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株式・為替相場(その18)(家計が「円売り」に動くとき円安の本番が到来する 資産防衛としての「円から外貨へ」という必然、日経平均「3万8915円超え」は必然!その先に迫る上場企業の“大・不安時代”とは?、それでも「日経平均の上昇は危うい」と言える理由) [金融]

株式・為替相場については、昨年8月16日に取上げた。今日は、(その18)(家計が「円売り」に動くとき円安の本番が到来する 資産防衛としての「円から外貨へ」という必然、日経平均「3万8915円超え」は必然!その先に迫る上場企業の“大・不安時代”とは?、それでも「日経平均の上昇は危うい」と言える理由)である。

先ずは、本年6月8日付け東洋経済オンラインが掲載したみずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌 大輔氏による「家計が「円売り」に動くとき円安の本番が到来する 資産防衛としての「円から外貨へ」という必然」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/677793
・『ドル円相場は年初来の円安圏で取引が続いている。この原因をどこに求めるかは識者により見方が異なるものの、筆者は円相場を取り巻く基礎的需給環境の変化から目をそらすべきではないという立場を続けている。 需給環境といった場合、象徴的には国際収支統計を軸に議論を展開するのが基本だが、家計の金融資産構成の動きに着目する価値も大きい。日本の家計金融資産は2000兆円にも及ぶため、多少の構成変化でも大きなインパクトになりうる。 日本の家計金融資産は現状、97%が円建て、しかも55%が現預金という保守的な構成にある。 (家計金融資産グラフはリンク先参照) リスクテイクに動く余地という意味では相当に大きい状況にあり、それが外貨だった場合の為替への影響は気がかりである』、「日本の家計金融資産は現状、97%が円建て、しかも55%が現預金という保守的な構成」、「リスクテイクに動く余地という意味では相当に大きい状況にあり」、確かにその通りで、要注意だ。
・『若年層ほど外貨建て投資  この点、気になる報道も断続的に見られている。 例えば、1カ月前の日本経済新聞(2023年5月1日)は「外貨資産『増やした』4割若手投資家、日本より米国株」と題し、若年層ほど外貨建て資産の比率を増やしていることを報じた。 かねて筆者はこうした「家計の円売り」こそ円相場、ひいては日本経済が抱える最大のリスクではないかと考えてきた。 上記の日経記事の中で紹介されていたアンケート結果に目をやると、「外国企業の方が日本企業よりも期待リターンが高いから」「右肩上がりの成長が不可能となり、日本株を長期で保有するにはリスクがある」など、内外の成長格差への意識が透ける。 これから投資をする個人にとって、国内よりも海外という志向はおおむね共通する志向だろう。) こうした「国内から海外へ」という資産運用の動きは今に始まったものではなく、過去数年の潮流である。 例えば投資信託経由の株式売買動向に目をやると、2015年以降じわじわと買いが積み上がる外国株式に対して国内株式の取得意欲は非常に弱く、2019年以降は国内から海外への代替が進んでいるかのような構図にも見える。 (投資信託経由の株式売買グラフはリンク先参照) 同統計からでは為替ヘッジの有無までは判別できないものの、こうした外国株式(おそらく多くは米国株式)への投資を通じた円売りも、今の円安局面に寄与しているのではないかと推測される』、「これから投資をする個人にとって、国内よりも海外という志向はおおむね共通する志向だろう」、「投資信託経由の株式売買動向に目をやると、2015年以降じわじわと買いが積み上がる外国株式に対して国内株式の取得意欲は非常に弱く、2019年以降は国内から海外への代替が進んでいるかのような構図にも見える」、「かねて筆者はこうした「家計の円売り」こそ円相場、ひいては日本経済が抱える最大のリスクではないかと考えてきた」、いよいよ「家計の円売り」が始まったのかも知れない。
・『空気で一気に動くおそれ  もっとも、上述した通り、家計金融資産の半分以上はまだ円建ての現預金に集中している。よって、外国株式への投資などが過去に比べて盛り上がっているのは事実としても、そうした「日本人の円売り」が資金循環構造を根本的に変容させるような状況にはまだない。 しかし、任意となっても大多数が続けているマスク着用のように、日本人は合理性よりも「皆がやっているから、やる」という空気で意思決定を下しやすい。冒頭の日経報道で指摘されたように、外貨建て資産を増やす層がこのまま増えていけば、どこかでそれが多数派として空気を形成することになる。 もはや窓口で高い手数料を払って外貨を購入する必要はなく、スマートフォン操作で簡単に外貨建て資産を購入できてしまうのだから、「動く時は一気に動く」というおそれは常にある。) 実際、「半世紀ぶりの安値」が続く実質実効為替相場(REER・物価格差を考慮し、主要貿易相手国に対する通貨の実力を測る指標)が象徴するように、日本が海外に対して持つ購買力はこの上なく弱まっている。 (円の実質実効為替相場のグラフはリンク先参照) よって外貨運用を増やすこと自体に相応の合理性もある。円の購買力が弱いからこそ海外から輸入される財の値段が押し上げられ、毎日のように値上げが報じられる状況に直結する。 片や、海外から日本へやってくる訪日外国人観光客(インバウンド)は「弱い円」の裏返しである「強い外貨」を背景として旺盛な消費・投資意欲を発揮し続けている』、「外貨建て資産を増やす層がこのまま増えていけば、どこかでそれが多数派として空気を形成することになる。 もはや窓口で高い手数料を払って外貨を購入する必要はなく、スマートフォン操作で簡単に外貨建て資産を購入できてしまうのだから、「動く時は一気に動く」というおそれは常にある」、その通りだ。
