防衛問題(その20)(元自衛官・五ノ井里奈さんが議員からのヒアリングで性被害を告白 長妻昭議員「一気に膿を出して真っ当な自衛隊へ」、自衛隊の性加害生んだ「ホモソーシャル」の醜悪さ 報道を見て「自分には関係ない」と思う男性の盲点、自衛隊の「不要なハリボテ武器」ランキング【自衛官108人が評価】10式戦車の評判は?、自衛隊が「米軍の2軍」になるかもしれない…「安保3文書」改定への強烈な違和感 有識者コメントを読んでみると…) [国内政治]
防衛問題については、4月29日に取上げた。今日は、(その20)(元自衛官・五ノ井里奈さんが議員からのヒアリングで性被害を告白 長妻昭議員「一気に膿を出して真っ当な自衛隊へ」、自衛隊の性加害生んだ「ホモソーシャル」の醜悪さ 報道を見て「自分には関係ない」と思う男性の盲点、自衛隊の「不要なハリボテ武器」ランキング【自衛官108人が評価】10式戦車の評判は?、自衛隊が「米軍の2軍」になるかもしれない…「安保3文書」改定への強烈な違和感 有識者コメントを読んでみると…)である。
先ずは、8月11日付けAERAdot「元自衛官・五ノ井里奈さんが議員からのヒアリングで性被害を告白 長妻昭議員「一気に膿を出して真っ当な自衛隊へ」」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2022081000085.html?page=1
・『立憲民主党は8月10日、自衛隊内で受けた性被害について第三者委員会による公正な調査を求めている元自衛官の五ノ井里奈さん(22)からヒアリングを行い、防衛省人事教育局服務管理官等と非公開の意見交換を実施した。議員からは「軽い懲戒処分でお茶を濁すことはあってはならない」と、防衛省に厳正な対応を求める声が上がった。 ※AERAdot.はその被害について、7月14日に配信した記事<<22歳元女性自衛官が実名・顔出しで自衛隊内での「性被害」を告発 テント内で男性隊員に囲まれて受けた屈辱的な行為とは>>で詳報している。 「複数の男性隊員が見ていて恥ずかしくて、嫌だったので抵抗したのですが、男性隊員の力にはかないませんでした。もう逃げられないと思ったので、諦めて、ただ終わるのを待っていました。その時、横にいた上司2人は(その様子を見て)確実に笑っていました……」 五ノ井さんは、集まった多くの議員やメディアの前で、2021年8月3日の訓練中に受けた性被害の状況を、そう告白した。 今回のヒアリングでは被害後の自衛隊側の対応について話した。まず、被害後、自衛隊の総務・人事課にあたる「一課」に報告。一課長が部隊に対して取り調べをしたところ、「(21年)8月の件については証言が出てこなかった」とされたものの、「今までのセクハラの件については証言があった」と、日常的なセクハラを認めたことを五ノ井さんは明かした。その後、五ノ井さんは、警務隊に強制わいせつ事件として被害届を提出し、9月18日に人形を使った現場検証を行った。 (セクハラの最中に五ノ井さんが女性隊員に助けを求めたLINE。画像の一部を加工しています(本人提供)はリンク先参照) 五ノ井さんはこう話す。 「この時、『訓練があるので、すぐには該当の人物には取り調べができない』と警務隊に言われ、(捜査が)1カ月ほど長引いていました。その1カ月だけでも、記憶が段々薄れていくと思いました」 検察庁から結果の知らせが来るのを待っていたが、連絡は来なかった。時間の経過だけでなく、事件として立件されているのか不安が募った五ノ井さんは、22年4月に検察庁に連絡した。 「いつ書類送検されたのかを聞くと、『今年(2022年)に入ってから』と言われました。検察官からは、『五ノ井さんの証言は正しいと思うけど、もし(部隊の)20人が見ていない、やっていないと言ったら、難しくなってくる』とも言われました」(五ノ井さん)』、「『訓練があるので、すぐには該当の人物には取り調べができない』と警務隊に言われ、(捜査が)1カ月ほど長引いていました。その1カ月だけでも、記憶が段々薄れていくと思いました」、いくら「訓練」があっても、「(捜査が)1カ月ほど長引いていました」、意図的な遅延工作だ。
・『(先輩女性隊員の「嘘をついている」との発言に不信感を抱く五ノ井さんのLINE。画像の一部を加工しています(本人提供)はリンク先参照) そして5月31日、嫌疑不十分で関係者は不起訴処分になった。五ノ井さんは追加の証拠を伴い、6月7日付で検察審査会に再審査を申し立て、現在その結果を待っている。 ヒアリングのあとの質疑応答では、ハラスメントの相談窓口が自衛隊にあるかを問われた。 五ノ井さんによると、入隊してすぐに受ける前期教育では専門家によるセクハラ・パワハラに関する教育があり、相談窓口もあることを知っていたという。 だが、五ノ井さんは、被害を相談しなかった。 「理由は、(相談しても)動きが遅いから機能しないということを、周囲から聞いていたので、被害にあった時に相談しようとは思いませんでした。自衛隊は上下関係の社会なので、下の階級は順序通りに、一つずつ上の階級に報告しなければなりません。階級を飛び越えて、上に相談すると、後から問い詰められます。結局、部隊の中で、一つ上の階級の人に言ったところで、揉み消されて終わってしまいます」(五ノ井さん) (立憲民主党の長妻昭議員と岡本あき子議員(撮影/岩下明日香)はリンク先参照) ヒアリングを行った立憲民主党・長妻昭議員は、7月に2回、防衛省に対して厳正な調査を文書で要請していた。防衛省人事教育局服務管理官からの回答には、「本件につきましては、部隊において揉み消しを行っているなどの疑いも指摘されていることから、客観性・公正性を確保するため、当該部隊ではなく、その上級部隊において調査を行っています」とあった。 この回答について、長妻議員は言う。 「防衛省の文書に『揉み消し』と書いてある。これは非常に深刻だと思います。危惧されるのは、懲戒処分にもいろいろな段階があり、軽い懲戒処分を年明けくらいに出して、それでお茶を濁すこと。これは絶対にあってはならないと思います」 五ノ井さんの告白後、同様に被害にあっている自衛隊員からも声が上がってきていることを受け、長妻議員は「ここで、一気に全部の膿を出し、まっとうな組織に変える思いで取り組んでいきたい」と語気を強めた。弁護士を含めた第三者委員会による調査を行い、自衛隊内に蔓延るハラスメント被害の全容を明らかにしていくべきだと、訴えた。 外交防衛委員会の小西洋之議員は、防衛省に「性暴力委員会」を設置するなど、再発防止策について検討したいと話した』、「嫌疑不十分で関係者は不起訴処分」、時間をかけたにも拘らず、「不起訴」とは国家機関の「検察」らしい。「防衛省に「性暴力委員会」を設置するなど、再発防止策について検討」、その通りだ。
・『最後に、五ノ井さんは「自衛隊を批判したいわけではない」として、ヒアリングの場にいた防衛省の担当者にこう投げかけた。 「私は東日本大震災に遭い、陸上自衛隊の方に助けていただいたことを本当に感謝しています。だからこそ、こういう被害を経験して、本当に残念でした。このままでは、また同じ被害者が出ると思います。かつて同じ中隊で働いていた女性隊員が、今でも私と同じように被害にあっているという証言が出ています。第三者委員会による徹底的な調査と、厳正な処分、謝罪を望みます。もっと女性隊員が安心して勤務できる環境を作って欲しいと思います」 第三者委員会による公正な調査を求めるオンライン署名(Change.org)は、67903人(8月10日時点)集まり、賛同の輪が広がっている。署名は8月末まで集め、防衛大臣に提出する予定だ。署名と同時に「自衛隊内におけるハラスメントの経験に関するアンケート」も実施している。9日までの中間結果では、自衛隊に所属した経験がある人がハラスメントを受けた件数は99件だった。そのうち59人は女性で、8割以上がセクハラおよびマタハラを受けたと回答した。 Change.orgによると、ハラスメントの具体例は60人以上から自由記述による回答があった。一部を抜粋する。 「2019年頃、2年間だけ陸上自衛隊でした。入隊してすぐの訓練で日本酒を一気飲みさせられました。『上司からもらったお酒を残すな』と言われました。その時、私は18歳でした」(20代、陸上自衛隊、女性) 「妊娠初期の頃、当直勤務をしていたのですが、上司から『妊娠しても5カ月までは当直についてもらわないとね』と言われました。4日間の当直勤務明けに体調が悪くなりました。その影響でメニエール病を発症し、今でも治療を続けています」(20代、陸上自衛隊、女性) 「防大の指導官に、任官の不安を相談した際に『自衛隊は男ばっかりだから、より取り見取りだぞ。たくさんやって、いい男を見つけて子どもを産めばいいぞ。女は使えないけど、チヤホヤされるからとりあえず任官してみろ』と言われた。また、寝室に侵入され、下着を盗まれた際には、盗まれるような思わせぶりな態度をとるのが悪いと言われた」(20代、防衛大学校、女性)』、「アンケート」で、「9日までの中間結果では、自衛隊に所属した経験がある人がハラスメントを受けた件数は99件だった。そのうち59人は女性で、8割以上がセクハラおよびマタハラを受けたと回答」、「自衛隊」での「セクハラ」問題はやはり根深いようだ。「防衛大学校」でも、「寝室に侵入され、下着を盗まれた際には、盗まれるような思わせぶりな態度をとるのが悪いと言われた」、酷い姿勢だ。
