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安全保障(その12)(いま「経済安全保障」が 驚くほど「バブル化」している理由 経産官僚たちの思惑、上空を飛行する「謎の気球」に鈍感な日本の危うさ 外国人に平然と買われる無人島は米軍基地そば、中国軍へ技術流出の恐れ 東工大らが留学生受け入れる中国「国防七校」の危険性、中国人による「無人島購入」は沖縄だけじゃなかった!無防備ニッポンは大丈夫?) [外交・防衛]

安全保障については、昨年4月20日に取上げた。今日は、(その12)(いま「経済安全保障」が 驚くほど「バブル化」している理由 経産官僚たちの思惑、上空を飛行する「謎の気球」に鈍感な日本の危うさ 外国人に平然と買われる無人島は米軍基地そば、中国軍へ技術流出の恐れ 東工大らが留学生受け入れる中国「国防七校」の危険性、中国人による「無人島購入」は沖縄だけじゃなかった!無防備ニッポンは大丈夫?)である。氏

先ずは、昨年5月4日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの川邊 克朗氏による「いま「経済安全保障」が、驚くほど「バブル化」している理由 経産官僚たちの思惑」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/95001?imp=0
・『経済安保バブル  岸田内閣のもとで、経済安保政策が「バブル化」している。 岸田内閣が今国会で重要法案に掲げていた経済安全保障推進法案が4月7日、呆気なく衆院を通過してしまった。当初は「対決法案」と豪語し、立法に反対していた立憲民主党をはじめとする野党の議員が、こぞって、ロシアのウクライナ侵攻であらわになった「戦争リアリティ」に及び腰になり、法案反対どころか賛成に回ったからである。 もとはと言えば、この経済安全保障政策、安倍晋三政権時代に、今井尚哉首相秘書官ら経済産業官僚が主導したものだった。今井秘書官ら経産官僚は、外交・安全保障政策の司令塔である国家安全保障局(NSS)のトップに警察庁出身の北村滋内閣情報官が就いたことを利用し、米国の「中国脅威論」を引き合いに、経済安保政策を持ち出したのだった。 そして「首相官邸支配」の雰囲気のなか、「力の省庁」である防衛省、警察庁までもが、「バスに乗り遅れるな」と、「経済安保」担当セクション創設モードに前のめりとなった。その省益、利権確保の主戦場となったのが、今年度予算である。そこでは、経済安保推進法成立より一足早く、900億円超の経済安保関連予算が積み上げられ、「バブル化」が明らかになった。 この間、安倍後継の菅義偉内閣から岸田内閣へ政権が移行した。それにともなって、安全保障政策の「メインストリーム」を自負する外務省が、秋葉剛男事務次官によるNSS局長ポストを奪還し、首相官邸から経産官僚の影響力が排除されると、「オルタナティブ」である「経済安保」熱も冷めるかに見えた。 ところが、「商工族のドン」として経産官僚の後ろ盾となってきた甘利明元TPP担当相が、岸田内閣誕生の論功行賞人事で、二階俊博幹事長に取って代わると、経済安全保障政策の法案化は一気に加速した。同時にそれは、「本当にこれが国家安全保障政策の一環である経済安保政策なのか」と疑いたくなるようなものへと変質していったのである。) 法案は、具体的には、(1)重要物資のサプライチェーン(供給網)強化、(2)基幹インフラの安全性確保、(3)先端技術の育成・支援、(4)特許非公開の仕組み、を目指すというものだが、法律の運用は、国会審議も経ずに、政府が後日「政令」「省令」などで決めるというもので、その数は138項目に及んでいる。 要は、「『安全保障政治』と呼ばれる、私人、私企業、特定の圧力団体の利益の、『国家安全保障』の衣をまとったカモフラージュ現象」(船橋洋一『経済安全保障論 地球経済時代のパワー・エコノミックス』東経選書)という代物である』、「岸田内閣のもとで、経済安保政策が「バブル化」している」、「「首相官邸支配」の雰囲気のなか、「力の省庁」である防衛省、警察庁までもが、「バスに乗り遅れるな」と、「経済安保」担当セクション創設モードに前のめりとなった。その省益、利権確保の主戦場となったのが、今年度予算である。そこでは、経済安保推進法成立より一足早く、900億円超の経済安保関連予算が積み上げられ、「バブル化」が明らかになった」、「経済安全保障政策の法案化は一気に加速・・・法案は、具体的には、(1)重要物資のサプライチェーン(供給網)強化、(2)基幹インフラの安全性確保、(3)先端技術の育成・支援、(4)特許非公開の仕組み、を目指すというものだが、法律の運用は、国会審議も経ずに、政府が後日「政令」「省令」などで決めるというもので、その数は138項目に及んでいる。 要は、「『安全保障政治』と呼ばれる、私人、私企業、特定の圧力団体の利益の、『国家安全保障』の衣をまとったカモフラージュ現象」・・・という代物である」、まさに「バブル」だ。
・『甘利氏の存在感  経済安保法制のウラには、甘利氏の影響力が見え隠れする。 じつは岸田政権の経済安保戦略は、自民党内で甘利氏が座長として主導した「新国際秩序創造戦略本部」がすでに準備してきたものである。法案自体も、同本部が2020年12月に行った「提言」を上書きしたものに他ならない。 そして今年1月の施政方針演説で、経済安保は「外交・安保」の枠組みではなく、「成長と分配の好循環」を謳った「新しい資本主義」構想の文脈の中で語られるだけであった。とりわけ、コロナ危機のなかで露呈した、あまりにも海外に依存した情報技術(IT)のサプライチェーン・リスクの大きさに、今や「産業のコメ」となった半導体問題が、国産半導体計画へのテコ入れや工場建設等として、経済安保を絡めた政策へ拡大解釈されていった。 振り返れば甘利氏は、昨年10月の衆院選小選挙区で落選(比例区復活)し、幹事長職は退いたものの、その影響力はつづいている。選挙後の同年11月の改造内閣には、先述の自民党「新国際秩序想像戦略本部」でそれぞれ幹事長、事務局長として甘利座長を支えた山際大志郎氏が経済再生担当相(再任)、小林鷹之氏が新設の経済安全保障相、兼科学技術政策・宇宙政策担当相を配置し、経済安保シフトが敷かれた。しかも甘利氏と岸田首相の蜜月はその後も続いており、甘利氏が依然経済安保の「陰の主役」であるという』、なるほど。
