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大学(その12)(もはや衰退モード…日本の大学教育 学生の「能力」は高いのに「人材」を生かせないワケ…東工大学長が明かす、2024年「東工大」と「東京医科歯科大」が統合を決めた「ある深刻な事情」…日本の大学教育 凋落の3つの要因、国際卓越研究大で大学と文科省に吹く「隙間風」 数百億円規模の支援だけでは研究力向上は困難) [社会]

大学については、本年5月11日に取上げた。今日は、(その12)(もはや衰退モード…日本の大学教育 学生の「能力」は高いのに「人材」を生かせないワケ…東工大学長が明かす、2024年「東工大」と「東京医科歯科大」が統合を決めた「ある深刻な事情」…日本の大学教育 凋落の3つの要因、国際卓越研究大で大学と文科省に吹く「隙間風」 数百億円規模の支援だけでは研究力向上は困難)である。

先ずは、6月22日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの春川 正明氏による「もはや衰退モード…日本の大学教育、学生の「能力」は高いのに「人材」を生かせないワケ…東工大学長が明かす」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/111805?imp=0
・『なぜ「リベラルアーツ」が重要なのか  <『言葉の力』を、理系の学生にこそ知ってもらいたい> 2012年に東京工業大学リベラルアーツセンターの特命教授に就任し、学生たちへの教養教育を行っているジャーナリストの池上彰さんの言葉だ。リベラルアーツ(教養)教育の目標は“尖ったリーダー”を育てることだという。 尊敬するジャーナリストの池上彰さんが、教授としてリベラルアーツを教え始めたことがきっかけで、東京工業大学とはどんな大学なのだろうかと興味を持ち始めた。 理系の大学でなぜリベラルアーツに力をいれるのだろうかと思っていたら、東京医科歯科大学と国立大学同士で統合するというニュースが飛び込んで来た。 さらに2024年度の入試で『女子枠』を設けるという。東京で出演している番組でこの『女子枠』について議論することになり、ゲストとして東工大の学長がスタジオに来て共に議論した。 放送の中でもコメントしたが、テレビの生放送に国立大学の学長が出演して討論するとは、とても驚いた。次々と改革を進めている東工大の学長に興味が湧き、大岡山キャンパスにお話を聞きに行ってきた。 「よく世間では、(東工大の学生は)非常に真面目だけど根暗とかオタクとか、チェックのシャツを着ているとか色々言われます。言われても反論できるぐらいのことを、いろんなことをやっているけれども、自虐的なのか、いちいち反論しなくてもいいよと思っちゃう。 だから変な奴が集まっている大学のように勘違いされている。何かを極めたいと思っている人が多いだけなんだけどなぁ」) 東工大の学生のイメージを聞いたら、こんなストレートな答えが返って来た。歴代の学長の肖像画が並んだ歴史を感じさせる部屋でインタビューしたが、2018年に就任した東京工業大学の益一哉学長(68)の発言は、国立大学のトップとは思えない率直さだ。 そういう大学のイメージを、学長として変えたいという考えはないのだろうか。 「ここがね、難しいとこですよね。やっぱり変えたいとも思うし、もっともっとアピールしてもいいとみんな思っている。でも僕ら“尖った”ままでもいいかなという気もする」 東工大に関する資料や本に目を通すと、“尖った”という単語が数多く出てくる。 “尖った”ということ、なんかを極めたいという気持ちをみんな持っているのだろうね。研究をやったら世界一になってみたいとか、誰も考えつかないことをやってみたいとか、プログラムを作るとしたら、絶対誰にも負けないプログラムを作ってみるとか、そういうことに命を掛ける。だからそれを“尖った”という表現で僕らは使っているのかな。 “尖った”人材で、普通の人が思いもつかないような方法で何かを解決するというのもあるし、自分の居るフィールドで、トップに立ってやろうとか思っている人が多いような気がする。『俺たちは違うぜ』と言って」 その口調には、大学への熱い想いを感じる』、「“尖った”人材で、普通の人が思いもつかないような方法で何かを解決するというのもあるし、自分の居るフィールドで、トップに立ってやろうとか思っている人が多いような気がする。『俺たちは違うぜ』と言って」 その口調には、大学への熱い想いを感じる」、なるほど。
・『敗戦後すぐに始まった教養教育  国立大学である東京工業大学は、学生数1万529人(外国人留学生含む)、教員1088人、職員610人(2022年5月1日現在)の国内屈指の理工系大学だ。 世界的な高等教育評価機関の英国クアクアレリ・シモンズ(QS)が発表する『QS世界大学ランキング』では、東工大は世界55位。国内では東京大学、京都大学に次いで3位(2023年)に位置づけている。 また大学通信が調査した『国内有名企業400社就職率ランキング』では、一橋大学に次いで2位(2022年)の結果だ。 益学長は、神戸市立工業高専を卒業し、東京工業大学工学部に編入して卒業し大学院を修了した。工学博士で専門は半導体、集積回路工学だ。高専出身者が国立大学の学長になるのはおそらく初めてだという。 なぜ工業大学という理系の大学で、リベラルアーツ教育に力を入れるのだろうか。しかも東工大では大学1年から4年までだけでなく、大学院、博士課程までリベラルアーツ科目が必修化されている。 