韓国(尹錫悦大統領)(その1)(元駐韓大使が解説3題:韓国・次期政権が暴くべき文大統領の「ウソと秘め事」、韓国経済が深刻な危機!前政権の「負の遺産」問題、文在寅政権が報復つぶし?「検察捜査権を剥奪」強行の暴挙) [世界情勢]
今日は、韓国(尹錫悦大統領)(その1)(元駐韓大使が解説3題:韓国・次期政権が暴くべき文大統領の「ウソと秘め事」、韓国経済が深刻な危機!前政権の「負の遺産」問題、文在寅政権が報復つぶし?「検察捜査権を剥奪」強行の暴挙)を取上げよう。
先ずは、4月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元・在韓国特命全権大使の武藤正敏氏による「韓国・次期政権が暴くべき文大統領の「ウソと秘め事」、元駐韓大使が解説」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/301250
・『「三不」政策を巡り中韓で異なる主張 尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が大統領となり、最初に取り組む問題が、外交の健全化だろう。これまで文在寅(ムン・ジェイン)大統領の下で韓国は、中国・北朝鮮にすり寄り、ご機嫌伺いに勢力を注いできた。 その端的な例が、在韓米軍がTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)を配備することに対する中国の反発を受け、文在寅大統領が訪中2カ月前に「THAADを追加配備しない」「米国のミサイル防衛システム(MD)に参加しない」「日米韓軍事同盟はしない」といわゆる「三不」政策を表明したことである。これは、韓国の安保に関する主権を制限しかねない内容である。 しかし、文在寅大統領にとっては、中国の機嫌を損なわないことが最優先であった。とはいえ、THAAD問題を中国側と交渉した文政権の複数の当事者は「三不」について、「政府の考えを説明した」ものにすぎず、「約束」ではないと強調してきた。文政権としても約束とするには躊躇(ちゅうちょ)があったのだろう。 ところが、中国国営の環球時報によれば、「三不は韓中相互尊重の結果」として、中国側では約束と受け止めているようである。韓国メディアは最近、「中国が在韓米軍のTHAADに対し、『三不』に加えて『一限』まで要求していたが、文在寅政権はこれを隠していた」と報じた。ここでいう「一限」とは、すでに配備されたTHAADの運用に制限を加えるという意味である。 この報道が正しければ、「三不」政策は中韓の交渉の結果ということになる。しかも、「三不」に加え、「一限」も交渉の対象となっていたことがうかがえる。「一限」の存在は、環球時報が2017年11月、「三不と一限は韓国が取るべきマジノ線(最低条件)」と主張したことがきっかけで、外交関係者の間で取り上げられるようになった。中韓の交渉の結果であれば、単に「政府の考え方を説明した」では通らないのではないか』、「文在寅政権」の「中国」外交がこれほど事実を隠蔽していたとは驚きだ。
・『尹錫悦氏側は文政権の説明に疑義 尹錫悦氏の大統領職引き継ぎ委員会は4日、元壱喜(ウォン・イルヒ)首席副報道官が「当事者たちが真実を国民に細かく明らかにすることが道理だ」とコメントした。 元壱喜副報道官は「記事の内容が事実であれば、今も韓国の軍事主権を侵害する深刻な事案という問題意識を持っている」「事実関係がどうなっているか私たちが確認できる内容は全くないが、現政府には合意に関与した当事者たちがいるので、その人たちが真実を明らかにすることが道理だ」とコメントした。 この当事者とは、当時の康京和(カン・ギョンファ)外相および鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長を指しているようだ。 しかし、韓国政府はこれまで一貫して、「約束」を否定してきた。韓国外交部による引き継ぎ委員からの業務報告でも「三不」や「一限」に関する内容は含まれていなかったという』、「外交」は「韓国側」だけが秘密にしようと思っても、相手方の中国の事情もあるので、必ずしも守秘が貫徹できる訳ではないのに、「文政権」は何故、秘密にしたのだろう。
・『文在寅政権は次期政権に中韓交渉の真実を伝えるべきだ 尹錫悦氏は大統領選の時からTHAADの追加配備を公言しており、「三不」破棄は既定路線となっている。「三不」については、あくまで文在寅政権での考えとの前提で、追加配備を行う方針であり、これを実行すれば中国側との大きな軋轢(あつれき)を招来することになるだろう。 だが、「一限」についてはそもそも想定外のことである。さらに、「三不」と「一限」が「中韓相互尊重の結果」であれば、これを破棄することで中韓の摩擦は一層大きくなるだろう。) いずれにせよ、尹錫悦氏は中韓交渉の真実を知る必要がある。文在寅政権は、自分たちに不都合なことは外交に限らず、国内政治でも隠し続けてきた。しかし、外交ではこれは通用しない。韓国にとって極めて不適切な合意でも、合意は合意である。尹錫悦政権はその真実を知り、それでも合意を破棄すべき時は、中国との大きな摩擦を覚悟すべきである。 文在寅政権は、中国に外交の主導権を奪われ、中国の言いなりになってきた。しかもそれを国民に知られないように、ひたすら隠し続けてきた。そのツケを負うのは次期政権である。 文在寅政権は、中国の反発を招かない行動を取ることが平和への道だと思い込んでいるが、それは真の平和ではなく、中国に支配された平和である。韓国が主権を取り戻し、正常な外交を行おうとすれば、中国の反発を招く。その原因をもたらしたのは文在寅政権の外交政策である』、「文在寅政権は、自分たちに不都合なことは外交に限らず、国内政治でも隠し続けてきた。しかし、外交ではこれは通用しない。韓国にとって極めて不適切な合意でも、合意は合意である。尹錫悦政権はその真実を知り、それでも合意を破棄すべき時は、中国との大きな摩擦を覚悟すべきである」、前政権の失政のツケを払わされるとは「尹錫悦政権」も大変だ。
・『中国追随外交を続ける二つの理由 韓国にとって、中国はどのような国なのか、韓国国民は真実を知るべきである。 文在寅大統領は昨年、習近平国家主席との電話会談で中国共産党100周年に対する祝賀を述べた。中国共産党は朝鮮戦争の折、人民解放軍を派遣し、米韓を中心とする国連軍を押し返して、朝鮮半島の分断を固定化した張本人である。その中国共産党に対して100周年の祝賀を述べることは、韓国国民の朝鮮統一に対する思いを踏みにじっているとしか思えない。 また、鄭義溶外相は王毅外相に招かれて台湾海峡の対岸・厦門に、はせ参じた。米韓首脳会談を前に、台湾問題が話題となるのをけん制しようとする中国の策略に乗ったわけである。 このように、韓国政府は中国の機嫌取りに熱心である。 文在寅大統領が中国追従外交を行うのには、二つの理由がある。 第一に、中国が北朝鮮に対して影響力を行使し、北朝鮮と韓国の関係改善に尽力してくれると思い込んでいることだ。しかし、これまでの北朝鮮との交渉の過程で、中国が韓国に協力する姿勢を示してきた事例を筆者は知らない。 第二に、輸出先としての重要性だ。韓国の輸出の4分の1以上が中国向けであり、中国との円満な関係が韓国の経済にとって不可欠と考えている。 しかし、韓国の中国経済専門家は「韓国と中国は経済分野ではここ30年で互恵的な関係からライバル関係に変わったため、韓国企業の対中戦略も見直さなければならない」と指摘する。特に、中国に過度に依存してきたサプライチェーンの多角化が急務だとの声が上がっている。 韓国から中国へ輸出する品目は減り続ける半面、韓国は中国からの原材料の輸入に依存し続けており、韓国の劣勢はますます強まりつつある。多くの品目で過度な中国依存が進めば、韓国は経済的にますます中国から自立できなくなる。中国からの依存脱却は急務である。 中国に対する過度な譲歩姿勢は終わらせるべき時が来ている。現在の中韓関係において、中国はあくまでも自国の利害を基本に韓国に対応してきている。韓国も自国の利益を優先して考えるべき時に来ているのではないか』、「韓国も自国の利益を優先して考えるべき時に来ている」、その通りだ。
・『安保リスクの高まりによりTHAADの追加配備は不可避 中国は、THAADのレーダーによって国内の軍の配置が米国に明らかになることを恐れている。しかし、北朝鮮は今年に入り、極超音速ミサイル、鉄道から発射のミサイル、ICBM(大陸間弾道ミサイル)など次々にミサイルの発射を行い、近く核実験も再開すると言われている。こうした北朝鮮の兵器は、いずれも中ロの支援の下に高度化されているのである。 これに対し、韓国は防衛体制を整備し、ミサイル迎撃能力を高める必要がある。それがTHAADの追加配備であり、それは中国の軍の配置を探るためではなく、韓国の防衛のためにすることである。 北朝鮮の核ミサイル能力の向上という新たな安保リスクに対応するためには、「三不」の廃棄はやむを得ない選択である。そもそも、文在寅政権が中国に対し、北朝鮮への有効な抑止を求めることなく、「三不」を表明したことは極めて不適切であった。その表明に至る交渉の実態について、尹錫悦政権は知る必要があり、それを踏まえて中国と話し合っていくべきであろう』、「そもそも、文在寅政権が中国に対し、北朝鮮への有効な抑止を求めることなく、「三不」を表明したことは極めて不適切であった。その表明に至る交渉の実態について、尹錫悦政権は知る必要があり、それを踏まえて中国と話し合っていくべき」、その通りだ。