・『「弱い円」と「強い外貨」に諦観  日本人の多くは「こんな高いホテル誰が泊まるのか」「こんな高い鮨、誰が食べるのか」「どうせインバウンド向けでしょう」という会話をしたことがあるのではないか。これは「弱い円」と「強い外貨」に対する諦観に基づいた会話であり、「もう円で買えるものは少なくなっている」という日本人の胸中が透ける。 こうした状況に対し名目賃金が上昇してくればよいが、大きな望みは持てない。 6月6日に発表された4月の実質賃金は、前年比マイナス3.0%と13カ月連続でマイナスだった。日本人の懐事情は確実に貧しくなっている。 このような状況が極まっていった場合、合理的な経済人ならば、資産を「弱い円」ではなく「強い外貨」で持つという意欲は強まるはずである。毎日のように「円は安い(≒外貨は高い)」という情報にさらされれば、自国通貨の脆弱性に愛想を尽かす向きは増えて当然である。 事実、円の対ドル相場は2019年12月から足元までの間に、1ドル=110円から140円へと30%弱も下落している。これまで一番安全だと考えられていた「自国通貨建ての現預金」に置くだけでこれほど目減りしてしまった以上、何らかの形で対策を打とうと考えるのは普通である。) 円安が2022年の一過性の動きで終わればそのような心配もなかったかもしれないが、2023年に入ってからもしっかり持続している。必然的に「円から外貨へ」という投資意欲を持つ層は増えてくるだろう。 こうした動きは広義には「貯蓄から投資へ」という意味合いをはらむが、筆者は若干異なるように思っている。 「貯蓄から投資へ」のスローガンが企図するのは、資産運用を通じて保有資産を増やしていこうという「攻め」の姿勢転換だろう。だが、上述のような諦観に起因する「弱い円」から「強い外貨」へという動きは資産運用というより資産防衛であり、保有資産が減らないようにしようという「守り」の姿勢転換といえる。 高度経済成長以降、日本人は円高に悩んだことはあっても円安に悩んだことはなかった。だからこそ、今後起きることも未知の展開になる可能性があると筆者は危惧している』、「上述のような諦観に起因する「弱い円」から「強い外貨」へという動きは資産運用というより資産防衛であり、保有資産が減らないようにしようという「守り」の姿勢転換といえる。 高度経済成長以降、日本人は円高に悩んだことはあっても円安に悩んだことはなかった。だからこそ、今後起きることも未知の展開になる可能性があると筆者は危惧している」、確かに「円安に悩む」のは未知の展開だ。
・『1ドル=152円は序章にすぎないかもしれない  2022年12月末時点で日本の家計が保有する円の現預金は約1110兆円だった。この10%が「強い外貨」に移ろうとするだけでも110兆円規模の円売りが起きる。5%なら55兆円だ。 2022年の経常黒字(海外との貿易や投資で稼いだ額)が約11兆円なので、日本の年間経常黒字の5~10年分が家計の外貨シフトで相殺されるイメージになってしまう。 ちなみに、その経常黒字自体も第一次所得収支黒字を主軸としているため、実需としての円買いは乏しいという実情もある(この点は別の機会に深く議論させていただきたいが、同黒字の半分近くは円に転換されていない可能性が高い)。 このような需給環境の下で「日本人の円売り」がたきつけられた場合、円相場は相当にまとまった幅で下落する懸念があるのではないか。 裏を返せば、2022年に直面した113円付近から152円付近までの円急落は「日本人の円売り」を抜きにして起きた現象であり、その意味で限定的な円安相場だったという見方もできる。 本当の円安リスクはまだ顕在化していないという目線を持ちたい』、「2022年12月末時点で日本の家計が保有する円の現預金は約1110兆円だった。この10%が「強い外貨」に移ろうとするだけでも110兆円規模の円売りが起きる。5%なら55兆円だ。 2022年の経常黒字(海外との貿易や投資で稼いだ額)が約11兆円なので、日本の年間経常黒字の5~10年分が家計の外貨シフトで相殺されるイメージになってしまう」、これは私が異次元緩和の副作用として懸念していた円大暴落シナリオだ。植田新総裁が余りに慎重過ぎる政策運営をしていることが、「本当の円安リスク」「顕在化」につながる可能性がある。

次に、6月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「日経平均「3万8915円超え」は必然!その先に迫る上場企業の“大・不安時代”とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/324520