・『「2014年頃着隊して、初めての泊りがけの宴会で、男性先輩方が盛り上がり、浴衣を脱がせ合う流れになり、『お前も脱げよ』と腕を引かれて、やり玉にあげられそうになった。私が持参していたカメラで、いつの間にか男性隊員たちがお互いを取り合っていた。データは絶対に見たくなかったので、当時の先任に渡して消去してもらった」(20代、航空自衛隊、女性) 「PKOの参加希望について先輩と話した時、『お前みたい(背が低くて力が無い)のは、性処理要員にしか使えないから無理(笑)』と言われ、フォローのつもりか『PKOに連れて行くのは、間違いがないようにブスしか連れていけない(笑)』などと言われたことがある」(40代、航空自衛隊、女性) 「私は男性ですが、隊内浴場で同性愛者の男性に身体の関係を持ち出されました。他にも、浴場で身体を洗っている時に同じ小隊の男性自衛官に陰部を身体に押し当てられました。その時は、嫌とは言えず、笑って誤魔化しましたが、いま考えるとありえないことだし、自衛隊はチームワークが大切なので、こんなことあってはならないです」(20代、陸上自衛隊、男性) 「後期教育隊で、清掃の時間に班長に清掃終了の確認をお願いしたところ、『指摘事項が見つかったら、1枚ずつ服を脱げ。脱ぐ服が無くなったら、下の毛を班員に抜かせる』と言われました。指摘事項が服の枚数を超えたため、それが実行されました」(20代、陸上自衛隊、男性) 五ノ井さんの勇気ある告発は、多くの被害体験者に声をあげることを促しただけにとどまらない。この先、高い志を持つ有能な隊員や、将来のなり手を守ることに、大きく貢献するはずだ』、「五ノ井さんの勇気ある告発は、多くの被害体験者に声をあげることを促しただけにとどまらない。この先、高い志を持つ有能な隊員や、将来のなり手を守ることに、大きく貢献するはずだ」、その通りだ。
次に、10月6日付け東洋経済オンラインが掲載したライター/編集者のヒラギノ 游ゴ氏による「自衛隊の性加害生んだ「ホモソーシャル」の醜悪さ 報道を見て「自分には関係ない」と思う男性の盲点」を紹介しよう。
・『(編集部注)この記事では詳細な被害状況を描写することはありませんが、性加害について取り上げています 陸上自衛隊に所属していた女性が訓練中に複数の男性隊員から性加害を受けた問題について、防衛省が29日に謝罪の意を表明したことが報道各社によって大きく取り上げられた。 本件では、事件発生時その場にいた20名ほどの加害者・目撃者全員がやっていないし見てもいないと証言したという。つまり、職場で公然とおこなわれた暴力事件を同僚全員が無視したということになる。 証言が得られなかったため、加害者と目される3名の隊員は不起訴となった。それを受けやむをえず、被害者自身が第三者委員会による公正な調査を求める署名活動を始めるに至った(事件の詳細はこの署名活動のページに詳しい)。 その結果、このたび防衛省によって「訴えが事実であること」、また「他の女性隊員にも同様の被害があったこと」を認める発表がなされた。そのうえで、陸自トップの吉田圭秀陸上幕僚長は「これまで長く苦痛を受けられたことに対し、組織を代表してお詫びする」と公式に謝罪、同様の事案の根絶に向け尽力すると宣言した。 本件についての世間のリアクションを観測していると間々見受けられるのが、今回起こったことを「自衛隊の閉鎖的な環境によるもの」として話を終始させようとする態度だ。 しかし、今回起こったことはけっして自衛隊だからこその問題ではない。社会のあらゆるコミュニティに同様の可能性が潜んでいる。問題は多くの「ホモソーシャル」に共通するものだ』、「今回起こったことはけっして自衛隊だからこその問題ではない。社会のあらゆるコミュニティに同様の可能性が潜んでいる。問題は多くの「ホモソーシャル」に共通するものだ」、その通りだろう。
・『ホモソーシャルの問題に他人事でいられる人はいない ホモソーシャルとは、男性・女性どちらかのみの構成員に偏ったコミュニティを指し、主に男性中心の集団の場合が多い。 自衛隊に限らず、男性社員ばかりの部署や、学生時代の部活動に至るまで、この世界の多くのコミュニティがホモソーシャルに該当する。 ホモソーシャルはさまざまな不均衡の要因となるが、その最たるものがミソジニー(女性蔑視)の温床となることだ。 公判中の滋賀医大生による集団暴行事件にも同様の傾向が見られた。本件では、性的合意を経ず一方的に行為に及んだこと、動画を撮影して仲間内で共有していたことなどが報道されているが、このような行為の背景には、男性同士のコミュニティ内で一方的な「女性」や「性行為」というものの偏見が形成され、女性の尊厳を軽んじる感覚が根付いてしまったことがあると考えられる。 属性の異なる構成員がバランスよく参加するコミュニティであれば、自然と偏った感覚が軌道修正されていくことが期待できるが、ホモソーシャルの場合、そうした偏りに歯止めが利かなくなるというのが陥りがちな状況だ。その結果として、このたびの自衛隊での事件のような形で表出することがある。 自衛隊での事件は、閉じた男同士のコミュニティでは許され、それどころか"笑える"振る舞いとして行われていた行為を女性にぶつけたことで、彼らの持っていた感覚の有害性があらわになった面がある。「これはまずいんじゃないか」と自分たちの振る舞いを問い直し、社会全体とすり合わせる自浄作用が利かなくなっていく』、「ホモソーシャルとは、男性・女性どちらかのみの構成員に偏ったコミュニティを指し、主に男性中心の集団の場合が多い。 自衛隊に限らず、男性社員ばかりの部署や、学生時代の部活動に至るまで、この世界の多くのコミュニティがホモソーシャルに該当する」、「属性の異なる構成員がバランスよく参加するコミュニティであれば、自然と偏った感覚が軌道修正されていくことが期待できるが、ホモソーシャルの場合、そうした偏りに歯止めが利かなくなるというのが陥りがちな状況だ。その結果として、このたびの自衛隊での事件のような形で表出することがある」、「自衛隊での事件は、閉じた男同士のコミュニティでは許され、それどころか"笑える"振る舞いとして行われていた行為を女性にぶつけたことで、彼らの持っていた感覚の有害性があらわになった面がある」、その通りだ。
・『男性自身をも害するホモソーシャルの有毒性 ホモソーシャルやミソジニーの問題について知るとき、男性たちの中には自分自身が否定されたような心象になる人がいる。 しかし、問題とされているのは個人個人の男性ではなく、男性優位の社会構造、システムの話であり、また男性たち自身、こうした男性優位の社会構造が規定した男性像への適応を要請されることに日々無自覚に消耗している。 規範意識を知らずのうちに学び取り、自らの心身で再現する。その過程で、女性をはじめとした男性以外の属性を持つ人はもちろん、本人自身の人生をも害し、また周囲の男たちと互いを害しあう。 そうした自他に害をなす「男らしさ」の規範意識をトキシック・マスキュリニティ(有毒な男らしさ)と呼ぶ。 2018年に起こった日本大学フェニックス反則タックル問題は、日本大学アメリカンフットボール部の監督やコーチが、自チームの選手に対し相手選手に怪我を負わせるためのタックルを強要した事件だ。 当該の試合直前の練習にて、反則タックルを行うことになる選手は監督・コーチから再三「闘志が足りない」「やる気を見せろ」と詰問を受け、その挽回の具体的な方法として反則タックルを指示された。 この事件の土台にも、ホモソーシャルの閉じた支配ー被支配の関係性の中で「タフであれ」という規範意識や暴力性を称揚するトキシック・マスキュリニティ的な文化が根底にあると考えられる。ホモソーシャルの歪みは、他者への加害のみならず、構成員自身の人生をも害するものだ』、「自他に害をなす「男らしさ」の規範意識をトキシック・マスキュリニティ(有毒な男らしさ)と呼ぶ。 2018年に起こった日本大学フェニックス反則タックル問題」、「この事件の土台にも、ホモソーシャルの閉じた支配ー被支配の関係性の中で「タフであれ」という規範意識や暴力性を称揚するトキシック・マスキュリニティ的な文化が根底にあると考えられる」』、「ホモソーシャルの歪み」は想像以上に広がりを持っているようだ。