・『経産官僚の動き  経産官僚の動きも注目に値する。 岸田首相官邸では、藤井敏彦内閣官房経済安保法制準備室室長が経済安保を差配するはずだった。しかし藤井氏は、国会への法案提出直前に、無届兼業と朝日新聞の女性記者との不倫問題などのスキャンダルで失脚した。藤井氏は、安倍首相秘書官だった今井氏らが、国家安全保障局に新たに立ち上げた経済班のリーダーとして、古巣の経産省の藤井氏を据え、官邸に経産省の新たな「拠点」とする野心があったようだ。 本来なら首相外交から安全保障政策まで取り仕切りたい外務官僚にとって、「経済安保バブル」は迷惑な話だったはずだが、こうした「失脚」騒動もあり、岸田首相が政務秘書官に抜擢した嶋田隆経産事務次官の前に目下のところ出番はなく、また安倍政権時代の「政高党低」から「政と党のバランス」へと是正され、さしあたっては事なきを得ているようだ。 しかし、今後そうしたバランスが崩れないとも限らない』、「岸田首相官邸では、藤井敏彦内閣官房経済安保法制準備室室長が経済安保を差配するはずだった。しかし藤井氏は、国会への法案提出直前に、無届兼業と朝日新聞の女性記者との不倫問題などのスキャンダルで失脚」、「安倍政権時代の「政高党低」から「政と党のバランス」へと是正され、さしあたっては事なきを得ているようだ」、推進派はミソを付けたようだ。
・『保守政治の伝統  そもそも経済安保と経産官僚・商工族議員の関係はどのようなものなのだろうか。 かつて戦後日本の経済的繁栄を支えてきた貿易・投資のルール(自由貿易)とパワーポリティクスが形成する国際秩序が崩壊過程に入り、日本が経済において最も深く相互依存している米国、中国の両国の構造的対立は、すでに一部では「冷戦(a cold war)」の局面に入ったとも言われる。 自国ファーストを打ち出し、「力による平和」を強行しようとしたトランプ前米大統領時代以降、日本もTPPを離脱した米国に歩み寄り、インド太平洋地域での中国進出を食い止めるために、日米の協力関係は、「経済」においても一歩踏み出していたのである。) 先の自民党「提言」を待つまでもなく、平和的方法としての「国際協調」を後景に追いやり、国民への説明を後回しにして、米国に追随して「同盟国」「同志国」との連携に舵を切ったということのようだ。 そしてそれが、この国の保守政治が脈々と受け継いできた、政治の統治技術であり、その担い手が今回、「通商国家」再生に生き残りに賭ける経産官僚、新商工族議員の面々だったようだ』、「平和的方法としての「国際協調」を後景に追いやり・・・米国に追随して「同盟国」「同志国」との連携に舵を切った」、なるほど。
・『経産省の来歴  こうした経産官僚や新商工族議員の存在の背景には、長い歴史がある。 1960年代、経産省の前身である通商産業省は、敗戦国・日本を奇跡的な高度経済成長で復活させたとの世界的な評価を得た。1970年代には、二度にわたる石油危機で、霞が関における通産省の地盤地下が始まったが、原子力エネルギー、通信・放送、IT等の科学技術の分野に活路を見出してきた。 しかし、「失われた30年」による国内産業の空洞化と福島原発事故による「原発ムラ」崩壊などを受けて、「経産省解体論」が再燃していた。最近では「霞が関のすき間産業」とも揶揄される、教育、医療、交通・観光等のデジタル分野にも触手を伸ばす。 経産官僚、商工族議員たちの人脈も興味深い。 先述の藤井氏が無届で兼業をしていた「バイト先」である「不識塾」という勉強会は、経営幹部向けのリベラルアーツ研修が売りだった。主宰の中谷巌代表は、1990年代、大阪大や一橋大といった国立大学を拠点に、グローバル資本主義を唱え、時の政権の経済ブレーンとして構造改革路線を主導した。しかし2008年に新自由主義からの転向を表明、以後ビジネスとしての経済への志向を強め、私立の多摩大学では学長までも務めるという異色の経歴を持つ。 その多摩大学に2016年に設置された「ルール形成戦略研究所」という研究開発機構に、顧問やシニアフェロー、客員教授といった肩書きで招聘されていたのが、甘利氏であり、藤井氏であった。逆に、多摩大の同研究所からは、政府や自民党の会合にスタッフが動員され、一連の経済安保戦略つくりに参画しており、「政・官」と「学」の、人脈はお互い共鳴し合ってきた。 またやや余談めくが、同研究所は米国系コンサルタント企業のような色彩が強いと言われてきただけに、中国企業の排除を念頭に、日米間のこれまでの貿易摩擦や防衛装備調達をめぐる衝突などと同様、経済安保も、米国に日本市場を開放していくことに収斂するのではとの懸念が政府内から早くも出ている。ちなみに国家安全保障局で経済安保を先取りした北村氏も、局長辞職後はコンサルト業を起業している。 これらが、経済安保がバブル化している背景と言えるが、では、経済安保にはどのような危うさがあるのだろうか。【後編】「岸田政権が進める「経済安全保障」、その「危うさ」を考える」で詳しく見ていこう』、「多摩大学に2016年に設置された「ルール形成戦略研究所」という研究開発機構に、顧問やシニアフェロー、客員教授といった肩書きで招聘されていたのが、甘利氏であり、藤井氏であった。逆に、多摩大の同研究所からは、政府や自民党の会合にスタッフが動員され、一連の経済安保戦略つくりに参画しており、「政・官」と「学」の、人脈はお互い共鳴し合ってきた」、「多摩大学学長」の「中谷巌」氏もキーマンのようだ。なお、【後編】の紹介は省略する。

次に、本年2月21日付け東洋経済オンラインが掲載した政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師の清水 克彦氏による「上空を飛行する「謎の気球」に鈍感な日本の危うさ 外国人に平然と買われる無人島は米軍基地そば」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/653558