・『日経平均は、年内にバブル期の最高値3万8915円を抜く――。私はそう確信しています。日経平均を押し上げる「三大要因」が強力に作用しているからです。しかし、「そのあとの世界」はどうなるのでしょうか。実は、上場企業の過半数が足をすくわれる「大・不安時代」がやってくるかもしれません。3メガバンクやオリックス、三井不動産や野村不動産ホールディングス(HD)、日本郵船や商船三井、鹿島建設や大林組、東レや旭化成、日本製鉄やJFEHD、ホンダにSUBARUなど……日本を代表する上場企業も例外ではないのです』、「日経平均は、年内にバブル期の最高値3万8915円を抜く」が、「その先に迫る上場企業の“大・不安時代”」、とは興味深そうだ。
・『日経平均は今年中にバブル最高値を抜くだろう  経済評論家の鈴木貴博です。未来予測を専門にしているせいで最近よく聞かれるテーマが、AIと日経平均です。日経平均は、バブル期の過去最高値(終値)の3万8915円87銭を今年中に抜く可能性が高まってきました。もう一歩踏み込んで予測すると9月までに一度、3万8000円台に到達する可能性も高いと思っています。 そこまで到達するのには、日経平均があと16%も上がる必要があります。株価の平均が16%上がるというのは相当なことなので、「年内に」と区切ればそのような予測をしている専門家は少数です。それでも、私は「たぶんそうなる」と確信しています。 今回の記事では、その根拠もお話しします。さらに、もう一つ問題にしたいのが「そのあとの世界」です。 日本経済にとって日経平均3万8915円という数字は呪いのような性格をもっていて、過去30年にわたって「われわれの成績はここを超えることができない」という目印になっていました。「もしそれを超えたらその先は?」というと、ここが問題で日本人にはイメージしづらい未知なる世界が待っているわけです。 ということで、今回の記事では「なぜ日経平均は3万8915円を超えるのか?」という話と、「超えた後、日本企業はどうなっていくのか」について、予測とその根拠を書いていきたいと思います。 まず、日経平均がなぜ上がっているのかですが、大きく三つ理由があります』、「日本経済にとって日経平均3万8915円という数字は呪いのような性格をもっていて、過去30年にわたって「われわれの成績はここを超えることができない」という目印になっていました」、確かにその通りだ。
・『日経平均の上昇要因は「異次元緩和」「円安」「地政学リスク」  一つ目に、日銀が相変わらず異次元緩和を継続していることです。もう1年以上、利上げによる引き締めを行っているアメリカやEUとは対照的な状況です。お金がじゃぶじゃぶ集まる場所では投資が過熱するわけですが、その場所が世界の中でも日本に限られているため日本が過熱しやすい。これが、一つ目の理由です。 二つ目に、円安です。今、都心に戻ってきたインバウンド消費で外国人がこれほど日本旅行を楽しんでいる最大の理由が、「日本は安い」からです。この日本が安いという感覚は観光客だけでなく外国人投資家にとっても同じで、日本企業は割安とその目に映っているのです。 円安は昨年と比べるとマイルドな形におさまっています。しかし、もしこの夏、円ドルレートが1ドル=160円台に突入したとしたらどうでしょう。 アメリカ人にとって「160円台での日経平均3万8915円」という価格は、「1ドル=140円での3万3500円」とドル建てで見れば同じ数字です。 冒頭で申し上げた今年9月までに日経平均が3万8000円台もありうるという予測の前提の一つが、「もしこの夏に円安進行の事態になれば」という懸念とつながっているのです。 そして三つ目が、地政学的リスクの高まりです。アメリカと中国の対立が深まってきたせいで、今年に入って棚ぼたで中国、台湾への投資分を日本へ振り替える動きが加速しています。たとえば今、熊本と北海道に急ピッチで半導体工場の建設が進められていますが、稼働は先でも当然、建設需要から半導体製造装置の受注まで経済を押し上げる動きが活発になっていきます。 関連して、世界の製造業にもそれまでのサプライチェーンを見直して日本に軸足を移す動きが出てきています。金融緩和、円安、サプライチェーンの見直しの3要因はどれも日本の製造業にとってはラッキーチャンスです。 ですからこの先、決算発表の記者会見の内容が悪くなるはずはない。全体的に明るいニュースが増え、投資家心理も「買い」に向かっていくでしょう。 ということで私は経済評論家の中では楽観的に「年内3万8915円超え」を予測しているのですが、一番の問題はその先です』、「地政学的リスクの高まりです。アメリカと中国の対立が深まってきたせいで、今年に入って棚ぼたで中国、台湾への投資分を日本へ振り替える動きが加速しています。たとえば今、熊本と北海道に急ピッチで半導体工場の建設が進められていますが、稼働は先でも当然、建設需要から半導体製造装置の受注まで経済を押し上げる動きが活発になっていきます」、確かにその通りだ。
