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自動車(一般)(その4)(マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考える 皆さんはどう思いますか、ホンダ GMとの提携拡大にみた自前主義の限界 収益低迷の「北米の4輪」に大幅なテコ入れ、「脱ガソリン車」を急ぐと 自動車業界が電機業界と同じ轍を踏む理由) [産業動向]

自動車(一般)については、2019年10月21日に取上げた。今日は、(その4)(マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考える 皆さんはどう思いますか、ホンダ GMとの提携拡大にみた自前主義の限界 収益低迷の「北米の4輪」に大幅なテコ入れ、「脱ガソリン車」を急ぐと 自動車業界が電機業界と同じ轍を踏む理由)である。

先ずは、昨年9月7日付け現代ビジネス「マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考える 皆さんはどう思いますか」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75394?imp=0
・『「好き勝手に書きやがって」「監視するのが我々の役目」。古くから行われてきた、企業とメディアの丁々発止のやり取り。いまここに、日本一の企業の社長が、大きな波紋を投げかけようとしている。発売中の『週刊現代』が特集する』、何があったのだろう。
・『唐突に始まった寓話  「話は長くなりますが、ロバを連れている老夫婦の話をさせていただきたい」 6月11日に開かれたトヨタの定時株主総会の壇上、話題が2021年3月期決算の業績見通しに及ぶと、豊田章男社長(64歳)はおもむろに語りだした。 「ロバを連れながら、夫婦二人が一緒に歩いていると、こう言われます。『ロバがいるのに乗らないのか?』と。 また、ご主人がロバに乗って、奥様が歩いていると、こう言われるそうです。『威張った旦那だ』。 奥様がロバに乗って、ご主人が歩いていると、こう言われるそうです。『あの旦那さんは奥さんに頭が上がらない』。 夫婦揃ってロバに乗っていると、こう言われるそうです。『ロバがかわいそうだ』。 要は『言論の自由』という名のもとに、何をやっても批判されるということだと思います。 最近のメディアを見ておりますと『何がニュースかは自分たちが決める』という傲慢さを感じずにはいられません」 遡ること1ヵ月ほど前、トヨタが発表した見通しを元に、マスコミ各社は、「トヨタの今期営業利益、8割減の5000億円」(日本経済新聞)、「トヨタ衝撃『8割減益』危機再び」(朝日新聞)と報じていた。 豊田氏の不満は、こうした報道に対して向けられたものだった。 「マスコミの報道について、私も決算発表の当日は、いろんな方から『よく予想を出しましたね』『感動しましたよ』と言っていただきました。 ただ、次の日になると『トヨタさん大丈夫』『本当に大丈夫なの』と言われてしまい、一晩明けたときの報道の力に、正直悲しくなりました」 なぜ「こんな状況でも臆さずに決算予想を発表した」ことを評価せず、「8割減益」というネガティブな報じ方をするのか。豊田氏は、そう言いたかったのだろう。 豊田氏は、社長に就任して以来、幾度となくメディアの「掌返し」を味わってきた。 社長に就任した'09年から'10年にかけて、トヨタでは「大規模リコール」が発生し、一時は「経営危機」とまで報じられた。 ところが、'13年に世界の自動車メーカーで初の生産台数1000万台を超え、'15年3月期決算で日本企業として初の純利益2兆円超えを達成すると、今度は一転、豊田氏の経営を称賛する報道が相次ぐ。 その後も、コストをカットすれば「下請け叩き」と非難されたし、執行役員の数を減らせば「独裁体制」と言われた。 そして今度は、あらゆる企業が苦しんでいるコロナ危機のなかで、トヨタの減益だけがことさら大々的に報じられ―。 何を言おうが、何をしようが、その時々の気分で好き勝手に報じるだけのマスコミの相手はしていられない。今回の決算報道のみならず、積年の思いが込められたのが、「ロバの話」だったのだ』、「豊田章男社長」が「時株主総会」で切り出したとは、よほど腹に据えかねていたのだろう。
・『だからキレてしまった  他の企業の経営者たちは、いったいどのようにこの寓話を受け止めたのだろうか。 「すき家」「ココス」などを展開する外食チェーン大手・ゼンショーホールディングスの代表取締役会長兼社長の小川賢太郎氏は「豊田さんの気持ちは理解できる」と語る。 「民主主義国家である以上、それぞれのメディアが変な忖度をせず、自由に報道すべきなのは大前提です。しかし企業側の感覚からすると、メディアの取材を受けても、『こちらの真意がきちんと伝わった』と思えることはめったにありません。 たとえば、テレビであれば10分の取材を受けても、都合のいい10秒だけが切り取られて放送されることもある。『それは、あまりにもアンフェアだよ』という気持ちは、僕が知っている多くの経営者が持っています。 豊田さんは、日本を代表する企業のトップとして常に矢面に立ってきたから、なおのことでしょう。 企業の責務として山ほど社会貢献をしてもほとんど報じてもらえない一方、ほんの少しでもヘマをすれば、『それ見たことか』と鬼の首をとったように書きたてられる。経営する側も人間ですから、苛立たないほうがおかしいのです」 別の一部上場メーカーの広報担当役員も、大手マスコミの取材手法に対する不満を打ち明ける。 「新聞やテレビの記者さんたちと話していて思うのは、とにかく勉強不足だということ。彼らは頻繁に『担当替え』があるので、業界や企業のことをあまり勉強しないまま取材に来る。 別に、難しいことを要求するつもりはありませんが、ホームページで逐一公開しているIR情報とか、有価証券報告書に記載している基本的な経営事項すら頭に入っていない状態はさすがに困ります。 『そんなことも知らないで、ウチの経営を評価する記事を書くんですか?』と思ってしまいます」 くわえて、前出の小川氏は、メディアの報道姿勢が「結論ありき」になっていることにも疑問を感じているという。 「現場の若い記者さんと話していると、『私の考えとは違うのですが、デスクや次長が話の方向性をあらかじめ決めつけていて、異論を受け入れてくれないんです』と言われることが多々あります。 我々の商売もそうですが、本質は現場の人間が一番わかっているものです。しかし、それを重視せず、会社にいる上司が記事の方向性を決めるというのは時代遅れです」 こうした思いを、豊田氏もずっと感じ続けてきたのだろう。'19年には、豊田氏は自ら肝いりでオウンド(自社)メディア「トヨタイムズ」の運用を開始する』、「彼らは頻繁に『担当替え』があるので、業界や企業のことをあまり勉強しないまま取材に来る。 別に、難しいことを要求するつもりはありませんが、ホームページで逐一公開しているIR情報とか、有価証券報告書に記載している基本的な経営事項すら頭に入っていない状態はさすがに困ります」、同感だ。
・『マスコミを見捨てた  一時期、「編集長」を拝命した香川照之が、テレビ電話で豊田氏に取材するCMがやたらと流れていたので、このサイトの名前を知っている人も多いだろう。 ページを開いてみると、アナウンサー・小谷真生子の司会のもと、豊田氏とスズキの鈴木修会長が語らう対談動画から、先述の株主総会の一部始終を書き起こした記事まで、コンテンツがずらりと並んでいる。 デザインも機能も、大手メディアのニュースサイト顔負けの作りで、トヨタの「本気」が伝わってくる。 トヨタイムズが本格始動して以来、豊田氏は大手メディアのインタビューをほとんど受けなくなった。 決算後の会見も、現行の年4回から、年2回(中間、本決算)に減らすという。代わりに、トヨタイムズの記事や動画には頻繁に登場し、経営の理念や考えを事細かに語っている。 消費者に対し、自前でメッセージを発することのできる環境が整ったのだから、もはや大手マスコミを介する必要はないということだろう。 「ここのところ、大手各社が豊田社長にインタビューを依頼しても、すべて断られる状況が続いています。 7月7日には、めずらしく中日新聞にインタビュー記事が載りましたが、後に、まったく同じ内容が『トヨタイムズ』に掲載された。『あれでは、もはや取材ではなく広告だろう』と言われています」(在京キー局記者) こうしたトヨタの姿勢を、当の大手メディアの記者たちは複雑な思いで見つめている。 「今回の『5000億円の減益』という業績予想だって、客観的な数字を報じているだけで、どの社もトヨタを過剰に批判したり、叩いたりしたわけではありません。 東証一部上場企業であるトヨタは、株主にも、車の消費者に対しても、大きな責任を負っている。それを監視し、情報を提供するのはマスメディアの責務です。 企業の目線で選別された都合のいい情報だけを伝えるのであれば、我々の存在は必要ない」(全国紙経済部デスク)) 元日本経済新聞記者でジャーナリストの磯山友幸氏は、「ロバの話」そのものに異論を唱える。 「なぜロバに自分が乗るのか、なぜ妻を乗せるのか、あるいは、なぜ乗らないのか。あらゆる場面ごとに意図を丁寧に説明して、世の中に納得してもらうことこそが、経営者の仕事でしょう。 そもそも、消費者の側だって、オウンドメディアが企業のPRの延長上にあることくらいわかります。 ひとたび自分たちに都合の良い情報だけしか発信されていないと思われれば、常に眉に唾して読まれる媒体になってしまう。そのことをよく考えなければいけません」 インターネットやSNSの普及と共に、大手メディアの報道を「マスゴミ」「ウソばかり」とこき下ろす流れは、次第に大きくなっている。 「新聞通信調査会が行った調査によれば、『新聞の情報は信頼できますか』という質問に対し、70代以上であれば60%以上の人が『信頼できる』と評価したのに対し、30代になると50%弱、20代になると40%弱まで落ちてしまいます。 企業はそういう状況を見て、『マスコミよりも自分達が直に出す情報のほうが消費者に支持される』と踏んでいるのです。 だから、かつては決して表に出すことはなかったオールドメディアへの不満を露にすることをためらわなくなってきた」(元共同通信社記者で名古屋外国語大学教授の小野展克氏) 世間のメディアに対する不信の目は、今年の5月、東京高検の黒川弘務検事長(当時)と大手新聞2社の記者たちがコロナ禍の真っ最中に「賭け麻雀」をしていたことが発覚したのをピークに、更に広がっている。 「メディアのスタンスが問われているいま、取材対象と身内レベルで懇意になってネタをとるというかつての手法は、読者の理解を得られなくなっている。だからこそ、なおさら企業の意向を忖度するような報道はできません」(全国紙経済部記者) だが、コロナ禍においては、企業トップへの取材が、以前にも増して難しくなっているという。 「多くの企業の会見がオンライン化したため、広報担当者がチャットで事前に記者からの質問をチェックしたうえで、会見に関係のある内容しか、経営者に回答させないようになりました。質問数も各社1問と限定されることがほとんど。 これでは、予想外の質問をして経営者の反応を見たり、追加の質問を重ねて企業の本音に迫りにくい」(前出・全国紙経済部記者)』、「トヨタイムズ」のURL[は、https://toyotatimes.jp/
これによれば、タレントの「香川照之」氏は依然、「編集長」のようだ。お飾りなのだろうが、「トヨタの現在地を確認できた95分間」、「豊田章男が語ったトヨタの未来とは 極秘映像を香川編集長が見た!、などが掲載されている。
・『損をするのは誰か  こうした、報じる側と報じられる側の「相互不信」は、企業報道のみならず、官邸とメディアの間でも顕著になっている。 「一昨年、森友学園問題に関して『私たちは国民の代表として聞いているんですから、ちゃんと対応してください』と官邸に要求した東京新聞の記者に対し、官邸側が『国民の代表は国会議員。あなたたちは人事で官邸クラブに所属されているだけでしょ』と突き放したことがありました。以前の官邸なら、こんな態度に出ることはなかった。 ネットの普及と同時に、『マスコミなんて信用されていないし、取るに足りないものだ』と考える政治家や経営者は、今後どんどん増えていくでしょう」(前出・小野氏) かつて広報部門の責任者を務めた経験もあるキリンホールディングスの磯崎功典社長は「どんな状況でも、企業とマスコミは対等に、誠実にやっていかなければいけない」と語る。 「メディアから厳しく書かれて悔しい思いをすることもあります。でも、それを報じるのが彼らの仕事であり、逃げずに対応するのが我々の仕事。耳が痛い内容であっても、事実であれば素直に耳を傾けることが、状況の改善に繋がります。 一方で、メディアの側も、『見出しありき』の記事が通用する時代ではなくなったと認識する必要がある。 トヨタさんのように、企業が世の中に広く発信することも可能になった以上、結論ありきの報道では読者の支持も得られなくなる。『反目はしないけれど緊張感のある関係』を保っていくことが、一番大切でしょう」 豊田社長の「ロバの話」が図らずも浮き彫りにした問題。書く側にも、書かれる側にもいずれも理はある。しかし、相互不信のまま、不完全な情報公開が続けば、損をするのは受け取る側だ。 皆さんは、どうお考えになるだろうか』、「不完全な情報公開が続けば、損をするのは受け取る側だ」、さらにいえば、企業の株価に占める不確実性リスク・プレミアムが上昇し、企業も損をすることになる。

次に、9月10日付け東洋経済オンライン「ホンダ、GMとの提携拡大にみた自前主義の限界 収益低迷の「北米の4輪」に大幅なテコ入れ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/374627
・『ホンダがアメリカのゼネラル・モーターズ(GM)と提携拡大に踏み出した。 両社は9月3日、北米向けの車両でのエンジンやプラットホームの共通化、部品の共同購買など幅広い分野での包括提携を検討すると発表。ホンダがこれまでの部分的な提携から大幅に深化させる背景には、自前主義の限界が垣間見える。 「新たな協業を通じて、将来のモビリティ技術への投資に向け、最大市場の北米で大幅なコスト効率の向上が実現可能となる」。ホンダの倉石誠司副社長は発表声明の中で、提携拡大の意義を強調した』、「GMと提携拡大」は当然だろう。
・『車の基幹部分にも提携範囲を拡大  1990年代に始まった両社の協業は近年、次世代技術の開発を中心に進んできた。2013年に燃料電池車(FCV)の開発で提携したほか、2018年にライドシェア向けの自動運転車、今年4月には電気自動車(EV)での共同開発を決めるなどしてきた。ただ、あくまで個別の技術分野ごとの協業にとどめてきた。 今回は車の土台に相当するプラットホームやエンジンなどを含め、車の商品力を左右する基幹部分にまで範囲を広げる。先進技術の研究開発全般での協力も模索しており、従来「独立独歩」を信条としてきたホンダにとっては大きな路線転換とも言える内容だ。 提携拡大における最大の目的は、低空飛行が続く4輪事業の収益改善にある。売上高では7割近くを占める4輪事業だが、2019年度の営業利益率は2輪事業が13.9%だったのに対し、4輪はわずか1.5%。高収益の2輪が不振の4輪を支える構図が近年定着している。 その4輪の低迷は、伊東孝紳・前社長の時代に世界販売600万台を掲げて推し進めた急激な拡大戦略が招いたものだ(2019年度は479万台)。身の丈を超えた生産能力が収益を押し下げたほか、モデル数の急増によって現場が混乱して開発効率も悪化した。 こうした事態を受け、2015年に就任した八郷隆弘社長は収益重視の方針に舵を切り、国内や英国などの工場閉鎖や研究開発体制の再編などに取り組んできた。とはいえ、業績面で目に見える成果はいまだ表れておらず、ここ数年は追加の収益改善策を迫られていた。 とりわけ北米は世界販売の4割近くを占める。本来であればホンダの屋台骨であるはずだが、2000年代後半に7~8%だった北米事業の利益率は2019年度には3.7%にまで低下。北米事業へのテコ入れが、そのまま4輪事業の再建に直結することになる。 ホンダはセダンを中心とした中小型車やハイブリッド車、GMはピックアップトラックなど大型車やEVを得意としており、新車開発での補完関係を築きやすい。ホンダ側の部品の現地生産も進んでおり、調達面での連携も比較的容易だ。 4輪事業の再建とGMとの協業深化を進めるのは、自動運転や電動化などCASEと呼ばれる次世代技術の開発競争が活発になっていることが背景にある。ホンダも年間8000億円超の開発費を投じるものの、独フォルクスワーゲン(VW)やトヨタ自動車など業界トップメーカーやIT大手に比べると見劣りする。ホンダはEVなど一部分野では出遅れも指摘されており、巻き返しのためにも協業は欠かせない。 新型コロナウイルスによる事業環境の悪化も提携拡大の背中を押した。ホンダの北米での4~6月期の4輪販売台数は前年同期比で68%も減った。世界の4輪需要がコロナ前の水準まで戻るには3~4年程度要するとの見方が大勢だ。2輪に至っては、主力市場のインドや東南アジアでの感染収束が遅れ、販売回復時期の見通しさえ立たない。苦しいのはGMも同様で、両社とも投資への余力を失いつつある』、「ホンダ」と「GM」は「新車開発での補完関係を築きやすい」、シナジーを大いに生かしてもらいたい。
・『資本提携には踏み込まず  自動車業界ではVWとアメリカのフォードが自動運転などの開発で提携したほか、仏グループPSAとFCAが経営統合を決めるなど、合従連衡の動きが加速。ホンダはこれまで業界の仲間づくりの波に乗り遅れ気味だったが、GMとの提携拡大が実現すれば巨大市場の北米でも有数のアライアンスになる。 「GMと資本関係の議論はまったくしていない」とホンダ幹部が言うように、提携の範囲は拡大しても、あくまで資本の独立は維持するという従来方針に変更はなさそうだ。今回の提携は北米での事業に限られるが、ほかの地域に展開していくことも考えられる。将来的には生産拠点を相互活用する可能性もある。 4輪改革を進めてきた八郷社長には、今回の提携を通じて、目に見える形で成果を出すことが求められる』、「将来的には生産拠点を相互活用する可能性もある」、その場合には「資本提携」も必要になるだろう。

第三に、12月11日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した早稲田大学大学院経営管理研究科教授の長内 厚氏による「「脱ガソリン車」を急ぐと、自動車業界が電機業界と同じ轍を踏む理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/256869
・『「脱ガソリン車」の方針を明確化 温室効果ガスのゼロ目標は現実的か(菅政権は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると表明し、それに向けて2030年代半ばまでに、ガソリン車の国内での販売をやめる方針を打ち出した。 ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授は、1991年に環境規制に関するポーター仮説を発表し、環境規制が企業に明確な技術開発のターゲットを示すことで、各社がそのターゲットに向けて効率よく技術革新を行うため、こうした環境規制は結果的にイノベーションを促進する、と指摘した。菅政権のガソリン車廃止の方針も、世界的にEV(電気自動車)の開発競争が進む中で、日本の自動車メーカーの開発競争を刺激する起爆剤となる可能性がある。 その一方で、急速なEVシフトには気をつけなければならない点が2つある。EVの早期シフトだけが必ずしも温暖化問題を解決し、日本の競争力向上に繋がるとは限らないからだ。 1つは、日本の技術的優位性の特徴にある。日本の自動車産業は、トヨタ自動車をはじめとする世界を代表するメーカーが高い国際競争力を有していて、その源泉は自動車開発の技術にある。しかしそれは、エンジンやサスペンションといった個々の要素技術が強いからではなく、個々の部品の関係性を上手く調整するノウハウにある。少し難しい話になるが、経営学ではこれを「アーキテクチャ知識」と呼んでいる。 たとえば同じPCでも、デスクトップPCとノートPCを比較すると、デスクトップPCは、部品さえ手に入れれば素人でも組み立てることができる。実際、PC専門店などでCPUやマザーボードなどの部品を購入し、自作PCを組み立てた経験がある人も多いだろう。 しかし、同じ部品から構成されるノートPCを自作する人はまずいないだろう。デスクトップPCは個々の部品と部品のつなぎ合わせが汎用的な規格で標準化され、基本的にはソケットに部品を入れたり、ケーブルをつないだりするだけでPCが完成する。なぜなら、部品同士をつなぐインターフェースが事前に規格化され、標準化されているので、標準的な部品と標準的なケーブルを接続するだけで、製品が完成してしまうからだ。 こうした製品の構成を、モジュール型のアーキテクチャと呼ぶ。モジュールとは、調整なしに組み合わせることができる部品のことを指している。PCとマウスはUSB端子で接続するが、これもUSBという事前に標準化されたインターフェースを使って、PCとマウスをつないでいるので、マウスは独立して開発することができ、どこのメーカーのPCにでも接続することができる。このとき、PCに対してマウスはモジュールであり、マウスをPCに接続するときに専用のカスタマイズなどをする必要はない。 一方、ノートPCは狭い筐体の中に効率よく部品を詰め込み、CPUが発生する熱などを上手く放熱してやる必要があるので、部品と部品の配置や関係性を上手くコントロールしないと、PCとして組み上げることができない。この場合、部品と部品との間のインターフェースは個別にカスタマイズされ、標準的な部品やケーブルなどを組み合わせるだけでは完成させることができない』、なるほど。
・『日系自動車メーカーの強みの源泉 インテグラル型のアーキテクチャ  こうした製品の構成をインテグラル型のアーキテクチャと呼ぶ。インテグラルとは統合の意味で、東京大学の藤本隆宏教授は「すり合わせ」という日本語で表現するが、すり合わせのイメージの通り、部品と部品を一つひとつ調整しながら、カスタマイズしてつなげていくことで製品がつくられる構成が、インテグラル型のアーキテクチャである。 この際、より機能や性能を向上させたり、サイズを小さくしたりするために、部品間の調整を行う知識やノウハウのことをアーキテクチャ知識と呼び、日本の自動車メーカーは自動車をつくるためのアーキテクチャ知識に優れていることが、競争優位の源泉となっている。 たとえば燃費を向上させる、乗り心地をよくするといった性能や機能は、エンジンだけではなくブレーキやシャシー、タイヤなどさまざまな自動車部品を複雑に調整することによって実現される。CPUを取り替えれば処理速度が速くなる、メモリを取り替えれば記憶容量が増えるといった、PCのようなモジュラー型の製品とは異なり、自動車のような一つの機能の実現が複雑な部品間の調整によって成り立っているインテグラル型製品の場合、技術や部品だけを持ってきても新規参入企業が先発メーカーの自動車と同等のクオリティの製品を真似することは、簡単にはできない。 なぜならば、日本車の優位性は個別の要素技術だけでなく、部品と部品を複雑に調整するアーキテクチャ知識によって成り立っているからだ。 アメリカのテスラや中国のEVメーカーが躍起になってEVを開発しているのは、単にガソリンエンジンなどの内燃機関を電気モーターに置き換えようとしているだけではなく、従来のインテグラル型の内燃機関の自動車製品開発を、モジュール型の製品に変えようとしているためだ。 まずEVにすることで部品点数を減らし、アーキテクチャの複雑性を下げるとともに、電気モーターをコンピュータ制御することで、これまで機械的に行われてきた巧みな調整プロセスをなくそうという試みである。EVがモジュール型の製品として確立すれば、日本の自動車産業が持つアーキテクチャ知識を無意味なものにすることができる』、私は「すり合わせ」型はよく見聞きするが、恰好良く言えば、「インテグラル型のアーキテクチャ」となるようだ。
・『ハイブリッド車は技術優位性の延命策だった  トヨタ自動車やホンダといった日本メーカーが、これまでハイブリッド車に力を入れてきた理由の1つは、電気モーターに内燃機関をセットにすることによって、複雑でインテグラルなアーキテクチャを自動車の製品開発に残すという、技術優位性の延命策でもあった。 意外に思われるかもしれないが、そもそもEVとは決して新しい技術ではない。実は、100年以上前のアメリカでは多くのEVが生産されていた。19世紀末から20世紀初頭の自動車の黎明期には、さまざまな自動車の動力源が提案され、ガソリン車の他に蒸気自動車や電気自動車など、さまざまなアイデアの自動車が製品化された。 愛知県長久手市にあるトヨタ博物館には、1902年にアメリカで発売されたベイカー・エレクトリックというEVが展示されている。「1馬力のモーターで時速40キロメートルの走行が可能。走れる距離は80キロメートルだった」という。 しかし、当時の電池やモーターの技術では十分な自動車の性能を引き出すことができず、内燃機関に一日の長があったので、今日までガソリン車やディーゼル車といった内燃機関の自動車が自動車界の主流を占めてきたのである。 その意味で言えば、どの自動車メーカーにとっても、EVは決して見たこともない新しい技術ではなく、かつて一度捨てたアイデアの1つに過ぎない。高容量のリチウムイオン電池や高性能な電気モーターの技術が登場するに至って、初めて内燃機関に並ぶ性能の自動車がつくられるようになった、というだけの話である。 日本の自動車産業にとって怖いのは、急速なEVの普及が自動車の製品アーキテクチャを急速に変化させ、モジュール型の製品にしてしまうことである。デスクトップPCやデジタル家電などはモジュール型アーキテクチャの製品の代表例であるが、どれも標準的な部品の組み合せによって誰でもつくることができる製品になったので、新規参入企業が増え、価格競争が激化し、あっという間にコモディティ化に陥ったのである』、「ハイブリッド車は技術優位性の延命策」、言われてみれば、その通りだ。「電機業界」の「コモディティ化」は、確かに業界構造を一変させた。
・『急速なモジュール化によって強みを奪われてしまった電機業界  日本のエレクトロニクスメーカーが2000年代以降、業績が振るわなくなったのは、急速なエレクトロニクス製品のモジュール化によって、日本が得意とするインテグラル型のアーキテクチャ知識が無意味になったことも一因だ。 エレクトロニクス産業の失敗の轍を踏まないためには、内燃機関からEVへのシフトはある程度慎重に行う必要がある。少なくとも、日本の主要自動車メーカーがEV化しても競争優位を維持できるような体制づくりができるようになるまで、ガソリン車という既存製品のビジネスが「キャッシュカウ」となって利益を出し続ける必要がある。ハイブリッド車という既存のアーキテクチャ知識を必要としながら、電気モーターという新たな潮流を組み合わせたまさに「ハイブリッド」なアイデアは、内燃機関からEVへのソフトランディングを行うための上手い戦略といえる。 また、現在のEVの性能は、かつてに比べれば飛躍的に向上したものの、まだ世界中の自動車をEVに置き換えるほどの性能にまで達しているとは言い切れない。一番の問題は、寒冷地対策だろう。気温が下がるとバッテリーの性能は低下するので、満充電からの連続走行距離は低下する。 さらに、暖房の問題もある。現在のガソリン車の暖房は、エンジンが発する余熱を利用しているので、暖房は燃費に影響しない。冷房の場合は、エアコンコンプレッサーを作動させるためにエンジンの力を必要とするし、送風のために電力も使うので、燃費に影響する。一方のEVは、そもそも熱を発するエンジンがないので、暖房をつけるためにもわざわざ電気を消費する必要があり、さらに走行距離は短くなる。 中国ではEVが急速に普及しているイメージがあるが、南部の沿岸部の比較的温暖な地域でこそ、タクシーはほとんどEVに置き換わっているものの、東北部などではまだまだガソリン車が主力だ。各社がEVにシフトする中で、内燃機関の自動車を必要とする地域が残るとすれば、ガソリン車をつくり続けるメーカーが残存者利益を獲得できるかもしれない。 さらに、Well-to-Wheel(油井から自動車まで)の考え方でいえば、日本でEVを走らせても「ゼロエミッション」にはならない。日本では東日本大震災以降、全ての原子力発電所を止めており、順次再稼働の方向性ではあるが、現在の電力の大半は石油などを燃やしてつくっている(参考URL)。電気は電池に充電する以外は燃料のように貯めておくことができないので、発電しても使われなかった電力や、電線の抵抗による電力のロスなども含めて考えると、発電所で重油を燃やすより、走るときに必要なだけガソリンを消費する方が効率は良い、という考え方もある』、「内燃機関からEVへのシフトはある程度慎重に行う必要がある」、理屈の上ではその通りだが、現実の競争社会では「中国」や「欧米」のライバルに遅れをとるわけにはいかない。「発電所で重油を燃やすより、走るときに必要なだけガソリンを消費する方が効率は良い、という考え方もある」、もっと実証的な論文などで裏付けてほしいものだ。
・『国内のガソリン消費を減らすだけで済む話なのか  もう1つの問題は、ガソリンだけが石油製品ではないという問題だ。ガソリンは原油を精製することによって取り出される石油製品の1つだが、同時に原油からは産業用に使われる重油、ディーゼル車に使われる軽油、家庭の暖房などに使われる灯油、家庭の調理器具やお風呂に使われるLPガス、プラスチックなどの化学製品の原料となるナフサなどが精製されている。 (石油製品の得率のグラフはリンク先参照) ガソリンの消費だけを減らしても、他の石油由来の製品の使用もバランス良く減らしていかなければ、日本国内のガソリン消費量を削減できたとしても、地球全体ではガソリン消費量が変わらないかもしれない。日本では、1970年代頃の公害問題が契機となってディーゼル車規制が強化され、極端にディーゼル車の販売台数が少ない。そのため、日本で原油から精製される軽油は国内消費よりも多くなり、韓国などに輸出されている。 ガソリンでも、同じことが起こるかもしれない。重油やナフサ、LPガスなどを必要とする産業がある限り、原油を輸入し精製するというビジネスは残り続け、これらを精製する過程でガソリンも生産されてしまう。余剰のガソリンを外国に輸出するようになれば、日本国内でガソリン車がなくなったとしても、世界のどこかでガソリンが消費されることには変わらないことになる。 温室効果ガス排出ゼロを実現するためにガソリン車を削減するということであれば、ガソリンが輸出され他国で消費されるのでは意味がなく、原油の消費全体を下げていくことを同時並行で行っていかなければならない。そのためには、重油を使う工場や、ナフサを使う化学メーカーなどが消費している石油由来製品の削減と歩調を合わせて、バランスを取る必要がある。その意味でも、ガソリン車だけを急速に削減することには課題が残る。 長期的な視点で見れば、自動車の大半はEVへシフトしていくだろう。またEVは、温室効果ガス排出量の削減に大きな貢献をすることが期待できる。しかし、自動車単体だけを捉えたガソリン消費削減ではなく、石油製品を使用する産業全体のエコシステムを見直すことが必要となり、また日本の自動車産業の競争優位の源泉を転換させるための時間稼ぎも必要となる。 冒頭に述べたように、政府がEVシフトの具体的な目標を掲げたことは産業界のイノベーション促進にプラスではあるが、目標数値だけが一人歩きしないようにする必要がある。全体のバランスを取りながら、何が地球環境と日本の自動車産業の競争優位にとってプラスなのかを、考えていく必要があるだろう。 また、本気でゼロエミッションを実現するためには、EVを走らせるだけでは意味がなく、動力源の電力の生産も含めてEVのサプライチェーン全体をゼロエミッション化することも必要だ。 サプライチェーン全体のゼロエミッション化では、スウェーデンに本社があるノースボルトという会社の取り組みが面白い。スウェーデンには、リチウムイオン電池の原料となるリチウムなどのレアメタル鉱山があり、ノースボルト社はリチウムの採掘から、EV用リチウムイオン電池の生産までを手がけているのだが、リチウムを細工するために必要なドリルなどの工具も、風力発電などのゼロエミッションエネルギーによって充電された機器だけを利用しているという。同様に、リチウムイオン電池の工場の建設や、生産設備の稼働も、ゼロエミッションエネルギーだけを利用して生産している。 同社の電池工場には、ドイツ政府やドイツの自動車メーカーも注目していて、メーカーとの提携や政府による融資保証などに基づいて、ドイツ国内にノースボルト社のリチウムイオン電池生産のためのギガファクトリー建設が進んでいる』、「全体のバランスを取りながら、何が地球環境と日本の自動車産業の競争優位にとってプラスなのかを、考えていく必要があるだろう」、正論だが、具体的姿を出さずに、筋論だけ主張するのは、問題だ。
・『自動車業界だけでなく各産業の協力が必要に  日本でも、単にEVを走らせるだけでは温室効果ガス排出ゼロは実現しないため、サプライチェーン全体のゼロエミッション化のために、多くの産業の協力が必要であろう。 太陽光発電も期待されるエネルギー源だが、発電量は天候に左右されるという問題があり、さらに森林を切り開いて無秩序に太陽光パネルを設置するような発電設備をつくることにより、景観破壊の問題も指摘されている。地域の景観問題とも両立し得る、高効率で小型化が可能、なしいはデザイン的に自然と調和するような太陽光パネルの新しい技術開発、製品開発も必要だろう。 ガソリン車ゼロの目標を柔軟に活用しながらも、将来的な温室効果ガス排出ゼロを目指して、自動車産業だけではなく各産業の協力が必要だろう。また、そこには新たなビジネスチャンスがあるだろう』、筋論としては異論はないが、そこまで話を広範囲に広げて、どうするつもりなのだろうか。「各産業の協力」、というのも、道義的なものではなく、価格メカニズムを通じたものでなければ、機能しないだろう。
タグ:自動車 東洋経済オンライン 現代ビジネス 長内 厚 イヤモンド・オンライン (一般)(その4)(マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考える 皆さんはどう思いますか、ホンダ GMとの提携拡大にみた自前主義の限界 収益低迷の「北米の4輪」に大幅なテコ入れ、「脱ガソリン車」を急ぐと 自動車業界が電機業界と同じ轍を踏む理由) 「マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考える 皆さんはどう思いますか」 唐突に始まった寓話 トヨタの定時株主総会 ロバを連れている老夫婦の話 「豊田章男社長」が「時株主総会」で切り出したとは、よほど腹に据えかねていたのだろう だからキレてしまった 彼らは頻繁に『担当替え』があるので、業界や企業のことをあまり勉強しないまま取材に来る。 別に、難しいことを要求するつもりはありませんが、ホームページで逐一公開しているIR情報とか、有価証券報告書に記載している基本的な経営事項すら頭に入っていない状態はさすがに困ります」、同感だ マスコミを見捨てた トヨタイムズ 「香川照之」氏は依然、「編集長」 損をするのは誰か 不完全な情報公開が続けば、損をするのは受け取る側だ」、さらにいえば、企業の株価に占める不確実性リスク・プレミアムが上昇し、企業も損をすることになる 「ホンダ、GMとの提携拡大にみた自前主義の限界 収益低迷の「北米の4輪」に大幅なテコ入れ」 ホンダがアメリカのゼネラル・モーターズ(GM)と提携拡大 車の基幹部分にも提携範囲を拡大 「ホンダ」と「GM」は「新車開発での補完関係を築きやすい」、シナジーを大いに生かしてもらいたい 資本提携には踏み込まず 「将来的には生産拠点を相互活用する可能性もある」、その場合には「資本提携」も必要になるだろう 「「脱ガソリン車」を急ぐと、自動車業界が電機業界と同じ轍を踏む理由」 日系自動車メーカーの強みの源泉 インテグラル型のアーキテクチャ 私は「すり合わせ」型はよく見聞きするが、恰好良く言えば、「インテグラル型のアーキテクチャ」となるようだ ハイブリッド車は技術優位性の延命策だった 「ハイブリッド車は技術優位性の延命策」、言われてみれば、その通りだ。「電機業界」の「コモディティ化」は、確かに業界構造を一変させた 急速なモジュール化によって強みを奪われてしまった電機業界 内燃機関からEVへのシフトはある程度慎重に行う必要がある」、理屈の上ではその通りだが、現実の競争社会では「中国」や「欧米」のライバルに遅れをとるわけにはいかない 「発電所で重油を燃やすより、走るときに必要なだけガソリンを消費する方が効率は良い、という考え方もある」、もっと実証的な論文などで裏付けてほしいものだ。 国内のガソリン消費を減らすだけで済む話なのか 「全体のバランスを取りながら、何が地球環境と日本の自動車産業の競争優位にとってプラスなのかを、考えていく必要があるだろう」、正論だが、具体的姿を出さずに、筋論だけ主張するのは、問題だ 自動車業界だけでなく各産業の協力が必要に 筋論としては異論はないが、そこまで話を広範囲に広げて、どうするつもりなのだろうか。「各産業の協力」、というのも、道義的なものではなく、価格メカニズムを通じたものでなければ、機能しないだろう
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商社問題(その3)(三菱商事と伊藤忠 コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社 5年ぶりに業界首位が交代へ、三井物産 新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ、伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ) [産業動向]

