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医療問題(その37)(執刀は研修医 ドナーは生きた女性…日本人男性患者(53)が目撃した“海外臓器移植ツーリズム”の恐怖「意識は戻りましたか?」「ついさっき死んだ」、《暴行動画流出》白衣の男が患者に蹴りを2発 さらに顔面にも…暴行看護師がはびこる「ふれあい沼津ホスピタル」の闇「犬のほうがよっぽどかわいい」と患者に暴言も、《深層スクープ》東京女子医大に“診療報酬の不正請求”疑惑!「ICU死亡事故で厚労省が“緊急調査”」 東京女子医大の闇#15) [生活]

医療問題については、昨年6月16日に取上げた。今日は、(その37)(執刀は研修医 ドナーは生きた女性…日本人男性患者(53)が目撃した“海外臓器移植ツーリズム”の恐怖「意識は戻りましたか?」「ついさっき死んだ」、《暴行動画流出》白衣の男が患者に蹴りを2発 さらに顔面にも…暴行看護師がはびこる「ふれあい沼津ホスピタル」の闇「犬のほうがよっぽどかわいい」と患者に暴言も、《深層スクープ》東京女子医大に“診療報酬の不正請求”疑惑!「ICU死亡事故で厚労省が“緊急調査”」 東京女子医大の闇#15)である。

先ずは、本年2月26日付け文春オンライン「執刀は研修医、ドナーは生きた女性…日本人男性患者(53)が目撃した“海外臓器移植ツーリズム”の恐怖「意識は戻りましたか?」「ついさっき死んだ」」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/60962
・『日本で初めて、臓器移植の斡旋の疑いで逮捕者が出ることになった、NPO法人「難民患者支援の会」をめぐる事件が医療業界を震撼させている。逮捕されたのは、「難病患者支援の会」理事の菊池仁達容疑者(62)。肝臓移植を希望する日本人男性をベラルーシへ渡航させ、無許可で移植手術を受けさせた疑いが持たれている。 都内にクリニックを持つ医師の紹介で腎臓の移植手術を受けるために小沢克年さん(53)がキルギスにたどり着いた時、そこで待っていたのも菊池容疑者だった――。(全4回の3回目/#1、#2、#4を読む) 小沢さんは2021年11月12日、医師に指定された口座に腎臓移植の手術費用2170万円を振り込み、12月1日に日本を出国した。 まず中央アジアのウズベキスタンに飛び、そこから移動してキルギスの国立病院で手術を受けるのだという。小沢さんの手術の手続きをした医師は、執刀外科医について「臓器移植の最高のドクターの1人です」と渡航前に説明している。また、小沢さんが受け取った資料にも、現地の医療体制を称賛する記載がある』、「指定された口座に腎臓移植の手術費用2170万円を振り込み」、かなり高いようだ。
・『「担当は『カタールの軍医』と名乗るエジプト人医師でした」  《経験豊富なインド人外科医(英国にて医学博士号取得)とトルコ人外科医(英国にて医学博士号取得)を中心にした移植チーム》 《私が信頼しているDr.Aに紹介状を出します。Dr.Aが現地移植チームと詳細を打合せします》 小沢さんはこうした記述を信じて渡航を決断したが、そんな“最高の移植チーム”は幻だったことが、現地に入りすぐに発覚する。小沢さんは憤りながら話す。 「執刀を担当するA医師本人が空港にピックアップにくると聞いていましたが、『OZAWA』と書いたプラカードを持っていたのが、見るからに少年の顔をしたヤツなんです。聞いてみると、現地医大に通う大学生でした。病院についても資料にあったインド人やトルコ人の医師はおらず、担当は『カタールの軍医』と名乗るエジプト人医師でした。ウズベキスタンでは検査などをすると言われたのですが、渡航前に言われていた国立病院ではなく、産婦人科メインの民間病院でした。しかも医療器具を運び込む時もエレベーターに蹴って無理に押し込むなど、滅茶苦茶でした」 手術の日程も、どんどん後ろに延びていく。 「手術日は当初12月10日と聞いていましたが、まず24日と後ろにずれこみました。エジプト人医師はクリスマスホリデーで帰国すると言っていましたし、術後のケアをちゃんとしてもらえるのか不安でした。結局、『安心だ』という医師の説明とは何もかも違っていたんです」) ウズベキスタンの時点で不信感を感じていたが、実際に手術を受けるキルギスに入国した小沢さんを待っていたのは、なんと「難病患者支援の会」の菊池容疑者だった。小沢さんは都内の医師が渡航手術の仲介をしてくれたと思っていたが、急なスケジュールで詳細を確認できていないこともあり、実際は「難病患者支援の会」の管轄であることに気づかなかったのだ。 「キルギスのホテルに到着して、翌朝の朝食会場に菊池がいたんです。菊池は『やっと会えたね、小沢さん!』と話しかけてきました。僕は驚きながら『あれ、菊池さんのところなんですか?』と聞くと、『ウチ以外できるわけないじゃん!』と彼は笑っていましたよ。『難病患者支援の会』にはいい印象がなかったので失敗したなぁと思いました」』、『難病患者支援の会』はいい加減なようだが、「手術費用2170万円」を既に支払ってしまったのであれば、やむを得ない。
・『「犬の餌にでもなってんじゃねえか?」  キルギスには小沢さん以外に、半年前から滞在して移植を待つ日本人患者が男女1人ずついた。別のホテルでは10人ほどのアラブ人も移植手術を待っていた。小沢さんは現地にいた日本人とともに、治療を受けながら手術を待つ日々を送ることになった。 「夕食は患者3人と菊池で毎日一緒に食べていました。菊池は高飛車で、飲むと饒舌になり、いつも患者に説教を始めるんです。『そんなでっかい身体だと治るもんも治らないよ。運動足りてないんじゃない?』と絡んでくるので、『ついこの間までグラウンドを走り回ってたんだ、俺は!』とキレてしまいました。菊池が酔っ払って『先月、別の団体で移植のためにパキスタンに渡った日本人2人が行方不明になった』と話したことがあります。『2人はどうなったんですか』と聞いたら、『今ごろ犬の餌にでもなってんじゃねえか?』と笑っていました。どういう心境だったんでしょう」 縁を切ったはずの「難病患者支援の会」のてのひらの中に意図せず入り込んでしまった小沢さんだが、すでにキルギスまで来ており引き返すこともできなかった。しかし、やはりこの手術ツアーが臓器売買である気配を感じたのも、到着から数日後だったという。 「いつものように外へみんなでご飯を食べに行くと、酔っ払った菊池が『今日心電図いったでしょ? そん時、待合室に女の人がいたでしょ?』と聞いてきました。そして『それが小沢さんのドナーだよ』と言われたんです」) 小沢さんは渡航前、仲介した都内にクリニックを持つ医師から「合法だ」と聞いていたため、死体からの移植だと思っていた。しかし生きている人からの移植となれば話は変わってくる。 「ホテルに帰って現地で世話をしてくれた難病患者支援の会の日本人の男性コーディネーターに確認すると、『モデルみたいな綺麗な人です』と言われて、全然話にならない。臓器売買みたいなことをしちゃったらサポートしてくれた仲間に顔向けできないと思い菊池に相談すると『大丈夫、ちゃんと死体からもらったように診断書は作るから安心して!』と言われ、唖然としました」 ウクライナで2017年、臓器売買で逮捕された50代のトルコ人ブローカーが、ウクライナ人の貧しいドナーをキルギスに連れてきて、菊池容疑者が『ドナー料』を払い紹介してもらう。ウクライナ人ドナーには、日本人名義の偽造パスポートが渡され、ドナーと患者は親族という建前で移植を行う。そんな流れを知ったのも後になってからのこと。難病患者支援の会のパンフレットでは「NPOとして現地ドナーとの接触は皆無であります」と否定しているが、裏ではブローカーと協力した売買が行われていたようなのだ。 小沢さんの心は揺れた。自分が臓器売買に関わるつもりはない。しかしすでに2000万円以上の大金を振り込み、息子も友人から「お父さん、募金詐欺師なの?」と不信感を向けられたことで引くに引けなくなっていた。そして何より、手術を受けなければ自分の余命がいくばくもないことが決断の邪魔をした。 それでも小沢さんは、最終的に手術を断念した。それは別の日本人患者の手術が、大失敗に終わったことがきっかけだった』、「死体からの移植だと思っていた。しかし生きている人からの移植となれば話は変わってくる」、「最終的に手術を断念した。それは別の日本人患者の手術が、大失敗に終わったことがきっかけ」、なるほど。
・『一緒に手術を待っていた2人が死亡、1人が意識不明に  「渡航から2週間ほどたった12月中旬、現地で半年待っていた50代の日本人女性と、アラブ人3人が第一陣で手術を受けることになったんです。その中の1人のアラブ人女性の夫に手術後にたまたま会うと『まだ妻の意識が戻らないんだ』と青ざめた顔をしていました。そして翌朝、『意識は戻りましたか?』と聞くと『ついさっき死んだ』と言われました……」 手術に失敗して命を失う。「次は自分の番」と感じ、小沢さんは言葉を失った。 「手術を受けた4人のうち、数日以内にアラブ人2人が死亡したんです。日本人女性もしばらく意識が戻らず、重苦しい空気が流れていました。その数日前にも日本人男性が部屋のトイレにうずくまっているのが見つかり、『うー』とうめきながらコーディネーターの腕に抱きかかえられて急死したばかりでしたから」 手術ミスの原因は、何だったのか。 「後にわかったミスの原因は、麻酔の過剰投与でした。そもそも、この病院は産婦人科などが専門で、腎臓手術の経験は全くなかったんです。日本人女性のオペに至っては、腎臓を移植しようとしたら、動脈の長さが足りず、太ももを20センチ切って動脈を取り、それで何とかつなげたというお粗末さ。担当した人はこともあろうか、研修医でした。小学生の図画工作じゃねえんだよと怒りがわいてきました」) 小沢さんの菊池容疑者らへの不信は募っていく。手術後には、難病患者支援の会のコーディネーターが「キルギスの現地警察が動き始めた。エジプト人医師との連絡もつかなくなった」と慌てだし、小沢さんら患者たち、難病患者支援の会のスタッフ一同は警察の目を逃れて一度ウズベキスタンに移動した。 そして年が明けた2022年1月、ついに小沢さんは移植を諦め、手術をした日本人女性らと共に帰国することを決めた。菊池容疑者は不安を募らせる患者たちをなだめようと、小沢さんには「日本人女性はあと2週間で良くなるから心配ない」と伝えていたが、現実は非情だった。 「女性は飛行機に乗る前から顔が土気色で歩くこともできませんでした。成田空港に着くと救急車で千葉の病院に運ばれ、結局、キルギスで移植した腎臓は摘出されることになりました。日本の医師は摘出後、『腎臓が溶けていた。あと1時間遅ければ死んでましたよ』と言ったそうです。そもそも女性は手術後に意識を取り戻したときも、『痛くて歩けない』と訴えていました。それに対して菊池は『本当に痛いの?』と信じず、『おしっこが出るようにするため』と無理矢理歩かせていたんです」』、「女性」は「成田空港に着くと救急車で千葉の病院に運ばれ、結局、キルギスで移植した腎臓は摘出されることになりました。日本の医師は摘出後、『腎臓が溶けていた。あと1時間遅ければ死んでましたよ』と言ったそうです」、悪質な手術詐欺だ。
・『「『生きられて5年』と言われた貴重な時間を浪費させられた…」  結局、キルギスへの“移植ツーリズム”では少なくとも日本人1人を含む3人が死亡したことになる。小沢さんは怒りに震えながらこう話す。 「『生きられて5年』と言われてから既に3年経ちました。その貴重な時間を悪質な業者に浪費させられたことに怒りが収まりません。募金だってラグビーの教え子や父兄だけでなく、『がんばれ小沢克年』『ラガーマン』と匿名でお金を振り込んでくれた人も含め、みんなの善意で集まったものなんです。だから絶対に金は取り返したいと思っています」 臓器移植の斡旋で逮捕されたのは国内で菊池容疑者が初めてだが、巨額のお金を仲介業者に払って手術のために海外へ渡航し、臓器売買に関わる患者は後を絶たない。自らの命の危険が迫る中で、グレーな方法に手を出さない確信がある人間などどれほどいるものだろう。こうした現状について小沢さんは今、何を思うのか。 「海外でのグレーな移植が横行しているのは事実ですが、国内では命が助からない患者が多くいるのも事実です。ドナーが増えてほしいとは思いますが、僕だって23歳の息子や20歳の娘たちが脳死状態になった時に、腹を開いてその臓器を『さあどうぞ』とできるかは自信がない。僕自身はそれを赤の他人に求めているというのに……。僕は自分が死んだら角膜でも肝臓でも何でも使ってくれと思うようになりましたが、それだって家族の同意がなければ認められない。だから本当にどうすればいいのかはわかりません」 小沢さんは現在は透析治療を続けつつ、次の一手を決めかねている。募金についてはひとまず、今後訴訟で取り返すための準備を進めているという。回復の道が見えない患者たちにとって、臓器移植は唯一の希望の灯といえるだろう。こうした患者らを食い物にしてきた菊池容疑者の犯行は、到底許されるものではない』、「募金についてはひとまず、今後訴訟で取り返すための準備を進めている」、既に海外での工作資金や謝礼などで支払われていて、取り戻すのは困難だろう。「回復の道が見えない患者たちにとって、臓器移植は唯一の希望の灯といえるだろう。こうした患者らを食い物にしてきた菊池容疑者の犯行は、到底許されるものではない」、確かに極めて悪質だ。

次に、3月1日付け文春オンライン「《暴行動画流出》白衣の男が患者に蹴りを2発、さらに顔面にも…暴行看護師がはびこる「ふれあい沼津ホスピタル」の闇「犬のほうがよっぽどかわいい」と患者に暴言も」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/61012
・『精神科病院の保護室という密室で、目を覆いたくなるような事件が起こっていた。 無抵抗の患者に白衣の男が近づいて蹴りを1発、続けてもう1発。壁際に追い詰めてさらに顔に1発――監視カメラが捉えたのは、男性看護師による患者への暴行の瞬間だ。看護師の表情はうかがえないが、暴力を振るわれた患者のおびえきった表情が痛ましい』、「精神科病院」ではこれまでも「患者」への「暴力」事件が起きていたが、今回のも悪質だ。
・『病院の謝罪会見では報道陣から事件の隠蔽を疑う声も  この監視カメラ映像は、静岡県沼津市にある「ふれあい沼津ホスピタル」で昨年9月に撮影されたものだ。問題の動画が病院の外部へと流出したのは昨年末。不祥事の発覚を受けた病院は、謝罪会見を開き、現在は県警による捜査や関係機関の調査が継続している状況だ。大手紙事件担当記者が言う。 「流出したのは、50代の准看護師Xによる40代の男性患者に対する2件の暴行動画でした。職員による患者への虐待はXのものだけではなく、40代の看護師Yが70代の男性患者を車椅子ごと転倒させてケガを負わせていた事実も、病院の会見で明らかになっています。本人たちは病院の聞き取りに対し、『食事を床に落として食べることが続き、暴行してしまった』(X)『患者が他の患者に危険な行為をしたのを止めるため』(Y)にやむなく手をあげてしまったと説明。両職員は10月末に自主退職したとのことです」 監視カメラの記録によると、患者への暴行があったのは9月。問題が公になったのはそれから約3カ月後の12月だった。この間に匿名の通報が行政に寄せられており、一部報道機関の取材も始まっていた。当事者である病院の対応は後手に回った。 「会見では報道陣から事件の隠蔽を疑う声も上がりました。病院の代理人弁護士は『事実関係の把握と職員の処分に時間がかかった』と説明し、病院の職員も『認識が甘かった』と謝罪しましたが、暴行を行った看護師らへの処分は10月にさっさと終えているので、納得した記者はいなかったのではないでしょうか。事件についての詳細を話すことにも消極的でしたし、不信感の残る会見でした」(民放事件担当記者)』、「暴行を行った看護師らへの処分は10月にさっさと終えている」が、「問題が公になったのは」、「12月」隠蔽体質は酷いようだ。
・『映像があるのに病院の説明はしどろもどろ  事実、謝罪会見では明かされなかった複数の疑惑がある。匿名を条件に取材に応じた「ふれあい沼津ホスピタル」の現役職員のAさんが明かす。 「おかしなことはたくさんあります。まずはYの暴行なのですが、記者会見で事務長が『机を押すなどの迷惑行為をする患者さんを制止するために、Yが机を押して倒し、それと同時に被害患者も車椅子ごとひっくり返り指に擦り傷を負った』と説明した後に、記者から『蹴りもあったのではないか』と問われると『蹴っていたかもしれない……』といった具合で、映像があるにもかかわらずしどろもどろになっていました。実際の映像には、はっきりと蹴るというか踏みつける様子が映っています』、「映像があるのに病院の説明はしどろもどろ」、ろくに準備もせずに臨んだためだろう。
・『Yの暴行は命にもかかわりかねないものだった  Yの過剰な暴力を記録した映像もあるという。 「Yは机を押したどころか、かなり強い力で投げ飛ばしており、机は患者さんの頭上を飛び越えるように飛んでいます。机は4人がけの四角い木製のもので成人男性でも一人で持つのはちょっとしんどいと感じるくらいの重さがあります。なので、一歩間違えれば命にもかかわりかねないとんでもない行為だったんです。しかも、車椅子で倒れた患者さんをYは乱暴にひきずって動かし、踏みつけるように蹴りをいれていました。『蹴ったかもしれない』なんてレベルではありません。病院幹部は、残された動画をしっかり確認しておきながら、きちんと説明していないんです。これは患者さんの家族に対しても同様で、会見では『被害届を出す意向がなかった』と家族の対応を明かしていますが、そもそも家族は詳しい暴行を知らされていなかった。単に手の傷を負ったとしか説明されていなかったようで、車椅子ごと転倒していたことも会見で初めて知ったくらいですから。こういう事情があるので病院上層部は隠蔽しようとしていたと確信しています」(Aさん) 穏当な表現で暴行の事実を覆い隠そうとしていたなら由々しき事態だ。Xに関するAさんの証言も重い』、「病院上層部が隠蔽しようとしていた」のは確かだろう。
・『表に出ていないだけで他にも数々の問題が  「病院上層部は、暴行は他にないと断言しましたが、彼の虐待行為は常習的でした。今回の被害者の他にも異常なほどXを恐れる患者さんが複数いるんです。50代の女性患者はXに腕を思い切り掴まれ暴力をふるわれた。『こんなの暴力じゃない、もっとひどいことをしてやろうか』などと言われたと訴えています。患者さんに対して『犬のほうがよっぽどかわいい』と暴言を吐くなど、振る舞いからして問題がありました」 看護職員のBさんは病院上層部の“隠蔽体質”を強く非難した。 「院長や看護部長らは会見で、Xの暴行が2件、Yの暴行が1件の計3件しか問題はなかったと話しています。表に出ていないだけで、Xが数々の問題を起こしていたことは多くの職員が知っています。XとYの2人だけじゃありません。例えば、患者さんが『バケツで殴られた』『何かで叩かれた』と訴えていたという記録が残っています。この患者さんの担当職員は女性で、別の職員が暴行をしていた証拠です。私自身は他の精神科病院での勤務の経験もありますが、ここまで職員の看護態様がひどい病院は他に知りません」』、「院長や看護部長らは会見で、Xの暴行が2件、Yの暴行が1件の計3件しか問題はなかったと話しています」、「表に出ていないだけで、Xが数々の問題を起こしていたことは多くの職員が知っています。XとYの2人だけじゃありません。例えば、患者さんが『バケツで殴られた』『何かで叩かれた』と訴えていたという記録が残っています。この患者さんの担当職員は女性」、「ここまで職員の看護態様がひどい病院は他に知りません」、なるほど。
・『全職員と患者へのアンケートを実施  病院は今回の事件を受け、全職員と患者をあわせた約480人を対象にしたアンケートを行った。Bさんによると、職員や患者の話から、XとYの他にも少なくない人数の職員の虐待行為を訴える声が集まっている可能性が高いという。 「明るみに出ていない問題が山積しているのに、病院上層部はその場しのぎで今回の問題を片付けようとしているのは明白です。平気で嘘もつく。例えば会見でYについて、問題発覚後に患者と関わらない看護部長付に異動させたと言っていましたが、外来で患者さんの相手を普通にしていましたよ。さらに、上層部は誰がXの暴行動画を流出させたのかという犯人捜しに躍起になっています。問題を矮小化しようとする上層部に愛想がつきたので、取材に応じることにしました。記者会見でもマスコミに指摘されていましたが、病院は間違いなく暴行、虐待を隠蔽しようとしていた。少なくとも現場の人間の多くはそう考えています」(Bさん)』、「病院は間違いなく暴行、虐待を隠蔽しようとしていた。少なくとも現場の人間の多くはそう考えています」、なるほど。
・『事件の背景に厳しい看護現場  別の職員Cさんはこうも話している。 「うちの病院は利益至上主義で、採用も抑えて職員の人数もギリギリなんです。まるで十分な人員がいるかのように対外的には振舞っていますが、実際はもっと少ない。多めにサバを読んでいるんです。患者に手を出したXやYの暴行は断じて許すことはできませんが、厳しい看護現場のある種の『被害者』であるとも言えるんです」 医療現場の過酷さはつとに知られ、精神科は患者への対応も難しく神経をすり減らす職場だ。人手の少なさ、膨大な仕事量は暴行・虐待の言いわけにはならないとCさんは重々分かっているが、あえて言う。 「Xの暴行は精神状態が特に悪い患者さんを隔離する保護室という密室で行われました。病院のルールでは保護室での対応は職員2人でやることになっている。しかし、実際に2人で看護をすることは人数の問題から不可能なんです。別の職員の目があればXもあんなことはできなかったでしょう。現場を全く理解していない加藤政利院長や石川洋二事務責任者、栗原えみ看護部長はしっかりと再発防止に向けて膿を出して欲しいです」 昨年末以降、「ふれあい沼津ホスピタル」は揺れに揺れている。患者家族に対して行われた説明会では、病院側の対応に一部家族が強く抗議して紛糾。院内の研修では現場職員と経営陣が激しく衝突したという。事件の全容解明に向け静岡県警の捜査も続く。 一連の職員からの告発について「ふれあい沼津ホスピタル」を取材したが、期限までになんら回答はなかった。 まさに内憂外患。病院自身が抱える病は、果たして治せるか。 文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい』、「ルールでは保護室での対応は職員2人でやることになっている。しかし、実際に2人で看護をすることは人数の問題から不可能なんです。別の職員の目があればXもあんなことはできなかったでしょう」、「院内の研修では現場職員と経営陣が激しく衝突したという。事件の全容解明に向け静岡県警の捜査も続く」、「静岡県警」は「病院」「経営陣」に忖度せずに、法的妥当性だけで判断してもらいたいものだ。

第三に、3月10日付け文春オンライン「《深層スクープ》東京女子医大に“診療報酬の不正請求”疑惑!「ICU死亡事故で厚労省が“緊急調査”」 東京女子医大の闇#15」を紹介しよう。
・『医療ミスで患者が死亡した、東京女子医科大学病院(東京・新宿区)のICUについて、「医師の勤務記録に不備がある」と、厚生労働省の立ち入り調査で指摘されたことが分かった。 “ICUの管理日誌に、医師が何時から勤務しているかの記載が抜けている”、“管理日誌がなかった日もある”など、定められた記録がなく、診療報酬の不正請求にあたる可能性が高いという。患者の命を守る“最後の砦”であるICUの杜撰な管理実態を追及する。 東京では珍しく氷点下まで冷え込んだ、1月30日の朝。女子医大病院・総合外来センターの正面玄関前に、地味なコート姿の男たちが次々と現れた。患者やその家族とは異なる、厳しい雰囲気を漂わせ、交わす言葉も少ない。5人ほど集まると、首に身分証をかけた病院職員が、正面玄関を避けるように裏手の通用門に彼らを誘導していく。すると、また同じような外見の5人が集まってきた。今度は女性の姿も混じっている。患者に対する配慮か、それとも取材を意識しているのか、分散して集合する手順だったらしい。 このようにして女子医大病院に入った約17人は、厚労省で医療機関の監査などを行う、関東信越厚生局の調査官だった。 去年12月、女子医大病院で発生した「ICUの死亡事故」(#10を読む)を、文春オンラインがスクープした1週間後、女子医大の岩本絹子理事長宛に、関東信越厚生局長から「個別指導」と「適時調査」を行う通告書が届いていたのである』、どういうことなのだろう。
・『「個別指導と適時調査が、同時に行われるのは異例」  個別指導とは、厚生局が指定した患者に関して、カルテや看護記録、処方箋、領収書などの記録を全て提出させて調べ、不備があったら指導を行う。今回は30人の患者が指定された。 一方、適時調査は、病院が施設基準として定められた“要件”を満たしているかを確認するものだ。 いずれも保険診療が適切に行われているか、厳しく調査するのが目的である。今回、厚生局の姿勢はこれまでとは明らかに違っていた、と女子医大関係者は話す。 「個別指導と適時調査が、同時に行われるのは異例です。過去20年間で記憶にありません。厚生局からの通知が届いたのが、文春オンラインでICU死亡事故が報道された1週間後ですから、当然、ICUが徹底的に厳しく調査されるだろうと予感しました」』、「厚生局からの通知が届いたのが、文春オンラインでICU死亡事故が報道された1週間後」、なるほど。
・『勤務記録がないICUの管理日誌  人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)などを使い、命の危機に瀕した患者を“24時間体制”で、集中治療医と看護師が治療や看護を行うのが、ICU(集中治療室)だ。新型コロナの重症患者を救い、多くの人がその存在を知るようになったが、高度な外科手術を受けた患者の管理などもICUの重要な役割であり、大学病院にとって「医療安全の砦」というべき重要な部門である。 去年8月時点で、女子医大病院のICUには10人の集中治療医が在籍し、ベッド数は全国トップクラスだったが、経営陣の不可解な懲戒処分を受けるなどして、同9月までに9人が退職に追い込まれた。 そして、その翌月、専門医不在のICUで、消化器外科医が60代の患者から胸水(胸膜腔に溜まった水)を抜く際、ミスをして死亡させる事故が起きたのである。(#14を読む) 女子医大病院を監督指導する立場にある関東信越厚生局としては、死亡事故が起きたICUについて厳しくチェックするのは必然だった。一体、どのような指導が行われたのか。担当の病院事務長が、2月10日の病院運営会議で教授たちにこう報告した。 「ICUの管理日誌に、誰が夜間に勤務しているのか、何時から勤務しているのか、という記載が抜けている、または日誌が無かった日もございました。ICUについては常時、医師が24時間いなくてはいけないという要件がありますが、(厚生局からは)ずっと医師がICUにいることが確認できない、という指摘がございました。最悪、要件を満たさないものに関しては、過去5年間調べて、(診療報酬の)返還という可能性もあります」(一部要約・抜粋)』、「ICUには10人の集中治療医が在籍」していたが、「経営陣の不可解な懲戒処分を受けるなどして、同9月までに9人が退職」、「専門医不在のICUで、消化器外科医が60代の患者から胸水(胸膜腔に溜まった水)を抜く際、ミスをして死亡させる事故が起きた」、「女子医大病院を監督指導する立場にある関東信越厚生局としては、死亡事故が起きたICUについて厳しくチェックするのは必然だった」、「ICUについては常時、医師が24時間いなくてはいけないという要件がありますが、(厚生局からは)ずっと医師がICUにいることが確認できない、という指摘がございました。最悪、要件を満たさないものに関しては、過去5年間調べて、(診療報酬の)返還という可能性もあります」、これは一大事だ。
・『診療報酬の不正請求になる可能性が高い  女子医大病院のICU管理日誌は、勤務時間帯ごとの医師の名前、入室患者数、病名などを、医師が入力したものをプリントアウトし、責任者の印を押して保存していたという。仮に、医師が24時間体制で勤務していなければ、診療報酬の不正請求になる可能性が高い。女子医大の関係者は、次のように証言した。 「厚生局の調査は、管理日誌と医師の出勤簿を突き合わせるなど徹底しているので、不備があれば、すぐに見抜かれてしまいます。まして、ICUの集中治療医10人中9人が退職したと報道されているわけですから、誰が考えても24時間体制を維持できるわけがありません。医療事務の感覚として無理だと判断しますので、“誰かの指示”を受けて診療報酬を請求したということです」 厚生局の調査によって“ICUに夜間勤務した医師の記録がない”、という杜撰な管理実態が明らかになったが、集中治療医の大半が辞めたのに、なぜICUの維持にこだわったのか? 考えられるのが、“高い診療報酬”である』、「集中治療医の大半が辞めたのに、なぜICUの維持にこだわったのか? 考えられるのが、“高い診療報酬”である」、酷い話だ。
・『一般病棟の入院管理料と比較すると約6倍の収益  去年9月以降、女子医大病院のICUは、「特定集中治療室管理料3」の診療報酬で請求されていた。これは、患者1日あたり、「96,970円」(*注1)になり、一般病棟の入院管理料「15,660円」と比較すると、約6倍の収益になる。 ただし、「管理料3」のICUは「専任の医師が常時、特定集中治療室内に勤務していること」という要件が定められており、実際に24時間体制で医師が勤務している“記録”が必要だ。 (*注1:特定集中治療室管理料3で、7日以内の期間の場合) 先に述べた通り、去年9月以降、女子医大のICUには、集中治療医が1人しかいなかった。そこで経営陣は、24時間体制のICUを維持する、苦肉の策を掲げたのである。 「外科手術などを行なった各診療科の医師が、ICUで患者の集中治療も行う」 「夜間のICUは、心臓血管外科の医師が責任者として担当する」 経営陣の方針によって、医師が24時間体制で勤務する「ICUの要件」は満たされた。ただし、大学病院においてICUが「医療安全の砦」とされるのは、高い専門性とスキルを兼ね備えた集中治療医の存在が前提条件だ。 ではなぜ、心臓血管外科の医師が夜間のICUを担当させられたのか。詳しい経緯を知る、元女子医大の医師が内情をこう明かす』、「ICU」は「一般病棟の入院管理料と比較すると約6倍の収益」、なので、「経営陣は、24時間体制のICUを維持する、苦肉の策を掲げた」、なるほど。
・『心臓血管外科のスタッフ「夜間責任者を引き受けられない」  「心臓血管外科に所属する友人の話によると、以前から心臓血管外科では手術した患者をフォローするため、夜間当直をICUに置いていました。それで集中治療医がいなくなった去年9月以降、ICUの夜間責任者を担当するように言われたそうです。 しかし、ICUには脳外科や消化器外科の患者もいますので、修羅場に慣れている心臓血管外科でも急変した時の対応は難しい。それで心臓血管外科のスタッフが『他の診療科の患者については、一切の責任を負わせない旨を文書でほしい』と病院長に要求したそうです」 そして、病院長から文書が渡されたが、要求した内容は反映されていなかった。 “問題が起きた場合は、当院全体で責任を負う。心臓血管外科や医師個人のみに責任を負わせることはしない”(医師の記憶に基づく病院長の文書要旨) この内容では、他の診療科の患者について、完全に免責されることにはならないため、心臓血管外科のスタッフは、改めてICUの夜間責任者は引き受けられないと病院長に伝えたが、聞き入れられなかった。 「その後、ICUの管理日誌に夜間の責任者として、心臓血管外科スタッフの名前が勝手に使われていたそうです。それを知った同科スタッフは、板橋(道朗)病院長に抗議の文書を送りつけ、改めてICUの夜間責任者は引き受けられない、と伝えたと聞きました。その後に、厚生局の調査が入ったのです」(同前) こうした経緯で、夜間のICUに医師が勤務していた記録がない、という状況が起きたという』、「病院長から文書が渡されたが、要求した内容は反映されていなかった。 “問題が起きた場合は、当院全体で責任を負う。心臓血管外科や医師個人のみに責任を負わせることはしない”(医師の記憶に基づく病院長の文書要旨) この内容では、他の診療科の患者について、完全に免責されることにはならないため、心臓血管外科のスタッフは、改めてICUの夜間責任者は引き受けられないと病院長に伝えたが、聞き入れられなかった」、「厚生局の調査が入ったのです」(同前) こうした経緯で、夜間のICUに医師が勤務していた記録がない、という状況が起きたという」、「責任問題」を「病院長」が明確にしないため、「心臓血管外科のスタッフは、改めてICUの夜間責任者は引き受けられないと病院長に伝えたが、聞き入れられなかった」、こんなトラブルが背景にあったとは、病院側の対応は本当にお粗末だ。
・『ICUでは、死亡事故以外にも問題が頻発。医師不足で対応できず。  さらに、別の関係者によると、9月以降のICUでは、死亡事故以外にも問題が頻発していた。集中治療医の不在をカバーするため、ICUの患者に異変が起きると、救命救急センターや麻酔科の医師が駆けつけることになっていたが、医師不足で対応できないケースがしばしば起きていたのだ。 こうした状況に対し、女子医大の40代医師は、医療安全体制の崩壊を引き起こしたのは、経営陣だと批判する。 「夜間のICUに専任の医師が不在なのに、『特定集中治療室管理料 3』を得ていたのなら、診療報酬の不正請求ですし、そもそも集中治療科の医師に、嫌がらせのようなこと(懲戒処分など)を繰り返して辞めさせたのは、現経営陣です。一貫性がなく、行き当たりばったりの経営が、現在の混乱した状況を引き起こしました」 振り返れば2001年に、女子医大病院で心臓手術を受けた、当時12歳の少女が死亡する事故が起きた。その遺族らが「診療報酬で不正請求をしているのではないか」として、厚労省に通報したという。その結果、カルテの改ざんや診療報酬の不正請求などが判明、女子医大病院は診療報酬の返還請求を受け、「特定機能病院」の承認を取り消された。 その後、2007年に再承認されたが、2014年にはICUで鎮静薬プロポフォールの過剰投与により、2歳男児を死亡させて、再び「特定機能病院」の承認は取り消しとなり、現在に至る』、「女子医大病院」「経営陣」の責任は重大だ。
・『現代の高度医療はICUと集中治療医がいてこそ成り立つ  特定機能病院とは、厚生労働大臣が承認した、高度医療の提供や開発などを担う医療機関を指す。診療報酬や補助金などで優遇され、医学部のある全国81の大学のうち、女子医大と新設校を除く全ての大学病院が、特定機能病院に承認されている。 女子医大の関係者によると、再び特定機能病院の承認を取るためには、医療安全体制の確立が絶対条件だと厚労省から示唆されていたという。 集中医療の最前線に立ってきた、帝京大学の福家伸夫名誉教授は、高度医療を行う大学病院のICUには、集中治療専門医の存在が必要不可欠と指摘する。 「ICUで管理する患者は生命の危機に瀕しているケースが多く、わずかな変化が致命的になるので、24時間体制で集中治療に専従する医師が必要です。人工呼吸器の管理技術も、集中治療専門医と非専門医では全然違います。現代の高度医療は、ICUと集中治療専門医がいてこそ成り立つ。女子医大病院が特定機能病院の再承認を目指すのであれば、診療体制を改善しICUを充実させる必要があります」 重大な医療事故を繰り返しながら、医療安全の要である、ICUの杜撰な実態が明らかになった女子医大病院。今後、厚労省から診療報酬の不正請求が認定された場合、岩本絹子理事長らの経営責任が問われることは必至だ』、「重大な医療事故を繰り返しながら、医療安全の要である、ICUの杜撰な実態が明らかになった女子医大病院」、「今後、厚労省から診療報酬の不正請求が認定された場合、岩本絹子理事長らの経営責任が問われることは必至だ」、今後の展開を注視したい。
タグ:(その37)(執刀は研修医 ドナーは生きた女性…日本人男性患者(53)が目撃した“海外臓器移植ツーリズム”の恐怖「意識は戻りましたか?」「ついさっき死んだ」、《暴行動画流出》白衣の男が患者に蹴りを2発 さらに顔面にも…暴行看護師がはびこる「ふれあい沼津ホスピタル」の闇「犬のほうがよっぽどかわいい」と患者に暴言も、《深層スクープ》東京女子医大に“診療報酬の不正請求”疑惑!「ICU死亡事故で厚労省が“緊急調査”」 東京女子医大の闇#15) 医療問題 文春オンライン「執刀は研修医、ドナーは生きた女性…日本人男性患者(53)が目撃した“海外臓器移植ツーリズム”の恐怖「意識は戻りましたか?」「ついさっき死んだ」」 「指定された口座に腎臓移植の手術費用2170万円を振り込み」、かなり高いようだ。 「死体からの移植だと思っていた。しかし生きている人からの移植となれば話は変わってくる」、「最終的に手術を断念した。それは別の日本人患者の手術が、大失敗に終わったことがきっかけ」、なるほど。 「女性」は「成田空港に着くと救急車で千葉の病院に運ばれ、結局、キルギスで移植した腎臓は摘出されることになりました。日本の医師は摘出後、『腎臓が溶けていた。あと1時間遅ければ死んでましたよ』と言ったそうです」、悪質な手術詐欺だ。 「募金についてはひとまず、今後訴訟で取り返すための準備を進めている」、既に海外での工作資金や謝礼などで支払われていて、取り戻すのは困難だろう。「回復の道が見えない患者たちにとって、臓器移植は唯一の希望の灯といえるだろう。こうした患者らを食い物にしてきた菊池容疑者の犯行は、到底許されるものではない」、確かに極めて悪質だ。 文春オンライン「《暴行動画流出》白衣の男が患者に蹴りを2発、さらに顔面にも…暴行看護師がはびこる「ふれあい沼津ホスピタル」の闇「犬のほうがよっぽどかわいい」と患者に暴言も」 「精神科病院」ではこれまでも「患者」への「暴力」事件が起きていたが、今回のも悪質だ。 「暴行を行った看護師らへの処分は10月にさっさと終えている」が、「問題が公になったのは」、「12月」隠蔽体質は酷いようだ。 「映像があるのに病院の説明はしどろもどろ」、ろくに準備もせずに臨んだためだろう。 「病院上層部が隠蔽しようとしていた」のは確かだろう。 「院長や看護部長らは会見で、Xの暴行が2件、Yの暴行が1件の計3件しか問題はなかったと話しています」、「表に出ていないだけで、Xが数々の問題を起こしていたことは多くの職員が知っています。XとYの2人だけじゃありません。例えば、患者さんが『バケツで殴られた』『何かで叩かれた』と訴えていたという記録が残っています。この患者さんの担当職員は女性」、「ここまで職員の看護態様がひどい病院は他に知りません」、なるほど。 「病院は間違いなく暴行、虐待を隠蔽しようとしていた。少なくとも現場の人間の多くはそう考えています」、なるほど。 「ルールでは保護室での対応は職員2人でやることになっている。しかし、実際に2人で看護をすることは人数の問題から不可能なんです。別の職員の目があればXもあんなことはできなかったでしょう」、「院内の研修では現場職員と経営陣が激しく衝突したという。事件の全容解明に向け静岡県警の捜査も続く」、「静岡県警」は「病院」「経営陣」に忖度せずに、法的妥当性だけで判断してもらいたいものだ。 文春オンライン「《深層スクープ》東京女子医大に“診療報酬の不正請求”疑惑!「ICU死亡事故で厚労省が“緊急調査”」 東京女子医大の闇#15」 どういうことなのだろう。 「厚生局からの通知が届いたのが、文春オンラインでICU死亡事故が報道された1週間後」、なるほど。 「ICUには10人の集中治療医が在籍」していたが、「経営陣の不可解な懲戒処分を受けるなどして、同9月までに9人が退職」、「専門医不在のICUで、消化器外科医が60代の患者から胸水(胸膜腔に溜まった水)を抜く際、ミスをして死亡させる事故が起きた」、「女子医大病院を監督指導する立場にある関東信越厚生局としては、死亡事故が起きたICUについて厳しくチェックするのは必然だった」、 「ICUについては常時、医師が24時間いなくてはいけないという要件がありますが、(厚生局からは)ずっと医師がICUにいることが確認できない、という指摘がございました。最悪、要件を満たさないものに関しては、過去5年間調べて、(診療報酬の)返還という可能性もあります」、これは一大事だ。 「集中治療医の大半が辞めたのに、なぜICUの維持にこだわったのか? 考えられるのが、“高い診療報酬”である」、酷い話だ。 「ICU」は「一般病棟の入院管理料と比較すると約6倍の収益」、なので、「経営陣は、24時間体制のICUを維持する、苦肉の策を掲げた」、なるほど。 「病院長から文書が渡されたが、要求した内容は反映されていなかった。 “問題が起きた場合は、当院全体で責任を負う。心臓血管外科や医師個人のみに責任を負わせることはしない”(医師の記憶に基づく病院長の文書要旨) この内容では、他の診療科の患者について、完全に免責されることにはならないため、心臓血管外科のスタッフは、改めてICUの夜間責任者は引き受けられないと病院長に伝えたが、聞き入れられなかった」、 「厚生局の調査が入ったのです」(同前) こうした経緯で、夜間のICUに医師が勤務していた記録がない、という状況が起きたという」、「責任問題」を「病院長」が明確にしないため、「心臓血管外科のスタッフは、改めてICUの夜間責任者は引き受けられないと病院長に伝えたが、聞き入れられなかった」、こんなトラブルが背景にあったとは、病院側の対応は本当にお粗末だ。 「女子医大病院」「経営陣」の責任は重大だ。 「重大な医療事故を繰り返しながら、医療安全の要である、ICUの杜撰な実態が明らかになった女子医大病院」、「今後、厚労省から診療報酬の不正請求が認定された場合、岩本絹子理事長らの経営責任が問われることは必至だ」、今後の展開を注視したい。
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子育て(その5)(「親の愛情不足」感じる子に見えがちな3つの特徴 親は子にかける言葉を選び、頼み聞くのがベスト、「日本の子どもが幸せそうじゃない」問題を直視せよ 自殺・不登校・いじめ過去最多、子どもが否定されたと感じる「一発アウト」の言葉 「聞いてあげている」つもりでも口を挟んでいる) [生活]

子育てについては、2021年10月3日に取上げた。久しぶりの今日は、(その5)(「親の愛情不足」感じる子に見えがちな3つの特徴 親は子にかける言葉を選び、頼み聞くのがベスト、「日本の子どもが幸せそうじゃない」問題を直視せよ 自殺・不登校・いじめ過去最多、子どもが否定されたと感じる「一発アウト」の言葉 「聞いてあげている」つもりでも口を挟んでいる)である。

先ずは、昨年5月5日付け東洋経済オンラインが掲載した思春期の子育てアドバイザーの道山 ケイ氏による「「親の愛情不足」感じる子に見えがちな3つの特徴 親は子にかける言葉を選び、頼み聞くのがベスト」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/584832
・『「最近親に反抗するようになって、言うことを聞かない」「友達とのケンカをきっかけに、長い間学校に行けなくなってしまった」「まったく勉強せず、部屋に引きこもって1日中ゲームをしている」 こんな悩みをお待ちの親御さんはいらっしゃいませんか? 原因は、子どもによって異なります。たまたま購入したゲームにハマってしまい、ゲーム依存になることもあるからです。ただ、「愛情不足」が原因で上記のトラブルが起きているという場合も多いようです。『ウチの子、最近、思春期みたいなんですが親子でイライラせずに乗り切る方法、教えてください!』の著者、道山ケイ氏が解説します』、興味深そうだ。
・『子どもは「自分が親から愛されているか」に敏感  未成年の子どもは、1人で生きていけません。親の支援があってこそ、生活したり、自分のやりたいことをしたりすることができます。そのため、子どもは「自分が親から愛されているか」について、非常に敏感です。 「自分は親から愛されていない」と感じると、「愛情不足」と呼ばれる状態になります。すると、様々なトラブルに発展することが多いです。私がこれまでに1万組以上の親子の子育てをサポートしてわかった「愛情不足の子どもの特徴」を紹介します。それは、 ① 甘えの増加 ② わがままへの発展 ③気力の低下 の3つです。 ① 甘えの増加:親に甘える頻度が増える 「お母さん、冷蔵庫に入っている飲み物とって」 「週末に服買いにつれてって」 「お腹すいたからご飯作って」 子どもなら、誰でも親にするお願いです。1日1~2回くらいなら、まったく問題ないでしょう。ただ、親への要求が極端に増えてきたら、愛情不足になりかけているかもしれません。 ・今までは「飲み物とって」だけだったのが、「リモコンとって」「お菓子もとって」と言う。 ・先週買い物に連れてったばかりなのに「まだ足りない、もっと買いたい」「今週も来週も連れてって」と言う。 ・断ると、かんしゃくを起こしたり暴れたりする。 こういった場合、注意しましょう。なぜなら、子どもは親にお願いを聞いてもらうことで、無意識に愛情を確かめているからです。 前述したように、愛情不足とは「自分は親から愛されていないかも?」と不安になっている状態です。そのため、自分の要求を聞いてもらえるかを確かめるために、甘える頻度が増えています』、「今までは「飲み物とって」だけだったのが、「リモコンとって」「お菓子もとって」と言う」、僕だったら、「甘ったれるな」と叱り飛ばして、子供との溝を深めていたところだ。
・『わざと手のかかる行動を取る点にも注意  ② わがままへの発展:愛情を確かめるために、わざと手のかかる行動をする 甘える頻度が増えたとき、親ができる限り要求を聞いてあげれば、子どもはまた元の状態(愛情不足ではない状態)に戻ります。しかし、仕事や家事の忙しさから、なかなか聞いてあげられないと、さらに状況が悪化します。すると子どもは、理不尽な要求(わがまま)をするようになります。 親が仕事で忙しいのに「今日仕事休んで、買い物に連れてって」と言ったり、無理だとわかっているのに「50万円のゲーミングパソコンを買って」「ブランドのバッグ買って」と言ったりします。子どもの気質によっては、「買い物連れていけ」「バッグ買ってこい」などと言葉遣いが乱暴になることもあるでしょう。 この場合、さすがに子どもも「この要求を聞くのは難しい」とわかっています。ただ「こんなわがままを言う私でも、親は愛してくれるかな?」と試す感覚や、要求を聞いてもらえないイライラから言っているのです。家だけではなく、学校でもわざと先生に迷惑をかけているかもしれません。 ③ 気力の低下:朝起きられなくなったり、自分の未来に希望を持てなくなったりする 子どもの気質によっては、わがままではなく、気力が低下することもあります。「どれだけお願いしても、うちの親はどうせ聞いてくれない」「私は誰からも愛されていない」と感じるため、自分の未来に希望を持てなくなるからです。すると生きることに無気力になって、朝起きられなくなったり、学校に行けなくなったりします。 中学生の場合「高校はどこに行く?」と聞くと「知らん」「どうせ受からないから受験しない」と言うこともあるでしょう。自分の人生に投げやりになっていたら、注意が必要です。) 愛情不足が続くと、人間関係に悩みやすくなります。なぜなら、次の2つの二次障害が起こるからです。 (1)人を信じられなくなる(親からの愛情を感じられないと、親のことを信頼できなくなります。いちばん身近な自分の親でさえ信頼できないのに、学校の先生や友達などの他人を信じることは難しいでしょう。すると、深い人間関係を築くことも難しくなります。 (2)自分を信じられなくなる(親から愛されてないと感じると、自分は価値のない人間だと思ってしまいます。つまり、自分に自信を持てなくなるのです。すると、クラスメイトに話しかける勇気がなくなります。「どうせ無視される」「友達になってくれるわけがない」と無意識に思ってしまうからです。友達がなかなかできず、悩むこともあるでしょう。 ほとんどの子は、友達に会うために学校に行っています。友達関係がうまくいかなくなれば、学校も楽しくないと感じます。それがきっかけで、不登校になることもあるのです』、「ほとんどの子は、友達に会うために学校に行っています。友達関係がうまくいかなくなれば、学校も楽しくないと感じます。それがきっかけで、不登校になることもあるのです」、「愛情不足が続くと」「次の2つの二次障害が起こる」「1)人を信じられなくなる」、「(2)自分を信じられなくなる」、「愛情不足」にそんな副作用があるとは初めて知った。
・『親が悪いのでなく、たまたま上手く伝わらなかっただけ  子どもが愛情不足と聞くと、なんだか子育てに失敗したように感じるかもしれません。しかし、親だけが悪いわけではありません。そもそも学校で「愛情の伝え方」とか「子育ての仕方」なんて学ばないからです。つまり、最初から上手くいく方がまれで、多くの方が手探り状態で始めています。もし今、お子さんが愛情不足かもしれないと思っても、自分を責める必要はありません。 では、どうしたら、愛情不足は解消するのでしょうか? ここからは私の経験を交えてお伝えします。ポイントは「子どもが求める愛情を的確に伝えていく」ことです。たとえば、お子さんはゲームが大好きだとしましょう。おそらく食事中も、常にゲームのことで頭がいっぱいです。ここで親が「宿題は、終わったの?」「夕食が終わったら、勉強しなさい」と言ったら子どもはどう思うでしょうか? ほとんどの子は「そんな話聞きたくない」と感じます。親としては「勉強を頑張って、将来幸せになってほしい」という想いから声をかけていても、子どもにとっては「愛情」ではなく「おせっかい」なのです。 では、どんな言葉をかけたら、子どもは喜ぶのか。たとえば、「最近、どんなゲームやってるの?」と言ったらどうでしょう。自分の好きなことに興味を示してくれているので、嫌な気持ちにはなりません。 「今日、学校はどうだった?」「先週行けなかった買い物、今週だったら行けそうだけどどう?」。こんな言葉も、言われて嫌な気持ちにはならないでしょう。 年齢や現在の親子関係によって、子どもがよろこぶ言葉は変わります。上記の言葉をかければ、100%うまくいくとは言えません。ただ、勉強や宿題の話をするよりも、上手くいく可能性は高いです』、「最近、どんなゲームやってるの?」、「今日、学校はどうだった?」「先週行けなかった買い物、今週だったら行けそうだけどどう?」、会話の口火を切る言葉としてはよさそうだ。
・『子どもが自ら勉強するように変化した親の体験談  また、子どもの頼みをできる限り聞いてあげることも大切です。山本よしみさん(仮名)は、もともとお子さんが愛情不足でした。朝起きられず学校に行けなくなったり、親を階段から突き落とそうとしたりする状況です。「気力の低下」と「わがままへの発展」が一緒に起こっていて、「高校には行かない」と言っていました。 そこで、子どもの要求をできる限り聞くようにしたのです。たとえば、「マック買ってきて」と頼まれたら、できる限り買いに行きました。子どもが言われて嫌がる「勉強しなさい」という言葉もやめたそうです。かわりに、子どもと共通の話題を作るために、YouTubeで子どもが好きな音楽を聞くようにしました。すると、愛情不足がどんどん解消されていったのです。 3カ月前は「高校にはいかない」と言っていたのが「偏差値70の高校に行きたい」と言い、自ら勉強するようになりました。学校にも通えるようになって、親子関係も劇的に良くなったのです。このように、 <1>子どもが嫌がる言葉をやめるor減らす <2>子どもが言われてうれしい言葉をかける <3>子どもの頼みをできる限り聞く をすれば、愛情不足は解消され、子育ては楽になります。ただし、法律やルールに違反すること、他人に迷惑をかけること、人を傷つけることなどの要求は聞いてはいけません。善悪の区別がつけられない人間になってしまうからです。また、こういった要求の多くは本心ではなく、親を試すために言っています。そこで、「ゲーミングパソコンが欲しいんだね。ただ、50万円は買えないよ」という感じで伝えましょう。 このように、子どもに的確に愛情を伝えることが、子育ての悩みを軽減させることの一助となります。子育ては愛情の伝え方が大きな要素を占めると言ってもいいでしょう。これは、幼少期の子どもでも思春期の子どもでも同じです。ただし、的確に愛情を伝える方法はたくさんあり、効果的な方法は1人ひとり異なります。 男女でも違いがあります。男の子は、好きな食事を作ると、愛情を感じやすいです。女の子は、一緒に時間を過ごすと愛情を感じやすいことがわかっています』、「親を階段から突き落とそうとしたりする状況」、とは極めて深刻な状況だ。「「気力の低下」と「わがままへの発展」が一緒に起こっていて、「高校には行かない」と言っていました。 そこで、子どもの要求をできる限り聞くようにしたのです」、「子どもが嫌がる言葉をやめるor減らす」、「子どもが言われてうれしい言葉をかける」、「子どもの頼みをできる限り聞く」をすれば、愛情不足は解消され、子育ては楽になります。ただし、法律やルールに違反すること、他人に迷惑をかけること、人を傷つけることなどの要求は聞いてはいけません」、「こういった要求の多くは本心ではなく、親を試すために言っています。そこで、「ゲーミングパソコンが欲しいんだね。ただ、50万円は買えないよ」という感じで伝えましょう。 このように、子どもに的確に愛情を伝えることが、子育ての悩みを軽減させることの一助となります」、現実には上手く行くことばかりでなく、失敗例もある筈だ。

