日本の政治情勢(その62)(杉並区長選で野党共闘まさか勝利 岸田自民が恐れる“ノブテルの呪い”と参院選敗北の予兆、日本政治にとって「大転換点」となった参議院選挙 安倍政治が終わり 平和志向の戦後政治も転機を迎えた、立憲民主党はなぜ参院選で大敗した?「提案型野党」が支持されない理由) [国内政治]
日本の政治情勢については、6月5日に取上げた。今日は、(その62)(杉並区長選で野党共闘まさか勝利 岸田自民が恐れる“ノブテルの呪い”と参院選敗北の予兆、日本政治にとって「大転換点」となった参議院選挙 安倍政治が終わり 平和志向の戦後政治も転機を迎えた、立憲民主党はなぜ参院選で大敗した?「提案型野党」が支持されない理由)である。
先ずは、6月21日付け日刊ゲンダイ「杉並区長選で野党共闘まさか勝利 岸田自民が恐れる“ノブテルの呪い”と参院選敗北の予兆」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/307069
・『まさかの結果だ。20日開票された東京都杉並区の区長選挙。自公がバックアップした現職の田中良氏(61=当選3回)が、野党統一候補の岸本聡子氏(47)に約190票差で敗れたのだ。 杉並区といえば、有権者に嫌われ、昨年の衆院選で落選した石原伸晃・自民党元幹事長の地盤。田中区長と伸晃氏は蜜月関係だけに、「敗因はノブテルの呪いか」なんて声も上がっている。想定外の結果に、岸田首相の周辺は、国民の怒りのマグマがたまっているのではないか、と疑念を強めている。 今回、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党が推薦し、初当選した岸本氏は、オランダの政策研究NGOの研究員。田中区政が進めた駅前再開発などについて「いったん立ち止まって、住民とともに考える」と訴えてきた。 フリーランスライターの畠山理仁氏は、「岸本氏は有権者の声に耳を傾け、選挙中に政策をバージョンアップさせるなど、従来の野党の戦い方とは全く別物だった」とみる。 「昨年、衆院選で伸晃氏を破った立憲の吉田晴美衆院議員が連日、応援に入ると、徐々に追い上げムードが高まっていった。最終的に蓮舫参院議員や枝野前代表ら大物が応援に入るなど、国政選挙並みの力の入れようでした。れいわ新選組の山本太郎代表も駆けつけ、勢いは十分だった」(野党関係者) 一方、田中陣営は、自民党の国会議員が応援に入ったが、杉並区議会の自民会派が「親田中派」と「反田中派」に分裂し、足並みが揃わなかったという。 自民党は、現職区長が無名の野党候補に負けただけでなく、区長選と一緒に行われた区議補選で票を減らしたことも不安材料とみているという。自民新人が当選したものの、前回2018年の区議補選の時に獲得した4万3000票から、1万6000票も減らしている』、「現職の田中良氏(61=当選3回)が、野党統一候補の岸本聡子氏(47)に約190票差で敗れた」、「杉並区議会の自民会派が「親田中派」と「反田中派」に分裂し、足並みが揃わなかった」、その割には「約190票差」とはいささか寂しい。
・『国民の怒りは“沸点”間近 実際、区長選と補選は、物価高や生活苦を一向に解消できない政権与党に対する世論が反映された可能性がある。 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。 「物価高で国民の生活は苦しくなっているのに、『検討する』としか言わない岸田首相への怒りが募るのは当然です。世論調査でも内閣支持率は下がり、政府の物価高対策を『評価しない』という声が大きくなっています。今回の区長選の結果は、これまで声を上げなかった国民の怒りがジワジワと高まっていることを示している可能性があります。参院選に向けて、自民党はこの流れが続くのを恐れているに違いありません」 昨年の衆院選では、自民党の“象徴”的存在だった伸晃氏がまさかの落選を喫し、自民党に衝撃が走った。この参院選では予想外の事態が起きるかもしれない』、「参院選」の結果を見る限り、「区長選の結果」は自民党の内部分裂の結果に過ぎず、「国民の怒りは“沸点”間近」ではなかったことになるのは残念だ。
次に、7月12日付け東洋経済オンラインが掲載した法政大学教授の山口 二郎氏による「日本政治にとって「大転換点」となった参議院選挙 安倍政治が終わり、平和志向の戦後政治も転機を迎えた」を紹介しよう。
・『安倍晋三元首相が遊説中に暗殺されるという衝撃の中で投票日を迎えた今回の参議院選挙は、さまざまな意味で政治の転換の契機となるだろう。 第1は、1989年7月の参院選から始まった政治再編の模索が終わるという点である。 33年前の選挙では、リクルート事件、消費税導入の衝撃の中で、自民党による一党優位体制がほころびを来した。以後30年間、日本政治では選挙制度改革をテコとした政党再編成の試みが繰り返された。自民党が1990年代の危機をしのいで生き残ったために、政党再編のテーマは自民党に対抗する2大政党の一角をつくり出すことに絞られた』、「さまざまな意味で政治の転換の契機となる」とは興味深そうだ。
