SSブログ

異次元緩和政策(その42)(【翁邦雄・元日銀金融研究所所長に聞く】インフレはそれ以上に賃上げ率を高める という幻想 国民の求める「物価安定」とは何かを考え直す、次元緩和を問う⑥ 財政政策に入り込む中央銀行=翁百合、金利抑制を巡る日本銀行と海外ファンドの死闘 制するのはどちらか 過去には先進国の中央銀行が敗退も、円安に国民が苦しんでるのに それでも日銀が「金利を引き上げられない」4つの理由) [経済政策]

異次元緩和政策については、4月26日に取上げた。今日は、(その42)(【翁邦雄・元日銀金融研究所所長に聞く】インフレはそれ以上に賃上げ率を高める という幻想 国民の求める「物価安定」とは何かを考え直す、次元緩和を問う⑥ 財政政策に入り込む中央銀行=翁百合、金利抑制を巡る日本銀行と海外ファンドの死闘 制するのはどちらか 過去には先進国の中央銀行が敗退も、円安に国民が苦しんでるのに それでも日銀が「金利を引き上げられない」4つの理由)である。

先ずは、6月22日付けダイヤモンド・オンライン「【翁邦雄・元日銀金融研究所所長に聞く】インフレはそれ以上に賃上げ率を高める、という幻想。国民の求める「物価安定」とは何かを考え直す」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/305144
・『黒田日銀総裁が2013年に就任した際「グローバル・スタンダード」と強調していた2%のインフレ目標。ようやくそれに達しようとしている今、国民の強い反発にさらされている。いま、国民の求めている「物価安定」とはなにかをもう一度考える必要がある』、「翁邦雄」氏の理論的見方とは興味深そうだ。
・『「家計は値上げ許容」発言への強い反発  2022年6月6日、黒田東彦・日本銀行総裁は、講演で「家計が値上げを受け入れている」と述べた。 この黒田総裁の発言に対しては、Twitterでは「#値上げ受け入れていません」というハッシュタグがトレンド入りして大きな話題になるなど、世間から強い反発があり、黒田総裁は発言撤回に追い込まれた。 6月15日、岸田文雄総理は国会閉幕後に記者会見し、物価高や景気対策のため「物価・賃金・生活総合対策本部」を設置すると明らかにし、みずからが本部長に就く、とした。物価高騰については、「最大限の警戒感を持って対応する」と述べ、「迅速かつ総合的な対応策を検討し、断固として国民生活を守り抜く」とした。 黒田総裁は2013年の就任記者会見で「2%の物価目標をできるだけ早期に実現するということが、日本銀行にとって最大の使命」とし、そのために採用したのが異次元緩和だった。また、2%のインフレ目標は「グローバル・スタンダード」であることも強調し続けている。 それから9年経って、ようやくインフレ率が2%に達したときに、政府が物価高騰対策に奔走し、物価高が参議院選挙の争点になっている状況をどう整理したらよいのだろうか。日本の物価安定目標のどこに齟齬があるのか。それを考えるうえでは、国民の求めている「物価安定」とはなにかをもう一度考える必要がある』、「国民の求めている「物価安定」とはなにかをもう一度考える必要がある」、その通りだ。
・『「物価安定」とはインフレを気にしなくて済むこと  黒田総裁が「グローバル・スタンダード」としてしばしば主張するように、現在、多くの国で2%程度の消費者物価上昇率を物価安定目標としている。この指標は、経済を定量的に捉えたい経済学者や、日々モニターで物価指数の動向をフォローしているようなエコノミストには、わかりやすく受け入れやすい、というメリットもある。 しかし、一般国民にとっては必ずしもそうではない。 普通の人々が日々、消費者物価指数の定義に沿って物価上昇率を計算したり、その上昇率を予想したりして暮らしているはずはないからだ。一般国民にとっての物価安定は、FRB議長時代のアラン・グリーンスパンが定義したようにむしろ物価上昇を気にかけなくてよい状況だろう(グリーンスパンは物価安定を「人々が、経済的な意思決定における一般物価の予想される変化を考慮しなくなったときに得られる」と定義した)。 こうした物価安定の考え方は、数値的な定義よりも日常的である。多くの人が健康だと感じるのは、痛みや食欲、睡眠などの異常がなく、健康を意識しなくてよい状態であり、血圧や体温など特定のバイタル・データに集約するのは難しい。金融についても金融システムの安定は、人々が銀行の経営に無関心でいられる状態であり、必ずしも一定以上の銀行の自己資本比率によって得られるものではない』、「一般国民にとっての物価安定は、FRB議長時代のアラン・グリーンスパンが定義したようにむしろ物価上昇を気にかけなくてよい状況だろう」、さすが説得力がある。
・『家計の収入が高く伸びれば2%程度のインフレは気にならない  どのような状況なら、人々は2%のインフレを気にかけないのだろうか。 もし、賃金が毎年数%ベアで上がっており、退職世代の年金についても物価スライドにより実質価値が保証され、十分に金利が高く金利収入が確保できたりしていれば、家計は2%程度の物価上昇をあまり気にしないだろう。 しかし、日本のように家計を支える収入がじりじり下がる世界では、物価が1%上がるような状態にも強い抵抗感を持ちがちになることが予想される。四半世紀を超えてゼロインフレが続いてきた日本では、それが社会規範になっている、との見解も見られるが、その背景には、こうした構造があるだろう』、「もし、賃金が毎年数%ベアで上がっており、退職世代の年金についても物価スライドにより実質価値が保証され、十分に金利が高く金利収入が確保できたりしていれば、家計は2%程度の物価上昇をあまり気にしないだろう。 しかし、日本のように家計を支える収入がじりじり下がる世界では、物価が1%上がるような状態にも強い抵抗感を持ちがちになることが予想される」、その通りだ。
