外国人問題(その8)(水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇2題((19)古川法相が「重大な違反行為」と認めた西日本国際教育学院による“鎖拘束”問題、(57)大手各紙は制度を批判 その一方で新聞配達に「実習生」を求める矛盾)、有能な外国人が“安いニッポン”で働きたいか?「特別高度人材」拡充策の笑止、「こんな恥ずべきことを、いつまで続けるのか」家畜窃盗、無免許運転にひき逃げ…日本で道を踏み外したベトナム人たちの“実態” 野嶋剛が『北関東「移民」アンダーグラウンド』(安田峰俊 著)を読む) [社会]
外国人問題については、昨年4月27日に取上げた。今日は、(その8)(水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇2題((19)古川法相が「重大な違反行為」と認めた西日本国際教育学院による“鎖拘束”問題、(57)大手各紙は制度を批判 その一方で新聞配達に「実習生」を求める矛盾)、有能な外国人が“安いニッポン”で働きたいか?「特別高度人材」拡充策の笑止、「こんな恥ずべきことを、いつまで続けるのか」家畜窃盗、無免許運転にひき逃げ…日本で道を踏み外したベトナム人たちの“実態” 野嶋剛が『北関東「移民」アンダーグラウンド』(安田峰俊 著)を読む)である。
先ずは、昨年4月29日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの出井康博氏による「水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇:(19)古川法相が「重大な違反行為」と認めた西日本国際教育学院による“鎖拘束”問題」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/304600
・『4月22日の衆院法務委員会で、本連載でも報じている「日本語学校による留学生への人権侵害行為」がテーマに上った。同委員会では、実習生が被る人権侵害は過去に何度も取り上げられてきた。だが、留学生の「人権」が論じられるのは異例だ。 質問に立った市村浩一郎衆院議員(日本維新の会)に対し、政府を代表して古川禎久法務大臣はこう答弁した。 「生徒(留学生)の進路を妨害する行為、生徒に対する暴力、高額な賠償金について誓約させる行為などは、『日本語教育機関の告示基準』第2条に定められている抹消基準の人権侵害行為に該当すると考えられる」 市村氏は日本語学校で最近発覚した3件の人権侵害の例を挙げ、質問していた。 その1つが、宇都宮市の日本語学校が留学生に進学や就職に必要な証明書の発行を拒み、系列専門学校への内部進学を強要していたケース。そして、福岡市の学校で職員が留学生を鎖につないで拘束した問題。3つ目は、仙台市の学校が、中途退学して就職した場合、賠償金300万円を支払うとの誓約書を作成し、留学生に署名させていた問題である。 宇都宮市のケースは2020年、私が新潮社の国際情報サイト「フォーサイト」で取り上げた。福岡市の一件は今年2月に「週刊新潮」に寄稿後、この連載でも詳しく書いた「西日本国際教育学院」の職員によるベトナム人留学生への「鎖拘束」問題である。仙台市の学校による「誓約書」問題については、地元紙「河北新報」が2月末、学校名を伏せて記事にしている』、3件とも酷い「人権侵害」だ。これらの「日本語学校」への監督責任は法務省にある筈だ。
・『「日本人の名誉にかけてあってはならない」 古川法相は「一般論」と断った上ではあるが、3件とも「告示基準」違反、つまり、日本語学校として留学生の受け入れが認められなくなる行為だと断定した。その意味は小さくない。「鎖拘束」問題も重大な違反行為だと政府が認めたわけである。 その上で古川法相は「入管庁では今年2月、人権侵害等が疑われる報道があったことから、すべての日本語教育機関を対象に、留学生への人権侵害行為を含む不適切な行為を防止し、適切な運営を行うよう、改めて注意喚起を行った」と答弁している。 「今年2月」の報道とは、「週刊新潮」拙稿もしくは「河北新報」記事を指すと思われる。