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エネルギー(その3)(ドイツでもグリーン電力の夢は頓挫していた 送電網の整備が遅れロシアの天然ガス頼みに、太陽光の2019年問題 期限切れを前に対応を急げ!、メガソーラー建設反対運動が続発、太陽光発電は本当に「エコ」か) [経済政策]

エネルギーについては、昨年1月12日に取上げた。久しぶりの今日は、(その3)(ドイツでもグリーン電力の夢は頓挫していた 送電網の整備が遅れロシアの天然ガス頼みに、太陽光の2019年問題 期限切れを前に対応を急げ!、メガソーラー建設反対運動が続発、太陽光発電は本当に「エコ」か)である。

先ずは、昨年10月28日付け東洋経済オンラインが「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部の記事を転載した「ドイツでもグリーン電力の夢は頓挫していた 送電網の整備が遅れロシアの天然ガス頼みに」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/245485
・『脱化石燃料・脱原発の野心的な目標をぶち上げたドイツだが、送電網の再整備が立ち遅れロシアの天然ガス頼みに。 今年8月の猛暑の日、ドイツ北部のバルト海沖に浮かぶリューゲン島に数百人のツアー客が集まった。お目当てはビーチではない。アルコナ洋上風力発電所が開催した「魅惑の洋上風力発電」展だ。 港には巨大な白いグラスファイバーのブレードが並んでいた。この長さ約75メートルのブレードは、約30キロ沖合にそびえる風力発電用タワー60基の上に設置されると、ガイドが説明した。2019年初めまでに発電量は385メガワットに達し、40万世帯分の電力を供給できるようになるという。 「わが社がここでやろうとしていることを一般の人たちに知らせて、『おお、すごい!』と言ってもらいたい」と、アルコナの幹部シルケ・ステーンは話す。 もっとも、ツアー客が港の別の場所に目をやれば、同じくらい壮大な人工物に気付いたはずだ。こちらは見学予定に入っていないが、港の一画にはコンクリートのコーティングを施した巨大な鉄鋼のパイプが積み重ねて並べてあった。 これらのパイプは、ロシアとドイツを結ぶ全長約1220キロの天然ガスのパイプライン「ノルド・ストリーム2」の一部として海底に敷設される。予定どおり来年に工事が完了すれば、既に稼働中のノルド・ストリームと合わせて現在の2倍のガスがロシアから輸送される。 皮肉にも積み出し港を共有するこの2つのプロジェクトは、再生可能エネルギーに懸ける夢と、ロシアのガス頼みという苦い現実の板挟みになったドイツの苦悩を物語っている』、風力発電用タワーとロシアからの天然ガスのパイプラインが積み出し港を共有しているというのは、確かに皮肉この上ない。風力発電の「発電量は385メガワット」とは巨大だ。原発の1/3基分に相当する。
・『「南北問題」がネックに  ドイツは10年、今世紀半ばまでに電力の80%を再生可能エネルギーで賄うという野心的な目標を掲げた。さらに翌年には日本の福島第一原子力発電所の事故を受け、22年までに「脱原発」を達成すると発表した。 ドイツはいち早く固定価格買い取り制度を導入(17年に入札制度に移行)するなど、個人や企業による太陽光と風力発電事業をテコ入れしてきた。おかげで1990年には電力比率の3・6%にすぎなかった再生可能エネルギー(風力、太陽、水力、バイオガス)が、発電量の3割超を占めるようになった。 しかし高邁なビジョンは、厳しい現実に突き当たった。世界屈指の工業国ドイツが脱化石燃料・脱原発に舵を切るのは容易ではなく、当初の予想以上にコストがかかり、政治的にも困難を極めた。結局、政府はエネルギー政策を見直して化石燃料への依存度を高め、気候変動対策で世界をリードする役目もある程度返上せざるを得なくなった。 問題は送電網にある。太陽光・風力発電を主役にすると、従来よりも複雑でコストも高い送電網が必要になる。ドイツが目標を達成するには、「送電網の全面的な再整備が必要だ」と、再生可能エネルギー推進政策に詳しいアナリストのアルネ・ユングヨハンは言う。 