸念した売りに押されて株価は大きく下げた。市場全体は海外投資家の買いで活況を呈し、株価が大幅に上昇したのとは対照的だった。 5月17日に日経平均株価は3万円を突破、その後も上昇し続けて22日には33年ぶりに3万1000円台に乗せた。そんな中で楽天の株価は5月12日の707円から5月18日には606円にまで下落、22日は613円で引けたものの、取引時間中には602円の安値を付けた。 それほど投資家に動揺を与えながらも大型の増資に踏み切らざるを得ないところに、楽天の苦しさが滲み出ている。なりふり構わぬと言ったところだが、つい1カ月前にも市場を使った資金調達をしたばかりだった。子会社の楽天銀行を東証のプライム市場に上場、保有株の一部を売却して717億円を調達した。これも携帯電話の基地局整備などに当てられる』、「楽天の株価は5月12日の707円から5月18日には606円にまで下落、22日は613円で引けたものの、取引時間中には602円の安値を付けた。 それほど投資家に動揺を与えながらも大型の増資に踏み切らざるを得ないところに、楽天の苦しさが滲み出ている。なりふり構わぬと言ったところだが・・・」、なるほど。
・『携帯事業は1026億円の赤字  こうして調達を繰り返している資金も、砂漠に水を撒くように消えていく。2023年12月期は3000億円の設備投資を予定しているほか、今後3年間で9000億円の社債償還が控える。それだけではない。さらに毎年巨額の赤字を計上しているからだ。 楽天グループの連結最終損益は、携帯電話サービスを始めた2019年12月期から4期連続で赤字が続いている。2022年12月期は3759億円と最大の赤字を計上した。2023年12月期に入っても赤字が減る気配はない。 5月12日に発表した2023年第1四半期(1~3月)も825億円の赤字だった。携帯事業の契約者数が454万件と前年同期の492万件から大きく減った。データ使用量1ギガバイトまで料金を「0円」とするプランを廃止した影響で解約が増えた。携帯事業は1026億円の赤字を出している。 なぜ、楽天が携帯事業でこんなに苦戦を強いられているのか。もともと、ドコモ、au、ソフトバンクの3社寡占で、楽天が新規参入する余地などなかったのではないか、と見られがちだ。ソフトバンクが携帯事業に参入する際は旧ボーダフォンを買収したにもかかわらず、それでも苦汁を舐める時期が続いた。楽天は一から自前で始めたわけで、そもそも事業として自立するのは無理なのではないか、というわけだ』、「もともと、ドコモ、au、ソフトバンクの3社寡占で、楽天が新規参入する余地などなかったのではないか、と見られがちだ・・・楽天は一から自前で始めたわけで、そもそも事業として自立するのは無理なのではないか、というわけだ」、なるほど。
・『「Rakuten最強プラン」が起死回生の一打になるか  ネット上では、楽天は携帯事業から撤退するのではないかとか、他のキャリアと統合するのではないかと言った見方も出ている。だが、万が一、そんなことになれば、菅首相の介入が新規参入を疎外し、競争を排除したことになってしまう。結局、既得権を持つ3社が有利になるということだろう。それを菅首相が意図していたとは思わないが、政府が価格をコントロールしようとして介入すれば、市場競争は大きく歪むことになるのは現実だろう。 楽天自身は、今回の公募増資の発表資料の中で、Eコマースやトラベル、金融決済などの同社のサービスを展開していく中で、「モバイル端末が最も重要なユーザーとのタッチポイントであることに疑いの余地はなく」重要だとし、携帯事業を死守し続けていく覚悟を示している。三木谷浩史会長兼社長が描く、全体の事業構造に携帯事業は不可欠だということだろう。 つながりにくいと批判される楽天モバイルの通信環境を改善する切り札としてauを運用するKDDIとの間で、自社でカバーできていないエリアでの「ローミング」契約を新たに締結した。また、6月1日から「Rakuten最強プラン」と銘打って、データ高速無制限で最大2980円という新プランを投入する。これが起死回生の一打になるかどうかが楽天にとっての正念場だろう』、「6月1日から「Rakuten最強プラン」と銘打って、データ高速無制限で最大2980円という新プランを投入」、「起死回生の一打になるかどうかが楽天にとっての正念場」、その通りだ。