次に、3月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「「日本の子どもが幸せそうじゃない」問題を直視せよ、自殺・不登校・いじめ過去最多」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/318667
・『「子どもが幸せじゃない日本」で育つとどんな思考になる  岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」の目玉のひとつ、「子ども予算倍増」が炎上している。何の予算を、いつまでに、何に対して「倍」に増やすのかがよくわからないとして野党から批判を浴びているのだ。 ただ、カネをいくらバラまこうとも少子化には歯止めがかからないだろう。日本人が子どもをつくりたくないと考える根本的な問題にまったく手がつけられていないからだ。 それは端的に言うと、「日本の子ども、まったく幸せそうじゃない」問題である。 3月1日、ツイッターで「過去最悪の512人」というワードがトレンド入りした。昨年、自殺した小中高校の児童・生徒が512人で過去最多になったというのだ。こういう話を聞くと脊髄反射で、「それはコロナが」と理屈を並べたくなる人たちもいるが、コロナ禍以前から日本は「子どもが生きる希望を失って自殺をする国」として知られていた。 ユニセフが20年に発表した「レポートカード16」では、日本の子どもの精神的幸福度は38カ国中ワースト2位だった。また、日本では15~39歳の各年代の死因の第1位が「自殺」である。人身売買や戦争のない先進国では、子どもが亡くなるのは事故や病気が多いが、日本では自ら死を選ぶ子どもが多い。しかし、G7でこういう異常な国は日本だけだ。 自殺までいかなくとも「心」が殺されている子どもも多い。文部科学省によれば、令和3年度で全国の小中高校などを対象にした「いじめ認知件数」は61万5351件。前年度に比べて9万件以上増えていて、これまた過去最多となっている。また、病気などを除いて30日以上登校しなかった小中学生も21年度に24万人を超えて、こちらも過去最多だ。 さて、そこでちょっと想像していただきたい。このように子どもがいじめられたり、不登校になったり、自殺をしてしまったり…というようなことが日常的に起きている国で、成長した若い男女が結婚をした時、「子どもが欲しい」という発想になるだろうか。 なるわけがない。どんなに苦労をして育てても不幸になることが見えている。そんなわかりきった「無理ゲー」に挑みたくないという若者はかなりいるはずだ。 実際、それがうかがえるような調査もある』、「昨年、自殺した小中高校の児童・生徒が512人で過去最多になった」、「ユニセフが20年に発表した「レポートカード16」では、日本の子どもの精神的幸福度は38カ国中ワースト2位だった。また、日本では15~39歳の各年代の死因の第1位が「自殺」である。人身売買や戦争のない先進国では、子どもが亡くなるのは事故や病気が多いが、日本では自ら死を選ぶ子どもが多い。しかし、G7でこういう異常な国は日本だけだ」、「令和3年度で全国の小中高校などを対象にした「いじめ認知件数」は61万5351件。前年度に比べて9万件以上増えていて、これまた過去最多」、「病気などを除いて30日以上登校しなかった小中学生も21年度に24万人を超えて、こちらも過去最多だ」、「このように子どもがいじめられたり、不登校になったり、自殺をしてしまったり…というようなことが日常的に起きている国で、成長した若い男女が結婚をした時、「子どもが欲しい」という発想になるだろうか。 なるわけがない。どんなに苦労をして育てても不幸になることが見えている。そんなわかりきった「無理ゲー」に挑みたくないという若者はかなりいるはずだ」、その通りだ。
・『お金の問題ではない?若い人が子どもはいらないと思う理由  BIGLOBE・・・が18~25歳の未婚男女500人に実施した「子育てに関するZ世代の意識調査」である。 それによれば、「子どもがほしくない」と回答したのは45.7%と半数近かった。ただ、それよりも注目すべきは、その理由として「お金の問題」と答えた人が17.7%にとどまったことだ。 つまり、政府が「産めよ増やせよ」と税金をバラまいたところで、少子化対策の効果としては限定的ということだ。 では、「お金の問題ではない」とする若い人たちは、なぜ子どもが欲しくないのか。 もっとも多いのは、「育てる自信がないから」(52.3%)である。これは言い換えれば、「子どもをつくっても幸せにする自信がない」ということでもある。先ほども触れたように、日本の子どもはちっとも幸せではないので当然、子どもを産んで育てることは「失敗」が見えている愚かな行為だととらえる人も出てくるのだ。 次いで多いのは、「子ども好きではない、苦手だから」(45.9%)、「自由がなくなる(自分の時間を制約されたくない)から」(36%)だった。これは完全に子どもを「お荷物」「厄介」扱いしている。このように考える人というのは、自身も親や周囲の大人から「お荷物」「厄介」だと思われていたケースが多いのではないか。「不幸な子ども」が大人になって、自分のような不幸な子どもをこれ以上、世に増やしたくないという思いで、「子ども嫌い」になっている可能性もある。 日本の少子化の背景に「日本の子どもが幸せではない」ということもかなり大きなウェイトを占めているかもしれないということを、この調査は示してくれている。 少子高齢化という問題は、かれこれ半世紀以上前からわかっていて警鐘が鳴らされてきた。政府も以前から少子化対策の予算を組んで、「子ども手当」のようなバラまきも行ってきた。しかし、まったく成果が出ていないのは、この問題の元凶が「カネ」だけではないからだ』、「少子高齢化という問題は、かれこれ半世紀以上前からわかっていて警鐘が鳴らされてきた。政府も以前から少子化対策の予算を組んで、「子ども手当」のようなバラまきも行ってきた。しかし、まったく成果が出ていないのは、この問題の元凶が「カネ」だけではないからだ」、その通りだ。
・『日本特有の“ハラスメント教育”が元凶?  では、なぜ日本の子どもは幸せそうじゃないのか。いろいろなご意見があるだろうが、個人的には、日本特有の“ハラスメント教育”が元凶だと考えている。 日本では「子どもを自由にのびのび、個性を尊重して育てる」ということを建前としてはよく言うが、本音ベースでは「そんな風に育てたらロクな大人にならないぞ」と言わんばかりに、自由も個性も否定しがちだ。 事実、物心ついた頃から家庭や学校で「ルールを守れ」ということを教え込み、「みんなのことを考えろ」と同調圧力を叩き込んでいる。そして、もし自分勝手な行動をしたり、集団の秩序を乱したりすると「痛み」でわからせるという大人もまだ存在している。殴ったり、蹴ったり、グラウンドを走らせたりという「折檻(せっかん)」が「愛のある体罰なのでセーフ」と奨励されてきた過去があるからだ。 そんな日本のハラスメント教育の象徴が、「制服」だ。 貧しい家庭でもありがたいとか、もっともらしい理由をつけているが、本質的なところでは、私服よりも没個性の制服の方が、親や教師という大人側が「管理がラク」というだけだ。制服は青春の象徴だ、みたいな話も大人のノスタルジーに過ぎず、「子どものため」を考えたルールではない。 また、授業以外でも徹底的に「個性」を殺して、集団への貢献を誓わせる。わかりやすいのが、運動会の集団体操や人間ピラミッドだ。あれに感動している保護者は、マスゲームで熱狂している北朝鮮の人民と自分たちが何も変わらないことに気づいていない。 世界的にも珍しい「ブラック部活」も同じだ。海外では、スポーツなどの課外活動は自分の意志でやりたい子どもだけが参加して、1年の中で活動する期間が決められている。日本のように、朝から晩まで週6日部活で、子どもが疲労でフラフラ…なんてバカな話は少ない。よく言われる「部活で苦しい経験をしたから今がある」という話も、大人たちが自分の受けたハラスメントを正当化しているだけだ。 しかも、ただスポーツをやるだけではなく、髪型がどうしたとか、声が小さいとか、礼儀作法やら精神論も叩き込まれる。これはあまり言われないが、軍隊的な集団教育だ』、「物心ついた頃から家庭や学校で「ルールを守れ」ということを教え込み、「みんなのことを考えろ」と同調圧力を叩き込んでいる。そして、もし自分勝手な行動をしたり、集団の秩序を乱したりすると「痛み」でわからせるという大人もまだ存在している」、「そんな日本のハラスメント教育の象徴が、「制服」だ。 貧しい家庭でもありがたいとか、もっともらしい理由をつけているが、本質的なところでは、私服よりも没個性の制服の方が、親や教師という大人側が「管理がラク」というだけだ」、「授業以外でも徹底的に「個性」を殺して、集団への貢献を誓わせる。わかりやすいのが、運動会の集団体操や人間ピラミッドだ。あれに感動している保護者は、マスゲームで熱狂している北朝鮮の人民と自分たちが何も変わらないことに気づいていない。 世界的にも珍しい「ブラック部活」も同じだ。海外では、スポーツなどの課外活動は自分の意志でやりたい子どもだけが参加して、1年の中で活動する期間が決められている。日本のように、朝から晩まで週6日部活で、子どもが疲労でフラフラ…なんてバカな話は少ない」、「しかも、ただスポーツをやるだけではなく、髪型がどうしたとか、声が小さいとか、礼儀作法やら精神論も叩き込まれる。これはあまり言われないが、軍隊的な集団教育だ」、その通りだ。
・『集団主義教育によって子どもたちが「日本人」になる  日本の部活が今のように、親や教師という大人が前のめりになって、体罰やシゴギで子どもが死んでいくようになったのは1960年代だ。 この時期に何があったのかというと、「集団主義教育」の復活だ。 戦前の子どものように規律正しい行動ができるようにしよう、ということで東大教授の宮坂哲文氏を中心として結成されたのが、「集団主義教育」の普及を目的とした「全国生活指導研究協議会」だ。これがあれよあれよと勢力を伸ばし、1963年には会員が2000人を突破した。 そしてこの年、GHQが軍隊っぽいとして禁止していた「気をつけ」と「休め」について、文部省によって設けられた集団行動指導の手引き指導委員会が「復活」を検討。その翌年には、「集団行動の統一スタイル」(読売新聞 1964年5月25日)として全国の小学校に普及する。 この時期から「部活」は「涙と根性」がつきものになって、ひねくれた子どもの性根を叩き直す教育的機能が期待されるようになる。つまり、血反吐を吐かせて、ボコボコに殴っても、勝利の喜びを経験させてやれば、自堕落な子どもたちにも、集団主義が身について立派な日本人になれるというわけだ。 こういう集団主義教育の極め付けが、「偏差値」だ。世界の大学は、高校の成績や論文などで総合評価式の審査を行っているが、日本はいまだに一斉学力テストなど、偏差値教育に固執している。そのため、子どもは幼い頃から、遊びの時間を削って、偏差値アップのための詰め込み教育を強いられる。成長するにつれ自由と個性をつぶされていくというのは、子どもにとってこれ以上の「ハラスメント」はない』、「東大教授の宮坂哲文氏を中心として結成されたのが、「集団主義教育」の普及を目的とした「全国生活指導研究協議会」だ。これがあれよあれよと勢力を伸ばし、1963年には会員が2000人を突破」、「GHQが軍隊っぽいとして禁止していた「気をつけ」と「休め」について、文部省によって設けられた集団行動指導の手引き指導委員会が「復活」を検討。その翌年には、「集団行動の統一スタイル」・・・として全国の小学校に普及する」、「集団主義教育」の出発点が理解できた。「世界の大学は、高校の成績や論文などで総合評価式の審査を行っているが、日本はいまだに一斉学力テストなど、偏差値教育に固執している。そのため、子どもは幼い頃から、遊びの時間を削って、偏差値アップのための詰め込み教育を強いられる。成長するにつれ自由と個性をつぶされていくというのは、子どもにとってこれ以上の「ハラスメント」はない」、「偏差値教育」も確かにハラスメント」だ。
・『日本では「自由に生きてはいけない」  さて、いろいろ並べたが、気になるのは、こういう日本独特のハラスメント教育を続けると、一体どういう人間に成長をするのかではないか。 その一端がわかるのが、平成30(2018)年度に実施された「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」だ。これは日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンという7カ国の満13歳から満29歳までの男女を対象に実施したインターネット調査である。 その中で、「他人に迷惑をかけなければ、何をしようと個人の自由だ」という質問に対して、「そう思う」と回答をしたのは、日本以外の国では7~8割いた。しかし、日本だけは42.2%しかいなかった。つまり、日本の若者は「他人に迷惑がかからなくても自由に生きてはいけない」と考えているのだ。 なぜ日本の若者だけがこんなにも「自分を殺す」という傾向があるのかというのは、国民性などというふわっとした言葉では片付けられない。やはり幼い頃からのハラスメント教育によって、大人たちから「いいか、子どもだからって調子に乗るなよ。みんなと同じが一番だから、自由勝手に生きようなんて大それたことをするな」と繰り返し叩き込まれているからではないのか。 いずれにせよ、日本の子どもたちが学校や家庭で、かなり生きづらい環境にいるということは、自殺、いじめ、不登校の多さからも明らかだ。 父親にボコボコに殴られた子どもを保護した後、「やっぱりパパと一緒が幸せだよね」なんて感じで地獄に送り返して死に至らしめるような児童虐待の事件が多いことからもわかるように、日本では欧米と違って、「子どもの人権」は尊重されていない。日本は「親権」が強いので、まだ未成年者は「親の付属物」のような扱いなのだ。 まずは諸外国のように、子どもを一人の人間として扱って、子どもの幸せを実現する。そういう当たり前のことができずに、「子どもを増やせ」もへったくれもないではないか』、「なぜ日本の若者だけがこんなにも「自分を殺す」という傾向があるのかというのは」、「幼い頃からのハラスメント教育によって、大人たちから「いいか、子どもだからって調子に乗るなよ。みんなと同じが一番だから、自由勝手に生きようなんて大それたことをするな」と繰り返し叩き込まれているからではないのか」、同感である。さらに、日本でベンチャーの起業が少ないのも「ハラスメント教育」の副作用なのかも知れない。

第三に、3月10日付け東洋経済オンラインが掲載した解剖学者の養老 孟司氏、医学博士・立命館大学産業社会学部・大学院人間科学研究科教授の 宮口 幸治氏による対談「子どもが否定されたと感じる「一発アウト」の言葉 「聞いてあげている」つもりでも口を挟んでいる」を紹介しよう。
・『医療少年院で少年の認知機能を向上させる取り組みを続けてきた宮口幸治氏が、解剖学者の養老孟司氏と、子どもの話の聞き方や、子どもを自分と向き合わせるための方法について語り合った。親がつい言ってしまう、NGの言葉についても取り上げる(本稿は、養老孟司『子どもが心配』の一部を再編集したものです)(Qは聞き手の質問)』、興味深そうだ。
・『つねに「子どもの目線」で接する  Q:子どもをよく観察して、問題行動の兆しがあったらそのことにきちんと気づくことはとても大切なのだと思いますが、子どもをどのように観察すればいいか、アドバイスをいただけますか? 宮口:子どもを観察するときはつねに子どもの目線に落として、何に困っているのかを見る、ということに尽きますね。〝子ども目線〟で何に困っているかを考えると、必要な支援が見えてきます。 Q:子どもの話を聞くときも〝子ども目線〟が必要ですか? 宮口:それもありますが、もっと大事なのは「子どもの話をちゃんと聞く」ことです。子どもに限らず誰が相手でも、みなさん、人の話ってあまり聞かないですよね。自分では聞いてあげているつもりでも、しょっちゅう口を挟むものです。特に子ども相手だと、話がなかなか進まなかったりするので、つい焦って、ろくすっぽ聞かずに遮ってしまいがちです。 そのうえ「ああ、そうだったの。でもあなたにも問題があるんじゃないの?」みたいなことを言ったら、一発アウトです。子どもは自分の話を否定されたことで、大人が思っている以上に傷つきます。最悪、非行の原因になることすら、ありうるのです。子どもにしてみれば、親や先生からコメントが欲しいわけではない。ただ話をちゃんと聞いて、自分のことを受け入れてもらいたい、それだけです。 ですから口を挟まないだけではなく、「ちゃんと聞いているよ」というサインは出さなくてはいけません。相槌を打ってあげたり、オウム返しにしてあげたり、「大変だったね。しんどかったね」と声をかけてあげたりするといいかと思います。 養老:心理学者の河合隼雄先生は「臨床心理士が患者さんの話を上手に引き出す秘訣は何ですか?」と問われると、「相槌の打ち方です」と答えていました。 宮口:深い、深いですね。相槌にもいろいろありますから、おざなりに相槌を打てば、「ああ、聞いてないな」とバレますよね。 養老:逆に相槌1つで、「あなたの話を聞いていますよ」「同意していますよ」「あなたを受け入れていますよ」というサインを送ることもできる。 宮口:そうなんです。子どもの目を見て、しっかり相槌を打ちながら、とにかく真摯に話を聞いてあげることが第一です。それで子どもが「お父さん、どう思う?」とか「先生、どうすればいいと思う?」などと相談を投げかけてきたら、そのとき初めて答えてあげればいいと思います。 子どもの話はまどろっこしく感じられるものなので、大人としてはどうしても口を挟みたくなるものです。難易度は高いとは思いますが、そこは子どもが自分の頭で一生懸命考えて話しているのだからと信頼して、つき合ってあげてほしいですね。子どもに「いま、どんな気持ち?」とダイレクトにたずねるのはお勧めしません』、「自分では聞いてあげているつもりでも、しょっちゅう口を挟むものです。特に子ども相手だと、話がなかなか進まなかったりするので、つい焦って、ろくすっぽ聞かずに遮ってしまいがちです。 そのうえ「ああ、そうだったの。でもあなたにも問題があるんじゃないの?」みたいなことを言ったら、一発アウトです。子どもは自分の話を否定されたことで、大人が思っている以上に傷つきます。最悪、非行の原因になることすら、ありうるのです」、「子どもの話はまどろっこしく感じられるものなので、大人としてはどうしても口を挟みたくなるものです。難易度は高いとは思いますが、そこは子どもが自分の頭で一生懸命考えて話しているのだからと信頼して、つき合ってあげてほしいですね」、なるほど。
・『感情のコントロールが下手な子を支援するには  Q:認知機能が弱い子どもは、感情をコントロールするのが難しくなりますね。親や教師はどのように支援すればよいでしょうか。 宮口:感情統制に問題のある子には、タイプが2つあります。1つは、自分の感情がコントロールできない。もう1つは、人の気持ちが理解できない。大人はまず、その子どもがどちらのタイプなのかを判断するところから始めるといいでしょう。 感情をコントロールすることを教えようと思った大人がやりがちなのは、「いま、どんな気持ち?」などと質問し、子ども自身に自分の気持ちを言わせることです。これは、やめたほうがいいですね。 逆の立場で考えると、よくわかります。事あるごとに「あなた、いま、どんな気持ちですか?」と聞かれたら、誰しも答えたくないですよね?失敗したり、間違ったことをしたりしたときなどはなおさら、自分の気持ちを言葉にするのはしんどいものです。そんなしんどいことを子どもにやらせても、ろくなことにはならない。 けれども、ほかの人を見て、「あの人はいま、どんな気持ちだと思う?」と尋ねると、意外と答えられるものです。ですから、まず「人の気持ちを言う」練習から始めるのがいいと思います。そこから「感情」というものに向き合うようになればいい。) この練習は、認知能力のレベルにかかわらず、感情のコントロールの苦手な人全般に応用できます。そもそも、感情のコントロールは大人にとっても容易なことではなく、賢い人のなかにも怒りっぽかったり、すぐに泣き出したり、機嫌が悪くなったりするなど、苦手な人はいくらでもいます』、「事あるごとに「あなた、いま、どんな気持ちですか?」と聞かれたら、誰しも答えたくないですよね?」、「けれども、ほかの人を見て、「あの人はいま、どんな気持ちだと思う?」と尋ねると、意外と答えられるものです。ですから、まず「人の気持ちを言う」練習から始めるのがいいと思います。そこから「感情」というものに向き合うようになればいい」、なるほど。
・『安楽死を幇助していた医者の「苦悩」  養老:私も若いころは感情のコントロールが苦手でした。人の感情がわからないこともありました。それではいけないと、大人になってから勉強したと言いますか、努めて相手の気持ちを考えるようにしたんです。 でもやりすぎたのか、逆に相手のことを過度に考えるようになってしまいました。それはそれで良くない。人間関係で一番重要と言ってもいい、相手とうまく距離を取ることができなかったのです。 私が臨床医になりそびれたのも、そこら辺に問題があったからかもしれません。本当は精神科に進みたかったんですが、患者さんと親しくなりすぎちゃう、なつかれちゃうところがあって、向いていないとあきらめました。 それに患者さんに感情移入しすぎると、死なれたときに大変につらい。苦しい。極端な話、自分が殺したような痛みすら覚えます。結局、解剖医になったので、私の診る人はすでに亡くなった方ばかり。そこからおつき合いが始まるわけで、相手が何も反応しない分、安心して向き合うことができたような気がします。 ところが、私は患者さんが自然死を迎えるだけでもつらいのに、世の中には安楽死の幇助をする医師もいます。私は長年、そうした医師はどんな気持ちで安楽死に向き合っているのか、疑問に思っていました。それでオランダで安楽死に取り組む医師の書いた本を読み、何度か対談もさせていただいたんです。でも10年後、オランダまで訪ねていったら、「もう安楽死の幇助はやっていない」と言っていました。 彼は自分が見送った患者さんのことを丁寧に記録するうちに、だんだんと記憶が重いものになり、耐えきれなくなったのでしょう。あくまでも「幇助」とはいえ、殺したことに対する罪悪感は拭えないですよ。 宮口:私は少年院で、殺人を犯した少年とも接していました。なかには「あいつが悪いんや。だから僕も刺したんや」と事の重大さをわかっていない少年もいましたが、でも軽度の知的障害とか境界域の子どもたちだったら、さすがにかなり反省しますね。) 宮口:さらに、子どもの精神面に関して言えば、少年院には妙にプライドが高い子とか、根拠なく自分に自信を持っている子、逆に極端に自分に自信のない子がよく見られます。これは適切な自己評価がなされていないことの裏返しとも言えます。そこを改善するにはやはり、「自分を知る」ことがポイントなのですが、それはとても難しいことです。 認知機能の弱い人だけではなく、大多数の人は本音を言えば、「素の自分なんか知りたくない。できれば目を背けていたい」のではないでしょうか。それはそうです、誰だって品行方正な人ばかりではないし、長所もあれば短所もある、人に知られたくないことだってあるでしょう。無意識的に自分から目を背け、そのために「自分のことを棚に上げて、人を悪く言う」ようなことも起こります。 でもそこに、「自分を知る」ヒントがあります。人のことをあれこれ評価するうちに、「あれ、自分はどうだろう。こんな人間かな」と気づいてくるのです。人のことを評価する力がつくにつれて、自然と自分自身のことを客観的に評価できるようになるのでしょう』、養老先生が「努めて相手の気持ちを考えるようにしたんです。 でもやりすぎたのか、逆に相手のことを過度に考えるようになってしまいました。それはそれで良くない。人間関係で一番重要と言ってもいい、相手とうまく距離を取ることができなかったのです。 私が臨床医になりそびれたのも、そこら辺に問題があったからかもしれません。本当は精神科に進みたかったんですが、患者さんと親しくなりすぎちゃう、なつかれちゃうところがあって、向いていないとあきらめました」、初めは「精神科に進みたかった」が、「患者さんと親しくなりすぎちゃう、なつかれちゃうところがあって、向いていないとあきらめました」、とは初めて知った。
・『相手の反応から「自分を知る」  また、自分が言ったこと、行ったことについて、相手がどんな反応を示すのかをフィードバックして、自分自身を知る、という方法もあります。たとえば相手から笑顔が返ってきたら「あ、好かれてるのかな」、逆にムッとして不機嫌なままだったら「嫌われたかな」と思う。そこから「自分には相手に好かれるこういうところがある。こういうところは嫌われる」と気づくようになります。 そうした〝フィードバック経験〟を重ねながら、相手との関係のなかで自分はどんな人間なのかがわかるようになります。無人島で一人暮らしをしていたら、自分がどういう人間なのかなんて、わかるわけありません。 ただ、「相手が笑っているのに、怒っていると思い込む」ようなことがあるなら、それはフィードバックが正しくできていないということ。認知機能の弱さが関連しています。自分を正しく知るためには、やはり認知機能が必要なのです。 少年院に来る子どものなかには、仲間のなかで下に見られて〝パシリ(使い走り)〟扱いされたり、いじめられたり、命じられて悪いことをやらされたりしていたために、たとえば「悪いことをすると、よくやったと悪友から褒められる」など、自己評価が歪められているケースが少なからず見られます。そうなってしまうと、自分を正しく知ることが非常に難しくなると言わざるをえません。) 宮口:では、どうすれば自分を正しく知る力を養うことができるのか。効果的なのはグループワークですね。数人のグループで互いを観察していると、だんだん自分がどんな人間であるかがわかってくる。そのプロセスを経験させることがポイントです。繰り返すうちに、自分のなかに「人を見て自分を知る」仕組みが構築されていくはずです』、「どうすれば自分を正しく知る力を養うことができるのか。効果的なのはグループワークですね。数人のグループで互いを観察していると、だんだん自分がどんな人間であるかがわかってくる。そのプロセスを経験させることがポイントです。繰り返すうちに、自分のなかに「人を見て自分を知る」仕組みが構築されていくはず」、なるほど。
・『明治以降「自分」という存在を考えるように  養老:たしかに自己評価というのは、非常に難しい。ロビンソン・クルーソーなら、自分はあってもなくてもいいけれど、社会では他人があるから自分もある。だから自己評価が必要になってくるのでしょう。 もっともこの間会った禅宗のお坊さんは、「仏教には、自分なんかありません」と言っていました。とはいえ「無我」というのは、「自分という実体はないけれど、関係のなかで認識できる」ことを意味しますから、「人を見て自分を知る」のは理にかなっていますね。 それにしても日本では、明治維新以後に急に自分という存在が表面に出てきた感があります。どうしてかな、と考えていて、これは一神教の世界の影響かもしれないと思い至りました。この世の終わりに神さまがすべての人を裁く「最後の審判」というのがあって、それゆえに生まれてから死ぬまでのすべての行動を背負っている「自分」が存在していなければならない。そうでないと、審判が受けられないからです。 生きている間はずっと、「自分とは何者であるか、何を考え、何をなすべきか」を考えざるをえないんですね。本当は、自分のことなんかあんまり考えないほうが、ハッピーでいられるような気もします。でも、宮口先生がおっしゃるように、罪を犯した場合は、つらくても自分と向き合わなければならない。 宮口:そうですね。罪を犯した、悪いことをした「自分」は、こういう悪いところのある人間なんだと向き合ってもらわなくてはいけないと思っています。そうしなければ、更生しようという動機付けが生まれません。 養老:旧来の日本の共同体では、共同体のメンバーがある程度自分をなくして世間のルールに従っていました。非行少年が反省をしづらいのも、日本人は「自分」という存在が中途半端にしか確立されていないからかもしれません』、「日本では、明治維新以後に急に自分という存在が表面に出てきた感があります。どうしてかな、と考えていて、これは一神教の世界の影響かもしれないと思い至りました。この世の終わりに神さまがすべての人を裁く「最後の審判」というのがあって、それゆえに生まれてから死ぬまでのすべての行動を背負っている「自分」が存在していなければならない。そうでないと、審判が受けられないからです」、「罪を犯した、悪いことをした「自分」は、こういう悪いところのある人間なんだと向き合ってもらわなくてはいけないと思っています。そうしなければ、更生しようという動機付けが生まれません」、「旧来の日本の共同体では、共同体のメンバーがある程度自分をなくして世間のルールに従っていました。非行少年が反省をしづらいのも、日本人は「自分」という存在が中途半端にしか確立されていないからかもしれません」、確かにその通りだ。
タグ:子育て (その5)(「親の愛情不足」感じる子に見えがちな3つの特徴 親は子にかける言葉を選び、頼み聞くのがベスト、「日本の子どもが幸せそうじゃない」問題を直視せよ 自殺・不登校・いじめ過去最多、子どもが否定されたと感じる「一発アウト」の言葉 「聞いてあげている」つもりでも口を挟んでいる) 東洋経済オンライン 道山 ケイ氏による「「親の愛情不足」感じる子に見えがちな3つの特徴 親は子にかける言葉を選び、頼み聞くのがベスト」 『ウチの子、最近、思春期みたいなんですが親子でイライラせずに乗り切る方法、教えてください!』の著者、道山ケイ氏が解説 「今までは「飲み物とって」だけだったのが、「リモコンとって」「お菓子もとって」と言う」、僕だったら、「甘ったれるな」と叱り飛ばして、子供との溝を深めていたところだ。 「ほとんどの子は、友達に会うために学校に行っています。友達関係がうまくいかなくなれば、学校も楽しくないと感じます。それがきっかけで、不登校になることもあるのです」、「愛情不足が続くと」「次の2つの二次障害が起こる」「1)人を信じられなくなる」、「(2)自分を信じられなくなる」、「愛情不足」にそんな副作用があるとは初めて知った。 「最近、どんなゲームやってるの?」、「今日、学校はどうだった?」「先週行けなかった買い物、今週だったら行けそうだけどどう?」、会話の口火を切る言葉としてはよさそうだ。 「親を階段から突き落とそうとしたりする状況」、とは極めて深刻な状況だ。「「気力の低下」と「わがままへの発展」が一緒に起こっていて、「高校には行かない」と言っていました。 そこで、子どもの要求をできる限り聞くようにしたのです」、「子どもが嫌がる言葉をやめるor減らす」、「子どもが言われてうれしい言葉をかける」、「子どもの頼みをできる限り聞く」をすれば、愛情不足は解消され、子育ては楽になります。 ただし、法律やルールに違反すること、他人に迷惑をかけること、人を傷つけることなどの要求は聞いてはいけません」、「こういった要求の多くは本心ではなく、親を試すために言っています。そこで、「ゲーミングパソコンが欲しいんだね。ただ、50万円は買えないよ」という感じで伝えましょう。 このように、子どもに的確に愛情を伝えることが、子育ての悩みを軽減させることの一助となります」、現実には上手く行くことばかりでなく、失敗例もある筈だ。 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生氏による「「日本の子どもが幸せそうじゃない」問題を直視せよ、自殺・不登校・いじめ過去最多」 「昨年、自殺した小中高校の児童・生徒が512人で過去最多になった」、「ユニセフが20年に発表した「レポートカード16」では、日本の子どもの精神的幸福度は38カ国中ワースト2位だった。また、日本では15~39歳の各年代の死因の第1位が「自殺」である。人身売買や戦争のない先進国では、子どもが亡くなるのは事故や病気が多いが、日本では自ら死を選ぶ子どもが多い。しかし、G7でこういう異常な国は日本だけだ」、 「令和3年度で全国の小中高校などを対象にした「いじめ認知件数」は61万5351件。前年度に比べて9万件以上増えていて、これまた過去最多」、「病気などを除いて30日以上登校しなかった小中学生も21年度に24万人を超えて、こちらも過去最多だ」、「このように子どもがいじめられたり、不登校になったり、自殺をしてしまったり…というようなことが日常的に起きている国で、成長した若い男女が結婚をした時、「子どもが欲しい」という発想になるだろうか。 なるわけがない。 どんなに苦労をして育てても不幸になることが見えている。そんなわかりきった「無理ゲー」に挑みたくないという若者はかなりいるはずだ」、その通りだ。 「少子高齢化という問題は、かれこれ半世紀以上前からわかっていて警鐘が鳴らされてきた。政府も以前から少子化対策の予算を組んで、「子ども手当」のようなバラまきも行ってきた。しかし、まったく成果が出ていないのは、この問題の元凶が「カネ」だけではないからだ」、その通りだ。 「物心ついた頃から家庭や学校で「ルールを守れ」ということを教え込み、「みんなのことを考えろ」と同調圧力を叩き込んでいる。そして、もし自分勝手な行動をしたり、集団の秩序を乱したりすると「痛み」でわからせるという大人もまだ存在している」、「そんな日本のハラスメント教育の象徴が、「制服」だ。 貧しい家庭でもありがたいとか、もっともらしい理由をつけているが、本質的なところでは、私服よりも没個性の制服の方が、親や教師という大人側が「管理がラク」というだけだ」、「授業以外でも徹底的に「個性」を殺して、集団への貢献を誓わせる。わかりやすいのが、運動会の集団体操や人間ピラミッドだ。あれに感動している保護者は、マスゲームで熱狂している北朝鮮の人民と自分たちが何も変わらないことに気づいていない。 世界的にも珍しい「ブラック部活」も同じだ。海外では、スポーツなどの課外活動は自分の意志でやりたい子どもだけが参加して、1年の中で活動する期間が決められている。日本のように、朝から晩まで週6日部活で、子どもが疲労でフラフラ…なんてバカな話は少ない」、「しかも、ただスポーツをやるだけではなく、髪型がどうしたとか、声が小さいとか、礼儀作法やら精神論も叩き込まれる。これはあまり言われないが、軍隊的な集団教育だ」、その通りだ。 「東大教授の宮坂哲文氏を中心として結成されたのが、「集団主義教育」の普及を目的とした「全国生活指導研究協議会」だ。これがあれよあれよと勢力を伸ばし、1963年には会員が2000人を突破」、「GHQが軍隊っぽいとして禁止していた「気をつけ」と「休め」について、文部省によって設けられた集団行動指導の手引き指導委員会が「復活」を検討。その翌年には、「集団行動の統一スタイル」・・・として全国の小学校に普及する」、「集団主義教育」の出発点が理解できた。 「世界の大学は、高校の成績や論文などで総合評価式の審査を行っているが、日本はいまだに一斉学力テストなど、偏差値教育に固執している。そのため、子どもは幼い頃から、遊びの時間を削って、偏差値アップのための詰め込み教育を強いられる。成長するにつれ自由と個性をつぶされていくというのは、子どもにとってこれ以上の「ハラスメント」はない」、「偏差値教育」も確かにハラスメント」だ。 「なぜ日本の若者だけがこんなにも「自分を殺す」という傾向があるのかというのは」、「幼い頃からのハラスメント教育によって、大人たちから「いいか、子どもだからって調子に乗るなよ。みんなと同じが一番だから、自由勝手に生きようなんて大それたことをするな」と繰り返し叩き込まれているからではないのか」、同感である。さらに、日本でベンチャーの起業が少ないのも「ハラスメント教育」の副作用なのかも知れない。 養老 孟司氏 宮口 幸治氏による対談「子どもが否定されたと感じる「一発アウト」の言葉 「聞いてあげている」つもりでも口を挟んでいる」 養老孟司『子どもが心配』 「自分では聞いてあげているつもりでも、しょっちゅう口を挟むものです。特に子ども相手だと、話がなかなか進まなかったりするので、つい焦って、ろくすっぽ聞かずに遮ってしまいがちです。 そのうえ「ああ、そうだったの。でもあなたにも問題があるんじゃないの?」みたいなことを言ったら、一発アウトです。 子どもは自分の話を否定されたことで、大人が思っている以上に傷つきます。最悪、非行の原因になることすら、ありうるのです」、「子どもの話はまどろっこしく感じられるものなので、大人としてはどうしても口を挟みたくなるものです。難易度は高いとは思いますが、そこは子どもが自分の頭で一生懸命考えて話しているのだからと信頼して、つき合ってあげてほしいですね」、なるほど。 「事あるごとに「あなた、いま、どんな気持ちですか?」と聞かれたら、誰しも答えたくないですよね?」、「けれども、ほかの人を見て、「あの人はいま、どんな気持ちだと思う?」と尋ねると、意外と答えられるものです。ですから、まず「人の気持ちを言う」練習から始めるのがいいと思います。そこから「感情」というものに向き合うようになればいい」、なるほど。 養老先生が「努めて相手の気持ちを考えるようにしたんです。 でもやりすぎたのか、逆に相手のことを過度に考えるようになってしまいました。それはそれで良くない。人間関係で一番重要と言ってもいい、相手とうまく距離を取ることができなかったのです。 私が臨床医になりそびれたのも、そこら辺に問題があったからかもしれません。本当は精神科に進みたかったんですが、患者さんと親しくなりすぎちゃう、なつかれちゃうところがあって、向いていないとあきらめました」、 初めは「精神科に進みたかった」が、「患者さんと親しくなりすぎちゃう、なつかれちゃうところがあって、向いていないとあきらめました」、とは初めて知った。 「どうすれば自分を正しく知る力を養うことができるのか。効果的なのはグループワークですね。数人のグループで互いを観察していると、だんだん自分がどんな人間であるかがわかってくる。そのプロセスを経験させることがポイントです。繰り返すうちに、自分のなかに「人を見て自分を知る」仕組みが構築されていくはず」、なるほど。 「日本では、明治維新以後に急に自分という存在が表面に出てきた感があります。どうしてかな、と考えていて、これは一神教の世界の影響かもしれないと思い至りました。この世の終わりに神さまがすべての人を裁く「最後の審判」というのがあって、それゆえに生まれてから死ぬまでのすべての行動を背負っている「自分」が存在していなければならない。そうでないと、審判が受けられないからです」、 「罪を犯した、悪いことをした「自分」は、こういう悪いところのある人間なんだと向き合ってもらわなくてはいけないと思っています。そうしなければ、更生しようという動機付けが生まれません」、「旧来の日本の共同体では、共同体のメンバーがある程度自分をなくして世間のルールに従っていました。非行少年が反省をしづらいのも、日本人は「自分」という存在が中途半端にしか確立されていないからかもしれません」、確かにその通りだ。
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健康(その22)(睡眠薬がいらなくなった人も…「快眠できるストレッチ」は誰でも簡単!?、「お酒は少量であれば健康に良い」は間違い…最新研究で分かった"お酒と健康"のキビシイ関係 残念ながら飲酒に"適量"は存在しない、好物を我慢すると病気になる…医師・和田秀樹が「血圧・血糖値・コレステロール値を気にするな」というワケ 医師・栄養士の言葉を鵜呑みにしてはならない) [生活]

健康については、昨年2月20日に取り上げた。今日は、(その22)(睡眠薬がいらなくなった人も…「快眠できるストレッチ」は誰でも簡単!?、「お酒は少量であれば健康に良い」は間違い…最新研究で分かった"お酒と健康"のキビシイ関係 残念ながら飲酒に"適量"は存在しない、好物を我慢すると病気になる…医師・和田秀樹が「血圧・血糖値・コレステロール値を気にするな」というワケ 医師・栄養士の言葉を鵜呑みにしてはならない)である。

先ずは、本年2月18日付けダイヤモンド・オンラインがAERAdot.を転載した「睡眠薬がいらなくなった人も…「快眠できるストレッチ」は誰でも簡単!?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/317956
・『脳は長時間の活動が苦手で、16時間を超えると飲酒運転と同じくらい能力が低下するとされる。認知症などのリスクが高まるとも。脳を休ませる快眠には寝る前の簡単なストレッチが効果的だ。  「ストレッチと体操をごっちゃにしている人が多いです」と話すのは、中部大学・生命健康科学研究所の宮崎総一郎特任教授。ストレッチは筋肉をゆっくり伸ばすが、体操はしっかり動かす。眠れない人が寝る前に体操をすると、逆に眠れなくなる。朝のラジオ体操のように、体操は目覚めのためにするものという。 逆に、ストレッチは気持ちが沈静化するため眠くなる。宮崎さんは講演では聴衆が眠くならないように、ストレッチの実践をしないようにしているという』、「ストレッチは筋肉をゆっくり伸ばすが、体操はしっかり動かす。眠れない人が寝る前に体操をすると、逆に眠れなくなる。朝のラジオ体操のように、体操は目覚めのためにするものという。 逆に、ストレッチは気持ちが沈静化するため眠くなる」、私も「ストレッチと体操をごっちゃにしてい」たので、これでスッキリ整理できた。 
・『宮崎さんによると、快眠のため、寝る前の簡単なストレッチとして、数パターンある。ほとんどは1から20までゆっくり数えながら実践する。速く数えてやっても効果がない。できれば、「ひとーつ、ふたーつ」などと、息を長く吐きながら声に出してほしいという。 宮崎さんが教える快眠ストレッチを紹介しよう。 座ったまま、右腕を少し前に出して下げ、軽くひじを曲げ、右肩の外側を伸ばす(別掲1)。右肩の外側が伸びているのを感じながら20までゆっくり数える。次に、左側でも同様にする。 胸の前側を伸ばすストレッチは、両腕を後ろ側に回す(別掲2)。胸の前側が伸びているのを感じながら、ゆっくり20まで数える。 次は、体の前で大木を抱えるように両腕を出し、背中を伸ばす(別掲3)。背中が伸びているのを感じながら、ゆっくり20まで数える。 首を少し真横の左側に傾け、右手を頭の上にのせる(別掲4)。ゆっくり20まで数える。逆向きでも同様にする。 今度は、首を少し左前に傾け、右手を頭の上にのせる(別掲5)。首筋の後ろ右側が伸びているのを感じながら、ゆっくり20まで数える。逆向きでも同様に。宮崎さんは「しっかり伸ばす」のを意識して実践してほしいという。) 最後は、椅子に座った状態で、両方の手のひらを体に当てたまま、ゆっくり動かす(別掲6)。まず、両手をそれぞれの太ももの上に置き、手を体に当てたまま、1から3までゆっくり数えながら、手を胸まで上げる。手は体に当てたまま、同じく1から3までゆっくり数えながら、手を太ももの上まで下ろしていく。宮崎さんは「呼吸が大事」と強調する』、「1から20までゆっくり数えながら実践する。速く数えてやっても効果がない。できれば、「ひとーつ、ふたーつ」などと、息を長く吐きながら声に出してほしい」、「呼吸が大事」、なるほど。
・『うまく眠れない、すっきり眠れないのは「寝返りを上手に打てないことが多い」と言うのは、柔道整復師の田中宏・睡眠整体協会会長。 田中さんは「いかに正しく寝返りを打てるかを一つの目標にするといい」と話し、三つのストレッチを紹介する。 あおむけに寝るのが基本で、枕は通常、後頭部をのせるが、首の後ろに置くのがいいという。 その際、後頭部が布団につかない人は、ストレートネックと呼ばれ、立ったときに前かがみの姿勢になっていることが多い。そういう人は、首の後ろに枕を当てて寝た状態で、両ひざを曲げて立て、お尻を浮かせると、後頭部が布団につく。ゆっくりとお尻を下ろしていき、足を伸ばす。 腰がそり返っている人は、寝たときに腰と布団との間に、かなりのすき間ができるという。そり腰を直して布団を密着させるため、片足のひざを曲げて立て、もう片方のひざも曲げて立てると、腰と布団がぴったりとつく。その後、片足ずつ、足を伸ばしていく。 最後は、寝返りを上手に打つため、寝た状態で両足のひざを折り曲げ、左右に倒す。左右に5回ずつくらいがいい。次に、上半身も左右に倒す。これにより、「寝返りが上手に打てるようになる」と田中さんは話す。 寝るのは、和室の畳の上に「せんべい布団」を1枚敷いたくらいがいいそうだ。ふかふかのベッドもいいが、体のゆがみを矯正しようと長期的に考えるなら、寝具は硬めがいいという。 諏訪中央病院の鎌田實名誉院長は、日常生活にさまざまなストレッチを取り入れている。眠れなかったときに行うストレッチもその一つ。) 鎌田さんはチェルノブイリやイラク、福島原発事故などの現地で医療支援をしてきた。時差がある海外は「帰ってきて、てんてこまいだった」と話し、眠るため、睡眠薬を使うようになったという。1種類で間に合わず、2種類になり、「まずいな」と思うようになった。 鎌田さんは支援活動の募金集めや、内科外来での診療、講演活動と多忙を極め、「交感神経が優位だった」と感じていた。 そこで鎌田さんは、食事や日光浴、速遅歩きといった運動など、生活習慣全般の改善に取り組んだ。その際に、いくつかのストレッチが効いた。「副交感神経を刺激した」とみている。 鎌田さんが快眠のために勧めるストレッチの一つが片鼻呼吸。一酸化窒素を体中に送り込み、血管を拡張させて自律神経のバランスを整えるという。右手の人さし指と中指で、左側の小鼻を押さえて鼻穴をふさぎ、右側の鼻穴だけで3秒間、息を吸い込む。次に、そのまま、右手の親指で右側の小鼻を押さえて鼻穴を両方ふさぎ、呼吸を3秒間、止める。 さらに、人さし指と中指だけを小鼻から離し、親指で小鼻の右側を押さえたまま、左の鼻穴だけで7秒間、息を吐き出す。吐き終わると、そのまま3秒かけて左側の鼻穴だけで息を吸い、また両鼻穴をふさいで3秒間、息を止める。今度は、右側の鼻穴だけで息を7秒間、吐き出す。 もう一つのお勧めは、股関節のストレッチ。寝る前に全身の疲れをとることが大事という。床にあぐらをかくように座り、両足の裏側を合わせる。両足を開いて、ひざを曲げ、足裏が合わさった状態で、ゆっくり両足を股へ近づけ、上体を倒して、できる範囲で前屈する。その姿勢を30秒間、保つようにする。 こうした効果もあり、鎌田さんは「睡眠薬がまったくいらなくなった」と話す。74歳のいま、医師の仕事や支援活動のほか、13本の連載や年間に何冊もの本の執筆、全国で講演活動もこなす。 多くの専門家が勧める快眠ストレッチ。自分に合ったものを見つけてみてはいかが。(本誌・浅井秀樹)』、「鎌田さんが快眠のために勧めるストレッチの一つが片鼻呼吸。一酸化窒素を体中に送り込み、血管を拡張させて自律神経のバランスを整えるという」、「もう一つのお勧めは、股関節のストレッチ。寝る前に全身の疲れをとることが大事という。床にあぐらをかくように座り、両足の裏側を合わせる。両足を開いて、ひざを曲げ、足裏が合わさった状態で、ゆっくり両足を股へ近づけ、上体を倒して、できる範囲で前屈する。その姿勢を30秒間、保つようにする。 こうした効果もあり、鎌田さんは「睡眠薬がまったくいらなくなった」と話す」、私も「睡眠薬」は使ってないが、「ストレッチ」が「快眠」に効くようなので、試してみたい。
・『宮崎総一郎(中部大学特任教授)の快眠ストレッチ  (1)右腕を前に出して下げ、ひじを軽く曲げ、右肩の外側が伸びているのを感じながら、20まで、ゆっくりと数える。左腕は力を抜いて垂らす。次に、左腕でも同様にする。 (2)両腕を後ろに回し、胸の前を伸ばして、20までゆっくり数える。 (3)両腕で大木を抱えるようにして、背筋を伸ばし、20までゆっくり数える。 (4)首を真横の左側に少し傾け、右手を頭の上にのせ、20までゆっくり数える。次に、右側でも同様にする。 (5)これは(4)の動きとも似ているが、首を左斜め前に少し傾け、右手を頭の上にのせ、20までゆっくり数える。このとき、首筋の右裏をしっかりと伸ばす。次に、逆方向でも同様にする。 (6)椅子に座った状態で、両方の手のひらを太ももの上にのせる。手のひらは体に当てたまま、ゆっくり1から3まで数えながら、胸まで上げていく。今度は胸に当てた手のひらを、体に当てたまま、ゆっくりと下げて、1から3まで数えながら、太ももの上まで戻す。一連の動きでは、首に気持ちを集中する』、この「快眠ストレッチ」は、図示されているので、あとでよく見てみたい。