「東工大は1945年の敗戦を受けて半年しないうちに、リベラルアーツ教育、教養教育をやらないといけないんだと言って、1946年4月から教養教育を始めたのです」 東工大では、宮城音弥(心理学者、社会評論家)や伊藤整(小説家、詩人、文芸評論家)、江藤淳(文芸評論家)、永井道雄(教育社会学)、吉田夏彦(哲学者)など各分野で時代を代表する錚々たる人達が教えていた。 「卒業生に聞くと、『あれ、面白かった』とみんな言うんだよね。東工大に脈々とそういう伝統があった。ところが、90年代に大学院重点化をするという時に教養部廃止など、日本全体で理系における教養教育がトーンダウンしたように思う。 東工大でも、実はその時にトーンダウンしている。それじゃあいかんというので、リベラルアーツ教育を再度強化し始めた。昔に戻っただけなんです、元々リベラルアーツ教育をやっていた。僕はそう理解している」) 2010年に東工大の教養教育の拠点となる『リベラルアーツセンター』が発足し、2016年には『リベラルアーツ研究教育院』が設立されたが、理系の大学でリベラルアーツ教育に力を入れることに、反対はなかったのだろうか。 「リベラルアーツ教育をやろうと言った時に、『なんでやらないといけないんだ』とか、いう人もいる。とくに1990年代に教養教育がトーンダウンした時に育った人達が多い。 大体の人たちは、リベラルアーツ教育をやっているのは当たり前だと思っている。それが東工大の伝統だと思っているから。批判覚悟で言うと、伝統だと思っていないのが、90年代以降トーンダウンした時に育った一部の人達だと」』、「益学長は、神戸市立工業高専を卒業し、東京工業大学工学部に編入して卒業し大学院を修了した。工学博士で専門は半導体、集積回路工学だ。高専出身者が国立大学の学長になるのはおそらく初めて」、「高専出身者」とはよほど優秀なのだろう。「1946年4月から教養教育を始めたのです」 東工大では、宮城音弥(心理学者、社会評論家)や伊藤整(小説家、詩人、文芸評論家)、江藤淳(文芸評論家)、永井道雄(教育社会学)、吉田夏彦(哲学者)など各分野で時代を代表する錚々たる人達が教えていた」、しかし、「90年代に大学院重点化をするという時に教養部廃止など、日本全体で理系における教養教育がトーンダウンしたように思う。 東工大でも、実はその時にトーンダウンしている。それじゃあいかんというので、リベラルアーツ教育を再度強化し始めた」、なるほど。
・『「人間」を育てる教育  東工大の今のリベラルアーツ教育を長年引っ張って来たのは、上田紀行教授だ。リベラルアーツ研究教育院長を務めた上田教授は「いま世界は科学技術を熟知したリーダーを求めている。人間の根っこを太くするのがリベラルアーツで、『人材』ではなく『人間』を育てる教育だ」と語っている。 その上田教授が教育で必要なものだと長年言い続けて来たのは『パッション(情熱)』と『志』だ。 「『パッション』とか『志』をいつも言っているのは上田紀行だからね。僕もそれに引きずられて。あいつ偉いと思う。何度も何度も僕に、『志』だとか『パッション』と言い続けた。 鈍感な僕でも『そりゃそうだよ。持たないとまずいよな』と思うようになった。僕はいま『大学こそ、志を持たずしてどうするのだ』と言っています」 東工大が目指すのは、世界最高峰の理工系総合大学だ。そのためには経営的センスを持った理系学生を増やしたいという。「最近まで日本の産業界では経営者は文系出身者で、研究や開発は理系出身者という考えに縛られている気がする」と益学長は指摘する。) 「理系・文系という分け方は嫌いだけど、あまりにも文系支配というのかな、文系は文系なりの論理的思考はあるんだけれども。やはり僕らみたいに科学技術とか、いわゆる理系、論理性の高い科学技術に立脚したとか、そういう論理性がある人がもっともっといろんな所に出て行かないといけないような気はする。 例えばよく言うのは、高等教育で文科省は『博士教育を強化しろ、高度人材を作れ』と旗を振ってくれるけれども、文科省の高等局に博士を持った人は殆ど居ないですからね。 博士を持たずに博士教育を語る文科省とか、経産省は技術開発とか色々やるじゃないですか。技術開発の方向を議論するのに、博士を持たずに政策を立てている国ですから、我が国は。 日本の社会がそもそも高度人材を本当に活用しようと思っていない、日本の悪いところです。今までの博士修了者は大学の先生になりたいとか、研究者だけになりたいとやっていたんだけど、これだけ科学技術が進んでいる中、特に理系では博士程度レベルの科学技術を理解した人が様々なところで活躍しないと世界の動きについていけないですよね。 それをなんか(博士を持った人を)変わった人だとしか思わない日本というのはおかしいと思うよ。だから“停滞した30年”があるとも言える。そういう人を活用するというマインドもないんだよね、日本は。もったいないよね。」 そう指摘する益学長は、大学というのは何のためにあると考えているのだろうか。 「一般の人は、高校生の進学先としての大学でしか見ていない。本来は、少なくとも今の世界の理工系の大学は、高校生の出口の4年間の学部レベルの大学と、その後、就職に繋がるというのが大学じゃなくて、その後の大学院まで含めて大学として見ないといけない。 大学というのは人材教育だって言われるけれども、その人材教育っていうのは、単に高校よりちょっとレベルの高いことを教えるだけじゃなくて、新しいものを生み出せる人材を育てるのが大学だと僕は思っている。少なくとも理工系の大学はね。 