それ以外に、留学生の人権侵害に関する報道はないからだ。) 「(日本語学校が留学生の)立場が弱いことにつけ込むなど、日本人の名誉にかけてあってはならない。(入管庁)職員を督励しながら、私が先頭に立ってやっていく」 入管庁を所轄する立場の古川法相は、そこまでたんかを切った。であれば、「注意喚起」の効果、また違反を犯した学校への処分の有無についても見守りたい。 さらに今回の委員会質疑では、古川法相から日本語学校業界の「留学生利権」に切り込む注目の発言も聞かれた。=つづく』、10月11日付け西日本新聞によれば、「「西日本国際教育学院」が出入国在留管理庁から新規留学生の受け入れを認めないとする処分を受けた問題で、入管庁は11日、学院側の申し立てを認めて処分の執行を止めた福岡地裁決定について、即時抗告しなかった」、ようだ。こんな弱腰の姿勢では思いやられる。
次に、6月29日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの出井康博氏による「水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇:(57)大手各紙は制度を批判 その一方で新聞配達に「実習生」を求める矛盾」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/307443
・『朝日新聞の実質的な傘下組織「朝日奨学会」は、新聞販売所に斡旋したベトナム人ら外国人の新聞奨学生から月1万円の「奨学会費」を徴収し、年1億円以上の収入を得ているとみられる。近年、このビジネスモデルを模倣する民間の人材派遣業者が増えている。販売所関係者が解説する。 「東京のような都会の販売所では、日本人の配達員が集まりません。朝日の場合、奨学会がベトナム人奨学生らを派遣しているが、それでも人手が足りない。他紙の販売所はさらに深刻で、人材派遣業者が留学生バイトを売り込んでいます」 関係者はそう言って、ある業者から都内の販売所にファクスで届いた留学生斡旋のチラシを取り出した。「〇〇新聞奨学会からのご案内」と書かれた冒頭部分を見ると、まるで新聞社の奨学会のようだが、連絡先になっているのは民間の派遣業者だ。 「この業者の場合、留学生1人の斡旋につき20万円の紹介料に加え、月1万~1.5万円の手数料を販売所から徴収するらしい。『奨学会』と名乗ってはいるが、朝日の奨学生制度のように、販売所が留学生の学費を負担する仕組みはありません。販売所が留学生に支払うのは月15万円の給与だけです」』、「他紙の販売所はさらに深刻で、人材派遣業者が留学生バイトを売り込んでいます」、「留学生1人の斡旋につき20万円の紹介料に加え、月1万~1.5万円の手数料を販売所から徴収するらしい。『奨学会』と名乗ってはいるが、朝日の奨学生制度のように、販売所が留学生の学費を負担する仕組みはありません。販売所が留学生に支払うのは月15万円の給与だけです」、『奨学会』とは名ばかりで、単なる「派遣業者」だ。
・『コストは日本人の半分以下 販売所の合計負担額は、紹介料や手数料を含めても1人当たり月20万円以下で、朝日の奨学生よりも安い。 「日本人の“臨配”(リンパイ=臨時配達員)に頼むと、住居費込みで月40万円以上かかるので、販売所にとって留学生バイトは助かります。問題は人材の質。朝日の奨学生は2年契約ですが、民間業者が紹介するバイトの場合、仕事が長続きしないケースも多いようです」 それでも新聞販売所としては、低賃金の外国人労働者が欲しい。そこで業界団体は、「新聞配達」でも実習生の受け入れが認められるよう、国会議員にロビー活動を展開しているという。実習生であれば低コストで、しかも3年間という長期就労が見込めるからだ。 大手紙はそろって実習制度を批判し、朝日や日経に至っては「廃止」まで主張している。「人材育成」や「技能移転」といった趣旨は建前に過ぎず、低賃金で重労働を担う出稼ぎ外国人の受け入れ手段になっている矛盾を非難しているのだ。しかし、その大手紙の配達現場が実習生を求めている。これこそ大きな「矛盾」ではないか。 