・『「インフレはそれ以上に賃上げ率を高める」という幻想  これらのことを踏まえて、異次元緩和の出発時点の状況を振り返ってみよう。異次元緩和が始まったのは2013年4月である。その約1ヵ月後の5月7日、内閣府が出した経済財政諮問会議提出資料はこの点で興味深い。 この資料では、「海外をみると、物価安定目標を設定するなどして、2%程度の物価安定に向けて取り組んでいる国々では、名目賃金上昇率が物価上昇率と同水準、あるいはそれを上回る傾向にある」とされている。 そして、2000年以降のいくつかの国の具体的数字(米国では名目賃金上昇率は3.3%で消費者物価上昇率は2.5%、英国では名目賃金上昇率は3.3%で消費者物価上昇率は2.2%等)を挙げている。これらの国では、賃金上昇率が物価上昇率を上回っていた。しかし日本については、この期間、これらの国に比べ物価上昇率が相対的に低いだけでなく、名目賃金が消費者物価下落率(マイナス0.3%)をかなり上回って下落していた(マイナス0.8%)、という点で他国と大きく状況が異なっていたことが分かる。 内閣府資料は当時、政府が、日本が2%の物価安定目標を達成すれば、なんらかの理由で2%以上に賃金率が上がり他の主要先進国と同じ好循環が起きる、という期待を寄せていたことがうかがえる。 ただし、その根拠は金融政策には内在しない。そもそも、先行してインフレ率を上げれば、それ以上に賃金上昇率が高まるというシナリオは、現実には大きな弱点を抱える。インフレ率が賃金上昇率を上回る状況では実質所得が目減りするから家計の生活防衛意識が高まり、需要の6割を占める個人消費が減少して経済全体が失速しかねないからだ。 ちなみに、黒田総裁も、異次元緩和導入の約1年後の2014年3月の講演で賃金について触れている。そこでは、内閣府資料ほど楽観的な期待を示していたわけではない。しかし、賃金が上昇せずに、物価だけが上昇するということは、普通には起こらない、物価の上昇に伴って、労働者の取り分である労働分配率が下がり続けることになってしまうからであり、こうしたことは、一時的にはともかく、たぶん長く続くとは考えられない、と述べている。つまり、物価上昇を許容していればいつかは賃金上昇が追いかけはじめるだろう、という前提で、異次元緩和への理解を訴えていたことになる。 しかし、賃金・実質所得が上がらない状況では人々は値上げに対し寛容になることはなく、生活防衛的に反応し続けた。ゼロインフレは社会規範として定着し、日銀の「物価安定への取り組み」への認知度はじりじり下がり続けた』、「米国」や「英国」では「賃金上昇率が物価上昇率を上回っていた」が、「日本では」「物価上昇率が相対的に低いだけでなく、名目賃金が消費者物価下落率(マイナス0.3%)をかなり上回って下落していた(マイナス0.8%)、という点で他国と大きく状況が異なっていた」、「賃金・実質所得が上がらない状況では人々は値上げに対し寛容になることはなく、生活防衛的に反応し続けた。ゼロインフレは社会規範として定着し、日銀の「物価安定への取り組み」への認知度はじりじり下がり続けた」、米英と環境が大きく異なっていたようだ。
・『家計への共感の欠落がもたらす政策への逆風  日銀が家計や中小企業の懸念に敏感でないのは、マクロの視点に立ち、日本全体があたかも「一人の経済主体」であるように擬制したロジックで経済を捉えていることも一因だろう。 このことは、現在、大きな懸念を持たれ始めている円安による輸入物価の上昇の影響についての黒田総裁の説明にも表れている。 黒田総裁は6月6日の「きさらぎ会」の講演で「わが国の交易条件悪化の主因は、あくまでもドル建ての資源価格の上昇であって、為替円安ではありません。ドル建ての資源価格の上昇は、輸入物価だけを上昇させますが、為替円安は、輸出物価と輸入物価をともに押し上げるため、交易条件に対し概ねニュートラルです」と述べている。 しかし、輸出物価上昇の恩恵を受けるのは輸出企業であり、輸入物価上昇によって生活を直撃されるのは家計等である。あたかも同じ一人の主体が右手で恩恵を受け、左手で損失を被り、差し引きの影響がほぼゼロ、というようなロジックは、一方的に負担増に直面している家計の円安への懸念に対しては説得力を持たない。こうした家計への共感の欠落は、金融政策への不信と反発を増幅しかねない。 ただし、異次元緩和スタート時に比べれば、賃金上昇率の重要性についての日銀の認識はより深まっていると思われる。だからこそ黒田総裁は6月6日の講演で、「コロナ禍における行動制限下で蓄積した「強制貯蓄」が、家計の値上げ許容度の改善に繋がっている可能性がある」という強い批判を浴びた主張の述べた後で、日本の家計が値上げを受け容れている間に、良好なマクロ経済環境をできるだけ維持し、これを来年度以降のベースアップを含めた賃金の本格上昇にいかに繋げていけるかが当面のポイントである、としたのだろう。 とはいえ、これまでの経験は、賃金が十分上昇できる環境がつくれない限り、2%のインフレ目標がグリーンスパンの定義する物価安定と両立するような環境は達成できないことを強く示唆している。この点からみると、良好な「マクロ経済環境」は好況による総需給バランスの改善を超え、実質賃金の持続的上昇が可能になるよう環境でなければならない。