・『2月15日、自民党が開いた国防部会などの合同部会。席上、自民党の安全保障調査会長を務める小野寺五典元防衛相は、このところ安全保障上の大きな問題となっている気球への対応について政府に矛先を向けた。 「中国のものと把握できていなかったなら大問題。把握していたのに抗議していなかったのなら、さらに大きな問題だ」 これまで何度か取材してきたが、小野寺元防衛相は温厚な政治家だ。その彼が語気を強めた背景には、2020年6月、仙台市などで目撃された気球について、当時の河野太郎防衛相(現・デジタル相)が、報道陣の問いに「気球に聞いてください」「どの気球? 安全保障に影響はございません」などと答えたことがある。政府の認識がどれだけ無防備だったかを指摘したのだ。 無防備といえば、34歳の中国人女性が沖縄県伊是名村(いぜなそん)の所管する無人島、屋那覇島の約半分を購入したことも、安全保障上の大きな懸念といえるだろう』、「河野太郎防衛相・・・が、報道陣の問いに「気球に聞いてください」「どの気球? 安全保障に影響はございません」などと答えた」、実に思い上がった不誠実な答弁だ。「政府の認識がどれだけ無防備だったかを指摘」、「小野寺元防衛相」の指摘は正鵠をついている。
・『無人島「屋那覇島」はどんな島か  屋那覇島は沖縄本島の北、約20キロのところにある県内最大の無人島だ。伊是名村(人口約1300人)が所管する島の1つで、広さは東京ドーム16個分。島の約3分の1は国と伊是名村(国8%、伊是名村26%)が所有している。 土地所有権は900以上に分かれていて、民間企業などが所有する土地が競売にかけられた結果、2021年2月、女性の親族が営む会社が購入したというのが主な経緯である。 同社に電話を入れると留守電が流れるだけ。ホームページ経由で問い合わせをして数日経つが、まだ返事は得られていない。そのホームページには、「創業以来行ってきた不動産売買・賃貸業を礎に、優良物件への積極的な投資を行っております。またリゾート開発事業へも進出し、直近では沖縄県の屋那覇島取得して現在リゾート開発計画を進めております」(原文ママ)とあり、屋那覇島については「島の周りはラグーンで囲まれていて、波が穏やか」とも記されている。 伊是名村役場に聞けば、屋那覇島は、沖縄本島からのキャンプ客や釣り客、潮干狩り客が多い島だという。SNSに投稿された女性の動画でも、「ビジネス目的で購入した」とあるため、購入の目的は本当にリゾート開発なのかもしれない。 とはいえ、沖縄の嘉手納基地や普天間基地などと60~70キロ程度しか離れていない島を、外国人が購入できてしまうのは、安全保障上、「大きな穴」というほかない。「へえ、買われちゃったの?」で済まされる話ではない。) 今回の問題について、伊是名村の奥間守村長は「戸惑っている」と述べる。 2月17日、伊是名村では別の案件を審議するため臨時の村議会が開かれたが、取材をすると担当者からは次のような声が聞かれた。 「ネットニュースで報道されてから、役場には問い合わせや苦情が殺到しています。前にも外資系企業が他の無人島、具志川島を視察したことがあったのですが、今回の件は驚きです」 「村が島を売ったわけではなく、あくまで民間の取引ですから、私どもとしましては、事実関係の把握に努め、誤解のないように説明していくとしか答えようがないです」(以上、伊是名村総務課・諸見直也さん)』、「沖縄の嘉手納基地や普天間基地などと60~70キロ程度しか離れていない島」、そんなに距離があるのであれば、大丈夫な気もする。
・『「法律で規制できない」と政府も困惑  今回の屋那覇島購入問題に関し、2月13日、松野博一官房長官は定例の記者会見で、「国境離島または有人国境離島、地域離島に該当するものではない」と述べて、土地取引が、国境離島やアメリカ軍、自衛隊基地周辺などの土地取引を規制する「重要土地等調査法」の対象にはならないと明言した。翌14日、高市早苗経済安保担当相も同様の見解を示している。 「重要土地等調査法」は、2022年9月に施行された法律で、自衛隊の基地や原子力発電所といった重要インフラ施設から1キロの範囲や、国境に近い離島などを「注視区域」や「特別注視区域」に指定し、国が土地などの所有者の氏名や国籍などを調査したり、一定の面積の土地を売買する場合、事前の届け出を必要としたりするためのものだ。 その区域で問題行為が確認されれば、国は土地や建物の利用を中止させることができるが、屋那覇島の場合、これに該当しないという。 日本では、「注視区域」や「特別注視区域」を除けば、日本人でなくても自由に土地を購入し所有できる。アメリカでは、フロリダ州やテキサス州で一部の外国人の土地購入を規制する法整備が検討されているが、日本ではそんな動きはない。 しかし、中国には「国家情報法」が存在する。この中の第7条がなかなか厄介なのだ。 いかなる組織及び個人も、法律に従って国家の情報活動に協力し、国の情報活動の秘密を守らなければならない。国は、そのような国民、組織を保護する。(第7条) つまり、土地の購入者が民間企業や個人であっても、中国政府が情報提供を求めた場合、応じる義務があるということだ。 いずれにせよ、外国人の土地購入に関し、規制する法律がない以上、政府は黙認するしかない。ただ、手をこまねいている間に、「注視区域」などを除く拠点の近くに、日本人以外が土地を購入するケースが増えたらどうするのか、検討はしておかなければならない。) もちろん、冒頭で述べた気球問題も、安全保障上、「大きな穴」になり得る。前述した自民党の合同部会は、2月16日、領空に許可なく侵入した気球や無人機を自衛隊が撃墜できるようにするため、武器の使用基準の見直しを了承した。 現在の自衛隊法84条では、このように定められている。 防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法 、その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる  この条文は、あくまで戦闘機のような有人機を想定したもので、撃墜は正当防衛と緊急避難の場合に限られている。 その範囲を拡大すれば、アメリカが領空を侵犯した気球などを相次いで撃墜したように、自衛隊も、仙台市などで目撃された中国のものと思われる気球を撃ち落とすことが可能にはなる。その反面、政府・防衛省には3つの課題がのしかかってくる』、「防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法 、その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる・・・その範囲を拡大すれば・・・自衛隊も、仙台市などで目撃された中国のものと思われる気球を撃ち落とすことが可能にはなる」、なるほど。