・『「官製値下げ」は国民の利益に繋がるのか  政治家の介入による「官製値下げ」は国民受けが良いこともあって、繰り返されがちだ。6月からの電気料金の値上げに対しても河野太郎大臣と消費者庁が苦言を呈したことで、値上げ幅が圧縮された。電力料金も新規参入を促し競争状態を作ることで価格引き下げを進めていたはずが、いつの間にか「官製価格」の時代に舞い戻っている。一見、消費者のために動いているように見えて、結局は政府が競争をコントロールするようになり、市場は歪み、新規参入が阻害されることになる。 競争のルールが突然変わったことで悪戦苦闘を余儀なくされた楽天を見ていると、似たようなことが繰り返されかねない予感を覚える。岸田文雄内閣はガソリン価格の上昇を抑えるために巨額の補助金を出し、小麦粉の価格を引き下げ、電気やガスの価格もコントロールしようとしているからだ。果たして、それが長期的に見て国民の利益に繋がるのかどうか改めて考えてみる必要がありそうだ』、「いつの間にか「官製価格」の時代に舞い戻っている。一見、消費者のために動いているように見えて、結局は政府が競争をコントロールするようになり、市場は歪み、新規参入が阻害されることになる。 競争のルールが突然変わったことで悪戦苦闘を余儀なくされた楽天を見ていると、似たようなことが繰り返されかねない予感を覚える」、「岸田文雄内閣はガソリン価格の上昇を抑えるために巨額の補助金を出し、小麦粉の価格を引き下げ、電気やガスの価格もコントロールしようとしているからだ。果たして、それが長期的に見て国民の利益に繋がるのかどうか改めて考えてみる必要がありそうだ」、その通りだ。

第三に、5月30日付けNewsweek日本版が掲載した経済評論家の加谷珪一氏による「「日本ネット企業の雄」だった楽天は、なぜここまで追い込まれた? 迫る「決断の日」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2023/05/post-236_1.php
・『<かつては極めて良好な財務体質を誇り、市場の期待も高かった楽天だが、「最後の軍資金」で立ち直れるかどうかの瀬戸際に立たされている> 楽天が約3000億円の公募増資に踏み切った。同社は携帯電話事業の不振で4期連続の最終赤字を計上しており、財務が急激に悪化している。資金を捻出するため楽天銀行を上場させたものの、親子上場に当たることから、市場の評判はすこぶる良くない。 今回の増資でも携帯電話事業が軌道に乗らなかった場合、同社は重大な決断を迫られることになるだろう。 楽天は、日本のネット企業の雄と言われ、2000年に上場(店頭公開)を果たした際には、当時としては過去最高額の資金を調達している。財務体質も極めて良好で、上場直後の00年12月期における自己資本比率は何と95.2%もあった。 ネットバブルの崩壊によって株価は一時、下落したものの、その後は順調に時価総額を増やし、15年には株価が2400円目前まで上昇。豊富な資金を背景に次々と諸外国のネット企業を買収し、市場の期待は高まったが、ここが成長のピークとなった。 相次ぐ買収がうまく収益に結び付かず、17年12月、同社は携帯電話事業への参入を決断した。これまで同社にはネット企業として高い成長期待が寄せられていたが、携帯電話は巨額の設備投資を必要とする典型的なオールド・ビジネスである。 日本の携帯電話市場は人口減少から縮小が予想されており、しかもNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社による寡占状態が続く。経営学的に見て新規参入が困難であることは明らかだ』、「楽天グループ」の株価は足元552円と、ピークの「2400円目前」の約1/4となった。「上場直後の00年12月期における自己資本比率は何と95.2%もあった」、22年12月期は3.98%だ。