風力発電ブームがもたらしたのは、供給と需要のミスマッチという予期しない問題だった。ドイツでは風力発電所は常に強い風が吹く北部に集中しているが、大規模な工場の多くは南部にある(南部に集中する原発は次々と運転を停止している)。 北部の風力発電所から南部の工業地帯に電力を送るのは容易ではない。風が強い日には、風力発電所は大量の発電が可能になるが、電力はためておくことができない。供給過剰になれば送電線に過大な負荷がかかるため、電力系統の運用者は需給バランスを維持しようと風力発電所に送電線への接続を切断するよう要請する。こうなるとツアー客が眺めた巨大なブレードも無用の長物と化す。 一方で、電力の安定供給のためには莫大なコストをかけてバックアップ電源を稼動させなければならない。ドイツでは昨年、こうした「再給電」コストが14億ユーロにも達した。 解決策は、北部の風力発電施設から南部の工場にスムーズに電力を送れるよう送電網を拡張すること。そのための工事は既に始まっている。巨額の予算をかけて(事業費は電気料金に上乗せされて、消費者が負担する)、総延長約8000キロ近い送電線が新たに敷設される予定だが、今のところ工事が完了したのは2割足らずだ』、確かに送電線の敷設には時間がかからざるを得ない。
・『風力発電で大量の失業者  「壊滅的に工期が遅れている」と、ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相は8月に経済紙ハンデルスブラットに語った。遅れた理由の1つは住民運動だ。4本の高圧電線が通る地域の住民は電磁波の影響を懸念し、地下にケーブルを埋設するよう要求。そのために工期は延び、コストは膨らんだ。 今の見通しでは工事が全て完了するのは25年。原発が全て運転を停止してから3年後だ。 こうした状況下で、ドイツは再生可能エネルギーへの転換のペースを見直さざるを得なくなった。与党キリスト教民主同盟(CDU)の広報担当ヨアヒム・ファイファーは本誌の取材にメールで応じ、「再生可能エネルギーの発電量を増やすことに注力し過ぎていた」と認めた。「発電量を増やすと同時に送電網を拡張する必要があるのに、後者が後回しになった」 再生可能エネルギー推進派は政策の後退に強く反発している。ドイツ風力発電連合のウォルフラム・アクセレムCEOによると、風力発電業界では大量の失業者が出ている。「19、20年にこの業界は苦境に陥るだろう」 一方、ノルド・ストリーム2の建設工事は着々と進んでいる。このプロジェクトの事業費110億ドルは、ロシアの国営エネルギー企業ガスプロムと5社の欧州企業が出資しており、ドイツの納税者には直接的な負担はない。パイプラインはドイツ、ロシア、フィンランド、スウェーデン、デンマークの領海を通過するが、通過を拒否するデンマークを除く4カ国は既に敷設を許可している。 今でもEUが消費する天然ガスの約3割はロシア産だが、予定どおり来年末にノルド・ストリーム2が稼働を始めれば、欧州のガス市場におけるロシアのシェアはさらに拡大する。欧州最大のガス田があるオランダは地震頻発のため30年までにガス田を全て閉鎖する予定で、EUのロシア依存は一層進む。 ドナルド・トランプ米大統領は7月、「ドイツは完全にロシアに支配されている」と発言。米政府はノルド・ストリーム2に投資する欧州企業に制裁を科す可能性があると脅しをかけた』、EUのロシア依存が一層進むのは好ましいことではないにしても、トランプの脅しは内政干渉そのものだ。
・『褐炭の採掘はフル操業  ドイツ政府もロシアへの過度の依存を警戒しているが、エネルギーの安定供給を求める産業界の要望は無視できない。現実問題としてロシア産ガスに頼らざるを得ないと、ドイツ国際安全保障問題研究所のエネルギー専門家クリステン・ベストファルは言う。「大きな需給ギャップを埋めるには、(ロシアの)ガスが必要だ」 再生可能エネルギー用の送電網整備が立ち遅れるなか、二酸化炭素(CO2)の排出量が最も多い化石燃料である褐炭の需要も伸びている。褐炭による火力発電はドイツの電力供給の25%近くを占める。化石燃料業界が逆風にさらされるなか、褐炭の採掘会社は稼げるうちに稼ごうと事業の拡大に余念がない。 