・『日本が抱える3つの大きな問題  (1)中国の猛反発をどうするか(中国は日本の姿勢を、「アメリカの大げさな騒ぎに追随するな」「根拠もなく誹謗中傷するな」と非難している。実際に撃墜すれば、政治だけでなく、経済面での関係が急速に冷え込む。特に人的交流や貿易面で影響が出る可能性がある。 (2)自衛隊の戦闘機で撃ち落とせるのか(アメリカは2月12日、ミシガン州のヒューロン湖上空で、F22戦闘機が「AIM-9Xサイドワインダー」ミサイルを発射して物体を撃ち落としたが、最初の1発は失敗した。気球は旅客機などよりも高い1万8000キロ程度まで上昇するため、レーダーで捕捉しにくい。エンジンを2つ搭載し出力が高いF22戦闘機でも目標を外すくらい、気球を撃ち落とすのは難しい。そもそも、日本はF15やF35戦闘機を保有しているもののF22戦闘機は持っていない。 (3)たくさん飛んでいる気球を見分られるのか(2月13~14日、在京メディアの報道部長クラスを招いて行われた那覇および与那国駐屯地視察研修で、航空幕僚監部の担当者(一等空佐)は、このように説明した。「観測用や調査用の気球がたくさん飛んでいる。我々も飛行の際、気を付けながら飛んでいるほどで、怪しいものかどうかの見極めが難しい。高度1万5000メートル以上を飛んでいる気球だと、撃墜するには相当なテクニックが必要」 これらのうち、(2)と(3)について、筆者が渡部悦和元陸将に聞いたところ、「命令があれば十分に撃墜できます」という答えが返ってきた。ただ、航空自衛隊トップの井筒俊司航空幕僚長が2月16日の定例記者会見で、「高い高度で飛行体が小さい場合、撃墜の難易度は高くなる」と語った点も無視できない。 こうして見ると、これまでの安全保障と防衛費を大きく見直すために防衛3文書を改定し、防衛費増額に踏み込んだだけでは、日本の安全保障は万全とは言えない。防衛の拠点に近い土地が外国人に買われてしまう可能性、あるいは、飛来する気球や無人機を撃墜できないというリスクも想定しながら、「大きな穴」を埋める対策が急務となりそうだ』、「防衛の拠点に近い土地が外国人に買われてしまう可能性、あるいは、飛来する気球や無人機を撃墜できないというリスクも想定しながら、「大きな穴」を埋める対策が急務」、同感である。

第三に、6月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村 悠氏による「中国軍へ技術流出の恐れ、東工大らが留学生受け入れる中国「国防七校」の危険性」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/324055
・『6月2日、政府が閣議決定した答弁書により、2020年度の時点で、中国人民解放軍の兵器開発などと関係が深いとされる中国の「国防七校」のうち、6校から計39人が日本の大学に留学していたことがわかった。 答弁書によると、文部科学省の調査で「徳島大、東北大、千葉大、高知大、新潟大、名古屋大、会津大、東京工業大、京都情報大学院大、福岡工業大」の計10大学が留学生を受け入れていたという。受け入れ状況は表の通りだ。 (図表:留学生受け入れ状況はリンク先参照) そもそも国防七校とはどのような大学なのか。 国防七校とは、中国の最高国家権力機関の執行機関である国務院に属する国防科技工業局によって直接管理されている大学であり、中国人民解放軍と軍事技術開発に関する契約を締結し、先端兵器などの開発などを一部行っている。 前衆議院議員の長尾敬氏によれば、ハルビン工業大学の国防関連の研究費は年間約390億円で、これはオーストラリアの国防省の科学技術予算に匹敵する額だという。 さらに、国防七校の卒業生の30%弱である1万人以上が、中国の防衛研究部門に就職し、それ以外でも軍艦、軍備、軍用電子機器を専門とする複合企業、つまり華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)といった企業に就職していると指摘する。 上記を確認するだけでも、中国人民解放軍と強いつながりが見て取れる上に、中国には国家情報法という国家への情報提供義務を定めた非常に危険な法がある。 日本においても、経済産業省は、大量破壊兵器や通常兵器の開発に利用される恐れのある技術が外国に輸出されるのを規制するために「キャッチオール規制」を導入。その実効性を高めるため、外国ユーザーリストに掲載し、輸出者に対して、大量破壊兵器の開発などの懸念が払拭されない外国・地域所在団体の情報を提供している。 その外国ユーザーリストに国防七校の一部が含まれており、経済産業省としてもその危険性は認識している。また、同盟国である米国も、国防七校の一部を禁輸リストに加えるなど、その危険性に異論はないだろう。) 実際、国防七校が関与する過去の技術流出事例は多くある。 一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)輸出管理アドバイザー(当時)森本正崇氏の「対中技術流出事案の分析」によると、HEU(後のハルビン工程大学)の研究室長であったA氏は、2002年から2014年にかけて、ハルビン工程大学の教授などの指示に基づき、無人潜水艇や、遠隔操作無人探査機、自律型無人潜水艇といった潜水艇のシステムや構成品を、HEUや他の政府機関のために、米国企業などから購入し、中国に送付していた。 A氏は、HEUの教授X氏や准教授らからの発注に基づき、米国、カナダ、欧州の企業から物品を購入し、HEUや人民解放軍海軍などの潜水艇開発のために、X氏らに輸出した。その際、A氏は経営するIFour International, Inc.をフロント企業とし、同社名義で調達活動をしていたという。 その他、2018年6月、米国検察当局は、対潜水艦戦闘に使用可能なハイドロフォン(水中聴音機)を入手するために共謀したとして、中国の西北工業大学を米国輸出法違反で起訴している。 また、同大と共謀し、マサチューセッツ州在住の中国人および同人が率いる海洋関連機器の輸入会社(中国・青島市)が、2015年~16年にハイドロフォン78個を商務省の許可を得ずに同大に輸出したという。 このように、単に留学生や研究室の人間が関与するだけではなく、国防七校の大学自体が主体となって、関与し、さらにフロント企業やビジネスマンを駆使して巧みに技術窃取を行っている』、「単に留学生や研究室の人間が関与するだけではなく、国防七校の大学自体が主体となって、関与し、さらにフロント企業やビジネスマンを駆使して巧みに技術窃取を行っている」、気を付けたいものだ。