・『日本の上場企業の大半は「たたんだほうが株主が喜ぶ」会社  よく、長年のゴールを達成した後に虚脱状態になるアスリートがいらっしゃいますが、私は「たぶん日本経済は3万8915円超えをした後に虚脱状態になる」と危惧しています。来年にかけてはコロナやウクライナのようなサプライズなマイナス要因が出現しない限り、日経平均が4万2000円ぐらいまでは余裕でいくと思うのですが、それが長くは続かないという予測です。 先に根拠を示しましょう。投資家界隈で問題になっていることの一つが、日本企業のPBR(株価純資産倍率)の低さです。PBRとは企業の時価総額を純資産、言い換えると会社の資産を全部売り払った後に残る価値で割ったもので、このPBRが1よりも低い会社は株主から見れば「ここでもう活動をやめちゃった方が、利益が出る会社」を意味しています。 今、問題になっていることは東証のプライム市場とスタンダード市場に上場する3274社のうち、過半数にあたる1728社がPBR1倍を割り込んでいることです(2023年6月14日時点)。 直近のデータで銘柄スクリーニングをしてみると、時価総額5000億円以上の超優良銘柄の中にも「会社をやめちゃったほうがお得な」PBR1倍以下の企業が79社あります。 主な企業名を挙げると、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGの3メガバンクやオリックス、SBIホールディングス(HD)のような金融関連の企業、三井不動産や野村不動産HD、日本郵船や商船三井、鹿島建設や大林組、東レや旭化成、日本製鉄やJFEHD、ホンダにSUBARUといったような会社の名前がずらりと並びます。 ちなみに13日、トヨタがPBR1.03倍と1倍以上のグループに昇格したことが経済ニュースになりましたが、それまでのトヨタも会社をたたんだほうが、株主が喜ぶ側の一員だったわけです。 このことの何が重要なのかというと、これらの会社はお金があるのに投資をしていない会社なのです。経営者目線で考えるとわかりやすいのですが、経済の先行きが不透明で不安な場合、内部留保を増やしてこれから先に備えようとします。何に備えるかというと、従業員の給料が払えなくなることがないように備えるわけです』、「「たぶん日本経済は3万8915円超えをした後に虚脱状態になる」と危惧」、「投資家界隈で問題になっていることの一つが、日本企業のPBR(株価純資産倍率)の低さ」、なるほど。
・『日本企業はチャンスがあっても「投資」を十分に行わない  日本人経営者から見れば「年功序列はもうすたれたにせよ、終身雇用は依然残っていて、正社員は家族のようなものだからそれを守る責任がある」と考えるので、お金を手元にためる性向があるのです。「会社は、本当は従業員のもの」という昔の経営哲学が、上場企業の半数以上でいまだに続いているのです。 これが海外の投資家から見ると不満なところです。日本企業は海外の投資家から見ると現金の保有比率が高いのです。その状況を「目の前にものすごく投資チャンスがあるのに投資をしていない」と受け止めるのです。 わかりやすい例を若干デフォルメしながらお伝えすると、金融業界は少なくともアメリカの場合は、AIの台頭を大チャンスだと捉えています。実際に、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーといった会社では従業員の3分の1がITエンジニアやデータサイエンティストに置き換わり、内部は実質的にIT企業と呼ぶべき状態になっています。 かたや日本のメガバンクはAIやDX化の流れを受けて2017年頃から大規模な行員のリストラ計画を発表して、人員削減には邁進(まいしん)しています。 人件費という固定費を削減するのはリスクにはならないので、経営者も自信をもって進められるのですが、投資の側がわからない。いまだにITは情報システム部が担い、経営の下請け業務の域を出ていません。あくまでデフォルメですが、外国人投資家からはその姿勢が疑問視されます。 そうなると、海外の投資家から見れば日本のメガバンクが成長するイメージがわかない。業績相応の株価しかつかず、結果として日本の銀行のPBRは1を大幅に割り込みます。 自動車会社も同じで、今、業界としては脱炭素とAIのダブルチャンスが起きていて、仕事の領域を「自動車製造」から「モビリティービジネス全般」ないしは「エネルギービジネスへの進出」まで、いくらでも投資を広げられる状態にあります。 にもかかわらず、トヨタが3兆円近い利益をたたき出しているのを筆頭に、自動車業界全般で過少投資の状態が続いています。これが海外の投資家にとっては不満で「利益を出さずに投資を3兆円増やせ」という怒号となり、ひいては株主総会で会長の不信任案がとりざたされるようになっている背景なのです。 まあ、「日本企業なんだし、外国人投資家のためにビジネスをやっているわけじゃないですから」という意見もわかります。 ただそれでも不安なのは、だからといって日本企業が投資を十分に行っていないことであり、そしてもっと恐ろしいことを言えば、それはアメリカ企業も実は同じなのです』、「日本のメガバンクは・・・いまだにITは情報システム部が担い、経営の下請け業務の域を出ていません。あくまでデフォルメですが、外国人投資家からはその姿勢が疑問視されます。 そうなると、海外の投資家から見れば日本のメガバンクが成長するイメージがわかない。業績相応の株価しかつかず、結果として日本の銀行のPBRは1を大幅に割り込みます。 自動車会社も同じで・・・トヨタが3兆円近い利益をたたき出しているのを筆頭に、自動車業界全般で過少投資の状態が続いています。これが海外の投資家にとっては不満で「利益を出さずに投資を3兆円増やせ」という怒号となり、ひいては株主総会で会長の不信任案がとりざたされるようになっている背景なのです」、なるほど。