次に、2月22日付けPRESIDENT Onlineが掲載した科学ジャーナリストの生田 哲氏による「「お酒は少量であれば健康に良い」は間違い…最新研究で分かった"お酒と健康"のキビシイ関係 残念ながら飲酒に"適量"は存在しない」を紹介しよう。ただし、脚注は省略した。
・『お酒と健康にはどんな関係があるのか。科学ジャーナリストの生田哲さんは「飲酒は健康のメリットになる作用もあるが、比較するとデメリットのほうが大きい。最新の研究では健康になる適量は存在しないとされている」という――。(第1回)※本稿は、生田哲『「健康神話」を科学的に検証する』(草思社)の一部を再編集したものです』、「「飲酒は健康のメリットになる作用もあるが、比較するとデメリットのほうが大きい。最新の研究では健康になる適量は存在しないとされている」、いささかガッカリする結論のようだ。
・『お酒の“ちゃんぽん飲み”は二日酔いと関係ない  人類と酒の付き合いは長い。古代からである。みなさんもアルコールを飲む機会があるに違いない。アルコールについて、さまざまな説が流れている。たとえば、アルコールは健康にいいとか、悪いとか、ビールをワインの先に飲むと二日酔いしないとか、二日酔いには迎え酒が効果的とか。そこで、アルコールに関するホントとウソを検証していくことにする。 【神話】 ワインとビールをちゃんぽんで飲むと悪酔いや二日酔いする 日本では、ワインとビールをちゃんぽんで飲むと悪酔いや二日酔いする、といわれる。「ちゃんぽん」とは、ビール、ワイン、日本酒、ウイスキー、焼酎など、さまざまな種類のアルコールを飲むことを指す。悪酔いも二日酔いも、飲酒によって頭痛、吐き気、めまいなど、気分が悪くなるのは同じである。 細かいことをいえば、二日酔いは酒を飲んだ翌日の状態を指し、悪酔いは酒を飲んだ当日も含まれる。同じちゃんぽんでも、欧米ではより詳細に、ちゃんぽんにする酒類の順番まで気にしていて、ワインの前にビールを飲むと二日酔いしない、との言い伝えがある。 【科学的検証】 ウソである。 アルコール類を飲む順番は二日酔いに影響しないだけでなく、二日酔いの程度にも影響しないという明確な回答が、2019年、ドイツとイギリスの共同チームによって報告された(*1)』、「アルコール類を飲む順番は二日酔いに影響しないだけでなく、二日酔いの程度にも影響しない」、私はこれまで「アルコール類」を弱いものから強いものへと変えていたが、無駄だったようだ。
・『二日酔いの原因は完全には解明されていない  友人たちが久しぶりに集まってパーティが開かれた。最初にビール、次にワイン、そして焼酎またはウイスキーのオンザロック。杯を重ねるうちに、つい飲み過ぎてしまう。私たちの多くが経験することである。問題は、楽しかった夜の翌日である。頭がガンガンし、気分が悪く、汗が出る。寝床でもう二度と酒を飲まないと誓う。この嫌な二日酔いを防ぐ方法があれば、どんなに素晴らしいことか。 日本では、ワインとビールをちゃんぽんで飲むと悪酔いや二日酔いするといわれる。欧米ではより詳細に、「ワインよりビールを先に飲めば、二日酔いしない」などといわれてきた。欧米人もまた、二日酔いに悩まされてきたことがわかる。しかも歴史をたどれば、欧米の格言は中世からいわれているので、きっと真理が含まれている、と思う人は多い。だが、これが間違いであることがドイツのグループの研究によって明らかとなった。 古代から二日酔いはあったにちがいないが、今でもナゾが残っている。ナゾというのは、二日酔いはアルコール飲料の飲み過ぎによるのだが、その症状があらわれるのは、血中アルコール濃度がゼロになってからである。 二日酔いの主な症状は、頭痛、吐き気、疲労感である。その原因は、おそらく、脱水、代謝、免疫系の応答やホルモン系の混乱によると考えられる。二日酔いによって私たちの生産性は著しく低下する。週末ならベッドやソファで横になる。気分が悪く、外出することもなく、ネットフリックスやYouTubeを見て過ごす。平日ならたとえ出勤したとしても能率が落ちること、この上ない』、「古代から二日酔いはあったにちがいないが、今でもナゾが残っている。ナゾというのは、二日酔いはアルコール飲料の飲み過ぎによるのだが、その症状があらわれるのは、血中アルコール濃度がゼロになってからである。 二日酔いの主な症状は、頭痛、吐き気、疲労感である。その原因は、おそらく、脱水、代謝、免疫系の応答やホルモン系の混乱によると考えられる。二日酔いによって私たちの生産性は著しく低下する」、「その症状があらわれるのは、血中アルコール濃度がゼロになってから」、飲み続けていれば、「二日酔い」にはならないことになる筈だが、本当だろうか。
・『「ワインの前にビールを飲むと二日酔いしない」はウソ  当然、二日酔いを軽減する、あるいは防ぐ方法を模索する。だが、二日酔いへの有効な対策は存在しないので、どうしても言い伝えに頼ることになる。これが賢い選択となることもあるが、そうでない場合もある。ビールを先にワインを後に飲むと二日酔いが軽減される、という言い伝えの真偽を検証するために、ドイツで真面目に実験が行われた。被験者は19~40歳の健康な大人、90人。そして被験者をランダムに3グループに分けた(*1)。 グループ1は、まず、ビールを飲んだ。どこまで飲むかというと、呼気のアルコール濃度が0.05%に達するまで。次に、ワインを濃度が0.11%になるまで飲んだ。これだけ飲んで運転したら、アルコール規制の緩いアメリカでも酒酔い運転で捕まる。グループ2は、まず、ワインを濃度が0.05%に達するまで飲み、次に、ビールを濃度が0.11%になるまで飲んだ。そしてグループ3は、ワインまたはビールを濃度が0.11%に達するまで飲んだ。 1週間後、同じ実験をくり返した。ただし今回は、グループ1とグループ2のメンバーを交代した。だから、ワインやビールを飲む順番が最初のものと入れ替わった。グループ3ではワインを飲んだ人はビールを、ビールを飲んだ人はワインを提供された。どのグループも、性別、体格、飲酒習慣、二日酔いの頻度は似ている。 そして、被験者に症状(ノドの渇き、疲労感、頭痛、めまい、吐き気、胃痛、動悸どうき、食欲不振)を申告してもらい、「急性二日酔いスケール」という基準にしたがって二日酔いを評価した』、かなり大規模で本格的な「実験」だ。
・『二日酔いの症状と“ちゃんぽん飲み”は無関係  言い伝えによると、「ワインより、まず、ビールを飲むと、二日酔いになりにくい」。この格言の一般的な説明は、最初にワインを飲み、次にビールを飲むと、ビールに含まれる二酸化炭素によってワインのアルコールが迅速に吸収され、酔いと二日酔いが深刻化する、と。 だが、この研究で明らかになったのは、そういうことではない。ワインだけ飲むとか、ビールだけ飲むとか、あるいはビールとワインを飲む順番を変えるとかは、二日酔いの頻度や症状とはまったく関係がなかった。 驚くことはない。重い二日酔いであることを示す最もわかりやすい指標は、飲んだ翌朝にどう感じるか、または、飲んだ後におう吐したかである。アルコールはビール、ワイン、日本酒、ウイスキー、焼酎など、どんな形式で摂取しようと、効率よく、迅速に体内に吸収されるから、ちゃんぽんで飲んだとか、ワインやビールだけ飲んだとかいうことで、二日酔いになりやすさに違いはない。 私がこの論文を読んで思ったことは、おそらく読者も同じように感じておられるだろうが、この研究は優先順位の上位にランクされるものなのか、という疑問である。おそらく、「遊び心」での研究だろう。それより大事なことは、アルコール飲料を飲む際に、どれを飲むかという選択や順番に関係なく、飲んだら運転しないこと、飲酒をストップするタイミングを誤らないことである』、「アルコールはビール、ワイン、日本酒、ウイスキー、焼酎など、どんな形式で摂取しようと、効率よく、迅速に体内に吸収されるから、ちゃんぽんで飲んだとか、ワインやビールだけ飲んだとかいうことで、二日酔いになりやすさに違いはない」、なるほど。
・『「酒は百薬の長」は科学的には間違っている  【神話】少しの飲酒はまったく飲まないよりも健康にいい 「酒は百薬の長」といわれるように、昔から適度の飲酒が健康によいという考えがある。たとえば、カゼを引いたときに酒を温め、これに鶏卵を入れて飲む「卵酒」。「卵酒」の起源は不明だが、民間療法として江戸時代にはすでに利用されてきたようである。では、酒は健康にいいのか? 【科学的検証】 ウソである。 今でも、酒が健康によいという主張がテレビや新聞といった古いメディアだけでなく、インターネットといった新しいメディアでも喧伝されている。 巷では、赤ワインがスーパーフードと称する食品リストに掲載されているのを目にする。グレープの皮に含まれるレスベラトロールという物質が心臓の健康にいいと主張する。確かに、1杯の赤ワインが心臓の健康に効果的であるという考えを支持する多くの論文が発表されてきた。 それなら、心臓を守るために赤ワインを飲み始めようか? やめたほうがいい。もし、今、あなたが飲酒していないなら、よりよい健康を求めてわざわざ飲み始める必要はまったくない』、「卵酒」は私が小学生時代に同居していた祖母が、風邪を引いた時に作ってくれたのを思い出す。「もし、今、あなたが飲酒していないなら、よりよい健康を求めてわざわざ飲み始める必要はまったくない」、なるほど。
・『アルコールは飲めば飲むほど体に悪い  これまでは、飲酒に健康効果はなくとも、少しの飲酒なら害にはならないと思われてきた。たとえば、アメリカでは「よりよい健康を求めて酒を飲むべきではないが、適度な飲酒(女性は1日1杯、男性は1日2杯まで)なら害にならない、あるいは有益かもしれない」と主張されてきた。 これは、アメリカ人のためのダイエットのガイドラインに明記され、「アメリカ心臓協会」や「アメリカがん学会」といったアメリカを代表する権威ある学会も支持を表明してきたものである。これらの主張は正しいのか? 2018年、これらの主張を真っ向から否定する研究結果が『ランセット』という一流医学雑誌に発表された。 結論は、あまりにも明らかで、健康によいアルコール摂取量というものは存在しない、すなわち、アルコールは摂取量にかかわらず有害である、というもの(図表1)。 【図表1】飲酒による健康リスク飲酒による健康リスク(出所=『「健康神話」を科学的に検証する』p.95) 飲酒に健康効果があるとの主張を完全に否定し、飲酒は有害であると主張するものである。しかも、この論文の信頼性は極めて高い。その理由を次に述べる。この論文は、ワシントン大学医学部のエマニュエラ・ガキドウ教授のグループが中心になり、アルコールの世界への影響を調査した結果をまとめたものである』、「結論は、あまりにも明らかで、健康によいアルコール摂取量というものは存在しない、すなわち、アルコールは摂取量にかかわらず有害である」、つまらない結論だ。 
・『飲酒にもメリットはあるがデメリットのほうが大きい  この調査では、1990~2016年に発表された、195カ国からのデータが掲載された約600の治験論文を集めて分析を行った。このように複数の治験データを集めて分析することを「メタ分析」と呼んでいる。メタ分析の信頼性は高いため、発表された論文の信頼性も高く、評価の高い学術雑誌に掲載されることが多い。 この論文が掲載された『ランセット』は超一流医学雑誌である。この論文のポイントは、こうだ。適度な飲酒は心臓をごくわずかに保護するかもしれないが、この利益を相殺する、がんやその他の病気を引き起こすリスクを格段に高めることを発見したので、アルコールは摂取量に関係なく有害であること、加えて、政府機関に対しアルコール飲料の消費に関するガイドラインを改訂するように提案している。 この結論は、飲酒を適度に楽しんでいると考える人々(中程度の飲酒者)にとって驚きであり、彼らを落胆させるものである。 先に述べた通り、公衆衛生の専門家たちは長年にわたり、「適度な飲酒は害にならない、あるいは有益かもしれない」と主張してきたからである。この論文は、2016年に全世界の男性39%、女性25%が日常的に飲酒していたこと、アルコールが280万人に死をもたらしたこと、アルコールは早死の第7番目の原因であり、全男性の死の6.8%、全女性の死の2.2%はアルコールによるものであることを明らかにした』、「適度な飲酒は心臓をごくわずかに保護するかもしれないが、この利益を相殺する、がんやその他の病気を引き起こすリスクを格段に高めることを発見したので、アルコールは摂取量に関係なく有害である」、「2016年に全世界の男性39%、女性25%が日常的に飲酒していたこと、アルコールが280万人に死をもたらしたこと、アルコールは早死の第7番目の原因であり、全男性の死の6.8%、全女性の死の2.2%はアルコールによるものであることを明らかにした」、やはり飲酒に都合がいい考えは出てこないようだ。
・『1日2杯で7%、5杯で37%も健康リスクが高まる  加えて、飲酒量が増えるにしたがい、健康リスクは直線的に増加することから、飲酒量と健康リスクには因果関係が成り立つ。すなわち、飲酒が健康を損ねる原因となっている。では、飲酒はどれほど健康を損ねるのか? ノンドリンカー(まったく飲まない人)にくらべ、1日1杯飲む人はがんや糖尿病などアルコールに関連する23もの健康問題のリスクが0.5%高くなる。わずか0.5%。このレベルの飲酒量であればリスクの上昇は非常に小さい。この研究によれば、10万人当たり増加する死者はわずか4人である。たいしたことはない。 しかし、1日2杯飲む人はノンドリンカーにくらべ、健康リスクが7%も上昇する。そして1日5杯飲むと健康リスクは37%も上昇する。こうなるとたいしたことがある。これまでの研究で明らかになったことは、次の通りである。 (a)アルコールは健康にはマイナスである。だから、飲まないのがベスト。 (b)あなたが、今、飲酒していないなら、よりよい健康を求めて飲み始める必要はない。 (c)あなたがすでに飲酒しているなら、適量を超えて飲むべきではない。 健康を考えるなら、アルコールを飲まないのがベストであるが、付き合いもあることだし、まったく飲まないのは辛いというのであれば、適量を飲むようにしたい。適量というのは1日1杯である』、「まったく飲まないのは辛いというのであれば、適量を飲むようにしたい。適量というのは1日1杯である」、僅か「1日1杯」とは・・・。

第三に、2月26日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「好物を我慢すると病気になる…医師・和田秀樹が「血圧・血糖値・コレステロール値を気にするな」というワケ 医師・栄養士の言葉を鵜呑みにしてはならない」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/66493
・『健康のためには好物も我慢すべきなのだろうか。精神科医の和田秀樹さんは「動脈硬化を恐れるあまり、好きなものを満足に食べない暮らしを続けていれば、男性ホルモンは減少し、免疫機能も低下する。それより好物を思う存分食べ、男性ホルモンの量を増やし、NK細胞活性を上げたほうが、よっぽど幸せだ」という――。(第3回) ※本稿は、和田秀樹『いつまでもハツラツ脳の人』(日刊現代)の一部を再編集したものです』、「好物を思う存分食べ、男性ホルモンの量を増やし、NK細胞活性を上げたほうが、よっぽど幸せだ」、嬉しくなるようなアドバイスをしてくれる「和田秀樹さん」は、このブログの常連だ。
・『健康のために「精のつく食べもの」を我慢する人  肉以外で男性ホルモンの補給に有効なのが、レバー、うなぎ、牡蠣、にんにく、納豆、オクラなどです。 どれも「精のつく食べもの」で、ネバネバ系も少なくありません。しかも美味で、愛好家の多い食品です。 ところが、これらの食品を我慢する人が少なくありません。 「医者に止められてコレステロールの含有量が高いのは避けている」 と、不本意な気持ちを抱えたまま、“ご馳走”を控えるケースが目立つのです。 同じように、血圧が高い人は、きまったように医師から「塩分控えめ」を忠告され、真面目な人は頑張って実行してしまいます。 血圧を測定するたびに、数値が下がっていることを医師に誉められると、それが励みになり、ますます塩分を摂取しなくなる傾向もあります。 私の知人のお父さんは頑固な性格も手伝って、頑なに医師のアドバイスを守っていました。塩分の量に過敏と思えるほど反応し、奥さんが時間をかけて作った煮魚のたれを洗って食べていたそうです。 奥さんの悲しげな表情が目に浮かびますが、それはさておき、そのような暮らしを続けていた結果、血圧はずっと抑えられていたそうです。 ですが、あるとき気分が悪くなり、ひどい頭痛で入院してしまいました。 検査をしてみても頭痛の原因は明らかにならなかったのですが、ひとつ判明したことがありました。 それは「低ナトリウム血症」。 医師の話では塩分の摂取不足が頭痛の原因であったかもしれない、ということでした。 お父さんは、病院の味噌汁が「おいしい」と喜んでいたそうですが、しっかりと塩味のある料理は久しぶりだったのでしょう』、「医師から「塩分控えめ」を忠告」され、それを忠実に実行した結果、「低ナトリウム血症」になってしまったとは笑うに笑えない話だ。
・『好きなものを我慢するのは「百害あって一理なし」  このエピソードを笑ってばかりはいられません。 たしかに「低ナトリウム血症」になってしまうほど塩分を摂らないのは極端なケースですが、これと似たような日常が病院の診察室では毎日のように見られます。 「コレステロールが高いからタマゴや肉は少し減らしましょう」「血糖値が高いですね。毎日スイーツ? 甘いものは1週間に1回、週末の楽しみにしましょう」 そんな医師や栄養士の言葉を鵜呑みにして、好きなもの、美味しいものを我慢するのは、ややオーバーですが「百害あって一理なし」。 お腹周りが気になっている人でも、ほとんどの場合は深刻な肥満ではありません。 にもかかわらず、好きな甘味を我慢していたらストレスをため込むだけです。 焼肉やうなぎが大好物なのに、血圧やコレステロールが高いからといって、「年に2、3回しか食べないようにしている。本当は毎月、食べたいのですが」と、浮かない顔をしている人は少なくないのです。 それで血圧や血糖値やコレステロールは正常になったとして、それが楽しい暮らしになるのでしょうか? 私なら絶対、断ります。 そもそも、医師が血圧、血糖値、コレステロールなどに注意を払う大半の理由は脳梗塞や心筋梗塞といった血管障害を予防するためです。 その最大の原因は動脈硬化ですが、血管は年をとればみんな硬くなります。にもかかわらず、「食の楽しみ」を奪ってまで食事指導が必要でしょうか?』、私も「コレステロール」が高いとして、食事療法を迫られているが、和田氏のアヂバイスに従って、もう止めたい。
・『好きな物を我慢すると免疫力は低下する  作家・幸田露伴は代表作『五重塔』で知られ、夏目漱石、森鴎外と並び称される明治時代の文豪ですが、食通としても有名でした。 味の好みにうるさく、舌に会わないものを供されると、「おれは、はきだめではない」と激怒したエピソードも伝わっています。 なんとも剣呑けんのんな老人のイメージですが、その露伴が次のように話したと伝わっています。 「食べ物というのは、うまいと思って食べれば栄養になる。まずいと思って食べれば決して滋養にはならない」 医者のアドバイスもときには無視して好物を腹いっぱい食べれば、栄養をもらった脳は必ず喜びます。 現在、がんで亡くなる人は日本国内で40万人近く。 一方、脳梗塞による死者数は約12万人。圧倒的にがんで亡くなる人が多いのです。 がんの発症にはさまざまな説がありますが、毎日、体内に発生するがん細胞を撃退する上で、免疫の力は欠かせません。 血圧やコレステロール値が下がっても、好きな物を我慢する生活を続けていたら、免疫力は間違いなく低下します。 検査の値はすべて正常。しかし、生気のない表情をしていてがんになってしまった……。 そんな悲惨な例が決して少なくないのです』、「現在、がんで亡くなる人は日本国内で40万人近く。 一方、脳梗塞による死者数は約12万人。圧倒的にがんで亡くなる人が多いのです。 がんの発症にはさまざまな説がありますが、毎日、体内に発生するがん細胞を撃退する上で、免疫の力は欠かせません。 血圧やコレステロール値が下がっても、好きな物を我慢する生活を続けていたら、免疫力は間違いなく低下します。 検査の値はすべて正常。しかし、生気のない表情をしていてがんになってしまった……。 そんな悲惨な例が決して少なくないのです」、確かにその通りだ。
・『「少し太り気味」でも気にしない  「わかっちゃいるけど、続かない」 中高年にとって、しばしばそう感じるものがあります、それが運動です。 真面目に運動を続けている人もたくさんいますが、ほとんどの人は「右肩上がり」で成長を続けるお腹周りを触りながら、「運動しなくては」と暗い顔になります。 がんなどの生活習慣病を予防し、動脈硬化を防ぐために運動は欠かせない。それはみんな十分わかっています。 にもかかわらず、続けられない、続けにくいのが運動かもしれません。 50代以降の年代ならば、少々の肥満は問題ありません。「少し太り気味かな」と感じても気にしない、が正解です。 BMI(ボディ・マス・インデックス)は22が標準とされていますが、世界中のさまざまな統計を見るかぎり、いちばん長生きするのは、この数字よりもやや高い25~30くらいです。 しかも元気で幸せそうに見えます。 対極なのが、いつも不機嫌そうで怒りっぽいタイプです。気に入らないことがあると、言葉を荒げることも多く、自然と人は寄り付かなくなってきます。 こういうタイプは「小太り」よりも「やせぎす」に多い、と私は感じています』、私は「運動」については、毎日8千歩歩いているので、大丈夫だ。
・『好物を思う存分食べたほうが男性ホルモンが増える  現在の日本の健康診断ではBMIが25~30になると、判で押されたように「肥満」のレッテルを貼られて食事指導を受けるようになります。 動脈硬化を防ぐための「食べる楽しみを抑えた」暮らしです。この指導と正反対にあるのが「食べる楽しみを優先した」暮らしです。 私は60歳を過ぎた「やや小太り」ですが、後者を選び、すでに実践しています。 ワイン好きの私は、赤ワインと白ワインを交互に飲み、それに合う食事を摂っています。 今日は赤ワインと肉料理、明日は白と魚といった具合です。 動脈硬化を恐れるあまり、好きなものを満足に食べない暮らしを続けていれば、自ずと男性ホルモンは減少していき、免疫機能は低下します。 それよりも好物を思う存分食べ、男性ホルモンの量を増やし、NK細胞(注)活性を上げたほうが、よっぽど幸せです。 そういう暮らしを続ければ意欲が枯れることはなく、脳はヨボヨボになりません。 逆に「健康長寿脳」の持ち主となり、その元気ハツラツぶりは外見にも表れてきます』、「動脈硬化を恐れるあまり、好きなものを満足に食べない暮らしを続けていれば、自ずと男性ホルモンは減少していき、免疫機能は低下します。 それよりも好物を思う存分食べ、男性ホルモンの量を増やし、NK細胞活性を上げたほうが、よっぽど幸せです」、その通りだ。
(注)NK細胞:免疫細胞の一つに、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)があります。病原菌やがん細胞を殺す力が極めて強く、がん治療にも採用されている細胞です(やさしいLPS)。
・『好きな食べ物で「好かれる外見」に  人の印象は「外見が9割」という見方がありますが、福沢諭吉も『学問のすすめ』の中で次のように述べています。 「顔色や表情を、いきいきと明るくすることは、人として大事なことである。 いつも苦虫を噛みつぶしたような顔をしていてはダメである。なぜなら人の表情は、家の門口と同じだからである。 多くの人と交際し、付き合うには、門口を清潔にして、相手が入りやすくすることが大切である。 ところが、人と広く交際したいのに、表情に気を使わず、偽君子の格言を信じて、渋い顔つきでいるのは、門口にガイコツをぶら下げ、玄関に棺桶を置いているようなものである。 これでは人は近づかなくなる」 さすがは福沢諭吉。ガイコツ、棺桶と刺激的な言葉が使われていますが、人の外見の大切さを見事に言い当てています。 それは単なる見てくれではなく、内面から滲み出てくる「外見」の重要性です。 人に好かれる、生き生きとした明るさは、「好きな食べ物」抜きには作れないことを再認識したいものです』、「さすがは福沢諭吉・・・人の外見の大切さを見事に言い当てています。 それは単なる見てくれではなく、内面から滲み出てくる「外見」の重要性です。 人に好かれる、生き生きとした明るさは、「好きな食べ物」抜きには作れないことを再認識したいものです」、同感である。
タグ:健康 (その22)(睡眠薬がいらなくなった人も…「快眠できるストレッチ」は誰でも簡単!?、「お酒は少量であれば健康に良い」は間違い…最新研究で分かった"お酒と健康"のキビシイ関係 残念ながら飲酒に"適量"は存在しない、好物を我慢すると病気になる…医師・和田秀樹が「血圧・血糖値・コレステロール値を気にするな」というワケ 医師・栄養士の言葉を鵜呑みにしてはならない) ダイヤモンド・オンライン AERAdot.を転載した「睡眠薬がいらなくなった人も…「快眠できるストレッチ」は誰でも簡単!?」 「ストレッチは筋肉をゆっくり伸ばすが、体操はしっかり動かす。眠れない人が寝る前に体操をすると、逆に眠れなくなる。朝のラジオ体操のように、体操は目覚めのためにするものという。 逆に、ストレッチは気持ちが沈静化するため眠くなる」、私も「ストレッチと体操をごっちゃにしてい」たので、これでスッキリ整理できた。 「1から20までゆっくり数えながら実践する。速く数えてやっても効果がない。できれば、「ひとーつ、ふたーつ」などと、息を長く吐きながら声に出してほしい」、「呼吸が大事」、なるほど。 「鎌田さんが快眠のために勧めるストレッチの一つが片鼻呼吸。一酸化窒素を体中に送り込み、血管を拡張させて自律神経のバランスを整えるという」、「もう一つのお勧めは、股関節のストレッチ。寝る前に全身の疲れをとることが大事という。床にあぐらをかくように座り、両足の裏側を合わせる。両足を開いて、ひざを曲げ、足裏が合わさった状態で、ゆっくり両足を股へ近づけ、上体を倒して、できる範囲で前屈する。 その姿勢を30秒間、保つようにする。 こうした効果もあり、鎌田さんは「睡眠薬がまったくいらなくなった」と話す」、私も「睡眠薬」は使ってないが、「ストレッチ」が「快眠」に効くようなので、試してみたい。 宮崎総一郎(中部大学特任教授)の快眠ストレッチ この「快眠ストレッチ」は、図示されているので、あとでよく見てみたい。 PRESIDENT ONLINE 生田 哲氏による「「お酒は少量であれば健康に良い」は間違い…最新研究で分かった"お酒と健康"のキビシイ関係 残念ながら飲酒に"適量"は存在しない」 生田哲『「健康神話」を科学的に検証する』(草思社) 「「飲酒は健康のメリットになる作用もあるが、比較するとデメリットのほうが大きい。最新の研究では健康になる適量は存在しないとされている」、いささかガッカリする結論のようだ。 「アルコール類を飲む順番は二日酔いに影響しないだけでなく、二日酔いの程度にも影響しない」、私はこれまで「アルコール類」を弱いものから強いものへと変えていたが、無駄だったようだ。 「古代から二日酔いはあったにちがいないが、今でもナゾが残っている。ナゾというのは、二日酔いはアルコール飲料の飲み過ぎによるのだが、その症状があらわれるのは、血中アルコール濃度がゼロになってからである。 二日酔いの主な症状は、頭痛、吐き気、疲労感である。その原因は、おそらく、脱水、代謝、免疫系の応答やホルモン系の混乱によると考えられる。二日酔いによって私たちの生産性は著しく低下する」、 「その症状があらわれるのは、血中アルコール濃度がゼロになってから」、飲み続けていれば、「二日酔い」にはならないことになる筈だが、本当だろうか。 かなり大規模で本格的な「実験」だ。 「アルコールはビール、ワイン、日本酒、ウイスキー、焼酎など、どんな形式で摂取しようと、効率よく、迅速に体内に吸収されるから、ちゃんぽんで飲んだとか、ワインやビールだけ飲んだとかいうことで、二日酔いになりやすさに違いはない」、なるほど。 「卵酒」は私が小学生時代に同居していた祖母が、風邪を引いた時に作ってくれたのを思い出す。「もし、今、あなたが飲酒していないなら、よりよい健康を求めてわざわざ飲み始める必要はまったくない」、なるほど。 「結論は、あまりにも明らかで、健康によいアルコール摂取量というものは存在しない、すなわち、アルコールは摂取量にかかわらず有害である」、つまらない結論だ。 「適度な飲酒は心臓をごくわずかに保護するかもしれないが、この利益を相殺する、がんやその他の病気を引き起こすリスクを格段に高めることを発見したので、アルコールは摂取量に関係なく有害である」、「2016年に全世界の男性39%、女性25%が日常的に飲酒していたこと、アルコールが280万人に死をもたらしたこと、アルコールは早死の第7番目の原因であり、全男性の死の6.8%、全女性の死の2.2%はアルコールによるものであることを明らかにした」、やはり飲酒に都合がいい考えは出てこないようだ。 「まったく飲まないのは辛いというのであれば、適量を飲むようにしたい。適量というのは1日1杯である」、僅か「1日1杯」とは・・・。 和田 秀樹氏による「好物を我慢すると病気になる…医師・和田秀樹が「血圧・血糖値・コレステロール値を気にするな」というワケ 医師・栄養士の言葉を鵜呑みにしてはならない」 和田秀樹『いつまでもハツラツ脳の人』(日刊現代) 「好物を思う存分食べ、男性ホルモンの量を増やし、NK細胞活性を上げたほうが、よっぽど幸せだ」、嬉しくなるようなアドバイスをしてくれる「和田秀樹さん」は、このブログの常連だ。 「医師から「塩分控えめ」を忠告」され、それを忠実に実行した結果、「低ナトリウム血症」になってしまったとは笑うに笑えない話だ。 私も「コレステロール」が高いとして、食事療法を迫られているが、和田氏のアヂバイスに従って、もう止めたい。 「現在、がんで亡くなる人は日本国内で40万人近く。 一方、脳梗塞による死者数は約12万人。圧倒的にがんで亡くなる人が多いのです。 がんの発症にはさまざまな説がありますが、毎日、体内に発生するがん細胞を撃退する上で、免疫の力は欠かせません。 血圧やコレステロール値が下がっても、好きな物を我慢する生活を続けていたら、免疫力は間違いなく低下します。 検査の値はすべて正常。しかし、生気のない表情をしていてがんになってしまった……。 そんな悲惨な例が決して少なくないのです」、確かにその通りだ。 私は「運動」については、毎日8千歩歩いているので、大丈夫だ。 「動脈硬化を恐れるあまり、好きなものを満足に食べない暮らしを続けていれば、自ずと男性ホルモンは減少していき、免疫機能は低下します。 それよりも好物を思う存分食べ、男性ホルモンの量を増やし、NK細胞活性を上げたほうが、よっぽど幸せです」、その通りだ。 (注)NK細胞:免疫細胞の一つに、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)があります。病原菌やがん細胞を殺す力が極めて強く、がん治療にも採用されている細胞です(やさしいLPS)。 「さすがは福沢諭吉・・・人の外見の大切さを見事に言い当てています。 それは単なる見てくれではなく、内面から滲み出てくる「外見」の重要性です。 人に好かれる、生き生きとした明るさは、「好きな食べ物」抜きには作れないことを再認識したいものです」、同感である。
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健康(その21)(がんの進行を急速に早める…がん治療医がすぐさま摂取をやめさせる"ある食べもの" 体内環境を がん細胞が好む「酸性」に傾けないようにする、検診結果が返ってきたら「GFR59以下」になっていないか必ず確認を、「ストレスのない生活」はむしろ寿命を縮める!? 高熱で身体をいじめるサウナはなぜ「健康的」か) [生活]

健康については、昨年4月26日に取上げた。今日は、(その21)(がんの進行を急速に早める…がん治療医がすぐさま摂取をやめさせる"ある食べもの" 体内環境を がん細胞が好む「酸性」に傾けないようにする、検診結果が返ってきたら「GFR59以下」になっていないか必ず確認を、「ストレスのない生活」はむしろ寿命を縮める!? 高熱で身体をいじめるサウナはなぜ「健康的」か)である。

先ずは、昨年4月27日付けPRESIDENT Onlineが掲載した:からすま和田クリニック院長・京都大学名誉教授・一般社団法人日本がんと炎症・代謝研究会代表理事の和田 洋巳氏による「がんの進行を急速に早める…がん治療医がすぐさま摂取をやめさせる"ある食べもの" 体内環境を、がん細胞が好む「酸性」に傾けないようにする」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/56332
・『がんや生活習慣病を予防するにはどうすればいいのか。京都大学名誉教授の和田洋巳医師は「がん細胞は酸性の環境を好むため、体内環境を酸性に傾ける食品は控えたほうがよい。特に甘いチーズケーキなどの乳製品は最悪だ」という――。 ※本稿は、和田洋巳『がん劇的寛解』(角川新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『白米の代わりに玄米、パンは全粒粉パンを選ぶ  炭水化物は糖質と呼ばれるように、体内で糖(ブドウ糖)に変換された後、正常細胞のエネルギー源として使われます。ところが、がん細胞もまたブドウ糖をエネルギー源としており、正常細胞の約40倍にも上る数のブドウ糖輸送器を使って、とりわけ必要量を超えて変換されたブドウ糖を次々と取り込みます。 そこで、必要量を超える量の炭水化物を摂取しないこと、すなわち炭水化物の摂取量を控えめにすることが、まず重要になってきます。加えて、血糖値を急激に上昇させるような摂取の仕方をしない、という点にも留意が必要です。血糖値が急激に上昇している状態は、まさにブドウ糖が必要量を超えている状態そのものだからです。 したがって、炭水化物を摂取する場合は、体内で一気にブドウ糖に変化する白米、一般的な小麦粉を使用したパンや麺などをできるだけ避け、例えば白米の代わりに玄米、一般的な小麦粉を使用したパンの代わりに全粒粉パンを選ぶなど、グリセミックインデックス(食後血糖値の上昇度を示す指数)の低い食品を摂取するといいでしょう』、「炭水化物を摂取する場合は、体内で一気にブドウ糖に変化する白米、一般的な小麦粉を使用したパンや麺などをできるだけ避け、例えば白米の代わりに玄米、一般的な小麦粉を使用したパンの代わりに全粒粉パンを選ぶなど、グリセミックインデックス・・・の低い食品を摂取するといいでしょう」、なるほど。
・『適量は「1食につきご飯茶碗に軽く1杯程度」  玄米には、中心部にある胚乳(白米部分にあたるデンプン質)のほか、その胚乳を包み込んでいる糠層(糊粉層、種皮、果皮)や胚芽が含まれています。同様に、全粒粉(小麦を丸ごと粉にしたもの)を使用した全粒粉パンには、胚乳(一般的な白い小麦粉に精製される部分)のほか、胚芽や表皮が含まれています。 炭水化物を玄米や全粒粉パンで摂取した場合は、米や小麦の胚乳部分だけを摂取した場合に比べて、体内における炭水化物から糖への変化は緩やかとなり、その結果、食後の血糖値の上昇も緩やかになるのです。しかも、玄米の糠層や胚芽には、ビタミン、ミネラル、タンパク質、食物繊維などの健康成分も豊富に含まれているのです。 ただし、玄米の影響指数(食品や飲料を100グラム摂取した場合の体内環境に与える酸負荷の程度。指数がプラスに傾けば傾くほど体内環境は酸性に傾き、マイナスに傾けば傾くほど体内環境はアルカリ性に傾く)はプラス12.5とされているため、玄米を摂取する場合は量を控えめ(1食につきご飯茶碗に軽く1杯程度)にするとともに、野菜や果物をより多く摂取してアルカリ化を図ることが大切になってきます』、「炭水化物を玄米や全粒粉パンで摂取した場合は、米や小麦の胚乳部分だけを摂取した場合に比べて、体内における炭水化物から糖への変化は緩やかとなり、その結果、食後の血糖値の上昇も緩やかになるのです。しかも、玄米の糠層や胚芽には、ビタミン、ミネラル、タンパク質、食物繊維などの健康成分も豊富に含まれているのです」、「玄米の影響指数・・・はプラス12.5とされているため、玄米を摂取する場合は量を控えめ(1食につきご飯茶碗に軽く1杯程度)にするとともに、野菜や果物をより多く摂取してアルカリ化を図ることが大切に」、なるほど。
・『塩分摂取は無塩に近い量が望ましい  同様に、がん細胞はナトリウム・プロトン交換器を駆使して塩分(ナトリウム)を取り込み、プロトン(水素イオン)を排出することで細胞外の微細環境を酸性化します。したがって、塩分の摂取を控えてがん細胞にナトリウムを与えないことが肝要になりますが、塩分もまた水分と同じようにヒトが生きていくためには不可欠の存在です。 では、現実的にはどれくらい摂取を控えればいいのでしょうか。 健康な人について言えば、厚生労働省が推奨している1日あたりの塩分摂取量は、男性で7.5グラム未満、女性で6.5グラム未満となっています。また、WHO(世界保健機関)が推奨している1日あたりの塩分摂取量は男女とも5グラム未満となっています。 しかし、玄米の影響指数(食品や飲料を100グラム摂取した場合の体内環境に与える酸負荷の程度。指数がプラスに傾けば傾くほど体内環境は酸性に傾き、マイナスに傾けば傾くほど体内環境はアルカリ性に傾く)はプラス12.5とされているため、玄米を摂取する場合は量を控えめ(1食につきご飯茶碗に軽く1杯程度)にするとともに、野菜や果物をより多く摂取してアルカリ化を図ることが大切になってきます、と私は考えています』、「玄米の影響指数はプラス12.5とされているため、玄米を摂取する場合は量を控えめ(1食につきご飯茶碗に軽く1杯程度)にするとともに、野菜や果物をより多く摂取してアルカリ化を図ることが大切になってきます」、なるほど。
・『たんぱく質は肉よりも大豆や納豆、青魚から  タンパク質もまたヒトが生きていくためには必要不可欠の栄養素ですが、体のアルカリ化という観点から言えば、タンパク質を牛肉や豚肉などの動物性のタンパク源から摂取することはなるべく控えます。代わりに、大豆や豆腐や納豆などの植物性のタンパク源からなるべく摂取することを心がけることが基本になってきます。 また、タンパク質を動物性のタンパク源から摂取する場合は、イワシやサンマ、サバやサケなどの青魚から摂取するのが理想的です。青魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの、健康成分としての必須脂肪酸(ヒトの体内では合成できない脂肪酸)が豊富に含まれているほか、DHAやEPAそのものに体内の慢性炎症を鎮める作用があるからです』、「体のアルカリ化という観点から言えば、タンパク質を牛肉や豚肉などの動物性のタンパク源から摂取することはなるべく控えます。代わりに、大豆や豆腐や納豆などの植物性のタンパク源からなるべく摂取することを心がけることが基本」、「また、タンパク質を動物性のタンパク源から摂取する場合は、イワシやサンマ、サバやサケなどの青魚から摂取するのが理想的です。青魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの、健康成分としての必須脂肪酸(ヒトの体内では合成できない脂肪酸)が豊富に含まれているほか、DHAやEPAそのものに体内の慢性炎症を鎮める作用があるからです」、「DHAやEPAそのものに体内の慢性炎症を鎮める作用がある」、とは初めて知った。
・『「卵」はがん治療にも強力な味方だが…  ただし、タンパク質がどれくらい身になるかという点で比較すると、植物性のタンパク源は動物性のタンパク源に大きく劣ります。したがって、血清アルブミン値が安全基準値の4を下回らない状態を維持するためには、完全栄養食品と言われる鶏卵を摂取するのも1つの方法となります。 鶏卵にはタンパク質だけではなく、カルシウム、鉄分、リンなどのミネラル成分をはじめ、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン成分、さらには脂質など、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素がほぼ含まれています。 気をつけるべきは、鶏卵には1個につきおよそ200ミリグラムのコレステロールが含まれていることです。したがって、摂取量としては1日1個程度に留めておくことが妥当であると考えられます。 ちなみに、「生卵かけ玄米ご飯」はあまり推奨できません。玄米に含まれるビオチンという成分と卵白に含まれるアビジンという成分が消化管の中で化学反応を起こし、消化不良などを引き起こす懸念があるからです』、鶏卵にはタンパク質だけではなく、カルシウム、鉄分、リンなどのミネラル成分をはじめ、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン成分、さらには脂質など、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素がほぼ含まれています。 気をつけるべきは、鶏卵には1個につきおよそ200ミリグラムのコレステロールが含まれていることです。したがって、摂取量としては1日1個程度に留めておくことが妥当鶏卵にはタンパク質だけではなく、カルシウム、鉄分、リンなどのミネラル成分をはじめ、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン成分、さらには脂質など、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素がほぼ含まれています。 気をつけるべきは、鶏卵には1個につきおよそ200ミリグラムのコレステロールが含まれていることです。したがって、摂取量としては1日1個程度に留めておくことが妥当にはタンパク質だけではなく、カルシウム、鉄分、リンなどのミネラル成分をはじめ、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン成分、さらには脂質など、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素がほぼ含まれています。 気をつけるべきは、鶏卵には1個につきおよそ200ミリグラムのコレステロールが含まれていることです。したがって、摂取量としては1日1個程度に留めておくことが妥当」、「鶏卵」は「食物繊維以外の栄養素がほぼ含まれています」と理想的なようだ。
・『野菜や果物は「生のまま丸ごと」がいい  しかし、炭水化物や塩分やタンパク質の摂取を頑張って控えめにしたとしても体内環境はがん細胞が好む酸性に傾いていきます。酸性に傾いた体内環境を中性に戻し、さらにアルカリ性にまで戻すためには、唯一のアルカリ化食品とも言える野菜や果物を多く摂取するのが最も有効です。 私のクリニックでは、とくに野菜の推奨摂取量は1日あたり400グラム程度としています。また、野菜や果物は加熱すると有効成分の一部が分解されてしまうため、多くの野菜や果物を「生のまま丸ごと食べる」ことも推奨しています。 しかし、毎日400グラムの野菜を摂取するのは容易ではありません。そこで、野菜や果物をジューサーやミキサーにかけ、ジュースにして摂取することを奨励しています。とくにオススメなのがニンジンをベースとしたジュース(ニンジンに果物などを加えてジューサーで搾ったもの)ですが、ジュースについては、毎朝、1日に必要な量を作って冷蔵庫に保管しておくと便利です。 また、野菜や果物にはビタミン類のほか、フィトケミカルなどの抗酸化物質も豊富に含まれています。フィトケミカルは野菜や果物の色素に含まれている成分で、その代表格にあたるポリフェノールにはがん発生の原因になる活性酸素を体内から除去するほか、同じくがん発生の原因になる悪玉コレステロールを減らす働きもあります』、「毎日400グラムの野菜を摂取するのは容易ではありません。そこで、野菜や果物をジューサーやミキサーにかけ、ジュースにして摂取することを奨励しています。とくにオススメなのがニンジンをベースとしたジュース(ニンジンに果物などを加えてジューサーで搾ったもの)ですが、ジュースについては、毎朝、1日に必要な量を作って冷蔵庫に保管しておくと便利です」、「ポリフェノールにはがん発生の原因になる活性酸素を体内から除去するほか、同じくがん発生の原因になる悪玉コレステロールを減らす働きもあります」、なるほど。
・『代謝の速いビタミン類は3食毎に補給する  中でも、緑黄色野菜や果物はビタミンの宝庫と言われています。 例えば、脂溶性のビタミンについて言えば、ビタミンAはニンジンのほか、カボチャ、モロヘイヤ、小松菜、トマトなどに豊富に含まれており、ビタミンEはカボチャ、モロヘイヤ、アーモンド、落花生などに豊富に含まれています。ただし、落花生(ピーナッツ)は体内環境を酸性に傾けてしまうため、避けるのが無難です。 水溶性のビタミンであるビタミンCは、パプリカ、菜の花、ブロッコリー、キウイ、イチゴ、オレンジ、グレープフルーツなどに多く含まれています。 しかも、ビタミンAとビタミンCとビタミンEには相互作用があり、これらを併せて摂取することで効果はさらに増していきます。そのため、相互作用を有するこの3種類のビタミンは「ACE(エース)」とも総称されています。ただし、ビタミン類はすぐに代謝されてしまうため、朝、昼、晩の3食のたびに補給し続けることが肝要となります』、「ビタミンAとビタミンCとビタミンEには相互作用があり、これらを併せて摂取することで効果はさらに増していきます。そのため、相互作用を有するこの3種類のビタミンは「ACE(エース)」とも総称」、「ビタミン類はすぐに代謝されてしまうため、朝、昼、晩の3食のたびに補給し続けることが肝要」、「3食のたびに補給し続ける」とは大変そうだ。
・『がん細胞を攻撃するキノコ類をたくさん食べるには  さらに、ハナビラタケ、干しシイタケ、シメジ、キクラゲ、エノキなど、キノコ類にはがん細胞を攻撃、殺傷する2次免疫(獲得免疫)を高めるβグルカンが大量に含まれています。とくにハナビラタケはその含有量が多いことで知られています。 ただし、キノコ類を毎日、大量に摂取することもまた容易ではありません。また、キノコ類に含まれるβグルカンを取り出すためには加熱も必要になります。 そこで、私のクリニックでは、すり潰したキノコ類に加熱した出汁を加えて作る「キノコペースト」の摂取を推奨しています。ペースト状にすることで、保存が可能になるほか、使用の選択肢も広がるからです。一例としては、玄米にキノコペーストを加えて炊く、といった使い方もオススメです』、「ハナビラタケ、干しシイタケ、シメジ、キクラゲ、エノキなど、キノコ類にはがん細胞を攻撃、殺傷する2次免疫(獲得免疫)を高めるβグルカンが大量に含まれています」、「キノコ類を毎日、大量に摂取することもまた容易ではありません。また、キノコ類に含まれるβグルカンを取り出すためには加熱も必要になります。 そこで、私のクリニックでは、すり潰したキノコ類に加熱した出汁を加えて作る「キノコペースト」の摂取を推奨しています。ペースト状にすることで、保存が可能になるほか、使用の選択肢も広がるからです。一例としては、玄米にキノコペーストを加えて炊く、といった使い方もオススメです」、「キノコペースト」とはいいアイデアだ。
・『「甘いケーキ」はがん細胞にとってもおいしい  牛乳、バター、チーズなどの乳製品には、がん細胞の活動活性を上げるIGF-1(インスリン様成長因子)が多く含まれています。よく「体にいい」と言われているヨーグルトもその意味では例外ではなく酸性化食品なのです。チーズやバター、とりわけチーズの酸性化力は強烈です。 したがって、乳製品の生クリームがたっぷりと載った甘いチーズケーキなどは、がん細胞にIGF-1とブドウ糖を与え、かつ、がん細胞周辺の微細環境をがんが好む酸性に傾けるという点で、「最悪の食品」と言っていいでしょう。 私のこれまでの臨床経験から見ても、とくにがんにかかった女性の患者さんの場合は、「甘い洋菓子」などの甘味品を多食していたという傾向が顕著に見られます。 したがって、私のクリニックでは、このような食歴を持つ患者さんに対しては乳製品や甘味品の「即時摂取中止」を指導しています。実際、多くの患者さんが乳製品や甘味品の即時摂取中止をはじめとする食生活の見直しによって劇的寛解を得ているのです』、「乳製品の生クリームがたっぷりと載った甘いチーズケーキなどは、がん細胞にIGF-1とブドウ糖を与え、かつ、がん細胞周辺の微細環境をがんが好む酸性に傾けるという点で、「最悪の食品」と言っていいでしょう」、「私のクリニックでは、このような食歴を持つ患者さんに対しては乳製品や甘味品の「即時摂取中止」を指導・・・食生活の見直しによって劇的寛解を得ている」、そんなに効果があるとは意外だ。
・『健康面でメリットしかない食品や飲料などない  ただし、乳製品、とくにヨーグルトなどには、腸内細菌叢、いわゆる腸内フローラを整える効果があります。そして、腸内細菌叢が乱れるとがんにかかりやすくなることが知られているのです。 それらの点を考慮した上で、私のクリニックでは玄米を玄米麹で発酵させた特製の甘酒を甘味品や調味料として推奨することもあります。発酵食品には腸内細菌叢を整え、2次免疫力を上昇させて、がん細胞の活動活性を抑止する働きもあるからです。 突き詰めて言えば、がんや生活習慣病に対してメリットしかない食品や飲料などこの世に存在しません。食品や飲料の持つメリットとデメリットを天秤にかけ、治療効果の上がる最適な組み合わせを選択していくことが肝要となるのです』、「がんや生活習慣病に対してメリットしかない食品や飲料などこの世に存在しません。食品や飲料の持つメリットとデメリットを天秤にかけ、治療効果の上がる最適な組み合わせを選択していくことが肝要」、その通りだ。
・『牛肉豚肉、ソーセージなどがもつ2つの発がん性物質  動物性のタンパク源、中でも牛肉や豚肉、ソーセージなどの加工肉は尿ペーハー、すなわちがん細胞周辺の微細環境をはじめとする体内環境を著しく酸性に傾けます。しかし、牛肉や豚肉や加工肉の弊害は酸性化だけではありません。 実は、動物性のタンパク質を豊富に含んだ牛肉や豚肉や加工肉などを焼いて調理する過程で2つの発がん性物質が生成されることがわかってきています。 1つはHCA(ヘテロサイクリックアミン)、もう1つはPAH(多環芳香族炭化水素)と呼ばれる物質です。このうち、HCAは肉類を焼いた際にできる黒いコゲに含まれており、PAHは炭などに落ちた肉類の油から立ち上る煙に含まれていますが、いずれも発がん性物質として知られている有害物質なのです』、「動物性のタンパク質を豊富に含んだ牛肉や豚肉や加工肉などを焼いて調理する過程で2つの発がん性物質が生成」、いわゆる焼け焦げだろう。
・『「がんをおとなしくさせる食事」はたくさんある  したがって、少なくとも前がん状態にある人やすでにがんを発症してしまった人がタンパク質を摂取する場合は、牛肉や豚肉や加工肉などの動物性タンパク源ではなく、大豆をはじめとする植物性タンパク源から摂取することが推奨されるのです。また、タンパク質の摂取不足を動物性タンパク源で補う場合は、抗炎症作用も持つDHAやEPAを豊富に含む青魚などから摂取するのが上策となります。 以上が「がんをおとなしくさせるための食事術」になりますが、これらの食事術に則った具体的な献立例やレシピ(朝、昼、晩の3食)については、そのための下ごしらえ(出汁の取り方、サラダドレッシング・ディップの作り方、キノコペーストの作り方、野菜・果物ジュースの作り方など)も含めて、私の過去の著書『がんを生き抜く最強ごはん』(毎日新聞出版、2019年)や『がんに負けないからだをつくる 和田屋のごはん』(WIKOM研究所、2018年)の中で詳しく紹介しています。 また、ここで紹介した食事術の詳細とがんに対して有効なメカニズムは最新刊『がん劇的寛解』(角川新書、2022年)で解説していますので、ぜひとも参考にしてみてください』、「牛肉や豚肉や加工肉などの動物性タンパク源ではなく、大豆をはじめとする植物性タンパク源から摂取することが推奨」、「タンパク質の摂取不足を動物性タンパク源で補う場合は、抗炎症作用も持つDHAやEPAを豊富に含む青魚などから摂取するのが上策」、「がんをおとなしくさせるための食事術」は、確かに効き目がありそうだ。

