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グローバル化(その2)(水野和夫法政大教授 ブロック圏で回す経済システムが必要、「グローバル化は日本を縮小させる」フランス人歴史学者が断言するワケ、スティグリッツ氏「『脱グローバル化』を正しく理解しよう」) [世界情勢]

グローバル化については、2020年4月25日に取上げた。今日は、(その2)(水野和夫法政大教授 ブロック圏で回す経済システムが必要、「グローバル化は日本を縮小させる」フランス人歴史学者が断言するワケ、スティグリッツ氏「『脱グローバル化』を正しく理解しよう」)である。

先ずは、2020年5月27日付け日刊ゲンダイ「水野和夫法政大教授 ブロック圏で回す経済システムが必要」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/273711
・『世界で猛威を振るい続ける新型コロナウイルス。感染が急拡大した原因は、グローバル経済のもとに世界各地に広がった人・モノ・カネの流れに沿ってウイルスが拡散したことだ。そのため、世界規模で経済活動を停止せざるを得なくなり、各国の識者からは従来の経済システムに代わる新たな動きを求める声も出始めた。終息の出口が見えない「新型コロナ禍」が浮き彫りにしたグローバル経済の問題。果たして今後の経済システムはどうあるべきか。経済学者の法政大学教授の水野和夫氏に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは水野氏の回答)』、水野氏は国際証券(現:三菱UFJ証券)のエコノミストから法政大教授になり、大きな枠組みでの分析は定評があった。
・『Q:新型コロナ禍で明らかになったグローバル経済の問題をどう考えていますか。 A:世界はこれまで、あたかも「グローバルウイルス」に感染したかのように「グローバル化した経済システムこそが正しい姿なのだ」と刷り込まれ、洗脳されてきました。そして、各国企業は世界中にサプライチェーン(供給網)を張り巡らせてきたわけですが、皮肉にも、そうやって拡大させてきたサプライチェーンに伴いビジネスマンの出張機会が多くなったり、格安LCCの登場で観光客の移動も頻繁となったりしたことが新型コロナの移動を活発化させ感染を拡大する原因となりました。 2008年の「リーマン・ショック」の時、今回のようにサプライチェーンが分断された自動車メーカーの幹部は「3次下請けまでは自分の会社で把握、管理しているけれども、4次、5次、6次の下請けとなると、もはや、どこから部品が来るのか分からない」などと言っていました。つまり、その当時から、グローバル経済に伴うサプライチェーンの問題は指摘されていたのです』、「自動車メーカーの幹部は「3次下請けまでは自分の会社で把握、管理しているけれども、4次、5次、6次の下請けとなると、もはや、どこから部品が来るのか分からない」と、「問題は指摘されていた」、なるほど。
・『サプライチェーンは資本が搾取する構造  Q:すでにグローバル経済の限界は見えつつあったわけですね。 A:「リーマン・ショック」の時も「100年に1度の経済危機」と大騒ぎしたのに、企業はサプライチェーンを縮小するどころか、さらに拡大、膨張させました。ある会社の経営者は経済紙の記事で、「我が社のサプライチェーン(をつなぐ距離)は地球と月を往復するぐらい」などと言っていましたが、要するに地球を何十周もするほどの距離で物流網を敷き、ヒトやモノを動かしてきたのです。そして、新型コロナでそれが分断され、「スペイン風邪以来、100年に1度の危機だ」と嘆いている。要するに「リーマン・ショック」の時の反省もないまま、全く同じことを言っているのです。 おそらく、多くの企業は新型コロナ禍が落ち着いて1年ぐらい過ぎたら、また世界中にサプライチェーンを張り巡らせるでしょう。そして、また新たな感染症が流行したら大騒ぎするという繰り返しです。一体、何度、同じ目に合えば気が付くのでしょうか。 「リーマン・ショック」の時はサブプライム層と言われる中産階級の一歩手前の人が被害者になりましたが、今回の新型コロナでは、各国でインフラを支えていた人たちが大きな影響を受けました。サプライチェーンの仕組みというのは結局、資本が賃金の安い場所を求め、搾取に搾取を重ねていく構造です。