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コンビニ(その10)(コンビニ事業以外は「全面撤退すべき」と主張 セブン 米ファンドが示した「株価2倍計画」の中身、ローソン 虎の子「成城石井」を上場検討の懐事情 成長資金確保で狙う「コンビニ3位」からの脱却、「グリーンローソン」は何が違う?新型店が示す“コンビニの未来”とは) [産業動向]

コンビニについては、2021年8月28日に取上げた。久しぶりの今日は、(その10)(コンビニ事業以外は「全面撤退すべき」と主張 セブン 米ファンドが示した「株価2倍計画」の中身、ローソン 虎の子「成城石井」を上場検討の懐事情 成長資金確保で狙う「コンビニ3位」からの脱却、「グリーンローソン」は何が違う?新型店が示す“コンビニの未来”とは)である。

先ずは、昨年2月17日付け東洋経済オンライン「コンビニ事業以外は「全面撤退すべき」と主張 セブン、米ファンドが示した「株価2倍計画」の中身」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/576819
・『セブン&アイに対し、米ファンドのバリューアクトは株価の上昇余地があると主張した。そのためには「4つのステップ」が必要だという。 セブン&アイ・ホールディングスに事業変革を求めているアメリカの投資会社、バリューアクト・キャピタル。2月9日、自身が考えるセブン&アイの「戦略計画」を公開した。 計画を実行すれば、コンビニ事業のセブン-イレブンは「グローバルチャンピオン」となり、1株あたり利益が748円、株価は直近の約2倍となる1万2708円まで上昇余地があると主張する。 バリューアクトはセブン&アイ変革のための「4つのステップ」を提案した。第1段階で行うのはコンビニ事業に注力する戦略の発表。コンビニ事業以外の非中核事業は「聖域なしに改革する」との意思表明だ』、物言う株主が、主張の根拠を具体的な形で示すとは珍しい。
・『百貨店は「速やかに完全売却」  第2段階は、百貨店子会社のそごう・西武の速やかな完全売却だ。同社の持つ不動産価値を生かしそれを実行する。その価値は大手アドバイザリー会社の推計値を基に4800億~5000億円とした。なおバリューアクトは、コロナ禍前の利益水準を基にそごう・西武の事業価値を490億円と試算する。 次に着手するのが総合スーパー子会社のイトーヨーカ堂の売却、もしくは食品事業に集中したうえでのスピンオフ(分離独立)だ。衣料品など食品以外の小売りが利益の足を引っ張っているため、スピンオフ時は同社の事業を食品小売りに集中させる。 第3段階は、ほかの非中核事業からの撤退だ。セブン銀行といった金融事業、ファミレスのデニーズ、雑貨店のロフトやフランフラン、通販のニッセンなど、コンビニを除く事業から全面撤退する。 第4段階は海外のコンビニ戦略の見直しだ。本部コストを中心に営業経費が他社より多いアメリカのセブン-イレブンの効率改善と、未進出地域への出店を加速させる。 4つのステップからわかるように、バリューアクトが訴えるのは「コンビニ事業への集中」だ。無人店の登場やデリバリーサービスの普及などコンビニを取り巻く環境が国内外で大きく変化する中、今後数十年にわたって勝ち残るためには早急な事業の集中が必須だとする。 他方、非中核事業がセブン&アイの業績を押し下げていると指摘。さらに、同事業を支えるために2021年度以降の5年間で約7700億円を投じる割には投資効率が低いと問題視する。 セブン&アイの井阪隆一社長は、バリューアクトの戦略計画は「想像に基づいた形で作られたもの」とコメント。「国内のセブン-イレブンはサービスや商品の取り扱い範囲を見直していかなければならない。その際、食品を充実させるためにもイトーヨーカ堂が必要だ」とも述べる。 しかしバリューアクトは、グループシナジーにも疑問符を付ける。集中購買などでシナジーが最も期待できる国内のセブン-イレブン、イトーヨーカ堂、食品スーパーのヨークベニマルの3社においても、その効果は2021年2月期の営業利益のうち4%未満だと分析している。 主張は平行線をたどっているようだが、両者の認識が一致している部分もある。アメリカのコンビニ事業におけるフレッシュフード(日本での弁当やおにぎりに相当)の強化などだ。イトーヨーカ堂の軸足を食品小売りに置く点についても、両者に認識のズレはない』、「第1段階で行うのはコンビニ事業に注力する戦略の発表」、「第2段階は、百貨店子会社のそごう・西武の速やかな完全売却」、「総合スーパー子会社のイトーヨーカ堂の売却、もしくは食品事業に集中したうえでのスピンオフ(分離独立)だ」、「第3段階は、ほかの非中核事業からの撤退だ。セブン銀行といった金融事業、ファミレスのデニーズ、雑貨店のロフトやフランフラン、通販のニッセンなど、コンビニを除く事業から全面撤退する」、「第4段階は海外のコンビニ戦略の見直し」、「グループシナジーにも疑問符を付ける」、「集中購買などでシナジーが最も期待できる国内のセブン-イレブン、イトーヨーカ堂、食品スーパーのヨークベニマルの3社においても、その効果は2021年2月期の営業利益のうち4%未満だと分析」、一見すると説得力がありそうだが、「井阪隆一社長は、バリューアクトの戦略計画は「想像に基づいた形で作られたもの」とコメント」、立場上、そうコメントせざるを得ないのだろう。
・『取締役会の構成にもメス  とはいえ、バリューアクトはもはやセブン&アイの現経営陣を信頼していない。そのため戦略計画で「ガバナンス体制の変革」として次の2点を打ち出した。 1点目は客観的に戦略を評価できる社外取締役を取締役会の過半数にすること。2点目は持ち株会社による経営体制から、セブン-イレブンを中心としたグローバルに連携した経営体制への移行だ。 現在のセブン&アイの取締役は13人。その過半数の8人が社内取締役で、井阪社長を除く7人は事業子会社の社長や役員を務めている。これら社内取締役の関心は各事業子会社の利益追求に向かい、内部対立を生じさせていると指摘する。 各事業子会社の役員が取締役に就いていることでスムーズな意思決定が可能になっており、セブン&アイは現体制に問題がないと主張している。しかしバリューアクトは、その点こそを問題視しているのだ。 2点目の持ち株会社による経営体制の見直しは、コンビニ事業に集中すべきとの訴えと関連する。170社以上の子会社・関連会社を持つために組織が複雑化して連携不足を起こしていると言っているわけだ。2019年の「セブンペイ」の失敗も連携不足が原因になったとする。 バリューアクトは75枚に及ぶ資料の末尾で、次のようにセブン&アイ株主に問いかけた。 「セブン&アイのコーポレートガバナンス体制を修正し、すべてのステークホルダーのためになるようセブン&アイを変革するには、株主のどのような介入が必要か」 セブン&アイの定時株主総会は5月。4.4%の株式を保有するバリューアクトが、株主提案で独自の取締役選任案を出してくる可能性は高まっている』、「取締役は13人。その過半数の8人が社内取締役で、井阪社長を除く7人は事業子会社の社長や役員を務めている」、やはり少なくとも過半数は「社外」とすべきだろう。

次に、5月17日付け東洋経済オンライン「ローソン、虎の子「成城石井」を上場検討の懐事情 成長資金確保で狙う「コンビニ3位」からの脱却」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/589235
・『ローソンの営業利益の4分の1を稼ぎ出す、優良子会社の成城石井。あえて今、持ち株を一部手放すのはなぜなのか。 「2000億円でも安いと個人的には考えている」。ローソンの唐沢裕之・経営戦略本部長はそう語った。 ローソンが、完全子会社の高級スーパー・成城石井の上場を検討している。一部報道によれば、上場時の時価総額は2000億円を上回る可能性がある。食品スーパー大手のライフコーポレーションでさえ、時価総額は1390億円(5月16日終値換算)。実現すれば、国内のスーパーとしては破格の規模となる。ローソンの持ち株比率をどの程度まで下げるかについても検討中という。 ローソンは2014年に総額約550億円を投じ、三菱商事系の投資ファンドである丸の内キャピタルから成城石井の全株式を取得した。その後も順調に成長を続け、関東を中心に展開する店舗数は現在、買収時の約1.7倍に当たる200店超に達する。 業績も拡大している。買収直後の2016年2月期に690億円だった営業総収入は、前2022年2月期に約1.6倍の1092億円、同じく58億円だった営業利益は約2倍の120億円に成長。直近まで4期連続の増益を達成している。 営業利益率約11%と食品スーパーでは異例の高収益体質を誇り、ローソンの直近の連結営業利益の4分の1を稼ぎ出す。今後も成長が見込める“虎の子”の持ち分を、このタイミングで一部売却する狙いは何なのか』、「2014年に総額約550億円を投じ・・・全株式を取得」、それが「上場時の時価総額は2000億円を上回る可能性」とはローソンにとってもすごい投資効率だ。
・『競合も一目を置くSPAモデル  成城石井の強さの源泉は、自社のセントラルキッチンで総菜などを製造・開発するSPA(製造小売業)型のビジネスモデルだ。 飲食店で食べるような高品質の料理を自宅で楽しむことができるなど、他社では買えない独自の商品を強みにしている。外食が制限されたコロナ禍においても、調理済みの食品を家庭内で食べる中食需要をうまく取り込んだ。 成城石井は現在2カ所の総菜調理センターを関東に持つ。店舗数の拡大に伴って総菜調理のキャパシティーも限界に近づいており、今夏には3カ所目のセンターが稼働予定。最終的には総菜の生産能力を現状の2倍以上に増強するという。 【2022年5月17日12時01分追記】初出時の表記を上記のように修正いたします。 自社の製造拠点を軸に培った商品力や開発力を武器に、高級スーパーとしてのブランドを確立。競合スーパーの関係者も「成城石井のブランド認知度は非常に高い」と一目を置く。 上場を実現させたとしても、ローソンは成城石井株を相当数保有し続ける方針ではある。商品の共同開発など事業面での協業も継続するという。 上場の狙いについて、成城石井の取締役も兼任するローソンの唐沢経営戦略本部長は「成城石井が成長していくためには、西日本への出店強化や海外展開などに向けた他社との提携が必要になる。上場すれば信用の観点から海外展開が有利になったり、他社との提携がしやすくなったりする」と説明する。 また、「成城石井は成長志向が強い一方、ガバナンスなどの経営体制の整備は弱かった。ローソンの支援によって体制が整ったことで、上場を検討できる状態になった」(唐沢本部長)という』、「成城石井の強さの源泉は、自社のセントラルキッチンで総菜などを製造・開発するSPA(製造小売業)型のビジネスモデル」、「飲食店で食べるような高品質の料理を自宅で楽しむことができるなど、他社では買えない独自の商品を強みに」、「現在2カ所の総菜調理センターを関東に持つ。店舗数の拡大に伴って総菜調理のキャパシティーも限界に近づいており、今夏には3カ所目のセンターが稼働予定」、なるほど。
・『SPAのノウハウ吸収を狙ったが…  一方、あるコンビニ大手の幹部は「成城石井とローソンにシナジーはほとんどなかった」と指摘する。想定されたシナジーが生まれなかった結果、成城石井をローソングループ内にとどめる必要性が小さくなったことが、上場を検討している背景にあると見ているわけだ。 成城石井の買収時、ローソンが想定したシナジーの1つが、成城石井が持つSPAのノウハウを取り入れることだった。 買収を主導したローソンの玉塚元一社長(当時、現ロッテホールディングス社長)は、「(買収の狙いは)小商圏の製造小売業という本業の強化だ。成城石井は原材料調達から製造方法まで非常にこだわっている」と期待を語っていた(当時のインタビューはこちら)。 しかし、結果として思い描いたとおりのシナジーが発現したとは言い難い。両社による商品の共同開発は実現したとはいえ、ローソンがSPAのノウハウを吸収して自ら総菜製造に乗り出したわけでもない。 客層の違いなどから、高級路線の成城石井の商品をローソンで扱うハードルも高かった。地方にある一部のローソン店舗に成城石井コーナーを展開したことや、ローソンで成城石井のワインや冷凍食品などを扱っていることなど、商品展開における協業効果はかなり限定的だった。 「ローソンは国内コンビニ事業を立て直すために、投資を集中する必要がある。そのために、成城石井に限らず非コンビニ事業の見直しを検討しているようだ」。あるコンビニ業界関係者はそう明かす。 ローソン側は「現金がどうしても必要というわけではない」(唐沢本部長)と、あくまで成城石井の資本戦略としての側面を強調するが、株式売却によって得られる巨額のキャッシュは、ローソンにとって大きな意味を持つ。 1店舗の1日当たり売上高である平均日販でローソンは現在、セブン-イレブンとファミリーマートに次ぐ業界3位の座に甘んじている。ローソンの平均日販は約50万円で、首位のセブンと15万円近い差がある。日販で長年上回っていたファミマにも、コロナまっただ中の2020年度に逆転された』、「思い描いたとおりのシナジーが発現したとは言い難い・・・客層の違いなどから、高級路線の成城石井の商品をローソンで扱うハードルも高かった」、「ローソンの平均日販は約50万円で、首位のセブンと15万円近い差がある。日販で長年上回っていたファミマにも、コロナまっただ中の2020年度に逆転された」、なるほど。
・『販促施策でセブン、ファミマに出遅れ  ローソンが反転攻勢に向けて強化を迫られるのが、従来他社に劣後してきたマーケティング関連施策への投資だ。 2022年2月期、ローソン単体で広告費用や値引きキャンペーンなどに用いた広告宣伝費は109億円だった。同期に456億円を計上したセブン-イレブン・ジャパンの2割にすぎない。ローソン関係者も「以前から、資金があればもっと広告費を投下したいとは思ってきた。広告は集客効果も高い」と、販促施策の重要性を強調する。 ファミマは2020年、日本マクドナルド復活の立役者としても知られるマーケターの足立光氏をCMO(最高マーケティング責任者)として招聘。足立CMOの下でブランド戦略の強化を推し進めている。 ローソンの竹増貞信社長は「コストを削って加盟店利益を伸ばしてきたがそれももう限界。売り上げを伸ばしていかないといけない」と語る。国内でコンビニの店舗数が飽和状態にある現状では、日販を伸ばす以外に成長曲線を描くことは難しい。 再び業界2位に浮上し、セブンの背中を捉えることはできるか。虎の子の上場で得る資金をバネに、ローソンの大きな挑戦が始まるかもしれない』、「従来他社に劣後してきたマーケティング関連施策への投資だ。 2022年2月期、ローソン単体で広告費用や値引きキャンペーンなどに用いた広告宣伝費は109億円だった。同期に456億円を計上したセブン-イレブン・ジャパンの2割にすぎない」、「成城石井」上場で「ローソン」の「広告宣伝費」はどこまで増やせるのだろう。

第三に、本年4月8日付けダイヤモンド・オンライン「「グリーンローソン」は何が違う?新型店が示す“コンビニの未来”とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/319474
・『ローソンは昨年11月下旬、「グリーンローソン」の1号店をオープンした。廃棄ゼロなどを目指すなど環境に配慮した店舗で、2024年までに全国展開するというが、果たして地域に根付いた店舗となり得るのか。その特徴や普及の見込みについて、流通ジャーナリストの渡辺広明氏に聞いた』、興味深そうだ。
・『ワンオペ営業という未来のコンビニ 「グリーンローソン」  ローソンは昨年11月、東京・北大塚に「グリーンローソン 北大塚一丁目店」をオープンした。プラスチック削減など環境に配慮しつつ、完全セルフレジやアバター接客なども導入した実験型店舗である。 また、通常の店舗で販売している「チルド弁当」や「常温弁当」の販売は行わず、冷凍弁当と店内厨房で作る弁当のみを販売。これによって弁当の廃棄を大幅に削減し、食品ロスにも対応するという。 このような今回のローソンの実験的な試みについて、渡辺氏はこう評する。 「『グリーン』というネーミングやSDGs的な取り組みが大きく取り上げられますが、それは今回の新店舗の一側面にすぎません。今回の新店舗はいわば“未来のコンビニ”です。今後のコンビニのエッセンスが詰め込まれていると思います。なにせ23のさまざまな取り組みのうち、13は初の取り組みですからね」 前述の取り組みの他にも、デリバリー配達員の商品受け取り用BOX、商品を手に取った客への推薦の声かけロボットの設置など目新しいものが多い。最も渡辺氏が驚いたのはレジカウンターに接客の店員が基本的にいないことだという。 「グリーンローソンは基本的に接客においてはワンオペを念頭に置いています。これは、人手不足への対応とそのなかでも利益を確保するというコンビニ業界の姿勢が如実に表れています。セルフレジ化の課題は酒とたばこの年齢確認でしたが、運転免許証か店員による確認が選択できるようになったことでスムーズになっています。また、今年、日本フランチャイズチェーン協会によるセルフレジを使った非対面販売のガイドラインが策定され、マイナンバーカードによる確認も可能になったので、ますます障壁はなくなっています」 グリーンローソンではたばこはレジの下に陳列されており、客が直接取り出せるようになっている。また、セルフレジではモニター上のアバターが使い方をサポートするため、店舗にいる店員の接客業務はほぼ必要ない(アバターはオンラインでつながっているスタッフが遠隔操作する)。 「アバターはセルフレジの他、店内のモニターで、入り口のあいさつ、商品やサービスの説明を行っています。アバターは複数店で場所も選ばずに働けるため、将来は外出できない人や障がいのある人の働き口にもなると思います。他にも法整備は必要ですが、薬剤師のアバターを用いて薬販売を行うなど、さまざまな展開が予想できます」』、「今回の新店舗はいわば“未来のコンビニ”」、「デリバリー配達員の商品受け取り用BOX、商品を手に取った客への推薦の声かけロボットの設置など目新しいものが多い。最も渡辺氏が驚いたのはレジカウンターに接客の店員が基本的にいないこと」、「セルフレジ化の課題は酒とたばこの年齢確認でしたが、運転免許証か店員による確認が選択できるようになったことでスムーズになっています」、面白い試みだ。
・店内業務の無人化で店内調理に注力可能に  こうして店内業務の大半を無人化できることで、冒頭で触れた店内調理に注力することが可能となる。 「工場で作ったものよりも、たとえ冷凍食品に一手間かけただけでも、作りたてのほうがおいしいという顧客ニーズに応えるのが狙いです。また、地方など飲食店が家の近くにない場所だと、手作りが食べられるということはとてもありがたいもの。高齢者が家から出る理由になりますし、コミュニケーションも生まれます」 グリーンローソンの店内厨房の一部メニューでは、オーダーを受けてから作る「できたてモバイルオーダー」を導入。モバイルオーダーのメニューには「スンドゥブとチョイ飯セット」など、通常のローソンでは販売していない専門店メニューがあるという。もはや、コンビニではなく、「ほっともっと」や「オリジン弁当」がライバルになりそうだ。 「普通に考えたらコンビニの店内調理なんて手間暇がかかってやってられません。しかし、セルフレジが9割であるグリーンローソンなら、店員の業務は品出しと掃除くらい。そのぶん手作りを好むお客さんに向けた商品を提供できるし、店員自身の負担減、フードロスの削減にもつながります」 また、箸やフォークなどのカトラリーは順次完全撤廃していき、レジ袋はオープン時から販売していない。その代わり、自宅で不要になった紙袋を店頭で回収し、買い物袋として再利用してもらう。 「他にもこれまでのコンビニと異なるのは、扉付き要冷機(冷蔵ショーケース)です。今までの多くのコンビニの要冷機はペットボトルなどが取りやすいように、扉などがなくオープンな状態でした。しかし、グリーンローソンでは扉を付け、大幅な省エネを実現しています」』、「セルフレジが9割であるグリーンローソンなら、店員の業務は品出しと掃除くらい。そのぶん手作りを好むお客さんに向けた商品を提供できるし、店員自身の負担減、フードロスの削減にもつながります」、「今までの多くのコンビニの要冷機はペットボトルなどが取りやすいように、扉などがなくオープンな状態でした。しかし、グリーンローソンでは扉を付け、大幅な省エネを実現しています」、合理的なやり方だ。
・『コンビニの「便利さ」は見直しの転換期に  グリーンローソンのさまざまな取り組みに共通しているのは「不便さ」だと渡辺氏は話す。 「レジ袋がない、セルフレジ、箸がない、一手間かけてペットボトルを取る……、これらはすべて『楽で便利』であったはずのコンビニがどんどん不便になっていることを示しています。近年の円安、物価高、エネルギー不足、人手不足などを経て、これまで通りでは持続不可能と誰もがわかっています。かつての日本のぜいたくの象徴であり、世界最高の小売店といわれたコンビニも、そうした流れのなかで、不便を受け入れて新しい業態に変わろうとしているということです。その象徴がグリーンローソンなのでしょう」 セブンイレブンは今年創業50周年、ローソンも2025年で50周年という節目を迎える。それと同時に転換期も迎えているのだろう。それでは、このような未来のコンビニであるグリーンローソンは全国に普及するのだろうか。 「今回の試みのすべてが成功することはないでしょう。試行錯誤しながらいい形に落としどころを見つけていき、ある程度の汎用性を持つものになると思います。また、全国一律に広がるわけではなく、人との触れ合いを求めるお客さんが多い地域などでは、昼は店員がレジを打ち、深夜はセルフレジにするなど、ニーズに合わせて変わっていくでしょう。一方で、人手不足はローソンだけの問題ではないので、今後このような省人化店舗は全国的には広がっていくと思います。我々はそうした不便なコンビニを今後受け入れなければならないのです」 実際にグリーンローソンに行ってみると、若者のみならず高齢者もセルフレジで買い物をしていた。「不便なコンビニ」にすでに多くの人が対応しつつあるようだ。今後も、ローソンによる業界をけん引する取り組みに注目だ。』、「「レジ袋がない、セルフレジ、箸がない、一手間かけてペットボトルを取る……、これらはすべて『楽で便利』であったはずのコンビニがどんどん不便になっていることを示しています」、「かつての日本のぜいたくの象徴であり、世界最高の小売店といわれたコンビニも、そうした流れのなかで、不便を受け入れて新しい業態に変わろうとしているということです。その象徴がグリーンローソン」、「若者のみならず高齢者もセルフレジで買い物をしていた。「不便なコンビニ」にすでに多くの人が対応しつつあるようだ。今後も、ローソンによる業界をけん引する取り組みに注目だ」、同感である。
タグ:物言う株主が、主張の根拠を具体的な形で示すとは珍しい。 (その10)(コンビニ事業以外は「全面撤退すべき」と主張 セブン 米ファンドが示した「株価2倍計画」の中身、ローソン 虎の子「成城石井」を上場検討の懐事情 成長資金確保で狙う「コンビニ3位」からの脱却、「グリーンローソン」は何が違う?新型店が示す“コンビニの未来”とは) 「第1段階で行うのはコンビニ事業に注力する戦略の発表」、「第2段階は、百貨店子会社のそごう・西武の速やかな完全売却」、「総合スーパー子会社のイトーヨーカ堂の売却、もしくは食品事業に集中したうえでのスピンオフ(分離独立)だ」、「第3段階は、ほかの非中核事業からの撤退だ。セブン銀行といった金融事業、ファミレスのデニーズ、雑貨店のロフトやフランフラン、通販のニッセンなど、コンビニを除く事業から全面撤退する」、「第4段階は海外のコンビニ戦略の見直し」、「グループシナジーにも疑問符を付ける」、 「取締役は13人。その過半数の8人が社内取締役で、井阪社長を除く7人は事業子会社の社長や役員を務めている」、やはり少なくとも過半数は「社外」とすべきだろう。 東洋経済オンライン「コンビニ事業以外は「全面撤退すべき」と主張 セブン、米ファンドが示した「株価2倍計画」の中身」 東洋経済オンライン「ローソン、虎の子「成城石井」を上場検討の懐事情 成長資金確保で狙う「コンビニ3位」からの脱却」 「集中購買などでシナジーが最も期待できる国内のセブン-イレブン、イトーヨーカ堂、食品スーパーのヨークベニマルの3社においても、その効果は2021年2月期の営業利益のうち4%未満だと分析」、一見すると説得力がありそうだが、「井阪隆一社長は、バリューアクトの戦略計画は「想像に基づいた形で作られたもの」とコメント」、立場上、そうコメントせざるを得ないのだろう。 米ファンドのバリューアクト コンビニ 「2014年に総額約550億円を投じ・・・全株式を取得」、それが「上場時の時価総額は2000億円を上回る可能性」とはローソンにとってもすごい投資効率だ。 「成城石井の強さの源泉は、自社のセントラルキッチンで総菜などを製造・開発するSPA(製造小売業)型のビジネスモデル」、「飲食店で食べるような高品質の料理を自宅で楽しむことができるなど、他社では買えない独自の商品を強みに」、「現在2カ所の総菜調理センターを関東に持つ。店舗数の拡大に伴って総菜調理のキャパシティーも限界に近づいており、今夏には3カ所目のセンターが稼働予定」、なるほど。 「思い描いたとおりのシナジーが発現したとは言い難い・・・客層の違いなどから、高級路線の成城石井の商品をローソンで扱うハードルも高かった」、「ローソンの平均日販は約50万円で、首位のセブンと15万円近い差がある。日販で長年上回っていたファミマにも、コロナまっただ中の2020年度に逆転された」、なるほど。 「従来他社に劣後してきたマーケティング関連施策への投資だ。 2022年2月期、ローソン単体で広告費用や値引きキャンペーンなどに用いた広告宣伝費は109億円だった。同期に456億円を計上したセブン-イレブン・ジャパンの2割にすぎない」、「成城石井」上場で「ローソン」の「広告宣伝費」はどこまで増やせるのだろう。 ダイヤモンド・オンライン「「グリーンローソン」は何が違う?新型店が示す“コンビニの未来”とは」 「今回の新店舗はいわば“未来のコンビニ”」、「デリバリー配達員の商品受け取り用BOX、商品を手に取った客への推薦の声かけロボットの設置など目新しいものが多い。最も渡辺氏が驚いたのはレジカウンターに接客の店員が基本的にいないこと」、「セルフレジ化の課題は酒とたばこの年齢確認でしたが、運転免許証か店員による確認が選択できるようになったことでスムーズになっています」、面白い試みだ。 「セルフレジが9割であるグリーンローソンなら、店員の業務は品出しと掃除くらい。そのぶん手作りを好むお客さんに向けた商品を提供できるし、店員自身の負担減、フードロスの削減にもつながります」、「今までの多くのコンビニの要冷機はペットボトルなどが取りやすいように、扉などがなくオープンな状態でした。しかし、グリーンローソンでは扉を付け、大幅な省エネを実現しています」、合理的なやり方だ。 「「レジ袋がない、セルフレジ、箸がない、一手間かけてペットボトルを取る……、これらはすべて『楽で便利』であったはずのコンビニがどんどん不便になっていることを示しています」、「かつての日本のぜいたくの象徴であり、世界最高の小売店といわれたコンビニも、そうした流れのなかで、不便を受け入れて新しい業態に変わろうとしているということです。その象徴がグリーンローソン」、「若者のみならず高齢者もセルフレジで買い物をしていた。「不便なコンビニ」にすでに多くの人が対応しつつあるようだ。今後も、ローソンによる業界をけん引す る取り組みに注目だ」、同感である。
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不動産(その10)(空き家が増加中 高級住宅街「田園調布」の住民が 自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?、東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由、中国人に「大阪・西成一帯」が人気!中国高級車の旗艦店も出店で街が激変) [産業動向]

不動産については、昨年4月21日に取上げた。今日は、(その10)(空き家が増加中 高級住宅街「田園調布」の住民が 自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?、東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由、中国人に「大阪・西成一帯」が人気!中国高級車の旗艦店も出店で街が激変)である。

先ずは、昨年5月3日付け幻冬舎Gold Online「空き家が増加中。高級住宅街「田園調布」の住民が、自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?」を紹介しよう。
https://gentosha-go.com/articles/-/42647?per_page=1
・『近年、都内の高級住宅地に空き家が増加するという現象が起こっています。それはかつての高級住宅地の代名詞「田園調布」も例外ではありません。なぜ、空き家が増加しているのか? その原因のひとつである“建築協定”とはどんなものかについて解説します』、「田園調布」で「空き家が増加中」とは興味深そうだ。
・『渋沢栄一が創った理想住宅地「田園調布」  日本資本主義の父と謳われる渋沢栄一。1873年に自ら設立に携わった日本最初の銀行・第一国立銀行(現・みずほ銀行)の総監役に就任したのを皮切りに、次々と銀行の設立、経営を手がけました。その天賦の才を発揮するフィールドは銀行にとどまることを知らず、ガスや鉄道などのインフラ事業、貿易や保険、新聞など、産業革命後の日本人の暮らしを支える、あらゆる重要事業で活躍しました。 常に未来を見据え、進歩的な目線で社会システムの構築に取り組んだ渋沢栄一。彼が都市づくりを目的に設立した「田園都市株式会社」が開発したのが、現在の「田園調布」である「多摩川台住宅地」です。 イギリスの近代都市計画の祖と敬われている、エベネザー・ハワードというイギリス人社会改良家がいます。彼が1898年に提唱した、都市労働者が健全な生活を送るため、都市と田園の長所を兼ね備えた、自然の美と都市の機能が同時に享受できる理想都市論が「田園都市論」です。 この「田園都市論」を日本で応用しようと考えたのが渋沢栄一です。「田園調布」は1923年(大正12年)の誕生以降、昭和の高度経済成長期の一戸建て住宅需要の高まりとともに、高級住宅地の代名詞としてその名を高めていきました。 しかし、近年では「空き家」の増加、それに伴う住人の高年齢化などが懸念されています。なぜ? 人気住宅地として高名な「田園調布」で、「空き家」が増加したのでしょうか。その理由は“建築協定”にあります』、「“建築協定”」はさぞかし厳格なものなのだろう。
・『住民自らが取り決める“建築協定”  建築基準法(第69条~77条)に基づくまちづくりの制度のなかに、“建築協定”というものがあります。建築基準法で定められた国の基準に加えて、住民が自発的に基準を設けるのです。 建築物の形態や用途に関してルールを決めて、互いに守り、監視し合うことで、良好な住環境を永続させていくための制度です。「田園調布」の場合は、「田園調布憲章」という名のもとに、次のような基準が設けられています。 “●敷地は165平方メートル以上 ●建物の高さは9メートル、地上2階建てまで ●敷地周囲に原則として塀は設けず、植栽による生け垣。石材、コンクリートなどの塀の場合、高さ1.2メートル以下 ●一定面積の樹木による緑化。既存樹木は原則として残す ●外壁や屋根などの色は、地区の環境に調和した落ち着いたものとする ●道路や敷地境界線から1メートルには塀や門、看板など、緑化を妨げる工作物の設置禁止 ●ワンルームタイプの集合住宅は不可” (2016年10月6日付朝日新聞「(田園調布…高級住宅地の街:1)時間ゆるり、緑の邸宅街」より引用) つまり、「田園調布」では165平方メートル以上の敷地がなければ、住宅を建てることが出来ません。すなわち、土地の所有者が亡くなり、相続人が手放そうとした場合、土地を分割して売ることが難しいという問題が発生してしまうのです』、「「田園調布」では165平方メートル以上の敷地がなければ、住宅を建てることが出来ません。すなわち、土地の所有者が亡くなり、相続人が手放そうとした場合、土地を分割して売ることが難しいという問題が発生してしまう」、確かに厳格だ。
・『個人にも、不動産業者にも不都合な土地  例えば、相続人が300平方メートルの土地を売ろうとする場合、分割して売りに出し、各々にしっかり買い手を見つけることは非常に困難です。 なぜなら、最低165平方メートル以上の面積がなければ住宅を建てることができず、この面積を確保するとなると、残りは住宅を建てられる基準には広さが到底及ばず、適切な使途が見当たらないからです。 土地を分割せずに売るとしても、土地代があまりに高額すぎるため、購入できる層の母数がぐっと減ってしまい、こちらも買い手を見つけるのが非常に困難です。「田園調布」の300平方メートルの土地の相場は1億数千万円にも及ぶと言われています。 では、個人の住宅用ではなく、資金の準備がある不動産業者は買い手になるでしょうか。この場合も“建築協定”の「田園調布憲章」がネックとなります。 「建物の高さは9メートル、地上2階建てまで」とされているため、継続的な利益が見込める、高層マンションや商業ビルなどを建てることはできません。さらに、「ワンルームタイプの集合住宅は不可」とされているため、単身者向け住宅も建てられません。 このように、「田園調布」の土地は個人にとっても、不動産業者にとっても、手が出しづらい状況にあります』、「「田園調布」の土地は個人にとっても、不動産業者にとっても、手が出しづらい状況にあります」、細分化を防ぐ狙いなのだろうが、「手が出しづらい状況にあります」、やむを得ないとはいえ、困ったことだ。
・『高額な相続税も、相続人のネックに  土地の価値が高いということは、それだけ相続税も高騰します。支払う余力がない場合には、相続した土地を担保に融資を受け、別の土地で不動産経営をするなど、工夫が必要です。また、リフォームをしてファミリー向け賃貸物件として経営するという選択肢もあります。 さらに、空き家が増え新しい住民が入らなくなると懸念されるのは、住民の高齢化です。「田園調布」は坂も多く、スーパーなどの商業施設は駅周辺にしかないことを考えると、高齢者にとって住みやすいとは決して言えない街でもあります。ですが、住民にとっては、このうえなく親しみのある街なのです。 戦前に誕生し、高度経済成長期の日本とともに成長し、様変わりしてきた「田園調布」。さらなる時代の変化とともに、新たな息吹が吹き込まれることを期待せずにはいられません』、「田園調布憲章」には多少の問題はあっても、住民は全体としてはこれを支持しているようだ。