実習生には、「母国でやっていた仕事を日本で実習し、帰国して生かす」という規定がある。全く形骸化したルールとはいえ、「新聞配達」などベトナムのようなアジア諸国には存在しない。そんなことは承知のうえで、販売所はなりふり構わず実習生に頼ろうと考えている。それほど現場の人手不足は著しく、また販売所の経営も苦しいわけだ。 ベトナム人奨学生らに週28時間の法定上限を超える就労を強いる背景にも、経営難が影響してのことである。いったい、なぜ販売所はそこまで追い込まれているのか。=つづく』、「大手紙はそろって実習制度を批判し、朝日や日経に至っては「廃止」まで主張」、「その大手紙の配達現場が実習生を求めている。これこそ大きな「矛盾」、「「新聞配達」などベトナムのようなアジア諸国には存在しない。そんなことは承知のうえで、販売所はなりふり構わず実習生に頼ろうと考えている」、マスコミの身勝手ぶりにはほとほと呆れ果てる。
第三に、本年2月19日付け日刊ゲンダイ「有能な外国人が“安いニッポン”で働きたいか?「特別高度人材」拡充策の笑止」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/318950
・『日本人も音を上げる「安いニッポン」で働きたがる有能な外国人がいるのなら、お目にかかってみたいものだ。 岸田政権は17日、高度な知識や技能を持つ外国人材の獲得を促進するため、「特別高度人材制度」の新設を決めた。年収2000万円以上の勤め人、4000万円超の経営者などを呼び込もうというのだが、看板倒れ必至だ。 新制度は在留資格「高度専門職」に優遇措置を設け、4月中の運用開始を目指す。現行制度では学歴や職歴、年収、年齢などをポイント化し、合計が70点以上となった場合に「高度外国人材」として在留期間が5年の「1号」を認める仕組み。「1号」は3年経過で在留期間が無期限の「2号」に移行できる。新制度はポイント制を残しつつ、学術研究や専門技術の分野では①修士号以上・年収2000万円以上②職歴10年以上・年収2000万円以上──を要件に「1号」を付与。経営活動では職歴5年以上・年収4000万円以上が要件となる。 いずれも、「2号」への移行は1年でOK。「10年以上日本に在留し、かつ就労資格・居住資格をもって5年以上在留」などとする一般的な永住権取得条件と比べると、破格の扱いだ。) 外国人労働に詳しいジャーナリストの出井康博氏はこう言う。 「高度人材が日本に集まらないのは、在留資格が壁になっているからではありません。高収入の外国人にとって日本の永住権はインセンティブになりませんし、通貨が弱い国で働くメリットはない。そもそも、企業側が欲しがっているのは低賃金、重労働に耐えられる労働者。要するに技能実習生なのです。制度拡充は岸田政権の“やってる感”の演出に過ぎず、実効性はないでしょう」 これまたG7広島サミットに向けた弥縫策か』、「「高度人材が日本に集まらないのは、在留資格が壁になっているからではありません。高収入の外国人にとって日本の永住権はインセンティブになりませんし、通貨が弱い国で働くメリットはない。そもそも、企業側が欲しがっているのは低賃金、重労働に耐えられる労働者。要するに技能実習生なのです。制度拡充は岸田政権の“やってる感”の演出に過ぎず、実効性はないでしょう」、厳しい政府批判で、同感である。
第四に、3月27日付け文春オンラインが掲載したジャーナリストの野嶋 剛氏による「「こんな恥ずべきことを、いつまで続けるのか」家畜窃盗、無免許運転にひき逃げ…日本で道を踏み外したベトナム人たちの“実態” 野嶋剛が『北関東「移民」アンダーグラウンド』(安田峰俊 著)を読む」を紹介しよう。
