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日本のスポーツ界(その27)(陸連「甘かった」謝罪機会求めるも右代の監督断る、テコンドー代表合宿中止 内紛を放置していた「大人たち」の罪、「野球少年」減少に映るプロ存続の危うい未来 何が日本の野球界の成長を阻害しているのか、高校野球の投球数と金属バット制限は進むか?「週500球」提言の賛否) [社会]

日本のスポーツ界については、8月5日に取上げた。今日は、(その27)(陸連「甘かった」謝罪機会求めるも右代の監督断る、テコンドー代表合宿中止 内紛を放置していた「大人たち」の罪、「野球少年」減少に映るプロ存続の危うい未来 何が日本の野球界の成長を阻害しているのか、高校野球の投球数と金属バット制限は進むか?「週500球」提言の賛否)である。

先ずは、9月18日付け日刊スポーツ「陸連「甘かった」謝罪機会求めるも右代の監督断る」を紹介しよう。
https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/201909180000570.html
・『日本陸連は18日、都内で会見し、男子10種競技の右代啓祐(33=国士舘ク)を世界選手権(27日開幕、ドーハ)代表に“誤選出”していた問題について謝罪した。麻場一徳強化委員長(59)は冒頭「つらい思いをさせてしまったことについて、心からおわび申し上げたいと思っております」と神妙に口にし頭を下げた。 同委員長は、選考要項に「不備があった」と認めた。アジア選手権優勝者(エリア王者)は世界選手権参加標準記録突破と同等の扱いという認識だったが、国際陸連は混成種目など一部は「選手のレベルに基づいて」資格の有無を判断するとただし書きをつけていた。前回17年ロンドン大会からの規定だが当時は日本での適用者なし。「右代選手はアジア王者の前に、リオ(デジャネイロオリンピック)五輪出場者。ひっかかると思っていなかった。想定が甘かった」と非を認めた。 右代の今季ベストは7872点。出場枠24人で参加標準記録8200点の突破者が21人。24人目は南米王者の8046点だった。右代の得点は世界ランク39位(1国3人)で国際陸連が「エリア王者だが、出場するレベルにない」と判断した形。ただ、自己ベストは8308点。麻場委員長は「このままでは出場できないリスクがあると知ったら、海外試合に出ていたことも当然ありえたと思う」。 日本陸連には6日に資格なしの連絡が届いた。2日後に右代を指導する岡田監督に連絡。同監督は「100%駄目になってない。最後までちゃんとやって」と国際陸連への働きかけを求めた。日本陸連は抗議と再考を促したが、同13日に却下。麻場委員長は再三、右代への説明と謝罪の機会を求めたというが、同監督から「今はそのタイミングじゃない」と断られたという。現状、棄権した選手が出た場合、右代を代役としてもらうよう働きかける以外方法はない。同委員長は「まずは右代選手にちゃんと謝罪して、説明したい」と話した』、信じられないような大失態だ。「参加標準記録8200点」なのに、「右代の今季ベストは7872点」、というのがいつ判明したのかの説明もないが、日本陸連は一体、何をやっていたのだろう。事実関係の究明と有効な再発防止策を期待したい。

次に、作家・スポーツライターの小林信也氏が9月23日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「テコンドー代表合宿中止、内紛を放置していた「大人たち」の罪」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/215414