・『自民党による1党優位体制が続く 民主党政権崩壊後、2大政党の夢はついえたかに見えたが、2015年の安保法制反対運動を起点に選挙協力による野党ブロックの形成という方法で、立憲民主党を軸とした野党結集が進んだ。しかし、昨年秋の衆議院選挙で野党協力は失敗という烙印を押され、2大ブロックの対決という構図はこの参院選では成立しなかった。 衆院選では日本維新の会が躍進し、参院選の比例区でも野党最多の得票を挙げた。また、日本共産党との協力を嫌う国民民主党は予算に賛成し、与党に近づいている。両党は自民党政権を前提として、政権に提案を聞いてもらうことに自らの役割を求めている。政権交代を起こせる大きな野党は幻影となった。 立憲民主党は泉健太代表の下で体制立て直しを図ったが、低迷から抜け出せる展望は開けなかった。今後当分の間、自民党による一党優位体制が続くことになる。) 30年間追求してきた政権交代可能な政党システムというテーマに取り組むためには、立憲民主党を軸に野党を再構築するしかない。その際に重要なのは、連合の役割である。民主党の時代には、連合が支えて政権交代を目指していた。 しかし、芳野友子会長の下では、共産党と協力しないことが強調され、立憲民主党の指導部もそれに同調した。それゆえ、参院選の1人区での戦いも、共産党や市民を巻き込んだものとはならず、前回、前々回のようなエネルギーを生み出せなかった。 すぐに政権交代の道筋を描くことは困難だが、当面、翼賛体制に反対する強い野党の結集に向けて、立憲民主党と連合が方向性を共有することが必要である。選挙協力はその後の話である。 ▽狭い選択の幅の中で議論することになる(第2は、戦後政治に流れてきた平和志向の終わりという点である。 憲法擁護の旗頭だった社会民主党はかろうじて1議席を獲得したが、衰弱は止まっていない。2020年夏に立憲民主党からの合流呼びかけをめぐって分裂したことが響いている。ウクライナ侵攻を受けて安全保障が重要な争点となった選挙で、伝統的な憲法9条擁護の訴えが広い支持を集めることはなかった。今後は、自衛隊と日米安保の運用について狭い選択の幅の中で議論することになるのだろう。 社民党の未来はない。ただ、社民党には地方議員、地方組織があるので、これを有効に生かすべきである。憲法擁護、平等志向で主張が近い立憲民主党に合流し、この党の左側の派閥をつくることが、日本社会党の遺産を日本政治に生かす唯一の方法である。それは野党の軸を再建するためにも必要だ。 第3は、安倍政治の終わりという点である。暗殺によって有力政治家の時代が終わることは、民主主義においてあってはならない。この点は何度も強調しなければならない。それにしても、安倍氏が首相退任後も持論を展開し、自民党内に大きな影響力を振るってきた状況は一変する。) 岸田文雄政権発足後の自民党における政策論議では安倍氏が改憲・防衛力増強や積極財政・金融緩和などのテーマで持論を唱え、党内世論を引っ張った。これに対して岸田首相は慎重に考えるという姿勢を示し、明確な言質を与えずに党内調整を促すという構図であった。 岸田首相が意図的にあいまい戦術を取ってきたことは、次の記事からも明らかである。 <改憲に前向きなのか、そうでもないのか。側近議員の間でも見解は分かれる。「憲法改正は本気。だれもなしえなかったレガシーだ」という見方もあれば、「改憲を押し出す考えはさらさらない。保守層向けの分かりやすいメッセージだ」との声もある。>(朝日新聞・7月5日) 岸田首相は安倍氏の推す防衛事務次官を退任させたことから、防衛力増強という路線を取りながらも安倍流の政策転換と一線を画すサインを出している。安倍氏がいなくなれば、保守派を束ねる次のリーダーは不在となり、岸田首相は自由に行動できるようになる』、「安倍氏」葬儀の国葬化をみると、必ずしも「岸田首相は自由に行動できるようになる」とはいかないようだ。
・『冷静な政策議論を主導できるかどうか 岸田政権にとっての最大の脅威は、世界的インフレが日本を本格的に襲い、国民の不満が高まる中、従来の金融政策が破綻するシナリオである。国民は憲法改正よりも、経済や物価を重視している。国民の意思を理解し、安倍氏の遺志などという感情論を排して現実的な課題に取り組み、冷静な政策論議を主導できるかどうか、岸田首相の力量が問われる。 ただし、自民党の穏健路線に対する攪乱要因がこの参院選で明らかになった。それは、参政党、NHK党という右派ポピュリスト政党が議席を獲得した点である。自民党に飽き足らない急進保守層が析出したことは、日本政治におけるオピニオンの布置状況が右に寄ったことを意味する。 他方、暗殺事件の容疑者は、安倍氏も交流のあった宗教団体に対する怨恨から犯行に及んだと供述している。この団体は、悪徳商法で法外な利益を得たり、若者を洗脳したりと、反社会的活動をしてきた。同時に自民党内にもシンパの政治家を持って、同性婚や選択的夫婦別姓について強硬な反対論の発信源となっていた。 事件の真相解明が日本政治の暗部を暴くことになると、予想外の混乱が起こるかもしれない。ジャーナリズムの力量が問われることになる』、「参政党、NHK党という右派ポピュリスト政党が議席を獲得した点である。自民党に飽き足らない急進保守層が析出したことは、日本政治におけるオピニオンの布置状況が右に寄ったことを意味する」、「暗殺事件の容疑者は、安倍氏も交流のあった宗教団体に対する怨恨から犯行に及んだ」、「この団体は、悪徳商法で法外な利益を得たり、若者を洗脳したりと、反社会的活動をしてきた。同時に自民党内にもシンパの政治家を持って、同性婚や選択的夫婦別姓について強硬な反対論の発信源となっていた。 事件の真相解明が日本政治の暗部を暴くことになると、予想外の混乱が起こるかもしれない。ジャーナリズムの力量が問われることになる」、本件については、昨日のこのブログでも取上げたが、「事件の真相解明」が楽しみだ。
第三に、7月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した室伏政策研究室代表・政策コンサルタントの室伏謙一氏による「立憲民主党はなぜ参院選で大敗した?「提案型野党」が支持されない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/306708
