SSブログ

積水ハウス事件(その3)(積水ハウス詐欺被害「封印された報告書」の驚愕 公開拒んできた「通常起こりえないこと」の真相、積水ハウス内紛で前会長が反攻  三菱UFJ巻き込み「マネロン手口」追及も 和田勇・積水ハウス前会長兼CEOらインタビュー【前編】、【後編】、積水ハウスの"元天皇"が「会社に戻りたい」と訴えるワケ 「会社は誰のものかと深く考えた」) [企業経営]

積水ハウス事件については、2018年3月11日に取上げた。新たに驚くような展開が見られた今日は、(その3)(積水ハウス詐欺被害「封印された報告書」の驚愕 公開拒んできた「通常起こりえないこと」の真相、積水ハウス内紛で前会長が反攻  三菱UFJ巻き込み「マネロン手口」追及も 和田勇・積水ハウス前会長兼CEOらインタビュー【前編】、【後編】、積水ハウスの"元天皇"が「会社に戻りたい」と訴えるワケ 「会社は誰のものかと深く考えた」)である。

先ずは、昨年10月11日付け東洋経済オンライン「積水ハウス詐欺被害「封印された報告書」の驚愕 公開拒んできた「通常起こりえないこと」の真相」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/307901
・『積水ハウスが2017年に東京都品川区の老舗旅館「海喜館」の土地購入に際して、詐欺師集団「地面師グループ」に計55億円をだまし取られた事件をめぐって、積水ハウスが第三者の協力を得て事実関係を調べ上げていながら、詳細をひた隠しにしてきた「調査報告書」の全容が『週刊東洋経済』の取材でわかった。 同事件は詐欺の被害額としては史上空前の規模で、マスコミは大きく取り扱った。 当時、事態を重くみた積水ハウスは弁護士や公認会計士による調査対策委員会を発足させ、「なぜ、こういう事件が起きてしまったのか」を綿密に調べた上で調査報告書を完成させた。ところがその報告書は、2018年1月24日の取締役会に提出されたのみで、社外に公表されたのは2ページ半の「概要」のみ。1年9カ月が経った現在も、積水ハウスは全文公開を拒んでいる』、「調査対策委員会」による「調査報告書」の「全文公開」を拒否し続けているとは、公開企業にはあるまじき行為だ。よほど都合が悪いことが書かれているのだろう。
・『積水ハウス地面師事件は株主代表訴訟に発展  積水ハウス地面師事件において、阿部俊則会長(事件当時は社長)をはじめとする経営陣に善管注意義務違反を問う株主代表訴訟が起きていることは、ほとんど報道されず、知られていない。その株主代表訴訟が今、大きな岐路にさしかかっている。調査報告書が一般公開されるか否かの瀬戸際にあるのだ。 きっかけは今年4月、大阪地方裁判所が積水ハウスに「調査報告書を提出せよ」と命じる判決を出したことだった。この判決に積水ハウスは反発し、即時抗告。「(調査報告書は)外部の者に開示することが予定されていない文書であって、開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりする」(積水ハウス側の意見書)といった理屈からだ。 だが大阪高等裁判所は7月、積水ハウスの抗告棄却を決定。ついに積水ハウスは調査報告書を裁判所に提出することとなった。ただ同時に、積水ハウスは「閲覧制限」をかけるよう裁判所に申請し、あくまでも公開を限定的にするよう求めた。10月11日現在も、報告書は閲覧できない状態が続いている。 積水ハウスが報告書の公開を頑なに拒むのは、そこに現経営陣が知られたくない事実が記されているからである。そこには何が書かれているのか。『週刊東洋経済』は調査報告書の全文を独自入手。裁判資料との照合と関係者への取材を通して事実関係を押さえた。 〈通常起こりえないこと〉。調査報告書は冒頭、事件をこう評す。普通の会社が、常識的な判断をしていれば起こりえない事件だった、という意味だ。 事件の経緯を知る、積水ハウスのある関係者は東洋経済の取材にこう話した。「地面師グループが狡猾で手口も巧妙だったため積水はそれを見破れず、騙されてしまった・・・世間はそう思ったかもしれない。だが、この事件はそんな単純なものではない。調査報告書には、積水の経営陣にとって何が何でも知られまいとする事実が克明に記されている」』、高裁からの提出命令に対し、「公開を限定的にするよう求めた」とは、「経営陣にとって」よほど不都合な記載があるのだろう。