・『社員の50億円横領事件も  同社トップの三木谷浩史氏は、日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)出身で、ハーバード大学経営大学院でMBA(経営学修士)を取得した人物であり、この状況を理解できないはずがない。それにもかかわらず携帯電話事業への参入を決めたことから、市場関係者は「楽天はよほど追い込まれている」と判断せざるを得なかった。 実際、携帯電話事業は先行投資ばかりがかさみ、軌道に乗っていない。他事業の黒字を携帯電話事業が食いつぶす状況が続く。基地局の設置を急ぐあまり社内管理体制も追い付いておらず、グループ会社の社員が50億円もの金額を横領するという刑事事件まで発生した。株価もピーク時と比較すると4分の1まで下落している。 日本では同社について、米アマゾンや中国のアリババなどに対抗できるネット企業として高く評価する向きがある一方、同社はテクノロジー企業ではなく、アマゾンやアリババと同じ土俵では戦えないとする冷めた見方も多かった。 実際、アマゾンやアリババが高度な技術力を駆使して次々と革新的なサービスを展開するなか、楽天は出店者から出店料を徴収する事業形態から脱却できず、高度な物流網の構築やAI(人工知能)を使った販促システム、大規模なクラウド・サービスのいずれも実現していない。 直近の決算では、約20兆円の総資産に対して自己資本はわずか8700億円と4%程度にまで減少しており、財務的には危険水域に近づきつつある。楽天銀行の上場と公募増資で得た約4000億円はいわば最後の軍資金であり、これで携帯事業黒字化のメドが立たなかった場合、同社の選択肢は限られてくる。 ハイテク企業と似て非なる存在だった同社の姿は、IT後進国となった日本そのものといえるかもしれない』、「社員の50億円横領事件」は「同社トップの三木谷浩史氏」の力量の限界を示している。「日本では同社について、米アマゾンや中国のアリババなどに対抗できるネット企業として高く評価する向きがある一方、同社はテクノロジー企業ではなく、アマゾンやアリババと同じ土俵では戦えないとする冷めた見方も多かった。 実際、アマゾンやアリババが高度な技術力を駆使して次々と革新的なサービスを展開するなか、楽天は出店者から出店料を徴収する事業形態から脱却できず、高度な物流網の構築やAI(人工知能)を使った販促システム、大規模なクラウド・サービスのいずれも実現していない」、「財務的には危険水域に近づきつつある。楽天銀行の上場と公募増資で得た約4000億円はいわば最後の軍資金であり、これで携帯事業黒字化のメドが立たなかった場合、同社の選択肢は限られてくる。 ハイテク企業と似て非なる存在だった同社の姿は、IT後進国となった日本そのものといえるかもしれない」、同感である。 
タグ:・サービスのいずれも実現していない」、「財務的には危険水域に近づきつつある。楽天銀行の上場と公募増資で得た約4000億円はいわば最後の軍資金であり、これで携帯事業黒字化のメドが立たなかった場合、同社の選択肢は限られてくる。 ハイテク企業と似て非なる存在だった同社の姿は、IT後進国となった日本そのものといえるかもしれない」、同感である。 「社員の50億円横領事件」は「同社トップの三木谷浩史氏」の力量の限界を示している。「日本では同社について、米アマゾンや中国のアリババなどに対抗できるネット企業として高く評価する向きがある一方、同社はテクノロジー企業ではなく、アマゾンやアリババと同じ土俵では戦えないとする冷めた見方も多かった。 実際、アマゾンやアリババが高度な技術力を駆使して次々と革新的なサービスを展開するなか、楽天は出店者から出店料を徴収する事業形態から脱却できず、高度な物流網の構築やAI(人工知能)を使った販促システム、大規模なクラウド 「楽天グループ」の株価は足元552円と、ピークの「2400円目前」の約1/4となった。「上場直後の00年12月期における自己資本比率は何と95.2%もあった」、22年12月期は3.98%だ。 加谷珪一氏による「「日本ネット企業の雄」だった楽天は、なぜここまで追い込まれた? 迫る「決断の日」」 Newsweek日本版 「岸田文雄内閣はガソリン価格の上昇を抑えるために巨額の補助金を出し、小麦粉の価格を引き下げ、電気やガスの価格もコントロールしようとしているからだ。