・『7月10日に投開票が行われた参院選は、自民党の大勝に終わった。一方、これに抗するはずの立憲民主党は、現職が何人も落選する惨敗だった。立憲民主党は、なぜここまでの「大敗」を喫してしまったのか、これから何をすればいいのか、徹底検証する』、興味深そうだ。
・『参院選は自民大勝 一方の立民は「大敗」 去る7月10日に投開票が行われた参議院選挙は、自民党の大勝に終わった。これまでの選挙では、「大勝」とはいっても実は自民党の得票数は減っているということがあったが、今回の選挙では、前回の3年前の参院選と比べて、選挙区、比例区ともそれぞれ50万票以上得票数が増えている(もちろん、候補者数の多寡は得票数に関係しているので、厳密に言えば単純比較は難しいともいえるが)。 名実ともに自民党が勝利した今回の参院選、これに抗するはずの立憲民主党はといえば、現職が何人も落選する惨敗であった。得票数については、前回の参院選の時の立憲民主党と、今回の参院選の立憲民主党は形式的には別ものであるが実質的には同じなので、得票数を比較してみると、比例区では110万票以上減らしている。端的に言って大敗である。比例区の結果からすれば、立憲民主党という政党に対する支持も期待も、急落したと言ってしまっていいだろう。 一方で選挙区ではどうかと言えば、前回の参院選に比べて20万票近く増えている。これも候補者数との関係性もあるが、当落を無視して少なくとも候補者個人ベースで考えれば、まだまだ立憲民主党に対する期待や支持は根強くあり、候補者選定や候補者の立て方次第では、これを伸ばすことが可能であるといえよう。 ただ、比例票は大幅に減ったのであるし、躍進したといえるほど議席数を増やすことができなかったどころか、改選議席の維持すらできなかった。このため、立憲民主党は今回の選挙では存在感を示すことができなかったと言っていいだろう。 しかし、その「存在感を示すことができなかった」というのは今回の選挙に始まった話ではないだろう。提案型野党を標榜して登場した泉健太代表体制は、国会での論戦において、批判や追及を極力減らして提案型の質問を行うことを打ち出していった。 これまでの国会であれば、与党の不祥事やスキャンダル追及で予算委員会が空転するといったことが、恒例行事のように見られ、その姿が連日のように大手メディアで取り上げられた。そのことに味をしめた野党議員たちは、スキャンダル追及に血道を上げるようになり、国会の質疑の空洞化が懸念されるようになった。 さらに、反論できない役人を何時間も拘束してつるし上げる「野党ヒアリング」は、格好の「見せ場」として使われた(筆者の先輩や同期も、詳細に答えられる立場にないにもかかわらず「悪役」に仕立て上げられ、理由なくどう喝されていた。その場面を、動画を通して見たときは心が痛んだ)。提案型への転換を図ろうとしたのは、そんなことでは支持は頭打ち、政権交代なんて夢のまた夢とでも思ったからなのだろう。 確かに、故なきどう喝やつるし上げ、過剰なスキャンダル追及はもってのほかであり、国会活動として妥当な範囲を逸脱していることもあるだろうが、本来野党の役割は、政府・与党を追及すること、政府・与党が示した法案や予算案についてその問題点を明らかにして、それを正すよう求めること、何が問題で、わが国の社会経済にどのような影響を与え得るのかを明らかにすること、そして、問題点を解決するには何をすればいいのかを示すこと、である(最後の問題点の解決には、いわゆる対案だけではなく、法案そのものの廃案も含まれる)』、「本来野党の役割は、政府・与党を追及すること、政府・与党が示した法案や予算案についてその問題点を明らかにして、それを正すよう求めること、何が問題で、わが国の社会経済にどのような影響を与え得るのかを明らかにすること、そして、問題点を解決するには何をすればいいのかを示すこと、である」、その通りだ。
・『立憲民主党「泉健太体制」は野党の役割を果たせているのか こうした役割を泉健太体制の立憲民主党は果たせていただろうか。筆者の見るところ、全くではないものの、果たせていたとは言い難い状況だったように思われる。岸田政権は参院選を控えて徹底した「安全運転」を行い、凪(なぎ)の状態を保つことを心掛けていた。ならば野党側が批判・追及という風を起こして波を立てればよかったのだが、それをほとんどしなかった。したがって、先の通常国会では、特定の法案や争点に関して国会の審議の状況が連日伝えられるようなことはなかった。 これで参院選へ突入であるから、今回の選挙結果はさもありなんであろう。 そもそも「提案型」とは、聞こえはいいが、ややもすると単なる与党への迎合になりかねない。筆者はその姿をかつて「第三極」において間近に見てきた。当時、みんなの党はまさにこの「提案型」を標榜し、国会の質疑においては「提案型」の質問が心掛けられたが、首相所信や施政方針に対する代表質問のような、まさしく「見せ場」を除いて、穏やかに追及するか、与党にすり寄るかのような、「提案型」と称した質問が多く見られた。 その「提案」が採用されたとすることをもって、ある種の「成果」とするがごとき風潮も見られた。そもそもその「提案」も与党側が採用可能な範囲のものであり、筆者の目には迎合としか映らなかった(一方で、参院経由で国会に提出された議員立法は、ほとんどが与党が採用困難な「高めの球」ばかりであった)。 先の通常国会における泉健太体制下の立憲民主党は、まるで迎合を「提案」と言い換えていたかつてのみんなの党のようであった。