石炭火力発電が大きく伸び、ドイツのCO2排出量は15、16年と連続で増えた(17年には微減)。ドイツは今なおヨーロッパ最大のCO2排出大国だが、アンゲラ・メルケル首相は汚名返上に努めるどころか、20年までに1990年比の40%という削減目標を撤回するありさまだ。 わずか数年前、パリ協定の採択に向けた議論が行われていたときには、ドイツはEUの気候変動対策のリーダーを自任していた。だが最近、ミゲル・アリアスカニャテ欧州委員会気候行動・エネルギー担当委員が30年までの削減目標を90年比40%から45%に引き上げようと提案すると、メルケルは渋い顔をした。「既に決めた目標があるのだから、その達成が先だ。次から次に新しい目標を打ち出すのはいかがなものか」』、メルケル首相もキレイ事ばかりは言っていられないようだ。

次に、11月9日付けNHK時論公論「太陽光の2019年問題 期限切れを前に対応を急げ!」を紹介しよう。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/309196.html
・『一般家庭の太陽光発電にとって試練となるかも。 家庭用太陽光で発電した電気を電力会社が買い取る制度の買取期間が、1年後から終わり始めるから。対象となる家庭は2019年だけでも50万世帯にのぼる見通し。各家庭が売電先を探すなどの対応しなければ、発電した電気がタダで流れていくことにもなりかねない。しかし売電先を探そうにも、どこがいくらで買い取ってくれるのか、買い取り期間終了後の仕組みがきちんとできていない。 この「太陽光の2019年問題」について +家庭用太陽光の買い取り期間終了とは。+対象となる家庭はどう受け止めているのか。+政府や電力会社はどう対応していくべきか』、10年で期限切れになることは当初から分かっていた筈なのに、いまだに期限切れ後の対応が未定とは、政府も無責任もここに極まれりだ。
・『CO2を出さない電源として注目される太陽光や風力などの再エネだが、価格が高く、政府は普及を図るため再エネで発電した電気を一定の価格で買い取ること制度開始。中でも太陽光だけは一般家庭が導入可能な再エネで、重点的に拡大を図ろうと制度を前倒しする形で2009年11月から買い取り開始。自宅消費で余った分を電力会社が買い取る仕組みで、当時は太陽光パネルの価格が高かったため、買い取り価格は1kWhあたり48円と、かなり高い価格に設定。 高価格が保証されたことで一般家庭の太陽光が一気に増え、200万世帯あまりがパネルを設置。 しかし高価格での買い取り期間は10年間に限定されており、それ以降電力会社は買い取る義務がなくなる。期間終了となる家庭は2019年11月と12月だけでも53万世帯、2023年までに160万世帯に達する見込み。あわせれば最大で700万kWと原発7基分の再エネによる電力が有効に利用されないおそれ』、最後の部分はやや誇張気味ではある。
・『再エネについて政府はエネルギー基本計画で、脱炭素化の切り札と位置づけ、将来の主力電源にしていく方針。そのためには再エネが買い取り制度のような支援が無くても成り立つ自立した電源になれるかどうかにかかっている。 それには設置した人たちが、買い取り期間終了後も引き続き意欲を持って有効に活用し続けてもらうことが必要。 最近は企業の中にも事業で使う電気をすべて再エネでまかなうことを目指すことで企業価値を高めようとするところも。再エネは脱炭素化の価値の高い電源としてニーズが高まっていることから、買い取り終了後も需要はあり、一定の価格も期待できる。 にもかかわらず期限切れまで1年となっても、一般家庭や電力会社にあまり動きがなく、買い取り制度からうまく移行できないおそれがある、これが太陽光の2019年問題』、高い値段で買わされる電力会社は動き難いのは当然で、ここでこそ政府の出番の筈だ。