大学院まで含めて新しいことを生み出す。昔は学術分野における研究成果を出すだけでよかったのかもしれないけれど、今は成果を社会実装し新しい産業も興さないといけない。それが大学だと思う。少なくとも理工系の大学は」 理系大学であるにも関わらず、戦後すぐからリベラルアーツ教育に力を入れて来た東工大は、今後どこを目指すのか。 <【後編】2024年「東工大」と「東京医科歯科大」が統合を決めた「ある深刻な事情」…日本の大学教育、凋落の3つの要因>では、数々の改革を推し進める学長の意外な胸の内に迫る』、「文科省の高等局に博士を持った人は殆ど居ないですからね。 博士を持たずに博士教育を語る文科省とか、経産省は技術開発とか色々やるじゃないですか。技術開発の方向を議論するのに、博士を持たずに政策を立てている国ですから、我が国は」、「文科省」や「経産省」が「博士を持たずに博士教育を語」ったり、「技術開発」をしているのは、確かに日本の「博士」軽視を示しているようだ。「日本の社会がそもそも高度人材を本当に活用しようと思っていない、日本の悪いところです。今までの博士修了者は大学の先生になりたいとか、研究者だけになりたいとやっていたんだけど、これだけ科学技術が進んでいる中、特に理系では博士程度レベルの科学技術を理解した人が様々なところで活躍しないと世界の動きについていけないですよね。 それをなんか(博士を持った人を)変わった人だとしか思わない日本というのはおかしいと思うよ。だから“停滞した30年”があるとも言える」、同感である。

次に、この続きを6月22日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの春川 正明氏による「2024年「東工大」と「東京医科歯科大」が統合を決めた「ある深刻な事情」…日本の大学教育、凋落の3つの要因」を紹介しよう。
・『「国際卓越研究大学」を目指したわけじゃない  国内屈指の国立理工系大である東京工業大学は、戦後すぐから理系大学にも関わらずリベラルアーツ教育に長年力を入れて来た。 現在は、2024年度秋を目途に、国立の東京医科歯科大学と統合することで合意し、世界最高峰の理系総合大学を目指している。更に2024年度の入試での『女子枠』を創設する入試改革も発表した。 『東京科学大学』。東京工業大学と東京医科歯科大学という国立大学同士が統合して出来る大学の仮の名称だ。 「一応、我々の中では決まっているけれども、法人統合というのが国会審議を経ないと正式にならないので、今後の国会で決まって、そこで正式になる」 文部科学省は昨年11月に、『国際卓越研究大学』制度の基本方針を発表した。世界最高水準の研究大学の形成を目指すために、10兆円規模の大学ファンドを創設する。 2024年度からその運用益の目標は年間3000億円だ。選ばれた1大学あたりの支援額は、これまでになくかなりの規模になるが、支援額は現在の大学が獲得している外部資金額に連動すると言われている。 多くのメディアは、今回の両大学の統合は、この国際卓越研究大学に選ばれることを目指したものだと報じ、私もそう思っていた。しかし、統合の目的を益学長に聞くときっぱりと否定。東京医科歯科大学との統合を進めた理由は、強い危機感だった。) 「東工大が今のままでは限界を感じたというのが正直なところ。平成の30年間停滞して、東工大が主に関係する製造業のGDP(国内総生産)は世界でも日本でも伸びてない。 世界でGDPが伸びているのは、ITやバイオなど新しい産業を作ってきたから。良いモノを作れば売れるといって、結果として製造業にしがみついて、新しい芽を育てられなかった。 『工業工場で働く人材を育てるのではなく、育てた人材が工業工場を作る』。今風にいえば新しい産業を作ると、僕らは(1881年に設立された)東京職工学校の時代に言っているのに、この30年間経済が停滞して新しい産業を産み出してこなかった。東工大は『新しい産業を作る』と言ってやっていない。どうしようという、強い反省です。 改革ということで、色んな学院を作ったりしたけど、各学院のいろんな将来計画を聞いていても、まだまだ足りない。2016年に東工大は教育組織、研究組織の大きな改革をし、それぞれに将来計画を真剣に考えている。 でも、どうしても今の産業基盤から抜け切れてない。怒られるかもしれないけど、まだ製造業に抱きついてんだよ、みんなね。全然伸びていない産業に抱きついてどうするのだろうという話を真面目にし始めた。抱き着く先を変えないといけないよね、という」 そう考えていた時に、東京医科歯科大学の田中学長から統合の話が来た。 「たまたま田中さんが、『大学連携推進法人というスキームで一緒にやりませんか』という話をしてきた。最初は面倒な組織は作りたくなかったから、断ろうと思っていたんだけど、こっちも現状を打ち破ることを真剣に考えていた。 『一法人一大学になるぐらいの気合が(相手に)あるんだったら、それぐらいのことやってもいい』と。それが東工大の将来のためにもなるし、日本のためにもなるんだったら、そういうオプションがあってもいいのかなと申し入れた」、「東工大が主に関係する製造業のGDP(国内総生産)は世界でも日本でも伸びてない。 世界でGDPが伸びているのは、ITやバイオなど新しい産業を作ってきたから。良いモノを作れば売れるといって、結果として製造業にしがみついて、新しい芽を育てられなかった」、「まだ製造業に抱きついてんだよ、みんなね。全然伸びていない産業に抱きついてどうするのだろうという話を真面目にし始めた。抱き着く先を変えないといけないよね、という」、「そう考えていた時に、東京医科歯科大学の田中学長から統合の話が来た・・・『一法人一大学になるぐらいの気合が(相手に)あるんだったら、それぐらいのことやってもいい』と。それが東工大の将来のためにもなるし、日本のためにもなるんだったら、そういうオプションがあってもいいのかなと申し入れた」、なるほど。