・『大半の上場企業が日経平均を「押し下げる」時代が来る  日経平均と同じようなアメリカの株式インデックスがS&P500という上位500社の平均株価なのですが、このS&P500はリーマンショック以降、やはり右肩上がりでの上昇を続けています。 しかしその内訳をGAFAM5社、つまりグーグル、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフトと、それ以外の495社に分けて計算し直すと、前者がめちゃくちゃ成長している一方で、後者の株価は停滞しています。 495社からさらにエヌビディア、テスラ、ネットフリックスを除いたら、状況はもっと悲惨なことになるはずです。 つまりアメリカでも、機会への十分な投資ができていない企業の株価は伸びていない。だとすれば日本企業もマクロ要因で3万8915円超えを達成した後、その後でも成長を続けていくことができるのは、ほんのごく一部のチャレンジングな企業だけということになると予測されます。 具体的にはソニーグループ、キーエンス、ファーストリテイリング、信越化学、東京エレクトロン、三菱商事、伊藤忠、三井物産、任天堂あたりが「日本のGAFAM」を形成して、日経平均の成長をけん引するでしょう。その一方で、リスクをとらない過半数の上場企業群が平均点の足を大きく引っ張る構図が、「日経平均3万8915円のあとの世界」での不安材料です。 少子高齢化、人手不足、脱炭素、コスト高、エネルギー不足、防衛問題――何を考えてもこの先の日本経済には不安材料がめじろ押しだというのも事実です。 一方で、それを乗り越えるためには本質的には投資しかない。それができない企業が居座り続けることができる日本経済の構造自体に、大きな未来の不安材料があるのかもしれません』、「S&P500はリーマンショック以降、やはり右肩上がりでの上昇を続けています。 しかしその内訳をGAFAM5社、つまりグーグル、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフトと、それ以外の495社に分けて計算し直すと、前者がめちゃくちゃ成長している一方で、後者の株価は停滞・・・つまりアメリカでも、機会への十分な投資ができていない企業の株価は伸びていない」、「ソニーグループ、キーエンス、ファーストリテイリング、信越化学、東京エレクトロン、三菱商事、伊藤忠、三井物産、任天堂あたりが「日本のGAFAM」を形成して、日経平均の成長をけん引するでしょう。その一方で、リスクをとらない過半数の上場企業群が平均点の足を大きく引っ張る構図が、「日経平均3万8915円のあとの世界」での不安材料です」、「この先の日本経済には不安材料がめじろ押しだというのも事実です。 一方で、それを乗り越えるためには本質的には投資しかない。それができない企業が居座り続けることができる日本経済の構造自体に、大きな未来の不安材料があるのかもしれません」、なるほど。

第三に、6月19日付け東洋経済オンラインが掲載したブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリストの馬渕 治好氏による「それでも「日経平均の上昇は危うい」と言える理由」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/680453
・『日本株が続騰基調にある。代表的な指標である日経平均株価は反落も交えたものの、6月16日にはザラ場高値(3万3772円)と終値(3万3706円)がともに平成バブル崩壊後の最高値を更新した。 同日のアメリカではシカゴ日経平均先物は3万3675円で引けたが、これは現物指数に換算すると3万3750円辺りに相当する。今週(19~23日)も勢いだけの上振れが続くことで、「3万4000円超え」の局面到来を否定できない』、興味深そうだ。
・『相場予測は大外れ、率直にお詫びす  当コラムでは「今年前半は投資環境の悪化による株価下落が優勢になる」と唱え続け、安値のメドとして現時点では2万7000円を提示している。だが、実際の市況はこれとは真逆の株価暴騰となっており、筆者の見通しは大外れだ。 筆者は種々の機会において、専門家の予想数値だけを取り上げることは有益ではなく、その背景となる分析のほうがはるかに重要だと主張してきた。また、投資家の方々が自分自身で投資戦略を立案するうえで、専門家の主張や見解を丸ごと信じるのではなく、それを踏み台として、それらを上回り、高みに立つような展望を構築してほしい、とも述べてきた。 とはいっても、市況の予測数値は筆者から提示する情報の重要な一部であり、それが大外れであることは専門家として重責だ。すでに多くの叱責を頂戴しているが、そうした声をいただく以前から、筆者の予測の誤りが投資家の判断に悪影響を与え、投資収益面でご迷惑をおかけしているという点に日頃から思いを巡らせている。 実際、毎日胃が痛い思いをし、眠れない日も少なくない。当コラムの執筆だけでなく、雑誌、電子媒体などへの寄稿、テレビやラジオへの出演も「投資家にさらにご迷惑をおかけするばかりではないか」との恐怖にとらわれる。 だが、筆者が心痛を覚えても、皆さんに及ぼしたご迷惑は消えてなくならない。実際に投資成績に悪影響を被った投資家の方々のほうが、筆者の何倍も辛い思いだと拝察する。この場を借りて、心よりお詫び申し上げたい。) 筆者は、証券会社の調査部門に勤務した期間が長い。市場見通しを誤った際には、上司から「お前の軽い頭を下げて詫びられても、投資家の収益が改善するわけではない、そんな役に立たない謝罪をしている暇があったら、分析を再点検することに時間を使え」と諭された』、「上司」のアドバイスももっともだ。