・『決済日当日まで書類以外の本人確認を怠っていた  たとえば不動産売買において、売り主が本物であるかどうかの「本人確認」をすることは基本中の基本だ。高額取引であればあるほど、パスポートや公正証書といった書類確認ではなく、知人や近隣住民による生の目で本人確認を実施する。にもかかわらず本件で積水ハウスは、決裁日当日まで書類以外の本人確認を怠っていた。 打ち合わせの途中で、偽地主が自分の住所や誕生日、干支を間違えるといった不自然な挙措を見せてもなお、本人確認を実施していなかったのだ。 「通常起こりえないこと」が、なぜ起きてしまったのか。そして、なぜ積水ハウスの経営陣は報告書の公開に抵抗するのか。『週刊東洋経済』10月12日(土)発売号はスペシャルリポート「積水ハウス地面師事件「封印された報告書」の全貌」で、調査報告書に記された驚くべき事実を報じている。なお、同記事は『週刊東洋経済プラス』でも全文公開している』、残念ながら『週刊東洋経済』は手元にないので、他の雑誌記事で見てみよう。

次に、本年2月21日付けダイヤモンド・オンライン「積水ハウス内紛で前会長が反攻、三菱UFJ巻き込み「マネロン手口」追及も 和田勇・積水ハウス前会長兼CEOらインタビュー【前編】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/229577
・『大手住宅メーカーである積水ハウスの和田勇前会長兼CEO(最高経営責任者)らは2月中旬、同社の経営陣刷新を求める株主提案を行った。同社では「地面師」と呼ばれる地主になりすます詐欺師に約55億円をだまし取られたことが2017年に発覚。その責任を巡って和田氏と阿部俊則会長(当時社長)が対立して互いを解任させようとする事態になり、18年に和田氏が阿部一派の手によって辞任へ追い込まれた。“クーデター”から2年を経て、和田氏は自身を含む11人の取締役候補の一括選任を4月の定時株主総会で求める。和田氏に加え、株主提案側の取締役候補に名を連ねた勝呂文康取締役専務執行役員(現職)、マネーロンダリングに詳しいクリストファー・ダグラス・ブレディ氏とESGの専門家であるパメラ・フェネル・ジェイコブズ氏がダイヤモンド編集部の単独インタビューに応じた。インタビューを通じて、彼らは積水ハウスへの株主提案書だけではなく、地面師事件に関連して三菱UFJ銀行にも書簡を送っていることが分かった』、そうそうたる専門家2名を「株主提案側の取締役候補」にするとは、かなり本気のようだ。
・『地面師事件後のクーデター オリンパス事件に似ている(Qは聞き手の質問)  Q:株主提案通りに取締役の全面入れ替えができた場合、阿部俊則会長(当時社長)らが取引の当事者だった地面師事件を調べ直すと宣言しています。阿部氏らを刑事告訴するつもりがあるということですか。 和田氏 会社は地面師だけを訴えています。積水ハウスは被害者だから何が悪いのと思われるかもしれないが、この事件はもっと真相を追求しないといけない。だから、第三者委員会をもう一度立ち上げます。 警察も動きようがないですよね、会社から(地面師を訴える以外の)被害届が出ないと。刑事事件になるかどうかは、調べてみないと分からないですよ。 (編集部注:株主提案では、偽の所有者と土地の売買契約を結び約55億円を騙し取られた地面師事件での「不正取引」、事件発覚後に作成された調査報告書の開示を拒む「重要情報の隠蔽」、不正取引の責任から解職すべきとの判断を無視して会社を支配する「ガバナンス不全」を理由に、阿部俊則会長、稲垣士郎副会長、仲井嘉浩社長、内田隆副社長を中心とした現経営陣は不適任であるとした。なお、上記の代表取締役4人は株主代表訴訟で善管注意義務違反に問われている) Q:積水ハウス側に、単純なミスとは思えない見逃しの連鎖が起きたんですよね? 