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物流問題(その8)(破格の配送料金に中小の物流業者は困惑 ヤフーの出店者が驚いたヤマトの“格安配送”、協業の狙いはクール便の配送以外にもあるヤ マト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算、半導体の次にくる世界経済の時限爆弾:【前編】国際海運業界で層、【後編】「スエズ危「中国人クルー」争奪戦の深機」よりも怖い!船員の反乱リスク) [産業動向]

物流問題については、昨年3月26日に取上げた。今日は、(その8)(破格の配送料金に中小の物流業者は困惑 ヤフーの出店者が驚いたヤマトの“格安配送”、協業の狙いはクール便の配送以外にもあるヤ マト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算、半導体の次にくる世界経済の時限爆弾:【前編】国際海運業界で「中国人クルー」争奪戦の深層、【後編】「スエズ危機」よりも怖い!船員の反乱リスク)である。

先ずは、本年5月23日付け東洋経済Plus「破格の配送料金に中小の物流業者は困惑 ヤフーの出店者が驚いたヤマトの“格安配送”」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/27008
・『拡大が続くネット通販市場。宅配需要を取り込もうと物流業者がしのぎを削る。中でも勢いづくのが王者ヤマトだ。 宅配便首位のヤマト運輸と大手EC(ネット通販)事業者のヤフーが発表した物流サービスが業界に波紋を呼んでいる。 首都圏のある運送企業の経営者は「配送料の数字を見たときは衝撃を受けた。あのヤマトがここまで安くするのか」と苦々しい表情でそう口にした。 今年3月、ヤマトとヤフーが「Yahoo!ショッピング」や「PayPay(ペイペイ)モール」出店者向けの配送サービスをリニューアルし、「全国一律」で破格の料金を打ち出したからだ。 例えば60サイズ(3辺計で60センチメートル、重量は2キログラムまで)の荷物は全国どこに運んでも382円。これは、ヤフーの競合である楽天が提供する自社物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」よりも2割近く安い。 配送サービスのリニューアルに伴って開いた3月の説明会で、ヤフーのショッピング統括本部事業開発室の山下滋室長は「今回、提示した配送料は値下げ感が強いと思う。『ヤマトがこの値段で運んでくれるのか』と驚く出店者も多かった」と自信を見せた』、「「楽天スーパーロジスティクス」よりも2割近く安い」、確かに驚きの安値を打ち出したものだ。
・『連携の強化で競合に追いつく  ヤマトとヤフーが手を組んだのは2020年3月。ヤマト運輸の親会社であるヤマトホールディングスは、ヤフーを傘下とするZホールディングス(以下、ZHD)と業務提携に向け基本合意。「Yahoo!ショッピング」や「ペイペイモール」の出店者向けサービスを提供すると発表した。 両社は、商品の在庫管理なども含め受注から宅配までをヤマトが一括で請け負う物流アウトソーシングサービスを提供してきたが、今回、それをリニューアルした。ヤフーでEC事業を統括する畑中基・コマースカンパニー執行役員ショッピング統括本部長は、「楽天やアマゾンと比べて現状は配送が周回遅れとなっている。ヤマトと連携を強化して競合に追いつくつもりだ」と意気込む。 ECの需要自体は旺盛で、2019年の国内におけるBtoC向けECの市場規模は19.4兆円(前年比7.6%増)となった。ヤフーはさらなるECの拡大を図るうえで物流サービスの強化を重要な要素と考えており、ヤマトとしても連携を強化すれば宅配需要の安定的な増加を取り込める。 国内EC最大手のアマゾンは目下、個人ドライバーと配送拠点の案件をマッチングする「アマゾンフレックス」を拡大し、物流の自前化に余念がない。アマゾンはコスト削減意識が非常に強いため、事業者に委託する手数料の削減を図る狙いだろう。 一方、楽天は今年3月に日本郵政と資本業務提携を発表。 これまで自前の配送サービス「Rakuten EXPRESS」を展開しており、中小運送会社に荷物の配送を委託していたが、5月末で荷物の委託を終了することを決めた。今後は日本郵便への配送委託を拡大する構えだ。 7月には日本郵便との合弁でJP楽天ロジスティクスを設立する』、物流戦国時代に突入したようだ。
