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EC(電子商取引)(その3)(アマゾン:「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか、日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』) [産業動向]

EC(電子商取引)については、昨年3月8日に取上げた。久しぶりの今日は、(その3)(アマゾン:「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか、日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』)である。

先ずは、法政大学大学院教授の真壁昭夫氏が昨年10月23日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/182900
・『破産法申請した米小売り大手シアーズの経営破綻  10月15日、米小売り大手のシアーズ・ホールディングスが米連邦破産法11条(通称チャプターイレブン、日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。 著名経営学者のドラッカーが「全米で最も成功した企業の一つ」と称賛するほど、同社は19世紀後半から20世紀中盤に米小売業界の王者であった。そのシアーズが破綻に追い込まれた。 驚きとともに時代の変遷を感じざるを得ない。 同社は“シアーズ・ローバック”の商標で知られていた。シアーズ・ローバックは、19世紀後半から20世紀の中盤にかけて、経営改革=イノベーションによって成功を手にした。新しい市場を自ら開拓し、その需要を取り込むために新しい商品や組織、生産プロセスの整備を行った。重要だったことは、当時の同社は環境の変化に適応し、必要な改革を進めたことだ。 ところが、1980年代以降、シアーズは経済環境の変化に適応することができなかった。特に大きかったのが、IT先端技術の普及だ。消費者は同社の店舗で買い物を行うよりも、アマゾンのEC(電子商取引)プラットフォームでの消費を選んだ。その方が便利だからだ。 それに加え、経営者の問題も見逃せない。特にファンド出身の経営トップには、変化を感じる“センス(感覚)”が欠如していた。かつて栄華を極めたシアーズの経営破綻は、イノベーションの重要性と経営者に求められる根源的な資質を考える格好のケーススタディの一つと言ってもよいかもしれない』、「ファンド出身の経営トップには、変化を感じる“センス(感覚)”が欠如していた」というのは確かに致命的だが、現在ではファンドもその業界のプロを経営者に送り込むファンドもあるようだ。
・『かつて“イノベーション”で成長を遂げたシアーズ  1886年に創業したシアーズは、当時急速に発展しつつあった鉄道や郵便という新しい要素を用いることで、物流ネットワークが浸透していなかった農村の需要を開拓した。これは、既存の要素と新しい要素を結合し、新商品や新しい販売チャネルなどを生み出すという“イノベーション”の好例だ。 19世紀、米国の農村では自給自足を主に日々の生活が営まれていた。都市部では個人商店などが日常の生活を支えつつあったが、農村はそうした経済圏から孤立していた。シアーズはそこに目をつけた。同社は、市場経済が浸透していない農村に対してカタログを用いた通信販売ビジネスを行い、未開拓の需要を取り込むことを思いついた。 また、シアーズは顧客満足を高めることに徹底的にこだわった。「手にしてみたらイメージと違う」といった不満に対応するために、同社は条件を問わずに返金するとコミットした。それは農村の人々からの信頼を獲得するために欠かせない要素だった。 カタログには衣類から農作業の道具、農村で簡単に手に入らない楽器までが掲載された。その結果、当時の米国農村地帯の生活環境は激変した。シアーズは米国の農村に、気に入った商品を買い、使う楽しみを提供した。シアーズのカタログは農村に住む人々にとって生活に欠かせないバイブルと同等に位置づけられたのである。 