こうした弱者に痛みを押し付ける仕組みをいつまで続けるのか。マルクスは「地球が太陽に吸い込まれでもしない限り、資本家はカネもうけをやめない」という趣旨の言葉を残していますが、まったく絶望的な状況と言わざるを得ません』、「「リーマン・ショック」の時の反省もないまま、全く同じことを言っているのです。 おそらく、多くの企業は新型コロナ禍が落ち着いて1年ぐらい過ぎたら、また世界中にサプライチェーンを張り巡らせるでしょう。そして、また新たな感染症が流行したら大騒ぎするという繰り返しです」、「サプライチェーンの仕組みというのは結局、資本が賃金の安い場所を求め、搾取に搾取を重ねていく構造です。こうした弱者に痛みを押し付ける仕組みをいつまで続けるのか。マルクスは「地球が太陽に吸い込まれでもしない限り、資本家はカネもうけをやめない」という趣旨の言葉を残していますが、まったく絶望的な状況と言わざるを得ません」、その通りだ。
・『ブロック圏で経済を回す構造に転換するべき  Q:経済の在り方をどう見直すべきなのでしょうか。 A:まず、真っ先にやることはグローバル化脱退宣言。グローバル化をやめることです。今から100年前の自由貿易主義が叫ばれた時代は、自国で足りないモノ(原料や部品など)がたくさんありました。そのため、地球の裏側から運んでくる必要があったわけです。つまり、自由貿易というのは自国に足りないモノを求めて遠方に広がり、しかも、当時は移動コストも安かった。ところが、今の時代は違います。移動コストは高くなり、物流に伴う自動車や鉄道、航空機、船などの大量移動で地球温暖化や気候変動の問題も指摘されるようになりました。 一方、近代はどの国も(工業、農産物などの)生産力が向上しており、わざわざ遠方に出向く必要もなくなりました。もはや、世界中にサプライチェーンを張り巡らせる必要はなく、近隣諸国などの限られた地域で経済システムを完結できるようになったのです。 Q:世界規模でサプライチェーンを作るのではなく、近隣諸国などと緊密に連携するべきだと。 A:典型的なのがEUですが、例えば農産物はフランスや東ヨーロッパ、工業製品はドイツ、良し悪しは別として原子力エネルギーはフランス……というように、EU圏内で経済は成り立っています。日本の場合も、韓国、台湾、豪州、ニュージーランドと経済的連携を強め、ブロック圏を作るべきでしょう。特にパネルやICチップなどの工業製品については、韓国、台湾で十分です。日本企業がわざわざ欧米に工場を進出したり、輸入したりする必要はありません。農産物は豪州、ニュージーランドがあります。エネルギーについても再生自然エネルギーに切り替えれば、ほぼこの圏内で経済は完結すると思います。つまり、膨張したサプライチェーンを縮小し、人・モノ・カネの流れを限定した地域内で経済を回していく。新型コロナ禍によってグローバル経済という秩序が崩壊しつつある中、新たな世界経済の構造へと大転換させるべき時なのです。 感染症対策も近隣諸国と情報交換した方が早い対応が取れるでしょう。各国で状況が異なるのに、世界規模で足並みをそろえて対策を考えるのは現実的ではないからです。新型コロナ対策でも、日本は出遅れましたが、韓国や台湾などは成功している。新たな感染症が起きた時、こうした国々と協力して防疫対策を構築し、次のウイルスの脅威に備える体制を整えるべきだと思います』、「移動コストは高くなり、物流に伴う自動車や鉄道、航空機、船などの大量移動で地球温暖化や気候変動の問題も指摘されるように」、「近代はどの国も(工業、農産物などの)生産力が向上しており、わざわざ遠方に出向く必要もなくなりました。もはや、世界中にサプライチェーンを張り巡らせる必要はなく、近隣諸国などの限られた地域で経済システムを完結できるようになった」、「新型コロナ禍によってグローバル経済という秩序が崩壊しつつある中、新たな世界経済の構造へと大転換させるべき時」、その通りだ。