・『テコンドーの日本代表合宿が直前に中止された問題で、一般財団法人日本テコンドー協会の運営体制がにわかに問題視されている。 28人の参加対象者に合宿の出欠を確認したところ、参加を希望したのは2人だけ。他の26人は参加を辞退した。その理由は、協会の強化方針や運営体制に著しく不信があるから、ということが明らかになった。これが今回の騒動の発端である。 テコンドーは、1988年のソウル五輪から公開競技としてオリンピックに採用され、2000年シドニー五輪から正式種目になった。日本ではそのシドニー五輪、女子67キロ級で岡本依子選手が銅メダルを獲得し注目を集めた。 だがそれ以上に耳目を集めたのは、次のアテネ五輪に「競技団体分裂のため、岡本選手が五輪に出場できない」という騒ぎが起こったときかもしれない。そのときは、個人の資格で出場するという超法規的な扱いで参加が認められた。 日本国内のテコンドー組織の分裂や対立は、今回に始まったことではない。分裂、統一、また分裂といった歴史を繰り返している。 今回、選手たちがこぞって反旗を翻す直接のきっかけも当然あった。 6月末の総会で、阿部海将強化本部長の理事再任を否決し、協会は強化体制を刷新する方針を確認していた。ところが、8月3日に総会を開き、阿部氏の理事再任が承認された。背景には強力なリーダーシップを発揮している金原昇会長の強い意向があったと選手たちは理解している。そのため、会長をはじめ現体制に強い不満と不信がさらに募った』、これほどお粗末なガバナンス体制を晒しているのも珍しい。
・『分裂と対立を繰り返してきた日本テコンドー組織の歴史  できるだけ簡潔に、なぜ分裂を繰り返すのか、背景をまず押さえておきたい。 【背景1】 そもそも、テコンドーは日本の松涛館空手を基に1950年前後に考案された新しい格闘技である。名付け親は日本に留学していた崔泓熙(チェ・ホンヒ)氏といわれるが、韓国内で普及の中心になったのはまた別の人物たち。そのため、韓国内でも複数の流派がある。 【背景2】 テコンドーがオリンピック種目になったのは、1980年代から世界のスポーツ・ビジネス界で影響力を発揮した韓国の金雲龍(キム・ウンヨン)氏の存在が大きい。IOC(国際オリンピック委員会)のサマランチ会長(当時)の信頼を得た金雲龍氏は、韓国財閥の現代、サムスンの初代会長らからも支援も受け、1988年ソウル五輪の招致を成功させた中心人物ともいわれる。後にIOC副会長にもなった。 彼がテコンドーを五輪種目に入れる際、唯一の国際団体として押し出したのが現在のWT(ワールドテコンドー。世界テコンドー連盟から2017年に改称)。このときすでに、他にも団体があったが、存在を無視される形になった。 実際、いまも日本には、WTより歴史の古い日本国際テコンドー協会という団体があるが、この団体に所属する道場の選手たちは、最初からオリンピックには出場できない身の上にある。同じテコンドーという名の競技だが、ルールも違う。IOCからは「別の競技」と見なされているようなものだ。 【背景3】 さらに、WTの傘下にある全日本テコンドー協会もたびたび内紛を起こし、直近では、2014年にJOC(日本オリンピック委員会)からの補助金不正処理問題に端を発し、体制に異を唱える人たちが協会を離れ、全日本テコンドー連盟を結成して現在に至っている。 JOCの補助金を正当に帳簿処理しなかった、選手に規定額を提供しなかったなどの疑惑を内閣府から指摘されたのは現会長の金原昇氏ら執行部だが、結果的に実態は明らかにされず、不正は何もなかったかのように金原体制が続いている』、もともと、「金雲龍氏」が「テコンドーを五輪種目に入れる際、唯一の国際団体として押し出したのが現在のWT(ワールドテコンドー。世界テコンドー連盟から2017年に改称)。このときすでに、他にも団体があったが、存在を無視される形になった」、とどうも「五輪種目に入れる」段階から問題があったようだ。「JOCの補助金」不正問題でも「結果的に実態は明らかにされず、不正は何もなかったかのように金原体制が続いている」、酷い話だ。