・『包括的性教育が乏しかった結果、自助努力に任されてきた 「包括的性教育」という概念がある。日本における「性教育」のイメージから連想されるようなものとはまったく異なる概念だ。 ここまでに述べたような「ホモソーシャル」「ミソジニー」「トキシック・マスキュリニティ」といった、社会生活において重要なタームやその背景にあるジェンダー論の論理を学ぶことをベースとし、その一環として月経や生殖といった身体の話題がある。そうしたカリキュラムが「包括的性教育」だ。 そもそも日本の初等教育における性教育というと、6年間で1度、女子だけが集められて月経についての簡単な(生殖については触れない程度の)説明があったのみという体験の人が大半だろう。 このような包括的性教育を受けていない以上、ジェンダーに関わる基礎的な知識には個々人でばらつきがあり、自助努力に任されている状況だ。それゆえに分断や軋轢が生じ、時にニュースとして取り沙汰されるような凄惨な事件に繋がっていく。 学びを得ていく具体的な方法としては、とにかく専門家の正しい知見を頼ることが第一だ。そのうえで身近な者同士で情報交換をすること、少人数の勉強会のような機会を作ることなどが挙げられる。また組織レベルで言えば、専門家を招き、社員研修の一環としてジェンダーに関する講習を組み込むことなどが有効だろう。) 実際、筆者もそうした企業向けの講習プログラムの提供に関わっているが、各業界のリーディングカンパニーでは浸透しつつあるものの、率先してそういった取り組みを実施する企業はまだまだ少ないのが現状だ。 包括的性教育が施されない現代では、適切な知識体系より先に、ネット上の有害な情報源に行き当たり、認識が歪められるケースが非常に多い。現代日本のネットコミュニティにおいては「弱者男性論」と呼ばれる概念が流布しているが、これは専門家の間ではまともな論理を伴った「言説」とは見なされていない。しかし、社会において孤立感や疎外感を抱く一部の男性たちは、自身を許し受け入れる概念と捉え没入していってしまう。 また、日本において非常に著名な専門家がトランスジェンダーなどの特定の属性の人に対して排他的・差別的だと指摘を受けていたり、フェミニズムを掲げた方針で知られる企業のリーダーがその実何の知識の裏付けもなく事業を展開していたりといった問題もあり、情報収集の妨げになる要素は多岐にわたり存在する。 いずれの場合も、情報源を見定めるにあたっては、学術的なバックボーンのある専門家であるか、あるいは問題を長年取り上げてきたジャーナリスト・文筆家など、実績のある人物であるかどうかを確認することが重要だ。 現代を生きるわれわれには、こうした一連のイシューに対する自覚が求められている。ピンとこない、納得がいかないとしても、まずは「どうやら世間ではそういうふうに言われているらしい」と一度受け止めることが重要だ』、日本も遅まきながら「包括的性教育」をきちんと義務教育で教えるべきだ。もっとも、それを受けていない我々は、「情報源を見定める」ため、「学術的なバックボーンのある専門家であるか、あるいは問題を長年取り上げてきたジャーナリスト・文筆家など、実績のある人物であるかどうかを確認する」、必要がある。
・『意義深い前例ではあるが… 自衛隊で起こった事件について、こうした内部の醜聞に対し事実を認め謝罪することは極めて異例といえる。同様の被害に苦しめられてきた隊員、また今後苦しめられるかもしれなかった隊員たちにとって非常に意義深い前例となった。 ただ、本件はそもそも刑事事件相当の、つまり法の裁きに委ねられてしかるべき事案だと筆者は考える。 勤務先が事実であるか否かのジャッジをするのも、謝罪をするしないに腐心せざるをえないのも筋違いではないか。 こうした事後処理のあり方の背後にも、特権的な男性たちによるホモソーシャルの作為が感じられる』、「本件はそもそも刑事事件相当の、つまり法の裁きに委ねられてしかるべき事案だと筆者は考える。 勤務先が事実であるか否かのジャッジをするのも、謝罪をするしないに腐心せざるをえないのも筋違いではないか。 こうした事後処理のあり方の背後にも、特権的な男性たちによるホモソーシャルの作為が感じられる」、最後は強烈な皮肉だが、同感である。
第三に、8月15日付けダイヤモンド・オンライン「自衛隊の「不要なハリボテ武器」ランキング【自衛官108人が評価】10式戦車の評判は?」を紹介しよう。
・『ダイヤモンド編集部は、自衛官らに「武器」などの評価を聞くアンケートを実施し、108人から回答を得た。特集『軍事ビジネス&自衛隊 10兆円争奪戦』(全25回)の#15では、防衛の最前線にいる自衛官の投票による「不要なハリボテ武器」ランキングをお届けする。ウクライナ危機で「不要論」が高まった戦車の運命は?』、日本の場合は特に惰性での調達が多そうなので、興味深そうだ。
・『ウクライナで弱点が露呈した複数の兵器に対し不要論高まる ダイヤモンド編集部は、台湾有事の発生リスクが高まっていることなどを踏まえ、自衛官らに日本の防衛装備への評価などを聞くアンケートを実施した。 回答者数は、前回2017年のアンケートの53人から倍増し、防衛関係者の危機感が強くなっていることをうかがわせた。 (自衛官アンケートとは はリンク先参照) アンケートの回答に基づき、「要らない武器ランキング」を作成した。その結果、ウクライナとロシアの戦いで脆弱性が露呈した複数の武器がワースト上位に入った。 自衛官が「不要なハリボテ武器」と断罪した装備とは何なのか。次ページで、実際のランキングを見ていこう』、「ウクライナとロシアの戦いで脆弱性が露呈した複数の武器がワースト上位に入った」、具体的に「実際のランキングを見ていこう」。
・『ウクライナでミサイルの餌食になった戦車や艦艇は金食い虫? 「要らない武器ランキング」1位は「調達の優先度が低いものはない」だった。防衛装備が合理性を持って適切になされているという自負を感じさせる回答だ。 (戦車・戦闘機というレガシー兵器は不要? はリンク先参照) その一方で、伝統的な防衛産業からすれば背筋が寒くなる回答も目立った。戦車、装甲戦闘車(2位)、F-35戦闘機(3位)、空母、護衛艦(6位)などレガシー兵器の代表格が続々とランクインしてしまったのだ。 必要性が低い理由は、戦車については「日本のどこで戦車戦をするの?」「陸自の“象徴”という以外に存在理由がない」「(ミサイルで多数の戦車が損壊している)ウクライナを見れば一目瞭然」など。F-35には、「発注量が多過ぎる。ドローンの方が効率的」「撃墜されて終わる。無人爆撃機がベター」など辛辣な意見が相次いだ。 4位はイージス・アショア(陸上配備型迎撃ミサイルシステム)。建造に約4500億円ものコストが見込まれた上、配備候補地であった山口、秋田両県の反対もあり、20年に配備が停止された“いわく付き”の装備だ。 5位は、イージス・アショアの配備停止に伴い検討されている「代替システム」。海上への配備が検討されているが「地上よりも割高」「金食い虫」「船となると船乗りの自衛官が足りない」などと自衛官からは非難ごうごうだ。改めて、ミサイル防衛の難しさが露呈した格好だ』、「1位は「調達の優先度が低いものはない」だった」、は自衛隊が組織防衛のため、内部で申し合わせた可能性がある。それ以下の「戦車」「F-35」、「イージス・アショア」、その「代替システム」、などは、なるほどと納得させられる。
第四に、9月4日付け現代ビジネスが掲載した防衛ジャーナリストの半田 滋氏による「自衛隊が「米軍の2軍」になるかもしれない…「安保3文書」改定への強烈な違和感 有識者コメントを読んでみると…」を紹介しよう。
・『安全保障3文書の改定が迫る 「専守防衛による防御のみでは限界が来ている」 「安全保障環境を考えれば軍備の拡張は不可避である」 「ミサイル防衛だけでは不足で『反撃力』を保有する必要がある」 岸田文雄政権が今年12月に改定する国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の安全保障3文書に盛り込むべき内容について、政府は1月から半年かけて有識者52人と意見交換した。公表された意見の要旨には、首相が喜びそうな勇ましい言葉が並んだ。 焦点の「反撃(敵基地攻撃)能力の保有」については多くの有識者が賛成意見を述べ、政権が6月に公表した「経済財政運営と改革の基本指針(骨太の方針)」の目玉、「(防衛力を)5年以内に抜本的に強化する」ことに同調する意見が目立った。 敵基地攻撃を解禁すれば、当然ながら長射程ミサイルなどを購入するカネが必要。防衛省が8月に策定し、過去最大となった2023年度防衛費概算要求にお墨付きを与え、さらなる増額を目指すことになる。 「専守防衛」から「先制攻撃」へ。日本の安全保障政策を根底から覆す変革の実現は、自衛隊の兵器体系や訓練のあり方を抜本的に見直すことになり、簡単ではない。どこに敵基地があり、どこの機能を破壊すればよいのか判断するには決定的に不足している情報収集能力を飛躍的に高める必要もある。 どれほどの時間と資源を投下すれば、相手国が「日本を攻撃するのは止めておこう」と考えるまでになるのか見極めるのは不可能に近い。 困難を承知で進める敵基地攻撃能力の保有は、二度の日米首脳会談で打ち出した「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」との言葉通り、米国と一体化して中国と向き合うための抑止力であり、場合によっては共に中国と戦うための攻撃力とする狙いが込められている』、「「専守防衛」から「先制攻撃」へ。日本の安全保障政策を根底から覆す変革の実現は、自衛隊の兵器体系や訓練のあり方を抜本的に見直すことになり、簡単ではない。どこに敵基地があり、どこの機能を破壊すればよいのか判断するには決定的に不足している情報収集能力を飛躍的に高める必要もある。 どれほどの時間と資源を投下すれば、相手国が「日本を攻撃するのは止めておこう」と考えるまでになるのか見極めるのは不可能に近い」、なるほど。