和田氏 (社外役員からなる調査対策委員会が2018年に出した)「調査報告書」は読んだ? Q:読みました。地面師グループに預金小切手で代金を支払ったこと、売買決済の前に本物の所有者から内容証明が何回も届いて警告が発せられていたのにこれをスルーしていたことなどが判明し、被害金は裏社会に流れたと推定されるとありました。また、阿部氏の重い責任を指摘していました。 和田氏 誰が読んでもおかしいでしょう?こんなのを読んだら、(阿部会長は)被害者じゃないでしょう?加害者とは言わないが、それに近いよね。だから私は「不正取引」だと言っている。 Q:少なくとも、内容証明が届けば、法務部門が一度ストップをかけて本人確認を再度やるものではないですか。 和田氏 普通はね。ありえない話。 社長案件になっていたからでしょうね。10回くらい信号でストップかかっているのに平気で乗り越えて、赤信号でもどんどん入ってしまった。 Q:当時、東京・五反田の土地を売るというのは詐欺話だと、他の同業者は気づいていたと聞きます。 和田氏 先に話が持ち込まれた大和ハウスは断り、その後にうちがすぐ飛びついたらしいです。 Q:国内事業は阿部氏、海外事業が和田さんの担当だったとはいえ、CEOだった和田さんの睨みはきかなかったんですか。 和田氏 私が全く知らないうちにやっていた。ある面でガバナンスが効いていなかったということです。 Q:そこは自らが反省すべきところ? 和田氏 反省するところ。社内に100億円以下のものは取締役会を通さなくてもいいというルールがあったので、暗黙のうちに進んでしまったんだと思います。 Q:発覚してからは、和田会長は阿部会長を問い詰めたんですか。 和田氏 やったから、(事実上の解任というかたちで)梯子を外されたんですよ。私は委員会を立ち上げてこの事件の問題を調査し、調査結果を世の中に発表するように言いました。 罪が恐くて、隠し通そうとしたんでしょう。 ブレディ氏 現経営陣は、(株主代表訴訟を受け)裁判所から調査報告書を提出するよう命令されても抵抗しました。 この件は、かつてオリンパスで起こったこと(巨額損失隠し事件)とよく似ていて、米国でも注目されています。警告を出した者が結局、追い出されてしまう。取締役会に独立性がないと、こうしたことが起こってしまうんですよ』、「地面師グループに預金小切手で代金を支払ったこと、売買決済の前に本物の所有者から内容証明が何回も届いて警告が発せられていたのにこれをスルーしていたことなどが判明し、被害金は裏社会に流れたと推定される」、振込ではなく、わざわざ「預金小切手で代金を支払った」のは不自然だ。「内容証明が届けば、法務部門が一度ストップをかけて本人確認を再度やる」のが普通なのに、「社長案件になっていたから」ストップがかからなかったというのも、信じられないような話だ。
・『地面師事件にマネロンの兆候 三菱UFJに質問の書簡を送った  Q:地面師グループの主犯格が捕まって、騙されたカネは特別損失計上され、積水ハウスの問題としてはもう過ぎたものという認識が日本では一般的なようにも思います。米国の投資家や専門家などは、この問題をまだ気にしているんでしょうか。 ジェイコブズ氏(略歴はリンク先参照) コーポレートガバナンスは今、世界的に最も重要な問題となってきています。多くの企業が適正な基準でもって仕事をし、パフォーマンスを出していくことが期待されている。テロにもマネーロンダリングにも関与してはならず、そうした問題は米国では非常に大きなレッドフラッグになります。  Q:マネロン問題に詳しいブレディさんは2月17日に開かれた株主提案側の会見で、この事件はマネロンの兆候が見られ、この件に関して米国の情報機関と動いていると言及しました。(編集部注:高額な不動産取引は銀行振り込みが一般的だが、この事件では預金小切手で代金が支払われた。小切手はカネの流れの記録が残りにくいため、マネロンに利用されやすい) ブレディ氏(略歴はリンク先参照) 当時は内部にいなかったので、調査を手伝うことはできませんでした。