・『安倍首相は経団連に内部留保の活用を呼び掛けるべき  Q:グローバル化以外で見直すべき部分はありますか。 A:都市の集中、大都市化というのも限界に来ていると思います。新型コロナの感染者数が最も多いのは米国ですが、ニューヨーク、ワシントン、ボストンなど人口規模の多い州で、米国内の感染者、死者数の半分以上を占めています。つまり、「集積の利益が一番、利潤を極大化する」という発想から都市化が進んだわけですが、人口の密集地域ほど感染症が直撃する実態が明らかになった今、都市への集中もやめる必要があると思います。 Q:新型コロナで経済が大きなダメージを受けている日本企業、政府はどうあるべきでしょうか。 A:日本経済の最大の問題は供給過剰にあるということです。例えば、食料品は生産しても廃棄するばかり。いわゆる食品ロスです。住宅も空き家が増えているのに新築住宅を作り続けています。無理な経済成長を目指して労働時間を増やしているだけなのです。この結果、大企業は現在、世界でも例を見ない460兆円にもおよぶ内部留保を積み上げましたが、この中には本来、働く人の労働生産性の上昇に応じて支払われるべきだった賃金が含まれています。 利潤を上げているのに利息も払わず、まさかのためにと言って労働者などに支払ってこなかった「一時預かり金」などを含めると、ざっと130兆円ほどになるでしょう。新型コロナの影響を受けた国民生活を救済するため、まず、このお金を国民のために活用するべきです。そして、さらに残りの内部留保の一部を償還財源として、政府が「新型コロナ国債」を発行する。そして、政府や自治体の自粛要請で営業できず、苦境に追い込まれている小売業や宿泊、飲食業の家賃補てん、休業補償に充てればいい。政府は(緊急事態宣言の発令下でも)開店していたパチンコ店に苦言を呈するのではなく、安倍首相が経団連に対して内部留保の活用を呼び掛けるべきなのです』、「内部留保460兆円」のうち、「働く人の労働生産性の上昇に応じて支払われるべきだった賃金」などの「一時預かり金」、ざっと130兆円ほどを、「新型コロナの影響を受けた国民生活を救済するため、まず、このお金を国民のために活用するべき」、「残りの内部留保の一部を償還財源として、政府が「新型コロナ国債」を発行する。そして、政府や自治体の自粛要請で営業できず、苦境に追い込まれている小売業や宿泊、飲食業の家賃補てん、休業補償に充てればいい」、「開店していたパチンコ店に苦言を呈するのではなく、安倍首相が経団連に対して内部留保の活用を呼び掛けるべきなのです」、同感である。

次に、2020年9月10日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した歴史学者のエマニュエル・トッド氏による「「グローバル化は日本を縮小させる」フランス人歴史学者が断言するワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/247077
・『“フランス最大の知性”ともよばれる歴史人口学者エマニュエル・トッド氏は、日本における「能力主義」は他国とその性質が異なると指摘する。その理由とは?トッド氏の最新刊『大分断 教育がもたらす新たな階級化社会』(訳:大野 舞)から一部を抜粋して紹介する』、興味深そうだ。
・『日本における「能力主義」 他国と異なる特徴とは?  アメリカやフランスのような平等主義の社会では、能力主義は平等という理想の歪んだ形として表出してしまいました。最初は、誰もが学業をするべきで、教育は皆のものだと言われました。しかし、マイケル・ヤングが気づいたのは、大衆層の中の優秀な人たちが進学すると、社会は再び階級化するだろうということでした。そして上層には、上層にいると考える人たちによって新たなグループが形成されるのです。 フランスなどでは能力主義のコンセプトは常にポジティブに評価されてきました。人々は、能力主義は民主主義から生まれたものだと捉えているのです。多くの人は、これが実は教育の民主化の悲惨な二次的影響であり、結局は自己破壊に陥ってしまうものであることを理解していません。この民主化プロセスは最終段階(100%の人が高等教育を受ける段階)まで行き着けないものなのですから。 戦後の日本においてもこの能力主義という考え方は非常に根強かったのではないでしょうか。ただ、日本の特殊な点は、直系家族構造における不平等を受け入れる価値観と、江戸時代の非常に特殊なヒエラルキーの考え方、この二つをベースにしながら、それと同時に能力主義の考え方があったという点です。一方でフランスでは、能力主義とは人類の平等と強く結びついた観念であることを先ほど述べました。この違いがあるため、二つの国の結果は異なるのです。 