・『政権に迎合する有識者たち 公表された要旨は47ページ。今年1月以降に開催した17回の意見交換の日にちとテーマ、出席した有識者名が並ぶ。発言要旨は氏名が伏せられ、だれの発言かわからないようになっている。 出席者をみると、森本敏元防衛相、元国家安全保障局長だった谷内正太郎、北村滋両氏。佐々江賢一郎元駐米大使、折木良一元統合幕僚長など元政府高官や元自衛隊幹部が並ぶ。大学教授や防衛産業の社長らも招かれているが、政権寄りの発言が目立つ。 以下、紹介していこう。 憲法上の規定から政府が掲げてきた「専守防衛」については「専守防衛についての説明ぶりを改め、拒否的抑止とともに懲罰的抑止をバランスよく調和させつつ、共に強化すべき」「専守防衛による防御のみでは限界が来ている。専守防衛等の基本的防衛政策を再検討・再整理すべき」とあり、公開されているのは見直すべきとの意見ばかりだ。 2023年度から量産が予定される島嶼防衛用高速滑空弾(防衛省の資料より) 懲罰的抑止とは相手国を攻撃できる強力な軍事力の保有を意味し、岸田政権が目指す敵基地攻撃能力の保有を後押しする意見だ。「防御のみでは限界」との意見は「先制攻撃の勧め」であり、憲法改正への誘導ともとれる。 「防衛力強化・防衛関係費」については、政権から大歓迎されそうな意見が続出した。「防衛力の抜本的拡充のため、防衛費の数値目標を設定すべき。GDP比2%・NATO並みを5~10年で達成すべく、次期防衛大綱及び中期防に反映すべき」「防衛費は諸般の要素を考慮すれば約2%は妥当」などと「骨太の方針」を追認。 さらに「防衛費をGDP比で次期防衛力整備計画末までに3倍に増額」と来年度概算要求で初の5兆5000億円台に乗った防衛費を16兆円台にまで増やせとの極端な意見も飛び出した。 「抑止力・対処力の強化」は、「ミサイル攻撃を実効的に阻止するためには、新たなミサイル抑止力、すなわち敵のミサイル発射能力そのものを直接攻撃し、減退させることができる能力を保有することが必要」「敵基地攻撃力の保有と統合ミサイル防衛を両輪として強化すべき」「ミサイル防衛だけでは不足で『反撃力』を保有する必要がある」とあり、「専守防衛」の項目と同様に敵基地攻撃能力の保有を強力に推奨する意見が並んだ』、「専守防衛等の基本的防衛政策を再検討・再整理すべき」とあり、公開されているのは見直すべきとの意見ばかりだ」、「敵基地攻撃能力の保有を強力に推奨する意見が並んだ」、政権に迎合する「有識者」は「政権」が指名しているとはいえ、ここまで「迎合」的意見を述べるのであれば、単なるお飾りだ。
・『中には逆の意見も 一人だけ真逆の見解を示した有識者がいた。 「反撃能力保有については、支持しない。日本の反撃能力保有は、相手が『受容できないほどの損害を被る』と考えなければ抑止は成功しない。重要なのは、相手に『攻撃しても撃ち落される可能性が高い、そして米国の打撃力も存在する』と思わせること。そのためにはミサイル防衛等の能力向上が優先事項。日本の拒否的抑止能力を向上させ、同時に米国による懲罰的抑止の信ぴょう性を確保することが重要」 安倍晋三元首相が2020年9月、持病の悪化を理由に首相を退任した際に残した「安倍談話」で、後任の首相に「抑止力の強化」つまり敵基地攻撃能力の保有検討を命じる前までは政府の主流だった抑止理論がこれだ。 日本は専守防衛に徹し、敵基地攻撃は米国の打撃力を期待するという日米の役割分担を規定した考え方で、令和4年版防衛白書にも「米国の軍事力による抑止力をわが国の安全保障のために有効に機能させることで、わが国自身の防衛体制とあいまって隙のない態勢を構築し、わが国の平和と安全を確保していく考えである」と記されている。 これまで王道とされた安全保障の考え方が少数意見だとすれば、どのような判断基準で今回の有識者を集めたのか政府の良識を疑う。逆に有識者が政権の意向を忖度して、意見を述べたとも考えられる。いずれにしても出来レース以外の何ものでもない。こんな手法や人選で安全保障政策を決めていいはずがない』、「これまで王道とされた安全保障の考え方が少数意見だとすれば、どのような判断基準で今回の有識者を集めたのか政府の良識を疑う。逆に有識者が政権の意向を忖度して、意見を述べたとも考えられる。いずれにしても出来レース以外の何ものでもない。こんな手法や人選で安全保障政策を決めていいはずがない」、その通りだ。
・『各論になると途端に… 有識者の中からは「普天間基地の移転のように膨大な資金と長い年月のかかることに力を入れることには疑問。時間と効果をもっと考えてほしい」との意見もあった。 3年前の県民投票で7割超の反対の民意が示されても「辺野古移設が唯一の解決策」と繰り返して表明し、沖縄県名護市の辺野古沿岸部に土砂投入を続け、新基地建設の既成事実化を進めてきたのが日本政府だ。 埋め立て予定地の軟弱地盤の存在を隠し、現在の技術では地盤改良は不可能とも指摘される難工事を意地になって進めようとする政府高官が並ぶ前で「王様は裸だ」と指摘したに等しい。) 52人の有識者のひとりは、総論である「新たな国家安全保障戦略等に盛り込むべき要素」について問われ、「国家安全保障戦略は、外交・防衛のみならず、『非脆弱・強靭化』(経済安保等)、戦争を防ぐための『外交・抑止』、戦争になった際の戦力としての『反撃』、戦争で国民の犠牲を減らすための『保護』の四本柱が重要」と当たり前でまっとうな意見を披露。 「『人間の安全保障』から『人権の安全保障』の時代に対応できる人道主義、倫理に基づいた安全保障戦略を構築すべき。世界と日本の平和構築が目標である、との理念優先の態度をもって、国民に訴えていくことが必要」と目指すべき平和論を唱える人もいた。 なのに各論の防衛政策に移った途端、多くの有識者が示したイケイケぶりはどうだ。抑止力強化は他国への安心供与と表裏一体であるべきことを知らないか、忘れたふりをしているとしか思えない。 岸田政権は今年5月、「敵基地攻撃は存立危機事態に適用される」旨の答弁書を閣議決定した。存立危機事態、つまり密接な関係にある他国への攻撃が日本の安全を脅かす事態と時の政権が認定すれば、集団的自衛権行使が解禁され、日本は敵基地攻撃に踏み切ることができるというのだ。 台湾有事への関与を3度にわたり明言したバイデン大統領のもとで米国が台湾有事に派兵すれば、存立危機事態が発令され、自衛隊は米軍とともに戦うことになる。その時、自衛隊が導入を進める敵基地攻撃に転用可能な長射程のミサイル類が威力を発揮するのだろう。 敵基地攻撃能力の保有とは「米軍の2軍」を目指すことと同義語なのかも知れない』、「岸田政権は今年5月、「敵基地攻撃は存立危機事態に適用される」旨の答弁書を閣議決定した。存立危機事態、つまり密接な関係にある他国への攻撃が日本の安全を脅かす事態と時の政権が認定すれば、集団的自衛権行使が解禁され、日本は敵基地攻撃に踏み切ることができるというのだ。 台湾有事への関与を3度にわたり明言したバイデン大統領のもとで米国が台湾有事に派兵すれば、存立危機事態が発令され、自衛隊は米軍とともに戦うことになる。その時、自衛隊が導入を進める敵基地攻撃に転用可能な長射程のミサイル類が威力を発揮するのだろう。 敵基地攻撃能力の保有とは「米軍の2軍」を目指すことと同義語なのかも知れない」、「台湾有事」ではもう半ば自動的に「集団的自衛権行使が解禁」するところまで、進んでいたとは初めて知った。これではうかうかsていられない。
先ずは、8月11日付けAERAdot「元自衛官・五ノ井里奈さんが議員からのヒアリングで性被害を告白 長妻昭議員「一気に膿を出して真っ当な自衛隊へ」」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2022081000085.html?page=1
・『立憲民主党は8月10日、自衛隊内で受けた性被害について第三者委員会による公正な調査を求めている元自衛官の五ノ井里奈さん(22)からヒアリングを行い、防衛省人事教育局服務管理官等と非公開の意見交換を実施した。議員からは「軽い懲戒処分でお茶を濁すことはあってはならない」と、防衛省に厳正な対応を求める声が上がった。 ※AERAdot.はその被害について、7月14日に配信した記事<<22歳元女性自衛官が実名・顔出しで自衛隊内での「性被害」を告発 テント内で男性隊員に囲まれて受けた屈辱的な行為とは>>で詳報している。 「複数の男性隊員が見ていて恥ずかしくて、嫌だったので抵抗したのですが、男性隊員の力にはかないませんでした。もう逃げられないと思ったので、諦めて、ただ終わるのを待っていました。その時、横にいた上司2人は(その様子を見て)確実に笑っていました……」 五ノ井さんは、集まった多くの議員やメディアの前で、2021年8月3日の訓練中に受けた性被害の状況を、そう告白した。 今回のヒアリングでは被害後の自衛隊側の対応について話した。まず、被害後、自衛隊の総務・人事課にあたる「一課」に報告。一課長が部隊に対して取り調べをしたところ、「(21年)8月の件については証言が出てこなかった」とされたものの、「今までのセクハラの件については証言があった」と、日常的なセクハラを認めたことを五ノ井さんは明かした。その後、五ノ井さんは、警務隊に強制わいせつ事件として被害届を提出し、9月18日に人形を使った現場検証を行った。 (セクハラの最中に五ノ井さんが女性隊員に助けを求めたLINE。画像の一部を加工しています(本人提供)はリンク先参照) 五ノ井さんはこう話す。 「この時、『訓練があるので、すぐには該当の人物には取り調べができない』と警務隊に言われ、(捜査が)1カ月ほど長引いていました。その1カ月だけでも、記憶が段々薄れていくと思いました」 検察庁から結果の知らせが来るのを待っていたが、連絡は来なかった。時間の経過だけでなく、事件として立件されているのか不安が募った五ノ井さんは、22年4月に検察庁に連絡した。 「いつ書類送検されたのかを聞くと、『今年(2022年)に入ってから』と言われました。検察官からは、『五ノ井さんの証言は正しいと思うけど、もし(部隊の)20人が見ていない、やっていないと言ったら、難しくなってくる』とも言われました」(五ノ井さん)』、「『訓練があるので、すぐには該当の人物には取り調べができない』と警務隊に言われ、(捜査が)1カ月ほど長引いていました。その1カ月だけでも、記憶が段々薄れていくと思いました」、いくら「訓練」があっても、「(捜査が)1カ月ほど長引いていました」、意図的な遅延工作だ。
