中国経済(その16)(政府が「経済成長せよ!」と叫ぶだけの中国が 根本的に分かっていないこと、習近平は「支配を正当化するための経済発展」すら放棄...突き進む「ソ連化」の道、水増しされていた中国の人口 「本当は10億人だった説」の衝撃──ハッキングでデータ流出) [世界経済]
中国経済については、本年2月8日に取上げた。今日は、(その16)(政府が「経済成長せよ!」と叫ぶだけの中国が 根本的に分かっていないこと、習近平は「支配を正当化するための経済発展」すら放棄...突き進む「ソ連化」の道、水増しされていた中国の人口 「本当は10億人だった説」の衝撃──ハッキングでデータ流出)である。特に3番目の記事は衝撃的だ
先ずは、本年2月15日付けNewsweek日本版が掲載した米クレアモント・マッケンナ大学教授のミンシン・ペイ氏による「政府が「経済成長せよ!」と叫ぶだけの中国が、根本的に分かっていないこと」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/02/post-100870_1.php
・『<ゼロコロナ政策から抜け出した中国が、本当に経済を成長路線に乗せるために必要なのは威勢のいい掛け声ではない> 中国政府の「経済成長」愛に再び火がついた。ゼロコロナ政策の長い闇から強引に、少なくとも数万の命を犠牲にして抜け出した今、あの国の指導者たちは異口同音に、いざ力強い経済を取り戻すぞと叫び始めた。だが号令だけでは何も変わらない。 昨年末に開かれた共産党の中央経済工作会議で、今年は経済成長を政府の最優先課題とすると定められた。こうした党中央の固い決意を受け、地方の党幹部や首長らも同じ言葉を繰り返し、民間の投資家や実業家らの期待をあおっている。コロナの時代には見られなかった光景だ。 こうした変化の政治的動機は明らかだ。国民が苛酷なゼロコロナ政策への不満を爆発させ、その廃止に伴う混乱にも失望している今は、一刻も早く党に対する信頼と支持を回復したい。だが成長賛歌の合唱だけでは不十分。大事なのは行動だ。 停滞する不動産業界へのテコ入れなど、小手先の対策では足りない。金融緩和やインフラ投資の拡大などの景気刺激策も、せいぜい短期の効果しかあるまい。 ゼロコロナ政策は中国経済に深い傷痕を残した。それ以前には中小零細企業が4400万社もあった。登記された民間企業の約98%を占め、国内の雇用(公務員を除く)の8割前後を支えていた。ほかに、自営業者も9000万人以上いた』、「共産党の中央経済工作会議で、今年は経済成長を政府の最優先課題とすると定められた・・・地方の党幹部や首長らも同じ言葉を繰り返し、民間の投資家や実業家らの期待をあおっている」、「国民が苛酷なゼロコロナ政策への不満を爆発させ、その廃止に伴う混乱にも失望している今は、一刻も早く党に対する信頼と支持を回復したい。だが成長賛歌の合唱だけでは不十分。大事なのは行動だ。停滞する不動産業界へのテコ入れなど、小手先の対策では足りない。金融緩和やインフラ投資の拡大などの景気刺激策も、せいぜい短期の効果しかあるまい」、その通りだ。
・『中国が再び経済成長するのに不可欠なもの だがゼロコロナ政策で事情は一変した。ロックダウン中も中小零細業者への資金援助はなかったから、多くが廃業に追い込まれた。 そこへ、地政学的な圧力が成長の阻害要因としてのしかかる。アメリカは中国が半導体を入手できないよう、これまで以上に力を入れている。オランダ企業ASMLが半導体製造装置を中国に売らないよう、同国政府に圧力をかけてもいる。米議会の下院で多数派となった共和党が、新たな経済制裁を打ち出す可能性もある。 ウクライナでの戦争に関して、今も中国はロシアを非難していない。当然、EUは腹を立てており、アメリカと同様に経済的なデカップリング(切り離し)を急ぐべきだとの声も上がっている。こんな政治的緊張が続く限り、経済の先は見えない。投資意欲は冷え、外国企業の撤退で製造業の雇用は確実に減っていく。 つまり、中国経済を再び成長軌道に乗せるには欧米諸国との関係改善が不可欠だ。しかし現時点で、米中関係は修復不能なほどに冷え込んでいる。どうすればいいか。プーチン政権下のロシアに対する支持を取り下げるのもいい。台湾に対する軍事的な威嚇をトーンダウンするのもいい。それだけでも投資家の心理は変わるだろう』、「こんな政治的緊張が続く限り、経済の先は見えない。投資意欲は冷え、外国企業の撤退で製造業の雇用は確実に減っていく。 つまり、中国経済を再び成長軌道に乗せるには欧米諸国との関係改善が不可欠だ。しかし現時点で、米中関係は修復不能なほどに冷え込んでいる」、打開は難しそうだ。
・『古典的な共産主義イデオロギーにこだわる習政権 一方で中国は、投資家の信頼を得られる改革に乗り出さねばならない。習近平(シー・チンピン)政権は古典的な共産主義イデオロギーにこだわり、社会と経済に対する党の支配を強化してきた。民間企業に党の支部を置き、貿易相手国への危険な挑発を繰り返したりするようでは、信頼回復など望めない。 本気で成長を取り戻したいなら、かつて鄧小平が推進した政治改革の路線に戻るべきだ。とりわけ大事なのは法治主義の貫徹と司法の独立。さもないと民間事業者が自分の命と財産を守れない。 経済政策では非効率な国有企業を民営化し、企業に優しい規制環境を整えること。中小零細企業に対する支援策も、成長の回復軌道を維持するには欠かせない。 しかし今のところ、中国政府がこうした改革に乗り出す気配はない。成長を口にするだけで、1979年に毛沢東の階級闘争理論と決別した鄧小平のような気概で国の進路を変える兆しは見えない。党の甘言に乗せられてはいけない。この先も当面は、中国経済の息は上がったままだ』、「習近平・・・政権は古典的な共産主義イデオロギーにこだわり、社会と経済に対する党の支配を強化してきた。民間企業に党の支部を置き、貿易相手国への危険な挑発を繰り返したりするようでは、信頼回復など望めない。 本気で成長を取り戻したいなら、かつて鄧小平が推進した政治改革の路線に戻るべきだ。とりわけ大事なのは法治主義の貫徹と司法の独立。さもないと民間事業者が自分の命と財産を守れない」、「習近平」は経済がある程度理解していた李克強を追い出し、イエスマンが首相にしたようでは、「当面は、中国経済の息は上がったままだ」。困ったことだ。
次に、2月16日付けNewsweek日本版が掲載したブルネル大学(ロンドン)ビジネススクール上級講師のティー・クオ氏と、スタンフォード大学中国経済制度センター上級研究員のチョンカン・シュイ氏による「習近平は「支配を正当化するための経済発展」すら放棄...突き進む「ソ連化」の道」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/02/post-100878_1.php