・『昨冬のある日、群馬県前橋市で仕事のあと、夕食の場所を探して駅前のベトナム料理の店にふらっと飛び込んだ。雑貨店と一体化した小さな店で、若いベトナム人が貪るように「バロット」という孵化寸前のアヒルの卵を「ビアハノイ」で胃袋に流し込んでいた。ちょっとグロい庶民の味なので、日本人にはハードルが高く、普通の店ではまず見かけない。濃厚なベトナム空間がそこにあった。 この前橋も、本書の舞台「北関東」だったと、読みながら思い起こした。 家畜窃盗。無免許運転にひき逃げ。不法滞在。薬物使用。殺人まで。ベトナム人の犯罪が日本ではすっかり日常になった。 彼らの多くは、技能実習生や語学留学生として来日した。実態は日本が国家ぐるみで行なう非熟練労働力輸入の主役である。この制度、海外からは「現代の人身売買」と評判が悪い。 筆者は、中国問題を主戦場とするジャーナリストだ。いつの間にか、外国人問題の主役が中国人からベトナム人に切り替わり、調べていくうちに鉱脈を掘り当てたに違いない。本書は、道を踏み外したベトナム人との接触に特化したルポルタージュである。 各地で頻発する事件を端緒に、裁判記録やメディアの初報から当事者を探し当て、実態を拾い集めていく。人を傷つける重みすら理解しない女。「群馬の兄貴」と界隈で慕われる反社的な男。ベトナムの地下世界「北関東」の姿は凄まじい。 彼らが職場から逃亡したあとも野放し状態で生活し、悪事に手を染める背景に、労働法の枠外に外国人を置く「実習生」という中途半端な仕組みがあるのは明らかだ。だがそれはあくまで上から目線の見方。筆者は地を這う取材でリアルな現場を突きつけ、容赦なくベトナム人たちの身勝手さを描き出す。日本の制度はおかしい。だが、それは彼らの「悪」と直接は関係がない。それも筆者のメッセージである。 ベトナム語で兵士を意味する「ボドイ」と呼ばれるベトナム人のコミュニティは、どこか牧歌的、刹那的で、ある種の愛らしさも感じさせる。チャイニーズ・マフィアのように金と欲望を吸い上げる集団にはならず、緩やかな裏互助組織としてネットの奥深くに生息している。それもまた、ベトナムらしいと言えなくはない。 筆者が予言するように、ベトナム人の犯罪問題は15年もすれば解消されるだろう。中国人の労働者が日本にあまり来なくなったように、現地の経済水準が向上すれば、給料も安く、行動の自由を著しく制限する日本をあえて選ぶ必要はなくなる。日系ブラジル人から中国人、そしてベトナム人。その次はミャンマー人やカンボジア人か。廉価な労働力を求めて「焼畑」的に人材供給源をさまよう「移民」労働政策。こんな恥ずべきことを、いつまで続けるのか、日本は。(やすだみねとし氏の略歴はリンク先参照)』、「ベトナムの地下世界「北関東」の姿は凄まじい。 彼らが職場から逃亡したあとも野放し状態で生活し、悪事に手を染める背景に、労働法の枠外に外国人を置く「実習生」という中途半端な仕組みがあるのは明らかだ」、「ベトナム人の犯罪問題は15年もすれば解消されるだろう。中国人の労働者が日本にあまり来なくなったように、現地の経済水準が向上すれば、給料も安く、行動の自由を著しく制限する日本をあえて選ぶ必要はなくなる。日系ブラジル人から中国人、そしてベトナム人。その次はミャンマー人やカンボジア人か。廉価な労働力を求めて「焼畑」的に人材供給源をさまよう「移民」労働政策。こんな恥ずべきことを、いつまで続けるのか、日本は」、同感である。
先ずは、昨年4月29日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの出井康博氏による「水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇:(19)古川法相が「重大な違反行為」と認めた西日本国際教育学院による“鎖拘束”問題」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/304600
・『4月22日の衆院法務委員会で、本連載でも報じている「日本語学校による留学生への人権侵害行為」がテーマに上った。同委員会では、実習生が被る人権侵害は過去に何度も取り上げられてきた。だが、留学生の「人権」が論じられるのは異例だ。 質問に立った市村浩一郎衆院議員(日本維新の会)に対し、政府を代表して古川禎久法務大臣はこう答弁した。 「生徒(留学生)の進路を妨害する行為、生徒に対する暴力、高額な賠償金について誓約させる行為などは、『日本語教育機関の告示基準』第2条に定められている抹消基準の人権侵害行為に該当すると考えられる」 市村氏は日本語学校で最近発覚した3件の人権侵害の例を挙げ、質問していた。 