・『分裂した組織は「認めない」 全日本8連覇でも五輪に出られない  この時、改善を強く提言しながら一蹴され、やむなくたもとを分かった全日本テコンドー連盟・武田正博理事長は、私の取材に、次のように話してくれた。 「公益財団法人だったから、内閣府から厳しい追及を受けたわけだよ。私たちは、これで協会の体制が一新されると期待したのですが、とんでもない方法で逃げ切っちゃったんだね。公益財団法人を自から返上して、一般財団法人にしたんだ」 公益財団法人でなければ、厳密な報告もいらない、内閣府の厳しい監査も受けずに済むというわけか。実際、これを境に金原会長らに対する責任追及も収まった。武田理事長が言う。 「我々は全日本テコンドー連盟を作ったあと、JOCの事務局長に会って、『新しい団体ができたから、こちらも認めてほしい』とお願いしました。けれど、まったく真剣に取り合ってもらえませんでした」 すでに認められている全日本テコンドー協会こそが唯一の競技団体で、勝手に離脱したグループは認めないというスタンスだったという。 この問題は、取材すればするほど、あきれた事実が次々と浮かび上がる。今年も含め全日本選手権で8年連続優勝の実績を持つ江畑秀範選手は、こう話してくれた。 「リオ五輪のときは、日本から代表を送る階級が68キロ級と58キロ級と決められました。私は80キロ超級ですから、その時点でオリンピックへの道が断たれたようなものです。その後、金原会長から直接電話がかかってきました。そして、『オリンピックに出たかったら、15キロ減量しろ』と。私は身長が197センチですから、80キロでもかなり細い方です。トレーナーに相談したら、『減量は不可能ではない。だけど、動けなくなる』と言われてあきらめました」』、「公益財団法人を自から返上して、一般財団法人にした」問題も飛んでもない話だが、最大の問題は、「すでに認められている全日本テコンドー協会こそが唯一の競技団体で、勝手に離脱したグループは認めない」JOCの姿勢だろう。
・『JOCと日本スポーツ協会は協会の体質・問題点を黙認か  報道では、「2人が参加を希望」とあるが、選手たちの話を聞くと、これは「大人の騒動に巻き込むのはかわいそう」との配慮から内情を告げられず、実態を何も知らなかった高校生と大学生の2人ではないかという。つまり、実質的には全選手から協会の強化活動に「ノー」が突きつけられたのも同然だ。 協会の問題点を指摘する声はまだ多数聞いたが、本稿では、大半のメディアがあまり指摘しない核心を最後にひとつ指摘したい。 合宿中止が発覚し、メディアが問題視すると、内閣改造で就任したばかりの萩生田光一文科大臣、橋本聖子五輪担当大臣らが「上から目線」で遺憾の意を表明し、改善を命じるコメントを発していた。 私は彼らのこの態度や言動に違和感を覚えた。なぜなら、JOCや文科省、日本スポーツ協会は、全日本テコンドー協会の体質や問題点を知っていたはずだ。知らなかったとすればそれもまた問題。JOCの事務局長(当時)は分裂した全日本テコンドー連盟の武田理事長から直接請願を受けているし、内閣府の指摘で明らかになった不正や疑惑は広く報道されているから知らないはずがない。 内閣府は公益財団法人でなくなれば管轄外になるのだろうが、公益だろうが、一般だろうが、唯一の競技団体が公正に運営されているかをJOCは調査し、課題があれば改善を促す立場にあるのではないだろうか。 各競技団体の“自治”を優先する姿勢も重要だが、スポーツ団体としての良識を逸脱する団体や体制を黙認するのもまた、おかしな現実ではないだろうか。JOCはスポーツ人による、スポーツ選手のための組織でなくなっているように思えてならない。その点も明確に指摘され、議論し改善されるべきだと考える』、「萩生田光一文科大臣、橋本聖子五輪担当大臣らが「上から目線」で遺憾の意を表明し、改善を命じるコメント」、というのも無責任の極みだ。大臣がこんなのでは、JOCも推して知るべしだ。