いれば、もっと簡単だったんですけど。 Q:ブレディさんは、小切手を現金化した三菱UFJ銀行にも問題があると指摘しています。この件で三菱UFJとすでに話はしているのですか。 ブレディ氏 質問するための書簡を書きました。 Q:いつ送りましたか。 ブレディ氏 1月9日。 Q:返事は? ブレディ氏 まだです。三菱UFJは良い銀行だと思いますし、積水ハウスとも良い関係を持ってきました。今後私たちが取締役になったときも協力関係を維持していきたい。書簡には、私たちは銀行と協力していったい何が起こったのかつまびらかにしたいと書きました。 Q:調査をするとなったら、三菱UFJとも手を組みながらやっていくのがベスト? ブレディ氏 もちろんそうです。その必要があります。 Q:三菱UFJフィナンシャル・グループ全体で見ると19年に積水ハウスの株式保有比率が増えて、8%を超える大株主になっています(19年8月時点)。ということは問題視していないんでしょうか。 ブレディ氏 分からないですけど、積水ハウスそのものはね、良い会社だと思います。>>後編・・・に続く』、「マネロン」では今年、海外監督当局による査察があるので、当然、問題視されるだろう。「19年に積水ハウスの株式保有比率が増えて、8%を超える大株主になっています」、「MUFG」が5%を超えて株式を買い増したのは、実質的には支援の意思があることなのかも知れない。こんなガバナンスに問題がある企業に支援とは、解せない行動だ。

第三に、上記の続き、2月21日付けダイヤモンド・オンライン「積水ハウス取締役ポスト争奪、「ESG銘柄のガバナンス不全」に投資家動く 和田勇・積水ハウス前会長兼CEOらインタビュー【後編】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/229582
・『大手住宅メーカーである積水ハウスの和田勇前会長兼CEO(最高経営責任者)らは2月中旬、同社の経営陣刷新を求める株主提案を行った。自身を含む11人の取締役候補の一括選任を4月の定時株主総会で求めるものだ。他の株主からすれば、株主提案によって業績や株価が上がるか否かが通常の関心どころ。和田氏らは「ガバナンス不全」を指摘し、ガバナンスを強固にすることを目的としており、儲けを確信する判断材料としては弱い。ただ、近年は年金基金などを中心にESG(環境、社会、ガバナンス)の観点で投資先を選ぶ機関投資家が増えている。その観点を第一としたときに、堅調な業績を出している現経営陣、ガバナンス不全を訴える株主提案側のどちらを支持するか――。前編に続き、和田氏に加えて、株主提案側の取締役候補に名を連ねた勝呂文康取締役専務執行役員(現職)、マネーロンダリングに詳しいクリストファー・ダグラス・ブレディ氏とESGの専門家であるパメラ・フェネル・ジェイコブズ氏が応じたダイヤモンド編集部との単独インタビューをお送りする(Qは聞き手の質問)』、早く真相を知りたいものだ。
・『ESG観点の投資家と接触 「もっと知りたい」の声  Q:今回の株主提案について、どういった人たちに働きかけていくのでしょうか。 ブレイディ氏 積水ハウスの株主の約20%を占める米国、海外投資家のことを私たちはよく知っていますし、加えて日本の機関投資家と話していきます。 Q:日本の大株主には、年金積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人。GPIF資料に基づく2019年3月末時点の状況)がいます。GPIFは投資運用先について、非財務情報であるESG(環境、社会、ガバナンス)要素を考慮している。積水ハウスはESGを重視する経営であることを強調してきたのに、株主提案は「ガバナンス不全」と断じた。ESGのG(ガバナンス)は偽りの状態ということですか。 ジェイコブズ氏 その通り。ESGのE(環境)については良い。S(社会)についてはちょっとまだ定かではないですが、積水ハウスのエコフレンドリーな建物、環境の尊重、地域に関与して仕事をしていく姿勢などは、高く評価できる。