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教育(その30)(「ギフテッド」ゆえに無視され、孤立した小中時代 40歳フォトグラファー女性が経験した“高い知能”こその苦難、知能が高すぎる「ギフテッド」で精神を病んだ40歳女性が見つけた希望 自ら望んで「閉鎖病棟」へ入った理由、36歳「ギフテッド」男性が社会で味わった絶望 「頭が悪い」「使えない」と上司や医師が人格否定〈dot.〉、人生に失望した36歳「ギフテッド」男性はなぜ転職先で成果を出せたのか 「社会性が低い」の誤解) [社会]

今日は、一昨日に続き、教育(その30)(「ギフテッド」ゆえに無視され、孤立した小中時代 40歳フォトグラファー女性が経験した“高い知能”こその苦難、知能が高すぎる「ギフテッド」で精神を病んだ40歳女性が見つけた希望 自ら望んで「閉鎖病棟」へ入った理由、36歳「ギフテッド」男性が社会で味わった絶望 「頭が悪い」「使えない」と上司や医師が人格否定〈dot.〉、人生に失望した36歳「ギフテッド」男性はなぜ転職先で成果を出せたのか 「社会性が低い」の誤解)を取上げよう。

先ずは、5月27日付けAERA「「ギフテッド」ゆえに無視され、孤立した小中時代 40歳フォトグラファー女性が経験した“高い知能”こその苦難」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2023052600027.html?page=1
・『さまざまな領域で特別な才能を有する「ギフテッド」と呼ばれる若者たち。だがその能力の高さゆえに、周囲からねたまれたり、いじめにあったり、無視されたりするなど、生きづらい人生を送ることも多い。フォトグラファーの立花奈央子さん(40)もそんなギフテッドのひとりで、かつてつらい体験をしたという。彼女はどのような学生時代を過ごし、フォトグラファーとして活躍できるようになったのか。その軌跡を紹介する。<阿部朋美・伊藤和行著『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』(朝日新聞出版)より一部抜粋・再編集>』、興味深そうだ。 
・「やっと光をあててくれた」  金髪の女性が歩いてきた。青い蛍光色のスタジャンを羽織り、スーツケースを引いている。「こんにちは」。明るい声で呼びかけられた。待ち合わせた人だと気づくのが遅れた私に、立花奈央子さん(40)は陽気に笑いかけてきた。 東京・新宿で写真スタジオを営むフォトグラファー。20代後半から、女装する男性を美しく撮ることをライフワークとし、これまで数々の写真展を開いたり、タレントのマネジメントをしたりしてきたという。他にもアイドルプロデュース、SNSブランディングなど、多彩な仕事を手がけている。 私が立花さんを知ったのは2022年春。立花さんが投稿サイト「nоte」に、「ADD(注意欠陥障害)を疑って調べたら、高IQ(ギフテッド)だった話」という文章を載せていたのを読んだ。「ギフテッド」とオープンにしている人は珍しい。インタビューを申し込んだ。 立花さんは「やっと光をあててくれて嬉しい」と言ってくれた。インタビューは2時間を超えた。生い立ちから、家族のこと、社会人になり心を病んだことなど、立花さんは質問の意図を的確に理解し、少々早い口調で、ざっくばらんに話してくれた』、「社会人になり心を病んだことなど」、「高IQ(ギフテッド)」には通常の人間には理解できない悩みがあるようだ。
・『一度読めばわかる教科書  立花さんは1982年、千葉市で生まれた。千葉市といっても沿岸の都市部ではなく、内陸部の田畑や牧場に囲まれた農村地帯。父は工務店を営み、母が店を手伝った。4人きょうだいの長女で、自宅には父の見習いの青年も住み込みで働いていた。幼児のころから読書とお絵かきが大好きな子どもだったという。) ただ、親や周りの評価は「変わった子」。目に入るものすべてに興味を示すからだ。例えば、活字を読んでいないと落ち着かず、ごはんを食べながら、食品のパッケージに書かれた栄養成分表示や、新聞を隅から隅まで読んでいたという。「全部目に入れてましたね。情報を吸収していないと気が済まない子でした」と立花さん。 小学校は、当時はまだ1クラス40人の大人数学級。立花さんは、授業は毎日、とても退屈に感じていたという。教科書をひととおり読めばだいたい理解できるのに、先生は、同じことを黒板に何度も書いたり説明したりする。「答えがすぐわかる問題をわざわざ出すのはなぜだろうと常々思っていました」。 授業中は、プリントの裏に落書きをして時間をつぶしていたという。鉛筆回しもよくやった。先生からは「態度が悪い」「もっと授業をちゃんと聞きなさい」と叱られたことを覚えている。学年が上がるごとに、退屈な授業や学校生活を、苦痛に感じるようになっていった。 勉強はしなくても、テストはいつも満点をとった。通知表は、体育以外はすべて「◎」。その代わり、同級生とは話が合わなかった。勉強していないのにできるからだろうか、いつの間にか嫌われていたという。 「無視されたり、工作でつくった作品を隠されたりしましたね。遠足の班分けは、いつも自分だけ最後まで残っていました。だんだん、自分が悪いことをしているからいじめられるのだと思うようになっていきました」 ただ、両親は学校に行くのは当たり前だという考えだったため、理由がなければ学校は休めない。「おなかが痛い」「頭が痛い」と言って学校を休むようになった。 中学ではさらに孤立した。同級生が話すアイドルや恋愛話にはまったく興味が湧かなかった。友達がいないと学校生活はつらいことばかりで、無理に話を合わせることもあった。だが、一人で「石に意識はあるのか」というテーマで漫画を描いたり、宇宙や時間についての専門書を読みふけったりすることのほうが楽しかったという。学校に行くよりも、母が買ってくれたパソコンで自身のサイトを立ち上げたり、当時はまっていた漫画「封神演義」のファンの集まりに行ったりするほうがよっぽど楽しかった。 小中学校ではどんな子どもでしたか。私が聞くと、立花さんはしばらく考えた。「みんなの『わからないこと』がわからず、浮いた存在でしたね。自分を否定されたくないからなんとか話を合わせようとはしていました。でも、心の中ではずっと生きづらさを抱えていました」) そんな息苦しさから解放されたいと、高校は「中学の同級生が誰も行かない」という理由で、千葉県内の進学校を選んだ。電車やバスを乗り継ぎ、通学に1時間以上かかる女子校。小中学時代を知る人はおらず、新しい友達はできた。見える世界も広がった。だが、勉強をすることが嫌いになっており、成績は良くなかった。 「ギフテッドといっても、勉強しなければ当然わかりません。周りは受験勉強を一生懸命しているので、どんどん差がつきました」 そもそも、立花さんには大学へ行く選択肢はなかった。父から「大学に行かせる金はない」と言われていたためだ』、「勉強はしなくても、テストはいつも満点をとった。通知表は、体育以外はすべて「◎」。その代わり、同級生とは話が合わなかった。勉強していないのにできるからだろうか、いつの間にか嫌われていたという」、「高校は「中学の同級生が誰も行かない」という理由で、千葉県内の進学校を選んだ。電車やバスを乗り継ぎ、通学に1時間以上かかる女子校。小中学時代を知る人はおらず、新しい友達はできた。見える世界も広がった。だが、勉強をすることが嫌いになっており、成績は良くなかった。 「ギフテッドといっても、勉強しなければ当然わかりません。周りは受験勉強を一生懸命しているので、どんどん差がつきました」、「勉強しなければ当然わかりません」、ただ、少しの「勉強」で理解できるので、凡人とは違う筈だ。
・『心を削り続けた職場  最終学歴が中学の父は根っからの職人気質。また、4人きょうだいで、家計の苦しさから、父は娘を大学へ行かせようとは思っていなかったそうだ。「公務員になれ。自衛隊でもいい」。そんなことを父から言われていた立花さんは、言われるがまま高校3年で就職活動をし、東京都内の区役所に採用された。「自分のやりたいことよりも、相手が求めているものに合わせるような人間になっていました。自分が何をしたいのかは考えなくなっていた」という。 当時を、「泥の中にいるような感覚だった」と表現する立花さん。「他人とうまくいかないのは自分が悪いからだと思っていたんですよね。だから、いつのまにか自分のことを過小評価する人間になっていた」とも言った。 就職して一人暮らしを始めても、自分の居場所は見つけられなかった。 若手職員として、区のスポーツのイベント企画や高齢者福祉などを担当した。「公務員にあるべき服装を無理して考え、地味なスーツやブラウスを嫌々着ていましたよ」と笑う。 選挙の事務の仕事をして臨時の収入が入った時は、どう使おうか考えた末に、胸にタトゥーを彫った。だが、職場でそれが見えて上司や同僚に知られると、白い目で見られた。自分の好きなことをしても否定され、周りの視線や雰囲気に合わせ仕事をする日々が繰り返された。 1年ほど働いた19歳のある時、立花さんは心を病んで休職した。「公務員としてこうあるべきという枠にきちっと入らなければと思えば思うほど、自分の心を削っていっていたのだと思います」。(年齢は2023年3月時点のものです)』、「言われるがまま高校3年で就職活動をし、東京都内の区役所に採用された。「自分のやりたいことよりも、相手が求めているものに合わせるような人間になっていました。自分が何をしたいのかは考えなくなっていた」という」、「1年ほど働いた19歳のある時、立花さんは心を病んで休職した。「公務員としてこうあるべきという枠にきちっと入らなければと思えば思うほど、自分の心を削っていっていたのだと思います」、なるほど。

次に、この続きを、5月27日付けAERA「知能が高すぎる「ギフテッド」で精神を病んだ40歳女性が見つけた希望 自ら望んで「閉鎖病棟」へ入った理由」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2023052600028.html?page=1
・『知能が高さゆえに周りから浮いてしまうことも多い「ギフテッド」。【前編】では、何事もできすぎるあまり小中学校ではいじめられ、勉強が嫌いになっていった立花奈央子さん(40)が社会人になるまでを紹介した。高卒で公務員になった立花さんは、いつしか精神を病み「うつ病」になっていた。そこで彼女が取った選択は、自らの意思で精神科病院の閉鎖病棟に入ることだった。<阿部朋美・伊藤和行著『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』(朝日新聞出版)より一部抜粋・再編集> 【前編】<「ギフテッド」ゆえに無視され、孤立した小中時代 40歳フォトグラファー女性が経験した“高い知能”こその苦難>より続く』、「自らの意思で精神科病院の閉鎖病棟に入る」とはずいぶん思い切ったことをしたものだ。 
・『自ら望んで閉鎖病棟に3カ月間  躁状態の時は、ストレス解消や現実逃避のため、デパートで好きな服を大量に買った。しかし、家に帰ると、いつのまにか買い物をした記憶がなくなっている。 一方、気持ちが沈んでいる時は、「死にたい。トラックが突っ込んできてほしい」と願う。精神科に行った。「うつ病」「解離性遁走」と診断された。突然どこか遠くへ行ってしまい、気がつくと自分がなぜそこにいるのかわからないことが続いた。しまいには知らない場所で警察に保護されていた。 「このままではだめになる。徹底的に治さなければ」と、精神科病院の閉鎖病棟に自ら望んで入った。約3カ月間すごし、外で生きられない患者たちの姿を目の当たりにした。外部から遮断され、あらゆる自分の時間が、他人によって管理されている中には、これ以上いたくないと思った。 今変わらなければこのまま人生が終わると思った。この閉鎖病棟での3カ月間で、自分の気持ちに向き合おうと決めた。 自分が本当に好きなことは何か、自分にとって大事な人は誰か、本来の自分とは何者か。突き詰めて考えた。 哲学や宇宙など、自分が興味のある話を、とことん人と語り合える時間が最も楽しい。そんな気の合う人たちとの時間を大切にしたい。自分の気持ちを抑えつけるのはやめようと決めた。) まず、区役所をやめた。自分を偽り、親が望む人間になろうという思いも捨て、退院後に身を寄せていた実家も出た。渋谷駅のハチ公前で、ストリートアートをしていた人たちに話しかけた。自分も一緒に描いたり、路上ミュージシャンと友達になったり。どんどん周りに自分の好きな人たちが増えていった。すると、ライターや撮影、ヘアメイクなどの仕事がフリーでできるようになっていった』、「突然どこか遠くへ行ってしまい、気がつくと自分がなぜそこにいるのかわからないことが続いた。しまいには知らない場所で警察に保護されていた。 「このままではだめになる。徹底的に治さなければ」と、精神科病院の閉鎖病棟に自ら望んで入った。約3カ月間すごし、外で生きられない患者たちの姿を目の当たりにした。外部から遮断され、あらゆる自分の時間が、他人によって管理されている中には、これ以上いたくないと思った。 今変わらなければこのまま人生が終わると思った。この閉鎖病棟での3カ月間で、自分の気持ちに向き合おうと決めた。 自分が本当に好きなことは何か、自分にとって大事な人は誰か、本来の自分とは何者か。突き詰めて考えた」、通常では「精神科病院の閉鎖病棟」に「入院」すると、入院生活の方に気を取られてしまうが、「外部から遮断され、あらゆる自分の時間が、他人によって管理されている中には、これ以上いたくないと思った。 今変わらなければこのまま人生が終わると思った。この閉鎖病棟での3カ月間で、自分の気持ちに向き合おうと決めた」、とはさすがだ。
・『ようやく解けた「本当の私」  実家の父から久しぶりに電話がかかってきたのは、2019年。36歳になっていた。1歳下の弟が、知能検査を受け、発達障害だと診断されたとのことだった。立花さん自身も、自分が発達障害やADD(注意欠陥障害)かもしれないと思っていたため、一度検査を受けてみることにした。 「WAIS-IV」という知能検査を受けた。その結果、全般的なIQ(知能指数)が平均を大きく超える137だった。また、同検査の四つの指標のうち、ことばの理解力や推理力、思考力を示す「言語理解」はIQ130、目で見た情報から形を把握し推理する「知覚推理」はIQ128、情報を一時的に記憶する力の「ワーキングメモリー」がIQ131、作業の速度を測る「処理速度」がIQ130と、指標のすべてが平均を超える高い数値となっていた。 驚いた。臨床心理士からは「発達障害の可能性はほぼない。単に、知能が世の中の人より高いだけの健常者ですね」と言われた。立花さんはそれまで、自分の生きづらさは発達障害のせいだ、となんとなく思っていたが、それは間違っていたことがはっきりした。この時、初めて自分の特性が何なのかを知りたい、と思った。 結果を知人に言うと、「ギフテッドじゃん」と言われた。初めて聞く言葉だった。「ギフテッド」に関する専門書を片っ端から読んでみた。 特徴として書かれていた「情報を素早く理解」「いつも何かにのめり込み徹底的に調べる」という良さだけでなく、「注意散漫に見える」「同級生との関係づくりが下手」といった弱点までが、いちいち自分に当てはまった。「これ私のことだ」と思うと、胸がすっとした。) 普通と違う私。他人に合わせ、ずっと生きづらさを抱えてきた私。子どものころから、本当の自分は何なのかと思ってきた疑問が、ようやく解けた気がした。「パズルのピースがはまるような感覚だった」という。 立花さんは言う。「私は、自分のことを『天才』とは思いません。ただIQが高いという個性があるのだということがわかりました。そのせいで、これまで息苦しさや孤独を抱えていたのだと理解できて本当に良かったです」。 そしてこう思った。きっと、同じような仲間がいるのではないか。自分の特性を理解してくれたり共感してくれたりする仲間ともっと話がしたい、と。もし、子どもの時から知っていたら? 「MENSA」という国際組織を知人が教えてくれた。IQの上位2%の人だけが入会でき、日本支部があるという。さっそく入会した。 MENSAは、1946年にイギリスで創設された国際組織だ。世界100カ国以上に13万人以上の会員がいるとされる。日本支部には約4700人の会員がおり、定期的に開かれるミーティングで話し合ったり、趣味や考えが合う会員同士がオフ会などで交流したりしているという。入会するには、独自の入会テストを受けて一定のスコアを出すか、知能検査の結果を示さなければならない。 立花さんは、MENSAで出会った人たちと、「性とは何か」「既成の価値観に縛られていないか」といった深い話をすることが楽しい。人のつながりが増え、好奇心があふれ、知的欲求が満たされるという。 ようやく好きなことを仕事にし、仲間にも巡り会えたという立花さん。ただそれはたくさんの回り道をして得たものだった。「もっと早くに知能検査を受けておけばよかったという後悔はないか」と聞くと、立花さんは「後悔はない」とはっきり言った。過去のつらい時期があったからこそ、充実した今があると思っているから、と。 ただ、どうしても考えてしまうことは、あるという。「もし、子どものころに自分の特性を知り、それを理解した教育や子育てをしてもらっていたら、あんなつらい経験をせず、もっと様々なことを学べたのではないか」と。いま後悔していないと言えるのは、浮きこぼれていてもはい上がることができたからではないか。自分と同じように生きづらさを抱えたまま悩んでいる人が、今もきっといるはずだ』、「結果を知人に言うと、「ギフテッドじゃん」と言われた。初めて聞く言葉だった。「ギフテッド」に関する専門書を片っ端から読んでみた。 特徴として書かれていた「情報を素早く理解」「いつも何かにのめり込み徹底的に調べる」という良さだけでなく、「注意散漫に見える」「同級生との関係づくりが下手」といった弱点までが、いちいち自分に当てはまった。「これ私のことだ」と思うと、胸がすっとした。 普通と違う私。他人に合わせ、ずっと生きづらさを抱えてきた私。子どものころから、本当の自分は何なのかと思ってきた疑問が、ようやく解けた気がした」、もっと早くから分かっていたら、入院したり苦しむ必要もなかっただろう。
・『ゴールデン街の会員制バーで  そんな思いを強くした立花さんが始めたのが、「サロン・ド・ギフテッド」だ。19年ごろから週1回、フォトグラファーの仕事のかたわら、東京・歌舞伎町の新宿ゴールデン街にあるバーで開いている。 22年12月中旬、私はそのバーを訪れた。毎週火曜日、オーナーから店を間借りした立花さんが、カウンターに立っている。 重い木製のドアを開けると、立花さんの「いらっしゃーい」という明るい声が聞こえてきた。カウンター席が6席だけのこぢんまりとした店。すでに5人の先客が、立花さんが出すビールやハイボールを飲みながら、会話を楽しんでいた。 サロンは、IQ130以上の条件がある会員制。特別に参加させてもらった私の隣に座っていたのは、この日初めて来たという東京大学に通う女性だった。理路整然とした話しっぷり。ただ子どものころは学校になじめず「つらかった」と吐露した。「だって、先生は私のこと全然理解してくれなかったから」と女性。今はギフテッドの子どもやその保護者を支援する団体に入って活動をしているという。 IQが150ありながら、会社の上司とコミュニケーションがうまくとれず退職したという男性もいた。話すスピードが速すぎて変人と思われないかという不安があり、自分のことを知らない人とは話をするのが怖くなったという。他にも、地下アイドルを「推す」中年男性や、マクドナルドで働く母親など、個性豊かな人たちが胸の内を語り合っていた。 立花さん自身にとっても、他人は他人、自分は自分と実感できる場所だという』、「フォトグラファーの仕事のかたわら、東京・歌舞伎町の新宿ゴールデン街にあるバーで開いている。 22年12月中旬、私はそのバーを訪れた。毎週火曜日、オーナーから店を間借りした立花さんが、カウンターに立っている。 重い木製のドアを開けると、立花さんの「いらっしゃーい」という明るい声が聞こえてきた。カウンター席が6席だけのこぢんまりとした店。すでに5人の先客が、立花さんが出すビールやハイボールを飲みながら、会話を楽しんでいた。 サロンは、IQ130以上の条件がある会員制」、「IQが150ありながら、会社の上司とコミュニケーションがうまくとれず退職したという男性もいた。話すスピードが速すぎて変人と思われないかという不安があり、自分のことを知らない人とは話をするのが怖くなったという。他にも、地下アイドルを「推す」中年男性や、マクドナルドで働く母親など、個性豊かな人たちが胸の内を語り合っていた」、実にバラエティーに富んだ人たちだ。
・『「ほっといてほしい」  さて、立花さんのトークを収録した朝日新聞ポッドキャストは、22年12月上旬に配信された。「同級生と話が合わない」「なじめたことは一度もない」「授業はクソつまらない」。そんな立花さんの率直な語りぶりが、多くのリスナーの好評を得た。 収録の終盤、司会者が立花さんに「自分の経験を踏まえ、どんな世の中になればいいと思うか」と聞いた。 「ほっといてほしいですね」 即答だった。立花さんが生きやすさを感じたタイミングは、高校生になって行動範囲が広がったり、社会人になって使えるお金が増えたりするなど、自分で選択できることが増えた時だったという。 「子どものころは大人の見守りは当然必要だと思いますけど、普通と違うからと枠にはめようとしたり、周りの子どもと比較したりするのは、やめてほしいですね。ましてや、ギフテッドだから才能をのばさないといけないとか、才能を見過ごしてはもったいない、といった考えは大きなお世話です。その人が、その人らしく生きられるような社会になることが大事なのだと思います」 立花さんのそんな言葉が、多くの人に届くといいと思った。(年齢は2023年3月時点のものです)』、「立花さんのトークを収録した朝日新聞ポッドキャストは、22年12月上旬に配信された。「同級生と話が合わない」「なじめたことは一度もない」「授業はクソつまらない」。そんな立花さんの率直な語りぶりが、多くのリスナーの好評を得た。 収録の終盤、司会者が立花さんに「自分の経験を踏まえ、どんな世の中になればいいと思うか」と聞いた。 「ほっといてほしいですね」 即答だった」、「ほっといてほしいですね」とは言い得て妙だ。

第三に、6月18日付けAERA「36歳「ギフテッド」男性が社会で味わった絶望 「頭が悪い」「使えない」と上司や医師が人格否定〈dot.〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2023061600067.html?page=1
・『高い知能や、さまざまな領域で特別な才能を有する「ギフテッド」。世間では「天才児」のイメージも少なくない。しかし現実には、さまざまな才能があるがゆえに、周囲との軋轢に悩みながら社会を生きる当事者もいる。吉沢拓さん(36)は小学生時代、算数オリンピックの全国大会に出場し、学校でも前例がないほどの高IQを出した。自由な校風の中高、研究に没頭できる大学時代を経て、社会に出たところ、そこで、会社の上司や同僚との人間関係に絶望するほどの苦難を味わった。その半生を紹介する。<阿部朋美・伊藤和行著『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』(朝日新聞出版)より一部抜粋・再編集> 』、興味深そうだ。
・『沈黙の全校集会  学校になじめないギフテッドを取材してきたが、会社ではどのような苦労があるのだろうか。そう考えていた時に、出会ったのが吉沢拓さん(36)だった。 ブログやツイッターで情報発信されている吉沢さんは、壮絶な経験をつづっていた。社会人になってから3度の長期休暇、自殺未遂を経験した。周囲との「ずれ」は、自分ができないからなんだ――。そう絶望した中で、自身がギフテッドであると知ったという。ぜひ会って話を聞きたいと思い、取材を依頼した。 初めて吉沢さんと出会ったのは、クリスマスムードに包まれた2022年12月のことだ。勤務先のIT企業は、東京の高層ビルにある。若者でごった返す道をかき分け、オフィスにたどりついた。 無人の受付機で来館の手続きを済ませると、すぐに吉沢さんが駆け寄ってきてくれた。細身の黒いスーツに身を包み、きれいにセットされたパーマヘア。清潔感あふれる姿からは、都会のビジネスパーソンのにおいがした。 「普段はこんな格好しないんですよ」 はにかみながらそう教えてくれた。 苦難の連続である社会人生活の前に、幼少期の吉沢さんについて、まず聞いてみた。 小学校低学年の時は、折り紙に没頭。大人向けの難しい本を見ながら、80センチ四方の紙から巨大な作品を作り上げた。習い事のピアノではソナタを弾けるものの、耳で聞いたものを再現するやり方で、譜面は読めないままだったという。) そして、小学生の時から、周囲との「ずれ」を感じていたという。算数オリンピックでは全国大会に出場し、出題されたある問題に魅了された。「こんな問題がこんなシンプルな方法で解けた。僕はそれが素晴らしいと思った」と全校集会で報告すると、聞いていた児童たちは黙り込んだ。算数の解き方をうれしそうに力説するものの、その内容は同級生には理解できなかったのかもしれない。 「それが初めて盛大にスベった経験で、すごくよく覚えています」 吉沢さんはそう言って苦笑いする。 小学校で行われたIQテストの結果は、80年の歴史がある小学校の児童でも前例がないほどの高い数値で、母親が学校に呼び出されたという。理解がゆっくりの児童に合わせた授業の進め方が合わず、いつの間にか学校が嫌いになっていた。 「なんとなく、周りとは合わないな、うまくいかないなと思っていました。自分が面白いって思うことを言うと、怪訝な顔をされたこともあります」 そんなことが積み重なり、授業中に教室を飛び出すことが何回もあった。屋上に行って、一人で泣いていたこともある。高学年のころから、学校にはあまり行かなくなったという。 一方で、自分で教材を進める方針の塾ではぐんぐんと吸収していき、10歳で中学の範囲までの勉強を終わらせた。楽しかった塾が居場所となり、模試では全国ランキングに入る点数を取り、表彰された』、「算数オリンピックでは全国大会に出場し、出題されたある問題に魅了された。「こんな問題がこんなシンプルな方法で解けた。僕はそれが素晴らしいと思った」と全校集会で報告すると、聞いていた児童たちは黙り込んだ。算数の解き方をうれしそうに力説するものの、その内容は同級生には理解できなかったのかもしれない」、「自分で教材を進める方針の塾ではぐんぐんと吸収していき、10歳で中学の範囲までの勉強を終わらせた。楽しかった塾が居場所となり、模試では全国ランキングに入る点数を取り、表彰された」、「塾」という自分を伸ばせる場があったことはラッキーだ。
・『自由な中高、楽な大学から一転  中学受験で、校則がなく自由な校風の進学校に合格。数学がおもしろくなくなり、勉強に割く時間は徐々に減っていったものの、数学や物理は自然と点数が取れた。日本史や世界史は苦手だったが、成績は学年の中で真ん中くらい。 「中高の時は、周りに賢い子がいっぱいいたので、会話のレベルがずれるというのはありませんでした。でも、クラスや部活ではなじめない。絡んでくる相手に『なんや!』と神経質な態度で接してしまうこともあった」と話す。) だが、自分の「居場所」が他にあった。インターネットで知り合った年上の友人たちのおかげで寂しい思いはしなかった。インターネットでやり方を調べて独学でサイトを作り、ゲームに熱中。多くの時間をインターネットで過ごすようになったのだという。 大学では、情報工学系のコースに進学した。 「授業も自分で選べ、他人に気を使わなくていい。生活が自分で完結していて、授業の単位を取れば文句を言われることもない。自分一人で研究でき、とても楽だった」 自分が興味を持ったシステムをつくることが評価の対象となり、とんとん拍子で卒業した。「社会をのぞいてみたい」と思い、研究職ではなく、就職を選んだ。 社会人生活では、視野の広さを活かした仕事ぶりが評価される一方、従来通りのやり方を踏襲する上司や同僚からは疎まれることもあった。学生時代の話をテンポ良く語ってくれた吉沢さんの表情が、真剣になっていった』、「自分が興味を持ったシステムをつくることが評価の対象となり、とんとん拍子で卒業した。「社会をのぞいてみたい」と思い、研究職ではなく、就職を選んだ。 社会人生活では、視野の広さを活かした仕事ぶりが評価される一方、従来通りのやり方を踏襲する上司や同僚からは疎まれることもあった」、「研究職」を選ばなかったのは敗因なのかも知れない。
・『上司の「当たり前」が理解できず……  社会人になりたてのころは順調だったという。研修では、チームを組んでシステム開発をする場面があった。システムエンジニアとして入社していた吉沢さんはチームのメンバーを牽引してプログラムを作成。最優秀のリーダーとして、表彰された。 変化があったのは、現場に配属されてから。「配属されると、『半沢直樹』で見た世界が広がっていました。お気に入りとそうでない部下への扱いの差が大きく、『お前本当に使えないな』と言われることもありました」 自分以外の人が怒鳴られる場面も我慢できなかった。上司が大声で誰かの名前を呼び出すたびに吉沢さんも席を外し、トイレに逃げ込んだ。 システムエンジニアといっても、やることは議事録の作成や委託先の管理だった。議事録をつくるにも、上司やチームに「お伺い」を立てないといけない社風だった。上司から言われた通りに委託先へ依頼すると、委託先の人たちが倒れていく。どうすれば委託先の人も作業がしやすいのかを考え、働きやすい環境を提案。すると、委託先からは感謝された。 次第に、社内での調整や人間関係が複雑な社風についていけなくなった。上司が思い描いている通りの行動をしないと怒られ、上司の言う「当たり前」が理解できない。「自分はダメな人間なんだ。頭が悪いからわからないんだ」と考えるようになり、精神科を受診した。「うつ状態」と診断され、薬を飲んでも回復しない。長期休暇をとり、どんどん投薬の量が増えていった。 人事コンサルティングの会社に転職しても、順調とはいかなかった。「前例踏襲」を当たり前とする会社にとって、「前例」にとらわれずにより良い成果を求める吉沢さんの発想は、歓迎されなかったようだ。 より効率の良いシステム管理の方法を委託先と検討していると、不要な作業や発注方法に問題があることがわかった。その問題を解決することで委託先の品質が改善し、信頼係を築いた。本質的な解決に導けたことに手応えを感じていたが、「どっちの味方なんだ。厳しく取引先を管理しろと言っただろう。言われたことをやってない」と上司から怒られた』、「次第に、社内での調整や人間関係が複雑な社風についていけなくなった。上司が思い描いている通りの行動をしないと怒られ、上司の言う「当たり前」が理解できない。「自分はダメな人間なんだ。頭が悪いからわからないんだ」と考えるようになり、精神科を受診した。「うつ状態」と診断され、薬を飲んでも回復しない。長期休暇をとり、どんどん投薬の量が増えていった。 人事コンサルティングの会社に転職しても、順調とはいかなかった。「前例踏襲」を当たり前とする会社にとって、「前例」にとらわれずにより良い成果を求める吉沢さんの発想は、歓迎されなかったようだ」、「より効率の良いシステム管理の方法を委託先と検討していると、不要な作業や発注方法に問題があることがわかった。その問題を解決することで委託先の品質が改善し、信頼係を築いた。本質的な解決に導けたことに手応えを感じていたが、「どっちの味方なんだ。厳しく取引先を管理しろと言っただろう。言われたことをやってない」と上司から怒られた」、「本質的な解決に導けたことに手応えを感じていたが」、それを理解できない「上司」の壁は厚かったようだ。
・『がんばった時ほど「頭が悪い」  自分のアイデアや課題を解決するための踏み込んだ思考をもとに主体的に動くと、上司や先輩たちの考えと合わなくなり、低評価を受ける。「人の気持ちが理解できない」「思考能力がない」「自分の頭が悪いことを受け入れろ」とののしられることもあり、体調が悪化。休職した。経緯を聞いた重役と他の上司からは「あなたのような人材が会社に必要だ」と言ってもらえた。嬉しい半面、「だったら、なぜ守ってもらえないのか」という悔しさも入り交じった。 上司と吉沢さんの間には、見えている視点や仕事のやり方に大きな違いがあった。吉沢さんには、保身のためにやり方を変えようとしない上司の思考が見て取れた。一方で、上司や周囲の人には、会社やグループ企業全体のことを考えて提案する吉沢さんの考え方は理解できなかったのかもしれない。 吉沢さん自身は、上司や同僚と衝突するたびに悩んだ。「自分は正しいことをしているはずという思いと、自分ができないから悪いんだという葛藤をずっと続けてきた」という。) 自分の能力を発揮できたと感じた時ほど「頭が悪い」「使えない」と批判された。既存の方法にとらわれずに効率の良い方法を考えようとすると、受け入れてもらえない。そんな思いがずっと頭をめぐった。 休職した時には、産業医にも相談へ行ったという。すると5分も話さないうちに「あなたはきっと境界性パーソナリティー障害で、人に興味のない人格障害」と言われた。それをかかりつけ医に相談すると、精神科病院への入院を勧められた。その診断に納得できず、外部の心理検査を受診。周囲とのなじめなさの原因は、境界性パーソナリティー障害などではなく、吉沢さんのIQの高さにあると判明した。 仕事場でも、医師からも、自分の人格や能力を否定されることを言われ続け、自分を支えることが難しくなってきた吉沢さん。このころには、趣味の音楽でイベントを開催してなんとか自分を保っていた。計画的に人をまとめて動かすのは得意だったため、手応えも感じていた。多くの人に楽しんでもらえる場を作れることに、喜びを見いだしていた。しかし、心身への負担も大きく、酸素が足りないなか、海面でもがくような感覚だったという。(年齢は2023年3月時点のものです)』、「自分の能力を発揮できたと感じた時ほど「頭が悪い」「使えない」と批判された。既存の方法にとらわれずに効率の良い方法を考えようとすると、受け入れてもらえない。そんな思いがずっと頭をめぐった。 休職した時には、産業医にも相談へ行ったという。すると5分も話さないうちに「あなたはきっと境界性パーソナリティー障害で、人に興味のない人格障害」と言われた。それをかかりつけ医に相談すると、精神科病院への入院を勧められた。その診断に納得できず、外部の心理検査を受診。周囲とのなじめなさの原因は、境界性パーソナリティー障害などではなく、吉沢さんのIQの高さにあると判明した。 仕事場でも、医師からも、自分の人格や能力を否定されることを言われ続け、自分を支えることが難しくなってきた吉沢さん。このころには、趣味の音楽でイベントを開催してなんとか自分を保っていた」、「かかりつけ医」の「診断」に納得できず、外部の心理検査を受診。周囲とのなじめなさの原因は、境界性パーソナリティー障害などではなく、吉沢さんのIQの高さにあると判明」、「外部の心理検査を受診」してようやく正しい「診断」に辿り着いたとは、本当に大変だったろう。「精神科病院への入院」していたら、抜け出すのにまた大変な苦労をしたことだろう。