・『韓国籍タンカー2隻を北朝鮮に売却したことが判明 米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカは5日、韓国船籍だったタンカー2隻がこのほど、北朝鮮所有になったことが分かり、国連の対北朝鮮制裁委員会が正式調査に着手した、と報じた。 2隻のタンカーのうちの1隻である「デホ・サンライズ号」は昨年、中国企業に売却された後、北朝鮮所有のシエラレオネ船籍「オーシャン・スカイ号」に変わったという。専門家パネルは船舶の位置を示す自動船舶識別装置を逆追跡、衛星写真資料を分析してこのような情報を得た。) さらに専門家パネルは、かつて韓国船籍だった別のタンカー「ウジョン号」が北朝鮮の旗をつけていることも確認し調査を進めている。同タンカーは昨年8月8、9、10日の3回にわたり違法な船舶間積み替え方式(瀬取り)により、パラオ船籍のタンカーから油類を受け取る様子が捉えられえている。 国連安保理は2016年に採択した制裁決議2321号に基づき、国連加盟国が北朝鮮に船舶を販売することは禁止している。 しかし、文在寅政権は逆に北朝鮮への制裁を緩和するよう欧米各国に働きかけており、国際社会が一致団結して北朝鮮の核ミサイル開発を阻止しようとする動きに反する行動を取っている。 また、文在寅政権は国連の北朝鮮人権決議共同提案国への参加を4年連続で見送った。国連の北朝鮮人権特別報告者が「北朝鮮の人権状況はここ6年でさらに悪化した」と指摘し、複数の国際人権団体は書簡を通じて文在寅大統領に「任期の最後には北朝鮮人権決議案に加わってほしい」と求めたが、文在寅政権は最後まで拒否した。 文在寅政権は20年に、朝鮮労働党の金正恩総書記の妹である金与正(ヨジョン)党第1副部長(当時)の要求で、「対北ビラ禁止法」を制定した。これにより、米国議会では「人権聴聞会」の対象国となった。 また、19年には韓国への帰順の意向を伝えた北朝鮮の漁船乗組員2人を凶悪犯との理由で北朝鮮に強制的に送り返し、国連人権報告者が「深く懸念する」という事態になった。 文在寅大統領は「平和が来れば北朝鮮の人権問題も改善する」という趣旨の発言を繰り返しているが、北朝鮮の人権状況に向き合う姿勢は一向に見えない。 文在寅政権は、米朝首脳会談のお膳立てをする際にも、米国と北朝鮮にそれぞれ聞こえのいいことを伝えた結果、ベトナムでの首脳会談が不調に終わると双方から激しい反発を受けた。文在寅大統領は特にそれ以来、北朝鮮の機嫌を取ることに終始している。 繰り返しになるが、尹錫悦政権は文在寅政権の外交の実態を掌握することが不可欠である(詳細は拙書「さまよえる韓国人」ご参照)。その上で、外交の正常化を図っていかなければならない』、「韓国船籍だったタンカー2隻がこのほど、北朝鮮所有になったことが分かり、国連の対北朝鮮制裁委員会が正式調査に着手」、とんでもないことだ。「尹錫悦政権は文在寅政権の外交の実態を掌握することが不可欠である」、「その上で、外交の正常化を図っていかなければならない」、その通りだ。
次に、4月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元・在韓国特命全権大使の武藤正敏氏による「文在寅政権が報復つぶし?「検察捜査権を剥奪」強行の暴挙、元駐韓大使が解説」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/301843
・『検察捜査権剥奪法案の公布を目指す党議決定 共に民主党(以下「民主党」)は12日、議員総会を開き、検察の捜査権を完全に剥奪する法案を今月中に国会で可決し、来月3日の文在寅政権最後の閣議で公布することを目指すと党議決定した。同党所属議員全員172人の共同提案で国会に法案を提出した。 これは尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期政権となり、新大統領が同法に拒否権を発動できないようにするためである。民主党は何が何でも同法の成立を強行するという意思を明らかにしたものといえる。 同法は、「腐敗」「経済」「公職者」「選挙」「防衛事業」「大惨事災害」の6分野についての捜査権限を検察から剥奪するものである。 民主党の討議決定の翌日、尹錫悦次期大統領は側近の韓東勲(ハン・ドンフン)氏を法相に指名した。同法を巡っては、民主党と検察が全面対決していたが、これに尹次期政権が加わってきたということである。 文在寅政権は、立法・行政・司法の権限を独占し、マスコミをコントロールし、独裁政権を作り上げてきたが、その過程でさまざまな不正があった。それを覆い隠そうとするのが、検察から捜査権限を完全剥奪することの狙いである』、「文在寅政権は、立法・行政・司法の権限を独占し、マスコミをコントロールし、独裁政権を作り上げてきたが、その過程でさまざまな不正があった。それを覆い隠そうとするのが、検察から捜査権限を完全剥奪することの狙い」、党利党略でここまでするのかと驚かされた。
・『民主党の暴挙に対し検察は組織を上げて反対 大検察庁(最高検)は8日、金浯洙(キム・オス)検事総長主催の全国高等検察庁会議を開催。民主党が検察捜査権の完全はく奪を目指していることについて、「政治的な次元で性急に推進されていることを深刻に懸念している」「国民が悔しい思いをすることや人権侵害を防止するために、最低限の安全装置はいかなる場合でも維持すべきだ」としつつ、「政界が進めている検察捜査機能の全面廃止法案に反対する」との検察の立場を表明した。 さらに検察は全国各地の地検でも会議を開催し、いずれの会議も反対の立場を明確にした。 また、政権による不正を捜査する時には中核的な役割を果たすソウル中央地検は、部長検事全員が法案に反対するとの意見書を李正洙(イ・ジョンス)ソウル中央地検長に提出した。検察の中からは「金浯洙検事総長は自らの職を賭して法案を阻止すべきだ」との声が上がり、それまでの弱腰姿勢には辞任論も出た。 こうした中、検察は11日に全国検事長会議を開催した。その席上、金浯洙検事総長は「職に恋々としない」「検察の捜査機能が廃止されるならば、検事総長の私としてはこれ以上職務を遂行するいかなる意味もない。どんな責任を取ることも辞さない」と述べた。金浯洙検事総長は17日、民主党の暴挙に抗議し辞表を提出した。 全国の地検長18人は会議後、声明文を発表し、「国会に仮称『刑事司法制度改善特別委員会』を設置し、各界の専門家と国民の意見を十分に集約した上で、合理的な改善策を取りまとめることを訴える」との立場を表明した』、「検察は組織を上げて反対」、当然だろう。
・『民主党の検察改革に対し味方からも懸念の声 全国地検長会議の席上、「昨年1月の検察・警察の捜査権調整以降、事件の処理が遅れ、国民が大きな不便を感じている」との指摘があった。民主党による検察の捜査権への介入が韓国の司法制度の障害となっているということである。 それでも民主党は翌12日、検察捜査権の完全剥奪法案を4月中に国会で可決させることを党議決定した。しかし、民主党は法案が国会で成立後、施行まで3カ月の期間があることを理由に、捜査権限をどの機関に移管するかは決めなかった。民主党は捜査権を警察、もしくは新設を目指した重大犯罪捜査庁のどちらに移管するのが有利かてんびんにかけているようである。 このように肝心な問題について態度を保留していることを見ても、この党議決定が拙速なものであったことは否定できない。 こうした民主党の動きに対しては、文在寅政権の「友軍」であるはずの「民主社会のための弁護士会」(民弁)が、「いくら正しい方向でも、さまざまな検討や補完が必要だ」と懸念を表明している。 また、民主党以上に左派色の強い革新系野党の正義党も「検察捜査権の完全剥奪を強行できるほどの大義名分や国民の共感は得られているのか」と疑問を呈した。 法務部次官、検事総長として文在寅政権の不正疑惑に「免罪符」を与えようとした金浯洙検事総長までも、先述の通り、検察組織全体の反対で突然態度を変え、「検察の捜査機能を廃止すれば、検事総長として職務を遂行することに何の意味もない」と批判した。 民主党による検察捜査権完全剥奪の動きに対し、国民の支持は感じられない。しかし、それでも民主党は同法案の成立を強行しようとしている。なぜだろうか』、「捜査権を警察、もしくは新設を目指した重大犯罪捜査庁のどちらに移管するのが有利かてんびんにかけているようである。 このように肝心な問題について態度を保留していることを見ても」、やはり「党議決定が拙速なものであった」ようだ。
・『現政権が抱える多数の不正疑惑 朝鮮日報は、民主党が同法案の成立を強行する理由について、「文在寅大統領と李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事の不正に関する捜査を徹底して封じ込める意図があるとしか考えられない」と述べている。 検察は先日、産業通商資源部の局長が韓国電力公社傘下の発電会社4社の社長に辞表提出を強要したという、いわゆる「産業通商資源部ブラックリスト事件」の捜査に着手した。さらに月城(ウォルソン)原発1号機廃炉に関わる経済性評価の捏造や蔚山(ウルサン)市長選挙への介入など、現政権の不正に関する捜査をいつでも始めることができる。しかし、これらの事件の捜査はこれまで、現政権の圧力で中断していた。 李在明前知事については、同氏が関係する大庄洞(テジャンドン)土地開発疑惑や弁護士費用の代納、権純一(クォン・スンイル)元大法官(最高裁判事)との裁判取引疑惑、夫人による京畿道知事時代の法人名義のクレジットカード不正使用、城南(ソンナム)FC後援会の賄賂疑惑に対する捜査が待ち受けている。 民主党の検察に対する介入は、曺国(チョ・グク)元法相の不正に関する捜査が本格化したときから、検察改革という美名の下で捜査チームを解体し捜査権を奪い、検事総長の懲戒という形で本格化した。 現政権にとって、検察は退任後の自らの不正を暴く宿敵であり、何としても検察の捜査権を奪っておかなければ安心できないのだろう』、「現政権にとって、検察は退任後の自らの不正を暴く宿敵であり、何としても検察の捜査権を奪っておかなければ安心できないのだろう」、余りに見え見えの党利党略には驚くほかない。