対して、G(ガバナンス)はかなり問題を抱えていると認識しています。ガバナンスが足を引っ張っているというのは残念です。 (編集部注:株主提案では、積水ハウスの人事・報酬諮問委員会は地面師事件の責任に関し、阿部俊則会長〈当時社長〉を解任すべきと判断したが、これが無視され現経営陣による会社支配が続いていること、事件の調査報告書の全面公表に抵抗する情報隠蔽行為により、「ガバナンス不全」に陥っていると断じた) Q:今の経営体制を継続すると、ESGの観点で選んできた投資家たちは離れていくのでしょうか。)(P2以降は有料)』、「人事・報酬諮問委員会は地面師事件の責任に関し、阿部俊則会長〈当時社長〉を解任すべきと判断したが、これが無視され現経営陣による会社支配が続いている」、これでは「ガバナンス」は0点どころか、マイナス点だ。「P2以降は有料」、なので紹介できないのが、残念だが、次の記事に期待しよう。

第四に、3月11日付けPRESIDENT Online「積水ハウスの"元天皇"が「会社に戻りたい」と訴えるワケ 「会社は誰のものかと深く考えた」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/33574
・『土地取引で約55億円を騙し取られた詐欺事件をめぐり、積水ハウスから事実上解任された和田 勇前会長が、自身を含めた取締役候補の選任を求める株主提案を同社に起こしている。「復権を目指す気はさらさらない」と言う和田氏を直撃し、その意図を聞いた――』、面白そうだ。
・『「クーデター」による会長解任から2年  3月4日、東京・丸の内で物珍しい勉強会が開かれた。中身は日本コーポレートガバナンス研究所(JCGR)代表理事を務める若杉敬明東京大学名誉教授が日本のコーポレートガバナンス(企業統治)について話すという至って普通の勉強会なのだが、これを物珍しいというのは若杉名誉教授の横に積水ハウス前会長の和田勇氏が座っていたからだ。 和田氏と言えば同社取締役を26年務め、社長を10年、会長に10年続けた積水ハウスの「天皇」だった人。長期間にわたって同一人物がトップに君臨する企業を、人は健全なコーポレートガバナンスが働いていない会社と思うだろう。そんな会社のトップにいた張本人が勉強会で熱心に耳を傾け、挨拶で「私は若杉先生の弟子になってコーポレートガバナンスを勉強したい」などと言っているのである。誰もが不思議に思うだろう。 和田氏は2018年に会長から相談役に退いたが、これは勇退ではなく、事実上の解任だった。さまざまなメディアがその経緯を書いているが、改めて簡単におさらいしておく』、確かに「積水ハウスの「天皇」だった人」が、今になって「コーポレートガバナンスを勉強したい」、というのは裏がありそうだ。
・『約55億円を騙し取られた「地面師詐欺事件」  2017年、東京・西五反田にある土地の取引を巡って、積水ハウスは地面師と呼ばれる連中の詐欺に遭い、約55億円を騙し取られた。 問題の土地は海老澤佐妃子という人が所有するもので、その知人と称する人物が土地売買を積水ハウスに持ちかけたことに始まる。積水ハウスはこの知人が経営する会社から転売されるという形で西五反田の土地を買うことにした。そこで海老澤と知人の会社の間で60億円の売買契約が結ばれ、知人の会社と積水ハウスの間で70億円の売買契約が結ばれ、手付金の支払いと所有権の仮登記が完了した。 ところがその後、積水ハウスに土地売却を持ちかけた「海老澤」は偽物だった。会社には本物の海老澤から「真の所有者は自分であり、売買予約をしたり、仮登記を行ったりしたことはないので、仮登記の抹消を要求する」という内容証明郵便が複数届いた。 他にもリスク情報が寄せられたため、弁護士などは、「会社に現れた海老澤が本人なのか、海老澤の知人などによる確認が必要」と指摘したものの、これが実行されなかった。さらに積水ハウスは寄せられるリスク情報はブローカー的人物が関与しようとしているものと判断し、残余金の支払いを約2カ月前倒し、2017年6月1日、詐欺師集団に巨額のお金を支払った。6日、法務局より本登記申請が却下され、9日には通知が届いたことで詐欺に気づいた』、「積水ハウスは寄せられるリスク情報はブローカー的人物が関与しようとしているものと判断し、残余金の支払いを約2カ月前倒し、2017年6月1日、詐欺師集団に巨額のお金を支払った」、わざわざ「残余金の支払いを約2カ月前倒し」たとは不自然だ。