第三に、スポーツライターの中島 大輔氏が8月26日付け東洋経済オンラインに掲載した「「野球少年」減少に映るプロ存続の危うい未来 何が日本の野球界の成長を阻害しているのか 」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/298683
・『今、全国で急速に「野球少年」が消えているそうだ。「理由は少子化だけではない」と言うのが野球の問題点を指摘する中島大輔氏だ。プロとアマがいがみ合い、統一した意思の存在しない野球界の構造問題が無視できなくなっていると指摘する。同氏の著書『野球消滅』を一部抜粋し再構成のうえ、野球界の問題について考察します。 なぜ、セ・リーグとパ・リーグは手を取り合い、「プロ野球」として1つになってリーグビジネスを本格的に行わないのか。なぜ、野球界には川淵三郎のような絶対的なリーダーが存在しないのか。 侍ジャパンがプロから社会人、大学生、高校生、中学生、小学生、女子まで全世代にチームを持ち、日の丸をつけて戦っている目的は何か。プロ野球とアマチュア野球を隔てる「プロアマの壁」は、今は取り除かれたのだろうか――』、「「野球少年」が消えている」、というのは私も近所の公園で感じる。
・『劇的に開いたNPBとMLBの差  1934年に誕生したプロ野球は近年、観客動員数が右肩上がりに伸び、2018年には史上最多の2555万0719人がスタジアムに詰めかけた。2018年夏に100回大会を開催した高校野球では、甲子園球場に連日大勢のファンが押し寄せ、総入場者は史上最多の101万5000人を記録した。 現在、プロ野球や高校野球が開催される球場は、かつてないほどの盛況を呈している。一方、日本で100年以上続く野球界の構造は、ほとんど世間に知られていないように感じる。例えば、冒頭に記した問いについて、答えられる人はどれほどいるだろうか。野球界の複雑怪奇な構造は、とりわけ近年、その成長を阻害しているように思う。 1995年時点で日本のプロ野球=NPBと、アメリカのメジャーリーグ=MLBはともに1400億円と同程度の収益だったものの、2018年時点はNPBが1800億円ほどなのに対し、MLBは1兆円を超える。MLBの成長要因はリーグビジネスに本腰を入れたことだが、NPBが同様の取り組みを始める気配はまったく見えない。 元サッカー日本代表の川淵三郎氏という絶対的なリーダーが、JリーグやBリーグの発足に尽力した一方、野球界では、NPBのコミッショナーも日本高等学校野球連盟の会長も極端に存在感が薄い。クライマックスシリーズから2位、3位のチームが日本シリーズに勝ち進むたび、制度のあり方が疑問視されるが、NPBのコミッショナーは何の意見も表明しない。 真夏の試合で熱中症を憂慮する声に対し、日本サッカー協会が大会/試合スケジュールの規制を行っていることと比べると、高野連の対策は大きく見劣りする。「プロアマの壁は取り払われた」という関係者やメディアは決して少なくないが、野球ファンは本当にそうだと感じているだろうか』、なるほど。
・『少子化を上回るスピードで消える「野球少年」  なぜ、野球界はサッカーのように1つにならないのか――。 各所でたびたび指摘されてきたが、1つにならない理由は明確で、そもそも運営者が異なるからだ。広く知られるように、プロ野球は読売新聞、高校野球は朝日新聞の主催で始まった。社会人野球は毎日新聞、学童野球は東京新聞にバックアップされている。 読売はプロ野球、朝日は高校野球を「社業」と位置づけ、力を入れてきた。サッカー界が1つのピラミッドで発展してきた一方、野球界にはさまざまなステイクホルダーが存在するからこそ、現在まで成長できたのもまた事実である。 ただし今、野球界はバラバラであるがゆえに、その将来を脅かしかねない難題に対し、効果的な対策を打てずにいる。