商社問題については、昨年9月18日に取上げた。今日は、(その3)(三菱商事と伊藤忠 コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社 5年ぶりに業界首位が交代へ、三井物産 新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ、伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ)である。

先ずは、昨年11月13日付け東洋経済オンライン「三菱商事と伊藤忠、コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社、5年ぶりに業界首位が交代へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/388479
・『総合商社大手の三菱商事が、コロナ禍で喘いでいる。 同社は11月5日、2020年4月~9月期決算を発表した。純利益は前年同期比64%減の866億円と、苦しい結果となった。通期の業績見通しについては、純利益2000億円(前期比62%減)の当初計画を据え置いている。下半期(2020年10月~2021年3月期)も大きな回復は望めなさそうだ。 同日、電話会議で決算内容について説明した三菱商事の垣内威彦社長は、「業績が低迷していることを真摯に受け止め、緊張感のある経営を実行していきたい」と語った』、「三菱商事」は大丈夫だろうか。
・『踏ん張った伊藤忠  三菱商事はここ数年、総合商社5社の中でトップの純利益を叩きだしてきた。ところが今期に入ると、厳しい局面に立たされた。 前2020年3月期決算は業界2位だった伊藤忠商事がコロナ禍でも堅調な業績をみせ、今2020年4~9月期の純利益は2525億円と、前年同期比12%減ながら、上半期としては過去3番目の好業績だった。 コロナ禍でも幅広い事業部門が健闘したことがその理由だ。伊藤忠の鉢村剛CFO(最高財務責任者)は「エネルギー・化学品部門では合成樹脂の取引、衛生用品や日用品の取り扱いが堅調だった」と語る。鉄鉱石市況の高い状態が続いたことも、利益に寄与した。 伊藤忠は通期も純利益4000億円(前期比20%減)計画としていることから、5大商社の中で頭一つ飛び抜ける格好になる。三菱商事と伊藤忠商事の今期純利益計画は、その差が2倍に開く。 5番手の丸紅は食料事業や金属事業が好調なため、11月4日に今2021年3月期の通期純利益計画を従来の1000億円から1500億円に引き上げた(前期実績は1974億円の赤字)。これにより、三菱商事と丸紅の通期純利益の差は500億円に肉薄する。 2020年3月期には純利益5354億円を稼いだ三菱商事だったが、今期はコロナによる業績の下押し影響を約3000億円と見込んでいる。 中でも足を引っ張っているのが自動車関連の事業だ。三菱商事が20%出資する持分法適用会社の三菱自動車は、今2021年3月期の最終利益が3600億円の赤字と、前期に続いて水面下が続く見通しだ(前期実績は257億円の赤字)。三菱自の不調が打撃となり、三菱商事の自動車・モビリティグループは通期で500億円の赤字に転落する計画となっている。 これまで三菱商事の業績を下支えしてきた資源事業にも、コロナ影響が強く及んでいる。原料炭やLNG(液化天然ガス)は市況が低迷。原料炭は今上期純利益353億円(前期実績は896億円)、天然ガス事業も同86億円(前期は429億円)と、大きく目減りしている。垣内社長は原料炭やLNG、自動車について、「市況の回復まで我慢せざるをえない」と説明する。業績回復は早くても2022年3月期を待つことになりそうだ』、「資源」「商社」としては、「資源事業」が不振ではどうにもならないようだ。
・『資源価格低迷でも多額の減損計上せず  足元ではコロナの影響をまともに受けている三菱商事だが、中期的にはどうか。今後の業績を推察するうえで着目すべき点がある。 同社は資源価格の低迷にもかかわらず、多額の減損を計上する事態には至っていないのだ。2016年3月期には資源バブルの崩壊で1493億円の純損失を計上するなど、初の赤字に沈んだ。それ以来、資源価格が大きく下がっても利益を出し続けられる体質への転換を進めてきた。 2020年4月には原油先物(WTI)が一時マイナス価格に陥るような事態もあった。そのため、例えば石油元売り大手のENEOSホールディングスは上流事業の資産価値見直しを迫られ、2020年3月期に約900億円の減損を出した。 商社業界でも、三井物産は石油・ガス事業の複数のプロジェクトで475億円、丸紅も石油・ガス開発で1313億円の減損を2020年3月期に計上した。一方の三菱商事も北米シェールガス関連で約100億円を減損しているが、金額は大きくない。「うまくいかなかったこともあり、油を掘って売る事業(石油開発事業)はいまではほとんどなくなっている」(三菱商事の増一行CFO)ためだ。 三菱商事が力を入れてきたLNG事業は、販売価格が原油価格に一部連動するため、大きく利幅が縮小した。だが、顧客企業との契約が大幅な原油安になっても損が出にくい仕組みであるため、「びっくりするほど原油価格が安くならないとLNG事業は赤字にはならない」と、増CFOは説明する。 金属事業でも2015年度の資源バブル崩壊時の教訓が生きている。原料炭は2010年代の最もコスト高だったころと比べると、操業コストは約4割も減った。現在も鉱山のトラック自動化といった施策を展開して、一層の効率化を目指す。 低迷していた原料炭市況は、8月ごろから鉄鋼生産が回復基調にあったことから上昇していたが、中国で豪州産原料炭の輸入が滞っていることが伝えられると10月ごろに再び値を下げる事態となった。 背景には中国と豪州間の関係悪化があり、中国が通関規制をかけているとされる。一説には規制の影響で、中国国内産の原料炭価格は輸入炭よりも1トン当たり70ドルも高くなっているとされる。増CFOは「(こうした)経済不合理なことが続くとは思えない」としており、規制が緩和されれば原料炭の価格が回復し、三菱商事の業績を押し上げる要因になりそうだ』、「資源価格の低迷にもかかわらず、多額の減損を計上する事態には至っていない」、体質改善は進んだようだ。
・『赤字が続く関連会社の整理を急ぐ  足腰の強さがあるとはいえ、今後はさらなるグループ内の改革も求められる。 三菱商事には約1700社の連結事業会社がある。特に今上期ではコロナ禍で複数の連結事業会社が赤字に陥っている。サーモン養殖大手のセルマック社(ノルウェー)が打撃を受けている1社だ。コロナ禍でレストラン向けのサーモン需要が減少している影響を受けており、今上期時点では赤字に陥っている。このように赤字を抱える連結事業会社の規模は、足元で数百億円にのぼる。 三菱商事はコロナ前から赤字が続いてきた関連会社などについて合併や売却を含めた整理をできるだけ早く進める考えだ。増CFOは「インパクトの大きいもの(事業)からすでに始めている」と説明。垣内社長も「赤字になっている会社に対してはしっかりとした見直しをして赤字をなくす施策をとる」と強調する。膿を出す施策を果敢に進めることで再び成長軌道に乗せることができるか、真価が問われる』、「コロナ前から赤字が続いてきた関連会社などについて合併や売却を含めた整理をできるだけ早く進める考え」、当然だろう。

次に、本年1月13日付け東洋経済オンライン「三井物産、新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/403398
・『三井物産は「資源商社」から脱却できるのか。 大手商社の三井物産は安永竜夫社長(60)に代わり、堀健一専務(59)を4月1日付けで昇格させることを決めた。安永社長は会長に就く。 2015年に54 歳で社長に就任した安永氏は執行役員だった当時、32人抜きの大抜擢で社長に就任した。そのため、安永氏の時と同様、三井物産の次期社長も執行役員級の若い年次から抜擢される可能性がささやかれていた』、新社長が僅か1歳若いだけということは、「若い年次から抜擢」はあきらめたようだ。
・『化学品畑を歩んだ新トップ  堀氏は化学品畑を中心に歩み、アメリカの家畜飼料添加物メーカー・ノーバス社の買収にも関わった。その後、経営企画部長やニュートリション・アグリカルチャー本部長を経て2019年4月に専務に就任した。安永氏が執行役員から社長に大抜擢されたことを考えれば、今回の社長人事にサプライズはなかった。 2020年12月23日に開かれた記者会見で安永氏は、堀氏の課題解決能力の高さなどを挙げ、「新しいリーダーシップを発揮するに当たって最適の人物だ」と説明した。 三井物産はかつて、純利益で業界第2位を誇る名門商社として存在感を示してきた。ただ、近年は非資源事業に強い伊藤忠商事が伸長し、業界3位が定着している。記者会見で堀氏は、「成果、経営指標について(マーケットの)期待に応えられていない」と答えた。 三井物産は資源事業で強固な収益基盤を持ち、鉄鉱石や銅などの金属資源、LNG(液化天然ガス)など資源事業から上がる利益の割合が大きい。同社が「資源商社」と称される所以で、過去最高益を記録した2012年3月期の当期純利益4344億円のうち、約9割は高市況に沸いた資源事業が稼いだ。資源事業の割合は2020年3月期時点でも約6割を占める。 資源事業は、市況によって業績が大きく乱高下しがちだ。安定した収益構造への変革が安永氏の課題でもあった』、「当期純利益」のうち「資源事業の割合」は、「2012年3月期」で「約9割」、「2020年3月期」でも「約6割」とはかなり高いようだ。
・『非資源分野の育成目標は未達に  実際、安永氏は社長就任直後、資源バブルの崩壊に直面した。資源事業で約2500億円もの大型減損を計上したことなどから2016年3月期の業績は初めて最終赤字に転落した。社長就任早々に辛酸をなめた安永氏が取り組んだのが資源事業の収益改善だ。鉱山の操業コストを低減し、市況が悪化しても赤字になりにくい資源事業への転換を図った。 安永氏が取り組んだもう1つの収益改善策が非資源事業の育成だ。2018年~2020年3月期を計画期間とする前の中期経営計画では、機械・インフラや化学品などの非資源分野を伸ばす計画を策定した。計画期間中に非資源事業の純利益を2017年3月期比の4割増、2000億円にする計画だったが、2020年3月期の実績は1611億円にとどまっている。 ブラジルの農業事業や鉄道事業が不調に終わったことが原因だが、赤字続きの案件を処理するなど、みるべき成果もある。三井物産は飯島彰己・現会長の社長在任時の2011年、世界の穀物需要拡大を見込んで、累計470億円を投じてブラジルの農業生産・穀物物流事業を手掛けるマルチグレイン社を完全子会社化した。だが、競合激化で赤字決算が常態化していた。 安永氏はそのマルチグレイン社からの撤退を決め、2018年5月に公表した。現在は清算に向けて事業の整理を行っている。撤退を決めた結果、マルチグレイン社に割いていた人員などの経営資源を他の事業に振り向けられるようになった。 安永氏は「マルチグレインからの撤退などを進めた結果として、次の躍進につながる種まきはできてきている」と振り返る。その中でとくに成長が期待できるのがヘルスケア事業だ。今後は「環境と健康というキーワードに結び付いたビジネス以外は残れない」と強調する安永氏にとって肝煎りの事業だとも言える。 2019年3月には約2300億円を投じ、インドやマレーシアなどで80病院を経営するアジア最大級の民間病院グループ・IHHグループの筆頭株主となった。同グループの総病床数は1万5000床を誇り、病院運営だけでなく、医療データを使った健康維持など「未病領域」でのビジネス拡大も狙っている』、「市況が悪化しても赤字になりにくい資源事業への転換」は上手くいったようだが、「非資源事業の育成」は今一歩のようだ。「IHHグループ」のマネジメントは大丈夫なのだろうか。
・『次期中計の利益目標は4000億円  その矢先に直面したのが新型コロナウイルスの感染拡大だった。コロナ影響による資源市況の低迷などで、三井物産の2021年3月期の純利益は前期比54%減の1800億円に沈む見通しだ。 2020年5月に発表した2021年~2023年3月期までの中期経営計画では、最終年度の純利益目標として4000億円を掲げた。この半分以上をヘルスケアや機械などといった非資源事業で稼ぐ算段だ。 中でも低・脱炭素ビジネスについて。三井物産は業界内でいち早く2050年のGHG(温室効果ガス)排出量の実質ゼロを標榜。現中計にもすでに盛り込んでいる。2020年4月にはエネルギーソリューション本部を新設し、再生可能エネルギーや水素、EV(電気自動車)関連のインフラまで、既存の本部を横断するような形で取り組む。2030年に純利益200億円に成長させる方針だ。 商社3位からの脱却に向け、非資源事業の花をどのように咲かせるのか。堀新社長の手腕が問われる』、「低・脱炭素ビジネスについて。三井物産は業界内でいち早く2050年のGHG・・・排出量の実質ゼロを標榜。現中計にもすでに盛り込んでいる」、「エネルギーソリューション本部」の活躍に期待したい。

第三に、1月18日付け東洋経済オンライン「伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/404678
・『躍進を続ける大手総合商社の伊藤忠商事は、経営の底上げを図るために首脳陣の大胆な交代に打って出た。 同社は1月13日、4月1日付で石井敬太専務執行役員(60)が社長COO(最高執行責任者)に昇格すると発表した。鈴木善久社長COO(65)は代表権のない副会長に就く。2018年4月に社長COOに就任した鈴木氏は、在任わずか3年で社長を退くことになる。 1月13日に行われたオンライン会見において、石井氏は2020年末に岡藤正広会長CEO(最高経営責任者、71)から新社長就任の打診を受けたことを明らかにした。石井氏は「(化学品部門という)地味な業界にいたので、社長就任は1ミリも考えていなかった。今までも私の名前が(報道などで社長候補として)挙がったこともない」と、自身にとってもサプライズであったことを率直に語った』、「鈴木氏は、在任わずか3年で社長を退く」、後任が「石井敬太専務執行役員(60)が社長COO」、まさに「サプライズ」人事だ。
・『6回も挙がった岡藤会長の名  石井氏は化学品部門が長く、アメリカ・ヒューストンやタイ・バンコクの駐在経験もある。2018年にはエネルギー・化学品カンパニーのトップに就任した。伊藤忠では繊維や食料、住生活といった生活消費関連事業がいわば花形で、石井氏が歩んできた化学畑はBtoBビジネスが多く、目立つ存在ではない。 だが、エネルギー・化学品カンパニーは蓄電池や再生可能資源由来のバイオマスプラスチック事業に参入するなど、伊藤忠が重視する環境配慮型ビジネスを手掛けており、そうした経験が買われて今回の起用に至ったものとみられる。 わずか30分のオンライン会見だったが、その中で存在感を放っていたのは、むしろ会見には姿を見せなかった岡藤氏だ。石井氏が「(岡藤)会長も言っているように……」と話すなど、鈴木氏と石井氏は会見中に合わせて6回も岡藤氏の名前を挙げて伊藤忠の方向性や社長就任の経緯について説明した。 岡藤氏は4月以降も会長CEOとして続投する。鈴木氏は「岡藤会長が続投して次期中期経営計画(2021~2023年度)をまっとうされると、私は理解している」と述べた。 岡藤氏は2010年4月の社長就任以来、伊藤忠を牽引している。この間に、伊藤忠の業績は大幅に伸びた。2010年3月期(アメリカ会計基準)の純利益は1281億円だったが、10年経った2020年3月期(IFRS)には純利益5013億円を稼ぐまでになった。「伊藤忠を躍進させたカリスマ」(商社業界関係者)の下、同社の時価総額は2020年6月に三菱商事を抜いて商社業界トップに立った。 現在の伊藤忠は各部門がバランスよく稼いでおり、突出して稼ぐ部門がないことが特徴だ。資源事業への依存度も低く、非資源事業が純利益の約8割を占める。岡藤氏は伊藤忠グループ各社の経営管理を徹底することで、利益を積み上げてきた。 2000年頃には1000社ある事業会社のうち黒字会社は約6割だったが、2020年3月期には事業会社を300社弱にまで減らし、黒字会社比率は約9割に達した』、「6回も挙がった岡藤会長の名」、「岡藤会長」の権威は極めて高くなったようだ。「関連会社の整理・黒字化は大きな成果を挙げたようだ。
・『肝煎り新組織で「縦割り」打破へ  その岡藤氏が目下、強く必要性を唱えているのがビジネスモデルの転換だ。伊藤忠に限らず、総合商社各社には商品軸の「縦割り」文化が根付いている。縦割りだったからこそ、商品知識に富んだプロフェッショナルが社内に育ち、取引先に付加価値を提供できた。 だが、顧客ニーズが多様化する現在では、それに応じた事業を展開するためには縦割り組織では対応し切れないケースが多く、この弊害をどう克服するかが各商社の課題となっている。 伊藤忠も単に製品を販売するのではなく、今後は川下領域の事業を通じて顧客ニーズをすくい上げることを重視する。部門にとらわれず、顧客ニーズをもとに新たなビジネスをつくる「マーケットイン」型への組織転換を目指す。 こうしたビジネスモデル変革に向けて打った布石が、2019年7月の第8カンパニーの設立だ。伊藤忠には機械や繊維部門などといった7カンパニーがある。第8カンパニーは岡藤氏肝煎りの組織で、他のカンパニーを巻き込みながら顧客起点のビジネスを具体化していくことが使命となっている。 とくに生活消費分野の核となるファミリーマート関連事業を一手に担う。この第8カンパニーのトップには、岡藤氏の「懐刀」と言われる細見研介執行役員が就いていた。 ファミマは伊藤忠の今後の成長エンジンと期待されるが、多くの課題を抱えている。例えば海外展開が遅々として進んでいない。中国では現地のパートナー企業が継続的な利益相反取引などを行っていたとして訴訟を継続しており、出口はまだ見えていない。国内でも、弁当などの商品開発力はコンビニ王者のセブン-イレブンに比べると見劣りする。 伊藤忠はファミマへのテコ入れを行うために、2020年7月から8月にかけて約5800億円を投じてTOB(株式公開買い付け)を実施。50.1%だった株式保有比率を最終的には9割超とする。伊藤忠が主導してファミマの経営課題の解決に当たる算段だ』、中国最大のコングロマリットのCITIC、タイのCPグループと業務・資本提携をしている。ただ、「中国では現地のパートナー企業が継続的な利益相反取引などを行っていたとして訴訟」、との関連は不明である。
https://www.itochu.co.jp/ja/business/alliance/index.html
・『注視すべきは細見氏の行方?  そして今回、新たに社長を送り込むことも決めた。第8カンパニーのトップである細見氏が3月1日付でファミマの新社長に就任する。細見氏はファミマの立て直しだけではなく、ファミマの強みを伊藤忠の成長に結びつけることが期待される。そのためには、全国で1日約1500万人もが来店するファミマの顧客購買データの活用が焦点のひとつになる。 そういった意味で注目されるのが、伊藤忠がファミマ、NTTドコモ、サイバーエージェントと組んで2020年10月に設立した「データ・ワン」という新会社だ。ファミマの購買データと、約4700万人が登録するドコモのdポイントカードの会員データ、そして顧客の位置情報を組み合わせてターゲッティング広告などを展開する。例えば、購買データを分析し、ユーザーに合わせてサプリメントの広告を配信するといったことが考えられる。 岡藤氏の描くマーケットインを重視する次世代の伊藤忠にとって、ファミマの事業強化・活用はグループのさらなる成長へのカギを握りそうだ。その点、ファミマのテコ入れや新たなビジネスの具体化といった重責を担う細見氏の今回の人事は、伊藤忠本体の社長交代よりも重要な意味を持つのかもしれない。 社内からは早くも、「細見氏はいずれ伊藤忠の社長になるだろう」(伊藤忠社員)との声が聞こえてくる。次の社長人事を占う意味でも、ファミマの動向に注視する必要がある』、確かに「ファミマの動向」は大いに注目される。
タグ:東洋経済オンライン 商社問題 (その3)(三菱商事と伊藤忠 コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社 5年ぶりに業界首位が交代へ、三井物産 新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ、伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ) 「三菱商事と伊藤忠、コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社、5年ぶりに業界首位が交代へ」 踏ん張った伊藤忠 三菱商事はここ数年、総合商社5社の中でトップの純利益を叩きだしてきた。ところが今期に入ると、厳しい局面 三菱商事と伊藤忠商事の今期純利益計画は、その差が2倍に開く 「資源」「商社」としては、「資源事業」が不振ではどうにもならないようだ 資源価格低迷でも多額の減損計上せず 「資源価格の低迷にもかかわらず、多額の減損を計上する事態には至っていない」、体質改善は進んだようだ 赤字が続く関連会社の整理を急ぐ コロナ前から赤字が続いてきた関連会社などについて合併や売却を含めた整理をできるだけ早く進める考え」、当然だろう 「三井物産、新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ」 三井物産は「資源商社」から脱却できるのか 新社長が僅か1歳若いだけということは、「若い年次から抜擢」はあきらめたようだ 化学品畑を歩んだ新トップ 「当期純利益」のうち「資源事業の割合」は、「2012年3月期」で「約9割」、「2020年3月期」でも「約6割」とはかなり高いようだ 非資源分野の育成目標は未達に 市況が悪化しても赤字になりにくい資源事業への転換」は上手くいったようだが、「非資源事業の育成」は今一歩のようだ 「IHHグループ」のマネジメントは大丈夫なのだろうか。 次期中計の利益目標は4000億円 低・脱炭素ビジネスについて。三井物産は業界内でいち早く2050年のGHG 排出量の実質ゼロを標榜。現中計にもすでに盛り込んでいる 「エネルギーソリューション本部」の活躍に期待したい。 「伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ」 「鈴木氏は、在任わずか3年で社長を退く」、後任が「石井敬太専務執行役員(60)が社長COO まさに「サプライズ」人事だ 6回も挙がった岡藤会長の名 岡藤会長」の権威は極めて高くなったようだ 「関連会社の整理・黒字化は大きな成果を挙げたようだ 肝煎り新組織で「縦割り」打破へ 中国最大のコングロマリットのCITIC、タイのCPグループと業務・資本提携をしている 「中国では現地のパートナー企業が継続的な利益相反取引などを行っていたとして訴訟」、との関連は不明 注視すべきは細見氏の行方? 確かに「ファミマの動向」は大いに注目される
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携帯・スマホ(その3)(ジョブズが子供の「iPad使用」に慎重だったワケ T企業のトップたちは複雑な感情を抱いている、巨象NTTが突如として動き出した決定的理由 グループ6社の社長に直撃 見えてきた次の一手、インタビュー/NTT社長 澤田 純 「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」、携帯業界「情報争奪」の実態…元SB社員逮捕は“氷山の一角”) [産業動向]

携帯・スマホについては、昨年4月1日に取上げた。今日は、(その3)(ジョブズが子供の「iPad使用」に慎重だったワケ T企業のトップたちは複雑な感情を抱いている、巨象NTTが突如として動き出した決定的理由 グループ6社の社長に直撃 見えてきた次の一手、インタビュー/NTT社長 澤田 純 「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」、携帯業界「情報争奪」の実態…元SB社員逮捕は“氷山の一角”)である。

先ずは、昨年12月28日付け東洋経済オンラインが掲載した 精神科医のアンデシュ・ハンセン氏による「ジョブズが子供の「iPad使用」に慎重だったワケ T企業のトップたちは複雑な感情を抱いている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/394337
・『スマホやiPadの登場は、便利な一方で、私たちの生活をいつの間にか蝕んでいきます。それは子供たちも同様です。精神科医のアンデシュ・ハンセン氏が上梓した『スマホ脳』を一部抜粋・再構成し、スマートデバイスが子供に与える影響を紐解きます。 極めてテクノロジーに精通している人ほど、その魅力が度を過ぎていることを認識し、制限した方がいいと考えているようだ。ジャスティン・ローゼンスタインという30代のアメリカ人は、自分のフェイスブックの利用時間を制限することに決め、スナップチャットのほうはすっぱりやめた。 依存性ではヘロインに匹敵するからと言って。スマホの使用にブレーキをかけるために、本来は保護者が子供のスマホ使用を制限するためのアプリまでインストールした。 ローゼンスタインの行為が興味深いのは、彼こそがフェイスブックの「いいね」機能を開発した人物だからだ。つまり、「立てた親指」の立役者は、自分の創造物が度を過ぎて魅力的だと感じているのだ。あるインタビューでは、後悔したようにこう発言している。 「製品を開発するときに最善を尽くすのは当然のこと。それが思ってもみないような悪影響を与える──それに気づいたのは後になってからだ」』、「フェイスブックの「いいね」機能を開発した人物」がここまで正直に述懐したことには驚かされた。
・『子供たちを夢中にさせすぎる  このような意見を持つのは、シリコンバレーで彼1人ではない。iPodやiPhoneの開発に携わったアップル社の幹部トニー・ファデルも、スクリーンが子供たちを夢中にさせる点について同意見だ。 「冷や汗をびっしょりかいて目を覚ますんだ。僕たちはいったい何を創ってしまったんだろうって。うちの子供たちは、僕がスクリーンを取り上げようとすると、まるで自分の一部を奪われるような顔をする。そして感情的になる。それも、激しく。そのあと数日間、放心したような状態なんだ」 IT企業のトップは、自分たちが開発した製品に複雑な感情を抱いている。その最たるものが、アップル社の創業者スティーブ・ジョブズのエピソードだ。 ジョブズは、2010年初頭にサンフランシスコで開かれた製品発表会でiPadを初めて紹介し、聴衆を魅了した。「インターネットへのアクセスという特別な可能性をもたらす、驚くべき、比類なき存在」と、iPadに最大級の賛辞を浴びせた。 ただし、自分の子供の使用には慎重になっている──ことまでは言わなかった。あまりに依存性が高いことには気づいていたのに。ニューヨーク・タイムズ紙の記者が、あるインタビューでジョブズにこう尋ねている。 「自宅の壁は、スクリーンやiPadで埋め尽くされてるんでしょう?ディナーに訪れたゲストには、お菓子の代わりに、iPadを配るんですか?」それに対するジョブズの答えは「iPadはそばに置くことすらしない」、そしてスクリーンタイムを厳しく制限していると話した。仰天した記者は、ジョブズをローテクな親だと決めつけた』、「ジョブズ」が「インタビューで」、(自宅には)「「iPadはそばに置くことすらしない」、そしてスクリーンタイムを厳しく制限している」、やはり「iPad」の弊害を熟知しているようだ。
・『ビル・ゲイツも14歳までスマホを持たせず  テクノロジーが私たちにどんな影響を与えるのか、スティーブ・ジョブズほど的確に見抜いていた人は少ない。たった10年の間に、ジョブズはいくつもの製品を市場に投入し、私たちが映画や音楽、新聞記事を消費する方法を変貌させた。 コミュニケーションの手段については言うまでもない。それなのに自分の子供の使用には慎重になっていたという事実は、研究結果や新聞のコラムよりも多くを語っている。 スウェーデンでは2~3歳の子供のうち、3人に1人が毎日タブレットを使っている。まだろくに喋ることもできない年齢の子供がだ。 一方で、スティーブ・ジョブズの10代の子供は、iPadを使ってよい時間を厳しく制限されていた。ジョブズは皆の先を行っていたのだ。テクノロジーの開発だけでなく、それが私たちに与える影響においても。 絶対的な影響力を持つIT企業のトップたち。その中でスティーブ・ジョブズが極端な例だったわけではない。ビル・ゲイツは子供が14歳になるまでスマホは持たせなかったと話す。 現在、スウェーデンの11歳児の98%が自分のスマホを持っている。ビル・ゲイツの子供たちは、スマホを持たない2%に属していたわけだ。それは確実に、ゲイツ家に金銭的余裕がなかったせいではないのだ』、「ジョブズの10代の子供は、iPadを使ってよい時間を厳しく制限されていた」、「ビル・ゲイツは子供が14歳になるまでスマホは持たせなかったと話す」、「IT企業のトップたち」は、自分たちの売り物の欠陥が自分たちの「子供」に及ばないようにしているようだ。

次に、 1月8日付け東洋経済オンライン「巨象NTTが突如として動き出した決定的理由 グループ6社の社長に直撃、見えてきた次の一手」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/402030?amp_event=related_4
・『海外事業の強化に向けたグループ再編、トヨタや三菱商事など異業種大手との提携、そして4.3兆円の巨費を投じたNTTドコモの完全子会社化。澤田純氏が2018年に持ち株会社NTTの社長に就いてから、矢継ぎ早に新たな一手を繰り出している。 澤田氏は「スピードは重要だ。商売人はやっぱりタイム・イズ・マネー」と言い切る。猛然と動き出した巨象NTTはどこへ向かおうとしているのか。グループの主要6社トップを直撃した』、「NTT」グループが長い眠りから突如、目覚めたようだ。
・『①NTT 澤田純社長  「ゲームチェンジすればGAFAは脅威じゃない」 昨年、業界を驚かせたNTTによるNTTドコモの完全子会社化。澤田社長はインタビューで「ドコモは10年以上契約数のシェアが毎月のように下がっているし、売上高と利益の面では3番手になってしまった」と“不満”を口にした。もっとも、ドコモの取り込みは国内事業強化の一環にすぎない。澤田社長の視線の先には「GAFA」の存在がある』、「続き」は第三の記事で紹介。
・『②NTTドコモ 井伊基之社長  「準備が整った。早急にV字回復させる」「ドコモを強くしてこい」とNTTの澤田社長に言われ、2020年12月からドコモの社長に就任した井伊基之氏。独り負け状態から脱却するために、就任早々、激安の料金プランをブチ上げた。井伊氏はこれまでのやり方について、利益を着実に出すために「守りの経営」に入っていたと指摘。インタビューでは「今までのドコモだったらやらなかったことを思い切ってやる」と断言した>>続きを読む』、②以降のコメントは最後に。
・『③NTTデータ 本間洋社長  「もっと上へ“世界トップ5”目指す」 現在、NTTグループの海外売上高は全体の約2割。海外事業を今後の成長柱にできるかどうか。カギを握るのがNTTデータだ。近年はM&Aを積極的に推進。それでも本間社長は「海外で『NTTデータ』と名乗ってもわかってくれない」と話す。世界に通用するITベンダーになるために次の一手をどう打つか>>続きを読む』、同上。
・『④NTT東日本 井上福造社長  「地域密着型の“ICT商社”に生まれ変わる」 グループの「長男」に当たるNTT東日本。固定電話離れで売上高の減少が続いてきた。しかし、井上福造社長が「よく節約して利益が出せている」と言うように、ドコモに次いで利益が多い。課題は売り上げの増加だ。既存市場で成長が見込めない中、反転攻勢をかけられるか。井上社長は「方向感が変われば、全員がそちらに向かう団結力が東日本の強み」と語った>>続きを読む』、同上。
・『⑤NTT西日本 小林充佳社長  「地域分散の“弱み”を“強み”にできる」 NTT西日本は、大都市圏から山間部、島嶼部まで広範な地域で固定電話や光回線を提供する。いわば小さの市場の集合体だ。そのため、首都圏を抱えるNTT東日本と比べると、事業環境は不利だった。だが、小林社長は「西日本の社員は『やったろう』という反骨精神が強い」と話す。非効率な地域分散の「弱み」をどう「強み」に変えていくのか>>続きを読む』、同上。
・『⑥NTTコミュニケーションズ 丸岡亨社長  「ドコモと組んで“プラットフォーマー”になる」 グループで海外事業の“顔”として展開を拡大してきたNTTコミュニケーションズ。祖業は国内の長距離電話や国際電話だが、大規模な通信網を生かし、法人向けのネットワーク構築やデータセンター、クラウドで成長してきた。NTTによるドコモの完全子会社化で、丸岡亨社長は「ドコモとの連携が強まるのは間違いない」と言う>>続きを読む』、「「NTT」グループ各社が長い眠りから目覚め、やる気を出したのかは、もう少し見守る必要がありそうだ。

第三に、上記のうち「NTT社長 澤田 純氏」へのインタビューを12月25日付け週刊東洋経済プラス「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」の一部を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/25675
・『NTTのグループ売上高に占める海外事業の比率はいまだ2割と小さい。2018年の就任以来、NTTの澤田純社長はこれを強化すべく、グローバル事業の再編や世界的大企業の提携など矢継ぎ早に新たな手を打ってきた。澤田氏は「スピードは重要だ。商売人はやっぱりタイム・イズ・マネーですよ」と言い切る。 それは今回のNTTドコモの完全子会社化も同様だ。検討が始まったのが2020年4月。その5カ月後には発表にこぎ着けた。また、澤田氏の視線の先には「GAFA」の脅威があるという。「ゲームチェンジをしなければいけない」と語る澤田氏の真意を直撃した(Qは聞き手の質問、Aは澤田氏の回答)』、興味深そうだ。
・『Q:NTTドコモを12月に完全子会社化します。このタイミングで決断した理由は何ですか。 A:ドコモはNTTグループにとって収入面、利益面、人材面でも重要な会社だ。だが、もう10年以上契約数のシェアが毎月のように下がっているし、売上高と利益の面では3番手になってしまった。 そこに海外のOTT(オーバー・ザー・トップ:動画配信やSNSなどのサービス事業者)が入ってきて、競争が激しくなった。そんな中でドコモを強くしないといけない。そうすればNTT全体が強くなる。 完全子会社化したからといって自然にドコモが強くなるわけじゃない。意思決定を速くして、グループ間の連携を深める。現在研究開発を進めている「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想(詳細は後述)を実現するためにも、ドコモとの連携強化は必須だ。 Q:具体的にどう強くしますか。 A:一番わかりやすいのはコストだ。(ドコモが整備している)基盤のネットワークは、モバイル回線のみに使われている。ただKDDIは固定回線から始まり、ここにモバイルを足した。他社のほうがコスト効率がいい。完全子会社化を経てドコモがNTTコミュニケーションズ(コム)と連携すれば、(基盤のネットワークをコムの固定回線にも使えるので)コスト効率が良くなる。 もう1つは法人事業だ。ドコモは法人向けビジネスが非常に弱かった。ここでも(法人が主顧客である)コムと連携すればモバイルのソリューションをセットで売りやすくなり、競争力を上げられる。 これまでは無線(携帯)しかなかったので、KDDIやソフトバンクとの競争でドコモはスタートラインにも立てていなかった。5G時代には法人向けのソリューションも重要だ。KDDIもソフトバンクも「MaaS(Mobility as a Service)」など包括的なソリューションを提案しており、その入口に立つことを目指している。 ドコモが「スマートライフ」と呼んでいる(決済やアプリなどの)サービス開発も重要だ。ここはソフトウェア開発力の高いNTTコムウェアと連携を深めることで強化できる。 Q:今回の完全子会社化は国内の足場固めといえます。一方、2018年に澤田社長が就任してから、海外事業の強化を進めてきました。どんな立ち位置を目指しますか。 A:「BtoBtoX」と呼ばれるモデルだ。われわれ(B)が法人や自治体の顧客(B)にいろいろなソリューションを提案して、その先のエンドユーザー(X)向けに一緒に新しい事業をつくりましょうということ。海外はもともと国内以上にBtoBの色が強い。システム構築やプラットフォーム(データセンターやソフトウェア)などソリューションに近い部分をやっている。 消費者向けのビジネスはやはりGAFAが世界レベルで強い。よほどユニークでないと成長できない。(NTTとしては)そこでGAFAと戦う気もあまりないので、BtoBが必然的に多くなる。 Q:通信インフラの面では、米中摩擦の影響で中国ファーウェイの通信機器が各国で禁止される動きが広がっています。この12月にもイギリス政府がファーウェイから調達しない方針を発表しました。この流れは追い風ですか。 A:チャンスですね。うちだけではなく通信機器で世界に出遅れた日系メーカーにもチャンスだ。 西側諸国では今、「NECがいいんじゃないの?」と言われている。イギリスではまさにNECが(5G基地局の)実証実験をやっている。「Open RAN」(基地局設備をオープン化し特定のベンダー依存を防ぐ仕組み)の流れもあり参入の余地が広がる。 NTTとしてはそうした通信機器を導入する際のシステム構築が商機になる。NECや富士通の製品と一緒に必要になるシステムは、NTTデータが持ってくる。特に欧州での5Gの展開はまさにこれから。通信キャリアの基地局でも、「ローカル5G」でも入っていける。日本は遅れているといわれるが、5Gの導入という意味では先頭に立っている・・・』、「日本は遅れているといわれるが、5Gの導入という意味では先頭に立っている」、本当であれば一安心なのだが・・・。
・『GAFAはパートナーだが「脅威」  Q:澤田社長はつねづね「GAFAが競争相手だ」と口にしています。しかし、GAFAがNTTの競合といってもピンときません。ここにはどんな意図があるのですか? A:GAFAとの関係は互いに顧客であり、パートナーでもある。ただ、領域によっては戦う相手でもある。ドコモの話だが、端末やアプリでは連携している。アップルの「iOS」やグーグルの「アンドロイド」などのスマホのOS(基本ソフト)がなければ事業ができない。 Q:「戦う相手」となる領域とは? A:「脅威」といったほうがいいかもしれない。通信に目を向けると、今、インフラのソフトウェア化が進んでいる。楽天モバイルがアメリカのアルティオスター社と組んで、ネットワークの仮想化(汎用サーバー上にネットワークを構築すること)を進めているのは一つの例だ。 そうなると(専用機器をそろえる必要がなくなるため)GAFAのような企業も参入しやすくなる。通信キャリアのネットワークを制御するプラットフォームをGAFAが構築することも考えられる』、「GAFAとの関係」は確かに一筋縄ではいかず、複雑なようだ。