20世紀初頭、米国では基本的なインフラ整備が進んだ。それに伴い経済は成長し、中間層の厚みが増した。T型フォードの普及によって、農村から都市への移動も容易になった。農村は孤立した存在ではなくなった。都市の人口は増加した。この環境変化を受けて、シアーズは更なるイノベーションを進めた。 それが、通販から小売業へのビジネスモデルの転換だった。小売業では、店舗ごとのマネジメントが重要だ。そのため、第2次世界大戦前からシアーズは店長および売り場主任の育成を体系的に進めた。これが同社の成長を支えるとともに、米国の流通業界に大きな影響を与えた。シアーズは米国の物流・小売業界の革命児だったのである』、「通販」の確立、さらに「小売業へのビジネスモデルの転換」と、確かに「米国の物流・小売業界の革命児」だったようだ。
・『社会のIT化という環境変化 アマゾンの台頭  1980年代以降、シアーズの成長には陰りが見え始めた。ライバルであるウォルマートが“エブリデーロープライス”を掲げ、安売り戦略を強化してシェアを伸ばしたことはその一因だ。2000年代に入ると、ネットワークテクノロジーを駆使してアマゾンがECを世界に浸透させた。 19世紀終盤から20世紀中盤にかけて米国の物流業と小売業を牽引したシアーズは、21世紀型の物流革命を目指すアマゾンの取り組みに対応できなかった。それは、シアーズがIT化という環境の変化に適応できなかったことを意味する。同社は店舗事業の強化にこだわり、2000年代にはカタログ通販事業が閉鎖された。当時の同社には、ITネットワークと自社の強みであるカタログ通販を融合させる発想がなかった。 この意思決定はシアーズのアイデンティティー喪失につながったといってよい。多くの消費者がシアーズに求めたのは、自宅でカタログに掲載されている商品を使うシーンを思い描き、イメージした暮らしを実現することだった。カタログ通販の停止によって、シアーズは顧客のロイヤルティ(信頼、愛着)を失ったともいえる。その結果、同社は特徴のない小売企業になった。 これに対して、アマゾンは独自の物流網を整備して消費者の支持を獲得してきた。ネット上で商品を注文し支払いを完了することはできる。その上で商品を手にして実際に使うためには、効率的な物流ネットワークが必要だ。スマートフォンなどのデバイスを駆使し、アマゾンはネット空間と消費の現場を円滑につなげることを目指している。この快適さ、便利さこそがアマゾンユーザーの増加を支えている。この結果、消費の場が店舗からネット空間に移行し、米玩具大手のトイザラスは経営破綻に陥った。 一方、ホームデポのように店舗での消費体験を演出することで成長を維持する小売企業もある。要は、アマゾンにはない消費体験を創造できるか否かが企業の存続を分ける。それが経営者の腕の見せ所だ。シアーズが行き詰まったのは、経営者に自社の強みを十分に生かし、ネットワークテクノロジーという新しい要素と既存ビジネスを結合させる発想がなかったためと考えられる』、素人目には、ECと相性が良さそうな「カタログ通販」を捨てたのは、IT技術がなかったとはいえ、もったいなく、戦略上の失敗だったような気がする。
・『本当の小売業を知らないファンド出身経営者  2005年、シアーズはエドワード・ランパート現会長が率いる投資ファンド傘下に入った。これは、シアーズの凋落を加速させた要因と考えられる。 金融ビジネスと、顧客との関係性を重視する小売業の発想は根本的に異なる。金融業の発想では、安く買って高く売ることが重要だ。そのためには、競争力のない事業などを売却し、得られたキャッシュフローを用いて他の事業を強化することが求められる。同時に、リストラが進むと企業の強み、特徴が失われる。それが続くと、企業そのものが消滅してしまう。ファンドの傘下に入った小売業やメーカーが経営に行き詰まるのはそのためだ。 一方、小売業における顧客との関係構築には、終わりがない。それは永続的に続く。この点が決定的に違う。 ランパート氏の経営の下、シアーズの店舗では雨漏りやエレベーターの故障が放置されていたという。これは小売企業としてありえない。同社は、顧客に買い物をする喜びを提供するスピリットを失い、顧客の気持ちがわからない企業になってしまった。