深刻な問題の1つが、子どもの野球離れだ。 2007~2016年にかけて、小・中学生の野球人口は66万3560人から48万9648人と、26.2%減少(出典:全日本野球協会)。同期間のサッカー人口は51万8808人から54万9962人と6%の増加だった(出典:日本サッカー協会)。少子化の6倍のペースで野球少年は減少している。 「アマチュアがプロ野球選手をつくってくれていて、プロはそれを使わせてもらっているというのが野球界の構造です。そう考えると、野球の競技者が減るとプロ野球選手の質が落ちます。それはプロ野球に跳ね返ってくる」 侍ジャパンの事業部で働き、現在は独立して「R.E WORKS」でアスリートマネジメント事業などを手がける加藤謙次郎氏はそう語る。 アマチュアの指導は多くのボランティアに支えられ、そこから優秀な子どもたちがプロまで到達することを考えると、アマチュアの恩恵でプロ野球が成り立っているのは間違いない。子どもの野球離れが起こっていることは、プロ野球にとっても極めて深刻な問題だが、プロ野球関係者にはそうした想像力さえ働かない人もいる。 2016年末のオーナー会議で野球少年減少が話題に上がったとき、「そんなのは大した問題じゃない」と一笑に付したオーナーがいたという。プロ野球の観客動員は増え続けているため、野球少年減少を「対岸の火事」と捉えているのだ。この発言を伝え聞いたプロやアマの野球関係者は、一様に落胆の表情を見せていた。) 「お前がトップのうちに変えないで、どうするんだ?思い切ってやれ」 1993年にJリーグの初代チェアマンとして開幕宣言を行い、その20年以上後にバスケットボールのBリーグ発足に尽力した川淵三郎氏は、2018年5月に誕生した野球界の新リーダーをそう叱咤した。 川淵氏に背中を押されたのは、全日本野球協会(BFJ)の新会長に就任した山中正竹氏だ。全日本野球協会はいわゆる「NF」(ナショナル・フェデレーション=国内競技連盟)で、サッカー界で言えば日本サッカー協会と同じ位置づけになる。 だがサッカー界と異なるのは、野球界のNFはバラバラの組織の集合体にすぎないことだ。オリンピックに出場するためにはNFが必要とされるため、1990年、日本野球連盟(JABA=社会人野球を統括する組織)と日本学生野球協会によって設立されたのが、全日本野球協会(当時の名称は全日本アマチュア野球連盟。2013年に改称)だ』、「アマチュアの恩恵でプロ野球が成り立っているのは間違いない。子どもの野球離れが起こっていることは、プロ野球にとっても極めて深刻な問題だが、プロ野球関係者にはそうした想像力さえ働かない人もいる」、というのは困ったことだ。
・『野球界に川淵三郎が入っても簡単にいかない  そうした長としての難しさを、就任から数カ月後、山中会長はこう明かしている。 「(野球界のあり方を)おかしいよねと感じている人は(内部にも)いっぱいいるんですよ。でも、それを言えば煙たがられるとか、メンバーから外されてしまう。今の野球界に川淵三郎が入ってきても、そうも(簡単に)いかんのじゃないかと僕は思う」 人気絶頂のプロ野球や高校野球だが、足元に目を移すと深刻な地盤沈下が起きている。そう遠くない将来、業界の構造が根本から変わるような事態が起こりかねない。はたして30年後、プロ野球はちゃんと興行を続けられているだろうか。子どもの野球離れに効果的な手を打ち、バッドエンディングを逃れることはできるだろうか。 人口減少に効果的な策を打てず、急激な過疎化や、最悪の場合は消滅に至るというシナリオは、日本全国さまざまな組織や産業で起こっている。社会の劇的な変化に対応できなければ、衰退の一途をたどるのは世の習いだ。100年の時を経て日本のナンバーワンスポーツになった野球は、足元の危機をどうやって乗り越えていけばいいのだろうか。 まずは深刻な少年野球の人口減少の事実を受け止め、それに基づいた未来予想図を描き、野球離れを進行させる諸々の要因を浮き彫りにすることがファーストステップだ。少子高齢化の進む日本で、野球界が見舞われている危機に目を向けることは、野球界の当事者はもちろん、日本全体にとって意義あるケーススタディーになるはずだ』、「野球界」はこれまでの成功故に、足元の「少年野球の人口減少」を受け止めることすら出来なくなっているとは寂しいことだ。