・『日本は「挑戦したことがなかった国」  益学長の専門は半導体だ。日本の半導体が凋落してしまった3つの理由は「過剰品質を追い求めたこと、世界の動きの変化を捉えられなかったこと、経営者が投資判断を誤ったこと」だと益学長は指摘し、「この3つは日本の大学にもぴったり当てはまる」という。 日本がこの30年間伸びて来なかった理由はなんだと思うかと、益学長に聞いてみた。 「一言で言うと“ゆでガエル(状況の変化が緩やかだと、それに気づかず致命的な状況に陥る)”だったのかなあ。 日本ってそこそこのマーケットサイズを持っているから、ずっと変わらなくても生きていける国だったんだよね。でもこれって難しくて、それはそれでいいじゃないかという考えもあるかもしれない。でも、いつかはゆで上がってしまう。 でもね、残念ながら世界は大きく変化していて、新規な科学技術分野開拓、研究手法や、社会構造など様々なことをやっていたんだよね。その一方で、日本はそこそこでいいと思い続けたのが30年。なんでそうなったかっていうと、日本ってその間そもそも“挑戦したことがなかった国”だから。 2020年にコロナ禍の出口が見えない時に『コロナ敗戦』という言葉が出て、ふと75年前の1945年、さらにその前の75年を考えた。 1870年(1868年は明治維新)以来、黒船来航以来、極論すると自分たちで主体的に何かをしようとした国じゃないんだよ。『ジャパン・アズ・ナンバーワン』って、なんか俺たち頑張って世界を席巻できると思ったのにバブルが崩壊して、どうしようという時に、どうしないといけないって主体的なことを考えられなかった。 そこを僕らは、もう一回考え直さなきゃいけないんじゃないの、という気はしています」 東工大では2024年度の入試から、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜で『女子枠』を設けると発表した。学部の女子学生の比率は約13%で、「画一的な集団からは、新しい価値観は生まれない」という考えから実施することになった。 「日本では理工系の女子学生が90年代には増えたけど、2000年代で頭打ちになっているんだよね。いろいろ僕らも努力しているのです。 女子校で出張講義をしたりとか、『一日東工大生』として近隣の有力校から女子生徒を中心に招待したりとか、女性活躍推進フォーラム とか色々やったりするのだけれど、日本全体で全然増えていない。これは、普通の努力をしていたらもうダメだと思った」) 東工大の数々の新しい試みを取材する中で、面白い取り組みだなと思ったのは2018年に設置された『未来社会デザイン機構』だ。 “あるべき”未来ではなく、“ありたい”未来社会の姿について、学生だけでなく若者、企業、公的機関など多様な人たちと共に熟議を促すための対話ワークショップを開催し、2200年までの『東工大未来年表』を発表した。 「大学が次にどうするかと考えたら、将来を考えてみるということをしないとダメだよねと。研究者はそれぞれに自分の研究がどうなるか考えているわけだけど、もう少し大きい視点で考えてはという所から来ている。 考えるんだったら、一人で考えるよりも色々な人、それこそ多様性の中で議論する必要があるよね」 大学のトップとして、卒業していく学生を採用する企業に対して言いたいことはあるかと聞くと、こう答えた。 「お互い様なんだけど、真面目にね『何をして欲しい』とか『何をすべきか』ということを、日本の大学も企業も考えてなかったんだよね。 (企業も)自分たちで全部育てるのは土台無理だと思えば、『その教育を、大学さんちゃんとやってください』と言えばいいのに、それは言わないんだよね、未だに。 僕らもちゃんと『こういう教育をやって、こういう能力をつけさせて卒業させていますので、ちゃんと企業も評価してください』と言えばいいのに、日本って無駄をしているよね、どっちもね」 教育を所管する文部科学省に対しては、厳しい指摘をした。 「『大学を十把一絡げに扱わないで』ということ。『いろんなレベルがあって、いろんな多様な大学があったら、多様なやり方でコントロールしてください』と。 国立大学については、いろいろ文科省のプロジェクトがあって、様々な形で大学をサポートしようという気持ちはあるんだけど、何かと細かいことを指定してくるんだよね。『もうちょっと、やらせたら信用してくださいよ』と。 国立大学は税金を使わせていただいているので、それに対する説明責任がちゃんとあるんだけれども、だからと言って、箸の上げ下ろしまでコントロールするのは、それに時間を使っている方が無駄なんじゃないのという気はします」』、「文部科学省に対しては、厳しい指摘をした。 「『大学を十把一絡げに扱わないで』ということ。『いろんなレベルがあって、いろんな多様な大学があったら、多様なやり方でコントロールしてください』と。 国立大学については、いろいろ文科省のプロジェクトがあって、様々な形で大学をサポートしようという気持ちはあるんだけど、何かと細かいことを指定してくるんだよね・・・箸の上げ下ろしまでコントロールするのは、それに時間を使っている方が無駄なんじゃないのという気はします」、確かに「箸の上げ下ろしまでコントロールするのは、行き過ぎだ。