・『国防七校とさまざまな提携をする日本の大学  2021年8月時点で読売新聞が確認したところ、国防七校には日本人研究者が8人所属しており、そのうち、ミサイル開発などを行う北京航空航天大に4人の日本人が所属していたという。 そして、国防七校との関連は確認されていないが、日本の大学・研究機関を通じた技術流出事案として、朝日新聞が2021年12月12日に以下の事例を報じている。 「朝日新聞が入手した同資料によれば、日本の国立大学や国立研究開発法人に助教授や研究員などの肩書で所属していた中国人研究者9人は、ジェットエンジンや機体の設計、耐熱材料、実験装置などを研究。(中略)このうち流体力学実験分野の中国人研究者は、1990年代に5年間、日本の国立大学に在籍。帰国後、軍需関連企業傘下の研究機関で、2017年に極超音速環境を再現できる風洞実験装置を開発。2010年代に日本の国立大学にいた他の研究者も帰国後に国防関連の技術研究で知られる大学に在籍するなど、9人は帰国後、研究機関などに所属したという」 先に述べたように、実際、日本の大学で優秀な研究・成績を収め、その知見・ノウハウを持ってファーウェイなどの人民解放軍に強いつながりを持つ企業に就職する例も非常に多い。 また、オーストラリアのシンクタンクが指摘しているように、中国人民解放軍関係者がその目的を秘して留学生の身分で日本の大学や研究所に入り込んでいる可能性は、海外での実例を見ても排除できない。さらに、善意の人間(留学生)が後に人民解放軍などの関係者に接触されて支配下に入るような事例が相当数確認されているなど、そのスキームは複雑となっている。 中国の「千人計画」もその手法として知られるところだ。 千人計画とは、1990年代に始まった海外の中国人留学生を呼び戻して先端技術を中国国内に取り込む「海亀政策」に倣い、優秀な外国人研究者を巨額の研究費や報酬、地位を与えて中国に誘致し、そのノウハウ・研究成果を「メード・イン・チャイナ」としてしまうもので、同計画には複数の日本人の参加も確認されている。) また、中国プロバガンダ・スパイ工作の一助となっていると指摘されている孔子学院を学内に設置する日本の大学(早稲田大、立命館大、桜美林大、武蔵野大、愛知大、関西外国語大、大阪産業大、岡山商科大、北陸大、福山大、山梨学院大、立命館アジア太平洋大、札幌大)があることにも留意しなければならない。 そのような状況下で、国防七校は以下の大学とさまざまな提携を行っている。(図表:国防七校とさまざまな提携をする日本の大学はリンク先参照)』、「「朝日新聞が入手した同資料によれば、日本の国立大学や国立研究開発法人に助教授や研究員などの肩書で所属していた中国人研究者9人は、ジェットエンジンや機体の設計、耐熱材料、実験装置などを研究。(中略)このうち流体力学実験分野の中国人研究者は、1990年代に5年間、日本の国立大学に在籍。帰国後、軍需関連企業傘下の研究機関で、2017年に極超音速環境を再現できる風洞実験装置を開発。2010年代に日本の国立大学にいた他の研究者も帰国後に国防関連の技術研究で知られる大学に在籍するなど、9人は帰国後、研究機関などに所属したという」、「日本の大学で優秀な研究・成績を収め、その知見・ノウハウを持ってファーウェイなどの人民解放軍に強いつながりを持つ企業に就職する例も非常に多い。 また、オーストラリアのシンクタンクが指摘しているように、中国人民解放軍関係者がその目的を秘して留学生の身分で日本の大学や研究所に入り込んでいる可能性は、海外での実例を見ても排除できない」、「千人計画とは、1990年代に始まった海外の中国人留学生を呼び戻して先端技術を中国国内に取り込む「海亀政策」に倣い、優秀な外国人研究者を巨額の研究費や報酬、地位を与えて中国に誘致し、そのノウハウ・研究成果を「メード・イン・チャイナ」としてしまうもので、同計画には複数の日本人の参加も確認」、「中国」にとっては「日本」はガードが甘いお得意様のようだ。
・『留学生の研究内容を把握していない日本政府の危機感の薄さ  日本では、外為法が改正され、大量破壊兵器開発につながる技術を日本国内の外国人に渡す行為を「みなし輸出」として規制して経済産業省の許可制としている。だが、その対象は、外国政府や機関との雇用関係にある者や、外国政府から奨学金を受け取るなど「実質的な支配下にある」と認められる者などに限定されている状況だ。 例えば、中国からの国費留学生は上記に当てはまる場合もあるが、私費で入学し、後に人民解放軍などが学生組織を通じて接触し、技術窃取の指示を出した場合、対応できるだろうか。 これまで解説したように、中国による大学・研究機関に対する技術窃取の手法は、そのスキームが複雑かつ見えづらいものが多く、大学や研究機関側で実効性のある対応を行うには限界があるだろう。 にもかかわらず、冒頭で触れた政府答弁書では、留学生の研究内容を把握していないと回答しており、政府の危機感のなさは明白だ。 国防七校に限らず、日本の大学・研究機関が危険な状況にさらされる中、国がより明確な指針と基準を示し、大学や研究機関と文部科学省、そして経済産業省や警察庁、防衛省、各公安部門などとより強力に連携していくことが重要であり、必要に応じて摘発できる体制・法整備が必要である。 孔子学院の問題と同様、社会において日本の大学・研究領域に浸潤する中国の危険性が認識され、日本の対策がより強固となることを期待したい』、「留学生の研究内容を把握していないと回答しており、政府の危機感のなさは明白だ」、「国がより明確な指針と基準を示し、大学や研究機関と文部科学省、そして経済産業省や警察庁、防衛省、各公安部門などとより強力に連携していくことが重要であり、必要に応じて摘発できる体制・法整備が必要である」、「孔子学院の問題と同様、社会において日本の大学・研究領域に浸潤する中国の危険性が認識され、日本の対策がより強固となることを期待したい」、同感である。

第四に、6月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「中国人による「無人島購入」は沖縄だけじゃなかった!無防備ニッポンは大丈夫?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/324174
・『中国人女性が沖縄県にある無人島・屋那覇島を購入したというニュースは、日本で大きな話題になった。私たち日本人も連日の報道に「一体どういう意図で購入したのか」と身構えた。今も水面下では中国資本による“離島買い”は続いている。背景には日本で復活するインバウンドがあるようだが、そこに潜在する死角はないのか』、興味深そうだ。