DXや人への投資などさまざまな議論が盛り上がり始めているのは、そのことと無関係ではないだろう』、「ドル建ての資源価格の上昇は、輸入物価だけを上昇させますが、為替円安は、輸出物価と輸入物価をともに押し上げるため、交易条件に対し概ねニュートラルです」と述べている。 しかし、輸出物価上昇の恩恵を受けるのは輸出企業であり、輸入物価上昇によって生活を直撃されるのは家計等である。あたかも同じ一人の主体が右手で恩恵を受け、左手で損失を被り、差し引きの影響がほぼゼロ、というようなロジックは、一方的に負担増に直面している家計の円安への懸念に対しては説得力を持たない。こうした家計への共感の欠落は、金融政策への不信と反発を増幅しかねない」、手厳しい批判である。「良好な「マクロ経済環境」は好況による総需給バランスの改善を超え、実質賃金の持続的上昇が可能になるよう環境でなければならない」、しかし、実現の可能性は低そうだ。

次に、6月27日付けエコノミストOnline「異次元緩和を問う⑥ 財政政策に入り込む中央銀行=翁百合」を紹介しよう。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220705/se1/00m/020/061000c
・『金融政策の限界が認識され、焦点は財政政策に移っている。しかし、異次元金融緩和によって、日銀が財政政策に踏み込んでいると翁百合・日本総合研究所理事長は指摘する。中央銀行の独立性のあり方が問われる。(異次元緩和を問う) 翁氏は政府の有識者会議メンバーを歴任してきた。岸田政権下でも、「新しい資本主義実現会議」の委員を務める。 各種の会議に出席する機会には人への投資と、それによる生産性の向上が大事だと繰り返し述べている。 異次元緩和の当初はデフレ脱却がカギとの声が強かったが、生産性がカギであり、潜在成長率を上げていかなければならないことがようやく認識されるようになった。そのことに気づくのが遅れた影響が大きすぎると感じている。 安倍政権も成長戦略は掲げていた。2014年の「選択する未来」委員会は生産性向上、少子化対応、地域活性化の3点を挙げていた。それを検証する「選択する未来2.0」懇談会の座長を務め、昨年6月に報告書を提出した。残念ながら潜在成長率は横ばいで生産性は下がり続けている。出生率もコロナ前から下がっている。地域活性化だけは、一貫して続いてきた東京一極集中がコロナで少しだけ是正される兆しがある。 マクロの生産性を上げていくには、人への投資を行いながら、生産性の高い部門に人がシフトし、賃金が上がっていくことが大事だ。国民が望むのも、持続的に賃金が上がることだ。 長期停滞の要因として、生産性の低い企業が残ってしまうことがマクロの生産性にマイナスに寄与していると指摘されている。金利機能は効率的な資源配分を促すものだから、低金利はなんらかの背景になっている。 長期停滞には、需要と供給の双方からさまざまな要因があるが、異次元緩和は長期停滞の結果であり、一方で原因でもある。 異次元緩和を経済政策の前面に打ち出した安倍晋三元首相は、20年9月に首相を辞任した後も影響力を持つ。今年5月には「日本銀行は政府の子会社」と発言し、波紋を広げた。 日銀が事実上、まさにそのような立場に置かれてしまっていることが非常に大きな問題だ。 日銀は独立性のもと、通貨の安定、つまり物価と金融システムの安定を図るのが使命だ。独立性は条件なしに与えられているわけではない。選挙で選ばれていない中央銀行の政策は、国民から信頼され支持されなければ実行できない。 独立性を担保するうえで、なんらかの目安を示して説明することが大事という考え方は理解できる。ただ、異次元金融緩和で2%のインフレ目標を掲げ、期待に働きかける手法の有効性に過大な期待があったことが適切だったのか、疑問を感じる』、筆者の「翁百合」氏は日銀時代に、第一の記事の筆者の「翁邦雄」氏と結婚、夫婦揃って第一線のエコノミストとして活躍している。「異次元金融緩和で2%のインフレ目標を掲げ、期待に働きかける手法の有効性に過大な期待があったことが適切だったのか、疑問を感じる」、批判は立場上、抑制気味だ。
・『金融システムに潜むリスク  数字だけにこだわると金融に不均衡が生じる。不均衡は物価だけに表れるわけではない。日本のバブル期に物価は安定していたが、資産価格などひずみは大きくなっていた。 翁氏はもともと、金融システムの安定を図るプルーデンス政策が専門。1990年代には不良債権問題や金融機関の破綻処理を分析し、産業再生機構の委員も務めた。 金融システムの健全性は、表面的には崩れていないようにみえる。だが、低金利で地銀等は外債に傾斜し、含み損を抱えている。マクロの資金循環としても、度重なるリスクにさらされた企業部門が現預金の保有を増やしており、金融機関は厳しい環境にある。金融システムの潜在的リスクは拡大している。 いま局面が変わっているのは、財政政策との関係だ。独立性のもと金融政策を行っているはずなのに、日銀は国債を大量に購入したことで、結果的に財政政策に深入りし、抜け出せなくなっている。 今後、市場からの金利上昇圧力は続き、インフレで金利を上げざるをえないこともありうる。金利が上がることで超低金利の国債を大量に保有している日銀に大きな損失が生じた場合、それは日銀が債務超過に転落するという国民にとって想定外の社会的コストを突きつける可能性もある。 民主主義のプロセスがない形で財政政策に入り込んでいることが問題だ。 13年4月に異次元金融緩和が始まったのは、安倍政権が前年12月の衆院選で、大胆な金融緩和を公約に掲げて勝利し、誕生したことが反映されている。民意が緩和を求めたともいえる』、「民主主義のプロセスがない形で財政政策に入り込んでいることが問題だ」、金融政策は「財政政策」の領域にまで立ち入るべきではない。