・『対象となる一般家庭はまずは期限が切れる前にあらたな売電先を探す必要。あらたな設備は必要ないが、自分で売電先を探さなければ。 もう一つ、電気をためる方法。時間帯や天候によって発電量が変動する太陽光の弱点の解消にもつながりこれまで以上に効率的に使うことができる可能性あるが、あらたに蓄電池を設置しなければ。 制度発足当初に太陽光を導入した人たちはこの問題をどう捉えているのか。横浜市内のあるお宅では2010年の初めにおよそ200万円かけて太陽電池パネルを設置。操作パネルを見れば、どれだけ発電しているかや、売電量がリアルタイムでわかる。毎月5千円から6千円分、東京電力に買い取ってもらっている。しかし1年余り後に買い取りが終わってしまうことについて、不安を募らせる。蓄電池は200万円近くと高価で、まだ設置に踏み切れないという。この先どことどうやって契約すればいいのか、自ら動かなければならないのか、そして買い取り価格はどうなるのか、わからないことだらけという。このように契約先を探そうとしても、一体どの電力会社がいくらで買い取る用意があるのかなど、買い取り期間終了後の仕組みがきちんとできていないことが一番の問題』、売電収入が「毎月5千円から6千円」ということは、年間6~7.2万円、10年間でも設置費の200万円の僅か1/3程度に過ぎない。買取価格が下がれば、寿命前に回収出来るかすら微妙だろう。これでは、さらに蓄電池に200万円近く投資する家庭は限定的だろう。
・『政府は買い取り期間が終わった太陽光を買い取る用意がある電力会社に、早く買い取りのメニューを提示させる必要あり。 その際、かなり安くなることが想定される。ただあまりにも安すぎると、一般家庭で今後も太陽光を続けていこうという意欲がなくなり、再エネ拡大にはつながらない。適正な競争によって価格が決まることが望ましい。 そのためにも現在買い取りをしている大手電力会社になるべく早く、価格を提示してもらうことが必要。大手が示せば、新電力もそれに対抗する値段を出して価格競争が起きる。 また買い取り期間が終わることを忘れていて気づいていない一般家庭も多い。 太陽光を設置している家庭のうち、どの家庭が期限切れとなるのかという顧客情報は多くの場合大手電力会社が握っているので、大手電力から各家庭に通知してもらうのが一番確実。 それぞれの家庭が脱炭素社会に向けてのけん引役となるためにも、今から賢い再エネの活用方法を考えられる環境づくりを』、普通であれば一般の新聞も騒いでもよさそうだが、音無しである。政府への忖度でなければいいのだが・・・。

第三に、フリーライターの有井太郎氏が11月9日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「メガソーラー建設反対運動が続発、太陽光発電は本当に「エコ」か」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/184843
・『「エコ」のイメージが強い太陽光発電。しかし今、全国各地でメガソーラーの建設とそれに対する反対運動が起きている。景観地としても有名な長野県・霧ヶ峰の麓でも、東京ドーム約40個分、ソーラーパネル約31万枚の巨大計画が立ち上がり、住民の反対運動が過熱。はたしてなぜ、このような事態が頻発するのか。長野県をモデルケースに、太陽光は本当にエコなのか考えたい』、既に太陽光発電設備が乱開発された北杜市では、景観破壊、パネルによる熱輻射、水源・水質への悪影響などが問題化している。
・『霧ヶ峰の近くで立ち上がったソーラーパネル31万枚の大計画  東京・新宿駅から、特急電車でおよそ2時間の場所にある長野県・茅野市。蓼科高原などの観光地を有するこの地で、先日あるシンポジウムが行われた。そこには、定員の300人を優に超える500人が集まったという。四国や九州など、遠方からも多数の人が訪れた。 それが、10月8日に茅野市民館で開催された「全国メガソーラー問題シンポジウム」。近年、全国で開発が進む大規模な太陽光発電施設、“メガソーラー”がテーマだった。 ここまで広範囲に、同じ“問題”が起きているのは正常とは言い難い。“問題”とは「メガソーラー開発に対する反対運動」だ。このシンポジウムでも、リアルタイムで反対運動を行っている地域として、千葉県鴨川池田地区、静岡県伊豆高原、愛知県知多郡東浦、三重県四日市足見川の人たちが事例報告と現状の共有を行った。 