・『中国人投資家が視線を送る沖縄県  今年1月末、34歳の中国人女性が沖縄県の「屋那覇島(やなはじま)」について、「日本の無人島を買った」と島を撮影した動画をSNSに投稿した。2020年に島の約半分を取引し、2021年には彼女の親族の法人である中国系不動産会社に所有権の移転登記を行った――などのことが日本でも報道された。 無人島とはいえ、いとも簡単に外国人が土地を所有できる実態に、日本では「中国に乗っ取られるのではないか」という危機感が高まった。中国語のSNSでも「沖縄侵入の第一歩か」などと意味深長なコメントが飛び交った。不透明な部分もあり、中国人女性の動機についてはさまざまな臆測を呼んだ。 もっとも今は沖縄県全体が不動産バブルに沸いている。沖縄に移住した日本人のAさんは「屋那覇島に限らず、沖縄県は中国人の格好の不動産投資市場です。那覇市内のマンションの上層階は中国人の所有になっているケースが少なくありません」と話す。 実際Aさんが2010年代に購入した那覇市内のマンション価格は上昇し、多額の差益を生んでいるという。また同県宮古島市の不動産市場も、島外から入って来る資本でバブル状態になっている』、「沖縄県は中国人の格好の不動産投資市場です。那覇市内のマンションの上層階は中国人の所有になっているケースが少なくありません」、なるほど。
・『宮古島の地価が急上昇、外資も高い取引  宮古島市では新型コロナウイルスが流行する以前から地価上昇の傾向にあったが、今年3月に発表された地価公示では、同市の住宅地は7.7%の高い上昇率となった。 「投資物件は、海の見えるビーチサイドではもはや億単位で、伊良部島もすごい人気。背景には中国人の購入があるようだ」とする都内在住の不動産投資家の話からは、高騰の背景にインバウンドなどの観光需要があることがうかがえる。 一方で、宮古島市でも上野野原(うえののばる)の公示価格は前年比19.6%と、沖縄県内で最大の上昇率を記録した。ここはビーチ沿いの観光地ではなく、航空自衛隊の宮古島分屯基地の目と鼻の先だ。近傍の県道190号沿いには陸上自衛隊の駐屯地もある。 上野野原地域における地価の急上昇の原因について、国土交通省は「このエリアは農家集落地域ですが、陸上自衛隊の配備(注:開設年は2019年)などもあり、将来的予測から強い上昇率を示しています。外資を含む島外からの資本が入り、高い値段の取引が行われているもようです」と回答している。 宮古島市に入り込む“外資”の中には中国資本が含まれている可能性は十分にある』、「「投資物件は、海の見えるビーチサイドではもはや億単位で、伊良部島もすごい人気。背景には中国人の購入があるようだ」とする都内在住の不動産投資家の話からは、高騰の背景にインバウンドなどの観光需要があることがうかがえる」、「宮古島市でも上野野原(うえののばる)の公示価格は前年比19.6%と、沖縄県内で最大の上昇率を記録した。ここはビーチ沿いの観光地ではなく、航空自衛隊の宮古島分屯基地の目と鼻の先」、「中国人の購入」意欲は旺盛なようだ。
・『今度は瀬戸内海の無人島か  中国人投資家が熱視線を注ぐのは沖縄県だけではなかった。瀬戸内海は700余の島(環境省)があるというが、先日、筆者は日本に在住する中国出身のBさんが瀬戸内海の無人島を購入したという情報を知り得た。 購入目的は「リゾート開発」なのだというが、Bさんが発音する島の名前を地図でたどると、米軍と海上自衛隊が共同使用する航空基地からほど近い沖合の無人島に行き着く。 その無人島は、昭和初期に軍事関連施設が置かれ、戦後は米軍が利用した形跡も残す。筆者は、自分がBさんの「発音」を聞き違えたのかもしれないと疑ったが、もし本当にBさんがこの島を購入していたとしたらどうだろう、とも思った。日本の現行の土地取引制度では、複雑な歴史と地理関係を持つ島でありながらも、外国人や外国資本が簡単に所有権を設定できてしまうのである。 ちなみに日本では2022年に、国の安全保障などに関係する重要な土地や国境離島に対し、利用規制を課す「重要土地等調査法」が施行されたが、対象地は非常に限定的だ。 同時にBさんには「リゾート開発」以外に「隠れた目的」があるのではないかとも思ってしまった。 筆者は都内の大手不動産企業の社員からこんな話を聞いたことがある。それは「再開発計画が決まったエリアで、立ち退き対象となる中古物件を意図的に購入する中国人が増えている」というものだった。購入後にデベロッパーの足元を見て、多額の立ち退き費用を要求してくるケースが後を絶たないのだという。 Bさんにとってはとんだ濡れ衣だろうが、中には、あえて複雑な因果関係を持つ土地に手を出し、立ち退きを要請されたら多額の保証金や立ち退き費用を積ませるといった算段を持つ購入者もいるのかもしれない』、「筆者は日本に在住する中国出身のBさんが瀬戸内海の無人島を購入したという情報を知り得た。 購入目的は「リゾート開発」なのだというが、Bさんが発音する島の名前を地図でたどると、米軍と海上自衛隊が共同使用する航空基地からほど近い沖合の無人島に行き着く」、「「再開発計画が決まったエリアで、立ち退き対象となる中古物件を意図的に購入する中国人が増えている」というものだった。購入後にデベロッパーの足元を見て、多額の立ち退き費用を要求してくるケースが後を絶たない」、後者は日本人にもいる悪質な投資家だ。
・『クルーズ船の販売好調が裏付ける“観光目的”  売れているのは日本の不動産だけではない。今、インバウンドが回復しつつある日本で、“あるもの”がよく売れているという。 日本在住でインバウンド事業に従事する中国出身のCさんは「今、中国人の間で関心が高まっているのは小型のクルーズ船です」と語る。 船艇の販売を取り扱う事業者にも問い合わせてみると「確かに外国の方からの問い合わせはポツポツ出てきています」という。この事業者によれば、購入した船の利用目的はクルーズ船を使った観光だという。無人島を購入し、クルーズ船を使って中国人客を島に遊びに連れていく――それが中国人にとっての新たな訪日旅行の楽しみ方になりつつあるようだ。 またCさんは「特に中国の内陸部で生まれ育った人は海への憧れが強く、訪日旅行でも海沿いのエリアを見せると非常に喜びます」と話し、こう続けた。 「日本の離島に目を向けているのは、屋那覇島を買った中国人女性だけではありません。ただ、中国人による島の購入は単純に観光目的だといえます」 確かに中国人による日本の不動産投資は、インバウンドを追い風にしたリゾート開発を狙うものが多い。中国人の間では、北海道のニセコで成功している外国資本をビジネスモデルに、日本の観光産業への投資意欲を強めている一面が見られる』、「確かに中国人による日本の不動産投資は、インバウンドを追い風にしたリゾート開発を狙うものが多い。中国人の間では、北海道のニセコで成功している外国資本をビジネスモデルに、日本の観光産業への投資意欲を強めている一面が見られる」、なるほど。