・『次期法相に40代の韓東勲氏を指名 尹錫悦次期大統領は、民主党が捜査権完全剥奪法案を党議決定した翌日(13日)、次期法相候補に韓東勲司法研修院副院長を指名した。尹氏は自ら記者会見室でこの人事を発表し、「法務行政の現代化、グローバルスタンダードを満たす司法システムを確立するに適任者だ」と語った。 韓東勲氏はまだ40代であり、多くの法曹界の先輩を押しのけての指名に「破格の人事」だという声が上がっている。だが、尹錫悦次期大統領は「韓氏はさまざまな国際業務経験を持っている。絶対に破格の人事ではない」と自らの決定を擁護した。 韓東勲氏は17年、崔順実(チェ・スンシル)氏の国政介入事件で特別検事チームに尹錫悦氏と共に派遣されて以降、尹錫悦氏を補佐してきた。尹錫悦氏が検事総長に就任すると、大検察庁反腐敗・強力部長として「積弊捜査」を統括した。しかし、19年尹錫悦氏が曺国元法相一家に対する捜査を指揮して以降、4回も左遷され、自らも捜査対象とされたことがあった。しかし、最近「嫌疑なし」となった。 韓東勲氏の指名を受け民主党は、「国民に対する人事テロ」だと反発、朴洪根(パク・ホングン)院内総務は「尹氏は公正ではなく、功臣を選んだ。側近を据え、検察の権力を私有化し、強大な権力を持つ検察共和国を作るという露骨な政治報復宣言だ」と指摘した。 朴洪根氏の批判を聞く限り、文在寅政権が市民運動などの「運動圏」出身の左翼系の人々で政権の中枢を固め(韓国では「コード人事」とやゆ)、社会の不公正を一層拡大し、検察改革と称して、自らに都合のいい、新しい検察組織を作ってきたことへの反省はみじんもない。 韓国法曹界も、検察の捜査権限については米国、日本、フランス、ドイツなどで認められた民主主義国家で共通する制度であると認めている。 にもかかわらず、検察の捜査権限を維持することを「強大な権力を持つ検察共和国を作る」と批判する朴洪根の発言は理解し難い。むしろ、自分たちの論理で、自分たちに都合のいい、検察共和国を作ろうとしているのは文在寅政権ではないだろうか。 次期政権で与党となる「国民の力」の権性東(クォン・ソンドン)院内代表は、「法相には刀はなく、検事総長が刀を握っている」としており、韓東勲氏も「具体的な事件について(法相が)捜査指揮権を行使することはない」と政治報復論を否定している。他方、同党内には「民主党が『検察捜査権完全剥奪』を主張している状況で、韓氏を据えて真っ向から対決を宣言したものだ」とする声も出ている』、「次期法相に40代の韓東勲氏を指名」、腕が振るえるのだろうか。
・『文在寅政権の5年間の客観的な検証が必要 中央日報は社説「韓国次期政権、心を開いて広く人材を見たのか疑問」の中で、「尹氏が韓氏を法相候補に指名したのは『検察捜査権完全剥奪』を進める民主党への対応と受け止められている」「尹錫悦次期大統領が正面対決を選択したことで、新政権の発足から与野党の対立は絶えないと予想される。これでは『協治』は難しく、陣営間の対立が激しくなり、結局、国民が不幸になる」と指摘している。 しかし、与野党対決の構図にしているのは民主党の方である。文在寅氏と李在明氏の不正に関する捜査の阻止を目的とする検察捜査権完全剥奪法案を4月の国会で拙速に成立させようということがそもそも対決の発端である。この法案を取りやめるか否かが、与野党対決を防止できるかの分かれ目である。しかも、その意図が文在寅氏とその側近を不正追及から守るという不純なものである。 中央日報は、「文在寅の懺悔(ざんげ)、尹錫悦の寛容」という記事を掲載、「文在寅氏が最後にやるべきことは、在任中の過ちと失敗について国民の前で懺悔すること」であり、一方、尹錫悦氏は「故金大中氏が残した寛容と節制の精神を胸に刻んでほしい」と訴えている。それは政治報復の文化を打破してほしいということであろう。 しかし、文在寅政権が残した、悪弊と経済への損失はあまりにも大きい。それを見逃せば、韓国がこれから直面する困難の責任を、すべて尹錫悦政権が負うことになる。いずれにせよ、文在寅政権と民主党が行ってきた民主主義を無視した暴挙や経済への失政は見逃せないだろう。 次期政権の始動を前に、まずは文在寅政権の5年間を客観的に検証し、その弊害を除去していくことが必要だ。だが、尹錫悦次期大統領は、それが政治報復と疑われないよう自らを律する姿勢を見せることが重要である』、「まずは文在寅政権の5年間を客観的に検証し、その弊害を除去していくことが必要だ。だが、尹錫悦次期大統領は、それが政治報復と疑われないよう自らを律する姿勢を見せることが重要」、その通りだ。
第三に、6月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元・在韓国特命全権大使の武藤正敏氏による「韓国経済が深刻な危機!前政権の「負の遺産」問題を元駐韓大使が解説」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304421
・『統一地方選挙で勝利した大統領の関心は経済危機へ 中央日報によれば、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は6月3日、「経済危機をはじめとする台風圏にわれわれは入っている」と述べたという。 その際に記者が、1日の統一地方選挙で尹錫悦大統領が率いる保守系与党「国民の力」が勝利したことについて触れ、「(国民の力の)勝利で国政運営能力を確保したという評価が多いが」と質問したところ、「みなさんは今、家の窓、庭の木が揺れていることを感じないだろうか。政党の政治的勝利を口にする状況ではない」と述べ、「選挙の勝利よりも民生経済の危機の克服が重要だ」と力説した。 尹錫悦大統領が「台風圏」と述べた理由の一つが、5月の韓国の消費者物価上昇率が5.4%と、13年9カ月ぶりの高水準になったことである。短期的に物価高・高金利・ウォン安の三つの波に襲われていることが韓国経済の展望を暗くしている。 経済的な困難に見舞われた背景には、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギーや食料価格の高騰、米国をはじめとする先進各国における物価高騰に対応した金利引き上げ、中国のゼロコロナ政策に伴う上海市の封鎖で生じた、原材料や半導体などのサプライチェーンの混乱などがあげられる。 韓国の中央銀行は物価高騰を抑えるため金利を引き上げている。それは経済成長率の低下に跳ね返ってくるだろう。物価を安定させても、成長の原動力を見つけ、経済体質を改善するという課題がある。こうした中、韓国経済はスタグフレーション(不景気下での物価上昇)に入った、入ろうとしているとの指摘がなされている』、「経済危機」は「韓国」のみならず日本も含めた先進国に共通する問題ではあるが、「韓国」固有の問題もありそうだ。
・『新政権への期待は経済の立て直し 韓国の国民が尹錫悦政権に最も望むことは、経済を立て直し、民生を安定化させることである。 文在寅(ムン・ジェイン)政権になってから、国民生活の質は低下した。製造業は韓国での投資に見切りをつけ、良質な雇用は失われている。国民は一生働いても家を持つことが夢となった。こうした経済社会の現状に対する不満が革新政権を終わらせる結果となった。 文在寅政権が行った社会主義国のような改革によって韓国経済の活力は失われ、物価高・高金利・ウォン安という悪循環脱却を著しく困難なものにしている。 尹錫悦政権に与えられた使命は、こうした韓国の経済社会を立て直すことであり、それができなければ、せっかく改善しだした支持率は低下していくであろう』、「文在寅政権が行った社会主義国のような改革によって韓国経済の活力は失われ、物価高・高金利・ウォン安という悪循環脱却を著しく困難なものにしている」、「韓国」固有の深刻な問題だ。
・『文在寅政権下で韓国経済は弱体化 グローバル統計サイト「NUMBEO」によると、韓国の「生活の質」指数は、文在寅政権が発足した2017年には67カ国中22位であった。しかし、21年になると82カ国中42位と中位圏に落ちた。その最大の原因は、ソウル市の不動産価格が2倍となるなど、文在寅政権の不動産政策の失敗である。韓国の21年の特殊出生率は0.81であるが、これは希望のない社会を反映している。 韓国の雇用状況の悪化は著しい。それは青年層ばかりでなく、韓国経済を支える40代の雇用率も最低水準に落ち込んでいる。特に、製造業などの良質な雇用が減少しているのは、「反企業的」な韓国政府の政策が原因だ。その代表例が、最低賃金の合理性のない大幅引き上げである。 30年間ソウルで勤務したあるグローバル金融機関のCEOは、「国際資本が韓国経済に興味を失っている」と話す。韓国経済の根本的問題は主要産業の国際競争力の低下である。 韓国経済のGDP成長率は、新型コロナ前の19年でさえ2%だった。それも大幅な財政支出で実現したものであり、それを除けば実質的には1%台であったといわれる。韓国で成長率1%台というのはアジア通貨危機やリーマンショックなど世界経済が困難な時にあったくらいである。19年の世界経済は好調であり、韓国だけがとり残されていた。 家計所得についても、格差が拡大し、低所得者の困難は増大しており、2020年の所得上位20%と下位20%の所得格差は5.26倍に達した。これは過去2番目に高い数字である。 急激な最低賃金の引き上げと週52時間制など無理な所得主導成長のせいで失業が増大し、雇用も非正規雇用、短時間雇用が増えているからである。 こうして韓国の国民生活が困難を極める中、物価高・金利高・ウォン安が襲ってきたのである』、確かに無理な経済政策の歪が蓄積して事態を複雑化させているようだ。