それでもみんなの党は政策の柱が分かりやすく立っていたので支持を集めたが、現在の立憲民主党は、それすらも分かりにくい。それでは、今後もひたすら埋没への道を歩むだけであろう』、「当時、みんなの党はまさにこの「提案型」を標榜し、国会の質疑においては「提案型」の質問が心掛けられたが、首相所信や施政方針に対する代表質問のような、まさしく「見せ場」を除いて、穏やかに追及するか、与党にすり寄るかのような、「提案型」と称した質問が多く見られた。 その「提案」が採用されたとすることをもって、ある種の「成果」とするがごとき風潮も見られた。そもそもその「提案」も与党側が採用可能な範囲のものであり、筆者の目には迎合としか映らなかった」、「先の通常国会における泉健太体制下の立憲民主党は、まるで迎合を「提案」と言い換えていたかつてのみんなの党のようであった」、「今後もひたすら埋没への道を歩むだけであろう」、「みんなの党」の「提案型」を見てきただけに説得力がある。
・『中途半端な「提案型」は放棄して徹底した対立野党を目指すべき 今回の参院選の結果を受けて、立憲民主党内で、泉降ろしや党内政局の動きが出ているとは聞いていない。もっとも、当選期数の多い、いわゆるベテラン議員たちはいきり立っているようである。党勢の立て直しは必要であるとしても、お家騒動をやっているようでは、国民の支持はさらに離れていくことになり、「とりあえず与党」という消極的な岸田政権への支持を増やすことに貢献するだけだろう。加えて、風見鶏議員の離党によって、野党第一党の地位を失うことにもなりかねない。 もし、立憲民主党が多くの国民から期待を寄せられる野党になりたいのであれば、中途半端な「提案型」姿勢は放棄して、徹底した対立野党、政権批判・追及野党に生まれ変わるべきであろう。 ただしそのためには、スキャンダル追及に価値を置くのではなく、委員会にかかわらず、つまり目立つ・目立たないにかかわらず、与党の提示する法案や予算案についてしっかり分析した上で、具体的かつ詳細な委員会質疑をすることに価値を置き、これを行う姿勢を明確に打ち出すことが必要だ。そしてそれが可能なように、当選期数に関係なく政策に明るい議員が泉健太代表を支える体制を創出することが求められる。 これまでも立憲民主党では、スキャンダル追及や目立つ質問が上手い議員を、予算委員会の質疑、特にテレビ入りの質疑においては優先して質疑に立てる傾向があったが、これも改める必要があろう(端的に言って、これは民主党系のあしき風習であるが)。 野党が批判姿勢を明確にし、かつ質の高い質問をぶつけてくるようになれば、与党も活性化し、党内議論もさらに活発化することにつながり、日本の政治の質の向上に資することになろう。 まさにこの手の「提案」を立憲民主党が受け入れるか否かに、同党の将来がかかっている、と筆者は勝手に考えている』、「立憲民主党が多くの国民から期待を寄せられる野党になりたいのであれば、中途半端な「提案型」姿勢は放棄して、徹底した対立野党、政権批判・追及野党に生まれ変わるべきであろう。 ただしそのためには、スキャンダル追及に価値を置くのではなく、委員会にかかわらず、つまり目立つ・目立たないにかかわらず、与党の提示する法案や予算案についてしっかり分析した上で、具体的かつ詳細な委員会質疑をすることに価値を置き、これを行う姿勢を明確に打ち出すことが必要だ。そしてそれが可能なように、当選期数に関係なく政策に明るい議員が泉健太代表を支える体制を創出することが求められる」、私も「立憲民主党」の「提案型」への取り組みには違和感を感じてきたが、この室伏氏の提案には全く同感である。「立憲民主党」の議員もこの記事を読んでいる筈なので、「中途半端な「提案型」姿勢は放棄して、徹底した対立野党、政権批判・追及野党に生まれ変わるべきであろう」、「与党の提示する法案や予算案についてしっかり分析した上で、具体的かつ詳細な委員会質疑をすることに価値を置き、これを行う姿勢を明確に打ち出すことが必要だ」、一刻も早く方向転換してほしいものだ。
先ずは、6月21日付け日刊ゲンダイ「杉並区長選で野党共闘まさか勝利 岸田自民が恐れる“ノブテルの呪い”と参院選敗北の予兆」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/307069
・『まさかの結果だ。20日開票された東京都杉並区の区長選挙。自公がバックアップした現職の田中良氏(61=当選3回)が、野党統一候補の岸本聡子氏(47)に約190票差で敗れたのだ。 杉並区といえば、有権者に嫌われ、昨年の衆院選で落選した石原伸晃・自民党元幹事長の地盤。田中区長と伸晃氏は蜜月関係だけに、「敗因はノブテルの呪いか」なんて声も上がっている。想定外の結果に、岸田首相の周辺は、国民の怒りのマグマがたまっているのではないか、と疑念を強めている。 今回、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党が推薦し、初当選した岸本氏は、オランダの政策研究NGOの研究員。田中区政が進めた駅前再開発などについて「いったん立ち止まって、住民とともに考える」と訴えてきた。 フリーランスライターの畠山理仁氏は、「岸本氏は有権者の声に耳を傾け、選挙中に政策をバージョンアップさせるなど、従来の野党の戦い方とは全く別物だった」とみる。 「昨年、衆院選で伸晃氏を破った立憲の吉田晴美衆院議員が連日、応援に入ると、徐々に追い上げムードが高まっていった。最終的に蓮舫参院議員や枝野前代表ら大物が応援に入るなど、国政選挙並みの力の入れようでした。れいわ新選組の山本太郎代表も駆けつけ、勢いは十分だった」(野党関係者) 一方、田中陣営は、自民党の国会議員が応援に入ったが、杉並区議会の自民会派が「親田中派」と「反田中派」に分裂し、足並みが揃わなかったという。 自民党は、現職区長が無名の野党候補に負けただけでなく、区長選と一緒に行われた区議補選で票を減らしたことも不安材料とみているという。自民新人が当選したものの、前回2018年の区議補選の時に獲得した4万3000票から、1万6000票も減らしている』、「現職の田中良氏(61=当選3回)が、野党統一候補の岸本聡子氏(47)に約190票差で敗れた」、「杉並区議会の自民会派が「親田中派」と「反田中派」に分裂し、足並みが揃わなかった」、その割には「約190票差」とはいささか寂しい。