第四に、6月18日付けAERA「人生に失望した36歳「ギフテッド」男性はなぜ転職先で成果を出せたのか 「社会性が低い」の誤解」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2023061600068.html?page=1
・『高い知能や、さまざまな領域で特別な才能を有する「ギフテッド」。その1人、吉沢拓さん(36)はギフテッドのことをこう話す。「スポーツカーで公道を走ろうとすると、ブレーキを踏みながらヨロヨロと走ることになります。走りやすい道を用意してくれる人や、助手席に乗ってくれる人など、アクセルを踏み続けられる環境が必要」 彼は高度な洞察力や正義感ゆえに人間関係に苦悩し、自殺未遂にまで至った経験がある。そんな彼がどのようにして自分の特性を認め、前を向くことができたのか。その背景には、自分を肯定してくれたある人物との出会いがあった。<阿部朋美・伊藤和行著『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』(朝日新聞出版)より一部抜粋・再編集> ※【前編】<36歳「ギフテッド」男性が社会で味わった絶望 「頭が悪い」「使えない」と上司や医師が人格否定>より続く』、「自分を肯定してくれたある人物との出会い」とはどんなものだったのだろう。 
・『能力ゆえの悩み、初めて肯定された  人間関係に苦しみ、3社目の会社に転職。人事データの分析を担った。自身の存在意義を探し求めるため、まっすぐ自分の道を進んで何が起きるか見届けようとした。 上司が吉沢さんの考えをよく思っていないからなのか、すでに経営層まで承認を得た企画を進めようとすると、上司から計画を変更するよう圧力をかけられた。自分の成果を横取りされたこともあった。多様性と公正をうたう会社の理念に従って、「人として間違っている」と感じた行動には異議を主張し会社にも訴えた。だが、「あなたは間違っていないし、周囲に問題があるのはわかるが、対応するこちらの立場と労力も考えてほしい、うまくやってくれ」と突き放され、状況は変わらなかった。 別の同僚からは「私は静かに業務をしたいので、あなたが上司や同僚と衝突するのは迷惑だ。私は『サラリーマン』ができる」とも言われた。面談の内容がねじ曲げられ風評を流されることもあった。匿名で行っていた発信活動を同僚に発見され、アウティング(注)の被害にも遭った。 「人間には自分のための能力と社会のための能力があります。その中で自分の行動基準や能力は、社会に向けたものに偏ってしまっていると感じます」と吉沢さん。 「自分の能力で社会に役立てられている部分はあると感じていますが、なかなか自分には返ってきません。遠くの人に喜ばれ、近くの人に嫌われます。遠くからは応援されるが、みんな近づいてきてはくれません。そういう世の中の構図に失望しましたが、それを自身で確かめられたことに満足もしました」 苦しくても、正しいと思う行動を取り続けることができた。そんな自分の矜持を保てているうちに死のうと考えた。 2020年12月、自殺を企てた。未遂となり、翌日から仕事を休職した。 「最期まで魂の形を保ちたい、胸を張れる自分でいたい」。その思いから、遺書にはつらかったことや恨みではなく、周囲への感謝だけを書き残した。 もともとは、人間とは、社会とは、自分とは――。そういった抽象的な問いかけを探求するために、自分をいろいろな企業に投げ込んで実験してきた。その答えを出した以上、もはや何のために生きているのかわからず、頭は真っ白な状態だった。心理検査やカウンセリングを経て、自分とは何か、どのような特性なのかを調べているうちに、ギフテッドにたどりついた。 東京大学大学院総合文化研究科で「ギフテッド創成寄付講座」を開いている池澤聰さんに出会った。そこで初めて、吉沢さんの悩みが「能力があるからこその悩みなんです」と言われた。 「初めて自分を肯定してくれる人で、とにかく『助かった』という感覚でした。少しずつ自分を許していってもいいかなと思えるようになりました」』、「「自分の能力で社会に役立てられている部分はあると感じていますが、なかなか自分には返ってきません。遠くの人に喜ばれ、近くの人に嫌われます。遠くからは応援されるが、みんな近づいてきてはくれません。そういう世の中の構図に失望しましたが、それを自身で確かめられたことに満足もしました」 苦しくても、正しいと思う行動を取り続けることができた。そんな自分の矜持を保てているうちに死のうと考えた。 2020年12月、自殺を企てた。未遂となり、翌日から仕事を休職した」、「心理検査やカウンセリングを経て、自分とは何か、どのような特性なのかを調べているうちに、ギフテッドにたどりついた。東京大学大学院総合文化研究科で「ギフテッド創成寄付講座」を開いている池澤聰さんに出会った。そこで初めて、吉沢さんの悩みが「能力があるからこその悩みなんです」と言われた。 「初めて自分を肯定してくれる人で、とにかく『助かった』という感覚でした。少しずつ自分を許していってもいいかなと思えるようになりました」、「ギフテッドにたどりついた」のはラッキーだ。 
(注)アウティング:人の性自認、性的指向を本人の了承を得ずに他の人に暴露すること。2020年には、厚生労働省がアウティングをパワハラ行為と定めている(ELEMINIST)
・『自分の「取り扱い説明書」を渡す  そこから、ギフテッドについて調べ、自分がこれまで周囲と折り合えずに苦悩してきたのは、ギフテッドゆえの特性からくるものだとわかった。 頭も心もセンサーが敏感で、正義感が強い。視野が広く、日常にある疑問や矛盾に気がつきやすい。説明書は読まず、触って覚える。枠の中にはめ込まれるのが苦手で、自分で創造するのが得意。自分の特性とはどういうものなのかがクリアになっていった。 休職中でどん底の状態だったが、勤務先に戻ることは現実的でなかったため、転職活動を始めた。開き直って、履歴書には、心に負荷がかかって休職していること、自身にギフテッドという特性があるということも書き加えた。 IT企業の1次面接を受けることになり、面接担当者からは、ギフテッドについて聞かれた。ギフテッドというのはどういう特性なのか。能力を発揮するためには、どういう支援が必要なのか。吉沢さんは、正直な思いを伝えた。 「自分が過去に成功したのは、いずれも人とやり方は違ってでも、勝手に動かせてもらえた時でした。不躾なお願いですが、もしご一緒することになったらそうさせてほしいです」 最終面接でもギフテッドの話題になり、面接担当者からは「会社にもそういう人はたくさんいると思うよ」と言われた。吉沢さんは、「当たり前の存在として見てもらえる」と安心できたという。 入社してからは、自分の取り扱い説明書を渡した。 自分はプロジェクトのようなチームを組む動きより、人より先を一人で突っ走って成果を形にします。つなぎ役はそれが得意な人にお願いします」と伝えた。そうした吉沢さんの得意分野を活かしたことで、成果も出ている。社内の個人MVPにノミネートされたり、人事データを分析する外部のコンペで表彰を受けたりした。 ただ、こうした能力の発揮の形を会社に認めてもらうのには課題を感じた。長所を活かし短所を周りにフォローしてもらうという働き方が減点対象となり、周囲と同じ働き方を目指すことがキャリアとして求められた。今後、社内で多様な能力が活かされるためのモデルケースになれるよう対話を続けているが、まだまだ壁は厚いと感じている』、「吉沢さんの得意分野を活かしたことで、成果も出ている。社内の個人MVPにノミネートされたり、人事データを分析する外部のコンペで表彰を受けたりした。 ただ、こうした能力の発揮の形を会社に認めてもらうのには課題を感じた。長所を活かし短所を周りにフォローしてもらうという働き方が減点対象となり、周囲と同じ働き方を目指すことがキャリアとして求められた。今後、社内で多様な能力が活かされるためのモデルケースになれるよう対話を続けているが、まだまだ壁は厚いと感じている」、なかなか難しいものだ。
・『なじまなくたっていい  ギフテッドは、「知能が高くて、社会性が低い」という誤ったイメージを持たれがちだ。「本当に頭が良い人は周囲とうまくやるはずだ」という批判を向けられることもあるかもしれない。しかし、知能が高く、視野が広いからこそ、方法や目指すゴールが周囲と異なるのかもしれない。) ギフテッドの特性として、複雑で論理的な洞察力や正義感などがあることがこれまでの研究で指摘されている。吉沢さんの仕事の目的は、上司の顔色をうかがうことや社内政治をすることではなく、会社や社会が良い方へ向かうこと。まっすぐに最適な方法を模索することを周囲が理解できなかったのではないか。 吉沢さんはギフテッドをスポーツカーで例えてくれた。 「スポーツカーで公道を走ろうとすると、ブレーキを踏みながらヨロヨロと走ることになります。走りやすい道を用意してくれる人や、助手席に乗ってくれる人など、アクセルを踏み続けられる環境が必要」だという。「自由に走れる環境があれば、勝手に走る」。それがギフテッドなのだという。 なんでもバランスよくできる優等生に憧れるかもしれないが、それを目指す必要はない。大谷翔平選手が将棋を指せる必要はないし、藤井聡太さんが時速160キロのボールを投げられる必要もない。 「多様性」をうたう会社も多いが、本当の意味で「人と違う」ということを認めてくれる会社はそう多くはないのかもしれない。扱いづらい、周囲の意見を理解できないなどとすでに排除されているギフテッドもいれば、自身が周囲から浮くことを恐れて才能を隠しているギフテッドもいるかもしれない。 これからギフテッドが浸透し、採用しようという会社が出てきた時には、ギフテッドの特性や得意不得意があるということを知ってほしいという。 「ギフテッドはなんでもできる夢の人材ではありません。優秀なのではなく、特殊ということを知ってもらいたいです。扱いづらい点もあるかもしれません。会社として必要な能力と思ってもらい、能力を守って活かす方法を考えてもらえれば、お互いに良い結果を与え合う関係になれるのではないでしょうか」 現在は、東京大学大学院のギフテッド創成寄付講座で、当事者として研究協力をしたり、講演会で適応に苦しんだ体験を話したりしている。自分と同じように苦しむ人を減らすため、第三者が声をかけやすいよう名前と顔を出すことを選んだ。 「人と違うことは決して悪いことではない。だから人と同じになろうとするのではなく、人と違う自分のことを認め、嫌いにならずにいてあげてほしい。そして、周囲の方々には、伸ばそう、教えようとするのではなく守ってあげることを大事にしてほしい」(年齢は2023年3月時点のものです)』、「「ギフテッドはなんでもできる夢の人材ではありません。優秀なのではなく、特殊ということを知ってもらいたいです。扱いづらい点もあるかもしれません。会社として必要な能力と思ってもらい、能力を守って活かす方法を考えてもらえれば、お互いに良い結果を与え合う関係になれるのではないでしょうか」、「周囲の方々には、伸ばそう、教えようとするのではなく守ってあげることを大事にしてほしい」、「東京大学大学院のギフテッド創成寄付講座」などで「取り扱い説明書」を作成・配布するなどして、有効な働き方を指導してもらいたいものだ。
タグ:教育 (その30)(「ギフテッド」ゆえに無視され、孤立した小中時代 40歳フォトグラファー女性が経験した“高い知能”こその苦難、知能が高すぎる「ギフテッド」で精神を病んだ40歳女性が見つけた希望 自ら望んで「閉鎖病棟」へ入った理由、36歳「ギフテッド」男性が社会で味わった絶望 「頭が悪い」「使えない」と上司や医師が人格否定〈dot.〉、人生に失望した36歳「ギフテッド」男性はなぜ転職先で成果を出せたのか 「社会性が低い」の誤解) AERA「「ギフテッド」ゆえに無視され、孤立した小中時代 40歳フォトグラファー女性が経験した“高い知能”こその苦難」 阿部朋美・伊藤和行著『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』(朝日新聞出版) 「社会人になり心を病んだことなど」、「高IQ(ギフテッド)」には通常の人間には理解できない悩みがあるようだ。 「勉強はしなくても、テストはいつも満点をとった。通知表は、体育以外はすべて「◎」。その代わり、同級生とは話が合わなかった。勉強していないのにできるからだろうか、いつの間にか嫌われていたという」、 「高校は「中学の同級生が誰も行かない」という理由で、千葉県内の進学校を選んだ。電車やバスを乗り継ぎ、通学に1時間以上かかる女子校。小中学時代を知る人はおらず、新しい友達はできた。見える世界も広がった。だが、勉強をすることが嫌いになっており、成績は良くなかった。 「ギフテッドといっても、勉強しなければ当然わかりません。周りは受験勉強を一生懸命しているので、どんどん差がつきました」、「勉強しなければ当然わかりません」、ただ、少しの「勉強」で理解できるので、凡人とは違う筈だ。 「言われるがまま高校3年で就職活動をし、東京都内の区役所に採用された。「自分のやりたいことよりも、相手が求めているものに合わせるような人間になっていました。自分が何をしたいのかは考えなくなっていた」という」、 「1年ほど働いた19歳のある時、立花さんは心を病んで休職した。「公務員としてこうあるべきという枠にきちっと入らなければと思えば思うほど、自分の心を削っていっていたのだと思います」、なるほど。 AERA「知能が高すぎる「ギフテッド」で精神を病んだ40歳女性が見つけた希望 自ら望んで「閉鎖病棟」へ入った理由」 「自らの意思で精神科病院の閉鎖病棟に入る」とはずいぶん思い切ったことをしたものだ。 「突然どこか遠くへ行ってしまい、気がつくと自分がなぜそこにいるのかわからないことが続いた。しまいには知らない場所で警察に保護されていた。 「このままではだめになる。徹底的に治さなければ」と、精神科病院の閉鎖病棟に自ら望んで入った。約3カ月間すごし、外で生きられない患者たちの姿を目の当たりにした。外部から遮断され、あらゆる自分の時間が、他人によって管理されている中には、これ以上いたくないと思った。 今変わらなければこのまま人生が終わると思った。この閉鎖病棟での3カ月間で、自分の気持ちに向き合おうと決めた。 自分が本当に好きなことは何か、自分にとって大事な人は誰か、本来の自分とは何者か。突き詰めて考えた」、通常では「精神科病院の閉鎖病棟」に「入 院」すると、入院生活の方に気を取られてしまうが、「外部から遮断され、あらゆる自分の時間が、他人によって管理されている中には、これ以上いたくないと思った。 今変わらなければこのまま人生が終わると思った。この閉鎖病棟での3カ月間で、自分の気持ちに向き合おうと決めた」、とはさすがだ。 「結果を知人に言うと、「ギフテッドじゃん」と言われた。初めて聞く言葉だった。「ギフテッド」に関する専門書を片っ端から読んでみた。 特徴として書かれていた「情報を素早く理解」「いつも何かにのめり込み徹底的に調べる」という良さだけでなく、「注意散漫に見える」「同級生との関係づくりが下手」といった弱点までが、いちいち自分に当てはまった。「これ私のことだ」と思うと、胸がすっとした。 普通と違う私。他人に合わせ、ずっと生きづらさを抱えてきた私。子どものころから、本当の自分は何なのかと思ってきた疑問が、ようやく解けた気がした」、もっと早くから分かっていたら、入院したり苦しむ必要もなかっただろう。 「フォトグラファーの仕事のかたわら、東京・歌舞伎町の新宿ゴールデン街にあるバーで開いている。 22年12月中旬、私はそのバーを訪れた。毎週火曜日、オーナーから店を間借りした立花さんが、カウンターに立っている。 重い木製のドアを開けると、立花さんの「いらっしゃーい」という明るい声が聞こえてきた。 カウンター席が6席だけのこぢんまりとした店。すでに5人の先客が、立花さんが出すビールやハイボールを飲みながら、会話を楽しんでいた。 サロンは、IQ130以上の条件がある会員制」、「IQが150ありながら、会社の上司とコミュニケーションがうまくとれず退職したという男性もいた。話すスピードが速すぎて変人と思われないかという不安があり、自分のことを知らない人とは話をするのが怖くなったという。他にも、地下アイドルを「推す」中年男性や、マクドナルドで働く母親など、個性豊かな人たちが胸の内を語り合っていた」、実にバラ エティーに富んだ人たちだ。 「立花さんのトークを収録した朝日新聞ポッドキャストは、22年12月上旬に配信された。「同級生と話が合わない」「なじめたことは一度もない」「授業はクソつまらない」。そんな立花さんの率直な語りぶりが、多くのリスナーの好評を得た。 収録の終盤、司会者が立花さんに「自分の経験を踏まえ、どんな世の中になればいいと思うか」と聞いた。 「ほっといてほしいですね」 即答だった」、「ほっといてほしいですね」とは言い得て妙だ。 AERA「36歳「ギフテッド」男性が社会で味わった絶望 「頭が悪い」「使えない」と上司や医師が人格否定〈dot.〉」 「算数オリンピックでは全国大会に出場し、出題されたある問題に魅了された。「こんな問題がこんなシンプルな方法で解けた。僕はそれが素晴らしいと思った」と全校集会で報告すると、聞いていた児童たちは黙り込んだ。算数の解き方をうれしそうに力説するものの、その内容は同級生には理解できなかったのかもしれない」、 「自分で教材を進める方針の塾ではぐんぐんと吸収していき、10歳で中学の範囲までの勉強を終わらせた。楽しかった塾が居場所となり、模試では全国ランキングに入る点数を取り、表彰された」、「塾」という自分を伸ばせる場があったことはラッキーだ。 「自分が興味を持ったシステムをつくることが評価の対象となり、とんとん拍子で卒業した。「社会をのぞいてみたい」と思い、研究職ではなく、就職を選んだ。 社会人生活では、視野の広さを活かした仕事ぶりが評価される一方、従来通りのやり方を踏襲する上司や同僚からは疎まれることもあった」、「研究職」を選ばなかったのは敗因なのかも知れない。 「次第に、社内での調整や人間関係が複雑な社風についていけなくなった。上司が思い描いている通りの行動をしないと怒られ、上司の言う「当たり前」が理解できない。「自分はダメな人間なんだ。頭が悪いからわからないんだ」と考えるようになり、精神科を受診した。 「うつ状態」と診断され、薬を飲んでも回復しない。長期休暇をとり、どんどん投薬の量が増えていった。 人事コンサルティングの会社に転職しても、順調とはいかなかった。「前例踏襲」を当たり前とする会社にとって、「前例」にとらわれずにより良い成果を求める吉沢さんの発想は、歓迎されなかったようだ」、「より効率の良いシステム管理の方法を委託先と検討していると、不要な作業や発注方法に問題があることがわかった。 その問題を解決することで委託先の品質が改善し、信頼係を築いた。本質的な解決に導けたことに手応えを感じていたが、「どっちの味方なんだ。厳しく取引先を管理しろと言っただろう。言われたことをやってない」と上司から怒られた」、「本質的な解決に導けたことに手応えを感じていたが」、それを理解できない「上司」の壁は厚かったようだ。 「自分の能力を発揮できたと感じた時ほど「頭が悪い」「使えない」と批判された。既存の方法にとらわれずに効率の良い方法を考えようとすると、受け入れてもらえない。そんな思いがずっと頭をめぐった。 休職した時には、産業医にも相談へ行ったという。すると5分も話さないうちに「あなたはきっと境界性パーソナリティー障害で、人に興味のない人格障害」と言われた。それをかかりつけ医に相談すると、精神科病院への入院を勧められた。 その診断に納得できず、外部の心理検査を受診。周囲とのなじめなさの原因は、境界性パーソナリティー障害などではなく、吉沢さんのIQの高さにあると判明した。 仕事場でも、医師からも、自分の人格や能力を否定されることを言われ続け、自分を支えることが難しくなってきた吉沢さん。このころには、趣味の音楽でイベントを開催してなんとか自分を保っていた」、 「かかりつけ医」の「診断」に納得できず、外部の心理検査を受診。周囲とのなじめなさの原因は、境界性パーソナリティー障害などではなく、吉沢さんのIQの高さにあると判明」、「外部の心理検査を受診」してようやく正しい「診断」に辿り着いたとは、本当に大変だったろう。「精神科病院への入院」していたら、抜け出すのにまた大変な苦労をしたことだろう。 AERA「人生に失望した36歳「ギフテッド」男性はなぜ転職先で成果を出せたのか 「社会性が低い」の誤解」 「自分を肯定してくれたある人物との出会い」とはどんなものだったのだろう。 「「自分の能力で社会に役立てられている部分はあると感じていますが、なかなか自分には返ってきません。遠くの人に喜ばれ、近くの人に嫌われます。遠くからは応援されるが、みんな近づいてきてはくれません。そういう世の中の構図に失望しましたが、それを自身で確かめられたことに満足もしました」 苦しくても、正しいと思う行動を取り続けることができた。そんな自分の矜持を保てているうちに死のうと考えた。 2020年12月、自殺を企てた。未遂となり、翌日から仕事を休職した」、「心理検査やカウンセリングを経て、自分とは何か、どのような特性なのかを調べているうちに、ギフテッドにたどりついた。東京大学大学院総合文化研究科で「ギフテッド創成寄付講座」を開いている池澤聰さんに出会った。そこで初めて、吉沢さんの悩みが「能力があるからこその悩みなんです」と言われた。 「初めて自分を肯定してくれる人で、とにかく『助かった』という感覚でした。少しずつ自分を許していってもいいかなと思えるようになりました」、「ギフテッドにたどりついた」のはラッキーだ。 (注)アウティング:人の性自認、性的指向を本人の了承を得ずに他の人に暴露すること。2020年には、厚生労働省がアウティングをパワハラ行為と定めている(ELEMINIST) 「吉沢さんの得意分野を活かしたことで、成果も出ている。社内の個人MVPにノミネートされたり、人事データを分析する外部のコンペで表彰を受けたりした。 ただ、こうした能力の発揮の形を会社に認めてもらうのには課題を感じた。 長所を活かし短所を周りにフォローしてもらうという働き方が減点対象となり、周囲と同じ働き方を目指すことがキャリアとして求められた。今後、社内で多様な能力が活かされるためのモデルケースになれるよう対話を続けているが、まだまだ壁は厚いと感じている」、なかなか難しいものだ。 「「ギフテッドはなんでもできる夢の人材ではありません。優秀なのではなく、特殊ということを知ってもらいたいです。扱いづらい点もあるかもしれません。会社として必要な能力と思ってもらい、能力を守って活かす方法を考えてもらえれば、お互いに良い結果を与え合う関係になれるのではないでしょうか」、「周囲の方々には、伸ばそう、教えようとするのではなく守ってあげることを大事にしてほしい」、 「東京大学大学院のギフテッド創成寄付講座」などで「取り扱い説明書」を作成・配布するなどして、有効な働き方を指導してもらいたいものだ。
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今日は更新を休むので、明日にご期待を!

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教育(その29)(開成も麻布も実は“すべり止め”…両校を蹴って秀才が行く最高峰「筑駒」の実力、なぜ日本人はいくら勉強しても英語を話せないのか…養老孟司が考える「日本の学校教育はココがおかしい」 「学ぶ」より「倣う」に重きを置くべき) [社会]

教育については、昨年6月7日に取上げた。今日は、(その29)(開成も麻布も実は“すべり止め”…両校を蹴って秀才が行く最高峰「筑駒」の実力、なぜ日本人はいくら勉強しても英語を話せないのか…養老孟司が考える「日本の学校教育はココがおかしい」 「学ぶ」より「倣う」に重きを置くべき)である。

先ずは、本年2月4日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの田中幾太郎氏による「開成も麻布も実は“すべり止め”…両校を蹴って秀才が行く最高峰「筑駒」の実力」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/318225
・『「うちに来る生徒の大半は挫折を味わっている。開成も同じでしょう」と話すのは麻布の元教師。1日、開成中学と麻布中学の入試が行われた。開成は東大合格者数41期連続首位、麻布は68期連続トップ10入りと、誰もが認める超ド級の名門中高一貫男子校だ。 今年の開成中の出願数は1289人、麻布中は918人となっているが、「彼らの本当の第1志望は別にある」(同)という。昨年、開成中は1206人の出願があり、当日試験に臨んだのは1050人。合格したのは416人だったが、実際に入学したのは305人。麻布中は合格者371人に対し307人だった。 難関の入試を突破しながら、開成は111人、麻布は64人が別の中学に入学していることになる。開成や麻布を蹴って行った先で最も多いのが男子中高一貫の筑波大学附属駒場(筑駒)だ。筑駒中の入試は開成や麻布の2日後の3日に行われる。 「中学定員120人、高校から採るのも40人という少数精鋭。国立なので中学は入学金や授業料がタダ、高校も初年度20万円程度と授業料が安いのも魅力ですが、何より大学進学実績が飛び抜けている。関西の雄である灘をも凌駕し、国内の進学校でナンバーワンといっても過言ではない」(大手学習塾スタッフ)』、「難関の入試を突破しながら、開成は111人、麻布は64人が別の中学に入学していることになる。開成や麻布を蹴って行った先で最も多いのが男子中高一貫の筑波大学附属駒場(筑駒)だ。筑駒中の入試は開成や麻布の2日後の3日に行われる・・・何より大学進学実績が飛び抜けている。関西の雄である灘をも凌駕し、国内の進学校でナンバーワンといっても過言ではない」、なるほど。
・『4人に3人が東大に合格した年も  昨年の東大合格者数は97人。生徒数の約6割に当たるが、2019年までは7期連続で100人を超えており、4人に3人が東大に合格した年もある。 「半世紀以上も前から中学受験の最高峰であるのは変わらなかった」と振り返るのは麻布OB。1970年代前半に筑駒(当時の校名は教育大学付属駒場=教駒)と麻布を受験した。入試日が同じ男子御三家(開成、麻布、武蔵)のうちの1校と、別の日に行われる筑駒を併願するのはこの頃からの中学受験の代表的な組み合わせだった。 「僕が受けた時は学力試験で通っても、そのまま教駒に入学できるわけではなく、その後に抽選があった。そこで落とされ、非常に悔しい思いをしたことを覚えています」 60年代中ごろから、中学受験が過熱。国立校がその片棒を担ぐのは問題だと批判が高まり、入試に抽選を導入するなど、試行錯誤を繰り返していた。 現在は最初に抽選を行い、そこで通った受験生だけが学力試験に臨めることになっている。抽選を実施するのは出願数が定員の8倍を超えた場合。実際にはここ10年以上、そのボーダーに達したことはなく、抽選は行われていない。 「数年前に孫が筑駒を受験しましたが、残念ながらかなわず、開成に入りました。本当は麻布を受けてほしかったのですが、将来医者になりたいらしく、医学部進学の実績がより高い開成を選んだ。もちろん、筑駒に入れれば一番良かったのですが……」(前出の麻布OB) 開成や麻布がすべり止めとは、なんともゼイタクな話だ』、上には上があるものだ。

次に、4月19日付けPRESIDENT Onlineが掲載した解剖学者で東京大学名誉教授の養老 孟司氏と日本総合研究所調査部主席研究員の藻谷 浩介氏による対談「なぜ日本人はいくら勉強しても英語を話せないのか…養老孟司が考える「日本の学校教育はココがおかしい」 「学ぶ」より「倣う」に重きを置くべき」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/68538
・『日本の学校教育はどこに問題があるのか。解剖学者の養老孟司さんは「子供を椅子に座らせ、暗記で知識を詰め込む教育はもうやめたほうがいい」という。エコノミストの藻谷浩介さんとの対談を収録した新刊『日本の進む道 成長とは何だったのか』(毎日新聞出版)から一部を紹介する――』、興味深そうだ。
・『なぜ日本では「読み書きそろばん」というのか  【藻谷浩介(以下、藻谷)】日本の英語教育は、発音能力、会話能力、ディベート能力を鍛えません。だから学校で教える英語は意味がないという意見は少なくありません。先生からみるとこの辺りはどう思いますか。 【養老孟司(以下、養老)】学校で何年も英語を習っているのに英語がちっとも上手にならない、しゃべるのが上手にならないと言われますが、そんなことは当たり前でしょう。昔から日本では「読み書きそろばん」と言っていたように、「読み」が中心になっています。そのことを疑問に思った人はいませんでした。 ギリシアは二千年以上前からお金をとって弁論術を教えていました。しゃべることを教えて金になる国でしたが、読みが中心の言語は日本語の他にあるのでしょうかねえ。 「あの国ではできているのに日本では」などとよく言いますが、もともとそうに決まっていますよ。つまり、日本語を教えている段階で、何を教えているかがわかっていないのでしょうね。日本語を教えているということは、日本の文化そのものを叩き込んでいることです。 僕はそのことを漫画を例にして指摘してきました。なぜ日本で漫画が発達するかというと、日本語は音読みをするからです。漢字のもとは象形文字です、すなわち「漫画」です。それにいろいろな「音」を振るのが日本語の特徴です』、「なぜ日本で漫画が発達するかというと、日本語は音読みをするからです。漢字のもとは象形文字です、すなわち「漫画」です。それにいろいろな「音」を振るのが日本語の特徴です」、初めて聞く話だが、面白そうだ。
・『ニッポンの漫画は日本語そのもの  【養老】欧米の言語などは音が先にあってそれを表記する表音文字ですが、日本語は逆になっていて、ある意味のある図形があって、それに対して音を自由に振っていきます。その振った音が漫画の吹き出しです。だから吹き出しの中には難しい漢字を入れてはいけない。 アメリカの漫画を見ると吹き出しはセリフというよりもト書きになっていますが、日本の場合はト書きではなく、音と意味の文芸になっています。だから、僕たちが日本語を読むときには、仮名に対応する表音文字の部分と漢字に対応する意味の部分の二カ所の脳を使って、図形と意味を直結しているわけです。 国語の先生は「漫画を読んでいても字を覚えてないからだめだ」と言いますが、僕は、漫画は日本語そのものだと思います。つまり、日本で国語教育をすると漫画寄りの訓練をしていることになります。日本で平安時代から漫画が成立するのは、音訓読みが成立したからでしょう。僕は長年そう言っていますが、あまり聞いてもらえません』、「日本で国語教育をすると漫画寄りの訓練をしていることになります。日本で平安時代から漫画が成立するのは、音訓読みが成立したからでしょう。僕は長年そう言っていますが、あまり聞いてもらえません」、「国語」学者たちにしたら、「漫画」など飛んでもないと相手にしなかったからなのだろう。
・『英語は挿絵のない論文をいきなり読むようなもの  【藻谷】なるほど。象形文字=面であって、いろんな音や意味を振れる漢字と、表音文字のかなを組み合わせた日本語はその構造自体が、面と吹き出しを組み合わせにした漫画と同じ。 そういう日本語で思考している日本人が、表音文字のみの英語での思考に切り替えるのは、漫画しか読んだことのない人がいきなり挿絵一つない論文を読むようなもの。そういうことですね。実際にも、漫画も日本語も要点をとらえて速読できるし、画像処理と言語処理を両方伴うので、英語より複雑なニュアンスを伝えられる。 しかし私の場合には、意図して読む方ではなく話す方の英語を鍛えたおかげで、頭を切り替えることで漫画も論文も両方読めるようになって、世界が広がりましたが。 私はカタカナと漢字だけの戦前の文章を読むと頭にすっと入って来ないのはなぜかと思っていましたが、戦後はカタカナは外来語にあてるようになったので、カタカナ語はいわば第二の漢字として、象形文字的に脳が理解しているのかな、といま気づきました。 「イノベーション」とか典型ですが、「進歩」とかいうのと同じで、意味不明なのに一つの固まった概念としてすっと頭に入ってきます。これが「いのべーしょん」とか「しんぽ」と書かれていると、思わず「どういう意図なんだろう」ともう一段深く考えるのですが』、「私の場合には、意図して読む方ではなく話す方の英語を鍛えたおかげで、頭を切り替えることで漫画も論文も両方読めるようになって、世界が広がりましたが」、「私はカタカナと漢字だけの戦前の文章を読むと頭にすっと入って来ないのはなぜかと思っていましたが、戦後はカタカナは外来語にあてるようになったので、カタカナ語はいわば第二の漢字として、象形文字的に脳が理解しているのかな、といま気づきました」、なるほど。
・『日本の学校教育がハマった「個性」の落とし穴  【藻谷】ところで先生は、日本の学校教育そのものはどうご覧になっていますか。 【養老】教育という言葉の意味にもよりますが、日本は「倣う」とか「真似する」とか「顰に倣う」というように、「学ぶ」より「倣う」ことに重きを置いてきました。古典芸能の教育が典型的ですが、師匠のやるようにやれということになっています。 言い方を変えれば、人真似を突き詰めると最後はオリジナルになるしかないという考え方があるわけです。徹底的に師匠の真似をしていくと、どこかで真似できないところに出る。それが師匠の個性であり、弟子の個性でもあるという考え方です。 しかし、戦後はずっと、そういう考え方は「封建的だ」という批判があり、「封建的でなぜ悪いんだ」とは言い返せませんでした。 【藻谷】その反動で「個性」を言い始めたら、子供たちが「普通ではいけない」「人と同じではいけない」と無理をして「個性」を出そうとするようになったりしてますね。 【養老】中高生に「個性」なんてそれほどありませんよ。昔、ある学生に「誰も君の隣の人と間違えないだろう、それが君の『個性』なんだよ」と言ったことがありますが、個性はあるに決まっています。逆にいうと、「その人はその人である」という個性に対する信頼感が消えてしまったのでしょうね。個性はあるに決まっていると思えば、個性を問題にすることはありません』、「日本は「倣う」とか「真似する」とか「顰に倣う」というように、「学ぶ」より「倣う」ことに重きを置いてきました。古典芸能の教育が典型的ですが、師匠のやるようにやれということになっています。 言い方を変えれば、人真似を突き詰めると最後はオリジナルになるしかないという考え方があるわけです。徹底的に師匠の真似をしていくと、どこかで真似できないところに出る。それが師匠の個性であり、弟子の個性でもあるという考え方です。 しかし、戦後はずっと、そういう考え方は「封建的だ」という批判があり、「封建的でなぜ悪いんだ」とは言い返せませんでした」、「中高生に「個性」なんてそれほどありませんよ。昔、ある学生に「誰も君の隣の人と間違えないだろう、それが君の『個性』なんだよ」と言ったことがありますが、個性はあるに決まっています。逆にいうと、「その人はその人である」という個性に対する信頼感が消えてしまったのでしょうね。個性はあるに決まっていると思えば、個性を問題にすることはありません」、その通りだ。
・『点数がよければいい、知識だけを教えればいい…  【養老】「個性」とか「その人らしさ」は、だいたいは生まれつき変わらないものを言っています。 しかし、そういう価値を教育の中に持ち込むと、一番重要な価値に教育は関係ない、つまり教育は人間の本質的なことには関われないという常識ができてしまい、教育はいらないことになってしまう。それならば教師のやる気がなくなるのは当たり前です。 【藻谷】たしかに、個性というものは生まれつきの違いなのですから、個性尊重なのであれば、そこに教育は携わらない、知識だけを教えてればいいということになりますね。 【養老】そうです。だから教育が極めて表面的なものになって、点数がよければいいということになってしまう。 なにしろ日本は明治維新以来、外国からいいものが入ってきたら、それを摂ればいいという考え方でやってきたわけですから、教育はないですよ。だから、すぐに「他所ではどうやっているのか」という話になるわけです。 しかし、その意味では日本の教育は成功したんじゃないでしょうか。池田清彦くん(生物学者)が書いていますが、結局、戦後の日本の教育は卒業したらおとなしく会社に勤め、上司の言うことを聞いてきちんと働く人を養成したわけです。特に1960年代、70年代の大学紛争で懲りた国は、子供たちにそういう教育をするようになりました』、「結局、戦後の日本の教育は卒業したらおとなしく会社に勤め、上司の言うことを聞いてきちんと働く人を養成したわけです。特に1960年代、70年代の大学紛争で懲りた国は、子供たちにそういう教育をするようになりました」、「教育」をそんなことで政府に都合よく捻じ曲げるようなことはすべきでない。
・『机に向かうだけの教育はもうやめたほうがいい 【藻谷】その教育が、経済や企業を発展させるために、ものの見事に役に立ったということですか。 【養老】そうです。実際にそういう大人が育ったわけですから、日本の教育は有効だったということじゃないでしょうか。しかし、その教育はもういい加減やめたほうがいいと思います。 【藻谷】日本の学校教育はもともと、百数十年前のヨーロッパの教育の仕組みを日本に持ちこんだものでした。目的は富国強兵。当時の資本主義、軍事覇権主義むき出しの世界を、国としてサバイブするためだったのでしょう。 【養老】そうです。子供を椅子に座らせて教育するという、いまでも日本の学校で行われている方法は、19世紀のイギリスで産業革命とともに始まったと言われています。彼らはいまになって、「椅子の生活は不自然だから文明人の8割は年を取ると腰痛になる」といっています(笑)。 僕の記憶でも、小学校に入って初めて椅子に座って机に向かいました。しかし、畳での正座の仕方を教わったことはありますが、椅子の座り方は一度も教わった記憶がない。覚えているのは、椅子に座って頬杖をついたら、嫌と言うほど先生に叩かれたことです』、「子供を椅子に座らせて教育するという、いまでも日本の学校で行われている方法は、19世紀のイギリスで産業革命とともに始まったと言われています。彼らはいまになって、「椅子の生活は不自然だから文明人の8割は年を取ると腰痛になる」といっています」、なるほど。
・『子供がウロウロするのは自然なこと  【養老】そういう教育でも僕たちの頃がよかったのは、子供が自由に遊びまわっていられたからです。当時の大人は生きるのに必死だったから、子供に構う暇がありません。学校がなくて放っておかれたら、僕たちは毎日、川に行って魚を釣ったり蟹を採って遊んでいたはずです。 そういう子を集めて学校でおとなしく座らせておくことには、子供にとってそれなりの意味がありました。僕は学校があったから静かに座って本を読むことを覚えました。 ところがいまは家に帰っても椅子に座ったまま、ゲームをやったりスマホをいじっています。学校に来ている子供は、むしろ外で遊ばせなければバランスがとれません。本も読みたくない子には無理して読ませることはありません。 物事にはタイミングがあるから、本が嫌いな子に無理やり読ませても、さらに嫌いになるだけです。 その意味では、いまの公教育は根本のところで崩れていると思います。そのうえ、教室で元気で自由に動き回る子供は、注意欠陥多動性障害だということになりました。教室の中で立ち上がってウロウロするのは、子供にすればごく自然なことです。子供は立ち上がってウロウロしているものですよ』、「教室で元気で自由に動き回る子供は、注意欠陥多動性障害だということになりました。教室の中で立ち上がってウロウロするのは、子供にすればごく自然なことです。子供は立ち上がってウロウロしているものですよ」、なるほど。
・『大人しく座らせ、暗記をさせるのが教育なのか  【養老】僕はいまでも講演の時は1時間半、ウロウロしながら話しています。それが人の自然の状態です。椅子に座ってじっとしている状態は決して自然ではない。それを自然な状態と思い込まされて、自分でもそう思ってしまっています。 ところが、アメリカでそういう子供に意識覚醒効果のあるリタリン(注)を飲ませています。200万人の子供に飲ませていると読んだことがあります。 【藻谷】ウロウロしているのが正常だと。何でも薬でいいのかとは思いますが、その基準なら最近の日本の大人しいいい子たちは、みんな病気ということになりますね。中高一貫のお受験校なんて、全員がそうだったりして。 その真逆で、とにかく大人しく座って一方的に聞いて暗記してなさいというような日本の教育システムを、もう少し能動的な人材を育てるためにも、作り直すことはできるのでしょうか。 【養老】学校教育では親と先生の役割が非常に大きい。だから、先生方と親が考え方を変えれば、いまよりもっと子供にとってハッピーな学校ができるとは思います。 太田敏という監督の『夢見る小学校』という映画を見ましたが、フリースクールのようなスタイルをとっている公立の小学校を丁寧に追いかけています。校長先生を中心に、ほかの先生や親が協力して、子供が何でも話し合って自由に決めて実行していく。例えば、話し合いには先生も加わりますが、最後の多数決を取るときは子供も先生も同じ1票です』、「先生方と親が考え方を変えれば、いまよりもっと子供にとってハッピーな学校ができるとは思います。 太田敏という監督の『夢見る小学校』という映画を見ましたが、フリースクールのようなスタイルをとっている公立の小学校を丁寧に追いかけています。校長先生を中心に、ほかの先生や親が協力して、子供が何でも話し合って自由に決めて実行していく。例えば、話し合いには先生も加わりますが、最後の多数決を取るときは子供も先生も同じ1票です」、なるほど。
(注)リタリン:日本でのリタリンの適応症はナルコレプシー、コンサータの適応症は注意欠陥・多動性障害(ADHD)である。メチルフェニデート(精神刺激薬)(Wikipedia)
・『子供がすくすく育つ学校の共通点  【養老】先生が子供のやることに口を出さないから、子供たちの学びへのモチベーションが高まっていくわけです。フリースクール的な学校で学んだ子が伸びると言われますが、当然です。そこには自分で考えることを教えているからです。 【藻谷】いまの文部科学省の教育指導要領でも、それが可能なのですか。締めつけが壊れてきているので、そういう公立学校も認められるようになってきたということなのでしょうか。 【養老】いや、壊れてきているというよりも、本来、学校指導要領はがちがちではなく、いまの決まりの中でもフリースクールに近いような教育もできるようになっています。つまり、先生方が考え方を変えれば公立学校がそちらの方向に動けるんです。文科省は公立学校でそうした教育が行われることを妨害しているわけではありません。 【藻谷】制度としてはできるはずなのに、子供にとっても先生にとっても苦しい教育になっています。 【養老】教師や親、みんながもう少し素直に本音で話さないといけないのでしょうね。現場の先生方が、「書類を書くために教師になったんじゃない、子供を育てたくて教師になったんだ」とか言い出せばいいのじゃないでしょうか』、「本来、学校指導要領はがちがちではなく、いまの決まりの中でもフリースクールに近いような教育もできるようになっています。つまり、先生方が考え方を変えれば公立学校がそちらの方向に動けるんです。文科省は公立学校でそうした教育が行われることを妨害しているわけではありません」、「現場の先生方が、「書類を書くために教師になったんじゃない、子供を育てたくて教師になったんだ」とか言い出せばいいのじゃないでしょうか」、残念ながら「現場の先生方」にはもうそんな力は残っていにような気がする。
・『教育の方法を変えれば子供は伸びる  【藻谷】さはさりとて、戦前の教育と戦後の教育は大きく変わったと言われています。先生がご覧になって一番変わったのはどこだと思われますか。 【養老】一番変わったのは教育の価値観――教育というものの重みではないでしょうか。戦前の教育はいまより遥かに重たかったし、戦前の方が集団的でした。全体を重視する教育をしていましたが、いまは個人重視の教育になりました。 【藻谷】社会全体で構成員全員の教育のレベルを上げよう、という意識が高かったということですか。 【養老】そうですね。現代はそうした意識が希薄で、それぞれの人や家庭の事情によって全体よりも個人の能力を伸ばすように変わってきていると思います。 さきほど言ったように、個性主義が教育全体の価値を下げてしまったから。教育はやる側が一生懸命になっていることが子供に伝わる。そのことは明らかなので、学校も出来たばかりだといい生徒が出るんです、先生が熱心だから。教師のその「熱」に子供は影響を受ける。そういうことが忘れられている。 私も大学の解剖の実習を教えていたけれど、解剖の実習は非常に手間がかかる大変な授業です。2カ月くらいつきっきりで指導するわけだから。そのやり方は元があってだいたい決まっているのですが、あるときに、それを変えようという話になった。 やり方を変えると変えた年は、学生に必ず良い結果が出ます。それは、変えようと言った人は自分の責任だと思って一生懸命にやるからです。でも何年かすると惰性になって普通になってしまうと、学生もまたもとに戻ります』、「やり方を変えると変えた年は、学生に必ず良い結果が出ます。それは、変えようと言った人は自分の責任だと思って一生懸命にやるからです。でも何年かすると惰性になって普通になってしまうと、学生もまたもとに戻ります」、なるほど。
・『教師と親の「熱」が子供のモチベーションを高める  【藻谷】なるほど。私も講演のたびに、熱意を持って何とか事実を皆さんに伝えようと頑張っているのですが、確かに講演回数が月に50回を超えていたような時期には、何か湧き上がってくるものが足りなくて、ただでさえ伝わりにくい話がなおさら伝わらなかった感じがありますね。 それが20回ぐらいまで落ちてくると相当に熱意が復活してきます。……というのはちょっと私が特殊に病的に伝えたがりなのかもしれません(笑)。でも実にいろんなテーマで話していることが、確かにやる気のもとになっています。 つまり、カリキュラムの内容よりも、カリキュラムが新鮮なことで先生が熱心になるのが大事。そこが子供の本質的な何かに触れるわけですね。 【養老】そうだと思います。私の経験では、東日本大震災のあと東松島の小学校でも似たようなことがありました。亡くなった作家で冒険家のC.W.ニコルの「アファンの森財団」が援助してその小学校の裏山を校庭にし、校舎は全て木造で作り直しました。 そこで学んだ卒業生の話を聞いたり、ほかの調査をしていると、例えば「将来、人の役に立つ仕事につきたい」といったモチベーションが高い子供が多いことが分かりました』、「私の経験では、東日本大震災のあと東松島の小学校でも似たようなことがありました。亡くなaるほどった作家で冒険家のC.W.ニコルの「アファンの森財団」が援助してその小学校の裏山を校庭にし、校舎は全て木造で作り直しました。 そこで学んだ卒業生の話を聞いたり、ほかの調査をしていると、例えば「将来、人の役に立つ仕事につきたい」といったモチベーションが高い子供が多いことが分かりました」、なるほど。
・『今の教育は惰性の極みである  【養老】それは、大人たちが自分たちのために特別に新しい木造の学校を造ってくれたことに反応しているのではないかと思います。つまり、特殊な学校であることが大事なのではなく、特殊な学校を造ったということが大事なのだと思います。 【藻谷】前からあることではなく、新しく始めたことに、初期に学んだ子供たちが感心する。残念ながら普通の場合、いまの教育は惰性の極みのようになっています。 【養老】そうだと思います。いまは教育そのものではなく、制度の維持に専心している感じです。だから、先生が夏休みでも休まずに学校に行くというバカな話になる。子供がいないのになぜ学校に行くのかという疑問を誰も呈さない。 【藻谷】生徒が休みだからと言って先生が休んでいるのはずるい、といわれるから出勤することにしようとかだとすると、正に教育そのものではなく制度の維持が主眼になっていますね。 【養老】そう、税金泥棒と言われるから登校しているとかね。僕が入った中学校はできて4年目でしたから、学校の敷地の整備に子供たちが取り組みました。教育にはそういうことが大事なのではないかと思いますね』、「残念ながら普通の場合、いまの教育は惰性の極みのようになっています・・・いまは教育そのものではなく、制度の維持に専心している感じです。だから、先生が夏休みでも休まずに学校に行くというバカな話になる。子供がいないのになぜ学校に行くのかという疑問を誰も呈さない・・・生徒が休みだからと言って先生が休んでいるのはずるい、といわれるから出勤することにしようとかだとすると、正に教育そのものではなく制度の維持が主眼になっていますね」、「いまの教育は惰性の極み」、「制度の維持に専心・・・先生が夏休みでも休まずに学校に行くというバカな話になる」、言い得て妙だ。
タグ:藻谷 浩介氏による対談「なぜ日本人はいくら勉強しても英語を話せないのか…養老孟司が考える「日本の学校教育はココがおかしい」 「学ぶ」より「倣う」に重きを置くべき」 「日本は「倣う」とか「真似する」とか「顰に倣う」というように、「学ぶ」より「倣う」ことに重きを置いてきました。古典芸能の教育が典型的ですが、師匠のやるようにやれということになっています。 言い方を変えれば、人真似を突き詰めると最後はオリジナルになるしかないという考え方があるわけです。徹底的に師匠の真似をしていくと、どこかで真似できないところに出る。それが師匠の個性であり、弟子の個性でもあるという考え方です。 しかし、戦後はずっと、そういう考え方は「封建的だ」という批判があり、「封建的でなぜ悪いんだ」とは言 (その29)(開成も麻布も実は“すべり止め”…両校を蹴って秀才が行く最高峰「筑駒」の実力、なぜ日本人はいくら勉強しても英語を話せないのか…養老孟司が考える「日本の学校教育はココがおかしい」 「学ぶ」より「倣う」に重きを置くべき) 教育 「私の場合には、意図して読む方ではなく話す方の英語を鍛えたおかげで、頭を切り替えることで漫画も論文も両方読めるようになって、世界が広がりましたが」、「私はカタカナと漢字だけの戦前の文章を読むと頭にすっと入って来ないのはなぜかと思っていましたが、戦後はカタカナは外来語にあてるようになったので、カタカナ語はいわば第二の漢字として、象形文字的に脳が理解しているのかな、といま気づきました」、なるほど。 日刊ゲンダイ 「難関の入試を突破しながら、開成は111人、麻布は64人が別の中学に入学していることになる。開成や麻布を蹴って行った先で最も多いのが男子中高一貫の筑波大学附属駒場(筑駒)だ。筑駒中の入試は開成や麻布の2日後の3日に行われる・・・何より大学進学実績が飛び抜けている。関西の雄である灘をも凌駕し、国内の進学校でナンバーワンといっても過言ではない」、なるほど。 田中幾太郎氏による「開成も麻布も実は“すべり止め”…両校を蹴って秀才が行く最高峰「筑駒」の実力」 上には上があるものだ。 PRESIDENT ONLINE 養老 孟司氏 『日本の進む道 成長とは何だったのか』(毎日新聞出版) 「残念ながら普通の場合、いまの教育は惰性の極みのようになっています・・・いまは教育そのものではなく、制度の維持に専心している感じです。だから、先生が夏休みでも休まずに学校に行くというバカな話になる。子供がいないのになぜ学校に行くのかという疑問を誰も呈さない・・・生徒が休みだからと言って先生が休んでいるのはずるい、といわれるから出勤することにしようとかだとすると、正に教育そのものではなく制度の維持が主眼になっていますね」、 「日本で国語教育をすると漫画寄りの訓練をしていることになります。日本で平安時代から漫画が成立するのは、音訓読みが成立したからでしょう。僕は長年そう言っていますが、あまり聞いてもらえません」、「国語」学者たちにしたら、「漫画」など飛んでもないと相手にしなかったからなのだろう。 「なぜ日本で漫画が発達するかというと、日本語は音読みをするからです。漢字のもとは象形文字です、すなわち「漫画」です。それにいろいろな「音」を振るのが日本語の特徴です」、初めて聞く話だが、面白そうだ。 い返せませんでした」、「中高生に「個性」なんてそれほどありませんよ。昔、ある学生に「誰も君の隣の人と間違えないだろう、それが君の『個性』なんだよ」と言ったことがありますが、個性はあるに決まっています。逆にいうと、「その人はその人である」という個性に対する信頼感が消えてしまったのでしょうね。個性はあるに決まっていると思えば、個性を問題にすることはありません」、その通りだ。 「子供を椅子に座らせて教育するという、いまでも日本の学校で行われている方法は、19世紀のイギリスで産業革命とともに始まったと言われています。彼らはいまになって、「椅子の生活は不自然だから文明人の8割は年を取ると腰痛になる」といっています」、なるほど。 「結局、戦後の日本の教育は卒業したらおとなしく会社に勤め、上司の言うことを聞いてきちんと働く人を養成したわけです。特に1960年代、70年代の大学紛争で懲りた国は、子供たちにそういう教育をするようになりました」、「教育」をそんなことで政府に都合よく捻じ曲げるようなことはすべきでない。 「先生方と親が考え方を変えれば、いまよりもっと子供にとってハッピーな学校ができるとは思います。 太田敏という監督の『夢見る小学校』という映画を見ましたが、フリースクールのようなスタイルをとっている公立の小学校を丁寧に追いかけています。校長先生を中心に、ほかの先生や親が協力して、子供が何でも話し合って自由に決めて実行していく。例えば、話し合いには先生も加わりますが、最後の多数決を取るときは子供も先生も同じ1票です」、なるほど。 「教室で元気で自由に動き回る子供は、注意欠陥多動性障害だということになりました。教室の中で立ち上がってウロウロするのは、子供にすればごく自然なことです。子供は立ち上がってウロウロしているものですよ」、なるほど。 「私の経験では、東日本大震災のあと東松島の小学校でも似たようなことがありました。亡くなaるほどった作家で冒険家のC.W.ニコルの「アファンの森財団」が援助してその小学校の裏山を校庭にし、校舎は全て木造で作り直しました。 そこで学んだ卒業生の話を聞いたり、ほかの調査をしていると、例えば「将来、人の役に立つ仕事につきたい」といったモチベーションが高い子供が多いことが分かりました」、なるほど。 「やり方を変えると変えた年は、学生に必ず良い結果が出ます。それは、変えようと言った人は自分の責任だと思って一生懸命にやるからです。でも何年かすると惰性になって普通になってしまうと、学生もまたもとに戻ります」、なるほど。 「現場の先生方が、「書類を書くために教師になったんじゃない、子供を育てたくて教師になったんだ」とか言い出せばいいのじゃないでしょうか」、残念ながら「現場の先生方」にはもうそんな力は残っていにような気がする。 「本来、学校指導要領はがちがちではなく、いまの決まりの中でもフリースクールに近いような教育もできるようになっています。つまり、先生方が考え方を変えれば公立学校がそちらの方向に動けるんです。文科省は公立学校でそうした教育が行われることを妨害しているわけではありません」、 (注)リタリン:日本でのリタリンの適応症はナルコレプシー、コンサータの適応症は注意欠陥・多動性障害(ADHD)である。メチルフェニデート(精神刺激薬)(Wikipedia) 「いまの教育は惰性の極み」、「制度の維持に専心・・・先生が夏休みでも休まずに学校に行くというバカな話になる」、言い得て妙だ。
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資本市場(その10)(簿価割れが約5割という日本企業の“異常事態”、東証プライムからスタンダードへ「降格ラッシュ」 「骨抜き」批判から1年、始まったプライムの選別、PBR1倍割れ多発 東証プライム「テコ入れ」の難路 投資家は早くも改善要求、独り歩きする指標、千葉銀など3社で露見した「仕組み債」乱売の実態 銀証連携で生じた「歪み」が処分勧告で明るみに、悲劇の舞台は「仕組み債」から「永久劣後債」へ 富裕層らが2.4兆円の大損!海外債券投資の罠) [金融]