基本的に直系家族を基盤とする日本のような社会は、そもそもが身分制の社会です。ここでは長男が重要とされてきました。それは徐々に男性全体が特権を持つ、つまり男性優位社会へと変化していきました。日本でももちろん、戦後には能力主義の発展が見られましたが、そこにはフランスで見られるような、平等に対する強いこだわりがないのです。日本にも奥深いところで、巧妙な形での平等主義が存在するとは思います。例えば、あるレベルにおいてはどの仕事も高尚であり、正しく為されるべき、といった考え方です。「馬鹿な人はいても馬鹿げた仕事はない」ということです。そしてきちんと為された仕事はそれがどんな仕事であれ評価されます。それぞれがある身分に属していて、そこで自分の仕事をきちんとこなすという社会です。 もちろん、日本にも高等教育を受けたエリートが存在しますが、他国と異なるのは、人々がその身分の序列を認めているという点です。ここでは上層部の下層部に対する軽蔑、あるいは下層部の上層部に対する憎しみというものはないのです』、「日本では」、「上層部の下層部に対する軽蔑、あるいは下層部の上層部に対する憎しみというものはない」、というのは本当だろうか。他国と同様にあるような気もする。
・『なぜ日本ではポピュリズムが力を持たないか  日本における高等教育の発展というのは、フランスよりもさらに突き詰められたもので、例えば大学入学の際に非常に激しい競争プロセスが存在します。また、大学もレベルによって明確に序列化されています。しかしこの能力主義的なプロセスは、日本の根本にある文化とは矛盾しないのです。 また、もう一つ重要なことは、日本にはポピュリズムがないということです。私が言うポピュリズムというのは、エリート主義を批判することで政治システムに入ってくる政党のことです。このような形は日本ではうまくいかないでしょう。もちろん、東大法学部出身者はフランスのENA出身者と同様の立場にいるでしょう。しかし、繰り返しになりますが、日本ではフランスに比べて、身分に対して傲慢な感情がないのです。 これらを踏まえた上で、日本社会の矛盾とは、身分制が色濃い社会であるにもかかわらず非常に踏み込んだ教育促進のプロセスがあり、能力主義化も進められたということではないでしょうか。日本は身分制の社会ですが、明治の頃からすでに教育の重要性を認識してきました。私が思うにこれもまた、国家が生き延びるためだったのだろうということです。日本人であると感じることや、西洋からの脅威に対抗し生き延びるために、日本社会は自分たちの価値観を超越し、階級化したシステムを残したままで大規模な民主化へ進んでいったのだと思うのです。) なお、直系家族構造の社会の問題は、非常に効率的ではあるのですが、現状の形をそのまま繰り返すという傾向があり、無気力な社会になることと関係しているという点です。直系家族の罠は、自分と全く同じものを作り出そうとする点にあるのです。それと同時に、虚弱なシステムでもあるため外からショックを受けた時に再び活性化するという側面もあります。 同じ直系家族構造を持つドイツもそうです。例えば、フランス革命やイギリスの産業革命を目の当たりにし、イギリスやフランスよりも識字率が高かったドイツは、自分たちの社会を奮い立たせる必要に迫られ、最終的には国の再発展につなげていったのです。これは日本がアメリカと接することによって明治を迎えたのと似ています。直系家族社会は、敵や刺激、外的な脅威などをうまく利用してきたとも言えるでしょう。ただ、このようなシステムからは階級闘争やエリート対大衆というような構図は生まれません』、「日本にはポピュリズムがない」、「フランス革命やイギリスの産業革命を目の当たりにし、イギリスやフランスよりも識字率が高かったドイツは、自分たちの社会を奮い立たせる必要に迫られ、最終的には国の再発展につなげていったのです。これは日本がアメリカと接することによって明治を迎えたのと似ています」。なるほど。