次に、6月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したLIFULL HOME’S総合研究所・副所長チーフアナリストの中山登志朗氏による「東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304129
・『コロナ禍での「働き方改革」で東京のオフィス空室率が拡大  西暦2000年になるとコンピュータが誤作動する恐れがあるとされた「2000年問題(Y2K問題)」以降、「オフィス2003年問題」「国債償還期限2008年問題」「生産緑地2022年問題」など、毎年のように「20××年問題」と、火のないところに煙を立てるかのような話題作りが続けられてきた印象がある。 だが「東京のオフィス2023年問題」だけは、例外だと言わなければならないようだ。 コロナ前の2019年、東京のオフィス平均空室率は1%台で安定推移しており(しかも年間を通じてじりじりと縮小していた)、2019年12月には1.55%、新築ビルでも4.82%と、入居好不調目安の5%を下回るほどの好調を維持していた(三鬼商事調べ、以下同)。 また全国で見ても、新型コロナ感染者が発生し“Withコロナ”に突入した2020年2月時点で平均1.49%、新築ビル3.95%と順調かつ安定的な空室消化を示している。 しかし、それ以降はコロナ感染者の増加に初の緊急事態宣言の発出と、コロナ感染の急拡大状況を受けて東京のオフィス空室率は拡大の一途となり、同年8月には平均で3%、11月には4%を突破した。その後も東京のオフィス空室率は拡大を続け、1年後の2021年10月には6.47%(新築ビル14.03%/既存ビル6.39%)にまで達している。 新規に供給されるオフィスの空室率を見る上では5%、つまり95%埋まっているかどうかが市況の好不調の目安とされている。新築マンションの初月契約率については70%が売れ行きの好不調の目安とされるように、その数値自体にさしたる根拠はないのだが、コロナ禍における2021年のオフィス空室率の推移はその目安を上回る状況であり、少なくとも好調とは到底いえない状況だった。それだけオフィス市場に対するコロナの影響は直接的だったというべきだろう。 正確に言えば、コロナの影響というよりは、コロナによっていわゆる“働き方改革”が半強制的に推進されることとなり、テレワークが多くの企業で導入・実施されたことが影響したというべきだろう。 テレワークも当初は毎週1日程度の試験的な導入であったものが、コロナ禍の拡大によって毎週数日になり、政府や自治体、経団連などの団体からの要請も重なって、ついには原則として在宅で勤務し必要なときだけ出社するという就業形態を導入する企業が増えた。 特に東京はテレワークという働き方に親和性の高い規模の上場企業(就業者数が多い企業ほど導入率は高い傾向がある)、業種(情報・通信、金融・保険業などは特に親和性が高い)、およびエリア(こういった規模および業種は東京都内に本社を置いていることが圧倒的に多い)という条件がそろっており、テレワークの導入が加速度的に進んだことが、不要になったオフィスの返却、契約変更などに表れたものとみることができる』、「東京のオフィス平均空室率は」「コロナ前の2019年」「1%台で安定推移」していたが、「2021年10月には6.47%」にまで上昇した。「テレワークの導入が加速度的に進んだことが、不要になったオフィスの返却、契約変更などに表れたものとみることができる」、ここまで上昇したとは驚かされた。
・『余談ながら、筆者が所属する不動産ポータルサイトLIFULL HOME’Sを運営するLIFULLでも、コロナ禍の拡大とともに出社とテレワークの選択制からテレワーク推奨へ、さらに原則テレワークへと出社頻度が漸減し、宣言や措置が発出されていない現状においても出社するかどうかは部署ごとにコントロールするという比較的柔軟な体制が敷かれている。ノートPC1台とネット環境さえあればどこでも仕事ができるというIT関連企業ならではの仕事のスタイルといえるだろう(この原稿も自宅で会社のノートPCに向かって打ち込んでいる)。) 従来、オフィスは効率良くかつ快適に活用できることで、その利便性と利用価値をアピールし続けてきたわけだが、コロナ感染防止の観点から社員相互の直接交流が難しくなったことで、“場”としてのオフィスの役割は大きく変化したといえる。従業員全員を収容する必要が初めからないのであれば、オフィスはそれだけ少なくて済むし、リモートワークが促進されれば、賃料が高額な都心にオフィスを構える意味も薄らいでくるというものだ。 これまでのビジネス慣習によってなかなか推進することが難しかった“働き方改革”だが、コロナ禍に対応せざるを得なくなった各企業が試しに導入してみたら、意外にもすんなりとテレワークに移行できた結果、これまで必要だったオフィスが余るという現象が発生することになった。このためコロナ禍の長期化とともにオフィスの空室率が徐々に拡大していったものと考えられる。 これまでも六本木ヒルズや丸ビル、品川インターシティなど巨大な床が創出される大型オフィスビルの竣工によって、一時的に空室率が高まるという現象はあったが(リーマン・ショック時も一時的にオフィス空室率が拡大した)、コロナ禍においてこのような大規模オフィスが次々と竣工すればコロナ禍&テレワークの進捗によって需要が減少したオフィス市場は一体どうなってしまうのか…これが「東京のオフィス2023年問題」の端緒といえる』、「これまでのビジネス慣習によってなかなか推進することが難しかった“働き方改革”だが、コロナ禍に対応せざるを得なくなった各企業が試しに導入してみたら、意外にもすんなりとテレワークに移行できた結果、これまで必要だったオフィスが余るという現象が発生することになった。このためコロナ禍の長期化とともにオフィスの空室率が徐々に拡大していったものと考えられる」、その通りだろう。
・『注目の常盤橋タワーでも開業時の空室率は10%  コロナ以前の2018年からコロナ禍に突入した2020年にかけては、幸いなことにコロナ前から新たに供給されるオフィスに入居する企業が順調に決まっていたこと、またオフィスの大量供給がなく需要と供給のバランスが取れていたことなどにより、冒頭で述べた通り、オフィス空室率は極めて良好な水準で推移していた。 またこれも幸か不幸か、2021年および2022年は東京オリンピック・パラリンピックのインフラ整備による人手不足などで、以前から新規のオフィス供給が控えめだったこともあり、コロナ禍においても空室率が7%前後にとどまっていたという見方ができる。 だが、2023年以降は一転してオフィスの大量供給が始まるため、これらの新規の床をどのように吸収・活用するのか、もしくはできるのかということが焦点となる。 それを占う意味で重要なポイントと思われるのが、2021年に竣工・開業した浜松町駅に直結する「世界貿易センタービルディング南館」と大手町に誕生した三菱地所の「常盤橋タワー」の需給状況だ。 開業時の空室率は、「世界貿易センタービルディング南館」でおおむね15%、「常盤橋タワー」も10%と、コロナ禍の収束が見通せないこの時期にしてはかなり健闘したというべきだろう。 だが、「常盤橋タワー」のような知名度と最新設備、立地条件をもってしても、好不調の目安とされる5%に届かなかったという事実は、今後のオフィス大量供給についてネガティブな印象を与える可能性が高いとみるべきだ。 これまで“去る者は追わず”だったオフィスの供給サイドも、新たな借り手探しが難しいと考えれば、入居企業が去ることを引き留めようとするだろう。その結果、オフィス市場は貸し手市場から借り手市場へと急激にシフトし、オフィス賃料が低下することになる』、「「常盤橋タワー」のような知名度と最新設備、立地条件をもってしても、好不調の目安とされる5%に届かなかったという事実は、今後のオフィス大量供給についてネガティブな印象を与える可能性が高いとみるべきだ。 これまで“去る者は追わず”だったオフィスの供給サイドも、新たな借り手探しが難しいと考えれば、入居企業が去ることを引き留めようとするだろう。その結果、オフィス市場は貸し手市場から借り手市場へと急激にシフトし、オフィス賃料が低下することになる」、その通りだろう。
・『2023年以降に完成予定の主な大規模開発案件とは  では、実際に2023年以降完成予定の主な大規模開発案件とはどういったものがあるのか。 先ず先頭を切るのは、森ビルが事業参画する「虎ノ門ヒルズステーションタワー・虎ノ門・麻布台プロジェクト」で、2023年7月(A-1/A-3街区)および11月(A-2街区)が竣工・開業する。 虎ノ門ヒルズステーションタワーの総床面積は合計で約33万平方メートルとされており、虎ノ門ヒルズプロジェクト全体では約80万平方メートルの床が創出されることになるから、森ビルのアプローチ次第ではあるものの、一気にオフィス床の流動化が発生する可能性が高まることは想像に難くない。 以降も、JR東日本が手掛ける総床面積約21万平方メートルの「高輪ゲートウェイシティ」が2025年3月竣工予定、三井不動産と野村不動産のJVで進行する総床面積約38万平方メートルの「日本橋一丁目中地区再開発・東京駅前八重洲一丁目東地区市街地再開発・八重洲二丁目中築第一種市街地再開発」が2026年3月竣工予定、三菱地所が日本最高層のオフィスとして建築する「TOKYO TORCH(東京トーチ)」のシンボルとなる地上63階/高さ約390m、総床面積約54万平方メートルのTORCH TOWERが2027年度竣工予定などとなっている。) ほかにも再開発が進む浜松町~田町エリアでも多くの計画が進んでいることから、巨大オフィスが2023年以降続々と新たなオフィス床を創出し続けることになる。 これら最新の設備と仕様を誇る超高層オフィスビルは、当然のことながら賃料も周辺相場より格段に高額な水準となることが想定されるから、与信および信用力が担保できる大手企業以外に入居を検討するところはほぼ皆無であろうし、オフィスの移転(特に本社機能の移転)には多くの時間と労力を要することから、2027年度竣工予定のTORCH TOWERにおいても既に水面下での入居交渉が始まっている。 供給サイドもコロナ禍でのオフィス需要の厳しさは把握しており、ワンフロア全てではなく小分けにして活用できるように工夫したり、複数の企業がオフィスの一部を共同使用できるようにしたり、オフィス・インテリアごと貸せるようにしたりとあの手この手で需要を喚起しようとしているようだ。 東京都内の企業では2022年4月以降、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されていなくてもテレワークは今も継続しており(コロナ前の就業体制へ一気に戻すと再びコロナ感染が拡大する局面に対応しにくくなるため)、東京のオフィス需要は依然として厳しい状況に変わりはないといえる。 この状況下で、上記に掲出したオフィスビルだけでも合計200万平方メートル弱もの新規の床が創出されることになれば、「東京のオフィス2023年問題」(正確には2023年以降も続くのだが)は現実味を帯びて迫ってくることになる。 折悪しく、ロシアのウクライナ侵攻による資材・食料価格の高騰や日米の政策金利の格差拡大による円安が発生し、その多くを輸入に頼らざるを得ない資材・エネルギー価格の高騰が足元で起きているから、オフィスのテナントとして想定される多くの企業で今後の業績の悪化が懸念されている。 コロナ禍によるテレワークの実施・定着、円安などによる企業業績の悪化、物価の上昇傾向など、オフィス環境を取り巻く状況は決して芳しくはない。果たしてオフィス開発を手掛ける各デベロッパーにはこの状況を乗り越える手段があるのか、今後の推移を注視したい。 コロナが明けて外資の日本での動きが本格化すれば、「東京のオフィス2023年問題」などあっという間に雲散霧消するとうそぶく業界関係者もいるにはいるのだが…。 (記事は個人の見解であり、執筆者が所属する会社の見解を示すものではありません)』、「上記に掲出したオフィスビルだけでも合計200万平方メートル弱もの新規の床が創出されることになれば、「東京のオフィス2023年問題」・・・は現実味を帯びて迫ってくることになる。 折悪しく、ロシアのウクライナ侵攻による資材・食料価格の高騰や日米の政策金利の格差拡大による円安が発生し、その多くを輸入に頼らざるを得ない資材・エネルギー価格の高騰が足元で起きているから、オフィスのテナントとして想定される多くの企業で今後の業績の悪化が懸念」、「コロナ禍によるテレワークの実施・定着、円安などによる企業業績の悪化、物価の上昇傾向など、オフィス環境を取り巻く状況は決して芳しくはない」、一層の注意を要するようだ。

第三に、本年4月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「中国人に「大阪・西成一帯」が人気!中国高級車の旗艦店も出店で街が激変」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/320914
・『日本のインバウンドツーリズムは再び幕を開け、ビジネス上の人的交流も息を吹き返しつつある。ポストコロナに期待されるのは「外からの目線」を利用した日本の課題解決だ。外国からの人の流れと資本の参入は街をどう活性化させるのか。中国からの人と資本の動きに注目して、大阪・西成一帯の変化をリポートする』、興味深そうだ。
・『中国人の間で西成区が人気  人口減少に悩まされる日本列島だが、大阪市で外国人居住者が増えている。2020年からのコロナ禍で減少傾向にあった外国人居住者が2022年12月末に15万2560人に達したのだ。 中でも注目したいのが同市西成区だ。統計が確認できる1960年以降、西成区は右肩下がりの人口減少が続き、その食い止めが行政の大きな課題のひとつになっていた。ところが、2022年は微増に転じたのである。 西成区の人口増加に貢献しているのが外国人居住者だ。2019年(9月末)には9525人だったが、コロナ禍にもかかわらず毎年その数は増え、2022年(9月末)には前年比で1563人増加し1万1696人になった。韓国・朝鮮籍(3422人)、ベトナム籍(3007人)に続くのが中国籍(2976人)の居住者だ。 中国語の通訳ガイドを務める楢崎宣夫さんは、「西成区役所の住民登録などを行う窓口では、以前に比べてはるかに多くの中国人を目にするようになりました」と語る。早朝の西成区役所窓口を訪れた筆者も、順番待ちの中に何人かの中国人を目撃した。 中国人が増えている背景には、いくつかの理由がある。その一つが中国からの“脱出”だ。大阪市に住む中国人の陳明さん(仮名)は「ここ数年で友人たちはみな、海外に出ていきました。ロックダウンで悲惨な目に遭った中国人は、なおさらこの国に居続けていいかを真剣に考えているのです」と明かす。 陳さん自身はすでにコロナ前に日本で経営管理ビザを取得しており、2022年6月に中国から東京に戻ってきたが、住みやすさを理由に大阪に転居したという。在留の中国人の中には、あえて西成区を選んで居住する中国人もいる。現在、独立起業した趙雲さん(仮名)も大阪定住を選んだ一人だが、その魅力をこう語っている。 「西成は物価が安く、さまざまな国から来た人たちが住んでいる。私たちにとってはそういう場所が住みやすい。ここが好きな中国人は結構多いですよ」 不動産情報サービスを手掛けるジープラスメディアによれば、2022年5月、「大阪で外国人が不動産を買いたい街」は、西成区が東大阪市を抜いて1位になった』、「西成区の人口増加に貢献しているのが外国人居住者だ・・・2022年(9月末)には前年比で1563人増加し1万1696人になった。韓国・朝鮮籍(3422人)、ベトナム籍(3007人)に続くのが中国籍(2976人)の居住者」、「在留の中国人の中には、あえて西成区を選んで居住する中国人もいる。現在、独立起業した趙雲さん(仮名)も大阪定住を選んだ一人だが、その魅力をこう語っている。 「西成は物価が安く、さまざまな国から来た人たちが住んでいる。私たちにとってはそういう場所が住みやすい。ここが好きな中国人は結構多いですよ」 不動産情報サービスを手掛けるジープラスメディアによれば、2022年5月、「大阪で外国人が不動産を買いたい街」は、西成区が東大阪市を抜いて1位になった」、「西成」は、「あいりん地区」もあり、かっては恐い街のイメージだったが、最近は変わりつつあるようで、驚かされた。
・『街の評価を変えたのは外国人  「JR新今宮駅周辺は独特な雰囲気だった」――。こう振り返るのは、大阪市浪速区に住む会社員・本田美幸さん(仮名)だ。浪速区との区界となる「堺筋」の南にある西成区の萩之茶屋一帯を、子どもの頃から異空間として見つめ続けてきた。 すぐそばにあるJR西日本・大阪環状線の天王寺駅には、日本一の高さを誇る複合ビル「あべのハルカス」があり、富裕層の住む街としても知られる。その隣接駅の新今宮駅や御堂筋線・堺筋線の2路線が乗り入れる動物園前駅一帯には、日雇い労働者のための宿が集積する「あいりん地域」がある。 「新今宮駅の周辺は、仕事や家族やお金がないといった難しい問題を抱える人たちが集まる地域でしたが、昨年春に星野リゾートのホテルができたのには本当に驚きました」と本田さんは続ける。 問題山積の、地元の人からも見捨てられた一帯だったが、「ここが変わり始めたのは、日本がインバウンドに向けて大きくかじを切った頃からでしょうか」と、前出の通訳ガイド・楢崎さんは話す。 堺筋を挟んで北の浪速区には、通天閣などの観光地がある。関西空港やUSJ(ユニバーサルスタジオ・ジャパン)などへのアクセスもいい。ある意味“手つかず”だった西成区の萩之茶屋一帯は、実は地の利に恵まれた絶好のエリアであり、インバウンドが本格化したこの10年で徐々に外国人客が訪れるようになった。 西成区の変遷を見つめる企業経営者の男性は、「日雇いの人々にも変化が起きています。スマホを見ながら場所探しする外国人ツーリストに積極的に声をかけて道案内するなど、できる限りの“おもてなし”をする風景を目にするようになりました」と語る。外国人の中にはホテルでの仕事に就いたり、バーを経営したりと、この地に根を下ろす人たちもいる。 日雇い労働者の街が遂げた一大変化の裏には、こうした外国人目線による再評価がある。 楢崎さん自身もこれを実感する一人だ。最近も中国人出張者から「大阪の安い宿を探してくれ」と頼まれてネットを検索し、一泊1700円で利用できる西成警察署前の宿を紹介したところ、「これは安い!」と手をたたいて喜ばれたという。 「バス・トイレは共同で、三畳一間というまるで独房のような部屋やけど、コスト重視の中国人出張者もめっちゃ気に入ってましたわ」(楢崎さん) 宿の向かいにある高い柵や鉄格子で囲まれた西成警察署が象徴するように、実は少し前まで、宿が立地するエリアは暴動が起きるなど、あいりん地域でも危険視されていた場所だった。 楢崎さんは長い歴史を振り返りながら、「そんないわく付きのエリアに外国人客が泊まるってこと自体が歴史的な一歩なんや」とつぶやく』、「西成区の萩之茶屋一帯は、実は地の利に恵まれた絶好のエリアであり、インバウンドが本格化したこの10年で徐々に外国人客が訪れるようになった。 西成区の変遷を見つめる企業経営者の男性は、「日雇いの人々にも変化が起きています。スマホを見ながら場所探しする外国人ツーリストに積極的に声をかけて道案内するなど、できる限りの“おもてなし”をする風景を目にするようになりました」と語る。外国人の中にはホテルでの仕事に就いたり、バーを経営したりと、この地に根を下ろす人たちもいる。 日雇い労働者の街が遂げた一大変化の裏には、こうした外国人目線による再評価がある」、「外国人目線による再評価」、なるほど説得力がある。
・『中国系店舗も地域との関係を重視  一帯には、“中国資本”も流入するようにもなった。 西成警察署から車で3分ほどの浪速区大国町に、2021年末、中国第一汽車の高級自動車ブランド「紅旗」の旗艦店がオープンした。毛沢東が乗ったといわれる中国の国産車だが、1000万円を超える中国の高級自動車を扱う旗艦店が大国町にできたことは、一部の地元民からも注目された。 日本の第一号店を大阪に設けたのは「中国でもハイエンドモデルができるという宣伝戦略」(中国メディア)であり、また「輸入元が関西にあるため」(日本メディア)とも言われる一方で、中国事情についてよく知る地元の男性は、こうした動向について次のような解釈を与えている。 「西成区と接するこの一帯も、地元の人からすれば『ややこしい地域』ですが、そんなところに高級車を売る外国資本が参入してきたことは、中国企業にとって過去の評判やイメージなどまるで関係ないことを意味しているのです」 前回、当コラムでは「2010年前後に萩之茶屋の商店街の空き店舗を中国資本が買収した」という話をお伝えした。 その後、瞬く間に数を増やした中国系カラオケ居酒屋は、「危険地帯にできた怪しげな店舗群」として、2015年頃に大手メディアなどでたびたび取り上げられてきた。萩之茶屋一帯に中国系カラオケ居酒屋ができた当初は、客引きや大音量のカラオケ、ゴミの不始末などの諸問題が増え、これまで以上に輪をかけた無秩序化が進んだ。しかし、約10年がたった今は、これも昔話になりつつある。 ゴミ問題については「依然として、路地裏に不法投棄をするケースもある」という地元の声もあるが、筆者がこの商店街を歩いたときには、目をそむけたくなるような光景や客引き、大音量のカラオケは特に気にならなかった』、「中国第一汽車の高級自動車ブランド「紅旗」の旗艦店がオープンした」。「西成区と接するこの一帯も、地元の人からすれば『ややこしい地域』ですが、そんなところに高級車を売る外国資本が参入してきたことは、中国企業にとって過去の評判やイメージなどまるで関係ないことを意味」、商売の流れに敏感な華僑の意見を参考にしたのかも知れない。
・『西成区も見て見ぬふりをせずコミット  後日、西成区役所に尋ねてみた。すると次のようなコメントが返ってきた。 「カラオケ居酒屋などの事業者は、民間業者に委託する形でゴミを回収するようになりました。当初は問題もあった中国系居酒屋でしたが、ルールを守るようになり、地域との関係を重視するようになったといえます」 西成区役所は「適正な指導を続けた結果」とも話していたが、そこには橋下徹氏が大阪市長時代に行った大改革を下地とした積極的なコミットがあったことが見て取れる。 同区は長らく“貧困と福祉の街”ともいわれ、「昔から“ややこしい人”の対応に慣れている」といった前向きな評価がある。この街には、コミュニケーションが難しい外国人をも包摂し、前向きに課題解決をする力があると捉えてもいいのかもしれない。 今後もアジアからの定住人口が増加すれば、人口減少に歯止めがかかり、若い世代が増えて新たなカルチャーを生み出す可能性がある。過渡期的には“ニューカマー”との摩擦やあつれき、犯罪発生やルール違反もあるだろうが、同区は恐らく今後も、見て見ぬふりをせず政策的サポートで地域の発展にリンクさせていくのではないか。 世界に目を転じれば、G7の多くの都市は外国からの人や資本の移動を新たなチャンスと受け止め、難題を抱えながらも積極的な受け入れで発展を維持している。西成区には、国際社会で進む“真のダイバーシティ”に比肩するようなダイナミズムがあり、多様なカルチャーが創る「未来都市の到来」を十分に予感させるのだ』、「西成区には、国際社会で進む“真のダイバーシティ”に比肩するようなダイナミズムがあり、多様なカルチャーが創る「未来都市の到来」を十分に予感させる」、「西成」の今後が楽しみだ。
タグ:(その10)(空き家が増加中 高級住宅街「田園調布」の住民が 自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?、東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由、中国人に「大阪・西成一帯」が人気!中国高級車の旗艦店も出店で街が激変) 不動産 幻冬舎Gold Online「空き家が増加中。高級住宅街「田園調布」の住民が、自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?」 「田園調布」で「空き家が増加中」とは興味深そうだ。 「“建築協定”」はさぞかし厳格なものなのだろう。 「「田園調布」では165平方メートル以上の敷地がなければ、住宅を建てることが出来ません。すなわち、土地の所有者が亡くなり、相続人が手放そうとした場合、土地を分割して売ることが難しいという問題が発生してしまう」、確かに厳格だ。 「「田園調布」の土地は個人にとっても、不動産業者にとっても、手が出しづらい状況にあります」、細分化を防ぐ狙いなのだろうが、「手が出しづらい状況にあります」、やむを得ないとはいえ、困ったことだ。 「田園調布憲章」には多少の問題はあっても、住民は全体としてはこれを支持しているようだ。 ダイヤモンド・オンライン 中山登志朗氏による「東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由」 「東京のオフィス平均空室率は」「コロナ前の2019年」「1%台で安定推移」していたが、「2021年10月には6.47%」にまで上昇した。「テレワークの導入が加速度的に進んだことが、不要になったオフィスの返却、契約変更などに表れたものとみることができる」、ここまで上昇したとは驚かされた。 「これまでのビジネス慣習によってなかなか推進することが難しかった“働き方改革”だが、コロナ禍に対応せざるを得なくなった各企業が試しに導入してみたら、意外にもすんなりとテレワークに移行できた結果、これまで必要だったオフィスが余るという現象が発生することになった。このためコロナ禍の長期化とともにオフィスの空室率が徐々に拡大していったものと考えられる」、その通りだろう。 「「常盤橋タワー」のような知名度と最新設備、立地条件をもってしても、好不調の目安とされる5%に届かなかったという事実は、今後のオフィス大量供給についてネガティブな印象を与える可能性が高いとみるべきだ。 これまで“去る者は追わず”だったオフィスの供給サイドも、新たな借り手探しが難しいと考えれば、入居企業が去ることを引き留めようとするだろう。その結果、オフィス市場は貸し手市場から借り手市場へと急激にシフトし、オフィス賃料が低下することになる」、その通りだろう。 「上記に掲出したオフィスビルだけでも合計200万平方メートル弱もの新規の床が創出されることになれば、「東京のオフィス2023年問題」・・・は現実味を帯びて迫ってくることになる。 折悪しく、ロシアのウクライナ侵攻による資材・食料価格の高騰や日米の政策金利の格差拡大による円安が発生し、その多くを輸入に頼らざるを得ない資材・エネルギー価格の高騰が足元で起きているから、オフィスのテナントとして想定される多くの企業で今後の業績の悪化が懸念」、 「コロナ禍によるテレワークの実施・定着、円安などによる企業業績の悪化、物価の上昇傾向など、オフィス環境を取り巻く状況は決して芳しくはない」、一層の注意を要するようだ。 姫田小夏氏による「中国人に「大阪・西成一帯」が人気!中国高級車の旗艦店も出店で街が激変」 「西成区の人口増加に貢献しているのが外国人居住者だ・・・2022年(9月末)には前年比で1563人増加し1万1696人になった。韓国・朝鮮籍(3422人)、ベトナム籍(3007人)に続くのが中国籍(2976人)の居住者」、「在留の中国人の中には、あえて西成区を選んで居住する中国人もいる。現在、独立起業した趙雲さん(仮名)も大阪定住を選んだ一人だが、その魅力をこう語っている。 「西成は物価が安く、さまざまな国から来た人たちが住んでいる。私たちにとってはそういう場所が住みやすい。ここが好きな中国人は結構多いですよ」 不動産情報サービスを手掛けるジープラスメディアによれば、2022年5月、「大阪で外国人が不動産を買いたい街」は、西成区が東大阪市を抜いて1位になった」、「西成」は、「あいりん地区」もあり、かっては恐い街のイメージだったが、最近は変わりつつあるようで、驚かされた。 「西成区の萩之茶屋一帯は、実は地の利に恵まれた絶好のエリアであり、インバウンドが本格化したこの10年で徐々に外国人客が訪れるようになった。 西成区の変遷を見つめる企業経営者の男性は、「日雇いの人々にも変化が起きています。スマホを見ながら場所探しする外国人ツーリストに積極的に声をかけて道案内するなど、できる限りの“おもてなし”をする風景を目にするようになりました」と語る。外国人の中にはホテルでの仕事に就いたり、バーを経営したりと、この地に根を下ろす人たちもいる。 日雇い労働者の街が遂げた一大変化の裏には、こうした外国人目線による再評価がある」、「外国人目線による再評価」、なるほど説得力がある。 「中国第一汽車の高級自動車ブランド「紅旗」の旗艦店がオープンした」。「西成区と接するこの一帯も、地元の人からすれば『ややこしい地域』ですが、そんなところに高級車を売る外国資本が参入してきたことは、中国企業にとって過去の評判やイメージなどまるで関係ないことを意味」、商売の流れに敏感な華僑の意見を参考にしたのかも知れない。 「西成区には、国際社会で進む“真のダイバーシティ”に比肩するようなダイナミズムがあり、多様なカルチャーが創る「未来都市の到来」を十分に予感させる」、「西成」の今後が楽しみだ。
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企業不祥事(その27)(吉野家「生娘をシャブ漬け戦略」騒動、実は再発防止が難しい3つの理由、「様々な人がいるんだと意識して欲しい」氏名で“外国人”と判断の吉野家がようやく謝罪 女子学生が取材に語った本音「結構ショックを受けてしまって…」、「お湯入れ替え問題」福岡・5代目旅館社長のズサン管理&放言も…地元の反応は“宝であり誇り”、電通 レナウンに共通する大企業の残念な実像 大企業ほど経営が緩く 不祥事を起こしやすい) [企業経営]

企業不祥事については、昨年4月28日に取上げた。今日は、(その27)(吉野家「生娘をシャブ漬け戦略」騒動、実は再発防止が難しい3つの理由、「様々な人がいるんだと意識して欲しい」氏名で“外国人”と判断の吉野家がようやく謝罪 女子学生が取材に語った本音「結構ショックを受けてしまって…」、「お湯入れ替え問題」福岡・5代目旅館社長のズサン管理&放言も…地元の反応は“宝であり誇り”、電通 レナウンに共通する大企業の残念な実像 大企業ほど経営が緩く 不祥事を起こしやすい)である。

先ずは、昨年4月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「吉野家「生娘をシャブ漬け戦略」騒動、実は再発防止が難しい3つの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/302094
・『吉野家の騒動には一段深い闇がある  今回は、吉野家の伊東正明常務取締役が解任された事件の話です。早稲田大学の社会人講座で、吉野家が女性顧客層を拡大する着眼点について「生娘をシャブ漬け戦略」と説明したことがSNSで拡散し、「人権・ジェンダー問題の観点から到底許容することはできない」として同氏は解任されました。 これを受けて吉野家は、コンプライアンスの対策を強化することでこのようなことが起きないようにすることを約束しています。ここまでは誰も異論がない話です。 一方で、吉野家が受けた被害は甚大です。本来はブランド構築を確固たるものとする役割のマーケティング戦略の専門家に、吉野家ブランドが地に落とされるほどのダメージを与えられて、彼に出ていってもらうことになってしまったわけです。 この問題、「起きたことを悪い」と断罪するのは比較的簡単で、実際に吉野家はそう対処しています。一方で、「どうすれば二度と起きなくなるのか?」を考えると、簡単な問題ではないことがわかります。吉野家だけではなく、「自分の企業でこういった問題が起きないようにするにはどうすればいいのか?」を考えだすと対策を絞ることが難しいのです。 そのことを理解していただくために、この記事では三つの問題提起をしてみたいと思います。問題を簡単な順番に並べると、 (1)「SNS時代だから発言には気をつけろ」という認識は正しいのか? (2)おじさんが幹部にいる限りこのような不祥事はなくならないのか? (3)呼び方が「女性エントリーユーザーを吉野家ファンにする戦略」だったらよかったのか? という問題提起です。順に解説してみたいと思います』、「伊東正明常務取締役」はマーケティングのプロで、「早稲田の社会人講座で今回のような話をした」、聴衆へのサービスのつもりで口が滑ったのだろうが、それにしても不用意過ぎる。
・『SNS時代に合わせた公式発言では本音が伝わりにくい  まず1番目の「SNS時代だ」という認識をしっかりさせたうえで、「発言に気をつければいいのか?」という問題です。 今回の吉野家のように、企業は再発を防止するためにすでに力を入れているはずのコンプライアンス研修をさらに社内で徹底します。していい発言としてはいけない発言を教え込むわけです。 その際におそらくは少し困ったことが起きるでしょう。これまでの一般的なコンプライアンス研修では、「していい発言としてはいけない発言の境目」として「相手から不快だという反応が返ったら謝罪し、二度と同じ発言はしない」というガイドラインがありました。 際どいジョークと差別はそもそも紙一重の関係にありますし、社内で恋愛感情が芽生えた場合にそれを表現することは相手によっては不快感を感じることもあるわけです。口にしてしまったことで相手が「不快だ」と返したらこれまでは「謝罪して二度と言わない」のがルールということでOKだったのです。しかし、そこに「SNS時代では」という前提が加わると問題が変化します。 というのは「不快だ」と思った相手が本人に直接伝えるのではなく、SNSに「不快なことが起きた」と投稿するわけです。それを読んだ多数の人がさらに不快になる。そして不快なことをしでかした役員や社員とは別に、不快なことを言った人物が在籍する会社の商品の不買運動が起きる。これがSNS時代です。 要するにSNS時代を考慮すると、してはいけない発言は言わないように指導しないと会社を守ることができなくなる。今回のように明らかに不適切な発言例は言ってはいけないと指導するとして、それだけでなく微妙だと思ったら言ってはいけない。判断がつかない場合は言ってはいけない。とにかく言ってはいけないと指導することが会社の方針になってしまうわけです。 1番目の問題点をまとめると「SNS時代だから発言に気をつけろ」と指導することで、責任ある立場の人はポリティカルコレクトな発言(=社会の特定のグループのメンバーに不快感・不利益を与えないように意図した発言)しかできなくなる。このルールを一番守っている人が日本の場合は首相と官房長官ですが、要するにそのような公式発言しかできなくなる。その何が問題なのかというと、本音がまったく伝わらないわけです。それでいいのか?というのが最初の問題提起です』、「責任ある立場の人はポリティカルコレクトな発言・・・しかできなくなる」、その通りだ。
・『いくら企業が対策をしても不適切発言はゼロにはできない  2番目の問題提起は「おじさんが幹部にいる限り、こういった問題はなくならない」という考えです。そもそもこの問題、おじさんを問題にすること自体ジェンダー問題だという別の論点にもつながります。これも検討すべき点ではありますが、この記事では「現実の日本社会では女性蔑視発言をするのは、ほぼおじさんだ」という前提でスルーさせていただきます。 ここでの問題は、「いくら研修をしてもこういったおじさんはゼロにはならない」ということです。ゼロにならないからには毎回処分をし続けるしかないのです。たとえはどんどん悪くなりますが、これはいじめをゼロにする問題や交通事故死をゼロにする問題と同じです。 学校でのいじめ問題は、以前は文部省の方針で「学校にはいじめによる自殺は存在しない」ことになっていました。そのため、いじめによる自殺があったと報告しようとする校長を組織的に抑え込んでは、“いじめゼロ”にする都道府県ばかりでした。学校のいじめが減り始めたのは文科省がその方針を変えてからですが、ゼロには遠いというのが現実です。 たとえゼロにならないとしても、なくす努力が重要です。交通事故死もなくならないのはわかっているけれども、それがなるべく少なくなるようにルールを周知させ、免許更新のたびに研修を徹底するというのが現在の方針です。それでも無謀運転はなくならないのと同じで、大企業の幹部による不適切発言は今後もなくならないでしょう。 でも、今回わかったことは「おじさん幹部の不適切な行動ひとつで、株主が壊滅的なダメージを受ける」ということです。減らす努力は当然するとして、一度起きたらどうしようもない状態になるのだとしたらどうすればいいのか?が大問題です。 たとえば社内の監視システムを構築して、あぶないおじさん幹部をあぶりだして部長以上には昇進させないとか、部長以上になってしまっている場合には早めに左遷すべきなのかどうか? そしてこういった対策に企業が踏み込むべきなのかどうかというのが2番目の問題です。 ここまでの二つの問題は、「とはいえ、企業としては取り組む以外にない」というのが過半数の意見なのだと思います』、「企業としては取り組む以外にない」、というのが正直なところだろう。
・『表現を変えていたら不祥事は問題にならなかったのか?  では、3番目の問題はどうでしょうか? 呼び方が「“女性エントリーユーザーを吉野家ファンにする戦略”という表現だったら、今回の不祥事は問題にはならない」でよかったのか?という問題です。 「生娘」といういかにも時代錯誤で差別的な表現がアウトで、ここは「女性エントリーユーザー」というべき。また、「シャブ漬け」という表現は犯罪を想起させる完全にアウトな表現で、ここは「ファンにする」という表現が正しい。これはまずもって安全な話法です。 プロのマーケッターが早稲田の社会人講座で今回のような話をした事実から考察すれば、その背景には科学的な証拠として15歳から19歳の間であれば女性客は吉野家ファンになりやすい。これが20代になると格段に難しくなるといった事実があったのでしょう。 たとえそれが事実でも、その事象を「おいしいものを男性におごってもらうようになった後では吉野家ファンにするのは困難だ」と説明するのは、ジェンダー問題上よくないという批判も見受けられました。 その批判の意図は理解できます。しかし、仮に吉野家がマーケティング調査として20代女性を対象にしっかりとしたフォーカスインタビューを行ったところ、上記と同じ証言が有意な数得られたとしたらどうなのでしょうか? 外資系企業でマーケティングをたたき込まれたマーケッターなら、普通そこまでちゃんとやります。 もし、それが事実だった場合にも社会人講座でそれを披露する際にはもっと穏当な表現に直す必要があるという主張もあるかもしれません。ただこの論点は、「たとえ表現を変えたとしても戦略として企業がやってもいいのかどうか」という問題を内包しています。 一見問題がなさそうな話から説明させていただきます。プロのマーケッターは多くの商材で「ある年齢を超えるとファン化するのが難しい」ことを知っていて、「その年齢になる以前に商品を使わせてファンにする」というマーケティング戦略を日常的に採用しています。 大手消費財メーカーの女性の生理用品ブランドでは、小学生に無償で商品を配る戦略を採用しています。大半のファミレスは、来店した子どもにおもちゃをプレゼントして喜んでもらう戦略を採用しています。ここまでは読者の皆さんも、「別にやってもいいんじゃないか」と考えるのではないでしょうか。 ところが、今は問題がないと思われても、いつかこれが社会問題になる日が来るかもしれません。 アメリカで問題になったのは、飲料メーカーが予算の足りない公立学校に資金援助をする見返りに自販機を校内に設置させていた戦略でした。糖分を欲しがる子どものうちに炭酸飲料のファンにしようという戦略です。 アメリカではそもそも糖尿病や肥満を引き起こす可能性のある商品について、未成年を対象に強いファンにする戦略は社会問題であると考える層が増え始めています。「若年のエントリーユーザーをファンにする戦略」はそれ自体が微妙な問題をはらんでいるのです。 要するにガイドラインというものは、時代とともに変わるのです。今回の吉野家の問題、起きた事件自体は問題外だとしても、二度と起こさない対策については考えれば考えるほど奥の深い問題に私には思えるのです。 断罪するのは容易でも、二度と起こさないことは非常に難しい。しかし経営者は、その問題に取り組まなければならない。21世紀の企業経営はかくのごとく大変なのです』、「「若年のエントリーユーザーをファンにする戦略」はそれ自体が微妙な問題をはらんでいるのです。 要するにガイドラインというものは、時代とともに変わるのです。今回の吉野家の問題、起きた事件自体は問題外だとしても、二度と起こさない対策については考えれば考えるほど奥の深い問題に私には思えるのです。 断罪するのは容易でも、二度と起こさないことは非常に難しい。しかし経営者は、その問題に取り組まなければならない。21世紀の企業経営はかくのごとく大変なのです」、同感である。

次に、5月10日付けTBS NEWS DIG「「様々な人がいるんだと意識して欲しい」氏名で“外国人”と判断の吉野家がようやく謝罪 女子学生が取材に語った本音「結構ショックを受けてしまって…」」を紹介しよう。
・『牛丼チェーンの吉野家が日本人の女子大学生を名前だけで“外国人”と判断して会社説明会への参加を断っていた問題。吉野家は5月9日になって学生にメールと電話で謝罪しましたが、問題の本質はどこにあったのでしょうか? ■「私が日本国籍を持っていることを伝える気力もなくなった」(吉野家に会社説明会への参加を断られたAさん:メールをもらったときは驚きとショックとあと少し怒りの気持ちもありました。 こう話すのは、現在就職活動中の大学4年生のAさん。 5月1日、吉野家の会社説明会に応募したところ“外国籍”であることを理由に参加を断られました。吉野家から届いたメールには・・・   吉野家採用担当からAさんに届いたメール「外国籍の方の就労ビザの取得が大変難しく、ご縁があり内定となりました場合も、ご入社できない可能性がございます。今回のご予約はキャンセルとさせていただきますことをご了承ください」 吉野家は断った理由を「以前、外国籍の学生に内定を出した際、就労ビザが取れずに内定を取り消さざるを得なかった」と説明。ところが、Aさんは日本生まれ、日本育ちの日本人でした。では、なぜ参加を断られたのでしょうか?吉野家の判断基準はこうです。吉野家への取材の回答「氏名、住所、学校などの情報から総合的に判断しています」 実は、Aさんは父親が海外出身・母親は日本人。苗字は父親の姓と同じカタカナ表記。 一方で、ファーストネームは日本でも一般的に使われている名前です。そして国籍は、母親と同じ日本国籍です。 吉野家に会社説明会への参加を断られたAさん:(名前が)カタカナであるだけで勝手に外国籍と判断されてしまうのだと悲しくなった。結構ショックを受けてしまって、返信したり、私が日本国籍を持っていることを伝える気力もなくなった』、「(名前が)カタカナであるだけで勝手に外国籍と判断されてしまうのだ」、これは「吉野家」担当者の手抜きなのだろうが、あり得る話だ。
・『「見せかけのグローバル企業」 専門家が吉野家の対応に苦言  人材マネジメントに詳しい専門家は、吉野家の対応について苦言を呈します。学習院大学 守島基博教授:重要なのは本人がちゃんとビザを取っているのか。もしくは取れる可能性があるのかを確認すること。(確認を)やっていなかったというのが今回の非常に大きな間違いだった。 吉野家も取材に対して「まずは連絡をするはずが、その作業を怠り申込情報のみで判断した」と確認不足を認めました。 学習院大学 守島教授:ダイバーシティ(=多様性)というポリシーを掲げることと、それを実際に各部門が実践していくことには大きな違いがある。海外に店舗を出していたり、ポリシーを作っているだけでは、見せかけのグローバル企業であって、真の意味でのグローバル企業にはなっていかない』、「海外に店舗を出していたり、ポリシーを作っているだけでは、見せかけのグローバル企業であって、真の意味でのグローバル企業にはなっていかない」、その通りだ。
・『「様々な人がいることを意識して欲しい」  一方、こうした問題は吉野家に限ったことではないと話す人もいます。 多様性に関する執筆を多く行っていて、ドイツにもルーツを持つコラムニストのサンドラさんです。数年前に、信用金庫で口座を作ろうとした時のこと・・・サンドラ ヘフェリンさん:窓口の方が、私の持ってきた書類や日本のパスポートをまったく見ないで私の顔を見ながら、『最近は口座を作って売り飛ばしちゃう人が多いんですよ』と話をされた。 また、子どもの頃から話せる日本語について“日本語お上手ですね”と誤解されることもしばしば。もどかしさを感じることもあるといいます。 では、私たちは何に気を付ければいいのでしょうか? サンドラさん:人の見た目や氏名だけでその人を判断しないこと。見た目が外国人風で、名前がカタカナでもその人は日本国籍かもしれないし、逆もしかりで見た目は“普通の”日本人であっても、実際には外国籍かもしれない。日本人というのは日本人風の見た目で日本国籍で、名前も日本風の名前という考え方は一回置いておいて、一人一人をじっくり見ていく必要がある。9日午後、Aさんのもとには吉野家から電話で謝罪がありました。 吉野家に会社説明会への参加を断られたAさん:確認不足のまま一方的に説明会をキャンセルしたことへのお詫びだった。ハーフの方や外国籍の方は、日本に以前よりも多くいるので、様々な人がいるということを意識して頂けると嬉しい』、「日本人というのは日本人風の見た目で日本国籍で、名前も日本風の名前という考え方は一回置いておいて、一人一人をじっくり見ていく必要がある」、その通りだ。