・『やったことが「改革」に映っているだけ  筆者の益学長への印象が、インタビューの前後でがらりと変わった。 取材する前は、熱い情熱で改革を強力に推し進める人という印象を持っていたが、実際に話を聞いてみると、自然体で自分を冷静に客観視しているように感じた。そこで大学を変えてやろうとか、東工大を変えてやるという様な熱い思いはないのかと聞いてみた。) 「そんな、おこがましい気持ちではやっていない。『俺が大学を変えてやろう』なんて思ったことない」 益学長自身の中では、改革マインドに溢れていて、俺が改革するんだという感じではないのかと重ねて聞くと、少しの沈黙の後でこう答えた。 「やっぱりいい大学にしたいという気持ちはある。日本もいい国にしたいという気持ちもある。みんなも幸せな国で、幸せなところで住んで欲しいと思う気持ちもある。『改革は絶対俺がやらなきゃいけない』とか、周りはそう見えるかもしれないけど、なんか違うな、そう思ってないな。 大学を預かる者として、あるいは大学を良くしないといけない責任において、今、何をやらないといけないかを考え、実行していって、それがたまたま改革というように映るだけの様な気がするけど」 『改革が別に目的じゃないということですか?』と更に聞くと 「そうそう、そうそう。ああそう言えばいいんだ。そう、改革が目的じゃないんだよ。 良い社会を持つためには、大学そのものも志を持たないといけないし、ここに居る人も志を持たないといけないよねという話だ。そうだ、改革が目的じゃないんだ。だから俺、答えられなかったんだよ今。あ、いいこと聞いた」 最後に、「大学はイノベーション(技術革新)を創出する拠点だ」と言う益学長は、大学を最終的にどうしたいか、目指すべき大学について聞いた。 「やっぱりね、大学っていろんな“知”があって、いろんなことを考えている人がいるわけじゃないですか。社会に対しては、いろんな形があると思うんだけど、夢を与え続けるというか、夢を生み出し続けるというか、そういう大学。 その夢っていうのは、まあ分かりやすい研究成果でもいいし、産業を興してもいいし、会社に対して夢を与えてもいいし、何かを生み出す。 夢っていうのは、ある意味、『無から有を生む』様なもの。そういうことが出来る人を育てたり、社会に夢とか何かを生み出し続けるようなことが、大学のあるべき、ありたい姿なんだろうと思います」 そこに向けて、今のところ順調に進んでいるのだろうか。 「順調かどうかわかんない。統合ひとつとっても、文化は違うし。生成系AIじゃないけど、技術の進歩は信じられないくらい速い。当然、世界は変化している。でも、僕ら自身が変わり続けようという『志』を持っていれば、何とかなるかな」 【関連記事】もはや衰退モード…日本の大学教育、学生の「能力」は高いのに「人材」を生かせないワケ…東工大学長が明かす>では、益学長が東工大がリベラルアーツ教育に力を入れる理由や大学の在り方などを明かしています』、「夢を与え続けるというか、夢を生み出し続けるというか、そういう大学」、「僕ら自身が変わり続けようという『志』を持っていれば、何とかなるかな」、なるほど。

第三に、6月20日付け東洋経済オンライン「国際卓越研究大で大学と文科省に吹く「隙間風」 数百億円規模の支援だけでは研究力向上は困難」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/680404
・『研究力向上の起爆剤として設立された10兆円ファンド。その支援対象となる国際卓越研究大学に10校が名乗りを上げ、秋頃までに認定校が決定する。1校あたり年間最大600億円もの支援金が最長25年と長期にわたって受け取れることになる。国際卓越研究大学の制度は本当に研究力向上につながるのか?そして申請校の本気度は?本記事を含め全7回にわたり、その中身や、各校トップ・担当者のインタビューをお届けする。 【今後の配信予定】 6月21日(水)配信早稲田大学:田中愛治総長インタビュー 6月22日(木)配信東京科学大学:東京医科歯科大学田中雄二郎学長&東京工業大学益一哉学長インタビュー 6月23日(金)配信東京大学:太田邦史副学長インタビュー 6月24日(土)配信東京理科大学:石川正俊学長&樋上賀一常務理事インタビュー 6月26日(月)配信筑波大学:永田恭介学長インタビュー 6月27日(火)配信東北大学:青木孝文副学長インタビュー 』、興味深そうだ。
・『もうウンザリだ  申請の段階から「こう書きなさい」「書き直してくれ」と文部科学省から口出しをうける。もうウンザリだ――。 「国際卓越研究大学」への認可申請を行ったある大学の幹部は、同制度についてこうぼやく。 世界最高水準の研究大学を生み出すべく岸田政権が目玉政策として立ち上げた10兆円規模の大学ファンド。その運用益で大学を支援する制度だが、その支援金を受け取ることができるのが国際卓越研究大学だ。 国際卓越研究大学は国立大学8校、私立大学2校の計10大学が申請し、文科省の審査を経て認可される。その顔ぶれをみると国立大学では北海道大学を除く東京大学や京都大学など旧帝国大学、筑波大学など難関国立大学が並ぶ。東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し、2024年度中に設立される東京科学大学も名乗りを上げた。私立大学では私学の双璧の一つ、早稲田大学と私立の理系総合大学のトップである東京理科大学も申請している。 