・『<共産党の「完全支配」復活を目指す習近平路線は、民間の活力を奪い、先進国市場を遠ざけ、土地バブルを崩壊させかねない> 中国共産党の第20回党大会(2022年10月開催)では、習近平(シー・チンピン)国家主席が今後5年間も政権を担うことが確認された。ただし、それが中国経済にとって何を意味するかは、3つの要素に左右される。国の制度、過去と現在の経済状況、そして指導者の政治的意図だ。 中国の最も基本的な制度は全体主義であり、経済を含む社会の全領域に共産党の独占的支配が及んでいる。全体主義型統制を支える党=国家の制度は、1949年にソビエト連邦から全面的に移植されたものだ。 ソ連型全体主義は30年前に経済の行き詰まりにより崩壊したが、中国は例外に見えた。いま問われているのは、中国独自の全体主義的実験が今後も長続きするかどうかだ。 この問いに答えるためには、「中国の特色ある全体主義」の構造を理解する必要がある。その重要な柱は政治・思想・人事における高度に中央集権化された全体主義型統制と、行政・経済政策の分権化を合体させた地域分権全体主義(RDT)だ。 この組み合わせはポスト毛沢東時代の改革開放政策の原動力だった。この時期に経済への中央集権的・全体主義的な統制は緩和され、RDTは地域分権権威主義(RDA)へと発展した。だが、習が権力を握った2012年以降は全体主義に回帰し、特に急成長する民間部門への統制を再び強めた。この逆流現象が、22年の急激な経済減速の主な理由だ。 毛の死後、共産党指導部は経済成長こそ生き残りの鍵だと考え、RDTを新たな改革開放政策の制度的基盤に据えた。この新モデルでは、地域経済の状況が地方の党=国家官僚の昇進を左右するため、一部の官僚は民間企業の違法行為を隠蔽したり、そうした企業を支援したりして、民間部門の急成長を促した。 民間企業の存在感が増すと、共産党は憲法を改正し、私有財産権を認める世界初の共産主義国家となった。この時点で統制はある程度緩和され、RDTはRDAに移行し始めた。 RDAモデルでは、共産党の政治面での独占に歯向かわない限り、民間部門や萌芽期の市民社会、非国営マスメディアの成長が許容されていた。加えて01年のWTO(世界貿易機関)加盟を機に外国から巨額の投資が流入し、輸出が飛躍的に伸びた。 だがRDAは、より長期的な問題の根本原因でもある。中国経済の持続的エネルギーは、土地と銀行部門の国家による独占、司法の独立性欠如、民間部門に対する差別、内需不足によって常に脅かされている。08年の世界金融危機は、党による完全支配を再び推進する口実となった。) 党=国家は膨大な債務を積み上げてインフラ整備を推し進め、少なくとも当面は高い経済成長を実現した。しかし、投資のほとんどは非効率で、中国は過剰借り入れと過剰設備の悪循環に陥った。さらに問題なのは、借金に頼った巨額の公共投資が民間部門を素通りしたことだ。 一方、土地の国有制と銀行の国家独占は、直接・間接的にGDPの約3分の1を占める不動産部門に深刻な問題を引き起こした。98年に始まった不動産の「市場化」は、国有地を地方政府の収入源に変えるのが狙いだった。この年の土地管理法改正の柱は、地方政府を管轄域内で唯一の土地所有者とすることにあった。 しかし、地方政府は土地から得られる利益を最大化するため、不動産の供給を絞って価格つり上げに走った。その結果、中国の不動産価格は平均世帯収入に対する比率で見ると、世界で最も高い水準に達した。中国全体の不動産価格はアメリカとEUの合計を上回ったが、この意図的に作られたバブルは今や崩壊寸前だ』、「中国の特色ある全体主義」、「の重要な柱は政治・思想・人事における高度に中央集権化された全体主義型統制と、行政・経済政策の分権化を合体させた地域分権全体主義(RDT)だ。 この組み合わせはポスト毛沢東時代の改革開放政策の原動力だった。この時期に経済への中央集権的・全体主義的な統制は緩和され、RDTは地域分権権威主義(RDA)へと発展した。だが、習が権力を握った2012年以降は全体主義に回帰し、特に急成長する民間部門への統制を再び強めた。この逆流現象が、22年の急激な経済減速の主な理由だ」、なるほど。「中国の不動産価格は平均世帯収入に対する比率で見ると、世界で最も高い水準に達した。中国全体の不動産価格はアメリカとEUの合計を上回ったが、この意図的に作られたバブルは今や崩壊寸前だ」、「中国全体の不動産価格はアメリカとEUの合計を上回った」、とはまさに「バブル」だ。
・『全体主義への回帰が鮮明に 土地と銀行の国家独占は金融・財政システムも不安定化させた。地方政府が土地を担保に国有銀行から巨額の借り入れを続けたこともあり、中国全体の対GDP比債務残高は19年第1四半期には300%に達した。 さらに深刻なのは、その大半が土地や金融商品を担保にした住宅ローンであることだ。経済が減速している今、景気の波を増幅させる効果があるこの種の債務の担保価値低下は経済システム全体の重荷になり始め、金融・財政危機を誘発しかねない。 こうした問題に拍車をかけているのが内需の弱さだ。かつての中国は輸出収入でそれを補えたが、先進国との関係が悪化している現在、輸出頼みの経済成長はもはや望めない。中国の民間消費の対GDP比は21年の時点で38.5%(アメリカは70%近く、日本は58%)。依然として世界最低レベルにとどまっている。 中国経済が新たに直面している最大の問題は、共産党の掲げる目標の変化だ。党の存続のための経済発展という従来の目標は、穏やかな政治の進化とカラー革命(民主化運動)の阻止に代わった。党指導部は12年以降、組織的に中国の政治経済を全体主義に引き戻そうとしている。 中国社会の多元主義的要素(民間企業、市民団体、独立系メディア)は依然として制限されているが、党指導部はこの狭い空間が反抗の拠点になることを恐れている。民間の大物起業家や非国有の大手IT企業は容赦なく弾圧された。こうした動きは民間部門を弱体化させ、先進国市場へのアクセスを低下させている。) 党大会を見る限り、今後の中国で全体主義型統制が強化されることは明らかだろう。穏健なテクノクラートの存在感は低下し、今後の経済政策は政治的に決定されることになる。民間企業と市場への締め付けは着実に強化されるだろう。 1980年代、購買力平価でみたソ連の1人当たりGDPはアメリカの約3分の1だったが、今の中国は4分の1をわずかに超える程度。しかも数十年続いた「一人っ子政策」の結果、人口は減少に転じ、人口構造から労働供給と内需の両面で問題のさらなる悪化が示唆されている。 50年代、共産党の有名なスローガンの1つに「ソ連の今日は私たちの明日」というものがあった。現在の党指導部は今日の中国を昨日のソ連に変えようとしている』、「党指導部は12年以降、組織的に中国の政治経済を全体主義に引き戻そうとしている。 中国社会の多元主義的要素・・・は依然として制限されているが、党指導部はこの狭い空間が反抗の拠点になることを恐れている。民間の大物起業家や非国有の大手IT企業は容赦なく弾圧された。こうした動きは民間部門を弱体化させ、先進国市場へのアクセスを低下させている」、「今後の中国で全体主義型統制が強化されることは明らかだろう。穏健なテクノクラートの存在感は低下し、今後の経済政策は政治的に決定されることになる。民間企業と市場への締め付けは着実に強化されるだろう」、その通りだ。