・『社長をクビにしようとして返り討ちに  これを受けて社外監査役と社外取締役で構成する調査委員会による調査が始まり、2018年1月に報告書がまとまった。そこには一連の取引で当時社長だった阿部俊則氏(現会長)が物件を内覧し、早々に社長決裁をしたことも書かれていたため、1月24日の取締役会で和田氏が当時社長だった阿部俊則氏(現会長)の社長解職動議を提案すると、当事者である阿部氏を除く取締役の賛否は5対5の真っ二つに割れた。 その後、阿部氏が席に戻ったところで取締役会議長交代の緊急動議が出され、これが6対4で可決。新たな議長が出した和田氏解任動議が可決され、和田氏は自らの意志で退く辞任を決めた。 この経緯を見る限り、一連の事件は天皇だった和田氏が巨額詐欺事件に関わっていた阿部氏をクビにしようとしたところ、返り討ちに遭ったというもので、企業によくある会長と社長の暗闘、「主殺し」と思える。 2020年2月14日、その和田氏と積水ハウス取締役で専務執行役員の勝呂文康氏などが2人を含む11人の取締役候補の選任を求める株主提案をした。 2018年1月24日付調査対策委員会報告書によれば、地面師事件では阿部氏のほか当時副社長だった稲垣士郎氏(現副会長)、専務だった内田隆氏(現副社長)、常務だった仲井嘉浩氏(現社長)にも責任があるとされている。その4人が中心となっている現経営陣が不正取引の責任を取らず、調査報告書の開示を拒んでいる』、「現経営陣が不正取引の責任を取らず、調査報告書の開示を拒んでいる」、上場企業経営者にあるまじきことだ。
・『和田氏が語ったねらいとは  「今の積水ハウスのガバナンス不全は明らか。体制刷新をするしかない」。和田氏らは株主提案をした後の2月17日に開いた記者会見で、そう主張した。 正直言って違和感がある。先述したが和田氏は社長を10年、会長を10年続けた積水ハウスの絶対君主だった人。おそらく在職中にはコーポレートガバナンスなどそっちのけの経営をしていたに違いない。その人が「今の積水ハウスはガバナンスがなっていない」と叫んでも、それは復権を目指した方便でしかないような気がする。 そこで和田氏本人を直撃、疑問をぶつけてみることにした。 インタビューに応じると言って都内のとある会議室に現れた和田氏は「まだお昼を食べてませんのや」と言い、自分で買ってきたというコンビニ弁当を目の前で広げた。「すまんけれど、食べながらでいいですか?」。そういう和田氏に「こちらこそお忙しいところすみません」などと返しながら単刀直入に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは和田氏の回答)。 Q:和田さんは積水ハウスの「天皇」として、ご自身の一存で会社を動かしていた。その人がここにきてコーポレートガバナンスは大事だと言っても信じる人は少ないのではないですか。 コンビニ弁当を食べながら聞いていた和田氏は箸を止め、穏やかな顔で少しびっくりするほど率直に話し始めた』、確かに「和田氏」本人の考え方を確認する意味はある。
・『「会社は誰のものか」を深く考えるようになった  A:「いま世間でESGって言いますやろ。僕が社長や会長だった時にE(環境)とS(社会)は頑張ったんやけど、G(ガバナンス)は、いま思えばあかんかったかもしらんね。ガバナンスは大事やと口では言っとったけど、本当のところが分かってへんかった。だから(コーポレートガバナンスを専門とする)若杉先生の弟子になろうと思ったんや」 なぜ心変わりしたのか詳しく聞くと、和田氏はこんなことを言い出した。1年ほど前、米国に遊びに行った。