・『国民は10年も同意せず  最初はそうだったが、国民は10年も続くとは思っていなかっただろう。当初、日銀は「2年でインフレ2%」と言っていたから、その間は年間50兆円、80兆円と保有国債残高を増やしても、その後で出口を考えれば問題は小さかったかもしれない。それが10年続き、国債保有(図)によって結果的に日銀の債務超過などに伴い、さまざまなコストが生じるとなると、「そこまで同意しただろうか」と国民は思うのではないか。 たとえば今のインフレが加速していくとしたら、日銀は金利を上げ、生じるコストを財政が穴埋めするのか。それとも政策を動かさず国民はインフレを受け入れざるをえないのか。 インフレが進めば低所得者に大打撃である一方、金利が上がれば国債の利払い費が増え、財政を直撃する。どちらかに陥れば大変な事態だから、ナローパス(狭い道筋)だ。ここまでバランスシート(資産・負債の規模)が拡大すると、日銀がこの先、ドラスチックにとれる行動はそれほどない。 出口の局面で、日銀は技術的にさまざまな手立てを講じるだろう。最終的に大きな課題となるのは、財政の持続可能性だ。これほどまで国債を購入してきた日銀は、責任を持てるのだろうか。日銀が出口について議論を避ける根底には、財政の持続可能性の問題があるのだろう。 財政規律に対して長期金利市場が警告を発する機能は失われている。財政支出が本当に生活の質や生産性向上に寄与するかどうかを問うことなく、規模に傾斜しがちな弊害がある。 日本の財政は、高齢化で拡大する社会保障をファイナンスする消費税導入・税率引き上げが遅れてきたから、科学技術や教育など長期的に税収増につながる投資ができていない。日本の閉塞(へいそく)感にはそのような背景もあると思う。今後、長期的な成長につながる投資を行いながら、財政再建を進めなければならない』、「日銀が出口について議論を避ける根底には、財政の持続可能性の問題があるのだろう」、「財政規律に対して長期金利市場が警告を発する機能は失われている。財政支出が本当に生活の質や生産性向上に寄与するかどうかを問うことなく、規模に傾斜しがちな弊害がある」、「日本の財政は、高齢化で拡大する社会保障をファイナンスする消費税導入・税率引き上げが遅れてきたから、科学技術や教育など長期的に税収増につながる投資ができていない」、「今後、長期的な成長につながる投資を行いながら、財政再建を進めなければならない」、同感である。

第三に、7月3日付け現代ビジネスが掲載した一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「金利抑制を巡る日本銀行と海外ファンドの死闘、制するのはどちらか 過去には先進国の中央銀行が敗退も」を紹介しよう。
・『日本銀行は世界の大勢に逆らって金利を押さえ込んでいるが、いずれ政策転換を余儀なくされるだろうと予測する海外のファンドが、日本国債を売り浴びせて、日銀に挑戦している。もし彼らが勝てば、巨額の利益を手に入れることになる』、「海外のファンドが、日本国債を売り浴びせて、日銀に挑戦」、とは大変だ。
・『海外のファンドが日銀に挑戦  現在、日本の金利水準は、主要国(とくにアメリカ)の水準に比べて低い。このため、円資産を売って、ドルなどの資産に乗り換える動きが続き、金利に上昇圧力がかかっている。 これが、急速な円安をもたらしている基本的な原因だ。 これに対して、日本銀行は、国債を無制限に買い入れる政策をとって、対抗している。 最近では、海外のファンドが日銀の金融政策に真っ向から挑戦して政策転換を促し、日銀が応戦している状況が鮮明になってきた。 6月16日付の日本経済新聞によると、イギリスのヘッジファンド、ブルーベイ・アセット・マネジメントは、長期金利を抑制しようとする日銀の政策は、いずれ放棄せざるをえなくなるので、それを促すために日本国債を売っていると明言している。 同ファンドのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)は、世界の金利が上昇しているなかで、日銀だけが長期金利の上限を0.25%にとどめようとしているが、それを維持するのは難しいとし、「7~9月のどこかで、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)政策を修正するだろう」と述べている』、確かに指値オペで「国債を無制限に買い入れる政策をとって、対抗」しているが、限界があるだろう。
・『ファンドは、なぜ日本国債を売るのか?  確かに、こうしたファンドが国債を売れば、国債の価格に下落圧力がかかる。つまり、金利上昇圧力が強まる。 ところで、このファンドは、なぜ日銀の金利政策を解除させようとしているのだろうか? 日銀の政策を正常化させて日本国民の役にたちたいというようなことではではないだろう。何らかの利益が得られるから、このようなことをしているのだろう。 「将来金利が上がる(国債価格が下落する)だろうから、価格が高いいまのうちに売ってしまおう」ということだろうか? そうした消極的理由もあるかもしれない。しかし、実は、ヘッジファンドは、もっと積極的に、現在の状況を利用して、巨額の利益を得ようとしているのである』、どういうことなのだろうか。