4月に審査が始まり、各校の提出した計画書をもとに文科省が設置したアドバイザリーボードが審査を行う。秋頃には認定校が決定し、2024年度から支援が開始される予定だ。支援期間は最長25年とされ、安定的に巨額の支援金を受け取れることから大学側の期待も高い。) 冒頭の発言のように複雑な思いを抱く関係者もいるが、「国際卓越研究大学は大学が変わるための最後のチャンス」(ある国立大学職員)という焦りもにじむ。 なぜなら国際卓越研究大学は単に研究力を上げるだけでなく、独自基金の造成など大学が補助金に頼ることなく自律的、持続的に成長できる基盤をつくることを目標としているからだ。候補校の一つである早稲田大学の田中愛治総長は「国際卓越研究大学制度は政府の補助金に頼らず、大学が理想とする研究教育を独自に行えるようにするための制度だと考えている」と語る』、「4月に審査が始まり、各校の提出した計画書をもとに文科省が設置したアドバイザリーボードが審査を行う。秋頃には認定校が決定し、2024年度から支援が開始される予定だ」、なるほど。
・『認定には高いハードルを乗り越える必要  支援額の規模も大きい。10兆円ファンドは年間3000億円の運用益を捻出する目標で、卓越大に選ばれた5校前後に運用益を分配する計画だ。1校あたり最大約600億円を受け取れる計算になる。候補校の年間収入は下表の通りで、東京大学の2641億円から東京理科大学の372億円までばらつきはあるものの、その平均は約1400億円。そこに「最大600億円」の支援金が加わるインパクトは大きい。 ただ、認定のハードルは高い。(被引用数が)トップ10%の論文数が直近5年間の総計で1000本程度、かつ大学の総論文数のうちトップ10%論文が占める割合が10%程度以上あるかなど厳しい要件が定められている。トップ10%論文数、その割合ともにこの基準に達する大学は一握りだ。 認定後も、研究力の向上に加え、(事業規模の成長率を表す)支出成長率を年平均3%程度伸ばすことや、持続的な成長のために必要な運用益を生み出せる独自基金の造成といった目標を達成する必要がある。) ただ、こうした支援金に基づく変革が研究力向上に直結するとは限らない。「そもそも研究力低迷の根本原因は研究時間の減少だ」と、大学関係者は口をそろえる。 研究資金の要となっている科学研究費補助金(科研費)など競争的資金の獲得に当たっては、膨大な書類執筆に加え、採択後の評価対応などに追われる。ある国立大学の研究者は、「海外大学でも研究補助金の獲得に当たって、研究の概要など重要な書類を研究者が書くのは当然だ。しかし、(運営費交付金など基盤的経費が減少し、研究者をサポートする職員の数が少なくなる中)日本の大学ではその他の細かい書類執筆や事務作業まで研究者がやらざるをえない」とこぼす。 文科省の調査によると、大学教員が職務時間のうち研究にあてる時間は2002年度に46.5%だったが、2018年度には32.9%にまで低下している。 また大学改革に伴って、「会議などの事務時間が増加した」(ある大学関係者)ことも研究時間減少の要因のひとつだ。 候補校の複数の幹部らは、「国際卓越研究大学に認定されると事務負担がさらに増えるのではないか」と懸念をもらす。これまでも国立大学法人化をはじめ、学長の権限強化、指定国立大の設置など、さまざまな対応に追われてきた。国際卓越研究大学でも膨大な事務作業や会議に追われ、「改革疲れ」に陥るのではという不安を拭いきれない』、「10兆円ファンドは年間3000億円の運用益を捻出する目標で、卓越大に選ばれた5校前後に運用益を分配する計画だ。1校あたり最大約600億円を受け取れる計算になる。候補校の年間収入は下表の通りで、東京大学の2641億円から東京理科大学の372億円までばらつきはあるものの、その平均は約1400億円。そこに「最大600億円」の支援金が加わるインパクトは大きい。 ただ、認定のハードルは高い。(被引用数が)トップ10%の論文数が直近5年間の総計で1000本程度、かつ大学の総論文数のうちトップ10%論文が占める割合が10%程度以上あるかなど厳しい要件が定められている。トップ10%論文数、その割合ともにこの基準に達する大学は一握りだ」、「大学教員が職務時間のうち研究にあてる時間は2002年度に46.5%だったが、2018年度には32.9%にまで低下している。 また大学改革に伴って、「会議などの事務時間が増加した」(ある大学関係者)ことも研究時間減少の要因のひとつだ。 候補校の複数の幹部らは、「国際卓越研究大学に認定されると事務負担がさらに増えるのではないか」と懸念をもらす」、なるほど。
・『大学から噴出する懸念  文科省は申請書類のページ数に上限を設けるなど「事務負担が過度にならないよう配慮した」というが、現場からは「日頃から文科省に提出するさまざまな書類を作成しているが、そこに国際卓越研究大学の申請書類の作成が加わった。支援金をもらう以上、厳しい審査は必要だが、事務負担が増えては研究力を伸ばすという本来の目的に集中できない」(候補校幹部ら)という声があがる。 国際卓越研究大学の公募要領をみると、提出書類では、過去5年の事業規模や助成期間中の事業成長シミュレーションなど細かい財務数値の記入が求められている。認定後には毎年、進捗状況の報告も義務づけられる。 国際卓越研究大学への懸念はこれだけではない。「そもそも研究力を測る指標としてトップ10%論文数を1000本以上などと定めているが、1000本以上あれば研究力を向上させられる基盤があるといえるのか」「莫大な支援金を受け取れるというが、足元の運用成績はマイナスで、安定的に支援金を受け取れるのか」(同幹部ら)といった声が相次いでいる。 