第四に、1月14日付け日刊ゲンダイ「携帯業界「情報争奪」の実態…元SB社員逮捕は“氷山の一角”」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/283844
・『元ソフトバンク社員が楽天モバイルに転職する際、高速・大容量通信規格「5G」に関する営業秘密を不正に持ち出して逮捕されたことが話題になっている。逮捕された合場邦章容疑者(45)は、一昨年12月にソフトバンクを退社して翌月の昨年1月に楽天へ入社。退社の際に5Gの技術ファイルを引き出して、自分のパソコンに保存していた。 合場容疑者が手に入れたのは基地局設備や、基地局と交換機を結ぶ固定通信網に関する技術情報とされる。ただし、楽天は「(合場容疑者が)前職により得た営業情報を弊社業務に利用した事実は確認していない。5Gに関する技術情報も含まれていない」と説明。ソフトバンクは営業秘密の利用停止と廃棄などを目的として楽天を相手に民事訴訟を提起する予定だ。 昨年から携帯業界は5G時代に突入し、菅政権の値下げ圧力により低価格競争も激化。日進月歩の業界では熾烈な情報争奪戦が行われている』、「楽天」は「携帯」でいくら大きく立ち遅れたとはいえ、すぐにバレる不正な手段まで使って、キャッチアップしようとしたというのは、考え難い。
・『「基地局情報などの持ち出しよりも深刻なのが、頭脳の流出です」とはITジャーナリストの井上トシユキ氏だ。 「携帯各社が欲しがっているのは通信網の技術情報。高速でデータを送り、安定したネットワークを構築する技術です。こうした秘密情報は最高幹部でないと持ち出しは不可能。ハッキングでも入手できません。そこで業界で行われているのがライバル社のトップエンジニアのスカウト。もちろん、こうした技術者は情報を他社に漏らさないという誓約書を書いています。だけど、頭の中には自分が開発したシステムの設計図やこれまでのプロセスの記憶がある。これが重要なのです」』、なるほど。
・『A社で開発した技術をB社にそのまま持っていくと誓約書に違反するが、A社の技術をB社で発展させて別物にすれば法律に触れない。また、その技術者がA社でどんな試行錯誤をしたのか、どんな実験をしたのかというプロセスの中に、役立つ情報が潜んでいる。 スカウトで獲得した技術者が画期的な発明をして特許を取れば、ライバル企業から特許料を得ることもできる。そのため、現在の4、5倍の収入や、ウン億円の成功報酬を提示することもあるという。 「プロのスカウトマンが密かに接触したり、大学時代の先輩が優秀な後輩をお酒に誘って『ウチに来ないか』と持ちかけるなど、やり方はさまざまです。だから有能なエンジニアが『退職』を切り出したら、直属の上司や役員が責任を問われる。現在、5GではNTTの技術が抜きんでています。ライバル各社は同社のエンジニアをスカウトしたくてたまらないでしょう。菅政権の値下げ圧力により携帯各社は減益を覚悟している。だからこそ、コストと開発時間を抑えるために他社の技術入手に興味津々。情報と人材の戦国時代に突入したといえます」(井上トシユキ氏) 今回の事件は氷山の一角かもしれない』、「5GではNTTの技術が抜きんでています」、「ソフトバンク」の「技術」でも意味があったのだろうか。いずれにしろ、眞の事情が分かり難い事件で、今後の解明を待ちたい。
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ 携帯・スマホ (その3)(ジョブズが子供の「iPad使用」に慎重だったワケ T企業のトップたちは複雑な感情を抱いている、巨象NTTが突如として動き出した決定的理由 グループ6社の社長に直撃 見えてきた次の一手、インタビュー/NTT社長 澤田 純 「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」、携帯業界「情報争奪」の実態…元SB社員逮捕は“氷山の一角”) アンデシュ・ハンセン 「ジョブズが子供の「iPad使用」に慎重だったワケ T企業のトップたちは複雑な感情を抱いている」 極めてテクノロジーに精通している人ほど、その魅力が度を過ぎていることを認識し、制限した方がいいと考えているようだ 「製品を開発するときに最善を尽くすのは当然のこと。それが思ってもみないような悪影響を与える──それに気づいたのは後になってからだ」 「フェイスブックの「いいね」機能を開発した人物」がここまで正直に述懐したことには驚かされた 子供たちを夢中にさせすぎる 「ジョブズ」が「インタビューで」、(自宅には)「「iPadはそばに置くことすらしない」、そしてスクリーンタイムを厳しく制限している」、やはり「iPad」の弊害を熟知しているようだ ビル・ゲイツも14歳までスマホを持たせず ジョブズの10代の子供は、iPadを使ってよい時間を厳しく制限されていた 「IT企業のトップたち」は、自分たちの売り物の欠陥が自分たちの「子供」に及ばないようにしているようだ 「巨象NTTが突如として動き出した決定的理由 グループ6社の社長に直撃、見えてきた次の一手」 澤田純氏が2018年に持ち株会社NTTの社長に就いてから、矢継ぎ早に新たな一手を繰り出している ①NTT 澤田純社長  「ゲームチェンジすればGAFAは脅威じゃない」 ②NTTドコモ 井伊基之社長 「準備が整った。早急にV字回復させる」 ③NTTデータ 本間洋社長  「もっと上へ“世界トップ5”目指す」 ④NTT東日本 井上福造社長  「地域密着型の“ICT商社”に生まれ変わる」 ⑤NTT西日本 小林充佳社長  「地域分散の“弱み”を“強み”にできる」 ⑥NTTコミュニケーションズ 丸岡亨社長  「ドコモと組んで“プラットフォーマー”になる」 「NTT」グループ各社が長い眠りから目覚め、やる気を出したのかは、もう少し見守る必要がありそうだ NTT社長 澤田 純氏 週刊東洋経済プラス 「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」 10年以上契約数のシェアが毎月のように下がっているし、売上高と利益の面では3番手になってしまった 海外のOTT(オーバー・ザー・トップ:動画配信やSNSなどのサービス事業者)が入ってきて、競争が激しくなった 意思決定を速くして、グループ間の連携を深める 。完全子会社化を経てドコモがNTTコミュニケーションズ(コム)と連携すれば、(基盤のネットワークをコムの固定回線にも使えるので)コスト効率が良くなる もう1つは法人事業だ。ドコモは法人向けビジネスが非常に弱かった。ここでも(法人が主顧客である)コムと連携すればモバイルのソリューションをセットで売りやすくなり、競争力を上げられる 日本は遅れているといわれるが、5Gの導入という意味では先頭に立っている」、本当であれば一安心なのだが・・・ GAFAはパートナーだが「脅威」 GAFAとの関係」は確かに一筋縄ではいかず、複雑なようだ 「携帯業界「情報争奪」の実態…元SB社員逮捕は“氷山の一角”」 元ソフトバンク社員が楽天モバイルに転職する際、高速・大容量通信規格「5G」に関する営業秘密を不正に持ち出して逮捕 「楽天」は「携帯」でいくら大きく立ち遅れたとはいえ、すぐにバレる不正な手段まで使って、キャッチアップしようとしたというのは、考え難い 「基地局情報などの持ち出しよりも深刻なのが、頭脳の流出です A社の技術をB社で発展させて別物にすれば法律に触れない。また、その技術者がA社でどんな試行錯誤をしたのか、どんな実験をしたのかというプロセスの中に、役立つ情報が潜んでいる 5GではNTTの技術が抜きんでています 「ソフトバンク」の「技術」でも意味があったのだろうか。いずれにしろ、眞の事情が分かり難い事件で、今後の解明を待ちたい
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航空会社(その4)(ANAの「出向要請」は社員にも受け入れ企業にも意外に悪くない理由、エアアジア破産 日本の空から消える「第3勢力」 東京地裁に破産申請 2度目の日本参入も失敗に、ANAとJAL「巨額増資」で手にしたカネの使いみち 経営環境が悪化する中で競うように資金調達、ANAとJAL「巨額増資」で手にしたカネの使いみち 経営環境が悪化する中で競うように資金調達) [産業動向]

航空会社については、9月9日に取上げた。今日は、(その4)(ANAの「出向要請」は社員にも受け入れ企業にも意外に悪くない理由、エアアジア破産 日本の空から消える「第3勢力」 東京地裁に破産申請 2度目の日本参入も失敗に、ANAとJAL「巨額増資」で手にしたカネの使いみち 経営環境が悪化する中で競うように資金調達、ANAとJAL「巨額増資」で手にしたカネの使いみち 経営環境が悪化する中で競うように資金調達)である。

先ずは、11月4日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「ANAの「出向要請」は社員にも受け入れ企業にも意外に悪くない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/253047
・『新型コロナウイルスによって日本の「働き方」が激変している。ここまでテレワークや副業が話題となってきたが、そこに新たな働き方として「出向」が加わった。ANAホールディングスが業績悪化の対応策として、社員を他社に出向させる施策を発表したからだ。最初は苦肉の策だという印象を持ったが、よく考えてみると、この措置はなかなか良いものであるように思えてきた。その理由をお伝えする』、「転職」経験豊富な山崎氏の見解とは、興味深そうだ。
・『コロナの「時間短縮効果」が日本の働き方を激変中  新型コロナウイルス感染症のようなトラブルには、ものごとの変化のスピードを速める「時間短縮効果」がある。今回、ともすれば惰性でやり方が決まり、なかなか変化しない「働き方」に対する効果が顕著だ。 例えば、テレワークは業種・職種によっては技術的に十分可能だったし、通勤時間の削減など効果が期待できることは分かっていたはずだったが、なかなか普及しなかった。しかし、現在コロナによる「非接触」の必要性に対応して、大いに活用されつつある。 「対面」のコミュニケーションに劣る点があることも指摘されるテレワークだが、現実のニーズが広がったことで、今後技術的な進歩が加速するはずだ。テレワークはもっと便利になるだろう。 コロナが普及の時間を短縮する別の分野として、もう一つ「副業」を挙げてもいいだろう。 副業はもともと働く個人の権利であったはずだが、人を雇う側の企業は普及に対して消極的だった。副業の全面解禁に踏み切らない理由として、社員の労務管理・健康管理の問題などを理由に挙げる場合が多いが、経営者の本音は、社員を企業に依存させておきたいからだろう。 しかし、コロナで売り上げが急激に落ち込んだ業種・企業にあっては、人件費を削減したいし、社員の労働力も余剰になる。そのため、社員にこれまでよりも広い範囲での副業を認める動きが出てきた。今後、この動きは加速するのではないか。 加えて、これまでの副業は、個人的な内職のようなものだったり、アルバイトだったりが多かったが、企業の側でも副業として勤める社員を募集する会社が現れた。 例えば、ヤフーは100人規模での副業社員の募集を発表して話題を呼んでいる。副業社員を通じて、新しい発想や視点、刺激などを社内に取り入れることが会社側の目的だろう。 応募する側にとっても、ヤフーという会社の労働環境は刺激的で興味深いに違いない。競業禁止の規定などの関係から応募はできないと思うが、筆者も「ヤフーでの副業は面白そうだ」と個人的には思う(注:筆者は楽天グループの証券会社に勤めている)。 振り返ると、働き方の激変におけるもう1つの分野である「転職」は、1990年代の日本のバブル崩壊で普及が進んだ。山一証券や日本長期信用銀行(現新生銀行)のような大企業が破綻して多くの元社員が再就職を求めて転職したし、企業の盛衰に応じて人材の移動にニーズが生じた。バブル崩壊にも「時間短縮効果」があった』、「新型コロナウイルス感染症のようなトラブルには、ものごとの変化のスピードを速める「時間短縮効果」がある」、確かにその通りだ。「ヤフーは100人規模での副業社員の募集を発表」、きっと優秀な人材が集まるのだろう。
・『最初は苦肉の策という印象だったがANAの「出向」は悪くない試み  時間順に並べて、「転職」「テレワーク」「副業」に加えて、新たな働き方に「出向」が加わった。 全日本空輸(ANA)を傘下に持つANAホールディングスは、5100億円の赤字に陥る業績見通しとともに、社員を他社に出向させる施策を発表した。出向は本人の意思に基づいて行い、強制ではなく、期間は半年から2年程度で、転籍は想定していない。現在受け入れ先候補の数社と交渉中だという。 正直なところ、最初はいかにも苦し紛れの苦肉の策だという印象を持ったのだが、よく考えてみると、この出向措置はなかなか良いものであるように思えてきた。 急激な減便等でANAに生じる遊休人員は、通常であれば、在宅で待機させたり、社内で別の仕事に就かせたりするのだろう。しかし、社内でいつもの仲間と一緒に時間を過ごすのでは、今後に備える経験として広がりが物足りない。 出向の形を取って他社で働き、特に異業種のビジネスの機微や組織運営、働き方などを経験することは、ビジネスパーソンとしての成長に大変いい。 転職してみると、同業種間であっても「別の会社」の仕事のやり方が、驚くほど前職の会社と違う場合が少なくない。「日本の会社は、どこに行っても同じようなものだ」という声を聞くこともあるが、転職経験のない“古い大人”の常識ではないかと思う。 他社の働き方を知ることは、ANAに戻ってからも役に立つに違いない。 通常は、転職しなければ他社の仕事を経験できないし、自分の会社を外側から眺める視点を持つこともできない。ところが、ANA社員の籍を確保したままこれらができるのだから、社員はこの機会を大いに活用するといいのではないだろうか。 出向先選びの考え方としては、将来やりたい仕事があればそれを出向の形で経験してみると一番良いだろうが、日頃の業務とは大きく異なる仕事がいいだろう。 出向受け入れ要請先として、例えばトヨタ自動車の名前が挙がっているが、ANAとトヨタとでは仕事の進め方が大いに異なるだろうから、良い経験になるだろう。 出向者を受け入れる企業の側でも、やって来るANAの社員は、自社の社員にとって良い刺激になることが期待できそうだ。 また、コロナを巡る今後の動向次第では、今回の対策だけではANAの生き残りには不十分で、将来的に人員削減の必要性に迫られる可能性がゼロではない。こうした場合、社員の一部は転職を余儀なくされるが、転職した本人にとって、1つの大きな問題は次の職場への定着だ。 複数回の転職の経験者として申し上げるが、「最初の転職」は「2回目以降の転職」よりもずっと緊張するものだし、失敗もしやすい。出向の形で職場を変える練習ができることの効果は小さくない』、「出向の形を取って他社で働き、特に異業種のビジネスの機微や組織運営、働き方などを経験することは、ビジネスパーソンとしての成長に大変いい」、同感だ。
・『日本企業がシフトしつつあるジョブ型雇用に先回りして適応しよう  コロナが後押しすることによって、「働き方」は今後変化を加速させるだろう。「転職」「テレワーク」「副業」「出向」それぞれの普及は、相乗効果を伴って、働き方の変化を推し進める。 企業の側でも、これまでの長期にわたって社員の面倒を見て処遇し続ける「メンバーシップ型」の雇用形態から、個々の仕事ごとに人を配置して処遇する「ジョブ型」のシステムを指向するようになってきた。 個々の社員の側でも、ジョブ型雇用に早く適応することが今後のキャリア形成の上で有利だろうし、今後の転職にも副業にも適応しやすく、職業人生のセキュリティー(安全性)が増す。 せっかく働き方が変化しつつあるのだから、可能な方は個人的な「副業」から一歩進めて、複数の会社に勤務する「複業」にチャレンジするのもいいだろう。また、ANAのような出向制度があれば、ぜひ「別の会社」で働くことを経験してみるといい。 今後の働き方の流動化に適応するには、自分の「人材価値」に関して戦略を持つことが重要だ。「自分のできることは何か(能力)」「自分の仕事を買ってくれるのは誰か(顧客)」の2点について、選択肢を拡大することと共に、個々の選択肢の価値を拡大する――。そのことが自分の「人材価値」を高める方法になるが、これらの努力にはそれなりの時間が必要だ。 他業種・他社で働く経験は、自分の時間と努力の投資先として大いに有望であるとお勧めしておく。 いずれにしても、1つの組織に依存しないで働く用意が肝心だ』、最後の部分はその通りだが、それが可能な人はそう多くはないだろう。

次に、11月18日付け東洋経済オンライン「エアアジア破産、日本の空から消える「第3勢力」 東京地裁に破産申請、2度目の日本参入も失敗に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/389615
・『日本航空(JAL)やANAホールディングスが巨額赤字を計上する中、LCC(格安航空会社)のエアアジア・ジャパンは11月17日、東京地方裁判所に破産手続き開始の申し立てを行った。新型コロナ影響により航空会社が経営破綻する、日本で初めてのケースとなった。 エアアジア・ジャパンは12月5日をもって全路線を廃止することを決めていた。「事業を継続することは極めて困難であると判断し、事業を廃止するという苦渋の決定をいたしました」。エアアジア・ジャパンの会田純COO(最高執行責任者)が報道各社に寄せたコメントには悲壮感が漂っていた。 同社には事実上の親会社であるマレーシアのエアアジアグループが33%を出資しているが、コロナ禍がエアアジア本体を直撃した格好だ』、確かにコロナ禍の下では、LCCの環境は普通の航空会社以上に厳しいだろう。
・『2度目の日本参入もあきらめることに  アジア各国に路線網を抱え、世界屈指のLCCグループであるエアアジアにとって、今回は2度目となる日本撤退だ。同社は2012年、国内最大手の全日本空輸(現ANAホールディングス)との合弁で日本に参入。しかし、ANAとの間で経営方針をめぐってすれ違いが生じ、搭乗率も苦戦。参入からわずか1年で撤退に追い込まれた。 2014年には楽天やノエビアホールディングス、アルペンなどをパートナーにして再参入。拠点空港には競合の少ない中部国際空港を選んだ。新千歳と仙台、台北の3路線を運航し、2020年8月には福岡線を開設した。しかし、新型コロナ影響により、春先から各路線で運休が発生。6月には社員約300人の2割強にあたる70人弱の希望退職を実施した。 本体のエアアジアグループも、新型コロナ影響で業績が急速に悪化している。2019年12月末には17.5%だった自己資本比率が2020年6月末時点で8.3%にほぼ半減した。エアアジア・ジャパンの2019年12月期は40億円の売上高に対し、42億円の営業赤字。2度目の日本参入もあきらめることになった。 しかし、エアアジア撤退は、単なるLCC市場の競争・淘汰以上に大きな意味がある。これにより、国内主要航空会社からANA、JALに続く「第3勢力」が消滅するからだ。 この記事の続きはこちら。『東洋経済プラス』では、「航空異変」としてエアライン業界の現状のレポートしています。 「ANAが迎える正念場」 「JAL『公募増資』1680億円の胸算用」』、日本では「第3勢力」が活躍する余地はないのだろうか。

第三に、12月15日付け東洋経済オンライン「ANAとJAL「巨額増資」で手にしたカネの使いみち 経営環境が悪化する中で競うように資金調達」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/395578
・『この1カ月、新型コロナの影響で苦境にあえぐ航空大手2社が、競うように公募増資に乗り出した。 先手を打ったのは日本航空(JAL)だ。JALは11月6日、公募増資などにより最大で1679億円を調達すると発表。同社の公募増資は、アメリカ同時多発テロやイラク戦争、SARS(重症急性呼吸器症候群)後の2006年に実施して以来のことだ。そしてANAホールディングスも11月27日、JALに3週間の遅れを取って、公募増資などによる最大3321億円の調達を打ち出した。 2社の2021年3月期は航空需要の低迷から、JALが最大で2700億円、ANAが5100億円に上る最終赤字を計上する見込みだ。赤字と借り入れを増やしたことで、2020年3月末から9月末にかけて自己資本比率が、JAL、ANAともに10%近く低下している。そこでJALは22.8%、ANAは29.5%の希薄化を伴う形で、株式市場からの資金調達に乗り出した』、財務的余裕が少ないANAの調達額はJALの倍のようだ。
・『JALの増資発表後に“神風”  JALの増資発表直後、アメリカの製薬大手・ファイザーの臨床試験で新型コロナ向けワクチンの有効率が90%を超えたという発表があった。これが航空需要の回復につながるとの連想を生み、航空株が値を戻した。公募増資を発表した11月6日から条件決定を迎えた11月18日までに、JALの株価は7%上昇。「神風」が吹いたことで、調達額は当初見込みから147億円上振れ最大1826億円となった。逆にANA株は発表日から条件決定日まで7%下落。調達額は当初見込みを269億円下回り、最大3052億円となった。 ただ、ANAは10月に調達した劣後ローン4000億円のうち、資本性を認定される2000億円と合算することで、5100億円の最終赤字による資本の減少を補うことを重視している。この観点からすると、公募増資などによる調達額は3000億円台で及第点と言えるかもしれない。 2社は公募増資などで調達した資金を主に債務の返済と、既に契約済みの航空機代の支払いに充当する。前向きな成長投資とはいい難いが、ANAの中堀公博グループ経理・財務室長は「当社の持つ約3割の羽田国際線の発着枠は、やはり強みになる。こちらはもちろんJALさんよりも多く、(投資家から)ご評価いただいている」と語る。「ドル箱」とされる羽田空港の発着枠など、市場が資金使途以外に成長性の部分も一定程度折り込んでいることを示唆した。 当然ながら、発着枠を持っているだけでは売り上げを生まない。公募増資を終えた2社は需要が先行して回復する地域や都市を迅速に見つけ出せるのか。逆風が吹きつける中でエアラインとしての目利きや実力を改めて問われることになる。 『東洋経済プラス』では、短期連載「航空異変」で以下の記事を配信しています。 財務データでわかる「大赤字」 ANAとJALの格差 「破綻」は避けられるのか ANAが迎える正念場 JALが先手「増資」1680億円の胸算用 エアアジア撤退、消える「第3のエアライン」』、ANAは「羽田国際線の発着枠」を売り物にしているようだ。これは民主党政権でのJALの会社更生法での処理時に、銀行団に債権放棄を多目にさせたとするANAの不満を、自民党政権が発着枠の多目配分でなだめようとしたためである。

第四に、12月23日付けブルームバーグ「JALが背負う「雇用死守」という軽くない十字架 世界の航空会社が苦難の中、「賭け」となるかも」を紹介しよう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-22/QLCRFUDWRGG001
・『+従業員を裏切るな、赤坂社長に雇用の維持求めるメール-大田元専務
  +破綻後のJALは稲盛氏の下で団結し復活、
コロナ禍もリストラせず 新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい状況が続く航空業界にあって、日本航空(JAL)には「雇用の死守」という重い命題が課せられている。10年前の破綻からの再建を成し遂げたカリスマ経営者の理念を受け継いだ経営陣は、終わりが見えないコロナ禍で選択肢が限られた難しいかじ取りを迫られている。 「雇用は絶対に守ってほしい」。JALの大田嘉仁元専務執行役員は今年春、赤坂祐二社長にメールを送った。新型コロナで移動が制限され、航空業界への深刻な影響が見込まれたためだ。大田氏は2010年に会社更生法を申請したJALの会長に政府の要請で就任した京セラ創業者、稲盛和夫氏の右腕としてともに再建を主導した。 仏教徒でもある稲盛氏はJALの企業理念を「全社員の物心両面の幸福の追求」と定めて社員の信頼を勝ち取り、急激に収益力を回復させて破綻から2年半余りで再上場にこぎつけた。コロナ禍で巨額の赤字を見込む中、希望退職を公表したANAホールディングス(HD)と違ってリストラには手をつけていない。 JAL、今期最大2700億円の純損失見込む-コロナ禍で再上場後初 (3) 大田氏は都内でのインタビュ-で、JALでは業績回復後も雇用維持を重視して給料を上げてこなかったとし、「すぐにそれで希望退職とかをすると従業員を裏切ることになる」と経営陣の対応を評価。赤坂社長からの返信も雇用維持の重要性について概ね同意する内容だったと明らかにした。 世界規模の新型コロナ感染拡大で、各国が厳しい渡航制限を続ける中、航空会社の収入は激減。海外では英ヴァージンアトランティック航空など経営破綻に追い込まれる会社も出ている。 欧州最大手のルフトハンザ航空はドイツ政府の救済措置で90億ユーロ(約1兆1370億円)の資本注入を受け、エールフランスKLMもフランス、オランダ両政府から金融支援を得た。韓国では大韓航空がアシアナ航空を買収する方向だ。シンガポール航空やタイ国際航空も早期退職を募集するなど多くのエアラインが生き残りに懸命だ。 一方、JALやANAHDなど国内航空会社は金融機関の融資や空港使用の引き下げなどで支援を受ける一方、公募増資や劣後ローンによる財務強化を図っている。JALでは人員のグループ外への出向や、新規事業による売上高創出などを通じ、グループで約3万5000人の従業員の雇用に手をつけず未曽有の危機を乗り切ろうとしている』、「JAL]が「グループで約3万5000人の従業員の雇用に手をつけず未曽有の危機を乗り切ろうとしている」、大丈夫なのだろうか。
・『みんなで一緒に  経営破綻した経緯からJALは他社に比べて債務が少ない優位性があるほか、部門ごとの採算性を重視する稲盛氏の指導の下で営業利益率10%を超える航空業界でもまれな高収益企業に変貌を遂げた。 大田氏は、昔のJALは無責任体質がまん延し、社員同士の足の引っ張り合いで匿名の内部告発文が飛び交うような「腐っている」状態だったという。 再建の成功は「人としての正しさ」や「利他の心」を説いて団結を求めた稲盛氏の思想に社員が共鳴したためだとし、少し苦しくなったからといって「労働者はコストだからいらん、みたいなことを言い始めたら一体感がなくなる。調子が良くなった時にあの時は仕方なかったからごめんね、と言っても誰もついてこない」と指摘する。  大田氏によると、稲盛氏は経営理念に背いて人を切って生き残るぐらいならばむしろ倒産を選ぶとの考えを持っているという。巨額の負債を抱えて行き詰っていた破綻前と比べると今はまだましだとし、雇用を守って「それでもしつぶれるんだったら、もうみんなで一緒につぶれて行こう」というぐらいの厳しさで経営に当たるべきとした。 JAL広報担当者は雇用維持の理由について「需要回復時の反転攻勢に備えて安全やサービスの質を高めるための教育や訓練を実施する。また、これまで携わることのなかった業務に就く機会を設け、社外のノウハウ取得やマルチタスク化など、今後に活かせるように時間を有効活用する、というのが基本的な方針であるため」とコメント。需要減が長期化した場合でもリストラは「現時点では考えていない」とした』、「需要減が長期化した場合でもリストラは「現時点では考えていない」」、大丈夫なのだろうか。
・『長期化なら命取りにも  東京大学名誉教授で会社論に関する著書もある岩井克人氏はJALのスタンスについて、倒産を経験したため人材の確保などに苦労したことが影響しているのではと指摘。近年は事業拡大でANAに遅れを取っていたことが今になって「少し幸いして雇用を守るということが可能になったという皮肉な面もある」と述べた。 株主利益の最大化が会社の唯一の目的とされてきた米国でも最近は従業員などステークホルダーの利益も配慮すべきとの考え方が芽生え始めており、JALの姿勢は日本の会社の典型であると同時に世界の潮流になるかもしれないと話した。コロナ禍が長期化した場合はそれが命取りになる可能性もあり、「ある意味賭けだ」と述べた。 政府の成長戦略会議の有識者メンバーでもある竹中平蔵慶応大学名誉教授は、苦境に置かれる国内航空大手について資本注入や合併も視野に入れるべきだと主張している。 このことについて大田氏は、日本 の経済規模を考えると航空会社は2-3社は必要とし、統合で1社独占になると弊害も大きいため「競争で切磋琢磨していくのが正しい」と独立を維持すべきとの考えを示した。ANAHDも生き残る力は十分にあり、コロナ後には日本の2社の存在感が高まるのではないかと述べた。 新型コロナが今後も収束せず、「本当に最悪の事態になったらそれはそうは言ってられないときもあるのかもしれない」としながら、「今から考えても仕方がない。乗り切れると。右往左往せず腰をどんと据えてやった方がいい」と話した』、「コロナ禍が長期化した場合はそれが命取りになる可能性もあり、「ある意味賭けだ」と述べた」、「賭け」が狙い通りにいってほしいものだ。 
タグ:航空会社 東洋経済オンライン ブルームバーグ ダイヤモンド・オンライン 山崎 元 (その4)(ANAの「出向要請」は社員にも受け入れ企業にも意外に悪くない理由、エアアジア破産 日本の空から消える「第3勢力」 東京地裁に破産申請 2度目の日本参入も失敗に、ANAとJAL「巨額増資」で手にしたカネの使いみち 経営環境が悪化する中で競うように資金調達、ANAとJAL「巨額増資」で手にしたカネの使いみち 経営環境が悪化する中で競うように資金調達) 「ANAの「出向要請」は社員にも受け入れ企業にも意外に悪くない理由」 「転職」経験豊富な山崎氏の見解とは、興味深そうだ コロナの「時間短縮効果」が日本の働き方を激変中 新型コロナウイルス感染症のようなトラブルには、ものごとの変化のスピードを速める「時間短縮効果」がある ヤフーは100人規模での副業社員の募集を発表」、きっと優秀な人材が集まるのだろう 最初は苦肉の策という印象だったがANAの「出向」は悪くない試み 出向の形を取って他社で働き、特に異業種のビジネスの機微や組織運営、働き方などを経験することは、ビジネスパーソンとしての成長に大変いい 日本企業がシフトしつつあるジョブ型雇用に先回りして適応しよう 1つの組織に依存しないで働く用意が肝心だ それが可能な人はそう多くはないだろう 「エアアジア破産、日本の空から消える「第3勢力」 東京地裁に破産申請、2度目の日本参入も失敗に」 コロナ禍の下では、LCCの環境は普通の航空会社以上に厳しいだろう 2度目の日本参入もあきらめることに 日本では「第3勢力」が活躍する余地はないのだろうか 「ANAとJAL「巨額増資」で手にしたカネの使いみち 経営環境が悪化する中で競うように資金調達」 財務的余裕が少ないANAの調達額はJALの倍のようだ。 JALの増資発表後に“神風” ANAは「羽田国際線の発着枠」を売り物にしているようだ。これは民主党政権でのJALの会社更生法での処理時に、銀行団に債権放棄を多目にさせたとするANAの不満を、自民党政権が発着枠の多目配分でなだめようとしたためである 「JALが背負う「雇用死守」という軽くない十字架 世界の航空会社が苦難の中、「賭け」となるかも」 本航空(JAL)には「雇用の死守」という重い命題が課せられている 10年前の破綻からの再建を成し遂げたカリスマ経営者の理念を受け継いだ経営陣は、終わりが見えないコロナ禍で選択肢が限られた難しいかじ取りを迫られている 仏教徒でもある稲盛氏はJALの企業理念を「全社員の物心両面の幸福の追求」と定めて社員の信頼を勝ち取り、急激に収益力を回復させて破綻から2年半余りで再上場にこぎつけた 希望退職を公表したANAホールディングス(HD)と違ってリストラには手をつけていない 「JAL]が「グループで約3万5000人の従業員の雇用に手をつけず未曽有の危機を乗り切ろうとしている」、大丈夫なのだろうか みんなで一緒に 需要減が長期化した場合でもリストラは「現時点では考えていない」」、大丈夫なのだろうか 長期化なら命取りにも コロナ禍が長期化した場合はそれが命取りになる可能性もあり、「ある意味賭けだ」と述べた 「賭け」が狙い通りにいってほしいものだ
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MaaS(その1)(MaaSって何? 国内の最前線・福岡に行ってみた、日本の「交通革命」 欧州のMaaSにはほど遠い コロナ禍でテレワークやマイカー通勤が浸透、孫正義社長の懐刀が明かす「MaaS」次の一手 モネ・テクノロジーズの宮川社長に聞く、なぜ自分が?「MaaS」生みの親が語る苦難の道筋 東急の「観光型MaaS」リーダー、2年間の「戦い」) [産業動向]

今日は、新しい交通サービス体系である、MaaS(その1)(MaaSって何? 国内の最前線・福岡に行ってみた、日本の「交通革命」 欧州のMaaSにはほど遠い コロナ禍でテレワークやマイカー通勤が浸透、孫正義社長の懐刀が明かす「MaaS」次の一手 モネ・テクノロジーズの宮川社長に聞く、なぜ自分が?「MaaS」生みの親が語る苦難の道筋 東急の「観光型MaaS」リーダー、2年間の「戦い」)を取上げよう。