・『(先輩女性隊員の「嘘をついている」との発言に不信感を抱く五ノ井さんのLINE。画像の一部を加工しています(本人提供)はリンク先参照) そして5月31日、嫌疑不十分で関係者は不起訴処分になった。五ノ井さんは追加の証拠を伴い、6月7日付で検察審査会に再審査を申し立て、現在その結果を待っている。 ヒアリングのあとの質疑応答では、ハラスメントの相談窓口が自衛隊にあるかを問われた。 五ノ井さんによると、入隊してすぐに受ける前期教育では専門家によるセクハラ・パワハラに関する教育があり、相談窓口もあることを知っていたという。 だが、五ノ井さんは、被害を相談しなかった。 「理由は、(相談しても)動きが遅いから機能しないということを、周囲から聞いていたので、被害にあった時に相談しようとは思いませんでした。自衛隊は上下関係の社会なので、下の階級は順序通りに、一つずつ上の階級に報告しなければなりません。階級を飛び越えて、上に相談すると、後から問い詰められます。結局、部隊の中で、一つ上の階級の人に言ったところで、揉み消されて終わってしまいます」(五ノ井さん) (立憲民主党の長妻昭議員と岡本あき子議員(撮影/岩下明日香)はリンク先参照) ヒアリングを行った立憲民主党・長妻昭議員は、7月に2回、防衛省に対して厳正な調査を文書で要請していた。防衛省人事教育局服務管理官からの回答には、「本件につきましては、部隊において揉み消しを行っているなどの疑いも指摘されていることから、客観性・公正性を確保するため、当該部隊ではなく、その上級部隊において調査を行っています」とあった。 この回答について、長妻議員は言う。 「防衛省の文書に『揉み消し』と書いてある。これは非常に深刻だと思います。危惧されるのは、懲戒処分にもいろいろな段階があり、軽い懲戒処分を年明けくらいに出して、それでお茶を濁すこと。これは絶対にあってはならないと思います」 五ノ井さんの告白後、同様に被害にあっている自衛隊員からも声が上がってきていることを受け、長妻議員は「ここで、一気に全部の膿を出し、まっとうな組織に変える思いで取り組んでいきたい」と語気を強めた。弁護士を含めた第三者委員会による調査を行い、自衛隊内に蔓延るハラスメント被害の全容を明らかにしていくべきだと、訴えた。 外交防衛委員会の小西洋之議員は、防衛省に「性暴力委員会」を設置するなど、再発防止策について検討したいと話した』、「嫌疑不十分で関係者は不起訴処分」、時間をかけたにも拘らず、「不起訴」とは国家機関の「検察」らしい。「防衛省に「性暴力委員会」を設置するなど、再発防止策について検討」、その通りだ。
・『最後に、五ノ井さんは「自衛隊を批判したいわけではない」として、ヒアリングの場にいた防衛省の担当者にこう投げかけた。 「私は東日本大震災に遭い、陸上自衛隊の方に助けていただいたことを本当に感謝しています。だからこそ、こういう被害を経験して、本当に残念でした。このままでは、また同じ被害者が出ると思います。かつて同じ中隊で働いていた女性隊員が、今でも私と同じように被害にあっているという証言が出ています。第三者委員会による徹底的な調査と、厳正な処分、謝罪を望みます。もっと女性隊員が安心して勤務できる環境を作って欲しいと思います」 第三者委員会による公正な調査を求めるオンライン署名(Change.org)は、67903人(8月10日時点)集まり、賛同の輪が広がっている。署名は8月末まで集め、防衛大臣に提出する予定だ。署名と同時に「自衛隊内におけるハラスメントの経験に関するアンケート」も実施している。9日までの中間結果では、自衛隊に所属した経験がある人がハラスメントを受けた件数は99件だった。そのうち59人は女性で、8割以上がセクハラおよびマタハラを受けたと回答した。 Change.orgによると、ハラスメントの具体例は60人以上から自由記述による回答があった。一部を抜粋する。 「2019年頃、2年間だけ陸上自衛隊でした。入隊してすぐの訓練で日本酒を一気飲みさせられました。『上司からもらったお酒を残すな』と言われました。その時、私は18歳でした」(20代、陸上自衛隊、女性) 「妊娠初期の頃、当直勤務をしていたのですが、上司から『妊娠しても5カ月までは当直についてもらわないとね』と言われました。4日間の当直勤務明けに体調が悪くなりました。その影響でメニエール病を発症し、今でも治療を続けています」(20代、陸上自衛隊、女性) 「防大の指導官に、任官の不安を相談した際に『自衛隊は男ばっかりだから、より取り見取りだぞ。たくさんやって、いい男を見つけて子どもを産めばいいぞ。女は使えないけど、チヤホヤされるからとりあえず任官してみろ』と言われた。また、寝室に侵入され、下着を盗まれた際には、盗まれるような思わせぶりな態度をとるのが悪いと言われた」(20代、防衛大学校、女性)』、「アンケート」で、「9日までの中間結果では、自衛隊に所属した経験がある人がハラスメントを受けた件数は99件だった。そのうち59人は女性で、8割以上がセクハラおよびマタハラを受けたと回答」、「自衛隊」での「セクハラ」問題はやはり根深いようだ。「防衛大学校」でも、「寝室に侵入され、下着を盗まれた際には、盗まれるような思わせぶりな態度をとるのが悪いと言われた」、酷い姿勢だ。
・『「2014年頃着隊して、初めての泊りがけの宴会で、男性先輩方が盛り上がり、浴衣を脱がせ合う流れになり、『お前も脱げよ』と腕を引かれて、やり玉にあげられそうになった。私が持参していたカメラで、いつの間にか男性隊員たちがお互いを取り合っていた。データは絶対に見たくなかったので、当時の先任に渡して消去してもらった」(20代、航空自衛隊、女性) 「PKOの参加希望について先輩と話した時、『お前みたい(背が低くて力が無い)のは、性処理要員にしか使えないから無理(笑)』と言われ、フォローのつもりか『PKOに連れて行くのは、間違いがないようにブスしか連れていけない(笑)』などと言われたことがある」(40代、航空自衛隊、女性) 「私は男性ですが、隊内浴場で同性愛者の男性に身体の関係を持ち出されました。他にも、浴場で身体を洗っている時に同じ小隊の男性自衛官に陰部を身体に押し当てられました。その時は、嫌とは言えず、笑って誤魔化しましたが、いま考えるとありえないことだし、自衛隊はチームワークが大切なので、こんなことあってはならないです」(20代、陸上自衛隊、男性) 「後期教育隊で、清掃の時間に班長に清掃終了の確認をお願いしたところ、『指摘事項が見つかったら、1枚ずつ服を脱げ。脱ぐ服が無くなったら、下の毛を班員に抜かせる』と言われました。指摘事項が服の枚数を超えたため、それが実行されました」(20代、陸上自衛隊、男性) 五ノ井さんの勇気ある告発は、多くの被害体験者に声をあげることを促しただけにとどまらない。この先、高い志を持つ有能な隊員や、将来のなり手を守ることに、大きく貢献するはずだ』、「五ノ井さんの勇気ある告発は、多くの被害体験者に声をあげることを促しただけにとどまらない。この先、高い志を持つ有能な隊員や、将来のなり手を守ることに、大きく貢献するはずだ」、その通りだ。
次に、10月6日付け東洋経済オンラインが掲載したライター/編集者のヒラギノ 游ゴ氏による「自衛隊の性加害生んだ「ホモソーシャル」の醜悪さ 報道を見て「自分には関係ない」と思う男性の盲点」を紹介しよう。
・『(編集部注)この記事では詳細な被害状況を描写することはありませんが、性加害について取り上げています 陸上自衛隊に所属していた女性が訓練中に複数の男性隊員から性加害を受けた問題について、防衛省が29日に謝罪の意を表明したことが報道各社によって大きく取り上げられた。 本件では、事件発生時その場にいた20名ほどの加害者・目撃者全員がやっていないし見てもいないと証言したという。つまり、職場で公然とおこなわれた暴力事件を同僚全員が無視したということになる。 証言が得られなかったため、加害者と目される3名の隊員は不起訴となった。それを受けやむをえず、被害者自身が第三者委員会による公正な調査を求める署名活動を始めるに至った(事件の詳細はこの署名活動のページに詳しい)。 その結果、このたび防衛省によって「訴えが事実であること」、また「他の女性隊員にも同様の被害があったこと」を認める発表がなされた。そのうえで、陸自トップの吉田圭秀陸上幕僚長は「これまで長く苦痛を受けられたことに対し、組織を代表してお詫びする」と公式に謝罪、同様の事案の根絶に向け尽力すると宣言した。 本件についての世間のリアクションを観測していると間々見受けられるのが、今回起こったことを「自衛隊の閉鎖的な環境によるもの」として話を終始させようとする態度だ。 しかし、今回起こったことはけっして自衛隊だからこその問題ではない。社会のあらゆるコミュニティに同様の可能性が潜んでいる。問題は多くの「ホモソーシャル」に共通するものだ』、「今回起こったことはけっして自衛隊だからこその問題ではない。社会のあらゆるコミュニティに同様の可能性が潜んでいる。問題は多くの「ホモソーシャル」に共通するものだ」、その通りだろう。