果ては「財務省への説明責任を果たすため、過剰な書類提出を求めている」、「(公募要領上は義務づけられていない)10兆円ファンドに認可大学からの資金拠出が義務化されることがほぼ確定している」(同幹部ら)という“ウワサ”まで飛び交っている。 一方、文科省の担当者は「現場が改革疲れに陥っているのは重々承知しており、評価に追われることは避けたいと考えている。審査過程で大学と対話を重ねながら評価体制を構築したい。だからこそ審査委員会を“アドバイザリー(助言)ボード”とした」と語る。) だが、大学側には、こうした不安があっても国際卓越研究大学の認定を求める切実な「懐事情」がある。 国は運営費交付金など大学へ継続的に支給する補助金を減少させ、科研費や医療研究開発推進事業費補助金など、研究や事業内容で助成を出すか審査する「競争的資金」の比重を高めてきた。しかし科研費は新規採択率が約3割と低く、厳しい競争を勝ち抜く必要がある。 国立大学の場合、運営費交付金は光熱費や人件費といった研究教育の基本的な経費を賄う「基盤的経費」として大学の経営を支えている。 東京大学の収入(経常収益ベース)をみると、2004年度は1771億円で、そのうち運営費交付金は861億円と収入に占める割合は約50%だった。それが2021年度には、収入が2641億円で、運営費交付金は827億と同割合は約30%にまで低下している。 各大学は産学連携収入や基金の拡充、寄付金集めなど財源の多様化に注力することで、運営費交付金の減少分を補い、さらに規模の拡大を続けてきた。 それでも、海外の有名大学と比べると、アメリカのハーバード大学の収入は約7000億円で、大きな差がある。そもそも同大は7兆円超の独自基金の潤沢な運用益を教育・研究費に充てている。日本の大学が互角に戦うには、独自基金の確保や、さらなる外部資金の獲得などこれまで以上の努力が必要だ。こうした状況下では、国際卓越研究大学制度の支援金は大きな力水となる』、「東京大学の収入(経常収益ベース)をみると、2004年度は1771億円で、そのうち運営費交付金は861億円と収入に占める割合は約50%だった。それが2021年度には、収入が2641億円で、運営費交付金は827億と同割合は約30%にまで低下している。 各大学は産学連携収入や基金の拡充、寄付金集めなど財源の多様化に注力することで、運営費交付金の減少分を補い、さらに規模の拡大を続けてきた・・・日本の大学が互角に戦うには、独自基金の確保や、さらなる外部資金の獲得などこれまで以上の努力が必要だ。こうした状況下では、国際卓越研究大学制度の支援金は大きな力水となる」、なるほど。
・『「すれ違い」を乗り越えるには  資金だけではない。世界最高水準の研究大学に発展するには、改革への姿勢が問われる。「従来の大学改革の二の舞になるかは大学次第だ。国際卓越研究大学という制度を少しでもよい制度にし、本気で大学を成長させられるかは、大学自身の知恵と執念にかかっている」(ある候補校の職員)。 別の候補校のある幹部も「不安はあるものの、世界トップレベルの研究大学を実現するためには大学も大胆に変わる必要がある。数値目標ではない評価基準、例えば大学の知をどのように社会に還元したかなど定性的な評価のあり方の提案はじめ大学側からも政府に働きかけ、この制度をよりよいものにしたい」と語る。 よりよい制度にしたいという思いは文科省も同じだ。文科省の担当者は「対話を重ねながら、大学の改革を後押しする姿勢に変わりはない。大学が自律的に成長できるよう規制緩和なども行う計画だ。目先の研究成果を求めず、研究基盤を整備できるよう長い目で支援する」と熱を込める。 世界トップレベルの研究大学を実現し、衰退する研究力を引き上げられるか。政府と大学との腹を割った対話がその第一歩となる』、「世界トップレベルの研究大学を実現し、衰退する研究力を引き上げられるか。政府と大学との腹を割った対話がその第一歩となる」、「政府と大学との腹を割った対話」、出来ればよいが、本当に可能なのだろうか。
タグ:大学 (その12)(もはや衰退モード…日本の大学教育 学生の「能力」は高いのに「人材」を生かせないワケ…東工大学長が明かす、2024年「東工大」と「東京医科歯科大」が統合を決めた「ある深刻な事情」…日本の大学教育 凋落の3つの要因、国際卓越研究大で大学と文科省に吹く「隙間風」 数百億円規模の支援だけでは研究力向上は困難) 現代ビジネス 春川 正明氏による「もはや衰退モード…日本の大学教育、学生の「能力」は高いのに「人材」を生かせないワケ…東工大学長が明かす」 「“尖った”人材で、普通の人が思いもつかないような方法で何かを解決するというのもあるし、自分の居るフィールドで、トップに立ってやろうとか思っている人が多いような気がする。『俺たちは違うぜ』と言って」 その口調には、大学への熱い想いを感じる」、なるほど。 「益学長は、神戸市立工業高専を卒業し、東京工業大学工学部に編入して卒業し大学院を修了した。工学博士で専門は半導体、集積回路工学だ。高専出身者が国立大学の学長になるのはおそらく初めて」、「高専出身者」とはよほど優秀なのだろう。 「1946年4月から教養教育を始めたのです」 東工大では、宮城音弥(心理学者、社会評論家)や伊藤整(小説家、詩人、文芸評論家)、江藤淳(文芸評論家)、永井道雄(教育社会学)、吉田夏彦(哲学者)など各分野で時代を代表する錚々たる人達が教えていた」、しかし、「90年代に大学院重点化をするという時に教養部廃止など、日本全体で理系における教養教育がトーンダウンしたように思う。 