・『グローバル化への適応と人口減少の関係  先ほど明治維新について述べましたが、日本について考察する際に重要なのは、日本の適応性という問題だと思います。日本の近代の歴史は、変化の激しい、また時には脅威ともなる周辺世界にいかに適応するかという問題に集約されるからです。 江戸時代に日本は商業面でも技術面でも、自国のみで目をみはる発展を遂げました。その発展の仕方のある部分は、不思議なことに一部の西ヨーロッパの発展と並行したものだったりもしました。こうして鎖国を続けていた日本でしたが、とうとうアメリカから黒船が突然訪れ、接触を迫られ、不意の恐怖に襲われたのです。 これ以降の日本の歴史は「グローバル化にいかに適応していくか」という点に集約されると思います。ある意味、安全ではない状態がずっと安定していると言ってしまうこともできるわけです。そしてこの黒船の来航による反響の一つが明治維新で、それは驚くべきものでした。工業化への適応力や戦後の回復もまた素晴らしいものでした。西洋に追いつくために進めた回復、つまり突然の変化への適応力によって、結果的に世界第二位の経済国にまでなったのです(2011年まで)。ちなみに、私は一国の力をGDP(国内総生産)だけで判断せずに、技術の能力なども含めて見ます。そうした意味で、日本はいまだに大国であると思っています。 とはいえ、昔から変わらない一つの問題があるのです。それが人口の問題です。韓国なども似たような状況です。 日本は自由貿易を完全に受け入れた国ではないと思います。完全ではありませんが、ある程度、日本は自国を守ってきたと思うのです。日本国内で様々な問題があるのはもちろんわかっていますが、自由貿易によって引き起こされる社会的な崩壊、国内格差という現象に対しては、フランスやイギリス、あるいはアメリカよりも、うまく自国を守れているだろうと思います。日本の適応のための一連の努力、教育面の努力や技術面のそれは完璧主義につながっており、他には類を見ない形で高い均質性のレベルと社会の安定性を維持してきました。 しかしこれらは人口の側面を犠牲にする形で進められたと見ることができるでしょう。日本の出生率の低さはドイツに似たものがありますが、日本の出生率を分析すると、その原因には女性の微妙な地位や、キャリアか子供かを選ばなければいけない状況、父権制の名残があることなどが挙げられます。 日本や韓国のような国では、今もそうかもしれませんが、西洋システムというとてつもない圧力をかけてくるものに対抗するために、本当に多くの努力をしなければならなかったという背景がありました。そうして社会の一貫性や文化などを守ってきましたが、社会が再生され続けるために必要なレベルの出生率を保つということまではできなかったのです』、「日本の適応のための一連の努力、教育面の努力や技術面のそれは完璧主義につながっており、他には類を見ない形で高い均質性のレベルと社会の安定性を維持してきました。 しかしこれらは人口の側面を犠牲にする形で進められたと見ることができる」、面白い見方だ。
・『グローバル化は日本を縮小させる  先にも述べたように、日本はポピュリズム不在の国です。ポピュリズムは、グローバル化が引き起こす社会の格差が政治的な形で表出したものです。ですから日本にポピュリズムがないということは、格差が他国よりもましだということを意味するのです。また、前述したように、日本の近代史というのは国家の生き残りの歴史でした。そうして、国外からの圧力に対抗し、自己を守り、前進し、生き延びるために西洋に追いつくことを繰り返してきました。そんな中で、人口減少が実はその対価だったと言えると思うのです。 日本がグローバル化から完全に自由だったならば、人口の均衡を保つ術を見つける時間もあったでしょう。しかし今日、日本は経済的に厳しい状況にあります。グローバル化による経済的なプレッシャーは、日本のような国がその最も重要な課題である出生率の回復と向き合うこと、つまり支援のためにお金を注ぎ込むことを邪魔しているとも言えるのです(ここでの出生率の支援というのは、単なる手当金のことを指しているのではありません。それは高等教育費を減らすことなども含めます)。グローバル化の圧力は日本を分断するのではなく、日本全体を縮小させているのです。グローバル化は日本がその最も喫緊とする問題と向き合うことを阻止していると言えるでしょう。 ※本文は書籍『大分断 教育がもたらす新たな階級化社会』を一部抜粋して掲載しています』、「グローバル化の圧力は日本を分断するのではなく、日本全体を縮小させているのです。グローバル化は日本がその最も喫緊とする問題と向き合うことを阻止していると言える」、「低い」「出生率」に「グローバル化氏圧力」があるというのは、面白い視点だが、「日本全体を縮小させている」というのは困ったことだ。