第三に、3月15日付けNewsweek日本版が掲載した香港出身の経済学者・コラムニストの練乙錚氏による「水増しされていた中国の人口、「本当は10億人だった説」の衝撃──ハッキングでデータ流出」を紹介しよう。これは、誠に驚くべき内容だ。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/03/post-101105_1.php
・『<労働人口が増え続ければ経済は栄える...。「14億人市場」という売り文句で海外からの投資を呼んできたが、中国の改ざん、捏造の流儀に目をつぶったほうも軽率> 多産多死の時代から多産少死の人口増加期を経て、やがて少産少死の安定期に入る。このプロセスを「人口転換」と呼ぶが、その後半では(今の日本のように)少子高齢化が顕著になり、やがて人口減少の危機を迎えかねない。 それが歴史の常であり、この人口転換からはどの国も逃れられない。まだ人口は増え続けると豪語していた中国政府も、ついにこの1月、従来は「2030年以降」とされていた人口減少が、実は昨年から始まっていたと認めた。 深刻な事態だが、もっと深刻なのは、その背景にある中国ならではの特殊事情だ。 なぜ想定より8年も早く、人口減が始まってしまったのか。中国の人口が「2030年以降」に減り始めるという想定は中国政府の発表してきた過去の公式統計に基づくもので、大多数の国際機関や外国政府もこれを信じ、これによって中国の将来性や国力を推定してきた。 そもそも平時には、一国の人口が激変する事態は考えにくい。しかるべき統計データがあれば、先の予想は十分に可能だ。なのに、なぜ8年も計算が違ったのか。 どう見ても不自然で、基のデータがおかしかったと考えざるを得ない。中国政府の発表する公式統計の信憑性には以前から疑問が提起されていたが、人口統計に関しては明らかに意図的な改ざんがあったと思われる。 かつて中国には「国家衛生計画生育委員会(計生委)」という組織があった。計生委は巨大な官僚機構で、1980年代に急激に力を付け、国民からは最も嫌われ、軽蔑される組織の1つとなった。 なぜか。1980年頃に始まる悪名高い「一人っ子政策」の実行部隊として、計生委は強制的に妊娠を規制し、2人目以降の妊娠に関しては人工中絶を強要してきたからだ。 一方で組織内には腐敗が蔓延し、無能な共産党幹部が違法出産を見逃す代わりに私腹を肥やしていた。一人っ子政策の下でも人口が増え続けるのは、計生委の指導下でのデータ改ざんが原因だった(こちらの記事参照、なお計生委は18年に廃止されている)』、「人口統計に関しては明らかに意図的な改ざんがあった」、「かつて中国には「国家衛生計画生育委員会(計生委)」という組織があった。計生委は巨大な官僚機構で、1980年代に急激に力を付け、国民からは最も嫌われ、軽蔑される組織の1つとなった。 なぜか。1980年頃に始まる悪名高い「一人っ子政策」の実行部隊として、計生委は強制的に妊娠を規制し、2人目以降の妊娠に関しては人工中絶を強要してきた」、「一人っ子政策の下でも人口が増え続けるのは、計生委の指導下でのデータ改ざんが原因」、酷い組織だったようだ。
・『共産党が神話を主導 だが党の指導者──最初は江沢民(チアン・ツォーミン)、次いで胡錦濤(フー・チンタオ)──が旗を振らなければ、データの改ざんがこれほど組織的に行われることはなかっただろう。 江沢民も胡錦濤も、中国経済の成長を支えるには外国資本の誘致が不可欠と考えていた。だから中国には今でも10億人を超える巨大市場があり、その規模は何十年も先まで拡大を続けるし、安価な労働力もたっぷりあるという「神話」をつくり上げた。 データの改ざんは習近平(シー・チンピン)体制になってからも続いた。「14億の民」という標語を振りかざせば、軍事面でも外交面でも虚勢を張り、諸外国を威圧することが可能だった。 しかし偽りの楽観的な人口統計に基づく経済成長は持続不能だ。だから習近平は、あの「ゼロコロナ政策」を放棄したときと同様、唐突に「30年以降の人口減少」説を放棄した。そして中国の人口は既にピークに達し、減少に転じていると認めた。 それでも中国は、全てを白状したわけではない。22年の人口総数は約14億1000万人だったと、今も主張し続けているが、ここ数年の人口データの修正から考えて、極めて疑わしい数字だ。 なお米ウィスコンシン大学の人口統計学者である易富賢(イー・フーシェン)は、水増しされる前の出生データを基に、中国のピーク人口は約12億8000万人だったと推定している(ちなみに彼の著書は、中国国内では発売を禁じられている)。 だが昨年起きたハッキング事件により、中国の人口は彼の推定値よりもずっと少ない可能性が出てきた』、「江沢民も胡錦濤も、中国経済の成長を支えるには外国資本の誘致が不可欠と考えていた。だから中国には今でも10億人を超える巨大市場があり、その規模は何十年も先まで拡大を続けるし、安価な労働力もたっぷりあるという「神話」をつくり上げた。 データの改ざんは習近平・・・体制になってからも続いた」、昔から「改ざん」を続けていたことに驚かされた。
・『データ流出で嘘が露呈? 昨年6月、中国は史上最悪のデータ流出事件に見舞われた。上海警察のデータベースがハッカー攻撃を受けたのだ。 ハッカー集団は、個人を特定できる最新の情報を含む10億人分(23テラバイト相当)のデータセットを盗み、それをダークウェブで1セット10ビットコイン(約20万ドル)で売りに出した。 これを購入した研究者たちが分析してみると、その数値は中国の実際の人口動態プロファイルと酷似していた。つまりデータは本物と考えていいのだが、統計処理に当たって総人口の70%(総数を14億とすれば10億)ものサンプルを使うことはあり得ない。 一般論として、そんな必要はないし、手間も費用もかかりすぎる。普通はどんなに多くても10%程度だ。中国政府は毎年、サンプル調査を基に人口の変動を推計しているが、その際に用いられるサンプル数は総人口の1%だ。 そう考えると、昨年のハッキングで流出したデータセットには(国民の70%ではなく)全国民の個人識別情報が含まれていた可能性が高い。つまり、中国の本当の人口は14億でも12億8000万でもなく、せいぜい10億人程度という可能性が出てくる。 この国の政治は依然として一枚岩のトップダウン型で、それがデータ改ざんを助長する体質を生んだ。人口の水増しを伴うようでは、中央政府の進める壮大な建設プロジェクトも無用なものとなろう。 高速道路や新幹線の建設を急ぎ、人口増を見込んで不動産を開発しても、入居者のいない新築物件のゴーストタウンを生み出すだけだ。関連業界も含め、収益性を欠く無用の事業ばかりで、今や不良債権が山積みされている。 統計偽装の弊害は高齢者の医療保険や年金にも及ぶ。