・『国民の怒りは“沸点”間近 実際、区長選と補選は、物価高や生活苦を一向に解消できない政権与党に対する世論が反映された可能性がある。 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。 「物価高で国民の生活は苦しくなっているのに、『検討する』としか言わない岸田首相への怒りが募るのは当然です。世論調査でも内閣支持率は下がり、政府の物価高対策を『評価しない』という声が大きくなっています。今回の区長選の結果は、これまで声を上げなかった国民の怒りがジワジワと高まっていることを示している可能性があります。参院選に向けて、自民党はこの流れが続くのを恐れているに違いありません」 昨年の衆院選では、自民党の“象徴”的存在だった伸晃氏がまさかの落選を喫し、自民党に衝撃が走った。この参院選では予想外の事態が起きるかもしれない』、「参院選」の結果を見る限り、「区長選の結果」は自民党の内部分裂の結果に過ぎず、「国民の怒りは“沸点”間近」ではなかったことになるのは残念だ。
次に、7月12日付け東洋経済オンラインが掲載した法政大学教授の山口 二郎氏による「日本政治にとって「大転換点」となった参議院選挙 安倍政治が終わり、平和志向の戦後政治も転機を迎えた」を紹介しよう。
・『安倍晋三元首相が遊説中に暗殺されるという衝撃の中で投票日を迎えた今回の参議院選挙は、さまざまな意味で政治の転換の契機となるだろう。 第1は、1989年7月の参院選から始まった政治再編の模索が終わるという点である。 33年前の選挙では、リクルート事件、消費税導入の衝撃の中で、自民党による一党優位体制がほころびを来した。以後30年間、日本政治では選挙制度改革をテコとした政党再編成の試みが繰り返された。自民党が1990年代の危機をしのいで生き残ったために、政党再編のテーマは自民党に対抗する2大政党の一角をつくり出すことに絞られた』、「さまざまな意味で政治の転換の契機となる」とは興味深そうだ。
・『自民党による1党優位体制が続く 民主党政権崩壊後、2大政党の夢はついえたかに見えたが、2015年の安保法制反対運動を起点に選挙協力による野党ブロックの形成という方法で、立憲民主党を軸とした野党結集が進んだ。しかし、昨年秋の衆議院選挙で野党協力は失敗という烙印を押され、2大ブロックの対決という構図はこの参院選では成立しなかった。 衆院選では日本維新の会が躍進し、参院選の比例区でも野党最多の得票を挙げた。また、日本共産党との協力を嫌う国民民主党は予算に賛成し、与党に近づいている。両党は自民党政権を前提として、政権に提案を聞いてもらうことに自らの役割を求めている。政権交代を起こせる大きな野党は幻影となった。 立憲民主党は泉健太代表の下で体制立て直しを図ったが、低迷から抜け出せる展望は開けなかった。今後当分の間、自民党による一党優位体制が続くことになる。) 30年間追求してきた政権交代可能な政党システムというテーマに取り組むためには、立憲民主党を軸に野党を再構築するしかない。その際に重要なのは、連合の役割である。民主党の時代には、連合が支えて政権交代を目指していた。 しかし、芳野友子会長の下では、共産党と協力しないことが強調され、立憲民主党の指導部もそれに同調した。それゆえ、参院選の1人区での戦いも、共産党や市民を巻き込んだものとはならず、前回、前々回のようなエネルギーを生み出せなかった。 すぐに政権交代の道筋を描くことは困難だが、当面、翼賛体制に反対する強い野党の結集に向けて、立憲民主党と連合が方向性を共有することが必要である。選挙協力はその後の話である。 ▽狭い選択の幅の中で議論することになる(第2は、戦後政治に流れてきた平和志向の終わりという点である。 憲法擁護の旗頭だった社会民主党はかろうじて1議席を獲得したが、衰弱は止まっていない。2020年夏に立憲民主党からの合流呼びかけをめぐって分裂したことが響いている。ウクライナ侵攻を受けて安全保障が重要な争点となった選挙で、伝統的な憲法9条擁護の訴えが広い支持を集めることはなかった。今後は、自衛隊と日米安保の運用について狭い選択の幅の中で議論することになるのだろう。 社民党の未来はない。ただ、社民党には地方議員、地方組織があるので、これを有効に生かすべきである。憲法擁護、平等志向で主張が近い立憲民主党に合流し、この党の左側の派閥をつくることが、日本社会党の遺産を日本政治に生かす唯一の方法である。それは野党の軸を再建するためにも必要だ。 第3は、安倍政治の終わりという点である。暗殺によって有力政治家の時代が終わることは、民主主義においてあってはならない。この点は何度も強調しなければならない。それにしても、安倍氏が首相退任後も持論を展開し、自民党内に大きな影響力を振るってきた状況は一変する。) 岸田文雄政権発足後の自民党における政策論議では安倍氏が改憲・防衛力増強や積極財政・金融緩和などのテーマで持論を唱え、党内世論を引っ張った。