・『ホモソーシャルの問題に他人事でいられる人はいない ホモソーシャルとは、男性・女性どちらかのみの構成員に偏ったコミュニティを指し、主に男性中心の集団の場合が多い。 自衛隊に限らず、男性社員ばかりの部署や、学生時代の部活動に至るまで、この世界の多くのコミュニティがホモソーシャルに該当する。 ホモソーシャルはさまざまな不均衡の要因となるが、その最たるものがミソジニー(女性蔑視)の温床となることだ。 公判中の滋賀医大生による集団暴行事件にも同様の傾向が見られた。本件では、性的合意を経ず一方的に行為に及んだこと、動画を撮影して仲間内で共有していたことなどが報道されているが、このような行為の背景には、男性同士のコミュニティ内で一方的な「女性」や「性行為」というものの偏見が形成され、女性の尊厳を軽んじる感覚が根付いてしまったことがあると考えられる。 属性の異なる構成員がバランスよく参加するコミュニティであれば、自然と偏った感覚が軌道修正されていくことが期待できるが、ホモソーシャルの場合、そうした偏りに歯止めが利かなくなるというのが陥りがちな状況だ。その結果として、このたびの自衛隊での事件のような形で表出することがある。 自衛隊での事件は、閉じた男同士のコミュニティでは許され、それどころか"笑える"振る舞いとして行われていた行為を女性にぶつけたことで、彼らの持っていた感覚の有害性があらわになった面がある。「これはまずいんじゃないか」と自分たちの振る舞いを問い直し、社会全体とすり合わせる自浄作用が利かなくなっていく』、「ホモソーシャルとは、男性・女性どちらかのみの構成員に偏ったコミュニティを指し、主に男性中心の集団の場合が多い。 自衛隊に限らず、男性社員ばかりの部署や、学生時代の部活動に至るまで、この世界の多くのコミュニティがホモソーシャルに該当する」、「属性の異なる構成員がバランスよく参加するコミュニティであれば、自然と偏った感覚が軌道修正されていくことが期待できるが、ホモソーシャルの場合、そうした偏りに歯止めが利かなくなるというのが陥りがちな状況だ。その結果として、このたびの自衛隊での事件のような形で表出することがある」、「自衛隊での事件は、閉じた男同士のコミュニティでは許され、それどころか"笑える"振る舞いとして行われていた行為を女性にぶつけたことで、彼らの持っていた感覚の有害性があらわになった面がある」、その通りだ。
・『男性自身をも害するホモソーシャルの有毒性 ホモソーシャルやミソジニーの問題について知るとき、男性たちの中には自分自身が否定されたような心象になる人がいる。 しかし、問題とされているのは個人個人の男性ではなく、男性優位の社会構造、システムの話であり、また男性たち自身、こうした男性優位の社会構造が規定した男性像への適応を要請されることに日々無自覚に消耗している。 規範意識を知らずのうちに学び取り、自らの心身で再現する。その過程で、女性をはじめとした男性以外の属性を持つ人はもちろん、本人自身の人生をも害し、また周囲の男たちと互いを害しあう。 そうした自他に害をなす「男らしさ」の規範意識をトキシック・マスキュリニティ(有毒な男らしさ)と呼ぶ。 2018年に起こった日本大学フェニックス反則タックル問題は、日本大学アメリカンフットボール部の監督やコーチが、自チームの選手に対し相手選手に怪我を負わせるためのタックルを強要した事件だ。 当該の試合直前の練習にて、反則タックルを行うことになる選手は監督・コーチから再三「闘志が足りない」「やる気を見せろ」と詰問を受け、その挽回の具体的な方法として反則タックルを指示された。 この事件の土台にも、ホモソーシャルの閉じた支配ー被支配の関係性の中で「タフであれ」という規範意識や暴力性を称揚するトキシック・マスキュリニティ的な文化が根底にあると考えられる。ホモソーシャルの歪みは、他者への加害のみならず、構成員自身の人生をも害するものだ』、「自他に害をなす「男らしさ」の規範意識をトキシック・マスキュリニティ(有毒な男らしさ)と呼ぶ。 2018年に起こった日本大学フェニックス反則タックル問題」、「この事件の土台にも、ホモソーシャルの閉じた支配ー被支配の関係性の中で「タフであれ」という規範意識や暴力性を称揚するトキシック・マスキュリニティ的な文化が根底にあると考えられる」』、「ホモソーシャルの歪み」は想像以上に広がりを持っているようだ。
・『包括的性教育が乏しかった結果、自助努力に任されてきた 「包括的性教育」という概念がある。日本における「性教育」のイメージから連想されるようなものとはまったく異なる概念だ。 ここまでに述べたような「ホモソーシャル」「ミソジニー」「トキシック・マスキュリニティ」といった、社会生活において重要なタームやその背景にあるジェンダー論の論理を学ぶことをベースとし、その一環として月経や生殖といった身体の話題がある。そうしたカリキュラムが「包括的性教育」だ。 そもそも日本の初等教育における性教育というと、6年間で1度、女子だけが集められて月経についての簡単な(生殖については触れない程度の)説明があったのみという体験の人が大半だろう。 このような包括的性教育を受けていない以上、ジェンダーに関わる基礎的な知識には個々人でばらつきがあり、自助努力に任されている状況だ。それゆえに分断や軋轢が生じ、時にニュースとして取り沙汰されるような凄惨な事件に繋がっていく。 学びを得ていく具体的な方法としては、とにかく専門家の正しい知見を頼ることが第一だ。そのうえで身近な者同士で情報交換をすること、少人数の勉強会のような機会を作ることなどが挙げられる。また組織レベルで言えば、専門家を招き、社員研修の一環としてジェンダーに関する講習を組み込むことなどが有効だろう。) 実際、筆者もそうした企業向けの講習プログラムの提供に関わっているが、各業界のリーディングカンパニーでは浸透しつつあるものの、率先してそういった取り組みを実施する企業はまだまだ少ないのが現状だ。 包括的性教育が施されない現代では、適切な知識体系より先に、ネット上の有害な情報源に行き当たり、認識が歪められるケースが非常に多い。現代日本のネットコミュニティにおいては「弱者男性論」と呼ばれる概念が流布しているが、これは専門家の間ではまともな論理を伴った「言説」とは見なされていない。しかし、社会において孤立感や疎外感を抱く一部の男性たちは、自身を許し受け入れる概念と捉え没入していってしまう。 また、日本において非常に著名な専門家がトランスジェンダーなどの特定の属性の人に対して排他的・差別的だと指摘を受けていたり、フェミニズムを掲げた方針で知られる企業のリーダーがその実何の知識の裏付けもなく事業を展開していたりといった問題もあり、情報収集の妨げになる要素は多岐にわたり存在する。 いずれの場合も、情報源を見定めるにあたっては、学術的なバックボーンのある専門家であるか、あるいは問題を長年取り上げてきたジャーナリスト・文筆家など、実績のある人物であるかどうかを確認することが重要だ。 現代を生きるわれわれには、こうした一連のイシューに対する自覚が求められている。ピンとこない、納得がいかないとしても、まずは「どうやら世間ではそういうふうに言われているらしい」と一度受け止めることが重要だ』、日本も遅まきながら「包括的性教育」をきちんと義務教育で教えるべきだ。もっとも、それを受けていない我々は、「情報源を見定める」ため、「学術的なバックボーンのある専門家であるか、あるいは問題を長年取り上げてきたジャーナリスト・文筆家など、実績のある人物であるかどうかを確認する」、必要がある。
・『意義深い前例ではあるが… 自衛隊で起こった事件について、こうした内部の醜聞に対し事実を認め謝罪することは極めて異例といえる。同様の被害に苦しめられてきた隊員、また今後苦しめられるかもしれなかった隊員たちにとって非常に意義深い前例となった。 ただ、本件はそもそも刑事事件相当の、つまり法の裁きに委ねられてしかるべき事案だと筆者は考える。 勤務先が事実であるか否かのジャッジをするのも、謝罪をするしないに腐心せざるをえないのも筋違いではないか。 こうした事後処理のあり方の背後にも、特権的な男性たちによるホモソーシャルの作為が感じられる』、「本件はそもそも刑事事件相当の、つまり法の裁きに委ねられてしかるべき事案だと筆者は考える。 勤務先が事実であるか否かのジャッジをするのも、謝罪をするしないに腐心せざるをえないのも筋違いではないか。 こうした事後処理のあり方の背後にも、特権的な男性たちによるホモソーシャルの作為が感じられる」、最後は強烈な皮肉だが、同感である。
第三に、8月15日付けダイヤモンド・オンライン「自衛隊の「不要なハリボテ武器」ランキング【自衛官108人が評価】10式戦車の評判は?」を紹介しよう。
・『ダイヤモンド編集部は、自衛官らに「武器」などの評価を聞くアンケートを実施し、108人から回答を得た。特集『軍事ビジネス&自衛隊 10兆円争奪戦』(全25回)の#15では、防衛の最前線にいる自衛官の投票による「不要なハリボテ武器」ランキングをお届けする。ウクライナ危機で「不要論」が高まった戦車の運命は?』、日本の場合は特に惰性での調達が多そうなので、興味深そうだ。
・『ウクライナで弱点が露呈した複数の兵器に対し不要論高まる ダイヤモンド編集部は、台湾有事の発生リスクが高まっていることなどを踏まえ、自衛官らに日本の防衛装備への評価などを聞くアンケートを実施した。 回答者数は、前回2017年のアンケートの53人から倍増し、防衛関係者の危機感が強くなっていることをうかがわせた。 (自衛官アンケートとは はリンク先参照) アンケートの回答に基づき、「要らない武器ランキング」を作成した。その結果、ウクライナとロシアの戦いで脆弱性が露呈した複数の武器がワースト上位に入った。 自衛官が「不要なハリボテ武器」と断罪した装備とは何なのか。次ページで、実際のランキングを見ていこう』、「ウクライナとロシアの戦いで脆弱性が露呈した複数の武器がワースト上位に入った」、具体的に「実際のランキングを見ていこう」。