・『日本への知見が浅い「ツーリスト投資家」が今の主役  当時の上司の教えに従って、現在の日本株暴騰の背景を再点検したい。その結論は、読者の方々は「懲りないやつだな」とあきれるだろうが、やはり世界の投資環境は悪化し続けており、日本を含む世界主要国の株価下落が示唆されているということだ。 投資家動向から述べると、5月以降の日経平均暴騰の主役は海外投資家の買いだ。ただし、筆者自身が情報交換している海外投資家から得られる感触では「日本株投資の経験が長く、日本を熟知している長期投資家は本格的な買いは行っていない」というものだ。 こうした感触は、海外投資家と接しているほかの多くの証券関係者からも寄せられる。加えて、日本株を大いに買っているのは「ツーリスト投資家」が中心だ、との言葉もよく聞く。 観光業界ではその国を団体旅行で初めて訪問したり、「単なる旅行者」として訪れるよう人を「ツーリスト」と呼ぶ。「ツーリスト投資家」はそれと同様、日本株への投資経験がないかほとんどない状態で「試しに日本に資金を投じるような投資家」を指す。ツーリストが短期間の旅行で本国に帰るのと同様に、ツーリスト投資家も日本株投資が短期間となる場合が多い。 こうした投資家について、豊島&アソシエイツ代表の豊島逸夫氏が、14日付の日本経済新聞電子版で披露していた見解が興味深いので、一部を引用したい。 「すでに日本株を購入した投資家は、日本株保有の『初体験組』が多いので、その決断が正しかったのかどうか、不安な心理状態にいる。そのため、日本株についての好意的な記事をあさるように探している。マーケティング理論でいうところの『認知的不協和』を最小限に抑えるように行動しているのだ」) ここで言う「認知的不協和」とは、自身の中に2つの矛盾する認識があることを意味する。人はその矛盾が不快なので、何かのこじつけでもそれを解消しようとする。 有名なのは「すっぱいブドウ」の逸話だ。キツネは、高い場所にブドウを見つけ、食べたいと思った。しかし、高すぎて手に取って食べることができない。「食べたい」という気持ちと「食べられない」という現実との矛盾を解消するため、キツネは「どうせあのブドウはすっぱくてまずい」といった、真実かどうかわからない言い訳で気持ちを落ち着かせる。 それと同様に、ツーリスト投資家も「自分は日本株を買った、儲かりたい」という願望と「自分は日本株投資の経験がなく、日本のこともよくわからないので、買いは失敗だったのでは」との不安が、矛盾しているのだろう。 その矛盾解消のため、「円安で日本株は上がる」「ウォーレン・バフェット氏が日本株に前向きだから上がる」「東京証券取引所が低PBR(株価純資産倍率)企業に改善を求めているから上がる」といった、確固たるものか定かではない報道にすがって、自身の投資判断を正当化しているのだろう』、「日本株を大いに買っているのは「ツーリスト投資家」が中心だ、との言葉もよく聞く・・・「ツーリスト投資家」は・・・日本株への投資経験がないかほとんどない状態で「試しに日本に資金を投じるような投資家」を指す。ツーリストが短期間の旅行で本国に帰るのと同様に、ツーリスト投資家も日本株投資が短期間となる場合が多い」、「「円安で日本株は上がる」「ウォーレン・バフェット氏が日本株に前向きだから上がる」「東京証券取引所が低PBR(株価純資産倍率)企業に改善を求めているから上がる」といった、確固たるものか定かではない報道にすがって、自身の投資判断を正当化しているのだろう」、「ツーリスト投資家」とは言い得て妙だ。
・『海外投資家のレベルを知り、椅子から転げ落ちそうに  「海外投資家」と聞くと、そのすべてが高度な投資手法を駆使し、知識も見識もすばらしい投資家だと、誤解しているかもしれない。 だが、日本を知らない海外投資家は本当に多い。最近、「ある豪州の機関投資家が日本株に関心があり、とくに日本の政治について知りたがっている」と知人から紹介され、メールで解散総選挙の可能性を中心に、政治情勢について質問を受けた。多くの質問のあと、最後のメールの末尾の文章を読んで、椅子から転げ落ちそうになった。 「ハル(筆者のニックネーム)、詳細に教えてくれてありがとう。衆議院の解散について、とてもよくわかったよ。ところで、参議院の解散についてはどう思う?」 日本の国会制度などをきちんと説明したが、その程度の投資家も今は日本株買いに多く参戦していると考えたほうがよい。) 世界の金融・経済環境も再点検しよう。金融政策については、最近2週間だけでも、ユーロ圏、カナダ、豪州で利上げが行われた。ユーロ圏では、昨年10~12月期、今年1~3月期と、実質経済成長率(前期比)が「景気後退の目安」とされる2四半期連続のマイナスとなった。それでも、根強いインフレを抑え込むため、景気をさらに押し下げ、株価には逆境となる政策が進行し続けている。 