・『破格の料金でもヤマトは儲かる?  ヤフー向けに用意したヤマトの配送料金は他の運送業者から言わせると破格だが、「採算がとれる前提でサービスを提供している。利用者が増えれば十分な荷物数を確保できるはずだ」(ヤマト運輸のEC事業部の中西優シニアマネージャー)という。 この配送料を適用してもらうためには、倉庫での商品の保管業務や出荷作業もヤマトに委託しなければならない。「3PL(物流一括受託)大手と比べても、ヤマトの保管料や作業費は高い。確かに配送料は安いが、(出荷作業代行など)附帯する業務で利益を確保するつもりだろう」(物流企業の幹部)。 それでも、業界首位による配送料の“値下げ”が及ぼす影響は大きい。 関西のある運送企業の幹部は、今回の料金体系を前に「かなわんなぁ……」と困り果てる。「全国の配送拠点を維持するために、荷物を確保しなければならないヤマトの立場は理解できる。だが、ベンチマークとなるヤマトが配送料を値下げすれば、ただでさえ厳しい価格競争が激化してしまう」(同幹部)からだ。 宅配便の競争激化は大手といえど無縁ではいられない。2021年5月の決算説明の場で、日本郵便の上尾崎幸治執行役員は「2021年1~3月期の荷物数の伸び幅は、2020年10~12月期の伸び幅と比べて弱い。同業他社が攻勢をかけており状況は厳しい」と語った』、「この配送料を適用してもらうためには、倉庫での商品の保管業務や出荷作業もヤマトに委託しなければならない。「・・・ヤマトの保管料や作業費は高い。確かに配送料は安いが、・・・附帯する業務で利益を確保するつもりだろう」、なるほど。
・『都内ではすでに事業者に余剰感  EC市場拡大の恩恵に預かろうと、宅配に新規参入する事業者は後を絶たない。人口縮小で企業間物流の先細りが懸念されるなか、いかに需要旺盛なEC関連の物流業務を受託できるかが、物流各社の大きな課題だ。 路線トラック大手の「。同社の 田口義隆社長は「置き配が浸透すれば、企業間物流のように再配達のない効率的なオペレーションが可能だ。ローコストを武器にサービスを拡大していきたい」と語る。柱である法人向けの貨物運送の荷物量が減少傾向なため、宅配便や冷凍冷蔵物流など、新たな収益源の確保を急いでいる。 また、物流の川上に該当する倉庫内業務でも、EC事業者から業務を受託するうえで、宅配が欠かせなくなってきている。 間接材EC大手モノタロウなどから配送受託している3PL(物流一括受託)大手のSBSホールディングスは、全国都市部での宅配網構築を進めている。同社の鎌田正彦社長は「EC拡大で3PL市場も成長が続いている。足回り(宅配サービス)を持っていることが強みとなり、本業である3PLの新規受託が狙える」と意気込む。 同じく3PL大手のセンコーグループホールディングスも宅配事業の強化を進めている。2018年8月に子会社が軽貨物配送に参入して以降、規模拡大が続いており、2023年3月期の稼働台数3000台(2021年3月時点で1250台程度)を目指している。 冒頭の運送企業の経営者は「少なくとも首都圏は荷物の配送を担う軽貨物配送事業者の余剰感が出てきている」と打ち明ける。宅配需要の増加は続いても、物流事業者が押し寄せて需給バランスが崩れ、“買い手市場”となることで、荷主からの「値下げ圧力」が増す可能性も否定できない。 いかに適正な配送料を確保しながら必要な荷物量を獲得できるか。過当競争に突入しつつある宅配業界で、物流各社の舵取りはいっそう難しくなりそうだ』、「セイノーホールディングスは、2020年8月頃からグループ会社を通じてコストを抑えた宅配サービスを始めている」、「倉庫内業務でも、EC事業者から業務を受託するうえで、宅配が欠かせなくなってきている」、「宅配サービス」は周辺業界からの参入もあって。「過当競争に突入しつつある」、今後の「物流各社」の展開を注視したい。