第三に、本年3月2日付け日刊ゲンダイ「「お湯入れ替え問題」福岡・5代目旅館社長のズサン管理&放言も…地元の反応は“宝であり誇り”」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/319461
・『1865年創業の福岡県の老舗旅館で、週1回以上必要な湯の取り換えを年2回しか行わず、基準値を大きく上回るレジオネラ属菌が検出された問題。5代目社長の「謝罪会見」は、火に油を注ぐ「炎上会見」となったが、地元の反応は意外なものだった。 「博多の奥座敷」といわれ、万葉集にも登場する二日市温泉(福岡県筑紫野市)で、160年近く営業を続けてきた「大丸別荘」。 昨年11月、保健所の抜き打ち検査を受け、県が定める基準値の最大3700倍のレジオネラ属菌が検出された。 先月28日、記者会見に臨んだ山田真社長(70)は「そこまで怖い菌という認識があまりなく、その辺にいくらでもいるというふうに私の知識ではなっていた。仮に亡くなられた方がいてもコロナじゃないですけど、もともと基礎疾患があるとか、たまたまきっかけにというとあれなんでしょうけど、そんな捉え方をしていました」と釈明。保健所に提出した浴場の管理表については、「私の指示で、湯の塩素濃度などを改ざんした」と言い放ち、法令違反の認識に関しては「もちろん、ありました」と開き直った。) 昭和天皇、岸信介、吉永小百合らが宿泊した西日本屈指の湯宿にしては、あまりにもズサンな管理体制。しかも無責任で身勝手な主張を繰り返した経営者に対し、世間からバッシングが巻き起こった。筑紫野市観光協会には観光客から「違う宿に宿泊する予定だが、大丈夫か、泉源は一緒じゃないのか」といった問い合わせや「監督責任はどうなっているんだ」「ホームページから削除しろ」という批判が相次いでいるという。山田社長は現在も観光協会会長の職にある』、3月12日付けYahooニュースによれば、「大丸別荘社長が遺書を残して死亡「それでも“不衛生温泉”は消えない」専門家が指摘するずさんな検査体制」、自殺で幕を引きたかったのだろうが、「老舗旅館」の従業員はたまったものではない。
・『元環境衛生同業組合常務理事なのに…  山田社長は県旅館環境衛生同業組合常務理事だった1998年、県から「観光功労者」として表彰されているが、そんな立場にありながら県の条例に違反し、衛生管理を怠っていたのだからタチが悪い。これだけデタラメぶりが明らかになると、経営的にも大打撃だろうが、風評被害は二日市温泉全体に及ぶ可能性もある。 ところが、複数の地元住民に話を聞くと、意外な反応が返ってきた。 「築紫野で生まれ育った地元のシンボルの老舗旅館の跡継ぎとして、何不自由ない生活を送ってきたので何をしゃべればいいか、世間からの風当たりなんて予想してないんです。確かに会見を見れば、悪い印象を持たれるでしょうし、あの内容はマズい。でも『指示をした』『塩素を入れなかったのは、嫌いだから』と、思ったことを悪気もなく口にしてしまう。怒りというより、とにかく残念です。大丸別荘はこれまで長い間、地元に貢献してくれたわけですし、二日市の宝であり、誇りです。二度とこんなことが起こらないように反省すべきところは反省して、あとは皆で支えていかなければと、仲間と話し合っているところです」 山田社長は会見で「こんな恥ずべき行為をしたことをご先祖様に申し訳なく思う」と淡々と話していたが、まず謝罪すべきはこんな事態に陥っても、支えてくれる地元住民にだろう』、「山田社長」自殺を踏まえて、「地元」としても存続のあり方を検討する可能性がある。

第四に、4月8日付け東洋経済オンラインが掲載した 作家・ジャーナリスト の金田 信一郎氏による「電通、レナウンに共通する大企業の残念な実像 大企業ほど経営が緩く、不祥事を起こしやすい」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/663169
・『新しいコラムを始めるにあたって、主旨を説明しておきたい。30年以上にわたって企業を取材してきた中で、「ヤバい」と感じた会社や仕事を取り上げていこうと思う。 ご存じのとおり、「ヤバい」には2つの意味がある。 ①危ない。不都合が予想される。 ②すごい。心情がひどく揺さぶられる。 このコラムでも、「いいケース」と「悪いケース」の両方を取り上げていきたい。ただ、企業に対して「ヤバい」という言葉が使われるとき、多くは①を意味する。 「うちの会社、最近、ヤバくてさ」 そういう振りの話は、ほぼ例外なく①のケースである。みなさんの会社はどうだろうか。会社はもちろん、役所や学校、病院でも状況は似かよっているはずだ。 ヤバいのである。 ダラダラと無意味な会議が繰り返され、ろくに仕事もしないゴマスリが出世していく。「時短」と「コスト削減」が毎年のように繰り返される。そして商品やサービスの質が徐々に落ちていく……。 当てはまることはないだろうか? あなたの職場を見たことはないが、おそらく「あるある」だ。 「とんでもないことを言うな。うちの会社は違うぞ」。経営者から、そんな声が聞こえる。そういう社長に限って現場が見えていない。 そもそも経営トップになる人の質が、この30年でかなり劣化してしまった。それは、「ヤバい職場」化と連動している。 根本的な問題に、人口減少による市場の縮小がある。萎縮しがちな状況に、日本企業の減点主義がからまって、マネジメント層が「勝負企画」にゴーサインを出せなくなっている。それよりは、部下を叱咤し、コスト削減で数字を絞り出したほうがいい。ただ最近ではパワハラやブラックとの批判を受ける危険がある。となると、会議で予定を埋めて、実際は何もしないのがいちばん安全なのだ。 こうなると、管理職は実績では差がつかず、上に取り入った者ばかりが昇進してしまう。社長ポストは、そうして社内政治を切り抜けた先の最終地点となっている。 だが、困ったことにトップに就いた瞬間、勘違いをして権力を濫用するケースが後を絶たない。しかも社内に反対者はいない。周りは、減点を恐れて何もしない管理職ばかりなのだから。 私はこうした企業の姿を、想像で書いているのではない。日経グループの記者を30年もやっていたので、主要企業にはほぼ足を踏み入れている。そして1つの結論に至った。 「大企業ほど経営が緩くなり、不祥事を起こしやすい」と。 そんなバカな、と思うかもしれないが、実際の経済ニュースを見ればうなずけるはずだ。トヨタが不正車検をし、日産の会長は逮捕の末に逃亡、東芝は会社を挙げて不正会計に手を染め、シャープは台湾企業に身売りする。 こうした大企業のもろさを、私は入社直後から気づかされた』、「萎縮しがちな状況に、日本企業の減点主義がからまって、マネジメント層が「勝負企画」にゴーサインを出せなくなっている。それよりは、部下を叱咤し、コスト削減で数字を絞り出したほうがいい。ただ最近ではパワハラやブラックとの批判を受ける危険がある。となると、会議で予定を埋めて、実際は何もしないのがいちばん安全なのだ。 こうなると、管理職は実績では差がつかず、上に取り入った者ばかりが昇進してしまう。社長ポストは、そうして社内政治を切り抜けた先の最終地点となっている」、「困ったことにトップに就いた瞬間、勘違いをして権力を濫用するケースが後を絶たない。しかも社内に反対者はいない。周りは、減点を恐れて何もしない管理職ばかりなのだから。 私はこうした企業の姿を、想像で書いているのではない。日経グループの記者を30年もやっていたので、主要企業にはほぼ足を踏み入れている。そして1つの結論に至った。「大企業ほど経営が緩くなり、不祥事を起こしやすい」」、「管理職は実績では差がつかず、上に取り入った者ばかりが昇進してしまう。社長ポストは、そうして社内政治を切り抜けた先の最終地点となっている」、その通りだ。
・『ヒット商品が見当たらない大企業  新人記者としてアパレル業界の担当となった私は、小さな衣料メーカーの革新的な商品開発を取材していた。すると、先輩からこう突っ込まれた。 「その会社、聞いたことないなあ。売り上げはいくらあるんだ」「5億円ぐらいはあります」「アホか。そんなチンケな会社に紙面は割けねえだろ。少なくとも100億企業に行け」 そこで、私は業界トップ企業に向かった。それがレナウンだった。ところが、ヒット商品が見当たらない。本業の衣料品開発をそっちのけにして、資金運用(当時は「財テク」と呼んだ)で利益を稼ごうとしていたからだ。流行に左右されるアパレル事業は当たり外れが激しい。失点を恐れる幹部は腰が引け、挑戦しようとしない。 だが、金融で利益を出し続けられるはずもなく、巨額の赤字に陥る。そのとき、ブランドを創り出す人材もノウハウも失っていた。そこで、英国の高級ブランドを買収したが、さっぱり売れず、破綻への道を転がり落ちていった。 7年前、『失敗の研究 巨大組織が崩れるとき』で、大企業の「恐竜化」を指摘した。大企業は肥満化、迷宮化、官僚化など多くの病を抱えており、その合併症で有機的に動かない巨大組織と化している。時代の変化に対応できず、恐竜のごとく倒れてしまう。 早く対処しなければ、そこに働く優秀な社員たちが、その能力と時間を浪費することになる』、「7年前、『失敗の研究 巨大組織が崩れるとき』で、大企業の「恐竜化」を指摘した。大企業は肥満化、迷宮化、官僚化など多くの病を抱えており、その合併症で有機的に動かない巨大組織と化している。時代の変化に対応できず、恐竜のごとく倒れてしまう。 早く対処しなければ、そこに働く優秀な社員たちが、その能力と時間を浪費することになる」、「7年前」から指摘していたとは大したものだが、「恐竜のごとく倒れてしまう」タイミングがそれだけ近づいたことになる。
・『「泥臭い営業会社」という実像  最近のニュースでは、電通が恐竜化の典型例と言える。 五輪汚職事件の中心人物、高橋治之氏は同社専務だった。そして辞めてなお現役の電通社員に五輪組織委員会を手伝わせていた。贈収賄事件でスポンサーから流れたカネは、電通子会社を通じて、高橋氏関連の会社に渡っていた。 ここで疑問が生じる。なぜ電通の優秀な社員たちが、元専務の犯罪的スキームに協力したのか? それは前述した大企業の力学そのものと言える。目眩(くらま)しになっているのは、広告代理店のクリエーティブなイメージかもしれない。ところが電通という企業の本質をたどると、「泥臭い営業会社」という実像が見えてくる。そして、古い体質を引きずったまま現代に生き延びてしまっている。 1901年に通信社として創業。戦時の産業統制下で広告専業となったことが飛躍の契機だった。昔の地方新聞は都心で営業する体力がなく、広告欄はスカスカだった。そこに電通が大企業の広告をあっせんした。この手法をラジオやテレビにも拡大することで、民放の「広告収入による無料放送」を実現させた。かくして電通があらゆるメディアの広告枠を買い切り、企業に割り当てていく。本質は、広告枠を売買するブローカーなのだ。 高橋氏は、ブローカーの手法を国際スポーツの世界に持ち込んだ。広告スポンサーを抱えているから、スポーツ団体も高橋氏に頭が上がらない。高橋氏が引っ張ってくるスポンサーがあるからこそ、世界的な大会を開催できるわけだ。 部下は、そんな上司の手足となって、舞台装置を動かす役割を演じてしまう。それに逆らうことは、電通モデルの否定であり、組織の規律を乱す者とされるからだ。 その高橋氏は逮捕されても、容疑をいっさい認めていない。自身は電通時代からブローカー役しか果たしていないから、こう思っているだろう。「カネは自分のもの。だが、責任は他人のもの」と。「責任を負う」という発想がないのだから、白状のしようがない。そんな人物に、検察は仰天していることだろう。 旧態依然とした組織の殻を壊す──このコラムの究極の目標だ。それは社員の解放でもある。現場が動きやすい組織体に変貌しなければ、日本に未来はない。【情報提供をお願いします】東洋経済ではあなたの周りの「ヤバい会社」「ヤバい仕事」の情報を募っています。ご協力いただける方はこちらへ』、「電通」の「本質は、広告枠を売買するブローカーなのだ」、「その高橋氏は逮捕されても、容疑をいっさい認めていない。自身は電通時代からブローカー役しか果たしていないから、こう思っているだろう。「カネは自分のもの。だが、責任は他人のもの」と。「責任を負う」という発想がないのだから、白状のしようがない。そんな人物に、検察は仰天していることだろう」、「高橋」が「電通時代からブローカー役しか果たしていないから、こう思っているだろう。「カネは自分のもの。だが、責任は他人のもの」と。「責任を負う」という発想がないのだから、白状のしようがない。そんな人物に、検察は仰天していることだろう」、なるほど切れ味鋭い解釈だ。今後の寄稿が楽しみだ。
タグ:「高橋」が「電通時代からブローカー役しか果たしていないから、こう思っているだろう。「カネは自分のもの。だが、責任は他人のもの」と。「責任を負う」という発想がないのだから、白状のしようがない。そんな人物に、検察は仰天していることだろう」、なるほど切れ味鋭い解釈だ。今後の寄稿が楽しみだ。 「海外に店舗を出していたり、ポリシーを作っているだけでは、見せかけのグローバル企業であって、真の意味でのグローバル企業にはなっていかない」、その通りだ。 「「若年のエントリーユーザーをファンにする戦略」はそれ自体が微妙な問題をはらんでいるのです。 要するにガイドラインというものは、時代とともに変わるのです。今回の吉野家の問題、起きた事件自体は問題外だとしても、二度と起こさない対策については考えれば考えるほど奥の深い問題に私には思えるのです。 断罪するのは容易でも、二度と起こさないことは非常に難しい。しかし経営者は、その問題に取り組まなければならない。21世紀の企業経営はかくのごとく大変なのです」、同感である。 (その27)(吉野家「生娘をシャブ漬け戦略」騒動、実は再発防止が難しい3つの理由、「様々な人がいるんだと意識して欲しい」氏名で“外国人”と判断の吉野家がようやく謝罪 女子学生が取材に語った本音「結構ショックを受けてしまって…」、「お湯入れ替え問題」福岡・5代目旅館社長のズサン管理&放言も…地元の反応は“宝であり誇り”、電通 レナウンに共通する大企業の残念な実像 大企業ほど経営が緩く 不祥事を起こしやすい) 「7年前、『失敗の研究 巨大組織が崩れるとき』で、大企業の「恐竜化」を指摘した。大企業は肥満化、迷宮化、官僚化など多くの病を抱えており、その合併症で有機的に動かない巨大組織と化している。時代の変化に対応できず、恐竜のごとく倒れてしまう。 早く対処しなければ、そこに働く優秀な社員たちが、その能力と時間を浪費することになる」、「7年前」から指摘していたとは大したものだが、「恐竜のごとく倒れてしまう」タイミングがそれだけ近づいたことになる。 日刊ゲンダイ「「お湯入れ替え問題」福岡・5代目旅館社長のズサン管理&放言も…地元の反応は“宝であり誇り”」 「困ったことにトップに就いた瞬間、勘違いをして権力を濫用するケースが後を絶たない。しかも社内に反対者はいない。周りは、減点を恐れて何もしない管理職ばかりなのだから。 私はこうした企業の姿を、想像で書いているのではない。日経グループの記者を30年もやっていたので、主要企業にはほぼ足を踏み入れている。そして1つの結論に至った。「大企業ほど経営が緩くなり、不祥事を起こしやすい」」、 「企業としては取り組む以外にない」、というのが正直なところだろう。 「日本人というのは日本人風の見た目で日本国籍で、名前も日本風の名前という考え方は一回置いておいて、一人一人をじっくり見ていく必要がある」、その通りだ。 「山田社長」自殺を踏まえて、「地元」としても存続のあり方を検討する可能性がある。 鈴木貴博氏による「吉野家「生娘をシャブ漬け戦略」騒動、実は再発防止が難しい3つの理由」 「伊東正明常務取締役」はマーケティングのプロで、「早稲田の社会人講座で今回のような話をした」、聴衆へのサービスのつもりで口が滑ったのだろうが、それにしても不用意過ぎる。 TBS NEWS DIG「「様々な人がいるんだと意識して欲しい」氏名で“外国人”と判断の吉野家がようやく謝罪 女子学生が取材に語った本音「結構ショックを受けてしまって…」」 「(名前が)カタカナであるだけで勝手に外国籍と判断されてしまうのだ」、これは「吉野家」担当者の手抜きなのだろうが、あり得る話だ。 「管理職は実績では差がつかず、上に取り入った者ばかりが昇進してしまう。社長ポストは、そうして社内政治を切り抜けた先の最終地点となっている」、その通りだ。 「責任ある立場の人はポリティカルコレクトな発言・・・しかできなくなる」、その通りだ。 3月12日付けYahooニュースによれば、「大丸別荘社長が遺書を残して死亡「それでも“不衛生温泉”は消えない」専門家が指摘するずさんな検査体制」、自殺で幕を引きたかったのだろうが、「老舗旅館」の従業員はたまったものではない。 「萎縮しがちな状況に、日本企業の減点主義がからまって、マネジメント層が「勝負企画」にゴーサインを出せなくなっている。それよりは、部下を叱咤し、コスト削減で数字を絞り出したほうがいい。ただ最近ではパワハラやブラックとの批判を受ける危険がある。となると、会議で予定を埋めて、実際は何もしないのがいちばん安全なのだ。 こうなると、管理職は実績では差がつかず、上に取り入った者ばかりが昇進してしまう。社長ポストは、そうして社内政治を切り抜けた先の最終地点となっている」、 企業不祥事 ダイヤモンド・オンライン 東洋経済オンライン 金田 信一郎氏による「電通、レナウンに共通する大企業の残念な実像 大企業ほど経営が緩く、不祥事を起こしやすい」 「電通」の「本質は、広告枠を売買するブローカーなのだ」、「その高橋氏は逮捕されても、容疑をいっさい認めていない。自身は電通時代からブローカー役しか果たしていないから、こう思っているだろう。「カネは自分のもの。だが、責任は他人のもの」と。「責任を負う」という発想がないのだから、白状のしようがない。そんな人物に、検察は仰天していることだろう」、
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中国での日本人拘束問題 スパイ(?)(その4)(習近平が「拘束した日本人」と引き換えに突きつけてくる「ヤバい解放条件」 その裏側にある思惑、中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」 元公安捜査官が解説、「中国の産業スパイ」なぜ日本は拘束できない?スマート農業の情報流出で露呈、外国人を簡単に拘束する中国 中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ) [外交・防衛]

中国での日本人拘束問題 スパイ(?)については、2019年10月28日に取上げた。久しぶりの今日は、(その4)(習近平が「拘束した日本人」と引き換えに突きつけてくる「ヤバい解放条件」 その裏側にある思惑、中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」 元公安捜査官が解説、「中国の産業スパイ」なぜ日本は拘束できない?スマート農業の情報流出で露呈、外国人を簡単に拘束する中国 中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ)である。

先ずは、本年3月31日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの長谷川 幸洋氏による「習近平が「拘束した日本人」と引き換えに突きつけてくる「ヤバい解放条件」 その裏側にある思惑」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108348
・『林外相、念願の訪中(林芳正外相が4月1日にも中国を訪問し、秦剛外相と会談する見通しだ。このタイミングで中国が訪中を受け入れたのは、なぜか。拘束した日本人の釈放問題をテコに、日本と米国の分断を図るためだろう。そもそも、拘束自体が「最初から仕組まれたワナ」だった可能性もある。 林氏の訪中が実現すれば、2019年12月の茂木敏充外相(当時)の訪中以来、3年3カ月ぶりだ。林氏にとっては、外相就任以来の念願が叶ったかたちである。日中友好議員連盟会長を務めるなど、自民党きっての「親中派」である林氏は小躍りして喜んだに違いない。 同氏がどれほど訪中を心待ちにしていたかは、外相就任直後のエピソードが物語っている。2021年11月、林氏は中国の王毅外相(当時)と電話で会談した。その際、王氏から中国に招待されたことを、中国側が公表していないのに、テレビ番組で一方的に発表してしまった。 本来なら、招待した側が相手の意向を確認したうえで、公表するのが外交儀礼だ。相手が承諾していないのに、公表すれば、無礼極まりない。逆に、招かれた側が相手の了解を得ずに公表しても、失礼な話になる。相手にも事情や都合があるからだ。 それを一方的にテレビで喋ってしまうなど、ありえない話だった。それだけではない。林氏は番組で「米国と中国の双方に話ができるところが日本の強み」などと語り、米中の橋渡しをする意欲も得意げに語っていた。米国が「日本は同盟国ではないのか」と不快感を抱いたとしても、当然だ。そのせいか結局、訪中は実現しなかった。) 2022年8月にカンボジアで東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が開かれたときにも、日中外相会談が予定されたが、ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に対する中国の対応について、日本を含む先進7カ国外相が批判したことに中国が逆上して、一方的にキャンセルされてしまった。 同年12月にも日中外相会談がセットされたが、中国で新型コロナの感染が拡大し、死者が激増するなど混乱したため、このときも先送りされた。つまり、今回の会談は「4度目の正直」なのだ。 以上を見れば、会談を強く望んできたのは、親中派が外相を務める日本側である。では、なぜ今回、中国は外相訪中を受け入れたのか。謎を解く鍵は「日本人拘束」問題にある』、「林氏は・・・王氏から中国に招待されたことを、中国側が公表していないのに、テレビ番組で一方的に発表してしまった」、外交のプロの割にはお粗末だ。「今回の会談は「4度目の正直」」とは初めて知った。
・『親中派を応援したい中国  中国外務省の報道官が記者会見で、日本人の拘束を正式に認めたのは3月27日だった。林外相の訪中が報じられたのは、その翌日28日だ。政府関係者は訪中理由の一つに「拘束された日本人の早期釈放を働きかける」という事情を挙げた。これだけみると、一見、もっともらしい。 私は、この素早さにこそ「不自然さ」を感じる。いかにも「外相はよくやっている、という印象をえたい」という意図を感じるからだ。だれの意図か。中国側だ。中国は親中派の林氏を応援したいのだ。 もう一度、確認しておこう。 訪中を受け入れるかどうかを決めるのは中国側であって、いくら日本側が「行きたい」と言っても、相手が「No」と言えば、実現できない。日本人を拘束したのも、それを認めたのも、そのうえで「早く釈放してくれ」と頼み込んでくるに違いない林外相の話を聞いてやることにしたのも、すべて中国の決定である。一連の経過は、完全に中国が主導権を握っている』、「一連の経過は、完全に中国が主導権を握っている」、その通りなのだろう。
・『中国側の思惑  その中国がいま、日本に対して圧力を強めている「最大の戦略的課題」は何か。 それは「日米分断」だ。米国が展開している「対中包囲網」から、日本を引き剥がしたがっている。日本は米国とともに、たとえば日米豪印4カ国の戦略的枠組み、クアッド(QUAD)を形成した。フィリピンとも連携を強化しつつある。 日本は北大西洋条約機構(NATO)と連携を強め、中国は「いずれ、日米はアジア版NATOを作るつもりではないか」と疑っている。とりわけ、米中対立の鍵を握る半導体問題で、米国は日本とオランダに対中輸出規制の連携を求めている。中国は、そんな日本と米国の仲を割きたいのだ。 そのために、中国が仕掛けた工作が日本人拘束だった可能性がある。 日本人を拘束した後で、日中外相会談に応じれば、日本側は必ず「早期釈放してくれ」と要求してくるはずだ。それに対して、中国側は「日本は米国の対中半導体輸出規制に、どう対応するつもりか」と問い質す。 そういう展開になれば、互いの要求を相打ちにして、輸出規制を完全に断念させるのは難しくても「風穴を開ける」くらいはできるかもしれない。そう読んで、日本人拘束という荒業に打って出たのではないか。「釈放してほしいなら、輸出規制に同調するな」という構図に持ち込みたいのだ』、「「釈放してほしいなら、輸出規制に同調するな」という構図に持ち込みたいのだ」、汚いやり方だ。
・『絶好のタイミングだった  そもそも、中国のような独裁国が外国人を拘束するのに「政治的思惑がない」と考える方がおかしい。 中国は2018年12月、通信機器最大手、ファーウエイの最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕された後、カナダの企業家と元外交官の2人を拘束した。2人が釈放されたのは、CFOが釈放された後の21年9月だった。 半導体問題では、オランダが3月8日、米国に同調して、中国向け半導体の輸出規制計画を発表した。日本はどうかといえば、この時点で西村康稔経済産業相は「何も方針を決めていない」と、ロイター通信が報じている。 つまり、日本に輸出規制の回避を迫るなら、いまが中国にとって絶好のタイミングだったのだ。取引の結果がどうなるかは分からないが、少なくとも、日本人釈放問題と半導体輸出規制問題が議題に上るのは間違いない。双方の最重要関心事項であるからだ』、「日本に輸出規制の回避を迫るなら、いまが中国にとって絶好のタイミングだったのだ。取引の結果がどうなるかは分からないが、少なくとも、日本人釈放問題と半導体輸出規制問題が議題に上るのは間違いない」、「中国にとって絶好のタイミング」、小憎らしいほど悪どいやり方だ。
・『躍起になっている中国  中国はこのところ、立て続けに外交攻勢に出ている。宿敵同士だったサウジアラビアとイランの国交正常化を仲介したかと思えば、ロシアと首脳会談を開き、ウラジーミル・プーチン体制のロシアを事実上、中国に従属させることに成功した。 ホンジュラスと国交を開く一方、台湾との国交は断絶させた。台湾の馬英九前総統(国民党)を訪中させる一方、蔡英文現総統(民進党)の米国訪問をけん制している。対日外交でも、大きな成果を見込めないまま、外相訪中を受け入れるわけがない。それが半導体問題だった。 ただ、林外相はいくら中国の圧力を受けても、一存で判断できない。半導体問題を所管するメインの官庁は経済産業省であり、外務省は日中、日米関係を所管する立場で横から口を出す程度だ。最終的には、岸田文雄首相の判断になる。首相の腹が固まるまで、事態は大きく動かないだろう。 それでも、日中両国が会談終了後に出す発表などを見ていれば、感触は分かる。日本人拘束問題で中国が態度を軟化する兆しがあれば、林氏が妥協策を示した可能性がある。林氏と外務省の動きに注目したい。 3月29、30日に配信した「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」は、いずれも私の1人語りで「日本人拘束と林外相訪中問題」について解説しました。 28日に放送したニコ生番組の「長谷川幸洋Tonight」は、講談社特別編集委員の近藤大介さんをゲストにお招きして「中ロ関係の真実」をめぐって議論しました。いずれも、ぜひご覧ください』、「中国」が「スパイ容疑」で「拘束した」「日本人」の釈放を「日本の外相」が交渉しようとするのは、私の記憶が正しければ、初めてだ。4月2日の日中外相会談は、4時間も協議、懸案巡り応酬したようだ。今後の交渉の行方を注目したい。

次に、4月1日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元警視庁公安部外事課警部補で日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村 悠氏による「中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」、元公安捜査官が解説」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/320540
・『スパイ容疑により多くの日本人を摘発  大手製薬メーカー、アステラス製薬の社員である50代日本人男性が「反スパイ法」に違反した疑いがあるとして、中国国家安全局によって、日本への帰国直前に拘束され、中国外務省がその事実を認めた。 この男性は、中国に進出する日系企業の団体「中国日本商会」の幹部を務めたこともあるベテラン駐在員であるという。 この件に関し、中国の外務省報道官は、「本人はどのような違法行為をしたのかよく知っているはず。日本国民の類似事件がしばしば発生しており、日本は自国民に対する教育や注意を強化すべきだ」とコメントしている。日本政府としては、林芳正外相が4月1~2日に急きょ訪中することを予定しており、日中での解決に向けた動きが速やかに進展することが望まれる。 中国は2014年に「反スパイ法」を制定。これまでに17人の日本人がスパイ活動への関与を疑われ拘束された。そのうち1人が病死し、11人は刑期を終えるなどして帰国しているが、今回拘束された日本人男性を含め5人がいまだに拘束されている。 いずれも、具体的な容疑は謎のままである。というのも、スパイ事案において、中国は「国家機密」を理由に容疑内容や裁判などの司法手続きを非公開にする場合が多い。 今回もその容疑内容は不明であり、スパイ容疑という性質上、中国は非常に抽象的な発表に終始しており、中国政府による“恣意的”な法運用であったと推認される』、「中国は非常に抽象的な発表に終始しており、中国政府による“恣意的”な法運用であったと推認される」、これでは日本人駐在員は仕事にならなくなる。中国はそれでもいいのだろうか。
・『スパイ行為の摘発に関する中国側の三つの思惑  中国の思惑として、三つ考えられる。 一つ目は、中国による正当なスパイ行為の摘発だ。 これは国家安全保障上も非常に重要な活動(=カウンターインテリジェンス)であり、国家として当然の思考・行動である(日本においても捜査機関が懸命に既存法を駆使して対応しているが、しっかり定義付けされた、拡大解釈のできないスパイ防止法の制定が望まれる)』、「中国による正当なスパイ行為の摘発」説は、帰国前日の逮捕から見て不自然な気がする。
・『二つ目は、見せしめである。 ただし、この見せしめにも二つの側面がある。 一つ目は外交カードとしての側面だ。 本件拘束の報道があった前日に、日本政府が2月末に帰国した中国の孔鉉佑前駐日大使からの岸田文雄首相に対する離任あいさつの申請を断っていたことが判明している。これは、日本政府の対応としては異例であり、世論を考慮し、慎重な対中姿勢が示された結果である。 これに対し、中国は、日本への報復措置として、日頃から本件アステラス製薬の社員の動向は把握しつつも、いつでも反スパイ法が適用できるように泳がせ続け、日本政府への見せしめとして検挙・拘束した可能性もある。 実は、このような手法はウラジオストクの日本総領事館領事が安倍元首相の国葬の前日にロシア連邦保安局(FSB)によって身柄を拘束された件と類似している。その拘束のタイミングと拘束された際の行為自体を見ても、ウクライナ侵攻を巡る日本への報復措置・見せしめと同様の趣旨が垣間見える。 ただし、これまで中国によってスパイ容疑で日本人が摘発されたタイミングを見ると、必ずしもそのタイミングが報復や外交的見せしめとなっておらず、線としては薄いだろう。 また、広島県におけるG7が控えている中でのけん制としている可能性はある。 いずれにせよ、外交カードの一つとして、反スパイ法が有効に活用される手段であることは認識しておかなければならない。) もう一つの側面は、中国による姿勢の誇示である。 中国は、元来メンツを気にする国であり、さらに政権として国内秩序の安定を強く望み、秩序の不安定化につながる要因を非常に嫌う。それが、国内要因だろうが国外要因だろうが関係ない。 そのような中で、通常の国家であればスパイ容疑に当たらないような行為も、中国から見て秩序を乱す要因であると判断されてしまえば摘発され、その強硬な姿勢を内外に示すことで、中国におけるスパイ活動のリスクを知らしめるのだ(裏を返せば、国内秩序の不安定化を極度に恐れる中国の思考の表れでもある)。 中国の強い姿勢を示し、日本政府を含む日本のインテリジェンスコミュニティーへ圧力をかけた可能性が高い。 そして中国の思惑の三つ目が、中国が欲しい情報を収集するために反スパイ法で摘発した可能性である。 現在、中国が自国で強化したい分野として医療領域がよく挙げられている。それは、中国政府が発表している外商投資奨励産業目録(外国投資家による投資の奨励および誘致に関連する特定の分野、地区などが明記されたリスト)や在中国欧州商工会議所が公表した報告書からも読み取れるが、そのような環境の中でアステラス製薬の男性社員が狙われた可能性もある。 そして、帰国直前というタイミングを図った理由もそこにある。 筆者のスパイ捜査の経験から話をすれば、まず証拠を固めて構成要件を満たした段階で共犯者の有無等の捜査とともに検挙に着手する。だが、例えばスパイが本国に帰国してしまえば、スパイの所属国家・組織に自国の情報が持ち出されてしまうため、帰国を検知した段階で検挙することも考えうる。 しかし、中国による日本企業の情報収集が目的だった場合を想定すると、例えば中国に定期的に訪問する立場の日本人が帰国する際には、ビジネスでの機密情報などが入ったパソコンや資料を日本に持ち帰り、日本の本社に共有しようと思うだろう。そのため、帰国時には重要な情報を欠かさず持った状態となる(もちろん、データで本社へ送付している可能性もあるが、中国データ3法の恣意的運用を恐れて送付していない可能性もあるし、拘束後に使用端末を解析すれば、中国による情報収集は可能だろう。 中国当局として、日本人が働く企業(今回はアステラス製薬)の情報が欲しかった場合、あえて帰国時に拘束することで、重要な情報を持った状態で日本人の身体を拘束し、所有物を差し押さえできるため、非常に“良い情報”が“効率的”に収集できる。 一方、帰国直前ではなく中国国内の自宅や企業にいた場合では、ガサなどの強制捜査を行ったところで、口を割らなければ、機密情報のありかを探すのに苦労してしまうのだ。 ただし、この医療分野に関する情報収集の筋は、中国の外資企業に対する厚待遇政策(後に技術やノウハウを吸収し、中国市場から締め出す)や複合機問題(中国現地での設計・生産を外資企業に要求)を始めとした、これまでの中国による半強制的な技術移転の手法などを見ても、やや疑問が残るだろう。 むしろ、日本人男性が所属した経済団体や在中日本人コミュニティーの情報が欲しかった線が想定される。 以上、中国の思惑について論じたが、今回の反スパイ法による摘発は、これらのどれか一つというより、複合的に判断されていると考えられる』、「通常の国家であればスパイ容疑に当たらないような行為も、中国から見て秩序を乱す要因であると判断されてしまえば摘発され、その強硬な姿勢を内外に示すことで、中国におけるスパイ活動のリスクを知らしめるのだ・・・中国の強い姿勢を示し、日本政府を含む日本のインテリジェンスコミュニティーへ圧力をかけた可能性が高い」、「中国による日本企業の情報収集が目的だった場合を想定すると、例えば中国に定期的に訪問する立場の日本人が帰国する際には、ビジネスでの機密情報などが入ったパソコンや資料を日本に持ち帰り、日本の本社に共有しようと思うだろう。そのため、帰国時には重要な情報を欠かさず持った状態となる(もちろん、データで本社へ送付している可能性もあるが、中国データ3法の恣意的運用を恐れて送付していない可能性もあるし、拘束後に使用端末を解析すれば、中国による情報収集は可能だろう」、「日本人男性が所属した経済団体や在中日本人コミュニティーの情報が欲しかった線が想定される」、どの説も大いにありそうだ。
・『反スパイ法改正によりスパイ行為の対象拡大の可能性  そもそも、この反スパイ法は14年11月1日の第12回全国人民代表大会常務委員会第11回会議で可決され、施行された。 同法のスパイ行為の定義は、すべての機構、組織、個人によるスパイ行為はもとより、その任務受託、ほう助、情報収集、金銭授受などは、すべてスパイ罪とみなされ、その定義は非常に広範で曖昧だ。 さらに懸念すべきは同法改正の動きだ。 2022年末には改正案が公表され、40条の現行法から71条編成へと大幅に内容が加えられた。 この改正案は、現行法にある“国家機密の提供“に加え、「そのほかの国家安全と利益に関係する文書、データ、資料、物品」を対象に含むと定義し、さらに「重要な情報インフラの脆弱(ぜいじゃく)性に関する情報」もスパイ行為の対象であると規定している。 また、改正案では、スパイ行為が疑われる人物・組織が所有・使用する電子機器やプログラム、設備などの調査権限も規定している。 これらを見てもわかるように、スパイ行為の定義自体が非常に幅広く、例えば中国国営に近しい中国企業との取引で発生したデータさえ抵触する恐れがあるし、疑いがあれば企業施設内に当局が入り込み、調査と称してあらゆる機器を差し押さえ、当該機器内の機密情報は筒抜けとなるだろう。 これまで、日本企業として相手先企業のデューデリジェンスは当然のごとく行われてきているが、中国の恣意的な法運用や昨今の国際情勢を鑑みて、よりハイレベルで中国の恣意的法運用リスクを含む地政学的要素を盛り込んだ対応が実施されなければならず、今回のように日本大手企業の中国法人幹部が不透明な容疑により反スパイ法で摘発されたとなれば、よりその必要性を感じさせることとなる』、「改正案では」、「スパイ行為の定義自体が非常に幅広く、例えば中国国営に近しい中国企業との取引で発生したデータさえ抵触する恐れがあるし、疑いがあれば企業施設内に当局が入り込み、調査と称してあらゆる機器を差し押さえ、当該機器内の機密情報は筒抜けとなるだろう」、大変なことだ。
・『会食中の政治的な会話が国家機密の収集とされる例も  中国におけるリスクの最大の要因は、法の曖昧さと恣意的運用である。 中国では、施設の写真を撮れば、軍事関連や国家として重要な施設の写真を撮っただろうと言いがかりをつけられ、検挙されることがある。 また、会食の場で政治的な話をすれば、中国の国家機密を探っているとして検挙されてしまう。 北京外国語大学で教員を務め、「日中青年交流協会」を設立するなど、日本と中国の友好事案を進めていたほか、衆議院の客員調査員を務めていた鈴木英司氏は、16年7月に国家安全局に突如スパイ容疑で拘束され、懲役6年の実刑判決を受け、22年10月に刑期を終え釈放された。 この鈴木氏に関するスパイ容疑は、同氏が13年12月4日に中国高官との会食中、その前日に北朝鮮の金正恩の伯父(張成沢氏)が失脚したことをうけ、どうなのかという会話をしたことだという。会話内容は、既に公開されている情報であったにもかかわらず、これが国家機密の収集に当たるとされ検挙されたとのことである。 今回のアステラス製薬の男性も、「中国日本商会」の幹部を務めたこともあることから、中国での人脈は相当広いだろう。その中で、会食中に政治的な話をしてしまったのかもしれない。 仮にそうであったとしても、反スパイ法によってスパイ容疑でその身体を拘束されるような理由にはならず、反スパイ法の定義の曖昧さと恣意的運用が中国におけるリスクを顕著に示している』、「北京外国語大学で教員を務め、「日中青年交流協会」を設立するなど、日本と中国の友好事案を進めていたほか、衆議院の客員調査員を務めていた鈴木英司氏は、16年7月に国家安全局に突如スパイ容疑で拘束され、懲役6年の実刑判決を受け、22年10月に刑期を終え釈放」、「スパイ容疑は、同氏が13年12月4日に中国高官との会食中、その前日に北朝鮮の金正恩の伯父(張成沢氏)が失脚したことをうけ、どうなのかという会話をしたことだという。会話内容は、既に公開されている情報であったにもかかわらず、これが国家機密の収集に当たるとされ検挙されたとのことである」、そんなことで「懲役6年の実刑判決」とは酷い話だ。
・『反スパイ法だけではない中国の法運用リスク  中国という国を考えれば、幾多ものリスクが存在する。 例えば、国家安全法や国家情報法、国防動員法だ。 特に、国防動員法は中国政府が有事と判断すれば、中国に進出している日本企業も含めて、中国のあらゆる組織の人的資本や金、アセットの徴用が合法化され、戦時統制下におかれることが可能となってしまう。この有事の定義はやはり曖昧であり、台湾有事に限らず、南シナ海で偶発的な衝突が起きた際に、中国が“有事”と判断すれば、国防動員法が適用される。 また、先述の複合機問題や合弁会社による技術流出リスクなどの中国による半強制的な技術移転、さらに視座を高くすれば、反外国制裁法などがあり、いずれも中国政府による恣意的な運用が懸念されるものばかりである。 先述したように、中国で活動をするならば、 “中国の実態”を深く理解した上で、中国のリスクを深く・正しく捉えた対応が強く求められる。少なくとも、これらリスクを許容した上で中国と付き合うべきである。 最後に、拘束された男性の適切な処遇と身の安全を心から祈る』、「反スパイ法」以外にも、「国家安全法や国家情報法、国防動員法」、「反外国制裁法」などがあり、「いずれも中国政府による恣意的な運用が懸念されるものばかり」、「中国で活動をするならば、 “中国の実態”を深く理解した上で、中国のリスクを深く・正しく捉えた対応が強く求められる。少なくとも、これらリスクを許容した上で中国と付き合うべきである」、その通りだ。