また、アメリカではFED(連銀)が、13~14日のFOMC(連邦公開市場委員会)でこそ利上げを見送ったものの、年末の政策金利予想値を0.5%幅引き上げた。アメリカの資金面では、経済全体の資金量を測るM2(現預金合計)の前年同月比は、昨年12月から直近の4月分(4.6%減)まで5カ月連続の減少だ。M2が前年同月比でマイナスとなるのは1960年1月以来初めてで、アメリカの景気や株価を締め上げていくだろう。 さらに中国でも、経済統計は4月以降、不振が目立つ。ゼロコロナ政策解除による景気押し上げが期待されたが、空振りに終わっている。確かに足元で中国は政策金利引き下げの姿勢を強めているが、景気悪化に歯止めがかかるかは心もとない。 こうした世界経済の悪化は、日本からの輸出に影を落としている。15日に公表された5月の貿易統計では、輸出数量は8カ月連続の前年同月比マイナスだ。 円安が外貨建て輸出の円換算値を膨らませていることで、輸出金額は増加してはいるが、5月の前年同月比はわずか0.6%増にすぎず、今後マイナス圏への転落もありえよう。 「円安だから輸出株中心に日本株は買いだ」などと楽観できる状況ではない。しかも、何とか増加している輸出金額でも、中国向けは6カ月連続の減少だ。中国と地理的・経済的に関係が深い日本への悪影響が強く懸念される事態で、「中国がダメだから日本株に資金が逃避する」などという主張は夢物語だろう』、「世界経済の悪化は、日本からの輸出に影を落としている。15日に公表された5月の貿易統計では、輸出数量は8カ月連続の前年同月比マイナスだ。 円安が外貨建て輸出の円換算値を膨らませていることで、輸出金額は増加してはいるが、5月の前年同月比はわずか0.6%増にすぎず、今後マイナス圏への転落もありえよう。 「円安だから輸出株中心に日本株は買いだ」などと楽観できる状況ではない」、その通りだ。
・『「長期展望は悲観せず」も不変  ただ筆者は、長期的には日本株に悲観ではない。長期展望を丁寧に解説するのには一定の分量が必要だ。また、筆者の予想では株価上昇は、いったん株価が下振れしたあとになる。よって、こうした長期予想はまたあらためて解説しよう。ただし『週刊東洋経済』(6月17日号)の40ページではその背景に簡単に触れているので、お読みいただければ幸いだ。 また、筆者が主催しているセミナーの参加者の方々には「日経平均はいったん下落したあと、今年末までには再度3万円の大台を奪回すると見込むし、2024年はさらに株価が上がるだろう。日本株を購入するなら、株価がいったん下振れすることを覚悟しつつ、じっと現物株やファンドを持ち続ければよい」と解説している。 避けるべきなのは、今後日経平均が2万7000円程度に「下がってから」、怖くなって株式などを思いっきり売却してしまうことだ。逆に、この水準に近いところまで下がったら買い場だ」とも伝えている。 今回コラムでは冒頭でお叱りの声があると述べたが、それ以上に激励や応援のメッセージを多く賜り、うれしさで涙することもある。そうしたご厚意に甘えてはいけないと自身を戒めつつも、この場を借りて心より御礼申し上げたい』、「筆者は、長期的には日本株に悲観ではない。長期展望を丁寧に解説するのには一定の分量が必要だ。また、筆者の予想では株価上昇は、いったん株価が下振れしたあとになる。よって、こうした長期予想はまたあらためて解説しよう」、短期悲観・長期楽観と分けるのも1つの考え方だ。
タグ:株式・為替相場 (その18)(家計が「円売り」に動くとき円安の本番が到来する 資産防衛としての「円から外貨へ」という必然、日経平均「3万8915円超え」は必然!その先に迫る上場企業の“大・不安時代”とは?、それでも「日経平均の上昇は危うい」と言える理由) 東洋経済オンライン 唐鎌 大輔氏による「家計が「円売り」に動くとき円安の本番が到来する 資産防衛としての「円から外貨へ」という必然」 「日本の家計金融資産は現状、97%が円建て、しかも55%が現預金という保守的な構成」、「リスクテイクに動く余地という意味では相当に大きい状況にあり」、確かにその通りで、要注意だ。 「これから投資をする個人にとって、国内よりも海外という志向はおおむね共通する志向だろう」、「投資信託経由の株式売買動向に目をやると、2015年以降じわじわと買いが積み上がる外国株式に対して国内株式の取得意欲は非常に弱く、2019年以降は国内から海外への代替が進んでいるかのような構図にも見える」、「かねて筆者はこうした「家計の円売り」こそ円相場、ひいては日本経済が抱える最大のリスクではないかと考えてきた」、いよいよ「家計の円売り」が始まったのかも知れない。 「外貨建て資産を増やす層がこのまま増えていけば、どこかでそれが多数派として空気を形成することになる。 もはや窓口で高い手数料を払って外貨を購入する必要はなく、スマートフォン操作で簡単に外貨建て資産を購入できてしまうのだから、「動く時は一気に動く」というおそれは常にある」、その通りだ。 「上述のような諦観に起因する「弱い円」から「強い外貨」へという動きは資産運用というより資産防衛であり、保有資産が減らないようにしようという「守り」の姿勢転換といえる。 高度経済成長以降、日本人は円高に悩んだことはあっても円安に悩んだことはなかった。だからこそ、今後起きることも未知の展開になる可能性があると筆者は危惧している」、確かに「円安に悩む」のは未知の展開だ。 