・『韓国が直面している長期低成長の危機 韓国経済にはインフレ、世界的な景気低迷、貿易収支悪化などの「警告灯」がともっている。 ロシアのウクライナ侵攻によって国際的な原油価格、食料価格が急騰している。これに加え、米国におけるインフレ加速を抑制するため、金利が急上昇している。さらに、上海封鎖などにより、中国経済が低迷している。これらの要因は海外発であり、韓国としての対応に限界がある。 韓国でも世界経済の不安でウォン安が進み、輸入物価が上昇、インフレを加速させている。 前述の通り、5月の消費者物価上昇率は5.4%であり、これはグローバル金融危機だった2008年8月(5.6%)以来の高水準である。何より軽油・ガソリンなどの石油類が34.8%と大幅上昇、生産・物流コストの上昇につながり韓国経済全般を冷え込ませている。4月の産業活動動向で全生産が-0.7%、小売り販売が-0.2%、企業の設備投資が-7.5%と、2カ月連続でトリプル減となった。 物価高は今後も続く見通しであり、6~7月には6%台に上昇するとの見通しもある。 貿易収支は、3月は1億1518万ドル(約150億円)の赤字だった。4月は1~20日までで51億9900万ドル(約6800億円)の赤字である。 主な大企業の最高責任者(CEO)は最悪の状況を前提にしたシミュレーションを作成し対応策づくりをしている。 韓国経済は中長期的には潜在成長率の基調的下落が懸念される。韓国は高齢化に直面しており、韓国経済を成長軌道に戻す原動力が見当たらない。韓国銀行の李昌ヨン(イ・チャンヨン)総裁は「長期低成長」を懸念している。 物価上昇を抑えるため、韓国銀行は政策金利を果敢に引き上げている。コロナ拡大以降、低金利政策を取ってきたため、借金をしてまで投資を行うことがブームとなり、家計債務が1900兆ウォン(約200兆円)に膨らんだ。政策金利の引き上げで貸出金利が上昇すれば、金利負担が増え、個人消費が落ち込むと同時に、債務不履行が増えるリスクがある。 尹錫悦政権は、大統領当選後に急上昇した物価高に起因する経済危機に取り組まなければならない。ただ、前述の通り、物価高・高金利・ウォン安をもたらす海外要因を韓国政府主導で抑え込むことはできず、難しい対応を求められる』、「韓国銀行の李昌ヨン・・・総裁は「長期低成長」を懸念」、確かに厳しい環境だ。
・『文在寅政権時代の悪弊を修正することが第一歩 文在寅政権時に積み上がった韓国経済の「負の遺産」が、韓国経済の物価高対応を一層困難なものにしている。それは文在寅政権が、民主労総(全国民主労働組合総連盟)という過激な労働組合の主張を大幅に取り入れた結果であり、社会主義的な論理で経済をゆがめた結果でもある。 その代表的なものが労働生産性の向上を伴わない一方的な最低賃金の大幅な引き上げと労働時間の制限、労働災害に当たり経営者に懲役刑を含む責任を負わせる法律の制定などである。 韓国経済を復活させ、国民に希望を与えるためには、こうした制度を抜本的に改革する必要がある。それは、韓国経済のあり方そのものに対する保革の論理の対立であり、文在寅政権に近かった過激な労働組合との闘争を意味するだろう。 尹錫悦政権がこれから行う経済政策は、文在寅政権および「共に民主党」(以下、民主党)の経済政策と正面から対立することになる。尹錫悦政権として経済改革は2年後の総選挙まで待つことはできない以上、和戦両様の構えで民主党に臨もうとしているのではないか。 いずれにせよ、民主党が韓国経済社会の国益と未来を考えて尹錫悦政権と建設的な話し合いができるかどうかが、韓国経済復活の分岐点になる』、「尹錫悦政権として経済改革は2年後の総選挙まで待つことはできない以上、和戦両様の構えで民主党に臨もうとしているのではないか」、乗り切るには相当の覚悟が必要なようだ。
・『文在寅前大統領と周辺への捜査は民主党の現政権への対応次第 文在寅前大統領は退任直前に非民主的手法で、検察から捜査権のほとんどを剥奪する検察捜査権完全剥奪法(検捜完剥法)を成立させた。それは、文在寅前大統領と李在明(イ・ジェミョン)前京畿(キョンギ)道知事を捜査から守るためといわれる。 同法は4カ月の猶予期間を経て、9月から施行される。検察に捜査権限のあった「6大犯罪」のうち、公職者、選挙、防衛産業、大規模な事故の四つは9月以降、警察だけが捜査を行えるようになる。また、1年6カ月後に重大犯罪捜査庁が発足すれば、検察に残された汚職、経済犯罪の捜査権も剥奪される。 文在寅前大統領は検察の捜査権を剥奪すれば安泰と考えていたのかもしれない。しかし、いずれかの機関で必ず捜査は行われる。 捜査権の多くは警察に移管される。文在寅前大統領側は、検察は敵、警察は味方と考えてきた。しかし、警察の人事を握るのは尹錫悦政権だ。尹錫悦政権は2日、警察庁長官に次ぐ7人の幹部のうち任期が特定されている1人を除く6人を交代させた。警察庁長官は7月で任期が終わるため、新たに任命された6人の中から後任の警察庁長官が選抜されるのであろう。これによって警察は文在寅色を一掃することになり、文在寅前大統領とその周辺の捜査も行いやすくなる。 また、検察は、9月までの残りの期間、文在寅政権に絡む不正の追及に本腰を入れ急いでいる。 まず、白雲揆(ペク・ウンギュ)元産業資源相の事務所を押収捜査した。狙いは経済性評価の捏造による月城(ウォルソン)原発の早期稼働停止疑惑だろう。この疑惑は文在寅政権幹部を捜査俎上に載せる可能性があり、文在寅政権と近かったハンギョレ新聞は「文在寅政権に対する捜査のシグナルか」と危機感を募らせている。) 検察はまた、李在明前京畿道知事のキム・ヘギョン夫人の公務用クレジットカードの私的使用で家宅捜索した。李在明氏は国会議員に当選したため、身柄拘束は困難であるが、まずは夫人に捜査のメスを入れたということであろう。 文在寅前大統領は政権から離れた今、検察の捜査権を剥奪する小手先の手法で自己防衛を図ることはできないことを思い知らされたことだろう。さらに今後、検捜完剥法を違憲で提訴する、もしくは国民投票にかけるということも検討されているかもしれない。 いずれにせよ、文在寅前大統領とその周辺が身を守るための最善の方法は、尹錫悦政権と国益を目指して協力することである。文在寅前大統領と民主党が現政権に協力すれば、尹錫悦政権も文在寅前大統領をたたく必要はない。半面、尹錫悦大統領との対決をあおるようなことがあれば、攻撃の矛先が文在寅前大統領に向かうこともあるだろう。 尹錫悦大統領にとっても経済危機に対応するためには民主党の協力を求めたいところだ。 政権基盤の強くない尹錫悦大統領としては、民主党との対立は避けたいところだ。民主党が協力姿勢を示せば、文在寅前大統領とその周辺に対する捜査を行って対立を深めることは望まないはずであり、尹錫悦大統領と文在寅前大統領の双方にとってメリットがあるのではないだろうか』、「尹錫悦大統領としては、民主党との対立は避けたいところだ。民主党が協力姿勢を示せば、文在寅前大統領とその周辺に対する捜査を行って対立を深めることは望まないはずであり、尹錫悦大統領と文在寅前大統領の双方にとってメリットがあるのではないだろうか」、そう予定調和的に上手くいってくれるのだろうか。
先ずは、4月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元・在韓国特命全権大使の武藤正敏氏による「韓国・次期政権が暴くべき文大統領の「ウソと秘め事」、元駐韓大使が解説」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/301250
・『「三不」政策を巡り中韓で異なる主張 尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が大統領となり、最初に取り組む問題が、外交の健全化だろう。これまで文在寅(ムン・ジェイン)大統領の下で韓国は、中国・北朝鮮にすり寄り、ご機嫌伺いに勢力を注いできた。 その端的な例が、在韓米軍がTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)を配備することに対する中国の反発を受け、文在寅大統領が訪中2カ月前に「THAADを追加配備しない」「米国のミサイル防衛システム(MD)に参加しない」「日米韓軍事同盟はしない」といわゆる「三不」政策を表明したことである。これは、韓国の安保に関する主権を制限しかねない内容である。 しかし、文在寅大統領にとっては、中国の機嫌を損なわないことが最優先であった。とはいえ、THAAD問題を中国側と交渉した文政権の複数の当事者は「三不」について、「政府の考えを説明した」ものにすぎず、「約束」ではないと強調してきた。文政権としても約束とするには躊躇(ちゅうちょ)があったのだろう。 ところが、中国国営の環球時報によれば、「三不は韓中相互尊重の結果」として、中国側では約束と受け止めているようである。韓国メディアは最近、「中国が在韓米軍のTHAADに対し、『三不』に加えて『一限』まで要求していたが、文在寅政権はこれを隠していた」と報じた。ここでいう「一限」とは、すでに配備されたTHAADの運用に制限を加えるという意味である。 この報道が正しければ、「三不」政策は中韓の交渉の結果ということになる。しかも、「三不」に加え、「一限」も交渉の対象となっていたことがうかがえる。「一限」の存在は、環球時報が2017年11月、「三不と一限は韓国が取るべきマジノ線(最低条件)」と主張したことがきっかけで、外交関係者の間で取り上げられるようになった。中韓の交渉の結果であれば、単に「政府の考え方を説明した」では通らないのではないか』、「文在寅政権」の「中国」外交がこれほど事実を隠蔽していたとは驚きだ。