東工大でも、実はその時にトーンダウンしている。それじゃあいかんというので、リベラルアーツ教育を再度強化し始めた」、なるほど。 「文科省の高等局に博士を持った人は殆ど居ないですからね。 博士を持たずに博士教育を語る文科省とか、経産省は技術開発とか色々やるじゃないですか。技術開発の方向を議論するのに、博士を持たずに政策を立てている国ですから、我が国は」、「文科省」や「経産省」が「博士を持たずに博士教育を語」ったり、「技術開発」をしているのは、確かに日本の「博士」軽視を示しているようだ。 「日本の社会がそもそも高度人材を本当に活用しようと思っていない、日本の悪いところです。今までの博士修了者は大学の先生になりたいとか、研究者だけになりたいとやっていたんだけど、これだけ科学技術が進んでいる中、特に理系では博士程度レベルの科学技術を理解した人が様々なところで活躍しないと世界の動きについていけないですよね。 それをなんか(博士を持った人を)変わった人だとしか思わない日本というのはおかしいと思うよ。だから“停滞した30年”があるとも言える」、同感である。 春川 正明氏による「2024年「東工大」と「東京医科歯科大」が統合を決めた「ある深刻な事情」…日本の大学教育、凋落の3つの要因」 「東工大が主に関係する製造業のGDP(国内総生産)は世界でも日本でも伸びてない。 世界でGDPが伸びているのは、ITやバイオなど新しい産業を作ってきたから。良いモノを作れば売れるといって、結果として製造業にしがみついて、新しい芽を育てられなかった」、「まだ製造業に抱きついてんだよ、みんなね。全然伸びていない産業に抱きついてどうするのだろうという話を真面目にし始めた。抱き着く先を変えないといけないよね、という」、 「そう考えていた時に、東京医科歯科大学の田中学長から統合の話が来た・・・『一法人一大学になるぐらいの気合が(相手に)あるんだったら、それぐらいのことやってもいい』と。それが東工大の将来のためにもなるし、日本のためにもなるんだったら、そういうオプションがあってもいいのかなと申し入れた」、なるほど。 「文部科学省に対しては、厳しい指摘をした。 「『大学を十把一絡げに扱わないで』ということ。『いろんなレベルがあって、いろんな多様な大学があったら、多様なやり方でコントロールしてください』と。 国立大学については、いろいろ文科省のプロジェクトがあって、様々な形で大学をサポートしようという気持ちはあるんだけど、何かと細かいことを指定してくるんだよね・・・箸の上げ下ろしまでコントロールするのは、それに時間を使っている方が無駄なんじゃないのという気はします」、確かに「箸の上げ下ろしまでコントロールするのは、行き過 ぎだ。 「夢を与え続けるというか、夢を生み出し続けるというか、そういう大学」、「僕ら自身が変わり続けようという『志』を持っていれば、何とかなるかな」、なるほど。 東洋経済オンライン「国際卓越研究大で大学と文科省に吹く「隙間風」 数百億円規模の支援だけでは研究力向上は困難」 「4月に審査が始まり、各校の提出した計画書をもとに文科省が設置したアドバイザリーボードが審査を行う。秋頃には認定校が決定し、2024年度から支援が開始される予定だ」、なるほど。 「10兆円ファンドは年間3000億円の運用益を捻出する目標で、卓越大に選ばれた5校前後に運用益を分配する計画だ。1校あたり最大約600億円を受け取れる計算になる。候補校の年間収入は下表の通りで、東京大学の2641億円から東京理科大学の372億円までばらつきはあるものの、その平均は約1400億円。そこに「最大600億円」の支援金が加わるインパクトは大きい。 ただ、認定のハードルは高い。(被引用数が)トップ10%の論文数が直近5年間の総計で1000本程度、かつ大学の総論文数のうちトップ10%論文が占める割合が10%程度以上あるかなど厳しい要件が定められている。トップ10%論文数、その割合ともにこの基準に達する大学は一握りだ」、「大学教員が職務時間のうち研究にあてる時間は2002年度に46.5%だったが、2018年度には32.9%にまで低下している。 また大学改革に伴って、「会議などの事務時間が増加した」(ある大学関係者)ことも研究時間減少の要因のひとつだ。 候 補校の複数の幹部らは、「国際卓越研究大学に認定されると事務負担がさらに増えるのではないか」と懸念をもらす」、なるほど。 「東京大学の収入(経常収益ベース)をみると、2004年度は1771億円で、そのうち運営費交付金は861億円と収入に占める割合は約50%だった。それが2021年度には、収入が2641億円で、運営費交付金は827億と同割合は約30%にまで低下している。 各大学は産学連携収入や基金の拡充、寄付金集めなど財源の多様化に注力することで、運営費交付金の減少分を補い、さらに規模の拡大を続けてきた・・・日本の大学が互角に戦うには、独自基金の確保や、さらなる外部資金の獲得などこれまで以上の努力が必要だ。こうした状況下では、 国際卓越研究大学制度の支援金は大きな力水となる」、なるほど。 「世界トップレベルの研究大学を実現し、衰退する研究力を引き上げられるか。政府と大学との腹を割った対話がその第一歩となる」、「政府と大学との腹を割った対話」、出来ればよいが、本当に可能なのだろうか。
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