2016年に入りランパート氏はIT先端技術の導入の重要性に言及し、翌年には自社の家電製品をアマゾン経由で販売し始めたが、これは遅すぎた。 ファンド出身の経営者は、シアーズのビジネスモデル、その強みを全く理解していなかった。IT先端技術の実用化を受けて、経済の変化のスピードが加速化していることを認識する感覚=センスも鈍かった。これは、経営者として致命的だ。 企業の存続に必要な要素は、環境の変化に適応する能力だ。正しいもの、強いものが生き残るわけではない。変化に適応できたものが生き残る。そのためには、新しい取り組み=イノベーションが欠かせない。 例えば、シアーズの商品に愛着を持つシニア世代にアマゾンのダッシュボタンを提供することは、顧客との関係性維持につながった可能性がある。それはIT機器を操作する際に感じるストレス軽減にもなる。そうした新しい取り組みが検討されてもよかった。 アマゾンの成長はシアーズの競争力を低下させた一因ではある。だが、それがすべてではない。シアーズのトップに、変化を感じるセンスが鈍かったことは見逃せない。それが、経営環境の変化に対応する能力を奪ってしまったのかもしれない』、ランパート氏だけでなく、出身ファンドも知恵を絞った筈だが、「経済の変化のスピードが加速化していることを認識する感覚=センスも鈍かった」というのは致命的で、気付いた時には既に「とき遅し」だったのだろう。

次に、富士通出身でデジタルシフトウェーブ代表取締役社長の鈴木 康弘氏が12月24日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/189281
・『レビュー  2017年9月、アメリカの玩具販売大手「トイザらス」が経営破綻に陥った。「アマゾン・エフェクト」を象徴するできごとである。 アマゾン・エフェクトとはなにか。これは、ネット通販「アマゾン・ドット・コム」が進出する業界で、その影響を受け、業績や株価の低迷に悩む企業が増えている現象を指す。影響は百貨店やスーパー、衣料品といった物販、さらにはコンテンツ産業など幅広い業態におよぶ。そして、多くの企業がトイザらスのように追い詰められている。 また、2017年8月、アメリカを代表する高級食品スーパー「ホールフーズ」をアマゾンが買収した。商品調達も管理も高度なオペレーションが求められる、リアルな生鮮食料品の店舗にアマゾンが進出したと、大きな話題となった。そればかりではない。競争が激化する懸念から、競合の食品スーパー各社の株価が軒並み下落した。こうして業界の秩序が崩れていく事態は、「アマゾン・ショック」とも呼ばれる。 こうしたできごとを、日本企業の多くは「流通業界の嵐」などと、対岸の火事のように眺めていないだろうか。アマゾン・エフェクトの背後には、デジタルがもたらすビジネスの本質的変化がある。本書『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』の著者は、この「デジタルシフト」の脅威に気づかないまま、20世紀のビジネスモデルを引きずる日本企業に警鐘を鳴らす。日本でいち早くアマゾン・エフェクトに対峙した著者の危機感は強い。デジタルシフト危機への対処法にぜひ耳を傾けたい』、興味深そうだ。
・『本書の要点  (1)多くの業種の既存の秩序を崩す「アマゾン・エフェクト」。その背後では、「デジタルシフト」という本質的な変化が起きている。 (2)デジタルシフトは、「時間」「距離」「量」「方向」といった制約から顧客を解放する。それをビジネスのチャンスにするために、日本企業はIT人材の育成を急がなければならない。 (3)今後のビジネスのアプローチは、ネットやリアルの垣根を超えて、すべてを顧客中心に組み立てる「カスタマーファースト思考」に移っていく。その先頭を切っているのがアマゾンである』、なるほど。