そこで知人の紹介で米レーガン政権とその後のパパ・ブッシュ政権で財務長官を務めたニコラス・ブレイディ財務長官の子息であり、米チャート・グループ会長兼CEOのクリストファー・ダグラス・ブレイディ氏に会った。場所はブレイディ氏の自宅であるニュージャージー州の農場だ。 「ブレイディさんはいろいろ話してくれたけれど、中でも印象に残ったのは『海外から日本に投資資金が思うように入ってこない原因の一つは、コーポレートガバナンスが未熟だからです』という話。そう言われて会社は誰のものかということを深く考えるようになった。株式会社は株主から『頼んまっせ』と言われて経営するもんやということがこの歳になって身に染みた。面白いもんやね。仕事漬けだった会長を辞めて頭に余裕ができていた。そこにブレイディさんの話が入ってくるもんやから、ものすごい勢いで吸収したわ」 帰国後、和田氏はこれまた人の紹介で若杉名誉教授と面会し、コーポレートガバナンスに目覚めたのだという』、「和田氏」にコーポレートガバナンスを攻め口にしろとアドバイスした人物が、一連の面談もセットしたのだろう。
・『「復権を目指しているのでは?」と聞くと……  Q:コーポレートガバナンスの重要性に気づいたということは分かりました。しかし株主提案でご自身も名前を連ねている。詰まるところ復権を目指しているのではないですか。 A:「ちゃうちゃう。会長を辞めてから2年がたつけれど、社員や取引先企業から『積水ハウスがどんどんおかしくなっている』という声が寄せられていて、心を痛めとった。そうした時に(和田氏とともに株主提案で取締役候補に名前を連ねている)勝呂くんから『いま立ち上がらないと、会社がおかしなことになる』と言われた。今年の1月やったかな。その勝呂くんが『取締役候補の数が足りないので入ってくれないか』というので、『ええよ』と言っただけ。復権なんてさらさら考えてへんわ。若杉先生の弟子になるつもりやし」 コーポレートガバナンス改革の礎になると言いながら、その実、何もしていない経営者を何人も見てきた立場からすると、和田氏の改心は本当なのだろうかという疑いは消えない。すでに一度経営から身を引いており、固辞する選択肢もあったはずだが「ブレイディさんや若杉先生から教わったことを実践してみようと思って引き受けることにした」と、あくまで組織の浄化が目的だという。そこでこんなことを聞いてみた』、「和田氏の改心は本当なのだろうかという疑いは消えない」、同感だ。
・『「『逆襲だ』と言われてもやめない」  Q:株主提案が多くの賛同を得て和田さんたちが取締役に復帰したら、積水ハウスはコーポレートガバナンス改革を積極的に進めるでしょう。しかし、仮に賛同を得られなかったら和田さんはどうするのですか。それでもコーポレートガバナンス改革の必要性を訴え続け、例えば若杉先生の活動にポケットマネーを出すつもりはありますか? 「当たり前やないですか。僕は取締役に復帰するためにコーポレートガバナンスの重要性を唱えているんやない。今度の株主総会で負けたら『はい知りません』なんてできる訳がない。そんなことをしたらブレイディさんたちに申し訳が立ちませんから」「もうやめとき。何を言っても『逆襲だ、復讐だ』と言われるだけなんやから」。和田氏は奥さんにそう言われているという。しかし「この戦いはやめられない。この歳になって僕は生まれ変わろうと思っているのやから」。教授の活動に拠出するポケットマネーの具体的な金額については明言しなかったが、かつての絶対君主は、どうやら「コーポレートガバナンス教」の信者になったようである』、株主総会が注目点だが、三菱UFJ銀行が現経営陣側についているようなので、和田氏側の苦戦が予想される。