第三に、本年6月14日付け日経ビジネスオンラインが掲載した米コロンビア大学教授のジョセフ E.スティグリッツ氏による「スティグリッツ氏「『脱グローバル化』を正しく理解しよう」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00351/060900031/
・『2年以上ぶりに開催された世界経済フォーラムは、1995年以来、私が参加してきたこれまでのダボス会議とは明らかに様子が違っていた。1月の明るい雪と晴天から一転、雪がないスキー場と、5月のどんよりとした霧雨に見舞われた、気候のことではない。 これまでのフォーラムは、グローバル化を擁護してきた。だが今回は、サプライチェーンの寸断、食料やエネルギー価格の高騰、一部の製薬会社が数十億の追加利益を得るために何十億もの人々が新型コロナウイルスワクチンを手にすることができない知的財産権(IP)体制などといった、グローバル化の失敗に主眼を置いていた。 こうした諸問題への対応策として提案されたのは、生産の「再集積」または「友好国化」、さらに「国の生産能力を高めるための産業政策」の制定だ。誰もが国境のない世界を目指しているように見えた時代は過ぎ去り、突然、誰もが少なくともいくつかの国の国境が経済発展と安全保障の鍵であることを認識するようになったのである。 かつて自由なグローバリゼーションの擁護者であった人々にとって、ダボスのこの方向転換は結果として明らかな不協和音をもたらした。「友好国化」と自由で無差別な貿易の原則を両立させることができず、ダボス会議に参加した実業界と政界のリーダーの大半は、ありふれた話に終始した。なぜこのような事態に陥ったのか、あるいは、グローバリゼーションが全盛の時代にまん延していた「欠陥のある超楽観主義的な論理」について、反省の色はほとんど見られなかった。 もちろん、問題はグローバリゼーションだけではない。市場経済全体にレジリエンス(回復力)が欠けているのだ。私たちは、基本的にはスペアタイヤのない車を作り、現在の価格を数ドル下げただけで、将来の緊急事態にはほとんど注意を払ってこなかった。 ジャストインタイムは、経済がわずかな変動にしか直面しない限りにおいては、素晴らしい革新的技術であった。だが、新型コロナウイルスによる操業停止に直面すると、例えばマイクロチップの不足が新車の不足を引き起こすなどといった供給不足の連鎖を引き起こし、大打撃を被ったのだ。 2006年に筆者が『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す(Making Globalization Work)』(徳間書店)で警告したように、市場はリスクの「値付け」をうまくできない(二酸化炭素の排出量に価格を付けないのと同じ理由だ)。例えばドイツは、明らかに信頼がおけない貿易相手国のロシアからガス供給を受け、依存することを選択した。今、ドイツは、予想され、かつ予測可能であった結果に直面している。 18世紀にアダム・スミスが見出したように、資本主義は独占へと自然に向かっていく傾向があるため、自助努力だけで成り立つシステムではない。しかし、米国のレーガン大統領と英国のサッチャー首相が「規制緩和」の時代を築いて以来、市場の集中が常態化し、電子商取引やソーシャルメディアなど注目される分野だけの現象ではなくなった。 今春、米国で起きた悲惨な粉ミルクの品不足は、それ自体が独占の結果であった。アボット・ラボラトリーズが安全性の問題で生産停止に追い込まれた後、米国人はすぐに、たった1社で米国の供給量の半分近くを占めていることに気づいたのである』、「ダボス会議に参加した実業界と政界のリーダーの大半は、ありふれた話に終始した。なぜこのような事態に陥ったのか、あるいは、グローバリゼーションが全盛の時代にまん延していた「欠陥のある超楽観主義的な論理」について、反省の色はほとんど見られなかった」、「米国のレーガン大統領と英国のサッチャー首相が「規制緩和」の時代を築いて以来、市場の集中が常態化し、電子商取引やソーシャルメディアなど注目される分野だけの現象ではなくなった。 今春、米国で起きた悲惨な粉ミルクの品不足は、それ自体が独占の結果であった」、痛烈な批判だ。