先ずは、昨年4月30日付け日経ビジネスオンライン「MaaSって何? 国内の最前線・福岡に行ってみた」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00037/042400001/?P=1
・『デジタルの力で様々な交通手段を連携させて、移動の利便性を高める「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」が注目されている。海外での普及が進む中、国内でも取り組みが始まっているという。実態を探るため、国内のMaaS先進地に向かった』、興味深そうだ。
・『電車、バスに加え、シェアサイクルも  九州最大の都市・福岡市。日本最大級のバス保有台数を誇る西日本鉄道のお膝元とあって、街中では路線バスが絶え間なく発着を繰り返す。ここでは、その西鉄とトヨタ自動車が手を組んで、様々な移動手段を組み合わせたルート検索ができるアプリ「マイルート」の実証実験を2018年11月から始めている。 使い方はいたってシンプルだ。アプリを起動し、目的地を入力すると「到着が早い」「料金が安い」「乗り換えが少ない」の項目ごとに候補が表示される。ここまでは従来の乗り換えアプリと大差はないが、マイルートでは路線バスや電車に加え、シェアサイクルやレンタカーを使ったルートも表示される。 例えば、福岡市北東部にあるJR箱崎駅から約7キロ離れた城南区役所を目指すとする。「到着が早い」で初めに出てくるのはタクシーを利用する23分のルートだったが、画面をスクロールすると「JR鹿児島本線区間快速→福岡市地下鉄空港線→徒歩→サイクルシェア→徒歩」という乗り換えが表示されていた。このサイクルシェアというのはフリーマーケットアプリのメルカリグループが18年2月から福岡市で始めたシェアサイクルサービス「メルチャリ」で、市内の至るところに赤いメルチャリが置かれた「ポート」がある。 このルートで画面上の「ガイド開始」を押すと地図での案内が始まり、利用者はそれに従って乗り換えを進めていけば目的地にたどり着くことができる。かかる時間は箱崎駅出発から50分余り。時間だけを見るとタクシーの倍以上で手間もかかるが、移動費用はアプリ上では6分の1に抑えることができる。 マイルートでは西鉄バスのフリー乗車券の購入やタクシーの予約・決済もできる。これが様々な移動サービスを統合するMaaSの肝。移動ルートの検索だけでなく、予約・決済までできれば、利便性は高い。ただ、マイルートでは電車やバスの支払いをすることは「現在はできない」(西鉄未来モビリティ部企画開発課・日高悟課長)。MaaSとして普及させるには、さらなるサービス向上が課題になる』、「電車やバスの支払いをすることは「現在はできない」」、のでは単なる検索サービスだ。
・『AIが最適ルートを導く  「乗り合いタクシーをご予約された方はいませんか?」。伊豆半島の先端付近にある静岡県下田市の伊豆急下田駅で、到着したワゴン車から降りてきた男性が声を張る。観光地として知られるこの地では、東京急行電鉄やJR東日本が「観光型MaaS」の実証実験を4月から始めている。 使うのは「Izuko(イズコ)」という専用アプリ。現在地から目的地までの交通手段の検索をしたり、鉄道やバスのフリーパスや、観光施設の入場券を購入したりできるほか、地元タクシー会社が運行する乗り合いタクシーを呼べる。冒頭の男性はイズコで呼ばれた乗り合いタクシーの運転手だ。 観光客の8割が自動車を利用しているという伊豆では、鉄道など公共交通機関で訪れる観光客の掘り起こしが課題。そのためには、最寄り駅に到着してから観光地を巡る二次交通の整備がカギとなっている。特に、江戸時代に日米和親条約の付帯協定が結ばれた了仙寺や、そこに至るペリーロードなどがある旧市街地は最寄駅から離れており、移動手段の確保が欠かせない。そこで導入されたのが、この乗り合いタクシーだ。 4月5日にマスコミ各社を集めて行われた実証実験の体験会。乗り合いタクシーはイズコで目的地を入力して呼び出すと10分ほどで到着した。実際に乗って動き出すと、乗り合いタクシーが通る旧市街地の道路は狭いことに気づく。運転手は「旧市街地は観光スポットは多いのですが、道幅が狭くバスでは入れないところも少なくない」と説明してくれた。 この日に乗車したのは記者やカメラマンばかりで、乗車時に途中乗車する旅行客の姿はなかったが、あらかじめ決められた市内16カ所の乗降スポットでは乗り降りが可能だ。路線バスや周遊バスなどとは異なり、人工知能(AI)が乗り合わせた人の行き先などから最適なルートを導き出して、利用者に快適な移動を提供するのだという。 一方で、伊豆での実証実験でも課題は見受けられた。まずは福岡市のマイルートと同様に、アプリを使っての料金の支払いはまだ限定的な面が多い。実証実験では乗り合いタクシーの利用は無料だが、事業化にあたっては料金設定も必要になってくる。「課題は山積しているが、地域のあるべき交通の姿を実現するために、ITで世直しをしていきたい」と東急電鉄の森田創・事業開発室課長。利用者の不便を解消し、いかに利便性を高めていくか。 4月29日・5月6日号の日経ビジネス特集「移動革命 MaaS 世界が狙う新市場」では、世界各地で取り組みが進むMaaSについて取り上げている。MaaS先進地の米国ではどこまで便利になっているのか。ビジネスチャンスはどこにあるのか。普及に向けた日本の課題は何か。多方面から探った』、「福岡」、「伊豆」はあくまで「実証実験」のようであるが、いずれも「検索」が中心で、画期的なサービスはないようだ。

次に、7月2日付け東洋経済オンラインが掲載したモビリティジャーナリストの森口 将之氏による「日本の「交通革命」、欧州のMaaSにはほど遠い コロナ禍でテレワークやマイカー通勤が浸透」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/358482
・『新型コロナウイルスは、私たちの生活に不可欠だった「移動」そのものを控えなければいけないという難問を突きつけた。しばらくはウィズコロナの生活が続くことになる。 5月25日に国の緊急事態宣言が全面的に解除されたのに続き、6月19日には移動自粛も全面解除となり、国内に限れば自由な往来が可能になった。しかしいくつかの理由から、移動が完全に元に戻ることはないと予想している』、興味深そうだ。
・『都市部ではテレワークが進んだ  1つは大都市を中心に急速に普及したテレワークだ。東京では大企業だけでなく中小企業でも導入が進んでいる。6月に東京商工会議所が発表した数字によると、東京の中小企業のテレワーク実施率は3月の26%から倍以上増えた67.3%にもなっている。しかも日本生産性本部の5月の調査によれば、テレワークで働いた人の6割近くが、収束後もこの働き方を続けたいという。 緊急事態宣言が終了したことで以前の勤務スタイルに戻す会社もある。しかし一方で、テレワークを前提としてオフィスの縮小や廃止に踏み切った会社も多い。経費節減にもつながるので当然だろう。 例えば、菓子大手のカルビーは本社や営業拠点の社員約800人を対象に、原則在宅勤務などのテレワークとし、フレックス勤務のコアタイムを廃止するといった新しい働き方を7月1日から始めた。結果的に30%前後の出社率を目安とするという。通勤定期代の支給を止め、出社日数に応じた交通費を通勤手当とする。このほか、業務に支障がないと会社が認めれば、単身赴任も解除する。 大都市に対して地方では工場などの職場が多いこともあり、テレワークは進んでいないが、もともと普及が進んでいたマイカー移動が感染予防に有効という意見が多く出ており、事業者側がこれまで以上にマイカー通勤を促す動きもある。 観光需要について海外では、スイス政府など多くの組織や団体が、完全に回復するのは2022年という数字を出している。治療薬やワクチンの供給が始まったとしても、マインド面で旅行を控えておこうという人が残るためだろう。また国内旅行でいえば地方の通勤同様、感染リスクを避けるために公共交通の利用を控え、マイカーやレンタカーでの移動を選ぶ人が出てきそうだ。 訪日外国人観光客(インバウンド)については、IATA(国際航空運送協会)が5月、2019年の水準に回復するのは2024年になるとの見通しを示している。IATAによれば入国時の隔離措置などを敬遠している人が多いという。 いずれにせよ、大都市か地方かによらず、しばらくは公共交通の利用者が回復する見込みは薄い。とりわけ地方のバスやタクシーは、地域交通だけでは経営が成り立たないことから、インバウンドを含めた観光需要を収益の柱にしていたところが多かった。しかし日本政府観光局によれば、4月と5月の訪日外客数はいずれも前年同月比マイナス99.9%であり、苦境に陥っている事業者は多い。 日本モビリティ・マネジメント会議は、今回のコロナ禍で公共交通は最低でも総額3.5兆円の減収と試算しており、8月中旬までに事業者半数が倒産の危機と発表している』、「インバウンド」が殆どなくなった下では、「地域交通」「事業者」の苦境は深刻だろう。
・『欧米では公的支援も  こうした状況下で、必要とされるのは国の支援だろう。欧米諸国はいち早く動いており、自動車中心社会とみられがちなアメリカでも4月2日、感染拡大で深刻な影響を受けている公共交通機関に対し、総額250億ドルの緊急支援金を交付するとしている。 日本では4月20日、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」が閣議決定し、地方公共団体が地域に必要な支援をきめ細かく実施できるよう、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を創設した。ただしこの交付金は地域経済全般にわたる対策で、交通限定ではない。 しかもこれだけでは到底足りないという意見が多く出たことから、6月12日に成立した第2次補正予算では、前述の交付金が2兆円上積みされるとともに、地域の鉄道やバス、離島などへの航路や航空路を対象とした「地域公共交通における感染拡大防止対策」として138億円が盛り込まれた。 こうした交付金や補助金は、地方公共団体が自発的に申請して、初めて受け取れるものである。筆者が先日記事にした長野県上田市のように積極的に申請を行う自治体もあるが(2020年6月16日付記事「橋崩落の上田電鉄別所線『市民パワー』で復活へ」参照)、地域交通の実情を把握していない自治体では申請が行われず、最悪の結果に行き着くおそれもある。 またこうした交付金や補助金は、未来永劫に続くものではない。つまり交通事業者は交付金や補助金で苦境を凌ぎつつ、移動の変化に見合ったサービスに組み替えて行くことが求められる。 大都市の鉄道については、テレワーク普及による利用者数減少に合わせた、効率的な運行を目指すことになろう。その場合、首都圏は京阪神、京阪神は中京や札幌や福岡など、輸送規模の小さい都市圏の対応が参考になると考えている。利用者数に対してインフラに余裕がある状況なので、有料座席指定車両の組み込みがしやすくなるなど、これまで困難だったサービスの実現も可能になろう。 一方以前から経営合理化を徹底しており、必要に応じて補助金も受けていた地方の交通事業者は、マイカー移動への流出もあって限界的状況にあると想像する・・・』、なるほど。
・『流行語「MaaS」の今後は?  もう1つ、「MaaS(Mobility as a Service=サービスとしての移動)」も重要なツールになると筆者は考えている。 昨年、MaaSは流行語のような立ち位置にあった。経済メディアには「MaaS関連銘柄はこれだ」などといった文言が踊り、買い材料に乏しい小規模な上場企業がこの4文字に言及さえすれば、期待先行で株価が上がるなどという例が見られた。しかしコロナ禍で移動そのものが激減すると、MaaSの話題も潮が引くように聞かれなくなった。 でもそれは悪いことではない。浮ついた気持ちで参入した人々が姿を消したからだ。MaaSにおいては新型コロナウイルスがマスクの役目を果たし、本気で都市や地方のモビリティをよくしたいと考える事業者が残った。 事実、3月25日には東京メトロが「my! 東京MaaS」の開始、5月20日にはJR東日本が「MaaS・Suica推進本部」の新設を発表するなど、最近は大手交通事業者の動きが目立っている。小田急電鉄はMaaSアプリ「EMot(エモット)」の実証実験を12月末まで延長する。 コロナ禍でのMaaSの役割は、ソフトウェアだからこそできる、乗りたくなる仕組みの構築だと考えている。 大都市では、感染防止の観点から利用が増えている自転車などのパーソナルモビリティとの連携が大切になりそうだ。雨の日は鉄道に切り替えたりする人々を着実に取り込むためである。また経路検索時に駅や列車の混雑状況案内を連携させれば、状況に応じて移動手段を変えたりできる。こうしたサービスも利用促進につながるはずだ。 ただし日本の大都市は複数の交通事業者が競合する状態で、東京23区では鉄道事業者だけでも10以上に分かれる。MaaSにしても個々の事業者の周辺のモビリティの統合に留まっており、市内の鉄道、バス、タクシー、自転車シェアリングなどあらゆる交通をシームレスにつないだフィンランドの首都ヘルシンキの「Whim」の足元にも及ばない。 理想は欧米の多くの都市が実践している1都市1事業者への統合であり、現状維持の中でデジタル化したモビリティサービスを導入し、それをMaaSと呼び続けるのであれば、利用者や都市環境のことを第一に考えた真のMaaSは永遠に手にできないのではないかと思えてくる。 一方、地方はマイカー移動になびいた地域住民を公共交通に呼び戻すのに効果があると思っている。そもそもMaaSはマイカー並みのシームレスな移動を提供することで、公共交通の利用率を高め、環境問題や都市問題を解消するために生まれたからだ。 地方は鉄道やバスの事業者数が少ないので、統合は楽である。地域の商店や飲食店なども取り込むことができれば、大都市から移住してきた人も満足できるサービスが実現できる。損得勘定を抜きで考えれば、MaaSは地方に向いているのである。 さらに大都市を含めて、MaaS導入によって移動データの取得が可能になることにも注目したい。もちろん個人情報には留意する必要はあるが、「ウィズコロナ」や「アフターコロナ」の移動計画が立てやすくなるというメリットがある』、「日本の大都市は複数の交通事業者が競合する状態で、東京23区では鉄道事業者だけでも10以上に分かれる。MaaSにしても個々の事業者の周辺のモビリティの統合に留まっており、市内の鉄道、バス、タクシー、自転車シェアリングなどあらゆる交通をシームレスにつないだフィンランドの首都ヘルシンキの「Whim」の足元にも及ばない。 理想は欧米の多くの都市が実践している1都市1事業者への統合であり、現状維持の中でデジタル化したモビリティサービスを導入し、それをMaaSと呼び続けるのであれば、利用者や都市環境のことを第一に考えた真のMaaSは永遠に手にできないのではないかと思えてくる。地方はマイカー移動になびいた地域住民を公共交通に呼び戻すのに効果があると思っている」、その通りなのかも知れない。
・『デジタル対応はやはり鈍い  課題がないわけではない。1つはこの国のデジタル対応の鈍さだ。日本はデジタルに人も金もかけたがらない。その結果、使い勝手から安全性まで不完全なシステムが構築され、トラブルが発生したりハッカーの侵入を受けたりしている、という指摘もある。 しかもこの国は、現状を変えたくないという保守的な風潮が根強い。たとえば働き方では、昨年の上陸時も、計画運休が発表されていたにもかかわらず、多くの通勤者が運転再開を待って長蛇の列を作るなど、会社に行くことが仕事と考える人が多く見られた。今回テレワークが広がったのは感染という身の危険があったからであり、このような重大な変化がない限り社会を変えるのは難しい。 逆に言えば、今の日本はMaaSのようなデジタルテクノロジーは、改革の余地が十分に残されていることになる。テレワークの一段の浸透など、きっかけさえあれば、公共交通の経営改革を前進させる助けになるのではないかと考える』、「きっかけさえあれば、公共交通の経営改革を前進させる助けになるのではないか」、僅かな望みにすがるしかないのは、残念至極である。

第三に、8月3日付け東洋経済オンライン「孫正義社長の懐刀が明かす「MaaS」次の一手 モネ・テクノロジーズの宮川社長に聞く」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/366330
・『2018年に発表されたトヨタ自動車とソフトバンクという異業種大手の提携は日本の産業界を驚かせた。そして両者の共同出資で、自動配送や移動店舗など、次世代移動サービスの「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の開発のために設立されたのが、モネ・テクノロジーズだ。 モネにはその後、日野自動車やホンダ、SUBARUやマツダなど国内自動車メーカー7社が出資し、連合を拡大。新サービス開発に取り組む事業者による「MONETコンソーシアム」も設立し、既に580社以上の企業が加盟(2020年7月現在)。今年4月から、モネはデータプラットフォームの本格運用を始め、移動データの管理や分析、課金や顧客管理、モビリティサービスに必要な機能を提供している。 モネを率いる宮川潤一社長はソフトバンクグループの孫正義社長の懐刀として、長らく日米で通信事業に携わってきた。コロナ禍で々の生活様式が大きく変わる中、モネは何を目指しているのか。宮川社長を直撃した(Qは聞き手の質問、Aは宮川氏の回答)』、「モネ」の実態とは興味深そうだ。
・『われわれにとってチャンスばかり  Q:モネが複数の自治体と行っているオンデマンドバス(専用アプリで予約し、指定した時間にバスに来てもらうサービス)などの実証実験は新型コロナの影響を受けたのでしょうか? A:地方の交通弱者を対象にしたオンデマンドバスの実証実験は導入に向けての話し合いが5月から6月にかけて1カ月ぐらい停まった。サービスを利用した人の数は緊急事態宣言が4月に発表されたときは2~3割減ったが、またすぐに回復している。 コロナ禍で相乗りを敬遠する動きがあると思っていたが、利用する人数が戻ったのだから、もう「生活の足」として定着しているということ。近所のよく顔の知った人たちばかりの相乗りだから、あまり影響を受けなかったという印象だ。 Q:とはいえ、シェアリングやライドシェア(相乗り)にはコロナ禍で逆風が吹いています。 A:個人的には厳しくなると思う。車両やサービスも従来とは違うものが求められている。実は、モネは新型コロナの感染防止策を取った車両の開発を進めている。 まだ試作段階だが、ドライバーと乗客の間に間仕切りをするだけでなく、換気システムを設置することで、空気が交わらないようにする。それは、病院同士をつなぐ車として使うことを想定している。 シェアードビジネスにとっては嫌な時期が来たのは事実だが、モネにとってはビジネスチャンスばかりだ。モネコンソーシアムの会員企業にアンケートをしたら、9割が(業績の)影響を受けているという。 それでも、35%の会員企業が2021年度中に(移動を絡めた)サービスを開始したいと。急に言い出した感じだ。 Q:これまでMaaSに関しては様子見の企業が多かったように思います。企業の考え方がなぜ変わったのでしょうか。 A:みんな自粛して巣ごもりが嫌だったんじゃないのかな。外出できるとしたらどんな方法があるんだろうと考えたのかもしれない。移動手段として感染症対策ができた車の配車があったらよいという人もいた。 今回のコロナ禍ではフードデリバリーばかりがクローズアップされたが、われわれへの問い合わせでいちばん多かったのは医療MaaSだった』、確かに「医療MaaS」のニーズも強そうだ。
・『「PCRカー」もつくりたい  長野県伊那市で看護師を乗せた車両で患者のところに行き、病院にいるドクターが遠隔で診察する実証実験をやっている。そういった車両を導入できないかという自治体からの問い合わせはものすごくあった。高齢者が病院まで行くのは感染リスクがあるから、診察をする車が来てくれたらベターというわけ。 自治体からは行政サービスを“移動させたい”という要望もたくさんもらった。住民票や印鑑証明書を出張サービスで発行したいと。テクノロジー的には十分可能なので後は行政自身がデジタル化してくれたらいい。 本当は(新型コロナの感染を検査する)「PCRカー」を作りたいと思っている。なかなか許可をもらえないだろうなと思いながら。 Q:モネはもともと、地方での移動手段の提供などMaaSによる社会課題の解決を掲げていました。新型コロナで貢献できる領域が増えたわけですね。 A:まさにそれを痛感している。 「たられば」を言ってもしょうがないが、もし自動運転車があって、この新型コロナを迎えていたら、われわれはもっと社会の役に立つ会社だったと思う。ドライバーの感染リスクもなくなるし、滅菌システムを搭載することで乗客の降車後に消毒もできるのだから。 「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、「孫正義氏と豊田章男氏の共通点と相違点」「ソフトバンクとトヨタの企業文化の違い」「モネ・テクノロジーーズによるサービス拡大のシナリオ」「海外展開の考え方」などを率直かつ詳細に語っている』、「モネはもともと、地方での移動手段の提供などMaaSによる社会課題の解決を掲げていました。新型コロナで貢献できる領域が増えたわけですね」、「高齢者が病院まで行くのは感染リスクがあるから、診察をする車が来てくれたらベターというわけ」、その通りなのだろう。

第四に、8月18日付け東洋経済オンライン「なぜ自分が?「MaaS」生みの親が語る苦難の道筋 東急の「観光型MaaS」リーダー、2年間の「戦い」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/369737
・『近年、交通関係のキーワードとして話題にのぼることの多い「MaaS(マース)」。スマートフォンなどIT技術を活用して鉄道やバス、タクシー、自転車などさまざまな交通手段を1つのサービスとして結び付け、スムーズな移動を可能にしようという取り組みだ。 東急やJR東日本などは2018年4月から今年3月まで、伊豆半島で2回にわたり観光型MaaS「Izuko(イズコ)」の実証実験を展開した。同プロジェクトのリーダーを務めた東急の交通インフラ事業部課長、森田創氏は7月、事業の立ち上げから実証実験までの舞台裏を描いたドキュメンタリー『MaaS戦記 伊豆に未来の街を創る』(講談社)を出版した。 森田氏はこれまでに2冊の著書があるノンフィクション作家としての顔も持つ。MaaSプロジェクトの裏側と、自らがリーダーを務める事業を題材とした作品への思いについて聞いた(Qは聞き手の質問、Aは森田氏の回答)』、仕事をしながら、「事業の立ち上げから実証実験までの舞台裏を描いたドキュメンタリー『MaaS戦記 伊豆に未来の街を創る』を出版した」、とは感心した。
・『MaaSと聞いて「ムースですか?」  Q:2018年春に広報課長から新設のMaaS担当部署に異動されたのが、今回の「Izuko」のプロジェクトの始まりですね。MaaSについてはもともと関心があったのでしょうか。 A:知らなかったです。最初にMaaSをやれと言われたときはムースと聞こえたので、「お菓子ですか?」と言ったら社長に「バカかお前は」と(笑)。すぐに「モビリティ・アズ・ア・サービス」で検索したんですが、そのとき(2018年3月)は日本語で体系化されたレポートはまだなくて、日本では言葉としてもまだ広まっていませんでした。 Q:野本弘文社長(当時。現・東急会長)にMaaS担当部署への異動を告げられる際、「場所は北海道がよさそうな気もするが、それも含めて自分で考えろ」と言われる場面が出てきます。当初から伊豆を念頭にスタートしたプロジェクトではなかったのですね。 A:そうなんです。伊豆を選んだきっかけは2018年の5月下旬、スマホをいじっているときにJRが翌年4月から「静岡デスティネーションキャンペーン(DC)」を行うというのを見つけて、これはいけるんじゃないかと思ったことですね。伊豆は伊豆急行をはじめ東急グループが展開する重要拠点ですし、実証実験で頻繁に現場に行くことを考えると、(会社のある)東京から行きやすいメリットもある。そして静岡DCが追い風になるなと。この3点で、伊豆を舞台にしようと決めました。 Q:MaaS担当を命じられた当初は「まったく乗り気ではなかった」と。かなり落胆されたようですね。 A:そもそも僕は異動で違う仕事をするはずだったんです。そこで「何で自分がMaaSなんだよ」というのもありましたし、自分は過去に交通事業の経験がゼロでしたから、自信がないというのもありました。交通はしがらみがあるというイメージもあって。鉄道は鉄道、バスはバス、と厳然とした垣根があるところをシームレスにするような仕事だなと思うと、漠然とこれは猛反発を受けるのではないか、自分にできるのだろうかと。 Q:プロジェクトチームは森田さんと3人の部下でスタートしています。チームのメンバーはかなり個性的な方々だったようですね。 A:個性的すぎましたね。1人は英語が母国語の不思議な奴、1人は一言も話さない、そして1人は「僕はマグロだから泳ぎ続けないと死んでしまう」といって来ない。最初はやったこともないことをこのメンバーとどうやって進めていくのか、本当に手探りでした。 他社との協力を進めるときも、どこにいけば誰がいるのか、いろいろな人に聞いて会いに行って仲間を増やして……という感じで。ヘンテコなメンバー3人を引き連れてトコトコ歩いていくという、なんだか「ドラクエ」みたいですね。呪文とか魔法は使えないんですけど(笑)。 でも今回本を書いて、彼らに本当に助けられたんだなと改めて素直に感謝できました。本当にありがたいことだなと思っています』、「ヘンテコなメンバー3人を引き連れて」、当初は大変だろうが、「チーム」の多様性が発揮されて成功につながったのかも知れない。
・『手探りで続いた改善  Q:「Izuko」の実証実験は2019年4月1日~6月30日の「フェーズ1」と、同年12月10日~2020年3月10日の「フェーズ2」の2期に分けて行われました。最初は不安も多く手探りだったとのことですが、「これでいける」と自信が持てたのはいつ頃ですか。 A:今年の2月ですね。それまでは本当に不安だらけでした。フェーズ1はとにかく静岡DCに合わせて立ち上げるんだということで、最初の1年間は正直なところそれだけで必死だったんです。フェーズ2はサービスの見直しを図り、スマホのアプリからブラウザ上でウェブサービスを使う形に切り替えて、使いやすさは大幅に向上しました。 でも、フェーズ2を開始してしばらくはそれほど利用が増えなかった。いけるなと思えるようになったのは伊豆にとって繁忙期の2月に入ってからです。フェーズ2では管理画面でどんなお客様がどの商品をいつ買ったか、どの商品がどこで売れているかといった傾向が見られるので、お客様に合わせた提案の仕方や宣伝の方法などのコツを完全につかんできたんですね。 ところが2月後半になると新型コロナの影響が表れてきて……。不完全燃焼ではないですが、こんなはずじゃなかったという思いは多少なりともありました。ただ、画面を見せるだけで交通機関などを利用できるMaaSは対人接触を避けたい今の行動様式に適していますし、まさに出番なのではないかと思います。 今秋からフェーズ3を再開しますが、次は実証実験を超えて、本当に伊豆のためになるサービスになれるかどうかが試されると思っています。 Q:紙のフリーパスなどと違う、デジタルサービスの「Izuko」の強みは何ですか。 A:移動データが取れて、商品を最適化できることです。伊豆は季節波動が大きいので、一瞬の繁忙期に合わせて人員計画は組めませんし、人手が少ないのでアルバイトを集めるのも難しい。季節ごとや曜日ごとの傾向などがあらかじめわかっていれば対策が取れます。これは、地域全体で人が減っていく中でどのように最適化して(観光客への対応などを)回していけるかを考えるうえで、極めて重要だと思います』、「デジタルサービスの「Izuko」の強みは・・・移動データが取れて、商品を最適化できることです」、確かに強味のようだ。
・『自分のプロジェクトを題材にした理由  Q:森田さんはすでにノンフィクション作品の著書2作があり、今回が3作目です。自らがリーダーを務めるMaaSプロジェクトをテーマにしようと思った理由は? A:昨年2月に編集者の方と話をしたとき、別の題材で3作目の提案をしたんですが、「ところで今、仕事では何をやっているんですか」と聞かれて。それで、MaaSをやれと言われたものの自分はIT音痴で部下は不思議ちゃんばっかりで泣きそう、という話をしたんです。そうしたら「それだ」と。 僕は2013年まで「渋谷ヒカリエ」内の劇場「東急シアターオーブ」の立ち上げを担当していました。劇場で世界中から選んだ作品をかけるという仕事は本当に大変だったんですが、初日に観客のスタンディング・オベーションを見た瞬間にすべての苦労が報われる幸福感は本当に大きくて、自分のキャリアの中で一番熱い時代でした。 著書の1作目、2作目は、その「魂の居場所」というか、表現の場を失ったことに対する「代償行為」の面があったんです。でも今作は、苦労や失敗を重ねつつ日々迷いながらやってきた、リアルな自分の生きた証しだと思います。 あの熱い時代は戻ってこない、別の形で自己表現を――と思って書く活動を始めたんですが、もう断絶したと思っていた劇場時代の「ショー・マスト・ゴー・オン」という精神が、この2年間夢中で走り続けてきた中でちゃんと(自分の中に)生きていたんだと、書くことを通じて再認識できたのがとてもうれしかったですね。 Q:「ショー・マスト・ゴー・オン」。文中では「ショーは続けなくてはならない」という直訳から転じて、「『人生に何が起きたとしても、毎日は続いていく。あきらめずに生きていけ』という、逆境に置かれた人を励ます言葉」として登場します。 A:今は会社も伊豆もチームも苦しい時期ですけど、でも明日があると思っている限り明日はあると。その明日を拓くために、僕は地元の人たちとがんばって伊豆に貢献していきたいですし、日本を代表するMaaSの事例となったIzukoを参考にしてもっといいMaaSが展開していけば、日本全体が良くなっていくと思っています。 異動の時、最初に野本(社長)からMaaSは「『東急のため』でなく日本のためにやれ」と言われたんですね。志を高く持ってやり続けるということが大事だと思います。やっぱり、たどり着く境地は「ショー・マスト・ゴー・オン」なんです』、「たどり着く境地は「ショー・マスト・ゴー・オン」なんです」、なかなかカッコイイ仕事ぶりのようだが、「MaaS」とは距離が離れてしまったようだ。
タグ:東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン MAAS (その1)(MaaSって何? 国内の最前線・福岡に行ってみた、日本の「交通革命」 欧州のMaaSにはほど遠い コロナ禍でテレワークやマイカー通勤が浸透、孫正義社長の懐刀が明かす「MaaS」次の一手 モネ・テクノロジーズの宮川社長に聞く、なぜ自分が?「MaaS」生みの親が語る苦難の道筋 東急の「観光型MaaS」リーダー、2年間の「戦い」) 「MaaSって何? 国内の最前線・福岡に行ってみた」 MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス) 電車、バスに加え、シェアサイクルも AIが最適ルートを導く 「福岡」、「伊豆」はあくまで「実証実験」のようであるが、いずれも「検索」が中心で、画期的なサービスはないようだ 森口 将之 「日本の「交通革命」、欧州のMaaSにはほど遠い コロナ禍でテレワークやマイカー通勤が浸透」 都市部ではテレワークが進んだ 「インバウンド」が殆どなくなった下では、「地域交通」「事業者」の苦境は深刻だろう 欧米では公的支援も 流行語「MaaS」の今後は? 日本の大都市は複数の交通事業者が競合する状態で、東京23区では鉄道事業者だけでも10以上に分かれる。MaaSにしても個々の事業者の周辺のモビリティの統合に留まっており、市内の鉄道、バス、タクシー、自転車シェアリングなどあらゆる交通をシームレスにつないだフィンランドの首都ヘルシンキの「Whim」の足元にも及ばない。 理想は欧米の多くの都市が実践している1都市1事業者への統合であり、現状維持の中でデジタル化したモビリティサービスを導入し、それをMaaSと呼び続けるのであれば、利用者や都市環境のことを第一に考え デジタル対応はやはり鈍い きっかけさえあれば、公共交通の経営改革を前進させる助けになるのではないか 僅かな望みにすがるしかないのは、残念至極である 「孫正義社長の懐刀が明かす「MaaS」次の一手 モネ・テクノロジーズの宮川社長に聞く」 トヨタ自動車とソフトバンクという異業種大手の提携 モネ・テクノロジーズ 既に580社以上の企業が加盟 データプラットフォームの本格運用を始め、移動データの管理や分析、課金や顧客管理、モビリティサービスに必要な機能を提供 われわれにとってチャンスばかり 「医療MaaS」のニーズも強そうだ 「PCRカー」もつくりたい モネはもともと、地方での移動手段の提供などMaaSによる社会課題の解決を掲げていました。新型コロナで貢献できる領域が増えたわけですね 高齢者が病院まで行くのは感染リスクがあるから、診察をする車が来てくれたらベターというわけ 「なぜ自分が?「MaaS」生みの親が語る苦難の道筋 東急の「観光型MaaS」リーダー、2年間の「戦い」」 事業の立ち上げから実証実験までの舞台裏を描いたドキュメンタリー『MaaS戦記 伊豆に未来の街を創る』を出版した MaaSと聞いて「ムースですか?」 ヘンテコなメンバー3人を引き連れて 当初は大変だろうが、「チーム」の多様性が発揮されて成功につながったのかも知れない 手探りで続いた改善 デジタルサービスの「Izuko」の強みは 移動データが取れて、商品を最適化できることです 自分のプロジェクトを題材にした理由 たどり着く境地は「ショー・マスト・ゴー・オン」なんです
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外食産業(その2)(114店を閉鎖「いきなり!ステーキ」復活への険しい道のり、ワタミが「焼肉」へ大胆転換せざるを得ない事情 ウィズコロナ戦略で居酒屋の3分の1を新業態へ、ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない訳 「1000円の壁」突破する仕掛けが生き残りの鍵だ) [産業動向]

外食産業については、昨年8月25日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(114店を閉鎖「いきなり!ステーキ」復活への険しい道のり、ワタミが「焼肉」へ大胆転換せざるを得ない事情 ウィズコロナ戦略で居酒屋の3分の1を新業態へ、ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない訳 「1000円の壁」突破する仕掛けが生き残りの鍵だ)である。

先ずは、本年7月9日付け日刊ゲンダイが掲載した経済ジャーナリストの重道武司氏による「114店を閉鎖「いきなり!ステーキ」復活への険しい道のり」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/275730
・『崖っぷちからひとまず生還――といったところか。外食チェーン大手のペッパーフードサービスが安価なステーキが主体の洋食事業「ペッパーランチ」の売却に踏み切る。売却資金は、今月末に期限の迫っている短期借入金20億円の返済原資や主力「いきなり!ステーキ」事業のリストラ費用などに充てる。単体ベースで約70億円の売却益を計上できる見込みで、債務超過転落の危機に瀕していた財務基盤も「一息つく」(関係者)格好だ。 売却するのは6月に本体から分離したペッパーランチ運営子会社、JP社株。人気アパレル「WEGO」の買収などで知られる独立系投資ファンドのJ―STARに8月末メドに譲渡する。売却金額は85億円だが、JP社の収益目標達成度合いに応じて最大102億円まで増額される。 ペッパーフードは「いきなり」の急速大量出店などがたたって2019年12月期で27億円強の最終赤字に陥った。このため自己資本比率が同12月末時点でわずか2%に低下、債務超過が目前に迫っていた。この間、資金の流出も加速。現預金は1年間で42億円超目減りして24億円余にまで落ち込むなど手元流動性は一気に逼迫した。 そこに襲い掛かったのがコロナ禍だ。多くの店舗が休業を余儀なくされ、株価低迷で3月には増資も中断。6月には2位株主で主要取引先の食肉製造、エスフーズの村上真之助社長個人から借金して当座の資金繰りをしのがざるを得ないハメに追い込まれるなど経営は「綱渡り」(事情通)状態に陥っていた』、「「いきなり」の急速大量出店」では、ニューヨークにまで出店したが、苦戦していたようだ。
・『全国で114店舗を閉鎖  それだけにJP売却収入はまさに「干天の慈雨」。これを元手として「いきなり」主体に全国で114店舗を閉鎖。対象店舗の従業員を中心に200人規模での希望退職も実施する。 もっとも市場関係者の間ではこれが「いきなり」再生の足掛かりになるか、危ぶむ声も少なくない。国内ステーキ市場は規模が限られるうえ、「ステーキガスト」や「やっぱりステーキ」といった競合店が勢力を広げるなど競争環境は日増しに厳しさを増しているからだ。金融筋からは「立て直しにつまずけば『いきなり!倒産』もあり得る」との声もちらほら』、「ペッパーランチ」が「85億円」で売れたので、まさに「干天の慈雨」だが、「国内ステーキ市場」の「競争環境は日増しに厳しさを増している」、「再生」できるかどうかは予断を許さないようだ。