これらに先んじて報告されたのが、シンポジウム開催のきっかけとなった、長野県諏訪市四賀のソーラー事業に対する反対運動だ。国定公園もある長野県・霧ヶ峰の近くに立ち上がった計画で、事業面積196.5ha、東京ドーム約40個分の土地に、ソーラーパネルを31万枚並べるもの。山間地域のメガソーラーとしては、国内最大級の規模となる。 事業計画地は茅野市の隣にある諏訪市だが、反対運動はちょうどそのエリアの斜面下部に位置する茅野市米沢地区の住民が中心となっている。 「山は森林によって保水力を有しています。これだけ大規模に森林を伐採し、さらにこの計画では大量の土を掘削。10tトラック5万台分の土が動くとのことです。加えて、計画地の下には、茅野市の市内4分の1をカバーする水道水の水源もあるのです。それほどの開発をする必要がどこにあるのか、疑問でなりません」 こう話すのは、反対運動を行う米沢地区Looopソーラー対策協議会の柴田豊さん。「Looop」とは、今回の計画を行う事業者である。 2011年の東日本大震災を経て、再生可能エネルギーの筆頭として注目された太陽光発電。それがなぜ、全国でこのような事態を起こしているのだろうか。霧ヶ峰での事例をピックアップしつつ、メガソーラーの根本的な問題を考えてみたい』、リンク先の写真にある事業計画地のイメージ図を見ると、こんなものが出来たら霧ヶ峰の景観は台無しになるだろう。
・『土砂災害に水質の変化 地元の人が抱く不安とは  諏訪市四賀のメガソーラー計画では、計画地の脇を「横河川」という川が流れる。横河川は、これまでにたびたび大雨で災害を起こしており、1983年には米沢地区に大きな被害があったという。「これだけ広範囲に森林を伐採すれば、雨水の浸透量は減り、横河川への大量流出を招くかもしれません」と柴田さんは危惧する。 事業者のLooopは、対策として計画地内に“調整池”を3ヵ所つくるとしている。今回、Looop担当者にその点を聞くと「調整池は、最新の長野県の林地開発設計基準に基づいて容量の計算が行われており、豪雨時でも計画地から流れ出る水量をコントロール(調整)できる」とのこと。 しかし、この調整池についてもこれまで議論がされており、住民からの不安は尽きないようだ。柴田さんが説明する。 「本来、調整池とは川の外側に作ることで、本流から水を逃がし、水量の調整や濁りを除去します。しかし本計画では、計画地にもともと流れる川を深く掘って調整池にするとのこと。本当に水量や濁りを十分調整できるのか疑問です」 他にも不安は山積している。湧水への影響だ。計画地の下には茅野市民の4分の1の生活水となる「大清水湧水」がある。Looopは「大清水については、開発地の影響は予測されない」としているが、住民はその説明に納得していない。 「実は、かつてもこの地で開発計画が起こり、信州大学の教授が地質を調査しました。その際の内容とLooopの調査結果には異なる点が多々あります。また、地質調査の結果報告も不十分で、信州大学特任教授の小坂共榮氏もその点を指摘しています」 また、諏訪市側には「南沢水源」という別の水源があり、こちらは諏訪地域の住民の生活水にもなっている。この水源については、現状で「影響が少ない」とLooopは発表しているとのこと。「“少ない”というのは、『影響がある』ことを認めているのではないでしょうか」と柴田さんは話す。 さらに、諏訪地域には“諏訪五蔵”と称される酒蔵がある。彼らは霧ヶ峰から来る伏流水を使っており、「酒蔵の方々も大変な不安を感じています」と柴田さんは続ける』、景観破壊を問題にしてないのは理解に苦しむ。
・『なぜ計画が立ち上がったか この開発でより良い山になる?  特に成り行きが注目されるのは、工事で排出される大量の“残土処理”だ。当初、トラック5万台の土は横河川沿いに盛られる予定だったが、事業計画を審査する長野県環境影響評価技術委員会の指摘を受けて、事業者は計画を変更。近隣の採石場跡地に運び出すことにした。 しかし、それだけの土を積み上げて、はたして土砂崩れなどが起きないか。住民は不安を感じている。また、採石場跡地は技術委員会の審査対象範囲から外れるため、処理方法の計画は不透明になっているという。 柴田さんは「とにかく計画が“事業ありき”で進んでいます。