次に、本年1月5日付け日刊ゲンダイ「検診結果が返ってきたら「GFR59以下」になっていないか必ず確認を」を紹介しよう。
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/278560
・『女優の檀れいさんが、腎臓とGFRについて話すCMがあります。昨年の秋ごろから放送されるようになり、目にした方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 あのCMはNPO法人日本腎臓病協会と製薬会社のアストラゼネカ社が、腎臓病の克服に向けた取り組みの一環として制作したもの。CMの中で檀さんが「GFR値59以下の方は、お医者さんにご相談を」と話している通り、健康診断などの検査結果を受け取ったらGFR値を必ずチェックするようにしてください。 GFRは、糸球体で1分間で処理される血液量のことで、腎臓のいまの働き具合を示す重要な数値です。60以上が正常となり、数字が低いほど腎臓の機能が悪いことになります。この連載でも何度か話していますが、腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど非常に我慢強い部位。GFR値が59以下で多少働きが悪くなっていたとしても、自覚症状に乏しいのが特徴です』、「腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど非常に我慢強い部位。GFR値が59以下で多少働きが悪くなっていたとしても、自覚症状に乏しいのが特徴。そのため、「どこもつらくないから」と再検査を後回しにしがちですが、失われた腎臓機能は元に戻らないので、いま現在より下がらないよう注意をしていかなければなりません。早めに再検査を行い、自分の腎臓の状態を詳しく知るようにしてほしいと思っています」、「「腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど非常に我慢強い部位。GFR値が59以下で多少働きが悪くなっていたとしても、自覚症状に乏しいのが特徴。そのため、「どこもつらくないから」と再検査を後回しにしがちですが、失われた腎臓機能は元に戻らないので、いま現在より下がらないよう注意をしていかなければなりません」、大いに気を付けるべきだ。
・『 再検査をした結果「慢性腎臓病」だと診断された。では「慢性腎臓病」とはなにか。われわれ医師はCKD(chronic kidney disease)と呼んだりもしますが、GFRや尿タンパクの異常、腎臓の形の異常などの何らかの腎臓の異常が3カ月以上持続している場合と定義されます。GFR値と、尿タンパクの値によって診断します。 けれども、「慢性腎臓病」と診断された人は軽症な方から重症の方など多岐にわたります。 GFRが45以上59以下で尿タンパクが出ていない軽症の方は6~7割程度を占めるといわれています。つまり、慢性腎臓病の中でも「軽度」「中等度」「高度」と重症度を示すステージ(フェーズ)があるということなんですね。) 「慢性腎臓病になったら、すぐに人工透析?」 患者さんから多く受ける質問のひとつです。先ほど話したように、慢性腎臓病にはステージがあるので、どこに位置しているかによって治療方法は異なる。 人工透析は、ステージ5の重度に分類される患者さんが受ける治療となります。 とはいえ、自分のステージは軽度だからといって油断は禁物ですよ。腎臓は全身の多くの部位が正常に動くために指令を出している臓です。そのため、軽度であっても、健康な人と比較すると脳や心臓の病気を引き起こしたり、筋力が衰えやすいといわれています。慢性腎臓病は全身疾患とみなして治療を考えていくべきだと私は考えています』、「慢性腎臓病は全身疾患とみなして治療を考えていくべき」、その通りだ。

第三に、2月6日付けNewsweek日本版がPRESIDENT Onlineを転載した分子生物学者のニクラス・ブレンボー氏による「「ストレスのない生活」はむしろ寿命を縮める!? 高熱で身体をいじめるサウナはなぜ「健康的」か」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/lifestyle/2023/02/post-100789_1.php
・『長生きをするにはどうすればいいのか。分子生物学者のニクラス・ブレンボー氏は「風が全く吹かない場所に生える樹木は自重でやがて倒れてしまう。人間も適度なストレス下で暮らしたほうがいい」という――。 ※本稿は、ニクラス・ブレンボー『寿命ハック』(新潮新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『放射能を浴びたマウスは、なぜ老化が早まるのか  わたしが暮らすコペンハーゲンで地下鉄に乗ると、抗酸化物質がたっぷり添加された新発売のスムージーの広告をよく見かける。「インフルエンサー」やネット上のマルチ商法が扱う怪しげなダイエット・サプリメントも同様だ。しかし、抗酸化物質とサプリメントのラブストーリーは想像以上に深刻な状況から始まった。 1950年代――最初の原子爆弾が日本に投下されて数年後――科学者たちは放射線が人体に及ぼす影響に関心を寄せていた。例のごとく、人間が苦しまずにすむようにマウスが苦しむことになった。実験を重ねた結果、致命的ではないが高レベルの放射線をマウスに浴びせると、老化が加速することがわかった。放射線を浴びたマウスは加齢性疾患を通常より早く発症し、死期も早まった。 放射線がマウスにとって害になるのは、一つにはそれが細胞の中でフリーラジカルと呼ばれるものを作り出すからだ。フリーラジカルは非常に反応しやすい分子で、他の分子に衝突すると、その分子を傷つける。言うなれば、陶器店にいる雄牛のようなものだ。どの動物も放射線にさらされると細胞内でこの雄牛が暴れまわる。科学者は雄牛がもたらす被害の総量を「酸化ストレス」と呼ぶ。つまり、放射線を浴びたマウスは「酸化ストレスが高い」のだ。 そこで登場するのが抗酸化物質(アンチオキシダント)である。抗(アンチ)はフリーラジカルに対抗するという意味で、抗酸化物質は陶器店の雄牛に打ち込む鎮静剤と見なすことができる。放射線の研究者たちは抗酸化物質を使えば、マウスを放射線の害から守ることができるのではないかと考えた。実験の結果、抗酸化物質は放射線を浴びた動物の寿命を延ばすという結論に至った』、「実験の結果、抗酸化物質は放射線を浴びた動物の寿命を延ばすという結論に至った」、なるほど。
・『抗酸化サプリは寿命を延ばすどころか縮める  もっとも、興味深いことに、フリーラジカルが生まれるのは放射線を浴びた細胞の中だけではない。実のところそれは正常な代謝の副産物であり、わたしたちの細胞は常に暴れまわる雄牛に翻弄されているのだ。それを知る科学者たちはこう考えた――フリーラジカルは放射線に誘発された老化の原因であるだけでなく、通常の老化の原因にもなっているのではないだろうか。 この説は「老化のフリーラジカル説」と呼ばれ、人間の代謝を一種のファウスト的契約と見なすものだ。つまり、人間は代謝によって生きているが、代謝はフリーラジカルを発生させるので、人間は確実に老化し、死んでいくのだ。 これは、「フリーラジカルは生体に損傷を与え、老人は若者よりも酸化ストレスのレベルが高く、過剰な酸化ストレスは加齢性疾患につながる」という事実と合致する。だが幸いなことに、この説は老化に対抗する簡単な方法も提供する。抗酸化物質を使って、暴れ牛をおとなしくさせればよいのだ。 このアイデアは、誕生して以来、臨床試験で徹底的に調べられてきた。 実際、数多くの研究が行われてきたので、今ではメタ分析を行うことができる。メタ分析とは、別々に行われたいくつもの研究のデータを統合して分析する大規模な研究のことだ。 研究者たちは68件の研究と23万人の被験者からなるメタ分析を行い、抗酸化物質のサプリメントが人間の寿命を延ばすかどうかを調べた。結論はこうだ。抗酸化作用のあるサプリメントを摂取する人は早く死ぬ。加齢性疾患を予防することもできない。抗酸化作用のあるサプリメントは、ある種のガンの発生を抑制するどころか、その増殖と転移を促進するらしい』、「抗酸化物質のサプリメントが人間の寿命を延ばすかどうかを調べた。結論はこうだ。抗酸化作用のあるサプリメントを摂取する人は早く死ぬ。加齢性疾患を予防することもできない。抗酸化作用のあるサプリメントは、ある種のガンの発生を抑制するどころか、その増殖と転移を促進するらしい」、なるほど。
・『温室で樹木を育てられるか  1991年秋、8人の科学者がアリゾナ州オラクルにある巨大で未来的な温室に閉じ籠もった。彼らは2年にわたってバイオスフィア2と呼ばれる温室をメインとする建物群の中で過ごすことになっていた。任務は食料、水、酸素、その他、生活に必要なものを自給自足することだ。 この壮大な実験の目的は、ゼロから完全な生態系を作り出せるかどうかを調べることだった。地球上では、幸運なことに人類はそのような生態系の一部になっていて、生きるために必要な物はすべて自然が提供してくれる。人類が自然を正しく扱えば、自然は今後も長く人類の面倒を見てくれるだろう。しかし、何人かが地球を離れて他の惑星に移住することになったら、その惑星でゼロから新しい生態系を築かなければならない。 ご存知の通り、地球の生態系において最も重要な要素の一つは樹木だ。酸素を供給してくれるだけでなく、無数の生物の棲みかであり、建築資材にもなる。そのため科学者たちは、木を新たな生態系の柱と見なし、バイオスフィア2の中に多くの木を植えた。木は長生きするので、数年くらいは何の問題もないだろう、と彼らは考えた』、「1991年秋、8人の科学者がアリゾナ州オラクルにある巨大で未来的な温室に閉じ籠もった。彼らは2年にわたってバイオスフィア2と呼ばれる温室をメインとする建物群の中で過ごすことになっていた」、面白い実験だ。
・『風のない場所で育った木は強くならずに枯れる  バイオスフィア2に植えられた木は良いスタートを切った。巨大な温室という恵まれた環境のおかげで急速に成長した。しかし、実験が終わらないうちに、その多くは枯れてしまった。何が足りなかったのだろう。世話や栄養が足りなかったわけではない。むしろ、その逆だった。欠けていたのは、ストレスだったのだ。具体的には風というストレスだ。 風は木にとって手ごわい敵の一つだが、実のところ、必要不可欠なものでもある。絶え間なく吹く風に耐えることで木はたくましく強く育っていく。風がない場所では木は弱くなり、やがて自らの重さを支えられなくなって倒れる。 フリーラジカルと抗酸化物質の話に戻ると、抗酸化作用のあるサプリメントを摂る人はなぜ早く死ぬのだろうか。その理由は、風が吹かないと木が枯れる理由と同じだ。つまり、ストレスが生物を強くしているのだ。 逆境が生物を強くするこの現象は「ホルミシス」と呼ばれる。人間の場合、最も身近な例は運動だ。走ることは健康に良いと誰もが思っているかもしれない。しかし、走っている間に何が起きているかを考えてみよう。心拍数や血圧が急上昇する。一歩走るごとに筋肉と骨は負荷を受けて緊張する。 また、運動にはエネルギーが必要なので、代謝が一気に上がり、フリーラジカルが多く生成される。そう、運動すると体は有害な分子を生成するのだ。しかし長い目で見れば、運動は人をより健康にする。なぜなら、それらの負荷があなたはもっと強くなる必要があるというメッセージとして働くからだ。 皮肉なことに、このプロセスを開始する「メッセンジャー」の一部はフリーラジカルだ。これが意味するのは、運動によって強く健康になるプロセスを抗酸化物質は妨げるということだ。フィットネス・インフルエンサーのセールストークとは裏腹に、抗酸化物質は運動の効果の一部を打ち消すのである』、「風は木にとって手ごわい敵の一つだが、実のところ、必要不可欠なものでもある。絶え間なく吹く風に耐えることで木はたくましく強く育っていく。風がない場所では木は弱くなり、やがて自らの重さを支えられなくなって倒れる」、「逆境が生物を強くするこの現象は「ホルミシス」と呼ばれる。人間の場合、最も身近な例は運動だ。走ることは健康に良いと誰もが思っているかもしれない。しかし、走っている間に何が起きているかを考えてみよう。心拍数や血圧が急上昇する。一歩走るごとに筋肉と骨は負荷を受けて緊張する。 また、運動にはエネルギーが必要なので、代謝が一気に上がり、フリーラジカルが多く生成される。そう、運動すると体は有害な分子を生成するのだ。しかし長い目で見れば、運動は人をより健康にする。なぜなら、それらの負荷があなたはもっと強くなる必要があるというメッセージとして働くからだ」、なるほど。
・『少量のヒ素を与えた線虫はむしろ長生きする  運動はホルミシスの最も知られる例だが、生物の世界にはホルミシスが溢れている。実際、ホルミシスは地球上の生物の物語の根幹をなしている。わたしたちの祖先の生活が苦難の連続だったのは確かだ。飢餓、苛酷な労働、毒物、素手での殴り合い、肉食動物からの命懸けの逃走など、生活には困難がつきものだった。だからこそ、人間にとって困難は必要不可欠なものになった。 自然界に溢れるホルミシスの最良の例の一つは、有毒な化学物質であるヒ素の研究からもたらされた。古来、ヒ素は「毒物の王」、あるいは「王の毒」と呼ばれてきた。なぜなら入手しやすく、無味無臭で、人を毒殺するのに使いやすいからだ。そのため世界各地で王の椅子を狙う王族やサイコパスがヒ素を利用してきた。 しかし近年、あろうことかヒ素は世界の多くの地域で飲料水を汚染するようになった。そのため研究者たちはヒ素が実験動物に及ぼす影響を調べ始めた。 線虫に大量に投与すると、ヒ素は評判通りの殺し屋になった。しかし少量の場合、線虫は通常より長生きした。それだけでなく、熱ストレスや他の毒物への耐性も強くなった。なぜだろう。もちろん、ホルミシスのおかげだ。ヒ素は毒だが、少量なら適度なストレス要因になって線虫の防衛能力を高めるのだ。 別の研究者たちは「酸化促進剤」を使って線虫の寿命を延ばすことに成功した。酸化促進剤は抗酸化物質とは逆に、酸化ストレスを強める。先程の比喩で言えば、陶器店に居座る雄牛に錠剤のカフェインを飲ませて臀部を激しく叩くようなものだ。この実験で酸化促進剤として使ったのは除草剤のパラコートだ。しかし、抗酸化物質も一緒に投与すると、ストレスは中和され、線虫の寿命は通常通りになった。 「毒物の王」であるヒ素や強力な除草剤が、どんな形であれ生物にとってプラスになるのは信じがたいかもしれないが、生物界ではそういうことがよく起きる』、「「毒物の王」であるヒ素や強力な除草剤が、どんな形であれ生物にとってプラスになるのは信じがたいかもしれないが、生物界ではそういうことがよく起きる」、なるほど。
・『放射性物質にさらされたマンション住人  人間にヒ素や除草剤やその他の有害物質を飲ませるというような臨床試験は、当然ながら行えない。しかし、人体でのホルミシス効果を示す実例がいくつかある。 その一つは1980年代に台湾で起きた。当時、台湾は好景気の只中にあり、首都の台北では前例のない規模で建設ラッシュが続いた。その熱気の中、一部のリサイクル鉄鋼に放射性物質のコバルト60が混入した。これらの鉄鋼は1700棟のマンション建設に使用されたが、それがわかったのは1990年代で、すでに手遅れの状況だった。 取り壊される前、これらの放射能マンションにはおよそ1万人が住んでおり、住民は毎日、通常のレベルをはるかに超える放射線にさらされていた。放射線はDNAを傷つけてガンを引き起こすため、ガンの増加が心配されが、住民の病歴を調べた医師たちは当惑した。マンションの住民は一般の台湾人に比べてほぼすべてのガンにおいて発症率が低かったのだ。 同じような現象は他の場所でも指摘されている。アメリカの造船所の労働者のうち、原子力潜水艦に携わる労働者は一般的な労働者より死亡率が低い。また、アメリカの一般市民のうち、自然発生する放射線量が通常より多い地域に住む人々は平均寿命より長く生きる。医師の中でも、電離放射線にさらされる放射線科の医師は他の科の医師より長生きし、ガンにかかるリスクも低い』、「台湾のマンション」で「リサイクル鉄鋼に放射性物質のコバルト60が混入・・・住民は毎日、通常のレベルをはるかに超える放射線にさらされていた。放射線はDNAを傷つけてガンを引き起こすため、ガンの増加が心配されが・・・マンションの住民は一般の台湾人に比べてほぼすべてのガンにおいて発症率が低かった」、「アメリカの造船所の労働者のうち、原子力潜水艦に携わる労働者は一般的な労働者より死亡率が低い。また、アメリカの一般市民のうち、自然発生する放射線量が通常より多い地域に住む人々は平均寿命より長く生きる。医師の中でも、電離放射線にさらされる放射線科の医師は他の科の医師より長生きし、ガンにかかるリスクも低い」、「ホルミシス」は確かに不思議な現象だ。
・『「ホルミシス」は内容と量が肝心  はっきり申し上げておくが、わたしは放射線を浴びたり毒を飲んだりすることを勧めているわけではない。そんなことをしたら、良い遺伝子を台無しにしてしまう。どのくらいのレベルならホルミシスになるかは不明だが、そのレベルを超えるとどうなるかはわかっている。苦痛と恐ろしい死である。ホルミシスは量が肝心なのだ。 ジョギングをして体に負荷をかけるのは、運動をまったくしないより健康的だ。だが、運動をしすぎることもあり、これは「オーバートレーニング」と呼ばれる。同様に、木は風に吹かれて強くなるが、風が強すぎると倒れたり、折れたりする。ストレス要因から恩恵を得られるのは、もたらすダメージが自己修復能力の限度を超えない場合に限られる。 また、有害なものやストレス要因のすべてにホルミシス効果があるわけではないことも忘れてはならない。頭を壁にぶつけても賢くはならないし、タバコを吸って肺機能を高めることもできない。人間にとってプラスになるストレス要因は、人間が耐えられるよう進化してきたものだけだ。 ▽高地に住む人々は長生きし病気にもかかりにくい(「寿命ハック」では、放射能汚染されたマンションに住むことの代案は何だろうか。一つは高い山に登ることだ。標高の高い場所は大気が薄く、強い紫外線や宇宙線にさらされる。わたしはきわめて平坦な国に暮らす色白の人間なので、標高5000メートルの高所で暮らせば、日焼けの効果を証明できるだろう。 驚くほどのことではないが、高地に住む人々は放射線や苛酷な環境にもかかわらず――あるいはそれらのせいで――海抜の低い地域に住む人々より長生きし、加齢に伴う病気にもかかりにくい。これはオーストラリア、スイス、ギリシア、それにカリフォルニアでも確認されている。 高地では酸素濃度が低く、それも健康を増進するストレス要因なのかもしれない。細胞は、放射線や低い酸素濃度といったストレスにさらされると、熱ショックタンパク質を合成する。その名の通り、このタンパク質は高熱との関連で発見されたが、後に、より一般的な細胞保護機能の一部であることが判明した。これは、先に見たようにホルミシスの効果が広範に及ぶことを示している。一つのストレス要因に対する反応は往々にして、他のストレス要因に対する耐久力(レジリエンス)も向上させるのだ。 熱ショックタンパク質は他のタンパク質を助ける"スーパーヒーロー・タンパク質"と見なすことができる。細胞が何らかのストレス要因によってダメージを受けると、タンパク質の多くは形が崩れる。すると熱ショックタンパク質が登場して、細胞のゴミにならないよう形状や機能の回復を助けるのだ』、「細胞は、放射線や低い酸素濃度といったストレスにさらされると、熱ショックタンパク質を合成する。その名の通り、このタンパク質は高熱との関連で発見されたが、後に、より一般的な細胞保護機能の一部であることが判明した。これは、先に見たようにホルミシスの効果が広範に及ぶことを示している。一つのストレス要因に対する反応は往々にして、他のストレス要因に対する耐久力(レジリエンス)も向上させるのだ」、よく出来た仕組みだ。分子生物学も謎の解明に役立ったようだ。
タグ:健康 (その21)(がんの進行を急速に早める…がん治療医がすぐさま摂取をやめさせる"ある食べもの" 体内環境を がん細胞が好む「酸性」に傾けないようにする、検診結果が返ってきたら「GFR59以下」になっていないか必ず確認を、「ストレスのない生活」はむしろ寿命を縮める!? 高熱で身体をいじめるサウナはなぜ「健康的」か) PRESIDENT ONLINE 和田 洋巳氏による「がんの進行を急速に早める…がん治療医がすぐさま摂取をやめさせる"ある食べもの" 体内環境を、がん細胞が好む「酸性」に傾けないようにする」 和田洋巳『がん劇的寛解』(角川新書) 「炭水化物を摂取する場合は、体内で一気にブドウ糖に変化する白米、一般的な小麦粉を使用したパンや麺などをできるだけ避け、例えば白米の代わりに玄米、一般的な小麦粉を使用したパンの代わりに全粒粉パンを選ぶなど、グリセミックインデックス・・・の低い食品を摂取するといいでしょう」、なるほど。 「炭水化物を玄米や全粒粉パンで摂取した場合は、米や小麦の胚乳部分だけを摂取した場合に比べて、体内における炭水化物から糖への変化は緩やかとなり、その結果、食後の血糖値の上昇も緩やかになるのです。しかも、玄米の糠層や胚芽には、ビタミン、ミネラル、タンパク質、食物繊維などの健康成分も豊富に含まれているのです」、 「玄米の影響指数・・・はプラス12.5とされているため、玄米を摂取する場合は量を控えめ(1食につきご飯茶碗に軽く1杯程度)にするとともに、野菜や果物をより多く摂取してアルカリ化を図ることが大切に」、なるほど。 「玄米の影響指数はプラス12.5とされているため、玄米を摂取する場合は量を控えめ(1食につきご飯茶碗に軽く1杯程度)にするとともに、野菜や果物をより多く摂取してアルカリ化を図ることが大切になってきます」、なるほど。 「体のアルカリ化という観点から言えば、タンパク質を牛肉や豚肉などの動物性のタンパク源から摂取することはなるべく控えます。代わりに、大豆や豆腐や納豆などの植物性のタンパク源からなるべく摂取することを心がけることが基本」、 「また、タンパク質を動物性のタンパク源から摂取する場合は、イワシやサンマ、サバやサケなどの青魚から摂取するのが理想的です。青魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの、健康成分としての必須脂肪酸(ヒトの体内では合成できない脂肪酸)が豊富に含まれているほか、DHAやEPAそのものに体内の慢性炎症を鎮める作用があるからです」、「DHAやEPAそのものに体内の慢性炎症を鎮める作用がある」、とは初めて知った。 「鶏卵」は「食物繊維以外の栄養素がほぼ含まれています」と理想的なようだ。 「毎日400グラムの野菜を摂取するのは容易ではありません。そこで、野菜や果物をジューサーやミキサーにかけ、ジュースにして摂取することを奨励しています。とくにオススメなのがニンジンをベースとしたジュース(ニンジンに果物などを加えてジューサーで搾ったもの)ですが、ジュースについては、毎朝、1日に必要な量を作って冷蔵庫に保管しておくと便利です」、「ポリフェノールにはがん発生の原因になる活性酸素を体内から除去するほか、同じくがん発生の原因になる悪玉コレステロールを減らす働きもあります」、なるほど。 「ビタミンAとビタミンCとビタミンEには相互作用があり、これらを併せて摂取することで効果はさらに増していきます。そのため、相互作用を有するこの3種類のビタミンは「ACE(エース)」とも総称」、「ビタミン類はすぐに代謝されてしまうため、朝、昼、晩の3食のたびに補給し続けることが肝要」、「3食のたびに補給し続ける」とは大変そうだ。 「ハナビラタケ、干しシイタケ、シメジ、キクラゲ、エノキなど、キノコ類にはがん細胞を攻撃、殺傷する2次免疫(獲得免疫)を高めるβグルカンが大量に含まれています」、「キノコ類を毎日、大量に摂取することもまた容易ではありません。また、キノコ類に含まれるβグルカンを取り出すためには加熱も必要になります。 そこで、私のクリニックでは、すり潰したキノコ類に加熱した出汁を加えて作る「キノコペースト」の摂取を推奨しています。ペースト状にすることで、保存が可能になるほか、使用の選択肢も広がるからです。一例としては、玄米にキノコペーストを加えて炊く、といった使い方もオススメです」、「キノコペースト」とはいいアイデアだ。 「乳製品の生クリームがたっぷりと載った甘いチーズケーキなどは、がん細胞にIGF-1とブドウ糖を与え、かつ、がん細胞周辺の微細環境をがんが好む酸性に傾けるという点で、「最悪の食品」と言っていいでしょう」、「私のクリニックでは、このような食歴を持つ患者さんに対しては乳製品や甘味品の「即時摂取中止」を指導・・・食生活の見直しによって劇的寛解を得ている」、そんなに効果があるとは意外だ。 「がんや生活習慣病に対してメリットしかない食品や飲料などこの世に存在しません。食品や飲料の持つメリットとデメリットを天秤にかけ、治療効果の上がる最適な組み合わせを選択していくことが肝要」、その通りだ。 「動物性のタンパク質を豊富に含んだ牛肉や豚肉や加工肉などを焼いて調理する過程で2つの発がん性物質が生成」、いわゆる焼け焦げだろう。 「牛肉や豚肉や加工肉などの動物性タンパク源ではなく、大豆をはじめとする植物性タンパク源から摂取することが推奨」、「タンパク質の摂取不足を動物性タンパク源で補う場合は、抗炎症作用も持つDHAやEPAを豊富に含む青魚などから摂取するのが上策」、「がんをおとなしくさせるための食事術」は、確かに効き目がありそうだ。 日刊ゲンダイ「検診結果が返ってきたら「GFR59以下」になっていないか必ず確認を」 「「腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど非常に我慢強い部位。GFR値が59以下で多少働きが悪くなっていたとしても、自覚症状に乏しいのが特徴。そのため、「どこもつらくないから」と再検査を後回しにしがちですが、失われた腎臓機能は元に戻らないので、いま現在より下がらないよう注意をしていかなければなりません」、大いに気を付けるべきだ。 「慢性腎臓病は全身疾患とみなして治療を考えていくべき」、その通りだ。 Newsweek日本版 ニクラス・ブレンボー氏による「「ストレスのない生活」はむしろ寿命を縮める!? 高熱で身体をいじめるサウナはなぜ「健康的」か」 ニクラス・ブレンボー『寿命ハック』(新潮新書) 「実験の結果、抗酸化物質は放射線を浴びた動物の寿命を延ばすという結論に至った」、なるほど。 「抗酸化物質のサプリメントが人間の寿命を延ばすかどうかを調べた。結論はこうだ。抗酸化作用のあるサプリメントを摂取する人は早く死ぬ。加齢性疾患を予防することもできない。抗酸化作用のあるサプリメントは、ある種のガンの発生を抑制するどころか、その増殖と転移を促進するらしい」、なるほど。 「1991年秋、8人の科学者がアリゾナ州オラクルにある巨大で未来的な温室に閉じ籠もった。彼らは2年にわたってバイオスフィア2と呼ばれる温室をメインとする建物群の中で過ごすことになっていた」、面白い実験だ。 「風は木にとって手ごわい敵の一つだが、実のところ、必要不可欠なものでもある。絶え間なく吹く風に耐えることで木はたくましく強く育っていく。風がない場所では木は弱くなり、やがて自らの重さを支えられなくなって倒れる」、「逆境が生物を強くするこの現象は「ホルミシス」と呼ばれる。人間の場合、最も身近な例は運動だ。走ることは健康に良いと誰もが思っているかもしれない。しかし、走っている間に何が起きているかを考えてみよう。心拍数や血圧が急上昇する。一歩走るごとに筋肉と骨は負荷を受けて緊張する。 また、運動にはエネルギーが必要なので、代謝が一気に上がり、フリーラジカルが多く生成される。そう、運動すると体は有害な分子を生成するのだ。しかし長い目で見れば、運動は人をより健康にする。なぜなら、それらの負荷があなたはもっと強くなる必要があるというメッセージとして働くからだ」、なるほど。 「「毒物の王」であるヒ素や強力な除草剤が、どんな形であれ生物にとってプラスになるのは信じがたいかもしれないが、生物界ではそういうことがよく起きる」、なるほど。 「台湾のマンション」で「リサイクル鉄鋼に放射性物質のコバルト60が混入・・・住民は毎日、通常のレベルをはるかに超える放射線にさらされていた。放射線はDNAを傷つけてガンを引き起こすため、ガンの増加が心配されが・・・マンションの住民は一般の台湾人に比べてほぼすべてのガンにおいて発症率が低かった」、 「アメリカの造船所の労働者のうち、原子力潜水艦に携わる労働者は一般的な労働者より死亡率が低い。また、アメリカの一般市民のうち、自然発生する放射線量が通常より多い地域に住む人々は平均寿命より長く生きる。医師の中でも、電離放射線にさらされる放射線科の医師は他の科の医師より長生きし、ガンにかかるリスクも低い」、「ホルミシス」は確かに不思議な現象だ。 「細胞は、放射線や低い酸素濃度といったストレスにさらされると、熱ショックタンパク質を合成する。その名の通り、このタンパク質は高熱との関連で発見されたが、後に、より一般的な細胞保護機能の一部であることが判明した。これは、先に見たようにホルミシスの効果が広範に及ぶことを示している。一つのストレス要因に対する反応は往々にして、他のストレス要因に対する耐久力(レジリエンス)も向上させるのだ」、よく出来た仕組みだ。分子生物学も謎の解明に役立ったようだ。
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ペット(その4)(「犬は飼い主に忠誠心をもつ」は間違い 研究で判明した「犬が本当に考えていること」、犬を飼うと、猫にはない「健康長寿」効果が! 目を合わせて遊ぶと「幸せホルモン」が3.5倍に…「介護」「心血管疾患死」リスクも低減) [生活]

ペットについては、昨年8月21日に取上げた。今日は、(その4)(「犬は飼い主に忠誠心をもつ」は間違い 研究で判明した「犬が本当に考えていること」、犬を飼うと、猫にはない「健康長寿」効果が! 目を合わせて遊ぶと「幸せホルモン」が3.5倍に…「介護」「心血管疾患死」リスクも低減)である。

先ずは、昨年11月26日付けNewsweek日本版がPRESIDENT Onlineから転載したドッグトレーナー・スタディ・ドッグ・スクール代表の鹿野正顕氏による「「犬は飼い主に忠誠心をもつ」は間違い 研究で判明した「犬が本当に考えていること」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2022/11/post-100196_1.php
・『犬と接するときはどんなことに気を付けるべきか。ドッグトレーナーの鹿野正顕さんは「犬を擬人化してはいけない。あくまで動物であり、常に本能で動いている。人間側の一方的な思いや価値観で犬と接してはいけない」という――。※本稿は、鹿野正顕『犬にウケる飼い方』(ワニブックスPLUS新書)の一部を再編集したものです』、「あくまで動物であり、常に本能で動いている。人間側の一方的な思いや価値観で犬と接してはいけない」、冷静な見方で、興味深そうだ。
・『犬は本能を理性でコントロールできない  犬という動物を知るうえで、大前提として知っておきたいのは、五感の感覚が人間とはまったく違うこと。そして脳の働きも人間とはまるで違うということです。 これは当たり前のことなのですが、ともすれば、犬と家族同様に暮らしていくうちに、犬も人と同じようにものを見たり聞いたりし、人と同じような感情を持つように思い込んでしまう方もいます。 同じ空間で生活していても、犬は人間とは違う世界で生きています。 まず感覚受容器の構造が違うため、人と同じ環境にいても、目、耳、鼻から受け取る情報が人間とはまったく異なっているのです。 感覚受容器は、外部からの刺激を脳に伝えて行動を促す役割があります。 動物の行動には、それを促す何らかの刺激が必ず存在し、五感が敏感であるほど刺激を受けやすいということになります。 その行動を司(つかさど)るのが脳ですが、人の脳と、犬などの哺乳類の脳では大脳皮質(大脳の表面部分)のとくに前頭葉の働きが大きく違います。 前頭葉には、「思考・判断・情動のコントロール・行動の指令」という大事な役割がありますが、犬の前頭葉の働きは鈍く、簡単に言うと「犬は人のように本能を理性でコントロールすることが難しい」のです。 犬は哺乳動物のなかでも「頭がいい・かしこい動物」とされていますが、大脳皮質のうち前頭葉の占める割合は、人は30%、犬は7%、ネコは3%となっています。つまり、犬は人間のように何か考えに基づいて行動したり、意図的に行動をコントロールすることはほとんどできないのです』、「大脳皮質のうち前頭葉の占める割合は、人は30%、犬は7%、ネコは3%」、「犬の前頭葉の働きは鈍く、簡単に言うと「犬は人のように本能を理性でコントロールすることが難しい」のです」、やむを得ないことだ。
・『人にいやがらせをすることはない  そうした脳の働きをふまえて、犬の行動や認知能力を見ていくと、次のような特徴があることがわかってきます。 ●感情をコントロールすることが苦手(犬は、高ぶった気持ちを自分で落ち着かせたり、がまんするなど、情動・感情のコントロールが苦手です)』、数年前まで飼っていた秋田犬とサモエドのミックスの大型犬は、ドライブが大好きで、気配を察すると庭中を狂ったように走り回り、なだめるのに苦労した記憶がある。
・『●善悪の判断はしないし、人社会のルールも理解できない(人間のモラルや道徳観とは無縁なので、自分の行為の善悪の判断をしません。基本、人の都合にはおかまいなしです。人社会のルールをそのまま押し付けようとしても、守るべき理由を理解できません。 ●先のことを予測して考えることができない(これをやったらどうなるか、という先のことを考えることができません。たとえば、子ども用のぬいぐるみの腕を噛んで振り回したら、腕が取れてボロボロになる......といった行動の先の結果を予測することはしないし、できないのです。) ●短期記憶は10秒程度で消えることも(記憶には短期記憶と長期記憶がありますが、犬の短期記憶は30秒〜120秒程度とされ、10秒程度で消えてしまうこともあります。さっきやったばかりのこともすぐ忘れて、また同じことをやるということが起こります。 ●人にいやがらせをすることはない(飼い主に対してわざといやがらせをすることはありません。相手を困らせて喜ぶという発想も想像力も持たないし、犬にそういう概念はないのです。 人がいやがることかどうかの判断もできません。してほしくないところへ排泄するケースも、犬に「おしっこやうんちは汚い」という衛生観念はないので、「これで人を困らせてやれ」と意図することはあり得ないのです。したがって、叱られた腹いせでわざとおしっこをするようなことはありません』、「人にいやがらせをすることはない」のは確かだ。そんな犬がいたら気持ち悪い。
・『叱られても反省することはない  ●ほめことば/叱りことばだけかけても理解しない(「いい子だね」とか「いけない・ダメ」ということばだけを聞いて、自分はほめられたとか叱られたとかは理解できません。ことばだけではなく、ことばプラスいい結果(ごほうびがもらえる)、または悪い結果(リードを強く引かれるなど)と結び付くことで、自分の行為が肯定されたのか否定されたのかを覚えていきます。 ●叱られても反省はしません(「うちのワンちゃんは叱るとシュンとなって反省のポーズをします」という飼い主さんがいますが、犬は叱られても反省はしません。 なぜ悪いことなのかを理解しないし、やったことを後悔もしません。叱られておとなしくなるのは、飼い主さんが怖くて萎縮しているだけなのです。これはいくつかの実験でも明らかにされています。 叱られると目をそらしたりするのは、犬の目をじっと見て強い調子でしゃべる飼い主にケンカや闘いの前ぶれを感じ、目をそらすことで「自分は闘いモードではありません」という意志を示しているのです。 うなだれたり、体を縮めて"反省のポーズ"をしているように見えても、飼い主のふだんと違う態度に怯えて、「早くこの恐怖から抜け出したい、早くこのつらい時間が終わればいい」と思っているだけのことがほとんどです』、「叱られておとなしくなるのは、飼い主さんが怖くて萎縮しているだけなのです」、その通りだ。
・『食事の回数は適量を複数回に  これは摂食行動の話になりますが、犬を初めて飼ったとき、食べ物をいくらでも欲しがることに驚いた人もいるのではないでしょうか。 犬は食べ物をほとんど一気食いしてしまい、出されたものはいくらでも食べてしまう傾向があります。 これは犬が特別"食い意地が張っている"というわけではありません。犬は、人や他の動物ほど脳の満腹中枢が機能していないため、「満腹感を感じにくい」という特徴があるのです。そして一度にたくさん食べるよりも、食べる回数が増えるほうが犬はよろこぶのです。 そのため、しつけやトレーニングの際のごほうび(トリーツ)として、好きな食べ物を何度でも与えることが有効な方法になってきます。 ところが、しつけ教室などでたまにいらっしゃるのは、「食べ物で釣るなんて、浅ましくていやだ」という飼い主さんです。ごほうびに「おやつ」をあげてトレーニングすることを頑なに拒否する飼い主さんもいます。 それは「人間の物差し」でしか考えられない方なのです。) しょっちゅう食べてばかりいるとか、もらうだけ食べるのが"浅ましい"とか"意地汚い"と感じるのは人間だけです。動物にとって食べ物を見つければ口にするのは別に浅ましいことではないし、食べたばかりでも、もらったらまた食べるのは犬の本能なのです。 満腹中枢がほとんど機能していないということは、脳が「もう十分だ」という指令を出さないということ。だから犬は「もうけっこう」なんて遠慮はしないし、あげたらあげるだけ食べるのが普通なのです。 野生ではいつ食べ物にありつけるかわからないので、いまある食べ物を一気に丸呑みし、大量にお腹にため込もうとしていました。その名残で、犬はごはんをあげるとほとんど噛まずに呑み込むようにして食べます。 猫はごはんを少し残したり、数度に分けて食べることが多いのですが、犬は出されたものを一気に食べてしまいます。そのため、留守番させるときなど、器に食べ物を出しておくと一度で全部食べてしまうので、自動給餌(きゅうじ)器を利用したり、遊びながら食べ物が得られるおもちゃ(コングなど)を与えるなどの工夫が必要になります』、「「食べ物で釣るなんて、浅ましくていやだ」という飼い主さんです。ごほうびに「おやつ」をあげてトレーニングすることを頑なに拒否する飼い主さんもいます。 それは「人間の物差し」でしか考えられない方なのです」、私も当初はそう考えたが、途中で考え違いに気づいた。
・『動物を飼うことには向いていない人の特徴  ここまで述べたように、人間と犬は感覚や脳の働きが大きく異なります。 そこを理解せずに、犬をまるで同居人のように擬人化して、人の感覚や「人間の物差し」で行動を判断してしまうと、さまざまな誤解や人の勝手な思い込みを生んでしまいます。 大事なのは、人間側の一方的な思いや価値観だけで犬の行動を見ないことです。 こうしてほしいのに、なぜできないの? 何度も教えているのに、なぜ覚えないの? 犬と暮らしていれば、そのような不満が生じるのは当たり前なのです。 人間側の都合ばかり押し付けたい人は、はっきり言って動物を飼うことには向いていません。 犬はあくまで動物で、人と同じような考え方や行動はしません。 人間の価値観や常識(=人間の物差し)で犬の行動を見てしまうのもやはり間違っています。 あらためてその点を認識し、犬の特性を尊重する姿勢を持てば、しつけやトレーニングをする際にもよけいな悩みが減ってくると思います』、「犬はあくまで動物で、人と同じような考え方や行動はしません。 人間の価値観や常識・・・で犬の行動を見てしまうのもやはり間違っています」、その通りだ。
・『「犬は主人に対して忠誠心を持つ」は幻想  昔から犬は主人思いの動物とされて、「犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ」などと言われてきました。 しかし、ここにも人間の勝手な思い込みが入っている気がします。 ただ飼えばいいわけではなく、飼い主が本能的欲求を満たしてくれる(十分な食事、安心な寝床、一緒に遊んでスキンシップをしてくれるなど)ことがなければ恩は感じてくれません。 「動物なのだから、食べ物をあげていれば懐いて恩を感じるだろう」と思うかもしれませんが、それだけなら、よそでもっとたくさんごはんをくれる人を見つければ、そっちへ行ってしまいます。 同様に「犬は主人に対して忠誠心を持つ」というのも、ほとんどの場合、人間の思い込みです。これも親和性の高い飼い方をしない限り、ただの幻想と言っていいでしょう。 幸せホルモン(オキシトシン)に満たされるような、安心と幸せを感じる関係にあれば、親愛の情や絆を感じさせる行為がみられることはあります。 実際、「飼い主に危険が及ぶのを察知して知らせてくれた」とか、「か弱い子どもを懸命に守ろうとした」といった感動的なエピソードには事欠きません。 それを忠誠心と呼ぶのは自由ですが、犬は犬社会でも、仲間に危険を警告したり、犬同士で助け合う行動は普通にみられます。それを飼い主に対しても行っているだけだ、というドライな見方もできるのです。) 群れで生活する動物には、危機に瀕(ひん)している仲間を助けようという行為は珍しくありません。社会性のある動物は、群れを維持していかないと自分の生存も危ぶまれるからです。 たとえばゾウの集団では、子ゾウを協力して助けたり守ったりしますが、それは群れ・集団の維持のために仲間を守る行為なのです。 そうした行動は、ときに自己犠牲をともなう"利他的"な、見返りを求めない無償の行為に見えることもあります。しかしそこには「自分の生存にも関わる」という動物の本能がはたらいているはずなのです』、「犬は犬社会でも、仲間に危険を警告したり、犬同士で助け合う行動は普通にみられます。それを飼い主に対しても行っているだけだ、というドライな見方もできるのです」、なんだかつまらない。
・『忠犬ハチ公の真実  犬は人間が好きですが、"欲求の期待に応えてくれる存在"が好きなので、人に飼われても、不満やストレスばかり抱えるようだと何年飼っても恩義や忠誠心のようなものは抱きません。 ちなみに、有名な「忠犬ハチ公」の話がありますが、ハチは飼い主だった大学の先生を、亡くなった後もずっと駅で待ち続けていたわけではなく、好物の焼き鳥をくれる人を待っていたのが真実だそうです(諸説あり)。ハチの剝製は東京の国立科学博物館に現存していますが、解剖した際にハチの胃袋からは焼き鳥の串がいくつも出てきたそうです。(鹿野氏の略歴はリンク先参照)』、「ハチは飼い主だった大学の先生を、亡くなった後もずっと駅で待ち続けていたわけではなく、好物の焼き鳥をくれる人を待っていたのが真実だそうです」、「焼き鳥をくれる人」は「ハチ」が「主人」を「待ち続け」ていたからこそ、感心して「焼き鳥をあげた」と考えれば、もとの美談になるともいえる。