資本市場については、本年2月3日に取上げた。今日は、(その10)(簿価割れが約5割という日本企業の“異常事態”、東証プライムからスタンダードへ「降格ラッシュ」 「骨抜き」批判から1年、始まったプライムの選別、PBR1倍割れ多発 東証プライム「テコ入れ」の難路 投資家は早くも改善要求、独り歩きする指標、千葉銀など3社で露見した「仕組み債」乱売の実態 銀証連携で生じた「歪み」が処分勧告で明るみに、悲劇の舞台は「仕組み債」から「永久劣後債」へ 富裕層らが2.4兆円の大損!海外債券投資の罠)である。

先ずは、本年4月27日付け日経ビジネスオンラインが掲載したUBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントのエクイティ・リサーチ・ヘッドの居林 通氏による「簿価割れが約5割という日本企業の“異常事態”」を紹介しよう。Qは聞き手の質問。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00130/00026/
・『居林:「市場は『晴れ、ときどき台風』」を長きにわたって連載させていただきましたが、次回をもって最終回となります。 Q:2016年2月15日の「大荒れ相場? いえ、これって“普通”です。」で始まって、まる7年を越えましたね。長い間ありがとうございました。それではラストは何のお話を。 
・最後のテーマは「日本企業の将来」  居林:株価は市場の誤解による変動の波こそあれ、最終的には業績予想の関数として説明できる、と、この7年間ずっとご説明してきましたよね。 Q:はい。だから「市場が現状を誤解して」、その企業の業績予想に対して高すぎる、あるいは安すぎる株価を付けているときに、周囲の流れに逆らって、胃薬を飲みながら投資しましょう、と。 居林:はい(笑)。長年にわたり日本株を見てきた投資家として、最後に語りたいのは「日本企業の将来」についてです。前半は企業視点、後半は投資家視点となります。今回はボリューム多めです。さて、まずは日本企業の時価総額の変遷を見てみましょう。 各国のトップ100社の時価総額(兆円、中央値)のグラフはリンク先参照) 居林:日本企業の時価総額(中央値)は、2010年の1.3兆円から22年に2.9兆円まで復活しました。しかし、米国の19.6兆円と比べると、この差は一体何なんだと言いたくなりますよね。 Q:何がこの差を生んだのでしょう。 居林:2000年ごろの日本企業には「六重苦」がありました。(1)円高、(2)高い法人税率、(3)厳しい労働・解雇規制、(4)経済連携協定の遅れ、(5)厳しい温暖化ガス削減目標、(6)電力不足です。 このうち、円高と高い法人税率についてはある程度緩和されました。不採算部門の閉鎖を行ったことで利益水準も純利益率で5~6%程度まで戻ってきました。しかし、利益は一定水準出るようになったのですが、日本企業の経営、事業展開、バランスシート、事業価値創造にはまだまだ課題が多いです。 Q:具体的な数字では何がそれを物語っていますか? 居林:それが顕著に表れているのが、日本の上場株の半分程度が簿価割れ(株価純資産倍率=PBRが1倍以下)で取引されているという事実です。 純資産は、企業が「今すぐ負債を返済し終わったとして、会社に残る資産」、いわゆる解散価値ですね。それを発行済み株式数で割ると「1株当たり純資産(BPS)」になる。PBRは株価をBPSで割ったもの。それが1倍以下というのは、「今、株を全部買い占めて会社を買い取って潰すと儲かる」ってことですから、投資家から見れば「この会社は、事業を続けるより売却したほうがいいんじゃないか」という……』、確かに「日本の上場株の半分程度が簿価割れ(株価純資産倍率=PBRが1倍以下)で取引されている」というのは極めて深刻な事態だ。
・『上場企業の約5割が簿価割れ  居林:株価=株主資本+将来の付加価値と考えれば、株価が1株当たり純資産=株主資本よりも下で取引されているということは、投資家はその企業の将来の付加価値がマイナスであると考えていることになります。これは日本企業の低いROE(株主資本純利益率)の結果でもあり、「伊藤リポート」(14年8月、伊藤邦雄一橋大学教授(当時)を座長とする経済産業省の「『持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~』プロジェクト」の最終報告書の通称。これに盛り込まれたROE目標水準は8%だった)が鋭く指摘したところです。 なぜこんな事態になったのか。2000年代初めの日本の銀行の不良債権危機、08年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災、20年の新型コロナ危機など、予想外のネガティブイベントが次々と起こったため、企業は生き残ることを第一に考え、成長戦略に二の足を踏むことになりました。兎にも角にも負債を減らし、自己資本(株主資本)を積み上げて、その結果、日本企業は大きすぎる自己資本、多すぎる現金を抱え込むようになった。ある程度の安定はもちろん必要ですが、現状維持にきゅうきゅうとしている……かのように見える企業もいくつもある。というのが私の推察です。 しかし、この状況は変わりつつあると考えます。そのきっかけは外圧です。「アクティビスト」と呼ばれる投資家集団が日本の経営陣により効率的な経営を求め始めました。 Q:えっ、アクティビスト。 居林:渋い顔をしましたね(笑)。アクティビストというと、目先の利益しか考えず、日本的経営の美点を破壊する連中、というイメージがあります。00年代のスティール・パートナーズとブルドックソース、英ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンドと電源開発(現Jパワー)のケースを覚えておられる方も多いと思います。 Q:そうそう、もっと遡るとブーン・ピケンズ氏と小糸製作所とか。 居林:アクティビストの提案全てが正しいわけではもちろんありません。しかし、日本市場に上場している企業の50%程度がPBR1倍割れ、つまり簿価割れで取引されているという事態は、どう考えても異常です。 Q:投資家が将来性を見限っている企業が半分って、確かにおかしいですね。 居林:23年に入って東京証券取引所がPBR1倍割れ企業に対して、「対応策を強く要請」するという事態になっているほどです』、「企業は生き残ることを第一に考え、成長戦略に二の足を踏むことになりました。兎にも角にも負債を減らし、自己資本(株主資本)を積み上げて、その結果、日本企業は大きすぎる自己資本、多すぎる現金を抱え込むようになった。ある程度の安定はもちろん必要ですが、現状維持にきゅうきゅうとしている……かのように見える企業もいくつもある。というのが私の推察です。 しかし、この状況は変わりつつあると考えます。そのきっかけは外圧です。「アクティビスト」と呼ばれる投資家集団が日本の経営陣により効率的な経営を求め始めました」、なるほど。
・『アクティビストが決断を迫る  居林:そのため、ここにきて日本的経営の良いところは残しつつも、直すべきところは直そう、という機運が高まっています。14年に導入された機関投資家向けの行動規範である「スチュワードシップ・コード」は、それまで物言わぬ株主であった機関投資家を、「責任ある投資家」に変貌させるという大きな転機になり、投資先の企業の株主総会の議案について一定の基準を持って、賛成・反対意見を表明するようになりました。端的に言えば、アクティビストの提案であっても「企業のためになる」と考えれば、国内の機関投資家が賛成に回るケースが出てきたのです。これによって、日本企業の経営は、今まさに大きく変化しようとしています。 Q:具体例では。 居林:オリンパスの例が分かりやすいかもしれませんね。 日経ビジネスでも記事にしていました(「物言う株主味方に最高益へ オリンパス 反骨・竹内改革の内幕」)。 居林:オリンパスは、祖業である顕微鏡や映像事業(デジタルカメラ)と収益源の内視鏡のビジネスの間にシナジーがないので、これを切り分けることで、ディスカウントが減少しました。ロジックはシンプルですが、注意すべきは、なかなか意思決定ができなかった会社が、アクティビストに背中を押してもらうことで、決断できるようになったというところだと思います。 日本の企業の最大の問題は、決められないことだと思います。アクティビティストが入ることで、そこを変えられる可能性がある。 Q:日本企業は変わる余地があるということだと思いますが、実際にどんなことが変わるのでしょうか? 居林:よく聞かれるのが「終身雇用制度はなくなるのか」ですが、中長期的にはそうなるだろうと思いつつ、なかなか急には難しいだろうと思いますので、そこは当面の論点ではありません。そして、それよりも重要なことがあるのです。 Q:何でしょう。 居林:それは、投資家と企業との目的の共有です。これがなければ、日本企業の経営のコペルニクス的転回はないと私は思います。逆に、これができれば、簿価を大きく割りこんでいた企業の価値が上がり始めるはずです』、「日本の企業の最大の問題は、決められないことだと思います。アクティビティストが入ることで、そこを変えられる可能性がある」、「投資家と企業との目的の共有です。これがなければ、日本企業の経営のコペルニクス的転回はないと私は思います。逆に、これができれば、簿価を大きく割りこんでいた企業の価値が上がり始めるはずです」、なるほど。
・『「コングロマリット・ディスカウント」は大企業に限らない  Q:目的の共有でそこまで可能になるんですか。でも目的の共有って、当たり前のような、あり得ないような。これまで共有が難しかったのだとしたら、それはなぜなんでしょうか。 居林:そのからくりはこうです。そもそも日本の企業は、一体何の事業をやっているのか、理解するのが大変です。例えば、業種が化学であったとしても、実際の事業領域は石油化学から特殊化成品や医薬品、繊維まで多岐にわたることが多い。投資家は企業をどのように評価してよいか分かりにくくて、いわゆる「コングロマリット・ディスカウント」に陥ってしまいます。 Q:株価は1つなのに、携わる事業範囲が広すぎて、しかもそれぞれの関連性が低い、ってやつですね。でもそれは大企業に限ったお話では。 居林:ではないのです。コングロマリット・ディスカウントは、祖業から枝分かれして様々な事業を展開する多くの日本企業に当てはまるのです。 コングロマリット・ディスカウントとその解消例としては大企業、例えばオリンパス、ソニーグループ、日立製作所の例がよく出ますが、もう少し小さい企業の例ではJSRが目を引きます。JSRはもともとJapan Synthetic Rubberという名の通り合成ゴムをつくる企業でしたが、その祖業とも言える合成ゴムのエラストマー事業を売却してしまいました。そして、新しく投資をしているのがバイオテックのビジネスです。こんなダイナミックな動きをしている日本企業がいくつか現れています。 一つひとつの事業を切り出したり、他社の同じ事業と合併したりという経営判断をすることで、会社の注力する分野を明確にして、投資・開発リソースを集中する。それによって競争力も上がります。 社員の方も投資家も今後の事業方針を理解しやすくなり、経営・事業に対する理解の解像度が大幅に上昇する、という道筋を描けます。すでに申し上げましたが、株価=企業価値=株主資本+将来の付加価値と分解すれば、簿価割れというのは、「将来の価値がマイナスである」ということを意味しているわけです。企業はプラスの将来価値をつくり出すことができると会社側は投資家に(そして社員、取引先にも)納得してもらう必要があります。日本企業の経営が大きく変わる必要があるとしたら、まずここです。 Q:なるほど。そういう意識でニュースを見ると、「なるほど」と思えるものが出てきていますね。 居林:しかしまだまだこれからです。例えば「スピンオフ(事業を新会社として独立させた後、既存の株主にその株式を交付すること)」への課税繰り延べ制度が17年に整備され、その後改正も加えられたのですが、実績は2件しかありません。これではいけません。 米国では多くのアクティビストが企業の再編の提案をして、実際にそれが行われています。その全てが成功しているとは言えませんが、投資家と経営陣の対話が実際の経営に反映されており、投資家としては評価しやすい。 企業価値は事業利益と投資家の評価の結果のはずです。日本企業は一定水準の事業利益は達成できましたが、手元資金を厚めにするほうに熱心で、将来への投資に及び腰になっている。現状維持に見えては投資家から高い評価を得るのは難しい。) Q:「成長したい」という意志と、それを社内外に分かりやすく伝えることが必要だと。 居林:その通りです。そのためには大胆な事業再編と組織運営の変更は避けて通れないでしょう。これはアクティビストのみならず、日本の機関投資家、個人投資家、東証など各方面から要請されていると言えます』、「「スピンオフ・・・」への課税繰り延べ制度が17年に整備され、その後改正も加えられたのですが、実績は2件しかありません。これではいけません」、「日本企業は一定水準の事業利益は達成できましたが、手元資金を厚めにするほうに熱心で、将来への投資に及び腰になっている。現状維持に見えては投資家から高い評価を得るのは難しい」、なるほど。
・『利益率が低く、将来への投資を株主還元に回している  Q:ちなみに、伊藤リポートで指摘されたROEですが、近年、それなりに上昇しているのではありませんでしたっけ。 居林:はい、ROEは利益÷株主資本ですから、文字通り「株主が預けた資本に対して、どれだけの利益を生んでいるのか」を示します。会計上の株主資本に対する利回りとも呼べるもので、これが高い方が株主としては好ましいわけです。しかし、ROEは比率ですから、分子が大きくなるだけでなく、分母が小さくなっても上昇します。 日本企業のROEは低いと言われますが、よく見ると日本企業は利益率が低いのです。利益額が小さい、ということに目が行きがちですが、実は利益「率」が低いほうがはるかに大きな、構造的問題なのです。 なぜなら、企業の利益率が低いということは、売り上げが減少するとすぐに利益がなくなってしまう、ということを意味するからです。このため、利益率の低い企業、利益額が安定しない企業は、利益率の改善よりも、即効性がある方法、バランスシートに余分に現金を保有しようという動機が生まれます。これがROEの分母を大きくすることにつながるわけです。そして、海外投資家に「日本企業は不況に弱い」といわれる最大の理由だと思います。 結局、将来への不安から財務健全性を高めようとして、負債をどんどん返済し、確かに財務的には健全になった。でも、根本原因の事業の利益「率」は改善していない、厚みを増した手元資金で、自社株買いや増配(株主還元)をすることで株主資本を小さくして、ROEの数値を改善しようとしている、ここまでが日本企業の現状です。 居林:コングロマリット・ディスカウントで「どこに投資すれば成長できるのか」が分かりにくくなり、そもそも投資を行わないことで、将来への期待が持ちにくい。これが日本企業の多くが陥っている状態です。加えて、この負債返済とその後の自社株買いが、将来への投資が不足している状態を引き起こしてしまう、というさらに悪い循環に今日本企業は入ろうとしているように見えます。) Q:株価が業績予想の関数であるならば、将来への投資が足りないし方向性も見えなければ、そりゃ、上がるわけはないですね。 居林:ROEを上げるには分母の株主資本を減少させるという自社株買いや株主還元も確かに有効ですが、本来、重要なのは利益「率」を上げるというところです。ならばどうすれば上がるのか。そのコミュニケーションを投資家と企業が取るためには、「投資家と企業との目的の共有」が必要です。 Q:目的というのは……。 居林:基本的に経営の目的は事業の継続と成長、そしてその存在によって社会に何らかの貢献をなすことでしょう。そのどれにも前向きな投資は欠かせない。日本企業の財務体質はこの10年強で大きく改善しました。手元に現金もたっぷりある。今こそ、技術、設備、人材に投資をすべきタイミングです。 Q:「何に投資して、生き残り、成長して、社会に貢献するか」を、経営者は積極的に、明確に、投資家に、世の中に対して語るときがきましたよ、と。 居林:「成長して社会に役立ちたいと考えているよね」と投資家から聞かれれば、どんな経営者も「もちろん」と答えるでしょう。だけどそこに行動が伴わなければコミュニケーションに必要な信頼が生まれません。この場合の行動とは、コングロマリット・ディスカウントの解消と、成長の目標、そのための手段を経営者がしっかり語ること、だと思います』、「企業の利益率が低いということは、売り上げが減少するとすぐに利益がなくなってしまう、ということを意味するからです。このため、利益率の低い企業、利益額が安定しない企業は、利益率の改善よりも、即効性がある方法、バランスシートに余分に現金を保有しようという動機が生まれます。これがROEの分母を大きくすることにつながるわけです・・・結局、将来への不安から財務健全性を高めようとして、負債をどんどん返済し、確かに財務的には健全になった。でも、根本原因の事業の利益「率」は改善していない、厚みを増した手元資金で、自社株買いや増配(株主還元)をすることで株主資本を小さくして、ROEの数値を改善しようとしている、ここまでが日本企業の現状です」、「手元に現金もたっぷりある。今こそ、技術、設備、人材に投資をすべきタイミングです」、なるほど。
・『リーマン・ショック時クラスの長期的なチャンス  Q:上場企業の半分程度が簿価以下で取引されている市場というのは、普通に考えておかしな状態ですよね。 居林:はい、非常に特異な事態だと思います。データを振り返るとこんなに多くの企業が簿価割れで取引されているのはリーマン・ショックのときに近いです。ということは、日本の投資家にとっては長期的なチャンスだと思います。 Q:おお、なるほど! 居林:日本企業は変化の岐路に立っています。中には、事業の選択と投資の集中によって、ポジティブな方向に大きく変化する企業があるでしょう。そうした企業を見つけることができれば、長期視点で投資するという個人投資家の強みを発揮することができるはずです。 Q:さて、企業側の話はここまでにして、これからは投資家としての話をしましょうか。 では、そちらは次回に伺いましょう』、「こんなに多くの企業が簿価割れで取引されているのはリーマン・ショックのときに近いです。ということは、日本の投資家にとっては長期的なチャンスだと思います・・・日本企業は変化の岐路に立っています。中には、事業の選択と投資の集中によって、ポジティブな方向に大きく変化する企業があるでしょう。そうした企業を見つけることができれば、長期視点で投資するという個人投資家の強みを発揮することができるはずです」、前向きな気分になった。

次に、5月8日付け東洋経済オンライン「東証プライムからスタンダードへ「降格ラッシュ」 「骨抜き」批判から1年、始まったプライムの選別」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/670115
・『「スタンダード市場上場の選択申請の決定に関するお知らせ」。2023年3月、スマホゲーム開発企業のマイネットがリリースを公表した。同社は東証プライム市場に上場しているが、近くスタンダード市場に移行すると表明したのだ。 プライム市場を捨て、自らスタンダード市場に「降格」する――。マイネットを皮切りに、こうした宣言をする企業が相次いでいる。4月末時点で、スタンダードへの移行を宣言したプライム上場企業は9社にのぼる。突如訪れた「降格ラッシュ」の背景に何があるのか』、興味深そうだ。
・『プライム市場「背伸び組」  発端は、2022年4月の市場区分見直しにさかのぼる。プライム市場は3つの区分のうち最も上場基準が厳しく、高い流動性やガバナンスが求められる市場として発足した。 ところが、旧東証1部から横滑りでプライム市場入りした企業のうち、296社は時価総額や流動性などの上場維持基準を下回っていた。東京証券取引所は経過措置を設け、改善計画の策定を条件にプライム市場への移行を許可した。 「背伸び」をしてプライム市場に移った企業群の位置づけは曖昧だった。経過措置の期間は「当分の間」とされており、いつまでプライム市場に残れるのかはわからなかった。改善計画を達成できなかった場合にスタンダード市場へ自動的に移れるのか、改めてスタンダード市場の上場審査が必要なのかも不明確だった。「後者の場合、一斉に移行されると審査の人手が足りなくなる」。証券業界からはこんな悲鳴も上がった』、「旧東証1部から横滑りでプライム市場入りした企業のうち、296社は時価総額や流動性などの上場維持基準を下回っていた。東京証券取引所は経過措置を設け、改善計画の策定を条件にプライム市場への移行を許可した。 「背伸び」をしてプライム市場に移った企業群の位置づけは曖昧だった」、なるほど。
・『スタンダード移行特例の資料  そこで東証は2023年1月の上場規則改正時、背伸び組に「2択」を迫った。3月期決算企業の場合、2026年3月末時点で上場維持基準に適合しなければ、上場廃止予備軍である「監理銘柄」に指定され、最短で同年9月にも上場廃止となる。スタンダード市場に移る場合には、一度上場廃止してから再度審査を受ける必要がある。 その代わりの選択肢として、早々にプライム市場の上場維持を断念した企業には「特例」を設けた。2023年4月から9月末の間であれば、申請書の提出だけでスタンダード市場に移れるのだ。「上場廃止にならないための、いわば『温情』だ」。東証関係者はこう話す。) 冒頭のマイネットをはじめ、スタンダードへの移行を発表した企業はこの「特例」を選んだ企業たちだ。では、どんな企業が特例を利用したのか。以下は、4月末時点でスタンダード市場への移行を表明した企業の一覧だ。いずれの企業もプライム市場の要件である「流通株式時価総額100億円」を満たしていない。 (流通株式時価総額が鬼門 ースタンダード選択企業の上場維持基準の適合状況ーの表はリンク先参照) 各社は旧東証1部からプライム市場に移行するにあたり、東証の指示によって流通株式時価総額を引き上げる計画を策定していた。ところが、業績や株価の低迷によって達成の見込みが立たず、およそ1年で撤回したことになる。 土壌汚染調査や産業廃棄物処理を手がけるダイセキ環境ソリューションは2021年末、3年間で純利益を3倍にする中期経営計画を策定した。ところが、首都圏での大型案件受注が想定を下回り、翌2022年に業績予想を2度下方修正。このまま流通株式時価総額が伸び悩めば上場廃止となるリスクを考慮し、スタンダード市場への移行を決めたという。 東洋経済が試算したところ、プライム市場上場企業の中で流通株式時価総額が100億円を下回る企業は203社存在する(ランキングはこちら)。背伸び組のほか、プライム市場への移行当初は基準を満たしていたが、その後株価が下落し100億円を割ってしまった企業も少なくない』、「早々にプライム市場の上場維持を断念した企業には「特例」を設けた。2023年4月から9月末の間であれば、申請書の提出だけでスタンダード市場に移れるのだ。「上場廃止にならないための、いわば『温情』だ」。東証関係者はこう話す。) 冒頭のマイネットをはじめ、スタンダードへの移行を発表した企業はこの「特例」を選んだ企業たちだ」、なるほど。
・『「6月」が分水嶺?  降格ラッシュは今後も続くのか。みずほ信託銀行の八木啓至・企業戦略開発部次長は、「6月までにスタンダード市場への移行表明が増えるのではないか」と推測する。 スタンダード市場に無条件で移行できるのは、前述のとおり2023年9月末が期限だ。一方、3月期決算企業の場合、流通株式時価総額などの上場維持基準は3月末時点の数値を基に審査され、未達の場合は6月末までに改善計画を提出ないし更新する必要がある。 スタンダード市場への移行表明が7月以降にずれこむと、それまでにプライム市場への上場を維持するための計画を公表する必要があり、矛盾が生じる。そのため、スタンダード市場を選ぶ企業は改善計画の期限までに移行方針を発表し、定時株主総会で株主に説明するという見立てだ。 ほとんどの企業が旧東証1部から横滑りしたことから「骨抜きの改革」とやゆされたプライム市場。2022年4月の発足から1年を経て、ようやくプライムの名にふさわしい企業の選別が始まろうとしている』、「「骨抜きの改革」とやゆされたプライム市場。2022年4月の発足から1年を経て、ようやくプライムの名にふさわしい企業の選別が始まろうとしている」、望ましいことだ。

第三に、5月8日付け東洋経済オンライン「PBR1倍割れ多発、東証プライム「テコ入れ」の難路 投資家は早くも改善要求、独り歩きする指標」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/670458
・『東京証券取引所が3月に発表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」が波紋を呼んでいる。プライム・スタンダード市場に上場する全企業に対し、年に1回資本コストや資本収益性、市場評価について取締役会で分析・評価をすることや、改善に向けた計画の開示などを要請した。 東証は現状分析にROE(自己資本利益率)やWACC(負債・株式の加重平均資本コスト)、PBR(株価純資産倍率)といった指標を使うことを例示する。中でも、最も問題になったのはPBR1倍未満の会社への対応だ。 PBRが1倍を割っているということは、時価総額が純資産の大きさを下回っている状態ともいえる。時価総額は、その会社の成長性などを加味した上で、市場がつけた評価だ。つまり市場が、「事業をやめて資産を株主に分配した方が合理的だ」と評価していることを意味する。 地方銀行など、構造的に低いPBRにあえぐ企業にとっては東証の掲げる「1倍」という数字は、すぐに達成できる現実的な数字でもない。PBRがおよそ0.5倍のある上場企業幹部は「株主還元でどうにかなる話ではない。結局地道に利益を積み上げていくしかないが、それでも限界がある」と嘆く』、「PBRが1倍を割っているということは、時価総額が純資産の大きさを下回っている状態ともいえる。時価総額は、その会社の成長性などを加味した上で、市場がつけた評価だ。つまり市場が、「事業をやめて資産を株主に分配した方が合理的だ」と評価していることを意味する」、厳しい評価だ。
・『「共通言語」がずれていた  東証の要請はPBRだけに着目した取り組みを求めているわけではない。今回開示を求めた意図について、東証上場部の池田直隆課長は「それぞれの企業に資本コストやマーケットからの評価を意識してもらって企業価値の向上に取り組んでほしい。そのための『共通言語』がずれていた」と説明する。業界内順位や売上といった指標だけでなく、株主が意識する指標を使った対話を促したいというわけだ。 東証にとって「PBR1倍」はあくまで「ひとつの目安」(池田課長)に過ぎない。PBR1倍を割っているからといって上場廃止になることもないという。 それでも、PBRにばかり注目が集まるのは、今回の要請に至るまでの経緯が関係している。 この議論は、2022年4月の市場区分見直しが上場企業の価値向上につながっていないという問題意識から始まったものだ。経営者や学者などで作る「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」は同年7月から議論を重ね、1月30日に論点整理を発表。市場区分について「全上場会社の約半数がPBR1倍割れの状況にメスを入れない限り意味がない」と断じた。 日本は、PBR1倍割れの企業の数が際立って多い。「多くの機関投資家の投資対象となるのにふさわしい」とされているプライム市場においても、上場する企業のおよそ半数が1倍割れとなっており、テコ入れは急務だ。比較対象として挙げられたアメリカでは、PBR1倍を割っている企業は2割程度だという。 東証を運営するJPX(日本取引所グループ)の清田瞭CEO(最高経営責任者、当時)は3月30日の記者会見で「1倍割れの銘柄が世界的に見ても飛び抜けて多い。直していかなければいけない。資本のコストを意識したリターンを上げる経営に取り組めば十分可能だという企業はたくさんあると思う」と語った。こうした背景が3月末の要請につながったのだ。 それでも、東証はPBR1倍の改善のみを強調はしなかった。それによって小手先のPBR向上策が蔓延することを懸念したからだ。 PBRは、分母である純資産を自社株買いや増配で減らすことで向上させることができる。ただ、これでは本質的な企業価値向上とは言えない。本来は、その企業自身が優れた業績を上げ、株価を向上させる必要があるのだ。東証としては各社が安易に自社株買いなどに走るといった事態は避けたかった。 その結果、PBRのみを明確に示すこともなく、その手法も縛らないという今回の要請の内容に至ったわけだ。具体的な経営指標によって線引きをしなかったことで、企業にとっては「何をすればいいかわからない」(上場企業幹部)要請になった。目指すべき「資本コストや株価を意識した経営」を達成できている企業が何社あるのかも東証は示していない。このあいまいさが、今回の要請の難しさだろう』、「東証としては各社が安易に自社株買いなどに走るといった事態は避けたかった。 その結果、PBRのみを明確に示すこともなく、その手法も縛らないという今回の要請の内容に至ったわけだ」、なるほど。
・『PBRにフォーカスした新指数  要請ではあいまいな表現を使うことになったが、その裏でPBRにフォーカスした取り組みも出てきた。JPX総研が新たに発表した「JPXプライム150指数」だ。 この指数に採用されるには、プライム上場企業のうち時価総額上位500位に入っていなければならない。その上で、推定エクイティスプレッド(ROE-株主資本コスト)上位75社と、PBR上位75社が選ばれる。こちらは明確にPBRを基準に採用した。 5月末までに詳細な選定方法を公表し、7月3日から算出することになっている。この指数が投資信託などに採用されれば、選ばれた銘柄にとっては株価上昇のチャンスになる。指数作成を担ったJPX総研の三浦崇宏インデックスビジネス部長は「指数に選ばれるために上場企業には経営努力をしてもらい、市場全体の底上げになるようにしたい」と話す。) JPXの一連の取り組みに対して、投資家や企業は早くも反応を示した。もの言う株主(アクティビスト)として知られる投資会社シティインデックスイレブンスはコスモエネルギーホールディングスに対して2月22日、東証の取り組みを理由としてPBRを上げるために大規模な株主還元を求めた。 岡三証券グループも3月24日、PBRが1倍を超えるまで年間10億円以上の自己株買いを継続的に実施すると発表した。表向きは「ひとつの目安」としたPBRは、すでに独り歩きを始めている。今後、企業は、PBR1倍を意識しないわけにはいかなくなるだろう』、「表向きは「ひとつの目安」としたPBRは、すでに独り歩きを始めている。今後、企業は、PBR1倍を意識しないわけにはいかなくなるだろう」、なるほど。
・『上場企業へ増え続ける要求  上場企業に求められる取り組みはPBRだけに止まらない。東証は「PBR1倍」要請を出した3月31日に、プライム市場の上場企業に対して株主との対話状況を公開するよう要請した。このほか、投資家との対話において説明が不十分な例を出して、注意を促した。 要求が増えるにつれて、プライム市場の上場維持コストは増えていく。実際、そのコストに耐えられない企業も出てきている。 「プライム市場の上場維持を選択した場合、2032年までの累計で、約2億円の費用が発生すると試算している。そのコストを負担するよりも、将来の事業拡大に向けた成長投資に資金を振り向けることが、企業価値向上に資する」。 システム開発・運用を手がけるODKソリューションズは3月29日、プライム市場からスタンダード市場に移ることを選択したと発表した。理由は上述のとおり、プライム市場に適合するにはコストがかかりすぎるということだ。 こうした取り組みは、本来プライム市場かどうかに関係なくすべての上場企業が達成できていることが望ましい。区分を変えてスタンダードに行けば、取り組まなくていいというものではないだろう。市場区分の変更を通じて市場全体を底上げするという、東証の目標が達成されるには、まだまだ遠い道のりが待っている』、「「プライム市場の上場維持を選択した場合、2032年までの累計で、約2億円の費用が発生すると試算している。そのコストを負担するよりも、将来の事業拡大に向けた成長投資に資金を振り向けることが、企業価値向上に資する」。 システム開発・運用を手がけるODKソリューションズは3月29日、プライム市場からスタンダード市場に移ることを選択したと発表した。理由は上述のとおり、プライム市場に適合するにはコストがかかりすぎるということだ」、賢明な選択だ。こうした企業がもっと増えてほしいものだ。

第四に、6月15日付け東洋経済オンライン「千葉銀など3社で露見した「仕組み債」乱売の実態 銀証連携で生じた「歪み」が処分勧告で明るみに」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/679601
・『仕組み債の販売からいち早く撤退した「優等生」が、まさかの「問題児」だった。 証券取引等監視委員会は6月9日、ちばぎん証券や親会社の千葉銀行などの3社に対し、仕組み債を顧客に十分な説明なく販売していたとして、行政処分するよう金融庁に勧告した。勧告を受けて金融庁は、業務改善命令など行政処分を検討する。 ちばぎん証券と提携し顧客を紹介していた武蔵野銀行も勧告の対象になった。3社は「厳粛に受け止め、改善・再発防止に取り組む」とのコメントをそれぞれ発表した。 仕組み債はこれまでも個人投資家に販売するには適さないと指摘されてきた商品だ。デリバティブ(金融派生商品)を使うことで、高い利回りを可能にする反面、株価や為替に連動して償還条件が変動するなど商品性は複雑。通常の債券とは異なるリスクがあるうえに手数料も不透明だった。 金融庁は昨年5月に公表したリポートで、仕組み債の1つであるEB債(他社株転換可能債)を「購入する意義はほとんどない」と断じたほどだ』、興味深そうだ。
・『販売をいち早く中止したちばぎん証券  2022年8月、金融庁は仕組み債の販売状況について実態把握に乗り出す。地方銀行系証券会社はとくに仕組み債の販売に積極的だったが、強まる逆風を前に販売を次々と取りやめた。その結果、仕組み債を取り扱う地銀の数は2022年3月末に100行中77行あったが、11月末には33行と激減した。 この流れにいち早く反応していたのが、ちばぎん証券だった。金融庁の実態調査前の6月、他社に先駆けて仕組み債の販売を中止した。 親会社の千葉銀頭取は、業界団体である全国地方銀行協会の会長。「協会長として金融庁とやりとりする中で、調査の実施を事前に知ったのでは。抜け駆けだ」(ある地銀関係者)。そんな恨み節まで漏れていた。 ところが、そのちばぎん証券で無理な販売が横行していた。監視委によると、2022年6月末に仕組み債を保有していた約8400人の顧客のうち、3割が同社の基準でも仕組み債の販売に適さない「低リスク投資」の意向を持っていた。また、顧客の多くは70代以上だったほか、投資経験がまったくなかった例もあった。) 仕組み債で生じた損失について苦情も出ていた。証券会社でつくる自主規制法人の日本証券業協会は、3度にわたってちばぎん証券に注意喚起をしていた。ところが顧客からの苦情を「一方的申し出」として真摯に対応してこなかったという。 銀行が注力してきた銀証連携で生じた「歪み」も、今回の勧告を通じて浮き彫りになった。 監視委によると、千葉銀、武蔵野銀は顧客をちばぎん証券に紹介する際、その顧客の投資知識や経験、投資目的などを十分に考慮しないまま、仕組み債の購入を勧めていたという』、「千葉銀、武蔵野銀は顧客をちばぎん証券に紹介する際、その顧客の投資知識や経験、投資目的などを十分に考慮しないまま、仕組み債の購入を勧めていた」、証券販売の基本中の基本が出来ていなかったようだ。
・『武蔵野銀は役員が支店長に積極仲介を指示  証券会社が仕組み債を販売して受け取った手数料の一部は、紹介した銀行の収益になる。銀行の営業職員にとっては自分の実績になるため、手数料の高い仕組み債は、「効率がよい」商品だった。 武蔵野銀に至っては、役員が支店長に対し店別の「仕組み債収益実績表」を送付して、積極的に仲介をするよう指示していた。行員に対しても投資信託や個別株の販売ではなく、仕組み債の販売に特化した研修を行っていた。 ちばぎん証券にとっても、銀行経由の仕組み債販売は大きな収益源だった。監視委によると、同社の営業収益のうち銀行経由の収益は70~80%。そのうちの多くが仕組み債関連で、2021年3月期には営業収益全体の約半分を占めた。 仕組み債の販売をやめた2023年3月期のちばぎん証券の業績は、純営業収益が39億7700万円と前年同期比で39・1%減となり、11億3700万円の営業赤字に沈んでいる。 「地銀が証券子会社をつくる目的は、リスク許容度の高い顧客の大手証券会社への流出を防ぐことだった。ただ、そうした顧客はすでにほかの証券会社と取引しており、もくろみどおりの顧客は想定より少なかった」 金融庁でかつて主任統括検査官を務めた日本資産運用基盤グループの長澤敏夫主任研究員は、地銀系証券が高リスク商品の販売に走る背景を解説する。そのうえで「親会社から早期黒字化を求められ、銀証連携の掛け声の下、金融機関の都合で、本来仕組み債を販売するべきではない顧客に販売を進めたのではないか」と指摘する。 千葉銀は2022年度、有価証券運用を除く本業利益で518億円を稼いだ。地銀99行のうち3位という優等生だった。融資一辺倒では稼げない危機感が招いた顧客軽視の「ツケ」は、大きな痛手となって回ってきた』、「「親会社から早期黒字化を求められ、銀証連携の掛け声の下、金融機関の都合で、本来仕組み債を販売するべきではない顧客に販売を進めたのではないか」と指摘する」、これでは処分されても当然だ。