・『日本国債の「ショートポジション」を取った  このことは、ダウディング氏にインタビューしたブルームバーグの記事(2022年6月14日)をみると、分かる。 同氏は、「かなりの額の日本国債をショートしている」と言っているのだ。単に、保有している日本国債を売却するのではなく、「ショート」しているのである。こが重要なポイントだ。 「ショート」と言うのは空売りのことだ。国債を借りて売る。 そして、一定の期間後に、借りていた国債を返却するのである。 この取引をすると、金利上昇によって利益を得ることができる。その理由は、つぎのとおりだ。 現在は金利が低い。つまり国債の価格が高い。その価格で国債を売り、それによって国債の価格に下落圧力を加える。それが成功すれば、国債の価格が下がる。そこで、安くなった価格で国債を買って返せば、利益がでる。 なお、空売りでなく、国債の先物取引を行っても、同じ結果が得られる。つまり、将来、国債の価格は低下する(金利が上昇する)と予測した上で、「将来時点で国債を売る」という先物契約を結ぶのだ。 思惑通りになれば、将来時点で、現物価格より高い価格で国債を売れるだろう。だから、安く国債を買って、先物取引の実行で高く売れば、やはり利益を得ることができる』、「空売り」で「国債の価格が高い。その価格で国債を売り、それによって国債の価格に下落圧力を加える。それが成功すれば、国債の価格が下がる。そこで、安くなった価格で国債を買って返せば、利益がでる」、なるほど。
・『将来の金利が低下すればヘッジファンドは負け  もちろん、上で述べた取引には、リスクがある。仮に何らかの理由で、将来、金利が低下してしまったとする。つまり国債価格が上がったとする。空売りの場合には、借りた国債を返すために、価格が高くなった国債を買わなければならないので、損失が発生する。 国債の先物取引の場合にも、その実行によって、市場価格より安い価格で売らなければならないから、損失が発生する。 ブルーベリー・アセット・マネジメントは、「金利が将来下がる可能性は非常に低い」と読んでいるのだ。 前記のインタビューの中で、ダウディング氏は、つぎのように述べている。「金利が0.18%を超えて低下する可能性はかなり低い。一方、日銀がYCCの修正に動いた時の債券価格の下落(金利の上昇)は非常に大きいものになるだろう」』、「日銀がYCCの修正に動いた時の債券価格の下落(金利の上昇)は非常に大きいものになるだろう」、その通りだ。
・『どちらが勝つか?  日銀とヘッジファンドのどちらが勝つかは、資金力の違いに大きく影響されるから、ファンドが中央銀行に勝てるはずはないように思える。 しかし、同じような取引を仕掛けているのは、ブルーベイだけではないはずだ。巨額の利益を得るチャンスがあるのだから、多くのファンドや投機家が同じようなことをしているに違いない。 実際そのようなことが起きていることを示す状況証拠がある。これまで述べてきたような取引によって、日本国債のマーケットは、最近、きわめて異常な形に歪んでしまっているのだ(これについての詳しい説明は、ここでは省略する)』、なるほど。
・『中央銀行が負けた例も  中央銀行とヘッジファンドの戦いで、中央銀行が負けた例もある。最近では、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が、昨年11月に金利のコントロールを放棄した。 もっと前では、アメリカの投資家、ジョージ・ソロス氏が、イングランド銀行を打ち負かした例が有名だ。 1990年、イギリスはEC諸国の為替を一定の枠に収めようとする通貨管理体制ERM(欧州為替相場メカニズム)に参加した。当時、イギリス経済が低迷していたにも関わらず、ポンドが過大評価されていた。 しかし、イギリスはERMの規制に従って切り下げができなかった。この状態に着目したソロス氏のクウォンタムファンドが、ポンドを売り浴びせ、ポンドの切り下げ圧力が強まった。 1992年9月16日(水)、ついにイギリス通貨当局が攻防に敗れ、ポンドは、ERMを脱退し、変動相場制へと移行することになった』、「ジョージ・ソロス氏が、イングランド銀行を打ち負かした例」は確かに「有名だが」、「オーストラリア準備銀行の「金利のコントロールを放棄」は初めて知った。
・『「合理的なものが勝つ可能性が高い」  前記のダウディング氏のインタビューで興味深いのは、「日銀が国債を買いながら財務省が円を買う介入をしようとしているのは、アクセルとブレーキを同時に踏むようなもので、一貫した政策とは言えない」とコメントしていることだ。そして同氏は、「一貫性のないものに対しては、投資家は挑戦をしたくなる」と述べている。 確かにその通りだ。現在の日本政府の政策は、ちぐはぐなものになっている。「物価対策が必要」ということで、ガソリンなどの価格をおさえている。ところが一方では、物価高騰の重要な要因である円安を放置している。つまり、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるのだ。 一貫性のない政策を継続することは難しい。どこかで破綻する。事実、現在の日本の国債市場は、そうした状況になりつつある。 「合理的なものが勝つ可能性が高い」という考えは、大変説得的だ』、「現在の日本政府の政策は、ちぐはぐなものになっている。「物価対策が必要」ということで、ガソリンなどの価格をおさえている。ところが一方では、物価高騰の重要な要因である円安を放置している。つまり、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるのだ。 一貫性のない政策を継続することは難しい。どこかで破綻する」、「「合理的なものが勝つ可能性が高い」という考えは、大変説得的だ」、同感である。