次に、本年1月8日付けデイリー新潮「犬を飼うと、猫にはない「健康長寿」効果が! 目を合わせて遊ぶと「幸せホルモン」が3.5倍に…「介護」「心血管疾患死」リスクも低減」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/01081057/?all=1
・『ありとあらゆる健康情報が溢れる人生100年時代。体にいい食材は何か、どんな運動が効果的か、何時間眠ればいいのか、すなわち“長生き術”の正解はどこにあるのか。答えは意外なところにあるようで……。健康長寿の新常識、科学に基づいた「犬」の効用。 人生100年時代とは、果たしてどんな時代なのだろうか。 男性81.47歳、女性87.57歳。日本人の「平均寿命」は着実に延びている。一方、男性72.68歳、女性75.38歳。日常生活を自立的に過ごせる「健康寿命」は、平均寿命に比べると男性で8.79歳、女性だと12.19歳も短い。つまり私たちは、10年前後は介護などのお世話になりながら“生き続けなければならない”時代にいるのだ。 畢竟(ひっきょう)、どうせ長生きするのなら、できるだけ健康寿命を延ばして、ぎりぎりまで自立した生活を送りたいと願うのが我ら衆生の性(さが)である。 そして世には「健康法」が溢れることとなる。いろいろな方法を試してはいるけれど、やや食傷気味……。そんな方に向け、ちょっと“毛色の変わった健康情報”を紹介することにしよう』、“毛色の変わった健康情報”とは興味深そうだ。
・『“幸せ感の共鳴”  「人間は家族を最小単位とし、仲間や知り合いなどとコミュニティーを築き、その中で生きていく生き物です。しかし、核家族化や未婚化が進み、また伴侶に先立たれた『おひとりさま』が増えるなど、現代は個々人の分断が進んでいます。そんな時代だからこそ、人間の心身における健康にとって、犬の存在の重要度は増していると感じます」 こう語るのは、麻布大学獣医学部の茂木一孝教授(伴侶動物学)だ。 「一般に、ペットを飼うと癒やしの効果があるといわれていますが、こと犬に関して言えば、そうした曖昧なイメージにとどまらない“何か”があるのではないか。人間は単に“アイコン”や“ファッション”として犬を飼っているわけではない。人間と犬の共生の長い歴史には科学的なバックグラウンドがあるに違いない。そう考えて実験を行ったところ、実際に人間と犬の“幸せ感の共鳴”とでもいうべき現象が起きていることが分かったのです」』、「人間と犬の“幸せ感の共鳴”」とはどういうことだろう。
・『「愛情ホルモン」が3.5倍に  その実験結果は米国の科学誌「サイエンス」に掲載された。 具体的には飼い主と犬が会議室で30分間交流した後に、両者がよく見つめ合ったグループと、そうでもなかったグループの、交流前後の尿中の「オキシトシン」というホルモンの濃度を比較。すると、前者の飼い主は3.5倍に上昇したものの、後者では変化は見られなかった。 オキシトシンは別名「愛情ホルモン」、あるいは「絆形成ホルモン」とも呼ばれる。すなわち、犬と戯れることによって、飼い主に安心や信頼がもたらされ、「心の健康度」が上がったと考えられるのだ』、「飼い主と犬が」「よく見つめ合ったグループ」では、「尿中の「オキシトシン」」の「濃度」が「3.5倍に上昇した」、「犬と戯れることによって、飼い主に安心や信頼がもたらされ、「心の健康度」が上がったと考えられる」、すごい効果だ。
・『犬にできて猫にできないこと  「遺伝子的に犬に近いオオカミに関しても同様の実験を行いました。ちなみに、ごく小さい時から人の周りにおくことで、オオカミでもどうにか飼いならすことができます。さて、オオカミに関する実験結果はというと、犬の場合と違ってオキシトシン濃度に変化はなく、そもそもオオカミは飼い主とじゃれはしても、顔を見つめることはありませんでした。このことから分かるように、普段身近な存在であるため気が付きにくいのですが、犬は極めて特殊な動物なのです」(同) それは、犬と同じく私たちの身近にいる猫と比べても指摘できることだという。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2017年から猫の飼育数が犬を逆転し、犬は“劣勢”に立たされているという。しかし、 「ペットが、人間が指さした方向にしっかりと反応できるのは当たり前というイメージがあるかもしれません。ところが、実は同じペットでも、犬にはできても基本的に猫を含めた他の動物にこれはできません」(同) なるほど、犬は「単なる一ペット」ではなさそうだ』、「ペットが、人間が指さした方向にしっかりと反応できるのは当たり前というイメージがあるかもしれません。ところが、実は同じペットでも、犬にはできても基本的に猫を含めた他の動物にこれはできません」、犬だけ別格のようだ。
・『困ると人の顔を見る  さらに、他にもこんな実験報告があると茂木教授が紹介する。 「中にエサが入った箱を鼻でつつくと、箱が開いてエサが食べられるようにしておき、その後、鼻でつついても開かないように人間が細工をする。普通の動物は、細工を施(ほどこ)した後も、開くものだと信じ込んで壊れるくらいに延々と箱を足でひっかき回し続けたりするだけなのですが、犬は途中まで開けようと頑張ってダメだと分かると、まるで助けを求めるように近くにいる人間の顔を見る。これも犬にしかできない反応です」 このように、異種であるにもかかわらず「eye to eye」のコミュニケーションが取れる特別な関係の人間と犬。ゆえに、最古の家畜として、両者は“共生”することができてきたのだ』、「異種であるにもかかわらず「eye to eye」のコミュニケーションが取れる特別な関係の人間と犬。ゆえに、最古の家畜として、両者は“共生”することができてきたのだ」、猫や馬とは「「eye to eye」のコミュニケーションが取れ」ないとは初めて知った。
・『「犬」と「犬以外」を飼う意味は異なる  「そもそも、犬に触ることはできますが、猫は嫌がる場合が多い。したがって、犬を飼うのと猫を飼うのとでは、その意味は大きく異なると思います」 と、茂木教授が続ける。 「犬の場合、eyeコミュニケーションやボディーコミュニケーションができるパートナーとして飼う面が強く、猫を飼う行為は観賞目的の意味合いが強い。猫の場合は、動物園の動物を見て楽しむのに近いのではないでしょうか。その意味においては猫に限らず、『犬』と『犬以外』の動物を飼うことの意味は大きく異なるといえます。こうした特別な関係の人間と犬が接することで分泌されるオキシトシンには、リラックス効果や痛みの閾値(いきち)を下げる効果もある。やはり、犬を飼うことは人間の心の健康に極めて有効だといえます」 科学的な裏付けを伴った犬による心の面での「癒やし効果」。だが、それだけではない。体の健康、とりわけ高齢者の健康寿命の延伸にも犬は大いに貢献してくれているのだ』、「人間と犬が接することで分泌されるオキシトシンには、リラックス効果や痛みの閾値(いきち)を下げる効果もある。やはり、犬を飼うことは人間の心の健康に極めて有効だといえます」、なるほど。
・『「自立喪失」リスクが半減  「65歳以上の約6200人を対象に追跡調査を行ったところ、身体機能が衰えるフレイル(虚弱)が発生するリスクが、犬を飼った経験がない人と比べると、飼育している人で2割低減されることが分かりました。他方、猫の場合はリスクは変わらず、フレイルに対する予防効果は見られませんでした」 こう解説するのは、国立環境研究所主任研究員の谷口優氏だ。この研究結果が科学誌に掲載されたのは2019年。そして22年、人と動物の関係を研究する谷口氏らは新たな研究成果を発表した。 「フレイルの関連要因である要介護状態や死亡への影響を調査しました。1万人以上の高齢者を対象に2年間の追跡調査を行った結果、犬の飼育による新たな効果が浮き彫りとなったのです」 具体的には、次のような結果が出た。 「要介護と死亡をあわせて『自立喪失』と呼びますが、猫の飼育状況と自立喪失との間に明確な関連性はみられませんでした。ところが、犬を飼っている人とそうでない人を比べた場合、後者の自立喪失リスクを『1』とすると、前者の自立喪失リスクは『0.54』で、およそ半減。犬を飼っていることで自立喪失リスクが大きく低減されることが分かったのです」(同)』、「犬を飼っていることで自立喪失リスクが大きく低減される」、凄い明確な効果だ。
・『犬の散歩の効能  猫にはない、犬による大きな健康長寿効果。死亡も含めたリスクが下がるというのだから、犬の飼育は「新たな健康長寿法」と言って差し支えなかろう。 「さらに今回の調査の特徴は、犬を飼っている人の中でも運動習慣があるか否かを調べたことです。その結果、犬を飼っていても運動習慣がない人の自立喪失リスクは0.85と大きな差はないものの、犬を飼っていて運動習慣がある人のリスクは0.44と大きく下がっていた。つまり犬の散歩などの運動が、健康長寿に貢献しているということです」(同) たかが犬の散歩、されど犬の散歩。恐るべし犬の散歩――。谷口氏らの研究結果を補強するように、海外でも次のような調査結果が存在する。 例えば、スウェーデンの調査では、ひとり暮らしで犬を飼っている人は、ペットを飼っていない人と比べて心血管疾患で死亡するリスクが36%も低減。家族がいる世帯でも15%下がることが判明した。 また、チェコの調査では、犬を飼っている人と、他のペットを飼っている人を比較した場合、犬を飼っている人のほうが身体活動や食事に関するスコアが最適である割合が高いことが分かっている』、「スウェーデンの調査では、ひとり暮らしで犬を飼っている人は、ペットを飼っていない人と比べて心血管疾患で死亡するリスクが36%も低減。家族がいる世帯でも15%下がることが判明」、なるほど。
・『犬によって人間らしくなれる  再び茂木教授が説明する。 「どんな高齢の人でも、犬を飼っていれば大抵は外に散歩に連れていくことになります。運動効果はもちろん、外の空気を吸うことでリラックスできますし、また、散歩に連れていくという習慣を半ば強制されることによって、結果的にそれが規則正しい生活にもつながる。日々のリズムが整えば、食生活も乱れないという好循環が生み出されるのだと思います」 そして、犬によって私たちは「人間らしさ」まで取り戻すことができるという。 「先ほど説明したように、人と犬は異種でありながら例外的に共鳴することができます。だからこそ、私たちは犬に話しかける。ひとりで散歩するよりも、犬に話しかけながら散歩するほうが人間らしいですよね」(同)』、「散歩に連れていくという習慣を半ば強制されることによって、結果的にそれが規則正しい生活にもつながる。日々のリズムが整えば、食生活も乱れないという好循環が生み出されるのだと思います」 そして、犬によって私たちは「人間らしさ」まで取り戻すことができるという」、その通りだ。
・『人と人のコミュニティーも広げてくれる  さらに見過ごせないのが、“コミュニケーションの潤滑油”としての犬の役割だ。 「最近、人間の世界ではプライバシー意識が一段と強まっています。我が子、我が孫に関してですら、他人に軽々に話すことははばかられる状況です。対して、さすがに“我が犬”について話すのに気を使う必要はありません。犬の存在が話の接ぎ穂となるわけです」(茂木教授) 互いに犬オーナーであればもちろんのこと、そうでなくても犬は力を発揮する。 「公園で見ず知らずの高齢者がすれ違っても、いきなり話しかけるのはかなりハードルが高い。しかし、そこでどちらかが犬を連れていれば、もう一方が犬を飼っていないとしても、その犬の存在をきっかけに話しかけやすくなりますよね。犬は、人と共鳴できる疑似家族のような例外的動物である上に、人と人とのコミュニティーまで広げてくれるわけです」(同)』、私がよく行く公園にも、犬中心のサークルがあり、私も会うことを楽しみにしている。
・『高齢者が安心して犬を飼える仕組みを  たしかにフレイルは、体力の低下とともに社会とのつながりの欠如によっても促進されてしまう。やはり、犬は「抗フレイル」に大きく貢献してくれるといえそうだ。しかし、課題がないわけではない。 谷口氏が指摘する。「近年、外出自粛に伴い自宅で過ごす時間が増加したことから動物飼育への関心が高まっています。一方で、終生飼養の観点から、高齢者の犬猫飼育には消極的な意見も少なくありません。動物飼育は健康長寿に大きな効果が期待できることから、高齢者が安心して動物を飼育し続けるための仕組みを官民が連携して構築することを期待しています」 茂木教授が後を受ける。 「高齢者が犬を飼うのは体力的に大変かもしれません。しかし、高齢者には高齢者に合った犬がいます。例えば高齢犬を飼えば、若い犬に比べて運動量は少ないのでゆったりとした散歩ができる。その人、その世代に合った犬は必ず存在します」 無論、ただ飼えばいいというわけではない。 「自分にもしものことが起きた場合に犬をどうするかはしっかりと考えておかなければいけませんが、犬を飼うことで生活に張りができるのは間違いありません。例えば、今、増えている高齢者のおひとりさまにとって、犬は健康長寿を支えてくれる格好の存在といえるでしょう。70歳、80歳になって妻や夫を失い、新たな伴侶を探すのはなかなか難しい。そうであれば、犬を飼うことで新たなパートナーとするほうが、現実的な『老後対策』といえるのではないでしょうか」(同)』、私は飼っていた大型犬が死んだ時に、新たに飼うことも考えたが、先に自分の方が死ぬと、あとペットをどうするのかが問題となるので、飼うのは断念した。
・『目が合うと、犬も幸せホルモンを分泌  偉大なる犬による健康長寿効果。だが、昨今は「愛玩動物批判」が高まり、ペットを飼うという行為そのものが問題視される傾向もあるが……。 「太古の昔から、番犬や猟犬として基本的に犬は人間とともにありました。野良犬といっても、もとをただせばほとんどは人間が飼っていた犬です」 として、茂木教授がこう締めくくる。 「つまり、犬は常に人間の近くにいた。犬も人間を必要としてきたのです。先に紹介したオキシトシンに関する実験がそれを証明しています。なぜなら、見つめ合った結果、オキシトシン濃度が上がったのは人間だけではありませんでした。犬も上がった。犬も幸せホルモンを分泌していたのです。すなわち、犬も人間の近くにいることで幸福感を得ている。ですから、私に言わせれば、犬を飼うことに対する愛玩動物批判は……ナンセンスですね」 (茂木氏の略歴はリンク先参照)』、一旦は断念した飼うことを、大型犬でなく、中型犬にすれば飼い易いかと迷ったが、やはり自分が先に死んだあとのことを考慮して、最終的に断念した。 
タグ:「大脳皮質のうち前頭葉の占める割合は、人は30%、犬は7%、ネコは3%」、「犬の前頭葉の働きは鈍く、簡単に言うと「犬は人のように本能を理性でコントロールすることが難しい」のです」、やむを得ないことだ。 「人にいやがらせをすることはない」のは確かだ。そんな犬がいたら気持ち悪い。 数年前まで飼っていた秋田犬とサモエドのミックスの大型犬は、ドライブが大好きで、気配を察すると庭中を狂ったように走り回り、なだめるのに苦労した記憶がある。 「あくまで動物であり、常に本能で動いている。人間側の一方的な思いや価値観で犬と接してはいけない」、冷静な見方で、興味深そうだ。 (その4)(「犬は飼い主に忠誠心をもつ」は間違い 研究で判明した「犬が本当に考えていること」、犬を飼うと、猫にはない「健康長寿」効果が! 目を合わせて遊ぶと「幸せホルモン」が3.5倍に…「介護」「心血管疾患死」リスクも低減) ペット 鹿野正顕『犬にウケる飼い方』(ワニブックスPLUS新書) 鹿野正顕氏による「「犬は飼い主に忠誠心をもつ」は間違い 研究で判明した「犬が本当に考えていること」」 PRESIDENT ONLINE Newsweek日本版 「叱られておとなしくなるのは、飼い主さんが怖くて萎縮しているだけなのです」、その通りだ。 「「食べ物で釣るなんて、浅ましくていやだ」という飼い主さんです。ごほうびに「おやつ」をあげてトレーニングすることを頑なに拒否する飼い主さんもいます。 それは「人間の物差し」でしか考えられない方なのです」、私も当初はそう考えたが、途中で考え違いに気づいた。 「犬はあくまで動物で、人と同じような考え方や行動はしません。 人間の価値観や常識・・・で犬の行動を見てしまうのもやはり間違っています」、その通りだ。 「犬は犬社会でも、仲間に危険を警告したり、犬同士で助け合う行動は普通にみられます。それを飼い主に対しても行っているだけだ、というドライな見方もできるのです」、なんだかつまらない。 「ハチは飼い主だった大学の先生を、亡くなった後もずっと駅で待ち続けていたわけではなく、好物の焼き鳥をくれる人を待っていたのが真実だそうです」、「焼き鳥をくれる人」は「ハチ」が「主人」を「待ち続け」ていたからこそ、感心して「焼き鳥をあげた」と考えれば、もとの美談になるともいえる。 デイリー新潮「犬を飼うと、猫にはない「健康長寿」効果が! 目を合わせて遊ぶと「幸せホルモン」が3.5倍に…「介護」「心血管疾患死」リスクも低減」 “毛色の変わった健康情報”とは興味深そうだ。 「人間と犬の“幸せ感の共鳴”」とはどういうことだろう。 「飼い主と犬が」「よく見つめ合ったグループ」では、「尿中の「オキシトシン」」の「濃度」が「3.5倍に上昇した」、「犬と戯れることによって、飼い主に安心や信頼がもたらされ、「心の健康度」が上がったと考えられる」、すごい効果だ。 「ペットが、人間が指さした方向にしっかりと反応できるのは当たり前というイメージがあるかもしれません。ところが、実は同じペットでも、犬にはできても基本的に猫を含めた他の動物にこれはできません」、犬だけ別格のようだ。 「異種であるにもかかわらず「eye to eye」のコミュニケーションが取れる特別な関係の人間と犬。ゆえに、最古の家畜として、両者は“共生”することができてきたのだ」、猫や馬とは「「eye to eye」のコミュニケーションが取れ」ないとは初めて知った。 「人間と犬が接することで分泌されるオキシトシンには、リラックス効果や痛みの閾値(いきち)を下げる効果もある。やはり、犬を飼うことは人間の心の健康に極めて有効だといえます」、なるほど。 「犬を飼っていることで自立喪失リスクが大きく低減される」、凄い明確な効果だ。 ・『犬の散歩の効能  猫にはない、犬による大きな健康長寿効果。死亡も含めたリスクが下がるというのだから、犬の飼育は「新たな健康長寿法」と言って差し支えなかろう。 「さらに今回の調査の特徴は、犬を飼っている人の中でも運動習慣があるか否かを調べたことです。その結果、犬を飼っていても運動習慣がない人の自立喪失リスクは0.85と大きな差はないものの、犬を飼っていて運動習慣がある人のリスクは0.44と大きく下がっていた。 「スウェーデンの調査では、ひとり暮らしで犬を飼っている人は、ペットを飼っていない人と比べて心血管疾患で死亡するリスクが36%も低減。家族がいる世帯でも15%下がることが判明」、なるほど。 「散歩に連れていくという習慣を半ば強制されることによって、結果的にそれが規則正しい生活にもつながる。日々のリズムが整えば、食生活も乱れないという好循環が生み出されるのだと思います」 そして、犬によって私たちは「人間らしさ」まで取り戻すことができるという」、その通りだ。 私がよく行く公園にも、犬中心のサークルがあり、私も会うことを楽しみにしている。 私は飼っていた大型犬が死んだ時に、新たに飼うことも考えたが、先に自分の方が死ぬと、あとペットをどうするのかが問題となるので、飼うのは断念した。 一旦は断念した飼うことを、大型犬でなく、中型犬にすれば飼い易いかと迷ったが、やはり自分が先に死んだあとのことを考慮して、最終的に断念した。
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健康(その26)(「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい3大原因 悩ましい「夜中のトイレ」 原因を徹底解説!、尿漏れ 頻尿 男のチョイ漏れ… 誰もが悩む尿トラブル 単なる老化現象ではない! 人には言いづらい尿の悩み、「断食」がなぜビジネスパーソンに人気?痩せるだけではない驚きの効果) [生活]

昨日に続いて、今日は、健康(その26)(「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい3大原因 悩ましい「夜中のトイレ」 原因を徹底解説!、尿漏れ 頻尿 男のチョイ漏れ… 誰もが悩む尿トラブル 単なる老化現象ではない! 人には言いづらい尿の悩み、「断食」がなぜビジネスパーソンに人気?痩せるだけではない驚きの効果)を取上げよう。

先ずは、12月30日付け日経ビジネスオンラインが掲載したライターの田村知子氏による「「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい3大原因 悩ましい「夜中のトイレ」 原因を徹底解説!」を取上げよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00283/091500149/
・『加齢とともにトイレが近くなってきた――そう実感している人は多いだろう。日本泌尿器科学会によると、夜間に1回以上トイレに起きる「夜間頻尿」の人は、40代以上で約4500万人。実は、国民病とされる高血圧患者よりも多いのだ。トイレのために睡眠が妨げられることで、日中の体調不良に悩む人も多い。そこで新刊書籍『尿もれ、頻尿、前立腺の本』(日経BP)の内容を基に、夜間頻尿の解決策を探っていこう』、私の「夜間頻尿」は、4~5回と酷い状態が数年続いている。ただ、トイレに行ったらすぐ寝つけるのが救いだ。
・50歳を過ぎると約6割の人が「夜中に1回以上」トイレに起きている  「夜、寝ているときにトイレに行きたくなって目覚めてしまう」「1度トイレに起きると、その後なかなか寝つけない」「就寝中に何度もトイレに起きてしまうので、熟睡できない」など、「夜中のトイレ」に関する悩みは、多くの読者にとって身近な問題ではないだろうか。 夜、寝ている間に1回以上、排尿のために起きる症状を「夜間頻尿」と呼ぶ。わが国で行われた代表的な研究(*1)によると、40代では男女ともに約4割の人に夜間頻尿があり、50代では約6割、60代では約8割、70代以上になると約9割と、年齢を重ねるごとにその割合は増えてくる。 夜中のトイレが2回以上になる夜間頻尿に限っても、60代の男性で約4割/女性で約3割、70代の男性で約6割/女性で約5割、80歳以上の男性では約8割/女性では約7割という多さだ(図1)。 *1 本間之夫ほか. 排尿に関する疫学的研究.日本排尿機能学会誌. 2003;14:266-277. (図1 夜間頻尿の頻度 はリンク先参照)』、「夜中のトイレが2回以上になる夜間頻尿」が「70代の男性で約6割」ならやむえを得ないとあきらめる他ないようだ。
・『「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい大切なこと  50代の約6割、60代では約8割。これだけ多くの人に夜間頻尿が認められると、「夜中にトイレに起きるのは、ある程度の年齢になれば仕方がない」――。そんなふうに半ばあきらめてしまっている人もいるかもしれない。 夜間頻尿は確かに、加齢に伴う生理現象の1つといえる側面もある。しかし、桜十字病院泌尿器科医長(前・国立長寿医療研究センター副院長/同センター泌尿器外科部長)の吉田正貴さんは「夜間頻尿には加齢以外にもさまざまな原因が複雑に絡み合っていることが多く、原因が1つということはまずありません」と話す。「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に、原因を探り、適切な対策を取ることで、改善する可能性は十分にあるのだ。 近年、夜間頻尿に関する知見が蓄積され、夜間頻尿の症状に効果的な新しい薬が登場したことで、2020年に「夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]」(日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会)が発行された。2009年の初版発行から11年ぶりの改訂だ。吉田さんは、この最新の診療ガイドラインの作成委員長を務めた。 ガイドラインの改訂に当たっては、泌尿器科の専門医だけでなく、一般の医師向けに診療の手順などを示した診療アルゴリズムが新たに作成されるなど、注目すべき点がいくつかある。その1つが、夜間頻尿の原因によっては、日常生活の中で実践できる具体的な行動療法(セルフケア)を重視している点だ。夜間頻尿に困っている人にとっては朗報といえるだろう(セルフケアについては第2回、第3回で詳しく紹介予定)。 こうした最新知見を上手に取り入れるためにも、まず知っておきたいのは、自分の夜間頻尿の原因だ。夜間頻尿の背景には、加齢だけでなく、前立腺肥大などの泌尿器系の病気や、不眠症など泌尿器以外の病気が影響している場合もある。自分の夜間頻尿の原因をどのように見分け、対策を取ればいいのか。吉田さんに詳しく解説していただくとともに、記事後半に掲載したセルフチェック表で、自分に当てはまる症状がないかを見ていこう』、私の場合は、「前立腺肥大」で通院していたが、状態が改善しないので、ついに医者から通院不要と言い渡された。
・『トイレに起きる回数よりも、「どれくらい困っているか」がポイント  前述したように、「夜間頻尿」は夜間の就寝中に1回以上、排尿のために起きなければいけない症状のことを言う。しかし実際には、夜中に1回トイレに起きるだけで治療を必要とするケースは少ないと、吉田さんは話す。 「最近は夜間頻尿という言葉が一般にも知られるようになり、『自分も夜中に1回はトイレに起きるから、何か問題があるのではないか』と心配して受診される人が増えました。そうした方には、それによって困っていることが特になければ、様子を見ましょうと伝えます。治療を考える目安は、トイレに起きる『回数』よりも、『どれくらい困っているか』に基づきます。『1回でもつらい』という人もいれば、『3回起きても特に問題はない』という人もいます。特にご本人が問題を感じていなければ、トイレに起きる回数が多くても、治療の対象にはなりません」(吉田さん) 就寝中に1回程度なら、まあ仕方ないと考える人も多いだろう。だがこれが2回、3回と回数が増えていき、寝不足になるなど困ることが出てくれば、何らかの対応が必要になってくる。シニア世代は特に、夜間にトイレに行くときに転倒して骨折し、寝たきりの状態につながるリスクもあると、吉田さんは指摘する。 「東北大学の研究チームの報告(*2)によれば、70歳以上の高齢者では、夜中のトイレが2回以上の人の死亡率は、1回以下の人に比べて約2倍高く、回数が増えるにつれて死亡率が高まることが分かっています」(吉田さん) シニア世代の夜間頻尿は転倒・骨折につながるリスクがある一方で、適切な対策を取れば改善する可能性が高い。また、夜間頻尿の原因によっては、セルフケアで症状が軽減する場合も多い。まずは夜間頻尿が起きている原因を考え、必要な対策を知っていこう』、「70歳以上の高齢者では、夜中のトイレが2回以上の人の死亡率は、1回以下の人に比べて約2倍高く、回数が増えるにつれて死亡率が高まる」、やはり気を付ける必要がありそうだ。
・『夜間頻尿の主な原因は「夜間多尿」「蓄尿障害」「睡眠障害」の3つ  夜間頻尿の原因は、主に3つに大別することができる。「夜間の尿の量が増える『夜間多尿』、膀胱にうまく尿がためられなくなる『蓄尿障害』、夜間によく眠れない『睡眠障害』。これらの3つの原因が重なり合って夜間頻尿を引き起こしていることが多いですね」(吉田さん) (図2 夜間頻尿の3大原因 はリンク先参照) 夜間頻尿の主な原因は、夜間多尿、蓄尿障害、睡眠障害の3つ。 これら3つの主要原因について、詳しく説明していこう』、興味深そうだ。
・『夜間多尿はホルモンの減少や水分の過剰摂取、運動不足などが影響  「夜間多尿」という言葉は耳慣れない人もいるだろう。「夜間頻尿」は夜間のトイレの頻度(回数)が基準となるが、夜間頻尿の原因の1つである「夜間多尿」は、「夜間に出る尿量が多い状態」を言う。具体的には、1日の総尿量の33%以上が就床中に出ている状態を夜間多尿と呼ぶ。つまり、本来なら昼間に出る分の尿が、夜に出てしまっているのだ。 夜間多尿は、シニア世代の夜間頻尿の原因の大部分を占めるという。なぜ、シニア世代で夜間の尿量が増えるのか。「1つには、抗利尿ホルモンと呼ばれるホルモンの減少が挙げられます。抗利尿ホルモンは通常、夜間に多く分泌されて、尿量を減らす役割を果たしています。ところがこのホルモンは、加齢とともに分泌量が少なくなるので、それに伴って、夜間に作られる尿の量が増えていくのです」(吉田さん) また、加齢や運動不足などによって下半身の筋肉が衰えたり、心臓や腎臓の機能が低下してきたりすることで血液を全身に送るポンプ機能が弱まり、血液の循環が悪くなることも、夜間の尿の量を増やす原因になる。 「血液の循環が悪くなると、下半身の血管から水分が漏れ出して、細胞の間質にたまって足がむくみます。水分がたまった状態のまま、夜になって睡眠のために横になると、重力の影響を受けなくなった水分が血管に戻ります。すると、増えた水分を減らすために尿が作られ、膀胱にたくさんたまるようになるので、尿意を感じトイレに起きやすくなります」(吉田さん)』、「加齢や運動不足などによって下半身の筋肉が衰えたり、心臓や腎臓の機能が低下してきたりすることで血液を全身に送るポンプ機能が弱まり、血液の循環が悪くなることも、夜間の尿の量を増やす原因に」、「加齢」要因ばかりはどうしようもない。
・『高血圧や糖尿病が原因で起こる夜間多尿も  このほかにも、高血圧や糖尿病といった生活習慣病や、その治療薬が夜間多尿を引き起こしていたり、脳梗塞や心筋梗塞の予防のために水分を必要以上に多く飲んでいることが夜間多尿につながっていることもある。 高血圧には、塩分をため込みやすいタイプとそうでないタイプがあり、日本人は前者が多い。私たちの体には、血液中の塩分(ナトリウム)の濃度を一定に保つ機能が備わっている。そのため、塩分を多くとった場合は、尿として体外に排出される。しかし、塩分をため込みやすいタイプの高血圧の人は、塩分を多くとると、昼間に作られる尿だけでは塩分を排出しきれない。すると、残った塩分を排出するために、夜間にも尿が作られることで、夜中にトイレに起きやすくなる。 糖尿病の場合は、血液中の糖が多くなるため、体は糖を尿として排出しようとする。すると、尿の量や回数が増えて脱水状態になりやすく、のどが渇いて水分を多く飲むことで、さらに尿の量が増えてしまう。 また、高血圧の治療によく使われる「カルシウム拮抗薬」という種類の薬や、糖尿病の「SGLT2阻害薬」という種類の薬も、夜間多尿を引き起こすことがある。 高血圧や糖尿病の持病があり、夜間頻尿・夜間多尿もある場合には、まずはかかりつけ医に相談してみるといいだろう』、私の場合は「高血圧や糖尿病」は幸い該当しない。
・『夜間多尿の原因  抗利尿ホルモンの減少(夜間に作られる尿の量が増えてしまう) 心臓のポンプ機能の低下(血液の循環が悪くなり、下半身にたまった水分(むくみ)が夜間に尿として出てくる) 高血圧や糖尿病、およびその治療薬の一部  水分のとりすぎ)』、私の場合はこれも該当しない。
・『前立腺肥大症や過活動膀胱の一症状として夜間頻尿が表れる  2つ目の「蓄尿障害」は、膀胱にうまく尿がためられなくなる現象のこと。「蓄尿障害」も、加齢によって誰にでも起こり得る現象だ。腎臓で作られた尿は、膀胱にいったんためられる。加齢によって膀胱の筋肉が衰え、しなやかさが失われると、膀胱はあまり広がらなくなってしまう。その結果、ためられる尿の量が少なくなり、尿意を感じやすくなるのだ。 中高年男性に多い前立腺肥大症でも、蓄尿障害が起こる。「男性の場合は40~50代頃から前立腺が肥大してきて、尿が出にくい、尿の回数が多い、トイレに行く前に尿が漏れてしまうといった症状が出てきます。そうした症状の1つとして、夜間頻尿を訴える人がいます」(吉田さん) 夜間頻尿だけでなく、我慢できないほどの強い尿意を感じることがあったり、昼間のトイレも近かったりする場合は、過活動膀胱が原因になっている可能性もある。過活動膀胱は、膀胱や排尿に関する筋肉の衰えなどが原因で、少量の尿がたまった状態でも膀胱が過度に収縮して尿意を感じてしまう病気だ。男女ともに40代頃から起こってきて、加齢とともに増えてくる』、私は「前立腺肥大症」だ。
・『加齢や睡眠の病気で眠りが浅く、尿意で目覚めたと勘違いする  夜間頻尿の3つ目の原因が、「睡眠障害」だ。年齢を重ねてくると誰でも、睡眠はある程度、浅くなったり、短くなったりする。日中の活動量が減ったり、睡眠に関するホルモンの分泌量が低下したりするためだ。睡眠が浅いために夜中に目が覚めて、「尿意を感じて目が覚めた」と勘違いしているケースも見受けられるという。 加齢以外にも「睡眠障害」を起こす病気はあり、それらが原因で夜中に何度も目が覚め、トイレに行くことで結果として「夜間頻尿」になってしまうこともある。 「例えば、いびきをかきながら呼吸が一時的に止まってしまう『睡眠時無呼吸症候群』、脚にむずむずするような不快な感覚が生じる『むずむず脚症候群』、睡眠中に足の指や足首、膝などが勝手に動いてしまう『周期性四肢運動障害』といった病気は、夜間頻尿のリスク因子に挙げられます。これらの病気が夜間頻尿を引き起こしている場合には、その病気の治療をすることで、夜間の眠りが改善されて、夜間頻尿もよくなることがあります」(吉田さん)』、かつては『睡眠時無呼吸症候群』だったようだが、現在は自然に治っているようだ。
・『あなたの夜間頻尿はどのタイプ? 該当する項目をチェック!  夜間頻尿にはさまざまな原因があることがお分かりいただけただろうか。 ではここで、自身の夜間頻尿の原因を推測できるセルフチェックを行ってみよう。該当する項目が多いほど、その原因が夜間頻尿を引き起こしている可能性が高いと考えられる。ただし、これはあくまで原因を探るためのセルフチェックなので、夜間頻尿で仕事や生活に支障があったり、夜間頻尿以外に排尿時の痛みや不快感がある、血尿が出るといった症状があれば、まず泌尿器科を受診してほしい。 ○「夜間多尿」が原因の場合に見られることが多い症状(昼間の1回分の尿の量と、夜間の1回分の尿の量を比べてみて、昼間と同じくらいの量かそれ以上の量が出ている 夕方になると足のすねやふくらはぎがむくむ。夜間に2~3回以上トイレに行くと、朝はむくみがほとんどとれている 1日に1.5リットル以上の水分をとっている(食事に含まれる水分は除く) ○「蓄尿障害」が原因の場合に見られることが多い症状(前立腺肥大症や過活動膀胱と診断されている 男性で「尿の出が悪い」「残尿感がある」「昼夜を問わずよくトイレに行きたくなる」「尿を漏らすことがある」といった尿トラブルがある 男女ともに「突然、我慢できないほどの強い尿意が起こる」ことが週1回以上ある ○「睡眠障害」が原因の場合に見られることが多い症状(「就寝中にいびきをかいて、呼吸が一時的に止まることがある」「夕方以降に脚にむずむずするような不快な感覚がある」「睡眠中に足の指や足首、膝などが勝手に動く」のいずれかの症状がある  眠ってから3時間以内にトイレに起きる  夜、トイレに起きたあと、1時間以上眠れない (監修:吉田正貴氏)) さて、どの原因の項目に多くチェックが入っただろうか。先述した通り、夜間頻尿は複数の要因が絡み合っていることが多く、いずれも複数のチェックが入った人も多いかもしれない。その場合は、それぞれの原因に対処していく必要がある。その際は、夜間多尿と、それ以外の原因に分けて考えることが大切になる。 「夜間多尿が原因の場合は、生活習慣を見直すセルフケアで、症状の改善が期待できます。蓄尿障害や睡眠障害、それ以外の病気の影響がある場合などは、その病気の治療に加えて、夜間頻尿の症状を軽減する食事や水分のとり方をすると効果的です」(吉田さん) 次回、第2回(困った夜間頻尿 解決のカギは「夕方の足のむくみ」解消!)は「夜間多尿」にフォーカスして、夜間の尿量をより詳しく調べるための方法や、「夕方の足上げ」など、診療ガイドラインでも推奨されているセルフケアの方法を紹介する。そして、第3回(夜間頻尿を減らす「薬」「睡眠」「水分・塩分」のポイント)では、夜間頻尿を引き起こすさまざまな病気や治療の影響のほか、夜間頻尿全般に効果的な食習慣について解説していく』、「第2回(困った夜間頻尿 解決のカギは「夕方の足のむくみ」解消!)は「夜間多尿」にフォーカスして、夜間の尿量をより詳しく調べるための方法や、「夕方の足上げ」など、診療ガイドラインでも推奨されているセルフケアの方法を紹介する」、「第3回(夜間頻尿を減らす「薬」「睡眠」「水分・塩分」のポイント)では、夜間頻尿を引き起こすさまざまな病気や治療の影響のほか、夜間頻尿全般に効果的な食習慣について解説」、いずれも興味深そうだ。

次に、12月30日付け日経ビジネスオンライン「尿漏れ、頻尿、男のチョイ漏れ… 誰もが悩む尿トラブル 単なる老化現象ではない! 人には言いづらい尿の悩み」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00283/090800146/
・『しょっちゅうトイレに行きたくなる、ふとしたはずみに漏らしてしまう、夜中にトイレのために起きる…。そんな尿の悩みを、実に多くの中高年が抱えています。尿の悩みは人に相談しづらく、「ある程度の年齢になれば仕方のない」と諦めている人も少なくないでしょう。そこで、新刊書籍『尿もれ、頻尿、前立腺の本』(日経BP)の内容を基にその解決策を探っていきましょう。今回は、特に悩んでいる人が多い「頻尿」「尿漏れ」について、日本大学医学部泌尿器科学系主任教授の高橋悟さんによる解説を紹介します』、興味深そうだ。
・『尿の悩みを「単なる老化現象」で片づけてはいけない  「頻繁にトイレに行きたくなる」「急に尿意を感じて、トイレに駆け込む」「ふとしたはずみに尿が漏れてしまう」「排尿後に尿がジワッと漏れてズボンにシミができることがある」「夜中にトイレのために目が覚めてしまう」 中高年になると、こうした「頻尿」や「尿漏れ」などの尿トラブルを経験する人が増えてきます。日本排尿機能学会が2002年に40歳以上の日本人を対象に実施した調査では、日中に8回以上トイレに行く人は2人に1人、夜中に1回以上トイレに行く人は3人に2人という結果になっています(*1)。 尿にまつわる不調やトラブルはそれほど身近である一方、人にはなかなか相談しづらく、受診もためらいがちです。「ある程度の年齢になれば仕方のないこと」とあきらめてしまっている人も少なくありません。 しかし、頻尿や尿漏れは加齢が原因の一つとなってはいるものの、単なる老化現象ではありません。頻尿や尿漏れはれっきとした病気であり、症状に合わせたセルフケアや治療を行うことで改善が期待できます。 頻尿や尿漏れを放置していると、徐々に悪化していきます。尿トラブルが気になって仕事に集中できなくなったり、外出を控えるようになったりと、QOL(Quality of Life:生活の質)の低下にもつながります。また、尿トラブルの中には、膀胱(ぼうこう)がんや前立腺がんなど、命に関わるような別の病気が隠れていることもあります。頻尿や尿漏れで悩んだり困ったりしているなら、怖い病気を見つけるためにも早めに対処することが重要です。 頻尿・尿漏れといってもさまざまなタイプがあるので、まずはその種類や特徴を知っておきましょう』、興味深そうだ。
・『尿トラブルの中でも特に多い「頻尿」  頻繁にトイレに行きたくなる「頻尿」や、ふとしたはずみに尿が漏れてしまう「尿漏れ(尿失禁)」は、いずれも膀胱に尿がうまくためられなくなることで起こることから、「蓄尿症状」と呼ばれます。 頻尿と尿漏れはそれぞれ別の病態ですが、同じ蓄尿症状であることからも密接な関わりがあり、原因が絡み合っていることが多いものです。実際、尿漏れがある人の多くに、頻尿も見られます。そのため、対策の中には共通するものもあります。 頻尿は、朝起きてから就寝までの排尿が8回以上、夜間の就寝後の排尿が1回以上と定義されています。先ほども紹介した日本排尿機能学会の調査によると、40代以上で昼間頻尿がある人は約3300万人、夜間頻尿がある人は約4500万人と推測されており、ほかの尿トラブルと比べても特に多いことが分かります』、私の場合、「夜間頻尿」だけでなく、「昼間頻尿」もある。
・『「頻尿」は男女とも多いトラブル  40歳以上の男女を対象にした日本排尿機能学会の調査の結果。昼間頻尿は日中に8回以上、夜間頻尿は夜中に1回以上、トイレに行く場合。そのほかの症状は週1回以上。(出典:日本排尿機能学会誌. 2003;14(2):266-277. を基に作成) ただ、排尿の回数には個人差があり、昼間に8回以上、夜間に1回以上トイレに行くことがあっても、本人が困ったり悩んだりしていなければ、基本的には心配は要りません。もちろん、困っていなければ病院に行く必要もないでしょう。 しかし実際には、昼間に10回以上、夜間に2回以上の排尿があると、日常生活に何らかの影響が出てくることが多いようです。一方、1日の排尿回数が8回以下でも、本人が困っていれば頻尿と考えます。 夜間頻尿は40代で約4割、50代で約6割、60代で約8割、70代以上で約9割と、加齢とともに増えていきます。還暦を迎えた私自身も、週に1~2回は夜中にトイレに起きるようになりました。とはいえ、夜間頻尿の原因は加齢だけではありません。 夜間頻尿の主な原因は3つあります。1つめは夜間の尿の量が増える「夜間多尿」、2つめは膀胱に尿がうまくためられなくなる「蓄尿障害」、3つめは眠りが浅いなどの「睡眠障害」です。頻尿が夜間だけの場合は、夜間多尿や睡眠障害が原因となっていることが多く、蓄尿症状としての頻尿とは性質が異なります(参考記事「『夜間頻尿は年のせい』とあきらめる前に知っておきたい3大原因」)。 夜間頻尿だけでなく昼間の頻尿もある場合は、男女ともに「過活動膀胱」の影響も考えられます。日本排尿機能学会の調査から推測すると、過活動膀胱の人は現在では1000万人以上いると見られます。過活動膀胱は膀胱に尿を十分にためられなくなる病気で、そのために急に強い尿意を感じたり(尿意切迫感)、トイレまで我慢できずに尿が漏れてしまったり(切迫性尿失禁)、頻尿の症状が出たりします。 男性の場合は40~50代になってくると前立腺が肥大してきますが、この前立腺肥大症により尿道が圧迫されて尿が出にくくなることで、頻尿や尿漏れなどの尿トラブルが起こってきます。前立腺肥大症の約半数の人は、過活動膀胱を合併しているといわれています。 頻尿の原因にはそのほか、膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染で膀胱の知覚神経が刺激される場合や、膀胱や尿道には問題がないのに、緊張や不安などから頻繁にトイレに行ってしまう心因性の場合があります』、私の場合、「前立腺肥大症の約半数の人は、過活動膀胱を合併しているといわれています」、多分、「過活動膀胱を合併」しているのだろう。
・『「尿漏れ」は女性に多く、男性特有の「チョイ漏れ」も  尿失禁(いわゆる「尿漏れ」)は、自分の意志とは関係なく、尿が漏れてしまう状態です。尿失禁で最も多いのは「機能性尿失禁」と呼ばれるもので、排尿の機能には問題がなく、脳の認知機能や身体の運動機能の問題によって起こります。機能性尿失禁は認知症や日常生活動作(Activities of Daily Living = ADL)の低下などで介護が必要な人に見られることがほとんどです。 一方、一般の人の尿漏れは、4つのタイプに分けられます。 尿漏れの4つのタイプ(○腹圧性尿失禁 … おなかに力が入ったときに、不意に起こる尿漏れ ○切迫性尿失禁 … 尿意が我慢できずに漏らしてしまう状態 ○混合性尿失禁 … 腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方がある状態 ○溢流(いつりゅう)性尿失禁 … 排尿障害によって、尿意とは関係なく、尿があふれ出てくる) 「腹圧性尿失禁」は、せきやくしゃみをしたり、笑ったり、重いものを持ち上げたりしておなかに力が入ったときに、不意に起こる尿漏れです。「切迫性尿失禁」は、尿意を我慢できずに漏らしてしまう状態です。腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が合併している場合は、「混合性尿失禁」と呼ばれます。 女性に多い「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」 これら3つのタイプの尿漏れは、閉経後の50代以上の女性に多く見られます。尿漏れに悩む女性が10人いた場合、腹圧性尿失禁が5人、混合性尿失禁が3人、切迫性尿失禁が2人の割合になるといわれています。つまり、尿漏れに悩む女性の8割は、腹圧性尿失禁があることになります。 腹圧性尿失禁は、40歳以上で肥満気味の女性や、2回以上の出産(産道となる膣を経て出産する経膣分娩)の経験がある場合によく見られます。主な原因は、妊娠・出産、女性ホルモンの減少などにより、膀胱や尿道を支える骨盤底筋群が緩むことと、尿道を締める尿道括約筋の機能が低下することが挙げられます。男性で腹圧性尿失禁が起きるのは、前立腺がんの手術後など限定的です。 切迫性尿失禁は、先ほども少し触れましたが、過活動膀胱の症状の一つです。我慢できないほどの強い尿意切迫感があり、実際に尿を漏らしてしまうと、切迫性尿失禁になります。切迫性尿失禁は男女ともに加齢に従って増えてくる傾向がありますが、女性の方が尿道が短いため、女性に多く見られます。過活動膀胱の有病率に男女差はほとんどないものの、切迫性尿失禁がある割合は、女性の方が高いといわれています。 「溢流性尿失禁」は、一般にはあまりないタイプで、高度な排尿障害をともなうことが多い尿漏れです。「溢流」とは、あふれ出てくる状態を表します。排尿がしづらいために、膀胱に尿がたまって残尿が多くなり、膀胱の容量を超えた尿があふれてきます。 溢流性尿失禁では、尿意がよく分からない、残尿感がある、おなかに力を入れていきまないと尿が出ない、尿に勢いがないといった症状があります。男性の場合は前立腺肥大症、女性の場合は骨盤内にある膀胱や子宮、直腸が垂れ下がる骨盤臓器脱と呼ばれる状態などにより、尿道や膀胱の出口が詰まって膀胱に尿がたまることが原因で起こります。そのほか、骨盤内にある臓器の手術で膀胱の神経が傷ついたり、糖尿病で末梢(まっしょう)神経がまひしたりすることでも、溢流性尿失禁が起こることがあります。 このほかに、男性特有の「排尿後尿滴下」という尿漏れもあります。これはいわゆる“チョイ漏れ”と呼ばれるもので、尿を出し切ったつもりでも、そのあとすぐに、下着の中でジワッと尿が漏れてくる現象です。40代以上になると起こりやすくなってきます。 排尿後尿滴下は、厳密には排尿症状である尿失禁ではなく、「排尿後症状」に分類されます。ただ、排尿後尿滴下に悩む男性は非常に多いため、尿漏れの一種として考えて差し支えないでしょう。 このように、頻尿や尿漏れにはさまざまなタイプと特徴があることがお分かりいただけたと思います。次回は、頻尿や尿漏れの原因になる過活動膀胱や、尿漏れに関わる骨盤底筋群や尿道括約筋について詳しく解説していきます。また、男性と女性の尿トラブルの特徴についても、次回以降にご紹介します』、「男性特有の「排尿後尿滴下」という尿漏れ」は、夏など薄い色のズボンを穿いていたので、目立ってきまり悪い思いをした。