・『ウクライナでミサイルの餌食になった戦車や艦艇は金食い虫? 「要らない武器ランキング」1位は「調達の優先度が低いものはない」だった。防衛装備が合理性を持って適切になされているという自負を感じさせる回答だ。 (戦車・戦闘機というレガシー兵器は不要? はリンク先参照) その一方で、伝統的な防衛産業からすれば背筋が寒くなる回答も目立った。戦車、装甲戦闘車(2位)、F-35戦闘機(3位)、空母、護衛艦(6位)などレガシー兵器の代表格が続々とランクインしてしまったのだ。 必要性が低い理由は、戦車については「日本のどこで戦車戦をするの?」「陸自の“象徴”という以外に存在理由がない」「(ミサイルで多数の戦車が損壊している)ウクライナを見れば一目瞭然」など。F-35には、「発注量が多過ぎる。ドローンの方が効率的」「撃墜されて終わる。無人爆撃機がベター」など辛辣な意見が相次いだ。 4位はイージス・アショア(陸上配備型迎撃ミサイルシステム)。建造に約4500億円ものコストが見込まれた上、配備候補地であった山口、秋田両県の反対もあり、20年に配備が停止された“いわく付き”の装備だ。 5位は、イージス・アショアの配備停止に伴い検討されている「代替システム」。海上への配備が検討されているが「地上よりも割高」「金食い虫」「船となると船乗りの自衛官が足りない」などと自衛官からは非難ごうごうだ。改めて、ミサイル防衛の難しさが露呈した格好だ』、「1位は「調達の優先度が低いものはない」だった」、は自衛隊が組織防衛のため、内部で申し合わせた可能性がある。それ以下の「戦車」「F-35」、「イージス・アショア」、その「代替システム」、などは、なるほどと納得させられる。
第四に、9月4日付け現代ビジネスが掲載した防衛ジャーナリストの半田 滋氏による「自衛隊が「米軍の2軍」になるかもしれない…「安保3文書」改定への強烈な違和感 有識者コメントを読んでみると…」を紹介しよう。
・『安全保障3文書の改定が迫る 「専守防衛による防御のみでは限界が来ている」 「安全保障環境を考えれば軍備の拡張は不可避である」 「ミサイル防衛だけでは不足で『反撃力』を保有する必要がある」 岸田文雄政権が今年12月に改定する国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の安全保障3文書に盛り込むべき内容について、政府は1月から半年かけて有識者52人と意見交換した。公表された意見の要旨には、首相が喜びそうな勇ましい言葉が並んだ。 焦点の「反撃(敵基地攻撃)能力の保有」については多くの有識者が賛成意見を述べ、政権が6月に公表した「経済財政運営と改革の基本指針(骨太の方針)」の目玉、「(防衛力を)5年以内に抜本的に強化する」ことに同調する意見が目立った。 敵基地攻撃を解禁すれば、当然ながら長射程ミサイルなどを購入するカネが必要。防衛省が8月に策定し、過去最大となった2023年度防衛費概算要求にお墨付きを与え、さらなる増額を目指すことになる。 「専守防衛」から「先制攻撃」へ。日本の安全保障政策を根底から覆す変革の実現は、自衛隊の兵器体系や訓練のあり方を抜本的に見直すことになり、簡単ではない。どこに敵基地があり、どこの機能を破壊すればよいのか判断するには決定的に不足している情報収集能力を飛躍的に高める必要もある。 どれほどの時間と資源を投下すれば、相手国が「日本を攻撃するのは止めておこう」と考えるまでになるのか見極めるのは不可能に近い。 困難を承知で進める敵基地攻撃能力の保有は、二度の日米首脳会談で打ち出した「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」との言葉通り、米国と一体化して中国と向き合うための抑止力であり、場合によっては共に中国と戦うための攻撃力とする狙いが込められている』、「「専守防衛」から「先制攻撃」へ。日本の安全保障政策を根底から覆す変革の実現は、自衛隊の兵器体系や訓練のあり方を抜本的に見直すことになり、簡単ではない。どこに敵基地があり、どこの機能を破壊すればよいのか判断するには決定的に不足している情報収集能力を飛躍的に高める必要もある。 どれほどの時間と資源を投下すれば、相手国が「日本を攻撃するのは止めておこう」と考えるまでになるのか見極めるのは不可能に近い」、なるほど。
・『政権に迎合する有識者たち 公表された要旨は47ページ。今年1月以降に開催した17回の意見交換の日にちとテーマ、出席した有識者名が並ぶ。発言要旨は氏名が伏せられ、だれの発言かわからないようになっている。 出席者をみると、森本敏元防衛相、元国家安全保障局長だった谷内正太郎、北村滋両氏。佐々江賢一郎元駐米大使、折木良一元統合幕僚長など元政府高官や元自衛隊幹部が並ぶ。大学教授や防衛産業の社長らも招かれているが、政権寄りの発言が目立つ。 以下、紹介していこう。 憲法上の規定から政府が掲げてきた「専守防衛」については「専守防衛についての説明ぶりを改め、拒否的抑止とともに懲罰的抑止をバランスよく調和させつつ、共に強化すべき」「専守防衛による防御のみでは限界が来ている。専守防衛等の基本的防衛政策を再検討・再整理すべき」とあり、公開されているのは見直すべきとの意見ばかりだ。 2023年度から量産が予定される島嶼防衛用高速滑空弾(防衛省の資料より) 懲罰的抑止とは相手国を攻撃できる強力な軍事力の保有を意味し、岸田政権が目指す敵基地攻撃能力の保有を後押しする意見だ。「防御のみでは限界」との意見は「先制攻撃の勧め」であり、憲法改正への誘導ともとれる。 「防衛力強化・防衛関係費」については、政権から大歓迎されそうな意見が続出した。「防衛力の抜本的拡充のため、防衛費の数値目標を設定すべき。GDP比2%・NATO並みを5~10年で達成すべく、次期防衛大綱及び中期防に反映すべき」「防衛費は諸般の要素を考慮すれば約2%は妥当」などと「骨太の方針」を追認。 さらに「防衛費をGDP比で次期防衛力整備計画末までに3倍に増額」と来年度概算要求で初の5兆5000億円台に乗った防衛費を16兆円台にまで増やせとの極端な意見も飛び出した。 「抑止力・対処力の強化」は、「ミサイル攻撃を実効的に阻止するためには、新たなミサイル抑止力、すなわち敵のミサイル発射能力そのものを直接攻撃し、減退させることができる能力を保有することが必要」「敵基地攻撃力の保有と統合ミサイル防衛を両輪として強化すべき」「ミサイル防衛だけでは不足で『反撃力』を保有する必要がある」とあり、「専守防衛」の項目と同様に敵基地攻撃能力の保有を強力に推奨する意見が並んだ』、「専守防衛等の基本的防衛政策を再検討・再整理すべき」とあり、公開されているのは見直すべきとの意見ばかりだ」、「敵基地攻撃能力の保有を強力に推奨する意見が並んだ」、政権に迎合する「有識者」は「政権」が指名しているとはいえ、ここまで「迎合」的意見を述べるのであれば、単なるお飾りだ。
・『中には逆の意見も 一人だけ真逆の見解を示した有識者がいた。 「反撃能力保有については、支持しない。日本の反撃能力保有は、相手が『受容できないほどの損害を被る』と考えなければ抑止は成功しない。重要なのは、相手に『攻撃しても撃ち落される可能性が高い、そして米国の打撃力も存在する』と思わせること。そのためにはミサイル防衛等の能力向上が優先事項。日本の拒否的抑止能力を向上させ、同時に米国による懲罰的抑止の信ぴょう性を確保することが重要」 安倍晋三元首相が2020年9月、持病の悪化を理由に首相を退任した際に残した「安倍談話」で、後任の首相に「抑止力の強化」つまり敵基地攻撃能力の保有検討を命じる前までは政府の主流だった抑止理論がこれだ。 日本は専守防衛に徹し、敵基地攻撃は米国の打撃力を期待するという日米の役割分担を規定した考え方で、令和4年版防衛白書にも「米国の軍事力による抑止力をわが国の安全保障のために有効に機能させることで、わが国自身の防衛体制とあいまって隙のない態勢を構築し、わが国の平和と安全を確保していく考えである」と記されている。 これまで王道とされた安全保障の考え方が少数意見だとすれば、どのような判断基準で今回の有識者を集めたのか政府の良識を疑う。逆に有識者が政権の意向を忖度して、意見を述べたとも考えられる。いずれにしても出来レース以外の何ものでもない。こんな手法や人選で安全保障政策を決めていいはずがない』、「これまで王道とされた安全保障の考え方が少数意見だとすれば、どのような判断基準で今回の有識者を集めたのか政府の良識を疑う。逆に有識者が政権の意向を忖度して、意見を述べたとも考えられる。いずれにしても出来レース以外の何ものでもない。こんな手法や人選で安全保障政策を決めていいはずがない」、その通りだ。