・『米国の偽善に冷ややかな新興国  今年のダボス会議では、グローバリゼーションの失敗が政治に与えた影響も存分に見られた。ロシアがウクライナに侵攻したとき、クレムリンは即座に、しかもほぼ全世界から非難を浴びた。しかしその3カ月後、新興国や途上国(EMDCs)はより曖昧な立場を取るようになった。多くの者が、2003年には偽りの口実でイラクに侵攻したにもかかわらず、ロシアの侵略に説明責任を求める米国の偽善を指摘している。 EMDCsはまた、欧州と米国による最近のワクチンナショナリズムの歴史も強調している。これは、30年前に押し付けられた世界貿易機関(WTO)のIP条項によって維持されてきたものだ。そして、食料とエネルギー価格の上昇の矢面に立たされているのが、EMDCsである。過去の不正義と相まって、こうした最近の動きは、民主主義と国際的な法の支配を提唱する欧米の信用を失墜させるものだ。 確かに、米国による民主主義擁護の支援を拒否する多くの国は、いずれにせよ民主的ではない。しかしほかの国々は民主的だ。この戦いをリードすべく立ち上がったように見える米国は、制度的な人種差別や権威主義者に媚(こ)びたトランプ政権から、投票を抑制して2021年1月6日の米国議会議事堂での暴動から有権者の注意をそらそうとする共和党の執拗な試みまで、自らの失敗によって立場を損なわれてきたのである。 米国にとって最善の方法は、食料とエネルギーのコスト高騰に対処できるよう支援することで、新興国に対してより大きな連帯感を示すことであろう。これは、富裕国の特別引き出し権(国際通貨基金の準備資産)を再配分し、世界貿易機関(WTO)で新型コロナウイルス関連の強力な知的財産権の放棄を支持すれば、可能になる。 さらに、食糧やエネルギー価格の高騰は、多くの貧困国で債務危機を引き起こし、このパンデミック(世界的大流行)による悲劇的な不公平をさらに悪化させる可能性がある。もし米国と欧州が真のグローバル・リーダーシップを発揮したいのであれば、各国が負担しきれないほどの債務を負うようそそのかした大銀行や債権者の味方をするのはやめるべきだ。 40年にわたりグローバリゼーションを擁護してきたダボス会議の面々は、明らかに舵(かじ)取りを誤った。ダボス会議は、先進国、途上国を問わず繁栄を約束してきた。しかし、北半球の巨大企業が豊かになる一方で、すべての人がより良くなるはずのプロセスは、代わりにあらゆる場所で敵を作っただけだった。「トリクルダウン経済学」とは、富裕層が豊かになれば、自動的にすべての人が恩恵を受けるというものだが、理論も根拠もない詐欺のようなものだ。 今年のダボス会議は、残念な結果に終わった。世界に今日のような状況をもたらした意思決定と政策について、真剣に考える機会であり得たはずだ。グローバリゼーションがピークに達した今、その衰退を管理することが、その隆盛を管理したときよりもうまくいくことを願うばかりである』、「ダボス会議は、先進国、途上国を問わず繁栄を約束してきた。しかし、北半球の巨大企業が豊かになる一方で、すべての人がより良くなるはずのプロセスは、代わりにあらゆる場所で敵を作っただけだった。「トリクルダウン経済学」とは、富裕層が豊かになれば、自動的にすべての人が恩恵を受けるというものだが、理論も根拠もない詐欺のようなものだ」、「グローバリゼーションがピークに達した今、その衰退を管理することが、その隆盛を管理したときよりもうまくいくことを願うばかりである」、皮肉たっぷりだ。
タグ:「自動車メーカーの幹部は「3次下請けまでは自分の会社で把握、管理しているけれども、4次、5次、6次の下請けとなると、もはや、どこから部品が来るのか分からない」と、「問題は指摘されていた」、なるほど。 水野氏は国際証券(現:三菱UFJ証券)のエコノミストから法政大教授になり、大きな枠組みでの分析は定評があった。 日刊ゲンダイ「水野和夫法政大教授 ブロック圏で回す経済システムが必要」 「移動コストは高くなり、物流に伴う自動車や鉄道、航空機、船などの大量移動で地球温暖化や気候変動の問題も指摘されるように」、「近代はどの国も(工業、農産物などの)生産力が向上しており、わざわざ遠方に出向く必要もなくなりました。