・『要約本文 ◆アマゾン・ショック ◇日本に押し寄せる4つのショック  いま日本に4つのショックが押し寄せているという。 1つ目は、アマゾン・ショックである。書籍や音楽ソフトに限らず、ファッションや生鮮品宅配サービスにおいても、アマゾンの進出は、業界の既存の秩序を揺り動かし、地殻変動を引き起こす。 2つ目は、クラウド・ショックである。以前であれば、開発・導入に1億円、メンテナンスに月々百万円をかけていたシステムが、いまではクラウトサービスを使えば、月額の使用料数百円ですんでしまう。このクラウドの分野で圧倒的なシェアを誇るのは、やはりアマゾンである。 3つ目は、AI(人工知能)/IoT(Internet of Things)ショックである。すべてのものがインターネットでつながるIoTによって、膨大なデータが蓄積され、それをAIが解析する。アマゾンはデータを制することにより、差別化を図ったサービスを顧客に提供し、ネットとリアルの両面から覇権を握ろうとしている。 4つ目は、IT人材の育成が急務となっている現状、すなわち教育ショックである。今後は、各企業が自前でシステムを開発できることが、スピード・コストの両方の視点からも必要となる。いかに社内にIT人材を確保できるかが競争力を左右する。しかし、そのことに気づいて、社内の人材教育を強化している日本企業は少ない。 いま日本に押し寄せている4つのショックのいずれを見ても、その背後にはアマゾンの姿がある』、確かに「4つのショック」のいずれにおいても、アマゾンの存在感は圧倒的だ。
・『◇ネットとリアルの融合  ネットとリアル(実際の店舗)のシームレスな融合を意味する「オムニチャネル」。この概念は、アメリカの大手百貨店メイシーズが2011年に使用したのが始まりである。オムニとは「すべて」を意味する。そしてオムニチャネルとは、ネットとリアル、すべての顧客接点を連動させて顧客にアプローチする方法である。 著者はかつて、セブン&アイ・ホールディングスからオムニチャネルを立ち上げた経験がある(2015年11月)。そのときに強烈に意識したのがアマゾンの存在であった。著者の陣営は、リアルの店舗からネットに世界を広げた。一方、当時のアマゾンは、ネットからリアルの世界への進出をたくらんでいた。 ここで著者は大きな壁にぶちあたった。リアルからネットに発想を移すことがいかに難しいかという壁である。日本の流通関係者のなかには、アメリカでのアマゾンの躍進についてこうした考えがあった。「国土が広く、もともと通販文化があったから、アマゾンはうまくいく」「日本は国土が小さいから大丈夫」。そして、店舗で買えるのと同じものが、時間や場所に関わりなくネットで注文できれば、利用者にとっての利便性が増したと考える。それ以上発想が広がらないことが、後に大きな制約となった』、確かにセブン&アイの「オムニチャネル」は、「大きな壁にぶちあたった」ためか、鳴かず飛ばずだったようだ。
・『◇アマゾン・ブックスの風景  では、アマゾンによるリアルな店舗はどのようなものか。アメリカで展開している書店販売のリアル店舗、「アマゾン・ブックス」を見てみよう。店舗を視察した著者によると、その特長は商品を絞り込み、圧倒的に在庫が少ないことにある。 それを可能にしているのが「フルフィルメントセンター」と呼ばれる巨大な物流拠点だ。この拠点は、ネットで販売する商品のために膨大な在庫を保管している。店舗のバックヤードが倉庫も兼ねているような既存の書店と比べて、ストックできる品数は桁違いに多い。リアル店舗のアマゾン・ブックスには、そのなかから売れ筋や目を引く商品を選んで並べるというわけだ。 日本の書店に一般的な、本の背表紙を表に向けて並べる「背差し」は一冊もない。すべての本が、表紙を正面に向ける「面陳列」「面展示」である。そのため、一冊一冊の魅力がストレートに伝わってくる。 そこではネット上で見つけた本を実際に確かめて購入することもできれば(ウェブルーミング)、店頭で気に入った本を自宅に届けてもらうように、その場の端末で手配することもできる(ショールーミング)。読みたい本が店頭になければ、アマゾンストアで検索して注文すればいい』、家電量販店は、顧客が来店して商品を見て、店員から説明を受けても、注文はアマゾンでやるというのも、典型的な「ショールーミング」で、小売店泣かせだ。