・『各論になると途端に… 有識者の中からは「普天間基地の移転のように膨大な資金と長い年月のかかることに力を入れることには疑問。時間と効果をもっと考えてほしい」との意見もあった。 3年前の県民投票で7割超の反対の民意が示されても「辺野古移設が唯一の解決策」と繰り返して表明し、沖縄県名護市の辺野古沿岸部に土砂投入を続け、新基地建設の既成事実化を進めてきたのが日本政府だ。 埋め立て予定地の軟弱地盤の存在を隠し、現在の技術では地盤改良は不可能とも指摘される難工事を意地になって進めようとする政府高官が並ぶ前で「王様は裸だ」と指摘したに等しい。) 52人の有識者のひとりは、総論である「新たな国家安全保障戦略等に盛り込むべき要素」について問われ、「国家安全保障戦略は、外交・防衛のみならず、『非脆弱・強靭化』(経済安保等)、戦争を防ぐための『外交・抑止』、戦争になった際の戦力としての『反撃』、戦争で国民の犠牲を減らすための『保護』の四本柱が重要」と当たり前でまっとうな意見を披露。 「『人間の安全保障』から『人権の安全保障』の時代に対応できる人道主義、倫理に基づいた安全保障戦略を構築すべき。世界と日本の平和構築が目標である、との理念優先の態度をもって、国民に訴えていくことが必要」と目指すべき平和論を唱える人もいた。 なのに各論の防衛政策に移った途端、多くの有識者が示したイケイケぶりはどうだ。抑止力強化は他国への安心供与と表裏一体であるべきことを知らないか、忘れたふりをしているとしか思えない。 岸田政権は今年5月、「敵基地攻撃は存立危機事態に適用される」旨の答弁書を閣議決定した。存立危機事態、つまり密接な関係にある他国への攻撃が日本の安全を脅かす事態と時の政権が認定すれば、集団的自衛権行使が解禁され、日本は敵基地攻撃に踏み切ることができるというのだ。 台湾有事への関与を3度にわたり明言したバイデン大統領のもとで米国が台湾有事に派兵すれば、存立危機事態が発令され、自衛隊は米軍とともに戦うことになる。その時、自衛隊が導入を進める敵基地攻撃に転用可能な長射程のミサイル類が威力を発揮するのだろう。 敵基地攻撃能力の保有とは「米軍の2軍」を目指すことと同義語なのかも知れない』、「岸田政権は今年5月、「敵基地攻撃は存立危機事態に適用される」旨の答弁書を閣議決定した。存立危機事態、つまり密接な関係にある他国への攻撃が日本の安全を脅かす事態と時の政権が認定すれば、集団的自衛権行使が解禁され、日本は敵基地攻撃に踏み切ることができるというのだ。 台湾有事への関与を3度にわたり明言したバイデン大統領のもとで米国が台湾有事に派兵すれば、存立危機事態が発令され、自衛隊は米軍とともに戦うことになる。その時、自衛隊が導入を進める敵基地攻撃に転用可能な長射程のミサイル類が威力を発揮するのだろう。 敵基地攻撃能力の保有とは「米軍の2軍」を目指すことと同義語なのかも知れない」、「台湾有事」ではもう半ば自動的に「集団的自衛権行使が解禁」するところまで、進んでいたとは初めて知った。これではうかうかsていられない。
タグ:防衛問題 (その20)(元自衛官・五ノ井里奈さんが議員からのヒアリングで性被害を告白 長妻昭議員「一気に膿を出して真っ当な自衛隊へ」、自衛隊の性加害生んだ「ホモソーシャル」の醜悪さ 報道を見て「自分には関係ない」と思う男性の盲点、自衛隊の「不要なハリボテ武器」ランキング【自衛官108人が評価】10式戦車の評判は?、自衛隊が「米軍の2軍」になるかもしれない…「安保3文書」改定への強烈な違和感 有識者コメントを読んでみると…) AERAdot「元自衛官・五ノ井里奈さんが議員からのヒアリングで性被害を告白 長妻昭議員「一気に膿を出して真っ当な自衛隊へ」」 「『訓練があるので、すぐには該当の人物には取り調べができない』と警務隊に言われ、(捜査が)1カ月ほど長引いていました。その1カ月だけでも、記憶が段々薄れていくと思いました」、いくら「訓練」があっても、「(捜査が)1カ月ほど長引いていました」、意図的な遅延工作だ。 「嫌疑不十分で関係者は不起訴処分」、時間をかけたにも拘らず、「不起訴」とは国家機関の「検察」らしい。「防衛省に「性暴力委員会」を設置するなど、再発防止策について検討」、その通りだ。 「アンケート」で、「9日までの中間結果では、自衛隊に所属した経験がある人がハラスメントを受けた件数は99件だった。そのうち59人は女性で、8割以上がセクハラおよびマタハラを受けたと回答」、「自衛隊」での「セクハラ」問題はやはり根深いようだ。「防衛大学校」でも、「寝室に侵入され、下着を盗まれた際には、盗まれるような思わせぶりな態度をとるのが悪いと言われた」、酷い姿勢だ。 「五ノ井さんの勇気ある告発は、多くの被害体験者に声をあげることを促しただけにとどまらない。この先、高い志を持つ有能な隊員や、将来のなり手を守ることに、大きく貢献するはずだ」、その通りだ。 東洋経済オンライン ヒラギノ 游ゴ氏による「自衛隊の性加害生んだ「ホモソーシャル」の醜悪さ 報道を見て「自分には関係ない」と思う男性の盲点」 「今回起こったことはけっして自衛隊だからこその問題ではない。社会のあらゆるコミュニティに同様の可能性が潜んでいる。問題は多くの「ホモソーシャル」に共通するものだ」、その通りだろう。 「ホモソーシャルとは、男性・女性どちらかのみの構成員に偏ったコミュニティを指し、主に男性中心の集団の場合が多い。 自衛隊に限らず、男性社員ばかりの部署や、学生時代の部活動に至るまで、この世界の多くのコミュニティがホモソーシャルに該当する」、「属性の異なる構成員がバランスよく参加するコミュニティであれば、自然と偏った感覚が軌道修正されていくことが期待できるが、ホモソーシャルの場合、そうした偏りに歯止めが利かなくなるというのが陥りがちな状況だ。 その結果として、このたびの自衛隊での事件のような形で表出することがある」、「自衛隊での事件は、閉じた男同士のコミュニティでは許され、それどころか"笑える"振る舞いとして行われていた行為を女性にぶつけたことで、彼らの持っていた感覚の有害性があらわになった面がある」、その通りだ。 「自他に害をなす「男らしさ」の規範意識をトキシック・マスキュリニティ(有毒な男らしさ)と呼ぶ。 2018年に起こった日本大学フェニックス反則タックル問題」、「この事件の土台にも、ホモソーシャルの閉じた支配ー被支配の関係性の中で「タフであれ」という規範意識や暴力性を称揚するトキシック・マスキュリニティ的な文化が根底にあると考えられる」』、「ホモソーシャルの歪み」は想像以上に広がりを持っているようだ。 日本も遅まきながら「包括的性教育」をきちんと義務教育で教えるべきだ。もっとも、それを受けていない我々は、「情報源を見定める」ため、「学術的なバックボーンのある専門家であるか、あるいは問題を長年取り上げてきたジャーナリスト・文筆家など、実績のある人物であるかどうかを確認する」、必要がある。 「本件はそもそも刑事事件相当の、つまり法の裁きに委ねられてしかるべき事案だと筆者は考える。 勤務先が事実であるか否かのジャッジをするのも、謝罪をするしないに腐心せざるをえないのも筋違いではないか。 こうした事後処理のあり方の背後にも、特権的な男性たちによるホモソーシャルの作為が感じられる」、最後は強烈な皮肉だが、同感である。 ダイヤモンド・オンライン「自衛隊の「不要なハリボテ武器」ランキング【自衛官108人が評価】10式戦車の評判は?」 日本の場合は特に惰性での調達が多そうなので、興味深そうだ。 「ウクライナとロシアの戦いで脆弱性が露呈した複数の武器がワースト上位に入った」、具体的に「実際のランキングを見ていこう」 「1位は「調達の優先度が低いものはない」だった」、は自衛隊が組織防衛のため、内部で申し合わせた可能性がある。それ以下の「戦車」「F-35」、「イージス・アショア」、その「代替システム」、などは、なるほどと納得させられる。 現代ビジネス 半田 滋氏による「自衛隊が「米軍の2軍」になるかもしれない…「安保3文書」改定への強烈な違和感 有識者コメントを読んでみると…」 「「専守防衛」から「先制攻撃」へ。日本の安全保障政策を根底から覆す変革の実現は、自衛隊の兵器体系や訓練のあり方を抜本的に見直すことになり、簡単ではない。どこに敵基地があり、どこの機能を破壊すればよいのか判断するには決定的に不足している情報収集能力を飛躍的に高める必要もある。 どれほどの時間と資源を投下すれば、相手国が「日本を攻撃するのは止めておこう」と考えるまでになるのか見極めるのは不可能に近い」、なるほど。 「専守防衛等の基本的防衛政策を再検討・再整理すべき」とあり、公開されているのは見直すべきとの意見ばかりだ」、「敵基地攻撃能力の保有を強力に推奨する意見が並んだ」、政権に迎合する「有識者」は「政権」が指名しているとはいえ、ここまで「迎合」的意見を述べるのであれば、単なるお飾りだ。 「これまで王道とされた安全保障の考え方が少数意見だとすれば、どのような判断基準で今回の有識者を集めたのか政府の良識を疑う。逆に有識者が政権の意向を忖度して、意見を述べたとも考えられる。いずれにしても出来レース以外の何ものでもない。こんな手法や人選で安全保障政策を決めていいはずがない」、その通りだ。 「岸田政権は今年5月、「敵基地攻撃は存立危機事態に適用される」旨の答弁書を閣議決定した。存立危機事態、つまり密接な関係にある他国への攻撃が日本の安全を脅かす事態と時の政権が認定すれば、集団的自衛権行使が解禁され、日本は敵基地攻撃に踏み切ることができるというのだ。 台湾有事への関与を3度にわたり明言したバイデン大統領のもとで米国が台湾有事に派兵すれば、存立危機事態が発令され、自衛隊は米軍とともに戦うことになる。 その時、自衛隊が導入を進める敵基地攻撃に転用可能な長射程のミサイル類が威力を発揮するのだろう。 敵基地攻撃能力の保有とは「米軍の2軍」を目指すことと同義語なのかも知れない」、「台湾有事」ではもう半ば自動的に「集団的自衛権行使が解禁」するところまで、進んでいたとは初めて知った。 これではうかうかsていられない。