第三に、本年1月1日付けダイヤモンド・オンライン「「断食」がなぜビジネスパーソンに人気?痩せるだけではない驚きの効果」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/314001
・『近年、体調を整える手段として注目を集めつつある「断食」。食を断つという言葉からダイエットに効果があることは想像に難くないが、他にも多くのメリットがあるという。忙しい社会人でも生活に取り入れることは難しくないという断食の効果や具体的な方法について、イシハラクリニック副院長の石原新菜氏に話を聞いた』、興味深そうだ。
・『過食気味な現代人が断食で得られる効果  「食事は3食」。このような固定観念に、とらわれてはいないだろうか。時間のない現代人の食生活は、高カロリー・高タンパク・高脂肪なメニューになりがちで、血液や腸内環境の悪化や免疫力・代謝の低下といった体の不調につながってしまうことが多い。 イシハラクリニック副院長の石原新菜氏によると、食事という行為にかかる体の負担は、一般人が想像するよりもはるかに重いのだという。 「例えば、ステーキを食べるという行為一つとっても、体内では多くの器官が働いています。口内で小さく分解された肉は、胃の中で胃酸に含まれるタンパク分解酵素によってドロドロに溶けていきます。さらに十二指腸で、胆汁やすい液によって細かく消化され、ようやく小腸のひだで吸収されて血液中に運ばれるのです」 また、肉を食べると体内から排出すべきアンモニアも発生するため、消化吸収に加えて排出まで行うべく、体内の各器官がフル稼働する。 「断食を行うと、消化時に負担のかかる体内の器官を休めてメンテナンスする時間を確保できます。断食中は、血液内に残存した余分な糖や脂肪をエネルギーとして使っていくため、断食によって血糖値や中性脂肪、コレステロールの値の低下が期待できます」 さらに、断食によってデトックス効果も期待できるそうだ。 「デトックスとは、毒素や便・尿、汗といった体に必要のないものを排出すること。消化吸収に血液を稼働させる必要がなくなるため、その分排せつに関わる臓器の血流が良くなります。すると、体内にたまっていた不要なものを体の外に出して、スッキリときれいにしてくれるのです」』、「ステーキを食べるという行為一つとっても、体内では多くの器官が働いています。口内で小さく分解された肉は、胃の中で胃酸に含まれるタンパク分解酵素によってドロドロに溶けていきます。さらに十二指腸で、胆汁やすい液によって細かく消化され、ようやく小腸のひだで吸収されて血液中に運ばれるのです」 また、肉を食べると体内から排出すべきアンモニアも発生するため、消化吸収に加えて排出まで行うべく、体内の各器官がフル稼働する。 「断食を行うと、消化時に負担のかかる体内の器官を休めてメンテナンスする時間を確保できます。断食中は、血液内に残存した余分な糖や脂肪をエネルギーとして使っていくため、断食によって血糖値や中性脂肪、コレステロールの値の低下が期待できます」 さらに、断食によってデトックス効果も期待できる」、「断食」の効果が理解できた。
・『オートファジーや長寿遺伝子 最も効果的な断食の時間とは  2016年、「オートファジー」の働きを解明した大隅良典・東京工業大学栄誉教授のノーベル生理学・医学賞受賞は、断食に注目が集まる大きな契機となった。 「オートファジーは、血液中の栄養素が少なくなると細胞中のタンパク質を一度壊して再活用するという働きです。オートファジーによって全身の細胞で若返りが起こるため、認知症の予防やパーキンソン病といった神経変性疾患と呼ばれる病気に対して効果があるとされています」 オートファジーは、食事による栄養の補給を断つことで働く。また“長寿遺伝子”が活性化するには30~40%摂取カロリーの減少が必要だ、と石原氏は語る。 「2000年にマサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授が発見したサーチュイン遺伝子が、長寿遺伝子と呼ばれる遺伝子です。この遺伝子が活性化すると、老化を抑える効果が期待できるとされています」 断食には、細胞の若返りや長寿につながるなど多くのメリットがありそうだが、それでは、日常に断食を取り入れる場合、断食の時間はどのくらいの長さを目安とすれば良いのだろうか。 「男性のビジネスパーソンを想定すると、12時間以上空けられると良いでしょう。最も望ましいのは16時間近く空けることですが、仕事の付き合いなどで夜の食事を抜くのは難しいという人も多いと思います。そういう人には朝食を野菜ジュースなどに置き換えることを薦めています」 例えば、夜8時に食事を取り、朝は野菜ジュースを飲む、昼の12時にそばやうどんといった軽めの食事。そして、夜はまた普通の食事を取るという生活リズムが、最も継続しやすいのだそうだ。 「週に1度、朝食を野菜ジュースや具なしのみそ汁などに置き換えるだけでも、断食の効果は期待できます。もちろん、続けられる人は毎朝の食事を置き換えると、より効果が実感できると思いますよ」 そもそも人間の体は、空腹に対処する機能を備えているのだと石原氏は語る。 「人間の体には、血糖値を上げるホルモンが10種類以上存在しています。例えば、アドレナリン、ノルアドレナリン、甲状腺から出るサイロキシンなどが該当します。ところが、血糖値を下げるホルモンというのは、インスリン一つしかありません。つまり、人間の体は空腹に対応する方法を知っていますが、過食に対処する術をほとんど知らないのです」 食べ過ぎに適応していない人間にとって、1日3食の食事を取る必要が本当にあるのかどうか、体にかかる負担を考慮して食事内容や回数を見直す必要が出てきているのだ。 また、断食の効果を実感してより多くの時間をかけて体のメンテナンスを行いたいと感じた場合は、断食を体験できる宿泊施設でじっくり取り組むことも可能だ。 断食コース(7泊8日プラン) 「私が副施設長を務めているヒポクラティック・サナトリウムでは、普段の食事をニンジンとリンゴのジュースやショウガ湯などに置き換えて、数日間の断食体験を行っていただいています。普段から朝の食事を置き換えている人が、年に2回、1週間ほどの断食を行うために訪れる人が多いですね。1日1日をリセットするイメージで、体のメンテナンスを楽しみながら取り組んでいますよ」 コロナ禍においても、感染対策に配慮しながら運営していたヒポクラティック・サナトリウムは、来訪者が減ることはなかったのだという。石原氏は「テレワークの普及などで生活習慣病を気にする人が増えたのではないか」と話す』、「「人間の体には、血糖値を上げるホルモンが10種類以上存在しています。例えば、アドレナリン、ノルアドレナリン、甲状腺から出るサイロキシンなどが該当します。ところが、血糖値を下げるホルモンというのは、インスリン一つしかありません。つまり、人間の体は空腹に対応する方法を知っていますが、過食に対処する術をほとんど知らないのです」、イスラム諸国では、「断食」がカレンダー上で決まっており、「断食」には合理的な理由があるようだ。
・『断食を行う上で注意すべきこと  多くの効果を期待できる断食だが、実際に断食するに当たって注意を払うべきこともある。 注意すべきは、断食明けの回復食です。断食直後に、ラーメンやチャーハンといった重たいものを食べてしまうと、逆に体の不調を招きます。おなかがすいたからといって断食明けに消化の負担が重い食事を取れば、せっかく排出した不要なものを短時間で体に取り込んでしまうことになります」 また、断食中は血糖値が上がりにくく血圧も下がり気味になるため、もともと低血糖や貧血、冷え性の人は断食を取り入れない方がいいそうだ。 「本当に危険なのは、水断食です。食事を全く取らずに水やお茶しか飲まないと、とにかく苦しくて断食を継続する気力が続きませんし、筋肉の分解が進み過ぎて代謝が働かなくなってしまい、断食の効果が得られなくなる場合も多いです。絶対に行うべきではありません」 何の栄養も取らない極端な断食を敢行して、栄養失調で倒れてしまっては元も子もない。断食のコツは、空腹を感じたときでも、体が軽く頭がさえた最高のコンディションを維持できていると「楽しむ」ことなのだそうだ。 「『ずっと断食をしなければいけない』と、強迫観念のように断食に取り組む必要はありません。ある日友人と食事を楽しみ過ぎてしまったから他の日に断食を取り入れて整えてみよう、そういったバランスで楽しみながら取り組んでほしいです」 忙しく働くビジネスマンほど、普段一生懸命働いてくれる自身の体をいたわる「断食」の時間が必要なのかもしれない。(石原新菜氏の略歴はリンク先参照)』、「「本当に危険なのは、水断食です。食事を全く取らずに水やお茶しか飲まないと、とにかく苦しくて断食を継続する気力が続きませんし、筋肉の分解が進み過ぎて代謝が働かなくなってしまい、断食の効果が得られなくなる場合も多いです。絶対に行うべきではありません」、「断食のコツは、空腹を感じたときでも、体が軽く頭がさえた最高のコンディションを維持できていると「楽しむ」ことなのだそうだ」、なるほど。
タグ:私の場合はこれも該当しない。 私の場合は「高血圧や糖尿病」は幸い該当しない。 「加齢や運動不足などによって下半身の筋肉が衰えたり、心臓や腎臓の機能が低下してきたりすることで血液を全身に送るポンプ機能が弱まり、血液の循環が悪くなることも、夜間の尿の量を増やす原因に」、「加齢」要因ばかりはどうしようもない。 「70歳以上の高齢者では、夜中のトイレが2回以上の人の死亡率は、1回以下の人に比べて約2倍高く、回数が増えるにつれて死亡率が高まる」、やはり気を付ける必要がありそうだ。 私の場合は、「前立腺肥大」で通院していたが、状態が改善しないので、ついに医者から通院不要と言い渡された。 「夜中のトイレが2回以上になる夜間頻尿」が「70代の男性で約6割」ならやむえを得ないとあきらめる他ないようだ。 私の「夜間頻尿」は、4~5回と酷い状態が数年続いている。ただ、トイレに行ったらすぐ寝つけるのが救いだ。 『尿もれ、頻尿、前立腺の本』(日経BP) 田村知子氏による「「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい3大原因 悩ましい「夜中のトイレ」 原因を徹底解説!」 日経ビジネスオンライン 健康 (その26)(「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい3大原因 悩ましい「夜中のトイレ」 原因を徹底解説!、尿漏れ 頻尿 男のチョイ漏れ… 誰もが悩む尿トラブル 単なる老化現象ではない! 人には言いづらい尿の悩み、「断食」がなぜビジネスパーソンに人気?痩せるだけではない驚きの効果) 私は「前立腺肥大症」だ。 かつては『睡眠時無呼吸症候群』だったようだが、現在は自然に治っているようだ。 「第2回(困った夜間頻尿 解決のカギは「夕方の足のむくみ」解消!)は「夜間多尿」にフォーカスして、夜間の尿量をより詳しく調べるための方法や、「夕方の足上げ」など、診療ガイドラインでも推奨されているセルフケアの方法を紹介する」、「第3回(夜間頻尿を減らす「薬」「睡眠」「水分・塩分」のポイント)では、夜間頻尿を引き起こすさまざまな病気や治療の影響のほか、夜間頻尿全般に効果的な食習慣について解説」、いずれも興味深そうだ。 日経ビジネスオンライン「尿漏れ、頻尿、男のチョイ漏れ… 誰もが悩む尿トラブル 単なる老化現象ではない! 人には言いづらい尿の悩み」 私の場合、「夜間頻尿」だけでなく、「昼間頻尿」もある。 私の場合、「前立腺肥大症の約半数の人は、過活動膀胱を合併しているといわれています」、多分、「過活動膀胱を合併」しているのだろう。 「男性特有の「排尿後尿滴下」という尿漏れ」は、夏など薄い色のズボンを穿いていたので、目立ってきまり悪い思いをした。 ダイヤモンド・オンライン「「断食」がなぜビジネスパーソンに人気?痩せるだけではない驚きの効果」 「ステーキを食べるという行為一つとっても、体内では多くの器官が働いています。口内で小さく分解された肉は、胃の中で胃酸に含まれるタンパク分解酵素によってドロドロに溶けていきます。さらに十二指腸で、胆汁やすい液によって細かく消化され、ようやく小腸のひだで吸収されて血液中に運ばれるのです」 また、肉を食べると体内から排出すべきアンモニアも発生するため、消化吸収に加えて排出まで行うべく、体内の各器官がフル稼働する。 「断食を行うと、消化時に負担のかかる体内の器官を休めてメンテナンスする時間を確保できます。断食中は、血液内に残存した余分な糖や脂肪をエネルギーとして使っていくため、断食によって血糖値や中性脂肪、コレステロールの値の低下が期待できます」 さらに、断食によってデトックス効果も期待できる」、「断食」の効果が理解できた。 「「人間の体には、血糖値を上げるホルモンが10種類以上存在しています。例えば、アドレナリン、ノルアドレナリン、甲状腺から出るサイロキシンなどが該当します。ところが、血糖値を下げるホルモンというのは、インスリン一つしかありません。つまり、人間の体は空腹に対応する方法を知っていますが、過食に対処する術をほとんど知らないのです」、イスラム諸国では、「断食」がカレンダー上で決まっており、「断食」には合理的な理由があるようだ。 「「本当に危険なのは、水断食です。食事を全く取らずに水やお茶しか飲まないと、とにかく苦しくて断食を継続する気力が続きませんし、筋肉の分解が進み過ぎて代謝が働かなくなってしまい、断食の効果が得られなくなる場合も多いです。絶対に行うべきではありません」、「断食のコツは、空腹を感じたときでも、体が軽く頭がさえた最高のコンディションを維持できていると「楽しむ」ことなのだそうだ」、なるほど。
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健康(その25)(「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」、104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍) [生活]

健康については、昨年11月21日に取上げた。今日は、(その25)(「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」、104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍)である。

先ずは、昨年11月28日付け東洋経済オンライン「「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/635090
・『「認知症予防には○○がいい」など認知症予防について多くの情報が入り乱れている。何をすればいいのか悩む方も多いだろう。 週刊東洋経済 2022年12月3日号(11月28日発売予定)は「認知症 全対策」を特集。介護から予防、費用、相続まで認知症のあらゆる対策を網羅する。 「認知症予防はマラソンと同じ。楽しく、長くできることから始めたい」と日本認知症予防学会理事長の浦上克哉・鳥取大学医学部 認知症予防学講座教授は語る。浦上教授に「認知症予防の基本」を解説してもらった』、興味深そうだ。
・『認知症予防には3つの段階がある  Q1. 認知症は予防できますか Aまず「予防」の概念を知ってほしい。認知症予防には3つの段階がある。健康なときに行う発症予防が1次予防。発症後、症状がほとんどない段階か、軽度認知症段階での早期発見・治療・対応が2次予防。生活に大きな支障が出始める中度~重度認知症の段階で症状の進行を遅らせるのが3次予防だ。 4大認知症は、根本治療法が現状なく、発症を完全に防ぐことは不可能だ。だが、生活習慣を改めるなど基本的なことで発症リスクを下げられる。発症しても症状はゆっくり進行していく。早くに発症に気づき手を打てれば、進行をさらに遅くできる可能性がある。 予防はマラソンだと考えて、できることを楽しく、長くやることが肝心だ。3~5年など中期的に取り組める予防法の実行を心がけてほしい。 Q2. 1次予防で気をつけるべきことは A2020年、英医学雑誌『Lancet(ランセット)』に、生活習慣を改善することで認知症の発症リスクを40%下げられるという研究が発表された。発症リスクとして難聴や教育歴(知的好奇心の低さ)、高血圧などの生活習慣病まで12の項目が本研究では紹介されている。 また若年期(45歳未満)、中年期(45~65歳)、高齢期(66歳以上)の3段階で、この12の項目のどれに気をつけるべきかもわかっている。 とくに発症リスクを大きく高めるのが中年期の難聴。難聴を防げば、発症リスクが8%下がるとされている。一次予防ではこの12の項目のうちリスクの大きいものから意識して予防に取り組んでほしい。なかでも生活習慣病は認知症発症リスクを高めるという研究も多い。生活習慣病予防が1次予防では重要になる。 1次予防は、もの忘れなどの自覚症状のない人から「認知症予備軍」といえる「MCI(軽度認知障害)」の人までが対象。とくにMCIの段階で、早期に生活習慣の改善など適切な手を打つことが重要だ。MCIの段階で何もしないと4~5年で50%以上の人が認知症になってしまう。一方で適切な手を打てば年間16~41%の人が通常の認知機能の状態に戻るという報告もある。) MCIとは本人も家族など周囲の人間も認知症機能の低下に気づいているが、生活に支障がない状態を指す。65歳以上の高齢者の約2割がMCIという推計もあり、自分自身やご家族について「あれ、おかしいな」と思ったらMCIでないか疑ってみてほしい。心配な場合は、専門医のいる「もの忘れ外来」など専門外来を早めに受診することをおすすめする。 コロナ禍が長引く中、外に出て体を動かすことや他者とのコミュニケーションが減ることで、認知機能が低下しやすくなっているという報告もある。自分やご家族の認知機能が低下していないか特に気にかけてほしい』、「65歳以上の高齢者の約2割がMCI(軽度認知障害)という推計もあり、自分自身やご家族について「あれ、おかしいな」と思ったらMCIでないか疑ってみてほしい。心配な場合は、専門医のいる「もの忘れ外来」など専門外来を早めに受診することをおすすめする」、「MCIの段階で、早期に生活習慣の改善など適切な手を打つことが重要だ。MCIの段階で何もしないと4~5年で50%以上の人が認知症になってしまう。一方で適切な手を打てば年間16~41%の人が通常の認知機能の状態に戻るという報告も」、確かに放置するべきではなさそうだ。
・『予防を楽しむ  Q3. 具体的にどのような予防を行えばいいでしょうか Aまず意識してほしいのは「予防を楽しむ」ということだ。パズルなどの「脳トレ」も嫌々取り組むとストレスがかかり、脳の神経細胞を傷める。 どの段階でも予防の基本は生活習慣を整えること。また、運動・知的活動・コミュニケーションの3つを意識すると12の認知症リスク要因のほとんどを取り除ける。 運動では、週に2~3回、ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを疲れない程度に行うとよい。注意したいのは、有酸素運動をやりすぎないことだ。有酸素運動ばかり続けると筋肉量が落ち、転倒・骨折のリスクを高める。知的活動やコミュニケーションでは、新しいことにチャレンジするのがとくに有効だ。新しいことに取り組むと、脳の神経細胞は新たなネットワークを構築する。 認知症を発症し脳の神経細胞が死滅すると、記憶などの機能が失われる。しかし、残った神経細胞がネットワークを伸ばすことでその機能を代替できる。脳の神経細胞のネットワークが豊富なほど認知機能は衰えにくくなることがわかっている。脳に新しい刺激を与え、このネットワークを広げることが重要だ。 難しいことをやる必要はない。絵や手芸、楽器といった趣味や将棋などのゲーム、日記など手軽に始められるものから挑戦しよう。コミュニケーションでは可能な限りいろいろな人と話すことを意識したい。気の合う友人だけでなく、あまり話したことのない人とも会話することで脳へ新しい刺激を与えてほしい。 また、二次予防までの段階では、自身の低下した機能に特化して鍛える知的活動も有効だ。例えば日付や曜日が分からなくなるなどの見当識障害に対応する場合、日記など日付を意識的に考える活動をおすすめする』、「パズルなどの「脳トレ」も嫌々取り組むとストレスがかかり、脳の神経細胞を傷める」、「嫌々取り組む」と、逆効果とは初めて知った。「どの段階でも予防の基本は生活習慣を整えること。また、運動・知的活動・コミュニケーションの3つを意識すると12の認知症リスク要因のほとんどを取り除ける。 運動では、週に2~3回、ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを疲れない程度に行うとよい。注意したいのは、有酸素運動をやりすぎないことだ。有酸素運動ばかり続けると筋肉量が落ち、転倒・骨折のリスクを高める」、「有酸素運動をやりすぎない」とのアドバイスも貴重だ。
・『栄養バランスが取れた健康的な食事を  Q4. 3次予防ではどのような手法が有効ですか A今まで述べてきた中でできることに取り組んでほしい。しかし3次予防の段階では、新しいことに取り組むのは困難だ。本人が好きだった趣味を勧めてみるなど過去の楽しい記憶に基づいた予防法がいいだろう。 中度認知症でとくに介護者の負担となる、介護拒否などの行動・心理症状(BPSD)の進行を遅らせることも可能だ。介護をしていると心配するあまりつい叱ってしまうことがある。BPSDは本人にストレスがかかると表れやすい。お互いの負担を少なくするためにも、周囲に頼りながら、本人が安心できる環境を整えることがBPSDの予防につながる。 Q5. 認知症予防によい食事は Aなるべく多く野菜を食べるなど栄養バランスの取れた健康的な食事を意識してほしい。オリーブオイルを多く取る地中海式の食事や、塩分を控えた和食は認知症予防にいいとされる。だが、すべての食事を和食にしたりする必要はない。それぞれの食事で認知症予防にいいとされる食材、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含む青魚やポリフェノールを多く含む緑茶などを意識的に摂取することから始めよう。無理なくバランスのよい食事を楽しんでほしい。 Q6.予防を始める年齢はいつ頃がよいか A40代から始めても早すぎることはないというのが私の意見だ。認知症は65歳以上で発症することがほとんど。だが、4大認知症のなかで代表的なアルツハイマー型認知症では、発症の20年以上前から(発症の原因の一つとされる)アミロイドβが蓄積しはじめると分かってきた。つまり、発症の20年前、40代から予防に取り組めば、より効果的に発症を防いだり、遅らせたりすることができるだろう。(監修鳥取大学医学部 認知症予防学講座教授・浦上克哉)』、「介護拒否などの行動・心理症状(BPSD)」は「本人にストレスがかかると表れやすい。お互いの負担を少なくするためにも、周囲に頼りながら、本人が安心できる環境を整えることがBPSDの予防につながる」、「認知症予防によい食事は・・・なるべく多く野菜を食べるなど栄養バランスの取れた健康的な食事を意識してほしい」、「予防」はなるべく意識的に取り組みたいものだ。

次に、11月28日付け東洋経済オンラインが掲載した研究者・探検家・作家のダン・ビュイトナー氏による「104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/633475
・『どうしたら、生き生きと輝く毎日を過ごしながら長生きできるのだろう。 研究者で探検家であるダン・ビュイトナーは、雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』とチームを組み、研究者たちをも巻き込んで、「長寿者」が多く暮らすエリア「ブルーゾーン」にそのヒントを探す旅に出る。そのきっかけは、「沖縄」だった。 100歳を超える長寿者「百歳人(センテナリアン)」たちの生活習慣を調べ、健康長寿の秘密を探るルポルタージュ『The Blue Zones(ブルーゾーン)2nd Edition(セカンドエディション)』から、一部を抜粋編集してお届けする』、「沖縄」の世界的な「長寿」の秘訣とは興味深そうだ。
・『長寿の極意は沖縄にあった  長寿研究において沖縄が重要な役割を果たしていることは、何年も前から聞いていた。沖縄が世界でもまれに見る長寿地域であることは、人口動態のデータが示している。 沖縄の人が100歳まで生き延びる確率は、アメリカ人の3倍にも達する。また、心臓疾患にかかる割合はアメリカ人の5分の1だし、健康で過ごせる年限が約7年も長い。これほどの健康長寿の秘密は、いったいどこにあるのだろう。 私は、雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』に特集記事「長寿の極意」を書いたばかりだった。この記事では、世界の3つの長寿地域を取り上げた。これら、長寿者の多い場所を、私たちは「ブルーゾーン」と名づけた。 人口動態学者は、長寿者が多いイタリア・サルデーニャ島を調べていたときに、この名称を考えついた。私たちはこの概念をさらに広げ、世界の長寿地域すべてを「ブルーゾーン」と呼ぶことにしたのだ。沖縄は、このリストのトップにランクされている』、「沖縄の人が100歳まで生き延びる確率は、アメリカ人の3倍にも達する。また、心臓疾患にかかる割合はアメリカ人の5分の1だし、健康で過ごせる年限が約7年も長い」、「世界の長寿地域すべてを「ブルーゾーン」と呼ぶことにしたのだ。沖縄は、このリストのトップにランクされている」、なるほど。
・『“長寿界のセレブ”奥島ウシ・104歳を訪ねる  私が沖縄本島北部の大宜味にある奥島ウシの家に着いたのは、午後もだいぶ遅くなってからだった。 彼女の家は、典型的な沖縄の木造住宅だ。障子で仕切られた部屋がいくつかあって、畳敷き。私たちは靴を脱いで、家に上がった。ウシは女王であるかのように、静かに部屋の真ん中の椅子に腰掛けていた。 私たちが最初にウシに会ったころ、彼女はまだ無名だった。だがいまではセレブの仲間入りをして、長寿のダライ・ラマといった風情だ。水色のキモノを着た彼女は、私たちにもすわるよう手で合図した。そこで私たちは、幼稚園児のように、彼女の足元に足を組んですわった。 ウシは挨拶がわりに、筋肉もしっかりしているよ、ということを示すかのように、両手を頭の上まで持ち上げて叫んだ』、「104歳」で家の主人として堂々と振舞っているとは、大したものだ。
・『「元気、元気、元気」  “こりゃ、得がたいバイタリティーだな”と、私は感じ入った。たいていの人は、年を取ることを恐れる。しかしこの活発なおばあちゃんを見ると、加齢が楽しみであるかのように思えてくる。 私は雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』に掲載された彼女の写真を見せた。これが巻頭特集になって表紙も飾っているのだから、私としても鼻が高かった。だが彼女はチラリと目をやっただけで床に置き、私に飴を勧めた。 私はウシに今日で2度目となるインタビューを始め、彼女の畑のことや友人たち、前に会ってからの5年間にどれほど状況が変わったかを尋ねた』、「たいていの人は、年を取ることを恐れる。しかしこの活発なおばあちゃんを見ると、加齢が楽しみであるかのように思えてくる」、超人的「おばあちゃん」だ。
・『畑仕事は減らしたが、近くのマーケットで、くだものを袋詰めする仕事をやっているという。1日の大半は、孫たちや、幼いころからの3人のおばあさん仲間と過ごす。夕食はほとんど野菜だけで、寝る前にはヨモギ酒を1杯だけ飲む。 「よく働いて、寝る前にヨモギ酒を飲み、ぐっすり眠る」 これが長寿の秘訣だ、と彼女は言った』、「畑仕事は減らしたが、近くのマーケットで、くだものを袋詰めする仕事をやっている」、「よく働いて、寝る前にヨモギ酒を飲み、ぐっすり眠る」、確かにこれほどの「長寿の秘訣」はないに違いない。
・『百歳人から健康と長寿の秘訣を学ぶ  世界のブルーゾーンで暮らしている、ウシのような人たちから聞いた話を私はルポルタージュとしてまとめた。言い換えれば、このルポルタージュは、世界で最も健康的で、最長寿の人たちが、長生きして心豊かな暮らしをする秘訣を語る教訓集でもある。 彼らが語る物語は、子育てから人に好かれるコツ、豊かになる方法から愛を見つけてそれを保つやり方まで、人生で大切なことを教えてくれる。 百歳人は自分がいかにして100歳まで生きたかを語ることはできる。だが、身長2メートルの人が自分はなぜ2メートルの身長に達したのかを説明できないのと同じように、自ら百歳人の秘密を解明することはできない。 ウシが毎晩、1杯のヨモギ酒を飲むことは、健康になんらかのプラスをもたらしているのだろうか。そうかもしれない。しかし、そのおかげで、彼女はがんに罹らず、心臓疾患も誘発していない、とは断言できない。彼女が104歳でなおこれだけのバイタリティーを持っていることの説明にも不十分だ。 ウシのような人から長寿の秘訣を学ぶとすれば、彼女のような人々がたくさん住む地域を見つけ出すこと、つまりそのような伝統文化を持ったブルーゾーンを見つけて調べるのが早道だ。そのような地域では、90歳代、100歳代の健康人の比率が高いに違いない。このような場所が見つかれば、科学的にも解明しやすい。 デンマークの双子を研究した有名なデータをもとに科学が突き止めたところでは、長寿の要因のうち遺伝子に左右されるのはわずか25パーセントで、あとの75パーセントはライフスタイルや日常生活で選択する習慣に関わっているという。 とすれば、もし私たちがライフスタイルを最適の状態に保つことができれば、生物的な限界のなかで最長の平均余命を満喫できるはずだ』、「長寿の要因のうち遺伝子に左右されるのはわずか25パーセントで、あとの75パーセントはライフスタイルや日常生活で選択する習慣に関わっているという。 とすれば、もし私たちがライフスタイルを最適の状態に保つことができれば、生物的な限界のなかで最長の平均余命を満喫できるはずだ」、「ライフスタイル」の「最適の状態」は、個々の人で違いがあり、全体としては多様なのではなかろうか。
・『世界の長寿地域「ブルーゾーン」5カ所  世界的に認められた長寿のホットスポットであるブルーゾーンはこの5カ所だ。 ・イタリア・サルデーニャ島のバルバギア地方 ・日本の沖縄 ・アメリカ・カリフォルニア州のロマリンダ ・中米コスタリカのニコジャ半島 ・ギリシャのイカリア島 これら5つの地域はそれぞれ文化が違い、長寿への道程も異なっていた。 世界のブルーゾーンには、何世紀あるいは数千年にわたって培われてきた人類の体験が隠されている。 人々が何を食べ、どのような形で隣人たちと付き合い、ストレスを発散させ、自分たちの気分を癒やし、病を退けてきたのか。どのような世界観を持っていれば長寿が実現できるのか──。ブルーゾーンには長い年月をかけて育まれた文化がある。自然の環境が種の生存を淘汰するのと同じように、彼らの文化が住民たちの長寿を醸成してきたに違いない。 これらの地域の文化から学ぶためには、住民たちの生きざまに、謙虚に耳を傾ける必要がある。 あなたも、耳を傾けてみようという気持ちになっているのではないだろうか。もし、そうならば、これからのブルーゾーンの旅が、あなたの人生を根本から変えるかもしれない。自分自身の将来がどうなるのかは、だれにもわからないのだから』、「これらの地域の文化から学ぶためには、住民たちの生きざまに、謙虚に耳を傾ける必要がある」、その通りなのかも知れない。 
タグ:健康 (その25)(「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」、104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍) 東洋経済オンライン「「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」」 「認知症予防の基本」 認知症予防には3つの段階がある 「65歳以上の高齢者の約2割がMCI(軽度認知障害)という推計もあり、自分自身やご家族について「あれ、おかしいな」と思ったらMCIでないか疑ってみてほしい。心配な場合は、専門医のいる「もの忘れ外来」など専門外来を早めに受診することをおすすめする」、 「MCIの段階で、早期に生活習慣の改善など適切な手を打つことが重要だ。MCIの段階で何もしないと4~5年で50%以上の人が認知症になってしまう。一方で適切な手を打てば年間16~41%の人が通常の認知機能の状態に戻るという報告も」、確かに放置するべきではなさそうだ。 「パズルなどの「脳トレ」も嫌々取り組むとストレスがかかり、脳の神経細胞を傷める」、「嫌々取り組む」と、逆効果とは初めて知った。「どの段階でも予防の基本は生活習慣を整えること。また、運動・知的活動・コミュニケーションの3つを意識すると12の認知症リスク要因のほとんどを取り除ける。 運動では、週に2~3回、ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを疲れない程度に行うとよい。注意したいのは、有酸素運動をやりすぎないことだ。有酸素運動ばかり続けると筋肉量が落ち、転倒・骨折のリスクを高める」、「有酸素運動をやりすぎない」とのアドバイスも貴重だ。 「介護拒否などの行動・心理症状(BPSD)」は「本人にストレスがかかると表れやすい。お互いの負担を少なくするためにも、周囲に頼りながら、本人が安心できる環境を整えることがBPSDの予防につながる」、「認知症予防によい食事は・・・なるべく多く野菜を食べるなど栄養バランスの取れた健康的な食事を意識してほしい」、「予防」はなるべく意識的に取り組みたいものだ。 東洋経済オンライン ダン・ビュイトナー氏による「104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍」 『The Blue Zones(ブルーゾーン)2nd Edition(セカンドエディション) 「沖縄」の世界的な「長寿」の秘訣とは興味深そうだ。 「沖縄の人が100歳まで生き延びる確率は、アメリカ人の3倍にも達する。また、心臓疾患にかかる割合はアメリカ人の5分の1だし、健康で過ごせる年限が約7年も長い」、「世界の長寿地域すべてを「ブルーゾーン」と呼ぶことにしたのだ。沖縄は、このリストのトップにランクされている」、なるほど。 「104歳」で家の主人として堂々と振舞っているとは、大したものだ。 「たいていの人は、年を取ることを恐れる。しかしこの活発なおばあちゃんを見ると、加齢が楽しみであるかのように思えてくる」、超人的「おばあちゃん」だ。 「畑仕事は減らしたが、近くのマーケットで、くだものを袋詰めする仕事をやっている」、「よく働いて、寝る前にヨモギ酒を飲み、ぐっすり眠る」、確かにこれほどの「長寿の秘訣」はないに違いない。 「長寿の要因のうち遺伝子に左右されるのはわずか25パーセントで、あとの75パーセントはライフスタイルや日常生活で選択する習慣に関わっているという。 とすれば、もし私たちがライフスタイルを最適の状態に保つことができれば、生物的な限界のなかで最長の平均余命を満喫できるはずだ」、「ライフスタイル」の「最適の状態」は、個々の人で違いがあり、全体としては多様なのではなかろうか。 世界の長寿地域「ブルーゾーン」5カ所 「これらの地域の文化から学ぶためには、住民たちの生きざまに、謙虚に耳を傾ける必要がある」、その通りなのかも知れない。
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保育園問題(その14)(園児をたたく ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される「構造的問題」 空前の保育士不足が招く深刻すぎる事態、このままでは子どもが死ぬ…あまりに質の低い保育士の「残念すぎる実態」 点呼のチェックすらめんどくさいと言う、子どもが従わないので腹を立てる…「不適切保育」をする保育士の信じられない言い分 発達に合わない要求をして従わない子どもに"しつけ"をする) [生活]

保育園問題については、8月16日に取上げた。今日は、(その14)(園児をたたく ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される「構造的問題」 空前の保育士不足が招く深刻すぎる事態、このままでは子どもが死ぬ…あまりに質の低い保育士の「残念すぎる実態」 点呼のチェックすらめんどくさいと言う、子どもが従わないので腹を立てる…「不適切保育」をする保育士の信じられない言い分 発達に合わない要求をして従わない子どもに"しつけ"をする)である。なお、タイトルから待機児童はカットした。

先ずは、12月9日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの小林 美希氏による「園児をたたく、ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される「構造的問題」 空前の保育士不足が招く深刻すぎる事態」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/103028?imp=0
・『評判の良い保育園でさえも、食事介助で保育士がまるで餌やりのようにご飯やおかずを乳児の口に突っ込むことが見られるようになった。咀嚼が考えられていないうえ、窒息の危険もあるが、人手不足、経験不足の人員体制のなかで保育士の頭のなかは「早く食べ終わらせて、眠らせて、お昼寝の間に日誌や連絡帳を書かなきゃ」。だから、早く食べてと急かすようになる。 同様にお昼寝の時間は、なかなか眠れない子をどうにか寝かせようとする。園児の生活時間はバラバラで、朝起きる時間も違う。遅く登園する子は当然、眠れないこともある。しかし、一斉に寝てほしいという気持ちが保育士に働けば「寝なさい」と園児を威圧し、起き上がる子がいれば羽交い締めにして眠らせることが多発するように。 そうした恐怖で園児が泣けば、先輩保育士が「泣かせておけば、泣き疲れて眠る」と後輩に指導する。そのような、「不適切な保育」、いや、「虐待」や「ネグレクト」と言っていいような保育が散見されるようになった』、待機児童問題、送迎バス置き去り問題のあとには、「虐待」問題まで出てくるとは、まさに社会の縮図だ。
・『1歳児に向かって「なんで泣くのよ!」  筆者が知る限り、約20年前の保育園では0歳児クラスから5歳児クラス全てを経験して一人前。新卒でいきなり担任は持たずに、先輩を見ながら学ぶ機会に恵まれていた。しかし今は、経験2年ほどでもクラスのリーダー保育士に配置される。 経験の浅いリーダー保育士が、登園して泣く1歳児に向かって「なんで泣くのよ!」と大声で怒る保育になっているケースも少なくない。保育がマニュアル化して「壁にぺったん!」と軍隊のように指令して姿勢をよくすることを強制する。 保育士が過重労働で長時間働いて疲弊し、保育が流れ作業と化す。離職が相次ぎ、そこに、現場で指導できる中堅・ベテラン保育士がいないことで、不適切な保育が継承されていく。こうしたことが、社会福祉法人や株式会社の私立や公立、保育士が正職員・正社員か非正規雇用かであるかを問わずに起こっている』、「経験の浅いリーダー保育士が、登園して泣く1歳児に向かって「なんで泣くのよ!」と大声で怒る」、「保育がマニュアル化して「壁にぺったん!」と軍隊のように指令して姿勢をよくすることを強制する。 保育士が過重労働で長時間働いて疲弊し、保育が流れ作業と化す。離職が相次ぎ、そこに、現場で指導できる中堅・ベテラン保育士がいないことで、不適切な保育が継承されていく」、信じ難いが、これが現実のようだ。
・『「てめー!お前なんかに食べさせない!」  これまでの取材からも、虐待あるいは虐待寸前の現場の実態が浮かび上がっている。 都内のある認可保育園では、虐待が横行していた。何十年と歴史のある社会福祉法人が運営する認可保育園で派遣保育士として働いていた女性が、約5年前に現場の実情を明かした。 「4歳児のクラスの担任が、『てめー!お前なんかに食べさせない!』と言って、二人がかりで扉を押さえて園児を部屋から閉め出していました。保育士が思うようなスピードで着替えをしなかったことの制裁でした。その状態が1時間以上続き、その子は嗚咽して、白目になって過呼吸になっていました。 また、担任の保育士から見て食事前の準備がスムーズにできない、友達とおしゃべりしていただけで、“ふざけていた”と言われて園児は保育室で立たされ、『あんたにご飯あげない』と言われていました。 リーダー役の正社員の保育士は、後輩の保育士に『(園児に)なめられているから、しめてこい』と命じ、後輩保育士は誰もいない部屋で男児の腕をつかんで、ぶんぶんと振り回し、勢い余って男児が振り落とされ転がってしまったのです。 給食の時間は、1歳児が行儀よく食べられないからと、椅子にベルトで括り付けられていました。行政の監査が入る時は事前に分かるので、ベルトは隠していました」 この派遣保育士の女性は、現場で起こる虐待に耐え切れず、派遣契約が満了になると逃げるように去った。保育の世界は、上下関係が厳しい面がある。クラスのなかでは先輩と後輩の関係。園全体では、たとえ年齢が若くても保育士が正職員であり担任であると、非常勤の保育士や保育補助者が年上でベテランであっても、「担任や正職員に注意できない」という暗黙のルールが少なからず存在する。 前述した虐待の起こる保育現場では、心ある非正規の保育士が次々と辞め、虐待する保育士が居残っていたという。園長はそれが分かっていても、指導はしなかったという。保育園の配置基準を守るために、辞められると困るからだ。それでも離職が激しく、派遣が辞めると園長は「(派遣会社に)オーダー、オーダー。ああ、またお金がかかる」という軽い感覚に陥っていたという』、「4歳児のクラスの担任が、『てめー!お前なんかに食べさせない!』と言って、二人がかりで扉を押さえて園児を部屋から閉め出していました。保育士が思うようなスピードで着替えをしなかったことの制裁でした。その状態が1時間以上続き、その子は嗚咽して、白目になって過呼吸になっていました」、可哀想だとは思わないのだろうか。「たとえ年齢が若くても保育士が正職員であり担任であると、非常勤の保育士や保育補助者が年上でベテランであっても、「担任や正職員に注意できない」という暗黙のルールが少なからず存在する」、「虐待の起こる保育現場では、心ある非正規の保育士が次々と辞め、虐待する保育士が居残っていたという」、こうなると悪循環だ。

次に、この続きを、12月9日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの小林 美希氏による「このままでは子どもが死ぬ…あまりに質の低い保育士の「残念すぎる実態」 点呼のチェックすらめんどくさいと言う」を紹介しよう。
・『静岡県裾野市の私立「さくら保育園」で、30代の保育士3人が園児に虐待を繰り返していた事件が大きな話題となっている。 なぜ、保育士による虐待・暴力が起きてしまうのか。新刊『年収443万円』でも保育現場の残念な実態についてレポートしているジャーナリストの小林美希氏が、前編「園児をたたき、ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される『構造的問題』」につづいて深刻な問題の深層に迫る』、「さくら保育園」で「30代の保育士3人が園児に虐待を繰り返していた事件」は衝撃的だった。
・『退職をチラつかせる保育士たち  暴力や暴言、冷淡に接するなど明白な虐待ではなくても、見過ごしてしまいがちな「心理的虐待」である保育は蔓延しつつある。 新型コロナウイルス感染症が流行する前は、夏のプールの時間は子どもたちの楽しみでもあったが、都内のある社会福祉法人の認可保育園では、“親教育”の思想の下に、水着はあってもタオルひとつ忘れると「忘れ物をしたらプールは見学です」と、一律にプール遊びをさせてもらえなかった。 ある社会法人が運営する認可保育園の2歳児クラスでは、朝の会で園児が友達とおしゃべりとしたり、ちょっと後ろや横を向いただけで、保育士がその子を立たせて指さし、「〇〇くん、おしゃべり、悪いことー!」と煽動して他の園児らにもその子を指ささせ、全員に「あー。〇〇くん、悪いことー!」と言わせていた。 また、同保育園では保育士が絵本を読んでいる間に少しでもおしゃべりをする子がいると、担任が「今日は、〇〇ちゃんが話を聞けないので、〇〇ちゃんのせいで、お散歩には行きません」とクラスの園児に言い渡していた。遅れて登園した子の保護者は目の前で起こったことに唖然とし、すぐに園長に問題を指摘して、保育士への指導が行われたという。 筆者の新刊『年収443万円』で登場した保育運営会社の傘下の保育園の状況について、元園長はこう語る。 「保育士はすぐ辞めて入れ替わるため、皆若いです。1歳児を滑り台で遊ばせてケガをしても保育士は平気な顔をしていました。公園に子どもを置き去りにするミスを防ぐため、園児の点呼をチェック表につけましょうと指導すれば、『ええー、めんどくさーい』と言った具合で、『じゃあ辞める』と退職をチラつかせるのです。 指導しても、暖簾に腕押し。次々に園を作るので、資格さえあれば誰でもいい状態で採用するため、保育の「ほ」の字の基本も分からないような、あり得ない質の低さでした」) 大手や中堅の保育会社では保育士が辞めると、園長の査定に響いてボーナスなどの報酬が下げられるケースもある。また、保育業界では、受け持ったクラスに責任を果たそうと、年度末までは働いて辞めるというのが慣例とされてきたが、ここ数年は、それが崩れて年度途中での退職が増えていった。入社してわずか数ヵ月で辞めていくなど、今や珍しくない。 何の連絡もなしに欠勤して音信不通になるケースもある。1年程度で転籍を繰り返し、30歳くらいの時点で10ヵ所あまりの保育園運営法人を渡り歩くため、履歴書の職歴欄が1ページでは足りないというケースもザラになっている。前述の園長は続ける。 「そもそも資質のない保育士が急増しています。若い正社員の保育士は、『この子、ウンチしてまーす』と言って、パートの保育士や保育補助者に任せてしまいます。嘔吐の処理も、食事の後片付けも清掃も全て『汚いからやらない』といわんばかり。パートに任せて自分たちはおしゃべりに夢中なんです。 トイレの介助にしても、遠くに聞こえるような大声で『〇〇ちゃんっ!ちょっと、ねーっ、パンツあげてっ!パンツ上げてって言ってんでしょっ!』と怒っているのが聞こえてくる。 園児が咳き込むのが聞こえてきたので私が顔を出すと、園児が本の切れ端を誤飲していました。一事が万事、指導が必要なんです。私が事務室にいない時、『園長うるさいんですよねー』と事務員に不満を言っているようでしたが、園児の安全には変えらないので指導し続け、園長の私も保育室に入って保育しました」』、「若い正社員の保育士は、『この子、ウンチしてまーす』と言って、パートの保育士や保育補助者に任せてしまいます。嘔吐の処理も、食事の後片付けも清掃も全て『汚いからやらない』といわんばかり。パートに任せて自分たちはおしゃべりに夢中なんです」、「正社員」というだけで、汚い作業は「パートの保育士や保育補助者に任せてしまいます」、困ったものだ。
・『問題を知った保育士や保護者はどうする?  保育士の有効求人倍率は、保育園の建設ラッシュがひと段落している2022年7月でも2.21倍あり、全職種平均の1.26倍を大きく上回る。2019年のピーク時には3.86倍もあったのだから、保育士1人が手をあげれば約4ヵ所の園が門戸を開いていることになる。) そうした空前の保育士不足で、配置基準を守るため「資格があるなら誰でもいい」という状態で採用している園が少なからず存在している。人材紹介会社を通じた転職で、就職すると出る『お祝い金』を狙って短期間で勤め先を変えるような保育士も出現するなかで、保育の質を守ることが難しい背景もある。こうしたなか、何か問題を知り得た保育士や保護者は、行政などに「公益通報」する手段がある。 「公益通報者保護法」によって、児童福祉法や労働関係の法律などで罰則の対象となる不正行為や虐待・暴行について、保育士や保護者は「公益通報」することができるのだ。 公益通報とは、職場で「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律」に違反する犯罪行為、または最終的に刑罰につながる行為が生じている。あるいは、まさにそれが生じようとしていることを、従業員が、(1)事業者の内部、(2)権限のある行政機関、(3)マスコミ、労働組合などの事業者外部、に通報することをいう。 一方で、裾野市の保育園での虐待・暴行の疑いの事件では、園側が職員全員に対して「業務上知り得た情報や機密事項など漏洩しない」という誓約書にサインさせていたという。 他の事業者側が起こした問題についても、「秘密保持」や「守秘義務」を強調して保育士や園長に口外を禁じるサインをさせ、口外すれば解雇する、左遷する、訴えるなどと言って職員を黙らせようとする悪質なケースが後を絶たない。しかし、経営者のそうした報復人事などは、無効になる』、「裾野市の保育園での虐待・暴行の疑いの事件では、園側が職員全員に対して「業務上知り得た情報や機密事項など漏洩しない」という誓約書にサインさせていたという」、しかし、「職員」は「公益通報」できるので、「誓約書」は無効な筈だ。
・『「ほいくえん、いきたくない」  ただ、保護者にとっては「子どもは人質」。何か言って、冷遇されることが怖くて言い出せない保護者もいる。勇気を出して行政に相談、通報しても、自治体の保育課の対応には差がある。「保育に口を出せない」「証拠がないと虐待の判断が難しい」など、曖昧にされることが少なくない。今回の静岡県警による保育士の逮捕、裾野市長による園長の刑事告発は、迅速な対応だったのではないだろうか。 不適切な保育、虐待、暴行を放置すれば、やがて子どもの死につながる可能性がある。子どもの命を亡くしてからでは遅い。その前兆を知った時にどうするのか。この問題を機に真剣に向き合い、行政は覚悟をもって対応しなければならない。 「ほいくえん、いきたくない。せんせい、やさしくない」 もし、子どもがそう言った時、その言葉がSOSである場合もあり、注意を払う必要がある。 人手不足などを背景に「良い保育」を実践できる現場が減りつつあるなかで、裾野市のケースを機に、何が不適切な保育で何が虐待なのか、正面から見つめ直す時がきている。そして何より、何か疑問を持った保護者と保育園側が、気軽に話し合い、お互いに学び合おうとする雰囲気作りも必要だ。 次回以降、保育の質を劣化させる制度の問題や少なすぎる保育士配置基準について、改めて解説する』、「「ほいくえん、いきたくない。せんせい、やさしくない」 もし、子どもがそう言った時、その言葉がSOSである場合もあり、注意を払う必要がある」、その通りだ。