これに対して岸田首相は慎重に考えるという姿勢を示し、明確な言質を与えずに党内調整を促すという構図であった。 岸田首相が意図的にあいまい戦術を取ってきたことは、次の記事からも明らかである。 <改憲に前向きなのか、そうでもないのか。側近議員の間でも見解は分かれる。「憲法改正は本気。だれもなしえなかったレガシーだ」という見方もあれば、「改憲を押し出す考えはさらさらない。保守層向けの分かりやすいメッセージだ」との声もある。>(朝日新聞・7月5日) 岸田首相は安倍氏の推す防衛事務次官を退任させたことから、防衛力増強という路線を取りながらも安倍流の政策転換と一線を画すサインを出している。安倍氏がいなくなれば、保守派を束ねる次のリーダーは不在となり、岸田首相は自由に行動できるようになる』、「安倍氏」葬儀の国葬化をみると、必ずしも「岸田首相は自由に行動できるようになる」とはいかないようだ。
・『冷静な政策議論を主導できるかどうか 岸田政権にとっての最大の脅威は、世界的インフレが日本を本格的に襲い、国民の不満が高まる中、従来の金融政策が破綻するシナリオである。国民は憲法改正よりも、経済や物価を重視している。国民の意思を理解し、安倍氏の遺志などという感情論を排して現実的な課題に取り組み、冷静な政策論議を主導できるかどうか、岸田首相の力量が問われる。 ただし、自民党の穏健路線に対する攪乱要因がこの参院選で明らかになった。それは、参政党、NHK党という右派ポピュリスト政党が議席を獲得した点である。自民党に飽き足らない急進保守層が析出したことは、日本政治におけるオピニオンの布置状況が右に寄ったことを意味する。 他方、暗殺事件の容疑者は、安倍氏も交流のあった宗教団体に対する怨恨から犯行に及んだと供述している。この団体は、悪徳商法で法外な利益を得たり、若者を洗脳したりと、反社会的活動をしてきた。同時に自民党内にもシンパの政治家を持って、同性婚や選択的夫婦別姓について強硬な反対論の発信源となっていた。 事件の真相解明が日本政治の暗部を暴くことになると、予想外の混乱が起こるかもしれない。ジャーナリズムの力量が問われることになる』、「参政党、NHK党という右派ポピュリスト政党が議席を獲得した点である。自民党に飽き足らない急進保守層が析出したことは、日本政治におけるオピニオンの布置状況が右に寄ったことを意味する」、「暗殺事件の容疑者は、安倍氏も交流のあった宗教団体に対する怨恨から犯行に及んだ」、「この団体は、悪徳商法で法外な利益を得たり、若者を洗脳したりと、反社会的活動をしてきた。同時に自民党内にもシンパの政治家を持って、同性婚や選択的夫婦別姓について強硬な反対論の発信源となっていた。 事件の真相解明が日本政治の暗部を暴くことになると、予想外の混乱が起こるかもしれない。ジャーナリズムの力量が問われることになる」、本件については、昨日のこのブログでも取上げたが、「事件の真相解明」が楽しみだ。
第三に、7月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した室伏政策研究室代表・政策コンサルタントの室伏謙一氏による「立憲民主党はなぜ参院選で大敗した?「提案型野党」が支持されない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/306708
・『7月10日に投開票が行われた参院選は、自民党の大勝に終わった。一方、これに抗するはずの立憲民主党は、現職が何人も落選する惨敗だった。立憲民主党は、なぜここまでの「大敗」を喫してしまったのか、これから何をすればいいのか、徹底検証する』、興味深そうだ。
・『参院選は自民大勝 一方の立民は「大敗」 去る7月10日に投開票が行われた参議院選挙は、自民党の大勝に終わった。これまでの選挙では、「大勝」とはいっても実は自民党の得票数は減っているということがあったが、今回の選挙では、前回の3年前の参院選と比べて、選挙区、比例区ともそれぞれ50万票以上得票数が増えている(もちろん、候補者数の多寡は得票数に関係しているので、厳密に言えば単純比較は難しいともいえるが)。 名実ともに自民党が勝利した今回の参院選、これに抗するはずの立憲民主党はといえば、現職が何人も落選する惨敗であった。得票数については、前回の参院選の時の立憲民主党と、今回の参院選の立憲民主党は形式的には別ものであるが実質的には同じなので、得票数を比較してみると、比例区では110万票以上減らしている。端的に言って大敗である。比例区の結果からすれば、立憲民主党という政党に対する支持も期待も、急落したと言ってしまっていいだろう。 一方で選挙区ではどうかと言えば、前回の参院選に比べて20万票近く増えている。これも候補者数との関係性もあるが、当落を無視して少なくとも候補者個人ベースで考えれば、まだまだ立憲民主党に対する期待や支持は根強くあり、候補者選定や候補者の立て方次第では、これを伸ばすことが可能であるといえよう。 ただ、比例票は大幅に減ったのであるし、躍進したといえるほど議席数を増やすことができなかったどころか、改選議席の維持すらできなかった。このため、立憲民主党は今回の選挙では存在感を示すことができなかったと言っていいだろう。 しかし、その「存在感を示すことができなかった」というのは今回の選挙に始まった話ではないだろう。提案型野党を標榜して登場した泉健太代表体制は、国会での論戦において、批判や追及を極力減らして提案型の質問を行うことを打ち出していった。 これまでの国会であれば、与党の不祥事やスキャンダル追及で予算委員会が空転するといったことが、恒例行事のように見られ、その姿が連日のように大手メディアで取り上げられた。