地形やこの土地の環境を考えたら、“なぜここでそんな開発が必要なのか”という思いしかありません」と繰り返す。 では、どうしてこのような事業が立ち上がったのか。この計画地は、上桑原牧野農業協同組合、上桑原共有地組合、上桑原山林組合という3つの組合が地権者となり、牧草地として活用してきた。 だが、需要の減退や組合員の高齢化により、山林の維持管理が難しくなったとのこと。これを理由に今回の事業に至ったという。現在は3組合が地権者のままだが、最終的にはLooopが土地を買い取る計画となっている。 なお、この事業の正当性について、Looopは以下のような回答を寄せている。 「最近は、過去に例のない集中豪雨による自然災害が全国各地で増え、諏訪地方でも今年9、10月に発生した台風による強風で倒木が相次ぎ、約2万戸が停電しました。このような中でこれまで以上に人手をかけた森林管理が求められています。防災調整池や年間を通じての草刈り、点検を行うことで、治山力の向上につながると考えています」 つまり、今回の事業を通じて、より安全な自然環境を実現するというのがLooopの考えだ』、山林の維持管理が難しくなった3つの組合が、Looopの話に乗ったのが実情のようだ。メガソーラーを作った方が、「治山力の向上につながる」とのLooopの言い分は笑止千万だ。
・『2012年からバブル状態に メガソーラーをめぐる法律  確かに、森林は管理が必要となる。定期的に間伐をするなど、適度に人の手を入れることで、より理想的な土壌や保水能力が保たれるからだ。 しかし、「だからといって、これほどのソーラーパネルを並べることがプラスになるという論理は成り立たないでしょう」と話すのは、冒頭で紹介したシンポジウム実行委員会・事務局の小林峰一さんだ。「どんなに手の入っていない森林でも、森林が森林として存在する方がはるかに山として高いメリットを持ちます」と続ける。 同時に筆者が気になるのは、協議会の人も指摘していた気候の問題だ。長野県茅野市は国内有数の寒冷地であり、冬は大量の雪が降る。当然、ソーラーパネルにも降り積もるだろう。これらの管理や安全性は問題ないのだろうか。 そもそも、これだけの大規模な工事をして、この環境で発電事業をやるメリットがどこにあるのか、疑問に感じる人も多いはずだ。 ここに関連してくるのが、ソーラーに関する法律である。 メガソーラー問題のきっかけとなったのは、2012年に導入された固定価格買取制度(FIT)。再生可能エネルギーでつくった電力は、20年間、国の定める価格で電力会社が全量買い取るという仕組みだ。 再生可能エネルギーの促進が狙いであり、買い取り価格は2012年時点で1kWhあたり40円と、国際的に見ても高値に設定された。その後、年々買い取り価格は下がり、現在は18円となったが、基本的に認定を受けた時の価格で20年間買い取られるので、導入初期の2012年~2014年、40円~32円の時代に認定された企業は、高利益が期待できる。諏訪市四賀の計画も、ここに含まれる。 「この結果、当時メガソーラーバブルが起きました。20年にわたり安定的な利益が上げられるわけですから。ビジネスとしての熱が高まり、地権者から事業権利を買い、それを別の企業に譲渡する仲介業者も出てきました」(小林さん)』、「認定を受けた時の価格で20年間買い取られる」というルールに、いつまでに供給するという条件が入ってなかったのは完全な手落ちだ。
・『安定的なビジネスゆえに歯止めが効かない状態に  諏訪市四賀のメガソーラーも、当初は東日本土地開発という企業が事業権利を持っていた。それをLooopに権利移管した形となる。これが悪いこととは言わないが、森林という共有財産がきわめて営利的な形で取引されている現状がある。 FITによって、メガソーラーは安定的に収入を得られるビジネスとなった。冷静に見れば、事業者にとっても地権者にとっても損はない。そして、法律を犯してもいない。 とはいえ、先ほどの市民の声を聞けばわかる通り、土地や森林はその地域の人々の安全や生活、地場の農業、産業などに関わる。 だからこそ「FITを導入した後、このような状況が始まった段階で細かく法整備をするべきでした」と小林さんは話す。