・『「いずれ所有に耐え切れなくなる」という見方も  1月末に冒頭の“屋那覇島購入劇”が中国で報じられたとき、中国人の読者コメントの中には「うらやましい」というものもあった。「憧れの海」と「無人島という不動産」、この二つを同時に満たす“買い物”だったからなのだろう。 それに反して「たとえ手に入れたとしても、いずれ所有に耐えられなくなるのでは」という冷ややかな視線もあった。 実は中国にも1万1000を超える離島がある。 2003年、中国政府は個人や団体が最長50年間という期間の中で無人島の開発・利用ができることを認め、また2010年には無人島の使用権登録を適正化するための条例を制定し、土地使用権の公開入札制度を導入した。 2011年、浙江省寧波市の民営企業が市内の無人島の使用権を2000万元(当時のレートで約2.4億円)で落札するなど、沿海部ではいくつかの進出事例が見られた。しかし、リゾート開発には電力供給や上下水道をはじめとする生活インフラの整備とそのための多額の追加投資が必要とされ、乗り出した企業の中には、資金ショートにより中断を余儀なくされたところもあったのだ。 生活インフラの整備以外にも、桟橋や防波堤の建設費用や自然災害による施設の維持費・修繕費もかかる。それなのに、離島リゾートの観光シーズンは限定的で、安定的な収益は生みにくい。こうした事例を知る中国人の間では、「日本で離島を購入してもいずれ所有に耐え切れなくなる」という見方が強い。 中国ビジネスに詳しいある日本人経営者は「中国人がやりたいのは瞬間的な金もうけです」とその特徴を捉えるが、その移り気な性格と撤退後に残された離島は、新たな問題をもたらすことになるかもしれない』、「中国ビジネスに詳しいある日本人経営者は「中国人がやりたいのは瞬間的な金もうけです」とその特徴を捉えるが、その移り気な性格と撤退後に残された離島は、新たな問題をもたらすことになるかもしれない」、そうしたことを前提に日本側も備えておく必要がありそうだ。
・『外資の土地所有を禁じる国も  日本では外資や外国人がいとも簡単に離島(あるいは島の一部の土地)を所有できてしまうが、アジアには直接的な所有を禁止している国がある。その一つがフィリピンだ。 フィリピンには7641の島がある(2023年、外務省HP)が、土地は国家の資産とみなされ、フィリピン国民のみが所有できることになっている。フィリピンの法律に詳しい弁護士法人OneAsiaの難波泰明弁護士は、「外国人は土地や島全体を直接購入し所有することはできません」と語る。 また、島嶼国モルディブの島の数は1192(2023年、外務省HP)に上るが、外国人の土地所有を認めた2015年の法律を、「主権喪失の可能性がある」との懸念から2019年に撤回した。インド洋の重要なシーレーン(経済や貿易、有事の際に重要な位置付けになる海上交通路)上にある同国は、当時、中国資本の開発進出が相次いでいたという。 1万3500の島々(2020年、外務省HP)を擁する世界最大の島嶼国インドネシアも法律により外国人は島や土地を所有することはできないが、一方、スリランカではそれができる。スリランカのある村で観光業を営むハニファ・ファイスさんが「中国人の資金力は地元民とは桁が違いすぎる、このままでは再びコロニー(植民地)になりかねない」と、その危機感を過去の歴史に重ねていた。 アジアの島嶼国には、植民地時代の苦しみから生まれた法制度や離島の保全・管理制度がある。フィリピンやモルディブなどで外資が離島のリゾート開発を行う場合、期間限定のリース形式を要求されるのは、外資や外国人による“完全な支配”を排除するためなのだろう。 こうした経験のない日本は今まで無防備でいられたが、アジアの海が大きく変化する今、離島の保全・管理について一歩突っ込んだ早急な議論が求められている』、「こうした経験のない日本は今まで無防備でいられたが、アジアの海が大きく変化する今、離島の保全・管理について一歩突っ込んだ早急な議論が求められている」、同感である。
タグ:安全保障 (その12)(いま「経済安全保障」が 驚くほど「バブル化」している理由 経産官僚たちの思惑、上空を飛行する「謎の気球」に鈍感な日本の危うさ 外国人に平然と買われる無人島は米軍基地そば、中国軍へ技術流出の恐れ 東工大らが留学生受け入れる中国「国防七校」の危険性、中国人による「無人島購入」は沖縄だけじゃなかった!無防備ニッポンは大丈夫?) 現代ビジネス 川邊 克朗氏による「いま「経済安全保障」が、驚くほど「バブル化」している理由 経産官僚たちの思惑」 「岸田内閣のもとで、経済安保政策が「バブル化」している」、「「首相官邸支配」の雰囲気のなか、「力の省庁」である防衛省、警察庁までもが、「バスに乗り遅れるな」と、「経済安保」担当セクション創設モードに前のめりとなった。その省益、利権確保の主戦場となったのが、今年度予算である。そこでは、経済安保推進法成立より一足早く、900億円超の経済安保関連予算が積み上げられ、「バブル化」が明らかになった」、 「経済安全保障政策の法案化は一気に加速・・・法案は、具体的には、(1)重要物資のサプライチェーン(供給網)強化、(2)基幹インフラの安全性確保、(3)先端技術の育成・支援、(4)特許非公開の仕組み、を目指すというものだが、法律の運用は、国会審議も経ずに、政府が後日「政令」「省令」などで決めるというもので、その数は138項目に及んでいる。 要は、「『安全保障政治』と呼ばれる、私人、私企業、特定の圧力団体の利益の、『国家安全保障』の衣をまとったカモフラージュ現象」・・・という代物である」、まさに「バブル」だ。 「岸田首相官邸では、藤井敏彦内閣官房経済安保法制準備室室長が経済安保を差配するはずだった。しかし藤井氏は、国会への法案提出直前に、無届兼業と朝日新聞の女性記者との不倫問題などのスキャンダルで失脚」、「安倍政権時代の「政高党低」から「政と党のバランス」へと是正され、さしあたっては事なきを得ているようだ」、推進派はミソを付けたようだ。 