その1つが、宇都宮市の日本語学校が留学生に進学や就職に必要な証明書の発行を拒み、系列専門学校への内部進学を強要していたケース。そして、福岡市の学校で職員が留学生を鎖につないで拘束した問題。3つ目は、仙台市の学校が、中途退学して就職した場合、賠償金300万円を支払うとの誓約書を作成し、留学生に署名させていた問題である。 宇都宮市のケースは2020年、私が新潮社の国際情報サイト「フォーサイト」で取り上げた。福岡市の一件は今年2月に「週刊新潮」に寄稿後、この連載でも詳しく書いた「西日本国際教育学院」の職員によるベトナム人留学生への「鎖拘束」問題である。仙台市の学校による「誓約書」問題については、地元紙「河北新報」が2月末、学校名を伏せて記事にしている』、3件とも酷い「人権侵害」だ。これらの「日本語学校」への監督責任は法務省にある筈だ。
・『「日本人の名誉にかけてあってはならない」 古川法相は「一般論」と断った上ではあるが、3件とも「告示基準」違反、つまり、日本語学校として留学生の受け入れが認められなくなる行為だと断定した。その意味は小さくない。「鎖拘束」問題も重大な違反行為だと政府が認めたわけである。 その上で古川法相は「入管庁では今年2月、人権侵害等が疑われる報道があったことから、すべての日本語教育機関を対象に、留学生への人権侵害行為を含む不適切な行為を防止し、適切な運営を行うよう、改めて注意喚起を行った」と答弁している。 「今年2月」の報道とは、「週刊新潮」拙稿もしくは「河北新報」記事を指すと思われる。それ以外に、留学生の人権侵害に関する報道はないからだ。) 「(日本語学校が留学生の)立場が弱いことにつけ込むなど、日本人の名誉にかけてあってはならない。(入管庁)職員を督励しながら、私が先頭に立ってやっていく」 入管庁を所轄する立場の古川法相は、そこまでたんかを切った。であれば、「注意喚起」の効果、また違反を犯した学校への処分の有無についても見守りたい。 さらに今回の委員会質疑では、古川法相から日本語学校業界の「留学生利権」に切り込む注目の発言も聞かれた。=つづく』、10月11日付け西日本新聞によれば、「「西日本国際教育学院」が出入国在留管理庁から新規留学生の受け入れを認めないとする処分を受けた問題で、入管庁は11日、学院側の申し立てを認めて処分の執行を止めた福岡地裁決定について、即時抗告しなかった」、ようだ。こんな弱腰の姿勢では思いやられる。
次に、6月29日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの出井康博氏による「水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇:(57)大手各紙は制度を批判 その一方で新聞配達に「実習生」を求める矛盾」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/307443
・『朝日新聞の実質的な傘下組織「朝日奨学会」は、新聞販売所に斡旋したベトナム人ら外国人の新聞奨学生から月1万円の「奨学会費」を徴収し、年1億円以上の収入を得ているとみられる。近年、このビジネスモデルを模倣する民間の人材派遣業者が増えている。販売所関係者が解説する。 「東京のような都会の販売所では、日本人の配達員が集まりません。朝日の場合、奨学会がベトナム人奨学生らを派遣しているが、それでも人手が足りない。他紙の販売所はさらに深刻で、人材派遣業者が留学生バイトを売り込んでいます」 関係者はそう言って、ある業者から都内の販売所にファクスで届いた留学生斡旋のチラシを取り出した。「〇〇新聞奨学会からのご案内」と書かれた冒頭部分を見ると、まるで新聞社の奨学会のようだが、連絡先になっているのは民間の派遣業者だ。 「この業者の場合、留学生1人の斡旋につき20万円の紹介料に加え、月1万~1.5万円の手数料を販売所から徴収するらしい。『奨学会』と名乗ってはいるが、朝日の奨学生制度のように、販売所が留学生の学費を負担する仕組みはありません。販売所が留学生に支払うのは月15万円の給与だけです」』、「他紙の販売所はさらに深刻で、人材派遣業者が留学生バイトを売り込んでいます」、「留学生1人の斡旋につき20万円の紹介料に加え、月1万~1.5万円の手数料を販売所から徴収するらしい。『奨学会』と名乗ってはいるが、朝日の奨学生制度のように、販売所が留学生の学費を負担する仕組みはありません。販売所が留学生に支払うのは月15万円の給与だけです」、『奨学会』とは名ばかりで、単なる「派遣業者」だ。