次に、10月13日付け東洋経済オンラインが掲載した経済評論家、百年コンサルティング代表の鈴木 貴博氏による「ワタミが「焼肉」へ大胆転換せざるを得ない事情 ウィズコロナ戦略で居酒屋の3分の1を新業態へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/380954
・『居酒屋チェーン大手のワタミが居酒屋360店舗のうち120店舗をこれから1年半かけて焼肉店「焼肉の和民」に業態転換をする方針を打ち出しました。新型コロナウイルスの影響で今年8月の居酒屋の売り上げは対前年42.3%(日本フードサービス協会調べ)と6割近く下落しています。 一方で焼肉店は85.6%(同)と9割近くまで回復しているという事情があります。そこでワタミでは居酒屋のうち主に郊外に立地する店舗を焼肉業態に転換しようというのです。 今回の記事のキーワードは「ウィズコロナ」。ワタミの渡辺美樹会長はコロナ後も居酒屋市場は従来の7割に戻らないと想定しているそうです。ウィズコロナ時代、仕事帰りに居酒屋で同僚と飲んで帰る需要は確かに減りそうです。そもそもリモートワークが増えるので世の中の需要構造は長期にわたって変わってしまうわけです。 ではなぜ焼き肉屋なのか?2つの観点でウィズコロナ時代の飲食店の変化についてまとめてみたいと思います』、興味深そうだ。
・『国内牛肉市場の需給が大きく崩れた?  まず1つ目の視点は和牛です。ワタミのニュースよりも少し前、2020年9月にトリドールが経営する丸亀製麺で5日間、数量限定の特別メニューが登場しました。「神戸牛すき焼きうどん(982円、税別)」と「神戸牛づくし膳(1618円、同)」です。 1000円を切る価格で神戸牛というのは外食産業の原価を知っている立場としては破格のメニューだと感じました。実際に食べに行きましたが、肉質に関して言えば高級店と遜色がない、すばらしい一皿でした。 吉野家では10月5日からやはり数量限定で創業以来初の黒毛和牛を使ったメニューである「黒毛和牛すき鍋膳(998円、税別)」を発売しました。従来のアメリカ牛を使った「牛すき鍋膳(648円、同)」も併売しているのですが、食べてみると黒毛和牛はやはり違います。部位としてはバラ肉を使っているとはいえ、一流のすきやき専業店の昼のランチと比べその味に違いはありません。 吉野家の場合もバイヤーの7年にわたる悲願のメニューだったそうです。実現した大きな理由は新型コロナで「国内の牛肉市場における生産と消費のバランスが適正でない状況」になったことが大きいようです。今年4月に話題になったように新型コロナによって接待需要が大幅に減ったことで黒毛和牛の在庫が大幅に増えてしまったわけです。 そこであくまで数量限定ということではあるのですが、大手飲食チェーンの特別メニューとして黒毛和牛商品が比較的手が届きやすい価格で登場しました。ここまではコロナの真っ最中のありえそうな出来事ではありました。しかしここでアフターコロナはどうなるのかという新しい問題があります。そこでワタミなのです。 アフターコロナでも居酒屋の売り上げは7割しか元に戻らないというのがワタミの想定ですが、その想定が正しければ高級黒毛和牛の生産者にとってもウィズコロナ時代には黒毛和牛の需要は7割程度しか元に戻らないことが考えられるかもしれません。ここでワタミが「独自にブランド牛の和民和牛を開発した」という話に意味が出てきます。 ウィズコロナの時代、黒毛和牛の生産者組合も需要構造を変える必要が出てきます。短期的にはトリドールや吉野家に提供したような形で期間限定メニューで余剰在庫をさばくとしても、長期的に需要が戻らないとすれば長期安定的に供給できるエンドユーザーが必要になる。ワタミと生産農家がこのようなタッグを組み始めたことがまずウィズコロナ時代の未来の和牛の需給を予感させる最初のポイントとして注目すべき点だと思います』、「ウィズコロナ」時代の「ワタミ」の戦略は、確かに要「注目」だ。
・『もっと少ない人数で同じサービスを提供できないか  さて、ウィズコロナ時代の経営に関する2つ目の視点は生産性です。飲食店の経営者にとってアフターコロナになったとしても以前のようには顧客が戻ってこないことが1つの悩みです。短期的に顧客が減ったのも確かですが、長期的に減った顧客の一部は二度と戻ってこない可能性がある。ではどうすればよいか?店舗運営の生産性を変える必要があるのです。 たとえウィズコロナ時代に収入が減ったとしても、店舗経営の観点ではコストも下がれば利益は維持できる可能性があります。ただ飲食店の場合、食材の原価を下げるわけにはいかないとすると、最もカイゼンしやすいのは従業員の人数です。もっと少ない人数で同じサービスができないかを飲食店経営者が考えなければならない時代なのです。 東京の目黒にラッセというイタリア料理店があります。ミシュラン一つ星の高級店なのですが、ほかの飲食店がコロナで大打撃を受ける中で今年3~5月で黒字を出したことで注目を集めました。 ラッセのオーナーシェフの村山太一さんはとても面白い発想をする方で、9年間ミシュランの星を維持する一方で、このままではだめだと考え2017年に休日はサイゼリヤでバイトを始めます。そこでサイゼリヤのさまざまな生産性向上手法を観察し、それをラッセに持ち込みました。 結果を言えばそれまで9人必要だった従業員が4人でお店を回せるようになったそうです。スタッフ1人当たりの売り上げは、2018年と2019年の比較で2.2倍になった一方で、1日当たりの従業員の労働時間はそれまでの16時間から9時間半へと4割減ったといいます。つまりお店の生産性が画期的に向上したのです。 村山太一さんの書かれた著書『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』(飛鳥新社)を読んで私も興味を持ってラッセに出かけてみたのですが、確かにお店は4人で回っていました。フロアが2人、厨房が2人、それでもサービスにまったく不満を感じませんでしたし、食事の内容については大満足でした。 わたしたちコンサルティング業界の用語で、顧客の付加価値にならない業務を発見してその仕事をカイゼンする手法のことをバリューエンジニアリングと言います。高級飲食店の場合はこのバリューエンジニアリングの余地がかなりあるようです。例えばラッセの場合、テーブルクロスのアイロンがけをやめて、しわ伸ばしスプレーで済ませるようにしたのですが、これはバリューエンジニアリングの実例です』、「ラッセ」の「オーナーシェフ」が、「休日はサイゼリヤでバイト」、「さまざまな生産性向上手法を観察し」、「それまで9人必要だった従業員が4人でお店を回せるようになった」、「高級飲食店の場合はこのバリューエンジニアリングの余地がかなりあるようです」、というのは確かだ。
・『居酒屋チェーンのブレークスルーが業態転換か  飲食店の厨房にはグリストラップという油や野菜クズなどが下水に流れるのを防ぐ装置があります。通常のお店のグリストラップは掃除が大変でラッセでも週3回3時間かけて油でぎとぎとになった装置を掃除していました。サイゼリヤにはその掃除が9分で済むグリストラップがあったそうです。一般の飲食店が週9時間、本来はやらなくてはいい作業をしていたことが、サイゼリヤとの比較でわかったという事例です。 ラッセのカイゼンにはさらに奥深いものがあるのですがここではこれくらいの紹介にとどめておきます。ひとことでまとめると、一般の飲食店には生産性という観点でいえば大きな生産性改善の余地があるのです。 ただ、私もコンサルになる前はマクドナルドで働いていた経験があるのでわかるのですが、大規模飲食チェーンではこのようなエンジニアリングはかなり進んでいて、一般の飲食店と比較すると生産性の改善の余地は大きくはありません。ですからウィズコロナで需要が7割になったら従業員も7割に減らすというのはなかなかできないことです。 そこでブレークスルーになるのが業態転換だということなのかもしれません。居酒屋と比較すれば焼肉店の運営は従業員の人数が少なくても運営できます。 これは細かくいえばセントラルキッチンにどれだけ工程を委ねるかという割り切りにも関係してきます。セントラルキッチンのある大手焼肉店でも品質にこだわるお店は、枝肉を部位ごとに切り出すとそこで真空パックして店舗に配送します。店舗では職人さんが注文に応じて包丁で肉を切る。そうすればよりおいしく焼肉を提供できます。 しかし冷凍技術や保存技術が進んでいるいまではセントラルキッチンで肉を一口サイズに切ったうえでパッキングして、店舗ではそれをならべるだけというオペレーションも可能です。実際サイゼリヤはこの方式でやっていて、サイゼリヤの厨房には包丁がないことで知られています』、「セントラルキッチン方式」を徹底した「サイゼリヤの厨房には包丁がない」、初めて知った。
・『実際に「焼肉の和民」を訪れて見えたのは?  まだ「焼肉の和民」の場合、2店舗(大鳥居駅前店=東京都大田区、横浜店=横浜市西区)がグランドオープンした段階でどこまで生産性を重視していくかはこれから絞っていく段階だとは思います。 実際に店舗を訪問してみたところ、オープン数日後の段階ではたくさんの従業員が忙しそうに働いていらっしゃいました。しかしそれでも本来、焼肉業態は居酒屋業態と比較して厨房の人数はデフォルトで少なく設定することができます。仮に包丁をなくし、サイドオーダーの調理もなくせば、人員数はかなり圧縮できる余地はあるはずです。 同時に「焼肉の和民」では回転寿司チェーンと同じように自動レーンで焼肉を届けたり、ロボットでの配膳を試行したりしています。これらの工夫も将来的に従業員の人数を少なくしたオペレーションを追求するにあたっては有効です。 飲料のドリンクバーでの提供はウィズコロナ時代には消毒など、従来よりは手間がかかると思われますが、このあたりは試行錯誤という感じでしょうか。 そもそもタッチパネルでの注文もグローバルにみれば時代遅れで、デジタルトランスフォーメーション時代であればQRコードを読み込んでスマホで注文するほうが合理的です。ただこういった遅れている箇所があるというのは、言い換えれば「焼肉の和民」にまだまだ生産性改善の余地、つまり利益向上の余地があるということでしょう。 今回のニュースをまとめてみると、ワタミが焼肉店に業態転換するというのはウィズコロナ時代を見据えた飲食店経営の戦略として学ぶべき点がたくさんあると思います。中でも今回取り上げた、アフターコロナでの生産者の需給に着眼することや、業態転換をする中で生産性向上を試行していくことは多くの飲食店経営者にとっての示唆があるように思います。 ただ個人的には早く居酒屋で騒げる日常が戻るといいなとは思っていますが、それはまた別の話ですね』、外食業界も「ウィズコロナ時代」に即した形に変化していくのだろう。

第三に、10月23日付け東洋経済オンラインが掲載したラーメンライター/ミュージシャンの井手隊長による「ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない訳 「1000円の壁」突破する仕掛けが生き残りの鍵だ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/382861
・『新型コロナウイルスの影響で、ラーメン店の倒産が近年稀に見る件数となりそうだ。 帝国データバンクが10月8日に発表した調査によると、ラーメン店の倒産は2020年1~9月に34件判明している。この時点でここ20年で最多となる昨年(2019年)の36件に並ぶ勢いとなっており、このペースで倒産が続くと過去20年における年間最多倒産件数の更新がほぼ確実となっている。 緊急事態宣言下の休業要請はもちろん、コロナ感染を怖れた消費者が外食を手控える中、飲食店側はテイクアウトや宅配に力を入れている。ところが、ラーメンはその輪の中になかなか入れないでいた。 自分で調理する材料一式をテイクアウトとして販売するお店やチェーンは一部あるが、ラーメンは運んでいる間に麺が伸びてしまうので、テイクアウトや宅配には圧倒的に向かない。弁当やサイドメニューを充実させたり、冷凍ラーメンを開発したりする店もあったが、体力のない個人店にはとうてい難しく、筆者が知る限りでもこのコロナ禍で閉店に追い込まれる店は数多い』、「ラーメンは運んでいる間に麺が伸びてしまうので、テイクアウトや宅配には圧倒的に向かない」、「このコロナ禍で閉店に追い込まれる店は数多い」、確かに「ラーメン店」の「閉店」は多そうだ。
・『そもそもラーメン店は薄利多売型  そもそもラーメン店は薄利多売型のビジネスだ。根っこにあるのは、古くて新しい「1000円の壁」という事実だ。 どんなにおいしくとも、どんなに高級食材を使っていても、ラーメン1杯の価格が1000円を超えると食べる側は心理的に「さすがに高い」と感じてしまう。多くのラーメン店は原価や人件費などを鑑みながら、1000円以内の価格を守ってきただけでなく、全体で見れば低価格志向がどんどん強まってきた。 総務省の「小売物価統計調査(東京区部、12カ月移動平均値)」によると、ラーメンの1杯当たりの価格は2020年8月時点で523円。これは、10年前のデータ(約550円)から比べると27円値下がりしている。この10年間では低価格型のラーメンチェーンが新興も含めて広がっており、回転寿司など他の業態に比べると値上げが難しく、ラーメンが低価格競争に巻き込まれていることを表している。 例えば、中華そばを355円(税抜)で提供する「日高屋」(ハイデイ日高)は2009年時点の250店舗から、2017年には400店舗にまで店舗数を伸ばしている。醤油ラーメンを480円(税抜・関東エリア)で提供する「餃子の王将」(王将フードサービス)は2011年7月に600店舗を達成し、2020年3月時点では737店舗となっている。 この厳しい競争環境において、ラーメン店は1日のうちにどれだけお客を入れてラーメンをたくさん売るかが勝負になっていた。つまり、できるだけ回転率を高めなければならないのが至上命令だ。ところが、コロナによって客足が遠のき気味になっているだけでなく、感染拡大防止対策で席数を減らしているため、回転重視の戦略では売り上げはおのずと減る。一般的なラーメン店がこのコロナ禍でどんどん倒れていくのは、構造的な問題なのだ』、「薄利多売型」なのに、「コロナ禍」で来客が減ったのでは苦しくなるのは不可避だ。。
・『人気ラーメン店トップ10の平均価格は926円  一方で、希望の光がないわけではない。「食べログ」で人気のラーメン店トップ10の基本メニューの価格を調べてみた(10月16日調べ)。 1位中華蕎麦 とみ田つけめん(TOKYO-X純粋豚骨)(並・250g)1250円 2位手打式超多加水麺 ののくら中華そば850円 3位麺庵ちとせ塩850円 4位メンドコロ キナリ濃口醤油780円 5位らぁ麺 飯田商店しょうゆらぁ麺1300円 6位櫻井中華そば店中華そば800円 7位麺尊 RAGE軍鶏そば900円 8位宍道湖しじみ中華蕎麦 琥珀宍道湖しじみ中華蕎麦850円 9位かしわぎ塩ラーメン680円 10位迂直鰹昆布出汁 醤油つけ麺1000円 この10店の基本メニューは平均価格926円と、総務省統計による全国的な平均価格の1.77倍、403円高い。人気店においては「1000円の壁」と戦いながら、限りなく1000円に近づいてきているという見方ができるだろう。 その中でも「1000円の壁」を意識的に乗り越えようとしているラーメン店もある。 「麺屋武蔵」は東京・新宿に総本店を構え、渋谷、池袋、上野、秋葉原、高田馬場などの都心部を中心に現在、国内15店を構えているが、ラーメン店の中では高めの価格設定を続けている。基本メニューのら~麺こそ900円(税込)だが、豪華トッピングの載った1050~1530円(税込)のメニューもある。 高価格に設定する理由は従業員の給料の確保だ。給料はラーメンの粗利の中から出ている。高価格はなかなか理解されない側面もあるが、価格に見合うだけの価値をしっかりと提供し、高い粗利を確保して給料をはじめとする従業員の待遇改善に努めていくことが欠かせない。 「ミシュランガイド東京」でラーメン店として2015年に世界で初めて一つ星を獲得した「Japanese Soba Noodles 蔦」(代々木上原)はベーシックな醤油Sobaは1200円ながら、最高で3550円のメニューも提供している。「黒トリュフチャーシュー味玉醤油Soba」「黒トリュフチャーシュー味玉塩Soba」だ。思い切った価格設定をした理由は、原価を惜しまない上質な食材を使っているからだ。厳選された小麦を使った自家製麺や、スープに使う青森シャモロック、天草大王、名古屋コーチンなどの地鶏、そして香りの高い黒トリュフはラーメンの上にダイレクトに削って載せる。 「昔は一般的な食材しかなかなか手に入らず、その中には粗悪なものが多かったですが、今はおいしい食材が手に入りやすくなりました。体にとっても安心で、かつおいしいものが作れる世の中になったので、『1000円の壁』は気にせずおいしいものを作っていこうとしています」(蔦・大西祐貴店主)』、「人気店」では「1000円の壁」を超えるところも出てきているようだ。「最高で3550円のメニュー」には驚いたが、話題作りなのだろう。
・『単純な低価格競争に甘んじていてはジリ貧  ここ数年は外国人観光客が増えた影響もあり、都心のラーメン店の価格は上がっていく傾向にあった。上記の人気店においてもその動きがあったと言える。 コロナ禍で外国人観光客が日本に来られない今、同じ価格で営業を続けられるのかという課題はあるが、人気店の高価格化はここ数年のトレンドと見ていいだろう。逆に低価格の流れを作っているのはチェーン店なのである。 人件費や原料の高騰に加えて、新型コロナウイルスの影響で客数の減少が止まらず、今後もラーメン店の価格の見直しは避けられない。 日本そばの業界に高級そば店から立ち食いそば店までレベルの差があるように、ラーメンの世界も1000円超えのラーメン店と低価格のラーメン店が共存できるような形を作り上げられるか。これまでは高級食材を使用しているお店だけが価格の上乗せで先行できたが、ラーメン店としては“職人の技術”に対価をどう払ってもらうかの仕掛けを考えて、実行していかなければならない。単純な低価格競争に巻き込まれていては、ジリ貧だ』、「日本そばの業界に高級そば店から立ち食いそば店までレベルの差があるように、ラーメンの世界も1000円超えのラーメン店と低価格のラーメン店が共存できるような形」、事実上そうなりつつあるような気がする。選択肢が増えるのは望ましいことだ。
タグ:外食産業 東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ 井手隊長 ペッパーフードサービス 鈴木 貴博 重道武司 (その2)(114店を閉鎖「いきなり!ステーキ」復活への険しい道のり、ワタミが「焼肉」へ大胆転換せざるを得ない事情 ウィズコロナ戦略で居酒屋の3分の1を新業態へ、ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない訳 「1000円の壁」突破する仕掛けが生き残りの鍵だ) 「114店を閉鎖「いきなり!ステーキ」復活への険しい道のり」 洋食事業「ペッパーランチ」の売却 70億円の売却益 債務超過転落の危機に瀕していた財務基盤も「一息つく」 独立系投資ファンドのJ―STARに8月末メドに譲渡 ペッパーフードは「いきなり」の急速大量出店などがたたって2019年12月期で27億円強の最終赤字 全国で114店舗を閉鎖 「干天の慈雨」 「国内ステーキ市場」の「競争環境は日増しに厳しさを増している 「再生」できるかどうかは予断を許さないようだ。 「ワタミが「焼肉」へ大胆転換せざるを得ない事情 ウィズコロナ戦略で居酒屋の3分の1を新業態へ」 ワタミが居酒屋360店舗のうち120店舗をこれから1年半かけて焼肉店「焼肉の和民」に業態転換をする方針 国内牛肉市場の需給が大きく崩れた? 新型コロナによって接待需要が大幅に減ったことで黒毛和牛の在庫が大幅に増えてしまったわけです アフターコロナでも居酒屋の売り上げは7割しか元に戻らないというのがワタミの想定 「独自にブランド牛の和民和牛を開発した」 ワタミと生産農家がこのようなタッグを組み始めた もっと少ない人数で同じサービスを提供できないか 「ラッセ」の「オーナーシェフ」が、「休日はサイゼリヤでバイト」、「さまざまな生産性向上手法を観察し」、「それまで9人必要だった従業員が4人でお店を回せるようになった」 高級飲食店の場合はこのバリューエンジニアリングの余地がかなりあるようです 居酒屋チェーンのブレークスルーが業態転換か サイゼリヤの厨房には包丁がない 実際に「焼肉の和民」を訪れて見えたのは? 「ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない訳 「1000円の壁」突破する仕掛けが生き残りの鍵だ」 ラーメンは運んでいる間に麺が伸びてしまうので、テイクアウトや宅配には圧倒的に向かない このコロナ禍で閉店に追い込まれる店は数多い そもそもラーメン店は薄利多売型 人気ラーメン店トップ10の平均価格は926円 単純な低価格競争に甘んじていてはジリ貧 日本そばの業界に高級そば店から立ち食いそば店までレベルの差があるように、ラーメンの世界も1000円超えのラーメン店と低価格のラーメン店が共存できるような形
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不動産(その6)(タワマンの実態は「超高層レオパレス」 脆弱な外壁と修繕不可で“45年限界説”、テレワーク普及で「オフィス」は不要になるのか CBRE日本法人トップが語る今後の不動産市況、「不動産バブル」が日本で起きる可能性が高い理由) [産業動向]

不動産については、昨年9月8日に取上げた。久しぶりの今日は、(その6)(タワマンの実態は「超高層レオパレス」 脆弱な外壁と修繕不可で“45年限界説”、テレワーク普及で「オフィス」は不要になるのか CBRE日本法人トップが語る今後の不動産市況、「不動産バブル」が日本で起きる可能性が高い理由)である。

先ずは、本年3月20日付けデイリー新潮が掲載した不動産ジャーナリストの榊淳司氏による「タワマンの実態は「超高層レオパレス」 脆弱な外壁と修繕不可で“45年限界説”」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/03201100/?all=1&page=1
・『去年の10月12日、東海から東北にかけて襲い掛かった台風19号。これまでにない豪雨と強風は、各地に甚大な被害をもたらした。90名以上の方が亡くなり、約9万8千棟の住宅が被害を受けた。なかには跡形もなく流されたり、二度と住めなくなった住宅も少なくなかった。 その一方で、テレビや新聞、雑誌を始め、メディアで盛んに取り上げられたのが、神奈川県川崎市の武蔵小杉にあるタワーマンション2棟の浸水被害だった。下水が逆流して、電気が使えなくなるなど、一時的に「住めない」状況に追い込まれた。 被害が発生した10月13日からネット上で「トイレが使えない」、「ウンコ禁止」などあからさまな表現の書き込みが猛烈な勢いで拡散。続いて、メディアの取材が殺到した。 2棟のうち1棟は被害が比較的軽微で、数日のうちにほぼ復旧した。だが、「エレベーター使用不可」、「全階住戸内でのトイレ使用禁止」になった47階建てのタワマンでは、一応の復旧までにさらに1カ月近くかかったようだ。 戸建てに比べて、最新の設備を誇るタワマンは「災害に強い」というイメージがある。たしかに、地震で倒壊したり、水害で流されたりする心配は少ない。しかし、水も電気も来なくなれば、階段を何階も昇り降りしなければならない厄介な住宅なのだ。 タワマンは基本的に災害に弱い。そう考えるべきだろう。 台風19号は「100年に1度」とも称される激甚災害だった。タワマンの被害だけをあげつらうのは酷だという向きもあろう。しかし、タワマンの脆弱性は、何も災害時にかぎった話ではないのである。 タワマンとは一般的に、20階以上の集合住宅のことを指す。不動産や建築の専門家でもない限り、タワマンとは普通のマンションの階数を高く作ったもの、くらいにしか理解していないだろう。 ところが、タワマンの構造は19階以下の板状マンションとはかなり違う。その違いを分かりやすく言えば、タワマンは「超高層レオパレス」ともいうべき代物なのだ』、「超高層レオパレス」とは穏やかではないが、どういうことなのだろう。
・『外壁も戸境壁も脆弱  レオパレス21が建てた多くのアパートの外壁や戸境壁が、建築基準法に満たない薄い構造になっていたことはご存知の通りである。タワマンの外壁や戸境壁は、建築基準法を一応クリアしているものの、そこにはほぼ鉄筋コンクリートが使われていない。 まず外壁に使われているのはALCパネルというもの。これは「高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート」の頭文字をとって名付けられた建材で、「コンクリート」という名称を用いているものの、一般的なコンクリートとは似て非なるもの。軽量で丈夫な外壁パネル素材である。 そして、戸境壁に使われているのは乾式壁と呼ばれる素材。ここにもコンクリートは使われていない。分かりやすく言えば分厚い石膏ボードのようなもの。 私のところにマンション購入の相談にやってこられたある方は、財閥系大手が都心の一等地で開発分譲した大型のタワマンに、賃貸で住んでおられた。その方がおっしゃるには「隣の人がくしゃみをしたら、分かるんですよ。60万円も家賃を払っているのに」。掃除機をかけていても分かるらしい。それが乾式壁というものなのだ。 このALCパネルや乾式壁は、建築時には便利な建材だ。何といっても工場で大量生産したものを、現場で嵌めこめばいい。鉄筋や鉄骨を組んで、コンクリートを流し、乾かす必要がないのだ。だから、外壁や戸境壁を鉄筋コンクリートで作る通常のマンションなら、1層分を作るのに約1カ月かかるところ、タワマンの建築はひと月で2層出来てしまう。 タワマンの建設現場をご覧になったことのある方は、その建設スピードに驚かれたはずだ。タワマンはあっという間に空に向かって伸びていく。なぜなら、太い柱と床さえ鉄筋コンクリートで固めてしまえば、あとは工場から運ばれてきたALCパネルや乾式壁を嵌めこんでいけばいいのだから』、「外壁や戸境壁を鉄筋コンクリートで作る通常のマンションなら、1層分を作るのに約1カ月かかるところ、タワマンの建築はひと月で2層出来てしまう」、確かにすごい「スピード」だ。
・『このように施工はやりやすいのだが、中長期で考えるとタワマンの構造は厄介だ。通常のマンションは床と外壁の鉄筋コンクリート部分が継ぎ目なくつながっている。強力な地震で外壁に大きなひびでも入らない限り、雨水が浸入することはない。しかし、外壁にALCパネルを使っているタワマンは、いってみれば継ぎ目だらけ。継ぎ目にはコーキング剤と呼ばれる、接着と防水機能を持った粘液が使われる。これが固まって雨水の浸入を防ぐのだが、このコーキング剤は15年程度で劣化するとされている。だから、15年に1度程度、古いコーキング剤を掻き出して新しいものを注入しなければならない。 つまり、タワマンはその構造的に15年に1度程度の外壁修繕工事が必須になるのである。しかも、湾岸エリアにあるタワマンには塩分が混じった雨風が吹き付けるので、コーキング剤の劣化が早まる可能性も指摘されている。この15年が更に短くなる可能性すらあるのだ。 だが、タワマンは階数が高いため、外壁の修繕工事が通常のマンションに比べて格段に難しい。普通のマンションなら、建物のまわりに足場を組めば外壁の修繕工事は容易だ。しかし、工事用の足場は17階あたりまでしか組めない。それから上はどうするのか? 現状では、屋上からゴンドラを吊るして作業するやり方が採用されることが多い。しかし、これだと、強風時には作業ができないので、工事期間が長くなる。タワマンは建築時には1カ月に2層が出来てしまうのに、外壁の修繕工事は1カ月に1層。60階のタワマンなら計算上43カ月もかかることになる。 さらに深刻な問題はその費用だ。通常のマンションなら、外壁の補修を伴う大規模修繕工事の費用は戸当たり100万円程度が目安だ。しかし、タワマンの場合は戸当たり200万円以上。これも昨今の人件費の高騰で、値上がり傾向にある。今後は300万円程度を見込んだ方が良い。多くのタワマンでは、何とか第1回の大規模修繕は行える。しかし、2回目はエレベーターや上下水道管の取り換えが伴うので、1回目よりも費用がかさむと考えるべきだろう。 だから毎月徴収する修繕積立金の値上げが必要となる。値上げには、管理組合の総会で値上げ議案の議決という手続きを経る必要がある。賛成多数で値上げしても、経済的に払えない人も出てくる。 2回目の大規模修繕を乗り越えても、3回目はどうだろうか。おおよそ建築後45年から50年あたり。私は半分以上のタワマンでは、住民の経済的理由などで3回目以降の大規模修繕は不可能になると予測する。 通常のマンションは、細やかにメンテナンスを行えば50年以上住めるのはほぼ確実。現に60年以上も十分使用に耐えたマンションもあった。だが、タワマンに限っては「45年限界説」が有力そうである。(榊氏の略歴はリンク先参照)』、「タワマンは建築時には1カ月に2層が出来てしまうのに、外壁の修繕工事は1カ月に1層。60階のタワマンなら計算上43カ月もかかることになる」、「通常のマンションなら、外壁の補修を伴う大規模修繕工事の費用は戸当たり100万円程度が目安だ。しかし、タワマンの場合は戸当たり200万円以上・・・今後は300万円程度」、「タワマンに限っては「45年限界説」が有力そう」、入居者はこんな事情を知らない人が大半だろう。「メンテナンス」時期を迎えるにつれ、大きな社会問題になるだろう。

次に、8月15日付け東洋経済オンライン「テレワーク普及で「オフィス」は不要になるのか CBRE日本法人トップが語る今後の不動産市況」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/369052
・『不動産業界では、コロナ禍でホテルや商業施設の稼働が落ち込む一方、賃貸住宅や物流施設は堅調に推移するなど収益性に二極化が生じている。不動産の過半を占めるオフィスについても、テレワークの普及で不要論がささやかれる中、今後の不動産市況をどう見るべきか。日本国内でも不動産の取引仲介や運用、オフィス移転などを手がける、アメリカの不動産サービス大手CBRE・日本法人の坂口英治社長に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは坂口氏の回答)』、興味深そうだ。
・『「不動産はむしろ見直されている」  Q:投資家の不動産投資意欲に変化はありますか。 A:当初はどれくらい価格が下がるかを見定めていたが、外資系ファンドを中心に、いよいよ痺れを切らした。年間の投資目標を見据えて投資しなければならない彼らにとっては、コロナ禍でも物流施設や賃貸住宅、データセンターといった賃料の下落リスクが限定的な物件なら投資しない理由はない。おっかなびっくりというよりも、これ以上我慢できずに買えるものを買いに行く、という状況だ。 今年3月に起きた株式市場の暴落を見て、機関投資家は株式のボラティリティの高さを意識した。他方で、不動産はキャッシュフローさえ安定していれば時価評価で一気に落ちるわけではないため、投資家から見直されている。 Q:お金を遊ばせたくないということでしょうか? A:そう。特に先進国では高齢化が進んで、年金投資家の声が強くなっている。彼らは一過性のキャピタルゲインよりも安定したリターンを求めるため、利回りが付いている投資商品にはお金が殺到している。 とりわけ物流施設では3%台の利回りが当たり前になってきている。江東区や羽田、千葉の湾岸部といった好立地なら、都心のグレードAオフィスビル並みのキャップレートに追いついてきている。それでもEコーマス需要の高まりを考えれば、立地がよければ買い手はつく。今後3%を切る物件が出てきてもおかしくない。 Q:過熱感がある? A:すべての不動産に資金が集まっているわけではない。ホテルや都市部の商業施設にはローンが付かず、イールドギャップ(投資利回りと借入金利の差)が取れない。現在のテナントが退去した後、埋め戻しができるのかという心配もあり、われわれでもマーケット予測が難しい』、「機関投資家は株式のボラティリティの高さを意識した。他方で、不動産は・・・投資家から見直されている」、なるほど。
・『Q:不振のホテルをあえて取得するオポチュニスティック(高リスク高リターン)な投資家もいるようです。 みんなそれをしたいはずだ。だが、ローンが付かないため出せる価格が非常に低く、その価格では物件オーナーが抱えるローンさえ返済できない。金融機関側には今のところ返済を迫る動きがないため、オーナーにとっては無理に売却するよりも金融機関と(条件変更などの)交渉をしたほうが得策だ。 Q:不動産の大部分を占めるオフィスビルの動向は? A:オフィス移転の相談は今年7月に入ってから増えている。売り上げが激減しているため固定費を削減しないと存続が危うい、銀行に自助努力を見せないといけないというテナントが多い。ただ、実際に移転や退去を進めるというよりは、どんな選択肢があるかを机の上に並べている(検討している)状態だ。 普通借家契約で入居しているなら退去に要する期間、原状回復費用、次のビルへの移転費用、移転先でフリーレントが付けられそうか。あるいは、(中途解約が原則不可能な)定期借家契約なら、居抜きや転貸での退去が可能か、ビルオーナーの承諾をどのように得るか、などのシミュレーションを行っている。 われわれはビルオーナーの特性を知っている。オーナーによってはビルに入居しているテナントと同じ業種を入居させることはダメ、エレベーターの混むコールセンターのような業態はダメ、といったルールもある。最近では、ビルオーナーに営業に行っても断られることが少なくなった。みな他社の動向を知りたいので、まずは話を聞いてみようというスタンスだ』、現在のところは、「他社の動向」をにらんだ模様眺めの段階にあるようだが、1社が交渉・移転段階に進むと、一斉に動き出す可能性がありそうだ。
・『オフィスへの考え方は二極化する  Q:「オフィス不要論」が叫ばれています。 A:在宅勤務が機能していると胸を張っている経営者がいるが、それは裏を返せば自社のオフィスがこれまで何も生み出していなかったと認めているようなものだ。通勤に時間をかけて会社に来ても、「1+1=2」になっていなかった。 オフィスは毎月賃料がかかる点で確かにコストだ。他方で、よい立地によい環境のオフィスを構えることが将来の成長につながる、などと投資として捉える企業もいる。在宅勤務ではこれまで築き上げてきた企業文化が維持できなくなってしまうし、社員教育も難しい。テナントからは、「海外でのオフィスのトレンドを教えてほしい」といった相談も来ている。 足元では企業業績に余裕がなく、また自社にとってどんなオフィスが必要かも手探り状態だが、もう少し時間が経てば企業の間でのオフィスに対する考え方は二極化(コストと考えるか、将来への成長投資と捉えるか)してくるだろう』、「オフィスへの考え方」はどちらに落ち着くのだろう。