第五に、6月19日付け東洋経済オンライン「悲劇の舞台は「仕組み債」から「永久劣後債」へ 富裕層らが2.4兆円の大損!海外債券投資の罠」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/679779
・『優雅に達観した生活を送っているように見える富裕層。ただ陰では投資や税金対策に頭を抱え、時にもがき苦しむ様子が垣間見える。6月19日発売『週刊東洋経済』の特集「富裕層のリアル国内150万世帯、受難の時代」では、富裕層の偽らざる実像に迫った。 「こちらがドル建て債券に関する資料です。足元で金利が軒並み上昇している状況なので、円債に比べて高い利回りを確保できます」 今年初め、ある国内証券会社の営業マンは富裕層の顧客にそう言って1枚のリストを見せていた。提示したリストに載っているのは、海外の銀行などが発行するドル建ての「永久劣後債」だ。 劣後債は発行した企業などが倒産した場合に、弁済する優先順位が普通社債などに比べて後回しになる(劣後する)債券のことだ。 中でも永久劣後債は、5年後や10年後といった満期の定めがない。そのため、投資家にとってはかなりリスクが高く、その分利回りも相対的に大きいハイリスク・ハイリターンの商品だ』、「永久劣後債」は「かなりリスクが高く、その分利回りも相対的に大きいハイリスク・ハイリターンの商品」、なるほど。
・『投資リスクが高いAT1債  先ほどのリストには6?7%台の商品がずらりと並んでいるが、その中で10%超というひときわ高い利回りを示していた債券がある。スイス金融大手クレディ・スイス・グループの永久劣後債だ。別名「AT1(その他ティアワン)債」とも呼ばれる。 クレディ・スイスといえば、富裕層でなくとも投資家であれば誰でも耳にしたことがある、世界的な金融グループだ。その債券で10%もの利回りを得られるとあって、多くの富裕層が飛びつくようにして購入していった。 (投資リスクが高いAT1債の図はリンク先参照)) それが一転して、紙くずになってしまったのは今年3月のこと。クレディ・スイスは経営不安が一気に高まり、同国金融最大手のUBSグループと株式交換による救済的な買収で合意。さらに、中央銀行のスイス国立銀行から流動性支援(臨時の資金供給)を受けた。 スイス連邦金融市場監督機構はそうした支援策が、クレディ・スイスのAT1債が規定する「元本削減条項」に抵触するとして、無価値化すると判断したわけだ。 紙くずになったAT1債の総額は約160億スイスフラン。日本円に換算すると約2.4兆円にも上る。金融庁の調べでは、日本では富裕層を中心に約1400億円分が販売されていた。そのうち約950億円分を販売していた、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に対しては、金融庁が顧客対応などについて報告するよう命令を出すなど、騒動は広がるばかりだ』、「日本では富裕層を中心に約1400億円分が販売されていた。そのうち約950億円分を販売していた、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に対しては、金融庁が顧客対応などについて報告するよう命令」、「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」が多くを販売していたとは、やれやれだ。リスクをきちんと説明していたことを願うのみだ。
・『仕組み債でも損失の悲劇  急転直下の事態を受け、4月に入ると日本でも企業や富裕層から悲鳴が次々と上がった。 ゲームソフトなどの開発を手がけるコーエーテクモホールディングスは、AT1債への投資によって41億円の損失を計上。「箱根駅伝」で名をはせた青山学院大学陸上競技部の原晋監督は、「平均年収のウン倍」を失ったとインターネット番組で嘆き、大きな話題になった。 足元では金融分野に強い弁護士事務所の間で、被害を受けた富裕層に広く声をかけて集団訴訟に持ち込もうとする動きが広がり始めている。 訴訟に向けて弁護士らが着目しているのが、販売していた証券会社が元本削減条項などのリスクについて、どれだけ説明責任を果たしていたかという点だ。 実際のところはどうなのか。ある証券会社が作成した契約締結前交付書面を見てみよう。) 同書面を見ると、元本削減条項という欄に「CET1(普通株等ティアワン)比率が7%を下回ったとき」「公的機関による支援を受け入れたとき」という2つの条件が書いてある。今回はこのうちの後者(支援の受け入れ)がトリガーを引いたことになり、書面上は問題がないように見える。 一方で、大手証券会社の幹部は「販売している側は、CET1比率の部分しか気に掛けていなかったというのが実態だろう。公的機関の支援うんぬんの部分まで、きっちり説明した営業マンは少ないのではないか」と声を潜める。 つまり、販売する側すら目を向けていなかった条項を、顧客にしっかりと説明し理解させていたかと問われると、苦しい立場に置かれるということだ』、「「販売している側は、CET1比率の部分しか気に掛けていなかったというのが実態だろう。公的機関の支援うんぬんの部分まで、きっちり説明した営業マンは少ないのではないか」と声を潜める」、そうであれば、問題は深刻だ。
・『仕組み債でも大きな損失  金融庁の幹部は、AT1債で被害を受けた顧客の中には「仕組み債においても、大きな損失を被った人が一定数いる」と明かす。 仕組み債とは、債券と金融派生商品(デリバティブ)取引を組み合わせた金融商品のこと。デリバティブ取引は個別株価や株価指数、為替相場などに連動しており価格変動が大きいことから、債券ではあるもののかなりハイリスクな商品だ。商品設計が複雑なため、投資初心者はリスクの認識が難しい。 それを地方銀行などが「高利回り商品」などとして販売。富裕層や高齢者に過剰なリスクを取らせていたことが問題となり、規制が強化されてきた経緯がある。 その規制の抜け穴として、証券業界で脚光を浴びたのが、まさにAT1債だった。そこで大きな悲劇が発生するのは、もはや時間の問題だったのかもしれない』、「利回り」追及の余り「過剰なリスクを取らせていた」のであれば、大問題だ。  
タグ:「「プライム市場の上場維持を選択した場合、2032年までの累計で、約2億円の費用が発生すると試算している。そのコストを負担するよりも、将来の事業拡大に向けた成長投資に資金を振り向けることが、企業価値向上に資する」。 「日本の企業の最大の問題は、決められないことだと思います。アクティビティストが入ることで、そこを変えられる可能性がある」、「投資家と企業との目的の共有です。これがなければ、日本企業の経営のコペルニクス的転回はないと私は思います。逆に、これができれば、簿価を大きく割りこんでいた企業の価値が上がり始めるはずです」、なるほど。 「東証としては各社が安易に自社株買いなどに走るといった事態は避けたかった。 その結果、PBRのみを明確に示すこともなく、その手法も縛らないという今回の要請の内容に至ったわけだ」、なるほど。 「PBRが1倍を割っているということは、時価総額が純資産の大きさを下回っている状態ともいえる。時価総額は、その会社の成長性などを加味した上で、市場がつけた評価だ。つまり市場が、「事業をやめて資産を株主に分配した方が合理的だ」と評価していることを意味する」、厳しい評価だ。 東洋経済オンライン「PBR1倍割れ多発、東証プライム「テコ入れ」の難路 投資家は早くも改善要求、独り歩きする指標」 「「骨抜きの改革」とやゆされたプライム市場。2022年4月の発足から1年を経て、ようやくプライムの名にふさわしい企業の選別が始まろうとしている」、望ましいことだ。 「早々にプライム市場の上場維持を断念した企業には「特例」を設けた。2023年4月から9月末の間であれば、申請書の提出だけでスタンダード市場に移れるのだ。「上場廃止にならないための、いわば『温情』だ」。東証関係者はこう話す。) 冒頭のマイネットをはじめ、スタンダードへの移行を発表した企業はこの「特例」を選んだ企業たちだ」、なるほど。 「旧東証1部から横滑りでプライム市場入りした企業のうち、296社は時価総額や流動性などの上場維持基準を下回っていた。東京証券取引所は経過措置を設け、改善計画の策定を条件にプライム市場への移行を許可した。 「背伸び」をしてプライム市場に移った企業群の位置づけは曖昧だった」、なるほど。 東洋経済オンライン「東証プライムからスタンダードへ「降格ラッシュ」 「骨抜き」批判から1年、始まったプライムの選別」 「こんなに多くの企業が簿価割れで取引されているのはリーマン・ショックのときに近いです。ということは、日本の投資家にとっては長期的なチャンスだと思います・・・日本企業は変化の岐路に立っています。中には、事業の選択と投資の集中によって、ポジティブな方向に大きく変化する企業があるでしょう。そうした企業を見つけることができれば、長期視点で投資するという個人投資家の強みを発揮することができるはずです」、前向きな気分になった。 でも、根本原因の事業の利益「率」は改善していない、厚みを増した手元資金で、自社株買いや増配(株主還元)をすることで株主資本を小さくして、ROEの数値を改善しようとしている、ここまでが日本企業の現状です」、「手元に現金もたっぷりある。今こそ、技術、設備、人材に投資をすべきタイミングです」、なるほど。 「企業の利益率が低いということは、売り上げが減少するとすぐに利益がなくなってしまう、ということを意味するからです。このため、利益率の低い企業、利益額が安定しない企業は、利益率の改善よりも、即効性がある方法、バランスシートに余分に現金を保有しようという動機が生まれます。これがROEの分母を大きくすることにつながるわけです・・・結局、将来への不安から財務健全性を高めようとして、負債をどんどん返済し、確かに財務的には健全になった。 「「スピンオフ・・・」への課税繰り延べ制度が17年に整備され、その後改正も加えられたのですが、実績は2件しかありません。これではいけません」、「日本企業は一定水準の事業利益は達成できましたが、手元資金を厚めにするほうに熱心で、将来への投資に及び腰になっている。現状維持に見えては投資家から高い評価を得るのは難しい」、なるほど。 しかし、この状況は変わりつつあると考えます。そのきっかけは外圧です。「アクティビスト」と呼ばれる投資家集団が日本の経営陣により効率的な経営を求め始めました」、なるほど。 「表向きは「ひとつの目安」としたPBRは、すでに独り歩きを始めている。今後、企業は、PBR1倍を意識しないわけにはいかなくなるだろう」、なるほど。 (その10)(簿価割れが約5割という日本企業の“異常事態”、東証プライムからスタンダードへ「降格ラッシュ」 「骨抜き」批判から1年、始まったプライムの選別、PBR1倍割れ多発 東証プライム「テコ入れ」の難路 投資家は早くも改善要求、独り歩きする指標、千葉銀など3社で露見した「仕組み債」乱売の実態 銀証連携で生じた「歪み」が処分勧告で明るみに、悲劇の舞台は「仕組み債」から「永久劣後債」へ 富裕層らが2.4兆円の大損!海外債券投資の罠) 資本市場 「企業は生き残ることを第一に考え、成長戦略に二の足を踏むことになりました。兎にも角にも負債を減らし、自己資本(株主資本)を積み上げて、その結果、日本企業は大きすぎる自己資本、多すぎる現金を抱え込むようになった。ある程度の安定はもちろん必要ですが、現状維持にきゅうきゅうとしている……かのように見える企業もいくつもある。というのが私の推察です。 確かに「日本の上場株の半分程度が簿価割れ(株価純資産倍率=PBRが1倍以下)で取引されている」というのは極めて深刻な事態だ。 居林 通氏による「簿価割れが約5割という日本企業の“異常事態”」 日経ビジネスオンライン 東洋経済オンライン「千葉銀など3社で露見した「仕組み債」乱売の実態 銀証連携で生じた「歪み」が処分勧告で明るみに」 システム開発・運用を手がけるODKソリューションズは3月29日、プライム市場からスタンダード市場に移ることを選択したと発表した。理由は上述のとおり、プライム市場に適合するにはコストがかかりすぎるということだ」、賢明な選択だ。こうした企業がもっと増えてほしいものだ。 東洋経済オンライン「悲劇の舞台は「仕組み債」から「永久劣後債」へ 富裕層らが2.4兆円の大損!海外債券投資の罠」 興味深そうだ。 「千葉銀、武蔵野銀は顧客をちばぎん証券に紹介する際、その顧客の投資知識や経験、投資目的などを十分に考慮しないまま、仕組み債の購入を勧めていた」、証券販売の基本中の基本が出来ていなかったようだ。 「「親会社から早期黒字化を求められ、銀証連携の掛け声の下、金融機関の都合で、本来仕組み債を販売するべきではない顧客に販売を進めたのではないか」と指摘する」、これでは処分されても当然だ。 「永久劣後債」は「かなりリスクが高く、その分利回りも相対的に大きいハイリスク・ハイリターンの商品」、なるほど。 「日本では富裕層を中心に約1400億円分が販売されていた。そのうち約950億円分を販売していた、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に対しては、金融庁が顧客対応などについて報告するよう命令」、「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」が多くを販売していたとは、やれやれだ。リスクをきちんと説明していたことを願うのみだ。 「「販売している側は、CET1比率の部分しか気に掛けていなかったというのが実態だろう。公的機関の支援うんぬんの部分まで、きっちり説明した営業マンは少ないのではないか」と声を潜める」、そうであれば、問題は深刻だ。 「利回り」追及の余り「過剰なリスクを取らせていた」のであれば、大問題だ。
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ウクライナ(その7)(追いつめられたプーチンが「欧州最大規模のザポリージャ原発を攻撃して破壊する」という「最悪シナリオ」、《黒海が放射性物質で汚染》《食糧危機に直結》…!追いつめられたプーチンとロシアが「ザポリージャ原発を爆破」した時に起きる「ヤすぎる事態」、プーチンの大誤算…ここにきて「プリゴジン」にかわって「ルカシェンコ」がプーチンを脅かす「危険過ぎる存在」となっている「ヤバすぎる理由」) [世界情勢]

ウクライナについては、7月4日に取上げた。今日は、(その7)(追いつめられたプーチンが「欧州最大規模のザポリージャ原発を攻撃して破壊する」という「最悪シナリオ」、《黒海が放射性物質で汚染》《食糧危機に直結》…!追いつめられたプーチンとロシアが「ザポリージャ原発を爆破」した時に起きる「ヤバすぎる事態」、プーチンの大誤算…ここにきて「プリゴジン」にかわって「ルカシェンコ」がプーチンを脅かす「危険過ぎる存在」となっている「ヤバすぎる理由」)である。

先ずは、6月27日付け現代ビジネス「追いつめられたプーチンが「欧州最大規模のザポリージャ原発を攻撃して破壊する」という「最悪シナリオ」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/111977
・『欧州最大級のザポリージャ原発は、昨年3月以降ロシア軍による実質的支配が続いている。ウクライナの反転攻勢を恐れるプーチンは、チョルノービリ、福島を超える最悪の放射能事故を起こすのか』、興味深そうだ。
・『なぜダムを破壊したか  「ダム周辺は肥沃な農業地帯で、ブドウやメロンの産地として知られていました。毎年、9月の収穫期には緑色のブドウがそこかしこで実っている本当に美しい土地だったのです。そんな果物畑が今回のダム決壊による洪水で、使い物にならなくなってしまった……。復興には10年以上かかるともいわれています。このような重大な環境破壊は、決して許されるものではありません」 6月6日、ウクライナ南部ヘルソン州の「カホフカダム」が爆破によって決壊。当日、ダム付近に滞在していたセルゲイ・コレスニチェンコ氏(41歳)は、そう怒りを露にした。 決壊によって発生した洪水は600平方kmに及び、約1万4000戸が浸水。ウクライナ当局によると、約8000人が避難し、70万人が飲料水を必要としている状況が続いているという。 ウクライナ、ロシア双方が「ダム破壊は相手の攻撃によるものである」と主張している。が、ロシア研究が専門の拓殖大学教授・名越健郎氏は「ウクライナ側がダム破壊を実行するとは思えない」と語る。 「6月4日からウクライナが反転攻勢を始め、その2日後にダム破壊が起きています。ウクライナは4つの戦線で進撃を続けていると分析されていますが、最終的には、現在ロシア軍に占領されている交通の要所・メリトポリを奪還し、補給線を寸断することが目的と見られています」 ウクライナ軍がメリトポリに到達するためには、カホフカダムがあるヘルソン州を進行せざるを得ない。そこで、ロシア軍はダムを爆破したと見られているのだ。 「ロシア側も、ウクライナの狙いは十分に理解している。ウクライナ軍をヘルソン州側から進撃させないためにダムを決壊させ、周辺部を浸水させることでメリトポリ方面の防御を固めようと考えたのでしょう」(同前) カホフカダム爆破は今後の戦局を大きく左右するだけでなく、欧州、さらには世界全体を脅かす重大なリスクもはらんでいる。 ウクライナ南部にある「ザポリージャ原発」は、6基の原子炉を備える欧州最大級の原発で、総電気出力量は600万キロワット、ピーク時にはウクライナの全電力の5分の1を供給していた。そのザポリージャ原発が冷却水を取水していたのが、爆破されたカホフカダムだったのだ』、「「カホフカダム」が爆破によって決壊」、ずいぶん荒っぽいことをするものだ。「「ロシア側も、ウクライナの狙いは十分に理解している。ウクライナ軍をヘルソン州側から進撃させないためにダムを決壊させ、周辺部を浸水させることでメリトポリ方面の防御を固めようと考えたのでしょう」、「ウクライナ南部にある「ザポリージャ原発」は、6基の原子炉を備える欧州最大級の原発で、総電気出力量は600万キロワット、ピーク時にはウクライナの全電力の5分の1を供給していた。そのザポリージャ原発が冷却水を取水していたのが、爆破されたカホフカダムだったのだ」、なるほど。
・『冷却水喪失の現実味  NPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇事務局長が言う。 「ザポリージャ原発は昨年3月からロシア軍が実質的に支配しており、現在は稼働を停止しています。正確に言うと、6基のうち5基が冷温停止で、1基が高温停止の状態です。高温停止というのは、原子炉が200~350℃の熱を保っている状態。1基だけ高温停止にしているのは、原発内や原発近くにあるエネルゴダールという街に熱を供給するためです。日本と違い、原発からの排熱を所内や地域の熱供給に使っているのです」 稼働が止まっていても、当然、原発には冷却水が必要不可欠だ。松久保氏が続ける。 「冷温停止状態であっても燃料から熱が出ていることは間違いなく、常に冷却を続ける必要があります。ロシアもウクライナも『貯水池に十分な冷却水があるため当面は問題ない』と発表していますが、貯水池に水がなくなったときはどうなるのか。早急に代替水源を確保する必要があります」 '11年の東日本大震災の際に発生した福島第一原発事故の際も、冷却水問題は起きている。4号機の使用済み燃料プールに冷却水喪失の恐れがあり、放射性物質大量放出の危機が顕在化したのだ。 「冷却ができなくなれば、メルトダウン(炉心溶融)が起き、放射性物質が大気に放出されてしまう危険性がある。高温停止の5号機は冷却までに時間がかかるため、メルトダウンの可能性はさらに高まります。ウクライナの原子力規制当局はダム爆破後の6月8日、一刻も早く5号機を冷温停止にするよう指示しましたが、ロシア側に停止する動きは見られません」(同前) ザポリージャ原発を巡っては、さらに最悪のケースも考えられる。プーチン大統領の指示のもと、ロシア軍が自ら原発を攻撃することもありうるのだ。 
実際、ウクライナ国防省情報総局は5月26日、 「ロシア軍が制圧下にあるザポリージャ原発を自ら攻撃し、放射性物質が漏れたと国際社会に訴えてウクライナの反攻を阻止する計画を立てている」 との声明を出している。 防衛省防衛研究所防衛政策研究室長の高橋杉雄氏が「最悪のシナリオ」をこう予想する。 「ロシア軍はザポリージャ原発周辺にロケット砲部隊を配備し、原発を盾にウクライナ軍へ一方的な攻撃を続けています。これはウクライナ軍としては悩ましい問題。ロシア軍からザポリージャ原発を取り戻すために、隣接するドニプロ川から特殊部隊を潜入させる可能性はあります。その銃撃戦のなかで流れ弾が原発の建物に当たるリスクがあります。考えたくはないですが、撤退を余儀なくされたロシア軍が、重要拠点を敵に渡さぬため、原発を攻撃して破壊するという事態も起こりかねません」 後編記事『《黒海が放射性物質で汚染》《食糧危機に直結》…!追いつめられたプーチンとロシアが「ザポリージャ原発を爆破」した時に起きる「ヤバすぎる事態」』につづく』、「「冷温停止状態であっても燃料から熱が出ていることは間違いなく、常に冷却を続ける必要があります。ロシアもウクライナも『貯水池に十分な冷却水があるため当面は問題ない』と発表していますが、貯水池に水がなくなったときはどうなるのか。早急に代替水源を確保する必要があります」、「「ロシア軍はザポリージャ原発周辺にロケット砲部隊を配備し、原発を盾にウクライナ軍へ一方的な攻撃を続けています。これはウクライナ軍としては悩ましい問題。ロシア軍からザポリージャ原発を取り戻すために、隣接するドニプロ川から特殊部隊を潜入させる可能性はあります。その銃撃戦のなかで流れ弾が原発の建物に当たるリスクがあります。考えたくはないですが、撤退を余儀なくされたロシア軍が、重要拠点を敵に渡さぬため、原発を攻撃して破壊するという事態も起こりかねません」、「原発を盾にウクライナ軍へ一方的な攻撃を続けています」とは、「ロシア側」のやり方は実に汚い。「撤退を余儀なくされたロシア軍が、重要拠点を敵に渡さぬため、原発を攻撃して破壊するという事態も起こりかねません」、こんな事態にならないよう祈るしかなさそうだ。

次に、この続きを、6月27日付け現代ビジネス「《黒海が放射性物質で汚染》《食糧危機に直結》…!追いつめられたプーチンとロシアが「ザポリージャ原発を爆破」した時に起きる「ヤバすぎる事態」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/111978
・『欧州最大級のザポリージャ原発は、昨年3月以降ロシア軍による実質的支配が続いている。カホフカダムをロシアが破壊したと見られているように、ウクライナの反転攻勢を恐れるプーチンは、チョルノービリ、福島を超える最悪の放射能事故を起こすのか。 前編記事『追いつめられたプーチンが「欧州最大規模のザポリージャ原発を攻撃して破壊する」という「最悪シナリオ」』より続く』、興味深そうだ。
・『電源喪失、そのとき  歴史を振り返ってみても、ありえないと思われたことが起きるのが戦争であり、それをするのがプーチンという男だ。 昨年2月、国際社会から孤立することが明らかな状況でウクライナに侵攻を始め、11月には実際にザポリージャ原発に10発以上の砲撃を浴びせて電気設備などを破壊している。このときもロシアは「ウクライナの仕業だ」と非難していた。 ウクライナの反攻が脅威と見れば、欧州最大級の原発を自ら破壊するという「史上最悪の火遊び」に出る可能性は否定できない。 では、実際に原発が攻撃された場合、何が起きるのか。核問題の専門家であるハーバード大学ベルファ科学国際問題センターのマリアナ・ブジェリン博士が言う。 「'84年から稼働を開始したザポリージャ原発は『VVER』と呼ばれるロシア型加圧水型原子炉で、原子炉内の核燃料を守る格納容器は、鋼板ライナーという金属を内張りした鉄筋コンクリートで覆われています。 日本を含む先進国の原子炉と同水準の安全性があるとされますが、武力攻撃をされる想定では設計されていないため、仮にロシア軍からミサイル攻撃あるいは砲撃をされれば格納容器は貫通または亀裂が入るでしょう。ロシアが航空機を"意図的に"墜落させ、事故によるものだと主張することも考えられる」 原発が武力攻撃を想定していないことは、日本の国会でも明らかにされている。昨年3月の衆院経済産業委員会で質問を受けた原子力規制委員会の更田豊志委員長(当時)は、日本国内の原発がミサイル攻撃された場合、 「放射性物質がまき散らされることが懸念される。現在の設備で避けられるとは考えていない」 と発言している。) ブジェリン博士が続ける。 「とはいえ、仮に核燃料を守る格納容器が粉々に破壊されたとしても、すぐさま放射能物質の放出を引き起こすわけではありません。冷温停止されている原子炉内にある核燃料の温度が上がり、臨界点に達して放射性物質が出るまでには数週間かかる。高温停止状態の5号機については当然、メルトダウンまでの時間は短くなりますが、それでも猶予はあります」 ここで問題になるのは、ウクライナとロシアが戦時下にあるということだ。ロシアによる占領以降、ザポリージャ原発の職員は約1万人から約3000人に減っている。6基の原発に事故が起きたときに対応できる人数ではなく、修理に必要な部品の供給ができるかどうかも未知数だ。 前出の松久保氏が言う。 「格納容器が損傷するということは、いわば釜が割れているような状態になるということ。どれだけ容器に水を入れても貯めることはできず、これでは冷却ができません。 さらに恐ろしいのは、戦闘によって冷却システムを構築している電源を喪失することです。ザポリージャ原発は外部から電源をとっており、これが遮断された場合は非常用ディーゼルを使って冷却システムを動かし原発を冷やします。これらが攻撃によって機能不全に陥ると、メルトダウンの可能性が高くなります」 福島第一原発の事故でも、地震によって送電線の断線やショート、関連施設の故障が相次ぎ、外部電源を喪失。その後、太平洋から押し寄せた津波が福島第一原発を襲い、非常用電源が水没したことで重大事故を引き起こした。 「冷却システムの喪失が影響するのは、原子炉だけではありません。原発から出た使用済み燃料は、原子炉近くに敷設されている使用済み燃料プールに入れられている。使用済み燃料は取り出した直後は非常に高熱で、数年にわたりプールで冷やしておく必要があります。しかし、冷却システムが破壊されればプールの水温は上昇し、やがて蒸発する。そうなれば、使用済み燃料が露出して火災が発生し、放射性物質が放出されます。 また、冷却が終わった核燃料は『乾式貯蔵キャスク』という容器に入れられ、空気冷却、つまりは野晒し状態で置いてあります。燃料プールほどの影響はありませんが、これも放射性物質を含んでいるため、攻撃によって容器が破壊されれば周囲を汚染することになります」(同前)』、「武力攻撃をされる想定では設計されていないため、仮にロシア軍からミサイル攻撃あるいは砲撃をされれば格納容器は貫通または亀裂が入るでしょう・・・ブジェリン博士が続ける。 「とはいえ、仮に核燃料を守る格納容器が粉々に破壊されたとしても、すぐさま放射能物質の放出を引き起こすわけではありません。冷温停止されている原子炉内にある核燃料の温度が上がり、臨界点に達して放射性物質が出るまでには数週間かかる。高温停止状態の5号機については当然、メルトダウンまでの時間は短くなりますが、それでも猶予はあります」、「ロシアによる占領以降、ザポリージャ原発の職員は約1万人から約3000人に減っている。6基の原発に事故が起きたときに対応できる人数ではなく、修理に必要な部品の供給ができるかどうかも未知数だ」、「原発から出た使用済み燃料は、原子炉近くに敷設されている使用済み燃料プールに入れられている。使用済み燃料は取り出した直後は非常に高熱で、数年にわたりプールで冷やしておく必要があります。しかし、冷却システムが破壊されればプールの水温は上昇し、やがて蒸発する。そうなれば、使用済み燃料が露出して火災が発生し、放射性物質が放出されます」、なるほど。
・『汚染される黒海の魚  原発攻撃によって発生する主な放射性物質は、福島第一原発の際にも盛んに報じられた「セシウム137」だ。体内に入ると心筋細胞などに蓄積しやすく、心筋障害や不整脈といった心臓疾患、免疫機能低下などを引き起こすとも言われる。 また、放射能が弱まるまでの期間を示す「半減期」は30年と、長期にわたる汚染の原因となることでも知られている。 松久保氏が言う。 「我々の団体が昨年4月に行ったシンポジウムでは、ザポリージャ原発が攻撃を受けた際にどれほどの放射性物質が放出・拡散するかもシミュレーションしています。ザポリージャ原発1号機の炉内にあるセシウム137の総量の50%にあたる157ペタベクレルが放出、同時に使用済み燃料プール内の総量の75%にあたる590ペタベクレルが放出した場合を想定し、これらによってどれくらいの人々が避難を必要とするかを試算しました。 ちなみに、チョルノービリ原発事故でのセシウム137の放出量は約85ペタベクレル。福島第一原発事故では約7~20ペタベクレルが放出したとされています」 シミュレーションは、'21年3月の第3週と第4週、2つの気象条件のもと行われた。その結果、ウクライナやロシアだけでなく周辺諸国も汚染の危険性があることが明らかになったという。 「3週目の気象条件では、ウクライナで最大360万人、ルーマニアで最大210万人、ベラルーシで最大88万人、モルドバで最大42万人、ロシアで最大6万人が避難を強いられることになると予想されました。一方、第4週の気象条件では、ウクライナで最大160万人、トルコで最大220万人、ロシアで最大2万8000人という結果だった。風向きや天候にもよりますが、ウクライナ周辺の国々の大半が汚染される可能性があるということです。 それほど多くのセシウム137が本当に放出するのか、という疑問があるかもしれませんが、これはあくまで原発1基が攻撃された場合の試算。もし意図的な攻撃により6基すべてで放射性物質の放出が起きてしまえば、シミュレーションよりもさらに甚大な被害が広がる可能性もあるのです」 ウクライナからトルコにまでセシウム137が飛散するということは、すなわち黒海も汚染されるということだ。 松久保氏が続ける。 「福島の事故の場合、放出された放射性物質の約8割が海に落ちました。それでも、太平洋は循環しているため汚染は希釈されました。しかし黒海は内海ですから、循環しません。魚は汚染され続け、高濃度の放射性物質を含んだ魚が出てくる可能性がある。 また、ザポリージャ原発の周辺は欧州有数の穀物地帯としても知られています。汚染が広がれば耕作はできなくなり、ウクライナの穀物に依存しているアフリカ各国などで食糧危機が発生することも考えられます」』、「ザポリージャ原発1号機」が攻撃で破壊された場合の影響を「試算」したところ、「「3週目の気象条件では、ウクライナで最大360万人、ルーマニアで最大210万人、ベラルーシで最大88万人、モルドバで最大42万人、ロシアで最大6万人が避難を強いられることになると予想されました。一方、第4週の気象条件では、ウクライナで最大160万人、トルコで最大220万人、ロシアで最大2万8000人という結果だった。風向きや天候にもよりますが、ウクライナ周辺の国々の大半が汚染される可能性があるということです」、原発1基でこれだけ汚染が広がるようだ。
・『恐怖の集団パニック  日本にも影響はある。現在、日本はウクライナから穀物を輸入していないが、原発が破壊されたとなれば市場価格が高騰する可能性は極めて高い。実際、カホフカダムの決壊後には、国際市場における小麦の相場が上昇している。 また、戦時下で起きた原発事故の場合、賠償責任の所在も難しい問題となる。現在、ザポリージャ原発の所有権はあいまいだが、実際に放射性物質が発生する事態になれば互いに責任をなすりつけ合うことになるのは明らかだ。その結果、汚染された地域の住民たちが正当な賠償を受けられなくなる可能性も指摘されている。 福島大学環境放射能研究所客員教授のマーク・ジェレズニヤク氏が語る。ジェレズニヤク氏は福島第一原発事故後の'13年に福島大に着任し、放射性物質の拡散予測を専門に行ってきたウクライナ人研究者である。 「まずは、カホフカダムの決壊によって生じた洪水被害の復旧が急務です。ザポリージャ原発の冷却水を確保することももちろんですが、カホフカダムの水がなくなれば地域の農業は壊滅状態になります。 そして、一番大事なのはIAEA(国際原子力機関)の勧告に従い、高温停止状態のザポリージャ原発5号機を冷温停止にすることです。チョルノービリはもちろん福島原発の事故もウクライナ国民に広く知られてはいるものの、多くの国民が『少量の放射線でも命にかかわる』と誤解しています。そうした状況で、ロシア軍が原発を占拠し、何らかの損傷を与える危惧が継続するなか、放射性物質の漏れがたとえわずかでも発生すれば、大規模な集団パニックが起きるでしょう。ロシア軍による原発に対するテロ的な攻撃を心配しています」 原発を盾にしたテロ行為に手を染めれば、プーチンは最悪の形で歴史に名を残すことになる』、「「まずは、カホフカダムの決壊によって生じた洪水被害の復旧が急務です。ザポリージャ原発の冷却水を確保することももちろんですが、カホフカダムの水がなくなれば地域の農業は壊滅状態になります。 そして、一番大事なのはIAEA(国際原子力機関)の勧告に従い、高温停止状態のザポリージャ原発5号機を冷温停止にすることです」、主要国が「ロシア」に圧力をかける必要もありそうだ。

第三に、7月4日付け現代ビジネスが掲載した経済ジャーナリストの町田 徹氏による「プーチンの大誤算…ここにきて「プリゴジン」にかわって「ルカシェンコ」がプーチンを脅かす「危険過ぎる存在」となっている「ヤバすぎる理由」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/112736?imp=0
・『新たな「獅子身中の虫」  たった1日で収束したものの、先月(6月)23日に、民間軍事組織ワグネルを率いるプリゴジン氏が起こした反乱は、ロシアのプーチン政権が抱える統治と安全保障体制の脆さを浮き彫りにした。そして対照的に、プリゴジン氏に矛を収めさせることによって、おおいにロシア側の陣営で株をあげたのが、ベラルーシのルカシェンコ大統領である。 ベラルーシはロシアの同盟国だ。ロシアと国境を接しており、プーチン大統領が戦術核兵器の配備を進めている国家でもある。ただ、ここに来て再び、両国の間にその扱いに関する齟齬が生じ始めている。 ベラルーシのルカシェンコ大統領は、30年近くにわたって強権的に国家を統治してきた人物だ。「ヨーロッパ最後の独裁者」と形容されてきたものの、ここ1、2年はすっかり勢いを失い、プーチン氏に依存する傾向を強めていた。しかし、今回の反乱の鎮圧によって、すっかり息を吹き返したともとれる状況になっている。 プーチン大統領は、プリゴジン氏にかわり、ルカシェンコ大統領という新たな「獅子身中の虫」を抱え込んだ可能性がある。 「彼の努力と献身で事態が平和的に決着した」――。 プーチン氏は6月26日の夜、プリゴジン氏の反乱の収束後に行った初めての演説で、ルカシェンコ氏をこう持ち上げて称賛し、感謝の意を表明した。 プーチン政権では、ペスコフ大統領報道官も翌27日、ルカシェンコ氏を「経験豊富で賢明な政治家」と礼賛したし、ロシア議会下院も同じ27日、ルカシェンコ氏に対する賛辞を贈った。 こうした称賛の嵐を見ただけでも、ルカシェンコ大統領が、今回の騒ぎで、存在感を高めたことは明らかである。今回、株を上げた人物は他にはいないと言っても過言ではない。 対照的に、これまで強固な体制で統治していると見られてきた、ロシアのプーチン大統領の威信は大きく傷ついた。象徴的だったのは、プーチン氏が現地時間の24日午前10時頃に行ったテレビでの演説だ。 この演説のタイミングは、ワグネルのプリゴジン氏が前夜、ロシア軍の空爆によって多数の戦闘員が死亡したと不満をぶちまけて「正義の行進」を始めると宣言し、翌朝になってワグネルの部隊がモスクワまでの距離が約400キロメートルのロストフ州の州都ロストフナドヌーに入り、同地のロシア軍施設を制圧したとした強調、返す刀でロシアのショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長への面会を要求した後、というものだった』、「ルカシェンコ大統領が、今回の騒ぎで、存在感を高めたことは明らかである。今回、株を上げた人物は他にはいないと言っても過言ではない。 対照的に、これまで強固な体制で統治していると見られてきた、ロシアのプーチン大統領の威信は大きく傷ついた」、その通りだ。
・『ロシア軍の中の深刻な亀裂  プーチン氏はこの演説で、「我々は反逆と裏切りに直面している」と認め、ワグネルの対応について口を極めて批判したうえで、「この反乱に参加したものは全員処罰する」と宣言した。 だが、はっきり言って、演出は拙かった。プーチン氏が、閉鎖的なオフィスから独りで演説をしたことは、その一因だ。孤立した指導者という印象を免れなかった。プーチン大統領は反乱に対して一方的に怒りを露わにしたものの、その表情は硬く、どこか脅えて自信のなさそうな風情にも映った。この演説を見たロシア国民の間では、プーチン氏がワグネルの行軍を恐れて早々にモスクワから脱出したという噂が駆け巡る始末だったという。 付言しておくと、この辺りのプーチン大統領の対応は、昨年2月のロシア軍の侵攻直後に、ウクライナのゼレンスキー大統領が見せた対応とは真逆である。 ゼレンスキー大統領は、戸惑う人々を勇気づける振る舞いで、強いリーダーというイメージを確立したからである。同大統領は、他の政府高官、つまり仲間とともに、戦禍に巻き込まれつつあったウクライナの首都キーウの街中を堂々と歩きながら「国と国の独立を守るため、我々はみんなここ(キーウ)にいる」と語りかける動画を流して、最後までウクライナ国民と一緒に戦い抜く覚悟を鮮明にしたのだった。 ゼレンスキー大統領とは正反対に、プーチン氏はプリゴジン氏の反乱に直面し、真価を発揮できなかった。それまでのこわもての絶対的な独裁者というイメージを大きく損ねてしまった。 また、ロシア軍の間には、深刻な亀裂、もしくは分断が存在するという見方も定着してしまった。主流派と目されるショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長は、繰り返し、プリゴジン氏による非難の対象となってきた。今回の反乱で、計画通りに進まないウクライナ戦争を指導した無能な責任者のレッテルを貼られた格好だ。 その一方で、プリゴジン氏の信頼が厚いとされてきた、ウクライナ軍事侵攻の副司令官を務めるセルゲイ・スロビキン氏は消息が不明になっている。先月24日の午前0時過ぎに、「隊列を停止し、戻れというロシア大統領の命令に従うことが不可欠だ」とワグネルに呼びかける映像を流したのを最後に、すでに1週間以上、表舞台に姿を現していないのだ。拘束されたとの報道も一部にあるが、真偽は確認されていない。 とはいえ、スロビキン氏は明らかにショイグ国防相らと立場を異にしていたとみられており、ロシア軍の中には深刻な亀裂があるとみなされている。 加えて、ワグネルがいとも簡単にロストフ州のロシア軍施設を制圧したり、23日からのわずか1日で780キロメートルも進軍してロシアの首都モスクワまで約200キロメートルの地に迫ったりしたことから、ロシア軍の中にワグネルに対する協力者がいたとの見方は根強い。軍の統制の回復は困難が予想される深刻な問題だ。 反乱を主導したプリゴジン氏は、ルカシェンコ大統領からプーチン氏の同意を取り付けたとして身の安全を保障され、反乱を収束させてベラルーシに受け入れられたことになっている。しかし、プリゴジン氏にとって、ベラルーシが将来的にも安住の地になるかは疑問だ。これまでのような勢いを維持できるとも考えにくい』、「ワグネルがいとも簡単にロストフ州のロシア軍施設を制圧したり、23日からのわずか1日で780キロメートルも進軍してロシアの首都モスクワまで約200キロメートルの地に迫ったりしたことから、ロシア軍の中にワグネルに対する協力者がいたとの見方は根強い」、その通りだ。
・『ルカシェンコの大きな手柄  民間軍事組織ワグネルはすでに、ロシア国内での活動を禁じられたという。兵士たちは、プーチン大統領から、ロシア国防省との契約か、ベラルーシへの移動か、故郷への帰還という3つの選択肢の中から一つを選ぶように求められている。ルカシェンコ大統領の言葉通りに、今後、ベラルーシにワグネルの駐留拠点ができたとしても、これまでの規模の兵力を維持することは難しそうだ。 そして、プリゴジン氏の財閥は、早くも解体の憂き目に直面している。メディアグループの「パトリオット」は、プーチン政権の圧力を受けたとも、プリゴジン氏自らが「解散させた」ともいわれ、その活動を停止した。 また、プーチン大統領は、軍の給食事業で巨額の収益を上げてきたとされるプリゴジン氏の関連会社「コンコルド」に対して、不正がなかったかの調査を徹底的に行う考えを表明している。 アフリカ各地の権益も、ロシアやロシア軍に接収されかねない。 こうした中で、ただひとり意気軒高なのが、ルカシェンコ大統領だ。6月27日には、ベラルーシの国営ベルタ通信など通じて、プーチン氏とプリゴジン氏の間に入って、武装蜂起を収束させた内幕を得意満面に明かしている。 それによると、プーチン氏がルカシェンコ氏に電話をかけてきたのは、24日の緊急テレビ演説を終えた直後だったという。プーチン氏はテレビ演説で「武装蜂起に参加した者を厳罰に処す」としていたが、ルカシェンコ氏は「(そうした処分を)急ぐ必要はない。私がプリゴジン氏と話そう。『悪い平和』でも、戦争よりはマシだ」となだめたとしている。 この時、プーチン氏は「無駄だ。彼(=プリゴジン氏)は電話にも出ないし、誰とも話そうとしない」と述べたが、ルカシェンコ氏はロシア連邦保安局(FSB)の協力を得て、プリゴジン氏との電話会談に漕ぎ着けた。 合計で6、7回に及んだ電話協議で、これまでのロシアの仕打ちに対する不満をぶちまけ続けるプリゴジン氏に対し、ルカシェンコ大統領は「(ロシア軍と戦えば)虫けらのように潰される」などと状況を解説し、説得に努めたというのである。 ルカシェンコ氏は最後に、プーチン大統領に電話し、ルカシェンコ大統領とプリゴジン氏が交わした言葉に対し、「約束したことはすべて実行する」との言質をとったと明かし、ワグネルの進軍の停止に応じさせたという。こうして、ルカシェンコ大統領がモスクワでの衝突を事前に回避させる大きな手柄を立てたというわけだ。) ルカシェンコ大統領は2020年の大統領選挙で6選を果たしたものの、選挙の不正を訴える大規模な抗議デモが発生。激しい弾圧によって事態を収拾したとはいえ、混乱は収まらず、ロシアからの低価格エネルギー供給などに大きく依存して政権の命脈をなんとか保ってきたのが実態だった。以来、ウクライナ侵攻を巡っても、従属ともとれる強い支持の表明を続けてきた。 今回、大いに株を上げたルカシェンコ大統領だが、プーチン大統領にとって、継続的に頼れる存在になることはあまりなさそうだ。 というのは、27日のベラルーシ国営ベルタ通信の報道に、早くも、ルカシェンコ大統領の今後の振る舞いに疑念を抱かざるを得ない情報が含まれていたからだ。ルカシェンコ大統領が国内演説で、ベラルーシに配備される予定のロシアの戦術核兵器のうち「かなりの部分」が領内に運び込まれたとしたうえで、核の使用権がロシアにあるとの欧米の見方を「でたらめだ。核はわれわれの兵器であり、われわれがそれを使えるだろう」と反論したというのである。 ロシア側はかねて、この問題について「(ベラルーシに核兵器を)譲渡するわけではない」と説明してきた。明らかな齟齬が生じ始めているのだ。 そもそも、この戦術核兵器の配備問題は、ベラルーシと国境を接するポーランドやリトアニアといった西側諸国が神経を尖らせてきた問題である。 そして、ここに来て急浮上した戦術核兵器を巡るロシアとベラルーシの見解の相違は、ウクライナ戦争での弾薬の供給不足に不満を唱えてきたプリゴジン氏のいら立ちとは深刻さがまったく違う問題として、戦術核のベラルーシへの配備を積極的に進めてきたプーチン大統領のアタマも悩ませる大きな火種になりかねない。 さらに、関連記事『プーチン絶体絶命…!プリゴジンが呼び覚した「反乱で変わるロシア」と、これからがヤバい!独裁体制「意外すぎる脆さと弱さ」』では、いま起きている“もう一つの現実”について迫っています』、「今回、大いに株を上げたルカシェンコ大統領だが、プーチン大統領にとって、継続的に頼れる存在になることはあまりなさそうだ・・・ルカシェンコ大統領が国内演説で、ベラルーシに配備される予定のロシアの戦術核兵器のうち「かなりの部分」が領内に運び込まれたとしたうえで、核の使用権がロシアにあるとの欧米の見方を「でたらめだ。核はわれわれの兵器であり、われわれがそれを使えるだろう」と反論したというのである。 ロシア側はかねて、この問題について「(ベラルーシに核兵器を)譲渡するわけではない」と説明してきた。明らかな齟齬が生じ始めているのだ。 そもそも、この戦術核兵器の配備問題は、ベラルーシと国境を接するポーランドやリトアニアといった西側諸国が神経を尖らせてきた問題である。 そして、ここに来て急浮上した戦術核兵器を巡るロシアとベラルーシの見解の相違は、ウクライナ戦争での弾薬の供給不足に不満を唱えてきたプリゴジン氏のいら立ちとは深刻さがまったく違う問題として、戦術核のベラルーシへの配備を積極的に進めてきたプーチン大統領のアタマも悩ませる大きな火種になりかねない」、確かに「戦術核兵器を巡るロシアとベラルーシの見解の相違は」、今後どう解決されるのだろう。
タグ:ロシア側はかねて、この問題について「(ベラルーシに核兵器を)譲渡するわけではない」と説明してきた。明らかな齟齬が生じ始めているのだ。 そもそも、この戦術核兵器の配備問題は、ベラルーシと国境を接するポーランドやリトアニアといった西側諸国が神経を尖らせてきた問題である。 そして、ここに来て急浮上した戦術核兵器を巡るロシアとベラルーシの見解の相違は、ウクライナ戦争での弾薬の供給不足に不満を唱えてきたプリゴジン氏のいら立ちとは深刻さがまったく違う問題として、戦術核のベラルーシへの配備を積極的に進めてきたプーチン大 (その7)(追いつめられたプーチンが「欧州最大規模のザポリージャ原発を攻撃して破壊する」という「最悪シナリオ」、《黒海が放射性物質で汚染》《食糧危機に直結》…!追いつめられたプーチンとロシアが「ザポリージャ原発を爆破」した時に起きる「ヤすぎる事態」、プーチンの大誤算…ここにきて「プリゴジン」にかわって「ルカシェンコ」がプーチンを脅かす「危険過ぎる存在」となっている「ヤバすぎる理由」) 現代ビジネス 汚染が広がるようだ。 「「まずは、カホフカダムの決壊によって生じた洪水被害の復旧が急務です。ザポリージャ原発の冷却水を確保することももちろんですが、カホフカダムの水がなくなれば地域の農業は壊滅状態になります。 そして、一番大事なのはIAEA(国際原子力機関)の勧告に従い、高温停止状態のザポリージャ原発5号機を冷温停止にすることです」、主要国が「ロシア」に圧力をかける必要もありそうだ。 「「冷温停止状態であっても燃料から熱が出ていることは間違いなく、常に冷却を続ける必要があります。ロシアもウクライナも『貯水池に十分な冷却水があるため当面は問題ない』と発表していますが、貯水池に水がなくなったときはどうなるのか。早急に代替水源を確保する必要があります」、 出されます」、なるほど。 現代ビジネス「追いつめられたプーチンが「欧州最大規模のザポリージャ原発を攻撃して破壊する」という「最悪シナリオ」」 町田 徹氏による「プーチンの大誤算…ここにきて「プリゴジン」にかわって「ルカシェンコ」がプーチンを脅かす「危険過ぎる存在」となっている「ヤバすぎる理由」」 統領のアタマも悩ませる大きな火種になりかねない」、確かに「戦術核兵器を巡るロシアとベラルーシの見解の相違は」、今後どう解決されるのだろう。 「ロシアによる占領以降、ザポリージャ原発の職員は約1万人から約3000人に減っている。6基の原発に事故が起きたときに対応できる人数ではなく、修理に必要な部品の供給ができるかどうかも未知数だ」、「原発から出た使用済み燃料は、原子炉近くに敷設されている使用済み燃料プールに入れられている。使用済み燃料は取り出した直後は非常に高熱で、数年にわたりプールで冷やしておく必要があります。しかし、冷却システムが破壊されればプールの水温は上昇し、やがて蒸発する。そうなれば、使用済み燃料が露出して火災が発生し、放射性物質が放 「ルカシェンコ大統領が、今回の騒ぎで、存在感を高めたことは明らかである。今回、株を上げた人物は他にはいないと言っても過言ではない。 対照的に、これまで強固な体制で統治していると見られてきた、ロシアのプーチン大統領の威信は大きく傷ついた」、その通りだ。 「ワグネルがいとも簡単にロストフ州のロシア軍施設を制圧したり、23日からのわずか1日で780キロメートルも進軍してロシアの首都モスクワまで約200キロメートルの地に迫ったりしたことから、ロシア軍の中にワグネルに対する協力者がいたとの見方は根強い」、その通りだ。 「今回、大いに株を上げたルカシェンコ大統領だが、プーチン大統領にとって、継続的に頼れる存在になることはあまりなさそうだ・・・ルカシェンコ大統領が国内演説で、ベラルーシに配備される予定のロシアの戦術核兵器のうち「かなりの部分」が領内に運び込まれたとしたうえで、核の使用権がロシアにあるとの欧米の見方を「でたらめだ。核はわれわれの兵器であり、われわれがそれを使えるだろう」と反論したというのである。 「武力攻撃をされる想定では設計されていないため、仮にロシア軍からミサイル攻撃あるいは砲撃をされれば格納容器は貫通または亀裂が入るでしょう・・・ブジェリン博士が続ける。 「とはいえ、仮に核燃料を守る格納容器が粉々に破壊されたとしても、すぐさま放射能物質の放出を引き起こすわけではありません。冷温停止されている原子炉内にある核燃料の温度が上がり、臨界点に達して放射性物質が出るまでには数週間かかる。高温停止状態の5号機については当然、メルトダウンまでの時間は短くなりますが、それでも猶予はあります」、 「「カホフカダム」が爆破によって決壊」、ずいぶん荒っぽいことをするものだ。「「ロシア側も、ウクライナの狙いは十分に理解している。ウクライナ軍をヘルソン州側から進撃させないためにダムを決壊させ、周辺部を浸水させることでメリトポリ方面の防御を固めようと考えたのでしょう」、 現代ビジネス「《黒海が放射性物質で汚染》《食糧危機に直結》…!追いつめられたプーチンとロシアが「ザポリージャ原発を爆破」した時に起きる「ヤバすぎる事態」」 「「ロシア軍はザポリージャ原発周辺にロケット砲部隊を配備し、原発を盾にウクライナ軍へ一方的な攻撃を続けています。これはウクライナ軍としては悩ましい問題。ロシア軍からザポリージャ原発を取り戻すために、隣接するドニプロ川から特殊部隊を潜入させる可能性はあります。その銃撃戦のなかで流れ弾が原発の建物に当たるリスクがあります。考えたくはないですが、撤退を余儀なくされたロシア軍が、重要拠点を敵に渡さぬため、原発を攻撃して破壊するという事態も起こりかねません」、 「原発を盾にウクライナ軍へ一方的な攻撃を続けています」とは、「ロシア側」のやり方は実に汚い。「撤退を余儀なくされたロシア軍が、重要拠点を敵に渡さぬため、原発を攻撃して破壊するという事態も起こりかねません」、こんな事態にならないよう祈るしかなさそうだ。 「ウクライナ南部にある「ザポリージャ原発」は、6基の原子炉を備える欧州最大級の原発で、総電気出力量は600万キロワット、ピーク時にはウクライナの全電力の5分の1を供給していた。そのザポリージャ原発が冷却水を取水していたのが、爆破されたカホフカダムだったのだ」、なるほど。 「ザポリージャ原発1号機」が攻撃で破壊された場合の影響を「試算」したところ、「「3週目の気象条件では、ウクライナで最大360万人、ルーマニアで最大210万人、ベラルーシで最大88万人、モルドバで最大42万人、ロシアで最大6万人が避難を強いられることになると予想されました。一方、第4週の気象条件では、ウクライナで最大160万人、トルコで最大220万人、ロシアで最大2万8000人という結果だった。風向きや天候にもよりますが、ウクライナ周辺の国々の大半が汚染される可能性があるということです」、原発1基でこれだけ ウクライナ
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健康(その26)(どんな兵士でも120秒以内に96%が寝落ちする…あまりの効果に米軍も採用したコストゼロのリラックス法 「漸進的筋弛緩法」のすごい効果、「7時間睡眠」以上でも以下でも死亡リスク上昇 脳寿命をのばす睡眠と覚醒のバランスは?) [生活]