第四に、事件ジャーナリストの戸田一法氏が9月29日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「高校野球の投球数と金属バット制限は進むか?「週500球」提言の賛否」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/215957
・『日本高校野球連盟(以下、日本高野連)が設置した「投手の障害予防に関する有識者会議」第3回会合で、有識者会議は日本高野連理事会に、春夏の甲子園と地方大会に「週500球」の「投球数制限」導入を提言する方針を固めた。この夏は大船渡高校(岩手)の佐々木朗希投手の起用法を巡り、さまざまな意見も飛び交った。高校球児を守るための球数制限は動き出すのか』、遅まきながら漸く動き出したようだ。
・『3連投禁止、金属バット制限も  第3回会合は20日、大阪市で開かれた。夏の甲子園以降は初めての開催で、さまざまな具体策が提示された。 まず柱になるのが、投手1人の投球数について「7日間で500球以内」とする制限を設けたこと。もう1つは投手1人の「3連投の制限」。3日連続の登板は球数に関係なく禁じる、という内容だ。 ほかに試合だけではなく、+日ごろの練習でノースローデーを設置、+講習会などを通じた指導者の育成、+健康管理と障害予防の徹底、などを盛り込むとした。 即時にルール化するのではなく、まずはガイドラインとして提示。3年間の試行期間を経て検証し、軟式野球の全国・地方大会も対象とする。時期は「来春のセンバツから」を提案する方針という。) ほかにも投手保護の観点から、打者有利となる金属バットの高い反発性を見直し「飛ばないバット」の導入を目指す。 有識者会議は11月に第4回会合で提言をまとめ、同下旬の日本高野連理事会に提出する。それぞれの提言は理事会を経て正式に承認される。 球数制限の問題を巡っては、新潟県高野連が昨年12月、春季新潟大会で「投球数が100球を超えたイニングまでの登板とする」という独自の制度導入を表明。 日本高野連が今年2月に「勝敗に影響を及ぼす規則は全国で足並みをそろえるべきだ」として再考を促し、新潟県高野連は3月、有識者会議発足の取り組みなどを受けて撤回していた』、提案のどれだけが取り入れられるかは不明だが、いい動きであることは確かだ。
・『ご意見番vs現役メジャー投手  投手の球数制限や起用法を巡ってはこの夏、甲子園予選となる岩手県大会で大船渡高校の佐々木朗希投手が決勝戦の登板を回避したことを受け、往年のプロ野球名選手と現役メジャーリーガーの応酬も話題になった。 通算3085本安打など輝かしい記録を打ち立てた野球評論家の張本勲さんが、7月28日放送のテレビ番組で「最近のスポーツ界で一番残念だと思いました」「けがを怖がったんじゃスポーツ辞めたほうがいい」「楽させちゃダメ」などと発言。 これに対し、メジャーリーグのシカゴ・カブスに所属するダルビッシュ有投手がツイッターで「シェンロンが一つ願いこと叶(かな)えてあげるって言ってきたら迷いなくこのコーナーを消してくださいと言う。」と強烈に批判した。 シェンロンとは人気少年漫画「ドラゴンボール」に登場し、世界中に散らばるドラゴンボールを7つすべて集めると、どんな願い事でもかなえてくれる神龍だ。 