・『コストは日本人の半分以下 販売所の合計負担額は、紹介料や手数料を含めても1人当たり月20万円以下で、朝日の奨学生よりも安い。 「日本人の“臨配”(リンパイ=臨時配達員)に頼むと、住居費込みで月40万円以上かかるので、販売所にとって留学生バイトは助かります。問題は人材の質。朝日の奨学生は2年契約ですが、民間業者が紹介するバイトの場合、仕事が長続きしないケースも多いようです」 それでも新聞販売所としては、低賃金の外国人労働者が欲しい。そこで業界団体は、「新聞配達」でも実習生の受け入れが認められるよう、国会議員にロビー活動を展開しているという。実習生であれば低コストで、しかも3年間という長期就労が見込めるからだ。 大手紙はそろって実習制度を批判し、朝日や日経に至っては「廃止」まで主張している。「人材育成」や「技能移転」といった趣旨は建前に過ぎず、低賃金で重労働を担う出稼ぎ外国人の受け入れ手段になっている矛盾を非難しているのだ。しかし、その大手紙の配達現場が実習生を求めている。これこそ大きな「矛盾」ではないか。 実習生には、「母国でやっていた仕事を日本で実習し、帰国して生かす」という規定がある。全く形骸化したルールとはいえ、「新聞配達」などベトナムのようなアジア諸国には存在しない。そんなことは承知のうえで、販売所はなりふり構わず実習生に頼ろうと考えている。それほど現場の人手不足は著しく、また販売所の経営も苦しいわけだ。 ベトナム人奨学生らに週28時間の法定上限を超える就労を強いる背景にも、経営難が影響してのことである。いったい、なぜ販売所はそこまで追い込まれているのか。=つづく』、「大手紙はそろって実習制度を批判し、朝日や日経に至っては「廃止」まで主張」、「その大手紙の配達現場が実習生を求めている。これこそ大きな「矛盾」、「「新聞配達」などベトナムのようなアジア諸国には存在しない。そんなことは承知のうえで、販売所はなりふり構わず実習生に頼ろうと考えている」、マスコミの身勝手ぶりにはほとほと呆れ果てる。
第三に、本年2月19日付け日刊ゲンダイ「有能な外国人が“安いニッポン”で働きたいか?「特別高度人材」拡充策の笑止」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/318950
・『日本人も音を上げる「安いニッポン」で働きたがる有能な外国人がいるのなら、お目にかかってみたいものだ。 岸田政権は17日、高度な知識や技能を持つ外国人材の獲得を促進するため、「特別高度人材制度」の新設を決めた。年収2000万円以上の勤め人、4000万円超の経営者などを呼び込もうというのだが、看板倒れ必至だ。 新制度は在留資格「高度専門職」に優遇措置を設け、4月中の運用開始を目指す。現行制度では学歴や職歴、年収、年齢などをポイント化し、合計が70点以上となった場合に「高度外国人材」として在留期間が5年の「1号」を認める仕組み。「1号」は3年経過で在留期間が無期限の「2号」に移行できる。新制度はポイント制を残しつつ、学術研究や専門技術の分野では①修士号以上・年収2000万円以上②職歴10年以上・年収2000万円以上──を要件に「1号」を付与。経営活動では職歴5年以上・年収4000万円以上が要件となる。 いずれも、「2号」への移行は1年でOK。「10年以上日本に在留し、かつ就労資格・居住資格をもって5年以上在留」などとする一般的な永住権取得条件と比べると、破格の扱いだ。) 外国人労働に詳しいジャーナリストの出井康博氏はこう言う。 「高度人材が日本に集まらないのは、在留資格が壁になっているからではありません。高収入の外国人にとって日本の永住権はインセンティブになりませんし、通貨が弱い国で働くメリットはない。