健康については、本年6月14日に取上げた。今日は、(その26)(どんな兵士でも120秒以内に96%が寝落ちする…あまりの効果に米軍も採用したコストゼロのリラックス法 「漸進的筋弛緩法」のすごい効果、「7時間睡眠」以上でも以下でも死亡リスク上昇 脳寿命をのばす睡眠と覚醒のバランスは?)である。

先ずは、本年6月27日付けPRESIDENT Onlineが掲載した公認心理師の柳川 由美子氏による「どんな兵士でも120秒以内に96%が寝落ちする…あまりの効果に米軍も採用したコストゼロのリラックス法 「漸進的筋弛緩法」のすごい効果」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/70881
・『なかなか眠れないときはどうすればいいのか。公認心理師の柳川由美子さんは「あえて手足の力を入れてから抜く『漸進的筋弛緩法』が効果的だ。さらに、身体がゆるんで気持ちがほぐれてきたら、『気持ちが落ち着いてきた』『のんびり~』などと声に出して言うと、より効果が高くなる」という――。 ※本稿は、柳川由美子『不安な自分を救う方法』(かんき出版)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『米軍が採用した効果抜群のリラックス法  Q.眠りたいのに、なかなか眠れないときは①…… 不安や緊張状態にある方は、「リラックスしましょう」と言ってもなかなか上手にできない場合があります。 そんなときは、あえて力を入れてから抜く「漸進的筋弛緩しかん法」を行うことで、力の抜けたリラックス状態をつくりやすくなります。 漸進的筋弛緩法は、アメリカの医師であるエドモンド・ジェイコブソンによって開発されたリラクゼーションの技法です。米軍が採用したところ、厳しいストレス状況下にある兵士の96%が120秒以内に眠りに落ちたとか。それくらい効果抜群の方法です。 私のクリニックではこれを、椅子に座った状態で、次のように行います。 【漸進的筋弛緩法のやり方】 ① 鼻から息を吸って止める。 ② 息を止めている間(3~5秒)に、両腕をガッツポーズにして腕の力を入れる。 ③ 口から息を吐きながら、腕の力を抜いてダラーンと落とす。このときどんな感じがするのか、力が抜けた腕の感覚に意識を向ける。 ④ ①~③を3回繰り返す。 これが基本です』、「米軍が採用したところ、厳しいストレス状況下にある兵士の96%が120秒以内に眠りに落ちたとか。それくらい効果抜群の方法」、確かに凄い「方法」だ。
・『実際に声に出して言うと、さらに効果的  この後、両脚→顔→肩→首の順に、同じように呼吸を合わせながら、力を入れて抜くことを繰り返します(各3回)。 ・両脚……椅子に座った状態で膝を伸ばし、床と平行になるまで両脚を上げる。踵を直角にしてつま先をピンと伸ばしてから→ダラーンと両足を床に落とす。 ・顔………目をつぶって歯を噛み締めてから→力を抜いてポカーンと口を開く。 ・肩………グッと上げてから→ストーンと落とす。 ・首………首の重さを感じながらゆっくり回す。 ここまでやっていただくと、相談者さんたちは「眠くなった」「とても落ち着いた」と口々におっしゃいます。実際にあくびをなさる方もとっても多いです。 これだけでも十分にリラックスして心地よいだるさを感じられるようになりますが、私の場合は、夜寝る前に漸進的筋弛緩法を行った後、布団に入って、さらにリラクゼーションの呼吸法を行っています。 【リラクゼーションの呼吸法】
① 鼻から息を吸い込みます。空気の流れを意識して、その冷たさを感じます。 ② 口から息を吐きます。吐く息のあたたかさを意識しながら、吐く息とともに全身の力が抜けていくのを意識します。のどを通る空気の感覚なども意識します。 ③ ①~②を3回繰り返します。呼吸の最中は「何か思考が浮かんでも、それを追わない」と決めて、何か浮かびそうになったら常に呼吸に意識を戻します。 このままスーッと眠れるので、ぜひ試してみてください。 身体がゆるむと、心もゆるみます。 ですから、気持ちが張り詰めて眠れないときは、先に身体をゆるめてあげましょう。 身体がゆるんで、気持ちがほぐれてきたら、「気持ちが落ち着いてきた」「のんびり~」などと実際に声に出して言うと、さらに効果的です。 A.漸進的弛緩法で、手足の力を入れたり抜いたり』、「夜寝る前に漸進的筋弛緩法を行った後、布団に入って、さらにリラクゼーションの呼吸法を行っています」、ダメ押しなので、効果絶大だろう。
・『重い毛布の不眠症への効果は、軽いものの10倍  Q.眠りたいのに、なかなか眠れないときは②…… もうひとつ、眠れないときにとっても効果的なのが、掛布団を重くすることです。 「え? フワフワで軽い掛布団のほうが、ストレスなく眠れていいんじゃないの?」 なんとなくそう思いますよね? ところが、近年の研究で、不眠症の患者さんが重い毛布を使うことで、症状が改善することがわかりました。 スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究チームが、鬱や不安障害で不眠症と診断された120名の成人に対して、次のような実験を行いました。 研究チームは、まず、被験者をランダムに2つに分けました。 ①重い毛布(8kg※)を使ってもらうグループ ②軽い毛布(1.5kg)を使ってもらうグループ ※重さ8kgの毛布が重すぎると感じる人には、6kgのものを支給 そして、ともに4週間過ごしてもらったのです。 その結果、②軽い毛布のグループで、不眠に改善が見られたのは3.6%。 一方、①重い毛布のグループでは、42.2%に改善が見られました。なんと、軽い毛布を使用していた人の10倍もよい結果を得られたのです』、「重い毛布のグループでは・・・軽い毛布を使用していた人の10倍もよい結果を得られた」、素人だと「軽い毛布」の方がよさそうに思うが、逆のようだ。
・『1年使い続けると78%もの不眠症が改善  また、実験終了後、希望者には好きな毛布を選んでもらい(ほとんどの患者さんが重い毛布を選びました)、さらに12カ月間過ごしてもらいました。すると、最初の実験で軽い毛布を使い、その後、重い毛布に変えた人も、同じように睡眠が改善。12カ月後には、重い毛布を使った人の78%もの不眠症が改善したのです。 研究チームによると、毛布の重みによって、体中にある筋肉や関節に刺激が与えられ、指圧やマッサージと同じような効果が得られたのではないか、とのこと。 ですから、眠れないときは、掛布団の枚数を増やすなどして、調整してみてください。 ちなみに、人はずっと起き続けてはいられないため、2~3日不眠が続いても、その後は電池が切れたようにスーッと眠れます。ですから、眠気がやってこないときは、無理して眠ろうとしなくても大丈夫。眠れなくても、あまり気にしないことです。 A.掛布団を重くする』、「1年使い続けると78%もの不眠症が改善」、「研究チームによると、毛布の重みによって、体中にある筋肉や関節に刺激が与えられ、指圧やマッサージと同じような効果が得られたのではないか、とのこと」、なるほど。
・『「ジャーナリング」は幸福感、免疫力、就職率に効果  Q.いろいろ気になって、寝付けないときは…… A:布団に入ったはいいけれど、気になることが次々と浮かんできて、なんだか眠れない。 そんなときは、布団から抜け出して「ジャーナリング」をやってみましょう。 「書く瞑想めいそう」とも呼ばれるジャーナリングでは、頭の中に浮かんだことを一気に紙に書き出していきます。気になっていることや、わけのわからないモヤモヤを、紙の上に書き出すことで、頭や心がスッキリして、気持ちが軽くなるんです。 その効果は驚くべきもので、幸福感がアップしたり、免疫力が上がったりする他に、なんと就職率が上がったというデータまであります。 テキサス大学の社会心理学者、ジェームズ・ペネベイカー教授は、次のような調査を行いました。 ひとつめは、失業者を対象にした調査です。 失業中の被験者に、毎日20分間のジャーナリングを5日間連続でやってもらいました。その後の追跡調査で8カ月後の就職率を調べたところ、同じような失業者でジャーナリングをしなかった人たちに比べて、被験者の就職率は40%も高かったのです。どうやらジャーナリングを行った失業者は、頭の中のモヤモヤを書き出してそのつどスッキリすることで、ストレスフルな就職活動を乗り切れたようです。 さらに教授は別の調査を行い、被験者を、①感情的に大きな影響を受けたできごとを書いてもらうグループと、②感情とは関係のない日常的なできごとを書いてもらうグループに分けました。 各グループに20分ずつ3日間、書くことを続けてもらった結果、①の感情的に大きな影響を受けたできごとを書いてもらったグループは、心身の健康が大幅に向上したのです。 しかも、数カ月経っても、血圧の低下、免疫機能アップ、通院回数の減少、幸福感の高まりが続いたと言います』、「なんだか眠れない。 そんなときは、布団から抜け出して「ジャーナリング」をやってみましょう。 「書く瞑想めいそう」とも呼ばれるジャーナリングでは、頭の中に浮かんだことを一気に紙に書き出していきます。気になっていることや、わけのわからないモヤモヤを、紙の上に書き出すことで、頭や心がスッキリして、気持ちが軽くなるんです。 その効果は驚くべきもので、幸福感がアップしたり、免疫力が上がったりする他に、なんと就職率が上がったというデータまであります」、「ジャーナリングを行った失業者は、頭の中のモヤモヤを書き出してそのつどスッキリすることで、ストレスフルな就職活動を乗り切れたようです」、「被験者を、①感情的に大きな影響を受けたできごとを書いてもらうグループと、②感情とは関係のない日常的なできごとを書いてもらうグループに分けました。 各グループに20分ずつ3日間、書くことを続けてもらった結果、①の感情的に大きな影響を受けたできごとを書いてもらったグループは、心身の健康が大幅に向上したのです。 しかも、数カ月経っても、血圧の低下、免疫機能アップ、通院回数の減少、幸福感の高まりが続いたと言います」、効果は絶大なようだ。
・『最初は3分程度から始めるとストレスにならない  さて、そんなすばらしい効果を持つジャーナリング。 どうやるかというと、ノートとペンを用意して、3~15分間、頭に浮かんだことを、手を止めずにひたすら書き続けるだけです。 書くときのポイントは、ペンを動かす手をとにかく止めないこと。 書くことが思い浮かばないときも、「書くことがない、書くことがない、何も思い浮かばない、何かないかな……」と頭の中の思考をそのまま書き出します。 しばらくすると、「……なんだか、お腹が減ってきたかも」「自分と向き合ってる私、えらくない?」など、再び思考が始まるので、それらもすべて書き出していきます。 最初は3分程度から始めて、書けるようになったら、少しずつ時間を延ばしていくと、ストレスになりません。 続けて15分、書き続けられるようになるまで、ぜひ続けてみてください。 そのころには、胸にモヤモヤが溜まりにくいあなたになっているはずです。 パートナーとの関係で悩んでいたある女性の相談者さんは、長い間、不眠で苦しんでいましたが、ジャーナリングで頭の中のモヤモヤを書き出し始めて3日目には、自然に眠れるようになりました』、「ノートとペンを用意して、3~15分間、頭に浮かんだことを、手を止めずにひたすら書き続けるだけです。 書くときのポイントは、ペンを動かす手をとにかく止めないこと。 書くことが思い浮かばないときも、「書くことがない、書くことがない、何も思い浮かばない、何かないかな……」と頭の中の思考をそのまま書き出します。 しばらくすると、「……なんだか、お腹が減ってきたかも」「自分と向き合ってる私、えらくない?」など、再び思考が始まるので、それらもすべて書き出していきます。 最初は3分程度から始めて、書けるようになったら、少しずつ時間を延ばしていくと、ストレスになりません。 続けて15分、書き続けられるようになるまで、ぜひ続けてみてください。 そのころには胸にモヤモヤが溜まりにくいあなたになっているはずです」、ただ「ジャーナリング」でかえって興奮して眠れなくなる副作用がありそうだ。

次に、6月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した千葉大学脳神経外科学教授の岩立康男氏による「「7時間睡眠」以上でも以下でも死亡リスク上昇、脳寿命をのばす睡眠と覚醒のバランスは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325346
・『認知症予防に脳トレは本当に役に立つのでしょうか。認知症のリスクを下げるためには、脳の性質を知った上で脳に負担の少ない生活をすることが大事だと千葉大学脳神経外科学教授の岩立康男氏は言います。そこで今回は『脳の寿命を決めるグリア細胞』(青春出版社刊)から脳にとって最も負担が軽くなる睡眠時間について抜粋して紹介します』、「認知症のリスクを下げるためには、脳の性質を知った上で脳に負担の少ない生活をすることが大事だ」、詳しく知りたいものだ。
・『じつは「睡眠=脳を休めること」ではない  これまでの研究において「眠る」ことが確認されているのは、哺乳類や魚類、昆虫など脳のある生物に限られており、睡眠は脳の維持に必須であると考えられています。脳にとっての睡眠とはどのような意味があるのでしょうか。 睡眠は脳と体の休息となることは実感できるところです。しかし、一方で睡眠時は覚醒度が低下し動物にとって危険な時間です。捕食者に捕らえられる可能性も高まります。それでもなお、動物は睡眠という営みを排除する方向には進化してきませんでした。 それはなぜなのでしょうか? 実は、睡眠には脳を維持していくために非常に重要な意味合いがあるのです。単なる「脳の休息」ではありません。) ここで脳の構造について簡単に見ていきたいのですが、多くの方は「脳は神経細胞の塊である」と思っているのではないでしょうか。脳は神経系の中枢であり、神経細胞(ニューロン)が整然と並んでいて、高速の情報処理をしているというイメージをいだいていると思います。 しかし、違うのです。実は、脳の8割は“グリア”と呼ばれる神経ではない細胞でできているのです。しかも、「アストロサイト、オリゴデンドロサイト、マイクログリア」という3種類ものグリア細胞が存在していて、それぞれ全く違う働きをしています。ですから「脳はグリア細胞の塊である」と言った方がはるかに正確かもしれません。 以前には、グリア細胞は中枢神経系の中でニューロン以外の場所を埋めているだけの単なる支持細胞であると考えられていました。しかし近年の研究で、このグリア細胞がニューロンと豊富なネットワークを作り、神経活動の維持に重要な働きをしているということがわかってきたのです。 3種類のグリア細胞はそのネットワークの中で、それぞれ別々の働き方によってニューロンを支え、複雑な脳機能を生み出すとともに、その命運を握っています。日々入ってくる膨大な情報の中から重要な情報を「選択」し、そこに「集中」するために、そして激務をこなすニューロンをメンテナンスするために、自らそれ以上の激務をこなしているのです。しかし、どんなにしっかりとメンテナンスをしても激務による疲れは蓄積し、脳の細胞は徐々に死んでいってしまいます。これが「老化」という現象です』、「脳の8割は“グリア”と呼ばれる神経ではない細胞でできているのです。しかも、「アストロサイト、オリゴデンドロサイト、マイクログリア」という3種類ものグリア細胞が存在していて、それぞれ全く違う働きをしています」、「3種類のグリア細胞はそのネットワークの中で、それぞれ別々の働き方によってニューロンを支え、複雑な脳機能を生み出すとともに、その命運を握っています。日々入ってくる膨大な情報の中から重要な情報を「選択」し、そこに「集中」するために、そして激務をこなすニューロンをメンテナンスするために、自らそれ以上の激務をこなしているのです」、なるほど。
・『脳の老化を防ぐために意識すべき「脳の二相性」とは  この老化を抑えて、「脳を守る」ためにはニューロンと3種類のグリア細胞が織りなす複雑なネットワークの崩壊を防いでいくことが重要です。 そしてその第一歩は、グリア細胞を護ることです。3つのグリア細胞のなかでも最も繊細かつ死にやすい細胞であるオリゴデンドロサイトを護る、という発想が脳を守るための効率の良い方法です。それは認知症になるリスクを減らし、年をとってからもみずみずしい脳機能を維持することにつながります。 オリゴデンドロサイトが死ねばほかのグリア細胞やニューロンも引きずられて死んでいってしまいます。その結果が脳の萎縮であり、認知症の症状が出現して、普通の日常生活を送ることが困難になってしまうのです。 脳は構造的に老化しやすい臓器ですから、なんとかそのダメージを最小にして細胞の減少を最低限にしていくしかありません。認知症は症状が出始めてから治療を考えるのではなくて、その予防が重要であり、年を取ってから意識するのではなく、できるだけ若いときからリスクを減らすための努力・生活習慣を心がけていくべきなのです。 そしてその具体的な目標は何でしょうか。ニューロンを守る、グリアを護る、といってもあまりに漠然としていてイメージがわかないかもしれません。 特に悪い影響をもたらしていたのは脳の使い方の偏りです。 脳には二相性があります。睡眠時と覚醒時の脳の働き方。この脳の二相性のバランスを取ることが重要なポイントになります(覚醒時にも二相性がありますが紙面の都合上割愛いたします)』、「脳には二相性があります。睡眠時と覚醒時の脳の働き方。この脳の二相性のバランスを取ることが重要なポイントになります」、「第一歩は、グリア細胞を護ることです。3つのグリア細胞のなかでも最も繊細かつ死にやすい細胞であるオリゴデンドロサイトを護る、という発想が脳を守るための効率の良い方法です。それは認知症になるリスクを減らし、年をとってからもみずみずしい脳機能を維持することにつながります」、なるほど。
・『睡眠中にも脳は働いていた  睡眠は、記憶の定着、脳の老廃物除去を行なうグリンパティック・システムの活性化、ニューロンの軸索を包むミエリンの形成などに重要な働きをしています。さらに哺乳類にとっての睡眠は、経験した記憶を定着させることによって他の個体との競争を有利にする利点があるのです。 また、タンパク質は全て細胞内の小胞体という場所で適切に折りたたまれることによって働くことができるのですが、睡眠不足だとこのタンパク質の折りたたみがうまくいかないこともわかってきました。 睡眠が不足すればグリンパティック・システムも十分に働きませんので、脳内には、古くなり異常な折りたたみになったタンパクが凝集・蓄積します。特にアミロイドβやタウタンパクの蓄積は、直接アルツハイマー病の危険因子となります。 また、オリゴデンドロサイトによる軸索を保護するミエリンの合成も、夜間ニューロンの働きが低くなったところで活性化します。ミエリンが十分に合成されなければ、軸索は傷つき、それに伴ってまずオリゴデンドロサイトが死に、炎症反応が加速して、ニューロンも徐々に脱落していってしまうのです。 脳という臓器の特徴、酸素も栄養分も大量に消費するための活性酸素や大量のタンパク合成の負荷、そして情報を長年にわたって保持するためにネットワークの変更を許容せず細胞の新陳代謝を最低限にしている点、これらは細胞の生存という視点で見れば弱点ということになります。 睡眠は、脳という臓器が宿命的に抱え込んだこれらの弱点を補強し、その劣化・老化を最低限にするように働いているのです。全ての哺乳類が捕食者に捕らえられる大きなリスクを冒してまで睡眠にこだわるのは納得の理由があったわけです』、「睡眠不足だとこのタンパク質の折りたたみがうまくいかないこともわかってきました。 睡眠が不足すればグリンパティック・システムも十分に働きませんので、脳内には、古くなり異常な折りたたみになったタンパクが凝集・蓄積します。特にアミロイドβやタウタンパクの蓄積は、直接アルツハイマー病の危険因子となります」、「睡眠は、脳という臓器が宿命的に抱え込んだこれらの弱点を補強し、その劣化・老化を最低限にするように働いているのです。全ての哺乳類が捕食者に捕らえられる大きなリスクを冒してまで睡眠にこだわるのは納得の理由があったわけです」、やはり「睡眠」は重要なようだ。
・『脳の寿命を長くなる理想的な睡眠時間とは  それでは睡眠時間はどれくらい確保すればグリアの保護、疲労からの回復につながるのでしょうか? これは現実問題として非常に重要で、「とにかく睡眠時間を多く確保せよ」では生活習慣の改善に向けた動機付けが十分にできません。 睡眠時間と死亡リスクの関連に関しては数百万人規模の多くの被験者を対象とした追跡調査があります。 概ね、男女ともに7時間睡眠が最も死亡リスクが低い、という結果でした。それ以下でも、またそれ以上でも死亡リスクが上がるという驚きの結果です。 睡眠時間が少なくなればグリア細胞によるニューロンのメンテナンスが不十分となり、ニューロンの死から認知機能低下へとつながっていきます。認知機能の低下は全ての原因の死亡リスクを上昇させると考えられているのです。 睡眠時間の取りすぎで生存期間が短くなる点に関しては、原因なのか結果なのかはっきりしません。もともと体調が悪く睡眠時間が長く必要となる人もいるからです。ただし、ニューロンの活動が少なくなればオリゴデンドロサイトへの刺激が減って不活化し、脱落しやすくなることとは関連があるかもしれません。 「脳は適度に使い、正しく休ませる」という姿勢が脳の健康寿命を長くするのに重要です。 とにかく、睡眠時間を削って頑張る、という姿勢はやめた方がいいでしょう。 グリア細胞はニューロンを守るために夜間睡眠時に働いていたのです』、「概ね、男女ともに7時間睡眠が最も死亡リスクが低い、という結果でした。それ以下でも、またそれ以上でも死亡リスクが上がるという驚きの結果です。 睡眠時間が少なくなればグリア細胞によるニューロンのメンテナンスが不十分となり、ニューロンの死から認知機能低下へとつながっていきます。認知機能の低下は全ての原因の死亡リスクを上昇させると考えられているのです」、「男女ともに7時間睡眠が最も死亡リスクが低い」、これを守るような生活を続けたいものだ。
タグ:最初は3分程度から始めて、書けるようになったら、少しずつ時間を延ばしていくと、ストレスになりません。 続けて15分、書き続けられるようになるまで、ぜひ続けてみてください。 そのころには胸にモヤモヤが溜まりにくいあなたになっているはずです」、ただ「ジャーナリング」でかえって興奮して眠れなくなる副作用がありそうだ。 日々入ってくる膨大な情報の中から重要な情報を「選択」し、そこに「集中」するために、そして激務をこなすニューロンをメンテナンスするために、自らそれ以上の激務をこなしているのです」、なるほど。 認知機能の低下は全ての原因の死亡リスクを上昇させると考えられているのです」、「男女ともに7時間睡眠が最も死亡リスクが低い」、これを守るような生活を続けたいものだ。 「概ね、男女ともに7時間睡眠が最も死亡リスクが低い、という結果でした。それ以下でも、またそれ以上でも死亡リスクが上がるという驚きの結果です。 睡眠時間が少なくなればグリア細胞によるニューロンのメンテナンスが不十分となり、ニューロンの死から認知機能低下へとつながっていきます。 「脳の8割は“グリア”と呼ばれる神経ではない細胞でできているのです。しかも、「アストロサイト、オリゴデンドロサイト、マイクログリア」という3種類ものグリア細胞が存在していて、それぞれ全く違う働きをしています」、「3種類のグリア細胞はそのネットワークの中で、それぞれ別々の働き方によってニューロンを支え、複雑な脳機能を生み出すとともに、その命運を握っています。 「認知症のリスクを下げるためには、脳の性質を知った上で脳に負担の少ない生活をすることが大事だ」、詳しく知りたいものだ。 「睡眠は、脳という臓器が宿命的に抱え込んだこれらの弱点を補強し、その劣化・老化を最低限にするように働いているのです。全ての哺乳類が捕食者に捕らえられる大きなリスクを冒してまで睡眠にこだわるのは納得の理由があったわけです」、やはり「睡眠」は重要なようだ。 「睡眠不足だとこのタンパク質の折りたたみがうまくいかないこともわかってきました。 睡眠が不足すればグリンパティック・システムも十分に働きませんので、脳内には、古くなり異常な折りたたみになったタンパクが凝集・蓄積します。特にアミロイドβやタウタンパクの蓄積は、直接アルツハイマー病の危険因子となります」、 「脳には二相性があります。睡眠時と覚醒時の脳の働き方。この脳の二相性のバランスを取ることが重要なポイントになります」、「第一歩は、グリア細胞を護ることです。3つのグリア細胞のなかでも最も繊細かつ死にやすい細胞であるオリゴデンドロサイトを護る、という発想が脳を守るための効率の良い方法です。それは認知症になるリスクを減らし、年をとってからもみずみずしい脳機能を維持することにつながります」、なるほど。 『脳の寿命を決めるグリア細胞』(青春出版社刊) 岩立康男氏による「「7時間睡眠」以上でも以下でも死亡リスク上昇、脳寿命をのばす睡眠と覚醒のバランスは?」 ダイヤモンド・オンライン 「夜寝る前に漸進的筋弛緩法を行った後、布団に入って、さらにリラクゼーションの呼吸法を行っています」、ダメ押しなので、効果絶大だろう。 「ノートとペンを用意して、3~15分間、頭に浮かんだことを、手を止めずにひたすら書き続けるだけです。 書くときのポイントは、ペンを動かす手をとにかく止めないこと。 書くことが思い浮かばないときも、「書くことがない、書くことがない、何も思い浮かばない、何かないかな……」と頭の中の思考をそのまま書き出します。 各グループに20分ずつ3日間、書くことを続けてもらった結果、①の感情的に大きな影響を受けたできごとを書いてもらったグループは、心身の健康が大幅に向上したのです。 しかも、数カ月経っても、血圧の低下、免疫機能アップ、通院回数の減少、幸福感の高まりが続いたと言います」、効果は絶大なようだ。 その効果は驚くべきもので、幸福感がアップしたり、免疫力が上がったりする他に、なんと就職率が上がったというデータまであります」、「ジャーナリングを行った失業者は、頭の中のモヤモヤを書き出してそのつどスッキリすることで、ストレスフルな就職活動を乗り切れたようです」、「被験者を、①感情的に大きな影響を受けたできごとを書いてもらうグループと、②感情とは関係のない日常的なできごとを書いてもらうグループに分けました。 「なんだか眠れない。 そんなときは、布団から抜け出して「ジャーナリング」をやってみましょう。 「書く瞑想めいそう」とも呼ばれるジャーナリングでは、頭の中に浮かんだことを一気に紙に書き出していきます。気になっていることや、わけのわからないモヤモヤを、紙の上に書き出すことで、頭や心がスッキリして、気持ちが軽くなるんです。 「重い毛布のグループでは・・・軽い毛布を使用していた人の10倍もよい結果を得られた」、素人だと「軽い毛布」の方がよさそうに思うが、逆のようだ。 「米軍が採用したところ、厳しいストレス状況下にある兵士の96%が120秒以内に眠りに落ちたとか。それくらい効果抜群の方法」、確かに凄い「方法」だ。 柳川由美子『不安な自分を救う方法』(かんき出版) 柳川 由美子氏による「どんな兵士でも120秒以内に96%が寝落ちする…あまりの効果に米軍も採用したコストゼロのリラックス法 「漸進的筋弛緩法」のすごい効果」 (その26)(どんな兵士でも120秒以内に96%が寝落ちする…あまりの効果に米軍も採用したコストゼロのリラックス法 「漸進的筋弛緩法」のすごい効果、「7時間睡眠」以上でも以下でも死亡リスク上昇 脳寿命をのばす睡眠と覚醒のバランスは?) 健康 PRESIDENT ONLINE
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働き方改革(その40)(たった1カ月で「新入社員」半分退職まさかの原因 「採用コスト」は例年の5倍かけたのになぜ?、「もう48連勤ですよ!?」「休日手当は払ってる」社員vs会社…アウト、セーフどっち?、日本人の仕事満足度「わずか5%」で世界最低!賃上げの他に必要な改革とは?) [経済政治動向]

働き方改革については、本年4月5日に取上げた。今日は、(その40)(たった1カ月で「新入社員」半分退職まさかの原因 「採用コスト」は例年の5倍かけたのになぜ?、「もう48連勤ですよ!?」「休日手当は払ってる」社員vs会社…アウト、セーフどっち?、日本人の仕事満足度「わずか5%」で世界最低!賃上げの他に必要な改革とは?)である。