次に、9月15日付け東洋経済Plus「協業の狙いはクール便の配送以外にもあるヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28188
・『業界首位を走るヤマトの原動力となっている領域を佐川・日本郵便連合で狙いに行く。 EC(ネット通販)荷物を囲い込もうと猛攻勢をかける業界首位に対抗すべく、宅配大手2社が連携強化に踏み切った。 9月10日、宅配業界2位の佐川急便・本村正秀社長と3位の日本郵便・衣川和秀社長が記者会見し、小型荷物の宅配やクール便の取り扱いなどでの協業に基本合意したと発表した。日本郵便の衣川社長は「競争分野を残しつつも、足りない部分を相互補完し、安定した物流サービスを提供していきたい」と語った。 両社は2004年ごろからメール便の分野で提携していたが、今回の協業によって領域が広がる。まず2022年1月以降をメドに、日本郵便が取り扱うクール便の配送の一部が佐川に委託される。これまで日本郵便は「大口顧客のクール便のニーズに対応しきれずにいた」(日本郵便の衣川社長)が、佐川の配送網を活用することで、投資コストを抑えつつもクール便を強化できるというわけだ。 佐川も日本郵便のサービスを取り扱うことで商品ラインナップを拡充する構えだ。2021年10月以降をメドに国際スピード郵便(EMS)、同年11月以降に投函可能な小型荷物の「ゆうパケット」を取り扱い始めるが、配送は日本郵便に委託する。いずれも成長が期待されるEC物流において需要が見込めるサービスだ』、「宅配大手2社が連携強化」することで、「ヤマト独走」に対抗しようとしているようだ。
・『日本郵便が佐川にアプローチ  今回の協業は、日本郵便からのアプローチをきっかけに検討が始まった。佐川の本村社長は「2021年初めごろに、クール便の配送を委託できないかと依頼があり、そこから今回の協業へと発展した」と話す。 だが、事情に詳しい業界関係者は「協業に積極的だったのはむしろ佐川だ。弱点である小型荷物を日本郵便に委託しつつ、EC荷物を獲得したいのだろう」と明かす。 これまで企業間物流を強化してきた佐川はBtoB荷物が中心だったが、EC荷物が増えたことで、宅配便の取扱個数の半分をBtoC荷物が占めるようになった。「投函できる小型荷物の要望が顧客から挙がっており、対応する必要があった」(佐川の本村社長)。日本郵便からしても、佐川を通じて取扱個数を増やせるのであればメリットは大きい。 佐川と日本郵便が協業拡大で対抗を狙うのが、宅配便首位のヤマト運輸だ。同社は2020年ごろから大口顧客の囲い込みを本格化しており、宅配便の取扱個数を大きく伸ばし続けている』、「佐川」は、「弱点である小型荷物を日本郵便に委託しつつ、EC荷物を獲得したい」、「日本郵便」も「佐川を通じて取扱個数を増やせるのであればメリットは大きい」、とウィンウィンの関係のようだ。
・『値下げでヤマト独走  足元の状況を見ると、ヤマト独り勝ちの構図は明らかだ。2021年4~7月のヤマトの宅配便の取扱個数は7.4億個(前年同期比9.4%増)だった。対して、佐川は4.6億個(同0.3%増)とほぼ横ばい。日本郵便に至っては3.3億個(同14.3%減)と取扱個数を大きく減らしているのが実情だ。 ヤマト独走の原動力となっているのが、投函可能な小型荷物「ネコポス」だ。2021年4~7月のネコポスの取扱個数は1.2億個(前年同期比50.7%増)と大きく伸びた。 象徴的だったのが、フリーマーケットアプリ大手のメルカリ専用の配送サービスをめぐる明暗だ。2020年10月、日本郵便がゆうパケットを175円から200円へ値上げしたのに対し、ヤマトはネコポスを195円から175円へ値下げしたことで、メルカリの利用者がヤマトに流出した。 加えて、ヤマトは2021年4月から、ヤフーのECモール出店者向けの物流代行サービスで、全国一律の格安配送を提供。配送料を安く抑えることで大口顧客を中心に囲い込もうという算段だ。ヤマトが強める価格攻勢の動きを、佐川と日本郵便としては見過ごせない。 前述の業界幹部は「敵の敵は味方というわけだ。佐川と日本郵便はお互いに手を組んで共通の敵であるヤマトに対抗したいのだろう」と説明する』、「日本郵便がゆうパケットを175円から200円へ値上げしたのに対し、ヤマトはネコポスを195円から175円へ値下げしたことで、メルカリの利用者がヤマトに流出した」、「日本郵便」も馬鹿な「値上げ」をしたものだ。