そもそも、企業側が欲しがっているのは低賃金、重労働に耐えられる労働者。要するに技能実習生なのです。制度拡充は岸田政権の“やってる感”の演出に過ぎず、実効性はないでしょう」 これまたG7広島サミットに向けた弥縫策か』、「「高度人材が日本に集まらないのは、在留資格が壁になっているからではありません。高収入の外国人にとって日本の永住権はインセンティブになりませんし、通貨が弱い国で働くメリットはない。そもそも、企業側が欲しがっているのは低賃金、重労働に耐えられる労働者。要するに技能実習生なのです。制度拡充は岸田政権の“やってる感”の演出に過ぎず、実効性はないでしょう」、厳しい政府批判で、同感である。
第四に、3月27日付け文春オンラインが掲載したジャーナリストの野嶋 剛氏による「「こんな恥ずべきことを、いつまで続けるのか」家畜窃盗、無免許運転にひき逃げ…日本で道を踏み外したベトナム人たちの“実態” 野嶋剛が『北関東「移民」アンダーグラウンド』(安田峰俊 著)を読む」を紹介しよう。
・『昨冬のある日、群馬県前橋市で仕事のあと、夕食の場所を探して駅前のベトナム料理の店にふらっと飛び込んだ。雑貨店と一体化した小さな店で、若いベトナム人が貪るように「バロット」という孵化寸前のアヒルの卵を「ビアハノイ」で胃袋に流し込んでいた。ちょっとグロい庶民の味なので、日本人にはハードルが高く、普通の店ではまず見かけない。濃厚なベトナム空間がそこにあった。 この前橋も、本書の舞台「北関東」だったと、読みながら思い起こした。 家畜窃盗。無免許運転にひき逃げ。不法滞在。薬物使用。殺人まで。ベトナム人の犯罪が日本ではすっかり日常になった。 彼らの多くは、技能実習生や語学留学生として来日した。実態は日本が国家ぐるみで行なう非熟練労働力輸入の主役である。この制度、海外からは「現代の人身売買」と評判が悪い。 筆者は、中国問題を主戦場とするジャーナリストだ。いつの間にか、外国人問題の主役が中国人からベトナム人に切り替わり、調べていくうちに鉱脈を掘り当てたに違いない。本書は、道を踏み外したベトナム人との接触に特化したルポルタージュである。 各地で頻発する事件を端緒に、裁判記録やメディアの初報から当事者を探し当て、実態を拾い集めていく。人を傷つける重みすら理解しない女。「群馬の兄貴」と界隈で慕われる反社的な男。ベトナムの地下世界「北関東」の姿は凄まじい。 彼らが職場から逃亡したあとも野放し状態で生活し、悪事に手を染める背景に、労働法の枠外に外国人を置く「実習生」という中途半端な仕組みがあるのは明らかだ。だがそれはあくまで上から目線の見方。筆者は地を這う取材でリアルな現場を突きつけ、容赦なくベトナム人たちの身勝手さを描き出す。日本の制度はおかしい。だが、それは彼らの「悪」と直接は関係がない。それも筆者のメッセージである。 ベトナム語で兵士を意味する「ボドイ」と呼ばれるベトナム人のコミュニティは、どこか牧歌的、刹那的で、ある種の愛らしさも感じさせる。チャイニーズ・マフィアのように金と欲望を吸い上げる集団にはならず、緩やかな裏互助組織としてネットの奥深くに生息している。それもまた、ベトナムらしいと言えなくはない。 筆者が予言するように、ベトナム人の犯罪問題は15年もすれば解消されるだろう。中国人の労働者が日本にあまり来なくなったように、現地の経済水準が向上すれば、給料も安く、行動の自由を著しく制限する日本をあえて選ぶ必要はなくなる。日系ブラジル人から中国人、そしてベトナム人。その次はミャンマー人やカンボジア人か。廉価な労働力を求めて「焼畑」的に人材供給源をさまよう「移民」労働政策。こんな恥ずべきことを、いつまで続けるのか、日本は。(やすだみねとし氏の略歴はリンク先参照)』、「ベトナムの地下世界「北関東」の姿は凄まじい。 彼らが職場から逃亡したあとも野放し状態で生活し、悪事に手を染める背景に、労働法の枠外に外国人を置く「実習生」という中途半端な仕組みがあるのは明らかだ」、「ベトナム人の犯罪問題は15年もすれば解消されるだろう。中国人の労働者が日本にあまり来なくなったように、現地の経済水準が向上すれば、給料も安く、行動の自由を著しく制限する日本をあえて選ぶ必要はなくなる。日系ブラジル人から中国人、そしてベトナム人。その次はミャンマー人やカンボジア人か。廉価な労働力を求めて「焼畑」的に人材供給源をさまよう「移民」労働政策。こんな恥ずべきことを、いつまで続けるのか、日本は」、同感である。