1960年代に生まれたベビーブーム世代には、労働力の増加を前提として潤沢な支給が約束されていた。 ところが今、武漢などの大都市では「白髪革命」と呼ばれる抗議デモが起きている。医療保険の給付金減額に、高齢者が怒りの声を上げているのだ。 外交の分野では虚栄心に満ちた「一帯一路構想」が同じく持続不能となり、挫折しかけている。労働人口が増え続ければ経済は栄え、政府の資金も潤沢になる──。そんな前提で金をつぎ込んできたのだが、今や人口は減少に転じ、経済の先行きも暗い。 こういう展開は、同じような人口問題を抱える他の国々ではあり得ない。いわゆる計画経済に縛られていないから、誰も人口統計を改ざんする必要を感じないからだ。 しかし偽データの影響は他国にも及ぶ。外国の自動車メーカーや携帯電話の製造会社は、人口増という見込みがあればこそ中国に投資してきた。中国市場の拡大に期待し、安価な労働力を搾取して輸出品の生産もしてきた。これらも持続不能になる。) ブラジル、オーストラリア、カナダ、アメリカなどでは、中国を巨大な成長市場と信じて鉱業や農業の分野で生産規模を拡大してきた。これらの業界のもくろみも外れる。 だました中国が悪いとは言える。ただし長期プランを策定する際に中国の公式統計に頼ってきた企業側も、まあ自業自得だろう。 それは各国政府の罪でもあるかもしれない。改ざん・捏造といった、知らないわけではない中国の流儀に目をつぶっていたのは軽率だった。 習近平は最近、中国の人口危機に取り組むことを約束した。だが元紅衛兵ゆえに、かつての一人っ子政策より過激な政策に傾くかもしれない。今度は逆方向、つまり強制妊娠という方向へだ。 そんな発想は狂気の沙汰としか思えないが、世界では現に(毛沢東時代の中国と緊密な関係にあった)カンボジアのポル・ポト政権とルーマニアのチャウシェスク政権がそれを実行に移している。 参考となるのは1966年にルーマニアで制定された政令770号だろう。女性の月経を厳しく監視し、妊娠を中絶した者に厳罰を科した。望まない妊娠が増え、親に捨てられた子供たちで満杯の孤児院がいくつも出現している。習近平がそこまで愚かではないことを願おう。 (リアン・イーゼン氏の略歴はリンク先参照)』、「データ流出で嘘が露呈」、「中国の本当の人口は14億でも12億8000万でもなく、せいぜい10億人程度という可能性が出てくる」、ずいぶんサバを読んだものだ。「高速道路や新幹線の建設を急ぎ、人口増を見込んで不動産を開発しても、入居者のいない新築物件のゴーストタウンを生み出すだけだ。関連業界も含め、収益性を欠く無用の事業ばかりで、今や不良債権が山積みされている。 統計偽装の弊害は高齢者の医療保険や年金にも及ぶ。1960年代に生まれたベビーブーム世代には、労働力の増加を前提として潤沢な支給が約束されていた。 ところが今、武漢などの大都市では「白髪革命」と呼ばれる抗議デモが起きている。医療保険の給付金減額に、高齢者が怒りの声を上げているのだ」、国内での各種歪みは深刻だ。「偽データの影響は他国にも及ぶ。外国の自動車メーカーや携帯電話の製造会社は、人口増という見込みがあればこそ中国に投資してきた。中国市場の拡大に期待し、安価な労働力を搾取して輸出品の生産もしてきた。これらも持続不能になる。 ブラジル、オーストラリア、カナダ、アメリカなどでは、中国を巨大な成長市場と信じて鉱業や農業の分野で生産規模を拡大してきた。これらの業界のもくろみも外れる」、海外にも影響するとは・・・。「習近平は最近、中国の人口危機に取り組むことを約束した。だが元紅衛兵ゆえに、かつての一人っ子政策より過激な政策に傾くかもしれない。今度は逆方向、つまり強制妊娠という方向へだ。 そんな発想は狂気の沙汰としか思えないが、世界では現に(毛沢東時代の中国と緊密な関係にあった)カンボジアのポル・ポト政権とルーマニアのチャウシェスク政権がそれを実行に移している」、「強制妊娠」はやはり無理だろう。それにしても、迷惑な種を世界中に蒔いてくれたものだ。やれやれ・・・。
先ずは、本年2月15日付けNewsweek日本版が掲載した米クレアモント・マッケンナ大学教授のミンシン・ペイ氏による「政府が「経済成長せよ!」と叫ぶだけの中国が、根本的に分かっていないこと」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/02/post-100870_1.php
・『<ゼロコロナ政策から抜け出した中国が、本当に経済を成長路線に乗せるために必要なのは威勢のいい掛け声ではない> 中国政府の「経済成長」愛に再び火がついた。ゼロコロナ政策の長い闇から強引に、少なくとも数万の命を犠牲にして抜け出した今、あの国の指導者たちは異口同音に、いざ力強い経済を取り戻すぞと叫び始めた。だが号令だけでは何も変わらない。 昨年末に開かれた共産党の中央経済工作会議で、今年は経済成長を政府の最優先課題とすると定められた。こうした党中央の固い決意を受け、地方の党幹部や首長らも同じ言葉を繰り返し、民間の投資家や実業家らの期待をあおっている。コロナの時代には見られなかった光景だ。 こうした変化の政治的動機は明らかだ。国民が苛酷なゼロコロナ政策への不満を爆発させ、その廃止に伴う混乱にも失望している今は、一刻も早く党に対する信頼と支持を回復したい。だが成長賛歌の合唱だけでは不十分。大事なのは行動だ。 停滞する不動産業界へのテコ入れなど、小手先の対策では足りない。金融緩和やインフラ投資の拡大などの景気刺激策も、せいぜい短期の効果しかあるまい。 ゼロコロナ政策は中国経済に深い傷痕を残した。それ以前には中小零細企業が4400万社もあった。登記された民間企業の約98%を占め、国内の雇用(公務員を除く)の8割前後を支えていた。ほかに、自営業者も9000万人以上いた』、「共産党の中央経済工作会議で、今年は経済成長を政府の最優先課題とすると定められた・・・地方の党幹部や首長らも同じ言葉を繰り返し、民間の投資家や実業家らの期待をあおっている」、「国民が苛酷なゼロコロナ政策への不満を爆発させ、その廃止に伴う混乱にも失望している今は、一刻も早く党に対する信頼と支持を回復したい。だが成長賛歌の合唱だけでは不十分。大事なのは行動だ。停滞する不動産業界へのテコ入れなど、小手先の対策では足りない。金融緩和やインフラ投資の拡大などの景気刺激策も、せいぜい短期の効果しかあるまい」、その通りだ。