第三に、この続きを、4月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村 悠氏による「「中国の産業スパイ」なぜ日本は拘束できない?スマート農業の情報流出で露呈」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/320753
・『中国人技術者が日本からスマート農業情報を流出  先日、中国国内で日本の大手企業アステラス製薬の社員である50代日本人男性がスパイ活動を行った疑いがあるとして、中国国家安全局によって、反スパイ法違反容疑で帰国直前に拘束された。 そして、すぐに林芳正外相が訪中し、本件を含む中国国内での日本人の拘束に抗議して早期解放を強く申し入れたが、中国からは「法律に基づき処理する」との回答を得たのみであり、早期釈放に暗雲が立ち込めている。 このように、中国によって不透明かつ曖昧もしくは恣意(しい)的に法が運用され、多くの日本人が拘束されている。彼らは極めて厳しい環境下に置かれていると想像されるが、ご本人とそのご家族・関係者を思うと憤りが隠せない。また、既に釈放され帰国された方々も同様に非常に苦しく厳しい時間であっただろう。 このような状況下で、今度は国内電子機器メーカーに勤務していた中国人男性技術者が昨年、スマート農業の情報を日本から不正に持ち出したとして、警察当局が不正競争防止法違反容疑で捜査していたことが報じられた。 報道によれば、同中国人男性は、中国共産党員かつ中国人民解放軍と接点があり、SNSを通じて、中国にある企業の知人2人に情報を送信していたという。 この男性は別の事件で浮上し、捜査側から国内電子機器メーカーに連絡が入り発覚。その中で事情聴取などするなどの捜査を進めていたということである。 この中国人男性は既に出国済みであり、今後の捜査は極めて難しく、中国に渡った技術はもう日本に戻ってこない。捜査機関も当然尽力したと思われ、極めて無念の思いであろう』、「中国人技術者が日本からスマート農業情報を流出」、これは明白な国内法違反だが、「この中国人男性は既に出国済み。今後の捜査は極めて難しく、中国に渡った技術はもう日本に戻ってこない」、とはお粗末だ。
・『正当に入社した社員が情報流出に関与するリスク  今回の国内電子機器メーカーの事件では、どのように情報が持ち出しされたのか。 本件の中国人技術者は、クラウド上で管理された「スマート農業」の情報について、社内でも正当にアクセスする権利を持っており、平素から問題なく勤務していたと思われる。 実は、スパイ事件というと、ロシアによるスパイ事件を例に、人的ルートを通じて日本人エージェントを使い、不正に情報を窃取するという方法がよく思い浮かべられる。例えば、ロシア対外情報庁(SVR)の「ラインX」によるソフトバンク事件だ。同事件では、ラインXの一員であるロシア通商代表部の外交官がソフトバンク元社員に接触し、同社の営業秘密である機密情報を不正に取得した。 だが、実態はそればかりではない。 本件の中国人技術者は、国内電子機器メーカーに技術者として正当に入社し、正当な業務の中で、正当なアクセス権を持って日頃から勤勉に働いていた。ところが、実は国家の指揮命令下にあり、アンダーでは技術情報を持ち出し、国外に送信していた。 入社当初から中国共産党の影響下にあるケースだけではなく、入社後に影響下に入るパターンもある。 過去の事件では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの約200の団体・組織が2016年6月から大規模なサイバー攻撃を受け、その一連のサイバー攻撃に使用された日本国内のレンタルサーバーを偽名で契約・使用していたとして、2021年12月、捜査機関が2人の中国人を私電磁的記録不正作出・同供用容疑で書類送検した。 この書類送検された中国人の一人は中国人の元留学生「王建彬」容疑者であり、彼はレンタルサーバーの契約を人民解放軍のサイバー攻撃部隊「61419部隊(第3部技術偵察第4局)」所属の軍人の女から頼まれたという。 なんと、王容疑者が以前勤めていた中国国営企業の元上司が王容疑者とその女をつないだという。 この事件の恐ろしいところは、善意の中国人男性が、中国共産党に利用されたということである』、「本件の中国人技術者は、国内電子機器メーカーに技術者として正当に入社し、正当な業務の中で、正当なアクセス権を持って日頃から勤勉に働いていた。ところが、実は国家の指揮命令下にあり、アンダーでは技術情報を持ち出し、国外に送信していた」、なるほど。
・『合併会社を設立して合法的に情報を流出  もちろん、中国共産党の指揮命令下にある中国人技術者が当初からその身分を隠して企業に入社する場合もある。 さらに、公安調査庁のHPにも掲載されているが、合法的な経済活動による技術流出も当然存在する。 例えば、合弁会社の設立である。 中国企業との合弁では、日本企業が最新の技術は合弁先に共有しないという立場を取る場合が多い。 しかし、日本企業のガバナンスが弱いため、現地への技術指導を目的に日本人社員が機微情報(図面等)を持ち出してしまい、その結果、現地に技術情報が共有されてしまい、合弁解消後も技術情報は現地に残ったままという事例もある。 米国が世界に警鐘を鳴らしているように、中国による諜報活動・技術流出は違法な手法のみではない。 中国の千粒の砂戦略(※1)を例に、悪意・善意問わずビジネスパーソンや留学生が日本で知見を蓄えて帰国する手法(こうした人々は「海亀族」といわれる)や、調達などの合法的な経済活動によって、日本の知的財産が侵食されている点には極めて留意しなければならない。 また、中国に進出する企業では、中国国産化政策(現地設計・現地生産が求められ、拒否すれば市場から締め出されるような政策)や在中国欧州商工会議所が2021年1月に公表した報告書が示している半強制的な技術移転に留意しなければならない。 ※1 千粒の砂戦略:ロシアのようにスパイによる典型的な諜報活動ではなく、人海戦術のごとく、ビジネスパーソン・留学生・研究者など多種多様なチャネルを使用し、情報を砂浜の砂をかき集めるように、情報が断片的であろうとも広大に収集する戦略』、「中国企業との合弁では、日本企業が最新の技術は合弁先に共有しないという立場を取る場合が多い。 しかし、日本企業のガバナンスが弱いため、現地への技術指導を目的に日本人社員が機微情報(図面等)を持ち出してしまい、その結果、現地に技術情報が共有されてしまい、合弁解消後も技術情報は現地に残ったままという事例もある」、「ガバナンスが弱い」「日本企業」の責任だが、困ったことだ。
・『スマート農業の情報がなぜ中国に狙われたのか  今回の国内電子機器メーカーの事件では、ビニールハウスの室温や土壌の水分量等を最適に保つ機器のプログラムに関する情報が不正に持ち出されたという。 中国では、かねて自国の農業近代化を掲げているが、中国政府が発表している外商投資奨励産業目録(外国投資家による投資の奨励および誘致に関連する特定の分野、地区等が明記されたリスト)の最初には農業関連が掲げられており、その中には、以下のように今回の事件にひも付く内容もある。 一.農業、林業、牧畜業および漁業 20.スマート農業(ソフトウェア技術および設備の統合活用、農業生産・経営管理のデジタル改造) (中華人民共和国商務部「外商投資奨励産業目録2022」より一部抜粋、翻訳JETRO) 企業関係者などは、ぜひ参考として当目録に目を通していただき、自社に関連する技術・情報・ノウハウがないか確認していただきたい』、「日本企業」は秘密の防衛に無頓着なところが多いので、この際に、「外商投資奨励産業目録2022」をチェックしてみるべきだろう。
・『経済安全保障におけるスパイ防止法の必要性  経済安全保障という言葉がトレンドになって以降、中国による技術窃取の問題がクローズアップされてきた。日本においても、これまでも存在していたリスクが正しく捉えられ始め、社会の認知は広まってきたといえる。 一方で、前述のように事件化や表面化した諜報事件・技術流出事件は、ほんの氷山の一角であると断言できる。 このような極めて厳しい状況下にもかかわらず、我が国にはスパイ防止法がなく、スパイ活動を取り締まる法的根拠がないため、捜査機関としては、法定刑がさほど重くない窃盗として、もしくは不正競争防止法等の適用を駆使しながら何とか対応している。 そこで、検討されるべきが、スパイ防止法である。 スパイ防止法は、中国の反スパイ法を反面教師に、その定義が決して曖昧であってはならず、恣意的な運用の余地を一切なくさなければならない。 また、日本弁護士連合会による1985年の「『国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案』に反対する決議」(LINK)にもあるように、スパイ行為自体が、日々の生活に非常に密接であり、スパイ行為の処罰が基本的人権を侵害する恐れもあるため、法案内容の検討には十分かつ慎重な議論がなされる必要がある。 しかし、現在、世界は変動期にある。今一度、日本のカウンターインテリジェンス(防諜活動)を考え、スパイ防止法の本格的な検討をするときが来たのではないだろか』、「今一度、日本のカウンターインテリジェンス(防諜活動)を考え、スパイ防止法の本格的な検討をするときが来た」、同感である。

第四に、4月3日付けJBPressが掲載した作家・ジャーナリストの青沼 陽一郎氏による「外国人を簡単に拘束する中国、中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74633
・『中国の首都・北京で先月、アステラス製薬の50代の日本人男性が拘束された。 中国外務省は3月27日の記者会見で「この日本人はスパイ活動に関わり、中国の刑法と反スパイ法に違反した疑いがある」として、司法当局が拘束して取り調べていることを認めている。 中国では2014年に反スパイ法が施行された。その後、少なくとも17人の日本人が拘束され、11人が刑期を終えるなどして帰国。1人は服役中に病死。2人が服役中、1人が公判中、1人は逮捕されたまま。そして、先月にもう1人だ。 ところが、具体的にどういう行為が法律に違反するのか、反スパイ法の規定が曖昧で、今回も中国政府は詳しい内容を明らかにしていない。 それどころか、27日の会見で中国外務省の報道官は、「ここ数年、日本人が同様の事件をたびたび起こしており、日本側は、国民への教育と注意喚起を強化すべきだ」とまで吐き捨てている。 ならば、いい機会なので私が中国国内で受けた“仕打ち”について、いま一度披露しよう』、「私が中国国内で受けた“仕打ち”」を「披露」するとは興味深そうだ。
・『カドミウムで汚染されたコメ  私は中国で田んぼの写真を撮っていただけで、公安(警察)に同行を求められ、執拗な取り調べを受けたことがある。湖南省でのことだ。 湖南省といえば、省都の長沙で2019年7月に50代の日本人男性が拘束され、今年2月8日にスパイ活動に関わったとして、懲役12年の判決が言い渡されている。また、先月27日から中国を訪れている、台湾の馬英九前総統が先祖の墓参りに訪れたばかりだ。そして、毛沢東の出生地として知られる。 長沙から車で約2時間。衡陽市衡東県大浦鎮を訪れたのは、2015年7月のことだった。 その当時、ここから隣の広東省広州市圏に出荷された米から、許容量を超えるカドミウムが検出されて問題となっていた。その前年には子どもたちの血中鉛濃度が国の基準値を最大で3倍以上にもなっていたことを、国営の新華社通信やAFP通信が伝えている。地元の化学工場から排出された汚染物質が原因とみられ、この工場は捜査のため一時閉鎖されたとされる』、「カドミウムで汚染されたコメ」、「中国」ではあり得る話だ。
・『田んぼの風景を撮影しただけで警官が  その大浦で高速道路を降りたあたりから、車窓に黒いフィルムを貼ったセダンが私の車のあとをずっとつけてきていた。最初は白で、しばらくすると黒い車体に代わった。 監視されていることはわかった。目立つことはしないほうがいい。だから、工場跡地や田園をまわりながらも、写真は車の中から撮った。その度に車を停めると、セダンも一定の距離を保って停まった。 そして、そのまま帰路に着こうと高速道路の入口に近づいたところで、「ここなら、大丈夫でしょう」と通訳の青年が言った(あとから振り返ると、彼も中国当局と結託していたのかも知れない)。 揚子江より南の地域では二期作が主流で、当時も田植えの済んだ隣の田圃で収穫作業が行われていた。そんな珍しい風景を、はじめて車から降りて写真に撮っていると、背後から声がした。「中国公安」と文字の入ったパトカーが止まっていて、2人の制服の警官が立っていた。 「外国人が写真を撮っているという通報がありました。通報を受けた以上、住民に説明をしなければならない。手続きのため、ご同行いただけませんか」 初老の警官に言われて、断る術もなく、連れていかれたのは町の中心を少し外れた場所にある古びた地元警察の建物だった』、「初老の警官」から丁寧に言われたら、従うしかなさそうだ。
・『まるでチンピラのような共産党書記  そこの会議室のような場所で、入口から一番遠い壁際の机の向こうに座らされると、初老の警官に続いて、スマートフォンだけを持ってビーチサンダルを履いた男が入ってきた。痩身に張り付くような派手なシャツやパンツからして、チンピラのようにしか見えないこの男が、地区の共産党書記だった。さらにパソコンやビデオカメラを持った私服の男たちが入って来る。 まずパスポートの提示を求められた。それから、「録音機器や、他に小型のカメラがないか、確認させてください」と言って、手荷物のすべてを隣の部屋に持っていってしまった。 扉の隙間から、所持品を写真に撮るシャッター音がする。私の目に見えないところで、全てがいじくられる。あとで返された時には、財布のクレジットカードまで抜き取られて、配置が変わっていた。 「ここへ来た目的はなんだ?」 ビデオを回しながらの尋問がはじまった。口調がきつくなっている。 「観光」と答える。観光ビザで入国していたからだ。 「観光なら、その旅費はどうした? 渡航費用は? 滞在費は? 誰が出している?」 費用は自分で用意している、と答える。そもそも、そんなことまで答える必要がどこにあるのか  すると警官はすぐに、「あなたは、長沙市内の○○というホテルに宿泊している」と言い当て、さらにこう続けた。 「あなたの年収では、あのホテルに泊まるのは無理だ」 そして彼の次の言葉に驚かされた。 「東京にある出版社から、中国の旅行代理店に送金があったことを我々は知っている」 「代理店の担当者は、その資金で旅程を組んでいることを認めている!」 東京からの送金実績まで事前に把握しているとは思いもよらなかった。当局によって自分が裸にされている不気味さと恐怖を実感する』、「あなたの年収では、あのホテルに泊まるのは無理だ」、「東京からの送金実績まで事前に把握」、田舎の「警官」が「共産党書記」の指示があるにしても、ここまで調べていたとは私も驚かされた。
・『堂々巡りの押し問答  「そこから依頼を受けて、調査活動が目的でここへやって来たのだろう!?」 反スパイ法のことは知っていた。調査活動、すなわちスパイの容疑をかけているのだとすれば、認めるわけにはいかない。調査ではない、取材だ。 「取材なら、なぜ取材申請をしなかった」 「なぜ、観光と嘘をついて入国したのか」 ここへ来るまでに、私は吉林省の長春で、入場料を払って満洲国の皇帝だった溥儀の皇宮と資料館を見てきた。陝西省の「梁家河」という寒村も訪ねた。習近平が若い頃、下放されて暮らしていた“聖地”と呼ばれる場所だ。そこはすでに観光地化して入場料をとっている。習近平の生い立ち調査が目的とはいえ、これを観光ではないと言い張る中国人がいるだろうか。 その旨を伝えると警官は黙った。ところが、それまで黙っていた共産党書記が蒸し返す。 「だけど、わからないな。出版社からの送金でここまで来ているのなら、それは調査だろう!」 「そうだ。どうなんだ」 そこから堂々巡りと押し問答が続く。 中国側は執拗に同じ質問を繰り返す。繰り返しの説明は、疲労を伴う。なるほど、こうしてイライラと疲れの蓄積で、罪を認めさせようという魂胆か。 取り調べ中も開け放たれたままの扉から、入れ替わり立ち替わり室内を覗きにきた地元の住人がスマートフォンでこちらの写真を撮る。まるで動物園のサルを見るような目つきだった。不愉快だった。これが正当な司法手続きと言えるのか』、「正当な司法手続き」など中国には存在しないのだろう。
・『「帰れないのは誰のせいなのか」  やがて何時間も経過し、とっくに日が暮れて食事も与えられないでいると、肥った私服の中年男性が部屋に入ってきた。この警察の署長だった。私の正面に机を挟んで座ると言った。 「私が制服から私服に着替えて、まだ帰れないのは誰のせいだと思いますか」 主張を曲げない私を責めた。そうやって威圧する。 「先生、まだこんなことを続けますか」 では、どうしたらいいのか、こちらから訊ねた。 すると、真っ白なA4サイズの紙とボールペンを出してきて、これから言うことを日本語で書くように指示された。とにかく「事情説明」と題された、いわば中国共産党が好む「自己批判」を書かせようとする。 彼らとしても面子を保たなければ、私を解放できなかったのだろう。とはいえ、相手の都合のいいことばかりでは、どんな罪に問われるか、わかったものではない。そこで相手の意向と妥協点を探りながら文章を構成する。異様な労力に屈辱感が胸元から湧き上がる。この屈辱に先行きの見えない恐怖が私のトラウマに変わる。 この直筆の書面と尋問形式の調書に指印させられて、ようやく解放された。カメラにあった写真データは全て消去された。外には街灯らしいものもなく、あたり一面が真っ暗だった』、「警察署長」に「どうしたらいいのか、こちらから訊ねた」、「「事情説明」と題された、いわば中国共産党が好む「自己批判」」直筆の書面と尋問形式の調書に指印させられて、ようやく解放された」、「警察署長」と渡り合っただけでも大したものだ。
・『中国は信用できるか  写真を撮る自由さえない中国。執拗に罪を認めさせようとする地元警察。土壌汚染の事実など、都合の悪いことは黙らせたい。中国共産党の言論封殺の本性がそこにある。 解放されたとはいえ、一時的に拘束された立場からすれば、法律に違反した取り調べというより、嫌がらせだった。地方の小さな村にまで浸透した権威主義のゴリ押しと、外国人の粛清。 日本のパスポートを開けば、最初に外務大臣の名前でこういう記載がある。 【日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。】 中国の外務省が表明したように「日本側は、国民への教育と注意喚起を強化すべきだ」とするのなら、それはたった一言で済む。「中国は、およそ信用に値する国ではない」 それだけのことだ』、「中国は、およそ信用に値する国ではない」言い得て妙だ。
タグ:ダイヤモンド・オンライン 「反スパイ法」以外にも、「国家安全法や国家情報法、国防動員法」、「反外国制裁法」などがあり、「いずれも中国政府による恣意的な運用が懸念されるものばかり」、「中国で活動をするならば、 “中国の実態”を深く理解した上で、中国のリスクを深く・正しく捉えた対応が強く求められる。少なくとも、これらリスクを許容した上で中国と付き合うべきである」、その通りだ。 「日本企業」は秘密の防衛に無頓着なところが多いので、この際に、「外商投資奨励産業目録2022」をチェックしてみるべきだろう。 JBPRESS 青沼 陽一郎氏による「外国人を簡単に拘束する中国、中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ」 「「釈放してほしいなら、輸出規制に同調するな」という構図に持ち込みたいのだ」、汚いやり方だ。 「初老の警官」から丁寧に言われたら、従うしかなさそうだ。 れ検挙されたとのことである」、そんなことで「懲役6年の実刑判決」とは酷い話だ。 「私が中国国内で受けた“仕打ち”」を「披露」するとは興味深そうだ。 イヤモンド・オンライン 「中国による日本企業の情報収集が目的だった場合を想定すると、例えば中国に定期的に訪問する立場の日本人が帰国する際には、ビジネスでの機密情報などが入ったパソコンや資料を日本に持ち帰り、日本の本社に共有しようと思うだろう。そのため、帰国時には重要な情報を欠かさず持った状態となる(もちろん、データで本社へ送付している可能性もあるが、中国データ3法の恣意的運用を恐れて送付していない可能性もあるし、拘束後に使用端末を解析すれば、中国による情報収集は可能だろう」、「日本人男性が所属した経済団体や在中日本人コミュニティ 「警察署長」に「どうしたらいいのか、こちらから訊ねた」、「「事情説明」と題された、いわば中国共産党が好む「自己批判」」直筆の書面と尋問形式の調書に指印させられて、ようやく解放された」、「警察署長」と渡り合っただけでも大したものだ。 現代ビジネス 「本件の中国人技術者は、国内電子機器メーカーに技術者として正当に入社し、正当な業務の中で、正当なアクセス権を持って日頃から勤勉に働いていた。ところが、実は国家の指揮命令下にあり、アンダーでは技術情報を持ち出し、国外に送信していた」、なるほど。 「正当な司法手続き」など中国には存在しないのだろう。 「今一度、日本のカウンターインテリジェンス(防諜活動)を考え、スパイ防止法の本格的な検討をするときが来た」、同感である。 「中国は非常に抽象的な発表に終始しており、中国政府による“恣意的”な法運用であったと推認される」、これでは日本人駐在員は仕事にならなくなる。中国はそれでもいいのだろうか。 (その4)(習近平が「拘束した日本人」と引き換えに突きつけてくる「ヤバい解放条件」 その裏側にある思惑、中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」 元公安捜査官が解説、「中国の産業スパイ」なぜ日本は拘束できない?スマート農業の情報流出で露呈、外国人を簡単に拘束する中国 中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ) 「中国人技術者が日本からスマート農業情報を流出」、これは明白な国内法違反だが、「この中国人男性は既に出国済み。今後の捜査は極めて難しく、中国に渡った技術はもう日本に戻ってこない」、とはお粗末だ。 稲村 悠氏による「中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」、元公安捜査官が解説」 「中国は、およそ信用に値する国ではない」言い得て妙だ。 「カドミウムで汚染されたコメ」、「中国」ではあり得る話だ。 長谷川 幸洋氏による「習近平が「拘束した日本人」と引き換えに突きつけてくる「ヤバい解放条件」 その裏側にある思惑」 「中国による正当なスパイ行為の摘発」説は、帰国前日の逮捕から見て不自然な気がする。 稲村 悠氏による「「中国の産業スパイ」なぜ日本は拘束できない?スマート農業の情報流出で露呈」 「日本に輸出規制の回避を迫るなら、いまが中国にとって絶好のタイミングだったのだ。取引の結果がどうなるかは分からないが、少なくとも、日本人釈放問題と半導体輸出規制問題が議題に上るのは間違いない」、「中国にとって絶好のタイミング」、小憎らしいほど悪どいやり方だ。 「北京外国語大学で教員を務め、「日中青年交流協会」を設立するなど、日本と中国の友好事案を進めていたほか、衆議院の客員調査員を務めていた鈴木英司氏は、16年7月に国家安全局に突如スパイ容疑で拘束され、懲役6年の実刑判決を受け、22年10月に刑期を終え釈放」、「スパイ容疑は、同氏が13年12月4日に中国高官との会食中、その前日に北朝鮮の金正恩の伯父(張成沢氏)が失脚したことをうけ、どうなのかという会話をしたことだという。会話内容は、既に公開されている情報であったにもかかわらず、これが国家機密の収集に当たるとさ 中国での日本人拘束問題 スパイ(?) 「中国」が「スパイ容疑」で「拘束した」「日本人」の釈放を「日本の外相」が交渉しようとするのは、私の記憶が正しければ、初めてだ。4月2日の日中外相会談は、4時間も協議、懸案巡り応酬したようだ。今後の交渉の行方を注目したい。 「あなたの年収では、あのホテルに泊まるのは無理だ」、「東京からの送金実績まで事前に把握」、田舎の「警官」が「共産党書記」の指示があるにしても、ここまで調べていたとは私も驚かされた。 「中国企業との合弁では、日本企業が最新の技術は合弁先に共有しないという立場を取る場合が多い。 しかし、日本企業のガバナンスが弱いため、現地への技術指導を目的に日本人社員が機微情報(図面等)を持ち出してしまい、その結果、現地に技術情報が共有されてしまい、合弁解消後も技術情報は現地に残ったままという事例もある」、「ガバナンスが弱い」「日本企業」の責任だが、困ったことだ。 「改正案では」、「スパイ行為の定義自体が非常に幅広く、例えば中国国営に近しい中国企業との取引で発生したデータさえ抵触する恐れがあるし、疑いがあれば企業施設内に当局が入り込み、調査と称してあらゆる機器を差し押さえ、当該機器内の機密情報は筒抜けとなるだろう」、大変なことだ。 「一連の経過は、完全に中国が主導権を握っている」、その通りなのだろう。 「林氏は・・・王氏から中国に招待されたことを、中国側が公表していないのに、テレビ番組で一方的に発表してしまった」、外交のプロの割にはお粗末だ。「今回の会談は「4度目の正直」」とは初めて知った。 「通常の国家であればスパイ容疑に当たらないような行為も、中国から見て秩序を乱す要因であると判断されてしまえば摘発され、その強硬な姿勢を内外に示すことで、中国におけるスパイ活動のリスクを知らしめるのだ・・・中国の強い姿勢を示し、日本政府を含む日本のインテリジェンスコミュニティーへ圧力をかけた可能性が高い」、
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昨日予告の通り、本日は更新を休むので、明日にご期待を!

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働き方改革(その39)(なぜ死ぬまで働いてしまうのか…マルクスの資本論が150年前に警告していた「過労死の根本原因」とは 斎藤幸平「労働者は"賃金の奴隷"になっている」、日本企業で働きたくない…アジアで人気ガタ落ち!嫌われる「日本式働き方」とは、「育ててもすぐ退職」一括採用の破綻が招く事態 卒業後すぐ就職できず若年層の失業率は上昇も) [経済政策]

働き方改革については、昨年6月11日に取上げた。今日は、(その39)(なぜ死ぬまで働いてしまうのか…マルクスの資本論が150年前に警告していた「過労死の根本原因」とは 斎藤幸平「労働者は"賃金の奴隷"になっている」、日本企業で働きたくない…アジアで人気ガタ落ち!嫌われる「日本式働き方」とは、「育ててもすぐ退職」一括採用の破綻が招く事態 卒業後すぐ就職できず若年層の失業率は上昇も)である。

先ずは、本年2月13日付けPRESIDENT Onlineが掲載した東京大学大学院総合文化研究科准教授の斎藤 幸平氏による「なぜ死ぬまで働いてしまうのか…マルクスの資本論が150年前に警告していた「過労死の根本原因」とは 斎藤幸平「労働者は"賃金の奴隷"になっている」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/66298
・『なぜ過労死はなくならないのか。東京大学大学院の斎藤幸平幸平准教授は「そんなに大変なら辞めればいいと思う人もいるだろう。しかしマルクスによれば、労働者は自由に働く会社を選べるがゆえに、自分自身を追い詰めてしまうのだ」という――。(第1回) ※本稿は、斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』(NHK出版新書)の一部を再編集したものです』、「労働者は自由に働く会社を選べるがゆえに、自分自身を追い詰めてしまうのだ」、理解するには、解説が必要だ。
・『マルクスが見てきた「苦しむ若年労働者」  労働力は、人間が持っている能力で、本来は社会の「富」の一つです。労働力という富を使って、本当なら生活をもっと豊かにしたり、夢を実現したり、社会のために役立てたり、働く人に幸福感や充実感をもたらしてくれるような活かし方ができるはずです。 ところが資本主義は、この労働力という「富」を「商品」に閉じ込めてしまう。資本家にとって、自分で購入した労働力商品を使うにあたり、労働者の生活の質や夢、やりがいに配慮することは関心事ではありません。彼らが執心しているのは、労働が生み出す価値の量。それを最大化するために労働を支配していくのです。 こうして、生きるために働いていたはずが、働くために生きているかのように本末が転倒していきます。労働力という富が商品に閉じ込められてしまうことで、多くの労働者にとっては、人間が持つ能力の発展が阻害され、使い潰されてしまうのです。 「労働の生き血を求める吸血鬼」の餌食になるのは大人ばかりではありません。『資本論』第1巻第8章「労働日」では、賃労働に駆り出されて学校に通えず、読み書きができない子どもや、大人と一緒に働くなかでタバコや酒を覚えて中毒になる子ども、早死にしてしまう若年労働者たちの、悲惨な実態が仔細しさいに綴られています。 『資本論』の読破は難行だと言いましたが、この「労働日」章はジャーナリスティックな読み物になっています。そして、マルクスがこの章にかなりのスペースを割いているのは、やはり労働者の置かれている状況にひどく心を痛めていたからでしょう。難解ではないという理由から、この章を重視しない解説書や研究書が多いですが、むしろ、マルクスの問題関心にとっては極めて本質的な章なのです』、「資本主義は、この労働力という「富」を「商品」に閉じ込めてしまう。資本家にとって、自分で購入した労働力商品を使うにあたり、労働者の生活の質や夢、やりがいに配慮することは関心事ではありません。彼らが執心しているのは、労働が生み出す価値の量。それを最大化するために労働を支配していく」、「こうして、生きるために働いていたはずが、働くために生きているかのように本末が転倒していきます。労働力という富が商品に閉じ込められてしまうことで、多くの労働者にとっては、人間が持つ能力の発展が阻害され、使い潰されてしまう」、「「労働の生き血を求める吸血鬼」の餌食になるのは大人ばかりではありません。『資本論』第1巻第8章「労働日」では、賃労働に駆り出されて学校に通えず、読み書きができない子どもや、大人と一緒に働くなかでタバコや酒を覚えて中毒になる子ども、早死にしてしまう若年労働者たちの、悲惨な実態が仔細しさいに綴られています」、なるほど。
・『過労死は150年前から社会問題になっていた  労働力をとことん使い倒そうとする資本主義的生産は、労働者の心身を蝕むしばみ、その能力や暮らしを破壊し、ときには命さえも奪います。 マルクスは『資本論』で、1863年6月、ロンドンで発行されているすべての日刊紙が一斉に報じたという事件に言及しています。 それは、ある非常に名高い宮廷用婦人服製造所に雇われ、エリズという優しい名の婦人に搾取されていた20歳の女工メアリー・アン・ウォークリーの死亡に関するものだった。〔中略〕女工たちは1日平均16時間半、だが社交シーズンともなれば30時間休みなく働いた。彼女たちの「労働力」が萎なえてくると、シェリー酒やポートワイン、コーヒーが与えられ、労働を続けさせられたという。そして、悲劇は社交季節のピークに起きた。〔中略〕メアリー・アン・ウォークリーは、ほかの60人の女工たちとともに、必要な空気の3分の1も与えないような一室に30人ずつ入って、26時間半休みなく働き、夜は1つの寝室を幾つかの板で仕切った息詰まる部屋で、1つのベッドに2人ずつ寝かされた。しかも、これは、ロンドンでも良い方の婦人服製造工場の一つだったのである。(269-270) 記事のタイトルは「純然たる働きすぎによる死」。つまり過労死です。ここでの問題は、メアリー・アンの悲劇が、『資本論』刊行から150年経った今も日本で繰り返されているということです。残念ながら、「昔の社会はこんなひどいことがあったんだ」という解説を付け加える必要がまったくありません』、「非常に名高い宮廷用婦人服製造所に雇われ、エリズという優しい名の婦人に搾取されていた20歳の女工メアリー・アン・ウォークリーの死亡に関するものだった。〔中略〕女工たちは1日平均16時間半、だが社交シーズンともなれば30時間休みなく働いた。彼女たちの「労働力」が萎なえてくると、シェリー酒やポートワイン、コーヒーが与えられ、労働を続けさせられたという」、「シェリー酒やポートワイン、コーヒーが与えられ、労働を続けさせられた」、驚くべき奴隷労働だ。「そして、悲劇は社交季節のピークに起きた。〔中略〕メアリー・アン・ウォークリーは、ほかの60人の女工たちとともに、必要な空気の3分の1も与えないような一室に30人ずつ入って、26時間半休みなく働き、夜は1つの寝室を幾つかの板で仕切った息詰まる部屋で、1つのベッドに2人ずつ寝かされた。しかも、これは、ロンドンでも良い方の婦人服製造工場の一つだった」、「過労死です。ここでの問題は、メアリー・アンの悲劇が、『資本論』刊行から150年経った今も日本で繰り返されているということです。残念ながら、「昔の社会はこんなひどいことがあったんだ」という解説を付け加える必要がまったくありません』、程度の違いこそれ、「メアリー・アンの悲劇が、『資本論』刊行から150年経った今も日本で繰り返されている」、というのは恥ずべきことだ。
・『2010年代以降、労働災害はより深刻化している  例えば、2008年に居酒屋チェーン「和民」で起きた過労死事件。入社からわずか2カ月で自殺で亡くなった女性は、2カ月の間に227時間もの時間外労働を強要されていました。所定労働時間は8時間、週休2日制と説明されて入社したものの、現場では「店の営業時間が勤務時間」と言われ、長時間労働に加えて休みの日もボランティア活動や経営理念の暗記テスト、レポート書きをさせられていました。 2015年にも、大手広告代理店の電通で入社1年目の東大卒の女性が過労自殺で亡くなった事件がありました。職場では長時間労働が常態化し、被災者の女性は1日の睡眠時間が2時間、1週間で10時間しか寝られないこともあったといいます。 彼女たちのケースが特殊というわけではありません。労災の申請および認定件数を見ると、2010年代に入って以降、鬱など精神疾患が、脳・心臓疾患を超えて増え続けています。たしかに、人々が積極的に受診をするようになっているという側面もあるでしょう。しかし、それにもかかわらず抜本的な対策が取られていないという事実は変わりません。 マルクスが生きた時代より、労働者の権利に対する認識や労働環境は改善されているはずなのに、労働者に長時間労働を強いる圧力が弱まることはなく、今なお労働力という「富」の破壊が続いているのです』、「2008年に居酒屋チェーン「和民」で起きた過労死事件。入社からわずか2カ月で自殺で亡くなった女性は、2カ月の間に227時間もの時間外労働を強要されていました。所定労働時間は8時間、週休2日制と説明されて入社したものの、現場では「店の営業時間が勤務時間」と言われ、長時間労働に加えて休みの日もボランティア活動や経営理念の暗記テスト、レポート書きをさせられていました」、「大手広告代理店の電通で入社1年目の東大卒の女性が過労自殺で亡くなった事件がありました。職場では長時間労働が常態化し、被災者の女性は1日の睡眠時間が2時間、1週間で10時間しか寝られないこともあった」、「マルクスが生きた時代より、労働者の権利に対する認識や労働環境は改善されているはずなのに、労働者に長時間労働を強いる圧力が弱まることはなく、今なお労働力という「富」の破壊が続いているのです」、全く酷い話だ。
・『なぜ辞めればいいのに辞められないのか  搾取どころか、自死に追い込まれるほど過酷な長時間労働に、なぜ労働者は抗あらがえないのでしょうか。無断欠勤したり、辞めたりすればいいのでは? そんなふうに感じる方もいるかもしれません。この点についてもマルクスは分析をしています。 それによると、逃げ出せない理由の一つは、労働者が「自由」だからだというのです。「自由だから逃げ出せない」とは、一体どういうことでしょうか。 資本主義社会において、労働者は二重の意味で「自由」だとマルクスは言います。一つは、奴隷のように鎖につながれて強制労働させられているわけではないという意味での「自由」です。士農工商やカーストのような身分制もない社会では、好きな場所で、好きな仕事に就つくことができるのです。 しかし、奴隷や身分制のような不自由から解放された私たちは、同時に生産手段からも「自由(フリー)」になってしまいました。「生産手段フリー」とは、生きていくために必要なものを生産する手立てを持たないということを指します。ここでいう「フリー」という言葉は「束縛されていない」という意味ではなく、何かが「ない」という意味、例えばカフェインフリーやアルコールフリーなどの意味と同じように使われています。 この状態は、前章で見た〈コモン〉が「囲い込み」によって解体された帰結です。生産手段から切り離されてしまうと、大半の人々はもう自給自足できず商品を買うしかありません。だから、生きていくには、どうにかしてお金を手に入れなければならない』、「過酷な長時間労働に、なぜ労働者は抗あらがえないのでしょうか」、「逃げ出せない理由の一つは、労働者が「自由」だからだというのです。「自由だから逃げ出せない」とは、一体どういうことでしょうか。 資本主義社会において、労働者は二重の意味で「自由」だとマルクスは言います。一つは、奴隷のように鎖につながれて強制労働させられているわけではないという意味での「自由」です。士農工商やカーストのような身分制もない社会では、好きな場所で、好きな仕事に就つくことができるのです。 しかし、奴隷や身分制のような不自由から解放された私たちは、同時に生産手段からも「自由(フリー)」になってしまいました。「生産手段フリー」とは、生きていくために必要なものを生産する手立てを持たないということを指します」、「生産手段から切り離されてしまうと、大半の人々はもう自給自足できず商品を買うしかありません。だから、生きていくには、どうにかしてお金を手に入れなければならない」、「生産手段フリー」は「大半の人々はもう自給自足できず商品を買うしかありません」、つまり「労働者」にとっては不利なことになる。
・『資本主義社会の労働者は「自由」を売っている  そのためには何かを売る必要がある。けれども普通の人たちが生活のために売ることができるのは、自分自身の労働力しかないのです。資本主義社会の労働者は、奴隷と違って、自分の労働力を「自由」に売ることができます。つまり、労働者と資本家の関係は、労働契約を結ぶまでは基本的に自由・平等で、好きな会社と契約を結ぶことができるわけです。 けれども、自由になるのはそこまで。一度、労働力を売ってしまえば、あとはもう奴隷とあまり変わりません。どういうことなのか。 マルクス経済学者の内田義彦よしひこは次のように説いています。 労働者は労働力に対する処分権はもつが、労働に対する処分権など全然もっていない。うそだと思ったら職場で労働を自分の自由に処分してごらんなさい。処分されるのはあなた御自身でしょう。〔中略〕労働力に対する処分能力を100%持つということは労働の処分能力を100%失うということと裏表の関係にあります。(『資本論の世界』78頁) 「労働力に対する処分権」とは、自分の労働力を誰に売るかの選択権です。これは常に労働者の手元にあります。しかし誰かに売った途端、労働者は「労働の処分能力」――つまり働き方の自由を、100%失う。契約を結ぶと、その瞬間から労働者は資本家の指示・命令のもとで働かなければなりません。 それを無視して好き勝手に働けばクビになるだけですよね』、「自分の労働力を誰に売るかの選択権です。これは常に労働者の手元にあります。しかし誰かに売った途端、労働者は「労働の処分能力」――つまり働き方の自由を、100%失う。契約を結ぶと、その瞬間から労働者は資本家の指示・命令のもとで働かなければなりません」、働き口が複数あれば、「労働者」は気に入らないところを止めて、他に移ることも可能な筈だが、そこまでは考慮されてないのかも知れない。
・『労働者は自由でもあり「賃金奴隷」でもある  どのように働くかを決めるのも、その労働が生み出す価値を手にするのも資本家。労働の現場には、自由で平等な関係など存在しないのです。だから、労働問題研究の大家である熊沢誠は、「民主主義は工場の門前で立ちすくむ」と喝破かっぱしたのです。そのことがわかっていても、あらゆるものが商品化された社会では、生きていくために労働者は自らの自由を「自発的に」手放さないといけない。そこに実質的な選択肢はありません。 だから、マルクスは現代の労働者の置かれた状況を奴隷制に喩え、「賃金奴隷」とも呼んだのです。でも、私たちは自分が「奴隷」だなんて認めたくないですよね。自分は自由な存在だと思いたい(だから市場で好きなモノが買えることが資本主義の素晴らしさとして謳われるわけです)。この気持ちを利用して、資本主義は私たちをギリギリのところまで働かせ続けるのです。 もちろん、労働者には、仕事を辞めて劣悪な労働環境から抜け出す「自由」もあります。なのに、なぜ現代のメアリー・アンたちは辞められなかったのか。生活がかかっているし、労働者間にも競争があるので、職場で生き残るために頑張るという面もあるでしょう。でもそれ以上に、マルクスは、ここにも資本主義の魔力があると説いています』、「仕事を辞めて劣悪な労働環境から抜け出す「自由」」が行使できない理由は何なのだろう。
・『労働者を追いつめる“自己責任”という落とし穴  資本主義以前の奴隷は、本人のあずかり知らぬところで売買され、人権も人格も否定されて、家畜のように働かされます。それでも逃げないのは、逃げたら逃げたで酷むごい仕打ちを受けるからです。 彼らは恐怖心から嫌々労働していました。しかし奴隷は、最低限の生存保障はされていました。家畜をむやみに殺したりはしないのと同じで、奴隷所有者は奴隷をモノとしてそれなりに大切に扱ったのです。 ところが資本主義社会では、誰も生存保障をしてくれません。資本主義は、共同体という「富」を解体し、人々を旧来の封建的な主従関係や共同体のしがらみから解放しました。共同体から「自由」になるということは、そこにあった相互扶助、助け合いの関係性からも“フリー”になる――つまり、切り離されてしまうということです。 だから、今は何とか生活できていても、体を壊したり、失業したりすれば生活が立ちゆかなくなって、ホームレスになってしまうかもしれない。そんなリスクに常にさらされている労働者はみな「潜在的貧民」だとマルクスは言います。 国立オリンピック記念青少年総合センターに開設された、 リーマンショック後の派遣村の活動で有名になった湯浅誠が、日本はセーフティーネットが脆弱ぜいじゃくで、一度仕事を失うと一気に生活保護まで落ちてしまう「すべり台社会」だと名付けたことを思い出していただくといいかもしれません。資本主義社会の労働者は、そんな不安定な環境のなかで自分の労働力という商品だけを頼みに、それをどこに売るかも自分で決めて、必死に生きていかなくてはなりません。ここに「自己責任」という落とし穴があります』、「奴隷は、最低限の生存保障はされていました。家畜をむやみに殺したりはしないのと同じで、奴隷所有者は奴隷をモノとしてそれなりに大切に扱ったのです。 ところが資本主義社会では、誰も生存保障をしてくれません。資本主義は、共同体という「富」を解体し、人々を旧来の封建的な主従関係や共同体のしがらみから解放しました。共同体から「自由」になるということは、そこにあった相互扶助、助け合いの関係性からも“フリー”になる――つまり、切り離されてしまうということです。 だから、今は何とか生活できていても、体を壊したり、失業したりすれば生活が立ちゆかなくなって、ホームレスになってしまうかもしれない。そんなリスクに常にさらされている労働者はみな「潜在的貧民」だとマルクスは言います」、「奴隷」より酷いのは確かなようだ。「湯浅誠が、日本はセーフティーネットが脆弱ぜいじゃくで、一度仕事を失うと一気に生活保護まで落ちてしまう「すべり台社会」だと名付けた」、「潜在的貧民」や「すべり台社会」とは言い得て妙だ。
・『「自分で選んでいる」からこそ無理をしてしまう  奴隷は、ただ外的な恐怖に駆られて労働するだけで、彼の生活(彼に属してはいないが保障されてはいる)のために労働するのではない。それに対して、自由な労働者は、自らの必要に駆られて労働する。自由な自己決定、すなわち自由の意識や、それと結びついている責任の感情は、自由な労働者を奴隷よりも遥かに優れた労働者にする。(マルクス「直接的生産過程の諸結果」 労働者を突き動かしているのは、「仕事を失ったら生活できなくなる」という恐怖よりも、「自分で選んで、自発的に働いているのだ」という自負なのです。だからこそ、「職務をまっとうしなくては」という責任感が生じてきます。 実際、就職活動の面接で「なんでも死ぬ気でやります!」と自分の自由を進んで手放した経験のある人は多いのではないでしょうか。最低限の生活を保障されながら嫌々働かされている奴隷との違いは、明らかでしょう。 自己責任の感情をもって仕事に取り組む労働者は、無理やり働かされている奴隷よりもよく働くし、いい仕事をします。そして、ミスをしたら自分を責める。理不尽な命令さえも受け入れて、自分を追い詰めてしまうのです。これは資本家にとって、願ってもないことでしょう。“資本家にとって都合のいい”メンタリティを、労働者が自ら内面化することで、資本の論理に取り込まれていく。政治学者の白井聡さとしは、これを「魂の包摂ほうせつ」と呼んでいます』、「奴隷は、ただ外的な恐怖に駆られて労働するだけで、彼の生活(彼に属してはいないが保障されてはいる)のために労働するのではない。それに対して、自由な労働者は、自らの必要に駆られて労働する。自由な自己決定、すなわち自由の意識や、それと結びついている責任の感情は、自由な労働者を奴隷よりも遥かに優れた労働者にする」、「自己責任の感情をもって仕事に取り組む労働者は、無理やり働かされている奴隷よりもよく働くし、いい仕事をします。そして、ミスをしたら自分を責める。理不尽な命令さえも受け入れて、自分を追い詰めてしまうのです。これは資本家にとって、願ってもないことでしょう。“資本家にとって都合のいい”メンタリティを、労働者が自ら内面化することで、資本の論理に取り込まれていく。政治学者の白井聡さとしは、これを「魂の包摂ほうせつ」と呼んでいます」、資本主義の仕組みは確かによく出来ている。
・『誰もが「モーレツ社員」を目指してしまう  本来、際限のない価値増殖を追求する資本家の利害・関心と、人間らしい生活を望む労働者の利害・関心は相容あいいれないものです。ところが、自由で自発的な労働者は、資本家が望む労働者像を、あたかも自分が目指すべき姿、人間として優れた姿だと思い込むようになっていく。 高度成長期の「モーレツ社員」や、バブル期に流行った栄養ドリンクのキャッチフレーズ「24時間戦えますか」などは、その好例でしょう。資本主義社会では、労働者の自発的な責任感や向上心、主体性といったものが、資本の論理に「包摂」されていくことをマルクスは警告していたのです』、「自由で自発的な労働者は、資本家が望む労働者像を、あたかも自分が目指すべき姿、人間として優れた姿だと思い込むようになっていく。 高度成長期の「モーレツ社員」や、バブル期に流行った栄養ドリンクのキャッチフレーズ「24時間戦えますか」などは、その好例」、確かにその通りだ。ただ、「過労死」は日本でこそ目立つが、欧米では見かけない。「労働者の自発的な責任感や向上心、主体性といったものが、資本の論理に「包摂」されていく」のは、日本こそが最も酷い例なのかも知れない。