第四に、7月6日付け現代ビジネスが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「円安に国民が苦しんでるのに、それでも日銀が「金利を引き上げられない」4つの理由」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/97082?imp=0
・『日銀が6月の金融政策決定会合において、金融緩和策の継続を決定するなど、日米の金融政策の違いがより鮮明になっている。日本とアメリカの金利差が拡大するのはほぼ確実であり、市場では円安がさらに加速するとの見方が強まっている。 国内でも物価上昇が顕著となっており、日銀に対する風当たりは強まる一方だが、日銀はなぜ金利の引き上げに消極的なのだろうか。政府・日銀が金利を引き上げられない理由について、あらためてまとめた』、興味深そうだ。
・『理由その1 景気に逆風  日本経済は過去30年間、低金利が続いており、企業も家計も低金利であることが大前提となっている。このため、急に金利が上がってしまうと、企業の利払い負担が増えたり、借入れが減少するなど経済に大きな影響が及ぶことになる。 リーマンショック以降、国内の倒産件数は異常な低水準で推移してきたが、これは、政府が銀行に対して過度な資金回収を実施しないよう強く要請していたことが大きく影響している。企業は低金利で資金を借りることができ、しかも、銀行が積極的な融資姿勢を継続したことで、本来なら倒産している企業も延命できているケースが少なくない。 こうした状況で金利の引き上げを実施すると、倒産が増える可能性があるほか、大企業の設備投資も大幅に抑制される。諸外国と比較して、ただでさえコロナ危機からの回復が遅れている時に、金利の引き上げによる景気後退だけは避けたいというのが政府・日銀のホンネだろう』、確かに超金融緩和で支えてきた「企業」は「金利の引き上げ」には弱そうだ。
・『理由その2 住宅ローン負担が大きくなる  企業と同じく家計も低金利の恩恵を大きく受けており、金利引き上げの制約要因となっている。日本の家計は、低金利政策によって、極めて低い金利で住宅ローンを借りることができた。特に変動金利の場合、限りなくゼロ金利に近い金利で住宅ローンを組むことができたため、本来なら住宅ローンを組めない水準まで借り入れを行っている人が一部に存在している。 例えば5000万円のローンを30年で組んだ場合、2%の金利であれば返済原資の5000万に加えて、利子を1500万円以上支払わなければならない。ところが0.5%の低金利であれば、利子はわずか400万円程度で済むので、その分だけより高額な物件に手を出すことができてしまう。 ここで金利が上昇すると、一部の人は返済に苦慮することになり、場合によっては住宅ローン破綻者が増えるリスクがある。そこまでいかなくても、変動金利の場合、金利上昇によってローンの返済額が増えるのは確実であり、家計の可処分所得は減ることになる。当然の結果として個人消費には大きな悪影響が及ぶ』、「変動金利の場合、限りなくゼロ金利に近い金利で住宅ローンを組むことができたため、本来なら住宅ローンを組めない水準まで借り入れを行っている人が一部に存在している」、「ここで金利が上昇すると、一部の人は返済に苦慮することになり、場合によっては住宅ローン破綻者が増えるリスクがある」、その通りだ。
・『理由その3 政府の利払いが増える  低金利によって借金が大きく膨れ上がっているという点では、個人や企業だけでなく、政府にとっても同じことである。よく知られているように日本政府は約1000兆円の負債を抱えている。 現在はほぼゼロ金利に近いため、政府の利払いは最小限の水準で済んでいるが、もし金利が米国並みの3%台に上昇すれば、日本政府は最終的に年間30兆円以上の利子を負担しなければならない。日本政府が発行している国債の年月はバラバラなので、全ての国債が高い金利に入れ代われるまでには約9年の時間的猶予があるものの、年々利払い額が増えていくという点では、金利上昇後、すぐにその影響は顕在化してくる。) 現在、日本政府の税収は約50兆円しかなく、残りは全て新規の国債発行による借金である。ここで金利が上昇してしまうと単純計算で政府の支出が30兆円増えるということであり、政府の税収の6割が利払いに消えることになってしまう。この状態では、まともに予算を組むことはできず、他の予算が大きく制約を受けてしまう。こうした状況を考えると政府・日銀は、簡単には金利を引き上げられない』、「もし金利が米国並みの3%台に上昇すれば、日本政府は最終的に年間30兆円以上の利子を負担しなければならない」、「政府の税収の6割が利払いに消えることになってしまう。この状態では、まともに予算を組むことはできず、他の予算が大きく制約を受けてしまう」、これは大変だ。