・『尹錫悦氏側は文政権の説明に疑義 尹錫悦氏の大統領職引き継ぎ委員会は4日、元壱喜(ウォン・イルヒ)首席副報道官が「当事者たちが真実を国民に細かく明らかにすることが道理だ」とコメントした。 元壱喜副報道官は「記事の内容が事実であれば、今も韓国の軍事主権を侵害する深刻な事案という問題意識を持っている」「事実関係がどうなっているか私たちが確認できる内容は全くないが、現政府には合意に関与した当事者たちがいるので、その人たちが真実を明らかにすることが道理だ」とコメントした。 この当事者とは、当時の康京和(カン・ギョンファ)外相および鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長を指しているようだ。 しかし、韓国政府はこれまで一貫して、「約束」を否定してきた。韓国外交部による引き継ぎ委員からの業務報告でも「三不」や「一限」に関する内容は含まれていなかったという』、「外交」は「韓国側」だけが秘密にしようと思っても、相手方の中国の事情もあるので、必ずしも守秘が貫徹できる訳ではないのに、「文政権」は何故、秘密にしたのだろう。
・『文在寅政権は次期政権に中韓交渉の真実を伝えるべきだ 尹錫悦氏は大統領選の時からTHAADの追加配備を公言しており、「三不」破棄は既定路線となっている。「三不」については、あくまで文在寅政権での考えとの前提で、追加配備を行う方針であり、これを実行すれば中国側との大きな軋轢(あつれき)を招来することになるだろう。 だが、「一限」についてはそもそも想定外のことである。さらに、「三不」と「一限」が「中韓相互尊重の結果」であれば、これを破棄することで中韓の摩擦は一層大きくなるだろう。) いずれにせよ、尹錫悦氏は中韓交渉の真実を知る必要がある。文在寅政権は、自分たちに不都合なことは外交に限らず、国内政治でも隠し続けてきた。しかし、外交ではこれは通用しない。韓国にとって極めて不適切な合意でも、合意は合意である。尹錫悦政権はその真実を知り、それでも合意を破棄すべき時は、中国との大きな摩擦を覚悟すべきである。 文在寅政権は、中国に外交の主導権を奪われ、中国の言いなりになってきた。しかもそれを国民に知られないように、ひたすら隠し続けてきた。そのツケを負うのは次期政権である。 文在寅政権は、中国の反発を招かない行動を取ることが平和への道だと思い込んでいるが、それは真の平和ではなく、中国に支配された平和である。韓国が主権を取り戻し、正常な外交を行おうとすれば、中国の反発を招く。その原因をもたらしたのは文在寅政権の外交政策である』、「文在寅政権は、自分たちに不都合なことは外交に限らず、国内政治でも隠し続けてきた。しかし、外交ではこれは通用しない。韓国にとって極めて不適切な合意でも、合意は合意である。尹錫悦政権はその真実を知り、それでも合意を破棄すべき時は、中国との大きな摩擦を覚悟すべきである」、前政権の失政のツケを払わされるとは「尹錫悦政権」も大変だ。
・『中国追随外交を続ける二つの理由 韓国にとって、中国はどのような国なのか、韓国国民は真実を知るべきである。 文在寅大統領は昨年、習近平国家主席との電話会談で中国共産党100周年に対する祝賀を述べた。中国共産党は朝鮮戦争の折、人民解放軍を派遣し、米韓を中心とする国連軍を押し返して、朝鮮半島の分断を固定化した張本人である。その中国共産党に対して100周年の祝賀を述べることは、韓国国民の朝鮮統一に対する思いを踏みにじっているとしか思えない。 また、鄭義溶外相は王毅外相に招かれて台湾海峡の対岸・厦門に、はせ参じた。米韓首脳会談を前に、台湾問題が話題となるのをけん制しようとする中国の策略に乗ったわけである。 このように、韓国政府は中国の機嫌取りに熱心である。 文在寅大統領が中国追従外交を行うのには、二つの理由がある。 第一に、中国が北朝鮮に対して影響力を行使し、北朝鮮と韓国の関係改善に尽力してくれると思い込んでいることだ。しかし、これまでの北朝鮮との交渉の過程で、中国が韓国に協力する姿勢を示してきた事例を筆者は知らない。 第二に、輸出先としての重要性だ。韓国の輸出の4分の1以上が中国向けであり、中国との円満な関係が韓国の経済にとって不可欠と考えている。 しかし、韓国の中国経済専門家は「韓国と中国は経済分野ではここ30年で互恵的な関係からライバル関係に変わったため、韓国企業の対中戦略も見直さなければならない」と指摘する。特に、中国に過度に依存してきたサプライチェーンの多角化が急務だとの声が上がっている。 韓国から中国へ輸出する品目は減り続ける半面、韓国は中国からの原材料の輸入に依存し続けており、韓国の劣勢はますます強まりつつある。多くの品目で過度な中国依存が進めば、韓国は経済的にますます中国から自立できなくなる。中国からの依存脱却は急務である。 中国に対する過度な譲歩姿勢は終わらせるべき時が来ている。現在の中韓関係において、中国はあくまでも自国の利害を基本に韓国に対応してきている。韓国も自国の利益を優先して考えるべき時に来ているのではないか』、「韓国も自国の利益を優先して考えるべき時に来ている」、その通りだ。
・『安保リスクの高まりによりTHAADの追加配備は不可避 中国は、THAADのレーダーによって国内の軍の配置が米国に明らかになることを恐れている。しかし、北朝鮮は今年に入り、極超音速ミサイル、鉄道から発射のミサイル、ICBM(大陸間弾道ミサイル)など次々にミサイルの発射を行い、近く核実験も再開すると言われている。こうした北朝鮮の兵器は、いずれも中ロの支援の下に高度化されているのである。 これに対し、韓国は防衛体制を整備し、ミサイル迎撃能力を高める必要がある。それがTHAADの追加配備であり、それは中国の軍の配置を探るためではなく、韓国の防衛のためにすることである。 北朝鮮の核ミサイル能力の向上という新たな安保リスクに対応するためには、「三不」の廃棄はやむを得ない選択である。そもそも、文在寅政権が中国に対し、北朝鮮への有効な抑止を求めることなく、「三不」を表明したことは極めて不適切であった。その表明に至る交渉の実態について、尹錫悦政権は知る必要があり、それを踏まえて中国と話し合っていくべきであろう』、「そもそも、文在寅政権が中国に対し、北朝鮮への有効な抑止を求めることなく、「三不」を表明したことは極めて不適切であった。その表明に至る交渉の実態について、尹錫悦政権は知る必要があり、それを踏まえて中国と話し合っていくべき」、その通りだ。
・『韓国籍タンカー2隻を北朝鮮に売却したことが判明 米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカは5日、韓国船籍だったタンカー2隻がこのほど、北朝鮮所有になったことが分かり、国連の対北朝鮮制裁委員会が正式調査に着手した、と報じた。 2隻のタンカーのうちの1隻である「デホ・サンライズ号」は昨年、中国企業に売却された後、北朝鮮所有のシエラレオネ船籍「オーシャン・スカイ号」に変わったという。専門家パネルは船舶の位置を示す自動船舶識別装置を逆追跡、衛星写真資料を分析してこのような情報を得た。) さらに専門家パネルは、かつて韓国船籍だった別のタンカー「ウジョン号」が北朝鮮の旗をつけていることも確認し調査を進めている。同タンカーは昨年8月8、9、10日の3回にわたり違法な船舶間積み替え方式(瀬取り)により、パラオ船籍のタンカーから油類を受け取る様子が捉えられえている。 国連安保理は2016年に採択した制裁決議2321号に基づき、国連加盟国が北朝鮮に船舶を販売することは禁止している。 しかし、文在寅政権は逆に北朝鮮への制裁を緩和するよう欧米各国に働きかけており、国際社会が一致団結して北朝鮮の核ミサイル開発を阻止しようとする動きに反する行動を取っている。 また、文在寅政権は国連の北朝鮮人権決議共同提案国への参加を4年連続で見送った。国連の北朝鮮人権特別報告者が「北朝鮮の人権状況はここ6年でさらに悪化した」と指摘し、複数の国際人権団体は書簡を通じて文在寅大統領に「任期の最後には北朝鮮人権決議案に加わってほしい」と求めたが、文在寅政権は最後まで拒否した。 文在寅政権は20年に、朝鮮労働党の金正恩総書記の妹である金与正(ヨジョン)党第1副部長(当時)の要求で、「対北ビラ禁止法」を制定した。これにより、米国議会では「人権聴聞会」の対象国となった。 また、19年には韓国への帰順の意向を伝えた北朝鮮の漁船乗組員2人を凶悪犯との理由で北朝鮮に強制的に送り返し、国連人権報告者が「深く懸念する」という事態になった。 文在寅大統領は「平和が来れば北朝鮮の人権問題も改善する」という趣旨の発言を繰り返しているが、北朝鮮の人権状況に向き合う姿勢は一向に見えない。 文在寅政権は、米朝首脳会談のお膳立てをする際にも、米国と北朝鮮にそれぞれ聞こえのいいことを伝えた結果、ベトナムでの首脳会談が不調に終わると双方から激しい反発を受けた。文在寅大統領は特にそれ以来、北朝鮮の機嫌を取ることに終始している。 繰り返しになるが、尹錫悦政権は文在寅政権の外交の実態を掌握することが不可欠である(詳細は拙書「さまよえる韓国人」ご参照)。その上で、外交の正常化を図っていかなければならない』、「韓国船籍だったタンカー2隻がこのほど、北朝鮮所有になったことが分かり、国連の対北朝鮮制裁委員会が正式調査に着手」、とんでもないことだ。「尹錫悦政権は文在寅政権の外交の実態を掌握することが不可欠である」、「その上で、外交の正常化を図っていかなければならない」、その通りだ。