もはや、世界中にサプライチェーンを張り巡らせる必要はなく、近隣諸国などの限られた地域で経済システムを完結できるようになった」、「新型コロナ禍によってグローバル経済という秩序が崩壊しつつある中、新たな世界経済の構造へと大転換させるべき時」、その通りだ。 「「リーマン・ショック」の時の反省もないまま、全く同じことを言っているのです。 おそらく、多くの企業は新型コロナ禍が落ち着いて1年ぐらい過ぎたら、また世界中にサプライチェーンを張り巡らせるでしょう。そして、また新たな感染症が流行したら大騒ぎするという繰り返しです」、「サプライチェーンの仕組みというのは結局、資本が賃金の安い場所を求め、搾取に搾取を重ねていく構造です。こうした弱者に痛みを押し付ける仕組みをいつまで続けるのか。マルクスは「地球が太陽に吸い込まれでもしない限り、資本家はカネもうけをやめない」とい グローバル化 (その2)(水野和夫法政大教授 ブロック圏で回す経済システムが必要、「グローバル化は日本を縮小させる」フランス人歴史学者が断言するワケ、スティグリッツ氏「『脱グローバル化』を正しく理解しよう」) 「内部留保460兆円」のうち、「働く人の労働生産性の上昇に応じて支払われるべきだった賃金」などの「一時預かり金」、ざっと130兆円ほどを、「新型コロナの影響を受けた国民生活を救済するため、まず、このお金を国民のために活用するべき」、「残りの内部留保の一部を償還財源として、政府が「新型コロナ国債」を発行する。そして、政府や自治体の自粛要請で営業できず、苦境に追い込まれている小売業や宿泊、飲食業の家賃補てん、休業補償に充てればいい」、「開店していたパチンコ店に苦言を呈するのではなく、安倍首相が経団連に対して内 ダイヤモンド・オンライン エマニュエル・トッド氏による「「グローバル化は日本を縮小させる」フランス人歴史学者が断言するワケ」 「日本では」、「上層部の下層部に対する軽蔑、あるいは下層部の上層部に対する憎しみというものはない」、というのは本当だろうか。他国と同様にあるような気もする。 「日本にはポピュリズムがない」、「フランス革命やイギリスの産業革命を目の当たりにし、イギリスやフランスよりも識字率が高かったドイツは、自分たちの社会を奮い立たせる必要に迫られ、最終的には国の再発展につなげていったのです。これは日本がアメリカと接することによって明治を迎えたのと似ています」。なるほど。 「日本の適応のための一連の努力、教育面の努力や技術面のそれは完璧主義につながっており、他には類を見ない形で高い均質性のレベルと社会の安定性を維持してきました。 しかしこれらは人口の側面を犠牲にする形で進められたと見ることができる」、面白い見方だ。 「グローバル化の圧力は日本を分断するのではなく、日本全体を縮小させているのです。グローバル化は日本がその最も喫緊とする問題と向き合うことを阻止していると言える」、「低い」「出生率」に「グローバル化の圧力」があるというのは、面白い視点だが、「日本全体を縮小させている」というのは困ったことだ。 日経ビジネスオンライン ジョセフ E.スティグリッツ氏による「スティグリッツ氏「『脱グローバル化』を正しく理解しよう」」 「ダボス会議に参加した実業界と政界のリーダーの大半は、ありふれた話に終始した。なぜこのような事態に陥ったのか、あるいは、グローバリゼーションが全盛の時代にまん延していた「欠陥のある超楽観主義的な論理」について、反省の色はほとんど見られなかった」、「米国のレーガン大統領と英国のサッチャー首相が「規制緩和」の時代を築いて以来、市場の集中が常態化し、電子商取引やソーシャルメディアなど注目される分野だけの現象ではなくなった。 今春、米国で起きた悲惨な粉ミルクの品不足は、それ自体が独占の結果であった」、痛烈な批判だ 「ダボス会議は、先進国、途上国を問わず繁栄を約束してきた。しかし、北半球の巨大企業が豊かになる一方で、すべての人がより良くなるはずのプロセスは、代わりにあらゆる場所で敵を作っただけだった。「トリクルダウン経済学」とは、富裕層が豊かになれば、自動的にすべての人が恩恵を受けるというものだが、理論も根拠もない詐欺のようなものだ」、「グローバリゼーションがピークに達した今、その衰退を管理することが、その隆盛を管理したときよりもうまくいくことを願うばかりである」、皮肉たっぷりだ。
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