・『敵はヤマトだけではない  ただ、敵はヤマトだけではない。価格を武器にデリバリープロバイダのような中小運送会社が勢力を拡大しており、EC荷物をめぐる競争は激化する一方だ。3PL(物流の一括受託)大手のSBSホールディングスなど宅配サービスを展開する企業も登場し始めた。 今回の提携拡大による日本郵便と佐川の業績への貢献は、今のところ限定的なようだ。日本郵便の衣川社長は「売り上げで年間十数億円、利益で数億円規模だろう。業績にそこまで大きな影響はない」と見込む。 まずは対ヤマトという軸で連携する日本郵便と佐川。今後は地方都市での共同配送なども検討する。他社を巻き込んだ協業に発展できれば、「物流業界でのパラダイムシフトを目指す」(日本郵便の衣川社長)という宣言も現実味を帯びるだろう。 多方面から攻勢をかけられる日本郵便と佐川だが、協業の真価が問われる』、「日本郵便と佐川」の「協業」を注視したい。

第三に、7月13日付け東洋経済Plusが掲載した財新 編集部による「半導体の次にくる世界経済の時限爆弾【前編】国際海運業界で「中国人クルー」争奪戦の深層」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/27476
・『国際海運業界が深刻な「船員不足」にあえいでいる。船員の主要な派遣国だったインドや東南アジアで、新型コロナの変異株が猛威をふるっているためだ。 世界の貿易を支える国際海運業界で、中国人クルーの争奪戦が起きている。その理由を探ると、業界が直面する未曾有の「船員不足」の実態が浮かび上がった。 船員不足は世界の物流を狂わせ、日本の製造業を悩ます半導体不足を上回るインパクトをもたらしかねない。東洋経済の提携先である「財新」のレポートを前編、後編でお届けする。 中国人船長の紹波(シャオ・ボー)氏は、船上での勤務をもう8カ月余り続けている。にもかかわらず、彼は(上陸して休暇を取ることなく)次の航海に出る決心をした。紹氏によれば、国際海運業界では(船員の雇用者である船主が)インドや東南アジア出身のクルーを下船させ、中国人に置き換える動きが加速している。彼のようなベテラン船長は、今や引く手あまたなのだ。 「船主は私たちに(下船せず)船上で勤務し続けてほしいと望んでいる。少し前まで月4000ドル(約44万円)だった上級職の船員の賃金相場は、月5500ドル(約61万円)に上がった」(紹氏) 全世界の貿易量の9割は、海上輸送によって運ばれている。穀物や石油、鉄鉱石など代表的なコモディティー(商品)はもちろん、衣料や家電製品などの消費財からマスクや防護服などの防疫物資に至るまで、国際輸送の大部分を陰で支えているのが紹氏のような船乗りたちだ。 最近、中国人船員の求人が急増している背景には、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)が引き起こした、船員の需給の構造変化がある。インドで見つかった感染力の強い変異株(デルタ株)の流行が東南アジアにも広がり、船員の供給に深刻な打撃を与えているのである』、「パンデミック」が思わぬところに影響を与えているようだ。
・『コロナ前は半数がフィリピン人とインド人  パンデミックが始まるまで、船主や海運会社は英語が堪能で人件費が安い、フィリピン人やインド人の船員を好んで採用していた。国際海運会議所(訳注:世界各国の船主協会を会員とする国際組織。本部はロンドン)がまとめたデータによれば、2019年には世界の国際貿易商船に約164万人が乗務。そのうちフィリピン人が50万人、インド人が24万人に上り、2カ国だけで全体の半数近くを占めていた。 ところが、2021年4月頃から変異株の流行がインドから周辺諸国に急拡大。それまで感染を相対的に抑え込んでいた東南アジアにも伝播し、国際航路の船上で乗組員の集団感染が次々に発生した。 シンガポールで船員の労務管理に従事するギルバート・リウ氏によれば、変異株が出現する前から、船主はフィリピン向けの求人を大幅に減らしていたという。フィリピン人船員が新型コロナの陰性証明書を偽造するケースが相次ぎ、不信感が広がったためだ。 