そのことに味をしめた野党議員たちは、スキャンダル追及に血道を上げるようになり、国会の質疑の空洞化が懸念されるようになった。 さらに、反論できない役人を何時間も拘束してつるし上げる「野党ヒアリング」は、格好の「見せ場」として使われた(筆者の先輩や同期も、詳細に答えられる立場にないにもかかわらず「悪役」に仕立て上げられ、理由なくどう喝されていた。その場面を、動画を通して見たときは心が痛んだ)。提案型への転換を図ろうとしたのは、そんなことでは支持は頭打ち、政権交代なんて夢のまた夢とでも思ったからなのだろう。 確かに、故なきどう喝やつるし上げ、過剰なスキャンダル追及はもってのほかであり、国会活動として妥当な範囲を逸脱していることもあるだろうが、本来野党の役割は、政府・与党を追及すること、政府・与党が示した法案や予算案についてその問題点を明らかにして、それを正すよう求めること、何が問題で、わが国の社会経済にどのような影響を与え得るのかを明らかにすること、そして、問題点を解決するには何をすればいいのかを示すこと、である(最後の問題点の解決には、いわゆる対案だけではなく、法案そのものの廃案も含まれる)』、「本来野党の役割は、政府・与党を追及すること、政府・与党が示した法案や予算案についてその問題点を明らかにして、それを正すよう求めること、何が問題で、わが国の社会経済にどのような影響を与え得るのかを明らかにすること、そして、問題点を解決するには何をすればいいのかを示すこと、である」、その通りだ。
・『立憲民主党「泉健太体制」は野党の役割を果たせているのか こうした役割を泉健太体制の立憲民主党は果たせていただろうか。筆者の見るところ、全くではないものの、果たせていたとは言い難い状況だったように思われる。岸田政権は参院選を控えて徹底した「安全運転」を行い、凪(なぎ)の状態を保つことを心掛けていた。ならば野党側が批判・追及という風を起こして波を立てればよかったのだが、それをほとんどしなかった。したがって、先の通常国会では、特定の法案や争点に関して国会の審議の状況が連日伝えられるようなことはなかった。 これで参院選へ突入であるから、今回の選挙結果はさもありなんであろう。 そもそも「提案型」とは、聞こえはいいが、ややもすると単なる与党への迎合になりかねない。筆者はその姿をかつて「第三極」において間近に見てきた。当時、みんなの党はまさにこの「提案型」を標榜し、国会の質疑においては「提案型」の質問が心掛けられたが、首相所信や施政方針に対する代表質問のような、まさしく「見せ場」を除いて、穏やかに追及するか、与党にすり寄るかのような、「提案型」と称した質問が多く見られた。 その「提案」が採用されたとすることをもって、ある種の「成果」とするがごとき風潮も見られた。そもそもその「提案」も与党側が採用可能な範囲のものであり、筆者の目には迎合としか映らなかった(一方で、参院経由で国会に提出された議員立法は、ほとんどが与党が採用困難な「高めの球」ばかりであった)。 先の通常国会における泉健太体制下の立憲民主党は、まるで迎合を「提案」と言い換えていたかつてのみんなの党のようであった。それでもみんなの党は政策の柱が分かりやすく立っていたので支持を集めたが、現在の立憲民主党は、それすらも分かりにくい。それでは、今後もひたすら埋没への道を歩むだけであろう』、「当時、みんなの党はまさにこの「提案型」を標榜し、国会の質疑においては「提案型」の質問が心掛けられたが、首相所信や施政方針に対する代表質問のような、まさしく「見せ場」を除いて、穏やかに追及するか、与党にすり寄るかのような、「提案型」と称した質問が多く見られた。 その「提案」が採用されたとすることをもって、ある種の「成果」とするがごとき風潮も見られた。そもそもその「提案」も与党側が採用可能な範囲のものであり、筆者の目には迎合としか映らなかった」、「先の通常国会における泉健太体制下の立憲民主党は、まるで迎合を「提案」と言い換えていたかつてのみんなの党のようであった」、「今後もひたすら埋没への道を歩むだけであろう」、「みんなの党」の「提案型」を見てきただけに説得力がある。
・『中途半端な「提案型」は放棄して徹底した対立野党を目指すべき 今回の参院選の結果を受けて、立憲民主党内で、泉降ろしや党内政局の動きが出ているとは聞いていない。もっとも、当選期数の多い、いわゆるベテラン議員たちはいきり立っているようである。党勢の立て直しは必要であるとしても、お家騒動をやっているようでは、国民の支持はさらに離れていくことになり、「とりあえず与党」という消極的な岸田政権への支持を増やすことに貢献するだけだろう。加えて、風見鶏議員の離党によって、野党第一党の地位を失うことにもなりかねない。 もし、立憲民主党が多くの国民から期待を寄せられる野党になりたいのであれば、中途半端な「提案型」姿勢は放棄して、徹底した対立野党、政権批判・追及野党に生まれ変わるべきであろう。 ただしそのためには、スキャンダル追及に価値を置くのではなく、委員会にかかわらず、つまり目立つ・目立たないにかかわらず、与党の提示する法案や予算案についてしっかり分析した上で、具体的かつ詳細な委員会質疑をすることに価値を置き、これを行う姿勢を明確に打ち出すことが必要だ。そしてそれが可能なように、当選期数に関係なく政策に明るい議員が泉健太代表を支える体制を創出することが求められる。 これまでも立憲民主党では、スキャンダル追及や目立つ質問が上手い議員を、予算委員会の質疑、特にテレビ入りの質疑においては優先して質疑に立てる傾向があったが、これも改める必要があろう(端的に言って、これは民主党系のあしき風習であるが)。 