・『中国が再び経済成長するのに不可欠なもの だがゼロコロナ政策で事情は一変した。ロックダウン中も中小零細業者への資金援助はなかったから、多くが廃業に追い込まれた。 そこへ、地政学的な圧力が成長の阻害要因としてのしかかる。アメリカは中国が半導体を入手できないよう、これまで以上に力を入れている。オランダ企業ASMLが半導体製造装置を中国に売らないよう、同国政府に圧力をかけてもいる。米議会の下院で多数派となった共和党が、新たな経済制裁を打ち出す可能性もある。 ウクライナでの戦争に関して、今も中国はロシアを非難していない。当然、EUは腹を立てており、アメリカと同様に経済的なデカップリング(切り離し)を急ぐべきだとの声も上がっている。こんな政治的緊張が続く限り、経済の先は見えない。投資意欲は冷え、外国企業の撤退で製造業の雇用は確実に減っていく。 つまり、中国経済を再び成長軌道に乗せるには欧米諸国との関係改善が不可欠だ。しかし現時点で、米中関係は修復不能なほどに冷え込んでいる。どうすればいいか。プーチン政権下のロシアに対する支持を取り下げるのもいい。台湾に対する軍事的な威嚇をトーンダウンするのもいい。それだけでも投資家の心理は変わるだろう』、「こんな政治的緊張が続く限り、経済の先は見えない。投資意欲は冷え、外国企業の撤退で製造業の雇用は確実に減っていく。 つまり、中国経済を再び成長軌道に乗せるには欧米諸国との関係改善が不可欠だ。しかし現時点で、米中関係は修復不能なほどに冷え込んでいる」、打開は難しそうだ。
・『古典的な共産主義イデオロギーにこだわる習政権 一方で中国は、投資家の信頼を得られる改革に乗り出さねばならない。習近平(シー・チンピン)政権は古典的な共産主義イデオロギーにこだわり、社会と経済に対する党の支配を強化してきた。民間企業に党の支部を置き、貿易相手国への危険な挑発を繰り返したりするようでは、信頼回復など望めない。 本気で成長を取り戻したいなら、かつて鄧小平が推進した政治改革の路線に戻るべきだ。とりわけ大事なのは法治主義の貫徹と司法の独立。さもないと民間事業者が自分の命と財産を守れない。 経済政策では非効率な国有企業を民営化し、企業に優しい規制環境を整えること。中小零細企業に対する支援策も、成長の回復軌道を維持するには欠かせない。 しかし今のところ、中国政府がこうした改革に乗り出す気配はない。成長を口にするだけで、1979年に毛沢東の階級闘争理論と決別した鄧小平のような気概で国の進路を変える兆しは見えない。党の甘言に乗せられてはいけない。この先も当面は、中国経済の息は上がったままだ』、「習近平・・・政権は古典的な共産主義イデオロギーにこだわり、社会と経済に対する党の支配を強化してきた。民間企業に党の支部を置き、貿易相手国への危険な挑発を繰り返したりするようでは、信頼回復など望めない。 本気で成長を取り戻したいなら、かつて鄧小平が推進した政治改革の路線に戻るべきだ。とりわけ大事なのは法治主義の貫徹と司法の独立。さもないと民間事業者が自分の命と財産を守れない」、「習近平」は経済がある程度理解していた李克強を追い出し、イエスマンが首相にしたようでは、「当面は、中国経済の息は上がったままだ」。困ったことだ。
次に、2月16日付けNewsweek日本版が掲載したブルネル大学(ロンドン)ビジネススクール上級講師のティー・クオ氏と、スタンフォード大学中国経済制度センター上級研究員のチョンカン・シュイ氏による「習近平は「支配を正当化するための経済発展」すら放棄...突き進む「ソ連化」の道」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/02/post-100878_1.php
・『<共産党の「完全支配」復活を目指す習近平路線は、民間の活力を奪い、先進国市場を遠ざけ、土地バブルを崩壊させかねない> 中国共産党の第20回党大会(2022年10月開催)では、習近平(シー・チンピン)国家主席が今後5年間も政権を担うことが確認された。ただし、それが中国経済にとって何を意味するかは、3つの要素に左右される。国の制度、過去と現在の経済状況、そして指導者の政治的意図だ。 中国の最も基本的な制度は全体主義であり、経済を含む社会の全領域に共産党の独占的支配が及んでいる。全体主義型統制を支える党=国家の制度は、1949年にソビエト連邦から全面的に移植されたものだ。 ソ連型全体主義は30年前に経済の行き詰まりにより崩壊したが、中国は例外に見えた。いま問われているのは、中国独自の全体主義的実験が今後も長続きするかどうかだ。 この問いに答えるためには、「中国の特色ある全体主義」の構造を理解する必要がある。その重要な柱は政治・思想・人事における高度に中央集権化された全体主義型統制と、行政・経済政策の分権化を合体させた地域分権全体主義(RDT)だ。 この組み合わせはポスト毛沢東時代の改革開放政策の原動力だった。この時期に経済への中央集権的・全体主義的な統制は緩和され、RDTは地域分権権威主義(RDA)へと発展した。だが、習が権力を握った2012年以降は全体主義に回帰し、特に急成長する民間部門への統制を再び強めた。この逆流現象が、22年の急激な経済減速の主な理由だ。 毛の死後、共産党指導部は経済成長こそ生き残りの鍵だと考え、RDTを新たな改革開放政策の制度的基盤に据えた。この新モデルでは、地域経済の状況が地方の党=国家官僚の昇進を左右するため、一部の官僚は民間企業の違法行為を隠蔽したり、そうした企業を支援したりして、民間部門の急成長を促した。 民間企業の存在感が増すと、共産党は憲法を改正し、私有財産権を認める世界初の共産主義国家となった。この時点で統制はある程度緩和され、RDTはRDAに移行し始めた。 RDAモデルでは、共産党の政治面での独占に歯向かわない限り、民間部門や萌芽期の市民社会、非国営マスメディアの成長が許容されていた。加えて01年のWTO(世界貿易機関)加盟を機に外国から巨額の投資が流入し、輸出が飛躍的に伸びた。 だがRDAは、より長期的な問題の根本原因でもある。中国経済の持続的エネルギーは、土地と銀行部門の国家による独占、司法の独立性欠如、民間部門に対する差別、内需不足によって常に脅かされている。08年の世界金融危機は、党による完全支配を再び推進する口実となった。) 党=国家は膨大な債務を積み上げてインフラ整備を推し進め、少なくとも当面は高い経済成長を実現した。しかし、投資のほとんどは非効率で、中国は過剰借り入れと過剰設備の悪循環に陥った。さらに問題なのは、借金に頼った巨額の公共投資が民間部門を素通りしたことだ。 一方、土地の国有制と銀行の国家独占は、直接・間接的にGDPの約3分の1を占める不動産部門に深刻な問題を引き起こした。98年に始まった不動産の「市場化」は、国有地を地方政府の収入源に変えるのが狙いだった。この年の土地管理法改正の柱は、地方政府を管轄域内で唯一の土地所有者とすることにあった。 しかし、地方政府は土地から得られる利益を最大化するため、不動産の供給を絞って価格つり上げに走った。その結果、中国の不動産価格は平均世帯収入に対する比率で見ると、世界で最も高い水準に達した。中国全体の不動産価格はアメリカとEUの合計を上回ったが、この意図的に作られたバブルは今や崩壊寸前だ』、「中国の特色ある全体主義」、「の重要な柱は政治・思想・人事における高度に中央集権化された全体主義型統制と、行政・経済政策の分権化を合体させた地域分権全体主義(RDT)だ。 この組み合わせはポスト毛沢東時代の改革開放政策の原動力だった。この時期に経済への中央集権的・全体主義的な統制は緩和され、RDTは地域分権権威主義(RDA)へと発展した。だが、習が権力を握った2012年以降は全体主義に回帰し、特に急成長する民間部門への統制を再び強めた。この逆流現象が、22年の急激な経済減速の主な理由だ」、なるほど。「中国の不動産価格は平均世帯収入に対する比率で見ると、世界で最も高い水準に達した。中国全体の不動産価格はアメリカとEUの合計を上回ったが、この意図的に作られたバブルは今や崩壊寸前だ」、「中国全体の不動産価格はアメリカとEUの合計を上回った」、とはまさに「バブル」だ。