「平和的方法としての「国際協調」を後景に追いやり・・・米国に追随して「同盟国」「同志国」との連携に舵を切った」、なるほど。 「多摩大学に2016年に設置された「ルール形成戦略研究所」という研究開発機構に、顧問やシニアフェロー、客員教授といった肩書きで招聘されていたのが、甘利氏であり、藤井氏であった。逆に、多摩大の同研究所からは、政府や自民党の会合にスタッフが動員され、一連の経済安保戦略つくりに参画しており、「政・官」と「学」の、人脈はお互い共鳴し合ってきた」、「多摩大学学長」の「中谷巌」氏もキーマンのようだ。なお、【後編】の紹介は省略する。 東洋経済オンライン 清水 克彦氏による「上空を飛行する「謎の気球」に鈍感な日本の危うさ 外国人に平然と買われる無人島は米軍基地そば」 「河野太郎防衛相・・・が、報道陣の問いに「気球に聞いてください」「どの気球? 安全保障に影響はございません」などと答えた」、実に思い上がった不誠実な答弁だ。「政府の認識がどれだけ無防備だったかを指摘」、「小野寺元防衛相」の指摘は正鵠をついている。 「沖縄の嘉手納基地や普天間基地などと60~70キロ程度しか離れていない島」、そんなに距離があるのであれば、大丈夫な気もする。 「防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法 、その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる・・・その範囲を拡大すれば・・・自衛隊も、仙台市などで目撃された中国のものと思われる気球を撃ち落とすことが可能にはなる」、なるほど。 「防衛の拠点に近い土地が外国人に買われてしまう可能性、あるいは、飛来する気球や無人機を撃墜できないというリスクも想定しながら、「大きな穴」を埋める対策が急務」、同感である。 ダイヤモンド・オンライン 稲村 悠氏による「中国軍へ技術流出の恐れ、東工大らが留学生受け入れる中国「国防七校」の危険性」 「単に留学生や研究室の人間が関与するだけではなく、国防七校の大学自体が主体となって、関与し、さらにフロント企業やビジネスマンを駆使して巧みに技術窃取を行っている」、気を付けたいものだ。 「「朝日新聞が入手した同資料によれば、日本の国立大学や国立研究開発法人に助教授や研究員などの肩書で所属していた中国人研究者9人は、ジェットエンジンや機体の設計、耐熱材料、実験装置などを研究。(中略)このうち流体力学実験分野の中国人研究者は、1990年代に5年間、日本の国立大学に在籍。帰国後、軍需関連企業傘下の研究機関で、2017年に極超音速環境を再現できる風洞実験装置を開発。2010年代に日本の国立大学にいた他の研究者も帰国後に国防関連の技術研究で知られる大学に在籍するなど、9人は帰国後、研究機関などに所 属したという」、「日本の大学で優秀な研究・成績を収め、その知見・ノウハウを持ってファーウェイなどの人民解放軍に強いつながりを持つ企業に就職する例も非常に多い。 また、オーストラリアのシンクタンクが指摘しているように、中国人民解放軍関係者がその目的を秘して留学生の身分で日本の大学や研究所に入り込んでいる可能性は、海外での実例を見ても排除できない」、 「千人計画とは、1990年代に始まった海外の中国人留学生を呼び戻して先端技術を中国国内に取り込む「海亀政策」に倣い、優秀な外国人研究者を巨額の研究費や報酬、地位を与えて中国に誘致し、そのノウハウ・研究成果を「メード・イン・チャイナ」としてしまうもので、同計画には複数の日本人の参加も確認」、「中国」にとっては「日本」はガードが甘いお得意様のようだ。 「留学生の研究内容を把握していないと回答しており、政府の危機感のなさは明白だ」、「国がより明確な指針と基準を示し、大学や研究機関と文部科学省、そして経済産業省や警察庁、防衛省、各公安部門などとより強力に連携していくことが重要であり、必要に応じて摘発できる体制・法整備が必要である」、「孔子学院の問題と同様、社会において日本の大学・研究領域に浸潤する中国の危険性が認識され、日本の対策がより強固となることを期待したい」、同感である。 姫田小夏氏による「中国人による「無人島購入」は沖縄だけじゃなかった!無防備ニッポンは大丈夫?」 「沖縄県は中国人の格好の不動産投資市場です。那覇市内のマンションの上層階は中国人の所有になっているケースが少なくありません」、なるほど。 「「投資物件は、海の見えるビーチサイドではもはや億単位で、伊良部島もすごい人気。背景には中国人の購入があるようだ」とする都内在住の不動産投資家の話からは、高騰の背景にインバウンドなどの観光需要があることがうかがえる」、「宮古島市でも上野野原(うえののばる)の公示価格は前年比19.6%と、沖縄県内で最大の上昇率を記録した。ここはビーチ沿いの観光地ではなく、航空自衛隊の宮古島分屯基地の目と鼻の先」、「中国人の購入」意欲は旺盛なようだ。 「筆者は日本に在住する中国出身のBさんが瀬戸内海の無人島を購入したという情報を知り得た。 購入目的は「リゾート開発」なのだというが、Bさんが発音する島の名前を地図でたどると、米軍と海上自衛隊が共同使用する航空基地からほど近い沖合の無人島に行き着く」、 「「再開発計画が決まったエリアで、立ち退き対象となる中古物件を意図的に購入する中国人が増えている」というものだった。購入後にデベロッパーの足元を見て、多額の立ち退き費用を要求してくるケースが後を絶たない」、後者は日本人にもいる悪質な投資家だ。 「確かに中国人による日本の不動産投資は、インバウンドを追い風にしたリゾート開発を狙うものが多い。中国人の間では、北海道のニセコで成功している外国資本をビジネスモデルに、日本の観光産業への投資意欲を強めている一面が見られる」、なるほど。 「中国ビジネスに詳しいある日本人経営者は「中国人がやりたいのは瞬間的な金もうけです」とその特徴を捉えるが、その移り気な性格と撤退後に残された離島は、新たな問題をもたらすことになるかもしれない」、そうしたことを前提に日本側も備えておく必要がありそうだ。 「こうした経験のない日本は今まで無防備でいられたが、アジアの海が大きく変化する今、離島の保全・管理について一歩突っ込んだ早急な議論が求められている」、同感である。
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