先ずは、本年5月16日付け東洋経済オンラインが掲載した経営コラムニストの横山 信弘氏による「たった1カ月で「新入社員」半分退職まさかの原因 「採用コスト」は例年の5倍かけたのになぜ?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/671389
・『たった1カ月で新入社員の半分が辞めてしまうとは……。 たった1カ月で新入社員の半分が辞めてしまうとは……。 今回は、ある会社が「働きがい」のある職場を目指した結果、新入社員の半分が辞めてしまった事例を紹介する。 昨今、突如として「働きがい」という言葉を使って採用活動に励む会社が増えている。会社に興味を持ち応募する人が多くなるからだろう。しかし、気をつけたほうがいい。言葉を正しく理解していないと、採用の努力が無駄になることがある。 AI時代になり、ますます「働きがい」を誤解して使ってはならないと強く感じるようになった。特に採用活動の責任者、新入社員を引き受ける職場の責任者は、まだ働いていない若者を勘違いさせないためにも、この会社の失敗から学んでもらいたいと思う』、「昨今、突如として「働きがい」という言葉を使って採用活動に励む会社が増えている。会社に興味を持ち応募する人が多くなるからだろう。しかし、気をつけたほうがいい。言葉を正しく理解していないと、採用の努力が無駄になることがある」、確かにその通りだ。
・『新入社員の半分が1カ月で退職!大失敗の原因  新入社員8人のうち4人が、たった1カ月で辞めた会社がある。 なぜ、そんなことが起こったのか?背後には、将来の幹部候補を求める社長の強い要望があった。 通常は年間2~3人の採用をしていた。だが、社長の命令で例年の5倍の採用コストと1年間の入念な準備を経て、例年より多くの新卒を採用しようとした。 結果、8人の優秀な新入社員が入社した。当初、社長は手放しで喜んだ。入社したあと、採用した新入社員8人と食事をしたとき、「8人みんな優秀だ。1年間がんばったかいがあった」と誇らしげに語っていた。 しかし、そのうちの4人が1カ月も経たずに退職してしまったのだ。残った新入社員のうち、2人も辞めたいと考えているという。社長は激怒した。例年の5倍もの採用コストをかけてなぜ辞めてしまったのか。いったい何が原因でここまでの大失敗となったのだろうか? 採用責任者は、新入社員が辞めた理由を調査するために、配属された職場の上長やベテラン社員にヒアリングを行った。 すると、どの職場でも見解は同じだった。 「今年の新入社員は、ストレス耐性が低い」 「やるべきことをやる前から、働きがいとか、心理的安全性とか、イチイチ言ってくる」 今回は、ある会社が「働きがい」のある職場を目指した結果、新入社員の半分が辞めてしまった事例を紹介する。 昨今、突如として「働きがい」という言葉を使って採用活動に励む会社が増えている。会社に興味を持ち応募する人が多くなるからだろう。しかし、気をつけたほうがいい。言葉を正しく理解していないと、採用の努力が無駄になることがある。 AI時代になり、ますます「働きがい」を誤解して使ってはならないと強く感じるようになった。特に採用活動の責任者、新入社員を引き受ける職場の責任者は、まだ働いていない若者を勘違いさせないためにも、この会社の失敗から学んでもらいたいと思う』、「通常は年間2~3人の採用をしていた。だが、社長の命令で例年の5倍の採用コストと1年間の入念な準備を経て、例年より多くの新卒を採用しようとした。 結果、8人の優秀な新入社員が入社した。当初、社長は手放しで喜んだ。入社したあと、採用した新入社員8人と食事をしたとき、「8人みんな優秀だ。1年間がんばったかいがあった」と誇らしげに語っていた。 しかし、そのうちの4人が1カ月も経たずに退職してしまったのだ。残った新入社員のうち、2人も辞めたいと考えているという。社長は激怒した」、急に「新入社員」を増員しても、指導体制などが伴っていなければ、「4人が1カ月も経たずに退職」というのも当然だ。
・『新入社員の半分が1カ月で退職!大失敗の原因  新入社員8人のうち4人が、たった1カ月で辞めた会社がある。 なぜ、そんなことが起こったのか?背後には、将来の幹部候補を求める社長の強い要望があった。 通常は年間2~3人の採用をしていた。だが、社長の命令で例年の5倍の採用コストと1年間の入念な準備を経て、例年より多くの新卒を採用しようとした。 結果、8人の優秀な新入社員が入社した。当初、社長は手放しで喜んだ。入社したあと、採用した新入社員8人と食事をしたとき、「8人みんな優秀だ。1年間がんばったかいがあった」と誇らしげに語っていた。 しかし、そのうちの4人が1カ月も経たずに退職してしまったのだ。残った新入社員のうち、2人も辞めたいと考えているという。社長は激怒した。例年の5倍もの採用コストをかけてなぜ辞めてしまったのか。いったい何が原因でここまでの大失敗となったのだろうか? 採用責任者は、新入社員が辞めた理由を調査するために、配属された職場の上長やベテラン社員にヒアリングを行った。 すると、どの職場でも見解は同じだった。 「今年の新入社員は、ストレス耐性が低い」 「やるべきことをやる前から、働きがいとか、心理的安全性とか、イチイチ言ってくる」) どうやら現場で新入社員たちは、「弁が立つが、やることをやらない」とレッテルを貼られたようだった。 とりわけ採用責任者が着目したのは「働きがい」である。 辞めた4人のうち、ほとんど全員が「働きがいを感じられない」を口にしていた。 合同説明会から複数回の面接を経て入社するまで、「当社は働きがいのある会社」とアピールし続けた。社長も「働きがいのある会社に生まれ変わった」と事あるごとに繰り返していた。だからこそ、新入社員は裏切られたと感じたのかもしれない。 美味しいイチゴが使われたショートケーキだと言われたから買ったのに、肝心のイチゴがあまり美味しくなかった、ということなのだろう』、「辞めた4人のうち、ほとんど全員が「働きがいを感じられない」を口にしていた。 合同説明会から複数回の面接を経て入社するまで、「当社は働きがいのある会社」とアピールし続けた。社長も「働きがいのある会社に生まれ変わった」と事あるごとに繰り返していた。だからこそ、新入社員は裏切られたと感じたのかもしれない」、なるほど。
・『「働きがい」の誤解が新入社員の退職を招く  例年になく優秀だと謳われた新入社員たちは、なぜ1カ月もせずに半分も辞めてしまったのか。その原因は「働きがい」にあると考えた。 実は「働きがい」という言葉は、リスクが高い。 なぜなら言葉の意味を、多くの人が誤解しているからだ。これは昨今、同じように使われるようになった「心理的安全性」にも言えることだ。 本来の意味をわからずに使用すると、大きな認識のズレとなり、トラブルを招くことになる。 実際に、社長や採用責任者、新入社員の先輩や上司も含め、ヒアリングしてみたところ、「働きがい」の真の意味を理解しているとは言いがたい状況だった。 「働きがい」と似た言葉に「やりがい」という言葉がある。 「やりがい」とは、困難を乗り越えて成果を出し、同僚やお客様から感謝されてはじめて「やったかいがあった」と思えるものだ。 「今回のイベントの集客、大変だったけど、会場が満員になって大盛況だったな」「はい。最初はすごく苦労しましたが、やったかいがありました」 このように使うものだ。 一方、「働きがい」は「やりがい」よりも抽象度が高い。 先ほどの例文の受け答えで、「はい。最初はすごく苦労しましたが、働いたかいがありました」とは、通常使わない。「やる」と「働く」とでは、対象範囲が違いすぎるからだ。例文として書くとするなら、次のようになる。 「入社して5年経ったけど、どう?働きがいのある職場かな?」 「そうですね。入社して2年間は苦労の連続でしたが、どんなに大変なときも助けてくれる先輩がいますし、課長は厳しいですけど、おかげで随分と成長できましたし、働きがいのある職場だと思っています」 「働きがい」は、数年働いてからでないと味わえないものだと筆者は考えている。 今後、働きがいを感じることがますます難しくなる時代が到来する。その要因の一つとしてAIの進化が挙げられる。 まず、近年のデジタルシフトにより、単純な知的労働は徐々に人から仕事を奪っている。筆者のクライアント企業にもRPA(注)で人材不足の問題を解消した例はたくさんある。 イベント後のアンケート集計や、顧客の属性に合わせたフォローメール作成など、かつて新入社員に任せられていたような仕事は、このように高性能なシステムやロボットが担当するようになった』、「実は「働きがい」という言葉は、リスクが高い。 なぜなら言葉の意味を、多くの人が誤解しているからだ。これは昨今、同じように使われるようになった「心理的安全性」にも言えることだ。 本来の意味をわからずに使用すると、大きな認識のズレとなり、トラブルを招くことになる。 実際に、社長や採用責任者、新入社員の先輩や上司も含め、ヒアリングしてみたところ、「働きがい」の真の意味を理解しているとは言いがたい状況だった」、なるほど
(注)RPA:Robotic Process Automation、ロボットによる業務自動化(RPA Technologies)。
・『任せられる仕事は、お客様対応しか残っていない  AIは、さらに難易度の高い仕事もこなす。 例えば顧客データベースからお客様の行動分析をし、今後の売り上げ予測まで瞬時に立てられるようになる。 「とりあえず、分析しておいて」と、上司から頼まれる仕事まで減っていくのだ。 分析結果の検証には経験が必要であるし、その結果から判断するには実績とセンスが求められる。新入社員どころか、経験の浅い社員に頼む仕事も奪われていく。 この会社でも、新入社員に任せられる仕事といったら、お客様対応しか残っていなかった。 「とりあえず、200社の担当者に電話して、このリサーチをお願い」 とりあえず、先日のイベントの来場者に連絡してアポイントをとって」 マーケティングオートメーションでお客様の動きをトレースして、当社商品に興味がありそうな動きをするお客様には、タイミングよく電話をかける。 お客様とのやり取りは音声認識機能で瞬時にテキスト化され、上長に報告される。自分で報告書を書く必要もないため、ひたすらお客様とのコミュニケーションに時間を費やす。 お客様の価値観は多様化しており、何が正解かはわからない時代だ。だからベテラン社員でさえつねに手探り。勝利の方程式などないものだから、試行錯誤の連続だ。 「新入社員は、何をやったらいいですか?と聞いてくるが、事務作業などないし、お客様対応といってもマニュアルなんかない」 これは、新入社員を受け入れた職場責任者の言葉だ。 「マニュアルを見せてくださいと言われたけど、マニュアルに書けるような作業は、だいたいRPAに任せている」 現場の責任者やベテラン社員は、口をそろえてこう言った。 「将来の幹部候補を雇うんだったら、もっとベテランを採用してほしい。私たちだって必死に勉強している。教えることなんてない」) 問題は、 ・社長をはじめとする採用責任者 ・新入社員をあずかる現場 ・新入社員  それぞれに「認識のズレ」があったことだ。 社長や採用の責任者は、本来の目的を見失い、「働きがい」という表現を優秀な新入社員を集めるためのエサのように使っていた。 いっぽう、現場で働く人たちは「働きがい」についてあまり関心がない。それよりもまず、やるべきことをやることが重要で、期待された成果を出すことに重きを置いている。 これは前述した通り、イチゴの美味しいショートケーキの例えに通じる。広告でイチゴの美味しいショートケーキをアピールしておきながら、現場で働く人たちはそのイチゴがそれほど美味しいという認識を持っていないのだ。この場合、お客様の期待とズレが生じる。 近年、働きがいや心理的安全性、エンゲージメント、ワークライフバランス、クオリティーオブライフといった新語がよく報道で使われる。 しかしこれらのワードに関心が高いのは、就職や転職活動を行っている人たち、そして経営者や役員に限られる。いっぽう現場の人たちは、意識している余裕がない。 劇的な環境変化に伴い、成果の出し方が変わっている。デジタル対応やリスキリングなど、身につけるべき知識やスキルが多すぎて、部下育成している場合ではない。 そんな状況で、 「入社したら、まるで働きがいを感じられないんですが」と新入社員に指摘されても、どうしたらいいかわからない。これが新入社員を受け入れる先輩たちの本音だろう。 ポイントは「Must」「Can」「Will」 それでは、どうしたらいいのか。 私は15年以上も前から、新入社員研修で一貫して言い続けているフレーズがある。それが、 1.Must やるべきこと 2.Can やれること 3.Will やりたいこと である。この順番が大事だ。 やるべきこと(マスト)をやり続けることで、やれること(キャン)が増え、やりたいこと(ウィル)が見つかる可能性がある、という話だ。 自分の先輩や上司でさえ先が読めない時代が到来している。だからこそ、新入社員はまずは厳しい現実を受け入れる必要がある。 給料をもらうということはプロフェッショナルになるということだ。ストレスがかかっても、やるべきことをやっていれば、やれることが増えてくるものだ。 そうすることで成果が出て、多くの人から感謝され、働きがいを感じるもの。現場に行ったら、やりたくないこと、苦手なことも任されるかもしれない。だが、それは誰でも一緒である。 サポートしていくから、しっかりとやっていこうと、採用活動の最中から丁寧に伝えるべきだ。きれいごとばかり言っていると、こんなはずじゃなかったと言い、辞めてしまう新入社員が続出してしまう。 繰り返すが、ポイントは「マスト(Must)」「キャン(Can)」「ウィル(Will)」。この順番である。 期待された成果を出さない限り、本当の意味の「働きがい」は感じられないのだから』、「「入社したら、まるで働きがいを感じられないんですが」と新入社員に指摘されても、どうしたらいいかわからない。これが新入社員を受け入れる先輩たちの本音だろう。 ポイントは「Must」「Can」「Will」 それでは、どうしたらいいのか。 私は15年以上も前から、新入社員研修で一貫して言い続けているフレーズがある。それが、 1.Must やるべきこと 2.Can やれること 3.Will やりたいこと である」、「やるべきこと(マスト)をやり続けることで、やれること(キャン)が増え、やりたいこと(ウィル)が見つかる可能性がある、という話だ。 自分の先輩や上司でさえ先が読めない時代が到来している。だからこそ、新入社員はまずは厳しい現実を受け入れる必要がある」、「給料をもらうということはプロフェッショナルになるということだ。ストレスがかかっても、やるべきことをやっていれば、やれることが増えてくるものだ。 そうすることで成果が出て、多くの人から感謝され、働きがいを感じるもの」、なるほど。

次に、6月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した社会保険労務士の木村政美氏による「「もう48連勤ですよ!?」「休日手当は払ってる」社員vs会社…アウト、セーフどっち?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/324342
・『退職が続いて人手不足になってしまった部署で、ベテラン社員2人と課長がその穴を埋めるべく休日返上で連勤して働くことに。「土日も休めず、働きづめだ」と文句を言うベテランに対し「求人しても応募がないのだから仕方ない。休日手当を払ってるんだから頑張れ」と会社は言うのだが……。 <甲社概要> 地方都市で機械製造と卸売業を営み、従業員数200名。管理課にはC課長の他10名のメンバーがいる。 <登場人物> A:管理課勤務の30歳。 B:Aの同僚で、専門学校時代からの友人でもある。管理課勤務。 C:管理課長。AとBの上司 D:総務部長。人事、給与計算に関する権限を持つ E:甲社の顧問社労士  ・退職者が続いて、他のメンバーへしわ寄せが……(AとBは地元の専門学校を卒業後、新卒採用で甲社に就職、機械オペレーターとして管理課に配属された。勤務時間は8時から19時の間で2交代制(労働時間8時間・休憩時間1時間)、変形労働制は運用しておらず、休日は日曜(甲社の法定休日)と他1日(法定外休日)の完全週休2日制だ。管理課の業務は製造機械のオペレーションの他、新商品の企画や商品管理も担当するなど多忙だが、残業や休日出勤はなく、有休も全部消化できるのでその点は働きやすい環境だった。 ところが今年1月末、新商品の企画や商品管理を主に担当していた30歳代の主任2名が急に自己都合で退職した。C課長は現メンバーの中で在籍期間が最も長いAとBを主任に格上げし、退職した2人の業務を引き継がせた。そしてAとBがこれまで担当していたオペレーション業務をメンバー全員でカバーするために毎日2時間の残業をするようになった。 2月上旬、D部長は中途採用の求人を出したが、応募者はゼロ。4月に新卒を6名採用したが、全員製造部門や技術部門に配属された。人員補充の目処(めど)が立たない状況の中、AとBを更に悲劇が襲った。新メンバーの加入がないことが分かった時点で仕事に嫌気が差した若手メンバー1名が、4月中旬で退職してしまったのだ。残った7人のメンバーで仕事を回す必要が生じ、困ったC課長はAとBのオペレーター業務を増やした。その結果2人は、出勤日はオペレーターとして働き、日曜や他の休日も商品管理データや商品企画書などの作成をするために会社で仕事をするハメに。2月から毎日残業している上に休みも取れなくなったAとBは、すっかり疲れ果ててしまった』、「新商品の企画や商品管理を主に担当していた30歳代の主任2名が急に自己都合で退職した。C課長は現メンバーの中で在籍期間が最も長いAとBを主任に格上げし、退職した2人の業務を引き継がせた。そしてAとBがこれまで担当していたオペレーション業務をメンバー全員でカバーするために毎日2時間の残業をするようになった」、「2月から毎日残業している上に休みも取れなくなったAとBは、すっかり疲れ果ててしまった」、なるほど。
・『明日の日曜日は2人で休んで、一緒にサウナへ行こう!  5月下旬の土曜日。AとBはいつものように休憩室で並んて昼食を取っていた。先に食事を終えたAはBに話しかけた。 「明日は日曜かあ。今週もあっと言う間に終わりだな」 Bは不機嫌な声で返した。 「どうせ明日も仕事。俺達さ、4月10日から今日まで全然休みがない。他のメンバーは皆週休2日なのに不平等だ。もう疲れたーっ!」 「でも新しいメンバーが入る予定もなさそうだし、当分はこの状態かなあ……」 2人は深いため息をつき、沈黙した。その後、Aがある提案をした。 「いっそ明日2人で仕事を休まない? 俺たちには休息が必要だよ」「いいね! でもC課長に怒られないかな……」 「今日話せば絶対『ダメ』って言われるから、明日の朝連絡しよう。日曜って本来は休みなんだから、仕事なんてしなくてもいいんだよ」 「よし、決まり! ところでA君、明日の予定は?」 「久しぶりに自宅近くのスーパー銭湯でまったりするよ。オートロウリュウのサウナが気持ちいいんだ。一緒に行こうぜ」 次の日の朝、AとBはそれぞれC課長に「今日は休みます」と連絡を入れ、スーパー銭湯の入り口で待ち合わせた。大浴場にゆっくり浸かりサウナで整った後、室内の食事処で生ビールのジョッキを片手に、会社やC課長の悪口を言い合って盛り上がった。すっかり酔いが回ったAは、大声で宣言した。 「明日出勤したら、C課長に『日曜ぐらい休ませろ!』って言ってやる。もし希望が通らなかったら、D部長に直訴だー!」』、「「今日話せば絶対『ダメ』って言われるから、明日の朝連絡しよう。日曜って本来は休みなんだから、仕事なんてしなくてもいいんだよ」、なかなか巧みな上司操縦術だ。
・『休日出勤すれば、その分手当が出るんだからいいじゃないか  月曜日。出勤したAとBは、そろってC課長から呼び出されて叱責された。 「君達そろって昨日休んだけど、遅れた仕事をどう取り戻すつもりだ!」 Aは言い返した。 「しかし課長、自分たちは1カ月半以上、全然休みナシですよ」 「それは私だって同じだ。だから君達には、休日出勤した分はちゃんと手当を払っているじゃないか。自分は管理職だから、休日に働いても手当はビタ一文出ない。君達がうらやましいよ」 「手当より、日曜休みを下さい。じゃないと身体が持ちません」 Aの反論にBも頷いた。しかしC課長は聞く耳を持たず、仕事が遅れることを気にして、文句を言うばかり。これ以上話してもムダだと思ったAとBは、その足で総務部のフロアに出向いた。) 総務部のD部長は、フロアの隅でE社労士と面談中だった。AとBはD部長を見つけてズカズカと近寄っていったので、2人に気付いたD部長はあわてて話を止めた。 「一体何の用だね? 今Eさんと打ち合わせ中だから、話は後にしてくれ」 しかしAは構わず訴えた。 「休みがない会社なんて我慢できません。日曜日はもう、会社に来ませんから!」 そしてこれまでの経緯を勝手に話し始めた。D部長は再三話をさえぎろうとしたが、E社労士は「最後まで話を聞かせてほしい」と言った』、「D部長」が話し込んでいたのが、「E社労士」だったとはラッキーだ。
・『求人しても応募がないなら、休日出勤はやむを得ない?  AとBがいなくなると、D部長は頭を掻きながらE社労士に2人の失礼な態度を謝り、話を続けた。 「メンバーの補充が必要なのは承知しています。しかし求人を出しても応募がないし、新入社員も管理課に回せる人材がいません。A君とB君は課内で最もベテランなので、複数の業務を任せている状態です。だから当面は休日出勤が続くのもやむなしかと……」 「それは大変ですね。しかしこの場合、会社は最低でも法律通りの休みを取らせる必要があります」 <法律で定める労働時間と休日> ○ 使用者(事業主や管理者など)は原則として1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない(労働基準法32条) ○ 使用者は少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与える義務がある(労働基準法35条)  D部長はE社労士に尋ねた。 「しかし、C課長は別として、A君とB君には日曜に出勤した場合は休日出勤手当、その他休日に出勤した場合は残業代(時間外手当)を支払っています。それでも休ませるんですか?」 参考:東京労働局「しっかりマスター労働基準法・割増賃金編」 「確かに法定休日や法定外休日に仕事をさせた場合、相応した手当の支払いが必要です。しかし手当を払えば休日数のカウントが消えるわけではなく、あくまでも法律で決められた休日数を与える義務があります」 「じゃあ、極端な話、当社の場合は4週間のうち24日間連続勤務にして、残りの4日間を休日にする扱いでもいいんですか?」 「原則は可能です。ただし連続出勤が続くとその分過労になりやすく、従業員の心と体の健康に支障が出る、業務中のケガが増えるなど、労災の原因になりかねません。会社は社員に対して安全配慮義務を負うので、それを踏まえると最低でも週1日は休むのがいいでしょう」 参考:労働契約法5条「労働者への安全配慮義務」 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする』、確かに「会社は社員に対して安全配慮義務を負う」。
・『管理職のC課長の長時間労働も、安全配慮義務の観点で問題  「安全配慮義務は管理職にも該当しますから、C課長の労働時間も把握し、長時間労働にならないよう配慮してください」 そしてE社労士は続けた。 「確認したいことがあるので、甲社の36協定届と管理課全員の出退勤記録、賃金台帳を見せてもらえますか?」 <時間外労働協定(36協定)とは> ○ 企業が労働者に対して、1日8時間、1週間に40時間以上の時間外労働及び休日労働をさせる場合は、労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定を結び(「36協定」という)所轄の労働基準監督署に届け出る必要がある。(労働基準法36条) ○ 36協定を締結した場合でも、時間外労働や休日労働の上限時間はある。(ただし業種による例外あり) ・原則は月45時間、年360時間以内(休日労働を除く) ・ただし、事業所で上記未満の時間で締結した場合は、その内容になる ・特別条項付き36協定を締結した場合 +時間外労働は年720時間以内 +時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満など 他にも要件あり ○ 使用者と同じ立場であると認定される管理職は、36協定の適用外のため労働時間、休日の制限はなく、従って残業や休日出勤をしても時間外手当などの残業代や休日出勤手当は発生しない 参考:厚生労働省「時間外労働の上限規程・わかりやすい解説」  D部長が持参した書類等の確認を終えたE社労士は、次の点を指摘した。「まず36協定の内容ですが、管理業務については、時間外労働の延長時間が1日1時間・1カ月間で10時間・1年間で120時間。休日労働は月1回で9時から18時までで締結されています。しかしメンバーの2月以降の出退勤記録を確認すると、全員の勤務時間が連日8時から19時までで、1日2時間の残業。加えてAさんとBさんは4月に1日あたり8時間で法定休日と法定外休日をそれぞれ3日間ずつ働いています」 「協定届の記載と実態が違うっていうのはダメですか?」 「締結した内容以上の時間外労働や休日労働をさせると、法律違反です」 ・4月以降、残業が月60時間を超えると割増賃金率が50%に(さらにE社労士は続けた。 「賃金台帳も見せてもらいました。給与の計算は毎月末日締めですね? メンバーの残業代(時間外手当)とAさんBさんの休日出勤分の割増賃金は、法定通り計算されています。ただし、4月以降の残業代について、月60時間を超えた分は割増賃金率が25%から50%に上がります。5月の出退勤記録ではAさんとBさんがこのケースに該当しますね」 参考:厚生労働省案内リーフレット  D部長は困り顔で、どうしたらいいんだと呟いた。 「まずAさんとBさん、そしてC課長が日曜休日を取れるようにして、次にメンバー全員の残業時間を減らし、人手不足を解消する方法を検討しましょう」 <残業時間の削減と人手不足への対処方法の一例・甲社の場合> ○ 機械オペレーターの求人募集は継続するが、求人媒体の追加や変更も検討し早期採用につなげる。 ○ 人員補充について、新規採用だけではなく、他部署からの配置換え、派遣社員を受け入れる、退職した社員を再雇用するなども合わせて検討する。 ○ 休日出勤や残業を減らすには、業務内容と担当者の見直しを行う。新製品の開発など急を要さない業務は当面行わないなど業務の負担を軽くする等が考えられる。 E社労士と面談を終えたD部長は、翌日C課長と相談し、新メンバーが入るまで新製品の開発に係る業務をすべて中断するなど、A、B、C課長の業務負担を軽減し6月以降、日曜と隔週1日の休みを確保することにした。更に残業を減らすために管理業務全体の見直しを行い仕事の効率化を図る予定だ。そして新たに考えた求人方法とは……。 +D部長が考えた、新たな求人方法とは?(6月上旬の日曜日。AとBは再び一緒にスーパー銭湯の暖簾(のれん)をくぐった。受付で料金を払っていた時、ふとAは背後の壁に貼られていた手書きのポスターに目を止めた。そこには見慣れた文字で、こう書かれていた。 「機械オペレーター募集・年齢不問・一緒に楽しく働きませんか? 詳しくは甲社サイトhttps://~ にアクセス」 それはD部長が書いた求人募集だった。どうやら、スーパー銭湯に来る客を狙っているようだ。 「部長もなかなかやるなーっ!」 Aは笑いをこらえながら、しばらくポスターを眺めていた。 ※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため個人名は全て仮名とし、一部を脚色しています。ご了承ください』、「安全配慮義務は管理職にも該当」、確かにその通りだ。現場は、労働法規を軽視しがちだが、コンプライアンス重視の観点からも法令順守したいものだ。

第三に、6月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「日本人の仕事満足度「わずか5%」で世界最低!賃上げの他に必要な改革とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325135
・『最新の「グローバル就業環境調査」によると、日本人の「仕事満足度」はわずか5%で、世界最低だった。この要因はいったい、何か? 他国の結果と比較もしながら、賃上げだけでは済まない、日本企業に必要な改革について考える』、興味深そうだ。
・『日本の「仕事満足度」は5%の衝撃  6月13日、米調査企業のギャラップは、最新の「グローバル就業環境調査」を公表した。それによると2022年、わが国で「仕事満足度」(ワークエンゲージメント)を感じる従業員の割合はわずか5%だった。調査対象の145カ国中、わが国はイタリアと並んで最低だ。 企業業績が拡大すると、一般的には給料は増える。給料が増える企業が多い国では、ワークエンゲージメントは上昇しやすい。また、職場環境についても、新しい商品を出すなど活気のある職場では、働いている人の満足度は高くなる。 反対に、経済が長期的に停滞し業績が伸び悩むと、賃金の下押し圧力も強まり満足感も得られにくい。だから、わが国の仕事満足度は低迷しやすいのだろう。 ただ、最近は、国を挙げて賃上げに取り組んでいる。また、従来の雇用の在り方を見直し、実力に応じた人事・報酬制度を導入する企業も目に付く。もちろん、先行きは楽観できないが、そうした企業の増加は、仕事に対する満足度ややりがいの向上に寄与することが期待できる』、「わが国で「仕事満足度」・・・を感じる従業員の割合はわずか5%だった。調査対象の145カ国中、わが国はイタリアと並んで最低だ」、「経済が長期的に停滞し業績が伸び悩むと、賃金の下押し圧力も強まり満足感も得られにくい。だから、わが国の仕事満足度は低迷しやすい」、なるほど。
・『世界のワークエンゲージメントの現状  ギャラップによると、22年は世界全体で仕事により高い満足を感じ、雇用、所得環境も改善したと感じる人が増えたという。09年は「仕事に満足感、やりがいがある」との回答率が12%だったのに対し、22年は23%だった。 一方、22年は、「仕事にやりがいを感じない」との回答も18%あった。「指示された業務のみこなし、熱意も持っていない」は59%と高い。「業務への疲労感、ストレスを感じる」との回答も44%あった。 雇用や所得に関して、「都市部や現在の居住地の周辺で、よい就業機会を見つけやすくなっている」との回答は、09年の29%から22年は53%に上昇した。その背景に、世界的に人手不足が深刻化していることがあるだろう。 また、10に分けられた地域ごとに見ると、22年はインドなど南アジア地域の従業員の満足度が最も高かった。インドでは、前年から7ポイント上昇し33%に達した。次いで、北米(米国とカナダ)は前年から2ポイント低下したが、31%が仕事に満足していると回答した。 反対に、満足度が最も低かったのは、欧州(13%)だ。第9位が中東および北アフリカ(15%)、第8位がわが国や中国を含む東アジア地域(17%)だった。いずれも、前年から横ばいだった。 全体の傾向として、経済成長率が高い国では、仕事への前向きな評価が高まりやすい。中国からの生産拠点のシフトなどによって投資が増えているインドや、利上げにもかかわらず労働市場が底堅く推移する米国が代表例だ。 業種別だと、IT先端分野で、より良い給与を手に入れ、やりがいを感じる人は増えているようだ。ただ、この分野では人工知能(AI)の利用増加などもあり、環境変化のスピードが加速している。そのため多忙やストレスを感じる従業員も増えている。それでも、転職機会の多さ、賃金増への期待は依然として強く、世界的に、前向きな気持ちで働こうとする人が増えている』、「満足度が最も低かったのは、欧州(13%)だ。第9位が中東および北アフリカ(15%)、第8位がわが国や中国を含む東アジア地域(17%)だった」、「東アジア地域」の低さには驚かされた。
・『低迷が続くわが国の仕事満足度  冒頭で紹介した通り、この調査において、わが国で日々の仕事に喜びや満足感を持つ人の割合はわずか5%と世界最低だった。その推移を見ると、リーマンショック後、小幅ながら仕事への満足度が高まった期間はあった。アベノミクスの好景気が背景にあっただろう。そして19年から22年までは5%で推移している。 東アジア諸国・地域の満足度を見ると、中国は前年から横ばいの18%だった。韓国は前年から1ポイント低下し、12%。台湾は11%(前年から1ポイント上昇)だった。台湾における上昇は、半導体産業の影響が大きいだろう。 また、わが国では「日々の業務に対するストレスを感じる」が42%(前年から1ポイント低下)だった。一方、「雇用、所得環境は良いか」の質問に対して、「はい」は25%で、前年から6ポイント低下した。 もちろんこの調査が全てというわけではないが、わが国の経済状況を踏まえても、「仕事満足度5%」という結果は、さまざまな示唆に富んでいる。世界的な傾向と比較した場合、わが国の雇用、所得環境の停滞は鮮明といえる。 背景にはいくつかの要因がある。大きいのは、1990年初頭の資産バブル崩壊だ。それ以降、わが国では株式や地価が下落した。個人の消費は減少し、経済全体で「羹(あつもの)に懲りてなますを吹く」とでもいうべき心理が高まった。成長期待の高い先端分野に進出するよりも、既存分野での事業運営を優先する企業が増えた。IT革命への遅れは深刻化した。 少子高齢化、人口減少も重なり、経済は縮小均衡した。資金調達や設備投資面で海外企業との競争に対応することも難しくなった。今なお、新卒一括採用、年功序列、終身雇用から成る雇用慣行を続ける企業も多い。その結果、わが国企業において、ワークエンゲージメントは低迷した』、「経済全体で「羹(あつもの)に懲りてなますを吹く」とでもいうべき心理が高まった。成長期待の高い先端分野に進出するよりも、既存分野での事業運営を優先する企業が増えた。IT革命への遅れは深刻化した。 少子高齢化、人口減少も重なり、経済は縮小均衡した。資金調達や設備投資面で海外企業との競争に対応することも難しくなった。今なお、新卒一括採用、年功序列、終身雇用から成る雇用慣行を続ける企業も多い。その結果、わが国企業において、ワークエンゲージメントは低迷」、その通りだ。
・『日本の経営トップに求められること  自力で航行する力を失った船が潮流に流されるかのように、わが国経済が米国や中国など大国の経済の展開に影響されるパターンが明らかに増えている。海外投資家が、日本株を「景気敏感株」とみなす傾向も強くなっている。 日本の再成長に不可欠なのは、企業経営者が、収益を獲得できる領域を拡大することだ。それには、成長期待の高い分野で専門知識を持つ人を増やすことも欠かせない。その上で、個々人がより能動的に事業に取り組み、成果や実力に応じて評価される組織風土を整備しなければならない。 変化の兆しは徐々に出始めている。まず、賃上げをする企業が徐々に増えている。日本経済の統計上、前年同月比で実質賃金が上昇するには至っていないものの、賃上げに対する経営トップの意識は高まっている。優秀な人材を獲得するには、より良い条件を示すことが避けて通れなくなってきたからだ。 賃上げをするためにも、自社の強みを見直し、成長期待の高い分野にリソースを振り分ける企業も増えている。この背景には、東京証券取引所が「低PBR企業」に対して、成長加速に向けた改革の策定と提示、コミットを求めたことが挙げられる。または、半導体分野で政府が支援策を強化した影響も大きい。 自社の向かうべき方向を明示し、個々人の新しい取り組みを積極的にサポートする――今後ますます、こうした企業経営の在り方が問われるだろう。納得できる戦略が提示された上で、内部にため込んだキャッシュあるいは低金利環境での借り入れを活用し、積極的に新規プロジェクトを実行する。日本の企業には、こうした経営風土の醸成が必要だ。 反対に、経営者の内向き志向が変わらないと、組織の士気は停滞し、持続的な収益の拡大は難しくなる。日本の経営トップは、世界最低の「仕事満足度5%」という大変残念な現実に、真摯(しんし)に向き合ってほしい』、「納得できる戦略が提示された上で、内部にため込んだキャッシュあるいは低金利環境での借り入れを活用し、積極的に新規プロジェクトを実行する。日本の企業には、こうした経営風土の醸成が必要だ。 反対に、経営者の内向き志向が変わらないと、組織の士気は停滞し、持続的な収益の拡大は難しくなる。日本の経営トップは、世界最低の「仕事満足度5%」という大変残念な現実に、真摯に向き合ってほしい」、同感である。
タグ:横山 信弘氏による「たった1カ月で「新入社員」半分退職まさかの原因 「採用コスト」は例年の5倍かけたのになぜ?」 東洋経済オンライン 「納得できる戦略が提示された上で、内部にため込んだキャッシュあるいは低金利環境での借り入れを活用し、積極的に新規プロジェクトを実行する。日本の企業には、こうした経営風土の醸成が必要だ。 反対に、経営者の内向き志向が変わらないと、組織の士気は停滞し、持続的な収益の拡大は難しくなる。日本の経営トップは、世界最低の「仕事満足度5%」という大変残念な現実に、真摯に向き合ってほしい」、同感である。 「経済全体で「羹(あつもの)に懲りてなますを吹く」とでもいうべき心理が高まった。成長期待の高い先端分野に進出するよりも、既存分野での事業運営を優先する企業が増えた。IT革命への遅れは深刻化した。 少子高齢化、人口減少も重なり、経済は縮小均衡した。資金調達や設備投資面で海外企業との競争に対応することも難しくなった。今なお、新卒一括採用、年功序列、終身雇用から成る雇用慣行を続ける企業も多い。その結果、わが国企業において、ワークエンゲージメントは低迷」、その通りだ。 「満足度が最も低かったのは、欧州(13%)だ。第9位が中東および北アフリカ(15%)、第8位がわが国や中国を含む東アジア地域(17%)だった」、「東アジア地域」の低さには驚かされた。 「わが国で「仕事満足度」・・・を感じる従業員の割合はわずか5%だった。調査対象の145カ国中、わが国はイタリアと並んで最低だ」、「経済が長期的に停滞し業績が伸び悩むと、賃金の下押し圧力も強まり満足感も得られにくい。だから、わが国の仕事満足度は低迷しやすい」、なるほど。 真壁昭夫氏による「日本人の仕事満足度「わずか5%」で世界最低!賃上げの他に必要な改革とは?」 「安全配慮義務は管理職にも該当」、確かにその通りだ。現場は、労働法規を軽視しがちだが、コンプライアンス重視の観点からも法令順守したいものだ。 確かに「会社は社員に対して安全配慮義務を負う」。 「D部長」が話し込んでいたのが、「E社労士」だったとはラッキーだ。 「「今日話せば絶対『ダメ』って言われるから、明日の朝連絡しよう。日曜って本来は休みなんだから、仕事なんてしなくてもいいんだよ」、なかなか巧みな上司操縦術だ。 「新商品の企画や商品管理を主に担当していた30歳代の主任2名が急に自己都合で退職した。C課長は現メンバーの中で在籍期間が最も長いAとBを主任に格上げし、退職した2人の業務を引き継がせた。そしてAとBがこれまで担当していたオペレーション業務をメンバー全員でカバーするために毎日2時間の残業をするようになった」、「2月から毎日残業している上に休みも取れなくなったAとBは、すっかり疲れ果ててしまった」、なるほど。 木村政美氏による「「もう48連勤ですよ!?」「休日手当は払ってる」社員vs会社…アウト、セーフどっち?」 ダイヤモンド・オンライン 「やるべきこと(マスト)をやり続けることで、やれること(キャン)が増え、やりたいこと(ウィル)が見つかる可能性がある、という話だ。 自分の先輩や上司でさえ先が読めない時代が到来している。だからこそ、新入社員はまずは厳しい現実を受け入れる必要がある」、「給料をもらうということはプロフェッショナルになるということだ。ストレスがかかっても、やるべきことをやっていれば、やれることが増えてくるものだ。 そうすることで成果が出て、多くの人から感謝され、働きがいを感じるもの」、なるほど。 「「入社したら、まるで働きがいを感じられないんですが」と新入社員に指摘されても、どうしたらいいかわからない。これが新入社員を受け入れる先輩たちの本音だろう。 ポイントは「Must」「Can」「Will」 それでは、どうしたらいいのか。 私は15年以上も前から、新入社員研修で一貫して言い続けているフレーズがある。それが、 1.Must やるべきこと 2.Can やれること 3.Will やりたいこと である」、 (RPA Technologies) 「実は「働きがい」という言葉は、リスクが高い。 なぜなら言葉の意味を、多くの人が誤解しているからだ。これは昨今、同じように使われるようになった「心理的安全性」にも言えることだ。 本来の意味をわからずに使用すると、大きな認識のズレとなり、トラブルを招くことになる。 実際に、社長や採用責任者、新入社員の先輩や上司も含め、ヒアリングしてみたところ、「働きがい」の真の意味を理解しているとは言いがたい状況だった」、なるほど (注)RPA:Robotic Process Automation、ロボットによる業務自動化 「辞めた4人のうち、ほとんど全員が「働きがいを感じられない」を口にしていた。 合同説明会から複数回の面接を経て入社するまで、「当社は働きがいのある会社」とアピールし続けた。社長も「働きがいのある会社に生まれ変わった」と事あるごとに繰り返していた。だからこそ、新入社員は裏切られたと感じたのかもしれない」、なるほど。 急に「新入社員」を増員しても、指導体制などが伴っていなければ、「4人が1カ月も経たずに退職」というのも当然だ。 「昨今、突如として「働きがい」という言葉を使って採用活動に励む会社が増えている。会社に興味を持ち応募する人が多くなるからだろう。しかし、気をつけたほうがいい。言葉を正しく理解していないと、採用の努力が無駄になることがある」、確かにその通りだ。 (その40)(たった1カ月で「新入社員」半分退職まさかの原因 「採用コスト」は例年の5倍かけたのになぜ?、「もう48連勤ですよ!?」「休日手当は払ってる」社員vs会社…アウト、セーフどっち?、日本人の仕事満足度「わずか5%」で世界最低!賃上げの他に必要な改革とは?) 働き方改革
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ウクライナ(その6)(極超音速キンジャール6発を撃ち落してわかった ロシア核はそんなに怖くない、ダム決壊でクリミアが干上がる?──悪魔のごとき「焦土作戦」、「モスクワへ進軍」「あと200km、死ぬ覚悟は出来ている」…この数日で「ロシア内戦」に至りそうだったワグネル創設者ブリコジンとプーチンの「蜜月と確執」の詳細、「ブリコジンの反乱」を招いてしまった「プーチンの狂気」とこれからロシアを待つ「ヤバすぎる展開」) [世界情勢]

ウクライナについては、本年3月1日に取上げた。今日は、(その6)(極超音速キンジャール6発を撃ち落してわかった ロシア核はそんなに怖くない、ダム決壊でクリミアが干上がる?──悪魔のごとき「焦土作戦」、「モスクワへ進軍」「あと200km、死ぬ覚悟は出来ている」…この数日で「ロシア内戦」に至りそうだったワグネル創設者ブリコジンとプーチンの「蜜月と確執」の詳細、「ブリコジンの反乱」を招いてしまった「プーチンの狂気」とこれからロシアを待つ「ヤバすぎる展開」)である。

先ずは、本年5月17日付けNewsweek日本版「極超音速キンジャール6発を撃ち落してわかった、ロシア核はそんなに怖くない」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/05/6-137_1.php
・『<プーチンが「どんな防空システムにも止められない」と豪語してきたキンジャール6発を含め全18発、高密度で飛んできたミサイルをウクライナがすべて迎撃できたとすれば、ロシアの核攻撃が成功する可能性は低くなる> ウクライナは、ロシアが5月16日にキーウ上空に発射した極超音速の空対地ミサイル「キンジャール」6発を撃墜したと発表した。西側の防空システムの有効性を実証するとともに、ロシアがこの戦争にもたらす核リスクの大きさが変わる可能性もある出来事だ。 ウクライナの発表によると、MiG-31戦闘機から発射された6発のKh-47キンジャールは、ロシアが一晩で発射したミサイル18発の一部だ。キンジャールのほかには、陸上から巡航ミサイル3発、黒海から「カリブル」巡航ミサイル9発が発射されたという。 ウクライナ軍総司令官のヴァレリー・ザルジニーは、18発すべての迎撃に成功したと述べている。とりわけキンジャールは核弾頭を搭載可能で、最高速度マッハ10とされており、ロシアは「誰にも止められない」と豪語してきた。 ドイツのシンクタンク、ヨーロッパ・レジリエンス・イニシアチブ・センターの創始者であるセルゲイ・サムレニーは本誌に対し、「ロシアが止められないと言った兵器はこれが初めてではなく、ほぼ止められることが判明している」と語った』、「キンジャールは・・・最高速度マッハ10」、なのに、「ウクライナ」側にすべて撃破された理由は、不明だが、低速走行中に撃破されたのかも知れない。
・『ロシアに勝った防空システム  「今回の件は、ロシア軍とロシア技術の信憑性に傷をつけた」とサムレニーは続ける。「通常、このような攻撃においては、防空システムが手一杯で迎撃が間に合わなくなるはずだ」 「西側の武器支援を受けたウクライナ軍は、ロシアによる、これまでで最も現代的な兵器を使った激しい攻撃も撃退できることがはっきりした」 またサムレニーは「西側では、核戦争へのエスカレーションが起こり得るという恐怖はいまだに根強い」と言う。「しかし、すべてのリスクの重みを改めて見直す必要がある」と述べた。 ウクライナがロシアの最先端のミサイル迎撃に成功したのが本当だとしたら、ロシアによる核攻撃が成功する可能性は「私たちが考えていたより大幅に低くなる」とサムレニーは言う。 開戦以来、ロシアの国営テレビはしばしば、自国の核兵器を自慢してきた。ウラジーミル・プーチン大統領も核威嚇を行ってきた。 ノルウェー、オスロ大学の博士研究員ファビアン・ホフマンは本誌の取材に対し、これほど激しく、時間調整された、多ベクトルのミサイル攻撃を封じたウクライナの能力は、「たとえこれらのミサイルに核兵器が搭載されたとしても、途中で撃ち落とせる可能性が十分ある」ことを示唆すると述べている。 「この事実は、ロシアの意思決定者に難しい問いを投げ掛けることになる。核兵器の有効性について、これまでよりも不安を感じることになるだろう」とホフマンは話す。 だからといって西側が、これまでより核エスカレーションのリスクを冒そうしてはならないが、「核で対峙することがロシアの利益になるとは思わない」とホフマンは述べた。) ウクライナは5月4日、アメリカの「パトリオット」防空システム(広域防空用の地対空ミサイルシステム)を使って、初めてキーウ近くの上空でキンジャール1発を撃墜したと発表している。 パトリオットは、NATO諸国がウクライナに供与している先進的な防空システムの一つだ。ドイツの短距離空対空ミサイル「IRIS-T」は、2022年10月にウクライナに到着し、以来、60以上の目標を撃墜している。フランスとイタリアが共同開発する地対空ミサイルシステム「SAMP/T」も最近到着した。 パトリオットが、18発のうち何発を迎撃したかは不明だが、ウクライナ軍の成功は、ウクライナが集中砲火に耐えられる防空システムを持ったことを示している。ウクライナ軍の指揮を執るセルヒイ・ポプコは今回の集中砲火について、「異例の密度」と表現する。 プーチンは、ロシア語で「短剣」を意味するキンジャールをロシアの次世代兵器と謳っていたが、「高度な防空システムを回避できる」といったロシアの主張に対しては、専門家から疑問の声が上がっていた』、「核兵器の有効性について、これまでよりも不安を感じることになるだろう」とホフマンは話す」、「「高度な防空システムを回避できる」といったロシアの主張に対しては、専門家から疑問の声が上がっていた」、なるほど。