・『全体主義への回帰が鮮明に 土地と銀行の国家独占は金融・財政システムも不安定化させた。地方政府が土地を担保に国有銀行から巨額の借り入れを続けたこともあり、中国全体の対GDP比債務残高は19年第1四半期には300%に達した。 さらに深刻なのは、その大半が土地や金融商品を担保にした住宅ローンであることだ。経済が減速している今、景気の波を増幅させる効果があるこの種の債務の担保価値低下は経済システム全体の重荷になり始め、金融・財政危機を誘発しかねない。 こうした問題に拍車をかけているのが内需の弱さだ。かつての中国は輸出収入でそれを補えたが、先進国との関係が悪化している現在、輸出頼みの経済成長はもはや望めない。中国の民間消費の対GDP比は21年の時点で38.5%(アメリカは70%近く、日本は58%)。依然として世界最低レベルにとどまっている。 中国経済が新たに直面している最大の問題は、共産党の掲げる目標の変化だ。党の存続のための経済発展という従来の目標は、穏やかな政治の進化とカラー革命(民主化運動)の阻止に代わった。党指導部は12年以降、組織的に中国の政治経済を全体主義に引き戻そうとしている。 中国社会の多元主義的要素(民間企業、市民団体、独立系メディア)は依然として制限されているが、党指導部はこの狭い空間が反抗の拠点になることを恐れている。民間の大物起業家や非国有の大手IT企業は容赦なく弾圧された。こうした動きは民間部門を弱体化させ、先進国市場へのアクセスを低下させている。) 党大会を見る限り、今後の中国で全体主義型統制が強化されることは明らかだろう。穏健なテクノクラートの存在感は低下し、今後の経済政策は政治的に決定されることになる。民間企業と市場への締め付けは着実に強化されるだろう。 1980年代、購買力平価でみたソ連の1人当たりGDPはアメリカの約3分の1だったが、今の中国は4分の1をわずかに超える程度。しかも数十年続いた「一人っ子政策」の結果、人口は減少に転じ、人口構造から労働供給と内需の両面で問題のさらなる悪化が示唆されている。 50年代、共産党の有名なスローガンの1つに「ソ連の今日は私たちの明日」というものがあった。現在の党指導部は今日の中国を昨日のソ連に変えようとしている』、「党指導部は12年以降、組織的に中国の政治経済を全体主義に引き戻そうとしている。 中国社会の多元主義的要素・・・は依然として制限されているが、党指導部はこの狭い空間が反抗の拠点になることを恐れている。民間の大物起業家や非国有の大手IT企業は容赦なく弾圧された。こうした動きは民間部門を弱体化させ、先進国市場へのアクセスを低下させている」、「今後の中国で全体主義型統制が強化されることは明らかだろう。穏健なテクノクラートの存在感は低下し、今後の経済政策は政治的に決定されることになる。民間企業と市場への締め付けは着実に強化されるだろう」、その通りだ。
第三に、3月15日付けNewsweek日本版が掲載した香港出身の経済学者・コラムニストの練乙錚氏による「水増しされていた中国の人口、「本当は10億人だった説」の衝撃──ハッキングでデータ流出」を紹介しよう。これは、誠に驚くべき内容だ。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/03/post-101105_1.php
・『<労働人口が増え続ければ経済は栄える...。「14億人市場」という売り文句で海外からの投資を呼んできたが、中国の改ざん、捏造の流儀に目をつぶったほうも軽率> 多産多死の時代から多産少死の人口増加期を経て、やがて少産少死の安定期に入る。このプロセスを「人口転換」と呼ぶが、その後半では(今の日本のように)少子高齢化が顕著になり、やがて人口減少の危機を迎えかねない。 それが歴史の常であり、この人口転換からはどの国も逃れられない。まだ人口は増え続けると豪語していた中国政府も、ついにこの1月、従来は「2030年以降」とされていた人口減少が、実は昨年から始まっていたと認めた。 深刻な事態だが、もっと深刻なのは、その背景にある中国ならではの特殊事情だ。 なぜ想定より8年も早く、人口減が始まってしまったのか。中国の人口が「2030年以降」に減り始めるという想定は中国政府の発表してきた過去の公式統計に基づくもので、大多数の国際機関や外国政府もこれを信じ、これによって中国の将来性や国力を推定してきた。 そもそも平時には、一国の人口が激変する事態は考えにくい。しかるべき統計データがあれば、先の予想は十分に可能だ。なのに、なぜ8年も計算が違ったのか。 どう見ても不自然で、基のデータがおかしかったと考えざるを得ない。中国政府の発表する公式統計の信憑性には以前から疑問が提起されていたが、人口統計に関しては明らかに意図的な改ざんがあったと思われる。 かつて中国には「国家衛生計画生育委員会(計生委)」という組織があった。計生委は巨大な官僚機構で、1980年代に急激に力を付け、国民からは最も嫌われ、軽蔑される組織の1つとなった。 なぜか。1980年頃に始まる悪名高い「一人っ子政策」の実行部隊として、計生委は強制的に妊娠を規制し、2人目以降の妊娠に関しては人工中絶を強要してきたからだ。 一方で組織内には腐敗が蔓延し、無能な共産党幹部が違法出産を見逃す代わりに私腹を肥やしていた。一人っ子政策の下でも人口が増え続けるのは、計生委の指導下でのデータ改ざんが原因だった(こちらの記事参照、なお計生委は18年に廃止されている)』、「人口統計に関しては明らかに意図的な改ざんがあった」、「かつて中国には「国家衛生計画生育委員会(計生委)」という組織があった。計生委は巨大な官僚機構で、1980年代に急激に力を付け、国民からは最も嫌われ、軽蔑される組織の1つとなった。 なぜか。1980年頃に始まる悪名高い「一人っ子政策」の実行部隊として、計生委は強制的に妊娠を規制し、2人目以降の妊娠に関しては人工中絶を強要してきた」、「一人っ子政策の下でも人口が増え続けるのは、計生委の指導下でのデータ改ざんが原因」、酷い組織だったようだ。