世界最大の船員派遣国だったフィリピンは、2020年の派遣者数が21万7000人と、前年より約30万人も減少。現地メディアの報道によれば、フィリピンの約50社の船員派遣会社が閉鎖に追い込まれた。 フィリピン人が抜けた穴を埋めたのは、当初はインド人だった。ここ数年、欧米の船主を中心にインド人船員の採用が増加していたが、パンデミックでその流れが加速した。 ところが、変異株の流行がインドから始まったことで、再び状況が急変した。インドに寄港した船やインド人船員が乗り込んだ船で変異株のクラスターが発生し、船主の多くがインド人の採用を躊躇せざるをえなくなった。 冒頭の紹氏が船長を務める船は、主に中国と東南アジアを結ぶ航路を運航し、パンデミックの前からインド人クルーが日常的に乗務していた。ところが変異株が出現すると、当時乗務していた4人のインド人は一刻も早く下船するよう(船主から)命じられたという。 というのも、船内での集団感染は船主にとって経営上の大きなリスクだからだ。仮にある港でクルーの感染が確認されれば、その船は運航の中断を余儀なくされ、乗組員全員が(上陸を許されず)船上で隔離される。 5月4日、マーシャル諸島船籍の貨物船「オーボンヌ号」がインドから南アフリカのダーバン港に到着した際、フィリピン人乗組員21名のうち14名に新型コロナの陽性反応が出た。そして南アフリカ当局がとった隔離措置により、同号は数週間にわたって港に足止めされた。 仮に積載量18万トン級のばら積み貨物船の運航が中断した場合、船主は1日当たり約2万ドル(約220万円)の傭船料収入を失う。そのうえ、隔離中も乗組員の賃金を支払わなければならない。船主たちはそれを恐れて、インドや東南アジアからの採用を避けているのだ』、確かに「感染者」を出すと、「船主」は莫大な損失を被るようだ。
・『中国人だけで埋め合わせるのは不可能  国際海運業界にとって、これは船員の供給源の半分を失ったに等しい非常事態だ。そんな中、船主たちの大きな期待を集めているのが、船員の総登録者数が165万人にのぼる中国人なのである。前出のリウ氏によれば、中国人は勤勉で、仕事の質が(他国の船員と比べて)相対的に高く、しかもほぼ全員が新型コロナのワクチンを接種済みであることが魅力だという。 とはいえ、目下の深刻な船員不足を中国人だけで埋め合わせるのは不可能だ。広東省深圳市の海運労務サービス会社で船員募集を担当している李海兵(リー・ハイビン)氏は、(船主からの引き合い急増で)最近は船員募集の告知を数日おきに大量に出している。 「船主はみな中国人を欲しがっている。だが中国国内の船員市場はすでに人手不足だ。おかげで賃金相場が跳ね上がっている」(李氏) 中国の船員登録数は世界最大だが、その多くは国内航路に乗務している。船員の組合である中国海員建設工会が4月1日に発表したデータによれば、165万人の登録者数のうち過半数の87万人は河川や湖の航路に乗務しており、海上航路の乗組員は半数弱の78万人だった。 さらに、海上航路の乗組員のうち国際航路の登録者数は57万人で、そのうち現役のクルーは30万人にすぎない。国際航路の賃金急騰に惹かれて転職者も増えてはいるが、需要にまったく追いついていないのが実態だ。 「インドや東南アジアのコロナ禍がさらに3~5カ月続けば、国際航路の船員不足はますます悪化し、世界経済のサプライチェーンの深刻な脅威になるだろう」。リウ氏はそう警鐘を鳴らした』、「中国の船員登録数」「165万人」「のうち過半数の87万人は河川や湖の航路に乗務」、「海上航路の乗組員は半数弱の78万人」、「海上航路の乗組員のうち国際航路の登録者数は57万人で、そのうち現役のクルーは30万人にすぎない」、意外に少ないようだ。「フィリピン人」や「インド人」の代わりにはなりそうにない。

第四に、この続きを7月13日付け東洋経済Plus「半導体の次にくる世界経済の時限爆弾【後編】「スエズ危機」よりも怖い!船員の反乱リスク」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/27477