さらに翌日に「10万いいね」が付いたことに驚きを示しつつ「自分ほど酷使をされなかった強豪校のピッチャーはいないと思います」などと、肩が温存された東北高校時代の経験を明らかにしていた。 このやりとりは、スポーツ新聞や雑誌、ネットなどで賛否が渦巻き、ちょっとした論争にも発展した。 この問題を分かりにくくしたのが、大船渡高校監督の采配かもしれない。というのは、コアな高校野球ファンならご存じと思うが、佐々木投手は7月21日の4回戦で194球を投じた。 実戦でマウンドに立てる複数の投手を育てていたのに、戦力的に有利と見られていた準決勝では佐々木投手が登板。一方、決勝戦の王者・花巻東戦に控え投手を先発・継投させ、4番バッターでもあった佐々木投手はベンチから声援を送り続けた。 監督は佐々木投手が注目され始めたころから、無理をさせない方針を明言。決勝戦で佐々木投手を登板させなかった理由としても「故障を防ぐため」と説明したが、4回戦の投球数、準決勝と決勝の起用法は明らかに不可解だった。 監督は筑波大を卒業後、アメリカ独立リーグでプレーしており、本場の経験者だ。なぜこんなことになったか。 推測だが、歴史の古い公立高校は甲子園出場のチャンスがあると、突然に「あんた、誰?」というOBや自称・関係者が湧いて出てくる。 同じような状況になった監督から何度か話を聞いたことがある。ある方は「船頭が乗客より多くて、今にも沈みそうな状態」と話していた。大船渡高校監督の“迷走”は、そうした方々の圧力という邪魔があったのかもしれない。 大船渡高校には決勝戦後、さまざまな苦情や嫌がらせの電話やメールが寄せられたという。こうした外野のノイズは当事者にとって迷惑極まりないので、本当にやめてほしいと思う』、この問題では、「張本勲」はいい気になり過ぎており、「ダルビッシュ有投手」の方を支持する。「大船渡高校」には、「こうした外野のノイズは当事者にとって迷惑極まりないので、本当にやめてほしいと思う」、同感だ。
・『金属バットと木製バット  今回の提言で関係者を驚かせたのが「金属バットの性能見直し」だ。 金属バットと木製バットの違いについて、詳しくご存じの方はそう多くないのではなかろうか。 さまざまな説はあるが、一つは打球を飛ばすための芯の部分が木製は狭く、金属は広いという点だ。技術のない高校生は、芯を外してバットを折ったり、手首を痛めたりする。 チーム事情にもよるが、折りまくると経済的にそれほど潤沢ではない高校野球では補充が大変だし、下手すると骨折する。そこが一番、大きな理由とされる。 もう一つは反発力の違いだ。打ち方も違い、金属は反発力ではじき返す感覚だが、木製はムチのようにしならせ、パワーで運ぶという感覚だ。 金属は芯を外してもボールが弾むのでヒットになりやすく、遠くまで飛ぶとされる。明らかに打者有利の道具なのだ。 とはいえ、前述の事情で金属を禁止するというわけにはいかない。今回の提言は、金属の反発性能を抑制し、木製に近づけるというものだ。これは面白い試みと思う。 1998年夏の甲子園で782球を投じた横浜の松坂大輔、2006年夏に948球を投じた早実の斎藤佑樹、昨年夏に881球を投じた金足農の吉田輝星…。 松坂はとっくに200勝していたのではないか…。斎藤はもっと華々しい活躍をしていたのではないか…。吉田は今シーズンに新人賞を取れるほど活躍していたのではないか…。 賛否両論あると思う。 筆者はご意見番の現役時代を見ていた。大ファンであり、憧れでもあった。 しかし、故障で野球をあきらめた球児を多く見てきた筆者の感想だが、ご意見番の意見は「われわれ年寄りを楽しませてほしかった。後は知らんけど…」というように聞こえた。正直、少し残念だった。 有識者会議第4回会合と、日本高野連理事会の結論に期待したい』、「ご意見番の意見」に対する見方は甘過ぎるが、ジャーナリストとしては今後の取材を考慮して「忖度」したのだろう。それ以外は、同感だ。