次に、3月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「日本企業で働きたくない…アジアで人気ガタ落ち!嫌われる「日本式働き方」とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/319526
・『日本企業で働きたくない海外の人が増えている?  「安いニッポン」「貧しいニッポン」に続いて、いよいよ「人気のないニッポン」にまで落ちぶれてしまったということなのかーー。 早稲田大学トランスナショナルHRM研究所の22年調査によると、アジアのホワイトカラー人材が働きたい企業の国籍は、自国企業が82%とトップになり、ついで米国企業は67%、欧州企業は58%、そして日本企業は40%とビリになったというのだ。 08年にも同様の調査をしたが、その時日本企業で働くことに興味を持っていたのはなんと74%にも及んだという。自国企業の人気が上がったことで、米国企業も欧州企業もみな人気は低下したが、その中でも日本企業がひときわ大きく落ち込んでいる。 では、なぜこんなにも日本企業の人気はガタ落ちしてしまったのか。 この調査を紹介したNIKKEI STYLEの記事が、要因をまとめているので引用させていただこう。 『かつて日系企業で働く障害は圧倒的に言語の壁だった。しかし、22年は言語に次いで、閉鎖的な雰囲気、限定的な昇進、低い報酬を問う声が高まっている。日本の会社の課題は言葉の問題以上に「島国根性」とも呼ばれる閉鎖性なのかもしれない』(NIKKEI STYLE 3月10日) その「閉鎖性」の中でも、特にアジアのホワイトカラーたちが拒否反応を示しているのが、「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)だという。この「ホウレンソウ」についてしっかり考察すると、アジア進出している日本企業が今、時代の岐路に立たされていることが分かる』、「アジアのホワイトカラー人材」のうち「日本企業で働くことに興味を持っている」のが、「08年」「では74%」だったのに、22年調査では、「40%」と、「米国企業は67%、欧州企業は58%」に大きく差を付けられた。「かつて日系企業で働く障害は圧倒的に言語の壁だった。しかし、22年は言語に次いで、閉鎖的な雰囲気、限定的な昇進、低い報酬を問う声が高まっている。日本の会社の課題は言葉の問題以上に「島国根性」とも呼ばれる閉鎖性なのかもしれない』・・・その「閉鎖性」の中でも、特にアジアのホワイトカラーたちが拒否反応を示しているのが、「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)」、「ホウレンソウ」が目の敵にされるとは、どいうことなのだろう。
・『日本のばかばかしい働き方には付き合っていられない  日本人からすれば、社会に出る前から骨の髄まで叩き込まれるこの一般常識は、実は多くのアジア人にとっては、シンプルにイラっとくる非常識だ。筆者もこれまで日本企業で働く外国人から「ホウレンソウ」への不満を幾度となく聞いてきた。「自分の頭で考えて仕事ができないってどういうこと?」「信用されていない感じがしてやる気をなくす」など大不評なのだ。 もちろん、日本企業側からすれば真逆の反応だ。「いくら教えてもホウレンソウをしてこないのでトラブルを察知するのが遅い」などと、日本流に従わない外国人に辟易としている企業も少なくない。 こういう“文化の衝突”は日本が経済大国としてアジアの中でも存在感があった時代は、それほど表面化しなかった。アジアに進出した日系企業は、現地の生活水準に比べるとかなりの高収入が得られる憧れの就職先だったので、「ホウレンソウ」のような不快な日本の企業文化でもがまんをして受け入れる人が多かったからだ。 しかし、ご存じのように今や日本の存在感はガクンと低下した。世界の時価総額ランキングでも30年ほど前は、トップ50社のうち32社は日本企業だったが、現在はトヨタ自動車がかろうじて入っているだけだ。また、賃金もまったく上がっていない。その一方で、中国やベトナム、タイ、インドネシアなどアジア各国が経済成長して、世界的企業も続々と生まれ、日本企業よりも高い賃金を払っている。 つまり、かつて隆盛を誇った日本企業が落ちぶれるのと反比例するような形に、自国企業が成長したことで、これまで黙って従っていたアジアのホワイトワーカーたちが、「やっぱり日本のばかばかしい働き方には付き合ってらんねーや」と声を上げ始めたというわけだ。 このような流れはあまりよろしくない。アジア進出している日本企業への反発が高まることで、そこで働いている、あるいはかつて働いていた現地の人たちが、「日本式の働き方を強要されて精神的苦痛を受けたので賠償せよ」なんて言い出しかねないからだ』、「日本企業で働く外国人から「ホウレンソウ」への不満」、「「自分の頭で考えて仕事ができないってどういうこと?」「信用されていない感じがしてやる気をなくす」など大不評」。「アジアに進出した日系企業は、現地の生活水準に比べるとかなりの高収入が得られる憧れの就職先だったので、「ホウレンソウ」のような不快な日本の企業文化でもがまんをして受け入れる人が多かったからだ。 しかし、」、「かつて隆盛を誇った日本企業が落ちぶれるのと反比例するような形に、自国企業が成長したことで、これまで黙って従っていたアジアのホワイトワーカーたちが、「やっぱり日本のばかばかしい働き方には付き合ってらんねーや」と声を上げ始めたというわけだ」、「日本企業が落ちぶれる」ことの予想外の副作用だ。
・『アジア展開する日本企業の働き方は、かつての日本軍そっくり  「考えすぎだろ」と冷笑する人も多いだろうが、歴史に学べばその可能性はかなり高い。実は今、アジアで日本企業が歩んでいる道というのは、日本軍が歩んできた道と丸かぶりだからだ。 日本企業が現地採用の人に「ホウレンソウ」という日本式の働き方を押し付けてきたことで、反感を抱かれているのとまったく同じで、日本軍もアジアのさまざまな場所に進出をしたが、現地の人々の自主性に任せなかったことで、かなり反感を抱かれた。 当時、現地の人を「土人」と呼び、日本軍は完全に下に見ていた。「どうせお前らは何もわからないんだから日本人のやり方を見習え」と言わんばかりに、さまざまな「日本式」を押し付けたのである。 その代表が「日本語」を用いて、日本人として文化や歴史を学ばせるといういわゆる「皇民化」だ。愛国心あふれる人たちは、これはそれぞれの国の独立や発展に役立ったと主張するが、これは結果論というか後付けの解釈で、やはり当時は「ふざけんなよ」と思う現地の人もたくさんいた。 陸上自衛隊幹部学校研究課研究員の芳賀美智雄氏の『インドネシアにおける日本軍政の功罪』でもこのように総括されている。 <社会教育施策においても、オランダ植民地時代の二重教育制度を改めることにより初等教育の水準を向上させるとともに、共通語としてのインドネシア語の整備・普及によりインドネシア人の民族意識の高揚を助長した。しかし、学校等での日本語教育、朝礼や宮城遥拝、日本時間の採用などインドネシア人の慣習等を無視した急激な日本化の強要は、日本(軍)に対する反発を招いた> その「反発」が1944年2月に農民たちが日本軍に蜂起したタシクマラヤ事件などにつながったというわけである。 このような「日本式の強要」への反発が生まれたのは、インドネシアだけではない。フィリピンでも日本語教育が行われ、日本から多くの教師が派遣されたが、戦局の悪化に伴い、フィリピン人たちの中で「なんでこんな日本式を強要されなきゃいけないんだよ」という不満がムクムクと膨らむ。 木村昭氏の『占領地日本語教育はなぜ「正当化」されたのか ―― 派遣教員が記憶するフィリピン統治 ――』を引用させていただこう。 <戦局の悪化とともに、現地人たちは日本語への学習意欲を喪失したと想定できる。水野輝義の日記にある、社会人向けの授業で「受講者欠席多く困った」という1944年4月21日の記述や、「女学校授業。雰囲気悪い。……この学校は監視の要あり」という8月3日の記述、「リパ女学校各教室を廻る。生徒の態度やや冷淡。日本に対する抵抗か」という8月24日の記述、これらはその証左とみなせよう> 日本に対して不満を抱いていそうなフィリピン人は、憲兵隊から激しい締め付けにあうので、不満が激しい怒りや憎悪になっていく。 戦後、フィリピンで日本軍の残虐な行為を告発する現地の人が相次いだのは、こういう日本式を強要した恨みもあるのだ』、「日本軍もアジアのさまざまな場所に進出をしたが、現地の人々の自主性に任せなかったことで、かなり反感を抱かれた。 当時、現地の人を「土人」と呼び、日本軍は完全に下に見ていた。「どうせお前らは何もわからないんだから日本人のやり方を見習え」と言わんばかりに、さまざまな「日本式」を押し付けたのである。 その代表が「日本語」を用いて、日本人として文化や歴史を学ばせるといういわゆる「皇民化」だ」、「オランダ植民地時代の二重教育制度を改めることにより初等教育の水準を向上させるとともに、共通語としてのインドネシア語の整備・普及によりインドネシア人の民族意識の高揚を助長した。しかし、学校等での日本語教育、朝礼や宮城遥拝、日本時間の採用などインドネシア人の慣習等を無視した急激な日本化の強要は、日本(軍)に対する反発を招いた> その「反発」が1944年2月に農民たちが日本軍に蜂起したタシクマラヤ事件などにつながった」、「フィリピンでも日本語教育が行われ、日本から多くの教師が派遣されたが、戦局の悪化に伴い、フィリピン人たちの中で「なんでこんな日本式を強要されなきゃいけないんだよ」という不満がムクムクと膨らむ」、「<戦局の悪化とともに、現地人たちは日本語への学習意欲を喪失したと想定できる。水野輝義の日記にある、社会人向けの授業で「受講者欠席多く困った」という1944年4月21日の記述や、「女学校授業。雰囲気悪い。……この学校は監視の要あり」という8月3日の記述、「リパ女学校各教室を廻る。生徒の態度やや冷淡。日本に対する抵抗か」という8月24日の記述、これらはその証左とみなせよう> 日本に対して不満を抱いていそうなフィリピン人は、憲兵隊から激しい締め付けにあうので、不満が激しい怒りや憎悪になっていく。 戦後、フィリピンで日本軍の残虐な行為を告発する現地の人が相次いだのは、こういう日本式を強要した恨みもあるのだ』、「インドネシア」、「フィリピン」とも反日になるのは当然だ。
・『日本人の働き方から目を覚さなければいけない  こういう歴史の教訓がある中で、日本企業も日本軍と同じ道をたどる可能性は高い。 「ホウレンソウ」やらの「日本式の強要」が今の日本企業に対する反発を招いている。ということは、今後は日本経済が惨敗していくのに伴い、その「反発」がさらに強まって、日本企業を標的にした、パワハラや低賃金労働を告発するようなムーブメントが起きる可能性がある。 「おいおい、話が飛躍しすぎだ、日本企業と日本軍ではまったく次元が違うだろ」と思うだろう。しかし、実は一流のビジネスマンたちの間では、日本企業と日本軍というのが、組織として非常によく似ており、そこで発生する問題も瓜二つだということはかねて常識になっている。 それはこの記事(『戦地で反省部屋!? 戦後77年たっても変わらない、組織を蝕む「日本病」とは?【書籍オンライン編集部セレクション】』)で紹介されているベストセラーを読めば、よく分かっていただけるだろう。 では、なぜ瓜二つになるのかというと、我々日本人が「日本人の働き方」と思い込んでいるもののほとんどが、「日本軍の働き方」だからだ。 なぜそうなったのかというと、国民総動員体制が大きい。戦局が悪化して、総力戦となった時、民間企業で働く人の多くは「産業戦士」として軍の監督下に置かれて、職場に派遣された軍人の指導の下で、生産力を向上するため、ふ抜けた労働者でもキビキビと動かすノウハウを叩き込まれた。 そして戦争に負けた後、この「日本軍仕込みのマネジメント」は日本中の労働現場に広まっていく。当然だ。戦後復興を支えたのは、この産業戦士か、もしくは実際に軍隊で働いていた人だからだ。つまり、滅私奉公で上官(上司)の命令は絶対で、過労死するまで組織に忠誠を尽くすという日本の企業文化は、日本軍の組織運営を踏襲しただけの話なのだ』、「滅私奉公で上官(上司)の命令は絶対で、過労死するまで組織に忠誠を尽くすという日本の企業文化は、日本軍の組織運営を踏襲しただけの話なのだ」、その通りなのかも知れない。
・『日本軍式マネジメント「命・解・援」  そんな日本軍式マネジメントのひとつが、「命・解・援」だ。これは上官の心得みたいもので、下っ端の兵隊を動かすには、しっかりと命令を下して、「なぜそれをやるのか」「どうやるのか」と解説をしてやって、さらにその命令が実行できるような助言などの援助もしてやらなくてはいけないというものだ。 ここまで言えばもうお分かりだろう。我々がありがたがっている「ホウレンソウ」というのは、「命・解・援」の世界観を部下側から焼き直したものに過ぎない。 つまり、アジアに進出をした日本企業が「組織の風通しをよくするために必要なものだ」なんて、現地採用した外国人に強要している「ホウレンソウ」は、日本軍がかつてやって現地の反発を招いた「日本式の強要」そのものなのだ。違和感や嫌悪感を抱くのは当然だ。 「歴史は繰り返す」ではないが、同じルーツを持つ組織が同じことをやれば、同じ結果になる可能性は高い。日本企業も日本軍と同様の道をたどる恐れがある。今までは経済大国ということで抑え込まれてきた「日本式」への不満が一気に爆発して、大規模なジャパンバッシングを引き起こす恐れもあるのだ。 成長著しいアジア諸国と対照的に、日本の賃金はまったく上がらず成長も停滞している。つまり、経済戦争での惨敗は近い。 そうなった時、「人気のないニッポン」くらいならまだマシで、あの戦争の後のように、「憎いニッポン」が盛り上がることだってある。「日本が好き」と公言してくれるアジアの人々は多いが、それは観光先やアニメなどの文化であって、日本企業や、日本の働き方ではないのだ。 アジア進出している日本企業の皆さんはぜひそのあたりを混同せず、用心していただきたい』、「経済戦争での惨敗は近い。 そうなった時、「人気のないニッポン」くらいならまだマシで、あの戦争の後のように、「憎いニッポン」が盛り上がることだってある。「日本が好き」と公言してくれるアジアの人々は多いが、それは観光先やアニメなどの文化であって、日本企業や、日本の働き方ではないのだ。 アジア進出している日本企業の皆さんはぜひそのあたりを混同せず、用心していただきたい」、確かに有益なアドバイスだ。

第三に、3月31日付け東洋経済オンラインが掲載した経営コンサルタントの日沖 健氏による「「育ててもすぐ退職」一括採用の破綻が招く事態 卒業後すぐ就職できず若年層の失業率は上昇も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/662387
・『この時期は、人事異動による転勤と新入社員の受け入れで、会社関係の引っ越しが多い「転勤シーズン」です。この3年間、コロナ禍で転勤が抑制されたため、今年は過年度分を含めて大規模な異動を行う企業が多く、引っ越し業者の手配が困難になっています。 ビジネスパーソンにとっては、長かったコロナ禍も終わり、「ようやく春の風物詩が戻ってきた」と感慨深いところかもしれません。ただ、「転勤シーズン」というのは日本独特の慣行で、将来はこの光景が見られなくなる可能性があります。 今回は、将来「転勤シーズン」がなくなることによって起こる日本の雇用システムの劇的な変化について考えてみましょう』、興味深そうだ。
・『アメリカでは転勤はほとんどない  将来について考える前に、なぜ日本では一年のうち今の時期が「転勤シーズン」になっているのでしょうか。これには、日本の雇用システムが大いに関係しています。 多くの日本企業は、社員を数年おきに異動させます。異動には、①人員過剰の部門から人員不足の部門へ異動することで、社員を解雇せずに人員構成を最適化できる、②社員にいろいろな業務を経験させてジェネラリストとして育成できる、というメリットがあるためです。 また日本では、新卒一括採用の慣行があり、4月1日に新入社員が入ってきてます。人員構成が大きく変わるので、既存の社員の異動もこれに併せて一体で行うのが効率的です。これが、今の時期が「転勤シーズン」になっている理由です。 このように、「転勤シーズン」は異動や新卒一括採用という雇用慣行と深く結びついているわけです。ただ、私たちにとって当たり前のこうした雇用慣行は、アメリカなど諸外国ではあまり見られない、日本固有のものです。) たとえばアメリカでは、一握りの上級管理職以外は会社命令による異動はありません。ジョブ型雇用(以下「ジョブ型」)と言われるとおり、担当する職務と勤務地を明確に取り決めて採用します。部門間で人員の過不足が生じたら、人員過剰の部門ではリストラをし、人員不足の部門では採用します。 学生の入社時期はバラバラです。「新しい営業所を作るので営業担当を5人採用」という欠員採用が基本なので、日本企業のように今すぐに働けない大学3・4年生を“先物予約”で採用することはありません。学生は、大学の授業が厳しいこともあって、卒業してから就職活動やインターンを始めます』、「「転勤シーズン」は異動や新卒一括採用という雇用慣行と深く結びついているわけです。ただ、私たちにとって当たり前のこうした雇用慣行は、アメリカなど諸外国ではあまり見られない、日本固有のものです」、その通りだ。
・『ジョブ型で若年層の失業者が急増  ただ、こうした春の風物詩が、ジョブ型によって大きく変わるかもしれません。近年、日立製作所・富士通・KDDIといった企業が、ジョブ型に転換しています。まだ大手企業に限られた動きですが、政府もジョブ型を推奨しており、今後、雪崩を打って転換していく可能性があります。 もちろん、結果的にジョブ型への転換があまり進まなかったり、日本の雇用慣行とミックスさせた「日本式ジョブ型」が主流になる可能性もあり、将来は不透明です。ただ、仮にアメリカ式のジョブ型に転換したら、異動や新卒一括採用を続ける理由がなくなり、消滅します。 異動や新卒一括採用が消滅したら、企業経営だけでなく、家庭生活・学校教育など社会全体に様々な影響が及びます。中でも最も懸念されるのが、若年層の失業率の増加です。 日本では、若年層(15~24歳)の失業率は4.0%(総務省、2023年1月)で、世界平均14.9%(ILO、2022年)と比べて極めて低い水準です。これは、企業が新卒一括採用でまっさらな学生を採用し、OJTや異動で長期間かけて育成するというやり方をしているからです。 一方、ジョブ型は欠員採用が基本なので、即戦力の経験者を中途採用します。経験者が優遇されると、スキル・経験が乏しい若年層は、採用市場であぶれてしまいます。日本でもジョブ型になれば、欧米のように若年層の失業が劇的に増えることでしょう。) いま、岸田文雄首相は、企業にはジョブ型への転換を、労働者にはリスキリング(学び直し)を求めています。ジョブ型になったら失業者が増えるので、職に就きたかったらちゃんとスキルを高めてくださいよ……。理にかなった話です。 問題は、企業の対応です。いま日本企業は、ジョブ型への転換を進める一方、異動・新卒一括採用・OJTによる人材育成・ジェネラリスト志向といった日本独特のやり方を変えていません。アメリカ式の雇用に転換したいのか、日本式を維持したいのか、いわば「股裂き状態」です』、「仮にアメリカ式のジョブ型に転換したら、異動や新卒一括採用を続ける理由がなくなり、消滅します。 異動や新卒一括採用が消滅したら、企業経営だけでなく、家庭生活・学校教育など社会全体に様々な影響が及びます。中でも最も懸念されるのが、若年層の失業率の増加です」、「日本では、若年層(15~24歳)の失業率は4.0%(総務省、2023年1月)で、世界平均14.9%(ILO、2022年)と比べて極めて低い水準です。これは、企業が新卒一括採用でまっさらな学生を採用し、OJTや異動で長期間かけて育成するというやり方をしているからです。 一方、ジョブ型は欠員採用が基本なので、即戦力の経験者を中途採用します。経験者が優遇されると、スキル・経験が乏しい若年層は、採用市場であぶれてしまいます。日本でもジョブ型になれば、欧米のように若年層の失業が劇的に増えることでしょう」、「日本でもジョブ型になれば、欧米のように若年層の失業が劇的に増えることでしょう」、その通りだ。
・『苦労して学生を採用する必要があるのか?  とくに、検討を要するのが、新人の採用です。少子化で新卒学生の数が減り、各社とも採用活動では大苦戦しています。今年は初任給を数万円単位で一気に引き上げる動きが相次いでおり、人材獲得競争がますます熾烈になっています。 今回、大手企業の人事部門関係者32名に、今後の新人採用のあり方についてヒアリングしました。新卒一括採用が継続するという予想と消滅するという予想がかなり拮抗していました。まず、今後も新卒一括採用が続くという予想から。 「当社でも高度専門人材へのニーズが高まっており、中途採用が増えるでしょう。ただ、日本では雇用の安定が重視されますし、移民社会のアメリカとは転職やキャリアに対する考え方も違うので、中途採用が中心になるというのは、ちょっと考えにくい。今後も新卒一括採用はなくならないと予想します」(商社・部長) 「当社のような製造業では、工場の操業に多数の従業員が必要で、数の確保が課題です。新卒一括採用だと多数の新人を効率的に集められますし、中途採用と比べて採用コストも安くすみます。新卒一括採用を中心に、足りない人材を中途採用で補完する形になるでしょう」(素材・マネジャー)) 一方、長期的には新卒一括採用がなくなるという予想。こちらは、「将来も続けたいが持続不可能」という見解が多数と「積極的にやめるべき」という見解が少数ありました。 「当社は今後も新卒一括採用を中心にする方針ですが、持続可能かと聞かれると疑問です。すでに、予定数を採用するのが難しくなっており、質の低下に目をつむっている状態です。今後ますます少子化が進むことを考えると、ある程度の質を維持しながら新卒一括採用を続けるというのは不可能でしょう」(食品・役員) 「当社の経営陣は、事業をグローバル展開すると言いながら、日本人学生の新卒採用にこだわっています。しかも苦労して採用し、手間暇かけて育成した新人が1、2年でどんどん辞めています。個人的には、そんな無駄なことをするよりも、外国人の中途採用を中心にするほうが合理的だと考えます」(外食・担当者) 結局、「将来のことはよくわからない」という結論になるわけですが、これでおしまいにしてはいけません。人事部門関係者は、以下の3つの質問について熟考する必要があります。 ① 自社のビジョン・経営戦略を実現するためには、どういう人材が必要か。 ② 必要な人材を確保するには、「新卒一括採用し、異動・OJTで育成する」のと「即戦力を中途採用する」のでは、どちらが効果的か。 ③ 必要な人材を「新卒一括採用し、異動・OJTで育成する」のと「即戦力を中途採用する」のでは、どちらがトータルコストが低いか。 働き方改革・コロナ・人手不足といった環境変化を受けて、雇用システムが大きく揺れている昨今。逆に、これまでなかなか変えられなかった雇用システムを見直すチャンスと捉えて、思い切った改革を進めたいものです』、「結局、「将来のことはよくわからない」という結論になるわけですが、これでおしまいにしてはいけません。人事部門関係者は、以下の3つの質問について熟考する必要があります。 ① 自社のビジョン・経営戦略を実現するためには、どういう人材が必要か。 ② 必要な人材を確保するには、「新卒一括採用し、異動・OJTで育成する」のと「即戦力を中途採用する」のでは、どちらが効果的か。 ③ 必要な人材を「新卒一括採用し、異動・OJTで育成する」のと「即戦力を中途採用する」のでは、どちらがトータルコストが低いか。 働き方改革・コロナ・人手不足といった環境変化を受けて、雇用システムが大きく揺れている昨今。逆に、これまでなかなか変えられなかった雇用システムを見直すチャンスと捉えて、思い切った改革を進めたいものです」、その通りなのだろう。

なお、明日は更新を休むので、明後日にご期待を!
タグ:働き方改革 (その39)(なぜ死ぬまで働いてしまうのか…マルクスの資本論が150年前に警告していた「過労死の根本原因」とは 斎藤幸平「労働者は"賃金の奴隷"になっている」、日本企業で働きたくない…アジアで人気ガタ落ち!嫌われる「日本式働き方」とは、「育ててもすぐ退職」一括採用の破綻が招く事態 卒業後すぐ就職できず若年層の失業率は上昇も) PRESIDENT ONLINE 斎藤 幸平氏による「なぜ死ぬまで働いてしまうのか…マルクスの資本論が150年前に警告していた「過労死の根本原因」とは 斎藤幸平「労働者は"賃金の奴隷"になっている」」 斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』(NHK出版新書) 「労働者は自由に働く会社を選べるがゆえに、自分自身を追い詰めてしまうのだ」、理解するには、解説が必要だ。 「資本主義は、この労働力という「富」を「商品」に閉じ込めてしまう。資本家にとって、自分で購入した労働力商品を使うにあたり、労働者の生活の質や夢、やりがいに配慮することは関心事ではありません。彼らが執心しているのは、労働が生み出す価値の量。それを最大化するために労働を支配していく」、「こうして、生きるために働いていたはずが、働くために生きているかのように本末が転倒していきます。労働力という富が商品に閉じ込められてしまうことで、多くの労働者にとっては、人間が持つ能力の発展が阻害され、使い潰されてしまう」、 「「労働の生き血を求める吸血鬼」の餌食になるのは大人ばかりではありません。『資本論』第1巻第8章「労働日」では、賃労働に駆り出されて学校に通えず、読み書きができない子どもや、大人と一緒に働くなかでタバコや酒を覚えて中毒になる子ども、早死にしてしまう若年労働者たちの、悲惨な実態が仔細しさいに綴られています」、なるほど。 「非常に名高い宮廷用婦人服製造所に雇われ、エリズという優しい名の婦人に搾取されていた20歳の女工メアリー・アン・ウォークリーの死亡に関するものだった。〔中略〕女工たちは1日平均16時間半、だが社交シーズンともなれば30時間休みなく働いた。彼女たちの「労働力」が萎なえてくると、シェリー酒やポートワイン、コーヒーが与えられ、労働を続けさせられたという」、「シェリー酒やポートワイン、コーヒーが与えられ、労働を続けさせられた」、驚くべき奴隷労働だ。 「そして、悲劇は社交季節のピークに起きた。〔中略〕メアリー・アン・ウォークリーは、ほかの60人の女工たちとともに、必要な空気の3分の1も与えないような一室に30人ずつ入って、26時間半休みなく働き、夜は1つの寝室を幾つかの板で仕切った息詰まる部屋で、1つのベッドに2人ずつ寝かされた。しかも、これは、ロンドンでも良い方の婦人服製造工場の一つだった」、 「過労死です。ここでの問題は、メアリー・アンの悲劇が、『資本論』刊行から150年経った今も日本で繰り返されているということです。残念ながら、「昔の社会はこんなひどいことがあったんだ」という解説を付け加える必要がまったくありません』、程度の違いこそれ、「メアリー・アンの悲劇が、『資本論』刊行から150年経った今も日本で繰り返されている」、というのは恥ずべきことだ。 「2008年に居酒屋チェーン「和民」で起きた過労死事件。入社からわずか2カ月で自殺で亡くなった女性は、2カ月の間に227時間もの時間外労働を強要されていました。所定労働時間は8時間、週休2日制と説明されて入社したものの、現場では「店の営業時間が勤務時間」と言われ、長時間労働に加えて休みの日もボランティア活動や経営理念の暗記テスト、レポート書きをさせられていました」、 「大手広告代理店の電通で入社1年目の東大卒の女性が過労自殺で亡くなった事件がありました。職場では長時間労働が常態化し、被災者の女性は1日の睡眠時間が2時間、1週間で10時間しか寝られないこともあった」、「マルクスが生きた時代より、労働者の権利に対する認識や労働環境は改善されているはずなのに、労働者に長時間労働を強いる圧力が弱まることはなく、今なお労働力という「富」の破壊が続いているのです」、全く酷い話だ。 「過酷な長時間労働に、なぜ労働者は抗あらがえないのでしょうか」、「逃げ出せない理由の一つは、労働者が「自由」だからだというのです。「自由だから逃げ出せない」とは、一体どういうことでしょうか。 資本主義社会において、労働者は二重の意味で「自由」だとマルクスは言います。一つは、奴隷のように鎖につながれて強制労働させられているわけではないという意味での「自由」です。士農工商やカーストのような身分制もない社会では、好きな場所で、好きな仕事に就つくことができるのです。 しかし、奴隷や身分制のような不自由から解放された私たちは、同時に生産手段からも「自由(フリー)」になってしまいました。「生産手段フリー」とは、生きていくために必要なものを生産する手立てを持たないということを指します」、「生産手段から切り離されてしまうと、大半の人々はもう自給自足できず商品を買うしかありません。だから、生きていくには、どうにかしてお金を手に入れなければならない」、「生産手段フリー」は「大半の人々はもう自給自足できず商品を買うしかありません」、つまり「労働者」にとっては不利なことになる。 「自分の労働力を誰に売るかの選択権です。これは常に労働者の手元にあります。しかし誰かに売った途端、労働者は「労働の処分能力」――つまり働き方の自由を、100%失う。契約を結ぶと、その瞬間から労働者は資本家の指示・命令のもとで働かなければなりません」、働き口が複数あれば、「労働者」は気に入らないところを止めて、他に移ることも可能な筈だが、そこまでは考慮されてないのかも知れない。 「仕事を辞めて劣悪な労働環境から抜け出す「自由」」が行使できない理由は何なのだろう。 「奴隷は、最低限の生存保障はされていました。家畜をむやみに殺したりはしないのと同じで、奴隷所有者は奴隷をモノとしてそれなりに大切に扱ったのです。 ところが資本主義社会では、誰も生存保障をしてくれません。資本主義は、共同体という「富」を解体し、人々を旧来の封建的な主従関係や共同体のしがらみから解放しました。 共同体から「自由」になるということは、そこにあった相互扶助、助け合いの関係性からも“フリー”になる――つまり、切り離されてしまうということです。 だから、今は何とか生活できていても、体を壊したり、失業したりすれば生活が立ちゆかなくなって、ホームレスになってしまうかもしれない。そんなリスクに常にさらされている労働者はみな「潜在的貧民」だとマルクスは言います」、「奴隷」より酷いのは確かなようだ。 「湯浅誠が、日本はセーフティーネットが脆弱ぜいじゃくで、一度仕事を失うと一気に生活保護まで落ちてしまう「すべり台社会」だと名付けた」、「潜在的貧民」や「すべり台社会」とは言い得て妙だ。 「奴隷は、ただ外的な恐怖に駆られて労働するだけで、彼の生活(彼に属してはいないが保障されてはいる)のために労働するのではない。それに対して、自由な労働者は、自らの必要に駆られて労働する。自由な自己決定、すなわち自由の意識や、それと結びついている責任の感情は、自由な労働者を奴隷よりも遥かに優れた労働者にする」、「自己責任の感情をもって仕事に取り組む労働者は、無理やり働かされている奴隷よりもよく働くし、いい仕事をします。そして、ミスをしたら自分を責める。理不尽な命令さえも受け入れて、自分を追い詰めてしまうので す。これは資本家にとって、願ってもないことでしょう。“資本家にとって都合のいい”メンタリティを、労働者が自ら内面化することで、資本の論理に取り込まれていく。政治学者の白井聡さとしは、これを「魂の包摂ほうせつ」と呼んでいます」、資本主義の仕組みは確かによく出来ている。 「自由で自発的な労働者は、資本家が望む労働者像を、あたかも自分が目指すべき姿、人間として優れた姿だと思い込むようになっていく。 高度成長期の「モーレツ社員」や、バブル期に流行った栄養ドリンクのキャッチフレーズ「24時間戦えますか」などは、その好例」、確かにその通りだ。 ただ、「過労死」は日本でこそ目立つが、欧米では見かけない。「労働者の自発的な責任感や向上心、主体性といったものが、資本の論理に「包摂」されていく」のは、日本こそが最も酷い例なのかも知れない。 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生氏による「日本企業で働きたくない…アジアで人気ガタ落ち!嫌われる「日本式働き方」とは」 「アジアのホワイトカラー人材」のうち「日本企業で働くことに興味を持っている」のが、「08年」「では74%」だったのに、22年調査では、「40%」と、「米国企業は67%、欧州企業は58%」に大きく差を付けられた。「かつて日系企業で働く障害は圧倒的に言語の壁だった。しかし、22年は言語に次いで、閉鎖的な雰囲気、限定的な昇進、低い報酬を問う声が高まっている。 日本の会社の課題は言葉の問題以上に「島国根性」とも呼ばれる閉鎖性なのかもしれない』・・・その「閉鎖性」の中でも、特にアジアのホワイトカラーたちが拒否反応を示しているのが、「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)」、「ホウレンソウ」が目の敵にされるとは、どいうことなのだろう。 「日本企業で働く外国人から「ホウレンソウ」への不満」、「「自分の頭で考えて仕事ができないってどういうこと?」「信用されていない感じがしてやる気をなくす」など大不評」。「アジアに進出した日系企業は、現地の生活水準に比べるとかなりの高収入が得られる憧れの就職先だったので、「ホウレンソウ」のような不快な日本の企業文化でもがまんをして受け入れる人が多かったからだ。 しかし、」、「かつて隆盛を誇った日本企業が落ちぶれるのと反比例するような形に、自国企業が成長したことで、これまで黙って従っていたアジアのホワイトワーカーたちが、「やっぱり日本のばかばかしい働き方には付き合ってらんねーや」と声を上げ始めたというわけだ」、「日本企業が落ちぶれる」ことの予想外の副作用だ。 「日本軍もアジアのさまざまな場所に進出をしたが、現地の人々の自主性に任せなかったことで、かなり反感を抱かれた。 当時、現地の人を「土人」と呼び、日本軍は完全に下に見ていた。「どうせお前らは何もわからないんだから日本人のやり方を見習え」と言わんばかりに、さまざまな「日本式」を押し付けたのである。 その代表が「日本語」を用いて、日本人として文化や歴史を学ばせるといういわゆる「皇民化」だ」、 「オランダ植民地時代の二重教育制度を改めることにより初等教育の水準を向上させるとともに、共通語としてのインドネシア語の整備・普及によりインドネシア人の民族意識の高揚を助長した。しかし、学校等での日本語教育、朝礼や宮城遥拝、日本時間の採用などインドネシア人の慣習等を無視した急激な日本化の強要は、日本(軍)に対する反発を招いた> その「反発」が1944年2月に農民たちが日本軍に蜂起したタシクマラヤ事件などにつながった」、 「フィリピンでも日本語教育が行われ、日本から多くの教師が派遣されたが、戦局の悪化に伴い、フィリピン人たちの中で「なんでこんな日本式を強要されなきゃいけないんだよ」という不満がムクムクと膨らむ」、「<戦局の悪化とともに、現地人たちは日本語への学習意欲を喪失したと想定できる。水野輝義の日記にある、社会人向けの授業で「受講者欠席多く困った」という1944年4月21日の記述や、「女学校授業。雰囲気悪い。……この学校は監視の要あり」という8月3日の記述、「リパ女学校各教室を廻る。生徒の態度やや冷淡。日本に対する抵抗 「インドネシア」、「フィリピン」とも反日になるのは当然だ。 「滅私奉公で上官(上司)の命令は絶対で、過労死するまで組織に忠誠を尽くすという日本の企業文化は、日本軍の組織運営を踏襲しただけの話なのだ」、その通りなのかも知れない。 「経済戦争での惨敗は近い。 そうなった時、「人気のないニッポン」くらいならまだマシで、あの戦争の後のように、「憎いニッポン」が盛り上がることだってある。「日本が好き」と公言してくれるアジアの人々は多いが、それは観光先やアニメなどの文化であって、日本企業や、日本の働き方ではないのだ。 アジア進出している日本企業の皆さんはぜひそのあたりを混同せず、用心していただきたい」、確かに有益なアドバイスだ。 東洋経済オンライン 日沖 健氏による「「育ててもすぐ退職」一括採用の破綻が招く事態 卒業後すぐ就職できず若年層の失業率は上昇も」 「「転勤シーズン」は異動や新卒一括採用という雇用慣行と深く結びついているわけです。ただ、私たちにとって当たり前のこうした雇用慣行は、アメリカなど諸外国ではあまり見られない、日本固有のものです」、その通りだ。 「仮にアメリカ式のジョブ型に転換したら、異動や新卒一括採用を続ける理由がなくなり、消滅します。 異動や新卒一括採用が消滅したら、企業経営だけでなく、家庭生活・学校教育など社会全体に様々な影響が及びます。中でも最も懸念されるのが、若年層の失業率の増加です」、 「日本では、若年層(15~24歳)の失業率は4.0%(総務省、2023年1月)で、世界平均14.9%(ILO、2022年)と比べて極めて低い水準です。これは、企業が新卒一括採用でまっさらな学生を採用し、OJTや異動で長期間かけて育成するというやり方をしているからです。 一方、ジョブ型は欠員採用が基本なので、即戦力の経験者を中途採用します。経験者が優遇されると、スキル・経験が乏しい若年層は、採用市場であぶれてしまいます。 日本でもジョブ型になれば、欧米のように若年層の失業が劇的に増えることでしょう」、「日本でもジョブ型になれば、欧米のように若年層の失業が劇的に増えることでしょう」、その通りだ。 「結局、「将来のことはよくわからない」という結論になるわけですが、これでおしまいにしてはいけません。人事部門関係者は、以下の3つの質問について熟考する必要があります。 ① 自社のビジョン・経営戦略を実現するためには、どういう人材が必要か。 ② 必要な人材を確保するには、「新卒一括採用し、異動・OJTで育成する」のと「即戦力を中途採用する」のでは、どちらが効果的か。 ③ 必要な人材を「新卒一括採用し、異動・OJTで育成する」のと「即戦力を中途採用する」のでは、どちらがトータルコストが低いか。 働き方改革・コロナ・人手不足といった環境変化を受けて、雇用システムが大きく揺れている昨今。逆に、これまでなかなか変えられなかった雇用システムを見直すチャンスと捉えて、思い切った改革を進めたいものです」、その通りなのだろう。 なお、明日は更新を休むので、明後日にご期待を!
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今日は更新を休むので、明日にご期待を!