・『新型コロナの変異株に対する水際対策の強化で、国際航路の船員の交替が困難になっている。現役クルーの乗務は長期化し、感染リスクも高まっている。 国際海運業界の深刻な船員不足は、現役のクルーに過剰な負担を強いている。 彼らのストレスが限界を超えれば、世界の物流の安定を根底から揺るがしかねない。東洋経済の提携先の「財新」による、レポートの後編をお届けする。「船員不足の問題に比べれば、スエズ運河の事故の影響は取るに足らないものだ」――。 今年5月、国際船舶管理者協会のマーク・オニール会長はイギリスのフィナンシャル・タイムズの取材に対してそう発言した。 エジプトのスエズ運河で今年3月に起きた大型コンテナ船の座礁事故は、全世界に衝撃を与えた。欧州とアジアを結ぶ物流の大動脈がわずか6日間詰まっただけで、世界中の企業活動や市民生活に多大な影響が及ぶことをまざまざと示したのは記憶に新しい。 だがオニール会長に言わせれば、国際海運業界が直面する船員不足の深刻さは、スエズ運河の事故とは比較にならない未曾有の危機なのだ。 前編で述べたように、船員不足の引き金を引いたのはインドから始まった新型コロナウイルスの変異株の大流行である。その影響により、船主たちは国際航路の乗組員の半分近くを派遣していたインドやフィリピンの船員を採用できなくなった。 船主たちは慌てて、中国人船員の採用を増やすことで対応しようとしている。だが、仮に必要な人数のクルーを確保できたとしても、次なる難題が待ち構えている。変異株の流入を防ぐために世界中の港が水際対策を強化し、乗組員の円滑な交替が妨げられていることだ』、「世界中の港が水際対策を強化し、乗組員の円滑な交替が妨げられている」、確かに深刻な障害だ。
・『「乗船は容易、下船は困難」のジレンマ  例えばシンガポールは、過去14日間にインドへの渡航歴がある外国人の入国を禁止するとともに、インドへの渡航歴がある船員の(シンガポール港での)交替も禁止した。その後、同様の措置が東南アジア各国に広がった。 アラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ港は、過去14日以内にインドに寄港した船の乗組員の交代を禁止。韓国はインドから来た船の乗組員にPCR検査の陰性証明書の提出を求め、交代時には14日間の隔離を徹底している。 中国の港では現在、中国人乗組員の交替しか許可していない。5月21日、華南最大級のコンテナ港である広東省深圳市の塩田港で、荷役作業員への新型コロナの感染が確認された。これをきっかけに、5月28日までに中国沿海部の29カ所の港が防疫措置のレベルを引き上げたためだ。 これらの港では、「高リスク地域」への寄港歴がある船はPCR検査で乗組員全員の陰性が確認されなければ接岸が認められない。インドから来た船やインド人船員が乗務する船は、事前に(港湾当局に)申請して許可を得なければ錨泊地(入港前の待機場所)に入ることもできない。 そんななか、中国人船員たちを悩ませているのが「乗船するのは容易だが、下船は困難」というジレンマだ。個人の希望に応じた交替が難しいため、乗務期間が長くなる一方なのである。 中国人船長の紹波(シャオ・ボー)氏が指揮をとる船は、6月2日に浙江省寧波市の北侖港に入港した。彼はもともと、ここで下船して休暇を取る計画だった。ところが防疫措置の影響で(次の出港までに)交替できるメドが立たず、休暇を先送りせざるをえなくなった。 紹氏によれば、彼が次に下船できるチャンスは最低でも3カ月後だという。国際航路は1回の航海にかかる時間が長く、最長数カ月に及ぶこともある。通常のローテーションでは、乗組員たちは最低2回の航海を終えてから交替し、休暇を取る。逆に言えば、下船のタイミングを一度逃せば、さらに数カ月間の洋上生活を強いられる可能性があるのだ。 それだけではない。新型コロナの変異株の流行拡大で、船員の感染リスクも高まっている。船上の医療体制は陸上とは比較にならず、仮に重症化すれば命を落とす可能性がはるかに高い。船員という職業は、今や「命がけ」なのだ』、「通常のローテーションでは、乗組員たちは最低2回の航海を終えてから交替し、休暇を取る。逆に言えば、下船のタイミングを一度逃せば、さらに数カ月間の洋上生活を強いられる可能性がある」、「船上の医療体制は陸上とは比較にならず、仮に重症化すれば命を落とす可能性がはるかに高い。船員という職業は、今や「命がけ」」、「船員」への影響の深刻さは想像以上だ。