・『共産党が神話を主導 だが党の指導者──最初は江沢民(チアン・ツォーミン)、次いで胡錦濤(フー・チンタオ)──が旗を振らなければ、データの改ざんがこれほど組織的に行われることはなかっただろう。 江沢民も胡錦濤も、中国経済の成長を支えるには外国資本の誘致が不可欠と考えていた。だから中国には今でも10億人を超える巨大市場があり、その規模は何十年も先まで拡大を続けるし、安価な労働力もたっぷりあるという「神話」をつくり上げた。 データの改ざんは習近平(シー・チンピン)体制になってからも続いた。「14億の民」という標語を振りかざせば、軍事面でも外交面でも虚勢を張り、諸外国を威圧することが可能だった。 しかし偽りの楽観的な人口統計に基づく経済成長は持続不能だ。だから習近平は、あの「ゼロコロナ政策」を放棄したときと同様、唐突に「30年以降の人口減少」説を放棄した。そして中国の人口は既にピークに達し、減少に転じていると認めた。 それでも中国は、全てを白状したわけではない。22年の人口総数は約14億1000万人だったと、今も主張し続けているが、ここ数年の人口データの修正から考えて、極めて疑わしい数字だ。 なお米ウィスコンシン大学の人口統計学者である易富賢(イー・フーシェン)は、水増しされる前の出生データを基に、中国のピーク人口は約12億8000万人だったと推定している(ちなみに彼の著書は、中国国内では発売を禁じられている)。 だが昨年起きたハッキング事件により、中国の人口は彼の推定値よりもずっと少ない可能性が出てきた』、「江沢民も胡錦濤も、中国経済の成長を支えるには外国資本の誘致が不可欠と考えていた。だから中国には今でも10億人を超える巨大市場があり、その規模は何十年も先まで拡大を続けるし、安価な労働力もたっぷりあるという「神話」をつくり上げた。 データの改ざんは習近平・・・体制になってからも続いた」、昔から「改ざん」を続けていたことに驚かされた。
・『データ流出で嘘が露呈? 昨年6月、中国は史上最悪のデータ流出事件に見舞われた。上海警察のデータベースがハッカー攻撃を受けたのだ。 ハッカー集団は、個人を特定できる最新の情報を含む10億人分(23テラバイト相当)のデータセットを盗み、それをダークウェブで1セット10ビットコイン(約20万ドル)で売りに出した。 これを購入した研究者たちが分析してみると、その数値は中国の実際の人口動態プロファイルと酷似していた。つまりデータは本物と考えていいのだが、統計処理に当たって総人口の70%(総数を14億とすれば10億)ものサンプルを使うことはあり得ない。 一般論として、そんな必要はないし、手間も費用もかかりすぎる。普通はどんなに多くても10%程度だ。中国政府は毎年、サンプル調査を基に人口の変動を推計しているが、その際に用いられるサンプル数は総人口の1%だ。 そう考えると、昨年のハッキングで流出したデータセットには(国民の70%ではなく)全国民の個人識別情報が含まれていた可能性が高い。つまり、中国の本当の人口は14億でも12億8000万でもなく、せいぜい10億人程度という可能性が出てくる。 この国の政治は依然として一枚岩のトップダウン型で、それがデータ改ざんを助長する体質を生んだ。人口の水増しを伴うようでは、中央政府の進める壮大な建設プロジェクトも無用なものとなろう。 高速道路や新幹線の建設を急ぎ、人口増を見込んで不動産を開発しても、入居者のいない新築物件のゴーストタウンを生み出すだけだ。関連業界も含め、収益性を欠く無用の事業ばかりで、今や不良債権が山積みされている。 統計偽装の弊害は高齢者の医療保険や年金にも及ぶ。1960年代に生まれたベビーブーム世代には、労働力の増加を前提として潤沢な支給が約束されていた。 ところが今、武漢などの大都市では「白髪革命」と呼ばれる抗議デモが起きている。医療保険の給付金減額に、高齢者が怒りの声を上げているのだ。 外交の分野では虚栄心に満ちた「一帯一路構想」が同じく持続不能となり、挫折しかけている。労働人口が増え続ければ経済は栄え、政府の資金も潤沢になる──。そんな前提で金をつぎ込んできたのだが、今や人口は減少に転じ、経済の先行きも暗い。 こういう展開は、同じような人口問題を抱える他の国々ではあり得ない。いわゆる計画経済に縛られていないから、誰も人口統計を改ざんする必要を感じないからだ。 しかし偽データの影響は他国にも及ぶ。外国の自動車メーカーや携帯電話の製造会社は、人口増という見込みがあればこそ中国に投資してきた。中国市場の拡大に期待し、安価な労働力を搾取して輸出品の生産もしてきた。これらも持続不能になる。) ブラジル、オーストラリア、カナダ、アメリカなどでは、中国を巨大な成長市場と信じて鉱業や農業の分野で生産規模を拡大してきた。これらの業界のもくろみも外れる。 だました中国が悪いとは言える。ただし長期プランを策定する際に中国の公式統計に頼ってきた企業側も、まあ自業自得だろう。 それは各国政府の罪でもあるかもしれない。改ざん・捏造といった、知らないわけではない中国の流儀に目をつぶっていたのは軽率だった。 習近平は最近、中国の人口危機に取り組むことを約束した。だが元紅衛兵ゆえに、かつての一人っ子政策より過激な政策に傾くかもしれない。今度は逆方向、つまり強制妊娠という方向へだ。 そんな発想は狂気の沙汰としか思えないが、世界では現に(毛沢東時代の中国と緊密な関係にあった)カンボジアのポル・ポト政権とルーマニアのチャウシェスク政権がそれを実行に移している。 参考となるのは1966年にルーマニアで制定された政令770号だろう。女性の月経を厳しく監視し、妊娠を中絶した者に厳罰を科した。望まない妊娠が増え、親に捨てられた子供たちで満杯の孤児院がいくつも出現している。習近平がそこまで愚かではないことを願おう。 (リアン・イーゼン氏の略歴はリンク先参照)』、「データ流出で嘘が露呈」、「中国の本当の人口は14億でも12億8000万でもなく、せいぜい10億人程度という可能性が出てくる」、ずいぶんサバを読んだものだ。「高速道路や新幹線の建設を急ぎ、人口増を見込んで不動産を開発しても、入居者のいない新築物件のゴーストタウンを生み出すだけだ。関連業界も含め、収益性を欠く無用の事業ばかりで、今や不良債権が山積みされている。 統計偽装の弊害は高齢者の医療保険や年金にも及ぶ。1960年代に生まれたベビーブーム世代には、労働力の増加を前提として潤沢な支給が約束されていた。 ところが今、武漢などの大都市では「白髪革命」と呼ばれる抗議デモが起きている。医療保険の給付金減額に、高齢者が怒りの声を上げているのだ」、国内での各種歪みは深刻だ。「偽データの影響は他国にも及ぶ。外国の自動車メーカーや携帯電話の製造会社は、人口増という見込みがあればこそ中国に投資してきた。中国市場の拡大に期待し、安価な労働力を搾取して輸出品の生産もしてきた。これらも持続不能になる。 ブラジル、オーストラリア、カナダ、アメリカなどでは、中国を巨大な成長市場と信じて鉱業や農業の分野で生産規模を拡大してきた。これらの業界のもくろみも外れる」、海外にも影響するとは・・・。「習近平は最近、中国の人口危機に取り組むことを約束した。だが元紅衛兵ゆえに、かつての一人っ子政策より過激な政策に傾くかもしれない。今度は逆方向、つまり強制妊娠という方向へだ。 そんな発想は狂気の沙汰としか思えないが、世界では現に(毛沢東時代の中国と緊密な関係にあった)カンボジアのポル・ポト政権とルーマニアのチャウシェスク政権がそれを実行に移している」、「強制妊娠」はやはり無理だろう。それにしても、迷惑な種を世界中に蒔いてくれたものだ。やれやれ・・・。