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幸福(その5)(人より「幸せを感じやすい人」が自然にしている事 自己肯定感の高い人と低い人の差どこにある?、《この国は不寛容社会》「幸福度ランキング58位」の日本人に足りないたった1つの習慣、自分も周りも幸せに!笑顔がもたらす5つの効果 笑うのが無理なら、軽く微笑むだけでもOK) [人生]

幸福については、昨年2月27日に取上げた。今日は、(その5)(人より「幸せを感じやすい人」が自然にしている事 自己肯定感の高い人と低い人の差どこにある?、《この国は不寛容社会》「幸福度ランキング58位」の日本人に足りないたった1つの習慣、自分も周りも幸せに!笑顔がもたらす5つの効果 笑うのが無理なら、軽く微笑むだけでもOK)である。

先ずは、やや古いが、2021年9月30日付け東洋経済オンラインが掲載したメンタルコーチの中島 輝氏による「人より「幸せを感じやすい人」が自然にしている事 自己肯定感の高い人と低い人の差どこにある?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/458028
・『コロナ禍が長引く中、自分のあり方や未来などに不安を抱えていたり、自信を失っていたりする人は少なくありません。日本人は自己肯定感が低いと言われますが、「いいときも悪いときも自分を信じて前進できる人には、心に"あそび"がある」と語るのは、自己肯定感の第一人者で心理カウンセラーの中島輝氏です。中島氏の著書『うまくいっている人がしている 自己肯定感を味方にするレッスン』から、人生をより豊かにするためのメソッドを紹介します』、「自己肯定感の第一人者で心理カウンセラー」が著者とは、さぞかし有益なアドバイスをくれるのだろう。
・『「幸せになる自分」を選ぶのは、自分  同じ環境で同じように暮らしていても、喜びや幸せを感じられる人と、悲しみにさいなまれて幸福感を得られない人がいます。いったい何が違うのでしょうか?両者の違いを解説するとき、私は次のエピソードを紹介しています。 囚われの身である2人の男が鉄格子から外を見ていた。  1人は下を向いて地面の泥を見ながら絶望感を抱いていた。  1人は上を向いて空に輝く星を眺めて希望を抱いていた。 つらいことがあったとき、美しいものに気が付いて、気持ちが晴れた経験は誰にでもあると思います。地面の泥を見て絶望に打ちひしがれていた男も、もし空を見上げる余裕があったなら、輝く星に未来への期待を見出せたかもしれません。 鉄格子の中から上を向くか下を見るか。つまり、希望を見つけるか、絶望に浸るかは、他人に強要されるものではなく、自分自身の選択です。 「今日は上司に怒られて、恥をかかされ、作業のやり直しにも時間がかかって最悪だった」と泥を見つけるのも自分の選択。「今日は上司に怒られたけれど、自分のミスに気づけたし、やり直すことで学びがあった。明日はもっとうまくできそうだ」と星を眺めるのも自分の選択です。) 「泥という絶望」を見るか、「星のような希望」を見るのかを自分で選択できるということは、「自分を幸せにできる選択」は自分自身でできるということ。もしその選択が失敗だったとしても、自分で選んだ道なら後悔は少なく、納得できるでしょう。 自分で選択することを続けていけば、他人と自分を比較して落ち込むことが減っていきます。表面だけを取り繕ってごまかす必要もなくなり、自分の信念に基づいて、次々と新たな「幸せ」を選択できるようになるでしょう。 鉄格子の中から星を見上げた男のように、物事をポジティブに捉えることができるのは、自分を信じられる人、つまり自己肯定感が高い人です』、「「自分を幸せにできる選択」は自分自身でできるということ。もしその選択が失敗だったとしても、自分で選んだ道なら後悔は少なく、納得できるでしょう。 自分で選択することを続けていけば、他人と自分を比較して落ち込むことが減っていきます。表面だけを取り繕ってごまかす必要もなくなり、自分の信念に基づいて、次々と新たな「幸せ」を選択できるようになるでしょう」、確かにその通りだ。
・『本来自己肯定感は生まれながらに備わっている  ここで改めて、自己肯定感とは何かを説明しておきましょう。 自己肯定感とは、「私が私であることに満足でき、自分を価値ある存在だと受け入れられること」。私は、自己肯定感こそが「人生を支える軸となるエネルギー」だと考えています。 本来、自己肯定感は誰にでも生まれながらに備わっているもの。実は、自己肯定感が一番高いのは赤ちゃんのときです。伝い歩きを始めた赤ちゃんは、「転ぶかもしれない」「怖いからやめよう」なんて微塵も考えていません。何度転んでも「自分はきっと歩ける」と信じてチャレンジし続けます。 誰もが赤ちゃんのときは「きっとできる」と、自己肯定感に満ち溢れています。しかし、成長するにしたがい、さまざまなネガティブな経験によって自己肯定感は低下してしまいます。 でも、安心してください。自己肯定感は何歳からでも高めることが可能です。ただ、高めることができても、一生自己肯定感の高い人でいられるわけではなく、人生のさまざまな出来事の中で上がったり下がったりします。大切なのは、自己肯定感が下がってしまったとき、再び高められる方法を把握しておくことです。) ところで、あなたは「自己肯定感の高い人」と聞いてどのような人物を思い浮かべますか? ブレない自分を持っている人、強い芯のある人、どんなときも堂々と自分の考えを主張できる人──これらは、自己肯定感が強い人の典型だといえるでしょう。しかし、ブレない強さにこだわり過ぎると逆に、小さな失敗をしただけで心がポキッと折れるようになってしまうのです』、「伝い歩きを始めた赤ちゃんは、「転ぶかもしれない」「怖いからやめよう」なんて微塵も考えていません。何度転んでも「自分はきっと歩ける」と信じてチャレンジし続けます。 誰もが赤ちゃんのときは「きっとできる」と、自己肯定感に満ち溢れています。しかし、成長するにしたがい、さまざまなネガティブな経験によって自己肯定感は低下してしまいます」、「一生自己肯定感の高い人でいられるわけではなく、人生のさまざまな出来事の中で上がったり下がったりします。大切なのは、自己肯定感が下がってしまったとき、再び高められる方法を把握しておくことです」、「ブレない強さにこだわり過ぎると逆に、小さな失敗をしただけで心がポキッと折れるようになってしまうのです」、さすが、専門家だけあって、その通りだ。
・『選択肢に柔軟性を持てる人の強み  自己肯定感が高い人には「柔軟性」が備わっています。この柔軟性を私はよく、「心に"あそび"がある」と表現しています。 あらゆる物事に対し、「絶対にAだ」と執着せず、周囲の意見を受け入れる。「Aもいいけれど、Bも素敵だな。でも今日はCにしておこう」と選択肢に柔軟性を持つことができる。これが心に「あそび」のある状態です。もしCに失敗したとしても、「こんなこともあるよね」と笑顔で受け入れられるようになることが大切なのです。 「あそび」は心の中にある、まっさらで自由な空間。空間があるから、自分とは異なる人の意見も、広い心で受け入れることができます。 自己肯定感が低いと、どうしても視野が狭くなり、一度決めた物事に固執してしまう傾向になります。そんなときは、心に「あそび」があるかどうか、自分自身に問いかけてみてください。 自分には青い服が似合う、青を選んでいれば間違いないと思い込んでいたけれど、たまには赤い服を選んでみるのもいいかもしれない。緑色を試すのもおもしろそうだ――そんなふうに、ときには迷ったりブレたりした方が、自分の可能性も広がって、日々が輝き、人生が楽しいものになります。 自己肯定感が高いと、「私の未来は明るいんだから、1回ぐらい失敗したって大丈夫!」と前向きな気持ちで赤や緑色を選択できるようになります。すると、ますまずポジティブなエネルギーが湧いてきて、人生を楽しむためのアイデアがどんどん生まれてきます。 今持っている自分の価値観を強く信じ続けるのではなく、ときには自分自身を疑ってみてください。自分は何を大切にして生きていきたいのか、どんな人間になりたいのか――時の流れとともに、答えは少しずつ変化しているはずです。) 迷って、ブレて、変化するから、次の新しい発想や行動が生まれ、人生に豊かな彩りを与えてくれます。変化に対応するのは難しいことでも大変なことでもなく、実はとても楽しいことなのですから。 「何があっても受け入れる」という柔軟な心で自己肯定感を養っていくと、自分の人生を自分でデザインできるようになります。あなたは今までの自分とは違う実感と自信に気づくことができるでしょう』、「自己肯定感が高い人には「柔軟性」が備わっています。この柔軟性を私はよく、「心に"あそび"がある」と表現しています。 あらゆる物事に対し、「絶対にAだ」と執着せず、周囲の意見を受け入れる。「Aもいいけれど、Bも素敵だな。でも今日はCにしておこう」と選択肢に柔軟性を持つことができる。これが心に「あそび」のある状態です。もしCに失敗したとしても、「こんなこともあるよね」と笑顔で受け入れられるようになることが大切なのです。 「あそび」は心の中にある、まっさらで自由な空間。空間があるから、自分とは異なる人の意見も、広い心で受け入れることができます」、「自己肯定感が高いと、「私の未来は明るいんだから、1回ぐらい失敗したって大丈夫!」と前向きな気持ちで赤や緑色を選択できるようになります。すると、ますまずポジティブなエネルギーが湧いてきて、人生を楽しむためのアイデアがどんどん生まれてきます」、「心に「あそび」があれば「選択肢に柔軟性を持つことができる」。なるほど。
・『自分に起きることはすべてギフト  自分は何を選んで、何を大切にして、どんな人間になりたいのかを考え、迷ったり、ブレたりしながら人生を歩んでいく。その時々で自分が選んできたものが、自分の人生を形作ります。 世間の常識や体裁など、誰かが敷いたレールの上を走るのではなく、自分で考えた道を自分の足で歩んでいるという実感。ここに、人生の大きな喜びがあるのです。 いいことも悪いことも、好きなことも嫌いなことも、自分の身に起きるすべては、理想の人生をデザインするための「ギフト」です。 幸せとは満ち足りることではなく、気づき続けることです。毎日自分の身に起こるさまざまな出来事(=ギフト)から、どんな気づきを得ることができるのか。それは人ぞれぞれ異なります。 最初に述べた「鉄格子の中」という過酷なギフトから、「希望」を見いだせた人のように、どんなギフトを受け取っても、肯定的に受け止めて感謝をすること。その積み重ねによって自己肯定感が高まり、人生がますます楽しくなっていくはずです。迷って、ブレて、変化するから、次の新しい発想や行動が生まれ、人生に豊かな彩りを与えてくれます。変化に対応するのは難しいことでも大変なことでもなく、実はとても楽しいことなのですから。 「何があっても受け入れる」という柔軟な心で自己肯定感を養っていくと、自分の人生を自分でデザインできるようになります。あなたは今までの自分とは違う実感と自信に気づくことができるでしょう』、「いいことも悪いことも、好きなことも嫌いなことも、自分の身に起きるすべては、理想の人生をデザインするための「ギフト」です。 幸せとは満ち足りることではなく、気づき続けることです。毎日自分の身に起こるさまざまな出来事(=ギフト)から、どんな気づきを得ることができるのか。それは人ぞれぞれ異なります」、「迷って、ブレて、変化するから、次の新しい発想や行動が生まれ、人生に豊かな彩りを与えてくれます。変化に対応するのは難しいことでも大変なことでもなく、実はとても楽しいことなのですから」、なるほど。
・『自分に起きることはすべてギフト  自分は何を選んで、何を大切にして、どんな人間になりたいのかを考え、迷ったり、ブレたりしながら人生を歩んでいく。その時々で自分が選んできたものが、自分の人生を形作ります。 世間の常識や体裁など、誰かが敷いたレールの上を走るのではなく、自分で考えた道を自分の足で歩んでいるという実感。ここに、人生の大きな喜びがあるのです。 いいことも悪いことも、好きなことも嫌いなことも、自分の身に起きるすべては、理想の人生をデザインするための「ギフト」です。 幸せとは満ち足りることではなく、気づき続けることです。毎日自分の身に起こるさまざまな出来事(=ギフト)から、どんな気づきを得ることができるのか。それは人ぞれぞれ異なります。 最初に述べた「鉄格子の中」という過酷なギフトから、「希望」を見いだせた人のように、どんなギフトを受け取っても、肯定的に受け止めて感謝をすること。その積み重ねによって自己肯定感が高まり、人生がますます楽しくなっていくはずです』、「どんなギフトを受け取っても、肯定的に受け止めて感謝をすること。その積み重ねによって自己肯定感が高まり、人生がますます楽しくなっていくはずです」、心がけたい。

次に、昨年4月30日付け文春オンライン「《この国は不寛容社会》「幸福度ランキング58位」の日本人に足りないたった1つの習慣」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/53876
・『「日本人の幸福度は全世界で58位」――ある時期、そんなニュースがSNSをにぎわせた。 なぜ日本人は幸せを感じづらいのか? その理由を、アメリカ在住のエッセイスト・渡辺由佳里さんの新刊『アメリカはいつも夢見ている』より一部を抜粋。国連がまとめた「幸福度ランキング」を見ることで、欧米人にあって日本人に足りないものが見えてきた。(全3回の1回目/#2、#3を読む)』、興味深そうだ。
・『日本は幸福度ランキング58位  Twitterに流れてくる日本のニュースで、国連がまとめた幸福度ランキングで日本が2018年から4つ順位を下げて58位になったということを知った(2019年)。 このニュースだけでは内容がよくわからないので、情報の大元である2019年WHR(World Happiness Report)をダウンロードして読んでみた。統計の専門家ではないので計算方法などはよくわからないが、このレポートは日本と日本人の幸福感について重要なことをいくつか指摘してくれていると感じた。 WHRの幸福度ランキングはギャラップの世論調査(Gallup World Poll Questions)を元にしている。ビジネス経済、社会関与、コミュニケーションとテクノロジー、多様性(社会問題)、教育と家族、感情(幸福感)、環境とエネルギー、食と住居、政府と政治、法と秩序(治安)、健康、宗教と倫理、交通、仕事の14の分野での質問があり、回答者は「カントリルラダー」という指標を使って答える。「はしご(ラダー)」を想像し、想像できる最悪の状態を0、最高の状態を10として主観的な評価をするものだ。 WHRでは、その結果の幸福度を説明する重要なファクターとして「一人あたりの国内総生産」、「社会的支援」、「出生時の平均健康寿命」、「人生の選択をする自由」、「他者への寛大さ」、「公職者が汚職/堕落しているという国民の認識」の6つを挙げている。 幸福度ランキングのグラフを見ると、トップからフィンランド、デンマーク、ノルウェー、アイスランドと北欧の国々が並んでいる。銃による大量殺人があり、オピオイド依存症が深刻になっているアメリカですら19位に入っている。それなのに、日本が58位だというのは不思議に思える。 グラフをよく見ると、日本は「一人あたりの国内総生産」、「社会的支援」、「出生時の平均健康寿命」という左から3つのファクターでは上位の国々とほとんど変わらないことがわかる。 上位の国々と日本との大きな違いは、「他者への寛大さ」と最後の「ディストピア+レジデュアル」である。日本は「出生時の平均健康寿命」では156ヶ国中2位というチャンピオンなのに、「他者への寛大さ」においては92位というほぼ最低レベルなのだ。) 繰り返すが、幸福度のスコアはそれぞれの国の回答者の主観的な評価の平均であり、6つのファクターはその因果関係を説明しようとしているだけである。例えば「他者への寛大さ(generosity)」が高いからといってその国がスコアを上げてもらっているわけではない。 まずはこの「他者への寛大さ」と幸福感について語ろう』、「上位の国々と日本との大きな違いは、「他者への寛大さ」と最後の「ディストピア+レジデュアル」である。日本は「出生時の平均健康寿命」では156ヶ国中2位というチャンピオンなのに、「他者への寛大さ」においては92位というほぼ最低レベルなのだ」、2つの「ファクター」が主因のようだ。
・『日本人はなぜ幸せになれないのか?  WHRの「幸福と社会性がある行動」という章は、人間が非常に社会的な動物であり、家族や友人だけでなく見知らぬ他人を助けることによって満足感や幸福感を得ることを説明している。見返りを求めずに自分の金を提供する寄付や、自分の時間を提供するボランティアがその代表的なものだ。 しかし、レポートには「(それらに加えて)いろいろな方法で他者を援助することができる。例えば、見知らぬ人のためにドアを開けてあげるとか、褒めてあげるとか、病に臥せっている親戚を介護するとか、伴侶を気遣ってあげるとか、拾った財布を持ち主に返してあげるとか、小さいけれども意義がある寛大な行動だ」と書いてある。ランダムに親切な行動をする実験では、親切な行動をしたグループのほうがしなかったグループよりも幸せになったという。 次の「ディストピア+レジデュアル」という項目は少しわかりにくい。「ディストピア」とは世紀末的なSFでよく使われる言葉で、ユートピアの反対の社会である。この調査では、幸福度を説明する6つの重要なファクターが世界で最悪である架空の国を「ディストピア」と設定する。「ディストピア」に住んでいる人は世界で最も不幸であるという仮定で、カントリルラダーにおける「最悪」の基準にする。その基準と照らし合わせて自国の自分の生活の評価をするのだ。 ディストピアの国民の自己評価の平均推定値が1.88で、それに「レジデュアル」を加えたのがこの部分ということらしい。「レジデュアル(残余)」とは(グラフの左の6つのファクターで)「説明されていない構成要素(unexplained components)」ということで、日本人はここが異常に少ない。) たとえば世界で12位のコスタリカでは、幸せの理由を具体的に説明する6つの要素は日本より少ないのに世論調査での総合的な幸福度のスコアは日本よりずっと高い。6つの要素では説明されない部分で、彼らは幸せを感じているのだろう。 見方を変えると、「日本は他国に比べて幸せになる社会的な条件はけっこう揃っているのに、なぜか幸せを感じていない」ということが浮かび上がってくる。 これら2つの特徴を考慮すると、日本人が幸せになる近道は、「他者に寛大/寛容で親切になる」ことと「自分がけっこう幸せであることを自覚する」ことになる。 「自分が幸せであることを自覚する」というのは漠然としていて難しいので、わかりやすくやりやすい「寛大/寛容になる」ことから始めればいいだろう。 経済的に余裕がない人が無理に大金を寄付したり、寝る時間がない人がボランティアをしたりする必要はない。電車で辛そうにしている人がいたら席を譲ってあげ、ベビーカーを押している人がいたら電車やエレベーターの乗り降りを手伝ってあげるといったことなら誰でもできる。朝、道ですれ違う人に「おはよう」と声をかけたり、レジの人に「今日はいいお天気でよかったですね」と笑顔で話しかけて「ありがとう」と言うだけでも、相手に小さな幸せを与えてあげられるし、それによって自分も少し幸せになれる』、「日本人が幸せになる近道は、「他者に寛大/寛容で親切になる」ことと「自分がけっこう幸せであることを自覚する」ことになる」、「「自分が幸せであることを自覚する」というのは漠然としていて難しいので、わかりやすくやりやすい「寛大/寛容になる」ことから始めればいいだろう」、「電車で辛そうにしている人がいたら席を譲ってあげ、ベビーカーを押している人がいたら電車やエレベーターの乗り降りを手伝ってあげるといったことなら誰でもできる。朝、道ですれ違う人に「おはよう」と声をかけたり、レジの人に「今日はいいお天気でよかったですね」と笑顔で話しかけて「ありがとう」と言うだけでも、相手に小さな幸せを与えてあげられるし、それによって自分も少し幸せになれる」、なるほど。
・『善人ぶってもいいじゃないか  私はアメリカの慣習にならって郵便局などでよく私の後ろから来た人にドアを開けて先に入れてあげたり、レジで少ない品数の人が後ろに並んだら「私は沢山買うので、お先にどうぞ」と譲ってあげたりするのだが、たいていの人は笑顔で「ありがとう」と言ってくれる。 常連になっているいくつかのスーパーマーケットでは従業員の人たちとよく挨拶を交わしているのだが、韓国系スーパーで無表情に客の対応をしているレジの女性たちが私を見かけたとたんにぱっと笑顔になってくれるのがとても嬉しい。別のレジの人までが振り向いて「ハウアーユー」と言ってくれるのも。オーガニック専門スーパーマーケットでは、1週間姿を見せなかっただけで精肉コーナーのおじさまたちが「旅行にでも行っていたの?」と話しかけてくれる。 そんな小さなふれあいだけでも一日が明るくなるし、幸福度が上昇するものだ。 このような話をすると、日本のソーシャルメディアでは「善人ぶっている」という反応が戻ってくることがある。赤ん坊を連れたお母さんに優しくしてあげることを呼びかけると、「こっちも大変なのに、そんな時間に電車に乗るほうが悪い」といった激しい反論が来ることもある。 国連の幸福度ランキングが教えてくれるのは、もしかすると、そういう心の余裕のなさと不寛容が日本人の幸福度を下げているかもしれないということだ。 善人ぶって他者に親切にしてもいいではないか。それを自慢してもいいではないか。また、自慢している人を褒めてあげてもいいではないか。それで助かる人がいるのだから』、「国連の幸福度ランキングが教えてくれるのは、もしかすると、そういう心の余裕のなさと不寛容が日本人の幸福度を下げているかもしれないということだ。 善人ぶって他者に親切にしてもいいではないか。それを自慢してもいいではないか。また、自慢している人を褒めてあげてもいいではないか。それで助かる人がいるのだから」、確かにその通りだ。
・『「寛容のなさ」が日本人から幸福を奪っている  このレポートには書いていないが、髪の色やスカートの長さのように奇妙なところまで縛る厳しい校則や個々の社員の自発的な対応まで縛ってしまうような社則、社員の私生活や性格にまで踏み込んでくるような上司、といったことも、日本人から幸福感を奪っている「寛容のなさ」かもしれない。 そう感じるのは、欧米で生活する日本人が「こちらに来て楽になった」とよく話題にするのがこの部分だからだ。 自分自身の経験から言えるのは、「他者に寛容になれると、自分にも寛容になれる」ということだ。他人の役に立つことができれば、自分を好きになることも容易になる。自分を好きになれたら、幸福のはしごをもうけっこう上まで登ったことになる。 日本人が寛容さを広めることができたら、6つのファクターで説明できない部分の幸福度も自然と増えていくのではないかと思うのだ』、「自分自身の経験から言えるのは、「他者に寛容になれると、自分にも寛容になれる」ということだ。他人の役に立つことができれば、自分を好きになることも容易になる。自分を好きになれたら、幸福のはしごをもうけっこう上まで登ったことになる。 日本人が寛容さを広めることができたら、6つのファクターで説明できない部分の幸福度も自然と増えていくのではないかと思う」、同感である。

第三に、5月28日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「自分も周りも幸せに!笑顔がもたらす5つの効果 笑うのが無理なら、軽く微笑むだけでもOK」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/590526
・『コロナ禍のマスク生活が始まって、すでに2年以上が経過しています。不自由な毎日が長く続いていますから、自分のことを「明るい」と考えている人でも、「最近、ちょっと暗くなっているかも」と感じているのではないでしょうか。 「暗い気持ちでいると、どうしてもネガティブな方向に考えが向いてしまいます」と言うのは、精神科医の和田秀樹氏です。「ネガティブな考え方をしていても、何もいいことはありませんが、明るい気持ちで前を向いていれば、不思議と物ごとがいい方向に動き出します」。 では、しんどいとき、落ち込んでいるとき、気分を上げるにはどうすればいいのか。和田氏の新刊『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』をもとに3回にわたり解説します。 私たちは会社や学校、地域社会で生活していますから、仕事や勉強のことで不安になったり、人間関係に悩んで暗い気持ちになることがあります。 同じような環境で生活していても、いつも明るく、楽しそうに毎日を送っている人もいます。 あなたの周りにも、そういう人がいるのではないでしょうか?そういう人は、ほぼ例外なく「笑顔」でいるはずです。この違いは、どこにあるのでしょうか? ・明るい気持ちでいるから、毎日が楽しくなるのか? ・毎日を楽しくしようとしているから、表情が明るくなるのか? そのどちらも正解だと思いますが、暗い顔をしている人に比べて、明るい笑顔でいる人というのは、周りの人たちの気持ちを明るくします。毎日が楽しくなるような「いい環境」ができやすいのです』、「暗い顔をしている人に比べて、明るい笑顔でいる人というのは、周りの人たちの気持ちを明るくします。毎日が楽しくなるような「いい環境」ができやすいのです」、確かにその通りだろう。
・『気持ちが明るい人には人が寄ってくる  いつも気持ちが明るい人というのは、心理的な垣根が下がりますから、自然と人が寄ってきます。部下の人たちに威厳を示そうと「仏頂面」をしている上司より、ニコニコと愛想がいい課長や部長のところには、やはり人が集まってきます。 女性が管理職になると、「部下にナメられたくない」と思って必要以上に厳しい顔をする人がいますが、それでは逆効果です。仕事ができる人というのは、男性でも女性でも意外と愛想がいいものです。) 明るい笑顔の人が周囲の人も明るくするというのは、その人が持っている雰囲気とか心理的な影響だけでなく、科学的にも証明されています。笑顔の人と一緒にいると、その人につられて笑顔になる……という経験をしたことがあると思いますが、それは「エンドルフィン」の働きによるものと考えられています。 エンドルフィンとは、脳内で機能する神経伝達物質の1つで「体内で分泌されるモルヒネ」の意味があります。モルヒネの数倍の鎮痛効果があると考えられ、「気分が高揚」したり「幸福感」が得られたりするという作用を持っています。 笑顔の人につられて一緒になって笑うと、周囲の人たちの脳内でもエンドルフィンが放出されるため、一体感や安心感が生まれます。人に笑いかけることは、「私はあなたの敵ではない」ということを相手に伝えるだけでなく、相手を笑顔にして、その人の気分を明るくする効果があるのです。 その相手の笑顔を見ることによって、笑顔の人はさらに明るい気持ちが増幅されて、幸福感を得られる……というフィードバック効果もあります。笑顔の人の周囲に幸せオーラが感じられるのは、こうした明確な理由があるのです』、「明るい笑顔の人が周囲の人も明るくするというのは、その人が持っている雰囲気とか心理的な影響だけでなく、科学的にも証明されています。笑顔の人と一緒にいると、その人につられて笑顔になる……という経験をしたことがあると思いますが、それは「エンドルフィン」の働きによるものと考えられています。 エンドルフィンとは、脳内で機能する神経伝達物質の1つで「体内で分泌されるモルヒネ」の意味があります。モルヒネの数倍の鎮痛効果があると考えられ、「気分が高揚」したり「幸福感」が得られたりするという作用を持っています。 笑顔の人につられて一緒になって笑うと、周囲の人たちの脳内でもエンドルフィンが放出されるため、一体感や安心感が生まれます。人に笑いかけることは、「私はあなたの敵ではない」ということを相手に伝えるだけでなく、相手を笑顔にして、その人の気分を明るくする効果があるのです。 その相手の笑顔を見ることによって、笑顔の人はさらに明るい気持ちが増幅されて、幸福感を得られる……というフィードバック効果もあります。笑顔の人の周囲に幸せオーラが感じられるのは、こうした明確な理由があるのです」、「エンドルフィン」が「放出される」ことで、「その相手の笑顔を見ることによって、笑顔の人はさらに明るい気持ちが増幅されて、幸福感を得られる……というフィードバック効果もあります」、なるほど。
・『仏頂面で暗い顔をしていませんか?  人が笑顔でいると、そのほかにもさまざまな「恵み」があります。仏頂面をして暗い気持ちでいるより、明るい気持ちで笑顔でいる方が、何となくいいことがありそうですが、それをハッキリと認識している人は少ないかもしれません。 毎日を明るく過ごすためには、笑顔の効果を知っておくことも大切です。以下に主な5つを紹介しましょう。 ①気持ちに余裕が生まれる (笑顔になると、人は明るい気持ちになり、心に余裕が生まれます。リラックスして日常を過ごすことで、自然と疲れやストレスを蓄積しにくくなり、何ごとに対しても「やる気」が出ます。 前向きな姿勢で物ごとに向き合えますから、いい結果が出やすくなります。ビジネスの世界に限らず、さまざまな分野で成功している人に明るいイメージの人が多いのは、こうしたことも要因の1つです。 ②相手に心を開いているサインになる(周囲の人と円滑なコミュニケーションを図るという点でも、笑顔は欠かすことのできない大切な要素です。あいさつや会話の際に笑顔でいると、相手に心を開いているサインになります。相手もリラックスできますから、お互いの心理的な距離を素早く縮めることができます。 ③生き生きした印象を与える(女性が美しさを維持するためにも、笑顔には大きな意味があります。笑顔の回数が多い人ほど表情筋を使う機会が多くなり、顔のコリがほぐれて血行がよくなり、シワやたるみが目立たなくなります。口角の上がった美しい笑顔でいることは、生き生きした印象を与えることができます。 いつもニコニコしていると、表情筋が発達して表情が若々しくなります。逆に、あまり笑わないと表情筋が緩んでしまい、人に老けた印象を与えます。疲れているように見えたり、不機嫌そうに見えてしまうのです。) ④免疫力が高まる(笑顔になると、健康面でもいい影響があります。笑うことでリンパ球の一種であるNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化され、免疫力が高まって病気の予防に役立ちます。) ⑤精神的に安定する(「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌されることで、安らぎや安心感が得られて、精神的に安定することも明らかになっています。声を上げて笑うと肺や心臓が刺激されて、脈拍や血圧が安定してリラックスしたり、自律神経を整えてくれます。全身の筋肉が動くことで、代謝も上がります。 近年の研究によって、こうした健康面のメリットは「作り笑顔」でも同じ効果が得られることがわかっていますから、意識的に笑顔を心がけるだけで、心身共に健康に一歩近づくことができるのです』、「近年の研究によって、こうした健康面のメリットは「作り笑顔」でも同じ効果が得られることがわかっていますから、意識的に笑顔を心がけるだけで、心身共に健康に一歩近づくことができるのです」、「「作り笑顔」でも同じ効果」とは有り難い。
・『明るい気持ちで過ごすには笑顔が大切  明るい気持ちで毎日を過ごすためには、日ごろから「笑顔」を心がけることが大切です。笑顔が無理ならば、軽く「微笑む」だけでもいいのです。非常にシンプルなことですが、明るい気持ちで毎日を過ごすためには、実は最も重要なことであり、最も効果が出やすいことでもあります。 人は誰でも、「暗い顔」になったり、「落ち込んだ顔」になったりすることがあります。そんなときに「あれ、いま暗い顔をしているな」と気づいて、「こんな顔をしていちゃダメだな。笑顔を心がけよう」と思うだけでいいのです。 少なくとも、他の人がいる前だけでも笑顔を心がけて、明るい気持ちでいよう……ということです。あなたが笑顔でいれば、周囲の人も明るい気持ちになります。その明るい気持ちが、あなたを明るい気分にさせてくれるのです。 明るい笑顔になれば、人に与える印象も大きく変わります。普段、難しそうな顔をしている人が笑顔になると、周囲の人もホッとして、和やかな雰囲気が生まれます。 笑顔が無理なら、「こんにちは」というあいさつだけでもいいのです。普段、仏頂面をしている人が「よう!」と明るく手を上げるだけで、印象は確実に変わります。いつも笑顔の人より効果があったりするものです。 美容整形で二重まぶたにすることは簡単にできても、笑顔がチャーミングな顔にするのは意外に難しいといいます。 男性をハンサム系やイケメン系に変身させることはできても、魅力的な笑顔の持ち主にすることは、至難の業なのです。最新医学を持ってしても難しい笑顔に、そう簡単になれるわけがないと考える人もいるかもしれません。 でも、笑顔が無理ならば、話題の選び方を工夫するとか、物ごとの考え方を改めるなど、何らかの工夫をすることはできます。そうした工夫を繰り返し続けることは、笑顔を心がけることと同じくらい大事な意味を持っています』、「明るい気持ちで毎日を過ごすためには、日ごろから「笑顔」を心がけることが大切です。笑顔が無理ならば、軽く「微笑む」だけでもいいのです」、この程度なら出来そうだ。
タグ:「日本人が幸せになる近道は、「他者に寛大/寛容で親切になる」ことと「自分がけっこう幸せであることを自覚する」ことになる」、「「自分が幸せであることを自覚する」というのは漠然としていて難しいので、わかりやすくやりやすい「寛大/寛容になる」ことから始めればいいだろう」、 「上位の国々と日本との大きな違いは、「他者への寛大さ」と最後の「ディストピア+レジデュアル」である。日本は「出生時の平均健康寿命」では156ヶ国中2位というチャンピオンなのに、「他者への寛大さ」においては92位というほぼ最低レベルなのだ」、2つの「ファクター」が主因のようだ。 「暗い顔をしている人に比べて、明るい笑顔でいる人というのは、周りの人たちの気持ちを明るくします。毎日が楽しくなるような「いい環境」ができやすいのです」、確かにその通りだろう。 「一生自己肯定感の高い人でいられるわけではなく、人生のさまざまな出来事の中で上がったり下がったりします。大切なのは、自己肯定感が下がってしまったとき、再び高められる方法を把握しておくことです」、「ブレない強さにこだわり過ぎると逆に、小さな失敗をしただけで心がポキッと折れるようになってしまうのです」、さすが、専門家だけあって、その通りだ。 「近年の研究によって、こうした健康面のメリットは「作り笑顔」でも同じ効果が得られることがわかっていますから、意識的に笑顔を心がけるだけで、心身共に健康に一歩近づくことができるのです」、「「作り笑顔」でも同じ効果」とは有り難い。 ・『明るい気持ちで過ごすには笑顔が大切  明るい気持ちで毎日を過ごすためには、日ごろから「笑顔」を心がけることが大切です。笑顔が無理ならば、軽く「微笑む」だけでもいいのです。非常にシンプルなことですが、明るい気持ちで毎日を過ごすためには、実は最も重要なことであり、最も効果が出やすい 「電車で辛そうにしている人がいたら席を譲ってあげ、ベビーカーを押している人がいたら電車やエレベーターの乗り降りを手伝ってあげるといったことなら誰でもできる。朝、道ですれ違う人に「おはよう」と声をかけたり、レジの人に「今日はいいお天気でよかったですね」と笑顔で話しかけて「ありがとう」と言うだけでも、相手に小さな幸せを与えてあげられるし、それによって自分も少し幸せになれる」、なるほど。 「いいことも悪いことも、好きなことも嫌いなことも、自分の身に起きるすべては、理想の人生をデザインするための「ギフト」です。 幸せとは満ち足りることではなく、気づき続けることです。毎日自分の身に起こるさまざまな出来事(=ギフト)から、どんな気づきを得ることができるのか。それは人ぞれぞれ異なります」、「迷って、ブレて、変化するから、次の新しい発想や行動が生まれ、人生に豊かな彩りを与えてくれます。変化に対応するのは難しいことでも大変なことでもなく、実はとても楽しいことなのですから」、なるほど。 「あそび」は心の中にある、まっさらで自由な空間。空間があるから、自分とは異なる人の意見も、広い心で受け入れることができます」、「自己肯定感が高いと、「私の未来は明るいんだから、1回ぐらい失敗したって大丈夫!」と前向きな気持ちで赤や緑色を選択できるようになります。すると、ますまずポジティブなエネルギーが湧いてきて、人生を楽しむためのアイデアがどんどん生まれてきます」、「心に「あそび」があれば「選択肢に柔軟性を持つことができる」。なるほど。 「「自分を幸せにできる選択」は自分自身でできるということ。もしその選択が失敗だったとしても、自分で選んだ道なら後悔は少なく、納得できるでしょう。 自分で選択することを続けていけば、他人と自分を比較して落ち込むことが減っていきます。表面だけを取り繕ってごまかす必要もなくなり、自分の信念に基づいて、次々と新たな「幸せ」を選択できるようになるでしょう」、確かにその通りだ。 「自己肯定感が高い人には「柔軟性」が備わっています。この柔軟性を私はよく、「心に"あそび"がある」と表現しています。 あらゆる物事に対し、「絶対にAだ」と執着せず、周囲の意見を受け入れる。「Aもいいけれど、Bも素敵だな。でも今日はCにしておこう」と選択肢に柔軟性を持つことができる。これが心に「あそび」のある状態です。もしCに失敗したとしても、「こんなこともあるよね」と笑顔で受け入れられるようになることが大切なのです。 笑顔の人につられて一緒になって笑うと、周囲の人たちの脳内でもエンドルフィンが放出されるため、一体感や安心感が生まれます。人に笑いかけることは、「私はあなたの敵ではない」ということを相手に伝えるだけでなく、相手を笑顔にして、その人の気分を明るくする効果があるのです。 その相手の笑顔を見ることによって、笑顔の人はさらに明るい気持ちが増幅されて、幸福感を得られる……というフィードバック効果もあります。笑顔の人の周囲に幸せオーラが感じられるのは、こうした明確な理由があるのです」、 「どんなギフトを受け取っても、肯定的に受け止めて感謝をすること。その積み重ねによって自己肯定感が高まり、人生がますます楽しくなっていくはずです」、心がけたい。 ことでもあります。 人は誰でも、「暗い顔」になったり、「落ち込んだ顔」になったりすることがあります。そんなときに「あれ、いま暗い顔をしているな」と気づいて、「こんな顔をしていちゃダメだな。笑顔を心がけよう」と思うだけでいいのです。 少なくとも、他の人がいる前だけでも笑顔を心がけて、明るい気持ちでいよう……ということです。あなたが笑顔でいれば、周囲の人も明るい気持ちになります。その明るい気持ちが、あなたを明るい気分にさせてくれるのです。 明るい笑顔になれば、人に与える印象も大きく変わります。普段、難しそうな 幸福 渡辺由佳里さんの新刊『アメリカはいつも夢見ている』より一部を抜粋 「伝い歩きを始めた赤ちゃんは、「転ぶかもしれない」「怖いからやめよう」なんて微塵も考えていません。何度転んでも「自分はきっと歩ける」と信じてチャレンジし続けます。 誰もが赤ちゃんのときは「きっとできる」と、自己肯定感に満ち溢れています。しかし、成長するにしたがい、さまざまなネガティブな経験によって自己肯定感は低下してしまいます」、 文春オンライン「《この国は不寛容社会》「幸福度ランキング58位」の日本人に足りないたった1つの習慣」 「明るい笑顔の人が周囲の人も明るくするというのは、その人が持っている雰囲気とか心理的な影響だけでなく、科学的にも証明されています。笑顔の人と一緒にいると、その人につられて笑顔になる……という経験をしたことがあると思いますが、それは「エンドルフィン」の働きによるものと考えられています。 エンドルフィンとは、脳内で機能する神経伝達物質の1つで「体内で分泌されるモルヒネ」の意味があります。モルヒネの数倍の鎮痛効果があると考えられ、「気分が高揚」したり「幸福感」が得られたりするという作用を持っています。 「自己肯定感の第一人者で心理カウンセラー」が著者とは、さぞかし有益なアドバイスをくれるのだろう。 「自分自身の経験から言えるのは、「他者に寛容になれると、自分にも寛容になれる」ということだ。他人の役に立つことができれば、自分を好きになることも容易になる。自分を好きになれたら、幸福のはしごをもうけっこう上まで登ったことになる。 日本人が寛容さを広めることができたら、6つのファクターで説明できない部分の幸福度も自然と増えていくのではないかと思う」、同感である。 中島 輝氏による「人より「幸せを感じやすい人」が自然にしている事 自己肯定感の高い人と低い人の差どこにある?」 和田 秀樹氏による「自分も周りも幸せに!笑顔がもたらす5つの効果 笑うのが無理なら、軽く微笑むだけでもOK」 東洋経済オンライン 「国連の幸福度ランキングが教えてくれるのは、もしかすると、そういう心の余裕のなさと不寛容が日本人の幸福度を下げているかもしれないということだ。 善人ぶって他者に親切にしてもいいではないか。それを自慢してもいいではないか。また、自慢している人を褒めてあげてもいいではないか。それで助かる人がいるのだから」、確かにその通りだ。 「エンドルフィン」が「放出される」ことで、「その相手の笑顔を見ることによって、笑顔の人はさらに明るい気持ちが増幅されて、幸福感を得られる……というフィードバック効果もあります」、なるほど。 「明るい気持ちで毎日を過ごすためには、日ごろから「笑顔」を心がけることが大切です。笑顔が無理ならば、軽く「微笑む」だけでもいいのです」、この程度なら出来そうだ。 (その5)(人より「幸せを感じやすい人」が自然にしている事 自己肯定感の高い人と低い人の差どこにある?、《この国は不寛容社会》「幸福度ランキング58位」の日本人に足りないたった1つの習慣、自分も周りも幸せに!笑顔がもたらす5つの効果 笑うのが無理なら、軽く微笑むだけでもOK)
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高齢化社会(その20)(尿漏れとはもうオサラバ…「お尻キュキュッと体操」で骨盤底筋をトレーニング、脳卒中の5つのサイン 症状が出たら迷わず救急車を呼んで 脳梗塞には前兆がみられることも〈dot.〉、「もう70歳なんだよね」と絶対口にしてはいけない…和田秀樹「老け込んで見える人に共通する言葉使い」 年齢を気にする人と気にしない人とでは 人生の質が変わってくる) [社会]