「2022年12月末時点で日本の家計が保有する円の現預金は約1110兆円だった。この10%が「強い外貨」に移ろうとするだけでも110兆円規模の円売りが起きる。5%なら55兆円だ。 2022年の経常黒字(海外との貿易や投資で稼いだ額)が約11兆円なので、日本の年間経常黒字の5~10年分が家計の外貨シフトで相殺されるイメージになってしまう」、これは私が異次元緩和の副作用として懸念していた円大暴落シナリオだ。植田新総裁が余りに慎重過ぎる政策運営をしていることが、「本当の円安リスク」「顕在化」につながる可能性があ ダイヤモンド・オンライン 鈴木貴博氏による「日経平均「3万8915円超え」は必然!その先に迫る上場企業の“大・不安時代”とは?」 「日経平均は、年内にバブル期の最高値3万8915円を抜く」が、「その先に迫る上場企業の“大・不安時代”」、とは興味深そうだ。 「日本経済にとって日経平均3万8915円という数字は呪いのような性格をもっていて、過去30年にわたって「われわれの成績はここを超えることができない」という目印になっていました」、確かにその通りだ。 「地政学的リスクの高まりです。アメリカと中国の対立が深まってきたせいで、今年に入って棚ぼたで中国、台湾への投資分を日本へ振り替える動きが加速しています。たとえば今、熊本と北海道に急ピッチで半導体工場の建設が進められていますが、稼働は先でも当然、建設需要から半導体製造装置の受注まで経済を押し上げる動きが活発になっていきます」、確かにその通りだ。 「「たぶん日本経済は3万8915円超えをした後に虚脱状態になる」と危惧」、「投資家界隈で問題になっていることの一つが、日本企業のPBR(株価純資産倍率)の低さ」、なるほど。 「日本のメガバンクは・・・いまだにITは情報システム部が担い、経営の下請け業務の域を出ていません。あくまでデフォルメですが、外国人投資家からはその姿勢が疑問視されます。 そうなると、海外の投資家から見れば日本のメガバンクが成長するイメージがわかない。業績相応の株価しかつかず、結果として日本の銀行のPBRは1を大幅に割り込みます。 自動車会社も同じで・・・トヨタが3兆円近い利益をたたき出しているのを筆頭に、自動車業界全般で過少投資の状態が続いています。これが海外の投資家にとっては不満で「利益を出さずに投資を3兆円増やせ」という怒号となり、ひいては株主総会で会長の不信任案がとりざたされるようになっている背景なのです」、なるほど。 「S&P500はリーマンショック以降、やはり右肩上がりでの上昇を続けています。 しかしその内訳をGAFAM5社、つまりグーグル、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフトと、それ以外の495社に分けて計算し直すと、前者がめちゃくちゃ成長している一方で、後者の株価は停滞・・・つまりアメリカでも、機会への十分な投資ができていない企業の株価は伸びていない」、 「ソニーグループ、キーエンス、ファーストリテイリング、信越化学、東京エレクトロン、三菱商事、伊藤忠、三井物産、任天堂あたりが「日本のGAFAM」を形成して、日経平均の成長をけん引するでしょう。その一方で、リスクをとらない過半数の上場企業群が平均点の足を大きく引っ張る構図が、「日経平均3万8915円のあとの世界」での不安材料です」、 「この先の日本経済には不安材料がめじろ押しだというのも事実です。 一方で、それを乗り越えるためには本質的には投資しかない。それができない企業が居座り続けることができる日本経済の構造自体に、大きな未来の不安材料があるのかもしれません」、なるほど。 馬渕 治好氏による「それでも「日経平均の上昇は危うい」と言える理由」 「上司」のアドバイスももっともだ。 「日本株を大いに買っているのは「ツーリスト投資家」が中心だ、との言葉もよく聞く・・・「ツーリスト投資家」は・・・日本株への投資経験がないかほとんどない状態で「試しに日本に資金を投じるような投資家」を指す。ツーリストが短期間の旅行で本国に帰るのと同様に、ツーリスト投資家も日本株投資が短期間となる場合が多い」、 「「円安で日本株は上がる」「ウォーレン・バフェット氏が日本株に前向きだから上がる」「東京証券取引所が低PBR(株価純資産倍率)企業に改善を求めているから上がる」といった、確固たるものか定かではない報道にすがって、自身の投資判断を正当化しているのだろう」、「ツーリスト投資家」とは言い得て妙だ。 「世界経済の悪化は、日本からの輸出に影を落としている。15日に公表された5月の貿易統計では、輸出数量は8カ月連続の前年同月比マイナスだ。 円安が外貨建て輸出の円換算値を膨らませていることで、輸出金額は増加してはいるが、5月の前年同月比はわずか0.6%増にすぎず、今後マイナス圏への転落もありえよう。 「円安だから輸出株中心に日本株は買いだ」などと楽観できる状況ではない」、その通りだ。 「筆者は、長期的には日本株に悲観ではない。長期展望を丁寧に解説するのには一定の分量が必要だ。また、筆者の予想では株価上昇は、いったん株価が下振れしたあとになる。よって、こうした長期予想はまたあらためて解説しよう」、短期悲観・長期楽観と分けるのも1つの考え方だ。
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