タグ:中国経済 (その16)(政府が「経済成長せよ!」と叫ぶだけの中国が 根本的に分かっていないこと、習近平は「支配を正当化するための経済発展」すら放棄...突き進む「ソ連化」の道、水増しされていた中国の人口 「本当は10億人だった説」の衝撃──ハッキングでデータ流出) Newsweek日本版 ミンシン・ペイ氏による「政府が「経済成長せよ!」と叫ぶだけの中国が、根本的に分かっていないこと」 「共産党の中央経済工作会議で、今年は経済成長を政府の最優先課題とすると定められた・・・地方の党幹部や首長らも同じ言葉を繰り返し、民間の投資家や実業家らの期待をあおっている」、「国民が苛酷なゼロコロナ政策への不満を爆発させ、その廃止に伴う混乱にも失望している今は、一刻も早く党に対する信頼と支持を回復したい。だが成長賛歌の合唱だけでは不十分。 大事なのは行動だ。停滞する不動産業界へのテコ入れなど、小手先の対策では足りない。金融緩和やインフラ投資の拡大などの景気刺激策も、せいぜい短期の効果しかあるまい」、その通りだ。 「こんな政治的緊張が続く限り、経済の先は見えない。投資意欲は冷え、外国企業の撤退で製造業の雇用は確実に減っていく。 つまり、中国経済を再び成長軌道に乗せるには欧米諸国との関係改善が不可欠だ。しかし現時点で、米中関係は修復不能なほどに冷え込んでいる」、打開は難しそうだ。 「習近平・・・政権は古典的な共産主義イデオロギーにこだわり、社会と経済に対する党の支配を強化してきた。民間企業に党の支部を置き、貿易相手国への危険な挑発を繰り返したりするようでは、信頼回復など望めない。 本気で成長を取り戻したいなら、かつて鄧小平が推進した政治改革の路線に戻るべきだ。 とりわけ大事なのは法治主義の貫徹と司法の独立。さもないと民間事業者が自分の命と財産を守れない」、「習近平」は経済がある程度理解していた李克強を追い出し、イエスマンが首相にしたようでは、「当面は、中国経済の息は上がったままだ」。困ったことだ。 チョンカン・シュイ氏による「習近平は「支配を正当化するための経済発展」すら放棄...突き進む「ソ連化」の道」 ソ連型全体主義は30年前に経済の行き詰まりにより崩壊したが、中国は例外に見えた。いま問われているのは、中国独自の全体主義的実験が今後も長続きするかどうかだ。 「中国の特色ある全体主義」、「の重要な柱は政治・思想・人事における高度に中央集権化された全体主義型統制と、行政・経済政策の分権化を合体させた地域分権全体主義(RDT)だ。 この組み合わせはポスト毛沢東時代の改革開放政策の原動力だった。 この時期に経済への中央集権的・全体主義的な統制は緩和され、RDTは地域分権権威主義(RDA)へと発展した。だが、習が権力を握った2012年以降は全体主義に回帰し、特に急成長する民間部門への統制を再び強めた。この逆流現象が、22年の急激な経済減速の主な理由だ」、なるほど。「中国の不動産価格は平均世帯収入に対する比率で見ると、世界で最も高い水準に達した。中国全体の不動産価格はアメリカとEUの合計を上回ったが、この意図的に作られたバブルは今や崩壊寸前だ」、「中国全体の不動産価格はアメリカとEUの合計を上回った」 、とはまさに「バブル」だ。 「党指導部は12年以降、組織的に中国の政治経済を全体主義に引き戻そうとしている。 中国社会の多元主義的要素・・・は依然として制限されているが、党指導部はこの狭い空間が反抗の拠点になることを恐れている。民間の大物起業家や非国有の大手IT企業は容赦なく弾圧された。こうした動きは民間部門を弱体化させ、先進国市場へのアクセスを低下させている」、 「今後の中国で全体主義型統制が強化されることは明らかだろう。穏健なテクノクラートの存在感は低下し、今後の経済政策は政治的に決定されることになる。民間企業と市場への締め付けは着実に強化されるだろう」、その通りだ。 練乙錚氏による「水増しされていた中国の人口、「本当は10億人だった説」の衝撃──ハッキングでデータ流出」 「人口統計に関しては明らかに意図的な改ざんがあった」、「かつて中国には「国家衛生計画生育委員会(計生委)」という組織があった。計生委は巨大な官僚機構で、1980年代に急激に力を付け、国民からは最も嫌われ、軽蔑される組織の1つとなった。 なぜか。1980年頃に始まる悪名高い「一人っ子政策」の実行部隊として、計生委は強制的に妊娠を規制し、2人目以降の妊娠に関しては人工中絶を強要してきた」、 「一人っ子政策の下でも人口が増え続けるのは、計生委の指導下でのデータ改ざんが原因」、酷い組織だったようだ。 「江沢民も胡錦濤も、中国経済の成長を支えるには外国資本の誘致が不可欠と考えていた。だから中国には今でも10億人を超える巨大市場があり、その規模は何十年も先まで拡大を続けるし、安価な労働力もたっぷりあるという「神話」をつくり上げた。 データの改ざんは習近平・・・体制になってからも続いた」、昔から「改ざん」を続けていたことに驚かされた。 「データ流出で嘘が露呈」、「中国の本当の人口は14億でも12億8000万でもなく、せいぜい10億人程度という可能性が出てくる」、ずいぶんサバを読んだものだ。 「高速道路や新幹線の建設を急ぎ、人口増を見込んで不動産を開発しても、入居者のいない新築物件のゴーストタウンを生み出すだけだ。関連業界も含め、収益性を欠く無用の事業ばかりで、今や不良債権が山積みされている。 統計偽装の弊害は高齢者の医療保険や年金にも及ぶ。1960年代に生まれたベビーブーム世代には、労働力の増加を前提として潤沢な支給が約束されていた。 ところが今、武漢などの大都市では「白髪革命」と呼ばれる抗議デモが起きている。医療保険の給付金減額に、高齢者が怒りの声を上げているのだ」、国内での各種歪みは深刻だ。「偽データの影響は他国にも及ぶ。外国の自動車メーカーや携帯電話の製造会社は、人口増という見込みがあればこそ中国に投資してきた。中国市場の拡大に期待し、安価な労働力を搾取して輸出品の生産もしてきた。これらも持続不能になる。 ブラジル、オーストラリア、カナダ、アメリカなどでは、中国を巨大な成長市場と信じて鉱業や農業の分野で生産規模を拡大してきた。これらの業界のもくろみも外れる」、海外にも影響するとは・・・。「習近平は最近、中国の人口危機に取り組むことを約束した。だが元紅衛兵ゆえに、かつての一人っ子政策より過激な政策に傾くかもしれない。今度は逆方向、つまり強制妊娠という方向へだ。 そんな発想は狂気の沙汰としか思えないが、世界では現に(毛沢東時代の中国と緊密な関係にあった)カンボジアのポル・ポト政権とルーマニアのチャウシェスク政権がそれを実行に移している」、「強制妊娠」はやはり無理だろう。それにしても、迷惑な種を世界中に蒔いてくれたものだ。やれやれ・・・。