タグ:地面師事件にマネロンの兆候 三菱UFJに質問の書簡を送った 経営陣刷新を求める株主提案 決裁日当日まで書類以外の本人確認を怠っていた 地面師グループに預金小切手で代金を支払った オリンパスで起こったこと(巨額損失隠し事件)とよく似ていて、米国でも注目されています。警告を出した者が結局、追い出されてしまう 社内に100億円以下のものは取締役会を通さなくてもいいというルールがあったので、暗黙のうちに進んでしまった 「積水ハウス内紛で前会長が反攻、三菱UFJ巻き込み「マネロン手口」追及も 和田勇・積水ハウス前会長兼CEOらインタビュー【前編】」 普通の会社が、常識的な判断をしていれば起こりえない事件 弁護士や公認会計士による調査対策委員会 社長案件になっていたからでしょうね 売り主が本物であるかどうかの「本人確認」をすることは基本中の基本 55億円をだまし取られた事件 内容証明が届けば、法務部門が一度ストップをかけて本人確認を再度やる 被害金は裏社会に流れたと推定される 売買決済の前に本物の所有者から内容証明が何回も届いて警告が発せられていたのにこれをスルーしていたことなどが判明 地面師事件後のクーデター 和田勇前会長兼CEO ESGの専門家であるパメラ・フェネル・ジェイコブズ氏 積水ハウス地面師事件は株主代表訴訟に発展 積水ハウス事件 「『逆襲だ』と言われてもやめない」 (その3)(積水ハウス詐欺被害「封印された報告書」の驚愕 公開拒んできた「通常起こりえないこと」の真相、積水ハウス内紛で前会長が反攻  三菱UFJ巻き込み「マネロン手口」追及も 和田勇・積水ハウス前会長兼CEOらインタビュー【前編】、【後編】、積水ハウスの"元天皇"が「会社に戻りたい」と訴えるワケ 「会社は誰のものかと深く考えた」) 和田氏の改心は本当なのだろうかという疑いは消えない 「復権を目指しているのでは?」と聞くと…… 地面師グループ 「会社は誰のものか」を深く考えるようになった おそらく在職中にはコーポレートガバナンスなどそっちのけの経営をしていたに違いない 和田氏は社長を10年、会長を10年続けた積水ハウスの絶対君主 和田氏が語ったねらいとは 社長をクビにしようとして返り討ちに マネーロンダリングに詳しいクリストファー・ダグラス・ブレディ氏 積水ハウスは寄せられるリスク情報はブローカー的人物が関与しようとしているものと判断し、残余金の支払いを約2カ月前倒し、2017年6月1日、詐欺師集団に巨額のお金を支払った ダイヤモンド・オンライン 積水ハウスは全文公開を拒んでいる 会社には本物の海老澤から「真の所有者は自分であり、売買予約をしたり、仮登記を行ったりしたことはないので、仮登記の抹消を要求する」という内容証明郵便が複数届いた 西五反田 約55億円を騙し取られた「地面師詐欺事件」 和田氏と言えば同社取締役を26年務め、社長を10年、会長に10年続けた積水ハウスの「天皇」だった人 若杉名誉教授の横に積水ハウス前会長の和田勇氏が座っていた 日本コーポレートガバナンス研究所(JCGR)代表理事を務める若杉敬明東京大学名誉教授が日本のコーポレートガバナンス(企業統治)について話すという至って普通の勉強会 「クーデター」による会長解任から2年 「積水ハウスの"元天皇"が「会社に戻りたい」と訴えるワケ 「会社は誰のものかと深く考えた」」 PRESIDENT ONLINE 人事・報酬諮問委員会は地面師事件の責任に関し、阿部俊則会長〈当時社長〉を解任すべきと判断したが、これが無視され現経営陣による会社支配が続いている 東洋経済オンライン ESG観点の投資家と接触 調査報告書 「積水ハウス取締役ポスト争奪、「ESG銘柄のガバナンス不全」に投資家動く 和田勇・積水ハウス前会長兼CEOらインタビュー【後編】」 三菱UFJフィナンシャル・グループ全体で見ると19年に積水ハウスの株式保有比率が増えて、8%を超える大株主になっています 海喜館 「積水ハウス詐欺被害「封印された報告書」の驚愕 公開拒んできた「通常起こりえないこと」の真相」 決済日当日まで書類以外の本人確認を怠っていた 偽地主が自分の住所や誕生日、干支を間違えるといった不自然な挙措を見せてもなお、本人確認を実施していなかった 小切手はカネの流れの記録が残りにくいため、マネロンに利用されやすい 和田氏が阿部一派の手によって辞任へ追い込まれた。“クーデター”から2年を経て、和田氏は自身を含む11人の取締役候補の一括選任を4月の定時株主総会で求める
nice!(0)  コメント(0)