タグ:戸田一法 ダルビッシュ有投手がツイッターで「シェンロンが一つ願いこと叶(かな)えてあげるって言ってきたら迷いなくこのコーナーを消してくださいと言う。」と強烈に批判 日刊スポーツ 日本陸連 「投手の障害予防に関する有識者会議」 日本高校野球連盟 「高校野球の投球数と金属バット制限は進むか?「週500球」提言の賛否」 テコンドー 「テコンドー代表合宿中止、内紛を放置していた「大人たち」の罪」 ダイヤモンド・オンライン 小林信也 28人の参加対象者に合宿の出欠を確認したところ、参加を希望したのは2人だけ。他の26人は参加を辞退 「このままでは出場できないリスクがあると知ったら、海外試合に出ていたことも当然ありえたと思う」 「「野球少年」減少に映るプロ存続の危うい未来 何が日本の野球界の成長を阻害しているのか 」 自己ベストは8308点 テコンドーを五輪種目に入れる際、唯一の国際団体として押し出したのが現在のWT(ワールドテコンドー。世界テコンドー連盟から2017年に改称)。このときすでに、他にも団体があったが、存在を無視される形になった 東洋経済オンライン 中島 大輔 JOCや文科省、日本スポーツ協会は、全日本テコンドー協会の体質や問題点を知っていたはずだ。知らなかったとすればそれもまた問題 分裂と対立を繰り返してきた日本テコンドー組織の歴史 萩生田光一文科大臣、橋本聖子五輪担当大臣らが「上から目線」で遺憾の意を表明し、改善を命じるコメント JOCと日本スポーツ協会は協会の体質・問題点を黙認か 日本テコンドー協会の運営体制がにわかに問題視 「けがを怖がったんじゃスポーツ辞めたほうがいい」「楽させちゃダメ」などと発言 野球界に川淵三郎が入っても簡単にいかない 「陸連「甘かった」謝罪機会求めるも右代の監督断る」 国際陸連は混成種目など一部は「選手のレベルに基づいて」資格の有無を判断するとただし書きをつけていた 日本のスポーツ界 世界選手権(27日開幕、ドーハ)代表に“誤選出”していた問題について謝罪 分裂した組織は「認めない」 全日本8連覇でも五輪に出られない 6月末の総会で、阿部海将強化本部長の理事再任を否決し、協会は強化体制を刷新する方針を確認していた。ところが、8月3日に総会を開き、阿部氏の理事再任が承認された。背景には強力なリーダーシップを発揮している金原昇会長の強い意向 日本国内のテコンドー組織の分裂や対立は、今回に始まったことではない。分裂、統一、また分裂といった歴史を繰り返している 野球界はバラバラであるがゆえに、その将来を脅かしかねない難題に対し、効果的な対策を打てずにいる 大船渡高校の佐々木朗希投手が決勝戦の登板を回避 金属バットと木製バット 右代の今季ベストは7872点 ご意見番vs現役メジャー投手 JOCの補助金を正当に帳簿処理しなかった 「週500球」の「投球数制限」導入を提言する方針 実態は明らかにされず、不正は何もなかったかのように金原体制が続いている アマチュアの恩恵でプロ野球が成り立っているのは間違いない。子どもの野球離れが起こっていることは、プロ野球にとっても極めて深刻な問題だが、プロ野球関係者にはそうした想像力さえ働かない人もいる 少子化を上回るスピードで消える「野球少年」 大船渡高校監督の采配 子どもの野球離れ 3連投禁止、金属バット制限も その理由は、協会の強化方針や運営体制に著しく不信があるから 参加標準記録8200点 全国で急速に「野球少年」が消えている (その27)(陸連「甘かった」謝罪機会求めるも右代の監督断る、テコンドー代表合宿中止 内紛を放置していた「大人たち」の罪、「野球少年」減少に映るプロ存続の危うい未来 何が日本の野球界の成長を阻害しているのか、高校野球の投球数と金属バット制限は進むか?「週500球」提言の賛否) 張本勲 男子10種競技の右代啓祐
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