次に、6月8日付けNewsweek日本版「ダム決壊でクリミアが干上がる?──悪魔のごとき「焦土作戦」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/06/post-101845_1.php
・『<環境を汚染し、飲料水も農地も奪ったダム決壊をウクライナはダム破壊による「焦土作戦」と呼ぶ。それも「焼かれた」のは、昨日まで自国領だと言っていた土地だ> ウクライナ政府はカホフカ・ダムの決壊で、南部の何万人もの住民が飲料水を利用できなくなると警告した。ウクライナ南部は今後何年も深刻な水不足に陥り、農業生産も大打撃を受けるとの懸念が広がっている。 6月6日、ウクライナ南部ヘルソン州ノバカホフカにあるロシア軍支配下の水力発電ダムが爆破され、住宅地が浸水し多数の住民が避難した。一夜明けた7日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はメッセージアプリ「テレグラム」で、「ロシアのテロリストたち」がウクライナ最大級の貯水池を意図的に破壊したと非難した。 一方、ロシアはウクライナがドニプロ(ドニエプル)川に建設されたダムに破壊工作を行なったと主張、非難合戦が続いている。 米シンクタンク・ジェームズタウン財団のアナリスト、アラ・フルスカによると、カホフカ貯水池の水位は1時間に15センチのペースで低下し続けており、深刻な水不足が予想されるという。 「今後数日様子を見ないと水の動きは読めないが、非常に深刻な影響が出ることは間違いない」』、こんなに戦略的に重要なダムへの攻撃を許してしまったのは、「ウクライナ」側の手落ちなのではなかろうか。
・『ロシア軍は北クリミア運河の利用を断念  「ヘルソン州の南部とクリミア、特にクリミア半島北部では飲料水が入手できなくなる恐れがある」と、フルスカは述べている。 カホフカ貯水池はウクライナのドニプロペトロウシク州の都市クリビー・リフで使用される水の70%前後を供給しており、市当局は市民に飲料水を貯めておくよう呼びかけた。ミコライウ州とザポリッジャ州、さらに南の地域の水供給にも影響が及ぶ恐れがある。 フルスカによれば、クリミアに駐留するロシア軍も、カホフカ貯水池から取水した水をクリミア半島に供給している「北クリミア運河」がもはや頼りにならないことを認めたという。 2014年のロシアによるクリミア併合で、ウクライナはこの運河経由のクリミアへの給水を制限したが、ロシアは昨年2月のウクライナ侵攻後、カホフカ・ダム周辺地域を支配下に置き、運河を経由してクリミア半島に淡水が豊富に供給されるようにした。 しかし「カホフカ海」と呼ばれるほど広大な貯水池が決壊した今、「クリミアは今後何年も水不足にあえぐことになると、多くの専門家がみている」と、フルスカは言う。) ウクライナ環境連盟の代表で、環境問題でウクライナ政府の顧問を務めるテチャナ・ティモツコはウクライナの国営通信社ウクルインフォルムにダム決壊は「この地域全体の農業に甚大な打撃を及ぼすだろう」と語った。 「クリミア半島は今後10年か15年、ことによると永久に淡水を確保できなくなる恐れがある」と、ティモツは述べた。 浸水地域の水が引けば、被害状況が明らかになるだろうが、ダム破壊が環境に与える影響について、本誌がウクライナのアントン・ヘラシチェンコ内相顧問にコメントを求めると、自身のツイッターの7日付けの投稿を見てほしいと言われた。 ヘラシチェンコはこの投稿で「カホフカ水力発電所の破壊は環境に壊滅的な被害を与える」と警告し、後2?4日でカホフカ貯水池の膨大な水は全て流出すると予測。一帯の国立公園や広大な土地の破壊など、環境に与える打撃を列挙している。 ヘラシチェンコはまた、ヘルソン州とミコライウ州の一部地域では何百種もの動植物が姿を消し、灌漑用水が使えなくなるためヘルソン州とザポリッジャ州のざっと150万ヘクタールの土地が穀物栽培など農業生産に利用できなくなると予測している。 ウクライナ内務省の顧問であるアントン・ゲラシュチェンコはツイートで、ドニプロ川から溢れた水は、有害物質やゴミを呑み込んで有毒かもしれないだけでなく、土壌から流出した地雷も紛れて近づくのは危険だと書いている。) ウクライナのセルギー・キスリツァ国連大使は、この「攻撃」は、退却する軍隊が敵に利用されそうなものはすべて焼き尽くしていく軍事戦略「焦土作戦」そのものだと言った。この場合恐ろしいのは、クリミア北部も含め被害に遭った土地の大半が、ロシアが「自分のもの」だとして統治してきた土地だということだ。「大地を焼き尽くす代わりに水浸しにすることで、この土地はもはやロシアのものではないと認めたようなものだ」』、「ドニプロ川から溢れた水は、有害物質やゴミを呑み込んで有毒かもしれないだけでなく、土壌から流出した地雷も紛れて近づくのは危険だと書いている」、「被害に遭った土地の大半が、ロシアが「自分のもの」だとして統治してきた土地だということだ。「大地を焼き尽くす代わりに水浸しにすることで、この土地はもはやロシアのものではないと認めたようなものだ」、「ロシア」のやり方は本当に酷い。

第三に、6月26日付けYahooニュースが転載した現代ビジネス「「モスクワへ進軍」「あと200km、死ぬ覚悟は出来ている」…この数日で「ロシア内戦」に至りそうだったワグネル創設者ブリコジンとプーチンの「蜜月と確執」の詳細」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/53ee0b83cdf2b99b10675cb961e3cc6b7f7252cb
・『プリゴジンがクーデター?  6月24日、「ロシアに混乱を招いた原因を見つけ出す」「死ぬ覚悟はできている」などとして突如「モスクワへの進軍」を宣言した、民間軍事組織ワグネルと創始者プリゴジン。 その後またたく間にモスクワの南、約500kmのボロネジの軍事施設を制圧。さらに北上を重ね、200kmあまりのリペツク州に迫っているかと25日の時点で世界各国の報道機関に報じられた。モスクワでは25日および月曜日の26日にも市民に対して外出禁止や仕事・学校を休むことなどが発令され、ロシア正規軍の都市防衛部隊も急遽展開するという、緊迫の情勢を見せていた。 しかしその直後、プリゴジンは一転して「ロシア人の血が流れることの責任の大きさを認識」と宣言してベラルーシへ転進。その後、同国のルカシェンコ大統領が仲介役を買って出たことや、プーチン大統領もブリコジンへの捜査を停止し出国を認めること、ルカシェンコ大統領への謝意などを示したことが矢継ぎ早に報じられた。一方で、その後プリゴジンの消息が聞こえないことなども取り沙汰されている。 ロシアで今いったい何が起きているのか? なぜ前例のないほどの「プーチンの弱腰」という例外状況が生じているのか、発端となったプリゴジンとプーチンの蜜月が生まれた背景、そして確執の経緯について、本誌が報じた記事を改めてお送りする。 「『ジイさん』が最終的に"クソ馬鹿"であることが明確になったら、国はどうすればいい? 戦争にどうやって勝てばいいのか?」 ロシアのSNS「テレグラム」の動画内でこう怒りをぶつけたのは、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者でオリガルヒ(新興財閥)のエフゲニー・プリゴジンだ』、興味深そうだ。
・『「クソ馬鹿なジイさん」  動画が公開されたのは、戦勝記念日にあたる5月9日のこと。そんな国の祝日に水を差すかのように、彼が口汚く「クソ馬鹿なジイさん」と罵る相手こそ、ウラジーミル・プーチン大統領その人だ。 プリゴジンが激昂するのは無理もない。ウクライナとの戦争が長期化する中、要衝バフムトの前線を維持してきたワグネル。しかし激戦の中、弾薬が底をつき始めていた。 「弾薬が70%足りない。ショイグ(国防相)、ゲラシモフ(参謀総長)! 弾薬はどこにあるんだ」 5月5日、プリゴジンが必死に訴えると、後日、弾薬が届いた。ところが、肝心の量は要求のたった10%。それどころか、「バフムトの陣地を離れたら、祖国に対する国家反逆罪になる」という脅し付きだったのだ。 「この戦争のみならず、シリア内戦の時も、プリゴジン率いるワグネルはロシアの正規軍よりも最前線に立って戦ってきました。それもすべては、『盟友』プーチンのために他なりません。しかし、ここ最近のやり取りから、プーチン側はプリゴジンを切り捨てたように見えます」(筑波大学名誉教授の中村逸郎氏))』、「ここ最近のやり取りから、プーチン側はプリゴジンを切り捨てたように見えます」、なるほど。
・『プーチンとプリゴジンの出会い  そもそも、プーチンとプリゴジンが長きにわたり蜜月関係にあったことは周知の事実だ。共にサンクトペテルブルク出身である2人が接近したのは1996年に遡る。 ホットドッグチェーンの立ち上げで財を成したプリゴジンは、サンクトペテルブルクに高級レストラン「スターラヤ・タモージニヤ」を開店する。ここに頻繁に通っていたのが、当時同市副市長のプーチンだった。カムチャツカ産のカニサラダ、カスピ海の最高級キャビア……プーチンの注文に対し、プリゴジンは自ら給仕を買って出たという。 拓殖大学海外事情研究所特任教授の名越健郎氏はこう語る。 「表向きはレストランなどの経営をしていたプリゴジンですが、裏では闇カジノに携わっていました。当時、プーチンはサンクトペテルブルクの闇カジノ撲滅委員長でもありました。そこでプリゴジンが『ウチのカジノだけはお目こぼしを』と取り入ったことで、親密になったと推測されます」 以降、プーチンはうまみのある学校給食の委託などでプリゴジンを重用する。その見返りとして、プリゴジンも自らの手を汚した。ワグネル以外にも、サイバー戦組織を指揮し、プーチンに有利に働くよう、ネット上の言論操作を行っている。 後編記事『「プリゴジンの反乱」を招いてしまった「プーチンの狂気」とこれからロシアを待つ「ヤバすぎる展開」』につづく』、「ホットドッグチェーンの立ち上げで財を成したプリゴジンは、サンクトペテルブルクに高級レストラン・・・を開店」、「頻繁に通っていたのが、当時同市副市長のプーチンだった」、「当時、プーチンはサンクトペテルブルクの闇カジノ撲滅委員長でもありました。そこでプリゴジンが『ウチのカジノだけはお目こぼしを』と取り入ったことで、親密になったと推測されます」 以降、プーチンはうまみのある学校給食の委託などでプリゴジンを重用する。その見返りとして、プリゴジンも自らの手を汚した。ワグネル以外にも、サイバー戦組織を指揮し、プーチンに有利に働くよう、ネット上の言論操作を行っている」、ずいぶん長い腐れ縁のようだ。

第四に、6月26日付け現代ビジネス「「ブリコジンの反乱」を招いてしまった「プーチンの狂気」とこれからロシアを待つ「ヤバすぎる展開」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/112397?imp=0
・『6月24日、「ロシアに混乱を招いた原因を見つけ出す」「死ぬ覚悟はできている」などとして突如「モスクワへの進軍」を宣言した、民間軍事組織ワグネルと創始者プリゴジン。 その後またたく間にモスクワの南、約500kmのボロネジの軍事施設を制圧。さらに北上を重ね、200kmあまりのリペツク州に迫っているかと25日の時点で世界各国の報道機関に報じられた。モスクワでは25日および月曜日の26日にも市民に対して外出禁止や仕事・学校を休むことなどが発令され、ロシア正規軍の都市防衛部隊も急遽展開するという、緊迫の情勢を見せていた。 しかしその直後、プリゴジンは一転して「ロシア人の血が流れることの責任の大きさを認識」と宣言してベラルーシへ転進。その後、同国のルカシェンコ大統領が仲介役を買って出たことや、プーチン大統領もプリゴジンへの捜査を停止し出国を認めること、ルカシェンコ大統領への謝意などを示したことが矢継ぎ早に報じられた。一方で、その後プリゴジンの消息が聞こえないことなども取り沙汰されている。 ロシアで今いったい何が起きているのか? なぜ前例のないほどの「プーチンの弱腰」という例外状況が生じているのか、発端となったプリゴジンとプーチンの蜜月が生まれた背景、そして確執の経緯について、本誌が報じた記事を改めてお送りする。 前編記事『「モスクワへ進軍」から1日で「ベラルーシに転進」したワグネル創設者エフゲニー・プリゴジンとプーチンとの「蜜月と確執」の経緯』より続く』、「モスクワ」まで「200kmあまりのリペツク州に迫っているかと25日の時点で世界各国の報道機関に報じられた。モスクワでは25日および月曜日の26日にも市民に対して外出禁止や仕事・学校を休むことなどが発令され、ロシア正規軍の都市防衛部隊も急遽展開するという、緊迫の情勢を見せていた」、一触即発の段階で、「ベラルーシに転進」するという驚きの展開をした背景についてみていこう。
・『5月の時点でプリゴジンを切り捨てていたプーチン  なぜプーチンは、5月の時点でそんなプリゴジンを容赦なく切り捨ててしまったのか。一説には、プリゴジンの政治的野心と反乱を抑えるためと考える向きがある。前出の中村氏が語る。 「プリゴジンに弾薬を渡すと、ウクライナとの戦争のために使わず、ロシアに攻め上がってくるのではないか、といった報道が出ています。それによれば、プリゴジンの目的は、自分がロシアの大統領になること。ここへきて、ウクライナと手を組み、軍事クーデターに動く可能性が出てきています」 実際、5月14日には、プリゴジンがウクライナ政府に対してロシアの侵攻部隊の位置情報提供を提案した、と米ワシントン・ポストが報じている。 だが一方で、プリゴジンの粛清はあまりにも合理性に欠ける、という意見もある。前出の名越氏もそう考える一人だ』、「5月の時点でプリゴジンを切り捨てていたプーチン」、「プリゴジンの目的は、自分がロシアの大統領になること。ここへきて、ウクライナと手を組み、軍事クーデターに動く可能性が出てきています」、複雑でよく分からない動きだ。
・『ワグネルとプリゴジンは一部では英雄的存在  「このままワグネルが前線地帯から撤退すれば、ロシアはより敗色濃厚になります。それにプリゴジンは今や愛国勢力の英雄的存在で、彼を支持する軍事ブロガーたちにもフォロワーが100万人ほどいる。それらを敵に回すと考えれば、プリゴジンを粛清することなど正気の沙汰と思えません」 はたして「皇帝」は何を考えているのか―おそらくは、この戦争泥沼化の失態の責任を誰に押しつけ、自らの身をいかにして守るかということだ。前出の中村氏はこう指摘する。 「現在の戦況は、完全にロシアがウクライナに負けている状態です。そこで、プーチンはプリゴジンに失敗の責任を取らせようとしているのではないでしょうか。まさに『トカゲの尻尾切り』です」 権力を掌握し、恒久的に維持しようとする独裁者は、けっして自分の非を認めようとはしない。それどころか、「どうせ代わりの者などいくらでもいる」と、下の者に責任を被せて追放し、追及から逃れるのが常だ。 プーチンがプリゴジンにそうするように、独裁者が、かつて盟友だった者に罪を被せ、粛清した事例は過去にも存在する。 ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーが、親友エルンスト・レームを粛清した「長いナイフの夜事件」がそうだ。 レームは、ヒトラーが党首になる前からの数少ない友人であり、互いに「俺」「お前」で呼び合う間柄だったという。そんな彼が率いる軍事組織「突撃隊」は、ナチ党の集会の警備や護衛に加え、反対党の襲撃などの実行部隊を担う、いわばヒトラー子飼いのテロ組織でもあった。 だが、ヒトラーが国のトップに立ち、権力を得ると、徐々に突撃隊が邪魔な存在になっていく。 「突撃隊による過激な暴力活動は、ナチスの暗黒面として批判されている。このままでは自分も糾弾され、権力の座を追われかねない。ならば幕僚長のレームに責任をなすりつけ、一掃すれば、大義名分にもなる。そうとなれば粛清するしかない」 こう考えたであろうヒトラーは、1934年、レーム率いる突撃隊関係者ら1000人以上を処刑。親友をも殺して、トカゲの尻尾切りを完遂したのである』、「「現在の戦況は、完全にロシアがウクライナに負けている状態です。そこで、プーチンはプリゴジンに失敗の責任を取らせようとしているのではないでしょうか。まさに『トカゲの尻尾切り』です」、なるほど。
・『肥大するナルシシズム  普通の人間であれば、人格を疑われるような責任逃れはそうできない。だが、独裁者は良心の呵責なく尻尾を切り取り、「すぐにまた生えてくる」とばかりに平然としている。そこには、どんな心理が働いているのか。 軍事心理学が専門である同志社大学教授の余語真夫氏が解説する。 「多くの独裁者に共通するのは、サイコパシー(精神病質)、マキャヴェリズム(権謀術数主義)、そしてナルシシズム(自己陶酔症)の3つの特性で構成される『ダーク・トライアド』というパーソナリティ特徴を持つということです。この3つの特性はすべて、他者への無関心や冷淡さに向かう傾向があり、自分の行動で他人に不利益が生じようとも、罪悪感を持つことは一切ないのです」 心理学の世界では、「悪の3大気質」とも呼ばれるダーク・トライアド。中でも、ナルシシズムという特性だけは、時代を問わず、ほぼすべての独裁者が有している。そう指摘するのは、早稲田メンタルクリニックの精神科医・益田裕介氏だ。 「独裁者は自分の目的を達成するため、部下を捨て駒のように扱うのが常です。その結果、次第に周囲は本音を言わなくなっていき、孤独感が募ります。すると、その寂しさを紛らわす心理作用として、自己暗示的に『ナルシシズムの強化』が行われるのです」 こんなプレッシャーに耐えられるのは自分しかいない。周囲は無能な人間ばかり。自分は運命に選ばれている。こうしたナルシシズムは、重度の人間不信と背中合わせだ。 「こうなると、もはや猜疑心の塊となり、誰も信じられなくなってしまう。だからトカゲの尻尾切りも平気で行えるわけです。この精神状態に一度なってしまうと、元に戻ることはほぼありません。プーチンも今、そういった状態にあるのでしょう」(益田氏) すでにプーチンは、プリゴジンに次ぐ新たな「トカゲの尻尾」を探しているかもしれない』、「サイコパシー(精神病質)、マキャヴェリズム(権謀術数主義)、そしてナルシシズム(自己陶酔症)の3つの特性で構成される『ダーク・トライアド』というパーソナリティ特徴を持つということです」、「中でも、ナルシシズムという特性だけは、時代を問わず、ほぼすべての独裁者が有している」、「こんなプレッシャーに耐えられるのは自分しかいない。周囲は無能な人間ばかり。自分は運命に選ばれている。こうしたナルシシズムは、重度の人間不信と背中合わせだ。 「こうなると、もはや猜疑心の塊となり、誰も信じられなくなってしまう。だからトカゲの尻尾切りも平気で行えるわけです。この精神状態に一度なってしまうと、元に戻ることはほぼありません。プーチンも今、そういった状態にあるのでしょう」(益田氏) すでにプーチンは、プリゴジンに次ぐ新たな「トカゲの尻尾」を探しているかもしれない」、「プーチン」が「猜疑心の塊となり、誰も信じられなくなってしまう。だからトカゲの尻尾切りも平気で行えるわけです」、大いにありそうな見方だ。
タグ:「ドニプロ川から溢れた水は、有害物質やゴミを呑み込んで有毒かもしれないだけでなく、土壌から流出した地雷も紛れて近づくのは危険だと書いている」、「被害に遭った土地の大半が、ロシアが「自分のもの」だとして統治してきた土地だということだ。「大地を焼き尽くす代わりに水浸しにすることで、この土地はもはやロシアのものではないと認めたようなものだ」、「ロシア」のやり方は本当に酷い。 、こんなに戦略的に重要なダムへの攻撃を許してしまったのは、「ウクライナ」側の手落ちなのではなかろうか。 「「現在の戦況は、完全にロシアがウクライナに負けている状態です。そこで、プーチンはプリゴジンに失敗の責任を取らせようとしているのではないでしょうか。まさに『トカゲの尻尾切り』です」、なるほど。 「5月の時点でプリゴジンを切り捨てていたプーチン」、「プリゴジンの目的は、自分がロシアの大統領になること。ここへきて、ウクライナと手を組み、軍事クーデターに動く可能性が出てきています」、複雑でよく分からない動きだ。 「こうなると、もはや猜疑心の塊となり、誰も信じられなくなってしまう。だからトカゲの尻尾切りも平気で行えるわけです。この精神状態に一度なってしまうと、元に戻ることはほぼありません。プーチンも今、そういった状態にあるのでしょう」(益田氏) すでにプーチンは、プリゴジンに次ぐ新たな「トカゲの尻尾」を探しているかもしれない」、「プーチン」が「猜疑心の塊となり、誰も信じられなくなってしまう。だからトカゲの尻尾切りも平気で行えるわけです」、大いにありそうな見方だ。 「サイコパシー(精神病質)、マキャヴェリズム(権謀術数主義)、そしてナルシシズム(自己陶酔症)の3つの特性で構成される『ダーク・トライアド』というパーソナリティ特徴を持つということです」、「中でも、ナルシシズムという特性だけは、時代を問わず、ほぼすべての独裁者が有している」、「こんなプレッシャーに耐えられるのは自分しかいない。周囲は無能な人間ばかり。自分は運命に選ばれている。こうしたナルシシズムは、重度の人間不信と背中合わせだ。 「モスクワ」まで「200kmあまりのリペツク州に迫っているかと25日の時点で世界各国の報道機関に報じられた。モスクワでは25日および月曜日の26日にも市民に対して外出禁止や仕事・学校を休むことなどが発令され、ロシア正規軍の都市防衛部隊も急遽展開するという、緊迫の情勢を見せていた」、一触即発の段階で、「ベラルーシに転進」するという驚きの展開をした背景についてみていこう。 現代ビジネス「「ブリコジンの反乱」を招いてしまった「プーチンの狂気」とこれからロシアを待つ「ヤバすぎる展開」」 以降、プーチンはうまみのある学校給食の委託などでプリゴジンを重用する。その見返りとして、プリゴジンも自らの手を汚した。ワグネル以外にも、サイバー戦組織を指揮し、プーチンに有利に働くよう、ネット上の言論操作を行っている」、ずいぶん長い腐れ縁のようだ。 「ホットドッグチェーンの立ち上げで財を成したプリゴジンは、サンクトペテルブルクに高級レストラン・・・を開店」、「頻繁に通っていたのが、当時同市副市長のプーチンだった」、「当時、プーチンはサンクトペテルブルクの闇カジノ撲滅委員長でもありました。そこでプリゴジンが『ウチのカジノだけはお目こぼしを』と取り入ったことで、親密になったと推測されます」 「ここ最近のやり取りから、プーチン側はプリゴジンを切り捨てたように見えます」、なるほど。 現代ビジネス「「モスクワへ進軍」「あと200km、死ぬ覚悟は出来ている」…この数日で「ロシア内戦」に至りそうだったワグネル創設者ブリコジンとプーチンの「蜜月と確執」の詳細」 yahooニュース Newsweek日本版「ダム決壊でクリミアが干上がる?──悪魔のごとき「焦土作戦」」 「核兵器の有効性について、これまでよりも不安を感じることになるだろう」とホフマンは話す」、「「高度な防空システムを回避できる」といったロシアの主張に対しては、専門家から疑問の声が上がっていた」、なるほど。 (その6)(極超音速キンジャール6発を撃ち落してわかった ロシア核はそんなに怖くない、ダム決壊でクリミアが干上がる?──悪魔のごとき「焦土作戦」、「モスクワへ進軍」「あと200km、死ぬ覚悟は出来ている」…この数日で「ロシア内戦」に至りそうだったワグネル創設者ブリコジンとプーチンの「蜜月と確執」の詳細、「ブリコジンの反乱」を招いてしまった「プーチンの狂気」とこれからロシアを待つ「ヤバすぎる展開」) ウクライナ 「キンジャールは・・・最高速度マッハ10」、なのに、「ウクライナ」側にすべて撃破された理由は、不明だが、低速走行中に撃破されたのかも知れない。 Newsweek日本版「極超音速キンジャール6発を撃ち落してわかった、ロシア核はそんなに怖くない」
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ミャンマー(その7)(インドネシア クーデターから2年のミャンマーに将軍派遣へ 民主化への経験共有は可能か、少年を斬首 女性をレイプ 僧侶も銃殺…残虐性増すミャンマー国軍の血も涙もない攻撃、ミャンマー軍事政権に曖昧な姿勢を続ける日本 人権活動家が語る現地の危機と日本への要請) [世界情勢]

ミャンマーについては、昨年2月17日に取上げた。今日は、(その7)(インドネシア クーデターから2年のミャンマーに将軍派遣へ 民主化への経験共有は可能か、少年を斬首 女性をレイプ 僧侶も銃殺…残虐性増すミャンマー国軍の血も涙もない攻撃、ミャンマー軍事政権に曖昧な姿勢を続ける日本 人権活動家が語る現地の危機と日本への要請)である。

先ずは、本年2月3日付けNewsweek日本版「インドネシア、クーデターから2年のミャンマーに将軍派遣へ 民主化への経験共有は可能か」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/02/2-471_1.php
・『<ASEAN議長であり、かつて民主化の道を歩んだ国がミャンマー問題を解決しに動き出した> インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は2月2日、膠着状態に陥っているミャンマー問題への打開の道筋を探るために近くインドネシア軍の将軍クラスをミャンマーに派遣する方針をロイター通信とのインタビューの中で明らかにした。 インドネシアとしては1998年に約30年にわたるスハルト長期独裁政権の崩壊から民主国家への道を歩み始めた経緯や経験をミャンマーの軍事政権と共有することでなんとか軍政と民主勢力との対話による平和的な解決を促す狙いがある。 インドネシアは2023年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国であることや2021年2月1日のクーデター発生を受けて同年4月に首都ジャカルタでASEAN緊急首脳会議を開催するなど、ミャンマー問題に積極的に関わって来たことも今回の動きの背景にある』、「インドネシアとしては1998年に約30年にわたるスハルト長期独裁政権の崩壊から民主国家への道を歩み始めた経緯や経験をミャンマーの軍事政権と共有することでなんとか軍政と民主勢力との対話による平和的な解決を促す狙い」、なるほど。
・『変革に関係した将軍を派遣へ  ジョコ・ウィドド大統領は「将軍派遣」に関して具体的な日程や派遣する将軍の人選に関しては明らかにしなかったが、陸軍幹部で第6代大統領だったスシロ・バンバン・ユドヨノ氏、ジョコ・ウィドド大統領と親しいアンディカ・プルカサ前国軍司令官、プラボウォ・スビアント国防相などの名前が取り沙汰されている。 しかしジョコ・ウィドド大統領がインタビューの中で「インドネシアの(民主化という)変革に関与した人物」を想定していると述べたことから1998年以降のインドネシア民主化に関わった軍人である可能性が高く、国防相や政治・法務・治安担当の調整相も歴任したウィラント元国軍司令官の可能性も浮上している。 ウィラント氏は1998年当時の国軍司令官だったが、国民の民主化を求める運動が高まるなかでスハルト大統領に「大統領辞任」を促しそれが結局大統領職に拘り続けていたスハルト大統領に「引導を渡した」結果となった経緯がある』、「ミャンマー」側の受け入れ体制を見る前に、「インドネシア」側の候補者を云々するのは時期尚早な印象がある。
・『大統領自身のミャンマー訪問に含み  ジョコ・ウィドド大統領は自身のミャンマー訪問についてインタビューでは完全に否定せず含みをもたせながらも、ミャンマー軍事政権のトップがミン・アウン・フライン国軍司令官という軍人であることから「同じ軍人という背景をもつ者同士の方が話ししやすいという面もある」として、今回はインドネシア国軍の退役将軍クラスによる「可能な限り早い時期」の派遣検討となったとしている。 ミャンマーにはクーデター以降ASEAN加盟国の首脳クラスとしては2022年の議長国だったカンボジアのフンセン首相が首都ヤンゴンを訪れミン・アウン・フライン国軍司令官と首脳会談を行ったことがある。 さらに外相クラスでは2021年の議長国ブルネイのエルワン第2外相がASEAN特使として、さらに2022年に同じくASEAN特使だったカンボジアのプラク・ソコン外相などがヤンゴンを訪問し事態打開策を協議している』、「ジョコ・ウィドド大統領は自身のミャンマー訪問についてインタビューでは完全に否定せず含みをもたせながらも、ミャンマー軍事政権のトップがミン・アウン・フライン国軍司令官という軍人であることから「同じ軍人という背景をもつ者同士の方が話ししやすいという面もある」として、今回はインドネシア国軍の退役将軍クラスによる「可能な限り早い時期」の派遣検討となったとしている」、いくら「軍人」「同士」とはいえ、国民の虐殺という点では大きな違いがあるのではなかろうか。
・『ASEANの分断が深刻化  ASEANの対ミャンマー対応方針は2021年4月にジャカルタで開催されたASEAN緊急首脳会議でミン・アウン・フライン国軍司令官も出席して合意に達した「5項目の合意」が基本線となっていた。 しかしミャンマー軍政は「武力行使の即時停止」「全関係者とASEAN特使の面会」という2項目について拒否を続けている。 2022年の議長国だったカンボジアはフンセン首相が旗振り役となってミャンマー問題打開に積極的姿勢をみせ、自らヤンゴンを訪問してミン・アウン・フライン国軍司令官と会談するなどASEANによる和解調停の主導権を握り存在感を示そうとした。 だが、2022年7月にミャンマー軍政が政治犯4人の死刑をフンセン首相の中止要請にも関わらず執行したことでカンボジアもミャンマーに強硬姿勢を続けるマレーシアやインドネシア、シンガポール、フィリピンに同調せざるを得なくなった。 そして2022年10月のASEAN首脳会議からミン・アウン・フライン国軍司令官は招待されず、以降ミャンマー軍政関係者抜きのASEAN会議が続いている。2月3日からインドネシア・ジョグジャカルタで開かれるASEAN環境相会議にも軍政が選任した「環境相格」は招待されない事態となっている』、「2022年7月にミャンマー軍政が政治犯4人の死刑をフンセン首相の中止要請にも関わらず執行したことでカンボジアもミャンマーに強硬姿勢を続けるマレーシアやインドネシア、シンガポール、フィリピンに同調せざるを得なくなった・・・以降ミャンマー軍政関係者抜きのASEAN会議が続いている」、「ミャンマー軍政」側の行き過ぎた「強硬姿勢」に原因がある。
・『タイのスタンドプレー  こうしたASEANによるミャンマー問題の仲介工作が行き詰るなか、タイは12月22日にミャンマー軍政の「外相格」であるワナ・マウン・ルウィン氏をバンコクに招いて外相会談を開催した。しかし参加したのはタイ、カンボジア、ラオス、ベトナムの外相や外相級で対ミャンマーの姿勢が融和的な国やミャンマーの最大の後ろ盾である中国と極めて親しい関係の国に限定された。 インドネシアやマレーシア、シンガポール、フィリピンは招待されたものの参加を拒否した。その結果この会談は「ASEAN非公式外相会議」との位置づけとなった。 ミャンマーと同様にクーデターで実権を握ったプラユット首相(陸軍大将)が率いるタイ政府が開催した「非公式外相会」だが、ASEAN内部の分断を加速させる動きだとの警戒感が広がっているという。 今回のジョコ・ウィドド大統領の将軍派遣はタイのスタンドプレーを巻き返し、主導権を発揮する狙いもあるとみられているが、軍人同士の対話が事態打開の糸口となるかは不透明だ。 ジョコ・ウィドド大統領は事態打開の進展がなければ「断固として行動する」と明らかにしており、今後の議長国インドネシアによるASEANのかじ取りが注目されている』、肝心の「ミャンマー側」の受け入れについては、明確な記述がない。その後の続報もないようだ。しばし静観するほかなさそうだ。

次に、3月19日付け現代ビジネス「少年を斬首、女性をレイプ、僧侶も銃殺…残虐性増すミャンマー国軍の血も涙もない攻撃」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/107805?imp=0
・『軍政の残虐非道な行動が明らかに  ミン・アウン・フライン司令官率いるミャンマー軍事政権は2022年から2023年にかけて反軍政の抵抗を続ける市民組織「国民防衛軍(PDF)」などへの弾圧を強化しており、その過程で一般市民の殺害も増加している。 そうした中でも特に未成年の若者や女性を虐殺するケースが相次いで報告され、人権侵害がこれまで以上に深刻化しているという。 さらに2023年3月13日にはミャンマーの独立系メディアが仏教寺院に避難していた一般市民と同時に僧侶をも殺害していたことを報じた。 ミャンマーは国民の90%を仏教徒が占める国で、僧侶は国民の尊敬を集める対象となっているだけに、僧侶まで殺害するという軍政の容赦ない姿勢は反軍政を掲げる国民の反感と怒りを高めている。 こうした軍政の残虐非道な行動は、2月2日に戒厳令を7郡区から37郡区に拡大し、同月22日にもさらにサガイン地方域で3郡区を追加するなどして、抵抗勢力との戦闘が激化している地方での軍の権力を強化したことと関係があるとみられている。 2021年2月のクーデター以降すでに2年以上が経過しながらも、国内の治安が一向に安定せず、8月に予定している「民主的な総選挙」の実施も危ぶまれる状況に対する軍政の焦りが背景にあるとの見方が有力視されている。 軍政は総選挙実施で軍政に対する「国民の信任」を得たとしてクーデターの正当化を目論んでいるため、万難を排してまでも総選挙実施を企図しているとされ、各地から報告される兵士による残虐行為はその反映とされている』、「8月に予定している「民主的な総選挙」の実施も危ぶまれる状況に対する軍政の焦りが背景にあるとの見方が有力視されている。 軍政は総選挙実施で軍政に対する「国民の信任」を得たとしてクーデターの正当化を目論んでいるため、万難を排してまでも総選挙実施を企図しているとされ、各地から報告される兵士による残虐行為はその反映とされている」、なるほど。
・『寺院の避難民を僧侶と共に殺害  独立メディア「ミャンマー・ナウ」はミャンマー北東部シャン州南部ピンラウン郡区のナンニント村で市民ら29人が殺害されているのを地元抵抗勢力である「カレンニー民族防衛隊(KNDF)」が3月13日の声明で明らかにしたと伝えた。29人の中には仏教僧侶3人が含まれていたとしている。 KNDFなどによると、軍は11日にナンニント村に空爆や砲撃を加えた上で、地上部隊が村に進入、村内の仏教寺院に避難していた市民を外に連れ出しその場で射殺した。その時僧侶3人も同時に殺害されたとしている。犠牲者には10代前半の少年2人も含まれ、全員がナンニント村の男性住民であるとしている。 ナンニント村の大半の住民は軍による攻撃激化を恐れて数週間前にすでに村外に避難していたが、僧侶が避難をせずに村に留まったことから20数人の男性村人が共に村に残り、空襲・砲撃を逃れるために寺院に避難していたという。 KNDFはナンニント村の状況を確認するためにドローンで上空から偵察していたところ、寺院で多数の遺体を発見したものの兵士が撤退するのを待ったため現場の寺院には12日までたどり着けなかったとしている。 KNDFのミャンマー語のホームページには殺害現場の生々しい写真が複数アップされ、民族衣装であるロンジーをまとった多数の男性が銃撃を受けて頭部や上半身などから血を流して寺院の外壁周辺に倒れている様子が写っている。 死者の間にはサフラン色の僧衣をまとった仏教僧侶が僧衣の一部を血に染めて横たわっており、寺院の外壁にも多数の弾痕が残されている。住民らに向けて銃を乱射して殺害した問答無用の残虐行為の跡がみてとれる。KNDFによると兵士はその後、ナンニント村の住居を焼き払ったという。 この寺院襲撃、僧侶殺害に関し、軍政のゾー・ミン・トゥン報道官はメディアに対して武装市民組織と民間人の何人かが死亡したことは確認したものの「地元のPDFメンバーによる殺害である」として兵士の関与を否定した』、「僧侶が避難をせずに村に留まったことから20数人の男性村人が共に村に残り、空襲・砲撃を逃れるために寺院に避難していたという・・・KNDFのミャンマー語のホームページには殺害現場の生々しい写真が複数アップされ、民族衣装であるロンジーをまとった多数の男性が銃撃を受けて頭部や上半身などから血を流して寺院の外壁周辺に倒れている様子が写っている。 死者の間にはサフラン色の僧衣をまとった仏教僧侶が僧衣の一部を血に染めて横たわっており、寺院の外壁にも多数の弾痕が残されている。住民らに向けて銃を乱射して殺害した問答無用の残虐行為の跡がみてとれる』、何のための虐殺なのだろう。
・『若者を虐殺、斬首で遺体放置  独立系メディアなどによると、2月25日に北西部サガイン地方域ミンム郡区ニャウン・ピンカン村付近で武装市民組織PDFと軍による戦闘が発生した。PDF側が弾薬不足のため退却する際に退路に地雷を埋設していた若者5人が軍に拘束された。 その後若者5人の遺体が発見されたが、うち3人は斬首され、頭部が竹柵や荷車の上に「晒し首」状態で放置されており、中には手足が切断された遺体もあったという。遺体には銃創が一切ないことから、若者らは生きたまま斬首された可能性が高いとみられている。 兵士は殺害した若者の携帯電話を取り上げて犠牲者の親族や友人に電話をかけて「死を祝っている」と述べたうえ、犠牲者を罵倒し続けたという。 斬首されたのは15歳の少年、17歳と19歳の青年で、いずれも地元の武装市民組織を手伝い地雷を設置していたところを軍に拘束され、虐殺されたという。事件を伝える独立メディアのウェブサイトには3人の若者がほほ笑む生前の写真がアップされている。 同村周辺ではさらに2人の若者の殺害遺体も発見されているほか、サガイン地方域カン・タイン村では別の男性2人の斬首遺体が発見され、同地方域ミンム郡区ニャウンイン村では16人が殺害されている。 このように国軍は今や、軍に同調しない市民とみれば年齢に関係なく殺害するという「殺人組織」と化している。 こうした傾向は以前からあり、2022年9月にはサガイン地方域にある小学校が空爆されて児童11人が犠牲となり15人が行方不明となった。この時、軍は死亡した子供たちの遺体を袋詰めにしてトラックでどこかに運び去ったと地元メディアは伝えている。 国連によるとクーデター発生後、ミャンマー全国で軍による攻撃で死亡あるいは重傷を負った子供は少なくとも約400人に上っている。 このほか10月には北部カチン州ハパカント近郊の村で軍政に抵抗を続ける少数民族武装勢力やその支持者、一般市民が参加して開催中のコンサート会場を軍が空爆して地元の著名女性歌手や男性演奏家、多数の観衆が殺害される事件も起きている』、「若者5人の遺体が発見されたが、うち3人は斬首され、頭部が竹柵や荷車の上に「晒し首」状態で放置されており、中には手足が切断された遺体もあったという。遺体には銃創が一切ないことから、若者らは生きたまま斬首された可能性が高いとみられている。 兵士は殺害した若者の携帯電話を取り上げて犠牲者の親族や友人に電話をかけて「死を祝っている」と述べたうえ、犠牲者を罵倒し続けたという。 斬首されたのは15歳の少年、17歳と19歳の青年で、いずれも地元の武装市民組織を手伝い地雷を設置していたところを軍に拘束され、虐殺されたという」、「国軍は今や、軍に同調しない市民とみれば年齢に関係なく殺害するという「殺人組織」と化している。 こうした傾向は以前からあり、2022年9月にはサガイン地方域にある小学校が空爆されて児童11人が犠牲となり15人が行方不明となった。この時、軍は死亡した子供たちの遺体を袋詰めにしてトラックでどこかに運び去ったと地元メディアは伝えている。 国連によるとクーデター発生後、ミャンマー全国で軍による攻撃で死亡あるいは重傷を負った子供は少なくとも約400人に上っている。 このほか10月には北部カチン州ハパカント近郊の村で軍政に抵抗を続ける少数民族武装勢力やその支持者、一般市民が参加して開催中のコンサート会場を軍が空爆して地元の著名女性歌手や男性演奏家、多数の観衆が殺害される事件も起きている」、「国軍は今や、軍に同調しない市民とみれば年齢に関係なく殺害するという「殺人組織」と化している」、恐ろしいことだ。
・『レイプして殺害される女性たち  3月2日、サガイン地方域サガイン群区タルタイン村で女性3人を含む住民が軍に拘束されて「人間の盾」として戦闘現場に立たされたことが報じられた。 さらに同じ日、同地方域ミンム群区ニャウンイン村でレイプされた女性の遺体が発見されたほか。同村では計14人の遺体が発見されたが、その中にはレイプされ顔面や頭部を激しく殴打された痕跡の残る女性3人の遺体も含まれていたという。 2022年8月27日には、サガイン地方域カニ郡区タイエットピンブラ村に進入した兵士らが民家に取り残された知的障害のある40代の女性を屋外に連れ出して複数の兵士がレイプした。 また同月11日には同地方域インマビン群区インバウンテン村で10代の少女ら2人が兵士から集団レイプを受け、その後殺害され、遺体が崖に全裸の状態で放置されるという残虐な事件も明らかになっている』、男性兵士の士気向上のためなのだろうか。
・『激化する人権侵害事件  このように軍は2022年から、各地で抵抗を続ける武装市民組織メンバーに対する掃討作戦を通じて一般市民を巻き込んだ強権的弾圧を強化、女性や若者をも無差別に殺害しているが、国民の尊敬と信仰の対象である仏教僧侶まで容赦なく殺害するという暴挙に対し内外から厳しい批判が高まっている。 戒厳令を拡大したことで地方の行政権が大幅に軍に移譲され、軍はこうした残虐行為を通じて抵抗勢力や反軍政の市民への「見せしめ効果」を狙っているとされる。しかしこうした残虐な人権侵害行為は反軍政感情を一層高めるという逆効果を招いており、ミャンマーの混乱は収拾不能な状況に陥っている。 タイ西部ターク県メーソットに本拠を置くミャンマーの人権団体「ミャンマー政治犯支援協会(AAPP)」によると、3月14日現在、軍政によって身柄を拘束された市民は20359人、殺害された市民は3124人に上っている』、「戒厳令を拡大したことで地方の行政権が大幅に軍に移譲され、軍はこうした残虐行為を通じて抵抗勢力や反軍政の市民への「見せしめ効果」を狙っているとされる。しかしこうした残虐な人権侵害行為は反軍政感情を一層高めるという逆効果を招いており、ミャンマーの混乱は収拾不能な状況に陥っている」、「3月14日現在、軍政によって身柄を拘束された市民は20359人、殺害された市民は3124人に上っている」、軍隊が国民を護るのではなく、虐待するとは、「ミャンマー」は酷い国だ。もっとも、スーチー氏の父親のアウンサン将軍は国民的な人気があったようだから、その後、軍隊が劣化したのだろう。