第三に、10月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した株式会社さくら事務所創業者・会長の長嶋 修氏による「「不動産バブル」が日本で起きる可能性が高い理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/251358
・『不動産市場は減速したがバブル崩壊は起きていない  今年4月の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の発令以降、不動産市場に大激変が起きた。インバウンド需要を見込んでいたホテル、飲食店などの商業系は自粛ムードで閑古鳥が鳴く日々が続いた。こうした中、民主党から自民党に政権交代した2012年12月以降、長らく続いてきた不動産市場の上昇基調にもブレーキがかかり、「バブル崩壊か?」といった声も各種メディアから聞こえた。 しかし結論を言えば、そうしたことは一切起こっていない。理由は簡単で、1990年代やリーマン・ショック前のバブル崩壊とは異なり、今回は日米欧の同時金融緩和、とりわけ日米は無制限金融緩和を行うことで、金融システムが崩壊することを阻止したためだ。一時1万6000円台をつけた日経平均株価も現在は2万3000円台と、すっかりコロナ禍前の水準に戻っている。 国土交通省が8月29日発表した7月1日時点の基準地価は、全国平均(全用途)の変動率が前年比マイナス0.6%と、2017年以来3年ぶりの下落。商業地はマイナス0.3%と5年ぶりに下落に転じ、昨年、28年ぶりに上昇した地方圏の商業地は再び下落に転じた。住宅地はマイナス0.7%と下落幅を拡大させている。 以下、商業地と住宅地の状況について、詳しく見ていこう』、「不動産市場は減速したがバブル崩壊は起きていない」、とは一安心だ。
・『インバウンド需要の激減で不透明感が強まる商業地  商業地は新型コロナの影響が最も大きかった分野だ。地価押し上げの大きな要因となっていたインバウンド需要が今年に入って激減し、不透明感が強まっている。訪日外国人客がほぼ消滅したことに加え、緊急事態宣言などによる外出自粛や店舗への休業要請で国内の経済活動も大幅に停滞した。 かつてホテルや商業施設用の不動産取引が活況だった地方の観光地や、東京の銀座や新宿、大阪の道頓堀付近など、繁華街エリアにおいて値下がりが目立つ。 最高価格は東京都中央区の「明治屋銀座ビル」で、1平方メートル当たり4100万円。また、最も上昇率が大きかったのは住宅地、商業地とも、リゾート開発が活発な沖縄県宮古島市でプラス30%を超えた。 地域別では地方圏と名古屋圏の下げが大きい一方、札幌、仙台、広島、福岡の底堅さも目立つ。三大都市圏より高利回りを求めた投資マネーが流れ込み再開発が進んでいるためだ。 ホテル投資は今後しばらく冷え込むことになりそうだが、心配ない。そもそも都市部のホテル用地は新築マンション用地取得と競合しており、昨今は取得単価の高いホテルが圧勝してきた。そのため、新築マンションは年々発売戸数を減らしており、ホテルが撤退してもマンション用地に取って代わるだけだ。 東京・銀座に象徴される商業地も、仮に現在の店舗が撤退してもニーズは高く、多少の賃料下げはあってもすぐに埋まるだろう』、「ホテルが撤退してもマンション用地に取って代わるだけ」、なるほど。
・『コロナ前の活況に戻りつつある住宅地  東京、大阪、名古屋の3大都市圏の住宅地はすべてマイナスとなり、東京、大阪が下落したのは7年ぶり、名古屋は8年ぶりだ。 また、地方圏は住宅地がマイナス0.9%と下落幅が拡大。札幌、仙台、広島、福岡の4市は住宅地がプラス3.6%、商業地がプラス6.1%といずれも上昇を維持したものの、伸び率は縮んだ。 ところが現場は活況だ。 新築・中古の一戸建て市場は、一時は半減したものの、今では緊急事態宣言中のマイナス分を上回る勢いである。 マンションについても、8月の首都圏中古マンション取引件数は前年同月比プラス18.2%、平均価格は同プラス5.3%と絶好調。都心3区(千代田・中央・港区)の中古マンション成約平米単価は過去最高を更新した。 首都圏新築マンション発売戸数は前年同月比8.2%減だが都区部以外は大幅増で、契約率も68.5%と順調だ。 図表1:都心3区中古マンションの「在庫数」と「成約単価」(リンク先参照) 「コロナで都心居住が見直され、郊外や地方への移住が増える」「リモートワーク(在宅勤務)でオフィスの空室率が高まる」といった言説も、現実のものとはならなかった』、最後の部分は意外な感じがする。
・『世界的に割安感がある日本の不動産市場  日米欧が協調する形で大規模な金融緩和が行われ金融システムが維持されたことで、コロナによる経済的打撃が相対的に低く、かつ、空室率が低くて割安感のある、日本の不動産を物色する動きが活発化している。 とはいえ、投資マネーが向かう先は東京を中心とした大都市などが中心。価格帯でいえば100億円以上といった、ある程度のロットの不動産に限定されるためだ。 アベノミクス以降、国内不動産市場は「(1)価値維持ないしは上昇(市場全体の15%)」「(2)緩やかに下落(同70%)」「(3)無価値(同15%)」と極端な三極化が進行してきた。この先、(1)の不動産市場だけは、1980年後半以降にみられたバブル的な局面に突入する可能性もある。 ここでいう「バブル的」とは、例えば「マイナス利回りでの取引」だ。 90年バブル期やリーマン前のプチバブル期には不動産の買いが買いを呼び、得られる賃料を勘案すると利回りがマイナスとなってしまう価格帯での取引が散見された。その理屈は「賃料上昇は後からついてくる」といったもの。 今後、なかば実体経済を無視する形で、世界的に見ても相対的に割安感のある日本の不動産が、国内・海外マネーの標的になる可能性がある』、かつては、「日本の不動産」は「割高」と言われてきたが、いつの間にか逆の評価に変わったようだ。
・『商業用不動産の投資額で東京が世界一に  筆者は10月1日放送のNHK「クローズアップ現代+」に出演。世界的なコロナ禍の中、東京の不動産に注目が集まっており、1980年型の不動産バブルの兆しが垣間見えることを説明した。 2020年上半期の世界の商業用不動産投資額をみると、第2四半期の投資額は前年同期比55%減の1070億ドルとなり、新型コロナウイルスの影響が露呈した。渡航制限、経済への打撃、先行き不透明感など3月中旬から6月初旬にかけて新型コロナの影響が顕著となり、第2四半期の投資額はすべての地域において大幅な減少となった。 ところが、東京だけは投資の勢いが衰えていないのだ。都市別投資額をみると、第1四半期に続き東京が前年並みの150億ドルで1位に躍り出た一方、2位のニューヨークは109億ドルと4割減、3位のパリは83億ドルと3割減だ。落ち込みの大きいところではロサンゼルス54%減、上海48%減などが目立つ。 図表2:商業用不動産投資額 地域別(リンク先参照) 図表3:2020年上半期 投資活動が最も活発な10都市(リンク先参照)』、「商業用不動産の投資額で東京が世界一に」、初めて知ったが、やはり「割安感」があるからなのだろうか。
・『90年代のようなバブルが再び起きる可能性も  コロナ禍で日米欧とも史上空前の財政出動と金融緩和、とりわけ日米は無制限金融緩和をアナウンスすることで、リーマン・ショックのような金融システム破綻が回避され、当面の資金繰り不安がなくなると、市場には膨大なマネーが残る。 同時に日米欧はもちろん、新興国も一斉に利下げに動いた結果、世界中から金利が消えようとしている。 岡三証券によると、主要20カ国のうち、1年物金利がマイナスになったのは日欧15カ国。米国やカナダ、オーストラリアでも6年物まで年0.5%未満に下がり、明確なプラス水準を維持しているのは中国とインドだ。 国債・社債が運用益を生まなくなった今、あふれるマネーをどこに振り向けるのか。不動産は有望な選択肢ではあるが、とはいえ大きなリスクは取れない。 そうした中、相対的にコロナの感染者・死者数が少なく、経済的影響も小さかった日本の、とりわけ東京の不動産に資金が向かうのは必然ともいえるのだ。 アメリカ・ニューヨーク市はコロナ陽性率の上昇に伴い、市内の一部で2週間の学校閉鎖や事業の営業停止を実施。フランス・パリ首都圏もコロナ警戒レベルを最大に引き上げ、バー閉鎖など再び経済活動が停滞する。 そんな中、日本は「Go To トラベル」の対象に東京が追加されるなど、経済活動を回復させつつある。 日本の不動産市場の一部が過熱し始めた理由は、国内外からの投資マネーの増加だけではない。 日本政府や日銀は不動産市場を下支えしている。コロナの影響で収入が減った個人事業主などを支援する家賃支援給付金は、事実上、不動産市場への公的資金注入である。また、日銀によるREITやETFの買い入れ倍増は不動産・株式市場支援策だ。 こうしたことから、不動産や株式などのリスク資産の上昇を契機とした90年代のようなバブルが発生する可能性は高いと筆者は見ている』、「日本政府や日銀は不動産市場を下支えしている」、「バブルが発生する可能性は高いと筆者は見ている」、不吉なご託宣だ。
タグ:不動産 東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 榊淳司 デイリー新潮 長嶋 修 (その6)(タワマンの実態は「超高層レオパレス」 脆弱な外壁と修繕不可で“45年限界説”、テレワーク普及で「オフィス」は不要になるのか CBRE日本法人トップが語る今後の不動産市況、「不動産バブル」が日本で起きる可能性が高い理由) 「タワマンの実態は「超高層レオパレス」 脆弱な外壁と修繕不可で“45年限界説”」 タワマンは「超高層レオパレス」ともいうべき代物 外壁も戸境壁も脆弱 外壁や戸境壁を鉄筋コンクリートで作る通常のマンションなら、1層分を作るのに約1カ月かかるところ、タワマンの建築はひと月で2層出来てしまう 施工はやりやすいのだが、中長期で考えるとタワマンの構造は厄介 タワマンは建築時には1カ月に2層が出来てしまうのに、外壁の修繕工事は1カ月に1層。60階のタワマンなら計算上43カ月もかかることになる 通常のマンションなら、外壁の補修を伴う大規模修繕工事の費用は戸当たり100万円程度が目安だ。しかし、タワマンの場合は戸当たり200万円以上・・・今後は300万円程度 タワマンに限っては「45年限界説」が有力そう 「テレワーク普及で「オフィス」は不要になるのか CBRE日本法人トップが語る今後の不動産市況」 不動産はむしろ見直されている 機関投資家は株式のボラティリティの高さを意識した。他方で、不動産は 投資家から見直されている 1社が交渉・移転段階に進むと、一斉に動き出す可能性 オフィスへの考え方は二極化する オフィスに対する考え方は二極化(コストと考えるか、将来への成長投資と捉えるか) 「「不動産バブル」が日本で起きる可能性が高い理由」 不動産市場は減速したがバブル崩壊は起きていない インバウンド需要の激減で不透明感が強まる商業地 ホテルが撤退してもマンション用地に取って代わるだけ コロナ前の活況に戻りつつある住宅地 「コロナで都心居住が見直され、郊外や地方への移住が増える」「リモートワーク(在宅勤務)でオフィスの空室率が高まる」といった言説も、現実のものとはならなかった 世界的に割安感がある日本の不動産市場 商業用不動産の投資額で東京が世界一に 90年代のようなバブルが再び起きる可能性も 日本政府や日銀は不動産市場を下支えしている バブルが発生する可能性は高いと筆者は見ている
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コンビニ(その8)(セブン 米コンビニ「2兆円買収」再挑戦の賭け アメリカで「日本流コンビニ」は浸透するのか、伊藤忠がファミマをTOB 止まらぬ「店舗崩壊」に不安の声、コンビニ「24時間営業の見直し」議論がコロナで後退の舞台裏) [産業動向]

コンビニについては、3月16日に取上げた。今日は、(その8)(セブン 米コンビニ「2兆円買収」再挑戦の賭け アメリカで「日本流コンビニ」は浸透するのか、伊藤忠がファミマをTOB 止まらぬ「店舗崩壊」に不安の声、コンビニ「24時間営業の見直し」議論がコロナで後退の舞台裏)である。なお、タイトルから「小売業(」はカットした。

先ずは、8月7日付け東洋経済オンライン「セブン、米コンビニ「2兆円買収」再挑戦の賭け アメリカで「日本流コンビニ」は浸透するのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/367654
・『一世一代の大勝負は吉と出るか――。 8月3日朝、小売り大手のセブン&アイ・ホールディングス(HD)から突然のリリースが発表された。 内容は、セブン&アイHDの完全子会社でありアメリカのセブン-イレブン事業などを運営する米セブン-イレブンが、現地の石油精製会社マラソン・ペトロリアムのコンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド「スピードウェイ」部門を買収する契約を結んだというもの。買収額は210億ドル(約2兆2200億円)に上り、買収完了は2021年度第1四半期の期間中(2021年1~3月)を見込む。 この買収は、セブン&アイHDにとって過去最大規模となる。これまでのセブン&アイHDによる最高買収額は、2018年1月に米セブンがコンビニを併設するガソリンスタンドの店舗網1030店を米スノコLPから取得した際の31億ドル(当時の為替レートで約3400億円)だったが、今回はそれを軽く上回った』、「コンビニを併設するガソリンスタンド」買収は2回目だったようだ。
・『米セブンの営業利益は倍増  米セブンの2019年12月期の業績は、総売上高361億ドル(約3兆8100億円)、営業利益11億ドル(約1160億円)。スピードウェイの2019年12月期の総売上高268億ドル(約2兆8300億円)、営業利益11億ドルと単純合算すると、買収によって米セブンの営業利益は2倍へと増加する。 日本のコンビニの成長が頭打ちとなり、不振が続くGMS(総合スーパー)のイトーヨーカドーや百貨店のそごう・西武を抱えるセブン&アイHDの中で、アメリカのセブンは成長ドライバーとして期待されてきた。セブン&アイHDの井阪隆一社長は8月3日に行われた会見で、「コンビニを軸とした、真のグローバルリテーラーとなる歴史的な一歩になる」と強調した。 今回の買収でセブンが手に入れるのは、スピードウェイの店舗約3900店。アメリカは日本とは異なり、コンビニ業界での寡占化が進んでいない。セブンは北米で9802店(2020年5月末時点)を展開し、店舗数はトップを走るが、そのシェアは約6%にとどまる。買収が成立すれば、スピードウェイを加えて約1万4000店体制となり、2位に7000店以上の差をつけることになる。 世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大する中だが、「コロナが永遠に存在するわけではないと思う。5年先、10年先を考えたときに、約4000店のチャンスはわれわれの成長にとって大きなメリットになると判断した」(井阪社長)。 トップシェアを強固なものにしてセブンが狙うのが、ハンバーガーやサンドイッチなど注力中のオリジナル商品の導入や、会員基盤の拡大や宅配サービスの展開拡大などサービス強化、店舗数拡大による購買力向上や配送効率化だ。 とくに、アメリカでは現在、コンビニは給油のついでに買い物をする場所という存在だが、オリジナル商品の強化によって、コンビニに行くことを目的とする消費者を増やしていく。同時にセブンはスピードウェイからガソリン販売のノウハウを手に入れる。「お互いのベストプラクティスを共有できる。(買収は)すばらしい2社の結婚といえる」(米セブンのジョセフ・マイケル・デピント社長)』、「アメリカ」で「オリジナル商品の強化によって、コンビニに行くことを目的とする消費者を増やしていく」、という夢が、「米スノコLPから取得した」「コンビニ」では上手くいっているのだろうか、気になるところだ。
・『ガソリンスタンドでも安定収益  ただ世界的にEV(電気自動車)が浸透し始め、環境規制も強化されつつあり、脱ガソリンの動きが強まっている。こうした現状についてセブン側は、ガソリンスタンドを中核とする店舗でも、中期的に安定的な収益を得られるとにらむ。 アメリカのエネルギー情報局によると、現地の2020年から2050年までのガソリン消費量の年平均成長率はマイナス0.4%とほぼ横ばい。しかもコロナ禍におけるGPSデータによると、アメリカでは公共交通機関の利用者が減る一方、車による移動距離がコロナ前よりも増えているという。 米セブンのデピント社長は、「EVの普及率は2019年の1.8%から2050年までに11.2%まで上がる見込みだが、それを上回るスピードで人口そのものが増える。EVの充電施設に力を入れることがゆくゆくは必要になるかもしれないが、長い目線での話になる」と説明する。 セブンオリジナル商品を導入することによるスピードウェイでの商品売り上げの増加や購買力強化によって、2025年2月期には米セブンの営業利益が4億7500万~5億7500万ドル(約500億~600億円)押し上げられるとセブン&アイHDは見込む。 この買収は、2度目の挑戦だった。今春、セブンによるスピードウェイ買収は約220億ドルで検討していたとされるが、折り合いがつかなかった。当時は巨額の買収費用に加え、ガソリンスタンドを中核とする店舗を買収することに、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点において、セブン&アイの社内からも懸念の声が上がっていた。 だが新型コロナの影響で石油需要が減少する中で、中核の石油精製事業が大幅な赤字となったマラソン側が再度売却を検討したと見られ、」のが、「「千載一遇の案件が出てきた」(井阪社長)。 巨額買収が決定したセブン&アイHDは3日の説明会で、割高な買収ではないことを繰り返し強調した。EV/EBITDA倍率(企業価値をEBITDAで割った値)は13.7倍に上るが、アメリカでの節税効果30億ドル、重複する店舗約200店の売却効果10億ドル、不動産など資産を売却しリース契約で借りるセール&リースバックで50億ドルの効果が見込めるという。それらを踏まえると、実質的な取得価額は210億ドルから120億ドル(約1兆2670億円)となり、EV/EBITDA倍率は7.1倍まで下がると、会社側は主張する。 UBS証券の守屋のぞみアナリストは、「210億ドルの買収額は額として大きいし収益性の面からも割高だが、セール&リースバックなどを踏まえて4000店弱を120億ドルで手に入れられるなら必ずしも割高ではないだろう」と評価する』、当初「約220億ドルで検討していたのが、「210億ドル」では必ずしも「千載一遇の案件」とはいえない気もする。「セール&リースバック」で実質的に「120億ドルで手に入れられる」とはいっても、リース料の分EBITDAが縮小する筈だ。
・『日本流は浸透するのか  巨額買収の資金の内訳は、ブリッジローン130億ドル、セブン&アイHDから米セブンへの増資80億ドルで賄う予定だ。新株発行による資金調達はせず、株式が希薄化しない点も説明会で強調された。 買収が発表された3日のセブン&アイHDの株価は、一時は前営業日の終値より268.5円下がる2937.5円にまで急落。だがその後の株価は買収発表前の水準まで戻している。UBS証券の守屋アナリストは、「株式市場では買収規模への懸念がまず広がったが、実質取得価額を120億ドルまで抑えるスキームや株式の希薄化がないという説明が出て、懸念が少し和らいでいる。ただ、米セブンの強みを生かして物販の売り上げ増加を会社が説明する時間軸で実現できるのかは、規模が大きいので丁寧に見る必要がある」と話す。 現在米セブンはセブン&アイHDの傘下にあるが、もともとはアメリカ発祥のチェーンで、セブン-イレブン・ジャパンの前身がライセンス契約を結び日本での展開が始まった歴史がある。ある小売業界関係者は、「『日本流を広める』というのは幻想。日本のセブンはアメリカ流を排したことで成功したが、(商品を強化するという)日本流をアメリカに植え付けるのはその裏返しで、有効なのか疑問だ」と懸念する。 また、買収で見込むシナジーを生むための施策を実行できるのかも注視する必要がある。米セブンのデピント社長は、セブン&アイHDの井阪社長が掲げる米セブンの商品強化に以前から賛同しているようだが、担当者レベルまで方向性が十分に浸透しているかは未知数だ。 懸念点として残るESG(環境、社会、ガバナンス)について米セブンは、以前は2027年の二酸化炭素の排出量を2015年比で20%削減する目標を掲げていたが、今回の買収を受けて40%へと引き上げるなど、目標をより厳しく設定した。 コンビニ事業として見ると、合理的にも見える大型買収。ただ計算どおりに統合が進むとは限らない。2兆円を超す巨額買収は、セブン&アイにとって決して失敗が許されない大勝負となる』、「『日本流を広める』というのは幻想・・・日本流をアメリカに植え付けるのはその裏返しで、有効なのか疑問だ」との見方に同感である。今後、「セブン&アイHD」のお荷物になる懸念もありそうだ。

次に、8月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリージャーナリストの赤石晋一郎氏による「伊藤忠がファミマをTOB、止まらぬ「店舗崩壊」に不安の声」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/246953
・『8月24日に応募が締め切られた、伊藤忠商事によるファミリーマートへのTOBが成立した。伊藤忠は総額5809億円を投じて1株2300円でファミマ株を買い付け、完全子会社化を実現することになる。ファミマは上場廃止となり、これまでも囁かれ続けてきた伊藤忠支配がより一層強化される見込みとなった。社内ではため息とともに将来を不安視する声が囁かれた』、「社内ではため息とともに将来を不安視する声が囁かれた」、とは穏やかではない。どういうことなのだろう。
・『ファミマ社内で広がる失望感  「今後、ファミマはますます競争力を落としてしまうかもしれない。伊藤忠支配のもと、お客様ファーストは実現できるのだろうか――」 コンビニ3強の一角として長らく君臨してきたファミマ。本稿ではTOBの裏側で揺れ続けてきた社内の様子をレポートしていきたい。 約1カ月前の7月8日、伊藤忠はファミマ子会社化の方針を発表した。報道を受け、澤田貴司社長は、夜に緊急で管理職以上の社員を集め、壇上からこう説明したという。 「これまで、お客様、加盟店、そして株主を見て我々は活動してきた。TOBによって上場を廃止することで、株主ではなく、加盟店、お客様に集中する環境を作ることができる」 ファーストリテイリング副社長などを歴任し、プロ経営者としてファミマに招聘された澤田。その力強い声とは裏腹に、語られるメッセージはただ空しく響くだけだった。 「社員の中には一部上場企業という看板を失うことへの失望感を口にする人もいます。澤田社長は記者会見で『伊藤忠を使い倒す』とコメントをしていましたが、実態は真逆です。もはやファミマは伊藤忠の利益搾取の場所なのです。今後、さらに容赦なくファミマが伊藤忠の“草刈り場”になるのは目に見えています。お客様に集中するために完全子会社化するという理屈も意味不明です。だったら、出資比率を以前の30%(注33.4%)に戻し、親会社への忖度なく目の前の商売に集中させてほしい、というのが社員の本音なのです」(ファミマ社員)』、「もはやファミマは伊藤忠の利益搾取の場所・・・出資比率を以前の30%(注33.4%)に戻し、親会社への忖度なく目の前の商売に集中させてほしい」、との「社員の本音」はその通りなのだろう。
・『コンビニ3強で一人負け状態  かねて伊藤忠支配による弊害が指摘されていたファミマ。それが完全子会社になることによって何が起こるのか。別のファミマ社員は、内情をこう語る。 「以前からも発注先について、伊藤忠出向社員から『なぜ伊藤忠グループを使わないんだ?グループで金を回したほうがいいだろう』と文句を言われてきたのが、今後は全ての事柄が伊藤忠ありきで進むことは確実です。例えばセブンイレブンは商社と一線を引いているから、変な力学なく取引先を競争させて、最も良い商品を常に提供できる。ファミマの社員ですら、『自分が消費者なら、セブン一択』と言っている。それぐらい、もう使っている原材料から工場の機材、こだわり抜いた製法まで、商品のクオリティが別次元なのです」 伊藤忠支配の弊害は、消費者向けの商品だけにとどまらないようだ。 「例えばファミマが使用している店舗システムは、CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)という伊藤忠グループ会社が開発に大きく関与したものを使っています。だが、高い開発費や運用費に対して、発注や個店分析などの機能がとにかく使い勝手が悪く、加盟店からは『おんぼろマシン』と呼ばれている。サークルKからファミマに転じた加盟店からも『サークルKのNEC社製システムよりもはるか使い勝手が悪い』と不平だらけ。でも、CTC以外の選択肢なんて口が裂けても言ってはならないのです。人手不足の中、こんなシステムを使わなくてはならない加盟店が可哀想です」(別のファミマ社員) 新型コロナウィルスの影響でコンビニ各社は売り上げ減が続くなど、苦戦している。7月の既存店売上はセブンイレブンが5.1%減、ローソンは8.9%減、そしてファミマだけ10.8%減と2桁のマイナスを記録している。 ある流通アナリストは語る。 「小売流通業界からすると、不祥事もないのに、このファミマ一ト1人負け状態は異常事態。この数年間、本当にパフォーマンスだけで、何もしてこなかったことが、コロナ禍で露呈した」 しかも、この減速の主要因は、ファミチキ以来14年間、ヒット商品がないというレベルの一過性のものではなく、はるかに根深い』、「伊藤忠支配の弊害は、消費者向けの商品だけにとどまらない・・・店舗システムは・・・伊藤忠グループ会社が開発に大きく関与したものを使っています。だが、高い開発費や運用費に対して、発注や個店分析などの機能がとにかく使い勝手が悪く、加盟店からは『おんぼろマシン』と呼ばれている」、「伊藤忠」はこうした「ファミマ」社員の不満を認識しているのだろうか。認識しても、目先の利益のため見て見ぬふりをしているのかも知れない。
・『減速の最大要因はフードロス対策  減速の最大要因の一つとされているのがファミマの「フードロス」対策だ。恵方巻の大量発注、大量廃棄などが消費者から問題視され注目されたフードロス問題。ファミマはいち早く対策に取り組み、「恵方巻やウナギ、クリスマスケーキなどの季節商品は完全予約にする」「鮮度向上による販売期限の延長」などの方針を打ち出した。同時に社内や加盟店に対して、本社・経営企画部が旗振り役となり澤田社長と一緒になって「廃棄ロス(フードロス)をなくせ!!」の大号令を現場に出したのだ。 「この言葉を聞いて店舗側が、日々の通常商品まで商品発注においてリスクを取らないようになってしまったのです。結果、棚に商品がないという欠品状態が続出している。セブン、ローソンと比べても、ファミマだけ棚がスカスカなので恥ずかしい。一度、お店をスイッチしたお客様は、もう戻ってこない。近隣の競合コンビニにドンドン人が流れていっています。季節商品の過剰な無駄は確かに問題です。しかし本社が廃棄ロスを出すなという安易なメッセージを出してしまったことで、店舗が“販売機会のロス”が出ても良しとする空気を作ってしまった。こうした状況が一人負けを生み出している」(ファミマ社員) このファミマの状況には、競合チェーンの店舗カウンセラーも驚く。 「フランチャイズビジネスにおいて、加盟店の発注をいかに促進するかというのは、根幹中の根幹。本部は加盟店との信頼関係を何年もかけて、あの手この手で積み重ねて、しっかりと商品を発注してもらう。そのために、千人規模の店舗指導スタッフがいる。もしファミマが発注しなくていいという方向に舵を切ったなら、加盟店は二度と勝負をかけた発注はしないでしょう。しかし、発注しなくていいなんて、コンビニビジネスの根幹を揺るがす大問題。チェーン崩壊の引き金となりかねない。ウチのチェーンでは、とても信じられない……」 本社側は売り上げ減を「オフィス立地の店舗が多い」と釈明しているが、ファミマ現場社員はみな「発注がかからず、お店に商品がないことが理由」と認識しているのだという。ただ、加盟店の士気の低下はこれに留まらず、さらに深刻だ』、「廃棄ロス・・・をなくせ!!」、自体は必ずしも悪くはないが、「店舗側が、日々の通常商品まで商品発注においてリスクを取らないようになってしまったのです。結果、棚に商品がないという欠品状態が続出している」、という悪影響をもたらしたのは問題だ。。
・『経営を揺るがす最低保証問題とは  「コロナの影響で売り上げが大幅ダウンしているが、本部からは何らまともな方針が出てこない。最近の加盟店は、もう店づくりを止めて、最低保証を狙いに行こうという機運が高まっている」(前出のファミマ社員) どういうことか? ファミマ本部と加盟店の契約では、加盟店の総収入を年間で2000万円(24時間営業の場合)、本部が補填などの手立てを行い保証してくれるという制度がある。 最低保証になると、この2000万円から、商品の廃棄費用やアルバイト人権費、経費などを差し引き、だいたい加盟店オーナーの夫婦で300万~400万円の年収になる計算だ。10年間365日24時間、人不足で深夜まで夫婦交代で店舗に立ち続けて夫婦二人で年収300万円とは、決して高収入とはいえない。しかし、コロナの影響下で最低保証狙いに走る加盟店が急増しているというのだ。 「平時なら、日商40万円の店舗にスーパーバイザー(SV)が『50万円を目指しましょう』と言って二人三脚で頑張って店づくりをしていきます。でもコロナ時代に、売り上げは下がる一方で、本部も何ら加盟店の心をつなぎとめる指針を出せていない。だったら、『もう頑張らずに、発注を止めて、(最低保証の目安ラインである)日商30万円に落としに行こう』という店舗が出てきているのです。SVも本社からフードロス削減の指示が出ているから、強く言うことはできません」(ファミマ社員) 最低保証問題はファミマの経営を揺るがしかねないテーマだ。そもそも日商を上げるどころか、下げに行く加盟店が増えることは、商売の常識では考えにくいことである。 本部収益の激減に加えて、加盟店への最低保証の補填額は本部負担となる。ファミリーマートでは全店舗1万6600店のうち、なんと約4分の1が日商40万円に満たない店舗だといわれている。約4000もの店舗が、一斉に売り上げを下げ、最低保証を取りに行った時――、ファミマは新たなリスク要因を抱えることになる』、「本部も何ら加盟店の心をつなぎとめる指針を出せていない。だったら、『もう頑張らずに、発注を止めて、(最低保証の目安ラインである)日商30万円に落としに行こう』という店舗が出てきている」、「約4分の1が日商40万円に満たない店舗・・・約4000もの店舗が、一斉に売り上げを下げ、最低保証を取りに行った時――、ファミマは新たなリスク要因を抱えることになる」、まさに末期的だ。
・『トップダウンの施策も不発  澤田のトップダウン施策も不発が続いている。 「ユニクロではこうだったぞ――」が口癖の澤田氏はファミマでもパンツやシャツなどアパレルを充実させようと張り切ってきた。 「澤田社長はファミマと提携していた無印良品の品を見て、当然、俺ならもっとできると考えたのでしょう。使い捨てパンツや機能性シャツを開発したり、今も、新しいアパレル販売の実験を繰り返しています。しかしファミマブランドの衣服ニーズなどあるわけもなく、今ではローソンに無印良品を取られたことを、加盟店すら悔やんでいます」(別のファミマ社員) 澤田氏はファミマ製アパレル発売時に、それらを着用しては悦に入り周囲に自慢しているという。パンツに拘泥する社長を見て、「裸の王様だ」と社員は声を潜めささやき合う。 だが、澤田氏の迷走はこれに止まらないという。 「思いたったらすぐに発信、それが基本です」澤田氏は『ファミリーマート 澤田社長「情報は自分で取りに行く」SNS活用経営の現場報告』(流通ニュース2020年1月10日)という記事でこう自らの経営手法を開陳している。 〈加盟店からの情報です!至急、調査をお願いします!!〉 〈友人からのアイデアです!ブレスト準備してください!〉 早朝に自宅でワークアウトすることを好む澤田氏は、そのときに思いついたことを幹部にプライベートのLINEで指示を飛ばす。情報源は友人女性や朝の情報番組、懇意にしている加盟店など。LINEは早朝の5時~6時に矢継ぎ早に送られてくる。 「もちろん幹部と社員スタッフは即レスしないといけないので、早朝から携帯電話の前で待っています。不幸なことにLINEが来てしまったら、急いで出社して、資料作りです。他にも経営企画から、いろいろな報告資料や会議資料を要求されるし、本業の仕事をする時間がまったくありません……」(ファミマ社員)』、「澤田氏はファミマ製アパレル発売時に、それらを着用しては悦に入り周囲に自慢している」、「澤田氏」はプロ経営者の1人といわれてきたが、その実態がここまで酷いとは心底驚かされた。
・『パフォーマンスが目立つ澤田氏の求心力も低下  既に澤田氏の求心力は、社員はおろか、加盟店からも完全に失われている。 ファミマに招聘されて4年、澤田氏は未だにファミマビジネスの軸を固められていないように見える。就任当初は大きな期待感をもって迎えられたものの、社員や加盟店からは「パフォーマンスだけの、小売りのド素人だった」と失望されている。会社の経営は一向に上向かず、上場企業という看板も失った。そのカリスマ性は色あせるばかりだ。 そんな状況下で、澤田氏が繰り出そうとしている新たなパフォーマンスが外部からの大物登用だ。マクドナルドを再建したことで著名な足立光氏が、10月1日からCMOとして着任することが発表されたのだ。足立氏はマーケティングの責任者としてファミマ再生のために手腕を発揮することが期待されている。 しかし、ある有力加盟店オーナーはため息交じりに言う。 「みなフリース(ユニクロ)の次はハンバーガー経営かと苦笑いをしています……。澤田社長には、どうかお願いだから、店舗の末期的状況を直視していただきたい」 今年の2月、ファミマは早期退職者の募集を始め、店員800名に対して多くの応募者が殺到し、結果的に1025名が早期退職制度を利用して会社を去った。その後も、若手社員を中心に人材の流出が続いているという。 こうした苦境の中、唯一の希望となっているのが再生本部の存在だ。 再生本部はファミマ直営店を管轄する部署だ。早期退職者募集時には、肩たたき組に対して「再生本部送りにするぞ!」という殺し文句が使われたように、リストラ部署と見る向きもあった。 「再生本部に送られたのはプロパーの社員ばかり。しかし、彼らは直営店で新しいチャレンジをどんどん始めている。これまでのファミマではあり得なかったような、大胆な野菜売り場を拡充するという仕掛けを始めたのも彼らで、今では一部店舗で定番化している。コロナ減速で厳しい中、プロパー組の意地を感じさせる奮闘ぶりを見せているのです」(冒頭のファミマ社員)』、「「みなフリース(ユニクロ)の次はハンバーガー経営かと苦笑いをしています」、「早期退職者の募集を始め、店員800名に対して多くの応募者が殺到し、結果的に1025名が早期退職制度を利用して会社を去った。その後も、若手社員を中心に人材の流出が続いている」、末期的というよりもはや破綻寸前の状況のようだ。
・『ファミマはどう答えたか  内情について取材を申し込むと、ファミマ広報はこう回答した。 Q 伊藤忠グループへの発注が優先されているのか? A「これまでも伊藤忠グループであることを理由に、発注が推奨されてきた事実はありません」 Q ファミマのシステムにCTCが関わっている。 A「CTCは数あるシステム会社様の一つとして弊社のシステム開発に携わっております。一方、CTCの開発したシステムが、他のコンビニと比較して機能が劣っているとの認識はございません」 Q 廃棄ロスの誤った指示が、売上減に響いていると指摘されている。 A「本部は加盟店に対し、ご指摘のような指示を出す立場になく、商品の発注は加盟店の判断で行われます。食品ロス(廃棄ロス)の削減は社会問題の1つと認識し、加盟店とともに取組んでいますが、本取組が機会ロスに大きく影響しているとの認識はございません」 Q 加盟店が売り上げ増より、最低保証を目指すようになっているのか。 A「コロナウィルスの影響の中、最低保証狙いに走る店舗が増えている事実はございません」 Q ファミマ店舗1万6600店のうち、4分の1近くが日商40万円に満たないという指摘がある。 A「その内容については公表しておりません」 現場の声と本部の認識にはいまだ大きな乖離(かいり)がある。大手商社と外様社長の迷走は、改めてファミマ社員に「コンビニ業とは何か?」という問いを突き付けた。 TOB成立によって、伊藤忠の“草刈り場”となるのか、それとも一念発起して新しいコンビニ像を作り上げるのか。完全子会社化後の彼らには、どのような運命が待ち構えているのだろうか――』、「伊藤忠の“草刈り場”」とはいっても草が枯れかけているようだ。「伊藤忠」は一体、どう考えているのだろう。

第三に、9月26日付けダイヤモンド・オンライン「コンビニ「24時間営業の見直し」議論がコロナで後退の舞台裏」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/249688
・『コロナ禍によって今春以降、コンビニエンスストアの求人に応募が殺到している。業界にとって積年の課題だった人手不足がやや薄らぐ一方で、これまで熱を帯びてきた24時間営業の見直し議論に水を差し始めた』、「コロナ禍」も意外な影響を及ぼしているようだ。
・『外食からコンビニへコロナ禍で求人に応募が殺到  340人――。コンビニエンスストア大手のローソンが今年5月、東京都墨田区の新店開業に伴い求人をかけたときの応募数だ。 新店の求人数は20人程度だったため、倍率は実に17倍にも及ぶ。既存店を含めた自社の求人サイトを通じた応募総数は、4月は前年同月比で約3倍、5月以降も4~7割増という高い水準で推移しているという。 セブン-イレブン・ジャパンやファミリーマートも状況は同じだ。地域や店舗によってかなりばらつきがあるものの、8月は両社とも求人応募数が前年同月比で約2倍に膨らんでいる。 応募急増の背景にあるのが、コロナ禍による飲食店の営業自粛だ。4月以降、アルバイト先の飲食店が営業自粛になり、生活費を稼ぐことがままならなくなった学生などが、コンビニの求人に飛びつくようにして応募しているわけだ』、「アルバイト先の飲食店が営業自粛になり、生活費を稼ぐことがままならなくなった学生などが、コンビニの求人に飛びつくようにして応募」、「コンビニ」にとっては、思わぬ追い風のようだ。
・『コンビニの人手不足は解消するのか  飲食店をめぐっては、閉店ラッシュが10月以降本格化するという見方がある。テナントに出店している場合、貸主への解約通告を半年前に設定しているケースが多いことがその理由だ。 政府の緊急事態宣言発令を受けて、都心部を中心に飲食店の営業自粛が広がったのが、今年4月。もしその時期に閉店を決めていたとしても、半年前予告であれば10月までは家賃が発生するため、泣く泣く営業を続けているという飲食店は少なくない。 今後、飲食店の閉店ラッシュが本格化することになれば、食いぶちを求めてコンビニに人が集まるという状況が、さらに強まりそうだ。 コンビニ業界にとって、人手不足はまさに積年の課題だった。それがやや緩和される見通しになり、胸をなでおろす本部社員は少なくないだろう 一方で、そうした状況に懸念を強めているのが、公正取引委員会や一部の加盟店オーナーたちだ。 特に公取委は、昨秋から大規模な実態調査に踏み切り、コンビニの24時間営業の強制にかかわる独占禁止法の問題点や、人手不足による人件費の上昇が加盟店を苦しめている実情などを指摘し、9月初旬に各社に改善要請をしたばかりだ。 さらに言えば、昨年以降業界を所管する経済産業省と連携して、24時間営業の柔軟な見直しについて、本部側の動きににらみを利かせつつ、実態調査を通じて改善に向けた圧力をこれから強めようとしている矢先だった。 それが、コロナ禍によって状況が一変してしまった。24時間営業の見直しの背景にある「慢性的な人手不足や、それに伴う人件費の上昇については、すでに改善している」という主張を、本部側が展開しやすくなり、公取委として改革を迫る圧力が一部削がれてしまう懸念があるわけだ。 全く別の懸念もある。 「もっとひどい状況かと思っていましたが、たいしたことはなかったですね」。大手コンビニの幹部によると、公取委から改善要請を受けるまでのやり取りの中で、業界におもねるような声掛けをしてきた公取委の職員がいるという。 実態調査の結果に対する受け止め方には、公取委の中でも温度差があるようだが、かつて「ほえない番犬」などとやゆされた及び腰の姿勢が、またぞろ公取委の一部で顔をのぞかせているのだとしたら、何とも心もとない。 「しょせんコロナ以前の実態調査ですから」。コンビニ本部から、そうした挑発的な声も漏れる中で、公取委は業界とどう対峙していくか。見せかけの攻防戦は誰も期待していない』、「今後、飲食店の閉店ラッシュが本格化することになれば、食いぶちを求めてコンビニに人が集まるという状況が、さらに強まりそうだ」、なるほど。「人手不足」問題が解消するとしても、「24時間営業の強制にかかわる独占禁止法の問題点」は残る筈だ。「公取委」には毅然とした姿勢で「業界と対峙」し、「ほえない番犬」の汚名をそそいでもらいたい。
タグ:コンビニ 東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン (その8)(セブン 米コンビニ「2兆円買収」再挑戦の賭け アメリカで「日本流コンビニ」は浸透するのか、伊藤忠がファミマをTOB 止まらぬ「店舗崩壊」に不安の声、コンビニ「24時間営業の見直し」議論がコロナで後退の舞台裏) 「セブン、米コンビニ「2兆円買収」再挑戦の賭け アメリカで「日本流コンビニ」は浸透するのか」 コンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド「スピードウェイ」部門を買収 買収額は210億ドル 米スノコLPから取得した際の31億ドル 米セブンの営業利益は倍増 アメリカは日本とは異なり、コンビニ業界での寡占化が進んでいない セブンが狙うのが、ハンバーガーやサンドイッチなど注力中のオリジナル商品の導入や、会員基盤の拡大や宅配サービスの展開拡大などサービス強化、店舗数拡大による購買力向上や配送効率化 オリジナル商品の強化によって、コンビニに行くことを目的とする消費者を増やしていく ガソリンスタンドでも安定収益 当初「約220億ドルで検討していたのが、「210億ドル」では必ずしも「千載一遇の案件」とはいえない気もする 「セール&リースバック」で実質的に「120億ドルで手に入れられる」とはいっても、リース料の分EBITDAが縮小する筈 日本流は浸透するのか 『日本流を広める』というのは幻想。日本のセブンはアメリカ流を排したことで成功したが、(商品を強化するという)日本流をアメリカに植え付けるのはその裏返しで、有効なのか疑問だ 赤石晋一郎 「伊藤忠がファミマをTOB、止まらぬ「店舗崩壊」に不安の声」 社内ではため息とともに将来を不安視する声が囁かれた ファミマ社内で広がる失望感 もはやファミマは伊藤忠の利益搾取の場所 出資比率を以前の30%(注33.4%)に戻し、親会社への忖度なく目の前の商売に集中させてほしい コンビニ3強で一人負け状態 伊藤忠支配の弊害は、消費者向けの商品だけにとどまらない 店舗システムは 伊藤忠グループ会社が開発に大きく関与したものを使っています。だが、高い開発費や運用費に対して、発注や個店分析などの機能がとにかく使い勝手が悪く、加盟店からは『おんぼろマシン』と呼ばれている 減速の最大要因はフードロス対策 店舗側が、日々の通常商品まで商品発注においてリスクを取らないようになってしまったのです。結果、棚に商品がないという欠品状態が続出している 経営を揺るがす最低保証問題とは 本部も何ら加盟店の心をつなぎとめる指針を出せていない。だったら、『もう頑張らずに、発注を止めて、(最低保証の目安ラインである)日商30万円に落としに行こう』という店舗が出てきている 約4分の1が日商40万円に満たない店舗・・・約4000もの店舗が、一斉に売り上げを下げ、最低保証を取りに行った時――、ファミマは新たなリスク要因を抱えることになる トップダウンの施策も不発 澤田氏はファミマ製アパレル発売時に、それらを着用しては悦に入り周囲に自慢している 「澤田氏」はプロ経営者の1人といわれてきたが、その実態がここまで酷いとは心底驚かされた パフォーマンスが目立つ澤田氏の求心力も低下 「みなフリース(ユニクロ)の次はハンバーガー経営かと苦笑いをしています 早期退職者の募集を始め、店員800名に対して多くの応募者が殺到し、結果的に1025名が早期退職制度を利用して会社を去った。その後も、若手社員を中心に人材の流出が続いている ファミマはどう答えたか 「伊藤忠の“草刈り場”」とはいっても草が枯れかけているようだ 「コンビニ「24時間営業の見直し」議論がコロナで後退の舞台裏」 外食からコンビニへコロナ禍で求人に応募が殺到 アルバイト先の飲食店が営業自粛になり、生活費を稼ぐことがままならなくなった学生などが、コンビニの求人に飛びつくようにして応募 コンビニの人手不足は解消するのか 今後、飲食店の閉店ラッシュが本格化することになれば、食いぶちを求めてコンビニに人が集まるという状況が、さらに強まりそうだ 人手不足」問題が解消するとしても、「24時間営業の強制にかかわる独占禁止法の問題点」は残る筈だ 「公取委」には毅然とした姿勢で「業界と対峙」し、「ほえない番犬」の汚名をそそいでもらいたい
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商社問題(その2)(最後の旧来型エリートの牙城「商社」がコロナ禍で迎える危急存亡、バフェット氏が「5大商社株」に投資した7つの理由 山崎元が独自解説、三菱商事社長から全社員への「釈明メール」独自入手 軋むエリート集団) [産業動向]