野党が批判姿勢を明確にし、かつ質の高い質問をぶつけてくるようになれば、与党も活性化し、党内議論もさらに活発化することにつながり、日本の政治の質の向上に資することになろう。 まさにこの手の「提案」を立憲民主党が受け入れるか否かに、同党の将来がかかっている、と筆者は勝手に考えている』、「立憲民主党が多くの国民から期待を寄せられる野党になりたいのであれば、中途半端な「提案型」姿勢は放棄して、徹底した対立野党、政権批判・追及野党に生まれ変わるべきであろう。 ただしそのためには、スキャンダル追及に価値を置くのではなく、委員会にかかわらず、つまり目立つ・目立たないにかかわらず、与党の提示する法案や予算案についてしっかり分析した上で、具体的かつ詳細な委員会質疑をすることに価値を置き、これを行う姿勢を明確に打ち出すことが必要だ。そしてそれが可能なように、当選期数に関係なく政策に明るい議員が泉健太代表を支える体制を創出することが求められる」、私も「立憲民主党」の「提案型」への取り組みには違和感を感じてきたが、この室伏氏の提案には全く同感である。「立憲民主党」の議員もこの記事を読んでいる筈なので、「中途半端な「提案型」姿勢は放棄して、徹底した対立野党、政権批判・追及野党に生まれ変わるべきであろう」、「与党の提示する法案や予算案についてしっかり分析した上で、具体的かつ詳細な委員会質疑をすることに価値を置き、これを行う姿勢を明確に打ち出すことが必要だ」、一刻も早く方向転換してほしいものだ。
タグ:日本の政治情勢 (その62)(杉並区長選で野党共闘まさか勝利 岸田自民が恐れる“ノブテルの呪い”と参院選敗北の予兆、日本政治にとって「大転換点」となった参議院選挙 安倍政治が終わり 平和志向の戦後政治も転機を迎えた、立憲民主党はなぜ参院選で大敗した?「提案型野党」が支持されない理由) 日刊ゲンダイ「杉並区長選で野党共闘まさか勝利 岸田自民が恐れる“ノブテルの呪い”と参院選敗北の予兆」 「現職の田中良氏(61=当選3回)が、野党統一候補の岸本聡子氏(47)に約190票差で敗れた」、「杉並区議会の自民会派が「親田中派」と「反田中派」に分裂し、足並みが揃わなかった」、その割には「約190票差」とはいささか寂しい。 「参院選」の結果を見る限り、「区長選の結果」は自民党の内部分裂の結果に過ぎず、「国民の怒りは“沸点”間近」ではなかったことになるのは残念だ。 東洋経済オンライン 山口 二郎氏による「日本政治にとって「大転換点」となった参議院選挙 安倍政治が終わり、平和志向の戦後政治も転機を迎えた」 「さまざまな意味で政治の転換の契機となる」とは興味深そうだ。 「安倍氏」葬儀の国葬化をみると、必ずしも「岸田首相は自由に行動できるようになる」とはいかないようだ。 「参政党、NHK党という右派ポピュリスト政党が議席を獲得した点である。自民党に飽き足らない急進保守層が析出したことは、日本政治におけるオピニオンの布置状況が右に寄ったことを意味する」、「暗殺事件の容疑者は、安倍氏も交流のあった宗教団体に対する怨恨から犯行に及んだ」、「この団体は、悪徳商法で法外な利益を得たり、若者を洗脳したりと、反社会的活動をしてきた。同時に自民党内にもシンパの政治家を持って、同性婚や選択的夫婦別姓について強硬な反対論の発信源となっていた。 事件の真相解明が日本政治の暗部を暴くことになると ダイヤモンド・オンライン 室伏謙一氏による「立憲民主党はなぜ参院選で大敗した?「提案型野党」が支持されない理由」 「本来野党の役割は、政府・与党を追及すること、政府・与党が示した法案や予算案についてその問題点を明らかにして、それを正すよう求めること、何が問題で、わが国の社会経済にどのような影響を与え得るのかを明らかにすること、そして、問題点を解決するには何をすればいいのかを示すこと、である」、その通りだ。 「当時、みんなの党はまさにこの「提案型」を標榜し、国会の質疑においては「提案型」の質問が心掛けられたが、首相所信や施政方針に対する代表質問のような、まさしく「見せ場」を除いて、穏やかに追及するか、与党にすり寄るかのような、「提案型」と称した質問が多く見られた。 その「提案」が採用されたとすることをもって、ある種の「成果」とするがごとき風潮も見られた。そもそもその「提案」も与党側が採用可能な範囲のものであり、筆者の目には迎合としか映らなかった」、「先の通常国会における泉健太体制下の立憲民主党は、まるで迎合を 「立憲民主党が多くの国民から期待を寄せられる野党になりたいのであれば、中途半端な「提案型」姿勢は放棄して、徹底した対立野党、政権批判・追及野党に生まれ変わるべきであろう。 ただしそのためには、スキャンダル追及に価値を置くのではなく、委員会にかかわらず、つまり目立つ・目立たないにかかわらず、与党の提示する法案や予算案についてしっかり分析した上で、具体的かつ詳細な委員会質疑をすることに価値を置き、これを行う姿勢を明確に打ち出すことが必要だ。そしてそれが可能なように、当選期数に関係なく政策に明るい議員が泉健太代 泉健太代表を支える体制を創出することが求められる」、私も「立憲民主党」の「提案型」への取り組みには違和感を感じてきたが、この室伏氏の提案には全く同感である。「立憲民主党」の議員もこの記事を読んでいる筈なので、「中途半端な「提案型」姿勢は放棄して、徹底した対立野党、政権批判・追及野党に生まれ変わるべきであろう」、「与党の提示する法案や予算案についてしっかり分析した上で、具体的かつ詳細な委員会質疑をすることに価値を置き、これを行う姿勢を明確に打ち出すことが必要だ」、一刻も早く方向転換してほしいものだ。