果たして、それが長期的に見て国民の利益に繋がるのかどうか改めて考えてみる必要がありそうだ」、その通りだ。 「いつの間にか「官製価格」の時代に舞い戻っている。一見、消費者のために動いているように見えて、結局は政府が競争をコントロールするようになり、市場は歪み、新規参入が阻害されることになる。 競争のルールが突然変わったことで悪戦苦闘を余儀なくされた楽天を見ていると、似たようなことが繰り返されかねない予感を覚える」、 磯山 友幸氏による「「楽天にとって不運だったのは菅首相の誕生」楽天モバイルが苦戦を強いられている"本当の原因" 「官製値下げ」は長期的に見て国民の利益になっているのか」 PRESIDENT ONLINE 「長らくプラチナバンドの割り当てを求めてきた経緯があり、同社の想定では早ければ今秋にも獲得できる見通しという。ただし、競合する既存キャリアの意向なども加味する必要があり、その行方はまだ流動的だ。 仮に楽天の新プランへのユーザー流出が起きれば、競合各社が何かしらの対抗策を打ってくる可能性もある」、「プラチナバンドの割り当て」が当面の注目点だ。 「KDDIのローミング」の再拡大で、「2023年の基地局設備投資額を1000億円減と当初計画から3割減らすほか、今後3年間で3000億円の設備投資削減を見込む」、「楽天の自社回線による人口カバー率は・・・新契約によって一気に99.9%と、大手3キャリア並みに広がることになる」、なるほど。 「6月1日から「Rakuten最強プラン」と銘打って、データ高速無制限で最大2980円という新プランを投入」、「起死回生の一打になるかどうかが楽天にとっての正念場」、その通りだ。 「契約回線数」はかろじて下げ止まったが、「事業単体での営業黒字化には」程遠いようだ。 「もともと、ドコモ、au、ソフトバンクの3社寡占で、楽天が新規参入する余地などなかったのではないか、と見られがちだ・・・楽天は一から自前で始めたわけで、そもそも事業として自立するのは無理なのではないか、というわけだ」、なるほど。 「楽天の株価は5月12日の707円から5月18日には606円にまで下落、22日は613円で引けたものの、取引時間中には602円の安値を付けた。 それほど投資家に動揺を与えながらも大型の増資に踏み切らざるを得ないところに、楽天の苦しさが滲み出ている。なりふり構わぬと言ったところだが・・・」、なるほど。 「楽天グループの連結最終損益は、携帯電話サービスを始めた2019年12月期から4期連続で赤字が続いている。2022年12月期は3759億円と最大の赤字を計上した。2023年12月期に入っても赤字が減る気配はない」、「もともと、ドコモ、au、ソフトバンクの3社寡占で、楽天が新規参入する余地などなかったのではないか、と見られがちだ」、なるほど。 「つい1カ月前にも」、「子会社の楽天銀行を東証のプライム市場に上場、保有株の一部を売却して717億円を調達」、今回は「公募増資と第三者割当増資で最大3300億円の資金を調達」、「投資家に動揺を与えながらも大型の増資に踏み切らざるを得ないところに、楽天の苦しさが滲み出ている」、その通りだ。 「モバイル事業の契約数の伸び悩み」、「黒字化」の「目標を断念」とは深刻だ。 「最大3300億円の資金を調達」というのでは、「株式の大幅な希薄化に対する懸念」から、「株価は2割近く下落」したようだ。 東洋経済オンライン「楽天、「3300億円増資」でも続くモバイルの綱渡り 今期黒字化は早々に断念、当面はKDDIの助けも」 (その10)(楽天 「3300億円増資」でも続くモバイルの綱渡り 今期黒字化は早々に断念 当面はKDDIの助けも、「楽天にとって不運だったのは菅首相の誕生」楽天モバイルが苦戦を強いられている"本当の原因" 「官製値下げ」は長期的に見て国民の利益になっているのか、「日本ネット企業の雄」だった楽天は なぜここまで追い込まれた? 迫る「決断の日」) 携帯・スマホ
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