・『【必読ポイント!】◆デジタルシフト◇アマゾン・エフェクトの本質とはなにか  アマゾンが引き起こしている変化の本質はなにだろうか。それは、アナログからデジタルへの移行、「デジタルシフト」である。つまり、人々は「時間」「距離」「量」「方向」の制約から解放される。 ネット上では24時間いつでも、世界中のどこでも買い物ができる。売り手は数量にしばられることなく、いくらでも商品の情報を掲載できる。売り手と買い手は、インタラクティブにコミュニケーションをとれる。 歴史を振り返れば、人類は制約から解放される世界を自らつくりだしてきた。この観点に立つと、デジタルシフトは必然の流れといえるだろう』、その通りだろう。
。『◇クラウドという衝撃  2000年代半ばより、デジタルシフトに拍車をかけているのが「クラウド」である。クラウドとは、インターネットを経由し、さまざまなITのリソースをオンデマンドで利用できるサービスである。たとえば、コンピューティング、データベース、ストレージ、アプリケーションなどだ。 昔は水を手に入れるために、各家庭が庭に井戸を掘っていた。これに対して、いまではコンピュータ・ネットワークに蛇口をつければ水が出るようになった。クラウドはこうした状況にたとえられる。しかも圧倒的に安価にサービスを利用できる。 その結果、井戸を掘ること、つまりITインフラの構築と保守という力仕事は、人に任せればよくなった。そして、クラウドを活用したビジネスアイデアで勝負する時代が到来したのだ』、日本企業は自社保有にこだわり、「クラウド」活用で遅れを取った筈だ。
・『◇カスタマーファースト思考  こうしたITがもたらすビジネスの変化を、著者は3つの思考の変遷として説明する。 「レガシーファースト思考」:アナログで行ってきた業務のレガシー(旧来の遺産・遺物)をそのまま引き継ぎつつ、効率化を図るためにITを活用する。20世紀的なコンピュータの使い方である。 「ネットファースト思考」:インターネットというインフラを中心に置き、そこでユーザーの利便性や満足度を高めるサービスを提供する。ネット通販やSNSがこれに当たる。 「カスタマーファースト思考」:顧客を中心に置き、ネットもリアルも、すべてのインフラを駆使して、最高のカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)を提供する。今後はITの位置づけを、カスタマーファースト思考に大きく転換する必要がある。そして、その先頭を走っているのがアマゾンだ。 社会のデジタルシフトが進み、デジタルの力で個々人の購買行動のデータを収集できるようになった。その満足度を測定することで、アマゾンはカスタマーファースト戦略を加速させている』、日本企業は「レガシーファースト思考」に囚われているところが多いようだ。
・『◇「棚発想」から「事典発想」へ  流通業に限らず、多くの業態では、ネットとリアル、Eコマースとリアル店舗がシームレスに融合されるオムニチャネルの形態に行きつくだろう。その際、品ぞろえについては、「棚発想」から「事典発想」へと転換が求められる。 これまでリアル店舗では、売り場に商品分類ごとの棚があった。売り場面積にしばられ、取引先に依存した自分の経験ベースの品ぞろえが一般的だった。しかしオムニチャネルになると、マーケット全体を俯瞰することが重要となる。そして、まるで百科事典を編集するような発想で商品カテゴリーを分類し、顧客のニーズに合わせて商品を並べていくことが可能になる』、「事典発想」は制約が少なくなるとはいえ、優れた発想力が求められそうだ。
・『◆日本企業の現状◇まだまだ厚いレガシーの壁  残念ながら、こうしたデジタルシフトの本質を理解している日本の経営者は少ない。IT予算の使い道に関する2013年の調査によると、アメリカ企業は、「ITによる製品/サービス開発強化」がいちばん多かった。次に「ITを活用したビジネスモデル変革」「新たな技術/製品/サービス利用」「ITによる顧客行動/市場分析強化」が続く。それに対して日本企業は、「ITによる業務効率化/コスト削減」が突出している。 アメリカ企業は、ITにより新しい価値を生み出そうという「攻めのIT投資」を推進している。しかし日本企業の多くは、「守りのIT投資」にばかり目が向いており、レガシーファースト思考のままだといえる』、「日本企業は、「ITによる業務効率化/コスト削減」が突出している」というのは、時代に乗り遅れたことが丸出しで、恥ずかしい限りだ。