「これまでは、太陽光発電の施設を作る際の法的な規制がほぼないに等しい状況でした。それでは歯止めが効かなくなります」という。 ここ最近、九州電力では、太陽光の発電量が増えすぎたことから、受け入れを制限する「出力抑制」をたびたび行っている。旧来の発電方法による電力に加え、太陽光発電が急増した結果、供給過剰となった。つまり、想定外に太陽光発電が増えすぎているのである。 このニュースは、日本のエネルギービジョンがいかに曖昧かを示しているのではないか。法規制の遅れはもちろん、将来的なエネルギーの割合やロードマップが敷かれていないことが見てとれる。 環境省は、メガソーラー問題が各地で続出していることに対し、100ha以上の大規模な太陽光発電施設について環境影響評価(アセスメント)法に基づくアセス対象にする方針を発表した。環境などに配慮した事業計画を義務付けるもので、2020年の導入を目指すという。 実はこれより先に、県や市ではすでに条例でメガソーラーをアセス対象としている。諏訪市四賀のメガソーラーは、全国で初めてアセスが適用された事業でもある。小林さんは「アセス対象になっていなければ、残土処理の問題なども検討されずに着工されていました」と話す。 「ただし、現状のアセスメント法は事業者が調査の主体者になります。また、方法書の作成なども事業者が別の企業に依頼する形。依頼主(事業者)の不利になることはしにくいと考えるのが当然で、公平性には疑問が残ります」(小林さん)』、「現状のアセスメント法は事業者が調査の主体者」というのでは、事業者に有利な報告が出るのは目に見えている。事業者からアセスメント費用を徴求した上で、自治体が第三者に調査を委託する形であるべきだ。
・『太陽光とメガソーラー このエネルギーは本当にエコか  2012年以降、爆発的な増加を見せる太陽光発電。発電の方法自体は確かにクリーンだが、森林を伐採して、地域住民を不安にさせてまで造るメガソーラーはエコなのだろうか。 なお霧ヶ峰では、Looopより一足先に別の事業者がソーラー施設を建設している。こちらはずっと小規模だが、同じように次々と事業者が参入し「霧ヶ峰がソーラーパネルで埋め尽くされるのではないか」と危惧する住民もいる。対策協議会の柴田氏は、こんな思いを吐露する。 「Looopの方は当初、『観光立県として、メガソーラー施設により国内外の集客が期待できる』と話していました。本当にそうでしょうか。地元の人間にとっては信じられない言葉でしたし、説明を聞いていても、山や自然を理解されているとは到底思えません」 その上で、柴田氏は「これだけの開発をして、もし何かが起きても取り戻せません。木はまた育つかもしれませんが、大量に削った土は元通りにできないですから」と話す。 対策協議会の主体となる地域はまさに横河川の下流域にあたり、その地区の住民の約93%は計画に反対している。 今年に入り、インターネットも含めた署名運動を行いました。初めてのことでどれだけ署名が集まるか想像もつきませんでしたが、4万人の方に署名いただきました。茅野市や諏訪市だけでなく、首都圏や北海道、九州の方など全国から集まったことに驚いています」(柴田さん) 今回の取材で筆者は、Looopに「このまま地元住民の合意を得られない場合、それでも事業は遂行するのでしょうか」と質問を投げかけた。答えは以下のようなものだった。 「今後も引き続き事業計画、環境影響調査の丁寧なご説明に努め、地域との対話を重視し進めて参りたいと考えております」 太陽光発電は本当にエコなのか。それ以上に、メガソーラーは本当にエコなのか。今こそ真剣に議論すべき問題ではないだろうか』、「「Looopの方は当初、『観光立県として、メガソーラー施設により国内外の集客が期待できる』と話していました」、こんな馬鹿な言い分を聞き入れる地元も工事などの利権に目が眩んでいるからなのだろう。こんなメガソーラーが出来たら、霧ヶ峰には絶対に行きたくない。それにしても、より広い立場で考えられる県が、こんな環境破壊を見逃すとは、行政の不作為もここに極まれりだ。
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