・『理由その4 日銀のバランスシートが毀損する  日銀は現在(2022年6月末)、約540兆円の国債を保有している。もしここで日銀が金利上昇に踏み込んだ場合、理論上を保有している国債の評価額は減少することになる。もっとも日銀は簿価で会計を管理しているので、保有している国債の減額分を損失として計上する必要はない。 だが、現実問題として簿価で会計を処理しているので、損失は考慮する必要がないという理屈は成り立たない。市場は日銀が潜在損失を抱えたことを認識するので、これは確実に円安要因となる。 一部の論者は「保有する国債の価値が下がった程度で日本円が紙くずになることはない」と主張しているが、この議論は完全に論点がズレている。市場関係者が懸念しているのは日銀が破綻するといった極論ではない。日銀のバランスシートが毀損したと見なされた場合、最初に影響を受けるのは為替であり、過度な円安という形でその影響は顕在化する。現時点においても、円安の弊害が指摘される中、さらに円安が進みやすくなることを歓迎できるわけがない。 円安が加速するかしないかというのは、現実的な問題であり、この状況について日銀自身がもっともよく理解している。そうであればこそ、金利の上昇には簡単には踏み込めない』、「日銀のバランスシートが毀損したと見なされた場合、最初に影響を受けるのは為替であり、過度な円安という形でその影響は顕在化する。現時点においても、円安の弊害が指摘される中、さらに円安が進みやすくなることを歓迎できるわけがない」、確かに「為替」への影響は大きそうだ。
・『低金利を続けるとどうなる?  このように金利の上昇には多くの弊害があり、政府・日銀にとって、金利の上昇はなるべく避けたいというのが本音である。一方で、円安にもそれなりのデメリットがあり、国民からの不満の声は高まる一方である。どちらにしても厳しい状況だが、それでも日銀は現状の政策を維持し、円安のメリット(輸出やインバウンドの拡大)が顕在化してくるまで、時間稼ぎをした方が得策と考えている可能性は高い。 では、金融緩和を継続し、時間稼ぎをする政策はうまく機能するのだろうか。 最大の焦点となるのは、やはり長期金利の動向だろう。日銀は現在、国債の金利が0.25パーセント以上にならないよう、無制限に国債を買い取る「指値オペ」を実施している。為替については、一部から市場介入を実施すべきという声も出ているが、ドル売り、円買いの為替介入の場合、外貨準備の範囲でしか実行できないという制約があり、あまり現実的ではない。結果として為替市場では自由に取引が行われることになる。 そうなると政府・日銀が恣意的にコントロールできるのは、国債の金利しかない。理論的に日銀が購入できる国債は無限大なので、日銀は金利を低く抑え続けることができる。だが、この指し値オペを続ければ続けるほど、円安圧力が高まってくるのは確実である。 もしどこかのタイミングで、指し値オペを継続できなくなった場合、一気に円安が進み、半ば暴落に近い状態になるリスクが存在することは否定できないだろう。結局のところ、今の日銀は日本経済のファンダメンタルズと逆方向の政策を続けており、いずれ限界はやってくる。 急に金利を上げることの弊害が大きいことは筆者もよく理解しているが、現状の政策では、ダムが決壊するような形で金利上昇と円安が同時に進む最悪のシナリオもないとは言い切れない。こうした事態を回避するには、指し値オペの範囲に柔軟性を持たせるなど、市場に対して、何らかの含みをもたせておく必要があるはずだが、今の日銀にその気配は感じられない』、「理論的に日銀が購入できる国債は無限大なので、日銀は金利を低く抑え続けることができる。だが、この指し値オペを続ければ続けるほど、円安圧力が高まってくるのは確実である。 もしどこかのタイミングで、指し値オペを継続できなくなった場合、一気に円安が進み、半ば暴落に近い状態になるリスクが存在することは否定できない」、「今の日銀は日本経済のファンダメンタルズと逆方向の政策を続けており、いずれ限界はやってくる。 急に金利を上げることの弊害が大きいことは筆者もよく理解しているが、現状の政策では、ダムが決壊するような形で金利上昇と円安が同時に進む最悪のシナリオもないとは言い切れない。こうした事態を回避するには、指し値オペの範囲に柔軟性を持たせるなど、市場に対して、何らかの含みをもたせておく必要があるはずだが、今の日銀にその気配は感じられない」、「日銀」が硬直的なのは何故なのだろう。
タグ:ダイヤモンド・オンライン「【翁邦雄・元日銀金融研究所所長に聞く】インフレはそれ以上に賃上げ率を高める、という幻想。国民の求める「物価安定」とは何かを考え直す」 異次元緩和政策 (その42)(【翁邦雄・元日銀金融研究所所長に聞く】インフレはそれ以上に賃上げ率を高める という幻想 国民の求める「物価安定」とは何かを考え直す、次元緩和を問う⑥ 財政政策に入り込む中央銀行=翁百合、金利抑制を巡る日本銀行と海外ファンドの死闘 制するのはどちらか 過去には先進国の中央銀行が敗退も、円安に国民が苦しんでるのに それでも日銀が「金利を引き上げられない」4つの理由) 「翁邦雄」氏の理論的見方とは興味深そうだ。 「国民の求めている「物価安定」とはなにかをもう一度考える必要がある」、その通りだ。 「一般国民にとっての物価安定は、FRB議長時代のアラン・グリーンスパンが定義したようにむしろ物価上昇を気にかけなくてよい状況だろう」、さすが説得力がある。 「もし、賃金が毎年数%ベアで上がっており、退職世代の年金についても物価スライドにより実質価値が保証され、十分に金利が高く金利収入が確保できたりしていれば、家計は2%程度の物価上昇をあまり気にしないだろう。 しかし、日本のように家計を支える収入がじりじり下がる世界では、物価が1%上がるような状態にも強い抵抗感を持ちがちになることが予想される」、その通りだ。 「米国」や「英国」では「賃金上昇率が物価上昇率を上回っていた」が、「日本では」「物価上昇率が相対的に低いだけでなく、名目賃金が消費者物価下落率(マイナス0.3%)をかなり上回って下落していた(マイナス0.8%)、という点で他国と大きく状況が異なっていた」、「賃金・実質所得が上がらない状況では人々は値上げに対し寛容になることはなく、生活防衛的に反応し続けた。