・『◇日本企業におけるIT戦略の欠如  アメリカでは、IT技術者の75%がウォルマートなどの一般企業に属している。日本は正反対で、75%がIT企業に属しており、一般企業に所属しているのは25%に過ぎない。日本企業では、システム開発はアウトソーシングが当たり前である。 ITを効率化の手段と考えれば、外注が妥当といえよう。しかし、自らのビジネスモデルを変え、ネットとリアルをつないで新しい価値を顧客に提供するというカスタマーファースト思考で考えればどうか。積極的に自社内でシステムを開発し、運営できる体制の構築が重要だと気づくはずだ。 しかし、日本企業では経営者がデジタルの力について理解していない。そのため明確なIT戦略が示せず、デジタルの活用が仕事の効率化に留まっている。これが多くの日本企業の現状だ』、「アメリカでは、IT技術者の75%がウォルマートなどの一般企業に属している。日本は正反対で、75%がIT企業に属しており」、「日本企業では経営者がデジタルの力について理解していない。そのため明確なIT戦略が示せず、デジタルの活用が仕事の効率化に留まっている。これが多くの日本企業の現状だ」というのでは、日本企業が追い着くのは、当面、困難だろう。
・『◇デジタルのHOWを体感する  こうした現状をどうすれば変えられるのか。核心は教育にあると著者は考えている。アメリカでは、高校卒業までにコンピュータ・サイエンスへの子どもたちの興味や関心を喚起する目的で、毎年「コンピュータ・サイエンス教育週間」を設けている。ITのスキルを培うことが、個人の将来のみならず国の未来にとっても重要だと認識しているためだ。 ポイントは、デジタルのような新しい技術の場合、HOW(どのように)を知らないと、WHAT(何を)と、なぜそれをするのかというWHY(なぜ)の発想が難しいという点である。すべてのビジネスパースンがプログラマーになる必要はない。しかし、デジタルのHOWを体感的に理解することが、新しい時代のビジネスモデルを創造するためには欠かせないといえる』、日本では来年から小学校でプログラミング教育が必修となるようだが、こんな形式的なことよりも、アメリカの「コンピュータ・サイエンス教育週間」の方がはるかに効果的だろう。文科省や政治家が如何に何も解っていないかを如実に示しているようだ。
・『一読のすすめ  日本企業の経営者の大半は、アナログベースでキャリアを築いてきた世代だろう。それゆえデジタルの役割について、頭ではわかっていても感覚的に理解できていない、つまり肚落ちしていないという面があるだろう。本書はそうした方にとって、とっつきやすい「デジタルシフトを見据えたビジネス」の入門書といえるのではないか。本書を通じて、アマゾン・エフェクトの波にさらされている日本企業の現状・課題をいま一度俯瞰し、次なる一歩を考えていただきたい。最後の「著者情報」は省略』、この記事を読んできた限りでは、問題点を把握はしっかりして信頼に足るようだ。時間が出来たら、読んでみたい。
タグ:EC セブン&アイ 電子商取引 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 (その3)(アマゾン:「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか、日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』) 「「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか」 破産法申請した米小売り大手シアーズの経営破綻 ドラッカーが「全米で最も成功した企業の一つ」と称賛するほど、同社は19世紀後半から20世紀中盤に米小売業界の王者 “シアーズ・ローバック”の商標 19世紀後半から20世紀の中盤にかけて、経営改革=イノベーションによって成功を手にした 当時の同社は環境の変化に適応し、必要な改革を進めた 1980年代以降、シアーズは経済環境の変化に適応することができなかった かつて“イノベーション”で成長を遂げたシアーズ ファンド出身の経営トップには、変化を感じる“センス(感覚)”が欠如していた 市場経済が浸透していない農村に対してカタログを用いた通信販売ビジネスを行い、未開拓の需要を取り込むことを思いついた 「手にしてみたらイメージと違う」といった不満に対応するために、同社は条件を問わずに返金するとコミット シアーズのカタログは農村に住む人々にとって生活に欠かせないバイブルと同等に位置づけられた 通販から小売業へのビジネスモデルの転換 店舗ごとのマネジメントが重要だ。