・『下船を求める船員がストライキも  中国人船員の李洪灯(リー・ホンドン)氏は6月16日、7カ月間の船上勤務を終えて寄港先のスペインから帰国した。李氏の証言によれば、彼の下船が実現したのは、一緒に乗務していた20人のクルーとともにストライキを打ったおかげだ。 「私たちの船の次の目的地は、新型コロナの流行が深刻なインドでした。もし船内で感染したら、(重症化した場合に)命を救う手立てがありません。だから乗務継続を拒否したんです」(李氏) 李氏は続けて、彼の船で実際に起きた不幸についても語った。船内の厨房で働いていた中国人の調理師が尿路結石の発作を起こし、治療が間に合わなかったために海外で死亡したという。 「なかなか下船できないうえに、急病にかかった場合もすぐに病院へ運んでもらえない。船員の命は大きな危険にさらされています」(李氏) 船員の感染リスクの高まりは、国際物流の安定を足下から揺さぶる大問題だ。 今年4月、南アフリカからシンガポールに向かっていたイタリア船籍のコンテナ船で、新型コロナに感染した船長が航海中に死亡した。その後、この船はアジア各国の港湾当局から入港を拒否され、遠路イタリアへ戻るしかなくなった。結果、積み荷のコンテナの配送は数カ月も遅れてしまった。 「船員の人手不足やコロナ感染は、貨物船の運航スケジュールを狂わせる。それがグローバルな物の流れに打撃を与えれば、(コモディティーや消費財の値上がりを通じた)インフレが加速しかねない」。シンガポール国立大学のビジネススクール准教授を務める呉培源(ウー・ペイユアン)氏は、そう指摘する。 それでなくても、海上運賃はすでにコロナ発生前の数倍に値上がりしている。防疫措置の強化で港の荷役作業が滞り、荷主の需要に輸送力供給が追いつかなくなっているためだ。上海航運交易所のデータによれば、上海の輸出コンテナ運賃指数は過去最高値を更新し続け、6月11日時点では3704ポイントと1年前の3.6倍になった。船員たちのストレスが限界を超え、人手不足がさらに悪化すれば、運賃高騰に拍車がかかる可能性が否定できない』、「船員たちのストレスが限界を超え、人手不足がさらに悪化すれば、運賃高騰に拍車がかかる可能性が否定できない」、その通りだろう。ただ、残念ながら日本のデフレ克服には力不足だろう。
タグ:「日本郵便がゆうパケットを175円から200円へ値上げしたのに対し、ヤマトはネコポスを195円から175円へ値下げしたことで、メルカリの利用者がヤマトに流出した」、「日本郵便」も馬鹿な「値上げ」をしたものだ。 「日本郵便と佐川」の「協業」を注視したい。 東洋経済Plus 「半導体の次にくる世界経済の時限爆弾【前編】国際海運業界で「中国人クルー」争奪戦の深層」 「パンデミック」が思わぬところに影響を与えているようだ。 確かに「感染者」を出すと、「船主」は莫大な損失を被るようだ。 「中国の船員登録数」「165万人」「のうち過半数の87万人は河川や湖の航路に乗務」、「海上航路の乗組員は半数弱の78万人」、「海上航路の乗組員のうち国際航路の登録者数は57万人で、そのうち現役のクルーは30万人にすぎない」、意外に少ないようだ。「フィリピン人」や「インド人」の代わりにはなりそうにない。 「半導体の次にくる世界経済の時限爆弾【後編】「スエズ危機」よりも怖い!船員の反乱リスク」 「世界中の港が水際対策を強化し、乗組員の円滑な交替が妨げられている」、確かに深刻な障害だ。 「通常のローテーションでは、乗組員たちは最低2回の航海を終えてから交替し、休暇を取る。逆に言えば、下船のタイミングを一度逃せば、さらに数カ月間の洋上生活を強いられる可能性がある」、「船上の医療体制は陸上とは比較にならず、仮に重症化すれば命を落とす可能性がはるかに高い。船員という職業は、今や「命がけ」」、「船員」への影響の深刻さは想像以上だ。 「船員たちのストレスが限界を超え、人手不足がさらに悪化すれば、運賃高騰に拍車がかかる可能性が否定できない」、その通りだろう。ただ、残念ながら日本のデフレ克服には力不足だろう。
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