ゼロインフレは社会規範として定着し、日銀の「物価安定への取り組み」への認知度はじりじり下がり続けた」、米英と環境が大きく異なっていたようだ。 「ドル建ての資源価格の上昇は、輸入物価だけを上昇させますが、為替円安は、輸出物価と輸入物価をともに押し上げるため、交易条件に対し概ねニュートラルです」と述べている。 しかし、輸出物価上昇の恩恵を受けるのは輸出企業であり、輸入物価上昇によって生活を直撃されるのは家計等である。あたかも同じ一人の主体が右手で恩恵を受け、左手で損失を被り、差し引きの影響がほぼゼロ、というようなロジックは、一方的に負担増に直面している家計の円安への懸念に対しては説得力を持たない。こうした家計への共感の欠落は、金融政策への不信と反発 エコノミストOnline「異次元緩和を問う⑥ 財政政策に入り込む中央銀行=翁百合」 、筆者の「翁百合」氏は日銀時代に、第一の記事の筆者の「翁邦雄」氏と結婚、夫婦揃って第一線のエコノミストとして活躍している。「異次元金融緩和で2%のインフレ目標を掲げ、期待に働きかける手法の有効性に過大な期待があったことが適切だったのか、疑問を感じる」、批判は立場上、抑制気味だ。 「民主主義のプロセスがない形で財政政策に入り込んでいることが問題だ」、金融政策は「財政政策」の領域にまで立ち入るべきではない。 「日銀が出口について議論を避ける根底には、財政の持続可能性の問題があるのだろう」、「財政規律に対して長期金利市場が警告を発する機能は失われている。財政支出が本当に生活の質や生産性向上に寄与するかどうかを問うことなく、規模に傾斜しがちな弊害がある」、「日本の財政は、高齢化で拡大する社会保障をファイナンスする消費税導入・税率引き上げが遅れてきたから、科学技術や教育など長期的に税収増につながる投資ができていない」、「今後、長期的な成長につながる投資を行いながら、財政再建を進めなければならない」、同感である。 現代ビジネス 野口 悠紀雄氏による「金利抑制を巡る日本銀行と海外ファンドの死闘、制するのはどちらか 過去には先進国の中央銀行が敗退も」 「海外のファンドが、日本国債を売り浴びせて、日銀に挑戦」、とは大変だ。 確かに指値オペで「国債を無制限に買い入れる政策をとって、対抗」しているが、限界があるだろう。 どういうことなのだろうか。 「空売り」で「国債の価格が高い。その価格で国債を売り、それによって国債の価格に下落圧力を加える。それが成功すれば、国債の価格が下がる。そこで、安くなった価格で国債を買って返せば、利益がでる」、なるほど。 「日銀がYCCの修正に動いた時の債券価格の下落(金利の上昇)は非常に大きいものになるだろう」、その通りだ 「ジョージ・ソロス氏が、イングランド銀行を打ち負かした例」は確かに「有名だが」、「オーストラリア準備銀行の「金利のコントロールを放棄」は初めて知った。 「現在の日本政府の政策は、ちぐはぐなものになっている。「物価対策が必要」ということで、ガソリンなどの価格をおさえている。ところが一方では、物価高騰の重要な要因である円安を放置している。つまり、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるのだ。 一貫性のない政策を継続することは難しい。どこかで破綻する」、「「合理的なものが勝つ可能性が高い」という考えは、大変説得的だ」、同感である。 加谷 珪一氏による「円安に国民が苦しんでるのに、それでも日銀が「金利を引き上げられない」4つの理由」 理由その1 景気に逆風 確かに超金融緩和で支えてきた「企業」は「金利の引き上げ」には弱そうだ。 理由その2 住宅ローン負担が大きくなる 「変動金利の場合、限りなくゼロ金利に近い金利で住宅ローンを組むことができたため、本来なら住宅ローンを組めない水準まで借り入れを行っている人が一部に存在している」、「ここで金利が上昇すると、一部の人は返済に苦慮することになり、場合によっては住宅ローン破綻者が増えるリスクがある」、その通りだ。 理由その3 政府の利払いが増える 「もし金利が米国並みの3%台に上昇すれば、日本政府は最終的に年間30兆円以上の利子を負担しなければならない」、「政府の税収の6割が利払いに消えることになってしまう。この状態では、まともに予算を組むことはできず、他の予算が大きく制約を受けてしまう」、これは大変だ。 理由その4 日銀のバランスシートが毀損する 「日銀のバランスシートが毀損したと見なされた場合、最初に影響を受けるのは為替であり、過度な円安という形でその影響は顕在化する。現時点においても、円安の弊害が指摘される中、さらに円安が進みやすくなることを歓迎できるわけがない」、確かに「為替」への影響は大きそうだ。 低金利を続けるとどうなる? 「理論的に日銀が購入できる国債は無限大なので、日銀は金利を低く抑え続けることができる。だが、この指し値オペを続ければ続けるほど、円安圧力が高まってくるのは確実である。 もしどこかのタイミングで、指し値オペを継続できなくなった場合、一気に円安が進み、半ば暴落に近い状態になるリスクが存在することは否定できない」、「今の日銀は日本経済のファンダメンタルズと逆方向の政策を続けており、いずれ限界はやってくる。 急に金利を上げることの弊害が大きいことは筆者もよく理解しているが、現状の政策では、ダムが決壊するような形で
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感