第三に、6月25日付け東洋経済オンライン「ミャンマー軍事政権に曖昧な姿勢を続ける日本 人権活動家が語る現地の危機と日本への要請」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/681301
・『激化する国軍による市民の弾圧、超大型サイクロン・モカによる深刻な被害と被災者の孤立……。5月末に来日したミャンマーの人権活動家キンオーンマー氏(プログレッシブ・ボイス会長)に、ミャンマー現地の実情と日本の責務についてインタビューした。(Qは聞き手の質問、Aは筆者の回答) Q:国軍と民主派勢力の戦いが激しさを増す中、軍事政権は総選挙を実施すべく準備を進めているといいます。 A:有権者名簿の作成や投票所に配置される係員の訓練などの準備を進めている。ただ、ミャンマーの市民は選挙に強く反対しており、かなりの抵抗に遭っている。 (Khin Ohmar/プログレッシブ・ボイス会長の略歴はリンク先参照)。 A:軍事政権は政党登録に関する新しい法律を制定したが、クーデター前に政権を担っていたアウンサンスーチー氏率いる「国民民主連盟」(NLD)や「シャン民族民主連盟」(SNLD)は政党登録を抹消された。代わりに国軍がコントロールする政党がいくつも結成された。仏教徒の極右ナショナリストの政党や、麻薬王が作った政党、実態のない少数民族の政党などを国軍は自分たちのコントロール下に置いて総選挙を有利に進めようとしている。 バングラデシュの難民キャンプにいるロヒンギャの人たちについても、ミャンマーに帰還させるパイロットプロジェクトを軍事政権は開始している。そこに参加すれば市民権を与えるとか、法的地位を保証する身分証明用のカードを発給するとしているが、そのカードは投票で使えるだけで他にはほとんど意味がない』、「国軍と民主派勢力の戦いが激しさを増す中、軍事政権は総選挙を実施すべく準備を進めている・・・市民は選挙に強く反対しており、かなりの抵抗に遭っている」、「アウンサンスーチー氏率いる「国民民主連盟」(NLD)や「シャン民族民主連盟」(SNLD)は政党登録を抹消された。代わりに国軍がコントロールする政党がいくつも結成された。仏教徒の極右ナショナリストの政党や、麻薬王が作った政党、実態のない少数民族の政党などを国軍は自分たちのコントロール下に置いて総選挙を有利に進めようとしている」、なるほど。
・『笹川陽平氏の動きに疑念  Q:総選挙に正当性があるとは思えませんが。 A:文民統制下の2020年に実施された総選挙に関与した公務員やボランティアとも話をしたが、彼らの誰一人として、このたび軍事政権が行おうとしている総選挙を支持する者はいなかった。しかし、国軍の兵士が自宅に来て銃を突きつけ、投票を強制した場合、住民がそれに逆らうことは難しい。また、国軍は住民を困窮させたあげくに、コメなどの食料支援と引き替えに票を得ようとするかもしれない。 Q:「ミャンマー国民和解担当日本政府代表」の肩書きを持つ日本財団会長の笹川陽平氏は今年2月にミャンマーを訪問した後、タイの首都バンコクで記者会見に臨み、「民主化の第一歩は選挙。何が何でもやらないといけない」と力説したと報じられています。 笹川氏に対しては4月にミャンマーの406の市民社会団体が書簡を送り、「『選挙』を支持する発言が日本政府の特使としてのものだったのか」について問い合わせた。特使の任務の詳細や、特使としての活動の予算や報酬、特使が日本政府のどの部署に対して報告義務を負うのかについても明らかにするように求めた。しかし笹川氏から回答は得られなかった。日本政府も笹川氏の活動との関係について明言を避けている。) Q:日本政府はどのような姿勢を取るべきだと思いますか。 A:日本政府は軍事クーデターへの非難声明を出す一方で、軍事政権への政府開発援助(ODA)を継続している。軍事クーデター前年の総選挙で勝利した民主派と軍事政権のどちらを支持しているのかもはっきりしない。ミャンマーの国民はこうした日本の曖昧な姿勢に困惑している。日本政府にはミャンマー民主化のために道義的・倫理的役割を発揮するように求めたい。 日本は国連安全保障理事会の非常任理事国でもある。2022年12月に採択された安保理決議を踏まえ、ジェノサイド、戦争犯罪、そして人道に対する罪について国軍の責任を追及する具体的な措置を取るべきだ。 また、次のようなことができるはずだ。すなわち、(1)国軍関係者や国軍系企業をターゲットにした経済制裁の実施、(2)NUGとの対話、(3)軍事政権が強行しようとしている総選挙を支持しないと表明すること、(4)ミャンマー国軍の支配下で実施されているすべてのODAを直ちに打ち切ること、(5)在日ミャンマー人の保護、などだ。 今般の入管法改正により強制送還が増える事態ともなれば、在日ミャンマー人は生命の危機に直結する。国外に居住していたというだけで逮捕・投獄されたミャンマー人を私は知っている。在日ミャンマー人の中には民主化支援の活動をしている人も多く、帰国すれば必ず尋問を受けることになる』、「「ミャンマー国民和解担当日本政府代表」の肩書きを持つ日本財団会長の笹川陽平氏は今年2月にミャンマーを訪問した後、タイの首都バンコクで記者会見に臨み、「民主化の第一歩は選挙。何が何でもやらないといけない」と力説」、事実上、「日本政府」の代理をしているようだが、とんでもないことだ。「日本政府は軍事クーデターへの非難声明を出す一方で、軍事政権への政府開発援助(ODA)を継続している。軍事クーデター前年の総選挙で勝利した民主派と軍事政権のどちらを支持しているのかもはっきりしない。ミャンマーの国民はこうした日本の曖昧な姿勢に困惑している。日本政府にはミャンマー民主化のために道義的・倫理的役割を発揮するように求めたい。 日本は国連安全保障理事会の非常任理事国でもある。2022年12月に採択された安保理決議を踏まえ、ジェノサイド、戦争犯罪、そして人道に対する罪について国軍の責任を追及する具体的な措置を取るべきだ」、「ODA」継続の条件に民主化を入れることも可能な筈だ。
・『弱体化する国軍、日本はNUGと対話を  Q:日本政府は民主派勢力が結成したNUGとどのように関係を持つべきでしょうか。 A:日本がNUGとの公式の連絡手段を持っていないのは戦略的な誤りだ。(欧米諸国のみならず)中国やインドネシア、マレーシア、韓国もNUGと連絡を取っている。日本がミャンマーにきちんと関与するためには、NUGときちんと対話すべき。日本政府は軍事政権を長引かせたいのか、あるいは文民統制に戻ってほしいと思っているのか、はっきりしてほしい。 Q:民主派勢力の抵抗に遭い、国軍も弱体化しているとも指摘されています。 A:10年前、国軍は40万人を擁していると言われていた。しかし(西側の)軍事アナリストの推計では、クーデター前に実際の人数は30万人もいないと指摘されていた。クーデター後はさらに2万~3万人減っていると見られる。新たな兵士の募集もできていない。軍隊から離脱すると家族にも危害が及びかねないが、2万人以上の兵士がこれまでに国軍から脱走している。 民主派勢力や少数民族武装組織との戦いが長引く中、国軍は広大な国土に薄く広く展開せざるをえず、あらゆる場所で市民の抵抗に遭っている。国軍の兵士は疲れ果て、追い込まれている。国軍は国土の20%以下しか支配下に置いていない。民主派勢力に勝機はある』、「日本がNUGとの公式の連絡手段を持っていないのは戦略的な誤りだ。(欧米諸国のみならず)中国やインドネシア、マレーシア、韓国もNUGと連絡を取っている。日本がミャンマーにきちんと関与するためには、NUGときちんと対話すべき」、「日本がNUGとの公式の連絡手段を持っていない」というのは初めて知った。外務省は一体、何をやっているのだろう。「国軍の兵士は疲れ果て、追い込まれている。国軍は国土の20%以下しか支配下に置いていない。民主派勢力に勝機はある」、そうであれば、なをさら「NUGときちんと対話すべき」だ。
タグ:「日本がNUGとの公式の連絡手段を持っていないのは戦略的な誤りだ。(欧米諸国のみならず)中国やインドネシア、マレーシア、韓国もNUGと連絡を取っている。日本がミャンマーにきちんと関与するためには、NUGときちんと対話すべき」、「日本がNUGとの公式の連絡手段を持っていない」というのは初めて知った。外務省は一体、何をやっているのだろう。 「日本政府は軍事クーデターへの非難声明を出す一方で、軍事政権への政府開発援助(ODA)を継続している。軍事クーデター前年の総選挙で勝利した民主派と軍事政権のどちらを支持しているのかもはっきりしない。ミャンマーの国民はこうした日本の曖昧な姿勢に困惑している。日本政府にはミャンマー民主化のために道義的・倫理的役割を発揮するように求めたい。 日本は国連安全保障理事会の非常任理事国でもある。2022年12月に採択された安保理決議を踏まえ、ジェノサイド、戦争犯罪、そして人道に対する罪について国軍の責任を追及する具体 的な措置を取るべきだ」、「ODA」継続の条件に民主化を入れることも可能な筈だ。 男性兵士の士気向上のためなのだろうか。 斬首されたのは15歳の少年、17歳と19歳の青年で、いずれも地元の武装市民組織を手伝い地雷を設置していたところを軍に拘束され、虐殺されたという」、「国軍は今や、軍に同調しない市民とみれば年齢に関係なく殺害するという「殺人組織」と化している。 こうした傾向は以前からあり、2022年9月にはサガイン地方域にある小学校が空爆されて児童11人が犠牲となり15人が行方不明となった。この時、軍は死亡した子供たちの遺体を袋詰めにしてトラックでどこかに運び去ったと地元メディアは伝えている。 「3月14日現在、軍政によって身柄を拘束された市民は20359人、殺害された市民は3124人に上っている」、軍隊が国民を護るのではなく、虐待するとは、「ミャンマー」は酷い国だ。もっとも、スーチー氏の父親のアウンサン将軍は国民的な人気があったようだから、その後、軍隊が劣化したのだろう。 「国軍と民主派勢力の戦いが激しさを増す中、軍事政権は総選挙を実施すべく準備を進めている・・・市民は選挙に強く反対しており、かなりの抵抗に遭っている」、「アウンサンスーチー氏率いる「国民民主連盟」(NLD)や「シャン民族民主連盟」(SNLD)は政党登録を抹消された。代わりに国軍がコントロールする政党がいくつも結成された。仏教徒の極右ナショナリストの政党や、麻薬王が作った政党、実態のない少数民族の政党などを国軍は自分たちのコントロール下に置いて総選挙を有利に進めようとしている」、なるほど。 「若者5人の遺体が発見されたが、うち3人は斬首され、頭部が竹柵や荷車の上に「晒し首」状態で放置されており、中には手足が切断された遺体もあったという。遺体には銃創が一切ないことから、若者らは生きたまま斬首された可能性が高いとみられている。 兵士は殺害した若者の携帯電話を取り上げて犠牲者の親族や友人に電話をかけて「死を祝っている」と述べたうえ、犠牲者を罵倒し続けたという。 東洋経済オンライン「ミャンマー軍事政権に曖昧な姿勢を続ける日本 人権活動家が語る現地の危機と日本への要請」 死者の間にはサフラン色の僧衣をまとった仏教僧侶が僧衣の一部を血に染めて横たわっており、寺院の外壁にも多数の弾痕が残されている。住民らに向けて銃を乱射して殺害した問答無用の残虐行為の跡がみてとれる』、何のための虐殺なのだろう。 「「ミャンマー国民和解担当日本政府代表」の肩書きを持つ日本財団会長の笹川陽平氏は今年2月にミャンマーを訪問した後、タイの首都バンコクで記者会見に臨み、「民主化の第一歩は選挙。何が何でもやらないといけない」と力説」、事実上、「日本政府」の代理をしているようだが、とんでもないことだ。 「僧侶が避難をせずに村に留まったことから20数人の男性村人が共に村に残り、空襲・砲撃を逃れるために寺院に避難していたという・・・KNDFのミャンマー語のホームページには殺害現場の生々しい写真が複数アップされ、民族衣装であるロンジーをまとった多数の男性が銃撃を受けて頭部や上半身などから血を流して寺院の外壁周辺に倒れている様子が写っている。 「8月に予定している「民主的な総選挙」の実施も危ぶまれる状況に対する軍政の焦りが背景にあるとの見方が有力視されている。 軍政は総選挙実施で軍政に対する「国民の信任」を得たとしてクーデターの正当化を目論んでいるため、万難を排してまでも総選挙実施を企図しているとされ、各地から報告される兵士による残虐行為はその反映とされている」、なるほど。 肝心の「ミャンマー側」の受け入れについては、明確な記述がない。その後の続報もないようだ。しばし静観するほかなさそうだ。 現代ビジネス「少年を斬首、女性をレイプ、僧侶も銃殺…残虐性増すミャンマー国軍の血も涙もない攻撃」 「国軍の兵士は疲れ果て、追い込まれている。国軍は国土の20%以下しか支配下に置いていない。民主派勢力に勝機はある」、そうであれば、なをさら「NUGときちんと対話すべき」だ。 「戒厳令を拡大したことで地方の行政権が大幅に軍に移譲され、軍はこうした残虐行為を通じて抵抗勢力や反軍政の市民への「見せしめ効果」を狙っているとされる。しかしこうした残虐な人権侵害行為は反軍政感情を一層高めるという逆効果を招いており、ミャンマーの混乱は収拾不能な状況に陥っている」、 国連によるとクーデター発生後、ミャンマー全国で軍による攻撃で死亡あるいは重傷を負った子供は少なくとも約400人に上っている。 このほか10月には北部カチン州ハパカント近郊の村で軍政に抵抗を続ける少数民族武装勢力やその支持者、一般市民が参加して開催中のコンサート会場を軍が空爆して地元の著名女性歌手や男性演奏家、多数の観衆が殺害される事件も起きている」、「国軍は今や、軍に同調しない市民とみれば年齢に関係なく殺害するという「殺人組織」と化している」、恐ろしいことだ。 「2022年7月にミャンマー軍政が政治犯4人の死刑をフンセン首相の中止要請にも関わらず執行したことでカンボジアもミャンマーに強硬姿勢を続けるマレーシアやインドネシア、シンガポール、フィリピンに同調せざるを得なくなった・・・以降ミャンマー軍政関係者抜きのASEAN会議が続いている」、「ミャンマー軍政」側の行き過ぎた「強硬姿勢」に原因がある。 「ジョコ・ウィドド大統領は自身のミャンマー訪問についてインタビューでは完全に否定せず含みをもたせながらも、ミャンマー軍事政権のトップがミン・アウン・フライン国軍司令官という軍人であることから「同じ軍人という背景をもつ者同士の方が話ししやすいという面もある」として、今回はインドネシア国軍の退役将軍クラスによる「可能な限り早い時期」の派遣検討となったとしている」、いくら「軍人」「同士」とはいえ、国民の虐殺という点では大きな違いがあるのではなかろうか。 「インドネシアとしては1998年に約30年にわたるスハルト長期独裁政権の崩壊から民主国家への道を歩み始めた経緯や経験をミャンマーの軍事政権と共有することでなんとか軍政と民主勢力との対話による平和的な解決を促す狙い」、なるほど。 「ミャンマー」側の受け入れ体制を見る前に、「インドネシア」側の候補者を云々するのは時期尚早な印象がある。 Newsweek日本版「インドネシア、クーデターから2年のミャンマーに将軍派遣へ 民主化への経験共有は可能か」 (その7)(インドネシア クーデターから2年のミャンマーに将軍派遣へ 民主化への経験共有は可能か、少年を斬首 女性をレイプ 僧侶も銃殺…残虐性増すミャンマー国軍の血も涙もない攻撃、ミャンマー軍事政権に曖昧な姿勢を続ける日本 人権活動家が語る現地の危機と日本への要請) ミャンマー
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メタバース(仮想空間)(その2)(メタバースは「ドラえもんの四次元ポケット」!何でも飛び出す期待と脅威、ナイキの「デジタルスニーカー」が 仮想空間ビジネスで成功できそうな理由) [イノベーション]

メタバースについては、昨年1月21日に取上げた。今日は、(仮想空間)(その2)(メタバースは「ドラえもんの四次元ポケット」!何でも飛び出す期待と脅威、ナイキの「デジタルスニーカー」が 仮想空間ビジネスで成功できそうな理由)である。

先ずは、昨年2月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した法政大学大学院教授の真壁昭夫氏による「メタバースは「ドラえもんの四次元ポケット」!何でも飛び出す期待と脅威」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/295532
・『「メタ・プラットフォームズ」に社名を変えた旧フェイスブックが、有力ゲームメーカーを多額の資金でM&Aの対象とするなど、世界の有力企業がメタバース分野の取り組みを急速に強化している。米マイクロソフトは687億ドル(約7.9兆円)を投じてゲームソフト会社アクティビジョン・ブリザード(アクティビジョン)を、ソニーグループは米バンジーを36億ドル(約4100億円)で買収する。突き詰めて言えば、「こんなことができたらいい」という人々の根源的な欲求や夢を実現することが、メタバースだ。メタバースは「ほんやくコンニャク」や「どこでもドア」などが飛び出す「ドラえもんの四次元ポケット」に例えることができる』、「メタバースは「ほんやくコンニャク」や「どこでもドア」などが飛び出す「ドラえもんの四次元ポケット」に例えることができる」、「ドラえもんの四次元ポケット」とは言い得て妙だ。
・『ゲーム業界ではメタバース時代を見据えてかつてない規模で再編が進んでいる  メタバース(超越空間)に対する社会の関心が、大きく高まっている。今回は、メタバースの発展性と経済に対するインパクトについて考えてみたい。「メタ・プラットフォームズ」に社名を変えた旧フェイスブックが、有力ゲームメーカーを多額の資金でM&Aの対象とするなど、世界の有力企業がメタバース分野の取り組みを急速に強化している。 拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を用いて構築されたメタバースで、人々はアバター(自分の分身)として活動する。接触によるウイルス感染のリスクなどを気にする必要はない。メタバースによって、新しくより自由な発想が一気に具現化するだろう。それは世界経済に対する強烈なインパクトを持っている。 特に目に付くのは、ゲーム業界ではメタバース時代を見据えて、かつてない規模で再編が進んでいることだ。 米マイクロソフトは687億ドル(約7.9兆円)を投じてゲームソフト会社アクティビジョン・ブリザード(アクティビジョン)を、ソニーグループは米バンジーを36億ドル(約4100億円)で買収する。 主な目的はソフトウエア開発力の向上と、ユーザー獲得とみられる。今後、ハードのゲーム機需要は減少し、さまざまなデバイスを通してアバターがゲームに参加する状況が想定される。これから、ゲームはゲーム機やスマホで楽しむという常識は大きく変わるだろう。 メタバース時代の競争を有利に進めるために、新しい半導体やデバイスの開発競争も激化する。デジタル化の遅れが深刻なわが国企業は、早急にメタバースに対応する事業戦略を立案し、実行に移すことが求められる』、「今後、ハードのゲーム機需要は減少し、さまざまなデバイスを通してアバターがゲームに参加する状況が想定される。これから、ゲームはゲーム機やスマホで楽しむという常識は大きく変わるだろう」、なるほど。
・『メタバースの本当の姿とは? オンラインとオフラインの境目がなくなる  メタバースの実現により、わたしたちは、24時間365日、いつでも、どこでも、現実を超越した空間に接続できる。 例えば、運動のために散歩をしながらメタバース内のオフィスで同僚と会議をしたり、工場の製造ラインのメンテナンスを行ったりすることが当たり前になるだろう。 メタバースはIoTなど世界経済のデジタル化をさらに加速させる。メタバースがもたらす「生き方の変化」に対応できるか否かが、企業の長期存続に決定的な影響を与えるはずだ。 メタバースによって、私たちのコミュニケーションは根本から変わる。インターネットがない時代、私たちは他者と、対面や電信技術によって情報を交換した。それをもとに企業は付加価値を生み出したり、事業運営の効率性を高めたりしてきた。 それが1990年代に米国でインターネット革命が起きて以降、私たちは必要に応じてデバイスを起動し、ネットに接続するようになった。それは、個人や企業などの経済運営の効率性を一段と高めた。 メタバースとネット社会の違いは、現実世界(リアル)における生活と同時に、超越空間でも人々が活動することだ。オンラインとオフラインの境目がなくなるといってもよいだろう。常に多くの人と共有される空間であるため、メタバースではリアルで味わったことのない臨場感や刺激、満足感、驚きなど、新しい発想や価値観がより多く得られると期待される。 リアルで手に入れるのが難しい情報でも、メタバースでは比較的容易に手に入る可能性もある。例えば、東京のオフィスで仕事をしつつ、必要な情報はメタバースで多様なバックグラウンドを持つ人から収集する。それは業務の効率性を向上させる。参加者も限定されない。個人をベースに現実と超越空間がリアルタイムでつながり、相互に影響しあうのがメタバースだ』、「メタバースとネット社会の違いは、現実世界(リアル)における生活と同時に、超越空間でも人々が活動することだ。オンラインとオフラインの境目がなくなるといってもよいだろう・・・リアルで手に入れるのが難しい情報でも、メタバースでは比較的容易に手に入る可能性もある。例えば、東京のオフィスで仕事をしつつ、必要な情報はメタバースで多様なバックグラウンドを持つ人から収集する。それは業務の効率性を向上させる。参加者も限定されない。個人をベースに現実と超越空間がリアルタイムでつながり、相互に影響しあうのがメタバースだ」、本当に便利になるようだ。
・『メタバースが持つすさまじい発展性とは? 「非代替性トークン」  NFT)にも注目  メタバースの発展性の一つとして注目されるのが、アバターだ。メタバースの中で私たちは、アバターとして活動する。つまり、アバターの活動範囲の拡大が、メタバースを成長させる。 例えば、アバターとして、アクティビジョンが手掛ける「コールオブデューティ」などのゲームに参加すると、リアルでは味わえない体験を得ることができる。それがメタバース・ユーザーを増加させ、新しいサービスや製品の需要を生み出す。そうした状況が、近い将来の経済成長に不可欠となるだろう。 ところで、メタバースの利用増加によって、デジタル資産の管理問題が浮上している。現実社会で私たちは土地や自動車などを所有したり、シェアしたりしている。誰が、何を所有し、利用権を持つかは明確に管理されている。 メタバースでも同じだ。メタバース内での空間の所有や利用の権利、アバターの所有権、デジタルアートの識別とその所有権などは、確実に管理されなければならない。 その手段として「非代替性トークン」(NFT)がある。NFTの一元管理のためには、「分散型元帳」もとい「ブロックチェーン」の運営技術の向上が欠かせない。メタバースにおけるデジタル資産の価値基準や交換手段、価値の保存のために、価値が安定しているNFTなどへのニーズも高まるだろう。 このように考えると、メタバース時代の到来によって、ハードからソフトへのシフトが加速する。マイクロソフトがアクティビジョンを買収するのはそのためだ。ゲームコンテンツ創出などソフトウエア開発が加速し、その結果としてより気軽に、より鮮烈な体験を得られるデバイス創出ニーズが高まる。 ゲームのコンテンツ(ソフト)はクラウドコンピューティングで管理し、多種多様なデバイスを用いてユーザーがアクセスするようになるだろう。特定のゲーム機を利用する必要性は低下する。そうした展開を見据えて、マイクロソフトなどが企業買収によってゲームユーザーを囲い込み、メタバース開発競争を有利に進めようとしている』、「メタバース内での空間の所有や利用の権利、アバターの所有権、デジタルアートの識別とその所有権などは、確実に管理されなければならない。 その手段として「非代替性トークン」(NFT)がある。NFTの一元管理のためには・・・「ブロックチェーン」の運営技術の向上が欠かせない。メタバースにおけるデジタル資産の価値基準や交換手段、価値の保存のために、価値が安定しているNFTなどへのニーズも高まるだろう。 このように考えると、メタバース時代の到来によって、ハードからソフトへのシフトが加速する」、なるほど。
・『人々の根源的な欲求や夢を実現する「ドラえもんの四次元ポケット」  メタバースは、世界の常識を根底から覆す。これまで私たちは、さまざまな媒体を通してデータや情報を入手した。それを分析することによって新しい発想が生み出され、より良い生き方が実現した。古くは伝書バトによる情報の伝達、新聞、ラジオやテレビ、パソコンやスマホを用いたネット検索という具合に、情報収集の効率性は高まった。 ただ、いずれも、双方向のコミュニケーションではない。誰かが発信した情報を、別のところで受け取る。リアルタイムでその印象をフィードバックするのは難しい。コロナ禍を機に急速に普及したテレビ会議システムは、その隔たりを低下させたものの、いつでも、だれでも出入り自由な空間ではない。 情報の発信と受信の隔たりがなくなり、新しい発想が生み出され、現実と異なる空間が拡張しうるという点で、メタバースは世界経済に「創造的破壊」をもたらすだろう。 人工知能を用いて翻訳を行うことで言語の壁は低下し、これまで以上のスピードで情報検索や海外事業の運営が可能になる。 突き詰めて言えば、「こんなことができたらいい」という人々の根源的な欲求や夢を実現することが、メタバースだ。メタバースは「ほんやくコンニャク」や「どこでもドア」などが飛び出す「ドラえもんの四次元ポケット」に例えることができる。 メタバースがもたらす成長のチャンスは多い。それを手に入れるべく、各国でゲーム企業などの買収が増え、人材獲得競争も熾烈(しれつ)化するだろう。プログラミングや人工知能のディープラーニング、データサイエンス、アニメのクリエイター、さらにはより高性能な半導体やバッテリー、その実現を支える素材など、最先端分野ではすでに人材の争奪戦が起きている。 わが国の企業は、激化するメタバース開発競争に迅速に対応しなければならない。中長期的に考えると、それができる企業とできない企業の差が、急速に拡大することだろう』、「情報の発信と受信の隔たりがなくなり、新しい発想が生み出され、現実と異なる空間が拡張しうるという点で、メタバースは世界経済に「創造的破壊」をもたらすだろう。 人工知能を用いて翻訳を行うことで言語の壁は低下し、これまで以上のスピードで情報検索や海外事業の運営が可能になる。 突き詰めて言えば、「こんなことができたらいい」という人々の根源的な欲求や夢を実現することが、メタバースだ。メタバースは「ほんやくコンニャク」や「どこでもドア」などが飛び出す「ドラえもんの四次元ポケット」に例えることができる」、「メタバースは・・・「ドラえもんの四次元ポケット」に例えることがで昨年きる」、便利なツールのようだ。

次に、昨年5月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「ナイキの「デジタルスニーカー」が、仮想空間ビジネスで成功できそうな理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/303100
・『ナイキが仮想空間に参入 仮想空間ビジネス「成功の条件」は?  メタバースでの新しいビジネスへの関心が高まる中で、ナイキがデジタルスニーカービジネスに参入したことが話題になっています。このデジタルスニーカーは、実際には手に取ることができません。しかも、NIKEではなく子会社のRTFKTのロゴがついた商品です。それにもかかわらず、RTFKTの取引サイトでは仮想通貨で20万円以上の高値で取引されています。 はやりのメタバースには、本当にビジネスチャンスがあるのか? どのような企業がビジネスとして活用できるのか? メタバースの可能性について考えてみたいと思います。 前提として、今回の記事は未来予測記事です。まだルールが定まっていないメタバースビジネスで、ナイキのようなIP側(ブランドなどの権利を持っている側)とメタバースを運営するプラットフォーム側で、どのような取り分でビジネスの利益を分け合うのか自体が双方のビジネス戦略になります。その予測も踏まえて、未来について解説したいと思います』、「まだルールが定まっていないメタバースビジネスで、ナイキのようなIP側(ブランドなどの権利を持っている側)とメタバースを運営するプラットフォーム側で、どのような取り分でビジネスの利益を分け合うのか自体が双方のビジネス戦略になります。その予測も踏まえて、未来について解説したい」、なるほど。
・『ナイキの仮想スニーカーが「高価値」を維持する可能性が高い三つの理由  さて、今回話題になっているのはナイキがメタバース上の仮想店舗で販売し、NFT(非代替性トークン)でその価値を保証した仮想のスニーカーです。実際には履くことができないスニーカーがネット上で高額で取引をされている。これはいったい、どういう意味を持つのでしょうか。 「話題のメタバースでナイキが最初に販売したデジタルスニーカーだから、将来の値上がりを見越して投機的に価格がつり上がっている」というのは一つの見方です。ただし、ナイキが発売するデジタルスニーカーは、そのような初期の興奮がおさまった後でも価値が安定する可能性が高いと思われます。 私がそう予測する理由は三つあります。一つはナイキのスニーカー自体が、再販市場が確立しているトレードアイテムだからというものです。これは実際に履くことができるリアルなスニーカーの中古商品の話ですが、エアマックスシリーズやエアジョーダンシリーズのレアものは、ビンテージ市場で高額で取引がされています。それを欲しいと考えるナイキファンがたくさんいて、ブランド価値が確立している。ここが最初のポイントです。 二つ目に、そのようなレア商品は「履かないで眺める」人が多いという点です。そもそもナイキのスニーカーが高額で売られるイノベーションアイデアは、「優れたアスリートが着用する商品は、それにあこがれるスポーツファンが競って着用したがるはずだ」というものでした。 1970年代までの若者にとっては、スニーカーは運動靴で、スーパーで1000円から3000円ぐらいで売られているただの道具でした。ところがナイキの成功以降、たとえばマイケル・ジョーダンのようにプレーしたいとあこがれるバスケット部の高校生は、バイトをして3万円するスニーカーを購入して試合に臨むようになりました。 さらに、アメリカのプロバスケリーグNBAの人気選手のイメージから、ナイキはストリートファッションブランドへと変貌し、スニーカーはバスケの道具からファッションアイテムへとランクアップします。そこでレアもののエアジョーダンの特別モデルをゲットした人は、とっておきの日以外はそれを履かずに、部屋に飾って眺めて楽しむようになったのです。 ここで、三つ目の予測理由が登場します。メタバース上で購入したナイキのスニーカーは、今はまだ用途が限定されています。しかし、将来的にはいろいろなメタバースの中でアバターに着用させることができるようになると予測されています。将来メタバース市場が大きくなれば、ファッションアイテムとしてのデジタルスニーカーの実利用価値も高騰するかもしれません。 メタバース上で何げなく履いていたスニーカーを見た通りすがりの人が、「そっ、それは100足しか発売されていないエアジョーダン1の2022年NFT復刻バージョン!」と言って驚いて、「1億ゴールドで売ってくれないか?」と交渉してくる未来など、いかにもやってきそうです。1億ゴールドが円換算でいくらかは知りませんが。 このナイキの動きを見て、アディダスなど競合スポーツブランドもデジタルスニーカー販売に動いています。私は、この動きは中古市場が確立していて高値で売られているブランドであれば、皆、関係してくる話だと考えています』、「このナイキの動きを見て、アディダスなど競合スポーツブランドもデジタルスニーカー販売に動いています。私は、この動きは中古市場が確立していて高値で売られているブランドであれば、皆、関係してくる話だと考えています」、その通りだろう。
・『ロレックスのNFTがメタバースで「バカ売れ」する時代が来る?  たとえば、高級腕時計のロレックスについて考えてみましょう。人気のデイトナは、定価は150万円程度ですが、そもそも正規店に入荷せずに購入が困難なことで知られています。そして、中古市場では300万円前後で取引されます。 一方で、その価格高騰に目を付け高品質の偽物が出回っていることが問題になっています。さらにスマホの普及で将来的に腕時計を身に着ける人の人口が減っていくという問題も抱えています。これらの高級腕時計業界が抱える問題は、仮想デジタルウオッチが解決するかもしれません。 方法はいくつか考えられますが、一番簡単な方法として、リアルなロレックスをバーチャルなNFTロレックスとバンドルして販売することが考えられます。 ロレックス好きな人がロレックスを酒場で見せびらかすだけでなく、メタバース上でアバターにロレックスを身に着けさせ、自分が富裕層であることをさりげなくアピールするような使い方ができます。 過去に発売したロレックスも正規店に持ち込んでNFTを発行してもらえるようにすれば、メタバースが拡大した時代には、アバターは普通の腕時計をしているのにリアルな場ではロレックスを着けている人は怪しいかもしれない。 仮想世界では、ブランド品を富裕層が無数に買うようになります。コレクターで部屋の中がスニーカーだらけになっていて、もう保管場所がないというような人は、購入したスニーカーはナイキで保管してもらっておいて、普段は主にメタバースで着用するような方向にマーケットが進化するかもしれません』、「ロレックス好きな人がロレックスを酒場で見せびらかすだけでなく、メタバース上でアバターにロレックスを身に着けさせ、自分が富裕層であることをさりげなくアピールするような使い方ができます。 過去に発売したロレックスも正規店に持ち込んでNFTを発行してもらえるようにすれば、メタバースが拡大した時代には、アバターは普通の腕時計をしているのにリアルな場ではロレックスを着けている人は怪しいかもしれない」、なるほど。
・『メタバース上で高価なブランド品を購入するのは「危険な賭け」になるかもしれない理由  さて、本来であれば一度購入したバーチャルブランドアイテムは、どのメタバースにでも持ち込めるのが消費者側の理想ですが、ここは近い将来、メタバースの運営企業とブランド企業の間でもうけを巡ってひと騒動が起きそうです。 実は消費者から見れば今、どこかのメタバースサイト上で高価なブランド品を購入するのは賭けかもしれません。というのは、そのメタバースがそれほど流行せずに消えてしまうかもしれないからです。 あくまでわかりやすい例として架空の未来を想像すると、任天堂の家庭用ゲーム「あつまれ どうぶつの森」上にナイキがお店を開いて、スニーカーを売ってくれる未来が来ると仮定しましょう。それで、読者のみなさんが3万円でスニーカーを買ったとします。 ところが10年後、ニンテンドースイッチの時代は終わり、ユーザーはニンテンドースイッチ5上の「あつまれ どうぶつの森2032」で遊んでいるかもしれません。そのとき、以前3万円で買ったスニーカーを新しいメタバースに持ち込めるのかという話が問題になります。 今の例なら任天堂とナイキの話し合いで解決してくれるかもしれませんが、それが2032年のプレイステーションX上のモンスターハンター32となると、任天堂が販売したナイキのデジタルスニーカーは持ち込めないかもしれません。 これは、プラットフォームを運営する側から見れば当然そうしたいところです。ディズニーが運営するメタバースに、任天堂が販売したマリオのTシャツを着たアバターが簡単に来園しては困りものです。 そもそもプラットフォーム側では、メタバース上で販売されるスニーカーから30%ぐらいの手数料を取るビジネスモデルを考えるでしょう。グーグルのプラットフォーム上で購入したアイテムを、無料でアップルのプラットフォーム上に持ってこられたらビジネスにならないと考えるかもしれません。 一方でIP側のナイキやロレックスやマリオにとってみれば、NFTで裏打ちしたデジタル商品の価値は永続した方が販売しやすい。消費者も価値の永続を保証してもらった方が購入について納得しやすいはずです。 おそらく将来的にはこのあたりのルールが定められて、レアなデジタルスニーカーを持っている所有者は一定の利用料を払うことで、さまざまなメタバースにお気に入りのアイテムを持ち込むことができるようになるのではないか、と私は予測しています。理由は、そのようなルールのほうが、市場が広がるからです。 話をまとめます。メタバースはこれから先、さまざまな形で私たちの日常にバーチャルな形で入り込み、市場は成長していくことでしょう。そのメタバースで私たちの代わりに活動するアバターに対して、さまざまなブランド品市場が生まれるでしょう。それはルールさえ早期に固まれば、リアルな世界で販売されているブランド品やキャラクター商品の市場を倍化させられる可能性を持っていると思います。 そして、電子書籍の漫画市場がリアルな本棚の制約がなくなったことで拡大したように、場合によってはコレクターが、自宅の広さを気にせずにたくさんのアイテムを購入することでリアル市場よりも大きなブランド市場を作れるかもしれない。そう考えれば、今、メタバースの関係者が早期に着手すべきはルール作りなのかもしれません』、「将来的にはこのあたりのルールが定められて、レアなデジタルスニーカーを持っている所有者は一定の利用料を払うことで、さまざまなメタバースにお気に入りのアイテムを持ち込むことができるようになるのではないか、と私は予測しています。理由は、そのようなルールのほうが、市場が広がるからです」、「今、メタバースの関係者が早期に着手すべきはルール作りなのかもしれません」、その通りのようだ。
タグ:真壁昭夫氏による「メタバースは「ドラえもんの四次元ポケット」!何でも飛び出す期待と脅威」 鈴木貴博氏による「ナイキの「デジタルスニーカー」が、仮想空間ビジネスで成功できそうな理由」 (その2)(メタバースは「ドラえもんの四次元ポケット」!何でも飛び出す期待と脅威、ナイキの「デジタルスニーカー」が 仮想空間ビジネスで成功できそうな理由) メタバースは「ほんやくコンニャク」や「どこでもドア」などが飛び出す「ドラえもんの四次元ポケット」に例えることができる」、「メタバースは・・・「ドラえもんの四次元ポケット」に例えることがで昨年きる」、便利なツールのようだ。 「情報の発信と受信の隔たりがなくなり、新しい発想が生み出され、現実と異なる空間が拡張しうるという点で、メタバースは世界経済に「創造的破壊」をもたらすだろう。 人工知能を用いて翻訳を行うことで言語の壁は低下し、これまで以上のスピードで情報検索や海外事業の運営が可能になる。 突き詰めて言えば、「こんなことができたらいい」という人々の根源的な欲求や夢を実現することが、メタバースだ。 このように考えると、メタバース時代の到来によって、ハードからソフトへのシフトが加速する」、なるほど。 「メタバース内での空間の所有や利用の権利、アバターの所有権、デジタルアートの識別とその所有権などは、確実に管理されなければならない。 その手段として「非代替性トークン」(NFT)がある。NFTの一元管理のためには・・・「ブロックチェーン」の運営技術の向上が欠かせない。メタバースにおけるデジタル資産の価値基準や交換手段、価値の保存のために、価値が安定しているNFTなどへのニーズも高まるだろう。 当に便利になるようだ。 「メタバースとネット社会の違いは、現実世界(リアル)における生活と同時に、超越空間でも人々が活動することだ。オンラインとオフラインの境目がなくなるといってもよいだろう・・・リアルで手に入れるのが難しい情報でも、メタバースでは比較的容易に手に入る可能性もある。例えば、東京のオフィスで仕事をしつつ、必要な情報はメタバースで多様なバックグラウンドを持つ人から収集する。それは業務の効率性を向上させる。参加者も限定されない。個人をベースに現実と超越空間がリアルタイムでつながり、相互に影響しあうのがメタバースだ」、本 「今後、ハードのゲーム機需要は減少し、さまざまなデバイスを通してアバターがゲームに参加する状況が想定される。これから、ゲームはゲーム機やスマホで楽しむという常識は大きく変わるだろう」、なるほど。 「メタバースは「ほんやくコンニャク」や「どこでもドア」などが飛び出す「ドラえもんの四次元ポケット」に例えることができる」、「ドラえもんの四次元ポケット」とは言い得て妙だ。 メタバース(仮想空間) 「このナイキの動きを見て、アディダスなど競合スポーツブランドもデジタルスニーカー販売に動いています。私は、この動きは中古市場が確立していて高値で売られているブランドであれば、皆、関係してくる話だと考えています」、その通りだろう。 「将来的にはこのあたりのルールが定められて、レアなデジタルスニーカーを持っている所有者は一定の利用料を払うことで、さまざまなメタバースにお気に入りのアイテムを持ち込むことができるようになるのではないか、と私は予測しています。理由は、そのようなルールのほうが、市場が広がるからです」、「今、メタバースの関係者が早期に着手すべきはルール作りなのかもしれません」、その通りのようだ。 「ロレックス好きな人がロレックスを酒場で見せびらかすだけでなく、メタバース上でアバターにロレックスを身に着けさせ、自分が富裕層であることをさりげなくアピールするような使い方ができます。 過去に発売したロレックスも正規店に持ち込んでNFTを発行してもらえるようにすれば、メタバースが拡大した時代には、アバターは普通の腕時計をしているのにリアルな場ではロレックスを着けている人は怪しいかもしれない」、なるほど。 「まだルールが定まっていないメタバースビジネスで、ナイキのようなIP側(ブランドなどの権利を持っている側)とメタバースを運営するプラットフォーム側で、どのような取り分でビジネスの利益を分け合うのか自体が双方のビジネス戦略になります。その予測も踏まえて、未来について解説したい」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン
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