そのため、第2次世界大戦前からシアーズは店長および売り場主任の育成を体系的に進めた 社会のIT化という環境変化 アマゾンの台頭 シアーズがIT化という環境の変化に適応できなかった 舗事業の強化にこだわり、2000年代にはカタログ通販事業が閉鎖 米玩具大手のトイザラスは経営破綻に陥った 本当の小売業を知らないファンド出身経営者 金融業の発想では、安く買って高く売ることが重要だ。そのためには、競争力のない事業などを売却し、得られたキャッシュフローを用いて他の事業を強化することが求められる。同時に、リストラが進むと企業の強み、特徴が失われる。それが続くと、企業そのものが消滅してしまう。ファンドの傘下に入った小売業やメーカーが経営に行き詰まるのはそのためだ ファンド出身の経営者は、シアーズのビジネスモデル、その強みを全く理解していなかった シアーズのトップに、変化を感じるセンスが鈍かった 鈴木 康弘 「日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』」 「アマゾン・エフェクト」 影響は百貨店やスーパー、衣料品といった物販、さらにはコンテンツ産業など幅広い業態におよぶ 多くの企業がトイザらスのように追い詰められている 業界の秩序が崩れていく事態は、「アマゾン・ショック」 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』 日本企業に警鐘 「アマゾン・エフェクト」。その背後では、「デジタルシフト」という本質的な変化が起きている デジタルシフトは、「時間」「距離」「量」「方向」といった制約から顧客を解放 今後のビジネスのアプローチは、ネットやリアルの垣根を超えて、すべてを顧客中心に組み立てる「カスタマーファースト思考」に移っていく 日本に押し寄せる4つのショック 1つ目は、アマゾン・ショック 2つ目は、クラウド・ショック 3つ目は、AI(人工知能)/IoT(Internet of Things)ショック 4つ目は、IT人材の育成が急務となっている現状、すなわち教育ショック ネットとリアルの融合 「オムニチャネル」 リアルからネットに発想を移すことがいかに難しいかという壁である。 アマゾン・ブックスの風景 ネット上で見つけた本を実際に確かめて購入することもできれば(ウェブルーミング) 店頭で気に入った本を自宅に届けてもらうように、その場の端末で手配することもできる(ショールーミング) アマゾン・エフェクトの本質とはなにか アナログからデジタルへの移行、「デジタルシフト」 クラウドという衝撃 カスタマーファースト思考 「レガシーファースト思考」 「ネットファースト思考」 「カスタマーファースト思考」 「棚発想」から「事典発想」へ まだまだ厚いレガシーの壁 IT予算の使い道に関する2013年の調査によると、アメリカ企業は、「ITによる製品/サービス開発強化」がいちばん多かった 日本企業は、「ITによる業務効率化/コスト削減」が突出 日本企業におけるIT戦略の欠如 メリカでは、IT技術者の75%がウォルマートなどの一般企業に属している 日本は正反対で、75%がIT企業に属しており、一般企業に所属しているのは25%に過ぎない 日本企業では経営者がデジタルの力について理解していない そのため明確なIT戦略が示せず、デジタルの活用が仕事の効率化に留まっている デジタルのHOWを体感する アメリカでは、高校卒業までにコンピュータ・サイエンスへの子どもたちの興味や関心を喚起する目的で、毎年「コンピュータ・サイエンス教育週間」を設けている
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