大商社の巨額減損については、2016年5月26日に取上げた。今日は、タイトルを変更、商社問題(その2)(最後の旧来型エリートの牙城「商社」がコロナ禍で迎える危急存亡、バフェット氏が「5大商社株」に投資した7つの理由 山崎元が独自解説、三菱商事社長から全社員への「釈明メール」独自入手 軋むエリート集団)である。

先ずは、本年5月11日付けダイヤモンド・オンライン「最後の旧来型エリートの牙城「商社」がコロナ禍で迎える危急存亡」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/236216
・『『週刊ダイヤモンド』5月16日号の第1特集は「最後の旧来型エリート 商社」です。高給で就職人気の高い総合商社は、日本に残された最後の旧来型エリート集団の象徴といえますが、彼らの稼ぐ力に限界が見え始めています。成長期待の低さから株式市場に見放され、若手人材の流出も止まりません。さらに新型コロナウイルスの感染拡大が、旧来型ビジネスから脱却できない商社の姿を浮き彫りにしています。商社は直面する苦難の時代を乗り切れるのでしょうか』、興味深そうだ。
・『伊藤忠のDNAに刻まれた非資源で打倒!財閥系の半世紀  「昔は三菱(商事)、三井(物産)、住友(商事)という財閥系商社が常に前に立ちはだかり、その壁は高くて厚かった。うちは大阪の繊維商社として始まり、東京へ攻めて総合商社になろうとしたが、大口の電力会社や製鉄会社に全く相手にされなかった」 4月15日、東京・北青山の伊藤忠商事東京本社。インタビューの冒頭、そう語り始めた会長CEO(最高経営責任者)の岡藤正広氏の手元には、最近読み始めたという1冊の本があった。元伊藤忠中国総代表の藤野文晤氏らのインタビューが収録された『証言 戦後日中関係秘史』(岩波書店)だ。 そのページを繰りながら岡藤氏が口にしたのは、伊藤忠の第5代社長、越後正一氏の名だった。越後氏は、太平洋戦争時に大本営作戦参謀だった瀬島龍三氏を招聘し、その人脈や戦略を用いて中国ビジネスなどに参入した。 越後氏は、伊藤忠の総合商社化を図った「中興の祖」と呼ばれるが、それでも重厚長大メーカーや電力会社を顧客に抱える財閥系商社には太刀打ちできなかった。だから「財閥系商社とは違う生活消費関連で勝負をしよう」とした歴史を、岡藤氏は振り返る。 こんな昔話を岡藤氏がわざわざ持ち出したのは、トップの財閥系商社、三菱商事の遠かった背中に、ようやく手の届くところまで来たという自負があるからだろう。 5月8日、総合商社の2019年度決算が出そろった。三菱商事の連結純利益5354億円に対し、伊藤忠は5013億円。「業界2強」はほぼ肩を並べ、20年度もトップ争いを続けることになる』、「瀬島龍三氏を招聘し、その人脈や戦略を用いて中国ビジネスなどに参入」、「伊藤忠」の「中国ビジネス」にそのような歴史があったとは初めて知った。
・『「V字回復困難」「需要が蒸発」 商社トップからコロナ悲観の声続々  そんな業界内の序列はさておき、そもそも総合商社のビジネス自体が、旧来型モデルとなりつつあるのではないか、という指摘もある。この点については岡藤氏も「商社に共通する一番の問題は、(売り手優先の)『プロダクトアウト』の発想から抜けられないこと」と認め、改革の必要性を強調する。 株式市場では、商社のPBR(株価純資産倍率)は解散価値に相当する1倍を概ね下回り、商社株は成長を期待されない銘柄に成り下がっている。「資源バブルで偶然得た利益を使って非資源の資産を積み増してきた中途半端な投資会社」。株式市場ではそう見られていると、みずほ証券シニアアナリストの楠木秀憲氏は指摘する。 コングロマリット企業の総合商社は「会社の中に別の会社がある」と言われるほど、縦割り文化が根強い。ビジネスモデルだけでなく、年功序列が色濃く残り、最初の配属先で将来の出世がほぼ決まる。 そんな旧来型組織に嫌気がさし、近年は入社数年内に希望退社する若手が増えている。財閥系商社を辞めた30代の男性は「海外出張の行程作成など内向きの仕事が異常に多く、肝心の経営を回すノウハウが欠如していると感じた」と話す。 年功序列や縦割り慣行など旧来型の組織を抜本的に変えなければ、若手の流出を食い止めることはできない。それは長期的に見れば、新たな発想や活力が失われていくことになる。 そして今、商社が直面する最大の危機が、新型コロナウイルスの感染拡大だ。19年度決算は資源ビジネスなどで減損損失を余儀なくされ、20年度も軒並み大苦戦の見通しだ。 各社首脳からは「世界景気のV字回復は極めて困難。L字に近い回復に止まり、21年も緩慢な景気回復に止まる可能性がある」(丸紅社長の柿木真澄氏)、「コロナが要因で人流と物流が途絶え、これによりエネルギーの需要がまさに蒸発した」(三井物産社長の安永竜夫氏)と悲観の声が聞こえる。 岡藤氏もダイヤモンド編集部のインタビューで、コロナ禍について「1年から2年くらいは続く。ワクチンが開発されても、ズタズタになったサプライチェーンを戻すのに時間がかかる。消費者や投資家のマインドも冷え込む。原油価格が戻らず、産油国の通貨暴落や米国のシェール企業の連鎖倒産も起きるかもしれない」との見通しを述べている。 各社は財務規律を強め、コロナ禍の嵐を耐え忍ぼうとするだろう。 残された最後の旧来型エリート集団の象徴といえますが、彼らの稼ぐ力に限界が見え始めています。 特集では、コロナ禍以前に商社業界の盟主として長らくトップに君臨し続けた三菱商事を徹底分析。業界盟主の巨大商社が、凋落しつつある背景を追いました。 また高給と安定を捨てて、商社を飛び出す道を選んだ“辞め商社”の若者たちを直撃。インタビューや座談会で、年収2000万円で働かない窓際族の存在など、総合商社が抱える構造的な課題を暴露してもらいました。合わせて、商社に残った者たちの最新の出世・婚活・結婚生活の裏話や給与の秘密に迫ります。 もちろん、商社の最新ビジネス動向も網羅しています。伊藤忠が始めた「遺伝子ビジネス」の全貌や、小売業の現場で火花を散らす三菱商事と住友商事の争いなど、逆風の中で新たなビジネスを模索し続ける現場の商社マンたちの姿を描きます。 加えて総合商社にとどまらず、鉄鋼や繊維、食品などさまざまな専門商社を含めた117社の実力を初算出。キラリと光る隠れ優良商社の存在をランキング形式でお届けします。 商社はBtoBの取引が主でビジネスの表舞台に出ることは少ないですが、今回の特集を通じて、そんな彼らの実像をお伝えできれば幸いです』、「資源バブルで偶然得た利益を使って非資源の資産を積み増してきた中途半端な投資会社」との「楠木秀憲氏」の指摘は、言い得て妙だ。「コロナ禍の嵐」をどう乗り切ってゆくのだろうか。

次に、9月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「バフェット氏が「5大商社株」に投資した7つの理由、山崎元が独自解説」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/248726
・『バフェット氏が日本の5大商社に投資していることを発表した。市場関係者の間では有名投資家による日本株への投資を歓迎する声が多い。ただ、同氏の投資にどのような意味があるのか、つかみかねている向きも少なくないようだ。そこで、7つのポイントからバフェット氏が日本の商社株に投資した理由を解説する』、「山崎元が独自解説」とは面白そうだ。
・『世界的投資家のバフェット氏が大手商社5社の株を5%ずつ投資  世界的な投資家として知られるウォーレン・バフェット氏が、自らの90歳の誕生日である8月30日に、日本の大手総合商社5社の株式をそれぞれの会社の時価総額の5%程度取得したと発表した。伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の5社だ。 1年程度をかけて市場で少しずつ買っていたようだ。概算で目下6000億円程度の投資となる。同氏は今後、各社の時価総額の10%前後まで株を買う可能性があると表明している。 市場関係者の間では、有名投資家の日本株への投資を歓迎する声が多い。ただ、同氏の投資にどのような意味があるのか、つかみかねている向きも少なくないようだ。 「5%」の段階で商社株の取得を発表したのは、保有が5%を超えると「大株主」として大量保有報告のデータが公開されるからだろう。また、「10%程度まで」と述べていることや、そもそも投資先を5社に分散したことは、投資先企業の支配を目的とした投資ではない、いわゆる「純投資」であることをうかがわせる。 バフェット氏は、いわゆるアクティビスト(≒「物言う株主」)ではないし、株式を長期に保有しながら、経営には直接関わらずに投資先企業を応援するタイプの投資家だと考えられている。今のところ、投資された側の商社各社に警戒や反発の動きはない。 それにしても、「なぜ」、日本の総合商社への投資であったのか。また大手5社への分散投資だったのだろうか』、「バフェット氏」の「総合商社への投資」を「山崎氏」はどうみているのだろう。
・『商社株の7つのキャラクターからバフェット氏の投資の謎に迫る  各社に多少の違いがあるとしても、株式市場にあって日本の総合商社株は、「高配当利回り」「割安株」「資源関連株」など複数の特徴で把握されている。これら3つの観点に加えて、「非ESG的銘柄」「コングロマリットディスカウント」という5つの観点から、バフェット氏が日本の商社株に投資をした「謎」に迫ってみたい』、切り口はさすが「山崎氏」ならではで鋭い。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(1)高配当利回り株  現在の株価と予想配当の利回りで見て日本の商社株は配当利回りが高い。業績好調の伊藤忠は3%台だが、これでも平均的な配当利回りよりも高いし、三井物産は4%台、三菱商事に至っては5%台の利回りになる。 配当利回りが高いことは、「有効な投資機会がないので資金を配当に回している」、「配当の割に投資家に不人気である」といった属性を示唆する。そのため、会社としてあまり格好のいいことではないが、投資家の側から見ると、特に「不人気」という属性は悪くない。 日本の商社株の配当利回りは、現在1%を大きく割り込んでいる米国の10年国債の利回りよりも有意に高い。しかも、この利回りが円ベースであることを考えると見かけ以上の魅力があるはずだ。しかし、バフェット氏の考え方からすると、「資金を配当して課税されるよりは、事業に有効に投資して複利で増やしてくれる方がもっといい」と考えるはずなので、バフェット氏が配当目当てで日本の商社に投資したとは考えにくい。 ただし、日本の商社はビジネスの実質が「貿易・商業機能付きの投資会社」に近付いているので、潤沢な配当を行うことができる資金力は魅力的に映ったかもしれない。「商社は、これからもっと有効な投資ができるはずだ」という期待を持っている可能性はあるのではないだろうか。 高配当利回りという意味では、地方銀行はもちろん、メガバンクでも配当利回りが高いが、バフェット氏から見て、彼らのビジネスが魅力的ではなかったのだろう』、「「商社は、これからもっと有効な投資ができるはずだ」という期待を持っている可能性はあるのではないだろうか」、なるほど。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(2)割安株  総合商社株は、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)のいずれで見ても株価が割安な株だ。 旧来のバフェット氏の投資法から想像すると、特に重要なのはPBRの方だろう。伊藤忠は1倍を上回っているが、三菱商事、丸紅は0.7倍台、三井物産も0.8倍台、住友商事に至っては0.6倍代と、株価は1株当たり純資産を大きく下回る。 もちろん投資に当たっては、各社の資産の実質価値と、特に投資先の企業やプロジェクトの価値を調べたに違いないが、バフェット氏の昔からの割安株投資の考え方から見て、日本の総合商社株はフェアバリューに対しての「セーフティーマージン(安全帯)」がそこそこに大きく見えたのではないだろうか』、この観点からも納得できる。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(3)資源株  日本の総合商社の株価評価がいまひとつ高くない理由として、彼らのビジネスの大きな部分が資源関連で、資源価格の影響を受けやすいことが挙げられることが多い。複数の商社で、非資源ビジネスのシェア拡大を経営者は課題に挙げる。 バフェット氏の立場では、資源に投資したければ、資源を扱う企業に直接投資することができる。従って、資源関連株であることが日本の商社の魅力の1つだったとは考えにくいが、商社株への投資を「資源関連への投資でもある」と、ある程度は考えているに違いないだろう』、「ある程度は考えている」程度の位置づけのようだ。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(4)「非ESG的」銘柄  商社は前出のように資源関連のビジネスへの割合が大きいし、化石燃料を使う発電所のようなプラントのビジネスも有している。環境を考えていないわけではないだろうから各社のIR(投資家向け広報)の担当者に怒られるかもしれないが、商社は現状では「地球環境に負荷をかけている企業」だろう。 また、商社は日本のビジネス界の中でも「男社会」的な側面が強く、女性の役員・幹部社員は少ない。 日本の商社は、いわば「非ESG的」である。 投資としての評価に関わる点に関してバフェット氏は、E(環境)もS(社会的責任)もG(企業ガバナンス)も目配りしただろう。だが、「ESGの観点からの投資」に特にこだわっていないように見える点で、今回の日本の商社への投資はバフェット氏らしい。 同氏は、ESG投資家に嫌われて株価が低評価なのであれば、むしろ投資のチャンスだというくらいに考えたのではないか』、この解説は苦心したようだ。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(5)コングロマリットディスカウント  複数のビジネスを持つ企業体が、個々のビジネスを独立させた状態よりも低く評価される「コングロマリットディスカウント」と呼ばれる現象がある。株主から見て資本の活用効率が悪いことが嫌われ、いわゆるアクティビスト的な株主は、事業を一部分離して別途上場することを要求するケースもある。 日本の総合商社は、多分野のビジネスの集合体なので、彼らの株価の低評価には「コングロマリットディスカウント」が働いている公算が大きい。これは、現状の不人気の理由だが、バフェット氏の立場から見ると、今後、総合商社が事業を再編してコングロマリットディスカウント的なデメリットを解消できれば、投資の価値が上る可能性が大きいことを意味する。 こうした株主から見た経営改善は、個々の商社が行うこともできるが、例えば、複数の商社が同一のビジネス部門を統合して分離することも有効な対策になり得る。過去に例が多くあるわけではないが、三菱商事と双日が鉄鋼部門を統合してメタルワンにまとめたような事例もある。 今回バフェット氏は複数の商社に同時に投資したが、こうした構想を持っているのかもしれない』、「今後、総合商社が事業を再編してコングロマリットディスカウント的なデメリットを解消できれば、投資の価値が上る可能性が大きいことを意味」、ありそうなシナリオだ。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(6)企業グループの「参入障壁」  投資にあって、バフェット氏は「割安」を好むこととともに、長期保有に耐え得る「偉大なビジネスを持つ会社」を高く評価する点にも特色がある。 「偉大なビジネス」の内実は、競争力であり、特に参入障壁の高さだ。 日本の商社の場合、似たビジネスを行う似た規模の会社が複数あるし、取引における利益率は大きなものでもない。また、技術やパテント(特許)で決定的な強みを持っているわけではない。しかし、特に財閥系の商社のように、同一企業グループに関連するビジネスに対して、他グループのライバルよりも競争上強いポジションを持っている場合がある。 バフェット氏が、日本の商社の「競争力」をどう評価しているのかは興味深いが、「商社が持つ参入障壁は案外強固だ」と評価した可能性はある』、その通りだ。
・『バフェット氏が商社株に投資した理由(7)非効率性の潜在リターン  日本企業が、特に株主や投資家から見て、経営、さらにはコーポレートガバナンスが非効率的だとの批判は根強いし、これが日本株への低評価の原因にもなっている。 しかし、この種の非効率性は、「現在の低評価」の原因であり、これが改善できるなら「追加的なプラスリターン」を生む源泉になり得る。 仮に、米国企業が目いっぱい株主にとって効率の良い経営をしていて、日本企業が相当程度に非効率的な経営をしているなら、「改善の余地」があるのは日本企業の方だ。 「改善できる非効率」は大きなリターンの源泉だ。バフェット氏の商社株投資は、こうした着眼の先駆けとして将来評価されることになる可能性があるのではないだろうか』、「この種の非効率性は、「現在の低評価」の原因であり、これが改善できるなら「追加的なプラスリターン」を生む源泉になり得る」、さすが深い洞察だ。
・『バフェット氏の「分散投資」こそ投資家としての最大の教訓か  それにしても、従来のバフェット氏からすると総合商社大手5社に分散投資したことは異例だ。 「大きな資金を目立つことなく動かすには1社や2社では足りなかったので、保有が公表される5%までは5社買ったのだ」という理由が現実的なのかもしれない。しかし、先に想像したように、日本の商社の事業単位での再編を考えている可能性もないとはいえない。 ただし、バフェット氏の「意図」はともかく、「どの銘柄がいいのか優劣判断が難しい場合は複数の銘柄に分散投資する」という行為は、投資の理屈にかなっている。 分散投資の観点では、これまで専ら米国企業に投資してきたバフェット氏が、今回日本株に投資したことが、国際分散投資の始まりであるなら、これも投資の原則に合致する。1国の株式だけに投資の対象を絞り込むよりは、国際的に分散投資する方が、投資の効率を高める機会がより大きいのは当然だ。 個人投資家としては、バフェット氏の日本の総合商社株への投資から、「不人気株への投資」とか「非効率改善の可能性に賭けた投資」といった疑り深い見方をするよりは、「分散投資の拡大」を素直に教訓として受け取るべきなのかもしれない』、「疑り深い見方をするよりは、「分散投資の拡大」を素直に教訓として受け取るべきなのかもしれない」、「山崎氏」らしいすっきりした解説だ。

第三に、9月14日付けダイヤモンド・オンライン「三菱商事社長から全社員への「釈明メール」独自入手、軋むエリート集団」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/248365
・『三菱商事の垣内威彦社長が6月、社員に向けて送ったメールを独自入手した。その中身からは、社員が経営に不信感を強めていることに対し、垣内社長が並々ならぬ危機感を抱いている様子がうかがい知れる。特集『三菱陥落』(全10回)の#1では、三菱グループのみならず日本を代表するエリート集団企業の内部で起きている異変に迫った』、興味深そうだ。
・『経営への「納得度」「信頼感」低下 メールに透ける垣内社長の危機感  「組織風土調査結果への対応として、すでに各グループ・部門で改善への取り組みを進めてもらっていますが、全社経営においても重要な経営課題と受け止めています」 今年6月半ば、三菱商事の全社員にこのような“釈明”の文言で始まる社内メールが届いた。送り主は垣内威彦・三菱商事社長だ。 垣内社長は一体何を「重要な経営課題」と受け止めているのか。その答えは「組織風土調査」の中身にある。 三菱商事は2009年度以降、「組織の健康診断」の一環として社員向けアンケート調査を定期的に実施している。 今回の調査を実施したのは昨年8月。この結果、「経営方針・戦略の納得度」「全社・グループ経営への信頼感」「変化に対応した効率的な組織運営」「生産性の向上」「新人事制度」の項目について、過去の調査と比べて社員の否定的意見が増加したのだという。 このうち「経営への信頼感」は、いわば社長の支持率のようなものだ。社員が経営への信頼感を持ち得ない会社に、発展など望むべくもない。支持率が急降下したのであれば、民主国家なら“総辞職”もやむを得ない緊急事態だろう。 メールの文面はさらに続く。 「我が社にとって最も重要な資産は人材であり、社員の成長が会社の発展と一体化してきた会社です。社員が成長できる場を提供し、それぞれの社員が構想力、実行力を最大限に発揮できる環境を整備していくことが経営の責務です」 「常日頃から皆で議論する折々に深い洞察に基づく意見を、上下の分け隔てや無用な忖度がなく、お互いにぶつけ合い、十分な議論を重ねた上で、一度結論が出ればノーサイドの精神で全員が一丸になって目標に向かって邁進する、これを重ねていくことが将来にわたって我が社が持続的に成長し、社会に貢献し続けることにつながると確信しています」 「社員が成長できる場を提供」「上下の分け隔てや無用な忖度がなく」――。メールの文面から伝わるのは、それらをあえて明文化しなければならないほど、社内風土の健全性に「確信」を持てない垣内社長の危機感だ。 垣内社長はその対応策として「全社風土改革タスクフォース」なる対外的に非公表の組織の発足を表明。責任者に、人事などを担当する村越晃常務、総務などを担当する榊田雅和常務、常勤監査役の内野州馬氏と平野肇氏を任命した。 三菱商事のある社員は吐き捨てるように言う。「調査には自由筆記欄もあり、経営方針や人事に対する不満が噴出したようだ。社員のモチベーションは明らかに低下している。風土改革タスクフォースを設置するとは前代未聞のことだが、具体的な活動内容は不明のまま。社員にたまった不満のガス抜きにもならない」。 三菱商事といえば、高給・高待遇で、就職人気も高い国内最高峰のエリート企業といっても過言ではない。おのずと社員の満足度は高くなる。事実、過去の調査ではそのような傾向が表れていた。その三菱商事が今、なぜ「前代未聞」の事態に直面しているのか』、「三菱商事は2009年度以降、「組織の健康診断」の一環として社員向けアンケート調査(「組織風土調査」)を定期的に実施」、これはなかなか良い試みだが、社長には今回のような頭が痛くなる結果も出てくるようだ。
・『「組織の三菱」は事実上瓦解 社長による中央集権化が加速  その一因として前出の社員が挙げるのは、垣内社長が急速に進める中央集権化への反発だ。 16年に就任した垣内社長の政権下、三菱商事の歴史上大きく変化した点がある。それが「副社長」ポストの廃止だ。小林健前社長(現会長)時代には、最大5人いた副社長は18年度以降ゼロだ。 資源からコンビニエンスストアまでさまざまな事業の集合体である総合商社のマネジメントは広範かつ複雑だ。中でも業界最大の資産規模を誇る三菱商事において、社長が1人で全体を統括するのは不可能に近い。 従って複数の副社長が番頭として社長を支え、誰が社長ポストに就いても組織体として機能する仕組みが三菱商事の伝統だった。また佐々木幹夫社長時代の古川洽次氏、小島順彦社長時代の故上野征夫氏ら、かつての三菱商事には、いわば「官房長官」役の副社長が必ず社長の最側近にいた。 総務や人事、広報をつかさどるコーポレート出身で、社内外の情報を機敏に察知し、時に社長に苦言も呈する――。そんな“お目付け役”を任せられる人材が、今の三菱商事には存在しない。代わって要職に目立つのは、生活産業グループCEO(最高経営責任者)時代から垣内社長に仕えてきた旧知の部下たちだ。 副社長ポストの廃止には、社長が責任を持って迅速に意思決定する狙いがあるのだろう。また、垣内社長は経営人材の育成や若手の抜てきも新人事政策に掲げるが、若手社員からは「抜てきするのは結局、社長や社長への忖度が染み付いた組織。社長の独断専行人事に社員は萎縮している」との声が漏れ聞こえてくる』、「「副社長」ポストの廃止」は組織のフラット化が図れるが、「“お目付け役”を任せられる人材が、今の三菱商事には存在しない」、「代わって要職に目立つのは、生活産業グループCEO・・・時代から垣内社長に仕えてきた旧知の部下たち」、側近重視すると組織の風通しは悪くなるのは当然だ。
・『三菱商事は今、伝統的な集団指導体制から中央集権体制への転換を急いでいる。実は似たような改革を10年前に断行した商社がある。三菱商事のライバル、伊藤忠商事だ。 伊藤忠の岡藤正広会長CEOは10年に社長に就任した翌年、13人もの役員の首を切る大規模な粛清を断行。特に丹羽宇一郎元会長の出身母体である食料カンパニーに、配下の繊維カンパニー幹部を大量に送り込んだ。垣内氏よりもはるかにドラスティックな中央集権化で自らの権力基盤を固めた。 だが、岡藤氏は結果を出すことで不満分子を黙らせた。当時業界4位が「定席」だった伊藤忠は、住友商事、三井物産と財閥系商社を相次いで追い抜き、ついには業界盟主の三菱商事の肩に手を掛け、今年度に追い抜く勢いだ。既に時価総額では今年6月に三菱商事を上回り、総合商社トップに躍り出ている。 対する三菱商事はどうか。15年度、資源価格の暴落で創業以来初の赤字に転落した直後に就任した垣内社長は、非資源事業の強化を打ち出した。 だが、その後のV字回復を支えたのは、皮肉にも資源ビジネスだった。 オーストラリアの資源投資子会社MDPが、17、18年度に過去最高益を更新した三菱商事の純利益全体の半分近くを稼ぎ出している。ところが資源価格下落でひとたびMDPがつまずくと、再び純利益の下方修正を余儀なくされた。「三菱商事に稼ぐ力はない」――。株式市場ではそんな指摘もささやかれる。 19年度は繰り延べ税金資産を一過性利益として計上する「隠し球」を繰り出し、なんとか純利益トップを維持したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が直撃する20年度は、業界首位からの陥落は避けられそうもない。純利益予想は伊藤忠の4000億円に対し三菱商事は2000億円と、ダブルスコアの差をつけられている』、「伊藤忠」では、「垣内氏よりもはるかにドラスティックな中央集権化で自らの権力基盤を固めた。 だが、岡藤氏は結果を出すことで不満分子を黙らせた」、同じ「中央集権化」を目指しても結果がついてこないのでは、組織に不満が渦巻くのは当然だ。
・『資源エネルギーの低迷に加え、深刻なのは自動車ビジネスだ。本特集#2『「三菱自動車を切り捨てない」三菱商事のキーマン、自動車部門CEO激白』で詳述するが、コロナ禍で世界的に自動車需要が蒸発し、三菱商事が出資する三菱自動車の減損損失を取り込まざるを得ない。 三菱商事は18年に約1200億円を投じ、三菱自への出資比率を1割弱から約2割へ引き上げている。三菱自は16年に燃費不正問題が発覚して日産自動車の傘下に入ったが、その後も三菱“御三家”は株式を保有し続けた。本音ではさっさと手を引きたかった三菱重工業と三菱UFJ銀行から、三菱商事は自動車株を引き受けた形だが、これが完全に裏目に出てしまった。 三菱グループの特色は、グループ“長兄”の重工を筆頭に、重厚長大メーカーが多いことにある。三菱商事はそのグループの扇の要として、メーカーに原材料を納め、完成品を世界中で売りさばく盤石のビジネスモデルを築き上げてきた。 だが重工や自動車をはじめとする三菱の重厚長大メーカーが凋落して久しい。重要パートナーの競争力低下はダイレクトに三菱商事に響き、従来の“必勝パターン”に狂いが生じ始めている。コロナ禍が招いた首位陥落は、一過性ではなく、構造的な危機といえる。 今こそ三菱商事が解体的出直しを図らねばならないと、誰よりも痛感しているのが、垣内社長自身なのかもしれない。 だからこそ時代の変化に対応できるよう、「組織の三菱」の集団指導体制から中央集権の組織づくり、そして抜本的なグループ再編という改革を断行した。時価総額で三菱商事を追い抜き、純利益でも抜き去ろうとするライバル企業の絶対権力者の手法を、垣内社長はつぶさに観察しているはずだ。 しかし結果が伴わなければ、社員の求心力は低下する。経営への納得度や信頼感が低下し、経営の責任者である社長への不信感が増す。三菱商事の組織風土調査が浮き彫りにするのは、そうした現実だ。 三菱商事の“垣内派”幹部は言う。「今は改革の過渡期だ。その過程で一部の社員から不満の声が上がるのは想定内。10~20年後を見据えて今、生みの苦しみを経験しなければ会社として生き残れない」。 三菱商事の苦悩は根深い。変わらなければならない。だが、その変化の途上においても社員が「納得」する経営、人事、そして何よりも結果を出し続けなければ不協和音が増大し、やがて組織は瓦解する。 三菱グループのみならず、日本を代表する企業が直面する苦悩は、日本企業全体の苦悩の象徴なのかもしれない』、「三菱グループ」の最大の柱である「三菱商事の苦悩は根深い」、とは本当に深刻だ。「垣内社長」の手綱さばきが注目される。
タグ:ダイヤモンド・オンライン 山崎 元 大商社の巨額減損 商社問題 (その2)(最後の旧来型エリートの牙城「商社」がコロナ禍で迎える危急存亡、バフェット氏が「5大商社株」に投資した7つの理由 山崎元が独自解説、三菱商事社長から全社員への「釈明メール」独自入手 軋むエリート集団) 「最後の旧来型エリートの牙城「商社」がコロナ禍で迎える危急存亡」 伊藤忠のDNAに刻まれた非資源で打倒!財閥系の半世紀 瀬島龍三氏を招聘し、その人脈や戦略を用いて中国ビジネスなどに参入 「V字回復困難」「需要が蒸発」 商社トップからコロナ悲観の声続々 資源バブルで偶然得た利益を使って非資源の資産を積み増してきた中途半端な投資会社 楠木秀憲 コロナ禍の嵐 「バフェット氏が「5大商社株」に投資した7つの理由、山崎元が独自解説」 バフェット氏が日本の5大商社に投資していることを発表 世界的投資家のバフェット氏が大手商社5社の株を5%ずつ投資 商社株の7つのキャラクターからバフェット氏の投資の謎に迫る バフェット氏が商社株に投資した理由(1)高配当利回り株 バフェット氏が商社株に投資した理由(2)割安株 バフェット氏が商社株に投資した理由(3)資源株 バフェット氏が商社株に投資した理由(4)「非ESG的」銘柄 ESG投資家に嫌われて株価が低評価なのであれば、むしろ投資のチャンスだというくらいに考えたのではないか バフェット氏が商社株に投資した理由(5)コングロマリットディスカウント 今後、総合商社が事業を再編してコングロマリットディスカウント的なデメリットを解消できれば、投資の価値が上る可能性が大きいことを意味 バフェット氏が商社株に投資した理由(6)企業グループの「参入障壁」 商社が持つ参入障壁は案外強固だ」と評価した可能性はある バフェット氏が商社株に投資した理由(7)非効率性の潜在リターン この種の非効率性は、「現在の低評価」の原因であり、これが改善できるなら「追加的なプラスリターン」を生む源泉になり得る バフェット氏の「分散投資」こそ投資家としての最大の教訓か 疑り深い見方をするよりは、「分散投資の拡大」を素直に教訓として受け取るべきなのかもしれない 「三菱商事社長から全社員への「釈明メール」独自入手、軋むエリート集団」 経営への「納得度」「信頼感」低下 メールに透ける垣内社長の危機感 「組織風土調査」 2009年度以降、「組織の健康診断」の一環として社員向けアンケート調査を定期的に実施 「組織の三菱」は事実上瓦解 社長による中央集権化が加速 「副社長」ポストの廃止 “お目付け役”を任せられる人材が、今の三菱商事には存在しない 代わって要職に目立つのは、生活産業グループCEO・・・時代から垣内社長に仕えてきた旧知の部下たち」、側近重視すると組織の風通しは悪くなるのは当然 「伊藤忠」では、「垣内氏よりもはるかにドラスティックな中央集権化で自らの権力基盤を固めた。 だが、岡藤氏は結果を出すことで不満分子を黙らせた 同じ「中央集権化」を目指しても結果がついてこないのでは、組織に不満が渦巻くのは当然 三菱商事の苦悩は根深い 「垣内社長」の手綱さばきが注目される
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通信(5G)(その1)(「5G」に決定的に乗り遅れた日本、挽回のために今からできること 「6G」とか言ってる場合じゃない、NTT-NEC提携「5Gでファーウェイに対抗」の嘘、対ファーウェイ国産5G連合で蘇る 日本メーカー中国携帯市場「惨敗」の記憶) [産業動向]