第三に、12月13日付けPRESIDENT Onlineが掲載した保育園を考える親の会顧問(アドバイザー)の 普光院 亜紀氏による「子どもが従わないので腹を立てる…「不適切保育」をする保育士の信じられない言い分 発達に合わない要求をして従わない子どもに"しつけ"をする」を紹介しよう。
・『静岡県裾野市のさくら保育園で保育士3人が暴行容疑で逮捕され、その後も別の園で不適切保育があったことが報道されている。保育園を考える親の会顧問の普光院亜紀さんは「類似した問題行為について相談されることは少なくありません。不適切保育をしてしまう保育者の多くが『しつけ』のつもりだったと言います。それらのケースを見ると、子どもの発達や状態に合わない要求をして、従わないので腹を立てているケースが多いようです」という――』、「不適切保育をしてしまう保育者の多くが『しつけ』のつもりだったと言います」、「それらのケースを見ると、子どもの発達や状態に合わない要求をして、従わないので腹を立てているケースが多いようです」、「従わないので腹を立てているケースが多い」、とんでもないことだ。
・『保育園・こども園の「不適切保育」の実際  11月30日、静岡県裾野市のさくら保育園で繰り返された虐待保育の実態が、市によって公表されました。その内容のひどさに衝撃を受けた方も多かったと思います。 筆者は保育園を考える親の会で保育園・こども園に関するさまざまな相談を受けていますが、類似した問題行為について相談されることは少なくありません。 裾野市の保育園の事件は「虐待保育」として報道されましたが、虐待を含め、子どもの人権を侵害し、心身の安全・安心や健やかな育ちに悪影響を与える保育のことを「不適切保育」と呼びます。 保育園を考える親の会にも訴えが届いている「不適切保育」を挙げると、たたく・押す・引っ張るなど子どもの心身に苦痛を与える、恫喝する・怒鳴るなどこわい叱り方で脅す、保育室の外に出す・年齢が下のクラスに行かせる・トイレや押し入れに閉じ込める・食事やおやつを取り上げるなどの罰を与える、食事を無理強いする、容姿などについて子どもを言葉で侮辱するなどがあります。 いずれも体に傷が残らないので、やっている本人も周囲も軽く考えてしまう傾向がありますが、子どもが感じる苦痛や恐怖を想像すれば、明らかな人権侵害に当たります』、「たたく・押す・引っ張るなど子どもの心身に苦痛を与える、恫喝する・怒鳴るなどこわい叱り方で脅す、保育室の外に出す・年齢が下のクラスに行かせる・トイレや押し入れに閉じ込める・食事やおやつを取り上げるなどの罰を与える、食事を無理強いする、容姿などについて子どもを言葉で侮辱するなど」、は「明らかな人権侵害に当たります」、その通りだ。
・『心身を脅かすことと「しつけ」は違う  全国保育士会では、「不適切保育」の定義を次のようにまとめています。 ① 子ども一人ひとりの人格を尊重しないかかわり ② 物事を強要するようなかかわり・脅迫的な言葉がけ ③ 罰を与える・乱暴なかかわり ④ 一人ひとりの子どもの育ちや家庭環境を考慮しないかかわり ⑤ 差別的なかかわり こうして抽象的な言葉で聞くと、「しつけのために必要なこともあるのではないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、その考えが、不適切保育を容認してしまうことがあることに注意が必要です。 虐待をしてしまう親、不適切保育をしてしまう保育者の多くが「しつけ」のつもりだったと言います。それらのケースを見ると、子どもの発達や状態に合わない要求をして、従わないので腹を立てているケースが多いようです。大人は子どもが従わないことをわがままだと言い、罰を与えてもよいと考えがちですが、子どもの側から見ると、まったく違う風景が見えています』、「子どもの側から見ると、まったく違う風景」とはどのような「風景」なのだろう。
・『子どもは大人の要求の意味がわからない  大人は体も巨大で力が強く、小さな子どもにとっては抵抗できない相手です。子どもは時間感覚や先のことを予測する力も未熟ですから、大人の要求の意味がわからない場合が多いし、子どもなりの理由で従えない場合もあると思うのですが、そのことを大人に伝える力をもっていません。 大人は、「時間どおりに給食の後片付けをしたい」「人手が足りないからトイレは一斉に行かせたい」など大人の都合で子どもに無理を強いて、それが子どもにとってつらい要求になっていることに気づかなかったりします。そうなると、子どもはただ大人にされるがままになり、泣くしかありません。もしも大人が同じこと(食事を無理やり口に押し込まれる、監禁されてトイレに行かせてもらえない)をされたら、警察に行くでしょう。 「しつけ」というのは本来、「大人に従わせること」ではなく「生活習慣や社会性を身につけること」なのですが、勘違いしている大人は多いと思います。保育園やこども園は子どもが長時間にわたって共同生活をする場なので、このような勘違いをしている保育者に支配されたら、子どもは大きな苦痛を味わいます。 保育内容の基準を示す「保育所保育指針」は、それぞれの子どもの発達や個性に応じて生活習慣を無理なく身につけられるよう、保育者が適切にかかわることを求めています。具体的には、園生活の中で、子どもが保育者から励まされたりさりげなく援助されたりしながら、自分のペースで「できる」体験を積み重ね、自然に生活習慣を身につけていけるような保育が望まれているのです』、「「しつけ」というのは本来、「大人に従わせること」ではなく「生活習慣や社会性を身につけること」なのですが、勘違いしている大人は多いと思います。保育園やこども園は子どもが長時間にわたって共同生活をする場なので、このような勘違いをしている保育者に支配されたら、子どもは大きな苦痛を味わいます」、「「保育所保育指針」は、それぞれの子どもの発達や個性に応じて生活習慣を無理なく身につけられるよう、保育者が適切にかかわることを求めています」、なるほど。
・『「不適切保育」は暴力の教育  暴力をふるわれたり、体を邪険に扱われたり、恫喝されたり、集団から排除されたりといった体験は、子どもの自尊心の育ち、積極的に活動する意欲など、子どもの心の発達にネガティブな影響を与えます。 「保育所保育指針」や「幼稚園教育要領」は、幼児期の教育は子どもの主体的な活動(遊び)を通して実現されることを示していますが、保育者が一方的に従わせるような保育では、子どもは萎縮してしまうので、教育的な観点からもネガティブです。 また、保育者のふるまいからも子どもは学びます。たとえば、子どもを集めて、「今日、お片付けができなくて先生に叱られた子は誰?」と尋ね、子どもたちに名前を言わせる保育者がいますが、私からは、いじめのやり方を教えているようにしか見えません。 国連の子どもの権利委員会は、一般的意見8号(2006年)で「子どもは、おとなの言葉だけではなくおとなの行動からも学ぶ。子どもがもっとも緊密な関係を持っている大人が、その子どもとの関係において暴力および屈辱を用いるとき、その大人は人権の軽視を実演するとともに、それが紛争を解決したり行動を変えたりするための正当な方法であるという、危険な教訓を与えている可能性がある」と指摘しています』、「保育者が一方的に従わせるような保育では、子どもは萎縮してしまうので、教育的な観点からもネガティブです。 また、保育者のふるまいからも子どもは学びます。たとえば、子どもを集めて、「今日、お片付けができなくて先生に叱られた子は誰?」と尋ね、子どもたちに名前を言わせる保育者がいますが、私からは、いじめのやり方を教えているようにしか見えません」、その通りだ。
・『保護者が子どもを守るために  保育園やこども園の多くは、子どもの人格を尊重する保育を行ってくれているはずです。保育園・こども園に不信感をもち、保護者が細かいことを気にしすぎるのもあまりお勧めできません。保育現場に「圧」をかけることは、保育者の余裕を奪い、保育の質に悪影響を与える場合もあるからです。 「不適切保育」から子どもを守るために保護者にできることとしては、次のようなことが考えられます。 ① 園選びを子ども中心の目線で行う(園見学などで、保育者が子どもに接する様子、園長が保育について語る内容から、子どもを尊重する意識があるかどうかを感じ取ってください。保育施設の中の人たちの信頼性を、親の利便性や習い事などよりも重視して選ぶことが大切です。 ② 入園後、子どもの様子に注意を払い、保育者とコミュニケーションを深める(送迎時の子どもの様子に注意します。子どもが保育士におびえる様子があった場合は注意が必要です。言葉が話せる子どもとは、日々の会話を大切にし、子どもの言うことに耳を傾けましょう。ただし、保護者から保育者をネガティブに見る発言を繰り返すと、子どもも影響を受けてしまいます。また、子どもはまだ事実を正確に伝えられない場合があるので、気になることがあったら担任に相談するなど、まずは信頼関係を基本にしたアプローチをしたほうがよいでしょう。 連絡ノートや送迎時の会話などで保育者とコミュニケーションをとり、保育参加や保護者懇談会などの行事にもできるだけ参加して関係を深めることは、「不適切保育」の防止につながります。 ③ 「不適切保育」を見聞きしてしまったら(疑いをもったという程度であれば、保育者に「こうするのはなぜなんですか?」と保育の意図を確認したほうがよいと思います。その答えがおかしい場合や、明らかな行為を見聞きしてしまった場合は、園長や主任に相談したほうがよいでしょう。怒りをぶつけるのではなく、見聞きした問題行為や問題と思う理由を具体的に説明する、子どもが苦痛を感じている事実を伝えるなど、冷静に交渉することが重要です。 それでも「しつけです」と言われるなど不誠実な対応しかない場合は、します。市区町村が頼りにならない場合は、都道府県の指導監査部門に連絡をします』、「園長や主任に相談」、「市区町村の担当課などに通報」、「都道府県の指導監査部門に連絡」、これだけやれば、何らかの反応があるのではなかろうか。
・『保護者同志の情報交換で見えてくることがある  ④ 保護者同士のつながりも大切に(日頃から保護者同士のつながりをつくっておくことも大切です。父母会などの組織がない場合も、クラスごとにSNSでつながるなどできれば安心です。「不適切保育」なのかどうか、保護者同士の情報交換から判断できる場合もあります。そのような事態にならなくても、保育のよい面を見つけて園を応援していくことにも活用できます。 ⑤ 保育の制度にも関心をもつ(「不適切保育」が発生したりエスカレートしたりする背景には、保育士に適格な人材が不足していたり、保育士の仕事の負担が重すぎたりする構造的な問題もあると思います。改善するためには、保育士の待遇改善や配置人数をふやすことが必要です。そういった保育制度の問題に保護者も関心を持ち、保育施設を応援していくことも防止に役立つと思います』、「「不適切保育」なのかどうか、保護者同士の情報交換から判断できる場合もあります。そのような事態にならなくても、保育のよい面を見つけて園を応援していくことにも活用できます」、保護者同士のつながりも大切に」、「保育士の待遇改善や配置人数をふやすことが必要です。そういった保育制度の問題に保護者も関心を持ち、保育施設を応援していくことも防止に役立つ」、確かにその通りだ。  
タグ:保育園問題 (その14)(園児をたたく ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される「構造的問題」 空前の保育士不足が招く深刻すぎる事態、このままでは子どもが死ぬ…あまりに質の低い保育士の「残念すぎる実態」 点呼のチェックすらめんどくさいと言う、子どもが従わないので腹を立てる…「不適切保育」をする保育士の信じられない言い分 発達に合わない要求をして従わない子どもに"しつけ"をする) 現代ビジネス 小林 美希氏による「園児をたたく、ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される「構造的問題」 空前の保育士不足が招く深刻すぎる事態」 待機児童問題、送迎バス置き去り問題のあとには、「虐待」問題まで出てくるとは、まさに社会の縮図だ。 「経験の浅いリーダー保育士が、登園して泣く1歳児に向かって「なんで泣くのよ!」と大声で怒る」、「保育がマニュアル化して「壁にぺったん!」と軍隊のように指令して姿勢をよくすることを強制する。 保育士が過重労働で長時間働いて疲弊し、保育が流れ作業と化す。離職が相次ぎ、そこに、現場で指導できる中堅・ベテラン保育士がいないことで、不適切な保育が継承されていく」、信じ難いが、これが現実のようだ。 「4歳児のクラスの担任が、『てめー!お前なんかに食べさせない!』と言って、二人がかりで扉を押さえて園児を部屋から閉め出していました。保育士が思うようなスピードで着替えをしなかったことの制裁でした。その状態が1時間以上続き、その子は嗚咽して、白目になって過呼吸になっていました」、可哀想だとは思わないのだろうか。 「たとえ年齢が若くても保育士が正職員であり担任であると、非常勤の保育士や保育補助者が年上でベテランであっても、「担任や正職員に注意できない」という暗黙のルールが少なからず存在する」、「虐待の起こる保育現場では、心ある非正規の保育士が次々と辞め、虐待する保育士が居残っていたという」、こうなると悪循環だ。 小林 美希氏による「このままでは子どもが死ぬ…あまりに質の低い保育士の「残念すぎる実態」 点呼のチェックすらめんどくさいと言う」 「さくら保育園」で「30代の保育士3人が園児に虐待を繰り返していた事件」は衝撃的だった。 「若い正社員の保育士は、『この子、ウンチしてまーす』と言って、パートの保育士や保育補助者に任せてしまいます。嘔吐の処理も、食事の後片付けも清掃も全て『汚いからやらない』といわんばかり。パートに任せて自分たちはおしゃべりに夢中なんです」、「正社員」というだけで、汚い作業は「パートの保育士や保育補助者に任せてしまいます」、困ったものだ。 「裾野市の保育園での虐待・暴行の疑いの事件では、園側が職員全員に対して「業務上知り得た情報や機密事項など漏洩しない」という誓約書にサインさせていたという」、しかし、「職員」は「公益通報」できるので、「誓約書」は無効である。 「「ほいくえん、いきたくない。せんせい、やさしくない」 もし、子どもがそう言った時、その言葉がSOSである場合もあり、注意を払う必要がある」、その通りだ。 PRESIDENT ONLINE 普光院 亜紀氏による「子どもが従わないので腹を立てる…「不適切保育」をする保育士の信じられない言い分 発達に合わない要求をして従わない子どもに"しつけ"をする」 「不適切保育をしてしまう保育者の多くが『しつけ』のつもりだったと言います」、「それらのケースを見ると、子どもの発達や状態に合わない要求をして、従わないので腹を立てているケースが多いようです」、「従わないので腹を立てているケースが多い」、とんでもないことだ。 「たたく・押す・引っ張るなど子どもの心身に苦痛を与える、恫喝する・怒鳴るなどこわい叱り方で脅す、保育室の外に出す・年齢が下のクラスに行かせる・トイレや押し入れに閉じ込める・食事やおやつを取り上げるなどの罰を与える、食事を無理強いする、容姿などについて子どもを言葉で侮辱するなど」、は「明らかな人権侵害に当たります」、その通りだ。 「子どもの側から見ると、まったく違う風景」とはどのような「風景」なのだろう。 「「しつけ」というのは本来、「大人に従わせること」ではなく「生活習慣や社会性を身につけること」なのですが、勘違いしている大人は多いと思います。保育園やこども園は子どもが長時間にわたって共同生活をする場なので、このような勘違いをしている保育者に支配されたら、子どもは大きな苦痛を味わいます」、「「保育所保育指針」は、それぞれの子どもの発達や個性に応じて生活習慣を無理なく身につけられるよう、保育者が適切にかかわることを求めています」、なるほど。 「保育者が一方的に従わせるような保育では、子どもは萎縮してしまうので、教育的な観点からもネガティブです。 また、保育者のふるまいからも子どもは学びます。たとえば、子どもを集めて、「今日、お片付けができなくて先生に叱られた子は誰?」と尋ね、子どもたちに名前を言わせる保育者がいますが、私からは、いじめのやり方を教えているようにしか見えません」、その通りだ。 「園長や主任に相談」、「市区町村の担当課などに通報」、「都道府県の指導監査部門に連絡」、これだけやれば、何らかの反応があるのではなかろうか。 「「不適切保育」なのかどうか、保護者同士の情報交換から判断できる場合もあります。そのような事態にならなくても、保育のよい面を見つけて園を応援していくことにも活用できます」、保護者同士のつながりも大切に」、「保育士の待遇改善や配置人数をふやすことが必要です。そういった保育制度の問題に保護者も関心を持ち、保育施設を応援していくことも防止に役立つ」、確かにその通りだ。
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心理学(その5)(脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実 ストレスや不安は海馬や前頭葉を萎縮させてしまう、精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」、鴻上尚史氏と中野信子氏が対談 日本は「好きなことをしていると叩かれる国」) [生活]

心理学については、6月29日に取上げた。今日は、(その5)(脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実 ストレスや不安は海馬や前頭葉を萎縮させてしまう、精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」、鴻上尚史氏と中野信子氏が対談 日本は「好きなことをしていると叩かれる国」)である。

先ずは、9月3日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医のアンデシュ・ハンセン氏による「脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実 ストレスや不安は海馬や前頭葉を萎縮させてしまう」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/614884
・『ストレスは脳にダメージを与え、海馬や前頭葉が小さくなることも。『運動脳』著者で世界的精神科医のアンデシュ・ハンセン氏が「ちょっとしたイライラ」が脳に静かに与えるダメージ、とっておきのストレス解毒剤として運動の効果を解説します。散歩からストレス解消効果が期待できます。 ストレスは脳を小さくする。そして記憶や発話、感情の制御といった機能に問題を生じさせる。 ストレスを感じると、まず脳の扁桃体が反応し、視床下部→下垂体→副腎へと身体の上から下へ刺激が伝わる。副腎から「コルチゾール」というホルモンが分泌されると、動悸は激しくなる。この一連の反応はほんの1秒ほどで起きるが、これは人類の生存に欠かせないからだ。生存の可能性を増やすものがあるとすれば、危険な状況に出くわしたとき、ただちに逃走をうながす警報システム。扁桃体の機能が、まさにそれにあたる。 扁桃体は、ストレス反応を引き起こすだけでなく、そのストレス反応によっても刺激を受けてしまう。扁桃体が危険を知らせ、それに反応してコルチゾールの血中濃度が上がると、扁桃体がさらに興奮する。ストレスがストレスを呼ぶ悪循環だ。 体内には、このストレス反応を緩和し、興奮やパニック発作を防ぐブレーキペダルが備わっている。その1つが「海馬」だ。海馬は記憶中枢として知られるが、感情を暴走させないブレーキとしても働いている』、「ストレスを感じると、まず脳の扁桃体が反応し、視床下部→下垂体→副腎へと身体の上から下へ刺激が伝わる。副腎から「コルチゾール」というホルモンが分泌されると、動悸は激しくなる。この一連の反応はほんの1秒ほどで起きるが、これは人類の生存に欠かせないからだ」、「扁桃体は、ストレス反応を引き起こすだけでなく、そのストレス反応によっても刺激を受けてしまう・・・ストレスがストレスを呼ぶ悪循環だ」、「体内には、このストレス反応を緩和し、興奮やパニック発作を防ぐブレーキペダルが備わっている。その1つが「海馬」だ。海馬は記憶中枢として知られるが、感情を暴走させないブレーキとしても働いている」、実によく出来た仕組みだ。
・『イライラで海馬が縮小する  ストレスそのものは生存に必要な機能だ。闘争、あるいは逃走しなくてはならない重大な局面では、エネルギーが余計に必要となるためコルチゾールが増えることは役に立つ。しかし、海馬の細胞は、コルチゾールに長時間さらされると死んでしまう。慢性的にコルチゾールが分泌されると、海馬は萎縮してしまうのだ。 これは記憶に直結する問題で、重いストレス反応を抱えた状態が続くと、言葉がうまく出てこなかったり、場所の認識ができなくなったりする。海馬は空間認識にも関わっているため、自分の場所や方向がわからなくなる可能性も出てくる。) 扁桃体がストレス反応を引き起こしつづけると、海馬のブレーキはすり減ってしまう。アクセルである扁桃体は、海馬が萎縮してブレーキが利かなくなると暴走を始める。こうして、ストレスがさらにストレスを生むサイクルに入る。 長期的なストレスは脳に損傷を与える。重いストレスや不安を抱える人の脳を調べると、実際に海馬が平均よりわずかに小さいことがわかる。おそらくコルチゾールによって、ゆっくりと蝕まれたためだろう』、「扁桃体がストレス反応を引き起こしつづけると、海馬のブレーキはすり減ってしまう。アクセルである扁桃体は、海馬が萎縮してブレーキが利かなくなると暴走を始める。こうして、ストレスがさらにストレスを生むサイクルに入る」、恐ろしいことだ。
・『心配するたび「前頭葉」が小さくなる  ストレスや不安で小さくなるのは海馬だけでない。抽象的思考や分析的思考を行う、額のすぐうしろ「前頭葉」も萎縮する。実際、極度の心配性の人は前頭葉の各部位が小さい。 前頭葉もまた、感情を暴走させず、理性を失った行動に出ないよう働くクールダウンの器官だ。その前頭葉が萎縮すれば、ストレスが長引いて脳はみずからを蝕み、歯止めはさらに利かなくなる。扁桃体がやたらと警告を発し、前頭葉がそれを打ち消すことができなければ、ほんの些細なことにも大げさに反応するようになる。 では、ストレス反応を抑えるにはどうすればいいのか。「磁気による刺激を前頭葉に与えて活動を促す」療法が実在するように、ストレスを抑えたければ、脳の思考領域、つまり海馬と前頭葉の機能をうながせばいい。この2つの部位は、ともに体を活発に動かすことで何より刺激を受ける部位である。 まず、ランニングやサイクリングなどの運動をすると、それを続けている間はコルチゾールの分泌量が増える。体に負荷がかかる運動は一種のストレスだからだ。 筋肉を適切に動かすには、より多くのエネルギーや酸素が必要なので、血流を増やそうとして心臓の鼓動は激しくなる。そして心拍数と血圧が上昇する。この場合のコルチゾールの働きは正常で、体を動かすために必要な反応だ。 しかし運動が終われば、体はもうストレス反応を必要としないので、コルチゾールの分泌量は減り、さらにランニング前のレベルにまで下がっていく。ランニングを習慣づけると、走っているときのコルチゾールの分泌量は次第に増えにくくなり、走り終えたときに下がる量は逆に増えていく。) ここからがおもしろいところで、定期的に運動を続けると、運動以外のことが原因のストレスでも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなる。運動によるものでも仕事に関わるものでも、ストレスに対する反応は、体が運動で鍛えられるにしたがって徐々に抑えられるのだ。つまり運動が、ストレスに対して過剰に反応しないよう体をしつけるのである。体を活発に動かしたことでストレスに対する抵抗力が高まる。 運動は前頭葉を強くもする。体を活発に動かすと脳の血流が増える。前頭葉にたちまち大量に血液が流れ、機能が促進される。さらに、運動を長期にわたって続けると、前頭葉に新しい血管がつくられ、血液や酸素の供給量が増加、それによって老廃物がしっかり取り除かれる。 加えて、定期的に運動すれば、前頭葉と扁桃体の連携も強化される。そうなると、前頭葉はさらに効率よく扁桃体を制御できるようになる。教師が離れた場所から生徒を監督するのではなく、教室にいて直接指導するようなものだ。 定期的な運動を続ければ、前頭葉は物理的に成長までする。1時間程度の散歩を習慣にしている成人の前頭葉を定期的に測定した結果、前頭葉を含む大脳皮質が成長していたのだ。歩くと前頭葉が大きくなる。信じられないような事実である』、「ストレスに対する反応は、体が運動で鍛えられるにしたがって徐々に抑えられるのだ。つまり運動が、ストレスに対して過剰に反応しないよう体をしつけるのである」、「運動が」「体をしつける」とは面白い表現だ。「1時間程度の散歩を習慣にしている成人の前頭葉を定期的に測定した結果、前頭葉を含む大脳皮質が成長していた」、私も「1時間程度の散歩」を日課にしているので、「大脳皮質が成長」している筈だ。なんだか嬉しくなる。
・『運動とストレスは「正反対」に作用する  運動とストレスに関するさまざまな研究論文に目を通していると、ある事実が浮かび上がってくる。ストレスと運動は、ほぼ正反対の作用を脳に与えているのだ。 ・ストレスが増してコルチゾールの血中濃度が高くなると、脳内で情報を伝達する機能が妨げられる。運動は逆にその機能を高める。 ・ストレスは脳の変化する特性(可塑性)を損なわせるが、運動はそれを高める。 ・ストレスが高まると短期記憶(数分から数時間の記憶)が長期記憶に変わる仕組みにブレーキがかかる。運動はその逆に作用を促す。 運動は、ストレスや不安を消し去る本物の解毒剤だ。週に2,3回は心拍数が増えるようなランニングなどの有酸素運動をお勧めしたい。たとえ動悸が激しくなっても、脳はそれがストレスから来るものではなく、プラスの変化をもたらすものだと学習する。ただ散歩に出かけるだけでもいい。活発に体を動かしたときほどではないにしても、ストレスを抑える効果は望める』、「週に2,3回は心拍数が増えるようなランニングなどの有酸素運動をお勧めしたい」、私の場合は、「ランニング」の代わりに速足をしている。

次に、10月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した書籍オンライン編集部による「精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/310726
・『コロナ禍、ウクライナ危機、急激なインフレ…。いつ何が起こるかわからない世界を生きる私たちは、どんな変化にも対応できるようにストレスへの対処法を知っておく必要がある。そこでおすすめしたいのが、『ストレスフリー超大全』。多くの人がストレスを感じる「人間関係」「プライベート」「仕事」「健康」「メンタル」の5つのテーマに対して科学的ファクトと対処するためのToDoがまとまった1冊だ。本書を執筆した精神科医の樺沢紫苑氏は、「ストレスは耐え忍ぶものではなく、しなやかに受け流すことが必要である」と言う。本記事では、本書をもとに現代人に必須のストレスの対処法をご紹介する』、「「ストレスは耐え忍ぶものではなく、しなやかに受け流すことが必要である」、というのは興味深い見解だ。
・『精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」 不安になるのは、なぜか?  ストレスはマイナスなイメージがあるが、「いいストレス」もあると本書で樺沢氏は述べている。 適度なストレスは、脳の働きを活性化し、集中力を研ぎ澄まし、記憶力を高めます(P.3) しかし注意しなければいけないのは、「過剰なストレス」だ。 仕事、人間関係、将来不安などで悩み続けると思考停止に陥る。そして、その状態で耐え忍んでしまうとストレスが蓄積していく。やがて、心身をむしばむ「悪いストレス」に変化してしまう。 ではなぜ、人は不安になるのだろうか? 人間が緊張、不安、恐怖の感情を持つと脳内物質の「ノルアドレナリン」が分泌される。 このノルアドレナリンは「闘争か、競争か」の物質と言われている。この物質について、本書にはこう書かれている。 ノルアドレナリンが分泌されると脳が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、どうすればいいのか一瞬で判断できるようになります(P.20) 不安や恐怖といったピンチに対して、「さっさと行動しろ!」とノルアドレナリンは私たちに警告してくれているのだ』、「分泌されると脳が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、どうすればいいのか一瞬で判断できるようになります」、有難い効用があるようだ。
・『「行動すること」が不安を減らす  しかし、ノルアドレナリンの警告を無視し、思考停止になったまま行動を起こさないと、不安は増えていく。 月曜日に大切な会議があるあなたは不安で不安で仕方がない。最悪の事態を想像してしまい、何もする気になれず家に閉じこもっていたのに、休んだ気がしない。不安は増すばかり。そんな日曜の夜を過ごしたことはないだろうか。 しかし、不測の事態に備えた前向きな行動を起こしていたらどうなるか。 前向きな行動を始めると、ノルアドレナリンという行動するためのガソリンが消費され、「行動によるガソリン消費→ノルアドレナリン減少→不安逓減→気持ちが楽になる」という流れが起こる。 本書には、このように書かれている。 不安を消すことは簡単です。「行動する」ことです。いきなり不安が「ゼロ」にならないまでも、行動することで、不安は必ず軽くなります。「何もしない」と強まるだけなので、何かするだけで気分は変わります(P21)』、「前向きな行動を始めると、ノルアドレナリンという行動するためのガソリンが消費され、「行動によるガソリン消費→ノルアドレナリン減少→不安逓減→気持ちが楽になる」という流れが起こる」、なるほど。
・『「行動を細分化」して悩みを解決!  「行動する」ことが大切だとは分かった。しかし、不安や悩みを抱えた状況で前向きな行動ができないのも正直なところだ。 それについて著者は、「すべての『行動』を細分化して行動のハードルを下げることで、苦しい状況でも『できる』ことを見つけられる」とし、3つの「確実に行動できる対処法(ToDo)」を提案している。 1.「話す」(人に話してみたら、心がスッキリしたことはないだろうか。別にアドバイスがもらえなくてもいいのだ。 悩みや不安について同じことをグルグル考え悶々としているより、不安な気持ちを放出することで少しばかりスッキリした気持ちが味わえるものだ。 しかし注意しなければならないのは、不安や悩みを話すのも加減する必要があることだ。延々と聞かされる相手の身になり、不安や悩みは簡潔にまとめ、最後は前向きな言葉で終えることを心掛けたい。) 2.「書く」(不安や悩みというのは、ぼんやりとしたものになりがちだ。そんなときは、無心になって書き出してみよう。 「何について悩んでいるのか」「なぜ悩んでいるのか」を書き出すことで案外、不要な悩みだったことに気づくかもしれない。 手を動かし紙に書き出すという行動は、自分を冷静に見つめ直す作業となる。) 3.「体を動かす」(何をしても不安が拭えないときは、思い切って体を動かしてみよう。じっと椅子に座って考え込んだり、不安だからと布団にくるまっていてもどんどん悪い方向に思考が傾いてしまうだけだ。 それよりも、体を動かしたほうがいい。セロトニンが活性化し、脳が沈静化されてマイナスな思考が薄まってくれる。 これら3つの行動をすべて取り入れる必要はない。その時の自分に合ったものをどれかひとつでもいいので試してみれば、ノルアドレナリンという不安物質が消費されて、心は軽やかになってくれる』、「「すべての『行動』を細分化して行動のハードルを下げることで、苦しい状況でも『できる』ことを見つけられる」とし、3つの「確実に行動できる対処法(ToDo)」を提案」、「1.「話す」」、「2.「書く」、「3.「体を動かす」」、「これら3つの行動をすべて取り入れる必要はない。その時の自分に合ったものをどれかひとつでもいいので試してみれば、ノルアドレナリンという不安物質が消費されて、心は軽やかになってくれる」、なるほど。
・『「悩みの正体」を知れば、解決への道が見える  ここで改めて「悩み」とは何か考えてみよう。 悩みとは、ある問題について、苦しみ、思い煩う状態であると著者は述べている。そして、その問題について「どうしたらいいのか」分からないから、人は悩むのだ。 つまり、その問題の対処法や解決法を知り(Know)、それを実行する、行動する(Do)といった悩み解決のプロセスを踏めば解決への道が見えてくる。 解決のプロセスに入る前に、自分が悩み不安に思っている問題を冷静に見つめ直すことが必要であり、それにはこれまでにお伝えしたように、書き出す作業が必要となってくる』、「自分が悩み不安に思っている問題を冷静に見つめ直すことが必要であり、それにはこれまでにお伝えしたように、書き出す作業が必要となってくる」、その通りだ。
・『悩みの対処法を調べ、ToDoに落とし込む  書き出した悩みについて、どのような対処法があるのか調べてみよう。調べると聞くと、ついインターネットで検索しがちだが、そこには誤った情報が書かれている場合があるので、必ず「本」で調べることが大切だ。 悩みの対処法が書かれている本から「ToDo」を3つ探し、1~2週間は実行し進捗具合を評価する。本書には次のような評価の手順が書かれている。 評価の手順1 うまくいっていない理由を3つ書く 評価の手順2 うまくいっている点を3つ書く 評価の手順3 次のToDoを3つ書く(P.27) 翌週は、手順3「次のToDo」を目標とする。これらを繰り返し習慣化することで、悩みはいつか消え去るというわけだ。 このように、自分の悩みを書き出し、その対処法を調べ、やるべきことを知り、行動することを2~3週間行うだけで、悩みの解決にかなりの効果があるという。 頭の中だけで考えているのではなく、行動することが大切なことは分かったが、それすらも億劫に感じるときもあるだろう。そんな時は、家から出て外の光を浴び、近所を散歩するだけでも気が晴れるものだ。 もしくは、友人や知人、その他の助けてくれそうな人を頼ってみればいい。そうやって他人の力を上手に利用して、話を聞いてもらうことで、負のループから抜け出すことができるかもしれない』、「家から出て外の光を浴び、近所を散歩するだけでも気が晴れるものだ。 もしくは、友人や知人、その他の助けてくれそうな人を頼ってみればいい。そうやって他人の力を上手に利用して、話を聞いてもらうことで、負のループから抜け出すことができるかもしれない」、なるほど。
・『コロナ禍に圧倒的に売れたストレス対処法 「読者からの感想」も続々!  「この本を読んで『死なないでほしい』という樺沢先生の言葉に助けられました。」(Mさん) 「紫苑さんの本や動画などはとても分かりやすい言葉になっているので多くの方がフォローしてるのだなと思います。」(Aさん) 「『行動』すれば『ストレスフリー』になることができる。ストレスの原因を取り除かなくとも、ストレスに振り回されない程度に小さくしてハッピーな毎日を送ることができる」(Hさん)』、なるほど。
・『精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」  著者からのメッセージ 私の臨床経験では、「几帳面でまじめな人ほどうつになりやすい」傾向を感じます。なぜなら、ストレスの原因を真正面から受け止め、不安になり、悩み続け、リセットできないからです。 悪いストレスをなくしていくことが、「ストレスフリーな人」になるためには重要です。 あなたの「考え方」「受け止め方」を少し変えるだけで、ストレスを受け流せるようになります。それだけで、「不安」や「悩み」の9割は消すことができます。 本書では、誰しもが悪いストレスを感じる「人間関係」「プライベート」「仕事」「メンタル」「健康」という5つのテーマに対し、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」を示します。「いま何をすべきか」が明確になるでしょう。 精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社) 2年の歳月をかけて書き下ろした集大成! 超・現実的で役に立つノウハウ! 多くのビジネス書では、「ストレスから逃げろ」「ストレスなんか気にするな」という精神論が書かれていますが、そのようなアドバイスは非現実的です。 本書では、私の精神科医としての経験から、現実的であり、かつ、効果抜群のノウハウだけを紹介します。 不安、悩み、ストレスにとらわれない生き方。それができると、あなたの人生は間違いなく楽しく、明るく、達成感と自己成長が感じられる、幸せなものになります。生き方を変えるのは「今」です!』、「あなたの「考え方」「受け止め方」を少し変えるだけで、ストレスを受け流せるようになります。それだけで、「不安」や「悩み」の9割は消すことができます」、「生き方を変えるのは「今」です!」、いかにも効果がありそうだ。