次に、4月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元・在韓国特命全権大使の武藤正敏氏による「文在寅政権が報復つぶし?「検察捜査権を剥奪」強行の暴挙、元駐韓大使が解説」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/301843
・『検察捜査権剥奪法案の公布を目指す党議決定 共に民主党(以下「民主党」)は12日、議員総会を開き、検察の捜査権を完全に剥奪する法案を今月中に国会で可決し、来月3日の文在寅政権最後の閣議で公布することを目指すと党議決定した。同党所属議員全員172人の共同提案で国会に法案を提出した。 これは尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期政権となり、新大統領が同法に拒否権を発動できないようにするためである。民主党は何が何でも同法の成立を強行するという意思を明らかにしたものといえる。 同法は、「腐敗」「経済」「公職者」「選挙」「防衛事業」「大惨事災害」の6分野についての捜査権限を検察から剥奪するものである。 民主党の討議決定の翌日、尹錫悦次期大統領は側近の韓東勲(ハン・ドンフン)氏を法相に指名した。同法を巡っては、民主党と検察が全面対決していたが、これに尹次期政権が加わってきたということである。 文在寅政権は、立法・行政・司法の権限を独占し、マスコミをコントロールし、独裁政権を作り上げてきたが、その過程でさまざまな不正があった。それを覆い隠そうとするのが、検察から捜査権限を完全剥奪することの狙いである』、「文在寅政権は、立法・行政・司法の権限を独占し、マスコミをコントロールし、独裁政権を作り上げてきたが、その過程でさまざまな不正があった。それを覆い隠そうとするのが、検察から捜査権限を完全剥奪することの狙い」、党利党略でここまでするのかと驚かされた。
・『民主党の暴挙に対し検察は組織を上げて反対 大検察庁(最高検)は8日、金浯洙(キム・オス)検事総長主催の全国高等検察庁会議を開催。民主党が検察捜査権の完全はく奪を目指していることについて、「政治的な次元で性急に推進されていることを深刻に懸念している」「国民が悔しい思いをすることや人権侵害を防止するために、最低限の安全装置はいかなる場合でも維持すべきだ」としつつ、「政界が進めている検察捜査機能の全面廃止法案に反対する」との検察の立場を表明した。 さらに検察は全国各地の地検でも会議を開催し、いずれの会議も反対の立場を明確にした。 また、政権による不正を捜査する時には中核的な役割を果たすソウル中央地検は、部長検事全員が法案に反対するとの意見書を李正洙(イ・ジョンス)ソウル中央地検長に提出した。検察の中からは「金浯洙検事総長は自らの職を賭して法案を阻止すべきだ」との声が上がり、それまでの弱腰姿勢には辞任論も出た。 こうした中、検察は11日に全国検事長会議を開催した。その席上、金浯洙検事総長は「職に恋々としない」「検察の捜査機能が廃止されるならば、検事総長の私としてはこれ以上職務を遂行するいかなる意味もない。どんな責任を取ることも辞さない」と述べた。金浯洙検事総長は17日、民主党の暴挙に抗議し辞表を提出した。 全国の地検長18人は会議後、声明文を発表し、「国会に仮称『刑事司法制度改善特別委員会』を設置し、各界の専門家と国民の意見を十分に集約した上で、合理的な改善策を取りまとめることを訴える」との立場を表明した』、「検察は組織を上げて反対」、当然だろう。
・『民主党の検察改革に対し味方からも懸念の声 全国地検長会議の席上、「昨年1月の検察・警察の捜査権調整以降、事件の処理が遅れ、国民が大きな不便を感じている」との指摘があった。民主党による検察の捜査権への介入が韓国の司法制度の障害となっているということである。 それでも民主党は翌12日、検察捜査権の完全剥奪法案を4月中に国会で可決させることを党議決定した。しかし、民主党は法案が国会で成立後、施行まで3カ月の期間があることを理由に、捜査権限をどの機関に移管するかは決めなかった。民主党は捜査権を警察、もしくは新設を目指した重大犯罪捜査庁のどちらに移管するのが有利かてんびんにかけているようである。 このように肝心な問題について態度を保留していることを見ても、この党議決定が拙速なものであったことは否定できない。 こうした民主党の動きに対しては、文在寅政権の「友軍」であるはずの「民主社会のための弁護士会」(民弁)が、「いくら正しい方向でも、さまざまな検討や補完が必要だ」と懸念を表明している。 また、民主党以上に左派色の強い革新系野党の正義党も「検察捜査権の完全剥奪を強行できるほどの大義名分や国民の共感は得られているのか」と疑問を呈した。 法務部次官、検事総長として文在寅政権の不正疑惑に「免罪符」を与えようとした金浯洙検事総長までも、先述の通り、検察組織全体の反対で突然態度を変え、「検察の捜査機能を廃止すれば、検事総長として職務を遂行することに何の意味もない」と批判した。 民主党による検察捜査権完全剥奪の動きに対し、国民の支持は感じられない。しかし、それでも民主党は同法案の成立を強行しようとしている。なぜだろうか』、「捜査権を警察、もしくは新設を目指した重大犯罪捜査庁のどちらに移管するのが有利かてんびんにかけているようである。 このように肝心な問題について態度を保留していることを見ても」、やはり「党議決定が拙速なものであった」ようだ。
・『現政権が抱える多数の不正疑惑 朝鮮日報は、民主党が同法案の成立を強行する理由について、「文在寅大統領と李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事の不正に関する捜査を徹底して封じ込める意図があるとしか考えられない」と述べている。 検察は先日、産業通商資源部の局長が韓国電力公社傘下の発電会社4社の社長に辞表提出を強要したという、いわゆる「産業通商資源部ブラックリスト事件」の捜査に着手した。さらに月城(ウォルソン)原発1号機廃炉に関わる経済性評価の捏造や蔚山(ウルサン)市長選挙への介入など、現政権の不正に関する捜査をいつでも始めることができる。しかし、これらの事件の捜査はこれまで、現政権の圧力で中断していた。 李在明前知事については、同氏が関係する大庄洞(テジャンドン)土地開発疑惑や弁護士費用の代納、権純一(クォン・スンイル)元大法官(最高裁判事)との裁判取引疑惑、夫人による京畿道知事時代の法人名義のクレジットカード不正使用、城南(ソンナム)FC後援会の賄賂疑惑に対する捜査が待ち受けている。 民主党の検察に対する介入は、曺国(チョ・グク)元法相の不正に関する捜査が本格化したときから、検察改革という美名の下で捜査チームを解体し捜査権を奪い、検事総長の懲戒という形で本格化した。 現政権にとって、検察は退任後の自らの不正を暴く宿敵であり、何としても検察の捜査権を奪っておかなければ安心できないのだろう』、「現政権にとって、検察は退任後の自らの不正を暴く宿敵であり、何としても検察の捜査権を奪っておかなければ安心できないのだろう」、余りに見え見えの党利党略には驚くほかない。
・『次期法相に40代の韓東勲氏を指名 尹錫悦次期大統領は、民主党が捜査権完全剥奪法案を党議決定した翌日(13日)、次期法相候補に韓東勲司法研修院副院長を指名した。尹氏は自ら記者会見室でこの人事を発表し、「法務行政の現代化、グローバルスタンダードを満たす司法システムを確立するに適任者だ」と語った。 韓東勲氏はまだ40代であり、多くの法曹界の先輩を押しのけての指名に「破格の人事」だという声が上がっている。だが、尹錫悦次期大統領は「韓氏はさまざまな国際業務経験を持っている。絶対に破格の人事ではない」と自らの決定を擁護した。 韓東勲氏は17年、崔順実(チェ・スンシル)氏の国政介入事件で特別検事チームに尹錫悦氏と共に派遣されて以降、尹錫悦氏を補佐してきた。尹錫悦氏が検事総長に就任すると、大検察庁反腐敗・強力部長として「積弊捜査」を統括した。しかし、19年尹錫悦氏が曺国元法相一家に対する捜査を指揮して以降、4回も左遷され、自らも捜査対象とされたことがあった。しかし、最近「嫌疑なし」となった。 韓東勲氏の指名を受け民主党は、「国民に対する人事テロ」だと反発、朴洪根(パク・ホングン)院内総務は「尹氏は公正ではなく、功臣を選んだ。側近を据え、検察の権力を私有化し、強大な権力を持つ検察共和国を作るという露骨な政治報復宣言だ」と指摘した。 朴洪根氏の批判を聞く限り、文在寅政権が市民運動などの「運動圏」出身の左翼系の人々で政権の中枢を固め(韓国では「コード人事」とやゆ)、社会の不公正を一層拡大し、検察改革と称して、自らに都合のいい、新しい検察組織を作ってきたことへの反省はみじんもない。 韓国法曹界も、検察の捜査権限については米国、日本、フランス、ドイツなどで認められた民主主義国家で共通する制度であると認めている。 にもかかわらず、検察の捜査権限を維持することを「強大な権力を持つ検察共和国を作る」と批判する朴洪根の発言は理解し難い。むしろ、自分たちの論理で、自分たちに都合のいい、検察共和国を作ろうとしているのは文在寅政権ではないだろうか。 次期政権で与党となる「国民の力」の権性東(クォン・ソンドン)院内代表は、「法相には刀はなく、検事総長が刀を握っている」としており、韓東勲氏も「具体的な事件について(法相が)捜査指揮権を行使することはない」と政治報復論を否定している。他方、同党内には「民主党が『検察捜査権完全剥奪』を主張している状況で、韓氏を据えて真っ向から対決を宣言したものだ」とする声も出ている』、「次期法相に40代の韓東勲氏を指名」、腕が振るえるのだろうか。