高齢化社会については、本年3月6日に取上げた。今日は、(その20)(尿漏れとはもうオサラバ…「お尻キュキュッと体操」で骨盤底筋をトレーニング、脳卒中の5つのサイン 症状が出たら迷わず救急車を呼んで 脳梗塞には前兆がみられることも〈dot.〉、「もう70歳なんだよね」と絶対口にしてはいけない…和田秀樹「老け込んで見える人に共通する言葉使い」 年齢を気にする人と気にしない人とでは 人生の質が変わってくる)である。

先ずは、本年3月14日付け日刊ゲンダイ「尿漏れとはもうオサラバ…「お尻キュキュッと体操」で骨盤底筋をトレーニング」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/320013
・『女性には生理があり、トイレに必ず汚物入れが設置されている。実はいま、男性トイレにも汚物入れを設ける自治体や企業が相次ぐ。加齢や病気で尿漏れパッドを使用する男性が少なくないためだ。この尿漏れはもちろん、ウンコ漏れにも効果的なのが、骨盤底筋トレーニングだという。 盛岡市は、図書館や文化会館、スポーツ施設など市内の公共施設261施設にある男子トイレと多目的トイレに尿漏れパッド用のサニタリーボックス911個を設置。昨年10月から男性トイレにサニタリーボックスの設置を始めた大津市は、すべての公共施設約110施設に拡大する方針だ。 この動きは全国規模で広がっていて、自治体だけでなく、企業も設置を急ぐ。リーガロイヤルホテル大阪は今月中に館内の男性トイレ32カ所の60個室すべてにサニタリーボックスを設置する。ヤマダデンキは昨年、全849店舗で男性トイレのサニタリーボックス設置を完了した。 ちょっと古いが、ユニ・チャームは2016年、20~59歳の男性1000人に「ちょいモレ意識調査」を実施。それによると、ちょい漏れ経験者は84.6%。中高年に多いかと思いきや、20代から50代まで全世代で8割を超える。別の調査で女性も20~60代の6割前後で、尿漏れは世代を問わず男女の悩みといっていい。 男性の尿道は、女性の4倍の20センチほどで、膀胱から尿道口に至るまで湾曲した部分がある。その曲がった部分に尿が残っていると、トイレを出た後に残尿がチョロッと漏れて、パンツにシミができる。量が多いと、ズボンにまで染みてきて恥ずかしい思いを余儀なくされる。 この対策には、トイレでパンツをしっかりと下ろしてオシッコをした上で、ミルキングをするのが効果的。牛の乳搾りのイメージで陰茎の付け根部分を圧迫しながら搾り出す方法だ。 尿漏れ対策に詳しい城西国際大学福祉総合学部理学療法学科准教授の横井悠加氏が言う。 「男性の場合、膀胱のすぐ下で前立腺が尿道を取り囲んでいます。前立腺肥大や前立腺がんなどで前立腺を切除すると、尿道を締めたり緩めたりして排尿を調節する尿道括約筋が障害されることが珍しくありません。その障害によっても、尿漏れが生じます。このタイプの尿漏れには、骨盤底筋トレーニングが効果的なのです」 骨盤底筋トレーニングは、男女関係なく尿漏れに有効だ。前述した男性の尿道の湾曲部分に尿が残ることによる尿漏れ対策にも勧められるし、ほかにも効果が認められるという。そのやり方を含めて詳しく聞いた。 「講演会などで男性にトイレまで我慢し切れずに漏らしてしまう状況を尋ねると、『うん、うん』とうなずくのは大便のとき。この切迫性便失禁の改善にも、骨盤底筋トレーニングが効果的なのです」 47歳の男性記者も、脂っこいものやスパイス料理などを食べた後にお腹がゴロゴロしてきて、内股状態でトイレに急いだ覚えが何度となくある。恥ずかしながらちょびっと漏れたことは、ゼロではない。確かにオシッコの我慢より、ウンコの方がつらい』、「中高年に多いかと思いきや、20代から50代まで全世代で8割を超える。別の調査で女性も20~60代の6割前後で、尿漏れは世代を問わず男女の悩みといっていい」、「世代を問わず男女の悩み」とは意外だ。「曲がった部分に尿が残っていると、トイレを出た後に残尿がチョロッと漏れて、パンツにシミができる。量が多いと、ズボンにまで染みてきて恥ずかしい思いを余儀なくされる。 この対策には、トイレでパンツをしっかりと下ろしてオシッコをした上で、ミルキングをするのが効果的。牛の乳搾りのイメージで陰茎の付け根部分を圧迫しながら搾り出す方法だ」、「ミルキング」とは初耳だ。
・『男性は陰茎や睾丸を持ち上げる、女性は膣を引き上げる  骨盤底筋トレーニングが、まっとうな社会人としてのピンチを救ってくれるのは心強い。どうやってやるのか。 「骨盤底筋とは、骨盤内にある臓器をハンモックのように下から支えている筋肉の総称です。この筋肉群を鍛えるには、肛門にキュキュッと力を入れて10秒キープしたら、緩める。締めて緩めるを10回で1セットとして、1回3セット。1日3、4回やるのがお勧めです」  写真では、学生にあおむけに寝てもらい、脚を肩幅に開き、両ひざを立てた状態で行っているが、立ってやるのもいい。電車で立っているときや歯磨きのとき、信号待ちなどに習慣化すると知らず知らずのうちに鍛えられる。ただし、力の入れ方にコツがあるという。 「男性は、陰茎や睾丸を持ち上げるイメージで、肛門から尿道にかけて陰部全体を引き上げるように力を入れます。私が指導した男性の中には、『ジェットコースターで下るとき、肛門に力が入って股間がふわっと上がる感覚に近い』とおっしゃっていました。慣れないうちはお尻の間にティッシュペーパーを挟んで落ちないかどうか、力を入れた感覚をチェックするといいですよ。お腹や脚、腰などに力を入れてはいけません」 女性は肛門と膣を締めながら、それらを引き上げるイメージだそうだ。2、3カ月続けると、尿漏れは7割が改善するという。 便失禁については、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センター長の山名哲郎氏が、社会保険中央総合病院時代の2009年、磁気刺激を与える健康器具による骨盤底筋トレーニングで、便失禁への効果を報告している。それによると、週1回20分、計8回の使用で、9人中5人が改善した』、「「骨盤底筋とは、骨盤内にある臓器をハンモックのように下から支えている筋肉の総称です。この筋肉群を鍛えるには、肛門にキュキュッと力を入れて10秒キープしたら、緩める。締めて緩めるを10回で1セットとして、1回3セット。1日3、4回やるのがお勧めです」、「男性は、陰茎や睾丸を持ち上げるイメージで、肛門から尿道にかけて陰部全体を引き上げるように力を入れます」、「女性は肛門と膣を締めながら、それらを引き上げるイメージ」、「2、3カ月続けると、尿漏れは7割が改善する」、「便失禁」については、「磁気刺激を与える健康器具による骨盤底筋トレーニング」、「週1回20分、計8回の使用で、9人中5人が改善した」、なるほど。
・『男性は早漏が、女性は性交痛が改善  トイレの悩みの次は閨の悩みで、骨盤底筋トレーニングは早漏改善に役立つことが報告されている。イタリアの研究チームは03年、骨盤底筋トレーニングと早漏治療薬の効果を比較。すると、骨盤底筋トレーニングのグループは、開始前に30秒ほどだった挿入時間が、6週間後には約120秒に延びた。約180秒の治療薬には及ばないが、やるとやらないのとでは大きな違いだ。 早漏改善の研究でも、電気刺激などの健康器具が使われている。が、前述したトレーニングでも骨盤底筋が鍛えられるため、早漏改善が期待できるといわれる。 理学療法士でもある横井氏は、大学とは別の医療機関で骨盤底筋トレーニングを指導。そこには18歳の女子大生も訪れたという。 「女子大生の症状は、もちろん尿漏れではありません。性交痛です。骨盤底筋のひとつ恥骨直腸筋が緊張すると、膣が収縮して、性行為のときに挿入しづらくなったり、挿入できても痛みを伴ったりします。そんな症状の女性は、骨盤底筋トレーニングを行うことで、恥骨直腸筋の過緊張をほぐして、正常な状態に戻すことができる。スムーズな性交ができるようになるのです」 横井氏によると、セックスに開放的な欧米の女性は若いころから7割が骨盤底筋トレーニングに励んでいるそうだ。セックスを楽しむためで、性交痛の改善のほか、膣の収縮をよくする効果もあるという。 さらに女性については、骨盤底筋トレーニングの継続で分娩がスムーズになるそうだ。 「分娩時間が長くなると、骨盤底筋へのダメージが重くなり、出産後に尿漏れなどの後遺症が残りやすい。そこで、妊娠初期から39週まで1日1時間、週3回、骨盤底筋トレーニングを続けると、分娩時間が短くなり、骨盤底筋へのダメージが少なくなって産後の回復が早まるのです」 閉経後の女性は、尿漏れのほか、肛門から直腸が脱出するのも大きな悩み。「お風呂でピンポン玉のようなものが飛び出てきた感じ」だそうで、これはつらい。骨盤底筋トレーニングは、この直腸脱の改善にも役立つという。 こうしてみると、骨盤底筋トレーニングは、男女も年齢も問わず、ちょっと恥ずかしい悩みを抱える人の“お助けアイテム”といえる。 これからは、“お尻キュキュッと体操”でいろいろな悩みとオサラバしよう』、「骨盤底筋トレーニングは、男女も年齢も問わず、ちょっと恥ずかしい悩みを抱える人の“お助けアイテム”」、なるほど。
・「骨盤底筋トレーニング」について、動画付きで解説したのが、兵庫県立尼崎総合医療センターによる「骨盤底筋体操」である。参考にされたい。
https://www.youtube.com/watch?v=hr5Sahmhs4A

次に、3月16日付けAERAdot「脳卒中の5つのサイン 症状が出たら迷わず救急車を呼んで 脳梗塞には前兆がみられることも〈dot.〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2023031400009.html?page=1
・『日本人の死因第4位(2021年厚生労働省「人口動態統計」)、寝たきりの大きな原因となる脳卒中。その多くを占める脳梗塞は、生活習慣と深く関わる。万が一のとき、迅速に治療を受けられるよう原因や症状を理解しておきたい。 【イラスト図解】脳梗塞5大症状はこれだ! 「脳卒中」は脳の血管の病気であり、血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」と血管が詰まる「脳梗塞」に大別される。脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が途絶えることで神経細胞が壊死し、その働きが失われる病気だ。 厚労省の統計では脳卒中の患者数は111万5千人(2017年)とされているが、国立循環器病研究センター病院副院長の豊田一則医師は「実際にはもっと多いと推察される」と話す。 「国で定めた統計の方法により、このデータには、リハビリ施設に移行した回復期の患者さんや、施設・在宅で療養している患者さんは含まれておらず、実際には約300万人という報告もあります。ただし、いずれも推計であり、正確なデータは今のところありません」 昔は、脳卒中のなかでも脳出血の割合が圧倒的に高かったが、現在は脳梗塞のほうが多い。その理由について豊田医師は、画像診断技術の進歩で両者の正確な区別が可能になったこと、国民の健康意識の高まりによる塩分摂取量の減少、高血圧治療薬の進歩などを挙げる。 「血圧が高いと血管が破裂する脳出血が起こりやすくなります。高血圧の管理ができるようになったことで1980年代に脳出血と脳梗塞の割合が逆転し、日本脳卒中データバンクによると、現在は脳卒中の75%が脳梗塞とされています」(同) 脳梗塞は、「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」の3タイプに大別される。前者二つは、首や脳の動脈硬化により起こる。ラクナ梗塞は、脳内の細い血管が詰まるもので、症状が起こりにくく比較的軽症なことが多い。アテローム血栓性脳梗塞は、首や脳の太い動脈で起こる。血管の内側にコレステロールなどが沈着したかたまり「アテローム」ができることで血管が閉塞する。(脳梗塞データの表はリンク先参照)』、「昔は、脳卒中のなかでも脳出血の割合が圧倒的に高かったが、現在は脳梗塞のほうが多い。その理由について豊田医師は、画像診断技術の進歩で両者の正確な区別が可能になったこと、国民の健康意識の高まりによる塩分摂取量の減少、高血圧治療薬の進歩などを挙げる」、「脳梗塞は、「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」の3タイプに大別される。前者二つは、首や脳の動脈硬化により起こる。ラクナ梗塞は、脳内の細い血管が詰まるもので、症状が起こりにくく比較的軽症なことが多い。アテローム血栓性脳梗塞は、首や脳の太い動脈で起こる。血管の内側にコレステロールなどが沈着したかたまり「アテローム」ができることで血管が閉塞する」、なるほど。
・『生活習慣病や心臓病に注意  心原性脳塞栓症は、心房細動など心臓の病気が原因で起こる。心臓でできた血のかたまり(血栓)が血流にのり脳に運ばれ血管を詰まらせる。このタイプは脳梗塞のなかでもとくに重症化しやすい。 脳梗塞の主な原因は、加齢や生活習慣だ。60歳代から増え始め、発症のピークは男性が70代前半、女性は80代前半とされる。東京慈恵会医科大学病院脳神経内科教授の井口保之医師はこう話す。 「加齢にともなう血管の老化や動脈硬化、脳梗塞のリスク因子となる生活習慣病の増加・悪化など、さまざまな要因が重なって脳梗塞が起こりやすくなると考えられます」 高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、心臓の病気、喫煙、飲酒など、脳梗塞のリスク因子のほとんどが生活習慣に関わるもの。「総コレステロール値が1ミリモルパーリットル増加すると脳梗塞の発症率が25%増加する」「心房細動のある人は、ない人と比べて脳梗塞発症リスクが5倍高い」という報告も。一方で、高血圧や脂質異常症の適切な治療、禁煙で脳卒中のリスクが低下するというデータもある。 「遺伝的な要因など予防が難しいリスク因子もありますが、ほとんどが生活習慣に関わるものです。言い換えれば生活習慣の改善や生活習慣病の治療により脳梗塞のリスクを減らせるということです」(豊田医師) また、一般的に心臓や血管の病気は冬に多いとされるが、豊田医師が実施した研究によると、脳梗塞の発症率は秋だけがやや少なく、それ以外の季節では差がなかった。ただし重症例は冬が多く、これは、季節により起こりやすい脳梗塞のタイプが異なるためだという。 「冬は、脳梗塞のなかでも重症化しやすい心原性脳塞栓症が多い傾向があります。冬は血圧が高くなることや血圧の変動が多く、心房細動が起こりやすくなることが主な理由です。一方、動脈硬化が原因の脳梗塞は脱水がきっかけとなることが多く、夏に起こりやすくなります」(同)) (脳梗塞を含む脳卒中の5大症状の図はリンク先参照)』、「心原性脳塞栓症は、心房細動など心臓の病気が原因で起こる。心臓でできた血のかたまり(血栓)が血流にのり脳に運ばれ血管を詰まらせる。このタイプは脳梗塞のなかでもとくに重症化しやすい。 脳梗塞の主な原因は、加齢や生活習慣だ。60歳代から増え始め、発症のピークは男性が70代前半、女性は80代前半とされる」、「高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、心臓の病気、喫煙、飲酒など、脳梗塞のリスク因子のほとんどが生活習慣に関わるもの」、「冬は、脳梗塞のなかでも重症化しやすい心原性脳塞栓症が多い傾向があります。冬は血圧が高くなることや血圧の変動が多く、心房細動が起こりやすくなることが主な理由です。一方、動脈硬化が原因の脳梗塞は脱水がきっかけとなることが多く、夏に起こりやすくなります」、「脱水がきっかけとなることが多く」とは意外だ。
・『症状がみられたら迷わず救急車を  井口医師は、「脳卒中の5大症状」として、図の症状を挙げる。脳の障害される場所により、症状はひとつのことも、複数が重なることもある。 「脳梗塞は、発症後いかに早く治療するかで予後が異なります。症状がみられたら迷わず救急車を呼んでください」(井口医師) また、脳梗塞には前兆がみられることもあり、これを「一過性脳虚血発作(TIA)」という。脳の血管が一時的に詰まり、脳梗塞の症状が出るが、自然に血流が改善することで短時間のうちに症状が消失する。TIAが起こると3カ月以内に10~15%の人が脳梗塞を発症し、その半数が48時間以内に発症するといわれる。「治まったから大丈夫」と考えず、すぐ受診することが必要だ。 日本脳卒中学会や日本脳卒中協会も「ACT−FAST」を合言葉に、「F(Face:顔のゆがみ)、A(Arm:腕の力が入らない)、S(Speech:言葉が出ない)などの症状がみられたら、症状が出た時間(Time)を確認し、すぐに(FAST)救急車を呼ぶ(ACT)こと」をすすめる。 一方、脳梗塞には「無症候性脳梗塞」という、症状がないものもある。そのときは症状が出なくても、放置して神経細胞のダメージが積み重なると、意欲や認知機能の低下、大きな脳梗塞やほかの神経の病気につながる可能性も。むやみに恐れることはないが、「5大症状」を忘れず、「おかしい」と思ったらすぐに専門医を受診してほしい』、「無症候性脳梗塞」、「症状が出なくても、放置して神経細胞のダメージが積み重なると、意欲や認知機能の低下、大きな脳梗塞やほかの神経の病気につながる可能性も」、とは恐ろしい。

第三に、3月30日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「「もう70歳なんだよね」と絶対口にしてはいけない…和田秀樹「老け込んで見える人に共通する言葉使い」 年齢を気にする人と気にしない人とでは、人生の質が変わってくる」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/67855
・『年を重ねても若く見える人は何が違うか。医師の和田秀樹さんは「昔の仲間と久しぶりに顔を合わせて、『お互い、もう70歳なんだよね』と真っ先に『歳ネタ』を口にするタイプほど老け込んで見える。70代でも80代でも、若く見える人ほど自分の年齢を気にしていない」という――。 ※本稿は、和田秀樹『70代からの元気力』(三笠書房)の一部を再編集したものです』、「70代でも80代でも、若く見える人ほど自分の年齢を気にしていない」、興味深そうだ。
・『平均寿命の長さは平均年齢の高さにつながるのか  日本の年齢構成はいま、逆ピラミッド型になっています。 人口がいちばん分厚い層が、この本の読者層でもある70代前半の団塊の世代なのですから、ある意味、当たり前のことかもしれません。 そして、現在、40代後半から50代前半の団塊ジュニアの層が、団塊の世代に続いて層が厚くなります。 70代の人口が多いわけですから、それに応じて日本人の平均年齢も高くなるはずです。このことはすぐに納得できることだと思います。 では、それは何歳なのか。 48歳前後、ざっくりと40代半ば過ぎと考えていいでしょう。 ただ、平均寿命が長いのだから平均年齢も高いという見方は当たっていません。おおまかな傾向としてはそうなりますが、相関するわけではないのです。 たとえばアメリカ人の平均年齢は38歳前後、こちらはまだ30代後半です。日本とは、ほぼ10歳の開きがあります。でもアメリカ人の平均寿命は79歳ですから、日本人とそれほど差があるわけではありません。 もう少し数字を挙げてみましょう。 1950年の日本人の平均年齢は26歳でした。 つまり、団塊世代が生まれて間もない頃は、日本の社会全体が20代半ばの若者に満たされていたことになります。それがいまでは、20歳以上も平均年齢層が上がったことになります。 ちなみにアメリカは1950年の平均年齢が31歳でした。それから70年近くも経っているのに、平均年齢は7歳しか上がっていません。 この数字をどう受け止めますか?』、「団塊世代が生まれて間もない頃は、日本の社会全体が20代半ばの若者に満たされていたことになります。それがいまでは、20歳以上も平均年齢層が上がったことになります」、なるほど。
・『70年前より日本人の「心理年齢」は20歳も若返っている  数字だけを見て、「日本人も老けたなあ」と受け止める人もいるのではないでしょうか。ただ、よく考えるとわかりますが、それはまったく違うのです。 平均年齢のこの変化は、むしろ、それとは逆の受け止め方ができるのです。 日本人の「心理年齢」が、20歳以上も若返っていると言えるのです。 「心理年齢」――日本の社会の中で、自分を心理的に若い世代と感じるか、中心となる世代と感じるか、やや歳をとっている世代と感じるか――は、平均年齢で決まります。 たとえば、1950年の日本人の平均年齢は26歳だったので、当時、26歳の人は、自分を若くもなく、歳をとっているわけでもなく、まさに日本の中心の世代と感じていたでしょう。 当時、35歳前後の人は、自分のことをいまで言う「おじさん」「おばさん」のように感じていたはずです。 さらに、45歳前後だった人なら、平均年齢より20歳近くも上なので、自分のことを「年寄り」とさえ感じていたかもしれません。 平均年齢より20歳近くも上ということは、いまで言えば60代後半。あながち間違ってはいないでしょう。 つまり、いまの「60代後半」は、昔で言えば「40代半ば」の感覚なのです。 日本人は「老けた」のではなく、確実に「若返っている」のです』、「平均年齢より20歳近くも上ということは、いまで言えば60代後半。あながち間違ってはいないでしょう。 つまり、いまの「60代後半」は、昔で言えば「40代半ば」の感覚なのです。 日本人は「老けた」のではなく、確実に「若返っている」のです」、なるほど。
・『いまの「70歳」は、昔で言えば「50歳」  日本人の「心理年齢」は、20歳も若返っている――。 このことは、実感として理解できるという人も、多いのではないでしょうか。 たとえば、いまのあなたが、65歳とします。 そして、同年齢だった頃のご両親と、いまの自分を比べてみると、いかがでしょうか。明らかにいまの自分のほうが肉体的にも精神的にも見た目も、若く感じるのではないでしょうか。 また、1960年代は、会社員の定年は55歳でした。おそらく55歳を過ぎると、出社して働くのは肉体的にも精神的にもキツいという人が少なくなかったのでしょう。いまはどうでしょうか。 「60歳定年」は制度上の建前みたいなもので、実際、65歳まで働ける職場が増えています。つまり、60歳を過ぎても、出社して働くのはさほどキツくないという人が増えているのではないでしょうか。 実際、「70歳になっても、現役」という人はいくらでもいます。 明らかに日本人の「心理年齢」も「肉体年齢」も若くなっているのです。 いまの「70歳」と昔の「70歳」とでは、明らかに違います。 いまの「70歳」は、昔で言えば「50歳」。 かつての「40代」は、いまで言えば「60代」ということになります。 実際、現実の感覚として、70歳ぐらいなら「まだ働ける」「仕事があるなら働きたい」と思う人が大勢います』、「実際、「70歳になっても、現役」という人はいくらでもいます。 明らかに日本人の「心理年齢」も「肉体年齢」も若くなっているのです。 いまの「70歳」と昔の「70歳」とでは、明らかに違います。 いまの「70歳」は、昔で言えば「50歳」。 かつての「40代」は、いまで言えば「60代」ということになります」、なるほど。
・『「70代の重要性」に気づくと、元気が出ます  団塊の世代である70代は、現時点で「最大の消費層」になっています。 その意味では、団塊の世代のニーズを的確に汲み取れる人材は、いまの世の中では、当然、必要とされるはずです。つまり、いまの70代は、その気にさえなれば、現役として「社会の一線」に立つことさえできるわけです。 「70代」がそのような重要な世代であるということに、気づいているか、気づいていないかの違いは、とても大きいと思います。 「70代」の重要性に気づいている人であれば、「70代になったら出しゃばらないほうがいい」などとは考えないでしょう。私に言わせれば、そのような考え方は、高度経済成長前、70年も昔の人生観にしがみついているようなものです。 まして60代なんて、かつての40代でしかありません。1950年であれば、40代はまさに、社会のリーダー世代。日本人の平均年齢が20代の時代に、その若い20代を引っ張っていたのが、40代なのです。 いまのあなたの実年齢から20歳引けば、何歳になりますか? その年齢が実感からほど遠いものだったとしても、気持ちは動くと思います。 「自分から老け込んでいる場合じゃない」「もうちょっと活躍してみたい」と感じるのではないでしょうか。 その気分こそ、70歳からの「元気の素」でもあるのです』、「いまのあなたの実年齢から20歳引けば、何歳になりますか? その年齢が実感からほど遠いものだったとしても、気持ちは動くと思います。 「自分から老け込んでいる場合じゃない」「もうちょっと活躍してみたい」と感じるのではないでしょうか。 その気分こそ、70歳からの「元気の素」でもあるのです」、面白い考え方だ。
・『「団塊の世代が元気」になれば「日本も元気」になる  日本の高度経済成長の原動力となったのは、何と言っても、団塊の世代です。 しかも、日本人の年齢構成でいちばん分厚い層も、団塊の世代なのです。それだけ、存在感がある世代と言ってもいいでしょう。実際、団塊の世代を含めて、70代、80代の世代は、日本社会の中で重要な年齢層と言えます。 この重要な年齢層が、ごっそりと意欲をなくして気分的に落ち込んでしまったり、閉じこもってしまったりすると、どうなるでしょうか。 日本社会全体が、元気をなくしてしまうのです。 かつて日本全体を活気づけた層が、元気をなくしてしまうのですから、考えてみれば当たり前の話です。まず、消費が激減します。人手不足もさらに深刻になります。都会であれ地方であれ、それぞれの地域が成り立たなくなるケースは無数に出てくるでしょう。 そして、活気がなくなって、寂しい国になってしまうのです。 逆に言えば、70代、80代の人たちが元気になれば、日本も元気になるのです。 プレッシャーをかけるわけではありませんが、70代、80代の人たちは、その意味では責任は重大です。 とは言っても、べつにムリに働く必要はありません。また、自分にその気がなければ、よく言われるように、地域の活動やボランティア、趣味や遊びのサークルにも入る必要もありません。 では、何をすればいいのか? 元気に町を歩いたり、ふらりとどこかに出かけたりする。それだけでいいのです。 顔見知り同士があちこちで出くわして、お茶を飲んだり食事をしたり、あるいは、連れ立って近所の居酒屋でお酒を飲むだけでもいいのです。 実際、そういう70代、80代がいる町は、にぎやかで活気があるものです。40代も50代も、70代、80代に負けじとばかりに、にぎやかに集まってきます。 と言うのも、そういう町なら、飲食店も居酒屋も、味には手を抜けないからです。70代はとくに味にうるさいのです。70代にそっぽを向かれて、店が流行らなくなれば、ほかの世代も寄りつかなくなります。 つまり、70代、80代が元気なかぎり、40代、50代の現役世代も張り切らざるを得ません。日本人の平均年齢が40代後半という時代、70代、80代の存在感というのは、突き詰めていくと、そういうことになるように思います。 現在、日本の中心の世代である40代後半の世代に「元気」を注入するのも、70代、80代の役目とも言えるのではないでしょうか。 さあ、元気よく、外に出かけてみましょう』、「現在、日本の中心の世代である40代後半の世代に「元気」を注入するのも、70代、80代の役目とも言えるのではないでしょうか。 さあ、元気よく、外に出かけてみましょう」、元気づけられる。
・『70代の格差「若く見える人」ほど年齢を気にしない  人間は何かを気にすれば気にするほど、そのことから逃れられなくなります。 悩みも不安も、すべてそう。 気にすれば気にするほど、見つめれば見つめるほど、気になるし、目につく。そして、気にすればするほど、その悩みや不安は日々大きくなっていきます。 うつになりやすい人には、とくにそういう傾向があります。何か気になることがあると、どうしてもそのことだけを考えてしまうのです。だから余計に、そこから抜け出せなくなります。 「年齢」についても、まったく同じことが言えます。 気にする人は気にするし、気にしない人はあまり気にしない。ただし、1つだけ言えることがあります。 70代でも、80代でも、若く見える人ほど、自分の年齢を気にしていません。 逆に言えば、老け込んで見える人ほど、自分の年齢をいつも気にしています。 昔の仲間と久しぶりに顔を合わせて、「お互い、もう70歳なんだよね」と真っ先に「歳ネタ」を口にするのがこのタイプ。いつも年齢のことを考えているし、話題にしているので、年齢よりも老けて見えるはずです。 「歳ネタ」を振られても、大して関心もないので、「そう言えば、そうだね」と、受け流すことができる人は、おそらく若く見えるはず。 つまりは、「歳ネタ」を話題にすればするほど、老けていくようなものです。 それもそうでしょう。 「歳ネタ」なんて、いくら話しても、何も解決しませんし、何のメリットもありません。 それどころか、「もう70歳なんだよね」などと話しているうちに、気分が沈んでくるので、どんどん老けていくわけです。 自分の年齢を気にする人と、気にしない人とでは、人生の質も変わってきます』、「70代でも、80代でも、若く見える人ほど、自分の年齢を気にしていません。 逆に言えば、老け込んで見える人ほど、自分の年齢をいつも気にしています。 昔の仲間と久しぶりに顔を合わせて、「お互い、もう70歳なんだよね」と真っ先に「歳ネタ」を口にするのがこのタイプ。いつも年齢のことを考えているし、話題にしているので、年齢よりも老けて見えるはずです。 「歳ネタ」を振られても、大して関心もないので、「そう言えば、そうだね」と、受け流すことができる人は、おそらく若く見えるはず」、「自分の年齢を気にする人と、気にしない人とでは、人生の質も変わってきます」、その通りだ。
タグ:PRESIDENT ONLINE この対策には、トイレでパンツをしっかりと下ろしてオシッコをした上で、ミルキングをするのが効果的。牛の乳搾りのイメージで陰茎の付け根部分を圧迫しながら搾り出す方法だ」、「ミルキング」とは初耳だ。 「70代でも80代でも、若く見える人ほど自分の年齢を気にしていない」、興味深そうだ。 AERAdot「脳卒中の5つのサイン 症状が出たら迷わず救急車を呼んで 脳梗塞には前兆がみられることも〈dot.〉」 「無症候性脳梗塞」、「症状が出なくても、放置して神経細胞のダメージが積み重なると、意欲や認知機能の低下、大きな脳梗塞やほかの神経の病気につながる可能性も」、とは恐ろしい。 「冬は、脳梗塞のなかでも重症化しやすい心原性脳塞栓症が多い傾向があります。冬は血圧が高くなることや血圧の変動が多く、心房細動が起こりやすくなることが主な理由です。一方、動脈硬化が原因の脳梗塞は脱水がきっかけとなることが多く、夏に起こりやすくなります」、「脱水がきっかけとなることが多く」とは意外だ。 「骨盤底筋トレーニング」について、動画付きで解説したのが、兵庫県立尼崎総合医療センターによる「骨盤底筋体操」である。参考にされたい。 https://www.youtube.com/watch?v=hr5Sahmhs4A。 「「骨盤底筋とは、骨盤内にある臓器をハンモックのように下から支えている筋肉の総称です。この筋肉群を鍛えるには、肛門にキュキュッと力を入れて10秒キープしたら、緩める。締めて緩めるを10回で1セットとして、1回3セット。1日3、4回やるのがお勧めです」、「男性は、陰茎や睾丸を持ち上げるイメージで、肛門から尿道にかけて陰部全体を引き上げるように力を入れます」、 「女性は肛門と膣を締めながら、それらを引き上げるイメージ」、「2、3カ月続けると、尿漏れは7割が改善する」、「便失禁」については、「磁気刺激を与える健康器具による骨盤底筋トレーニング」、「週1回20分、計8回の使用で、9人中5人が改善した」、なるほど。 「心原性脳塞栓症は、心房細動など心臓の病気が原因で起こる。心臓でできた血のかたまり(血栓)が血流にのり脳に運ばれ血管を詰まらせる。このタイプは脳梗塞のなかでもとくに重症化しやすい。 脳梗塞の主な原因は、加齢や生活習慣だ。60歳代から増え始め、発症のピークは男性が70代前半、女性は80代前半とされる」、「高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、心臓の病気、喫煙、飲酒など、脳梗塞のリスク因子のほとんどが生活習慣に関わるもの」、 「脳梗塞は、「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」の3タイプに大別される。前者二つは、首や脳の動脈硬化により起こる。ラクナ梗塞は、脳内の細い血管が詰まるもので、症状が起こりにくく比較的軽症なことが多い。アテローム血栓性脳梗塞は、首や脳の太い動脈で起こる。血管の内側にコレステロールなどが沈着したかたまり「アテローム」ができることで血管が閉塞する」、なるほど。 和田秀樹『70代からの元気力』(三笠書房) (その20)(尿漏れとはもうオサラバ…「お尻キュキュッと体操」で骨盤底筋をトレーニング、脳卒中の5つのサイン 症状が出たら迷わず救急車を呼んで 脳梗塞には前兆がみられることも〈dot.〉、「もう70歳なんだよね」と絶対口にしてはいけない…和田秀樹「老け込んで見える人に共通する言葉使い」 年齢を気にする人と気にしない人とでは 人生の質が変わってくる) 「団塊世代が生まれて間もない頃は、日本の社会全体が20代半ばの若者に満たされていたことになります。それがいまでは、20歳以上も平均年齢層が上がったことになります」、なるほど。 和田 秀樹氏による「「もう70歳なんだよね」と絶対口にしてはいけない…和田秀樹「老け込んで見える人に共通する言葉使い」 年齢を気にする人と気にしない人とでは、人生の質が変わってくる」 「中高年に多いかと思いきや、20代から50代まで全世代で8割を超える。別の調査で女性も20~60代の6割前後で、尿漏れは世代を問わず男女の悩みといっていい」、「世代を問わず男女の悩み」とは意外だ。「曲がった部分に尿が残っていると、トイレを出た後に残尿がチョロッと漏れて、パンツにシミができる。量が多いと、ズボンにまで染みてきて恥ずかしい思いを余儀なくされる。 高齢化社会 「昔は、脳卒中のなかでも脳出血の割合が圧倒的に高かったが、現在は脳梗塞のほうが多い。その理由について豊田医師は、画像診断技術の進歩で両者の正確な区別が可能になったこと、国民の健康意識の高まりによる塩分摂取量の減少、高血圧治療薬の進歩などを挙げる」、なるほど。 日刊ゲンダイ「尿漏れとはもうオサラバ…「お尻キュキュッと体操」で骨盤底筋をトレーニング」 「骨盤底筋トレーニングは、男女も年齢も問わず、ちょっと恥ずかしい悩みを抱える人の“お助けアイテム”」、なるほど。 「平均年齢より20歳近くも上ということは、いまで言えば60代後半。あながち間違ってはいないでしょう。 つまり、いまの「60代後半」は、昔で言えば「40代半ば」の感覚なのです。 日本人は「老けた」のではなく、確実に「若返っている」のです」、なるほど。 「実際、「70歳になっても、現役」という人はいくらでもいます。 明らかに日本人の「心理年齢」も「肉体年齢」も若くなっているのです。 いまの「70歳」と昔の「70歳」とでは、明らかに違います。 いまの「70歳」は、昔で言えば「50歳」。 かつての「40代」は、いまで言えば「60代」ということになります」、なるほど。 「いまのあなたの実年齢から20歳引けば、何歳になりますか? その年齢が実感からほど遠いものだったとしても、気持ちは動くと思います。 「自分から老け込んでいる場合じゃない」「もうちょっと活躍してみたい」と感じるのではないでしょうか。 その気分こそ、70歳からの「元気の素」でもあるのです」、面白い考え方だ。 「現在、日本の中心の世代である40代後半の世代に「元気」を注入するのも、70代、80代の役目とも言えるのではないでしょうか。 さあ、元気よく、外に出かけてみましょう」、元気づけられる。 「70代でも、80代でも、若く見える人ほど、自分の年齢を気にしていません。 逆に言えば、老け込んで見える人ほど、自分の年齢をいつも気にしています。 昔の仲間と久しぶりに顔を合わせて、「お互い、もう70歳なんだよね」と真っ先に「歳ネタ」を口にするのがこのタイプ。いつも年齢のことを考えているし、話題にしているので、年齢よりも老けて見えるはずです。 「歳ネタ」を振られても、大して関心もないので、「そう言えば、そうだね」と、受け流すことができる人は、おそらく若く見えるはず」、「自分の年齢を気にする人と、気にしない人とでは、人生の質も変わってきます」、その通りだ。
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金融業界(その16)(シリコンバレー銀行にクレディ・スイス…金融不安連鎖で急落する「日本の銀行株」は買いなのか プロが指南する「個人投資家が狙いたい優良投資先」、日本の地銀も他人事ではない欧米の金融不安、含み損で見る「経営不安」の実態) [金融]