今日は、通信(5G)(その1)(「5G」に決定的に乗り遅れた日本、挽回のために今からできること 「6G」とか言ってる場合じゃない、NTT-NEC提携「5Gでファーウェイに対抗」の嘘、対ファーウェイ国産5G連合で蘇る 日本メーカー中国携帯市場「惨敗」の記憶)を取上げよう。これまでは、携帯・スマホとして4月1日に取上げた。

先ずは、1月29日付け現代ビジネスが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「「5G」に決定的に乗り遅れた日本、挽回のために今からできること 「6G」とか言ってる場合じゃない」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70087?imp=0
・『今年の4月から、国内でも本格的な5G(第5世代移動通信方式)の商用サービスがスタートする。日本は5Gの整備で出遅れたとの指摘があり、実際、アジア地域では、中国主導で5Gのインフラ整備が急ピッチで進んでいる。だが、通信インフラというのは、ただ整備すればよいわけではなく、どのようなサービスを展開できるのかがむしろ重要である。 中国に対抗するため、さらに次の規格であるポスト5G(6G)の開発を強化すべきとの意見もあるようだが、日本が注力すべきなのは6Gの基盤整備ではなく、まずは5Gにおいて画期的なサービスを開発することである』、日本が「決定的に乗り遅れた」「5G」で挽回策はあるのだろうか。
・『スマホ利用者のメリットはそれほど多くないが…  5Gは、現在主流となっている4G(もしくはLTE)に続く次世代モバイル通信規格のことである。LTEと4Gは厳密には異なる規格だが、業界内ではLTEも4Gに含めるとの合意ができているので、これも4Gとみなしてよいだろう。今、携帯電話を持っている人の大半は、LTEか4Gなので、5Gが本格的に普及することになれば、10年ぶりに通信規格が抜本的に変化することになる。 5Gの最大の特徴は圧倒的な通信速度である。5Gにおける最大通信速度は毎秒20ギガビットとなっており、毎秒200メガビットから1ギガビット程度だった4Gと比較すると、20倍から100倍の速さになる。これはピーク時の通信速度なので、実際はその半分くらいに速度が落ちると思われるが、それでも現状と比較して劇的に速いのは間違いなく、電波の状況がよければ、大容量の動画もほぼ一瞬でダウンロードできるはずだ。 もうひとつの特徴は多数同時接続で、一度に大量の機器が同時に接続できる(従来の30〜40倍)。スマホだけでなく、家電や自動車のセンサーなどあらゆる機器をネットにつなげるという話が現実的になり、IoT(モノのインターネット)を実現する基礎インフラになることが期待されている。 一般的なスマホの利用者からすると、毎日、大量の動画を視聴する人を除けば、それほど大きなメリットが感じられないかもしれない。5Gのサービスについて、今ひとつピンと来ていない人が多かったのはそのためである。だが、5Gを新しい産業基盤として捉えれば、このインフラが持つポテンシャルは大きく、活用次第では極めて大きな経済効果が見込めるだろう』、「ピーク時の通信速度」が「20倍から100倍の速さになる」、とはいっても、「一般的なスマホの利用者からすると」「それほど大きなメリットが感じられないかもしれない」、なーんだ。
・『基地局市場での日本メーカーの存在感はゼロ  では、5Gが国内で盛り上がりを見せているのかというとそうでもない。通信行政を担当する総務省は以前から5Gの推進に力を入れており、一部メディアでは「5Gが日本の未来を切り拓く」といった仰々しいタイトルを付け、宣伝に躍起になっている。 だが、グローバルに見た場合、5Gにおける日本の存在感は薄く、仮に国内で5Gの基盤整備を政府が支援しても、誰がトクするのかという状況に陥っている。その理由は、5Gにおけるインフラ整備のカギを握る基地局市場において日本メーカーのシェアがゼロに近い状況まで落ち込んでいるからである。 世界の基地局インフラ市場でトップに立つのは中国のファーウェイ(華為技術)で、2位はスウェーデンのエリクソン、3位はフィンランドのノキア、4位は中国のZTEとなっており、これに韓国サムスンが続くという図式になっている。日本メーカーのシェアはわずか2%程度しかなく、基地局ビジネスではほとんど存在感がない。 日本の携帯電話各社は、5Gの整備において当初、ファーウェイ製品の導入を検討していたが、米国によるファーウェイ排除の動きが本格化したことから、同社製品の導入は断念した。本来であれば、日本メーカーから調達すれば済む話だが、日本メーカーは通信各社に5Gの基地局機器を十分に提供できるだけの能力がなく、結局、各社はノキアやエリクソンから調達せざるを得ない状況となっている。 アジア各国は、米国の禁輸措置などお構いなしでファーウェイ製品の導入に走っており、もはやファーウェイなしでは5Gのインフラは成り立たない状況になっている。本来であれば、米国の禁輸措置が発動されれば、雪崩を打って日本メーカーに切り換えたはずだが、日本側にはファーウェイに対抗できるだけの製品がなく、なすすべがないというのが現実だ』、せっかくの「米国によるファーウェイ排除の動き」に「日本メーカー」が「なすすべがない」というのは残念だ。
・『重要なのはハードでなくサービス  一部の論者は、日本は5Gのインフラ整備で出遅れてしまった現状を打開するため、さらに次世代の規格である6Gの開発を強化すべきと主張している。だが、通信インフラというものがもはやコモディティ化し、高度なITサービスが普及する現代社会においては、ハードウェアの開発だけに注力するというのはナンセンスである。 日本企業は1990年代以降、急速に国際競争力を低下させたが、その要因のひとつとされているのが、ソフトウェアに対する理解不足である。1980年代までは基本的にハードウェア分野における性能向上が重要なテーマだったが、1990年代以降は、ソフトウェアを使った製品開発が競争力のカギを握るようになった。日本企業はここで完全に出遅れ、現時点でもそれを挽回できていない。 「そんなこと分かっている」などとは決して考えないで欲しい。 事実、通信インフラ整備でも話題になるのはハード面ばかりであり「5Gで中国メーカーに負けたので、6Gの開発を強化すべき」というのは、まさにこうしたハードウェア偏重の価値観がいまだに残っていることを如実に示している。つまり日本の産業界はハード偏重の思考回路からいまだに脱却できていないのが現実なのだ。 センサー類などのハードウェアは日本に強みがあるという見解も同じである。確かにそのセンサーを製造できたメーカーは儲かるだろうが、それは全体からすればごくわずかな金額に過ぎず、マクロ的な影響は極めて小さい。 IoTが標準となるこれからの時代は、ソフトウェアとサービスの重要性がさらに高まってくる。5Gのインフラを使った画期的なサービスが立ち上がれば、ハードウェアなどとは比較にならないレベルの経済効果を得ることができる。経済圏全体で見れば、6Gへの開発原資など簡単に捻出できるだろうし、おのずと6Gへの課題も見えてくるだろう』、「1990年代以降は、ソフトウェアを使った製品開発が競争力のカギを握るようになった。日本企業はここで完全に出遅れ、現時点でもそれを挽回できていない」にも拘らず、「日本の産業界はハード偏重の思考回路からいまだに脱却できていないのが現実」、とは情けない。
・『イノベーションを起こすために  つまり通信インフラをどう整備するのかではなく、そのインフラの上でどんなサービスを構築できるのかが将来のカギを握っている。では、5Gのインフラを使った画期的なサービスを実現するには、何が必要だろうか。 もっとも重要なのは、ターゲティングポリシー(特定の産業分野を政府が戦略的に育成する産業政策)に代表される予定調和型の支援策ではなく、できるだけビジネスの邪魔にならないよう環境整備を行うというパッシブな政策である。 これまで画期的なイノベーションというものが、事前の予想と、それに基づく集中投資で生まれてきたケースはほとんどない。画期的なイノベーションや破壊的イノベーションというのは、常に想像もできなかったところから誕生してくる。当然のことながら5Gにもそれはあてはまり、今の段階でどのようなサービスが出てくるか予想することは難しい(予想できるサービスというのはたいてい陳腐なものである)。 こうしたイノベーションを産業として実用化するにあたってもっとも大事なことは、周囲が邪魔をせず、具現化した時には一気にこれを普及させるスピード感と社会的コンセンサスである。 日本はドローンや自動運転の分野で高い優位性があったにもかかわらず、新しいものを危険視し、排除する論理が働いたことで開発が進まず、米国や中国に完全に抜き去られてしまった。5Gがスタートした後は、多くの産業用機器がリアルタイムでネットに接続され、まったく新しいサービスが誕生してくる可能性が高い。だが、今までのような、原則禁止のスタンスでは、多くのイノベーションが葬られてしまうだろう。 一方で新しいサービスにはトラブルが付きものであり、何か問題が発生した時には、迅速な対応が必要となる。政府の果たすべき役割は、新しいモノを排除しないよう環境整備を行うことに加え、何か重大なトラブルが発生した時には即座に対応するというメリハリの効いた産業政策である』、説得力溢れた主張で、同感である。「予定調和型の支援策」に走りがちな経産省にも猛省が必要なようだ。

次に、8月13日付けNewsweek日本版が掲載した東大教授(中国経済・産業経済)の丸川知雄氏による「NTT-NEC提携「5Gでファーウェイに対抗」の嘘」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2020/08/nttnecg_1.php
・『<研究開発費でも特許件数でもファーウェイに遠く及ばず、今から追いつくのは不可能。では、この提携の本当の狙いは何なのか> 今年6月25日、NECはNTTから645億円の投資を受け入れ、NTTはNECの株式の4.77%を保有する第3位の大株主になった。新聞報道によると、資本提携の目的は次世代通信(5G) インフラの共同開発を推進し、世界トップの競争力を持つファーウェイに対する「対抗軸をつくる」ことなのだそうだ(『日本経済新聞』2020年6月25日)。 この報道には唖然とした。ファーウェイが昨年投じた研究開発費は1316億元(2兆785億円)である。それより二桁も少ない金額の投資によって「対抗軸をつくる」なんて、まるで風車に向かって突撃するドン・キホーテみたいである。その話を真に受けたかのように報じる日本のメディアもどうかしている。「たった645億円で『ファーウェイに対抗する』なんてバカなことを言っていますが」と解説付きで報じるべきではないだろうか。 その後の報道によれば、NECの新野社長は研究開発や設備投資に「645億円しか使わないということではない」(『日本経済新聞』2020年7月3日)と発言しているので、さすがに竹槍で戦闘機に対抗するような話ではないようである。それにしても、NECの2018年度の研究開発費は1081億円、NTTは2113億円で、両者の研究開発の総力を結集してもファーウェイの15%にすぎない。仮にNECとNTTのエンジニアがファーウェイの何倍も優秀だとしてもおよそ「対抗軸」にはなりえない』、「二桁も少ない金額の投資によって「対抗軸をつくる」なんて、まるで風車に向かって突撃するドン・キホーテみたいである」、「その話を真に受けたかのように報じる日本のメディアもどうかしている」、同感だ。
・『N T T-N E Cは世界9位  しかも、残念ながらNECとNTTのエンジニアがファーウェイの何倍も優秀だということを証明する客観的データはない。2019年秋までの時点で5Gの標準必須特許として宣言された特許ファミリー数を比較すると、ファーウェイが3325件で世界でもっとも多く、全体の15.8%を占めている(図参照)。韓国のサムスンとLG電子がそれに次ぎ、ノキア(フィンランド)、ZTE(中国)、エリクソン(スウェーデン)と世界の有力な通信機器メーカーが名を連ねている。 NECが持つ5Gの標準必須特許はわずか114件(0.5%)にすぎない。NTTドコモが754件持っているので、両者を合わせると868件(4.1%)になるが、これでも世界9位でファーウェイの背中は遠い。 日本の報道ではいまだに5Gに「次世代通信」というまくら言葉をかぶせることが倣いになっているが、すでに2019年に韓国、アメリカ、中国でサービスが始まり、日本でも今年始まったので、次世代というよりすでに「現世代」になりつつある。5Gの技術開発は各国のメーカーがめいめい勝手に行っているのではなく、「3GPP」という国際標準化団体に各国・各メーカーのエンジニアたちが集い、標準化した結果を年1回ぐらいのペースで発表している。今年7月にはその16番目のバージョンが出たばかりである。 5Gのサービスが各国で本格的に立ち上がるのはこれからであるが、技術開発の面では後半戦といってもいい段階に入りつつある。野球の試合に例えれば、ファーウェイ対NECの試合はすでに5回裏まで進んでおり、3325対114でファーウェイが大きくリードしていた。そこでNECはNTTと連合チームを組むことにしたが、それでもファーウェイの選手たちの年俸総額が2兆円、NEC-NTT連合の年俸総額が3000億円では、後者に勝ち目があるとは到底思えない。 「ファーウェイ対抗軸」というには余りに小粒な645億円の出資には、報道とは異なる別の意味があるように思われる。 5Gのように2万件以上もの特許が絡むハイテク機器の場合、一つ一つの特許についてライセンシング契約を結ぶような煩雑なことはやっていられないので、関連特許をまとめて特許プールとし、5Gに関わる機器を作るメーカーはその特許プールに対してロイヤリティや特許料を支払う。ファーウェイ、サムスン、LG電子、ノキアなど、技術的な貢献が特に大きい企業はクロスライセンシングを行ってロイヤリティを支払わずに標準必須特許を利用できるようになる可能性が高い。 一方、NECのように貢献が小さい企業の場合は、特許プールに対してロイヤリティを支払わない限り5Gの基地局などの機器を作ることは許されない。NECには、5Gの技術開発をするためではなく、5Gの機器を作るために資金が必要なのだ』、「N T T-N E C」の「5Gの標準必須特許は・・・868件(4.1%)になるが、これでも世界9位でファーウェイ(3325件)の背中は遠い」、「技術的な貢献が特に大きい企業はクロスライセンシングを行ってロイヤリティを支払わずに標準必須特許を利用できるようになる可能性が高い」、この特許の格差は表面的な数字以上に大きいのかも知れない。
・『N E Cに対する「温情出資」?  そもそもNECの通信インフラ機器の主たる販売先である日本に関しては、日本政府が通信インフラから中国製品を排除するよう暗黙の指示をしているため、「ファーウェイに対抗する」と肩をいからせなくても、最初から敵はやってこないのである。NECが日本国内の通信インフラ機器市場において対抗しなければならないのはむしろノキア、エリクソン、サムスンといった中国勢以外の通信機器メーカーである。これら外国勢は図からもわかるように5G技術への貢献が大きいので、ロイヤリティの負担が少なく、NECより有利である。645億円の出資は、要するに外国勢との競争においてNECに下駄をはかせてやろうという温情を反映したものなのではないだろうか。 NECが「電電ファミリーに戻るつもりは毛頭ない」だとか、NTTとタッグを組むことで「世界に打って出る」というNECの新野社長の言葉(『日本経済新聞』2020年8月3日)はとても空しく響く。一般に、企業間で出資が行われると、出資元を「親会社」、出資先を「子会社」と呼ぶ。つまり、今回の出資によってNECとNTTは「ファミリーになった」のであり、「ファミリーに戻るつもりはない」という言葉は意味不明というほかない。 ドコモの親会社でもあるNTTが、通信機器サプライヤーであるNECと出資関係を持つことは利益相反に陥る危険性のある行動である。通信業者としてのNTTやドコモにとって、購入する通信機器は安いほうが自社の儲けは大きくなる。ところが、通信機器サプライヤーが自社の関連会社だということになると、遠慮なく買い叩くわけにもいかなくなる。NTTとドコモは、NECの機器が高くて性能も悪いのに、関連会社だという温情にほだされて買い支えることによって、自社の儲けを削る羽目に陥るかもしれない。 「世界に打って出る」というのも、NECが過去20年間に何度も繰り返してきた空約束にすぎない。例えば、2000年には当時NECの社内カンパニーの一つであった「ネットワークス」(通信機器や携帯電話)の海外売上比率が30%ほどだったのを「中期的には約50%に高めたい」としていた。しかし、実際にはNEC全体の海外売上比率は下落し、2002年には22%まで落ちた。 2004年には「海外携帯電話機市場が成長の柱」であると強調していたが、実際には2006年末に海外の携帯電話機市場から全面的に撤退した。2007年には会社全体の海外売上比率を30%以上にすることを目標にしていたが、実際には2010年に15%まで落ちた。その後海外売上比率は上昇に転じたものの、2018年度の時点でも24%にすぎない』、「企業間で出資が行われると、出資元を「親会社」、出資先を「子会社」と呼ぶ。つまり、今回の出資によってNECとNTTは「ファミリーになった」のであり、「ファミリーに戻るつもりはない」という言葉は意味不明というほかない」、「「世界に打って出る」というのも、NECが過去20年間に何度も繰り返してきた空約束にすぎない」、手厳しい批判である。
・『「やってる感」の演出か  以上のようにNECとNTTの資本提携に何らかの積極的意義があるとは思えないのだが、気になるのはその背後で日本政府の意向が働いているらしいことだ。『日本経済新聞』(2020年6月26日)の記事をそのまま引用すると、「『国内の機器メーカーを世界で戦えるようにするのが主眼だった』。経済産業省幹部は提携の狙いをこう話す。」 ――実に不可解な一文である。提携した主体はNTTとNECであるはずなのに、なぜ経済産業省幹部がその狙いを説明するのか? それは今回の資本提携が経済産業省の働きかけによって実現したものだからだ、と解釈すれば、この不可解な一文も理解可能となる。 NECの幹部たちは、世界の移動通信インフラ市場で30.8%のシェアを持ち、研究開発費に年2兆円も投じるファーウェイに、シェアわずか0.7%の自社がとうてい太刀打ちできず、せいぜい日本市場を他の海外勢に奪われないようしがみついていくしかないことをよく認識しているはずだ。しかし、政府・経済産業省からはもっと海外市場へ打って出ろとハッパをかけられる。そこでオールジャパンで「やってる感」を演出してみた、というのが今回の提携劇ではないのか。 そもそも日本は中国に比べて5Gに対してシラケており、いっこうに期待感が盛り上がってこない。中国では5Gサービスへの加入者が2020年6月時点ですでに1億人を超えている。(中国移動が7020万人、中国電信が3784万人、中国聯通は発表なし)。一方、日本では、2020年3月末時点のドコモの5G加入者数はわずかに1万4000人である。(他の2社は不明)。 中国政府は、コロナ禍で傷んだ経済を立て直すために、今年は「新型インフラ建設」を打ち出し、5Gのインフラもその一環として建設が推進されている。今年6月時点で中国移動は全国で14万基、中国電信と中国聯通は共同で14万基の5G基地局を設置しており、年内にはそれぞれ30万基以上の基地局が整備される見込みである。これだけの基地局が整備されると、南京市、成都市といった各省の中心都市ばかりでなく、蘇州市、常州市といった全国293の地区レベルの都市でも中心市街地で5Gサービスが使えるようになる(『経済参考報』2020年6月10日)。 一方、ドコモの場合、2020年7月時点で5Gサービスが使える場所は、ドコモショップの店内など全国でわずか262か所である。5Gサービスに加入したとしても、お店でちょっと使ってみることしかできず、外に出たらもう使えない、というのでは、誰も加入したいとは思わないであろう。ドコモの目標は、2021年6月までに基地局の数を全国で1万基に増やすというおっとりしたものであり、スタートダッシュにおける中国との差は歴然としている』、「ドコモ」の目は、競争の緩い国内市場だけに向けられているのだろうか。
・『技術革新の主役から脇役へ  こうしたドコモの不熱心さは、中国の通信会社と比べて不熱心であるばかりでなく、約20年前のドコモ自身と比べても不熱心である。 2001年にドコモが世界に先駆けて第3世代(3G)の通信サービスを始めたとき、それはそれは熱心に携帯電話の世代交代を推進した。ドコモは3年間に1兆円の設備投資を行って日本全国に3Gの基地局網を整備した(『産経新聞』2002年3月12日)。そればかりか欧米や香港の通信会社に対して1兆9000億円もの投資を行い、3Gへの移行を世界的に推進しようとした。ドコモの3Gへの積極投資は、日本が技術的に孤立した第2世代(2G)を早く終わらせたいという動機に基づいていた。 いまのドコモに往時のような熱心さはない。5Gの基地局の整備には2023年度までに1兆円を投じる方針だという(『日本経済新聞』2020年7月10日)。20年前には3年間で1兆円を投じたのが、今は4年間で1兆円である。3Gの時にはドコモなど日本勢は技術革新の主役だったのが、5Gにおいては脇役にしか過ぎない。そうした認識が5Gに対する不熱心さの背後にあるのかもしれない。 しかし、日本の通信会社やメーカーにはぜひとも5Gへの転換を推進してもらいたい。コロナ禍のなかで、オンラインで授業したり、会議をする機会が多くなり、最近はテレビでもオンラインで出演する人も増えている。そのたびに、もっと動画の画質や音質が良ければ、との思いを禁じ得ない。オンラインでの活動が多くなると、現状の通信インフラ能力にボトルネックがあることが意識される。 5Gの機器の選択においては国内メーカー、海外メーカーを問わず、公平な基準で選んでもらいたい。ファーウェイの機器が使えるのであればそれがベストではないかと思うが、アメリカの圧力でそれが難しいのであれば他の外国メーカーでもいい。「ファミリー」に対する情にほだされて高価な国産機器を選ぶ愚は避けてもらいたい。 それでは日本企業はどうなるのか、と詰問されそうだが、世界の移動通信インフラ機器市場でNECのシェアが0.7%、富士通のシェアが0.6%という現状から挽回するのははっきり言って無理だと思う。日本企業は別の土俵で勝負すべきではないだろうか。 5Gの通信機器などハード面での技術開発においては前に述べたようにすでに後半戦に入っていると思われる。一方、5Gを応用したサービスは、5Gがある程度普及してから立ち上がってくるはずであり、戦いはこれからである。5Gを使って遠隔医療ができるとか、自動運転ができるとか、前宣伝は多いが、そうしたアイディアに中身を与えていく作業はこれからである。日本企業にはぜひ5G応用サービスで創造性を発揮してもらいたい』、「ドコモの3Gへの積極投資は、日本が技術的に孤立した第2世代(2G)を早く終わらせたいという動機に基づいていた」、ガラパゴス化した「2G」のみっともなさからの脱却を急いだのだろうか。「アイディアに中身を与えていく作業はこれからである。日本企業にはぜひ5G応用サービスで創造性を発揮してもらいたい」、同感である。

第三に、7月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家・ジャーナリストンの莫 邦富氏による「対ファーウェイ国産5G連合で蘇る、日本メーカー中国携帯市場「惨敗」の記憶」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/241958
・『NTTがとった悪手  数日前に、東京大学社会科学研究所の丸川知雄教授のフェイスブックでの以下のような趣旨の投稿を読んだ。 「NTTがNECに600億円出資してファーウェイに対抗する国産5G連合を作るという話は、まったく意味不明だ。ファーウェイとNECの5Gに関する特許数も、日本と中国の5G加入者数も雲泥の差だ。これを覆すのに600億円の投資では全く足りない。 NECの世界シェアから見ても、安く高性能な5G機器を作れるとは思えない。しかし親会社が出資した手前、ドコモはNECから機器を買わざるを得ないだろう。NTTファミリー復活は失敗への道だ」(丸川教授のFacebookより筆者要約) 丸川氏の研究テーマは、(1)中国の産業集積に関する研究、(2)電子産業と自動車産業に関する研究、(3)再生可能エネルギー産業に関する研究、(4)日中経済関係に関する研究となっている。 私が関心を持つ分野とかなりダブっているので、常に丸川教授の発言などを注意深くチェックしている。しかし、この発言にはさすがに驚いた。 あまりに辛口の発言に、私も記憶が刺激され、携帯電話関連の往事をいろいろと思い出した』、「丸川教授」は第二の記事で紹介した。
・『日本のM社製携帯の「なめた仕様」  今から20年前のことだ。出張で中国に行く機会が増え、移動も激しくなった。連絡手段を確保するため、私は2000年に中国で使用できる携帯電話を買う決意をした。その数年前までは2万元(当時のレートでは約30万円)もした携帯電話は、その頃にはかなり値が下がっていた。 私は、選びに選んで日本のM社製の携帯電話を買った。1400元(当時のレートでは約2万1000円)だった。しかし、使ってみて分かったのは、国際化のイメージが強いM社が、まるで中国人消費者をなめたかのような製品開発をしていたということだ。 その携帯電話は電話番号を登録する時に、人名を漢字で入力することができないのである。ショートメッセージも漢字では書けない。漢字の国で商売をしているにもかかわらず、人名の登録もショットメッセージも、アルファベットを使わないとだめなのだ。その代わりオランダ語やイタリア語、ドイツ語などヨーロッパの言語はたくさん使える。 こうした事情が分かったとき、私は絶句した。メディアに「日本の携帯電話メーカーが中国戦略とそのビジネス姿勢を変えない限り、5年以内は中国市場から駆逐されてしまうだろう」と指摘し、日系携帯電話メーカーの敗北を心配した。 当時、中国の携帯電話市場における日本企業のシェアは4%前後だった。北京を訪れた日本の新華僑の友人に、次のような賭けを仕掛けたことがある。 「2時間以内に北京市内で日系企業製の携帯電話の広告を2つ見つけたら500ドル払う。逆の場合は私がもらう」と。しかし、友人は「中国問題を研究するお前の手に乗るもんか」と相手にしてくれなかった。このような賭けができるほど、携帯電話分野での日系企業の存在は中国市場に進出した当初から薄かったのだ。 案の定、数年が経つと、日本企業は中国の携帯電話市場から相次いで撤退した。シェア上位には日本勢の姿はそもそも最初から存在していなかったが、スマートフォン登場後、中国の携帯電話市場は米アップルのiPhone(アイフォーン)の独壇場となった。 2000年代初めは10社を超えた日本勢だが、2005年頃には見る影もなくなった。世界市場を見回すと、日本メーカーではソニー1社だけが、まだ世界展開を放棄していない』、「日本のM社製携帯」は漢字が使えず、「ヨーロッパの言語はたくさん使える」、そんな姿勢でやっていれば、「中国の携帯電話市場から相次いで撤退」、とは当然だ。
・『M社はその後の敗戦に気づいていた?  05年の年明け早々、パナソニックの携帯電話事業に関わる日本人が私のところにあいさつに来た。 「今年中に中国市場から撤退する」と教えてくれた。あの頃、私が使っていた中国向け携帯電話はパナソニックから提供されたものだった。その関係者の沈んだ表情を目にした私は、「私も2Gで中国市場に挑み続けていても、もう無理だろうと思うが、次の世代の携帯電話で失地挽回を計ればいい」と慰めの言葉をかけた。 しかし、彼は非常に冷静だった。彼が述べたことはいまでもはっきりと覚えている。 「2Gの失敗はもうどうしようもない。私たちの中国市場に対する認識は不足し過ぎるほど不足していた。しかし、次の世代の携帯電話、つまり3Gはもう戦えなくなるだろう。中国市場に改めて挑戦できる時期は早くても4Gだ。ひょっとしたら、5Gの時代になってからようやくそのチャンスが訪れるかもしれない」 その「かもしれない」のイントネーションに、私は「5G時代になってそのチャンスは訪れてこないのでは」と読み取れた。私たちは次に続く言葉が見つからず、私の事務所は重苦しい空気に包まれた。 「こんな結果になるとは予想していなかった。早くその失敗の兆しに気付ければ、中国市場についてはもっと力を入れて健闘できたはずだ。そうすれば、結果ももう少し違ったものになったかもしれない……」 その関係者のやや歪んだ表情に、悔しさが色濃くにじみ出ていた。 だが、いくら後悔してももう間に合わない。ビジネスは厳しいものだ。日本の携帯電話メーカーにとって、中国市場はみるみる遠ざかってしまった。それだけではなく、事業存続の基盤としての日本国内市場も次第に失われていくのではないかと私はみていた』、「M社」を始めとする「日本の携帯電話メーカー」のかつての思い上がりは、取り返しのつかない結果をもたらしたようだ。。
・『二人の日本人識者の辛口論評  パナソニックの携帯電話問題を指摘してから、あっという間に20年間の歳月が過ぎ去ってしまった。5Gと中国市場における携帯電話の失地挽回問題を語ったあの夜から数えても、15年の年月が、川の流れのように音を立てて去っていった。 丸川氏がfacebookにシェアした松永裕司氏の記事『5G連合「NTT x NEC」の資本提携は、脱ガラパゴスの鍵となるのか』(Forbes JAPAN、6月29日配信)にも、四川料理に勝るとも劣らない辛い内容が書かれている。 NTTとNECの資本提携については、「この背景には中国のファーウェイ排除の動きによる追い風がある。5Gの基地局など通信インフラのシェアは、ファーウェイの30%を筆頭に、エリクソン、ノキアの3社が市場の4分3を占める。国内トップとされるNECでさえ、全世界のわずか0.7%のシェアしか持たない」と松永氏は厳しい視線を投げかけている。 NECの新野隆社長は記者会見で「『まず国内から』となっていたことが反省点」としたうえで、「日本発の革新的な技術、製品を創出し、グローバルに展開する」とその気概を明らかにした。 それに対して、松永氏は容赦なくメスを入れた。 「開発費に2兆円を注ぎ込むとされるファーウェイに対し、600億円の出資でどこまで巻き返しが可能なのか。事業会社ではなくホールディングスであるNTTがどこまで技術供与が可能で、ドコモなどのグループ企業を巻き込んで行くのかも気になる点だ。これまで国内市場を見つめてきた両社の共闘が、グローバルな視点からどこまで有効なのかは、お手並み拝見とするしかない」(松永裕司氏の前述の記事より) 人口1億2000万人という内需を抱えて来た日本国内メーカーは21世紀になった現在も、国内市場優先という哲学から抜け出せずにいる現状に対して、松永氏や丸川氏のような日本の識者たちが、焦りに似た諦観を見せている。 以下の批判からも、その諦めに近い気持ちが読み取れるのではないかと思う。 「国内トップとはいえ、NTTドコモのような会社では、数百万円から1000万程度のプロジェクト決済に数カ月かかるのは当たり前、億単位となると1年を要することもザラだ。生き馬の目を抜くようなグローバル社会において、ぬるま湯につかったスピード感で太刀打ちできるかは多いに疑問だ」 「平日の朝、『NEC村』とも呼ばれる東京・田町を歩いていると、白シャツと黒ズボンに鞄……画一化されたような出で立ちの人々が大きなビルに入っていくのは異様な光景にも感じてしまう。実績や能力による登用よりも、年齢や肩書きを優先する社会にこだわりながら、勝算を立てるのはなかなか難易度が高いだろう」 「国内だけで成長を遂げてきた企業が、発想や哲学の転換もなく、お互いの傷を舐め合うような資本提携で終わるようでは、未来はない」(いずれも松永裕司氏の前述の記事より)』、「二人の日本人識者の辛口論評」には全く同感である。
・『臭いものにふたをするな  こうした辛口の発言に、さらに思い出したことがある。 数年前、私が制作に関わったNHKの大型経済番組があった。当時、ソニー歴史資料館を訪れ、ヒット商品があまり出なかった1990年以降とそれ以前の時代との比較を意識しながら取材した。 しかし、編集段階で、日本企業の今の病を象徴している「1990年以降」の内容は全部カットされた。 NHKの編集担当者は「そのような内容を入れるのがソニーさんにとって可哀そうだから」と自らの行動を正当化した。編集会議に出た私は、「このような編集方針でやっていくと、まるで大本営発表になる」と反対の意見を述べた。 しかし、多勢に無勢。一外国人である私の意見が無言のうちに否定された。そしてそれ以降、編集会議に出るのも禁じられた。私もこうした“陸軍派”のようなテレビマンと精神的なソーシャルディスタンスを保つように心がけた。 その意味では、NTTドコモ出身の松永氏と、中国の産業集積に関する研究を重ねてきた丸川氏という、日本を代表する識者の発言にはより注意深く耳を傾けていきたい。 今の日本企業にとって、可哀そうだから、臭いものにふたをするという無責任なやさしさは不要なものだ。世界に通用するビジネスに挑戦したいなら、発想の転換なくして革新がもたらされないという認識をしっかりと共有できることが遥かに重要だ。久しぶりに辛い四川料理風のコラムを書いた。鬱陶しい梅雨の季節に、四川料理は多くの日本人ビジネスパーソンの口に合うだろう』、「NHKの編集担当者は「そのような内容を入れるのがソニーさんにとって可哀そうだから」と自らの行動を正当化した」、ありそうな話だ。「今の日本企業にとって、可哀そうだから、臭いものにふたをするという無責任なやさしさは不要なものだ。世界に通用するビジネスに挑戦したいなら、発想の転換なくして革新がもたらされないという認識をしっかりと共有できることが遥かに重要だ」、同感である。
タグ:丸川知雄 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス Newsweek日本版 莫 邦富 加谷 珪一 通信(5G) (その1)(「5G」に決定的に乗り遅れた日本、挽回のために今からできること 「6G」とか言ってる場合じゃない、NTT-NEC提携「5Gでファーウェイに対抗」の嘘、対ファーウェイ国産5G連合で蘇る 日本メーカー中国携帯市場「惨敗」の記憶) 「「5G」に決定的に乗り遅れた日本、挽回のために今からできること 「6G」とか言ってる場合じゃない」 5G(第5世代移動通信方式)の商用サービスがスタート 日本が「決定的に乗り遅れた」「5G」 スマホ利用者のメリットはそれほど多くないが… 20倍から100倍の速さ 基地局市場での日本メーカーの存在感はゼロ せっかくの「米国によるファーウェイ排除の動き」に「日本メーカー」が「なすすべがない」というのは残念 重要なのはハードでなくサービス 1990年代以降は、ソフトウェアを使った製品開発が競争力のカギを握るようになった。日本企業はここで完全に出遅れ、現時点でもそれを挽回できていない 日本の産業界はハード偏重の思考回路からいまだに脱却できていないのが現実 イノベーションを起こすために 政府の果たすべき役割は、新しいモノを排除しないよう環境整備を行うことに加え、何か重大なトラブルが発生した時には即座に対応するというメリハリの効いた産業政策である 「NTT-NEC提携「5Gでファーウェイに対抗」の嘘」 二桁も少ない金額の投資によって「対抗軸をつくる」なんて、まるで風車に向かって突撃するドン・キホーテみたいである」、「その話を真に受けたかのように報じる日本のメディアもどうかしている N T T-N E Cは世界9位 技術的な貢献が特に大きい企業はクロスライセンシングを行ってロイヤリティを支払わずに標準必須特許を利用できるようになる可能性が高い N E Cに対する「温情出資」? 企業間で出資が行われると、出資元を「親会社」、出資先を「子会社」と呼ぶ。つまり、今回の出資によってNECとNTTは「ファミリーになった」のであり、「ファミリーに戻るつもりはない」という言葉は意味不明というほかない 「世界に打って出る」というのも、NECが過去20年間に何度も繰り返してきた空約束にすぎない 「やってる感」の演出か 技術革新の主役から脇役へ ドコモの3Gへの積極投資は、日本が技術的に孤立した第2世代(2G)を早く終わらせたいという動機に基づいていた アイディアに中身を与えていく作業はこれからである。日本企業にはぜひ5G応用サービスで創造性を発揮してもらいたい 「対ファーウェイ国産5G連合で蘇る、日本メーカー中国携帯市場「惨敗」の記憶」 NTTがとった悪手 日本のM社製携帯の「なめた仕様」 「日本のM社製携帯」は漢字が使えず、「ヨーロッパの言語はたくさん使える」 M社はその後の敗戦に気づいていた? 二人の日本人識者の辛口論評 松永裕司氏の記事『5G連合「NTT x NEC」の資本提携は、脱ガラパゴスの鍵となるのか』 臭いものにふたをするな NHKの大型経済番組 編集段階で、日本企業の今の病を象徴している「1990年以降」の内容は全部カットされた NHKの編集担当者は「そのような内容を入れるのがソニーさんにとって可哀そうだから」と自らの行動を正当化 今の日本企業にとって、可哀そうだから、臭いものにふたをするという無責任なやさしさは不要なものだ。世界に通用するビジネスに挑戦したいなら、発想の転換なくして革新がもたらされないという認識をしっかりと共有できることが遥かに重要だ
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