タグ:出井康博氏による「水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇:(57)大手各紙は制度を批判 その一方で新聞配達に「実習生」を求める矛盾」 10月11日付け西日本新聞によれば、「「西日本国際教育学院」が出入国在留管理庁から新規留学生の受け入れを認めないとする処分を受けた問題で、入管庁は11日、学院側の申し立てを認めて処分の執行を止めた福岡地裁決定について、即時抗告しなかった」、ようだ。こんな弱腰の姿勢では思いやられる。 3件とも酷い「人権侵害」だ。これらの「日本語学校」への監督責任は法務省にある筈だ。 出井康博氏による「水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇:(19)古川法相が「重大な違反行為」と認めた西日本国際教育学院による“鎖拘束”問題」 日刊ゲンダイ 「大手紙はそろって実習制度を批判し、朝日や日経に至っては「廃止」まで主張」、「その大手紙の配達現場が実習生を求めている。これこそ大きな「矛盾」、「「新聞配達」などベトナムのようなアジア諸国には存在しない。そんなことは承知のうえで、販売所はなりふり構わず実習生に頼ろうと考えている」、マスコミの身勝手ぶりにはほとほと呆れ果てる。 「他紙の販売所はさらに深刻で、人材派遣業者が留学生バイトを売り込んでいます」、「留学生1人の斡旋につき20万円の紹介料に加え、月1万~1.5万円の手数料を販売所から徴収するらしい。『奨学会』と名乗ってはいるが、朝日の奨学生制度のように、販売所が留学生の学費を負担する仕組みはありません。販売所が留学生に支払うのは月15万円の給与だけです」、『奨学会』とは名ばかりで、単なる「派遣業者」だ。 外国人問題 (その8)(水際対策緩和で蠢くベトナム人利権の闇2題((19)古川法相が「重大な違反行為」と認めた西日本国際教育学院による“鎖拘束”問題、(57)大手各紙は制度を批判 その一方で新聞配達に「実習生」を求める矛盾)、有能な外国人が“安いニッポン”で働きたいか?「特別高度人材」拡充策の笑止、「こんな恥ずべきことを、いつまで続けるのか」家畜窃盗、無免許運転にひき逃げ…日本で道を踏み外したベトナム人たちの“実態” 野嶋剛が『北関東「移民」アンダーグラウンド』(安田峰俊 著)を読む) 日刊ゲンダイ「有能な外国人が“安いニッポン”で働きたいか?「特別高度人材」拡充策の笑止」 「「高度人材が日本に集まらないのは、在留資格が壁になっているからではありません。高収入の外国人にとって日本の永住権はインセンティブになりませんし、通貨が弱い国で働くメリットはない。そもそも、企業側が欲しがっているのは低賃金、重労働に耐えられる労働者。要するに技能実習生なのです。制度拡充は岸田政権の“やってる感”の演出に過ぎず、実効性はないでしょう」、厳しい政府批判で、同感である。 文春オンライン 野嶋 剛氏による「「こんな恥ずべきことを、いつまで続けるのか」家畜窃盗、無免許運転にひき逃げ…日本で道を踏み外したベトナム人たちの“実態” 野嶋剛が『北関東「移民」アンダーグラウンド』(安田峰俊 著)を読む」 「ベトナムの地下世界「北関東」の姿は凄まじい。 彼らが職場から逃亡したあとも野放し状態で生活し、悪事に手を染める背景に、労働法の枠外に外国人を置く「実習生」という中途半端な仕組みがあるのは明らかだ」、「ベトナム人の犯罪問題は15年もすれば解消されるだろう。中国人の労働者が日本にあまり来なくなったように、現地の経済水準が向上すれば、給料も安く、行動の自由を著しく制限する日本をあえて選ぶ必要はなくなる。 日系ブラジル人から中国人、そしてベトナム人。その次はミャンマー人やカンボジア人か。廉価な労働力を求めて「焼畑」的に人材供給源をさまよう「移民」労働政策。こんな恥ずべきことを、いつまで続けるのか、日本は」、同感である。