金融業界については、3月31日に取上げた。今日は、(その16)(シリコンバレー銀行にクレディ・スイス…金融不安連鎖で急落する「日本の銀行株」は買いなのか プロが指南する「個人投資家が狙いたい優良投資先」、日本の地銀も他人事ではない欧米の金融不安、含み損で見る「経営不安」の実態)である。

先ずは、3月24日付け3/24プレジデント ウーマンが掲載した楽天証券経済研究所所長 兼 チーフ・ストラテジストの窪田 真之氏による「シリコンバレー銀行にクレディ・スイス…金融不安連鎖で急落する「日本の銀行株」は買いなのか プロが指南する「個人投資家が狙いたい優良投資先」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/67831
・『欧米で金融不安が広がっている。株式市場にどのような影響があるのか。楽天証券チーフ・ストラテジストの窪田真之さんは「米国で銀行株が軒並み急落、日本の銀行株も急落していますが、私は海外展開が進んでいるメガ銀行は買っていいと考えています」という――』、興味深そうだ。
・『急落する日本の銀行株は買いか  米国でシリコンバレー銀行(総資産全米16位)、シグネチャー銀行(同29位)が破綻してから、欧米で金融不安が広がっています。米国で銀行株が軒並み急落、地方銀行の一部で預金の取り付けが起こっています。欧州ではかねてより経営不安が噂されていたクレディ・スイスの株価が急落し、UBSが救済合併に動きました。 欧米の金融当局は、信用不安の拡大を抑えるためにやれることは何でもやる姿勢ですが、金融不安はまだ収まっていません。 欧米の不安は、日本の銀行にとって「対岸の火事」でしょうか。日本の銀行株も急落していますが、買い場と考えていいのでしょうか。私は、三菱UFJフィナンシャル・グループなど海外展開が進んでいるメガ銀行は買っていいと考えています。その理由を解説します』、「私は、三菱UFJフィナンシャル・グループなど海外展開が進んでいるメガ銀行は買っていいと考えています」、一安心だ。
・『シリコンバレー銀行はなぜ破綻することになったか  シリコンバレー銀行(以下、SVBと表記)は、なぜ破綻に追い込まれたのでしょうか? クレディ・スイス(以下、CSと表記)は、なぜ救済合併が必要になるまで財務が悪化したのでしょうか、そこから解説します。 結論から申し上げると、SVBは米国の急激な金利上昇に備えができていなかったために破綻しました。CSは、投資銀行部門の暴走で財務が急激に悪化しました。どちらも特殊要因で信用不安に陥ったもので、日本の大手金融機関が現時点で同様の問題を抱えているとは考えていません。 日本の話をする前に、まずSVBの破綻原因を詳しく解説します。 【図表1】SVB破綻の原因 図表=筆者作成 SVBは、銀行ALM(資産・負債のリスク管理)の初歩ができていなかったために破綻しました。SVBは、テック系新興企業との取引で知られていました。テック系新興企業から預金を預かり、融資をする銀行でした。 ところが、テックバブルで、テック系企業にはベンチャーキャピタルなどから、巨額の資金が供給されていました。すぐに使う予定のない現金をたくさん持つ新興企業が、SVBに多額の預金をしていたため、SVBは預金過多で貸付金が不足していました。そこで、SVBは、期間の長いMBSや米国債など債券投資にのめり込んでいき、金利上昇(債券価格下落)で一気に財務が悪化しました。 通常、金利が上昇しただけで銀行は破綻しません。そうならないように、金利上昇リスクを管理しているからです。具体的に言うと、資産のデュレーション(平均運用期間)と負債のデュレーション(平均調達期間)の乖離かいりが大きくなり過ぎないように管理しています。それが銀行ALMの初歩です。 もう少しわかりやすく言うと、1年定期預金で集めたお金で30年の固定利付住宅ローンを出すようなことはしない、ということです。金利が上昇した時、調達(預金)金利だけ上昇して逆ザヤになるリスクがあるからです。このリスクを避けるため、日本の銀行は30年の固定利付住宅ローンを出したら、金利スワップを使って固定金利を変動金利に変換します。そうすることで、金利上昇リスクに備えます。SVBは、そんな銀行経営の初歩ができていなかったから破綻しました』、「テックバブルで、テック系企業にはベンチャーキャピタルなどから、巨額の資金が供給されていました。すぐに使う予定のない現金をたくさん持つ新興企業が、SVBに多額の預金をしていたため、SVBは預金過多で貸付金が不足していました。そこで、SVBは、期間の長いMBSや米国債など債券投資にのめり込んでいき、金利上昇(債券価格下落)で一気に財務が悪化」、「金利が上昇した時、調達(預金)金利だけ上昇して逆ザヤになるリスクがあるからです。このリスクを避けるため、日本の銀行は30年の固定利付住宅ローンを出したら、金利スワップを使って固定金利を変動金利に変換します。そうすることで、金利上昇リスクに備えます。SVBは、そんな銀行経営の初歩ができていなかったから破綻しました」、お粗末だ。
・『もう1つの破綻原因  SVB破綻のもう1つの原因は、負債サイド(預金)にあります。逃げ足の速い大口の法人預金中心に資金調達していたことも、破綻の原因です。信用が低下すると、すぐに預金の引き出しが集中しました。 銀行ALMにおいて、同じ流動性預金(普通預金や当座預金)でも、個人預金はデュレーションが長い(長い年月にわたって滞留する)ことがわかっています。出入りの激しい法人預金と違って、給与振り込みやクレジットカードの引き落としに指定された個人口座は、長期に滞留するので「コア預金」と呼ばれます。 預金保険制度の存在も、個人預金がコア預金となる要因です。銀行が破綻した場合、日本では1人1000万円まで、米国では1人25万ドル(約3300万円)まで、普通預金や当座預金の残高が保護されます(預金保険機構に加入している銀行)。個人預金は保証額を下回る金額が多いので、信用不安の噂が出てもすぐ引き出しに走ることはありません。ところが、SVBは大口の法人預金を中心に資金を調達していたため、信用不安の噂が出ると、預金の流出が増えて、資金が行き詰まりました』、「SVBは大口の法人預金を中心に資金を調達していたため、信用不安の噂が出ると、預金の流出が増えて、資金が行き詰まりました」、脆弱な資金調達構造が破綻につながったようだ。
・『急激な利上げが直接の原因  このように、SVBは、きわめてリスクの高い資産・負債構造を持っていたために、破綻することになりました。過去に例のないピッチで金利を急騰させたFRB(米連邦準備制度理事会)が、破綻の直接の原因を作りました。0.5%や0.75%など過去に例のない大幅な利上げを繰り返し、1年で一気に4.5%も利上げしたことが、SVBを追い詰めました。 年1%の利上げを4年連続で続けたとしても、SVBは破綻に至らなかったでしょう。年1%ずつの金利上昇ならば、それに対応する資産の入れ替えを少しずつ進めることができたからです。パウエルFRB議長は、2021年当時、米国のインフレは一時的と誤った判断をしていたために、金利引き上げの判断が遅れました。その分、過去に例のない急激な利上げが必要になりました。それが、SVB破綻を生じた直接の原因です』、「過去に例のないピッチで金利を急騰させたFRB・・・が、破綻の直接の原因を作りました」、なるほど。
・『クレディ・スイスはなぜ救済合併が必要になったか  SVBが破綻すると、信用不安が欧州に伝播しました。スイスで2番目の資産規模を持つ大手銀行クレディ・スイス(CS)の株価が急落、放置すれば預金流出が止まらなくなる危機に瀕しました。CSは破綻すると世界の金融システムに重大な影響を与える「国際的に重要な金融機関」に指定されています。破綻すればリーマンショックを超えるダメージが世界の金融システムに及ぶ可能性があります。 CSはなぜ急激に財務が悪化したのでしょうか? 巨大銀行の転落は、さまざまな複合要因が重なった結果です。近年、CSの不祥事が相次いで報道されていました。超富裕層のファミリーオフィスとの取引で巨額損失、不正預金の発覚、経営の混乱……。一連の不祥事の根幹にあるのが、投資銀行部門の暴走です。スイスの銀行が世界中の富裕層から秘密の預金を集めてビジネスをやってきた時代は終わりました。伝統的なスイス銀行のビジネスが衰退する中で、米国流の投資銀行業務を取り入れて収益を稼いでいこうとしたことが、巨大銀行の転落を早めました』、「近年、CSの不祥事が相次いで報道されていました。超富裕層のファミリーオフィスとの取引で巨額損失、不正預金の発覚、経営の混乱……。一連の不祥事の根幹にあるのが、投資銀行部門の暴走です」、「伝統的なスイス銀行のビジネスが衰退する中で、米国流の投資銀行業務を取り入れて収益を稼いでいこうとしたことが、巨大銀行の転落を早めました」、なるほど。
・『法令違反ぎりぎりのきわどい危険な取引  投資銀行部門の暴走で大手金融機関が破綻というと、2008年のリーマンショックを思い出します。リーマンショックの経験から、「国際的に重要な金融機関」には、厳しい自己資本規制が課せられ自己資本を危険にさらす取引は制限されることになりました。そのおかげで、リーマンショック以後、巨大金融機関の危機は起こらなくなっていました。 ところが、CSはその規制をかいくぐる形で危険な取引を繰り返し、財務を毀損きそんしました。CSは見かけ上、自己資本規制をクリアしていましたが、裏で法令違反ぎりぎりのきわどい危険な取引を繰り返し、財務を毀損しました。CSの転落を見ると、リーマンショックの亡霊がよみがえった感を覚えます。 危機拡大を防ぐためスイス金融当局は、すぐに動きました。CSに対し、スイス中銀は15日、最大500億スイスフラン(約7.2兆円)の資金供給を表明し、さらに19日にはスイスのトップ銀行UBSが、約4200億円(円換算額)で買収すると発表しました。通常これだけの大型買収を決める時、資産査定にかなりの時間をかけますが、急転直下で決まったのは、それだけCSの信用不安が深刻だったことになります』、「CSは見かけ上、自己資本規制をクリアしていましたが、裏で法令違反ぎりぎりのきわどい危険な取引を繰り返し、財務を毀損しました。CSの転落を見ると、リーマンショックの亡霊がよみがえった感を覚えます」、「CSに対し、スイス中銀は15日、最大500億スイスフラン(約7.2兆円)の資金供給を表明し、さらに19日にはスイスのトップ銀行UBSが、約4200億円(円換算額)で買収すると発表」、「急転直下で決まったのは、それだけCSの信用不安が深刻だったことになります」、なるほど。
・『「なんでもあり」の救済劇  UBSにCS買収を決断させるために、スイス政府は90億フラン(約1.3兆円)の損失補償をつけました。UBSがCS買収で損失を被った場合、最大90億フランまで政府が補塡ほてんするという内容です。さらに、もう1つ金融市場を驚愕きょうがくさせたのは、CSが資金調達のために発行していた劣後債の一種、AT1債160億スイスフラン(約2.3兆円)を無価値にすると発表したことです。株式に約4200億円の価値をつけておきながら、劣後債の価値をゼロにするというのは、きわめて異例の措置です。CSの預金者の不安を取り除き、預金流出を抑えるために、「なんでもあり」の救済劇が演じられました。 これで一件落着かと言うと、そうはいきません。CSの預金者を安心させるには効果があったと思いますが、代わりに世界中のAT1債保有者に強烈なダメージを与えました。世界中の金融機関がAT1債を使って自己資本を調達してきましたが、AT1債の信用が急低下したことで、今後は発行が難しくなり、銀行資本の調達に支障が生じる可能性が出ています。 また、CSのAT1債への投資家が、無価値化の決定にすんなり納得するとは思えません。これからCSを買収したUBSに対して訴訟が起こされる可能性もあります。CSをめぐる混乱は続きそうです』、「UBSにCS買収を決断させるために、スイス政府は90億フラン(約1.3兆円)の損失補償をつけました」、さらに深刻なのは、「世界中の金融機関がAT1債を使って自己資本を調達してきましたが、AT1債の信用が急低下したことで、今後は発行が難しくなり、銀行資本の調達に支障が生じる可能性が出ています。 また、CSのAT1債への投資家が、無価値化の決定にすんなり納得するとは思えません。これからCSを買収したUBSに対して訴訟が起こされる可能性もあります」、「AT1債」の信用力は、本来は株式より高く、普通社債や預金よりは低い筈なのに、今回は株式が合併により価値が守られ、「AT1債」はデフォルト(債務不履行)になるという極めて異常な事態となった。「AT1債への投資家が、無価値化の決定にすんなり納得するとは思えません。これからCSを買収したUBSに対して訴訟が起こされる可能性もあります」、確かに大いにあり得るシナリオだ。
・『「なんでもあり」の金融不安対策は、奏効するか  SVB・CSの危機を発端に、欧米の金融機関全般に危機が拡散しないよう、米政府は、なんでもありの対策を発動しています。 【1】SVB、シグネチャー銀行の預金を全額保護すると米政府が発表(預金保険機構による預金保護は1人当たり25万ドルまでだが、信用不安の連鎖を防ぐため全額保護としました。 【2】ファースト・リパブリック銀行にJPモルガンなど11行が資金支援(SVB破綻の連鎖で、カリフォルニア州のファースト・リパブリック銀行の株価が急落し、預金流出が深刻になりました。これに対し、JPモルガンなどが300億ドル(約4兆円)の資金支援を実施しました。米政府は、公的資金だけでなく、民間銀行の資金も使って信用不安を抑える姿勢です。 ただし、ファースト・リパブリック銀行の株価下落・預金流出は続いており、信用不安はまだ収まっていません』、「米政府は、公的資金だけでなく、民間銀行の資金も使って信用不安を抑える姿勢です。 ただし、ファースト・リパブリック銀行の株価下落・預金流出は続いており、信用不安はまだ収まっていません」、なるほど。
・『それでもFOMCは利上げを実施  ただ、FRBは金融危機への対応よりも、まだインフレ抑制を重視する姿勢です。22日のFOMC(公開市場委員会)で0.25%の利上げを実施しました。金利上昇がSVB破綻のきっかけになり、信用不安を引き起こしていることに対して、配慮がありませんでした。パウエル議長は22日の記者会見で、「銀行の不安は、放置すると重大なシステム不安につながる」と認識を示したものの、「銀行システムは健全で回復力がある」と、危機が深刻化するリスクが低いとの認識を示しました。私も、このままリーマンショックのような危機に発展する可能性は低いと、現時点では判断しています。 過去の金融危機は、不良債権の拡大で起こりました。日本の1990年代の金融危機は、不動産バブルの崩壊で不良債権が拡大したことで起こりました。米国の2008年の金融危機(リーマンショック)は、米国の住宅価格が急落して、住宅ローン債権(サブプライムローン)が不良債権化したことで起こりました。 今まだ、米国の銀行で、不良債権が急拡大しているということはありません。金利上昇で、保有する米国債などに含み損が生じていますが、不良債権が拡大しない限り、金融全般の危機に広がる可能性は低いと考えています。 ただし、不良債権問題が今後、深刻になるリスクの芽はあります。米国の銀行の資金繰りが厳しくなり貸し渋りが発生していることから、オフィスビルなど不動産市況の下落が始まっていることです。貸し渋りの影響で、不動産市況の下落が加速すると、銀行全体に不良債権が拡大するリスクはあります。そのリスクへの目配りは必要ですが、現時点でそのリスクが高いとは考えていません』、「米国の銀行の資金繰りが厳しくなり貸し渋りが発生していることから、オフィスビルなど不動産市況の下落が始まっている」、「貸し渋りの影響で、不動産市況の下落が加速すると、銀行全体に不良債権が拡大するリスクはあります」、しかし、金融政策は金融政策の論理で展開されるので、銀行システムなどの付随的問題が影響することはないと考えるべきだ。
・『日本のメガ銀行株は買い  欧米の金融不安をきっかけに日本の銀行株も急落しましたが、私は三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、三菱UFJと表記)などメガ銀行株について、買い判断を継続しています。 欧米の金融不安が、日本の銀行にとって対岸の火事と考えているわけではありません。リーマンショックの時と同様、直接的なマイナス影響は大きくありませんが、間接的には大きなマイナス影響を受けます。ただし、そのマイナス影響を勘案してもなお三菱UFJの株価は割安で、長期的な投資魅力は高いと判断しています。 メガバンク買いの理由【1】リーマンショックの影響レビュー  リーマンショックの時、欧米の金融機関が多数破綻しましたが、日本の金融機関への影響は大きくありませんでした。欧米の金融機関が破綻する原因となった北米住宅ローン債権に投資していた銀行は、日本にもあって損失は発生しましたが、日本の金融システム全体への影響は限定的でした。 日本の金融機関は、1990年代に深刻な金融危機を経験し、やっとそこから抜け出した後でしたから、財務的なリスクを拡大することに慎重でした。米国の住宅ローン債権に投資してしまった銀行があったのは、米国の格付機関がトリプルAなどの誤った格付をつけていたためです。信用リスクを取ることに慎重だったので、致命的なダメージを受けた金融機関はほとんどありませんでした。 ただし、リーマンショックを契機に、世界中の中央銀行が大規模な量的緩和を打ち出し、世界的に金利低下が進んだことで、日本の銀行も間接的に大きなマイナス影響を受けました。それに2014年に始まった黒田日銀の異次元緩和が追い打ちをかけました。日本の長期金利はゼロ近辺に沈み、国内商業銀行の預貸金利ザヤを圧迫しました。国内商業銀行業務の比率が高い、国内金融機関の多くが収益にダメージを受けました。 三菱UFJは、海外ビジネスや、投資銀行業務への多角化を進めることで、純利益8000億円から1兆円の高収益を維持してきました。ただし、リーマンショック以降、株価は長期にわたり低迷が続いてきました。低金利が収益にダメージを与える懸念が続いていたからです』、「三菱UFJの株価は割安で、長期的な投資魅力は高いと判断」、異論はない。
・『メガバンク買いの理由【2】今起こっている欧米の金融危機の影響  今ある欧米の金融危機も、日本の銀行への直接的な影響は限定的と考えています。SVB破綻の原因となった米国の金利急騰は、日本の銀行にも影響しています。米金利急騰で、外債に含み損を抱える銀行が増えました。ただし、日本の大手銀行は今、全般的に不良債権比率が低く、保有する株式に含み益があるため、財務的な問題はほとんどありません。 日本には、SVBのように、ALMの初歩を踏み外した銀行も、CSのように投資銀行業務で過剰なリスクを負っている銀行も無いと判断していますので、今回の欧米の信用不安が日本の銀行に連鎖することはないと予想しています。 ただし、日本の銀行も、間接的に大きなマイナス影響を受ける可能性が出ています。今回の危機で、世界的に金利が低下しました。金利低下は、長期的に銀行の利ザヤを低下させる懸念があります。日本の銀行にとって影響が大きいのは、日本の長期金利が低下した影響です。 日本の銀行は、長期金利をゼロ近辺に固定する日銀の政策で、長らくダメージを受けてきました。昨年12月、日銀が長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げた時、やっと国内商業銀行業務の収益性が改善する期待が出たことを好感して、日本の銀行株は急騰しました。 ところが、3月に入り、欧米の金融危機が伝播すると、日本の長期金利は一時0.25%に戻ってしまいました。0.5%への長期金利引き上げに喜んだのも束の間、また元の低金利に戻る懸念から、日本の銀行株は暴落しました。 【図表3】日本の長期金利(10年国債利回り)と、東証・銀行株指数の推移:2016年1月-2023年3月(22日) 出所=QUICKより楽天証券経済研究所が作成』、「日本の長期金利」が「元の低金利に戻る懸念から、日本の銀行株は暴落」、困ったことだ。
・『長期投資していく価値が高い  先行きのインフレがどうなるか不透明ですが、私は日本にもしぶとくインフレが定着すると予想しています。欧米の金融危機が収束すれば、また日本の長期金利にも上昇圧力が働くと予想しています。そうなると、三菱UFJの株価も見直されて反発していくと予想しています。 仮に長期金利が上昇しないとしても、三菱UFJは、海外ビジネスの拡大や、ユニバーサルバンク経営(投資銀行業務などへの多角化)で安定的に収益を稼いでいく力があると考えています。欧米の金融不安が収まるまで、不安定な値動きが続きそうですが、今の株価は割安で、長期投資していく価値が高いと判断しています。(窪田 真之氏の略歴はリンク先参照)』、「今の株価は割安で、長期投資していく価値が高いと判断」、同感である。

次に、3月31日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したオペレーショナル・デザイナー(沼津信用金庫 非常勤参与)の佐々木城夛氏による「日本の地銀も他人事ではない欧米の金融不安、含み損で見る「経営不安」の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/320429
・『シリコンバレー銀行の破綻とクレディ・スイスの経営不安  3月10日の米国のシリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻と、3月15日のスイスのクレディ・スイスグループの経営不安は、それぞれ別要因で起きたものの、これらを契機に、銀行の財務健全性に対する不安が広がっている模様だ。2008年のリーマンショックを契機とした世界金融危機のような事象を防止・抑止しようと、各国の金融当局が緊密に連携されているようだ。 SVBの破綻の引き金となった要因の一つに、米国内のインフレ抑制を目的に繰り返された利上げが、債券価格の下落をもたらしたことが挙げられる。利上げによってSVBが投資・運用していた不動産担保証券(MBS)の価値が毀損し、それに伴う信用不安が預金流出に拍車をかけた事実が報じられている。 米国のみならず、欧州中央銀行も、インフレ率を2%まで引き下げることを目標に、3月まで6回連続で利上げを実施している。従って欧州でも、低金利時代に発行された債券の価格が、漏れなく下落していることだろう。 “金余り”と呼ばれる低預貸率を背景に膨らんだ余裕資金の運用を巡り、邦銀は、かねて投資先に悩んできた。2016年2月のマイナス金利政策導入から既に7年が経過し、利ざやを求めて外国債券(外債)などに投資した残高が、既に相当額に積み上がってもいる。 短期の預金流出によって経営破綻したSVBの預金者に占める法人比率は高く、個人預金比率の高い邦銀の調達構造とは異なる。わが国では個人の預金保険制度への認知度をはじめとする金融リテラシーも総じて高く、短期的には、信用不安を背景とした取り付け騒ぎは発生しないだろう。 その一方で、金利上昇によって投資した債券の価格が下落し、いわゆる含み損となって邦銀の体力を着実に奪っている。その状況について、昨年11月から今年1月にかけて公表された2022年9月末時点の地方銀行62行・第二地方銀行37行の半期ディスクロージャー誌(中間ディスクロージャー誌)より、特徴的な動向を紹介したい』、興味深そうだ。
・『地方銀行・第二地方銀行99行の1行当たりの「貯金」は約156億円(各行の半期ディスクロージャー誌には、保有する有価証券の時価情報が記載されている。掲載情報のうち、利息・配当やキャピタルゲイン目的で投資する有価証券を抽出し、市場における時価を貸借対照表上に計上する「その他有価証券」に着目した。 その他有価証券は、主に「株式」「債券」「その他」の3種で区分けされる。おのおのについて、時価が取得原価(=購入・投資時の原価)を上回る含み益のある有価証券の金額・差益と、取得原価を下回る含み損のある有価証券の金額・差損が表示されている。 これらについて、地方銀行・第二地方銀行99行の金額を合算した[図表1]。ひと言で言えば株式の含み益をそれ以外の含み損が減らし、全体としての含み益の合計は1兆5525億円となった。99行で単純に割った“貯金”は、1行当り156億8223万円となる計算だ』、「1行当り156億8223万円」とは想像以上に小さいようだ。これでは、長期金利が上昇し始めればひとたまりもなく吹き飛ぶだろう。
・『日本の地銀も他人事ではない欧米の金融不安、含み損で見る「経営不安」の実態  含み損が含み益を上回ったのは3行のみ 次に、その他有価証券の内訳別の動向を概観したい。最初に「株式」に着目する。 99行の株式の含み益と含み損を差し引きし、金額順で並べ替えた上で、上位および下位10行を機械的に抽出した[図表2]。 図表2:保有株式含み益順位[単位:百万円] 図表1で示した通り、全体として約3兆8400億円の含み益を保有するだけあって、99行中、ゼロの3行、マイナスの3行を除く93行の評価がプラスだ。上位10行のうち、第二地方銀行は9位の北洋銀行だけ、逆に下位10行のうち地方銀行は90位の東北銀行だけとなっていることが特徴的だ。北洋銀行も、1998年に旧北海道拓殖銀行から道内の営業を譲り受けているため、歴史や事業規模との一定の相関性が認められよう』、「北洋銀行」は「旧北海道拓殖銀行から道内の営業を譲り受け」たことがプラスになっているようだ。
・『全体の9割以上が「債券」で含み損  次に、国債・地方債・社債等を区分する「債券」に着目した。図表2と同様の手順で債券についても含み益と含み損を差し引きし、上位および下位10行を機械的に抽出した[図表3]。 図表3:保有債券含み益順位[単位:百万円] 株式とは逆に、含み益が認められたのはわずか7行にとどまり、全体の9割以上の91行に含み損が認められた。含み益が認められた7行の合計額約260億円のうち、1位の岩手銀行の約184億円だけで、7割を占める。 数値は昨年9月末現在の市場環境での時価だが、その後の昨年12月20日には、日本銀行が大規模な金融緩和政策の修正方針を決定し、±0.25%から±0.50%への事実上の利上げを行っている。 それまでマイナス金利で発行されていた2年国債も12月23日にはプラスに転じ、1月18日までプラスで発行され続けている。3月末まで現在の金利水準で推移した場合には、邦銀が低金利時代に積み上げた債券ポートフォリオの含み損が、さらに膨らむ可能性があろう』、長期金利上昇には脆弱なようだ。
・『「外債・投信」の含み益は11行  内訳の最後は、外債・投信などを含む「その他」の区分だ。株式・債券と同様の通算・並べ替えを行ったが、10位の長崎銀行に続く11位の福邦銀行までがプラス、ゼロの但馬銀行と北九州銀行の2行を除く86行がマイナスとなった。90位から99位までの10行の単純合計だけで、含み損が6552億円に達する[図表4]。 図表4:保有その他含み益順位[単位:百万円]  報道によれば、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、SVBグループの株式と債券を約437億円保有している模様だ。わが国以外でも、ノルウェーの政府系ファンドがSVBグループに投資を行っていた事実とその後の動向が断続的に報じられている。 邦銀が直接SVBに投資を行っていなくとも、SVBの破綻によって損失を被ったこのような機関投資家などに投資していれば、外債などの価格が下落する可能性がある。 ライバル行であったUBSによる買収によって信用不安の収束を図っているクレディ・スイスグループも、3月19日にスイス金融当局がAdditional Tier1債券(偶発転換社債/AT1債)を無価値にして自己資本に組み入れると発表した。) AT1債は株式と劣後債の間に位置付けられ、破綻時の弁済順位が低い分だけリスク・プレミアムが乗る。それゆえに、直接の社債投資のほか、グローバル運用などをうたう投資信託に組み入れられて投資していた可能性もあろう。 もちろん、特定の発行体絡みの信用リスクの低下のみならず、金利上昇による価格低下も見込まれる。昨秋以降の相次ぐ米欧の利上げは、直接的な価格低下をもたらすだろう』、「外債・投信などを含む「その他」」も厳しいようだ。
・『地方銀行・第二地方銀行はグループ化や増資を模索  含み損となった債券は、国内債・外債を問わず満期まで保有すれば全額で償還されるものの、取得価格に対して一定の水準まで価格が下落すれば、帳簿価格を引き下げて損失の計上が求められる。いわゆる減損処理だ。 米欧日が金融緩和からのシフトチェンジ、すなわち利上げをなお模索する中では、国内債・外債共に逆風と言わざるを得ず、減損に至る前に諦めて損失処理に踏み切ろうとする動きが見込まれよう。 その際の経営判断は、自己資本などの経営体力のほか、収益力による補填と対比することとなろう。そこで、その他有価証券の損益通算が赤字となっている地方銀行・第二地方銀行58行について、中間純利益を機械的に2倍して「1年分」とし、「稼ぐ力」の何年分の含み損に該当するのかを試算した[図表5]。 図表5:「その他有価証券」合計含み損解消所要年数(試算([単位:百万円、年]) 不良債権処理などの特殊要因によって中間純利益が赤字となったきらやか銀行と福邦銀行を除く56行のうち、18行が既に2年以上に膨らんでおり、10年以上も3行に及ぶ。従って、減損処理に当たっても各行経営者は慎重な匙加減を図っていることだろう。 今後、わが国発の信用不安を引き起こさないため、地方銀行・第二地方銀行はさらなるグループ化のほか、増資などの資本政策を模索することとなるだろう。 (オペレーショナル・デザイナー〈沼津信用金庫 非常勤参与〉 佐々木城夛)』、「含み損解消所要年数」で「18行が既に2年以上に膨らんでおり、10年以上も3行に及ぶ」、とは深刻だ。今後の長期金利上昇への備えなどないようだ。
タグ:(その16)(シリコンバレー銀行にクレディ・スイス…金融不安連鎖で急落する「日本の銀行株」は買いなのか プロが指南する「個人投資家が狙いたい優良投資先」、日本の地銀も他人事ではない欧米の金融不安、含み損で見る「経営不安」の実態) 金融業界 プレジデント ウーマン 窪田 真之氏による「シリコンバレー銀行にクレディ・スイス…金融不安連鎖で急落する「日本の銀行株」は買いなのか プロが指南する「個人投資家が狙いたい優良投資先」」 「私は、三菱UFJフィナンシャル・グループなど海外展開が進んでいるメガ銀行は買っていいと考えています」、一安心だ。 「テックバブルで、テック系企業にはベンチャーキャピタルなどから、巨額の資金が供給されていました。すぐに使う予定のない現金をたくさん持つ新興企業が、SVBに多額の預金をしていたため、SVBは預金過多で貸付金が不足していました。そこで、SVBは、期間の長いMBSや米国債など債券投資にのめり込んでいき、金利上昇(債券価格下落)で一気に財務が悪化」、 「金利が上昇した時、調達(預金)金利だけ上昇して逆ザヤになるリスクがあるからです。このリスクを避けるため、日本の銀行は30年の固定利付住宅ローンを出したら、金利スワップを使って固定金利を変動金利に変換します。そうすることで、金利上昇リスクに備えます。SVBは、そんな銀行経営の初歩ができていなかったから破綻しました」、お粗末だ。 「SVBは大口の法人預金を中心に資金を調達していたため、信用不安の噂が出ると、預金の流出が増えて、資金が行き詰まりました」、脆弱な資金調達構造が破綻につながったようだ。 「過去に例のないピッチで金利を急騰させたFRB・・・が、破綻の直接の原因を作りました」、なるほど。 「近年、CSの不祥事が相次いで報道されていました。超富裕層のファミリーオフィスとの取引で巨額損失、不正預金の発覚、経営の混乱……。一連の不祥事の根幹にあるのが、投資銀行部門の暴走です」、「伝統的なスイス銀行のビジネスが衰退する中で、米国流の投資銀行業務を取り入れて収益を稼いでいこうとしたことが、巨大銀行の転落を早めました」、なるほど。 「CSは見かけ上、自己資本規制をクリアしていましたが、裏で法令違反ぎりぎりのきわどい危険な取引を繰り返し、財務を毀損しました。CSの転落を見ると、リーマンショックの亡霊がよみがえった感を覚えます」、「CSに対し、スイス中銀は15日、最大500億スイスフラン(約7.2兆円)の資金供給を表明し、さらに19日にはスイスのトップ銀行UBSが、約4200億円(円換算額)で買収すると発表」、「急転直下で決まったのは、それだけCSの信用不安が深刻だったことになります」、なるほど。 「UBSにCS買収を決断させるために、スイス政府は90億フラン(約1.3兆円)の損失補償をつけました」、さらに深刻なのは、「世界中の金融機関がAT1債を使って自己資本を調達してきましたが、AT1債の信用が急低下したことで、今後は発行が難しくなり、銀行資本の調達に支障が生じる可能性が出ています。 また、CSのAT1債への投資家が、無価値化の決定にすんなり納得するとは思えません。これからCSを買収したUBSに対して訴訟が起こされる可能性もあります」、「AT1債」の信用力は、本来は株式より高く、普通社債や預金よりは低い筈なのに、今回は株式が合併により価値が守られ、「AT1債」はデフォルト(債務不履行)になるという極めて異常な事態となった。 「AT1債への投資家が、無価値化の決定にすんなり納得するとは思えません。これからCSを買収したUBSに対して訴訟が起こされる可能性もあります」、確かに大いにあり得るシナリオだ。 「米政府は、公的資金だけでなく、民間銀行の資金も使って信用不安を抑える姿勢です。 ただし、ファースト・リパブリック銀行の株価下落・預金流出は続いており、信用不安はまだ収まっていません」、なるほど。 「米国の銀行の資金繰りが厳しくなり貸し渋りが発生していることから、オフィスビルなど不動産市況の下落が始まっている」、「貸し渋りの影響で、不動産市況の下落が加速すると、銀行全体に不良債権が拡大するリスクはあります」、しかし、金融政策は金融政策の論理で展開されるので、銀行システムなどの付随的問題が影響することはないと考えるべきだ。 「三菱UFJの株価は割安で、長期的な投資魅力は高いと判断」、異論はない。 「日本の長期金利」が「元の低金利に戻る懸念から、日本の銀行株は暴落」、困ったことだ。 「今の株価は割安で、長期投資していく価値が高いと判断」、同感である。 ダイヤモンド・オンライン 佐々木城夛氏による「日本の地銀も他人事ではない欧米の金融不安、含み損で見る「経営不安」の実態」 「1行当り156億8223万円」とは想像以上に小さいようだ。これでは、長期金利が上昇し始めればひとたまりもなく吹き飛ぶだろう。 「北洋銀行」は「旧北海道拓殖銀行から道内の営業を譲り受け」たことがプラスになっているようだ。 長期金利上昇には脆弱なようだ。 「外債・投信などを含む「その他」」も厳しいようだ。 「含み損解消所要年数」で「18行が既に2年以上に膨らんでおり、10年以上も3行に及ぶ」、とは深刻だ。今後の長期金利上昇への備えなどないようだ。
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