・『文在寅政権の5年間の客観的な検証が必要 中央日報は社説「韓国次期政権、心を開いて広く人材を見たのか疑問」の中で、「尹氏が韓氏を法相候補に指名したのは『検察捜査権完全剥奪』を進める民主党への対応と受け止められている」「尹錫悦次期大統領が正面対決を選択したことで、新政権の発足から与野党の対立は絶えないと予想される。これでは『協治』は難しく、陣営間の対立が激しくなり、結局、国民が不幸になる」と指摘している。 しかし、与野党対決の構図にしているのは民主党の方である。文在寅氏と李在明氏の不正に関する捜査の阻止を目的とする検察捜査権完全剥奪法案を4月の国会で拙速に成立させようということがそもそも対決の発端である。この法案を取りやめるか否かが、与野党対決を防止できるかの分かれ目である。しかも、その意図が文在寅氏とその側近を不正追及から守るという不純なものである。 中央日報は、「文在寅の懺悔(ざんげ)、尹錫悦の寛容」という記事を掲載、「文在寅氏が最後にやるべきことは、在任中の過ちと失敗について国民の前で懺悔すること」であり、一方、尹錫悦氏は「故金大中氏が残した寛容と節制の精神を胸に刻んでほしい」と訴えている。それは政治報復の文化を打破してほしいということであろう。 しかし、文在寅政権が残した、悪弊と経済への損失はあまりにも大きい。それを見逃せば、韓国がこれから直面する困難の責任を、すべて尹錫悦政権が負うことになる。いずれにせよ、文在寅政権と民主党が行ってきた民主主義を無視した暴挙や経済への失政は見逃せないだろう。 次期政権の始動を前に、まずは文在寅政権の5年間を客観的に検証し、その弊害を除去していくことが必要だ。だが、尹錫悦次期大統領は、それが政治報復と疑われないよう自らを律する姿勢を見せることが重要である』、「まずは文在寅政権の5年間を客観的に検証し、その弊害を除去していくことが必要だ。だが、尹錫悦次期大統領は、それが政治報復と疑われないよう自らを律する姿勢を見せることが重要」、その通りだ。
第三に、6月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元・在韓国特命全権大使の武藤正敏氏による「韓国経済が深刻な危機!前政権の「負の遺産」問題を元駐韓大使が解説」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304421
・『統一地方選挙で勝利した大統領の関心は経済危機へ 中央日報によれば、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は6月3日、「経済危機をはじめとする台風圏にわれわれは入っている」と述べたという。 その際に記者が、1日の統一地方選挙で尹錫悦大統領が率いる保守系与党「国民の力」が勝利したことについて触れ、「(国民の力の)勝利で国政運営能力を確保したという評価が多いが」と質問したところ、「みなさんは今、家の窓、庭の木が揺れていることを感じないだろうか。政党の政治的勝利を口にする状況ではない」と述べ、「選挙の勝利よりも民生経済の危機の克服が重要だ」と力説した。 尹錫悦大統領が「台風圏」と述べた理由の一つが、5月の韓国の消費者物価上昇率が5.4%と、13年9カ月ぶりの高水準になったことである。短期的に物価高・高金利・ウォン安の三つの波に襲われていることが韓国経済の展望を暗くしている。 経済的な困難に見舞われた背景には、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギーや食料価格の高騰、米国をはじめとする先進各国における物価高騰に対応した金利引き上げ、中国のゼロコロナ政策に伴う上海市の封鎖で生じた、原材料や半導体などのサプライチェーンの混乱などがあげられる。 韓国の中央銀行は物価高騰を抑えるため金利を引き上げている。それは経済成長率の低下に跳ね返ってくるだろう。物価を安定させても、成長の原動力を見つけ、経済体質を改善するという課題がある。こうした中、韓国経済はスタグフレーション(不景気下での物価上昇)に入った、入ろうとしているとの指摘がなされている』、「経済危機」は「韓国」のみならず日本も含めた先進国に共通する問題ではあるが、「韓国」固有の問題もありそうだ。
・『新政権への期待は経済の立て直し 韓国の国民が尹錫悦政権に最も望むことは、経済を立て直し、民生を安定化させることである。 文在寅(ムン・ジェイン)政権になってから、国民生活の質は低下した。製造業は韓国での投資に見切りをつけ、良質な雇用は失われている。国民は一生働いても家を持つことが夢となった。こうした経済社会の現状に対する不満が革新政権を終わらせる結果となった。 文在寅政権が行った社会主義国のような改革によって韓国経済の活力は失われ、物価高・高金利・ウォン安という悪循環脱却を著しく困難なものにしている。 尹錫悦政権に与えられた使命は、こうした韓国の経済社会を立て直すことであり、それができなければ、せっかく改善しだした支持率は低下していくであろう』、「文在寅政権が行った社会主義国のような改革によって韓国経済の活力は失われ、物価高・高金利・ウォン安という悪循環脱却を著しく困難なものにしている」、「韓国」固有の深刻な問題だ。
・『文在寅政権下で韓国経済は弱体化 グローバル統計サイト「NUMBEO」によると、韓国の「生活の質」指数は、文在寅政権が発足した2017年には67カ国中22位であった。しかし、21年になると82カ国中42位と中位圏に落ちた。その最大の原因は、ソウル市の不動産価格が2倍となるなど、文在寅政権の不動産政策の失敗である。韓国の21年の特殊出生率は0.81であるが、これは希望のない社会を反映している。 韓国の雇用状況の悪化は著しい。それは青年層ばかりでなく、韓国経済を支える40代の雇用率も最低水準に落ち込んでいる。特に、製造業などの良質な雇用が減少しているのは、「反企業的」な韓国政府の政策が原因だ。その代表例が、最低賃金の合理性のない大幅引き上げである。 30年間ソウルで勤務したあるグローバル金融機関のCEOは、「国際資本が韓国経済に興味を失っている」と話す。韓国経済の根本的問題は主要産業の国際競争力の低下である。 韓国経済のGDP成長率は、新型コロナ前の19年でさえ2%だった。それも大幅な財政支出で実現したものであり、それを除けば実質的には1%台であったといわれる。韓国で成長率1%台というのはアジア通貨危機やリーマンショックなど世界経済が困難な時にあったくらいである。19年の世界経済は好調であり、韓国だけがとり残されていた。 家計所得についても、格差が拡大し、低所得者の困難は増大しており、2020年の所得上位20%と下位20%の所得格差は5.26倍に達した。これは過去2番目に高い数字である。 急激な最低賃金の引き上げと週52時間制など無理な所得主導成長のせいで失業が増大し、雇用も非正規雇用、短時間雇用が増えているからである。 こうして韓国の国民生活が困難を極める中、物価高・金利高・ウォン安が襲ってきたのである』、確かに無理な経済政策の歪が蓄積して事態を複雑化させているようだ。
・『韓国が直面している長期低成長の危機 韓国経済にはインフレ、世界的な景気低迷、貿易収支悪化などの「警告灯」がともっている。 ロシアのウクライナ侵攻によって国際的な原油価格、食料価格が急騰している。これに加え、米国におけるインフレ加速を抑制するため、金利が急上昇している。さらに、上海封鎖などにより、中国経済が低迷している。これらの要因は海外発であり、韓国としての対応に限界がある。 韓国でも世界経済の不安でウォン安が進み、輸入物価が上昇、インフレを加速させている。 前述の通り、5月の消費者物価上昇率は5.4%であり、これはグローバル金融危機だった2008年8月(5.6%)以来の高水準である。何より軽油・ガソリンなどの石油類が34.8%と大幅上昇、生産・物流コストの上昇につながり韓国経済全般を冷え込ませている。4月の産業活動動向で全生産が-0.7%、小売り販売が-0.2%、企業の設備投資が-7.5%と、2カ月連続でトリプル減となった。 物価高は今後も続く見通しであり、6~7月には6%台に上昇するとの見通しもある。 貿易収支は、3月は1億1518万ドル(約150億円)の赤字だった。4月は1~20日までで51億9900万ドル(約6800億円)の赤字である。 主な大企業の最高責任者(CEO)は最悪の状況を前提にしたシミュレーションを作成し対応策づくりをしている。 韓国経済は中長期的には潜在成長率の基調的下落が懸念される。韓国は高齢化に直面しており、韓国経済を成長軌道に戻す原動力が見当たらない。韓国銀行の李昌ヨン(イ・チャンヨン)総裁は「長期低成長」を懸念している。 物価上昇を抑えるため、韓国銀行は政策金利を果敢に引き上げている。コロナ拡大以降、低金利政策を取ってきたため、借金をしてまで投資を行うことがブームとなり、家計債務が1900兆ウォン(約200兆円)に膨らんだ。政策金利の引き上げで貸出金利が上昇すれば、金利負担が増え、個人消費が落ち込むと同時に、債務不履行が増えるリスクがある。 尹錫悦政権は、大統領当選後に急上昇した物価高に起因する経済危機に取り組まなければならない。ただ、前述の通り、物価高・高金利・ウォン安をもたらす海外要因を韓国政府主導で抑え込むことはできず、難しい対応を求められる』、「韓国銀行の李昌ヨン・・・総裁は「長期低成長」を懸念」、確かに厳しい環境だ。