第三に、12月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した演出家の鴻上尚史氏と脳科学者の中野信子氏による対談「鴻上尚史氏と中野信子氏が対談、日本は「好きなことをしていると叩かれる国」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/313766
・『不安がちで群れたり、集団からはみ出す人を攻撃したりしやすいのは日本人の特性…と諦めぎみによく言われます。日本人を縛る「同調圧力」とどう向き合えばいいのでしょうか?日々人間関係について考え続ける演出家の鴻上尚史氏と脳科学者の中野信子氏が、現代社会の息苦しさから抜け出し、心地良く生きるためのコミュニケーションについて語り尽くしました。鴻上氏はコロナ禍で「好きなことをしていてたたかれる国になった」と感じたそうです。また、サッカーW杯の日本代表選手への誹謗中傷も話題となりましたが、その根底にあるものについて考える、『同調圧力のトリセツ』(小学館新書)からの抜粋です』、興味深そうだ。
・『大人になった今だから言えること  鴻上 この国の閉塞感やレッテルの貼り方に対する抗議の挙げ方から考えると、僕と中野さんはそんなに違う方向を向いているとは感じられないんです。でも同じ方向を向いている人同士の対談は、実は面白くなかったりするんですよね。何を言っても、お互い、そのとおり、そのとおりで終わっちゃうから(笑)。 中野 そうですね。ある問題がタワーのように真ん中にあったとして、その問題を私が東側から見ていて、鴻上さんは西側から見てるような感じの対談になったらいいですよね。 鴻上 そうなるといいです。同じ方向、同じサイドからだとダメなので。 中野 私はずっと集団と個の関係に興味があるんです。鴻上さんは、作品の中で、排除されている人の視点で、どうして集団が生贄を必要とするのかを、すごく詩的に情緒的に書かれていますよね。まだ高校生くらいの頃に鴻上さんのスクリプトを読んで、これは同じ問題意識を持った人だ!と感銘を受けて、ボロボロになるまで読みました。あまりに読むので、もう3冊同じのを買っていると思います。 同じ軋(きし)みを見ている。でも私は何とか科学でこれを解決できないか、と取り組んできた。一方で、鴻上さんは経験的に、血の通う言葉を紡ぐことでそれを解決しようとしてこられたんじゃないかと思っています。その視点が組み合わさると、いわゆる上級国民になろうとする必要はないということや、自分のいるべきとされているところに長く留まり続ける必要はなく移動してもいいといった、柔軟な生き方のヒントを、若い人が見つけていけるように思うんです。 鴻上 でも、「上級国民にならなくてもいい」と言うと、屈折している読者の中には「中野信子が何を言ってんだ」と思う人がいるかもしれませんよ。中野さんは、家庭の事情で国立大学しか選択できなかったとしても、結局、東大に入ったわけですから』、「中野氏」が「高校生くらいの頃に鴻上さんのスクリプトを読んで、これは同じ問題意識を持った人だ!と感銘を受けて、ボロボロになるまで読みました。あまりに読むので、もう3冊同じのを買っていると思います」、さすがませた「高校生」だ。
・『浪人する人が激減した理由  中野 いやいや、私は勉強ができるという本当に一枚のカードしか持っていなかったんです。それも、中途半端ですよ。貧乏だし、両親もそこまで教育熱心かというとそうでもない。地位も名声も体力もない。背水の陣で受けた東大に受かったからよかったんですけど。本当のところは、早稲田カルチャーで育った卒業生の皆さんに多くの素敵な人がいて、憧れがあったので、お金があって早稲田に行ける人がうらやましかったですよ。 鴻上 何を言ってるんですか。中野さんみたいに、美人で勉強できるって、最強のカードですよ。ところで、予備校の先生に話を聞くと、僕や中野さんの時代に比べて、浪人をする人が十分の一以下に減っているそうです。 中野 そんなに減ったんですか。 鴻上 なぜ減ったかというと、一年浪人をして大学の偏差値を上げて、ワンランク上の大学に入る意味を見いだしにくくなってきたからだそうです。昔は、東大から早稲田・慶應…という大学のランクにグラデーションがありましたが、今は、浪人するなら、医学部か東大に入らない限りは意義がない。ぶっちゃけて言うと、今は東大とそれ以外の大学という認識なんです。 中野 そこに疑義が呈される時代なんですね。でも長者番付を見てもテレビを見ても、そんなに東大出身の方はいないじゃないですか?目立っている東大生は、東大に行ったことに甘えず、それ以上のことを自分でやってきた人達。大学名には大した価値はなく、自分で何をやるかが大切。大学名に甘えるように思考停止してしまって、若いうちから自分を磨くことをやめてしまった人たちの中年以降って、結構悲しいですよ。50歳になって、自慢できるのがセンター試験の点数しかないみたいな。30年以上も何やってたの。大人になった今だから言えることが、もっと若い人達に響いてほしいですね』、「予備校の先生に話を聞くと、僕や中野さんの時代に比べて、浪人をする人が十分の一以下に減っているそうです・・・ なぜ減ったかというと、一年浪人をして大学の偏差値を上げて、ワンランク上の大学に入る意味を見いだしにくくなってきたからだそうです」、そうであれば、「予備校」ビジネスも様変わりしたのだろう。
・『ハイコンテクストな日本のコミュニケーション  中野 編集の方のお話だと、今、コミュニケーションに関する本が売れているようです。みなさん、コミュニケーションに関して、悩んでるんですよね。鴻上さんの見立てでは、どうしてだと思いますか? 鴻上 僕の言葉で言うと、日本人が生きてきた「世間」が中途半端に壊れてきているからだと思います。「世間」とは、現在、もしくは将来の自分に関係のある人たち。学校のクラスメイトや会社の同僚、地域のサークルや親しい近所の人など自分が知っている人達によって作られている世界です。「世間」の反対語は「社会」だと僕は言ってるんですが、「社会」というのは現在も未来も何の関係もない人達で構成された世界です。道ですれ違った人とか、たまたま入ったコンビニの店員さん、電車で隣に座った人など、自分の知らない人達が作っている世界。日本人の多くは「世間」に生きて、「社会」とは接点が少ないのです。日本人は自分に関係のない「社会」の人とはなるべく関わらず、同時に関わり方がわからず、自分と関係のある「世間」の人を大切にします。結果、圧倒的に「世間」の中でしかコミュニケーションしていないんですが、この「世間」がどんどん中途半端に壊れてきているんです。 僕がよく例に出すのは、NHK紅白歌合戦。前の東京オリンピックがあった前年の1963年(昭和38年)には、視聴率はなんと81.3%もあったんです。それを頂点に1980年代前半までは、75%前後を維持していました。若い奴は信じませんが、ほぼ全部の歌をみんな歌えました。みんなが同じものを見て楽しんでいたんです。そんな時代は(本当は自分を抑えていた人が確実にいたでしょうが)コミュニケーションの断絶に悩んでいなくて、ツーと言えばカーで、なんとなくわかってしまっていた。 しかし、今は、大晦日に紅白歌合戦を見るかどうかだけでなく、そもそも、テレビを見るかどうか、動画をネットで見るかなど視聴行為だけみても多様化してきています。「同質であること」を維持できなくなっているんです。けれど、コミュニケーションのやり方は今までの「世間」のものを応用しているから、あちこちで軋(きし)みが生まれてしまっている。さらに、もう一方の「社会」とどう繋がっていいのかわからないまま、みんなが混乱して、なんとかしようと新たなコミュニケーションのやり方を探して、そういう本を求めているんじゃないかな。 中野 そうなんですね。私はずっと、人間がどうして個の意志と集団の意志が並列に存在する「不完全な社会性」しか持たず、共同体が一個体であるかのように振る舞う蟻や蜂のような「真社会性」を持たないんだろうと思っているんです。 鴻上 蟻や蜂は、すごく頑張って従う個体もいれば、全く働かない個体が二割くらいいて、働く蟻がバーンアウトしたり、動かなくなった時には、働かない蟻が登場して働きだすって言いますよね。 中野 個が「意志をもって働かない」のでなく、単に働かない蟻は、全体のバッファーの役割なんです。繰り返しになりますが、蟻や蜂は巣の全体が一つの生き物みたいなものなんです。) 鴻上 なるほど。僕のフィールドである劇団という集団で考えてみると、一番周りから能力が低いと評価されている人が、伸び伸びと生きられているかどうかが、その劇団の集団としての健全さの目安だと僕は思っています。30人の集団がいれば、一人くらいは遅刻の常習犯だったり、作業を頼んでもできなかったり、必ずオーダーを間違えてしまう人がいる。そういう人達がプレッシャーを受けていられなくなる集団は、とても息苦しい集団だと言えます。 中野 でも、そんなに集団が大事なら、どうして人間にはそれに反するように、個人に強い意志や意識があるのか不思議なんですよね。 鴻上 集団に奉仕するためだったら、個人の意志なんていらないんじゃないかということですか? 中野 いえ、個人の意志を否定したいのではなくて、なぜ真社会性にならないんだろう?という単純な興味です。まあ効率重視なら真社会性ですよね。蟻や蜂と同じ。でも人間は個人の自由に価値を重く置いていたりする。それなのに、みんなのためにと思って個人の意志を時には潰したりもしていて、その間を揺れ動いている不完全な社会性が面白く見えるんです。一貫性を求めるわりには、柔軟に対応しろと言われることもあって、コミュニケーションを介して個体同士が複雑に絡み合っているように見えます。 そもそも、私は「どうして人と同じような振る舞いができないの?」と言われたり、「変わってるね」と言われたりして、集団になじめないところがあったんですが、自分自身はあまり変わったところはなく、凡庸な人間だと思うんです。 鴻上 変わっていることと凡庸はイコールではないんじゃないですか。「変わってる」ということは、他人の言葉の受け取り方が変だということで、変わっていて凡庸じゃない人と、変わっていて凡庸な人がいる気がします』、「日本人の多くは「世間」に生きて、「社会」とは接点が少ないのです。日本人は自分に関係のない「社会」の人とはなるべく関わらず、同時に関わり方がわからず、自分と関係のある「世間」の人を大切にします。結果、圧倒的に「世間」の中でしかコミュニケーションしていないんですが、この「世間」がどんどん中途半端に壊れてきているんです」、「中野 ・・・私はずっと、人間がどうして個の意志と集団の意志が並列に存在する「不完全な社会性」しか持たず、共同体が一個体であるかのように振る舞う蟻や蜂のような「真社会性」を持たないんだろうと思っているんです。 鴻上 蟻や蜂は、すごく頑張って従う個体もいれば、全く働かない個体が二割くらいいて、働く蟻がバーンアウトしたり、動かなくなった時には、働かない蟻が登場して働きだすって言いますよね。 中野 個が「意志をもって働かない」のでなく、単に働かない蟻は、全体のバッファーの役割なんです。繰り返しになりますが、蟻や蜂は巣の全体が一つの生き物みたいなものなんです」、なるほど。
・『日本人がコミュニケーションに悩む脳科学的な理由とは  中野 おそらく一般的な意見の受け取り方が、私は下手くそなんですよね。でも私みたいに受け取り方が下手なほうが、なぜかコミュニケーションに悩まずにいられて、受け取り方が上手な人のほうがめちゃくちゃ巻き込まれて、大変な思いをして悩んでいる。むしろ受け取れない側からすると、悩んでいることがうらやましい感じさえします。 鴻上 脳科学的には、日本人がコミュニケーションに悩むというのは、どういった分析になりますか?) 中野 脳科学的に、というよりは比較言語論のような話になってしまいますが、日本の、あるいは日本語話者のコミュニケーションのあり方は、ハイコンテクストだと言われますよね。まさに「空気を読む」という表現もありますけど、こんなの日本語だけ。一つの単語が表す意味が重層的であったり、同音異義語も多くて、意味をあえて特定しにくくしているフシすらある。表情や声のトーンなど言葉以外の情報に頼ることも頻繁にあります。受け取る側のリテラシーが試される言語です。さらに、失敗してしまった時のペナルティも大きい。このペナルティの大きさは「社会性の強さ」とも言えます。日本がこのような独特の社会を形成した要因の一つには、災害が多いことも関連していると思います。 鴻上 「社会性の強さ」とは僕の言う「世間性の強さ」ということですよね。同じ「世間」に生きているなら、言葉がハイコンテクストでも成立します。逆に言うと、「世間」の団結を強めるためには、ほかの集団には通じない符牒(ふちょう)、独特な言葉を使うことが大事になる。ほかの集団には通じない言葉を使えば使うほど、同じ集団に属す我々は一つだという快感を覚えることになります。 中野 思考停止していても安全、ということですしね。 鴻上 その符牒を読み間違えてしまうと、我々の「世間」には所属していない者だと認定され、強烈な制裁がやってくるわけです。 中野 共同体を破壊し、安全な思考停止状態を破る危険な異物として排除されてしまうんですよね』、「「社会性の強さ」とは僕の言う「世間性の強さ」ということ」、「「世間」の団結を強めるためには、ほかの集団には通じない符牒(ふちょう)、独特な言葉を使うことが大事になる。ほかの集団には通じない言葉を使えば使うほど、同じ集団に属す我々は一つだという快感を覚えることになります・・・鴻上 その符牒を読み間違えてしまうと、我々の「世間」には所属していない者だと認定され、強烈な制裁がやってくるわけです。 中野 共同体を破壊し、安全な思考停止状態を破る危険な異物として排除されてしまうんですよね」、さすがに深い考察だ。
・『好きなことをしているとたたかれる国  鴻上 コロナの影響で国から自粛を求められた時に、「演劇界を含め、自粛要請でダメージを受けた業界には、休業補償をお願いしたい」とインタビューで話したら、そのインタビューをネットで読んだ人から「好きなことをやっているんだから、貧乏でいいだろう」という反応があったんです。 中野 同じ時期に、日本俳優連合の理事長を務める西田敏行(にしだとしゆき)さんが、俳優の窮状を訴える要望書を国に提出したら、同じようにバッシングされてしまったことをよく覚えています。「好きなことをやっていると責められてしまう国って何なのかな…」とすごくモヤモヤとした気持ちになりました。) 鴻上 好きなことをやっていると、ネットで攻撃されるのはどうしてだろうと疑問を感じて、エッセイに「街のラーメン屋さんを含め、自分で事業を始めた個人事業主は、今はコロナ禍で苦しいかもしれないけれど、たぶん好きなことをやろうとした人達。サラリーマンは半分半分くらいで、今増えている非正規雇用の人たちは、好きなこととは遠いことをやっているんじゃないだろうか」と、書いたんです。そうしたらそのエッセイがネットにアップされた数時間後には、「好きなことをやっていないのは非正規」と僕が言っているというスレッドがネット上に立っていて驚きました。 中野 え…! 鴻上 そのスレッドをよく読んでみると、僕のエッセイの一部分しか抜粋していないんですよ。だから、それを元にして呟いていた人に、「全文を読んでください」と丁寧に一人一人レスポンスをしたんですが、今度は「鴻上が憑(つ)いた」というツイートが出てきて、その瞬間、「なんでこの暗闇に僕は石を投げてるんだろう?」と我に返りました。 中野 書かれていることを、意図的に歪めて読み取ったり、アクセス数を伸ばすために敢(あ)えて人の気持ちを逆なでするように切りとったりする人はいますよね。それにしても、好きなことをやっている人がとがめられる時代というのは、本当に闇だなと…。 鴻上 自分が好きなことをしていないから、好きなことをやっていると思われる人を見たら、許せないと感じてしまうんだとしたら、これは脳科学的にはいわゆる嫉妬になるんですか? 中野 はい。嫉妬、というか正確には妬みですね。自分は我慢をしているのに、あの人だけは好きなことをやっていて「ずるい」と認識すると、その人を攻撃せずにはいられなくなる。 私はその点で標的になりやすい人達の代表例として、スポーツ選手が挙げられるのではないかと感じています。「国のために頑張ります」と言うのは許されても、「楽しんできます」と言うのは許されない。もし楽しんで結果を出せば、賞賛されるかもしれませんが、結果が出ないと、成績とは関係がない、例えば、ファッションや化粧のことまで槍(や)り玉(だま)に挙げられて非難されてしまう。好きなように生きていることが、これほど罪のようにとがめられてしまうことに、危惧を覚えます』、「自分が好きなことをしていないから、好きなことをやっていると思われる人を見たら、許せないと感じてしまうんだとしたら、これは脳科学的にはいわゆる嫉妬になるんですか? 中野 はい。嫉妬、というか正確には妬みですね」、「妬み」が根底にあるとはイヤな社会だ。
・『色眼鏡をかけるほうが人間にとって快適  鴻上 確かに僕は好きな演劇を仕事にしているのですが、好きなことを仕事にすることは、ただ「楽しい」とか「嬉しい」ということではないんです。好きなことを仕事にした人なら、みんな直面すると思うんですが、好きなことを仕事にするために、やらなければいけない「好きでないこと」が、かなりの量あるんです。 演劇で言えば、よくファンの人達が使う「大人の事情」というものも実際にあって、思ったとおりにできないことも多々ある。うかうかしていると演劇そのものをどんどん嫌いになるような出来事もある。そういったことを全部無視されて「好きなことをやってるんだから文句を言うな」と言われてしまうと、すごい無力感にとらわれますね。) 中野 「好きなことをやっている」ということにマスクされてしまって、その人が実際どんな状況にあり、なにを考えているのかまで見えていない。解像度がすごく粗くなっているんですよね。私たちの脳は、自分の身の回りの人のことはよく見えるんですが、自分の集団にはいない人のことは、記号のようにしか認知できません。つまりよそ者のことは、記号だから攻撃してもいいんだと思ってしまうんです。 鴻上 そこをどう乗り越えていくか、ということですよね。 万が一、自分が攻撃の標的になってしまった時は 中野 「努力して変えていきましょう」というのは、基本的に機能しない呼びかけだと思っているんです。場合によっては、より悪い状況にもなる。努力できる人だけが損をし続けていく仕組みだからです。努力できない時間はそれができないということ。何か一つ努力しだすと他のことができなくなるくらい、人間の脳というのは努力には向いていません。さらに、仲間として認知できる人数は、百五十人と言われていて、それ以上の人たちは、記号としてしか扱えない残念な脳なんですよ。私達はそもそも色眼鏡をかけて生まれてきている、ということを知るしか方法はないように思います。 鴻上 人間はそうやって色眼鏡をかけるほうが快感というか、快適だから、色眼鏡をかけるわけですよね。 中野 ええ。だから、自分が気持ちよさに負けて誰かを攻撃しそうになった時に、「いけない、私、色眼鏡をかけてたわ」と気づくきっかけをどこかに置いておくことが大事です。逆に、万が一、自分がその攻撃の標的になってしまった時は、「あの人、色眼鏡が外せてないな」と思えるよう、心算をしておくことをおすすめしたいです』、「自分が気持ちよさに負けて誰かを攻撃しそうになった時に、「いけない、私、色眼鏡をかけてたわ」と気づくきっかけをどこかに置いておくことが大事です。逆に、万が一、自分がその攻撃の標的になってしまった時は、「あの人、色眼鏡が外せてないな」と思えるよう、心算をしておくことをおすすめしたいです」、さすが中野氏だけに味わいのある言葉だ。
タグ:(その5)(脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実 ストレスや不安は海馬や前頭葉を萎縮させてしまう、精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」、鴻上尚史氏と中野信子氏が対談 日本は「好きなことをしていると叩かれる国」) 「家から出て外の光を浴び、近所を散歩するだけでも気が晴れるものだ。 もしくは、友人や知人、その他の助けてくれそうな人を頼ってみればいい。そうやって他人の力を上手に利用して、話を聞いてもらうことで、負のループから抜け出すことができるかもしれない」、なるほど。 「自分が悩み不安に思っている問題を冷静に見つめ直すことが必要であり、それにはこれまでにお伝えしたように、書き出す作業が必要となってくる」、その通りだ。 「「すべての『行動』を細分化して行動のハードルを下げることで、苦しい状況でも『できる』ことを見つけられる」とし、3つの「確実に行動できる対処法(ToDo)」を提案」、「1.「話す」」、「2.「書く」、「3.「体を動かす」」、「これら3つの行動をすべて取り入れる必要はない。その時の自分に合ったものをどれかひとつでもいいので試してみれば、ノルアドレナリンという不安物質が消費されて、心は軽やかになってくれる」、なるほど。 「前向きな行動を始めると、ノルアドレナリンという行動するためのガソリンが消費され、「行動によるガソリン消費→ノルアドレナリン減少→不安逓減→気持ちが楽になる」という流れが起こる」、なるほど。 「分泌されると脳が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、どうすればいいのか一瞬で判断できるようになります」、有難い効用があるようだ。 「「ストレスは耐え忍ぶものではなく、しなやかに受け流すことが必要である」、というのは興味深い見解だ。 書籍オンライン編集部による「精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」」 ダイヤモンド・オンライン 「週に2,3回は心拍数が増えるようなランニングなどの有酸素運動をお勧めしたい」、私の場合は、「ランニング」の代わりに速足をしている。 「ストレスに対する反応は、体が運動で鍛えられるにしたがって徐々に抑えられるのだ。つまり運動が、ストレスに対して過剰に反応しないよう体をしつけるのである」、「運動が」「体をしつける」とは面白い表現だ。「1時間程度の散歩を習慣にしている成人の前頭葉を定期的に測定した結果、前頭葉を含む大脳皮質が成長していた」、私も「1時間程度の散歩」を日課にしているので、「大脳皮質が成長」している筈だ。なんだか嬉しくなる。 「扁桃体がストレス反応を引き起こしつづけると、海馬のブレーキはすり減ってしまう。アクセルである扁桃体は、海馬が萎縮してブレーキが利かなくなると暴走を始める。こうして、ストレスがさらにストレスを生むサイクルに入る」、恐ろしいことだ。 「体内には、このストレス反応を緩和し、興奮やパニック発作を防ぐブレーキペダルが備わっている。その1つが「海馬」だ。海馬は記憶中枢として知られるが、感情を暴走させないブレーキとしても働いている」、実によく出来た仕組みだ。 「ストレスを感じると、まず脳の扁桃体が反応し、視床下部→下垂体→副腎へと身体の上から下へ刺激が伝わる。副腎から「コルチゾール」というホルモンが分泌されると、動悸は激しくなる。この一連の反応はほんの1秒ほどで起きるが、これは人類の生存に欠かせないからだ」、「扁桃体は、ストレス反応を引き起こすだけでなく、そのストレス反応によっても刺激を受けてしまう・・・ストレスがストレスを呼ぶ悪循環だ」、 アンデシュ・ハンセン氏による「脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実 ストレスや不安は海馬や前頭葉を萎縮させてしまう」 東洋経済オンライン 心理学 精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社) 「あなたの「考え方」「受け止め方」を少し変えるだけで、ストレスを受け流せるようになります。それだけで、「不安」や「悩み」の9割は消すことができます」、「生き方を変えるのは「今」です!」、いかにも効果がありそうだ。 「鴻上尚史氏と中野信子氏が対談、日本は「好きなことをしていると叩かれる国」」 『同調圧力のトリセツ』(小学館新書) 「中野氏」が「高校生くらいの頃に鴻上さんのスクリプトを読んで、これは同じ問題意識を持った人だ!と感銘を受けて、ボロボロになるまで読みました。あまりに読むので、もう3冊同じのを買っていると思います」、さすがませた「高校生」だ。 「予備校の先生に話を聞くと、僕や中野さんの時代に比べて、浪人をする人が十分の一以下に減っているそうです・・・ なぜ減ったかというと、一年浪人をして大学の偏差値を上げて、ワンランク上の大学に入る意味を見いだしにくくなってきたからだそうです」、そうであれば、「予備校」ビジネスも様変わりしたのだろう。 「日本人の多くは「世間」に生きて、「社会」とは接点が少ないのです。日本人は自分に関係のない「社会」の人とはなるべく関わらず、同時に関わり方がわからず、自分と関係のある「世間」の人を大切にします。結果、圧倒的に「世間」の中でしかコミュニケーションしていないんですが、この「世間」がどんどん中途半端に壊れてきているんです」、 「中野 ・・・私はずっと、人間がどうして個の意志と集団の意志が並列に存在する「不完全な社会性」しか持たず、共同体が一個体であるかのように振る舞う蟻や蜂のような「真社会性」を持たないんだろうと思っているんです。 鴻上 蟻や蜂は、すごく頑張って従う個体もいれば、全く働かない個体が二割くらいいて、働く蟻がバーンアウトしたり、動かなくなった時には、働かない蟻が登場して働きだすって言いますよね。 中野 個が「意志をもって働かない」のでなく、単に働かない蟻は、全体のバッファーの役割なんです。繰り返しになりますが、蟻や蜂は巣の全体が一つの生き物みたいなものなんです」、なるほど。 「「社会性の強さ」とは僕の言う「世間性の強さ」ということ」、「「世間」の団結を強めるためには、ほかの集団には通じない符牒(ふちょう)、独特な言葉を使うことが大事になる。ほかの集団には通じない言葉を使えば使うほど、同じ集団に属す我々は一つだという快感を覚えることになります・・・鴻上 その符牒を読み間違えてしまうと、我々の「世間」には所属していない者だと認定され、強烈な制裁がやってくるわけです。 中野 共同体を破壊し、安全な思考停止状態を破る危険な異物として排除されてしまうんですよね」、さすがに深い考察だ。 「自分が好きなことをしていないから、好きなことをやっていると思われる人を見たら、許せないと感じてしまうんだとしたら、これは脳科学的にはいわゆる嫉妬になるんですか? 中野 はい。嫉妬、というか正確には妬みですね」、「妬み」が根底にあるとはイヤな社会だ。
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子育て(その6)(「危ないからダメ」と言われ続け育った少女の悲劇、又吉直樹が語る 子どものころによく読んだ本とは 「早いころに世の不条理さを知れてよかった」、「子どもが泣き叫ぶのは愛情不足の証拠」…育児の問題をすべて母親に押しつける「呪いの発信者」とは 新生児科医・小児科医ふらいと先生インタビュー #1) [生活]

子育てについては、7月25日に取上げた。今日は、(その6)(「危ないからダメ」と言われ続け育った少女の悲劇、又吉直樹が語る 子どものころによく読んだ本とは 「早いころに世の不条理さを知れてよかった」、「子どもが泣き叫ぶのは愛情不足の証拠」…育児の問題をすべて母親に押しつける「呪いの発信者」とは 新生児科医・小児科医ふらいと先生インタビュー #1)である。

先ずは、8月6日付け東洋経済オンライン「「危ないからダメ」と言われ続け育った少女の悲劇」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/608499
・『親が「よかれと思って」実践している声かけ・子育てが子どもの未来を呪ってしまっている――。そう語るのは、元法務省でこれまで1万人の犯罪者・非行少年を心理分析してきた犯罪心理学者の出口保行氏。出口氏の最新刊『犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』は、そんな実例をまとめた子育ての解説書になっている。 本記事はその中から、「気をつけて」という言葉についての解説を抜粋。子どもに危険を知らせるこの言葉が、どうして呪う言葉になってしまうのか。非行少年に限らず、どんな家庭でも気をつけておきたい注意点と解決策を解説する。 ※本記事に出てくる実例はプライバシー等を考慮し一部改変しています』、「「気をつけて」という」、「子どもに危険を知らせるこの言葉が、どうして呪う言葉になってしまうのか」、興味深そうだ。
・『「気をつけて!」と言われ続けた少女・マイの結末  親が子どもに言う「気をつけて」という言葉にはさまざまな注意点がありますが、まずは極端な例を見ていきましょう。私が実際に心理分析した、ある非行少女(仮名マイ)の実例をご紹介します。 マイが幼い頃、両親がレストランを始めました。家族経営の小さなレストランですが、地域ではすぐに人気が出たようです。 忙しい父母にかわって面倒を見てくれたのが祖母のカズヨです。カズヨは公立小学校の校長をしていた教育者で、たったひとりの孫のために全身全霊で教育にあたっていました。 マイの父親は、教師であったカズヨをとても尊敬しており、子育てについてはカズヨに任せっきりだったそうです。 母親はといえば、義母であるカズヨに対し大きな引け目を感じていました。自分が高卒であるのに対して、カズヨは校長を退職後も地域の民生委員を務めるなど、地域の評価が高かったからです。 カズヨはマイを非常にかわいがる反面、心配性なところがありました。何かにつけて「危ないことはしちゃダメよ」「気をつけないとね」と言うのです。 同年代の子がブランコで遊んでいるのを見て、マイもブランコに乗ろうとすると、「おばあちゃんが昔いた学校で、ブランコのチェーンに指を挟まれて大ケガした子がいるの。危ないからやめておこうね」。 川のそばに咲く花を摘もうと土手を下りようとすると、「足をすべらせて川に落ち、亡くなった子がいるのよ」などと話してやめさせていたようです』、「ブランコ」や「土手を下り」るのまで、「やめさせていた」とは「心配性」を超えて異常だ。
・『「~してはいけない」ばかりで  マイは小さい頃はあまり疑問に思わなかったものの、小学校高学年になり周囲の子たちが友だち同士だけで遊ぶようになると自分もそうしたいと思うようになりました。 たとえば「みんなでショッピングモールに行くんだって。私も行っていいでしょ?」と聞いても、カズヨは一切認めなかったそうです。 「私は心配で倒れるかもしれない。それでもいいなら行きなさい」 脅しのような言葉に、マイは遊びに行くのをあきらめ、クラスの中でも浮いてしまうことが多くなりました。 中学生になり、塾や部活などの理由がつけられるようになると、さすがにカズヨの監督下から少し抜け出せるようになったようです。 マイは家ではいい子のふりをしつつ、外では不良グループと付き合うようになりました。高校からはティーン誌の読者モデルも始め、洋服やアクセサリーをバンバン買うので、お小遣いはすぐに底をついていました。 大学生になってバイトを始めましたが、金遣いの荒いマイには焼け石に水。思いついたのは、両親のレストランの売上金を盗むこと。多少抜き取ってもバレなかったので、何度も犯行を繰り返しました。 しかし、一度に盗める金額には限りがあります。今度はカズヨのタンス貯金に手をつけました。これまでさんざん自分を抑圧してきた代償を支払ってもらう気持ちで盗るので、とくに悪いことをしている認識はありません。 さらに大金を手に入れたくなったマイは、レストランによく来る高齢者をターゲットに、「うちのお店、3年後にリニューアルオープンして大規模店になる予定なの。いま出資してくれれば、高い配当を得られるよ。でもこれは内緒の話だから誰にも言わないでね」という話をするようになりました。いわゆる、特殊詐欺です。 結果、500万円ほど騙し取っていました。しかし、当然ながら配当をすることはできず、逮捕されることとなったのです』、「特殊詐欺」で「500万円ほど騙し取っていました」、「大学生」にしては悪知恵が凄い。
・『人の気持ちがわからない悲劇  少年鑑別所で面接をした際、マイは「とくに悪いことをしたとは思っていない。被害者の気持ちとか言われても、金儲けの話に目がくらんだだけじゃん。そんなうまい話に簡単に乗るほうがどうかしている」と話していました。共感能力が低く、被害者の気持ちを想像するのが難しいのもあって、なかなか内省が深まりませんでした。 しかし、少年院に送致され、そこでの面接や更生プログラムを通じて、次第に気づくようになっていきました。 「ああ、私から内緒の話をもちかけられて嬉しいと思ってくれたんだ。私はそれを裏切ったんだ……」 そんなふうに被害者の気持ちを考えられるようになるまで、時間がかかったのは確かです。 マイは同年代の子たちと関わる体験が圧倒的に不足していました。心配性の祖母が何でも先回りして失敗させないように動き、子どもだけで遊ぶことを禁じていたからです。いわゆる過保護・過干渉によって、共感性が育つ機会が奪われていたと言えます。 共感とは、他者の気持ちが自分のことのようにわかることです。その前提には2つあります。ひとつは「人の感情を正確に認知できる」。目の前の人が怒っているのか、泣いているのかといった、感情を表情などから読み取って認知することです。 もうひとつは「人の感情を正確に推測できる」。笑っているけれど、悲しい。冷静にしているけれど、怒っている。認知に基づきながら、相手の気持ちを推測できることが必要です。それではじめて共感能力を発揮することができるのです。 共感性はさまざまな人とのリアルなコミュニケーションから育まれます。ちょっとしたひと言で傷ついたり、ケンカになったり仲直りしたりと、対人関係上の失敗も共感能力を高めてくれます。普通は幼少時に小さなトラブルをいくつも経験しながら、共感性を育みます。自分の言動で相手がどう思うのかを考えることができるようになるのです。ところが、マイはそうした経験ができないままに育ってしまいました。) 思春期になって、マイはクラスの中で自分が浮いた存在であることを自覚します。 クラスメイトたちの中でもうまくコミュニケーションをとることができません。自分の話ばかりしたり、余計なひと言を言って相手を傷つけたりしがちでした。仲良くしたくても、どうすればいいのかよくわからないのです。孤独感を感じたマイは、祖母を恨みました。 「おばあちゃんのせいだ。おばあちゃんが何でもかんでもダメだって言うから、私はこんなふうになっちゃったんだ」 そして、祖母の抑圧から助け出してくれない両親に対しても敵意を持つようになりました。レストランの売上金からお金を抜き取るのも、祖母のタンス貯金に手をつけるのも「このくらいやって当然」という感覚です。そうして家庭内窃盗を繰り返すうちに罪悪感もうすれ、投資詐欺に発展しました。 マイに限らず、こうした窃盗や詐欺を行う非行少年・犯罪者は共感性が低い傾向があります。「騙されるほうが悪い」と言って、被害者の気持ちを考えようとしません。 しかし、当然ながら騙すほうが100%悪いのです。 相手が欲にかられたからといって、犯罪をしていいことにはなりません。「騙されるほうも騙されるほうだ」という言い方がされることがありますが、それは犯罪者側の理屈です』、「普通は幼少時に小さなトラブルをいくつも経験しながら、共感性を育みます。自分の言動で相手がどう思うのかを考えることができるようになるのです。ところが、マイはそうした経験ができないままに育ってしまいました」、「マイに限らず、こうした窃盗や詐欺を行う非行少年・犯罪者は共感性が低い傾向があります。「騙されるほうが悪い」と言って、被害者の気持ちを考えようとしません。 しかし、当然ながら騙すほうが100%悪いのです」、その通りだ。
・『「気をつけて!」がダメな理由  さて、そろそろこの事例を、一般の子育てに応用していきましょう。 マイの祖母カズヨは、かわいい孫に「イヤな思いをさせたくない」「つらい気持ちになってほしくない」という気持ちが強く、何でも先回りして「気をつけて!」と言い続けてきました。よかれと思ってやってきたのです。 しかし、どう見ても過保護・過干渉でした。せめて両親がもう少しフォローできたらよかったのですが、それもありませんでした。その結果、マイは危険を自分で察知して判断する能力が低く、危険なことにも簡単に手を出してしまうようになりました。 同時に共感性が低く、相手の気持ちを推し量ることが苦手になってしまいました。 「気をつけて!」と何でも制止すれば、子どもは経験のチャンスを失います。経験にはポジティブな面もネガティブな面もあり、失敗して落ち込んだりイヤな気持ちになったりすることだってあるでしょう。しかしそれが成長の糧なのです。) たとえばハロウィンパーティーに誘われて行ってみたら、みんな仮装をしていて普段着の自分は恥ずかしい思いをしたとします。すると、次からはどういう服で行ったらいいか事前に確認しようと思うでしょう。自分が人を誘うときは、来てくれた人が恥ずかしい思いをしないようにあらかじめ服装について教えてあげようと思うでしょう。 こういった小さな失敗で致命的なことが起こるわけではありません。先回りして何でも教えていたり、そもそも「パーティーなんてやめておきなさい」と止めていたりしたら、その子は経験ができないのです。 もちろん、本当に危ないことは止めなければいけません』、「どう見ても過保護・過干渉でした」、「その結果、マイは危険を自分で察知して判断する能力が低く、危険なことにも簡単に手を出してしまうようになりました。 同時に共感性が低く、相手の気持ちを推し量ることが苦手になってしまいました。 「気をつけて!」と何でも制止すれば、子どもは経験のチャンスを失います。経験にはポジティブな面もネガティブな面もあり、失敗して落ち込んだりイヤな気持ちになったりすることだってあるでしょう。しかしそれが成長の糧なのです」、小学校で校長をしていたといっても、このような「育児」の失敗があり得るというのには、驚かされた。
・『危険の大きさに関する判断を整理することが大切  子どもが切り立った川岸に向かっているのに自由にさせていてはダメです。落ちたら死んでしまいます。親はまず危険の大きさに関する判断を整理することが必要です。 一番の軸は身体生命の安全に関わるかどうか。それ以外はどこまで許容できるかです。 心配でつい口を出したくなる気持ちはわかります。しかし、親はいつまでもついていてあげられるわけではありません。親が「転ばぬ先の杖」となって転ばせなければ、転んだ経験のない子は自分で何に気をつけたらいいかわからないのです。本当に子どものためを思ったら、あえて失敗させてあげることです。 とくに対人関係の失敗は共感性を育てます。友だちに「誰にも言わないでね」と言って打ち明けられた話をうっかり人に言ってしまった。機嫌が悪いときに友だちがふざけてきたのでカッとしてひどいことを言ってしまった。そんな失敗も学びになります。 もし子どもが「だって〇〇ちゃんはいつも自分勝手だから、バカって言いたくなるのも仕方ないよ」と話したら、「そう思ったんだね」と言い訳を否定せず聞いてあげましょう。 たくさん話しているうちに自分で「でもあの言い方はちょっとひどかったかな。傷ついていると思うから、明日あやまろうかな」と気づくかもしれません。自分ひとりでは内省が深まらないようなら、「〇〇ちゃんはどう感じたかな?」というように促してあげるのがいいでしょう。親の考えを言うのではなく、本人に考えさせてあげることです。 子どもの頃に何を経験したかが、その後の人生に長期的な影響をおよぼします。) 年をとってからも学ぶことはできるし、体力は落ちても心理的な発達は続くわけですが、どうしても子どもの頃の経験がベースになります。自立した大人になるためというだけでなく、一生に影響するのだということも知っておいてほしいことです』、「自分ひとりでは内省が深まらないようなら、「〇〇ちゃんはどう感じたかな?」というように促してあげるのがいいでしょう。親の考えを言うのではなく、本人に考えさせてあげることです」、なかなか巧みなやり方だ。
・『反省ではなく、内省を促す  共感性が低く、自己中心的な考え方をしていると、なかなか内省は深まりません。 内省は「反省」に似ていますが、別のものです。自分自身の心に向き合い、自らの言動や考え方について客観的に振り返って分析することです。気づきを得ることを目的にしています。 一方、反省とは、自分の言動や考え方のよくなかった点を振り返り、改めようとすることの意味で使われます。 問題行動があったとき、大人は「反省しなさい」と言いがちです。しかし、残念ながらこの言葉には意味がないことが多いです。 「ごめんなさい。悪いことをしました。もうしません」 そんな言葉を引き出すことに成功しても、本人は心の中で舌を出していることはよくあります。自分自身の心に向き合わないまま、反省の言葉を言わされているだけだからです。 私が見てきた非行少年はとくに反省を表現することに慣れていて、いくらでも言うことができました。それこそお経のように唱えることができるので、感心するくらいです。神妙な顔をするのも得意です。しかし、反省の言葉と表情がどれだけうまくなっても、それが何になるというのでしょうか。 最初はきっと、言い訳をしたに違いありません。 「こういう理由があったから、仕方なかったんだ」 それに対して「言い訳するな!反省しろ」と余計に叱られるようなことを繰り返すと、言い訳をしなくなります。 「ごめんなさい、私のせいでこんなに迷惑をかけてしまいました。これからは心を入れ替えて頑張ります」 このように反省上手になります。しかし、内省していないので同じようなことを繰り返すのです。 さらには、「反省しなさい」という言葉は抑圧を生みます。その子が抱えている不満を聞いてあげることなく一方的に反省を押しつければ、不満はどんどん蓄積し、いずれ爆発するでしょう。 繰り返しますが大事なのは内省です。自分の言動や考え方を振り返るのが苦手な子に対しては、「どうしてこういう行動をしたの?」「そのときどう思ったの?」と問いかけて内省を促します。「ここがよくなかったよね」「こんなことしたら、相手は怒るに決まっているよね」などと指摘するのではなく、本人に気づかせてあげてください』、「大事なのは内省です。自分の言動や考え方を振り返るのが苦手な子に対しては、「どうしてこういう行動をしたの?」「そのときどう思ったの?」と問いかけて内省を促します。「ここがよくなかったよね」「こんなことしたら、相手は怒るに決まっているよね」などと指摘するのではなく、本人に気づかせてあげてください」、確かに「内省を促します」は有効だが、結構、高度な技だ。

次に、11月7日付けAERAdot「又吉直樹が語る、子どものころによく読んだ本とは 「早いころに世の不条理さを知れてよかった」」を紹介しよう。
・『小学生時代の読書体験が与える影響は、大人になるまで分かりません。だからこそ、かけがえのない一冊と出会うかもしれない機会は大切にしたいもの。本を心から愛するお笑い芸人・作家の又吉直樹さんに、本の楽しみ方や子どものころに読んでいた本を教えてもらいました。現在発売中の「AERA with Kids 2022年秋号」(朝日新聞出版)から一部抜粋して紹介します。 小学生のときは、国語の教科書をよく読んでいました。家には遠藤周作や三浦綾子といった大人向けの本しかなくて、子どもが読める本といえば教科書くらいしかなかった。低学年のころは教訓めいた話が多くて、発見のある話はなかった気がするんですけど、3年生のころからハッとするような表現、大人が言葉では言わないことを描いている話が出てきて、面白いと思うようになりました。 自分の教科書を読み終わったら、姉たちが使っていた教科書も読んでいました。特に好きだったのが「沢田さんのほくろ」という話。おでこに大きなほくろのある沢田さんという女の子が「大仏」というあだ名でからかわれているんですけど、強く生きていこうと決意し、前髪で隠していたおでこを出すようになるんです。でも、また何かの拍子に男子から「大仏」って言われてしまう。それに対して沢田さんは「大仏でけっこうよ」というようなことを言って大仏のポーズをするんです。目からは涙が流れていて……。 小学生のときって「子どもだからわからないだろう」と、子ども扱いされますよね。そうやって子どものことを完全に舐なめている感じの大人が僕は大嫌いだったんですよ。でも、このお話に描かれていることはすごくリアルだった。大人でもこういうことを描く人がいると安心できました。 丸っこい表現の話だけを与えられていたら、後々もっと傷つくこともあったんじゃないかな。早い段階で、世の中の不条理さ、何も悪いことをしていなくても環境次第で大変な状況に追い込まれることもあるという前提を、お話の中から踏まえることができたのはよかったと思います』、さすが「又吉」氏だけあって、「子どもの」頃からませた考え方だったようだ。
・『本の読み方を「教えられた」人の読書感想は、みんな似ている  本の読み方に「答え」がある、と思い込みすぎている人が多い気がします。本を読んでどう感じるかは、無限にアプローチがあるから面白い。この本はこう読みなさいと教えられた人ほど、大人になっても本の感想が似る現象があります。気になった箇所は人それぞれ違っていていいはずです。 いま思えば、僕は子どものころ、周りに本を読む人がいなかった。だから自分で考えて自分なりに理解するという本の読み方を身につけられたのかもしれません。親から教えられたり、友だちと答え合わせをしたりすることもなかったですから。「答え」を追い求めすぎずに自由に読むと、もっと読書は楽しくなると思います』、「「答え」を追い求めすぎずに自由に読むと、もっと読書は楽しくなると思います」、その通りなのかも知れない。
・『又吉さんが教えてくれた「本を面白く読んでみるコツ」 (1)まずは、自分がどう感じたのか考えてみる。(周りの目を気にせず、自分が思ったことをストレートに書き出す。)(2)登場人物の体験や気持ちについて、自分の中でも似た体験や感情がなかったか思い出してみる。(友だちとけんかしたときや親に怒られたときの気持ち。自分の人生に結び付けて共感してみる。)(3)描かれていることと反対の意見を考えてみる。(登場人物や作者の考え方とは異なる考えを出してみる。「そんな嫌なら最初から友だちにならなければよかったやん、とか」(又吉さん)) (4)最後に、自分だったらどういう結末にするか考えてみる。(いろいろな立場で考えたことでオリジナルの結末が浮かび上がってきたら、もう本を楽しんでいる証拠。 ※「AERA with Kids 2022年秋号」(朝日新聞出版)から一部抜粋。本誌ではこのほか、子どものころに読んだ本や辞書の遊び方なども紹介しています。(又吉直樹の略歴はリンク先参照)』、「本を面白く読んでみるコツ」は確かに「面白く読」めそうだが、時間もかかりそうだ。

第三に、11月23日付け文春オンライン「「子どもが泣き叫ぶのは愛情不足の証拠」…育児の問題をすべて母親に押しつける「呪いの発信者」とは 新生児科医・小児科医ふらいと先生インタビュー #1」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/58858
・『「子どもの癇癪は愛情不足」「子どもは親を選んで生まれてくる」などの迷信はいかにして生まれるのか? 母親を苦しめる「呪い」が生まれる理由を、新生児科医・小児科医の「ふらいと先生」こと今西洋介さんが解説。金に目がくらんだ医師が、加担することも……(全2回の1回目/後編を読む)(Qは聞き手の質問)』、記事冒頭の大泣きしている写真は、「母親」がいかにも慌てそうな場面だ。
・『母親たちを苦しめる「呪い」  Q:子どもの癇癪は愛情不足。離乳食は手作りが一番。そして育児は基本、母親が担うべき。前時代的だとも思えるような考え方が、いまだ根強くあります。今西先生は、SNSや書籍で、それら母親だけに負担を押しつけて苦しめる育児の迷信・神話の存在を「呪い」と表現していますが、その理由は? 今西洋介医師(以下、今西) 医療の現場で、産まれた子どもが集中治療室に入ったりすると、自分のことを責めてしまうお母さんが本当に多いんですよね。一番多い質問も「私が悪かったんでしょうか?」です。実際、お母さんが食べたものでなる病気はあります。例えばトキソプラズマ症とか。 子どもの病気が「100%お母さんのせいじゃない」とは言えませんが、ほとんどの病気や障がいはお母さんが原因ではありません。それにもかかわらず、なぜ自分を責めてしまうのか? ひとつは、誰かに「母親のせい」と言われるからです。誰かというのは、いままで信頼してきた親御さんだったり、パートナーだったり。その人たちもまた、小さいころに親やまわりからその迷信を聞かされていた。そうした積み重ねの結果です。 家族全体、ひいては社会全体にそういった言説が浸透して伝播して、精神的に特定の人を追い詰めていく。それはまさに「呪い」だと思いませんか』、「誰かに「母親のせい」と言われるからです。誰かというのは、いままで信頼してきた親御さんだったり、パートナーだったり。その人たちもまた、小さいころに親やまわりからその迷信を聞かされていた。そうした積み重ねの結果です。 家族全体、ひいては社会全体にそういった言説が浸透して伝播して、精神的に特定の人を追い詰めていく。それはまさに「呪い」」、日本社会も困った病理を抱えたものだ。
・『「呪い」が生まれた歴史背景  Q:その呪いは、どこから来る? 今西 一例として「子どもを産むと女性は自動的に母性が湧き、心血注いで子どもの世話をしたくなるもの」という母性神話を見てみましょう。 そもそも江戸時代や明治時代にはそんな考え方は存在していません。ところが戦時中、男性が出征して戦地に行かされる事情から「母は強し」などと言って、耐えて国に尽くすのが母親だみたいな啓蒙が行われます。国をあげて、女性を神格化させたわけです。 次に戦争が終わった後の1950年代からの高度成長期には、男性は猛烈に働き、女性が家庭に入る専業主婦モデルが推奨されます。そこでまた専業主婦が神格化され、母性神話が定着しました。 確かに母子の関係性が子どもの発達に関わることは、確固たるエビデンスがあります。しかしそれが母性神話という形になると、母親の理想像の押し付けが強くなり、一気にお母さんの負担が強くなる。 しかも現在は、男性の賃金が減り女性も外で働くようになり、母性神話が成り立たなくなってきています。それなのに思想だけが残り、今を生きる母親たちが苦しめられている現状があります。) Q:「医師がそう言っていた」という点から言説を信頼し、語り継ぐ布教者たちもいそうです。 今西 それも確かにあるでしょう。発達心理学が専門で母性学研究の権威でもある大日向雅美先生の著書によると、1990年代は母性神話を守る「正義の騎士」的な存在が、当時の小児科医であったと説明されています。 大日向先生が「母性神話の罠」という母性神話を否定するテーマの講演をすると、激しく異議を唱えてきたのも小児科医だったと。そのころはまだ医学界も、エビデンスが確立されていない部分がありましたので。 発達障害のひとつである自閉症も同様です。1990年代に自閉症は母親の愛情不足が原因だという説があり、自閉症の子どもを持つ母親たちが「冷蔵庫の心を持った母親」と呼ばれていました。それも、医学界は一部信じていた。しかし今はもう、科学的根拠によって完全に否定されています。ところが否定された事実はあまり浸透せず、いまだにやっぱり愛情不足じゃないかと、責められる母親たちがいるんです』、「専業主婦が神格化され、母性神話が定着」、「母性神話という形になると、母親の理想像の押し付けが強くなり、一気にお母さんの負担が強くなる。 しかも現在は、男性の賃金が減り女性も外で働くようになり、母性神話が成り立たなくなってきています。それなのに思想だけが残り、今を生きる母親たちが苦しめられている現状があります」、「1990年代に自閉症は母親の愛情不足が原因だという説があり、自閉症の子どもを持つ母親たちが「冷蔵庫の心を持った母親」と呼ばれていました。それも、医学界は一部信じていた。しかし今はもう、科学的根拠によって完全に否定されています。ところが否定された事実はあまり浸透せず、いまだにやっぱり愛情不足じゃないかと、責められる母親たちがいるんです」、「冷蔵庫の心を持った母親」とは酷い言い方だ。
・『「子どもは親を選んで生まれてくる」の嘘  Q:「子どもは親を選んで生まれてくる」という迷信・思想はどうでしょう? 今西 胎教という文化から発生した、「胎内記憶」と言われている言説ですね。現在日本で胎内記憶の発信の中心になっているのはとある産婦人科医ですが、その内容は完全にスピリチュアルでしょう。 胎内記憶を医学的に見ると、エビデンスの元とされているのが2~3歳の子どもの言葉でしかありませんので、それを科学的根拠があるかのように話すのは明らかに問題があります。わからないことをわかったように、さらに当事者に言うことは、相手を傷つける可能性もあり非常に危険です。 よく、障害を持って生まれた子どもの母親に「あなたを選んで産まれてきてくれたんだから」と声をかけてしまう人がいる。すると、必要以上に自分が頑張らなくてはならないという呪いに縛られてしまう。 実際、言葉の呪縛に囚われているお母さんはとても多いです。産んだ責任から一人で悩みを抱え込み、「産褥精神病(出産後に幻想や妄想に囚われる病気)」という非常に危険な状態になるケースも。 子どもが自分を選んでくれたという考え方で、救われる人もいるでしょう。そうした考えで育児を頑張ることができたり、絆を感じたり。しかしそれは個人で思えばいい話であり、他人が言うことではありません』、「胎教という文化から発生した、「胎内記憶」と言われている言説ですね・・・その内容は完全にスピリチュアル」、「言葉の呪縛に囚われているお母さんはとても多いです。産んだ責任から一人で悩みを抱え込み、「産褥精神病・・・」という非常に危険な状態になるケースも」、「お母さん」から「言葉の呪縛」を解放する必要がありそうだ。
・『大金に目がくらみ「ダークサイドに堕ちる医師」も…  Q:コロナ禍ではワクチンやマスクに対して不安を煽る医師がSNSで存在感を放っていますが、これはスピリチュアル嗜好や情報の古さなどとはまた別の問題でしょうか。 今西 そのあたりは一部、金銭的な問題がからんでいるでしょう。医療者の中には開業時に億単位の借金を背負っている人も少なくない。窮状にいる医師たちに、大企業なんかが怪しげな療法を売り込んでくるケースは珍しくありません。 しかも、ありえないくらいの高額を提示してくるんです。そこに飛びついてしまう医療者はごく一部ですが、確実に存在します。実際に、僕が信頼していた後輩の医師が、開業したとたんに怪しい療法に手を出しそうになりました。リテラシーの高かったあの人もこうなるんだと、ある意味興味深かったですが。結果的にまわりの医師達から反対の声が相次ぎ、実際には採用しなかったようです。 そうした医師たちがビジネスに直結していると、ターゲットがよく研究されていることもあり、勢いよく広まります。胎内記憶もその例かと。子育て世代は常に更新されていきますから、今育児中のお母さんたちは、デマが原因で起こった昔の事件なんかを知らないわけです。「山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故」(※1)とか「キッズスタディオン事件」(※2)とか。 だから、どんなデマも既に否定されたからと安心せず、情報は発信し続けなければなりません。過去には医療界がデマ、すなわち呪いを後押ししたものもありますが、1個ずつ絡まった糸をほどくように、間違った情報を正していくのもやはり科学です。この記事を見てくれた方にはまず、社会はこれだけ呪われているということを、知っていただきたいですね。 ※1 「ホメオパシー」という代替医療にもとづく治療によって新生児が死亡したとされる2009年の事故。助産師の指導のもと、ビタミンKを投与せずにビタミンKと同様の効果を持つと主張される砂糖玉を新生児に与え、結果生後2ヶ月で硬膜下血腫が原因で死亡した。 ※2 新潟・上越市のNPO法人「子育て支援ひろばキッズスタディオン」の姫川尚美理事長が、自ら考案した「ズンズン運動」と称する施術で、生後4ヶ月の男児を死亡させたとして2015年に逮捕された。「免疫力を高める」「寝付きがよくなる」などが謳われていた』、「医療者の中には開業時に億単位の借金を背負っている人も少なくない。窮状にいる医師たちに、大企業なんかが怪しげな療法を売り込んでくるケースは珍しくありません。 しかも、ありえないくらいの高額を提示してくるんです。そこに飛びついてしまう医療者はごく一部ですが、確実に存在します」、「過去には医療界がデマ、すなわち呪いを後押ししたものもありますが、1個ずつ絡まった糸をほどくように、間違った情報を正していくのもやはり科学です。この記事を見てくれた方にはまず、社会はこれだけ呪われているということを、知っていただきたいですね」、その通りだ。
タグ:子育て (その6)(「危ないからダメ」と言われ続け育った少女の悲劇、又吉直樹が語る 子どものころによく読んだ本とは 「早いころに世の不条理さを知れてよかった」、「子どもが泣き叫ぶのは愛情不足の証拠」…育児の問題をすべて母親に押しつける「呪いの発信者」とは 新生児科医・小児科医ふらいと先生インタビュー #1) 東洋経済オンライン「「危ないからダメ」と言われ続け育った少女の悲劇」 「「気をつけて」という」、「子どもに危険を知らせるこの言葉が、どうして呪う言葉になってしまうのか」、興味深そうだ。 「ブランコ」や「土手を下り」るのまで、「やめさせていた」とは「心配性」を超えて異常だ。 「特殊詐欺」で「500万円ほど騙し取っていました」、「大学生」にしては悪知恵が凄い。 「普通は幼少時に小さなトラブルをいくつも経験しながら、共感性を育みます。自分の言動で相手がどう思うのかを考えることができるようになるのです。ところが、マイはそうした経験ができないままに育ってしまいました」、「マイに限らず、こうした窃盗や詐欺を行う非行少年・犯罪者は共感性が低い傾向があります。「騙されるほうが悪い」と言って、被害者の気持ちを考えようとしません。 しかし、当然ながら騙すほうが100%悪いのです」、その通りだ。 「どう見ても過保護・過干渉でした」、「その結果、マイは危険を自分で察知して判断する能力が低く、危険なことにも簡単に手を出してしまうようになりました。 同時に共感性が低く、相手の気持ちを推し量ることが苦手になってしまいました。 「気をつけて!」と何でも制止すれば、子どもは経験のチャンスを失います。経験にはポジティブな面もネガティブな面もあり、失敗して落ち込んだりイヤな気持ちになったりすることだってあるでしょう。しかしそれが成長の糧なのです」、小学校で校長をしていたといっても、このような「育児」の失敗があり得るというのには、驚かされた。 「自分ひとりでは内省が深まらないようなら、「〇〇ちゃんはどう感じたかな?」というように促してあげるのがいいでしょう。親の考えを言うのではなく、本人に考えさせてあげることです」、なかなか巧みなやり方だ。 「大事なのは内省です。自分の言動や考え方を振り返るのが苦手な子に対しては、「どうしてこういう行動をしたの?」「そのときどう思ったの?」と問いかけて内省を促します。「ここがよくなかったよね」「こんなことしたら、相手は怒るに決まっているよね」などと指摘するのではなく、本人に気づかせてあげてください」、確かに「内省を促します」は有効だが、結構、高度な技だ。 AERAdot「又吉直樹が語る、子どものころによく読んだ本とは 「早いころに世の不条理さを知れてよかった」」 さすが「又吉」氏だけあって、「子どもの」頃からませた考え方だったようだ。 「「答え」を追い求めすぎずに自由に読むと、もっと読書は楽しくなると思います」、その通りなのかも知れない。 「本を面白く読んでみるコツ」は確かに「面白く読」めそうだが、時間もかかりそうだ。 文春オンライン「「子どもが泣き叫ぶのは愛情不足の証拠」…育児の問題をすべて母親に押しつける「呪いの発信者」とは 新生児科医・小児科医ふらいと先生インタビュー #1」 記事冒頭の大泣きしている写真は、「母親」がいかにも慌てそうな場面だ。 「誰かに「母親のせい」と言われるからです。誰かというのは、いままで信頼してきた親御さんだったり、パートナーだったり。その人たちもまた、小さいころに親やまわりからその迷信を聞かされていた。そうした積み重ねの結果です。 家族全体、ひいては社会全体にそういった言説が浸透して伝播して、精神的に特定の人を追い詰めていく。それはまさに「呪い」」、日本社会も困った病理を抱えたものだ。 「専業主婦が神格化され、母性神話が定着」、「母性神話という形になると、母親の理想像の押し付けが強くなり、一気にお母さんの負担が強くなる。 しかも現在は、男性の賃金が減り女性も外で働くようになり、母性神話が成り立たなくなってきています。それなのに思想だけが残り、今を生きる母親たちが苦しめられている現状があります」、 「1990年代に自閉症は母親の愛情不足が原因だという説があり、自閉症の子どもを持つ母親たちが「冷蔵庫の心を持った母親」と呼ばれていました。それも、医学界は一部信じていた。しかし今はもう、科学的根拠によって完全に否定されています。ところが否定された事実はあまり浸透せず、いまだにやっぱり愛情不足じゃないかと、責められる母親たちがいるんです」、「冷蔵庫の心を持った母親」とは酷い言い方だ。 「胎教という文化から発生した、「胎内記憶」と言われている言説ですね・・・その内容は完全にスピリチュアル」、「言葉の呪縛に囚われているお母さんはとても多いです。産んだ責任から一人で悩みを抱え込み、「産褥精神病・・・」という非常に危険な状態になるケースも」、「お母さん」から「言葉の呪縛」を解放する必要がありそうだ。 「医療者の中には開業時に億単位の借金を背負っている人も少なくない。窮状にいる医師たちに、大企業なんかが怪しげな療法を売り込んでくるケースは珍しくありません。 しかも、ありえないくらいの高額を提示してくるんです。そこに飛びついてしまう医療者はごく一部ですが、確実に存在します」、 「過去には医療界がデマ、すなわち呪いを後押ししたものもありますが、1個ずつ絡まった糸をほどくように、間違った情報を正していくのもやはり科学です。この記事を見てくれた方にはまず、社会はこれだけ呪われているということを、知っていただきたいですね」、その通りだ。
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