・『文在寅政権時代の悪弊を修正することが第一歩 文在寅政権時に積み上がった韓国経済の「負の遺産」が、韓国経済の物価高対応を一層困難なものにしている。それは文在寅政権が、民主労総(全国民主労働組合総連盟)という過激な労働組合の主張を大幅に取り入れた結果であり、社会主義的な論理で経済をゆがめた結果でもある。 その代表的なものが労働生産性の向上を伴わない一方的な最低賃金の大幅な引き上げと労働時間の制限、労働災害に当たり経営者に懲役刑を含む責任を負わせる法律の制定などである。 韓国経済を復活させ、国民に希望を与えるためには、こうした制度を抜本的に改革する必要がある。それは、韓国経済のあり方そのものに対する保革の論理の対立であり、文在寅政権に近かった過激な労働組合との闘争を意味するだろう。 尹錫悦政権がこれから行う経済政策は、文在寅政権および「共に民主党」(以下、民主党)の経済政策と正面から対立することになる。尹錫悦政権として経済改革は2年後の総選挙まで待つことはできない以上、和戦両様の構えで民主党に臨もうとしているのではないか。 いずれにせよ、民主党が韓国経済社会の国益と未来を考えて尹錫悦政権と建設的な話し合いができるかどうかが、韓国経済復活の分岐点になる』、「尹錫悦政権として経済改革は2年後の総選挙まで待つことはできない以上、和戦両様の構えで民主党に臨もうとしているのではないか」、乗り切るには相当の覚悟が必要なようだ。
・『文在寅前大統領と周辺への捜査は民主党の現政権への対応次第 文在寅前大統領は退任直前に非民主的手法で、検察から捜査権のほとんどを剥奪する検察捜査権完全剥奪法(検捜完剥法)を成立させた。それは、文在寅前大統領と李在明(イ・ジェミョン)前京畿(キョンギ)道知事を捜査から守るためといわれる。 同法は4カ月の猶予期間を経て、9月から施行される。検察に捜査権限のあった「6大犯罪」のうち、公職者、選挙、防衛産業、大規模な事故の四つは9月以降、警察だけが捜査を行えるようになる。また、1年6カ月後に重大犯罪捜査庁が発足すれば、検察に残された汚職、経済犯罪の捜査権も剥奪される。 文在寅前大統領は検察の捜査権を剥奪すれば安泰と考えていたのかもしれない。しかし、いずれかの機関で必ず捜査は行われる。 捜査権の多くは警察に移管される。文在寅前大統領側は、検察は敵、警察は味方と考えてきた。しかし、警察の人事を握るのは尹錫悦政権だ。尹錫悦政権は2日、警察庁長官に次ぐ7人の幹部のうち任期が特定されている1人を除く6人を交代させた。警察庁長官は7月で任期が終わるため、新たに任命された6人の中から後任の警察庁長官が選抜されるのであろう。これによって警察は文在寅色を一掃することになり、文在寅前大統領とその周辺の捜査も行いやすくなる。 また、検察は、9月までの残りの期間、文在寅政権に絡む不正の追及に本腰を入れ急いでいる。 まず、白雲揆(ペク・ウンギュ)元産業資源相の事務所を押収捜査した。狙いは経済性評価の捏造による月城(ウォルソン)原発の早期稼働停止疑惑だろう。この疑惑は文在寅政権幹部を捜査俎上に載せる可能性があり、文在寅政権と近かったハンギョレ新聞は「文在寅政権に対する捜査のシグナルか」と危機感を募らせている。) 検察はまた、李在明前京畿道知事のキム・ヘギョン夫人の公務用クレジットカードの私的使用で家宅捜索した。李在明氏は国会議員に当選したため、身柄拘束は困難であるが、まずは夫人に捜査のメスを入れたということであろう。 文在寅前大統領は政権から離れた今、検察の捜査権を剥奪する小手先の手法で自己防衛を図ることはできないことを思い知らされたことだろう。さらに今後、検捜完剥法を違憲で提訴する、もしくは国民投票にかけるということも検討されているかもしれない。 いずれにせよ、文在寅前大統領とその周辺が身を守るための最善の方法は、尹錫悦政権と国益を目指して協力することである。文在寅前大統領と民主党が現政権に協力すれば、尹錫悦政権も文在寅前大統領をたたく必要はない。半面、尹錫悦大統領との対決をあおるようなことがあれば、攻撃の矛先が文在寅前大統領に向かうこともあるだろう。 尹錫悦大統領にとっても経済危機に対応するためには民主党の協力を求めたいところだ。 政権基盤の強くない尹錫悦大統領としては、民主党との対立は避けたいところだ。民主党が協力姿勢を示せば、文在寅前大統領とその周辺に対する捜査を行って対立を深めることは望まないはずであり、尹錫悦大統領と文在寅前大統領の双方にとってメリットがあるのではないだろうか』、「尹錫悦大統領としては、民主党との対立は避けたいところだ。民主党が協力姿勢を示せば、文在寅前大統領とその周辺に対する捜査を行って対立を深めることは望まないはずであり、尹錫悦大統領と文在寅前大統領の双方にとってメリットがあるのではないだろうか」、そう予定調和的に上手くいってくれるのだろうか。
タグ:(その1)(元駐韓大使が解説3題:韓国・次期政権が暴くべき文大統領の「ウソと秘め事」、韓国経済が深刻な危機!前政権の「負の遺産」問題、文在寅政権が報復つぶし?「検察捜査権を剥奪」強行の暴挙) 武藤正敏氏による「韓国・次期政権が暴くべき文大統領の「ウソと秘め事」、元駐韓大使が解説」 ダイヤモンド・オンライン 韓国(尹錫悦大統領) 「文在寅政権」の「中国」外交がこれほど事実を隠蔽していたとは驚きだ。 「文在寅政権は、自分たちに不都合なことは外交に限らず、国内政治でも隠し続けてきた。しかし、外交ではこれは通用しない。韓国にとって極めて不適切な合意でも、合意は合意である。尹錫悦政権はその真実を知り、それでも合意を破棄すべき時は、中国との大きな摩擦を覚悟すべきである」、前政権の失政のツケを払わされるとは「尹錫悦政権」も大変だ。 「韓国も自国の利益を優先して考えるべき時に来ている」、その通りだ。 「そもそも、文在寅政権が中国に対し、北朝鮮への有効な抑止を求めることなく、「三不」を表明したことは極めて不適切であった。その表明に至る交渉の実態について、尹錫悦政権は知る必要があり、それを踏まえて中国と話し合っていくべき」、その通りだ。 「韓国船籍だったタンカー2隻がこのほど、北朝鮮所有になったことが分かり、国連の対北朝鮮制裁委員会が正式調査に着手」、とんでもないことだ。「尹錫悦政権は文在寅政権の外交の実態を掌握することが不可欠である」、「その上で、外交の正常化を図っていかなければならない」、その通りだ。 武藤正敏氏による「文在寅政権が報復つぶし?「検察捜査権を剥奪」強行の暴挙、元駐韓大使が解説」 「文在寅政権は、立法・行政・司法の権限を独占し、マスコミをコントロールし、独裁政権を作り上げてきたが、その過程でさまざまな不正があった。それを覆い隠そうとするのが、検察から捜査権限を完全剥奪することの狙い」、党利党略でここまでするのかと驚かされた。 「検察は組織を上げて反対」、当然だろう。 「捜査権を警察、もしくは新設を目指した重大犯罪捜査庁のどちらに移管するのが有利かてんびんにかけているようである。 このように肝心な問題について態度を保留していることを見ても」、やはり「党議決定が拙速なものであった」ようだ。 「現政権にとって、検察は退任後の自らの不正を暴く宿敵であり、何としても検察の捜査権を奪っておかなければ安心できないのだろう」、余りに見え見えの党利党略には驚くほかない。 「次期法相に40代の韓東勲氏を指名」、腕が振るえるのだろうか。 「まずは文在寅政権の5年間を客観的に検証し、その弊害を除去していくことが必要だ。だが、尹錫悦次期大統領は、それが政治報復と疑われないよう自らを律する姿勢を見せることが重要」、その通りだ。 武藤正敏氏による「韓国経済が深刻な危機!前政権の「負の遺産」問題を元駐韓大使が解説」 「経済危機」は「韓国」のみならず日本も含めた先進国に共通する問題ではあるが、「韓国」固有の問題もありそうだ。 「文在寅政権が行った社会主義国のような改革によって韓国経済の活力は失われ、物価高・高金利・ウォン安という悪循環脱却を著しく困難なものにしている」、「韓国」固有の深刻な問題だ。 確かに無理な経済政策の歪が蓄積して事態を複雑化させているようだ。 「韓国銀行の李昌ヨン・・・総裁は「長期低成長」を懸念」、確かに厳しい環境だ。 「尹錫悦政権として経済改革は2年後の総選挙まで待つことはできない以上、和戦両様の構えで民主党に臨もうとしているのではないか」、乗り切るには相当の覚悟が必要なようだ。 「尹錫悦大統領としては、民主党との対立は避けたいところだ。民主党が協力姿勢を示せば、文在寅前大統領とその周辺に対する捜査を行って対立を深めることは望まないはずであり、尹錫悦大統領と文在寅前大統領の双方にとってメリットがあるのではないだろうか」、そう予定調和的に上手くいってくれるのだろうか。